第23回 消費者法分野におけるルール形成の在り方等検討ワーキング・グループ 議事録

日時

2020年12月21日(月)14:59~16:57

場所

消費者委員会会議室・テレビ会議

出席者

【委員】
丸山座長、新川座長代理、山本委員長
【オブザーバー】
大石委員、柄澤委員、大阪大学大学院法学研究科教授 清水真希子氏、京都大学法学系(大学院法学研究科)教授 原田大樹氏
【説明者】
日本訪問販売協会大森専務理事、日本証券業協会松本自主規制本部長、日本証券業協会毛塚監査本部監査管理部長
【事務局】
加納事務局長、渡部審議官、太田参事官、事務局担当者

議事次第

  1. 開会
  2. 自主規制の活用についてのヒアリング
  3. 閉会

配布資料 (資料は全てPDF形式となります。)

≪1.開会≫

○太田参事官 本日は、皆様、お忙しい中、お集まりいただきありがとうございます。

ただいまから、消費者委員会第23回「消費者法分野におけるルール形成の在り方等検討ワーキング・グループ」を開催いたします。

本日は、山本委員長が、16時30分頃に御退出されるとの御連絡をいただいております。

また、所用により、片山委員長代理が御欠席との御連絡をいただいております。

議事に入ります前に、配付資料の確認をさせていただきます。

お手元の議事次第に配付資料を記載してございます。もし不足等がございましたら、事務局までお知らせください。

なお、本日の会議は、ウェブ会議による開催となります。公開で行いますが、感染拡大防止の観点から、一般傍聴者は入れず、報道関係者のみ傍聴をいただいての開催となります。

議事録につきましては、後日、公開することといたします。

次に、ウェブ会議による開催に当たりまして、お願い申し上げます。

1つ目に、ハウリング防止のため、御発言いただく際以外は、マイクをミュートの状態にしていただきますようお願いいたします。

2つ目に、御発言の際は、あらかじめチャットでお知らせください。座長に御確認いただき、発言者を指名していただきます。

指名された方は、マイクのミュートを解除して、冒頭でお名前をおっしゃっていただき、御発言をお願いいたします。御発言の際、配付資料を参照する場合は、該当のページ番号も併せてお知らせください。

なお、御発言の際には、可能であれば映像、カメラのマークのミュートを解除していただきましたら、どなたがお話しになっているか分かりやすくなりますので、御協力をお願いいたします。

3つ目に、音声が聞き取りづらい場合には、チャットで「聞こえない」「聞こえにくい」などと記入していただきまして、お知らせいただきますようお願いいたします。

それでは、丸山座長、以後の議事進行をよろしくお願いいたします。

○丸山座長 座長の丸山です。どうぞよろしくお願いいたします。

本日の進行についてですが、途中で私の回線が切れた場合には、復旧するまでの間、新川座長代理に、新川座長代理の回線も併せて切れた場合には、事務局に進行をお願いします。


≪2.自主規制の活用についてのヒアリング≫

○丸山座長 それでは、本日の議題に入らせていただきます。

前回の会合では、自主規制の活用について、第5次消費者委員会における消費者法分野におけるルール形成の在り方等検討ワーキング・グループ報告書の観点を振り返った上で、今後の検討事項や重視すべき観点、参考とする取組等について御議論いただきました。

本日からは、前回の御議論も踏まえながら、実際に自主的取組を行われている団体のヒアリングを行いたいと思います。

本日の進行は、前半で「公益社団法人日本訪問販売協会」に、後半で「日本証券業協会」に、それぞれヒアリングをさせていただき、その後、委員・オブザーバーの皆様だけでヒアリングを踏まえた意見交換を行うという形で進めたいと思います。

それでは、まず、日本訪問販売協会のヒアリングを実施します。

本日は、参考人として、同協会の専務理事でいらっしゃいます大森俊一様にお越しいただいております。

本日は、お忙しい中ありがとうございます。

それでは、15分程度でお話しいただきますよう、お願いいたします。

○日本訪問販売協会大森専務理事 今、御紹介いただきました、訪問販売協会の専務理事をしています大森でございます。

本日は、大変貴重なお時間をいただきましてありがとうございます。

それでは、事前にお配りしました資料を基にして、15分程度説明をさせていただきたいと思います。

資料は色刷りの物がございますのと、それから、参考資料1と2がそれぞれございます。色刷りの物を中心にして御説明を進めたいと思います。

まず、2ページでございますが、概要について少し触れたいと思います。

1980年4月に設立と書いておりますが、この3年前の1977年に連絡協議会という土台になる組織が出来上がって、発展的に解消して社団法人化したのがこの時期でございます。

目的は、訪問販売の購入者とその事業者の取引の適正化を図って、業界の健全な発展、国民経済の健全な発展を図るということでございます。訪問販売に関わることは全て業務趣旨の中に入れるということでございます。この目的にも書いてありますが、特に特商法に限定をしているという書き方はされていませんで、ただ、特商法上、業務が規定されているという点でいえば、中心的にはそこに軸足が置いてあると思っていただければと思います。

次のページのマル2でございます。

役員につきましては、現在の会長は竹永美紀でございまして、以下、副会長・専務理事・理事・監事ということで、トータル29名の役員体制でございます。

会員は152社ございまして、正会員が118社、賛助会員34社ということで、賛助会員には団体が含まれています。訪問販売をしているということが、正会員の加入資格の大前提になります。賛助会員は協会の目的に賛同するというものでございます。どういうものがいるのかということになりますと、信販会社や情報処理をするような会社が賛助会員として入られている。団体では、例えば、化粧品だとか健康食品、ミシン、健康機器、新聞とか、あるいはクレジット会社をまとめた団体なんかも入られています。加入の申請を出していただいて理事会が承認するということになりますので、いろいろな書類を、例えば、特商法に絡んだ書面とかそういったものをお出しいただくということになります。

組織としましては、御覧のとおり、会員総会と理事会、それから、総務委員会・広報・消費者問題、これは業界のメンバーで組織化しているもので、下のアスタリスクがついている倫理審査委員会・ADRとか、消費者救済に係る審査委員会は学識者等の第三者の方たちで組織が構成されています。

事務局は記載のとおりでございます。我々は消費者相談室と言っていますけれども、表向きにはホットラインという言い方をしていて、以前は訪販110番という言い方をしたのですが、ちょっと名前がいかめしくて、110番と書くと、言えば協会が何でもやってくれるのだと誤解をするお客様がいるので、ネームをちょっと変えたという経緯がございます。

次のページのマル3でございます。

具体的な事業の内容としましては、まずは、その協会の会員たちが遵守すべき事項、「倫理綱領」を立てて、これを発足と同時に作ったわけです。それを具現化するというのが「訪問販売企業の自主行動基準」でございます。

これの目的は以下にございますけれども、消費者から苦情が寄せられた個々の事例の解決というのは相談室で行うのですけれども、会員の皆さんたちにとってみると、その判断基準というのは法律も有るのですが、法律に盛られていないものも含めて、この自主行動基準が一つの判断基準になるという考え方でございます。

法令との関係からいいますと、先ほどもちょっと触れましたが、特に法令に定めのない事項に関して自主的に定めたということですので、制裁を直接の目的とするものではないということになります。

しかしながら、その違反の内容、頻度によっては、倫理審査委員会の対象になって、改善勧告だとかそういった措置が図られて、結果として、それが協会の制裁措置ということになります。

このほかに「連鎖販売取引に係る自主行動基準」があったり、「商品別禁止事項」や「通常、過量に当たらないと考えられる分量の目安」を作っております。特に、この「通常、過量に当たらないと考えられる分量の目安」は、法律上、分量の目安がない過量契約解除制度なんかがあって、それに対して、通常の量はどのぐらいだというところを調べ上げて、この基準を作ったわけでございます。会員はその基準を見ながら適正な量というのを判断していくということになりますが、これを作るときには消費者団体や行政も絡めて二度ばかりの審議をして、協会が調べ上げたデータを基に、最終的に基準を作ったという経緯がございます。

次のページのマル4でございます。

教育制度、これは苦情を出さない事前的措置という考え方が底流にあります。教育を通して資質を向上させるということでございますが、正会員の皆さんに、まず、協会が作ったカリキュラムに沿って計画書を作っていただき、傘下の販売員たちに教育や試験をしていただいて、一定の評価に達した方を協会に登録していただくと作業をします。現在のところ、約46万1000名が教育の評価を終えて、登録証を持っているということでございます。

こういった販売員を教育する資格者制度というのは協会が直接教育をして、試験をするということをしています。これが「訪問販売員教育指導者資格証」というもので、累計で約4,297名の方たちが合格したということでございます。

下にちょっとビジュアル的にありますが、大体、免許証程度のサイズでございます。PRポスターも作って、いろいろセンターに配っているのですが、どこまで本当にこのことを御存じかというのはなかなか難しい部分がございます。

次のページのマル5でございます。

その次に出てくるのが、事後措置として苦情を受けるというところでございます。相談室は創設当時からやっているのですが、相談室で受けて解決しない事案は、第三者委員会で構成する苦情検討会、それから、更にそれの紛争処理委員会に行きます。こういったところで受けた内容は、左側にはレポートがありますけれども、A4サイズのもので四半期ごとに出すものと年報とを出して、苦情の再発防止をするために会員たちと共有をします。

