第61回 公共料金等専門調査会 議事録

日時

2020年11月16日(月)10:00~12:08

場所

消費者委員会会議室・テレビ会議

出席者

【専門委員】
野村座長、若林座長代理、浦郷委員、古賀委員、白山委員、寺田委員、松村委員
【消費者委員会担当委員】
大石委員、新川委員
【説明者】
国土交通省自動車局旅客課 村瀬地域交通対策官
国土交通省自動車局旅客課 土肥タクシー事業活性化調整官
【消費者庁】
吉田参事官
【事務局】
加納事務局長、渡部審議官、太田参事官、事務局担当者

議事次第

  1. 開会
  2. 東京都特別区・武三地区のタクシー運賃組替えの事後検証についてのヒアリング及び取りまとめに向けた検討
  3. その他
  4. 閉会

配布資料 (資料は全てPDF形式となります。)

≪1.開会≫

○太田参事官 それでは、定刻となりましたので、始めさせていただきたいと思います。

本日は皆様、お忙しいところお集まりいただきまして、誠にありがとうございます。

ただいまから「消費者委員会第61回公共料金等専門調査会」を開催いたします。

初めに、御報告がございます。

本専門調査会の専門委員を務めていただいておりました林委員が、御事情により辞任されました。

現在の委員構成につきましては、お手元の配付資料の参考資料1の委員名簿に記載をしております。

次に、本日の会議はウェブ会議による開催となります。公開で開催を行いますが、感染拡大防止の観点から、一般傍聴者は入れず、報道関係者のみ傍聴いただいての開催となります。

議事録が掲載されるまでは、本日の会議の様子を、明日11月17日火曜日、15時より、ホームページで動画配信を行います。

ウェブ会議による開催にあたりまして、御発言時以外はマイクをミュートにしていただくこと、発言の際は、あらかじめチャットでお知らせいただき、座長からの指名の後、冒頭にお名前をおっしゃっていただくなど、お願い申し上げます。

また、発言の際には、可能な範囲でビデオ通話をオンにしていただければと思います。

それでは、野村座長、以後の議事進行をよろしくお願いいたします。


≪2.東京都特別区・武三地区のタクシー運賃組替えの事後検証についてのヒアリング及び取りまとめに向けた検討≫

○野村座長 本日の進行についてですが、途中で私の回線が切れた場合は、復旧するまでの間、座長代理に、座長代理の回線も併せて切れた場合は、事務局に進行をお願いいたします。

それでは、本日の議事に入らせていただきます。

まず、東京都特別区・武三地区のタクシー運賃組替えの事後検証についてのヒアリング及び取りまとめに向けた検討です。

本案件は、本年1月に国土交通省からのヒアリング、2月に東京ハイヤー・タクシー協会からのヒアリングを実施し、御議論いただいてきたところです。

その際に委員から、国土交通省からの追加説明の希望がありましたため、ヒアリングの機会を検討しておりましたが、新型コロナウイルス感染症の影響等もあり、開催時期を調整してまいりました。

その後、準備が整いましたので、本日、国土交通省から2回目のヒアリングを行うこととなりました。

本日は、消費者庁から吉田調査・物価等担当参事官にお越しいただいております。

また、国土交通省自動車局から、本日は、早船旅客課長が本務の関係で御都合がつかないとのことにより、村瀬地域交通対策官、土肥タクシー事業活性化調整官にお越しいただいております。なお、村瀬地域交通対策官におかれましては、少し遅れると、先ほど太田参事官から連絡がございました。

御多忙のところ御協力くださり、ありがとうございます。

本日の進行ですが、前半で国土交通省からのヒアリングを行い、その後、後半で取りまとめに向けた検討を行います。

それでは、まず、資料1について、国土交通省から20分程度で御説明をお願いしたいと思います。

よろしくお願いします。

○国土交通省土肥タクシー事業活性化調整官 国土交通省旅客課の土肥と申します。よろしくお願いいたします。

それでは、資料に基づいて説明をさせていただきます。

前回からの追加の御説明というところで、3ページを御覧ください。

まず「運賃組替え前後の経営状況の変化」というところですが、タクシーの経営状況については、4ページのほうに推移が示されております。4ページを御覧ください。

29年1月の運賃組替え実施の利潤込みの収支状況としましては、96.8パーセントというところで、それ以降29年度、30年度と、やや上がってきているという状況ではございますが、19年の運賃の本格改定実施前の収支、98.1パーセントよりはまだ下回っているという状況になってございます。

また、続きまして、次はコロナの状況ですけれども、5ページを御覧ください。

これが、9月のタクシーの輸送実績を取りまとめたものですが、左下の輸送人員でございますが、4月、5月がピークだったのですが、対前年比で約7割減という厳しい状況ではございましたが、9月の輸送実績を見ますと、前年3割の減というところで、回復している状況ではございますが、引き続き、厳しい状況が続いているということでございます。

このため、国土交通省として、タクシーへの支援を行っている内容が、次の6ページのほうに示させていただいております。

こういったタクシーは、厳しい状況でございますので、タクシーに対する感染症対策でありますとか、事業継続の支援策あるいは需要喚起等の施策について、これまで取り組んできたところでございます。

感染症対策であれば、防菌シートの導入の後押しとかを補正予算のほうで措置させていただいておりますし、事業継続支援のほうでございますと、雇調金をはじめとした、あるいは資金繰り、持続化給付金等の施策について、関係省庁のほうに働きかけを行って、適宜、拡充等の措置を行ってきたところでございます。

また、需要喚起というところでは、Go To キャンペーンの需要喚起というところで、これも10月から、地域共通クーポンを対象に事業を開始しておりますが、こういったところでタクシーの需要喚起を図っているという状況でございます。

また、そのほか、地方創生臨時交付金、これは自治体が活用する支援でございますが、こういったものについては、我々の出先機関の運輸局において、自治体にタクシー事業者の支援が多く行われるように、働きかけを実施してきたというところでございます。

また、その他、道路運送法の手続の柔軟化というところで、タクシーのコストの抑制を図るための臨時休車というような特例措置を行ってきたというところでございます。

資料を戻りまして3ページのところで、2つ目のところです。

タクシー事業者に、経営状況を確認しましたところ、運賃組替えによる効果と紐づけることは難しいですが、運賃組替え後に収支が改善し、輸送回数や、1日1車当たりの運送収入等が増加しているという事業者がいるというところは確認されております。

具体的に下に括弧書きで書いてありますが、A社としましては、利潤込みの経常収支比率が、28年度は90パーセントだったのが、29年度は92パーセントに改善している、あるいはB社ですと、輸送回数が、年間約1.5万回増えていると、また、日車運収約3,000円の増加が図られているという事例が確認されているところでございます。

次に、運賃組替え前後の労働環境の変化でございます。

タクシーの労働環境につきましては、7ページを御覧ください。

まず、真ん中に年間所得の他産業とタクシーの比較したグラフがございますが、年間所得については、近年、タクシーが、この紫の線ですけれども、全国であっても、オレンジの線の東京であっても、改善がなされているという状況でございますが、他産業と比べると、依然として水準が低いという状況になっております。

一方で、左側の労働時間でございますが、他産業と比べますと、タクシーの労働時間は、比較的長い時間ということになってございます。長い労働時間ということになってございます。

また、3ページに戻っていただきまして、2点目のところですけれども、タクシー事業者に状況を確認しましたところ、運賃組替え当初は、売上の減少を懸念する運転者もいましたが、短距離利用者が増えたことによって売上が増加し、運賃の労働意欲が向上したという声もありました。

また、勤務時間の増減等はなく、労働環境の悪化は見られておりません。

次に、運賃組替え前後のタクシーサービスの質や安全性の変化でございます。

タクシー事業者に状況を確認しましたところ、利用者からは、当初の予想どおり、運賃が安くなってよかった。これは、短距離利用者の方ですけれども、また、長距離利用者の方にとっては、運賃が高くなったと声がございましたが、乗り控えはなく、概ね受け入れられている状況にあると考えております。

また、運転者の労働環境の改善が、タクシーサービスの質の向上に寄与していたものと考えております。

次に、事故件数ですが、全体では、運賃組替え前後でほぼ横ばいでございます。安全性が低下している状況ではないと考えられております。

また、車両の安全性向上、運転者の意欲向上により、事故を減少させている事業者もおります。

引き続き、事業者の監督を行い、実施状況を注視していくこととしております。

次に、資料は飛びまして、10ページでございます。

11ページ以降に18年以降の収益と運送原価の推移があるのですが、その前に各項目の概要と傾向を整理した資料でございます。

左側に各科目と主な内容という表がありまして、右側に各科目の傾向を整理しております。

1点目でございますが、運送収入につきましては、総実車走行キロとの相対関係にあるという傾向がございます。

また、人件費につきましては、タクシードライバーは、歩合制中心の賃金体系でございますので、この運送収入との相対関係にあるという傾向がございます。

次に、燃料油脂費、車両修繕費についてですが、これは、実際に走った総走行キロとの相関関係にありますけれども、燃料費については、LPG価格の変動や燃費効率の高い車両導入の影響も受けるといった傾向がございます。

次に、車両償却費についてです。

これは、車両数の増減や買替えにより変動するといった特性がございます。

近年、ジャパンタクシーの導入により、平成30年度は平成27年度と比べて約10パーセント増加しているという状況です。

次に、その他の項目については、ここは、総走行キロや実車走行キロの影響を受けずに、各事業者の経営手法により差が生じるといった特性がございます。

次に、この効率化の努力の例を2点示させていただいております。

1点目が、燃料油脂費でございます。

これは、ジャパンタクシーの導入によって、それ以外の古い車両よりも、燃費が、ジャパンタクシーは良いので、そういったところでこの油脂燃料費の費用が節減されているという効果が出ております。

また、配車アプリの導入によって、効率的な配車を実現すると、要は、無駄走りがなくなるといったところで、そういった燃料費の節減が図られているという傾向にはございますし、また、一部の事業者においては事前確定運賃による新たなタクシーサービスを開始しているといった状況にございます。

次に、11ページ以降が、そういった費目ごとに、18年度から30年度までの推移を比較したものでございますが、総じて大きな変化としては、18年度と比べまして運送収入も減っておりますが、それに応じて原価も減っているという傾向があるという状況でございます。

以上が、収益及び運送原価の推移というところでございます。

○国土交通省村瀬地域交通対策官 自動車局旅客課の対策官をやらせていただいております、村瀬と申します。

本日、少し遅れてしまって申し訳ございませんでした。

土肥に代わりして、手続を私のほうから御説明させていただきます。

一番最後は、土肥のほうからも御紹介があったと思うのですけれども、どれぐらい費用が下がっているのであれば、運賃のほうも下げるべきという考え方があろうかと思いますが、資料の14ページ目で御説明させていただきましたとおり、収入がそもそも下がっているという中で、費用も下がっていると。

特筆すべき点として、トレンドの中でもパーセンテージが多くなっているようなもの、車両修繕費であったりとか、車両償却費、その他運送費というところに、ジャパンタクシーであったりとか、アプリを導入するに当たって、どうしても初期費用がかかってきますので、ここら辺で数字として表れている部分なのではないかと思っております。

よろしければ、ページをおめくりいただいて、15ページ目からの御説明をさせていただきます。

以前に御指摘いただいた点についての御回答ということになろうかと思います。

こちらがトレンドとして、運送収入の減少率であったりとか、もしくは費用もあるかもしれません、そういったものが、運賃改定がこうして安くなるようなトレンドが、もしもあるのであれば、そういったものをすべきではないかという御指摘と承知しております。

