第27回 消費者法分野におけるルール形成の在り方等検討ワーキング・グループ 議事録

日時

2021年3月26日(金)13:00~14:58

場所

消費者委員会会議室・テレビ会議

出席者

【委員】
丸山座長、新川座長代理、山本委員長、片山委員長代理
【オブザーバー】
柄澤委員、大石委員、大阪大学大学院法学研究科教授 清水真希子氏、京都大学法学系(大学院法学研究科)教授 原田大樹氏
【事務局】
加納事務局長、渡部審議官、太田参事官

議事次第

  1. 開会
  2. ヒアリング結果等の中間的な整理及び今後の検討の進め方について
  3. 閉会

配布資料 (資料は全てPDF形式となります。)

≪1.開会≫

○太田参事官 本日は、皆様、お忙しい中、お集まりいただき、ありがとうございます。

ただいまから、消費者委員会第27回「消費者法分野におけるルール形成の在り方等検討ワーキング・グループ」を開催いたします。

議事に入ります前に、配付資料の確認をさせていただきます。お手元の議事次第に配付資料を記載してございます。不足等がございましたら、事務局までお知らせください。

なお、本日の会議は、ウェブ会議による開催となります。公開で行いますが、感染拡大防止の観点から、一般傍聴者は入れず、報道関係者のみ傍聴いただいての開催となります。

議事録については、後日公開することといたします。

次に、ウェブ会議による開催に当たりまして、お願い申し上げます。

1つ目に、ハウリング防止のため、御発言いただく際以外はマイクをミュートの状態にしていただきますようお願いいたします。

2つ目に、御発言の際に、あらかじめチャットでお知らせください。座長に御確認いただき、発言者を指名していただきますので、指名された方は、マイクのミュートを解除して、冒頭でお名前をおっしゃっていただいた上で、御発言をお願いいたします。御発言の際、配付資料を参照する場合は、該当のページ番号も併せてお知らせください。なお、発言の際には、可能であれば映像のミュートを解除していただきましたら、どなたがお話しになっているか分かりやすくなりますので、御協力をお願いいたします。

3つ目に、音声が聞き取りづらい場合には、チャットで「聞こえない」、「聞こえにくい」などと御記入いただきまして、お知らせいただきますようお願いいたします。

それでは、丸山座長、以後の議事進行をよろしくお願いいたします。

○丸山座長 座長の丸山です。どうぞよろしくお願いいたします。

本日の進行についてですが、途中で私の回線が切れた場合は、復旧するまでの間、新川座長代理に、新川座長代理の回線も併せて切れた場合は事務局に進行をお願いします。


≪2.ヒアリング結果等の中間的な整理及び今後の検討の進め方について≫

○丸山座長 それでは、本日の議題に入らせていただきます。

前回までの会合では、自主規制の活用等について8つの団体等のヒアリングを行いました。

本日は、これまでのヒアリング結果等について中間的な整理を行うとともに、今後の検討の進め方につきまして、意見交換を行いたいと思います。

まず、事務局より、資料1「ヒアリングの結果等の中間的な整理」及び資料2「ヒアリング結果等を踏まえさらに御議論いただきたい論点」につきまして御説明いただきます。

それでは、20分程度で御説明いただきますようよろしくお願いいたします。

○太田参事官 事務局でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

まず、資料1を御覧ください。「ヒアリングの結果等の中間的な整理」というタイトルの資料でございます。

最初に、四角で囲んだ部分がございますけれども、本ワーキング・グループにおけるヒアリング先ということで、これまで第23回から第26回までの4回にわたりまして、計8団体に対してヒアリングを実施してきたということでございます。さらに、その下の米印のところにございますように、こうした公開でのヒアリングに加えまして、事務局におきましてその他の消費者取引との関連が深い主要業種・分野につきまして、各団体のウェブサイト等を通じて調査を行っている状況でございます。

こうしたこれまでのヒアリングの結果等を踏まえまして、別途、詳細な情報について一覧表の形で整理を行っておりますけれども、本日、ヒアリング結果等の中間的な整理を行うに当たりまして、自主規制の整備・運用状況に関する主要な事項ごとに事実関係等を類型化して整理したということでございます。さらに、これまでの検討を通じて、ある程度こういったことは言えるのではないかという評価が可能なものについて併せて記載しているということでございます。

以下、具体的な内容につきまして、簡単に御紹介させていただきます。

まず、「1.行政規制の整備状況との関係」でございますが、監督官庁などが整備する行政規制と自主規制との関係を整理したものでございます。まず、(1)業種別に規制法令等が整備されている業界でございますが、監督官庁の存在を背景といたしまして、規制法令ですとか、更に行政上の指針・ガイドライン等に詳細な規定を設けられており、それを踏まえた形で事業者団体が更に具体的な自主規制を整備しているということでございまして、特に金融分野などにおいてこういった傾向が認められるということでございます。(2)分野横断的な規制を受ける業界もあるということでございます。分野横断的な規制法令ということで、ここでは、特定商取引法、景品表示法、個人情報保護法などを例示しておりますけれども、そういった業界におきましては、法令の規定等を背景として自主規制団体の設置や自主規制の整備が一定程度進んでいるところもあるということでございます。(3)規制法令が未整備又は不明確な業界でございますが、比較的新しい取引分野におきましては、監督官庁や行政規制が不明確である、いわゆる隙間の状態にあるということでございまして、事業者団体も存在しない又は整備途上であることが多いということでございます。こうした状況を踏まえまして、自主規制の整備・運用につきましても、個別事業者の取組に依存していることが多いということでございます。

2ページ目でございますが、「2.自主規制の策定主体」ということで、1.と同様の形で整理・類型化を行っているということでございます。(1)規制法令上に位置付けがされている団体があるということでございまして、こうした分野における団体の組織率の高低は参入規制の有無が影響しているのではないかということでございます。(2)規制法令上に位置付けはないけれども組織率が高い団体も見られたということでございまして、こういった分野においては、一定の体制を有する事業者団体が自主規制を策定しているということでございまして、監督官庁や参入規制の存在などが影響しているのではないかということでございます。(3)複数の業界団体を束ねる役割を果たすような自主規制団体、電気通信関係でございますけれども、こういった団体も存在するということでございました。

「3.自主規制の位置付け」でございます。(1)自主規制が規制法令に位置付けられていたものがあったということでございまして、その規制法令において自主規制団体の存在を予定し、更に自主規制を策定することも規定されているということでございます。3ページに参りまして、(2)自主規制が規制法令に位置付けられていないものもございましたけれども、ある程度の体制を有する事業者団体が存在する場合には一定の自主規制の整備がされていることが多いということでございました。

「4.自主規制の内容」でございます。(1)主な類型ということでマル1からマル3としてお示ししておりますけれども、マル1法令上の規定の具体化、マル2上乗せ、マル3横出しといったといった形で大きく分類することができるのではないかということでございます。ただし、ヒアリング先からも御指摘がありましたように、こういったことを明確に区別することが難しい場合も多いということでございました。(2)具体例ということで、幾つかお示ししてございます。ヒアリングの際に、事業者団体から御紹介があったものの中から特徴的なものを例示的にお示ししたものでございます。1つ目のポツは日本証券業協会の「協会員の投資勧誘、顧客管理等に関する規則」でございます。この中で顧客への勧誘や説明方法等について詳細な規定を設けているということでございまして、金融商品取引法上の適合性原則や説明義務等を具体化又は厳格化したものと評価できるのではないかというものでございます。以下、日本訪問販売協会、電気通信サービス向上推進協議会、日本クレジット協会の自主規制につきまして、特徴的な部分を例としてお示ししてございます。(3)こういったものについてどのように評価できるのかを暫定的にお示ししておりますけれども、これまでの様々なヒアリングでの御説明などを伺っておりますと、自主規制の内容としましては、規制法令に抽象的な定めのある事項につきまして記述の具体化を図るといったものが多い傾向にあるのではないかということでございます。4ページ目に参りますけれども、そういった中で、望ましい対応の在り方とか、具体例・ベストプラクティスなどを紹介することによって求められる規律の水準を上げているものが多いと理解されるのではないかということでございます。さらに、規制法令に定めのない事項について規制を設けている、いわゆる「横出し」と言われているものでございますけれども、横出しと明確に言えるものについては比較的少ないという印象がございました。ただ、幾つか事例もあるということで、そちらに例をお示しさせていただいております。さらに、個人情報保護委員会事務局へのヒアリングの際には、現時点で認定団体は41ございまして、それらが個人情報保護指針という自主規制を定めているわけでございますが、その半分以上には何らかの上乗せルールが設けられているけれども、必ずしもその業種・業界の特性を積極的に反映するものまでにはまだ至っていないという評価があったということでございます。さらに、規制法令が未整備又は不明確な業界におきましては、個別事業者が自主規制を社内規定といった形で設けて対応していることが多いということでございますが、その策定に際しては隣接分野における行政規制や自主規制を参考にしているという紹介もあったということでございました。

「5.独禁法との関係」でございます。御案内のとおり、独占禁止法におきましては、事業者団体が競争制限的ないし競争阻害的な行為を行うことを禁止しているということでございまして、各事業者団体においては、こういったことを踏まえまして、自主規制を策定するに当たっては、競争制限的な内容の規定を置くことを避けたり、あるいは、その自主規制自体に拘束力を持たせなかったりといった対応を取るという御紹介がございました。

