第19回 消費者法分野におけるルール形成の在り方等検討ワーキング・グループ 議事録

日時

2019年2月27日(水)10:00~11:09

場所

消費者委員会会議室

出席者

【委員】
鹿野座長、池本座長代理、高委員長、樋口委員、山本委員
【説明者】
一般財団法人日本産業協会専務理事 菅原功氏
【事務局】
二之宮事務局長、坂田参事官

議事次第

  1. 開会
  2. 取りまとめに向けた検討(有識者ヒアリング)
    一般財団法人日本産業協会専務理事 菅原功 氏
  3. 閉会

配布資料 (資料は全てPDF形式となります。)

≪1.開会≫

○坂田参事官 本日は、皆様、お忙しいところをお集まりいただき、誠にありがとうございます。

ただいまから「消費者法分野におけるルール形成の在り方等検討ワーキング・グループ」第19回会合を開催いたします。

本日は、交通機関の乱れにより、池本座長代理が遅れて御出席との御連絡をいただいております。

議事に入ります前に、配付資料の確認をさせていただきます。

お手元の議事次第に配付資料を記載しております。

不足の資料がございましたら、事務局までお申し付けいただきますよう、お願いいたします。

それでは、鹿野座長、以後の議事進行をよろしくお願いいたします。


≪2.取りまとめに向けた検討(有識者ヒアリング)≫

○鹿野座長 それでは、本日の議題に入らせていただきます。

本日は、前回に引き続き「取りまとめに向けた検討」を行いたいと思います。

中間整理後のこれまでの議論を踏まえまして、報告書の取りまとめに向けて、検討をしてまいりました。そこで、今後更なる深掘りが必要とされる論点として、主に3つ、第1に「事業者の取組を促す仕組み作り」、第2に「民事ルールと行政規制の役割分担」、そして、第3に「適格消費者団体の権限の強化・充実」の主に3点について検討を進めてまいったところです。

本日は、主に「事業者の取組を促す仕組み作り」の論点について検討するに当たり、御意見を伺うため、参考人として、一般財団法人日本産業協会専務理事の菅原功様にお越しいただいております。

日本産業協会は、消費生活相談員資格試験の登録試験機関として消費生活アドバイザー資格試験を実施されております。この試験では、消費者と企業や行政との架け橋として、消費者からの提案や意見を企業経営並びに行政等への提言に効果的に反映させるとともに、消費者の苦情相談等に対して適切、迅速なアドバイスが実施できるなど、幅広い分野で社会貢献を果たす人材を養成するということが目的とされております。

「事業者の取組を促す仕組み作り」において、消費生活アドバイザーは重要な役割を担っていると考えられますことから、菅原専務理事には、消費生活アドバイザーの現状と課題等について、御説明をいただきたいと考えております。

それでは、まず菅原専務理事におかれましては、20分程度でお話をいただき、その後、質疑応答をさせていただきたいと思います。

よろしくお願いします。

○菅原専務理事 おはようございます。日本産業協会の菅原でございます。

本日、事務局のほうから、消費生活アドバイザーの活躍の実態並びに消費生活アドバイザーが事業者のコンプライアンス体制の整備において中心的な役割を果たすことが可能かどうかといったことについてのレクチャーを求められました。

結論から先に申し上げれば、消費生活アドバイザーが事業者のコンプライアンス体制の整備において、大切な役割を果たすことについては、十分可能だと考えております。

ただ、それには幾つかの課題も残りますので、その辺りも含めて御説明させていただきたいと思います。

2ページ目を御覧ください。まず、当協会の御紹介を簡単にしたいと思います。

財団自体は大正10年、1921年、今年で99年目となるのですけれども、実態としましては、現在とは全く違う仕事をしてございまして、大戦後は休眠状態にあったという財団でございます。

それを2番のところでございますが、昭和54年から55年にかけて、当時の通産省が、消費者苦情の増大等を背景に、消費者苦情の適切な処理、消費者の意向を企業経営に反映させ、かつ、消費者に適切なアドバイスができる人材を育成するといった目的のために、消費生活アドバイザーという制度を創設、その母体として再度活動を始めたということになります。

その後、平成12年には、訪問販売取引等適正化業務を行う法人に指定され、消費生活アドバイザー試験の実施に加えて、申出制度の普及・相談といった業務を行ってまいりました。

また、平成21年9月の消費者庁の発足に伴いまして、従来は経済産業省だけでございましたが、加えて消費者庁、すなわち内閣総理大臣及び経済産業大臣の事業認定資格となったということでございます。

更に、平成28年には、消費者安全法に関連しまして、国家資格であります消費生活相談員資格試験の登録機関としての業務を果たしていることになります。

次の3ページで、現在実施しております消費生活アドバイザー試験の概要を御説明いたします。

年1回の実施でございまして、今年度は記載のとおり、第1次試験のペーパー試験が9月30日、これに合格した人が11月23日に実施された論文と面接の試験を受けたという流れになっております。

合格率は、申込者に対して20%未満ということでございますから、非常に難易度が高いテストであるということが言えると思いますし、右のほうに書いてございますように、かなり幅広い分野について、多くの知識を勉強いただくことになります。

加えまして、試験地が大都市に限られておりますので、例えば青森や鹿児島といった方ですと、新幹線や飛行機で1度ならず2度出てきていただいて受けるといった試験でございます。

次の4ページ、昭和55年、1980年にスタートした各年度の合格者の推移です。左上から御覧いただくと、これまでの合格者の累計が1万6791名、うち男性が7,401名、女性が9,390名ということですので、若干女性のほうが多いことになります。

スタート時点では、200名ほどでしばらく推移しまして、その後、御覧いただくように300名、400名、500名となってきて、現在も500名前後の合格者を毎年輩出しているということになります。

男女別で申し上げますと、スタートの頃は、女性のほうがずっと多い状態が続いておりました。もともと始まった時点では、子育てが終わった専業主婦が社会復帰するといった要素もございましたので、ずっと女性のほうが多かったのですが、中段の一番右、2006年を御覧いただきますと、ここで初めて男女が逆転いたしまして、3段目の直近5年のところを御覧いただくと、男性のほうが女性よりも倍ぐらい合格者が多くなっているというのが男女別の現実でございます。

