第33回 消費者法分野におけるルール形成の在り方等検討ワーキング・グループ 議事録

日時

2021年7月27日(火)15:03~16:59

場所

消費者委員会会議室・テレビ会議

出席者

【委員】
丸山座長、新川座長代理、山本委員長、片山委員長代理
【オブザーバー】
柄澤委員、大石委員、京都大学法学系(大学院法学研究科)教授 原田大樹氏
【事務局】
加納事務局長、渡部審議官、太田参事官、大岡企画官

議事次第

  1. 開会
  2. 報告書(素案)について
  3. 閉会

配布資料 (資料は全てPDF形式となります。)

≪1.開会≫

○太田参事官 本日は、皆様、お忙しい中をお集まりいただき、ありがとうございます。

ただいまから消費者委員会第33回「消費者法分野におけるルール形成の在り方等検討ワーキング・グループ」を開催いたします。

本日は、所用により清水オブザーバーが御欠席との御連絡をいただいております。

また、山本委員長が途中退席の御予定です。

議事に入ります前に、配付資料の確認をさせていただきます。お手元の議事次第に配付資料を記載してございます。不足等ございましたら、事務局までお知らせください。

なお、本日の会議は、ウェブ会議による開催となります。公開で行いますが、感染拡大防止の観点から、一般傍聴者は入れず、報道関係者のみ傍聴をいただいての開催となります。議事録につきましては、後日公開することといたします。

次に、ウェブ会議による開催に当たりましてお願い申し上げます。

1つ目に、ハウリング防止のため、御発言いただく際以外は、マイクをミュートの状態にしていただきますようお願いいたします。

2つ目に、御発言の際は、あらかじめチャットでお知らせください。座長に御確認いただき、発言者を指名していただきます。指名された方は、マイクのミュートを解除して、冒頭にお名前をおっしゃっていただいた上で、御発言いただきますようお願いいたします。御発言の際、配付資料を参照される場合には、該当のページ番号も併せてお知らせください。

なお、御発言の際には、可能であれば映像のミュートを解除していただきましたら、どなたがお話しになっているのか分かりやすくなりますので、御協力をお願いいたします。

3つ目に、音声が聞き取りづらい場合には、チャットで「聞こえない」「聞こえにくい」などを御記入いただきまして、お知らせいただきますようお願いいたします。

それでは、丸山座長、以降の議事進行をよろしくお願いいたします。

○丸山座長 座長の丸山です。どうぞよろしくお願いいたします。

本日の進行についてですが、途中で私の回線が切れた場合は、復旧するまでの間、新川座長代理に、新川座長代理の回線も併せて切れた場合は、事務局に進行をお願いします。


≪2.報告書(素案)について≫

○丸山座長 それでは、本日の議題に入らせていただきます。

本日は、報告書取りまとめに向けた議論を行います。

まずは事務局から報告書の素案について説明をしていただきます。よろしくお願いいたします。

○太田参事官 事務局の参事官の太田でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

それでは、お手元の資料1とございます資料、タイトルといたしましては「消費者法分野におけるルール形成の在り方等検討ワーキング・グループ報告書(素案)」というものでございますが、こちらに基づき御説明をさせていただきたいと思います。

この報告書でございますけれども、これまでのヒアリング結果等、あるいは委員、オブザーバーの皆様からいただいた御意見などを踏まえまして、事務局で報告書の素案という形で作成させていただいたものでございます。本日、この素案に基づきまして御審議いただきまして、いただきました御意見等につきまして反映を図った上で、8月にもう一度ワーキング・グループを開催する予定でございますが、そちらにおいて修正案ということでお示しをさせていただきまして、ワーキング・グループとしての取りまとめを行っていきたいと考えているところでございます。

2ページ目に目次がございますけれども、こちらに全体の構成をお示ししております。全体で5章立てということになっております。上から順に第1といたしまして「自主規制の意義等」ということでございますが、本報告書で取り扱う「自主規制」の射程でありますとか、意義、限界といったところについて記載をしてございます。

第2といたしまして「主要業種・分野における自主規制の整備・運用状況」ということでございますが、こちらにつきましてはワーキング・グループの主に前半で行っていただきましたヒアリング結果等を基に、自主規制の概要、策定主体、行政規制との関係、策定手続、実効性確保の手段、紛争解決機能、整備・運用状況についての透明性といったところについて整理を行っております。

第3といたしまして「実効性の高い自主規制の整備・運用を行うための要件等の考察」ということでございますが、第2の整理を基に実効性の高い自主規制の整備・運用のためにどういったことが必要なのかということで、一定の公的規範の存在でありますとか、事業者団体の存在、行政規制と自主規制の相互作用関係、留意事項といたしまして独禁法との関係、実効性の高い整備・運用を促すためのインセンティブといったところについて考察を行ってございます。

そういったものを踏まえまして、第4といたしまして「自主規制の整備が求められる新しい取引分野」ということで、ワーキング・グループでヒアリングをしていただきましたアフィリエイト広告、後払い決済サービス、ターゲティング広告、C to C取引といったところの個別の新しい分野についての現状と課題といったところについて整理を行っております。

最後に、第5といたしまして「望ましい自主規制の整備・運用の在り方」ということで、行政規制が存在している分野としていない分野ということに分けて、それぞれどういったことが必要になるのかといったことをまとめているということでございます。

3ページ目に参考資料としまして1から3ということでお示ししておりますけれども、この参考資料3というのは「主要業種における自主規制等の整備状況」ということで、ヒアリング結果等の詳細について整理を行っているものでございまして、本日は委員の皆様限りということで、机上配付資料ということでお手元に配付させていただいてございます。現在、この一覧表につきましては事実関係などにつきまして詳細について最終的な確認中でございまして、今回は机上配付資料ということでございますが、取りまとめを行う際には参考資料ということでこちらに添付をいたしまして、併せて公表していくということを考えているところでございます。

以上が全体の構成でございまして、ページをおめくりいただきまして、1ページとございますけれども、「はじめに」ということでございます。この報告書の趣旨について記載してございますけれども、上から5段落目に今回のワーキングでの検討の趣旨について記載してございます。社会経済やビジネスモデルの変化、技術革新等に伴って新しい取引分野が生じているということでございまして、既存の行政規制の隙間になっている場合があるということでございます。こういったことを踏まえまして、消費者取引の分野におきましても、こういった分野における行政規制による取引の適正化を検討するということと同時に、自主規制の実態把握でありますとか、自主規制の望ましい整備・運用の在り方について検討が必要であるということを記載してございます。

こういった問題意識を踏まえまして、消費者委員会としましても本ワーキング・グループを開催することを決定していただきまして、11月よりワーキング・グループを再開いたしまして、新しい取引分野にも参照できるような形で事業者・事業者団体の自主的な取組の在り方を提示することを目指しまして、事業者団体の自主的取組を中心に検討を行ってきたということでございまして、具体的には伝統的な取引分野の事業者団体のヒアリングから自主規制を実効的に機能させるための要件でありますとか、ベストプラクティスの抽出を試みたということでございますし、更に新しい取引分野につきまして、事業者団体、個別の事業者及び関係行政機関に対するヒアリングを実施いたしまして、自主的な取組の現状や課題について検証を行ってきたということでございます。そういった分析を踏まえまして、自主規制の望ましい整備・運用の在り方について検討を重ねて、その結果を本報告書として取りまとめたということを記載してございます。

以下の構成につきましては、先ほど御説明したとおりでございます。

3ページ目を御覧ください。中身の説明でございますが、第1といたしまして「自主規制の意義等」ということでございます。1.にございますように「本報告書が取り扱う『自主規制』の射程」ということでございますが、行政規制を背景に作成されたものとそのような背景がないものと分かれるわけでございますが、本報告書では両方を含む形で取り扱っていくということでございます。

さらに、事業者団体におきましても自主規制の遵守を求める程度には濃淡があるということでございまして、必ずしも遵守することが求められていないといったものもあるわけでございますけれども、こういったものにつきましても本報告書におきましては広く「自主規制」として取り扱っていくということで定義をしております。

次に、2.といたしまして「自主規制の意義」でございますけれども、消費者、事業者、規制当局それぞれにとってメリットがあるということでございます。

(1)の消費者のところにございますように、消費者利益の保護を図る機能があるということでありますし、消費者にとってもこの法律の適用などにつきまして予見可能性を向上することが期待されるということでございます。