「6.策定手続における第三者の関与」でございます。(1)第三者の意見を取り入れる仕組みを設けている団体ということでございまして、自主ルールを作成する会議体に、第三者の弁護士や相談員といった方を入れているところもございましたし、パブリックコメントを実施しているといった御紹介もあったということでございます。5ページ目に参りまして(2)フォーマルな仕組みは設けていないけれども、ルールの策定に当たっては、行政機関や相談員などの意見を聴取しているという御紹介もありました。(3)法令上行政機関の関与が定められているものもあるということでございまして、お示しした法令でそういった規定があるということでございます。

「7.実効性確保手段」として、(1)調査・監査などを行っているという御紹介もございまして、そういった調査・監査は規制法令に定められているという団体もあったということでございますし、更にそういった規制法令に特段の定めのない場合も、自主的な取組や監督官庁との関係等を背景としてそういった調査・監査を実施しているといった団体もございました。(2)自主団体による制裁ということで、実効性確保の手段としまして何らかの制裁手段を設けている団体が多かったわけでございますが、そういった手段を積極的かつ厳正に運用している団体と各事業者の自主性を尊重するという形で抑制的に運用している団体も存在したということでございまして、この辺の違いは規制法令における定めの有無や監督官庁との関係などが影響しているのではないかということでございます。さらに、(3)その他といたしまして、よりソフトな実効性確保手段としましては、会員による自己点検活動とか、6ページ目に参りまして、会員各社の社員・役員等に対する試験・研修や普及・啓発といったところが実効性確保の観点から非常に重要だということで、しっかり運用を行なっている団体もあったということでございます。

「8.紛争解決機能」といたしまして、(1)苦情受付、相談対応窓口でございますが、多くの自主規制団体におきましては、消費者等からの苦情・相談などを受け付ける窓口を設置して苦情処理等の業務を行っているということでございました。(2)更に一歩進んで、何か消費者との間で紛争が起こったときの紛争解決手続、ADRでございますけれども、金融関係におきましては、ADR機関の設置が法定されているものが多いということでございます。その他、法定されてはいないけれども、日本訪問販売協会のように、自主的にADR機関を置いているところもございました。なお、金融ADRには、事業者に片面的義務が課されているといった特徴があったということでございました。

最後、「9.自主規制の整備・運用状況についての透明性」でございますが、これは事務局で作業している中でも、自主規制の整備・運用状況について、ウェブサイトや各種の資料を通じて積極的に情報提供を行っている団体がある一方で、そういったことに必ずしも御熱心ではないと見受けられる団体もあったということでございまして、業界・分野間で取組に濃淡が見られるということでございました。

以上が、ヒアリング結果等を踏まえた中間的な整理ということで、事実関係を中心に整理させていただいたものでございます。

続きまして、資料2を御覧いただければと思います。「ヒアリング結果等を踏まえさらに御議論いただきたい論点」というタイトルの資料でございます。

これまで行ってきたヒアリング等の内容について、中間的な整理を行うため、以下のような点から更に御議論いただいてはどうかということでございまして、事務局で3つの柱に沿って論点を整理させていただいております。

「1.自主規制の整備・運用状況に関する現状と評価」、「2.自主規制の充実・強化に向けた方策」、更に「3.今後の検討の進め方」でございまして、以上、3つの柱立てに従って議論を進めていただいてはどうかということでございます。論点ごとに四角で囲った部分がございますが、こちらに「これまでにいただいた主な御意見」と「ヒアリング先からの主な関連コメント」ということで、これまでいただいた意見やコメントなどを整理しておりまして、これまでの議論の状況などを御参考にしていただいた上で、更に追加的に言えることとしてどういったことがあるかといった追加意見ですとか、あるいは、これまでの意見とは違った観点からの御指摘などをいただきながら、更に論点ごとに議論を深めていただいてはどうかと考えております。

以下、具体的な論点につきまして、簡単に御紹介させていただきます。

まず、「1.自主規制の整備・運用状況に関する現状と評価」でございますが、(1)自主規制の整備が進んでいる分野にはどのような特徴が認められるかといった論点でございます。(2)自主規制の整備が充分に進んでいない分野はどういう状況にあるか。(3)自主規制策定の趣旨や内容についてどのような傾向が見られるか、法令の具体化や上乗せ・横出しの状況等の評価について御議論いただければということでございます。2ページ目に参りまして、(4)行政規制と自主規制との間にはどのような関係があるかということでございます。4ページ目まで飛んでいただきまして、(5)自主規制の整備・運用に際し、独占禁止法との関係でどのような配慮がなされているかということでございます。(6)自主規制は実効性のある形で運用されていると言えるか、自主規制の遵守状況や執行状況、紛争解決機能などの状況につきまして、ヒアリング先からのコメントなども参考にしながら御評価いただければということでございます。5ページ目に参りまして、(7)自主規制は透明性のある形で整備・運用されていると言えるかということで、策定手続の透明性、消費者をはじめとする第三者の関与、情報開示の状況などについて御評価いただければということでございます。(8)自主規制の運用状況の違いはどのようなことに起因すると考えられるかということでございます。6ページ目に参りまして、(9)事業者や業界団体が自主的な取組を進める上ではインセンティブが大事だという御指摘がございましたけれども、そのインセンティブとしてどのようなものが重要と考えられるかという論点でございます。以上が、1つ目の柱でございます。

次に、2つ目の柱といたしまして「2.自主規制の充実・強化に向けた方策」でございます。(1)どのような分野・状況であれば自主規制が有効に機能するのかといったことでございまして、自主規制の有効性と限界について御意見を頂戴できればということでございます。7ページ目に参りまして、(2)実効性の高い自主規制の整備・運用を行うための要件として、どのようなことが重要と考えられるかということでございます。8ページ目を御覧いただきまして、(3)自主規制の整備が十分に進んでいない分野のうち、今後、どのような分野において自主規制の整備を促進することが重要と考えられるかということでございます。(4)(3)のような分野において自主規制の整備を促進するためにはどのような方策やアプローチが有効と考えられるかということでございます。さらに、9ページに参りまして、(5)先行分野における取組のうち、(3)のような新しい分野における自主規制の整備促進に関してどのようなことが参考となるかということで御意見を頂戴できればというところでございます。

最後に、3つ目の柱立てといたしまして「3.今後の検討の進め方」でございます。こちらにございますように、ヒアリング結果等の中間的な整理を踏まえまして今後の検討をどのように進めるかということで、具体的な検討事項やヒアリング先などにつきまして御意見を頂戴できればと考えております。

事務局からの説明は、以上でございます。

○丸山座長 御説明をありがとうございました。

引き続きまして、意見交換に先立ちまして、本ワーキング・グループに御参加いただいている原田オブザーバーより、先ほどの事務局からの説明を踏まえて、消費者法分野におけるルール形成と自主規制について総括的なコメントをいただきたいと思います。

原田オブザーバー、よろしくお願いいたします。

○原田オブザーバー 京都大学の原田でございます。よろしくお願いいたします。

私はレジュメのような簡単な紙を用意しておりますので、それを御覧いただきたいと思います。

このたび、ヒアリング調査に関わることができましたけれども、私は今から15年ほど前に自主規制を博士論文のテーマとして研究しておりました。その際に分かったことを簡単に申し上げたいと思います。

まず、「自主規制」という言葉はかなり多義的な言葉ですが、ここでは、ある私的法主体に対して外部からインパクトを与えたことを契機に、当該法主体の任意により法的利益の実現に適合的な行動が取られるようになることだと考えます。ここで「私的法主体」と言っているのは企業や業界団体を想定していますけれども、それらは経済活動や社会活動を普通に行っているわけで、それとは異なる活動として「規制」を定義するとすれば、このような形、つまり、法的利益に適合するような行動を取るという内容になるのではないかと思います。

このような自主規制のメリットとして、しばしば言われることですが、第1は、表現の自由のように国家が直接規制できない分野において一定の秩序形成を可能にする、憲法的な限界を克服すること、2つ目に、法律による画一的あるいは固定的な規制では対応できない事象に対応する規制内容の専門化あるいは個別化ということ、さらに、3つ目に、規制コストを民間部門に転嫁することによって国家の負担を軽減することがあろうかと思います。

他方で、自主規制のデメリットとしては、自主規制というのは、結局、規制者と被規制者の区別がなくなることになりますので、関係者の権利・利益の侵害が目に見えなくなり、見えなくなった結果、権利・利益の侵害自体を問題にすることすら難しくなること、規制者と被規制者が一体化し、しかもそれが分野ごとに規制の内容を決めていくことによって、一般的な民主主義の過程、民主政の過程に対して閉鎖的なものになってしまうこと、自主規制で、内部で適当に規制をするといいますか、微温的な規制をすることで規制が全体として非効率になることが挙げられます。

