第56回 食品表示部会 議事録

日時

2019年7月5日(金)14:00~16:45

場所

中央合同庁舎4号館2階 共用220会議室

出席者

【委員】
受田部会長、樋口部会長代理、安達委員、池戸委員、今村委員、小松委員、澤木委員、下浦委員、菅委員、宗林委員、戸部委員、夏目委員、松嵜委員、松永委員、渡邊委員
【消費者庁】
橋本審議官、赤崎食品表示企画課長、食品表示企画課
【事務局】
二之宮事務局長、福島審議官、坂田参事官

議事次第

  1. 開会
  2. 「食品表示の全体像」について
  3. アレルギー物質を含む食品の表示について
  4. 閉会

配布資料 (資料は全てPDF形式となります。)

≪1.開会≫

○坂田参事官 本日は、皆様、お忙しいところをお集まりいただき、誠にありがとうございます。

ただいまから、第56回「消費者委員会食品表示部会」を開催いたします。

本日は、宮崎委員が所用により御欠席ですが、過半数に達しており、定足数を満たしていることを御報告いたします。

議事に入ります前に、配付資料の確認をさせていただきます。本日お配りしております資料は、議事次第に記載しておりますとおり、資料1から4までと参考資料となっております。不足の資料がございましたら、事務局へお申し付けいただければと思います。

本日も多くの傍聴の方にお越しいただいておりますので、御発言の際には、お近くのマイクをお持ちになって、お話しいただきますよう、お願いいたします。

それでは、受田部会長、以後の議事進行をお願いいたします。

○受田部会長 皆さん、こんにちは。

委員の皆様におかれましては、大変お忙しい中、本日も御出席をいただきまして、ありがとうございます。

また、本日も大勢の傍聴の皆様にお越しいただいております。御礼申し上げます。

本日も、活発な御議論をよろしくお願いいたします。

≪2.「食品表示の全体像」について≫

○受田部会長 それでは、本日最初の議題といたしまして、「食品表示の全体像」について、議論を進めてまいりたいと思います。

取りまとめに向けまして、まずは前回、1回ゲノム編集の回がございましたので、第54回の部会となりますけれども、その残りについて、議論を進めてまいりたいと思います。

前回も配付いたしました資料1を再度、委員の皆様にお配りをしているところでございます。少し御確認をいただきまして、前回までに4ページまでの内容については、おおむね議論が整理できているものと認識をしております。

この資料の最後のページに、今後の課題が掲載されております。こちらについては、時間的にも深い議論ができていなかったことなどもあり、引き続き検討いただくべく、積み残し課題として整理せざるを得ないのではないかと考えているところでございます。

本日、ここに関して、少し時間を取りまして、委員の皆様から意見をいただくことにしたいと思います。

続きまして、資料2でございますが、裏表1ページ、2ページとページを振っております。前回提示をさせていただいた、食品表示にウエブを活用する場合に整理しておかなければならない課題として考えられ得る事項について記載をした資料につき、前回いただいた御意見を踏まえまして、文言の修正をしたのが1ページ目でございます。

加えて、その検討のプロセスについて、前回の部会の最後に、部会長として私のほうから話をさせていただいたところでございますが、2ページ目では、その流れを事務局に追記していただいております。この追加分は、前回提示したスケジュール、前回においては資料2-2というスケジュールでございましたけれども、その最後に示しました食品表示へのウエブ適用に関する検討の項目を実際に実施する際の具体的なステップについて御提案したものでございます。したがって、この内容自体は新規というものではないと認識をしているところでございます。

これから全体像の取りまとめに向けての議論を始めていきたいと思うのですけれども、まず、資料2の2ページ目を御覧いただけますでしょうか。先ほど説明を申し上げた内容を少し補足させていただいて、資料1の5ページ、今後検討すべき課題との関係についても補足をさせていただきたいと思います。

資料2の2ページ、一番上に「ウエブ活用に向けた段階的アプローチ」というタイトルを付してございます。ウエブの活用に関しては、様々な御意見がこれまでに寄せられております。結果的には、ウエブ上での補助的情報提供に関する優良事例の調査をまず実施していき、その調査結果を踏まえて検討をしていくということで、一定の方向性を見出していたところかと思っております。

実際にその後、調査結果を踏まえて、ウエブによる食品表示の可能性に対して、段階的なアプローチを検討すると、下にございますように、第1段階、容器表示とウエブの併用表示、この段階を経て、第2段階、ウエブによる食品表示の補完という段階へ進んでいくことが一つの提案かと思っております。

この第2段階までの普及状況と社会情勢とを勘案して、これまで委員の皆様の中からも御意見としていただいておりました第3段階、容器とウエブによる表示の棲み分けも、段階としては進んでいけるのではないかと思っているところでございます。

このような第1段階、第2段階を経て第3段階へというアプローチの仕方を前々回の部会の最後のところで口頭で御説明をいたしましたところ、このように少し可視化をしたというものでございます。

このアプローチに関しての御意見がいただけるようであれば、まず、いただきたいところでございますが、その第1段階にあります容器表示とウエブの併用表示のところに再度、御注目いただきたいと思います。

第1段階としては、これまでの容器表示に加えて、ウエブの併用表示を行うとすると、この併用の効果でございますけれども、例えば上にございます食品のインターネット販売への利活用が視野に入ってくるということが考えられます。

また、脆弱な消費者等と書いてありますけれども、先ほど資料1の最終ページ、5ページにございましたように、訪日・在日外国人への分かりやすさといったものの改善に資する、また、視覚機能の弱い方への対応としても、この容器表示とウエブの併用表示というのは効果が期待できるのではないかとつなげているものでございます。

そういうことで、本日、全体像の取りまとめに関して、しっかりとまだ委員の皆様から御意見を賜っていない部分として、資料2の2ページと資料1の5ページ、それぞれ独立に、あるいは関連付けていただいても結構かと思うのですけれども、まず御意見を賜りたいと思っているところでございます。

ここまでの、まず前段の説明としてはよろしゅうございますでしょうか。

ありがとうございます。

そうしましたら、どこからでも結構です。御発言がございましたらお願いいたします。

小松委員。

○小松委員 小松です。よろしくお願いします。

意見といいますか確認なのですけれども、これまでの議論で私の理解なのですが、ウエブの活用というのは、今ある食品表示の法律に関するものというのは、そのもの自体につけるということで、それを補完するものを事業者が任意でウエブに載せていきましょうということが前提という理解でよろしいでしょうか。

○受田部会長 ありがとうございます。

ウエブに関しては、いろいろな御意見が出てきたことに関してはもう御存じのとおりかと思います。

もともとこの部会の全体像の議論というのは、そもそも論として、一番最後にある食品表示の一括表示に関して、仕分けというか優先順位を付して、容器に表示をするものと、ウエブに表示するものとを分けていってもいいのではないかというような、消費者委員会本会議からの提案を受けて議論に入ったわけでございます。

ただ、部会の中でもいろいろ御意見を拝聴し、また、今日も話題に出てくることになると思うのですけれども、食品表示に関します消費者の意向調査等を踏まえて見ますと、まだ、一気にウエブにかじを切っていくというところまでは機は熟していないのではないかという意見が大層を占めていたという状況でございます。

そういう意味で、第3段階というのを視野に入れつつ、現状、一気に第3段階に持っていくことは難しい状況でございますので、はしごを入れさせていただいて、第1段階、第2段階というふうに3段階目に進んでいくというのが、これまでいただいた委員の皆様の御意見を反映すると、一定、方向性ではないかというものでございます。

今の御質問なのですけれども、第1段階に関しては、容器表示に関しては現状の表示のルールに従ったものがまず歴然としてあって、それプラス、ウエブでの併用という形で必要な情報を提供するという段階を考えてみるというものでございます。

そういうプラスアルファの情報が入ることによって、対象として、先ほど申し上げたような方々にとっても有効な情報提供のツールになり得るのではないかという形で説明を申し上げました。

よろしいでしょうか。

○小松委員 ありがとうございます。

これも以前あったかなと思うのですけれども、事業者によっては、ホームページを開設しているところもあれば、中小なんかでそういうのがないですよというところもありますので、事業者が皆同じところに立って、同じような情報をお客様に提供できるかというのは、やはり課題があるのではないかと思います。

○受田部会長 ありがとうございます。

その点に関しては、資料2の1ページ目に、ウエブ上での食品表示に向けて整理すべき課題ということで、これも今、小松委員から御発言いただいた内容も含めて、消費者側での御希望に対して、事業者サイドでの実行可能性、実現できるかどうか、その点に関して当然、状況が多様であり、一気にというわけにはいかないという御発言もお聞きしておりましたので、下から二つ目の部分に、食品事業者の実行可能性というのが当然課題であるというように付しているところでございます。

なお、国際整合性を一番下に持ってきております。前回の資料においては、TBTの関係で、コーデックスの縛りというのを上のほうに置いておりましたけれども、ここで御意見をいただいた内容を反映して、表現としては国際整合性という言葉で一番下に下ろしているものでございます。その点は付け加えさせていただきたいと思います。

よろしいでしょうか。

では、渡邊委員、夏目委員、菅委員、お願いします。

○渡邊委員 渡邊です。

今の小松委員の意見に追加するような形なのですけれども、一つは、ここに食品事業者の実行可能性と書いてあって、使える事業者がいるか、いないかみたいなイメージで書いてあるのですが、もう一つ、本当に商品のアイテムがすごく多くて、それから例えば賞味期間が2年間あって、市場にまだ前の商品がある段階で新しい商品がまた出される。外見がほとんど変わらないけれども、要するに、同じような外見で二つの商品が出ていたりとか、いろいろなケースがあるのです。

あと、商品によっては原料をかなり変えるような場合もあるし、そういうときに、手元にお客様が取られた商品とウエブ上の情報が、どこでどういうふうに一致するかというところが、実際に技術的にかなり検討しないと、お客さんのほうもひょっとしたら違うところを見るかもしれないし、出す側も、同じような外見なものをどのように区別するかとか、そのような技術的な課題も課題として入れておかないと、かなり難しいのではないかと思うのです。

それでちょっと質問もあるのですけれども、2ページ目の一番最後の第3段階というのは、いわゆるウエブを使いたい事業者が使って、棲み分けをするというのが第3段階なのか、それとも、もう基本的にウエブを使うことを義務としているのを第3段階としているのか、それによって随分違うと思うのです。

だから、できない事業者はもうやらなくていいけれども、やりたい事業者だけウエブを使って表示の棲み分けをしなさいというのが第3段階であれば、またちょっとやり方も変わってくるのだけれども、全部の事業者が必ずやりなさいとなると、これはまた全然違いますので、そこのゴールがどういうイメージなのかも分からないので、教えていただきたいと思います。

○受田部会長 今、御質問がございましたので、私の考え方、また、部会でのこれまでの議論を踏まえてということで、お答えをいたします。

まず、前段の実行可能性の部分で、現物とウエブ表示との同一性というか同等性というか、ここの部分の担保も含めた技術的課題が、ここにある以外にもあるのだというお話。これはしっかりと受け止めておきたいと思います。ほかにも、恐らく技術的な課題というのは、完全に棲み分けるという前提になりますと相当考慮しなければならないという点については、皆さん全く御異論はないのではないかと思います。その点が一つ。

そういう意味で、第3段階をどういう形で見るかについては、この資料の2ページ目の部分にも強調されているように、第3段階については第2段階及び社会情勢を見て判断ということを2カ所書いてあるところからも御推察いただけるように、今の段階でいつ、この第3段階を実現するかという具体的プランはまだ持てないという状況かと思っています。

ですから、この第1段階、第2段階は併用と補完ということで、現在の食品表示法の観点から見て、併用ができたり、それを補う形というのは、法改正に至らない状態で実行できるというふうに考えていきますと、その定着の状況を見つつ、第3段階の具体が議論できるようになるのではないか。そういったニュアンスで書いてあるところでございます。

よろしいでしょうか。

○渡邊委員 ということは、この第3段階というのは、法令によってと書いてあるので、基本的にウエブである部分を表示するというのを義務付ける、そういうのが第3段階というイメージですか。

○受田部会長 この第3段階に関しては、まさに今、渡邊委員から御発言があったとおり、法令によってということを添えており、また、繰り返しになりますけれども、当部会の本会議からの議論すべき内容のゴールが、こういった形をイメージしていたということもあって、ここに記していると御理解いただければと思います。

続いて、夏目委員、お願いいたします。

○夏目委員 私も今の渡邊委員の後半の議論に関わっているのかなと思ったのですけれども、国際整合性というのが資料2の一番最後に課題に挙げられておりまして、TBT協定でのリスクと挙げてあります。これを考えましたときに、段階的アプローチの第1段階の容器表示とウエブの併用表示、それから第2段階のウエブによる食品表示の補完、これはあくまでも法令改正しないわけですから、任意の表示なのだろうと判断をしました。

そして、第3段階については法令によってですから、法令によってもしこれを変えていくとすれば、まさに国際整合性のところで貿易に関して技術的な障壁、阻害になる可能性があるのでTBT通報も必要なのだというように私は捉えておりましたので、それでよろしいのかどうかという確認でございます。

