第17回 消費者法分野におけるルール形成の在り方等検討ワーキング・グループ 議事録

日時

2019年2月4日(月)12:59~14:30

場所

消費者委員会会議室

出席者

【委員】
鹿野座長、池本座長代理、高委員長、樋口委員
【事務局】
二之宮事務局長、福島審議官、坂田参事官

議事次第

  1. 開会
  2. 取りまとめに向けた検討
  3. 閉会

配布資料 (資料は全てPDF形式となります。)

≪1.開会≫

○坂田参事官 本日は、皆様、お忙しい中をお集まりいただき、ありがとうございます。

ただいまから「消費者法分野におけるルール形成の在り方等検討ワーキング・グループ」第17回会合を開催いたします。

本日は、所用により、山本委員が御欠席、樋口委員が遅れての御出席と御連絡をいただいております。

議事に入ります前に、配付資料の確認をさせていただきます。

お手元の議事次第に配付資料を記載しております。

不足がございましたら、事務局までお知らせいただければと思います。

それでは、鹿野座長、以後の議事進行をよろしくお願いいたします。


≪2.取りまとめに向けた検討≫

○鹿野座長 それでは、本日の議題に入らせていただきます。

本日は、前回に引き続き「取りまとめに向けた検討」を行いたいと思います。

これまで中間整理後の議論を踏まえて、今後の進め方について議論を行ってまいりました。

特に今年に入って、更に深掘りが必要と思われる論点として、第1に事業者の取組を促す仕組みづくり・コンプライアンス体制整備、第2に民事ルールと行政規制の役割分担、第3に適格消費者団体の権限の強化・充実という3点について検討を進めることになりました。

前回までの会議において、まず第1の事業者の取組を促す仕組みづくりについて、高委員長から御報告をいただき議論を行いました。また、第2の民事ルールと行政規制の役割分担につきましては、河上教授から、先日、御報告をいただき、議論を行ってきたところであります。

本日は、第3に掲げました適格消費者団体の権限の強化・充実について、池本座長代理に御報告いただきたいと思います。

池本座長代理には、まずは20から30分程度で御説明いただいた上で、意見交換を行いたいと思います。

それでは、池本座長代理、よろしくお願いします。

○池本座長代理 池本でございます。

貴重な報告の時間をいただきまして、ありがとうございます。

適格消費者団体、特定適格消費者団体の役割とその制度について、さらに見直す必要があるのではないかという問題意識でレジュメをつくってまいりました。あれもこれもいろいろ書き込んでいますので、前半部分は本当に確認的なところだけにして、後半の課題のところに絞りたいと思います。

まず、適格消費者団体は、消費者契約法13条に(1)から(7)という形で要件が記述されております。特に(3)にあるように、業務を適正に遂行するための体制が整備されていること。その中でも、特定の事業者・業界の支配下にないこととか、(6)にありますが、その業務を適正に遂行できる経理的基礎も必要だという、あくまで独自の運営で進めてくださいということが基本になっております。

その適格消費者団体による消費者団体訴訟制度、差止請求の制度ですが、2ページ目にありますように、消費者契約法、景品表示法、特定商取引法、食品表示法という4つの法律についての主な規定、これは細部に渡る行政規制の条文まではありませんが、取消権がある、あるいは罰則がある、消費者の判断をゆがめるような規定に絞って差止請求権が与えられていることになります。しかも、(3)マル1にありますように、いきなり訴訟提起ではなくて、事前に書面による差止請求を行うこととなっていますので、まずは書面で差止請求をして、事業者の自主的対応を促す。それでも応じない場合、訴訟提起に至るという形となっています。しかもその差止請求に関連して財産上の利益を受けてはならないとなっていて、これが財政運営上の課題につながっているわけです。

こうした適格消費者団体の性質あるいは差止請求の性質ですが、これは民事訴訟の手続を通じて市場における違法行為を排除するというところで、行政機関ではない民間の団体である。その意味で、行政機関が行う行政処分とは、決して下請あるいは委任関係というものではなくて、消費者が消費者の視点で市場を監視するという役割であります。また、行政庁のように、自らが情報収集して、自ら判断し決定を下す、命令を下すというものではなくて、民事訴訟を提起して、裁判所が消費者・事業者双方の主張を踏まえて判断をするという形をとっているということです。ただ、そうはいっても、マル4にありますように、社会的な機能として言えば、市場の中での違法行為を排除する。そして、公正な市場を実現するという意味では、官民がそれぞれ役割分担のもとで一定の目標を達成するという公的な性質も持っているのだと言うことができると思います。

行政庁と適格消費者団体との役割分担ということでいうと、景品表示法、特定商取引法、食品表示法については、行政処分権限もあります。消費者契約法は専ら適格消費者団体だけです。両者の違い、ポイントとしては、報告徴収とか、立入検査とか、あるいは合理的根拠資料の提出要求、みなし処分ができるといった非常に強力な権限が行政庁にはあるのに対して、適格消費者団体にはそういうものがない。他方、国と都道府県に権限がある場合、都道府県はその区域内での違法行為の排除をするという権限にとどまりますが、適格消費者団体はそういう権限の枠組みではありませんので全国に効力が及ぶ。そういった2つの制度上の違いで、これが後の役割分担にも影響してくるのだろうと思います。そのことを具体的にどういうふうに見ていくかということは、(3)に少しまとめておきましたが、悪質業者のような事案については、行政庁が立入検査・報告徴収あるいは合理的根拠資料の提出要求ということで、行政処分に適するだろうと思います。地域内でトラブルが集中するものも都道府県が行うということでいいと思うのですが、インターネット取引のように全国に平均的に被害が発生する、虚偽誇大広告、不当表示、特商法あるいは景表法でやるという、これはむしろ適格消費者団体に適するのかなと思います。ただ、不当表示といっても、商品の品質・効能効果についての優良誤認表示は、適格消費者団体には合理的根拠資料の提出要求がないために、なかなか取り扱えないということが現状だと思います。

適格消費者団体は、現在、19団体があります。一つ一つ紹介するのは省略しますが、この中には、100万人に満たない自治体あるいは100万人を若干超える自治体、中小規模のところも設立して頑張っているところもあります。他に認定を目指す団体が全国に12地域あります。もちろんまだグループとして動き出したばかりのところとかなり煮詰まっているところもありますが、12団体が目指すことを表明している。ただ、なかなか現実に認定を受けるまでにはハードルが高いということも聞き及んでおります。

差止請求制度ができて10年を超えていますが、裁判外の申入れを含めて450件を少し超える。そして、訴訟提起に至っているのは53件である。これは、昨年3月末時点の消費者庁の消費者白書からとった数字です。こうやってみますと、9割近い案件は裁判前の申入れで事業者が自主的に改善をしている。これは、ある意味、制度目的からしても非常に望ましい姿になっているのではないか。訴訟を起こすことが主眼ではなくて、少しでも早く事業者がしかも自主的に改善をしていただくことが適切なのだろうと思います。

事案を一つ一つ紹介することは避けますが、いずれも比較的少額で、一人一人の消費者が訴訟提起などの行動をすることは困難であるけれども、被害の拡大防止・再発防止のために適格消費者団体が役割を果たしているというものと、マル3の事案は、以前からこういった広告はあったけれども、解釈上、不当表示に該当するかどうかなかなか明確な判断がそれまでなかったところ、思い切って訴訟にまで至って、裁判所から積極判断が引き出されたという役割もあるのだろうと思います。

