第15回 電力託送料金に関する調査会 議事録

日時

2021年5月20日(木)10:00~11:48

場所

消費者委員会会議室・テレビ会議

出席者

【専門委員】
野村座長、若林座長代理、浦郷委員、古賀委員、後藤委員、坪田委員、寺田委員
【消費者委員会担当委員】
大石委員、新川委員
【説明者】
資源エネルギー庁 下村電力産業・市場室長
【消費者庁】
吉田参事官
【事務局】
加納事務局長、太田参事官、事務局担当者

議事次第

  1. 開会
  2. 託送料金制度改革等の詳細設計について
  3. 閉会

配布資料 (資料は全てPDF形式となります。)

≪1.開会≫

○太田参事官 本日は、皆様、お忙しいところをお集まりいただきまして、誠にありがとうございます。

ただいまから、消費者委員会公共料金等専門調査会第15回電力託送料金に関する調査会を開催いたします。

本日は、所用により、白山委員が御欠席との御連絡をいただいております。

続きまして、議事に入ります前に、配付資料の確認をさせていただきます。お手元の議事次第に配付資料を記載してございます。不足等がございましたら、事務局までお知らせください。

なお、本日の会議はウェブ会議による開催となります。公開で行いますが、感染拡大防止の観点から、一般傍聴者は入れず、報道関係者のみに傍聴していただいての開催となります。議事録につきましては、後日公開することといたします。

ウェブ会議による開催に当たりまして、これまでと同様、御発言時以外はマイクをミュートにしていただくこと、御発言の際はあらかじめチャットでお知らせいただき、座長からの指名の後、冒頭にお名前をおっしゃっていただくことなどをお願い申し上げます。

それでは、野村座長、以後の議事進行をよろしくお願いいたします。


≪2.託送料金制度改革等の詳細設計について≫

○野村座長 ありがとうございました。

本日の進行について、途中で私の回線が切れた場合は、復旧するまでの間、座長代理に、座長代理の回線も併せて切れてしまった場合には事務局に進行をお願いいたします。

それでは、議事に入らせていただきます。

本日の議題は「託送料金制度改革等の詳細設計について」です。

資源エネルギー庁から、第9回、第10回、第11回、持続可能な電力システム構築小委員会における制度設計の検討状況について御説明いただきました後、質疑応答及び今後の検討に向けた意見交換を実施したいと思います。

なお、本日は、消費者庁から吉田調査・物価等担当参事官にお越しいただく予定ですが、遅れての御到着と伺っております。

また、資源エネルギー庁から電力・ガス事業部政策課電力産業・市場室、下村室長にお越しいただいております。

御多忙のところ、御協力くださり、誠にありがとうございます。

それでは、資源エネルギー庁様から、30分程度で、第9回、第10回、第11回持続可能な電力システム構築小委員会の検討状況について、御説明をお願いいたします。

よろしくお願いいたします。

○資源エネルギー庁下村電力産業・市場室長 おはようございます。

電力産業・市場室の下村でございます。

本日は、配電事業の検討状況について、第9回、第10回、第11回のエネ庁の審議会での検討状況ということで御指示をいただきました。3回分、資料が130ページ以上にわたるということで長くなってしまいましたので、私の説明も要領よく説明するように努めたいと思いますが、ちょっと長くなる可能性がある点、御容赦いただけますと幸いでございます。

なお、このエネルギー供給強靱化法では、配電事業ライセンスを含めて、アグリゲーターとか、計量とか、様々な分散グリッドを推進していくという観点で詳細設計をしています。そうした理念の下でこうした配電事業を進めて制度設計を進めているところでございます。

最初に、資料の2ページからが、第9回、今年の3月に行った内容でございます。こちらでは、この場でも、是非事業者の声もよく聞くべきといった御指示もいただいていたところでございます。

6ページでございます。今年の2月には、約420社の関係事業者、自治体、団体等が登録する分散型エネルギープラットフォームを開催いたしまして、地域マイクログリッドの構築や配電事業の実施に向けた課題等について事業者間での議論を行っていただいたところでございます。当方では、こうしたビジネスの事業環境整備に資するため、分散システム導入プランなどといったガイドラインなどを作っていくことが有効ではないかといったことも提案してきてございます。こうした意見を吸い上げていきたいと考えてございます。特にこれはまだ3月の段階でありましたので、まだ制度の先行きが見えないねといった御意見などもありました。第9回、第10回、第11回と私どもの審議会での議論を重ねてございますので、また後でこの話は出てまいります。そこで振り返りたいと思います。

10ページからが、第10回の審議会の概要でございます。ここでかなり制度の幹のところについて御議論いただきました。

まず、12ページ、論点マル1全体の業務フローの設計でございます。

13ページでございます。この制度は、来年の4月を施行日としてございます。ここに向けて現在詳細設計の審議を行っているところでございまして、これで取りまとめができましたら、省令等の詳細設計、整備を行うという段取りになってまいります。

14ページでございます。今度は事業者から見たらどういうフローになっていくのかを整理したものでございまして、大きく3つの行政との関係での申請行為があるということでございます。まず、配電事業を営もうとするものは、この絵の左側、赤い点線で囲ってございますけれども、事業参入の許可を得ていただく必要がございます。こちらについては、行政側で当該事業者の適格性、経理的基礎、技術的能力あるいは計画の確実性などを確認する。それで差し支えないようであれば、電力・ガス取引監視等委員会の意見も聞いた上で許可を行うというフローになってまいります。許可が得られた事業者になりますと、今度は、今回の配電事業は一般送配電事業者からの設備を借り受け、又は、譲渡を受けて参入することも可能となることを想定したスキームでございます。したがいまして、この借受けないし譲渡を行う場合にあっては、引継計画を作っていただきまして、こちらも国に申請いただき、差し支えなければ承認を行うということでございます。なお、自ら設備を構築して行う事業にあっては、引継計画の作成はございません。この中では、譲渡ないし貸与の引継ぎが適切に行われているかどうか、あるいは、維持・運用が適切に行われる見込みがあるかどうか、さらには撤退時にも備えた準備が整っているかなどについて審査を行っていくことになります。ここで設備のリース料もこれまでも御報告させていただいておりますけれども、ここが固まりますので、それに基づいて今度は託送料金の設計をしていただくことになりまして、配電事業者による託送約款の作成、これを国に届け出ていただく。これが不適切な場合には、国からは変更命令が出る。このことをもってその適切性を担保していく。こういうふうに主に3段階があるということで御理解いただいた上で、この先の詳細設計の御議論を深めさせていただければと考えてございます。

15ページを御覧いただければと思います。この3つの関係性を更に事業のフェーズごとに分けて整理したものでございます。配電事業者側から見ますと、参入の準備を行う。いざ参入ができたら、事業が実施される事業期間がある。さらに、撤退に備えた撤退の準備がある。これはもちろん撤退に行かないに越したことはないわけですけれども、そうしたことまで備えて準備をしておく必要がある。これは電力の安定供給をきちんと確保する観点からということになります。参入の許可は、参入の準備の段階で許可を行うことになるわけでありますけれども、引継計画は参入準備段階での引継ぎ、事業実施中の適切なメンテナンスと維持・運用も含めた運用面の引継ぎ、さらに、設備を一般送配電事業者にお返しするというところの引継ぎという3つのフェーズにまたがって効力を有する計画であるという位置付けでございます。託送供給約款は、もちろん事業の実施期間中に有効になる約款であるという整理でございます。

16ページでございます。これは後でも出てまいりますけれども、特に需要家との関係がこの配電事業の法案の段階でもかなり議論があったところでございます。この点をしっかり詳細設計で担保していきたいと考えてございまして、実際に参入許可を得た事業者であっても、引継計画が適切に作られずに、需要家保護も含めた適切な履行が見込まれない場合には、引継計画が承認できないといった事態もあり得ることを整理してございます。この詳細は後で出てきますので、そちらで御説明させていただきます。

18ページを御覧いただければと思います。配電事業を営もうとする者は、まだ電気事業者法の許可を得ていない事業者でありますので、例えば、17ページにあるような情報の目的外利用の禁止という電事法の規律がかからないものになります。こうした者がどうやって情報を得るのか。事業計画を策定する上でも一般送配電事業者等が有する情報に接しなければなかなか検討できませんので、そこでどういう情報にアクセスできるかといった整理がこの18ページでございます。例えば、このマル1でございますけれども、論理的に参入許可申請時に必要な情報が得られなければ許可申請ができないとなってしまいますので、例えば、ここに書いてある総需要や時間帯別の需要、リース料あるいは一般送配電事業者への委託料の見積額、この段階ではまだ事業計画もよく分からないので見積りになりますけれども、その他競争環境を阻害しない情報であって配電事業の検討に必要な情報については、許可の申請前、準備段階で提供できるような仕組みとする必要ではないかということでございます。参入許可後は、電気事業法の規律のかかる事業者になりますので、電気工作物に関する情報など、より具体性のある情報が供与できるようになっていくという考え方の整理でございます。なお、マル2にございますとおり、今は、送配電事業者は分社化をしてございまして、発電設備の設置でも同様の問題があるところでございます。どこに太陽光あるいは風力発電所を設置しようかということを検討するに当たっては系統情報が入手できなければその検討が難しいということで、これも系統情報ガイドラインでこうした情報については発電設備を設置しようとする者に提供することが必要であると示されてございますので、これは配電事業を営もうとする者に対しても同様の情報提供が必要であるということで整理するのがよいのではないかということでございます。

