第50回 食品表示部会 議事録

日時

2019年1月25日(金)10:00~11:59

場所

ビジョンセンター永田町 ビジョンホール(東京都千代田区永田町1-11-28 合人社東京永田町ビル6階)

出席者

【委員】
受田部会長、樋口部会長代理、安達委員、池戸委員、今村委員、小松委員、下浦委員、菅委員、宗林委員、戸部委員、夏目委員、松嵜委員、松永委員、渡邊委員
【消費者庁】
橋本審議官、赤崎食品表示企画課長、木村食品表示対策室長、食品表示企画課
【事務局】
二之宮事務局長、福島審議官、坂田参事官

議事次第

  1. 開会
  2. 食品表示基準の一部改正(遺伝子組換え表示)に係る審議
  3. 閉会

配布資料 (資料は全てPDF形式となります。)

≪1.開会≫

○坂田参事官 本日は皆様、お忙しいところをお集まりいただき、誠にありがとうございます。

ただいまから第50回「消費者委員会食品表示部会」を開催いたします。

本日は、澤木委員、宮崎委員が御欠席となりますが、過半数に達しており、定足数を満たしていることを御報告申し上げます。

まず、配付資料の確認をさせていただきます。議事次第に配付資料を記載しております。不足の資料がございましたら、事務局へお申しつけいただければと思います。

本日も、多くの傍聴の方にお越しいただいておりますので、御発言の際には、お手元のマイクを持ってお話しいただきますようよろしくお願い申し上げます。

それでは、受田部会長、以後の進行をお願いいたします。

○受田部会長 皆さん、おはようございます。

委員の皆様におかれましては、大変お忙しい中、御参集いただきまして、誠にありがとうございます。

また、本日も多くの傍聴の皆様にお越しいただいておりますことを感謝申し上げます。

それでは、よろしくお願いいたします。

冒頭に申し上げておきますけれども、本日、この時間からの開催でございますので、お昼の時間、12時までの時間設定にさせていただきたいと思います。皆様の御協力をよろしくお願いいたします。

さて、議論に入る前に、前回、事務局より御紹介いただいたところですけれども、昨年12月19日付で小松委員が本部会委員として新たに御着任されました。前回は御都合が合わずに御欠席でございましたので、本日、一言御挨拶をいただければと存じます。

小松委員、よろしくお願いいたします。

○小松委員 ただいま御紹介にあずかりました日本チェーンストア協会の小松と申します。どうぞよろしくお願いいたします。

日本チェーンストア協会は、国内の総合スーパーや生協、100円ショップなど、小売のチェーンの会社で組織されております。

この部会におきましては、商品に表示をする立場、事業者の立場として議論に参画させていただきたいと考えておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。

○受田部会長 ありがとうございました。

≪2.食品表示基準の一部改正(遺伝子組換え表示)に係る審議≫

○受田部会長 それでは、本日の議題に入ります。

前回に引き続きまして、遺伝子組換え表示に関する審議を進めていきたいと存じます。

前回の会議では、改正案について、皆様よりさまざまな御意見を頂戴したところです。終了後に、事後的でも御意見があればということで、事務局への提出を御依頼いたしましたが、お二人の委員から御提出がございまして、参考資料4及び5として本日配付していただいておりますので、まず御確認を賜りたいと存じます。

これらを含めた形で、資料2にございますとおり、皆様からの御意見を事務局に整理していただきました。この整理を基本に議論を進めていければと考えておりますけれども、こちらでも御確認いただけますとおり、公定検査法を含む監視体制に関して、多くの問題点や御懸念を御指摘いただいております。

まずは、その御指摘に答え、御懸念を解消いただくべく、本日は消費者庁から補足的な説明の機会を設けることとしましたので、まずはその説明をお聞きいただき、その後、議論に入ってまいりたいと思います。

それでは、消費者庁から20分程度で、まず御説明をいただきます。よろしくお願いいたします。

○消費者庁赤崎食品表示企画課長 消費者庁でございます。

それでは、お手元の資料3に沿って、公定検査法と監視について御説明をさせていただきます。

まず、1ページになります。見出しが「表示義務加工食品の遺伝子組換え表示について」となっています。タイトルのとおり、生鮮食品ではなくて、加工食品の表示についての考え方を整理しております。

1つ目の○に書いておりますけれども、加工食品の遺伝子組換え表示につきましては、その原材料である対象農産物に着目して、それが遺伝子組換えかどうかによって、制度の組み立てが変わることになります。

下の右側に「監視対象となる表示例」が付いています。これは(1)、(2)とあります。(1)がいわゆる遺伝子組換え農産物が検出されるけれども、5%以下のところになりますが、上の表示例は納豆です。納豆というのは当然、加工食品になります。この表示については、原材料名欄の大豆に着目して、「分別生産流通管理済み」という表示になります。

下の(2)は、遺伝子組換え農産物の混入がないと認められるということで、いわゆる非遺伝子組換えという場合になりますが、これも名称は豆腐という加工食品ですけれども、原材料の大豆に着目して、「遺伝子組換えでない」と書くことになります。

加工品であっても、結局どういう形で判定するかについては、対象原材料に着目をする。このことが条文でも規定されておりますし、実際の表示例でもそういう整理がなされております。

その上で、下の左側に遺伝子組換え表示の監視をどのように行うのかについての資料を付けております。これ自体は、昨年10月10日の食品表示部会に補足資料として出しております。その11番をそのままここに付けております。タイトルは「遺伝子組換え表示の監視」になります。

1と2に大きく分けております。

1を見てみますと、遺伝子組換え食品、これは加工食品も入ります。その表示の監視及び検証のうち、適切に分別生産流通管理を行っている旨の表示(任意表示)、又は、原材料名だけ表示しているもの。これも今認められています。それについては、「その原料となる大豆やトウモロコシが……」となっていまして、原料に着目した書きぶりになっています。

1パラの下になお書きが付いています。まさに全体の考え方を整理したところですけれども、遺伝子組換え食品の表示の監視は、我々は社会的検証と言っております書類の確認を基本に、これに先立って、科学的検証の手法で対象を絞り込むなど、社会的検証と科学的検証を組み合わせて実施、併用するとなっています。

ここで科学的検証という言葉が出てきておりますけれども、それについてさらに説明したのが2になります。アンダーラインを引いておりますけれども、「科学的検証の手法で」と始まっていますが、その後、「原材料の大豆やとうもろこしにおいて遺伝子組換え農産物を含まないことを確認」とあります。当然、加工品も含めての遺伝子組換え表示食品の監視については、社会的検証と科学的検証をダブルで対応する。その場合の科学的検証については、原材料に着目する。

実際、こういう説明を昨年10月10日の食品表示部会でさせていただいております。

その上で、実際にどういうフローでその監視を行うのか。それにつきましては、2ページを御覧になっていただければと思います。タイトルにありますように「表示義務加工食品の遺伝子組換え表示の一般的な監視」とございます。これは基本的に、今の制度にもそのまま当てはまります。

一番上に○がございます。短いので読みますと、加工食品から遺伝子組換え陽性反応が出る原因は様々であり、また立入検査時には当該製品の製造ロットの原料は入手できない場合が多い。また以下のところは、前回委員からも御意見をいただいております。実際の製造ロットの原料は既に製品に化けていますので、既に使われてなくなっている。したがって、別途、原料をとってきて検査しても、同等性がないのではないかという御意見だったと理解しております。

事実としては、1つ目の○に書いてあるとおりでございます。

その場合の監視については、2つ目の○にありますように、違反の判断には科学的検証と社会的検証の双方から丁寧な調査が必要であり、実際、両方の調査を併用しているということになります。

3つ目の○になりますけれども、最終的には、具体的な措置を講じるかどうかは調査の結果からケースごとに総合的に判断というのが、今の整理になっています。

文章を読んでもよくわからないので、フローにしたものが下の2つになります。わかりやすく言うと、実は2段階で対応しています。1段階目に当たるのが、青の点線の上の部分になります。

1段階目はどういうものかといいますと、「市販品買上げ調査等」と書いておりますけれども、目的のところに記載しておりますように、遺伝子組換え農産物が含まれている可能性がある対象商品の絞り込み。可能性があるものの絞り込みですので、我々はスクリーニングと言っております。まずは、混入の可能性があるものを特定する。ある程度、当たりをつけるということになります。

これは手法として科学的検証とありますが、加工食品の定性検査を行います。

今のルールだと、そもそも表示義務がかかるのは、33加工食品群となっています。これは対象原材料に遺伝子組換え農産物が入っていたら検知できるというものですので、実際、スクリーニングの検査でそういう陽性反応が出るかどうか、まずは調べるということになります。

陰性であれば問題なしとなると思います。陽性が出るとどうかというと、実はいろいろな原因が考えられます。最初のポツに書いておりますように、遺伝子組換え農産物が使用されている、混入されている。これは、本来あってはいけないケースになります。

ただ、それだけではなくて、2つ目のポツにありますように、例えば製造ラインの清掃、クリアランスが不十分だった。したがって、ほかの商品の遺伝子組換え混入原材料が残っていて、それが陽性反応につながった。コンタミということもあり得ます。

3つ目のポツは、コンタミがあったとしても、いわゆる意図せざる混入の範囲内でIPハンドリングも適切に行われているのであれば、実は法令違反にはなりません。ならないのですが、スクリーニング検査の場合は陽性反応が出るということになります。

