第10回 消費者行政新未来創造プロジェクト検証専門調査会 議事録

日時

2019年5月24日(金)9:59~11:04

場所

消費者委員会会議室

出席者

  • 【委員】
    樋口座長、新川座長代理、遠山委員、野口委員、野々山委員、萩原委員、長谷川委員、唯根委員
  • 【消費者委員会】
    池本委員長代理、大森委員
  • 【事務局】
    二之宮事務局長、福島審議官、坂田参事官、事務局担当者

議事次第

  1. 開会
  2. 取りまとめに向けた検討
  3. 閉会

配布資料 (資料は全てPDF形式となります。)

≪1.開会≫

○坂田参事官 おはようございます。本日は、皆様、お忙しいところをお集まりいただきまして、誠にありがとうございます。

ただいまから「消費者委員会 消費者行政新未来創造プロジェクト検証専門調査会」第10回会合を開催いたします。

本日は、所用によりまして、内田委員、木田委員より御欠席との御連絡をいただいております。

配付資料の確認をさせていただきます。お手元の議事次第に配付資料を記載しております。もし不足がございましたら事務局までお声がけをお願いいたします。

それでは、樋口座長、以後の議事進行をよろしくお願いいたします。


≪2.取りまとめに向けた検討≫

○樋口座長 それでは、本日の議題に入らせていただきます。

本日は「取りまとめに向けた検討」を行いたいと思います。

若干経緯を御説明しますと、平成28年9月1日、まち・ひと・しごと創生本部におきまして「政府関係機関の地方移転にかかる今後の取組について」の中で、「消費者委員会については、消費者庁や(独)国民生活センターの徳島県での取組につき、消費者行政の進化等の観点から成果を検証し、提言・助言を行う」「3年後目途の検証・見直しに当たって、消費者行政の進化等の観点から、意見を述べる」としておりました。

これを受けまして、消費者委員会が意見を述べるに当たり、必要な事項について調査審議するために平成29年11月に本専門調査会が設置されました。そして、今回までの間に本専門調査会を9回開催した中で、ヒアリングを行い、議論を重ねてまいりました。

本日は「取りまとめに向けた検討」ですが、先ほど述べましたように、本専門調査会では、検証の対象は「消費者庁や国民生活センターの徳島県での取組」でありまして、検証の観点は「消費者行政の進化等の観点」ということになりますので、これらについて本専門調査会の議論を取りまとめていくことにしたいと思います。

まずは、事務局から報告書素案について説明をお願いいたします。

○事務局担当者 では、事務局から御説明を差し上げます。

まず、資料の御説明ですけれども、資料1が報告書(案)の概要になっておりまして、資料2が報告書(案)の本体になっております。

また、参考資料1として、国民生活センターから平成30年度の商品テストのまとめについての資料を提供していただいておりまして、こちらは適宜御覧いただければと思います。

ここからは、資料2の報告書(案)について御説明させていただきます。

まず、目次を御覧いただければと思いますが、大きな構成としまして、報告書(案)の本文の部分と別紙の部分に分かれてございます。別紙の部分は後ほど御説明させていただきますが、プロジェクトごとなどの個別のものにつきまして、これまでのヒアリング内容や議論状況を整理し直したものになっております。

それでは、1ページから、まずは本文について御説明させていただきます。

「はじめに」ですが、今、座長からも御説明がありましたとおり、経緯を記載しております。まち・ひと・しごと創生本部の平成28年9月1日付「政府関係機関の地方移転にかかる今後の取組について」において、「消費者委員会については、消費者庁や(独)国民生活センターの徳島県での取組につき、消費者行政の進化等の観点から成果を検証し、提言・助言を行う。その際、徳島県にて専門調査会を開催するなど、地方の現場の視点が反映されるような取組を行う。上記3年後目途の検証・見直しに当たって、消費者行政の進化等の観点から、意見を述べる」とされていたことを受け、専門調査会を設置し、審議をした経過について説明しております。

1ページ下がⅠ本専門調査会における検証の対象及び観点となっておりまして、第1が検証の対象ですが、2ページ、第2の上の段落ですけれども、「そこで」ということで、本専門調査会では、創生本部決定にいう「消費者庁や(独)国民生活センターの徳島県での取組」として、徳島県でこれまで実施されてきた、消費者庁の各プロジェクト及びオフィスでの働き方改革に関する取組、並びに、国民生活センターの研修事業及び商品テストを検証の対象としたとしております。

第2が検証の視点です。本専門調査会では、上記検証対象について「消費者行政の進化等の観点」から検証を行ったということを指摘しております。これまでこの進化等の観点について、どのような視点から検討するのかについて委員の皆様から御議論をいただいたところですが、これまでの御議論を踏まえまして、3ページ以下ですが、「そこで」ということで、本専門調査会では「消費者行政の進化等の観点」から検証を行うに当たって、各取組について、マル1徳島県内において各取組の目的・目標との関係でどれだけの成果が上がっているか、マル2各取組の成果が国及び全国の地方公共団体の消費者行政に展開・活用できるものとなっているか、マル3消費者庁及び国民生活センターにおいて、実際に各取組の成果を国及び全国の地方公共団体の消費者行政に展開・活用しているか、並びに、マル4各取組のプロセス及び成果に徳島県で取組が行われた意義が発揮されているか、などいった点を重視することにしたと記載しております。

Ⅱからが消費者庁及び国民生活センターの徳島県での取組の検証ということになっております。

まず第1が前提部分でして、オフィスの体制及び各取組の概要を確認しております。1.がオフィスの体制で、ここに記載しているとおりでございます。

2.が各取組の概要ということで、まず、消費者庁は、「全国展開を見据えたモデルプロジェクト」「基礎研究プロジェクト」及びオフィスの働き方改革に関する取組を実施しているということを記載しております。

次の段落で、国民生活センターは、研修事業及び商品テストを実施しているということを記載しております。

4ページ、下のほうの第2からが、実質的な内容になってまいります。まず、消費者庁の取組についてです。先ほど申し上げましたとおり、個別の取組の実施状況や主な成果、全国展開への状況、検証の過程における主な議論等は、別紙のとおりであります。

