第14回 電力託送料金に関する調査会 議事録

日時

2021年2月25日(木)14:58~16:48

場所

消費者委員会会議室・テレビ会議

出席者

【専門委員】
野村座長、若林座長代理、浦郷委員、古賀委員、後藤委員、白山委員、坪田委員、寺田委員
【消費者委員会担当委員】
大石委員、新川委員
【説明者】
電力・ガス取引監視等委員会事務局 田中ネットワーク事業監視課長
【消費者庁】
吉田参事官
【事務局】
加納事務局長、渡部審議官、太田参事官

議事次第

  1. 開会
  2. 託送料金制度改革等の詳細設計について
  3. 閉会

配布資料 (資料は全てPDF形式となります。)

≪1.開会≫

○太田参事官 本日は、皆様、お忙しいところをお集まりいただきまして、誠にありがとうございます。

ただいまから、「消費者委員会公共料金等専門調査会第14回電力託送料金に関する調査会」を開催いたします。

本日は、委員、オブザーバーの皆様全員に御出席いただいております。

続きまして、議事に入ります前に、配付資料の確認をさせていただきます。お手元の議事次第に配付資料を記載してございます。もし不足等がございましたら、事務局までお知らせください。

なお、本日はウェブ会議による開催となります。公開で行いますが、感染拡大防止の観点から、一般傍聴者は入れず、報道関係者のみ傍聴していただいての開催となります。議事録につきましては、後日公開することといたします。

ウェブ会議による開催に当たりまして、これまでと同様、御発言時以外はマイクをミュートにしていただくこと、御発言の際はあらかじめチャットでお知らせいただき、座長からの指名の後、冒頭にお名前をおっしゃっていただくことなどをよろしくお願いいたします。

それでは、野村座長、以後の議事進行をよろしくお願いいたします。


≪2.託送料金制度改革等の詳細設計について≫

○野村座長 本日は御参集いただき、どうもありがとうございます。

本日の進行についてですが、途中で私の回線が切れた場合には、復旧するまでの間座長代理に、座長代理の回線も併せて切れた場合は事務局に、進行をお願いいたします。

それでは、議事に入らせていただきます。

本日の議題は、「託送料金制度改革等の詳細設計について」です。

本日は、電力・ガス取引監視等委員会における制度設計の検討状況について、まずレベニューキャップ制度に関する事項、次に配電事業に関する事項の順でそれぞれ御説明いただき、併せて質疑応答及び今後の検討に向けた意見交換を実施したいと思います。

本日は、消費者庁から、吉田調査・物価等担当参事官、経済産業省電力・ガス取引監視等委員会事務局から、ネットワーク事業監視課田中課長にお越しいただいております。

御多忙のところ御協力くださり、ありがとうございます。

それでは、まず事務局から、簡単に今回のヒアリングの趣旨の説明をお願いいたします。

○太田参事官 それでは、事務局から、本日のヒアリングの趣旨につきまして御説明を申し上げます。

レベニューキャップ制度につきましては、前回の調査会で御報告いただいたとおり、電力・ガス取引監視等委員会における議論の場が、料金制度専門会合から料金制度ワーキング・グループへ移ったと伺っております。

料金制度ワーキング・グループでの議論につきましては、技術的・専門的な内容であることから、野村座長とも御相談させていただいた結果、ワーキング・グループの開催ごとに当調査会でのヒアリングを実施するということはせずに、後日まとめて報告を聴取するということにさせていただいたところでございますが、今回、この後の配電事業の御説明の関係で、同委員会事務局の田中課長がお越しになるということでございましたので、ワーキング・グループにおける今後の検討の概要やスケジュールなどを中心に御説明を頂けることとなりました。

また、配電事業につきましては、これまで資源エネルギー庁の持続可能な電力システム構築小委員会において議論されてきたところでございますが、先般、一部の論点が電力・ガス取引監視等委員会の料金制度専門会合にタスクアウトされたということでございますので、本日は、配電事業につきましても、田中課長から御説明を頂くこととしております。

以上でございます。

○野村座長 ありがとうございました。

それでは、電力・ガス取引監視等委員会事務局から、まず、レベニューキャップ制度に関する事項の検討状況について、15分程度で御説明をお願いしたいと思います。

田中課長、よろしくお願いいたします。

○電力・ガス取引監視等委員会事務局田中ネットワーク事業監視課長 経済産業省電力・ガス取引監視等委員会ネットワーク事業監視課長の田中でございます。よろしくお願いいたします。

それでは、資料に関しましては、資料1を御覧いただければと思います。

こちら、タイトルになっておりまして、2ページも同じくタイトルということになっております。

3ページから資料ということになっておりますが、3ページにつきましては、第1回料金制度専門会合における資料を改めて参考として付けさせていただいております。

同じく4ページと5ページ、こちらにつきましても、第1回料金制度専門会合における資料を改めて掲載させていただいております。

6ページ、こちらも同じく第1回料金制度専門会合の資料ということで、新しい託送料金制度の全体像ということで改めて掲載させていただいております。

7ページ、こちらは料金制度ワーキングの位置付けということでございますが、先ほども御説明いただきましたように、レベニューキャップ制度の骨格については、料金制度専門会合において検討を行ってきたところでございまして、昨年まで私からも当調査会にこの議論の御紹介をさせていただいてきたところでございますが、専門性の高い論点につきましては、今後料金制度ワーキングにおいて議論を検討するということで、この第1回料金ワーキングを開催したところということでございます。

8ページ、料金制度ワーキングにおける検討の全体像ということで、期初、期中、事後におけるそれぞれの論点の詳細について議論をしていくこととしております。

9ページ、10ページで改めて全体を載せておりますが、第1回料金制度ワーキングにおきましては、収入上限の算定方法ということについて、この議論を行っております。

11ページと12ページにつきましては、収入上限の算定方法について料金制度専門会合において議論を行った内容ということでございまして、こちらは第5回料金制度専門会合の資料ということで、昨年末にこの御紹介をさせていただいたとおりとなっております。11ページの記載のように、このような形で料金制度専門会合で整理したことを受けまして、12ページにあるような項目に関して、料金制度ワーキングでこれらの論点について、収入上限の算定方法について議論していってはどうかということで、昨年末の第5回料金制度専門会合において審議を行っていただいたものでございます。

収入上限の算定方法につきましては、13ページ、イメージとしては下のような形というところでございまして、こちらも第1回料金制度専門会合の資料なのでございますけれども、13ページの下の図にありますとおり、一般送配電事業者につきましては、一定期間に達成すべき目標を明確にした事業計画の実施に必要な費用を基に収入上限を算定するということで、真ん中の図にあるような形で事業の実施に必要な費用を見積もって、それを収入上限として算定して国に提出するといったことで、それについて国の方でどう査定を行っていくかというところが14ページ以降の議論ということになります。

14ページ、15ページからが、ワーキングにおける具体的な資料ということになっております。14ページ、収入上限の算定における費用区分の在り方ということでございまして、15ページ、こちらが収入上限算定の全体像ということになります。15ページの上にございますとおり、一般送配電事業者は、一定期間に達成すべき目標を明確にした事業計画の実施に必要な費用を見積もって収入上限を算定して国に提出をしまして、国はその見積費用が適正か否かの査定を行うということでございます。

見積費用の査定に当たっては、15ページの下の図にございますとおり、CAPEX(Capital Expenditure)である設備投資関連費用につきましては、送配電設備の確実な増強と更新とコスト効率化を目指して、投資量については、送配電設備の確実な増強と更新の観点から、必要な投資量が確保されていることを確認すると。単価については、過去実績等に基づく単価の確認や事業者間比較による効率的な単価の算定を行うということで、その下のOPEX(Operating Expenditure)である人件費・委託費等につきましては、コスト効率化の観点から、費用全体に対して、主に事業者間比較により効率的な費用の算定を行うということで、その他費用ということで言うと既存減価償却費や制御不能費用といった形で行うこととしていたところでございます。

16ページ、収入上限の算定プロセスと今回検討する論点というところでございまして、上半分ということで行きますと、プロセスマル1と書いてある一般送配電事業者が見積もった費用を国が査定するプロセスと、前規制期間の実績を踏まえた各種調整を行うプロセスということがあるわけですが、今回はプロセスマル1における論点を検討するというものでございます。下半分のところにありますとおり、このプロセスマル1の見積費用の査定における論点といたしましては、収入上限の算定における費用区分の在り方ということで、このOPEX、CAPEX、その他費用の費用区分ということであったり、あとはOPEX査定の基本的な考え方、CAPEX査定の基本的な考え方ということでございます。