今、述べましたように、陽性となった原因は品目や表示内容により様々です。でも、陽性になったとしても、当たり前ですけれどもそれだけでは混入ルートはわかりません。加えて、混入の度合いもわかりません。ちょっと入って陽性になったのか、ほぼ真っ黒で陽性反応になったのか、それも厳密にはわからないということになっています。

そのまま、可能性がある、詳細はわかりませんだと話が先へ進みませんので、さらなる調査ということで、したがって、第2段階の監視のステージが始まることになります。それが青の点線の下になります。基本的には、事業者への立入検査等という形で対応します。

ここの第2段階で、まさに違反事実の確認、確定、いろいろな特定を行う。一定の結論を出すということになります。

そのときの手法として、社会的検証も当然必要になりますし、科学的検証も必要となります。

社会的検証としては、分別生産流通管理、IPハンドリングの書類などがちゃんと整っているかどうか、その他関連の書類も調べますし、製造現場の確認も行います。基本的にこういう形で、流通ルートの特定のようなことを社会的検証で行います。

でも、それだけではなくて、科学的検証も行います。科学的検証の最初のところに、原料農産物の定量検査と定性検査の2つがありますが、実は注1と書いた定量検査は今でもあります。というのも、今のルールは5%より上か下かで判断が変わってきます。したがって、そこの見極めは、今でも原料に着目して、定量検査を行って判定を行うことになっています。

今はそうなのですが、今後は、注2と付けていますが定性検査についても原料農産物に着目してしっかり行う。その結果、白黒を判定する判断材料を得ることになります。

ここで言う定性検査については、これまでも御説明をしていたかと思いますけれども、現場が混乱するようなアウトプットだと、文字どおり仕方がありませんので、そういうことがないように、正確性と実行可能性のバランスをとるものにしないといけないと我々は考えています。

以上、このフローにしたがって説明させていただきましたが、もう少し補足でお話をさせていただければと思います。

今の2ページを見ていただくと、1段階目のところに、科学的検証として、スクリーニングのための加工食品の定性検査とあります。それがあるのに、なぜ新たに原料の定性検査が必要なのか。その2つの定性検査。一方は加工食品、他方は原料農産物。一体何が違うのかということになりますけれども、1段階目の加工食品の定性検査については、33加工食品群を対象に行うということで、既に公定検査法がございまして、消費者庁の次長通知に定められています。2段階目の原材料の定性検査の方法は、今ないのでつくっているのですけれども、専門的な説明で恐縮なのですが、どちらもリアルタイムPCRという方法で検査を行う仕組みになっています。

外来遺伝子の検知ということで、つかまえやすくするために増幅して判定するというやり方なのですけれども、どちらもリアルタイムPCRという方式によっているのですが、ただ、今回、組換えDNAを微量含む試料ということで、大量に入っているわけでもないですから、一般的なやり方だとどうしてもばらつきが出てしまう。そうしますと、違反の特定に直結する原料の検査では、ばらつきをそのままにしてしまうと、A機関では陽性、B機関では違う結果ということも起きかねない。

その意味では、どの機関で複数やってもおおむね同じ結果となる判定が必要ではないか。より精密な検査法を新たにつくる必要があると考えておりまして、そういう問題意識のもとに、今、国立医薬品食品衛生研究所にお願いをして、新しい検査法を策定いただいているということになっております。

前回、国立医薬品食品衛生研究所の近藤部長からも御説明していただきましたが、今回、改正内容に合わせた最善の検査方法というのは、ΔΔCq法でして、今のところ、まずはトウモロコシについて、多くの関係の機関の御支援、御協力、連携をいただきながら、検証を行っております。まだ、大豆については未着手というのが今の状況になっています。

あと、口頭説明の2点目になりますけれども、検査法を新たにつくるということですが、対象農産物は何か。これも前回、少し御質問、御意見がございました。

今回は、今はトウモロコシをつくっています。次に大豆ですが、まずはその2つができた時点で、公定検査法という形で消費者庁のルールの見直しを行い、その上で、実際に施行したいと思っています。

なぜ、表示義務のかかる対象農産物が8つあるのに、トウモロコシと大豆の2つだけなのかとお思いになるかもしれませんけれども、今、意図せざる混入の許容率が5%と定められているのはその2つだけですので、今回、その要件厳格化で不検出という形で下げます。したがって、今回、制度改正の影響を受けます2つの農産物につきまして、それに対応した検査法があれば、見直しをスタートするに当たりましては、当面、混乱は起きないのではないかと考えております。

3つ目は、いわゆるスケジュールの話になります。経過措置期間が平成35年4月までとなっておりました。長いのではないかという御意見を前回もいただいたところですが、検査法のスケジュールとの関わりという観点から申し上げさせていただくと、前回、国立医薬品食品衛生研究所の近藤部長からもお話がありましたが、今年4月からですが、来年度、大豆の検査法を検討し、32年度内のどこかでは、2つの農産物を対象にした検査法を公表する予定です。

その後、新しい基準が施行されるまでの間は、事業者の方に新しい検査法を用いた原料確認や表示の検討といったことも行っていただけるよう、そのための期間だとも我々は考えています。

とりあえず、資料及び口頭での補足になりますが、前回、いろいろな形で御意見をいただきました監視や公定検査法についての我が方の考え方を述べさせていただきました。

1から2分程度でいいのですが、資料1の御説明をさせていただいてもよろしいでしょうか。

○受田部会長 はい。

○消費者庁赤崎食品表示企画課長 資料1をお開きいただければと思います。

これは今般、諮問しております食品表示基準改正案の附則部分の修正案になります。諮問内容そのものが一部変わりますので、短時間、御説明させていただければと思います。

前回、菅委員から、附則の規定がわかりづらいという御意見をいただきましたので、赤字の部分を追加したということになります。

赤字の部分がなければ、平成35年4月以降に、改正前の表示をつけた商品をつくっても、自由に売れてしまうのではないかという誤解を与えかねないという御指摘がございましたので、赤字の部分を追加して、そういう誤解がないように対応したということでございます。

この「この府令の施行前に」というのがどこにかかるかというと、「表示した」のところにかかりますから、この意味では、菅委員御懸念の点は払拭されるのではないかと思っています。

当方からの説明は以上になります。

○受田部会長 ありがとうございました。

前回、委員からいろいろな御意見をいただいて、特に監視、公定検査法に関するさまざまな御指摘をいただいたということでございますが、それに関しては、お手元の資料2に委員意見として取りまとめをさせていただいております。そのことを念頭に、今、資料に基づいて、消費者庁の補足をいただいたということで、ここから、ただいまの説明も含めまして、御質問や公定検査法及び監視の体制に関して御意見をいただき、一定の整理へと向かってまいりたいと思います。

御質問、御意見がおありの方は、挙手をお願いいたします。

まず小松委員、今村委員の順番でお願いします。

○小松委員 部会の途中で退席させていただきますので、今のお話も受けて、先に意見を述べさせていただきたいと思います。

今の消費者庁の話からいきますと、ケースごとに総合的に判断するということなのですけれども、この表現も非常に曖昧で、今、御説明いただいた内容だけでは事業者はどのように表示をしたらいいのかわからないというか、非常に判断に迷うところかと思います。

意見書にも書かせていただきましたが、例えば行政の方の抜き取りなどで、原料に近いようなものを抜いて、定性検査で陽性が出た場合、当然もう原料はありませんので、別ロットで検査をし、それが陰性であればいいのですかと。そのもの自体には陽性と出ているのだけれども、別ロットは陰性だから陰性で本当にいいのかというところもわかりません。

あと、大豆、トウモロコシ以外の加工食品の表示はどのように適正な表示だと判断されるのかというのが非常に迷うところかと思います。

このままだと、事業者は表示の検討に取り組むということがなかなかできませんで、例えば、見えないかもしれませんが、これはアレルゲンを含む食品の検査方法の判断樹なのですけれども、このようなものをお示しいただけますと、我々事業者としても、遺伝子組換えでない等の任意表示について検討ができるのかと考えております。

この点はぜひ御議論いただきたいと思います。

○受田部会長 ありがとうございました。

今、いただいた意見に関して、お答えいただける部分はお答えをいただきたいと思うのですけれども、まずは先ほど御説明いただいた総合的に判断するという点も含めて、特に事業者サイドから見るとわかりにくいのではないか。

また、もう一点は大豆とトウモロコシ以外のお話も含まれておりましたけれども、一例として判断樹というお話ですが、イエス、ノーといいますか、フローでどこに相当するかというケースを、今、お示しいただいておりますような形でわかりやすく表現することによって、解決できるのではないかというコメントもいただきました。

この点はいかがでしょうか。

○消費者庁赤崎食品表示企画課長 今、小松委員から御質問があったのは2点かと思っています。

1点目の総合的に判断のところを具体的にどのように行うのかですけれども、その点につきましては、監視全般に共通することかもしれませんが、いろいろな違反の実態、違反のおそれのあるいろいろな対応というのは、文字どおり本当にケース・バイ・ケースだと思っております。

その意味では、一般的な公定検査法をお示しするとともに、監視そのものについては、今の食品表示法に基づくいわゆる指示・公表の基準含め、いろいろな運用の目安になるようなものもお示ししております。したがって、それらを踏まえた上で、文字どおり個々のケースに即して対応していくことになると思っています。