あと、ADRの第三者委員会にかけた案件というのは1件しかございませんで、ほとんどは消費者相談室で解決してきたという実態でございます。

そして、下に少し小さい字で書いてありますが、2019年度と10年前と比較すると、大体45.6パーセントのマイナスなのですが、右側に542件の分析がしてあります。問題性有りというところで90件、無いというのが452件です。これは下に備考が書いてありますけれども、要は何が問題だったか。クーリング・オフを聞きたかったからそのクーリング・オフのやり方を教えてくれと言ったら問合せで終わってしまうのだけれども、ではそこに何があってそのクーリング・オフをしたかったという問題性を露出するのに、点数で配分をすると10点満点というのを付けるのですが、その一事案でどの程度の問題が見つかったのかということを表すものにします。それをいただいた企業のほうは、それを比較しながらその後の対応を図っていくということになります。

したがって、問題性無しは純粋な問合せです。

会員非会員別で見ていただくと、こういう状態でございます。

ちなみに、正会員の場合は94件と書いてありますけれども、問題性ありは大体49件程度ということでございます。

その要因というのをちょっと見てみますと、今は昔と違って、昔はどちらかというと勧誘にすごい問題があったということなのですが、消費者志向が不十分というところが大変目立ってきております。これはいわゆる勧誘行為もそうなのですけれども、現実の消費者の苦情を受ける相談室の立場の人たちの受け答えも、消費者志向に非常に不十分な考え方を持っているというところが含まれているのが最も多いということになります。

以下、御覧のとおりでございます。

参考欄にPIO-NETの情報が書いてありますが、この10年のスパンでいきますと、訪販の苦情というのは大分下がってきているのです。全体では4.9パーセントのプラスになっておりますけれども、しかも、実は2019年度の「79,026件」というのも特商法の訪販というのだけを引っこ抜くと、大体この内の60パーセントから70パーセントなのです。それ以外は、特商法の適用を受けない訪販というところが実はあって、そこは特商法をどんなに強化しても影響が出てこないところではございます。

「消費者救済の措置等」のところでございますけれども、消費者救済基金というのを2009年度に設けたのです。これは特商法上の第29条の2のところでうたっていまして、協会の会員が訪問販売業務で契約をし、それを後日、特商法上の契約解除、例えば、クーリング・オフとか過量販売の契約解除とか、そういった契約解除をして支払ったお金を返せないと。正当な理由が無いままその既払金が返還できないといったときに一定の額を給付するというものです。

その給付の可否とか額は、その審査委員会が事前審議を行って、最終的には理事会がそれを尊重して決定していくというものでございます。お金の原資は正会員が分担して払っているということでございます。

それから、次のページの「不当な訪問販売への審査及び措置」というのがあるのですが、これは1986年に「倫理審査委員会」というのができて、そこで、その事案の中身について再発防止の手だてをどうしたらいいかということを審査するのですが、改善勧告をすると。それ以外ですと、例えば、権利の停止とか制限、除名というのもあります。このマル2かマル3になった場合にはそれは委員会の手を離れまして、理事会なり総会で弁明を聞いて決裁していくという形になります。

それ以外に、特商法上の改正があったときに、これはたしか今から7年ぐらい前でしたか、過怠金という制度ができました。これは29条の3のところで指定されているのですけれども、このことで協会に過怠金を支払うという場面が出てくるわけでございます。

この最後のところの「苦情処理体制の確立の推進」ですが、訪販協には実はチェックリストがあって、自己点検を会員にしていただくのです。その点検結果は協会に送っていただいて、個社ごとにそのレポートを作ってそれをフィードバックします。問題性の高い苦情を出すところもあれば、普通の苦情、ほとんど苦情が出ないというところもあるのですけれども、いずれにしましても、きちんとやっているところでもベストプラクティスを目指していただくということで、3年ぐらいのスパンで、現在までに4回ほどの調査をしています。

コンテンツは下に書いてあるとおり、6体制で84項目ございます。

【点検の方法】は、現に実施しているとか、途上であるとか、今は検討しているとか、予定がないというところで点数の評価をしております。

次のページでございます。

「事業者啓発」というのもあるのですけれども、上段が講座等で実施していること、下段が資料等を作って、いろいろ様々なことをやっておりますけれども、特に印刷物に関しては、やはりいろいろなタイプの事業者、販売員の皆さんたちに非常に分かりやすいものを作って提供していくということも考えて、多種多様なものを作って出しております。発行部数とか回数は御覧のとおりでございます。

消費者啓発も手がけておりまして、特に平成28年の法改正なんかがありますと、やはりこういったオファーが多くて出ていくことが多いということになります。近年の状況ですと、消費者に対するお話というよりは、むしろ現場の相談員たちの講座で講師として呼ばれるというケースも増えてきているという感じです。

下段の資料につきましては、主なものを一部出しましたけれども、特に最近は若者向けの資料につきましては、2022年の成年年齢引下げを目途に、協会として何かを作って出していこうということで、これはセンターから要望が大変多く出てきております。

次のページです。訪販協の業務については、法律上規定されているものが幾つかありますけれども、これは参考までに規定を載せさせていただきました。

次の11ページでございます。

(2)と(3)はデータが古いのですけれども、(1)は直近で2020年度で調べたものなのですけれども、会員の皆さんたちが単独でやっている自主的な取組というのはどんなものがあるかということを、毎年1回調べている結果、直近のデータを出させていただきました。サンキューコールだとか消費者の啓発活動をしているとかです。このようなところを幾つか書いてあります。真ん中辺り、クーリング・オフのはがきを契約書に付けてそのまま出して、それを書いて出してくれればもうそれで履行ができるというサービスをしているところもあります。

次のページです。組織率というのは私たちの業界はなかなか出しにくくて、例えば、街の布団屋、電気屋が、店を出てそこで布団を売ったりなんかするのも訪問販売になってしまいます。ですから、数をどう数えるかという難しさ、それから、無店舗、自分が店舗を持たないで個人でやっている請負の販売員というのはたくさんいらっしゃるのです。その人たちを事業者とカウントしてしまいますと無数の数になっていくので、ここをどうやって整理するかというと難しい。実態がなかなかつかみづらくて、各いろいろな民間の事業者なんかも白書なんかに近いものを出しているのですが、画一的なものというのはなかなか出てこないなと。

これは経済センサスが、総務省と経産省がお作りになっていると思うのですけれども、4年に1回でしたか、調査をしていて、直近ですと2016年の調査データがあるのですが、これを見ますと、訪問販売のところで大体5兆5396億5800万円という数字が出ております。

あとは事業所単位、又は事業者数というのは当会が独自に数字を計算して出しましたけれども、下の表に事業者数等も書いてございます。

ここでちょっと皆さん方に見ていただきたいのは、この下の表の中に、訪問販売の小売で、先ほど言ったとおり5兆5000億円ほどあるのですが、無店舗と有店舗に分かれてございます。有店舗が約3兆7000億円、無店舗が約1兆7000億円と書いてあるのですが、大体私どもの協会のメンバーは無店舗のほうに主に含まれているのではないかと思います。特に化粧品とか健康食品みたいなところは、事業主としていわゆる動いている方たちのような感じです。全体の数字がこれだというのはなかなか言いづらいのですが、ちょっとイメージが分かっていただけると思います。

以上でございます。大体15分ぐらいで終わったかなと思います。御質問をお受けできればと思います。

○丸山座長 ありがとうございました。

それでは、これより20分程度、質疑応答の時間とさせていただきます。

ただいまの御説明を踏まえまして、御質問・御意見等のある方は御発言をお願いいたします。

御発言をされる際には、チャット欄にまずは発言希望の旨、御投稿ください。よろしくお願いします。

それでは、原田オブザーバー、よろしくお願いいたします。

○原田オブザーバー 京都大学の原田でございます。

本日は、貴重なお話を伺いまして誠にありがとうございました。

3点ほど質問させていただきたいのですが、まず1点目は、相談室で扱っておられる苦情については、これは非会員のものも含むという理解かと思うのですが、その非会員の事案の場合に、協会としてはどのような対応を取っておられるのか、あるいは非会員のものについても扱っているのか、それについてまずお伺いしたいと思います。

2点目は、基金による消費者被害の解決が、条文上は苦情解決とは別に設定されているのですけれども、その消費者相談室による紛争解決と基金による解決というのは連動しているのか、それとも、全く別々に動いているのか、その辺りを教えていただければと思います。

最後に3点目ですけれども、最後の制裁の手段として勧告とか過怠金とか除名とかがあるということなのですけれども、除名をした実例はあるのかどうか。また、その除名によって解決が図られるのかどうか。つまり、協会を出て行ったことによって問題が本当に解消するとは思えないので、除名によって問題が本当に解決できるのかということについても伺えればと思います。

○丸山座長 それでは、御回答をお願いいたします。

○日本訪問販売協会大森専務理事 御質問ありがとうございます。

まず1つ目の相談室での苦情の非会員の事例ですけれども、受けてはいます。受けていてあっせんが必要なものも、例えば、法律に抵触していて問題性の高いものについては中に入っていき、あっせんをしていくというものもございます。ただ、場合によっては消費者センターへ紹介したほうが早い場合はそちらへ回すという形にしています。相談件数の中には非会員も交じっているという御理解をしていただければと思います。

