第62回 公共料金等専門調査会 議事録

日時

2021年6月2日(水)15:00~16:38

場所

消費者委員会会議室・テレビ会議

出席者

【専門委員】
野村座長、若林座長代理、古賀委員、白山委員、寺田委員、坪田委員、松村委員
【消費者委員会担当委員】
大石委員、新川委員
【説明者】
総務省料金サービス課 大内企画官
【消費者庁】
吉田参事官
【事務局】
加納事務局長、太田参事官、事務局担当者

議事次第

  1. 開会
  2. NTT東西プライスキャップ制度の基準料金指数の見直しに関する総務省ヒアリング
  3. 閉会

配布資料 (資料は全てPDF形式となります。)

≪1.開会≫

○太田参事官 本日は皆様、お忙しいところお集まりいただきまして、誠にありがとうございます。ただいまから「消費者委員会第62回公共料金等専門調査会」を開催いたします。

本日は、所用により浦郷委員が御欠席、また、寺田委員が途中参加との御連絡をいただいております。

次に、本日の会議はウェブ会議による開催となります。公開で行いますが、感染拡大防止の観点から、一般傍聴者は入れず、報道関係者のみ傍聴していただいての開催となります。

議事録が掲載されるまでは、本日の会議の様子を、明日6月3日木曜日、15時より、ホームページで動画配信を行います。

ウェブ会議による開催に当たりまして、これまでと同様、御発言時以外はマイクをミュートにしていただくこと、御発言の際は、あらかじめチャットでお知らせいただき、座長からの指名の後、冒頭にお名前をおっしゃっていただくなど、お願い申し上げます。

それでは、野村座長、以後の議事進行をよろしくお願いいたします。


≪2.NTT東西プライスキャップ制度の基準料金指数の見直しに関する総務省ヒアリング≫

○野村座長 ありがとうございます。

本日の進行についてですが、途中で私の回線が切れた場合は、復旧するまでの間、座長代理に、座長代理の回線も併せて切れた場合には、事務局に進行をお願いいたします。

それでは、本日は、NTT東西プライスキャップ制度の基準料金指数の見直しに関する総務省ヒアリングということで、議事に入らせていただきます。

東日本電信電話株式会社及び西日本電信電話株式会社の提供する加入電話等に係る料金について、平成12年10月1日以降、プライスキャップ制度が導入されておりますが、プライスキャップ制度における料金水準の上限を示す基準料金指数を総務省が設定するに当たって必要となる生産性向上見込率、X値については3年ごとに見直しが行われることとされています。

NTT東西の加入電話、公衆電話、ISDNの料金に係る基準料金指数の算出方法の設定又は変更は、物価問題に関する関係閣僚会議に付議する公共料金等となっております。付議するに当たり、本日の参考資料1としてお示ししておりますとおり、消費者庁より消費者委員会の意見を求められております。

本日は、消費者庁から、吉田調査・物価等担当参事官にお越しいただいております。

また、総務省料金サービス課からは、大内企画官にお越しいただいております。ありがとうございます。

それでは、総務省から30分程度でNTT東西プライスキャップ制度の基準料金指数の見直しについて御説明をお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。

○総務省大内料金サービス課企画官 御紹介いただきました、総務省料金サービス課というところで企画官をしております大内と申します。よろしくお願い申し上げます。

料金サービス課というところで料金規制を私は担当してございますけれども、先ほど座長から御紹介がありましたとおり、料金規制といってもほとんど直接の小売料金規制は平成15年の法改正により撤廃しておりまして、辛うじて残っている規制の中で一番社会的な影響が大きいものとしてこの特定電気通信役務、いわゆる加入電話等に関する上限価格規制というものがございますので、この点につきまして3年ぶりの見直しということで、本日、御説明の機会をいただきまして誠にありがとうございます。

お手元の資料1と2に沿いまして、主に2に沿いまして、御説明をさしあげたいと思いますので、よろしくお願い申し上げます。

まず、お手元の資料1について、こちらは2枚物になってございますけれども、これは実は3年ごとに基準料金指数を定めるに当たりまして総務大臣の諮問機関でございます情報通信行政・郵政行政審議会に諮問をするというプロセスがございますので、先日その下の部会に事務局から報告させていただいた資料そのものになります。先ほど御説明もありましたとおり、NTT東西の提供する特定電気通信役務、主には加入電話等になりますけれども、こういったものの料金の指数を上限として定めさせていただいて、その上限を超えない範囲内でNTT東西に対して自由に料金を決めていただくことによって、経営効率化によって浮いた分をインセンティブという形でNTT東西に付与することによって、競争と利用者保護の両立を図るという仕組みに基づいて決めているものでございます。

この基準料金指数を定めるに当たりまして、資料1の「1.背景」、細かく申し上げませんけれども、この真ん中辺りに基準料金指数の算定式がございまして、この生産性向上見込率というものを3年ごとに定めることになってございます。このX値というものを定めるに当たりまして、有識者研究会を開かせていただいて、その結果を取りまとめる形で3年ごとにお諮りするという仕組みになってございますので、詳細については後ほどパワーポイントを用いて御説明したいと思います。

結論から申し上げますと、2ページ目になりますけれども、設定内容というのがございまして、基本的には平成12年4月の料金水準を100とした場合の毎回の料金水準につきまして定めておりますが、次期、今年の10月以降1年間適用される指数については、音声伝送バスケットといいまして、規制の対象になる全ての料金の全体の指数としては95.1、そのうち加入者回線を用いた加入電話等に関するサブバスケットと申しておりますけれども、小グループに関する料金指数については102.6という形で、前回から0.1ずつ下げる形で結論を出させていただいて、現在御審議いただくという形になっているものでございます。

今回、この決定に至りましたそもそもの制度の概要ですとか、若しくはその検討の経緯につきまして、資料2に基づきまして御説明をさしあげたいと思います。

御案内の内容もあるかと思いますけれども、重複がありましたら申し訳ございませんが、どうぞお聞きくださいませ。

お手元の資料2でございますけれども、プライスキャップ制度の概要についてということで、まず背景といたしまして、現在の情報通信を取り巻く環境につきまして、2ページ以下で御説明をさしあげたいと思います。

まず2ページでございますけれども、御案内のとおり、情報通信市場全体を見回しますと、基本的には固定回線を用いた加入電話が減少傾向にございまして、それと反比例する形で移動通信への移行が急速に進んでいる状況でございます。グラフにございますとおり、もはや携帯電話は1人1台以上という形で普及が進んでございまして、そういう意味では加入電話を逆転したのが平成12年ということで大分昔になります。もう20年以上前ということで、それ以降、差が開き続けているという状況ではございます。

また、加入電話につきましては、既にピーク時から比べますと約3割に減少するということになってございまして、加入電話単体で見た場合には1,600万回線をやや下回るという形での契約実態になっているところでございます。

3ページにお進みください。この利用の状況を我々はよくトラヒックという形で推移を見させていただいているわけでございますけれども、当然ながら回線数が減ればそれだけ使っている人も減るということでございまして、この加入者回線を用いた加入電話の音声トラヒックの通信回数、何回電話をかけたかということもそうですし、総計でどれぐらいの時間を皆さん話されたかという通信時間、両方とっても減少傾向にあるというものでございます。

これは実は携帯電話を足しても減っているということで、なぜかというと、当然ながらデータ通信への移行が進んでいるというところがございます。最近ではLINE通話のようにデータ通信回線を用いて音声サービスを用いられる方も増えておりまして、全体で見れば音声トラヒックは減少傾向にあるということでございます。

しかしながら、4ページ目にお進みいただきますと、全体として見ると、固定電話であります加入電話、またISDNという電話回線を用いたデータ通信サービスがあるわけでございますけれども、これらの契約数がともに減少傾向にございますが、しかしながら、シェアで見ますと、最後に電柱から加入者宅に引き込む部分というのは銅線の回線の部分がございますけれども、ここの独占性が高いということも相まって、NTT東西の利用者の市場シェアは非常に高くなってございます。したがいまして、NTT東西のシェアはほぼ100パーセントに近い形でずっと推移してございまして、競争があまり働きにくいという状況はずっと続いているというものでございます。

これを5ページ目で、メディア別に契約者数のシェアという形で比較したものでございます。固定電話の契約者数シェアというのが左上にございますけれども、固定電話ですとか、そのうちメタル回線を用いたいわゆる銅線の回線を用いたメタル電話というもの。また、IP回線を用いたIP電話、いずれをとっても、とりわけメタル電話についてはNTT東西の市場シェアは全体の92パーセントということで、非常に圧倒的になってございます。

