第13回 オンラインプラットフォームにおける取引の在り方に関する専門調査会 議事録

日時

2019年2月28日(木)14:59~18:27

場所

消費者委員会会議室
東京都千代田区霞が関3-1-1 (中央合同庁舎第4号館8階)

出席者

【専門委員】
中田座長、早川座長代理、生貝委員、石原委員、大谷委員、片岡委員、上村委員、西村委員、畠委員、原田委員、前田委員、森委員
【消費者委員会担当委員】
池本委員長代理、大森委員、蟹瀬委員、鹿野委員、樋口委員、増田委員
【オブザーバー】
カライスコス京都大学准教授
【事務局】
二之宮事務局長、福島審議官、坂田参事官、友行企画官、消費者委員会事務局担当者

議事次第

  1. 開会
  2. 取りまとめに向けた検討について
  3. 閉会

配布資料 (資料は全てPDF形式となります。)

≪1.開会≫

○中田座長 それでは、時間になりましたので。

本日は、お忙しいところ、お集まりいただき、ありがとうございます。

ただいまから、第13回「オンラインプラットフォームにおける取引の在り方に関する専門調査会」を開催いたします。

本日は、所用により、大橋委員、沖野委員、山本委員が御欠席になっております。

遅れて来られる委員の方もおられますが、先に進めさせていただきます。

資料については、議事次第の配布資料の一覧のとおりでございます。もし不足等がございましたら、事務局までお願いいたします。


≪2.取りまとめに向けた検討について≫

○中田座長 本日の議題は「取りまとめに向けた検討について」になっております。

この間、海外の動向についても幾つかの御報告をいただき、調査してきたところですが、最近の動向につきまして、カライスコス京都大学准教授から御報告いただけるチャンスを得ましたので、今回、お時間をぜひいただきたいと思います。

この後、報告書の素案についての討議がございますので、カライスコス先生には非常に申し訳ないのですが、資料1-1から1-3について15分程度でお話しいただくことでお願いしております。その後、5分程度、事実確認レベルになるかもしれませんが、質疑の時間をいただくことにします。

それでは、早速ですが、京都大学准教授のカライスコス先生にお話しいただきたいと思います。よろしくお願いします。

○カライスコス京都大学准教授 報告の機会をいただき、ありがとうございます。

時間が限られていますので、要点のみ簡単に報告をさせていただきたいと思います。

まず、資料1-1ですが、日本では「欧州消費者機構」と呼ばれているBEUCという団体による意見書が公表されましたので、その概要を御紹介したいと思います。

まず、この機構の概要ですが、1ページの1にあるように、1962年に設立され、ブリュッセルに拠点を置いています。32のヨーロッパ諸国からの43の消費者団体をその傘下に置いています。中には、資料で例示しているように、フランスのUFC‐Que ChoisirやドイツのVerbraucherzentrale Bundesverbandのように広く知られている団体もその傘下にあります。同機構は、一般的に、「ヨーロッパにおける消費者の声」として機能していることをうたっています。また、EUからの資金援助を受けており、資料に記載されているように、2017年の収入は約6億1500万円でしたが、そのうちの約50%がEUからの運営費補助や公募による委託プロジェクトからのものとなっていました。

「2 意見書の概観」に入りますが、昨年10月2日に公表されたもので、そのタイトルは「プラットフォーム経済における消費者保護の確保に向けて」となっています。2ページに進みますが、この意見書を公表した背景には、この調査会でも報告のあった消費者のためのニューディールやプラットフォームと事業者との関係に関する規則提案などといったEUでの展開を受けて、機構が消費者保護の観点から不足している点などを明らかにしたものとなっています。

まず、「(1)政策提案」に記載されているものが意見書で行われている主な政策提案で、その内容は次のとおりです。①透明性が必要であること。②不当条項に対処する必要があること。ここでいう不当条項とは、オンラインプラットフォームによって用いられているものになります。③消費者がそのデータと引き換えにサービスにアクセスするような場合にも同じような保護を受けなければならないこと。④プラットフォームの責任に関する新たなルールが必要であること。⑤オンラインプラットフォームでの新たな価格設定技術に対応する必要があること。⑥幅広い支払方法が消費者に提供されなければならないこと。⑦ユーザー・レビューに関する透明性などが保証されなければならないこと。⑧GDPRについては日本でも照会されていますが、その執行を強力なものとしなければならないことに加えて、より意欲的な内容のeプライバシー規則が必要であること。⑨eIDASに準拠した本人確認メカニズムが必要であること。⑩単に消費者保護だけではなくて競争の促進も必要であるということで、競争法を厳格にエンフォースメントする必要があるということ。⑪この調査会でも紹介のあったEU規則提案を通じて、新たなルールの策定が必要だということ。現行のその内容に追加的なルールが提案されています。⑫フェイク・ニュースの問題に対処する必要があること。