今の詳細が19ページで書いてあるところでございます。

23ページを御覧いただければと思います。参入許可基準の詳細設計でございます。

25ページにありますとおり、これまで一般送配電事業者と配電事業者のかなりテクニカルな業務内容についても一度御説明させていただきましたけれども、配電事業者の規制体系は、基本的に一般送配電事業者と並びを取っているものでございまして、事業規制は許可制になります。

適用される規制を、27、28、29ページで整理してございます。

その上で、30ページ、参入許可基準でございます。基本的にはこうした規制体系でございますので、1ポツ、配電事業者の参入許可基準は一般送配電事業者の参入許可基準に倣うことが基本であると考えてございます。その上で、この法律の制定に当たって審議会で整理いただいた中間取りまとめでは、配電事業者から個々の需要家に対して配電網の担い手が変わることへの通知が行われること、あるいは、事業を開始する地域の自治体等の関係者への事前説明が丁寧になされるべきだろうといった取りまとめをいただいているところでございます。また、参入許可後にも、一般送配電事業者から詳細な情報を入手した上で、より詳細な事業の設計ができてまいりますので、そうしたより具体的な設計に基づいて、そうした情報も含めてきちんと需要家等に説明が行われることが重要であると考えてございます。このため、この参入許可基準の中では、マル1、マル2でありますけれども、自治体や需要家等への事前説明会等や通知が、まず、許可申請の前段階で十分になされていることに加えまして、参入許可後も事業開始までに改めて十分な説明等がなされると認められることと加えてはどうかというのが1点でございます。その上で、マル2でございます。いいかげんな運用をして撤退してしまうことがあってはなりませんので、撤退時に備えた取決めについてもこの許可基準の中で見ていくにことにしてはどうかということでございます。これらのテーマは後でまた出てまいります。4ポツ目でございます。配電事業者は、当初は周波数調整や全部が一般送配電事業者並みにできることはなかなか難しいですねといったことを御説明させていただきましたが、そうはいってもずっと一般送配電事業者に従属した事業であり続けるわけにもいかないことも考えてございます。このため、参入の許可に当たっては、私どもは技術的能力といった審査が必要になるわけでございますけれども、将来的には委託によらず、自ら技術的能力を獲得していく見通しも事業計画書に記載していただいてはどうかということ。さらに、FIT賦課金等も納めていただく必要がございますので、こうしたものの適正な支払いも審査をしていくこととしてはどうかとさせていただいてございます。

32ページでございます。これは先ほど申し上げたことでありますけれども、許可に先立って十分な説明が行われることが重要でありますけれども、ここで得られる情報には制限があるということで、前段階での説明、参入許可後に供給条件や託送料金等の具体的な内容を含む説明会などを行っていただく予定を確認することとしてはどうかということ。許可をしたら後は自由にやってしまって良いという訳にもいきませんので、特に後段のほうについては引継計画の中でこの説明会等の実績を書いていただいて、この中でその実行を担保していくという制度設計としてはどうかというのが32ページの整理でございます。

33ページは、白地参入の場合はありますけれども、白地参入というのは、現に需要家がいない地域で配電事業を始めるといった場合でありますので、この場合には引継計画がないわけですけれども、住民もいらっしゃいませんので、ここはこの引継計画の外側の仕組みで対応していくこととしてはどうかという整理でございます。

34ページ目、撤退時に備えた取決めでございます。万が一のことがあるといったことも想定しておく必要があると考えてございます。このため、配電事業者の撤退時の一般送配電事業者への設備の返却等に係る取決め、また、住民説明が必ず必要になりますので、あるいは関係者との調整も含む業務フローについても審査をすることとしてはどうかと整理させていただいてございます。事業、ビジネスの話になってまいりますので、割愛します。

39ページが、論点マル5、引継計画の承認基準でございます。

41ページでございます。2ポツ目でございますけれども、この引継計画においては、特に安定供給確保あるいはクリームスキミングの防止といった観点、さらには自治体や需要家等への確実な説明をしていただくことが必要であると考えてございます。こうしたものを踏まえまして、以下の内容を審査することとしてはどうかということでございます。まず、1点目は、当然ですけれども、託送供給等の業務の引継ぎが適正に行われること。2番目、自治体・需要家等への説明会等が適切に実施されていること、許可の段階では見込みを審査しますけれども、この段階では適正に実施されているという実績を確認することになります。3番目、設備の維持、運用、保安の確保のために必要な業務の引継ぎが適正であること。災害時等の自治体等の関係者との連携に関する引継ぎが適正であること。撤退時の設備業務の引継ぎが適正であること。さらに、マル6リース料が適正に設定されていること。こうしたことを見ていくこととしてはどうかということでございます。

これらも踏まえまして、44ページでございますけれども、引継計画には以下のような内容を書いていただいてはどうかということでありまして、その説明会等の実績であったり、対象設備の情報、6ポツ目、保安の責任主体、責任分担、この保安規制は基本的に配電事業者に課されることになります。こうしたときに、例えば、どの設備の保安を配電事業者がどのように履行するのかとか、そうしたことの分担を記載していただく必要があろうかということでございます。自治体等の関係者との連携情報、さらに、配電事業者の撤退に備えた取決めということで、設備の返却の方法あるいは原状回復の内容。仮に貸与設備の価値が著しく下がった場合の求償内容、第三者譲渡、又貸しの取扱い、これは後でも論点に出てまいります。あとは、撤退時に備えた保証金の設定。自治体・需要家等への説明会等の実施方法などといったことを書いていただくこととしてはどうかということでございます。

譲渡料、貸与料の適正な算定について、45ページでございます。これは一度この場でもまた御議論いただきましたけれども、設備の内容が同じであっても、都市部の設備と山間地などの需要の少ない場所での設備では、全く同じ設備であってもそこから得られる期待収入が全く異なるということでございます。このため、その設備の持つ価値も異なりますので、当該エリアの託送料金期待収入、赤色から、配電設備の維持運用費用という青色でございますけれども、AからBを引いた価格をベースにリース料を設計するというのが適当ではないかと、こちらは電力・ガス取引監視等委員会でも御議論いただいているところでございます。こうした考え方で設定されたリース料等について、引継計画の中で記載いただくということでございます。

48ページが、論点マル4、配電事業者による託送供給等約款でございます。

こちらについては、重要な基準が50ページでございまして、特にこの配電事業の託送料金が一般送配電事業者の託送供給等に係る料金に比較して適正な水準であることという基準が定められてございます。こちらについてどう考えるのかということが電力・ガス取引監視等委員会において議論されたわけでございますけれども、この託送料金は、単価の水準がプラスマイナス5パーセント以内であることといった整理が電力・ガス取引監視等委員会で行われているところでございます。

したがって、配電事業者の託送供給等約款を届け出ていただいたら、この基準に照らして適正か否かということを判断していくことになってまいります。

53ページが、撤退時に備えた基準でございます。

55ページを御覧いただければと思います。配電事業者が撤退をする場合のベースケースといたしましては、(1)配電事業者が撤退をして一般送配電事業者に設備や業務が戻ることが最もスタンダードであると考えられるわけでございますが、(2)配電事業者が他の配電事業者に事業を承継したり譲渡したりするといったことも想定し得るわけでございます。それぞれのケースごとに整理をしてございます。

56ページでございます。まずは、配電事業者から一般送配電事業者に移行する場合でございます。こちらについては、許可申請書類、あるいは引継計画の中で撤退時の計画を書いていただいているところでございますけれども、それに基づいて、設備がきっちりと原状回復された上で一般送配電事業者に返していただかないと、急に返されても安定供給を維持できないということになってしまいます。このため、撤退のための事業計画を策定していただきまして、その計画が当初の想定のとおり、きちんと返していただけるという内容になっているかといったことを審査し、撤退は許可制になりますので、許可をするという形としてはどうかということでございます。

少し細かいところは割愛させていただきまして60ページでございます。一般送配電事業者以外に設備の譲渡し等を行う場合は、現に配電事業者である者に対する譲渡しあるいは今後配電事業者になろうとする者に対する譲渡しが想定されます。現に配電事業者である者に対する譲渡しにあっては、供給区域の増加の許可が必要になります。これから配電事業者になろうとする者に関しては、新規参入の許可が必要になります。いずれにしてもここでその事業者の適格性を審査していくという設計になります。

その上で、61ページでございますけれども、こうした配電事業者から配電事業者の引継ぎを行う場合には、この配電事業者Aから配電事業者Bに引き継ぐ際の引継計画が策定されていることが重要であることに加えまして、引き継がれた配電事業者Bと一般送配電事業者との間での引継計画・取決めもきちんとなされていることが重要になります。これは配電事業者Bがまた更に撤退といったことも想定されるためでございます。こうした観点から2つのことを書いていますけれども、1点目は、設備の貸与をしている場合にあっては、貸借人の地位の移転という形で配電事業者Aから配電事業者Bに権利義務関係も含めて移転をしていただくことを基本といたしまして、そうするとBと一般送配電事業者の関係が維持されることになります。こうした形でその事業の適切性・適格性を維持していくこととしてはどうかということでございます。また、一般送配電事業者から配電事業者Aに譲渡がされている場合に、配電事業者Aが配電事業者Bに転売をすることになりますと、糸の切れたたこ状態になってしまいまして、設備が、配電事業者Aから配電事業者B、配電事業者Bから配電事業者Cへということになりますと、一般送配電事業者ももはや管理し切れないということが起こってまいります。このため、こういう譲渡を行おうとする場合には、一旦は一般送配電事業者に返していただいた上で、さらに、そこから配電事業者Bに引き継ぐという形で、改めて配電事業者Bと一般送配電事業者との間で共同しての引継計画を作っていただくことを基本としてはどうかということでございます。