17ページ、見積費用の査定ということにつきましては、左下にございますとおり、費用特性を踏まえて区分ごとに適切な査定方法を検討してはどうかということで、事業経費(OPEX)につきましてはOPEXの査定方法、設備投資関連費用(CAPEX)につきましてはCAPEXの査定方法、外生的な費用に関しては制御不能費用としての分類と。費用特性に応じた査定方法を別途検討することが適当な費用については、その他費用として別途区分するということでございます。なお、日本と同様に、事業者が目標達成に向けて事業計画を策定しまして、その実施に必要な費用を見積もって収入上限を算定する英国においても、費用を特性に応じて分類した査定方法が採用されているところでございます。

18ページ、OPEX、CAPEXの費用区分ということで、見積費用の査定区分としては、このOPEX、CAPEX、制御不能費用、その他費用に分類して、今後一般送配電事業者の各費用を分類することとしたいということで、この18ページ、全体図としていますけれども、OPEXのところ、一番左上のところにつきましては、まず人件費、委託費、研究費、養成費といったところが考えられるところでございまして、CAPEXにつきましては、これは減価償却費の新設分であったり、固定資産除却費といったところが考えられるところでございます。なお、減価償却費の既設分というところについては、基本的に制御不能費用ということではないかということで、右の方に矢印が出ているところでございます。その他、制御不能費用としては、災害復旧費用であったり、インバランス収支過不足であったり、公租公課といったところが想定をされているところでございます。一番右のその他費用というところにつきましては、例えば、その他コスト効率化の観点から収入上限に算入することが不適切な費用などについては、個別に査定を行う必要があり、今後対象費用及びその査定方法を精査するということでございます。

19ページ、20ページ以下につきましては、こちらは各国のレベニューキャップ制度の比較ということで記載しております。

21ページ、22ページ、23ページにつきましては、英国の例ということで、24ページ、25ページ、26ページについては、こちらは詳細になりますので御説明は割愛いたしますが、ドイツやノルウェーの収入上限算定の全体像ということを御参考までに掲載させていただいております。

27ページ、OPEX査定の基本的な考え方ということでございます。

28ページ、OPEX査定の基本的な考え方ということで、このOPEXの査定については、目標達成に向けて必要な費用を確保しつつ、コスト効率化を促すものとすることが重要ということで、28ページの下にございますとおり、人件費、委託費、消耗品費、研究費といったOPEX全体で査定を行う方法ということと、右にあるように、個別の人件費、委託費といった費用ごとに査定を行う方法があるわけですけれども、左にございますとおり、一般送配電事業者が効率的な事業運営(内製化、外製化)を選択し、コスト効率化を行うことができると。つまり、例えば人件費などというところについては、これは外に業務委託をすると委託費という形で計上される一方で、中で内製化しますと、それは人件費として計上するといった費用の入り繰りがあったりすることになりますと、一般送配電事業者がそういった効率的な事業運営、形態を選択した上でコスト効率化を行うことができるという観点からは、28ページの左にあるように、OPEX全体に対してこの査定を行うことが適当ではないかということでございます。

29ページ、OPEXの査定ということについては、効率的な事業者における実績値等を用いた統計的な査定、論点マル1の統計査定というものと、将来の効率化を促す効率化係数を組み合わせて行うこととしてはどうかということで、料金制度専門会合においてもこのようなことで御議論いただいてきたところでございます。

30ページ、OPEX査定につきましては、各社の実情を踏まえつつコスト効率化を促すため、実績値を用いた統計的な手法によって査定することを基本としてはどうかということで、この統計査定のイメージといたしましては、左にあるように各社の実情を踏まえた説明変数の設定ということで、需要の状況ということで言うと、契約口数であったり、契約電力であったり、送配電設備の状況ということで言うと、電線路の亘長であったり、回線の延長であったりということで、そういった説明変数を設定してこの査定をしていく。それに当たって、各社の実績値を用いて右のように統計査定をしていくわけですが、統計の対象費用にOPEX総額ということを採用するか、費用特性の差異を踏まえ、送電・変電・配電の機能別にこの説明変数を設定して統計査定を行っていくかということについては、今後詳細を検討することにしております。30ページのところにありますとおり、現行の託送料金制度において、原価算入が認められていないような費用については、統計の対象費用から除外すべきかどうかといったことも今後議論が必要といったこととしております。

31ページ、統計査定を行う際の説明変数の例といったところで記載していますが、こちらに関しましては、実データを用いた試算等を行って、更にどういった説明変数にするかの検討を進めることとしたいということでございます。

32ページ、OPEX査定の全体像と今後の論点ということでございますが、論点1としては、査定方法として、統計の対象費用の考え方について、先ほど申し上げたようなOPEX総額を採用するか、費用特性の差異を踏まえ機能別を採用するか、又は統計査定に用いるデータの参照年数をどうするかといったようなところ、又はこの説明変数の設定の考え方ということであったり、統計査定において設定する目指すべき効率化の水準といったところにつきましては、右側にございますとおり、実際の費用データを用いた試算も行いながら統計手法を用いた査定精度を高めていくということで、決定係数や説明変数の妥当性等の検証を行っていきたいと考えているところでございます。また、論点2としては、統計手法として、日本のレベニューキャップ制度に適した統計査定の手法ということで、イギリスでは重回帰分析法、ドイツなどでは包絡分析法などを採用していることから、どういった手法が適切なのかというところについて検討を進めていくこととしたいと考えております。

33ページ、34ページに関しましては、効率化係数に関する御議論ということですが、こちらにつきましては、第4回の料金制度専門会合で御議論いただいたような形ということでございますので、第4回の料金制度会合の資料を改めて33ページと34ページに掲載させていただいているところでございます。

35ページ、CAPEX査定の基本的な考え方ということで、36ページ、CAPEX査定の基本的な考え方、設備投資関係費用の基本的な考え方ということでございますが、投資量については、送配電設備の確実な増強と更新の観点から必要な投資量が確保されていることを確認するわけですが、設備拡充投資と更新投資ではそれぞれ投資量における考え方が異なることを踏まえて各々確認方法を設定するということで、単価についてはコスト効率化の観点から過去実績等に基づく単価確認や事業者間比較による効率的な単価の算定を行うことを基本とする。なお、設備拡充投資及び設備更新投資以外のCAPEXとしては、システム投資や通信設備投資なども該当するわけですが、投資量と単価の切り分けが困難であることから、これらの投資費用については、その他投資費用として別途査定方法を検討することとしてはどうかというところでございます。

37ページ、設備拡充投資におきましては、連系線・基幹系統、ローカル系統、配電系統で投資量や単価の特性が異なることも踏まえ、各々の系統特性に基づいて投資量の確認方法や単価の査定方法について議論することとしてはどうかということでございます。

38ページ、設備更新投資における査定の全体像ということで行きますと、設備更新投資においては、アセットマネジメントガイドラインにおけるリスク量算出対象設備と対象外設備で投資量や単価の特性が異なることを踏まえ、各々の特性に基づいて投資量の確認方法や単価の査定方法を議論することとしてはどうかということでございます。

39ページ、費用分類において留意が必要な費用ということでございます。

40ページ、前述のとおり、一般送配電事業者の各費用を以下の区分に分類することとしたいということなのですが、修繕費や賃借料については、その費用特性に留意した上で分類を行う必要があるということで、具体的には41ページにございますとおり、修繕費については、設備投資関連費用としてCAPEXに分類することを基本とするが、設備点検といったOPEX的な費用も含まれることから、更に費用特性に応じて細分化を行った上でOPEX、CAPEXに分類することとしてはどうかということでございます。

42ページ、賃借料ですが、土地・建物や通信設備等を自社で保有した場合に発生する減価償却費等というのは、査定方針に基づけばCAPEXに分類される。一方で、それらの資産を自社で保有せずに賃借した場合に発生する賃借料等についてはOPEXに分類されるということで、このように各社の資産保有状況によって査定方針に基づく分類が異なる費用については、一般送配電事業者間の横比較を同じ水準で適切に行うために、OPEX、CAPEXに分類するのではなく、査定方法を別途検討することとしてはどうかということでございます。

以上が資料1に関する説明でございまして、この第1回料金制度ワーキングにおける議論ということで、幾つかあった御意見を御紹介させていただきますと、レベニューキャップ制度の中では事業者の説明責任が大事になってくると思うので、査定側は納得するまで対話を繰り返して長期的に正しい設備投資かどうかを確認する必要があるといった御意見や、ただいま御紹介した修繕費については、基本はCAPEXとするけれども、OPEX的な費用は例外的に抜き出してOPEXと査定するという案は適切ではないかといった御意見であったり、OPEX査定ということについては、これは事業者の意思決定の柔軟性の観点から、OPEXについては費用総額で査定をする方がよいのではないかといった御意見などがあったところでございます。

