第7回 電力託送料金に関する調査会 議事録

日時

2020年8月7日(金)10:00~11:51

場所

消費者委員会会議室・テレビ会議

出席者

【専門委員】
野村座長、若林座長代理、浦郷委員、古賀委員、後藤委員、白山委員、寺田委員、林委員
【消費者委員会担当委員】
大石委員、新川委員
【説明者】
資源エネルギー庁 下村電力産業・市場室長
【消費者庁】
高島審議官
【事務局】
二之宮事務局長、渡部審議官、太田参事官

議事次第

  1. 開会
  2. 賠償負担金・廃炉円滑化負担金の算入に伴う電力託送料金の算定に関する資源エネルギー庁へのヒアリング
  3. 閉会

配布資料 (資料は全てPDF形式となります。)

  • 【参考資料1-1】 託送供給等約款変更認可申請及び託送供給等約款変更届出について(PDF形式:171KB)PDFを別ウィンドウで開きます
  • 【参考資料1-2】 託送供給等約款変更認可申請及び託送供給等約款変更届出について(意見聴取)(公印省略)(PDF形式:119KB)PDFを別ウィンドウで開きます
    ※参考資料1-2の「別添1」は会議資料の参考資料5から9、「別添2」は参考資料10から13と同内容。
  • 【参考資料2】 電力託送料金に関する調査会の設置について(PDF形式:145KB)PDFを別ウィンドウで開きます
  • 【参考資料3】 電力託送料金に関する調査会の公開について(PDF形式:125KB)PDFを別ウィンドウで開きます
  • 【参考資料4】 消費者委員会 公共料金等専門調査会設置・運営規定(PDF形式:39KB)PDFを別ウィンドウで開きます
  • 参考資料5から13(資源エネルギー庁 提出資料)
    【参考資料5】 東北電力ネットワーク株式会社の託送供給等約款変更認可申請書
    【参考資料6】 東京電力パワーグリッド株式会社の託送供給等約款変更認可申請書
    【参考資料7】 関西電力送配電株式会社の託送供給等約款変更認可申請書
    【参考資料8】 四国電力送配電株式会社の託送供給等約款変更認可申請書
    【参考資料9】 九州電力送配電株式会社の託送供給等約款変更認可申請書
    【参考資料10】 北海道電力ネットワーク株式会社の託送供給等約款変更届出書
    【参考資料11】 中部電力パワーグリッド株式会社の託送供給等約款変更届出書
    【参考資料12】 北陸電力送配電株式会社の託送供給等約款変更届出書
    【参考資料13】 中国電力ネットワーク株式会社の託送供給等約款変更届出書

    参考資料5から13は、経済産業省ウェブサイト(https://www.meti.go.jp/index.html)の
    ニュースリリース2020年7月28日付 「電力会社から託送供給等約款の変更認可申請及び変更届出を受理しました」(https://www.meti.go.jp/press/2020/07/20200728003/20200728003.html)に掲載の各PDFを御参照ください。

    東北電力ネットワーク株式会社 【別紙1-1】託送供給等約款変更認可申請書(PDF形式:1,816KB)(https://www.meti.go.jp/press/2020/07/20200728003/20200728003-1.pdf)
    東京電力パワーグリッド株式会社 【別紙2-1】託送供給等約款変更認可申請書(PDF形式:4,520KB)(https://www.meti.go.jp/press/2020/07/20200728003/20200728003-4.pdf)
    関西電力送配電株式会社 【別紙3-1】託送供給等約款変更認可申請書(PDF形式:1,898KB)(https://www.meti.go.jp/press/2020/07/20200728003/20200728003-7.pdf)
    四国電力送配電株式会社 【別紙4-1】託送供給等約款変更認可申請書(PDF形式:3,290KB)(https://www.meti.go.jp/press/2020/07/20200728003/20200728003-10.pdf)
    九州電力送配電株式会社 【別紙5-1】託送供給等約款変更認可申請書(PDF形式:5,848KB)(https://www.meti.go.jp/press/2020/07/20200728003/20200728003-13.pdf)
    北海道電力ネットワーク株式会社 【別紙6-1】託送供給等約款変更届出書(PDF形式:14,645KB)(https://www.meti.go.jp/press/2020/07/20200728003/20200728003-16.pdf)
    中部電力パワーグリッド株式会社 【別紙7-1】託送供給等約款変更届出書(PDF形式:3,391KB)(https://www.meti.go.jp/press/2020/07/20200728003/20200728003-19.pdf)
    北陸電力送配電株式会社 【別紙8-1】託送供給等約款変更届出書(PDF形式:15,391KB)(https://www.meti.go.jp/press/2020/07/20200728003/20200728003-22.pdf)
    中国電力ネットワーク株式会社 【別紙9-1】託送供給等約款変更届出書(PDF形式:1,254KB)(https://www.meti.go.jp/press/2020/07/20200728003/20200728003-25.pdf)

≪1.開会≫

○太田参事官 それでは、定刻となりましたので、会議を始めさせていただきたいと思います。

本日は、皆様、お忙しいところをお集まりいただきまして、誠にありがとうございます。ただいまから「消費者委員会公共料金等専門調査会第7回電力託送料金に関する調査会」を開催いたします。

本日は、ウェブ会議による開催となります。

また、感染拡大防止の観点から、一般傍聴は入れない形での開催となります。

本日の会議は録音し、後日、議事録を掲載するまでの間、消費者委員会のホームページで配信する予定でございます。万一、音声の配信ができない場合には、議事概要を掲載いたします。

次に、配付資料の確認をさせていただきます。

お手元の議事次第の下の方に配付資料一覧を記載してございます。

お手元の資料にもし不足等がございましたら、事務局までお知らせください。

さて、本調査会につきまして、第6次消費者委員会といたしましては、本日が初めての会合となります。

構成員につきましては、本年7月31日付で、お手元に配付しております資料1のとおり、消費者委員会の山本委員長より指名されております。

座長につきましては、同日、山本委員長から野村宗訓専門委員に務めていただくよう指名されております。野村座長におかれましては、どうぞよろしくお願いいたします。

なお、消費者委員会から、担当委員といたしまして、大石委員、それから、新川委員がオブザーバー参加をされます。

なお、この8月1日付で事務局の幹部職員の異動がありました。本日より、渡部審議官と、参事官を拝命いたしました私、太田が出席しております。

それぞれ一言御挨拶をさせていただきます。まず、渡部審議官からお願いいたします。

○渡部審議官 8月1日付で消費者委員会担当の審議官を拝命いたしました渡部と申します。

前任の福島審議官と同様、官民競争入札等監理委員会事務局との兼務という形になりますが、どうぞよろしくお願いいたします。

○太田参事官 引き続きまして、参事官を拝命いたしました太田でございます。

前職は消費者庁におきまして地方協力課長をしておりました。どうぞよろしくお願いいたします。

それでは、野村座長、以後の議事進行をよろしくお願いいたします。

○野村座長 このたび、電力託送料金に関する調査会の座長を務めることになりました、関西学院大学経済学部の野村です。どうぞよろしくお願いいたします。

座長代理につきましては、設置・運営規程により座長が指名することになっております。座長代理には若林亜理砂専門委員を指名させていただきましたので、よろしくお願いいたします。

本日の進行についてですが、途中で私の回線が切れた場合は、復旧するまでの間は座長代理に、座長代理の回線も切れてしまった場合には事務局に進行をお願いいたします。

本日、浦郷委員が消費者委員会の会議室で御参加、それ以外の委員・オブザーバーの皆様全員、ウェブ会議にて御参加いただいております。

そうしましたら、初めに、事務局からウェブ会議の留意事項について御説明をお願いいたします。

○太田参事官 太田でございます。

まず、ウェブ会議による調査会開催に当たりましてお願い申し上げます。

1つ目に、ハウリング防止のため、御発言いただく際以外は、マイクをミュートの状態にしていただきますようお願いいたします。

2つ目に、御発言の際には、あらかじめチャットでお知らせください。野村座長にその御投稿を御確認いただきまして、発言者を指名していただきます。指名された方は、マイクのミュートを解除して、冒頭でお名前をおっしゃっていただき、御発言をお願いいたします。御発言の際、配付資料を参照する場合は、該当のページ番号も併せてお知らせくださいますようお願いいたします。

なお、御発言の際には、可能であれば映像、カメラマークがございますけれども、そちらのミュートを解除していただけましたら、どなたがお話しになっているかが分かりやすくなりますので、御協力のほどをよろしくお願いいたします。

3つ目に、音声が聞き取りづらい場合には、チャットで「聞こえない」「聞こえにくい」などと記入していただきまして、お知らせいただきますよう、お願いいたします。

以上でございます。


≪2.賠償負担金・廃炉円滑化負担金の算入に伴う電力託送料金の算定に関する資源エネルギー庁へのヒアリング≫

○野村座長 ありがとうございます。

そうしましたら、本日は最初の会合ですので、具体的な中身に入る前に、本調査会で審議することになった経緯につきまして、事務局より御報告いただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