(2)にございますように、事業者にとっての意義ということでございますが、業界の実情に合わせた柔軟なルール設定が可能だといったことで予見可能性が高まるということ、それから、事業者ひいては業界全体の遵法意識が向上するといったこと、更に業界全体に対する信頼性の向上を図ることが期待されるといったメリットがあるということでございます。

(3)といたしまして、規制当局側にとっての意義ということでございますが、特に新しい取引分野におきましては、そのビジネスの内容は複雑であり、専門性も高くて、非常にその対象は流動的であることが多いわけでございますが、そういった中で行政規制によって詳細かつ網羅的に規制しようとすれば、行政コストが大幅に増えてしまうということでございますけれども、自主規制につきましては、国が行政規制を整備するよりも柔軟かつ迅速な対応が可能である場合が多いということでございまして、規制当局側についてもメリットがあるということを書いてございます。

4ページ目の3.で「自主規制の限界」についても言及してございます。自主規制はあらゆる場面において有効というわけではなくて、一定の限界があるということに留意する必要があるということでございます。すなわち、自主規制だけでは必ずしも十分内容を定めることができないといったこともございますし、アウトサイダーには効果がないですとか、エンフォースメントのための手段が必ずしも十分でないといったことがございます。さらに、事業者団体自体が未形成もしくは形成途上といった業界・分野もあるということでございまして、そういった意味で必ずしも万能ではないということでございます。

こういったことを踏まえまして、自主規制と行政規制との間で適切な役割分担を図っていくという発想が必要ではないかということでございまして、自主規制でできるところはそれを有効に活用していくということでございますけれども、特に悪質な事業者についてはなかなかその自主規制で自主的な法令遵守を期待することは困難だということでございますので、むしろそういった分野につきましては行政が積極的な役割、具体的には行政規制の整備や法執行といったことを果たしていくことも必要なのだということも併せて述べているということでございます。

4.といたしまして「WGで特に検討した分野」ということで、先ほど御紹介しましたように、近年、特に普及・発展している、消費者取引の分野に大きな影響を与えているということで、アフィリエイト広告、後払い決済サービス、ターゲティング広告、C to C取引を特に取り上げまして、こういった分野における行政規制の現状でありますとか、あるいは自主的な取組を紹介した上で、併せて課題について明らかにしていくというようなことを行ったということでございます。

5ページ目を御覧ください。第2といたしまして「主要業種・分野における自主規制の整備・運用状況」について整理を行ってございます。こちらのワーキング・グループで行いましたヒアリングの結果の整理ということでございまして、主にワーキング・グループの前半の会合において行ったものを基にまとめているということでございます。この中で自主規制の概要、策定主体、行政規制との関係、策定手続、実効性確保手段、紛争解決機能、透明性の各観点から、自主規制の整備・運用状況について整理を行っているということでございます。内容的には3月26日の第27回のワーキング・グループでヒアリング結果等についての中間整理を行ってございますけれども、基本的にはその中間整理の内容に準拠してここに提示させていただいているということでございまして、詳細の御説明につきましては省略をさせていただきたいと思います。

11ページ目まで飛んでいただければと思います。第3といたしまして「実効性の高い自主規制の整備・運用を行うための要件等の考察」ということでございますが、第2におきまして整理いたしました自主規制の整備・運用状況についての現状といったことを踏まえまして、実効性の高い自主規制を整備・運用するためにはどういった条件が必要なのかといったことについて整理を行ってございます。

まず1.といたしまして「一定の公的規範の存在」ということでございます。1段落目の中ほど以降ぐらいからございますけれども、自主規制とはいっても事業者・事業者団体が独自に作成しているということではなくて、自主規制に先行する公的規範の存在及びその内容が、自主規制の形成及びその内容に大きく影響していることが分かってきたということでございまして、自主規制の整備・充実を図るためには公的規範が一定程度示されているといったことが必要なのではないか、重要なのではないかということを記載してございます。

12ページ目に参りまして、2.に「事業者団体の存在」という条件があるということでございます。自主規制の整備が進んでいる分野におきましては、組織率や法令遵守の意識の高い事業者団体が存在しているということでございまして、こういった事業者団体がその遵守状況のモニタリングやエンフォースメントなどの面で大きな役割を果たしているということでございまして、こういった事業者団体の存在も重要なのではないかということでございます。

3.といたしまして「行政規制と自主規制の相互作用関係」とございます。(1)にございますように、自主規制は行政規制を具体化することによって行政規制を補完するということでございます。更に横出し・上乗せといった形で行政規制を補強するといった機能も果たしているということがございました。

(2)といたしまして、自主規制として定着したものには、後に行政規制に取り込まれる場合もあるということでございまして、行政規制と自主規制はこういった形で相互に作用することによって、ルール形成を促進している関係が認められたということでございます。

(3)ということでございまして、以上のような関係を踏まえまして、公正な市場を実現するためには、事業者の自主的な取組、行政規制及び民事ルールが、適切に役割分担・連携をしていく必要があるのではないかということを指摘してございます。

4.といたしまして「自主規制と独占禁止法との関係」でございまして、こちらは留意事項という形でお示しをしております。独占禁止法第8条におきましては、事業者団体が競争制限等を行うことを禁止行為としているということでございます。

13ページ目でございますけれども、こういったことも踏まえまして、各事業者団体が自主規制を作成するに当たっては、同法に抵触することがないように留意する必要があるということでございまして、具体的には競争制限的な内容にならないといったことですとか、事業者の通常の事業活動を不当に拘束するようにならないといった留意が必要だということでございます。

5.といたしまして「自主規制の運用状況についての評価」ということでるる書いてございますけれども、ポイントだけ申し上げますと、事業者団体によって自主規制の運用方針に違いが見られるといったことですとか、事業者団体の体制や組織率といったものが自主規制の実効性に影響しているということ、それから、監督官庁の関係、自主規制の策定手続や運用の透明性といったところについても、この自主規制の実効性等に影響しているということで、5.の中でそれぞれ指摘をしているということでございます。

15ページ目を御覧ください。6.といたしまして「実効性の高い自主規制の整備・運用を促すためのインセンティブ」ということでございまして、先ほど来御説明しておりますとおり、自主規制を有効に活用することは事業者にとっても大きなメリットがあるということでございまして、事業者が自主的に自主規制を整備しそれを遵守していくインセンティブを付与するような環境整備を行っていくことが重要なのではないかということを御指摘しているということでございます。

そういったことを踏まえまして、監督官庁といたしましては、そういった必要な規律につきまして、行政の側として一定の枠組みを提示していくことが必要だ、それが事業者の自主的な取組を促していくということが言えるということでありますし、事業者団体といたしましては、しっかりとした団体というものを設立して、事業者の加入を促進していくことが必要なのだということでありますし、消費者の側におきましては、事業者の自主的な取組を積極的に評価して、いい取組についてはしっかり評価してあげるといったことが、事業者が自主的な取組を進める上でのインセンティブになるのではないか、そのようなインセンティブがうまく働くような仕組みを作っていく必要があるのだということを全体として述べているということでございます。

16ページ目に参りまして、第4といたしまして「自主規制の整備が求められる新しい取引分野」ということでございまして、ワーキング・グループにおきまして、新しい取引分野としてヒアリングを行った取引分野につきまして、関係法令、自主的な取組を整理した上で特徴を指摘しているということでございます。

具体的に4つの分野について検討を行ったということでございます。まず第1といたしまして「アフィリエイト広告」ということでございます。「(1)概要」にございますように、アフィリエイトプログラムを利用した成功報酬型の広告ということでございまして、こういったことを活用することによって、広告主が思いつかないような新しいアイデアや消費者目線での広告が行われるということで、効率的、効果的な広告配信や需要喚起が期待されていくということでございますけれども、その一方におきまして、いわゆる「悪質なお試し商法」においてアフィリエイト広告をきっかけに消費者が誘導されるということを行っているということでありまして、消費者委員会も意見を発出した経緯があるということでございます。

17ページ目の「(2)関連法令等」というところでございますが、アフィリエイト広告に関連した行政規制といたしまして、景品表示法、特商法、健康増進法、薬機法などがあるということでございまして、この中でも景品表示法が重要ということでございますけれども、景品表示法が適用されるためには、その供給主体性や表示主体性といったことが要件として必要だということでございます。アフィリエイト広告につきましては、一般的に広告代理店、ASP(Affiliate Service Provider)、アフィリエイター、媒体社を通じて広告が表示される仕組みになっているわけでございますけれども、この中でASPとアフィリエイターにつきましては供給主体性や表示主体性は必ずしも満たさないことが多いということでございまして、健康増進法、薬機法の措置の対象となるけれども、景品表示法の規制には及ばないということが一般的には言えるということでございまして、こういったものをどうするかが問題になるということでございます。

