第22回 消費者法分野におけるルール形成の在り方等検討ワーキング・グループ 議事録

日時

2020年11月27日(金)15:00~16:50

場所

消費者委員会会議室・テレビ会議

出席者

【委員】
丸山座長、新川座長代理、山本委員長、片山委員長代理
【オブザーバー】
柄澤委員、大阪大学大学院法学研究科教授 清水真希子氏、京都大学法学系(大学院法学研究科)教授 原田大樹氏
【事務局】
加納事務局長、渡部審議官、太田参事官、事務局担当者

議事次第

  1. 開会
  2. 開催の趣旨及び今後の進め方について
  3. 自主規制の活用について
  4. 閉会

配布資料 (資料は全てPDF形式となります。)

≪1.開会≫

○太田参事官 本日は、皆様、お忙しい中、お集まりいただきありがとうございます。

ただいまから、消費者委員会第22回「消費者法分野におけるルール形成の在り方等検討ワーキング・グループ」を開催いたします。

本ワーキング・グループにつきましては、第6次消費者委員会としては、本日が初めての会合となります。

本日は、所用により、大石オブザーバーが御欠席との御連絡をいただいております。

議事に入ります前に、配付資料の確認をさせていただきます。

お手元の議事次第に配付資料を記載してございます。不足等ございましたら、事務局までお申し出いただければと思います。

なお、本日の会議は、ウェブ会議による開催となります。

公開で行いますが、感染拡大防止の観点から一般傍聴者は入れず、報道関係者のみ傍聴をいただいての開催となります。

議事録につきましては、後日、公開することといたします。

次に、ウェブ会議による開催に当たりまして、お願い申し上げます。

1つ目に、ハウリング防止のため、御発言いただく際以外は、マイクをミュートの状態にしていただきますようお願いいたします。

2つ目に、御発言の際は、あらかじめチャットでお知らせください。座長に御確認いただき、発言者を指名していただきます。

指名された方は、マイクのミュートを解除して、冒頭でお名前をおっしゃっていただき、御発言をお願いいたします。御発言の際、配付資料を参照する場合は、該当のページ番号も併せてお知らせください。

なお、御発言の際は、可能であれば映像のミュート解除していただきましたら、どなたがお話になっているか分かりやすくなりますので、御協力をお願いいたします。

3つ目に、音声が聞き取りづらい場合は、チャットで聞こえない、聞こえにくいなどを記入していただきまして、お知らせいただけますようお願いいたします。

本ワーキング・グループの座長及び座長代理につきましては、山本委員長から、座長を丸山委員、座長代理を新川委員に、それぞれお務めいただくよう指名されております。

それでは、丸山座長、以後の議事進行をよろしくお願いいたします。


≪2.開催の趣旨及び今後の進め方について≫

○丸山座長 「消費者法分野におけるルール形成の在り方等検討ワーキング・グループ」座長を務めることになりました、慶應義塾大学法学部教授の丸山絵美子です。どうぞ、よろしくお願いいたします。

本日の進行についてですが、途中で私の回線が切れた場合には、復旧するまでの間、新川座長代理に、新川座長代理の回線も併せて切れた場合には、事務局に進行をお願いしたいと思います。

それでは、最初に、本ワーキング・グループの運営などにつきまして、事務局より御説明いただければと思います。よろしくお願いします。

○太田参事官 事務局でございます。お手元の参考資料の1を御覧ください。

「消費者委員会ワーキング・グループ設置・運営規程」となっております。

また、参考資料2といたしまして、平成26年7月8日の消費者委員会本会議で決定されました「下部組織の会議運用の在り方に関する申し合わせ」をお付けしております。

御説明のほうは、省略いたしますけれども、本ワーキング・グループにつきましては、これらの規程及び申し合わせに沿って運営していただければと存じます。

次に、本ワーキング・グループの目的と構成について述べさせていただきます。

本年11月5日の消費者委員会第330回本会議におきまして、参考資料1の「消費者委員会ワーキング・グループ設置・運営規程」が改正されることにより、本ワーキング・グループが再開されたということでございます。

参考資料1の別紙、最後のページでございますけれども、そちらに表が載っておりますけれども、本ワーキング・グループの目的は、公正な市場を実現するための消費者法(取引分野)におけるルール形成の在り方及びルールの実効性確保に資する方策並びに行政、事業者及び消費者の役割について検討することとなっております。

また、構成員につきましては、丸山座長と新川座長代理のほか、片山委員長代理、山本委員長の4名の消費者委員会の委員にお務めいただいております。

なお、現時点で消費者委員会からは、構成員の他に、大石委員、それから柄澤委員がオブザーバーとして御参加されます。

御説明のほうは、以上でございます。

○丸山座長 それでは、本日は最初の会合ですので、まずは、開催の趣旨と、今後の進め方につきまして、事務局から説明をしていただければと思います。よろしくお願いいたします。

○太田参事官 資料1を御覧ください。

消費者法分野におけるルール形成の在り方等検討ワーキング・グループの趣旨及び今後の進め方の案ということになっております。

まず、1番の趣旨のほうでございますけれども、先ほど御説明させていただいた、設置・運営規程のほうにもございましたとおり、趣旨といたしましては、公正な市場を実現するための消費者法(取引分野)におけるルール形成の在り方、ルールの実効性確保に資する方策並びに行政、事業者及び消費者の役割について検討するということでございます。

検討事項のイメージでございますが、参考資料3というものを別途お付けしておりますが、そちらのほうを御覧いただければと思います。

こちらは、この前の第5次の委員会のワーキング・グループにおいて取りまとめていただいた報告書の概要ということになります。

ここにございますように、第5次の本ワーキング・グループにおきましては、公正な市場を実現するためのルールと担い手のベストミックスを目指すといった観点から、自主規制、民事ルール、行政規制といったものをどのように組み合わせていくのが最善なのかといったことから御検討をいただいたということでございます。

その検討の結果といたしまして、右側のほうにございますけれども、ルールの実効性確保ということで、事業者、事業者団体の自主的取組でありますとか、消費者、消費者団体等の主体的な行動、適格消費者団体、特定適格消費者団体による不当な取引行為の是正・排除、行政による悪質商法等に対する法執行といった観点で、それぞれ具体的な方策を御提示いただいたということでございます。

この第5次の報告書というのは、基本的には、総論的な考え方といったものを御提示いただいたということでございまして、第6次の委員会におきましては、第5次の問題提起を踏まえまして、それを実現するといった観点から、特定の事項について、より深掘りを行っていただきまして、実態把握に基づいた、より実践的、具体的な検討していただいてはどうかということでございます。

それで、第5次の報告書におきましては、ルールの実効性確保を図るために、幾つかの仕組みを御提示いただいているわけですけれども、第6次のワーキング・グループにおきましては、まずは、事業者の自主的取組を促すための仕組みといたしまして、自主規制の活用から検討を始めていただいてはどうかと考えてございます。

その他の検討事項につきましては、自主規制についての検討状況を見ながら、今後検討ということにしていただいたらどうかと考えております。

スケジュールのほうでございますけれども、本日キックオフということでございますが、今後、月1、2回程度の頻度で会合を開催していただきまして、この間、その事業者団体等からのヒアリングなども交えながら検討をしていただきまして、第6次の委員会の任期満了のときであります、令和3年8月までの間に、一定の結論を得ていただいてはどうかと考えております。

事務局からの説明は、以上でございます。

○丸山座長 ありがとうございます。

それでは、次に、第5次消費者委員会でも、本ワーキング・グループに御参画されておりました、山本委員長から第6次への審議開始に当たりまして、第5次での議論を踏まえました、今後の方向性につきまして、御示唆をいただければと思います。

山本委員長、よろしくお願いいたします。

○山本委員長 山本です。

先ほどから説明いただいておりますけれども、消費者法分野におけるルール形成の在り方等検討ワーキング・グループは、第5次、つまり、今が第6次の消費者委員会ですけれども、1つ前の消費者委員会の時代に発足したものです。本日の資料に第22回と書いてあって、初めて開催するのに、なぜ第22回かと思われたかもしれませんけれども、第5次のときに、既に開いてきたからです。

第5次のときに、どのようなきっかけで、これが開かれたかという点につきまして、私の認識が必ずしも客観的でないかもしれず、あくまでも私の印象ですけれども、1つは第4次、すなわち第5次の更に1つ前のときから、消費者委員会の委員を第5次まで引き続き務めておられた方が、特に消費者契約法の改正に関する議論の経緯において、非常に予測可能性が強調され、その結果、規定が非常に細かくなったことにより、民事法規が個々の事案、状況に応じて柔軟に適用される、あるいは社会の変動に応じて柔軟に変化させながら適用されるといった、民事法ルールの特性が失われるのではないかといった問題意識を持っていたことがあったと思います。