64ページでございます。事業者からの報告内容等でございます。

65ページでございます。配電事業者が特に財務面あるいは設備管理面の悪化によって十分に準備期間のない撤退が行われる場合には、需要家への影響、安定供給の維持への支障が懸念されます。このため、財務面にあっては、電気事業会計規則におきまして、一般送配電事業者と同様の財務諸表の作成を求めて提出いただくこととしたらどうかということ。設備管理面にあっては、仮に撤退する場合は一般送配電事業者が設備を引き継ぐことになりますので、一般送配電事業者が、その引継計画などにのっとって、適切に設備の維持・運用がなされているかを確認する、保安規定で定める頻度を目安に確認を行っていくこととしてはどうかという整理をさせていただいてございます。

67ページは、先ほどと同様の話なので、割愛します。

74ページからが、論点マル6、兼業規制に係る基準でございます。

ここについては、77ページを御覧いただければと思います。配電事業者の一つの魅力として、ドイツのシュタットベルケのような事業モデルが想定されるところでございます。こうした際には、インフラも運用するし、小売電気事業も行うことが想定されるわけでございます。一方で、配電事業者は一般送配電事業者と同様に中立性の確保が求められることから、電気事業法上は原則、小売電気事業、発電事業又は特定卸供給事業との兼業が規制されてございます。ただ、冒頭申し上げたとおり、こうした兼業を行うことが、ひいては需要家のメリットになるといったことも考えられます。このため、一定規模未満の配電事業の兼業にあっては、電気の使用者の利益を確保するため特に必要であるものとして例外的に認めていくといった運用は適切ではないかということでございます。例えば、EUでは、EU指令において、10万件以上の送配電事業において兼業が認められているというものでございます。他方で、今欧州で営業する2400のDSOのうち兼業していないDSOが189ということで、中立性確保の観点から懸念する声もありまして、国によっては別の基準を設けているところもあります。配電事業は日本でも初めての試みということでありまして、日本でも、例えば、これらの例も踏まえまして、5万件の基準を適用することとしてはどうかというのがここで審議いただいた内容でございます。

もう一点、78ページでございます。他方で、一般送配電事業者の中立性って本当に大丈夫かということで、昨年、法的分離を実施し、やっと分社化をしたわけでございますけれども、こうした配電事業の兼業を認めることによって、例えば、一般送配電事業は子会社を作っていろいろな地域で兼業を行うという事業活動も想定されるところであります。仮にそういうことが起こりますと、これまで法的分離を行ってきた趣旨が損なわれてしまう恐れもあると考えてございます。

これらの懸念も踏まえまして、この78ページの4ポツが結論でございますけれども、配電事業は原則禁止で認可をした場合にその適用を除外し兼業を認めるという法体系になってございますけれども、その適用基準といたしましては、配電事業者等の需要家数の合計が5万件を超えないことを原則として、5万件を超える場合であっても、その供給区域の自然的・社会的条件等を勘案して兼業を認可することが必要と認められる場合には兼業を認めることとしてはどうかということでございます。米印に書いてございますけれども、例えば、5万を超える場合であっても、例えば、本土の系統と接続されていない離島などでは、6万件でも兼業することが合理的という地域もあり得ると考えてございまして、5万件を超える場合であっても特に必要と認められる場合には兼業を認めることとしてはどうか。その上で、一般送配電事業者のグループ会社にあっては、その区域内において兼業を認めないこととして、法的分離の趣旨を担保していくという設計としてはどうかということで、審議会で御審議いただき、おおむね方向性に御賛同いただいているところでございます。

以上、全体を整理いたしますと、85ページでございます。配電事業者になろうとするものは、施行後でも良いのですけれども、施行前に申請の準備をしていただくことになります。この際、一般送配電事業者から必要な情報を提供いただいて準備いただく。そこで得られる情報の範囲内で、まずは自治体あるいは需要家等への説明会等を実施していただいて、許可申請をいただく。これらがちゃんとできている場合には許可をするわけでございます。

許可をすると電気事業者になりますので、より詳細な情報の提供がなされまして、これらを基に具体的な供給条件あるいは託送料金の設定を行う。これをもって、再度需要家説明などを行っていただきます。これらの履行も踏まえまして、引継計画の承認申請をいただいて、これらがちゃんとできている場合には承認を行う。さらには、託送供給等約款を作成いただいて、届出を行い、必要な記載が盛り込まれていれば、託送供給等約款が実施に至り、事業が開始されていくという業務フローを基本としてはどうかという設計でございます。

87ページを御覧ください。これらの提案をしておおむねエネ庁の審議会の中では御賛同いただいたのですけれども、幾つかコメントもありまして、それらの残りの論点について、ちょうど昨日になりますけれども、審議会で御審議をいただきました。

91ページを御覧いただければと思います。1点、撤退への備えでございますけれども、引継計画等でその準備をきちんと記載して担保するということは分かるのだけれども、事業リスクは様々であり、当初予定していた引継計画や私契約が履行できないことも起こり得ると。そもそも配電事業は利益率が高くなく、他の事業の影響で会社全体の財務状況が悪くなるといったこともあり得る。こういった場合に、誰がその設備の補修を行うのか、その設備補修費用などを託送料金で回収できるのかなど、引継計画等に基づいて原状回復義務を履行できなくなったときの対応方法についてより詳細な検討が必要ではないかといった御意見をいただきました。

これについては、賛否両論がありまして、93ページで提案をしてございます。先ほど御説明したとおり、一般送配電事業者による定期的なモニタリングの中で設備の保全を行っていただくことを基礎ということで御説明申し上げました。それに加えまして、引継計画の中では保証金の設定も御説明申し上げました。この積立金が有効に使えると考えてございまして、一般送配電事業者は、設備がものすごく毀損をするという前の段階で、この定期的なモニタリングを通じて必要な保全等が行われていない、配電事業者にそれを履行していただけないといった場合には、この保証金を取り崩して設備の維持・保全を行っていただいてはどうかということでございます。なお、この際に、保証金がすごく大きくなってしまいますと、今度は配電事業参入へのディスインセンティブとなってしまう懸念もあるということでもありました。したがって、こうしたモニタリングを適切に行う、例えば、頻度とか、やり方とか、そうしたことも踏まえて保証金の額を設定していくことが重要ということも付言させていただいてございます。その上で、この保証金を充当して保全を行った場合には保証金が取り崩されるわけでございますけれども、前回の御指摘のように、配電事業者の財務が毀損してしまっていまして、この保証金を積み直すことができませんといった場合には、今後、設備の保全が適切に行えない、どんどん毀損してしまうといった蓋然性が高いと考えられますので、このように保証金も積めないといった状況が見られる場合には撤退の申請をしていただくというところまで含めて引継計画に記載することとしてはどうかということで御提案をさせていただいてございます。仮に、こんなことあってはなりませんけれども、配電事業者が撤退をしてしまうことになりますと、一般送配電事業者にその設備が戻されるわけでございますが、戻された暁には、一般送配電事業者はもともとの一般送配電事業者の設備と同様の基準で保全などを行っていただくことになりますので、そういう形で、ものすごく大変な状況になる前の段階で気づいて、ひどくなる前の段階で一般送配電事業者に戻すという運用を基本として運用していってはどうかということで御提案したところでございます。

次の論点は、少し細かいので、割愛させていただきます。

98ページを御覧いただければと思います。先ほど一般送配電事業者の託送料金と比較して適正な水準であるかというところで、プラスマイナス5パーセントとしてはどうかという報告を電力・ガス取引監視等委員会からいただいたところでございます。先ほど、そういう御説明をさせていただきました。これに伴いまして、一般送配電事業者のレベニューキャップ制度と併せて考えてまいりますと、一般送配電事業者側の託送料金は、5年に1度、大きな見直しが行われることになります。そういたしますと、その5年に1度などの機会におきまして一般送配電事業者の託送料金が変わることによって、配電事業者の託送料金がプラスマイナス5パーセントの幅に収まらないという状況が出てき得ます。このため、このような状況になった場合には、一般送配電事業者の託送供給等約款の公表から3か月以内に配電事業者の託送供給等約款の変更の届出を求めることとしてはどうかということでございます。その上で、今度、配電事業者が託送供給等約款を変更いたしますと、小売電気事業者も、システムの改修や料金の変更等が必要になってくる場合がございます。このため、そちらの準備期間も踏まえますと、配電事業者の託送供給等約款の公表はその実施の3か月前としてはどうかということを併せて整理をさせていただいております。

100ページが、先ほども御紹介をした分散型エネルギープラットフォームという事業者等が集まる機会での実施状況でございますけれども、ここでは、101ページにあるように、制度に関する意見あるいはビジネスに関する意見など様々な御意見が出てきたところでございます。

この段階で制度も大分議論が進んでまいりましたので、ここで出てきた疑問に対しまして、今こういう議論の進捗状況ですということを、102ページ、103ページで整理をしてございます。この内容は、今ここで御説明させていただいているような内容でございます。

