第30回 地方消費者行政専門調査会 議事録

日時

2020年5月15日(金)15:00~16:20

場所

消費者委員会会議室
東京都千代田区霞が関3-1-1 (中央合同庁舎第4号館8階)・テレビ会議

出席者

【委員】
新川座長、山本座長代理、池本委員、伊集委員、大森委員、尾嶋委員、首藤委員、西田委員、八木委員、山田委員
【消費者委員会委員】
生駒委員
清水委員
【説明者】
北海道環境生活部くらし安全局 鶴ヶ崎消費者安全課長
【事務局】
二之宮事務局長、金子参事官、友行企画官

議事次第

  1. 開会
  2. 地方消費者行政に関するヒアリング
  3. 閉会

配布資料 (資料は全てPDF形式となります。)

≪1.開会≫

○新川座長 ただいまから第30回「地方消費者行政専門調査会」を開催させていただきます。

本日は新型コロナウイルス感染症に対します感染防止という観点から、テレビ会議のシステムにより当専門調査会を開催いたしますことを最初に御案内申し上げさせていただきます。

本日の進行について、こうしたウェブ会議の形式によりますので、途中で私の回線が切れるというようなことも考えられます。その間、復旧するまでは山本座長代理に進行等をお願いしたいと思っております。それから、座長代理の回線も併せて切れるということも考えておかなければなりませんので、その場合には、恐縮ですが事務局に進行をお願いするという進め方にしてまいりたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。

以上のような進め方で今のところ問題がないようであれば進行していきたいと思いますが、各委員、よろしゅうございますでしょうか。(異議なし) ありがとうございます。


≪2.地方消費者行政に関するヒアリング≫

○新川座長 それでは、早速でございますけれども、本日の議事に入りたいと思います。

御承知のとおり、当専門調査会では我が国の20年後の人口減少あるいは社会、経済、場合によっては政治や行政という情勢の大きな変化に備えなければならないという状態になっております。これから地方消費者行政ということを考えるに際しましても、この20年の間の変化にどういう対応を講じておくべきかを当専門調査会として検討してまいりました。

前回の第29回専門調査会では、徳島県庁の皆様方においでいただきまして、徳島での地方消費者行政の向上・発展に向けた県としての取組、とりわけ消費者行政・消費者教育の熱心なお取組につきましてお話をお伺いさせていただきました。

また、前回は独立行政法人国民生活センター様から、研修事業あるいは相談員資格事業、また、私どもの基幹的なシステムでもありますが、PIO-NET事業の取組についてお話を聞かせていただきました。

それに引き続きまして、本日は北海道の消費者行政の現状と課題につきまして、北海道庁の御担当者様に、北海道からウェブ会議へ御参加いただきお話をお伺いする機会を得ました。とりわけ北海道では消費者行政に熱心に取り組んでいただいてございますが、同時に大変面積の広大な北海道という特徴もありまして、広域連携について熱心に取り組んでおられると聞いております。北海道庁の御担当者様にこうした観点につきましていろいろと御教示いただきたいと考えてございます。

本日は、北海道環境生活部くらし安全局消費者安全課長の鶴ヶ崎様に御参加いただいております。

鶴ヶ崎様、お忙しいところ本当にありがとうございます。

恐縮ですが、最初に35分から45分程度のお時間を予定しておりますが、御説明をお願いいたしまして、その後、同じくらいの時間で恐縮ですけれども、私どもと少し質疑応答をさせていただければと思っております。

それでは、恐縮ですが、鶴ヶ崎様、御説明をお願いいたしたいと思います。よろしくお願いいたします。

(注:以下、北海道庁鶴ヶ崎課長の音声参加による資料説明に対し、事務局による操作で当該資料を委員他参加者の画面に表示して進行。)

○北海道環境生活部くらし安全局鶴ヶ崎消費者安全課長 皆さん、こんにちは。北海道庁消費者安全課の鶴ヶ崎でございます。本日はどうぞよろしくお願いいたします。

本日は消費者委員会での御報告の機会を与えていただきまして、感謝を申し上げます。

これから、北海道の消費者行政の現状と課題につきまして、特に後半は相談処理の広域連携につきまして御説明をさせていただきたく存じます。どうぞよろしくお願い申し上げます。

それから、当方の機材の都合で声のみのウェブ会議参加にて失礼いたします。

それでは、スライドの2ページ目を御覧いただきたいのですけれども、本日のお話の前に、消費者行政を展開する上でのこの地域の前提条件といいますか拘束条件となる地域特性につきましてあらかじめ触れさせていただきたく存じます。

御承知のとおり、北海道は都道府県の中で最も突出して面積が広くて人口密度が小さい。移動距離も移動時間も長い。また、市町村数が全国の1割、179もございます。その市町村においても、190万人の人口を有する大きな都市もあれば、人口が1,000人にも満たない村もございます。また、高齢化や人口減少が全国平均よりも急速に進行してございます。

さらに、消費生活相談員の有資格者も札幌に集中しておりまして、全国的な傾向と思いますけれども、相談を担う人材の確保に苦慮している市町村が多いという現状がございます。人口の規模などの特性から、道内市町村の消費者行政は自治体ごとに様々であり、格差も大きいと感じているところでございます。

3ページ目をお願いいたします。

こうした地域特性に加えまして、北海道の消費者行政はその歴史的経緯、消費者団体と行政の関係性などに起因しまして、この3ページ目に記載のとおりのような特徴を有しております。これらについては本日これから御説明を申し上げます。

4ページ目を御覧いただきたいと思います。

こちらは当課、消費者安全課の行政組織図でございます。今年4月から体制が大幅に変わって1課3係体制となっております。

相談や消費者教育や商品テストの実務は消費生活センターで行っておりますので、消費者安全課当課では総括業務、審議会、ADR、物価対策、法執行、交付金事務などを担っております。

次のページを御覧いただきたいと思います。

こちらは北海道立消費生活センターの組織図でございます。

消費生活センターが公の施設になりましたのは平成12年ですが、センター自体は昭和44年から設置されておりました。平成18年から指定管理者制度によって運営をしておりまして、北海道消費者協会が指定管理者となっています。指定管理者制度を採用しているのは47都道府県で北海道だけですが、これは過去からのいろいろな経過があって結果的にこのような形となっているものでございます。

6ページ目を御覧いただきたいと思います。

ここからは道内の消費生活相談体制について御説明申し上げます。

これは道内の消費生活相談件数の推移です。これは全国的な傾向と同じく16年度をピークに減少を続けて、24年度から昨年度までおおむね同水準で推移している。北海道は市町村による処理が8割を超えていて、全国的な傾向よりも市町村によるウェイトが大きいという特徴があります。道内で最も相談を受けているセンターは札幌市消費者センターであって、毎年北海道全体の30から35パーセント程度を占めております。

7ページ目を御覧いただきたいと思います。

道による消費生活相談はセンターの12名の相談員が対応処理しているところですが、電子メール相談や各種専門家の方からの支援など、多くの県で実施されている取組を北海道でも実施しております。また、これは余りほかの県では見られませんけれども、被害回復額の状況を毎年度消費生活相談報告書で公表しております。また、特に札幌市消費者センターとの連携を図っているところでございます。

道として課題と認識しているのは、特に若年者からの相談がこの10年間一貫して減少しておりまして、10年前と比較しておおむね半減しております。この層を相談窓口に向かわせるための対策を講じていく必要があると考えているところでございます。また、北海道においては苦情処理委員会は昭和50年に制度が創設されておりますが、付託案件はこれまでわずか3件しかないということで、今後積極的にこれを動かしていきたいと考えているところであります。

8ページ目を御覧いただきたいと思います。

こちらは市町村の相談処理の現状になりますけれども、道内には市町村の消費生活センターが39か所あって、17地区104の市町村が広域処理を行っております。その反面、相談員を置いておらず、かつ広域処理にも乗っていないというところが現在も34の市町あるというところでございました。

中ほどは消費生活相談員の数の推移で、年々減少を続けております。

それから、右下は消費生活相談員に占める有資格者の割合ですが、北海道は全国最低レベルであって、全国水準を大きく下回っている現状であります。

9ページ目を御覧いただきたいと思います。

こちらは道による市町村への支援について記載しております。市町村支援を中心的に推進する4名の指定消費生活相談員を指定しまして、12名の相談員を全道4ブロックに分けて地域ごとに割り振って担当する地域担当制を敷いております。市町村からの問合せや助言等に対応する専用電話を設置しております。