○受田部会長 まさにそういう意味合いでございます。

ですから、前回の資料では国際整合性を一番上に掲げており、たしか今村委員から御発言をいただいたと記憶しておりますけれども、その点を勘案して、国際整合性を順番としては一番下にさせていただいて、そして第3段階のところで国際整合性をしっかりと視野に入れておくということがここに書かれているという状況でございます。

菅委員、お願いいたします。

○菅委員 菅です。よろしくお願いいたします。

今まで出てきているところと実質的に重なることではあると思うのですけれども、まさに「第3段階については、第2段階及び社会情勢を見て判断」ということの意味なのですが、私自身としては、第3段階については、それをどのようなイメージとして見るかどうかも問題なだけでなく、表示を使う消費者にとっても、あるいは表示しようとする事業者にとっても、そもそも第3段階なるものに移行すべきかどうかについても、なお議論のあり得るところであると思っていますので、取りまとめの書きぶりの中で、第3段階があるべき、目指すべき方向性なのだというふうに読まれ過ぎるようなことのないように配慮いただきたいと思います。

つまり、移行するかどうかも含めて、第3段階については、今後の状況等を見て、今後の判断に任されているというような理解ができるようにしていただけないかなと思います。

前回までで申し上げているように、完全な表示の棲み分けよりは、重畳的なものであったり、本体表示を詳しくするものであってほしいというのが意見の出発点でして、それが第1段階、第2段階に反映されているのだろうと思うのですけれども、第3段階が果たして本当にみんなのコンセンサスが得られる「良いもの」なのかどうかについては、そのこと自体も議論の積み残し課題にしていただく必要があると思います。

もう一つ、第1段階の理解についても、余りかっちり決めてしまうのがどうなのかというふうに、皆さんのお話を伺いながら思いました。今、任意表示の問題であることが当たり前であるような前提でお話がなされてはいますが、第1段階や第2段階の在り方を考えていく中で、どこかの部分については義務表示でないと意味がないような話になってくるかもしれませんし、どこまでが義務表示であり得て、どこからが任意表示なのかも含めておそらく今後の課題になると思いますので、今の取りまとめの書きぶりだけですと、任意か義務かのどちらかについて断定的には読めないかもしれませんけれども、そういったことについても、これから更に議論を深めていくべき課題だということが共有できればよいのではないかと思います。

もう一つ、この資料2の2ページの「ウェブ活用に向けた段階的アプローチ」については、第1段階のところで「インターネット販売への利活用」とありますけれども、対面で話がし得るものであっても、中食・外食などについても、活用が考えられるのだとは思いますので、インターネット販売だけではなく、いろいろなところに利活用する方法があると言えるのではないかと思いました。

資料2の1ページに関して、「重畳的」という点と関係して、

○の2個目や3個目に関する意見ないし指摘のようなことですが、ウエブと容器本体とでは求められる情報の量や表現方法が違うものになるということもあり得るということです。2ページの第1段階、第2段階の表現にも表れているのかもしれませんが、ウェブ表示と容器本体表示を併用する中で、それぞれに求められるものが違う。ウェブでは容器本体よりもっと詳しく書けるからこそ、書き方自体も変わり得るというようなことも今後の議論の課題ではないかということを改めて指摘しておきたいと思います。

それから、資料2の1ページの一つ目の○に関しては、以前も申し上げましたが、「食品表示法の改正要否」とありますが、あくまでいわゆる容器縛りは法律の問題ではなくて食品表示基準の問題だとは思いますので、つまり、法律上書いてあるわけではなくて基準レベルの話ですので、法改正だけではなくて、基準も含めた全体としての法令の改正要否の検討だと読める形でまとめられたほうがよいのではないかと思います。

とりあえず以上です。

○受田部会長 ありがとうございました。

第3段階に関して、ここをしっかり議論して、第3段階に進むかどうかも含めて、一定、判断が必要である。その御発言に関しては、しっかりと理解をしておりますし、その点で強調しているということを再度申し上げておきたいと思います。

それから、第2段階に関して、徐々に義務化が進んでいくなどということに関しては、具体的な補完の方法であったり、その後で触れられましたけれども、ウエブにおいて求められている情報が異なってくる。恐らく、例えば原料原産地表示において、今は重量順位で1位という義務があるわけですけれども、それをさらに2位、3位へと拡大していくなどという要望もこれまで出ておりましたし、遺伝子組換えのところにおいても同様の御意見をいただいていることも承知しております。

ですから、ウエブで提供できる情報量が、容器の現在の表示可能な面積あるいはそれに対する一括表示の部分というところから制約を受けなくなれば、当然、その点についても関連し合ってくるのではないかと思います。

まさにそのことを、1ページ目の二つ目の○の中で、ある意味、スペース的な制限がなくなった状況でというふうにここは表していると御理解いただければと思います。

それから、第1段階はこの後、さらに御意見を賜れればと思っているところでございますけれども、併用することによって、その情報がしっかり届く状況であったり対象者が更に拡大していく期待もございます。その点は、この部会においても中食や外食という御発言もいただいておりますので、その効果が及ぶ範囲という中で、今の御発言については考えてまいりたいと思います。

最後の食品表示法の改正に関しては、今の御発言をしっかり参考にさせていただきます。ありがとうございました。

宗林委員、松永委員、お願いします。

○宗林委員 宗林です。今日もよろしくお願いします。

もともとウエブでの情報提供ということがなぜ出てきたのかということを考えると、文字の大きさやユニバーサルデザインの勉強もさせていただいて、パッケージをきちんと見やすくするということで改善できる部分はぜひやっていけばいいと思いますが、それでも収まらなくて、例えば今、座長からもありましたけれども、原料原産地表示が増えていったり、あるいは、今までは省略できていたアレルギー表示も、省略しないようになったということで、どちらかというと文字数が増える方向にあるので、そのときに、スペースの問題、それから大事な安全性に関わるような表示を見落とさないためにはどうしたらいいのかというところから出てきたのだと思うのです。

だから、ウエブは便利だからウエブがいいよというのが最初にあったわけではなくて、では表示をどうしようかと。見やすく、大事なところを見落としてはいけないのだから、それを大切にするためにどういうものがあるかなということで考えてきたことだと思うのです。

最初のウエブ活用に向けた段階的なアプローチということで、併用するときに、例えばQRコードも付けていただいて、それでどのぐらい皆さんが活用できて、だんだん表示が見にくくなってきたものが、ウェブを後からゆっくり見て、これでいいわというようなことも、お試しではないですけれども、慣れていって、そういうやり方は便利ねということが、しばらくした後、集約して、ウエブ表示の活用をきちんと考えたらいいと思うのです。

必ずしもウエブ表示ありき、いいからそっちに移行するということではなくて、容器包装の表示が限界に来ているというところで、大事なものを大切にしようというところから、ウエブをどう活用するかということで、その都度、見直していけばよろしいかと思います。

○受田部会長 ありがとうございます。

松永委員に先に御意見をいただきましょうか。

○松永委員 松永です。

私も問題意識は宗林委員と全く同じで、たくさん表示しなくてはいけないことがとても増えてきているので、一番大事な安全性に関する表示みたいなところが目立たなくなっているという問題意識をきちんと抱えた上で、この段階的アプローチをしなければいけないと思っています。段階的アプローチというのは、これ自体は非常に妥当で考えやすくて、ステップを踏んで第3段階でどうするかというところを考えるということは大賛成です。

その上で、文言の書き方の部分だと思うのですけれども、例えば第2段階の書き方だと、更に知りたいとか、更に伝えたいということで、より詳しくという方向でしか文章が書かれていないのです。先ほどの大事なことが埋もれてしまうという観点から行くと、これだけではなくて、容器包装のところで余り見られていないよと。実は、見られていないにもかかわらず、すごく字数をとっていて、安全性や重要なものが目立たなくなっているよというところも浮き彫りにするような調査やいろいろな検討が必要なのだと思うのです。

ですので、更に上乗せして、これだと、容器包装よりウエブのほうがいいよ、使い勝手がいいよという情報は大分集まってくると思うのですけれども、見られていないよというところは、視線調査をするとか、いろいろな方法論があると思うのですが、そういうことが必要なのだということも踏まえて、次の第3段階のステップに行くのだということが分かるような文言にしたほうがいいのではないかと思います。

以上です。

○受田部会長 宗林委員、松永委員、ありがとうございます。

一番そもそも論のウエブに入る段階、その前にもう調査を複数項目、我々として具体的に提案申し上げておりますけれども、その調査の二つに関しては、容器においてより見やすい表示はどうやったら実現するかという調査内容ということで、例えば、表示可能面積に対する一括表示の面積の比率であったり、あるいは、空間的情報量というふうに表現しておりましたけれども、一括表示における空間の中における情報の割合。ここを悉皆的に分析、調査できないかというところを既に我々として提案した後、ウエブとしてということで今、三つ目の議論をしているところでございます。

そして、そもそも安全に関する表示が見落とされる懸念があるというところが、我々の一番問題視しているところであり、それを解決するための具体的提案というところで、この食品表示部会の全体像の議論が進んでいるということ。これは再認識をさせていただきたいと思います。

したがって、ウエブが便利であるからという、方法が目的になっていくということではなく、もしその方法が一定の利便性や、表示に関して松永委員が御指摘になったように、消費者の方が見落としていたり、表示の一括の中においては情報として余り利活用されていないものがあるとすれば、それをしっかりと御覧いただくという意味で、このウエブの情報提供というのが一つ有用なのではないか。

視線調査というお話もありましたけれども、もしかすると、その視線調査も、こういうウエブに情報提供があれば、アイトラッキングで、どこを消費者の方は御覧になっているかということも分かるようになるわけですから、そのあたりも含めて、いろいろな情報に関して、消費者の皆さんが考えておられること、あるいは行動そのものをまずしっかりと把握すべきであるということかと思います。

今のお話で、基本的にはこの考え方には御賛同いただいたということで理解をいたしました。

菅委員、お願いします。

○菅委員 菅です。

まさに今の点についてですけれども、やはりその種の調査をするときは、調査の仕方がすごく難しいことであって、その評価も難しいということについて、前提として改めて確認しておく必要があるなと思います。

もちろん必要な調査をぜひしていくべきだと思うのですけれども、見られていない情報が重要でないと簡単に判断されないようにする必要がある。例えば、このペットボトルの水について、品名がナチュラルミネラルウォーターであるという表示は、私は通常見ません。それは、表示を見るまでもなく分かると思うからですが、ただ、表示として重要でないとは言えないと思います。

また、安全に関する表示と選択に資する表示といったときに、「安全」であることについては、通常、もう既に確認するまでもなく所与のものとして受け入れて選択することが多いがゆえに、ほかの類似の商品と差別化するために「選択」する項目を重視して見ているということもあるかもしれませんから、見ていないということの意味がどういう理由で見ていないのかとか、データの取り方などについては、今後もしそれを活用して方針を決めていくのであれば、非常に難しい問題があるということを認識して作っていただきたいということを付言しておきたいと思います。

○受田部会長 ありがとうございます。

その点はしっかり認識、理解をしておきたいと思います。

池戸委員、お願いします。

○池戸委員 今までの御意見とも重なりますけれども、今回のウエブの議論というのは、先ほど座長もおっしゃったように、資料1の現行の表示制度本体の問題から出てきているわけなので、ウエブの活用という観点からして、ここに書いてある二つ、安全性なり選択の機会の確保、これは今、両方とも義務になっており、安全性だけではなくどちらも大切です。見ている消費者にとって重要なことなので、それが分かりづらいということと、スペースがなくなってきているという二つに関して、いかに今のウエブが活用できないかという視点だと思います。

この検討のアプローチの仕方というのは、これでいいのかなとは思うのですけれども、これはあくまでも検討ということなので、これを制度的にまず第1段階、第2段階、現状の制度の運用でやるというのは、またこれも影響力が大きいので、当然のことなのですけれども、あくまでも検討というプロセスの中でやられると思います。

ちょっと申し上げたいのは、先ほどから言っていますように、今日はウエブの話なのですけれども、今の表示制度本体の議論をやっていく必要があるのではないかと思います。そこは先ほど幾つかの具体的な提案もありましたし、今までの過去のいろいろな検討もありましたので、まずそこで工夫できないかという話がある。

それから、これはウエブとも連動しているのです。例えば義務表示をどうするかというのは、今の制度が本当にいいのかどうかというのも当然前提として考えられますので、それをまず有機的につながった形でのウエブの検討ということでやっていただきたい。

あと、事業者の方の対応可能性というのは当然さっきから出ているのですけれども、消費者の方も、本当にウエブをうまく活用できるかどうか。活用の実態なり要望も十分考えた上で、これは第3段階の話に関連するかと思うのですけれども、そういうことも考えていただきたいということが意見でございます。

○受田部会長 ありがとうございます。

まずは本体、容器での表示をしっかり工夫して、安全性や自主的選択の機会の確保をしっかりと消費者の皆様にという観点は、十分に認識をしていきたいと思います。

それから、ウエブの併用の点に関しては、有機的な連動というお話もございました。さらには、消費者のウエブ活用の現状に関して、これは更に時代が進んでいけば変化をしていく方向もあると思いますし、そういった動的な消費者の生活、ライフスタイル自体も不断に調査をしていかないといけないということで承知をいたしました。ありがとうございます。