それから、もう一つには、第5次の委員会の委員長でありました高委員長の問題意識がありました。高委員長は、企業コンプライアンスの御専門ですので、コンプライアンスに積極的に取り組んでいる企業を優遇するといいますか、コンプライアンスを促進していくという視点を強調されました。

他方で、悪質事業者に対しては、徹底的な措置を取るべきであり、そういったメリハリを持った制度作り、あるいは制度の適用を考えていかなくてはいけないとして、特にサンクションとかペナルティーの課し方に関して、もう少し現在よりも柔軟に、メリハリをつけたやり方ができないかという問題意識があったと認識しております。

このようなことから議論が始まりましたが、さらに、言わば両者の問題意識をまたぐ形で、もろもろの民間の団体、自主規制団体も含めてですけれども、ルールの形成・適用における民間の団体の役割も考えなければならないという議論になり、非常に議論のテーマが多岐になり、どんどん広がっていきました。

当時、事務局担当者が大変苦労されたと思います。とにかく委員が好きなことをどんどん、これもある、あれもあると言って、それを事務局担当者に非常にうまく全部を1つのまとまりになるような形でまとめていただいたという経緯があります。

その結果といたしまして、消費者法の全体の在り方を示すような、非常に面白い報告書が出来上がりました。大きく申しますと、先ほどの参考資料の3ですけれども、1つは民事ルールと行政規制の関係。

もう一つは、民間の主体と公的な規制との関係、そして、3つ目といたしまして、サンクション、ペナルティーの在り方の多様性というテーマがあります。私の感覚で申しますと、こうした3つのテーマが入っていたと思います。

ただ、研究者から見て面白い報告書が出来上がったのですが、他方でやはり、これをもう一段階具体的な制度設計のレベルに落とし込んでいくことが、次の課題であると、当時から認識されていました。今回は、それに取り組むということです。

これも私の全く勝手な意見になってしまいますが、自主規制の分野は、それほど制度がまだ作り込まれていないという事情があります。制度の整備という点で言うと、かなり遅れていると申しますか、まだまだこれからといったところが多く、そのような分野が、ちょうど第5次でやっていたような、一般的な考察、一般的な議論を、具体的な制度の在り方、具体的な消費者政策の在り方というレベルの話等につなげて考えるのに、一番適した素材ではないかということです。

加えまして、この分野は、非常に実際上も重要な分野です。例えば、オンラインプラットフォームの議論が現在されていますが、そこでも自主規制ということが盛んに言われております。それで、特にこの分野から取り組んだらどうかということになり、今日を迎えました。

なかなか、このような状況の中で審議がやりにくいのですが、活発な議論が行われることを期待したいと思います。

以上です。

○丸山座長 山本委員長、ありがとうございました。

≪3.自主規制の活用について≫

○丸山座長 それでは、具体的な議題に入っていきたいと思います。

本ワーキング・グループでは、当面は自主規制の活用について検討を進めたいと思いますが、その際、設置・運営規程第5条4項に基づき、大阪大学大学院法学研究科、清水真希子教授及び京都大学大学院法学研究科、原田大樹教授にもオブザーバーとして御参加いただきます。

初めに、清水オブザーバー及び原田オブザーバーより、簡単に御挨拶をお願いしたいと思います。

それでは、まずは、清水オブザーバーから、よろしくお願いしたいと思います。

○清水オブザーバー ただいま御紹介いただきました、清水でございます。大阪大学で商法を専攻しております。

とりわけ消費者法は専門にはしていないのですけれども、商法、実体法の立場から、ソフトローの研究をここ数年進めてまいりました。その関係で、今回、こちらにお声がけいただいたと認識しております。

どうぞ、よろしくお願いいたします。

○丸山座長 ありがとうございました。よろしくお願いいたします。

それでは、次に、原田オブザーバーより、御挨拶をお願いできればと思います。

○原田オブザーバー 京都大学大学院法学研究科の原田と申します。行政法を専攻いたしております。

自主規制につきましては、昔、勉強してきたので、最近の細かい動きのことまではよく把握できていないのですが、この機会に勉強をさせていただければと思っております。

どうぞ、よろしくお願いいたします。

○丸山座長 ありがとうございます。どうぞよろしくお願いいたします。

それでは、議題に入りたいと思います。

具体的な中身に入ります前に、まずは、せんえつですが、私のほうから、私自身の問題意識等につきまして、お話をさせていただければと思います。少々お時間をいただきたいと思います。

後ほど事務局から、第5次の消費者法分野におけるルール形成の在り方等検討ワーキング報告書の目的、概要、そして、自主規制の部分にフォーカスした報告で示された観点については、紹介があります。

したがって、第5次の概要説明等は、事務局の説明に委ねたいと思いますが、この報告書において示されていた中長期的課題あるいはその方向性というのは、現在の消費者基本計画に反映され、また、法学の研究領域においても、この報告書が取り上げられたりしまして、消費者委員会から、このような報告書が出されたこと自体、一定の評価というのを得ているものと考えます。

第6次の委員としまして、私が就任しました当初、この第5次の報告書の意義というのを高く評価し、これで終わらせることなく、フォローアップの意味合いも込めまして、より具体的に深掘りし、かつ、消費者委員会であるからこそ、果たせる役割としまして、実践的な提言あるいは実務への働きかけができないだろうかという問題意識を持ちました。

事務局や、他の委員にも、こういった問題意識というのは、受けとめていただき、再開に当たって考慮していただいたと思っております。

さて、なぜ自主規制なのか、自主規制の検討の意義について、もう少し私の考えを述べさせていただきたいと思います。

第5次の成果を承継しまして、より具体的、実践的に調査、検討、検証を行ったほうがいいのではないかと考えた場合に、まずもって深掘りしたいと考えたのは、自主規制の活用、自主規制をどのように作っていくのが良いのかという問題でありました。

なぜ、自主規制なのかという点なのですけれども、消費者利益が関わる取引分野におきましては、自主規制の果たす役割、その在り方について議論しておくことは重要であり、また、今後、重要性を増していくのではないかと考えております。

というのも、自主規制があるものの、消費者の苦情相談が無くならなかったり、増加傾向となったり、あるいは消費者の苦情相談というものが顕著な増加に至らなくても、消費者の利益が損なわれているのではないかと思われる取引領域というのがありまして、そういう領域につきましては、自主規制が機能しているか、現状が検証されるべきなのですけれども、なかなか積極的な自主規制の検証というものは行われにくいと考えます。

また、先ほども山本委員長から言及がありましたように、例えばなのですけれども、近時注目されているデジタル・プラットフォームに関しましては、消費者庁が、デジタル・プラットフォーム企業が介在する消費者取引における環境整備等に関する検討会の論点整理というものを公表しているのですけれども、そこでは、各事業者の自主的な取組の促進とか、官民の協調ということが強調されております。しかし、果たして、組織化というものが行われていくのか、あるいはターゲットとする業界、業界というものが有るのか、無いのかわからないところでございますので、業界の射程であるとか、組織の在り方が、どのようなものになるのかというのは、明確ではありません。さらに、また、どちらかというと、業界が情報や専門知識において、優位にあるような場合に、官民のコミュニケーションといっても、どのようにコミュニケーションをとっていくのが良いかなど、こういった新たな業態の出現によりまして、新たな問題提起というのが、自主的な取組、自主規制というものに対しても提起されているように思えるからでございます。

事務局から、後ほど説明がありますように、第5次の報告書におきまして、自主規制を検討する上での重要な観点というのは、既に示されているのですけれども、そこで示されているような、様々な観点が、現在の自主規制では、どのように考慮されているのか、結果として、最適な制度設計というのが行われていると評価できるのか。問題を抱えているとすれば、どういう点において問題を抱えていて、解決策というのは、その他の手法というのは、もちろんありますので、その連携も含めまして、どういうものになるのかというのが、検証課題としては挙げられるのではないかと思います。

消費者トラブルの増加とか、消費者厚生の観点から問題提起されているような取引の分野において、そもそも伝統的な意味での自主規制が無いという場合に、すぐに法規制ということではなくて、何らかの自主規制的なものの活用によって、まずは解決が考えられないのか。その場合に、自主規制の内容、策定、手続、実効性確保等に関して、自主規制が無理で、その他の手法に委ねる場合との関係整理も含めて、今回のワーキングで、できるところまでということになりますが、具体的な検討を行ってみてはどうかという、こういうことであります。

消費者委員会のワーキング・グループとしまして、自主規制に取り組むという意義というのは、まとめますと、現在の消費者取引の領域における自主規制に関わる現状と課題に対して、具体的に評価して解決を提言できるのではないかと、こういう意味と、あとは、新たな業態も含めて、将来も参照できる、消費者分野における自主規制の作り方の重要な観点というのを整理していくという、こういう意味があるのではないかと考えております。

