第49回 食品表示部会 議事録

日時

2018年12月19日(水)13:59~16:40

場所

TKP赤坂駅カンファレンスセンター ホール13A(東京都港区赤坂2-14-27 国際新赤坂ビル東館)

出席者

【委員】
受田部会長、樋口部会長代理、安達委員、池戸委員、今村委員、澤木委員、下浦委員、菅委員、宗林委員、戸部委員、夏目委員、松永委員、渡邊委員
【消費者庁】
橋本審議官、赤崎食品表示企画課長、食品表示企画課
【説明者】
国立医薬品食品衛生研究所 近藤生化学部長
【事務局】
二之宮事務局長、福島審議官、坂田参事官

議事次第

  1. 開会
  2. 食品表示基準の一部改正(遺伝子組換え表示)に係る審議
  3. 閉会

配布資料 (資料は全てPDF形式となります。)

≪1.開会≫

○坂田参事官 本日は皆様、お忙しいところお集まりいただき、誠にありがとうございます。

ただいまから第49回「消費者委員会食品表示部会」を開催いたします。

まず議事に入ります前に、御報告がございます。

参考資料1を御覧いただきたいと思います。委員名簿を配付させていただいておりますが、これまで本部会の委員でいらっしゃいました岸委員が諸事情により辞任されたことを受けて、本日付でその御後任として小松委員が新たに着任されました。しかし、本日は御都合が合わず御欠席となっております。

以上、委員の御交代について御報告申し上げました。

本日、小松委員以外に御欠席の連絡をいただいている委員は、松嵜委員、宮崎委員となりますが、過半数に達しており定足数を満たしていることを御報告いたします。

次に、配付資料の確認をさせていただきます。本日お配りしております資料は、議事次第に記載のとおりとなっております。

そのほかに委員のお手元には机上配付資料として、この後の御説明で使用される資料を配付させていただいております。本資料は説明の際にはスライドに投影いたしますが、後ろの傍聴の皆様には若干見づらい点もあろうかと思いますが、御容赦いただければと思います。

なお、本資料につきましては会議終了後には回収させていただきますので、部会終了時には机上に置いたまま御退室をお願いいたします。

不足の資料がございましたら事務局へお申しつけいただければと思います。

本日も多くの傍聴の方にお越しいただいておりますので、御発言の際にはお手元のマイクを持ってお話しいただきますようお願いをいたします。

それでは、受田部会長、以後の議事進行をお願いいたします。

○受田部会長 皆さんこんにちは。本日もお忙しい中、お集まりいただきましてありがとうございます。また、多くの傍聴の皆様にお越しいただいておりますこと、御礼を申し上げます。

≪2.食品表示基準の一部改正(遺伝子組換え表示)に係る審議≫

○受田部会長 それでは、早速でございますけれども、本日の議題に入ってまいります。

これまでにお伝えをしていたとおりですが、10月3日付で内閣総理大臣より諮問を受けました食品表示基準の一部改正として、遺伝子組換え表示に関する審議を今回より行っていきたいと思います。諮問の内容である食品表示基準の修正案については、10月10日に開催した第46回食品表示部会において、既に消費者庁より御説明をいただいたところでございますが、その際に御説明いただいたものから一部修正が生じているとのことです。

また、10月10日から行われていたパブリックコメントの結果についても、取りまとめが終了したとのことですので、その点も含めて御説明をいただきたいと思います。

それでは、消費者庁食品表示企画赤崎課長、20分程度で御説明をお願いいたします。

○消費者庁赤崎食品表示企画課長 消費者庁食品表示企画課の赤崎でございます。

お手元の配付資料に沿って簡潔に御説明させていただきます。

前回遺伝子組換え表示について御説明したのが10月10日で、2カ月以上空いております。したがって、今回、諮問に至った背景等について簡単におさらいをさせていただきます。

まずは参考資料2を御覧になっていただければと思います。タイトルが「遺伝子組換え表示制度をめぐる情勢」というものです。

1ページ、2ページに現状の表示制度がありますが、3ページを御覧になっていただけますでしょうか。「遺伝子組換え表示制度に関する検討会の報告書」の概要になります。

10月3日付の諮問に先立ちまして、この「遺伝子組換え表示制度に関する検討会」の場で今後の遺伝子組換え表示制度のあり方について、約1年間かけて幅広く御検討いただいております。今年3月28日にいただいた報告書の概要が、この3ページになります。

検討会の背景でございます。左上になりますが、今の表示制度の導入から15年以上が経過し、いろいろな状況変化が起きているのではないか。こういう問題意識のもと、検討をいたしました。基本的考え方は右上にございますように、日本で食品として流通している遺伝子組換え農産物は、安全性が確保されている。その上で表示制度というのは選択のためのものであるという観点から、どういう制度がいいのか。そういう検証をしたというものです。

論点は①から④までございます。論点①、②につきましては、基本的にはどういうものに表示義務をかけるかという対象物の議論になります。それに対して論点③、④は基本的には対象物が決まった上で、どのような表示がわかりやすいのか。そういう観点で整理をして議論をいただきました。

結果、この有識者検討会で論点④-2のところにある御指摘をいただいております。要は「遺伝子組換えでない」という表示が認められる条件になりますけれども、今「遺伝子組換えでない」という表示は任意です。その表示をつけてもつけなくても構いませんが、この表示をつける場合、遺伝子組換え農産物が最大5%混入していても、任意で「遺伝子組換えでない」と表示できるとなっています。この点について、「遺伝子組換えでない」と表示するのであれば、遺伝子組換え農産物が不検出の場合に要件を厳格化すべきという内容で取りまとめいただきました。今回、この御指摘を踏まえて食品表示基準を改正するということで、その案を諮問させていただいております。

右下に、「国における今後の取組み」というものもございます。これは今後、国が説明会の実施などによって普及啓発活動を積極的に行うべき。もう一つは、新しい表示制度の施行後になりますけれども、実態把握のためのモニタリング調査を行い、必要に応じて制度の見直しを検討するという内容でございます。

その上で資料1、資料2の順番で御説明をさせていただきます。

まず資料1になります。これは食品表示基準の改正案であり、まさに諮問そのものです。今回、資料1を御覧になっていただくと、赤字の部分が入っております。これは今回の変更に伴って追記をしたところです。10月3日の諮問で入っていて今回落とした記述はありません。今回、赤字の部分が新しく加わるということになります。

今回の変更、追記につきましては、基本的に条文の横並びをそろえた結果、ここも改正すべきという判断に至ったものでして、その意味で実質的な意味内容の変更を意図して変えたものではございません。したがって、詳細な説明は省略をさせていただきます。

その次、資料2で今回行いましたパブコメの意見募集の結果を取りまとめていますので、その御説明をさせていただきます。

資料2の表紙の1に書いておりますけれども、意見募集期間は今年の10月10日から11月8日までの1カ月間でございます。我々のほうで食品表示基準の改正案及び参考資料を意見募集の対象としてパブコメで御意見を伺ったところ、3に書いておりますように、寄せられた意見総数は773件でございました。これは1人が複数の意見を出すこともあり得ます。意見に着目して取りまとめたところ773件となりました。

その内容でございます。773件という非常にたくさんの御意見をいただいておりますので、目次に書いておりますように幾つか内容を項目に分けて今回整理しております。

その上で1ページになります。まず最初に総論という形で整理しております。左側に主な意見の概要を書きまして、右にそれに対する消費者庁の考え方を整理しております。左側の主な意見の概要につきましては、いただいた御意見をできるだけそのまま記載しております。

まず総論につきましては、今回の改正点そのものへの意見というよりも、遺伝子組換え表示のあり方全般に関する御意見をここでまとめております。主な意見の概要の1つ目を見ていただくと、「遺伝子組換えでない」と表示されていても入っている可能性があることを知り、驚いた。結局、表示は入っているかいないかはっきりすべき。こういった遺伝子組換え表示全般についての御意見をここで整理しております。

これに対する我々の考え方は、その右にございますように、今回の改正案は任意表示の部分を見直したもの。それは消費者の誤認防止や消費者の選択の機会の拡大の観点から行ったものであり、最後の行に書いていますように、義務表示のルールについて変更はありません。こういう形で整理しておりますが、今、述べたような形で総論のところは整理をしております。総論部分が6ページまでついております。

その次にまいります。6ページを開けていただくと、表示義務対象品目という項目がございます。これは今の表示制度が組み換えられたDNAやたんぱく質が検出できるものに義務の対象を絞っていますので、その扱いについての御意見になります。これは表示義務対象品目の最初の主な意見の概要のところに書いていますように、検査法の確立に向けた努力を重ね、対象品目を拡大すべきという御意見もあれば、4番目にあるように、ガイドライン等で可能な限り表示してほしいという御意見も出ております。一方で、その下、上から数えますと5番目になりますが、現在表示義務のない油やしょうゆ等について表示義務を課してほしいという御意見もいただいております。

油やしょうゆ等についても表示義務を課してほしいという御意見、複数いただいておりますが、消費者庁からは右の欄に書いている回答のとおりになります。中ほどになりますけれども、3行目でしょうか。大量の原材料や加工食品が輸入される我が国の状況下においては、社会的検証だけでは表示の信頼性を十分担保することは困難。引き続き科学的検証と社会的検証を組み合わせることによって監視可能性を確保ということで、現行制度の維持という形で整理させていただいております。

以上、今述べたように見直しすべきという御意見がある一方で、7ページの表示義務対象品目の欄の最後の2つになりますけれども、一番最後には今回の案に賛成という御意見もありますし、その上、終わりから2番目には、改正案は適当という御意見もございます。いろいろな御意見をいただいたということになります。

その次、7ページの下に表示義務対象原材料という項目がございます。これは、主な意見の概要の上から2番目を御覧になっていただければわかりますように、表示義務対象原材料を上位3品目まででなく、全ての使用している原材料とすべきといった御意見です。現在、加工食品の原材料につきましては上位3品目までで、重量比5%以上という要件がかかっております。この点についてもう少し表示義務の対象を広げられないかという御意見をいただいております。そのような御意見につきましては、7ページの右下、意見に対する考え方の後半部分に書いておりますけれども、事業者の実行可能性、表示の見やすさ・優先度を踏まえると現行制度の維持が適当。こういう形での整理をしております。

8ページ、遺伝子組換えでない表示の混入率という項目になります。「遺伝子組換えでない」という表示は任意表示です。今は最大5%遺伝子組換え農産物が混入していても表示できますが、今回、要件厳格化を消費者庁のほうで考えている、まさにその部分になります。8ページの項目の一番最初には、不検出とするのではなく、EU並みの0.9%とすべきという御意見があります。その下、上から2番目になりますが、不検出とせずに、意図せざる混入率にそろえるべき。5%のままでいいのではないかという御意見もあります。その下は、1%以下とすべき。このような御意見が幾つか出ております。その意味では要件厳格化に対する反論という形で、今の5%への据置きを含めていろいろな数字で、ほかにも0.1%とか3%にすべきといった御意見も出てきております。

これらに対する消費者庁の考え方につきましては、8ページの右下になりますけれども、6行目になりますが、誤認防止、表示の正確性の担保及び消費者の選択という観点から、要件厳格化により不検出にしたという回答を書かせていただいております。

今、述べたように、要件厳格化に対する異なる御意見もいただいておりますが、12ページを御覧になっていただくと、主な意見の概要、一番上には厳格化することに賛成という御意見も一方でいただいております。いろいろな御意見があるということかと思っております。

12ページの下、意図せざる混入率という項目になります。これは先ほどの任意表示の要件ではなくて、今は混入率が5%を超えると不分別表示を必ず書かないといけない。このボーダーについての御意見になります。この意図せざる混入率につきまして総じて5%が高い、引き下げるべき。例えばということで3%がいい、1%がいい、0.9%がいい、そもそもゼロにすべきといういろいろな御意見をいただいております。これらに対する消費者庁の見解は、13ページの右側に書いておりますけれども、3行目以下になります。事業者による原材料の安定的な調達が困難となる可能性、また、検査に係る作業コストの増大等々から、現行制度の維持が適当という整理にしております。

14ページ、今度は表示方法という項目になります。どのような表示がわかりやすいか、そういう観点からの御意見ですけれども、14ページの表示方法、主な意見の概要で言うと4番目になりますが、不分別に関する御意見も多くいただいています。上から4番目を見てみますと、不分別表示は安心できない。わかりにくいということで、「遺伝子組換え使用」と表示すべきではないか。こういう御意見を多数いただいております。それらに対する消費者庁の見解としては右に書いておりますが、分別生産流通管理の有無も情報の一つとして重要であり、義務の区分を一括りにすることには慎重になるべきという形で現行制度の維持が適当という整理になっています。

15ページの一番上の右側を見ていただければと思います。意見に対する考え方のところですけれども、不分別に代わる文言については我々としてもわかりづらいという問題意識は持っておりますので、今後いろいろな関係者から幅広く意見を聴取して、適切な表示文言があればQ&Aでお示しをしたい。いろいろな御意見があれば我々のほうでぜひ参考にさせていただきたいということを書いております。