市町村の相談員や職員の研修は札幌で開催するほか、全道14の振興局ごとに開催し、相談の技法や難しい相談事例など、経験別にコースを分けて実施しております。さらに、現地に出向いて現地の市町村等のニーズに即した研修を実施しておりますほか、国家資格取得の支援講座も開催しております。なお、これらは全て交付金事業で実施しております。

さらに、消費生活相談員人材バンクを作成しまして有資格者等を登録しまして、市町村からの人材紹介依頼に対応するとともに、登録者への最近の消費者問題に関する情報提供も実施しているところでございます。

次に、10ページ目を御覧いただきたいと思います。

こちらは道内市町村の消費生活相談体制の大きな特徴の一つなのですが、地域に消費者協会という消費者団体がありまして、この消費者協会への相談業務の委託が多いという点を挙げることができます。道内36市のうち、26市がこの方式を採用しております。これは北海道の消費者行政の一つの特色なのですけれども、北海道の消費者行政における消費者協会が果たしてきた役割、消費者協会と行政との関係性によるものであります。

昭和36年に北海道消費者協会が経済界と行政主導で設立されたわけなのですが、これにならう形で昭和40年代に消費者協会が各地で設立されていったということなのですけれども、行政主導で設立されたところが少なくなかったわけであります。このため、今でも各地の消費者協会の事務局が市町村の役場の中にある、あるいは役場職員が事務局機能を担っているという実態があります。つまり、設立当初から行政と消費者協会の協働関係といいますか、相互依存的な関係が結ばれていた。こうしたことから、消費者協会が市町村から消費生活相談の業務の委託を受けるようになったのは非常に自然なことでした。そうした市町村では、消費者協会が相談員の人材供給を担っていたと言うことができるわけであります。

しかしながら、現在の消費者協会は新規加入者の不足や事務局を担う人材の不足、それから、会員や役員の高齢化、会員の固定化などの問題を抱えておりまして、相談員の確保に苦慮しております。消費者協会がしっかり相談体制を担っている市もあるのですけれども、必ずしもそうした市町村ばかりではない。相談体制の維持に苦労しているところもあるわけであります。

次に、11ページ目でございます。

市町村の消費生活相談体制の課題ということで、先ほど言いました相談員の人数ですけれども、市町村の相談員の数が一貫して減少傾向で推移しているということでございまして、8割以上の相談が市町村で処理されているわけですから、北海道としては非常に大きな問題であります。

減少の要因は様々ですけれども、相談員が高齢となったり、報酬額に不満で退職した後に後任を確保できない、あるいは委託をやめて直営化したことに伴って相談員の人数を変更したというケースが報告されております。

また、先ほども言いましたとおり、北海道の消費生活相談員の資格保有率が全国最低レベルであるということも課題であります。資格保有率は年々上昇しているのですが、相談員数も減少していることも背景としてはございますので、有資格相談員の絶対数が順調に伸びているとは必ずしも言えないわけであります。

北海道でどうして資格保有者がこんなに少ないのか、増えないのかということについては、私どもとしても様々に検討しているところでありますが、市町村で相談を受ける以上、市町村数が多く、かつ有資格者が現に札幌などの大都市に集中している現状では、どうしても有資格者以外の方も相談を受けていかざるを得ないということがまずありますし、市町村によってはたとえ有資格者でなくても長年しっかりと消費生活相談に取り組み地域に貢献してきた相談員さんを大事にするという傾向もあります。資格取得にこだわらない市町村もあるわけです。さらに道内、特に中小規模の市町村の相談員さんと大都市で活躍されている相談員さんと、置かれている環境といいますか条件はかなり異なるようにも感じられるわけでありまして、私どもとしましては資格取得講座の開催等で市町村の相談員さんの資格取得を支援しているところであり、増加はしているのですが、全国的な水準にはまだだいぶ距離がございます。

次のページでございます。

さらに課題でございます。近年、市町村における住民対応業務は拡大する傾向にございまして、特に中小の規模の町村は限られた職員で多種類の業務を兼務していて、一人の職員が抱える業務の種類が増大しているという状況です。資料に記載しているのは、実際にある道内の市の職員が兼務している業務の例であります。こうした状態でこれほどの業務を兼務している職員の方に対して、何が何でも消費者行政を最優先にしてくださいとはなかなか言えるものではないわけであります。

資料に「兼務の増加に伴うマンパワーの低下」と書いてありますけれども、消費者行政の優先順位が相対的に低下していて、消費者行政にかける労力が少なくなってきているのではないかという心配は確かにございます。あえて前向きに考えるならば、これだけの業務を兼務しているということは、他の業務、他の行政領域との連携が比較的容易でもある。あるいは、他の住民生活系の行政事務からヒントや着想を得て、その分野で構築されているネットワークを活用できるということでもあろうかと思います。

また、相談員がいない、広域処理にも乗っていないという町村があるわけですが、これは役場の職員が自ら相談処理をしております。相談件数もとても少ない、職員が相談処理の経験を積むことが非常に難しい、検討体制も不足している。ですので、人事異動のたびに対応力がぜい弱化するという傾向があるように思います。これをカバーするバックアップ機能を道が担わなければならないということでございます。

下のほうですけれども、道内の市町村は規模を問わず相談員の確保を課題にしております。相談員を養成していく以前に、消費生活相談員をやってくれる人を見つけるのに苦慮している状態でございます。加えて、相談対応の開所の時間を短くするセンターも現れております。

最近の傾向でありますけれども、一部の市町村ではありますが、相談員になっている方、なろうとする方が多様化しているという状況もございます。北海道のような地域、要するに大都市ではないような地域での消費生活相談員の活躍の仕方、相談員さんに安心して相談処理を遂行していただけるために、相談員さんが働きやすい職場を行政としてトータルに考えていく必要があるのではないかと思っている次第でございます。

以上が相談体制の内容でございます。

13ページ目を御覧いただきたいと思います。

ここからは消費者被害防止ネットワークについて説明させていただきたいと思います。

北海道では消費者被害情報を地域で共有しまして、被害の未然防止や被害事案の相談窓口へのつなぎを行う連絡あるいは情報共有組織である地域消費者被害防止ネットワークの取組が進められてきておりまして、現在70のネットワークが設置されているところであります。

この取組の考え方は資料に書いてあるとおりなのですが、もともと北海道消費者協会が発案、主導して進めてきた取組でありまして、連携組織の構築という点では消費者安全法に基づく消費者安全確保地域協議会と似ています。しかし、地域協議会はどちらかというとアウトリーチ的な見守りとそのための個人情報の共有を主目的としているのに対しまして、北海道の消費者被害防止ネットワークは地域の情報共有、消費者被害への関心を高める装置として機能してきましたし、実際に道内において今でもそのように認識されています。

14ページ目を御覧いただきたいと思います。

設置されている市町村の一覧は図で示したとおりであります。地域消費者被害防止ネットワークを設置している自治体のうち、消費者安全確保地域協議会も位置づけている市町村は12市町あります。

15ページ目を御覧いただきたいと思います。

字が小さくて申し訳ないのですが、道では地域のネットワークに対して活動状況を調査しておりまして、昨年度調査いたしました結果はその資料に示したとおりでございます。どういう活動をしているのかということに対しては、啓発活動に取り組むところが多い反面、見守り活動というのはいまだ少数にとどまっております。また、12の組織が残念ながら現在活動を休止しておりまして、多くのネットワークが「構成員の多忙」を活動を行う上での課題と認識しているところであります。

また、消費者安全確保地域協議会への移行を望まないという市町村が依然として多く、私ども道から何度も説明しているのですけれども、必ずしも理解が進んでおりません。

地域包括支援センターなど福祉部門との連携状況についても、被害情報が消費生活センターに伝わっていなかったり、お互いの連絡先を共有できていなかったり、状況確認をお願いできる関係が構築されていないという市町村がまだ一定程度存在しております。

16ページ目を御覧いただきたいと思います。

現状と課題ということで、まず道の取組でございますけれども、道としましては全道レベルでの消費者被害防止ネットワークを平成15年に設置しまして、定例会議を開催したりネットワークニュースを発行したり、地域ネットワークの活動状況の把握等を行っているところであります。また、ネットワーク促進員を配置しまして、新規構築に向けた取組を行っておりますほか、ネットワークセミナーという出前講座を実施して、見守り人材の育成に努めているところでございます。

