第33回 地方消費者行政専門調査会 議事録

日時

2020年7月14日(火)10:00~13:28

場所

消費者委員会会議室
東京都千代田区霞が関3-1-1 (中央合同庁舎第4号館8階)・テレビ会議

出席者

【委員】
新川座長、山本座長代理、池本委員、伊集委員、大森委員、尾嶋委員、西田委員、八木委員、山田委員
【消費者委員会委員】
生駒委員、清水委員
【説明者】
消費者庁 太田地方協力課長
【事務局】
二之宮事務局長、福島審議官、金子参事官、友行企画官

議事次第

  1. 開会
  2. 地方消費者行政に関する報告書骨子案について
  3. 閉会

配布資料 (資料は全てPDF形式となります。)

≪1.開会≫

○新川座長 それでは、定刻になりましたので、ただいまから第33回「地方消費者行政専門調査会」を開催させていただきます。

本日も、コロナ禍、そして豪雨等々大変な状況がございますけれども、御出席いただきまして、ありがとうございました。

本日は、新型コロナウイルス感染症拡大防止という観点から、テレビ会議システムにより、当専門調査会を開催いたします。

本日の進行につきましては、途中で私の回線が切れた場合は、復旧するまでの間、山本座長代理に進行を、そして、座長代理の回線も併せて切れた場合は事務局に進行をお願いしたいと考えておりますので、よろしくお願いいたします。

それでは、いつものとおりでございますけれども、テレビ会議システムでの開催に当たりまして、事務局から留意事項をお願いいたします。

○友行企画官 それでは、1つ目でございますが、ハウリング防止のために発言者以外の方はマイクをミュートの状態にしていただきますようお願いいたします。

2つ目に、御発言の際には、チャットで質問ですとか御発言を記載していただくか、もしくは直接お名前をおっしゃっていただきますようにお願いいたします。

3つ目に、音声が聞き取りづらいといったことがございました場合にも、チャット機能でお知らせいただければと思います。

以上でございます。

○新川座長 ありがとうございました。

それでは、以上の留意点をそれぞれ念頭に置いていただきまして、進めていきたいと思います。

さて、本日は、首藤委員が御欠席です。また、八木委員が途中から御参加、山本座長代理と西田委員が12時頃御退席の御予定とお伺いしております。

次に、配付資料の確認をさせていただきます。お手元に資料が届いておろうかと思いますけれども、表紙の議事次第の中ほどに配付資料の一覧が記載されてございます。配付資料1から4までございます。そして、配付資料1に枝番、配付資料2も1から4までの枝番がついてございますので、この資料に不備がないかどうか御確認いただければと思います。何かございましたらお知らせいただければと思いますが、いかがでしょうか。

よろしいでしょうか。

それでは、本日の議事を進めてまいりたいと思いますが、議事に先立ちまして、一言申し上げさせていただきます。

本日は、消費者庁地方協力課の太田課長様に出席をいただいております。その趣旨について御説明をさせていただきたいと思います。

当専門調査会では、20年後の地方消費者行政の充実・強化、そして、20年後の消費者市民社会とそれを支える消費者行政の在り方について、これまで地方自治体や事業者の方々からのヒアリングを重ねてまいりました。また、当調査会委員の皆様方からは、様々な観点での御意見をいただき、この数回の議論の中で、私たちとしての結論、報告書の取りまとめをする段階に入りました。その際に、実際に消費者行政を推進し、国全体の消費者行政の司令塔の役割を果たしておられる消費者庁との意見交換をしておく必要があるのではないかと考えた次第です。

そこで、本日は、消費者庁地方協力課の太田課長様においでいただきました。そして、消費者市民社会、あるいは消費者行政の展望という私たちの趣旨からいうと、消費者行政全体に関わる極めて大きな話になってしまいがちかもしれませんけれども、何よりも当専門調査会では、実際に消費者の方々お一人お一人の問題に対処していく地方消費者行政の在り方を基点にして議論を進めてまいりました。そうした観点から、本日は、地方協力課の太田課長様においでいただいているという趣旨でございます。この趣旨をお酌み取りいただきまして、消費者庁との意見交換を進めていくことができればと考えておりますので、よろしくお願いいたします。

それでは、議事に入ってまいりたいと思います。


≪2.地方消費者行政に関する報告書骨子案について≫

○新川座長 当専門調査会では、我が国の20年後のさらなる人口減少や社会情勢の変化、そうしたものに備えて、地方消費者行政において今後20年の間にどのような対応を準備しておかなければならないのか検討をしてまいりました。本日は、前回の第32回専門調査会に引き続きまして、私たちの報告書の方向性を示す骨子案につきまして、議論を更に進めてまいりたいと思っております。

今日の進め方ですが、最初に事務局から、前回までの専門調査会の議論を踏まえ修正を施していただきました報告書骨子案について御説明をいただきたいと思います。そして、その後、消費者庁の太田課長様と報告書骨子案に関わりまして意見交換を行いたいと考えてございます。意見交換の後、若干の休憩を挟みまして、私たちの報告書骨子案について皆様と意見交換を進めていければと思ってございます。

以上、本日の進め方ですが、よろしくお願いいたします。

それでは、早速でございますけれども、事務局から修正をされた報告書案につきまして御説明をいただきたいと思います。事務局、御説明をよろしくお願いいたします。

○友行企画官 それでは、資料1-1を御覧いただけますでしょうか。報告書骨子案という形でございます。前回6月30日にも骨子案につきまして御議論いただきました。そこの議論を踏まえまして、若干整えたところがございます。本日は整えたところなどを中心に御説明したいと思います。

最初のところは目次でございます。

おめくりいただきまして「はじめに」のところが参ります。ここは現時点で既に記入しているところもございますけれども、全体の報告書が出来上がったときにもう一度見直して、言葉の使い方ですとかはいろいろと工夫していきたいと思っております。

続きまして、第1の「現状」のところでございます。1番といたしまして「消費者問題の現状」、2番といたしまして「地方消費者行政の現状」でございます。前回まではポツを置いて論点を書くような形にしておりましたが、今回は基本的にはそのポツを文章の形に流してみるような形で整えております。ここにつきましても最終的にはと言いますか、徐々に全体を見て整えていくということを想定しております。最初のところでは、消費者相談の件数のお話でございますとか、消費者被害トラブルの額でございますとか、そういったデータ的なものも踏まえて記載しております。

2つ目の「地方消費者行政の現状」のところでございます。こちらにつきましても、ポツのところを文章に整えるというようなことが基本的なところでございます。予算の話も記載しております。

それから、交付金の話につきましても、地方消費者行政活性化交付金から推進交付金、強化交付金と変遷してきていることなどにつきまして、記載しております。行政職員数のお話も述べているところでございます。

第2に参りまして「20年後の我が国の主な課題と消費者行政」というところでございます。1つ目といたしまして「20年後の消費者を取り巻く環境において予想される課題と展望」でございます。課題といたしましては、人口減少でございます。高齢者人口が増加を続け、高齢化率が40パーセントに達すること。認知症の割合が年齢とともに高まることから、認知症の患者数も増加すること。それから、地域力すなわち住民自身による見守りや課題への対応などが低下する懸念があること。また、世帯の状況を見ますと、単身世帯が増加することなどが挙げられます。

こういった地域力の低下、単身世帯の増加、コミュニケーションの取り方の変化、消費者の孤立化、非対面化やデジタル情報化が進むことにより匿名社会が広がるといったことを背景に、消費者個人の対応力が低下することを課題として挙げております。また、消費者問題だけではなくて、金銭的な経済問題、健康面での課題を抱えるといったことも、ここでは指摘しております。

展望といたしましては、ICT・AI技術などがそうした課題を解決するプラスの面に働くということが期待されることや、人生100年時代を迎えまして、活動的な高齢者が増えていく。高齢者をターゲットとした新たな市場の登場や、高齢者による活発な消費活動が全体の消費を刺激するといったことを期待しているところでございます。

2つ目といたしまして「20年後の消費者行政において予想される課題と展望」でございます。消費者行政の職員も縮小していくこと。相談員さんといった専門人材の確保も困難になること。予算の縮小、課題解決の低下が予想されるといったことを指摘しております。

他方で、展望といたしましては、ICT・AI技術がプラスに働くこと。また、地方消費者行政ということを見据えた場合に、地方においては豊かな自然や伝統文化、エシカル消費の実践の場といったことも指摘しております。そういったことを踏まえまして、3つ目といたしまして、消費者行政の重要性のさらなる増大を指摘しております。

単身世帯の増加による孤立化、匿名社会の広がり、様々な消費者問題に直面する可能性がございます。他方で、人口減少を背景に行政の対応力は低下するといったことが懸念されます。地産地消を含め、エシカル消費の重要性も一層高まってまいります。高齢化率が約40パーセントに達する、そうした状況の中、高齢者が生き生きと安全安心な消費生活を送ることができる社会を実現することも、消費者行政が担うべき重要な政策課題であると考えております。そうしたことから、安全安心な消費環境を国内において実現することは、我が国経済の発展にもつながる。

以上を踏まえまして、消費者行政の重要性は確実に今後増大していく。これが専門調査会としての大前提の見解でございます。

それを踏まえまして、第3のところで「20年後の消費者行政が目指すべき姿」を、この専門調査会として描いていただいております。中身につきましては、6月30日に指摘したことと基本的には変えておりません。ポツのところを文章化したところは、見え方として少し変わっているところがございます。

1つ目は「市町村、都道府県及び国が重層的に消費者の安全を守る消費者行政への転換」でございます。一人一人の消費者に向き合うのは市町村の窓口でございます。引き続き、市町村が中心になってそうしたことを担うとしつつも、それを県や国が支援する、こういった重層的な体系を作っていくということでございます。

2つ目は「新たな支え合い見守り合う地域社会への転換」でございます。公共私の連携を一層深めていく。地域において安全安心を守る視点で連携していくということでございます。

3つ目といたしまして「複雑多様化した消費者問題から自ら身を守ることのできる消費者市民社会の形成」でございます。

(1)として「安全安心な市場」。20年後には、インターネットや実店舗等どこで購入しても安全安心な市場が醸成されていることを目指しております。被害救済の仕組みも適切に整備されているということでございます。

(2)といたしまして「自立した消費者による消費者市民社会」でございます。消費者教育推進法でうたっている消費者市民社会が実現されている。また、SDGsの展開、エシカル消費などを意識した消費行動を取ることができる消費者が醸成されているといったことを目指すといったことでございます。

(3)といたしまして「高齢者も担い手として支える消費者市民社会」でございます。20年後には、高齢者が消費者として活発に活動すると同時に、生産者、労働者として社会と関わりを持ち続け、知見を生かし消費者の安全安心の見守り側としても活躍している、そういった社会を目指すといったことでございます。

(4)といたしまして、ICT・AI技術の活用でございます。消費者が自ら簡単に情報を得ることができる。消費者被害の未然防止、被害回復に役立つ情報に自然と触れることができる。市場が常時モニタリングなどを行われ、安全安心に市場が機能する状態が保たれていることなどを目指し、実現するということでございます。

4つ目といたしまして「感染症、自然災害等危機下において消費者の安全安心が確保された社会の実現」でございます。こういった危機下においても、消費者保護、消費者支援、地域とのつながりが維持・確保され、消費者を孤立させない社会、危機下において発生が予想される消費者問題を未然に防ぐことができる社会が実現しているといったことでございます。

5つ目といたしまして「安全安心な消費生活を守る持続可能な消費生活相談体制の実現」でございます。20年後には、都市部や過疎地域を問わず、いつでも誰でも、安心して相談できる体制が構築されている、そうした社会が作られていることを目指すということでございます。相談から解決までの一貫した対応力が整備されており、警察との連携、訴訟を見据えた対応を行う各分野の専門家との連携ができている状態にある、そういった社会を目指すということでございます。

6つ目といたしまして「目指すべき姿を実現するための社会的資源の確保、活用の実現」でございます。20年後には、こうした社会を実現するための必要な社会的資源、すなわち財源でありますとか人的資源が確保され、有効に活用されているといったことが実現している社会を目指すということでございます。

この第3のところで述べたことが、現時点、この専門調査会において20年後に向けて目指すべき理想の姿といったところでございます。

第4につきましては、目指すべき姿の実現に向けて、どのような方向性があり得るか、どのような考え方を基本的に取るかといったことを述べているところでございます。ここのところは前回の御意見を踏まえまして修正したところもございます。ただ、大きくは変えていないかと事務局としては考えております。本日もいろいろ意見交換をしていただけると思いますので、そういったものを踏まえながら、取りまとめに向けて、この第4のところは整えていきたいと思っております。

第4と第3は基本的には対応させるような形にしております。

この見た目上、前回から変わっているところといたしましては、「消費者行政コーディネートセンター」という言葉を前回の報告書骨子案には記載しておりました。これは、消費者行政の様々な分野においてコーディネートする、調整する、専門家をつなぐといったような、調整ですとかコーディネートができる機能というものを想定しておりました。ただ、仮称ではありましたけれども、消費者行政コーディネートセンターという名称をつけておりましたことから、既存のと言いますか、現在中心的な役割を担っている消費生活センターとの役割ですとか機能などについてとても分かりにくいのではないかという御指摘もございまして、今回は、その消費者行政コーディネートセンターという言葉については、この報告書の中には盛り込んでおりません。

また、前回までは消費者行政コーディネートセンター、ここで言うところの「消費者行政のコーディネート機能」でございますけれども、それについても本文中に入れ込んでおりまして、そこがどういった役割を果たすとか、どういった機能を持ち得るということを記載しておりましたが、本日の専門調査会におきましては、資料のほうに別途つけております。「消費者行政におけるコーディネート機能の強化」ということで、報告書補足資料の資料1-2に記載しておりますので、本文中からはそういった文言は取って、表のほうに基本的には整理するという形を取っております。

第4の「目指すべき姿の実現に向けた対応策」につきまして、1つ目の「消費者行政主体の役割の変化と連携強化」、2つ目の「地域社会の対応力強化」、(1)として「総合型行政化の推進」、(2)といたしまして「新たな見守り体制の構築・整備」、ここまでのところ、若干文言上変わっているところもございますけれども、趣旨としては大きく変えているようなところはございません。(3)の「消費者自身が見守りの担い手として活躍する社会の構築」につきましても、内容としては、ポツのままで大きくは変えておりません。

申し遅れましたが、第4のところにつきましては、まだ御議論がこれから進むだろうということを想定しておりまして、まだ文章化はせずに、ポツの形で本日の専門調査会においても置いております。

3つ目の「新しい消費者市民社会の形成に向けた対応策」のところでございます。

(1)の「安心安全な市場を醸成するための仕組みづくり」につきましては、ポツを並べている形で、書かれている内容につきましては、6月30日時点のものから変えておりません。様々な委員の先生方の御発言を元に記載しているところでございます。

(2)の「自立した消費者を育成するための消費者教育・啓発活動の推進」につきましても内容を変えておりません。

(3)の「高齢者が活躍する社会の構築」、(4)の「Society5.0を前提としたICT・AI技術等の活用」のところにつきましても、中身については変更いたしておりません。

4つ目の「感染症、自然災害等危機下における消費者の安全安心を確保する対応体制の構築」というところにつきましても、変更はしておりません。

5つ目の「持続可能な消費生活相談体制の構築」のところでございますが、ここは前回柱書きがございましたけれども、そちらは表のほうに整理するということで、柱書きは取っております。

(1)の「広域センター化のさらなる推進」というところは、特に変わっておりません。

(2)の「専門性の高い消費者問題への対応体制の構築」のところも、少し形上変わっているところがございますが、内容としては大きく変えているところではございません。

(3)の「消費生活相談員の活躍の場の拡大」のところでございます。様々な御意見をいただいておりますけれども、現時点では、前回のところから大きく記載ぶりは変えていないところでございます。3つ目のポツのところにつきましては、少し記載ぶりを変えておりまして、消費者庁は、消費生活相談員について、雇用先となる市町村や都道府県、消費者団体等において、それぞれの実情に合わせかつ知識の維持や活躍の場が広がるよう、必要な体制や身分等の検討を継続的に進めるといったような書きぶりにしております。

