第35回 地方消費者行政専門調査会 議事録

日時

2020年8月13日(木)14:00~16:13

場所

消費者委員会会議室
東京都千代田区霞が関3-1-1 (中央合同庁舎第4号館8階)・テレビ会議

出席者

【委員】
新川座長、山本座長代理、池本委員、伊集委員、大森委員、尾嶋委員、西田委員、八木委員、山田委員
【消費者委員会委員】
生駒委員、清水委員
【事務局】
二之宮事務局長、渡部審議官、友行企画官

議事次第

  1. 開会
  2. 地方消費者行政に関する報告書案について
  3. 閉会

配布資料 (資料は全てPDF形式となります。)

≪1.開会≫

○新川座長 それでは、定刻になりましたので、ただいまから第35回「地方消費者行政専門調査会」を開催いたします。

本日は、新型コロナウイルス感染症拡大防止のため、例によりまして、テレビ会議システムにより当専門調査会を開催いたします。

本日の進行でございますけれども、途中で私の回線が切れた場合は、復旧するまでの間、山本座長代理に進行を、そして、私も山本座長代理も接続が切れた間には、事務局に進行をお願いいたします。

それでは、テレビ会議システムでの開催に当たりまして、事務局から留意事項をお願いいたします。

○友行企画官 事務局でございます。

ハウリング防止のために、発言者以外の方はマイクをミュートの状態にしていただきますようにお願いいたします。

それから、御発言の際にはマイクのミュートを解除していただき、終わりましたら、またミュートの状態に戻していただきますようにお願いします。

御発言のタイミングや音声が聞き取りづらいといった場合には、チャットでお知らせしていただければと思います。

それから、本日は事務局からもう一つ御報告がございます。

事務局内で人事異動がございました。8月から新しく渡部審議官と太田参事官が着任しております。

本日、太田参事官は欠席でございますが、渡部審議官から一言御挨拶をさせていただければと思います。

それでは、渡部審議官、お願いいたします。

○渡部審議官 8月から消費者委員会担当の審議官を拝命し、着任しております渡部と申します。前任の福島審議官と同様に、官民競争入札等管理委員会を兼ねてということでございますが、どうぞよろしくお願い申し上げます。

○新川座長 どうもありがとうございました。

渡部審議官には今後ともどうぞよろしくお願いいたします。また、太田参事官も御交代ということで、本日は御欠席ですが、今後ともよろしくお願いいたします。

それでは、早速でございますが、本日の議事を進めてまいりたいと思います。

本日は、首藤委員が御欠席となります。

お手元の配付資料の確認をさせていただきます。

本日の議事次第、1ページ目中ほどに配付資料の一覧が記載されてございますが、資料1から4までございます。

資料に不備がございましたらお知らせいただければと思います。皆様、よろしゅうございますでしょうか。もし何かあれば、チャット等で事務局に御連絡いただければと思います。

それでは、今のところ問題がないようですので、進行させていただきたいと思います。

早速ですが、議事に入りたいと思います。


≪2.地方消費者行政に関する報告書案について≫

○新川座長 御承知のとおり、この専門調査会は、消費者委員会本会議の問題意識を踏まえまして、高齢者人口がピークを迎える2040年を見据え、人口減少やあるいは社会経済情勢の大きな変化を前提にして、これからの消費者行政の充実・強化の在り方を審議するために、昨年6月以来活動をしてまいりました。

その後、委員の皆様方の御協力もいただきながら、地方公共団体や事業者、更には消費者行政を担っておられます消費者庁、国民生活センターの御意見等も賜りながら審議を進めてきたところでございます。

特に地方公共団体の皆様方には、地方消費者行政の実態や課題にとどまらず、これからの地方消費者行政に向けたそれぞれの本当にすばらしい優れた取組を御説明いただいたところが多々ございました。

また、事業者の皆様方からは、単なる企業の社会貢献というよりは、むしろ本業を生かした地域との新しい関わり方を作り出しておられる、本当に一生懸命地域貢献をしておられる姿をお示しいただきました。

また、消費者庁や国民生活センターにおかれましては、こうした地方の消費生活相談体制を支えるために、地方消費者行政強化作戦をはじめ、様々な取組を進めてこられ、また、PIO-NETの活用や、更には教育・啓発等の熱心な取組についてもお話をいただいてきたところでございます。

こういうヒアリングや意見交換を踏まえまして、当専門調査会では委員の皆様方、オブザーバー委員の皆様方から御意見を頂戴しつつ、審議を行ってきたところであります。もちろん、今後地方消費者行政を支える財源や人的資源についての懸念もございます。そのため、地方消費者行政予算に関する分析等も進めてまいりました。その上で、現状の課題について様々な御指摘もいただいてきたところでございます。

もう一方では、消費者市民社会を支える高齢者の活躍やICT・AIの活用、更にはSDGsに向けた熱心な動き、あるいは教育や啓発活動など、本当に未来に向けて明るい展望が開けるお話もたくさんいただいてきたところでございました。

こういう意見交換を経て報告書案の作成をしてまいりました。これまでいろいろ御議論いただいたものを、まずは前回私にお任せいただいて取りまとめさせていただきました。この最終取りまとめに向けて、今日は御審議いただければと思っております。

それから、前回も御紹介させていただきましたけれども、消費者団体の皆様方からいろいろと私どもの素案の段階から御検討いただき、御意見をいただいてございました。前回の専門調査会で意見概要については御覧いただいたところでございましたけれども、これにつきまして、当専門調査会の考え方を事務局と御相談させていただいて整理をさせていただきましたので、御説明をさせていただきたいと思っております。

今日は、まずは消費者団体等からいただきました御意見についての私どもの整理を事務局から御説明いただきまして、その後、私どもの報告書の案につきまして御審議いただきたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。

それでは、恐縮ですが、事務局から、消費者団体等からいただきました意見書についての当専門調査会としての考え方につきまして御紹介いただければと思います。よろしくお願いいたします。

○友行企画官 それでは、資料1「報告書骨子案に対する団体等からの御意見について」を御覧いただけますでしょうか。

左側の御意見の概要につきましては、前回の資料にもお付けしていたところでございます。今回、右側にその御意見に対するこの専門調査会としての考え方を、報告書の記載ぶりがどうなっているかということを中心に整理させていただきました。

資料1の最初のページでございますけれども、御意見に関する考え方の前に、当専門調査会の目的と議論の前提というところでございます。

目的といたしましては、2040年頃を見据え、将来においても安全安心な消費者行政の目指す姿とその実現に向けた基本的な考え方と対応策をまとめるために調査審議を行っています。前提といたしましては、将来、人口は減少し働き手も減少することから、消費者行政職員は減少する。高齢化率が4割程度に達する超高齢化社会となる。また、人口の減少などから財政基盤の縮小といった資源制約がある。これらのことから、地方公共団体によるこれまでと同様のフルセットによるサービスの提供が成り立たない可能性があるのではないかということを議論の前提として御審議いただいたということでございます。

それでは、団体等からの御意見の概要に対しましての当専門調査会としての考え方を整理したものを説明して参ります。

1番目でございます。御意見としては、もう少し時間をかけて審議を尽くすべきではないかとか、衰退ありきではなくて安全安心で豊かな住み良い地域を目指すという視点も入れるべきではないか、といった御意見がございました。

それにつきましては、右側にありますように、当専門調査会としては昨年6月に審議を開始いたしまして、これまで16回程度の専門調査会や委員間打合せなどを重ね、地方自治体などへのヒアリングも数多く実施してまいりました。様々な分野の専門委員、オブザーバー委員による地域の実情を踏まえた議論を行っていただいているといったところでございます。専門調査会では、前提と同時に明るい展望も掲げておりまして、それも踏まえた上での審議をいただいているといったことかと思います。ここで審議されたものを決め打ちとすることではなくて、これを起点として消費者庁や関係行政機関等において更に議論が行われていくことを期待するという性格のものだと整理させていただきました。

2番目の御意見として、PIO-NETの関係でございます。

こちらにつきましても、報告書の中でいろいろなところで引用しておりますが、PIO-NETへ登録された情報は消費者行政における基盤となるデータであることが前提でございます。そういった前提に基づきまして、報告書のほうでもいろいろな記載をしているところでございます。

3番目の御意見といたしまして、市町村の消費者行政が極めて重要であるといったことや、4番目の御意見では、消費生活相談業務を消費者行政全般が端緒情報と位置付け、市町村等から切り離すべきではないといった御意見をいただいております。

こちらにつきましては、右側の「御意見に関する考え方」でございますが、将来においても身近な相談業務は引き続き市町村が中心となって行うといったことや、消費者の安全安心の確保のためには相談業務は重要な役割を果たしていると考えており、20年後においても相談業務は市町村が担う重要な業務と考えているといったスタンスに立って報告書を作成しているところでございます。

5番目の意見といたしまして、行政の公助としての役割を明確化すべきではないか。国・都道府県・市町村における行政の役割を明確にし、その上で連携ということではないかといった御意見でございます。

こちらにつきましても、いろいろなところで記載しておりますが、消費者に最も近い市町村は福祉、医療などと一体となって総合型行政を行う。都道府県は市町村に対する補完、支援を強化し、専門性を高め、全体を調整する機能を強化する。国はICT等の基盤整備などに取り組むことが必要と考えているといった記載を報告書の中にも盛り込んでおります。

6番目といたしまして、人材育成、活動支援について重く位置付けるべきではないかといったことでございます。

こちらについても、地域連携や消費者の見守りの担い手を育成することが重要な課題である。そのための施策について重点を置くべきというスタンスに立ちまして、あらゆる世代に対して消費者問題に関する啓発・情報提供を一層強化することによって、互いに支え合い、見守り合う担い手を拡大していくといった事柄を記載しております。