3ページの3に入りますが、「(1)透明性と情報提供義務」の1つ目の黒丸のところですが、オンラインプラットフォームがこのような情報を消費者に対して明確に開示することを求めています。その中には、例えば、この調査会でも議論された、ユーザーの法的地位、つまりユーザーが消費者なのか、事業者なのかなどについても情報提供をしなければならないことを例示しています。また、その下のところですが、ニューディールでは、ブッシュ先生からも報告のあったように、そのようなルールが提案されてはいますが、その効果や救済措置については提案がされていないので、そのような提案も必要なのではないかということが述べられています。その次の黒丸ですが、アルゴリズムについて、同じくこの調査会で報告のあったように、EUではその主なパラメーターについて開示するべきことが提案されていますが、それだけではなくて、更に加えてそれぞれのパラメーターの相対的な重要性についても開示する必要があるのではないのかということが記されています。さらに、真ん中のところですが、「個人別の価格設定」や「動的価格設定」がされているのか否かなどについても情報を提供するということで、完全な透明性を確保するべきだと主張されています。

「(2)不当な契約条項」については、オンラインプラットフォームが一般的に用いているような不当条項については、それをブラックリスト化して、さらにインターネットの世界は進展が激しいので、それを定期的に更新しなければならないということが提案されています。条項の分かりやすさについては日本でも議論のあるところですが、(2)の2つ目の黒丸を御覧いただくと、具体的に分かりやすい色やフォントのサイズ、テキストの背景を用いて、特に強調しなければならないものもあることが書かれています。さらにその下ですが、長さについても最小限のものとし、最後の黒丸ですが、要約も提供しなければならない旨が主張されています。

(3)ですが、金銭ではなくてデータが対価となるような場合については、1つ目の黒丸ですが、同じように保護を受けなければならないことが提案されています。次のページのところですが、個人データと非個人データを特に区別する必要はないことが主張されており、機構が特に重視しているのが、事業者が消費者のデータを収集してそれによって収益を得ることについて情報提供をしなければならないということです。3つ目の黒丸ですが、その条項の不当性を判断する際には、消費者はそういうデータを提供しているのかも考慮されなければならないことが主張されています。最後の黒丸ですが、さらに、そのようなデータの提供があるのかということは重要な情報であり、既存の不公正取引方法指令などにも、それに合わせた修正をしなければならないことが提案されています。

(4)法的責任ですが、主に次の場合にはオンラインプラットフォームが責任を負うべきだということです。まず、第三者が供給者であることについて情報提供をしなかった場合には、自らそのかわりに契約当事者としての責任を負うことになるということです。このことについては既に欧州連合司法裁判所の関連する判決があるところですが、その考え方をオンラインプラットフォームに拡張するという提案になります。次は、ノーティス・アンド・テークダウンという考え方です。その次は、プラットフォーム自身が保証や表明を行った場合にも当然に責任を負うことになることで、最後は、ブッシュ先生からもお話のあった、「支配的な影響力」を基準とする考え方です。

「(5)個別の又は動的なオファーと結果」ですが、それに関する開示を行わなければならないことと、消費者に異議を申立てる権利を与えなければならないということです。

「(6)オンライン決済」ですが、複数の決済方法を提供しなければならないということと、その手数料が高価なものとなってはならないことに関する提案です。さらに、匿名の決済手段を選択することもできなければならないことと、取り扱いやすいものでなければならないということで、今日本でもよく議論されている、いわゆる「脆弱な消費者」が取り残されることがあってはならないということも明記されています。

「(7)ユーザー・レビュー」ですが、虚偽のレビューを除去したり、広告的な内容のコンテンツがそのようなものとして特定されなければならないことが提案されています。また、レビューの信憑性を確保するためにどのようなメカニズムを用いているのかなどについては透明でなければならないことについても提案が行われています。さらに、プラットフォームがレビューに対してどういうコントロールをしているのかなどについても情報を提供しなければならないことも提案されています。最後の黒丸は、この調査会でも議論のあったデータポータビリティーに関する主張です。

(8)データ保護のところは、GDPR関連なのですが、2つ目の黒丸が興味深いと思っております。これは、消費者が自らを継続的な商業的監視から保護することに関するもので一見すると若干分かりにくいのですが、消費者がオンラインでショッピングをするときに、オンラインプラットフォームがその動向などを収集してターゲティング広告などを行うことも含まれています。これについては、さらに、既存のeプライバシー規則をより意欲的なものとして採択するべきであるということが主張されています。