6つ目の「目指すべき姿を実現するための社会的資源の確保、活用」のところでございます。最初のポツの柱書きのところは変えておりません。

(1)の「財源の確保」のところでございますが、2つ目のポツのところ、前回はもう少し細かくいろいろなことを記載しておりましたけれども、今回は少し記載をまとめているような形で、このような形で整えております。

次の(2)の「人的資源の活用」でございますとか、最後の(3)の「消費者行政に係るデータの整備・分析」につきましては、変えておりません。

全体といたしましては、以上のような形でございます。

若干の補足説明でございますけれども、資料1-2を少しだけ御覧いただけますでしょうか。お手元の資料につきましては、骨子案の次のページに載っている「消費者行政におけるコーディネート機能の強化」という表でございます。中身につきまして、基本的な役割ですとか機能、目的、参考となる取組例というところは、前回お示ししたものから変わっておりません。最初に申しましたように、名称につきましては、センターという言い方は今回はいたしておりません。

それから、前回までは組織の構成として、都道府県に置くのか、ブロック別に置くのかというようなことも表の中には入れておきましたが、そこは自治体によって様々であろうかということもあり、今回のところでは、こういう機能が必要だということで、そのところは特に記載はしておりません。

それから、資料1-3の消費者市民社会のパワーポイントの図でございます。理想の姿を描いたものでございます。市町村ですとか都道府県とか国が重層的に連携していくということ。それから、横につながっていく、様々な関係者のところもいろいろとつながっていくということを表している図でございます。そうしたことによって、単身世帯であっても、独り暮らしであっても、ひとりぼっちではないと。こういったことが地域の中できちんと整えられていて、相談・啓発・教育・被害救済・見守りといったこと。それから、自立した消費者、見守りの担い手として活躍する高齢者、ICT・AI技術の活用、また、地方や地域におけるSDGsの取組などが行われることによって消費者市民社会が作られていくと、こういう社会を目指すのだということを御参考までに図として表しているものでございます。

長くなりましたが、事務局からの御説明は以上でございます。

○新川座長 ありがとうございました。

それでは、ただいま御説明をいただきました報告書案につきましては、後ほどまた各委員からいろいろと御意見をいただき、私どもの報告書として内容を整えてまいりたいと思っております。

引き続きまして、本日御出席を賜っております消費者庁太田地方協力課長様、当専門調査会の骨子案について、ただいまも説明を聞いていただけたかと思いますが、御意見をいただければと思っております。まずは太田課長様より、当専門調査会の骨子案について御意見等をいただければと考えておりますので、太田様、よろしくお願いをいたします。

○消費者庁太田地方協力課長 消費者庁で地方協力課長をしております太田と申します。どうぞよろしくお願いいたします。

本日は、意見交換の機会を頂きまして、誠にありがとうございます。また、専門調査会の委員の皆様におかれましては、昨年6月以来、中長期的に持続可能な地方消費者行政の実現のための方策につきまして、活発に御議論いただいておりますことに誠に感謝申し上げます。

消費者庁におきましても、こういった中長期的な取組についてはいろいろ検討しておりまして、本年3月末には消費者委員会の御意見も踏まえつつ、今後5年間の消費者政策の指針となる第4期消費者基本計画を閣議決定したところでございます。

それと併せまして、その翌4月に地方消費者行政強化作戦2020というものを策定しております。これは本日お配りしております資料2-1から2-3にお示ししているものですけれども、これは実は昨年10月にこの専門調査会の会合におきまして、有識者懇談会の報告書の段階のものを御説明させていただいています。その後、地方との意見交換などを踏まえまして、本年4月に強化作戦2020という形で策定したものでございます。

強化作戦2020におきましては、今後5年間に地方消費者行政が目指すべき姿をなるべく具体的な数値目標として定めておりまして、これを都道府県ごとに達成することを目指していくということでございまして、それを実現するための地方公共団体における取組の在り方でありますとか、その取組を後押しするための国からの財政面を含めた支援の在り方といったものについて提示をしているところでございます。

このように、消費者庁としての取組については、向こう5年間ぐらいのタイムスパンで考えているわけでございますけれども、本専門調査会での議論は、それよりもかなり射程の長い20年後、2040年頃の地方消費者行政の在り方を見据えたものであると伺っております。

短期的な視野で議論いたしますと、どうしてもこれまでの取組の延長線上で考えがちになってしまうわけでございますけれども、本専門調査会での議論は、高齢化、人口減少による地方への影響がピークに達するであろうと考えらえる2040年代から逆算をして、今からどういった施策を取るべきかを考えるという点で、消費者行政の分野におきましては、これまでになかったような斬新な取組であると考えております。

御提案いただいている対応策でございますけれども、なかなか我々のような担当者レベルでは思いも及ばないような斬新な御提案もいただいておりまして、大変興味深く拝見したところでございます。

消費者庁といたしましても、今後、規模の小さな市町村を中心に、単独で消費生活センターを維持していくことはなかなか大変であると思っておりまして、こういった中で、単独だけではなくて、広域連携を有効に活用していく必要があるのだろうと。あるいは都道府県による市町村の支援でありますとか補完といった機能を強化していくことが重要なのだろうと。あるいは行政だけではなく、地域の民間主体を含む関係者が連携して、官民連携で取組を進めていくことが重要であるといったところについては認識を共有しているところでございます。こういった点につきましては、強化作戦2020の各目標の中にも対応したような目標を設定しているところでございます。

こういった点で、専門調査会の報告書骨子案と私ども、大きな考え方については軌を一にするところではあるのですけれども、他方、骨子案の中には、国ですとか地方において消費者行政の実務に携わっている者からして、やや疑問に感じる点も散見されるところでございまして、主に第4の対応策の部分が中心となりますが、そういった少々気になる点につきまして、主なものについて以下、御指摘をさせていただきたいと思います。

まず、骨子案の11ページの辺りになりますけれども、消費者行政のコーディネート機能についてでございます。これは6月30日の段階のドラフトでは、「消費者行政コーディネートセンター(仮称)」ということになってございましたけれども、今回は「機能」ということに直していただいているところでございます。今後、規模の小さな市町村を中心に、自治体を取り巻く環境はますます厳しくなるということでありまして、市町村単独での実施はなかなか困難であるということは先ほど申し上げたとおりでございまして、こういった市町村への支援ですとか、市町村間あるいは地域の関係者間の連携促進、都道府県による補完機能を強化するといったことが不可欠でありまして、そういう意味で、消費者行政のコーディネート機能といったものがますます重要になると私どもとしても考えております。

他方、前回の骨子案までにあった「センター」ということになりますと、なかなか私どもとしても戸惑いを感じるところもございまして、センターがどのような位置付けになるのかというところについて、前回の骨子案では、主として都道府県単位に設置をして、消費者行政と消費生活相談業務のエキスパートを配置するというようなことで御提案をいただいておりましたけれども、それがどういった組織なのかと。国の組織なのか、あるいは都道府県の組織なのか、あるいは地方の独立行政法人なのか、地方公共団体間の協議体ですとか共同の機関といった連携によるものなのかとか、その辺の明示がないということでございまして、これはどのような形の組織なのか、ちょっとイメージをしにくかったということでございます。

御指摘のように、このようなコーディネート機能というのは重要でございまして、こういった機関が新設できる余力があるのであれば、ぜひ設置をしたいという気持ちは山々でございますけれども、国・地方とも人的・財源的に非常に厳しい状況にある折に新たな組織を設置するというのは、行政機関内での合意がなかなか得られにくいと考えてございます。

今回御修正いただいたように、市町村の支援ですとか関係者間のコーディネートのための「機能」を強化することが重要であると考えておりまして、そういった中で、このような機能をどうやって強化していくのかということを、まさに考えていく必要があるということでございます。

市町村間の連携の促進ですとか補完する機能というのは、地方自治法でも定められております通り、広域自治体である都道府県の本来的な役割であるというふうに認識しております。そういう意味で、都道府県によるコーディネート機能を強化していくことが今後重要なのだろうと考えておりまして、そのために国がどういう支援を行っていくべきかということを考えていくのが現実的で、有効なのではないかと考えております。

そのための仕組みといたしまして、消費者安全法の中に指定消費生活相談員といった、骨子案でいうエキスパート相談員のような制度もございます。現時点ではまだ有効活用されているとは言えませんけれども、こういったものを更に積極的に活用していくことですとか、また消費者教育コーディネーターのような仕組みもございますので、そういったものを有効に活用して、自治体間の連携や支援を強化する、更に国がそのような自治体間の取組を支援していくという方向で、今後の取組を進めていくべきなのではないかと考えております。

次の点といたしまして、見守りの担い手ということが書いてございまして、その中で高齢者が重要な役割を果たしていくというところについては、私どもとしても認識を共有するところでございます。消費者庁におきましても、今年度から消費生活相談員の担い手の育成事業を開始したところでございまして、今、相談員は高齢化ですとか担い手不足ということが深刻になっておりまして、そういった中で、国主導で新たな担い手を養成していこうということでございます。この中には当然、若い方にももちろん入ってきてほしいわけですし、さらに、企業のお客様窓口などを担当されていて、定年退職されたような高齢者の方にセカンドキャリアとして入ってきていただくというようなことも想定しているわけでございます。

そういった中で、高齢者が非常に重要というのは認識一緒なのですけれども、少々気になる点として、その後の文章で、高齢者で組織された組織がそういったモニタリングなどを行っていくといった記述があるのですが、我々としては、高齢者も重要だけれども若い人も重要だと思っておりまして、幅広い年齢層の多様な方々に消費者行政でありますとか見守りの担い手として御活躍いただきたいと考えておりまして、そこについては若干、ニュアンスの違いかも知れませんが、少し修正いただいたほうがよろしいのではないかなと思っているところでございます。

それから、安全安心な商品・サービスを識別するための認証制度ですとか表彰制度、あるいはショッピングサイトを設けるべきだというような御提案があろうかと思います。商品・サービスの安全性ですとか健康増進効果、地産地消の促進、環境性能でありますとか、そういったものを明らかにするためにいろいろな形で認証制度というのは現在も存在すると考えておりまして、また、表彰制度につきましても、例えば消費者教育の分野で言えば消費者支援功労者表彰なども存在しているわけでございます。

こういったものを今後も有効に活用していくことにつきましては、我々も認識は共通でございますが、他方、何でもかんでも公的機関が認証制度のようものでお墨つきを与えていくと。専用のショッピングサイトを作って、そういったものを推奨するということは、公的機関が民間の商品・サービスにお墨つきを与えるということで、ややもすると民間の取組を阻害することになるのではないかと懸念いたします。

商品・サービスの安全・安心というのは、一般的には個別の業法の安全規制ですとか、あるいはそのための表示制度などがあるわけでございますので、基本的にはそういったものでしっかり確保していくべきものだと考えておりまして、認証制度ですとか表彰制度といったものについては、政策上の必要性を十分踏まえた上で、バランスの取れた形で行っていくことが必要なのではないかと考えております。

それから、ICT・AI技術を活用した情報提供について御提案をいただいております。経済社会のデジタル化が進む中で、消費者行政においても今後、ICT・AI技術を更に活用していくことが必要だということについては、全く認識は同じでございます。消費生活相談については、これまで電話ですとか対面による相談というのが中心でございましたが、消費者庁としても、SNSなどを活用したオンラインでの相談の実証実験などを実施しておりますほか、国民生活センターにおいても、次期のPIO-NETシステムの刷新に向けて、相談業務にAIを活用したチャットボットを導入するといったことも検討しているところでございます。

さらに、ビッグデータの活用が叫ばれる中で、PIO-NETに登録された消費生活相談情報をより有効に活用していくことも重要だと思っております。現在も、PIO-NETのデータを分析いたしまして、消費者庁ですとか国民生活センター、地方公共団体のホームページ等に白書ですとかレポート等々、分かりやすい形で消費者への情報提供を行っているところでございますが、今後更にこの取組を強化する必要があると考えております。

他方、PIO-NETのシステムというのは、現在、基本的には行政機関内で利用しているところでございます。その理由といたしましては、相談情報の中には、個人情報でありますとか企業の競争上の地位に関わるようなセンシティブな情報がたくさん含まれているということでございますので、一般の消費者の方々に情報提供するためには、ある程度その範囲でありますとか内容につきまして、十分な検討を行った上で、利害関係者を含めた同意を取り付けることが不可欠になってくるということでありまして、かなり慎重な対応が必要になると考えております。

また、PIO-NETの登録データは地方公共団体の行政文書に当たるということでございまして、一般の消費者の方々が利用することが前提になるのであれば、地方公共団体を含めて、どういった形で取り扱うのが適正なのかということについて合意形成を図っていく必要があるということでございます。

それから、AIなどを使って様々な情報提供、高度な情報提供をしていくことにつきましては、将来的な課題としては認識しております。他方、新たにこういったAIを活用したシステムを実装していくためにはかなりの費用、コストがかかるということでございまして、さらに、どういったものが有効なのかということについては、いろいろ検討が必要であるということでございまして、費用対効果などを考えながら、実用性の高いものから段階的に整備を進めていきたいと考えているところでございます。

それから、感染症、自然災害等危機下における対応について御提言をいただいております。近年の台風・豪雨被害でありますとか、現下の新型コロナウイルス感染症拡大の中で、様々な消費者トラブルなどが拡大しておりまして、更に風評などに基づく買いだめの問題なども発生しているところであります。これについては、ある程度落ち着いたところでその要因を十分分析した上で、今後の改善につなげていくということは重要な課題であると認識しております。

他方、その中で法令の見直しということについて御提言をいただいているところでございますけれども、具体的にどの法令のどういった部分の見直しが必要なのかということについては、更に議論を深めていただく必要があるのではないかと思っております。さらに、消費者関連法のみならず、緊急事態の法制全体として検討していくというような視点も必要になってくるのではないかと考えております。

それから、消費生活相談業務の民間委託について御提案をいただいております。地方公共団体におきましても、行政組織のスリム化が求められている中で、その実現のための一手段として、相談業務を消費者団体ですとかNPOなどに委託するということも有力な手段でありまして、現に相当数の自治体においてこういった民間委託等が行われていると認識しております。

ただ、それに伴って、自治体の消費者行政部局と相談業務との距離が遠くなってしまうでありますとか、民間委託先に任せ切りになってしまうとか、そういったデメリットもかなり指摘されているところでございまして、委託に伴うメリット、デメリットを十分精査した上で、慎重に対応していただくことが必要なのではないかと考えております。

それから、財源の確保について御提言いただいております。消費者庁の発足以来、地方消費者行政活性化基金でありますとか交付金などを通じまして、地方の消費者行政の基盤整備と施策の推進を御支援申し上げてきたところでございます。ただし、この基本的な体制整備のところにつきましては、スタートアップ支援という位置付けになっておりまして、段階的に縮小していかざるを得ないということでございます。そういった中であっても、我々としては、引き続き地方公共団体の積極的な取組を支援していきたい、そのための財政支援をしっかり行っていきたいと考えておりまして、消費者庁といたしましては、これまでの交付金による支援に加えまして、これは資料2-4にイメージ図をお示ししておりますけれども、「地方の消費者を守る重層的な対策」ということで、これまでの交付金による支援という一本足打法ではなく、人材育成でありますとか、国民生活センターによる地方研修、人材育成、先進的モデル事業等々、支援手法の多様化、重層化を図ることによって、地方消費者行政をしっかり御支援していきたいと考えているところでございます。

