第34回 消費者法分野におけるルール形成の在り方等検討ワーキング・グループ 議事録

日時

2021年8月11日(水)13:04~14:12

場所

消費者委員会会議室・テレビ会議

出席者

【委員】
丸山座長、新川座長代理、山本委員長、片山委員長代理
【オブザーバー】
柄澤委員、大石委員、大阪大学大学院法学研究科教授 清水真希子氏、京都大学法学系(大学院法学研究科)教授 原田大樹氏
【事務局】
加納事務局長、渡部審議官、太田参事官、大岡企画官

議事次第

  1. 開会
  2. 報告書について
  3. 閉会

配布資料 (資料は全てPDF形式となります。)

≪1.開会≫

○太田参事官 本日は、皆様、お忙しい中をお集まりいただき、ありがとうございます。

ただいまから消費者委員会第34回「消費者法分野におけるルール形成の在り方等検討ワーキング・グループ」を開催いたします。

議事に入ります前に、配付資料の確認をさせていただきます。お手元の議事次第に配付資料を記載してございます。不足等ございましたら、事務局までお知らせください。

なお、本日の会議はウェブ会議による開催となります。公開で行いますが、感染拡大防止の観点から一般傍聴者は入れず、報道関係者のみ傍聴をしていただいての開催となります。議事録につきましては、後日公開することといたします。

次に、ウェブ会議による開催に当たりましてお願い申し上げます。

1つ目に、ハウリング防止のため、御発言いただく際以外はマイクをミュートの状態にしていただきますようお願いいたします。

2つ目に、御発言の際はあらかじめチャットでお知らせください。座長に御確認いただき、発言者を指名していただきます。指名された方は、マイクのミュートを解除して、冒頭でお名前をおっしゃっていただき、御発言をお願いいたします。御発言の際、配付資料を参照する場合は該当のページ番号も併せてお知らせください。

なお、御発言の際には、可能であれば映像、カメラのマークのミュートを解除していただきましたら、どなたがお話しになっているのか分かりやすくなりますので、御協力をお願いいたします。

3つ目に、音声が聞き取りづらい場合には、チャットで「聞こえない」「聞こえにくい」などと御記入いただき、お知らせいただきますようお願いいたします。

それでは、丸山座長、以降の議事進行をよろしくお願いいたします。

○丸山座長 座長の丸山です。どうぞよろしくお願いいたします。

本日の進行についてですが、途中で私の回線が切れた場合は、復旧するまでの間、新川座長代理に、新川座長代理の回線も併せて切れた場合は事務局に進行をお願いします。


≪2.報告書について≫

○丸山座長 それでは、本日の議題に入らせていただきます。本日は、前回に引き続き、報告書取りまとめに向けた議論を行います。

まずは、事務局から先日のワーキングでの議論を受けて修正した報告書について説明をしていただきます。よろしくお願いします。

○太田参事官 事務局でございます。

お手元の右肩に資料1とある資料を御覧いただければと思います。表題は「消費者法分野におけるルール形成の在り方等検討ワーキング・グループ報告書(案)」ということになります。

こちらの案でございますが、前回、7月27日のワーキング・グループにおきましてお示しいたしました報告書の素案につきまして、ワーキング・グループですとかその後のやり取りの中でいただいた御意見等を踏まえまして修正したものを案としてお示しさせていただいております。

副題でございますが、丸山座長と御相談させていただいた上で、「自主規制の実効的な整備・運用による公正な市場の実現を目指して」ということにさせていただいております。

以後、主な修正点を中心に御説明させていただきます。おめくりいただきまして、まず1ページ目の「はじめに」を御覧いただければと思います。

上から5段落目の4行目以降でございますが、こちらは前回のワーキング・グループで、自主規制の実態把握でありますとか、望ましい整備・運用の在り方、その後、行政規制の整備といった形で、その取組の順序に従って記述を整理したほうがいいのではないかというような御指摘をいただきまして、そのように修正をさせていただいているところでございます。

続きまして、おめくりいただきまして3ページ目を御覧いただければと思います。3ページ目、第1のまず2.の(1)のところでございますが、括弧書きで「(例えば、通信販売について、クーリング・オフ類似の制度を設ける場合等である)。」という記載がございまして、こちらについては前回のワーキング・グループにおきまして、通信販売におけるクーリング・オフが個社の取組であるならばその旨を明記すべきといった御指摘をいただいていたところでございますが、この後、事務局のほうで確認を取らせていただきましたところ、個社の取組というよりは通信販売業界としてもそういった自主ルールの策定に関与しているということが新たに判明いたしましたので、こちらにつきましては元どおりの記載を維持させていただいております。

(2)の「事業者にとっての自主規制の意義」のところでございますけれども、4行目から5行目にかけてでございますが、事業活動の健全化ですとかガバナンスの強化といった形で、事業者にとっての意義について記載を拡充するための修正を行ってございます。

それから、(3)の「規制当局にとっての自主規制の意義」のところでございますが、こちらは本来取引というのは民間の自由な取引を尊重するのが重要である。規制をすることが自己目的化することは回避すべきであるといった趣旨が分かるような記載にすべきではないかとの御指摘をいただいていたところです。そういった観点から、そのような趣旨の文章を追加しているということでございます。

11ページまで飛んでいただければと思います。7.の「紛争解決機能」という項目がございまして、そこの一番下の段落でございますが、なお書きといたしまして「事業者団体による紛争解決機能は、解決事例の集積を通じて新たなルール形成を促進するという意義も有していると考えられる。」ということで、そういった機能もあるのではないかという御指摘を受けまして、この一文を追加してございます。