当時議論されていた、日本、アメリカあるいはドイツの100以上の自主規制を見てみた結果、自主規制とは結局何なのでしょうかということで定式化するとすれば、それは、ある社会問題を解決するために国家によって選択・利用される政策手段であると考えることができるのではないかと思います。先ほどの定義のところで「任意により」と言っているのに何でその逆の結論が出てくるのかということなのですが、「自主規制」という言葉が使われてはいるものの、実際に自主規制を調べてみると、その中で、本当に文字どおりの自主、つまり、外部からの影響を何も前提としないで実行されているような自主規制は、少なくとも国内法にはほとんど無いのです。自主規制というのは、国家から一定の枠組み設定がある、あるいは、市場における選択圧力を背景にして、それぞれの私的主体が自らの判断に基づいて、短期的な経済合理性とは矛盾するような行動―それは公的利益や適法的な行動ですけれども、それを取るようなものだと考えることができます。

このように、自主規制というのは文字どおりの自主ではないのだとしますと、国家がこれを用いる場合の許容条件を論じる必要性あるいは余地が出てくることになります。そこで挙げられているのは、直接規制がうまくいかない場合にのみ自主規制を投入すべきであるという政策手段としての補完性、経済合理性に代表されるような私人の行動原理との整合性、更に自主規制に内容形成の全てを委ねないという意味で国家による公的利益の決定を確保することです。

このような見方を前提としますと、今回のヒアリング調査で出てきた結果はいずれも納得ができるものでした。自主規制の実効性が一定程度確保されていると見られる事例では、法令の何らかの根拠に基づいており、例えば、日本証券業協会の場合、団体の組織率が高い日本クレジット協会のような場合、あるいは、独自の実施あるいは執行手段を持つ日本アフィリエイト協議会のようなものが共通して見られるということです。逆に、今申し上げたような要素のない自主規制は実効的に機能しているとは言えず、その例としては、電気通信サービス向上推進協議会があるかと思います。

他方で、消費者法分野特有の問題かもしれないなと思いましたのは、自主規制によるルール設定の内容面の特色です。既に先ほどの事務局からの整理にもありましたように、これまでの調査では、既存の法令の細則を定めたりベストプラクティスの成文化を行ったりしているという例が目立っていて、業界独自のルール化の方向性は弱いように見えました。また、自主規制のエンフォースメントというところでは、先ほど述べたように、法令上の根拠があるか市場からの退出を担保できるものでなければ弱い執行になりがちだということなのですが、他方で、独禁法の制約の存在が他の分野よりも強く認識されていると思われました。

最後に、このワーキング・グループの課題であるオンライン・プラットフォーム取引のようなものを念頭に置く場合の規制の在り方について、若干の私見を述べたいと思います。まず、直接規制か自主規制かという問題ですが、この分野の規制対象や保護法益に表現の自由あるいはプライバシーの問題が含まれていること、規制対象が高度に技術的でイノベーションが速いこと、さらに、事業者の捕捉が難しいことからすると、直接規制で全てを設計することは難しいし、不適当であろうと思います。他方で、自主規制が本当に機能するのかということですが、従来の自主規制論の前提から考えますと、かなり機能しにくいのではないかと思われます。

自主規制のモチベーションの第1は、国家の影、つまり、国家が規制をしてくるかもしれないということなのですが、消費者法分野における法令に基づく介入権限は相対的に見ると少ないですし、取引の越境的性格の割に域外適用的な権限はさほどないということで、国家の規制圧力が現時点において自主規制を呼び起こすほどの強さにはなっていないと思われます。

また、第2のモチベーションである市場における事業者選択圧力についても、市場をそもそも創設しているのがプラットフォーマーであることとか、プラットフォームの背景にあるのは業界を横断するようなものといいますか、プラットフォーマーの後ろには様々な業界の売り手あるいは製造者がいることからしますと、これも何か工夫しないと自主規制の実効性を確保することは難しいように思います。

そこで、この分野における法制度設計を考える場合には、自主規制の機能条件の整備を目的とするような制度を考えるべきではないかと思います。つまり、国家の規制圧力や市場における事業者選択圧力が高まるような工夫を考えるべきではないかと思います。

前者の国家介入の可能性との関係では、域外適用を含む監督権限の法定化あるいは介入の準備といいますか、それを示しておくことが大事だろうと思います。現在、プラットフォームに関する法案を消費者庁が出しているわけですけれども、それはこのようなものとして位置付けることができると思います。

また、後者の市場の選択圧力の活性化との関係では、選択圧力を発生させる消費者側での連帯を支援し、とりわけ消費者団体の役割を強化していくことが考えられるかと思います。例えば、自主規制に対する消費者団体の関与を強めるために、一定の手続的な権利ないし地位を認め、そこから出訴資格を認めていくとか、あるいは、民事上の訴権を認めることで、それを背景に裁判外の交渉による取引条件の適正化を推進していくという手法が考えられるところです。

私からは、以上です。

○丸山座長 原田オブザーバー、ありがとうございました。

原田オブザーバーからは、御自身の御研究に基づきまして、自主規制の意味や今回のヒアリングに対する感想をいただきました。また、今後ヒアリングが予定されているオンライン・プラットフォームに関しましても、仮に自主規制の活用という方向性を出すとしましても、それが充分に機能する条件としてどういう点に気を付けたら良いのかという点につきまして、御自身の御研究から発言をいただいたところでございます。

これから皆様に御意見等をいただきたいと思っているのですけれども、資料2などに基づく意見交換を行う前に、まず、資料1や原田オブザーバーの説明に関して何か確認事項などがございます方は御発言いただければと思います。資料2に基づく討議に入る前に御確認事項などがございます方はいらっしゃいますでしょうか。

まず、私から確認したい点があります。1点、事務局に確認をしたいのですけれども、資料1に関して、中間的な整理としましてよく整理をしていただいたと思っております。確認したい点としまして、分野横断的な規制を受ける業界というところで特定商取引法の訪問販売協会等が位置付けられているわけですけれども、景品表示法の広告や個人情報保護法の個人情報の問題が分野横断的というのは非常によく理解できたのですけれども、訪問販売業という法令で設定している業種ごとに協会などが自主的な団体を作っていることに現在はなるかと思うのですけれども、この「分野横断的」という意味はどのように捉えたら良いのか、この点、確認させていただけますでしょうか。

○太田参事官 事務局でございます。

ここにつきましては、そこまで厳密には詰めておりませんでしたけれども、御案内のとおり、特商法は、訪問販売や通信販売など、計7つの取引類型について横断的な規制をかけている法律でございまして、そういったところに着目しまして「分野横断的」と整理させていただいたということでございます。その中で、法律の中に自主規制団体の設置が予定されているものは、この日本訪問販売協会や日本通信販売協会でございますが、両団体の中にも、例えば、化粧品ですとか、衣料品ですとか、いろいろな業界といいましょうか、商品・サービスを提供する事業者が含まれているといった観点で、「分野横断的」と整理したということでございます。

以上でございます。

○丸山座長 ありがとうございます。了解しました。用語の使い方で気になりました点でございましたので、確認させていただきました。

その他、まずは御確認という点は特にございませんでしょうか。資料2に基づく討議に進んでもよろしいでしょうか。いかがでしょうか。

原田オブザーバーに御確認したい点があるということで、片山委員から、よろしくお願いいたします。

○片山委員 原田オブザーバー、ありがとうございました。大変分かりやすい御説明をいただいて、頭が整理できました。

1点、お教えいただきたいのですが、原田オブザーバーのレジュメで最後の行のところになりますけれども、この自主規制を本当に機能させる上で市場の選択圧力の活性化が大切だというのは私も感じているところです。これまでの議論の中でも市場の反応によるエンフォースメントを機能させるという話があったのですが、具体的に、消費者団体が、どういう役割といいますか、どういう機能を果たせるのかというところで、なかなか私自身はイメージを持つことが難しいのですが、その辺で原田オブザーバーのお考えになっている消費者や消費者団体の役割や果たすべき活動があれば、是非お教えいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

○原田オブザーバー 御質問をありがとうございました。

特に具体的にこうだという制度設計の案を持っているわけではないのですが、例えば、今、法案として提出されているプラットフォームに対する規制の中では、官民協議会というものの中にステークホルダーとして消費者も入っていくことが想定されているように思います。その場合に、例えば、消費者団体もその場に参加して一定のルールを形成する―今の法律はそうなっていませんけれども、例えば、それを景表法のように消費者委員会・消費者庁などがそのルールを認可して、そのルールに一定の法的な意味を与えることにした上で、そのルールのとおりにやっていない場合に消費者団体側に一定のアクションを認めるような訴訟上の地位を認めることはあり得るかと思います。

他方で、プラットフォームは、国内はともかく、海外まで含めた場合に、日本の消費者団体が果たしてどれぐらいの役割を果たせるのかというのは実際には難しいような気がしまして、もう少し現実的に考えると、消費者団体の国際的なネットワークとか、あるいは消費者行政の国際的なネットワークの中で、消費者側の選択圧力をグローバルなレベルで強めていかなければ、なかなかグローバルなプラットフォーマーに対応することは難しいのではないかという気がしております。