今回の検討を、消費者委員会で行うということ自体、自主規制というものの形成に対して、消費者委員会というものが、何らかの作用を及ぼすという、そういう意味も客観的に見ればあるかもしれないと考えております。

さらに、消費者取引ということについて、少しだけ個人的な関心についても述べさせていただきたいと思います。

自主規制というものに関しましては、法学の分野での研究の蓄積が一定程度あります。

第5次のワーキングにおきましては、今回も御協力いただいております原田オブザーバーにも、いろいろ御知見を伺った、そのほか神戸大学の中川教授にも参考人としてお話をいただいているという、こういう状況にあります。

また、個人的には、今回、御協力いただいている清水オブザーバーの御業績とか、あとは東大のソフトロー研究、こういったものから多くを学ばせているところでございまして、一定の学問的な蓄積というものがあるということでございます。

そういうことを前提とした上で、さらに、消費者委員会のワーキングにおいて検討を進めるに当たって、重視したいと個人的に思っている観点としましては、第1に、実態を知るという観点が挙げられると思っております。

そして、第2点としましては、消費者取引の領域の自主規制というものに、有用な観点とか概念というのを提示して、あるべき自主規制というものについて、具体的な素材で検討してみるという、こういうことができるのではないかと思っております。

こういった重視したい観点というものについても、皆さんに意見をいただければと思いますので、また、少し敷えんをさせていただきたいと思います。

第1番目に言及しました、実態を知るということに関しましては、もちろんワーキングの目的との関係で、今回取り上げる消費者取引の規範にフォーカスした実態把握ということにならざるを得ないと思うのですけれども、現時点において検討していく対象となる取引領域の規範というのを、十分に知る必要があるのではないかという、こういう問題意識があります。

ここで言う規範というのは、清水オブザーバーの御研究の言葉を借りると、人や組織の行為の指針、又はパターンであって、それに従うことが期待又は要求されているもの、あるいは人や組織がそれに従うことが一般的であるもの、そういう規範概念を想定しております。

もちろん今回の検討では、自主規制の規範というのが検討の中心になるのですけれども、制定法とかガイドラインとか約款とか規約とか実際の対応指針も含めて、まずは、実態を把握して、自主規制規範と言われるものの意義を確認し、何が決定的になって、そういう実態となっているのかということを、なるべく精緻に分析したいという、そういう個人的な関心というのがあります。

今回のワーキングでは、書かれている文書の規範のほか、事業者のヒアリングによる把握も予定されておりますので、そういったヒアリングを行うに際しての有益な問いの立て方につきましても、参加している皆さんには御意見をいただければと考えております。

個人的に関心ある視点の第2番目で言及した点、消費者取引の領域の自主規制に関して、有用な観点や概念を提示して、あるべき自主規制について、具体的な素材におろして検討できないかと、こういう問題意識なのですが、これは既に第5次のヒアリングで、原田オブザーバーの方から自主規制の類型モデルと、自主規制の機能条件というものを整理していただいておりまして、消費者法分野での応用可能性についても示唆を得て、報告書にも反映されているところでございます。

このような先行研究を、今回、具体的に取り上げていく素材、どういうのを取り上げるのかというのも、事務局の説明も併せて、皆さんに御議論いただければと思うのですけれども、今回取り上げていく具体的な消費者取引の素材の自主規制の検討に当たって、更に具体的に応用して、精緻に検討できないかという意味合いであります。

あと、もう一つは、深く練れているわけではないのですけれども、消費者取引の分野では、消費者の信頼に応答するような規範形成と、市場の反応も取り入れることによるエンフォースというものを、機能的、実効的に自主規制、場合によっては、他の規範を組み合わせて実現できないかという問題意識が、個人的にはあります。

消費者の信頼、応答的な規範形成というのは、消費者取引の領域では、例えば、市場慣行が長年あるいは一定期間続いていたとしても、必ずしも市場の公正さとか、効率性の観点から、望ましいものでは無かったり、また、一方的に事業者が定義するガイドライン、約款あるいは説明に、消費者は不満足ではあるけれども、仕方がないと受け入れている場合というのも少なくないと考えます。

ただ、ある種の事態においては、事業者からの柔軟な対応とか誠実な対応というのを、その文言とかにかかわらず、信頼して取引に入るということも、少なくないと思いますので、そういった信頼に応答できるような規範作りを、促進ができないかという問題意識でございます。

また、市場の反応によるエンフォースというのは、これは、説明するまでもないかもしれませんけれども、消費者による事業者の選択とか、評価とかを機能させていくことによって、エンフォースを行っていくということが、もっと促進できないかという問題意識であります。

市場の特質とか、事業者の性格に応じて困難さの程度は異なりますので、具体的な素材で検討するのが重要で、難しい点もあると承知しておりますけれども、消費者フレンドリーな自主規制等が消費者の反応に結びつくようなアイデアというのを模索できないかと、問題意識を持っているということでございます。

ワーキングでの検討というのが、実りが多いものとなりますように、問題提起に対して批判的なコメントでも、もちろん構いませんので、遠慮のない議論、検討を行っていただければと考えております。

参加の皆さんには、お力添えいただきますと幸いでございます。

長くなりましたが、私からの問題意識の説明というのは、以上にしたいと思います。

それでは、続いて事務局のほうから、自主規制の活用に関する第5次の報告書の観点や、今後の検討事項等につきまして、20分程度で御説明をお願いしたいと思います。

よろしくお願いいたします。

○事務局担当者 それでは、事務局から御説明をさせていただきます。

まず初めに、簡単に参考資料3に基づきまして、かつてのワーキング・グループ報告書の趣旨などについて、改めて御説明させていただきます。

先ほど、山本委員長のほうから、もともとの問題意識ですとか、議論状況につきまして、大変明解に整理して御説明いただいたところです。

また、冒頭、太田参事官からも、内容の概要については御説明させていただきました。

この参考資料3を見ていただきますと、2本柱としまして、片方が緑のほうのルールのベストミックスという観点。

もう一つが青色のほうの担い手ベストミックスという観点がございます。

両方に共通する観点といたしまして、左側のルールのベストミックスで、図で自主規制、民事ルール、行政規制というものがありまして、色分けがされています。

右側の担い手のベストミックスも、上から順に青、だんだんと黄色になって、最後は赤となっておりますが、実は、これは信号の色のようなものをちょっとイメージしているという背景がございます。

まず、公正な市場を実現するということに関しましては、消費者にとっては、トラブルに遭わない、あるいは遭っても解決がされるということでありますし、安全・安心に、お買い物などができるということであります。

逆に、事業者にとっても、健全な努力が正しく評価される、不当な取引で利益を上げる事業者が市場から無くなっていくということが目指されるという大前提がございました。

そういったものを実現する方法としまして、まず、青信号ということでございますが、事業者や消費者という消費者契約の当事者同士で、それぞれができることでトラブルを予防したりですとか、解決して行く方法があるということであります。

今回、これから議論になります自主規制といったところも、正にそこに位置付けられるものということになっております。

事業者が、そういった自主規制などを進んで行われるということを確保する上では、もちろんその内容などを正しく設定されるという観点も重要ですし、先ほど丸山座長からもありましたように、消費者の方から、そういった正しい取組を評価して行って、更にそれが進められるという、良いサイクルが生まれるとよいという問題意識も背景にございました。

そういった自主的な取組で解決し切れないところとして、対応する方法として、1つが民事ルールということでございます。

消費者契約の分野で特徴的なのが、適格消費者団体や特定適格消費者団体といった制度があるという点でございました。

さらに、そういった民事ルールだけでも対応し切れない、特に事業者とも呼べないような悪質商法などに関しては、行政が厳格に対応するという形で、最後の赤信号に行くというものが背景の問題意識としてございました。

これからの御議論いただきます自主規制は、正にその一角をなす、重要なものということで位置付けております。

続きまして、資料2の方を御覧いただけますでしょうか。

こちらで、本日、これから御議論いただく前提の御説明をさせていただきます。

2ページのほうを御覧いただければと思います。

前半は、まず第5次報告書で、自主規制に関して示された観点を御説明させていただきます。

2ページの1ポツでございますが、まず自主規制の意義といったところでございます。

当時の報告書では、この1つ目の○でございますが、マル1といたしまして、行政による対応に時間等がかかる場合ですとか、マル2で規制対象が流動的である場合、マル3で高度な専門性があるといった場合などに、自主規制の活用が考えられるということが指摘されました。

2つ目の○で、先ほど山本委員長からもありましたけれども、事業者の予測可能性を高めることですとか、ルールを積極的に遵守しようとする企業風土が醸成されるということも期待できるということが指摘されておりました。