こういう非常に社会的にも有益な適格消費者団体ではありますが、課題の真っ先に書いておきましたが、この差止請求の活動をやればやるほど赤字になるという非常に苦しい課題があります。専ら被害の未然防止ということで、適格消費者団体には会員からの僅かの会費収入以外に安定した収入は残念ながらありません。現実に、各地の団体は、弁護士とか、司法書士、消費生活相談員などの専門家も一緒になって議論し、申入れなどの活動をしていますが、いずれも手弁当でやっているということが基本であります。本来的に言えば、消費者あるいは事業者から、こういった社会的に有用なものについて財政的に寄附などで支援されればということが望ましい姿ではありますが、この制度を開始した当初、消費者支援基金というものが発足したのですが、残念ながら数年で資金が枯渇して解散したという経緯があります。2017年に、後でお話しする集団的被害回復制度がスタートをする時期に、消費者スマイル基金というものが発足して、現在も寄附を募り、少しずつ各団体に支援をしていますが、なかなか寄附が集まらなくて、ごく僅かの財源で何とかやっているというところで、今のこの状態のままではなかなか継続が難しいのではないかということを言っている、非常に深刻な事態にあります。

本来であれば、不適正な事業活動を排除するということは、適正にやろうとしている一般の事業者にとってはプラスになることで、大いに支えていただきたいところなのですが、残念ながらそういう社会の流れになっていないというところがあります。

他方で、地元の行政と連携して活動を支援していただけないかということを、議論してきているところです。特にこの消費者委員会の平成27年8月の調査報告書でも、これは「行政のスリム化のための官民連携」ではなくて、市場における消費者の役割を強くする、交渉力を充実・強化するために、行政が仕組みをつくって、設立を働きかけ、効果的な連携を図るという意味で、適格消費者団体を位置づけるべきだと。だとすれば、積極的に財政支援をしてよいのではないかという提言をしているところでもあります。また、現実に活動してみた実感としても、適格消費者団体が活動するのは、地元の消費生活センターで同種の苦情が多発して何とかしなければいかぬというときに、情報提供が消費者からあり、差止請求につながるということで、適格消費者団体が熱心に活動しているところは、ある意味、消費生活センターの相談処理解決の機能も向上する。まさに地元における官民の協働によって、消費者行政も充実していくというところがあります。これまで、そういうことも踏まえて、地元自治体から消費者行政推進交付金による設立支援があったり、設立後も地方自治体あるいは最近は消費者庁からも適格消費者団体に対する一定の委託事業を出すという形で間接的に支援していただいているものもあります。ただ、この委託事業は、その本業と違うと事業をやる中で若干の手数料的な収入が入るというもので、体制がないところはなかなか大きな委託事業も受けにくいとか、非常に悩ましいところがあります。

そうは言っても、「今後の課題」に書きましたが、先ほど申し上げたように、行政の下請としての差止請求ではない、消費者独自の目線で独立性を確保しながら動いていくということだとすると、行政から何でもかんでも全面的な財政支援ということは決して本来的なものではない。だとすると、基金などを通じて社会の中で持続的な財源確保をしていくことが本来は望ましいという2面性のある立場になります。

そういうことを踏まえて見ていきますと、適格消費者団体について、まず、設立段階の支援として、従来は消費者庁の政策目標の中に全国8ブロックに設立を推進するということが目標として明示されていました。これについては、愛媛県に設立されたということで目標は達成しましたが、次の目標は必ずしも明確になっていません。本当はまだ設置されていないところへ次々とつくっていくことが望ましいことですが、そのためには、まず、それぞれの地域で、弁護士、司法書士、消費生活相談員の専門家と、地元の消費者団体で、持続的なネットワークの活動基盤がなければ、決してお金だけ準備すればできるというものではありません。そうなってくると、それぞれの地域の実情に応じてどのぐらいの時間軸で支援し、設立を目指すかということについて、それぞれの実情に応じた支援を検討していただく必要があります。最近、神奈川の適格消費者団体のように、活動の拠点として地元自治体が場所を提供してくれるという非常に望ましいケースもあります。そういう形で、単にお金だけではない、いろいろな違う形での活動支援も考えていく必要があるのだろうと思います。あるいは、情報面での支援という意味で、PIO‐NETの端末機を団体に配備して調査分析を迅速にやっていくということも必要ですし、もう少し中長期で考えていくと、全国の適格消費者団体が共通の何かポータルサイトのようなものをつくって、消費者からもどこへ情報提供をすればいいのかということが非常にわかりやすくなっていくといいのかなと。あるいは、そういった適格消費者団体全体のいわば連合会的な組織があれば、そのポータルサイトの運営主体であるということはもちろんですが、もっと各団体の日常的な連絡調整を通じて、各団体の運営能力も向上するし、場合によっては全国的な事業者団体との対話の主体にもなる。消費者の利益代表として意見表明をするとか、あるいは、後でお話しする集団的被害回復制度の通知・公告などについても支援をするとか、何かそういったもう一回り大きな組織立てを考えていく必要があるのかもしれません。

権限の問題については、特に今、力を注いでいる、全国的に広く起きている通信販売に関する差止請求について、広告表示義務とか、あるいは指示対象行為としての申込画面の設定の不適正なものの違反について、権限に加えられないかという議論もあります。ただ、インターネット広告の場合は、本当に1カ月・数週間の単位で広告がぐるぐる変わりますので、行政の場合には、景表法の措置命令については、当該違反行為が既になくなっている場合でも措置命令をすることができるという規定があるのですが、適格消費者団体の差し止めにはこういう規定がない。違法行為に対し違法であることを宣言し、再発を防ぐという意味では、そういったあたりも課題なのかもしれません。あるいは、品質に関する事案について取り組むことが困難であるとなると、合理的根拠資料の提出要求に準じた、これはみなすというよりは推定規定ということになるのかもしれませんが、そういうものもあるともっと幅広く取り組むことができるだろう。適格消費者団体でよく問題にしているのが、平均的損害額を超えるものが無効という違約金条項について平均的損害額の立証責任を事業者側に転換する、あるいはそういった資料の提出を要求できるという規定も必要であるとか、さまざまな課題があります。

それから、ちょっと急ぎますが、8ページで、今度は特定適格消費者団体、集団的被害回復制度に関してです。これも制度の枠組み、2段階の訴訟制度であるというあたりは、後でお読み取りいただくということでお願いしたいと思います。

制度発足以来、2年を経過しております。現在、3つの団体が認定を受けていますが、2年強たった現在で、訴訟提起はようやく1件、暮れに提起されました。ただ、それとは別に裁判前の申入れによって事業者の自主的返金という対応を引き出したという事例が関西でもあるいは関東でも既に起きております。

これは「5 評価と課題」のところで書いておきましたが、裁判外の申入れで自主的返金という動きが始まることは、消費者にとっては最も早く被害救済の道につながるという意味では、好ましい解決の姿だろうと思います。差止請求でも9割方が事前の申入れで自主的な改善を図るのと同じように、被害回復についても自主的な対応というのは望ましい姿であろうと思います。ただ、特定適格消費者団体には、事業者が自主的に返金というのはどういう文書でどの範囲の人に連絡をしているのか、あるいはどういう要件で返金の認定をしているのかとか、その後の実情を把握する手だてがないわけです。報告してくださいといっても、あくまで任意に、報告してもらえるかどうか、あるいは自主的にやっているという言葉で待つしかないというところです。このあたりのフォローアップができることになれば、自主的返金ということの機能ももっと明確になっていくのかもしれません。それと、最後のページにありますが、自主的返金で進めていくということは、特定適格消費者団体には第2段階の被害回復を通じた団体への収入はもちろんありません。となると、集団的被害回復制度についても、社会からのあるいは行政からの財政支援の問題は引き続きテーマとしてあるのだということです。

