第59回 公共料金等専門調査会 議事録

日時

2020年1月31日(金)13:00~15:10

場所

消費者委員会会議室

出席者

【専門委員】
野村座長、若林座長代理、古賀委員、白山委員、林委員、寺田委員
【消費者委員会担当委員】
大石委員、新川委員
【説明者】
国土交通省自動車局旅客課 早船課長
国土交通省自動車局旅客課 担当者
【消費者庁】
高島審議官、大森参事官
【事務局】
二之宮事務局長、金子参事官

議事次第

  1. 開会
  2. 公共料金等一般の改定手続について
  3. 東京都特別区・武三地区のタクシー運賃組替えの事後検証について
  4. 閉会

配布資料 (資料は全てPDF形式となります。)

≪1.開会≫

○金子参事官 それでは、時間でございますので、本日の会議を始めさせていただきたいと思います。

本日は、皆様お忙しい中、お集まりいただきまして、ありがとうございます。

ただいまから「消費者委員会第59回公共料金等専門調査会」を開催いたします。

公共料金等専門調査会につきましては、第6次消費者委員会としては、本日が初めての会合ということでございます。

構成員につきましては、昨年の11月8日に、iPadの中に資料がございますけれども、名簿のとおり、消費者委員会の山本委員長より指名されているところでございます。

座長につきましては、同日、山本委員長から野村宗訓専門委員に務めていただくよう指名されております。野村専門委員におかれましては、どうぞよろしくお願いいたします。

また、消費者委員会から担当委員として、大石委員、新川委員がオブザーバー参加をされることになってございます。

本日は、所用によりまして、浦郷委員、松村委員が御欠席ということになってございます。

続きまして、資料につきましてでございますけれども、本日はペーパーレスの推進の観点から、iPadを使用して議事を進行いたします。机上配付資料以外のものにつきましては、お手元のiPadの中に格納されてございます。もし、操作に関しまして御不明な点等がございましたら、お近くの事務局職員までお尋ねいただければと思います。

なお、本日の会議につきましては、公開で行います。議事録についても、後日、公開することといたします。

それでは、野村座長、以降の議事進行をよろしくお願いいたします。

○野村座長 ありがとうございます。

このたび、公共料金等専門調査会の座長を務めることになりました、関西学院大学の野村でございます。よろしくお願いいたします。個人的には、専門科目は、経済学の中の規制経済学という分野を担当しております。

第5次の公共料金等専門調査会では、個別の電力会社の原子力発電所再稼働後の値上げ、そのフォローアップ、電力・ガス小売自由化に関する課題、電力料金の経過措置料金解除等、その他NTTの東西のプライスキャップ制度の基準料金指数の見直し、それから、令和元年10月の消費税率引上げに伴う公共料金等の改定、JR北海道の運賃改定と、審議を行ってきたと伺っております。

不慣れではございますが、これからの会合を進めさせていただきます。今期におきましても、いろいろな公共料金の決定過程透明性、消費者参画の機会、料金の適正性等、議論する場が設けられておりますので、御協力のほどよろしくお願いいたします。

まず、資料3に記載されているとおりでございますが、「東京都特別区・武三地区のタクシー運賃の事後検証」というのを当面の課題で進めてまいりたいと思っております。委員の皆様もお忙しい中でございますが、円滑な運営、活発な御議論に御協力いただきたいと思っております。よろしくお願いいたします。

まず設置・運営規程により、座長が座長代理を指名するということになっております。お隣にお座りの若林亜理砂専門委員を座長代理に指名させていただきましたので、御理解のほどよろしくお願いいたします。

それでは、引き続き、今期より公共料金等専門調査会の委員に新しく就かれた先生方に簡単に御挨拶を頂きたいと思います。着席のままで結構でございますので、若林座長代理からお願いしたいと思います。

○若林座長代理 今、御紹介いただきました駒澤大学の若林と申します。よろしくお願いいたします。

私の専門は、経済法で、独占禁止法を中心として研究しております。規制分野等につきましても、競争がどんどん導入されてきており、その限りで規制と競争の在り方というのはいかなるものか、あるいはどうあるべきかということも含め、研究させていただいております。勉強させていただきながら、何がしか貢献できればいいなと思っております。

どうぞよろしくお願いいたします。

○野村座長 ありがとうございます。

引き続き、寺田委員にお願いいたします。新任の方だけということです。

○寺田委員 東京海洋大学の寺田と申します。

所属は工学部なのですけれども、出身が経済学で、主にバスと物流のことを勉強しております。勉強させていただきたいと思います。

どうぞよろしくお願いいたします。

○野村座長 ありがとうございます。

○林委員 全国消費生活相談員協会のエネルギー問題研究会の代表をしております林と申します。

分からないことだらけなのじゃないかなと思うのですが、私の立場としては、消費者の意見をここに反映させていくことかなと思っておりますので、よろしくお願いいたします。ふだんは、町田市の消費生活センターで相談員をしております。

お願いいたします。

○野村座長 ありがとうございます。

そうしましたら、こちら側へ回りますが、大石委員、お願いします。

○消費者委員会大石委員 今期、消費者委員会の委員を承りました、NACSといいます消費者団体の副会長をしております大石と申します。今回から公共料金の専門調査会にオブザーバーとして参加させていただいております。

先ほど林委員もおっしゃいましたけれども、消費者にとって一番身近な問題だと思いますので、是非消費者の意見が反映できるように関わっていけたらと思っております。

よろしくお願いいたします。

○消費者委員会新川委員 今期、消費者委員会委員を拝命いたしました新川でございます。当専門調査会には、オブザーバーということで参加させていただきます。

同志社大学というところで教えております。専門分野は、行政学、政策分析を専門にいたしております。

よろしくお願いいたします。

○野村座長 皆様、ありがとうございました。

継続で古賀委員と白山委員が着任しておられるということで、御紹介させていただきます。今後ともよろしくお願いいたします。


≪2.公共料金等一般の改定手続について≫

○野村座長 そうしましたら、議事のほうへ移らせていただきたいと思います。最初の議題は「公共料金等一般の改定手続について」でございます。

当専門調査会では、今後、各種の公共料金等を扱っていくことになりますので、その前提として、公共料金等一般の改定手続について、消費者庁のほうから御説明いただきたいと思っております。

本日、高島審議官と大森調査・物価等担当参事官にお越しいただいております。お手数をおかけします。よろしくお願いいたします。

○金子参事官 その前に1点、お願いがございまして、資料のほうは、発表者が順次スライドを操作いたしますので、iPadの共有モードにしていただければと思います。

○消費者庁大森参事官 消費者庁の大森でございます。

資料2に基づきまして、公共料金について、概括を簡単に御説明申し上げます。

まず、もう御案内のことかと思うのですけれども、公共料金とは何かということにつきましてですけれども、一般的な財につきまして市場経済を基本としておるので、財・サービスの料金や商品の価格というものは、自由競争に基づいて決められていることが原則であるということでございますけれども、自由競争に任せておくとなかなかうまくいかない。料金・価格の中で、公的な国会、政府、地方自治体といった公共機関が水準の決定に介入する、関与するというものがございまして、これらを総称して公共料金と言っておるものでございます。

その関与の仕方につきましては、例えば診療報酬や介護報酬のように、国会や政府が完全に決定してしまうもの。あるいは認可、電気料金やタクシー料金のように、政府が事業者からの申請を認可するもの。あるいは政府に届出をするだけで良いもの。あるいは自治体が決定するもの、という分類がございます。

なぜ、このように関与するのかということにつきましては、一般的な財であれば需給の均衡に従って取引を行うのが最適だということになるのですけれども、例えば設備投資が必要な場合、自然独占という状況、あるいは電気や郵便のような、全国あまねく公平なユニバーサルサービスを提供する場合については、何らか規制しなければいけないという理由がございます。

このような公的機関が関与する公共料金について、どのような考え方で進めていくのかということにおきましては、消費者基本計画において、その基本的な考え方が書いてあるところでございます。決定過程が透明であるのか、消費者の参画の機会が与えられているのか、それから、料金の適正性の確保がされているのかという3本の柱がございます。これに基づきまして、消費者庁におきましては、料金の設定あるいは変更などの申請が各省庁を通じて来た場合は、協議させていただき、そのうち重要なものについては、消費者委員会で御審議いただいた上で、物価問題に関する関係閣僚会議に付議するということでございます。東京都23区のタクシー料金についても、物価問題に関する関係閣僚会議に付議する案件と整理されます。

具体的なスキームが3ページでございますけれども、これは鉄道会社の例でございます。各省庁においても、我々の示したような考えに基づきまして、各省庁のほうで我々へ持ってくる案を固めるということでございます。我々においても、重要なものについては、消費者委員会の御意見を賜って物閣にかけるという図が、このようなスキーム図で描かれているということでございます。