それから、2つ目の紛争処理委員会と基金のことが連動しているかということなのですが、実例はないのですけれども、基金でうまく運用できなかったことが相談処理のほうに回るということはあり得るかと思います。ただ、かつてそういった実例はございません。

それから、除名をしたことがございませんが、自主的に退会していった経緯はございます。除名した場合は、協会は公表するという決めがございます。そういう点でいえば、世の中的にはそれを知らしめるということは、その事業者にとっては一つの制裁みたいな格好になってしまうのだろうなとは思います。

○丸山座長 ありがとうございます。

それでは、引き続き、柄澤委員からよろしくお願いいたします。

○柄澤オブザーバー ありがとうございます。

私からは、簡単な質問を含めて5点ほどです。ちょっと多くて申し訳ございません。

1つは、協会への加入のインセンティブの問題です。この協会への加入率というのは決してまだ高くないと思うのですけれども、この加入のインセンティブを引き上げる手段としてどのようなことを考えておられるのかということをお話しいただきたいと思います。

2点目が、自主ルールの観点ですけれども、これを会員企業に遵守させるという観点からは、やはりどうしても独禁法の壁があると思います。一方、単なるガイドラインとなるとルールを遵守させることは難しいと。こういう観点で、貴協会において何か工夫しておられること、あるいは留意点があるのかどうか。この点をお話しいただきたいです。

3点目以降は単純な質問ですけれども、6ページの相談件数が2009年度から2019年度にかけて約半減しているわけです。御説明があったかもしれないのですけれども、この大きな理由はどのように考えておられるのか。

4点目が、協会のスタッフの人数と予算規模というのは差し支えなければどの程度なのか。

5点目に、先ほど言われたセーフティーネットとしての基金の積立てがあるのですけれども、現在、この基金の残高というのは差し支えなければどの程度になっているのかと。

○丸山座長 それでは、御回答をお願いいたします。

○日本訪問販売協会大森専務理事 加入のインセンティブという点でいうと、正直にいうと、実質的なインセンティブというのはなかなか難しいのだろうなと思います。協会の会費を払って、しかも基金の分担金を払い、苦情を受け付けてそれを一緒に解決していくということで、業界の健全な発展、購入者の保護をしていくということになるわけでして、そこにどんなインセンティブがあるかということで言うと、健全にやっている事業者の集団の中に入っている事業者、そういう見方を社会にしてもらいたいというところに尽きるのだろうなと思います。

もちろんそれは、その事業者が市場の中で適正な事業者として成長していくためにも訪販協の中に入り、そういった実質的な取組をして、会社内で遵守ムードを高めていくということは、一つの大きな目標になるのだろうとは思うのですけれども、何か目に見えたものを欲しがっている、例えば、訪販協に入るメリットというのは一体何なのだといったときには、それを事業者側の立場で考えたときのそのものというのはなかなか難しいのかなと思います。

我々からしますと、行政側から何か問題指摘をされたときに、それを事業者が独りで悩むのではなくて、協会に連絡をもらって、いわゆる指摘されたものを改善して行く。どのようなプログラムを作って、そういった問題を改善し、苦情を無くしていくのかという、あしき商慣習を無くしていくためにどうしたらいいのかといったときには、協会に連絡をいただければ、我々と一緒にそこを考え、いろいろな行動を取るということはあり、それが成功として終結する場合、それが一つのインセンティブになるということもあると思います。繰り返すようですけれども、目に見えたメリットとして何か示せというのは、事業者側に示すものはなかなか難しいのかなという実情にございます。

それから、それはある種、2番に共通している部分があると思いますが、自主ルールそのものを守っていただくということについては、我々訪販協が常日頃相談室で受け付けた事例をペーパーにしたりして、年に4回ないしは年報で出したり、又はセミナー等で告知することによって、会員の皆さんたちとそれなりの共有をしていくわけでございます。そういったところで、皆さん方にどういう方面でそれを守っていただいているか。当然苦情が上がってくれば、守っていないということが分かってくるわけです。例えばそれが埋没してしまって、その後の質問に出てきますけれども、半減してしまった背景というのは、いろいろな行政組織の中で、又は消費者センターの数も一時は300から400ぐらいのところが今は1,000、もっと多くの数ですかね。それ以外の組織もいろいろあって、また国でも吸収力が高まっているわけでして、訪問販売のことを直接訪販協に尋ねなくても、いろいろなところで受けていただけるということもある。そうすると、我々の協会に情報が入ってこないまま、行政から強く注意を受けてしまうということもあって、我々の知らないところで処分を受けてしまうということもあり得るわけです。

そういう点から言うと、苦情を受けている、受けてないということで、ガイドラインについてどの程度周知されているかというのは、受けていれば判断基準がだんだん分かるのですけれども、情報がなければ、どの程度周知されているのかが非常に分かりづらい部分があります。

先ほどの件数が減ったということでございますけれども、今、少し御説明しましたが、更に説明をさせていただくと、私どもの協会からしますと、相談室を御利用いただきたい。訪販に特化して活動していますし、訪問販売での情報は法律の解釈も含めて、それなりの考え方を持って相談室の人間は動いているわけです。ですから、そういうものを是非活用していただきたい。

センターからも、相談員から2割か3割ぐらいの相談が入ってくるのですけれども、活用していただくために協会の周知というのは大事なのですが、NTTの電話帳に協力して載せていただいたり、いろいろな手帳、もしくはいろいろな公的機関の印刷物に出していただくのですが、今、私どもの協会で推進していますのは、会員の皆さんが作っている特商法上の書面に訪販協の相談室、訪販協の会員であるということと相談室の番号を載せて、交付をしていただくという取組を進めています。

ただ、まだそれは浸透していないので、そうすることによって、事業者が対応して、不満足であれば、協会が中に入り、そこを対応していくというコンセプトで対処していっているような状況です。

現在、協会の中にいる職員は10人程度でございます。予算的には、1億4000万ぐらいでございます。

最後に基金の実例ですけれども、給付をした実績は今までございません。

また、基金の残高でございますが、現在1億2000万円ぐらいだったと思います。

○丸山座長 ありがとうございます。

続けて、新川座長代理より質問をお願いできますでしょうか。

○新川座長代理 新川です。よろしくお願いいたします。

今日は御説明ありがとうございました。自主規制基準について、3つほどお伺いしたいと思います。

1つ、自主規制の基準は丁寧に定めておられるようですが、時代の変化もあって、法令改正等もあって、恐らく改正を繰り返してこられているのではないかと思います。直近のケースでも結構ですけれども、どういう観点で基準の見直しをされるのか、そして、見直しに当たってはどういう手順で適正な見直しになるような工夫をされているのかということをお伺いしたいというのが1点目でございます。

2つ目は、この自主規制基準に一定の行使力を持たせるということで言うと、先ほど改善勧告であるとか、あるいは様々な処分を協会としてしておられるということがあると思いますが、同時に、特商法の規定のように過怠金が課させるといったケースもあります。こうした場合に、法的に協会としての権限が一定確保されているということは、協会としての自主規制との関係で言うと、それを補強するというか、強める効果のようなものがあるのか。あるいは、それはそれ、これはこれということなのか、この辺り、現場での感覚をお伺いできればというのが2点目でございます。

最後にいたしますが、3つ目は、特に販売員の方々あるいはその教育に当たる方々の教育に際して、当然、この自主規制基準をしっかり教育しておられると思いますけれども、実際には、協会としての自主規制基準は教育現場で販売員の方々の教育に際してどのように使われているのか、この辺りの現状をお教えいただければというのが3点目でございます。

○丸山座長 それでは、回答のほうをお願いできますでしょうか。

○日本訪問販売協会大森専務理事 ありがとうございます。

1点目の基準の見直しなのですけれども、直近の改定では、私の記憶ですとたしか高齢者等弱者対策の一環として、契約のプロセスで販売現場の方たちとは別の部署の人が当該契約を管理して、特に繰り返し契約を取っているお得意様みたいなタイプの方たちでも、きちんとその契約が取られているかどうか。本当にその方の意思で継続的にそういった買物をしていただいているのかどうかの確認をするというようなものです。この目的は、高齢者等弱者対策の一環で、その底流にあるのは、買い続けていただいているけれども、実は本当は買いたくないのではないか。販売員の勢いで買い続けているのではないか。そういうものを見つけるために、また、そういったところで対策が早く取れるように、別部門の方が適切に確認を取れる組織内体制を作っていただく。そういう観点で追加をしていく。

近年では、特に訪販の場合は、高齢者というワードで問題指摘をされるケースが多いので、そういったところの問題をどう是正するかという視点が強くなっています。

部分的な修正ということになると、苦情の中身を見ながら、どういう観点からどういう押さえ方をすれば実効性が上がるかみたいなことを考えていきますので、相談室も含めて事務局内で原案を作り、協会の中の委員会に諮っていき、最終的には理事会で決裁を得る。その理事会の決裁が下りるときには、会員事業者に対しては意見募集をしていくような格好で、最終的に決定をしていくということになります。そういう意味でいうと、結構時間を掛けてやっていくことが多いかなと思います。