○太田参事官 太田でございます。

それでは、本調査会で審議することになった経緯につきまして、御説明させていただきます。

消費者委員会において、今後、電力託送料金に関して、本日の議題である賠償負担金・廃炉円滑化負担金の算入に伴う電力託送料金の算定と、もう一件、改正電気事業法等の詳細設計について審議することが予定されているところでございます。

各案件につきまして、消費者委員会での審議と並行して、資源エネルギー庁や電力・ガス取引監視等委員会で審議されているところ、公共料金等専門調査会の松村委員につきましては、それらの審議に既に関与し、かつ関与される蓋然性が高く見込まれていたということでございます。

各案件は、最終的に消費者委員会としての意見表明を想定するものであるところで、個別の託送料金についてのものや、それと強い関連性が生じる可能性があるものとなっております。

また、詳細設計案件は、審議期間が比較的長期になることが見込まれております。

こういったことを踏まえまして、各案件につきましては、議論の中立性の観点から、松村委員には調査審議に関与いただかない形が適切であると考えられました。また、松村委員からも、調査審議に加わらないというお考えを承っております。

そして、このような対応につきまして、組織の上でも明確化を図る観点から、各案件についての調査審議は、公共料金等専門調査会の下の「電力託送料金に関する調査会」で当たることとなりました。

その構成につきましては、資料1の名簿のとおり、現在の公共料金等専門調査会の構成員のうち、松村委員を除き、新たに後藤委員に加わっていただく形で構成されております。

なお、調査会の所掌等につきましては、参考資料2から参考資料4までを御覧ください。

以上でございます。

○野村座長 ありがとうございます。

次に、この電力託送料金に関する調査会から新しく専門委員になられました後藤美香委員より簡単に御挨拶をお願いしたいと思います。よろしくお願いします。

○後藤委員 ただいま御紹介にあずかりました、東京工業大学の後藤美香と申します。

専門はエネルギー経済学でございまして、電力市場や企業等の効率性分析、国内外の制度の調査研究などを行っております。

今回からの参加となりますが、これまでの御議論を踏まえまして、お役に立てるよう努めてまいりますので、何とぞよろしくお願い申し上げます。

簡単ですが、御挨拶とさせていただきます。

○野村座長 どうもありがとうございました。

それでは、ここから議事に入らせていただきたいと思います。

本日の議題は「賠償負担金・廃炉円滑化負担金の算入に伴う電力託送料金の算定に関する資源エネルギー庁へのヒアリング」となっております。

本日、消費者庁から高島審議官、資源エネルギー庁から下村電力・ガス事業部政策課電力産業・市場室長にお越しいただいております。

それでは、まず、本件の経緯につきまして、消費者庁より説明をお願いしたいと思います。高島審議官、5分程度でよろしくお願いいたします。

○消費者庁高島審議官 消費者庁でございます。

本年4月1日に電気事業法の関係省令が施行されました。この新しい省令におきまして、託送料金の原価を算定する段階で新たに賠償負担金、廃炉円滑化負担金を追加することが可能になったところでございます。

これに伴いまして、一般送配電事業者から申請された託送料金の改定額につきまして、2016年に電力システム改革貫徹のための政策小委員会の中間取りまとめが出されておりますが、その中で、託送料金の仕組みを通じて広く全需要家に負担を求めるにあたっては、その額の妥当性を担保する措置を講じるとされておりますので、それらを踏まえまして資源エネルギー庁から消費者庁へ意見を求められたところでございます。

本件託送料金の査定につきましては、同じ2016年に消費者委員会におかれて電力託送料金に関する調査会が設置されまして、そこから電力託送料金に関する調査会報告書が出されております。その中では、政策的観点から費用を託送料金で徴収することについて消費者の納得を得られるよう努力すべきこと、消費者への過度な負担を求めることにつながることのないよう慎重であるべきことなどが指摘されております。

こうしたこれまでの一連の経緯を踏まえまして、消費者庁の意見を検討するに当たりまして消費者委員会に御意見を求めるものでございます。どうぞよろしくお願いいたします。

○野村座長 高島審議官、どうもありがとうございました。

この件に関しまして御質問があるかと思うのですが、後ほどまとめて御意見を伺いたいと思います。

続きまして、資源エネルギー庁から30分程度で御説明をお願いしたいと思います。下村室長、よろしくお願いいたします。

○資源エネルギー庁下村電力産業・市場室長 資源エネルギー庁電力産業・市場室長をしております下村といいます。どうぞよろしくお願いいたします。このたびは貴重な機会を頂き、また、御審査の機会を頂きまして、大変ありがとうございます。

今回、先ほど経緯を御説明いただきましたとおりで、先月、7月28日に一般送配電事業者から託送料金の改定に関する申請及び届出の提出がございました。この件に関しまして、7月31日付で消費者庁様にこの託送料金の算定について御意見を伺わせていただいているところでございます。本日は、この制度の概要、それから、今回の申請の概要について御説明をさせていただければと思います。

それでは、お手元の資料2を御覧いただければと思います。

まず、2ページからで「我が国の原子力損害賠償制度の概要」でございます。

この2ページ目にございますように、日本ではもともと原子力損害の賠償に関する法律、我々はこれを原賠法などと呼んだりしてございますけれども、こうしたものの措置がございました。

しかしながら、この原賠法の措置というものが、この左側の青い枠の中に囲ってございますが、賠償措置額として1200億円を上限とする形で備えを行っていく。こういう立て付けとなっていたわけでございます。これに対し、また後ほど御説明しますけれども、2011年3月にはこうした想定をはるかに超える大きな事故が発生したわけでございます。

原賠法上、こうした大きな事故にも備える形で、第16条という規定がございます。ピンク色のところでございます。この原賠法第16条において、政府は必要があると認めるときには必要な援助を行うものとする。こういう規定となってございまして、この規定に基づいて、別途、原賠機構法と呼ばれる法律が措置されてございます。

おめくりいただきまして、3ページを御覧いただければと思います。今回の事故に関しまして、今、確保すべき資金の全体像はどうなっているのかを示したものがこちらでございます。

まず、全体像といいますと、この一番右上で、合計で21.5兆円という数字が試算されているところでございます。そのうち、廃炉・汚染水に係る費用として8.0兆円、賠償が7.9兆円、除染が4.0兆円、中間貯蔵が1.6兆円という費用試算を行っているところでございます。

例えば、この廃炉・汚染水といった費用については、当然、東京電力が全て賄うということで考えておるわけでございます。一方で、この賠償という部分につきましては、原子力発電を運用する以上、こうした大きな事故があり得る観点から、これをあらかじめ、そうした事故にも備える形で相互扶助の考え方に基づいて拠出していこうということでありまして、この原賠機構法に基づきまして、東京電力のみならず「大手電力」と書いてございますけれども、原子力発電事業者がこの負担を負う形で現在の制度を運用しているところでございます。

その下を御覧いただきますと、新電力が0.24兆円といった数字がございます。これが本日の議題となっている部分でございます。こちらについて、次のページ以降で御説明させていただきます。

4ページを御覧いただければと思います。

福島第一原発事故後、今、申し上げたとおり、原賠法に加えて原賠機構法が制定されまして、現在、原子力事業者が毎年一定額を原賠・廃炉機構に納付してございます。

この趣旨に鑑みれば、これは本来、こうした万一の際の賠償への備えというものでありますので、事故よりも前から確保されておくべきでございましたが、実際には、先ほどの1200億円といった措置が講じられているのみで、そうした措置は十分に講じられておりませんで、したがって、これはもともと、自由化前は規制料金という制度の下で運用されてございましたが、そうした費用が料金原価に算入されることもございませんでした。

その結果、この事故以前は、こうした賠償への備えの費用が料金に含まれていない相対的に安価な電気という形で全需要家が享受していたということでございます。

こうした中で、原賠機構法の制定後、小売が全面自由化されまして、新電力への契約切替えにより一般負担金を負担しない需要家が増加してくる。こうした環境下の中で、受益者間の公平性等の観点から、事故前に確保されておくべきであった賠償への備えの不足分について、今回、託送料金の仕組みを利用することとしたものでございます。

この下の絵を御覧いただければと思いますけれども、原賠機構法が成立した2011年以降はその備えの不足分という形で原子力事業者が資金を一定納付しているわけで、それ以前、これは1966年度から商業用原子炉が稼働し始めてございますが、そのときから、本当であれば備えておかなければならなかった部分について、論点として提示されたものでございます。

5ページ目を御覧いただければと思います。

こうした議論を踏まえまして、この一般負担金に関しまして、事故前に確保すべきであった賠償の備え分については、福島復興を支える観点から、託送料金制度を活用する方針を2016年12月に福島復興指針において閣議決定させていただいてございます。

下の下線を引いている部分で、国民全体で福島を支える観点から、福島第一原発の事故前には確保されていなかった分の賠償の備えについてのみ、広く需要家全体の負担とし、そのために必要な託送料金の見直し等の制度整備を行う。

それで、※で書いてございますけれども、その回収する金額の規模は、これは後ほど御説明しますが、約2.4兆円とし、これを上限とする。また、年間600億円程度を、2020年度以降、40年程度にわたって回収していくものとするといった記載となっているところでございます。

では、この算定方法で、6ページ目でございます。

2016年に開催されました電力システム改革貫徹のための政策小委員会での議論を踏まえまして、現行の原賠機構法に基づく一般負担金の算定方式を前提として福島事故前に確保されておくべきであった賠償への備えは3.8兆円と算出してございます。