7番目といたしまして、認証制度の活用のところでございます。現状でも多くの仕組みがあって、市場に混乱をもたらすのではないかというような御指摘がございました。

そういったこともあるかもしれませんが、前提のとおり、高齢化率は4割程度に達することが見込まれ、高齢者の安全安心を守ることは消費者行政における最重要課題と考えられます。その方策の一つとして、安全安心な商品・サービスを市場に広めるため、民間主体の表彰制度や取組を行政が応援するような取組を検討することが有効と考えますということで、今回、そういうような記載ぶりを盛り込んでおります。

8番目としまして、ICT・AIの技術の進展について触れているところ、過度な期待を寄せる記述については慎重にすべきではないかといった御指摘でございます。

こちらにつきましても、そういった御指摘を踏まえまして、報告書の中では、ICT・AIは消費者により身近なツールとなっていくことが考えられ、活用していくことは不可欠だというような視点に立っておりますけれども、同時に、セキュリティなどそれを利用することで生じる問題、情報弱者となりやすい消費者への配慮にも目を向け、対応していくことが必要だという記載ぶりにしております。

9番目の広域連携のところにつきましては、各市町村が主体的に相談業務に当たる機能を弱めることのないようにすべきという御意見でございます。

こちらについては、過疎地域、小規模市町村等、地域の実情に応じた形で相談体制の維持・強化を図ることが望ましい。御意見のとおり、広域連携を進めるに当たっては、連携を委託した市町村における消費者行政の取組が低下することがないように留意することが必要であると考えているといった記載を盛り込んでおります。

10番目といたしまして、業務委託や指定管理者制度を導入すべきではないという御指摘でございます。

こちらについてはいろいろな意見をいただいたところでございますが、報告書の中にも次のように書いております。経費削減のための外部委託には反対であり、行うべきではないと考えています。業務委託を行ったとしても、行政が責任を持つことは当然でございます。単なるアウトソーシングにならないように留意して実施することは言うまでもありません。他方で、前提の下で、消費生活相談機能の充実・強化のみならず、その前段階として当該機能を今後も存続させていくために、公共私の協働体制も選択肢として検討していくことが必要であると整理させていただいております。

11番目としまして、消費生活相談員の処遇を抜本的に改善する方策を具体的に提案すべきではないかといった御意見でございます。

消費者行政において、消費生活相談は重要な分野でございます。相談員の処遇改善は行っていかなければならないものということでございます。そのため、消費者行政の重要性をもっと強く打ち出し、20年後には更に重要な政策分野となっていくことを、より広く地方自治体や消費者に訴えていかなければならないといった記載ぶりにしております。その上で、消費生活相談員さんについては、相談機能の充実と専門性強化の中でエキスパートと位置付け、それにふさわしい処遇になっていくと考えているという整理でございます。

12番目としまして、財源の確保について重点的に審議すべきではないかといったところでございます。

消費者庁による交付金、国庫負担金といった使途が特定された補助金による財政措置が可能であれば、即効性のある手段として有効だと考えられます。他方、20年後を見据えますと、消費者行政の充実・強化のための取組を実現して、かつ、地方分権の推進、地方自治の発展につながる中長期的な財源を実現することが必要でございます。当面の地方への交付金等による財源支援の継続が必要と考えますが、地方公共団体は自主財源の充実に努め、国や地方公共団体は公共私の連携の中で持続可能な財源を確保することを目指すべきと考えます。これがこの専門調査会としての考え方でございまして、このような記載ぶりを盛り込んでおります。

13番目としまして、消費者行政コーディネートセンターの位置付け、役割を明確にすべきではないかといったところでございます。

今回、少し書きぶりを変えているところではございますが、地域での様々な消費者行政の担い手の連携を推進するため、都道府県、市町村、地域の実情に応じた形でコーディネート機能を強化することが望ましい。例えば、既存の広域消費生活センターの発展的な活用、地域の見守りの中心的な役割を担う機関がコーディネート機能を担う等、地域の実情に応じて行うことを想定しています。その役割機能としては、支援が必要な消費者を発見する、全ての世代に消費者教育などを行き届かせるといった公共私の連携の調整の場となることなども期待しているところでございます。こちらについては、本文の中でもう少し詳しく書いております。

最後の14番目となりますが、地方制度調査会答申の言うとおりとするには違和感がある。地方消費者行政専門調査会としての方向性について慎重に審議すべきではないかといった御意見でございます。

この報告書の中でも、地方制度調査会の答申について脚注のところで参照させていただいているところはございます。2040年頃から逆算し、顕在化する諸課題に対応するために、必要な地方行政体制の在り方等について調査審議が行われているということでございます。この考え方につきましては、答申は当専門調査会と同様の前提からバックキャスティングを行っており、当専門調査会と同様に多数の地方公共団体などを対象にした実態調査を踏まえて、当専門調査会と同様に具体的な提言をしている中で参考になると考えているということで、参考として参照させていただいているという位置付けでございます。

団体等から様々な御意見をいただきまして、これらは骨子案の時点でいただいた御意見でございますが、報告書の中に盛り込めるものについては御意見を参考にしながら、現時点で盛り込ませていただいております。

団体等からの個々の御意見の概要についての当専門調査会の考え方の整理は以上でございます。

○新川座長 どうもありがとうございました。

ただいま御紹介いただきましたように、いろいろ御意見をいただきました。それを踏まえて、私どもの報告書案でも反映できるところは積極的に取り入れさせていただいたということがございましたので、御報告をさせていただきます。

引き続きまして、報告書の案に進ませていただきたいと思います。

本日お示しします案は、前回頂戴した御意見等を踏まえて、私と事務局でお任せいただいたところを作成させていただいたものです。本日は、委員の皆様方にこの案を御確認いただき、取りまとめをさせていただければと思っております。

それでは、前回からの修正と御意見をいただいて直したところにつきまして、事務局から御説明をお願いいたします。よろしくお願いいたします。

○友行企画官 それでは、報告書案でございますが、資料2が溶け込み版で、資料3が見え消し版となっております。適宜委員の皆様の御活用しやすいほうを御参照いただければと思います。

それでは、報告書の内容の御説明に参ります。

前回御指摘いただいたところを中心に修正しております。そのほか、報告書の公表に当たりまして、文言がふぞろいだったところを統一するなどのことも行っております。そのため、見え消し版を見ていただきますと、少し修正が多くなっているように見えるところもございますが、言い回しや文言の統一も併せて行っているところでございます。

それでは、中身の説明に参ります。

まず、目次を見ていただきますと、第4の5は(1)(2)で終わっております。前回、(3)までございましたけれども、もともとあった(2)は第4の2の再掲という形でございました。報告書全体で見たときに重複感がございましたので、そこは削除いたしましたが、内容が全部抜けてしまったということではございません。

それでは、目次から本文のほうの説明に入ります。

まず、「はじめに」でございます。最初のところは特段内容に関わる修正はございません。下から2段目の段落の「我が国が、今後、過去に経験したことのない人口構造の変化」というところで、2行目の最後を「将来における消費者行政の充実・強化を実現するためには」という言い回しに変えました。

それから、一番下の段落でございます。「このような問題意識の下」から始まるところ、3行目でございます。議論の前提を、将来、人口は減少し働き手も減少することから消費者行政職員は減少する。高齢化率は4割程度に達する。人口の減少などから財政規模の縮小といったような資源制約が生じる。これらのことから、地方公共団体によるこれまでと同様のフルセットによるサービスの提供は成り立たない可能性があるとしと、前回、この前提をはっきりと「はじめに」のところに書き込んでおりませんでしたけれども、今回は入れさせていただきました。

それから、「はじめに」をずっと先に進みますが、「新型コロナウイルス感染症の影響によるWEB会議での開催も含め計16回」という文言を加えております。

では、「第1 現状」に参ります。

「1 消費者問題の現状」の辺りは、データでございますので大きな変更はございません。

「2 地方消費者行政の現状」につきましても、数字を説明しているところなどでございますので、大きな変更はございません。それから、表4の上のところまでも特段大きな変更はございません。強化事業につきまして「補助率が原則1/2」、前は括弧で「1/2」だけにしておりましたが、正しくは原則ということでございますので、その言葉を一言入れているということでございます。

「第2 20年後の我が国の主な課題と消費者行政」に参ります。

本文に入る前に、柱書きといたしまして、「10年後、20年後の将来を見据え、我が国を取り巻く克服すべき課題と、その解決に活用が期待できる明るい展望は以下の通りである」ということで、少し説明を加えました。

最初の1番につきましては、大きな変更はございません。

課題は大きな変更はございません。

展望に参りまして、上から4行目辺りでございます。「また、加齢に伴う病気や障害については、今後の医療の進歩や治療体制の充実、健康志向の浸透等により、症状の改善や発症年齢の引き上げ等が考えられる。これらにより高齢者のライフスタイルが変化を遂げ、アクティブシニアの増大につながることも想定される」と、ここは一文加えました。あわせて、脚注もそのバックデータとなるようなものを加えております。

「2 20年後の消費者行政において予想される課題と展望」でございます。

課題は大きく変更したところはございません。展望についても、内容が大きく変わるような変更はございません。

「3 消費者行政の重要性の更なる増大」でございます。

3行目でございますが、「他方、人口減少等を背景に」から始まりまして、「行政の人的・財源的制約はますます厳しくなる」と記載しております。そこから5から6行ぐらい下のところでございますが、「非対面型社会に伴う孤立化の問題を含めた消費者問題に対応可能な」という形にしております。それから、その次の次の行でございますが、「また、新型コロナウイルス感染症の拡大は、デジタル情報化社会の進展を加速させ、リモートによる仕事や交流、商品の購入やサービスの利用方法の変化等生活様式全般に渡り多大な変化をもたらした。こうした変化に伴い消費者問題も変容することが考えられ、消費者行政施策の推進や消費者教育・啓発活動等によりこれらの問題に適切に対応することが重要な課題となる」と加えております。その次の行につきましても、「消費者教育・啓発活動や地産地消を含むエシカル消費の重要性も」という形にしております。