NTTグループは、全体としてはNTTドコモを含めて他にも様々なサービスを提供しているわけでございまして、他のサービスに行けば行くほど、競争が進んでいるサービスに行けば行くほどNTTグループの市場シェアは下がっていく傾向にあるわけでございますけれども、この固定電話、NTT東西から見ますと加入電話ということになるわけですが、この加入電話のみ見ると、契約者数シェアで見ても92パーセントということでございますし、また、回線数のシェアということで見ても非常に高い水準になっているということでございまして、非常に独占的な傾向が強いという状況でございます。

6ページにお進みいただきますと、これを利用者から見た場合にどうなのだろうかというものを我々のほうでアンケート調査を取っておりまして、その結果をお示ししているものでございます。

左側の情報通信機器の世帯保有状況を見ていただきますと、固定電話全体の傾向としては減少傾向にございます。一方、モバイル端末全体では96パーセントということで逆転してございまして、これは当然ながら若い世代を中心に家に固定回線がなくても携帯で足りるという方が全体的に増えてきている傾向を反映しているのではないかと考えられます。これは年代別に見てもそうなってございますが、逆に申し上げますと、固定電話は50代以上で80パーセント、70代で90パーセント以上ということで、高齢者層に行けば行くほど非常に保有率が高いということで、どうしても家に1台引いておくという形での固定電話の使われ方で引き続き使用されている状況にございまして、何かあったときに御家族なり企業なりというところから着信を受けるという形でのニーズといいますか、そういった形での信頼性というものは引き続き固定電話に対しては寄せられているのではないかということが年代別に見ても言えるのではないかと考えられているところでございます。

7ページにお進みください。NTT東西が現在提供してございますメタル電話、加入電話についてでございますけれども、利用している人に対して、この契約を今後どうされますかということについて聞いたアンケート結果でございます。88.6パーセントと大半の方が引き続き使いたいのだということをおっしゃっている。逆に言うと、この差分の部分はもうなくしてもいいのではないかと思っていらっしゃる方ということなので、長期的に見れば当然ながら減少していくということになるとは思うのですけれども、なぜ使いたいのですかということを我々のほうでお尋ねしたところ、何かあったときのためにということなのでしょうけれども、今の電話を使い続けたいということですとか、特に不便がないというような形で回答していただいている方が多いところです。そういったものの中には、料金がそんなにどうしても今すぐやめなければいけないほどの水準ではないという、料金が安いというところも一応入ってございまして、我々としては、こういった御意向ですとか、若しくは料金水準全体を見て固定電話全体の在り方について継続的に市場をウオッチさせていただきつつ、政策を進めているというものでございます。

8ページは消費者物価指数の変動数ということで、これは実際に今回の基準料金指数を定めるに当たって参照した数字になります。後ほど述べさせていただきたいと思います。

以上が現在の情報通信市場を取り巻く環境というもので、背景のような説明になりますけれども、9ページ以下、実際に我々が今回加入電話等に対して課しておりますプライスキャップ制度の概要につきまして、改めて御説明をさしあげたいと思いますので、10ページまでお進みいただけますでしょうか。

我々は利用者料金規制をほとんど撤廃したと申し上げておりますけれども、実は現在残っている規制というのは大きくグループで言いますとこの3つの規制がございます。上から言いますと、必ずしもそれぞれ重なっているわけではなくて微妙にずれているのですけれども、一番上の基礎的電気通信役務、一般的にはユニバーサルサービスと言われているものでございます。国民生活に不可欠ですねということで個別具体的にサービスを省令で定めており、それに対してあまねく提供義務を課すということになってございまして、この対象は電話であり、NTT東西の加入電話であったり公衆電話であったりということで、実は今回のプライスキャップ規制の対象となっているサービスと大半はかぶっているということでございますが、微妙に光IP電話が入ったりということでずれている部分もございますけれども、そういう意味では、一般的に言われているユニバーサルサービスというものについては契約約款を作成して総務大臣に届出してもらうという規制がかかってございます。

その下でございますけれども、指定電気通信役務というのがございます。先ほど申し上げましたとおり、NTT東西の加入者回線の設備ですね。NTT東西の持っている銅線を用いた回線ですとか、若しくはその引き込み部分ですとか、そういった部分の設備は非常に市場独占性が高いということで、我々はボトルネック設備と申し上げておりますけれども、こういったものを用いて提供されるサービスについては、他の事業者が参入しようと思っても難しく競争が働きにくいということで、指定電気通信役務という区分を設けまして、一部規制を課しております。これは保障契約約款と申しまして、最低限確保すべきサービス水準を定めまして、それを下回らないようにという形での規制を課しているものでございます。これも総務大臣に対する届出を求めてございます。

ここから本題なのですが、本日御審議いただきます特定電気通信役務というものを指定電気通信役務の中で特に利用者、一般エンドユーザーの利益に及ぼす影響が特に大きいものとして定めるものになってございまして、そこに例として書いてございますけれども、NTT東西の加入電話、またISDN、公衆電話、番号案内というものがございますけれども、こういったものを特に特定電気通信役務という形でくくり出して、これらのサービスについてはプライスキャップ規制ということで料金の上限を我々が決めるという規制になっているものでございます。

これを全体のベン図といいます、分類として示したのが11ページになりますけれども、これを覚えていただきたいということではないのですが、本日見ていただくのはオレンジ色部分の特定電気通信役務でございまして、ここにプライスキャップということで上限規制を課しているものでございます。

サービスといたしましては、加入電話とISDNというものでございまして、これは後ほど質疑応答でも出てくるかもしれませんが、ISDNについては、NTT東西がINS64という名前で提供している各加入者宅向けの通信サービスが一番典型ではあるのですけれども、だんだんと皆さん使われなくなって、光ファイバーを用いたデータ通信サービスなどに大分移行されつつあるので、一般の方がISDNを使われる機会は大分減ってはいるのですけれども、実は今もかなり使われている部分がございまして、これはどういったところかというと、一般の商店などが置いているクレジットカードの決済機などついては基本的にはISDN回線が使われてございます。これはカードをスワイプすると、そのときに番号とか暗証番号とか名前とかが本部に行くわけですけれども、このときのやり取りされるデータの量は非常に少ないものですから、電話回線を用いても十分です。その代わり、絶対切れないという信頼性が必要だということで、こういったものには実はISDNが結構使われていまして、例えばこれがいきなりなくなってしまうとか、この料金がすごく上がってしまうと、それを使っている一般の方もそうなのですけれども、小売の商店の方などは意外と困ってしまうということもございます。また、防犯ですとか、ISDNはいろいろな形で使われていまして、こういったものも引き続きこの特定電気通信役務という中に入っているということでございます。

もう一つは公衆電話ということでございまして、公衆電話は基礎的電気通信役務との関係があるのですけれども、基本的には公衆電話というのは、携帯電話をお持ちでない方とか、電池が切れてしまったとか、持っていなかったとか、若しくは災害時に電話がつながらない。いろいろなケースがございますけれども、社会生活上最低限の安全を確保するという観点から、全国あまねく設置されている。これもNTT東西の昔からあるサービスでございまして、こういったものを、基本的にはNTT東西の基幹的なサービスとしてプライスキャップ規制の対象としているものでございます。

では、具体的に上限をどう決めているのかということに話が入っていくわけですけれども、12ページにお進みいただければと思います。上限価格規制というものでございまして、上限を決めてその範囲内で自由に料金を設定していいという上限価格方式というのは料金規制の中で一般的かというと、必ずしもそうでもないのかなと思っておりますけれども、少なくとも総務省の中では正に電気通信事業法に基づく特定電気通信役務に対する規制というものが唯一プライスキャップ規制として現在残っているものでございます。

これについては、「導入の経緯」に書いてございますけれども、もともとこういったNTT東西の提供しているサービスは旧電電公社であるNTTが独占的に提供していて、個別に料金を認可制度という形で我々がしっかり見ていたものでございますが、競争の導入に伴いまして、基本的には緩和していこうという形で議論が進んできた中で、経営効率化の努力を通じた自由な競争の部分があります。また、ユニバーサルサービスの中でも特に一般的な利用者の方々の利益、生活に与える影響が非常に大きいというものについては、上限を定めるということで、あまり一気に値上がりするようなことがないようにということで、そういった規制、利用者保護という観点もあります。この両方を併せ持つような形で、2000年10月から上限価格規制というものを導入させていただいているものでございます。

個別のサービスというよりは、サービスをまとめて全体でバスケットという形で指数化してございまして、ここに書いてございますけれども、全体で見ると音声伝送バスケットと言われる加入電話以下のサービスがございます。また、その中でこれだけは特に見たほうがいいだろうということで、加入者回線に関する小分類であるサブバスケットというものも作りまして、両方それぞれの推移を我々のほうで見させていただいているものになりますけれども、基本的にはプライスキャップ規制というものをすることによって、NTT東西の経営の効率化を促すという形でこれまで規制を執行してきたというものでございます。