それから、効力を持たせるために自主行動基準をどう運用していくかということなのですが、過怠金に関しては1回、実績がございます。この10年間の内に、実際に施行をしてから一度、実行に移したことがございます。当該事業者が訪販協の相談室なり事務局と当該問題点を是正していけるのか、一緒に改善を図っていけるのかということなのですけれども、過怠金を払い、中でどういう改善をしていくかということも公表していくことになりますので、当該事業者がこれについてこれなければ退会する場合もあります。ある意味、出入りは自由ですし、そこを辞めるなとは言えないわけでして、そういったときに当該事業者にとってみると、協会から強くいろいろな指摘をされて、改善をしていき、成功体験を収めていけばもうそれでいいということになるのですが、実際この会社はそれで成功し、今もきちんと取引をしているという会社になっていると思います。

これは各団体でいろいろなやり方があると思うのですが、情報が入ってくれば、その情報に基づいて当該事業者にそこの部分を共有し、理解をしていただくという作業を進めていく。しかも担当者がそのことを理解していくだけではなくて、トップにその理解をしていただかなければならないわけです。ですから、企業全体にそういう発想がないと、なかなか前へ進まないです。繰り返しになりますけれども、そんなうるさいことをするのであれば、もう協会を辞めてしまえばいいじゃないか。別に協会にいなくても商売はできるのだと思われてしまえばそれまでです。それほど強いインセンティブを持っているわけではありませんし、そういった意味で言うと、そのような形を選択する方も中にはいらっしゃるのだろうなと思います。

アウトサイダーの方たちに、私たちが作った自主行動基準を守らなければいけないということは不要なわけでして、訪販協がやっている自主行動基準はあくまでも会員が自主的に守っていくものですから、我々はいつも言うのですけれども、非会員の事業者の皆さんたちにどうやって協会に顔を向けていただくかが大きな課題になるわけです。

いずれにしましても協会のメンバーたちについては、問題があったときは御相談いただくなり、当協会から一方的に情報を共有して問題点を指摘し、改善していただくという動機づけをしていくということは、ある意味、非常に難しい問題であります。そのために相談室というのはアンテナを高くし、こういう問題が入ったのだということを、それに基づいて問題指摘をし理解を求めていくということが重要です。

最後の問題ですが、基準の使われ方ということでいえば、会員事業者は自主行動基準を協会が作れば、自社の売り方と商品等に合わせてお作りいただくというのが一つの作業として大きなものになると思います。協会のものを一つの指針にして、自分たち用に作り上げていくというものです。ある意味、協会の基準は法律より高いハードルでセットしてあると思いますので、そこは御自身たちでどのように料理していくか。苦情の無いところの人たちが強くやっていくことに意味があるのかとお思いになる方もいらっしゃるだろうと思いますが、ベストプラクティスを目指し、社内にそれを普及していただくということになります。

これは苦情が出てきたときに、その判断基準をそこに求めていくということになりますので、過量に当たらないという分量の目安は、通常の量を示していますから、その協会が示した量を超えたからといって、すぐに特商法の過量販売の基準のところにいくのかというと、なかなかそこは判断基準が難しいのですけれども、少なくとも協会の目安を守っていれば、そこにいくということは無いわけで、その中で適切な量の販売をしていただくということになるのだろうと思います。

お答えになっているかどうか分かりませんけれども、こんなところでよろしいでしょうか。

○丸山座長 ありがとうございます。

続けて、大石オブザーバーから御質問をお願いできますでしょうか。

○大石オブザーバー 御説明ありがとうございました。

私からは2点、質問させていただきます。

先ほども御説明いただいたとは思うのですが、自主行動基準を作成するときに、消費者団体なども入って2度ほど会議を開いて作りました、というお話でしたが、その辺りの作り方のプロセスについて、もう少し詳しく教えていただければ有り難いというのが1点です。

それから、せっかくこのような良い自主行動基準ができたのですから、できるだけアウトサイダーの方たちにも入っていただいて業界として同じように活動していくためには、協会に入っている方と入っていない方の差別化も必要かなと思います。ですが、先ほどの御説明では、訪問販売の資格証というのは、訪問販売の協会に所属していても資格を取った人でないと持っていらっしゃらないということで、消費者は協会に入っている企業と入っていない企業をどこで区別できるのか、違いがわかるのか、もし何かあれば、これも教えていただきたいと思います。

よろしくお願いします。

○丸山座長 お願いいたします。

○日本訪問販売協会大森専務理事 ありがとうございます。

先ほどの自主行動基準のプロセスの話ですが、自主行動基準は訪販と連鎖の2つに分かれる。その中に禁止行為と、もう一つ、過量に当たらない分量の目安があるのです。この目安を作ったときには、2回ほど消費者団体等の第三者の委員も交えた委員会で検討しました。

そこに特化して詳細を少し申し述べますと、法律改正が終わった直後のことですので、施行されるまでの期間、大分長かったと思います。1年か1年半ぐらいあったのだと思います。その間に、過量に当たらない分量の目安を作っていこうという動きがあって、作るに当たって、私どものメンバーの取引量を調べました。苦情があるとかないとかということもありましたけれども、市場の大きなものも含め大体10品目を選び、会員事業者を対象に、どのぐらいが通常の取引量なのかというところをつかむような調査をしました。それを委員会に諮り、こんな結果が出ましたということで、皆さん方に御討議をいただきました。

その検討の際に一部の委員より、ある商品について通常の量から言うともうちょっと少なめのほうがいいのではないかという指摘があり、それを最終的に第三者委員会の検討結果にする場合、関係する事業者の人たちとの調整に時間が掛かったりした部分はありますけれども、最終的に、これが直ちに著しい過量に当たるのではないのだという前提ですので、現在の内容で合意が得られ公表しました。

ここから余談になりますが、やはり独り歩きするのです。通常の過量に当たらないという分量の目安が、そこを超えたらすぐ著しい過量になるのだということで、相談機関の方たちはそれを中心にして事業者と交渉をしていくということもあったようでございます。そんな悩みもあって、ただ、これができた以降、事業者の皆さんたちは、この量を超えなければ、まずは著しい過量にまでは行かないのだという前提で動くようになったのではないかと思います。

また、訪販協の場合は、この量を超えて契約をする場合は、紙に根拠になることを残しておくようにという、言わば法律でいえば特別な事情を紙で残しておくということを自主行動基準にしたためて、センターでもし会員のことの相談があったときには、その紙に残っているものがあるのだという前提で交渉を進められる。こういう余地を残した処理をさせていただきました。

2つ目の御質問ですが、先ほどのデータを業界の組織的なイメージとして御紹介しましたけれども、表にいる方たちは圧倒的に多いのだと思います。それこそ街の布団店の担当者が表に出て販売を行えば訪販事業者となります。売上げからみた訪販協の会員のシェアは、先ほどのデータから、訪販全体の4分の1ぐらいのイメージですが、事業者数をつかむのは本当に難しい。また、訪販協の会員かどうかということを指し示すのに、御指摘のとおり、会員の中でも登録証を持っていない人もいます。登録制度に参加しなくてもよいと判断する会員もいます。少なくともホームページを御覧になれる方たちは、協会のリストはオープンにしていますから、今日来た販売員は訪販協の会員かなということで、ちょっと調べるとそれは分かったりする。もちろん電話していただければ回答いたしますけれども、消費者の方たちにそういった判断をして訪問販売を御利用される方はそれほど多くはないのだろうなと思うのです。

そうしますと、我々協会がPRをしていくということが非常に大事になってくるわけなのですけれども、PRするにもそのやり方は、費用をかけてその効果がどれだけ見積もられるのかという難しさもありますし、印刷物を作っても、それが本当に被害に遭われるような方たちの手元にちゃんと届くのかという問題もありますし、PRをしなければいけないという思いがある一方で、PRが行き届いていない部分があるといった点が一つ大きな課題にもなっているのかなと思います。

お答えになったかどうか分かりませんけれども、以上でございます。

○大石オブザーバー ありがとうございました。

○丸山座長 ありがとうございます。

他に御質問等はございませんでしょうか。

それでは、時間も来ておりますので、日本訪問販売協会へのヒアリングはこの辺りにさせていただきたいと思います。

本日は、お忙しい中、御出席いただきまして、誠にありがとうございました。

それでは、御説明者を交代いただきますので、委員・オブザーバーの皆さんは、準備が整うまで、少しお待ちください。

(日本訪問販売協会退室)

(日本証券業協会入室)

○丸山座長 それでは、次に、日本証券業協会のヒアリングを実施します。

本日は、参考人として、同協会から、自主規制本部長でいらっしゃいます松本昌男様と、監査本部監査管理部長でいらっしゃいます毛塚拓様にお越しいただいております。本日は、大変お忙しい中、ありがとうございます。

それでは、15分程度でお話しいただきますよう、お願いいたします。

○日本証券業協会松本自主規制本部長 ただいま御紹介いただきました、日本証券業協会自主規制本部長の松本でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

また、本日は、私どもの自主規制の活動内容につきまして説明をさせていただく機会を設けていただきまして、誠にありがとうございます。

時間もあまりございませんので、早速説明をさせていただきたいと思います。

まず、1ページをめくっていただきますと、目次になります。本日お話しさせていただく内容は6点ございます。最初に本協会の概要、次に自主規制ルール、3つ目としましてルールの効果ということで、研修、監査、処分についてお話をさせていただきます。その後、トラブル解決に向けた取組、消費者に向けた取組、プリンシプルベース視点での自主規制の見直しということで、お話しさせていただきます。