レベニューキャップ、料金制度ワーキングに関する私からの御説明は、以上でございます。よろしくお願いいたします。

○野村座長 ありがとうございました。

それでは、電力・ガス取引監視等委員会事務局からの御説明についての意見交換、およそ15分から20分で行いたいと思います。

恐縮ですが、またチャット欄を使っていただいて、お名前をお知らせください。

いかがでしょうか。非常に丁寧に御説明していただいたので、分かりやすかったと思います。

白山委員、よろしくお願いいたします。

○白山委員 白山でございます。

どうも説明をありがとうございました。幾つかお伺いしたいことがございまして、まず18ページでございますが、今日の議論と外れているかもしれませんが、その他費用に関して、事業報酬についての計算方法は従来と変わらないのかというところが1点目でございます。

2点目でございますが、30ページの下の方に論点ということで書いてあるところでございますが、現状において原価算入が認められていない以下の費用について対象とするかどうかというのは慎重な判断が必要だとは思うのですが、今回のレベニューキャップの考え方とか、あるいは統計査定を入れたり、効率化係数を入れたりということになってきていることや、OPEX、CAPEXという大くくりの中で査定をしていくことになると、個々の細かい費用のどこまで踏み込んで検討するのか。効率化係数や統計査定の方で大枠で一定程度の厳格性をもって決められるのだから、ここまで細かいものは要らないのではないかというような議論も出てくるような気がするのです。これは質問というよりも、私の意見です。今後の御検討をまたお聞かせいただければと思います。

3点目は、41ページ、42ページ辺りでございます。これは念のための確認でございますが、42ページ、特に賃借料につきましてはOPEX、CAPEXと分かれておりますけれども、私の理解では、例えば、現実に所有権を有するものとリースとして使用するものとありまして、そういうものはCAPEXに入って、いわゆるリース会計により資産計上されないような通常の賃借料みたいなものは全部OPEXであると、こういうイメージで捉えているのですが、そういう理解でよろしいかどうかという念のための確認でございます。つまり、CAPEXの中には、本当に所有権を有するものとほぼ同様の所有権を有するリース資産もあり、それらの減価償却費は全部CAPEXという理解でよいかどうかというところでございます。

最後は、先ほどシステム投資の部分については別枠でというお話がございましたが、具体的な金額がどのぐらいになるか分からないのですが、例えば研究開発投資、つまりR&D投資、あるいは環境関連費用など、そういうものは通常ですとOPEXの中に入ると思うのですけれども、それをOPEX査定の中に含めてよいのかどうか、外出ししてこれらの費用の特性に応じて考えなければいけないのではないかという考え方もあると思うのですが、この辺についてお考え等があればお聞かせいただければと思います。

以上でございます。

○野村座長 ありがとうございます。

そうしましたら、田中課長から3点ほどよろしくお願いいたします。

○電力・ガス取引監視等委員会事務局田中ネットワーク事業監視課長 4点ほど御質問いただいたかと思いますので、順にお答えさせていただきたいと思います。

1点目は、18ページの右下の事業報酬についての御質問であったかと思います。こちらに関しましては、事業報酬については、現状で言うと、こちらは自己資本のコストに相当するものに他人資本のコストに相当するものをプラスしまして、事業報酬というものを算出しております。したがいまして、それで事業報酬率を算出しまして、その事業報酬率にこの資産額というレートベースを掛けて算出しているのですが、その基本的な考え方というのは、このレベニューキャップ制度における事業報酬のところについても同様の考え方で行うのではないかということで想定しておりますが、具体的にこのレベニューキャップを今度導入するに当たりまして、どのように事業報酬率を算定するかという詳細につきましては、今後引き続き議論をしてまいりたいと考えているところでございます。

次に、30ページの論点のところでございます。ここに関しましては、ワーキングにおいても議論が行われたところでございまして、正に御指摘にあったような2つの考え方、今回OPEXというところで費用区分というところを超えてOPEX査定で全体を査定するので、その内枠の中でこの全体を見ていくやり方、若しくは個別に見ていく費用というところに関しては、ある程度個別にチェックしていく必要があるのではないかという2通りの考え方があるのではないかというところであったところでございます。

ワーキングにおける議論を少し御紹介させていただきますと、30ページにあるような、例えばこの費用マル1のような費目は、このレベニューキャップの制度になった場合であっても個別には認め難いのではないかといった議論がなされたところであり、費用マル2につきましては、これは基本的には認めるべきではないのではないかという御意見がある一方で、他方で、そういった費用の中にも認められるべき費用というものがあるので、そこはこの中身を見ていくべきではないかといった議論がされていたところでございます。具体的にどういった費用をどのように見ていくかということについては、今後引き続き検討してまいりたいと考えているところでございます。

42ページの賃借料のところでございます。御指摘のあった、リースをしているものであっても、実質リース会計という形で資産を保有しているというような形態で会計処理をするものがあるという指摘は、ワーキングの議論でも頂いたところでございます。したがって、そういったリース会計のものに関しては、対象となるようなものについては、これはCAPEXに分類をされるのではないかといった議論もなされていたところでございます。

それ以外の土地・建物とか賃借料的なもの、設備というよりは土地・建物的なものの賃借料的なものも含めてどういう扱いにしていくのかというところについては、引き続きその整理を今後更に検討していきたいと考えているところでございます。

システム投資に関しては、投資費用ということなのでCAPEXということになるわけですが、その他の費用とは若干分類が違うので、その扱いについては、今後更に検討していきたいと思っているところでございます。

研究費についての御指摘、こちらのワーキングにおいても御議論がございました。研究費が果たしてこのOPEX総額というところの全体の枠の査定でいいのかといった議論はありまして、場合によっては、その辺りは外出しをして別途見ていく必要もあるのではないかといった議論もあったところでございますので、その辺りも含めて、今後更に検討をしてまいりたいと思っているところでございます。

私からの回答は以上でございます。

○野村座長 御回答ありがとうございました。

白山委員、いかがでしょうか。

○白山委員 非常に分かりやすく御説明を頂きありがとうございました。

最後のところで、研究開発費と環境関連費用のような性格の費用は、これからより一層発生してくると思いますので、OPEXの中にそれを一緒にして含めてしまう形のOPEX一括査定でよいのかどうかというところは、慎重に御検討いただければと思います。

以上でございます。ありがとうございました。

○野村座長 そうしましたら、次の質問に移らせていただきます。

古賀委員、よろしくお願いいたします。

○古賀委員 古賀でございます。

丁寧な説明を頂きまして、どうもありがとうございます。私からは費用区分の査定方法と制御不能費用の内容について若干お尋ねしたく思います。前回、専門会合からのいろいろな資料も含めまして前半の資料、15、18のところまでを見せていただきましたが、後半の40のスライドに基づいて4から5点御質問をさせていただきたいと思います。

1点目は、40のスライドのところなのですけれども、第1回のワーキングにおかれましては、最初にありますように、「今後以下の区分に分類することとしたい」ということですが、この区分は確定的なものと捉えてよろしいのでしょうか。これがもし確定的なものだと理解した場合なのですけれども、OPEXとCAPEXの2つが区分がされているわけなのですが、OPEXの方の人件費や厚生費など、こういったものは費用的に割り出しやすいように思うのですけれども、既存の減価償却費が、どちらかというと既存の発生済みのものですので費用的に分類できるような気がするのですけれども、この既存の減価償却費が制御不能費用に分類されているのはどういうわけなのかということ。

それから、30スライドにありました費用マル2の、議論がまだあるというところなのですけれども、この中に役員報酬や団体費のようなものが入っているのですが、こういったものについて託送料金のレベニューキャップの算定に入れるということについては、消費者としては非常に違和感があるのですけれども、この点については、ワーキングではどのように検討され整理されたのでしょうか。

3点目といたしまして、制御不能費用という分類があるのですけれども、この制御不能費用の中には、例えば2016年に議論されて昨年も査定をした2つの原発関連の上乗せ費用というようなものは、ここで制御不能費用として分類されているのでしょうか。

それから、この制御不能費用の変動についてはいろいろな議論がされていると思うのですけれども、実際にはこの「制御不能費用が変動する」というのはどういったケースが考えられるのでしょうか。

もう一つ、事業報酬については、先ほど白山委員が御質問してくださったので結構です。

以上の点についてお答えいただきますようにお願いいたします。

○野村座長 そうしましたら、田中課長、よろしくお願いいたします。

○電力・ガス取引監視等委員会事務局田中ネットワーク事業監視課長 1点確認でございますが、3番目の制御不能費用で例としておっしゃっていただきましたのは原発の費用、その辺りがよく聞き取れなかったので、もう一度おっしゃっていただけますでしょうか。

○野村座長 古賀委員、もう少し詳しくということでございます。よろしくお願いします。

○古賀委員 昨年議論いたしましたところの過去分の損害賠償費用や廃炉円滑化負担金として、託送料金に上乗せされた2つの費用のことです。それは制御不能費用と分類されるのか。お願いいたします。