以上が基本的な考え方でございますが、幾つか御提言いただいている中でいくつかコメントさせていただきますと、地方交付税措置のさらなる充実を図るべきではないかというような御指摘がございます。現在でも約260億円が交付税措置されているわけでございますが、問題なのは、その260億のうち自主財源として自治体において措置されているのは6割に満たないということでございまして、仮に交付税措置を拡充することによって、それを消費者行政の充実・強化のための自主財源としていただけるのであれば、そうした要求にもある程度理由があると御理解いただけると思われますが、やはり現状においては、もう少し自主財源化を図るための努力をしてくださいというようなことが言われるのではないかということでございます。

それから、国庫負担金化というような御指摘もいただいております。自治体の消費者行政部局からこういうことができればというような御意見があることは十分承知しておりますけれども、他方、政府全体といたしましては、地方分権改革が行われる中で、そういった義務付け・枠付け、あるいはひも付き補助金などについては縮小する方向で取組が進められているところでございまして、その流れに逆行する措置を行うためには、それ相応の強い根拠というものが必要になってくるのではないかと思われます。

それから、ふるさと納税ですとか課税自主権、クラウドファンディング、寄附付き商品・サービス等々、非常に斬新な御提案をいただいておりまして、長期的にはこういったこともしっかり考えていかなくてはならないということについては認識を共有するところでございますけれども、その前提といたしまして、消費者、地域の住民、国民全体に、消費者行政についてはやはりもっと充実・強化していく必要があるのだと。今の財源では全然足りなくて、もっと増やしていく必要があるのだというような共通認識と言いますか、後押しといったものが、より強力なものが必要になってくるのではないかということでございます。

どのような方法を取るにしても、地方消費者行政に対する財源を確保するためには、更に取組をしっかり進めまして、消費者行政による効果、メリットというものをしっかりアピールして、消費者行政に社会的資源を優先的に配分すべきだというような支持を高めていくことが大前提になるのではないかと思っております。

それから、人的資源の活用のところでございまして、これは地方制度調査会のほうでもいろいろ御議論があったようでございますけれども、地域の有能な人材が組織の枠を越えて活躍する環境を整備するというのは非常に重要だと思っております。これは消費者行政に限らず全ての行政分野の共通課題であると認識しております。

他方、これを行うためには、公務員法など制度全般的な見直しが必要になってくるということでございまして、総務省をはじめ政府全体として検討されるべき課題であると考えているところでございます。

最後でございますが、地方消費者行政に関するデータ整備について御指摘をいただいております。前回、伊集先生に詳細な定量的な分析をお示ししていただきまして大変参考になったわけでございますけれども、やはりエビデンスに基づく政策立案をするためには、データの活用、利用可能なデータを整備することが非常に重要であるということについては認識を共有しております。地方消費者行政については、私どもにおいて、現況調査というものを毎年1回行っております。さらに、PIO-NETの相談情報などを組み合わせていろいろ分析を行っているところでございまして、そういったものをより有効に活用していく、更に細かく分析していくことが必要だと思っております。

他方、更に調査項目を増やすということになりますと、自治体から今でもかなり負担だということを言われておりますので、そういった負担増になることを回避しながら、より有益なデータを入れていく。そういうバランスが必要なのであろうと考えているところでございます。

以上、いろいろ申し上げましたけれども、高齢化、人口減少の影響がピークになる20年後における持続可能な地方消費者行政の実現、今のうちから対策を講じるべきというような本専門調査会の御指摘につきましては、非常に重要であり、認識を共有しておりますので、いただいた御提言などを参考にしながら、今後の地方消費者行政への支援をしっかり進めてまいりたいと考えているところでございます。

私からは以上でございます。

○新川座長 太田様、どうもありがとうございました。

それでは、ただいまいただきました消費者庁からの御意見、御説明につきまして、委員の皆様方から御質問、御意見等をいただけましたらと考えておりますが、私どものこの調査会の趣旨、当初から繰り返しお話をさせていただいておりますとおり、20年後というのを考えて地方消費者行政の在り方を探求していこうという趣旨でございますので、御意見、御質問をいただく際にも、現在の地方消費者行政への問題指摘や御意見というよりも、できましたら20年後の未来に向けて、どんなふうに消費者庁の皆様方のお考えを実現できるような、そういう観点で私たちの報告書に生かしていける、そうした意見交換にできればと考えてございます。もちろん、全てこのとおりにせよなどというようなつもりはございませんので、御自由に御意見、御質問をいただければと思いますが、私どもの意見交換の趣旨ということだけ、少し御留意をいただければということで、お願いを申し上げておきたいと思います。

それでは、各委員から、ただいまの太田様の御意見等に関しまして、御質問や御意見をいただいてまいれればと思います。たくさんの方から御意見、御発言いただいておりますが、まず、今、大森委員、池本委員から御発言の御希望をいただいてございますので、お二人から順次御発言いただき、必要なところにつきましては、太田様から何がしか御回答いただければと思っております。

それでは、恐縮ですが、大森委員から御発言をお願いできますでしょうか。

○大森委員 太田課長、ありがとうございました。地域は、高齢者の活躍も大切だけれども、高齢者だけではなく、若い世代、いろいろな立場の人が協力し合って地域を支えないといけないという御発言は、私の理想とするところと全く一緒で、とてもうれしく思いました。

それで、1点、提案と言えるかどうか分かりませんけれども、高齢者という言葉の定義なのですが、これはもうそろそろ見直さないといけないのではないかと思っています。この報告書の中でも、20年後は高齢化率が40パーセントに達するとか、高齢者も担い手として支え合う市民社会とか、とても大変な世の中がやってくるようなイメージを受けてしまいます。ところが、現実的には、65歳から75歳ぐらいのリタイアした人たちは、地域は活躍してもらえるものと待ち構えておりまして、地域を支える働き盛りなのですね。そのため、高齢者だから遠慮しないといけないとか、高齢者だからそこまでする必要はないというようなマイナスイメージをつける、この高齢者という言葉をそろそろ見直してはどうかという提案です。65歳ぐらいまでは会社員として経済的な活動をする、リタイアした後は地域のために活動するというのが一般的な社会になっていくというのが理想の姿でもありますし、20年待たなくても、現実的にもうそういうところが現れていますので、ちょっと言葉を換えてはどうかというのが私の意見です。

以上です。

○新川座長 ありがとうございました。

もう高齢者という言い方自体が、ひょっとすると将来を考えると今からでも換えておかないといけない言い方かもしれないということで御意見いただきました。

池本委員、お願いできますでしょうか。

○池本委員 池本でございます。

まず、報告書の改訂をしていただいた、その細かい記述についての意見は後で行うとして、太田課長からいただいた論点との絡みでこの報告書の受け止め方、大いに賛成するところと、ちょっと軌道修正というか、太田課長にも逆に受け止めていただきたいところがあります。たくさんあるのですが、2つ、3つだけにまず絞って、後で時間があればまた申し上げたいと思います。

まず、コーディネート機能というところです。実はこれは現在、各地に広域センターができているけれども、相談業務をやっているだけで、そこでの成果がそれぞれの自治体、構成する市町村に反映されていないのではないか。あるいは地域連携の見守りネットワークとか地域協議会づくりということにあまりリンクしていないのではないかという問題意識もあって、消費者行政というのは関連するいろいろな行政部門や民間団体と連携をしていかなければいけない、そういうコーディネート機能こそこれから大事なのです。職員も相談員もそこをもっと発揮しなければいけないのだというようなことを私は前から申し上げていました。それを事務局のほうで見える形にするためにコーディネートセンターという言葉にされたというふうに私は受け止めています。

ただ、実は、消費者団体の中からも、コーディネートセンターとすると、県のセンターと2つ作るのかとか、この機能はどっちかというような、ちょっとそういう各論的なところや、既存のセンターとの位置付けが疑問だという声は確かに私も聞きました。その意味で、コーディネート機能という言葉に置き換えられたのは、現実的な選択肢ではあると思うのですが、逆に危惧するのは、今あるそれぞれのセンターがコーディネート機能も果たしてくださいねという呼びかけだけで、人的な配置や、これまでにない新しい取組をするのだというところが薄くなってしまわないかということが非常に危惧されます。その点は、報告書を作る上でももっともっと強調しておかないといけないかと思います。

特に太田課長が発言された中で、機能をどうやって現実化していくかというところが課題である。

例えば、太田課長の発言の中でもちょっと触れられた、消費者教育コーディネーターという制度を各地で作ってくださいという働きかけをしたのに対して、学校の退職職員の方、元教員の方が配置されている例がたくさんあります。それはそれで、学校教育の場で消費者教育を展開する働きかけの役割としては非常に貴重なのですが、もう一つの地域の見守りネットワークとかほかの行政部門とも連携して動いていく取組ということでは、もともと消費者行政をやっていた人の中でコーディネーター役の人を作っていかなければいけない。あるいは地域団体とのつながりを担う人を配置していかなければいけない。だとすると、消費者行政の地域コーディネーターとか、何かやはりこの役割を担う人材を配置するのだというくらいのところを示していかないといけないのではないか。特に大事なのは、都道府県のコーディネート機能というのは、市町村に向けて働きかけることですが、市町村も基本的にコーディネート機能をその中で更に発揮していかなければいけない、そこもおろそかにしてはいけないと考えます。その辺りの市町村におけるコーディネート機能をどう発揮するかということについて、太田課長のほうで何かお考えがあれば、後でお伺いしたいと思います。

○新川座長 池本委員、すみません。御発言の途中で、機能強化が重要という辺りから音声が途切れたということで、今、チャットが入りました。恐縮ですが、前段でお話しいただきました機能強化のところ、もう一度かいつまんでお話しいただけますでしょうか。

○池本委員 承知しました。

コーディネートセンターからコーディネート機能という言葉に切り替えたというのが現実的であると。その場合、コーディネート機能をどうやって強化していくかということが課題である。その、どうやって強化するかというのを、単にコーディネート機能を強化してくださいという要請だけしても、現実化はなかなかしない。そうだとすると、消費者教育コーディネーターが、学校の退職教員が配置されて学校に働きかけているのと同様に、地域における消費者行政を展開するコーディネーター、地域コーディネーターというようなもう一つの役割を担う人を配置してください。例えばそのような人材配置のような形ででもここを具体化して、地域の中でのコーディネート機能を発揮する。そういう見える形での提案が必要ではないか。

太田課長の御発言で、都道府県による市町村に向けたコーディネート機能ということが指摘されました。それは賛成なのですが、もう一つは、市町村の地域の関係団体、あるいは市町村の各庁内の中での連携、コーディネートが必要だと思うので、市町村にもこういうコーディネート役を配置する必要があると考えるのです。その辺りについて、可能であれば太田課長にも御意見をいただきたいというところです。

○新川座長 ありがとうございました。

どうぞ、2点目もお願いします。

○池本委員 2点目は、見守りの担い手というところで、先ほど大森委員からも発言があったので簡単にしたいと思いますが、若い人も含めた担い手を育成することは、もちろん大賛成です。大事なことは、行政が今後、人材が不足していて担い切れないから民間の担い手を育成するという観点だけではなくて、消費者行政というのはもともと事業者と消費者との格差の中で、消費者に向けて消費者力を向上する、あるいは継続的に活動するために消費者団体、グループのような形で育成していくという理念があったはずです。その観点で、むしろ人材育成ということを今後のより大きな柱として打ち出しておく必要があるのではないか。そのことが行政と連携した担い手にもなるのだと、そういう順序ではないかと考えます。これはむしろ事務局のほうで受け止めていただきたい課題になります。

それから、3点目、相談業務の民間委託について、太田課長から慎重な対応が必要ではないかという意見がありました。実は私、前回もこの点申し上げたところなのですが、消費者安全法の平成26年改正の際にもこの民間委託の問題が議論されて、むしろ消費者団体とか弁護士会、学識者の中からも慎重意見が続出して、現在のガイドラインは民間委託そのものを推奨するというような記述ではなくて、民間委託をしているところがある、あるいは出てきている傾向があるけれども、公正さ、中立さについて十分な配慮を、あるいは資質の向上についても十分な配慮をというような慎重な記述が中心でした。

これからのことで言うと、むしろ個々の相談業務だけではなくて、法執行部門との連携や、あるいは他の行政部門との連携という、まさに行政の中の中核として動いていく機能が重視される時代ですから、ますます民間委託については慎重にならざるを得ないのではないか。私はむしろ率直に言えば、この民間委託という言葉そのものは削除してもいいのではないかと思っているくらいです。仮に残すとしても、民間委託の流れがあるけれども、こういう点、こういう点、こういう点に留意を十分にしながら展開することが必要であるという、その慎重意見を付記しないで出していくと、非常にミスリーディングの報告書になるおそれがあると考えます。

取りあえず、そこまでとします。

○新川座長 どうもありがとうございました。

それでは、太田課長様、ただいま大森委員、池本委員から御意見いただきましたが、もし何か御発言がございましたら、お願いをしたいと思いますが、いかがでしょうか。

○消費者庁太田地方協力課長 ありがとうございます。

まず、大森委員の高齢者の定義の見直しという点でございますが、まさに気持ちは私も一緒でございますが、高齢者の定義として厚生労働省の年齢区分ですとかいろいろ用いられておりますけれども、それはあくまで統計上の便宜的な区分だと考えておりまして、地域での活躍といったところにつきましては、元気で活動する意欲を持たれた方々には年齢の区分なくどんどん参加していただくということが基本になろうかと思いますので、そこは年齢ではなくて、実質的な意欲でありますとか、体力ですとか、そういったもので今後判断していくということではなかろうかと思います。

それから、池本委員から3点ほど御指摘いただいておりますけれども、まず1点目、市町村におけるコーディネート機能、人材配置をどうするかというところでございますけれども、市町村における消費者行政というのは今でも非常に手薄でございまして、消費者行政専門で担当されている方というのは、大きな政令市などはさておき、それ以外の市町村ではなかなか厳しい状況にあるというのが実情でございます。こういった中で、新たな人材をそこに配置するというのは、なかなか現実的ではないのかなということでございまして、そういった観点から、今、消費者行政を担当していただいている方に、見守りですとか、コーディネートをするために必要な知識でありますとか、ノウハウでありますとか、そういったものをうまくお伝えしていく。そういった形でコーディネート力を高めていくということが現実的なアプローチなのではなかろうかと思います。

このために、国民生活センターなどにおいて、今後、消費者行政の相談員だけではなく、職員に対する研修も強化していくということで、地方研修なども増やしております。また、私どもとしましても、地域の見守りするためのどういった手順で進めていくのかといったことについての手引書ですとか、ガイドブックといったものを作って配布したりといった取組を進めておりますけれども、そういった取組を今後更に強化していくことを通じて、市町村におけるコーディネート機能を高めていきたいと考えております。

それから、2番目の見守りの担い手ですとか消費者団体などの育成というところでございますが、消費者庁としても消費者団体との連携でありますとか育成ということについては、これまでも行ってきたところでありまして、今後も更に進めていくということでございますが、今年度からの新事業といたしまして、地域における見守りの担い手、これを協力員、協力団体と申しておりますけれども、そういったものを養成していくような事業を立ち上げようとしているところでございます。今、コロナの関係でその事業立ち上げは少し様子を見ている段階でございますが、いずれ立ち上げていきたいと思っておりまして、そういった形で、地域における消費者力、見守り力を高めていくような担い手の育成を進めていきたいと考えているところでございます。

3点目の相談業務の民間委託のところでございますが、メリット、デメリット両方踏まえてということでございますけれども、一番重要なのは、消費者行政の職員が、消費生活センターや相談窓口の相談員としっかり連携をして、相談業務の運営にしっかりコミットをするということでないかと思います。民間委託をして、それをある意味丸投げと言いましょうか、任せ切りにしてしまうということがあると、それはまさに御懸念のような点が起きてしまいますので、そういったことにならないように、仮に民間委託する場合においても、行政職員と委託先とがしっかり連携を取って、適切に対応を進めていく。そこさえ確保されれば、それなりの実効性は保てるのではないかと考えております。