5ページが閣僚会議のメンバーですけれども、これは省略させていただきまして、公共料金の例でございますけれども、先ほど御説明しました物価問題に関する関係閣僚会議に付議する公共料金の例。つまり、これは消費者委員会にお諮りする公共料金の例でございます。総務省においては、定形郵便物あるいはNTTの固定電話、たばこ、あるいは電力の供給約款料金、ガス、JR、バス、それから、東京都特別区に係るタクシーといったものがあるということでございます。

直近の状況については、先ほど委員会のほうからもありましたが、このようなところでございまして、本日のお話というのは、平成28年12月20日に、東京都23区の運賃の組替えをしたときの議論に基づくフォローアップになるということでございます。

簡単ではございますが、以上でございます。

○野村座長 どうもありがとうございました。

ただいまの消費者庁様の御説明について、御質問、御意見、ございませんでしょうか。御意見のある委員の方、名札を立てていただくと助かります。

では、お願いいたします。

○古賀委員 今期もどうぞよろしくお願いいたします。

6ページの共管事項に関する件ですけれども、今回、定形郵便とバス・タクシーの消費税増税に伴う値上げについては、たしか6月、8月に議論をこちら調査会のほうでさせていただいたと思うのですけれども、今後、消費税に関することでは、この項目の中には議論する項目はないという理解でよろしいでしょうか。

それと、財務省のたばこのほうは、50%を超えなかったので、このたばこも今回対象にならないということでいいのでしょうか。

もう一つ、経産省の供給約款料金というものがございますけれども、これは今後もこちらのほうで共管事項として取り組んでいくという理解でよろしいでしょうか。

○消費者庁大森参事官 3点まとめてお答えいたします。

まず、消費税につきましては、去年8月に委員会のほうで議論賜りまして、JR北海道につきましては、たしか継続してフォローアップするという宿題を頂いていると理解しております。

それから、たばこにつきましては、御指摘のとおりでして、50%を超える場合に限るというのがございますので、この条件に関わらない限りは閣僚会議に付議されないということになります。

それから、最後の電力につきましては、供給約款料金とございまして、確かに現在議論されている経過措置料金というものがございます。電力については、自由化となった状況でございまして、ただし、現在、大手電力会社は経過措置として規制された供給約款料金がそのまま維持されているという状況であります。状況として、これは経済産業省の別の審議会でも議論しているところでございますけれども、例えば新電力と旧電力間の競争環境が十分に整備されたと判断されれば、公共料金として、前提になっている供給独占とか、そういう状況でなくなってくるということでございますので、そうなってくると公共料金から外れていくということになってございます。

ただ、今の段階においては、経過措置料金は継続中でございますので、現状、もしも上げるということになれば、この関係閣僚会議に付議するということになります。

○野村座長 よろしいでしょうか。ありがとうございます。

その他、いかがでしょうか。スライドは、個人モードにすれば前後できるようでございます。

ないようでしたら、消費者庁様の御説明を終わりたいと思いますが、よろしいでしょうか。

≪3.東京都特別区・武三地区のタクシー運賃組替えの事後検証について≫

○野村座長 そうしましたら、引き続きまして、「東京都特別区・武三地区のタクシー運賃組替えの事後検証について」という審議に入ってまいりたいと思います。

まず、本件の経緯につきまして、事務局から御説明を頂き、その後国交省様から御説明いただくという段取りで進めたいと思います。

そうしましたら、金子参事官のほうから御説明をお願いいたします。

○金子参事官 まず、私から、経緯につきまして、お手元の資料3に基づきまして御説明いたします。

最初のパラグラフ、基本計画の工程表の記述を引いてございますけれども、「2017年1月から初乗り運賃の引下げを実施した東京都特別区・武三地区のタクシー運賃については、物価問題に関する関係閣僚会議での決定事項を踏まえ、運賃組替え後3年以内に、事業者の運送収入の状況や運賃の妥当性、運賃組替えの手続等について、丁寧な事後検証を実施する」とされているところでございます。

また、その経緯ということでございますけれども、3年前にタクシー運賃の組替えの議論をしたときの取りまとめの内容でございますけれども、当専門調査会で取りまとめていただいた意見としまして、「組替え案の実施に当たっては、国土交通省において、丁寧な事後の検証や、負担が増加する中長距離利用者への対応等を行うことが必要である。また、消費者利益の増進を一層図る観点から、国土交通省は留意事項に関する対応についても事業者と協力して併せて実施すべきである」とした上で、この専門調査会は「検証に必要なデータ等が整った段階で、国土交通省による対応状況等についてのヒアリングを含め、運賃組替え後の状況の検証を行うこととしたい」とされているということでございます。

それで、このたび、このタクシー運賃の組替え後の状況の事後検証を行うという必要が生じているというところでございます。

以上でございます。

○野村座長 ありがとうございます。

そうしましたら、国土交通省様の御説明をいただき、ヒアリングということでございますので、こちらから質問させていただくということにしてまいります。

どうぞよろしくお願いいたします。

本日、早船旅客課長、角谷地域交通対策官、齋藤タクシー事業活性化調整官、山本乗用運賃係長に来ていただいております。

すみませんが、早船様からよろしくお願いいたします。

○国土交通省早船旅客課長 国土交通省自動車局旅客課長の早船と申します。バスやタクシーを担当しております。

本日は、タクシーの運賃が議題に上がっておりますけれども、タクシーにつきましては、もう御存じのとおり、ドア・ツー・ドアの公共交通機関ということで、消費者の方々の非常に身近な存在であると思いますし、タクシーの側からすると、消費者の方、利用者の方あっての交通機関でございますので、そういった消費者利益の増進といったことが本当に大事な課題であると思っております。本日は、御指導を賜れればと思っております。

それでは、説明のほうに移らせていただきます。

資料4に基づきまして、御説明させていただきます。

1ページから御説明いたします。東京のタクシー初乗り運賃の引下げの経緯、概要につきましてでございます。平成28年4月から7月にかけまして、東京のタクシー初乗り運賃の引下げに係る改定申請がタクシー事業者のほうからなされまして、国土交通省におきまして運賃改定の審査を実施いたしました。この審査結果につきましては、消費者庁との協議、内閣府消費者委員会での審議等を経まして、平成28年12月20日に物価問題に関する関係閣僚会議の了承を得て、新運賃を公表し、平成29年1月30日から利用可能となっております。

この新運賃ですけれども、下の図でございます。もともと東京のタクシー初乗り運賃につきましては、2キロメートルを初乗りとして730円という運賃でございました。その後、2キロメートルを過ぎた後には、280メートルごとに90円ずつ加算されてまいります。若しくは、時速10キロメートル以下で105秒たったときに、更に90円という形で、時間・距離併用制運賃というものでございます。

その運賃につきまして、まず初乗りを1.052キロメートルといたしまして、その運賃を410円といたしました。その後、237メートルごとに80円ずつ加算されていきまして、従来の初乗りの2キロメートルになりますと410円から80円ごと加算されていきまして、320円足されて従来の初乗りと同じ730円になります。この部分は、従来730円から安くなる部分でございまして、正に2キロメートル以下の近距離の利用者の方にとっては、運賃引下げということになります。

その後、先ほど237メートルごとに80円上がると申し上げました。その237メートルごとに80円という値は、従来の加算運賃は280メートルごとに90円でありましたので、距離当たりの料金はわずかに新運賃のほうが上回ります。そういうことで見ますと、加算料金が積み上がっていくと、従来運賃よりもどんどん高い運賃になるということでございます。ただ、2キロメートルから6.5キロメートルまでの運賃につきましては、どうしてもタクシー運賃は10円ごとの運賃でやっていますが、80円、90円というところで加算していきますので、階段状になっているものですから、その距離に応じて引上げになるときと、若干下がるときと、そこはまだらになっておりますけれども、6.5キロメートルを過ぎると現行運賃よりも新運賃のほうが確実に上回っていく。そのイメージを図で示したものでございます。

新運賃の赤い部分が従来運賃の青の点線よりも2キロメートルまでは安くなり、2キロメートルから6.5キロメートルまでは階段状に行きますので、現行運賃と新運賃のどちらが高いかというのは交互にやってまいりまして、6.5キロメートル以上では赤の新運賃のほうが上がっていく。そういう意味では、全体で見ますと、近距離の利用の部分につきましては、タクシー事業という側から見ると、運賃引下げでございますので、減収ということになります。一方で、青に塗った部分ですけれども、特に長距離利用者の分というのは値上げという形になりますので、タクシー事業から見ると増収ということになります。

今回の運賃では、この減収分と増収分が釣り合うように、全体の運送収入が変わらないという考え方で運賃を設定いたしまして、そういう意味で、運賃の組替えですという説明をしております。

それを表で比較してまとめたのが2ページでございます。一番上の青色の表が運賃組替え前の運賃でございます。タクシーは、幅運賃を設定しておりますので、一般的に従来運賃730円と言っておりますけれども、その幅の中で設定できますので、730円は上限でありまして、730円、720円、710円と、下限の700円まで設定が可能でございます。