あらかじめお断りでございますが、私どもの団体名は日本証券業協会と申しますが、ふだん「日証協」と使っているもので、場合によっては「日証協」と説明してしまうことがあろうかと思います。また、金融商品取引法という言葉が何度か資料の中で出てきますが、これもふだん「金商法」と使っていますので、注意をしますが、そのような使い方をすることもあろうかと思います。

3ページ目でございますが、日本証券業協会の沿革を書いてございます。1973年7月に設立されました。当時は複数の地域に分かれて、それぞれの地域に証券業協会がございましたが、それを統合して社団法人日本証券業協会として設立されたということでございます。その後、1992年には証券取引法が改正されまして、日本証券業協会が証券取引法上の法人に改組されたということで、社団法人の文字が消えまして、名称が日本証券業協会に変わったということでございます。また、2007年には証券取引法が金商法に変わりまして、その施行に伴いまして、内閣総理大臣の認可を受けました、日本で唯一の認可金融商品取引業協会となってございます。

ちなみに、金融商品取引法には認可の協会と認定の協会の2つがございまして、認定のほうの協会は複数ございますが、認可のほうは我々日本証券業協会だけとなってございます。

本協会の目的は、3ページの下に定款を抜粋してございます。本協会は、協会員の行う有価証券の売買その他の取引等を公正かつ円滑ならしめ、金融商品取引業の健全な発展を図り、もって投資者の保護に資することを目的とするということで、投資者保護が究極的な目的となってございます。

また、この中で金融商品取引業、これは証券業と読み替えていただいていいかと思うのですけれども、この健全な発展ということもございますので、私どもの協会は自主規制機能と業界団体機能の両方を有しているという性格を持ってございます。

4ページを御覧いただければと思います。こちらで本協会の業務を書いてございます。本協会の業務につきましては、金融商品取引法でこういったことを定款で定めると規定されてございまして、最初のポツにあります規則の作成、有価証券の売買、協会員に対する監査、協会員に対する処分、役職員の資質の向上、苦情解決・あっせんというものでございます。定款の制定・変更には内閣総理大臣の認可が必要となっており、金融庁の監督を受けている団体でございます。

5ページは、本協会への加入について書いてございます。協会員でございますが、この後すぐに説明しますが、証券会社や証券業務を行う銀行や保険会社が協会員になってございまして、金商法の中では、最初のポツにありますとおり、認可協会、すなわち日証協が第5項に定める場合を除くほか、何人も協会員として加入することができる旨、定款で定めるとなってございまして、拒否要件につきましてはその下の第68条第5項で、法令その他の規則に違反し等とございますが、基本的には加入拒否要件はかなり限定的になってございます。

また、本協会への加入でございますが、ここが少し変わった規制の仕方をしてございまして、読みますと、内閣総理大臣は、登録申請者が次の各号のいずれかに該当するときは、その登録を拒否と。この登録申請というのは証券業の登録でございまして、日本では証券業を行う場合には内閣総理大臣の登録が必要ですが、その中の登録の拒否要件といたしまして、下の「ニ」にありますとおり、協会に加入しない者であって、協会の定款その他の規則に準ずる内容の社内規則を作成していないもの又は当該社内規則を遵守するための体制を整備していないものということで、法令上、本協会への加入義務はないのですけれども、本協会に加入しない会社は、本協会と同様の規則を自社で社内規則として定めなければならないという法令の規定になっているところでございます。

その結果ですが、6ページを御覧いただければと思います。私ども協会員のステータスは3つございまして、マル1が会員ということで、証券会社でございます。証券会社につきましては、全社が本協会に加入しているというものでございます。

マル2がやや特殊でございますが、特定店頭デリバティブやクラウドファンディング、商品先物といった専門的な業務のみを行う者に対しては、特定業務会員というカテゴリーを設けてございます。こういった会社が17社ございます。

マル3の特別会員は、銀行や生損保で証券業務を行う者が201機関ございまして、銀行というよりも、例えば信用金庫や信用組合でも一部、証券業を行っている会社がございますが、そういった会社につきましては日証協に加入していない会社も多くあるというところでございます。

7ページを御覧いただければと思います。ここから自主規制ルールになります。ここでルールの階層が書いてございまして、証券取引・証券業務に係る法的な規制としましては金融商品取引法がございまして、その下に政府令があります。

一方、日本証券業協会の自主規制につきましては、定款の下に自主規制規則、統一慣習規則、紛争処理規則がございまして、それぞれの規則を合わせると60本以上の規則がございます。また、規則を補完する目的で規則のガイドラインやQ&A、コンプライアンスレターや社内規程モデル等々を出しているところでございます。

8ページで、主なルールを少し紹介してございます。

先ほど申し上げましたとおり、本協会の規則はかなり数が多くて、その内容も、例えば法令の規律を補充するものであったり、自主規制として独自の規律を行うものであったり、金融庁からの委託事務に関するものなどいろいろな性格がございます。また、1つの規則の中でも、今、申し上げました複数の性格が条文によってあるというものもございます。

代表的なルールとしまして、協会員の投資勧誘、顧客管理等に関する規則。主な内容といたしまして、お客様の属性をきちんと理解するということで、顧客カードの作成、また、リスクの高い商品については、勧誘開始基準や取引開始基準、注意喚起文書、確認書の徴求について規定がございます。また、高齢顧客に対する勧誘につきまして、社内ルール体制の整備を求めてございます。

その下の協会員の従業員に関する規則でございます。この規則の目的は、協会員の従業員に対する監督責任を明らかにして、投資者の保護に資することということで、従業員が行ってはいけない禁止行為や不適切行為、従業員の採用の際の注意事項や法令違反者への対応・処分について規定してございます。

9ページに移りまして、広告の規則は飛ばさせていただきます。その下の社債券の私募等の取扱い等に関する規則でございます。こちらは御覧いただくように、平成29年にできた比較的新しい規則でございます。実はこちらにつきましては平成27年から28年にかけまして、複数の証券会社が販売したここで言う私募債について、証券会社の審査不足やお客様への説明不足が発覚いたしまして、結果としてお客様に大きな損失を被ったという事象がございました。

そういった反省からこの規則を設けまして、今まで足りなかった部分、主な内容にあります社債券の審査、モニタリング、顧客への情報提供等について規則で定めたというものでございます。ちなみに、この規則を定めてから、同様の大きな問題はほとんど起こっていないというところでございます。

9ページの一番下に協会員の外務員の資格、登録等に関する規則を書いてございます。ここで言う外務員というのは、証券会社の営業マンと考えていただくと分かりやすいかと思います。下のアスタリスクにありますとおり、本協会は内閣総理大臣から外務員の登録事務について委任を受けてございまして、その委任事務の関係につきまして規則を定めているというものでございます。

10ページは個人情報の保護に関する指針ということで、こちらも下にありますとおり、本協会は、個人情報保護法に基づく認定個人情報保護団体になっている関係から、いろいろな規制を置いているというものでございます。

11ページでございますが、本協会の会議体でございます。事務局の最高意思決定機関は理事会でございますが、自主規制部門の活動につきましては、その下にあります自主規制会議に権限が委任されてございまして、こちらが意思決定機関になってございます。その下に、御覧いただくような各種の分科会やワーキング・グループがございます。

12ページを御覧いただければと思いますが、実際にルールを作るに当たっては、今のピラミッドを下から行くような感じでございまして、ワーキング・グループで規則案を検討し、その結果を関係する分科会、自主規制会議で御審議いただく。日証協の規則につきましては基本的にパブリックコメントをするということで、原則30日間のパブリックコメントを経た後、そこでいただいた意見を基にまたワーキング・グループ、関係する分科会、自主規制会議の順番で議論していくということでございまして、このパブリックコメントは行政手続法の意見募集手続とほぼ同様の手続になってございます。

13ページ、今度は研修でございます。ここからは自主規制のルールの効果の面になります。

本協会の研修につきましては、ここに書いてある3つに分類されますが、主なものはマル1自主規制規則に基づく研修ということで、義務研修とありますとおり、協会員の役職員の方に、定期的に幾つかの研修を受講することを義務付けているというものでございます。

続きまして、14ページの監査でございます。監査の概要でございますが、2つ目の矢尻にありますとおり、本協会の監査におきましては、その対象先の業務内容、顧客層、リスクの状況等に即応した監査手法、重点項目、監査項目を個別に決定するということで、効率的かつ効果的で深度ある監査を実施してございます。

また、その下にありますとおり、単に法令・諸規則の検証にとどまらず、その背後にある内部管理体制の状況について重点的に点検をするよう心掛けてございます。

15ページに監査の概要がございますが、ここで監査の流れがございます。1点特徴的なのは、右側の2つ目の○にありますとおり、通常の臨店等の監査でございますが、一般監査につきましては、20営業日前に事前に通知をすることです。通知をした上で、その○の2つ下になりますが、監査対象先に事前資料の提出をお願いして、その資料を基に監査を行っていくということでございます。