その上で、事業者様の声を伺っていますと、この事業に参入するに当たってどうやってマネタイズをしていくのかといったことやどうやって自治体や住民の理解を得ていくのかといったビジネス上の悩みも多く出てきてございます。これは当初の設計段階からも想定していただいたことでございまして、ゆえにガイドラインである分散システム導入プランといったものを作ってはどうかということを当初から提案していたわけでございます。

そこでの内容といたしまして、こうした内容を盛り込んでいくこととしてはどうかというのが104ページでございます。ここでも御説明させていただきましたけれども、分散型グリッドを推進していくことは、地域の電力供給のレジリエンスの向上であったり、地域の再エネを最大限活用していくといった、様々な意義が認められると考えてございまして、それは是非推進をしていきたいと考えてございます。こうしたことを国が考えているということを明記していくと、事業者も、自治体等へ、あるいは需要家様への説明にも資すると考えられますので、この意義をしっかりまずは記載してはどうかというのが、この(1)でございます。その上で、「2.分散システムの導入の手引き」と書いてございます。今回は、新設する配電事業、すなわち、設備をリースして参入することも可能とする制度設計を中心に、新たな制度として詳細の議論をいただいてございますけれども、こうした分散型のグリッドは千葉県睦沢町の例なども御紹介させていただいてございますけれども、ディベロッパーと一緒にその地域の配電線を自営で引いて分散型の運用を既に行っているといった事例も各所で既に出てきているところでございます。こうしたものと配電事業との区分、その整理、違いについて御紹介するとともに、既にこうしたものが動き始めてございますので、こうした動き始めている事業のグッドプラクティスなどを大きな2番の中で紹介させていただく。これが配電事業になろうとする者あるいは分散型システムのさらなる拡大にも有益ではないかと考えてございます。3番でございます。今ここで御説明させていただいている制度設計が固まってまいりましたら、事前の段階ではこういう一般送配電事業者から情報をもらってくださいねとか、こういう段階ではこういう許可申請が必要になります、などという形で、事業者目線でその事業参入に必要な許認可事項あるいは遵守すべきガイドラインなどを整理していくということをしてはどうかということでございます。併せて、冒頭に申し上げたとおり、今回、分散型グリッドの普及を推進するに当たって、配電事業だけではなくて、特定計量、データ活用あるいはアグリゲーターといった周辺制度環境も整備してございますので、これらも御紹介することとしてはどうかということでございます。

参入許可について、追加論点、107ページでございます。アメリカでは、石油のパイプラインがサイバー攻撃を受けたといったことも報道されてございまして、近年では重要インフラを狙ったサイバー攻撃も出てきてございます。配電事業者も、配電エリアで事業をやっていただくわけですけれども、万一のことがありますと、電力系統にも支障が生じかねないということを大変心配してございます。こうした観点から、配電事業者は、保安責任が課されます。電力事業におけるサイバーセキュリティ対策は、保安義務に位置付けられてございますので、この技術基準への適合という中で、サイバー対策も含めた設備の保全を行っていただくことが配電事業者の義務になってまいります。したがって、ここで担保をしていくことになるわけですけれども、それだけではなくて、許可の段階からこうした対策をきちんと行うことができるかといったことも含めて審査をしていくことが重要ではないかということを整理してございます。

109ページ、110ページが託送供給等約款の関係でのさらなる論点でございまして、平成28年に小売の全面自由化を行ったところでございますけれども、まだ一般電気事業者の規制料金が経過措置として存続をしているというのが現状でございます。このため、配電事業者の参入が増えてまいりますと、それに応じた料金設定が必要になってまいりますので、これに対応したシステム改修あるいは需要家への説明が必要となってまいります。

したがって、それをしっかりやっていくということであるわけですけれども、110ページを御覧いただければと思います。一方で、特にこの配電事業の制度開始当初においては、配電事業への参入事業者数あるいは規模等の見通しが立ちにくいと。こうした中で大きなシステムをどんと作って料金改正を柔軟に行うことができますということをすると、便益を上回る費用を要してしまうといったことも懸念がされます。そうすると、かえって需要家の不利益になるとも考えられることから、一定の合理性が認められる場合には、配電事業エリアの託送料金によらず、周辺の一般送配電事業エリアの託送料金を基にした経過措置料金の設定を認めるといった柔軟な運用を行っていくこととしてはどうかと整理してございます。

111ページでございます。配電事業者の託送供給等約款は、先ほどのプラスマイナス5パーセントという基準の範囲内にはなりますけれども、例えば、お昼で太陽光がたくさん出るときには託送料金を安くするとか、EVと連携をしたメニューについては特別料金を設けるとか、様々な創意工夫をしていただくことも可能という仕組みになってございます。一方で、一般送配電事業者の託送約款におきましては、ブレーカーをしっかり取りつけることとか、保安上必要な内容などもしっかり記載がされている部分でもございます。配電事業者の託送供給等約款においても、こうしたものについては必要だと考えられます。一方で、新しい創意工夫によって、こういったことによって別の他の担保ができるので大丈夫ですということかもしれませんけれども、配電事業者が独自の設定を行うことについては、その場合には問題はないかということを確認の上、審査をしていくこととしてはどうかという整理をしてございます。

少々説明が長くなりましたけれども、論点の全体像が、115ページ、マル1からマル11ということで、これまで詳細設計の審議をしてきたところでございます。

かなり審議を重ねてまいりまして、119ページ以降のオレンジ色の紙のところで、これまでの審議内容ざっと整理をしてございます。かなり重複が多くなりますので、ここでの説明は割愛させていただきます。

最後に、レベニューキャップでございます。こちらについては、現在、電力・ガス取引監視等委員会での議論が進んでいるところでございますけれども、131ページ、特に東京電力パワーグリッドにおいては、福島第一原子力発電所の廃炉の円滑・着実な実施を担保するために、東京電力パワーグリッドの経営合理化努力による利益を廃炉に充てられる託送収支上の制度が現に行われているところでございます。こうした趣旨については、レベニューキャップ制度導入後も必要になるということで、説明させていただきました。

電力・ガス取引監視等委員会の議論も少し進んでまいりましたので、132ページで、この話を一歩進めてございます。まず、期初と期中という中で、期中における収入上限の算定時におきましては、これまで現行の託送制度において東京電力パワーグリッドが特別に実施してきた合理化で捻出してきた額を引き続き廃炉に活用するという観点から、過去の廃炉等負担金の実績値を踏まえた上で収入上限に参入することを可能とすると。その上で、制度開始後、期中でございますけれども、東京電力パワーグリッドは想定をしていた額を毎年捻出することを基本としつつも、コストのさらなる効率化によって計画以上の利益を発生した場合には増額を可能とすると。ただし、系統利用者への還元に支障のないで範囲で対応する。また、災害等の外生的要因により他の費用が増加した場合には、他の事業者と同様の判断基準の下に扱い、廃炉等負担金を圧縮するようなことはしない。こうした方向性で、さらなる詳細運用は電力・ガス取引監視等委員会で検討していただくこととしてはどうかということも併せて審議をしてございます。

なお、136ページ以降において、このレベニューキャップ制度の現在の議論の状況を改めて整理もしてございます。簡単に触れますと、論点マル1が全体のフローでございまして、この詳細設計は年内を目途に行っていくことになります。来年、令和4年でございますけれども、一般送配電事業者から申請をいただく。レベニューキャップの審査が行われまして、令和5年4月から新しい料金が開始されるスケジュール感となってございます。

137ページでございます。論点マル2、基本的な考え方でございまして、規制期間は5年ということで、5年ごとに定期的な洗い替えを行うことになります。日本全体の電力システムのより大きな便益につなげる観点から、達成すべきアウトプット項目、例えば、停電の削減であったり、サービス品質の向上、再エネ等の系統連系円滑化などを例示いたしまして、達成すべきアウトプットについては、一般送配電事業者に目標を設定していただきまして、達成をした場合にはボーナスを付与するなど、インセンティブの働く仕組みとする。現在、これらの詳細設計について、電力・ガス取引監視等委員会で御審議をいただいているところというステータスでございます。

138ページでございまして、レベニューキャップの審査状況と、論点マル4、託送料金の算定方法は、現在、ここに書いてあるように、目標を設定して、その目標に照らして、CAPEX、OPEX、必要な費用が盛り込まれているかということ。これを統計査定なども用いて、事業者間比較などによる効率的な単価費用の査定を行うことなどについて、現在、電力・ガス取引監視等委員会で議論をしていただいているところでございます。

139ページでございます。論点マル5、マル6、マル7は、今度は、期中、5年に1度にした後、その5年の間でありますけれども、その間にどういう場合にレベニューキャップの変更を行うか、託送料金の変更をするかなどについて御議論をいただいてございます。

論点マル8、次の規制期間に至る際に、それまでの効率化努力をどのように保持し、又は、利用者に還元をするのかといった論点も現在審議中というステータスでございます。

以上が、本日の御説明内容でございます。御審議のほどよろしくお願いいたします。

○野村座長 どうもありがとうございました。

丁寧な御説明をいただきましたので、理解が深まりました。

そうしましたら、議論の整理のために、前半と後半に分けて進めたいと思います。前半に関しましては、第9回と第10回、今の資料1ですと86ページまでとなります。後半部分は、第11回の審議会の内容ということで、資料1の87ページ以降になります。時間が限られておりますので、およそ20分ずつということで想定しております。