課題でありますが、道としてはこれらの取組を推進しているところなのですが、近年、ネットワークの新規設置がペースダウンしております。昨年度は1か所、その前の年も1か所であります。市町村の規模、資源の有無、これまでの連携や取組の経過などによって、これから構築する連携体制の在り方が異なるわけでございますので、つくり方や成功事例を紹介するだけではなかなか市町村を動かせないというところでございます。できるだけ可能な連携から、できることから始めましょうといって連携構築を呼びかけているところでございます。

また、本当の問題は、作った後どう維持していくかということでございまして、組織を立ち上げるよりもこちらのほうが難しい。活動が休止に追い込まれていかないよう、活動の維持、活性化が課題となっております。私どもとしては毎年度実態調査を実施して働きかけるなど、活動を停滞させないように関わっていくことが必要であると考えております。

それから、福祉部門との連携もやはり消費者部門側の片思いの傾向でございまして、福祉部局としては対応すべきこと、やることが膨大にあるということで、なかなか話を聞いていただけないところもあるわけなのですが、これをまずは受け入れて、消費者行政側から粘り強く熱意と説得力を持ってアプローチしないとほぼ進まないのではないかと感じております。

しかし、実態としては、ネットワーク設立当初に福祉部門を構成メンバーに入れなかったところが活動が停滞していて、逆に福祉部門との連携がしっかり取れているというところは相談員がいなくてもうまく運営できているということが傾向としてあります。形式にこだわらずに実質的な連携が図られるよう、市町村に働きかけていく必要があるのではないかと考えているところであります。

以上がネットワークの関係でございます。

17ページ目を御覧いただきたいと思います。

消費者行政組織の職員数の推移について御説明申し上げます。グラフは消費者安全課の職員数の推移であります。消費者行政本課と消費生活センターでは状況が異なっておりまして、消費生活センターは指定管理者制なので基本的に独自に定数を定めておりますので、毎年削減されるといったことは基本的にないわけなのですが、これに対して、消費者安全課は毎年のように定数の削減がなされております。

18ページ目を御覧いただきたいと思います。

このグラフは予算の近年の推移を示したものでございます。一番下の濃いところが地方消費者行政強化交付金、道が執行する分の金額でありまして、これは年々減少を続けております。この5年間で30パーセント減少したところでございます。

その上の白っぽいところが消費生活センター指定管理者負担金、消費生活センター予算です。これは全て道の自主財源でございますけれども、指定管理者契約は4年ごとに改められますので、基本的に毎年シーリングがかかるということはありません。

一番上の少し黒い部分が自主財源による当課の一般事業経費となります。物価調査や貸金業法の執行とか景品表示法の執行とか食品表示の調査といったものが当たります。これが毎年度減少してございまして、この5年間で16.5パーセント減少しているということでございます。

次のページを御覧いただきたいと思います。

人員と予算についての傾向を今説明したところなのですけれども、その記載の下のところで「資質向上」と書いてあるのですが、相談員や職員の研修について、「地方消費者行政強化作戦2020」で行政職員への研修が目標として位置づけられたということもありまして、また、消費者行政を遂行する上で消費者問題の基本的な理解が要求されると考えられるものですから、本年度から、異動によって消費者行政を初めて担当する職員に対しまして、消費者問題や消費生活相談とは何か、北海道の消費者行政の現状と課題などについて研修を実施しております。加えまして、本年度から道が実施をいたします市町村職員向けの初任者研修において同様のテーマで時間を設けて当庁の職員から講義をさせていただくこととしております。

要するに、行政職員の方に消費者問題について正しい認識を有していただいて、いわば「消費者行政マインド」を持っていただいて消費者行政に当たっていただく。消費者行政職員に消費者行政のマインドがなければ、消費生活相談員の仕事を理解しない、共感もしない、したがってフォローもしない、相談員を孤立させてしまうということも懸念されるところであります。そして、職員がそうしたマインドを持つようになれば、その職員が消費者安全課の組織文化を形成していくであろうと。それによって、担当する職員の能力発揮につながるものと考えている次第であります。

消費者行政に一貫性を保つためにも、また、法執行業務の遂行の安定性を確保するためにも、できれば消費者行政を比較的長く担当している職員が、少数であっても存在することが望ましいと私としては考えているところでございます。当課では職員公募制度などを活用してきましたが、こういったことなどによって消費者行政に比較的長く関わる職員を確保していきたいと考えているところでございます。

20ページ目を御覧いただきたいと思います。

消費者教育でございます。北海道の消費者教育については記載のような取組になるわけなのですが、私どもとしては現在実施しております取組につきましては他県と余り変わらない内容であると考えておりまして、際立った特徴的な取組として特にここでこれですと申し上げる材料を有しているわけではございません。

21ページ目を御覧いただきたいと思います。細かい字で恐縮です。

これは具体的な取組の実績などを示しているわけなのですが、最近は市町村をはじめ、道内各地域や学校から出前講座を実施してほしいという要望が殊に高まってきておりまして、全てに対応することが難しくなっている状況でございます。広い道内全域を対象に講座を実施しておりますので、担当する消費生活センターの業務が非常に重くなっております。また、札幌市との間では、お互いの取組内容について重ならないように調整を図るなどしているところであります。

22ページ目を御覧いただきたいと思います。

こちらは課題を羅列して書いていますけれども、若年層に向けた消費者教育やSNSの活用、エシカル消費の取組といった点は、北海道はまだまだこれからという課題でありますので、こうした課題につきまして関係機関と連携を深めながら取り組んでまいりたいと考えているところでございます。

23ページ目を御覧いただきたいと思います。

23ページ目と24ページ目は法執行の現状と課題について簡単に記載してございますが、この部分につきましては事務局のほうから説明項目として指定されておりませんでしたので、説明については省略させていただきたいと思います。後ほど資料を御覧いただければと思っているところでございます。

ここから先は、北海道における消費生活相談処理の広域連携について御説明を申し上げます。

26ページ目でございます。

資料記載のとおりでございますけれども、道における消費者行政の広域連携というのは、専ら消費生活相談体制の領域で検討、構築、推進されてきたものでございます。消費者教育の拠点としての消費生活センター全体を広域連携で運営するという方法を取っている地域もあると思いますけれども、北海道においてそうした例はございません。

大まかな経過の概要はこのページに記載しているとおりなのですけれども、要するに平成18年度以降広域連携が構築され始めまして、22年度から24年度にかけて体制構築のピークがあったということでございます。

この経過について御説明させていただきたいのですが、27ページ目を御覧いただきたいと思います。

道では平成12年度に道立消費生活センターを公の施設としたわけなのですが、このときから市町村の相談体制整備に着手いたしました。当時相談員を配置している市町村は全体の2割以下であり、道としましては、全ての市町村にあっせん処理まで実施していただくということを目指して、平成14年度末なのですが、「北海道消費生活相談体制整備推進計画」を策定しまして、これに基づいて相談員の養成、相談員への研修を実施していくこととしたわけであります。この計画の中で広域的な相談処理を想定していたというところでございます。

その後、消費者基本法で都道府県と市町村の役割が規定されまして、全道のほとんどの市町村に消費生活相談窓口が開設されたことから、平成18年4月に、道は14の出先機関、当時支庁と言っていましたが、現在は振興局と言っています、こちらに、それまで消費生活相談員を配置していたのですが、これを全て廃止しまして、道庁の消費生活相談窓口は札幌にある消費生活センターだけといたしました。その代わりに、市町村の支援を行う消費生活相談推進員を配置しました。

28ページ目でございます。

それと同じ時期といいますか、18年4月になりますけれども、富良野地区で北海道初めてとなる消費生活相談の広域連携体制が始まったということでございます。その後、道では20年3月に第2次の整備推進計画を策定しましたが、この中に「道は広域相談体制の検討を働きかける」と明記しまして、広域処理を推進するという姿勢を明確にいたしました。その策定と同じ時期に、北海道2つ目となる広域連携の相談体制が釧路地域で発足しました。これは道の出先機関である支庁の消費生活相談員を廃止したということを受けて、その支庁が釧路市を中心とする広域連携体制を地域の市町村に提案して働きかけてできたものでございます。道が広域連携体制の構築に関与した最初の例となりました。

29ページ目でございます。

その後、平成21年9月に消費者安全法が施行されるとともに、地方消費者行政活性化基金の制度ができたことを受けまして、消費者行政活性化基金の活用期間というのが当時あったのですが、道は基金を活用して今体制整備を図る必要があると考え、市町村への相談体制整備に向けた働きかけを加速いたしました。