今回の運賃組替えについて、そもそものというところでございますが、いわゆる運賃の大きな在り方を変えずに、初乗り短縮、初乗りの運賃を小さくして、その距離が長くなるにつれて、運賃も少し高くなると。

いわば、所定の枠組みの中で、うまく知恵を絞りながら、より需要を掘り起こすということが狙いでございました。

今、我が国のタクシーのトレンドでございますけれども、費用もアプリであったりとか、ジャパンタクシーということもございますので、高く出てございます。その中で、需要というものも、どうしても下がっている部分があると。

ですので、もしもトレンドを反映して初乗り短縮を導入しようとなったとき、愚直にもしもやるとすれば、恐らく運賃としては上がってくるということになると思います。

我々としては、運賃改定、初乗り短縮というのは、あくまで既存の枠組みの中で、より知恵を絞りながら、傾きを変えていってやるということに、方策としての冥利があるのかなと思っておりますので、初乗りを導入します、トレンドは計算すると、これは運賃を上げなくてはいけないとなるというのは、必ずしも消費者行政の観点から望ましいものではないのかなと思いますので、その他マル1の15ページ目の点については、あえてトレンドというものをいたずらに反映してしまうと、運賃の値上げになってしまいますというところを御説明させていただいているページでございます。

続いて、16ページ目を御説明させていただきます。

時間距離併用制運賃についての見直しの要否の検討でございます。

我々としても、先ほど、土肥からも御説明させていただきましたが、事前確定運賃やアプリを使って、情報を入手しながらより良い、タクシーの運賃料金サービスの在り方は、日々検討しているところでございます。

その文脈の中で、時間距離併用運賃の見直しというのが、議論として出てくるということは、なくはないのかなと思っております。

ただ、こちらが導入された経緯を踏まえますと、いわゆる、昔、神風タクシーなどという言葉がございました。いわゆる、時間を全く考慮しない運賃制度にしてしまうと、早く運送したもの勝ちということで、非常に乱暴な運転をしてしまう運転手も中には出てくる。

そういったその背景を考慮していきながらあるべき姿というのは、模索しなくてはいけないのかなと思っております。

続いて2つ目でございます。

消費者の更なる理解向上に向けた取組の状況、これは、御指摘はごもっともと思っております。他の交通モードを見ても、非常に丁寧な運賃改定をするときにPRをやっている。これは、私、タクシー行政を携わってから非常に痛感しているところでございます。もしも、今後、タクシーの運賃の在り方を何か見直すような機会もしくは検討する機会があるときには、言わずもがな、その消費者の理解を得るということで取り組み、汗をかいていくというのは、最低限必要になるものだと思いますので、こちらは、我々としても、しっかりと図っていきたい内容になっているところでございます。

3つ目でございます。新たなサービスについて消費者の混乱、高齢者の使いにくさへの配慮の状況ということでございます。

恐らく念頭に置かれていらっしゃいますのが、配車アプリではないかなと思っております。こちら、いわゆるスマートフォンで、タップをしていきながら、呼んで、運賃をときには事前確定をしてというところでございますけれども、どうしてもそういったものになじみのない高齢者の方であったりとか、なかなかスマートフォンやパソコンを使いづらいという方には、利用が難しいというところは御指摘のとおりあるかなと思っております。

一方で、配車アプリを使ったときに、より直感的に、そして分かりやすく、利用者に対して事前確定運賃をやるに当たっては、こういった表示をしなさいよというところは、我々も配車アプリ会社はもとより、タクシー事業者にも日々ヒアリングをしてお願いしているところでございますので、これは乱暴に配車アプリをどんどん進めようということではなくて、足元で立ち止まって、そういった消費者を意識した施策というものは、しっかりと打っていかなくてはいけないのかなと思っております。

その後のページは、半ばちょっと施策の御紹介にはなりますが、定額タクシーということで、空港と、御利用になられている方もいらっしゃるかもしれないですが、一部地区を行き来するようなときには定額運賃で乗れると、恐らくタクシーにも表示がされているようなものもあろうかと思いますので、ぜひお乗りになる際はチェックいただければなと思っております。

続いてのページは、これからやっていきたいなと思っているものでございます。18ページ目でございます。

一括定額運賃の導入、これは何だろうと、なかなか小難しい言葉になってしまっていますが、要するに回数券、定期券だと思っていただければと思います。

むしろ、タクシーは、こういうのがなかったのかと思われるかもしれないのですけれども、そのとおりなくて、タクシーについても、定期券であったりとか、回数券であったりとか、そういった運賃を、どうぞやっていただければというところで、我々、制度を用意したいなと思っております。

ただ、こちらなのですが、相乗りタクシーであったりとか、変動迎車料金であったりとか、そういった新サービスについては、ちょっとコロナの影響がございまして、3月にパブリックコメントを1回実施させていただいたところなのですけれども、そもそもの需要がごっそりとなくなってしまった。もしくは感染対策をタクシーはどうするのだというところが焦眉の課題になっておりましたので、こちらは、今、施行時期をどうするかというところを省内でもしっかりと検討しているところでございます。

ただ、こちらが導入された暁には、左下におじいさんの写真を書かせていただいておりますが、例えば、病院に定期的な通院をするニーズというのは、ある程度、特に過疎地に行けば行くほどあろうかと思いますので、そういったときに都度支払わずに、回数券みたいな、チケットみたいなものを毎回毎回払うことで利便も上がると。

何であれば、タクシー事業者のメリットとしても、ある程度、最初からニーズが、計算をしやすいというところもございますので、我々としてもお願いしたいのが、割引でございます。大口需要をあらかじめ入手できるということであれば、その分、割り引くこともできるのではないかなというところで、こういった取組が進んでいくのではないかなと思っております。

次のページが、タクシーの事前確定運賃、これは、もう導入をし始めているところでございます。まだまだ正直申し上げて導入したばかりでございますので、どんどんメンテナンスをしていかなくてはいけないのかなと思っているのが正直なところでございますが、特に事前確定運賃は、インバウンド需要というところで親和性があろうかと思います。ふだん使っている、何となく距離や、運賃はこれぐらいだなと思っている人たちは、事前確定運賃を使うメリットはそんなに大きくないかもしれないですけれども、ここからここまでは、どれぐらい運賃がかかるのか事前に知りたいと、やはり見知らぬ土地で使われるというところが多くあろうかと思っております。

今、Go To トラベル等キャンペーンも始まっておりますが、アフターコロナを見据えて、事前確定運賃を、しっかり制度を磨いていって、そういったニーズが高まるときに、使い勝手のいいようにさせていただければと思っております。

最後のページは、その数字という意味で、ちょっと御紹介させていただいて、東京のタクシー運賃でございます。

そのあとも資料をいろいろ付けさせていただいておりますが、御質問ございましたら、多々していただければと思うのですが、一旦、こちらで説明のほうを終わりにさせていただければと思います。

○野村座長 どうもありがとうございました。

それでは、ただいまから、国土交通省からの御説明についての質疑応答、意見交換を、11時前くらいまで、35分程度で行いたいと思います。

御発言される際には、チャット欄に御投稿いただければ助かります。よろしくお願いいたします。

いかがでしょうか。

それでは、古賀委員、よろしくお願いいたします。

○古賀委員 古賀でございます。よろしくお願いいたします。

3点ほど御質問等をさせていただきたいと思います。

1点目なのですけれども、今回3ページのところに、組替え後の経営状況と労働環境の把握というおまとめをいただきまして、ありがとうございました。大変分かりやすく拝見いたしましたが、今回コロナの影響で、いろいろな補助をされているということで、6ページのところに関連して1つ質問をさせていただきたいと思います。

6ページのところに、今回、国土交通省として、新型コロナウイルスの影響を受けたタクシーの支援ということで、いろいろ配慮していただいていると思うのですけれども、これは個人タクシーの場合には、同じように、こういう支援がどういった形でされているのかということと、それから、今回、予算を新たに来年度に向けてのですが、引き続きのタクシーの支援について、コロナ対策としては、予算の額及び内容、それから予備費の支出等も含めて、予算等の申請をされたとかということを教えてください。

○野村座長 お願いいたします。

○国土交通省村瀬地域交通対策官 御指摘いただいてありがとうございました。

コロナ対策についての御質問いただいたと思っております。

まず、個人タクシーで、コロナのパッケージとして使えるものがあるかどうかというところでございます。

基本的には、使えるものとして運用させていただいております。例えば、上のほうでちょっと例示させていただいているのですけれども、第一次補正予算というところで、防菌シート、タクシーに最近乗ると、ひょっとしたら、運転手と後部座席で、透明なシートを貼っているものをお見受けになられることがあるのではないかと思いますが、あちらについての補助であったりとか、もう一つ、ちょっと新しい取組でございますけれども、まさに緊急事態宣言が出たときに、なかなか外に買い物も行けないと、かといって、誰も食事を運んでくれないと、こういった問題が出てきたところでございます。そういったときに、タクシーデリバリーということで、タクシーを使って、一部の限定の場合であれば、貨物というか、飲食を運んでいただくという、こういう制度改正、規制緩和をさせていただいたところでございます。

これは、当然、個人タクシーでもお使いいただけるということでございまして、Go To についても使えるというところでございますので、いたずらに個人タクシーだけ使えないということは、基本的にはないかなと思っております。

細かい、厚労省であったりとか、経産省の用意している中で、要件に引っかかるものはあるかもしれないですけれども、基本的に同レベルのものだと思っていただければと思っております。

次に、もう一つ御指摘いただいたのが、来年度予算ということでございました。

御指摘のとおり、コロナ、正直なところ一次補正、二次補正やってく中、ばたばたと考えていったのが正直なところです。

今、ちょうど腰を据えて、一次補正、二次補正の教訓も踏まえて、我々は予算を仕込ませていただいておりまして、今、要求中ということでございますので、絶対に取れるとか、そういったことは、なかなか申し上げられないのですけれども、我々が頭に思い描いているものを御紹介させていただきますと、コロナを踏まえて、タクシーは換気をするようにとなっております。ただ、どうしても限界があるし、冬だと、窓を開けると、とても寒いという話は、ひょっとしたら来年も出てくるかもしれないですし、今年度出てくるかもしれないと。

我々がやろうと思っておりますのが、新技術を活用していこうと、これは1つのキーワードとして考えておりまして、今、考えておりますのが、空気清浄機、単なる空気清浄機ではなくて、医療用のマスクで使われるような布を幾層にも重ねていくことで、ウイルスの根本になるものをキャッチしていくということで、そういったものを導入するタクシーさんに対して、何か支援ができないかなと。

ここまでで言えば、単なる月並みの話になってしまうかもしれないのですけれども、プラスアルファで我々が考えているのは、やはり消費者の受け止めだと思っております。

幾ら上のほうで装置がついても、どれぐらいきれいになっているのだというのが見えないと、言ったもの勝ちみたいな話になってしまうと思いますので、我々がもう一つ意識していますのが、見える化ということでございまして、今、一部企業さんが作っておりますのが、空気清浄しますと、その結果がモニターに表れますと、今、どれぐらい空気がきれいかどうかというのが、瞬時に分かるような心電図のような、ちょっとほこりが舞ったら、ぱっと上がるような、そういったイメージになるのですけれども、そういったものをつけていきながら、タクシーの車内というのが、空気的にすごくきれいに使うことができるのだということをアピールしていければいいかなと思いますので、この2つについて、少し予算の支援ができないかというのを考えているところでございます。