その後、16ページをお開きいただければと思います。主な意見の概要の一番上になりますけれども、「遺伝子組換えの混入が検出されるけれども5%以下という場合」とあります。これは結局、今は「遺伝子組換えでない」と書けるけれども、要件厳格化に伴ってその表示ができなくなる。ただし、5%は超えていないので不分別という、消費者にとって一見ネガティブな表示が義務づけられない。このカテゴリーの扱いをどうするかということになります。ここは非常に多くの御意見をいただいており、以下、20ページまでずっとその御意見をまとめておりますけれども、この点につきましては16ページの主な意見の概要の上から4番目でしょうか。文末に書いていますように、消費者にとってわかりやすい表示にしてほしいという御意見をいただいています。その下、上から言うと5番目になりますけれども、混入率が5%以下といった数字を使った定量的な表示もいいのではないか。こういう御意見が一方でございます。

これらの点については16ページ、意見に対する考え方を見てみると大きく2つのカテゴリーがありますが、上のほうでは遺伝子組換え農産物の具体的な混入率等を数字としてあわせて表示することができると整理しております。

その下、2番目になりますけれども、幾つかの例示はQ&Aで示すこととしております。いろいろな御意見をいただければ、我々のほうで今から定めるQ&Aに載せて、広く周知を図りたいと思っております。

なお、Q&Aに書かれていないからといって使用していけないというわけではありませんで、そこは事業者のほうで創意工夫を発揮する余地があるという整理をさせていただいております。今、述べたような意見が多々ございます。

その後、20ページになります。20ページの下に公定検査法という項目がございます。公定検査法は遺伝子組換え農産物の混入の有無を判断する定性分析法ということになります。いただいた御意見の多くが、早期に明確化してほしいという内容でございました。この点についての消費者庁の見解は21ページの右側の一番上、意見に対する考え方のところに書いておりますけれども、今まさに検討中で、いずれ具体的な判定基準を示すことにしておりますので、確立次第、速やかに公表することになります。

なお、本日この後、国立医薬品食品衛生研究所の近藤部長から、現在の検討状況や基本的な考え方について御説明があると承知しております。

23ページ、監視という項目があります。いただいた御意見の大部分が、この監視の主な意見の概要、一番最初に書いていますように、しっかり行ってほしいというものです。この点についてはその右、意見に対する考え方の欄に書いておりますように、おっしゃるとおり効果的かつ効率的な監視に努めるという回答となります。

24ページ、施行時期という項目になります。施行時期については、消費者庁としては平成35年4月1日を考えておりますが、それをもう少し早めることができないかという観点の御意見が大部分でございます。消費者庁の見解としては24ページ、意見に対する考え方、一番下の欄になりますけれども、事業者の表示切りかえに要する期間、また、中小事業者が抱える包材在庫のストック、賞味期限が長い食品があること、印刷業者の事情等々を踏まえて、35年4月1日が適当と考えているという回答を書かせていただいています。

25ページ、普及・啓発という項目がございます。これは普及啓発をきちんとすべきという御意見でございまして、消費者庁としてもしっかり積極的に進めてまいるという回答を書いております。

26ページ、下のほうになりますが、トレーサビリティーという項目がございます。これは食品の表示制度とは異なる制度ですけれども、トレーサビリティー制度の強化を求める御意見も幾つか出ておりまして、我々としましては今後の課題とさせていただくという回答をしております。

26ページの一番下に、表示全般という項目がございます。これは文字どおり遺伝子組換え表示を離れて表示のあり方全般にかかわる御意見でして、26ページの一番下の主な意見の概要だと、表示全体の優先順位を考えて、見やすさなどを考慮したバランスのとれた表示制度としてほしいという、まさに今、この食品表示部会で表示の全体像の御議論をいただいている、そういう問題意識の御意見もありますし、27ページの左側、上から2番目を見ていただくと、いろいろな表示改正が連続して起こっているので、できるだけ事業者の対応の時間、コストを要しないような検討をしてほしい。そういう御意見もいただいております。これらについては今後の課題とさせていただきたいと回答しております。

最後、27ページにその他という項目がございます。その他といいますのは、遺伝子組換え食品にかかわりはあるけれども、表示と直接関連しないようなものをまとめております。主な意見の概要の上から2番目を見てみますと、そもそも遺伝子組換え農産物を廃止すべきという御意見、これは一例でございますけれども、このその他の欄につきまして適宜、消費者庁で現状の考え方を整理して回答させていただいております。

以上が主な意見、概要、項目で見たときの今回の全体像になります。

29ページの一番最後の行を御覧になっていただければと思います。意見総数は全体で773件でございます。表紙に書いてあるとおりでございますが、その中であえて今、述べたこの表の中に入っていないものもございます。例えば水道法、この間の臨時国会で改正されました。それに関連するような御意見。これは表示とも遺伝子組換え食品とも関連いたしません。そういったようなものにつきましては773件の内数にはなりますが、今、述べました主な意見の概要の中には入っていないということになります。

とりあえず消費者庁からの説明は以上になります。

○受田部会長 ありがとうございました。

ただいまの御説明を踏まえた上で、これから議論に入ってまいりたいと思いますけれども、10月10日の部会においては公定検査法に関して複数の御質問がございました。また、先ほどの御説明にもありましたように、パブリックコメントでも意見が寄せられているということがございます。検査法の確立については皆様の御関心が高い点の一つではないかと推測をしております。

そこで、本日は国立医薬品食品衛生研究所生化学部の近藤部長にお越しいただいておりますので、公定検査法の検討の状況などについて御説明をいただきたいと思います。近藤部長、本日はお忙しいところ御出席をいただきまして、ありがとうございます。

近藤部長から御説明をいただいた後に、さらに30分前後、質疑の時間を設けさせていただいておりますので、まずは御説明をお願いしたいと存じます。恐れ入りますけれども、時間の都合上、20分程度でよろしくお願いいたします。

○近藤生化学部長 国立医薬品食品衛生研究所の近藤でございます。

ただいまから遺伝子組換えでない表示のための検査法につきまして、これまで検討した結果の概要につきまして御報告させていただきたいと思います。

今回検討している「でない」表示の検査法の確立につきましては、既存の検査法を用いまして、その上で「でない」表示のための性能を検証するためにどのような検討が必要かということで、まず分析を行う研究機関ということで、日本には100機関以上あるわけですけれども、これらの機関からふだん遺伝子組換えの検査をしている研究機関の協力をいただきまして行っております。

今回の検討の一番の課題は、検査法自体は既存の方法を用いますので、その方法が「でない」表示のために堪える性能を持つためにはどのような検討が必要かということで、検出限界、いわゆる不検出と言われていますけれども、検出限界を設定するに当たりまして、その検査法の信頼性の高い分析法をつくるためには、どのような検討が必要かという観点で検討してまいりました。

信頼性の高い分析法といいますのは、ここに示していますようにどの分析機関であっても同じ結果が出るという方法でございます。

これまでの検討の大まかな流れでございますけれども、まず4月以降、今年度はトウモロコシについて検討いたします。仮試験法の構築と検出限界の評価というところを内部的に国立医薬品食品衛生研究所を中心にいたしまして行いまして、その後に他機関、今回は22の分析機関の協力をいただきまして検証を秋以降に行いました。そこまでのデータを総合的に取りまとめまして、総合解析を出しまして、現在に至っているということでございます。

それでは、分析法について簡単に御紹介いたしますけれども、現在、トウモロコシの分析法では、現在の公定法ではスクリーニング法と、その次にある確定検査としての粒検査法あるいはグループテスティングというものが公定法で定められたものですが、今回「でない」表示のために用いますのは、この中でスクリーニング法の中の一つを用います。

現在、スクリーニング法では1番と2番の2つの方法を自由に選択することができるのですけれども、1番の方法は現在、流通しているトウモロコシの系統に合わせまして、こういう4つの検査項目をそれぞれ個別に定量して合算するという方法であります。2番目は個別に定量しなくて、概算で例えばスクリーニング法は5%の基準がありますので、もう少し疑陽性を避けるという意味で4%のところで、それを超えるものがないかどうかを概算で定量するという、概算定量法というΔΔCqという方法がありまして、これが現在、公定法になっております。

今回「でない」表示の検討に当たりましては、「でない」表示のラインが恐らく検出限界付近ということを考えると、低いところで個別に定量することが非常に難しいと考えられたことから、2番のΔΔCq法を用いた方法を中心に検討いたしました。

検討に当たりまして少々細かいことですけれども、1コピーだけ含まれる標準試料を用いて検討いたしました。それはなぜかといいますと、一言でいいますと1コピーの標準試料を使って検討すると、先ほど言いましたΔΔCqでは多コピー含まれるトウモロコシの系統においても適用可能となるということで、1コピー含まれる標準試料を検討の中心といたしました。言いかえれば、1コピーの標準試料を用いて検討すれば、その他のトウモロコシの系統にも適用できるということでございます。

ΔΔCq法ですけれども、若干わかりにくいと思いまして簡単に説明させていただきますが、ΔΔCqというのはここに示しますように、そもそもリアルタイムPCRという方法で行うわけですけれども、リアルタイムPCRという方法はどのようなデータが返ってくるかといいますと、お示ししますようにあるサンプルを測ったときに、そのサンプルの濃度に応じまして増幅曲線が立ち上がってくるという結果が返ってきます。これは濃度に応じて、濃度が高いほど早く立ち上がる。そのときに一定のラインを超えたところのCqという値を読むということで行う方法がリアルタイムPCRでございます。

今回説明していますΔΔCqといいますのは、Cqで出てきた値のそれぞれの差をとるという意味でΔCqという呼び方をしております。

1のスライドに戻りますけれども、ΔΔCqというのはさらにΔCqの差の差ということになっております。その差の差といいますのは、例えば未知試料と内在性あるいは今回基準となる検出限界付近の何とか%という、ここではαと書いてありますけれども、α%と内在性、必ず内在性との比較のCqの差の差をとるという方法でございます。こういう差の差をとったときに基準となる、どこまで下げても100%、どの機関でも分析結果が同じであるかという、そういうところの値を求めることが今回の目的でございます。

もう一つ、ΔΔCq法を用いる理由といたしましては、分析機関において測る濃度が低くなればなるほどいろいろなばらつきが入ってくるのですけれども、そのばらつきが分析機器の性能で、ある機関は一定程度感度が悪く出るということも考え得るわけですが、ΔΔCq法を用いる場合は、その差が必ず内在性と測る目的のものとの差をとっている限りでは、ずれが両方出ますので、差を引いたとき、つまりΔΔCqの値としては必ず同じになるということで、そういう誤差も除くことができるため、ΔΔCqという方法を使っております。

今回、基準となるパーセントはどのぐらいか、この後、資料でお示ししますけれども、例えばα%のところが「でない」表示の基準だといったときに、それとの差の部分が例えばこの部分であるとすると、未知試料があったときに濃度が高いとその差が小さくなります。ということは、ΔΔCqという値を求めると負になって、そういうときは陽性である。逆に基準となるα%よりも低いサンプルを測りますと幅が広くなりまして、ΔΔで差をとりますとこちらはプラスになるということで、そのような判定をいたします。

ここからは試験法の検証結果ですけれども、試験法としましては先ほど言いましたように公定法になるΔΔCq法を用いるということでございますので、あと検証すべき問題はいろいろなばらつき、実験のばらつき、熟練度、機器の影響、こういういろいろな不確かさがどれぐらいあるかということを検証した上で、その結果から検出限界、「でない」表示の基準を求めるということでございます。

今回は、その検証を行うに当たりまして国内22機関に御協力いただきまして行いました。モデル化合物としてトウモロコシの1系統、こういう名前の1系統のものを配付いたしまた。それを各22機関で実施いただきました。

最初に配りました試料ですけれども、これは国立医薬品食品衛生研究所で一定試料の濃度をつくり配付いたしました。その後に配付した各機関でそれぞれ希釈いただいて、それぞれの希釈したサンプルを12回測っていただいて、確実に何回まで検出できるのがどのぐらいの濃度までかということを行いました。

そうしますと、ここに示しましたように試料としては100ng/μLという濃度のものをこちらから配付したのですけれども、それを各機関に配付したときに希釈するに当たりまして各機関でもう一度自分のところでDNA濃度を測って、それから希釈に入るわけですが、その測る時点でいろいろなばらつきが出ることがまず1つわかってまいりました。ここでは100の濃度で配っているものが、それぞれの機関でばらつくことがわかってきまして、120とか、機関によっては170というばらつきが出てまいりました。ですので配付した標準試料を個別の機関で希釈前に測って、それだけで誤差が生じているということがわかりました。その誤差が大体どれぐらいであるかということを今回、検証するというのが目的です。