まず12月に「道内市町村における消費生活相談体制に関する道の基本的な考え方」というものを策定いたします。その基本的な考え方は、まずあっせんできる市町村はこのままやってくださいと。相談員もいなくてしかもあっせんができないという市町村は、年間相談件数が30件以上または人口1万人以上の市町村にあっては専任の相談員の配置を検討してください、それ以外の市町村は広域連携を検討してください、大ざっぱに言えばこういうようなものでございました。この全道共通の基本的な考え方を示して、当時の出先機関である各支庁に管内市町村の調整を行うように依頼したということでございます。

この考え方を基に、各支庁において検討、調整を行って、その結果として22年6月に、「消費生活相談体制の整備に係る各(総合)振興局管内の取組方向」というものを策定して、地域ごとの対応方針を策定しました。この対応方針に沿って、道は市町村における広域相談体制の整備を誘導していったわけであります。

その後、22年から24年度にかけて広域連携体制の構築がどんどんできていきました。そして、こうした流れを受けて、道では24年4月に市町村の相談体制はおおむね完成したと判断して、各地域の市町村の支援を担当する消費生活相談推進員を廃止したということでございます。これ以降は市町村への支援は札幌の道立消費生活センターに集約されて、そして現在に至るということでございます。

30ページ目を御覧いただきたいと思います。

この表は道内における現時点での広域連携の相談体制の一覧を示しております。29年4月の北見地区の構築を最後に、本日まで新規に構築した例はございません。

31ページ目を御覧いただきたいと思います。

31ページ目と32ページ目は連携の具体的内容と書いてあるのですけれども、17地区のうち代表的と思われる6地区を選んでどういう連携なのかということを記載しているところでございます。

1つの中心市が周辺の相談を集中的に処理する方式や相互乗入方式などいろいろなバリエーションがあると思うのですけれども、道内で圧倒的に多いのは中心市による集中処理のパターンであります。31ページ、32ページに挙げた6つの地区のうち、根室地区を除くと全てがこの集中方式になります。その中でも、釧路地区や、次のページに出てきます渡島地区のように、中心市となる釧路市や函館市が周辺市町村よりも人口も相談件数も圧倒的に多いという地域もあれば、岩内地区や羊てい地区のようにそれほどの人口や件数の差がない中で相対的に人口の多い町が相談員を置いて周辺の相談を処理するというような地域もあります。

この違いは何に現れてくるかというと、経費の負担割合の算定方法に違いが出てくるのです。前者のような中心市が圧倒的な件数シェアを持つところはほとんどが件数割での負担になります。いわば受益者負担の形を取っています。これに対し、特に羊てい地区ではあえて件数割を取っていません。これは受益者負担というよりも体制維持経費を分担するという考え方に基づくものです。ここは5割を均等割、均等に割る。残り5割を人口割とするという考え方で分担しているということであります。

件数割はやめようと当初から決めていたということです。使った分だけ負担金が増えるということは、あまり使ってもらっては困るという方向に作用する懸念がある。それから、1件の相談の事案の重さの重い軽いの判断が難しいということがあって、このような考え方になっているということであります。

また、羊てい地区では事務局を持ち回りで担当しています。これによって関係町の消費生活行政の当事者意識が低下しないようにしているということであります。

中心市が処理するという方式を採用するこれらの地区は、全て中心市以外の市町村にも相談窓口が維持されています。その中でも中心市が周りの市町村への助言までやるところとやらないところ、構成市町村からの処理の依頼を受けるところ、受けないところ、連絡会議を持っているところ、持っていないところ、考え方が本当に様々なのです。一様ではありません。広域連携の根拠としても任意の協定によるもの、これが一番多いのですけれども、中には地方自治法に基づく事務の委託であるとか法定協議会という形式を取るものなどがあります。

さらに、そのページの一番下に根室地区とありますけれども、道内で唯一根室地区だけが相互乗入方式を採用しています。どの市町の住民がどの市町に相談してもいい。相談を受けた市町からほかの市町に処理を依頼することもできるというものであります。相談単価方式、負担金方式と言っていまして、完全に件数の出来高払を取っているところであります。

33ページ目を御覧いただきたいと思います。

狙い・目的ということで書いてあるのですけれども、現在の広域相談体制の多くは振興局ごとに相談体制の整備に向けた働きかけを行ってきて、地域の市町村がそれに呼応して、その対話の中で構築されていったものであります。

道は何を目指していたのかという点については、先ほど申しましたように地域住民が広い北海道においてどこに住んでいても身近なところであっせんを含む相談を受けられる。つまり、できれば全ての市町村であっせん処理を行えるという体制をつくることでした。そのために市町村の相談処理能力を向上させることを目指していたということであります。広域連携はあくまでそのための一つの手段であります。そのため、中小の町村で相談件数を確保できずに相談員を置くことが現実的ではないという場合は、相談処理を他の市町村に依頼して広域連携体制を構築することで相談の集約を図って専門の相談員による処理を行っていく。そして、それによって消費生活相談窓口の選択肢を増やして、相談をしやすくするという効果を期待していました。これが道の狙いだったわけであります。

34ページ目を御覧いただきたいと思います。

先ほど申しましたとおり、広域連携体制の方式はこの表に整理したとおりでございます。道内の広域連携に対しての多くは任意の協定による中心市集約方式であります。

35ページ目を御覧いただきたいと思います。

当庁で考えております広域連携体制を構築するメリットを整理しますと、記載のようなことになると思います。住民にとってのメリットとしては、自らの町村の役場に消費生活相談員がいなくても専任の相談員による相談処理を受けることができるということであります。北海道のような地域で広域連携を推進する最も大きな理由の一つがこれであります。

また、小さな町村は住民の多くが顔見知りであって、役場の職員もよく知っているために、消費者トラブルについて相談しづらいという気持ちを有していることがあります。そこで、広域相談窓口があるとそうした電話のかけづらさを感じることなく相談できるようになるということがあります。

相談窓口を引き受ける受託自治体側としては、メリットと呼べるかどうかということはありますけれども、負担は非常に重くなるわけですが、広域で様々な相談を数多く集約して受けるということで、相談の件数が多くなるということでスキルアップにつながることもあります。また、広域連携の枠組みが整えられることにより、それまで事実上処理していた近隣市町の住民の相談を協定という法的根拠に基づき対価を徴収して受けることができるようになることから、適切な経費負担の下で相談を処理することができるようになるというようなことが挙げられるのではないかと思います。

委託自治体側としては、住民に対して専門の消費生活相談員による相談サービスを提供できるということがメリットであります。また、付随的なものですけれども、中心市のセンターや消費者協会とのつながりができることによって、消費生活相談に関する助言を受けることができたり、消費者啓発など相談のほかの消費者行政についても協力が得られやすくなるということもあろうかと思います。

36ページ目でございます。

課題についてでございますが、様々な課題があります。まず道としましては、各市町村の相談体制の内実や実態がどうなっているのか、相談員の確保は将来的にも持続性があるのか、しっかりした相談処理を行えているのか、広域処理に問題が生じていないか、相談処理の品質維持のためにもっと踏み込んでモニタリングしていく必要があるのではないだろうかと私自身感じているところでございます。

道内の広域連携体制は非常に面積が広くて、地区の端から端まで車で4時間かかるところもあります。文字どおり広域であります。広域センターと相談者の距離が非常に遠い地区がございます。このため、契約に係る商品や契約書の確認、解約通知の作成、来所の付添いなど、地元の市町村あるいは地域包括支援センターとの協力が必要な場合があります。この協力関係や連携が重要となるところであります。

受託市町村と委託市町村の間の問題としては、委託市町村の側は広域連携があるため、困難な消費生活相談の処理をしなくてもよくなるわけですが、行政職員は消費生活相談に接することで自分の町の消費者被害を知ることができるわけで、消費者行政のほかに数多くの業務を兼務している行政職員こそ、日頃から意識して消費者被害への関心を持ち続けていただくことが重要となるであろうと考えます。要するに、当事者意識を維持する工夫が必要となる、また、広域センターと構成市町村が定期的に意思疎通の場を設ける必要があるのではないかと考えられるところであります。

また、人材確保の点では、広域処理を担うセンターもこれに苦慮しているという実態があります。さらに、広域処理を担うセンターでも受託団体の体制の問題から、最近直営化の動きが見られるようになりました。しかし、それでも直営化にしたところで相談員の成り手を確保することが困難であることは変わらないということで、担い手確保に苦労している状況であります。