一旦、取組としては、以上でございます。

○野村座長 ありがとうございます。

古賀委員、いかがでしょうか。

○古賀委員 御丁寧に料金以外のことを御説明いただき、ありがとうございました。

もう1点だけ、また、余り関連のないことを申し上げて恐縮なのですけれども、NHKのニュースで先日、マスクをしていない人はタクシー乗車を拒否してもよいという、そういったニュースをちょっと小耳に挟んだのでございますけれども、マスクについては、やはり、小さな子供には必要でない場合もありますし、それから、このようにタクシーの衛生環境を整えていただいている折でありますので、一律に拒否するというのではなくて、その辺り、マスクをどうしてもつけられない方もいらっしゃいますので、柔軟な対応ができるようにということを、一言、国土交通省のほうでも意識をしていただければと思っています。

これは、要望です。よろしくお願いいたします。

○野村座長 いかがでしょうか。もし、御発言がありましたらお願いします。

○国土交通省村瀬地域交通対策官 先生が御指摘の点、国土交通省として、もっともだと思っておりまして、一部報道については、非常に遺憾に思ってございます。

今回のマスクの着用をめぐる約款の申請に対する対応でございますが、一律義務化というものではなくて、各社さんごとに約款、つまりタクシーを利用するときのルールを、それぞれ個社で定めているところでございますが、我々が認可いたしました内容を申し上げると、まず、流しのタクシーとか、マスクをつけていない人がいて、もう乗せませんと素通りする、これは完全にアウトとルール化をしてございます。

どういったことかと申しますと、まず、何個か要件はございますが、まず、第1点、運転手がマスクを着用していない理由を丁寧に聞き取ると、これが大前提として約款のルールに書かせていただいております。

その上で、病気とか正当な理由がない場合に限って、まず、マスクの着用をお願いするのだと、それでも、なお、最後、どうしても病気とかではなくて、ただ、心情的にちょっとつけられないということであれば、乗車はお断りすることもあると。

こういった内容についてのみ、初めて、我々は約款を認可させていただきました。ですので、障がいがあったりとか、お子様であったりとか、マスクをつけられない方々については、申告内容、利用者さんがお伝えする内容を最大限尊重して、運転手が、いたずらに、無下に乗車拒否をするということが、もしも確認されましたら、厳正な処分を行っていこうかなと考えております。

ただ、反面、利用者様ももちろんそうなのですが、次に乗ってくるお客様に対する感染対策という意味でも捉えると、やはりマスクをつけない会話で、お声として届いていますのが、夜の街などと、たまに(ちまた)に出ていますけれども、どうしてもそういう繁華街のところで、お酒にお酔いになられているお客様が、マスクをつけずに、大声で一緒に乗っているお客さんと話すということがございました。次に乗ってくるお客様の感染対策という意味でも、余りよろしくないかと思いますし、特に運転手さん、これは釈迦(しゃか)に説法でございますが、平均年齢も、まさに次の7ページ目に書いておりますとおり、非常に高うございます。運転手さんも、なかなかなり手が少ないという中で、運転手さんを守る、次の乗客さんを守るという点では、マスクをつけていただくというのは、新しいエチケットとしては必要になってくるかなと。

この2つのせめぎ合いをうまく守った形で、今回、マスクの着用の約款については、一部認可をさせていただいたとお受け止めいただければ幸いかなと思っております。

○野村座長 ありがとうございます。

そうしましたら、次の質問に移らせていただきます。

白山委員、お願いいたします。

○白山委員 白山でございます。御説明どうもありがとうございました。

3ページのところで、質問させていただきたいのですが、運賃組替え前後の労働環境の変化というところで、消費者の立場からいたしますと、運賃組替え前後で労働環境が悪化して、結果として、消費者の方々へのサービスの質が悪化するという関係になるのが一番まずいということだと思うのですが、ここのところで、2番目に記載されている部分では、売上は多少増加して労働意欲が向上したと記載があります。これは、どの程度のヒアリングで、どの程度の範囲で、どの程度蓋然性があるのかちょっと分かりませんけれども。いずれにしましても勤務時間の増減等なく、労働環境は他産業と比べても余り良くはないという状況があるということなのですが、その下の記載の方に行きますと、運賃組替え前後のタクシーサービスの質や安全性の変化というところの1ポツ目のところの「また」書き以下のところなのですが、運転者の労働環境の改善がタクシーサービスの質の向上に寄与しているものと考えられますとの記載があります。これらの関係性がどう具体的につながるのかという理屈や根拠がよくわかりません。労働環境は、そんなに劇的に改善したとも思えませんし、結果として、タクシーサービスの質、労働環境の改善を起因としてタクシーサービスの質の向上が図られたとする論理がよく分からないので、もし、よろしければ、その辺の御説明をお願いできればと思います。

2点目は、同じページの一番下のポツの事故件数のところでございますが、事故数につきましては、運賃組替え前後でほぼ横ばいで、安全性の低下はないということで、この運賃組替えというか、運賃の体系の変化ということが、その安全性の低下につながっているということは、多分、事故件数から見ればないだろうということなのでございますが、これも「また」書き以下のところは、安全性向上、また、ここで運転者の意欲向上等により、事故を減少させている事業者もおりますということなのですが、具体的な例でいいのですが、運転者の意欲向上というのが、この運賃組替えと関係があるのか、すなわち、それによって事故が減少した例というのが、何か具体的にもしあれば、具体的に何か教えていただければと思います。

以上の2点です。

○野村座長 2点、よろしくお願いいたします。

○国土交通省村瀬地域交通対策官 御指摘いただきありがとうございました

いただいた2点、根源なところまで遡って考えると、同じ御指摘だったかと思っております。

今回の組替えによって、運転手さんの労働意欲が向上するであるとか、安全性が向上するとか、そこはにわかには結びつかないのではないかなと、そういう御指摘だと思います。

御指摘のとおり、数字として、ばっちりお互いがリンクしているということではなく、事業者さんにもヒアリングをしていく中でということになることを御容赦いただければと思いますが、意図としては、タクシーの運賃組替えによって、まず、お給料というか、運賃組替えによって年間所得というのは、低いは低い状況でありますけれども、その2つ目の段組みで書かせていただいておりますとおり、年間とか、上昇してきていますがというところも書かせていただいておりますが、例えば、運賃組替えによって、短距離の移動のニーズが高まるというときに、ちょっと今、コロナで、正直なところ、それの効果というところの検証は、非常に難しくなっているところではございますが、そういった運賃の在り様を変えることによって需要を掘り起こすと。

掘り起こした結果、タクシーの運転手さんの年収といいますか、お給料が上がっていくと、運転手さんの心情としても、もっとしっかり稼ごうであったりとか、心の余裕もある程度出てくるかなと思いますので、そういったところが、消費者サービスのところに裨益(ひえき)すればなと思っております。

私、さっき神風タクシーという言葉を使わせていただきましたが、物凄く競争が激しかったときでございまして、自分の生活に直結する中で、どんどんお客さんを運ぼうとか、そういうマインドが働いてしまうシチュエーションというのが、どうしてもタクシー特有の問題として出てくるというところがございます。

ただ、そこら辺、制度の工夫を駆使していって、運賃組替えによって、更に需要を掘り起こしていけば、労働環境の改善、裏返して言えば、お給料の面があるかと思います。そういったところにも跳ね返っていって、よりよく運転できる環境の整備というところにつながっていけばなと思っているところでございますし、そういったお声もタクシー事業者の一部の中にはいただいているというところで、お受け止めいただければなと思ってございます。

○野村座長 白山委員、いかがでしょうか。

○白山委員 分かりました。ありがとうございました。

こういうコロナの状況下でもございますので、検証というのは難しいところもあるかと思いますが、ヒアリングベースによる御判断であるということは分かりましたので、引き続き、このような環境の変化がタクシーのサービスの品質にどう影響するのかという点について、適切な検証をして、政策反映させていただければと思います。

以上でございます。

○野村座長 ということで、私もそこは同感でして、聞取りは、かなり大変な作業だと思うのですが、複数社で、こういう相関関係が出ていますということを実証していただくと助かります。よろしくお願いいたします。

そうしましたら、次の質問に移らせていただきます。

寺田委員、よろしくお願いいたします。

○寺田委員 寺田です。どうもありがとうございます。

レベニューニュートラルを前提にやった料金体系だけの変更の検証は、かなり難しかっただろうと思いますけれども、多くの情報をやり取りさせていただきまして、本当に感謝します。

ちょっと本題から外れるかもしれませんが、資料でいくと16ページの、その他マル2の真ん中に、幅運賃というのがありますけれども、率直な印象としては、幅運賃というのは、規制緩和を軟着陸させるために、本来はだんだんと幅を広げていく。それから、幅の中は自由というのが、普通の教科書的な理解だと思いますけれども、タクシーの場合は、そうなっていなくて、特に追い越し禁止というか、短距離を安めにしたら、長距離も安めにということを強いているかと思います。

そのために、事実上、幅運賃が、確定額運賃となり、規制者としても、消費者の頭の中としても確定額運賃の概念になってしまって、この確定額運賃を前提にして組み替えるとなると、やはりパズルが非常に難しくなるということだと思いました。我々、消費者委員会としても、あるいは消費者の頭の中としても、あるいは行政側としてもそのことを経験したというのが、今回の共有できる教訓のような感じがします。

戻りますと、やはり、今回の組替えのような運賃体系柔軟化といいますか、消費者ニーズに反映するいろんなことをやっていくためには、今の幅運賃の運用に問題があり、本来の幅運賃に戻すと、大分すっきりするのではないかという感じを持つのですけれども、この点について、もし、何か御見解か、あるいは既に取り組まれていることがあれば、教えていただきたいと思います。

以上です。

○野村座長 よろしくお願いいたします。

○国土交通省村瀬地域交通対策官 御指摘いただき、ありがとうございました。

幅運賃についての制度の在り様としての御指摘だったかなと思っております。

これは、また、釈迦(しゃか)に説法になってしまうところがあるかもしれませんが、バスとか鉄道とかと、また、少し違う特殊性として、タクシーは、流しのタクシーもありまして、余りにも運賃を自由にやり過ぎてしまうと、あのタクシーに乗ったら激安だったけれども、あのタクシーに行ったら吹っ掛けられたと、こういう状況は行政としても望ましくないし、消費者としても望ましくないというところがあるかと思います。

さりとて、一律、昔はそうだったわけでございますけれども、全部のタクシーが全部同じ運賃でやるとやってしまいますと、タクシー事業者の創意工夫というものがどうしても限られてくると、その二項対立する中で生み出された制度として、幅運賃というものを設定させていただいております。

イメージとしては、上限運賃の1割下までという中で、事業者さんが、いろいろ費用がかかりますけれども、ここだったらやっていけるというところでやっていただくと。

全然それが市場のニーズにマッチしなかったら、では、下げなければいけない、これだったらもう少し上げられるかもしれないと、そういったものを模索していただくというところで、幅運賃制度について、全くそういったところが、効果がないというわけではなくて、そういったところの効果を見せながら、更なるブラッシュアップができるかというところを考えるのかなと思ってございます。

運賃については、今まで幅運賃ということで、割と、かちっとやらせていただいているところでございますが、一括定額運賃とか、迎車料金についても、ある程度事業者さんが需要を見ながら変動させていただけるような、24ページ目の左側のページ、変動迎車料金というものを設定させていただいておりまして、これはどういうことかと申し上げますと、混んでいるときに、なかなかつかまりづらいというときに、迎車料金を少し高くして、それでも払うと、そこまで使いたくないなという人が排除されて、よりつかまえやすくなると。