5ページ以下では、消費者庁の取組全体について検証結果を報告するということです。

1.「全国展開を見据えたモデルプロジェクト」についてですが、(1)が徳島県内の成果についてです。

「まず」ということで、「社会への扉」を活用した消費者教育授業の実施や見守りネットワークの構築、公益通報受付窓口、消費者志向経営といった、その普及・推進が全国的に課題となっているものについて、短期間に、他の地域と比較しても高い割合での普及がなされたことを指摘しています。

「また」では、「食品ロスの削減」「子どもの事故防止」「栄養成分表示等の活用に向けた消費者教育」等のプロジェクトでは、実証実験やアンケート調査に基づくデータ・知見の公表や教材等の作成がなされたことを指摘しています。

「さらに」ということで、各プロジェクトを進めるプロセスで、これらの先駆的な取組を行う会議体・組織が形成され、消費者庁が、それらの会議体・組織に参加し、あるいは連携することもなされているということを指摘しています。

「他方で」というところですが、「シェアリングエコノミーに関する実証実験等」については、徳島県における民泊の利用実態調査でサンプル数が少なく十分な結果が得られなかったことを指摘しまして、これを踏まえると、調査対象によっては徳島県の地域性に適さないものもあり、徳島県を実証フィールドとして活用する上では、調査テーマや調査対象の選定に当たって留意する必要があることが分かったということにしています。

6ページ、「なお」ということですが、消費者庁から報告を受けた時点では、プロジェクトごとに進捗状況のばらつきもあり、実証フィールドでの調査・分析作業が進行中のものもあったということを記載しております。

(2)が成果の全国展開の可能性についてです。「全国展開を見据えたモデルプロジェクト」の目的は、消費者庁が、徳島県での実践や実証実験等の成果を踏まえた効果的な普及・啓発方法を全国的に共有し、あるいは全国で実施することをもって、消費者の利益を高めることであると言えるとしています。この点、上記の各成果は、以下のような点で全国展開の可能性を有するということを指摘しております。

まず、先ほどの「社会への扉」を活用した授業などについて普及したという成果は、それ自体が先例的なモデルケースとして、他の地域における地方公共団体や民間の関係者が取組を進める上で参考にできるものであり、他の地域への波及効果も期待できる。また、消費者庁において、普及及び活用を促進する上で重要となる要素や課題となる要素を抽出・分析して、有効な働きかけ方法及び活用方法を検討する上で有益な基礎資料となっているとしています。

次の段落で、これらの実証実験やアンケート調査により得られたデータ・知見は、有効な啓発方法を検討する上で有益な基礎資料とすることができるとしています。

次の段落で、教材等のツールは、その活用を全国的に展開することにより啓発の効果を向上させることが期待でき、今後の使用状況をモニタリングし、その結果を反映して改善することにより、その効果を一層向上させることにつながるとしています。

消費者庁が地域の会議体・組織に参加し、あるいは連携して、働きかけや実証実験を進めたことは、消費者行政における施策の実施方法について先例となるモデルを提示するものとして、今後の消費者行政で参考にすることができるとしています。

「もっとも」で、徳島県での実践的取組の普及や実証実験の結果等の成果を活用するに当たっては、他の地域と前提条件や環境の相違があるので、地域ごとの特性に配慮して工夫する必要がある、また、これらの成果をより消費者行政に資するものとするためには、徳島県において、県内における実施状況を引き続きモニタリングすること等により運用上の課題やその対処法も分析・検討し、消費者庁において、その結果を徳島県以外の地域における参考事例も踏まえて、全国的に共有し、また、有効な働きかけ方法及び活用方法を検討した上で活用することが重要である、としています。

(3)全国展開の状況についてですけれども、2段落目の「この点」ですが、消費者庁から報告を受けた時点で、プロジェクトごとに進捗状況にばらつきがあり、比較的進んでいるものでは、例えば、事例集、報告書及びマニュアル等を公表したものや、徳島県以外の地域での働きかけを実施中のものなどがあるが、全国展開に向けた具体的な取組が開始される段階にまで至っていないプロジェクトもあるとしています。

また、上記のように、全国展開に向けた具体的な取組のうちの一部がなされているプロジェクトについても、「若年者向け消費者教育の取組」を除き、それらの取組による具体的な効果が見える段階にまで至っていないとしています。

各プロジェクトの成果を全国展開するためには、全国展開を国の計画の中に明確に位置付けた上で、その具体的な工程として実行手順やスケジュールが示されることが重要となる。そして、この工程の策定に際し、より効果的な実行方法を検討するに当たっては、優れた取組例を参考にすることが有益であり、また、地域ごとの特性、プロジェクトごとの性質を考慮することなどが必要であるとしています。ついては、消費者庁において、本報告書の指摘内容を踏まえながら、可及的速やかに全国展開の具体的な工程を示し、順次実行していくことが求められるとしています。

2.からが「基礎研究プロジェクト」についてでして、まず(1)が「取組の成果について」です。ここで指摘しておりますようなプロジェクトについては、調査及び調査結果等の理論的な分析を実施し、報告書・事例集を公表するなどされており、また、ここに記載しておりますような啓発資材が作成されているということです。

(2)が成果の消費者行政での活用可能性についてですが、初めの段落で、いずれも、従来の消費者行政において十分に着目されていなかった分野について、理論を実証するものとして、あるいは消費者の意識・行動の実態等を把握する基礎資料を提供するものとして、今後様々な施策を立案・実施する上で活用されることが期待できるとしています。

「また」以下では、調査対象者の特性に応じて効果的にアンケートを実施できるように工夫した過程等から得られたノウハウや、産官学が連携した調査・分析手法のモデルを提供する点でも、今後の消費者行政の施策の立案・実施に当たり参考になるものであるとしています。