(3)といたしまして「自主的取組等」ということでございまして、このアフィリエイト広告の分野におきましてアフィリエイト協議会というものが結成されておりまして、この協議会の自主的な取組としてアフィリエイター向けの啓発活動や問合せ窓口の設置など自主的な活動を行っていただいているということでございますけれども、「(4)課題」のところにございますように、こういった自主的な活動だけだと必ずしも十分でない可能性があるということでございまして、更に取組を進める必要があるのだということを書いているということでございます。

18ページ目の2.といたしまして「後払い決済サービス」についてお示しをしております。「(1)概要」のところにございますように、消費者がインターネット上の販売店等で商品を購入する際に、決済手段として近年広く普及しつつあるということでございますけれども、(1)の下のほうにございますように、先ほどと同じく「悪質なお試し商法」の支払い方法として、このサービスが活用されるような例が起こっているというのも課題があるということでございます。

(2)といたしまして「関連法令等」とございますけれども、この後払いサービスにつきましては、請求書を発行した日から14日以内に1回払いでコンビニ等で支払うというようなことがございまして、19ページ目に参りますけれども、基本的には割賦販売法の適用がないという問題があるということでございます。

(3)といたしまして「自主的取組」ということでございますけれども、個々の事業者の自主的な取組ということで、与信審査や加盟店審査、未成年による利用の適正化等々、自主的な取組が行われているということでございますし、今年の5月には「日本後払い決済サービス協会」というものが設立されたということでございますが、まだ発足当初ということでございまして、現時点では統一したルールが策定されていない模様であるという状況でございます。

「(4)課題」にございますように、被害の未然防止の観点から、事業者による過剰与信防止や苦情処理、加盟店調査等の実施が求められるということでございまして、個々の事業者によって自主的な取組は行われているわけでございますけれども、個々の事業者の自主的な取組だけに委ねるということですと、どうしても事業者ごとに対応の差が出る可能性もあるということでございますので、ここも事業者団体がしっかりグリップするような形で情報共有や業界統一ルールといったものを策定していくことが必要なのではないかという課題を指摘してございます。

3.といたしまして「ターゲティング広告」ということでございます。「概要」のところにございますように、消費者の属性情報や行動履歴等の情報を組み合わせて有効に効率的に広告を配信する仕組みだということでございますけれども、20ページの(1)の下のほうにございますように、ここで消費者庁のアンケート結果なども引いておりますが、この結果からはターゲティング広告を目的としたデータの取得・利用について、消費者に懸念、不安、抵抗を生じさせているといったことが浮き彫りになってきているということでございまして、データの取扱いについての事業者の適切な配慮が求められているということを指摘してございます。

(2)の「関連法令等」のところでございまして、データの取扱いについて、個人情報保護法上の規制があるわけではございますけれども、内閣官房の研究会などにおきましても、このターゲティング広告に関連する事業者による情報開示が適切になされていることが求められるというような指摘がなされていることを受けまして、現在総務省のガイドラインあるいは特定デジタルプラットフォーム透明化法、こちらを適用する方向で検討が進められている状況にあるということでございます。

(3)の「自主的取組」のところでございますが、ターゲティング広告に関する業界団体といたしましては、日本インタラクティブ広告協会というものがあるということでございまして、この協会におきまして「プライバシーポリシーガイドライン」「行動ターゲティング広告ガイドライン」といったものが策定・運用されているということでございます。

21ページ目を御覧いただきますけれども、ただ、こういったガイドラインを定められているわけですが、具体的な対応方法については基本的には個々の事業者に委ねられている状況であるということでございまして、その下にございますように、ヒアリングを行った大手事業者などでは各種の自主的な取組が実施されているということではございますけれども、これもまた個々の事業者によって対応に差が生じるという課題があるということでございます。

「(4)課題」のところにお示ししておりますように、ターゲティング広告の仕組みが複雑で消費者がなかなかその仕組みを理解するのは容易でないということでございますので、事業者によって開示される情報等が消費者にとって理解しやすいものになっているか、オプトアウトの設定方法が消費者にとって利用しやすいものになっているかといった消費者の視点を踏まえて対応を検討することが必要なのではないかということでございます。

更に2段落目にございますように、どうしてもターゲティング広告のところ、消費者に認知限界というものがございますので、消費者の期待に反して利用しないといった対応も必要だということでございまして、事業者・事業者団体による自主規制を活用していくといったことですとか、そういった取組を積極的に情報開示していくことが必要なのではないかということで課題を指摘しているということでございます。

4.といたしまして「C to C取引」ということでございます。「概要」にございますようにデジタルプラットフォームを利用して行われる消費者間の取引ということで、ネットオークションやフリーマーケットなどが利用されているということでございます。

22ページ目の「(2)関連法令等」のところでございますが、B to Cにつきましては、さきの国会におきまして、消費者庁の提出法案としまして、デジタルプラットフォーム消費者保護法といったものが成立したということでございますが、現状といたしましては、C to C取引に特化した行政規制は存在しないという状況があるということでございます。

(3)といたしまして「自主的取組」でございますが、ワーキング・グループでヒアリングを行った事業者におきましては、「マーケットプレイスの基本原則」といったものを策定、公表いたしまして、利用規約やガイドの基本的な考え方といったことを公表しているということで、それに基づいて各種の自主的な取組を実施しているという説明がございました。

「(4)課題」にございますように、こういった自主的な取組を行っていただいているわけですけれども、どうしても個々の事業者ごとの対応になりますと対応に差が生じる可能性があるということでございますので、消費者利益に資する先進的な取組を行う事業者団体、こういった「マーケットプレイスの基本原則」といったものを参考にして、業界としても統一したルールの策定を行っていくことが望ましいのではないかというようなことを指摘してございます。そういった取組についてもしっかり情報開示を行っていくべきだということを併せて御指摘をしているところでございます。

23ページ目を御覧いただければと思います。こういった個別の新しい取引分野について整理した上で、5.といたしまして「新しい取引分野の特徴」ということで整理をさせていただいております。これは必ずしも全ての分野に当てはまるわけではないわけですけれども、一般的にこういうことが言えるのではないかということを整理しているということでございます。

まず(1)として、行政規制が存在しないことが多いということでございまして、監督官庁や行政規制の適用の有無が不明確であり、そもそも存在しないこともあるということでございまして、仮に事業者団体が自主的な取組を行う場合でも、手がかりとなる行政規範が乏しいために自主規制の整備が十分進まない可能性もあるということでございます。自主規制には一定の限界があることに留意しつつも、消費者利益確保の観点から自主規制を有効に活用していくことが必要ということでありますし、自主規制の実効性が十分でない場合には行政規制の導入も併せて検討していくことが必要だということを指摘しております。

(2)といたしまして「参考となる隣接分野の不存在」ということでございまして、参考となる分野がない場合もあるということでございまして、自主規制を整備することが難しい場合もあるということでございます。

(3)といたしまして「個別の事業者による対応の限界」ということでございまして、事業者団体が存在しない、又は組織途上ということでございますので、基本的には個々の事業者の対応に委ねられていることが多いということでございます。これですと社内規則の域を出ることは難しいということでございまして、特に遵守状況のモニタリング、違反に対する実効性の確保というところが課題なのではないかということを指摘してございます。

(4)といたしまして「市場の選択圧力の弱さ」というところでございますが、これは特にデジタルプラットフォーマーの分野のような、そういったネットワーク効果があるような、囲い込みが行われやすいような分野に特に言えることでございますけれども、市場の選択圧力が働きにくいということでございますので、それに対応するための何らかの対応が必要になってくるということが言えるのではないかということでございます。

24ページ目を御覧いただければと思います。こういった整理を踏まえまして、第5といたしまして「望ましい自主規制の整備・運用の在り方」ということで、行政規制が存在する分野と存在しない分野ということで分けまして、それぞれ指針となるようなものを提示しているということでございます。