累計でいいますと、過去、女性が多かったということで、若干女性のほうが多いのが現状です。

合格者の年代別の構成は、下段の棒グラフのとおりでございまして、30代、40代が大半を占めている形でございます。

次の5ページを御覧いただきまして、地域別の構成比です。実はこれに偏りがございまして、課題の一つでもあるのですが、もともと試験地が大都市に限られるということもありまして、先ほど申し上げた1万6000名の地域別の分布で申し上げますと、関東地区は55.9%、近畿地区が22.6%ということで、この2つを合わせると8割近くということになっております。

下段が業種別の構成比です。スタート時点、通商産業省が旗を振っていただいたということもありまして、製造業、卸・小売業、運輸・通信業といったところが受けていた感じですけれども、直近は、生命保険会社が大変熱心に取り組んでいただいておりまして、その関係で、現在は金融保険業が全体の中でもかなりのウエートを占めてきているという現状でございます。

次の6ページに、もう一度、先ほどの地域別の偏りを、今度は県別に置いてみたのですが、御覧のように、東京が3,796名、ちなみに神奈川、千葉、埼玉、1都3県の首都圏に限りますと、全体の50%を占めております。日本の人口比でいえば、1都3県では3割強だと認識しておりますので、やはり大都市圏に集中しているということがおわかりいただけると思いますし、逆に、各県ということで言うと、数十名が大半というところがわかります。

次に、7ページを御覧ください。こちらは、現在、消費生活アドバイザーの資格を有している方の属性です。先ほど1万6000名の合格者と申し上げましたけれども、当資格は5年ごとに更新するという仕組みになっておりまして、この5年間で一定の講座、お勉強をしていただいて、知識をブラッシュアップした方のみが更新できる制度になっております。

中には、合格はしたものの、定年を迎えて、もうこの資格の活用がないということで、更新されない方もいらっしゃって、現状でいうと、資格を持っていらっしゃる、つまり更新を続けている方は1万2000名強という状況になります。

その1万2000名強のおおまかな分布が左の表でございまして、消費者センターを含む官公庁が15%、民間企業が60%、地域社会というのは無職の方です。定年退職で無職になったという方も多いとは思うのですけれども、これが25%という分布となってございます。

ちなみに、官公庁の15%の多くは、消費生活相談員の方、一部行政職員の方もいらっしゃいます。

民間企業においては、一番メインを占めるわけですけれども、消費者対応の部門で活躍されている方が比較的多いのかなと。

地域社会においても、一部の方がボランティア活動をしているという形ではないかと思っております。

それぞれについて、もう少し詳しく述べたいと思います。8ページを御覧ください。一番メインとなります民間企業での活躍事例です。消費生活アドバイザーで今、民間企業に勤めているという方がどういう部署でどういう活躍をしておられるのかというところですけれども、一番多いのは左上のお客様相談です。苦情対応あるいはコールセンターといったところ。メーカーであれば、新商品の開発でも活躍されているケースがありますし、金融とかリテールの会社ですと、御来社の窓口といったところが多いのかなと。以上がフロントでの活躍事例でしょうか。

バックでいいますと、2段目になりますけれども、全社のCS推進やお客様向けのわかりやすい帳票づくり、あるいはコンプライアンス関係の企画業務といったところにも消費生活アドバイザーの活躍の場があるということでございます。

ただ、こういう部署にいて、正に資格が業務に生かされている方は、実はそれほど多くはありません。資格を持ちながらも、直接関係ない部署にいらっしゃる方も多くいらっしゃいますし、一方で、本来こういう資格を持っていてほしい上記のような部署でも、資格者がいないというケースも当然あるかと思っております。

続きまして、9ページです。官公庁における活躍ということで申し上げますと、先ほど申し上げたように、消費生活相談員の方が多いです。加えて、もちろん消費者庁にもたくさんいらっしゃいますし、地方公共団体の中に消費者政策を担う方の中で、消費生活アドバイザーにチャレンジして合格したという方もいらっしゃいますし、高齢者福祉といった分野で活躍されている方もいらっしゃるかと思います。

今回いただいたテーマとは少しずれるのですけれども、私どもの問題意識としましては、例えば消費生活相談員については、国家資格というものが今、求められているわけですけれども、片や、地方公共団体で消費者政策を担当する職員については、必ずしも消費生活アドバイザー資格を持っていない。もちろん、ごく一部の志の高い方が資格を取得して、業務に生かしているというケースはあるとは思うのですけれども、そうでないケースもあって、その辺りは問題意識として持っております。

次の10ページです。地域社会での活躍ということです。比較的、大企業で活躍された方が退職しているということが多いので、それなりに退職金、年金もあって、生活にはそれなりに余裕があって、逆に暇をもて余しているということもあると思うのですが、消費生活サポーターや高齢者の支援等のボランティアをされている方も、それなりにいらっしゃると認識しております。

ただ、下段に書いておきましたが、これも今回のテーマとは若干ずれるのですけれども、超高齢化社会が到来する中で、地域社会においてこの知識を持った人たちが活躍する場はたくさんあるとは思うのですけれども、必ずしもそこがうまくマッチングできていないということが当協会の課題であると思っております。

以上、それぞれ3つの場面をお話ししましたが、本日のテーマは民間企業でということになると思いますので、もう一度、そこについて少し詳しくお話ししたいと思います。

11ページを御覧ください。消費生活アドバイザーの企業での活躍イメージとなります。現在の有資格者ということでいうと、1万2000名ということで、これが多いのか少ないのかということで申し上げれば、圧倒的に少ないのではないかというのが私の認識です。

典型的な消費生活アドバイザー像ということで、モデルを載せておきましたけれども、大企業・総合職入社・管理職・勤続20から25年といったところ、属性としましては、消費者志向が強く、比較的正義感が強い、真面目で一生懸命といった人が多いという印象です。

その人たちは、継続的な学びの意識も旺盛です。一つには、私どもが更新研修というものを求めているということもあるわけですけれども、先に12ページを御覧いただきたいのですが、資格を更新するに当たって、5年間で4講座以上の勉強をしてくださいということをお願いしておりまして、御覧いただいているページは、毎年やっている30から40の講座のうちの一部です。消費者教育、消費者志向経営あるいは持続可能な社会を目指す企業の取組、消費者法概論といった消費者関係の一般的なお勉強に加えて、消費相談の現場から、仮想通貨やネットトラブルといった、最近の相談事例といったことを、継続的に学んでいただいているということで、その意味でも、非常に意識も高いですし、知識も常にブラッシュアップされているということで、よろしいかと思います。