9ページ、「さらに」の段落で、このような啓発資材は、その活用を全国的に展開することにより、啓発の効果を向上させること、使用状況をモニタリングし、その結果を反映して改善することにより、その効果を一層向上させることが期待できるとしています。

「もっとも」ということで、調査結果において徳島県等の地域的特性が影響している可能性もあることから、より精緻化するためには、大都市圏等の別の地域における調査結果と比較することなどにより、そのような影響を是正することが必要であるとしています。

(3)消費者行政での活用状況についてですが、消費者庁から報告を受けた時点では、幾つかのプロジェクトはまだ進行中の段階であるということで、今後、分析を進め、その結果を消費者行政における施策の立案・実施に当たって基礎資料として活用することが重要となるということなどを記載しております。

3.ですが、こちらが働き方改革の一環としての業務効率向上に向けた取組についてです。消費者庁は、行政における業務効率化のための実験的な取組をして、東京の消費者庁と比較して休暇を多く取得することや、超過勤務が少なくなるという成果を出しているということです。これらの取組が東京の消費者庁等でも参考になるということが考えられるということを記載しております。

「他方で」の段落では、働き方改革としては「ライフ」の充実も重要であるということで、実際にプレミアムフライデー等で休暇を取得して、地元事業者の工場の見学等が行われたということでして、その上で、さらに、業務時間の短縮により生まれた時間を活用して、ボランティア等で地域社会に貢献することや、そのような活動で得られる消費者の生の声や地域の実情を消費者行政に生かすことができるような動きにつながることを期待したいとしています。

10ページ以下が4.で、「徳島県で行われた意義及び課題」についてです。(1)が、まず意義についてですけれども、まず、オフィスの設置に当たって、徳島県から様々な支援がなされ、オフィスの物的人的体制の整備やプロジェクトの円滑な開始が可能となったという意義が認められるとしています。以下、具体例を記載しております。

次の「また」の段落ですが、実践的取組を普及する上で様々な関係者への働きかけが円滑に進められたという意義が認められるとしており、以下、代表的なものなどを踏まえて例示しております。

その次の「さらに」の段落ですが、実証フィールドでの調査・研究を進める過程で、調査対象者を確保するための関係者の協力が得られやすくなったこと、徳島県の学術機関や有識者との連携が円滑に行えたこと、及び、集中的に調査・研究を実施できたことといった意義も認められるとして、同じく例示しております。

11ページ、2段落目ですが、「以上を踏まえると」ということで、オフィスは、実践的取組や実証的な調査・研究の拠点として機能したと言えるとしています。

そして、これらの意義が発揮されたことには、知事の強いリーダーシップの下、徳島県や様々な関係者の積極的な協力が得られたことが大きく寄与しているとしています。

(2)徳島県で行う上での課題ですが、消費者庁からは、アクセスの面ですとか、東京の様子や状況がわかりにくいことなどの課題が指摘されているということです。

「また」ですが、今後徳島県内での新たな取組を実施する場合には、当該取組に関する有用な人材や組織が県外に存在する場合に、その協力が得られるかも課題であるとしています。

第3からが、「国民生活センターの取組について」ですが、ここに記載しておりますとおり、同じく具体的な内容等は一覧のとおりでして、ここでは取組全体についての検証結果を報告するパートとしています。

12ページ以下で、まず1.研修事業についてですが、初めの段落で、研修事業については、主として関西、中国・四国地域の対象者を中心とした研修及び徳島独自の研修が実施されています。

まず、この関西、中国・四国の対象者を中心とした研修についてですが、国民生活センターの相模原事務所で開催された場合よりも移動の負担が軽減された受講者もあり、そのような受講者にとっての研修機会の確保に資するものと言えるとしています。以下、その参加者の数などを記載しております。

「次に」の段落ですけれども、徳島独自の研修については、オリジナル研修として徳島県内の大学の研究者が客員研究員となって企画・プログラムの作成の主導的立場や講師を担ったものと、徳島の要素を取り入れた研修として、研修内容に消費者庁のプロジェクトの取組内容の方向を盛り込んだものや、相模原事務所での研修で消費者庁のプロジェクトに関わった有識者等を講師としたものなどが実施されているということです。以下、その際の定員充足率などを記載しております。

13ページ、このような取組は、徳島県内の有識者や消費者庁の取組から得られた成果を活用し、消費者分野に取り組む人材の育成に資する研修内容を提供するものと言えるし、消費者庁と国民生活センターの各取組を有機的に連携させるモデルを提示するものと言えるとしています。

「そして」の段落ですが、研修の実施に当たっては、徳島県・鳴門市の積極的な協力により、受講者用の無料送迎タクシーの手配等の受講者の利便性向上に向けた取組が実施されているとしています。

「もっとも」以下ですが、まず、受講者数については、1講座当たりの平均受講者数、定員充足率及び都道府県別1講座当たりの受講者数について、徳島県内で実施されたものは、相模原事務所や他の地域で開催されたものと比べると、かなり低い数値になっているということを指摘しています。

また、関西、中国・四国地域の対象者を想定しているにもかかわらず、都道府県別1講座当たりの受講者数を比較すると、徳島県内の会場について、平成29年度及び平成30年の双方あるいは一方が相模原事務所の場合と比べて少ない地域があったということや、徳島県の受講者数が減少していること、また、地方公共団体におけるアンケート回答などによると、最後の行ですが、徳島県内の会場までの移動の負担の重さが研修への派遣の障害となっている地方公共団体が多いことや、徳島県で実施する研修を期待する受講者及び徳島県内の会場を希望する受講者の割合が共に少ないことが分かるとしています。

14ページ、第2段落で、次に、効率的な運営の観点についてですが、国民生活センターからは、この点についても課題が指摘されていまして、最後から3行目ですが、このような指摘からすると、適切な講師を全国から手配すること等に当たっては、国民生活センターの本部で進めるほうが効率的と考えられるとしています。

次の段落ですが、研修内容の充実の観点からは、今後も徳島県での研修の実施を継続する場合に、アクセス面との関係から、各テーマに適した講師を確保できるかが課題であるとしています。