まず1.の「行政規制が存在する分野」でございますけれども、こういった分野におきましては、ある程度行政規制が詳細になっているといったところと抽象的な規定が分野に置かれているということでございますが、前者の詳細規定がある分野というところにつきましては、金融分野などが多いわけでございますけれども、これまでもそういった分野で行われているように、自主規制の整備・運用を通じて、業界の実情や実務の動向等に即して行政規制を具体化していくといったことですとか、ベストプラクティスを紹介していくといった取組を今後も更に推進していくべきではないかということを指摘してございます。

後者の抽象的な規定が設けられている分野ということでございますけれども、こちらにつきましては、行政規制では汎用的な規律やプリンシプルを定めていくということで、それを基に規制当局、それから、消費者・消費者団体等の第三者による関与の下で、事業者団体が業界・分野の特性に応じたルールを整備・運用していくということでありますし、そういった取組を行政や消費者・消費者団体が積極的に評価していくといったことが必要なのではないかということを指摘してございます。

2.といたしまして「行政規制が存在しない分野」ということでございますけれども、こちらにつきましては1.の分野なども参考にしつつ、共同規制という規制手法につきまして、一橋大学の生貝准教授のヒアリングを行いましたけれども、そういった共同規制の考え方などを踏まえまして、行政と事業者・事業者団体による適切な役割分担・連携の関係を構築することが重要なのではないかということを指摘してございます。

この際、その役割としては行政が担うものと行政と事業者・事業者団体のそれぞれが担うものといろいろあるわけでございますけれども、そこについては決まったやり方は特にないということでございますので、各分野の実情に合わせて柔軟に組み合わせて対応していくことが必要なのではないかというようなことを指摘しております。

以上が基本的な考え方ということでございまして、25ページ目の(2)、26ページ目の(3)ということで「整備段階」「運用段階」とそれぞれ2段階に分けまして、どういった対応が必要になるのかといった指針をお示ししているということでございます。

まず「(2)整備段階」のところでございますけれども、アといたしまして「規範の提示」ということがございますけれども、2段落目にございますように、行政規制が明確にされていない分野につきましては、まずは行政において行為規範の大枠を示すことが重要なのではないかということでございまして、その際は、大枠といたしましては法令のほか、ガイドライン等によることも考えられるのではないかということを指摘してございます。

イといたしまして「事業者団体・第三者機関の創設・支援」とございます。事業者団体が存在しない分野におきましては、まずは事業者団体を設立することが必要ということでございますので、そういった業界の動きと取組というものを行政が支援していくといったことも必要ではないかということでございますし、更にそういった団体の活動の認証やモニタリングを行うための第三者機関の設立といったことについても行政が支援するといったことも考えられるのではないかということを指摘してございます。

ウといたしまして「マルチステイクホルダープロセス・策定手続の透明性」ということでございますけれども、自主規制の内容を様々な利害関係者の意見を取り入れて策定するというのが「マルチステイクホルダープロセス」と言われているものでございますが、こうすることによりまして、自主規制の内容をより適正にすることができるということでございますし、消費者からの信頼を向上する観点からも重要だということでございますので、これを実践するための手段といたしまして、民間協議会や官民協議会、最近の法律などでも設置するようなものは例が見られますけれども、こういった協議会の枠組みを活用していくといったことも考えられるのではないかということを指摘してございます。

26ページ目に参りまして、自主規制の策定手続の透明化を図ることも重要だということでございまして、消費者からの信頼性の確保、策定手続の情報開示を促進していくことが望まれるということを指摘してございます。

(3)といたしまして「運用段階」におけるポイントということでございまして、まずアといたしまして「自主規制遵守の実効性確保」というところでございますけれども、自主規制は遵守されなければ意味がないということでございますので、その遵守状況につきまして、事業者団体等による調査・監査等の方法によって適切にモニタリングしていく必要があるということでございますし、違反行為に対しては何らかの制裁措置が科されることが望ましいということでございます。

更に「また」以下にございますけれども、適用範囲が広くて個別の規制法令では対応することができない事案、業種横断的な事案というものですけれども、仮にこういった事案に対応するためには、受皿的に機能する行政規制、例えば独占禁止法の優越的地位の濫用規定あるいは消費者安全法のいわゆる隙間事案に対する措置といったものは考えられるわけでございますけれども、そういった行政規制が設けられている場合には、そういった権限といったものを背景として、新しい取引分野における実効的な自主規制の整備・運用を促していくことも考えられるのではないか。こういった考え方を基に、中長期的にはその共同規制の枠組みを構築していくことも考えられるのではないかというようなことを指摘してございます。

イといたしまして「消費者をはじめとする市場のステイクホルダーからの評価」ということでございますけれども、消費者をはじめとする市場関係者からの評価というものは、事業者に対してインセンティブを与えるということでございますので、消費者等が評価を行う前提といたしまして、自主的な取組について積極的に情報開示を行うべきであるということを指摘してございます。

消費者の側においても積極的にこういった自主的な取組を評価していく意識が重要だというようなことでございまして、特に消費者の利益を代表する立場にある消費者団体におかれましては、その事業者・事業者団体による自主的な取組を適切に評価できるよう、電子商取引分野をはじめとする新しい取引分野についても専門的な知見を高めていく必要があるということでございますし、行政としてもそのような団体を育成・支援していくことが必要だというようなことを指摘してございます。

さらに、行政や事業者団体が優れた取組を行う事業者・事業者団体に対する表彰制度や認証制度などを活用することも考えられますし、27ページ目でございますが、消費者団体が各事業者・事業者団体による自主的な取組について、一定の基準に基づき格付を行って、その結果を公表していくといったことも考えられるのではないかということを指摘してございます。

ウの「紛争解決機能」でございますけれども、そういった事業者の活動によって個々の紛争が解決されることによって、ルールの実効性が確保されるという面もございますので、しっかりこういった紛争解決機能を整備していく必要はあるということでございますし、そういった手続を行うに当たっては、手続の公平性や透明性確保の観点から、消費者をはじめとする第三者についても入っていただくべきだということを指摘してございます。

エといたしまして、モニタリングでございますが、こういった事業者の活動について行政又は事業者団体が定期的にモニタリングを行っていくことが必要ですし、そういった結果を踏まえまして、制度全体についても定期的に見直していくべきだということでございまして、こういったモニタリングの枠組みの中に消費者・消費者団体が入っていくことも考えられるとしております。

最後、オでございますが、透明性ということでございますけれども、こういった事業者・事業者団体の自主的な取組については積極的に情報開示を行って、外部からの透明性を高めるよう努めるべきであるということを指摘してございます。

28ページ目は「おわりに」ということでございまして、今回素案の段階だということでございまして、「おわりに」に盛り込むべきポイントを骨子案ということでお示しをしてございまして、本日の御議論でいただいた御意見を踏まえまして、報告書の修正案を作る際にこの内容に更に肉付けを行っていきたいと考えております。

そのポイントとなるところを御紹介いたしますと、まず、本報告書において自主規制の望ましい整備・運用の在り方についての指針を検討し提示したということでございまして、特に規制の隙間となっている新しい取引分野につきましては、本報告書で示した指針を踏まえて、実効的な自主規制を整備・運用していくことが望まれるとしております。

その後は各主体に対する要請、期待ということになりますけれども、関係省庁に対しては、この報告書の観点を踏まえて、消費者法分野における制度の整備、企画立案を行っていただきたいということを求めているということでございます。

事業者・事業者団体に対しましては、消費者保護においてそれぞれの果たす役割は大きいということでございますので、報告書の観点を踏まえて自主的な取組を更に進めてほしいということでございます。

最後に、消費者・消費者団体に対する期待ということで申しますと、自主規制、自主的な取組に取り組む事業者・事業者団体を積極的に評価していく意識を持つことが大事だということでございますし、その前提として事業者団体や個別の事業者の取組を理解し評価するための知見を高めていくことを期待したいということでございまして、こういったこと、それぞれの主体に対する要請、期待をお示しした上で、報告書を締めくくるという構成といたしております。

少々時間が超過いたしましたが、事務局からの御説明は以上でございます。

○丸山座長 ありがとうございました。

それでは、これより後は委員とオブザーバー間の意見交換の時間とさせていただきます。

パートを分けて意見交換をしたいと考えておりますが、まずは目次をもう一度見ていただきまして、報告書の構成など全体に関わる部分につきまして御意見がありましたらお願いしたいと思います。まずは報告書の全体構成につきまして御意見をいただけたらと思います。