あまり具体的なイメージを描いていないのですが、差し当たりは以上です。

○片山委員 ありがとうございました。大変具体的にイメージが湧いてきました。

○丸山座長 ありがとうございます。

続けて、新川座長代理も原田オブザーバーに御確認事項があるということで、よろしくお願いいたします。

○新川座長代理 新川でございます。

今日は、ありがとうございました。本当に論点を明解にお示しいただいて、理解が進みました。

特に最後の方のオンライン・プラットフォーマーの自主規制に関して、自主規制が機能するかというときに国家の影をどういうふうに機能の条件に逆に合わせられるのかというのが気になります。介入権限の少なさは立法政策にも関わるところでありますが、同時に、介入そのものは直接業態規制だけではなくて様々な取引あるいはインフラ規制等々もあろうかと思ったのですが、特にプラットフォーマーに関わって、原田オブザーバーのこの介入権限の少なさと考えておられるところの理由のようなものがあれば、少しお教えいただけると今後の議論の参考になるのではないかというのが1点。

もう一つだけ、同じく自主規制が機能するための市場の選択圧力はそのとおりなのですが、ここでもプラットフォーマーの場合には市場創出者ということが強調されていて、これはそうかと思ってお伺いしていたのですが、もう一方では、市場は、同時に、消費者といいますか、売り手と買い手と双方で成り立ちますので、こういうときに、言ってみれば、消費者側の力みたいなものも、先ほどの片山委員の御質問とも重なるかもしれませんけれども、そうしたマーケットそのものが機能するかどうかというところの圧力をどういうふうに考えたら良いのだろうかというのが少し気になりましたので、原田オブザーバーのお考えがあれば少しお伺いしたいと思った次第です。

○原田オブザーバー 御質問ありがとうございます。

第1の点ですけれども、なかなか難しい問題で、私が念頭に置いていたのは、既に法律になっている特定プラットフォーム透明化法では、イノベーションを阻害しないようにということで、規制手法らしい規制手法が導入されていない―と言うと言い過ぎかもしれませんが、こういうことをやっていますということを報告させて評価するという仕組みは導入されていて、それは最低限度の第一歩だと思いますけれども、さすがにその仕組みだけで自主規制を誘導するのは難しいだろうと思っております。その点では、今消費者庁が出している法案のほうが、規制権限と言えるかどうかは微妙ですけれども、もう少し具体的に介入のためのツールを用意しようということなので、この消費者庁のアプローチをもう少し強めていくことがあり得るかと思っています。他方で、プラットフォーマーの場合には、誰が何をどうコントロールをしているのかプラットフォーマー自身が分かっていないという問題があったり、デジタル・プラットフォームの場合には、特に、高度・技術的なものでできている構造があったりで、それを法的にどうコントロールをすれば良いのかというのはなかなか難しい問題です。その辺りは、今後用意されるであろう官民協議会のような場で、プラットフォーマーがどう考えているのか、あるいは、規制当局としてはこういうことをやってほしいということをお互いに突き合わせる中で、規制のフォーカルポイントといいますか、ここを規制すれば良いのではないかというものを明確化していく作業が多分必要なのだろうなと思っております。

2番目の市場の選択圧力ですけれども、プラットフォーマーは市場創出者だと申し上げたのはそのプラットフォーマーの中の話で、もちろんプラットフォーマー相互の競争というもう少し大きなメタレベルの市場という意味では競争はしていると思います。その競争の中で衰退していく事業者ももちろんいるはずなので、そういうメタレベルでの競争を何とか意味のあるものにするための消費者側の連帯みたいなものを考えていくのが一つの在り方なのかなと思いますけれども、現状ではメタレベルの市場における選択はどのぐらい機能しているのか―例えば、我々がECサイトを使う場合に、A社とB社があって、そのA社とB社それぞれの消費者保護に関する在り方で選択しているかというと、むしろ商品そのものの中身であったり値段であったりで選んでいることが実際には多いような気がします。そこで消費者側としてもそれぞれのプラットフォーマーがどれぐらい消費者親和的なものかということについて注意を払う、逆に、注意を払わせるような情報を規制当局が提供させるという手段を考える必要もあるかと思います。

○新川座長代理 明解にお答えいただきまして、ありがとうございました。

○丸山座長 ありがとうございます。

もうお一方、大石オブザーバーから、よろしくお願いいたします。

○大石オブザーバー 大石です。御説明をありがとうございました。

私は、消費者団体に所属しておりまして、今、原田オブザーバーがおっしゃられたように、国際性というところは消費者団体として一番弱いところであり、なかなか難しいところを御指摘受けたなと思いながらお話を聴いておりました。新聞などで見る限り、海外ではこれら大手デジタル・プラットフォーマーに対しては、独占禁止法の関連で国からの圧力がかなり掛かっているという話は聞いております。一方、自主規制に関して、海外の消費者団体が、かなり関わっているのかどうか、私たちが国際的な活動をしていないもので、その辺りがなかなか情報として入ってきていないのですが、実際のところはどうなのか、分かれば是非教えていただければと思います。

○原田オブザーバー 御質問ありがとうございます。

私も、その点はあまりよく把握しておりません。先ほど申し上げた15年ぐらい前にはこういう現象はございませんでしたので、少なくとも私が博士論文で勉強していた頃には消費者団体がそのような役割を果たしているという例はなかったと思います。

プラットフォーマーに対する規制は、おっしゃるとおり、独占禁止法というか、競争法で介入するというのが、アメリカでも、あるいは特にヨーロッパでも、かなりメジャーなやり方なので、そちらのほうにどうしても関心が向かっていて、消費者問題として捉えるという捉え方自体、それほど強いものではないのかもしれないなと思っているところです。

しかし、先ほどちょっとコメントの中でも申し上げましたように、消費者問題は、従来の分野ごとの対応といいますか、国際レベルでは比較的政策分野ごとに対応が変わっていて、環境は環境、税金は税金、銀行は銀行ということで、それぞれに規制のネットワークなりグローバルな規制スタンダードが出来上がっているのですが、消費者問題になると、そのように分野を縦で区切っていってもあまり意味がないといいますか、むしろ横断的な対応が必要で、その横断的な対応をする場合に、しかもカウンターパートである消費者側も同様にグローバルな連帯を考えていかなければいけないのではないかと最近強く思っております。消費者団体の皆様等も、そのような方向で今後は考えていただければ大変有り難いなと思っております。

○大石オブザーバー ありがとうございます。何とか頑張りたいと思います。

○丸山座長 原田オブザーバー、ありがとうございました。

今の意見交換も、これからの意見交換の中にも反映させる形で進めていきたいと思います。

それでは、全体的な議論としまして、御参照いただきたい資料としては、事務局から説明がありました資料2に記載されている論点の順に従いまして、意見交換をさせていただきたいと思います。

今後、プラットフォームの業界などにヒアリングをしました上で、最終的には報告書をまとめて何らかの意味のある発信をしたいと考えているわけでございますけれども、これまでの議論を踏まえまして、資料2を御覧になってください。まず、「1.自主規制の整備・運用状況に関する現状と評価」ということで、中間的なまとめとしましても、今後どういった点に着目して意見をまとめていくかにつきましても、考えていきたいと思っているのですけれども、(1)で自主規制の整備が進んでいる分野にどのような特徴があるか、(2)進んでいない分野にはどのような状況があるのか、(3)自主規制策定の趣旨や内容としてどのような傾向が見られるのか、(4)行政規制と自主規制との間にはどのような関係があるのか、(5)自主規制の整備・運用に際して独禁法との関係でどのような配慮がなされているのか、(6)自主規制は実効性のある形で運用されていると言えるのか、(7)自主規制は透明性のある形で整備・運用されていると言えるのか、(8)自主規制の運用状況の違いはどのようなことに起因すると考えられるのか、(9)インセンティブのお話が出ているという形で、事務局にはまとめていただいております。

各項目に関してでも結構ですし、こういった項目の立て方自体でも構いませんので、まずは「1.自主規制の整備・運用状況に関する現状と評価」について、これまでのヒアリングについてこういった取りまとめでよろしいかどうか、他に御意見があるかどうか、何か御意見があれば出していただければと思います。

まず、私から1つコメントをしておきたいと思います。総論的な話になるとは思うのですけれども、消費者取引が関係する分野におきまして、法令の内容自体は注目されたり一定の認識が共有されているところでございますけれども、自主規制の有無や内容、策定手続につきまして一覧できるような調査はこれまであまり行われてこなかったと認識しております。こういった現状につきまして一定の整理をすること自体には意義があるのではないかと思っております。ただ、整理の仕方としましても、こういった点に注意をしたらいいのではないか、あるいは、今示されている評価についてこういった点を加えてはどうかといったところについて、御意見などがありましたらお聞かせいただければというところでございます。

新川座長代理より、よろしくお願いいたします。

○新川座長代理 新川でございます。

少し私見も入るのですけれども、現状の評価をどう考えるのかというときに、視点として、1つは、消費者の利益や消費者保護という観点からこうした自主規制を見たときにどうなのだろうかというのが少し気になりました。ある意味では、消費者の権利をどういうふうに自主規制が考えておられるのか、そのための具体的な保護の方策をどう捉えるのか、あるいは、その背景にある考え方、結論的な原則としてどういう視点で立っておられるのかといったところが改めて整理をされると、この自主規制の性格も見えてくるのかなと思いながら今日のまとめを聞いておりました。これが1点目です。