最後に、「以上を踏まえると」の段落が小括ですが、研修事業についての徳島県での取組は、徳島県において研修を実施することについて一定のニーズがあること等を明らかにしたものの、受講者数、運営の効率性及び研修内容の充実性について課題があり、特に受講者数との関係では成果として不十分と言わざるを得ない、したがって、今後も徳島県において研修事業を継続する場合には、研修事業全体の効果的かつ効率的な運営のために、受講者・講師の利便性及び全国各地での研修の充実、これは国民生活センターが地域で研修を実施することのほか、地方公共団体が開催する研修を国民生活センターが支援することも含みますが、これらも踏まえ、徳島県で実施する研修の内容、実施場所、実施体制・方法及び実施回数等の見直しが必要であるとしています。

2.からが商品テストについてですが、これは徳島県を実証フィールドとして、平成29年度は「地震による転倒防止策」、平成30年度は「錠剤、カプセル状の健康食品の品質等に関する実態調査」がそれぞれ実施されているということで、例えば「地震による転倒防止策」では、徳島県や徳島県消費者協会の協力の下、徳島県内のモニター家庭100世帯を確保したことで、利用実態を詳細に把握し、地域に即した問題状況を把握することを可能にしたものだとしています。

次の「もっとも」の段落ですが、実証フィールド調査の日程調整や事務作業はオフィスの人員で実施し、インターネットによるアンケート調査や実証フィールド調査をオフィスの人員と相模原事務所の人員との共同で、プレテストや本試験は徳島県外の試験機関でなどのように、徳島県内で全工程が完結しないことから、国民生活センターの商品テスト全体の効率的な運用への影響が懸念されるとしています。

16ページ、2段落目ですが、「また」ということで、国民生活センターの商品テストは全般的に実証フィールドを必要としないものが多く、徳島県を実証フィールドとして活用することが必要な商品テストは限定されるとしています。

「加えて」ということで、その調査結果には、地域的特性が影響し得ることから、国及び全国の地方公共団体における消費者行政の施策において参考とするためには、大都市圏等の別の地方などで調査した結果との比較などによりその影響を是正する必要があるとしています。

その次の「以上を踏まえると」の段落が小括ですが、商品テストについての徳島県での取組は、徳島県を実証フィールドとして活用できるテーマがあることを明らかにしたものの、実証フィールドの活用が必要なテーマが限定的であること、調査結果の地域的特性の影響の是正が必要であること、及び、商品テスト全体の効率的な運用への影響が懸念されることといった課題がある。したがって、商品テスト全体の効果的かつ効率的な運営のために、今後もオフィスに商品テストのための人員を常駐させ続けることの必要性の検討も含め、徳島県では必要が生じた都度実証フィールド調査等を実施する方法によることも視野に入れた見直しを行うことが必要であるとしています。

その下の「おわりに」からがまとめになりますが、まず1.ですが、消費者庁の徳島県での取組は、本報告書作成時点で、全体として見たときには、今後、国及び全国の地方公共団体における消費者行政に展開・活用できる可能性を有する成果を上げているという意味で、消費者行政の進化に寄与するものと言えるとしています。

「すなわち」以下でこれまでのまとめを記載しておりまして、17ページ、3段落目の「そして」の段落ですが、これらの成果が得られた過程では、徳島県及びその周辺地域の地方公共団体、消費者団体、事業者及び事業者団体等の民間組織、並びに、県民等の積極的な協力を得たことが大きく寄与したとしています。

「もっとも」ですが、本報告書を作成した時点においては、国及び全国の地方公共団体における消費者行政への展開・活用に向けた具体的な取組が開始される段階にまで至っていないプロジェクトもあるため、今後、そのような具体的な取組を実施していくことが重要である。特に「全国展開を見据えたモデルプロジェクト」の成果については、消費者庁において、本報告書の指摘内容も踏まえながら、可及的速やかに全国展開に向けた工程を示し、順次実行していくことが求められるとしています。

「また」で、消費者庁において、今後徳島県で行われている各プロジェクト等について、政策課題やプロジェクト等の選定、プロジェクト等の目的・目標の設定、プロジェクト等の実施方法、これは東京の消費者庁との関係及び徳島県やその周辺地域の地方公共団体、民間団体等との連携方法なども含みますが、並びに、国及び全国の地方公共団体の消費者行政への展開・活用までの過程を点検し、成果に結びついた要素や課題となる要素を抽出するなどして、本報告書で指摘した内容等も踏まえながら、今後の取組やオフィスの在り方を検討することも重要であるとしています。

そして、消費者庁が以上の各事項を実行する上では、中央組織としての東京の消費者庁の各既存の体制・機能を強化していくことが必要となると考えられ、その場合には対応を検討すべきであるとしています。

2.が、国民生活センターについてでして、国民生活センターの徳島県での取組については、研修事業において徳島県において研修を実施することについて一定のニーズがあること等を明らかにしたことや、商品テストにおいて徳島県を実証フィールドとして活用できることを明らかにしたことなどの点で、消費者行政の進化に寄与するものと言えるとしています。

もっとも、研修事業については、受講者数、運営の効率性及び研修内容の充実性について課題があり、特に受講者数との関係では成果として不十分といわざるを得ず、また、商品テストについては、実証フィールドの活用が必要なテーマが限定的であること、調査結果の地域的特性の影響の是正が必要であること、及び、商品テスト全体の効率的な運用への影響が懸念されることといった課題があるため、それぞれ既述のとおり見直しが必要である、そして、全国各地での研修の充実等を踏まえた見直し及び調査結果への地域的特性の影響の是正などを行うに当たっては、東京・相模原の国民生活センターの各既存の体制・機能を強化していくことが必要になると考えられ、その場合には対応を検討すべきであるとしています。