○電力・ガス取引監視等委員会事務局田中ネットワーク事業監視課長 分かりました。

まず1点目ですけれども、40ページや18ページですね。この分類ということについては、OPEX、CAPEX、制御不能費用、その他費用ということで、こういった分類でしていくということを示しているということで、その中の詳しい項目については、これは「等」ということで書いてあることからも、ここで掲げているのは例示ということでございます。ですから、どこに何が入ってくるかということに関しては、更に引き続き精査をしていくということでございます。

既存減価償却費を制御不能費用のところに分類している理由につきましては、これは新規の分ということについては、新規投資をこれからどれだけするかということによって変動する余地があるわけですが、既存減価償却費、既設分に関しては、これは基本的には既に存在している設備の簿価に応じた減価償却費がほぼ機械的に出てくる形になりますので、制御不能費用ということでこの分類をしているというものでございます。

30ページの団体費やその他の役員報酬につきましては、この辺りについては、例えばワーキングの中でも少し議論などがあったところでございまして、今後更に議論していくところではあるのですが、例えば団体費なども電事連みたいな任意団体みたいなところに対して拠出するようなものもあれば、広域機関における会費のように加入が義務付けられていて、広域的な役割を果たしている機関に対する会費ということであったり、あとは電気学会とか、そういう学会みたいなところに所属するような団体費であったり、いろいろな費用があるのではないかということで、それらについて一律に認める認めないというよりは、それぞれの費用について個別によく見た上で判断していく必要があるのではないかといった議論がなされていたところでございます。

制御不能費用のところに関連してですけれども、原発の過去分などに関しましては、現在も託送料金に入っており、レベニューキャップ導入後も託送料金には引き続き入る予定でございますが、その具体的な取扱いについては、今後引き続き検討いたします。

制御不能費用が変動するといったことは例えばどういうことなのかということでございますが、典型的なもので言うと、公租公課などで消費税などの割合が変動した場合は、これは明らかに変動することがあるというのが、例としてあることかと思います。その他の費用というのも、これも基本的に一般送配電事業者のほうでコントロールするのが難しい費用を制御不能費用ということで分類することを想定しているということでございます。

私からの回答は以上でございます。よろしくお願いいたします。

○野村座長 ありがとうございました。

古賀委員、いかがでしょうか。

○古賀委員 ありがとうございます。よく分かりました。

1点だけ質問をよろしいでしょうか。インセンティブなのか、ベンチマーク規制なのか、いろいろな海外の事例も今回御紹介いただいているのですけれども、大枠でいいのですけれども、一番日本に適した、参考になるのはどのようなところだと考えていらっしゃるのか。ノルウェーが出てきたので違和感があったので、その辺、ざっくりしたところでいいので教えていただけますでしょうか。

○野村座長 お願いいたします。

○電力・ガス取引監視等委員会事務局田中ネットワーク事業監視課長 参考としている国につきましては、こちらは全く同じということではないのですけれども、今回日本での検討としては、イギリスの例が比較的日本の例に近いのかなということで考えているところでございます。イギリスの方もビジネスプラン、事業計画といったものを策定して、それの実施に必要な費用を見積もる形でやっていますので、ドイツやノルウェーの要素も全く採用していないわけではないのですけれども、海外の例として載せているイギリス、ドイツ、ノルウェーという中においては、イギリスが比較的近いのではないかと考えているところでございます。

○野村座長 よろしいでしょうか。

○古賀委員 ありがとうございます。結構です。

○野村座長 そうしましたら、引き続き、後藤委員から御質問をお願いいたします。

○後藤委員 ありがとうございます。

OPEX査定についてお聞きしたいと思います。資料の18ページで、先ほど白山委員からも御発言があった内容に関連するかと思いますけれども、査定の方法として一くくりにしてOPEXという大きな枠で査定するのか、また、個別の項目を個別に見ていくのかというお話がございました。研究費や養成費や人件費、年齢構成であるとか、どんな人材がいるのかとか、かなり各社の個性がいろいろ出てくるところもあるのかと思います。個別にしっかりと査定をしていくということで透明性が増す面がある一方で、余り細かく個別に分け過ぎてしまうと各社の創意工夫といったものが阻害される部分もあるのかなというところもあります。消費者としては、安定的に品質の良い電気がリーズナブルな価格で受けられるというのが、最終的にそこが担保されていれば有り難いわけなのですけれども、会社としての個性といいますか、価格の納得感にも関係するかと思いますが、何か非常にユニークな将来投資をしているであるとか、そういったことであればこの価格でも納得できるのかなとか、そういう方向を目指しているのか、あるいは地域的なアンコントローラブルな部分を除いてしまえば非常に均一的な経営というものがあるべきだという方向性であるのか、制度の方向性について今のところのお考えといいますか、整理の状況、ゴールなどをお聞かせいただければというのが1点目です。

もう一つが、先ほどの古賀委員の御質問にあったかと思いますけれども、34ページ辺りの収入上限の各国のいろいろな査定の方法があるということで、イギリスの方法が今のところかなり参考になるのではないかという御説明があったかと思います。結局のところ、異なる方法を使うと異なる結果が出てきてしまうことがあろうかと思いますが、その辺りの整理といいますか、この方法が一番いいと決めてやっていく方向性なのか、あるいはいろいろな方法の中で違いをしんしゃくしながら決めていく方向なのか、その辺りのお考えがございましたらお聞かせください。

以上です。

○野村座長 以上2点、田中課長からお願いいたします。

○電力・ガス取引監視等委員会事務局田中ネットワーク事業監視課長 1点目でございます。18ページのところに関連して、OPEXに関してどこまで個別に見ていくのがいいのか、それともまとめて見ていくのがいいのかといった大きな方向性ということでございますが、そういうことで申し上げますと、OPEXのところに関しましては、事業者の創意工夫を促す観点から、大きくまとめて査定をしていくというのが大きな方向性。ただし、まとめるのだけれども、それを統計査定することによってコスト効率化を促していくというのが基本的な方向性ということで考えているところでございます。他方で、個別に見るところがもしあるのであれば、そこに関しては個別にチェックをしていくといったこともあろうということでございますが、大きな方向性としては、このOPEX全体で査定を行うことで各社の創意工夫を促していきたいというのが基本的な目指すべき方向性として考えているということでございます。

2点目のイギリスなどとの比較ということについては、違った国というところもございますので、イギリスと全く同じやり方でやるというところは想定をしてはいないところでございますので、幾つか違う点もあります。そういったところについては、実際にイギリスも第1期規制期間というところでやった上で、第2期規制期間は第1期規制期間のいろいろな実績や反省なども踏まえて見直してやっていくということでやっているところでございますので、日本においてもそこは不断にどういったやり方がいいのかは考えながらやっていくことになるのではないかと思っているところでございます。

以上でございます。

○野村座長 ありがとうございます。

後藤委員、よろしいでしょうか。

○後藤委員 ありがとうございます。

補足としてお聞きしたいのですが、各事業者の創意工夫を引き出す方向でお考えであるということで、そうしますと逆にその事業者の個性によってかなりコストが違ってくる場合もあるかと思いますけれども、そういった場合はどの程度まで許容できるという目安というものはございますでしょうか。

○野村座長 分かりましたらお教えください。

○電力・ガス取引監視等委員会事務局田中ネットワーク事業監視課長 各社の個性というところは、どちらかというとこのOPEXの中での内訳としてどういった費用、例えば人件費を内製化したり、若しくは外製化したりといった事業運営での柔軟性、創意工夫というところで期待をしているところでございまして、OPEX全体の費用としては効率化を行うということを期待しているものでございます。

○野村座長 ありがとうございました。

○後藤委員 ありがとうございました。

○野村座長 そうしましたら、次の寺田委員、浦郷委員、2人続けて御発言いただきたいと思います。この1つ目のレベニューキャップに関してはここで御質問を切りたいと思いますので、寺田委員、浦郷委員、よろしくお願いいたします。

○寺田委員 寺田です。

ありがとうございます。古賀委員の御質問とかぶってしまって申し訳ないのですけれども、制御不能かどうかというよりは、制御不能とみなすことが好ましいかどうかという議論をすべきだと思います。それで、減価償却費が制御不能というのはそうかもしれないのですけれども、例えば第3期の査定のときに第2期より前の減価償却を全部自動転嫁させるというのは甘過ぎるような感じがします。過去の減価償却費の扱いを中心に制御不能の考え方というのですか、それを確認させていただければと思います。