今村委員、お願いいたします。

○今村委員 まず、ウエブのことについて、今、池戸委員から意見もあったように、ウエブをなぜ検討するかということの背景が重要だと思います。これから議論していくときに、ウエブの是非についてだけ議論しても、悪いところばかりが見えてきて、なぜウエブを使わなければいけないのかという部分が抜けてしまうと、そこはウエブの議論が意味がなくなってしまうので、基本的に連動する議論として考えていかなければいけないということです。

もう一つ、国際整合性の部分、ランクを下げてもらったのは非常にありがたいと思うのですけれども、もう一度、おさらいだけさせていただきますと、コーデックスで多分、問題になるとしたら、法令でウエブを義務化したとき。併用するときは多分、どちらかというと規制緩和になるので、それ自身はTBTにはまず引っ掛からないわけで、国際的な問題が出てくるのは、ここの3段階の中の更に選択肢が狭まったときに、ウエブでのこの部分を義務化したときというところなので、大分限局されたものなので、国際的な面というのは前面に出さなくなったのはいいと思うのですけれども、今の議論の中でも相当なハードルを越えなければいけない部分だと思っております。

あと、資料1についても意見があるのですけれども、これはもうちょっと後のほうがよろしいですか。

○受田部会長 資料1の5ページ、ここからこのお話をしていただこうと思っています。ここで触れていただいて構いません。続けていただけませんか。

○今村委員 まだウエブの議論が続きそうな感じがするのです。

○受田部会長 ウエブと資料1の5ページが、ある場合はリンクしていき、ある場合は5ページの対象の方にウエブ以外の表示の提供ということで、インディペンデントに議論していただく部分もあると思っていますので、ここは御意見としてまずいただきたいと思います。

○今村委員 多分、完全にインディペンデントした話題になるのですけれども、後半の視覚機能の弱い方への対応という部分をもっと明確化しておかないと、これはすごく誤解を生むと思います。

そもそも議論としては、色覚異常の方への対応ということであったと思うので、視力障害の方への対応ではなかったと思うのです。ですから、色覚機能の弱い方への対応を、視力障害の方も含めるかどうかということになると、全然意味が変わってくるし、そもそも視力障害のない方が見づらいという問題を解決するためにこの議論をしているので、それ以前の問題だと思うので、私はここは色覚異常を持つ方への対応ということだと思います。

そう考えたときに、色覚異常の方への対応というのは、既にたくさんのマニュアルが出ているものですから、ある意味、議論の余地はなくて、コントラストがちゃんと出ていなければいけない、要は白黒をコピーしたら見えなくなってしまうような表示はだめだということですし、一番多いのは緑と赤の色覚障害ですから、緑と赤の組合せの表示があってはいけませんというようなことですから、それは既に様々なガイドラインで出ているものなので、これは議論の余地というよりは、これを注意してくださいという話なのだと思うので、色覚異常を持つ方への対応ということで明確にするのであれば、課題としては、こんなに議論しなくてもいいだろう。

ピクトグラムにしたら解決する問題ではないと思うので、ここは別の問題かなと思います。だから、ここは整理されたほうがよいと考えます。

○受田部会長 ありがとうございます。

今、視覚と色覚の整理から必要であるという御意見をいただいて、ここの部分は議論としては全く踏み込めていませんでしたので、今日時間の許す範囲で様々な御意見をいただきたいと思っていました。

まず、赤と緑の色覚異常が多いということは私も存じ上げていて、多分、男性で5%ぐらいの確率ということなので、こういう方々に対して、果たして現在の食品表示自体がしっかりと情報をお伝えできるような観点で考えられているかどうかも含めて、状況の調査は一つ必要かなと。あわせて、今のガイドラインがあるということをしっかりとお伝えしていく。そのためにどうすればいいかということも含めて今後の課題であるかなと思っていました。

○菅委員 まさに今の点なのですけれども、この課題を私が最初にここで申し上げた趣旨としては、むしろ色覚だけに限ることではなくて、視力自体が弱くて、そもそも表示をほとんど読むことができない方に対するアプローチの仕方についても考えていく必要があるのではないか。例えば、点字を使うなどというようなことを含んでいます。議論が余り広がらなかったので、配色の話が中心になりがちでしたけれども、私自身が最初にここで取り上げていただきたいと述べた趣旨は、もっと広いものでありました。

そうであればこそ、それは外国人の場合とも関わるかもしれませんけれども、それこそ日本語表示に何かをかざすことによって、音声で伝わってくるようなものが技術的にできるとすれば、きっとできると思いますけれども、そのようなことも一種の表示に関わるものとして利活用できるような時代がきっと実現できるだろうという意味も含めていて、それはきっと外国語で答えてくれるだけではなく、日本語で答えてくれるということで、日本語表示が読みにくい方に対する補助手段になり得るのではないかということですから、余り狭くし過ぎないほうが私としてはしっくりくるのです。

○受田部会長 ありがとうございます。

今、今村委員、菅委員の御発言をいただいて、もう一度、資料2の2ページ目、第1段階、第2段階と書いてある第1段階のところに御注目いただくと、脆弱な消費者等という言葉を使っていまして、括弧して、誰一人取り残さないというイメージなので、SDGsの観点をここに盛り込んでいるということになります。

今後の消費者基本計画、その工程表等に関しても、SDGsの観点ということでの消費者に対する様々な対応ということが一つ大きな柱になってきております。そういう観点から、今、今村委員、菅委員から御発言がございましたように、脆弱な消費者というのはいろいろなパターンがあると思いますけれども、そこにしっかり食品表示としての思いを届けていくこと。それと、更に言うと、脆弱な消費者という言葉は、ある場合に誰もが脆弱な消費者になり得る。例えば災害が起こったときに、緊急対応で避難をしていくなどという状況を想定していきますと、誰もが脆弱な消費者になり得るという観点から見ていくと、災害食であったり、防災的な観点からという点でも、こういった食品の表示というのは配慮していかないといけないということになってまいります。

したがって、ここは少し広くとっていきつつ、どうすれば、それぞれの対象の方に食品表示として正確に、かつ求める情報が届くのかと考えなければいけないという問題提起です。

今村委員、お願いします。

○今村委員 菅委員の御指摘はよく分かりましたので、項目を残すことは構わないのですけれども、色覚異常のほうははっきりとした対応策があるので、議論の余地なく、今の時点でやるべきこと。どちらかというと今、緑の上に赤で字を書いていること自体、あってはならないことだと思うのです。男性の5%もいるのに、それに配慮がされていない社会のほうに問題があって、それを表示するメーカーの方々も御存じないということが問題なのだと思います。そういうはっきりした部分は、ぜひ議論の余地のない部分に移して、やろうというふうにしてもらって、難しい部分の議論としての菅委員の提案は、また個々のテーマとして考えてもらうというようにレベルを分けて議論して、一緒に困難なほうに行ってしまうとすごく不幸なことが起きる。

○受田部会長 今の議論は非常に重要なところかと思います。

あわせて、外国人に対してというか、日本語を理解できない居住者であったり、外国人観光客の方に対してもというところで、外国語対応ということをここに書かせていただいておりますので、いろいろな方を対象にして、解決できる具体的な方策があるものについては、今のような最も体系的かつ効果的なものをお示ししていくという方向で、今後の方針は見えてくると理解をさせていただきました。

渡邊委員、夏目委員、お願いします。

○渡邊委員 今のお話とちょうど関連するのですけれども、2ページ目のウエブ活用のところに、今、言われたような、ウエブがあったら消費者を誰一人残さないような対応をしていこうということは分かるのですけれども、第1段階、第2段階というのは、いわゆる任意表示なのですけれども、例えば今の議論などはなかなか逆らい難い、そういう方向で行くと言われると、半分義務のような形にプレッシャーが出てきますね。

そういう中で、今度、ここに脆弱な消費者と書いてありますけれども、事業者のほうでも、そんなに大きい会社ばかりではなくて、今の義務表示をやるのもかつかつ頑張っているぐらいの事業者もいるので、こういう世の中になったときに、これをやらないと非国民みたいな、それによって事業が成り立たなくなるようなことにならないようにしていかないと、確かにいい話はいろいろ出てきて、外国人に英語で届けたらいいでしょうとか、外国に行っても全然英語で書いていない国もいっぱいあるわけです。そういう中で、ここまでやったらいいでしょう、それはいいね、それはいいねと出てくるけれども、今度、それがすごくプレッシャーになって、お前の会社は何でそれをやらないのだとかいうことにならないように、ぜひしていただきたいと思います。

○受田部会長 夏目委員、お願いします。

○夏目委員 ただいま渡邊委員から、事業者の実行可能性という点についてお話をいただいたと思います。それはそれで事実としてあろうかと思いますが、やはり脆弱な消費者に対応するためにウエブを活用していくというのは、一つの方向性としてあるべき姿なのだろうなと私自身は思います。

それと、今後検討すべき課題ですけれども、部会長のお話を聞いていて思ったのですが、脆弱な消費者という表現をすると、非常に広範囲な対象になってきていて、5ページの訪日・在日外国人とか、色覚異常とか視覚機能の表現の仕方は別にしても、そういう方たちだけではなくて、むしろここの今後検討すべき課題というのは、やはり脆弱な消費者の表現のほうがいいのではないかと私自身は思います。

では、脆弱な消費者という中身をどこまで限定するかというのは非常に難しい話で、状況によっても違ってきますので、御検討いただいたらよろしいのかなと思っていたわけです。

以上です。

○受田部会長 ありがとうございました。

事業者側の話、消費者側の話、どちらも重要な御発言、御指摘かと思います。

また、こういった視点は何度か伺っておりますので、当然理解をしていくということかと思います。

脆弱な消費者に関しては、消費者法基本計画あるいはその工程表に関しても、また消費者委員会の中でも、一時的な脆弱性でしたか。

○樋口部会長代理 一時的と継続的。

○受田部会長 すみません。部会長代理に補足をしていただきました。

一時的、そして継続的脆弱な消費者という表現を今、使っているところがあります。そして、この定義に関して、一時的というのは先ほど申し上げたような、様々な状況があるということで、誰もがその脆弱な消費者になり得るという前提だと思っています。ですから、そういう状況の中で、補完あるいは補足をしていくウエブによる情報提供というのは効果的な場合があり得るし、それを考えていくということで、先ほどの資料1の5ページの部分には、脆弱な消費者という言葉は書いてありませんでしたけれども、しっかりとこの全体像をまとめるに当たっては、脆弱な消費者という言葉を使っていき、そこへの配慮という点を留意できるように表現をしていきたいと思います。

もちろん、事業者の皆さんの実行可能性の話は、様々な面で配慮していくことを抜かることなくという前提かと思います。ありがとうございます。

ここまでで、大分時間が経過をしております。あと我々がまだ議論し尽くしていないところが5ページの部分かとは思っておりましたけれども、この中で、ウエブを活用していくということで外国語を翻訳し、音声でというお話もございましたが、さらにいろいろな対象の方に対して、ウエブの活用が極めて効果的になり得るようなお話等を意見としていただき、それらを全体像の取りまとめ案の中に盛り込んでいけることができればと思っております。

この後は、大体御意見をいただいた上で、取りまとめの骨子案、資料3に入ってまいりたいと思っております。

ここで全体の流れということで、更に意見をいただこうと思っているのですけれども、今、申し上げたように、5ページの部分でウエブとの連結等、御意見があれば、もう少しだけ時間を取りたいと思います。

戸部委員、お願いします。

○戸部委員 5ページの訪日・在日外国人への分かりやすさという部分ですが、意向は分かるのですが、表示の内容というのは法律にのっとっているので、外国人の方に誤解がないように、単純に翻訳するだけでは不十分な部分が出てくると思います。表示の仕組みだとか表示の基準等の情報提供についても同時に考えなければいけないと思いました。

○受田部会長 ありがとうございます。

食品表示の今の制度自体というのは、外国の方がそれを御覧になると、今のこのパッケージはこのようなルールにのっとって表現されているというようなことを案内しているホームページ上のメッセージはあるのですか。

○消費者庁赤崎食品表示企画課長 ただいまの御質問でございます。

現行の食品表示基準8条に、表示の方式等という規定がございますけれども、表示は容器包装に邦文で分かりやすくとしか書いておりません。

したがって、その要件さえ満たしていれば、別途の上乗せ措置として、今、お話のあったように、ウエブでいろいろな外国の言葉と申しますか、それぞれの言語で音声情報が出てくるといったことなどについては、任意の取組として、特段規制の対象等にはなっていないと理解しております。

○受田部会長 分かりました。ありがとうございます。

現状はそういうことであるということは、戸部委員の先ほどの御発言からいくと、そういうものを様々な言語で説明をしていき、それにしっかりアクセスできるようにして、理解をしていただいた上で書いてあるものを御覧いただくというところがもうワンステップ必要であるということですね。