2つ目に、これはそれぞれちりばめられているところもあるのですけれども、自主規制を議論していくときに、自主規制そのものの本来の目的とそれが持っている社会的な効果を今日はメリットとデメリットのような形で御議論いただいていたのですけれども、そういう本来の目的と実際に社会的に持っている効果とがそれぞれの実態によって多少ずれているのかなというところもあったものですから、この辺りをもう一度丁寧に議論しておいたほうが良いかと思いました。

それとの関連で、3つ目に、自主規制の中に込められているある種の原則論みたいなものも若干抽出しても良いのかなと思いました。全体を通じて、現状・評価のところでも、公開性や透明性といった議論あるいは公平性といった議論、更には客観性や専門性や消費者参加、最終的には企業や事業体としてのインテグリティーみたいなところも基準としてあるのかなと思いながら見ていたのですけれども、そういう自主規制が持つ原則論のようなところに照らして見ると現状はどうなのかというのも判断基準になるのかなと思った次第です。

○丸山座長 ありがとうございました。

重要な点を指摘いただいていると思います。今回、消費者委員会でこういった消費者利益が関わるような取引分野における自主規制を調査しているということがございますので、一つの視点として、消費者利益という観点は前面に出して良いのだろうと思います。

2番目に指摘していただいた社会的な効果や本来の目的は、今後のヒアリングにも関わると思うのですけれども、自主規制にせよ、何らかの規制を行うときには介入する理由や目的が必ずあることになりますので、それがどういう目的や効果を狙って自主規制が行われていて、それが達成されているのかという観点で評価していくというのは確かに大事であるかと思いました。この点については、原田オブザーバーの自主規制に関する定義のところでも結局は国家によって選択・利用されている政策手段の側面があるという御指摘がございまして、そうなると何らかの目的のためにそういった手段が投入されていることになると思います。そういった目的が何で、それを達成しているような自主規制となっているのかどうかというのが評価の視点にはなっていくということでございますので、どこまで厳格にできるのかというのは非常に難しいかもしれないのですけれども、消費者法の分野でございますと、今までのお話にありましたように、何らかのガイドラインや法令がありまして、それの具体化ということでそのガイドラインや目的を達成するというところも多いのかなとは思います。評価の視点は意識したほうが良いとは私も思いました。

その他、何か現状の整理の仕方や現状の評価の仕方に関して、感想、意見、コメントがある委員の方はいらっしゃいますでしょうか。

清水オブザーバー、よろしくお願いします。

○清水オブザーバー 大阪大学の清水でございます。

いろいろな取りまとめをどうもありがとうございました。

今の部分で発言するのか適切かどうか心もとないところもあるのですけれども、原田オブザーバーから一定の自主規制の定義をお示しになりまして、今のところの資料では自主規制についての定義は必ずしも明確には置かれていない状況なのかなと思っております。厳密な定義は恐らく難しいのですけれども、そこで自主規制として念頭に置くものについて共有した見解を持つと有益かと思いました。

一定程度念頭に置かれる主な類型は当然あるわけでして、そこにずれはないとは思うのですけれども、今まで一番大きくある類型として念頭に置かれているのは、業界団体に類するもの、それは法律上の根拠があるものもないものもいろいろありますけれども、そういったところが一定の業界向けの自主規範を策定しているというものが多分主に念頭に置かれている類型だと思います。プラットフォームの場合は、例えば、ある1つの会社が消費者利益ないしはその他の公益を理由として自分のプラットフォームの中での規律方法みたいなものを考えていく場合があるわけで、こういったものも自主規制として含めていくのかどうか。恐らくそういうことだとは思うのですが、業界団体による規律と少し違う性質を持ってくるように思いますので、原田オブザーバーが行政法的な視点から自主規制の定義を置かれていますけれども、私は私法の視点を持っておりますので、そうすると、もう少し自主規制の視野が広がってまいりますので、その外縁がどこまでなのかということが気になるところでございます。

お伝えしたいことがうまく伝わっているとよろしいのですけれども、要するに、例えば、あるプラットフォーム、動画共有サイトが、暴力的な動画とか、その他違法な内容を助長するような動画を削除するというルールを自分のサイトの中に持った場合、こういったものもここで含めて考えるのかどうかといった指摘でございます。

ちょっと分かりにくいかもしれませんけれども、以上です。

○丸山座長 ありがとうございました。

自主規制としてどこまで射程に入れて議論をするのかということも、今後の新たな業態について自主規制を語るときには重要な視点になるのではないかと思います。業界の組織率という話をしているところでは、複数の事業者が集まって一定の組織を形成しているというのが出発点になると思います。

他方で、プラットフォームに関しましては、以前も御指摘いただいていると思うのですけれども、個社というか、個々のプラットフォーマーが行政庁と交流をしながら自主的な規範を策定し、それを利用者との契約ベースで実施していくこともあり得ると思いますので、そういった射程の問題となりそうな気がいたします。

事務局から発言ということで、よろしくお願いします。

○加納事務局長 事務局の加納です。

今の清水オブザーバーの御指摘に関しては、プラットフォーマーのような、例えば、動画サイトの例でお話がありましたけれども、そういった場合の削除をどういうふうにするのか、そういう一定のルールが策定されているとしますと、そういうものもここでいう自主規制の検討対象として念頭に置いて良いのではないかと事務局としては思います。

どういうことかといいますと、特にプラットフォーマーが典型的だとは思いますが、直接商品のやり取りを自社と消費者とでやるというわけではなくて、そういう意味では他の自主ルールとはちょっと毛色が違うかもしれませんけれども、いわゆる場の提供者として、その場を仕切っている人といいますか、そういう地位にあって、その設定したルールにのっとっていろいろなやり取りが行われることになろうかと思いますので、そこをどういうふうに適正化を図っていくのかというのが消費者にとっては非常に重要だと思いますから、そういったものも念頭に置いておく。そうしますと、この自主規制の定義としてどういうものかというのは、非常に悩ましいといいますか、難しくて、私もこうだという確たることは申し上げにくいのですけれども、非常にアバウトな言い方をさせていただくと、要するに、行政規制でないものといいますか、公的規制ではないけれども、何らかの規範としてそこで通用させようとしているものを広く念頭に置いているというイメージであります。

そうすると、従来型の証券業といったところでやっておられるように、法令がきちんとあって、許認可監督官庁のようなものがあって、それで策定していくというものも、一つの典型例で従来型の自主規制として語られていたものだと思いますけれども、そうではなくて、プラットフォーマーなどもそうですし、あるいは、アフィリエイトもそうだと思うのですけれども、規制がないところで自然発生的にいろいろなビジネスが出てきて、それなりのニーズもあって取引が活性化してきている。そういうところで、規制がないわけですから、自主的にやっていただくということをまずは考えないといけないのですけれども、そういう場合にどういうふうに自主ルールが策定されてそれがどう機能するのか、消費者にとっても保護が図られているのかというのをどうやって確保していくかというのが問題意識としてございますので、幅広いもので定義は逆にしにくくなってしまうのかなという気がいたしますけれども、そういうものを念頭において議論いただければ良いのではないかと考えております。

○丸山座長 清水オブザーバーから、追加でよろしくお願いします。

○清水オブザーバー 加納事務局長、どうもありがとうございました。

私も、別にそこを排除すべきということを考えているわけではございません。ただ、その外縁がある程度明らかになっていたほうが望ましい。それを射程に入れるのがどういうロジックに基づいて射程に入れるのかということが意識されていることが望ましいと思いましたので、今のような御説明で納得できるかとは思います。

1点だけ確認なのですけれども、他方で、行政規制ではないものが非常に広過ぎるようにも私には思われまして、そこで御確認させていただきたいのですけれども、例えば、いろいろな形のモデル約款とか、あるいは、業界で標準化しているデファクトスタンダードの約款的なものもありますし、個々の企業が置いている約款的なものもあるかと思いますけれども、これらも規範という意味では規範であろうかと思いますし、契約という意味ではプラットフォーマーが締結する契約と変わりはないということになるのですけれども、こういったものはここでは念頭に置かないということでよろしいでしょうか。ここまで言い始めると切りがないというのは非常によく理解できますので、まず、1番目としてはモデル約款的なもので、あとは、それを超えた個社の、しかし、影響力の強い約款といったものについて、お示しいただければと思います。

○加納事務局長 加納です。

どうも御指摘をありがとうございます。

さすがに約款というところまで射程に含めるというのは広過ぎるかなという感じがいたしまして、行政規制ではないものと私はアバウトに申し上げてしまいましたけれども、そこで想定されていますものは、本来、何らかの法令や規制があってしかるべきところ、様々な理由でまだそういうものがないとか、そういう新しい分野ができたときにそのルールを法的規制とかも含めて本当は検討するのでしょうけれども、そういうものがないときに、いわゆる自主規制という形で通用させているということが念頭に置かれるべきかと思います。

そうしますと、約款と何が違うのかというところをどこかで切り口を整理しないといけないのでしょうけれども、約款といいますのは、どちらかというと、事業者と消費者との間の個々の取引という感じがいたしますので、個別の消費者と事業者との間の権利義務関係。それに対して、こちらのほうは、個別の権利義務関係も場合によっては入ってくるのでしょうけれども、むしろ当該分野における事業者の事業活動の適正化といったことになるかと思います。