こういった組替え前の運賃に比べて、真ん中の赤の表が運賃組替え後の運賃になってまいります。

そして、一番下の緑の表でございますけれども、これは昨年10月の消費税率改定によりまして、消費税率の上乗せ分、すなわち税率108分の110を限度といたしまして、消費税を運賃に転嫁した結果、平成29年1月30日からの運賃に、初乗りで言いますと10円上乗せしておりまして、加算運賃につきましては、距離が237メートルごとだったところが233メートルごとという形で、これら全体で、先ほどの108分の110の中におさまるように現行運賃は設定されてございます。

続きまして、3ページでございますけれども、こういった初乗り距離短縮運賃を導入したときの対応状況でございます。ここでは、まず本省、それから関東運輸局において、プレスリリースなど周知活動をしっかり行っております。また、事業者団体などに対しまして、こういった運賃組替えの実施に当たっての留意点を通達により明示しております。具体的には、利用者に対してしっかり周知すること。その際には、特に利用者に対して、安くなる点だけを周知しないよう、そこを明確に指導しております。この点、平成28年のときのこの専門調査会におきましても、中長距離利用者に対する周知もしっかり行うよう、御意見を頂いております。こういった点に特に留意して取組を指導しております。

その周知手段として、新聞、ホームページ、リーフレット、立て看板、ポスターといった様々な手段を使って周知を行っております。また、トラブル防止のための乗務員教育や街頭指導を実施すること。また、導入後、継続的に利用者アンケートをするよう指導しております。そういったことに対しまして、事業者団体のほうにおきましては、こちらもプレスリリースを行うとともに、車内・車外にステッカーなども使って実施内容を掲示し、またタクシー乗り場におきましては、利用者に対してリーフレットなどを配布しております。また、ドライバー用にはQ&Aを作成いたしまして、これによって利用者への説明ぶりについて社内教育を実施して、また統一を図ってきたところであります。

また、実施直後には、街頭指導ということで、乗り場などにおきまして、説明を求める方にはしっかり説明するとともに、タクシーの車両にステッカーなどが貼られて掲示されているかといったところの確認、トラブル防止といったことを行っております。

こういった対応によりまして、組替え導入後の利用者アンケートでは、一定の評価が得られております。こういった初乗り410円タクシーの取組について、「非常に良い」が29.5%、「良い」が34.7%ということで、良いほうの評価が約3分の2に当たるような評価を頂いているところでございます。

次、4ページでございますけれども、消費者の方の意見の反映ということでございまして、東京都特別区・武三交通圏と私どもは呼んでおりますけれども、この交通圏におきましては、タクシー特別措置法というものに基づきまして、協議会を年1回開催しております。そこには、地域住民・消費者の代表の方にも御参加いただいております。運賃組替え申請時にもこういった協議会を開催しておりまして、そのときには「初乗り運賃の低額化は望ましい」「チョイ乗り需要が増えたらいいと思う」といった意見を頂いております。

また、先ほど申し上げました毎年のアンケート調査でございます。その調査におきましては、運賃水準につきまして、どのように考えるか。左のグラフでございますけれども、同じ問いを平成28年、29年、30年と経年変化が分かるようにアンケートで聞いておりますけれども、「高いと思う」と答えられた方が年々減少しているような状況でございます。

また、利用状況についてのアンケートにつきましても、この組替え後の運賃になって利用頻度を比較して、若干ですが、増えていると答えている方のほうが多いという状況でございます。

また、このアンケートの中で、「その他意見(抜粋)」と書いてありますが、意見を頂戴しております。これらの意見を見ますと、これは抜粋でありますけれども、全般的には好評を頂いておりまして、それまでは高いと思っていたけれども、410円になって使いやすくなったという御意見が多いところでございます。気軽にタクシー利用ができるようになったという意見でございます。

ただ、悪い例のほうを御紹介しますと、最後のところにございますが、非常に近距離で乗ると、担当によってはあからさまに嫌な顔をされるといった、ドライバーのマナーの問題が指摘されておりまして、ここは課題の一つだと思っております。

続きまして、5ページでございます。この運賃組替えをどのように行ったかというものの説明でございます。この運賃組替えは、先ほど申し上げましたとおり、収入増を図って、すなわち値上げをしていくという通常の運賃改定ではなく、全体の収入が変わらないという組替えにするというものでございます。

もともと通常の運賃改定の手続につきましては、参考資料の30ページでございますけれども、タクシーの運賃につきまして、右上にありますように、様々なコストを積み上げまして、それに適正な利潤を加えて総括原価を求めまして、これとバランスするように収入を設定する。現在取れている収入が足りないのであれば、その分を値上げする。これがタクシーの運賃改定の手続の大まかな方法でございます。

ただ、今回は、その収入を上げる目的ではございませんので、ちょっと異なった進め方をしております。それを御紹介させていただきます。5ページに戻りまして、今回は一定の仮定を置いて算出しております。

まず、距離ごとの運送回数については変わらないと仮定いたしまして、その上で先ほど御説明したような、初乗りを約1キロメートル、1.05キロメートル、2キロメートルとして、そこから階段状に上がっていくといたします。そうすると、それによって減収するわけですけれども、それと釣り合うように加算料金を設定して、すなわち2キロメートルで同じ料金になるわけですけれども、その後の階段の角度を従来運賃より上げることによって、その分は値上げすることによって、減収分と増収分を釣り合わせるという計算をいたしました。それが真ん中にある表でございまして、運送回数は新運賃においても変わらないということ。そして、その運送収入も、従来のものを上回らないような運賃設定をしております。

この際に、先ほど総括原価方式の説明のときには、コストを一つ一つ積み上げる。収入は変わらないものといたしまして、これは収支差があると値上げが必要だという議論になりますので、コストについても据え置きと仮定しております。そういった形で現在も収入と支出がバランスしているという仮定を置いているものでございます。ですから、最後、③運賃改定の手続につきましても、収入とコストがバランスしているので、一つ一つ原価計算書を事業者に提出させて、その原価を詳細に積み上げる必要はないということで、原価計算書の提出を不要としております。

こういうやり方を導入しておりますけれども、6ページで、今回、このやり方がどうだったかということを検証するわけでございますけれども、検証のポイントにつきましては、先ほど消費者庁様から資料3につきましても御説明がありました。平成28年12月20日、物価問題に関する関係閣僚会議におきまして、運賃組替え後3年以内に、事業者の運賃収入の状況や運賃の妥当性、運賃組替えの手続等について、丁寧な事後検証を行うということになっております。

この御指摘を踏まえて、ポイントが以下の3点と考えております。

指摘にありました1点目、事業者の運送収入の状況ということですが、先ほど運賃組替えに当たっては、運送回数は変わらないと仮定しました。その上で、減収分、増収分を設定して、運送収入もトータルとして増減しないと試算しておりますけれども、その試算方法が妥当なものであったのか。実際、それでやってみて、運送収入はどうなったのかというところの検証が1点目でございます。

2点目は、運賃の妥当性というところでございます。今回、初乗り運賃を下げて、減収分はありますけれども、中長距離については値上げという形になります。そこだけ見るとバランスが取れていますが、この平成28年の御指摘の中では、運送収入はバランスを取るということですけれども、前回の東京での運賃改定は平成19年にやっております。その平成19年のコストの考え方が、改定していませんので、そのまま平成28年まで来ているわけですけれども、それまで、収入と先ほどのコストのバランスで、もし仮に収入が変わらずコストが下がっていれば、その分、利益を得ているかもしれない。そうなると、今回、収入をバランスさせたわけですけれども、別にバランスさせなくてもいいじゃないかということも考えられるのではないかという御指摘を頂いております。

といったことを踏まえまして、この中長距離分の値上げというものは必要なのか、不必要なのかを見るために、前回改定時、平成19年からコストが低下していないかを確認いたしました。

また、この運賃組替えをすることによって、例えば短距離需要は余り伸びなくて長距離需要が伸びたことになると、長距離分は値上げしていますので、収支がプラスになっているということも考えられます。そういったことがないかということで、運賃の妥当性を確認しております。この妥当性を確認するために、先ほど総括原価方式が運賃改定の手続でありましたけれども、それを簡易な方法で試算しております。これは、後ほど御説明させていただきます。

3番目は、運賃組替えの手続についての検証ですが、運賃組替えを簡易なやり方で行っております。それで原価計算書の提出も省略しておりますけれども、その手続が妥当だったかどうかの確認ということで、3点、検証ポイントを置かせていただきました。

そして、運賃の妥当性などを確認するために、それが正しかったかどうかをチェックするためには、総括原価方式で試算すると、これまた運賃改定手続と同じことをやらなければいけないわけですから、各タクシー事業者に詳細な原価計算書を提出させる。これは非常に負担になりますので、毎年度、タクシー事業者には、営業報告書、輸送実績報告書は、道路運送法に基づきまして報告義務があって、それを報告させていますので、そこで確認できる方法と、追加負担がない方法で確認することを目的にいたしまして、簡略な試算方法を採用しております。