こういった観点に関連するものといたしまして、その下に※印を記載しておりますが、近時展開されるデジタル市場での取引ということが挙げられます。

山本委員長や丸山座長からも御指摘いただきましたが、とりわけデジタル・プラットフォーム上での取引に関しましては、プロファイリングを利用したターゲティング広告ですとか、そういった新しい手法の利用などに大きな特徴があるということで、自主規制や努力義務規定といったソフトローですとか、あとは、ハードローをベストミックスして、予防・救済を図っていく必要があるということが指摘されておりました。

次の2ポツでございますが、自主規制の対象とする範囲についての観点でございます。

より実効性を高めるというためには、商品サービスや業種の特性において、共通性のある業界ごとに策定することが重要ではないかという指摘がされておりました。

次の3ページでございます。

こちらは、自主規制策定の視点ということで、大きく分けて2つ挙げております。

(1)のほうが、法令上の規制状況との関係ということであります。

例えば、登録制、届出制等の行政規制がある分野に関しましては、そういった規制とセットにすることで、行政の監視を及ぼし、自主規制の水準の確保や、実効性の確保を図ることが可能ではないかということ。

逆に次の○で、そういった行政規制が無い分野に関しましては、その代わりとして、自主規制団体による不利益措置ですとか、ADR、あとは認証、先ほど丸山座長からも、市場からの評価ということがありましたが、そういったものなどで、実効性を確保することが考えられるのではないかという視点でございました。

もう一つが(2)でございまして、これは団体の組織率との関係であります。

やはり自主規制団体の組織率を高めることが、実効性確保に結びつくということで、団体に所属するインセンティブを働かせる必要があるということでありました。

それと関連いたしまして、諸外国で導入されています、いわゆる共同規制といった仕組みを導入することも考えられるということでありました。

この共同規制に関しましては、様々な捉え方があるところだと思いますが、特徴的なものとしては、そういった行政規制の一部を自主規制として具体化するなどという形で策定をいたしまして、それを行政機関が法執行などの場において尊重するという枠組みで理解しております。

そういった背景に、行政機関との関係などがあることで、自ら自主規制を守るということのインセンティブが高められるのではないかということでございました。

このページの最後の4ポツでありますけれども、今度は、自主規制の適正性の確保ということであります。

1つ目のところですけれども、自主規制が裁判所ですとか行政機関あるいは社会的にも許容されるためには、その策定する機関のほうで、専門能力ですとか、中立性、関係利益者への取込、透明性といった要素を有することが求められるのではないかという観点が示されておりました。

その次の○ですが、具体的なものといたしまして、消費者の意見を反映させる仕組みや、事業者団体が策定したものを行政が認証する仕組みなどが考えられるということでございました。

次の4ページでございますが、5ポツで、自主規制の実効的な運用ということでございまして、こちらは抑止効果を上げるためにも、例えば、事業者名の公表ですとか、あるいは情報の共有、連携といった対応も考えられるのではないかということ。

逆に、2つ目の○ですが、事業者に対する啓発なども重要ではないかという指摘がございました。

その次の6ポツですが、自主規制から法規制への転換ということで、新たな法規制を導入する手法の1つとして、自主規制が先行して、その内容を踏まえた法規制を導入するという方法が考えられるということ。

また、7ポツのほうが努力義務規定の活用ということで、自主規制の策定を促す、あるいは、後ろ盾となって実効性を確保するといったことで、そういった法律上の努力義務などが活用される場合もあるということでございました。

以上が、第5次で示された観点でございました。

次の5ページ以降が、本日御議論いただければと考えておる案でございます。

第5次報告書の関係を踏まえ、今後、下記のような点について御検討いただいてはどうかということでございます。

メインとなりますのが、マル1とマル2でございます。

先ほど丸山座長の方からも、実態などを踏まえて、最適な制度設計が行われていると評価できるかどうかといった点なども御指摘いただいたところでございました。

まずマル1のところに関しましては、近時、消費者からの相談が増加しつつあるが、消費者保護に関して基盤となるような法整備や業界団体の組織化、自主規制の普及等がまだ途上といった分野を念頭に、自主規制の活用方法を検討してはどうかというものでございます。

マル2のほうは、消費者トラブルが比較的多く、既に消費者保護に関して、先ほどの基盤となるようなものが、一定程度進められているという分野につきましても、消費者利益の擁護、増進の観点から課題があるということがあれば、その対応策を検討してはどうかといったものでございます。

例えば、マル1などに関しましては、先ほど来出ておりますオンラインプラットフォームの取引などに関しては、今正に消費者庁の方でも、様々な検討が進められておりますし、業界の方でも、自主的な取組などの動きが出てきているところでありますが、新しい分野ということもありますので、そういった分野での自主規制の活用などが、検討できないかといったものが考えられるところであります。

そういったところで、次のマル3、マル4なのですけれども、マル3のほうは、このようなマル1、マル2の検討に当たって、どういった観点を重視するかという点でございます。

先ほど第5次報告書の観点は、御説明させていただきましたが、その中でも、例えば、自主規制の内容の適切性ということで、必要十分なものになっているかどうかといった点。あるいは策定手続の適正性といったことで、例えば、消費者の意見が反映されているかですとか、透明性が図られているかといった点。

そして、実効性確保という点で、何らかの対応がなされているかどうか、あるいはこの紛争解決機能を含むと書いておりますが、実際にトラブルが起きてしまったときの、その解決の場面において、自主規制が役立てられているですとか、そういった可能性もあるかどうかといった点でございました。

次のマル4ですけれども、こちらに関しましても、マル1、マル2の検討に当たってはということですが、前提となる法令ですとか行政機関との関係、先ほどのように参入規制がある、なしの違いですとか、そういった関係もございますが、あとは業界やその周辺環境などを踏まえつつ、例えば下記のような点を参考にしてはどうかということであります。

1つ目が、伝統的な金融分野ということで、こちらが特徴としては、登録制等の参入規制が整備されていることですとか、自主規制団体が法的に位置付けられるなどしているということであります。

2つ目が、公正競争規約ということで、法的に位置付けられたもので、認定という形で、行政が策定に関与するといった特徴がございます。

3つ目に、似たようなものといたしまして、個人情報保護指針ということで、法的に位置付けられた認定個人情報保護団体が、消費者の意見を代表する者などの関係者の意見を聞いて作成するよう努めることなどが、法定されているということでございます。

4つ目といたしましては、訪問販売、通信販売等に関してということで、こちらは法的に位置付けられた自主規制団体がありまして、例えば、訪問販売、消費者救済金制度等の特徴的な仕組みが設けられているといった特徴がございます。

これら以外にも参考にできるものというのは、幾つかあると考えております。

ここまでは、中身のところでございまして、最後の6ページのところが、今後の進め方のほうの案ということでございます。

自主規制の活用に関する今後の進め方といたしまして、当面の数回の会合で念頭に置く取引分野ですとか、参考とする取組などについて、関係団体や有識者等のヒアリングを実施するなどして、実態把握するということを進めた上で、委員、オブザーバーの皆様におかれまして、論点について、意見交換や整理を行っていただいてはどうかと考えております。

最後に、委員、オブサーバーの皆様限りに、机上配付資料といたしまして、現在の事務局におけます、主要業種における自主規制等の整備状況を調査している状況について、まとめた資料をお配りしております。

こちらは、まだ事務局のほうで、現時点で事業者団体のウェブサイトなどに基づいて、調査を行っている内容をお示ししたものでございまして、まだ、今後、内容の精緻化が必要と考えておりますので、現時点では未定稿ということで、委員、オブザーバーの皆様限りということで机上配付させていただいております。

こちらは、先ほどの資料2の5ページで申し上げました、マル3の観点ですとか、あとマル4の参考となる分野などを表にしたものでございます。

観点といたしましては、公的規制等ということで、どういった規制法令が整理されているか、ここで、例えば登録制などの参入規制が設けられているかどうかですとか、何らかの行為規制が設けられているかですとか、行政処分が想定されているですとか、そういったことを整理していければと考えております。

それを前提とした上で、自主規制に関しまして、幾つかの事業者団体のほうの、まず策定主体ということで、何らかの事業者団体のほうに法的な位置付けがなされている場合には、そういった差異について整理してあるとかと考えております。

次に、自主規制そのものに関しましては、これに関しましても、何らかの法的位置付けがなされているものがあれば、そういった差異を整理してあるとかということ。

また、内容といたしまして、何か実際に公的規制として規制されているものに関して、横出ししているですとか、上乗せしているですとか、そういった特徴があるかどうかといったところが整理できるのではないかと考えております。

次に策定手続ということで、実際に策定する際に、どういうプロセスを経て策定されていることになっているかですとか、その際に、消費者や第三者が関与するものとなっているかどうか、あるいは透明性が図られているかといった点を整理してはどうかと考えております。

その次には、実効性確保手段ということでして、想定されている手段がどういったものかと、あるいはその運用状況がどういったものかということを想定しております。

最後に、紛争解決機能ということで、例えばADRですとか、そういった紛争解決の場において、この自主規制が活用をできる可能性があるかですとか、実際にそういった運用状況があるかといった観点を整理してございます。