これは決して、今回の制度改正に伴って、監視そのものが、今、小松委員が言われた予見可能性というか総合判断がどうなのかという問題が出てくるというよりも、食品の表示の監視そのものに内在するものではないかと思っております。

2点目のアレルゲンの際につくっております判断樹のようなものができないかどうかについては、まだ公定検査法そのものも、前回御説明させていただいたとおり、検討の途上でございまして、検査法そのものが確定しているわけでもございません。また、大豆についても未着手ですので、今から公定検査法を検討していき、実際に施行に向けて、監視をどうしていくのか、行政としてもいろいろと対応を考えていく中で、もしそういうものをつくる余地があるのであれば、我々として検討してみる。

その意味で、つくるつくらないについて明確にお答えすることは、今の時点では難しいのではないかと思っております。

とりあえず、今時点のコメントとしては以上になります。

○受田部会長 そういうことで、運用の面においてよりわかりやすくという判断の基準を明確にする一例ということで、コメントをいただき、そして今、消費者庁からも、今後の検討ということで御回答いただきましたので、まずはそこまででよろしいでしょうか。

○小松委員 判断樹は、ぜひ前向きに御検討いただきたいと思います。

○受田部会長 恐らくこの話は、今後、資料2の後半のほうで普及啓発や周知、これは事業者サイドのみならず、消費者側においても極めて重要なので、それがどういう判断基準に基づいているかという判断のよすがとして、しっかりとこういったものは可視化していかないといけないという思いもございます。

ぜひ、後半の普及啓発、周知の部分でも議論させていただきたいと思います。ありがとうございました。

続いて、今村委員、お願いします。

○今村委員 前回の議論の中で、加工食品については検査ができないのではないかと説明が聞こえたのですけれども、今回の説明の中で、加工食品についても対象になっているということを明確にしてもらったのはよかったと思います。

その上で、これは物すごく大きな問題が残っていると思うのですけれども、2ページの図で言うと、最初に出てくる科学的検証の加工食品の定性検査と言われているものは、0.001%とか0.0001%の精度で存在を見つけるわけです。それに対して、一番下から2行目の真ん中にある、立入検査で出てくる定性検査は、この前、近藤先生に御説明いただいた0.1%程度の閾値で切る検査なのです。

そうすると、私は定性検査というものを議論していたときの最初のイメージとしては、当然、0.001%の検査法でやるのだと思っていたのですけれども、それが随分緩くなったなということと、加工食品でこの精度で見つけるという話と、原料になると違う原料を見るわけですね。違う原料を0.1%で見るということは、ランダムに原料から抜いたこととほとんど変わらなくなると思うのです。すると、普通にIPハンドリングされたトウモロコシからランダムに抜いて、0.1%を超える率はどれぐらいですかというのが違反率そのものになると思うのです。

そうなると、半分から3分の1ぐらいは引っかかると思うので、遺伝子組換えでないという表示は事実上できなくなるように思うのですけれども、この理解で間違いないかということと、そもそも違う原料を調べるということに同義性があるかということを、もう一度、御説明いただきたいと思います。

○受田部会長 公定検査法、既存の方法と新規に設定をしていただいております国立医薬品食品衛生研究所の前回御説明いただいた近藤先生からの報告を受けて、閾値の違いから見て、今コメントをしていただきました。

これに対してお答えいただけますか。

○消費者庁赤崎食品表示企画課長 今、今村委員から御質問のあった閾値の点でございますけれども、新しい定性検査の閾値に関しましては、前回、近藤部長のから0.04%とか0.1%といった御発言があったと思います。

基本的には、今回の新しい公定検査法につきましては、先ほどもお話しさせていただいたように、現場が混乱を起こさないというところも考慮して、正確性も当然必要にはなりますけれども、実行可能性のバランスをとるということが基本的な考え方になっておりますので、一応、そういうバランスを踏まえて、今、御検討いただいており、結果、今の経過報告としては0.04、0.1といった御説明がありましたが、今からまたそこは大豆なり、トウモロコシについてもまだいろいろと精査もされておられると承知していますので、その中で、実際、不検出の判定の基準となります試料の濃度につきましては、一定の形の整理がついて、検査法の中で明示されるものと思っています。

それがどういう数字になるかは、前回、近藤部長が言われた以上のことは、この場ではなかなか申し上げることは難しいと思っています。

今村委員からは、検査の対象農産物をとってきても、結局、違う原料を見ているので、そこのところがどうなのかという御発言もございました。違う原料を見ているということは、今の遺伝子組換えの表示義務の検査についても同じことが言えるのですけれども、5%の上か下かを見るためだろうが、不検出かどうかを見るためだろうが、結果、使われているものは原料としてはないわけですから、その点についてはそのとおりになるのですけれども、その意味では、今回の検査取り締まりについては、これも冒頭、お話しさせていただいたように、社会的検証と科学的検証、それぞれいろいろなやり方があります。それらをフル活用して、総合的に判断して対応するというのがまず基本的な考えになります。

あと、サンプルの同等性の問題につきましても、論理的には今村委員なり前回、松永委員からも同様の御発言をいただいたと記憶しております。ただ、事業者としましては、ゴーイングコンサーンという形で永続的に事業をしていく中で、継続的に原料を調達し、その上で製品をつくっているという実態もあります。そういう中で、できる限り正確かつ、いろいろと判断するときの信頼性が増す方法ということで、先ほど述べたようなやり方で今でも対応しているということですので、今回の制度の改正に伴う検査につきましても、そういう事情につきましては、基本的には今と同じだと思っています。その中で、まずはできる限りの工夫をし、できるだけの監視、取り締まりをして、制度の実効を期していきたいと思っている次第でございます。

○受田部会長 今村委員、いかがでしょうか。

○今村委員 現実的な面を見て、閾値を少し上げていることや、違う原料を調べるというのはよしとしたときに、事業者からしたら、最終検査でIPハンドリングされているものが0.1%を超えているかどうかが違反かどうかの基準になるので、一般論として、今、IPハンドリングされているものは0.1%以上入っている可能性が非常に高いと思うのです。

実際にはIPハンドリングされているものに、「でない」という表示はできなくなるという意味だと思うのです。そうすると、今の0.1%を超える率そのものが、事業者の皆さんには一番影響があって、今まで出してもらった資料の中でも、最低限3割ぐらいは超えていることがはっきりしていて、そういう状態の中では書けなくなると思うのですけれども、その辺はそういう理解でよろしいのかということの確認をしたいのですが、いかがでしょうか。

○消費者庁食品表示企画課 遺伝子組換えでないという表示が今の原料を使った場合にはできなくなるのではないかという御指摘ということでしょうか。

○今村委員 はい。

○消費者庁食品表示企画課 それはそうかもしれませんけれども、不検出から5%の間には、IP管理をしたということを訴求できるような制度にしようということで、今回、IPハンドリングをして、5%以下の原料を使っている場合を2つに分けて、IP管理をしていますという表示と、不検出の場合には遺伝子組換えでないという文言も引き続き使えるという形で制度設計をしているところです。

今村委員がおっしゃるように、確かに遺伝子組換えでないという表示自体は減ってしまうかもしれませんけれども、そもそも今回の改正が消費者の方に誤認を与える表示はけしからんというところからスタートしておりまして、使っている原料について正しく情報を提供するという観点からはそうなってしまうこともやむを得ないのではないかと考えています。

○今村委員 わかりました。

○受田部会長 次に戸部委員、お願いいたします。

○戸部委員 先ほど、ケースごとに総合的に判断というお話をいただきましたけれども、市販品の買い上げ調査がスタートで、そこから陽性の疑いがあるものについては原料に遡るということであるわけです。確かにIPハンドリングの仕組みはとても大事だと思っていますし、そこはきちんとやらなければいけないとは思うのですが、科学的検証として、原料の段階での定量検査、定性検査を実施した場合に、先ほど閾値のお話も出ましたが、もしここで基準を超えてしまうということがあった場合には、その原料に対する措置がとられるのでしょうか。原料段階でのロットの大きさが私は想像できないのですが、端緒は市販品のある製品という一つだけれども、原料に遡って、その原料が基準を満たしていないということになると、今度、その原料を使った製品に対して措置がとられるということか。いったん原料に遡って基準違反ということになると措置の対象となる製品の範囲がとても広がってしまうのかなと思っています。そうなると、消費者としてもその途中のプロセスがわかりづらいので、大変混乱すると思うのです。

端緒となった製品だけではなくて、もっとほかの製品にも措置の対象となるのかどうかと思って、混乱しそうで心配です。

○受田部会長 今の質問は、スクリーニングから、その後、立入検査をして、そして原料の定性検査、定量検査をやる。例えばそこでかなり入っているということが認められたときに、今度はそこからフィードバックして、そもそもの原料あるいはそれを使った加工品に対して、次にどういうアクションがとられるか。その範囲にまで関わる。そこをお聞きになっているということですね。

○戸部委員 はい。措置の範囲はどの段階の原料あるいはどの製品までかということです。

○受田部会長 監視全体の話かと思いますけれども、コメントをいただけますか。

○消費者庁赤崎食品表示企画課長 今の戸部委員からの御質問でございます。

受田部会長も言われましたように、ある最終製品で陽性反応が出た場合、同じような原料を使っているものがどこまで同じ評価、同じ扱いになるのかということかと思っています。実はこれも、個別具体のケースに即しての判定になります。