3.は、オフィスの設置をきっかけにして、消費者庁及び国民生活センターにより地域に密着したフィールドで消費者政策が展開され、その取組や成果を第三者的立場に立つ消費者委員会が検証するという政策推進の一つのモデルが構築されたことにも意義があったと言えるとしています。

これを踏まえると、消費者委員会において、今後も、オフィスにおける消費者庁及び国民生活センターの取組の状況、並びに、それらの取組の成果の国及び全国の地方公共団体の消費者行政への展開・活用の状況等を注視することが重要であるとしています。

最後に、4.で、今回の取組にとって得られた成果・課題を活用して、今後、消費者行政が進化、発展していくことを期待したいとしています。

以上が本文の部分でして、20ページ以下が、先ほど御説明した別紙になっておりまして、例えば、21ページを見ていただきますと、若年者向け消費者教育の取組についてですが、上から「政策課題」「取組の目的」「取組の目標」「主な対象」「予算」「主な実施状況」、右のページで「主な成果等」「全国展開への状況」「参考情報」「検証過程における主な議論」などをプロジェクトごとに記載しております。

注意書きが20ページにありますけれども、これは専門調査会の検証過程におけるヒアリング内容等の分析結果及び委員・オブザーバーによる議論内容のそれぞれ主なものを、個別の取組ごとに整理したものでありまして、「政策課題」欄ないし「参考情報」欄の記載内容は、第9回消費者行政新未来創造プロジェクト検証専門調査会までのヒアリング内容、並びに、その後消費者庁などから提供を受けた平成31年4月末時点までの情報に基づき記載しております。

最後の段落ですが、「検証過程における主な議論」欄の記載内容は、本専門調査会の検証の過程におけるその都度の委員・オブザーバーの議論内容を整理し直して記載したものであり、必ずしもその後の事実関係の変化等を反映しているものではないというものです。

このような形で、委員・オブザーバーの皆様のこれまでの議論内容をまとめさせていただきました。

事務局からの説明は以上です。

○樋口座長 ありがとうございました。

それでは、ただいまの事務局からの説明を踏まえまして、御質問、御意見のある方は、御発言をお願いいたします。

野々山委員、お願いします。

○野々山委員 質問は特にありません。私自身はこの報告書の内容で特に違和感はありませんし、この内容で結構かと思っております。ただ、幾つか感想がありますので、述べさせていただきます。

一つは、我々のこの検討は、3ページにありますように、その検証の視点は、消費者行政の進化として4つの観点を示していったわけであります。その中で、マル1、マル2、マル4は一定の成果があると私も考えておりますが、消費者庁の取組の中では、マル3の「各取組の成果が国及び全国の地方公共団体の消費者行政に実際に展開・活用されているか」という観点では、やはり緒についたばかりだという思いが非常にいたしております。これがこれからの本当に大きな課題であるし、これが十分実施できていくことが本当に重要な問題だと思っております。

このマル3の観点である全国的な展開が十分できていくということにつきましては、個人的には2つの意味で重要だと考えております。一つは、この報告書でも指摘されておりますけれども、全国展開が本来のオフィスの設置の目的であります。それを達成していくという意味で非常に重要だと思っております。もう一つ、純粋に個人的なことでありますけれども、この全国展開が今後うまく構築して、一定の成果が上がってくることになれば、徳島と条件の異なるフィールド、異なる地域でもう一つこのような実証フィールドを作っていくことにもつながるのではないかと思っております。これはこれらの実証の成果が更に深まるという意味もありますし、更には、地方創生の観点からも意味があるのではないかと思っておる次第であります。そういう意味で、今後の消費者庁の全国展開の取組については、期待をしております。

一方、国民生活センターの研修、商品テストにつきましては、この報告書でも指摘をさせていただいておりますが、徳島で実施することについては、13ページから16ページに書かれているような課題が幾つかあります。全国の消費者行政の進化の観点から、国民生活センターの研修及び商品テストを実施していく、それを充実・効率化させることにつきましては、今後の工夫や見直しが必要ではないかと思っております。

以上であります。

○樋口座長 ありがとうございました。

他にいかがでしょうか。

遠山委員、お願いいたします。

○遠山委員 遠山です。

言葉の使い方の問題で、私の考え過ぎかもしれないのですが、皆様の御意見をお伺いしたいと思います。

何カ所かに「地域的特性の影響の是正」という言葉が使われているのですけれども、どうしてもこの「是正」という言葉が少し強いような気がして、不当条項を是正するとかというような、何か悪いものを正しくするみたいな感じがするのです。地域バイアスというのはどこにでもあるので何も悪いものではなくて、それを実際は「修正して考える」とか、あるいは、事務局が先ほどおっしゃったように「影響を考慮する」と置き換えた方がより軟らかな感じがしていいような気がするのですが、これは私の感想にすぎませんので、よろしくお願いいたします。

以上です。

○樋口座長 ただいまのところはいかがでしょうか。事務局から何か説明はありますか。

○事務局担当者 特にございません。委員の皆様で御検討いただければと思います。

○樋口座長 いかがでしょうか。

では、この点については遠山委員から御指摘がありましたので、表現については事務局とも相談して見直しをしたいと思います。

他にいかがでしょうか。

新川座長代理、お願いします。

○新川座長代理 私もこの報告書の内容について、特に現在の時点では十分な内容ではないかと思っておりますので、それを前提にしてでありますが、今回の検証のプロセスを通じて、この検証の結果、徳島オフィスの持っております拠点としての意義を改めて確認をさせていただいた。同時に、その当初の目的ということについては、先ほど来、報告書の内容やあるいは各委員からのお話にもありましたように、様々な課題、問題もあったということでお話をいただいております。

当調査会の役割ということからすればここまでということになるのだろうと思っておりますが、同時に、少しその範囲を超えてこの問題を考えていく必要があるのではないかということで、一言申し上げさせていただきたいと思っております。