こちらは、先ほどの資料2の5ページのマル3の観点のところに対応するものでございますので、この辺りにつきましても、委員、オブザーバーの皆様から、今後、むしろこういった観点があるのではないかですとか、こういった観点を整理していくべきではないかといった御意見を今日いただければと考えております。

次に、この机上配付資料に関しましては、縦のほうで分野を示しております。

先ほどの資料2の5ページのマル4に連動するような形で、金融分野ですとか、それ以外には、通信、小売といった分野、また、デジタル・プラットフォームの関係ですとか、あとは分野横断的なものといたしまして、特商法ですとか、公正取引協議会の関係、認定個人情報保護団体の関係、そして広告といったものが現時点で想定しているものでございます。

こちらに関しましても、先ほどのマル1やマル2の視点のように、正にこれから整理がされていくという分野として、こういったものがあるのではないかといった観点ですとか、あるいは逆に参考にし得るものとして、こういった取組があるのではないかというところに、委員・オブザーバーの皆様に御意見をいただきながら、さらに、調査、ヒアリングなどを進めて精緻化していきたいと考えております。

こういった形で、幾つかの観点から、様々な分野の実際の取組を比較検討することによりまして、それぞれ参考にできる部分、あるいはベストプラクティスとして示せるような部分などを整理していき、議論を進めていっていただけることができるのではないかと考えております。

そういったところで、先ほどの資料2の5ページに示しておりますような点から、今日はキックオフといたしまして、御議論いただければと考えております。

事務局からは、以上でございます。

○丸山座長 御説明ありがとうございました。

確認をもう一度させていただきますと、資料2の5ページに、今後の検討事項の案というものが提示されておりまして、近年消費者からの相談が増加しているということを前提としながら、自主規制というものが未整備だけれども、自主規制による対応というのが考えられていたり、考えても良いのではないかというような取引分野、あるいは、昔から自主規制はあるのだけれども、トラブルが多いような分野について、フォーカスして検討してはどうかということなのですが、それを検討するに際しても、様々な分野で、どういうふうに自主規制というのを作っていて、それがベストプラクティスと言えるのか、あるいは何か問題を抱えているのかというところで、横断的な資料というのを作成していただいております。

事務局のほうからも、こういった検討を進めるに当たって、どういう観点で進めていったら良いかという問題提起も整理していただいたところでございますので、こういった案、説明に基づきまして、皆さんから御意見をいただければと思います。

どういった観点からでも構いませんので、こういった検討の仕方や方向性、フォーカスしていこうという領域、あるいは自主規制というのを調査するに当たって、現在、重視している観点としまして、内容、作成、手続、実効性という観点を挙げているのですけれども、そういう観点の適切さとか、不足な部分などに関しまして、それ以外のことでも構いませんので、具体的に検討し、ヒアリングをしていくに当たり、皆さんが気になっている点などを遠慮なく御指摘いただければと思います。

それでは、御発言をされる際には、まずは、チャット欄に発言するという旨を書いていただきまして、現在の説明につきまして、質問や御意見というのをいただければと思います。

いかがでしょうか。

新川委員、よろしくお願いいたします。

○新川座長代理 新川です。よろしくお願いいたします。

御説明いただいて、基本的な方針は分かったのですが、まず、この自主規制ということについて、いろんな事例を、先ほど最後に、机上配付資料でもいただいて、いろいろあるなと思いながら拝見をしていたところなのですが、1つ目の質問は、こういう自主規制そのものに何がしか、取引の形態、あるいは業態、あるいは、そこでの商品サービスの性質に応じてパターンの違いみたいなものがあるのかどうかというのが、ちょっと気になりました。金融関係のものは、やはり、そういう独特の自主規制の要素があるとかということなのか、あるいは、もう少しそれぞれの業界は業界ですよというような、商品サービスの固有性に、どちらかというと偏るのか、ここはもしも事務局のほうで、これまで取りまとめをいただいた中で、パターンのようなものがあれば、教えていただきたいというのが1点目です。

2つ目に、こうした自主規制といったような場合に、やはり気になるのは、この規制そのものが、どの程度の強度というか、強さでもって事業者を縛るということになるのかというのが、やはりとても気になっています。この辺り、もちろん、それぞれの自主規制に、正に自主的にどういうふうに応答するのかということではあると思うのですけれど、そうした応答責任的なところで、どの程度、自主規制が持っている強制力というと、また、自主規制にならないのですけれども、こういう自主規制の力みたいなものが考えられるのか。今後、自主規制を考えていくときにも、どういう自主規制の持っている、ある種の規範力のようなものというのを、どういうところで測って、私たちとして何が望ましいのかというようなことも考えないといけないのかなと思いながら、今回、特に事務局で御整理をいただいていますので、事務局のほうで、もし、そういう強弱のところについて、お気づきの点があれば、お教えをいただきたいというのが2点目。

3点目に、これは、それぞれの自主規制を見て見ないと分からないところもあるのですけれども、ざっと見たところで、やはり自主性といっても、かなりの程度、規律の仕方に細かいところと、それから、割とざっくりというとあれですけれども、ある種の規律の仕方に精粗があるような気がしたのです。けれども、そもそも自主規制ですから、それぞれ勝手に作っていると言われれば、それまでなのですが、こういう細かく作っているところと、それから少しそうでもないところみたいなものというのを、どういうふうに考えたら良いのか。それから、もしも、そこに何か自主規制に質的な差みたいなものがあるとすれば、それはどういうところに表れてくるのか、ちょっと気になりましたので、以上3点、もし、事務局のほうでもお気づきの点があれば、教えていただきたいと思います。

よろしくお願いいたします。

○丸山座長 3点御質問がありましたが、事務局のほうから、お答えは可能でしょうか。現在の調べたところでの、第1番目としましては、自主規制そのものについて、業態あるいは商品、サービス、それもくくりは個別なのか、ある程度大きいくくりなのか、パターンの違いがあるのかという点。

第2点としては、実効性に関わるのですけれども、規範としての強さが、現在、読み取れるところまで整理されているのかという点。

第3点としましては、詳細なところと、漠然としたところがあるのですけれども、そういった差異について、今の整理の過程で、お気づきの点というのはございますでしょうか。

○事務局担当者 事務局でございます。ありがとうございます。

まだ、これから精査する必要あると思うのですけれども、現時点で事務局のほうで調べた中で、気づいた点を御回答したいと思います。

まず、1点目の自主規制のパターンというところなのですけれども、これは、まだ、明確な類型化までには至っていないのですが、大きく分けまして、業種によるくくりをするもの、あるいは商品、サービスの類型に関わるものと、あるいは横断的なものがあるかと考えております。

業界ですとか、商品、役務の内容というくくりですと、例えば、金融に関しては銀行ですとか、保険ですとか、証券といったところもございます。

そこは、背景として、1つは法規範との関係が関係しているのではないかと思っております。業法といった形で、当該業界ですとか、当該商品、役務に関する規制が設けられているところに関しては、それを背景にしながら、そういった業界のほうで事業者団体などが作られ、自主規制などの策定が進められているというところもあるのかなと考えております。

そういった法規制との絡みでいいますと、例えば、消費者法分野ですと、特商法というところで、こちらは業界や商品について横断的でありますけれども、訪問販売や、通信販売といったところで、自主規制などが策定されているというところがあるかと思います。

その辺りは、先ほど御説明させていただいた中の事業者団体の組織率といったところなどにも関わってくる可能性はあるかなと考えております。

例えば、業法などで、参入規制で登録制などが設けられているところと、そういったものがなくて、参入自体は自由になっているところとでは、事業者団体の組織率の高めやすさなども変わってきているのかもしれないと考えているところでございました。

また、2点目の自主規制の強度といったところでございました。こちらは、緩やかなものに関しましては、特段何らかのサンクションといいますか、制裁はないといったものもあると思われますし、何かサンクションを設けている中の濃淡といいますか、という観点では、何か違反があった場合には、そういった違反があったことを業界内で情報共有をするですとか、あるいはそういったことを公表するといったものから、一定の指導を行ったりですとか、その自主規制団体の会員としての権利の停止・制限といったもの、強いものですと、過怠金、違約金といった金銭の負担を生じさせるものですとか、ひいては除名といったものを設けているところなどが見られるところであります。

この辺りも、そういったものを設けている中では、自主規制ですとか、その自主規制団体が何らか法的に位置付けられているもので、そういったもともとの規制の要請に基づいて、組み立てられているものもありますし、恐らく、今後調査する中では、自主的にそういったものを立てつけているものもあるのではないかと思われるところでございます。