もう一度、前のページにお戻りください。そういったこともありまして、日常生活においては、SDGsを意識されている方も多いですし、エシカル消費なんかも積極的ではないかと思います。

また、退職前であっても、ボランティア等に意欲的に取り組んでおられる方も多いのではないかと思います。

その意味では、正にこの消費生活アドバイザーというのは、知識と意欲を合わせ持った人材というふうに認識しておりまして、先ほど御説明したようなお客様相談、来社窓口、コールセンターといったフロントはもちろんのこと、コンプライアンス部門、CS推進部門、CSR関連の部署といったところで体制の整備、リーダーシップを発揮するというのは十分に可能ですし、実際にしている方も多くいらっしゃると思います。

加えまして、実務ということで申し上げれば、例えば企業の中で、公益通報やコンプライアンスダイアル、ハラスメントダイアルといったところの社内受付も彼ら、彼女たちにとっては非常に的確なポストではないかと思っております。

こういった部門というのは、当然、企業のことはわかりつつも、消費者のこともしっかり理解している、すなわち中立的な判断が必要になると思っていて、加えて、属性として非常に真面目で真摯に対応し、秘密を守れるということでは最適ではないかと思っております。

ただ、残念ながら、先ほど申し上げたように、全体で1万2000名ということでございますから、全ての企業にこういう人たちがいるのかということでいえば、残念ながら超大企業に集中してしまっているというのが現状でございます。

以上、活躍の場ということでお話ししましたけれども、続きまして、消費生活アドバイザーの課題ということで13ページを御覧ください。これは正に日本産業協会そのものの課題でもあるのですけれども、最盛期3,500名を超えていた受験者が、若干低下傾向にあるというのが一つ。加えて、直近は、大手生保が積極的に受験しておりまして、これはこれで大変結構なことなのですけれども、ここ数年でいうと、生保業界のウエートが6割にもなっておりまして、他の業種に対してもう少し働きかけていく必要があるのではないかと思っております。

大企業大企業と申し上げましたが、大企業であっても消費生活アドバイザーがほとんどいない企業が結構ありますし、特に一番下段に書いておきましたが、業績好調な企業、それがゆえに足元の消費者対応がおろそかになりがちというところがありますが、そういったところでは、必ずしも消費生活アドバイザー資格について熱心に取り組まれていない。まして、今は中小企業、地方の企業になると、ほとんどいないというのが実情でございまして、その意味では、事業者がコンプライアンス等の体制の中で、消費生活アドバイザーを活用しようと思っても、消費生活アドバイザーそのものがいないというのが現状でございます。したがって、そういった人たちをどう広げていくかということが課題でもあるわけです。

次の14ページに、現状消費生活アドバイザーの上位企業を載せておきました。先ほど申し上げたように、保険会社が比較的積極的に取り組んでいただいているということと、設立当初から熱心にお取組いただいているような会社が上位を占めているということでございます。

ただ、ここだけ見ればああという感じなのですが、当然ここに載っていない大企業がたくさんあるわけで、そういったところはどうなのだろうとか、あるいは中小企業、地方企業といったところをどう開拓していくかということも必要かと思っております。

次の15ページに、それらをまとめたのですけれども、消費生活アドバイザー自体が非常に出題範囲が広くて、勉強する量が多い。加えて、いざ受けてもなかなか合格しないということ。この辺が、ハードルを高くし過ぎているのかなと。

私ども日本産業協会としましても、取組をされていない企業に対して、消費生活アドバイザーを是非受けてくださいという働きかけをしたいのですけれども、余りにも範囲が広いもので、これは企業にとってどういうメリットがあるのだというところがなかなか訴えても伝わらないというところはありますし、年に一度、大都市のみということで言うと、受験のハードルも結構高いということがあろうかと思います。

次の16、17ページに勉強範囲を載せておりますけれども、もともと相談員あるいは相談の窓口ということでスタートした資格であるがために、例えば経済、金融、企業経営全般の知識とか、次のページにありますように、衣食住全てにかかわる消費者相談の絡みの勉強まであるということが、逆に、初心者にとってはハードルを高くしてしまっているのかなという認識でありました。

そんなこともありまして、18ページですけれども、消費者問題、経済・企業経営、生活知識全般という3分野のうちの消費者問題だけを切り出して、新しい資格を当協会としてスタートさせております。

一つは、範囲を正に消費者問題、行政、法律に絞り込んだということと、コンピューター試験を使って、いつでもどこでも受験できるようにハードルを下げたというところがポイントかなと思っておりまして、次の19ページにありますように、企業に訴えるに当たっても、比較的聞いてもらいやすいのかなと思っております。

この辺りを中小企業あるいは地方企業に対する働きかけに使っていければと思っておりますし、まず、お客様対応専門員になった方が、次に消費生活アドバイザーにチャレンジするということも十分可能ではないかと考えております。

20ページ、21ページでまとめたいと思いますけれども、消費生活アドバイザーに対する課題ということで申し上げれば、一番大きいのは消費者志向の人材のニーズは増大しているはずなのですけれども、残念ながら消費生活アドバイザーの受験者は伸び悩んでいる。加えて、消費者志向経営の意識の高い企業には消費生活アドバイザーが在籍しているのですけれども、本来いてほしい企業にはそれほどいないあるいは全くいないということがあるということです。

下段の2つは今日のテーマとは直接は関係ありませんので、飛ばしたいと思います。

最後、21ページでまとめさせていただきますが、消費生活アドバイザーの受験者が伸び悩んでいる。消費者志向経営がうたわれる中で、消費生活アドバイザー不在の企業は、大企業も含めてそれなりにありますといったところについては、エントリー資格を活用した裾野の拡大、いずれ消費生活アドバイザーに誘導するといったこと、地域における人材不足については、当協会が地方公共団体とのマッチング等を進めていくということで、消費生活アドバイザーの企業でも地域でも活躍できるといった体制を作っていくところが課題であると思っています。