13ページにお進みください。これをどうやって決めているのかということでございます。先ほど資料1の背景のところにも書いてございますけれども、これはどちらかというと経済学の領域に入るのかもしれませんが、総括原価方式におけるこういった上限料金規制なるものの一般的な考え方に恐らく従っているのだと思っておりますけれども、我々が考える基準料金指数というのは、その前記の基準料金指数に消費者物価指数の変動率を合わせ、かつ生産性向上見込率、それによって経営効率化が図られる部分も控除し、それに外生的要因として、例えば税率の変更など、外生的に発生する要因も加えるという形で指数化するということをしておりまして、これを基本的には毎年10月から1年ずつ定めることにしてございます。

御覧いただければお分かりのとおり、消費者物価指数の変動率は自動的に決まりますし、外生的要因も税率ですので自動的に分かるということで、基本的には機械的に算出されるべき指数になってございます。

ただし、この生産性向上見込率、これは当然ながらその時々の市場経済環境に応じて変化してまいりますので、3年ごとに予見可能性を確保する観点から定めており、X値の変動に応じて、実質的には3年ごとに基準料金指数というものが政策テーマとして上がってきているというものでございます。規制上は毎年決めているのですが、政策的には3年ごとに発生しているテーマということになります。

この生産性向上見込率というのは、真ん中の辺りに書いてございますけれども、生産性の伸びですとかコスト動向を基に算定するということになってございますけれども、このX値というのはどのように定めているかというのが下のところにございまして、基本的にはNTT東西のこのサービスを提供するに当たって収支相償になるように決めるということになってございます。これが収入カケル、カッコ1プラス消費者物価変動率マイナスX値カッコトジ3ジョウというものと、実際にかかった費用と適正報酬額、本来適正に得るであろう利益の幅ですね。それに対応する税の支払い。こういったものに見合うように。つまり、適正な利益を得た上で収支相償になって、決してもうけ過ぎにならないように、イコールになるようにという形で算定式を組んでおりまして、このX値を左辺に持ってきて式を作り直すと、一番下に書いてございますとおりの式になります。

この式にそれぞれの数字を当てはめていくことによってX値が決まるということになってございますので、ここに書いてございます、収入とは何か、NTT東西は一体幾ら収入が得られる見込みなのか、費用はどれぐらいかかるのか、NTT東西にとって適正な報酬額とは幾らなのかということで3年間の予測を立てるということを総務省が有識者会議にお諮りして御議論いただいているものでございます。

これが制度の概要でございまして、上限価格方式の運用に関する研究会というのは具体的にどういう結論だったのかというところを次に述べさせていただきたいと思いますが、17ページまでお進みいただければと思います。

X値の算定方法についてということでございまして、今年も有識者の方にお集まりいただきまして、X値についての研究会を開かせていただきました。そのときにもこの資料を用いて事務局から御説明をしたのですけれども、先ほど申し上げたとおり、X値というのは1プラス消費者物価変動率という式で表されるものなのですが、これを検討するに当たって、当然それぞれの変数に適正な数を代入していくことになるわけですが、その下に点線囲いで書いてございますけれども、収入については、例えばNTT東西から実際に今後3年間の収入予測や費用予測を出してもらう。適正報酬額については、総括原価方式の考え方に従って、実際にNTT東西のレートベースに基づいて計算するといったようなことを様々な経済学的な考え方も含めて我々のほうで検討した上でお諮りするという作業をしております。

以下、18ページ以下に、それぞれ収入や費用はどうなったのかということを書いてございます。非常に細かいのですけれども、まず18ページをおめくりいただきますと、NTT東西の収入予測というのは一体どうなるのかということなのですが、収入というのは当然、回線ごとにNTT東西に基本料が入りますので、回線数がどうなるかという予測に非常に左右されるわけでございます。NTT東西が固定電話の提供に用いる回線数が今後どうなるかということについて予測するに当たって、当然ながら先ほど申し上げたとおり、どんどん携帯電話等へ移行が進んでいきますので、回線数は減り続けているわけですが、どれぐらい減りますかということを、これまでの過去の経緯を含めて回帰分析をして、パターンAとパターンBを作ってもらいましたというのがその式でございます。それによって、例えばパターンAでは、NTT東西で約6パーセントの減少、パターンBでは、約7から8パーセントの減少というのが今後出てくるだろうということになってございます。

これに基づきまして、下に進んでいただきますと、収入予測についてとなります。また、それに伴って、当然ながらその費用、人件費等も削減してもらうという経営効率化の努力も反映されますので、リニアではないのですが、ある程度費用も当然削減されるという前提の下で、それぞれのサービスについて収入・費用予測を行ったというのがこの下の表になってございまして、パターンAとBそれぞれについて、大体見ていただきますと5から8パーセントぐらい減るだろうという予測を立てさせていただいているものでございます。

19ページにお進みください。これが収入と費用ですけれども、次が適正報酬額でございます。NTT東西がこういった公共的なサービスを提供するに当たって適正と考えられる報酬、つまり利益の額についての考え方でございます。これはレートベースというNTT東西が持っている資産に適正な報酬率を乗じて算出することになるわけですけれども、このレートベースというのは、NTT東西は様々な規制を我々は課していますので、そういった中で比較的こういう数字については得られることになってございます。したがいまして、こういったレートベースに基づきまして、報酬率を掛け合わせて、それによって適正な報酬額を導き出すということになってございます。

これによりますと、基本的にはNTT東西の上の四角の中にある2番目のポツでございますけれども、X値の算定に当たって用いられるNTT東西の特定電気通信役務、加入電話等の報酬率については、基本的には前回同様の計算方法で計算した場合には、NTT東日本が約3パーセント、NTT西日本が約2.2パーセントとなってございます。これはいわゆる公共的な事業者として適正と考えられる水準として我々が設定しているものでございまして、通常、いわゆる一部上場企業のようなものが上げている自己資本利益率、若しくはその利益率、一般からすると相当低い数字になります。

ただ、後ほどまた述べるのですけれども、今回、X値の算定に当たっては、ここを高く見積もり過ぎますと料金が上がっていくことに当然ながらなりますので、そういった観点から、果たして今の新型コロナ禍において、この2パーセント、3パーセントというのが適正な利益率なのだろうかということも鑑みて、この点についても更に精査を行って、最終的には補正をしていくことになったわけでございますけれども、こういった点も含めて適正な報酬額についてはしっかりと算定式に基づいた算定を行っているものでございます。

利益対応税については、報酬率の該当する部分に利益対応税率を掛けるということで、これは機械的な作業でございまして、現在、企業に対して課されている様々な税を課したものを当てはめる形になってございます。

以上がいわゆる利益ですとか税といったものに関する説明でございました。

20ページにお進みいただきまして、消費者物価指数の変動率。これは当然ながら料金指数を定めるに当たっては、消費者物価指数の変動を反映させていただく必要があるわけでございます。これまで基本的に消費者物価指数については、その検討に当たっての歴年の実績値というものを、その後の予測値にそのまま用いる形にしていたわけでございますけれども、御案内のとおり新型コロナウイルス感染症によって非常に物価の変動率が今回大きかったものですから、これまでの考え方を変えまして、過去の実績値を用いると、ある意味、今後の経済の回復というものを十分見込めない部分もありましたので、そういう観点から、信頼できるであろう各統計機関等の予想値を様々参照させていただきながら、平均値を用いる形で、今後3年間、物価変動がどうなっていくだろうかということをマクロ分析的に検討させていただいたものでございます。

その結果、表にございますけれども、様々な政府、日銀等の統計の今後の予測等を平均する形で3か年の平均で約0.1と定めていただき、これを先ほどのX値を求める算定式にも当てはめさせていただいたものでございます。

以上が代入する数値についてのそれぞれの細かい考え方でございましたが、こういったものを当てはめて、実際にX値を計算したのが21ページでございます。その際、X値を算定するに当たって、これをそのまま当てはめればいいかというと、実際にはそれに加えて経営効率化をNTT東西に我々のほうで課していますので、それがどういった形で効率化されるかということをある程度想定した上で一律の指数を課してございます。これはDEA分析というものでございまして、NTT東日本と西日本それぞれの支店というものがございますけれども、それぞれの支店を、例えば東京とか大阪とか福岡とかいろいろあるわけですけれども、それぞれ個別の独立した事業体とみなしてお互い競わせて、一番効率的な支店というものが望むべき理想の経営効率化が実現されたものであって、他の支店もそれを目指せばそれだけの事業効率化が図られるだろうという形の仮定を置いて、それで本来削減できるべきコストとしての補正をしてございます。