あと、マル2のこともちょっと申し上げておきたいと思うのですが、例えば、一昨年から昨年に起きたジャパンライフ事件が社会問題になったときに、こういう事件を特定適格消費者団体が取り上げないのですかと聞かれたことがあります。しかし、第1次訴訟をやっている間に、あるいは第1次訴訟の結果、倒産してしまうような事業者というのは、これはもともとこの制度ではカバーできないわけです。第1次訴訟で判決が出て、第2段階で被害者の債権届を求めて、そして、事業者から返還を求める、それを配分するという仕組みですが、ジャパンライフのような案件は、第1段階で、違法である、返金が必要だという共通義務確認の判決が出れば、これは完全に破綻しますから、むしろ、この手続、プラス、例えば、破産申立権限を加えたらどうかとか、制度的な措置を講じないと、こういった悪質商法型のものについては着手のしようがない。ただ、破産申立といっても、何百万とか、1000万、2000万という予納金がかかりますから、そういう手だてのことも含めて考えていかなければいけないし、あるいは、保全命令、仮差押命令をするため、資産状況をどこにどう財産があるのかということを情報収集する手だてもない。その意味では、非常に悩ましい。いろいろな関連する制度の検討も必要であるということになります。

そういった中で、資産が乏しいところについても、最終的には破産申立も検討していただく必要がありますが、回収可能性が低いものについては、第2段階の通知・公告の手続を少し軽減して負担を軽くするとか、あるいは、店舗取引のように、どの範囲に被害者がいるかわからない、事業者としても自主的な返金をしたくてもわからないというようなときに、一定額を基金などに納付するという方法を選択できるようにすれば、先ほど申し上げた適格消費者団体の持続可能な活動にもつながるのかなと、このように中長期的な課題も含めて考えると、さらに検討していただく課題があるのだろうと思います。

以上です。

○鹿野座長 御説明ありがとうございました。

ただいまの御説明を踏まえまして、御質問、御意見のある方は御発言をお願いします。

いかがでしょうか。

高委員長。

○高委員長 感想ですけれども、適格消費者団体、特定適格消費者団体に関係するいろいろな課題を包括的に整理していただいて、大変有り難いと感じました。

恐らくこれから報告書の中にこの内容を盛り込んでいくことになると思うのですけれども、私の解釈では、池本委員長代理がおっしゃりたかったことは2点なのかなと思っていまして、一つは、財政上の課題、要するに、持続可能な仕組みにするにはどうしたらいいのかという御指摘を、具体例を挙げて説明されたと理解いたしました。もう一点は、こういった団体が活動できる、より効果的に活動できるように、特に行政の資源がかなり限られてくる中で、より機能的に活動してもらうためにはどういった権限が必要なのかという課題も明確にしていただいたと思います。

ですから、報告書ではできるだけ今日いただいたこの報告の内容を盛り込んだ形で、今後の委員会活動の大きな柱にしていっていただければ有り難いなと思いました。

○鹿野座長 今のは感想ということで、お答えを求めるということではないのですね。

○高委員長 はい。

○鹿野座長 わかりました。

大きく2つの点について、詳しく御説明、御報告いただいたと私も思っておりますし、報告書にできるだけそれを組み入れていくことができればと考えているところですが、若干私からも質問させていただいていいですか。

まず、第1点の財政上の課題についてです。既に適格消費者団体にもお越しいただいていろいろとヒアリングをしましたが、そこで伺ったところも含めて、財政上の課題は非常に大きいのだろうと思っているところです。質問といいますのは、例えば、これは国によっても違いがあるのですが、ずっと前にイギリスに行って消費者団体の調査をしたことがございまして、そこでは、消費者に役に立つ冊子とかをつくって、それを販売するあるいはそれを会員になった人には配付するという形とか、あるいはもう少し充実した書物をつくってそれを販売するということをやり、それがかなりの収入になっているのだという御説明をいただいたことがあります。

そこで、日本ではなかなかそういうことができにくいというのは、制度上の問題でしょうか。それとも、事実上の問題があるのでしょうか。まず、その点を聞かせてください。

もう一つあるのですが、それは後ほどということでよろしくお願いします。

○池本座長代理 御質問ありがとうございます。

広報などについて、それが消費者団体の財源になるというのは以前から聞いておりますし、私も、フランスに日弁連で調査に行ったときに、そこでも非常に大きな収入源だということを聞きました。

ただ、例えば、商品の選択や情報について、有償の雑誌のようなもの、定期購読の雑誌を買う人がたくさんいて、そこが収入源になるという形は、我が国でも以前から「暮らしの手帖」とか、幾つかの団体で頑張ってこられたことがあるのですが、なかなか残念ながら広がってきていないということが実情で、これはただ頑張りの問題だけではない、我が国における一つの流れなのかもしれません。

特に我が国は消費生活センターが非常に普及していますから、トラブルがあったら行政の窓口へ行って助言を受けたり情報収集をするという流れが非常に強く定着しているということが、逆に、適格消費者団体に情報提供をする、あるいは適格消費者団体から情報を得るという形になっていないという意味では、一朝一夕に変わる問題ではないのかなと思います。

ただ、そうはいいながら、別の観点で、行政が地域の消費者向けに、例えば、リーフレットをつくったり、注意喚起の冊子をつくるというときに、適格消費者団体に委託事業としてそれを出して、弁護士、司法書士、消費生活相談員という、消費者問題の専門家と法律問題の専門家がいるわけですから、そこで中身づくりもして出していくことになれば、まさに人的な資源も使い、行政の広報の活動の一端を担うという面では、各地でも積極的に取り組んでいるところが多いと思います。

○鹿野座長 ありがとうございました。

もう一つお聞きしたいのですが、適格消費者団体が、この制度が設けられたその目的に沿うような形で機能を発揮できるような権限というところについても、複数の具体的な御指摘をいただいたところです。

それについて2点お伺いしたいのですけれども、一つは、レジュメでいきますと7ページのところで、品質等に関する合理的根拠資料の提出要求権を設けるべきではないかという点についてです。これについては、現在行政にはそのような権限があって、適格消費者団体にはないということで、ただ将来的にも、適格消費者団体について、行政のように、事業者がこれを提出をしなかった場合には優良誤認表示とみなすというようなみなし規定は難しいかもしれないけれども、推定規定という形でここに設けることについては検討の余地があるのではないかということでありました。これを設けることの正当化材料といいましょうか、根拠を何に求めたらいいのかということについて、私自身もいろいろと迷っているところがありまして、お話を伺えればと思っているところです。

一つは、最初のほうで言っていただきましたように、この適格消費者団体による差止請求の制度は、あくまでも民事的な手続によるところの民事的な請求権と位置づけられてはいるのだけれども、しかしながら公正な市場を実現するという公的な役割が担わされているのだということで、そのあたりからこのような推定規定が導かれることになりましょうか。何か他にありましたら教えていただきたいと思います。もう一つ、同じく権限に関してあるのですが、分けたほうがいいですか。