これはどういうことかと申しますと、下の表を御覧いただければと思いますけれども、2015年度の原子力発電所の設備容量は日本全国で約1.5億kWございました。これに対しまして、一般負担金として各原子力事業者から約1600億円の納付を頂いているところでございます。そういたしますと、キロワット当たりの単価といたしまして約1,070円といった単価が導かれます。

これを1966年度、先ほど申し上げた商業用原子炉が稼働した年度から2010年度まで遡ってまいります。原子力発電所がだんだん稼働してきてございますので、この左下の三角形のような形になるわけでございますが、このキロワットに約1,070円という単価を掛けますと約3.8兆円という数字が出てくるわけでございます。

上のリード文にもう一回戻っていただきまして、2つ目のマルで、このうち、2016年度時点で、2019年度までに原子力事業者から納付されることが想定される一般負担金。これが下の絵で言うところのBに当たるわけで、この1.3兆円を控除する形で、全ての需要家からの回収分の上限を2.4兆円とされたところでございます。

今の議論を踏まえた形で、2017年度に施行規則の改正を行ってございまして、その条文を7ページ、8ページにつけさせていただいてございます。

以上が賠償負担金の制度の概要でございます。

9ページ目からが廃炉会計制度の概要でございます。

福島事故後、我々は原発依存度を低減していくことをエネルギー政策の基本方針として掲げさせていただいてございます。

事故後、政府として、この低減を進める上で、事業者が想定したよりも早期に廃炉を行う場合には、設備の残存簿価が一括で減損いたしまして、一時的に多額の費用が生じることから廃炉判断を躊躇する可能性がございました。

左下にございますように、制度がない場合、制度がある場合は毎年度、一定の費用の下、原子力発電所から得られる電気を販売して収支を合わせていくことができるわけでございますけれども、それを想定よりも早期に廃炉の意思決定を行うことになりますと、そこで大きな費用計上が必要となります。

例えば対象設備の未償却分、40年間稼働しようとしていて20年間で廃炉を決定するというと、残りの20年間分の減価償却費が一気に償却が必要になってまいります。それから、廃炉に備えまして、あらかじめ原子力発電事業者は解体引当金という形で原子力発電所の稼働に伴って引当金を計上しているわけでございますが、それも廃炉に必要な費用として残りの未引当分について一括で計上が必要になってまいります。その他、核燃料の解体費あるいは再処理費といった費用が発生することになります。

11ページ目を御覧いただければと思いますけれども、特に対象費用の未償却分につきましては、この黄色の部分、廃止措置中も引き続き役割を果たす設備として定義されるものとして、この原子力特定資産というもの。それから、ピンク色の発電のみに使用する設備として原子力廃止関連仮勘定といった設備が廃炉の意思決定に伴いまして一括費用計上が必要となる設備になってまいります。

9ページ目にお戻りいただきまして、こうしたことから、3つ目のマルでございますが、このため、円滑な廃炉を促す環境を整備する観点から、これは事故から2年後になりますけれども、2013年に廃炉会計制度を措置させていただいてございまして、これは電気料金という形になるわけで、この一括でどうしても費用が発生するものを将来に分割して計上するといったことを可能とする制度を措置させていただいたところでございます。こうした形で料金上の措置を講ずることによって円滑な廃炉を促していこうという趣旨で、この制度が2013年にできたということでございます。

これまで、この廃炉会計制度の下で、原子力発電事業者7社が計15基の廃炉判断を行っていただいてございます。こちらが9ページ目にあるものでございます。

なお、10ページ目には現在の原子力発電所の稼働状況も併せてお示しさせていただいてございます。

こうした制度につきましては、2018年のエネルギー基本計画にも示させていただいているところでございます。

12ページ目、13ページ目がこれらの関係の規定を引用しているものでございます。

それから、14ページ目を御覧いただければと思います。これらを託送料金の仕組みを利用して回収するのはどういうことなのかという、そのスキームの御説明がここからになります。

まず、これらの費用に関しましては、発電事業者において、それぞれの費用の額の明確化が必要となります。

その額を明確化した上で、一般送配電事業者はその回収額を託送料金に織り込み、託送料金として電力量に応じて回収、これを発電事業者に支払う。これが基本的なスキームの形となってございます。

15ページ目を御覧いただければと思います。

この回収額につきましては、あらかじめ経済産業大臣の承認を得る形としてございます。この額を一般送配電事業者に通知させていただきまして、一般送配電事業者はその通知に基づいて託送料金の改定の申請を行ってくる。この申請が、先ほど申し上げましたとおり、7月28日に行われたということでございます。

現在、これを7月30日付で電力・ガス取引監視等委員会、それから、消費者庁に御意見を伺っている状況でございます。

16ページ目が法律に基づく一般的な託送料金の認可プロセスをお示しさせていただいたもので、経済産業大臣は通常の託送料金につきましては、電力・ガス取引監視等委員会の意見を聴いた上で認可を行う立て付けとなってございます。

その条文を17ページ目に付けさせていただいてございます。

18ページ目で、参考ですけれども、託送料金の算定方法についてお示しさせていただいてございます。

託送料金とは、電気を送る際に小売事業者が利用する送配電網の利用料金として一般送配電事業者が設定するものでございます。電気を運ぶ手間賃といった形になります。

その託送料金には送配電事業者における人件費、設備修繕費、減価償却費、固定資産税、あるいは電源開発促進税といったものの他、公益的な費用といたしまして使用済燃料再処理等既発電費相当額などが含まれてございます。また、近年では再生可能エネルギー発電促進賦課金などというものがこの託送料金に更に付加されている状況でございます。

この中で、この使用済燃料再処理等既発電費相当額といったものが本年9月末で回収を終えるタイミングに当たってございまして、今回の託送料金の申請に当たりましては、この回収の終了も織り込まれて申請が上がってきたものでございます。

19ページ目が関係条文でございます。

20ページ目で、この措置の審議に当たりましては、この回収の透明性の確保が重要であるといった御審議を頂いてございます。

こうしたことを消費者の皆様にしっかり御説明していくのは大変重要なことであると考えてございまして、今回の措置につきましても、例えば請求書の記載、あるいはウェブサイトでの閲覧といった形でこの額について消費者に明示するといったこととさせていただいているところでございます。

現行の料金の明細表で、電気料金の中にはこうした託送料金が含まれていますと。また、先ほどの使用済燃料再処理等既発電費相当額といったものが含まれておりますといったものが現在もこの検針票に書かれているところでございます。

最後、21ページ目で、これまでの経過といたしましては、7月17日に承認申請の受理を受けまして、7月22日に承認、7月28日に一般送配電事業者から料金の申請、7月31日に意見聴取を行わせていただいたところでございます。

なお、昨日、8月6日付で電力・ガス取引監視等委員会から本件について異存のないといった回答を頂いてございますので、併せて御報告させていただきます。

続けて、資料3を御覧いただければと思います。簡単にこれまでの経過に沿って、どういう申請が行われてきているのかといった概要について御説明させていただければと思います。

まずは2ページ目で、7月17日に最初の申請があったところでございます。

3ページ目、4ページ目を御覧いただければと思います。例えばということで、北海道電力からはこの賠償負担金といたしまして、賠償負担金の総額として、約500億円といった申請を頂いてございます。

その算定方法につきまして、4ページ目に書かれてございます。

先ほどの資料2のほうで、この賠償負担金の計算方法を6ページ目で御説明させていただいたところでございます。この額につきまして、例えばキロワット当たりの単価として約1,070円といった数字をお示しさせていただいてございまして、これは3ポツに出てくるところの単価でございます。それから、5ポツのところで賠償への備えの総額ということで約3.8兆円といったものが出てまいります。ここから先ほどのBとして書かれていた約1.3兆円を控除するといったものを6ポツで計算しておりまして、7ポツで5ポツ引く6ポツという形で2.4兆円といった数字が出てきてございます。それで、8ポツといたしまして、その中で自社、この場合は北海道電力の原子力発電工作物が運転されていた期間の累積出力ということでこちらの数字が出てきてございまして、この7ポツの2.4兆円に全体の出力分の北海道電力の出力を乗じた形でこの500億円といった数字が算定されて申請が出てきたというものでございます。

これと同様の計算を以下、東北電力以下から御提出いただいて、それぞれの額といったものの御申請を頂いてございます。

それから、23ページ目、24ページ目を御覧いただければと思います。続いて、廃炉円滑化負担金の承認申請額でございます。23ページ目にございますが、例えば東北電力からは369億円といった額の申請を頂いてございます。

こちらについては、24ページ目で、1ポツの原子力特定資産簿価、先ほどのスライドで御説明させていただいた黄色で塗ってあったところの資産の簿価が26億円。それから、ピンク色で塗ってあった部分、原子力廃止関連仮勘定の額が247億円。さらに、あらかじめ順に引き当てていこうと言っていたときの残りの未引当額という形で95億円。これらを1ポツ足す2ポツ足す3ポツを加えたものといたしまして369億円という形で御申請を頂いたものでございます。