御説明は以上となります。

○鹿野座長 ありがとうございました。

ただいまの御説明を踏まえまして、御質問、御意見のある方は、御発言をお願いします。

いかがでしょうか。

高委員長、お願いします。

○高委員長 確認なのですけれども、お客様対応専門員の制度なのですが、これはまだ始まっていないのですか、もう既に始まっているのですか。

○菅原専務理事 昨年の11月からスタートしました。

○高委員長 受験者の反応はどうなのか、もしおわかりでしたら教えていただけませんか。

○菅原専務理事 現状でいうと、まずテキスト販売から初めて、今は800部ほどで、受験した方が200名ほどであります。今、我々も正に営業的に、消費生活アドバイザーはちょっとハードルが高いなという企業に回り始めてはいるのです。反応だけで言うと、とても好意的なのです。勉強範囲も限定的ですし、特にフロントの職員には受けさせたいという意見はたくさんいただくのです。

ただ、何分、始まったばかりで何の知名度もありませんし、消費生活アドバイザーのほうは、正に後ろ盾といいますか、内閣総理大臣、経済産業大臣とあるのですけれども、専門員のほうはあくまでも日本産業協会が作った民間の資格ということもあって、いざ受けるとなると、まだ躊躇しているというところがあるのかなというのが、私どもの認識であります。

何がしか消費者庁なりが、こういった資格も含めて人材育成に使ってはどうかという働きかけがあれば、またちょっと違ったところもあるのかなと思っておりますが、一旦まだスタートして半年ということでございます。

○高委員長 ありがとうございました。

○鹿野座長 他には。

池本座長代理。

○池本座長代理 池本でございます。電車の遅れで冒頭部分のお話を伺えなくて、申し訳ありませんでした。

私はこの消費生活アドバイザー資格というものが、企業内における消費者問題の専門家をきちんと配置して、企業のコンプライアンスを推進するという意味では、非常に重要な制度であると以前から受けとめておりました。

話を率直に受けとめ、感想を申し上げて、その辺りについてどうお考えか、あるいは今後どうあるべきかということで、お話を伺いたいと思います。

この消費生活アドバイザー制度が、もともと経産省の所管の中で、経産省としても企業に対してこういう窓口には専門家を置くようにという働きかけが以前にはあったと聞いております。ただ、これは消費者庁に移ったことの影響なのか、財団法人の制度改革で特定の省庁からの所管ということでなくなったというのが原因なのか、あるいは企業そのものがこういった専門家を配置するということについて、目を向けなかったことが原因なのか、そこはわからないのです。その辺りも、お考えがあればお伺いしたいのです。

この頃は、企業の中のそういう専門部署のために、すぐにそこで活用するというよりは、消費生活相談員の供給源として位置付けがだんだん変わってきているのではないか。それが、先般の国家資格としての消費生活相談員資格になったということもあって、そちらの資格を目指して受けるという方が増えてきているのではないかという印象を受けております。まず、そういった流れの受けとめ方はどうかという点が1点あります。

その関係で、私自身、予備知識として正確でないので、確認させていただきたいのですが、消費生活アドバイザー資格試験は、非常に幅広い科目でやっておられます。それから、国家資格の消費生活相談員試験もまた科目の範囲というものが決まっていまして、若干ずれがあるのではないかと思うのですが、その辺りはどういうふうに区別されているのか。

あるいは、そもそも2つの試験は全く別日程の別問題で別にやっておられるのか、あるいは一部重複して、認定対象にされているのか、そこを知らないので、その部分を含めてお伺いしたい。

そして、最後にもう一点、最後に御説明のあったお客様対応専門員という新しい資格制度を作って、消費者問題に対象を絞って進めておられるということです。その関係で申しますと、今、別の政策課題として、公益通報者保護法の改正が問題になっています。民間企業も内部通報の窓口を設けて、きちんと従業員などからの公益通報を、守秘義務もきちんと遵守しながら適切に対応部署に向けて働きかけるという、非常に専門家としての感性なり力量が問われる部署があります。

それこそ、この消費生活アドバイザー制度の資格者を配置するということが必要ではないかと考えているのですが、科目が広過ぎることの見直しという方向なのか、その辺りとこの新しい資格をお作りになったこととの関係、あるいは公益通報の窓口についても何か議論されているのか。

今後のことも含めてで、あれもこれもで申し訳ありませんが、お伺いできればと思います。

○菅原専務理事 まず、1点目のところです。通産省、経産省から消費者庁、移ったというよりは、今、両省庁に見ていただいているというところになります。もう一つは、先生がおっしゃったように、特定の省庁とは原則ひもづいていないということもありなのかもしれませんが、確かに積極的にこの資格を呼びかけていただくというところは、もしかすると専属でつながったときよりは弱くなっているのかなという感じは、印象論としてはございます。

先ほど、高先生からもあったように、新しい資格で、まずエントリー資格的につくったものについても、特に何も後ろ盾もございませんので、内容はいいけれども何だっけみたいなところも正直あるのです。そういう意味で言うと、現実問題として、消費者志向経営がこれだけ広がっていく中で、トップの方は当然、高い意識を持って宣言はされていると思うのです。でも、ボトムと言うと言い方は悪いですけれども、一人一人の従業員も含めてそういう意識を持っていくことが必要で、そのためには、消費生活アドバイザーがベストではありますけれども、いろいろな意味で消費者問題なり行政なり法律なりを、なるべく多くの人にお勉強していただくということで言えば、何がしかの働きかけをしていただくと有り難いかとは思っております。それが1点目です。

2点目の相談員資格に関して申し上げますと、消費生活アドバイザー資格がもともとあって、それに国家資格も合わせて取れますという形になっておりますので、勉強していただく内容は全く一緒です。ただ、国家資格が欲しくてこの試験を受けるという人は、実は余りいなくて、国民生活センターでやっている試験のほうが、どちらかというと直接的には相談員業務に密接しておりますし、内容もそちらに偏っておりますので、合格率は向こうのほうが高いので、資格を取りたいという方は、向こうに行かれるケースが大半だと思っております。