○池本座長代理 今の点だけ。

非常にポイントを突いた大事な御質問をありがとうございます。

もちろん推定規定を入れることによって、証明しやすくなる、負担が軽くなる、あるいは立証がしやすくなるということが、結論と言えばそうなのですが、単にそれだけではなくて、現在、既に行政庁による調査については合理的根拠資料を提出しなさい、しかもこれは相当期間内にというので、行政解釈では、半月、15日程度をめどに合理的根拠資料を提出しなさいと。提出がなければ、合理的な裏付けがないまま、一定の表示をし、販売していたことそのものが不適正な活動である、不当表示であるとみなして処分をするという非常に厳しいものが既にあるわけです。

言葉をかえれば、事業者たるもの、その表示をして販売活動をする以上、裏づけは当然持っているはずだし、それだけの責任を負うということが既にルールとして何年か前から定着してきているのだと。だとすれば、適格消費者団体が不当表示と目されるものについて調査をし、改善を求めるときに、特に商品の品質、効能効果に関する限りは、事業者側に合理的根拠資料が本来備わっているはずであると。それを出してくださいということを市場の改善監視の役割を果たすためには、同じような権限があっても、事業者に対して全く新しい負担を課すことではないはずです。ただ、行政処分の場合は期限を切って、そこで処分という結論を下すためにみなし規定ということになりますが、適格消費者団体には差止請求訴訟を出し、そこで双方の主張を聞いた上で裁判所が判断するという、時間軸が全然違いますので、これはみなし規定ではなくて推定規定になるのであろうと思います。

そうなった場合、適格消費者団体は、資料が提出されて、これが合理的なものなのか、あるいは反証の可能性があるものなのかといった見極めをしなければいけません。もちろんその商品の品質、効能効果というのは、法律専門家あるいは消費生活相談員ですぐにわかるわけではありませんから、一定の専門家の助言なども受けなければいけない。その意味で、この規定が入ったから急に何でもかんでもやれるというのではなくて、それなりの協力体制がなければ簡単に使えるものではないのですが、これが入ることによって、品質、効能効果に関しても、もう一歩、積極的に取り組んでいけるのかなと。そして、事業者に対しても、特に過大な負担が新しく出てくる問題ではないと考えています。

○鹿野座長 ありがとうございました。

権限問題のもう一つの質問なのですが、レジュメで言うと10ページのところで、マル2に書いてあるところに関しての質問です。

特にジャパンライフを例にとって御説明いただいたのですが、この訴訟を起こしても、結局は被害救済につながらないということが懸念されるような事態があると思います。そして、そういう場合も念頭に置きながら、一方で行政機関による破産申立権限あるいは財産保全ということと、違法収益?奪ということも検討する必要があるし、さらには、イのところで、特定適格消費者団体に破産申立権限を付与することを検討してはどうかということで問題提起がなされました。

この破産申立権限についてなのですが、既に一部の法律には、例えば、金融商品取引法のように、監督官庁による破産申立権限が設けられている、規定されているものがあるのですが、ここで特にイで御提起いただいている破産申立ての対象はどういう形で考えていらっしゃるのでしょうか。今までのつくりでいうと、監督官庁による破産申し立て権限も、広く被害が発生拡大する恐れがあるような特定の事態を捉えて、それを対象とした破産申立権ということで、対象がある程度限定されていたと思いますが、そのような限定がまずいのではないかという御指摘も含んでいるのでしょうか。あるいは、現在の限定がどうかというのはともかくとして、これを設けるとしたら、ある程度の限定が必要であるというお考えはお持ちなのでしょうか。もちろん要件的には当然のことながら一定の限定が必要だとは思うのですが、対象としてどのようにお考えなのかというのが一つです。

もう一つ、行政によるそういう権限は例もあるということではありますけれども、これを特定適格消費者団体に付与することについては、もしかしたら異論が出されるかもしれません。そこで、これについて、どういう根拠でこういう権限を消費者団体に付与することが正当化されるとお考えなのか、その2点についてお聞かせください。

○池本座長代理 これも非常に理論的な面と実質的な面の両方の面で大変難しい、しかし、今後の課題としては大変重要な論点だろうと思います。

行政庁が破産申立権限を持つべきだという議論については、たしか平成25年ころでしたかね。消費者庁でもその議論があって、中間報告的な取りまとめが出ています。行政庁が破産申立権を持つというのは、行政庁は、消費者の代理人では決してありませんから、制度の根拠としてまさに被害の拡大防止という公益的な意味で設ける制度であると。金融庁が破産申立権を持つのは、その金融システムの混乱を回避するためにという公益的な意味があるからだと、そういう説明づけで、金融庁には金融商品取引業者について破綻状態に近いものには破産申立権を付与するという規定があります。

消費者庁の場合、そこをどういう説明づけにするか。その説明づけとの兼ね合いで言うと、被害の拡大防止という公益的な意味で設けるというので、例えば、多数消費者財産被害事態という消費者安全法にある最終的な場面で権限を発動する。そういう事案について破産申立権を与えてはどうかと、そんな議論があっただろうと思います。

そのことと比べれば、特定適格消費者団体が集団的被害回復制度を用いる場合の最終段階で破産申立権を付与するというのは、実質的な面でも、あるいは理論的な面でも、それよりもハードルは低いのだろうと私は思います。なぜなら、特定適格消費者団体はまさに多数の消費者のいわば代表として共通義務確認訴訟を起こすという立場です。その共通義務確認訴訟の第1次判決は、まさに多数の消費者に対して金銭を返還すべきだということを、結論として命令ではありませんが、その義務の中身からすれば、多数の消費者に返還義務が発生する共通の論拠、違法性を示してくれるわけです。

だとすると、それに該当する消費者に対する返還義務が、まだ抽象的レベルだけれども、人数は特定していないけれども、その範囲内では、まさに債務が発生している。そのことを確認するのが特定適格消費者団体の第1次訴訟ですから、それで判決が出れば明確に司法の判断で義務が発生している。人数とか金額の確定ではないけれども、発生している。

他方で、事業者がいろいろな事業をやっている中の一つで違法なものがあり、それについて返還すべきだという場合には、破産に至るものかちゃんと運営しながら返せるのかという、そんなものに何でもかんでも破産申立権を与えるという意味では毛頭ありません。ジャパンライフがそうでしたが、これが唯一最大の事業である、それについて違法な事業活動であるということが第1段階で判明すれば、これは破産以外にないわけです。

最終的に、これは違法性が確認されれば破綻以外の道がないという案件について、着手ができないというのは非常にもったいない話なので、その意味で共通義務確認訴訟を提起する。あるいは、その審理をしている中でほぼ明らかになって、事実上破綻して支払不能になっていく、例えば、不渡りを出すとか、給与を遅滞するとかとなっていけば、そこで第1次訴訟の判決まで出なくても、事実上、違法性についてほぼ推定できるところまで来たし、現実の経営も破綻してきているとなれば、その段階で、まさに消費者全体、被害者全体の代表として破産申立をする段階にあるのではないかと、そういうような意味で、特定適格消費者団体の破産申立権は、理論的にも事実的にも、むしろ行政庁よりは説明づけとしてはハードルが低いように私は感じています。