最後、規律の詳細さといったところでございましたが、こちらも御指摘のとおり、濃淡あるところかと考えております。

一番緩やかなものといたしましては、こういった大枠の行動規範ですとか、そういった方針を示すというものもございますし、逆にかなり細則を定めているものもあると承知しております。

この辺りも場合によっては、もともとの公的規制の背景で、どこまで定められているかですとか、そういったところも関わってくる部分があるかもしれないと考えているところでございます。

一旦、私のほうからは、以上でございます。

○新川座長代理 ありがとうございました。よく分かりました。

○丸山座長 ありがとうございます。

それでは、続いて、柄澤委員のほうから御発言いただけるということで、よろしくお願いできますでしょうか。

○柄澤オブザーバー ありがとうございます。

まず、事務局の御説明、非常に違和感なく、しっかりまとめられていただいているので、この検討事項の案でよろしいのだと思います。

また、座長が冒頭申し上げられた自主規制の検討については、やはり実態を知る、その上で、あるべき自主規制を考えて、バックキャスティングで、そこへのいわゆるロードマップを描いていくということが必要なのではないかと。

実態面で若干、私のほうからお話しいたしますと、金融業界においては、法律上の自主規制機関、これは例えば日本証券業協会とか、投資信託協会がございますけれども、これらが会員金融機関への指導・勧告であるとか、制裁とか、苦情解決、あっせんなどを行っておられます。

こういう自主規制機関でなくても、例えば、私どもの日本損害保険協会、これは、私も会長を務めた経験がありますけれども、このような事業者団体では、自ら会員会社向けの指針、ガイドラインを策定し、会員会社に、これを周知させております。

また、金融ADR制度なども活用しながら、あっせん等にも取り組んでいるということでございます。

こういった取組は、業界団体が自ら率先してルールを作って、会員会社に周知し、これを守らせるといった取組というのは、行政コストを下げるのみではなく、消費者の安全・安心の向上につながる重要な取組であると認識しております。

この基本的な考え方は、私もこの協会長を務めたときに、切に思ったのですけれども、やはり業界に対する信頼をどのように獲得していくのかと。個社というよりも、まず、業界が信頼されなければ個社への信頼もない、という前提で、こういう取組を進めてきたところでございます。

そういう意味では、いろいろトラブルのある業界においては、むしろ自主規制をしっかり作って、業界の信頼を獲得していくということは、非常に重要な視点なのではないかと思います。

課題を2点ほどお話し申し上げますと、こういう自主規制を策定しようとする場合に、やはり独占禁止法、ここで事業者団体の禁止行為として活動を不当に制限することは禁止されておりまして、それとの関係で、非常に苦労いたしました。厳しい規制を作り過ぎると、やはり独禁法に抵触する。

日本証券業協会は、かつて独禁法の適用除外であったのですけれども、今、新しい法律の中ではなっていない。そういう中では、独禁法との関係をどう整理するのかというのは大きな課題で、一方で、余り厳しい規制を作り過ぎると、今度は参入規制という批判を浴びる可能性があるわけで、そこら辺のさじ加減が非常に難しいと思っております。

また、併せて、事業者団体において、こういう自主規制を策定して、構成事業者がこれを守っても、団体に加盟しない事業者がこの規制レベルを守らず、結果として、販売において競争優位に立ってしまうような事態にならないようにすべきであると考えております。こういう事態をいかに防ぐかも課題ですけれども、ここは、いろんな消費者委員会の議論を聞いておりますと、やはり消費者との連携、消費者団体との連携が非常に重要になってくるのかと感想を持っております。

以上です。

○丸山座長 ありがとうございました。

重要な御指摘をいただいたのではないかと思います。自主規制を作る業界の動機づけのところで、信頼確保をしないといけないという意識や実際に作ろうとするときに、独禁法違反にならないようにという観点を視野に入れなければいけないということ、アウトサイダーが競争優位にならないような仕組みというのも、併せて考える必要があるだろう、という御指摘をいただいたと思います。

片山委員、よろしくお願いします。

○片山委員 よろしくお願いします。

大変丁寧に資料をまとめていただいたので、私は今回、このワーキングは初めてですけれども、これまでの議論や問題意識というのがよく分かりました。

私自身は、現在ですが、このテーマについて、自主規制の作成手続の適正性、そこに消費者の意見だとか、そういうものが、第三者の関与というのが、適正になされていて、客観的に公正なものであるということが担保されているというのが、ひいては消費者からの信頼にもつながるわけなので、そこの作成手続というところに非常に関心を持っています。

いただいた資料で拝見していて、どういう形で作っているか、具体的なイメージといいますか、議論状況というのが見えてこないので、この部分について、どこかの業界を取り上げて、是非ヒアリングをしていただきたいというのが希望です。

もし、事務局のほうで、消費者がうまく関与しているような業界の例を御存じでしたら、それは、参考に教えていただきたいと思います。

もう一つ、今日の話題になかったのかもしれないなと思うのですが、最初に座長がおっしゃった市場の反応によるエンフォースというか、消費者がやはり自主規制によってきちんとした公正な取引をしている事業者、事業者団体、業界であるということの信頼を広げていくという意味では、こういう自主規制によって、公正な取引市場を作ろうとしている企業なのだと、そこを目指している企業だということが、消費者に伝わらないと、これは、また、意味がない、そもそも意味がないということになってくるので、自主規制によって、事業者の皆さんが、そういう公正な市場取引を目指しているということが、どんな形で、現在、消費者のほうに啓発というか、啓蒙というか、伝えられているのかというところも、少し疑問に思いました。

その2点について、今、分かっている範囲で教えていただければと思います。よろしくお願いします。

○丸山座長 ありがとうございました。

やはり、今、事務局に分かっている範囲で聞きたいということになるのではないかと思いますが、作成手続の適切さについては、ヒアリングしてほしいという要望がありましたとともに、消費者が参加している形での自主規制の形成というのを、既に行っているような業界というのがあるのかという点。

あと、消費者に、こういった自主規制を作っていますよとか、遵守していますよということが伝わる仕組みというのを、既に実践しているような例があるのかないのかにつきまして、現在分かっている情報でということなのですけれども、事務局、いかがでしょうか。

○事務局担当者 事務局でございます。ありがとうございます。

1点目の消費者の意見の反映などの点につきましては、今後また調査していきたいと思っておりまして、2点目とも関係するのですが、やはり策定の手続の詳細のことに関しましては、事業者団体の内部の運用といったところもございますので、御指摘のようにヒアリングなど、そういったところを含めながら、調査を進めていきたいと考えておるところでございます。

その上で、例えば、まず一般的なものといたしましては、公正競争規約ですとか、個人情報の関係の個人情報保護指針などでは、一般論ではありますけれども、消費者団体ですとか、学識経験者などを交えて意見を踏まえながら検討していくというものであったりですとか、公聴会やパブリックコメントを実施することが想定されているといったものもございました。

あとは、個別の取組に関しましては、これは、柄澤委員のほうがお詳しいかもしれませんが、先ほど御指摘いただいた日本損害保険協会など、ホームページなど見ている中で、必ずしも自生規制だけに限らないと思いますが、お客様の声を集めて、そういったものを公表していらっしゃるというところもあられますので、そういったところで、自主規制の検討の中にも、もしかしたら、そういったものを反映されていっているのではといったところを想像するところはございます。

そういった形で、幾つか同じように消費者の声を、必ずしも自主規制のためだけに限らないと思いますけれども、業務の適正性確保のために集めておられるという団体は、他にもあられると思いますので、そういった取組も1つあるのではないかと考えております。

また、2点目で、そういった取組が、今度は消費者に知られるようなものになっているかどうかという点に関しましては、事務局で、実際、今回こういった形で、ホームページなどを拝見させていただいているところなのですけれども、実際、策定されている団体のほうでは、実際にホームページに、こういった形で自主規制を策定していますといったところをアップされていて、その内容が誰にでも分かるようになっているというのは見受けられました。

また、これも必ずしも自主規制に関するものには限らないのですけれども、業界団体のほうで、認証制度ですとか、そういったものを設けられているものもございまして、一定のルールを守っているということを認証することで、消費者にとっては、どこどこの認証事業者であるということが分かるような形の取組もございましたので、そういったものもヒントになるのではないかと考えておるところでございます。

差し当たり、以上でございます。

○片山委員 ありがとうございました。よく分かりました。また、ヒアリングのほうも、よろしくお願いします。

○丸山座長 片山委員、ありがとうございました。

そのほか、御意見、御質問を頂戴できる方は、おりますでしょうか。

質問をお待ちする間に、私のほうから、事務局にお伺いしたい点としまして、今、自主規制の整備状況という表を、ヒアリングをしないで得られる情報を基に作成していただいている状況です。