13ページ目を御覧いただければと思います。一番上のところで脚注18という項目がございますけれども、こちらにつきましては消費者庁において民事ルールの実効性強化といった観点から、消費者裁判手続特例法等に関する検討会が開催されているといったことがございますので、それに関する記述を脚注で追加してはどうかというような御意見をいただきまして、その記載を追加してございます。

それから、4.の「自主規制と独占禁止法との関係」のところでございます。前回のワーキング・グループにおきまして、自主規制の整備を促進する観点から、独禁法との関係について少し踏み込んだ記載が必要ではないかといったような御指摘をいただいたところでございます。

それを踏まえまして、こちらの2段落目、3段落目及び脚注21の記述を拡充してございます。その趣旨といたしましては、独禁法の適用について予見可能性を高めることが重要といったような趣旨の記載ですとか、その観点から公正取引委員会においても様々な取組を行っていただいておりますので、それに関する公取における取組について記述を追加しているというような修正を行ってございます。

14ページ目でございますが、(2)のアのところ、こちらにアフィリエイトの関係でリーチ率という言葉がございますが、これが一般的な用語法として適切なのかというような御指摘をいただいたところでございます。こちらにつきましては、脚注の25にございますように、リーチ率という概念でございますが、アフィリエイター全体に対してその協議会の会員のASPがカバーしているアフィリエイトの割合というようなことでございまして、これについて問い合せましたところ、業界においてリーチ率という言葉が定着しているということで、他に適当な用語もなかなか見当たらないということでございましたので、こちらにつきましては原文を維持させていただいております。

15ページ目を御覧ください。イの「監督官庁との関係」のところに脚注の27というものを新たに追加してございます。事業者団体が行う調査の結果と行政が行う調査の情報共有ということに関しまして、情報共有が制度化されている例として、資金決済法にそういった条文があるということでございますので、そちらについて新たに記載を追加しているということでございます。

同じく15ページ目の一番下でございますが、ウといたしまして「専門家等との連携・協力」というような項目を新たに追加してございます。こちらにつきましては、前回のワーキング・グループにおきまして自主規制の実効性向上に果たす専門家等の役割について記述を追加すべきではないかというような御指摘を踏まえまして、新たに記載したものでございます。

16ページ目でございます。(2)といたしまして「事業者団体や同業者との関係」というところがございますけれども、そちらの2段落目の5行目以降でございますが、事業者が事業者団体に所属することによる効果として、監督官庁との情報共有ですとか意思疎通を円滑に行うことができるようになるといった趣旨のことも加えるべきではないかというような御意見を踏まえまして、新たに記載を追加してございます。

17ページ目でございますが、こちらは中段以降、第4ということで「自主規制の整備が求められる新しい取引分野」ということで、アフィリエイト広告ですとか後払い等々、新たな取引分野につきまして記載をしてございますけれども、4章全般といたしまして、これらの新しい分野において自主規制により対応するとした場合、具体的にどのような項目について手当てが必要なのかといったことについて、もう少し具体的に書くべきではないかといったような御指摘をいただいております。

これを踏まえまして、第4の全般にわたってでございますが、例えば19ページ目のアフィリエイトに関するところでございますが、(4)の2段落目の中段以降、そういったアフィリエイト分野における自主規制としてどういった項目が考えられるのかといったようなことを具体的に例示的に掲げさせていただいているということでございますし、さらに21ページ目の冒頭のところでございますが、こちらは後払い決済のサービスの分野におきましてどういった項目が自主規制として必要なのかといったところについて具体的な項目を記載させていただいております。

また、24ページ目のCtoCの関係でございますが、こちらにつきましては既にCtoCの業界団体のシェアリングエコノミー協会のほうで認証制度ができておりまして、それの具体的な項目といたしまして脚注52というものがございますが、そちらに認証制度の基準ということで具体的な項目を新たに記載させていただいているということでございます。

さらに、こういった取組にもかかわらず自主規制が十分機能しない場合には、自主規制だけに頼るのではなくて行政規制を整備することも検討すべきだといった趣旨の文章を追加するというような修正を行ってございます。

恐縮でございますが、18ページ目に戻っていただきましてアフィリエイトの関係の記載の追加でございますが、(3)に「自主的取組等」というところがございます。こちらにつきまして、アフィリエイト協議会の具体的には成功報酬型の広告を対象としているといった趣旨を明確にしたほうがいいという御指摘を受けまして、脚注35というものを追加しております他、アフィリエイトサービスにおけるASPの機能についても脚注の36ということで新たに記載を追加しているというような修正を行ってございます。

以上が第4のところでございまして、その後、若干ページは飛んでいただきまして25ページ目を御覧いただければと思います。第5といたしまして「望ましい自主規制の整備・運用の在り方」という項目でございますが、そちらの1.の2段落目に脚注53というものを追加してございます。こちらは、前回のワーキング・グループにおきまして事業者団体のヒアリングの際に自主規制の内容についてもこれまでのルールベースからプリンシプルベースに比重が移行しているというような御紹介があったので、そういったものを踏まえて自主規制においてもベストプラクティスなどを共有することによって、それを継続的に検証することによって機能させる方向性も考えられるといったような趣旨の一文を新たに加えてございます。