そうしましたら、前半の第9回と第10回の構築小委の論点に関しまして、御意見、御質問のある方は、チャット欄に御投稿いただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

それでは、寺田委員からよろしくお願いします。

○寺田委員 寺田です。

後ろのほう、兼業の辺りですけれども、77ページか78ページぐらい、兼業の5万軒基準です。こういうふうにはっきり決めていただくのは大変いいと思うのですけれども、非常に重要な問題だし、フィンランドと言われてしまうと、多分フィンランドで5万軒以上の都市は5つぐらいしかないと思うので、その辺の相場で安全側を取って少なめの5万軒にしたというのが本当にいいのかどうかという辺り、議論があれば教えていただければと思います。

○野村座長 いかがでしょうか。

○資源エネルギー庁下村電力産業・市場室長 ありがとうございます。

77ページの下から2つ目のポツの米印にも書いてありますけれども、例えば、日本で照らしてみますと、日本の全国の需要家が契約地ベースで約8800万口ありまして、配電用変電所は全国で5,700か所ございますので、1変電所当たりの平均は1.5万軒であります。こうしたことも勘案して、どれぐらいの規模の人口が対象になるのかと議論してまいりました。おっしゃるとおり、配電事業は国内初めての事業でありまして、最初から兼業規制のラインを欧州と同等のレベルで認めることがどうなのかといった論点も確かにあるのだと考えています。このような日本の系統構成も鑑みまして、こうした5万軒といった提案をさせていただいたところでございます。

○野村座長 ありがとうございます。

次の78ページの米印のところも御説明いただきました。5万軒を超える場合であってもということでしたので、5万軒に限定するのはどうなのかということですが、御説明では、それを超える場合も離島等では勘案するというような御説明があったかと思います。

いかがでしょうか。寺田委員。

○寺田委員 ありがとうございます。

数字自体にこだわるわけではないのですけれども、重要なことなので、仮に少し制限的なところからスタートをするにしても、状況を見て、日本は欧州より人口密度が高く、需要家も集まっているので、兼業の自由を与えていく方向が望ましいかなとは思いました。

○野村座長 ありがとうございます。

そういう御意見があるということを御理解いただきたいと思います。

○資源エネルギー庁下村電力産業・市場室長 78ページで説明を割愛してしまいましたけれども、事業をまだやっていなくてどういう事業者か入ってくるか分からない中での議論にもなかなか限界があるなと思ってございまして、一番下、以上の議論は制度開始時点において得られる情報から検討を行ったものである、このため、事業の制度開始後に実際の事業への参入状況も踏まえて必要に応じて見直しを検討していくこととしてはどうかということも併せて付記させていただいてございまして、正に寺田委員の御指摘も踏まえて、制度開始後もしっかり状況を見ながら、この基準が適正かどうかということの見直しの検討はしていきたいと考えてございます。

○寺田委員 ありがとうございます。

○野村座長 ありがとうございます。

そうしましたら、後藤委員から次の御質問をお願いいたします。

○後藤委員 ありがとうございます。

非常に盛りだくさんの御説明をいただきまして、技術的な担保といいますか、需要家に影響の大きい安定供給のところが非常に手続的にもいろいろな御議論を尽くされて、プロシージャといいますか、綿密な御議論がされているのかなと安心しました。

一方で、需要家のメリットを考えますと、配電部門のビジネスが非常に見えにくい面がありまして、需要家からすると、良い製品、商品、サービスが、安価、リーズナブルな価格でやってくることがちゃんとされるのであれば、それがどう運ばれてきたのかというのはあまり気にならない部分があるといいますか、そういう意味では、需要家のメリットがこの制度でどういうところに出てくるのかなという一番基本的なところになりますと、コストがどれぐらい下がるのかというところに関心があるかと思います。一方で、配電事業は非常に収益性が低いという話も先ほどありまして、効率化やレベニューキャップの中で効率化の努力をしていかないといけないという話もありますので、どの程度コストが下がるというような想定で議論がされているのか、その辺りの勘どころみたいなものがあれば教えていただきたいというのが1点です。

もう一つが、技術力の担保という面ですと、どれぐらいの事業者が参入をするのかまだ見えない部分もあるという話がございましたけれども、委託をするという形もあるということで、行く行くは自立をしていくというようなお話もございましたけれども、何か目に見える形で、需要家から見たときに、こういう事業者が、こういうビジネスを、地域に密着した形でやっているよということになりますと、技術力の担保も必要だと思いますし、一方で、サポートといいますか、育成的な面もあるのかなと。地域に密着したサービスの面で、両面が出てくるのかなと思うのですけれども、その辺りは何か御議論等があるのかどうかということが2点目です。

まとめて、もう一点なのですけれども、一番気になったのが、寺田委員からもありました兼業のところでして、配電部分が見えにくいのは、需要家から見えているのは小売の部分でありますので、兼業をして、配電、売るという形になってくると、より見えやすいし、どんな新しいサービスが出てくるのかなという期待感もあるところかと思います。一方で、兼業をして、先ほど5万軒というお話がありましたけれども、そこでまた育成みたいな話も出てくるかと思いますが、どんな新しいビジネス、商品、サービスが出てくるのか、その辺りの議論はどんなことがされているのか。需要家としては、そこが、新しいアイデアでこんなビジネスが配電や小売でもできるんだよというところは非常に期待が持てるところかと思っていますので、そういったところもどんな御議論があったのか教えていただければと思います。

○野村座長 下村室長、3点、よろしくお願いいたします。

○資源エネルギー庁下村電力産業・市場室長 ありがとうございます。

なかなか私から説明が難しいものもありますけれども、まず、コストが下がるのかということについては、これはなかなか分からないところであります。電力・ガス取引監視等委員会の基準でもプラスマイナス5パーセントということで御説明がありました。安ければいいのかといったときに、本当に安い場合に現在のサービスレベルは維持できるのかといった論点は他方であるという中で、プラスだけでなくてマイナスの5パーセントという基準も示されているところでございます。今の一般送配電事業者も、配電自動化システムを運用していまして、かなりの程度無人化でやっていたりします。こうした中で、すごいイノベーションでもって、ものすごく劇的にコストが下がるのかというと、必ずしもそうではないということを考えています。

一方で、コストの今後の抑制ということは考え得ると考えています。何を言っているかというと、これも一度確かこの場でも御説明させていただきましたけれども、再生可能エネルギーが非常に増えてきている中で、配電系統につながる分散型電源が増えてきています。こうした中で、配電エリアの系統をどんどん増強せねばならないというところでのコスト増が、今、潜在的に控えている状況でございます。こうしたものについて、より柔軟な運用を行うローカルフレキシビリティーとか、最近諸外国でもはやっておりますけれども、運用でカバーするということは、本当に混雑するときには抑制をする、運転停止することになってまいりますので、今度は再エネ側の理解も必要になってくるわけです。そういう運用面で系統コストを抑制するというイノベーションの導入余地は、この事業によって拡大してくるのではないかということは期待をしているところでございます。

もう一点は、この事業を行う上で当初から想定をしていたものとしては、レジリエンシーの高まりでございます。現に千葉県の睦沢町ではスマートウェルネスタウンというところで、配電事業ではありませんけれども、特定供給というスキームを使って自営線を引いて、複数戸への電力供給を自立的に行っていただいております。こうした中で、千葉県房総沖の大災害があったときに、100万軒近くの停電が発生したわけでありますけれども、ウェルネスタウン、道の駅を中心とした区画は電気の供給が継続されました。こうしたところを使って、周辺の地域住民も道の駅のシャワーを使うことができたといった便益があったわけでございます。こうしたレジリエンシーの観点からの便益が、1つ、需要家のメリットとして考えられます。

さらには、先ほど配電系統の設備コストの抑制にはつながり得るといった御説明をさせていただきました。そういうことがどんどんできるようになってまいりますと、地域の再生可能エネルギーを地域で使う比率がより高められていく潜在性もあると思っています。

消費者から見えやすいか見えにくいかについては、地産地消のビジネスを行う方の発信次第というところもありますけれども、そういう配電のところまで合わせて運用を行うことによって地域の再エネを使った電力供給をより高めていくという意味での効果を期待できるところだと考えています。

したがって、そういうビジネスがこれから仮にどんどん出てきた場合には、先ほど兼業も気になるといった御指摘もありましたけれども、この5万軒の基準が邪魔になるようなことが出てくれば、その段階で見直すことが十分に考えられると思っています。

他方で、今、私はこういう説明をしていますけれども、そうした人たちがまだどういう人かも分からない中でいきなりドーンと大きいビジネスをするというところも、それは本当に大丈夫かという心配する向きもあろうかとも考えてございます。この辺り、よく両面のバランスを見ながら制度設計あるいは運用をしていく必要があると考えてございます。

○野村座長 ありがとうございます。

後藤委員、いかがでしょうか。

○後藤委員 ありがとうございます。

技術的なところで少し不足するような参入者といった場合に、その育成も含めてお考えいただければいいかと。新しいビジネスが出てくるという面で、そういったところもお考えいただければと思います。