冒頭のほうにも指摘がありましたが、業界で作っているという場合と、あとは、法律が背景にあって、切り口としては、通信や訪販みたいな形での作りをしているのというのと、あとは、横断的にトピックで広告とか、個人情報ということで作っている、公正取引もそうですかね、作っているというところがあるのですけれども、この横断的になっているところと、個別の業界の関係というのは、分析の対象になってくるでしょうか。

例えば、広告でいうと、広告一般については、こういう協会があるわけなのですけれども、それぞれの業とかで、また、別に広告について、自分たちの自主規制の内容で取り上げているというような形で、少しクロスするような現象というのもあり得るのでしょうかというところを、確認させていただければと思いました。

○事務局担当者 事務局でございます。

今、丸山座長に御指摘いただいたところは、事務局としても、そういう観点があるかと考えます。

これも実際には、今後の調査に係るところもございますが、御指摘のように、広告とか、例えば勧誘といった観点に関しましては、各事業者団体で当該業界に関するものとして、法規範なども背景に踏まえつつ、策定されているというところもあると思います。

また、そういった広告などに限らないところでありますけれども、逆に分野横断的な自主規制なども作られているところではございますので、御指摘のように重畳するといいますか、それとの関係なども厳密に見ていくと、そういった観点も出てくるのではないかと考えました。

○丸山座長 ありがとうございます。

それでは、清水オブザーバーのほうから発言をよろしくお願いいたしますでしょうか。

○清水オブザーバー 清水です。

いろいろと興味深い観点から整理いただきまして、ありがとうございました。

私の個人的な関心ということなのかもしれないのですけれども、自主規制というものが、自主規制という形でありながら、それなりに公的な主体と関係を持っているという場合に関心を持っています。

もともと法律上の根拠に基づいて策定されているものについては、もちろん、国家との関係が明確になっているものでございますけれども、中には、必ずしも法律上の根拠等がなかったとしても、非常に官庁との関係が深い中で策定されているものもあるのではないかと考えております。

ここでの資料の中で出てきています主体は、場合によっては、第三者的な立場で、紛争解決機能を持つ機関というのが含まれるのかもしれませんけれども、あくまで自主規制を行う、自主規制団体という主体です。公的機関が自主規制の策定に影響を与えている場合に、どういうパターンで影響を与えるのかということと、逆にどうして官庁としては、あえて自主規制という形を取りたいと考えるのか、そこのところに関心を持っているところですので、今後、そういった観点を取り入れていただくことはできないかと考えた次第です。

○丸山座長 ありがとうございます。

実際に業法的な法律の背景があるところについては、現在の表で、結構出てきているところでございますけれども、法律上の根拠というのが、必ずしもなくて、もう少し官庁とかの関係で、規範形成がされているような現象も把握して、なぜ、策定されたのか、公的機関がどう影響を与えたのか、分析の対象に入ってくると、バリエーションは出ると思います。うまく把握できるか、課題になるでしょうし、これから策定しようという方向にあるけれども、業法とかがないというような取引領域では、正に、そういうことが言えるのかもしれませんので、参考になる観点を御指摘していただいたのではないかと思います。

ありがとうございます。

そのほか、御意見、御質問がある方は、いらっしゃるでしょうか。

それでは、原田オブザーバーのほうから、御発言をよろしくお願いできればと思います。

○原田オブザーバー 原田でございます。

大変面白い整理をしていただきまして、ありがとうございます。

この表では、いろいろな、今後検討しなければいけない論点が網羅されていると考えておりまして、これをどれぐらい充実させることができるかというのが、今後の制度設計の上でも、非常に大きな意味を持つように思いました。

それで、ここの表に挙がっているものの中で、消費者法における自主規制との関係で、特に関心は公正競争規約と、認定個人情報保護団体の2つです。

これらはいずれも法律上、自主規制が、一応、予定されていて、公正競争規約については長い歴史があり、有名な事件もありますし、認定個人情報保護団体についても、2003年に個人情報保護法ができてから、もう大分年数が経って、一定の蓄積がある状態になっているので、この2つで、実際どれくらい自主規制が機能しているのか、その際に消費者の利益というのはどれぐらい反映されているのかということを、ある程度実証的な形で分析ができれば、それを他の分野に応用するということも見えてくるのではないかと思っています。

この表の中になくて、あったほうが良いなと思ったのは、製品安全の分野で、これは恐らく、法律の根拠が余りないので、載っていなかったのだと思いますけれども、製品安全分野は、昔から自主規制をやっていった分野で、しかも消費者の安全とも関係しているところなので、これは併せて検討したほうが良いかなと思いました。

それで、自主規制のときに考える必要があるのは、恐らく2つあって、1つは、法律による枠組みの設定をするかどうか、するとしてどのようなものを作るかという問題で、それは自主規制に委ねる意味といいますか、わざわざ国が何か制度を作るのではなくて、業界に任せることには、どういう理由があるかということと密接な関係があることなのだろうと思います。

それは制度設計側からの観点なのですけれども、他方で、もう一つ重要な点は、自主規制をしてもらうとして、その実効性を、その業界なら業界でどれぐらい確保してもらうかということです。伝統的、あるいは昔からある自主規制というのは、どちらかというと、国の影が強くて、国家が裏にいて、しかし、国家が表に出ることが何らかの理由でできないので、業界にやってもらっていましたというようなケースが、比較的多かったわけですが、それは、一方で、国家なり行政機関にそれなりの権限があって、かつ、業界は業界で組織率がそれなりに高かったという前提があれば機能すると思います。しかし現状においては、その両方ともが次第に弱くなっていることを考えますと、国家の影におびえて自主規制をしてもらうというような実効性確保の在り方というのは、もちろん、それが機能する分野もあるとは思いますが、一般的に機能するとは思えないので、消費者法との関係で機能するためには、むしろ市場との関係といいますか、市場における選択圧力を利用して、こういう事業者だったら信頼できるから、消費者はそっちを選んでくれるでしょうというような作りでないと、なかなか自主規制をワークさせることは難しいのではないかと思います。

そうすると、それは法制度を設計するという側から考えると、とても難しい問題で、どうやったら市場で選択してもらうということを考えた上で、制度として埋め込むというのは非常に難しい問題です。その意味でも、現に、そのような方向性で、これまでやってきたと思われる認定個人情報保護団体あるいは公正競争規約とか製品安全というものの現状を確認していくということには、とても意味があるのではないかと思います。

以上です。

○丸山座長 原田オブザーバー、ありがとうございました。

御指摘いただいた点としまして、法律によって枠組みを設定するかどうか、自主規制に任せる理由というのを考える必要があるというのは、清水オブザーバーの指摘とも関連するところがあるかもしません。実効性の確保の側面については、国や官の影響というのが、それほど強くなくなっていくような時代において、市場というのを考えた場合に、どうやって、そういった選択圧力をかけるのかという、それは、結構難しい課題なのではないのという御指摘をいただきました。

具体的な素材としまして、公正競争規約と認定個人情報の保護の団体について、実証的に自主規制が機能している状況なのか、消費者利益の取り込みがどうなっているのかを分析するのは、有益ではないかという御指摘をいただきましたので、これは、今後の調査において、参考となると考えます。

製品安全については、今回、前回からも取引の形成というところに調査対象はあるのですけれども、比較検討の観点から、情報の整理はできないかというのを、事務局と相談させていただければと思います。

いずれにしましても、今後、調査を進める上で、重要な観点というのを御指摘していただいたのではないかと思います。

ほか、参加の委員あるいは、もう一度ということでも構いませんが、御発言を希望される方はおりますでしょうか。

それでは、新川委員、よろしくお願いします。

○新川座長代理 新川です。

重ねてで申し訳ありません。今、原田オブザーバーからお話があったところに関わって、特に自主規制ということの効果というか、実効性のお話をいただいて、これは、本当に自主規制の評価というか、効果をどういうふうに測ったら良いのかというのは、ちょっと、つらつら考えながら、ずっと資料を拝見していたのです。けれども、これについて、もしも事務局のほうで、それぞれの自主規制が本当に役に立っていますよとか、役に立っていませんよとか、本当にべたな言い方で恐縮なのですが、本当に効果が上がっているのか、上がっていないのか。そして、それが実際に、例えば消費者にとって具体的な利益をきちんと示すことができているのか。あるいは回り回って事業者にとって、この自主規制というのが、言ってみれば、事業上の信頼度を上げていったり、あるいは事業者自身の事業を活発にしていく上での貢献をしているのか。この辺り、何かお気づきのことがあれば、そして、それが今後議論していく上での何かのメルクマールになれば良いのだがなと思いながら、ちょっと先ほどの原田オブザーバーの実効性という話を聞いていたのです。この辺り、もし、お気づきの点があれば、現時点で結構ですので、事務局から教えていただけると有り難いなと思った次第です。