これと同様の計算をその他の6社で御申請を頂きました。

それで、37ページ目を御覧いただければと思います。これらの申請に当たって、各社様ともホームページでプレスリリースをしていただいているわけでございますけれども、今回の申請に伴って、例えば37ページ目では北海道電力で、「仮に託送料金が値上げとなる場合であっても、当社といたしましては、新型コロナウイルス感染症の影響に配慮し、小売電気料金の値上げは行わないことを検討しております」といったことの御表明を頂いてございます。

同様の御表明が東北電力、東京電力以下、全ての会社から示されているところでございます。

その背景で、47ページ目、48ページ目を御覧いただければと思います。こちらにつきましては、実は昨日も特例の認可をやらせていただいておるのですが、新型コロナウイルス感染症の影響を受けまして、今年の3月でございます。政府・内閣の新型コロナウイルス感染症対策本部におきまして、生活不安に対応するための緊急措置といった決定が行われました。このときに、公共料金については柔軟な対応をすることを要請するといった決定が行われまして、3月付でこうした要請を電気・ガス事業者に対して行わせていただいているところでございます。

それから、48ページ目で、皆様御記憶のとおり、今年4月には緊急事態宣言が発出されてございます。そのときにも電気・ガス事業者に対して私どものほうから料金の支払いの猶予等、柔軟な対応を行うといったことを改めて要請を差し上げてございます。

こうしたことを受けまして、各社様、御配慮を頂いたものと承知をいたしてございます。

49ページ目を御覧いただければと思いますが、各社からの賠償負担金の額、それから、廃炉円滑化負担金の額の一覧がこのとおりとなってございます。

50ページ目を御覧いただければと思います。これらを受けまして、7月28日付で一般送配電事業者5社から託送料金の変更認可申請、それから、一般送配電事業者4社から託送供給等約款の変更届出を受理してございます。

その概要で、別途、直前に送らせていただいたので別紙になっておりますけれども「一般送配電事業者の託送供給等約款の変更の認可等について」という1枚紙を配らせていただいてございますので、そちらを御覧いただくことはできますでしょうか。ここで全体の概要を整理させていただいてございます。

まず、料金変更の適用予定日で、2020年10月1日となってございます。

ただし、※で、値上げとなる5事業者は、新型コロナウイルス感染症の影響に配慮する観点から、値上げ相当分の適用期間の始期及び終期を1年間延期するということにしていただいてございまして、その約款附則において、2021年9月30日まで現行の料金に据え置くといった旨を規定の上、御申請を頂いてございます。

その結果といたしまして、各社の変更内容は下表のとおりとなって、一番下を御覧いただければと思いますけれども、北海道電力、中部電力、北陸電力、中国電力の4社にあっては、この額の値下げ。それから、東北電力、東京電力、関西電力、四国電力、九州電力にあっては、現行料金の据置きというのが当面1年間といった形になってございます。

それで、2021年10月以降については、上の表のとおりの料金変更申請という形になってございます。

先に申し上げてしまいますと、今、御覧いただいている紙の次のページを御覧いただければと思いますが、これはちょうど昨日の夕方であったわけでありますが、昨日、電力・ガス取引監視等委員会からは、この審査を行った結果、適正に算定されていると認められるといった回答を頂きましたという状況でございます。

では、どういう料金の算定になっているのかということで、元の資料3にお戻りいただければと思います。

52ページ目を御覧いただければと思いますが、例えばこれが東北電力ネットワークの例でございますが、先ほど御説明させていただいた賠償負担金の相当金額、それから、廃炉円滑化負担金の相当金額というものがそれぞれ107億円、192億円といった計上でございます。一方で、先ほど来、御説明させていただいている使用済燃料再処理等既発電費の回収が終了するといったタイミングに当たるということで、こちらについて、これだけの額の引下げといったもの、これが3行目から6行目に当たるものでございます。これらをトータルいたしますと、約152億円といった変動額が算定されてございます。

この変動額の合計額を、この算定規則に基づきまして、料金設定時の発受電量比率で需要別に配分いたしまして、これをそのときに想定いたしました販売電力量で割り算をするといった形で料金の変動単価の算定が行われてございます。この内容が電力・ガス取引監視等委員会において規定に基づいて適切に算定されているといったことの御確認を頂いているといったものになります。

今の52ページ目が東北電力、それから、53ページ目が東京電力、54ページ目、55ページ目が関西電力、56ページ目が四国電力、57ページ目が九州電力の概要となってございます。

それから、58ページ目を御覧いただければと思います。58ページ目以降が託送料金の引下げとなった事業者に係る託送料金の算定の確認でございます。北海道電力が58ページ目で、賠償負担金の額としてこちらの額。一方で廃炉がございませんので、廃炉円滑化負担金はございません。使用済燃料再処理等既発電費の引下げ分がこちらの額で、合計いたしますとこちらの額の引下げとなる。

これを先ほどと同じ形で、特別高圧、高圧、低圧に配分いたしまして、それぞれの販売電力量で除することによりまして、この0.01円の引下げ単価が導かれているという関係になってございます。

これと同様の計算が59ページの中部電力、60ページの北陸電力、61ページの中国電力という形で行っていただいてございまして、先ほど別紙でお配りさせていただいた単価の総括表といった形になっているということで、これについて、私どもとしても確認させていただきまして、規定どおりに算定されていると認められるということかと思っていますけれども、その点について、適切かどうかといったことをこの場で御審議いただければ有り難いと考えているところでございます。

私からの説明は以上とさせていただきます。ありがとうございました。

○野村座長 御説明ありがとうございました。

それでは、これから質問の時間に入りたいと思います。通信の状況が悪くてプレゼンが途切れて聞き取りにくかったという点も含めまして、御確認、御質問、よろしくお願いいたします。

チャット欄に氏名を入れていただき、先着順で発言いただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

そうしましたら、林委員、よろしくお願いいたします。

○林委員 すみません。では、非常に稚拙な質問で申し訳ないのですけれども、御説明が途切れ途切れでよく聞こえなかったことも含めて。 廃炉費用のそれぞれの電力会社の負担金の検算結果が出ましたね。そこで、北海道は廃炉がないので値下げになったのはすごく分かったのですが、他の事業者さんで値下げになっているところの何か要因のようなものはあるのでしょうか。ちょっと教えていただければと思います。

以上です。

○野村座長 下村室長、お願いいたします。

○資源エネルギー庁下村電力産業・市場室長 ありがとうございます。

まず、大きな下げの要因といたしましては、各社とも資料2の18ページで御説明させていただいた現行の託送料金に含まれている使用済燃料再処理等既発電費相当額といったものが本年9月末で終了となります。今回の料金申請が10月1日からの申請という形で来ておりまして、これが終了するといったところが大きな下げ要因となっていると考えられます。

○林委員 分かりました。ありがとうございます。

○野村座長 引き続きまして、古賀委員、お願いいたします。

○古賀委員 御説明ありがとうございました。

いろいろ資料がたくさんありまして、まず確認させていただきたいのですけれども、今回の申請に関しましては、東北、東京、関西、四国、九州が一応値上げということで、他の中部、中国、北陸、北海道は据置きもしくは値下げという理解でよろしいのでしょうか。

それで今回、2つの新しい上乗せのための料金が発生しているのですが、現行、託送料金からの引上げ相当分を電気事業法施行規則45条の21の5第1項に基づき回収するというふうにあるのですけれども、廃炉円滑化負担金の変動額に基づいたものについて値上げといいますか、据置き相当分の適用期間の始期及び終期を1年間延長するというのは、賠償負担金の方は入らずに廃炉円滑化負担金のみであると理解してよろしいでしょうか。

すみません。まず、第1点目の質問です。

○野村座長 下村室長、お願いいたします。

○資源エネルギー庁下村電力産業・市場室長 ありがとうございます。

1点目の御質問といたしまして、今回の託送料金の改定の全体像でございますが、北海道、中部、北陸、中国は値下げであります。それから、東北、東京、関西、四国、九州の5社は1年間据置き、1年後に料金の値上げという形の申請となってございます。

2点目で、据置きという部分につきましては、こちらは料金上の措置で、どの部分がというものではございません。値上がり分について1年間据え置くという形に申請があったものでございます。

○古賀委員 ありがとうございます。

各社ともに小売料金の値上げは行わないことを検討しているというように書かれていらっしゃるのですけれども、資料3の37ページから46ページのところなのですが、これはそれぞれ各社、若干ニュアンスが違いまして、例えば北海道電力、東北電力はそのままなのですが、東京電力になりますと直ちに行わないと書いてあったりとか、あと、中部電力も同じように直ちにという文言が入っていたりします。それから、関西電力、中国電力はそのまま、この小売料金の値上げは行わないことを検討しているというふうに書いていらっしゃるのですけれども、中国電力の場合は改正時点ではというふうに書いてありまして、この改正時点がどこか、ちょっと分からないのですが、このように各社で小売料金の値上げは行わない。今回、託送料金が今後上がるとしても値上げは行わないことを検討しているというふうに書いていらっしゃるのですけれども、この辺のニュアンスの違いといいますか、そういうことについては資源エネルギー庁としてはどのように御理解されていらっしゃるのでしょうか。