○資源エネルギー庁下村電力産業・市場室長 今の点でコメントを失念してしまいまして、申し訳ありません。

これは第8回か第7回の構築小委員会の報告として、一度この場で御説明させていただきましたけれども、新規参入の配電事業者が現に一般送配電事業を行っている事業者と同じぐらいのスキルレベルを持っているということはなかなか想定し難いのだと思っています。したがって、参入当初の段階では、様々な業務内容を、テクニカルになるので今日は説明を割愛してしまいましたけれども、126ページ、127ページ、128ページ辺りに記載をしているのです。相当様々な業務を担うことになります。これらを全部配電事業者がいきなりやるというのは困難でありますので、事業の開始当初にあっては、こういう事業は一般送配電事業者に委託をすることは可能です、委託をした場合はこういう業務フローになりますといったことを一つ一つの業務ごとに整理してきたところでございます。

他方で、許可基準のところで技術的能力の審査が必要になるというところで、先ほど御説明しましたけれども、ずっと一般送配電事業者に委託をし続けていて技術的能力が獲得されないということもいかがかと考えてございまして、参入当初はこうした委託のスキームを使っていただくにせよ、中期的には自ら技術的能力を獲得していただくという計画も併せて許可の申請時に提出していただき、それも含めて審査をしていくというスキームをセットで考えているところでございます。

○野村座長 ありがとうございます。

後藤委員の最後の御質問も寺田委員と同じような観点だったかと思うのですが、もし必要であれば、後藤委員、どうぞ。

○後藤委員 兼業のところは、配電という見えにくいビジネスを需要家からすごく見えやすくするという方向に関係していると思いますので、先ほどグッドプラクティスというお話も出ていたかと思いますけれども、その辺りも御議論を継続していただければと思います。需要家にとって将来的にすごくメリットが出てくる部分かと思っております。ありがとうございました。

○野村座長 ありがとうございます。

そうしましたら、次の質問に移らせていただきます。

古賀委員、よろしくお願いいたします。

○古賀委員 古賀でございます。詳細な御説明をありがとうございました。

第9回から第11回まで、構築小委でかなり議論を詰めていただいていましたので、私も後藤委員と同じように詳細な制度設計をしていただいていると非常に安心をしております。

その上で、一つは、まだこの配電事業がビジネスとして成立するかどうかということへの関心が高いと思うのですけれども、それについても分散型エネルギープラットフォームなどを開催していただいて、そこでの意見を吸い上げた制度設計をしていただいているということだったのですが、その中身についても若干御質問したいところなのですが、詳細なものについて、時間の関係であまり深入りしてもいけませんので、2つの別の視点からまず質問させていただきたいと思います。

1つは、この配電事業の許可における許可基準が参入障壁になるかどうかという観点から、このスライドの16と18に関連するところで皆様と見られないのですが、今回のこのモデルについては、白地参入ともう一つは引継参入という形があると御説明いただいているのですけれども、この引継参入のほうは従来の一般の送配電事業者の事業を、ちょっと悪い言い方をすると切り売りしていただくという、そういう事業モデルだと思うのです。もう一つの白地参入については、どういうものか私には非常に分かりにくいのですけれども、その白地参入については、この33のスライドのところを見ていただきたいと思うのです。これを見る限りにおいて、今回のビジネスモデルとしては引継参入を主に考えていらっしゃって、白地参入はあまり意識していないと理解してよろしいのでしょうかということです。それが1つなのですが、仮にこの白地参入は、今需要家がいないところに新たに配電事業を展開することについては、例えば、外資による参入の規制といったものは考慮されているのかどうか。配電事業も非常に公益性の強いところですので、その辺りの規制の在り方がもし他の法律も含めて議論されているのであれば、そこも併せて教えてください。

そこで、白地参入ではなくて、この引継計画の一番最初に申し上げた参入許可基準について、戻りまして16から18のスライドのところを一緒に見ていただきたいと思うのです。要するに、引継事業を始めるに当たっては、一般送配電事業者からいろいろな情報提供を受けなければいけないわけですけれども、この辺りの情報提供がないと、自ら業として、許可の申請、事業開始をすることができないわけですね。そういった場合に、ここでトラブル等があった場合、一方的に旧配電事業者が情報提供を拒んだような場合についての不服審査とか、その救済の対象になるのかどうか、そういう制度設計についても考えていらっしゃるかということと、情報提供に関しての規制については、例えば、情報規制とか、その参入障壁についての不服については、例えば、公正取引委員会などが関与されるのかどうか。まず、その点について教えてください。

○野村座長 下村室長、お願いいたします。

○資源エネルギー庁下村電力産業・市場室長 ありがとうございます。

非常によく御理解いただいた上での御指摘をいただきました。

まず、白地参入に関しましては、いずれもあり得ると考えてございます。ただ、白地参入というのは、要するに、今何もないところに新たに建物を造って需要ができる、そこに対して事業を行うということでありますので、例えば、六本木ヒルズは何もないところに住宅棟とビジネス棟ができました。ここは、今、特定送配電事業の形でビジネスが行われているわけであります。そこは自営線が引かれたわけですけれども、そこは届出制という形になっております。こうしたものと類似の事業形態になってくるということでございます。

したがって、両方とも取り得るという意味におきまして、特に新しいところ、設備をリースしてビジネスをするというところが、今回の特に新しい試みとなってまいりますので、そこに詳細設計の議論のフォーカスが当たっているということでございます。したがって、こっちを重視しているということではなくて、新しい制度が特に必要になるというところで、詳細な議論をここリースのほうで行っているということでございます。

その上で、外資規制でございますけれども、これは別途の議論となります。現状というよりも外為法の世界になってまいりまして、現に、一般送配電事業、送電事業というところは、外為法の対象となっております。配電事業をその対象とするか否かということも含めて論点になってくるということでございます。

許可の申請に当たって情報が必要であるという点は本当におっしゃるとおりでございまして、そこできちんと情報が提供されないと参入の妨げになるということでございます。この点につきましては、85ページを御覧いただければと思います。どうしてもその情報の格差がありますので、御指摘のようなことが起こり得るのだと思っています。こうした場合には、例えば、施行前の段階の申請準備というところで、矢印が紫の監視委というところに伸びていて、そこにあっせん・仲裁ということが書いてあったりします。これは施行前であったり事業の開始前であったりと様々に起こり得るのだと思っていますけれども、仮にあらかじめ示されたガイドライン等に基づいて必要な情報が提供されないなどといったことがありまして、これが一般送配電事業者との間で折り合いがつかないということになりましたら、電力・ガス取引監視等委員会における紛争処理スキームに移行していくという流れを考えているところでございます。

○野村座長 ありがとうございます。

古賀委員、よろしいでしょうか。

○古賀委員 ありがとうございました。85ページにあるものを見落としておりました。失礼いたしました。

追加で、もう一つ、よろしいでしょうか。

93ページのスライドを見ていただきたいのですけれども、私たちは、消費者としていろいろ配電事業が自由化されて、先ほどの兼業規制の問題も含めて、いろいろなメリットのある選択ができることを非常に期待しているわけなのですけれども、この設備保全が適切に行われない場合の対応について、非常に関心があるのです。一般送配電業者が定期的なモニタリングをするというモニタリングというのは、実際は、どういうような内容か。これは、財務的なものを含めてなのか、設備についてのものなのか、そういった場合に、ラストリゾートというのもおかしいですが、そういう保障を、適時配電事業者が、うまくいかない場合は一般送配電事業者側が支援するようなシステムを入れていくのか。

もう一つは、この引継計画で保証金を設定するということがあるのですけれども、基本的に、例えば、不動産事業などをやるような場合も、供託金などを事業者はするのですが、供託金などが、1000万とか、非常に高いような場合に加えて、協会等が作られているわけですよね。配電事業においても、こういった協会、配電事業協会のようなものができて、配電事業者が相互に配電事業に参入し、継続して事業をするのに適正な方法を目指せるような協会を作られるということはあるのでしょうか。そういうことは全く視野には入っていないでしょうか。その点について教えてください。

○野村座長 古賀委員、93ページというのは、第11回の内容で後半部分の論点になりますので、後回しにさせてください。すみません。

○古賀委員 結構です。承知しました。

○野村座長 坪田委員から御質問いただきまして、前半部分を終わりたいと思います。

坪田委員、よろしくお願いいたします。

○坪田委員 坪田です。

詳細な説明をありがとうございました。スライドの32ですけれども、需要家等への説明が非常に重要だと思っております。ここで十分な説明と書いてありますけれども、配電事業というのは、需要家としては見えにくいところですので、しっかりとした説明がされたとしても、聞く側に、その下地となる情報がないと、結果的には、十分な理解ができず終わってしまうということについて心配しております。こういったところにつきまして、今回のこの計画の中で、一般の需要家たちに対して、どういうふうに国が進めているのかという状況を踏まえて、意識の醸成といいますか、計画をされているところがあれば教えていただきたいです。

それに関連しまして、後ろ向きの発言になってしまうかもしれませんが、論点マル8の撤退時に備えたというところがあります。これは非常に重要だと思っております。電気というのは、需要家にとっては、現在は当たり前のようにふだん思っています。自然災害とか、様々な想定外のことが最近は何回か起こっております。そのときに改めてその有り難さといいますか、必要性を感じるわけです。想定外のことが起こり得る社会ですので、この撤退時がどうであるかということもしっかりと審査をしていただくとともに、かなり後ろ向きの部分ではございますけれども、この説明の中にも組み込んでいただくなど、そういったことも今後検討していただきたいということで、現時点ではどういった方向性で考えていらっしゃるのか、分かる範囲で教えていただきたいと思います。