26ページ目を御覧いただければと思います。2.に「行政規制が存在しない分野」ということで記載してございますが、こちらにつきまして、業界によっては事業者団体の設立がなかなか難しい分野もあるのではないかといったような御指摘、それから事業者団体を中心に分析しているけれども、事業者団体だけでなく個別の事業者でありますとか、その他の関係主体がそういった自主規制の策定に果たす役割といったことも考えられるのではないかというような御指摘をいただいたところでございます。

そういったことを文章として反映するために、こちらの2段落目に「また」とございますけれども、以下の2段落目を新たに追加しているということでございまして、業界の実情に応じて事業者団体でありますとか個別の事業者、さらには関係団体といった様々な主体が自主規制を策定することが考えられるのだといったような趣旨の文章を加えているということでありますし、さらにその下の3段落目のところで、なお書き以下でございますけれども、「このような自主的な取組が進展せず、自主規制が十分に機能しないような場合には、行政規制の導入も検討されるべきである。」というような文章を追加してございます。

さらにそれと関連の記載でございますが、27ページ目の中ほどに脚注55というものがございます。こちらにつきましては、先ほど分野によっては業界団体の設立は難しいというような御指摘があったわけでございますが、脚注55といたしまして、業界特性などによって団体の設立が難しい場合には民間協議会や官民協議会等の枠組みも活用しつつ、当該業界の主要事業者と協議を行って自主規制の整備・普及を促進することも考えるというような記載を新たに追加しております。

28ページ目でございますけれども、2段落目のところに脚注57というものがございまして、ここの記載の文章につきまして具体的な取組のイメージが分かるような形で新たに脚注を追加してございます。こちらでは米国のFTC法第5条の例を出しておりますけれども、こういった一般条項的な包括的な規定を活用して自主規制の整備を促進していくような場合もあるのではないかというような記載を追加しているということでございます。

それから、イの「消費者をはじめとする市場のステイクホルダーからの評価」というところでございますが、こちらにつきまして全般的に消費者ですとか消費者団体が事業者・事業者団体の取組を評価するという趣旨については十分理解できるけれども、その前提として、やはり事業者・事業者団体が十分に情報を開示した上で、消費者・消費者団体と積極的なコミュニケーションを取っていくというようなことが前提として必要ではないかというような御指摘をいただいたところでございます。

その観点で、イのところの4行目以降でございますが、消費者・消費者団体等と意見交換等を行う機会を積極的に設けるべきであるといったような記載を追加してございます。

それから、その下の段落でございますが、脚注58というものを追加してございます。海外の消費者団体におきましては、事業者・事業者団体の活動を評価するという意味で先進的な取組を行っているような例もあるということでございますので、そういった海外の消費者団体との情報交換を行うことは有益だというような記載を新たに追加しております。

それから、29ページ目を御覧ください。29ページの中ほど、エとございまして、「自主的取組の運用状況のモニタリング」という項目がございますが、こちらには脚注の63というものを新たに追加してございます。前回のワーキング・グループにおきまして、モニタリングですとか評価を行う際に高度な専門性が必要な分野もあるのではないかということで、こういった分野については専門的な知見を有する事業者、専門機関にモニタリングを委託し、その適切性というのを行政がチェックするというような仕組みも考えられるのではないかということで、そのような記載を追加してございます。

最後でございますが、30ページ目、「おわりに」のところでございます。こちらの3段落目から4段落目にかけまして、先ほどの御指摘と関連しますけれども、消費者団体が事業者団体などの自主的な取組を積極的に評価する意識を持つということは重要であるけれども、そのための知見を高めることを期待されるのは一方的な印象があるというような御指摘をいただいてございます。

そういったことを踏まえまして、3段落目の最後でございますが、事業者・事業者団体の取組としまして「消費者・消費者団体等と双方向のコミュニケーションを行うことを期待したい。」ということを追加しておりますし、さらに下の消費者・消費者団体のところでございますけれども、そういった消費者団体などの活動を行う際に「行政による適切な支援の下」というものを新たに追加してございますし、さらに3行目からでございますが、その前提として「事業者・事業者団体との双方向のコミュニケーションに積極的に参加し、その成果も活かしつつ」といった文言を追加するというような修正を行っております。

以上が報告書本体についての主な修正点ということでございますが、さらに資料2といたしまして報告書に添付する参考資料というものをおつけしております。こちらは幾つか資料がございますが、参考資料4というA3の一覧表がございますけれども、ワーキング・グループにおきましてヒアリングを行っていただきました結果を一覧にまとめさせていただいたということでございまして、各団体への事実関係等の照会等も済みまして、本日正式に提出させていただいたということでございます。

それから、資料3といたしましてワーキング・グループ報告書の概要という色刷りの紙を新たに作成させていただいております。表裏で計2ページということになりますが、対外的な説明の際等にはこの概要を活用していきたいということで作成させていただいたところでございます。

事務局からの御説明は以上でございます。

○丸山座長 ありがとうございました。

それでは、これより後は意見交換の時間とさせていただきます。修正点を中心に、報告書案全体につきまして御意見がございましたらお願いいたします。御発言される際には、チャット欄にまず御投稿ください。よろしくお願いいたします。

それでは、新川座長代理よろしくお願いいたします。

○新川座長代理 新川でございます。

報告書につきましては、丁寧にこれまでの議論をまとめていただいていて、これについてどうということではございませんので、この報告書を受けて今後是非さらにしっかり進めていただきたいという点を幾つか申し上げたいと思っております。

1つは、今回の自主規制の議論というのは何よりも私どもの趣旨からすれば消費者保護という観点での議論をしていかなければならないということがあろうかと思います。その上での自主規制の効果とか、あるいは実際に効力があるかどうかという実効性の確保、ここのところについてはやはりもっと実態を踏まえた検証が必要なのではないかということを感じておりまして、これは今後の課題ということにしたいと思っております。