第3に参ります。第3も、最初の柱書きと言いますか、1番に入る前に「10年後、20年後を見据え、そこから見えてくる課題を克服して消費者行政が目指すべき姿は以下の通りである」と入れました。

「1 市町村、都道府県及び国が重層的に消費者の安全を守る消費者行政への転換」につきましては、内容に関わるような大きな変更はございません。もともとあった文章を脚注に落としているということはございますが、内容が削除されたところはございません。

「2 新たな支え合い見守り合う地域社会への転換」に参ります。

こちらにつきましては、2段落目でございますけれども、「市町村を中心とした地方公共団体は、消費生活相談員、地域の民生委員・児童委員、消費者団体、ボランティア及び地域の課題に取り組む事業者とつながる。都道府県は市町村におけるネットワークとつながり、様々なネットワークをつなげ補完するコーディネート機能が構築されている」という形にしております。このページで、脚注の15や16に「『2040年頃から逆算し顕在化する諸課題に対応するために必要な地方行政体制のあり方等に関する答申』においても」ということで、2040の答申はここの辺りでも同じような方向性が書かれているというところがございますので、参照するという形で参考に脚注を入れております。

「3 複雑多様化した消費者問題から自らを守ることのできる消費者市民社会の形成」でございます。

「(1)安全安心な市場」でございます。3段落目の外国人のところで観光・ビジネス、就学・就職・研修等様々な目的で訪日するという話が書いてありますが、頭に「コロナ禍を乗り越えた後は」と加えました。

それから、次の段落でございます。「新型コロナウイルス感染症の拡大は、リモートによる仕事や交流、商品の購入やサービスの利用方法の変化等生活様式全般に渡り多大な変化をもたらし、こうした変化に伴う消費者問題の変容にも対応できる消費者行政の体制が整備されている。また、消費者団体、事業者、ボランティア等における自発的な地域への貢献意識や互助意識が醸成され」というような形にいたしました。

それと、一番最後の段落でございますが、最後の1文でございます。文言として「また、悪質事業者に対する法執行が強化されている」と加えました。

「(2)自立した消費者による消費者市民社会」につきましては、内容に関わる大きな変更はございません。

「(3)高齢者も担い手として支える消費者市民社会」につきましても、内容に関わる大きな変更はございません。

(4)も若干変えておりますが、黒ポツの3つ目でございます。多様化・複雑化・広域化・グローバル化する消費者を狙う「犯罪」と書いてありましたが、「悪質商法」という言葉のほうが適切だということで、こちらに変えております。

「4 感染症、自然災害等危機下において消費者の安全安心が確保された社会の実現」につきましても、大きな変更はございません。

「5 安全安心な消費生活を守る持続可能な消費生活相談体制の実現」につきましても、内容に関わる大きな変更はございません。

6番につきましても同様でございます。

「第4 目指すべき姿の実現に向けた対応策」に参ります。

最初の「1 消費者行政主体の役割と連携の強化」でございます。

基本的な考え方のところ、少し直してはございますが、内容に関わる大きなところはございません。一番最後の段落でございますが、前回、言葉の使い方で御指摘がありまして、「消費者に最も近い市町村は、消費者行政部門が福祉、保健医療」という書き方に統一させていただいております。

それから、取組の方向性でございますけれども、大きな変更はございません。市町村は、地域住民に近いところで安全安心な生活を確立する総合型行政の主役となる。そして、「現場レベルの対応を総合的に行う体制を構築することが望ましい」と、ここは変えておりません。「消費者安全確保地域協議会を更に発展させ、地域コミュニティの再構築の視点を持ち、公共私の連携を一層深めることが望ましい。<つなげる地域>」といったところも基本的には変えていないところでございます。

都道府県の話に参りまして、「消費者庁及び地方公共団体は」とあり、そこから「つながる行政」「つなげる地域」といったところにつきましては、少し変えております。まず1つ目は「『つながる行政』『つなげる地域』『広域連携の更なる推進』『重層的な消費者行政体制の強化』『専門的な消費者問題への対応(後述)』等の取組にあたり、各ステークホルダーの連携を推進するため、都道府県及び市町村は、地域の実情に応じた形で、コーディネート機能を強化することが望ましい。既存の広域消費生活センターの発展的な活用、地域の見守りの中心的な役割を担う機関等がコーディネート機能を担う等、地域の実情に応じた形で、取組を進めることが望ましい」としております。

それから、「消費者庁は、都道府県及び市町村のコーディネート機能の強化に向け、情報提供等による支援を行い、財政的な支援についても検討する」という形にしております。

そして、「将来的に、消費者庁は、地方公共団体と連携しつつ、『消費者行政コーディネートセンター(仮称)』構想を推進し、地方公共団体における消費者行政の推進に関わることをコーディネートする機能を抜本的に強化する。『消費者行政コーディネートセンター(仮称)』には消費生活相談員(エキスパート)が属し、コーディネート機能を発揮し、市町村等が行うコーディネートの支援を行うことが望ましい」としております。前回、ここは長めの文章で書いてございましたけれども、少し論点が整理されてきたと思いますので、こういう形で整理させていただきました。コーディネートセンター(仮称)とありますけれども、この(仮称)は取ってしまってもよいかと思います。消費者行政コーディネートセンターは何を行うかという機能については、今、調整機能と申しましたけれども、もう少し書き加えてもよいかも分かりませんが、今はこの程度にしております。そして、もちろんこのコーディネートセンターは消費生活相談を行う現行の消費生活センターとは異なるということは再三御説明申し上げたとおりでございます。

<期待される効果>につきましては、内容的には特段変えておりません。

「2 新しい消費者問題への対応力の強化」でございます。

基本的な考え方につきましては、特に御説明するところはございません。

それから、取組の方向性は専門的な消費者問題への対応といったことを記載しているところでございます。内容的には前回から大きく変えているところは特段ございません。

「3 新しい消費者市民社会の形成に向けた対応策」に参ります。

「(1)安全安心な市場を醸成するための仕組みづくり」の基本的な考え方の一番最初の段落の最後のところでございます。「悪質な商品・サービスが市場から排除されるとともに、優れた商品・サービスが市場に広がることが期待される」と、こちらは加えました。

それから、次の段落でございます。少しこちらに文章を移動させておりまして、若干書きぶりを変えております。これは認証などの話の関係でございます。「安全安心な市場の実現には、市場で活動する事業者や暮らしの安全安心を支える消費者団体等の協力も重要であり、消費者庁や地方公共団体は、これらとの協働を一層進め、事業者や消費者団体等による消費者問題への取組を促進することが必要である。消費者志向経営に取り組む事業者であることを市場にアピールする取組を更に推進することや、例えば特定非営利活動法人キッズデザイン協議会のキッズデザイン賞のような、子どもや高齢者等配慮を要する消費者に優しい商品・サービスであることを消費者が認識できる民間主体の表彰制度や取組を行政が応援するというような取組も考えられる」という記載ぶりにいたしました。

取組の方向性でございます。最初の丸の真ん中辺りでございます。消費者間等において、ある程度自由な情報交換が可能となる双方向のプラットフォーム「消費生活情報プラットフォーム」が構築・醸成されるような取組を進め、日常的に利用されるような仕組み作りに取り組む。また、このプラットフォームにおいては、国民生活センターなどが情報発信を行うだけではなく、消費者からの情報発信や意見表明もできるような形にする等、双方向のコミュニケーションを目に見える形のものとするとしております。

消費生活情報プラットフォームの基本的な機能につきまして、ポツで3つ述べております。行政からの注意喚起情報を消費者が見ることができる情報共有機能を持つ。消費者からの一般的な質問、それに対する行政からの回答を見ることができる。消費者と行政、消費者と地域の消費者団体、消費者と事業者、消費者間同士、消費者市民社会を支える様々な主体が情報交換できる双方向のコミュニケーションネットワークとしての機能を果たすといったことを記載しております。

「(2)自立した消費者を育成するための消費者教育・啓発活動の推進」に参ります。

こちらにつきましては、基本的な考え方の3つ目の段落の最後のところでございます。「環境整備とともに、学習教材の充実も重要である。優良な教材が多くの教育・啓発の現場で使用される仕組みを一層拡大することが求められる」としております。

取組の方向性でございます。大きく変えたところは、多くはございませんけれども、2つ目の丸でございます。「消費者庁は」というところでございまして、関係行政機関と連携して、専門的な教育課程を充実させることを検討するといった記載にしております。

続いて、そこから4つ目の丸に飛びますが、「消費者庁及び地方公共団体は、関係行政機関と連携し」というところでございます。これは現在でもございますが、「同時に、消費者庁は、消費者教育ポータルサイトを発展させ、地方公共団体や消費者団体等が制作している教材や啓発資料等を集約し、全国的に共有する教材ライブラリを充実させる。その際、優良な教材が豊富に揃い、広く共有されるように、地方公共団体や消費者団体等の積極的な登録を促進することが求められる。これらの取組を、例えば『消費生活オンラインスクール』として、居住地や社会情勢等に左右されずに、あらゆる世代の消費者分野に関する学習機会を十分に確保する取組を推進する」としております。

「(3)消費者自身が見守りの担い手として活躍する社会の構築」でございます。

基本的な考え方につきましては大きな変更はございません。

取組の方向性の最初の丸の最後の一文でございます。「その際、消費者安全法に規定された消費生活協力員・協力団体の仕組みを活用する等、地方公共団体の実情に応じ、『消費者見守りサポーター』として高齢者の活躍を推進することが望ましい」といたしております。

それから、そこから3つ目の丸でございます。「本業を通じて地域の課題に取り組む事業者との連携を積極的に行うことも考えられる。事業者が地方公共団体と協働して高齢者見守り活動や、地域包括ケアに関わる取組を行う事例があり、今後、このような事業者の発掘・育成に取り組むことにより、見守りの担い手を拡大し、より質の高い見守りや啓発活動等を実現することが期待される」と加えました。ここに脚注も加えておりまして、専門調査会の本会議で来ていただきました事業者様のお名前なども入れております。