赤崎課長、ありがとうございました。

それでは、下浦委員、澤木委員、お願いします。

○下浦委員 ウエブ上で併用表示等をするというのは非常にいいことだと思います。私も勉強不足で確認ですが、例えば義務表示の部分が変更になれば、当然、業者さんのほうが明確に変更するわけですが、その場合に、容器自体への表示であれば、見れば、何か変更になっているなというのに気付き、分かるのですけれども、ウエブ上で変更した場合には、何らかのルール作りが必要なのではないかという気はしております。

第2段階の段階で、情報提供のルール作りということが書かれています。それも含めて、今後ウエブ上の活用をどんどん図っていくことは非常にいいことだと思うので、何らかの形で、変更の部分が明確に分かるような形のルール作りを考えていただければありがたいと思っております。

○受田部会長 ありがとうございます。

第2段階、第3段階含めて、ウエブでの表示自体がいかに変化していくのかということも含めて、分かりやすくという御意見をいただきました。ありがとうございます。

澤木委員、お願いします。

○澤木委員 同じような意見なのですけれども、第1段階の容器表示とウエブの併用表示に関しても、正確な情報でないとならないと思いますし、特に安全性などについては、最新の情報に常に書き換えなければいけないのではないかと思います。

あとは、余りネット、ウエブなどに詳しくない消費者でも、簡単に分かりやすく、表示項目というところがあって、そこをクリックすると、必要なことが書かれているというようなつくりのウエブをぜひお願いしたいと思います。

それから、第1段階、第2段階はほとんど並行してもいいという感じなのでしょうか。

○受田部会長 第1段階から第2段階に明確な切れ目を入れていくということにはならないのではないかとは思います。

結局、併用のほうは、今、御発言もありましたように、どちらかというとアクセスしやすく、そして容器の一括表示と同じものが出てくるというようなところから始まり、そこにプラスオンされた情報が、ウエブ版においてはより豊富なスペースということで、御覧いただけるようになっていくということで、少しずつそちらのほうへ進んでいくことが想定されるのではないかと思います。

○澤木委員 わかりました。

あと多分、今後、QRコードが活用されていくのだと思うのですけれども、私もQRコードをよく見たことがないので分からないのですが、ホームページ上に飛ぶだけなのか、ホームページの中の表示項目にまで飛ぶことができるのかというところが、とても大事ではないかと思いました。

○受田部会長 ありがとうございます。

QRコード、二次元バーコードを使ってウエブへ誘導していくということは想定の範囲内で、そうなったときに、ウエブのどこに誘導していくかというところは、技術的にいろいろやれると思うのですけれども、今の問題点は、ホームページ上のどこの階層に、表示に資するような情報が入っているかが分からないというのが、以前の検討会、食品のインターネット販売における情報提供の在り方懇談会においても問題視されておりましたので、どこに誘導していくかということについては、一定の決まりというかガイドライン的なものがあるというのを想定しないといけないのではないかと思います。

今の御発言も含めて、渡邊委員、お願いします。

○渡邊委員 今の話ですけれども、ウエブの細かいところに直接誘導すると、今度、ウエブを直したときにつながらなくなるのです。だから、今、ガイドラインを作るというのは、きっちりその商品に飛ぶようにしろという話を言われていると思うのですけれども、そんなに単純なものではないので、必ずつながらなくてはいけないということを考えると、やはり一番トップのページ、絶対に変わらないところに行くというのも一つの考え方ですので、その辺は、単純に考えていただく話ではないと思います。

○受田部会長 わかりました。

委員の皆様が、このサントリーさんのお水の二次元バーコードがどこに飛ぶか確認をされておりましたが、どこに飛びましたでしょうか。

○宗林委員 トップに飛びました。

○受田部会長 それが渡邊委員のおっしゃっていた正解だと思います。

よく分かります。先ほど私が申し上げたことも、食品のインターネット販売における情報提供の在り方懇談会の中で触れられておりますので、どこで一定の方向性を見出していくかというのは非常に重要な問題かと。

○渡邊委員 ガイドラインと言われると非常に。

○受田部会長 すみません。ガイドラインという言葉はまず撤回をし、QRコード、二次元バーコードの活用に関して、今から調査をしていくということと関連していきますので、それによって方向性を見出していくというところでとどめておきます。

松嵜委員。

○松嵜委員 ちょっと細かくなるのですけれども、第2段階のところになると、食品事業者が更に伝えたい情報のページのルール作りみたいなところが変わっていますが、恐らく表示というと、私はこの部会に入っていて、やっと表示とはどんなものかというのがだんだん分かってきたぐらいのところですが、どんなことが掲載されているかというのは、皆さんに余り伝わっていなくて、やはり目立つ表示をすると飛びつくというか、「まぜるな危険」とか「特保」というのが付いているとキャッチーな感じがするのです。なので、表示しなくてはいけない表示がどれで、表示したほうがいいのがどれで、表示してはいけないのがどれでというようなのが一目で見て分かるというか、ルールそのものがみんなに理解できて、こんな書き方をしてあるときは安心できるのだというところを、何とか担保できないかなと思います。

○受田部会長 ありがとうございます。

義務表示、それから、それと対比させるとすると任意表示ということかと思います。そして、それ以外の情報としてというところを仕分け、しっかりと分かりやすくというコメントをいただきました。

今の段階では、義務表示を前提に、容器縛りの部分が基本になっておりますので、今後、こういったウエブの情報提供の在り方を更に調査し、そしてあるべき姿が描かれていく段階において、今のような、そこに盛り込まれている情報のレベルというか扱いに関しても分かりやすくという点を盛り込むという御発言と受け止めさせていただきたいと思います。ありがとうございます。

安達委員、お願いします。

○安達委員 先ほどQRコードでどこに飛ぶかというお話もありましたけれども、その商品のページに飛んだときに、今、皆さんがおっしゃっていらしたように、各メーカーさんでというのはなかなか難しいのかもしれないのですけれども、ページに飛んだときに表示される内容、項目、順番というものをある程度、統一していただいたほうがやはりいいのではないかと思います。

現在、ウエブを活用して、例えば義務表示の内容を載せていらっしゃるメーカーさんもあると思いますけれども、やはり表示の仕方というのは、各メーカーさんの御判断でそれぞれ決めていらっしゃるもので、統一されてはいないと思うのです。

任意表示の場合に、ガイドラインにするというのはもちろん難しいかと思うのですけれども、ある程度統一していただいたほうが、ウエブの使用に慣れていない消費者の方にとっては見やすい、分かりやすいという形になるのではないかと思います。

○受田部会長 ありがとうございます。

今、表示内容、項目、順番の統一感と、要は提供する側も一定の指針、ガイドラインという言葉を使わず指針となっております。一定のルールにのっとって、あるいは指針にのっとって、それを消費者の側も理解をしていれば、アクセスも比較的容易になっていくというところで、双方向でしっかりとルールにつながっていくようにしていかなければならないということで理解いたしました。

菅委員、お願いします。

○菅委員 先ほど澤木委員と渡邉委員がおっしゃったことについては、実際に考えていくときには本当に大事なことだなと思いました。

個別の商品に表示していることの代替手段となる以上、改変できない個品の個性がきちんと書いてあるページに直接飛ぶのでないと、制度としては問題があるのかなと思います。全体の商品群の中で変わっていくことがあるものについても、タイムリーに表示できるメリットがありますが、やはり当該商品との関係では、サイトのページ数が増えてかなり面倒なことになったり、技術的にいろいろな問題があるかもしれないとしても、個とのつながりというのを、後から改変不可能な形でひも付けしていただく必要が絶対にあるのではないかと思いました。

以上です。

○受田部会長 ありがとうございます。

今の点も、しっかりと理解をしておきたいと思います。

今まで御意見をいただいて、ウエブの活用に関しては、段階的であるということについては、一定、委員の皆様から異論は聞かれなかったと認識をしております。ただし、第3段階へ移行する間の部分での、移行するかどうかの議論も含めて、ウエブの活用が目的ではなく、そもそもの安全性の確保に資する表示が消費者の皆様からとって認識しづらいあるいは見過ごされてしまうことのないように、より分かりやすい表示としていく上でのウエブの活用というところをしっかりと認識していくべきであるというところを、いろいろな委員の皆様からの御発言で改めて理解したところでございます。

また、細かい御意見に関しても、反映できるところは取りまとめの中にしっかりと盛り込んでまいりたいと思います。

あわせて、これまで議論が十分にできなかった脆弱な消費者に向けてという点についても、かなり幅広に対応していこうという考え方、また、既に一定の方向性が見出せているものに関しては、それをしっかりと反映させていくということで、これを切り分けていくこと。ここについても専門的な御意見を賜ったところでございます。

また、脆弱な消費者という言葉は盛り込んでいくべき内容であるというお話しでしたので、その点についても、取りまとめの中にしっかりと書き込んでまいりたいと思います。

まだまだ御意見はあろうかと思いますけれども、いただいた 御意見をもとに、最後の部会において取りまとめを皆様と協議してまいりたいと思います。その前提となります骨子案を、資料3として、A4一枚物でお配りしております。これを御覧いただいて、さらに積み残しで御発言がございましたら、少しいただきたいと思うのですけれども、よろしいでしょうか。資料3に移らせていただいてよろしいでしょうか。

ありがとうございます。

それでは、資料3に関して議論を進めてまいりたいと思います。

何度も申し上げておりますけれども、我々委員の任期を考えますと、残りの開催回数も限られております。一定、皆様から問題提起していただき、その解決に向かっての具体的な方法論も種々御意見を賜ったところでございます。

非常に前提としてはウエブありきの問題提起を、消費者委員会から指示されていたわけですけれども、そもそも今の食品容器にあります表示の現状に関して、その分かりやすさ、見やすさ等についての調査が必要であることも十分に皆様と協議をさせていただき、本日に至っているわけでございます。

最終的には、今回の審議テーマに関する報告書を、最後の部会に向かって作成することとしたいと思っておりまして、これまでの議論をもとに、まず、骨子案を御用意させていただきました。この骨子案の内容について、少し御意見をいただければと思っております。

資料3はあくまで骨子案ということなのですけれども、「はじめに」から「おわりに」という流れで第1、第2、第3、第4、第5というつくりにしてあります。第1の部分では、食品表示制度とそれを取り巻く環境ということで、現行の食品表示制度、食品表示を取り巻く環境、ここでの議論に至った背景を、今日も御意見いただいたような点も踏まえつつ、ここに書き込んでいこうと思います。

その後、第2において、食品表示に対する消費者の意向と改善に向けてというタイトルで1ポツと2ポツ、消費者から見た食品表示、ここは消費者の意向の把握と食品表示に対する不満ということで、主に部会でも取り上げてまいりました消費者意向調査、消費者庁で定点観測をしていただいておりますそのデータに基づいた内容を、できるだけ客観的に盛り込んでいく予定にしております。

それを受けて、より良い食品表示に向けてということで、(1)、(2)がございます。特に(1)、(2)の部分に、当部会において議論していただいた前段の部分、表示自体の課題、それからそれを解決するためにどうすべきかというところの様々な考え方を盛り込んでいき、それを具体的に実行に移すために、更に考慮すべきこととして、第3、食品表示を考える上で重要なこととして、食品表示一元化検討会や食品のインターネット販売における情報提供の在り方懇談会といった取りまとめのエッセンスを再確認した上で、部会において専門家からいろいろな情報をいただいた国際的な食品表示の動向、ユニバーサルデザインの活用、ICタグの情報等に関しても、ここに書き込んで要約をしておきたいと思います。

それらを受けて、第4にございます消費者に活用される食品表示とするためにということで、今日も御議論いただいた活用される食品表示とするための考え方、分かりやすく活用される食品表示とするための前提条件として、分かりやすさの定義に向けた科学的アプローチに基づく調査。これは、空間的情報量であったり、表示可能面積に対する一括表示の面積と、現状の商品に対する調査を悉皆的に行っていくこと。さらには、ウエブを用いた食品表示を検討するための現状調査を踏まえて、それらのバックデータをもとに、具体的に分かりやすく活用される食品表示とするための取組を(1)、(2)として、これまでの御意見をまとめさせていただこうと思います。

特に、(2)のウエブを用いた食品表示の可能性が、今日御議論いただき、様々重要な視点をコメントいただいておりますので、その点、遺漏なきように、ここに盛り込んでまいりたいと思います。

そして、前々回の部会において、スケジュール案について皆様と御協議をさせていただいた今後想定されるスケジュールをここに盛り込みたいと思います。

最後に、誰一人取り残さないための将来的取組と書いてあります。ここが、脆弱な消費者に対する表示の在り方に関連する内容ということになりますので、そのワードも含めてここに盛り込み、そして(1)、(2)、特に(2)については先ほども御議論いただいたように、既に整理できるような対応策についてもしっかりとここの中に整理させていただき、「おわりに」ということで結んでいく方向で流れを今、想定しているところでございます。

かなり時間をかけ、また、委員の皆様の活発な御意見をいただき、また、専門家の皆様に現状と将来の可能性についてもレクチャーをしていただいた内容を全部盛り込もうと思っておりますので、かなり内容が充実したものになるのではないかと考えております。