○鹿野座長 もう一つ、今のことに関して確認ですが、そうしますと、今、共通義務確認訴訟との関係で御説明いただいたことからすると、消費者裁判手続特例法の対象となっているようなものについては、広く対象になり得ると。もちろん一定の要件のもとでということにはなるでしょうけれども、そういうお考えと理解してよろしいですか。

○池本座長代理 そのとおりだと思います。少なくとも第1段階の共通義務確認訴訟を出して、共通義務としての争点があり、その審理が妥当であるという入り口での審査がクリアをするような争点があって、これで一定の結論を得れば、この事業者に関する消費者の相当数について共通の違法性が認定できるというものですし、しかも、それについて、今度は審理の段階によって、破産申立が認定できるかどうかは支払い不能なり債務超過を今度は破産の裁判所が認定しますから、それに見合う段階にあるかどうかは、今度は破産申立の段階での見極めになると思います。

○鹿野座長 ありがとうございました。お考えが大分私の中でクリアになってきました。

座長でありながら質問ばかりして恐縮でしたが、他にご質問は。

樋口委員、お願いします。

○樋口委員 池本座長代理から、適格消費者団体と特定適格消費者団体の現状で掲げる課題について、的確な整理をしていただきました。ありがとうございました。

私自身も、今、適格消費者団体を目指す団体をやっているので、ここにお書きになられたことについては、一つ一つ実感が湧くわけですけれども、特にこの場で申し上げたいことは、そもそも論になるわけなのですが、適格消費者団体というのはどういう位置づけの団体であるのかということを明確にしていく必要があるのではないかと思っております。

池本委員からお話がありましたところでは、単なる国や自治体の代理を務めるというような団体ではないということで、その適格消費者団体自身が独自に判断をして、新しい判例を築くこともありますし、いろいろな形で社会に貢献していくこともあるということだったかと思います。他面において、そもそもの法律上の位置づけも考えても、公益的な性格があることは間違いがないし、公益的な性格に関して権限を与えられているわけですから、私は法律には疎いので法律論ではありませんが、マーケットにおいてどういう役割を果たしていくのかということについて、考え方をこの際に整理しておくことも大事ではないかと思います。

その上で、私自身の理解を申し上げますと、適格消費者団体というものは、諸外国の制度をどう見るかですけれども、基本的には消費者団体が活発な活動をしている中においては、この制度は、ある意味、非常にうまく機能する可能性がある制度として設計されているのではないかと思うのですね。

ところが、日本の消費者団体の活動あるいは地域での消費者問題の取組を見ますと、さまざまな制約があって、せっかく活動しようとしてもうまく進まない部分があるということだと思うのです。特に財源問題が大きな問題ではないかと。

済みません。話が長くなってしまいますが、最後に質問しますので。

その財源問題の中では、消費者団体が自主財源を確保していくこと自体がそもそも非常に難しい状況があるのではないかと。これは、私が若干いろいろ研究しています寄附の問題でも、日本の企業の寄附あるいは個人の寄附の在り方ということの現状を考えますと、例えば、寄附財源に頼っていくというのはなかなか大変である。今、お話が座長からもありましたけれども、諸外国の例として、冊子の収入とか出版物の収入という面については、池本先生からもお話がありましたが、地域の消費生活センターのサービス活動との関係があるのではないかと思うのですね。

そうしますと、その財源問題について、この際に適格消費者団体に公益性を認めるならば、その抜本的な対策を政府は講ずる必要があるのではないかと。もちろん、独自性といいますか、適格消費者団体自身の良さというか、個性を失わせない形で財政支援をしていくというところが一つのポイントになるのではないかと思います。私は、適格消費者団体の差し止め訴訟に関する活動の部分については、スマイル基金等を通じた助成という一つのルート、私も関与していますけれども、基金自体も非常に厳しい財政事情ですが、ただ、少なくとも考え方の整理としては、スマイル基金を通じたルートには、一つ合理性があるのかなと思っています。そもそも適格消費者団体は、適格性を認められているにも関わらず、事務所とか、スタッフとか、基本的な調査の費用といったものが保障されない状態で、それを一部交付金等で支援をいただいてきた事実はありますけれども、基本的にはそれを自前で調達しなければいけないというところに非常に大きな問題があるのではないかと思っています。

したがって、そういう基礎的な経費を基本的にきちんと保障して、その上で活動をしていただく。その活動に関しては、訴訟等についての支援はスマイル基金等を活用してやっていくという2段構えの支援体制があってもいいのではないかと思います。

基礎的支援の一部として、消費生活センターの中に事務所を置くことについて、神奈川県などでそういう御配慮をいただいている例があるということはお話を伺っていますけれども、さらに広く、こういったことに関しては、その適格消費者団体の性格に鑑みて、全国である程度きちんと、基本的な保障として、活動の保障として、制度的に新しい仕組みを組み込んでいくようなことが必要ではないかと思っています。適格消費者団体の財政的な基盤が整備されないままに、しかも消費者団体自体が非常に厳しい制約がある状況の中で、全国の適格消費者団体が、確かに苦労して活動してこられた結果として、すばらしい成果も出ているのですけれども、ただ、当初の設計からすると、そこのところは設計したところとちょっとずれがあるのではないかと思っています。

私自身は、そういうことで、基礎的な部分について、性格論はあるものの、きちんと適格消費者団体ということを認定する以上は、是非、一律に基礎的なことについては国が責任を持って財政的なバックアップをしていくというぐらいの意思表示をしたほうがいいのではないかと思っています。私自身、適格消費者団体を目指しているものですから、あえて申し上げておきたいと思います。

それから、スマイル基金についても、これは民間の原資でということがふさわしいとは思いますけれども、運営主体が民間であっても、財政支援をすることは全然問題がないのではないかと。例えば、商工会議所とか商工会というものがありますけれども、これも自主事業と支援事業が一緒になっているわけですね。そちらの場合は、設立自体は企業が設立をしていますけれども、事業とか人件費の多くは国が負担しているのですね。国と自治体が負担しているのですね。こういった仕組みは多数あるので、適格消費者団体に全面的な支援を行っても決しておかしくはないのではないかと。

今のように、厳しい状況にある交付金のごく一部のお金を適格消費者団体にその都度ということではなくて、基本的なインフラについては保障するという考え方があってもいいのではないかと思うわけです。この点、是非、先を走っておられる池本座長代理にお話をお伺いたいと思うのですが。

○池本座長代理 御質問ありがとうございます。これも、また非常に難しい、これからの方向づけにかかわる論点だろうと思います。

まず、前提の問題として、適格消費者団体がある日突然地域にできて一人で突っ走るという構図ではないと思っています。むしろ、地域の消費者、消費者団体の活動に根差して、さらに言えば、そういった地域の消費者、消費者団体の活動拠点としても逆に相互に利用してもらう。適格消費者団体でのいろいろな取組が地域の消費者団体にも還元される。そういうつながりがあって消費者の力全体が強くなるということがあって初めて、事業者に向けた差止なり申入れをするという活動が持続できていくのだろうと思います。