「(4)高齢者が活躍する社会の構築」につきましては、大きな変更はいたしておりません。基本的な考え方、取組の方向性で大きな変更はいたしておりません。

「(5)Society5.0を前提としたICT・AI技術等の活用」でございます。

基本的な考え方の「大きな投資」と書いてある3つ目の段落でございます。「大きな投資・負担が必要となることが多いICT・AI技術等において」という文章でございますが、2つ目の文で、「地方公共団体内の他の行政分野(スマートシティ推進部門や産業振興部門等)が」と加えました。

それから、「加えて」というところは大きな変更はございませんで、その次の「消費者庁は」といったところでございます。「モデルとなる取組の発掘と全国展開等を推進していく」というところをそのまま記載しております。

取組の方向性につきましても、大きな変更をしているところはございません。

3つ目の丸を御覧いただきたいのでございますが、消費者庁はPIO-NETに登録された情報のオープンデータ化等、ビッグデータとしての活用を推進するといった記載にしております。消費生活相談員によって登録された情報は、消費者行政における基盤となるデータであり、現在でもそれが活用されているところでございますが、行政だけの独占という形ではなくて、新型コロナウイルス感染症対策でビッグデータが利活用されていたように、官民が協力して注意喚起、情報発信に利活用できるよう、環境整備を行う必要があるとしております。その利活用のやり方については、脚注でこれまで御議論いただいたものについても活用にするようにという形で参照しております。

そして、そこの最後のところでございますが、「ただし、個人情報や特定の事業者名等保護されるべき情報は保護し、オープン化するデータ項目を精査する等」ということでございまして、個人情報、事業者名、ほかにも何をオープン化するかということについて十分精査して配慮しながらオープンデータ化を推進するといったことでございます。

そのほか、取組の方向性につきましては、大きな内容の変更に関わるようなところはございませんが、ずっと行きまして、「4 感染症、自然災害等危機下における消費者の安全安心を確保する対応体制の構築」から上に上がって3つ目の丸で、脚注の30というところがございます。こちらについては、ICTの活用につきまして、消費者行政の現場において活用されているケースは少ないが、専門調査会にも来ていただきました会津若松の例についてはこういうような取組をしていますということを御紹介する形で引っ張ってきております。

「4 感染症、自然災害等危機下における消費者の安全安心を確保する対応体制の構築」でございます。

基本的な考え方につきましては、内容に関わるような大きな変更はないという形でございます。

取組の方向性でございます。「消費者庁及び地方公共団体は」という丸がございまして、2つ目の黒ポツでございます。「地方公共団体は、危機発生時にも見守りや被害救済等の取組が継続できるような体制を整備することが望ましい。特に、業務継続計画や対応マニュアルの作成といった計画整備や、福祉や警察等の他の行政分野や消費者団体等の地域の担い手と連携した、『緊急事態時の消費者問題に対応できる公共私のネットワーク』の整備が重要である。また、平常時からコミュニティの維持、あるいは機能強化に向けた支援を行うことが望ましい」と、少し変えております。

それから、「5 持続可能な消費生活相談体制の構築」でございます。

「(1)広域センター化の更なる推進等による消費生活相談体制の強化」、基本的な考え方につきましては、大きな内容に関わる変更はないところでございます。

取組の方向性の最初の丸でございます。「市町村は、過疎地域、小規模市町村等、地域の実情に応じ、相談体制の広域連携による相談体制の維持・強化を図ることが望ましい」と加えました。ここは脚注で「広域連携を進めるにあたっては、連携を委託した市町村における消費者行政への取組が低下することのないよう留意することが必要である」と入れております。

それから、「(2)消費生活相談員の活躍の場の拡大」につきましては、基本的な考え方、取組の方向性については、大きくは変えておりません。

「6 目指すべき姿を実現するための社会的資源の確保、活用」でございます。

柱書きがございまして、(1)に参ります。基本的な考え方がございまして、少し文言を変えたところがございます。「特定財源」と書いてあった言葉については、2つ目の段落の最後のところでございますが、「また、使途が特定された補助金の拡大は」という言い方にしております。

基本的な考え方につきましては、大きな変更はないと整理しております。

取組の方向性のところに参ります。最初の丸でございます。消費者庁は消費者行政に係る自主財源確保に向けた働きかけを一層強化するといったことに関連したことを少し追加いたしました。

それから、2つ目の丸で、「消費者庁は、公共私全体で消費者行政の重要性を共有するため、地方公共団体と協力して、地域で活動する消費者団体や事業者等にもその重要性を広報する」といったことでございます。

「(2)人的資源の確保、活用」でございます。

最初の基本的な考え方でございます。3行目辺りからでございますが、「生産年齢人口の減少に合わせて担い手は減少することが見込まれる。5で述べた持続可能な消費生活相談体制を構築するためにも、消費生活相談に関わる人材を引き続き確保していけるよう更なる工夫が必要」としております。「また、見守りや教育・啓発活動の担い手として、高齢者、高校生や大学生といった学生等、事業者とその従業員等、様々な人材を取り込んでいくことが考えられる」といったことでございます。さらに、組織や地域の枠を越えて人材をシェアしたり、消費者問題に関心のある人材を新たに受け入れていく考え方も重要であるといったことでございます。

こちらにつきましては、地制調でもこういった議論をされておりまして、脚注で参照するような形にしております。

基本的な考え方の下から2つ目の段落の「人的資源の活用においては」というところでございまして、中ほどにずっと参りまして、「職員を分野横断的にコーディネート能力を発揮できる人材として育成することが求められる」といった記載ぶりにしております。

それから、取組の方向性でございます。「消費者庁及び地方公共団体は、消費生活相談を担う人材を確保する取組を更に進めることが望ましい。例えば、市町村レベルでは育成が難しい専門人材を、都道府県や市町村の広域連携単位でまとめて確保し、市町村のニーズに応じて派遣する派遣制度等が考えられる」と書いております。

それから、4つ目の丸に当たりますけれども、「消費者庁及び地方公共団体は」といったところでございます。「また」という文章からでございますが、「また、専門家等の情報を収集、必要な時に必要な地方公共団体等へ紹介できるような仕組みが構築されることが望ましい。例えば、体制整備や専門人材の情報提供等を行う仕組み『消費者行政専門人材情報プール』の構築に取り組むことが望ましい」としております。

「(3)消費者行政に必要なデータの整備・分析」でございます。

基本的な考え方につきましては、大きくは変えておりません。一番最後の行でございます。「そのため、消費者行政に係るデータの整備を進め、研究等への利用を広く促していくことが求められる」。

取組の方向性でございます。趣旨としては変えておりませんが、文章としては、「消費者行政に必要なデータの整備を更に進める。消費者行政の重要性を強く打ち出すためには、例えば、施策の成果を示す被害救済金額やあっせん率等のアウトカム指標が必要となる。これら根拠となる数字を積み重ね、重要性をしっかりと打ち出し、効果的な施策につなげていくことが求められる。また、官民問わず研究をより充実させるため、データを積極的に公表する」といった書きぶりにしております。

それから、「おわりに」に参ります。

こちらについては、段落の最初のほうでございますが、上から4行目の最後辺りから、「取組の方向性で述べた個々の施策については、具体化に向けて更に検討が必要なものや、実現に向けて関係行政機関等との調整を要するもの等、時間のかかるものも多く含まれている。本報告書において重要なことは、行うべき施策を決め打ちするのではなく、基本的な考え方と取組の方向性を示し、2040年頃を見据え、消費者行政に関わる国、地方公共団体や、関係するステークホルダー等が、できるだけ速やかに検討等を開始し、将来の消費者行政の充実・強化に向けて取組を推進していくことである」という考え方で述べておりますということをここに加えました。

報告書はここまででございますが、ずっとめくりますと、参考資料リストというものがついてございます。

御参考に御説明しますと、PIO-NETについての説明を少ししたほうが良いということで、PIO-NETに関する資料をお付けする予定でございます。

それから、基本的なデータとして、「高齢化の推移と将来推計」ということで、2065年ぐらいまで日本の人口別に高齢者を中心とした人口が増えていくことが分かるようなグラフをお付けする予定でございます。

3つ目といたしまして、伊集委員の提出資料。

4つ目といたしまして、地方消費者行政に関するヒアリングをたくさん行っておりますので、まず一覧を掲載いたします。

5つ目といたしましては、その中から幾つかの団体を抜粋した地方公共団体ヒアリングの概要を載せる予定でございます。

そして、審議経過、委員名簿、設置・運営規程を報告書の参考資料としてお付けする予定でございます。

報告書案と参考資料についての事務局からの説明は、以上でございます。

○新川座長 どうもありがとうございました。

始まってから1時間近く経ちましたので、恐縮ですが一旦ここで10分程度休憩を置かせていただきまして、その後、報告書案につきまして、皆様方から御意見をいただいてまいりたいと思っております。

10分休憩とさせていただきますので、今、私の時計で14時55分ちょっと前ですが、15時5分から再開とさせていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

それでは、休憩とさせていただきます。

(休憩)

○新川座長 それでは、皆様お戻りになられたようでございますので、早速ですが、意見交換を進めてまいりたいと思います。

今日は、取りまとめということもございますので、まずは専門委員の皆様方、オブザーバー委員の皆様方から順次私どもの報告書案につきまして御発言をいただき、ひとわたり御発言をいただいた後、改めて追加の御意見をいただいていくという進め方で進行をしてまいりたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