具体的には、こちらにありますような、運送収入、車両修繕費、その他運送費は、保険料とか自動車関係の税とか、あと一般管理費、こういったものを本来の運賃改定の総括的な方式では、5年間のトレンドを踏まえて計算するのですけれども、これも直近の実績を据え置きました。

燃料費につきましては、燃料別の価格・燃費などから燃料ごとに算定いたしますけれども、これも営業報告書や輸送実績報告書では内訳が分からないので、燃料油脂費全体の実績値にデフレータを乗じて試算しております。

また、車両償却費、営業外費用につきましても、直近の実績を据え置いて試算しております。

続きまして、8ページからは実績のデータでございます。これは、平成18年度から直近の平成30年度が最新の私どもが持っている実績データでございます。東京のタクシー法人事業者のデータでございます。

真ん中の紺色の折れ線グラフが輸送人員のグラフでございまして、これはリーマンショックの際に輸送人員が非常に減少いたしました。そのリーマンショックの後は、リーマンショック前に比べて低いレベルのまま、横ばいぐらい、微減で推移しております。

一方で、運送収入につきましても、輸送人員に比例いたしまして、減少から横ばい、微減という状況でございます。

一方で、下から2番目の折れ線グラフ、延実働車両数ですが、これもリーマンショック後、減少しております。これは、人手不足ということもあって、減少が続いております。これは、今も実働車両数が減っております。東京につきましては、タクシー特別措置法という供給過剰対策も相まって減少しておりまして、リーマンショック後の頃から約2割、車両数が減少しております。

それに伴いまして、一番上のグラフ、実車率でございます。どれだけ実車で走っているか。逆に言うと、100%から引いた分は空車で走っているということでございますが、先ほどの実働車両数の低下を受けまして、車両数が減っているので、実車率自体はリーマンショックで落ちた後、回復しておりまして、リーマンショック前の数字にほぼ戻っているというのが東京のタクシー輸送の実態でございます。

そのタクシー事業者の経営状況でございますけれども、9ページです。こちらは、先ほどの総括原価のところで出てまいりましたけれども、コストに適正利潤を乗せたものと、収入を比べた数字でございまして、適正利潤込みの経常収支率につきましては、リーマンショックで大きく落ち込みましたけれども、そこから持ち直しておりますが、100%を上回る年度はないということであります。そういう意味では、先ほどの総括原価方式の数字で言いますと、若干の値上げ余地がある状況で推移しているというものでございます。

こういったところを踏まえまして、10ページでございます。これは、先ほどの検証ポイントに従いまして、同じものを考察ということでございます。先ほどの検証ポイント①、事業者の運送収入は、この組替えをした結果、どうなったのか。元の仮定におきましては、運送回数が100%で変わらない、そして運送収入も変わらないようにということで仮定を置いておりましたが、実績値、直近の平成30年度の数字ですけれども、運送回数につきましては、全体としては増減率で言いますと約2%減っております。運送収入につきましては、約3%減という状況でございました。

これは、全体の数字としては、残念ながら減ってはいるのですけれども、先ほど8ページにおきまして、運送収入自体が一番下の黄色のグラフですけれども、東京地区では年々減少しておりまして、減少トレンドの中で見ると、3年経ってみて、この数字というのは、もともとの仮定と大きく異なるようなものではなかったのかなと考えております。

参考資料の34ページがございます。今、申し上げたのは、運送収入全体の部分でございますが、先ほど申し上げましたように、実働車両数は減ってきております。その中で、1日1車当たりの回数がどうなったのか、1台当たりの収入がどうなったのかという結果でございます。全体の数が減った効果というのもあるので、これだけで判断はできないところでございますが、1台当たりで言いますと、左側の表で言うと、走行距離2キロメートル以下の部分の運送回数がかなり増えております。特に、410円で行ける部分については、導入前と比べて42.9%増えている。2キロメートル以下全体で言うと、20%増えている。値上げになる6.5キロメートル以上のところでも増えているという状況で、運送回数で言うと、1台当たりで見ると7.3%、全体で増えています。

一方、運送収入のほうで見ますと、値下げした分、2キロメートル以下は回数が増えても、収入的には1.4%の減。ただ、6.5キロメートル以上の長距離のところでは5.4%増という形で、運送収入を1台当たりで見ると4.1%増となっております。

35ページでは、2年目ということで、これは平成30年2月から平成31年1月までの数字でございまして、こちらも運送回数が5.5%増えて、運送収入が4.7%増えたという結果もございます。これは、全体の車両数が減ったこととの兼ね合いもありますが、こういう数字もあるので御紹介させていただきます。

元に戻りまして、続きまして、11ページでございます。ここは、検証ポイントの2点目、運賃の妥当性についての考察でございます。運賃の妥当性の関係では、1点目、まず前回改定時からコストが低下していないかどうか。コストが低下することによって、十分利益を得ていないかというところの確認でございます。平成19年度に前回、運賃改定をして、そのときに総括原価方式で収支の均衡を図っております。そのときのコストというのが、この表の左から2番目、赤枠で囲ったところが、1キロメートル当たりのコストに適正利潤も乗せた総括原価、181.8円になっております。

これを右の平成30年度の数字で見ますと、1キロメートル当たり203.7円となっておりまして、運賃改定をしたときのコストから、1割強、コストとしては上がっているということを、こちらで確認してございます。

続きまして、12ページ、検証ポイントにかかる考察②-2ということで、先ほどの運賃の妥当性の中で、今回の組替えを実施したことによって、収支がプラスになっていないか、そこを確認したものでございます。組替えを実施する前に、簡易な総括原価方式の試算によりまして、この組替えをしても収支はマイナスと、この赤枠で囲っているところでございますが、平成29年度試算値では11.46%マイナスという試算でございました。

それを平成29年度の実績値で見ますと、収支は若干改善しておりますけれども、引き続き3.33%のマイナス。平成30年度の実績値で同様に収支は2.98%のマイナスということで、当初の試算値における収支のマイナス状況からは改善してマイナス幅は減っているものの、収支がマイナスの状況は変わらないということを、こちらで確認しております。

こういったことを踏まえまして、13ページで、私どもの考察結果ということでございますが、事業者の運送収入の状況という意味では、試算どおりに運送回数・運送収入が100%で変わらないとはならず、若干下回る結果となりましたけれども、今の運送収入の減少トレンドから見ると、大幅にそこが違う数字が出たというものではないものと考えております。

また、運賃の妥当性という点におきましても、前回の運賃改定、平成19年のときと比べてコストが上回っておりますので、その分、何か利益を得ているというものではないということで、今回、中長距離の分の値上げが必要ないわけではないということを確認しております。また、今回の組替えによりまして、もともとの試算値よりは収支が改善しておりますけれども、引き続き、収支がマイナスの状況は変わらないということを確認いたしましたので、この運賃の組替えは問題なかったものと考えております。

そういった運送収入、運賃の妥当性といった考察から、今回組替えに当たって、本来の運賃改定手続に必要な原価計算書の提出を省略いたしまして、簡易な形で行いましたけれども、この手続についても問題ないものと私どもとしては考えております。

以上が初乗り距離短縮運賃の効果検証でございます。

続きまして、平成28年12月の専門調査会におきまして、こういった運賃組替えのみならず、タクシーのサービスの利便性につきまして、しっかり向上していくよう、必要な対策を講じていくべきという御意見を頂いております。この点につきまして、今、タクシーが取り組んでいる進化に向けた様々な取組を御紹介させていただきたいと思います。

14ページでございます。この14ページは、組替えの直前、平成28年6月に、全国ハイヤー・タクシー連合会が、タクシーサービスの向上に向けて、今後新たに取り組む事項として、11事項、表明しております。

この中の、正に1番に、平成29年1月から導入しました初乗り距離短縮運賃が規定されております。これは、平成29年1月から実現したものでございます。今、東京の導入効果というものを説明しましたけれども、ほかの名古屋、福井、京都でも順次導入されております。また、明日、2月1日から、全国のほぼ半数の地域で実質的な運賃改定がなされます。その中でも、この初乗り距離短縮運賃が各地で導入されておりまして、全国で運賃ブロックが99ございます。全国を99に分けておりますけれども、その中で30を超えるブロックで、この初乗り距離短縮運賃が導入されることになります。特に、こういった距離短縮の効果が大きい都市部を中心に、初乗り距離短縮運賃を導入する動きが非常に広がっております。

既に導入されているところでは、効果の検証というものが幾つか始まっております。ただ、東京以外の導入効果で言いますと、東京は運賃の組替えという形で、収入が変わらない形で行いましたけれども、東京以外では値上げとセットで行って、全体のレベルが上がる中で初乗り距離短縮運賃を導入しておりますので、効果を証明しにくい部分はあるのですけれども、例えば京都市におきましては、従前と比較しまして、初乗り距離未満の運送回数が2%増加したという報告を受けております。

今回の11項目の全国ハイヤー・タクシー連合会の導入ですけれども、1から5までは運賃料金に関わる項目でございます。具体的には、初乗り距離のほかには、相乗り運賃、事前確定運賃、ダイナミックプライシング、定期運賃タクシーということでございます。ここは、詳細をこの後で御説明させていただきます。