あくまでも、消費生活アドバイザーは企業の中において消費者志向経営を進める、あるいはそういったマインドを醸成していくというところであろうと今でも思っております。

おまけと言っては失礼ですけれども、相談員資格もついてくるので、例えば定年後にその資格を活用するといった地域社会での活躍はあり得るかと思っております。

3点目については、途中で申し上げたように、消費生活アドバイザーを今、全く取り組んでいない企業にお願いします、受けてくださいという売り込みに行った際に、どうしても幅が広過ぎてしまうのです。私も実は、こちらに出向する前に民間企業で、正に資格取得のための旗を振っていたほうなのです。みんなで受けようよといったときに、どうしてこんなことまで勉強しなければいけないのかと。要するに、金融経済とか、大学で勉強したようなことや、医療、洗濯、食品とか、もちろんそれ自体は日常生活でも役には立つのですが、そこまで広くなると、私は受けたときはテキストが9冊ありましたけれども、そこがちょっと気になる。

一方で、自分が受けたときに、消費者問題や行政、法律というのは、知っているようで知らないことがたくさんあって、物すごく勉強になったのです。白地の企業に、どうですか、受けませんかと言うときには、正に的を絞ったほうが入ってきやすいのではないかと思って、エントリー資格という位置付けで、もちろんエントリーですから、お客様対応専門員が増えていけば、その中から次のステップである消費生活アドバイザーにチャレンジしていく人は増えていくと思うので、そういうふうな活用をしたいと思っていますし、御指摘のあった公益通報に関して申し上げますと、正に消費生活アドバイザーは、本当に最適だと思っております。また、御質問いただいた、公益通報の窓口担当者への活用という意味で言うと、消費生活アドバイザーのように、私がモデルを書きましたけれども、大変真面目で一生懸命で、正義感も強くて、消費者のこともわかっているという方は最適ではないかと思っております。

その意味では、本当は消費生活アドバイザーがベストではあるのですけれども、何分にもハードルが高過ぎるので、例えば中小企業などで窓口をつくる。消費生活アドバイザーを受けてこい。でも、落ちる。あるいは、受けに行くのに新幹線を往復してということになってくると、そう簡単には受けられないということで言うと、まず最低限、公益通報の仕組み自体も含めてですけれども、消費者問題を勉強していただいて、その中で更に意欲があれば、消費生活アドバイザーにチャレンジいただくということが順番としてはいいのかなと思っております。

○鹿野座長 他にいかがでしょうか。

樋口委員、お願いします。

○樋口委員 今、お話のあった、企業の中での人材養成というのは非常に重要だと思います。特に、公益通報者保護ということで言うと、基本的に人材養成がないと制度ができても、その制度の趣旨が十分に生かされない可能性があるわけですので、日本産業協会で、民間でいろいろと取り組んでおられる。例えばお客様対応専門員という制度が新たにできたわけですが、そういった中でも、是非そういう消費者問題の基本的な課題に対応できるような人材養成を幅広くしていただくことが重要ではないかと思うのです。

他方において、政府の立場でも、そういった民間の自主的な取組を応援するということをきちんと政策の中に盛り込んでいかないといけないのではないか。そうでなければ、せっかくのアイデアもしぼんでしまう可能性があるので、そういったことがうまく活用されるような、例えば公益通報者保護ということで言えばガイドラインもあるわけですから、これは強制するようなことではないわけですけれども、そういういろいろな仕組みの中で、このお客様対応専門員や消費生活アドバイザーの人たち、あるいは国民生活センターのほうでも試験制度が実施されておりますし、日本消費者協会ではコンサルタントの制度もありますが、そういった様々なものをうまく活用して、産学官連携というの言葉もありますが、連携をとっていただきながらやっていくということが、ルールの実効性を高める意味でも非常に重要になってくるのではないかとお話を伺っていて感じました。

これからまとめの議論ということですが、協会が取り組んでおられることに関しても、そういったものがうまくいくような形で、WGのまとめができればと思います。

○菅原専務理事 ありがとうございます。

○鹿野座長 他にいかがでしょうか。

公益通報の話も出てきましたが、山本委員、何かございますか。

○山本委員 公益通報との直接の関係については、今日は特に伺わないことにいたしますけれども、細かいことで若干お伺いしたいのは、先ほど、最近、大手生保がかなり積極的に消費生活アドバイザー資格の取得を推進しているというお話であったのですけれども、これは何かきっかけといいますか、原因といったものがあったのか、それとも、たまたまと言うと表現はおかしいのですけれども、特に何か大きなきっかけがあったわけではないということなのか。過去にもそういうふうに、ある種の業種の企業がこの資格の取得を推進するというふうに動いたようなことがあったのかどうかということを一つお伺いしたいと思います。

それから、先ほど上位20社という表があるその下に、受験者が伸び悩んでいる要因が書かれていて、出題範囲が広いということが先ほどからお話として出ておりました。これは確かに、消費生活アドバイザーの資格が他の資格に比べた場合の一つの売りというか特徴なのかと思いますけれども、逆に、それがゆえにいろいろと悩みも抱えておられるということが非常によくわかりました。

その少し下のところに、個人として学習内容の魅力が十分でないとあって、新たな項目を加えるといったマイナーチェンジは行ってきているけれども、必ずしも十分に魅力のあるものになっていないというふうに記述をされているのですが、これは具体的にはどういうことなのか。

つまり、どの程度、科目を変更してきたのか。それから、特に現在課題としてお考えになっていることが具体的にどういうことなのかということをもう少し教えていただければ、大変有り難いと思います。

○菅原専務理事 まず、1点目の保険会社の話なのですけれども、もともと、これは経産省が旗を振ってスタートした資格ですから、最初は、基本的に金融関係の会社はほとんど受けていなかったのです。保険会社は比較的消費者系のところが昔から熱心に取り組んでいたことがあって各社とも消費者志向経営を掲げる中で取組を強化されたのかな、と推測します。

一方で、大手生保会社にしても、そろそろ受験者が減ってきておりまして、これは実は他の登録数上位会社においても言えるのですが、こんなにいい資格があるのでみんなで受けようといって一定層が受けると、枯渇するという言い方は変ですけれども、大体一段落するというのはありますので、いつまでも保険会社頼みということではないのかなと思っており、私どもとしましては、より多くの業界、もっと言えば中小企業も含めて、消費者志向人材の育成ということに広げてやっていきたいと思います。

個人としての魅力がないというのは、若干言い過ぎではあるのですが、今日のお題とは全く外れてしまうのですけれども、もともとは企業と消費者をつなぐという資格ではあるのですが、その知識を、例えば定年後、あるいは定年前も、地域社会の中で役立てられるのではないかと私は思っています。