以上でございます。

○新川座長 どうもありがとうございました。

それでは、たくさん御質問いただいてございますので、順次お願いをしたいと思いますが、八木委員、山田委員から、続けてで恐縮ですけれども、御質問をお願いできればと思います。まずは八木委員から御意見、御質問がございましたらお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。

○八木委員 ありがとうございます。

質問というよりは若干のコメントということになります。太田課長様のおっしゃっていたいろいろなポイントについて、なるほどというふうに気がつく部分が非常に多くありました。ありがとうございました。

AIに関して非常にコストがかかるというような御発言があったかと思うのですけれども、20年というスパンで考えてまいりますと、恐らくAIの費用というのは飛躍的に下がっていくのだろうと思います。そういったことも踏まえて、今から20年後に向けて、今、お金がかかったとしても、この分野については十分な対応をしていかなければいけないのではないかなと思いました。これはコメントです。

もう一つは、ウェブサイト等について、民業の圧迫ということも考えられるという御発言をいただいたかと思うのですけれども、恐らく高齢者を守っていくための購買ウェブサイト、あるいはeコマースに関して言うと、なかなか民間ではスタートしづらい部分もあるのではないかと思います。

さらに、この分野は、アマゾンや楽天のようにかなり既に独占的な形で進められているので、よほどのメリットがないと、消費者保護のために何かをスタートするというのは難しいのではないでしょうか。行政でウェブサイトを持つという必要はないと思いますけれども、民間の力を使いながら、被害が出ないような形で高齢者の消費を支援していく方策を考えるという施策についてはあってもいいのではないかなと思います。民間と行政が協力をし合うという視点で、こういう項目もあってもいいのではないかなと思います。

以上、意見でございます。

○新川座長 ありがとうございました。

それでは、引き続きまして恐縮ですが、山田委員、お願いいたします。

○山田委員 それでは、私のほうからも太田さんに対する意見と、それから、骨子のほうに対する意見にもなってくるのですけれども、お話を申し上げたいと思います。

私の場合には、ずっと地方公共団体の実務に携わってきた人間なわけでありますけれども、まず、人の問題、高齢者と言うかどうかは別として、20年後の私どもの国の人口構成、特に地域における大都市を除いた人口構成を考えた場合には、圧倒的に主役となるのは65歳から70歳という今の団塊ジュニアの世代が中心になることは間違いないと思います。そして、その次の人口の多い世代というのは、実は90以上の団塊世代になるという、まさに超高齢化社会がやってきたときに、それにどう対応するかということを地域は今、迫られているわけです。

ですから、若い人に入っていただくというのはもちろん基本的な理想論としては当たり前なのですけれども、地域の20年後の消費者社会を考えたときに、どこの層が一番活動的で、そしてまた、どこの層が一番これから消費者問題にさらされるのかという観点を考えないと、それは単に机上の空論になってしまうのではないかなと思っております。

太田さんも御存じのように、これから地方の職員、国家公務員が増えるという要素はないと思います。残念ながら、日本の人口自身が減っていく中で、公務員だけ増えていくということはあり得ないわけでありますので、そのときに私たちはどういう層を主役として消費者問題について力を尽くしていただけるかということを考えると、やはり20年後の地域の人的構成の中から考えていかなければいけないのではないかと思うのですけれども、それがまず第1点です。

それから、AIとかIoTの問題、データベースの問題なのですけれども、太田さんの御意見は、私は今の消費者庁で担当されている方の意見としてはそのとおりだと思うのですけれども、ただ、20年後で見たときには、政府はSociety5.0社会というものを構築することになっていたはずです。Society5.0社会と今のSociety4.0社会の一番の違いは、Society4.0社会はクラウドを中心として情報提供ベースをある人が作って、それに対して一般の方が情報を取りに行って、その情報を利用していろいろと行動していく。これがSociety4.0社会ですね。先ほど太田さんがおっしゃったのは、まさにSociety4.0社会としての消費者庁の役割をおっしゃった。しかし、Society5.0社会になったときの一番の違いは、双方向、消費者側も発信をしていく。その発信をどういう形で我々は新しくソースとして受け入れてくるかという形になるのだと思います。

そういった社会を考えた場合には、まさにデータについての、私はずっとオープン化という話をしているのですけれども、今回の骨子でも取り入れられていないのですが、みんな書いてあることはSociety4.0社会のことばかり書いてあって、どこに政府が目指しているSociety5.0社会の消費者社会があるのだろうかという点では非常に遅れた形になっていないかということを危惧しているところであります。

その中で、例えば認証制度とかそうしたものも、アマゾンだろうが、MOVだろうが、DiDiだろうが、全部自己認証になっています。終わった後に、この運転手の評価をしなさい。アマゾンの場合は、買った場合にはこの買ったものについての評価をしなさい。こういう形で全て民間のほうで評価制度が出来上がってきて、そして、そちらのほうが公的な認証よりも重んじられているというのか、便利ですから、そういう社会になってきてしまっている。そのときに、民間のそうした仕組みと公的な仕組みとをどう融合させていくのかというのが、多分、20年後の世界の在り方だと思いますので、思い切った形を取っていただきたい。

コーディネート機能につきましても、単に今の消費者センターとか都道府県のものの焼き直しではなくて、20年後にはさっき言いましたように人的な構成が変わっていく中で、多分、ステークホルダーがどう連携していくのか。新しい形で連携を作っていかないと、今のままでいったら、これは人も増えないし予算も増えない。太田さんが一番よく御存知と思うのですけれども、このままでいったら地方交付税は減らされるだけですよ。そして、消費者行政は先細りするだけですね。予算は増えていくのですという話があったら、すごく心強いのですけれども、多分、削られていくだけ。そのときに新しい社会像というものを提示して、それに基づいて交付税の算定の仕方、こうしたものを考えていかないと、消費者行政というのは先細りになってしまうだけではないでしょうか。

我々はやはり20年後を考えたときに、市町村行政の総合化の中で消費者行政を位置付けることによって、これから、今はあまり使われていないという話なので、財務省は絶対に削りにくるわけです。それをきちんと押さえていこうではないか。また、都道府県が新たなコーディネートの仕組みを作ることによって、財源的にも充実させていこうではないかと考えます。国においても、これだけ情報が広域化し、国際化していく中で、いろいろな面でのデータ基盤も含めてのものを作っていかないと、全てが先細りする形になってしまわないかということを危惧しているわけです。その点で、やはり20年後に消費者行政の未来というのを提示して、それに向かって進んでいくというのが、私はこの専門調査会の報告書骨子の一番の狙いではないかと考えておりますので、御意見を聞かせていただければ有り難いなと思います。

私からは以上です。

○新川座長 ありがとうございました。

それでは、太田課長様、いろいろと御意見あるいは御質問いただいてございますが、もしお答えいただけることがあれば、可能な範囲でお願いできればと思います。よろしくお願いいたします。

○消費者庁太田地方協力課長 ありがとうございます。

まず、八木委員から2つほど御指摘いただいておりまして、AIの関係で20年後にはコストが下がっていくので、今から十分な対応をということでございます。これはそのとおりだと思います。ただ、現時点では、なかなかAIを実際に使うというところまでは着手できていない中で、まずはそれを始めていきたいという段階でございます。そこでいろいろな形で試行錯誤しながら、消費者行政において有効なAI活用方法とはどういったものなのかということをしっかり見極めた上で、さらなる投資を図っていきたいと考えております。

それから、認証の関係で、民間ではやりにくい部分もあるのではないかということでしたが、まさに高齢者の安全確保など、そういう政策目的、強い政策上の必要性がある特定の分野について、行政や公的機関が関与して、民間の団体にそういったものをやっていただくといったことは十分考えられるのだと思います。私が申し上げているのはあくまでもバランスの問題でございまして、そういった取組が必要な特定の分野において、バランスのとれた形でやっていただくということについて、反対しているわけではございません。

それから、山田委員から3点ほど御指摘をいただいておりまして、まず今後の人口構成を考えると高齢者が中心になるというのはおっしゃるとおりでございまして、特に地域における見守り活動などについては、現実的には高齢者が中心になるということも起こってくるのだろうと考えています。

他方、私が申し上げたのは、主に消費生活相談員の担い手というところに重点を置いて申し上げた部分がございまして、消費生活相談員の育成のためには、それなりに時間がかかりますし、ある程度経験値というものが必要になってくる部分もございまして、やはり高齢者だけでなく、子育てが一段落した30代、40代の方ですとか、ある程度若い方にも入っていただいたほうが、知識、ノウハウの継承でありますとか、持続可能性を高めるといった点で有益でございますので、そういったものを含めて、多様な年齢構成にということで申し上げました。ただ、実際問題として、高齢者がこれからますます重要になるという点については、認識は全く一緒でございます。

2番目といたしまして、AIのSociety5.0に向けた取組というところでございますけれども、まさに全体としてはそういう方向でございまして、消費者行政においてもそういう方向に向けて進めていくことが必要であると思っております。ただ、まだ取組が緒に就いたばかりでございますので、Society5.0の方向に向けて、段階的に取組を進めていきたいと考えているところでございます。

それから、財源が全て先細りになってしまうのではないかという御指摘については、私どもとしても非常に危機感を共有しているところでございまして、そこにつきましては、引き続き地方に対して財政面も含めたしっかりとした御支援が行えるように、財政支援の手法の多様化を図りながらやっていきたいと。長期的には、御提案いただいているような課税自主権ですとか、そういった手法も当然いろいろな形で考えていく必要があろうということでございますが、まずは財政支援手法の多様化を図りながら、引き続きしっかり御支援できるよう努力を続けてまいりたいと考えております。

以上でございます。

○新川座長 どうもありがとうございました。

それでは、尾嶋委員、生駒委員からも御発言希望をいただいてございます。お二方から続けてで恐縮ですが、御意見、御質問をお願いしたいと思います。まずは尾嶋委員、よろしくお願いいたします。

○尾嶋委員 太田課長、御説明ありがとうございました。

20年後の市町村の消費者行政を考えるに当たって、今日資料を頂きました消費者安全確保地域協議会の設置が非常に重要なものになってくると思います。政策目標4の表にありますように、現在はまだ2割程度の設置で、5年に向けて目標は50パーセントということですが、既に100パーセントは徳島県、兵庫県です。自治体が自ら設置したところ、あるいは都道府県の働きかけで設置されたところ、消費者庁の働きかけでというところもあるかと思います。今後、20年後に向けて100パーセントを目指すということも重要と思うのですけれども、そういった中で、消費者庁の厚生労働省への働きかけが非常に重要になってくると思いますが、その辺について消費者庁のお考えをお聞きしたいと思います。

以上です。

○新川座長 どうもありがとうございました。

それでは、生駒委員からもすみませんが、よろしくお願いいたします。

○生駒委員 ただいま御説明ありがとうございました。

20年後に人口減少、高齢化がピークに達して、消費者行政の財源の確保が難しいという話を聞いている中で、私も消費者行政のコーディネート機能はすごく重要だと思っているのです。財源がないので実現できないということで何年も過ごしてしまうのはもったいないなと思っていまして、財源を確保するためにも実績を作ることが重要ではないかと思っています。

ですので、その一つのスタートアップの時期にこういったことが考えられるのではないかという、これは意見なのですけれども、私は実はサービスグラントという認定NPO法人の理事をしているのですが、プロボノというものがあるのです。今かなり普及しているのですけれども、仕事のスキル、業務上の専門知識やスキルを生かしてするボランティア活動ということなのですが、このプロボノ、フォー・グッドという意味なのですけれども、地方行政のサポート体制もプロジェクトで実現しています。

最初から予算がないとできないということではなくて、例えばですが、こういうプロボノなどのシステムを生かしてみることも一つの方法です。通常は東京にいる民間の方が地方の行政をサポートするようなことになるのですが、考え方を少し変えて、地域にいらっしゃる、今、高齢者という呼び方の問題がありましたが、リタイアされたような方ですね。経験もあり、意欲もある方。そういった方はもちろんのこと、プラス、私は、学生ですね。インターンの制度のようなものを組み合わせて、例えば活動した時間を学生の授業の単位にしていく。今、学生も皆さんアルバイトとかをされて、なかなか自由な時間が持てないということを聞いているのですが、これは大学と相談をして、単位にもしてあげられるような、あるいは高齢者の方にとっては名誉職になるような、皆にとってメリットになる形で、一つのプロジェクト化にし、まずスタートアップしてみてはどうかと思うのです。

と申しますのも、コーディネート機能というのは、実は私も民間でいろいろプロジェクトを手がけていますが、柔らかい発想があって、枠を超えて自由な組合せをクリエーティブに考えていける方々が集まらないと、なかなか実現しないのではないかと思うのです。あと、交渉能力ですね。情熱ですとか意欲がある、そういう方が携わらないとコーディネートはなかなか実らないものだというのは私もいろいろなプロジェクトで実感していますので、そういう意欲のある方に集まっていただいて、それがリタイアされた方だけだと、例えばITの知識ですとかはなかなか対応できない。それは学生で補っていただくとか、そういう組合せで、今後の地方の消費者行政も、リタイアされた方と、プラス、私は学生ですね。高校生も含めていいと思います。高校生と大学生が一緒になって、そういうチームを組んで、ジェネレーションシャッフルさせて、一つの力になっていただく。サポートの体制の核になっていただく。そのような循環を作るというのも一つのきっかけになればいいかなと思いました。

未来永ごうこれをプロボノに頼るというわけにはいかないと思います。実績が出れば財源は確保できると思うのです。ただ、何もないところから確保は難しいかなと思ったものですから、あくまでもこれは御提案と言いますか、意見なのですけれども、こういう形も考えられるのではないかというふうに考えました。

以上です。

○新川座長 西田委員、つながっていますか。西田委員、御発言希望がありましたが。

○西田委員 僕、つながっています。今、何か御発言されようとしていた人がいませんでしたか。

○新川座長 いえ、大丈夫です。西田委員、すみません、どうぞ、御発言希望をいただきましたので、手短にお願いできますでしょうか。

○西田委員 よろしくお願いします。

八木委員と山田委員の御発言に関連するというか、近いのですけれども、あと、太田課長さんの話を聞いてそうだなと思ってお聞きしていたのですけれども、認証制度とかオープン化の部分です。これは3回目なのでくどいかなと思うのですが、消費者庁とか消費者行政の少数化、どうしても縮んでいくところがあるというのは避けられないとすると、それの効果、インパクトをどう出していくのかというところが大事かなと思っていまして、ある意味でてこ化するというか、レバレッジ化するというところが必要なのだろうと思っています。その意味で、ああいう認証制度は大事なのだろうと思っています。

今、報告書の14ページに書いてあるものは、よく読むと、主体は民間がやるのだということを書いてあるので、そういう意味では、政府として出張っていって、認証制度を作るというものではないので、この方向であればいいのではないかと思っています。例えば、PIO-NETを使うことで、消費者庁で安全なサービスのチェックリストを作る。それを民間側でうまく活用しながら、認証制度をやっていくというのは非常に理想的な方法ではないかなと思っています。

それから、オープン化も私は10年ぐらい前から何度か消費者庁と国民生活センターに行って、何とかできませんかという話をしたときに受ける回答というのは、これは非常にプライバシーに関わるものが入っているので出せないですよというものです。しかし、やはり出せる部分と出せない部分を精査して、有用な部分で出せるものは出していくのが大事です。こういうだまされ方をするとか何とか、そういうのは業者名がなくても役に立つところがあるので、そういう役に立つ部分を精査して、オープン化に向けた活動を行うというのは大事なのかなと思っています。今の骨子案を検索したところ、オープン化という文字は骨子に入っていないのですね。なので、ぜひこれは入れたほうがいいのではないかなと思いました。精査の上、役に立つ部分についてはオープン化をするような方向に向けた活動を行うぐらいのことは書いてもいいのかなと思いました。