○野村座長 では、下村室長、お願いいたします。

○資源エネルギー庁下村電力産業・市場室長 御質問ありがとうございます。

各社がそれぞれどういうお考えかというのはなかなか、この文言以上は各社に聞かなければ難しいところでありますけれども、共通していることは、今回のこの託送料金の変更を伴う申請があるわけでございますが、これに伴って現時点で小売の方について何がしか値上げをするといったことは考えていらっしゃらないと受け止めてございます。

○野村座長 古賀委員、よろしいでしょうか。

○古賀委員 今回、4つの電力会社は据置きで、5社が値上げになると思うのですけれども、この値上げのメルクマールについてなのですが、資料3を拝見いたしますと52ページから61ページ辺りだと思うのですけれども、それぞれ0.01から0.03ぐらいのところは値上げをしない方向で、九州電力などは0.05。それから、他は0.04以上になっているのですが、そういったところは値上げを検討されているといいますか、申請をされているというふうに読み取れるのですが、この点について何か値上げのメルクマールのようなものはあるのでしょうか。

○資源エネルギー庁下村電力産業・市場室長 ございません。私、御質問の趣旨がきちんと理解できているかどうか、分かりませんけれども、今回、大きく上げと下げのファクターとしては3つがございます。1つは賠償負担金の額、1つは廃炉円滑化負担金の額、それから、1つが使用済燃料再処理等既発電費の額という3つでございます。

例えば北海道電力においては、廃炉円滑化負担金相当金というものはございません。これは廃炉の対象となっている原子炉がないためであります。こうしたときに、賠償負担金の値上げ相当分の額に対して、一方で使用済燃料再処理等既発電費の回収が終了する額といったもの。両方ともがあります。こうしたときに、後者のほうが大きいために今回値下げに至っているということでございます。

一方で、例えば東北電力でありますと、今度、廃炉している女川原発などがございますので、こうしたもので廃炉円滑化負担金費用といったものがございます。このファクターがあるために結果として値上がりの申請となっていると理解をしてございます。

○野村座長 ありがとうございます。

よろしいでしょうか。

○古賀委員 こちらも委員会事務局の検算結果というところを拝見しておりまして、これが7月17日に申請されて、7月22日に承認。その検算結果を見て、ある意味、機械的に計算をすれば数字が出てくるのだということが理解できました。

それで、資料3の52ページから61ページ、先ほど申し上げたように、いわゆる変動単価の数値によって値上げ、値下げが左右されるのかということをお尋ねしたわけなのですけれども、この変動単価自体の前提としての、例えば配賦比率とか発電量自体の検証とか、そういったものもされた上でこういった検証をされたと受け止めてよろしいでしょうか。

○野村座長 下村室長、お願いいたします。

○資源エネルギー庁下村電力産業・市場室長 御質問ありがとうございます。

こちらも含めて確認をさせていただいてございますし、また、電力・ガス取引監視等委員会にも確認を頂いたものと理解してございます。例えば、52ページを御覧いただければと思いますけれども、算定手順2のところで、現行の料金設定時の発受電量の比率で配分するといったことが算定規則第26条の3第4項に規定がございまして、この規定に照らして現行料金設定時の発受電量の比率で案分されたといったことを確認してございます。

同様に、算定手順3につきましても、算定規則第26条の3第6から12項といったところで規定されている算定方法に基づきまして算定されているといったことを確認させていただいてございます。

○野村座長 ありがとうございます。

そうしましたら、古賀委員、よろしいでしょうか。次の質問が出ておりますので、移らせていただきます。

白山委員、どうぞよろしくお願いします。

○白山委員 白山でございます。御説明ありがとうございます。

2点ほど教えていただきたいのですが、まず1点目は古賀委員の御質問に関連するところでもございますけれども。各種の電力会社等から承認申請を受けて、それをチェックしまして、第三者的な立場から電力・ガス取引監視等委員会が適正であるという表明をされているわけですけれども、こういった検証をする場合にインプットデータ、計算の最初に入ってくるインプットデータの正しさと、それから、そのインプットされたデータのその後の計算プロセスの正しさという、この2点が必要になってくると思うのです。計算プロセスの正しさのほうは規則等に定められておりますので、それに準拠しているかどうかということで判断できるわけですが、インプットデータの正しさ、適正さなどについては、申請が正しいという性善説に立てばいいのですけれども、電力事業会社の申請内容および金額が正しいというのは、何か事後的にでもいいので、そのチェックは経産省、資源エネルギー庁の方でされるのかどうかというところでございます。例えばこれは財務諸表で開示されている数値だからそのままでいいのですということでもよいのですが、そういうものが1点目でございます。

2点目は廃炉に関することなのですが、今回の申請と間接的には関連してくるのではないかと私は思っているのですけれども、各事業会社の廃炉のスケジュールというものは何か公表されているのでしょうか。廃炉計画などといったものは公表されているのかどうかをお伺いしたいと思います。

以上の2点です。

○野村座長 ありがとうございます。

○資源エネルギー庁下村電力産業・市場室長 御回答させていただきます。

1点目で、インプットについては、私どもとしては確認させていただいているという認識でございます。それについて、それが本当に正しい、適切かどうかといったことについて御審議を頂ければと考えてございます。

まず、賠償負担金につきましては、先ほど御説明を少しさせていただきましたけれども、例えば資料3を御覧いただければと思いますが、4ページ目でございます。これは北海道電力の例になりますけれども、先ほど500億円という数字を御説明させていただきました。これについては、7ポツにある2.4兆円という額に8ポツで自社の原子力発電工作物による累積出力の合計。それを4ポツで全原子力発電工作物のキロワットの累積出力の合計というものの案分比率で乗じたものといった形で乗じて算出されてございますので、この額は適当であると私どもとしては考えているところでございます。

それから、廃炉の方につきましては24ページ目で、こちらについては東北電力の例で御説明させていただきましたが、1ポツの原子力特定資産簿価、2ポツの原子力廃止関連仮勘定につきましては、それぞれ各社の会計規則に基づく対象費用が適切にその財務諸表等に基づいて算定されているかどうかといったこと。これを各社の財務諸表ベースで確認させていただいてございまして、また、要引当額についても残りの額がこの額であり、適切であるという形で確認しているところでございます。

2点目で、廃炉のスケジュールといったものにつきましては、先ほどの資料2の10ページ目を御覧いただければと思いますけれども、こちらが日本全国の原子力発電所の現在の稼働状況あるいは廃炉状況を示すものでございまして、現在、このような状況にあると理解してございます。

○野村座長 ありがとうございます。

白山委員、いかがでしょうか。

○白山委員 すみません。追加的に、前者の質問の方は資源エネルギー庁をまずは信用するということで、後者の方は資料2の10ページに記載があるのですが、この図は廃炉の現在の状況を示しているのですが、その後の具体的な廃炉へ向けた個別のスケジュールは何かあるのでしょうか。私がお聞きしたいのはそういうことなのです。

○野村座長 お願いいたします。

○白山委員 廃炉後に、いろいろな処理が発生していくと思うのですが、そういったスケジュールみたいなものは何か公表されているものはあるのでしょうかという質問なのです。

もう少し言いますと、廃炉決定後、どういうスケジュールで現実的にその処理をされていくのかというスケジュールは何か公表されたものはあるのでしょうかということです。

○資源エネルギー庁下村電力産業・市場室長 法律に基づきまして各社、廃止措置計画というものを作成し、国の認可を得るといった形となってございます。例えばその計画の中では何十年間でこの廃止措置を行っていきますといった計画が記載されてございまして、それぞれの原子力発電所ごとにこうした計画があると承知してございます。

○野村座長 白山委員、よろしいでしょうか。

○白山委員 分かりました。ありがとうございました。

○野村座長 ありがとうございます。

そうしましたら、引き続き浦郷委員、後藤委員、古賀委員という順番で御発言をお願いいたします。浦郷委員、どうぞ。

○浦郷委員 浦郷です。

ちょっと数字のところでよく分からないところが出てきたので教えていただきたいのですけれども、例えば資料3の52ページの電力・ガス取引監視等委員会の検算の結果で東北電力ネットワークさんがありますが、ここの変動額のところの賠償負担金相当金、廃炉円滑化負担金相当金というものがどこからこの数字が出てくるのかがよく分からなかったので教えていただきたい。

もう一つ、先ほどの白山委員の質問にもかぶるのですけれども、今回、この廃炉円滑化負担金というものは、やはり会計上のところで負担が大きくならないようにということでならしているというところで、そこら辺は分かるのですが、では、その廃炉がきちんと計画どおり行われているかどうかというところを見ていく、検証していくといいますか、確認していく。そういうところはあるのでしょうかということをお聞きしたいです。

○野村座長 下村室長、お願いいたします。

○資源エネルギー庁下村電力産業・市場室長 まず1点目でございますけれども、同じ資料3の49ページを御覧いただければと思います。例えば先ほどの52ページで挙げていただいた東北電力の例でありますと、賠償負担金の額が1425億円。それから、廃炉円滑化負担金の額が615億円という数字を御覧いただけるかと思います。