逆に言えば、みんなが利用していないときに使うということも、変動迎車料金は可能になってきます。そういった仕込み方ができるのかなと思っています。ですので、かちっとやるところは、かちっとやる、抜くところはしっかりと抜いて、事業者の創意工夫を促すと。

我々行政としての総論としてのスタンスは、以上のとおりになっておりますので、ただ、幅運賃、事前確定を含めて、まだまだ、特に事前確定は、まだ、やり始めて数年も経っていないというところでございますので、ブラッシュアップしていかなければいけないのかなというところは、御指摘はもっともおありかなと思いますので、我々もしっかりと考えていきたいと思ってございます。

○野村座長 寺田委員、よろしいでしょうか。

○寺田委員 ありがとうございます。

ただ、率直な印象としては、例えば、事前確定運賃は、全社一斉に回れ右と申しますか、そういう色彩が強過ぎる、もう少し会社ごとの得意、不得手とか、あるいは営業所の場所などの事情を反映してほしいです。そういう会社ごとの差が生かされるといいかなという感じを、個人的には持ちました。ありがとうございます。

○野村座長 国土交通省としては、いかがでしょうか。

○国土交通省村瀬地域交通対策官 御指摘いただいてありがとうございました。

私どもも同じような考えを持っておりまして、実際に、今、変動迎車料金と、先ほど紹介させていただいたのは、その試金石になる取組かなと思っております。迎車料金であれば、混んでいるときに、空いているときに、事業者が固有のアルゴリズムを設定していきながら、需要の掘り起こしをすることができるのではないかと。

御指摘の点、事前確定運賃でも、事業者ごとに、もう少し何かできないかという点で見れば、恐らく、今、閣議決定でも、縷々(るる)出てございますが、ダイナミックプライシングと、タクシーだけに限らず話題になっておりますが、運賃そのものも、混んでいるとき、空いているとき、もしくは事業者ごとということで、何か工夫の余地ができないかなというところは、宿題として、我々は認識させていただいているところなので、引き続き、御相談もさせていただきながら、より良い制度を考えていきたいと思ってございます。

○野村座長 ありがとうございます。

そうしましたら、次の質問に移らせていただきます。

新川委員、よろしくお願いいたします。

○新川委員 新川でございます。よろしくお願いいたします。

運賃組替えにつきまして、その制度の意義あるいはこれまでの成果、また、今後のタクシー事業についての新たな展望等を含めて、大変丁寧に御説明をいただきまして、ありがとうございました。

一定、今回の組替えの意義、分かったつもりではいるのですが、どうしても気になりますのは、1つは、運賃収入も費用も、どちらも小さくなっているということを、この運賃組替えの効果として、どう考えたらよいのかというのは、非常に悩ましいなと思いながら、お話を聞いていたところがございました。この辺り、国土交通省としても、どのように運賃組替えの効果のようなことをお考えになるのか、少し御意見をお伺いできればというのが1点目でございます。

2つ目は、今回の事業検証、当然、検証の仕方として組替え時と同じベースで検証していくというのは、これはこれでよろしいかと思うのです。ですが、同時に、この5年間で収入もコストも変動してきているところの、もう少し詳細な分析がないと、今回の効果検証ということについての正確な事後的なチェックができてないという、今回の組替えの効果のようなものを必ずしも確定できないのではないかというところがあります。そこのところ、コスト面でいえば、油脂費であるとか、人件費であるとか、この辺りがどういうトレンドで、しかも今回のコスト低減につながっていったのか、あるいはそれが運賃組替えの運行実績の効果とどう関わってきたのかといったようなところがないと、正確には、今回の効果は追及できないのではないか。先ほどのどのように評価するのかということとも関わるのですけれども、この辺り、お考えがあれば、お伺いしたいというのが2点目です。

3点目は、こういう運賃の組替え、今回、全体的にタクシー事業者にとっても利用者の方にとっても一定の効果があったということであるとすれば、こういう運賃の組替えの在り方ということについては、これから、むしろ全国的に、こうしたタイプの、言ってみれば、収入増減というのが、ある程度一定していて、利用者の利便性が高まって、なお、タクシー事業者の今後の健全な経営ということにもつながっていくような、こういう方式というのは、積極的に捉えていくと、そういう考え方でよろしいのか、3点目は、ちょっと先々のことではありますけれどもお考えをお伺いできればということで質問させていただきました。

以上です。よろしくお願いいたします。

○野村座長 それでは、以上3点、よろしくお願いいたします。

○国土交通省村瀬地域交通対策官 御指摘いただいてありがとうございました。

御指摘の点、まず、御回答をさせていただくのが、ページでいうと11ページ目から14ページ目で、基の数字も、今回細やかに出させていただきました。

コストがどうなっているのかというところと、収入がどうなっているところだと思います。

特に、これを組替えに反映すべきかどうかというところが背景にあろうかと思ってございます。

データを眺めていただくと、特に14ページ目を見ていただくと、すっきりとイメージが出てくるかなと思うのですが、平成18年、30年を比較したときに、収入というものも下がってきている、そして、費用というものも下がってきていると、これは相関関係があると思ってございますけれども、そういった中で、それぞれ項目が当然あるわけでございまして、それぞれがどう影響し合っているかというのは、まさに回帰分析ではないですけれども、しっかりしていかなければいけないかなというところは、おっしゃるとおりかなと思っております。

その中で、やはり運賃の組替えにあたっては、今、しっかりとルールに基づいてやろうと思うと、費用が、収入が下がるに比して上がってきているところがありますので、愚直に運賃改定をすると、恐らく値上げになってしまうと。

実際、そういったことも影響してか、運賃改定というのは、日々、我々のところにも声として上がってきている。実質的には、何とかもう少し値上げができないかというところが、裏返しとして御相談が来ているところでございます。

ただ、行政の立場として、改めて申し上げさせていただくとすると、もちろん、これ以上やったら赤字になってしまうだけだというときには、運賃改定というところは必要になるのかもしれませんが、今ある枠組みの中で、創意工夫によって利用者さんに裨益(ひえき)するものがあれば、どんどんやるやるべきだと思ってございます。

そういった1つのツールとして、運賃の組替えというのは、我々として効果が高いのかなと思っているところでございます。

特に費用のところで申し上げますと、今回の初乗り短縮が、どれほどこれに効果を及ぼすかというところの分析を、もう少ししたほうがいいのではないかという御指摘、おっしゃるとおりかなと思ってございます。

コロナもあって、なかなかそこの数字が見えないところが出てきているところがございますが、しっかりと初乗りが、どれぐらいの実績に反映してきているかというのは考えなければいけないかなと。

本来の趣旨でいうと、タクシーに乗ったら一気に六百何ぼ取られるというところで、ちょっと控えようかなと、いわゆるちょっとした距離の移動であっても、どんどん使っていただくということであれば、ニーズも高まっていくのではないか、掘り起こしができるのではないかなというところがありましたので、それが、顧みて、人件費であったりとか、アプリ費用であったりとか、そういったところにどうやって跳ねるかなというところは、しっかり考えていきたいと思っております。

特に、縷々(るる)御紹介させていただいた配車アプリというのが、タクシーでほぼ実装されつつあるというところで、初乗りを短縮すると、一回の距離は短くなるかもしれないですが、一人一人がどんどん使うようになっていきますので、それぞれアプリを使う回数もどんどん増えていくと。そういった中で、手数料というものも当然発生してきていますので、そういったところの関連などは出てくるのかなと思ってございます。

最後、ちょっと先取りして回答させていただいたかもしれませんが、行政として今回の組替え、今回、東京ではございますが、全体としてどう捉えているかというところでございますが、この前、2月でございますか、運賃改定をしたときにも初乗り短縮は、多くの地域で一緒にやらせていただいているところもございます。

初乗り短縮をすることによって、繰り返しにはなってしまいますが、ちょっとした距離であっても、タクシーをより使いやすくしてみるというところで見れば、ある程度ニーズというのがあるのではないかと思っておりますので、そういったところを積極的に考えている地域さんにおいては、我々も情報をしっかり出しながら、タクシー需要の掘り起こしというところで、後ろから応援できないかなと思っているところでございます。

ですので、無理に普及するというところは、必ずしも望むところではない、地域によってあると思いますけれども、一回チャレンジしてみようかなというところがあるのであれば、そこは決して拒むものではないのかなと、このように思ってございます。

○野村座長 ありがとうございました。

新川委員、よろしいでしょうか。

○新川委員 ありがとうございます。

ただ、全国的に、こうした運賃の組替えという形での利便性向上あるいはタクシー事業の今後ということを考えていったときに、やはりもう少し丁寧な収入あるいは経費に関する分析が必要なのではないかということを改めて申し添えておきたいと思います。

以上です。

○野村座長 そうしましたら、古賀委員、松村委員の順番で、手短にお願いいたします。

○古賀委員 古賀でございます。ありがとうございました。

この組替え運賃については最初のときから、議論に参加させていただいておりまして、今回は事後検証ということで、丁寧に御説明いただきました。

コスト削減努力と組替えによって、いろいろなことが改善されたかどうかというところが重要だと思いますけれども、少なくとも、ある程度いろいろな考慮をされながら需要を喚起したという意味では、初乗りを安くしたという点については、需要喚起と、それから消費者の利便性について、非常に寄与した面が大きいと評価してもよろしいのではないかと思います。

加えて、今回、新しい新車両がどんどん導入されてきたりとか、アプリによってタクシーがつかまりやすくなったり、いろいろな意味で経費が節減されているということが、本当に良い方向に向いていると思うのですけれども、やはり、値上がりになった中距離層の人たちがどう感じているかということが少し分かりません。乗りやすいタクシーが増えているということや、アプリで呼べる新しい車両によって利便性が高まっているということが、中距離需要層の人たちも値上げであってなお十分納得できるような料金といえるか。今後、見直し等がされていくといいというように考えますけれども、一方で、アプリなどの使い方が分からない高齢者もいらっしゃいますので、そういったアプリの導入についての補助も強めていくとともに、そういった使い方についての説明も広く広報して、丁寧な説明が必要ではないかと思います。

以上です。単なる意見です。

○野村座長 御提案ということで、国土交通省に御理解いただきたいと思います。ありがとうございました。

松村委員、よろしくお願いいたします。

○松村委員 松村です。

今回の組替えと直接関係ないので、最後というつもりで手を挙げたのですが、先に発言して申し訳ありません。途中の御説明で、例えばトレンドだとかを反映すると、むしろ値上げになってしまうということ。つまり、ちゃんと原価を見て、今までのルールで再査定したら値上げになってしまうという説明だと思います。

一方で、値上げではなく、事業者の創意工夫によって、これでも維持可能な姿にしたいという国土交通省のスタンスも正しいと思います。

ただ、よくよく考えていただきたいのですが、今後も需要が減ってくる、したがって、いろいろな形で需要を掘り起こすということもあるのだと思うのですが、それでも需要減によって価格がどんどん上がっていくと、負のスパイラルに陥りかねない。価格が高過ぎて、とても使えないことになり、その結果として収益性が悪化して、それで値上げすると、ますます市場が縮小して、本当に必要な人も、とんでもない値段でないと使えなくなるというひどい状況が、将来現れてくるかもしれない。