そのことを前提に、あえて極端に場合分けをしていくと、市場の違法な事業活動を排除して暮らしやすい地域社会をつくるのだから、行政と連携して行政からも一定の金額を恒常的に経常経費も含めて出すべきだという形と、そこまでではない、本当にピンポイントで必要なところについて支援してもらえばいいのだと、あるいはそれ以上には出せないのだという考え方の両極端をあえて出していくと、例えば、場所としての事務所とか、あるいはその事務局員の費用もどこまで出していくのか、地域の消費者がこういうことはどうですかという情報提供なり問合せをすることの受付的な窓口を最低1人置ける程度のものとか、かなりその目的を絞った上でそこについて行政から支援をするということであれば理解できるのですが、活動そのものの人件費を出す、集まって分析をする、資料をつくったりという事務局費用、さらに言えば、専門家が検討会議をする、その人たちの日当はどうかとかと言い出せば、結局、行政が活動そのものに人件費を出すとなれば、何をやるかとか、どうやっているかという中身についてのチェックということも、公的な財源ですから、そういう話になってしまう恐れがあるし、それは逆に本末転倒にならないか。

その意味で、全面的な行政から活動全体の財政支援をするということまで進まないように、そこは気をつけながら、最低限の場所と消費者からの窓口になる受付体制なり、電話を置いたり、あるいはホームページを維持したりという項目を絞って、専ら公益的な対地域の消費者の窓口としての場所と担当者を確保するというように絞れば、継続的に支援することもあり得るのかもしれません。

それ以外の申入れたり訴訟を起こしたりというところは、最終的には社会からの持続的な支援があってこそ、どういう案件をどういう方針でやっていくかというのは、あくまでも適格消費者団体がやっていくのだということになっていくのだろうと思います。これがいわば将来像を見据えた上でのあるべき線引き論なのだろうと思うのですが、現実に、まず、立ち上げて軌道に乗るまでのところは、本当に地域の中でその団体の有用性が実感できないところには、継続的な支援の寄附などは出てきっこないわけですから、まず、組織をつくっていくところについては、少し手厚く調査費用とか検討費用ということで出していく。もちろんそれでも検討するメンバーについての人件費用を出しているところはありません。基本はボランティアベースでこれまでの例もやってきているわけですから、そこの軌道に乗るまでのところは少し手厚くやっていく。将来像のところは、地域の消費者向けの窓口を最低限維持するところに絞る。こんなところではないかと考えています。

○鹿野座長 樋口委員、お願いします。

○樋口委員 今の池本委員のお話に基本的に賛成なのですが、ミニマムの基礎的な経費は結構大変な負担でして、今の日本の消費者団体の実情を考えると、例えば、適格消費者団体をつくるためには、いろいろ基本的な義務が課せられていまして、事務所とか、スタッフとか、電話とか、ホームページなども含んでくるわけですが、そういった基礎的なところでさえも寄附を求めて、それをやろうとすると、なかなか大変な地域も多いのですね。都市部においては、賛同する方の人口も多いかと思いますけれども、こういった制度が、全国的に、私は47都道府県に全てそういう制度があったほうがいいと思うのですが、これを普及させていくためには、おっしゃったピンポイントといいますか、ミニマムのそういうところについて、まず、きちんと基盤を整備して、その上で、活動については干渉しないという形で、適格消費者団体の本来の活動の中でやっていただくということがどうしても必要なのではないかと。

もし第2段階を考えるのだとすれば、今までうまくいった団体というよりは、これから目指していく団体も含めて、基本的な戦略をもって政府がこれに本腰を入れていただく必要があるのではないかと思います。補助の仕方はいろいろテクニックもありますので、補助をしていてもいろいろ意見を言っているところはあると思うのですね。自主事業としていろいろやっておられるという例を見ても、国の立場からすればやや苦々しいことだって現実にはあるわけですから。

ただ、目的は消費者のための団体なので、そんなに考え方が反するということはなくて、ここまで取り上げるか取り上げざるべきかというものを、お話の中でもそういうところで消費者団体として一歩踏み込んで訴訟をするという範囲のことですから、自治体や国が決して苦々しく思うようなことではなくて、それで新しい道が開ければすばらしいことだということになるような話ではないかと思っています。是非そういったことも何らかの形で検討の中で議論できればと思います。

以上です。

○池本座長代理 非常に重要な御指摘をありがとうございます。

恐らくこの地域にどのくらいの規模のどういう団体として設立し維持することが望ましいか、その人口規模とか、あるいは行政の取組とのバランスでどのくらいかとなると、その自治体が判断していく、また、これは人的な体制がどれだけできているかにもよりますので、その意味では、消費者庁から全国に最低限基準でこれだけは出しますということよりは、その地域の自治体が、有志団体による取組の動きの進捗状況を見て、そろそろタイミングだというときに出していくあるいは活動が動き出した後の最低限の事務所基盤とかということについては継続していく。ただ、それは自治体の全く自由裁量といっても財源はありませんから、そういうものの実情に応じたものを国から交付金の形で自治体に出し、自治体がさらにふるいにかけて支援していくという形にしたほうが、地元とのつながりも出てくる。

私は、地元でやっていて、一方では委託事業で仕事もやらせてもらっていますが、他方では、例えば、条例改正などのときには県のこの方針では不十分だと言って意見書を出したりとか、そういう別の緊張感はもちろん保ちながらやっているつもりです。

○鹿野座長 高委員長、お願いします。

○高委員長 この報告書は、5年後を考えてということで書き上げていくと思うのですね。池本委員長代理がおっしゃっていることは本当に合理的だなと、その手順でいくべきだなと思うのですけれども、5年後を考えたらもっと野心的なことを書いてもいいのではないかなと思っていて、私はどっちを言わんとされているのかなと思ったのですけれども、今後の課題、6ページ目のところで、行政からの全面的な財政支援か、あるいは基金を通じた持続的財源確保かといって、私は前のほうにウエートを置かれるのかなと思ったのですけれども、どちらかというと、それについては目的をできるだけ限定して、その具体例で、下の設立の支援とか、あるいは活動の支援の中で、例えば、ポータルサイトの設置とか、連合会の設置とか、何かそういうことをイメージされているのかなと思ったのですけれども、それは当然やってもらいたいと思うのですけれども、適格消費者団体そのものがかなり公的な役割を果たしているという原点に返って考えれば、行政からの一定額の支援は明確に書き込むべきではないかとは思っております。それで、意見をお聞きしたい。

ただし、その前提として、その前の4ページのところで書いていただいている、これまでの差止訴訟の件数とか、実際、訴訟提起に行ったものがどうこうだというものはあるのですけれども、これは我々ではできないのでどこかに頼むしかないと思うのですが、これによって、実際、どれぐらい被害を防ぐことができたのかという数値が出てくると、今、言ったような主張がかなり説得性を持ってくるのではないかと思っています。これだけの被害を予防しているという、その経済的な効果を考えれば、これだけの支援もあって当然ではないかという議論をしてみるというのはいかがでしょうかという提案です。つまり、5年後を見た場合のですね。

○池本座長代理 先ほど樋口委員からの御質問のときにも、5年というか、むしろもっと先の将来像としては、行政からの支援は最小限の基盤整備で、活動の中心部分は基金の側から入ればいいなと。でも、現実、そうなっていないし、地域の消費者団体などからの支援といっても期待ができない。今の状況で言えば、もう少し行政の側から設立あるいは当面の基盤整備に向けて充実した支援が必要である。ただ、それも国から一律ではなくて地元自治体からというのが現実にあるだろうとは思うのですが、そこのどのくらいのスパンで行政からの支援を厚くし、どのくらいになったら基金のほうに行くか。