2つ目には、今回本当によくまとめていただきましたので、ある意味では事業者の方々の自主規制の一般原則のようなもの、一般的な原理原則のようなものが一定出てきたのではないか。そして、それは恐らくマーケットでも評価されるようなものではないかと思っております。そういたしますと、ここで出てきた原則というものが、例えば公開性とか透明性であるとか、あるいはまた実際の適正な運用手続であるとか、苦情の処理の手順であるとか、さらに進んで紛争処理の仕組みであるとか、そういったようなところについての、ある意味では大枠、一般的な枠組みというものがどうも見えてきたのではないかと思っております。

恐らく、次のステップとしてこうした消費者保護あるいは消費者の権利保護という観点からの自主規制の在り方として、そこで求められるべき一般原則のようなものが立ってくるのではないかと考えたのが2つ目の今後の課題ということであります。

3つ目には、そのことを踏まえますと、こうした消費者の権利保障という観点からのある種の消費者サイドからの自主規制モデルのようなものがむしろ立てられていくチャンスが出てきたのではないかとも思っておりまして、こういう点は今後是非消費者委員会あるいは消費者庁におかれましても検討していただければと思っております。

その点で、最後にいたしますけれども、今回修正等をいただきました、特に28ページの注57のFTC法の5条にありますような規定、これは概括的な一般的な規定ですけれども、むしろ我が国の実情に合わせれば消費者保護のある種のこうした自主規制について、それを努力義務として法制化するような可能性というのもあるのではないかと思いながら、今回報告書を改めて見させていただきました。

個別の行政規制というのも必要に応じて実際に効果のあるものとして必要なのですが、むしろ消費者に対する事業者としての一般的な義務付けみたいなものが単に民事ルールだけではなくてもう少しこうした自主規制のルールのような形で明確にされていってもよいのではないかと感じた次第です。

いずれも、今後検討していただく手がかりにしていただければということでお話をさせていただきました。

○丸山座長 ありがとうございました。

新川座長代理からは、報告書の修正ということではございませんけれども、今後の課題としまして運用結果の実態的な調査であるとか、次のステップとして消費者保護の観点からのブラッシュアップ、さらなる検討であるとか、公的な規範の将来的な在り方という点について御指摘をいただきました。

そのほか、報告書案に関しまして何か御意見等ございます委員、オブザーバーの方、いらっしゃいますでしょうか。

では、大石オブザーバーからよろしくお願いします。

○大石オブザーバー 御報告ありがとうございました。

私からも、今回の報告書について修正ということではないのですが、感想というようなことで述べさせていただきます。

今回、本当にヒアリングも丁寧に行っていただき、それを基に詳細な報告書がまとまったと思っております。そして、今、新川座長代理がおっしゃられましたように、今後の課題というのもかなりはっきりしたのではないかと思っております。特に、新しい分野ですね。今、自主規制の整備が求められているのは、消費者にとっては未知の部分であるデジタル化に関連する新しい分野で、日々刻々変わっているという現状があります。ですので、今回は、この取りまとめになりましたけれども、本当に現状の動きをしっかり見据えていく必要があると思っております。また、最後にまとめていただきましたように、消費者被害を防ぐためにも、まず事業者と消費者の双方向のコミュニケーションというのが不可欠だと思いますので、その点を重要視しながら今回の報告書の実効性を高めていっていただければと思います。

いろいろと意見を取り入れてまとめていただきましてありがとうございました。

○丸山座長 ありがとうございます。

報告書案につきましては、特に修正や御加筆の意見はもうないということでよろしかったでしょうか。報告書案自体につきまして何か御意見はありますでしょうか。もう大丈夫でしょうか。

前回の議論を受けまして、事務局には非常に丁寧に対応していただいているところでございますので、報告書案につきましては皆様の御了解をいただいたということでよろしいでしょうか。

それでは、消費者委員会の本会議にこの報告書にて報告をすることにしたいと思います。報告書の最終版及び参考の資料は、後日皆様にお送りして御確認いただきたいと考えております。また、今後の報告書の取扱いについてですが、私より消費者委員会の本会議に報告するという流れになります。

したがいまして、ワーキングの議論、本議題については以上にしたいと思いますが、本日は最終回ということになりますので、皆様お一人ずつに最後に御挨拶でありますとか、既に新川座長や大石オブザーバーには一言いただいているところでございますけれども、さらに何か思いや感想、メッセージなど、順にいただきたいと思います。

まずは新川座長代理のほうから御挨拶いただけますでしょうか。よろしくお願いいたします。

○新川座長代理 ありがとうございます。

いつも長くお話をしてしまって申し訳ありません。今回このワーキングに参加させていただきまして、消費者分野での自主規制の在り方ということについて大変勉強させていただいたということに、まずは感謝をさせていただきたいと思います。本当にこうした事業者と、そして消費者の在り方ということ、それを考えていく上でも貴重な機会をいただいたことに改めて感謝を申し上げます。その上で、今回、特に印象に残ったことを幾つかお話ししておきたいと思っております。

1つは、この自主規制の在り方について、先ほど大石委員からもございましたけれども、本当に対話型の進め方というか、行政の在り方や、あるいはマーケットの在り方というものが重視をされてきていて、そういう原則というのを改めて立てないといけないなという対話の重要性ということを改めて認識させられたということがございました。