御発言をされる際には、チャット欄に御投稿いただければと思いますが、全体構成に関しまして何か御意見がある方はいらっしゃいますでしょうか。

事務局の素案におきまして、自主規制の定義、意義のところから実態調査の結果、そこから言えること、新しい取引分野についての検討、そして、望ましい自主規制の整備・運用の在り方という形で整理をされているのですけれども、特に追加的な御意見などはないでしょうか。いかがでしょうか。

それでは、山本委員長、よろしくお願いいたします。

○山本委員長 私はもうそろそろ出ないといけないので、全体構成の問題ではないのですけれども、1つだけ指摘をしておきたいことは、全体に事業者団体を中心に論じつつ、しかし、個別の事業者、あるいは事業者や団体ではあるのだけれども、自分の事業そのものについてというよりはそれに関わる他の主体を規律するといった主体も出てくると思います。ですから、自主規制あるいは共同規制というときに、事業者あるいは事業者団体と行政との関係だけでなく、個別の事業者と事業者団体の関係、あるいはその他のアクターとの関係をどこかで整理しておいたほうがいいのではないかという気がいたしました。

とりわけ、第4のところで新しい取引分野について議論がされているのですけれども、この中の特に広告の分野などを考える際には、そのように誰が自主規制を行うのかということをもう少し整理して書いたほうが、この分野の特徴を浮かび上がらせることになるのではないかという気がいたしました。

私が申し上げたいことはそれだけです。

○丸山座長 ありがとうございました。

関係主体の整理ということになると思うのですけれども、他、まずは御意見をお伺いしたいと思うのですが、いかがでしょうか。

新川座長代理より、よろしくお願いいたします。

○新川座長代理 新川です。ありがとうございます。

基本的には全体の流れ、今回整理をしていただいたところでいいかと思っております。取りまとめのところも致し方ないのかとは思っているのですけれども、少し気にかかりましたのは、自主規制の整備ということでせっかく検討をしてきているのですが、第4の新しい取引分野のところもそうですし、その後の第5のところも結局整備・運用の在り方、言ってみれば外側の整備方針のところ、そこでの留意点にとどまってしまいました。実際に私たちが新しい取引分野も含めて自主規制の在り方をどう考えるのか、パターンはあるとしても、そこをもう少しきちんと絞り込んで報告ができるとよかったと思ったというのが率直な印象としてはありました。したがいまして、今回議論をそこまで煮詰める時間がないということはあるかと思いましたけれども、少し残念だということを思いました。

多少気になりますのは、第3のところの要件等の考察というところで、独禁法との関係等は書いてはいただいていますので、これでいいのかという感じもしますが、自主規制そのものがある意味では基本的にはマーケットでの企業の自主的な活動ということになりますので、民事ルールをベースにして成り立っているとすれば、そこのところをもう少し丁寧に議論をしないといけなかったのかとは思っていて、逆に本当に実効性を高めるときの要件として民事ルールがどのように関わってきているのかというところの議論が必要だったのかということをちょっと感じたということであります。

取りあえず第4、第5のところの書きぶりが気になったということと、第3のところの要件等の考察、多少そこが気になったということで発言をさせていただきました。

○丸山座長 ありがとうございます。

もし可能であれば、新川座長代理には、これから個別パートについても意見交換を進めていきますので、特に具体的にここはこういうヒアリングの結果を反映させられるのではないかといった点がありましたら、また具体的に御指摘いただければ修文、加筆等を考えられると思いますので、その点、よろしくお願いしたいと思います。

○新川座長代理 はい。ありがとうございます。

○丸山座長 他、全体構成に関しては何か御発言はございますでしょうか。

個別のパートを見ていきますので、また追加していただいても構わないと思うのですけれども、山本委員長から御指摘いただいた点としては、後で第4のところで確認すればいいのかもしれませんが、例えばアフィリエイト広告に関しましては、アフィリエイターと協会だけではなくて、結局ASPといった関係主体が重要であることがわかってきたときに、関連する事業者をどのように位置付けて議論しているのかが不透明だという指摘かもしれません。受け止めさせていただきつつ、まずは進めていきたいと思います。

それでは、全体構成につきましては、差し当たりは以上ということにさせていただきます。

報告書につきまして、続きまして、素案の第1及び第2について見てまいりたいと思いますので、ページ数としましては3ページから11ページのところまでにつきまして、御意見がありましたらお願いしたいと思います。

第1、第2でございますので、自主規制の意義の部分と整備・運用の状況を整理している部分になります。

新川座長代理より、よろしくお願いいたします。

○新川座長代理 何度も繰り返しで申し訳ありません。「はじめに」のところです。今回、5段落目で隙間の問題や新しい取引分野の問題を指摘いただいております。その中での後段の書き方というのが、行政規制や自主規制の実態把握、自主規制の望ましい整備・運用の在り方という順序で書かれているのですけれども、実態としては行政規制が及んでいないというか、手つかずで、その前に民間が走っていて、そして、民間の自主規制があって、それが本当に消費者取引の分野での特に消費者保護という観点から適切な対応になっているのかという、もう少し私たちの趣旨、目的に沿った議論の書き方ができるのかと思いまして、もうちょっと丁寧に後段のところは書き込めるのではないかと思ったというのが1点目です。

それから、3ページ目になりますが、第1の「(2)事業者側にとっての自主規制の意義」、これはそのとおりかと思って読ませていただきましたけれども、事業者にとって自主規制が、予見可能性ということと、それから、社会的認知、信頼性の向上ということだけで本当に自主規制をするのだろうかということが少し気になりまして、客観的に事業者自身のガバナンスの確保の問題であるとか、それによって企業活動を保全していく、自己防衛をしていく、あるいは利益を確保していくといったインセンティブが当然あるのだろうと思いながら、少し(2)の書きぶりが淡泊だと感じた次第です。

同様のことですが、逆に規制当局にとっての自主規制のところ、これはそのとおりでいいかと思ってはいるのですが、逆に自主規制に委ねざるを得ないという前提があって、規制当局側も規制をすること自体が自己目的化するのではなくて、必要があるから規制をするので、むしろ基本は民民の問題ですから、マーケットに委ねておく、ある意味では規制をしなければ、必要がなければしないほうがいいといったようなところが前提としてはあるのかと思っておりました。多少自主規制に委ねておくことの基本的な行政側の視点みたいなものが入っていてもよかったのかと思った次第です。ただ、ここは書きぶりがなかなか難しいので、御検討いただければと思っておりました。

取りあえず、第1のところは以上です。

○丸山座長 新川座長代理、ありがとうございました。

ページの確認が遅れてしまいましたので、1ページ目のところはどこの部分に何の追記という御希望でしたでしょうか。

○新川座長代理 1ページ目の5段落目の今回新たに検討したところです。「社会経済やビジネスモデルの変化」うんぬんというところで、後段のところ「ガバナンスモデルの変革期」ということが書かれていて、それはそのとおりなのですが、消費者取引の中で、むしろ規制の検討ありきというよりは、後段にありますような実際の取引の状況を把握していくこと、その中で自主規制がどうなっているのかを確認していく、その上で自主規制の望ましい在り方やあるいはそれに対応する行政規制を考えていく、こういう順序になるのかと思っていたものですから、少し丁寧な書き方をしたほうがよいのではないかということで、1ページ目の5段落目について御意見を申し上げました。

○丸山座長 ありがとうございました。

今、御説明いただいたとおりでございますので、記述ぶりについて丁寧にということができるかということでございました。

あとは3ページについて御指摘いただきました。事業者にとっての自主規制の意義につきまして、自身によってガバナンスができるというようなメリットがあるのではないか、それが利益確保につながるようなメリットもあるのではないかという視点や、規制当局側のところで、基本は介入に謙抑的だというところの書きぶりは難しい気もするのですけれども、その点について少し充実させられないかという点が御指摘を受けた点だと思います。

そのほか、第1、第2につきまして、御意見をいただける方はいらっしゃいますでしょうか。

それでは、私からなのですけれども、非常に軽微な点としましては、3ページの「2.自主規制の意義」の(1)に例示で挙がっているクーリング・オフ類似の制度についてなのですが、これは恐らく業界の取組というよりは個社による取組ということになりますので、その点が分かるような記述に変更をお願いできればと考えております。