基金からの支援といっても今のように非常に乏しい基金では維持などはできないわけで、それこそ消費者庁でやっている景表法の課徴金などから一定額を回せないかとか、この基金が持続的に財源が確保できるための制度設計をむしろ国の役割としてきちんとやってもらうという、両方の意味で国の役割は非常に大きいのだろうと思います。

○高委員長 おっしゃるとおりなのですね。基金の話が、この報告書の中で、5ページのところで書いていただいて、当初、消費者支援基金というものがあって、結局、これは続かなかったという御説明をいただいています。この基金を設立したときというのは、適格消費者団体をつくる上で差止請求権を与えるかどうかというところで、財政的な支援がないとこれはなかなか機能しない、でも、それは皆さん方から寄附があるからだというような意見がその審議会の中で出てきて、では、基金をつくりましょうということでつくってみましたが、結果として、それはうまく機能しないということを証明する結果となったわけです。

要するに、一回試してみる必要があったのですね。それでやったと。当初、お金が集まった理由というのは、いろいろ足を運んでお願いしたのもありますけれども、本日の報告書の一番最後に書いてある、どなたにお返ししていいかわからないという、このお金をここに出していただけませんかと言って回ったわけです。それ以降は、企業に主体的にやっていただくことだと。事業者や事業者団体が良識的であれば、本来、自分のところに納めていてはいけないものがあれば、それは消費者行政等に役立てていただくという意味で、そこに出してもらうという意味で、消費者支援基金をつくったのですけれども、これが自律的に機能していくことはなかったわけです。

そうすると、最後のところの10ページのマル4なのですけれども、最後に御提案いただいたこれが本当に動くのなら、基金も回り始めて、適格消費者団体にもお金が回るような形になるのですけれども、2段階訴訟の中で共通義務を確認した後、声を上げる人がいなかった場合、そういった仕組みをつくるということは、頭の中ではこれができればいいと思うのですけれども、何かがネックとなる可能性がある。それは何なのか、教えていただければありがたいのですが。

○池本座長代理 御質問ありがとうございます。

最後のところは非常に難しい論点ですが、店舗取引などで共通義務を確認して、それについて被害者あるいは消費者からの申出を受けるというところで、恐らくどれだけの人に向けて通知をして、例えば、住所がわかっていて通知をしても、私はあの商品で納得しているのだという人もいるはずで、例えば、1,000人に送ったら1,000人が必ず申出をするわけではない。あなたは誤解していたのだ、不実の表示でしたということを通知した上で、取り消すことができる、あるいは返金を求めることができるとして、最後は本人の選択によって行動してもらう。それが、何割、何%になるかはやってみなければわからないと思います。

店舗の場合は、そもそも通知もできないから、ネットのホームページに出ていてもほとんどの人が気づかないというところなので、申出のしようもないのですが、だからといって、この期間内の契約者数何人で合計幾らの数字ではないはずですよね。

だとすると、これはもう少しこの制度をやっていって、現実に、例えば、通信販売で全員名簿がわかっていて、通知をしても、その中の何割あるいは何%ぐらいが、申出をする平均値なのだというものが出てくれば、その範囲内という算定もしやすくなるのかもしれませんが、現在はそれが見えないので、この議論をすると計算上出てくる人に全額払えというのかみたいな、過剰な受け止めになっていくと、詰めた議論に進みにくいのかなと。

あるいは、逆に控え目に、課徴金については3%という数字から始めていますが、この第2段階で把握できないというところも、全体の中の何%かという控え目のところから議論をしていくというのも、道筋としてはあるのかもしれませんが、そこのどのくらいが着地点になるのかというための手がかりがまだ見えないので、私も詰めた議論がしにくいのかなという気がしています。

○鹿野座長 他にいかがでしょうか。

今、議論がありましたように、財源問題というのは、この適格消費者団体制度において非常に重要な問題であります。

それでは、他のところで1つ追加で質問をさせていただいていいですか。ちょっと細かなところになりますけれども、権限の問題のほうです。7ページの(3)マル1からマル2のところで、適格消費者団体がどういう案件について権限を行使するのが適しているのかということにも触れられて、インターネット通販などにおける違法行為の排除というのは適格消費者団体によるところの差止請求の役割が大きいのではないかということをマル1のところで触れられるとともに、ただし、それについては表示が短期間で変わるということもあって、ある一定の期間については、不適切であったものが、訴訟とかを提起していると、その間に消えて別のものになるということがあったときに、差止請求が空振りに終わるというような問題についても指摘されているところです。

池本先生が御指摘のように、行政の措置としては、たとえ今は既になくなったとしても、過去、一定の期間、違法な行為が行われていたら、措置命令などの対象になるということであります。けれども、現在の適格消費者団体による差止請求制度では、事業者の当該行為が現に行われているか、あるいは将来行われる恐れがあるということが要件になっているので、クロレラ訴訟の判決にも典型的にあらわれているように、今はもうやめました、将来はやりませんということで変われば、差止請求では対応できなくなる。この点、何らかの手当てが必要なのではないか、そうしないとこのような形で空振りに終わって、結局は、広い目で見たときに市場の公正さを図るということが期待できなくなるのではないかという趣旨の御指摘をいただいたものと認識しております。

これについて、具体的にどこをどういうふうに変えたらいいというお考えはお持ちでしょうか。もしお持ちでしたら聞かせていただければと思います。

○池本座長代理 ありがとうございます。

まず、問題意識の点、訴訟を提起しているうちに変わってしまうというのももちろん一つですが、申入れをしても動かない、では、41条書面を出して訴状を準備して理事会で確認をとって提訴しようという、どうしても適格消費者団体というのは理事会にしろ検討委員会にしろ1カ月の単位でやりますから、動きは多少鈍いのですね。それでいよいよ理事会の承認をとるために、もう一回資料添付のために直近のものを出したら、あちこちを結構変えていると。ただ、全体としてはまだ問題はあるのだけれども、差止請求訴訟の対象物を特定するために新しいものに書きかえなければいけないというような、それこそ1カ月の単位でぐるぐる変わってしまうために、なかなか捕捉できないということが問題意識としてあります。

では、どこをどう変えるかということとの関係ですが、景表法で言うと、違反行為の不当表示がなくなっても措置命令ができるというのは、これは何も、確認だけをする、違法だということを宣言するということ以上に、それを誤認して購入した人は誤解したままでいるわけですから、その人たちに気づいてもらって、あるいは返品するのか使用を止めるのかという既存の契約者に対する情報提供の意味が大きいのだろうと思うのです。

同じことが、特商法でも、例えば、不実の告知で誤認を与えた業務停止命令というときには、既存の契約者に対して製品の効能効果についての不実の告知がありましたという通知をせよという指示処分を一緒に出すというものが最近増えています。既存の契約者に対して誤認を解消することも、重要な被害の防止あるいは拡大防止という意味では、既存の契約者に被害に気づいてもらうということも大きいのだろうと思います。

そういうことを考えると、適格消費者団体も、新規の被害者の被害拡大防止だけではなくて、現にいる被害者に気づいてもらう意味で差止訴訟を出し、あるいは判決を出す。事案によっては、被害救済の手続もその先の視野に入れるという形で使っていくことになるのだろうと思います。