2つ目によかった点は、やはりこれも大石委員からございましたけれども、ネット取引のような新しい分野に対してどういうふうにアプローチをしていったらよいのか、それについて幾つか重要な示唆をいただいたということもあります。ただ単に消費者の権利保護ということにとどまらず、むしろ事業者自身の活動というものをマーケットの中で適正に進めさせていただくような観点でも大変重要な示唆があったのではないかと思っておりまして、新しい分野であるからこそ、逆にこうした自主規制の持っている意義というものを強く認識させられたということでもありました。

3つ目に、こうした新しい分野とも関わりますけれども、やはり消費者行動について、あるいは消費者行政の在り方ということについて、新しいフェーズに入っているなということを痛切に感じる機会でもありました。デジタルトランスフォーメーションという言葉がありますけれども、正にそういう時代の消費者行政、消費者保護の在り方といったようなことを考えさせられる貴重な機会であったと思っております。

なお、最後に少し個人的なことでございますけれども、私自身の専門は行政学という分野でございます。したがいまして、規制行政であるとか、あるいは行政指導といったようなことについての関心、又は官民関係といったようなところについての関心があって、そういう観点でこのワーキングにも少し興味深く参加をさせていただいていたということがありましたが、大変勉強になったということを1つ目にお話しさせていただきたいと思いました。

2つ目はおわびですけれども、残念というか、申し訳ないことにこうした消費者分野についての自主規制、その実態ということについては本当に不案内で、しかも民事ルールについては不案内なところが多々ありまして、大変御迷惑をおかけしたのではないかと思っておりまして、不明を恥じているというところがございます。

最後にいたしますけれども、本当に今回は座長代理という名前ではあったのですが、ほとんどそんな役割も忘れて勝手にいろいろ申し上げてしまいました。ここまでおまとめいただきました丸山座長には本当に申し訳なく思っておりまして、改めておわびとお礼を申し上げたいと思っております。

委員の皆様方、オブザーバーの皆様方、そして丁寧に御対応いただきました事務局の皆様方に感謝をさせていただいて私の言葉にさせていただきます。どうもありがとうございました。

○丸山座長 新川座長代理、ありがとうございました。

それでは、続けて山本委員長から一言御挨拶、御感想などいただけますでしょうか。

○山本委員長 それでは、私のほうから一言申し上げたいと思います。

まず、委員長の立場から申しますと、今回のこのワーキング・グループは非常に長期間にわたり、また非常に広範な分野についてヒアリング等を精力的に行って、それを一つの報告書に取りまとめていただきました。構成員の皆様、オブザーバーの皆様、丸山座長、そして事務局の皆様、それぞれ非常に熱心に取り組んでいただいたことについて感謝を申し上げたいと思います。

その上で、私個人の構成員としての立場から一言申し上げたいと思います。今回の報告書の中で一番難しかったのではないかと思われるところは、報告書の構成で申しますと、第3と第4のつなぎ方の部分だったのではないかと思います。つまり、第3のところで取り上げられているように、日本における自主規制は法律上の制度が比較的整備されている分野ではないかと思います。まだまだ不十分であるということはあるのですけれども、それでも諸外国に比べるとかなりできているところがあると思います。

他方で、第4の分野ですけれども、ここはむしろ最近のEUの規則案などを見ておりましても、かなり諸外国のほうで議論が自主規制に関しても進んできている分野であって、日本はもう少し追いつかなくてはいけないところがある分野であると思います。この2つの章のつなぎ方については、事務局においても非常に苦労されたと思います。

この点については、私の個人的な見解にすぎないのですけれども、第4の新しい取引分野、特にデジタル化に伴って生じている分野については、アクターが変わってきているといいますか、これまでとは違う性質のアクターを考えなくてはいけないところがあります。

1つは、いわゆる仲介に当たる主体です。プラットフォーマー、あるいはアフィリエイト広告で言いますとASPなどがそれに当たるかと思いますけれども、仲介になる主体をどのように位置づけ、その権限と責任をどう考えるかという問題です。もう一つは、いわゆる事業者対消費者というよりも、CtoC取引に典型的なように、事業者的な消費者の意味が大きくなっているというところがあろうかと思います。あるいは、事業者と消費者という区別がかなり相対化しているというか、違う区別を考えなくてはいけなくなっているということがあるのではないかと思います。

その中で、それではどのように自主規制について考えたらよいかと申しますと、先ほど事務局からも説明がございましたように、1つはいわゆる団体ではなく個社への着目です。特に仲介の立場に立つ個社の役割、自主規制における役割を考えなくてはいけないということがあります。もう一つは、ある意味で逆なのですけれども、独立の専門家とか、あるいはマルチステイクホルダーフォーラムのような多様な利害関係者が参加する場が重要な意味を持つことになるのではないか。そういったところが、ADR機能とか、認証等の機能を果たすことが重要な意味を持つのではないかという感じがいたします。

さらに、もう一つ申し上げるならば、私がこのワーキング・グループに参加をしてやや意外に思ったことは、自主規制団体が自分でADR機能、いわゆる紛争解決機能を持っていることが重要な意味を持つと自主規制団体自身によって言われるのですけれども、ヒアリング等で聞いてみると、紛争解決から規範を形成するというボトムアップ的な規範形成についてあまり顕著な例が見られませんでした。これは私にとって勉強になったといいますか、やや意外に思ったところです。

ただ、新しい取引分野に関しては、私はひょっとするとむしろ紛争解決機能から規範の形成へというボトムアップ的な規範形成がもっと強い意味を持ってくる可能性があるのではないかという感じがしております。