ほかにも取組事項といたしまして、6ポツにありますような相互レイティング。これから配車アプリが導入されてきますと、具体的にドライバーがどういうサービスだったのか、アメリカのUberなどではこういう相互評価みたいなものが入っておりますけれども、タクシーにおいてもこういったことができて、選択できるようになる仕組みでございます。また、ユニバーサルデザインタクシーの導入。それから、タクシーの車体を使った広告。それから、タクシー業界も今、人手不足、特に若者不足で、第2種免許取得要件の緩和。また、訪日外国人等の富裕層の需要に対応するためのサービス。それから、乗合タクシーの導入といったことをしております。この内容については、この後、追って御紹介させていただきます。

また、それに加えて、昨年6月にこの11項目に、15ページですけれども、追加9項目ということで、MaaSへの参画、自動運転技術の活用、キャッシュレス決済の導入、子育てタクシーの普及。それから、ユニバーサルデザインタクシーの配車体制の構築。働き方改革にも対応した職場環境の向上。それから、労働力確保対策の推進、災害時の対応、タクシー産業のアピールといった事項を表明しております。

これらの内容につきまして簡単に紹介いたしますけれども、事前確定運賃につきましては、昨年10月に導入しております。既に29地域で導入されております。料金が事前に分かることによって、利用に当たっての不安感を解消するという仕組みでございます。

ほかには、相乗りタクシーによって、安価に移動できるようにするということで、こちらは今年度内に制度を策定しようと考えております。

続きまして、18ページにおきましては、変動迎車料金という形で、時間帯ごとに迎車料金を変えることによって、様々な潜在需要を喚起させようというものとか、定額タクシーによりまして、一定期間、定額で乗り放題とするような仕組み。これも、本年度中にルールの整備を図ることとしております。

また、19ページでは、ユニバーサルデザインタクシーの導入。これも、東京などでは非常に数が増えてきております。

20ページでは、今年、オリンピック・パラリンピックがあります。訪日外国人の方への対応の向上ということで、言葉や決済の不安解消などといった様々な取組を今、進めているところでございます。

ほかにも、21ページでは、国内の配車アプリの普及ということで、既に東京では法人タクシーの8割以上を配車アプリがカバーしております。

22ページでは、更に海外配車アプリとの連携ということでございまして、外国人の方が自国で使っているアプリのまま、日本でも配車サービスができるように、海外アプリ事業者とタクシーとの連携が進んでおります。

その他、23ページでは、優良タクシー乗り場という形で、優良なドライバーしか入れないようなタクシー乗り場を各地で設置しております。

24ページは、東京駅八重洲口のタクシー乗り場の改善の状況。

25ページは、タクシー業界の様々な研修制度。それから、優れたドライバーの認定制度がございます。

26ページでは、人手不足に対応した働き方改革の実現に向けた、業界側の各種アクションプランの内容でございます。

最後に、27ページですが、法人タクシーのみならず、個人タクシーにつきましても、個人タクシー協会がそれぞれ取り組むべき内容を作っております。利便性向上に向けた目標を設定して、法人タクシーと連携して様々な取組を進めているところでございます。

雑駁でございますが、以上で私からの御説明とさせていただきます。

○野村座長 ありがとうございました。

ボリュームある内容でございますので、若干整理させていただきたいなと思いますのは、項目は二つございました。最初、初乗り距離短縮運賃の効果検証というのと、後半部分で御説明いただいたタクシーの進化に向けた取組等。これから御質問をいただきたいと思いますが、できるだけ前半部分の効果検証というところから御議論いただきたいと思っております。

○金子参事官 1点、委員の皆様にお願いということでございますけれども、事前にお送りしました資料から、本日、国土交通省に御説明いただきました資料4、若干のバージョンアップがございますので、お手元の資料か端末に入っている資料、同じものでございますので、それに基づいて御議論いただければと思います。

○野村座長 ということで、本日配付されている資料4を中心に御議論いただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

では、寺田委員、お願いいたします。

○寺田委員 どうもありがとうございます。東京海洋大学の寺田です。

細かい質問になるのですけれども、資料4を頂きまして、例えば8ページの資料ですと、実車率がちょっとだけ上がっている。あと、距離別の利用の増減とかを頂きましたけれども、実際の問題として、短距離利用が促進される時間帯があろうかと思います。もともと朝の時間帯に、東京のタクシーですと乗務員の交代で供給が少なくて、通勤とか一部通院とかでそういう時間帯の利用が増えている中で、もしかすると、そういう利用層が短距離割引で利用が増えていると思います。そういう方が利用したいと思っても、タクシーがその時間帯にもともと足りないということがあるのではないかと思うのです。

朝の時間帯のタクシー不足問題みたいなものが加速していないのかどうか。もし何かお調べになっておられれば教えていただければと思うのですけれども、以上です。

○野村座長 お願いいたします。

○国土交通省早船旅客課長 ありがとうございます。

朝の時間帯のタクシー不足問題というお話。実際に、最近、特に朝の時間帯にタクシーがつかまりにくいのではないかという声が、朝、足りなくなっているかどうかというのは数字で把握できていなくて、何か持っているわけではないのですが、そういう声をよく聞くことがございます。短距離の利用者がどの時間帯に使われているかも、時間帯に取り分けられておりませんので、数字で持っているわけではないのですけれども、ドライバーの方などからの声を聞く限りでは、朝の時間帯に短距離を使われる方が多いという声も伺っております。

その上で、朝の時間帯にタクシーが不足している。これは、もちろん需要が多いということもありますけれども、供給の側からすると、ちょうどその時間帯にタクシーの夜勤の人とのシフト交代ということもあって、タクシーが不足している可能性もございます。という中で、利用者の方が使いたい時間帯に足りないということでは、利用者利益に反することだと思いますが、今、シフト交代の方式なども何か見直せないかといったことも含めて、特に東京で言いますと、夏にオリンピック・パラリンピックがございます。その頃に様々な需要が出てきたときに、しっかり対応できるようにしなければいけませんので、協会側ともしっかり検討していかなければいけないと考えております。

もちろん、すぐにはというわけではありませんけれども、先ほど若干御紹介いたしました相乗りタクシーを今年度中にもルール化しようと思っておりますので、それは一つ、混雑時間帯の需要をうまく吸収する。制度を始めて、すぐにそれがどこまでワークするかというのはありますけれども、そういったことも取り組んでいきたいと思っています。

○野村座長 よろしいですか。

○寺田委員 はい。

○野村座長 ありがとうございます。

追加で、データ的に時間帯でというのはお持ちでしょうか。

○国土交通省早船旅客課長 時間帯に分かれて、この距離短縮が使われたかというのはございません。

○野村座長 分かりました。

どうぞ。

○白山委員 3点ほどございます。

まず、10ページの考察のところでございますが、前回、この調査会のほうで簡易な方式を認めたのは、運送収入の増減に関する試算の手法の向上を図るという前提だったと理解しておりますが、仮定の妥当性のところで、「仮定と異なる結果が見られたにもかかわらず」と書いてあります。平均減少率2%程度と同等であるならば、トレンドをもし測るならば、試算の向上のところでトレンドを加味する方法もあると思うのですけれども、その辺について、どう思われるのかというところが1点目です。

それから、11ページのコストのほうの関係でございますが、キロ当たりのコストを算出して、キロ当たりのコストが上がっている。だから、いいのだという理屈。コストは上がっている、低下は認められないのだという理屈でございますが、キロ当たりに換算しますと上がる可能性は、タクシー業界の場合、費用に占める固定費の割合が多いわけですから、走行キロ数が減っていますとキロ当たり単価が上がるのは当たり前で、コスト低下が本当になかったのかどうか、これで立証できるのかというのが非常に疑問なところです。

3点目、12ページですけれども、考察の②-2です。平成29年度、試算値と実績値の比較を出されておられますけれども、通常、簡易な方法とか予測とか試算などの適切性を検証する場合に、原価計算的な考え方からは予定と実績の差異の分析ということになりますが、各項目ごとの差がどうで、その要因が何だったのかということを分析した上で試算値の計算方法等の検証が必要なのですが、国土交通省では試算値と実績値の差異分析などはされたのでしょうか。その上で、試算に使ったデータの前提が正しかったのかどうかという検証をやるというのが、予定と実績の差異の分析の常道ですが、この辺についてはどういう御検討をされたのでしょうか。

この辺がないと、コストの低下が本当にあったのか、予測の試算の方法が正しかったのか、仮定が適切であったのかどうかという判断が、普通はつかないのではないかと私は思うのですが、この辺について御意見を伺いたいと思います。