あるサンプルから陽性反応が出ると、同じ原料のロットを使っているものは何があるのか。IPハンドリングからその履歴の特定はできますので、そこで、幾つか可能性があるようなものは、ある程度、調査の対象になると思います。そういう書類のトレースというアプローチと、実際に幾つかサンプルを調べて、その上で、広がりぐあいを調べた上での判断ということになりますので、そこは個別具体の実情に応じて合理的なやり方を選択して、最終的にはその結果を踏まえた上での評価、判断になることになります。

実際、これまでも、基本的には今、述べた形の運用をしております。

○戸部委員 そうすると、例えば端緒となった市販品の買い上げ調査のときには、Xという会社のAという商品でしたと。そうすると、原料に遡ったら、IPハンドリングのどの段階が原因かということによってその範囲は変わってくると思うのですが、その措置の対象は、最初はXの会社のAという製品であったけれども、同じロットの原料を使用して製造されたY、Zという会社のB、C、D、Eという製品もというようになってくる可能性もあるということですか。

そうなると、物すごく混乱して、恐らくこの表示をする事業者はなくなるかもしれないと思って聞いたのです。

○受田部会長 お願いします。

○消費者庁赤崎食品表示企画課長 今の点も、あるものが陽性反応になった場合の広がりはということになりますので、可能性としては、ほかに広がる可能性も当然、ゼロではありません。ただ、それは実際の流通ルートの特定の中で、ある工場のある時間帯につくったものがその原因だとなれば、そのときにつくったものだけになりますし、そこは文字どおり、ケース・バイ・ケースの評価になると思いますので、陽性反応が出た一つのサンプルだけがどうかとなると、それ以外の可能性もあります。ただ、最終的にこの違反事実の確認の結果、どこまでが混入のおそれがある、蓋然性が高いとなるかは、文字どおりケース・バイ・ケースで、実際に今でもそういう運用をしているということで、御理解をいただければと思います。

○受田部会長 今の問題も非常に大きな御指摘をいただいております。

今、3人の委員から御質問いただいて、従来の仕組みの中でも同様の問題点というか課題が内包されている部分の御指摘と、トウモロコシ、大豆に関するIPハンドリングにおける意図せざる混入を検出されないというふうに今回、新たな考え方を導入するに当たっての新規公定検査法に関する質問と、今、混在しているように拝聴しております。

このあたりも整理しながら、この後、議論していかないといけないのかなと思っております。

それでは、宗林委員、菅委員の順番に行きましょう。

○宗林委員 この制度の確認なのですけれども、原材料で不検出以下のものを遺伝子組換えでないと表示できるわけですね。ですが図では、加工食品において陽性になったものについて、その先に進むという形になっていますけれども、原材料が、加工食品のうち10%しか含んでいないとすれば、その10倍の検出感度が加工食品にないと、検出できないわけですね。

加工食品のほうで陽性になってから先の原料に進んでいくということでは、原料の不検出以上のものを把握することは、ほとんどの場合、できないのではないかと思います。

要するに、10%しか原料が入っていなければ、定性検査のときに加工食品で10倍の感度でないと陽性にならないわけではないですか。ところが、10%しか入っていない原材料のほうで検出限界までということで表示を定めているので、検出限界の10倍以下のものであれば、加工食品のほうでは定性で出ないということになると思います。

最初、加工食品のほうで陽性からスタートすること自体が大半を逃していることになると思います。

○受田部会長 ありがとうございます。

これは加工食品側、スクリーニング側の既存の方法の閾値というか、検出限界がどうなっているか。それと、原料に遡っていったときに、そこの限界との兼ね合いをどう理解したらいいかという質問かと思います。

お願いします。

○消費者庁赤崎食品表示企画課長 ただいまの御質問ですけれども、恐らく宗林委員の問題意識は、加工食品、例えば大豆由来の製品があった場合に、大豆がごくわずかしか入っていない。大部分は肉や野菜である。恐らくそういう場合はどうなのかということと理解しております。

今の表示制度も、主要原材料ということで、上位3品目、全体重量比5%以上のものに表示義務がかかっていますが、基本的に現行制度では、スクリーニングで陽性反応が出得るものということに着目して、33加工食品群を表示義務対象加工食品として選んでいます。

油やしょうゆのように、それ自体、ほぼ100%特定の原材農産物からつくっているようなものであっても、最終製品から有意なものとして検出できなければ、表示義務の対象外となっていますので、入り口の33加工食品群の選定のところで、最終製品から検出できるという考え方に基づいて、今の表示義務が成り立っているということです。その上で、繰り返しの説明で恐縮ですけれども、入り口のスクリーニングで対象原材料に遺伝子組換え農産物が入っていたら検知できるものを33リスト化して、今の制度が組み立てられておりますので、この中で、適正な運用をしていると考えています。

○宗林委員 例えば、今日の資料3の豆腐でもそうだと思うのですけれども、大豆、遺伝子組換えでないと書いてありますが、豆腐の中に使われる大豆は、多分10%以下であると思うので、最終的に豆腐として定性で陽性にならないとそのままパスになってしまうわけですけれども、原料でみたときには、検出されることが十分考えられるということです。

○受田部会長 さらに補足していただけますか。

○消費者庁食品表示企画課 少し補足させていただきますけれども、加工食品の定性試験と原料農産物での定性試験の感度の違いというところが、皆さんが気にされているところだと思いますが、どちらもリアルタイムPCRで検出を確認いたしますので、感度の面では問題が出るものではないと考えております。

ただし、加工食品では、前回も御説明いただきましたが、DNAが分解されておりまして、その分解率も一定ではないので、濃度比較がどうしてもできないものになります。ですので、原料農産物については濃度比較ができるのですけれども、加工食品におきましては、個々のDNAを個別に陽性判定するといった検査になりますが、この場合でもリアルタイムPCRを用いての検出確認ですので、機器の感度の面で何倍も検知されなくなるということはないと思います。

○宗林委員 これで最後にしますけれども、感度が違ってくるということではなくて、同じリアルタイムPCRで検出反応が一緒だとしても、豆腐の場合、原材料の大豆が10%しか含まれていなくて、豆腐として見た場合は、希釈されるので、大豆の遺伝子組換えのDNAは10分の1になってしまうということです。

ですから、加工食品としてリアルタイムPCRでありながら10倍の感度で定性ができなければ、原材料の大豆の遺伝子組換えは検出できないということになると思うので、最初、加工食品から入っても、ほとんど逃がしてしまう可能性が高いのではないか。そういうことではないかということです。

これで終わりにします。

○消費者庁食品表示企画課 豆腐の中に、そもそも原料として大豆が少ないからということですね。

○宗林委員 そうですね。

○消費者庁食品表示企画課 豆腐全体のDNA抽出として、現行でも公定法が定められているのですが。

○受田部会長 今の公定法として、先ほど次長通知で設定をされている、もうそこの話になっているかと思うのです。

結局、スクリーニングにおいて検出限界から実際に具体的なケースとしていろいろな最終商品においてどこまで検出できるのか。ここの具体的事例がわかれば、各製品において、原料に遡ったときに、どこまでの検出がなされていくかということについても理解ができるかと思います。ありがとうございます。

今の話も、従来の方法、従前の既知の方法を使った全体システムに関しての問題にかかわっているとも理解できました。ありがとうございます。

次に、菅委員、お願いします。

○菅委員 まず、ちょっとだけ話題がずれてしまいますけれども、一応、私の発言に関連して資料1の変更案をつくっていただいたので、一言だけ。

私の法律家としての文言に関する懸念の意見が採用されたようでほっとしております。特に異論はありません。

今の議論に戻りまして、大変難しい話だと思うのですが、今日小松委員から出された御意見も含めて、少し角度は変わってしまうかもしれませんけれども、論点1の表示義務対象品目が限定されることの不当性ということで、前回、私が申し上げたようなこととも関連して、監視の仕方でまだ疑問に思うところがさらにあります。

完成品から検出されなければならないという理由で対象範囲を絞る裏返しとして、現在の表示義務対象品目に対する義務表示については、今、いろいろと御説明のある何らかの科学的検証も含めてチェックするのだという考え方を受け入れたとしても、実際は既に何だかんだ言いながら社会的検証を軸として、総合的に判断しているようにしか聞こえないのです。また、そうだとしても、実際に義務対象「外」の食品に「任意表示」をする場合に、義務表示と同じ監視が働く建前、つまり違反があるかどうかは同じレベルの判断をしなければいけないということになるわけでしょうから、義務対象の食品はもちろんとして、義務対象外の食品に「遺伝子組換えでない」旨を任意表示した事業者は、社会的検証や原材料による検証を軸とした立証をするしかないわけで、監視するサイドもそういう前提のもとで、違反がありそうかどうかを探知して、違反があるかどうかをチェックするということであるわけです。

さらに、場合によっては処分を受ける可能性があるわけですから、監視上、さらにもっと難しい問題があるのではないか。先ほど、宗林委員の御質問にもありましたけれども、監視のファーストステップがどういう場合に効くという形になるのか。今回、検出限界まで厳格化するその限界付近の違反があるか否かを監視するレベルのところで意味があるかどうかもそうですし、義務対象外食品に任意表示をしている場合に、どういう方法で監視をしているのかということとの関係も改めて疑問に思います。