果たして今後どうなるか、どのような展開になるかは分からないところがございますけれども、いずれにいたしましてもいろいろと勉強させていただきました。改めてですけれども、関係された皆様に感謝を申し上げたいと思います。

○丸山座長 山本委員長には、御専門の立場からも貴重なコメントをありがとうございました。

それでは、引き続き片山委員長代理からお願いできますでしょうか。

○片山委員長代理 ありがとうございます。片山です。

私も、この自主規制の在り方ということは大変難しいテーマだったと思いますが、それについて事務局のほうでも大変丁寧なヒアリングをしていただいて、細かい整理をしていただき、それを前提に議論ができたということで、私自身も大変勉強になりました。報告書を作る大前提の作業は事務局の皆さんに大変御苦労いただいたと感じております。

それからもう一点は、やはり議論をしていくと、どうしても非常に幅広い観点でこの問題を議論せざるを得なくなったのですが、その点について座長及び座長代理のほうで適切に議論を整理していただいて、今回の報告書のようにまとめることができたものと思っております。関わっていただいた皆様に感謝申し上げたいと思います。

私の全く個人的な感想になりますけれども、私自身はこのワーキングに加えていただいて、改めて今回取り上げた新しい取引分野における自主規制の必要性を痛感しましたし、そこで最適な在り方を構築していくというのは、新しい取引分野がそれぞれに違った特性を持っているということもありますので、大変難しい問題だということを改めて具体的に認識することになったと思っています。

今回の報告書の最後のところに書かれていますけれども、せっかくこうして議論して報告書をまとめましたので、これに沿った形で是非それぞれの主体、行政、事業者団体、消費者団体において、新しい取引分野におけるこの報告書の指針というものを具体化する、そういう取組を強力に進めていただきたいと思います。

さらに取組を進めながら、必ずそこには議論と、それから検証というものが必要だと思いますので、果たして新しい取引分野の特性に、あるいは消費者被害の特性にきちんと適合した自主規制になっているかどうかということを常に検証しながら進めていくということが非常に大事ではないかと感じています。

こうした自主規制を効果的に機能させるために、私は消費者団体のほうでも活動していますけれども、先ほど来、新川座長代理も含め、皆さんおっしゃっていますが、消費者との対話、あるいは消費者による定期的評価や検証によって自主規制を見直していくということが不可欠であると思っております。

ただ、難しいのは、そういう消費者との対話などを実現するためには、消費者においても事業者に対して一定の理解を示す。事業者のほうも、消費者の意識だとか消費者行動に対して理解を示す。そうした相互理解というものが不可欠だと思います。

しかしながら、難しいのは、新しい取引分野というのは従来から自主規制が進んでいる取引分野と比べて、そもそものそういう事業者と消費者、あるいは先ほど山本委員長が言われましたような新しい主体である仲介者と消費者の間のコミュニケーション、相互理解というものがまだ出来上がっていない。その基盤も出来上がっていないとも言えるのではないかと思います。

消費者から見た非常に分かりにくい新しい取引分野、それに対してそこに相互理解の基盤を作って双方向のコミュニケーションをしながら自主規制を見直していく、自主規制を定期的に評価検証する仕組み、サイクルというものがきちんとできるような取組を消費者のほうでもしっかりとやっていかなければいけないということを強く感じているところであります。

この報告書の最後のところにも、消費者の役割というのを書いていただいていますけれども、なかなか従来の消費者・消費者団体だけでこうした取組を進めていくのは非常に難しいところもありますので、是非とも消費者庁のほうでもそうした消費者と事業者の間の相互理解、双方向コミュニケーションを進めるような場づくりということにも関心を持っていただいて、この自主規制の取組の一環として事業者と消費者の双方向のコミュニケーションの推進というものにも力を入れていただきたいと感じているところです。

大変勉強させていただいて、私自身としては何の役にも立たなかったという忸怩たる思いがありますが、ワーキングに参加させていただき本当にありがとうございました。この取組がどんどんと強く推進されていくことを心から願っております。

○丸山座長 片山委員長代理、重要な御指摘等ありがとうございました。

それでは、続けて大石オブザーバーからよろしくお願いいたします。

○大石オブザーバー 大石です。本当に今回、座長、委員の皆様、事務局の皆様にはお世話になりました。ありがとうございました。

私からは、先ほどまとめのようなことを発言させていただきましたので、もうそれ以上はないのですけれども、今、委員・オブザーバーのお話を聞いておりまして、まず山本委員長がおっしゃいましたように、新しい分野の新しい人たちの顔というのが初めて少し見えたような気がしました。自主ルールの形成ということも含めて、多くの消費者は、実際にいろいろなところで自分にも関わってはいるのだけれど、実際には相手がだれかその顔が見えない世界に飛び込んでいるのだなということを、いろいろなヒアリングを通じて実感したところです。

その意味でも、最後に片山委員長代理がおっしゃいましたように、まずはできれば行政、消費者庁の下、一体、消費者がどういう立ち位置にいるのか、誰が関わっているのかを知り、その事実を認識するためにも、是非新しい取引分野の方たちとのコミュニケーションの場というのを即座に作っていただければと思います。どんどん変わっていく社会の中で消費者自身もいろいろと勉強していけるような場を設定していただきたいですし、お願いするだけではなく、私たち消費者・消費者団体もそのような積極的な行動を持って社会の中で貢献できればと思いました。