もう一点としましては、7ページ、8ページの辺りになるのですけれども、7ページのアの部分の日本証券業協会、8ページの(4)の自主規制の内容の分析に関わる点なのですけれども、日証協のヒアリングで確認できたこととしまして、自主規制におきましてもルールベースからプリンシプルベースへの移行がある、プリンシプルベースになればベストプラクティスの共有によるコンプライアンス整備という方向に比重が行くのではないかというお話があったと思いますので、自主規制の内容分析としましては、日本証券業協会のような参入規制があって、組織率が高くて、監督官庁との連携が密のような分野については、プリンシプルベースとベストプラクティスの共有という方向に自主規制の内容がシフトしているといった方向性も見られたということ、これはヒアリングの内容の確認ということになるのですけれども、報告書に取り込んでよいのではないかと思ったところでございます。

私からは以上なのですが、他、委員、オブザーバーの皆様から、第1、第2について御意見はございますでしょうか。

新川座長代理、よろしくお願いいたします。

○新川座長代理 9ページ目、10ページ目の「実効性確保手段」のところで、ここはヒアリング等をもう一度確認していただければということでお願いなのですが、事業団体ができているケースはこのとおりだと思って読ませていただきました。ですが、そういう業界団体がないケースでそれぞれ自主規制をしておられるようなプラットフォーマーのケースなどもお話を聞いていたのですけれども、その自主規制の結果みたいなものが一定は成果として報告されているところもあったかと思ったのです。こういうところもある意味では公表等を通じての実効性確保かと思っていたものですから、事務局でこの辺りがどうなっているのかもう一度確認して、書けるようであればこういう業界団体によらないケースでの自主規制の確保、あるいはそれの実効性確保の方法なども書けるのであればと思ったということであります。これは確認が必要なので、すみませんが、よろしくお願いしたいと思います。

○丸山座長 ありがとうございました。

事務局のほうで業界団体がないケースでこういうことによって実効性確保が図られているということが言えるようであれば、ヒアリング結果として取り込むことを検討していただきたいと思います。

他、第1、第2についてはございませんか。

それでは、お忘れになったことがありましたら振り返っていただいても構いませんので、進めさせていただければと思います。

続きまして、報告書素案の第3の部分、ページ数で言いますと11ページから始まりまして16ページのところまでになります。「実効性の高い自主規制の整備・運用を行うための要件等の考察」につきまして、御意見がございましたらよろしくお願いしたいと思います。チャットに書き込んでいただければと思います。

原田オブザーバーから、よろしくお願いいたします。

○原田オブザーバー 1点だけ意見がございまして、13ページの独占禁止法との関係という部分につきまして、現在の報告書では「同法に抵触することがないよう留意する必要がある」という極めてプレーンなというか、当たり前のことしか書かれていないところが気になりました。せっかく景表法のことが注に書いてありますので、例えば自主規制を誘導するための仕組みとして独占禁止法の適用除外を法律で定めるとか、定めないとしても独占禁止法の執行と何らかの調整をするというようなことを書いていたほうがよいのではないかと思います。とりわけ、プラットフォームに関しては独占禁止法の適用を活性化していこうという動きも一方では見られるところですので、こちらとしても独占禁止法との関係については従来の自主規制の議論よりも踏み込んだ見解を書いたほうがよいのではないかと思いました。

○丸山座長 ありがとうございます。

13ページの独禁法の部分につきまして、これまで「留意する必要がある」というところまでしか書いていないのですけれども、昨今の状況に鑑みるならば、独禁法の適用除外や執行との調整という観点も報告書の中に取り込めるのではないかという御指摘でございました。

他、この第3の部分につきまして御意見がある方はいらっしゃいませんでしょうか。

それでは、片山委員、よろしくお願いいたします。

○片山委員 ありがとうございます。

私は16ページの上のところの「(3)消費者をはじめとする市場のステイクホルダーとの関係」というところで、書いてあることはこれで間違いはないのですが、実際問題として、3段落目の「消費者や消費者の利益を代表する消費者団体等が、健全な事業活動を行っている事業者・事業者団体を積極的に評価する」という方法ですね。今、どんな形でそれがなされているのか、そこのイメージがこの文章から見えてこないので、どういうことを想定してお書きになったのか、今はなかなかできていないけれども今後そういうものが必要ということなのか、その辺、少し事務局のイメージをお聞きしたいのです。

私の希望としては、とても重要なことで、うまく消費者側が後押しをしてインセンティブを働かせていくためには、単に自主規制の内容の開示というよりは、事業者・事業者団体と消費者・消費者団体とのもっと中身についてのコミュニケーションや理解などが必要になってくると思いますので、少しそういうことも含めた具体的方法に関してイメージが湧いて、かつ内容ももう少し充実してお書きいただければ有り難いと思っています。よろしくお願いします。

○丸山座長 ありがとうございます。

御指摘していただいた16ページの消費者団体あるいは消費者が評価をしていくというところで、現状で見られた認証などのシステムになるのかもしれないのですけれども、そういうもののほか、どういった評価をしていく仕組みというか、設計が考えられるのかというところ、具体的に何かイメージしてお書きになりましたかという確認があったかと思うのですが、事務局から今の時点でコメントはございますでしょうか。

○太田参事官 事務局でございます。

こちらについて具体的なところまでは余り検討していなかったのですけれども、例ということで申しますと、各事業者団体と消費者団体の間でいろいろ意見交換を行ったり、あるいはいろいろ自主規制の内容を定めたりというときに、そういった団体の方にも第三者として入っていただいて、それで意見を聞きながら、対話を行いながらいろいろ定めているといった御紹介もございましたので、そういったものは一つこういったところに含まれ得るのではないかと考えております。

ただ、おっしゃるとおり、現状といたしましてはそういったものが一般的に活発に行われているか、さらにはそういった評価を対外的に積極的に公表したり、情報発信が十分かと言われれば、そこは必ずしもそうではないというのが現状かと思いますので、そういったところについてもう少し今後活発にやっていくべきではないかという期待も込めて、こういったことを書かせていただいたというのが事務局としての考え方でございます。

○丸山座長 ありがとうございます。

この点、消費者団体で御活躍されている方々でも何かこういったアイデアがあるというところがあれば寄せていただければ有り難い部分ではございますので、何かアイデアがあるものについては出していただければ幸いです。

他、第3に関しまして、御意見をいただける委員、オブザーバー、いらっしゃいますか。

では、私からこの部分に関しまして3点ほどコメントをさせていただければと思います。まずは11ページ、第3の「1.一定の公的規範の存在」という部分で、これは15ページの6.の「(1)監督官庁との関係」や、事務局から最後の26ページのアの部分に関連して口頭で追加説明をいただいた部分なのですけれども、指摘したいこととしては、例えば独禁法の優越的地位の濫用規定のように、一般条項的な行政法規があることによって新たな問題領域にも迅速に解釈、考え方を示すことによって自主的な取組を促すことが可能となるということが、新たな取引領域などでは有用な手段かと考えられました。諸外国でもそういった例は見られるということでございましたので、消費者利益の観点から、例えば不公正な取引一般に介入できるような公的な規範、消費者安全法の拡張ということも可能性としてはあるのかもしれないですけれども、そういった公的な規範を整備していくというのも考えられる方策の一つではないかと思いました。この点は脚注レベルでも構いませんので、そういった将来的な課題、アイデアについても言及をしていただければ有り難いかと思いました。

2点目としましては、12ページになりますけれども、「3.行政規制と自主規制の相互作用関係」の(3)の部分なのですが、民事ルールの強化ということが言われているのですけれども、この点に関しては具体的に消費者裁判手続特例法の検討会が消費者庁で動いているところでございますので、そういった動きがあるという情報も現在の情報として入れていただければと思います。脚注レベルでいい事項だと考えております。

第3点目、最後になりますけれども、15ページの6.の(2)の辺りになるかと思うのですが、事業者団体がこういった自主規制や団体に所属するインセンティブとしまして、行政から情報を迅速に得られるとか、意見交換が速やかに行われるといったこともインセンティブの一つになるのかとヒアリングを伺って思っていた次第でございますので、事実誤認でなければそういった点もインセンティブの一つとして追記できないかと思った次第です。

私からのコメントは以上になりますが、第3の部分につきまして、その他、委員の方からコメント、御意見はございますでしょうか。

大石オブザーバー、よろしくお願いします。

○大石オブザーバー 大石です。

先ほど座長からお話がありました16ページの「消費者をはじめとする市場のステイクホルダーとの関係」のところで、何かよい方法があれば、ということでしたので、少し発言させていただきます。