今日いただいた資料3の中でも、監視において、社会的検証を軸、基本とする旨の表現があえて使われているように、科学的検証が当該製品との関係できちんと紐つく形でなされなければならないという考え方は、現在までも採りきれていないし、今後も採りにくい。私が、最終的に何が言いたいかというと、だから義務対象を広げてもいいのではないかという前回の意見につながるのですが、科学的検証を入れて監視をしていくという中で、今回の私の質問としては、任意表示についてはどうしているのですかという質問に一つは集約されるのですけれども、科学的検証ができるから今の義務対象範囲になっているのだというこれまでの御説明がなかなかうまくいっていないことがあらわれている場面でもあるのではないかと感じました。

その延長ですけれども、不検出か否かを求めるとする関係での監視のあり方ですが、「遺伝子組換えでない」と表示できるかどうかについて、原材料レベルで検出限界を守っているかどうかを判断するという形をとる前提で考えたときに、先ほど宗林委員からも御質問があったように、最終製品の一般的な定性検査では、なかなか疑いを持たれるレベルの検査結果は出ないということになるのでしょうか。他方、私の理解不足でなければ、先ほどの今村委員の御説明の中では、最初の段階の科学的検証のほうが感度が高そうなお話もあったように思いますし、そうかと思えば、2段階目の定性検査というのは検出限界で判断しているという話をしているわけなので、どういう強弱関係になるのでしょうか。皆さん、検査方法にお詳しい方が多いので、専門的な説明について行けるのだと思うのですけれども、私はかなり平たくお話しいただかないと検査の中身を理解するのが難しいので、改めての質問になって恐縮なのですが、教えていただければと思います。

特に、御説明を伺っていて検査の素人的に思いますのは、最初の第1段階目の定性検査の目が粗いことによって、結局、検出限界まで厳しくしたのに、検出限界から5%までの間の守られ方、特に、今までのIPハンドリングの条件のクリアは十分しているかもしれないけれども、今後はフリーとは呼べないものについての違反の有無について、きちんとチェックできないということはないか。そうした部分のチェックについて、その端緒も含めてですが、どこまで考えていただけているのかということを疑問に思いながら聞いておりますので、できるだけわかりやすく御説明いただけたらありがたいです。

○受田部会長 ありがとうございます。

今も菅委員からコメントがありましたように、前回の第49回も含めて、かなり公定検査法の科学的な性質、特性に関しての議論に及んでいるというところが、まず一つ問題というか、わかりやすくという意味では改善をしないといけない部分かと思います。

今村委員のコメントを受けてという話もあったので、整理させていただくと、今、幾つか出てきた御疑念の中に、スクリーニング法と、その後、立入検査で2段階目で施される定性、定量検査との間の感度の優劣と言ったらあれなのですが大小関係。一番の懸念は、スクリーニングというのは網にかけないといけないのですけれども、最初からそこからこぼれてしまうのではないか。もっと言うと、検出限界の問題で、最終製品、加工食品に関しての検出が十分チェックできないのではないかという懸念に対してどうかというのが一つです。

その監視法をめぐって、先ほど菅委員からは、前回の部会においても御発言いただきましたが、実際に今日、資料2としてお配りしております対象品目において義務表示対象外の話、ここが科学的検証という説明のもとに限定をされているということと絡めていくと、科学的検証の立場が揺らげば、今、ここに書いてある対象品目は8+33に限定する必要がなくなるのではないか。そういう考え方があるのではないかという御指摘だと思いますので、まずは最初にスクリーニングと、その後の感度との関係をすっきりとさせていただきたいと思います。

これは、従来の今、動いている遺伝子組換え食品の表示に関してもこれにのっとっているということかと思います。

お願いいたします。

○消費者庁食品表示企画課 感度ということですけれども、リアルタイムPCRの感度は機器によりますので、その感度は個別の感度という考え方があると思うのですが、今御説明しなければならないのは、判定ラインということだと思います。

判定ラインについて、どちらが厳しいのか、緩いのかというところですけれども、これは加工食品という検体の性質と原料という検体の性質は異なっており、単純な比較ができないものです。原料については、今回、検出限界は幾つだというところを標準濃度を用いて一番低いラインはどこかというアプローチで決めていったものになります。それで、前回御説明いただいた結果をもとに、ΔΔCq法ということで検査法を定めるのが今、最善の方法であろうと思っております。

○受田部会長 今村委員、さらに補足をしていただけますか。

○今村委員 今の説明はそのとおりなのです。

先ほどの説明の中で、加工食品の定性検査をリアルタイムPCRでやっているという話は、私は初耳で、今までリアルタイムPCRで加工食品はできないから、ΔΔCq法をつくったと理解していたので、恐らく加工食品の定性検査は普通のPCRでやっていると私は思っています。

その上で、普通のPCRと定量PCRの何が違うかということですけれども、入っているか入っていないかだけを見るのが定性検査、それがPCRだと思うのです。何個入っているかというのが定量検査だと思うのです。

最初の意味で、加工食品の定性検査というのは、入っているか入っていないかということを見られるという意味では、原料レベルで言うと10万分の1から100万分の1ぐらいまでひっかかるだろうと思います。でも、それを加工食品にすると、たんぱくが溶けるので、どんどん感度が落ちるというのが今の説明であったと思うのです。

それに対して、原料レベルでどれぐらいひっかかりますかというのを、普通のPCR、入っているか入っていないかで見るのではなくて、パーセントで何個入っているかというやり方で、0.1%ぐらいで切ろうという話になっていると理解をしているのですけれども、今の説明で違う部分があったら、ぜひ説明をお願いしたいと思います。

○消費者庁食品表示企画課 現在、加工食品でもリアルタイムPCRを使って反応サイクルのうちに、例えばトウモロコシ加工食品ですとPCRを40サイクル回して、38サイクル未満で蛍光の閾値を超えた場合には陽性という判定をしておりまして、そこはとても厳しいラインで引いていると私は思います。

○受田部会長 ありがとうございます。

次は、渡邊委員に行きましょう。

○渡邊委員 感度の話は、PCRの検査方法や通常の分析方法と違うので、増幅させるので、もしその話を理解しようと思ったら、分析方法をもうちょっとしっかり説明していただかないと難しいのではないかと思います。

それとは別にお伺いしたいのは、今の2ページ目の資料で、○のところで違反の判断というのと、具体的な措置を講じるかという2つあるのですけれども、先ほど小松委員が、事業者のほうが難しい判断がなかなか難しいと言ったのは、事業者サイドからすると、違反となったら、まずそういう可能性があったら表示ができないということになりますので、製品の定性検査でひっかかって陽性と出た段階では、法律的にはまだ違反という感じにはならないのですか。

どこの段階で違反となるのかというのを、ちょっとお聞きしたいと思います。

○受田部会長 今のは御質問ですので、お答えいただけますでしょうか。

○消費者庁赤崎食品表示企画課長 今、渡邊委員から御質問があったのは、監視のいろいろな一連のプロセスの中で、どの時点で違反という認定を行政として行うのかということかと思います。

その点についても、実際に個別の事情に即して、もうある程度、事実関係等についてきちんと把握をして、蓋然性の高い形で整理がついた時点ということになろうかと思います。

1つのサンプルで陰性、陽性は確実にどちらかになります。ただ、1つから陽性反応が出たからといってそれで終わりではなくて、その原因もさまざまな事情が考えられますし、流通ルートの特定の中で、ほかの委員からもお話がありましたように、どこまで広がりがあるという認定をするのかも、当然、認定の際には一定の整理をつける必要があります。それはある程度、調べることは調べ、わかる限りのことは把握した上で、行政としても責任を持って、いろいろな判断をすると、それに対して、違うというお立場の御意見も当然出てくることを念頭に、そこである程度、これは事実関係に基づく判断としては、こちらの判断に合理性があると内部的におよそ合意、共通の認識がとれた時点ということになろうと思っています。

したがいまして、これもいろいろなプロセス、一般論の中で、どのステージかというのをアプリオリにお示しするというのは、非常に難しいのではないか。

繰り返しで恐縮なのですけれども、今回の改正のみならず、遺伝子組換えの表示全般、もっと言うと、ほかの表示事項についても、どの時点でアウトなのかというのは当然問われる話なので、その中で一定のこれまでの積み重ねの上でやっているとしか、この場ではなかなかお答えできないことを御容赦いただければと思います。

○渡邊委員 多分、そういうお答えだろうと思ったのですけれども、例えば同じ表示でも、こういう添加物が入っているか入っていないかという検査のときには、たまたまその商品に表示していない添加物が検出されたりすると、その時点で違反になるのです。これは、それをまた公定に遡って、それが入っている原因がどうかというところまで遡ったというのは今まで余り聞いたことがございませんので、その時点で違反になる。

今回は、原料の定性検査がないと違反にできないので、今のようなお答えになると思うのですけれども、ただ、事業者のほうから見ると、今回、遺伝子組換えでないという表示をするということは、原料のほうで定性検査の検出限界という話は出ていますけれども、加工食品の定性検査のところで陽性反応が出た段階で、社会的にはほぼ違反というレッテルを張られるのではないかという気がしています。