それでは、委員名簿の出席者順番ということで、トップバッターで恐縮ですけれども、池本委員から御発言をいただけますでしょうか。

○池本委員 承知しました。ありがとうございます。

まず、今回のこの報告書、様々な意見が出てきた中でここまで取りまとめていただいた事務局に敬意を表したいと思います。

そして、私の発言の前半では、この報告書を今後読んでいただきたい地方自治体の関係者あるいは消費者庁の関係者、そして、各地の消費者団体の関係者などにこの報告書の意味合いとして私の思うところをお伝えすることと、それから、時間があれば、この報告書で何点か記述について見直しを検討いただきたい点がありますので、駆け足で紹介していきたいと思います。

まず、今回の2040年に向けた消費者行政の在り方ということ、2040年の高齢化がピークに達して、人口が減少し、そうすると国も自治体も財源が厳しくなるという状況を見据えた議論ですから、ばら色の楽観的なことが言えないのは分かり切っていることで、今回の報告書の中でもなかなか厳しい課題がある、そう楽観できないというところが随所に出ているかと思います。

その最たるところが、資料2の反映版で申し上げますと、30ページから31ページの財源の確保のところです。この専門調査会でも何度も議論いたしました。この考え方のところも、いろいろ意見が対立してきているというところを率直に記述していただいているとおり、どういうふうにすれば20年後の消費者行政がしっかりしたものになれるのかということについては、考え方も分かれるところです。

この議論をしていく中で、前半で20年後に向けて消費者行政は今より一層重要性を増していくということは完全に委員として一致し、しかも、20年後にこうあるべきだという在り方像についても、こうありたいと願うところは大きな違いはないのですが、そこへ向けたアプローチの仕方、財源の確保や人材の確保になると、将来予測も含みますから、なかなか厳しいところがあるわけです。

そういう中で、30ページにもありますが、特定財源、強化交付金や国からの継続的な財政措置と言っても、消費者庁に頑張ってもらえば地方消費者行政は安泰だということでは済まないのだと。当面の4から5年のことで言えば、現在、掲げられているように、必要な特定財源、強化交付金を継続するということは異論がないところですが、20年先までずっとこの形でいくかとなるとやはりそうもいかないというところで、31ページにありますように、自主財源の確保に向けて、自主財源だから地方公共団体が頑張ってくださいではなくて、消費者庁が地方に向けて自主財源の確保に向けた働きかけを強化する。そのために、キャラバンで一巡するということだけでは不十分で、もっと自治体の中で重要性を説得できる材料を提供するし、広報する、あるいは議論の場も作るということが出ています。これは、地方公共団体にとっても、消費者団体にとっても、ここをきちんと受け止めて、速やかにこの取組を始めなければいけないという深刻な課題なんだということを再認識していただきたいと思います。

それから、28ページの消費生活相談業務の民間委託に関する記述です。記述の中の一部分には、例えば基本的な考え方の末尾の辺りには、「公共私の協働体制の実現の在り方として、委託や指定管理者制度の活用を含めあらゆる方策を選択して検討していく必要がある」とか、あるいは取組の方向性の5つ目の丸でも「必要に応じて委託や指定管理者制度の活用を含めた公共私の協働体制についても選択肢として検討していく必要がある」という記述があります。ここだけを取り出して、消費者委員会は民間委託を推奨しているのだと捉えないでいただきたい。

例えば今の取組の方向性の5番目にありますように、その記述の前提はあくまでも消費生活相談体制の充実・強化のための選択肢としてどう考えるかでありますし、その後に「ただし」というところで、経費削減を目的とした安易な外部委託ではないのだと。あくまで機能充実を図る観点でやらなければいけないし、外部委託後も行政が責任を持ってその業務内容を管理・維持する必要があるのだという条件付けをしっかり書き込んだ上で、しかし、現に民間委託をしているところもあるし、今後も検討するところもあるであろうから、そこに対してはこういう観点を持ってほしいと。

その下の6番目の丸でも、消費者庁に対して、ガイドラインについて更に見直しをしてほしいということが書いてあります。これは、前回の消費者安全法改正のときにこの点が議論になって、安易な民間委託があってはいけないということが議論されましたので、かなり留意点がたくさん書いてありました。そのことを踏まえて、更にこれまで以上にしっかりと書き込んでほしいという趣旨で書いてあるというところを受け止めていただきたいと思います。

3点目は、17ページの丸の1番目、「つながる行政」から始まる文章のところで、「都道府県及び市町村は、地域の実情に応じた形で、コーディネート機能を強化することが望ましい」という点です。その後ろ、3番目の丸でも、消費者庁に対して、消費者行政コーディネートセンターの構想を推進してほしいという趣旨の提言もあります。

この点は、今回の報告書の中でも非常に重要なポイントだと考えています。と申しますのが、安全確保地域協議会の設置が現在なかなか動いていませんが、個別の消費生活相談の情報を活用して、地域の中で被害防止を図るためには、何としても自治体全体の中で消費者行政がコーディネート役となって暮らしの安心安全を守っていくという重要な役割になるのだという心構えで、消費者庁としても、あるいは都道府県、市町村も取り組んでほしいということです。その意味で、この点は是非受け止めていただきたいところです。

時間もないですが、これに関連するところで表現の見直しを1点だけ。先ほど言った17ページの3番目の丸の続きですが、コーディネートセンターには消費生活相談員が属しと書いてありますが、ここには消費者行政職員と相談員が属しと書いていないと、個別相談からそれを展開していくところは職員の役割が不可欠ですから、入れていく必要があるのではないかと思います。

ほかにも表現のことはあるのですが、時間も超過していますので、後で時間があれば追加したいと思います。

以上です。

○新川座長 どうもありがとうございました。

今後留意すべき、そして、特にしっかり受け止めていただきたい点、財源やあるいは委託、指定管理者制度、また、コーディネートセンターについて御注意いただきました。修正点につきましては、また後ほど改めて検討させていただきたいと思っております。

それでは、順番で申し訳ありませんが、伊集委員、いかがでしょうか。

○伊集委員 全体としまして、私自身は内容を確認して、これまでの議論を踏まえる形で修正していただいていると考えておりまして、大きな方向性というか、内容として良いのではないかと考えています。

私の場合ですと、特に財政面のところでコメントすべきところだと思いますが、これまでの議論で強くこういう方向で進めるべきだというような特定の見方で書くことは非常に難しいとは思うのですが、今回の場合は、今度の地方消費者行政を担う都道府県や市町村の一義的な役割の重要性を認識しながらも、組織だけではなくてそこでの財源の確保を行っていくというところが示されて、ただ、それだけではなくて、公共私の連携の観点から、様々な手段を考えながら財源確保も行っていくという方向性も示されているところで、良いのではないかと思っています。

ただ、前提としているはずだとは思うのですが、自治体、地方公共団体の中でどのように財源を確保していくのかというところに対する踏み込みがやや弱いのかなと気になるところはあるのですけれども、ただ、そこまで具体的に書き込むのはなかなか難しいということであれば、今回の場合はこういう書きぶりになるのかなと考えているところであります。

ちょっと簡潔ですけれども、以上のような感想を持っております。

○新川座長 どうもありがとうございました。

特に財源確保の問題や公共私の連携に触れていただきましたが、各都道府県、市町村、自治体での自主財源確保については、どこまで踏み込めるかなかなか難しかったというところもあったかもしれません。ありがとうございました。

それでは、恐縮ですが、大森委員、よろしくお願いいたします。

○大森委員 大森です。よろしくお願いします。

私は、全体として内容のバランスが非常に良くなったと思っています。

特に良いなと思うのが、「はじめに」のところで、これまで同様のフルセットのサービスの提供は成り立たない可能性があると。それで、例示として、現時点で考え得る取組の方向性を述べていると、この報告書の目的をはっきりと打ち出してくれているところが特に良いなと思いました。

消費者行政コーディネートセンター、消費生活情報プラットフォーム、消費者行政専門人材情報プールなどのキーワードが出てきていますので、特段際立った形ではなく、まとまった内容になったかなと思っています。

役割が非常に明確になったのも良かったなと思っています。消費者庁の役割、都道府県の役割、市町村の役割があって、見守りネットワークを中心に、消費者市民社会をみんなで作っていくという形が見えたのがとてもうれしく思いました。

以上です。

○新川座長 どうもありがとうございました。

これからどれかの担い手がフルセットで何かを実現することは難しいという前提で私たちも議論をしてきたところがありましたけれども、その中で、これからのそれぞれの担い手の役割の分担と、もう一方では、その明確な役割に基づいて、なお全体が力を合わせて一緒に消費者市民社会を作っていくというところの御評価をいただいたかと思います。

それでは、尾嶋委員、よろしくお願いします。

○尾嶋委員 尾嶋です。よろしくお願いします。

まず1つ目です。25ページの2つ目の真ん中の丸で「PIO-NETに登録された情報のオープンデータ化」という言葉が幾つか出ているのです。私はこれまでにもお伝えしましたが、オープンデータ化という言葉が人により捉え方が違うと思いますが、この言葉が独り歩きしてしまうのではないかと、とても危惧しています。例えばこの文章の中で、「消費生活相談情報の利活用を推進する」ことについては当然だとは思っておりますので、オープンデータ化という言葉がなくてもよいのではないかと思っています。相談員にオープンデータ化が議論されていると伝えると、皆さんがとても驚き、現実的ではないと言われていますので、この辺は危惧しているところです。

2つ目は、28ページです。先ほど池本先生もおっしゃっていた、5の(1)の基本的な考え方の下から2行目辺りと取組の方向性の丸の5番目です。自治体などが、池本先生がおっしゃったように解釈してくださればよいと思いますが、5番目の丸で「地方公共団体は、消費生活相談体制の充実・強化のために、必要に応じて委託や指定管理者制度の活用を含めた公共私の協働体制」の箇所は、委託、指定管理者制度を積極的に進めるとまではいかなくても、それに近いようなニュアンスを持ってしまうのではないかと、非常に危惧しているところです。