以上です。

○野村座長 浦郷委員、どうぞ。

○浦郷委員 浦郷です。

ありがとうございます。今回レベニューキャップの収入上限の算定方法ということで、かなり細かく専門的なところなので、私などはなかなか理解が追い付かない部分があるのですけれども、そこら辺は他の委員の方々がいろいろ発言してくださったので、そこはそれでお任せするとして、私からは全体的なスケジュールのところをお聞きしたいのですけれども、7枚目のスライドでレベニューキャップ制度について2021年内に省令改正ということになっていますので、夏の終わりか秋ぐらいには料金制度専門会合の方で取りまとめに入るのかと思っているのですけれども、パブリックコメントなどがあるのかどうなのかが気になりました。パブコメはあるにしてもないにしても、今回電力託送料金のところがレベニューキャップ制度になるというところで、その内容を私も消費者団体の方に説明していかなければいけないところなのですけれども、なかなかこれは難しくて説明し切れないというのですか、レベニューキャップ制度で託送料金が決まる、託送料金を払うのは私たち消費者ということで、どういう仕組みで託送料金が決まっていくのかが消費者に分かるような資料というのですか、そういうものをこの制度ができるまでにきちんと作っていただけたらと思います。

以上です。

○野村座長 ありがとうございます。

田中課長、寺田委員と浦郷委員からの2点についてお願いいたします。

○電力・ガス取引監視等委員会事務局田中ネットワーク事業監視課長 制御不能費用に関しましては、こちらは実は第3回の料金制度専門会合において少し詳しく議論をしていたところでございまして、第3回料金制度専門会合、こちらの調査会にも御説明をさせていただいておりましたけれども、制御不能費用の基本的な考え方としては、費用変動が外生的に発生する費目、量、単価の両方が外生的な要因によって変動するもの、更には合理的な代替手段がなく一般送配電事業者の努力による効率化の取組が困難と判断した費目といったことに関しては、これは制御不能費用ということにしてはどうかということで検討をしていたものでございます。

減価償却費のところに関しては甘いのではないかという御指摘もあったところではございますけれども、設備として既に存在していて、それが実際に使われているという形のものでありますれば、それに要する減価償却費も必然的に発生してしまうということになりますので、ここは一送の裁量で変動するというよりは、費用変動が外生的に発生するというこの条件に当てはまるのではないかということで考えているところでございます。

浦郷委員から御質問のありました全体的なスケジュールということで行きますと、これにつきましては、今はワーキングの方でかなり詳細な専門的な議論を行っているわけですけれども、イメージ的には夏ぐらいまでにはワーキングでの検討を行いまして、その上で料金制度専門会合に改めてワーキングでの御議論結果を報告して、料金制度専門会合で更に改めて御議論いただきまして、夏以降ぐらいに取りまとめという形にしたいということで考えております。それ以降、21年度中に省令改正などといったことを行いまして、22年度からは具体的な料金審査などといったところを行った上で、23年度に新たな託送料金制度の開始を行っていきたいというところで考えているところでございます。

ワーキングの資料が少し専門的で分かりにくいという御指摘がございまして、こちらにつきましては、かなり専門的な議論なのでワーキングで御議論いただいているという関係もあり、専門的な内容にどうしてもなってきてしまうところがあるのですが、なるべく分かりやすい資料をという御指摘も受け止めまして、なるべくそのように工夫をしていきたいと思っているところでございます。

以上でございます。

○野村座長 ありがとうございます。

寺田委員、いかがでしょうか。

○寺田委員 ありがとうございます。

例えば第3期の査定のときに第2期のところまでは自動転嫁しないとか、そういうスキームが考えられないかなという気もします。思い付き的ですが。

○野村座長 そういう意見がございますということで御理解ください。

浦郷委員はいかがでしょうか。

○浦郷委員 ありがとうございます。

パブコメはあるのかないのか、そこだけお願いいたします。

○電力・ガス取引監視等委員会事務局田中ネットワーク事業監視課長 省令改正が行われるときはパブリックコメントが行われることになります。

○野村座長 ありがとうございました。

そうしましたら、ここでレベニューキャップ制度に関する事項の意見交換は終わらせていただきます。ありがとうございました。

そうしましたら、引き続き、配電事業についての議論に移らせていただきます。

時間が押してまいりましたので、恐縮ですが、田中課長、10分から15分程度を目安に御説明いただきたいと思います。その後、質問に入らせていただきます。

お願いいたします。

○電力・ガス取引監視等委員会事務局田中ネットワーク事業監視課長 それでは、御説明をさせていただきます。

資料につきましては、資料2を御覧いただけますでしょうか。配電事業の詳細設計についてということでございます。

2ページ、タイトルになっておりまして、3ページでございますが、こちらは昨年6月に電気事業法が改正をされまして、特定の区域における一般送配電事業者の送配電網を活用して新たな事業者が配電事業を行うことのできる制度、配電事業制度が創設されたということで、配電事業制度全体については資源エネルギー庁の審議会において検討が行われてきているところでございまして、その検討状況については、資源エネルギー庁からこの調査会におきましても御報告を申し上げてきたところということかと思います。

その中の配電事業制度における託送料金の運用等に係る事項については、電力・ガス取引監視等委員会が中心となって検討をするということになってございますので、その検討を行っているというところでございます。

4ページ、こちらは構築小委の資料なので当調査会でも資源エネルギー庁から御説明があったかとは思いますけれども、レジリエンス強化等の観点から、特定の区域において一般送配電事業者の送配電網を活用して、新たな事業者が自ら面的な運用を行うニーズが高まっているため、安定供給が確保できることを前提に配電事業者を電気事業法上に新たに位置付けるというものでございまして、例えば自治体や地元企業が高度な技術を持つIT企業と組んだ上で配電事業を行いまして、災害時には独立運用するといったことが可能となると期待されるということで、新規事業者によるAI・IoT等の技術を活用した運用・管理も進展が期待されるということで、4ページの下にあるような市町村規模であったり、街区規模であったり、離島であったりといったところの事業イメージが想定をされているところでございます。

5ページ、配電事業への参入パターンということで行きますと、参入事業者としては、新規参入者としては地域新電力であったり、インフラ技術を持っている事業者であったり、AI・IoTの技術を有するベンチャー企業などといったところが想定されまして、事業の効果例といたしましては、レジリエンスの向上であったり、エネルギーの地産地消の拡大といったことが期待をされているところでございます。

6ページ、分散型グリッドを運用する事業者の類型ということにつきましては、配電事業者ということについては、供給エリアというところが念頭に置かれているところでございまして、分散型グリッドということで言うと、特定送配電事業や特定供給といったものも現在存在しているのですが、これは特定の供給地点における供給であったり、供給の相手方が特定の相手方になっていたりするということなので、配電事業ということについては、6ページの左下にあるような市町村単位とか、離島とか、一定の面的エリアというところがこの配電事業として想定されているところでございます。

7ページ、こちらは本会合において検討することが求められている課題ということで、配電事業制度の託送料金に関連する以下の2点について、本会合で検討する必要があるということで、まずマル1改正電気事業法では、配電事業者の託送料金は、そのエリアの一般送配電事業者の託送料金と比較して適正な水準とするとされているところ、その具体的な基準を策定するということで、配電事業者の託送料金が適正な水準でない場合には、経済産業大臣が変更を命ずることができるとされていると。この点につきましては、周りの一送の託送料金と比較して適正な水準ということですので、この点、適正な原価に適正な利潤を加えて算定することとなっている一送の託送料金とはかなり異なる規定となっています。

この点につきましては、後ろで更に詳細に御説明をいたしますけれども、クリームスキミングの防止及びユニバーサルサービスの維持という観点からこのような形になっておりまして、例えば需要密度が高い地域だけを切り出した場合は、そこはそこだけ非常に需要密度が多くて託送料金収入は多いわけですけれども、そこだけ切り離してしまうと、他の地域にしわ寄せが行ってしまう、正にクリームスキミングが起きてしまうと。他方で、逆に過疎地域だけを切り離しますと、そのコストに応じた託送料金を設定するということで言うと、過疎地域だと需要に比べて費用というのは相対的に高いものですから、非常に高い託送料金になってしまってユニバーサルサービスの維持が難しくなること。そういったことも踏まえまして、改正電気事業法では、配電事業者の託送料金というのは、そのエリアの一般送配電事業者の託送料金と比較して適正な水準とすることとされているところでございます。

7ページのマル2でございますが、配電事業者は、一般送配電事業者に対して、配電設備の貸与や送配電系統への接続を依頼して、その対価を支払うこととなりますが、その価格や見直しの周期などについてのガイドラインを策定するということで、配電事業者と一般送配電事業者が共同で作成する引継計画において、貸与価格等を記載するとされているところ、ガイドラインにおいてその算定方法等を明確化するといったものでございます。全体像としては、この7ページの下のような形ということになってございます。小売電気事業者から配電事業者に託送料金を支払うわけですが、その料金は一送の託送料金と比較して適正な水準とされているということで、配電事業者からは一般送配電事業者に対しては更に配電設備の貸与や送配電系統への接続にかかる対価を支払うといった構図になっているところでございます。