これに対応するためには、今までの発想で少しずつ工夫して変えていくとかということではなく、抜本的に運賃の体系だとか、事業の効率性だとかを変えなければいけないのではないか。少しアプリを入れて、それで効率化するだとか、少し迎車料金のところで混雑料金を入れるとか、ということで対応するなどという小手先のことでは対応できなくなるともあり得るわけで、その着手が余りにも遅すぎて、国民がタクシーを見放した状況になってもう間に合わないという最悪の事態にだってなりかねない。一刻も早く、将来この事業はどうしていくのかと大きなグランドデザインを考えて、少しずつパッチワーク的な体系の変更ではなく、もっと抜本的な改革を考え、タクシー業界が、将来にわたってサステナブルになるためには、どうすればいいのかということを考えるタイミングに来ているのではないか。

今回の資料で、トレンドを考えると値上げになってしまうという状況を、きちんと考えて、大きな制度設計まで、今から考えていただけないものかと、この資料を見て感じました。

質問ではなくコメントですので、回答は不要です。

以上です。

○野村座長 承知しました。松村委員の御提案にも、また御理解をいただきたいと思います。

最後とさせてください、大石委員、よろしくお願いいたします。

○大石委員 ありがとうございます。

今、古賀委員、松村委員からお話しいただいたことと重なる部分もありますので、簡単に申し上げます。

今回の運賃改定で、短距離については、消費者は大変利便性が増し、利用しやすくなったこと、私自身も実感しております。

ただ一方、中遠距離につきましては、8ページにあります消費者意見の反映というところでも、なかなか中長距離利用者の意見というのが聞けていないということで、実際のところどうだったのかということの検証ができていないということ、今後は、ぜひ、そういう検証も行っていただきたいというのが1点。

プラス、遠距離の方が安心して使うためには、先ほど松村委員もおっしゃいましたように、例えば、18ページにある、定額、一定額運賃を利用したり、それから19ページの事前確定運賃などのように、安心して消費者が長距離のタクシーを使えるような仕組みができていれば、もっと利用者も増えるのではないかと思いますので、そういう意味で、ぜひ、これは東京に限ったことではなく、逆に地方の過疎化が進む地域などでは大変重要な需要があると思いますので、お考えいただけるとありがたいです。

以上です。

○野村座長 了解しました。

今の3人の委員の発言に関しまして、もし、何か御発言があるようでしたらお願いいたします。

○国土交通省村瀬地域交通対策官 御指摘いただきありがとうございました。

ちょっとお時間もあるかと思いますので、ちょっと要約させていただきながら、最後に御説明というか、御回答をさせていただければと思います。

共通してございましたが、アプリを使えない人もしくは中距離の人はどうなのだという話で、ひょっとしたら貧しい人もいるかもしれないですが、やはり、ある制度を何かやろうとしたときには、全員が全員みんなハッピーというわけには、どうしてもいかないところが来るかなと思っております。

そういったところのフォローをしっかりやらなければいけないかなというのは肝に銘じて、今後のタクシー行政をやらせていただければなと。

その上で、我々の考えということで、改めてお伝えさせていただきますと、タクシーも、こんなところで、タクシーの業界を代表するようなことを言ってしまって僭越ではございますが、ぎりぎりのぎりぎりまで踏ん張っていただいていると、特にコロナもあって、費用もなかなか上がってきている中で、運賃改定は、非常にプロセスとしては複雑で、御理解を得ていただかなければいけないというところで、なかなか値上げがしづらいという中で、費用を何とか下げようと、アプリを使おうというところの工夫をやってきているところでございます。

ですので、そういったところを見放されないようにという御指摘はもっともと思います。タクシー側も、そこはゆめゆめ消費者を逃すようなことはしないように、我々からもしっかりしていきたいとは思いながらも、枠組みとして初乗り短縮であったりとか、変動迎車料金であったりとか、定額タクシーとか、どんどんと新サービスではないですけれども、そうしたものをベストミックスではないですが、まとめていって需要の掘り起こしをして、何とか公共交通機関の1つである、バスがなくなったとき、最後、鉄道がなくなったときに出てくるのはタクシーと運輸行政全体として受け止めているところもありますので、しっかりとタクシーの存続が図れるよう、我々も引き続き知恵を絞っていこうかなと思っております。

総花的でございますが、最後のコメントとしては、以上のとおりでございます。

○野村座長 ありがとうございます。

コロナ禍で大変な状況の中での御対応、本当にありがとうございます。

今、議論させていただきましたように、やはり事業者の創意工夫に頼りながらも、利用者の、特に感染症のことがありますので、安心・安全な利用体制を整えていたき、その中で可能な限り、料金を抑制していただくという方向で制度設計を引き続きよろしくお願いいたします。

本日は、本当にお忙しい中、御説明いただき、また、質疑応答、意見交換に対応していただきまして、どうもありがとうございました。ここで御退出いただいて結構でございます。

本当に御協力ありがとうございました。

(国土交通省退室)

○野村座長 そうしましたら、東京都特別区・武三地区のタクシー運賃組替えの事後検証について、本日までの議論の内容を集約した形で、専門調査会の意見として、取りまとめることとしたいと考えております。

事務局が意見(案)を用意しておりますので、その御説明に移らせていただきます。

よろしくお願いいたします。15分程度を想定しております。

○事務局担当者 ありがとうございます。

事務局から御説明させていただきます。

資料2のほうを御覧いただけますでしょうか。

委員の皆様、オブザーバーの皆様に、この間御議論いただきました内容を踏まえて、事務局のほうで今回の意見の(案)を準備してございます。

資料の2を御覧いただきますと、「1.」が、まず、経緯になってございます。

こちらは、かつて平成26年1月に、今回の運賃組替えがなされたことですとか、当時、それに先立ちまして、消費者庁より付議を受けた消費者委員会で審議をして意見を出したということを指摘しております。

その後なのですが、物価問題に関する関係閣僚会議の決定ですとか、消費者基本計画の工程表などで、事業者の運送収入の状況や運賃の妥当性、運賃組替えの手続等について丁寧な事後検証を実施するということとされていたこと、また、当時の専門調査会意見でも必要なデータなどが整った段階で、国土交通省による対応状況等についてのヒアリングを含めて、検証を行うこととしたいとされていたことなどを指摘してございます。

「そこで」ということで、20行目以下ですけれども、本年1月31日に国土交通省から、2月17日にはタクシー協会のほうから、それぞれヒアリングを行いまして、また本日、国土交通省からの追加のヒアリングを行ったということを指摘してございます。

このような経緯を踏まえまして、「2.」のところが結論ということになってございます。

まず、専門調査会としての検証結果、こちらは多岐にわたりますので、下記「3.」記載のとおりという形にさせていただいております。

その上で、2つ目のマルのところで、国土交通省において下記「3.」で指摘する内容を踏まえて、適切に対応することを求めるという形にしております。

2ページの29のライン番号のところですが、消費者庁において、国土交通省の対応状況を注視し、必要に応じて適切に対応することを求めるという形にしております。

32行目からの「3.」が専門調査会としての検証結果の詳細でございます。

前提といたしまして33行目ですが、国土交通省及び協会の説明資料により確認された事実に基づく専門調査会としての検証結果は、以下のとおりであるとしてあります。

以下、項目ごとに分けておりまして、まず(1)が、事業者の運送収入の状況、運賃の妥当性及び運賃組替えの手続についてという項目でございます。

37行目からですが、こちらも前提でございます。

もともとこの本運賃組替えの実施当時、国土交通省において、本来の総括原価方式に基づく査定は省略され、簡略な方法で運送収入の増加がないことを試算する手法が取られたということでした。

今回の事後検証におきましても、国土交通省からは、こういった運賃組替えの性質を前提に、その後の実績値に基づいた検証の結果が示されたという前提を記載しております。

次のマルですが、このような国土交通省の検証結果の範囲においては、下記の内容が確認できたということで、大きく3つ挙げております。

1つ目が、かつての意見などで申し上げますと、試算手法の向上ですとか、こういった組替え手続の妥当性ということを指摘しておりまして、それに関連するものといたしまして、運送回数及び運送収入の試算の手法について、試算値と実績値との間に差が生じたが、国土交通省において、その差は、運送収入の平均的な減少率と同程度との説明がなされたことを指摘しております。

2点目が、かつての意見などでは運送収入の増減についてということを指摘しておりまして、それとの関係ですが、組替え前後で全体の運送収入は増加していないことを指摘しております。

3点目が、かつての意見ではコストの低下がないことの確認ということでありましたが、それとの関係で、全体の事業コストが運送収入を下回るまでには低下していないことを指摘しております。

次のマルですが「もっとも」ということで、次のような課題が見られたという指摘をしております。

少し飛びまして52行目からですが、まず、事業者の運送収入の状況ですとか、組替えの手続に関して、厳密な効果検証や、運賃水準・体系の更なる適正化の観点からは、距離帯別の試算値と実績値の差や、その要因をより丁寧に分析することが望まれることを指摘しております。

次のポツで、運賃の妥当性に関しまして、消費者利益の擁護・増進の観点からは、特に、中長距離の利用のニーズが高い消費者の声や、そのような消費者への影響についての十分な把握と検証が必要ということを指摘しております。

次のポツですが、総括原価方式を前提にしながらも、前回の運賃改定時、これが平成19年になりますが、それから長期間、原価の洗い替えがなされていないということにより、その後の事業コストの状況との乖離(かいり)が生じている可能性があり、これに対して対応が必要と考えられることを指摘しております。

戻りまして、2ページの48行目ですが、こういった課題が見られたということで、今後、国土交通省において、これらの課題のほか、運賃・料金の柔軟化・多様化に向けた動き等を踏まえて、検証手法・試算手法の向上、その他の必要な対応が取られるべきであるという形で指摘しております。

次に3ページ参りまして、63行目ですが、かつての意見でも指摘しておりました時間距離併用制運賃等の付随する運賃制度についてですが、こちらは国土交通省において、利用者や事業者等の意見等を踏まえて、必要に応じて見直すということでして、その際には、かつての意見でも指摘していた、現代の交通事情に適合したものであるかという観点を踏まえるべきであるという形にしております。

次の67行目のマルですが、これは、今後のことを指摘しておりまして、運送収入の増加を図るための運賃・料金の改定に当たって、総括原価方式により査定がなされるという場合には、運賃水準をより適正なものとする観点から厳密に査定することが必要ということ、更に将来的には、社会経済状況の変化や事業者の業態、経営の状況、消費者利益の一層の擁護・増進、運賃設定の柔軟化・多様化に向けた動き等を踏まえ、運賃・料金の改定時の運賃・料金の査定及び改定までのプロセスの在り方の向上を図るための検討を行うことも必要であるという指摘をしております。

(2)以下が、また別の項目で、消費者への影響の配慮についてということでございました。

こちらに関しましては、78行目以降ですが、国土交通省において相乗りタクシーですとか、変動迎車料金、定額タクシーの本格運用に向けた取組ですとか、事前確定運賃の導入などがなされていること、また、配車アプリを使っている事業者の中で、迎車料金を無料にする取組などがなされているという指摘をしまして、国土交通省において、このような取組の一層の展開のために、対応を進めるべきということにしております。

次の(3)丁寧な周知ということでございます。

こちらは国土交通省ですとか、事業者団体等で一定の取組がなされたということが認められたとしております。

また、87行目以降ですが、運賃設定に係る制度全般についての周知ということでも、一定の取組はなされているということが認められたということです。

そのようなことを踏まえまして、国土交通省において、消費者の更なる理解向上を図るため、より一層の取組が進められるべきであるということを指摘しております。

(4)が、その他全般的なサービス利便性の確保・向上についてでございます。

以上で確認したもの以外にも、下記のような取組が進められていることが確認でき、これらの取組は、消費者にとっての利便性や快適性を向上させるものと評価できるとしております。