今度、52ページ目に行っていただきますと、49ページは40年間の全体の総額になってございますので、例えば賠償負担金の額ですと、この40分の3。これは原価算定期間というものが3年の費用、これを3年分の発電量で割るという計算になってございますので、簡単に申し上げれば40分の3という掛け算をした額がこの変動額に入っているということでございます。

○野村座長 浦郷委員、よろしいでしょうか。

○浦郷委員 廃炉の方も同じということでしょうか。

○資源エネルギー庁下村電力産業・市場室長 そうです。廃炉円滑化負担金の額については、例えば先ほどの解体引当金の未引当分というものは、例えば残り3年間だけ残っていますといった場合には3年分の額が入っているなど、その中にいろいろな年限のものが入っていますので、実はもうちょっと複雑になるのですけれども、いずれにしても、この総額の中でこの3年間で回収する額に案分という形をされた額がここに入ってくるということでございます。

○浦郷委員 分かりました。

例えば東北電力ネットワークさんは、ここに書いてあるのは全部のものを足しているのですものね。東京電力からのものと東北電力からのものを合わせた額がここに、東北電力ネットワークとしては合計でこの額ということですね。

○資源エネルギー庁下村電力産業・市場室長 そうです。そのとおりです。

○浦郷委員 分かりました。ありがとうございました。

もう一つの方のお答えは、廃炉の確認はされるのかどうか。

○野村座長 下村室長、もう一度お願いしてよろしいでしょうか。

○資源エネルギー庁担当者 こちらの廃炉に関しては、先ほどあった計画を全て規制庁のほうで管理監督をしておりますので、そういうところでしっかり各原子力事業者が廃止措置について御報告をするということが基本的なところだと思います。

○浦郷委員 そちらの方でやっているということですね。

○資源エネルギー庁担当者 はい。規制庁のほうで御対応いただいている範囲に関してはというところです。

○浦郷委員 ありがとうございました。

○野村座長 よろしいでしょうか。

後藤委員、よろしくお願いいたします。

○後藤委員 御説明ありがとうございました。

やはり過去分の額の算定方法について教えていただきたいのですけれども、資料2の6ページで「過去分の額の算定方法」ということで、設備容量、一般負担金/過去分金額、キロワット当たり単価ということで表がございますが、これは一般負担金の算定方法を前提として過去に遡って確保しておくべきであった賠償ということで、計算方法を見ますと、キロワット当たりの一般負担金の単価を参考にして、それを過去に遡って計算というふうに理解しておりますけれども、割と計算方法としては非常に明瞭で分かりやすいということは重要かと思いますが、ある意味ざっくりと過去に遡ってそのまま単価を適用しているという、この部分に関して、結構長い期間遡っていますので、何か、この一律の金額の妥当性といいますか、その辺りの議論がもしあったのであれば教えていただきたいのが1点目です。

もう一つはキロワットということで、同じ資料2の4ページ目のところで賠償への備えの不足分ということで、これまで備えがしていなかった分、費用が料金に含まれていない、相対的に安価な電気料金を全需要家が享受していたということはそのとおりであるかと思いますけれども、キロワットなのか、キロワットアワーなのか、設備があることの恩恵ということと、電気を受けたことの恩恵という、両方考えられるかと思いますが、これはキロワットということにどういう議論でなったのかというところで、もし何か御議論がありましたら教えていただきたいというのが2点目でございます。

もう一つ、これが最後ですけれども、40年間で回収されるということで、この40年間というものが結構長い期間取られているかと思いますが、この40年の理由がありましたら教えていただきたいということが3点目です。

以上、質問でございます。

○野村座長 下村室長、よろしくお願いいたします。

○資源エネルギー庁下村電力産業・市場室長 御質問ありがとうございます。

まず1点目の御質問で、この問題は、福島第一原発事故以前は原賠機構法が措置されていなかったということで、その賠償への備えの不足分が生じる中、これをどう手当てをすることが適当かというものでございます。通常の企業活動であれば事業者が自由に費用を見積もって料金設定ができるわけでありますけれども、電気事業はもともと規制料金であったといったことで料金が政府の規制下に置かれていたという特殊な事情があると考えてございます。

また、政府としてもそうしたこと、あらかじめ備えておかなければならなかったにもかかわらずそうしたものを原価に算定することを認めない運用を行ってきたという反省に立ったものでございます。この過去分というものは、そういう反省に立って、この原賠機構法が措置されていなかったために生じたものについて措置をしたもので、その規模の算定にあたっては現行の一般負担金の算定方式を前提に、それを遡って計算することが適当ではないかといった議論の中でこの算定方法となったのが1点目でございます。

2点目はワットなのか、アワーなのかということで、こちらも現行の原賠機構法の考え方で、この各原子力事業者が納付する一般負担金の額は各事業者が保有する原子力発電所の設備容量、キロワットを基準に決定されているということでございます。すなわち、動いていなかったら払わなくてもいいのかというと、そういうことではなくて、やはり設備を有している以上、こちらの負担を頂くことが必要である。こういう考え方で、これをやはり同じように過去分にも当てはめているところでございます。

それから、40年間の理由で、これについては、国内で初めて商業用原子炉が稼働した1966年から原賠機構法までが40年強ということ、それから、今の原発の稼働期間は原則40年間であることも踏まえまして、40年間と整理してございます。

○後藤委員 ありがとうございます。

1点目で、一般負担金の算定方式を過去まで遡って適用するということで、何か単価を変えたりとか、そういった議論は特になかったという理解でよろしいでしょうか。状況等、いろいろ、1966年ですので、かなり前からの遡りになるかと思いますけれども。

○資源エネルギー庁下村電力産業・市場室長 繰り返しになってしまいますけれども、やはり過去分というものが現行の措置がされていなかったという反省に立って、やはりこういう措置を当時から講じていなければならなかったという考え方に基づきまして、現行から導かれる単価を過去に遡ったという考え方でございます。

○後藤委員 ありがとうございます。

○野村座長 続きまして、古賀委員から御質問をお願いいたします。

○古賀委員 すみません。度々失礼します。

細かなことなのですが、資料3の54ページと55ページに関西電力A、関西電力Bというものがあるのですけれども、これはどちらが認可申請なのでしょうか。拝見しますと、廃炉円滑化負担金相当額が、Aが420億円ぐらいで、Bの方が396億円となっているのですが、実際、どちらが採用されたというのも変なのですけれども、どちらが正しいのでしょうか。

○野村座長 お願いいたします。

○資源エネルギー庁下村電力産業・市場室長 どちらも正しいということであります。関西電力Aというものが2022年3月31日まで適用される額でございます。それから、関西電力Bが2022年4月1日以降の適用額でございます。これは廃炉円滑化負担金の一部が、回収が約2年をもって終了するといったことに伴いまして関西電力はAとBと、その終了したものについては適切に託送料金に反映する必要があるという形で今回2通りの申請となってございます。

○野村座長 よろしいでしょうか。

○古賀委員 ありがとうございます。

では、元の資料にはそういう注意書きもされていらっしゃるということで理解すればよろしいのですね。

○資源エネルギー庁下村電力産業・市場室長 そうです。約款にはそのように書いてございまして、また、今日追加で配付させていただいた資料にも少しそのことが書かれてございます。

○古賀委員 ありがとうございます。

それで、今日頂いた追加の資料なのですけれども、ニュースリリースということで、この変更の認可などに関する意見聴取について意見を回答しましたというプレスリリースを頂いたのですけれども、これは当該認可を行うことに異存がないということで、審査を行った結果、認可申請内容については適合していると認められたということで、経産大臣は認可を行うことについて異存はない旨、回答したということになっているのです。

これは、5つの会社は値上げで、ある意味、4つの会社は値下げということになっているのですが、昔の電気料金などでいいますと、値上げの場合はかなり厳格な審査をしたりとか、値下げの場合は届出でいいという立て付けになっていたと思うのですが、今回のこの託送料金をもう一度、電力システム改革以後、こういう形で議論する場において、値下げと値上げというものを区別する必然性はないのでしょうか。

○野村座長 よろしくお願いします。

○資源エネルギー庁下村電力産業・市場室長 まず、制度といたしましては、資料2の16ページでございますけれども、経産大臣は認可の申請について認可をしようとするときには電力・ガス取引監視等委員会について意見を聴かなければならないという規定になってございます。

他方で、届出についてはこうした規定はございませんが、今回は非常に透明性が求められる変更の申請ないし届出があったということでございますので、認可申請、それから、届出の両方について、電力・ガス取引監視等委員会の御意見を伺っていたということでございます。また併せて、消費者庁にもそのように御意見を伺わせていただいているところでございます。こうした中で、電力・ガス取引監視等委員会におきましては、その両方について御審査を頂いたと承知してございます。

○野村座長 古賀委員、よろしいでしょうか。

○古賀委員 はい。迅速に審査をしたということで理解いたしました。

○野村座長 そうしましたら、寺田委員、白山委員の順番で御質問を継続してください。お願いします。

○寺田委員 寺田です。

御質問は1点だけなのですけれども、今日の御説明の大部分については過去からの政策過程というのですか、政策経緯を前提にすると、それが違っていれば別ですが、延長線上で消費者の納得にある程度近づけられるものであるという印象を持ちました。その上で、白山委員の御質問とちょっとかぶってしまうかもしれないですが、資料2でいきますと9ページあるいは11ページの辺りです。この廃炉会計を2013年でやったときに、承認済みであるとはいえ、その対象資産の中で、場合によってはその後の何か状況の変化もあって転用可能なものがあれば、自社なのか、他社なのか、分からないのですが、転用すべきで、その転用をしないにもかかわらず料金のベースに乗るのは社会的には無駄を誘発するように思います。