この結果はちょっとわかりにくいのですけれども、今回、配付しました試料につきまして希釈系列はプロトコールに従いまして、希釈していただいたサンプルを測定していただきました。希釈された最終的な濃度は0.1から0.001%の試料を各機関で希釈したサンプルを使って測定していただきました。各濃度、12並行で12回測定しておりまして、そのうち何回検出できたかというところの全機関の平均値をここで示しております。それを割合で示したのがPODといわれる値でありまして、これはProbability of Detectionの略でありまして、何%検出できたかという確率で、全て検出されれば100だったということになっています。

一般的に検出限界というのは、95%以上は確実に検出されるところが一般的には検出限界と呼ばれるということで、大体これで言えば0.05付近が検出限界付近ということがわかってまいります。

それから、スクリーニング法では標的遺伝子が2つありまして、P35Sという標的とTNOSという標的がありまして、いずれにいたしましても大体0.05から0.02付近であることがわかってまいりました。

これはもう少し詳しく見たもので、これは各機関それぞれの濃度を測ったときの各機関から出てくる値のばらつきですが、それで平均をとったものが真ん中の太い線ということになりまして、ここでよく見てみますとP35Sと標的した場合の検出法では、検出限界95%以上で確実に検出できる濃度というのは0.030%ということがわかりました。それから、TNOSという標的をしたときの検出法では、95%以上の確率で検出できる最低濃度は平均で0.039ということがわかってまいりました。

それ以外に今回お示ししませんけれども、別の標準試料を使った場合はどのような影響を受けるかということ、あるいは組換え作物の抽出にはいろいろなキットを現在利用することができますけれども、抽出法、抽出キットによってどういう違いがあるかということもあわせて検討しております。それから、国内のサンプル試料、トウモロコシ試料、非組み換えだと思いますけれども、そういう試料を使ったときにどのような結果、国内だとNon GMですのでこの方法で出ないという結果が出るかという、そういう検出法などもあわせて行っております。この辺のデータにつきましては、今回は省略させていただきます。

それから、サンプリングにつきましてですけれども、これは以前から検出限界付近まで下げたときにいろいろなサンプリングの問題が生じるのではないかということを、いろいろな方面から御指摘いただいたとおりでございますが、それは確かにそういうことで、ロット全体から無作為にとるというのは試験法のやり方ですけれども、そういうところからロット全体の平均を推定するわけですが、実際の検査ではロットの限られた場所しかとることができないので、なかなか正確に推定することは容易でないことは想像どおりでございます。

今回の「でない」表示では、定量試験を行いますとこういうところの精度というのは問題になりますので、「でない」表示の検討では定性試験を行っています。定性試験である基準を設けまして、この基準をどこにするかという検討を行ってきたわけですけれども、その基準の試料を高い確率、ほぼ100%の機関で、100%の精度で検出できる方法を確立することが目的で行ったわけでございます。

サンプリングにつきましてはコーデックス規格でいろいろ書いてございますけれども、欠損率というか、要するによくないものの割合はどのぐらいにするかということは、検査の対象によって決めるべきだということがコーデックスにも記載されておりますが、簡単に言いますと、毒性の発症が強いものを測る場合には非常にきついサンプリング、要するにきつい検査というのはサンプル量が多い検査が必要だろう。一方で、一般的な食品成分を測る場合には緩めになるということで、あくまでもサンプリングにつきましては実行可能なところにするというのが基本的な考え方だと思います。

そういう観点で見ますと、一般的な非常に発がん性が強いアフラトキシンなんかは現在5キロ、サンプリング量でやってなかなかサンプル量も多いわけですけれども、また、中間である若干毒性がある農薬ではサンプル量がどれぐらい出るかというと、最低500グラムのサンプル量で検査を行っているのが実態でございます。

一方、今回対象となりますものは安全性が確認されているものですので、対象としては、比較としては一般食品成分の部類かなと考えますので、現在行っている500グラムから1キログラムの検体量のサンプルというのは必ずしも制度的に問題があるということではないということがこれで言えると思います。

「でない」表示のGM freeという表示をするための各国の基準についてまとめたものですけれども、今回の結果では検出限界は大体0.04付近であることがわかりましたが、それをもとに実際的にどのような基準にするかということは今後の検討課題ですが、諸外国の状況を見ますと大体0.1というのが「でない」表示、GM freeにするときの基準であることがわかっています。ですので日本も性能的には0.1はクリアできると思いますけれども、実際に実効性を考えてどれにするかというのは、今後詰めてから決定するものと考えております。

こちらにもう一つ例を出しましたが、ヨーロッパではどれぐらいのサンプルの粒数をやっているかというと、粒の場合ですと大体3,000粒ということでサンプリングをしております。日本の場合はどうなっているかといいますと、日本の場合は1キロをサンプリングしておりますが、実際に検査に使うのはその半分の500グラムですので、粒としては大体その半分の2,000粒を使っているということで、ヨーロッパのやり方と比較しましても問題があるわけではない。ということでサンプリングにつきましては、従来どおりの運営で問題ないのではないかと考えております。

したがって、サンプルにつきましてはここにまとめてありますけれども、安全性が確認されたいわゆる承認済みの遺伝子組換えでは、検査の費用ということが検査の精度よりも実効性というふうに考えております。

それから、これは一例ですけれども、厚労省の検疫所では例えばトウモロコシは先ほど出ましたように大体2,000粒を測っているわけですが、ナタネなんかは種が小さいので実際のサンプル量ははるかに少なくて済むのですが、実際の検査の現場ではトウモロコシの粒数の多いほうに合わせている。これは何でかというと、検査の実効性から対象作物は殊に検体数がサンプル量が変わると間違いが起きやすいということで、検疫所から1回変えたことがあるのですけれども、検疫所から逆にクレームが来まして、実際は対象の作物によらず、間違いが起きないようにサンプリング量は統一しているというやり方で行っているのが実態でございます。

サンプリングにつきましてもう少し言いますと、今回、定性検査ですので定性検査につきましては測定回数を何回ふやしても精度は上がらないので、サンプル量をふやす必要はないということでございます。

実際の検査の方法をつくって運営するときに、どういう判定法になるかという話ですけれども、これは未承認のフロー図を参考につくったものですが、まずはトウモロコシがもともと持っている内在性の遺伝子を測って、これが測れるかどうかが1つの基準になる。測れなかったら検査不能となりますけれども、測れたものについてはその後に組換えの遺伝子が入っているかということを検査いたします。対象としては、検出対象が2つありますので、それぞれ個別の試験で先ほど言いましたΔΔCqという分析法で行います。

これで未知試料を、例えば今回の基準が例えば0.何とか%にしたときに、0.何とか%の試料を測った値を入れて、未知試料があったときに未知試料を測ってこういう差をとったときに、判定法としましては負であれば陽性である、正であれば陰性だという判定をすることで、最終的に基準となるα%より上か下か判定することができます。

判定一覧ですけれども、今回、2並行でやりますので反応液は2つあります。2並行というのは2つ同量サンプリングして、抽出操作を並行して2つやるということですけれども、両方陽性で初めてその検体は陽性であるという判定をいたします。ですのでこういうP35Sという検査対象の検出法で2つとも陽性であれば、それは陽性である。もちろん2つの検査項目全てで4つとも陽性であれば当然陽性です。一方で、2並行の片方だけしか出ないという場合は検出下限を下回っている。今回の基準α%を下回っている可能性が高いので、そういう場合は陰性であるという判定をいたします。

以上、簡単でございますけれども。

○受田部会長 ありがとうございました。

それでは、ただいまの御説明に対して御質問をお受けしたいと思います。また、消費者庁から御説明があった内容についても、あわせてここで質問を受け付けたいと思います。

御質問がある方は挙手をお願いします。渡邊委員、お願いします。

○渡邊委員 今の近藤先生の説明なのですけれども、余り知らないので教えていただきたいのですが、組換え配列というのはいろいろな遺伝子が入っていても、とってきたDNAの組換え配列というのはいろいろなパターンがあるのですか。それとも後ろのほうで説明がありましたけれども、2つのパターンがあるということなのでしょうか。

○近藤生化学部長 今回スライドではお示ししませんけれども、組換えトウモロコシもいろいろな遺伝子の種類がございまして、その遺伝子の種類が非常に多岐にわたっているということで、スクリーニングの検査では共通に持っている配列というのがP35SとTNOSという配列でございます。系統が違っても共通に持っている遺伝子を対象にすることで漏れなく検出できるという考えでございます。

○渡邊委員 確認ですけれども、ということは今はP35SとTNOSの2つしかなくて、例えばトウモロコシではなくてほかの大豆とかになると、また違うものになるのでしょうか。

○近藤生化学部長 トウモロコシの場合ですけれども、例えば大豆になりますと、大豆の場合は今、3系統が試験法になっておりますが、今後さらにどんどん系統が開発されていって、その遺伝子を見ていますと共通配列がない状況です。ですので大豆の場合はこのような方法では難しいのかなと。なので個別に測って合算するか、それは今後の検討課題かと思います。

○受田部会長 ありがとうございます。

今村委員、お願いします。

○今村委員 丁寧な説明ありがとうございました。

私は多分この検査法に一番詳しい人間だと思いますので、幾つか質問をさせていただきます。

まずこれは定性検査をするということなのですけれども、やっていることは定量検査ですよね。少なくともリアルタイムPCRで量を測って、そこで閾値を設定するというのは定性ではなくて定量というふうに理解をするのですが、それが質問の1つ目です。

もう一つ、先ほどの渡邊委員にも共通するのですが、今回35SとTNOSの2個ですけれども、GA21とかほかにも外れているものが結構あると思うのですが、そちらは加えなくていいのでしょうかという、この2点をまずお願いしたいです。

○近藤生化学部長 定性検査とうたっていますけれども、例えば未承認の場合は何%とかそういう基準を設けていなくて、単なるCqで、このCqよりも高い濃度で出ていれば違反ですよとか、そういう運営の仕方をしております。それは定性検査。

今回の場合は、定性検査と言っても一定の基準がなければ出たか出ないかというのを判定できないわけですから、それを定量検査とまで言われると、定性検査という定義ができなくなる。あくまでも定性検査であっても、ここのラインを基準に出たか出ないか、黒か白かということを判定するわけですので、その判定のラインをどこにしましょうかという検討を今回行ったわけで、未承認の場合は単純にCqだけ見ていますけれども、今回は安全性承認済みの場合は一応ラインを引きましょうというふうにはしておりますが、あくまでも定性は定性で、そこの部分を詳しく高い精度で求めるというやり方ではないと考えております。

それから、それは35SとTNOSという2つのターゲットを今回使っておりますけれども、これは公定法に載っている方法でありますが、これで外れる系統があるかというと、理論的には外れる系統が幾つかあるのですが、実際に流通実態として流通しているものが外れるかというと、それはほとんどないということを確認しているので、現在、流通している実態のものについて、35SとTNOSでひっかからないものはほとんどないと考えております。

○今村委員 あとサンプリングのことは近藤先生か消費者庁かわからないのですけれども、まず今の御説明はトウモロコシの現物、作物としてのトウモロコシの現物の話だと思うので、実際に流通していくのは加工食品になるわけですから、加工食品のサンプリングということは一体どのようになるのか。もし流通されているものから出た場合に、確定検査としてこれをやっていくということであれば、現物のトウモロコシはなくなっているわけですから、それをどうやって確認するつもりなのか。この2点、サンプリングについてお答えがあれば。

○近藤生化学部長 今回の検査法の対象は、あくまでも原材料が対象となっております。

○今村委員 そうすると、消費者庁が検査をするのは現物のトウモロコシをどこかでするということになるのか。もともと検疫所での検査がなくなっていますから、検疫所ではやらなくなっているのです。ですからその状態の中で現物のトウモロコシをやっていくということなのでしょうか。現物のトウモロコシのサンプリングというのは、倉庫からとったりするのはCCMAS(コーデックス)のサンプリング方法でとれるのですけれども、買い取られてしまった後のトウモロコシだとそんなことはできないと思うのですが、どのように考えているのですか。

○受田部会長 消費者庁からお答えいただけますか。

○消費者庁赤崎食品表示企画課長 今の今村委員の御質問でございますけれども、今、お手元には配られておりませんが、10月10日の第46回食品表示部会の資料5として補足資料を入れております。監視については、その中の問11と12で書かれていますが、監視をどうやっていくのかについては、社会的検証、科学的検証の合わせ技、組み合わせで行うこととしています。

最終的に科学的検証を行う場合には、原材料の大豆やトウモロコシにおいて遺伝子組換え農産物を含まないことを確認しますとなっています。いろいろな監視のステージがあろうかと思っておりますが、その点については立入検査等で原材料にも当たって、原材料としての農産物、大豆、トウモロコシについての検査も行い、それも合算加味して最終的に判断をする。それが今の実態だと理解しております。