37ページ目を御覧いただきたいと思います。

課題(2)とありますけれども、予算が削減される傾向にある中で、処遇の点での改善がなかなか進まないという中で、行政職員が兼務で多忙な結果、相談員にお任せになって、職員が後ろ盾になるべきなのにバックアップできていないということが見られます。また、消費者協会への委託の場合、協会そのものが後継者の育成に苦労しているということも聞いているところでございます。さらに、予算の削減により研修に行く機会が減少したり、開所時間を削減していることがあるということも聞いているところであります。

一番下のところに、消費生活相談員のモチベーションの維持と記載しておりますけれども、道内に広く存在する規模の小さな広域センターの相談員さんに、ぜひこれからも相談員として働いていこうと考えていただくために、私ども行政職員は、処遇改善はもちろんなのですが、市町村と思いを共有しながら安心とやりがいのある職場を提供しなければならないと考えている次第でございます。

38ページ目を御覧いただきたいと思います。

最後に今後の見通しなのですけれども、今後の見通しとしまして、まず広域連携処理体制が構築されていないという地域がありますが、道としましては単独処理しているところで行政職員が相談処理をやっているという町村にあっては、可能であれば広域連携体制を検討することが持続的な消費生活相談体制を構築する上で有効な方法であると現在でも考えております。行政職員が単独処理でやっているという場合は、相談品質が不安定となるという懸念がありますので、調整が必要かつ可能と考えられる地域とお話ししていく必要があると考えております。

広域相談体制を構築した地域は地図に記載しているとおりであります。広域連携となっていない地域はそれぞれの地域ごとにその背景・理由が非常に異なるわけでありますが、いずれにせよ広域連携体制が構築されるためには、地域的にまとまりといいますか協力関係の機運があって、広域連携の必要性が認識されていて、中核となる市に広域処理を受け入れる姿勢があって、相談員の人材確保が当面は可能と見られることが広域連携体制の構築に必要なことではないかと思います。

今後についてでありますけれども、構築が進んだ平成21年度から24年度当時と状況が大きく異なりますのは、人口減少の勢いがより加速していて、市町村の消費者行政のマンパワーが低下してきていると思われる点があるということで、当時は消費者安全法など法制度の大きな動きや、時限を切られたという活性化基金の存在があってもたらされた、「今やらないと」という前向きで思い切った機運があったわけなのです。広域連携は首長さん同士が財政負担あるいは今後の処理責任に合意して初めて動かせる、ある意味、大がかりな仕掛けでありますから、当時よりは現在はハードルが上がっているように感じられます。

下の「広域連携体制を持続的に維持するために」ということで、やはり持続的に維持するためには相談員の育成確保などの課題があるわけであります。そのために道として行うことは、研修や相談員資格の取得の支援、相談処理への支援、人材確保の支援など、今後とも市町村の支援の枠組みの中で広域連携体制が十分に機能し維持されるように支援に努めてまいりたいと思っております。

先ほど申しましたように、広域連携体制の状況については毎年度、道独自に調査を実施しておりまして、状況の把握に努めているわけですけれども、今後はより詳細な把握に努めていく必要があると思っていて、広域連携体制の維持のため、市町村と相談しながらリスクを早期に把握して体制の維持に努めていきたいと思います。

最後になりますが、未来の姿を見据えた、長期的な観点から対策を講じることはなかなか難しいことでありますけれども、10年後、20年後の姿を規定する前提条件は冒頭に申し上げたとおりでありまして、道としましては縮小する人口あるいは大きく進行する高齢化、不足する地域資源、拡大する市町村間格差に直面して消費者行政を展開していかなければならないわけであります。

広域自治体の道が行うべきこととしましては、地域格差を少しでも埋めること。そのために市町村と協力して、また支援して、消費者被害の防止、救済がどの地域でも十分に行われるように10年後も20年後も維持していくことが道に求められる役割であろうと考えております。そのために地域で何が起こっているかという情報を様々な方向から入手して、少しずつでもいいから、同じことの繰り返しでもいいから改善に向けて手を打っていく、道全体の消費者行政の機能を維持していく、といった考え方で消費者行政に取り組んでまいりたいと考える次第でございます。

報告は以上でございます。どうもありがとうございました。

○新川座長 どうもありがとうございました。

北海道ならではの御事情、また、北海道庁における大変前向きな取組、さらには道内各市町村における取組について、広域という観点で、また、それぞれの活動についての論点を明確にお示しいただいたかと思います。

ここからは少し委員との間の質疑、意見交換に入りたいと思いますが、最初に事務局にお願いをしないといけなかったのですけれども、テレビ会議でございますので、各委員には大変恐縮ですが、マイクは基本ミュートの状態でハウリング防止に御協力をお願いしたいと思います。そして、御発言をいただくときにマイクをオンにしていただく、発言が終わりましたらミュートにというふうにお願いをしたいと思います。

発言につきましては、チャットのページがございますので、そちらに「質問があります」とか「発言」とかと記載いただきましたら、私のほうから指名をさせていただきます。また、このシステムの調子があまりよくないといったようなこともこのチャットにいただければと思っておりますので、よろしくお願いいたします。

それでは、各委員に御質問やあるいは御意見をいただいてまいりたいと思います。大分時間も押しておりますが、ぜひ積極的に御発言いただければと思います。いかがでしょうか。

先に池本委員から御質問の御希望がございますので、池本委員、それから大森委員の順番でまずはお二方から続けて御発言いただければと思います。よろしくお願いいたします。

○池本委員 恐れ入ります。池本でございます。

鶴ヶ崎さんのお話は、これまでも長年北海道の消費者行政を担ってこられた話をいろいろな折にお伺いしています。今回全体像をお話しいただき、しかも非常に今後も含めた難しい点もお話しいただいて、ありがとうございます。

何点もあるのですが、委員も大勢いらっしゃるので、最初にまず2つほどポイントを絞ってお伺いしたいと思います。

まず、北海道が相談員の有資格者が非常に少ないという問題ですが、もともと北海道では北海道消費者協会が独自の消費生活コンサルタント資格を養成講座の形でやっておられたと思います。ただ、それが、安全法ができて、いわゆる全国レベルの3資格、そしてその後は国家資格となっていって、独自の資格取得の仕組みが機能しなくなったという問題と、この四十数パーセントという資格保有率との関係はどうなのか、今の北海道独自のものは含まない数字と理解してよろしいのでしょうか。そして、それは全国レベルの3つのいずれかを持ちなさい、あるいは国家資格を持ちなさいとなったときに、北海道での独自の養成講座的なものの存在価値というのはどうなったのか、あるいは、国家資格を取るための研修との兼ね合いはどういう位置づけになったのかという、全国で相談員の希望者を増やすためにということでやってきたはずの消費者庁の消費生活相談員国家資格制度が果たして有効に機能しているのか、逆にマイナス面はなかったのだろうかというようなことを含めてお伺いしたい。これが第1点です。

それから2点目、職員が本当に兼務で厳しい中、市町村も厳しい中で消費者行政にいかに問題意識を持ち、担ってもらうかということが道としての大きな課題であるというところ、まさしくそうだと思いますし、それがこれからの一番鍵になると私も感じています。

そこでお伺いしたいのが、消費者庁が今年度から強化作戦で職員研修を強化するということを、道がいち早く受けて職員研修というものを位置づけて取り組んでおられるとお聞きして、さすがだなと感じました。ただ、レジュメの中でも受講率がなかなか上がらない、低いとありました。その原因というかどうしたらいいかということについてお伺いしたいのですが、消費者庁の強化作戦では受講率8割を目指すということが書いてあります。8割を目指すために一体どういう条件なり基盤整備なり支援なりというものが必要になるとお考えなのか。職員の資質向上についての課題あるいはお考えをお伺いしたいと思います。

以上2点、お願いします。

○新川座長 それでは、今2点いただきましたので、鶴ヶ崎様からまずは御回答をいただける範囲で結構ですが、よろしくお願いしたいと思います。

○北海道環境生活部くらし安全局鶴ヶ崎消費者安全課長 まず1点目ですが、私ども、消費者協会が取り組む「消費生活リーダー養成講座」といったものを長年支援してきておりまして、それを卒業した方が市町村の相談員になるというようなことが広く行われてきて、今でもそういう事例が見られます。機能しなくなったかということになりますと、まだ現在でもリーダー養成講座はあって、受講する方はかつてほど多くはないのですけれども、一定程度います。ただ、その方が相談員になるかといえばそれは様々でございまして、そもそもリーダー養成講座というのは、地域における消費者運動をやる、消費者の活動を行うための人材を確保していくということが背景にあったということなのですけれども市町村が各地の消費者協会に相談業務を委託するというような形が多かったものですから、結果的に、受講された方が各地で相談員になってきたということがあったかと思います。