続きまして、16ページでございます。引き続き、監査につきまして、行政の検査との関係を記載してございます。

行政の検査機関といたしましては、この図の真ん中にあります証券取引等監視委員会という機関がございます。こちらにつきましては、右の2つ目のポツですが、本協会が実施した特定の協会員の監査情報に基づき、この証券取引等監視委員会が当該協会員に対して検査を実施するとか、監査業務に関する情報交換を実施して、行政の検査と連携しているというものでございます。

17ページに協会員に対する監査の実施状況がございまして、令和元年度で見ますと、会員に対して65社、特別会員に対して35機関の監査を行ってございます。今年度はコロナの影響もあって件数も減少してございますし、これまでは基本的には臨店で検査をしておりましたけれども、書面などの監査も増えてきているところでございます。

続きまして、18ページでございます。協会員に対する処分でございます。本協会の処分には、1ポツにある4つの種類がございます。いずれも処分をした場合には、本協会ホームページで会社名、処分内容を公表してございます。

その処分のプロセスが19ページにございまして、本協会の規則で、会社の法令違反や規則違反が見つかった場合には協会に届け出ることになってございまして、その後、処分を行う場合には、左のほうにありますとおり、弁明の手続を経た後、規律委員会、この委員会は半数が外部の委員になってございますが、そこで審議し、最終的に自主規制会議の審議を経て、処分を行うということでございます。

処分の実績は20ページにございますが、説明は省略させていただきます。

21ページは協会員の役職員に対する処分でございます。こちらは法令や自主規制規則違反をした協会員の役職員に対する処分でございまして、先ほど申し上げましたが、外務員の関係の委任を受けてございまして、その中には外務員の処分も含まれてございます。従いまして、左側の行政処分と右側にあります本協会独自の処分である自主規制処分の両方がございます。

ちなみに、自主規制処分のマル1の一級不都合行為者やマル2の二級不都合行為者というのは、こういった不都合行為者に当たった人は、協会員が採用してはいけないというルールを定めているものでございます。

22ページの手続も先ほどの会社処分の場合と少し似てございますが、会社からの連絡を受けまして、審査とあります外務員等規律委員会も半数が外部の委員になっておりますが、ここで処分内容を決定することになっております。

23ページの実績につきましては、説明を省略させていただきます。

24ページ、トラブル解決に向けた取組についてでございます。本協会は顧客からの相談、苦情、あっせんを行ってございますが、実際の業務はここにありますFINMAC、正式名称をNPO法人証券・金融商品あっせん相談センターに委託してございます。このFINMACでございますが、その下にありますとおり、本協会など法律に基づく7つの自主規制団体の連携・協力の下に運営されている機関でございます。

25ページに図示してございますが、お客様から相談や苦情の取次ぎがあって、特に苦情につきましてはその先の証券会社や銀行に取り次ぎますが、それでもお客様が納得されない場合には、あっせん手続に移るということでございます。

あっせんにつきましては26ページでございます。金融ADRということで、FINMACにつきましては金融庁から紛争解決機関等の指定や裁判外での手続の利用の促進に関する法律についての認証を受けてございます。件数はここに書いてあるとおりでございます。

最後、消費者向けの取組については、27ページを見ていただければと思います。

1点、3つ目の「国民の資産形成支援のための消費者志向宣言」は消費者庁の施策でございますが、平成30年5月に本協会では事業者団体としては初めて消費者志向宣言を策定し、公表したところでございます。

少し時間を超過しましたが、私からは以上でございます。ありがとうございました。

○丸山座長 ありがとうございました。

それでは、これから20分程度、質疑応答の時間とさせていただきます。

ただいまの御説明を踏まえ、御質問、御意見等のある方は、御発言をお願いします。御発言される際には、まずチャット欄に発言したい旨、御投稿ください。よろしくお願いします。

それでは、柄澤オブザーバー、質問をよろしくお願いします。

○柄澤オブザーバー ありがとうございます。

私からは3点よろしいでしょうか。

1点目が、自主規制の遵守につきまして、御説明の中で幾つか行政指導や行政の関与のお話がございましたけれども、これとは別の概念で、独占禁止法との関係をどう整理されているか、また、どのような点に留意されているのかをまずお伺いしたい。

2点目が、日常生活でデジタル化が進んでいく中で、消費者保護や消費者リテラシー向上の観点で業界として認識した新たな課題、対策等があるのならば、そこを教えていただきたい。

3点目が、先ほど15ページで監査の概要について、リモートワークの中では書面監査で対応されているというお話を伺いましたけれども、書面監査等々を代替していく中で、課題感みたいなものがあれば、何かお教えいただきたい。

○丸山座長 それでは、御回答をお願いできますでしょうか。

○日本証券業協会松本自主規制本部長 ありがとうございます。

まず1点目、独占禁止法との関係でございます。実は本協会は平成11年までは独禁法上の適用除外団体でございましたが、11年から適用を受けるということになってございます。その際に、それまで定めていました手数料や料金に関する規制を全て排除してございます。以後も料金に係るような規制や過度に協会員の営業を規制するようなものについては、規制を置かないということで、配慮してございます。

2点目のデジタル化につきましては、実は証券会社のお客様は、今は半分以上がネット取引をしておりまして、かなりデジタル化が進んでいる業界かと思ってございます。ただ、そうはいっても高齢のお客様も多いですので、全面的にデジタル化に行きたいという要望は協会員にもあるのですけれども、例えば全てメールやウェブベースでの情報公開に移りたいという意向が協会員側にあったとしても、書面が欲しいというお客様がまだかなりの数おりますので、そことのバランスで、我々の規則もそうですが、基本的にはお客様から書面で欲しいと依頼があった場合には、電子交付ということではなくて、書面で交付する対応となっております。デジタル化を進めながらも、そのような状況です。もしかしたら今、過渡期なのかもしれません。

○日本証券業協会毛塚監査本部監査管理部長 証券業協会の毛塚と申します。

3点目の監査のところについて、御回答申し上げます。

書類の監査のご質問について回答いたします。私ども日本証券業協会の監査は、監査対象先の本店や支店を訪問するいわゆる実地監査を原則としております。一方で、監査対象先の業務内容や規模を踏まえまして、実地監査の必要がないと思われる協会員については、提出書類に基づいて行う書類監査を行っております。

その一方で、現在のコロナ禍の状況でございまして、監査対象先の勤務形態、出勤を絞っているなどといったところを踏まえまして、臨時的な対応ということにはなるのですけれども、臨店によらない監査を行うということで、特に今年度は実施してございます。

その場合、臨店で行いますと、いわゆる外務員など監査先の方に対するヒアリングを対面で行うことができますので、意見交換が非常にスムーズにできたり、先方の主張のニュアンスをよく把握しやすいといったところになります。

一方で、臨店によらない監査ということになりますと、そういったものがなかなかできないということになりますので、ウェブ会議や電話会議のようなことでもやるのですけれども、実際にその場で目と目を合わせてのヒアリングというよりは、把握力がやや劣るかもしれないところがございます。

また、臨店の場合ですと、監査会場を用意していただきますので、書類をその場に用意いただくのですけれども、どうしても臨店によらない監査ということになりますと、会場に置いていただくもの全部を用意いただくというのは監査先の負担になりますので、ある程度絞った形で書類を送っていただくことになります。その点におきましても、送っていただく監査先においても、あるいは送っていただく資料を絞った中で監査をするという我々においてもなかなか苦労があるといったところでございます。

○丸山座長 ありがとうございます。

それでは、続けて、新川座長代理から御質問をお願いできますでしょうか。

○新川座長代理 新川です。本日は御説明ありがとうございました。

自主規制に関わって、まず2つほどお伺いしたいのですが、特に自主規制会議というのが自主規制基準その他の重要な役割を果たしていると思ったのですけれども、この会議に上がるまでのワーキングや分科会、その中での議論は、主に協会の内部の人材で議論が詰められるということになるのでしょうか。あるいは、会員や外部の第三者的な御意見も入る余地があるということなのでしょうか。このプロセス、あるいはそこでの知恵の集め方について、少しお伺いしたいというのが1点目であります。

今も御説明がありましたが、2つ目に監査ということについては、オンサイト、オフサイト、モニターをしておられるわけでありますけれども、実際に監査の御専門ということでいえば、やはりこれも協会内部でそうした専門スタッフを持っておられると理解してよろしいのでしょうか。

同時に、そうした監査専門家ということになりますと、一定程度、専門的な知見が必要になってくるのではないかと思っておりまして、この辺りの確保をどうしておられるのかというのが2点目の質問でございます。

最後にいたしますが、3つ目に、FINMACのADRのお話をいただきまして、特に金融関係7団体との連携で、このNPO法人が裁判外の係争処理をしておられるということで、そこは理解したのですが、特に協会とNPO法人との関係は、例えばどういう連携や人的な交流、あるいは当該の案件以外での日常的な情報交換であるとか、この辺りの関わり方がどうなっているのか、少しお教えいただければと思った次第です。