○今村委員 今の近藤先生のお話からすると、トウモロコシの現物しか検査が検査法としてないということは、現物のトウモロコシの粒として流通しているようなものしか現実には監視の対象にし得ないということになるわけで、加工食品についてはやらないという話になっているように思うのですけれども、そこはどうなのですか。

○消費者庁赤崎食品表示企画課長 加工食品を取り締まりの対象としないというわけではありませんで、最終製品から検出できるかどうか、これは1つのメルクマールとして今ルールを設定しています。そこで疑義事案となった場合の対応ですけれども、それは書類のチェック、IPハンドリングを行っているはずですから、そういうアプローチでいろいろ事実関係を調べたり、あとはそれぞれの事業所の原材料がどういうものなのか。これについてもチェックをする。こういうのも手法としてございますので、その一環で原材料の大豆やトウモロコシについての確認も行い、それも加味した上で判断をするというものと理解しております。

○今村委員 近藤先生に、今、現物のトウモロコシの検知法ですけれども、加工食品になってしまったトウモロコシに対して、この検知法で、この精度は出せるものなのでしょうか。

○近藤生化学部長 加工品の場合は精度をどうこう言う以前に、加工過程を経ているので恐らくDNAはかなり分解されてしまっています。そのため、精度が保証されたとして、測って陰性になったとしても、もとが陰性がどうか何も言えないので、加工品について測ってどうこう言うというのはできないのではないか、と。

○今村委員 というふうに私は思いますが、とりあえずは。

○受田部会長 ありがとうございます。

ほかいかがでしょうか。宗林委員、お願いします。

○宗林委員 先ほどの原材料か加工食品かというところも聞きたかったところなのですが、それ以前に最終的に検体で陽性と判断するものは、最初の原材料のサンプリングのところまで差し戻ってトウモロコシにしたら、どのぐらいのパーセントまでが検体として陽性になるのでしょうか。

○近藤生化学部長 済みません、もう一度お願いします。

○宗林委員 いろいろな処理をされて、最後、陽性になっていった、最後のページに総合判断スキームがありますが、検体陽性となった結果となるものについては、それを最初の段階のトウモロコシの粉末まで戻って換算すると、何%ぐらい混入していたときのものを陽性として判断できることになるのでしょうか。

○近藤生化学部長 要するにここで言うα%が幾つかということですよね。今回「でない」表示を何%を基準に考えるかということは、今回の他機関の検証結果から検出限界はどこであっても大体0.04%までは確実に測れることはわかりましたけれども、それをもとに事業者がそこに引いてしまうと、なかなか管理は難しいということになろうかと思いますので、実際にはそのラインはそれよりもう少し上、例えば0.1、0.2あたりが基準のラインとして可能性があるのかなと考えます。

○受田部会長 いわゆるポジティブコントロールですよね。それを0.1に設定することも視野に入れておかないといけないということだと思いますが、宗林委員、いかがですか。

○宗林委員 そうしますと、いわゆる原点に戻ったときの検出限界以下というようなところの検出限界というのは、0.1%なら見られるだろうという理解でよろしいでしょうか。

○近藤生化学部長 大体0.1、0.2付近が妥当であろうと考えます。

○受田部会長 松永委員、お願いします。

○松永委員 先ほどから今村委員が質問されていることと多分同じことだと思うのですけれども、消費者庁にお尋ねなのですが、最終製品の分析ではなく原材料にさかのぼってということですよね。そこで判断しますということだったと思うのですが、そうするとたしか検討会のときに例えばコーンフレークとか最終製品で分析できないから、わからないから義務対象外という整理をたしかしたはずなので、よく整理ができないというか、大混乱しているのですが。

もう一つ、同じことなのですけれども、パブコメでも最終製品で出てきたときにどういう整理になるのかというところが、いろいろな意見が出ていてはっきりしていないので御説明いただきたいところなのですが。私は最終製品で出たときには、それは違反の可能性ありという判断で、そこからさかのぼっていくのかとまず考えたのですが、そこからさかのぼっても、今までも最終製品で検査をしているわけですから、もし出たときにさかのぼって原材料を調べると言っても、実際には事業者の手元には原材料は残っていないので、最終製品で出たとしても原材料は残っていないから調べられません。社会的検証でのみ検討しますというようなロジックになっているわけです。

今回のも対象は最終製品ではありません、原材料にさかのぼって原材料でのみ判断しますということになると、実際にはさかのぼれない。もうないわけです。最終製品で出たとしてももうないので、科学的な検証のしようがないのです。そこら辺どういうふうに整理したらいいのかというのが全然わからなくなったのですが、御説明いただければと思います。

○消費者庁赤崎食品表示企画課長 ただいまの松永委員の御質問でございます。

今、表示義務がかかるのが33加工食品群となっております。先ほどお話がありましたように、コーンフレークを表示義務の対象とするかどうか、そういう検討を国立医薬品食品衛生研究所に行っていただきました。これはあくまで最終製品から文字どおり組換えられたDNAやたんぱく質が出るかどうかという切り口で、加工度が高いものは出ないから表示義務の対象外。原材料そのもの、もしくは加工度が低いものは出るという仕切りで、現行の表示制度は成立しています。

その上で、仮に最終製品から出たとしても、それがどのプロセスで入ってきたのか。これはまた別なのだろうと思っています。非常に感度の高い検査法で見ますと、空気中にもDNAの断片は当然浮遊しています。それがたまたま付着してPCRで増幅されて陽性反応となったのか、それとも製品に本来的に由来するものなのか。そういう点をどうやってチェックしていくのか。この問題は実は定性検査のみならず、現行の5%の上か下かを判断する定量検査の場合でも当然出てきます。

それを今どうやって対応しているのかといいますと、今、松永委員や今村委員が言われたとおり、最終製品で疑義があった場合、最終製品そのものはマーケットに出て原材料は残っていません。それ以上、どういう経緯で陽性反応が出たのか。これはその現物以外でチェックできなければ厳密な意味ではそこはできませんが、そこは今御説明したように、実際は書類の確認のほか、科学的検証ということで、事業者に立入検査で対象原材料等々を摂取して、それで科学分析を行います。その結果も踏まえて、監視や取締りという面で見ると場合によってはいろいろな処分が考えられますが、処分を判断する際の材料にしているということになります。

基本的に公定検査法で陽性反応になれば、検査対象物そのものについては結果が出ることになりますが、監視、取り締まりという面から見ると反復継続性や様々な事情がありますので、どういう形で処分をするかどうか考える際には、原料農産物まで当たって遺伝子組換えかどうかを確認し、その結果も踏まえて判断をしている。その意味では今の定量検査の場合でもそういうスキームでやっていますので、現在検討中の定性検査法の場合でも、同じスキームになるのではないかと考えております。

○受田部会長 そうしたら、もう一回宗林委員に行って、その後、渡邊委員に行きます。

○宗林委員 そうすると消費者庁さんに御質問なのですけれども、前回のところで検出限界以下は遺伝子組換えを使っていないと書いていい。任意の表示ができるという表がございましたが、そのときの検出限界、これが幾つになるかということですけれども、これは加工食品の場合でも該当するのでしょうか。加工食品と原材料とでは全然そこの位置が、検出限界と言っても変わってくるわけですけれども、あの図は加工食品全般も含めての図だったのでしょうか。

○消費者庁赤崎食品表示企画課長 今の宗林委員の御質問の検出限界につきましては、最終的に監視という観点から見ると、加工食品そのもので正確ないわゆる濃度といいますか、混入率は現状ではわかりません。これは定性検査、定量検査以前の問題で実態はそうだと理解していますので、検出限界を判断する際には原料農産物に当たって、その判断をもとに対応することになると考えております。

○受田部会長 渡邊委員、お願いします。

○渡邊委員 今の理解なのですが、1つ近藤先生にもう一回お聞きしたいのですが、今のこの実験のとき、トウモロコシでやられていますけれども、例えばトウモロコシの遺伝子を持った加工食品であっても、遺伝子がとれれば同じスキームなのではないかと私は思うのですけれども、そうでもないのですか。だから例えば遺伝子が多分壊れている部分があるかもしれませんが、遺伝子さえとれればこのスキームで出て、例えば本当に組換え体がほとんど使われているようなトウモロコシでつくった加工食品だとすると、そこからとった遺伝子を使ってやれば検出するのではないかと考えているのですけれども、そういうものでもないのですか。

○近藤生化学部長 加工品の場合とか考えるとDNA配列が分解されるのですけれども、その分解のされ方が例えば内在性遺伝子の壊れ方と、遺伝子組換えの配列の壊れ方はこれまた微妙に違うので。

○渡邊委員 ということは、これはたまたまトウモロコシの原材料でやっているのですけれども、例えば加工食品でも遺伝子がとれて、今のP35Sとかそこの部分が壊れていなければ検出されるわけですよね。だから結局、同じ試験でやったときに、当然、遺伝子が壊れている分、加工食品というのはとってきた遺伝子で陰性になる確率がすごく高くなると思うのですが、同じ試験で加工食品もやるしかないのではないかと勝手に考えたのですが、そういうものでもないのですか。

○近藤生化学部長 今回、例えばラインが検出限界付近に設定されるとすると、加工食品はほかにもいろいろなものが入って、トウモロコシ以外のものがさまざま入っているので、そうするともっと全体としての濃度が低くなってしまいますので、多分出ないということがほとんど起きるのかなと思います。

○渡邊委員 だから当然、今の試験というのは最初から加工食品でやったらいろいろな遺伝子がまざるので試験がやりにくいので、今、トウモロコシの試験でやって、今の結果を見ると0.05%ぐらいのところで大体ほとんど検出される。そこが例えば加工食品になると、入っている遺伝子の濃度がすごく薄くなるから、結局、薄くなった分だけ同じ試験をかけたときに検出されにくくなる。でもそれは加工食品で遺伝子が壊れているのだからしようがないというふうに考えればいいのではないかと思うのですが、そういうものでもないのですか。

○近藤生化学部長 検出しようとする濃度が低くなると、出たり出なかったりすることが起きてしまうので、今回はあくまでも誰がやっても、どこの機関でやっても出るというところで、どのラインに引けばいいですかという検討をしているので、難しいかなと思います。

○渡邊委員 加工で、結局遺伝子で検査しているということだから、遺伝子の部分が壊れていれば検査は基本的にはできないですよね。

○近藤生化学部長 検査できるかというところが、内在性の遺伝子を測れるかどうかまずチェックするというスキームになっています。

○受田部会長 池戸委員、お願いします。

○池戸委員 先ほどからお話をしていて整理なのですが、近藤部長さんから今後の検討の中に抽出法とか実試料というお話があったのですけれども、そこはかなりの範囲といいますか、いろいろな加工品も含めたり、そういうものも含めての考えということでまずよろしいでしょうか。

○近藤生化学部長 実試料といいますか、加工品などを対象としているわけではなくて、例えば「でない」表示のときに、それが適用可能なものというと、国内でつくったものとか、明らかに非組換えであろうというものがあったときに、それらが反応してしまっては困るので、そういうところがないかというチェックということでございます。

○池戸委員 そういうことですよね。規制対象というのは、消費者に渡る段階の実試料が対象ということでいいわけですね。さかのぼるかどうかではなくて、提供されるものについてということでいいですね。今の議論というのは5%で切っていたというところなのですが、試験方法の精度というのは現状でも同じような議論になっていると思うのです。問題点は。今回それを不検出という形にしましょうと。そこのボーダーラインのところをはっきりさせないと明確でないということなので、多分これは科学的検証で全てできるのだったら非常にわかりやすいのですけれども、そこの限界が取り締まる立場からしたら社会的検証と組み合わせ、あるいは場合によっては社会的検証でやらざるを得ないというところが現状ではないかと思うのです。

だから私も新しい公定検査法という話のときに、これは正確性と実行可能性、両方のバランスをとるという人があると思うのです。今それをまずやられていて、それで境界線の基準値を今度は5%から不検出というところに持っていくわけなので、数字だけが変わったという言い方もあるのでしょうけれども、現状でも今、出されている問題は全く同じところなので、そこを少し厳しいところでやりましょうというのが今の議論だと思いますから、それは全て科学的検証のほうに依存するというのは難しいというのは皆さん御認識だと思いますから、そこは取り締まりなりの程度としてはできる範囲のところできちんとやっていただく。

私もいろいろなクロスチェックとか検証をやっておられて、1つは非常に国の機関とか民間の機関で結構力を持っておられるところなので、正確な数値を出すにはそこがまず必要だと思いますけれども、実際にこれを使うとなると業界の方なんかもスクリーニングとして使う場合もあるわけです。だから多分、さっき宗林委員が言われたように、科学的な0.04というのははっきりしているのですが、実際にそれを適用するときには、いろいろなほかのばらつきの要素が出てくるので、それを基準とはまた別の考慮をして決めるべきだなと思っています。