8ページ、こちら以下は構築小委の主な資料を抜粋しておりますけれども、8ページにございますとおり、この改正電気事業法において、一般送配電事業者の託送料金と比較して適正な水準でないと認めるときは、当該変更を命ずることができるとされているものでございます。

また、9ページの構築小委における資料におきましても、周辺の一般送配電事業者への負担のしわ寄せとなるようなクリームスキミングが行われていないことといったことが条件となっております。

10ページ、配電事業者は、一般送配電事業者から設備の貸与又は譲渡を受けて配電事業を行う場合、一般送配電事業者と共同して引継計画を作成して、承認を受けることとなっているということでございまして、11ページにございますとおり、こちらも構築小委で行われた議論でございますが、対象設備を譲渡又は貸与する場合の価格も引継計画に記載をすることとなっております。

12ページ、こちらも資源エネルギー庁の構築小委の資料でございますが、こちらは「分散システム導入プラン」を策定しまして、様々な事項についてガイドラインとして定めるといったこととなっております。

13ページ、クリームスキミングの防止などの観点からの貸与価格等の詳細の考え方ということで、こちらは資源エネルギー庁の構築小委における議論で整理をされている事項でございます。配電事業者が一般送配電事業者に支払う貸与価格については、クリームスキミングを防止する観点が重要ということで、このため、下にございますとおり、配電事業者から一般送配電事業者に支払う費用につきましては、13ページの下の図にありますとおり託送料金の期待収入、この託送料金の期待収入というのは、先ほど申し上げたとおり、周りの一般送配電事業者と比較して同水準、適正な水準の託送料金で決まってくるわけですが、託送料金期待収入から配電事業者自身の業務である配電設備の維持運用費用を除く形で算定しまして、配電設備の償却費用、上位系統費用であったり、地域調整費用等を含む価格とすることを基本としてはどうかということでございます。

したがって、この一般送配電事業者に支払う費用というのは、13ページにございますとおり、左の託送料金期待収入から配電設備の維持運用費用を除いて算出する形になりますので、需要密度によって、例えば需要密度が低い地域といったところでは当該託送料金の期待収入がうんと少なくなりますので、地域調整費用が大きく少なくなることによって、逆に一般送配電事業者が配電事業者に費用を支払って設備の維持運用費用を委ねる契約になることも考えられますし、逆に都心部などの非常に需要密度が高い地域については、当該エリアの託送料金期待収入が非常に大きくなることが想定されますので、その場合は13ページの真ん中で言う地域調整費用の部分をその分逆算して求めますので、大きくなることによって、この配電事業者から一般送配電事業者に支払う費用は逆に多くなるということでございます。したがいまして、このような形で算定することにより、クリームスキミングの防止及びユニバーサルサービスの維持を図ることとしてはどうかというのが、この資源エネルギー庁の審議会で整理がされているところでございます。

14ページ、こちらにございますとおり、配電事業者に対して、配電設備の維持運用費用の合理化であったり、潮流合理化による上位系統の設備増強回避のインセンティブを与える仕組みとしてはどうかということになっているところでございます。

15ページ、こちらが配電事業者の託送料金が適正な水準であることの判断基準ということでございます。先ほど御説明申し上げたように、改正電気事業法上、配電事業者の託送料金は、一般送配電事業者の託送供給等に係る料金に比較して適正な水準、そのエリアの周りの一送の託送料金に比較して適正な水準とすることとされ、それに該当しないと認められる場合には経済産業大臣が変更を命ずることができるとされております。配電事業者の託送料金については、地域の実情等に応じた創意工夫が妨げられないよう、一定の自由度を許容することが重要と考えられることから、変更命令の具体的な基準については、制度開始当初においては以下のようにしてはどうかということでございます。

以下、基準でございます。以下のマル1、マル2のいずれかに該当していない場合ということでございまして、マル1一般送配電事業者の託送料金の電圧別需要ごとの平均単価と比べて、配電事業者の託送料金の電圧別需要ごとの平均単価の水準がプラスマイナス5パーセント以内であることということでございまして、注3に記載しておりますけれども、一般送配電事業者の託送料金に係る変更認可申請命令の発動基準であるフロー管理(想定単価と実績単価との比較)においても、乖離率が5パーセント以内であれば当該命令を発動しないこととしていることを参考としております。また、注2にございますとおり、平均単価の水準が一送と比較してゼロパーセントを超える場合には、配電エリアの需要家にレジリエンス強化等のメリットがあるなど、その説明が合理的と認められる場合に限るとともに、当該配電エリアの需要家に十分説明がなされていることを条件としてはどうかということでございます。

マル2といたしまして、また、一般送配電事業者の託送料金の個別需要家ごとの単価と比べても、配電事業者の託送料金の個別需要家ごとの単価の水準が著しく高くなっている需要家がいないこと。(このマル2の条件を満たしていない場合であっても、当該個別需要家に説明した上で同意が得られている場合には、マル2を満たしていると判断する)ということでございます。マル2の条件については、料金制度専門会合でも御議論がありましたので、後ほど改めてその点に関しては御説明させていただきたいと思います。

16ページ、配電事業者の託送料金に係る規制の運用は、以下のとおりとしてはどうかということで、配電事業者から託送料金の届出があった場合には、配電事業者に一般送配電事業者の託送料金に係る料金に比較して適正な水準であることの説明書の提出を義務付けるとともに、国が報告徴収により必要なデータを収集して配電事業者と一送の料金を比較して適正な水準となっているかを審査することとしてはどうかということで、この一送が料金を変更した場合も同様という想定をしております。

17ページ、配電事業者が一般送配電事業者に支払う貸与価格等の在り方についてということでございます。この配電事業者が一般送配電事業者に支払う貸与価格につきましては、以下の2点を考慮して国が一定の考え方を示す必要があるということで、ガイドラインを策定ということを想定していますが、まず(1)としてクリームスキミングの防止ということで、資源エネルギー庁の審議会では、クリームスキミング防止の観点から、配電事業者から一般送配電事業者に支払う貸与価格等については、託送料金期待収入から配電設備の維持運用費用を除いて算定することが適当と考えられると指摘をされているところでございまして、他方で、配電事業者による電化の促進やコスト効率化を促すインセンティブを付与することとしてはどうかとなっているところでございます。

したがいまして、18ページにございますとおり、前ページの考慮事項を踏まえまして、また、エリアごとに事情が異なることも考慮し、配電事業者が一送に支払う貸与価格等については、以下を基本として一送と配電事業者の協議により決定することとしてはどうかということで、この内容をガイドラインに記載することとしてはどうかということでございます。まずマル1として、貸与価格等の金額は、配電エリアの託送料金収入(過去実績or将来見込み)から配電設備の維持運用費用(過去実績or将来見込み)を算定することを基本とするということで、これは資源エネルギー庁の審議会での議論の原則といったことでございまして、この図にあるように、AからBというものを算定して、貸与価格等を算定することにより、クリームスキミングを防止することとしてはどうかということで、このA、Bに関しては、以下のような推計により、ある程度正確に算定することが可能ではないかということでございます。

19ページ、この貸与価格等の金額は原則として5年ごとに見直すこととするということで、一般送配電事業者の収入上限見直しと同タイミングということで見直すこととしてはどうかということでございます。その5年間において、実際の配電エリアの託送料金収入や配電設備の維持運用費用というのは、18ページのマル1で用いた値から乖離することも有り得るわけですが、期中で貸与価格等を見直すことはせず、その差額は配電事業者に帰属することとしてはどうかということで、配電事業者の利益又は損失となるということで、これにより、配電事業者の効率化及び電化促進等のインセンティブの付与をすることとしてはどうかということでございます。ただし、例えば、収入については外生要因によっても変動する可能性は当然ありますので、最初の期の貸与価格等を決定する際に、配電事業者と一般送配電事業者の間で、差額を事後的に調整する仕組みを取決めておくことも考えられるということでございます。

また、19ページのマル3にございますとおり、第2期以降の貸与価格等の金額につきましては、18ページのマル1を基本としつつ、配電事業者のインセンティブ確保の観点から、前期における配電事業者の成果(効率化+電化促進等)の一部を引き継ぐように工夫をすると。引継割合については事前に協議にて合意しておくことが望ましいということでございまして、詳細はこの後ろのページに記載しております。

配電事業者が上位系統の設備増強回避に資する潮流合理化等の取組を進めることが重要なケースについては、そのインセンティブにも配慮するということでございます。

20ページ以下はその詳細を記載していまして、マル1に書いた貸与価格の算定式については、貸与の場合、譲渡の場合でそれぞれ分かれるということで、これは資源エネルギー庁での審議会での整理のとおりとなっていまして、マル2に関しての見直し周期は、この20ページの記載のイメージということでございます。