道が現在、国家資格を取得するための資格試験対策講座を行っているのは、まさに国家資格といいますか、有資格者の方、リーダー養成講座ではなくて国家資格を持つ方を増やす。現在そういった資格を持っていないで相談を受けていらっしゃる方がこれだけ多いわけですから、できるだけ国家資格を取っていただく、それを支援するために行っているものです。これは、やはり資格保有率が突出して低い、この率を上げていかなければならないというような課題認識によるものでございますが、なかなか有資格者の方は増えていかないというようなこともあって、また、資格を取るための意欲といいますか、意識づけといったことが、国家資格試験の制度ができたからといって資格を取ろうという意識づけが強く働くのかということになれば、北海道の地域だけで考えてみれば、何らかのことがあって、必ずしもそのようにはなっていないと考えているところであります。

また、行政職員の研修受講率8割を目指すというのは、道内においては、特に市町村職員では非常にハードルが高いわけでありますけれども、最近は市町村の職員向けの研修講座を開いても受講する人数が特に行政職員において明確に少なくなっているというように聞いているところでございまして、これは兼務が増えていって忙しくなっているから研修に来られなくなっているということもありましょうし、交付金を旅費として札幌に研修に来るというようなことがあるものですから、交付金が少なくなって研修に行きづらくなったというようなこともあるのだろうと考えております。

北海道は非常に広くて札幌まで研修に来るというのはなかなか厳しい、あるいは振興局でそれぞれ研修を行うとしてもなかなか多忙で来られないなどということであれば、例えば行かなくてもできる方法が採れないだろうか、研修に行くことに障害があるのであれば何らかの形でそれを乗り越える方法、本年度に入りまして地域での研修や札幌での研修は開催できていないのですが、いろいろな手段・方法で、何らかの形で消費者行政の基本的なところを含めて研修の機会をできるだけ確保できないかと思って検討しているところでございます。

○新川座長 ありがとうございました。

それでは、大森委員、生駒委員、山田委員からも御質問をいただいてございます。

大森委員、よろしくお願いいたします。

○大森委員 ありがとうございます。

私からは2点お願いします。

1点目、7ページに相談の現状と課題ということで、若者からの相談が少ないということと、電子メールを使った相談を実施したと書いてあります。徳島でも同じような取組をしたところ、若者の相談が実際のところ少なくて、一般の高齢者などの相談が多かったというような結果があったようなのですけれども、このメール相談というのはどういうふうにされたのか、結果はどうだったのか、今後どのようなことを考えていらっしゃるのかお聞きしたいと思います。

2点目、23ページに表示関係のこれまでの取組をいろいろと書いてくださっています。この辺り、推進員とか消費者協会と連携した取組が多く見られたのかどうか。例えば食品表示110番や食品表示ウォッチャー制度というような辺りで消費者協会や推進員の方と連携して実施されたのかどうか。真ん中の枠のところに食品表示指導員と書いてありますけれども、この辺りでも連携があったのかどうか。

その2点をお願いいたします。

○新川座長 それでは、鶴ヶ崎様、よろしくお願いいたします。

○北海道環境生活部くらし安全局鶴ヶ崎消費者安全課長 まず、メール相談は若者の方を対象として想定して行っているわけではなくて、常日頃からやっているものでございまして、恐らくこういう取組をされている消費生活センターはかなりの数あると思うのですけれども、若者だけというよりはどのような方でもということで相談を受けております。これによって若者からの相談が増えたかどうかというようなことは手元に数字がありませんが、いずれにしてもいろいろな年代の方がメール相談に現れているという状況でございます。

若年者の方に相談窓口に御相談いただくために今後どうするかというのはこれからの課題でございまして、SNSを使って窓口に誘導するといったことなども検討されているところもあるのだと思うのですが、私どもはこういった取組はまだまだ遅れておりまして、何とかして若年者層の方に相談窓口に親しんでもらうといいますか、知っていただいて、イメージをちょっと変えていただいて、相談しやすいような窓口にする。そのために、SNSを使った取組も含めましていろいろなPRをしていくということから始めていかなければならないと思っている次第でございますが、まだまだというところでございます。

それから、法執行のところで、食品表示のところなのですが、法執行における連携、表示にしても何にしても、消費生活相談員あるいは消費生活相談推進員の方などにこれを直接手がけてもらう、何か関与してもらうということは全くございませんでした。平成26年のときに食品表示監視員を設けているのは、御存じのとおりメニュー表示の問題が特に北海道でその前の年に集中的に発生して、このときの行政処分の件数が36件にも及んだというような事態を受けて、配置されたものでございます。今日に至るまで、食品表示監視員はメニューの表示調査などを行って、執行あるいは啓発に努めているところでございます。

○新川座長 ありがとうございました。

引き続きまして、生駒委員、よろしくお願いいたします。

○生駒委員 北海道での取組、御説明いただきましてありがとうございました。

私も文化庁の日本遺産というプログラムの担当といいますかプロデューサーをしていた時期がありまして、何度も北海道をお訪ねしております。次の場所に行きましょうと言われると平気で3時間とか4時間のドライブ、そういうことで北海道の広さを体感してきまして、この広域連携の試みは大変有意義であると思っております。

1つ目の質問が、今回この地方消費者行政専門調査会が設けられた一つの目的が、20年後の日本の状況の中での地方の消費者行政をどうするかということだったと思うのですが、少し先の話になるかもしれないですが、このお話を聞いていてITの活用が必須であると感じています。オンライン上で相談員の方に直接相談できるシステムであるとか、相談員の方の数が確保できないという中で、皆さんが移動して相談を受けるのではなくて、今、在宅やリモートということもあります。家を離れられないという理由で相談員をできないような方もいらっしゃるのではないかなと思いますので、何らかオンライン上でつながっていくことは必須ではないかと思っていますが、北海道の広域連携の中でITの活用というのはどのように今お考えになっていらっしゃるかということを一つお聞きしたいのです。

もう一つは、相談員の方の確保ができないということなのですが、徳島の例なども見ましても、大学生に働きかけて相談員にならないかというような試みも今あるようです。実際にオンラインプラットフォームに関する相談の場合などは、世代的に圧倒的にデジタル世代の方々のほうが対応できると思うのです。法的な部分やそれ以外の部分の専門知識はもちろんキャリアを積まれた方のほうがあるわけですけれども、そういう意味で合わせ技といいますか、若い世代の方々が相談員にどんどんなっていくことも、今後は必要ではないかと思っていますが、相談員の確保について一番の問題点というのは何でしょうか。お感じになっていることをお伺いしたいと思います。

○新川座長 ありがとうございました。

それでは、鶴ヶ崎様、よろしくお願いいたします。

○北海道環境生活部くらし安全局鶴ヶ崎消費者安全課長 非常に難しい質問ですが、消費生活相談の広域連携をするに当たってITを活用するといったような事例は、道内では私はほとんど伺ったことがありません。本当に従来型の来所や電話を受けるというようなものに終始しているのだろうと思います。

私どもはまだまだ遅れているのだと思っていますが、今後の活用といっても、相談処理を在宅でというより、むしろ市町村支援を、例えばこういった今使っているようなシステムですることはできないか、これまで、顔が見える関係をつくるために、地域担当制にしたり、道立センターから相談員が出向いて現地研修を行っているので、現在のように札幌から道内各地に行けない、あるいはもっと気軽に顔を合わせて支援を受けるということにニーズがあるのであれば、こういう、今会議で行っているようなツールはもっと活用ができるのではないかと考えております。

それから、相談員さんを確保するのに何が特にネックとなっているのかということなのですけれども、何と言っても有資格者の方が札幌に集中しているということもあるので、そもそも確保が難しいということもあるのですけれども、実際に地域において人が少なくなっている、人の不足が著しいということもそうなのですが、特に北海道の場合は、例えば首都圏で相談員をされていらっしゃる方々と条件的に随分異なるのかなと考えているところがあるのですけれども、北海道は広くて、地域間の人の流動性ということでは、センター間の人材の流動性はほとんどないわけです。全くないと言っていいと思うのです。道の相談員が市町村の相談員になることはないし、逆もありません。そうした流動性のなさが人材確保の上での一つの障害であろうと思います。

人材バンクをやっていても、実際に道南の相談員の人材を道東には紹介できないわけでございまして、相談員の職場という意味で、例えば首都圏の場合と状況が異なっているのは、相談員が活躍する場というのは地域では基本的にその役場にしかないわけです。その役場も隣の役場に行こうものなら車で1時間ぐらいかかったりする。