その意味では、企業にあっても地域社会にあっても活躍できる人材であってほしいと言ってみたときに、今、勉強していただいている内容が、若干、今々のもの、あるいは消費者相談にフォーカスが行き過ぎていて、本来、世の中の趨勢からすれば、例えば介護であるとか高齢者社会の中で、どういうサポートが必要であるかとか、そういった言ってみれば超高齢化社会あるいは定年後に地域社会で活躍するに当たって、あったほうがいい知識がむしろなくて、今々、お電話を受けるような知識が多過ぎるので、その辺りをもう少し、全然がらっと変えるつもりは全くなくて、ちょっとアジャストしたいという思いでございます。

○鹿野座長 池本座長代理、お願いします。

○池本座長代理 池本です。

私は、今の公益通報の内部窓口の人材をこれから全国的に養成していかなければいけないということとの兼ね合いで、この消費生活アドバイザー制度をどういう形で位置付けることができるかなという問題意識で、率直なところをお伺いしたいと思います。

もともと、先ほどの御説明にもありましたが、大手企業でたくさん受験されたところでも、ある一定数に行って、頭打ち感というか、受験者が減っている。以前に、ある大手企業の顧客相談の窓口の方と雑談的な話をしたときに、資格を取って、窓口の体制を作り、あるいは顧客相談の対応マニュアルや一定のところを整備して、あとは経験の伝授によってある程度賄えるという感じで、あとは行政からもそれほど働きかけがないというのもあって、新規の受験者が減っているのではないですかという話を聞いたことがあるのです。

それも忙しい仕事の中で、資格を取るというのは大変だというのはわかるのですが、本当に消費者問題の分野は法制度もどんどん変わってくるし、新しい課題も出てくるので、本当は企業の中でも位置付けて、受けていただきたい。それの最たるものが、公益通報者の担当者を置き、きちんとした窓口体制にしてほしいというところにあるわけです。

そうしたときに、一方では、もちろん公益通報の窓口体制整備義務の中で、こういう資格でなければいけないというところまで、一足飛びに法制度に入れることはできないとしても、一つの推奨のモデルとして位置付けるということもできるのではないか。

ただ、そうしたときに、今の非常に幅広い科目で、直ちにそれを使うものとは違う、消費生活一般の科目があるということですけれども、何らかの制度枠組みとして、これを絞ることはできないという経緯があったのか、それとも、今後の位置付けによっては見直す余地があるものなのか。あるいは、その辺りはこれまで何か議論なさったことがあるのかという辺りについて、差し支えのない範囲で教えていただければと思います。

○菅原専務理事 直接、ここをこう変えますという話を細かく詰めたことはまだございません。

ただ、もちろんこちらをスクラップアンドビルドして、こんなものを加えていきますという議論においては、資格試験との関係もありますので、両省庁とはしっかりやりとりをしながらと思っておりますし、公益通報に関する知識に関しても、今の中ではまだまだ不十分なところもありますから、それを加えていくということは、やらなければいけないと思っております。

ただ、全体のものを更に上乗せしていくというのはなかなか難しいので、役割を終えたものを徐々にスケールアップしながら、加えていくということだと思っております。

それともう一つは、今から受験いただく方はよいのですけれども、逆に、1万2000人の方をどうするかという認識がございまして、一つには、更新講座を受けていただいて、知識をブラッシュアップするということもあるのですけれども、加えまして、メールマガジンを配信しておりまして、法改正の情報や直近の動向等々については定期的に知識のブラッシュアップのためにということで、提供もしておりますので、そういう意味では、更新講座でしっかりお勉強していただく部分と、前、受験いただいたときには全然なかったけれども、今、こんな大事なものができているので、これは知っておいてくださいよという情報を提供する。この2つで新しい人も、既にいる人についても、働きかけをするということは、当協会としては、より積極的にやっていきたいと考えております。

○鹿野座長 樋口委員、お願いします。

○樋口委員 今の池本委員のお話に関連して、率直なところをお伺いしたいのですが、新しい制度としてのお客様対応専門員というのは、純粋に民間の制度ですし、全国いつでもどこでも受験できるということで、幅広い効果が期待できるわけです。しかも試験科目も、消費者問題に絞っているわけですが、他方、消費生活アドバイザーについては、正直に申し上げると、所管省庁が試験科目を決めていまして、所管省庁の試験科目はもうなかなか簡単には直らない。告示事項ですので、相当時間がかかってしまうのです。

現状を考えると、人材養成という観点からは、より多くの方が、大企業だけではなくて、幅広い企業の方々が受験のチャンスがあるということがとても大事だと思うので、例えば公益通報者保護に関連する人材としての素養を養うためにも、例えばお客様対応専門員をもっと活用していただく中で、いろいろ工夫の余地があるのではないか。消費者行政や消費者関連法律という科目もありますので、公益通報者保護に関連した人材養成は、民間ベースでできるのではないかと私は思うのですが。専務の率直な御意見を聞かせていただければと思います。

○菅原専務理事 ありがとうございます。

今、この専門員に興味を持っていただいているディーラーがいらっしゃるのです。要するに、自動車メーカー本体は受けていますけれども、ディーラーが受けるということは今までほとんどなかったのです。そういったディーラー団体に興味を持っていただいて、傘下の販売店に勧めてみたいとおっしゃっていただいていますし、携帯電話会社について言えば、多分、携帯電話の販売代理店があるはずで、そこもいろいろな意味で、消費者問題は本来認識しなければいけないところであるのですけれども、携帯電話会社本体には消費生活アドバイザーはたくさんいますが、大きなところも含めて、代理店にはなかなかいない。

大手損害保険会社の中にも、代理店に受けさせてみたいというふうにおっしゃっていただいていて、その意味では、中小あるいは地方でも受けやすい、ハードルが低い。むしろ、そういう人たちにこそ必要な知識が、今は大都市の大企業だけに限定されている。

もちろん、これはこれで進めるのですが、片や、そういった幅広くあまねくということで言うと、この新資格をどうにかうまく使っていけないかというふうには思っておりますし、現実的に、ある程度そういった要請というか引きも来ているというのが現状でございます。