そうしますと、先ほどの数字を当てはめて作ったものよりも本来の費用が削減されるという形でより経営効率化が図られますので、そういった形での補正を課して、さらに、コロナウイルスによって利益率が減っているはずだという形で更に減らすと、本来は大分費用が上回り、赤字になることから、経営効率化を図りようがないという意味でX値がマイナスという形で出る試算もあったのですけれども、いろいろと補正をしていくと、最後に述べておりますとおり、マル3のパターンAで書いてございます0.1パーセントの経営効率化が図られるとの試算結果となりました。逆に言うと、それだけ料金を下げてもよいはずだという形でX値を正の値として導き出すことができましたので、いろいろな御意見はあったのですけれども、やはり利用者料金に直接はねるX値の算定についての考え方としては、0.1パーセントという値が適当であろうと結論いただきましたので、この0.1パーセントという値をX値に当てはめる形で今回出させていただきました。したがいまして、基準料金指数が下がるという形で、上限を抑えるという形で今回結論を導き出すことができたという次第でございます。

22ページは飛ばしていただいて、23ページでございます。基本的には今回、0.1パーセントという数字を出したことで有識者研究会のミッションとしては達成しているわけですけれども、当然その過程ではいろいろな課題が出てきています。この制度そのものに対する課題も出ております。前回の御審議でも大きく議論になったと聞いてございますけれども、今回も様々な課題が出てきたところでございます。

1つは、今後の検討課題等についてということでございまして、最初の1ポツにございますけれども、NTT東西は当然経営効率化施策を行い、それによって経営効率化を図られるだろうという想定の下でこういった指数を計算しているということでございますので、当然ながら本当にその経営効率化の努力をしたのかということについては、我々として指数を出させていただく責任もあって、しっかり今後の検証のため、その効果について把握していくことが適当であるといった結論をいただいているところでございます。当然ながら、それに用いたDEA分析をはじめとする分析手法の妥当性等についても引き続き検証を行うことが適当とされているところでございます。

また、次のIP網へのマイグレーションに向けた検討の必要性についてということでございますけれども、これは御案内のとおり、NTT東西、令和7年度をめどに今の音声交換機を用いた中継網を全てIP、インターネット・プロトコルを用いたネットワークに置き換えるということで、中継網を全部がらっと変えてしまうという構想を発表してございます。

したがいまして、交換機を用いてAさんとBさんをつなぐという加入電話の仕組みも一気に変わります。令和6年1月からメタルIP電話という形になりますので、これによってある意味、距離の概念がなくなるわけです。交換機があれば、距離に応じて料金が高くなったわけですけれども、それが全部インターネット・プロトコルによって処理されることによって、市内通信だろうが、県間通信だろうが、全て距離の概念がなくなりますので、そういったことによって恐らく全国一律の料金になるだろうと。こういう構想が示されているところでございます。そうしますと、加入電話の料金を検討するに当たっても、当然ながら所要の見直しを行う必要があるということでございます。

ただ、具体的にそれがいつ始まり、どういう形で費用の削減という形で我々の目の前に現れてくるのかということについては、現時点では必要なデータが得られておりませんので、この点についてはデータが整い次第、出したばかりではあるのですけれども、X値をもう一度算定し直すという作業を早々に始めなければいけないと考えてございます。

先ほど、令和6年1月から新しいサービスが始まると申し上げました。そうしますと、今回設定してしまいますと3年間適用されますので、令和6年9月まで今のX値であり基準料金指数は放っておけばそのまま適用されることになるわけですけれども、そうしますと、令和6年1月から9月までの9か月ですが、この期間は環境変化を踏まえない古いデータが用いられることになります。それでは遅いということで、次は3年後に検討するのではなくて、もうちょっと手前で、NTT東西のネットワーク改造といいますか、ネットワークが移行するという環境を踏まえて、いつもより早めに検討を開始する必要があるのではないかということで御提言をいただいておりまして、これについては我々も真摯に受け止めて、恐らく1年後、2年後にはもう一度検討し直すという作業が発生すると考えているところでございます。

その他、先ほども申し上げたのですけれども、機械的にX値を算定すると大分マイナスになります。これはやはり加入電話そのものが大分減ってきていまして、費用削減効果が得られないといいますか、収入が減るほどに費用を削減しにくくなっているということで、経営効率化が正直難しくなっているというのがNTT東西の受け止めですし、我々も客観的な状況としては、X値が正の値にはなりにくいという状況があるのだろうと考えてございます。

今回、コロナという状況もあるので、最終的にはかろうじて正の値になりましたけれども、そういった点も踏まえまして、このX値の在り方をはじめとしたプライスキャップ制度そのものについて、改めて包括的な検討が必要ではないかと考えてございます。

これは先ほどのIPマイグレーションによる見直しという機械的な作業よりも、より中長期的であって、より包括的な、大がかりな検討になる可能性があるのですけれども、こういったことも視野に入れながら、今後のプライスキャップ規制というのは、様々な御批判もあろうかと思いますけれども、適切なものとして運用していけるように検討を進めていきたいと考えているところでございます。

こういったことで、結論といたしましては、今回は24ページにございます全体の音声伝送バスケットでいいますと95.1という数字を適用することになります。これは上限ですので、この上限に至らなければ幾らでも料金設定をしていいわけですけれども、実際にNTT東西が一般ユーザーに対して適用している料金を指数化すると、この緑色と赤色の線になります。これは前回も議論になったのですけれども、東は86.6、西は88.0ということで、全然上限に行っていないじゃないかということになります。規制上は、NTT東西は95.1まで上げても構いませんが、実際に値上げという行為には至っておりません。

これはいろいろな考え方があるかと思いますけれども、この御時世で公共インフラである加入電話の料金を値上げするかというと、NTT東西はそういう経営判断には至っていなくて、実際には料金をずっと据え置きまま推移してきてございます。

なぜこのようなかい離が生じているのかということでございます。最初は、この制度を開始した平成11年、12年辺りは、上限とNTT東西の実際の料金指数はかなり近接していたということですが、御覧いただきますとおり、平成17年に大分料金が下がっています。これは施設設置負担金、いわゆる電話加入権と言われるものですが、この値下げをNTT東西がした。それまで7万2,000円だったものが3万6,000円になったということで、これによって指数で言うと実際の料金水準は大きく下がっていますので、この差が埋まらないまま現在に至っているというのが実際の市場の動向でございます。ただし、規制は規制ですので、我々としてはあくまでこの上限は一定の抑止力があるものとして引き続き運用していきたいと思っていますし、この規制自体の意味があるだろうというものでございます。

加入権の値下げについては、御記憶の方もあるかと思いますけれども、加入権を払ってまで電話を引かなければいけないという状況でもないということだとか、他の加入電話以外のサービスが出てきたということで、NTT東西で自主的に見直して半分に値下げしました。

これによって、現在もそうですけれども、3万6,000円を払って電話を引いている人は減っていまして、それよりはむしろ、ライトプランという、月額基本料が250円高くなるのですけれども、加入権は要らないというオプションをNTT東西は用意していまして、そちらの利用者が大分増えてきています。ですので、加入権の権利保有者は減少してきているのですけれども、この値下げということもありまして、実際には料金水準は大分下がってきているということは一言申し上げたいと思います。

説明が長くなったのですけれども、以上でございます。

非常に細かい内容も含まれております。恐縮でございますけれども、御不明な点等がありましたらお尋ねいただければと思います。よろしくお願い申し上げます。

○野村座長 大内企画官、ありがとうございました。

長い歴史ある中での料金の設定に関して御説明いただきました。

そうしましたら、これから質疑応答、意見交換を行いたいと思います。恐縮ですが、発言される際はチャット欄に御投稿いただくという手順で進めていきたいと思います。御協力のほど、よろしくお願いいたします。

主に資料2の御説明だったので、それをお手元に出していただき、できればページ数も明確にしていただくと分かりやすいかと思います。

白山委員、質問をお願いいたします。

○白山委員 白山でございます。御説明ありがとうございました。

過去からの継続的な計算の方法ということなので、測定の継続性という観点から1点だけお伺いしたいと思います。基本的な計算手法、計算プロセスについては変更がないと理解しておりますが、コロナの影響で自己資本比率のところに一部修正を加えたという御説明がございました。

報告書を読ませていただきますと、その部分と、あと包絡分析のところで、以前は包絡分析に加えてSFA分析を踏まえて効率化の検討をしたのを、今回は包絡分析だけにしたというところが変わった部分であると認識しているのですが、まずそれでよいかどうかということです。

次に、自己資本利益率を修正したという点について、簡単で結構ですけれども、どういう形で、どういう観点で修正したのかというところの御説明をいただければと思います。以上の2点です。

○野村座長 大内企画官、よろしくお願いいたします。

○総務省大内料金サービス課企画官 御質問ありがとうございます。

正にSFA分析というものも、同じく包絡分析法、DEA分析とともに、こういった経営効率化を測る分析手法としては理論上あり得るものでございます。ただし、実際にはSFA分析を行うだけのサンプルである支店数が減ってきているという状況がございます。