これが骨子案でございます。そして、必要な図表に関しては、例えば消費者意向調査の一部が客観的データとしてここに入ってくると思います。また、部会において何度か整理をさせていただいた資料の幾つかも、この中に盛り込んでいく方向で考えてまいりたいと思います。

ただ、あくまで部会で活用いたしました図表、資料に関しては、一定、議論を整理し、その方向性を明確化するために活用したものでございますので、決してその資料を全て、この報告書の中に盛り込んでいくというつもりではございません。そういうところで、盛り込まれた図、表等に関して、また御意見をいただければと思っているところでございます。

以上が現在、考えております報告書の骨子案で、当然のことながら、これが目次立てになっていくと想定をしていただければ幸いでございます。

私のほうから一方的に説明をいたしましたが、いかがでしょうか。何か漏れているような点は。

松永委員、お願いいたします。

○松永委員 御説明ありがとうございます。

一読して、骨子案を見て、バランスを欠いているのかなという印象を持ちました。

というのは、事業者の事情というところをきちんと書き込まなくてはいけないのだと思うのですけれども、その項目がないのです。多分、第2の現行表示に対する不満とか、より良い食品表示に向けてというところで出てくるのだと思うのですけれども、事業者側にも事情があって、今の表示になっているというのが現状だと私は思っています。

ですから、事業者も何とか改善したい。いろいろな工夫もしているのだけれども、難しいところもあって、消費者も不満を抱えていますよというのが実態だと思いますので、こういうふうに整理をするならば、第2、消費者の意向のところに、事業者の事情も入れて、その上で改善に向けてとするか、消費者の話、それから事業者の現状、難しさみたいなところを第3の形で入れるか、何らかの形で双方の今の状況を入れないと、食品表示の全体像をきちんと考えるものにはならないのではないかと思いますので、そこの組立てを、もう一工夫していただければと思います。

○受田部会長 ありがとうございます。

バランスのところは、重々重く受け止めないといけないと思います。

ただ、今のような事情をしっかりと盛り込むのであれば、一定時間をかけ、我々としてその状況を整理、共有した上で盛り込んでいかなければならないのではないかと思うところもございます。

今の御意見に対してのこちらの対応としてどうするかなのですけれども、これまで、また今日も事業者の皆様の実行可能性のお話もございましたし、主には渡邊委員、小松委員を始め、事業者サイドのお話、コメントもいただいておりますので、我々としては、それをしっかりしんしゃくさせていただいて、その事業を勘案しながら、今日までの議論を進めてきたつもりでもございます。

実際に、ここは消費者委員会のもとに立ち上がっている食品表示部会なので、そこの立場で議論を中心に組み立てていたというところについては松永委員にも御理解いただけると思うのですけれども、今後、これを実際に調査していく段階、また、その調査を通じて事業者の皆様の様々な事情を我々としては理解をする場があるのではないかと思います。それこそが、現状の調査という具体的な目的になっていく部分かと思いますので、今回の報告書、部会の議論については、事業者の皆様にしっかりとここで事情を説明していただくような場も設けておりませんでしたので、この報告書の中にはあえてその部分はやっていないことですので、今後の調査以降の課題にさせていただく。あるいは、「おわりに」の部分に、事業者サイドの皆様の意向をしっかりお聞きする場は設けていなかったという点については書き留めて、今後、これを調査に移していく段階において留意をしていく方向で取りまとめにさせていただければと思います。

渡邊委員、お願いします。

○渡邊委員 今の事業者の扱いなのですけれども、事業者の今の状況というのは、恐らく大きいくくりで表示に対する事業者の状況と書くとなかなか難しいと思うのです。だから、それぞれの項目のところに、私も結構いろいろと言わせていただいたので、言わせていただいた内容をしっかり入れ込んでいただくというのが大事かなと思っています。

例えば、ウエブのことであればウエブに対する今の事業者の状況がどういう状況かとか、そういうのはまとめて項目がなくても、ちゃんと言った内容を入れていただくというのが一つ大事かなと思っています。

あと、これは食品表示という観点でまとめているので、どうしてもこういう形になるのですけれども、消費者のほうから見ても、いつも表示の一括表示ばかり知りたいわけではなくて、当然、この商品のいいところとか、いろいろ知りたいところというのはその都度、違うと思うのです。これはウエブのところで、余り狭い観点でまとめてしまうとおかしくなってきて、要するにウエブなんていうのは、その商品に対してお客さんが知りたいときにみんなウエブにアクセスするわけで、一括表示だけ見られればいいというものではないので、まとめ方のときに、特に表示という観点でまとめてはいるのですけれども、ウエブなんてあたりになってきたときには、余り狭いところでまとめてしまうとおかしくなるかなと。

やはり、消費者が知りたいときにウエブに飛んで、いろいろ知りたいときにほかが全然見られなくなってしまったら意味がないので、その辺も入れていただければと思っています。

○受田部会長 ありがとうございます。

渡邊委員から、いろいろな箇所で事業者サイドのお立場での意見も出されている。それを盛り込んでいただきたいという御要望もいただいたところで、先ほどの松永委員からのバランスの部分でそういう形をとれればいいと思うのですが、松永委員、お願いします。

○松永委員 事業者の方々がこれでいいとおっしゃるのであれば、特に私がこうしたほうがいいと申し上げることもありません。

ただ、私はこれからの消費者というのは、やはり要求するだけではなくて、事業者の事情や実行可能性ということまで考えた上で望めることは望むし、もっと事業者に対して努力を求めていくというような消費者像になるべきだと思っていますので、そういう観点から言うと、一方的に意向と改善という形で整理されるのは違和感があります。

なので、この骨子案はここから目次立てをするのだと思うのですけれども、別に一つ事業者ということで項目を立てていかなくていいということは渡邊委員もおっしゃったことですし、そこまでは行かなくてもいいのですけれども、そこも一緒に考えて、事業者のことも考えて、あるべき姿を共に探していきましょうというトーンが目次のところでも出てくればいいかなと思います。

○受田部会長 ありがとうございます。

最後のところで、脆弱な消費者とか誰一人取り残さないというSDGsの考え方が一部出てくるとすると、12番、「つくる責任、つかう責任」の部分が、恐らくこういった表示を通じての事業者の皆様、そして消費者の皆様のやり取りの情報になっていきますので非常に重要で、そういった展開を少し「おわりに」のところに盛り込んでいくことも含めて、今のような御意見を反映できるように頑張ってみたいと思います。

渡邊委員、どうぞ。

○渡邊委員 内容を見ないとよく分からないので、項目だけでは何とも言えないのですけれども、例えば、さっき私も言いましたが、脆弱な消費者だけではなくて脆弱な事業者もいるよという話もしているので、そういう話を盛り込んでいないと、またいろいろと、実際の報告書になったときには意見を言いたいと思いますので、確かに項目立てだとこういう感じの項目の順でやっていったので、それはそれでいいかなとは思っています。

○受田部会長 ありがとうございます。

宗林委員、お願いします。

○宗林委員 第5のSDGsではないですけれども、誰一人取り残さないための将来的取組の中の脆弱な消費者という言葉ですけれども、この(1)、(2)の特出しは、一部としてはあってはいいと思うのですが、私もこれは読みにくいのです。老眼が入ってきたら脆弱な消費者なのかなと思いながら、比較すれば、ほかのメーカーさんのほうが見やすかったりしますので、これから高齢社会に入るに当たって、最初のほうに出てくる、いかに見やすく、いかに重要な情報をキャッチングできるような表示といったものが、例えば安全に関するものと、選択に資するものとのポイントを変えるとか、色のコントラストといった形で、脆弱なというのを、この2点だけではなくて、全体像の易しい表示、見やすい表示という観点を、いい言葉で言えないのですが入れていっていただければと思っています。

○受田部会長 ありがとうございます。

第5のところは課題的な部分で、我々としてしっかり留意をしておかなければいけない部分をポイントとして書き込んでいくというチャプターになっていくのだろうと思います。

そういう意味で、(1)、(2)だけではなく、もう少し広げ、そして先ほどの一時的あるいは継続的脆弱な消費者という表現もありますので、その点を留意しながら、様々な分かりやすい、見やすい表示という観点を最後の部分で問題提起しておくようにしたいと思います。ありがとうございます。

菅委員、お願いします。

○菅委員 宗林委員が今おっしゃったことと共通するところもありますけれども、「脆弱性」というものの意味をより広めな捉え方をしたほうが全体としてまとめやすくなるのかなと感じました。もともと広い意味での脆弱性の話をずっと議論してきているようにも思いますので。

あとは、「食品表示の全体像」というテーマで大きく振りかぶっていることではあるのですけれども、いろいろな時間的な制約などもあって、議論が容器本体があるものについてのある局面についての議論をするにとどまったことについては、「はじめに」の部分等において、これだけで「全体像」を語り尽くしたものでない旨を、前提の確認として記載していただくようお願いしたいと思います。

一応、具体的な中身を見ないと分からないという面はありますが、ざっくりとしたイメージとしては、私たちがこの部会において中心的に議論をしたことが書かれる箇所としては、第2の2と第4と第5になると理解したらいいのでしょうか。

○受田部会長 そう思っています。

○菅委員 第3は、この場で一緒に勉強したことというイメージですか。

○受田部会長 おっしゃるとおりです。

そして、第2の残りの部分は、消費者意向調査等を中心に、またこれまでのいろいろな検討の場において書かれている意見といったものをここに引用していくというつくりで考えております。

ありがとうございます。今の御発言に関しても、理解ができました。

ほか、いかがでしょうか。

池戸委員、お願いします。

○池戸委員 中身の話でなくて申し訳ないのですけれども、私が欠席のときにお話があれば申し訳ないのですが、この報告書の位置付けなのですけれども、ずっと1年かけて、飛び飛びで検討なども入っているので、こういうふうにまとめていただくのは非常に分かりやすくていいと思うのですが、報告する位置付けは、親委員会に対しての報告ということでよろしいですか。

○受田部会長 今回のこの全体像に関しての議論は、消費者委員会本会議からの指示でございますので、まずは次回の部会で成案が得られれば、その内容を消費者委員会において報告申し上げ、その取扱いについても、消費者委員会において一定の方向性をというふうに考えております。

○池戸委員 ありがとうございました。

○受田部会長 ほか、いかがでしょうか。

中身を御覧いただかないと、何ともコメントしようがないというところは、もう事実かと思います。ただ、何分8月いっぱいまでという残された部会の任期、そして、同時に、消費者委員会の本会議で、これを部会の報告として報告した上で、その後の議論をいただくことになっております。本会議の任期も8月いっぱいということがございまして、かなり時間的制約がある中で、こういった骨子案で早急に報告書の形でまとめていきたいと思っております。

また、報告書、肉付けができましたら、更に御意見を賜り、そして今回の議論がしっかり次につながるように、委員の皆様から、更にお力添えをいただければと思っているところでございます。

今日のところは、今いただいた意見までということで、この骨子案をもとに報告書へ仕上げていくという形でよろしいでしょうか。

ありがとうございました。

それでは、全体像に関しては、以上で終わりたいと思います。

≪3.アレルギー物質を含む食品の表示について≫

○受田部会長 本日はこの後、「アレルギー物質を含む食品の表示について」ということで、消費者庁から御説明をいただくことになっております。

アレルギー物質を含む食品の表示に関してというタイトルなのですけれども、今般、消費者庁より3年ごとに実施しているアレルギーに関する調査結果が取りまとまったことを受け、その結果を報告させていただきたいというお申出がございました。それを受けてということになります。

まずは消費者庁から、20分程度で御説明をお願いいたします。

○消費者庁赤崎食品表示企画課長 ありがとうございます。

それでは、お手元の資料4「アレルギー物質を含む食品の表示について」に沿って、内容の御説明をさせていただきます。

まず、2ページ、今のアレルギー表示制度及びその経緯になります。

3ページに、今に至るまでのアレルギー表示制度の経緯がございます。

まず、一番上に、食物アレルギーとはというメカニズムを書いております。ここに記載のとおり、食物を摂取した際、身体が食物に含まれるたんぱく質を異物として認識し、過敏な反応を示すことを、食物アレルギーと呼んでいます。過敏な反応の中には、重篤なアナフィラキシーショックもございます。基本的には、いわゆる抗原抗体反応で体の調子が悪くなることを食物アレルギーと呼んでいると御理解願います。

アレルギー物質を含む食品の表示の経緯がその下にございます。表示制度自体は平成13年3月にできています。当時は厚生労働省のときです。まだこの時点では食品表示法はありません。食品衛生法に基づく厚生労働省令という形でルール化されております。

内容としては、特定原材料ということで、必ず表示をしていただく義務の品目を5つ定めています。この制度は平成13年4月1日から施行され、1年間は経過期間となっております。また、義務表示品目の5品目のほかに、義務の5品目に準ずるものとして19品目を通知で定め、できるだけ表示していただきたいと推奨しています。これがスタートになります。

その後は、対象品目の拡大になります。平成16年12月に、特定原材料に準ずる推奨品目として、バナナを追加しました。したがって、推奨19品目が20品目になっています。

平成20年6月には、それまで推奨表示品目であった「えび」「かに」を義務表示品目に格上げするという見直しを行いました。その後、平成21年9月に消費者庁が発足しましたが、平成25年9月に、それまで推奨表示は18品目ございましたが、「カシューナッツ」と「ゴマ」を追加して、推奨20品目となり、今に至っております。