○野村座長 ページ数でいうと、55ページ辺りでしょうか。ケース別に御説明いただいたところかと思います。

下村室長、お願いいたします。

○資源エネルギー庁下村電力産業・市場室長 ありがとうございます。

おっしゃるとおり、需要家にしっかり御理解いただくことが大変重要であると考えています。そのために、この場でもかなり丁寧に御説明をさせていただいているというのもあるわけでございますけれども、今日御参加の消費者団体等の皆様におかれましても、是非何か機会があれば教えていただけると大変有り難いと思いますし、我々もそうした意識の醸成にしっかり努めてまいりたいと考えてございます。

また、撤退時のことについても、具体的な運用の段階になってくると思います。どの程度まで、撤退のことをどの段階で需要家に御説明を差し上げるのが一番御理解が進むのかとか、その辺も是非アドバイスをいただけると有り難いと思っています。

○野村座長 ありがとうございます。

坪田委員、いかがでしょうか。

○坪田委員 ありがとうございました。よろしくお願いいたします。

○野村座長 そうしましたら、引き続き、後半部分に入らせていただきたいと思います。87ページ以降の資料に基づいて御発言ください。恐れ入りますが、チャットのほうへお願いいたします。

古賀委員の保証金の問題が先ほど出ましたので、もしよろしければ下村室長にお願いできますでしょうか。

○資源エネルギー庁下村電力産業・市場室長 承知しました。

まず、ラストリゾートなどを考えているのかといった御質問をいただきました。この点については、御指摘のとおりでありまして、法律上、最終保障供給義務、これは一般送配電事業者に課されているということでございまして、最後の最後の最終保障供給は一般送配電事業者が担うことになります。また、そうしたことも踏まえて撤退時の取決めなども行っていくわけでありますが、他方で、御指摘のとおり、しっかりメンテナンスすることも重要でありますけれども、それで保証金がものすごく高くなってしまって結果として新規参入障害になってしまうという懸念は、エネ庁側の審議会でも提起されたところでございます。こちらの御議論では、例えば、保証金についても、最初の参入のときには新規参入者と一般送配電事業者が合弁会社を作って参入してくるなどといったことも考えられると。こうした場合にも同じような保証金の額が必要かというと、実はそれはケース・バイ・ケースになってきますよねと。したがって、そのケースや一般送配電事業者の方のモニターの在り方も踏まえた柔軟な運用をしていくべきではないかといった御指摘も頂戴しているところでございます。現時点で何か協会を作るといった動きがあるということまでは承知していませんけれども、そういう形で共同運用することも出てくれば、十分にそれは考えられるオプションになってこようかと考えてございます。

○野村座長 ありがとうございます。

古賀委員、いかがでしょうか。

○古賀委員 どうもありがとうございました。

配電事業自体の進展というか、兼業で他業種が入ってくることは非常に消費者メリットが高いと思いますので、期待しているのですけれども、何と言うのでしょうか、一般送配電事業者の協力がないと、合弁もなかなか成立し難いと思うのです。他方で、地域電力や自治体が主体となっての配電事業という展開、新電力が参入しての展開を、十分促進するような制度設計にしていただきたいと思いますので、非常に重要な考え方として、もともとのこの配電事業を従来の切離しではなく一般原則ルール化して進めていく方向性を基本的には持っていただきたいなと思っております。

○野村座長 ありがとうございます。

他に御意見はないでしょうか。

私から、一言だけ。御説明の98ページだったでしょうか。一般送配電事業者の託送料金が5年に1度の見直しで、それに合わせて参入してくる配電事業者も5パーセント以内の中に調整する点ですが、さらに、小売にも影響があるために、非常に複雑化してくるように思います。時間軸の中で綿密に動かさないと料金の設定がうまく機能しないですし、小売の最終利用者への影響をどこで判断すればよいのかというのが複雑になってくるなという感想があります。これはお答えいただかなくて結構でございます。

そうしましたら、大石委員、若林委員の順番でお願いいたします。

○大石委員 御説明をありがとうございました。

私のほうは本当にざくっとした質問になるのですけれども、先ほど古賀委員の発言の中にあったのですが、これから送配電事業者として参入する人の中には、市区町村といいますか、自治体も入ってくるのではないかと思うのですけれども、今回のこの議論の中で、例えば、市区町村が関与したり、実際に市区町村が送配電事業者となった場合の特例とか、そういう議論はあったのかどうか。もしあったのでしたら教えていただきたいと思いました。

○野村座長 いかがでしょうか。

○資源エネルギー庁下村電力産業・市場室長 ありがとうございます。

正に是非自治体にも入っていただきたいと考えています。今、予算事業でこうしたマイクログリッドの構築支援をさせていただいているといった御紹介もさせていただきました。そのときには、新規参入者、一般送配電事業者、さらには自治体巻き込んでプロジェクトメイクをしていただいているところであります。そういう形の配電事業ビジネスが活性化していくということを我々としても後押しをしていきたいと考えています。

その上で、制度上の特例があるかというと、特に考えておりません。通常の事業体と同じような形で扱っていくことを想定してございます。

○野村座長 了解いたしました。

大石委員、よろしいでしょうか。

○大石委員 ありがとうございました。

○野村座長 そうしましたら、若林委員、よろしくお願いいたします。

○若林座長代理 御説明をありがとうございました。

私の質問は、ページ数でいいますと107ページのサイバーセキュリティ対策についての部分です。この前のアメリカのパイプラインの話を見るにつけ、サイバーセキュリティ対策は重要だなと感じていたところですので、これを審査の対象に入れるというのは良いと思ったのですけれども、こういうサイバーセキュリティ対策は、多分その時点での能力ももちろんなのですけれども、アップデートの重要性というのがあるかと思います。この辺の後々に向けてのアップデートの可能性というか、重要性というか、この辺を審査にどのように加味していかれるのかなということで、少し内容とは離れるかもしれませんけれども、この辺をどのように担保されるということなのか、もし何か考えがあればお知らせいただきたいと思います。お願いします。

○野村座長 よろしくお願いいたします。

○資源エネルギー庁下村電力産業・市場室長 非常に重要な御指摘をありがとうございます。これは配電事業にかかわらず非常に悩みの深いところであります。

まず、現行の法的位置付けということで申し上げますと、107ページで御説明したとおり、電気事業法の下にガイドラインを位置付けるという形にしてございまして、そのガイドラインの中でセキュリティ基準を設けてございます。例えば、電気工作物は通常のネットワークとは可能な限り分離をしておくこととか、あるいは、入退室管理を厳しく制限することとか、事細かにガイドラインなどでは規定をしているところであります。

他方で、御指摘のとおり、サイバー攻撃は日進月歩でございます。攻撃の規模が大きくなっていることに加えまして、攻撃の経路も非常に多様化してきているということでありまして、これは規制的なアプローチだけでの限界もあるところでございます。したがって、諸外国で見ても、規制があることと同時に、業界の中で、しっかりこういう対策が必要であるということで取組を進めてきているといった2段構成で対策を取ってきているところでございます。

日本の電気事業で申し上げますと、こうした規制にないことも含めて、例えば、アメリカのNISTのサイバーセキュリティフレームワークを活用してリスクアセスメントを行ったり、あるいは、サイバーセキュリティインシデントレスポンスチームを作ったり、様々な取組を実際には行ってきているところであり、規制的な措置と、業界内の取組を併せて後押しをしてきているというのが現状でございます。

それから、特にこちらの電力システムに関しましては、この配電事業も含めて、新規参入がすごく増えてきているといったことの悩みも持ってございます。こうした中で、例えば、グリッドコードと系統アクセスを行う際に従っていただく基準の中で、サイバーセキュリティ対策を求めるといった措置、さらには、昨年改正した電気事業法上、新たに設けるアグリゲーターは、正に高度な通信システムを使って小規模なリソースの制御を行うといったビジネス形態になりますので、非常にサイバーセキュリティが重要でございます。こうしたもの電気事業法に位置付けたということもサイバーセキュリティ対策をしっかり確保するためといったことになってまいります。

加えて、小売電気事業者も増えてきてございますので、ガイドラインを策定したりなどといった取組を進めてきているところでございまして、そういう規制的な措置での担保と業界事業者への啓蒙といいますか。働きかけを併せて行っていくということなので、これは許可のタイミングでずっと担保するというよりも、継続的なムービングターゲットに向かっての働きかけが重要になってくるという分野かと考えてございます。

○野村座長 ありがとうございます。

今後、プレーヤーが増えていく中で重視しなければいけない項目かと思いますので、その点もよろしくお願いいたします。

そうしましたら、古賀委員、大石委員の関連ということで、お願いします。

○古賀委員 ありがとうございます。ちょっと前に戻ってしまって、スライドの7のところに分散型エネルギープラットフォームについてという参考資料をお示しいただいています。地域電力を促進するための支援という観点を、大石委員が御発言されたので、以前からこのエネルギープラットフォームについての議論をしていただいているところを振り返ってみていたのです。基本的には、地域電力、今回、この配電事業が自由化されて、配電事業に参入しても、次のページのエネルギープラットフォームにおいて事業者の意見で言われているように、収益モデルを構築するというのは本当に難しいし、託送料金はプラマイ5パーセントと言われながらも高止まりしていかざるを得ないと考えられると思うのですね。

このエネルギープラットフォームで実際にいろいろな新規参入も含めての方たちの議論がある中に、消費者もこの議論に参加していく必要があるのではないかと思います。そういった動きがあれば教えていただきたいということ。