例えば行政が検査をした場合は、この陽性というデータは発表されないとは思いますけれども、そうではないところが検査をしたときに、製品から陽性がたまたま出たという段階で、こういう表示をしているのに違反ではないかという報道がなされたり、そういうことがあると思います。

そういうことから考えると、先ほど小松委員がおっしゃりたかったのは、遺伝子組換えでないという表示をするというのは非常に難しくなってくるのではないかということだと思います。

○受田部会長 ありがとうございます。

今の制度の中での話にも関わってくるのですけれども、極めて重要で、かつ最初の小松委員の事業者サイドからの悩みというか、非常に迷う部分に関して、さらにコメントをいただいたかと思います。

菅委員、お願いします。

○菅委員 菅です。

先ほどした質問に全て答えていただいているわけではないと思うのですが、それは置いておくとして、義務対象外のものに関する任意表示の話もさせていただいたと思うのですが、最終的にはファーストステップ、セカンドステップみたいなものに必ずしもこだわられることなく、最初から2段階目の社会的検証や原材料の検査をしていく、監視をしていくといったことがより求められるようになるのではないかと思ってもいますので、そういった意見だけ述べておきたいと思います。

○受田部会長 ありがとうございました。

これは実態として、現場レベルでどうかという部分ですけれども、コメントはありますか。

○消費者庁赤崎食品表示企画課長 先ほど菅委員から、任意表示の話もありましたので、それを含めてのお答えを簡単にさせていただきます。

まず、ファーストステップ、セカンドステップ以外のもっと弾力的なやり方も工夫すべき、検討すべきという点ですけれども、いろいろなケースがあると思います。今で言うところの公益通報、内部通報です。必ずしも、第1ステップを経ていなくても、いろいろな疑義情報を含めて、周辺から端緒となる情報が入りましたら、当然、それに基づいて適切に対応するというのがこれまでの検査のやり方です。

ここで言うファーストステップ、セカンドステップというのは、表示の義務と絡めて、その義務の履行の真正性を担保するやり方という形の整理になります。

先ほど菅委員が言われた、例えば油といったものは、今、任意表示になっています。それについてどうかとなると、油というのは御承知のとおり33加工食品群に入っておりませんから、ファーストステップはありません。それも含めて、どうやって対応しているのかですけれども、科学的検証と社会的検証双方の合わせ技ということで、社会的検証のほうに重きを置いた対応ということになります。

その上で、先ほど菅委員から、それであれば、原料に遡ってのチェックなのだから、もう33加工食品群の縛りは要らないのではないか。油についても表示義務をかけられるのではないかという趣旨のお話があったと思っております。

ただ、その点については、EUのように、油のような加工食品にも表示義務をかける制度の取り組みはございますけれども、トレーサビリティーがきちんとなされて、社会的検証として訴求する手段が罰則つきで担保されているという実態があるのだろうと思います。

今のIPハンドリングの仕組みというのは、基本的には当事者、お互いの合意でなされているもので、IPハンドリングに応じないからといって、法的な意味でのペナルティはありません。

油などへの義務づけにつきましては、有識者検討会でも様々な御議論があったところです。その際に、我々のほうからもEUの例を御紹介させていただきましたけれども、そういう社会的検証のアプローチできちんと押さえて対応していくという観点から見ると、トレーサビリティーの全面義務化抜きに、今の議論の中で、任意表示も今、社会的検証で十分にチェックできているのだから、全面的に義務化できるのではないかというのは、もう少しいろいろな事情を踏まえて議論をすべきという結論になったと思っています。

例えば油の場合でも、地方の小さな6次産業の会社、地場の三セクといったところがつくった大豆で油を隣の工場の農事組合法人でつくって売りますと。大豆で油をつくる例は現実にはないと思います。バーチャルで聞いていただければと思います。地方の小さな会社、ほかに取引が全然ないような、大手の輸入の大豆は取引記録のどこを見てもないようなところがつくって、売っている油については、これは社会的検証のようなアプローチで基本的には真正性は担保できるのだろうと思っています。

こういったものは、我々は義務はかけていません。ただ、遺伝子組換えでないという表示そのものは、公序良俗に反するものでもないですし、一定の真正性は担保されるので、任意表示として認められているというのが今の制度の運用の実態だと思っています。

そういう例があるからということをもって、油についても義務づけできるかというと、それはもう少しいろいろな検討をすべき課題があると思っております。その意味で、あのような有識者検討会の報告取りまとめをいただいたものと思っております。

雑駁ですが、以上になります。

○受田部会長 ここが納得していただけているかどうかはわかりませんけれども。

○菅委員 しておりません。

○受田部会長 多分、そうだろうと思って拝見しております。

義務表示対象、それ以外のもの、ここの議論というのも、今日は難しいと思うのですけれども、また俎上にのせたいと思っています。

もちろん今の話は、科学的検証、そして監視の仕組みとの関連があることも十分に理解しておりますので、まだいろいろと御意見があるかとは思うのですけれども、今日あったお話としては、科学的検証の裏づけになる、ベースとなる極めて重要な公定検査法とその監視のあり方に関して、いろいろな御意見が出たということかと思っています。

もう一度、振り返ってみますと、現状でも、今、この遺伝子組換え食品の制度自体が動いておりまして、これが内包するさまざまな課題といったものに対しても委員から指摘があったというのがまず一つ。

そして、新たに今回、大豆とトウモロコシに関しますIPハンドリングにおける意図せざる混入の割合を、これまでの5%というところからさらに検出されないというところが新たに設けられていて、そして制度を変えていこうという検討会の取りまとめについて、さらに議論がなされ、特にそこにおいて、2段階目の公定検査法に関する分析法が持っております検出限界であったり、具体的にスクリーニングの検出限界等の比較等に関して、いろいろな不安というか消費者サイド側から見たときの当然の懸念というか不安があったということかと思います。

さらには、事業者の皆様から見れば、この制度において、曖昧あるいは判断の裏づけをどの段階で、そしてどのようにこれを運用していくかという部分について、かなりいろいろな懸念があるということもコメントとしていただいたように思います。

まず、従前の運用においても課題が指摘された部分に関しては、今日出たコメント、意見に対して、現状がどうなっているかは一度、御紹介をしていただく場があってもいいのかとも思います。

ほかの部分もございますので、余り時間をかけてということは、この部会としてなかなか難しい部分もあるかと思いますけれども、一方で、新規分析公定検査法に関しては、ここで出たさまざまな不安に対して、今後、国立医薬品食品衛生研究所を中心に、今年度はトウモロコシ、来年度は大豆ということで検討が進んでまいりますので、ここでの指摘事項等をしっかり受けとめていただいて、その点についても説明ができるような報告あるいは分析法の設定をお願いしたいと思います。

ここから、さらに分析科学的な詳細に踏み込んでいって、専門的なお立場で議論していくと、この議論の場自体がエンドレスになっていく懸念もございますので、今、ありました消費者サイドから見た当然の不安や懸念、あるいは事業者サイドから見た判断の難しさをできるだけ払拭していただくべく、ここの新規分析法、リアルタイムPCRを使ったΔΔCq法と言っておられますけれども、その設定に取り組んでいただきたいと、ここの部分はさせていただいてよろしいでしょうか。

あと、監視に関しては、先ほどの繰り返しになりますけれども、科学的検証のベースになりますので、ここの部分は少し現状も整理をしていただいて、この議論がさらに対象品目の拡大に関する議論とリンクしていくというところで整理をさせていただきたいと思うのですけれども、いかがでしょうか。

池戸委員、どうぞ。

○池戸委員 今の部会長の方針に基本的には賛成です。先ほどから科学的検証と社会的検証の話が議論になっていると思うのですが、今日事務局から御説明いただいた中身で、基本が社会的検証ということで、科学的検証はスクリーニング、傍証的な位置づけということになっていると思います。ただし、科学的検証というのは、客観性を持って数字で出てくるので、説得力があるのです。どうしてスクリーニングとかそういう位置づけになるかというと、日々、検査技術が日進月歩で進展するということなので、絶対性という観点では限界があるということも前提だと思います。

例えば、科学的検証で3%入っていましたということで、5%以下だからオーケーだという話ではなくて、それが社会的検証により意図して混入したことが分かった場合はアウトなわけです。そういう前提なのです。

同じ議論が近藤部長のほうに再度行く可能性があるので、もう一回整理すると、日本の場合は、今までリアルタイムPCRに20年という実績があるわけです。今の新しい検出、不検出というところをどうやってやるかということも、一口で言えば今の技術レベルで最善のものを採用しましょうという前提に立っているかと思います。

両方とも、すなわち加工食品の検査も原料もリアルタイムPCR法なのですけれども、ただ、残念ながら、原料のほうは、先ほどから御説明されているのではないかと思うのですが、標準と比較ができるやり方で、ターゲットのDNAを比較してやっているということなのですが、加工食品は、加工の途中でDNAが分解とかをするので、それが一律にできないので、残念ながら内在型のDNAの独立的なものを検出するというやり方しかできないです。

そこは限界があるというよりも、今の技術だとそこが最善だという前提で私自身は受けとめております。 こうした検査法が云々というのは別にして、多分、皆さんが心配しているのは、社会的検証が実際にどれだけ実効力があるかみたいなところです。