○受田部会長 ありがとうございました。

それでは、戸部委員、菅委員と行きましょうか。

○戸部委員 今いろいろお話をお伺いしていて、私自身は遺伝子組換えの安全性という点では、参考資料2の基本的考え方ということで安全性を確保されているところは理解しております。その上で今、池戸委員もおっしゃっておりましたが、今の分析技術を考えると、製品の段階となると、加工段階の影響ということで非常に複雑で、製品の状態での不検出をどこに線を引くというのはとても現実的に難しいのかなと思います。これまでのように最終製品でどうかという議論は難しいのかなと思っています。

逆に分別生産流通管理の精度を見ていくという意味で、今、御説明いただいた検査法によってある一定の検出限界をもって測定できますというふうに決まったら、この原料を使えば最終製品では不検出だろうということが推定されるのであれば、むしろこの分別生産流通管理の精度をしっかり監視していただいたほうがいいように思います。消費者にとっての情報としては、そちらのほうがシンプルでわかりやすいと思います。そうすると加工途中で遺伝子組換えかどうか検出ができないからといって今、表示義務の対象外になっているものも、その原料の段階のところでどうなのかという議論をしたほうが、良いのではないかなと思いました。

○受田部会長 今のは近藤部長への質問ではなくて、今後の運用の全体のフレームワークにかかわる部分なので、また後段で議論をさせていただくことにしたいと思います。それでよろしいでしょうか。

それでは、菅委員、お願いします。

○菅委員 今の戸部委員の御意見も含めて、素人なりに今までのお話をお聞きしていて思いますのは、現行の5%でも検出限界にする形で変更した後でも、基本的に構造は一緒だと思いますが、フリー表示のルール、特に新しいルールを守れているのか守れていないのかをみるときに、最終製品からではそもそもきっかけが見つからないというようなことになっていっているのかなと思うので、フリー表示のルールについて、最終製品の検査で何がしか出たときにしか、2段階目として原料にさかのぼってチェックしないというのではなくて、もっと積極的に最終製品から出たか出ていないかとは関係なしにチェックしないと監視にならないのではないかというのが1点。

また、それの裏返しとして、事業者側としてもこのルールを守っているというエビデンスをとっておかなければいけないということに当然なりますし、それは今でもそうなのでしょうけれども、最終製品からより検出されにくくなるわけなので、先ほどの戸部委員の御発言ともリンクすると思うのですが、それ以前の段階の社会的検証に資するようなデータというものをいかにきちんと、それを科学的なもの、バックグラウンドのもとに残しておくのかということが必要になるのかなと思いました。

○受田部会長 意見として伺っておきたいと思います。

特に技術的な部分で、時間も大分来ておりますので。

○今村委員 質問ではなくて、先ほどの戸部委員の御意見に対して、今、近藤先生がおつくりになっているのは、今のIPハンドリングの精度管理をするための方法を精緻化しているものなので、基本的には今のIPハンドリング、この方法で差の差で5%の精度管理をしているものでありますので、それをより精緻化するための方法として新しくこれをということなので、今はあれで管理されています。この制度にかかわった者としてぜひ一言、言いたかったのです。

○受田部会長 わかりました。コメントありがとうございました。後でまた議論になるかと思いますけれども、御意見として伺いました。

渡邊委員、お願いします。

○渡邊委員 最後に近藤先生にお伺いしたいのですけれども、先ほども大豆のことをお聞きしたのですが、大豆だと例えば何かやり方としてトウモロコシとは別に、こんなやり方だったらいけそうだというやり方がある程度はあるのでしょうか。

○近藤生化学部長 まず大豆の場合は、トウモロコシほど2つに共通配列だけに限られませんが、全くないわけではなく、4種類、5種類ということであればほぼ網羅できる可能性があることはわかっておりますので、そういう方法で、同じようなやり方でできるのではないかと思います。あと、大豆の場合は遺伝子が小さいので、同じようなやり方でラインを設定するともう少し低くなることが想定されています。

○受田部会長 近藤部長に例えば今の公定法の確立をするプロセス、あるいはその分析技術としての特性に関して御質問があれば伺っておきたいと思います。

澤木委員、お願いします。

○澤木委員 スタック品種の場合も、同じような不検出の値になるのでしょうか。

○近藤生化学部長 先ほど最初のほうでお示ししたように、ΔΔCqというのは1コピーでその方法をつくっておけば、他コピーがあってもプラスマイナスの判定が変わることがないという方法なので、1コピーで検討しています。ですのでスタックで35SとTNOSが複数コピーあるようなものでも、判定の結果が変わるということはないです。

○受田部会長 ほかよろしいでしょうか。ありがとうございました。

いろいろな質問が技術的な部分でも出てまいりました。恐らく公定法が持っている具体的な検出限界であったり、その設定濃度であったり、さらには現物ではなくて最終製品、加工されたものに対する適用性、アプリカビリティー、こういったところも含めて多分まだまだ伺っていきたいところがおありではないかと感じております。

さらには今日のお話はまさにトウモロコシということなので、トウモロコシの加工食品とはまた別であり、さらに言うと大豆を含めた他の原材料に対する適用についての具体的な現場での実施について、まだまだ我々としては今後どういうふうに検討が進んでいくのか非常に関心を寄せてまいりたいと思います。

本日、御説明いただきました内容は現時点での方針、方向性ということで、今後、先ほど挙げられたような点も含めて、さらに完成度が上がっていくのではないかと思います。今回の制度改正において非常に重要な部分と考えておりますので、その動向について引き続き注視してまいりたいと思います。

近藤部長におかれましては、大変お忙しいところ御出席をいただきまして、誠にありがとうございました。それでは、ここで御退席をお願いいたします。

(近藤生化学部長 退室)

○受田部会長 それでは、議論に入ってまいりたいと思います。

まず最初に、今回の議論の進め方について確認をしておきたいと思います。

本日、パブリックコメントの結果等も踏まえて、委員の皆様より委員会への諮問内容について御意見をいただきたいと考えております。そして、本日上がってくる問題点や御懸念などから、委員の皆様の御指摘があったものを中心に事務局とともに整理をした上で、次回以降、主として議論いただくテーマを検討していきたいと思っておりますが、まずこの点よろしいでしょうか。

本日いただく御意見等をベースに議論していくことにはなりますけれども、この点を事前にはお話していなかったこと、また、本日御欠席の委員もいらっしゃいますことから、会議後、一定の期間を設けまして本日の出席にかかわらず、事務局に御提出をいただいて、その時点で出そろった御意見を今後の出発点とし、できるだけ後戻りの議論がないように極力効率的に貴重な時間を有効に活用して議論を進めてまいりたいと考えております。こういう考え方で異論ございませんでしょうか。渡邊委員、お願いします。

○渡邊委員 確認ですけれども、今の先生からの御提案というのは、この検討会の報告の内容が今回の法改正になっているのですが、検討会の内容についても例えば意見をいろいろ出していいということなのでしょうか。

○受田部会長 基本的には本日いただいて整理をしていただきましたパブコメの結果等も踏まえて、委員会への諮問の内容につきまして御意見をいただきたいと思っております。もちろんその内容にかかわる部分が検討会の取りまとめの内容と、さらにはパブリックコメントで大勢の御意見をいただき、分類もしていただいておりますので、そことも関連をしていく内容も入っていくのではないかと想像しております。そういう意味で、基本的にはまず諮問の内容について御意見を賜るというスタンスでまいりたいと思います。よろしいでしょうか。ちょっと微妙なコメントをしているのかもしれませんが。

もうちょっと言いますと、これまでの検討会で、この委員会にも3名の委員が委員として取りまとめに御尽力をしておられます。今村委員、澤木委員、そして夏目委員の3名だと承知をしておりますけれども、そこで複数回といいますか、大変な時間をおかけになられて細かいところの検討をされております。それが反映された形で今回、本部会といいますか、消費者委員会に対して問いかけが来ているその諮問が法改正として提案をされているということでございます。そういう意味で、それに対する意見を消費者委員会が求められていることを受けて、この食品表示部会で皆様の御意見を賜るというのが位置づけでございます。その点はぜひ委員の皆様に御理解いただければと思っております。

ここまでよろしいでしょうか。

○菅委員 前のことには全く言及できないわけではないということでいいですか。

○受田部会長 もちろん。そこの部分の意見を我々として受け付けないとか、そういうことではございませんし、前提として検討会においても公定法の位置づけというのは極めて重要であるという御議論がされていたことも承知しております。

ですから今日近藤部長に現状の公定法に対する成果を途中の段階ではございましたけれども、できるだけ我々部会の議論のためにぜひ共有をさせていただきたいと申し上げまして、今日に至っております。そのようなことも含めましていろいろな御意見が出てくるのではないかと推測しておりますけれども、委員の皆様からいただいた意見をしっかりと受けとめてまいりたいと思います。よろしいでしょうか。ありがとうございます。

それでは、今、補足をさせていただきましたけれども、この部会としてこれから議論を初めてまいりたいと思います。資料として一番後ろのところでございましたでしょうか。参考資料5に菅委員から提出資料ということで皆様のお手元に配付されているかと存じます。こういう形で菅委員からは既に意見が寄せられておりますが、ここから委員の皆様にひと通りこの諮問内容について御意見をいただいていきたいと思います。

資料を提出いただいているので菅委員からお願いをしてよろしいでしょうか。できるだけ全員の委員の皆様から御意見を賜りたいと思っておりますので、恐れ入ります。時間配分には御配慮のほどよろしくお願いいたします。

○菅委員 さかのぼって蒸し返して議論を誘発するという趣旨は全然ないのですが、今回の府令案に対するパブリックコメント募集の結果の御報告がありましたけれども、私の意見に近い意見をまとめたものとして、参考資料5として日弁連が発出した意見書を資料にしていただきました。

今回のパブリックコメントの募集は、開始時に御質問をしましたように、現状維持の論点も多くて、根本としてこの程度の改正でいいのかどうかについての意見を述べることが難しい形式だったのではないかと思うのですけれども、それでもやはり先ほどの御報告からしますと、根本に関する多くの御意見もありましたし、そのうちの多くは今、資料にさせていただいた意見書の考え方に沿うところも多いと思うので、今次の改正をどこまでするのかという問題をこの場でどの程度取り上げるかには限界があると思うのですが、これを踏まえて今回及び将来にわたっての課題といいますか、取りまとめのときに何らかのメッセージを発せるかどうかというところで、少し疑問や意見を述べておきたいと思います。

論点ごとに分かれている意見にはなっているのですけれども、論点①の表示義務対象品目についてですが、先ほどの検査法に関する御議論などもお聞きしていますと、ますます拡大しない理由がわかりにくくなってきているところもあるのですが、今回の改正提案が表示義務対象品目の拡大につながらなかったことは大変残念で、最も大きな問題だと個人的に思っております。

細かいことは意見書に書いてあるとおりなのですけれども、ポイントとしては2つあると思っています。1つは現状維持であると、例えば「大豆」の後に「遺伝子組換えでない」とも何とも書いていない場合の意味が2種類になるということについて、消費者の誤認がなかなか払拭できないのではないかということです。つまり、納豆や豆腐の場合と、しょうゆや油の場合とで区別したとき、納豆や豆腐に「大豆(アメリカ)」とだけ書いてある場合と、しょうゆや油に「大豆(アメリカ)」とだけ書いてある場合とで、前者だと遺伝子組換えならば表示義務があるから、書いていないということは入っていないということを意味するわけですけれども、後者の場合はそもそも表示義務がないから、あえて入っていないと書いていない以上は、現実には恐らく入っているのだろうということを意味するものであることについて、多くの消費者がいまだ理解できていないだろうということです。

今回の改正を前提としても、一般的な普及啓発のようなことが非常に重要ではないかと思いますし、この話を周囲でしますと、まずほとんどの方が知らなかったと驚かれます。全て義務対象に含めれば、こうした問題は起こらないのではないかと思っています。

また、こうした誤認を生みかねない一方で、対象にしない主たる理由が、先ほどからのお話にも出ています「完成品から科学的に検出できないから」とされていることについては、余り説得力がないのではないかと思っています。完成品から検出できなくても全てを義務対象としている例というのは国外にありますし、原材料にさかのぼれば原料たる大豆やトウモロコシは科学的にも社会的にも調べることができるはずで、先ほどの御説明でも検査において原料を見なければいけないということが実際にあるわけなので、国外で完成品にされて国内に入ってくる形をとると、産業が空洞化するという御説明もあったかと思うのですけれども、こういう場合も本当は、単に無記載でいいとするのではなくて、むしろ「入っているかもしれない」とか、「わからない」というふうに表示してもらいたいなと思っています。

そういう意味で、監視にかかわることですけれども、社会的検証を軸とする部分が発生してはだめかということについても、原料原産地表示のときにはそれでやっていくというふうに考えたばかりですし、先ほどの御説明からも最終製品から出るか出ないかよりも前の段階で、何らかのIPハンドリングのチェックであるとか、そういうことを考えていく必要があるのではないかと思います。ですから、将来的な課題として新たに科学的に検出できるようになったものには対象を広げたらどうかという御意見がパブリックコメントの意見の中にあったと思うのですけれども、必ずしもそういう線引きではなくて、全ての食品を対象として考えるということができるのではないかと今日改めて思いました。