例えば首都圏の相談員さんであれば、報酬も高いということもあるかもしれませんが、センターも掛け持ちしていたりすることもあるかもしれませんし、たくさんのセンターがあるので職場を選べたりできる、週末は全相協やNACSや夜遅くまで適格消費者団体の検討会議もやって、専門性が高くて、いろいろなところから消費者教育の講師に呼ばれたりと、そういう機会はたくさんある地域もあるのでしょうけれども、北海道の場合は特に札幌を除けばそういったようなことは非常に少ないといいますか、なかなかないということもあって、相談員さんにどういった活躍をしていただけるかというようなところが、相談員さんがたくさんいるような地域とはちょっと違うところがあるのかなとも考えております。

○新川座長 どうもありがとうございました。

それでは、たくさん御質問をいただいておりますので、続きまして、山田委員、よろしくお願いいたします。

○山田委員 よろしくお願いいたします。

鶴ヶ崎さん、御苦労さまでございます。

ちょっと答えにくい質問になるのかもしれませんけれども、我々2040年を一つの目標に置いて、今、消費者行政の在り方を考えているのですが、2040年になれば多分北海道は今よりも人口は100万人以上減る。その代わり、75歳以上の高齢者は15万人ぐらい逆に増えているという大変厳しい状況があって、相談員の確保といってもこれはそう簡単にいくような見通しはまずないのではないかなと私自身は考えてしまいます。

そうした中で、北海道の消費者行政の話をお伺いしたのですけれども、非常に揺り戻しがあるのではないかなと思います。つまり、道が主体となって支庁でそれぞれやっていたものを市町村に分散化していったけれども、なかなか人材の面や知識の面で難しくて、今度は広域連携と揺り戻していっている。そして、そこの中核になっているのが北海道の消費者協会であるということを考えた場合に、普通でいけば、さっきお話がありましたように隣の町まで行くのに何時間もかかるのであれば、札幌に消費者協会を中心としたセンターを置いて、そして、広域的な体制をIoTで捉えながら、市町村において細かな指導をしていくというような形の集約と分散のバランスを取っていかない限り、将来的には難しいのではないかなとお話を聞いていてどうしても感じられてしまいました。

ですから、その点において、消費者協会との関係をこれからどうしていくのか。そして、先ほど生駒さんからもお話がありましたけれども、IoTを使ったセンター化というものは考えないのか。さらに、分散を進めていくのだとすると、市町村に分散させていくメリットを道としてどう考えられているのかということについてお伺いしたいと思います。

○新川座長 ありがとうございました。

それでは、鶴ヶ崎様、よろしくお願いいたします。

○北海道環境生活部くらし安全局鶴ヶ崎消費者安全課長 すぐ答えが出なくて申し訳ないのですけれども、先ほど報告でも申し上げましたが、長期的にはというのでしょうか、相談員を置かない市町村は広域連携に向かっていくことが理想的ではないかと考えているところです。今後、高度で複雑な相談が一層増えていくであろうことを考慮すれば、年間数件しか来ないような、行政職員が処理しているような小さな町村に市町村の役割だからやってくださいと単純に言うわけにはなかなかいかなくなってくるのだろうと。その反面、これだけ広域連携ができていて、しかも一定程度維持してきたということもあって、この体制は既に定着したとも思われるわけです。ですから、広域連携にあっては拠点強化をしていくことで、身近な地域での相談対応能力をより確保していく。あくまで理想的には、中長期的にはそういった姿を描くことができるのではないかと思います。

その場合、各地の消費者協会がこれまで担ってきた役割というのは非常に大事なことではあるのですけれども、私どもとしては市町村における相談体制が維持されるのであれば、どのような形でもよいのであって、直営化するということを各市町村さんで考えるのであればそれでもよろしいわけでしょうし、消費者協会がまだまだ大丈夫というところはそれを維持していくこともあるのだろうと思います。

その場合、道や道センターの役割が変わっていくかということになりますと、道立センターは経由相談の件数が全国のほかの県のセンターに比べて非常に多いのです。市町村専用電話が頻繁に鳴るのです。全道の相談窓口から頼られているセンターであると言えるのではないかと思うのです。現時点でも道のセンターの役割に対しての分厚いニーズがあるわけで、これは北海道の地理的な条件や人材供給の特質性、相談体制の状況を反映していると考えられるのですが、市町村への分散化をしたつもりでも、今起こっていることは道の関与がかなり厚くなっているわけです。

今後とも北海道全体の相談処理品質を向上させるための道の役割を果たすために、今使っているようなシステムを使ったような支援や広域処理の在り方も考えていかなければいけないとも思いますけれども、先ほど言ったような姿に進んでいくまでにはこの10年、20年の間は相当厳しい状態が続くのだろうと思われますし、相談員の不足傾向や相談員の資格取得の現在のような状況というのは今後も当面は続くと思われますので、道の市町村関与の在り方や役割が中期的に大きく変化するとは見ておりません。今後の市町村の相談体制の変化に応じて道の役割も変わっていくのかなというイメージを持っております。

○新川座長 どうもありがとうございました。

それでは、尾嶋委員からも御質問が来ておりますので、尾嶋委員、よろしくお願いいたします。

○尾嶋委員 細かな資料を頂きまして、ありがとうございました。尾嶋と申します。

2点質問させていただきます。

9ページの御説明のときに、資格取得支援講座のところで交付金を使っていますというお話や、先ほどの池本先生の御質問のところで、職員の研修に関しても交付金が削減されて、研修に行く回数も少なくなったというお話がありました。それから、18ページの予算の表を見せていただきましたけれども、交付金の見直しが非常に大きな影響を与えているのではないかと思いましたので、その辺の御説明をお願いしたいということ。

それから、20ページの職員の消費者行政のマインドのかん養というお話や、長く関わる職員というお話がありました。現在、職員は3年程度で異動することが多いのではないかと思いますが、やはり消費者行政を充実させるためには、なるべく長く同じ職員が関わるということが必要ではないかとお話を聞いていて私も特に思いました。その辺について、さらにお話を聞きたいと思います。

よろしくお願いいたします。

○新川座長 ありがとうございました。

それでは、大きく2点いただきましたが、鶴ヶ崎様、よろしくお願いいたします。

○北海道環境生活部くらし安全局鶴ヶ崎消費者安全課長 交付金の関係なのですが、消費者庁さんからは毎年たくさんの交付金を頂いていて、本当に大変ありがたいと考えているところでございます。これは私どもの、あるいは市町村の消費者行政の基幹的な業務にとって非常に重要でございます。推進事業の交付金は確かに近年、特に29年度から30年度にかけて大きく減少したわけなのですが、これは実際に私どもあるいは市町村に影響を与えていて、市町村においては、特に相談員さんの研修の参加機会の減少や啓発のための事業予算の減などとなって表れているわけです。

交付金の減少に伴って、多くの市町村は、独自財源で事業を維持するというよりは事業の縮小を選択する傾向があります。今後、交付金がさらに削減されて最終的になくなることを心配する声を市町村の職員からよく聞くところであります。かといって、一般財源を要求し獲得することは大変なわけでありますけれども、現在の交付金事業で私どもとしても市町村支援やネットワークの関係、あるいは地域への出前講座や担い手育成、多重債務対策といったような事業を行っているわけでありまして、なくなったときに、これらの事業の全てをやめてしまうということにはしたくないと考えているわけなのですが、今後どのような事業をどのような形で残していけるか検討をしているところでございます。

それから、消費者行政を長く続けてくれる職員についてですが、プロパーの職員といいますか、経験したことのある職員が一定程度常に配置されていること、それは法執行だけではなくて、それ以外の消費者行政の事務も含めて、いろいろな消費者行政の有職故実といったものを持つ職員が配置されていることが、業務の継続性や組織文化の継承にも役立つと私自身は考えているところなのですが、職員が通常3年程度で移動していく中で、確かに、そういう職員の育成をどうするかということが課題でございます。

個人的なことを申しますと、私、18年間消費者行政から離れていないのですが、出先機関に行っても消費者行政を担当する部署に行って、それを行ったり来たりしているわけなのですけれども、それができたのは職員公募制度というのがあって、私は2回ほど公募しているわけなのですが、消費者行政を希望する職員にはこのような方法もあるところです。しかし、先ほどプロパーの職員がいることが望ましいとは申しましたけれども、現実には、そういった職員を確保するのは本当に難しくて、それは、消費者行政の中でずっと生きていきたいという職員が余りにも少ないといいますか、ほとんどいなかったわけです。消費者行政という道庁の中、県庁の中のものすごく小さな狭い領域にずっといたいという職員を見つけることは、なかなか現実問題難しいのだろうということがあります。