それから、7ページのスライドのテーマ3のところに、家庭、企業、公的機関の自家消費促進というところがあるのですけれども、これはデマンドレスポンスも含んで消費者自身がエネルギーに対してどういうことを考えていかなければいけないかということも併せて配電事業の自由化について、消費者がその配電事業者と共闘しながら新たなビジネスモデルを支えながら消費者利益を上げていくという方向性も議論していただきたいと思っています。

前半部分に戻ってしまって恐縮ですが、もし御回答いただけるようでしたらお願いします。消費者が参画するということですね。

○野村座長 下村室長、ちょっと前後してしまい恐縮ですが、御意見がございましたら、よろしくお願いいたします。

○資源エネルギー庁下村電力産業・市場室長 ありがとうございます。

各レイヤーでのコミュニケーションが非常に重要になってくると思いますので、いただいた指摘も含めて検討させていただきます。

○野村座長 よろしくお願いいたします。

それでは、後藤委員、よろしくお願いいたします。

○後藤委員 ありがとうございます。

107ページのサイバーセキュリティはやはりすごく気になりますというか、非常に怖いなと思っている面でして、最近も非常に大きな企業で対策をしっかりやっているようなところでもいろいろなサイバーアタックの数が増えていると思いますし、被害の大小を含めいろいろな事例が出ているかと思います。一方で、地域に根差したような配電事業者、小売事業者などが入ってきたときに、新しいその設備を導入しましょうとか、OSのアップデートをしましょうといった基本的なことに加えて、人的なミスといいますか、ヒューマンファクターによるところも結構大きいのではないかと思います。セキュリティ担当責任者や管理組織の説明も求められるということなのですけれども、一方で、小規模な事業者にとってこういったところは非常に自前で担保するのが難しいところかなというのもありますので、底上げ的なトレーニングも必要かと思いますけれども、もう少しネットワークは全てつながっているということを考えますと、上位のところで、委託といいますか、エキスパートに任せるといったサポートの仕方というか、プロテクトの仕方もあるのかなと思いますけれども、その辺りはいかがでしょうか。

○野村座長 下村室長、お願いいたします。

○資源エネルギー庁下村電力産業・市場室長 ありがとうございました。

いただいた指摘も含めて考えてみたいと思います。両面があるのかなという感じがいたしました。新規参入者には難しいので上位にお任せするということも確かにあり得る。一方で、そうするとサイバーセキュリティは私の仕事ではありませんということになってしまうという面も出てき得る。その点はちょっと怖いなということも感じた次第でございます。

○野村座長 ありがとうございます。恐らくまだ御回答いただくには時間がかかりそうなのですが、後藤委員の非常に重要な御指摘ということで、若林委員からの発案で、サイバーセキュリティのアップデート、それから、上位でいくのか、新規参入者のビジネスをプロモートすることとのトレードオフ関係が出るというところですが、やはりネットワークはつながっているので、全体としてのセキュリティ確保も御検討いただきたいということで御理解ください。

後藤委員、よろしいでしょうか。

○後藤委員 ありがとうございます。

○野村座長 そうしましたら、今のところ、御発言はないようですが、もしまだ今日御発言いただいていない委員から御希望がありましたら、あと5分間だけ使いたいと思います。いかがでしょうか。

お願いいたします。

○浦郷委員 全国消団連、浦郷ですけれども、よろしいでしょうか。

皆様にも御発言いただいているのですけれども、やはり一番気になるところは、最終的に選択して利用するのは消費者というところなので、今回のこの配電事業に関して事前説明があると思うのですけれども、需要家への説明というところで、小売事業者に対しての説明と一般消費者に対しての説明の仕方も随分違うと思うのです。一般消費者は、電力自体、どういう仕組みで供給されているのか自体もあまりよく分かっていない状況ですので、そこら辺は分かりやすい説明をお願いしたい。

この供給安定やレジリエンス向上を考えると、この分散型グリッドはとても必要だと思うのですけれども、そういうものを導入するに当たって、消費者、住民の理解を得るには、自治体の力が大きいと思うのですね。自治体との連携や関わりを推進していただければと思いました。

感想みたいな意見ですけれども、よろしくお願いいたします。

○野村座長 ありがとうございます。

下村室長、今の御意見に何かコメントがございましたらお願いいたします。

○資源エネルギー庁下村電力産業・市場室長 御指摘のとおりだと思います。これからのエネルギーは、事業者だけではなくて住民と一緒に作っていくという側面はかなり大きいと思っています。御指摘も踏まえて、我々も努力したいと思いますし、是非需要家の皆様からも関心を持って見ていただけると有り難いと思っている次第でございます。

○野村座長 ありがとうございます。

恐らく104ページに挙げていただいている分散システム導入プランという形で事業者に御説明いただきながら、自治体、あるいは、電力利用者、最終利用者に対しても、今回のシステムの変革、配電事業全体の改革、小売への影響が分かりやすく伝えられればという希望がございますので、よろしくお願いいたします。

そうしましたら、古賀委員は、96ページからもう一度御説明いただきたいという希望です。あと数分しかありませんが、下村室長への御希望だと思います。96ページの御説明をいただきたいという希望でございます。

○資源エネルギー庁下村電力産業・市場室長 第10回の構築小委において、事業者から、2023年度以降導入される方向で検討がなされている発電側課金についての御質問をいただいたところでございます。要するに、発電側課金が導入されると、そのためのシステム改修がまた必要であって、かつ、また配電事業エリアごとに作るとなると、そのシステム改修がすごく大変ですよねといった御指摘をいただいたものでございます。

この点については、これまで、様々な業務について、一般送配電事業者に委託もできますよねということの整理をしてきた中で、例えば、FIT賦課金の納付なども一般送配電事業者のシステム経由で行うことも可能としてはどうかという整理をしておりましたけれども、発電側課金についても同様に一般送配電事業者への委託で対応することも可能とするという方向性をお示しさせていただいたものでございます。

○野村座長 ありがとうございます。

○資源エネルギー庁下村電力産業・市場室長 単に配電事業者自らが行うのではなくて、一般送配電事業者に委託することも可能とするということでの整理でございます。

○野村座長 古賀委員、よろしいでしょうか。

○古賀委員 分かりました。基本的には、委託して、一般送配電事業者が回収するという理解でよろしいでしょうか。

○資源エネルギー庁下村電力産業・市場室長 はい。そういう理解で結構でございます。

○古賀委員 ありがとうございます。

○資源エネルギー庁下村電力産業・市場室長 もちろん自分でやれるというところは自分でやっていただいて構いませんけれども、一般送配電事業者に委託ができるということですね。

○野村座長 ありがとうございます。

新川委員、よろしくお願いいたします。

○新川委員 新川です。時間のないところ、申し訳ありません。

今のお話とも関連するのですが、今日のお話の113枚目のスライドで、供給停止のお話があって、ここをどう制度設計されるのかというのが気にかかって見ていたのですけれども、新規参入者の場合のインセンティブをなくさないようにする、あるいは、もっと言うと、事業そのもののレベルアップみたいなものにつなげていくような仕組みとする場合として、質というのがあるので何とも言いにくいところはあるのですが、需要家の保護を考えたときに、今後、どういうふうに供給停止措置をどのレベルまで制限をして、もう一方では、どういうところまでは努力をするのかといったようなところについて、見落としているかもしれないのですが、もし御検討の状況があれば教えていただきたいと思ったのですが、いかがでしょうか。

○野村座長 下村室長、お願いいたします。

○資源エネルギー庁下村電力産業・市場室長 ありがとうございます。

私どもの説明がよくなかったので、すみません。113ページは、平成26年なので、2014年にやった議論でありまして、検討状況というと2014年に終わっていますということであります。小売全面自由化に当たってこうした論点がありまして、きちんとその供給停止に当たっては需要家に説明を行うことですとか、最後は一般送配電事業者が最終保障供給を行うということについてのプロセスを議論したときの内容を引用させていただいたものでございました。

○新川委員 ありがとうございました。

○野村座長 ありがとうございます。

そうしましたら、時間が大幅に超過してしまいまして、申し訳ございません。3回分まとめて今日は御説明いただいたために、論点が非常に多く、質問も多岐にわたってしまいました。こういう改革を進めていただいている中で、ビジネスとして盛り上げながら、レジリエンスを高めていく必要があると思います。しかし、サイバーセキュリティのところが正にそうだったかと思うのですが、セキュリティ対策上の投資をしなくてはいけないので、費用が上がるのではないかという懸念もあります。正にそこがこれから運用していく中でも注視していただきたい点だと思います。

外資規制をどうするかというデリケートな論点も関連しています。その中で、サイバーセキュリティが起こってしまった場合にどのように負担をしていくのかという、これまで起こり得なかったような問題が発生する可能性もあります。資源エネルギー庁様には今後も良い制度を作っていただきたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。

消費者庁におかれましても、いろいろな会議体にオブザーバーとして参加されておられますので、本日の議論状況もまた御報告いただければ幸いでございます。


≪3.閉会≫

○野村座長 そうしましたら、本日の議論はここで閉めさせていただきたいと思いますが、よろしいでしょうか。

お忙しいところ、下村室長に御出席いただきまして、ありがとうございました。また、時間が超過しまして、申し訳ございませんでした。

○資源エネルギー庁下村電力産業・市場室長 どうもありがとうございました。失礼いたします。

○野村座長 ありがとうございました。

(以上)