あとは論点②の表示義務対象原材料の範囲についても詳しくは申しませんけれども、現状維持になっているのは残念だと思っています。コーンスターチなどについてなかなか表示につながらないということが問題になると思いますし、前回まで議論していたグランドデザイン論とも関係するかもしれないのですが、将来的にはもっと簡単に充実した表示がなされる方向で検討できたらいいのではないかなと思います。

論点③の不分別の表示については、これはこの後の皆さん方の議論の中で、こういう良い表現ができるねという案などがもしあれば、私もそのときに意見を述べたいと思いますが、「含まれている可能性がある」ということを十分理解できていない人も消費者の中に大勢いるのではないかなと思うので、工夫ができないかなと思っています。

論点④-1、「意図せざる混入の義務表示が免除される混入率」ですけれども、これも現状維持なのは残念に思っておりますし、パブリックコメントでもそういう意見が多数あったのかなと感じました。日弁連では、意見書を御覧いただいているとおりで、5%からいきなり0%に近いところまで行くというのは仮に難しいとしても、諸外国並みに段階的に厳しくしていってはどうかということを書いておりますし、パブリックコメントの意見にもありましたけれども、同時にトレーサビリティー制度の確立などを求めたいという意見を、この部会から発出してもおかしくないのではないかと思います。

論点④-2、フリー表示の条件については、不検出のみとする今回の改正案には賛成する立場で日弁連の意見書は書いてあります。5%近くも入っているのにフリーという表示をするというのは、アルコールフリーのビールに4%アルコールが入っているというのと同様の違和感を覚えます。ただ、やはり皆さん今日も御議論があると思うのですけれども、不検出とまではいかなくてもIPハンドリングの努力を精いっぱいされている事業者の方々の御尽力については、一定のポジティブな評価がなされるような表示がなされるべきだと思っていますし、できるだけわかりやすくそれを表示することをアシストすべきだと思っています。この点も消費者庁で一層この制度自体を周知していただかないといけないのかなと思います。

5%から不検出までの間について、何らかの数値で示すということについても、パブリックコメントの意見にもありましたが、個人的にはそれを目指していただいたらいいのではないかなと思いますし、IPハンドリングに関する何らかのマークや認証制度の導入というのも、今後考えていただけたらいいのではないかと思っています。

先ほど、不検出と言われるところが、仮に定量的に言えば0.04、というようなイメージの御説明があったと思うのですが、私個人としては、少なくとも0.1%未満に設定することは、大豆もトウモロコシも十分クリアされるほうがいいのではないかと思います。そうでないと何のために「不検出」と言ったのか、不検出という言葉でまた誤認を生まないようにする必要があるのかなと思いました。

以上が前提の話です。

改正案のことについては、まず、経過措置規定について改めて少し確認をしていただきたいことがあります。今日の資料1の一番最後の附則第2条、経過措置のところなのですけれども、以前も御指摘したかもしれないのですが、「この府令による改正前の食品表示基準により遺伝子組換え食品に関する事項を表示した加工食品云々は、この府令の施行後においても販売することができる。」と書いてあります。「表示した」という部分に、「改正前に表示した」かどうかという限定の表現がないので、経過措置期間後に改正前の基準による表示をしても自由に販売可能であるかのように、この文言からだけだと読めてしまうようにどうしても思います。そのようなルールにするわけがないのですけれども、誤った読みようがなくなるような形に表現を考えていただいたほうがいいのではないかということを、改めて問題提起したいと思います。

もう一つは、混在期間の話なのですけれども、今回の改正案は経過期間内に積極的に新たなルールに基づく表示を前倒しで行う事業者がいたとして、両ルールが混在して本当に困ることになるかどうかということについてです。

実際によく考えてみますと、前倒しをするということは、「5%から検出限界までのゾーン」の、新たに表現を工夫するところの食品に関し、事業者が積極的に「遺伝子組換えでない」という任意表示からIPハンドリングをしていますという旨の任意表示に移るという方向しかないと思います。これは実際に消費者にとって困らないことだと思うので、大いに前倒ししてもらって、経過期間後に混乱が残らないように努力してもらうように消費者庁は強く促すべきなのではないかと思います。

逆に、もし経過期間中に御不満があるとすれば、不検出の実質がある事業者が経過期間中である平成35年4月1日より前には差別化できないという程度かもしれないのですけれども、これも不検出ということを積極的に任意表示することは施行期日より前でも禁じられていないと思いますので、問題はないと思うのです。以前に渡邊委員が今回の経過措置規定はレアな定め方ではないかという旨の御指摘があったと思うのですが、経過期間内にも積極的に表示が新しく変わっていくよう促すほうがいいのではないかと思っています。

御指摘いただいたのに長くなりましたが、一度終わります。

○受田部会長 ありがとうございました。

前提でお話されたことに関しては、しっかり今の発言をまとめさせていただきますが、特に経過措置の前倒しに関しては、多分この後また議論をしていかないといけないことだと思います。その前段の2条とおっしゃいましたかね。そこの部分に関して消費者庁としてはいかがですか。

○消費者庁赤崎食品表示企画課長 今、菅委員から条文の附則について御意見をいただきました。おそらくご指摘の趣旨は、今から述べるようなことではないかと思います。第2条の経過措置の出だしが「この府令による改正前の食品表示基準により」と、改正前の食品表示基準と書かれていますので、平成35年4月1日から新ルールに移行した後の平成35年7月1日時点を仮定すると、そのときはもう新しいルールに移行していないといけない。ただ、やや奇特な事業者がおられて、本当は7月1日だから新ルールに移行していないといけないけれども、たまたま昔のルール、この府令による改正前の食品表示基準に基づいて商品をつくった場合に、そのまま合法的に売れるのかという問題意識の御発言だったかと思っています。

この府令は平成35年4月1日から施行となると、従来の府令は平成35年3月末日をもっても事実上、意味がなくなってしまいますので、意味がなくなった古い府令に基づいて表示をつけるということが、文言解釈上はあっても現実にはないのではないか。そういう形で1条、2条を書かせていただいておりますが、ただ、疑義があるという御意見を今いただきましたので、その点については我々としてどのような対応ができるか検討したいと思います。

○受田部会長 今の点はぜひ事前に御検討をお願いいたします。ありがとうございました。

それでは、ここからまたほかの委員の皆様に御意見を伺ってまいりたいと思います。では夏目委員、お願いします。

○夏目委員 私は検討会に参画をしました一人として、皆様のところに既に概要は前回もお示しをしてございますし、今回も参考資料として出ておりまして、結論はこのような報告書の内容になったわけですけれども、私は消費者の立場として、もちろん消費者にはさまざまな考え方がある。これは十分承知した上で、でも消費者の枠組みの委員として出ましたときに、はっきり申し上げまして論点①から論点④-2まででほぼ意見は通りませんでしたというところが正直なところでありまして、私個人の意見としては日本弁護士連合会が今日、菅委員が出された書類ですけれども、これに近いような意見をずっと持ってきました。

でも10人の委員がそれぞれの考えを持って議論をした上でこの報告書をまとめ上げたという事実は十分尊重したいと思っておりまして、その報告書の内容をもとに今回の府令の改正案が出てきているわけなので、この点については私はこれはこれで一つの成果にせざるを得ないのかなと考えております。渋々という感じではありますけれども。

やはり今、経過措置の話がございましたけれども、パブコメでも経過措置につきまして事業者はもちろん先延ばししたほうがいいとおっしゃいますし、消費者はもっと早いほうがいいという御意見が多かったように思いますけれども、これに対する消費者庁の説明は余り説得力がなかったように私自身は受けとめておりまして、どうして35年まで待たなければいけないのか。その間もちろん積極的な事業者は前向きに対応されるでしょうけれども、それは逆に表示が混乱するもとにもなりかねないと思っておりまして、非常にこの経過措置については今後、議論が必要ではないかと思っております。

今のところ以上でございます。

○受田部会長 ありがとうございました。

検討会のメンバーの一人という話からいきましたので、順番に検討会に参加をされた今村委員、そして澤木委員に御発言をお願いいたします。

○今村委員 検討会に参加した一人として発言させてもらいますけれども、今、夏目委員がおっしゃったように、多くの意見がある中でこの報告書が出たことは、私も尊重したいと思います。夏目委員が不本意である部分があると同時に、私にとっても不本意な部分はあって、とはいえあれだけの議論を経て出たものなので、それは尊重するべきかなと。

2つほど私の立場から。まず私は前の議論に参加する際に、私は昔、役所におりまして、厚生省で食品衛生法の遺伝子組換え食品の表示をつくったときの担当者の一人であります。ですので5%を設定する話とか、定量法の作成とかにかかわった人間であります。ですから、なぜそのようになったのかという立場でお話をさせていただいて、今なぜ難しいのかということを少し昔の話ですけれども、その時代はこういうことでしたということは正確に話ができる人なのだと。その後の科学の進歩で何とかなる部分があるのかなと思ったのですが、思ったよりできなかったというのは私もびっくりした部分でありまして、そのような背景もあります。

もう一つは、私は今のIPハンドリングという方法は、消費者にとって遺伝子組換え食品を食べたくないという人にとって最も安い値段で、そして遺伝子組換え食品が入ってくる量が最も少なくなる方法なのだと思います。ですからその方法が潰れるような改正案になってはいけないと思っています。

今「でない」表示を厳密にしていくと、どうしても高くなると思うのです。物すごく高くなって、それを買うグループが出てくるのだろうと思います。でも、ではその人たちが今まで「でない」表示のついたものを買っていたので、みんな買わなくなったときには、IPハンドリングがなくなってしまうのです。それはすごく心配していて、そこの部分が崩れないような制度改正をしていくべきだと思っています。ですので最大限、海外から入ってくる遺伝子組換え食品を少なくして、それを食べたくない人が一番安い値段で効率的に食べる方法を私は考えるべきだと思っています。

以上です。

○受田部会長 ありがとうございました。

続いて澤木委員、お願いいたします。

○澤木委員 私も夏目委員と同じで消費者の立場で参加させていただいていましたので、それぞれの論点①から④-2までですけれども、消費者としては実際の流通実態に近いような表示をずっとお願いしてきましたが、検査法で1%下げるだけでもすごくコストが上がる等のお話も伺いまして、私も渋々ではありますけれども、一応、決まったことに関しては尊重したいと思っております。

実際のところ消費者としては遺伝子組換えという表示を見ないので余り問題にしていなかったところがあります。流通実態は90%ぐらい組換えのものが入ってきているという事実はありますので、できればそのあたりをきちんとわかるような表示をとは思っていました。あと「不分別」という言葉はどうしても消費者にとってはわかりにくい。消費生活センターで相談を受けていますが、「不分別はどういう意味なのかわからない」という相談も入ってきますので、そこはわかりやすく、ほとんどが組換えであると実態に即した表示をしていただきたいと思います。

それから、論点4-②では5%から今回不検出になりましたが、そこも結局は義務表示としては何も変わっていないわけで、ただ単に「遺伝子組換えでない」が厳しくなったということなので、今までの5%未満のところは何も変わらないわけですから、ぜひそこもわかりやすい表示にしていただきたいと思います。

○受田部会長 ありがとうございました。

まず検討会に御参画をされておられた3人の委員からコメントをいただきました。渋々尊重するという言葉が印象的でございましたけれども、それでは、ここからこの検討会とは切り離して、この部会の委員としてまた一人ずつ御意見をいただければと思いますが、今、こちら側お二人行きましたので、安達委員、池戸委員、下浦委員の順番でよろしいでしょうか。

○安達委員 私も基本的に、先ほどから何回も御意見が出ているかと思いますけれども、分別生産流通管理をしている事業者さんの努力が報われないということにならないように、表示の制度をうまく整えていくことが大事なのではないかと思います。

今回「でない」表示が不検出以下ということになりまして、そうすると実際に不検出で「でない」表示ができる製品というのが減ってきてしまう。今の制度に比べると減ってきてしまう可能性も十分あると思います。

ただ、分別生産流通管理をしている事業者さんはやはり努力をされて、その管理の方法を確立されているものと思いますので、不分別なのか分別なのかで、それがどういう意味があるのかということがわかりやすく消費者に伝わるような表示に持っていくということと、あとは今の表示制度もそうかもしれませんけれども、実際に書かれている内容を理解されていない方もたくさんいらっしゃるということですので、新しい制度ではこういう文言はこういうことを示している。そのときには事業者さんの方針というのはこういうふうに反映されているのだということを、ぜひ消費者への普及啓発活動をきちんとしていただきたいと思っております。