これは具体的に申し上げますと、この制度を始めた頃の平成12年頃はNTT東西で全国に33ぐらい支店があったのですけれども、今は12しかなくて、これも経営効率化の努力ではあるのですけれども、支店数自体が減ってきているということもございます。SFA分析をするだけの十分なサンプルも現実的に得られないだろうということもありまして、今回の研究会もそうなのですが、前回の研究会も形の上でSFA分析もやってみたのですけれども、統計的に有意な結果が得られないということから、採用されなかったということも実はございました。

したがいまして、今回、DEA分析に絞って、こういった包絡分析法に基づき経営効率化の検討をさせていただいたというところは、おっしゃるように一つ大きな変更点かなと思います。

もう一点、新型コロナの自己資本比率というものでございますけれども、実際に適正な報酬の水準について検討するに当たっては様々な考え方があるわけですけれども、新型コロナウイルスによって、例えば主要企業というものが当然ながら全体的には利益率が減ってございます。NTT東西の利益率を検討するに当たって、例えば東証の一部上場企業の利益率をそのまま引っ張ってくる、そんな乱暴な分析はしていないのですけれども、一つの指標として考えたときに、日本経済全体で非常に利益率が下がっている中で、NTT東西だけ、本来得られるべき利益の水準というもの、若しくは資本に基づいて得られるであろう利潤の水準というものを高く設定するというのは恐らく社会的に許容されにくいだろうということで、我々のほうで政策的な補正という観点から自己資本比率を低く見積もらせていただくという補正を今回行わせていただいたところでございます。

細かい数字については説明を割愛いたしますけれども、今回初めて導入したという点では、委員がおっしゃるようにこの2点ということになろうかと思います。

○野村座長 白山委員、よろしいでしょうか。

○白山委員 ありがとうございました。

基本的に計算プロセスの継続性というところが重要だと思いますし、変更する場合にあっても適切な、正当な理由があれば、それは変更すべきであると考えますので、今御説明いただいた内容であれば私も問題ないのではないかと理解いたしました。ありがとうございました。

○野村座長 そうしましたら、次の質問に移らせていただきます。

古賀委員、よろしくお願いいたします。

○古賀委員 とても分かりやすい丁寧な御説明をどうもありがとうございました。

今チャットのほうにも書いたのですけれども、御説明いただいたスライドの10から12、22辺りですが、私もこのプライスキャップの議論に3回目の参加をさせていただいているのですけれども、そのたびに分かりにくい点が幾つかありました。

例えば基準料金指数が本当にこれでいいのか、メタルIP化に至るのに、いつまでも固定電話中心のX値とかそういったものにこだわっているやり方で本当にいいのかという点を考えてきたのですけれども、今回、また同じようにX値を設定して、プライスキャップとしての従来のやり方でするということですね。一方で上限価格方式の運用に関する考え方について研究会では報告書なども出していただいておりまして、総務省としては非常に悩ましいところでいろいろな対応をしていただいていると思います。

そもそも最初のほうで御説明いただいたのですけれども、基準料金指数でかい離が出た場合にもなおインセンティブを付与するということをおっしゃっていたのですが、今回のように平成11年を100とした場合に、それ以下、92から95位でそれぞれ数値が決まってきているわけですが実際の価格とのかい離が大きい場合にはインセンティブを付与することにならないのではと思いますが、そこのところの考え方(仕組み)がちょっと分からないので、教えていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

○野村座長 大内企画官、お願いいたします。

○総務省大内料金サービス課企画官 御質問ありがとうございます。

おっしゃるように、我々も非常に悩ましいなと思っていますのは、先ほど申し上げた電話加入権の値下げによって、一度開いたかい離というものが埋まらないままに現実的には推移していますので、今の基準料金指数というのがNTT東西に対して積極的にインセンティブを付与しているかというと、評価は分かれるところかなと思ってございます。

ただ、消極的な表現かもしれませんけれども、上限価格規制というのがあるのだということとか、この規制があり続ける以上、NTT東西というのは加入電話をはじめとする基幹的なサービスについては絶えず経営効率化を図っていって、その上限とのかい離とか、仮に値上げをするのだったらその必要性について、社会的、経済的に説明をしなければいけないのだというプレッシャーがずっとかかり続けている状況になってございます。

そういったことと、あとはNTT東西の経営戦略もあって、実際にはずっと電話の料金は変わらないといいますか、値上げをしない形で推移してきているということの抑止的な効果は恐らくあるのだろうと我々は思っていますし、現にNTT東西に話を聞くと、やはり規制の存在を意識しながら加入電話その他の料金を設定しているというような回答をすることがあるかと思います。

したがいまして、例えば先ほど包括的な見直しなどについて申し上げましたけれども、そういったことによって、今後このかい離を生かしたまま新しい制度に移行するのかなど、実は何も決まっていないのですが、仮に今の規制を今後少なくとも1年間、2年間運用したとしても、上限が決められていて、それには経営効率化の努力を払わなければならない、こういった規制の仕組みそのものは消極的な意味での抑止効果が働いているのだろうと思っていますし、仮にNTT東西が料金を値上げしたいというのであれば、それはプライスキャップ規制との関係において、我々もしっかり話を聞いて、利用者への影響について見せていただくということになるのかなと思っています。

直接的かつあまり積極的な説明ができなくて恐縮ですが、そういう意味で静々と、粛々とこの規制を運用させていただいているというのが現在のところかなと思っております。

○野村座長 古賀委員、いかがでしょうか。

○古賀委員 ありがとうございます。

特定電気通信役務規制という対象が今の時代にあまり合っていないというか、わざわざプライスキャップをする必要があるのかというところに消費者としての根本的な疑問があるのです。先ほどクレカ決済とか、公衆電話、防災等でのISDNの必要性とか、メタル回線の固定電話を高齢者の人が非常に支持しているというお話では、苦労してプライスキャップの意義を詰めて検討する必然性をあまり感じられなかったので、あえて質問いたしました。どうもありがとうございます。

○野村座長 それだけ技術革新が速かったという理解もできそうですが、総務省にとっては非常に悩ましいところかなと。外せばいいのではないかという意見も出てきますが、私はやはりここは外してはいけないものだと。消極的とおっしゃったけれども、これはインセンティブを機能させる非常に大事な措置だと個人的には思っております。

他に別の観点から御意見をお願いしたいと思います。

若林座長代理、よろしくお願いいたします。

○若林座長代理 御説明ありがとうございました。

私もかい離のところは是非お聞きしたいと思っておりましたので、その辺がクリアになってよかったと思います。また、そういうことも含めて今後の議論が進んでいくと理解いたしました。

私の質問としては、そういう意味では消費者にとっても分かりやすいとはとても言えない制度ではあるわけですけれども、平成30年のこちらからの消費者委員会意見、専門調査会の意見として、消費者への情報提供ということについて意見が出ています。

プライスキャップ制度の意義等について積極的な情報提供をということですけれども、もし何かこれまでの新しい試みというのでしょうか、新しい進展等がもしございましたら教えていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

○野村座長 大内企画官、よろしくお願いいたします。

○総務省大内料金サービス課企画官 御質問ありがとうございます。

我々としても、この規制の在り方についてはしっかり利用者の方々に、若しくは関連する事業者の方々に理解していただく必要があるだろうと思ってございまして、積極的に周知・広報を図るところまでは至っておらないのですけれども、今回、3年ぶりにこの研究会を開催するに当たりまして、様々な形でメディアへの説明とか、若しくは今回の答申を得るに当たってパブリックコメントを通じた一般の方からの意見の募集として御意見を伺う機会を設けさせていただくなど、何とか一人でも多くの利用者の方に御理解いただけるような努力を払っているつもりではございますけれども、積極的な周知を図っているかというと、難しいところもあるのかなと思っています。自戒を込めて申し上げます。

先ほど申し上げたとおり、審議会にお諮りをするというプロセスの中で、消費者代表の方の御意見をお伺いしたり、間接的な形で一般の方と関わりを最大限持つようにさせていただいてはいるのですけれども、前回の御指摘ですし、今回も御指摘いただきましたので、その点を含めましてしっかりと制度の周知徹底に努めてまいりたいと思います。

○野村座長 ありがとうございます。

若林座長代理、よろしいでしょうか。

○若林座長代理 ありがとうございました。

○野村座長 件数は減っているものの、やはり情報提供は重要だということで、総務省にはお願いしたいと思います。

ただ、あまり詳しくし過ぎると、高齢者の方も多いですし、逆に理解に苦しんでしまうということも心配ですので、丁寧かつ分かりやすくというところでまた工夫をしていただきたいと思っております。