21ページ、貸与価格の前期の配電事業者の成果の一部を引き継ぐイメージということで、21ページにあるような形ということで、例えば半分とした場合はこのような形のイメージになるのではないかということで記載をしております。

22ページ、配電事業者が上位系統の設備増強回避等に資する設備合理化の取組を進めることが重要なケースもあるものですから、そういったことについては、配電事業者が上位系統の設備増強回避に寄与する取組を進めることが重要なケースにおいては、そのインセンティブにも配慮する旨を記載してはどうかということでございます。

23ページ、こういった考え方に基づき貸与価格を決定するに当たっては、過去の実績値等のデータが必要になるものですから、23ページの(1)や(2)にあるような形で、このデータについて一般送配電事業者若しくは配電事業者が提供することとしてはどうかということでございます。

こちらが資料の方なのでございますが、お配りしている資料3を御覧いただきたいと思います。

ただいま御説明した内容に関して、第6回料金制度専門会合で御議論を頂いたわけですけれども、事務局案について概ね御賛同を頂いたところでございます。その中で、配電事業者の託送料金の変更命令基準であったり、配電設備の維持運用費用について、以下の御意見を頂いたところでございまして、具体的には15ページを御覧いただければと思います。

託送料金の基準であるところのマル2というところで、一般送配電事業者の託送料金の個別需要家ごとの単価と比べても、個別需要家ごとの単価の水準が著しく高くなっている需要家がいないこととなっていますが、括弧内で(このマル2の条件を満たしていない場合であっても、当該個別需要家に説明した上で同意が得られている場合には、マル2を満たしていると判断する)ということについては、配電事業者は需要家と直接の接点がなく、どのような形で同意を得ることが可能なのかと。需要家も同意するかと問われてもなかなか同意し難いのではないか、運用上難しい点があるのではないかといった御意見を頂いたところでございます。

この点につきましては、改めて検討いたしまして、直接の接点がない者から同意を得るのは難しいのではないか、また、実際に単価が著しく高い者からそれでいいという同意を得ることは、そもそも考えにくいのではないかと思われることから、この15ページのところにつきましては、平均単価でプラスマイナス5パーセントに収まっているだけではなく、そもそも個別需要家ごとにもプラスマイナス5パーセント以内に収まっていることを要件とする方向で、次回改めて議論することを予定しているところでございます。

もう一つ、配電設備の維持運用費用というところに関してですが、貸与価格のところにつきましては、資料で行きますと18ページのような形で算定することにしているわけですけれども、ここにつきましては、貸与価格というものを収入マイナス費用ということで算定することはよいが、費用について、配電事業者が必要な設備投資などを繰り延べて短期的に費用を削減することも可能になる。配電事業者が5年だけ費用を絞って利益を出した上で、5年後に撤退することも有り得るのではないかと。短期的思考の事業者が不当に利益を得るようなものにならないように気を付ける必要があるのではないかといった御意見もあったところでございます。

この点につきましては、配電事業者、安定供給維持の観点から、停電等がないように当然監督はされることになりますので、短期で設備が著しく劣化することは想定しにくい状況ではあるのですが、短期で撤退することに対して不適切なインセンティブを与えることのないように、専門会合における議論でも、例えば家を借りていたときに毀損したら原状回復する必要があるように、配電事業の撤退時には、仮に貸与設備が劣化したら原状回復のための求償をするとの整理にするのが合理的ではないかとの御意見もあったところですので、そのような形で整理検討していくことを予定しているところでございます。

私からの説明は以上でございます。よろしくお願いいたします。

○野村座長 ありがとうございました。

ここで田中課長と太田参事官に御相談ですが、時間が16時半に近づいておりますので、15分だけお許しいただけるならば延長させていただいてもよろしいでしょうか。

○太田参事官 大丈夫とのことですので、15分延長ということでよろしくお願いいたします。

○野村座長 委員の皆様、御退室いただくということであれば、後で議事録で御確認いただくということで御了解いただきたいと思います。

そうしましたら、またチャットの方にお名前を、御質問、意見交換の内容を発言するためにお入れください。お願いいたします。

寺田委員、若林委員の順番でよろしくお願いいたします。

○寺田委員 寺田です。

どうもありがとうございます。短い質問なのですけれども、18ページ以下の貸与価格なのですが、基本的にはガイドラインに書くことを議論しているだけで、二者協議で決まる、協議の際に参考にしてもらうガイドラインの内容を議論しているだけという理解でよろしいのでしょうか。その後、規制につながるかのような説明内容だったので、それを確認させていただければと思います。

以上です。

○野村座長 田中課長、お答えいただけるでしょうか。

○電力・ガス取引監視等委員会事務局田中ネットワーク事業監視課長 貸与価格につきましては、一般送配電事業者と配電事業者が共同で作成する引継計画に記載することにしておりまして、その引継計画については、経済産業大臣の承認を受けることになっております。ただ、それに当たりまして、今、寺田委員から御発言のありましたとおり、ガイドラインを作成して、基本的には配電事業者と一般送配電事業者の協議により決定するといったことを想定しているということでございます。

○野村座長 寺田委員、よろしいでしょうか。

○寺田委員 経産大臣の承認には影響し、その前提での議論ということですね。

○電力・ガス取引監視等委員会事務局田中ネットワーク事業監視課長 そういうことでございます。

○寺田委員 ありがとうございます。

○野村座長 引き続き、若林委員からお願いいたします。

○若林座長代理 ありがとうございます。

御説明ありがとうございました。まず15ページについて、1点質問とコメントです。コメントにつきましては、マル2のところ、先ほど御説明いただいたように、この記述から次回変更の予定である、マル1と同様にプラスマイナス5パーセント以内ということで変更予定であるとお話しいただきました。私もマル2で同意を得るということ、同意をどのような形で確認するのか等について疑問に思っておりましたので、方向性としてはよろしいのかと思うのですけれども、マイナスではなくてプラスになる場合に、注2と同様に需要家に何かメリットがあるなど合理性が認められる場合と、特に消費者の場合には十分な説明が必要だと思いますので、同様に注2のような注を付けていただくことが必要なのではないかと思っています。

質問として、同じく15ページのマル1の部分なのですけれども、マイナス5パーセント以内とされた理由として、現在の振れ幅、乖離率から5パーセントという形で算出されているのですけれども、これは非常に創意工夫の豊かな事業者が出てきた場合に、マイナス5パーセントというのはそれにキャップを付けることにならないのかなと思って、余りそういう事例が考えにくいのかどうかということをお聞きしたいと思います。よろしくお願いいたします。

○野村座長 御回答をお願いします。

○電力・ガス取引監視等委員会事務局田中ネットワーク事業監視課長 15ページでございますが、こちらに関しましては、個別需要家ごとにということでプラスマイナス5パーセント以内に変える予定なのですけれども、注2のところの内容に関しましては維持をする予定にしております。ただ、個別需要家ごとに超える場合というよりは、平均単価の水準として超える場合は、配電エリアの需要家にレジリエンス強化のメリットがあるなど、その説明が合理的と認められる場合に限るとともに、当該配電エリアの需要家に十分説明がなされていることという、この注2の内容そのものを維持するといったことを想定しているところでございます。

このマイナス5パーセントというところに下限を限っている理由でございますが、こちらはクリームスキミングの防止、他の地域へのしわ寄せといったところを想定しているところでございまして、例えば需要密度が非常に高い地域というところは、託送料金の想定される収入に加えて、費用というのは配電設備は少ないので、低い料金を設定することも可能なのですが、託送料金から維持運用費用を引いたものを一送に支払う費用にしていますので、仮に需要の密度が非常に高い地域で、それに比べて配電設備の量が少ない地域で託送料金を低く設定しまいますと、その分だけ一般送配電事業者へ支払う費用が減ってしまって、ひいてはそのエリア以外の需要家に対してしわ寄せがなされることになってしまいますので、このマイナスの方に関しましても、しわ寄せの防止の観点からマイナス5パーセントというキャップをはめているということでございます。

○野村座長 よろしいでしょうか。

○若林座長代理 承知しました。ありがとうございます。

○野村座長 そうましたら、古賀委員、白山委員の順番でお願いいたします。

○古賀委員 古賀でございます。

ありがとうございました。今回配電事業を創るということに関して、非常にドラスチックというか、全体の感想のようなものを最初に述べさせていただいて、2つほど小さな質問をさせていただきたいと思います。

今回の資料の4にありますように、配電事業が変わる新たなニーズを含めてIT企業と組んだりとか、いろいろなところで託送業務が自由化されることに対しては大変期待していたのですけれども、今回頂きました資料の3にあるところの議論を拝見しまして、変更命令や維持費用については、ある意味価格(費用)統制的な規制について議論されているということで、貸与事業と譲渡事業について丁寧な議論がなされていることは重々承知しているのですけれども、そもそも今回の事業については、譲渡よりもむしろ一般送配電事業者からの貸与ということを中心に制度が構想されているのではないかということ。