○野村座長 お願いいたします。

○国土交通省早船旅客課長 ありがとうございます。

まず、10ページで申し上げますと、運送収入100%を目指していたところ、そこが100%になるのではないかと計算していたところ、これは下回って、それは減少トレンドという説明をさせていただきました。正に、そういった意味では、こういったトレンドを加味して考えないと正確な数字が出ないのではないかというところは、御指摘のとおりだと思っておりますので、ここは今後の試算におきまして、そこまでのトレンドを加味して、もともと考えることができた部分ではないかと思いますので、そういったことを加味して考えることを検討していきたいと思っておりますが、減少トレンドを余り加味していくと値上げになる。

○白山委員 消費者にとっては良くないです。ただ、試算の仮定の検証という意味では、その辺も考えていかないと、本当にこの簡易な試算で良かったのか。値上げではございませんので、厳格な意味での総括原価の、原価計算を取るのが大変なのは重々承知しておりますけれども、今回のポイントは、簡易な計算で良かったのかという話なので。

○国土交通省早船旅客課長 正に、今も御指摘ありましたけれども、一方で、決してこれは値上げを当時しないというのが一つの前提でもございまして、そこを達成することとの両面を見る形でやった結果でもございます。今後、こういったことがあるときにも、そういった値上げとならない。どうしていくかということは、一方で置きつつ、正確な試算を行う。その両面を見て検討していくべきものかなと思っております。

それから、2点目のキロ当たり単価だけでは、正確なコスト上昇が判定できないのではないか。これだけの部分で見るというのは、これだけでは足りないというのは御指摘のとおりだと思っております。今後、課題として、全体の総走行キロが減っていることも踏まえて、よく検証したいと思っております。

それから、3点目の各コスト項目ごとの検証ですけれども、ここについても全体で検証いたしましたけれども、一つ一つの数字というところでは、まだ十分検証ができていないものでございますので、そこは一つ一つ検証していきたいと思っております。

○野村座長 よろしいでしょうか。

○白山委員 「検証していきたい」という趣旨の御発言は、検証した結果を当調査会に御報告いただけるという理解でいいのですね。

○国土交通省早船旅客課長 事務局とも御相談しまして、御報告させていただきたいと思っております。

○野村座長 古賀委員、お願いいたします。

○古賀委員 御説明、どうもありがとうございました。

白山委員の1番目の御質問と同じ趣旨のことをお聞きしようと思っていたのですけれども、今回の国交省さんの考察結果、13ページにまとめていらっしゃるのですけれども、「簡易な手続の前回の組替えのやり方が妥当であった」という結論を出すためには、事後検証としては、正確な数字と実績に基づいた検証というのが必要ではないかと思います。

こちらの10ページで、試算と実績の増減率という点については先ほど白山委員が御指摘されたところですけれども、ここで161億円と156億円の差が大きいと見るか、小さいと見るかですけれども、ここで試算と実績において、一つは、補正のようなものをかけるというやり方もあるのではないか。実際には、運送料とか運賃収入とか、いろいろな運賃の妥当性も含めて、この試算の基準を見直しする必要がある。そうでなければ、簡易な方法によって、この方法が妥当であったと言うことは少し難しいのではないかと思います。

それから、13ページで、平成18年から30年度の実績を基にした平均減少率と同等程度であるという御評価ですけれども、今回、3年を経た運賃組替えのときに試算したものと、それから、今回の実績において組替えのときの計算方式が妥当だったかどうかということを考えるべきなので、平成18年まで遡るのは、評価基準としては少し古過ぎるのかな。むしろ、2017年度から組替えが始まったわけですから、この2017年と平成30年の実績値を比べた上で、この方法で、先ほど言われたように、値上げをして良いという結論になってしまっても、それは消費者にとって非常にまずい面もあるのですけれどもね。

今回、この考察の方法で妥当だったとしても、ある日突然、値上げすることが妥当だという動きが出てくるとも限らないので、そのときに消費者にとって不意打ちになるような御説明では困るので、ここのところは、実績値に基づいて、ここの試算方法は問題ないという断言は、調査会としてはちょっと受け入れがたいなと感じております。

それから、全体の物価指数変化ですね。例えば、平成18年と比べた場合には、物価の上昇率といったものも加味した上で説明を付加していただけるとありがたいなと思います。今のが1点目です。

それから、二つ目ですが、ちょっと遡って恐縮です。1ページ、2ページで初乗り運賃の引下げ当初のとても丁寧な図と、2ページ目に、先日要望いたしました消費税増税後の運賃というものを加えていただきまして、どうもありがとうございました。とても分かりやすくなったと思いますが、緑の部分の現行の10%になったときの運賃を、例えば1ページの表に割り当てると、新運賃の概要という説明は、今でもこの説明で正しいというか、妥当であるとお考えかどうか。

つまり、最初の消費税増税前の2キロメートルまでは運賃引下げで、2キロメートルから6.5キロメートルまでは、引下げになる部分と引上げになる部分がある。それから、6.5キロメートル以上の運賃は引上げとなっていたのですが、前回の組替えのとき、4.1キロメートルまではという話もありましたので、ここの新運賃の概要の説明、消費税増税後もこの説明で正しいのかどうかということを教えてください。

○野村座長 よろしくお願いします。

○国土交通省早船旅客課長 1点目の点は、白山先生からも御指摘を頂きました。そういった正確な数字の検証といったことを踏まえて、こういった組替え手続の妥当性についての評価をすべきという御意見と承っております。そういったことをよく受け止めて対応したいと思います。

2点目につきましてですが、消費税率改定後の現行運賃との比較ということですけれども、すみません、何と比較して言えるかどうかということでしょうか。

○古賀委員 すみません、説明不足でして。

現行運賃がグラフの青の線になっていると思うのですが、この現行運賃は8%当時の数字のものでございますね。これが消費税10%の場合も、これとほとんど同じと考えていいのかということですが。

○国土交通省早船旅客課長 もちろん、消費税増税分を上乗せしていますので、全体として初乗り運賃が10円上がったこと。それで、全体が10円分、上にスライドしていることと、加算運賃の距離が短くなる。早く値段が上がっていきますので、そういう意味では、この青の線よりも上になる部分が大きくなるということだと思います。もともとの青と赤での比較で、6.5キロメートル以上の運賃は引上げになると思いますけれども、青のラインと比べると、今回の緑の現行運賃が上回る部分は当然多くなるので、6.5キロメートルというのは多分もうちょっと下に来るのだろうと思います。

○古賀委員 正確な試算というものはないということですね。

○国土交通省早船旅客課長 すみません、そことは比べていないです。

○野村座長 どうぞ。

○林委員 私の質問は、3ページ、4ページに関してですけれども、消費者への新運賃導入のプレスリリースとか、いろいろお書きになっていて、御努力の跡はすごくよく分かるのですけれども、本当に皆さん、何の混乱もなく、スムーズに理解していただけたのかどうかということを検証なさったのかどうか、ちょっと教えていただきたいことです。

もちろん、メリット、デメリットのことになると、景表法の関係もございますので、それは絶対やっていただいているとは思うのですが、消費者は本当に読まないのです。いろいろな周知をしても、私どもが仕事をしていても、本当に知らない方は、これだけ書いてあるじゃないかという状況の中で、読んでいない方は本当に多いので。例えば、安くなった分はいいのですけれども、高くなった分についてのトラブルは本当になかったのかなとちょっと思ったので、お聞きします。

あと、4ページに「地域住民(消費者)」と書いてあるのですけれども、こちらはどのようなメンバーが消費者代表として入っていらっしゃるのかというのがちょっと疑問なのです。選び方によっては、消費者代表というより、ただの数合わせ的なアリバイ作りに使われることが非常に多いので、どういった方がこちらに入って、実際にやっていらっしゃるのかというのを聞きたいなと思います。

以上です。

○野村座長 お願いします。

○国土交通省早船旅客課長 まず、1点目の消費者の方からの、今回、特に値上げ分についての反響といいますか、そこについて、きちんと理解し、かつクレームも含めてということですけれども、私どものほうでは、今回、初乗り短縮運賃ということで、値上げ分もありますということを周知してくださいという形で、リーフレットにも書かせて、その結果として、これは当然長距離利用者の方にとっては値上げになるわけですけれども、それについてのクレームといったことはほとんど聞かないというのが実態でございます。

先ほども距離ごとの数字、あれは1台当たりのということですけれども、思ったより影響が大きく出ていないということもございまして、そこについては、皆さん、不満がたまっているといった声が聞かれたということは、私どもとしては把握していないです。

2点目の、4ページで御紹介しました東京都特別区・武三交通圏の地域協議会におきましては、こちらの協議会で選定しているメンバーとして、一般社団法人くらしのリサーチセンターの方、それから公益社団法人全国消費生活相談員協会の方、それからタクシー利用者の会、おそらく地域の団体の方だと思いますけれども、そういったところの代表の方に御参加いただいております。

○野村座長 よろしいでしょうか。

1点目、追加で私から尋ねたいのですが、協会さんのアンケート実施のものを引用されているのですが、どこでアンケートしたのかということが明確になっていない。それから、母数がどれくらいであったのかというのがないと、このパーセンテージを見ても信憑性が確かかという疑問が出てしまいますので、そのあたりも今後、どこで、いつ、どういう手法を使ったのか。母数がどれぐらいであった、回答率がどれぐらいであったということもできれば見せていただくと、我々が理解しやすいと思います。