私のようにこんなに長くいる必要はないにしても、せめて7~8年ぐらいいるような職員が一人でも生まれるようになればいいとは思っております。

私どもは法執行を担当する職員を消費者庁に派遣していて、そうなるとその職員は3年間当課にいて、消費者庁に2年いて、また戻ってきて当課に3年ぐらいいていただけるとすれば、それだけでも8年間も消費者行政を担当していただけるということになるわけです。もしかしたら何年かしたらまた昇任して戻ってくることもあるかもしれません。そういったような形で、少しでも消費者行政を長く経験する職員の方が増えるようになればと思っている次第であります。

○新川座長 ありがとうございました。

予定の時間を実は過ぎておりますけれども、池本委員から追加の御質問をいただいてございます。もしここまでで御発言のなかった委員の中でぜひ聞いてみたいということがあれば、先にいただいておきたいと思いますが、よろしゅうございますでしょうか。どなたかいかがですか。声を上げていただいて結構です。

山本委員、よろしくお願いします。

○山本座長代理 いろいろ伺いたいことはあるのですが、1つだけ、今日の資料で申しますと、36ページに受託・委託市町村間の問題とありまして、連携によって委託市町村において消費者行政全体への関心・意欲が低下するおそれがあるということ、それから、受託市町村の相談処理について関係市町村間で意思疎通する場が必要であるという御指摘があるのですけれども、前者のほうの低下するおそれについては、現実にかなりこういう問題が起きているのでしょうかということと、それから、後のほうに関して、意思疎通する場として何か模範というか手本になるような例があれば教えていただきたいということです。よろしくお願いします。

○新川座長 それでは、鶴ヶ崎様、よろしくお願いいたします。

○北海道環境生活部くらし安全局鶴ヶ崎消費者安全課長 余り軽々に断言するわけにもいかないのですけれども、ある地域は中心市集約方式を取っていて、委託市町村側といいますか、その市町村では本当にお任せになってしまって、道が行う相談業務の研修に全く来なくなってしまうということは現実にございます。そういったところであっても消費者教育の事業をやっているところもあるので、だから当事者意識を失っていると断言するつもりはないのですけれども、集約方式だと委託市町村に直接相談が来るというのが年に1件、2件というところも中にはあるものですから、そうなると、ほかの業務がたくさんありますとどうしても意識に余り上らなくなってくるというようなところがあるのかなと推測しております。そういったところに関心を呼び起こすというところも私どもの役割ではないかと思います。

それから、たくさんの市町村が集まっている広域連携のところと、小さな広域連携のところとあるのですが、年に1度ではあるのですが、必ず毎年全体会議を設けて、みんなで集まって話し合っているというところもあります。そういった会議を全くやらないで相談だけ受けているというところもあるのですけれども、そういう、年に1回でも会議を持つところの中には、先ほど言ったように、相談員がいる市町村だけが広域連携体制の事務局をやるのではなくて、相談員がいないところの市町村も持ち回りで事務局をやっていく。事務局がやることは事実上定例会議の運営程度のことではあるのですが、それでもそういうことをやることによって当事者意識が低下しないように工夫をしている地区もあります。

○新川座長 ありがとうございました。

大分時間が過ぎてしまっているのですが、清水委員から1つ御質問をということがございました。

清水委員、よろしくお願いいたします。

○清水委員 清水です。

37ページの消費者協会へ業務委託を行っているというところの2行目で、「相談員報酬は低いことがあり」と書かれておりますが、相談員がどうしても少ないというのは全国的な問題で、喫緊の課題なのですけれども、地域特性で流動性がないと先ほどおっしゃっておられたのですが、やはり相談員の待遇が低い、報酬が少ないということもあるのですよねという確認です。お願いします。

○新川座長 ありがとうございました。

鶴ヶ崎様、いかがでしょうか。

○北海道環境生活部くらし安全局鶴ヶ崎消費者安全課長 それはそのとおりだろうと思います。市町村によっては交付金で報酬アップを図っているところが少なからず見られます。そういうところもあるのですけれども、中には本当にこんなに低いのだろうかと思われるような報酬で行ってもらっているというところもございます。本当に首都圏の相談員さんから見たら驚くような金額でやっていただいているというようなところもございますので、やはりそういったところはもちろんあるのだろうと考えております。報酬を上げるのは非常に大変なのですけれども、そういったところでございます。

○新川座長 ありがとうございました。

そのほかなければ池本委員にお願いしたいのですが、ほかの先生方、よろしゅうございますでしょうか。

それでは、池本委員から御質問があるということでいただいておりますので、よろしくお願いいたします。

○池本委員 池本です。恐れ入ります。

先ほどの山本委員からの質問にも少し関連するのですが、相談業務の広域連携、広域センターの問題と見守りネットワークの複数の市町村での広域ネットワークの兼ね合いについてお伺いしたいと思います。

鶴ヶ崎さんの冒頭の御説明で、見守りネットワークも発見、見守りよりはむしろ啓発、広報のところを重点にして見守りネットワークを広げていったというお話をお伺いしました。むしろ安全確保地域協議会としてもまずやるべきことはまさにそこだと思うのですが、それを独立してではなくて広域でやるとしているところと相談業務の広域センター化しているところというのは重なり合っているのでしょうか。それとも、全く別の展開でやっておられるのでしょうか。

というのが、相談業務だけ広域センターにした場合にはそれぞれの自治体でそれぞれ職員が広報をしていかなければいけないけれども、そこへ見守りネットワークも広域連携にしておけば複数の自治体の中で持ち回りというか協力しながら展開するという重なり合いができればまた違うのではないか、あるいは、何かそういう参考例でもあればお伺いしたいというところです。よろしくお願いします。

○新川座長 ありがとうございました。

それでは、鶴ヶ崎様、よろしくお願いいたします。

○北海道環境生活部くらし安全局鶴ヶ崎消費者安全課長 資料の14ページに北海道の地図がありますけれども、カラーであると濃い青と薄い水色とあると思うのですけれども、薄い水色のところが広域ネットワークです。広域というのは要するに複数の市町村で構成されるネットワークになります。一見して分かるとおりなのですけれども、これしかないのです。ですから、相談の広域連携と広域ネットワークはほぼ重ならないです。重なっているのは本当にわずかで、例えば小樽市を中心とするところであるとか、士別市を中心とするところといったようなところになります。小樽市にしても士別市にしても、両方とも相談を広域にやっている広域センターになりますので、この部分については広域のセンターが広域ネットワークを運営しているということになります。

このぐらいなのですけれども、実際の活動の中で広域センターが広域ネットワークを形成していたとしても、どちらかというとネットワークの活動はかなりの程度中心市が中心となるということで、それほど広域的に周辺町村とネットワーク活動を積極的に展開しているというよりは、どちらかというと中心市の中で、市内の事業所などを含めて、情報共有等の活動が濃く行われていて、周辺の市町村はどちらかというと副次的な参加ではないかというイメージで私は見ております。

○新川座長 どうもありがとうございました。

北海道庁の鶴ヶ崎様には本当に長い時間にわたりまして貴重なお話をたくさんいただきました。これからの地方消費者行政を考えていく上で、広域化ということと拠点化ということをどう考えていったらよいのか、また、北海道では長い歴史を持つ民間部門との連携協力体制、その中での相談業務のさらなるレベルアップといったところを今後どう考えていったらよいのか、全体としての品質向上というのも組織、ネットワーク、さらには相談員や行政職員を含めて今後どういうふうに高めていったらよいのか、様々な御示唆をいただきました。また、同時に広域自治体としての北海道庁の役割ということについても貴重な御示唆をいただいたのではないかと思っております。

今後の人口減少社会といったところに向けての新たな展望を私たちが考えていく上でも本日大変貴重な御示唆をたくさんいただいたのではないかと思っております。予定の時間を大きく超過してしまいましたことをおわびさせていただきまして、北海道庁の鶴ヶ崎様からの地方消費者行政に関するヒアリングにつきましては終了とさせていただきたいと思います。本当にありがとうございました。

○北海道環境生活部くらし安全局鶴ヶ崎消費者安全課長 ありがとうございました。


≪3.閉会≫

○新川座長 それでは、本日は以上をもちまして第30回「地方消費者行政専門調査会」閉会とさせていただきます。

お忙しいところを御参加くださいまして、ありがとうございました。

(以上)