今回、全く素人の立場で参加させていただきまして、しかし、今どういうことを考えなければいけないのかというのは、委員・オブザーバー始め丸山座長を中心に本当にいろいろと教えていただきまして勉強になりました。ありがとうございました。

今後とも、どうぞよろしくお願いいたします。

○丸山座長 大石オブザーバー、ありがとうございました。

それでは、引き続き柄澤オブザーバーから一言よろしくお願いできますでしょうか。

○柄澤オブザーバー ありがとうございます。

まず最初に、このワーキング・グループの論議をしたとき、どのような取りまとめになるのか大変不安に思っていたんですけれども、大変内容のある報告書をお取りまとめいただきまして感謝申し上げたいと思います。丸山座長をはじめとして、委員、オブザーバーの皆様、そして事務局、ヒアリングに応じていただいた皆様の御尽力に感謝したいと思います。

その上で、事業者にとってですけれども、やはり法令さえ遵守していればよいという時代はとうに過ぎ去っております。日々刻々と変化するステイクホルダーの期待に応えていかなければ企業価値の維持・向上は望めないと考えております。

このため、事業者団体や事業者が、自主規制の策定、健全な運営を通じてステイクホルダーの期待に応えていくことは極めて重要であり、今回のワーキング・グループのテーマは大変時宜を得たものと考えております。

大変奥の深いテーマでありまして、個別の業界、とりわけ新たなビジネスモデルを持った業界においては、この仕組みを作っていくにあたっては関係団体、関係者においてもっと突っ込んだ論議が当然必要になってまいりますが、事業者団体、消費者団体、行政機関など、ルールの担い手が、ルールと役割のベストミックスをフォワードルッキングに検討していくための視点として、この報告書が活用できればよいと思います。

その上で、1点だけ御期待する点を申し上げたいと思います。報告書案の28ページの最後から29ページにかけまして、消費者をはじめとする市場のステイクホルダーからの評価が最終段落に記載されております、消費者団体から、各事業者・事業者団体による自主的な取組について、一定の基準に基づいて格付を行い、その結果を公表するといった方法も考えられるのではないか、ということについて若干の期待を申し上げたいと思います。

大石オブザーバーから叱られてしまうかもしれませんけれども、投資家をはじめとするステイクホルダーと企業との間には、様々な格付機関による信用等を指標とした格付が存在いたします。企業というのは、こういう格付機関から示された格付指標を道しるべといたしまして、企業価値の向上を図り、格付機関というのは格付後、企業とのコミュニケーションを通じて、この格付の基準の改善、精度等のレベルアップを図っております。ステイクホルダーというのは、この格付を利用し、企業を選別する、という構造になっております。

例えば、ある分野において、消費者団体を主体とした格付・評価をすれば、利用者にとっては当該市場の安全性、健全性を判断する目安になりますし、事業者・事業者団体は格付の向上、市場の発展に向けた改善、改革のインセンティブになるのではないかと思っております。また、評価基準については、それぞれの主体ごとのコミュニケーションを通じて改善していくというサイクルが実現できればというふうに期待しております。

参加させていただきまして、大変ありがとうございました。

○丸山座長 ありがとうございました。

今後の具体的な消費者・消費者団体からの評価の在り方について、非常に示唆に富むコメントをいただきました。

それでは、続けまして清水オブザーバーから一言いただけますでしょうか。よろしくお願いいたします。

○清水オブザーバー 清水でございます。

このたびは、非常に難しいテーマに関して報告書を最終的に取りまとめていただきまして、本当にありがとうございました。自主規制というものの関連でお声がけをいただいたのですけれども、自主規制というのは私もこれまでいろいろ研究してきた中でも非常に多様な切り口がありまして、どういう視点を取るのかが非常に難しいということ、また実情が分かりにくいというところで非常にその点も難しいということ、つまり非常に捉えどころのない対象であって、これにアプローチするのはなかなか難しいということを自分の実感としても感じておりました。そのような難しい対象に対して、このような報告書をまとめるに当たって大変な作業をしてくださいました事務局に対しては大変感謝申し上げたいと思っております。

この会合に参加することによりまして、このワーキングに参加させていただきまして、たくさんの企業あるいは事業者団体等のヒアリングに接することができました。そこでは、普通ではなかなか深く知ることができないような実情についても見聞を深めることができましたし、また、それを通じて委員・オブザーバーとの議論に参加することができまして、非常に得るところが大きかったと感じています。

最初にも申し上げましたけれども、自主規制というのは非常に捉えどころがなく、それは広く、今はガバナンスという文脈の中に置かれておりまして、そのガバナンスというものも非常に捉えどころのないものでございます。その中で、とりわけ消費者保護に注目するというのは非常に難しいなというふうに最初にお話をいただいた時点からも思っておりました。そういう非常に難しいテーマに対して最終的な報告書が取りまとめられたということに対しては、本当にすばらしい成果だというふうに認識しております。

私自身は必ずしも十分お役に立てなかったところもございますけれども、こちらとしてはいろいろ勉強させていただいたということを感謝申し上げ、ここでいただいたいろいろな知見を基に今後の理論的な分析をさらに進めていきたいと考えております。

どうもありがとうございました。

○丸山座長 ありがとうございました。

非常に難しいテーマにつきまして御協力いただいたこと、感謝申し上げます。

それでは、原田オブザーバーから一言お願いできますでしょうか。

○原田オブザーバー 原田でございます。

このたびは、大変画期的な報告書ができたのではないかと考えております。私は、15年ほど前に自主規制の勉強をいたしておりまして、その際に知ったことと、今回いろいろなヒアリング等で知ったこととの間で、以前とあまり変わらないなと思うところもございました。