具体的には、4ページに参りまして、97行目から107行目まで、この間、説明を受けた取組などを指摘しておるところでございます。

少し戻りまして、3ページの最後の95行目ですが「今後も」ということで、国土交通省において、サービス利便性の確保・向上に向けた、より一層の対応が進められるべきであるということを指摘しております。

4ページの(5)消費者の意見の反映というところでございます。

1つ目のマルのところは、タクシー準特定地域協議会における一定の取組等が確認されたということですが、今後、国土交通省においてタクシーの利便性向上に向けまして、同協議会等の場において消費者の意見を聴取し、より実質的に反映させる仕組み、運用を更に充実させるなど、一層の取組が進められるべきであるということを指摘しております。

次のマルで、もう少し一般的な話としまして、国土交通省において、例えば、インターネットを利用したアンケート調査の実施を検討するなど、中長距離の利用者あるいは利用を控えた消費者等の声が十分に把握されているか、運賃体系等への理解が真に得られているかなどの点も含めて、より消費者の実態が把握され、必要な取組がなされるように対応が進められるべきということを指摘しております。

最後(6)でございまして、持続可能な経営環境のための取組についてということでございます。

1つ目のマルに関しましては、組替え後の事業者の経営状況への影響に関しまして、この組替えとの関係は必ずしも明らかでありませんが、組替え後に経営状況の一定の改善は見られたということ。

「なお」ということで、本日もお話に挙がっておりましたが、国土交通省より新型コロナウイルス感染症によるタクシー業界の影響調査が行われたところ、運送収入の大幅な減少が確認されていると。

このような影響に対しては、感染症対策ですとか、事業継続支援、需要喚起等の支援がなされているということでした。

国土交通省において引き続き必要な対応がなされ、タクシー業界においても、社会経済状況の変化に応じて、柔軟な業態の変革等がなされることを期待したいということで指摘しております。

次のマルがサービスの質ですとか、安全性、あとは労働環境に関してということでございまして、こちらは、国土交通省において事業者の監視等を行っている状況が確認されたという形で指摘しております。

5ページに参りまして、国土交通省は引き続き、タクシーのサービスの質や安全性が低下することや、タクシー運転者の賃金水準や、勤務時間等の労働環境が悪化することのないよう、継続的に事業者の監視を行い、必要に応じて対策を講じるべきであると指摘しております。

最後のマルですが「さらに」ということで、国土交通省は、消費者の利益となるような、より柔軟な運賃設定を事業者に工夫して行うことが可能となるよう、引き続き、運賃規制全般について不断の見直しを続けるべきであるということを指摘しております。

事務局からの説明は、以上でございます。

○野村座長 ありがとうございました。

それでは、今の御説明に関して、御意見、御質問がございましたら、先ほどと同じように、チャットのほうにお願いいたします。時間は、おおよそ35分を想定しております。

それでは、寺田委員、よろしくお願いいたします。

○寺田委員 寺田です。

本題と違うのですけれども、確認すべきことを1つ、今更ですが、気がついたので、指摘させてください。

4ページの98行目なのですけれども、業務の繁閑に応じた勤務シフトや変形労働時間制の検討とあるのですけれども、前を見ていくと、国土交通省においてと書いてあるので、これは所管が厚労省だと思うし、そもそも改善基準告示の何かへの勧告だとすると、この場に相応しくないのではないかという感じがしたのですけれども、それだけです。

○野村座長 事務局、いかがでしょうか。

○事務局担当者 こちらは、まず、かつての意見の中では、サービスの利便性の確保ですとか、向上に向けて、こういった観点で取組を進めてもらいたいという指摘をしてございました。

その後、今回の専門調査会の場で、国土交通省がその後の動きとして紹介されたもの、これをここに列挙して、書かせていただいております。それはそれで確認できたということで指摘をしておる趣旨でございます。

その上で、今後、国土交通省において、サービス利便性の確保・向上に向けた、より一層の対応を進めてもらいたいということで、タクシーを所管する国土交通省のほうで、一般的に進めてもらいたいという指摘をしているということが、意見の内容としております。

その際に、御指摘のように、他省庁の所管のものもあるということになりますと、例えば、国土交通省のほうで、そういった所管省庁と連携をしていただくとか、そういったことも想定されるのではないかと考えております。

○寺田委員 分かりました。形式的に大丈夫ならばいいと思いますけれども、ただ、明らかに国土交通省の所管外かなと思ったので指摘しました。

以上です。

○野村座長 そうしましたら、事務局で問題ないという御判断をいただいているという理解で、よろしいでしょうか。

○事務局担当者 そうですね。

今、御指摘いただいた業務の繁閑に応じた勤務シフトや変形労働時間制との検討につきましては、今回でいうと、具体的には、事業者団体等のほうで検討が実質的に進められているという報告を受けた記載になっておりまして、そういった事業者団体の動きも含めて確認したということで記載しておりますので、問題ないかと考えております。

○野村座長 寺田委員、そういうことですので、大丈夫かと思います。

○寺田委員 ありがとうございます。

○野村座長 そうしましたら、次に、古賀委員、よろしくお願いいたします。

○古賀委員 ありがとうございます。

3ページ目の(2)消費者への影響の配慮についてというところなのですけれども、先ほども申し上げましたように、新しい配車アプリの活用とか、いろんな取組などが消費者に、今後、良い意味で利用促進がされるといいと思うのですけれども、これについて、利用方法や新しいシステムについての説明をするということを一言入れていただけるとありがたいなと思っております。

もう一点ですが、5ページ目の2行目のところなのですけれども、タクシー運転手の賃金水準や勤務時間などの労働環境が悪化することのないようとあるのですけれども、むしろ労働環境が向上するようにという、そういう流れにしていただきたいなと、今回の資料を拝見しても、やはり労働環境や賃金水準は、とても良いとは言えないので、悪化することのないようというよりも、むしろ改善されるという方向性を出していただきたいなと思います。

以上2点なのですが、全体的には丁寧にまとめていただいたと思います。

以上です。

○野村座長 ありがとうございます。

事務局いかがでしょうか。

○事務局担当者 2点御指摘をいただいておりまして、1点が、アプリなどに関しまして、利用者の方皆さんが使えるように、説明などを行ってもらうということを記載してはどうかという御指摘でございました。

この点に関しまして、前提の御説明といたしましては、かつての平成28年の専門調査会の意見の中では、サービス利便性の確保・向上という項目の中で、こちらに関しましては、スマートフォンアプリなどの普及を積極的に進めるという中で、新たなサービスを導入する際には、消費者が利用の際に混乱したり、高齢者等が使いにくくなることがないよう、十分な配慮を行うべきということを指摘しておりました。今の古賀委員の御指摘も、そういった御趣旨に近いものかと理解いたしました。

今回の意見書に書き足すというところも検討できると思われますし、今の資料2に関しまして申し上げますと、3ページの(4)のところの「サービス利便性の確保・向上について」というところが、まさに過去の意見でも指摘していたところでございまして、ここで「今後も」ということで、国土交通省において、サービス利便性の確保・向上に向けた、より一層の対応が進められるべきであると指摘しております。

これは、過去の意見を踏まえて、更に進めてもらいたいということですので、先ほどのような趣旨も含めて記載をしているところではございます。

ただ、より具体的に記載したほうが良いということで、委員の皆様で御議論いただけましたら、それを踏まえて検討させていただければと考えます。

2点目のところでございまして、5ページの133行目以降で「悪化することのないよう」というところを向上させるとか、そういった形で、むしろ積極的に求めてはどうかという御指摘でありました。

ここはかつての意見のほうでは、組替えの影響なども勘案して、初乗り距離を短縮する一方で、逆に需要などが減ったりとか、収入が減って悪化したりすることがないようという背景があったかと考えます。

その辺りに関しましては、委員の皆様の御意見を伺いながら検討できればと考えます。

以上でございます。

○野村座長 古賀委員、いかがでしょうか。

○古賀委員 前回のときは、新しいそういったアイテムが入ることについて、説明してほしいということだったのですが、今回、既にアプリの導入等が始まっていますが、それを使えない消費者にということで、もう少し()み砕いて、単に対応というのではなくて、技術の導入とともに、導入の活用について消費者に説明するというところまで、踏み込んでいただけたらなと思ったので、そのように申し上げました。

もう一つは、労働環境についてなのですが、この原案の書きぶりですと、現状を肯定した上でということになって、料金を下げるという観点からいうと、やはりいろいろなコストは下げなくてはいけないということは、当然あると思うのですけれども、今回の検証の結果を拝見すると、むしろ、労働環境というのが、ある意味良くなっている方向にいっているという情報もあったので、ここのところは、やはり働く方の環境というのはより一層良くなるということを望みつつ、料金の全般的な今後の見直しも期待するということがいいのかと考えました。

以上です。

○野村座長 ありがとうございます。

そうすると、1つ目の82行目のところですが、この項目は(2)の消費者への影響への配慮ですから、もう少し事業者ではなくて、利用者への説明を丁寧に行うべきというような、そういうニュアンスの表現を加筆したほうが良いのではないかと理解しました。

ここの点に関しまして、ほかの委員の御意見を伺いたいと思いますが、いかがでしょうか。チャットに入れなくても御発言いただいて結構です。

いかがでしょうか。

古賀委員、そういう私の理解で間違っていないでしょうか。

○古賀委員 野村座長のおっしゃるような意味でございます。

ただ、回りくどいというか、くどいということであれば、対応の中にそういったことも含まれているというニュアンスは伝わると思いますけれども、あえて、そういった新しい技術に対応できないけれども、そういう利便性について、もう少し消費者にも説明してほしいという気持ちがありますので、少しうまく書き込んでいただけたらなと思いました。

○野村座長 承知しました。

ほかの委員の皆様いかがでしょうか、1点目に関して、お願いいたします。

○新川委員 今、古賀委員、それから、座長からありました方向で、消費者、利用者自身が活用できるような、そういう方向で、今後、進めていただきたいという趣旨を書き加えていただければと思いました。

以上です。ありがとうございました。

○野村座長 大石委員、引き続き、御発言があるでしょうか。

○大石委員 私も今の古賀委員の御意見に賛成でして、やはり、ぜひ消費者に分かりやすい説明をしてくださいというニュアンスを、もう少し入れていただけるとありがたいかなと思いました。

以上です。

○野村座長 了解しました。

どうぞ。

○寺田委員 座長の御専門の話だと思いますが、デジタル・デバイドの話だとすると、スマホに慣れていないというのと、そもそもスマホが使えないエリアの問題と2つあると思います。ただし、今、23区と武三の話だけをしており、後者はない。それで、たまたま高齢者等のスマホに慣れるというか、リテラシーの問題だけが問題になっているという、そういう理解でいいのですか。

○野村座長 そうですね。

○寺田委員 その確認です。

○野村座長 事務局のほうから、ここも御説明を再度いただけると助かります。

○事務局担当者 今、御指摘をいただいたところで、まず、直接的には、寺田委員がおっしゃるように、今回、東京都特別区・武三地区というエリアに関する組替えの事後検証という枠組みでございます。