その後、平成27年4月に食品表示法が施行されましたので、食品衛生法から食品表示法に根拠法が変わったという内容でございます。これが経緯になります。

その次の4ページが、具体的にどのようなルールになっているのかを規定した資料でございます。

食品のアレルゲン表示となっております。まず、特定原材料等とありますが、具体的には、えび、かに、小麦、そば、卵、乳、落花生の7品目がございます。これらは表示義務をかけております。それらに準ずるものとして、あわび、いか、いくら等々、全部で20品目を定めておりますが、これらは表示の奨励、任意表示となっております。

では、表示義務をかける品目、表示の奨励にとどまる品目のメルクマールは何かにつきましては、「理由」の欄にございますが、実際の食物アレルギーの発症数、重篤度から勘案して表示する必要性が高いものには表示義務をかけています。

一方、症例数、重篤な症状を呈する者の数が継続して相当数見られるが、相対的に義務をかける特定原材料よりは少ないといったものは、推奨の任意表示となっています。

これについては、定量的な基準はございません。個別具体に判断をしているというのが今の実態になります。

その品目について、どのような表示を容器包装に書いているのか。それが下の表示例になります。

個別に表示する場合と一括して表示する場合の2通りございます。原則は個別表示、上のほうになります。現在、使用した原材料名を書くことになっています。その中に、アレルギーを引き起こすえび、かに、小麦等々を書いてくださいというもので、原材料そのものにえびやかにを使っていて、それを表示していれば、もう終わりです。ただ、物によっては、具体例のハムというものがございますように、ハム自体が複合原材料で、これ自体、括弧書きで書かれている卵や豚肉などを含んで成り立っていますけれども、ハム自体は卵や豚肉そのものではありません。通常、原材料にハムと書けば終わりですが、アレルゲン物質が含まれている場合、個別に原材料の後ろに括弧書きで何とかを含むと書いてくださいというのが個別表示であり、基本形になっています。

例外としての一括表示につきましては、原材料が複数あれば複数書いた上で、最後にそれらのうちの一部に、何とかと何とかを含みますとまとめて付記するやり方です。

以上が、今の表示制度なり、今に至る経緯になります。

5ページからが、今回新たに調査をして得られた結果の概要と、あとはそれを踏まえて、先ほど述べました今の表示制度をどう考えていくのかという御説明になります。

そこに即時型食物アレルギーによる健康被害の全国実態調査ということで、実際に平成30年度調査研究事業報告書をまとめています。参考資料という形でお手元に御用意しておりますが、そのエッセンスという形で、以下、資料4に基づいて御説明をさせていただきます。

6ページになります。調査の方法でございます。

一つ目のポツにございますように、従来から全国ベースの実態調査をしております。これまで、おおむね3年ごとにやっておりまして、アレルギー表示の義務の制度ができましてから、今回が6回目になります。3年ごとに実地調査をしていますが、実地調査のフレームそのものは変えておりません。これまでの5回と基本は同じです。そうすることによって、継続性を重視して、経年比較をやりやすくしています。

二つ目のポツが具体の調査方法になります。医師の先生方に御協力をいただいています。具体的には、アレルギーを専門とする全体で1,105名の医師に、趣旨を御理解いただいて、三つ目のポツにありますように、実際にアレルギー症状が出てお医者さんにかかった方、その中で、何らかの食物を摂取後60分以内に症状が出た、これは即時型と言っておりますが、そういう方々は実際に医療機関を受診していますので、そういうフィルターを通して、現実にどれぐらい起きているのかということを、1,105名のまさに現場で診療等をされたお医者さんを通じてデータを出していただくという内容になります。

その際の取りまとめのフォーマットは、冒頭述べたように、従前と変えておらず、経年比較をやりやすくしているということになります。

その結果、食物アレルギーということで、出てきた症例数が中ほどにあります。合計で4,851例となっております。この4,851の中には、別途ショック症状ということで、重篤な方々が大体1割強おられますが、その結果自体については、本年5月31日に調査報告という形で公表しております。

要は、食物アレルギーといいましても、時代の推移、社会状況によっても発症の状況が変わってきますので、一度表示ルールを作ったからといって、そのまま5年、10年もつかというと、そうもいかない。実際、どういうアレルギーが多いのか等々を見た上で、必要に応じて、先ほど義務の品目、推奨の品目を考える必要があります。このため従前から、3年ごとに実態調査をするという形で制度運用をしておりますので、今回もそういう仕切りに従ってやっているということです。

7ページ以降は、今回の調査結果です。まず、アレルギーを起こした方々の年齢分布ですが、ゼロ歳や1歳、2歳等々が多いということです。それまでミルクを飲んでいた赤ちゃんが、初めて離乳食でいろいろなものを食べた結果、その症状が出た。こういう形で御理解いただればと思います。

その次、8ページになります。これは年齢でなくて、原因は何なのかですけれども、3大アレルゲンと言われている鶏卵、乳、小麦が多い。従前からそういう傾向で、今回もそうでございます。

ただ、2行目にありますように、今回の調査では、過去の調査に比べて、木の実類の増加が著しく、8.2%を占めています。4番手になっているということです。

「増加が著しく」と書いておりますが、前回はというと、実は3.3%です。割合だけで見ますと、それが8.2%になっているということになります。

なお、ここでは便宜上、木の実類ということでくくって、それが8.2%となっていますが、実際の調査に当たっては、木の実類というのを更に分けて、クルミ、カシューナッツ、アーモンド、そのほかに多い順に言いますと、マカダミアナッツ、カカオ等々、そういうものが実際の調査で上がっています。それらを総称して、8ページでは木の実類という形の整理をしております。

9ページは、初発のデータになります。アレルギーを発症された方は、文字通り最初に、それまで全く分からずに急になってしまった方もおられれば、あらかじめアレルギーを起こしたことがあって気を付けていたのだけれども、不注意で2回目、3回目のアレルギーを起こすなど、いろいろなケースがあります。9ページはまさに初発という形のデータでして、この中身を見てみますと、ゼロ歳児は3大アレルゲンの鶏卵、牛乳、小麦が過半を占めますが、1から2歳になると木の実類が第3位で13.8%、3から6歳に至ると木の実類が32.5%でトップとなっておりまして、現実には木の実類を原因として、アレルギーでお困りになっている方々が多々おられるということになります。

その次の10ページが、ショック症状についてのデータになります。先ほどアレルギー発症数が合計4,851件と申しました。全体の数字ですので、その中には比較的症状が軽かった方もおられれば、重篤な症状を引き起こされた方々もいます。ショック症状、重篤な方々が全体で524名ということです。

内訳を見ますと、鶏卵、牛乳、小麦が多いのですけれども、木の実類も12.8%で、かなりの割合を占めているということになります。

10ページの下に妥当性の検証というところがございます。これは、お手元の参考資料の報告書の抜粋です。結局、今の義務の7品目、推奨の20品目が実際のアレルギー発症のどの程度をカバーしているかを整理していますが、即時型の4,851件のうち、27品目で見ますと大体94.5%を占めています。また、重篤症状のショック症例に限って見ても、27品目ベースで全体の94%を占めています。数字だけ見ると、大きな漏れはないとなっています。

その上で11ページに「考察及び結論」がございます。これは、報告書として文字通りおまとめいただいた内容を抜き出す形で整理したものです。一つ目のポツは、先ほどのカバー率で見ると、症例数で見ても、ショック症例に限って見ても、大体優に9割を超えるカバー率となっておりますから、制度全般という観点で見ると、十分なカバー率であると書いております。

ただ、個々の品目で見るといろいろな御事情がございます。二つ目のポツになりますが、アーモンドがございます。木の実類の一つでして、今は義務でもなく、推奨でもございません。このアーモンドについては、前回、3年前の調査でも、特定原材料等27でカバーし切れていない食物のカテゴリーの中で一番多く、今回も実はトップということで、2期連続して最も多くなっています。

アーモンドの件数で見ると、右側にございますけれども、総件数が21件となっておりまして、カニなどと比べても多くなっています。

その上で、また左側に戻ります。アーモンドは、これまで中途より特定原材料等に格上げとなったバナナ、カシューナッツ、ゴマと比べても、症例数においても十分に多い。先ほど、消費者庁ができてからカシューナッツとゴマを推奨品目に上げた経緯があると申しました。そのときの直近の数字を見ると、カシューナッツは18件、ゴマは12件でございました。今回アーモンドは21件ですから、そういうことを左側に書いております。

これらの結果からという形になっておりますが、今後、アーモンドの推奨表示対象への追加を検討する必要性が示される。また、クルミを筆頭とした木の実類アレルギー患者の急激な増加は注視しておく必要があるという整理になっています。

ちなみに、この「考察及び結論」は誰の意見か、誰の判断かとなりますが、実は3年ごとの実態調査については、消費者庁から国立病院相模原機構にお願いをして、そこで長年アレルギー問題に取り組んでおられる海老澤先生の御協力をいただいてまとめたものになります。その意味では、この調査事業を受託していただいた先生方の総合判断が、まさにこの考察であり、結論であると御理解いただければと思います。

こういう報告が3年ごとということで、今年5月末に公表されています。それを踏まえてどのように対応するのかというのが、12ページ以下になります。

13ページは、これまでの即時型症例数とショック症例数を経年比較したものです。

上段が即時型症例の総件数、下段が内数としての重篤なショック症例件数になりますが、今回分を含め3回分の調査データを載せております。上段の即時型症例数で見ますと、30年度調査、塗っておりますけれどもアーモンドは21件、3年前はアーモンドは14件となっています。これは、今年度で見ると多いほうから16番目、3年前で見ても20番目となっています。義務表示品目と推奨表示品目の合計が27ありますから、実際の発症数だけ見ると、かなり件数は多いということが言えるかと思います。

ただ、アーモンドのほうは、下のショック症例のほうで見ますと、著しく多いかというと必ずしもそうではないというのが実態だと思います。30年度は実は1件、3年前の27年度の調査だと4件となっています。

もう一つ、クルミがございます。クルミは実は今、推奨品目になっています。上段の即時型症例数で見ますと、24年度は40件、順位で言いますと9位、3年前の27年度は74件、順位は8位でした。直近の30年度調査となると、件数が著しく増えて251件となっております。順位だけで見ても4位と、著しく増えています。

下段のショック症例数を見ると、クルミはかなり重篤度合いが高いとなっていて、6年前の24年度調査だと4件のショック症例、3年前の27年度調査だと7件、順位で言いますとそれぞれ10位、8位となっています。今回は42件のショック症例数となっていて、順位は4位です。著しく増えているという実態がありますので、先ほど述べた考察及び評価になっていると御理解いただければと思います。

その上で最終ページになります。検討課題という項目で整理しておりますけれども、消費者庁として、今後の方向性としてこういうことが適当でないかという問題意識の下でまとめたものです。

まず、これまでの3年ごとの調査報告及び今般の最新の調査結果を踏まえ、クルミにつきましては、今、推奨品目ですが、義務化を視野に入れた検討が必要ではないか。アーモンドにつきましては、推奨品目への追加検討が必要ではないかということになります。

理由は先ほど述べたとおり、やや繰り返しになりますが、クルミについては、症例数が著しく増えています。今回、30年度調査報告で見ますと251件、でも3年前の27年度は74件、3倍増になっております。ショック症例数で見ても、30年度が42件、3年前の27年度は7件ですから6倍。やはりショック症例というのは、アナフィラキシーという言い方をよくされますが、場合によってはかなり重篤な被害を文字通り引き起こしますので、そういうことを総合的に考えますと、推奨のままでいいのか、義務化を視野に入れた検討も必要でないか。そういう形の整理にしています。

アーモンドについては、まずは推奨品目への追加という提案になります。

ただ、これらにつきましては、下の留意事項がございます。まず、クルミについては、即時型症例数もショック症例数も激増しておりますが、この著しい増加が一過性のものなのかどうか。それはきちんと見極める必要があるだろうと。

もう一つは、仮に義務化した場合、義務対象品目については罰則担保で必ず表示をつけていただきたいとなりますので、適正な表示かどうかを見極めるための公定検査法が必要になります。したがって、一定の精度が担保された、きちんと判定できる物差しとしての検査法がないと、いきなり義務化と言っても、制度としてはきちんとワークしないということになります。そういうことを留意する必要があると思っています。

アーモンドについては推奨品目ですので、罰則で担保するというわけではございません。ただ、実際、推奨品目とはいえ、コンプライアンスのしっかりした事業者は、できる限り表示を付すという意味で重く受け止めていただいているのが実態と思っておりますので、包装資材の切替えにどれだけ時間が掛かるのか、きちんと把握をした上で、最終的な判断を行う必要があると思っております。

消費者庁からの説明は以上になります。

○受田部会長 ありがとうございました。

ただいま、消費者庁の赤崎課長から御説明いただきましたが、かなり専門性の高い内容も入ってございますので、まず、いろいろと御意見をいただきたいのですけれども、御専門の分野でもいらっしゃいます3人の委員から、まずはコメントをいただきたいと思います。