例えば、法律あるいは行政規制の圧力がないと自主規制がきちんと機能しづらいとか、そういうものがない場合には市場選択圧力のようなものがないと機能しづらいというようなことは以前とあまり変わっていないと感じました。

他方で、今回のヒアリング、あるいは今回の報告書で非常に特徴的な点が3点ほどあると思っております。

第1は、団体中心の自主規制から脱却しつつあるということです。日本の自主規制は、どちらかというと業界団体中心で従来は動いてきていたのですが、90年代くらいからそうではない形のものも、多少は出てきておりました。

他方で最近の、特に今回ヒアリングしたものを見ていますと、団体がきちんとあるものもありましたけれども、団体ではなくてそれぞれの事業者でやっているものも目立ちました。そのように、団体ではない枠組みでの自主規制というものについてどのような形で政策手段として考えていくかという新たな視点が今回の報告書では出ていると思います。

2番目に、新しく事業者が自主規制をやるという場合に、その事業者の特色として、特に今回扱ったものについてそうだということですけれども、仲介者あるいは媒介者という性格を持っているということかと思います。

この仲介者あるいは媒介者の性格を持っているプラットフォーマーは、そこを押さえることによっていろいろな問題を解決することができるので、規制の肝であるということが改めて分かったのですが、他方で肝である人たちにどういうインセンティブ、あるいはインセンティブ構造を仕組むことによって自主規制を機能させるかというのはなかなか難しい問題だと感じました。

今回の報告書は、その点も非常に丁寧にまとめてられていて、多くのヒントがあるような気がいたしますけれども、ここはもう少し事例の蓄積を待って引き続き考えていく必要があると思いました。

最後に、カウンターパートとしての消費者団体の存在がこの分野では非常に特徴的だと感じました。

先ほど、消費者団体と格付の関係についての御発言がございましたけれども、消費者団体の側のガバナンス、あるいは法制度としての消費者団体を支援するというような枠組みも、事業者側の自主規制を進めていくときに一つの手がかりになるような気がいたしました。

もちろん、消費者団体は今でも非常に活躍していて、少ない資源の中で限界まで活動しているとは思うのですが、自主規制を活発化させるという文脈において、さらに消費者団体を支援するような法制度というものを考えていく必要もあるような気がいたしました。

どうもありがとうございました。

○丸山座長 原田オブザーバーには、中間取りまとめのときも有益な意見をいただいておりましたが、今回も検討の特徴につきまして、団体からの脱却であるとか、山本委員長からも御指摘がありましたが、仲介者、媒介者への着目が重要であるということ、また、消費者団体への支援の在り方の重要性についても最後に御指摘いただきました。ありがとうございます。

最後に、私から一言述べさせていただければと思います。

委員・オブザーバーの皆様には、ルール形成ワーキングによる消費者取引分野における自主規制の実態調査及び実効的な整理・運用に係る提言の取りまとめにつきまして、長期にわたるヒアリング、意見交換に協力いただきましたこと、心より御礼申し上げます。

また、消費者取引分野における自主規制という横断的なテーマについて幅広く調査を実施し、重要な新しい取引分野について国内の関連法令、議論状況の到達点と課題の洗い出しに尽力してくださった事務局の大変な御苦労にもここで御礼申し上げたいと思います。

Society 5.0の実現に向けたガバナンスモデルとしましては、ルールベースからゴールベースへの移行、自主的取組の促進や共同規制の利用、民間主体による執行やコミュニティー・個人の積極的評価を求める方向性が提唱されています。そういった動向を踏まえた上で、まずはそういった自主規制、共同規制というものを促進し、執行の実効性を確保するために必要な要因を解明する。そして、重要な要因となる公的規範や市場の圧力の在り方について、日本の消費者取引市場においてこれまでどのような実態にあったのかを知るということは重要でありまして、そこから新たな取引分野の特徴を考慮して、自主規制等が実効的に整備・運用されるために何に留意すべきかという点について、この時期に一定の検討ができたことには意味があると考えております。

報告書につきましては、読み込んでいただけますと、かなり踏み込んだ記述をしている事項もありまして、脚注で指摘している事柄なども含めまして、今後の消費者政策に係る議論の際に一定の指針として活用いただけることを願っております。

座長としましては力不足の面が多々ありましたが、委員、オブザーバー、事務局の皆様の力をお貸しいただいたこと、最後にもう一度、御礼申し上げたいと思います。

私からは以上でございます。皆様、ありがとうございました。

最後に、事務局からも一言お願いいたします。

○加納事務局長 事務局長の加納でございます。

委員・オブザーバーの皆様におかれましては、このワーキングにおきまして精力的に御議論いただきましてどうもありがとうございました。

本日、取りまとめをいただきました報告書でございますけれども、様々な観点から御議論いただきまして、非常に重要な内容を含んだものになったのではないかと理解をしております。今回の取りまとめを踏まえまして、さらに事業者における取組が進みますよう、引き続き事務局としても関係省庁への周知でありますとか、そういったことに対応してまいりたいと思いますし、委員・オブザーバーにおかれましては、引き続きこの状況についてまた御議論をしていただけるよう、関心を持って見守っていただければと思います。引き続きこの問題につきまして御指導、御教示のほどいただければと思います。

どうもありがとうございました。


≪3.閉会≫

○丸山座長 ありがとうございました。

それでは、本日はこれにて閉会とさせていただきます。お忙しいところ、お集りいただきましてありがとうございました。

(以上)