○鹿野座長 他にいかがでしょうか。

高委員長。

○高委員長 一つは、こういうことはできないかなという意見、希望です。

先ほどのお客様対応専門員というところなのですけれども、特にお客様の窓口のところの専門員を養成するというイメージが非常に強いのですが、私の期待として、他の委員からもありましたけれども、内部統制の仕組みを強化するという意味で、公益通報の窓口に専門性を持った人がついているとか、こういう形で貢献していただけると有り難いと思っています。例えば、もう既に決定しているので変えられないでしょうけれども、消費者志向推進専門員とか、そういう名称にできるのであれば、ある意味で、行政と一緒の方向を目指して進んでいけるという印象が出てくるのですが。

将来的には、仮にそういう資格の名称であるならば、いわゆるコーポレートガバナンスコードとか、ああいったところで内部統制の仕組みをどうやって作っているのか。それを説明せよと求められた時、説明しやすく、投資家も理解しやすいと思います。つまり、コードでは、こういうことをやるのか、やらないのかということで、エクスプレインするのか、コンプライするかということが求められますが、コンプライする内容をうまく伝えることができると思います。

例えば、消費者志向推進専門員を、うちは何人以上配置して、こうやっているという説明もできるわけですが、お客様対応専門員という言葉を使うと、確かに中身はしっかりとしたものだと思いますが、この名称からすると、投資家にも企業にも、お客様対応の専門スタッフというイメージを、かなり狭く捉えて、イメージされてしまう可能性があります。政策側からすると、もう少し消費者志向の推進全般にこれが一役を担うというイメージがあると有り難いと感じています。ですから、名称の変更が可能であれば、お願いしたい。これが1点目の希望です。もちろん、これは希望であって、可能であればということです。

2点目は、先ほど、生保の取組が随分進んで、消費生活アドバイザーの有資格者が増えていったということなのですけれども、同じような背景で考えれば、何故、損保は増えなかったのか。もし説明できるのなのであれば、教えていただけませんでしょうか。

もう一点、最後ですけれども、今、オンラインでのトラブルは結構多くなっています。まだ、オンラインのプラットフォーマーの方々、例えば、アマゾンとかヤフーとか、ああいったところは、こういう専門員を養成しようという動きはないかと思いますが、今後、是非ともそういった事業者にも働きかけをしていただけると有り難いと思っています。

事業者側、販売している側というのは、例えば、アマゾンマーケットプレイスで考えれば、アマゾンが場所を提供している場合、アマゾン自身は、自分が売っているわけではないという立場に立っていると思います。ですから、問題があれば、売っている事業者と消費者の方でトラブルを解消してもらう、というのがアマゾンのスタンスと理解しています。しかし、大体売っている方々は中小企業の方々で、そんな対応部署を設ける余裕はほとんどないわけです。そういう中で、社会的な要請として、オンラインプラットフォーマーの方々にも、取引される方々の苦情を聞く仕組みをきちんと作っていく必要があると思っています。ぜひとも、プラットフォーマーの方々にも働きかけをしていただければと思っております。

以上、3点です。

○菅原専務理事 まず、1点目なのですが、御指摘のところとはまた違った視点で、実はお客様対応専門員はもう少し幅広くしよう、複線化しようと思っていたのです。それは何かというと、途中、今回のテーマとは関係ないですがとお話しした地方公共団体で消費者政策を御担当される方々、志高く消費生活アドバイザーを受けてくださって、しっかり勉強して、仕事に役立てている方もいるのですけれども、そうではない方もたくさんいらっしゃって、普通の人事異動でやってきて、2年か3年、その政策の担当者をやる。その間、そういうことかとわかった頃に転勤してしまうということが結構ありまして、そうすると、最低限、消費生活アドバイザーは無理にしても、消費者問題、行政のところについてはお勉強されてもいいのかもしれないなと思っていて、もともとスタートは企業のフロントをと思ったのですけれども、例えば、消費者政策専門員という名称で、多少勉強する内容を変えて、幸いなことに勉強内容は我々が勝手に変えられますので、入替えを行えば、これは正に企業のフロントの方向け、こういう名称にするときには、地方公共団体の行政担当の方、そして企業のバックの方々については、こういう知識をちょっと多めに入れて、こっちを除いてということで、御提案いただいたような資格の名称でやっていくということは可能かと思っていて、まだスタートしたものが、そもそも200名ぐらいしか受けていない中ではあるのですが、コースが幾つか分かれているというのは有りかなとは思っております。それが1点目です。

2点目の損保に関して言うと、あくまでも個人的な推測ですが、あえて言えば、損保が直接的にやり取りするのは代理店のケースが多いということも。多少影響しているのかも知れません。

その意味では、先ほどの取組のように、代理店に資格をお勧めするということが重要かと思っています。

3点目のオンラインのプラットフォーマーですけれども、これは我々もいろいろな形でアタックはしているのですが、御指摘のように、なかなかアポイントも取れないというのが現状でございます。経産省のほうからも、そういうところほどちゃんと頑張って売り込んでくれとは言われていて、さすがに消費生活アドバイザーというよりは、もう少しハードルの低い資格があるのでということで、営業はかけておりますが、今のところはまだ芳しい反応はいただいていない。

先ほど、文中でも申し上げたように、業績がいいところほど、大事なところになかなか足元がついてこないというのはあると思っていて、でも、そういうところこそ、しっかり勉強してほしいなというのはあります。

○鹿野座長 他にいかがでしょうか。

それでは、今まで質問が出てきたところのつけ足しみたいな質問になりますけれども、伺わせて下さい。13ページの表で、金融保険業、とりわけ生命保険が非常に伸びているということでございました。一方で、黄色のマーカーがついているようなところについては、2008年と2017年を比べても、非常に少なくなっている。もちろんこれは、合格者における比率ということで、単純な数字というわけではないでしょうけれども、4ページの表とあわせて見ますと、合格者数は2008年と2017年を比較すると、それほど大きな違いはないということを考えると、この比率が下がっているということは、単純に数が減っているのだろうとうかがえます。

これの原因といいましょうか、何かあれば教えていただきたいのです。一つは、先ほどおっしゃったように、一通り受けるべき人が受けられた後に、頭打ち現象とか、そういうこともあるのかと思いますが、何か他にございましたら、教えてください。