消費者行政それ自体の在りようといったこと、これについても少しだけ報告の中で触れさせていただいてございますけれども、そもそも、この消費者行政それ自体の権限や財源あるいは組織や体制、この辺りの問題に関わるところというのが、結局のところ、今回のオフィスの目的を達成していく上でも大いに関係があった、影響があったのではないかと認識しております。そういう点では、実はそうした消費者行政全体のシステム、仕組みそのものについて、もう少し立ち入った検討が今後は必要なのではないかと考えているところもございました。もちろん、私どもの今回の調査検討の範囲内ではございませんけれども、今回の検証を通じてそうしたことを感じたということでもありました。

その際、特に消費者行政それ自体の権限や、あるいはそれをしっかりと行使をしていくための資源といったところについては、もう一度その基本的なところから考え直していく必要があるのではないかということ、とりわけ今回のように拠点を設けて、そして、それとの関係でより良い成果を上げていこうとなったときに、例えば東京と徳島のオフィスとの権限関係や、あるいは役割分担、そうしたところが果たしてその趣旨、目的からして適切であったのかどうかといったところの検討が本来は必要だったのかもしれないなどとも考えております。全国展開の課題が大きく挙がってきておりますが、ここのところでは、こうした消費者行政についての国と地方公共団体との役割分担や機能配分、そうしたところを更に促進するための国と地方との連携や協力の方策、あるいは、その具体的な手順、そうしたところについての検討が本当は必要だったのかもしれないと感じているところがありました。

これはあくまでも屋上屋のような話になるかもしれませんし、場合によっては、余計なお世話ということになるのかもしれませんが、そうした印象を、今回報告を出させていただくプロセスで感じたということで、一言申し上げさせていただきました。

以上です。

○樋口座長 ありがとうございました。

他にいかがでしょうか。

大森委員から、お願いいたします。

○大森委員 非常に分かりやすくまとめていただいて、良かったと思います。

私も本来、東京だけだったら、こんなに成年年齢引下げの対応もスムーズにいっていなかったと思います。東京では基本計画とか、国会の対応とか、各省庁とのやり取りとか、通常、定例的に行われていることが多いので、やらなければいけないけれども、じっくり取り組めない内容について、このオフィスの働きが大変大きかったのではないかと思います。

今後なのですけれども、徳島がフィールドに適さないようなこともあったということで、オフィスが主導的にするにしても、全国にいろいろな適格消費者団体などがいるので、場合によっては、そこに委託するような形で事業を展開することもできるのではないかと考えています。

あと、このモデルプロジェクトで、今回いろいろなことをされたのですけれども、全国的に見ると、私は既に実施されているような内容の焼き直し的なものも含まれたという気がしているので、そういうものを展開する場合に先行事例などを十分調査して、それを取り込んでもっと大きな提案ができるような形に、今後は計画的により発展的に取り組んでいただけるといいかなと思いました。感想です。

○樋口座長 ありがとうございました。

野口委員、お願いいたします。

○野口委員 まず、これまでに本当に様々なヒアリング、それから、調査の機会をいただいて、委員の皆様の議論にはいろいろと難しい内容もあったかと思うのですけれども、このような形で報告書におまとめをいただいたことにつきまして、樋口座長、それから、御参加の委員の皆様と事務局の皆様方に御礼をお伝えしたいと思います。本当にありがとうございました。よくまとまったなというのが正直な印象です。

私からは、私の専門と関わる観点から2点ほど感想、コメントを述べさせていただきたいと思います。

1点目は、行政というのは本当にいろいろな分野の行政がある中、消費者行政というのは、非常に捉えどころの難しい行政分野であろうと思うのです。その一つの大きな理由は、消費者という人間を対象にする行政分野であるということで、必然、そこに関わる人間とか組織も多様で、いろいろな方々が携わってくるということになり、行政の手法としてみても、いわゆるソフト手法、つまり、権力的な手法ではない手法、知識・経験の蓄積、醸成、発展、展開のための手法を講じるという難しいところを対象にしていかなければならないという行政分野であると思うのです。このような分野での行政の進化をどのように議論するのかということを、この一連の検証の過程で私自身、委員の皆様の御意見を伺いながら勉強させていただいたと思っております。徳島でプロジェクトをなさるというのは、今申しましたような消費者行政の特性とマッチしていたのかなというのが、いろいろな行政分野と比較したときに一つ言えることなのではないかと思いました。

もう一つは、やや抽象的な話になりますけれども、今回は検証の委員会ということで、行政法では、行政評価という言葉に近い作業であったかと思います。これまで評価が重要だ、重要だと言われて、私自身もいろいろな施策の評価のお仕事に携わらせていただいたことがあるのですけれども、今回の評価の特徴は、ある一定期間、決して短くはない期間にわたって、大きくはありますけれども一つのプロジェクトについて、いろいろな側面から検証をさせていただいたというのが、大きな特徴であり、我々の仕事の特性と言えるものだったのではないかという感想を持っております。

報告書の17ページに、今後もプロジェクトを検証していくことが重要と書いていただいております。根拠となるデータがあるわけではないのですけれども、恐らく、今回こういう形でプロジェクトを検証する専門調査会が走ったこと自体が、徳島で、又はそれぞれの主体で行われている消費者行政の進化に寄与した部分は非常に大きいものがあったのではないか、つまり、検証の機会があればこその消費者行政の進化や発展というものもあったのではないかと感じておりまして、この意味において、今回の検証作業そのものが、行政評価の新しい形というか、重要性を示すものになっているのではないかと思いました。

以上です。

○樋口座長 ありがとうございます。

他にいかがでしょうか。

萩原委員、お願いいたします。

○萩原委員 この調査会のメンバーに入れていただいたことによって、徳島に何度も行かせていただきました。現地に行って、そこで活動されている方たちと、あるいはオフィスで仕事をされている方たちと一緒に議論をすることの大切さを改めて実感いたしました。徳島だからこその特徴も実感することができました。全国に展開していく際のヒントもいろいろあったなというのが、今回の報告書の中からも分かりました。

私は文部科学省で消費者教育を推進する仕事もしておりますので、今後どういった形で多様な主体が連携・協働しながら、消費者市民社会を作っていくのかといった点でも、今回の検証というのは、今後に大きな影響を与えるものと思っております。