以上です。

○受田部会長 ありがとうございます。

それでは、池戸委員、お願いします。

○池戸委員 遺伝子組換えの表示制度が始まって17年たって、今回、こういうふうにレビューみたいな形でやられたというのは非常に意義があることだと思います。今回のいろいろな検討の中で、消費者の方が理解して活用するという点から見ると、アンケート調査、意識調査でも十分理解されていない状況だというのは、せっかくわかりやすい表示をしたとしても、そこのところは非常に大きい課題ではないかと思います。

大概こういう話になったときに、積極的に普及啓発活動をしますという抽象的な形で最後終わってしまうのですけれども、加工食品の原料原産地のときも条件の中の一つに理解度とか満足度とか活用度とか、そういうものを具体的に把握するような宿題みたいな形で載せたかと思うのですが、まさに遺伝子組換え表示制度だけではなくて、遺伝子組換えそのものがわかりづらいところが一つ説明しにくいのがあるので、この機会にそういうものを含めて、これから具体的な普及啓発活動を明確にしておいたほうがいいのかというのが1つございます。

特に生産、流通の実態みたいなところがなかなか伝わっていないのではないかということなので、そういったことも含めて適正な表示制度という話からすると、そこは消費者基本法の基本理念そのものですので、少し重みをもって我々は見て、消費者に対して理解を深めるような具体的な施策をしていただきたいというのが1つ。

そのためには、事業者の方の任意での取り組みといいますか、情報提供をいかにうまく伝えることができるかという協力も必要だと思いますので、表示の正確性とか実行可能性の範囲内でそういうものをより一層この機会以降、努めていただきたいと思っていますし、ガイドラインなんかでそういったものを提供しやすいようなことも国の施策としてやっていただきたいというのが私の意見です。

○受田部会長 ありがとうございました。

それでは、下浦委員、お願いします。

○下浦委員 今回、私はこの委員会に参加させていただきまして、これまでの検討会の先生方の苦慮といいますか、御苦労がよくよくわかりました。今回の論点であります①から④までの点につきましては、特に私も大きな問題はないかと思いますが、ただ、論点③で遺伝子組換え不分別の部分では消費者の方々にわかりやすいような表示といいますか、文言の言い回しが必要だと思います。説明会等々で理解をしていただけるような取り組みをぜひお願いしたいと思っています。

論点④-2の不検出について厳格にされたということは、いい方向です。

もう一点、菅委員の参考資料の5ページの一番最初、そもそも最終製品において科学的検証ができなくても、加工前の段階で農産物を含めるか否かの検証は可能であるというところの部分で、これについてはぜひ今後とも御検討をいただきたい。

以上でございます。

○受田部会長 ありがとうございました。

それでは、引き続いてこちら側でマイクを向けたいと思います。渡邊委員から松永委員の順番でよろしいでしょうか。

○渡邊委員 まずこの検討会の報告書の論点ですけれども、先ほど今村先生が言われたように、この検討会についてIPハンドリングというのは今村先生がいらっしゃったときにつくられたときに、私は事業者のほうにいたのですが、このときつくられた制度というのは、遺伝子組換えでない原料を商業的に集めるためにつくられた制度なのです。なのでいわゆる実験で集めるのではなくて、実際にタンカーというか船で運んでくるようなレベルで例えばトウモロコシなりを運んできて、そのときのいろいろなハンドリングを経て一番商業的に集められる制度がIPハンドリング。それは遺伝子組換えでないでないものを集めるルールだったと思っています。

この検討会のときに、5%、5%というのがすごく出てしまったのですけれども、これは誤解があるというか、5%以内におさめるための制度ではないと思っていまして、要するに商業的に運ぶと、これは固体なのでどこをサンプリングするかによって当然、例えばまざったときの濃度が全然違ってきて、多分IPハンドリングでとってきたものというのは、ほとんどどこをとっても遺伝子組換えでないものばかりだと思うのです。ただ、たまたま高いところがあって、それでも5%以内におさまるよというのがこの制度だと理解している中で、今回の検討会では5%を守るためにIPハンドリングをやっているみたいな誤解になってしまっているのではないかと思っています。

事業者のほうからすると、そのようにかなり商業的に面倒くさいような手続を経て集めてきたものに対して、何で遺伝子組換えでないというふうに言っていけないのかというのが、これは事業者のほうからもそうだし、今度は消費者のほうからすると、多分、遺伝子組換えでないでないと書いてあるものは、ほとんど遺伝子組換えでないものばかりだと思うのです。そういうものを今度選べなくなるというのは、すごく今回の検討の中で誤解とともにそういうふうになってしまったのではないかというのが私の意見です。

ただ、そういう中で今回、不検出の場合「遺伝子組換えでない」で、もともとは遺伝子組換えでないものを集めるために持ってきたものに対しては、入っているかもしれないみたいな表示をするということになったので、それはそれで1年ぐらいかけてやられたので、尊重したいと思いますけれども、消費者の方ももう一回IPハンドリングというのをよく考えていただいて、どういうふうに、要するに先ほどの分析では多分加工食品で分析して、検出するというのはまず不可能だと思うのです。だからそのために要するに原料段階でちゃんと遺伝子組換えでないものを集めてきてつくったら、遺伝子組換えでないとしようとなったルールが結局崩れていったので、その中で実際どういうふうになっていくのかなというのはまだ見えないところです。

そういう中で、だから今回の諮問内容については検討会の報告書に基づいてつくられているので、それはこれでよいかなと思っております。

以上です。

○受田部会長 ありがとうございました。

それでは、松永委員、お願いします。

○松永委員 4点申し上げたいと思います。

まず制度全体についてパブコメでいろいろな御意見が出ましたけれども、私は科学的妥当性とか実行可能性という意味では、制度全体では妥当なところかなというのが印象です。その上で1点目なのですけれども、先ほどから加工食品、最終製品でも検査ではなく、さかのぼった原材料のところで検討するんだというお話がありました。どうしても消費者というのは最終製品に「遺伝子組換えでない」と書かれていたら遺伝子組換えでないと理解するわけです。その製品に入っているかどうかというところが消費者にとってはとても大事なところなので、もしその最終製品を分析して、仮に自主的に分析した方がいて、そこから遺伝子組換えの導入遺伝子とか、できたたんぱく質が検出された。でもこれはさかのぼるとIPハンドリングされて不検出のものだから、法的には問題ありませんと言われると極めてわかりにくいわけです。

先ほどおっしゃったように、空気中にも遺伝子は飛んでいる場合もありますし、多分、最終製品で遺伝子組換えでないと書かれていて検出されるとすると、いわゆる加工段階でのコンタミネーション、いろいろな機械にちょっと残っていて、それがコンタミしたというようなケースがほとんどで、あるいはもしかすると原材料段階でちょっと間違ったとか、意図してまぜる事業者の方もいらっしゃるかもしれない。そういうものを見つけることがなかなか難しくて遺伝子組換えでないと判断していて、さらに原材料をさかのぼって検討しないと、これが妥当なのかどうかわかりませんよというのは極めて消費者にとってはわかりにくいので、科学的には妥当ですけれども、消費者にわかりにくいという事実がありますので、そこは詳しく説明していかなくてはいけないのではないかと思いました。

2番目は、それに関連しますけれども、そういうことを考えると監視の実行というのがとても重要で、しかも科学的な検証だけではなくて社会的検証も組み合わせて、どちらにも限界があるので組み合わせて実行していくということが極めて重要になっていくと思います。ですので、今後どういう形で監視をするのか、義務表示についても任意表示についてもどういうふうに組み合わせて監視をしていくのかというようなところは、考えていただきたいし、ある程度そこを公表していただいて、業者に対しても気をつけなさいよということを示していただきたいと思いました。

もう一つ、3番目ですけれども、パブコメを見ていて、それから、10月10日に参考資料として出された「新たな遺伝子組換え表示制度に係る考え方(補足資料)」を両方見ていて思ったのですが、不検出以上、5%以下というところの、つまりIPハンドリング、分別生産流通していますよ。でも不検出は保証できませんというところの表現というのが消費者に与える影響はとても大きいのだと思います。そこでいろいろなことを消費者は意図しない情報まで受け取ってしまうというところもあります。なので例えばパブコメで言うところの16ページの一番上のところに、「ほぼ遺伝子組換えでない」のいずれかの表示をすべきと、「ほぼ」というような表現があるのです。それに対しては直接的にはお答えになっていないということがあります。こういうふうにお答えされていると「ほぼ」は使っていいのかなと思う方も出てくるでしょう。

それから、補足資料の適切に分別生産流通管理を行っている旨を任意で表示する場合の表示方法のところで、例として「大豆の分別管理により、できる限り遺伝子組換えの混入を減らしています」という表現があります。「できる限り」とか「ほぼ」というような、人によって受けとめ方が全然違う、ある意味、主観的な表現をここで許容していいのかどうかということは、もう少し考えるべきではないか。主観的で受けとめ方はそれぞれなので、ゼロなのねと思う人もいるかもしれないし、相当量入っているのねと思うかもしれないし、ここは個人によってさまざまなので、私としてはこういうところは主観的な表現は避けるべきで、それをQ&Aとかで明示すべきではないかと感じています。

最後に4番目ですけれども、パブコメでいろいろなことが明らかになったのですが、やはり私が改めて思ったのが、これは安全性を識別するための表示だと受けとめておられる方が相当数いらっしゃる。これは改めて感じざるを得ませんでした。これは消費者庁さんも一生懸命言っておられますが、安全性を識別する制度ではないので、消費者庁さんにもそこのところのリスクコミュニケーションというのはしっかりやっていただきたいし、それは私とかここの場の委員の役割でもあるのかなと。もう少し社会にきちんと理解してもらえるような努力をしなければいけないんだなということを思いました。

以上です。

○受田部会長 ありがとうございました。

夏目委員には先ほどコメントをいただいたので、次、戸部委員、お願いできますでしょうか。

○戸部委員 報告書の内容ですけれども、論点④-2では“不検出”ということに厳格化しますというところが気になっていて、消費者は不検出という言葉に過剰な期待というか、そういうものがあるのかなと思っています。なのでいかにもゼロみたいな認識を持ってしまうことによる影響もあると思います。ここのところを理解できるようにしないといけないのかなと思っております。

5%以下にしても、不検出にしても、いずれにしてもこれは結果であって、そこに至るまでの途中の管理というところをきちんとやることのほうがとても大事だと思います。これは別に遺伝子組換えの話だけではなくて、特定の品種の管理だとかそういったものもあるでしょうし、使ってはいけないもの、例えば食べると安全上、問題があるものが誤って混入されていないかどうかということも管理することも、製品になる途中の管理として大事なことなので、結果だけではなくて途中の管理というところに着目していくべきだろうと思いますし、これからはそういうことだろうなと思います。

トレーサビリティーの技術的も今とても上がってきているので、このあたりの途中の工程の管理というところに着目した制度というものも、これから発展していくべきだなと思っております。

以上です。

○受田部会長 ありがとうございました。

それでは、宗林委員、お願いします。

○宗林委員 先ほど不検出、今までも、原料に立ち戻って5%、今回も原料に立ち戻っての結果だということなのですけれども、先ほどの不検出のレベルをお聞きしたところ、トウモロコシあるいはほかのもので多少、数字は違うのかもしれませんが、0.1というようなかなり低い数字でしたので、今の実態、マーケットの実態から考えると、「遺伝子組換えでない」と表示できるものがすごく少なくなって、分別管理はされているけれども不検出ではないうところに相当数が入ってくるのではないかと想像しています。

例えば今まで原料で5%でしたので、それを加工したものであると薄くはなるのですが、それでも捕まってきたのです。ということから考えると、不検出以下のところが非常に少ない状態になるのではないかと思います。

そういうことも考えると、不検出はどの程度のレベルのことを言っているのかということを明確に、公定法が決まればこの不検出のレベルはもちろんトウモロコシだけではなくて、ほかのものもあわせてですけれども決まってくるので、どのくらい低いのかということを明確に数字を入れていただいたほうが、イメージとしては把握しやすくなる。このぐらい原料段階で低いところ以下のものを「遺伝子組換えではない」と表現をするという表示になっているということを明確にしていかないと、分別管理はされているけれども、不検出でないというところがこんなにいっぱいなんだという話にも逆になってしまうかなという感じがしますので、不検出のところはぜひとも原料に立ち戻っての数値を明確にして入れていただくほうが、よりイメージとしてはつかみやすくなるのかなと思います。それが1点。

逆に今度監視ということでは、5%であったときは加工食品にして、加工食品を実際に第三者が見ても遺伝子組換えが捕まったりしてわかったと思うのですが、今回、原料に立ち戻って不検出というところで見られるかどうかというと、それは原料段階まで立ち入り調査ができる行政の監視しか、もうほかの方は誰もできないレベルになると思いますので、原料をとにかく入手しないと、ここの監視はできないということになると思いますので不検出という表示が正しいかどうかというところに限って言うと、原料段階で行政の監視体制をどうするのかというのが非常に大きな問題かと思います。