御専門分野でいらっしゃるのは、安達委員、松嵜委員、それから本表示制度の策定にも関与されたと伺っております今村委員の3名の委員の方です。

まず、安達委員、そして松嵜委員、今村委員の順番でよろしいでしょうか。お願いいたします。

○安達委員 私は、厚生労働省の国立医薬品食品衛生研究所というところにおりまして、アレルゲンのまさに公定法を作るということを業務として担当しておりますので、表示のほうについても、業務上、ある程度関わらせていただいております。

今回の報告書も拝見しておりまして、最後、13ページにまとめていただいた経年変化、24年度、27年度、30年度のアーモンドとクルミの推移を見ますと、たしか平成25年度の部会だったかと思いますが、ゴマとカシューナッツについても過去4回分のこのような経年変化の表が出ておりまして、最終的に推奨表示品目になったということがございますが、そのときもゴマとカシューナッツも順位としてだんだん上に上がってきたという事情がありました。そのときの状況と比べましても、アーモンドに関しては、推奨表示品目への追加を検討するのが妥当ではないかと私自身は考えております。

それから、クルミにつきましても、次のページにありますように、症例数の増加が一過性のものでないかの確認は必要かとは思うのですが、順位的に考えた場合、症例の数として考えた場合には、義務化を視野に入れた検討を始めるということも妥当ではないかと私自身は考えております。

以上です。

○受田部会長 ありがとうございました。

続いて、松嵜委員、お願いします。

○松嵜委員 患者会アラジーポットでお手伝いをしております。

今の御意見と同様で、見守っていくことは必要かもしれませんけれども、クルミについての義務を検討することと、アーモンドについての推奨を検討していくことに賛同いたします。

以上です。

○受田部会長 ありがとうございます。

それでは、今村委員、お願いできますか。

○今村委員 私はこのアレルギー制度を平成13年に作ったときの担当者でございまして、今、この議論をされている内容は当時の宿題事項そのもので、宿題を解決していただいてありがとうございますというのがまずお礼です。

クルミの義務化、アーモンドの追加というのは、基本的には賛成です。ただ、幾つか私のほうから懸念事項を申し上げたいと思います。

例えば、クルミを義務化するということであれば、検知法を作るということがとても難しいわけでして、これができないことにはなかなか先に進まない。自分の今までの経緯を考えていっても、かに、えびも当初、アレルギーとしては非常に多かったわけですけれども、かにとえびを区別するような検知は当時はなかなか難しくて、特にえびなどは、オキアミはえびかという問題があって、なかなか生物学的にも分類が難しいということがあって、今に至っている。その後、検知法が確立して、分類を正確に区分けすることができて今に至っているということですので、クルミについても、それがちゃんとなされるということが必要だと思います。

先ほど木の実が増えてきているという表を御報告いただきましたけれども、木の実とは何ですかということも非常に難しいわけです。コーデックスではナッツを入れておりますけれども、ではナッツとは何ですかというのは、実はなかなか区別がつきにくくて、落花生は木の実っぽいですけれども、言うまでもなくあれは木の実ではありません。

今回、議論になっているクルミというのは、マメ科だと思うのです。アーモンドはバラ科だと思うので、生き物としては別のものであります。ただ、木の実っぽいですね。ですから、分類として作っていくのはなかなか難しいので、商品単位にせざるを得ない。商品を特定するということがなかなか検知で難しくて、最終的にはPCRで確定していくと思うのです。普通はもうちょっと簡単な検査法でスクリーニングするのですが、それをせずに、確定検査だけでやるのかどうかという問題があるかなと考えました。

ですので、クルミを上げていくことそのものは賛成ですけれども、検知法を作らなければいけないでしょうねということと、アーモンドを上げていくのであれば、アーモンドとは何ですかということを、もっと厳格な定義付けをしていく必要があるのではないかと思います。

あと、議論の余地があるかどうかは分からないのですが、今、増やしてばっかりなのですけれども、減らすということも考えてはどうか。自分の経験の中で言うと、マツタケなどは特徴的な食べ物なので、入ってしまった経緯があるように思いますので、そういったものを将来的には増やしていくだけではなくて、落としていくということが必要かなと。

最初にアレルギーの表示の項目を決めたときには、基本的にはアナフィラキシーに絞って考えたという経緯があります。それは、全ての食品はアレルギー性があるので、食べ物は全てアレルゲンなのです。ですから、多い、少ないで決めるのが難しい。食べ物にははやり廃りがありますので、今回も多分アーモンドがはやっているから数が増えているのですけれども、アーモンドのブームが過ぎると数は減ってくるはずです。その中で、アナフィラキシーは命に関わる問題だということで、そこまで追い込まれるのであれば、そこは記載するべきだろうということで、アナフィラキシーが多いということで、この項目を引っ張ってきたという経緯があったと思います。

総数としての多さも当然必要だと思うのですけれども、今後、先ほど安達委員からもありましたが、カシューナッツやゴマはある程度の数があって、今後、続いてく中で義務化していくということがありますから、アーモンドについても今後、数がある程度あるということも確認していくということが、推奨項目に入れるとしても必要かなと思います。

以上です。

○受田部会長 ありがとうございました。

3人の委員の方からまずコメントをいただきました。この後、それぞれの委員から伺いたいところなのですけれども、今、専門家の話を伺ったので、続いて事業者サイドのお立場で、渡邊委員、小松委員からも御発言いただけますでしょうか。その後、ほかの委員の皆様から御発言いただきます。

渡邊委員、お願いいたします。

○渡邊委員 ありがとうございます。

まず、今までの見直しの経緯とか、それから今回の報告書に基づいて、こういう改正をしたいという話については非常に理解できますので、賛成です。

ただ、その上で、実際の事業者サイドの事情を申し上げたいと思います。

まず、現在のアレルギーの表示方法なのですけれども、今回ここの4ページに表示例と出ていますが、実際はもっときっちり表示している会社もありまして、これは実際、義務表示と推奨表示があるのですけれども、食品表示法の表示の基準のQ&Aの中にもあるのですが、要するに、義務表示だけを取り上げてアレルギー表示しているものなのか、あるいは、そこの会社の表示というのは推奨表示まで入れて考えているものなのかというのが、今の4ページの例だけだと分からないのです。なので、最近は、多くのきっちりした表示をされている会社では、品目数を書いて、アレルギーの対象27品目中こうなっていますというような表示を全商品に入れている会社さんもあるのです。

そうすると今回、アーモンドが1個加わると28になりまして、全ての表示を27から28に変えなければいけないのです。実際メーカーさんに聞くと、そういう表示を全品目しているので、アイテム数としては3,000ぐらいの表示を全部切り替えることになる。なので、内容的には賛成なのですけれども、あとは時間の問題で、実際に今、表示の切替えというのは、来年に迫った新表示への切替えもあるし、あとは原料原産地の表示もあるしという中で切り替えていく中で、今回のこれによって、全品目の表示の変更というのが出てくるのです。そういうことを考えると、この切替えは賛成なのですけれども、その時期については、例えば原料原産地表示の2022年の4月1日からとか、そういうのに合わせていただかないと、これはいわゆる任意表示だからすぐにやってしまえというふうになると非常に難しいというのが一つございます。それが一つです。

もう一つは、今度、アーモンドが入った場合なのですけれども、明らかにアーモンドを自分のところで使っている場合はいいのですが、原料の中には、アーモンドを微量に含んでいるものも当然あって、アレルギーの場合は、微量に含んだものも全部表示しなければいけないので、そうすると、どういう作業が要るかというと、自分のところの原料について、改めてアーモンドを含んでいるか含んでいないかというのを全部業者に確認して、今、原料の原料カルテみたいな形で皆さん管理しているのですけれども、それを全部やり直さなければいけないのです。それを入れた形でシステムを作って、表示に結び付けていくという形があるので、一つ原料情報の再入手という作業が出てきますのでやはり時間が要る。

もう一つは、先ほど今村委員に言っていただいたのですけれども、今回の報告書の中にもあるのですが、増やすだけではなくて、項目数を減らすということも考えていく。今回、全く取り上げていませんけれども、報告書の中にはマツタケをそろそろ検討したらどうかというのも一番最後の考察のところに入っているのです。マツタケの症例報告はないということで、ただ、これも実際難しくて、例えば卵を食べる頻度とマツタケを食べる頻度を比べたら全然違いますので、それを一律に扱っていいかどうかも含めて、マツタケを減らすのであれば、どのようにしたらいいかということも検討していただいたらいいなと思っております。

そういうことで、事業者サイドから、時期の問題は非常に難しいので検討していただきたいと思います。

以上です。

○受田部会長 ありがとうございました。

それでは、小松委員、お願いします。

○小松委員 アレルギーをお持ちの患者様にとっては、本当に大変なことだと思いますので、表示をしていくという方向性は私も賛成です。

アナフィラキシーとかは命に関わりますので、事業者サイドとしても、アレルギーの表示というのは食品安全の非常に重要な表示であると受け止めていますし、義務表示であろうと推奨表示であろうとほぼ同じという認識でおります。そういう意味では、渡邊委員がおっしゃったように、表示を全部切り替えるということが今、頻繁に行われそうなのはちょっと危惧しておりまして、何かのタイミングと合わせていただきたいというのはお願いさせていただきたいと思います。

あと、今回アーモンドを推奨表示にということなのですけれども、やはり健康志向とかがあって、ナッツの消費が増えているというのは実際にあるようでして、6年ぐらい前から比べると1.2倍ぐらいに増えているそうです。

実はアーモンドとかのナッツ類というのは交差反応性が強いらしくて、50%ぐらいあるということも聞いていますし、患者さんの団体からもヒアリングさせていただいたのですけれども、アーモンドだけということではなくて、ほかの木の実についても同じようなことがあるとおっしゃっていました。

今回の結果も見ますと、たしかマカダミアナッツのショック症例はアーモンドよりも多いというのも出ておりますので、本当にこのアーモンドだけ今回推奨でいいのか。また、ナッツ類というか木の実類にアレルギーを持つ方にとっては、ほかのものの検証はしなくていいのかということも併せて考える必要があるのではないかと思っております。

事業者サイドということではないのですけれども、今回これを御説明いただいて、一つの調査を3年ごとにされているという全国調査なのですけれども、お医者様に協力していただいて、アンケートみたいな形で答えていただいているということなのですが、この一つの調査結果だけで表示をこうしようというのを本当に決めていいのかというのも併せて見直していただければと思います。

現在、食品安全委員会でもリスク評価をされているということで、結構立派な調査報告(「内閣府食品安全委員会 平成28年度食品安全確保総合調査「アレルギー物質を含む食品のリスク評価方法に関する調査」(平成29年2月一般財団法人日本食品分析センター)を示し、)なども出ていると聞いておりまして、各国の事例であったり、文献などもすごく調査されていますので、こういうものも含めて評価をして検討していただきたいと思っております。

先ほどから増やすばかりではなくて減らす方向もということなのですけれども、例えば大豆由来のレシチンとか乳化剤というのは、大豆で「乳」という文字があるので、表記はもちろんしないといけないと思うのですけれども、例えばマツタケとかだと、マツタケの名前が消えてしまうような添加物や加工食品というのは知る限りないので、アレルギー表示としてではなくて原料表示でいいとか、減らすようなこともぜひ御検討いただければと思います。

ぜひ、このアレルギーの調査方法も多面的に情報を収集して御検討いただければと思います。

○受田部会長 ありがとうございました。

専門のお立場、また事業者サイドのお立場で、まず一通り御発言いただきました。

ここからほかの委員の方で、まず、宗林委員、お願いします。

○宗林委員 今、13ページのデータを見ておりますけれども、例えば、私の食生活の中に、こんなにクルミを食べ始めた自覚がないので、食習慣の変化が大きく起こったのか、あるいは、先ほどのを見ますと、木の実が3歳か6歳のところで登場しておりますので、今、出荷量が木の実は1.2倍という御紹介がありましたけれども、例えばクルミに関して言うと、生産量、出荷量の大幅な増加があったのかどうかも聞きたいところです。

それから、今、交差性という話が出ましたけれども、もしかすると交差性による反応、何かの交差性によるものという考え方もできなくはないかと思ったのです。というのは、アナフィラキシーも含めて即時型のもので、大幅な伸びですから、食生活、交差性とかいろいろなことから考えると、即にはそうだねという感じがちょっと得られないところがございます。あるいは、即時型なので60分の間に起こる反応を、これは患者様の血液で同定しているのですかね。それも含めまして交差反応とか、そのあたりももう少し細かく周辺の情報も抑えたほうがいいのではないかという思いがございます。

○受田部会長 ありがとうございました。

ちょっと専門的な交差反応性の話題になっているので、いろいろな先生からその点に関してコメントをいただきたいと思うのです。

○今村委員 アレルギー内科ではないので、専門と言うにはあれですけれども、私が知っている限り、交差反応性で言うと、少なくともアナフィラキシーが交差反応性の周辺から起こるということは考えにくくて、アナフィラキシーが起こるのはメインの食品かと思います。