その上で、まず念頭に置くのは、組替えを実際に行った、このエリアということになるかと思います。

あとは、実際に、この意見を踏まえて、今後、今日も話に出ておりましたが、ほかの地域で組替えなどが検討される際の参考になされる可能性はあるかとは思います。

○野村座長 ありがとうございます。

ですので、寺田委員、最初のほうの利用しづらい年齢の方でしょうか、そこはもう少しかっちりと書いたほうが良いと、そういう方向でいかがでしょうか。

よろしいでしょうか。

○寺田委員 寺田ですけれども、どちらかというと、電波が届かないとか、そっちの問題のほうが気になるのですけれども、ただ、今回、それが全く関係ないということであれば、年齢がどうかということは分かりませんけれども、皆さん、今、議論されている流れに賛成します。

○野村座長 ありがとうございます。

そうしましたら、古賀委員の2点目の133行目の労働環境が悪化するというのが、もう少し前向きに、労働環境を改善する方向でというような、こういう表現にするという点については、いかがでしょうか。

事務局は、ここに関して、大きな問題がなければ、そういう表現に変えさせていただくということでもよろしいでしょうか。

松村委員、御発言希望はそこに関してでしょうか。

○松村委員 違います。その前のところで、発言希望を出していました。

古賀委員の御発言、私は、デジタル・デバイドに関する発言はもっともだと思いますので、それに対応できるように書いていただきたいのですが、私が心配しているのは、古賀委員の意見に賛成だというのは、デジタル・デバイドと一般的な言い方ではなく、消費者が、それを使いやすくするように、いろいろ行政でも努力してほしいという要望だったことが、私はとても重要な点だったと思います。デジタル・デバイドで、使いにくい人がいる、そういう人に配慮してほしいという言い方だと、これは、アプリを使えない人にも、そのルートを十分確保し、そちらのほうの値段がやたらと高くならないように十分配慮してほしいとか、そういうような方向に行ってしまうことを懸念しています。

これから、デジタルが普及していく過程で、アプリが使えないから、だからしようがないから、そちらに配慮するというのではなくて、むしろできるだけ使いやすくし、アクセスしやすくして、多くの人が使えるようにする方向のほうが、全体としては正しい方向だと思っています。したがって、古賀委員の、そのような要望は、合理的だと思います。

抽象的にデジタル・デバイドへの配慮と書くと、全く逆方向への配慮に行きかねない。そちらが不要だとは言わないのですが、そちらも重要だけれども、そちらに行き過ぎると、効率性を損ねて、みんながタクシーを使えなくなるほど高価格になってしまう方向に行くことを、私は強く恐れています。古賀委員が言われたニュアンスが正確に伝わるように書くのが重要だと思います。

以上です。

○野村座長 ありがとうございます。

そういう趣旨で、ここは加筆させていただくということにしたいと思います。

戻りまして、古賀委員の2点目の労働環境の部分でございますが、御意見はないでしょうか。

○事務局担当者 事務局から少しよろしいでしょうか。

○野村座長 お願いいたします。

○事務局担当者 ありがとうございます。

これから議論をいただく2点目のところなのですけれども、もともとの趣旨は、先ほど古賀委員のほうからも御指摘をいただきましたが、当時、組替えを実施するということで、新しい取組だということで、まずは、持続可能な経営環境ということで、経営状況にどういう影響があるかというのを、しっかり国土交通省で監視してもらいたいということでした。

それと絡めて、それによってサービスの質とか安全性が低下することだとか、労働環境が悪化するというところが、当時懸念されたので、そういったことがないように監視を行ってほしいということを、当時、指摘されていました。

これは、どちらかというと、組替えという新しい取組によって、負の効果が生じてしまわないように、そこはしっかり監視をして、何かあったときには、必要な対策を講じてほしいという趣旨のパートでございました。

今回も、5ページの132行目以下で、先ほど指摘いただいた労働環境の前のほうに、タクシーのサービスの質や安全性が低下することや、それに続けて、労働環境が悪化することのないよう、継続的に事業者の監視を行い、必要に応じて対策を講じるべきであるということで、引き続き、同様の趣旨で、過去の意見との連続性の中で記載していたということでございました。

ですので、基本的に、先ほど労働環境の厚労省などとの関係という御指摘もありましたが、国土交通省のほうでは、組替えという新しいことをしたことで、負の効果が生じてしまわないように監視をしてもらうというところが、本筋ではあったかなというところでございました。

もし、より積極にといいますか、タクシーサービスの質や安全性については、個別の取組のほうで、先ほど(4)のほうで向上してもらいたいという指摘はしておりまして、労働環境のほうも向上するということになると、前のタクシー、サービスの質や安全性を含めて向上を図るという話になるかと思いますので、そこも含めての変更になるかと考えます。

その上で、ここでは、経営状況を含めて、国土交通省に監視をしてもらうというところでありましたが、向上という話になってまいりますと、この組替えとの関連性ですとか、経営状況との関連性だけでは向上が図れない話にもなってくる可能性はあるかと思いますので、その場合には、例えば、向上していくことを期待したいですとか、そういったメッセージとして記載していくということが、1つ考えられるのかなと、今、考えておったところでございます。

その辺りを含めて、御意見をいただけますと、幸いです。

○野村座長 ありがとうございます。

古賀委員、まず、どうぞ。

○古賀委員 事務局の方の整理、そういうふうになるだろうなということと、先ほど松村委員がご発言されるときに、今のところは、労働問題とは別だという御指摘をいただけるのかなと思っていたのですけれども、それほど深く考えて、意見を出したわけではありません。今回、労働環境がコロナ禍で、今後より一層悪化することも考えられるということで、ここにおいて、労働環境が悪化することがないようにというのが、ある意味、現状を肯定しているようなことに感じられたものですから、少し表現を変えて、労働環境にも配慮しつつというようにしていただくとか、そういう方向でもいいと思うのです。先ほど国土交通省の方から御発言いただいたように、昔、神風タクシーといって、利益を生むために、どんどん乱暴な運転をしていたとか、ある意味、時間制を導入したことによって、ものすごく費用が加算してしまうけれども、わざわざそういう回り道をするタクシーの運転手さんがいたとか、そういうことも含めますと、やはり、労働環境を改善することが、実は経営状況も向上するし、サービスも向上するし、ひいては利用者の利便性も高まる上に、利用者も利用したくなると、そういう良い流れもあると思います。深く考えた発言ではないのですけれども、ここの悪化するというところの現状肯定的な意味を少し変更していただけたらなと思います。

以上です。

○野村座長 ほかの委員の皆様、いかがでしょうか。

お願いします。

○若林座長代理 今の古賀委員の御意見に賛成です。

もともとタクシー業界の賃金水準等が、他業種と比べて恵まれた状態にあるというわけではございませんし、現在のコロナの状況を考えて、さらに、状況が悪くなっているということを考えると、ここで確かに、現状肯定的に見られるような表現というのは避けたほうがよろしいのかなと、このタイミングで出す報告書としては、現状肯定的に見られるような、意見としては、このまま肯定するような状況というのは、避けたほうがよろしいというのは同感です。

以上です。

○野村座長 ありがとうございます。

ほかの皆様、いかがでしょうか。

お願いいたします。

○松村委員 例えば、こんな発想では駄目でしょうか。長期的に見て、労働条件というのが、他産業に比べて著しく低い、あるいは賃金水準だけではなくて、働く環境が悪いということだとすると、タクシー業界は、サステナブルにならないわけですね。人手不足ということになって、その結果として、消費者に十分なサービスが供給できなくなるかもしれない。

だから、ある種、業界がサステナブルになっていくためにも、今後の人手不足というのを見据えて、積極的に労働者の、運転手の環境改善というのが必要であると、そういう意味で出すのだとすれば、消費者委員会が出すものとして不適当ということでは、決してないと思うので、古賀委員の御指摘になったような書き方をしても、おかしくないのではないかと思いました。

以上です。

○野村座長 ありがとうございます。

ほかの委員の皆様、いかがでしょうか。

よろしくお願いします。

○新川委員 今、古賀委員、松村委員から御指摘がありました点、そのとおりだなと思いながら、お話を聞きました。

できれば、少し低下、悪化ということではなくて、サービスの質あるいは労働条件ということに十分に配慮して、今後の監視あるいは今後のタクシー行政というのを進めていただきたいというのが基本ではないかなと思っておりました。

以上です。

○野村座長 ありがとうございます。

そうしましたら、この点に関しましては、前向きに、サステナブルなという、(6)の項目がそうなっておりますので、悪化という言葉をやめまして、労働環境の改善に配慮と、こういう単語を使わせていただく文章に修文をさせていただくということでよろしいでしょうか。

事務局も、その方向で可能性を探っていただけるでしょうか。

○事務局担当者 承知しました。

古賀委員から御提案いただいた配慮してというところのキーワードを使ってということで、ちょっとその前のサービスの質や安全性も同じく低下するというふうに記載しておりましたので、その辺りの関係を踏まえて、修文の方向でということで承知いたしました。

○野村座長 皆さん、その方向を取らせていただくことで、御了解いただけるでしょうか。もし、反論があるようでしたら、チャットのほう、もしくは直接御発言ください。

お願いします。

○寺田委員 寺田ですけれども、反対ではないのですけれども、ただ、率直な印象としては、今問題なっているところは、例えば改善するよう継続的に事業者の監視を行い、必要に応じとか、実際の対策のほうに、随分消極的な言葉が入ってしまっているので。

○野村座長 分かりました。

○寺田委員 労働運転時間規制を強化して、監査の回数を増やすというのなら別ですけれども、その辺のちぐはぐさは否めないとは思いました。ただし、具体的に書く場所ではないので、感想だけです。

○野村座長 ありがとうございます。

この最後の文章が、つじつまが通るように直させていただくということで、御了解いただきたいと思います。

とりわけ、持続可能な経営環境という、ここに大きな基礎があるということで、そこにきちんとマッチングする表現にさせていただきたいと思います。

そもそも、古賀委員の御発言からですので、そこも労働環境に配慮するということは、必ず文章に入れさせていただきたいと思います。

そうしましたら、白山委員、新川委員からも、今、チャットをいただきまして、御賛成いただいたということで、皆様、よろしいでしょうか。

ありがとうございます。その他、御意見ございましたら、あと5分ほどの中で御発言いただいても結構です。

どうぞ。

○浦郷委員 2点、気になったところを申し上げます。

1つは、サービスの利便性の確保向上についてというところで、4ページのユニバーサルデザインタクシーについてなのですけれども、以前、ユニバーサルデザインタクシーについて、車椅子を利用される方々が、調査をしたところ、車椅子で利用したいと思っても乗車拒否をされてしまうケースがあるということが、調査で明らかになったということを聞いたことがありました。

乗車拒否の理由として、タクシー運転手の側も、車椅子利用の方を安全に乗車させることができるのか、そこにすごく不安があるということもあって、なるほどとも思ったのですけれども、ここで、事業者のほうでユニバーサルタクシーを拡充をさせるとともに、車椅子の方を乗せるというのは、一定の技術も必要かなと思いますので、研修の充実みたいな言葉を入れてもいいのかなということを、1つ感じました。

もう一点なのですけれども、同じく5ページの消費者の意見の反映についてのところの2つ目のマルのところです。アンケートのところで、例えばインターネットを利用したアンケート調査を実施というのは、インターネットを利用ということだと、不特定多数の方に対するアンケートという意味で、これは書かれているのかと思うのですけれども、やはり、私も利用者へのアンケートだけでなく、利用しない消費者への意見というのも大事かと思います。