このページの2行目には「自主規制の内容やそれに基づく取組を開示することは」と書いてあるのですが、なかなか取組をホームページ等に開示するだけではステイクホルダー特に消費者等との関係性は進まないのではないかと思います。やはり開示するとともに、消費者団体、ステイクホルダーが参加する話合いの場を積極的に設定しコミュニケーションの場をきちんと設けることが必要ではないかと思いました。事業者の側が自主的に設置するだけでなく、もしかしたら消費者の側が求めることもあるでしょうが、お互いの取組をきちんと理解しお互いが意見を言い合える場があることが、自主規制の実効性を高める上ではとても重要ではないかと思いましたので、その辺りのニュアンスを入れていただけると有り難いと思いました。

○丸山座長 ありがとうございます。

コミュニケーションの場の設定ということの指摘が入れられればということでございました。

新川座長代理、よろしくお願いいたします。

○新川座長代理 新川です。ありがとうございます。

文言程度のことで恐縮なのですが、14ページの一番最初の行に「リーチ」「高いリーチ率」という表記があって、たしかこういう表現はヒアリングのときも使っておられたなという記憶はあるのですが、これは正式にこういう言い方でよかったのかがちょっと気になりました。言葉遣いだけです。御確認いただければと思います。

それから、自主規制の運用状況についての評価のところで、ヒアリング等で幾つかの団体で強調されていた、若干触れられているところもあるのですが、例えば14ページ目の(3)のアの透明性のところ等々で、透明性確保手段として学識経験者、消費者代表を含めた第三者を含める方法うんぬんが出てきています。こうした自主規制の実際の適用に際しても専門家組織等にお話を聞いておられるというところもあって、もう少し各団体がこうした専門家やあるいは消費者団体とどういう関係を取り結んで運用しておられるのかというところを、6番目のインセンティブのところでは少し出てきているところはあるのですが、むしろその前にちゃんと記述しておいてはどうだろうかと思いました。例えば「5.自主規制の運用状況についての評価」の中で、そうした消費者取引の専門家や専門団体との関係であるとか、自主規制の在り方の評価などといった項目を設けることも一つ手ではないかと思った次第です。

以上、2点であります。よろしくお願いします。

○丸山座長 ありがとうございます。

具体的にはどこら辺にどういう書きぶりがあると、今の御指摘がうまく生かされる形になりますか。もう少し御説明いただいても大丈夫でしょうか。

○新川座長代理 後段の、特に消費者団体や専門家のお話を聞いて自主規制の方針であるとか運用であるとかをしておられるという事例がありましたので、例えば5.の(1)(2)と続いていく中で、(3)に入る手前の辺りで一度そうした専門家やあるいは消費者団体の役割みたいなもの、それによります自主規制の運用の高い評価といったことがあってもよいのではないか。(3)で言いますと、ここはもうそのまま透明性の確保なのですけれども、こういう透明性の確保に際しての重要な要素として、イのところでもかなり強調されていますので、こうしたところで、むしろこういう第三者あるいは専門家、消費者団体等の役割みたいなことを改めて出してくることもできるのではないかと思った次第であります。透明性ということに閉じ込めるよりは、むしろ表題としてそういう第三者的な専門家等々の役割をきちんと出していったらどうだろうかという提案であります。アのところを変えるのか、イのところを変えたらいいのかということについては、議論はあろうかとは思いました。

○丸山座長 ありがとうございます。

専門家、消費者団体の役割というような形でのタイトル付けをしながら、そういった消費者団体等の役割を強調するような形での文章化が可能かというところだったと思います。場所の提案も御指摘いただいたところですけれども、この点、どのように文章化するのかも含めて事務局に続けて御検討いただければと思います。

そのほか、第3に関しまして、御発言希望はございますでしょうか。

○片山委員 片山です。

さっき大石オブザーバーに触れていただいたところ、16ページの(3)ですが、私も先ほどの事務局の御回答に関して、むしろ自主規制の策定段階の問題とはまた全然別個に、策定された自主規制の内容、取組、それを開示し、その運用の在り方について消費者団体・消費者と意見交換する場を積極的に作ったり、大切にするということが、ここの部分で消費者の評価、後押しを得る上では大事だと思います。そこのところは切り分けて、新たな提案として、今はなかなかまだなされていないかもしれませんが、特に適格消費者団体と事業者との間で申入れ活動等で取組についていろいろ議論したりする場は実際にはありますので、そういうところで事業者側の考えや取組対応の在り方を積極的に公表していくことの大切さに触れておいていただいたらと思います。よろしくお願いします。

○丸山座長 ありがとうございます。

策定の段階だけではなくて、運用や内容について継続的に意見交換をして、評価を明らかにしていくという方向性を促進するようなことがここで少し記述できないかということだと思いますので、この点はそのような形にできればと思いますので、事務局でも検討いただければと思います。

他、第3に関してはよろしいでしょうか。

それでは、引き続き第4に移りたいと思います。第4は新しい取引分野ということで、ページ数としましては16ページから始まり24ページまでの部分になります。この部分につきまして御意見等がございましたら、まずはチャット欄に御投稿いただければと思います。よろしくお願いいたします。

新川座長代理、よろしくお願いいたします。

○新川座長代理 何度も申し訳ありません。

それぞれ新しい分野について自主的取組や課題等を的確にまとめていただいていて、これはこれでいいと思っているのですが、同時に課題の中で、むしろ今後の自主規制という観点で、もう少し自主規制に委ねるとすればこういう観点でという、そこのところをもう一歩踏み込んで書けないかと思った次第です。ですから、アフィリエイト広告という点で言えば、せっかく事業者団体の活動もありますので、誇大広告であるとか、虚偽の広告であるとかといった基準設定であるとか、それから、少しだけ「課題」の最後に書いておられますけれども、広告画面の確認や管理、それについての注意喚起といったところ、18ページ目ですが、そうしたことが今回のヒアリングの中でも十分に指摘できるのではないかということを感じました。

同様に19ページ目の「後払い決済サービス」の「(4)課題」のところも、統一ルールの策定が必要という言い方をしておられるのですが、もう論点は過剰与信、苦情処理あるいはその運用モニタリングの基準などといったところ、そういうものを統一ルールでということが言われていますので、こういう自主的な取組をむしろ業界自主基準にしてはどうだろうかという議論ができると、今回の議論をした価値があるかと思った次第です。

「ターゲティング広告」のところも同様ですので、もう繰り返しませんが、C to Cも含めて、少しせっかくの課題のところが問題指摘で止まっていますので、そこにこれまでの自主的な取組と、そして、課題から考えられる対策とまで言うと言い過ぎかもしれませんが、方向付けぐらいはできるのではないかと思った次第です。

ここは全体の書きぶり、トーンとも関わりますが、せっかく新しい分野について検討してまいりましたので、もう少し今後の自主規制の在り方の、言ってみれば手がかりをきちんと出していったほうがよいのではないか、そういう趣旨でお話をさせていただきました。ただ、分野によって書きやすいところ、書きにくいところはあることは承知しておりますので、どこまでできるのかは御検討いただければと思っておりました。

○丸山座長 ありがとうございます。

今回ヒアリングをさせていただきました、新たな取引領域のところの「課題」の書きぶりに関して指摘を受けたところでございます。問題点を指摘している形になっているのですけれども、まずはもう少し自主規制の内容として、こういった観点での自主ルールを作っていくことが要請されるのだということを書いていったほうがいいのではないかという御指摘だったと思います。

私も関連する事項について、まずアフィリエイトに関して、ヒアリングで確認できたこととしましては、ASPというものがコントロールポイントとして非常に重要な役割を果たす位置付けにいることも分かりましたので、ASPの自主規制ということになるのかもしれないのですけれども、こういう役割を果たしているので、こういう内容の自主的なルールも定めるべきではないかというところがもう少し強く書けてもいいのではないかと思いました。

また、アフィリエイトに関して、これは後払い決済についても言えることではございますけれども、現在、問題が多くて取り上げた領域でございます。アフィリエイトに関しましては、協会が現在は成果報酬型のアフィリエイトについての業界団体ということになっておりますので、運用型については必ずしもカバーしていないという辺りはどこかで言及していただければと思いました。また、もし運用型のアフィリエイトやアウトサイダーというものに自主規制では対応できない場合については、法的な対応も考えるべきではないかということは、「課題」のところでも言及していいのではないかと個人的には考えております。