以上です。

○新川座長 どうもありがとうございました。

それでは、時間が押しておりますが、太田課長様から、お三方から御意見、御質問をいただきましたので、お答えいただける範囲で結構ですが、もしお答えいただけるようであれば、お願いをしたいと思います。よろしくお願いいたします。

○消費者庁太田地方協力課長 ありがとうございます。

まず、尾嶋委員からいただいた、見守りの地域協議会が重要であるという御指摘でございます。これは全く認識が一緒でございまして、特に市町村レベルの総合行政において消費者行政の有用性を高めていくためには地域協議会というものが核になると思っておりまして、地域の福祉関係者などとも連携して、取組をしっかり進めていきたいということでございます。

それをするに当たって、御指摘のとおり、厚生労働省との連携というのは非常に重要でございまして、これは実は厚労省側でも地域における消費者被害、財産被害などをなくすために、消費者行政との連携は重要だというような認識を持っていただいておりまして、両者で連携して自治体に対する文書を発出したり、あるいは情報提供する際にも、お互い連携したりといった取組を進めてございます。

他方、自治体の、特に地方の市町村レベルにまでそれが浸透するにはまだ十分でない部分がございまして、特に市町村の福祉部局などは業務量が多くて大変忙しいので、なかなか新たな業務を行うのは負担が大きいといった先入観が強いと伺っております。

他方、私どもは、消費者行政と福祉部局とでお互いに専門性を発揮しながら役割分担することで、むしろ負担が軽くなるということを説明して回っておりまして、ぜひそこを市町村レベルまでしっかり浸透させることによって、取組を進めていきたいと思っているところでございます。

それから、生駒委員から、コーディネート機能が重要だという中で、高齢者に加えて学生を更に取り込んでいくべきではないかというところ、こちらについてもまさにおっしゃるとおりだと思っております。今、消費者教育を高校生などの若い世代で強化しておりまして、大学生でも消費者教育のための講座や教職員向けの講座など、いろいろ増やしていく取組を進めているところでございますので、ぜひそういった中で、例えば地域での活動を単位化していただくでありますとか、それを何らかの形で評価していくような取組を進めていただくことによって、地域で学ぶ学生を、地域の中での活動の担い手として取り込んでいくことが進むことを期待しているところでございます。

それから、西田委員から認証制度などのデータのオープン化について御指摘がございました。認証制度が大事だというのはおっしゃるとおりでございまして、これをそういった政策目的に沿った形、ある程度対象を絞った形でバランスよく行っていく。それに際して、民間事業者団体などの取組に国が一定の支援をしていくということは非常に有効なアプローチだと思いますので、そういった形で進めていくことが重要であると考えております。

オープン化につきましては、今もオープンにできる部分は、レポートですとか、いろいろな形での注意喚起ですとか、そういった形でかなり機動的、積極的にオープン化していく、情報を公開していくということは進めておりますが、更にその先の生のデータのオープン化ということになりますと、個人情報でありますとか企業の情報などいろいろございますので、そこについてはどこまで提供することができるのかということはしっかり議論して、制度設計をしっかりした上で進めていくことが必要なのではないかと考えております。

以上でございます。

○新川座長 ありがとうございました。

時間を大分オーバーしておりますが、池本委員から可能であればということで発言希望をいただいてございます。恐縮ですが、簡単に、手短にお願いできますでしょうか。

○池本委員 恐れ入ります。池本でございます。財源のことに関連して、今のPIO-NET情報の活用にも関連するので、それを併せて手短に発言したいと思います。

資料3ということで配付していただいている中に、これは国民生活センターのPIO-NET情報の紹介なのですが、全国の消費生活センター1,250か所、中央省庁等15か所に配置されているというのがあります。その3ページほど後ろに情報提供依頼等についての対応状況というのがあって、国会や中央省庁に対して年間1,000件以上の対応をしている。あと、法令照会ということで、警察とか適格団体、裁判所、弁護士会に対しても500件くらい対応しているというのがあります。

実はここに書いていないものとして、都道府県や消費者庁の特定商取引法や景品表示法の法執行、ここは端末そのものを配備していて、常時それを調べて、必要な悪質業者についての分析をしたり、調査に着手したりという資料として活用されているところです。

資料3の1ページ目で言いますと、PIO-NETの活用場面というのが、全国の相談員が相互にそれを見ながら最先端のアドバイスができるということと、2番目の消費者に対する注意喚起、そして3番目に、行政の中での企画立案と法執行とありますが、この法執行辺りのものを含めてオープン化ということは現実的ではないのですが、丸2の注意喚起というところが、現在は各都道府県にしろ、あるいは消費者庁、国民生活センターにしろ、そこで分析・加工した結果をペーパーにまとめたものが公表されているだけである。まさにICT技術、AI技術によって、個人情報とか事業者情報の必要なところを削除して、この範囲内を、生情報そのものではないけれども、よりリアルなものを公表するというような加工の仕方があっていいのではないか。その意味での、全面オープン化ではないけれども、区別した形で、もっと消費者に共有できるようにしていくというのが必要ではないかと思います。

それに関連して、財源のことですが、交付金なのか、国庫負担金なのか、交付税なのかという、これに決め打ちをせよという趣旨で申し上げるのではないのですが、先ほどのPIO-NET情報の全国のシステムで見てもお分かりのとおり、地域のセンターの窓口できちんと相談を受けて記録したものが、国の法制度もだし、法執行もだし、都道府県の法執行も、いわば国・都道府県・市町村がまさに一体となって消費者行政を構築しているというものであります。

だとすれば、国は全国の消費者行政のシステムをきちんと維持・拡充するために、責任を持って財政的な手当てをしていただきたい。もちろん全部国が出せという意味ではなくて、交付税は自主財源化されていない自治体の取組が不十分だといっても、その自治体に対して自主財源をもっと拡充して、体制を整備してもらうということの政策判断を含めた働きかけももっとしていただく必要があるのではないかという辺りを申し上げておきたいと思います。

以上です。

○新川座長 どうもありがとうございました。

ただいまPIO-NET、それから財源問題も含めたお話をいただきましたが、太田様、もし何か御発言がございましたら、最後になりますが、お願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。

○消費者庁太田地方協力課長 それでは手短に。

まず、PIO-NETの情報につきましては、おっしゃるとおりでございまして、公表できるもの、できないもの、しっかり精査した上で、今後どういう形で提供していくのかということを検討することが必要であると思っております。

あと、財源のところにつきましては、PIO-NETシステム自体、端末ですとかネットワークの構築については国民生活センターの運営交付金をもって全額国が措置をしているというような状況の中で、相談員の人件費が問題になっているということかと思います。相談員の人件費のための経費が地方交付税の算定基準に入っている中で、さらに、これまではスタートアップ支援ということで、交付金でひも付きの形で御支援申し上げてきたということですが、今後については、それらの関係をどうしていくのかということを、よく整理する必要があるのではなかろうかと考えております。

以上でございます。

○新川座長 どうもありがとうございました。

予定の時間を大分超してしまいました。皆様には御協力ありがとうございました。

それでは、大変重要な意見交換をさせていただきましたが、消費者庁との意見交換は以上とさせていただきます。消費者庁の太田様には本当にありがとうございました。お忙しいところの御出席、感謝を申し上げます。

ここで、消費者庁には御退席をいただければと思っております。

なお、私どもの専門調査会、10分程度の休憩を置かせていただきまして、今、11時45分過ぎでございますので、55分から再開をさせていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。どうもありがとうございました。

(消費者庁太田地方協力課長退室)

(休憩)

○新川座長 皆様方から戻りましたという御連絡をいただきましたが、そろそろ再開をさせていただいてよろしゅうございますでしょうか。

特にお声がないようでございますので、それでは、再開をさせていただきます。

先ほど事務局から御説明がありました報告書案について、今しがたの消費者庁との意見交換も踏まえまして、報告書の取りまとめに向けて委員間で方向性を見出していきたい。もうそろそろ私どもの報告書としての方向性を統一していくような、そういう方向での議論を今日は進めていきたいと思います。

骨子案の第4のところがやはり重要ですので、ここのところを中心に議論したいのですが、実はあらかじめ山本座長代理、西田委員からは今日12時までと聞いておりましたので、恐縮ですが、お二人の委員から先にお気付きの点、どの点でも結構ですが、一言いただいて、その後、第4のそれぞれの項目について、少し議論を深めていければと思っております。山本座長代理、西田委員、続けてで恐縮ですが、もし御発言ございましたらお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。

○友行企画官 事務局です。

新川先生、チャットのところに、先ほど山本座長代理と西田委員から退室しますという御連絡がございました。ただ、山本座長代理からは御意見をいただいておりまして、そちらのほうをこちらで読み上げます。

○新川座長 お願いします。

○友行企画官 コーディネートセンターのところ、今回名前を変えたところでございますが、「消費者行政コーディネートに係る機能ですと、誰がどのようにコーディネートする責任を持つかという点が不明確になってしまわないかという点が気になりました。センターといっても、新規の組織を作ることまで当然に想定したものではないと理解していました」ということを御意見としていただいております。

以上でございます。

○新川座長 ありがとうございました。

それでは、その点も踏まえまして、これから各委員から御意見をいただいてまいりたいと思っております。

まず、骨子案の第4の「目指すべき姿の実現に向けた対応策」につきまして、順次その方向性について各委員から、この方向でよしとするか、また、御意見があれば、それぞれいただいていければと思っております。

骨子案の10ページ目、第4の1番目「消費者行政主体の役割の変化と連携強化」のところにつきまして、市町村の総合的な行政主体、都道府県の役割、消費者庁の役割等について、その中に、今日、先ほど山本座長代理からの御意見、また前段での御意見もございましたが、コーディネート機能についての御意見もいただいてございます。この辺りの方向性について、また、個別の内容について御意見などがございましたら、各委員からいただいてまいれればと思います。いかがでしょうか。

どうぞ、池本先生、お願いします。

○池本委員 ありがとうございます。今、10ページから11ページ辺りというコーディネート機能のところで、特に山本委員からも御発言があったことを受けて、一言申し上げたいと思います。

前半の太田課長とのやりとりでも発言したのですが、コーディネート機能という言葉にしたのは、現実的なように見えて、では、誰が、どうなっていくのかというのが見えないために、具体的な推進策が見えてこなくなってしまうという心配を私もしていたところです。

先ほど私が申し上げたところに、地域のコーディネーター役を配置するということを提案しました。これは太田課長から、市町村だといずれも兼務、兼務となっているところで新しい人を配置するといっても難しいのではないかという言葉がありましたが、市町村の中でも消費者行政の職員を専任で配置しているところもありますし、あるいはこのコーディネーター役は正規職員を配置することには限らない。むしろ相談員の中のベテラン、あるいはOBであったり、行政職員のOBであったりという形で、消費者行政に経験の深い人がコーディネーター役となっていく。そして、中小の市町村でどうしても独立に置けないというのは当然あります。そのために、相談業務で言えば広域センター化しているわけですが、であれば、広域センターが相談業務だけではなくて地域のコーディネート役も担うようなことを考えていってはどうか。ただ、その場合も、これも前々回に申し上げたのですが、お金を出して広域センターにお願いしたからお任せであっては困るので、市町村の職員がそこに月に1回でも2回でも参画して、自分のところでコーディネート機能を現実に実践する、そういう役割は確認しておかないと、全部お任せということでは機能しなくなる。

そして、そういった広域センター的なコーディネート機能のリード役として都道府県もできれば関与していく。そういうまさに重層的な形で人も配置するし、役割としても見える化していくというふうにしてはどうかと考えます。

以上です。

○新川座長 どうもありがとうございました。

コーディネート機能のところについて、その担い手や、あるいは権限、財源、そしてその活動の在り方について御意見をいただいてございました。

そのほか、いかがでしょうか。

山田委員、お願いします。

○山田委員 池本さんもおっしゃっていましたが、コーディネート機能というのは、もともと都道府県は広域調整機能を担うという法的な役割があるので、当たり前のことを書いてあるだけなのですよ。問題なのは、コーディネート機能をどう果たすのかというのが実は2020年から2040年に向けての消費者行政の展開になるわけですね。今回の報告の一番の主張というのは、市町村行政はやはり総合行政化せざるを得ないだろう。そして、それに対して都道府県が消費者行政についての更に専門的な知識を深めて、しかもステークホルダーを集めて、様々な問題について市町村を補っていく立場を明確にしようじゃないかということだと思います。

そして、その上で消費者の皆さんが自立して行動できるようにしようではないか。国もそれをバックアップしようではないか。そういう形の消費者行政を作ろうといっているわけですので、コーディネート機能という言葉だけでは、本当に何をどうやったらコーディネート機能を果たせるのかという問題に対して、トートロジーみたいな回答になってしまったのではないかなと思います。その点では、やはりコーディネートセンターと言ったほうが、センターも単に都道府県に何か人を配置して、場所を確保するのではなくて、まさに都道府県レベルでステークホルダーをみんな集めて、各市町村を支えていこうではないかといったようなところのものを明確化していけばいいのではないかなと思います。

あとはもう今の段階で言っておきますと、やはり消費者の皆さんが自立してもらわなければいけない。自立した消費者というときに一番大切なのは、情報が的確に与えられることです。そして、自分たちで情報を交換できることです。そして、自分たちの情報に対しての意見を言えることです。何となく先ほどの消費者庁のお話を聞いていると、いまだに上から目線で、由らしむべし、知らしむべからずみたいな、十分知らせていますというような話だったのですけれども、それでは自立した消費者は生まれない。消費者が自らデータを作り上げていく、関与していく、意見を発信していくという体制になって初めて自立した消費者になるので、その部分が今回の骨子案ではオープン化が消えて、何となく昔のデータを行政側が良いものをできるだけオープンにしていきますよみたいな、そういうかつての行政スタイルに戻ってしまったみたいな雰囲気がありますので、そうではないのだと思います。若い人も活躍する、高齢者も活躍するというのは、その人たちに自由に情報が与えられなければいけない。

プライバシーの問題だけ気にしていますけれども、プライバシーの問題というのは別に個人名を消すなど、特定できるような情報を消せばいいだけの話なのです。行政文書だからという話があったのですけれども、行政文書は実は公開が原則なのですね。文書公開法上、公開が原則なものに対して、行政文書だからそれはなかなか公開が難しいのだと言ってしまったら、さっき僕は正直言って、「えっ」みたいな受け止め方をしました。だから、できるだけ公開をしなければならないのは行政文書だという発想に立って、それに対していかに自立した消費者が発信をし、意見を述べていくかということがオープン化だと私は思いますので、そうした点もぜひとも入れていただけたら有り難いなと思います。

以上です。

○新川座長 どうもありがとうございました。

少し多岐にわたるお話もいただいてございますが、消費者行政主体の役割、変化、そして連携強化のところにつきましては、そのほかよろしゅうございますでしょうか。

尾嶋委員、どうぞ。

○尾嶋委員 細かいことですけれども、第4の1の3ポツ目に、消費者庁は仕組みづくりを行う。それから組織づくりを行うとありますが、仕組みづくりのみを行って、そして、その仕組みが機能しているかどうか。先ほどの協議会の話もあるかと思いますけれども、仕組みづくりを行っても、利用しない、十分に機能していないなどもあると思いますので、その働きかけ等を積極的にしてほしいというようなことを加えていただきたいと思います。

○新川座長 ありがとうございます。

仕組みづくりをして、そのまま机の横に積んでおくのではなくて、実際にそれを動かしていく、機能させていくという、そこまでしっかり書き込んだほうがよいのではないかという御意見かと思います。ありがとうございました。

八木委員、どうぞ。

○八木委員 今の関わりですけれども、我々はいろいろな地方自治体の皆さんからお話を伺ったときの問題点のかなり大きなひとつが、連携ができていないということだったと思うのです。これはヒアリングをした中で相当ハイライトされた部分ですので、そこで単純に機能を構築・強化するという言葉では弱いと思います。