○菅原専務理事 積極的に取り組んでいただいたところに関して言うと、一巡感がある。ただ、もちろん引き続きお取組いただいています。

もともとそれほど熱心ではなかった大企業もたくさんあって、そういうところはもちろんそのままになっています。

それと、財団法人改革の関係で、経産省からの強いプッシュも少し弱くなっているということもあろうかと思っております。

いずれにしても、裾野をどう広げていくかというのはとても大事なことだと思っていて、消費生活アドバイザーを増やして、何かいいことがあるのかという話が往々にして出がちなのですけれども、これは個別の会社名は申し上げられないのですが、先ほどの上位の会社、メーカーさんとかを見ていただくと、いろいろな意味でしっかりしていらっしゃる。コンプライアンスもそうですし、業績面でもそうです。だから、消費生活アドバイザーがいたからといって、今日、明日何が変わるということではないと思うのですが、やはり企業の中での文化といったものが、ベースとしてでき上がっていくことが、安定的な業績にもつながりますし、不祥事の少なさにもつながっているのではないかと認識しています。

だからといって、少ないところに不祥事が多くなりますよなどという言い方はできませんけれども、そんな体質改善も含めて、こういった人たちを徐々に増やしていくことは絶対に必要だと思っていますし、先ほど言ったことの繰り返しになるのですが、今時、消費者志向と言わないトップはいないと思うのです。実際、みんな本気で言っていると思うのですけれども、もっと一般の人たちがそういう思考を少しでも持っていく。そういう人たちがじわじわと増えていくことが、企業自体の方向性を、正しいほうに導いていくためには絶対に不可欠だと思っておりますので、営業面も含めて、当協会としてもやるべきことはしっかりとやっていきたいと思います。

○鹿野座長 ありがとうございました。

先ほどのお話ですと、やはり政府が、ここだけというわけではないでしょうけれども、こういう資格などをとって、コンプライアンス体制を充実させるということを呼びかけることに意味がありますか。

○菅原専務理事 こちらだけではなく、いろいろな資格がありますから、いずれにしても、そういった消費者関係の資格あるいは勉強する機会を呼びかけていただくというのは、非常に有益だとは思っております。

○鹿野座長 山本委員、お願いします。

○山本委員 今日の話と直接は関わらないところではあるのですけれども、先ほど自治体の消費生活相談員ではなくて、消費者行政に関わっている職員の方に、もう少し受験をしてもらえないかという話がございましたが、現状では、数としてはそういう方はどれぐらい受験をされているのかということが、大体でいいのですけれども、もしわかれば教えていただきたいと思います。

あとは、意見なのですけれども、確かに私も実は自治体の職員のための民間の試験に少し関わっているのですが、それがかなり受験者が増えてきている。ただ、先ほどテキストで、特に消費生活アドバイザーは9冊と。

○菅原専務理事 今は5冊です。

○山本委員 そういうお話がございましたけれども、その試験に関しては1冊で済むのですね。

その辺りは、どれぐらいが適正かというのはよくわからないところもあるのですけれども、恐らく普及をしていくためには、いろいろな工夫が必要になってくるのかなと思います。

多分それは、今のテキストの冊数だけの問題ではないと思いますので、その他にもいろいろなやり方というか課題があるのかなと思いますけれども、いずれにいたしましても、そこのところは今後も非常に重要になると思いますし、潜在的には自治体の職員の方は非常に勉強熱心な方も多いですので、潜在的には、もっと受験者を増やすということは可能なのではないかと、これは感想なのですけれども、思います。

○菅原専務理事 今年度の受験者に関して言いますと、地方と分けていないので、国も含めてなのですが、230名の申請に対して116名ということですから、50%ほどがいらっしゃるということです。

ただ、もちろん地方公共団体も含めて、消費者行政にかかわっている方の全体の人数からすると、多分、極めて不十分なのだろうと思っております。

そういう意味でいうと、新たなお客様対応専門員も、名称の変更も含めて、あるいは学習内容の変更も含めて、特に地方でたまたま人事異動で来たといった人たちが、簡単に、しかもコンパクトに、大事なことだけ勉強できるようなものにしていくというのは、一つの課題としては認識しております。

○鹿野座長 私からもあと一つお聞きしたいと思います。

新しいお客様対応相談員の制度について、これは始まったばかりなので、今から改良をしていく余地があるということで、コース分けをしたりとか、それに応じて名前についても工夫をしたりというアイデアも先ほどから出ていたところです。この相談員の知識等の更新はいかがでしょうか。先ほど消費生活アドバイザー資格試験については、更新制度をとっていて、しかも更新のための講座を受けていただくということになっており、それから、それは5年ごとということではあるけれども、更にメールマガジンを使って、その間にも新しい情報をキャッチしていただくような仕組みを設けているのだというお話でした。

御指摘のとおり、消費者問題というのは日々新しいものが出てきますし、法律や制度も新しくなっていくので、5年に一度という機会も必要だし、その間の知識等の更新も非常に重要だと考えているところです。

新しいお客様対応相談員については、そういう知識を更新するという機会はあるのでしょうか。

○菅原専務理事 専門員のほうも、ちょっと内容を変えて、メールマガジンで新しい情報、消費者庁の情報や法律改正の情報などについては提供し始めております。

ただ、更新制度というものは、そこまで本格的にやっておりません。先ほど見ていただいたような講座については、専門員の方でも受講が可能だという仕組みは作りましたので、意欲的な方はどんどん勉強していただければよろしいかと思いますし、そこで刺激を受けて、消費生活アドバイザーにステップアップしていただければいいのかなと思っています。

いずれにしても、先生がおっしゃったように、日々変わっていくものについては、タイムリーに情報を提供していくことが大事だと思っておりますので、消費生活アドバイザーに限らず、専門員についても情報提供はして参ります。

○鹿野座長 ありがとうございます。

他にいかがでしょうか。

それでは、本日の検討はこの辺りにさせていただきたいと思います。

菅原専務理事におかれましては、お忙しい中、御出席いただき、御説明をいただきまして、どうもありがとうございました。


≪3.閉会≫

〇鹿野座長 本日の議事は以上となります。

最後に、事務局から事務連絡をお願いします。

○坂田参事官 本日も長時間に渡りまして御議論をいただきまして、誠にありがとうございました。

次回の日程につきましては、改めて御連絡をさせていただきたいと思います。

以上です。

○鹿野座長 それでは、本日はこれにて閉会とさせていただきます。

お忙しいところ、お集まりいただきまして、どうもありがとうございました。

(以上)