そういうふうにしていくと、既になくなっている場合という言葉だけにするのか、その後、既存の契約者に対しての被害拡大防止の必要性がある場合とか、もう一つ、要件を付加する必要があるのかどうか。そこはまだ詰め切れていませんが、既存の契約者の被害の拡大防止あるいは気づきを早くしてもらうということを要素に入れれば、行政がやっているのと同じような保護法益をカバーできるのだろうと思っています。

○鹿野座長 ありがとうございました。

現在の規定のつくりが事業者の行為に専ら着目しているようなつくりなので、将来に向けてそのような違法行為を繰り返す恐れがあるかどうかという判断になってくると思いますけれども、今の御指摘は、むしろ消費者に着目し、消費者の誤認等がなお存続している場合は、事業者の行為自体はやんだとしても、被害がまだ出てくる可能性は残っているのであるから、その被害を食いとめる必要性がまだ残っている限りにおいて誤認を是正するようこの請求ができるとするべきで、狭い意味での差止めというより少し膨らみのあるものになるかもしれませんけれども、そういう形にすべきだと、そのように理解してよろしいでしょうか。

○池本座長代理 そうですね。おっしゃるとおりだと思います。

さらにもっと言えば、もともとこの差止請求権限の対象規定が、誤認や困惑によって判断がゆがめられているような規定に今のところは絞ってあるのですよね。それは既存の契約者の被害を確認し、被害の回復に将来的にはつながる、行動にもつながる、それが消費者全体の代表として適格消費者団体に権限が与えられているのだとすれば、新規の被害を起こさなければもう手が出ないと切ってしまう必要はないのだろうと思います。

○鹿野座長 ありがとうございました。

他はいかがでしょうか。

高委員長、お願いします。

○高委員長 確認の意味で、こういった事項も入れておいたらどうでしょうかという提案です。

9ページのところに、特定適格消費者団体の活動に関する課題ということで、例えば、裁判外の申入れと最後に書いていますけれども、これをやって自主的な返金が起こると。これ自体はいいことだけれども、団体としての財政的な問題は解消されないという指摘がございまして、まさにこのとおりだと思います。

さらに進んで、第1段階の共通義務を確認した後の問題もまたあるかと思うのですけれども、それも既に触れているかな。触れていないかもしれませんので申し上げますけれども、例えば、和解に至るということですね。そうすると、事業者と被害者側の問題になってしまって、現状、特定適格消費者団体にはお金は入らない。

さらに、第1段階は終わったけれども、第2段階に入ったら、安い値段で、第2段階の手続きを進める団体が出てくる可能性だってある。例えば、事業者側に近いところの団体がそういったことをやるかもしれない。こういったことに関する問題提起もしておく必要があるかと思うのですけれども、池本先生の意見をお聞きかせください。

○池本座長代理 ありがとうございます。

これは、最近、提訴前、裁判前の申入れで自主返金が発生しているというのが現に現象として出てきたので、そこを前提に議論しましたが、第1段階訴訟をやっている途中で、裁判所の心象もかなりそこへ傾いたときに、判決には至らずに自主的に返金をしましょうという和解をするとか、あるいは判決の後の第2段階の動きになったところで別の動きが出てくる。同じ問題だと思います。全て想定した本筋の線で最後まで行くということだけではない。いろいろなパターンのものが出てきますから、そこに向けての一定の特定適格消費者団体の役割が果たせるような制度的な措置が必要だというのは、全体に共通しているというのは御指摘のとおりだと思います。ありがとうございます。

○高委員長 どうしたらいいかというのは、特にまだお考えではないですか。課題の指摘ですね。

○池本座長代理 第1段階の訴訟の判決に至るまでの途中での和解というところも、先ほど御説明した提訴前のところとほぼ場面としては共通なので、そこに向けたフォローアップをする権限を付与するというところは、そこはほぼ共通だと思います。

ただ、判決後の第2段階について独自の動きが出てきたりというのは、それ自体を止めるわけにもいきませんし、そこから先の制度は、私も詰めてこうしたらいいというところまで案が浮かんでいないところです。ちょっと検討してみます。

○鹿野座長 他にいかがでしょうか。

もう一つ、これも少し細かな具体的なところですが、10ページの一番下のほうのマル3のところです。事業者に資産が乏しく回収可能性が低い事案の場合には、被害者への通知・公告手続を軽減すべきではないかということについてお話をいただきました。この通知・公告手続の負担ということについてさらに伺いたいと思うのですけれども、そもそもこの制度は少額多数の事件を念頭に置いてつくられた制度だと思いますが、この通知・公告は、その制度のつくりから言ってもかなり大きなハードルになっているのではないかという御指摘もあろうかと思いますけれども、その点についてはいかがでしょうか。

○池本座長代理 この問題は、制度ができた頃というか、できる過程でも議論していたところでは、第1段階で共通義務確認訴訟があり、例えば、一定の会員の中での会員契約上の不当条項とか、要するに、どれだけの範囲の人が対象かということが事業者側で住所・氏名が把握できるような案件の場合には、事業者の費用をもって通知をすべきだという意見も強く出てはいたのです。本当はそこから書いていってもよかったのかもしれないのですが、現にある制度の中で現実的な選択肢でどう考えるのかというので、ここはトーンをもう一段抑えて費用負担を軽減するという言葉にしたというのがあります。

店舗取引のようにそもそも範囲がはっきりしないのであれば、公告という方法だけで進めていくということで、その公告の仕方で、例えば、ホームページなり何なりで載せるとして、逆にそのほうが抑えられることになるかもしれませんが、名簿があります、提供します、あとはそっちでやってくださいと適格消費者団体に投げられたときに、それに全部費用をかけてやっていくということが果たして現実問題で可能なのだろうかと。

もちろん中にはその数百円単位の差額でしかないという一つの商品の中のどの範囲を見るかという意味で少額というものもありますが、それを通知して被害届が出たとしてもなかなか回収が難しい事案についてどうするかとなっていくと、ますます把握している被害者には全件通知せよというところを団体の側の義務として、どういう場合にもそれを認めてよいのかということで、これは事案を選択するときにそもそもそれがためらいになってしまっているではないかという意見が出ました。そのあたりはちょっと配慮する必要があると思うのですが、具体的に要件立てとして、こういう場合は要らないとか、どう書けばいいのかというのは、正直なところ、詰め切れていません。ここももう少し事案を見てみないといけないのかもしれません。

○鹿野座長 このような問題があるということで、要件立てについては、まだ具体的に煮詰まっているというわけではないけれども、課題としては存在するのだということでお話しいただきました。

そろそろ予定した時間になりましたが、他にいかがでしょうか。

よろしいでしょうか。

それでは、本日の検討はここまでとさせていただきたいと思います。

本日は、適格消費者団体あるいは特定適格消費者団体の役割と制度見直しの課題ということで、特に大きくは財源的な問題と、それぞれの制度がうまく機能するような仕組みという意味での権限問題について幅広く御指摘をいただき、議論をさせていただいたというところでございます。これも報告書の中に反映していきたいと考えているところです。


≪3.閉会≫

○鹿野座長 本日の議事は、以上となります。

最後に、事務局から事務連絡をお願いします。

○坂田参事官 本日も、長時間にわたりまして御議論いただき、まことにありがとうございました。

次回の日程につきましては、改めて御連絡をさせていただきたいと思います。

以上です。

○鹿野座長 それでは、本日はこれにて閉会とさせていただきます。

お忙しいところ、お集まりいただき、ありがとうございました。

(以上)