あと重要なのは、普及啓発の話になるかと思うのですが、この検査法というのは監視だけではなくて、事業者の方も仕入れなど事前のチェックという形で使われる。そういうところでも使えるような裏づけもちゃんと時間をかけてやっていただきたいというのが私の希望でございます。

○受田部会長 ありがとうございます。

夏目委員、お願いします。

○夏目委員 私も部会長がまとめられた意見でよろしいかと思いますけれども、消費者から見たときに、事業者の御心配、事業者はとても真面目でいらっしゃるから、新しい定め、表示規則が決まれば、それに沿って実施していこうとお考えになっていると思うのです。

けれども、今の段階では、新しい表示に踏み込めないという御心配がとてもよく伝わってきました。というのは、やはり加工食品の場合は、今日の資料2にもございますように、当該製品が入手できないという基本的な前提があって、そこで同等性が担保されていないと私は思うわけです。似ているけれども、同じものではない。そういうものを判断材料に使わざるを得ないという現状の中で、事業者の方がどこまでやればいいのかと考えるときに、GMフリーという表示には踏み込めないと判断する事業者が出てくる。

そうすると、今までGMフリーというのは多いか少ないか、これは見方によりますけれども、見ることはできた。それさえもなくなってしまうという懸念が膨らんでいく方向にあるのかなと思う消費者は結構いるわけです。

そうしますと、今まで5%以下はGMフリーであったわけですから、検出限界と5%の間の表現をいかにうまく消費者に伝えていくかということがとても大事になってくるというのが消費者としての関心です。

もう一点は、2段階のところで、課長が、正確性と実行可能性のバランスをとってやっていきますということをたびたびおっしゃったのですけれども、消費者から見たら、正確性よりも実行可能性のほうに重きが置かれているのではないかと思いました。

社会的検証の中身は、IPハンドリングに関する書類、その他などとありますけれども、今のままではなくて、社会的検証をもっと確かなものにするための方策を考えていくべきではないでしょうか。何を申し上げたいかというと、トレーサビリティーですけれども、そういう導入もこの社会的検証に頼っていく以上は、今後の検討課題であると思います。

今までの議論の中で、例えばEUはEUの中でトレーサビリティーができるからやっている。日本も、国内であればコメにしろ牛にしろできるけれども、大豆やトウモロコシ、とりわけトウモロコシのようにほとんど外国から入れているときに、相手国にトレースを義務づけできないから難しいというお話がありました。

けれども、数日前に、カナダが日本から輸入するものに対してトレースを義務づけるという報道がされています。そのように、外国も少しずつ変わりつつある中で、日本も大量のものを外国から輸入しているのであれば、相手の国とトレースについて検討していく時期でもあるのかということを考えましたので、少しお話しさせていただきました。

○受田部会長 ありがとうございました。

池戸委員、夏目委員からさらにコメントをいただきました。

松永委員、お願いいたします。

○松永委員 詳しく御説明いただきまして、どうもありがとうございました。

遺伝子組換えでないと言うと、どうしてもゼロを追求してしまうというのが消費者の思考で、ゼロを願うわけですけれども、どういうことであれ、ゼロというのは今の食品のあり方、物流というところからは望めないわけです。

例えば有機食品は遺伝子組換えフリーとなっていますけれども、あれで遺伝子組換えゼロを確保するというのは現実には無理なわけで、余り細かいところの数字でうそをつかれたとか、そのような誤解を生むようなたてつけにしないほうがいいと思っています。

先ほどから、加工食品だとスクリーニングできないのではないかというお話がありましたけれども、多分、そのレベルのものは極めて微量なので、別にこの監視の仕組みの中で拾わなくてもいいものであると私は思っているわけです。

そうではなくて、監視というのは、悪質に恒常的に違反をしているものをきちんと拾い上げていくような形にする。多分、それが監視のあり方なので、そういう視点から、この監視の仕組みということを見たほうがいいと思います。

多分、スクリーニングで拾い上げる、端緒で加工食品でも拾い上げる。その2段階目のところで、恒常的なものなのかとか、悪質なものなのかというところをきちんと見て、その上で違反かどうか判断するという考え方になっているのだろうと思っています。

確認したいのですけれども、想定される原因として、意図せざる混入、極微量のスクリーニングでは拾い上げられる、陽性にはなる、だけれども、非常に微量であるというものは、別に違反扱いにはしない。それはその後の第2段階のステップに進むときの材料であって、それでイコール違反にはならないわけです。そこはきちんと担保されているし、そこは消費者も、意図せざる混入とかごく微量の製造工程でどうしてもまざってしまうようなものは、ゼロではないけれども、これは違反ではないし故意でもないので、ある意味、許容しなければいけないという科学的な理解をしなくてはいけないと思うのです。それが、今後のリスクコミュニケーションというところのポイントだと思います。

もう一点思ったのですが、逆に、もし第1段階の加工食品の定性検査のところで、物すごい割合の混入ではないかということが見られたとき。例えば10%を超えるような混入があって、もしかするとこれは意図した混入なのか、あるいは工程で間違いがあって混入したものではないかというものが出たときに、第2段階で見ていくと、通常はそういう間違いはしないので、あるいは意図する違反はしないので全然問題がありませんでしたというときには、どういう判断になるのですか。その場合、つかまえたものは、どうも定性検査で相当な量が入っていると。だけれども、第2段階では問題はないという場合は、どういう判断になるのでしょうか。そこをお伺いしたいのです。

○受田部会長 先ほども監視と違反の具体的な段階の話があったのですけれども、これに関してはコメントをいただきましょうか。

○消費者庁赤崎食品表示企画課長 今、松永委員から、第1段階と第2段階の監視結果の評価について、お話がございました。

まず、第1段階で、ごく微量に入っていたのが原因で、結果として陽性反応が出た場合、先ほど渡邊委員からお話がありましたが、第1段階の時点で、その結果が出たことをもって我々は対外的にその旨を公表したりなどとはいたしません。あくまで内部で、そういう情報を得たということで、それを踏まえて立入検査につなげるということですので、第1段階で陽性反応が出たからアウトだ、お先真っ暗だということは絶対にないということは、まず申し上げさせていただきたいと思います。

その上で、第1段階で、蓋然性という観点から見ても、どうも限りなく黒だと。関連するものを複数調べたところ、全部陽性反応であるみたいな事情で、可能性が極めて高いとなった場合、第2段階の立入検査は行うことになります。

そう言いますのも、実際、どういう流通ルートなのかといったことは、最終製品を見ただけでは当然わかりません。IPハンドリングの証明書及びそれに関連する書類も確認しつつ、あとは、実際に品質管理がかなり不十分だったのか、それとも原料そのものに問題があったのかを含めた事実関係は、実際の立入検査、事業者といろいろなやりとりをし、お話を伺う中で明らかになる点があると思います。

その意味では、一般論の話としてお聞きいただければと思いますが、第1段階で限りなく黒の心証を得たとなっても、それだけで処分、社名公表みたいなことになるよりも、まずはいろいろな裏どり、関連する情報を集めて精査をするというプロセスも当然、積み上げの中には必要になりますから、第2段階のいろいろな社会的検証、科学的検証の手法も当然使って、違反事実の厚みを増すということになると思います。

その場合も、第1段階次第で第2段階のほうの対応も変わってきます。第1段階でこれは限りなく黒だとなると、第2段階のほうも当然、フォーカスを絞って、いろいろな形でより鋭角的に確認をし、やりとりをしということになると思います。結果、第1段階の判断結果が第2段階に全く影響を与えないことはないと思っておりますが、それも含めて、個別具体の事案に即して、そこは検査部門が適切に対応するものになると思っています。

○受田部会長 わかりました。

実施の進め方というか仕組み自体をどのようにやるかということは、事業者サイドの皆様にとっても大変重要なことですし、一方で、それが担保されているということから、消費者のほうのさまざまな不安や信頼が生まれてくるということになりますので、今の部分、繰り返し松永委員からも御指摘をいただいた点については、さらに明確化をしていただきたいというところを重ねてお願いしておきたいと思います。

○松永委員 ということは、例えばうっかりでかなり大量の混入をしてしまっても、第2段階で、あのときのうっかりであって、常日ごろはこういう違反はないだろうと判断されれば、それは違反にならないということになるのですか。

そうすると、例えば添加物の違反、加工肉の違反などだと、うっかりで入れ過ぎましたというものも違反になって、それは発表されてしまうわけです。遺伝子組換えについては、そこと考え方は異なるということになりますか。

○消費者庁赤崎食品表示企画課長 これも一般論のお答えをさせていただくことになりますけれども、今、うっかり入れてしまわれたというお話でした。うっかり入った量が何キロ、何十キロなのか。実際にはないと思いますが、何十トン、何百トン単位なのか。いろいろな事情があると思っております。

その意味で、うっかりだから免責というか、いわゆる行政上の責任を問わないとはならないと思いますが、ただ、いろいろな事情をしんしゃくして、総合判断していく際の一つの事情として、うっかりといったことも、考慮理由から外れるということはないのではないかと思っています。

一応、そういう一般的な仕切りの中で、個々の事実認定に即して判断していくものと思っています。

○受田部会長 先ほど池戸委員からも、意図せざるという言葉に関してコメントがございましたし、社会的検証をいかに信頼おけるものにつくり上げていくかということは、夏目委員からも、トレーサビリティーの確立というところで御意見をいただきましたので、こういった点は、この部会でより一層、強化あるいは確立をしていただきたいという意見が出ていたということで、ぜひ、受けとめていただければと思います。