機能という言葉を使ってもいいのですけれども、構築・強化ではなくて「組織化する」とはっきり言ってしまえば、何センターと呼ぶかは別にして、今の状態を維持するのではなく、今の状態を解決するために組織化という具体策を取るのだと、踏み込んだ形にしたほうがいいのではないかと思います。

○新川座長 ありがとうございました。

先ほど来、特にコーディネートセンター、あるいはコーディネート機能ということについては、具体的な組織あるいはスタッフ体制、また、権限や財源、そして、現実に将来どういう他の公共団体等々の関係を取り結んで働いていくのか。いろいろな御意見をいただいておりますので、これという決め打ちは難しいかもしれませんが、むしろそうした実態的な機能を果たすものを目指しているのだということを、もう少しきちんと書き込んでいく必要があるということで御意見をいただいたかと思っております。ありがとうございました。

清水委員、どうぞ。

○清水委員 ありがとうございます。

コーディネート機能ですけれども、例えば苦情処理委員会のようなものは、実際は東京都が行っているだけではないかと思います。今後、都道府県が消費者行政コーディネート、私はセンターという名にしてもいいと思っておりますが、私がイメージしているのは、都道府県がもっとやるべきということで、今、八木先生がおっしゃるところに賛同するところでございます。

もう一つは、11ページ(3)の消費者自身が担い手というところの2つ目のポツ。資格制度のところです。実は消費生活相談員の担い手事業を全相協が今年度受託しまして、600人近くが集まりました。国が無料でやるということはすごい効果だと思っています。まだ分析はされていませんが、恐らく40代から50代が一番多いのではないでしょうか。この黒ポツの2つ目だと、特に高齢者はと書いてありますが、30代、40代は、現在の消費生活相談員の待遇ではとても目指す人はいないと思っていたのですが、実際に蓋を開けてみたら、40代、50代の人たちが勉強しようという流れが今あります。

ここのところを、特に高齢者はと書くところを、そういった若い、今の40代、50代が20年後、私たちの年代になってくるわけで、その年代が中心人物になるので、その年代を重要視するような書きぶりにして頂きたいです。相談員の資格制度が国家資格になりまだ5年しか経っていないので、ここで見直しというのはいかがかと、私たちの努力は何だったのかと思います。5年前、中部地方では相談員の質を上げようということで、現役相談員が愛知県を中心に必死に勉強して新資格を取得し、東京都に次ぐ2位での愛知県の国家資格取得をしております。まだわずか5年前のことですので、えっ、もう見直しかと。ここも丁寧に書いていただけたらと思います。よろしくお願いします。

○新川座長 ありがとうございました。

貴重な御意見をいただいてございます。資格制度これ自体、その価値をしっかりと将来につなげていくことが重要だということで御意見いただきましたし、とりわけ現在、比較的働き盛り世代の方々も関心を持って学ぼうとしておられる、そういう現状も御紹介いただきました。それを踏まえて将来の構想を考えるべきであるということで御意見をいただいたかと思います。

地域社会の対応力強化のところにまで今、進んでございます。10ページから11ページ、そして12ページの前段辺りまで含めて、何か御意見があればいただければと思います。よろしくお願いいたします。

それでは、また必要に応じて戻っていただければと思いますが、12ページから始まります3「新しい消費者市民社会の形成に向けた対応策」のところも、安全安心な市場を醸成するための仕組みづくりや自立した消費者育成のための教育・啓発、また、高齢者が活躍する社会、少し論争的なものも含まれております。そして、14ページでは、これも先ほど来、オープン化を含めて御議論がございましたSociety5.0の中でのICT・AIの活用。こうしたところも出てございます。これら12ページから15ページ辺りにかけて、各委員から御意見いただいてまいれればと思います。よろしくお願いいたします。

どうぞ。

○清水委員 ありがとうございます。

先ほどの関連なのですけれども、(3)の「高齢者が活躍する社会の構築」の最初の黒ポツのところなのですが、高齢者となってもリタイアせずと書かれております。75歳になっても相談員をやり続けるのは困難かと思います。この部分は、私の年代のことを言っているのではなくて、今の40代のことを言っているのだと思います。今の私たちがずっと雇用し続けるのではなくて、消費生活相談は限界は65歳だと思います。ITについていくには限界があります。

私の20年後のイメージは、見守り隊になって、消費者を188につなげる、地域を守る元気な高齢者になる、20年後の75歳がそのようなイメージに読み取れるように、20年後の現役は30代から40代、その年代が消費生活相談を担う、そういう配慮で書いていただくようお願いしたいと思います。

○新川座長 ありがとうございました。

高齢者が活躍するというふうに言っても、本当に様々な高齢者、そして、人は年とともにそれぞれが高齢化をしていく。そういう実態を踏まえた将来の高齢者が活躍する社会をどう構想するのかということで御意見をいただきました。その辺り、もう少し丁寧に配慮をした書き方が必要かということで、今、御意見をいただいたということになります。

そのほかいかがでしょうか。

尾嶋委員、どうぞ。

○尾嶋委員 第4の3(3)高齢者が活躍する社会の構築に付け加えるということになりますけれども、今、清水委員がおっしゃったように、消費生活相談員を退いてから、消費生活相談員としての専門的知識や、それまでの経験を活かして活動している人が実際に多くいますので、高齢になっても長く相談員をやるというよりは、地域の見守りの主役となって活躍するということが適切と思いますので、その辺の書き方を変えていただければと思います。

○新川座長 そうですね。ありがとうございます。

○尾嶋委員 それから、4に該当するのか分かりませんけれども、骨子案全体の中で国民生活センターのことが記載されていないと思います。消費生活センター等で入力したPIO-NET情報を収集し分析しているのは国民生活センターです。池本委員が示してくれた国民生活センターの図があるかと思いますが、それを見ていただくと、様々な国民生活センターの機能があります。その中で消費生活センターあるいは消費生活相談員が相談解決に向けての情報をもらったり、共同作業をしたりなど、相談業務の支援をしている重要な機関です。以前にも私も会議の中で資料を紹介しましたけれども、現在も最も消費生活相談員が頼りにしている機関が、国民生活センターです。

それから、多くの自治体で予算削減のために商品テストなどの機能がなくなり、国民生活センターが非常に多くの商品テストを行っており、ADRもあります。

ということで、20年先も、地方消費者行政の充実のために、国民生活センターの役割というのは非常に大きくなると思いますし、そのようになってほしいとも思っていますので、どこか適切なところに加えていただければと思います。

以上です。

○新川座長 ありがとうございました。

相談員経験の方の将来の活躍、それから、国センの将来の位置付け、この辺りの御意見をいただきました。ありがとうございました。

そのほかいかがでしょうか。

生駒先生、どうぞ。

○生駒委員 この教育の部分なのですけれども、(2)の「自立した消費者を育成するための消費者教育・啓発活動の推進」の部分の最後のポツで、国や地方自治体は、消費者教育の分野でもオンライン教育の環境整備を一層進めると書かれているのですが、こちらはまさしく次の(4)の「Society5.0を前提としたICT・AI技術等の活用」という項目とつながっていくと思うのです。まさしく今、10代、20代、30代の方はほとんど情報はオンラインから吸収されるということがありますので、このオンライン教育が非常に重要だと感じています。

そこに、先ほどからいろいろお話しになっています被害相談のようなものもオンラインで気軽にできるのだよというようなこともつなげていく。オンラインというプラットフォームで若い消費者が自立した形で育っていくような、そういうプラットフォームづくりというのを、ぜひここの部分と、Society5.0の部分にも教育の要素が入ってきてもよいのかなと感じています。

消費者の生活スタイル、衣食住にわたりますよね。私はファッションのほうに関わっておりまして、昨日は実は環境省に行ってきまして、大臣に直接提言書を出してきたようなことをしているのですが、ファッションもすごく環境に悪い影響を与えている部分であったり、いろいろ問題が山積みです。大量生産、大量消費、大量廃棄ですね。その問題を解決していこう。あと、ものづくりの透明化のような部分も、そういったことも消費者教育の一つの柱になると思います。

ファッションは非常に入りやすい領域なのですけれども、食もライフスタイルも、そういったところで日々行う消費者の行為が地球の未来を創るのだという意識を、ぜひオンラインの教育の場でも広げていければと感じております。よろしくお願いします。

○新川座長 ありがとうございました。

特に教育啓発のところでは、オンライン教育、むしろ単なる環境整備というよりは、プラットフォームづくりやICT・AIの技術発展ということも踏まえた、もう少し分厚い議論の仕方というのがあるのではないかということでいただきました。

また、(4)のところもそうした教育啓発との関わりをしっかり書いてもよいのではないかということで御意見をいただいてございます。

そのほかいかがでしょうか。

それでは、またこの新しい消費者市民社会形成のところ、必要に応じて戻っていただければと思いますが、15ページ目、4の「感染症、自然災害等危機下における消費者の安全安心を確保する対応体制の構築」に進めさせていただきたいと思います。ここの記述内容について、御意見、御質問があれば、お願いをしたいと思います。

生駒先生、どうぞ、お願いします。

○生駒委員 こちらもまさしく今の私が申し上げたこととつながるのですが、こういった危機的な状況下において、消費者がいかに安心安全な情報を確保できるか。その方法ですね。恐らくこれはインターネット中心になると思うのですけれども、そういった危機的な状況下において、情報を的確に得る方法というものも指し示していってもいいのかなと感じています。マスクの転売ですとかいろいろなことが既に起こりましたね。ですので、政府の側は非常に皆さん迅速に対応されたと思うのですが、そういったことも含めて、ネットで皆さんが情報を収集して、それが直接的な消費者の行動につながるということが実際に起こっていますので、そこで的確な安心や安全に向けての情報を提供していく、そのプラットフォームがどこにあるのか、消費者にとってアクセスしやすい仕組みを作る。そういったことも御考慮いただければなと感じました。

○新川座長 ありがとうございました。

消費者側から見た対応体制の在り方、そういうところについてももう少し視点が違ってきますので、しっかり議論してはどうかということで御意見をいただいたかと思います。

そのほかいかがでしょうか。

どうぞ、お願いいたします。

○山田委員 やはり今回、この新型コロナウイルスで一番大きな問題になってきたのは、人が孤立してしまったことなのですね。孤立してしまったことによって、どういう形で情報を得て、そして、それをうまく活用していくことができるのかというところで、非常に情報過疎が生まれてしまった。それに対して、情報提供を充実させるだけでできるのかというと、やはりものすごく大きな問題があると思います。というのは、行政機関も情報を提供するよりは、感染症対策に追われていて、保健所やそういったものも含めまして、正直、もうそれどころではないのですね

こうしたときに、やはり自立した市民消費者社会だと、まさにお互いに情報を交換し合い、支え合う社会を作っていかなければいけない。そうした点が実はここのところには書かれていないわけですね。プラットフォームを作っていくというのはそのとおりだと思うのですけれども、プラットフォームは行政側から一方的に情報を提供していくものではなくて、やはり住民、市民がお互いの情報を提供し合いながら支え合っていく社会になっていかなければ、こうした時代は切り抜けられないと思います。

依然、先ほどからずっと申し上げているように、情報は行政が提供するもの。そして、情報については行政が選別をして、その的確さを保証しなければいけないものというのは、Society5.0の社会では非常に難しいと言いますか、Society5.0を否定するような考え方ではないかと私は思います。皆さんが会話をするように、バーチャルな世界とリアルな世界が一体化してやっていくときに、しっかりとしたプラットフォームをつくってオープン化していき、また、消費者が発信できる、そういった形にしていかないと、孤立した社会というのは乗り切れないのではないかと思います。

ですから、お互いに情報を交換できるシステムというのをつくっていくことが、地域においても一番きめ細やかな形になってまいりますので、そうした仕組みにしていくことによって、コロナにおいても孤立化しない、支え合う社会というのができるようなということを、私は理想論として書いていただけたらなと思います。

以上です。

○新川座長 どうもありがとうございました。

池本先生、どうぞ。

○池本委員 今の御発言に触発されて、少し私も更に付加した意見を申し上げたいと思います。

実は、この危機対応のところの更に前提として、ちょっとこれはページが戻って恐縮ですが、6ページのところで、20年後の予想される課題と展望のところが、行政が縮小していく中で人材確保は難しいというところの展望が、ICT・AI技術の活用ということで、あとはエシカル消費とか地域産業ということでちょっと拡散しているのですが、ここに今、他の省庁でもいろいろ言っているところの地域コミュニティーの再構築ということは、政府全体としても今、課題として位置付けられ、取り組もうとしているのだと。あるいは厚労省などで言っている地域共生社会の形成ということですか。そういう政府全体の流れとしても、地域力の活性化、地域コミュニティーの再構築、あるいは地域共生社会の構成ということをむしろ触れてほしいというのがありまして、そのことが、ページが戻って、先ほどから御指摘いただいている危機対応のところです。危機対応のところも、まさに山田委員が的確におっしゃったように、AIとか行政が何か発信するというよりは、地域で平時のコミュニティーがなければ緊急時の対応はできないわけで、だからこそ、この危機対応のためにこそ、平時の地域のコミュニティー、情報交換の体制が重要になってくるということを、ここでそれを触れていただくことで、前段とそこへ向けたこれからの体制というところでつながってくるのではないかと思います。

以上です。

○新川座長 ありがとうございました。

そのほか危機対応のところ、いかがでしょうか。視点をやはり消費者側に置くということ。そして、消費者相互が支え合うようなプラットフォームや、そうした場から生まれてくる危機対応。その前提としては、やはりICT、そして地域での人と人とのつながり、コミュニティー、そうしたところをきちんと書き込んで言ってはどうだろうかというところで御意見をいただきました。なお、6ページの展望のところでも少しそうした内容を入れてはどうかということで御意見をいただいたところです。

危機対応のところ、そのほかいかがでしょうか。

それでは、また必要に応じて戻っていただければと思いますが、少し議論がいろいろと出てきそうなところ、5番目の「持続可能な消費生活相談体制の構築」に進めさせていただければと思います。ここは、広域センター化、専門性の高い消費者問題への対応体制構築、消費生活相談員の活躍の場の拡大という3つの項目、柱立てをさせていただいてございます。これにつきまして、各委員から御意見をいただいていければと思います。よろしくお願いいたします。

大森委員、お願いします。

○大森委員 これは持続可能な相談体制の構築というところなので、こういう書き方になるのかとは思うのですが、(2)の専門性の高い消費者問題への対応体制の3つ目のポツのところに、適格消費者団体と特定適格消費者団体のことが出ています。あっせん業務の一翼を担う適格消費者団体、特定適格消費者団体の活動を更に充実化すると。何かPLセンターのような、確かにあっせん業務がメインではありますけれども、適格消費者団体にはもっと大きな働きがあるのではないかと私は思っております。

まず、行政は、専門職はつくれない状態になっています。消費者庁も出先機関がありません。そういう消費者庁の地方での出先機関としての活動というのが今後大きな使命になってくるのではないかと思っています。

適格消費者団体は、御存知のように弁護士さん、相談員、消費者団体とか、消費者行政を支えるメンバーがそろっておりますので、消費者庁が決めたことを地域で実践していくのを運営するというか、出先機関のような働きが非常に重要で、それは、ここの場所は適当ではないのかもしれませんけれども、どこかに明記していただけたらうれしいなと思っています。

以上です。

○新川座長 ありがとうございました。

適格消費者団体につきましては、具体的にその体制強化・充実について触れているのはここが中心になりますが、むしろ消費者行政それ自体を支えていく重要な担い手ということで、ほかのところでは消費者関係団体というような言い方で、ちょっと埋め込まれているところもありますので、この辺りをどういう表現にするか。それから、具体的な役割、将来においてどういう期待をしていけばよいのかということで、今、その役割が大きいのではないかということで御意見をいただきました。ありがとうございました。