○丸山座長 事務局からになると思いますけれども、現時点で、気づいた点があればということで、よろしくお願いできますでしょうか。

○事務局担当者 事務局でございます。

原田オブザーバーや、新川委員から御指摘いただきました、実効性の確保の状況の把握といったところでございまして、私どもとしましては、大変重要な観点だとは思います。

その上で、なかなか御指摘いただいたように、把握の指標といいますか、評価検証のところが難しいところでもあるのかなという印象を持っておるところでございます。

例えば、先ほど少し御紹介しました、自主規制に違反があった場合に、何らかのサンクションを事業者団体として設けているという団体におかれましては、その執行状況といいますか、法律でいうと執行状況になりますが、その対応状況を統計などの形で公表されているところも一部あるように見受けられておりますので、アウトプットといいますか、実際にどれだけ運用されているかという情報は、もしかしたら得られるかもしれないと考えております。

その上で、アウトカムといいますか、インパクトといいますか、実際にそれで消費者トラブルがどれだけ予防されているかですとか、どれだけのトラブルの解決に役立っているかといったところまで見ていくということになってくると、なかなかちょっと、どれだけ定量的な分析ができるのかなというところは、今後検討していく必要があるかと考えました。

また、併せて、それが業界の信頼につながっているかですとか、そもそも消費者にどれだけ周知されているか、理解されているかというところも、また観点としてお示ししていただいていたかと思います。

その辺りも、実際の状況などを踏まえていくというのを、どれだけできるかというところは、今後検討していくところかなと考えて、お聞きしておりました。

○丸山座長 ありがとうございます。

○事務局担当者 失礼いたします。事務局でございます。

事務局のほうから、今回、今後精緻化していく、あるいは議論の土台となっていくイメージといたしまして、机上配付資料をお配りさせていただいております。

今日、御議論の中で、既にこういったところを追加してはどうかというところで、幾つかお示しいただいているところでありますけれども、今後の土台になるということもございますので、もし現時点で、更にこういった観点を追加してはどうかですとか、こういった分野を追加してはどうかということが、もしありましたら、優先的にといいますか、御示唆いただけると有り難いと思っております。

○丸山座長 いかがでしょうか。現在、表を作っている最中でございまして、先ほど御指摘いただいた点としましては、業法などがないような領域で策定されているような自主規制がないのか、消費者団体や消費者の関与という観点から取り上げるべき規制はないのかというところが指摘されたのです。あとは、具体的に深堀するべきこととして、公正競争規約・個人情報保護の規約・団体のところが指摘されたところです。

ほか、縦軸、横軸で増やすべきところについて御指摘は、他ございますでしょうか。

事務局としましては、今回、すぐ出てこなくても、これはということがあったら、御意見は寄せていただくということで大丈夫でしょうか。

○事務局担当者 ありがとうございます。

それでも結構でございます。また、引き続き、お願いできればと思います。

○丸山座長 分かりました。

では、清水オブザーバーのほうから、よろしくお願いします。

○清水オブザーバー よろしくお願いします。

内容に関わる面なのですけれども、この表に非常に詳細に調べていただいておりまして、なかなかこういう調べは、こんなに精密にするのは難しいものですから、大変参考になります。これから先の話なのかもしれないですけれども、規範の種類というものが一体どういう内容のものなのか、私法の世界でいえば、例えば、任意法規なのか、強行法規なのかという発想がありますけれども、自主規制ですので、それとは違う発想になりますけれども、例えば、ベストプラクティスを目指すようなプリンシプル型のもの、努力義務的なものであるのかとか、あと、先ほど、場合によっては、メンバーシップの剥奪、除名みたいなものもサンクションとしてあるとか、あるいは、罰金みたいなものがあるとお話がありましたけれども、そういうものであるとすると、もう少し固い内容の行為規範になっているはずということになりますので、そのような観点で、内容を理論的な観点で、分析というか、分類して記載して、まとめていただきますと、結局、その点がその後の実効性確保とかにそのままつながってまいりますので理論的な分析がしやすくなるのかなと思いました。

したがいまして、まとめますと、一個一個の具体的な内容は、当然、非常に重要で、それが前提になるのですけれども、それと一段上のレベルの理論的な規範の種類といったようなものを少しまとめていただけると参考になるのではないかと思ったということでございます。

○丸山座長 ありがとうございます。

規範の種類という観点からの分析視点というのも重要だというご指摘をいただきました。どのように、それをこういった表に反映させたり、あるいは別の分析軸を作って整理をするのかということは、少し検討しなければいけないのかなと思うのですが、プリンシプル的な原則論を立てているのか否か、サンクションに結びつくのか、努力的なものにすぎないのかという、いろいろ規範の分析の基軸というのは、理論的には可能でございますので、そういった観点からの整理というのも、同一の表になるのか、良い別表になるかは、考えなければいけないのですけれども、重要な御指摘をいただいたのではないかと思います。

それでは、山本委員長のほうからも、どうぞ、よろしくお願いいたします。

○山本委員長 ありがとうございます。

もう既にいろいろ出ていますので、特に新しいことを述べるわけではなく、また、項目として新たに付け加えるところまでいくのかどうか分からないのですが、1つは、自主規制というときに、国が策定しているルールとの関係の問題があります。全くそれがないところにできているのか、それとも、それを具体化するような形でできているのか、あるいは、上乗せをするような形でできているのか。これは、分野によって、いろいろ違うだろうと思いますが、全体を見るときには、1つ重要な観点かと思います。

もう一つは、今の項目でいうと、実効性確保の部分に関わりますが、国の法令の執行との関係があろうかと思います。

1つは、国の法令等の執行を協力してやっている場合があると思うのです。執行そのものというところまで行かないにしても、情報の共有といったレベルで関係を持っている場合があるでしょう。それから、これは、実際上どれぐらい問題があるかどうか分かりませんけれども、時々言われるのは、自主規制としてペナルティー、サンクションを科される場合に、それが、国の法令の違反にもなり、国によってもサンクションを科されると、言わば、二重にサンクションが科される状況が生じますが、この場合に、実際上どういうふうに調整をするのかという問題もあろうかと思います。

ただ、これは、あらゆる自主規制について問題になるわけでもないように思いますので、新たに項目を立てるというよりは、むしろ、そういう点にも気をつけて、見ていきましょうというぐらいかと思いますけれども。

○丸山座長 ありがとうございました。

それでは、今日は初回にもかかわらず、様々な観点から重要な御指摘をいただいたと思います。

御指摘いただいた観点は多岐にわたるのですけれども、法・官庁などの関与・影響の観点から、市場の反応を見るという観点から、様々な観点が指摘され、また、フォーカスしたら良いのではないかという自主規制、規範についても、幾つか意見をいただきました。注意を要する点についても、独禁法との関係などが指摘をされました。

今回の意見を踏まえまして、更に調査を進めた上で、ヒアリングの重要性というのも指摘されたところでございますので、必要なヒアリングを実施していくことになるのではないかと思います。

いただいた御意見につきまして、整理・検討させていただいた上で、次回以降、更に具体的な検討及びヒアリングなどを実施していきたいと思っております。

それでは、本議題については、以上としたいと思います。

本日は、誠に御議論いただきまして、ありがとうございました。

○加納事務局長 事務局長の加納でございます。

委員方には、御議論をいただきまして、ありがとうございました。

今日は、いろいろと御示唆をいただきましたので、その御示唆を踏まえて、更に調査をして、またフィードバックするという形で何回かやり取りを重ねていければと思っております。

机上配付資料ということで、今日御用意いたしましたけれども、この表をどれだけ精緻化して、中身を盛り込んでいくかというところが、今回の成果だと思っておりますので、今後の御議論も、これをどういうふうに充実していくかという観点で、いろいろと賜れれば、私どもとしては大変有り難いと思っております。

問題意識としては、やはり、既にある程度、金融分野などを中心に自主ルール、自主規制が一定のものが策定されて、それなりに実効性も確保されているのではないかと見受けられるところと、まだまだこれからではないかというようなところがあるかと思いますので、そういう、まだ、これからのところを、どういうふうに埋め合わせていくのが良いのかと。

その際に、視点といいますか、参考となる考え方あるいは規律の設け方、実効性の確保の仕方として、こういうものがあり得るというところを整理することができれば、良いかなと思っておりますので、そういう観点から、また、引き続き作業をしていきたいと思っております。

本日は、どうもありがとうございました。

○丸山座長 では、続けて、事務局からお願いします。


≪4.閉会≫

○太田参事官 本日は、長時間にわたりまして、御熱心に御議論いただきまして、ありがとうございました。

次回の会合につきましては、確定次第、改めて御連絡させていただきます。

以上でございます。

○丸山座長 それでは、本日は、これで閉会とさせていただきます。

お忙しいところ、お集まりいただきまして、本当にありがとうございました。

それでは、会議の赤いアイコンで退席ができると思います。今後とも、どうぞよろしくお願いいたします。

(以上)