最近、学生たちもウェブを使ってアンケート調査というものがかなり安易にできる方法も出ておりますが、今回の問題点は、タクシーを本当に利用しているヘビーユーザーなのか、乗る気はあるのだけれども、乗っていない方が答えてしまっているのかとか、そのあたりも気になるところでございます。それを満遍なく平均的に取れば一番良いのかと思うのですが、そのあたりも偏りのないアンケートの回答を期待しております。

ほかに。では、お願いいたします。

○古賀委員 すみません、今のアンケートについて関連でお尋ねしたいのですけれども、4ページのまとめていただいたところを見ると、初乗り410円にして以降、一般的に増えた人たちというのがオレンジと紫と青の部分で、13%ぐらい、1割強という感じになっているのですけれども、「ほとんど変わらない」というのが過半数で、無回答の方もいるので、このアンケートでは中距離以上の方、ヘビーユーザーの方の意見というのは余り入れられていないのかなと感じました。

それで、参考資料のほうで頂いている34ページ、35ページを見ると、短縮運賃によって、確かに走行距離が短いところは、収入はそんなに上がらなかったけれども、乗車率は増えているという傾向があって、それから、走行距離が6.5キロメートル以上のところは余り変わらないけれども、収入としてはここが増えているという、ざっとの見方ですけれども、できると思うのです。そうすると、今後、収入を上げていくためには、中距離のところが過大に値上がりする可能性というのも結構あるので、その辺のことの広報も今後していただいておくことも必要なのかなと思います。

それから、運賃改定においては、そこのところの広報も考慮していただくということをお願いしたいです。

それから、消費税引上げのときに、8月の専門委員会からの意見で、「今回の区域における各事業者の運賃届出の結果によるタクシー運賃の引上げ状況について、国交省において把握されたい」という意見を出していると思うのですけれども、こちらのほうの届出の状況の結果、運賃引上げ状況についてのデータというのは、もし集約されているとか、結果が出ているのでしたら教えてください。まだでしたら、出たら教えていただきたいと思います。

○野村座長 お願いします。

○国土交通省早船旅客課長 まず、1点目でございますけれども、34ページ、35ページは、1台当たりのものということで、車両数が減っていることによる影響というものもございますので、これだけで長距離の部分が伸びているかというのは、なかなか言いにくいのかなと思っております。一定の参考として、今後考えていきたいと思っております。

それから、すみません、2点目の運賃届出の。

○古賀委員 そのまま言います。運賃届出の結果によるタクシー運賃の引上げ状況については、国交省において把握されたいという意見を出していたと思うのです。

○国土交通省早船旅客課長 去年の8月の消費税の。

○古賀委員 あの時点では、調査会は消費税の転嫁は適正だったという意見を出したのですけれども、そのときに、国交省さんのほうで、もし届出が出てきて、その後の運賃引上げ状況について調査されているのであれば、それを教えてほしいという要望も出していたと思うのですが、今お持ちでなければ、後日で結構です。

○国土交通省早船旅客課長 今、持ち合わせておりませんので、また御回答させていただければと思います。

○野村座長 お願いいたします。

大石委員、どうぞ。

○消費者委員会大石委員 御説明ありがとうございました。

幾つか質問をさせてください。

2ページの東京のタクシーの運賃の比較表についてです。上限から下限まで4段階あって、多分一番高いところにほとんどの事業者さんが存在するのではと思うのですけれども、この割合をもし把握されているのであれば、現行の運賃のところで420円から390円までの事業者さんの各割合を教えていただければありがたいというのが1点。

あと、これは基本的な質問ですが、総括原価についてです。私が最近、タクシーに乗って感じるのは広告が増えたことで、ほとんどのタクシーに映像が掲げてあって、ずっと流れているのを見ると、広告収入というのはタクシーではかなり増えているのではないかと思うのです。この収益のどこにその広告収入というのが入って計算されているのかというのが分かれば、教えてください。

以上です。

○野村座長 お願いします。

○国土交通省早船旅客課長 まず、1点目ですけれども、東京のタクシー運賃の幅の中で、上限が設定されて、下限が設定されて、4段階になっていますけれども、それぞれの割合の数字は持っていないですけれども、ほとんど上限にあるというのが実態だと思います。

それから、広告収入は、タクシーの中で最近乗ったときに、前に画面、タブレットがありまして、そこに広告が流れる場合が多いと思います。そこの広告収入がどうなっているか。これは、契約でいろいろなパターンがあると思います。

タクシー会社に入ってくる場合ももちろんあると思いますし、タクシー事業者のほかに配車アプリ事業者がああいうタブレットを、例えば無料で入れます。そういったコストをアプリ事業者が持ちます。タクシー事業者からすれば、決済システムも含めて、ああいうタブレットが入れられる代わりに、広告収入はアプリ事業者のほうに行くとか、いろいろなパターンがあると思いますので、一概にそれがタクシー事業者に入っているかというのは言えないと思います。そこは、様々だと思っております。

○野村座長 よろしいでしょうか。

○消費者委員会大石委員 では、12ページにある検証ポイントにかかる考察の表の中には入っていないと考えていいですか。

○国土交通省早船旅客課長 それは、タクシー事業者にいろいろなパターンがある中で、入るとすると、この収益の中の運送雑収の中に入ります。

○野村座長 ありがとうございます。

今後、データをとるとき、特に総括原価マターを組替えではなくて、洗い替えするような場合に、原価が何なのかというのが技術革新でかなり変わってきていると思うのです。なので、そういう契約もいろいろ多岐にわたるでしょうけれども、ある程度平均的には、こういうパターンですねというのを、業界と理解していただいた上で原価を見直していくということが必要なのかなと思います。保険に関しても、ドライブレコーダーを付けての値段なのかどうかとか、かなり変わってきています。もっと言えば、車両そのものもガソリン車ではなく、EV系のものが入っていて、原価がこれまでと同じで良いのかとか、そのあたりが非常に急速に変化しているので、調査も進めていただきたいと思います。

それでは、若林先生。

○若林座長代理 まず、1点お願いですけれども、先ほど何人かの委員の先生方からアンケート等の方法という話があったと思うのですけれども、特にこの運賃改定の場合に懸念されているのが、タクシーを使わざるを得ない方々だと思います。そこでよく言われるのが通院されている方々とか。そういう方々の場合、ネットのアンケートとかではきっと引っかからないのではないかと思いますので、それはすごく難しいと思うのですけれども、懸念されている層の意見を何とか反映するような、アンケートなのか、調査なのかという方法をまた御検討いただきたいなというのが1点でございます。

あと2点は、資料の読み方というか、私がよく分からない点があったのでお聞きしたいのですけれども、まず、12ページの資料で、収支のところです。収支が29年度試算値と比べると実績値が改善しているというところですが、これは、27年度と比べても収支は改善ということだと思うのですけれども、この理由として、人件費と燃料費が大きいのかなと拝見したのですが、これは減車と言うのでしょうか、実車率の違いがここに出たのかというのが1点、読み方としての質問です。

もう一つが、34ページでは、1車当たりの運送収入ということで、全体で4%増加となっていますけれども、10ページのほうでは平均減少率が2%となっていて、この違いはサンプル数の違いなのか。34ページは、1200両で全体が4%となっていますけれども、その違いなのか、あるいは年度の違いなのか。27年と30年を比べているのが10ページで、34ページは27年と29年を比べているのでしょうか。なぜここに違いが出たのか、どういうふうに読めばいいのかというのをお聞きしたいというのが2点目というか、3点目です。

よろしくお願いいたします。

○野村座長 1点目は御要望だったのですが、お答えいただいても結構です。

○国土交通省早船旅客課長 1点目のアンケートの方法の部分でございます。今日、お示ししたアンケートの調査方法につきましては、タクシーの利用者に、直接使われた方にお渡しして、後日郵送で回答していただくというやり方を使っています。

そういう意味では、正に利用者に直接という形でやっているのですけれども、その方法が本当に満遍なく利用者の方の意見をうまく取れているのか。直接的なやり方ですけれども、ほかの方法、若しくは潜在的な利用者、直接利用していない方の意見というのがもう一つ酌み取れていない可能性がありますので、そういうところも踏まえて、こういったアンケートの調査方法、御指摘を踏まえてよく検討したいと思います。

それから、2点目の12ページ、平成29年度、人件費や燃料油脂費のコストが下がっている理由ですけれども、実際の総走行キロも、11ページでありましたように、平成29年度の実績値としては相当落ちていますので、それによる影響という。走行キロが試算よりも実績のほうが落ちていた。その影響が人件費や燃料油脂費のところに非常に出ている部分もあるのではないかと考えております。ほかにも、実際の燃料費が29年度に下がっていたかどうか、その辺はちょっと見てみたいと思いますけれども、一番は総走行キロが実績としては落ちたといったところが大きいと思っております。