アナフィラキシーは普通、症状でまず確認しますので、血液検査とかをするわけではありません。ただ、通常その後、IgEという、どれで起こったかということの特定をするので、血液検査までして確定している可能性は高くて、そういう意味でアナフィラキシーのケースというのは医学的にある程度信用できる。

普通のアレルギーが発症しましたかということに対しては、大豆を食べたような気がすると書いてきますので、確実とは言いがたいものがあって、それもその症状が、軽くじんましんが出たものから、寝込むぐらいまでいってしまったケースまであるとは思うので、なかなか発生件数だけでは語れないのかと思います。

なので、アナフィラキシーの発症というのが基準としては一番考えやすいのではないかというのがあります。

○受田部会長 ありがとうございます。

○宗林委員 クルミの生産量と出荷量はすごく伸びているのでしょうか。

○受田部会長 消費者庁からお答えいただけますか。

○消費者庁赤崎食品表示企画課長 クルミの消費量から申しますと、殻付きということになりますが、平成29年のデータだと我が国の消費量は約5万8,000トンとなっています。では、昔はということで、平成21年のデータを見てみますと、同じ殻つきで約2万7,000トンですので、平成21年の2万7,000トンが29年には5万8,000トンになっている。単純に考えても倍以上になっているということになります。

以上が消費量です。

次に生産量、輸入量で見ますと、ほぼ99%以上が輸入となっています。国産はごくわずかです。輸入先国はアメリカが多いと承知しております。

とりあえず以上になります。

○受田部会長 ありがとうございます。

菅委員、お願いします。

○菅委員 私ももちろん専門家ではないのですけれども、洗顔石鹸の使用をきっかけにして経口摂取の場合の運動誘発性小麦アレルギーを発症した事件について代理人となる経験をしております。そのような経験からしても、ショックが起こると重大な生命の危険が生じるということはもちろんですけれども、それだけではなくて、入っているかもしれないと思うと安心して食品を買うことができなくなったり、外食に対しても全般的に消極になってしまわれたりといった、安全の面だけではなくて、QOLの面についても大きく害されることがあるということを実感しております。ですので、まず大きなくくりとしてはできる限り項目的にも充実したアレルゲン表示をしていただきたいと思っていますし、今御説明のあった義務化を検討するものや、推奨品目への追加ということについては、ぜひそうしていただきたいと思っています。

逆に、素人的な質問になるかもしれないのですけれども、義務表示との境目としては、先ほど、特に定量的な基準はありませんという御説明ではありましたが、科学的検証可能性の有無が実際上の基準になっていると理解せざるを得ないのでしょうか。

もしそうなのだとすると、これから義務表示対象への追加を検討しなければならないかもしれない様々なものについて、公定法ができるのにどのぐらい期間が掛かるものなのか一概に分からないですけれども、そうした公定法を作る取組もぜひ、一過性のものでないかの確認後ではなく、随時研究を進めていただきたいと一消費者としては思います。

さらに、参考資料の報告書に関して、今までの視点とは違う話を質問したいのですが、報告書の中に「表示ミスでない誤食」という表現がありますね。表示ミスが原因の誤食の場合は原因が分かりますが、表示ミスでない誤食が起こった原因について、何がしか分析をされておられるか、もししておられないならば、ひょっとしたら表示の分かりやすさや伝わりやすさに起因しているのではないかという危惧を感じましたので、そういう分析も一度していただいたらいいのではないかと思います。

さらに、もう一つの質問ですが、推奨表示になるとかなりの割合で義務表示と同じように表示されている実態にあるのでしょうか。その辺は何か調査されているようであれば、実態を教えていただきたいと思います。

以上です。

○受田部会長 それでは、消費者庁からお願いします。

○消費者庁赤崎食品表示企画課長 最初に私のほうからお答えさせていただくとともに、追加で担当者からも御説明させていただきます。

まず、推奨の20品目について今、どのぐらいの割合で実際に注意喚起表示がなされているのかですが、実はこれは今年度に調査する方向で今、内部で検討しております。したがって、現時点ではデータがありませんが、できるだけ早く、今、御指摘のあったデータについて取りまとめて公表したいと思っております。

○消費者庁食品表示企画課 あと、先ほどの誤食の件ですけれども、まず、調査票の中で初発か誤食かという項目がありまして、そこの中で誤食を選択したものの中で、具体的な事例としましては、保護者本人が表示されているものを見落とした場合であったり、あるいは、表示義務が課せられていない、外食で確認しそびれたものが誤食の事例として挙がっているということは確認しております。

以上です。

○受田部会長 あと、公定法に関して、クルミをということになると、どれぐらいで公定法は確立するのでしょうかという質問に関しては、安達委員でしょうか。

○安達委員 それに関しましては今、全くゼロというわけではなくて、平成17年度から19年度の厚生労働科学研究で準ずるものについても検査法の開発が行われていたことがありました。

そのときに、2種類のELISA法で行うということになっていますけれども、スクリーニング法に関して、ELISA法は開発が一応終了しております。ただ、その後、ELISA法全体にわたる改良などが行われておりますので、そのときに開発された方法がそのまま今すぐ適用できるというということではなく、それから、そのとき開発に御協力いただいた事業者さんのほうでは、特定原材料以外の準ずるものに対するスクリーニングキットは販売されたものもあるのですけれども、クルミに関しましては、その時点で余り需要が見込めなさそうであると御判断されたのかと思うのですが、開発はされて妥当性確認までされたのですけれども、まだ市販されていないという現状がございます。

それが平成19年度のことですので、そこからまた今、いろいろ眠っているであろう材料を起こして始めるということになると、スタートがゼロではないにしても、ある程度時間は掛かります。

それから、先ほど今村委員のほうからえび、かにの検知法の開発が大変であったというお話がありましたけれども、開発を始めてから妥当性確認が終了するまで約3年半かかっています。

御参考までに。

○受田部会長 ありがとうございました。

それでは、夏目委員、お願いします。

○夏目委員 私も専門家ではないので、クルミを義務化、アーモンドを推奨品目にというのが本当に妥当なのかどうかというのは分かりませんけれども、調査の結果でこういう数字が出てきて、今、考えられるとすれば、この報告に基づく義務化、推奨品目への追加検討はよろしいのではないかと思います。

もちろん事業者の実行可能性に留意する必要はあろうかと思いますけれども、アレルギーを発症する患者さんが増えているという事実は重く受け止めたいと思います。

その上で私が少し御質問したいのは、先ほど菅委員もちょっとおっしゃいましたけれども、誤食というところでありました表示ミスの件でございます。報告書の最後の考察及び結論のところでも、そのページの下から2段落目に誤食による症状誘発率が42.2%でありというふうにずっと書かれていて、表示ミスによる誤食というのは経年的に増加も低下もしていないのだけれども、一定数の表示ミスが続いて発生している状況は看過できないと記載されています。

この中身については調査してみないと分からないけれども、実態は把握できないというふうに書かれておりますので、こういう表示ミスの内容といいますか実態を把握するということをお考えかどうかということを一つ伺いたいと思います。

そう申しますのは、私は子供たちを預かる放課後児童クラブ、学童保育の運営をしておりまして、おやつを与える側にとって表示というのは唯一の切り札でございます。そこに表示ミスがあったとすれば、もしその表示ミスによってアレルギー症状が引き起こされると、これは管理者としては、ミスでは済まされないと非常にアレルギーのことについては重く受け止めておりますので、ぜひお伺いしたいと思います。

○受田部会長 それでは、消費者庁からお願いいたします。

○消費者庁赤崎食品表示企画課長 先ほどの御質問でございます。表示ミスによる誤食について、実態把握に努めるのかどうかという点ですが、結論的には実態把握に努めたいと思っております。

これは昨年12月に成立した改正食品表示法と関連しますが、その改正法の内容は、リコール報告の義務化というものでした。実際に安全性に関する表示ミスがあると、事業者は気が付けば、速やかにリコールをします。ただ、従前は社告を新聞に載せたり、ウエブサイトに載せたりするだけで、そういう情報発信をしても、必ずしも一般の消費者に届かない。結果、知らずに食べてしまうということでした。

そういう実態を踏まえた法改正をした結果、リコール情報を国のデータベースに一元的に集める。要は事業者が社告を打ったりウエブに載せるというのは従前同様ですが、今まではそれだけでしたので、行政も後追いで知った。回り回って知ったというのが実態でした。

昨年の法改正によって、事業者がリコールをした場合は、行政のデータベースにきちんと届け出をしてください。これは実は罰則担保となっていて、実際の施行はデータベースの整備の関係で改正法の公布から3年以内となっていますが、まず、表示ミスがあった場合、リコールという形で世の中に発信することが現実的にかなりの割合を占めると思っておりますので、そのデータベースを通じて我々は実態把握を行いますし、仮にデータベースがきちんと整備され、いいか悪いかは別にして、リコールが生じて、データの蓄積、厚みが増してくれば、一種のビッグデータにもなりますので、そこからいろいろ分析をし、傾向を読み取って、先々手を打つといったこともできるのではないかと思っています。

その意味では、御質問の実態把握ということにつきましては、昨年12月の食品表示法改正を踏まえて我々は前向きに取り組むことになると考えております。

○受田部会長 ありがとうございました。

ただいま消費者庁からアレルギー物質を含む食品の表示について報告をいただいて、専門のお立場、事業者サイドからのコメント、さらには他の委員の方からも御質問等をいただいております。

他にもしあればお受けしたいとは思うのですけれども、それでは、小松委員、今村委員の順番で行きましょう。

○小松委員 このアレルギーの推奨表示ということで、追加になるのですけれども、食の安全に関わる重要な変更点だと思いますので、幅広く多くのステークホルダーの方から御意見を聞くという意味では、パブリックコメントなどをされる御予定はあるのでしょうか。

○受田部会長 消費者庁からお願いいたします。

○消費者庁赤崎食品表示企画課長 ただ今のパブコメをするかどうかという御質問につきましては、過去の例等を考えると、今のところ考えていないということになります。基本的には通知改正という形になり、かつ、法的義務をかけて従わないと罰則担保というものではございませんので、パブコメをするかしないかということであれば、今のところ考えていないということになります。

一方で、本日いただいた御意見も踏まえ、我々は引き続き検討を深めますけれども、仮に推奨表示の1品目追加という形で対応する場合は、別途いろいろな機会を活用して、この制度改正の趣旨を含めて、広く周知をして、できるだけ現実にスムーズにこの制度が運用できるように、我々としても取り組んでまいる所存でございます。

○小松委員 ぜひ、多くの関係者の方からの声を拾い上げていただいて、それを反映していただきたいと思います。

○受田部会長 ありがとうございます。

今村委員、お願いします。

○今村委員 二つほどありまして、一つは、マツタケを落としたほうがいいということに対して、多くの委員の先生に賛同していただいたことには大変感動いたしまして、最初に指定してから、2回目の調査あたりからマツタケは失敗したねというのは海老澤先生とも話してきたところでして、先生もここに直に書いておられるということも考えれば、落としてもいいのではないか。同じ項目内に収めるのであれば、それだけ経過措置も少なくて済むということもあるのであれば、それはバランスとして合うことなのかなというふうに思います。

もう一つ、検知については、今、安達委員からもありましたけれども、なかなか難しいものがあります。一番最初にアレルギーの検知を作ったときも、例えばそばの検知は非常にいいものがあったのですが、5項目の中で、小麦と交差反応性がありまして、なぜかというと、小麦を作るときにソバ科の雑草が入るのです。ごく微量であっても、それを引っ掛けると。だから、検査法としては完全なのですけれども、社会的な流通の中ではちょっと難しいということがあって、それで随分検知法の開発が遅れたということもありました。ですから、検知法の技術的なことだけではなくで、実際の流通も含めて考えていくと、結構時間の掛かるものだということを御理解いただいたほうがよいかと思うのです。

以上です。

○受田部会長 ありがとうございます。

大変参考になる御意見だったかと思います。

一通り御意見を賜ったということで、よろしいでしょうか。

そうしましたら、今いただいた意見はもう報告を受けての御意見、御質問ということで、消費者庁側で引き取っていただければと思います。

基本的な方向性については御賛同の声が多く聞かれたと思います。ただ、事業者サイドからの切替えのタイミングに関しては、かなりいろいろな他の義務表示の制度導入と絡めながら、タイミングを見ていただかないといけないという非常に現実的な御意見もあったかと思います。

あと、最後に小松委員がおっしゃったように、いろいろな皆さんの御意見を更にしっかりお聞きいただくということも含めて、今後しっかり検討していただきたいと思います。

委員の皆様、参考になる御意見をいただきまして、本当にありがとうございました。

それでは、この報告に関しては、以上にさせていただきたいと思います。ありがとうございました。

≪4.閉会≫

○受田部会長 本日の議事は以上となります。連絡事項等があればお願いいたします。

○坂田参事官 本日も長時間にわたりまして、御議論いただきまして、誠にありがとうございました。

次回は8月1日木曜日、10時からを予定しております。詳細は追って御連絡させていただきます。どうぞよろしくお願い申し上げます。

以上です。

○受田部会長 それでは、本日はこれにて閉会とさせていただきます。

皆様、お忙しいところ、お集まりいただきまして、ありがとうございました。

(以上)