今回の報告書では、市町村の総合型行政を進める、消費者行政コーディネート機能を強化するというところがメインであるならば、外部委託、指定管理者制度は矛盾するのではないか。それらが進んでいかない要因になるのではないかと思い、ただし書が入っていたとしても、この辺は書き方をもう少し工夫してもよいのではないかと思います。

3つ目に、同じページの取組の方向性の1番目の丸、広域連携による相談体制の維持・強化をするというところで、注の32が非常に重要です。現在、広域連携を行っている自治体の状況を見ますと、この辺が大きな課題となっています。注よりも本文のほうに書いていただきたいと思います。

以上3つです。よろしくお願いします。

○新川座長 どうもありがとうございました。

オープンデータという表記、それから、委託、指定管理者の表記、これも前々から議論になっているとおりです。誤解というか、私どもの趣旨がきちんと伝わるかどうかということが問われているということで、御意見をいただきました。また、広域行政化での市町村の取組の重要性を、各市町村のもっとしっかりとした取組を広域行政化に当たっても確保すべきではないかという御意見をいただいてございます。この辺りは、書きぶりを含めて検討が必要という御意見をいただきました。

それでは、恐縮ですが、西田委員、よろしくお願いいたします。

○西田委員 よろしくお願いします。

この取りまとめ、ありがとうございました。御苦労さまでした。非常に丁寧に修正していただきました。全体的な印象なのですけれども、堅持する部分は堅持していただき、それで、書きぶりを少しマイルドにするなどの修正をしていただいているところも丁寧にやっていただいていると思いました。

私からコメントした部分は、非常にうまく直していただいていたり、加えていただけたと思っています。18ページの優れたサービスが期待されるという部分であったり、認証という表現はなくなりましたけれども、良いサービスを応援するという方向が大事ですよというところはきちんと残っていて良いなと思いました。

2つ目です。今、尾嶋委員から御指摘があった部分なのですけれども、オープンデータというのは、政府の方針としても大事だし、AI、IoT、Society5.0という意味でも大事な方向だなと思っていまして、今後20年というスパンで考えた場合には、僕としてはこの文言はこのまま残して、いろいろな誤解というか懸念はあるので、丁寧に説明する必要はあるかと思うのですが、残していただいたほうが良いなと思っております。

あと、会津若松の例なども、脚注ですけれども入って、分かりやすくなったかなと思っています。

それから、前回コメントしなかったのですけれども、33ページのデータの整備です。ここは今回伊集先生に大変御尽力いただいた部分なのですけれども、やはりいろいろな方が分析して評価してウオッチしていくというか、アウトカム評価も含めてやっていくという体制は非常に大事だと思っていますので、ここの部分が入っているというのも良いなと思いました。

以上です。

○新川座長 ありがとうございました。

認証というと広く公共的に認証しないといけないというイメージのほうが強くなるので、少し言葉を控えさせていただいてございますが、より良い商品の提供、サービスの提供を応援するという形にしてございました。また、オープンデータの使い方について御意見をいただきました。それから、こうした地方消費者行政に関わります財務データを中心にしたデータの整備等も、今後、事実に基づく政策形成を考えていく上でも大変重要ですし、それを様々な視点で考えていくきっかけ作りとしては私どもの意味が大きいのではないかと考えておりまして、御評価をいただいたかなと思っております。

それでは、恐縮ですが、八木委員、よろしくお願いいたします。

○八木委員 ありがとうございます。

広範にわたって様々な意見があるところを非常によくまとめていただけたなと思います。事務局の皆さん、座長に感謝いたします。

まず最初ですけれども、2040年というのが、今の延長線上ではない、技術の進歩やいろいろなことがあるのだということを踏まえている。議論し始めた当初はどうしても現在に引きずられたような感じを私自身は感じていたのですけれども、その部分が払拭され、今から20年先という議論にかなり近づいていると感じました。

そんな中で、消費者問題と言いますか、特に高齢者の問題が重要性を増すということについてはきちんと書かれておりますし、特にアクティブシニアが今以上に多くなるということもしっかり記述していただいた。それが更に消費者問題の担い手にすらなるのだということで、単純に悲観的に言うのではなくて、前向きな議論になっているところが良かったと思います。

また、2040年ということを踏まえて、テクノロジーの進歩についてもきちんと述べられています。IT活用については、商品の改善にどう使っていくかとか、消費者を守るという観点からどういうふうにITを使っていくか、更には、PIO-NETの発展的な使い方を含めてきちんと書かれているなと思いました。

もう一方で、私は、アバターの活用の可能性などについて申し上げたのですが、医療などでもっと斬新な形で高齢者を支えるようなものが出てくるなと実際には思っています。今後、更なる技術の進歩がありそうだという示唆はもう少しあっても良いかなと感じました。

それから、財源問題に関して、単純にお金が足りないというような話ではなくて、社会問題としての消費者問題、あるいは高齢者の問題の重要性が我々にとってどんどん高まっていくのだということをきちんと言った上で、財源の必要性ということを言っている。日本をより良い社会にしていくため、真剣に社会問題の解決に取り組んでいけば財源も取れるというニュアンスのことも書き入れていただいており、これも前向きな観点として良かったと思います。

私は、いろいろなところで、民間の活用の意義に触れ、民間にも結構頑張っているところがあると申し上げたと思うのですが、民間の活用についても随所に書き入れていただいており、良かったと思っています。

人材の育成に関しても、大学や大学院の活用についてきちんと書いていただいています。社会の重要課題の解決のため、もっと多くの若者たちがこういう問題に対して貢献したいと考える世の中になっていく、あるいはしていかなければいけないという観点があると思います。この点はもっと主張しても良かったかなと思う一方、きちんと触れていただいているということは良かったと思います。

細かいことなのですけれども、今回読み返してみて、実は1つ気になったことがございます。「現役世代」という言葉です。数か所出てきます。若者と現役世代と高齢者という風に並べられているのですが、このような並べ方だと高齢者というともう現役ではないというニュアンスが出てしまいます。ライフシフトの時代は高齢者自体が現役を続ける時代だと思うので、現役世代と高齢者を分けて書くことに違和感を感じました。

それから、最後の最後に「課題の先進地」という書き方があります。私は、これを更にポジティブな書き方にするためには、「課題解決の先進地」と言ってほしいなと思います。我々は課題ばかりが先進地なのではない。その直後には解決と書いてあるのですけれども、一番最後のところなので、世界に対して、我々は課題解決の先進地なんだと強調したほうが良かったかなと思いました。

以上です。

○新川座長 ありがとうございました。

重要な御示唆をいただきました。特に、若者の位置付けや、「現役世代」をどう言い換えるか難しいのですが、御示唆をいただきました。課題「解決」の先進、というこれからの在り方を、まさに2040年という未来から、私たちがこれからどうバックキャスティングをきちんとやっていくかということで御指摘をいただいたかと思います。表記上はまた少し工夫をしなければならないかと思いますが、この後も少し議論を踏まえて考えたいと思っております。

それでは、山田委員、よろしくお願いいたします。

○山田委員 事務局の皆さん、本当に大分出来上がったなという感じがしておりまして、この間、これだけいろいろな意見が出ている中で頑張っていただき、改めてお礼を申し上げたいと思います。

そうした中で、基本的な流れについてはこれで結構なのですけれども、幾つか気になる点がありましたので、そこだけは指摘をさせていただきたいと思います。

今回赤で直されたところを見ていると気になりますのは、消費者庁の役割というのがちょっと分かりにくくなっているなと。国の役割が少し分かりにくくなっているなという気がいたします。例えば16ページに「消費者行政主体の役割の変化と連携の強化」と出ているのですけれども、市町村と都道府県は書き込んであるのですけれども、国の役割というのが、「それぞれの役割を明確にした上で、重層的な行政体制を構築し」と、これは「国が」と書いてあるのですけれども、何のことかよく分からないのです。

やはり国がやらなければいけないというか、今回の答申の一番大きな点は、20年後を見据えた場合に、市町村は総合的な行政を充実して、住民サービスをしっかりと維持、確保していく。そのためには、都道府県の広域調整機能や専門家としての機能が今まで以上に必要になってくる。国はそうしたものをつないでいく情報基盤や研修、更には国際的なグローバルな役割を果たしていくということだと思っていたのですけれども、国が重層的な行政体制を構築するとしか書いていないので、あとはちょっとずつ書いてあるのですが、ここのところはもう少し国の役割を書いていただきたい。

その点では、17ページも一緒です。どちらかというと、今まで消費者行政コーディネートセンターというのは都道府県ごとに作るような感じでいたのですけれども、消費者庁が地方公共団体と連携しつつ構想、推進するといったときに、どういう形になるのだろうか、国に1個作ってしまうのだろうかみたいな雰囲気が出てしまっていくと誤解を生むのではないかなと思います。

これは、広域行政で各地域のステークホルダーがより広範に集まって消費者行政を進化させていこうというものですから、国で何とかというよりは、国はサポートに回るのでしょうけれども、都道府県又は広域行政単位で作っていくものではないかなと思っておりまして、ここは誤解が生じるのではないかなと思います。本来ですと、ここの文は、国はもうちょっと積極的に全国的なものについて作っていくという方向に持っていってもらいたいなという気がします。ここは前のほうが良かったような気がします。

それから、20ページにプラットフォームのことを書いていただいておりまして、ありがとうございます。でも、せっかく「消費生活情報プラットフォーム」とかぎ括弧で書いているのだったら、ここも仮称になるのでしょうね。消費者行政コーディネートセンターは仮称で、プラットフォームはそのまま名前になってしまって、固有名詞にかぎ括弧を付けながら仮称が入っていないのは、統一性が取れていないような気がします。

その中で、私はPIO-NETとの連携が一番必要だと思います。先ほどオープンデータ化の話がありましたけれども、やはりこれは20年後を見た場合の話なので、20年前の世界を考えていくと、実はスマホは日本には20年前にないのです。それが今、スマホが圧倒的な力を持って動いているわけですよね。それを考えたときに、20年後のオープンデータ化というのは今より間違いなく進んでいるので、ここのところの部分はやはり書いていただきたい。そして、そのときにはPIO-NETとの連携というものはもっと出てくるのだと思います。