だから、資産の特殊性がリアルタイムで変わる可能性もあると思うのですけれども、そういうことが担保されているのかどうかというのが質問です。そういう仕組みがなさそうに見えるのですが、少し消費者に不都合になる部分があっても、それでもそれをインセンティブにして廃炉を促すのだということなのか。その辺を教えていただければと思います。

以上です。

○野村座長 お願いいたします。

○資源エネルギー庁下村電力産業・市場室長 ありがとうございます。

この辺りについては、正に原子力規制庁の規制にもよるところがあるわけでございます。すなわち、この原子力発電所で利用されていた資産について、他の炉で転用しようとすると、いわゆる設置変更許可といったものが必要になってまいります。これはやはり安全規制上、それが認められるか否かといった問題が出てまいります。

こうした観点から、通常の会計制度の中ではそうしたことの蓋然性がなかなか認められないといったことで、廃炉を意思決定した場合にはこれを債務認識することが会計上の整理でございまして、それに基づいて廃炉を意思決定すると、この債務認識が生じてしまうといった、これはどう回避して廃炉の円滑化を促すのかといったことでこの制度ができている。こういうことでございます。

○野村座長 寺田委員、どうぞ。

○寺田委員 設置変更許可は、対象資産について、廃炉対象原発について何か行われたケースはあるのですか。

○資源エネルギー庁下村電力産業・市場室長 少なくとも、私はそうした事例は承知しておりません。規制庁の審査に係るものでございますので、私自身の見解として申し上げさせていただきます。

○寺田委員 ありがとうございます。

○野村座長 よろしいでしょうか。

そうしましたら、白山委員、どうぞ。

○白山委員 すみません。念のための確認です。先ほど委員の方々から御質問のあった件なのですが、資料2の6ページで、過去に遡及してというところの考え方なのですが、本当に議論がなかったのか、超長期の40年間に遡って負担金を計算してくるときに、2015年度ベースの一般物価水準といいますか、貨幣の購買力といいますか、それをベースで40年間遡って計算するという考え方について何か議論が本当になかったのかどうかという念のための確認でございます。

○野村座長 お願いいたします。

下村室長、いかがでしょうか。

○資源エネルギー庁下村電力産業・市場室長 念のための確認ということでございますけれども、私自身としては承知してございません。

○野村座長 白山委員、よろしいでしょうか。

○白山委員 分かりました。

○野村座長 

そうしましたら、引き続き若林委員、御質問をお願いいたします。

○若林座長代理 ありがとうございます。

ここでお聞きするべきことかどうか、よく分からないのですけれども、もしお分かりになったら教えていただきたいことが1点ございます。資料3の48ページですか。電力・ガス料金の支払いに困難な事情がある方に対しては柔軟な対応を行うことを事業者に要請ということで、そういう資料を付けていただいていて、例えば46ページなどで、仮に託送料金が値上げとなる場合であっても小売料金の値上げは行わない。それはコロナの社会的影響を勘案しということなのですが、これは小売料金の値上げを行わないということは結局、相手方にかかわらず一律に値上げを行わないということでよろしいのですね、そういう理解でいいのですねということが一点、ここは単に確認をさせていただきたいということ。

それから、他の小売事業者がどのような対応を取っているかということが、もし御存じ、あるいは何らかの公表が行われているという把握をされていれば教えていただきたいということです。よろしくお願いします。

○野村座長 私から確認ですが、1つ目の質問は、対象となる需要家全てですかということでしょうか。

○若林座長代理 そうです。

○野村座長 2つ目は、他の小売事業者というのは新電力も含めてということでしょうか。

○若林座長代理 はい。そうです。

○野村座長 ありがとうございます。

下村室長、いかがでしょうか。

○資源エネルギー庁下村電力産業・市場室長 まず、1点目でございますけれども、各社のプレスリリースの中では小売料金の値上げは行わないことを検討しております等という表現を頂いているところで、特定の需要家区分にかかわらずということで表現を頂いているものと理解してございます。

それから、新電力の皆様におかれましては、これは少なくともこうしたことを御検討されているといった話は、私はまだ現時点で聞いてございませんが、今回の一般送配電事業者の5社から出てきた申請によりますと、回収の始期及び終期を1年間繰り延べ、現行の料金を1年間据え置くという形での御申請を頂いてございますので、現時点で料金を見直すといったところは、少なくとも託送料金の改定に伴うものではないものとなるのかなと考えてございます。

○野村座長 若林委員、いかがでしょうか。

○若林座長代理 承知しました。ありがとうございます。

○野村座長 そうしましたら、引き続き新川委員、大石委員、順番でお願いいたします。

○消費者委員会新川委員 新川です。ありがとうございます。

今回の料金の認可手続について少し確認させていただきたいのですが、資料2の15ページ以下で一連の手続がございますけれども、ここまでの料金の認可までの手続は分かるのですが、こうやって設定された料金そのものがその後、40年間という回収期間が想定されているわけですけれども、その間に社会経済の変動であるとか、技術条件の変化であるとか、考えられるところはいろいろあろうかと思います。

また、各社の経営状況等々もあるのではないかと考えているのですが、そうした託送料金の妥当性についての事後的なモニタリングであるとか、あるいはこの料金というものを見直さざるを得ない。企業側からそれぞれ変更の認可申請あるいは届出等があれば都度都度ということになると思いますが、逆にチェックをする側からすると、どういう手順が用意されているのか。あるいはまだそういうところまでは行っていないのか。このところが気になったのですが、いかがでしょうか。

○野村座長 お願いいたします。

○資源エネルギー庁下村電力産業・市場室長 御質問ありがとうございます。

まず、賠償負担金等の方につきましては、資料2の7ページにございますけれども、正に長期間にわたる事業であることから、5年ごとに原子力発電事業者から申請を頂き、承認を受けなければならない。こういう規定になっているところで、その都度の経済状況等に応じて、それは適切かどうかを確認するといった運用を考えているところでございます。

それから、今度は一般送配電事業者側で、こちらにつきましては、先ほどの電力・ガス取引監視等委員会が毎年度、託送料金の事後評価を行ってございます。この中で超過利潤が一定水準を超えている場合には料金変更命令の対象になるといったことの確認をしていただいてございまして、そういう中でのチェックが行われていくかと承知してございます。

○野村座長 ありがとうございます。

○消費者委員会新川委員 すみません。ちょっとだけ追加でよろしいでしょうか。新川です。

○野村座長 はい。どうぞ。

○消費者委員会新川委員 特に賠償負担金について、5年間ということですが、5年もちょっと長いような気がしたのでお伺いしているのですが、いかがでしょうか。

○野村座長 どうぞ。

○資源エネルギー庁下村電力産業・市場室長 こちらにつきましては、現行の規定では5年ごとになっているわけでございますけれども、そうすると、では4年ならいいのか、3年ならいいのかという議論もあるかもしれませんが、40年間で回収という中での今回5年ごとということで規定をさせていただいているものでございます。

○野村座長 新川委員、よろしいでしょうか。

○消費者委員会新川委員 はい。ありがとうございました。

状況はよく分かりましたが、むしろ一般送配電事業と同じように、やはりきちんと毎年度チェックしたほうがいいのかなと思っただけでございます。

以上です。

○野村座長 そうしましたら、引き続き大石委員、お願いいたします。

○消費者委員会大石委員 それでは、幾つか質問させていただきます。

まず、資料2の9ページ、10ページなのですけれども、廃炉会計制度について詳しく御説明いただきましたが、ここに書いてあります廃炉会計制度の措置後に廃炉の判断が行われた7社15基ということで実際にプラント名なども挙げてくださっているのですが、10ページの方を見ますと現在、廃炉になったものが24基となっております。ということは、この24引く15の9基は、この廃炉会計は使わずに既に廃炉をしたものであると見ればいいのかというのが一点。

それから、ここの同じページで質問の2つ目ですけれども、この廃炉を早期に進めるためにこの制度ができたということが御説明に書いてあるのですが、実際にこの廃炉会計を使うことによって何年早く廃炉をそれぞれの会社が決定されたのかということは年数がもし分かれば教えていただきたいというのがここの部分の質問です。まず、この部分について、先にお答えいただいた方がいいでしょうか。

○野村座長 そうさせてください。

2点、よろしくお願いいたします。

○資源エネルギー庁下村電力産業・市場室長 御質問ありがとうございます。

まず1点目で、廃炉会計の措置後に廃炉判断が行われたものが15基でございます。ただし、まず10ページで言うところの福島第一原子力発電所の6基がございますけれども、こちらについてはそもそも別次元ということで、この廃炉会計制度の適用外でございます。それから、その他の3基につきましては、廃炉会計制度の措置前に廃炉の決定判断が行われたものでございます。