それから、3点目は、すみません、もう一回違いのところを教えていただいてもよろしいですか。10ページの2%と。

○若林座長代理 減少率が約2%で、34ページの運送収入は増えているということ。

○国土交通省早船旅客課長 ありがとうございます。

この違いにつきましては、10ページのほうは運送収入全体の数字で、34ページのほうは1日1車当たりということで、1台当たりの数字になっています。先ほど8ページでも紹介しましたが、実働車両数が減っております。これによって、1台当たりの全体の車両数の分母が減っていますので、実働車両数が減っている分、1台当たりの収入は増えるのですけれども、総体で見ると減っているというものでございます。

○野村座長 よろしいでしょうか。

○若林座長代理 もう一つ、関連して同じところですけれども、この10ページの数字は、サンプル数というか、どういうふうに御覧になったのでしょうか。

○国土交通省早船旅客課長 このサンプルですけれども、10ページにつきましては、5ページで記載しておりますけれども、今回の運賃組替えの申請をしてきた事業者の中から選定した20者というものがあります。この20者ですけれども、タクシーの運賃改定の手続は、原価計算事業者というものを置いております。東京では27者、車両を保有している台数の規模別にバランスをとって、原価計算する事業者を置いております。その27者のうち、今回、初乗り2キロメートルを1.05キロメートルということにいたします。そこから80円ごとに刻むのですけれども、その距離ごとの運行回数を取れるデータを持っている事業者が20者ございまして、そういう意味で、データを出せる事業者20者のデータを使って、この計算をしているというサンプルでございます。

一方で、34ページは19者と、1者、その原価計算事業者から抜けてしまった事業者がいたので、1者分ずれているところでございます。

○若林座長代理 分かりました。ありがとうございます。

○野村座長 そうしましたら、新川委員、お願いいたします。

○消費者委員会新川委員 時間がないのに、すみません。簡単にしたいと思います。

ちょっと教えていただきたかったのが、全体としては、売上げも台数も減少傾向、せいぜい横ばい、しかもコスト高の状況というので、ちょっと気になったのは、事業者の経営ということについては、今回の運賃改定の効果みたいなものがあったのかどうかというのが大変気にかかりました。要するに、利用促進ということになったのでしょうかということ。あるいは、狙いとして、もちろん消費者が使いやすいということは当然ですが、もう一方で、こうした公共交通というものを促進するという観点から、この手法自体の効果みたいなものをどう考えておられるのか。これは、波及効果的な話なので、検証は難しいかもしれませんが、お考えがあればお教えいただきたいというのが1点目。

それから、すみません、もう一つだけ教えていただきたいのは、特に今回の考察の組替えの手続等々に関わるのですけれども、トレンド的なところとして、厳密な意味での原価方式とかを取らないでやっても、ある程度妥当だという結論を出しておられていて、そういう読み方もできるのかなと思いながらお話は聞いていたのですが、もう一方では、そういうふうに読むときの基準とか幅というのが、例えば金額ベースで言うと、そのぶれが何%以下であれば妥当と考えるのか。あるいは、ターゲットゾーンから何%ずれている範囲があれば、そこから先は見込みどおりではなかったと評価できるのか、あるいは見込み内なのかという、そこの基準というものをどういう判断基準でされているのか。

特に、13ページの総合的な評価のところで少し分かりにくかったのですが、ここの基準をもしお持ちであればお教えいただきたいと思っておりました。

以上、2点です。

○野村座長 お願いします。

○国土交通省早船旅客課長 ありがとうございます。

まず、今回のこういった初乗り距離短縮運賃の効果の部分でございますけれども、今回の結果からしますと、私は一定の効果があったと思っております。一つは、定性的な部分ですけれども、アンケート結果などを見ても、良い評価のほうが多かったことは言えると思いますし、また、こういった運賃を導入したこと自体も、かなり広く知られて周知がされてきているところで、こういったタクシーの利用についての宣伝効果というのはあったと思いますし、先ほどの34ページにありますような、これは1台ごとの数字ではありますけれども、短距離利用者の関心もかなり増えて、一定の利用が進んだといったところはあるのではないかと思います。そういった意味では、これまでは使うことをためらわれていた方にアプローチする効果はあったのではないか。

それを見て、各地でもこういった初乗り距離短縮運賃を導入しようという動きが広まっておりますので、高齢化が進んで、また、行き先がよく分からない、例えば外国人観光客の方とか、短い距離でも是非使いたいという方の需要というのは、適切にそういったものを拾えるような、こういった運賃の効果というのは非常にあるのではないかと思っております。

2点目の評価に向けた幅といいますか、基準をどう設定するのかというのは、私ども、具体的に何%までがどうなのかというのは、評価がなかなか難しいところなのかなと思っております。そういう意味では、私どもの評価としては、今回のこういった運賃の設定に当たって、もちろん、先ほど御意見いただいた、もっと詳細な検証が必要というのは真摯に受け止めたいと思いますけれども、組替えではなくて、運賃値上げをしないべきではなかったのかにつながるかどうかというところの、一つの基準なのかなと考えております。

そういう意味では、具体的な数字での基準、幅というものは、現状では持っておりませんけれども、もっとそういった精緻な議論が必要だというのは、これも御指摘のとおりだと思いますので、今後にしっかりつなげていきたいと思っております。

○野村座長 ありがとうございました。よろしいでしょうか。

時間が超えてしまいましたが、古賀委員、最後、手短によろしくお願いします。

○古賀委員 申し訳ありません、時間がないのに。2点だけ簡潔にお聞きしますので、簡潔にお答えいただければと思います。

総括原価を取っていないということですけれども、適正利潤というものを入れていらっしゃるのですが、11ページと12ページを見ますと、適正利潤が、平成18年の3%からだんだん増えていて5%となっていて、それにもかかわらず、12ページを見ると金額自体はそんなに変わっていないのですが、この適正利潤の考え方、ざっくりで結構ですので、教えてください。

もう一つ、16ページの事前確定運賃ですが、これは私、以前から、ずっとこの導入をお願いしていた関係でお聞きしたいのですが、この初乗りと加算に係数1.27というのを掛けているのですが、この1.27の根拠というものを教えていただければと思います。

以上2点です。すみません。

○野村座長 お願いします。

○国土交通省早船旅客課長 簡潔にお答えします。

適正利潤につきましては、自己資本の1割というものを掛けて計算して載せております。

それから、事前確定運賃の1.27、これは本当の例でございまして、これはどうやって計算したかといいますと、運賃は距離によるものと時間によるものを併用して加算されております。それは、実際の渋滞状況とかによって、距離は変わらないですけれども、時間は変わります。それを、これまでの実績から、この曜日のこの時間帯については、距離だけの運賃が1だとすると、0.27、時間がかかって、乗った運賃がある。そういったものを多くの事業者からデータを頂いて計算して、こういった係数という形で出しております。ですので、すいている時間帯になると、この係数がどんどん下がってくる。1.1とか。

○古賀委員 自動的に係数が変わっていくわけですか。

○国土交通省早船旅客課長 地域ごとに出しておりまして、曜日や時間帯に応じて係数を出しておりますので、混雑している時間になると係数が高くなるということになります。

○野村座長 ありがとうございます。

そうしましたら、時間が10分弱超えてしまいましたが、質問に関しましてはここで終わらせていただいてよろしいでしょうか。

多岐にわたる議論でしたが、特に進化のほうも余り深められず、ちょっと残念な部分もありますが、この検証という部分では、白山委員からもありましたように、正確性をもってすべきだと、委員全て、それに同感していますので、可能な範囲で、また国交省様にデータの確認をさせていただきたいと思っております。

それから、議論できなかった進化の部分で、定額制とか迎車の変動料金ですとか、他地域ですが、導入されているということも含めますと、特別区と武三地域に関しても、分かりやすさ、特に高齢の方やオリパラの外国人の利用者さんが多くなるという状況から、最後に出ました時間距離併用制について十分に議論しなければいけないのかなとは感じました。

それから、途中で触れましたが、技術革新に関して特に決済方法が変わっているし、アプリを使用して予約もできて、決済もキャッシュレスで済んでしまう。そのあたりが過去とは随分違うので、ポイント付与とかで利用者さんがある一定の事業者さんに流れてしまうという問題が出る可能性も否定できないかなと思っています。そういう視点も持って、我々委員も勉強しないといけないと思っていますし、国交省さんも対応していただければ幸いでございます。


≪4.閉会≫

○野村座長 そうしましたら、国交省様へのヒアリングはこれにて終了させていただきまして、事務局から連絡事項がございましたらお願いいたします。

○金子参事官 本日は、長時間にわたりまして御議論いただきまして、どうもありがとうございます。

次回の会合につきましては、確定次第、御連絡させていただきたいと思います。

以上でございます。

○野村座長 どうもありがとうございました。

そうしましたら、第59回目の公共料金等専門調査会、これにて閉会とさせていただきます。

どうもありがとうございました。

(以上)