そこはまた検討させていただければと思います。

○清水オブザーバー ありがとうございました。

○丸山座長 ありがとうございました。

確かにモデル約款の作り方となると区別がつきにくいところも出てくるのかもしれませんが、射程の切り方を、今回の自主規制としてどういうものまで取り上げるかというところは確認を要しますので、精査はさせていただければと思います。

その他、1の現状の整理と評価の仕方について何かコメントがある方はいらっしゃいますでしょうか。大丈夫でしょうか。

現状と評価に関しましては、今までいただいている意見などに基づきまして、また別表でも情報は整理しているところでございますので、更に分析等を進められればと思います。

次なのですけれども、資料2で6ページのところになります。タイトルとしましては、「2.自主規制の充実・強化に向けた方策」ということで、これまでヒアリングのときにいだたいた御意見をまとめている部分になります。

項目としてどういうまとめ方をしているのかといいますと、7ページの(2)実効性の高い自主規制の整備・運用を行うための要件としてどのようなことが重要と考えられるのか、自主規制の機能する条件や限界についてどのようなことが考えられるのかという項目、8ページに行きまして、(3)自主規制の整備が十分に進んでいない分野のうち今後、特にどのような分野において自主規制の整備を促進することが重要と考えられるのかという項目、(4)(3)の分野において自主規制の整備を促進するためには、どのような方策やアプローチが有効と考えられるかといった項目が立てられております。

これまでいただいた御意見につきましては、表に整理されているとおりとなりますけれども、3にも関わってくるのかもしれませんが、こういった自主規制の充実・強化に向けた方策の項目のところで何か追加的な御意見あるいはまとめ方に関しまして御意見があれば、よろしくお願いいたします。

この8ページのオンライン・プラットフォームに関しましては、先ほど既に少し言及していただいた部分などが関わってくるのではないかと思います。

私から少し確認をさせていただきたいのは、原田オブザーバーにお伺いしてよろしければですけれども、ここでオンライン・プラットフォームの議論が現在されているのですが、自主規制の活用を考えるときにどういった方策が必要だろうかという問いかけをしております。原田オブザーバーのプレゼンのところでも、国家の介入としての監督権限の強化や市場選択に言及していただいたのですけれども、概念的な確認としまして、この「自主規制」という言葉を使っている場合と、いわゆる「共同規制」という言葉を使っている場合とで、この監督権限の強化や介入の準備を示すことが、「共同規制」の枠組みに入ってくる話をしているのか、自主規制という形で議論して良いのか、これも自主規制の定義のお話に関わるのかもしれませんが、行政法の観点からもし御意見をいただければ教えていただけますでしょうか。

○原田オブザーバー 今、おっしゃったように、定義の問題がとても大きくて、「自主規制」という言葉を狭く捉える人は、本当の意味での自分たちでやっているものを「自主規制」と呼び、政府がかなり介入しているものについて「共同規制」という言葉を使って両者を使い分ける立場です。情報法の領域では特にその言葉遣いで「共同規制」という言葉が使われるのですけれども、他方で、私がこれまで見てきた自主規制の感想から申し上げますと、共同規制も自主規制も程度問題といいますか、自主規制だからといって本当に自分たちだけでやっているかというとそういうものはほとんど見かけないので、自主規制でも共同規制でも考えるべき要素は特に差はないのではないかと思っております。意味があるとすれば、自主規制の中でも、特に政府が何らかのフレームワークを作って、その中で何か規制をさせているという要素が強いものについて「共同規制」という言葉を使っていると整理するのが良いのではないかと思います。

○丸山座長 ありがとうございました。非常に明解な答えをいただきまして、用語の整理の仕方は私自身も迷っておりましたので、大変助かりました。

この資料の8ページに関しまして、先ほどからの議論とも関連して少々思っておりますのは、現況と評価というところでは、組織に入っていただくためにどういうふうにインセンティブを与えていったら良いといったところが強く出されていたのではないかと思います。アフィリエイトのような新たな業態において、個人が業に参加していることが多いのですけれども、違法な行為に加担をしたくないという動機があるところでは、何かよるべきところがあったほうが良く、そういった団体に加入する方向にインセンティブを与えていって、業界全体が適切に運用されていくという方向付けが望ましいということがあり得るかもしれません。ただ、その場合に、業界団体自体が適切に運営されていることをどう見ていくのかという点にも問題があるかと思います。

他方で、プラットフォームに関しましては、先ほど来出てきておりますように、組織化というよりも個社の取組になる可能性もあるとすれば、そこでの違いも分析として出していければ良いかもしれないと。印象論にとどまっておりますけれども、そういった感想を持ったところでございました。

他、何かこの充実・強化に向けた方策の項目のところで補充的な御意見や感想がある方はいらっしゃいますでしょうか。

新川座長代理より、よろしくお願いいたします。

○新川座長代理 新川でございます。

これまでの御議論と重なるところがあるかもしれませんが、自主規制それ自体をどう捉えるのかということについては、業界団体的な規制、各個社の自主規制みたいなものもあるのかなとは思っておりました。ただ、それは個別の契約やそれぞれの本来の財やサービスに関わる行為とは関わりがなくて、むしろ不特定多数に向けての社会公益的な活動に近いのかなとはイメージをしておりました。

そのときに、この自主規制をやることの目的は、もちろん自社のそれぞれの企業のためにということがあると思いますが、同時に、そのマーケットそのものをよりよく維持していくというところもあると思います。何よりも、消費者あるいは市場を支える他のアクターの関わり方にとって、この自主規制が利益にならなければ自主規制の意味がないということになると思います。

そうした観点から、これまでの各社の御意見を踏まえて考えてみますと、逆に、この自主規制がどういうセクターあるいはどういうアクターに利益をもたらしているのか、帰着しているのかをもう一度整理しつつ、その中でみんながウィン・ウィンにならないとうまくいかないなという感じがしたものですから、そういう観点で議論してみてはどうだろうかということが、取りあえずの感想として持ったところです。

○丸山座長 ありがとうございます。

他に御意見はございますでしょうか。

大石オブザーバー、よろしくお願いします。

○大石オブザーバー ありがとうございます。

今さらながらの質問でお恥ずかしいところもあるのですけれども、確認させてください。今、デジタル・プラットフォームの話が出ておりますが、これから立ち上がる官民での協議会で作るものは「自主規制」と呼ぶものになるのでしょうか。それとも、先ほどのお話にあった個々のデジタル・プラットフォーマーが作るものを「自主規制」と呼ぶことになるのでしょうか。そこのところも、今、お話を聞いていて疑問に思いましたので、教えていただけると有り難いです。

〇丸山座長 ありがとうございます。

これは、事務局にお答えをお願いします。

○加納事務局長 事務局です。

大石オブザーバーの御指摘なのですけれども、デジタル・プラットフォームに関しては、業界標準のルールとかは恐らく直ちにはできないのではないかと思うのですね。どうなるかというと、今回の消費者庁の新法もそういう枠組みなのですけれども、それぞれのデジタル・プラットフォーマーが自主的に取り組むべきことを決める。ですから、個別の自主ルールというか、自主規制というか、そんなイメージだと思います。

そうすると、さっき約款は入るのでしょうかという議論がありまして、私は典型的には約款は念頭に置かないのではないのでしょうかということを申し上げて、それと矛盾するような話になってしまうのですけれども、プラットフォーマーが、場の利用者としての事業者、出品者あるいは購入者である消費者との間で、こういうやり取りをするときにはこういうルールでやりますよというのを各プラットフォーマーが決めると多分なりますから、それをどういうふうに適正なものとしているか。

今回の新法も、それは各プラットフォーマーが、努力義務ではありますけれども、体制を作るなり一定の措置を講じ作ってなくてはいけないというのがあって、そのために消費者庁が指針を策定しますと。その指針を策定するに際して参考になる意見を出すものとして官民協議会が位置付けられているという関係になっていますから、その官民協議会には、プラットフォーム関係事業者だけではなくて、消費者団体関係者も入ると法律上書かれていますので、そうすると、官民協議会で消費者団体関係者も含めていろいろと議論をして、意見か何かを出して、その意見を踏まえて消費者庁が指針を策定しますよと。その策定された指針にのっとって、各プラットフォーマーが個別にルールを策定していく。それが「自主規制」と言われる形になるのだろうなと思います。

○大石オブザーバー 分かりました。整理していただいて、ありがとうございました。

○丸山座長 ありがとうございます。

片山委員長代理から、よろしくお願いします。

○片山委員 ありがとうございます。

先ほどの新川座長代理のお話を聞いていて感じたところですが、自主規制について整理をしていく上で、私も自主規制の持つ本来の社会的な役割を明確に示しておいたほうが良いのではないかと感じました。

今日原田オブザーバーにおまとめいただいた自主規制のメリットや定義ももちろん含まれますが、私も、社会、市場における取引の公正を実現していく上で、事業者と消費者とが一緒になってルールを決めていって、それを自主的に事業者が守っていきつつ、公正な市場を作っていくという本質的な役割も目的として挙げられるのではないかと思っています。