ですから不検出のレベルはかなり私が今まで思っていたよりは低いレベル、原料段階での低いレベルを不検出ということにするということがわかったことと、それをどう監視していくのかということを改めて決めないといけないなと思いました。

以上です。

○受田部会長 ありがとうございました。

菅委員からは先ほど伺いましたので、樋口部会長代理、いかがですか。

○樋口部会長代理 私はこの分野は専門ではありませんので、ただ、皆様のお話を伺っていて表示制度の改正ということ、表示ということを議論していますが、池戸委員からもお話がありましたけれども、遺伝子組換えそのものについての理解をきちんと深めていくこととあわせて、表示制度をわかりやすい表示にしていくことが重要ではないかということと、それに関連して各国のいろいろな動きがありますが、それぞれいろいろ理由があってハーモナイズが難しいわけですけれども、素人的に言うといろいろ検査法なんかもそうですが、ハーモナイズできる部分というのがかなり大きい部分が将来的にはあるのではないかという点もありますので、日進月歩の科学技術でもありますし、経済構造も大きく変わってきますから、そういう中で表示制度というのは状況に応じて位置づけを、その役割をきちんと位置づけをした上で議論をしていかないと、今の時点で全てのことを全て完璧に決するというのはなかなか難しいなというのが、委員の皆様のお話を伺っての感想です。

○受田部会長 ありがとうございました。

全員の委員の皆様からひと通り御発言をいただきましたが、さらに追加の意見等がありましたらもう少し承っておきたいと思うのですが、いかがでしょうか。

菅委員、お願いします。

○菅委員 先ほども御指摘があった、第46回の食品表示部会の資料5「新たな遺伝子組換え表示制度に係る考え方(補足資料)」の6ページ5の3の話なのですけれども、手元にお持ちでない方もいらっしゃるかもしれませんが、「とうもろこし(分別生産流通管理済み)」とだけ表示している場合に、これだけではなかなか事業者が努力して取り組んでいることが消費者に対して伝わりにくいのかなというふうには思います。

厳密に言えば、IPハンドリングをしていることと、5%未満であることとは直結しない建前だと思いますので、相当の知識がないと5%未満まで確保されていることが消費者に対して伝わりにくいかなと思います。もちろん任意表示ですから事業者の工夫を期待するというのは原則かもしれませんけれども、やはりマークであるとか、95%以上だと表示する何か印のようなもの等が工夫できないのかなと思います。同じく10ページでは、分別生産流通管理という言葉は使ってもいいけれども、IPハンドリングというのは日本語としてどうかという問題があって使ってはいけないというご説明もありますが、両者の普及の度合いから考えますと、大差はないと言ったら叱られるかもしれませんが、いっそIPハンドリングという言葉をもっと普及させるぐらいの気持ちでやってもいいのではないかと感じています。

○受田部会長 ありがとうございました。

菅委員から追加のコメントもいただいたところで、今、ひと通りいただいた御意見、先ほども申し上げましたとおり、事務局とともに整理をいたしまして、特に検討会の論点ともしっかりと関連した上で、次回の部会の議論の論点ペーパーといいますか、材料にしていきたいと思います。

私が今までいただいた意見の中で印象深いところは幾つかあるのですけれども、それを取り上げてしまいますとバイアスが随分かかってしまいますので、それは避けておきまして、ひと通りお伺いしたということに今日はしておきたいと思います。

一方で、今日一番初めに国立医薬品食品衛生研究所の近藤部長から、公定法に関して現状でのトウモロコシの定性試験のさまざまな情報をいただいておりますので、先ほどいろいろ意見交換いたしましたが、かなり委員の皆様におかれましては想像していたデータと違うとか、そういうところもおありだったのではないかなという感じが印象として私、拝見したところでございます。

ちょっとだけ、今の公定法の今日の近藤部長の発表に関してもう少しだけすり合わせをしておきたいと思うのですけれども、私から消費者庁に伺いたいのは、今日は途中経過と伺ったのですが、もう一度この後、年度末まででしょうか。一体、何をどこまで明らかにしようとされているのか。特に委員の皆様の御関心は今日のトウモロコシのこと、それから、コーンフレークも含めて、それ由来の加工食品がどういう形で定性的に評価をされていくのか。さらに言うと大豆に関して今後検証が進んでいくというお話でしたけれども、今日遺伝子的に共通する部分の具体がトウモロコシでは聞かれましたが、大豆の場合は少し共通項が複雑になっていくというお話もございましたので、一体どういう見通しを立てておられるのか。

さらに言うと、今の段階では意図せざる混入のところもあり、まずトウモロコシと大豆が出てきていると理解をした上で、今後、不検出については8農産物33加工食品全てに網羅的にこの公定法が適用されていかなければならないというふうに認識されるわけですけれども、他の農産物に関しては一体いつ、どのようにこの公定法が確立されるように考えたらいいのか、今後の方針に関してお考えを伺えますでしょうか。

○消費者庁赤崎食品表示企画課長 今、受田部会長からお話のあった点ですけれども、公定検査法の検討についての今後の見通しといいますか、年度末を1つの区切りとしてお問い合わせいただきましたけれども、先ほどの近藤部長の説明と少し繰り返しになりますが、今のところまずは今年度にトウモロコシについて1つめどをつけたい。そして来年度に大豆というスケジュールを考えております。

ただ、トウモロコシと大豆それぞれやってみて整合をとるといった観点の検討もあると思っていますので、大豆とトウモロコシについて検討の成果が世の中に出るのは、換言しますと次長通知に公定検査法として載るのはということになりますが、それは来年度末は厳しいと思っております。場合によっては再来年度以降ということもあるのではないかというのが現時点のスケジュール感になります。あくまで現時点ということになります。

その上で、8農産物についてのお話がありました。大豆、トウモロコシ以外はどうなるのかということかと思いますけれども、その点につきましては、まずは大豆とトウモロコシを優先して、その2つが一定の整理がついた時点でまずは公定検査法と。

それ以外の6つの農産物につきましては、実際に「遺伝子組換えでない」という表示をなかなか消費者は見ることはないだろうと思っております。実際にアルファルファ等々はほぼ流通しておりませんし、油になるようなもの、綿実とかいろいろあったかと思いますけれども、それらは基本的に検出できないという整理がついておりますので、その意味では、まず大豆、トウモロコシを優先して、その2つがある程度目鼻がついた時点で公定検査法を改定する。それ以外は全くやるかやらないか決まったわけではないですが、現実のニーズという観点から見ると、そこはまた状況を見た上でということになります、言いかえますと、残り6農産物について具体のスケジュールに乗せて検討するということは、今のところ考えていないということになります。

あと、加工食品のお話がございました。先ほど説明させていただいたように、今、いわゆる加工食品で含有率の推定ができるのはごく一部に限られています。消費者庁が出しているQ&Aの中でも、定量PCR等で遺伝子組換え作物の含有率を推定できる加工食品は、現在のところ大豆やトウモロコシの穀粒及びごく一部の加工度の低い加工食品に限られています。では加工度が相対的に高いもの、33食品群の中にも多々ございますが、それらについてはこれまで御説明しましたようにIPハンドリングという社会的検証や科学的検証、これは基本的には原料、穀粒ということになると思っておりますが、いろいろなツールで調べ上げたものを総合評価、全体として判断することになっております。

混入率5%の上下を判断する現行の表示ルールにのっとって、意図せざる混入がきちんと守られているかどうかのチェックについても、加工食品の大部分は含有率が推定できないという意味では同じで、原料の判定結果を総合判断の大きなウエートとしているという意味では、今と同じ考え方で新しく設けます定性検査法についても運用がされると思っております。

とりあえず以上になります。

○受田部会長 今後の予定といいますか、考えておられる計画をお話していだきました。

今村委員、お願いいたします。

○今村委員 今の御説明の中で、以前の検討会のときに私は定性検査という意味を、今、近藤先生が発表された内容と違う意味にとっていたので、今お話している、今の5%の矛盾が定性検査に入ってくるという想定はしていなかったのです。それは遺伝子組換えの禁止されている食品衛生法上、認められていないものは、いわゆる定性検査と言われるものでやっていて、それがPCRで単純に先ほどの35Sプロモーターだったら35Sプロモーターだけを調べる。それは多分100万分の1ぐらいの濃度まで調べることができる。だから入っているかどうかということであれば、加工食品に入っているかどうかはわかるのです。その上で今までの加工食品の考え方としては、定性でひっかかったら原料に戻って5%なりを見るという考え方でやっていたと思うのです。

今回、定性検査そのものに定量検査を、定量PCRですから、TaqMan PCRというのは定量検査ですから、これを用いるということであれば、その加工食品を調べるすべというのがなくなってしまうのだと私は思います。ですから最初、検討会の段階で定性検査で加工食品も含めてやるということをおっしゃっていたので、それはいわゆるPCRで入っているかどうかだけ最初に確認するというステップがあるんだと思っていたのですけれども、今の段階だと加工食品に初めから定量を当てはめるというのは無理なのです。ですからそこの部分がちょっと以前の議論の中で私自身が誤解していた部分ですし、こんなふうになるとは思っていなかったので、加工食品でのスクリーニングというのはぜひ考えていただきたい。

○受田部会長 ありがとうございます。定性試験がスクリーニングになって、その後、定量的な濃度の確定をやっていく。そこの考え方について少し想像とは違っていたというお話でございました。

これをどう受けるかということもありますし、加工食品に対するこういった定量試験というアプリケーションの限界というのも当然あるのだろうと思いますので、これに関しては今日部会でもそういう意見が出たことをしっかりまた消費者庁としても今後どういうふうに反映していくか、検証していくかというところで、その貴重な情報を材料としていただければと思います。

公定法に関してもし今後の要望ということがさらにあれば、少しお聞きして今日の部会は閉じたいと思うのですけれども、委員の皆様いかがでしょうか。それでは、夏目委員、お願いします。

○夏目委員 今、今村委員がおっしゃったことは私も同じ考えだったのです。ですから今日伺っていてびっくりしてしまって、加工食品もスクリーニングで入っているか入っていないのかわかるんですという議論だったと思いますので、もう一度議事録を自分も確認しますけれども、もし加工食品からスクリーニングで出てこないという形になったら、ちょっとまた話が違ってくるのかなと近藤先生の説明を聞いていて思いましたが、澤木委員、どうでしたか。

○受田部会長 赤崎課長から。

○消費者庁赤崎食品表示企画課長 今の夏目委員の御発言ですけれども、私はこう理解をしております。

今8農産物33加工食品群というカテゴリーがあります。33加工食品群というと、最終商品から遺伝子組換えのDNAやたんぱく質が検出できる。これは大前提になります。ただ、問題は先ほど消費者庁のQ&Aを読み上げましたけれども、濃度でしたか。入っているかどうかという意味で検出できるにしても、何%か、5の上かどうか、そういう意味では加工食品そのものでは精度の高い濃度分析ができない。それでいろいろな合わせ技でやっている。

今回新しく設けます定性検査法については、先ほど近藤先生の御説明の中でも今100以上の機関が検査を実際に行っているという話がありました。その意味ではA機関で調べると陽性、でも同じ検体をB機関で調べると陰性、こういうばらつきが出るようなことがないようにということで検討をしていると思っています。基本的な考え方は今述べたことに尽きておいると思っております。

○受田部会長 また議事録をというお話もされていましたので、検討会の議論の様子は我々も事務局と一緒に確認をさせていただきたいと思います。

まだいろいろ御意見あろうかと思いますけれども、今日遺伝子組換え表示に関する1回目の実質的な討議ということで、いろいろな視点からまず委員の皆様の御意見を賜ったところでございます。この後、先ほどお話させていただきましたとおり、挙がった事項等についてはしっかりと整理をさせていただいて、次回以降の議論の材料にさせていただきたいと思います。

また、一定の期間を設けてということで冒頭申し上げましたので、追加の御意見に関しましても受け付けたいと思っています。今日欠席をされている委員もいらっしゃいますのでお受けをしたいと思っております。その期間等については事務局から追って委員の皆様に連絡を申し上げますので、その期間で御対応をいただきますようよろしくお願いいたします。

≪3.閉会≫

○受田部会長 それでは、本日の議事は以上とさせていただきます。連絡事項等があれば事務局よりお願いいたします。

○坂田参事官 本日も長時間にわたりまして御議論をいただき、まとにありがとうございました。

次回は来年1月25日金曜日、10時からを予定しております。よろしくお願い申し上げます。

なお、冒頭で申し上げました机上配付資料につきましては回収させていただきますので、委員の皆様におかれましては御退室の際、そのまま机上に残していただきますようお願いいたします。

以上でございます。

○受田部会長 ありがとうございました。

それでは、本日はこれにて閉会とさせていただきます。

お忙しい中、お集まりをいただきましてありがとうございました。

(以上)