それでは、大石委員、よろしくお願いいたします。

○大石委員 ありがとうございます。

御説明ありがとうございました。

私はこの議論に初めて参加させていただくので、お話しいただく内容が、ああ、そうなんだと、一々驚くような内容だったのですが、特に資料の24ページの基準料金指数と実際料金指数の推移というところで、今までの流れが大変よく分かる一方、なぜ基準料金と実際の料金がこんなに違ってくるのか。それぞれその時点時点で理由としては書いていただいているのですが、例えば今回、もしもこのまま95.1となったとしても、実際の料金指数は下がる可能性もあるのかなと思っておりまして、このままどんどん基準料金指数と実際料金指数がかい離していくということをどんなふうに考えるか。先ほど、近いうちに大きな動きがあるのでというお話だったのですけれども、何となく指数がかい離したまま、ただ単に基準料金指数だけがそれぞれ別に設定されているということにそもそも疑問を持ったということが1点です。

あと、施設設置負担金、債権ですか、これは昔電話に加入された方は皆さん持っているのですが、それが今一体どうなっているのかというのはきちんと分かっていらっしゃる方は少ないのではないかと思います。例えば結婚して名前が変わるときに変更しないとそのままになっているとか、皆さん、自分が持っていながらその認識がなかったり、分かっていない方が多いので、その辺りの広報というのも、今回は直接には関係しませんけれども、今後どんどんこういう電話の状況が変わっていく中で、そういう情報提供も是非していただきたいというのが2番目です。

もう一点、そうは言いつつ、やはり災害時とかは公衆電話の利用も必要となってくるので、その辺りのユニバーサルサービス料金を負担する上で必要なものは何かということも是非消費者に分かるようにお伝えいただけると有り難いと思います。

○野村座長 お願いいたします。

○総務省大内料金サービス課企画官 ありがとうございます。3点ほどいただいたかと思っています。

1点目は、基準料金指数と実際料金指数のかい離についてでございます。我々としては、上回っていないというのが最低限いいことですし、NTT東西は上回らせるつもりもない意味での抑制的な効果はあるだろう。どうしても型にはめた説明になってしまうのですけれども。

ただ、先ほど申し上げましたとおり、こういった非常にレガシーなサービスについて費用削減効果が得られにくくなっていて、X値を正の値に保つということ自体が難しくなっていて、この制度自体が、今のサービス、バスケットのままではそのまま維持することが正直難しくなっているということ。あとは、それにもかかわらず、実際の料金指数というのはそれを下回る形で安定的に推移しているという実態とのかい離が存在し続けているということ。様々な課題が正直あると思っていまして、こういった点については、繰り返しになってしまいますけれども、それほど時間的余裕を持たずに、包括的な検討をする中で、正に御批判も含めてしっかり検討していきたいと考えているところでございまして、今日の御意見もしっかり我々のほうで持ち帰らせていただきたいと思ってございます。

2点目、いわゆる電話加入権と言われる施設設置負担金についてでございます。この点についても、直接これとは関係ないわけですけれども、たくさんの課題がございます。

昔は、正直なところ、電話を引きたくても全国から申込みが殺到してなかなか引けないという時代がございました。今となっては懐かしいのですが、その頃は加入権を払ってでも、工事費用を負担してでも、早く我が家に引きたいという「積滞」という問題などがあったわけですけれども、当時作られた経緯と趣旨が施設設置負担金から、徐々に環境変化とともに失われてきて、今、3万6,000円を払ってまで加入電話をすぐ引きたいかというと、別に基本料が250円上がってもいいから、そんなものは払わなくて引きたいのだという方のほうがだんだん増えてきているという実態があるのかなと思います。

余談になりますけれども、施設設置負担金自体は債権ですので市場取引が可能でございまして、固有名は控えますけれども、大手インターネット通販サイト等でも実はやり取りをされてございますが、そこで付されている値段は3万6,000円ではなくて、もっともっと安い値段で取引されてございまして、そういったことからも、ますます分かりにくくなっている状況かと思います。

我々のほうでも、例えばNTT東西に施設設置負担金なしに加入電話を引くことができるのだということをもっとしっかり周知してもらうということも含めてお願いをしておりますし、実はホームページの中でもそういった説明をNTT東西でしていただいているのですけれども、それに限らず施設設置負担金の在り方については我々もずっと検討してございますし、その周知の在り方も含めてNTT東西とよく話し合って、分かりやすい形で伝えていきたいと思っているところでございます。

3点目は何でしたでしょうか。

○野村座長 災害時のことですね。

○大石委員 そうですね。ユニバーサルサービス。

○総務省大内料金サービス課企画官 失礼しました。

実は、特定電気通信役務の中には、主には加入電話と公衆電話が非常に身近で分かりやすいサービスとして入ってございまして、こういったサービスは、どちらかというと世の中的には特定電気通信役務というよりは、基礎的電気通信、ユニバーサルサービスとして認知されていることのほうが多いかと思います。

ユニバーサルサービスというのは、この料金規制とは全然別のところで利用者の方から様々な関心を呼んでおります。なぜかというと、この提供に伴う赤字の一部をユニバーサルサービス負担金という形で、1番号当たり今3円ですけれども、皆さんからお集めしてNTT東西に交付するという交付金制度の対象になっているものですから、直接利用者の方々に費用の負担が転嫁されているという意味で、これはこれで非常に関心の高い制度でございます。したがいまして、ユニバーサルサービス制度の在り方というのは、毎年のように我々のほうでも研究会が立ち上がりまして、その中で議論されることがございます。

その一環で公衆電話についても最近検討しまして、残しながら台数を減らそうという形で答申案をいただいたところでございます。一部報道されて、御記憶の方もいらっしゃるかと思います。

そういう意味では、公衆電話とか加入電話というのは、減少しつつあるサービスですが、国民生活に不可欠なサービス、ユニバーサルサービスとしての地位はいまだ失っていないという過渡的な状況でございまして、こういった状況にあるからこそ、利用者の周知の在り方、またコスト負担の在り方について、これまで以上に課題が増えてきていると思っていまして、そういった点については我々も適時適切に検討していって、必要に応じて制度の見直し等につなげていきたいと考えているところでございます。御指摘ありがとうございます。

○野村座長 ありがとうございました。

大石委員、よろしいでしょうか。

○大石委員 大丈夫です。ありがとうございます。

○野村座長 そうしましたら、古賀委員、よろしくお願いいたします。

○古賀委員 何度もすみません。ありがとうございました。

今、昔は電話がなかなか引けなくてというお話があったと思うのですけれども、施設設置負担金は債権だとはいえ、今はほとんど紙切れというか、いろんなところは会計上まだB/S上には載せていると思うのですが、資産価値はほとんどないと思います。そのところは議論にならなくて、そこを言うと寝た子を起こすようなことになるのか、よく分かりませんけれども、施設設置負担金の在り方については、一般的にも消費者に丁寧に御説明いただきたいと思っています。

一つお聞きしたいのは、災害時はメタル回線のほうが安定しているということをどなたかおっしゃったような気がするのですけれども、本当にそうなのかということです。東日本大震災などでは、携帯のほうがつながりやすかったとか、そういったこともありますので、その辺のシステムについてどうなのかということを教えていただけますでしょうか。

2025年をめどにPSTNからIP網への移行のスケジュールがあると思うのですけれども、これについてはいろんな除却処理等もされていると思うのですが、実際にそれらの変更が私たちの電話料金にどういう影響があるかというようなこと、ざっくりでよろしいので御説明いただければと思います。よろしくお願いします。

○野村座長 よろしくお願いいたします。

○総務省大内料金サービス課企画官 まず災害時にメタル回線はどうなのかという点でございますけれども、この点については、様々な見方があるかと思います。東日本大震災のように、非常に大規模な災害のときには、携帯電話の基地局そのものが倒れて、携帯電話がつながらないということもあったかと思います。

そういったときに、優先的に取り扱われる公衆電話とか、加入電話みたいなものがつながりやすかったという場合もあるかと思います。ただ、例えば災害の規模とか、性質によっては、回線が流れてしまって、固定回線はつながらないのだけれども、携帯電話はつながっているというようなことが、大雨被害のようなときにはあって、加入電話から携帯でと考え直される方も、局所的な大雨などではそういうこともあったかと思います。

それは場合によりけりではございますけれども、一般的に申し上げれば、そこまで至らないような事象、例えば一時的な停電などであれば、固定回線を用いた加入電話の場合には、停電になっても回線を通じて電話局から電気が給電されるという局給電という仕組みがございまして、実は停電時も電話がつながるというメリットがございます。

NTT東西の局舎の予備電源もなくなってしまえば終わりなのですけれども、そうでなければ、災害時に携帯がつながらないとか、電池が切れてしまったというときに、実は加入電話だけはつながるということがあったりするので、局給電の仕組みとか、安定的なサービス品質が確保できるという仕組みです。例えば輻輳しにくいといったような、携帯電話に比べてつながりやすい場合を捉まえて、固定電話、加入電話のほうが災害時に強いということをおっしゃる方もいらっしゃいますし、そういうケースも実際のところあるのだと思います。