それと同時に、今日、原田オブザーバーに整理していただいたように、自主規制で何でもできるかというと、そうではなくて、そこにはデメリットもあるし、気を付けなければいけない点もあるのだということが今日は良く分かりましたので、ある意味、そういうデメリット、本質的な自主規制の限界や留意点も報告書のどこかできちんと整理して、そういうことを前提にした上でどういうふうにこの自主規制の充実・活用を図るのかと議論を進めるのが良いのではないかと感じました。

意見です。

○丸山座長 ありがとうございます。

自主規制が持つデメリットあるいはその限界についてもどこかで整理をした上で検討したら良いのではないかという御指摘だったと思います。そのとおりではないかと思います。

先ほどの原田オブザーバーのプレゼンにもありましたように、例えば、今後、デジタル・プラットフォームが官民協調ということで協議会を開くことになるのですけれども、そこで何をどこまでやるのかというところはまだこれから詰められるという状況にあると思います。そこで、御指摘もあったような消費者連帯や消費者団体の役割を強化するときに、漠然とその協議会で意見を述べるというだけでシステムとして足りるのかとか、何をすべきなのかという辺りも、もし深掘りできるのであれば、少し考えてみると、良いのではないでしょうか。目的にかなった自主規制になるように働き掛けるには、本来的にはどういった仕組みが必要なのか、現在の枠組みで足りるのか、現在の枠組みの中身を詰めていくときにどういう観点からどういう手当てをすれば良いのかが見えてくるのではないかと思いました。

2番目に関しましては、他は大丈夫でしょうか。

ページとしましては、9ページの「3.今後の検討の進め方」ということで、ヒアリング結果等の中間的な整理を踏まえて、今後の検討をどのように進めるのか、検討事項やヒアリング先等ということになっております。

確認でございますけれども、先ほど来話題に出ているデジタル・プラットフォーム関係に何かヒアリングを行うことのほか、予定されているヒアリングが現時点でございましたら教えていただきたいのですが、事務局からはいかがでしょうか。

○太田参事官 事務局でございます。

本日いただいた意見などを踏まえまして、今後、ヒアリング先や有識者の方を決めていきたいということでございますけれども、これまでにいただいている御意見などですと、プラットフォームのお話は既に何度も出てきているところでありますし、その他、広告関係についても、アフィリエイト広告については既にヒアリングを実施いたしましたけれども、他にもいろいろな類型の広告がございますので、もう少し範囲を広げた上でネット広告全般についてヒアリングを行ったほうが良いのではないかとか、そういったところにつきまして更に委員の皆様の御意見をいただきたいと思っているところでございます。

○丸山座長 ありがとうございます。了解です。そういう趣旨でございますね。分かりました。

今後、ヒアリング先につきましても、今話題に出ているもののほか、こういったものを聞いてみたいとか、あるいは、こういった観点について少し知識を得るために専門家にヒアリングをしてみたいといった意見がございましたら、せっかくですから出していただければと思います。いかがでしょうか。この点に関しては、遠慮なく言っていただいたほうがよろしいのではないかと思いますので、御意見があったらいただければと思います。

片山委員長代理、よろしくお願いいたします。

○片山委員 勉強不足で、すみません。第5次のところで議論がされていたのかも分かりませんが、海外において、自主規制を実効性あらしめるために、消費者団体がどんな活動をしたり、どういう連携が実際に行われているのかという点について、何らかの報告やヒアリング、研究者に対するヒアリングになるかと思いますが、そういうものは行われていましたでしょうか。

○丸山座長 海外の情報でも特に消費者団体がそういった自主規制を作るときにどう関与していくかといった辺りについて、いかがでしょうか。

○太田参事官 事務局でございます。

第5次のルール形成のワーキング・グループにおきまして、消費者団体の活動の国際的な動向を正面から取り扱ったことはないと承知しております。

山本委員長、第5次のワーキング・グループに御参加されていたと思いますけれども、いかがでしょうか。

○山本委員長 その点について特別に調査研究をしたことはなかったと思います。

恐らく、包括的な研究や調査は、私の知る限りではないのではないかという気がしますので、本当にやろうとすると、それぞれの分野についてどうなっているかという形で調査研究を進めるしかないという感じはいたします。しかし、むしろ専門の方が他においでですので、私の感触にとどまります。

○丸山座長 あり得るとすれば、ヨーロッパなどの消費者団体と調査・連絡を取り合っている専門家に、その消費者団体の国際的な活動ということで情報提供いただけるかという形での調査・専門家ヒアリングは考えられるかもしれません。今はコロナ禍でございますけれども、海外の消費者団体と調査・ヒアリングなどでこれまでコンタクトを取ってきた実績のある専門家に消費者団体の国際的活動という観点でのヒアリングはあり得るかもしれませんが、それが可能かどうかは専門家の方に伺ってみないと分からないと思います。

事務局、よろしくお願いします。

○加納事務局長 第5次では、消費者団体そのものというわけではないのですけれども、いわゆる共同規制の状況についてEUやオーストラリアということで一定の調査はしているような感じが報告書の中ではうたわれておりますので、その辺はどういうことをしたのかは確認しておきたいと思います。

消費者団体そのものということに関して言いますと、私が理解している限りでは、「自主規制」と言うかどうかは別にして、例えば、EUに関して言いますと、フランスやドイツの消費者団体は、割と公益的活動を積極的にやっていまして、団体の組織規模も日本に比べるとかなり大きいところが幾つかありまして、日本でいうと適格消費者団体の差止め請求に類する活動などは伝統的に活発にされている。その中で、事業者と話合いや対話を促進することでいろいろと働き掛けたり、多分そういうことは結構あるのではないかという気がいたしておりますけれどもそれは確認をさせていただければと思います。

○丸山座長 お願いします。

○山本委員長 山本です。

今の点について、振り返ってみないとはっきりしたことは分からないのですが、EU等については一定の調査はしています。ただ、どこまで消費者団体に焦点を当てた形で調査をしたかと申しますと、私の記憶の限りでは、そこまで深い調査はしていないと思います。

これは私の感触ですけれども、ヨーロッパ等においてこういった自主規制を行うときに、いろいろなステークホルダーの参加が重要であること、その中でも特に消費者団体の参加は重要であることは、一般的に言われています。

ただ、現実には、経済団体等に比べて実際に発言するためのもろもろの資源に限界があるために、枠組みは整っていてもなかなか実効性を確保することが難しいということが、一般的に、あるいは、それぞれの分野についての実証研究等でも時々いわれていると思います。更にそういったことを具体的に深めて研究することはできるかもしれません。

今、申し上げたように、消費者団体の参加が枠組みとしてはあっても、実際には困難があるのですけれども、加納事務局長が言われましたように、ヨーロッパ等で前提とされている消費者団体は、日本よりも規模が大きいものでありまして、日本のように小さい規模の団体になりますと、そこのところの困難が更に増すであろうことが一般的に予想されるところではあります。

○丸山座長 ありがとうございます。

海外の取組の情報が分かれば、それを踏まえて、日本との違いも確認した上で、現実的にあり得る提言や枠組みが探れればというところでございますので、第5次のときの詳細な資料も含めまして一度確認をしていただければと思います。

その他に今後の進め方につきまして御意見等がある委員はいらっしゃいますでしょうか。

○片山委員 片山です。

先ほどの消費者団体との関わりのところで、追加で、私のイメージといいますか、お願いをさせていただきたいのですが、自主規制の策定の部分だけではなくて、そこにエンフォースメントというか、インセンティブを与えるためには、消費者から適正な自主規制が設けられている団体あるいは企業であることに対する評価と信頼が醸成されていくことが、どちらの立場にとっても大切だと思うのです。そういう意味では、自主規制の制定時だけではなくて、それがどのように守られているのかというチェックや評価がきちんとオープンにされていって、それに基づいて事業者を選択できるということにもこの自主規制ルールがつながっていくと良いなと思っていまして、そういうことも含めて海外では実現されているところがあるのだろうか、そのためのポイントは何なのかというところを、この機会に知ることができればと思っています。併せてよろしくお願いいたします。

○丸山座長 ありがとうございます。

この辺りも、情報の整理の問題も出てきておりますので、確認をさせていただければと思います。

その他に、御意見、御要望はございますでしょうか。

本格的にヒアリングに入る前に、以前から出ておりますように、プラットフォーム関係あるいはデジタル広告関係とかに関しまして、本当に自主規制に委ねたほうが良いのか、自主規制や共同規制につきましてそういう枠組みを設けるときに何を強化したら良いのかという辺りについても、専門知識を入れるためにも、プラットフォームやデジタル広告に関して詳しい方に一度専門家としましてヒアリングをできればと思うのですけれども、そこで調査するときの観点も必要かと思いますので、何かこういった情報を得ておきたいという点がありましたら、お願いします。今、消費者団体の役割についてとか、在り方についてという点は指摘がありましたが、その他はございますでしょうか。

新川座長代理、よろしくお願いします。

○新川座長代理 新川です。

ちょっと落ちておりまして、申し訳ありませんでした。

今後の検討のところで、出たかもしれないのですが、今、企業のサイドでいいますと、企業の社会的責任や社会的な共有価値といったことが盛んにいわれるようになっております。企業行動の原理そのものも少しずつ変わりつつあるところもあって、もちろんそんなものは一部ですよという議論もありますけれども、逆に、そういう企業社会の側の変化、それは恐らく経済団体全体もそうだと思うのですが、その辺りの情報も、こういう自主規制のようなものを、どういうふうに経済界として考えておられるのか、あるいは、そうしたCSRに関心のある企業ではどんなふうに位置付けておられるのかといったところも、多少体系的に見られると有り難いなと思っておりました。