そのほかいかがでしょうか。

○清水委員 今のところの関連です。

○新川座長 どうぞ、清水委員、お願いします。

○清水委員 今のあっせん業務の一翼を担うというところなのですが、現在、名古屋市では、Cネット東海、地元の適格消費者団体と交流会を定期的に行っていまして、実名を適格消費者団体に伝えて、相互に今やらなければいけない問題点を共有しているというのをやっていて、更に名古屋市は向こう5か年で適格消費者団体ともっと密接にということで、現実になるかは分かりませんが、同じ消費生活センターの下の空き部屋に誘致してCネット東海に入ってもらおうという、過去にも大阪のほうでそのようなことがあったと聞いていますが、実は名古屋では、やっとそういう動きが密接に動いております。

ここで言うあっせん業務の一翼を担うという意味するところをちょっと確認したいのですが、いわゆるこういう情報交換をして、地域で消費者の被害救済に対し迅速的に対応できるという意味合いで書かれているものと理解しております。また、相談員としては、適格消費者団体が申入れをして事業者の実名をホームページに挙げるということは非常にあっせんしやすいということを感じていますので、そういう意味で書いていただいているということでよろしいでしょうか。

○新川座長 ありがとうございます。

基本的にはそういう認識で書かせていただいているかと思いますが、事務局、特に補足がなければそういう理解で進めたいと思いますが、いかがでしょうか。

○友行企画官 そのとおりでございます。

○清水委員 ありがとうございます。

○新川座長 ありがとうございます。

池本先生、どうぞ。

○池本委員 これは先ほど太田課長のやりとりのときにも発言したところですが、16ページの(3)の相談員の活躍の場の拡大というところです。本来ここへ書かれるべきことは、相談員が個々の相談処理を行う機能だけではなくて、更に地域の関係団体や自治体の中でコーディネーター役、あるいは消費者教育の担い手などに広がっていく必要があるということが一番書かれるべきことではないかと思うのです。ここには民間委託のことが出ていて、先ほどもちょっと申し上げたのですが、実は指定管理者制度というのは、その制度自体に期間の限定を明確にしなさいとある。その期間が来たときには改めて公募するなり、公正にやりなさいということがあるのですが、そのことが逆に相談員さんからいうと、相談員の地位の不安定さになるのではないかというような危惧が言われています。

それから、指定管理者になった場合には業務委託を受けて独立の業務運営を尊重しなければいけないので、あまりとやかく行政職員が口出しはしないようにしなければいけないということが指定管理者制度については言われていたはずです。ところが、今議論しているのは、消費者行政職員と相談員が一体となって展開していこうということで、本当に指定管理者でいいのかなということを危惧します。

私は、本当は民間委託という観点は外すべきではないかと思うのですが、仮に言葉が残るとすれば、まさにそういう指定管理の期間の関係で不安定さが生じないようにとか、あるいは職員との連携をできるようにする、あるいは他の部署との連携、更には法執行機関との連携なども密にできるような体制が確保されることが前提になる、そういう点の留意が必要であるという、ガイドラインで平成26年のときに言われたように、その留意事項のことこそ触れていなければ、このままで書いていくというのは私は反対です。

以上です。

○新川座長 どうもありがとうございました。

委託や指定管理者制度については、前々から御意見をいただいているところもございました。それから、相談員の将来の活躍について、専ら相談業務だけをここで想定しているような書き方になっていますが、むしろコーディネート役、あるいはその専門性を広く生かしていく、そういう視点が必要ではないかということで御意見をいただきました。

そのほか各委員から何かございますでしょうか。

尾嶋委員、どうぞ。

○尾嶋委員 第4の5(1)の「広域センター化のさらなる推進」というところです。過疎地域、小規模市町村の相談体制の広域連携を進めるとありますが、これまで広域連携というと相談業務の広域連携というふうに狭く捉えていたと思いますが、それだけではなくて、委託した市町村の職員が共有された相談情報を啓発や消費者教育に利用し、あるいは団体との連携の際にも利用するということが必要なので、相談業務だけではなく、そのようなことも含めての広域連携として進めるとしていただければと思っています。

それから、同じく5(2)の「専門性の高い消費者問題への対応体制の構築」ですが、幾つか文章の中に、市町村単独では対応できない相談に対応すべくということが書かれていて、今回のコーディネート機能に関わることかと思います。先ほど清水委員もお話ししたかと思いますが、今、都道府県には苦情処理委員会があります。政令指定都市などにもありますけれども、苦情処理委員会では、同じように市町村単独では対応できない相談を解決するためにということが目的と思いますが、現況調査を見ますと、2018年度に東京都は6件、そのほか北海道、大阪府が付託されていましたが、あまり機能していません。苦情処理委員会がしっかりと機能することが必要と思います。多くのところが、苦情処理委員会に付託するための検討は行っているけれども、なかなか付託できないというのが現状のようなのです。

それに代わるものとして、今回、例えば京都府が行っている消費者安全チームのようなものを想定しているのでしょうか。機能があっても、作っても、それが活用されなければ意味はなく、実効性のあるものにするにはどうしたらよいかということが問題と思います。

以上です。

○新川座長 ありがとうございました。

まさに20年後に実際に働いていることができる、そういう提案、構想というのを出していかなければ意味がないということだろうと思います。ありがとうございました。

そのほかいかがでしょうか。

どうぞ、お願いします。

○山田委員 2点ほどあるのですけれども、指定管理者制度の導入を検討するという話なのですが、本来的には指定管理者制度というのは公の施設の管理の制度なのですね。行政の判断を伴うようなものというのは除外されていくはずなのです。だから、この場合の消費者相談が行政判断に結びつくような形のものになるときに、現行の指定管理者制度がそのまま即適応になるかどうかということについては、ちょっと検討が必要なのではないかなと思います。指定管理者制度は施設運営の話で、実際上の公権力を伴わない業務、事務についての話なので、消費者相談となってくると、場合によってはそこから行政判断のほうに進んでいかなければならない事態があり得ると思うのですけれども、その点から指定管理者制度がそのまま導入できるかどうかということについては、新たな考え方が必要になってくるのかなという感じがします。それがまず1点です。

2点目は、消費生活相談員の活躍の場の拡大なのですけれども、ここはさっきからずっと持論を繰り返して申し訳ないのですが、これからの世界においては、やはりお互いに支え合う世界であって、プラットフォームをつくって、そこで消費者同士が意見交換をしていかないと、なかなか難しいのではないかと思います。そのときに、相談員の皆さんも今までのように相談が来て、それに対してというよりは、どんどん出ていく相談が増えているのではないかと思います。つまり、パッシブな相談からアクティブな相談へと変わっていかなければいけない。そのときのプラットフォームの運営とか、プラットフォームにおいて意見が、中身に危険性があるといったときには、相談がなくてもどんどん介入していくような、相談員としてはこういう意見なのだという形でアクティブに出ていくような場面は増えてくるのではないかと思います。その点で活動の場の拡大というのは、パッシブな相談からアクティブな相談へというような定性的な方向が出ると、相談員というものの形がもっと、これからのSociety5.0社会の中では上がっていくのではないかなと思います。

以上です。

○新川座長 どうもありがとうございました。

指定管理者制度、それから消費者相互が支え合う社会の中で、実は相談員が消費者とともに一緒に支え合っていくような積極的な役割もあるのではないかということで御意見いただきました。

○清水委員 すみません。もう一度お願いします。

○新川座長 どうぞ、清水委員、お願いします。

○清水委員 ありがとうございます。

いつもは名古屋市の消費生活相談員、会計任用制度で勤務しています。私の夢は、全て一つの団体に所属して、できれば自治体ですね。相談業務だけでなく、消費者コーディネート業務ができたらいいかと思っています。今の立場としては、非常勤ということをいいことにして、あるときは市の立場、あるときは国の立場でやっているということで、実は総合行政だとかコーディネートセンターの中にいればそれが実現できると思っています。

もう一つは、委託先とか指定管理についてですが、指定管理はあり得ないのかなと思っております。ただ、20年後ですので、当然全てで人がいなくなりますので、委託と考えたときに、今この報告書を読むのは私たち、もしくは私たちが今、将来を担う30代、40代の相談員を育てているところなのですが、その人たちが読んでどう思うかというところだと思います。残念ながら、過去の20年において委託している地方自治体について、さっき消費者庁の課長も言っていたように、デメリットしか聞こえてこないのです。もしこれを書くとしたら、委託することによって何がいいのかということを書くべきで、20年後なので、今のことを語ってはいけないと思っていますが、もしここを残すのであれば、もう少し分かりやすく書いていただけたらと思います。

以上です。

○新川座長 ありがとうございました。

そのほかいかがでしょうか。

指定管理者や委託につきまして、改めてまた御意見をいただいておりました。また、消費生活相談員の在り方ということについて、まさに総合化の担い手として、これからどういう位置付けをしていくのがよいのか。これから恐らく一人の人がいろいろな役割を担って社会の中で生きていく、副業化みたいな話もありますが、そういういろいろな立場に立つということが逆に世の中を総合化していくというようなところもあるかもしれません。

どうぞ、いろいろな御意見をいただいていければと思っております。

生駒委員、どうぞ、お願いします。

○生駒委員 皆様のお話をお聞きしていて、なるほどと思っておりまして、当初から消費者行政のコーディネート機能というのが話題になっているのですけれども、これをセンターとすべきか、機能ととどめるかというお話はあると思うのですが、すなわちこういうものが必要であるということが今、課題となって現れてきている。これが先ほどから、20年後を考えますと、オンラインの世界というのと直結していなければ意味がないのかなと感じています。何人かの委員からお話が出ていますが、そういった相互に、消費者も参加できる、意見を言える。そして、専門員の方も、さっきパッシブではなくてアクティブなというお話でしたが、まさしく御自身の意見も述べられる。そういう意見交換ができるような、SNSとまでは言わないですが、プラットフォームみたいなものを、この消費者行政のコーディネート機能がそこに向かっていくような形で、いろいろなジャンルの方とつながって、専門家の方とつながって、専門家の方と一般の消費者の方が直接意見交換できる。

今、物の販売もDtoCと言いまして、ダイレクト・ツー・コンシューマー、直販ですね。何かを介するのではなくて、物を作っている方と消費者が直接つながるような時代に入ってしまっているのです。ですので、20年後は更に進むのではないかと予測されるところで、こういったコーディネート機能なりセンターが、危機下でも、今おっしゃったのですけれども、通常からあれば、更に危機下においては機能するわけです。実際はツイッターとかフェイスブックで情報を得た方はすごく多いと思うのです。そういった形で消費者行政が一つの新たな交流できるプラットフォーム、情報交換ができる、そこでいろいろな情報が開示されている、そのような場を作るという方向性は一つありかなと思っています。

以上です。

○新川座長 どうもありがとうございました。

まさにICTが高度に発達していくというか、限界はないかと思いますが、むしろそういう社会を前提にした消費生活の在り方、そして、そこでの消費者問題への対処の仕方というのを構想していかなければ意味がない。そういうこれからの社会を見通した消費者行政を目指していかないといけないということで御意見をいただいているかと思います。

少し時間も押してまいりましたので、あと6番目の「目指すべき姿を実現するための社会的資源の確保、活用」、財源の問題や人的資源の問題等々が残っております。ここも含めて、あるいは前のところに戻っていただいても結構ですが、ここで出しました方向づけにつきまして、また、個別の内容に関わりまして、御意見いただければと思います。よろしくお願いいたします。

大森委員、お願いします。

○大森委員 「人的資源の活用」のところで、17ページの終わりから18ページにかけて、行政の職員と消費者団体をマッチングすると。民間と地方とか、そういう言葉がよく出ているのですけれども、先ほど来議論になりました生駒委員がおっしゃったプロボノの話とか、学生とか大学とかいろいろな人が関わるという視点がちょっと少ないのではないかと思いました。大学生、高校生という話がありましたけれども、兵庫県ではトライアルウィークということで、中学生が社会体験をするというプログラムがありまして、私も高校の総合的学習の授業で地域をフィールドにして高校生を指導したことがございます。地域をフィールドにして学ぶということは大変な社会経験で、その後の自立した消費者になるという意味でとても大切なことだと思っています。

そのため、学生という言葉も入れていただきたいし、あと、企業のこともちょっと入れていただきたいなと思っているのです。企業も、企業市民社会という言葉とか、社会的貢献とか、SDGsとか、消費者志向経営とかいろいろな言葉がありますけれども、やはりこういうふうに企業の社員がいろいろ地域に関わって活動するということがとても大切だと思います。そのため、こういう視点をぜひ入れていただきたい。

それで、ちょっとページを戻りまして、17ページの一番下のところに、公平性とかの観点から一定の配慮は必要であるという言葉があります。やはり無償ボランティアというのはやめていただきたい。有償ボランティアで、交通費実費と最低賃金ぐらいは保障するという形。学生は単位が取れるとか、そういうものがないと、実際の事業者への営業妨害にもつながりかねないので、そういう保障はしていただきたいなと思っています。

以上です。

○新川座長 ありがとうございました。

どうぞ、お願いします。

○八木委員 今の大森委員の意見に大変賛成ですが、学生、大学という言葉をもう少し入れてほしいと私も思います。13ページに消費者教育という観点から大学のことを触れられていますが、高齢者の問題が社会的な問題としてこれからどんどんクローズアップされてきます。そうすると、かつて生駒委員からも御指摘がありましたが、ジェロントロジーだとか、高齢者に関する学問の領域というのもどんどん広がってくる。そういったことを学ぶ人たちを活用していくということをもっと積極的にしていかなくてはいけない。社会として高齢者問題というのが重要性を増していく中で、学ぶ人たちを活用するという視点をぜひここの人的資源の活用の中に入れていただきたいと思います。

それから、ここの分野とはちょっと違うのですが、サイバーのデジタルの関係で少し触れておきたいことがあります。サイバー、デジタルのいい面はかなり書かれていて、そのとおりだと思います。それから、山田委員がおっしゃっているオープンという言葉もぜひ入れるべきだと思います。一方で、サイバーになればなるほどぜい弱化していく部分があるということを認識しておく必要もあると思います。例えば今回のコロナの件で言いますと、ネットで何かを買いたいと思っても、ほとんど独占的に買ってしまう人、あるいは将来、アプリケーションを使って、素早く独占的に買い占めてしまう人が出てくる可能性もあります。

更に激しい問題として、サイバーセキュリティーがあります。商品においてハッカー的な人が介入することによって、特に高齢者を中心に被害者になる確率が高くなると思います。デジタルの活用に伴って、サイバーセキュリティーが忘れてはならない一つの課題であるということに関して、どこかで触れておいてほしいと思いました。

以上です。

○新川座長 ありがとうございました。

人的資源で大学生、それから、ICT活用に際してはやはりセキュリティー問題や、あるいは様々な場面で先進的な情報技術がもたらすぜい弱性、それにどう対処するか。この辺りをしっかり書き込むということでお話をいただきました。

そのほかいかがでしょうか。

池本先生、どうぞ。

○池本委員 17ページの「人的資源の活用」とその上の「財源の確保」について、簡潔に申し上げたいと思います。

まず「人的資源の活用」は、実は先ほどのところでお話しした話とつながっていくのですが、やはり地域コミュニティーをどう再生していくかということが、これから20年先に向けて大きな課題になっている。危機対応も平時のふだんのコミュニケーションができるつながりを作る、そういう担い手を作っておかなければ、20年先は行政が支え切れないだけではなくて、地域社会そのものが支えられなくなるというくらいの重要な課題です。そうだとすれば、ここは人的資源の活用という、今ある人をどう結びつけるか、マッチングさせるかという話に終始しているようにみえるのですけれども、人材の育成と連携ではないか。人材の育成というところがもっと第一に出てきた上で、それが活躍してもらうために行政としては更にコーディネートしたり、マッチングをさせていったりということだと思うのです。