働き方改革も含めて非常にいい成果が上がっているのではないかと思っております。今後に期待したいと思っています。

○樋口座長 ありがとうございます。

他にいかがでしょうか。

唯根委員、お願いします。

○唯根委員 ありがとうございます。

消費者団体として、徳島の皆様の活躍についても、この報告書の中で取り上げていただけて、有り難かったと思います。

この間の感想なのですけれども、国の機関である消費者庁の方々に直接地元の声を聞いていただいて、県の職員の方々にも協力していただいて、消費者行政の計画を実行に移すというこのプロジェクトの一つ一つが成果を上げ、その中で中央の役所では分からなかったいろいろな課題も随分見えてきたと思います。ただ、まだ見えてきた段階で、実際に他の地域でその課題をクリア出来るのか、プロジェクトを本当に広げられるのだろうかというところまでが、この報告書の中にもあるようにまだ結果や継続性について出ていないのが課題だと思っております。

そういう意味では、徳島は県民の皆さんの意欲もあり、消費者側も非常に参加意識が高かったと思いますし、それで実現できたところを中央の官僚の方々には是非しっかり理解していただいて、今後全国展開に地域住民の参加意欲を増すための記録として生かしていただきたいと思います。委員として貴重な体験をさせて頂き、ありがとうございました。

○樋口座長 ありがとうございました。

他にいかがでしょうか。

池本委員長代理、お願いします。

○池本委員長代理 池本でございます。

今回のこの報告書、検証の結果を消費者庁できちんと受けとめて、今後どのように進めていくかということで参考にしていただくという観点で、少し発言させていただきたいと思います。

まず、検証の視点のところで「全国展開を見据えたモデルプロジェクト」というのが10件ほどあるものについて、徳島県内でどれだけ成果が上がったのかというのと、それが全国展開の可能性があるものとして成果が上がったかということと、現実に全国展開を実施したかどうかという3段階あるというところが非常に重要です。それが後ろのところで、それぞれの段階ごとについて記述してあるのですが、特徴的な例は「社会への扉」を活用したことは非常に良かった、全国展開もある程度できているとありますが、実は後ろの21ページ以下の各プロジェクトのそれぞれで非常にばらつきがあるのだということは、丁寧に読み取っていただく必要があるのかなと思っています。

その意味で、私が一番関心を持って時々発言もさせていただいていた後ろの23ページ、24ページの見守りネットワークのことで言いますと、徳島オフィスと徳島県の職員が、県内の各市町村に直接出向いていって、そのネットワーク、消費者安全確保地域協議会の意義を説明して働きかけて、結果として24の市町村全部に協議会ができたということ、これは県内での成果としてすばらしいものだと思います。正にオフィスと県の連携の成果だと言っていいと思います。

それから、各市町村で設置するに当たっての工夫や苦労したことを事例集にまとめておられる。これも今後各地で設置しようかということを考え始めた市町村にとっては参考になるものという意味では、第2段階の全国展開の可能性のある成果も作り出していると言えると思います。

ただ、私は他の地域でこの消費者安全確保地域協議会のことで議論することがあるのですが、全国展開のための素材としては、もう一つ決定的に大事なものがまだ欠けていて、徳島では、オフィスと県がこれだけ一生懸命やったから各市町村が動き出したけれども、事例集は市町村の職員が作ろうかと意欲を持って動き出したときには参考になるけれども、実は全国的にはそもそもそこまでいっていない。むしろ、都道府県が市町村に対してどう働きかけるか、もちろん消費者庁が全部一緒に回ってくれるという条件は無いわけですから、そうすると、他の地域で、例えば北海道とか、兵庫とか、福岡とか、埼玉もそれなりに頑張っていますが、それぞれの都道府県が独自に頑張っている働きかけの仕方について、これはどちらかというと徳島オフィスよりは本庁がやることであると思うのですが、そういう素材がないと本当の全国展開にならない。

実はそういう趣旨のことが、この報告書で言うと7ページの全国展開の状況というところで、5ページ、6ページは、オフィスが何をしたか、あるいはオフィスと徳島県がどうしたかですが、この全国展開の状況のところにくると、消費者庁が徳島県での実践や実証結果の成果を分析して、どう全国に普及させていくかということが重要だと。むしろ徳島で成果が上がったことを全国に展開するという意味では、正に消費者庁本庁の役割がこれから重要になってくるということがその後ろに書いてあるところ、そこを再確認していく必要があるのだろうと思います。

以上です。

○樋口座長 よろしいでしょうか。ありがとうございます。

他にいかがでしょうか。

お願いします。

○池本委員長代理 もう一点、報告書で言いますと12ページ以下で、国民生活センターの研修のことがあります。研修事業は全国展開を見据えたプロジェクトというような性質のものとは違うので、書きぶりも違ってきています。ただ、例えば研修事業について言うと、12ページはどちらかというと徳島県における取組はどういう点が評価できるかというところですが、13ページの9行目以下の「もっとも」以下のところは、徳島における研修がどうだったかということと、全国での研修事業全体像の中でどう評価し、あるいは今後どうあるべきか。これも徳島での成果、全国の中での位置付けという二段構えで評価をしていかなければいけない。

その意味でいうと、この「もっとも」以下のところでは、徳島で送迎タクシーとか、いろいろ工夫していただいたけれども、相模原とか、あるいは他の地域での地域研修と比べても参加率が低かったということなどが出ています。この13ページの本文の一番下辺りでもそういう移動の負担の重さなどが障害になっているということが記述されていますし、実は後ろの51ページ、52ページの研修事業についての記述の中でも、先ほどの前の方の本文では取り上げていませんが、例えば「主な成果等」という中には、ポツの4つ目ですね。研修受講者のアンケートの中では、やはり移動の負担のことなのでしょうか。そのようなところで、期待するというよりは、それほど期待がされていない方が多かったとか、そのような実情がありました。その意味では、全国におけるこの研修体制全体の中で、徳島で今後どの程度実施し、あるいは全国の中の配分をどうするかということも考えながら、今後の展開を位置付けていく必要があるのだろうと思います。