もう一つは、配電事業は、小売の方との結び付きも非常に強いと思います。例えば地方の地域の小売事業者ですとか、自治体などとコラボしたような小売事業者の参入は想定されると思うのです。そういった場合の行為規制について、そういったところは今後どういうスタンスで議論されるのか。それとも、このように厳しめの横並びの託送料金の規制が入ってしまうと、そもそも配電事業に参入してくる人がいなくなってしまうのではないかという不安も感じてしまうのです。それで、一つは貸与事業中心になるのではないかということと、もう一つは、こうした地域の特性に関しての特別な配慮をこの制度の中に入れるべきではないかと。例えば小売を増やすために、発電を増やすためにFITの制度を入れたような、そういう補助的な政策も必要ではないかと思うのですけれども、その辺りはどのように構想されていらっしゃるのでしょうか。

○野村座長 お願いいたします。

○電力・ガス取引監視等委員会事務局田中ネットワーク事業監視課長 貸与若しくは譲渡のところに関しましては、こちらは現在具体的に行う事業者がまだなかなか想定されないものですから、どちらが多いか少ないかというのは、実際には分からないところではございます。ただ、実際に譲渡をしてその分を一気に払うということに関しては、それなりの金額も必要になると思われるであろうと。配電設備に関してこの譲渡という場合はそれなりの金額の支払が必要になるであろうということを考えますと、貸与の割合はそれなりのものになるのではないかということは想定されるところでございます。

小売との兼業、行為規制などといったところに関しましては、一般送配電事業者の場合は基本的には兼業は認めないというか、むしろ今まで一体であったものを法的分離ということで、この4月から法的分離を行っているわけですけれども、配電事業者というところにつきましては、これは比較的小規模なところも想定されますので、小売との兼業などに関しても一定の柔軟性を考えていくべきではないかというところが、資源エネルギー庁の審議会でも恐らく議論がなされていくのではないかと想定をしているところでございます。また、そういった配電事業者が小売と兼業した場合における行為規制ということにつきましても、併せて検討していくことを想定しているところでございます。

以上でございます。

○野村座長 ありがとうございます。

古賀委員、よろしいでしょうか。

○古賀委員 ありがとうございます。

私の質問した意図とは違う御回答だったのですけれども、一つは今の制度の進め方だとどちらかというと送配電事業者、一般送配電事業者の下での集中独占というものがより一層高まるような、新規参入がしにくいような議論の方向性になっているのではないかという疑問で、むしろ行為規制はもちろん送配電事業者と一般電気事業者、旧電気事業者にすべきだとは思いますけれども、今回配電事業に新規参入する人については、そういった意味も含めて行為規制と参入障壁の低減化を図るべきではないかというのが私のお答えいただきかった点ですけれども、今後柔軟に検討いただけるということで理解いたしました。

○野村座長 すみません。時間制約のためここで終わらせていただきますが、白山委員と後藤委員、このお二人の発言で質問を切らせていただきたいと思います。

白山委員からお願いいたします。

○白山委員 ややテクニカルな点で恐縮なのですが、13ページ辺りに書いてある貸与価格と譲渡価格、特に譲渡価格の方なのですが、通常設備等の譲渡というのは譲渡の価格が一定額で決まって、それを分割で払っていく場合があったりしますが、いずれにしても譲渡価格を基に配電設備等の償却費用が計算されていくような気がするのですが、これを見ていると、譲渡の場合、収入マイナス費用で計算をして仮想的な仮の譲渡価格みたいなものが出てきて、それが5年なりなんなりで変動するという理解でよろしいのですか。そういった場合に配電設備の償却費用をまた見直すことになる気がするのですが、どのように考えればいいか分からないので教えていただきたいと思います。

○野村座長 お願いいたします。

○電力・ガス取引監視等委員会事務局田中ネットワーク事業監視課長 13ページのところ、これはかなり分かりにくい言葉になっておりまして、貸与価格イメージ、譲渡価格イメージとなっているのですが、これは貸与の場合に一般送配電事業者に支払う費用のイメージ、設備を譲渡した場合に一般送配電事業者に定期的に支払う費用のイメージということで、13ページの右にある枠囲いで囲っている部分が譲渡価格という意味ではございません。ですから、ここで譲渡価格イメージと書いている言葉が若干分かりにくいのですが、あくまでここで書いているのは、譲渡されるというのは譲渡として別途譲渡をされてしまうのですけれども、貸与ではなく譲渡であった場合には、一般配電事業者から一般送配電事業者に支払う費用というのは、配電設備の維持運用費用だけではなくて、譲渡された後の配電設備の償却費用も除いた上での金額というのが一般送配電事業者に定期的に支払う費用ですということで書いている趣旨でございまして、ここは非常に分かりにくい記載になってございまして、大変申し訳ございません。

○野村座長 よろしいでしょうか。

○白山委員 分かりました。今のような説明を頂ければ分かります。ありがとうございました。

○野村座長 では、後藤委員から手短にお願いいたします。

○後藤委員 短いコメントになるかと思いますが、費用の適正な水準というところからしまして、今の一般送配電事業者と同じようなことを少し安価にできればいいというような作りに見えてしまうのですが、実際には小規模でイノベーションリーダー的な新しい試みをするような事業者が出てくるということがこれからイノベーションを起こしていく上で必要かなとも思いますけれども、そのような仕組みはどのようにお考えでしょうか。

○野村座長 お願いいたします。

○電力・ガス取引監視等委員会事務局田中ネットワーク事業監視課長 こちらなのですが、そこの点につきましては17ページに記載しておりますとおり、クリームスキミングを防止しなければならない一方で、配電事業者によるそういったコスト効率化や電化の促進といった取組に対してはインセンティブを与えなければいけないという両者を満たす必要があるというところで制度設計をしております。したがいまして、この18ページのマル1にあるような形で逆算して一送への支払価格は求めるのですが、ただ、19ページにございますとおり、貸与価格の金額は、原則として5年ごとに見直すということですので、5年の間に効率化などを行った場合は、その分の効率化分は配電事業者の利益にすることができるというところでインセンティブを確保する。また、その効果については翌期への引継ぎについても合意しておくことが望ましいということで、その効率化など、イノベーション、そういったもののインセンティブを確保する仕組みということで考えているところでございます。

○野村座長 後藤委員、よろしいでしょうか。

○後藤委員 承知しました。ありがとうございます。

○野村座長 大石委員、後からもう一つということで、手短にお願いいたします。

○大石委員 最後に簡単に1点のみお願いいたします。今回レベニューキャップ制度が取り入れられると定期的に託送料金を見直すことになるのだと思いますが、ということは、配電事業者の託送料金もそのたびに見直されることになるのでしょうか。それだけ教えてください。

以上です。

○野村座長 お願いいたします。

○電力・ガス取引監視等委員会事務局田中ネットワーク事業監視課長 おっしゃるとおり、その想定ということでおります。

○野村座長 ありがとうございました。

まだ発言の御希望はあるかと思うのですが、時間が超えてしまいましたので、ここで終わらせていただきます。

田中課長、本当にどうもありがとうございました。

これだけオーバーしてしまうということは、関心度がかなり高いということでもあるかと思います。特に、最初のレベニューキャップの制度設計のところのCAPEX、OPEXの区分ですね。特にリース会計のときにどちらに含めるのかとか、あるいはR&Dや環境関連費用がこれから増えてくると思うのですが、それもどういう扱いをするのか、制御不能費用の判断基準に関しても、インセンティブを入れなければいけない、創意工夫も評価しなければいけない中で、難しさが残っているなという感想を持ちました。

電力・ガス取引監視等委員会の事務局におかれましては、今後の詳細設計におきまして、本日の議論を踏まえていただければと思います。

また、消費者庁におかれましても、料金制度専門会合にオブザーバーとして参加されました際には、本日の議論状況も御報告いただければ幸いでございます。

消費者庁及び電力・ガス取引監視等委員会の事務局におかれましては、本日、時間オーバーの中を御対応いただきまして、本当にありがとうございました。

最後に、事務局から事務連絡をお願いしたいと思います。


≪3.閉会≫

○太田参事官 本日も長時間にわたりまして御議論を頂きまして、ありがとうございました。

次回の会合につきましては、確定次第、御連絡させていただきます。

以上でございます。

○野村座長 それでは、本日はこれにて第14回の電力託送料金の調査会を終わらせていただきます。

お忙しいところ、活発な御議論を頂きまして、本当にありがとうございました。

赤色のアイコンで御退室いただけます。どうもありがとうございました。

(以上)