他、第4の部分につきまして、御意見のある方はいらっしゃいますでしょうか。

大石オブザーバー、よろしくお願いします。

○大石オブザーバー ありがとうございます。大石です。

丸山座長が今おっしゃられた部分、私も正に発言しようと思っていた内容です。新しい分野として今回いろいろな事業者や業界も取り上げていただきましたが、まだ業界団体そのものがなかったり、業界団体への加入率が低かったり、その中で自主規制を作りつつあるというお話もありました。そのような場合、例えば18ページの「課題」についての2フレーズ目ですか、「一方、日本アフィリエイト協議会においても、悪質な事業者の情報収集を行い」と取組については記載があり、その文章の後のほうで「自主規制が機能することが期待される」と書かれています。また、最後のほうにも「適正な広告表示を促進する役割も期待される」と書かれており、できるのであれば自主規制に期待はしたいと思うのですが、実際には消費者被害などにつながっているという事実があるわけです。ですので、今後、自主規制だけでは効果が期待できないということになれば、その時には、すみやかな法的な規制も必要になってくるであろう、ということが書いてあってもよいのではないかと思って、読んでおりました。御検討、よろしくお願いいたします。

○丸山座長 ありがとうございます。

実務で問題が多い領域ということで取り上げましたので、報告書が出ることによって自主規制で足りるという誤解を与えてもいけませんので、後ろのほうでは確かに自主規制で足りなければ行政規制ということは書いていただいているのですけれども、特に各論の部分でもそれに対応するような形で、少し問題があるような領域については法改正や法的義務付けということも自主規制が功を奏さない場合には考えるべきだということは、何らかの形で入れていただければ有り難い分野かと思いました。

そのほか、第4について、御意見のある方はいらっしゃいますでしょうか。

それでは、続けまして、もし何か後で気がつけば振り返っていただきまして、報告書素案の第5、24ページから28ページ、最後の部分までにつきまして、御意見がありましたらお願いしたいと思います。

御意見をお待ちする間、私から指摘しておきたいと思いますが、25ページのイの部分、あるいは27ページのエの部分になるかと思うのですけれども、モニタリングの関係についてなのですが、モニタリングや評価自体に高度な専門技術を要するような領域も増えてきていると思いますので、この点は生貝准教授のプレゼンなどにもあったところですけれども、専門業者や専門機関に事業者がモニタリング評価を委託して、そういった委託先の適切性を行政等がモニタリングする仕組みも考えられるのかと思いましたので、そういった専門業者や専門機関を利用してのモニタリングという観点も追記いただければ有り難いと思いました。

もう一つ、26ページのイの部分なのですが、消費者団体に関して、今回のヒアリングでは海外の消費者団体が様々な活動をしているという情報も得られたところでございますので、どういうやり方をするのかという問題はありますけれども、取組が進んでいる海外の消費者団体との情報交換というのも、これは推進すると有益ではないかと私自身は考えましたので、コメントをさせていただければと思いました。

28ページの最後の部分の消費者及び消費者団体への期待の部分なのですけれども、先ほどの指摘とも関わるのですが、評価する意識や知見を高めることが望ましいというのはそのとおりかもしれないのですが、必要な行政の支援の下という形で、何らかの初めの枠づくりとか、そういうところでは必要な行政の支援も入れながらといった観点を、実は本文には書いていただいているのですけれども、最後の部分にも入れていただければよろしいのではないかと思いました。

最後の部分については、私からは以上になりますが、他、委員、オブザーバーの方から第5の部分につきまして、御意見はございませんでしょうか。

それでは、第5については出てこないようですが、最後に全体を通して言い忘れたことがあるなどはございませんでしょうか。大丈夫でしょうか。御意見は出尽くしましたでしょうか。

○片山委員 片山です。

最後の「おわりに」のところで言い忘れたのですが、最後のポツ、消費者及び消費者団体に対する部分なのですけれども、積極的に個別の事業者等を評価する意識を持つことというのはいいのですが、「その前提として事業者団体及び個別の事業者の取組を理解し評価するための知見を高めることを期待したい」というのは、消費者からするとすごく一方的に言われているような印象を受けるように思います。むしろ消費者や消費者団体からすると、もちろん専門性を高める、前回座長がおっしゃっていた情報やITに強い消費者団体も必要でしょうし、専門的な分野の消費者団体の成長が待たれるというか、それが必要だということと同時に、私がこだわるのは、事業者・事業者団体が積極的に自主規制や取組の内容、運用の実態というものを説明して、消費者に理解をしてもらおうという気持ちで公表していく姿勢がないと、消費者団体の側で知見を高めただけではなかなか評価ができる状況にはならないと思うのです。そういう意味で両者の協力の下で初めて消費者団体の知見も高まっていくので、そこの表現をもう少し御検討いただけないでしょうか。よろしくお願いします。

○丸山座長 了解いたしました。

特に表現のところを含めまして、情報やITに強い消費者団体の登場なども期待されるというのはそのとおりなのですが、先ほど御指摘いただいたような事業者とのコミュニケーションの場所を設定していくことによってお互いの理解を深めることが大切だという文脈に落とし込むことができないかといった点は、検討をいただければと思います。

他、御指摘はございますでしょうか。

新川座長代理、よろしくお願いします。

○新川座長代理 新川です。

お話をし忘れてしまいましたが、第5に関わって、24ページからの「行政規制が存在しない分野」での行政の役割として、特にここでは事業者団体の設置を中心に書いていただいていて、これはこれでいいかと思うのですが、25ページの「(2)整備段階」等でも若干気になるのは、前の第4の最後で事業者団体ができにくい、そういう新しい領域もあることを指摘してありますので、それに対応するような解決策を第5のところでも書く必要があるのではないかということであります。

その点からすると、個々の事業者が自主規制をそれぞれやっておられますので、それの望ましい在り方といったことを行政としても一緒に考えていく、あるいはそうしたガイドラインを作っていくといった方向もあってもよいのではないか、そうしたものが適切に機能していないようであれば、それを改めて方向付けるような議論は行政庁としてもあってもよろしいのではないかと思いました。

個別の事業者にとって自主規制というのは、業界団体がない場合は特にそうだろうと思いますけれども、あくまでも自主的な活動です。それにある意味ではより公共的な、あるいは民事的なそうしたルールをきちんと反映することができるような、そうした自主規制の在り方を各事業者が考えていくことができるような方向付けや動機付けを考えていく必要があるのではないか。それが整備段階での課題ですし、さらには「(3)運用段階」でもこうした事業者団体に期待すること以上に、各個別の事業者の遵守状況も、この場合には自己責任でチェックをし、開示をしていただくという方向になると思いますが、そういう事業者団体ができにくいようなケースでの自主規制の在り方、それの今後の運用の仕方、そこでの実効性確保の方法に触れておく必要があるのではないかということで、項目を足せるようであれば足してもらえると有り難いと思った次第です。

○丸山座長 ありがとうございます。

重要な御指摘だと思います。事業者団体が形成されないような場合で個社の取組になるような場合でも実効的な枠組みが作れないかというところは議論でも出てきていたところだと思いますので、項目を立てるのか、中の書きぶりを変えるのかというところはございますけれども、取り入れていただければと思います。

他、御意見はございますでしょうか。よろしいでしょうか。

委員、オブザーバーの皆様から様々な意見をいただいたところですけれども、事務局から特に確認することはございませんでしょうか。大丈夫でしょうか。

○太田参事官 特に今のところはございません。また事務局内で検討いたしまして、座長と御相談しながら修正案を作成してまいりたいと思います。

○丸山座長 それでは、本日の御議論を踏まえまして、報告書を取りまとめたいと思います。

今後の予定ですが、次回、8月11日を残すところとなりました。次回で報告書を取りまとめることを目指しております。

本日は御議論いただき、ありがとうございました。

最後に、事務局から事務連絡をお願いいたします。


≪3.閉会≫

○太田参事官 本日は長時間にわたりまして御熱心に御議論いただきまして、ありがとうございました。

次回の会合につきましては、先ほど座長から御紹介がございましたように8月11日を予定しておりまして、そこで最終取りまとめということをお願いできればと思っております。

○丸山座長 それでは、本日はこれにて閉会とさせていただきます。

お忙しいところをお集まりいただきまして、ありがとうございました。

(以上)