○丸山座長 ありがとうございます。

企業の社会的責任という観点から自主規制についてどういう考え方を持っているのか整理できないかということだったと思うのですが、他に御意見はございますでしょうか。大丈夫でしょうか。

清水オブザーバー、よろしくお願いします。

○清水オブザーバー 自主規制が社会的に有益であるということそのものに異を唱えるつもりは全くありませんし、そういう誤解はしていただきたくはないのですけれども、自主規制が常に有益ではないと思いますので、そこのところについての留保は必要かと思います。

多分2つの方向がありまして、1つは、自主規制と公的な規制とを比較した場合に、自主規制に委ねるべきではない事項はあるかと思いますし、また、そもそも規制を置くべきではない場合もあるかと思いますので、自主規制の有益性自体は当然同意するわけですけれども、常に自主規制が望ましいわけではないというところの留保の意識は必要かと思って伺っておりました。

○丸山座長 ありがとうございます。

そもそものところで、市場に委ねておいて良い領域あるいは公的な規制のほうが良い領域があるというのは、原田オブザーバーからのプレゼンのところでも示されているところでございましたけれども、報告書でもそれは整理をした上でというところを留意して取りまとめをしていったほうが良いというのはそのとおりではないかと思います。

他に、御発言希望の方はいらっしゃいますでしょうか。

大石オブザーバー、よろしくお願いします。

○大石オブザーバー ありがとうございます。

今の清水オブザーバーの話にもつながると思うのですけれども、これまでヒアリングをしてきた中で、かつては官の規制であったものが一部自主規制になった、という話もあったと思います。また逆に、時代といいますか必要な場合には、自主規制で認められていたものが、官の規制になることもあるのでは、と思っておりまして、そこには自主規制だけでは消費者問題が防げない場合や、消費者からの信頼性の有無も関わってくるのかなと考えた次第です。時代というのですか、社会の要請によって、規制の度合いや内容が変化することもあるのではないかと思いましたので、その辺りが気になって発言いたしました。

○丸山座長 ありがとうございます。

自主規制を取り上げる前提になるのかもしれませんけれども、他の手法もあることを踏まえた上で考えなければいけないというのはそのとおりではないかと思います。

その他に、具体的にこういった消費者トラブルの増加あるいは問題状況があるのではないかというところが、どういう手段にせよ、規制を考える上での出発点になるのではないかと思います。そこで、そもそもそれを問題状況だと捉えるところを抜かしてしまうと恐らく議論がかみ合わなくなってしまうところもあるのではないかという印象がございます。今後、新たな業界、プラットフォームにしましても、インターネット広告にしましても、どういう在り方あるいは自主規制の活用が適切なのかという話をするときでも、出発点としまして、こういうところが問題とすべき状況なのではないか、それについてうまく自主的に現在はされているのか、されていないとすると自主規制であろうが公的な規制であろうがどういう規制が必要なのかというお話になるのではないかと思いますので、出発点の問題状況や介入すべきなのはなぜなのかという辺りは意識したほうが良いのではないかという印象を私自身も持っております。

その他に御意見がございます方はいらっしゃいますでしょうか。

様々な観点から、消費者団体の関与の在り方とか、自主規制を活用すべき射程や機能する条件などに関しまして意見が出されたと思います。

ヒアリングに関しましては、特にどこを追加というお話は出ていない状況でしたので、これまでの議論で出てきたようなデジタル・プラットフォームやインターネット広告の業界団体などを今は念頭に置いておりますけれども、それでよろしいでしょうか。他に御意見のある方はいらっしゃいますか。大丈夫でしょうか。

清水オブザーバー、追加ということで、お願いいたします。

○清水オブザーバー 度々申し訳ございません。先ほど述べればよかったのかもしれないのですが、何か当てがあったり具体的な状況を知っているわけではなく、ただの思い付きなのですけれども、今日のお話を伺っていまして、この報告書が目指しているところのフォーカスが大分見えてきたところでございますが、そういう観点から考えますと、消費者と接点があるところで不動産取引的なものがあまり入っていないのですが、こういうもので何か対象になるものはあり得るのでしょうかということでございます。

○丸山座長 ありがとうございます。

事務局に、当初、不動産業界はどうなっているのだろうかと下調べをしてもらったことがあります。例えば、自主規制がないとしても、ないこと自体、それはそれで検討としては参考となると思うのですが、これまで調べている状況で事務局から不動産業界についてコメントはできますでしょうか。モデル約款はもちろんあるのですけれども、自主規制の団体とかを一度調べてもらっていたと思うのですが、いかがでしょうか。

○加納事務局長 加納です。

清水オブザーバー、不動産の分野は、この会議の割と初期の頃に、そういうところはどうですかということでどなたかから御指摘があったと思います。

事務局でいろいろと調べたりしたのですけれども、調べる限りでは、例えば、日証協とか、訪販協とかにおけるような、典型的な業界標準というものがどうも見当たらないなという感じでした。

それがなぜなのかというのは、正直、現時点でも分かりかねております。ただ、一つ言えることとしては、この不動産の分野は建築業法や建築基準法や様々な業規制がありまして、そこでいろいろと細目も定められていて、更にその建築業法や建築基準法とかの細目的なものの更に詳しいところ、いわゆる告示とか、そういうところに落とし込んでいろいろと書いているものはあると。それは役所が作るわけですけれども、役所が作る際には業界の意見も恐らく聞いていると思いますので、そういう意味では、業界の意見も反映しつつ、消費者の意見とかも聞いたりされているかもしれませんが、そういう形でルールとしては適正なものを作っていますよということになるのだろうなとは思うのですけれども、それがかなりカバーをしているのかなという気がするというところです。

あえて言いますと、そういった建築基準や建築業という従来型の業規制ではない分野といいますか、例えば、消費者契約法にちょっと似てくるような、敷金に関するガイドラインとかがあったりしますけれども、あのガイドラインは国交省が作っておるところでありますが、それに類するものとして、いわゆる標準約款ですね。標準約款が自主規制に入るのかと清水オブザーバーから正に御指摘になって、それはどうでしょうかねということを申し上げましたけれども、そういう標準約款の策定などにおいていろいろと業界として取り組んでいるというのはあるという状況です。

ですので、結論として申し上げますと、不動産業界においては、日証協などにおけるようなものに相当するものは、今のところ、見当たらない。その理由はよく分かりませんけれども、それをカバーするものとして、これは役所が作るものですけれども、先ほど申し上げました告示の類いとか、いわゆる業界標準約款があるというのが、今、事務局で把握している状況です。

○清水オブザーバー 清水です。

そうしますと、例えば、消費者関係でよく話題になる老人ホームのような介護福祉サービス、医療サービス的なものも、同様のような位置付け、基本的には、標準約款、モデル約款的なところで管理されているというところで、本会はなかなか対象にしにくいという御理解でしょうか。

○加納事務局長 老人ホームとかも、同じく厚労省がいろいろとやっていたと思います。それ以外は何がカバーをしているかというと、ひょっとしたら何か業界の取組もあるのかもしれませんけれども、清水オブザーバーがおっしゃるように、むしろ標準約款とか、あちらのほうでいろいろ定めているのではないかという気がするというところです。そこは、まだ現状では押さえられておりませんので、推測も入ってしまいますけれども。

○清水オブザーバー ありがとうございました。

○丸山座長 ありがとうございました。

こういった業界での行動準則を定めていない業界もございまして、ただ、御指摘にありましたように、モデル約款や標準約款的なものが自主ルール的に機能している側面もあるのかなとは思います。今回の報告書において、それに言及したほうが良いのかしないほうが良いのかはまとめ方の問題にはなるのかなと思います。現在のところは情報としては入れていないというところでございますけれども、調査した実態としては加納事務局長から説明いただいたとおりになります。

その他に何か御意見はございますでしょうか。

それでは、特に御議論がなければ、本日の議論も踏まえまして、デジタル・プラットフォームやインターネット広告の業界団体などのヒアリングを行う前に、少し専門知識について入れるということで、有識者からの情報提供、ヒアリングを行いたいと思います。

先ほどの消費者団体の活動についてヒアリングができるのか、それとも、第5次の情報の確認になるのかにつきましては、事務局で御検討いただければと思いますが、委員の皆様、このような方向性でよろしいでしょうか。他に御意見のある人はございますでしょうか。

それでは、本議題については以上ということにしたいと思います。

本日は、御議論いただき、ありがとうございました。

最後に、事務局から事務連絡をお願いします。


≪3.閉会≫

○太田参事官 本日は、長時間にわたりまして御熱心に御議論いただきまして、ありがとうございました。

次回の会合につきましては、確定次第、御連絡させていただきます。

以上でございます。

○丸山座長 それでは、本日はこれにて閉会とさせていただきます。

お忙しいところ、お集まりいただきまして、ありがとうございました。

(以上)