どうぞ。

○宗林委員 次回でも結構ですけれども、サンプル調査だと思うのですが、監視の体制はどのぐらいできているのか。というのは、科学的検証はいろいろなところでできますけれども、社会的検証は行政しかできないので、現状はどうなのか、あるいは、今回これに切りかえることによって、そういう体制の整備があるのかどうかということで、どのぐらいの割合なのかをざっと教えていただければと思います。

○受田部会長 今日、いろいろな疑念というか不安というか、仕組み自体を知りたいという御意見がたくさん出ていますので、これについて今、決まっていることと、今後、整備をしていくこともあると思います。

繰り返しになりますけれども、公定検査法自体の条件等について、今、検討を進めていただいている状況でございますので、その点も関連をしながら、さらに委員から出た疑問に対して、より明確化をしていただき、そして決まっていない部分に関しては、委員からも要請、要望をさらにお聞きして、その整備自体を万全に進めていただくということでいかがでしょうか。

松嵜委員、お願いします。

○松嵜委員 細かい点で申しわけないのですが、第1ステップの定性検査のところなのですけれども、陽性と陰性の境目が、検出が0.0001%ぐらいということで、その濃度で出てきたら陽性になるということだったと思うのです。陽性だったけれども、もともとの材料をたどると全く使われていなかった。陰性だったけれども、使われていたという率とかは、確かめられているのでしょうか。

○受田部会長 専門的にはエラーという話だと思うのですけれども、その点、コメントができる範囲でお願いいたします。

○消費者庁食品表示企画課 加工食品の段階で陽性となっているけれども、原料で検出されなかったというケースがどれくらいあるかということでしょうか。

○松嵜委員 全く使っていないのに、陽性と出てしまう率。

○消費者庁食品表示企画課 そこはわからないです。

○受田部会長 その点に関しても、今、御質問いただいたので擬陽性とか擬陰性というのがあるのかどうかは知りませんけれども、そういった誤りをスクリーニング上、この定性試験で示すことの確率という話に専門的にはなっていくのかもしれません。

前回、近藤部長から、途中経過におけるαというコントロールの濃度を幾らに設定すると、それが定性的にひっかかるかひっかからないかというデータのお示しもあったかと思うのですけれども、今の点に関して、また今後ということでお願いをしたいと思います。

時間がだんだん12時に近づきつつありまして、先ほど全体の総括をさせていただきましたが、技術的な部分に関しては、現在進行形であるということ。また、監視あるいは違反の取り締まりの点についても、可視化していただくということ。そして、今回の「でない」表示の検出されるかされないかという新たな設定と、加えまして、これまでの一般的なルールがどのようになっているか。ルールというのは、特に取り締まりであったり検出限界であったりというところに話が及んでいましたので、今日出た意見に対して、お答えできるところを整理していただくことによって、科学的検証の信頼性という部分で対象品目の話へと次回、つなげていきたいと思います。

まず、資料2におきまして、監視、公定検査法というくくりでいろいろな御意見をいただいておりましたけれども、この議論に関しては、ここで区切りをつけさせていただいてよろしいでしょうか。

基本的には、今後の検討に委ねるという部分がメーンだと思います。

宗林委員。

○宗林委員 先ほど、加工食品中の検出限界という話も、明確にはお答えがなかったと思いますので、今、ここに豆腐が例題として出ていますので、例えば原材料の検出限界は今はまだ決まってはいないかもしれませんけれども、概ねどのくらいの値で、この前の近藤先生の例にして、製品中だとこのぐらいで、陽性になるのかという、どちらともリアルタイムPCRというお話でしたので、そういうわかりやすい図を1枚書いていただけませんでしょうか。

○受田部会長 具体的な事例ですね。そこでちょっとイメージが湧かないというところでかなり悶々とした御質問や御意見が出ているという感じもしますので、クリアカットに整理をしていただいて、それは一般論というよりも事例としてお示しいただくと、かすみがとれていくのかもしれないですね。

その点も含めて、ぜひお願いをしたいと思います。

そうしましたら、公定検査法、監視に関しては、今後に委ねる部分が多分にあるということも含めまして、議論についてはここまでで一旦整理をさせていただいて、残りの時間で、次の分類上は経過措置期間というのを入れておりまして、多分、前回の意見の内容がここに盛り込まれていると思うのですが、ここを少し議論しておきたいと思います。

たしか菅委員からだったと思うのですが、前回、経過措置の話を施行前倒しすべきではないかという意見も聞かれていたかと思います。

今日、前半で消費者庁から御説明がありました新規定性法の設定について、少し時間を要しているというお話もございました。具体的には、先ほどの御説明の中では、今年度、トウモロコシの検討が進められていて、31年度に大豆に対する検討がなされていく。これらの公表が32年度から、そして33年度、恐らくこれを事業者の皆様が活用して、確認をしていく期間が必要であるというお話であったかと思います。

そういう意味で、34年度までで、今年を入れて5年間、それが経過措置として設定されているものともつながっていくようにも感じるのですけれども、経過措置期間の妥当性、意見に関して、少し御意見をいただきたいと思います。

菅委員からは前回、意見をいただいておりましたが、今日の新たなお話を踏まえていかがでしょうか。

○菅委員 検査法策定にどのぐらい時間がかかるのかということに関しては、恐らく制度全体に影響することで、その期間が十分とられなければいけないのであれば、そのこと自体についてはやむを得ない部分もあるかもしれないと思います。

私が前回、問題にさせていただいた趣旨は、検査法策定にどのぐらい時間がかかるかという話ではなくて、どちらかというと、両制度に基づく表示が併存するのをできるだけ小さくするためにはどうしたらよいかという問題意識で今回の経過措置期間が定められているという御説明の中で、果たして今、御提案されている形しかないものだろうかという疑問を述べさせていただいた趣旨です。

同じことは特に繰り返しませんけれども、その日が来るまで、つまり平成35年4月1日が来るまで新しい制度では全然表示できないという定め方というのは、経過期間の定め方としてはあまり採用されてこなかったのではないかということもあるので、どうなのでしょうかと。

また、実害も、新しいルールに基づく表示が前倒しでなされても、生じないのではないかと思いますので、少なくとも普及啓発のレベルでは、できるだけ前倒しを進めていくような方向に持っていけないものかといった問題意識で発言させていただいております。

○受田部会長 ありがとうございました。

前回いただいた意見を踏まえつつ、そして今日、さらに公定検査法の話もスケジュールとともに補足されましたので、その点についてもコメントをしていただきました。

そういうところで、特に委員の皆様から、この経過措置期間の妥当性について特に大きな異論が聞こえてないという理解でよろしいでしょうか。

ありがとうございます。

この資料2でいきますと、順番に進めていっている形になるのですけれども、次が表示内容や表示方法というところでいただいた意見でございます。冒頭、監視や公定検査法に関する内容が多いと申し上げましたが、比較をしていただくと、表示内容、表現方法にもたくさん意見をいただいているところでございます。

今日はもう時間がございませんので、次回の部会においては、この表示内容、さらには表示方法といったところを重点的に御議論いただきたいと思っているところでございます。

実際にパブリックコメントにおいても、いろいろな提案をいただいていたのではないかと記憶をしております。表示方法、表示内容の項目の最初にもありますとおり、不分別といった表現や、不検出から5%の間を示す表現については、わかりやすくすべきであるという御意見もございますことから、これまでいただいた意見も含めて、委員の皆様から、この表現方法についてもいろいろな案を御提案いただきたいと思っております。一括表示事項欄に記載するか、その欄外に記載するかといった点も、もしかするとあるのかもしれません。いろいろな意味で、この表示内容、表現方法に関する具体的な議論を次回、進めてまいりたいと思いますので、その部会に際して、委員の皆様から妙案をいただければ、大変ありがたいと思っております。

次回は、今日も話題としては一部出てまいりましたけれども、対象品目に関する議論もさせていただきたいと思います。その際に、科学的検証というものの信頼性という部分が鍵になるというお話かと思いますので、その点についても少し今日のコメントに対する回答の材料を提案いただきたいと思っているところでございます。

そこまで行けば、残りは普及啓発、周知、それから一部、その他のところもあるかと思いますけれども、後半の話題というか課題へと入ってまいりたいと思っているところでございます。

今日の議論、次回の進め方に関して提案を申し上げましたけれども、委員の皆様、いかがでしょうか。こういう進め方でよろしいでしょうか。

ありがとうございます。そうしましたら、少し宿題を出させていただいたということで、よろしく御検討のほど、お願い申し上げます。

≪3.閉会≫

○受田部会長 それでは、本日の議事は以上ということにさせていただいて、連絡事項等があればお願いいたします。

○坂田参事官 本日も、長時間にわたりまして、御議論いただき、誠にありがとうございました。

次回は2月21日木曜日の13時30分からを予定しております。詳細は追って御連絡いたしますので、よろしくお願い申し上げます。

以上です。

○受田部会長 それでは、本日はこれにて閉会とさせていただきます。

皆様、大変お忙しいところをお集まりいただきまして、誠にありがとうございました。

(以上)