以上3点です。よろしくお願いいたします。

○丸山座長 それでは、御回答をお願いできますでしょうか。

○日本証券業協会松本自主規制本部長 御質問ありがとうございます。

私、松本から、1点目と3点目について回答させていただきます。

まず、自主規制規則の制定のプロセスでございますが、11ページに書いてございますけれども、基本的に自主規制会議におきましては、事務局を除く約半数の方が公益の理事で、協会員以外のメンバーになってございます。その下の分科会レベルですと、約3名程度の方が外部の方になってございまして、10名ぐらいが協会員のメンバーでございます。その下のワーキング・グループになりますともう少し減りまして、中には外部の方がいらっしゃらないワーキング・グループもございますが、1から2人、外部の方に入っていただくというところでございます。

協会員以外の方の意見を取り入れるということは大変重要と思ってございまして、そういった意味もありまして、先ほど説明させていただきましたパブリックコメントを実施して、一般からの御意見も頂戴しているというところでございます。

続きまして、FINMACにつきまして御質問いただきました。FINMACは7つの自主規制団体の連携でございまして、本協会が最も組織として大きい委託元ですので、FINMACの運営費も当然本協会が多くの部分を負担してございますし、人的にも本協会の職員が出向しているところでございます。

また、7つの団体とFINMACで定期的に情報交換するような集まりもしてございます。FINMACが受けた苦情相談の内容につきましては、日々、本協会のほうに、その内容について連絡を受けているというところでございまして、我々は委託元の立場でございますが、連携を密にしているところでございます。

○日本証券業協会毛塚監査本部監査管理部長 毛塚でございます。

いただいた2点目の御質問について、御回答させていただきたいと思います。

まず、監査をしている職員なのですけれども、専門家でしょうかという御質問に関しましては、本協会のプロパーの職員あるいは外部の証券会社、行政当局で勤務のあるような方を中途採用するような形で、いろいろなメンバーで構成されているといったところでございます。人数としては、監査本部としては50名程度おりまして、そのうち四十数名が専門の監査部隊となってございます。

要員の確保なのですけれども、通常の本協会の採用の中から監査のほうに配属されるといったパターン、それから、外部の方を中途採用するようなパターンで、専門家の確保をさせていただいているところでございます。

○新川座長代理 ありがとうございました。

○丸山座長 それでは、清水オブザーバーのほうから御質問をお願いできますでしょうか。

○清水オブザーバー 大阪大学の清水と申します。

本日は、とても興味深いお話をありがとうございます。2点お伺いさせていただきたいことがございます。

まずは、たくさんの自主規制があるということですけれども、これらの実効性を図っていくという点について、これまで示されておりますとおり、監査があり、そして除名その他の処分があるということで、恐らくこれらが重要であろうということは想像できるのですけれども、反面、今日はお時間等の関係で御説明いただけなかったのですが、資料を拝見すると、プリンシプルベースの視点での自主規制の見直しということも視野に入っておられるようです。そうしますと、プリンシプルベースによる自主規制に至る以前でも、監査や制裁以前の部分で、例えば協会員に対する教育や啓蒙、あるいは対話的な部分が実際は非常に機能しているということも考えられるのかとも思います。そのような意味で、抽象的な言い方になってしまいますけれども、監査や制裁を背景にした懲罰的というか制裁的な要素が協会員に対する実効性を高めているのか、それとも、自主規制文書を作ることによって、それを協会員の意識の中に浸透させていくといった活動が実効性を高めているのかというところについて教えていただければと存じます。

それとの関連では、資料の28、29ページにあるように、今後、プリンシプルベースの視点での自主規制の見直しとなりますと、当然、実効性を図る方法が変化してくるはずではないかと考えております。そういった場合について、どういう形で実効性を高めていこうとお考えなのかということを伺いたいと存じます。これがまず1点目でございます。

2点目は、先ほどお話に出てまいりましたFINMACというADR機関についてですけれども、ちょっと抽象的かもしれないのですが、こちらと裁判をベースにした紛争解決の存在感といいますか、現場の実感としてどういうものかということを教えていただきたいと思います。個社と顧客の相談の中で解決できている部分もたくさんあるとは思いますけれども、第三者が入るとした場合に、FINMACの存在意義が大きいのか、それと比べたときの裁判の意義がどれぐらいのインパクトがあるのかということについて、感覚的なことで結構ですので教えていただけると有り難いと思います。

よろしくお願いします。

○丸山座長 それでは、御回答をお願いできますでしょうか。

○日本証券業協会松本自主規制本部長 ありがとうございます。

まず、最初の実効性のところにつきましては、今日はこういう場でございますので監査や処分というところを中心的に説明させていただきましたが、実際どのように実効性を図っているかというと、日々、協会員の方から電話で問合せを受けたりとか、こういった状況下ですので、最近は少なくなりましたけれども、訪問されて御相談いただくということを通じて、我々のルールの趣旨や中身を御理解いただくというところが実効性の担保の中心になっていると感じてございます。

また、時間の都合で省略いたしました28、29ページのプリンシプルベースの視点での自主規制の見直しについて触れていただきました。28ページにありますとおり、本協会ではかなり多くの規則があって、規則を作るときはできるだけ詳しくということで、微に入り細に入りというような規則になっているのですけれども、その規則を作ったときに問題とされていたような事項が解消されたり、規則の趣旨が定着しているといった中で、微に入り細に入りの規則がかえって協会員の方の活動をやりづらくしているという問題意識がございまして、プリンシプルベースの自主規制の見直しについて検討を行いました。

昨年、懇談会を設置して、検討に着手いたしまして、座長は東京大学の神作教授にしていただいたのですが、その結果、29ページにありますとおり、投資信託の乗換え規制や広告規制、また高齢顧客についての勧誘について、今はかなりルールベースに偏っているところを、ルールベースとプリンシプルベースのベストミックスをしていくべきという報告書の取りまとめになってございます。

こちらも御指摘いただいたところでございますが、今まではどちらかというと悪い例を探すというか、悪い例が目立って、こういう違反がありましたということを通じて、協会員の方に対して規則の実効性を求めていたのですけれども、今後プリンシプルになると、逆にベストプラクティスというか好事例を集めて、そういったことの共有をすることで、我々協会員の中でコンプライアンスの整備などを図っていきたいと考えてございます。

あと、FINMACの意義でございますが、これはやや特殊な面がございまして、もちろん金融ADR機関ですので、裁判に比べて迅速な対応ができるということと、弁護士の方にお願いしてございますが、そういった意味で中立性があるということと、証券分野に詳しい方ということですので専門性があるということで、一般的なADRのメリットは享受できるのかなというところでございます。

迅速性がかなり重要でございまして、金融商品取引法においてはお客様が損をした場合であっても、基本的には損失を補填することができないというルールがございます。その中で、損失を補填することができる例外の一つが、あっせんの結果の和解金を支払うというものでございます。もちろん裁判の判決の結果の損害賠償金等も損失補填の例外になっているのですけれども、そういった意味からして、お客様の損害を早期に回復するというところは、特に証券業では強く求められてございまして、FINMACを利用いただいているというところかなと思ってございます。

○清水オブザーバー どうもありがとうございました。

○丸山座長 それでは、大石オブザーバーから御質問をお願いできますでしょうか。

○大石オブザーバー ありがとうございました。

私のほうからは1点だけ質問させていただきます。御説明いただきました資料の9ページです。主な自主規制ルールの中で、平成29年2月14日の新しい規則の制定についてお話いただきましたが、例えば自主規制ルールを定めていても、それを超えて何か問題が起きてしまったときには、どのような対応をされるのでしょうか。省庁や行政からの規制強化とするのか、それとも自主規制ルールを強めるのかという点については、行政とどのような話合いの下に実際に行われているのかということを、教えていただきたいと思います。

○丸山座長 それでは、御回答をお願いできますでしょうか。

○日本証券業協会松本自主規制本部長 ありがとうございます。

行政による規制と日証協の自主規制で明確なラインはないのですけれども、何かこういった問題が起こったときに、当然、金融庁と相談をいたしまして、その結果、場合によっては金融庁のほうの規制で対応する場合もありますし、日証協のほうで対応する場合もあるというところでございます。

傾向でいいますと、今、申し上げました社債の私募の取扱い等ということで、範囲がかなり狭いというか、一般的な株式とか投資信託と比べて少しニッチな取引でございますので、その分、専門性もかなり必要とされたり、既に問題が起こっていますので迅速性も必要とされるものにつきましては、本協会の規則で定めるという傾向がございます。

また、物によりましては、大きなところというか基本的な考え方につきましては金融庁のほうの府令で定めて、それを守るための具体的な方法といったものは自主規制で定めるという役割分担もございます。

よろしゅうございますでしょうか。

○丸山座長 ありがとうございます。

私のほうからも補足的に確認をさせていただきたいのですけれども、よろしいでしょうか。

この具体例として挙げていただきました社債の私募等の取扱い等に関する規則について、今、言及していただいたのですけれども、これはFINMACなどが機能し、問題状況の発見に至って、協会自らがまずは自主的に動き始めたということなのか、あるいは金融庁などから何か御指摘とかがあって具体的な規則の制定のほうに動いていったのか、どちらの経緯なのかという点、お話しできる範囲で構わないのですが、教えていただければと思いました。

○日本証券業協会松本自主規制本部長 ありがとうございます。

こちらにつきましては、FINMAC等にも苦情相談が寄せられていたと思いますが、どちらかというと金融庁や監視委員会の検査等々で違反行為が見つかったということを契機として策定されたものでございます。