今回、実はコロナでマイナンバーのぜい弱性、機能不全が浮き彫りになってしまいました。多くの人がしまったものを作ってしまったなと考えています。マイナンバーで特定給付を申請しても、オンライン申請したものを一々市町村がペーパーに書き直すという、とてもIoT時代とは思えないようなことになってしまったということを見ても、この国の遅れが明確になったと思いますので、Society5.0を目指すときに、この情報プラットフォームができて、それがPIO-NETと連携してオープンデータ化を目指すというのは、Society5.0という国の大きな方針に基づき20年後を目指しているのだから、是非ともここは考えていただきたいし、書いていただきたいなと私は思います。

そうした観点で見ていったときに、国の役割の中で抜けているなと思いますのが、国際化です。都道府県を超えるような犯罪的な、詐欺的な消費者問題が起きたときの対応です。国際的な問題になると都道府県は出られませんから、国が出ていかなければいけないのだけれども、グローバル対応というのは書いてあるのだけれども、既に現場ではグローバルに人をだましにくるようになっており、フィリピンやタイでオレオレ詐欺の基地が発見されているわけですよね。そういう時代になったときに、グローバル対応としての消費者庁の在り方をIoT基盤の整備とともに書いてもらいたいなと私は思っているところです。

最後に、財源の話なのですけれども、すっかり交付税の話が消えてしまいました。事務局は交付税を使い切っていないから、ここで書くとかえってやぶ蛇になるということだと思うのですけれども、ただ、それですと単に減っていくだけだと思います。それ以上に、我々はこの答申で書かなければいけないのは、交付税としての地方の一般財源としての新しい消費者問題の方向性を書くことではないかと思います。それは既に書いてあると言われまして、市町村においては総合化をしていくということですね。

ですから、様々な消費者問題の交付税交付金は、狭い意味で使われていくのではなくて総合化の中で使われて、充実させていかなければいけないんだというのが市町村の攻め方だと思います。都道府県は専門家、更には難しい事案に対する対応、情報共有基盤、そして、コーディネートセンターといったものをこれから都道府県は強化していくための一般財源の充実、交付税の充実というものを書くべきではないかと思っています。そして、国のほうはIoT基盤、研修基盤、グローバル基盤をやっていく上で財源を取りにいかなければいけないということになったときに、消費者行政の充実という方向で財源の問題が出てくると思っています。交付税を抜かしてしまいますと、これからしぼんでいくだけという形になってしまいますので、是非ともこの点は書き加えていただければなと思っているところであります。

私からは以上です。

○新川座長 どうもありがとうございました。

国の役割についてきちんとまとめて書かないといけないということ。それから、情報の共有プラットフォームについて、PIO-NET連携あるいはオープン化の議論。そして、財源についてはとりわけ地方交付税交付金の仕組みの辺りをきちんと位置付けて、そして、国の役割がもう一段明確になれば、国としても消費者庁が財源探索ができやすくなると、そこまでお話をいただきました。どこまで書き込めるか分からないのですが、後ほどまた議論させていただければと思います。

続きまして、座長代理もお務めいただいておりました山本委員からお話しいただけますでしょうか。

○山本座長代理 山本です。

全体といたしまして、私は地方制度調査会の議論にも参画していたのですけれども、地方制度調査会では2040年を見据えた非常に厳しい資源制約の下で、全ての市町村がフルセットの行政を提供することが非常に難しいと。その下で、地制調としては恐らく初めて明確に都道府県の役割を強調する答申を出しております。それから、デジタル化を正面から取り上げたのも初めてで、そこにおいて国の役割を強調したという点も特筆すべきところだったかと思います。

今回のこの専門調査会ですけれども、消費者行政に関しては、そもそもそこに資源が十分割かれていないということがありまして、そこにもう少し資源を割いてくれと言わなくてはいけないのですけれども、ただ、それを言うだけですと、結局先ほどのような資源制約の下での議論の中で、本気で受け止められないということがあります。言わば消費者行政に関しては2つのステップを同時に議論しなくてはいけないということがありまして、非常に難しい課題であると認識しておりました。

今回、専門委員の方、あるいは事務局の方が努力をして、そこのところを非常にうまく取りまとめていただいていると全体として見ております。

個々の点については、既にいろいろお話があったところですので、私からは繰り返しませんけれども、今後これを実現するステップについて一言だけお話ししておきます。

地制調の議論の中では、重要なのは地域の未来、将来を様々な主体がよく認識して議論することが必要であるということが強調されました。この地方消費者行政の在り方についても、是非今後幅広い層で議論が進められることが必要なのではないかと思います。

今回の報告書に関しましても、もちろん消費者行政に現に携わっている方、地方公共団体の関係の方、消費者団体、あるいは消費者問題にいろいろな形で関わっておられる方にお読みいただきたいのはもちろんなのですけれども、それだけでなく、およそ今後の国あるいは地方の在り方について関心を持っている幅広い年代の方、層の方に是非これを広くお読みいただき、また議論を進めていくことができれば良いと思っております。

今回の報告書も、現時点で考えられることを1つだけ示すということではなく、様々な可能性を示しておりますので、あるいは更にこれとは別の意見も出てくるかもしれませんけれども、幅広く今後議論が進められることを私としては望みたいと考えております。

以上です。

○新川座長 どうもありがとうございました。

この報告書の在り方として、あくまでも20年後を考え、そして、そこからバックキャスティングをしながらどういうことが考えられるのかということの一端を示しているという位置付けは「はじめに」でもさせていただいてきたところですが、同時に、様々な可能性を多くの方々にこれからこの報告書をベースにして議論していただく。そして、その議論を具体的な行動、あるいは政策、施策に実現していっていただくというところが大事だなということで、重要な御示唆をいただいたかと思います。そうした読み手の方々をしっかりと見付け出してお届けしていかないといけないなと改めて思った次第でした。

続きまして、オブザーバー委員の皆様方から順次いただきたいと思いますが、まずは生駒委員、お願いできますでしょうか。

○生駒委員 この報告書でございますが、多様な委員の意見をよく取り込んでいただきまして、とても丁寧にまとめてくださったと思います。ありがとうございます。私もSDGsやエシカル消費について提案させていただきましたが、いろいろ盛り込んでくださっていますので、とても満足しております。

この中で、報告書として、私、改めて全部読ませていただいた中で、一番インパクトがあった数字というのが2019年度の消費者被害、トラブルの額です。約4.7兆円で、GDPの約1パーセントに相当する。実はこれだけでニュースの1面を取れそうな本当に衝撃的な数字だと思うのですけれども、こういった状況の中で、20年後を見据えて何ができるか、地方消費者行政を強化していくのに何が必要かと考えましたときに、今回文面にも盛り込まれています「消費生活情報プラットフォーム」が非常に重要な存在になるのではないかと思っています。

こちらはデジタル上のプラットフォームですから、地方、都会関係なくデジタル上でいろいろな方がアクセスできるプラットフォームになると思います。何より、消費者自身の意識の覚醒がない限り被害は収まらないと私は常日頃思っています。例えば若い方がなかなか消費者問題の窓口に相談しにこないとか、いざとなるとどこの情報サイトをのぞけば解決する手だてが見つかるのか、皆さん分からないという状況が実際にあると思うのです。もし、消費者自身が情報を発信して交換できる情報交換プラットフォームがSNSのようにできましたら、機能していくことは間違いないなと思っております。

先ほど山田委員が御提案されましたが、その場合はPIO-NETという非常に重要なビッグデータのオープンデータ化が図られて連携していくということは必ず重要であると私も感じています。消費者が受け身ではなくて能動的に消費について考えるといった基盤がここから生まれると良いなと思っておりまして、2040年に向けては、消費者行政コーディネートセンターとともにこのプラットフォームが非常に重要な役割を果たすだろうと感じております。

また、ここではグローバルな情報も是非共有したいと思っています。山田委員もおっしゃっていましたが、GDPに占める1パーセントが大きい数字なのか、小さい数字なのか、日本の消費者問題が抱えている課題がグローバルな視点からどのように見られているのか、あるいは解決できるのかといったことも含めて、ここで教育や被害の予防ができるようなことが期待されるのではないかと思いました。

あと、もう一つ大変小さいことなのですが、人生100年時代という言葉も非常にインパクトがあるのですが、アクティブシニアという言葉が使われているのはすばらしいと思っています。ただ、こちらが1回最初に出てくるのですが、例えば14ページや23ページの高齢者の活躍に関することをうたった文面の中には出てこないのです。できればこういった言葉を繰り返し登場させていかれたらどうかなと思っています。アクティブシニアという言葉とともに概念が定着していくのに、やはりそういったことが必要なのではないかと感じました。

以上です。

○新川座長 ありがとうございました。

情報プラットフォームの重要性、グローバルな情報も含めてですが、その役割、特に20年後にこれを通じて様々な消費課題が解決されていく姿をお示しいただきました。また、アクティブシニアという表記については、また少し検討させていただかないといけないなと思いながらお話を聞いておりました。

それでは、清水委員、よろしくお願いいたします。

○清水委員 清水です。

先ほど尾嶋委員が3点言われたのですが、現場の一相談員としては全く同感です。

私もオブザーバーになって、この問題を考え20年後だと何回も何回もお金がない、人がいないと考えました。しかし、今があり、1年後、2年後、3年後があるのに急激に変わるのかと悩ましく思っていましたが、やはり総務省のデータを見るとショックでした。