以上です。

○樋口座長 ありがとうございました。

他によろしいでしょうか。

野々山委員、お願いします。

○野々山委員 この報告書の検討からは若干外れることになるのかもしれませんが、私どもの検討は、まち・ひと・しごと創生本部の平成28年9月1日付の決定から端を発して、これを検討してきたという経過があるかと思います。

その過程の中で、この報告書にも引用されておりますけれども、2ページに「これまで行ってきた迅速な対応を要する業務、対外調整プロセスが重要な業務(国会対応、危機管理、法執行、司令塔機能、制度整備等)は東京で行う」と決定し、そして、徳島では実証フィールドとして研究等を行うという位置付けになって取り組まれてきて、一つのモデルとしてそれを実行し、私どもが検証したということであります。今後も東京で行う業務を前提として、これと地方で行う実証フィールドというものをどうバランスよく位置付けていくかということを、それをどう効率的に連絡をし合ってやっていくかということも重要な課題だと思っておりますので、その点を付け加えさせていただきます。

以上です。

○樋口座長 ありがとうございます。

よろしいでしょうか。

それでは、報告書素案については、本日皆様からいただいた御意見を踏まえまして、1点修正の御意見がございましたので、そういった点も踏まえまして、取りまとめたいと思っております。

字句の部分ですが、修正については、これ以外にも形式的な字句修正を含めまして、恐縮ですが、座長である私に御一任いただいてよろしいでしょうか。

(「はい」と声あり)

○樋口座長 ありがとうございます。

それでは、私の方で原案を再点検し、修正すべき点があれば修正をした上で、消費者委員会の本会議に報告することといたします。

また、報告書の概要については、消費者委員会事務局で適宜修正等を行いまして、報告書と併せて本会議に報告することといたします。

では、検証を終えるに当たりまして、私からも最後に一言申し上げたいと思います。

平成29年11月に本専門調査会が発足いたしまして、たしか平成29年12月から本格的な活動、委員会の審議が始まったということだと思います。これまでに10回の会議を重ねてまいりました。この報告書自体につきましては、委員の皆様からも具体的な御指摘、あるいはこの報告書を含めた今後の在り方についてもいろいろ御指摘をいただきましたので、私からあえて付け加えることは余りないのですが、そもそもこの新未来創造プロジェクトというのは、政府の行政の中でも極めてユニークな、恐らくはですが、余り前例のないような新しい形のものであると私自身は思っております。

そういう中で、委員の皆様からも御指摘がありましたが、この報告書の、あるいは専門調査会の与えられた範囲を含めて、消費者行政について非常に大きな姿が正に見えてきたのではないか。例えば、国と地方との関係についても、私どももいろいろ議論の過程で気づいた点があるのではないかと思っています。そういう意味では、委員の方からも御指摘がありましたが、行政評価の新しい形ということについても私も同感でございます。

いずれにしましても、今回こういう形で報告書をまとめることができましたので、これを一つのステップとして、消費者行政全体についても、今後とも引き続き皆様と一緒に考えていくことができればと思っております。

私の感想は以上でございます。

本日の予定しております議事は、以上でございます。


≪3.閉会≫

○樋口座長 最後に、事務局から事務連絡をお願いいたします。

○坂田参事官 本日も長時間にわたりまして、大変熱心な御議論をいただきまして、誠にありがとうございました。

本日の取りまとめを踏まえました本会議の日程につきましては、改めて御連絡をさせていただきます。

最後に、事務局長から一言御礼申し上げます。

○二之宮事務局長 本日の報告書素案の取りまとめまでの間、座長及び委員の皆様には多大な御協力をいただきましたことを、改めて感謝申し上げます。大変ありがとうございました。

なお、徳島県危機管理部長の折野好信様から専門調査会の委員の皆様に御挨拶のお申し出を受けておりますので、一言いただきたいと思います。

○徳島県危機管理部折野部長 ありがとうございます。徳島県危機管理部長の折野でございます。

本県におきましては、消費者行政新未来創造オフィスの開設が決定して以降、県内の消費者団体、市町村、事業者など、県民が一丸となって、このオフィスが行うプロジェクト支援をさせていただいております。

特に、プロジェクトを開始するときから、実際に消費者、市民、市町村、関係団体の方に御参画をいただき、共にプロジェクトを作り上げるスタイルをとらせていただいておりますので、施策の効果的な進め方や課題についての現場の生の声や実情を、消費者庁に御提供できたのではないかと考えております。

また、プロジェクトの成果につきましても、四国知事会や関西広域連合、中四国サミット、さらには、全国知事会など、地方公共団体が持つネットワークを活用することで、全国展開のサポートをさせていただいております。

県といたしましては、消費者庁と国民生活センターの本県での取組は、消費者行政の進化や地方創生に大きな意義があるものと考えておりまして、引き続きオフィスの取組をサポートしていきたいと考えているところでございます。

今後とも消費者目線、現場主義の施策展開につながります、今回の取組を更に推進していただきまして、全国の消費者行政の一層の進化を図っていただくとともに、行き過ぎた東京一極集中を是正するための政府関係機関の地方移転の推進に対する御協力と御理解を賜りますよう、どうかよろしくお願い申し上げます。

結びになりますけれども、委員の皆様方の今後ますますの御活躍を祈念申し上げまして、御挨拶とさせていただきます。

○坂田参事官 折野部長、大変ありがとうございました。通信環境が滞りまして、誠に失礼いたしました。ありがとうございました。

○徳島県危機管理部折野部長 ありがとうございました。

○樋口座長 それでは、これにて閉会といたします。

折野部長の御発言については、きちんと議事録に記録をしまして、全員で肝に銘じたいと思います。失礼いたしました。

では、お忙しいところをお集まりいただきまして、ありがとうございました。

(以上)