○丸山座長 ありがとうございます。

他に質問はございませんでしょうか。

それでは、日本証券業協会様へのヒアリングはこの辺りにさせていただきたいと思います。本日は、お忙しい中、御出席いただきまして、ありがとうございます。

すみません。清水オブザーバーから発言ということですので、申し訳ございません。あと少しお願いできますでしょうか。

では、清水オブザーバー、よろしくお願いします。

○清水オブザーバー 申し訳ございません。タイミングを逸してしまいました。

最後に、行政庁の監督と協会の監査の関係についてもう一つ理解が深まると大変有り難いと思ったのですけれども、冒頭で自主規制について御説明をいただいたときに、法を補完するルールであったり、あるいは独自のルールを置いたりしているということでしたが、監査を受ける金融機関側にしてみますと、行政庁の監督も受けつつ、定期的にこちらの監査も受けるという形で、そこに重複感といったものはないのかという点と、独自のルールについて、法より上乗せのようになっているような部分に関しても、場合によっては先ほどの制裁的な処分につながり得るという理解で間違いが無いのかということを御確認させていただきたいと思います。

○日本証券業協会松本自主規制本部長 ありがとうございます。

最後の点でございますが、自主規制ルールに違反した場合であっても、制裁を我々は処分と呼んでおりますが、処分の対象にはなります。

監査につきましては、引き続き説明させていただきます。

○日本証券業協会毛塚監査本部監査管理部長 監査の部分について、御説明させていただきたいと思います。

いわゆる行政当局の検査と私どものような自主規制機関の監査につきましては、行政当局の検査機関、証券取引等監視委員会と情報交換をさせていただいております。そこは実際に監査を行うタイミングであったり、我々の監査で発見された事項について緊密に連携を取らせていただいて、重複感の無いようにさせていただいております。

○日本証券業協会松本自主規制本部長 1点補足させていただきますと、例えば我々、日本証券業協会の監査で指摘があった事項について、その後、証券取引等監視委員会が検査に入るときに、そこがきちんと直っているかを見るということも連携の一つとしてやってございまして、そういった意味から、常日頃連携をしているというところでございます。

○清水オブザーバー どうもありがとうございました。

○丸山座長 ほかは大丈夫でしょうか。

それでは、日本証券業協会様へのヒアリングはこの辺りにさせていただきたいと思います。

本日は、お忙しい中、御出席いただきまして、誠にありがとうございました。

それでは、御退室いただきますので、委員・オブザーバーの皆さんは準備が整うまで少しお待ちください。

(日本証券業協会退室)

○丸山座長 それでは、残りの時間で委員・オブザーバーの皆様だけでの意見交換を行っていきたいと思います。

これまでの2つの団体の説明等を踏まえまして、今後の検討に当たって参考となると思われた点や、逆に課題だなと思った点、あるいは今後のヒアリングや調査・検討に当たっての御意見でも構いませんので、御意見、発言がある方は、まずチャット欄に御投稿いただければと思います。いかがでしょうか。

まず、私自身なのですけれども、2つの少し異なる特徴のある自主的な取組をしている団体をヒアリングできたと考えております。

前者の日本訪問販売協会に関しましては、組織率の点の悩みとか、消費者や市場での認知をどのように高めていったらいいのか、その役割についてのお悩みとか、どうしたらいいのかという、日頃から限界に思っているような御発言も聞けたのではないかと思っております。

他方で、日証協に関しましては、組織率がほぼ100パーセントの団体ということで、金融庁との連携も密接に行われているということになるかと思ったのですけれども、逆に御指摘いただいたような、連携をしていく上での重複の回避や固有の役割を整理すると、もう少し参考となる点も出てくるかもしれないという印象を私自身は持ちました。

皆様のほうからも御意見等をいただければと思いますが、いかがでしょうか。

それでは、柄澤オブザーバーからよろしくお願いいたします。

○柄澤オブザーバー ありがとうございます。

今日は非常に特徴のある2つの協会のヒアリングをして、非常にいい選択だったのだなという印象を持っています。

私としては、日証協は私ども損保協会が加盟したときも私が窓口になりましたので、よく承知している協会なのですけれども、日本訪問販売協会は非常に規模も小さいし、スタッフも僅かな中で、業界の信用のために一生懸命取り組んでいる姿を見て、何か応援できること。例えば、我々のほうで消費者団体とかでそういう取組をしている団体をできるだけうまくアピールしてあげて、ここの認定のない会員は危ないですよというところに持っていって、加入のインセンティブを違う側で高めていくような仕組みとか、何か工夫できないのかなと。非常に気の毒だなという印象を受けて、そこにまたああいうセーフティーネットのような、いわゆる被害者救済を会員を集めてやっている仕組み、これをもうちょっと拡大できる方策がないのかなとか、いろいろな意味で訪問販売協会の皆さんに非常にシンパシーを感じまして、何とか頑張っていただきたいなという印象を持ちました。

○丸山座長 ありがとうございます。

それでは、清水オブザーバーからお願いします。

○清水オブザーバー 清水です。

大変興味深い御紹介を両方の協会からいただきまして、以前から疑問に思っていることについて、いろいろと知見を得ることができたのは大変有益だったと思います。

私が興味深いと思ったのは、両協会はかなり対照的なのですけれども、実際の規範の内容自体は、実は結構似ているのです。訪問販売協会のほうの自主行動基準というのは、勧誘や契約における細かいルールが書かれていますけれども、日証協のほうの自主規制も、もちろん対象が違うので内容は違いますけれども、ルールの性質自体はかなり似ているのではないかという印象がありまして、ルールがこのように似たようなものであっても、社会の中での動き方は随分違うのだなというところについて、非常に印象的に思いました。

○丸山座長 ありがとうございます。

続けて、新川座長代理からお願いできますでしょうか。

○新川座長代理 新川です。

私も、今日は大変たくさん勉強させていただきました。

今日お伺いしていて、もし今後に向けて更にヒアリングの中でお伺いできるとすると、幾つか、是非お願いしたいなと思った点がありました。

1つ、今日も御説明の一部あるいは御回答の中でよく出てきたのですが、具体的な自主規制の適用事例が入っているととても分かりやすいなということがあって、この辺り、説明の中でも少し入れていただくと有り難いなと思いました。もちろん今日も少しは入れていただいていましたけれども、今後のお願いが1点目です。

2つ目に、自主規制基準作りのところ、基準作りのプロセスやそこでのルールの水準、具体的な作り込み方の辺りはポイントかなと思いましたので、もう少し詳しくお話が聞けてもいいのかなと思っておりましたのが2点目であります。

3点目は、先ほど清水オブザーバーからも少しありましたけれども、単に自主規制の組織が単独で自主規制をしているというよりは、行政や他の団体やADRなども含めてですが、複数の関係者の中でこの自主規制が機能しているのかなという印象も持ったものですから、いろいろな団体との関わりを少し整理してお示しいただけると、この自主規制の議論も、位置付けがもうちょっと立体的に明確になってくるのかなと思った次第です。

以上3点、今後の検討に際して、少し御留意いただけると有り難いなと思いました。

○丸山座長 ありがとうございます。

それでは、大石オブザーバー、お願いできますでしょうか。

○大石オブザーバー ありがとうございます。

今、新川座長代理が全部おっしゃってくださったので重なるのですけれども、今日、2つのかなり状況の違う団体からお話を聞けたのはとてもよかったと思いますし、特にルールを作るときの基準作りのプロセスが大変重要であると思いました。また、出来上がった後に、それが自主規制としてきちんと働くというか活用されるためには、策定後の基準の周りの環境整備をしておくこと、定期的な見直し、行政の関わりなど、それらがセットであることが必須であり、自主規制だけで大丈夫ということには、なかなかならないのかなと思って聞いておりました。

ありがとうございました。

○丸山座長 ありがとうございます。

他に御発言がある方はいらっしゃいますでしょうか。

私自身も、何かルールなどに変化があったというようなエピソードがあると、なぜそこで変化が起こって、どのような機関が関わって、ルール形成に至ったのかというところが分かりやすく見えるようになりますので、そういった具体的なトピックがあると分かりやすいなと思いました。

また、複数の委員・オブザーバーから指摘していただいたように、行政庁がどのように関わっているのか。あるいは行政処分との関係がどうなるのかという観点や、消費者センターとの交流の在り方とか、そういった観点がどうなっているのかというのが見えていくと、立体的に分かりやすくなるのかなと印象を抱いております。

他に御意見等がある方はいらっしゃいますでしょうか。

それでは、他に御発言がないようでしたら、本日いただいた御意見も踏まえました上で、次回以降も引き続き検討を進められればと思っております。

本議題については以上ということにしたいと思います。

本日は御議論いただきまして、ありがとうございました。

最後に事務局から、事務連絡をお願いしたいと思います。


≪3.閉会≫

○太田参事官 本日は、長時間にわたりまして、熱心に御議論いただきまして、ありがとうございます。

いただいた御指摘なども踏まえまして、次回のヒアリングに向けて、また準備を進めていきたいと考えております。

次回の会合につきましては、確定次第、御連絡させていただきます。

以上でございます。

○丸山座長 それでは、本日はこれにて閉会とさせていただきます。

お忙しいところをお集まりいただきまして、ありがとうございました。

会議画面の赤色のアイコンを押していただき、御退席ください。

(以上)