この文書の冒頭にも、人材が希少化する中で枠を超えて人材をシェアしていくという、それぞれの分野で人材はたくさんいるのだというような前提にも見えてしまうのですが、地域共生社会の厚労省でやっている文書なんかを読んでみても、それぞれの分野、自治会にしろ、あるいは民生委員もそうですが、様々な分野で後継者、なり手がいなくて困っている。本当に人材をどう育成するか。そういう中で消費者行政の分野というのは、SDGsもそうですし、まさに自分たちの身の回りの日頃の課題に目を向けながら発信していく人を育てていくという、最適の、うってつけの分野だと思うのです。そういうところをもっと強調して、育成と連携ということ。活用という行政からの目線だけではなくて、連携ということではないかなと思いました。

それから「財源の確保」、これは太田課長とのやりとりのところで申し上げたことに尽きます。特に太田課長の発言の中で、財源は、交付金はスタートアップの支援であるということを明確にされました。そもそも消費者庁ができた後も、相談体制とかそういうものをスタートアップさせて、あとは各自治体が担うのだという位置付けで、したがって、交付金には最初から5年とか7年という期限をつけてスタートしたのです。もちろんそれはそれで、まずこの期間に頑張ってやりましょう、各自治体で独自財源も手当てしてやっていきましょうという意味では、貴重な取組ではあったのですが、これから先どうするかというときに、何もかも国が見てくれるというつもりで申し上げるのではなくて、先ほど来申し上げている、国と都道府県、市町村が、相談窓口とPIO-NETと法執行なり企画立案というのが一体としてやっているということをもう一度ここで確認していけば、その独自財源の確保も含めた消費者行政全体の体制を維持、充実することに向けて、消費者庁は取り組んでいくべきです。それの一端として、ここにある国と地方が共通の利害を有する事務として検討していく必要があるのではないかということまでつながっていくのではないかと思います。その意味では、「財源の確保」のところは入口の位置付けをもう少し明確に強調していただければと思います。

以上です。

○新川座長 どうもありがとうございました。

尾嶋委員、どうぞ、お願いします。

○尾嶋委員 財源については、今、池本先生がおっしゃったことと同じ意見を持っています。

それから、報告書の全体的なことですけれども、意見書の中に、衰退ありきの論調ではなく、安全安心で豊かな住みやすい地域を実現することを目指すような方向のものにしてほしいという趣旨の意見があったと思いますが、私もそのとおりだと思います。先ほど清水委員からの報告にもあったように、今回、消費者庁から全相協が消費生活相談員担い手確保事業を受託しました。消費生活相談員不足を解消するためにeラーニングによる消費生活相談員の養成講座を行うというもので、600人を募集しました。当初はそんなに多く応募がないのではないかという不安があったにもかかわらず、数時間で募集定員に達してしまったというのが、この6月にあったことです。

私たちは、今回、いろいろとヒアリングをした中で、消費者問題に無関心の人が多くなったのではないかとか、そういった危惧する声とか不安の声も多く聞かれました。今回の応募者の状況は、まだ分析が十分進んでいないので、どういう方が応募されたのかというのは分からないのですけれども、この状況を見ると、そんなに悲観したものではないかなという、ちょっとうれしい気持ちにもなりますし、やはりオンラインの加速で、これから今とはかなり変化することも考えられ、やり方とか方法とか、そういったものによって変わってくるのかなと思いました。20年後に向けて、良い方向、明るい方向に持っていくような報告書にしてほしいなと思います。よろしくお願いします。

○新川座長 分かりました。

どこまでできるかは難しいですけれども、御趣旨はよく分かります。20年後の消費者行政というのが、本当に豊かで明るい消費生活を誰もが安心して送ることができる、そういう社会を実現できているということが、この報告書の基本的なスタンスです。そのためになすべきことというのを、今、いろいろ御議論いただいているというふうに理解をしております。

いろいろと御指摘をいただいておりますけれども、予定の時間、13時を過ぎてしまいました。どうしてもこの点についてはということで御意見がございましたら、最後になりますが、いただいておければと思いますが、いかがでしょうか。

池本委員、どうぞ。

○池本委員 一言だけ。参考資料で消費者団体からの意見書が出ています。全国消団連とか大阪の消団連の意見書が出ています。この中で共通に出ているのが、自分たち消費者団体の意見のヒアリングなども含めて、もっと慎重に続行してほしいというような意見があります。特にコロナの問題で公開の形でやることがしばらくできなかったりということがあって、難しいのだということは彼らも理解しているとは思うのですが、やはり20年後の姿を議論するところで、全然自分たちが発言したり意見交換する機会がなかったというのが非常にもどかしいところで、不平不満として出ているわけではないと思います。

その意味で、次回でもう取りまとめで終了とするのか、後ろとの関係はどうか分かりませんが、更に若干のヒアリングを、特にネット会議であればこれからでも恐らく、何かそういう消費者団体側の意見も共有する時間を取れれば、という辺りは、少し座長あるいは事務局で検討していただければと思います。

以上です。

○新川座長 ありがとうございました。

今、意見書を頂いてございましたので、それに関連して今後の手順についてもお話しいただきました。

そのほか各委員から、今の段階でそれぞれの項目について御意見がございましたら、最後になりますが、いただければと思いますが、よろしゅうございますでしょうか。

どうぞ、伊集委員、お願いします。

○伊集委員 できるだけ手短にお話しできればと思うのですが、財源のところで、今日の議論なども踏まえまして、まず、今の時点で「財源の確保」の丸ポツ1つ目のところで、地方交付税措置のさらなる充実やその見直しと、その後、国庫負担金化などと書いているのですが、この地方交付税措置というのは、恐らくその前のほうでも出てきている地方消費者行政に関する基準財政需要額の算定額として充実してほしいというようなことに読めます。しかし、今日の議論、太田課長の話もそうですし、これまでの議論でもそうなのですが、問題は、そこで算定が低いから足りていないというよりも、算定はされているのだけれども、なかなか自治体で十分に地方消費者行政に予算が回せていないというところがあるので、算定額を上げる、下げるみたいな話になると、逆に、予算をつけていないのだったら、算定額を下げていいのではないかみたいな話になりかねないところもあるのかなと感じます。

実際の問題としては、消費者行政として算定額が低いというよりも、やはり交付税の総額というか、自治体の一般財源として、あるいはその中に占める交付税の額が必ずしも十分でないので、福祉のほうに優先的に配分されて、地方消費者行政のほうになかなか回ってこないというのがあるという関係になっていると思いますので、そういう意味では、消費者行政に対する交付税措置、あるいは算定額を充実するというよりも、交付税そのものをもっとしっかり措置してもらいたいというような書き方のほうがむしろいいのかなと感じました。

あと、これはこの専門調査会の場でもいろいろ意見があると思うので、なかなか難しいところはあると思うのですが、今の書き方だと、交付税を充実させるべきだという方向性と、一方で国と地方の利害が共通するところでといううんぬんで、国庫負担金化をもしっかりやってほしいというのは、方向性としては少し矛盾するのかなというところもあります。ですので、この報告書としてどちらかに方向性を場合によっては定めるべきなのか、あるいはやはりこの場合はいろいろな考えがあるので両論併記的に書かざるを得ないのかというのは、委員の皆さんの意見も踏まえつつ、座長にも御判断いただいたほうがいいところなのかなと考えています。

現状では、これはうまく負担金化なども示しつつ、地方分権や地方自治にも配慮しつつなので、そこがネガティブになるようなことがないように配慮しつつ、持続可能な消費者行政の実現に向けて財源の問題に向き合っていかないといけないというふうに書いているので、文章としては必ずしも矛盾していないというか、うまく記載できていると思いますが、やはりその分、言っていることが不明確なところはどうしても残ります。どうしてもここに意見集約はできないので、こういう書き方をせざるを得ないということであればやむを得ないのかなと思いますが、全体の財源としてどう支えるかということと、個別に国の責任としてここを保証してほしいというところをどこまで書くのかというのは、もう少し整理が必要なのかなと感じるところもありました。

長くなってしまいまして、すみません。

○新川座長 ありがとうございました。

国の責任の範囲を特定できればそれにこしたことはないのですが、残念ながらそこまでの議論はまだ煮詰められておりませんでして、こういう書き方になっているかと思います。

そのほかいかがでしょうか。

山田委員。

○山田委員 今の御意見に対してなのですけれども、確かにおっしゃるとおりなのですが、多分、もうちょっと精密に書くと、市町村の場合には総合化をしていくので、総合化をしていく中で一般行政経費を上げていくべきだという形になると思うのです。それに対して都道府県のほうは専門化していくので、特にコーディネートセンターとかコーディネート機能のような新しいものを入れていくのだったらば、新しい行政、財政需要として算定をし直すべきではないかという議論があると思います。

それから、国のほうの負担金なのですけれども、多分こちらのほうはIoTとかそうしたスマート化のところについては、スターティングも含めて、やはり国が統一の規格で共同化をしていかなければIoTはできないので、そうした点では負担金化という形になっていくのではないかと思いますけれども、そこまで書き込むかどうかというのは事務局の判断になるのではないかと思います。

以上です。

○新川座長 ありがとうございました。貴重な御示唆をいただいております。市町村と都道府県を分けるという議論、これまた大問題は大問題なのですが、ありがとうございました。

そのほかいかがでしょうか。

それでは、大変恐縮ですけれども、時間が大分オーバーしております。ここまでの御議論、特に消費生活相談員の問題、あるいは委託や指定管理者の問題、それから財源の問題について、いろいろ御意見をいただきました。基本的には集約をしていかなければならないかと思っております。そういう観点で、若干恐縮ですが、私のほうから論点メモのようなものを少し出させていただきたいと思っております。事務局、映していただけますでしょうか。

○友行企画官 はい。少々お待ちください。

○新川座長 後ほど各委員にもお届けさせていただきたいと思いますが、今日のお話も少し受けながらということで、コーディネート機能のところや何かは未整理なのですけれども、基本的な消費者行政の今後の在り方ということについて方向づけと、それから、御議論のあります今後の消費生活相談の在り方、その中で専門性というのをどういうふうにこれから上手に集約してコーディネートしていくのかといったようなところ。それから、財源につきましては、やはり基本的には消費者政策の優先順位を高めて、そして一般財源でそれに対処していく。ただし、全体としてはそれが縮小していきますので、様々な資金、様々な担い手の資源を活用していくしかない。そんな視点で少し書かせていただいてございます。

1つ、消費者行政機能の体制については、20年後、もちろん地方が総合的、専門的に実施をしていく、そのための体制構築が必要であるということ。そこでは総合化、広域化、重層化、協働化が鍵になる。加えて、国・地方の公共部門、民間営利、民間非営利、これらが連携、協働、場合によっては一緒になってやっていく、これは基本的な方向だけですが、そういう体制を考えていくというのが私どもの基本的なスタンスかなと思っております。

特に論点になりました消費生活相談機能の充実・強化ということについては、20年後に消費生活相談機能を更にしっかりと確立していくということ。もちろん消費生活相談がただ単に相談だけではなくて、積極的な介入、あるいは教育や啓発に向けて、また、事業者へのサポートも含めて進んでいくということが重要になりますが、これも先ほどの原則に当てはめて重層的で、公共私協働型で相談体制を充実・強化していく。まさに今日御議論をいただいていたコーディネート機能ということに関わるかと思っております。

こういう消費生活相談というのが、実際には消費者が基点ですので、消費者の立場をどういうふうによりよくその権利を守っていくことができるか、あるいは権利行使ができるかという、そこのところに視点を置くことになろうかと思っております。

現行のセンターを将来しっかりと維持していくということについては、特に今回は触れていないということでございますが、強化された機能にそれが発展していくということは期待をしたいと思っております。

それから、消費生活相談員の皆さん方につきましては、むしろ今後、高度な専門職として位置付けをしていく必要があるのではないかと思っています。現在の強化作戦では、今後5年間に向けて更に量的にも、それから活躍の場も大きくしていくということになっていますが、更にその先、20年後にはエキスパートとして活躍していただくということを念頭に置いてはどうだろうかということであります。

そのために、今日はいろいろ委託や指定管理者制度について御意見いただきましたけれども、公共私の協働体制というのが様々に機能をしていく状態を想定せざるを得ないのではないか。そのときに、先ほど来ありますように、委託や指定管理者制度については当然いろいろな御批判、特に重大な問題はやはり丸ごと委託みたいな形になったときの様々なデメリットというのもありますので、こういうところをどういうふうに考えていくのか。

ただし、民間も含めた協働体制みたいなものはしっかりこれから組んでいかないと、消費者行政が成り立たないという認識を前提にして議論してございます。

続きまして、財源のところについては、これは先ほど伊集先生からも少しありましたけれども、基本的には一般財源、それぞれの担い手の財源を充実・強化するということが前提で、その上で、消費者行政の重要性というのをそれぞれに認識していただいて、優先的な順位づけを目指すという戦略が重要になってくると思っております。

ただし、財源資金は当然これからどんどん縮小することが見込まれますので、様々な財源資金を上手に組み合わせて、そして、必要な資源を調達していくということを考えていかないといけない。したがいまして、基盤整備のための国庫補助負担金であるとか、あるいは消費者庁の交付金の充実は当面必要ですが、しかし、将来20年後には、やはりそういう一時的なお金ではなくて、消費者行政の重要性を踏まえたそれぞれの担い手、国・地方が持続可能な自主財源を確保して、それに基づいて運営をしていく。そういう体制を作っていくという方向で考えていくべきではないかということで、一応論点メモを出させていただいてございます。

これにつきましてもいろいろと御意見はあろうかと思いますが、また、この点につきましては次回以降で御議論をいただければと思っております。

最後に、先ほど池本委員から、消団連等からの御意見もあって、意見を聞けということもございました。この辺りは具体的に何がどこまでできるかということは少し事務局と御相談をさせていただきたいということで、また改めて各委員にはその旨御連絡をさせていただきたいと思っております。

それから、今日の段階で私のメモを出させていただきましたけれども、まだまだ御意見がたくさんあろうかと思っております。したがいまして、当初の予定で7月29日に結論を出すというのはどう考えても無理だと判断をさせていただいております。各委員には大変恐縮ですけれども、8月にもう一、二回、お集まりいただけるか、ネット上になるか分かりませんけれども、しっかり議論をして、いろいろと御意見をいただく中で、私たちとしての方向性を定めて報告書を作っていきたいと思っております。

足して2で割るような報告書にはしたくないと私自身も思っておりますので、もちろん多数意見、少数意見、出てくるところは最後残るかもしれませんけれども、しっかり議論を煮詰めていきたいと思っておりますので、各委員には当初、7月の終わりにはということでお願いをしてございましたが、8月の終わりには何とか報告書を出すということで御了解をいただければと思っております。

ですから、今後、次回7月29日まで予定されておりますが、そこも改めて私たちの報告書の内容について議論をする。また、様々な御意見をいただいてきておりますので、それらに対する対処、どういうふうに対処するのかということについても、改めてそこで御報告あるいは御相談をさせていただくということにしたいと思っております。

全体の進め方、8月まで延びるということで御負担をおかけすることになりますが、こういう進め方でお許しをいただきたいと思いますが、よろしゅうございますでしょうか。

(「異議なし」と声あり)

○新川座長 ありがとうございます。

本当にこういう大変な時期に御協力いただくのは心苦しいところもございますが、よろしくお願いいたします。

それでは、事務局のほうから何か御連絡等があればお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。

○友行企画官 特にはございませんが、引き続き、どうぞよろしくお願い申し上げます。

○新川座長 ありがとうございました。


≪3.閉会≫

○新川座長 それでは、本日は本当に熱心に御議論いただきまして、ありがとうございました。

以上をもちまして閉会とさせていただきます。お忙しいところ御参加くださいまして、本当にありがとうございました。それでは、以上をもちましてテレビ会議から退室いただければと思います。ありがとうございました。

(以上)