これはケース・バイ・ケースですけれども、我々としては、携帯にしろ、固定電話にしろ、加入電話にしろ、耐災害性を高めていくことが極めて大事だと思っていますので、いずれの災害対策も強化していくということだと思っていまして、必要な対策、例えば技術基準を定めるとか、NTT東西にしっかり予備電源を作ってもらうとか、いろんな施策をやっていますけれども、災害は頻発しますので、そういった取組を今後も進めていきたいと思っています。

次に、マイグレーションでございます。基本的にこれまでの中継網は、電話交換機がIPのサーバーに変わるということで、一般的にいうと分かりにくい移行なのですが、これまで電話交換機を前提にしていたサービスがなくなってしまうということで、先ほど申し上げたように、距離によって電話料金がどんどん遠くに行けば行くほど上がってしまうということがなくなって、全国均一の料金になるという意味で、メリットになる部分も当然ながらあるわけです。

逆に言うと、これまで交換機を前提にして提供していた一部のサービスがなくなってしまうとか、若しくは携帯回線を用いた代替的なサービスに置き換わるケースもあると聞いています。例えば先ほど申し上げたクレジットカードの決済端末を用いるISDNの仕組みがありますけれども、これもそのままでは維持できないので、携帯回線で代替しようかとか、IP回線で代替しようかみたいな議論を数年前からずっとやっていまして、提供条件をどうするのかとか、料金はどうするのかといったことについても、NTT東西の計画を踏まえて、審議会でも議論されていますし、関係事業者間でも協議をしている形になっています。

起こり得る利用者への影響については、しっかりとこれまでも検討してきた仕組みがございます。したがいまして、そういったところで課題を解決していきながら、基本的に中継網の話ですので、一般利用者からすれば、それによってサービスが著しく下がるとか、料金が上がるということは許容されないだろうという前提の下で、利用者にとって引き続き安定的に低廉にサービスが享受できるような環境を作っていくことが大事だと思っていますので、我々としてもその環境を整備していきたいと思ってございます。

具体的な課題があれば、その都度、我々のほうでしっかりお伺いして、NTT東西と協議の上、課題を解決していきたいと思いますので、また教えていただければと思います。

○野村座長 ありがとうございます。

古賀委員、よろしいでしょうか。

○古賀委員 ありがとうございます。結構です。

○野村座長 そうしましたら、他に御意見はいかがでしょうか。坪田委員、よろしくお願いいたします。

○坪田委員 全相協の坪田でございます。

丁寧で分かりやすい説明をありがとうございました。

私も今回初めて伺いまして、いろいろと勉強になりました。公共料金というのは幾つかありますけれども、特に電話は、皆さん、日々使っています。今、データ通信がかなり多くなって、携帯、スマホを片手に持つような生活をしている方が多い中で、歴史的な経緯を皆さんあまり意識しないで、特に公共料金のユニバーサルの料金について、こういう仕組みがあるということも分かっていない方が多いのではないかと思っております。

そういった中で、消費者に丁寧な説明というのが常々言われるわけですけれども、かなり難しいことだと思っております。特に令和7年をめどにIP網に移行するということが、だんだん話として出てくると思います。そうしますと、なぜか分からない中で、消費者がそれについて料金がどうなのか、何が使えなくなるのか、実際にどうなのかという疑問が起こってくると思います。消費者に分かりやすい説明やいろいろな周知の方法を考えていただきたいということとともに、大変複雑で難しいですから、特に固定電話を使っている方は、御高齢の方も多いですので、言われてもよく分からないことがたくさんあります。消費者への分かりやすい説明とは、そもそもどういう説明が消費者にとっては一番必要とされている説明なのかというところを、消費者団体なり、そういったところともまずは意見交換していただいて、周知の方法も御検討いただきたいと思います。

○野村座長 いかがでしょうか。

○総務省大内料金サービス課企画官 ありがとうございます。

今回、御説明いたしましたプライスキャップ制度もそうですし、ユニバーサルサービス制度もそうですし、IPマイグレーションに関するNTT東西の計画もそうだと思うのですけれども、おっしゃるように専門的な部分もありますし、最終的なエンドユーザーの方から見ると、その背景で起こっている制度の見直しとか、それを貫いているロジックとか、そういったことについて、事細かに御理解いただくというのは、正直難しいのだろうと思っています。

我々としては、最終的に利用者料金に跳ね返りかねないといいますか、そこに影響を及ぼし得る制度についての運用であり、見直しだということで、非常に緊張感を持ってやっておりますので、そういった検討を進めるに当たって、これまでも例えばIPマイグレーションであれば、情報通信審議会にこれに応じてどういった政策的な課題が生じるかということを二度にわたって諮問させていただいて、答申をいただいているということもございます。

これまでも検討してきてはいるのですけれども、そういった中で消費者の関係団体の方の御意見もお伺いして、かつその結果をしっかり分かりやすい形で周知広報するということをこれまで以上に徹底していきたいと思います。

基本的にはこれまでどおり、サービスを使いたい方は、IPマイグレーションがあっても引き続き継続的に使える環境を作ることが大事だと思っていまして、実際そのようにこれまで進めてきたという状況ではございます。

ある瞬間からこれまで使えていたものが使えなくなるとか、いきなり高くなるということがないように、その辺りの環境整備は今からスケジュール感を持ってしっかりやっていきたいと思ってございます。

○野村座長 ありがとうございます。

坪田委員、よろしいでしょうか。

○坪田委員 ありがとうございました。よろしくお願いいたします。

○野村座長 携帯のほうが契約件数では数量的には多くなっているわけですが、ただ、固定電話の利用者の方に御説明いただく場合に、先ほどの局給電とか、災害時に有益なシステムがあり、今後も予備電源を充実しなくてはいけないなどの事情がございましたら、そういう説明をしていただくと、御理解いただきやすいと思います。

メディアでは携帯電話のドローンで災害時も給電できるようになっているというようなトピックスが流れていますので、固定電話でも、地道にやっていますというところを御説明いただけたらと思いました。

それでは、古賀委員、もう一つ出てきているのですが、先に松村委員からお願いいたします。

○松村委員 念のため確認させてください。マイグレーションの後にも局給電は残り、停電が起こったとしても、加入電話は使えるというのは変わらないのですか。

○野村座長 お願いいたします。

○総務省大内料金サービス課企画官 その点について明確な計画がこれまで示されているわけではないのですが、先ほどメタルIP電話というサービスが始まると申し上げましたが、これは何かといいますと、加入者宅に引かれているラストワンマイルの部分です。メタル回線そのものは、いきなり撤去されるわけではありません。これは残ります。ただ、それを収容する局内の設備の交換機が減少していまして、IP設備に変わっているということですので、IP設備でメタル回線からの通信を収容するメタル収容という形で、メタルIP電話が新しく始まるとアナウンスをされており、それに向けて準備が進められているところでございます。

したがいまして、メタル回線はしばらく残るという前提で、今後も我々としては考えていきたいと思っていますし、局給電の在り方も含めて、今、メタルを前提にして提供されているサービスがどうなるのかということについては、もし残らないのであれば、それはなぜなのか、いつなのかということをしっかりNTT東西に確認するといったことも含めて、メタルの移行の計画がどうなるのかということについては、まだ概括的な点も示されてございませんので、その点についてはしっかりフォローしていきたいと思います。

特に東西から何かなければ、引き続きメタル回線は残るという前提で、今後もネットワークの整備がされ、サービスが提供されるということだと思います。今回のIPマイグレーションは、あくまで中継網のIP化の話でございます。

○野村座長 松村委員、よろしいでしょうか。

○松村委員 ラストワンマイルのメタルは残るというのはもちろん承知の上です。局給電はなくなるものだと思い込んでいたものですから。自然に設計すれば相当なコスト高になるだろうというか、これからIPに移行していかなければいけないのに、個人宅が停電しても、なおかつ使い続けるために、本当にそんなにコストを使うのか、それが本当に消費者全体の利益にかなうのか、ということは、少し疑問に思いました。

消費者委員会の調査会で言うようなことではないと思うのですけれども、今まで使えていたものを使い続けられることが、最優先で守られなければいけないのかということは、疑問に思っています。それによって、膨大なコストがかかった結果として、結局他のところにツケが回ることになったり、あるいは次世代の通信網を築いていく、5Gよりも先のことを既に見越しているはずなのに、負の遺産が残った結果として、日本はどんどん遅れていくということになっても、本当に消費者にとっていいことなのか。

総務省としては、積極的にこのようなサービスを維持し続けると、すごくコスト高になる。それは最終的に消費者の負担になる。本当にいいのだろうか。新しい発想に切り替わるときには、むしろサービスも切り替えたほうが社会全体として改善になるだけでなく消費者の利益にもなるし、使いくいという人がいれば、新しいサービスを使うことに対して積極的にサポートして、移行していく発想も本当は必要なのではないか。