結果としては、この報告書にまとめ上げられたことなのですけれども、私たち相談員は、人に寄り添って市民のために市民サービスをしているというのは、恐らく20年後、絶対に変わりないと思います。昨日もコロナ禍で孤立した独り暮らしの80歳の方が、初めて消費生活センターに電話をしてきました。相談して良かったと泣いて喜ばれて、また電話していいかと言われるので、何でもいつでも相談してくださいと言いました。コロナ禍で名古屋市消費生活センターのある中区界わいは大変なことになっているので、対面で相談に来たいというのをお断りして、お電話で相談を受けました。恐らく20年後も、もちろんリモートも進んでいると思いますが、対面の相談は大事にしていかなければいけないなと思った次第です。

この報告書の総論は間違いないと思っております。ただ、各論で私たち現場の相談員はどうしても譲れないところがあります。私の職場の職員にこの報告書を見てもらって、議論しました。私がこういう立場でなかったらこういう話もできなかったと思います。これからは、相談員の仲間にもこの報告書を見せて議論していきたい、相談員だけではなく市民の方々にも消費生活センターは必要だと言っていただいていますので、理解して頂き、明るい20年後を迎えられたら良いなと思いました。

以上です。

○新川座長 ありがとうございました。

この報告書の在り方について、大変前向きに捉えていただいていて感謝を申し上げます。現場の活動の重要性は、20年たとうが30年たとうが変わらないというところもあろうかと思いますが、同時に、それを取り巻く社会、経済、政治や行政の環境が大きく変わっていく。それにどう的確に対応して、本来機能を果たし続けるのか。この辺りがこの報告書でも工夫してきたところでもございました。

以上、各委員から御意見あるいはこの報告書についてのコメントをいただきました。

予定の時間がそろそろ来ておりますけれども、取りまとめの段階に入ってございますので、なお追加して御意見があればお伺いしたいと思いますが、いかがでしょうか。

池本委員、どうぞ。御発言ください。

○池本委員 先ほど発言する時間がなかった点で、報告書の15ページ、第5項の消費生活相談体制の実現という将来像のところについて申し上げます。

ここの第2段落で、地方公共団体は相談から解決までの一貫した対応力が整備されており、警察との連携や訴訟を見据えた対応を行う各分野の専門家と連携、国境を越える問題に対応できる状況にあるという記述があります。実は、ここがちょっと狭いのではないか。個別の相談を受けて解決する対応力の話と、その相談情報を活用して、地域の中で被害を防止する啓発活動や、更には事業者規制部門との連携、更にその先に警察との連携などもあるとなっていくのだろうと思うのです。特に被害防止の側面で言うと、地域での啓発や連携という辺りがコーディネート機能につながっていくはずです。

17ページには都道府県が市町村のコーディネート機能を支援するとありますが、市町村のコーディネート機能が何かということが実は明示されていなくて、それが15ページでもう少し書いていただくことではないかと思います。

その意味で、先ほど申し上げましたが、相談から解決までの一貫した対応としての専門的な解決の支援や、ADRの活用、訴訟の支援といった相談対応力、そして、相談情報を活用した被害防止に向けて地域での啓発活動、あるいは悪質業者の規制部門との連携、警察との連携などで各分野との専門家との連携が図られているのだと。ここをこのくらい広めに書いていただく必要があるのかと思います。それが1点です。

それから、この間、各委員からお出しいただいた意見に関連して申し上げますと、31ページ、先ほど申し上げた今後の取組方針の自主財源確保に向けてうんぬんというところがあります。私はここは国と地方公共団体とその地域の消費者団体や事業者などを巻き込んだ地方自治体としての消費者行政重視の財源確保の議論の場を設けるべきだと申し上げました。その辺り、書きぶりとしてもちょっと言葉を足していただければ良いかなという点と、これに関連して、先ほど山田委員から地方交付税措置というものの充実。これは地方交付税ですから、最終的には自主財源として自治体がそれを活用しなければいけないので、自治体の政策判断のことと、それに見合う地方公共団体のこれからの消費者行政の役割を見据えた地方交付税措置の充実ということは並列できる話だと思います。その点に少し触れていただいたらいかがかと思います。

それから、尾嶋委員、清水委員から御指摘があったところで、28ページの脚注の23、広域連携を進めるときに、委託をした市町村の消費者行政が手薄になる、低下することがないように留意する必要がある。これは確かに本文に格上げしておかしくない指摘ではないかと感じますので、御検討いただければと思います。その点が1点。

あと、24ページにオープンデータ化の話がありましたが、これは前回も私、申し上げたように、今回の報告書の中でオープンデータ化という言葉そのものを削ったら良いのではないかという意見も先ほどあったのですが、今回改訂された原稿で見ますと、個人情報などにしっかり配慮した上で、オープン化するデータ項目を精査するなど十分な配慮をしながらという言葉を書いていただいています。この辺りが、消費者啓発として消費者の間で情報共有する話と、悪質業者の取締りなどへも直結するデータとの仕分けは必要だということが意識されているのではないかと思います。そういう意味だということを確認していただければ、後で怒られるかもしれませんが、表現そのものとして絶対に消すということまでは必要はないかなと感じましたので、最後に申し上げておきます。

以上です。

○新川座長 どうもありがとうございました。

改めまして、重要な御示唆を幾つかいただきました。市町村のコーディネート機能についてもう少し具体的に、また、財源につきましては、地方消費者行政充実のための財源の在り方についてもっと連携して取り組むというような方向も御示唆いただきました。そのほか、各委員からいただいた点につきましても、併せて御意見をいただいたところでございます。この辺り、表現上の工夫の余地もあるところもあろうかと思っております。

そのほか、各委員からいかがでしょうか。よろしゅうございますでしょうか。

それでは、いろいろと御議論をいただいてまいりましたけれども、基本的には今日もちろん表記上の事柄についていろいろ御注文もいただいてございますけれども、論点、基本的な方向付けにつきましては大きな異論はなかったのではないかと思っております。多少議論が分かれているところにつきましては、強調の仕方や言葉をどう付け加えていくのかといったようなところについて幾つか御意見をいただいてございます。

どこまで工夫できるか分かりませんけれども、もしもお許しをいただけるのであれば、これまでの御議論を踏まえて、私、座長と事務局とで修正をさせていただきたいと思っております。それに基づきまして、改めて委員の皆様方には御確認いただくというようなことで、座長に御一任いただけると有り難いのですが、この点、委員の皆様方、いかがでしょうか。

(各委員から了承の声あり)

○新川座長 ありがとうございました。

それでは、大変恐縮ですけれども、報告書は最終的に事務局ともう一度精査いたしまして、御確認いただいた上で最終版とさせていただきたいと思っております。

今後、今日いただきました御意見を踏まえた最終版を作成させていただきまして、座長の私から、山本委員長がいらっしゃいます消費者委員会本会議に報告をさせていただきたいと思っております。

それでは、テレビ会議ですけれども、こうして皆様方にお集まりいただいて御議論させていただくというのは本日が最終回となりました。一言だけお礼の御挨拶をさせていただきたいと思っております。

進行につきましては、本当にふつつかで慣れないところもあり、しかも、こうした後半のところでは、大きく新型コロナウイルス感染症の影響もあって、テレビ会議形式ということでなかなか思うに任せないところも各委員あったのではないかと思っております。この点でも、進行上、いろいろと御不満がおありだったかと思いますし、私どもの不備も多かったのではないかと思っております。しかしながら、そうした状況の中にもかかわりませず、こうした報告書を取りまとめる大きな方向付けをいただいたこと、大変有り難く思っております。

2040問題というのはよくいろいろなところで議論されますが、実は必ずしも2040年の未来のより良い姿を描いてその議論がされているかというと、実は意外にそうした議論は社会全体の中で見てみましてもあまりなくて、そのごく一部、あるいは問題点だけを切り取って議論をするというような傾向がどうしても気になっていたところでした。

しかしながら、当地方消費者行政専門調査会では、そこをきちんと本来のあるべき議論の仕方、言わば未来の理想をきちんと考え、そして、そこに向けてこれから何をしていかなければならないのかというバックキャスティングをきちんとやっていただいた。そこのところの価値は大変大きかったのではないかと思っております。そして、そのための様々な素材、あるいは様々なすばらしいアイデアを委員の皆様方からいただくことができたということも大変有り難く思っています。

先ほど何人かの先生方からも御指摘がありましたように、この私どもの報告書が今後消費者委員会としてオーソライズされ、そして、意見書として公表されるのではないかと勝手に想像しておりますけれども、そうしたときに、改めてこの報告書が社会の中でしっかりと理解していただき、そして、それが更にこれからのより良い消費者行政に向けてのステップになる、手がかりになっていく存在として役に立っていけばと思いながら、今日の進行を務めさせていただいてきたところでございます。

少し長くなりましたけれども、まずはお礼に代えて一言御挨拶ということで申し上げさせていただきました。昨年6月以来ということでありますけれども、1年余りの間、本当にありがとうございました。

それでは、本日予定しておりましたところは以上でございますけれども、事務局のほうから最後に当たりまして何かございましたら、よろしくお願いいたします。

○二之宮事務局長 事務局長の二之宮でございます。

委員の皆様におかれましては、20年後の消費者行政のあるべき姿と、その実現に向けた対応策という非常に難しいテーマについて精力的に御審議いただき、このような報告書を取りまとめていただきましたことに心より御礼申し上げます。誠にありがとうございました。

以上でございます。

○友行企画官 友行でございます。

今まで先生方にはいろいろとたくさんの事柄について御審議いただきまして、誠にありがとうございます。

まだ宿題をいただいておりますので、後は新川座長と御相談しながら、しっかりと最後まで役目を務めてまいりたいと思います。あともう少しだけよろしくお願いいたします。

以上でございます。どうもありがとうございます。


≪3.閉会≫

○新川座長 本当に難しいテーマを熱心に御議論いただきまして、ありがとうございました。まだステップが幾つか残ってございますけれども、心からお礼を申し上げまして、この会を閉じさせていただきます。お忙しいところ、本当にありがとうございました。

それでは、以上をもちまして閉会とさせていただきます。失礼いたします。どうも御苦労さまでした。

(以上)