2点目につきましては、これはなかなか仮定の御質問になりますのでお答えが難しいところかと思います。もしも、この制度がなければいまだに廃炉判断が行われていなかったかもしれませんし、これはなかなか実際にそうでなかったので、実際に廃炉判断が行われましたので、申し上げにくいところかなと思います。

○消費者委員会大石委員 ありがとうございました。

国の方針として、できるだけ原発依存度を低減するということでこの廃炉円滑化負担金の制度ができたことは理解していますが、一方では新規建設中の原発もあるわけで、これは、国民負担を求めていながら、相反することが行われているということに違和感を覚えましたので質問させていただきました。

次に2点目になりますが、資料3の37ページのところから今回それぞれの電力会社さんがプレスリリースを掲載いただいております。消費者に今回の内容をこれで伝えるとするならば、これでは消費者の理解は難しいと思うところがあります。特に、託送料金は、電気を使う人は、旧一電でも、新電力でも、電気料金のうちの30%から40%を占めるということで大変消費者に影響力のあるところです。今後、このプレスリリース以外に各事業者さんが消費者向けに詳しい説明をする資料のようなものを何か作られるようなことを想定されているかどうかということと、希望としては是非そうしていただきたいということで、質問と意見になります。

○野村座長 お分かりでしたらお教えください。よろしくお願いします。

○資源エネルギー庁下村電力産業・市場室長 ありがとうございます。

まず、御意見として承りたいと思いますし、また、各社にも御意向は伝えたいと思います。

その上で、37ページ以降のところについては、小売料金の値上げは行わないことを検討などの中身となってございますので、行わないことについてどう詳しく御説明を差し上げるのがいいのかというのは少し工夫が要るのかなと感じました。

○消費者委員会大石委員 ありがとうございます。

そういう意味では、追加資料で頂いた電力・ガス取引監視等委員会の配付資料の中で変更内容というものがありまして、値下げをするところは値下げをしますというふうに消費者に伝える。一方で、今回実際には値上げになるところもあるのだが、このコロナの影響を考慮して、2021年9月30日までは現行の料金に据え置くということだと理解しました。けれども、その後、2021年の9月30日以降は、現在申請された内容を反映して、値上げになるという、値上げにするとまでは書いていませんが、値上げの可能性がある、ということは前もって消費者の方に伝えておく必要はないのだろうか、そのときになって、いきなり通知されるのも大変であると思ったのですが。そこはいかがでしょうか。

○資源エネルギー庁下村電力産業・市場室長 御質問ありがとうございます。すみません。私、恐らく趣旨を取り違えておりました。

小売の規制料金につきましては、値下げとなるところについてはこれから値下げの届出などが出てくることが想定されるかと思っております。また、仮に今後、小売料金を事業者が値上げしたいといったことが、現時点でないということで御表明いただいていますけれども、もしも今後あれば、それはまた改めて認可の申請という形で申請が来るものと想定してございますし、また、その場合には電気事業法に基づいて公聴会等のプロセスが発生すると考えてございますので、そうした場を通じて消費者の皆様と御議論させていただきながら審査を行っていくということと考えてございます。

○消費者委員会大石委員 ありがとうございました。よろしくお願いします。

○野村座長 そうしましたら、残り20分弱になってまいりました。古賀委員、林委員、浦郷委員の順番で手短にお願いいたします。

○古賀委員 すみません。ありがとうございました。

先ほど資料2の6ページに関して白山委員と後藤委員から御質問があったと思うのですけれども、この「過去分についての託送料への上乗せ」については、2016年12月に中間取りまとめ、電力システム改革貫徹のための政策小委員会というところで議論がされていまして、大石委員も多分、委員として出ていらっしゃったと思うのですが、損害賠償の上乗せ・過去分については非常に消費者からの反発がありまして、あえてここで申し上げますけれども、「レストランで食べたものを後から請求されたのではないか」という比喩もあったりとか、託送料金にこういうものを入れるのはウルトラCなのでやめてほしいという趣旨の有識者の見解を新聞記事で見たりしました。今回、廃炉の負担金についてももちろんなのですが、損害賠償請求過去分についての問題は、当時、消費者及び消費者団体、それから、新電力の方からも反発があったことであることをここで申し上げておきたいと思います。

○野村座長 本件に関しては質問にお答えいただかなくてもよろしいでしょうか。

○古賀委員 はい。結構です。

○野村座長 ありがとうございます。

そうしましたら、林委員、お願いいたします。

○林委員 それでは、資料2の20ページなのですけれども「回収額の透明性の確保」というところで、消費者への周知もやりますとは書かれてはいるのですが、昨今の消費者の状況を本当に踏まえていただいた上で、本当に分かりやすい、一人一人の消費者に届くような周知を考えていただきたいという、これは私の希望なのですけれども、そういうことは請求書への記載ですとか、ウェブサイトへの閲覧以外にも何か方法を考えていらっしゃるのですかというのが質問です。

なぜ、そういうことを申し上げるかといいますと、先ほどの大石委員と同じような感じを私も思っておりまして、消費者自体が、自分が契約している電気会社がどこなのかというのも、電力会社も分からないという状況ですとか、あと、請求書など見たことがない人ですとか、最近、ウェブ明細書みたいになっていますので、実際に手元に置いて確認することがなかなかできないのが現状です。そこで料金が上がることに関してはものすごく反応がある消費者なので、その辺のところをどう届けるのかということをもう少し真剣に考えていただきたいという、ここにすらっと書いてあるだけだと不十分だと私は思ったので、お伝えいたします。

以上です。

○野村座長 いかがでしょうか。もし御回答あるようでしたら、お願いいたします。

○資源エネルギー庁下村電力産業・市場室長 御質問ありがとうございます。

これは先ほども議論になりましたけれども、正に大石委員なども交えて御議論もさせていただいているところでございます。やはり消費者への御説明といったものは多分終わることはないといいますか、これはどんなに努力してもさらなる努力が必要といった部分かと思います。これは請求書の記載、あるいはウェブサイトの閲覧といったものを例示させていただいてございますが、あとは経産省のホームページなどでもこれらの説明なども行わせていただいているところでございます。

あとは我々、今、小売営業のガイドラインといったものでもこうしたものの明記をしっかり明確に位置付けて、これから各事業者に促していこうといったことなども取り組んでございます。しっかり努力をしてまいりたいと考えてございます。

○野村座長 ありがとうございます。

個人的にはデジタル化に伴う問題点かなと思っておりますので、また資源エネルギー庁様も御努力をお願いしたいと思います。

そうしましたら、林委員、よろしいでしょうか。

○林委員 はい。大丈夫です。

○野村座長 そうしましたら、浦郷委員、よろしくお願いいたします。

○浦郷委員 浦郷です。1点だけお伺いします。

今回値上げとなるのが5事業者ということで、それぞれ0.03円/kWhから0.06円/kWhとかなのですけれども、四国電力さんだけ0.18円/kWhと高くなっているのですが、ここは何か特別な理由とかはあるのでしょうか。

○資源エネルギー庁下村電力産業・市場室長 御質問ありがとうございます。

資料2の10ページを御覧いただければと思います。こちらに「(参考)原子力発電所の現状」と書いてございまして、下の真ん中ぐらいに「四国電力(株)」とありまして、こちらは伊方発電所の1号機と2号機にバツがなされています。この四国電力は需要規模が非常に小さいのですけれども、この2つの原子力発電所の廃炉を行ったことに伴いまして、相対的に需要当たりで単価にいたしますと単価の大きい額となっているという背景でございます。

○浦郷委員 分かりました。ありがとうございました。

○野村座長 ありがとうございました。

今のところ、御質問はこれで出尽くしたようにも思いますが、残り5分ほどです。

○消費者庁高島審議官 消費者庁でございます。御議論、大変ありがとうございました。

様々な御意見が出ましたけれども、消費者への周知の仕方をもっと考えるべきであるという御意見も出たと受け止めております。今日の御意見を踏まえて、私どもの方でも意見を考えて資源エネルギー庁に伝えていきたいと思います。

ありがとうございました。

○野村座長 ありがとうございます。

最後の林委員の御質問にありましたように、請求方法が近年大きく変わったところもありますので、その辺りをどうしていくかということも含めてお考えいただけると助かります。

他に御発言はないでしょうか。

ありがとうございます。そうしましたら、本議題についての御議論はここで閉めさせていただきたいと思います。


≪3.閉会≫

消費者庁様、資源エネルギー庁様、大変丁寧に説明いただきまして、また、質問への御回答を頂きまして、どうもありがとうございました。

そうしましたら、最後に、事務局から事務連絡ということで、太田参事官、よろしくお願いいたします。

○太田参事官 本日は、長時間にわたりまして熱心に御議論いただきまして、ありがとうございました。

次回の会合につきましては、来週の火曜日、8月11日の午後1時より、引き続き「賠償負担金・廃炉円滑化負担金の算入に伴う電力託送料金の算定」について開催予定となっております。

それ以降の会合につきましては、確定次第、御連絡させていただきます。

以上でございます。

○野村座長 ありがとうございました。11日の午後、13時からということでございます。また改めて御協力のほど、よろしくお願いいたします。

それでは、本日はこれにて閉会とさせていただきます。

お忙しいところ、お集まりいただきまして、ありがとうございました。

(以上)