消費者委員会もむやみにそれに反対するのではなくて、それが本当に合理的なのか、消費者のためになっているのかという観点から見ることが重要なこと。今あるものはでき得る限り継続することが最も重要な項目として出てくると、改革が進まなくなるのではないかということを私は恐れています。でも、これは消費者委員会で言うようなことではないので、これでやめますが、最終的には消費者に納得してもらうことがとても重要なことで、むしろ積極的にこう変わっていきましょう、私たちは移行するのをサポートしますと示すことも重要なのではないかと思いました。

○野村座長 ありがとうございます。

投資判断は東西の問題でありますが、松村委員が言われたのは、政府として仕向ける方向があるのではないでしょうかという御意見かと思いますが、もし可能でしたら、よろしくお願いいたします。

○総務省大内料金サービス課企画官 ありがとうございます。

松村委員には、総務省の研究会、審議会等でも大変お世話になってございまして、正に本日はレガシーと言われるサービスである特定電気通信役務に対して、ある意味、残存している規制について御説明をさしあげたということでございますけれども、当然ながら、我々総務省全体としては、情報通信市場全体を見て、より先進的なサービスを育てていくとか、利用者の合理的な選択を助けるということも同時に追求するべきテーマとして、しっかり掲げてございます。

例として挙げますと、携帯電話サービスですとか、光、FTTHサービスといった形で、非常にニーズが伸びていて、現に様々なイノベーションが生まれているサービスについては、我々としては、どちらかといいますと、料金規制というよりは、事業者間の公正競争の促進を通じて、結果的に利用者の利便を高めていくという、そういった競争政策というツールを使って、なるべく政策目的を達成できるようにやっております。今日は競争政策について御説明する場ではなかったものですから、説明は割愛させていただきましたけれども、当然ながら、それとのバランスを図りながら、全利用者にとって合理的な選択肢、合理的な提供条件で選択できるような環境を作っていきたいと考えているところでございます。

レガシーのサービスも全く見直しをしないというわけではなくて、言い訳めいてしまうかもしれませんが、先ほど御紹介した公衆電話も制度がユニバーサルサービスとして設定されまして、全国でNTT東西で10.9万台、必ず置かなければいけないという規制になっていまして、その維持コストに年間30億円強の金額がかかって、それは利用者に負担金という形で課されている、そういう仕組みになっているわけでございます。レガシー中のレガシーと言っていいサービスかもしれませんが、この在り方について、今、携帯電話がこれだけ普及している中で、果たして日本全国に10.9万台を義務的に維持しなければいけないのかどうかということについての検討を今年いたしまして、約4分の1程度まで下げてもいいのではないか。当然ながら、利用者保護の仕組みは併せて考える必要がありますけれども、削減してもいいのではないかという答申案もいただいているところでございます。

それが全てとは言いませんけれども、旧来型のサービスはこれまでどおり、これまでの条件で維持し続けることだけが是ということではなくて、当然ながら、環境変化に応じて、必要なサービスの種類とか、程度は変わってくると思いますので、こういったことにも手当てをしながら、サービス市場全体が活性化されるような方策を考えていきたいと思っております。

○野村座長 ありがとうございます。

この調査会で検討するのは東西のプライスキャップの値ですので、その辺りが難しいところです。松村委員がおっしゃられるように、通信業界全体で見ると発展すべきで、特に他国との競争もございますので、そういう御意見も理解できるのですが、とはいえ、弱者保護の観点も、固定電話は必要だという意見も根強いと思いますので、総務省には御配慮いただきたいと思います。過渡期であるということで、大変難しい時期ではございますが、御理解いただきたいと思います。

そうしましたら、古賀委員、コロナの影響ということで、御質問をお願いいたします。

○古賀委員 何度もすみません。今の松村委員のお話は全く同感でございまして、今回、プライスキャップ制度について、私が最初に特定電気通信役務において議論をしていくというか、数値について、詳細に皆さんで話す必要性があるのかと言ってしまったために、少し論点がずれてしまったようで申し訳ありませんでした。

コロナで0.1数値が前回より減じられているわけですが、ある意味、実際にはこれまでこういう指数を出しながらも、実際には88とか、90までいったことがないような現状の中で、0.1、コロナで減じている。なぜ0.1なのか、そこのところをもう少し御説明づけしていただけると、今回、数値についての消費者委員会としての意見も出しやすいと思いましたので、もう一度教えていただけたらと思います。

○野村座長 スライドで言いますと、21でしょうか。パターンが幾つか示されて、0.1のマル3のパターンAが選ばれたということについて、もう一度、御説明をお願いしたいということでございます。大内企画官、よろしくお願いします。

○総務省大内料金サービス課企画官 ありがとうございます。

3年前までの検討によりますと、基本的には21ページの左下の表でお示しをしてございますけれども、まずはマル1です。NTT東西が経営効率化を自主的に図った場合、収支がどうなるかということを予測させるというのが、マル1でございます。これだと全く効率化が図られないということで、X値は負のままでございます。

これは3年前もそうだったのですけれども、マル2でございまして、NTT東西が自主的に出してきた数字だけではなくて、例えば都市部の支店に合わせて、そうでない地域の支店もそれなりの経営効率化を図って、社内でしっかりベンチマークを立てて、経営効率化を図れば、本来はこれだけの非効率性の解消が図られるはずだという、包絡分析に基づいて、より望ましい生産性向上の指数を出すという補正をかけたものがマル2でございます。マル1よりもマル2のほうが生産性は上がっているわけですけれども、これをもってしても、パターンA、パターンBのいずれにしても、実はマイナスの数値であることは変わらなかったというのが、今回の大きな課題の一つであったかと思います。

今回マル1マル2に加えて、更にマル3ということなのですが、直近の経済動向でありますコロナの状況によりまして、当然ながら、我々が適正な利潤について、ある意味参考にしてございます、主要企業の平均である自己資本利益率等の数値も全体的には下がってございますので、パターンA、パターンBで微妙に違いますけれども、全体的にいうと1パーセント程度費用を圧縮し、生産性向上を高める効果が、結果的に利潤なしという形で得られているだろうということで、この計算式については、この場では説明を割愛いたしますが、報告書には書かせていただいてございます。

こういった形で、更なる補正をかけた結果、この数字に至っているということでございまして、そういう意味では、今回初めてマル3という要素を新しく加味したということはあろうかと思いますし、その点について、目新しいということで、いろんな御指摘もいただいているところではございますけれども、この試算に至った経緯ですとか、考え方も含めて、我々のほうでしっかり説明をしていきたいと思っておりますし、ある意味、今回の社会経済上の特殊な事情ということで、御理解いただければと思っているところでございます。

○野村座長 ありがとうございます。

古賀委員、よろしいでしょうか。

○古賀委員 御丁寧にありがとうございました。

○野村座長 他の方から、今の点について御意見はございませんか。よろしいでしょうか。

そうしましたら、予定しておりましたとおり、およそ60分ということですので、ここで総務省からの御説明に関する質疑応答、意見交換を終わらせていただきたいと思います。

大内企画官、お忙しい中をお越しいただき、どうもありがとうございました。

○総務省大内料金サービス課企画官 ありがとうございました。

(総務省退室)

○野村座長 そうしましたら、本日の総務省からの説明を受けて、今、意見交換しましたとおりでございますが、特に大きな反対意見はなかったかと思います。むしろ今後の変化に関して、利用者側に丁寧に説明していくことのほうが重要であるという論点だったかと思います。よろしいでしょうか。

X値の改定について異論がなかったということで、まとめさせていただきたいと思います。

こちらの委員全員の意見が同意できるということで、本日の資料1の2番の設定内容の表の中に示されているとおり、提案のあった数字で了解したということで、まとめさせていただきます。

ただし、結論に関しては、賛成ですけれども、委員の皆様から出された意見を踏まえての将来の制度設計、運用をしていただきたいという方向で取りまとめをさせていただきたいと思います。

この点に関しまして、よろしいでしょうか。御意見はないようですので、委員の皆様から御了解を得られたと判断させていただきます。御協力いただきまして、ありがとうございました。

そうしましたら、最後に事務局から事務連絡をお願いしたいと思います。


≪3.閉会≫

○太田参事官 本日は長時間にわたりまして、大変御熱心に御議論いただきまして、ありがとうございました。

次回の会合におきましては、本日の御議論を踏まえまして、調査会の意見を検討していただきたいと思います。

日程につきましては、決まり次第、ホームページに掲載させていただきます。

○野村座長 ありがとうございました。

そうしましたら、本日の「公共料金等専門調査会」はこれにて閉会とさせていただきます。お忙しい中、お集まりいただきまして、本当にありがとうございました。

赤色のアイコンで退出をお願いいたします。失礼いたします。

(以上)