私などは、タクシーはぜいたくだと思っているので、ほとんど使わないです。何か特別な事情があったときに、やむなく使う、何年かに1回ぐらいしか使うことがありません。今回組替えというところで、短距離が少し安くなった、そこが少し使いやすくなったという面もあるのですけれども、やはり短距離だと、運転手さんに嫌な顔をされるのではないか、短距離だと申し訳なくて使えないみたいな意識もありますので、そういうところを、利用しない消費者の方にもお知らせしながら、消費者の意見を聞くということをしてもらいたいなと思います。ここに書いてあるインターネットを利用したアンケートでもいいのですけれども、インターネットを利用し、幅広い消費者へのアンケートみたいに、ちょっと書き加えていただけたらなということを感じました。

以上です。

○野村座長 後の2点目ですが、以前の議論の中で、何か特定の乗り場で意見聴取したようなことがあったので、私はこういう乗らない人も含めたインターネット利用でのアンケートは、聞取りとしては適切かなと思いますが、おっしゃっていることも分かりましたので、その辺りについて工夫ができるものかどうか、御意見を伺いたいと思います。

まず、事務局からいかがでしょうか、2点目の方から、お願いします。

○事務局担当者 2点目のほうからということで、もしかしたら文書が分かりにくくなっているかもしれませんが、こちらの、例えばインターネットを利用したアンケート調査の実施を検討するなどというのが例示になってございまして、何の例示かというと、その次のところで、中長距離の利用者や利用を控えた消費者等の声が十分に把握されているか、といった実態の把握というところの例示でございました。

ですので、事務局の趣旨といたしましては、浦郷委員の趣旨と全く同じでございまして、今回指摘されていました中長距離の利用者ですとか、利用を控えた消費者の声を反映する1つの方法として、例えば、インターネットを使ったアンケートがあるのではないかという趣旨で記載しておりました。

その上で、浦郷委員の御趣旨は、そのアンケートの前に、幅広いなどをつけるなどして、より強調するという趣旨かなとも理解いたしましたので、その辺りを含めて御意見を、皆様から頂戴できるとありがたいと思います。

○野村座長 ありがとうございます。

ほかの委員の皆様いかがでしょうか。2点目からで恐縮です。

どうぞ。

○浦郷委員 私は、野村座長が言われたように、ほとんどタクシーを利用しない消費者の意見も取り入れるべきと思います。その意味では、インターネット利用というのは、そういう手段かと思いますので、そこも含めてうまく書いていただければなと思います。

以上です。

○野村座長 ほかにいかがでしょうか。

古賀委員、お願いいたします。

○古賀委員 ありがとうございました。

やはり使わない人に使ってもらう体制を整えるというのは、すごく浦郷委員の意見は良い意見だと思います。

今のアンケート調査の実施を検討するなどと、検討だと少し、悪く言ってしまうと官僚用語で、検討ではなくて、ここは検討を取ってしまって、実施するなどという表現でもいいのかなと思いました。

それから、幅広いアンケートというのは、アンケートというのは、ある意味、良い面も悪い面もあるのですけれども、そこのところは、インターネットを利用した幅広いまでは入れる必要はないのかなと思いました。

以上です。

○野村座長 ありがとうございます。

ほかに御意見いかがでしょうか。

そうしましたら、この点、使わない人のという言葉を入れられるかどうか分からないのですが、少なくとも、幅広い利用者を対象にというニュアンスを盛り込むような方向を探りたいと思います。その方向で、修文するのは難しそうであるのですが、事務局、御検討願えるでしょうか。

○事務局担当者 修文を検討するにあたりまして、趣旨の理解が合っているかの御確認が1点と、あと、もう一点、古賀委員からも別の個所の指摘がございましたので、その点の確認です。116行目で、中長距離の利用者や利用を控えた消費者等と書いておるのですけれども、想定されている利用しない消費者というのが、この利用を控えた消費者でもない、また、もう少し広い消費者に幅広くという御趣旨で御指摘をいただいているという御趣旨か、または、この利用を控えた消費者等と同じという御趣旨で、アンケートのほうを幅広いアンケートにすべしという御趣旨なのかというところを、ちょっと確認できればというのが1点です。

もう一点、古賀委員のほうから、116行目の調査の実施を検討するなどのところの、検討するというところを取って、実施ということにしてはいかがかという御指摘をいただきました。

ただ、こちらに関しましては、最終的に実施主体が国土交通省においてと、あるいは国土交通省が連携して事業者団体等ということが想定されるのですけれども、この専門調査会限りでは、いかなるアンケート手法が有効かというところまでの御議論がいただけておりませんので、ここは、どちらかというと、現場を知っている国土交通省なり、事業者団体で有効な方法を検討してもらうほうが適切かなと考えておりまして、どちらかというと、こういう声をしっかり把握してもらいたいのだという趣旨のほうを明確に記載しておくほうが重要かなと考えておる次第でございます。

○野村座長 ありがとうございます。

そうしますと、今の検討は残す方向で、古賀委員もチャットで賛成しますということで、御理解いただいたと思います。

浦郷委員、この利用を控えたという表現と、使わない人、タクシーを利用しない人というのと、同じようにも私はとって、これでいいと思うのですが、まだ、反論ございますでしょうか。

○浦郷委員 浦郷です。

ちょっと確認したいのですけれども、この利用を控えた消費者というのは、今まで利用していたけれども、今回、利用を控えたという意味なのか、今までもなかなか利用することがなかった消費者という意味なのでしょうか、どちらなのでしょうか。

○松村委員 ちょっと邪魔して申し訳ないのですけれども、それだと確かに、今回の中長距離の値上げによって利用をやめてしまった人と取られかねないのですが、例えば、潜在的な消費者ということだと、恐らく浦郷委員がおっしゃったことを含んでいると思うのですが、そんな言葉遣いを、ここの中に入れることは難しいでしょうか。事務局への質問です。

○野村座長 事務局、いかがでしょうか。

○事務局担当者 今、松村委員から御指摘いただいた潜在的な消費者あるいは潜在的な利用者といったことを入れるということであれば、もともとの、ここのパートの趣旨には合うと思いますので、それ自体は可能かと思います。

○野村座長 では、松村委員の御提案のように、潜在的な消費者という言葉も、ここへ加えるという方向を探らせてください。ありがとうございます。

どうぞ。

○大石委員 大石です。

更なる需要を喚起する意味からもというようなことを入れていただけると、それ以外の消費者も入るかなと思いました。御検討ください。

○野村座長 私も、そういう考えはあったのですが、タイトルからしてどうかなとも思いました。

ちょっと確定できないですが、御意思は了解いたしました。

そうしましたら、ちょっと若林委員、お待ちください。

1つ目のユニバーサルデザインタクシーのところの乗車拒否の発言が、浦郷委員からございましたが、それを入られるかということなのですが、サービス利便性の確保・向上についてという3ページから4ページの項目の中に入れられるかが、難しそうにも思うのですが、いかがでしょうか。

私の理解は、そういう乗車拒否をすることがないという前提で議論していたという理解もあるのですが、いかがでしょうか、皆様。

○浦郷委員 浦郷ですけれども、そういうことがあった背景には、タクシー運転手の側の不安があるようなので、ここに研修の充実というようなことも入れていただいたらどうかという意見です。

○野村座長 なるほど、いかがでしょうか。

最後のところのポツが、外国人のことは書いてありますので、ここを対日外国人にこだわらないでということにできるかどうか。事務局、どうぞ。

○事務局担当者 念のため前提を御説明いたします。意見書の書き方についてでございます。

今、多分御確認いただいた4ページの97行目から107行目に個別の取組を記載しております。

こちらは、消費者委員会として求める取組ではございませんでして、3ページのほうの93行目なのですけれども、下記のような取組が進められていることが確認されたということで、現に、既になされているもので、今回の専門調査会の審議の中で御確認いただけたものを記載するパートでございます。

それを踏まえて、専門調査会側のメッセージといたしましては、95行目からの今後も国土交通省において、サービス利便性の確保・向上に向けたより一層の対応が進められるべきであるというところの部分が、メッセージになってございます。

その中には、この97行目から107行目の、今回、確認された取組を更に充実してもらうことも含まれておりますし、かつて平成28年の意見で、このサービス利便性の確保・向上についてという項目で、かなり多岐にわたる指摘をしておりまして、それを引き続き進めてもらう趣旨も含めて記載してございます。

ですので、もし、研修の充実ということを明示的に記載しようとすると、この確保・向上に向けたより一層の対応が進められるべきの後なのか、この注に書くのかなどの形で、ちょっと小出しで書くことになってくるということで、そういう前提で御検討をお願いできればと思います。

○野村座長 ありがとうございます。

浦郷委員、いかがでしょうか。

○浦郷委員 ありがとうございます。

すみません、私は、ちょっとここに加えていただければいいかなぐらいに思っていたのですけれども、なかなか文章の構成からいって、そう簡単ではないようですので、今回は特に、ここについて言及いたしません。理解いたしました。

○野村座長 了解いたしました。

若林委員、お待たせしました。お願いいたします。

○若林座長代理 先ほどの点なので戻ってしまうのですけれども、先ほど浦郷委員から御提案のあった、例えばインターネットを利用したアンケート調査の実施を検討するなどの部分なのですけれども、先ほど事務局から御説明をいただいたような、有効な方法を検討してもらうのだということであれば、などの有効な方法の検討というような形で、そこを文言にしていただけると、浦郷委員の最初の御趣旨も生かせるのではないかなと思いました。

以上です。

○野村座長 ありがとうございます。

有効なという形容詞をつけましょうという御提案でございます。

事務局、それは可能でしょうか。

○事務局担当者 はい、趣旨が明確になるかと思いますので、その方向で修文の案を検討したいと思います。

具体的なインターネット利用したアンケート調査等の有効な方法を検討するなどといったものが考えられるかなとお聞きしておりました。

○野村座長 ありがとうございます。

では、その方向を取らせていただきます。御提案ありがとうございます。

そうしましたら、時間が5分オーバーしてしまいました。ここで御意見をいただくのを最後にしたいと思います。よろしいでしょうか。

ありがとうございました。

それでは、意見書(案)につきましては、本日、皆様からいただきました御意見を踏まえまして、一部修正するという方向で動きたいと思います。

修正方法につきましては、私のほうに御一任いただきたいと思います。よろしいでしょうか。

ありがとうございます。

そうしましたら、原案を加筆修正しまして、消費者委員会の本会議に報告するということにさせていただきます。御理解いただきまして、ありがとうございました。

本日、国土交通省からの御説明をいただきまして、質疑応答、有意義な意見交換させていただきました。ありがとうございました。

≪3.その他≫

○野村座長 議題のその他になっておりますが、電力託送料金に関する調査会に関する報告事項がございます。

調査会の座長を兼務している私から報告させていただきます。

同調査会では、令和2年の8月7日から24日まで計4回の調査会を開催いたしました。調査審議しました結果、「賠償負担金・廃炉円滑化負担金の算入に伴う電力託送料金変更案の算定に関する電力託送料金に関する調査会意見」を取りまとめました。

この意見について、「電力託送料金に関する調査会の設置について」第4条に基づき、公共料金等専門調査会の調査審議の結果とみなしまして、8月28日に、消費者委員会に報告いたしました。意見の詳細につきましては、参考資料の2に載っておりますので、御参照いただきたいと思います。

それでは、最後に、事務局から事務連絡をお願いいたします。


≪4.閉会≫

○太田参事官 本日は、長時間にわたりまして御議論いただきまして、ありがとうございました。

次回の会合につきましては、確認次第、御連絡させていただきます。

○野村座長 ありがとうございました。

これにて本日の調査会を閉会させていただきます。

お忙しいところ御参集いただきまして、ありがとうございました。

(以上)