「(9)電子的本人確認」については、eIDASに準拠したものを用いるべきであると主張されています。

(10)においては、競争法的な側面も重視する必要があるということが提案されています。一番重要なのはおそらく3つ目の黒丸かと思いますが、オンラインプラットフォームがゲートキーパーとして機能しているような場合には、そのプラットフォームが競争者を排除したりするような行為がないのかを規律しなければならないという主張となっています。最後から2つ目の黒丸ですが、同じくアルゴリズムについての透明性であったり、企業の結託によって価格の調整が自動的に行われ、より高い価格へと導かれていないのかを監視しなければならないという主張です。

(11)では、クリックベイトやフィルター・バブルなど、あるいは虚偽の情報に対応するための提案などがされています。

この資料については、以上です。

資料1-2に移ります。タイトルにある「ACCC」は、オーストラリアの競争・消費者委員会のことで、同委員会によるデジタル・プラットフォームに関する調査について御紹介します。

オーストラリア政府は、2017年12月に、調査を行うよう指示をし、ACCCが昨年12月10日に中間報告書を公表しています。今、パブリックコメントを行っていて、2月15日が締め切りとなっており、今年の6月3日に最終報告書が公表される予定です。

中間報告書自体は非常に長いもので、378ページあるのですが、その第5章が「デジタル・プラットフォームと消費者」という項目となっています。この報告書の対象となっているのはFacebookやGoogleなどのオンラインプラットフォームであることがメディアで報道されていますが、内容としては全てのオンラインプラットフォームに該当するものとなっていますので、報告させていただきます。

1ページ目の下のほう、消費者に関する部分ですが、オンラインプラットフォームが時として金銭と引き換えとしてではなくてデータと引き換えにサービスを提供していて、消費者によって積極的に提供されているデータを超えてデータを収集することが可能であることが記されています。

また、プライバシーに関する認識は消費者によって異なるので、消費者に自分のデータに対する十分なコントロールが与えられなければならないことが提案されています。

次が、日本で言うところの格差ですが、不均衡性があることと相まって、ユーザー側が自己のデータを提供したりすることのコストを正確に評価できていないことが強調されています。

さらには、オンラインプラットフォームが、その利用規約等でいわゆるクリップ・ラップ契約を用いて、データの取扱いに対する消費者の同意を束ねる形で求めている場合が多いこと。つまり、消費者が個々の項目について同意を与えたり与えなかったりすることが困難である場合が存在するということが記されています。

次が、そのような同意プロセスが上述した不均衡性を更に深刻化しているため、場合によっては、ユーザーの同意があるものの、その同意が有意義なものではないということが記されています。消費者があまりよく分からずに同意を与えている場合もあるという問題が見られるということです。

あとは、プライバシー・ポリシー、先ほどの資料にもあった約款などの話ですが、長くて複雑で抽象的で読み進めるのが困難であることと、ポリシーごとに定義が異なったりするので消費者に混乱が生じるという話です。

その次が、消費者が一般的に位置追跡やターゲティング広告を目的とするオンライン追跡などを懸念しているにもかかわらず、オンラインプラットフォームが実際に用いているプライバシー・ポリシーを見ると、ほとんどにおいて、これらに対してユーザーが同意をするという形がとられているという問題です。

あとは、オンラインプラットフォームによっては、ユーザーに対して十分なコントロールの可能性を与えていると思わせながらも、中身を精査すると実際にはそうではない場合が多いことです。

その次が、オンラインプラットフォームが、心理的なバイアスや行動バイアスを利用して、消費者が自己のプライバシーを侵害する選択をするように仕向けている場合が見られることです。最後の2つは、オーストラリアに関する話ですのでここでは省略いたしますが、お読みいただければ幸いです。

3つ目の資料の「EUのODRプラットフォームについて」ですが、この調査会でODRに関する報告がありましたので、そこで紹介された情報に若干補足を行うという形で御紹介したいと思います。

1ページ目を見ていただくと、括弧の中に「個別的」と書いてあるのは集団訴訟を除くという趣旨ですが、EUレベルで消費者の紛争解決手段としては、ODR、ADR、ECC Network、少額訴訟手続があるということです。

2ページ目に進みますが、これらのうちODRプラットフォームについて簡単に御報告をしたいと思います。EUでは、ADR指令とODR規則が2013年に採択されていて、2016年2月からODRプラットフォームが運用されています。その地理的な適用範囲ですが、EU、ノルウェー、アイスランド、リヒテンシュタイン、つまりいわゆる欧州経済領域に適用があるもので、消費者と事業者に対して、オンライン購入について生じた紛争であれば、それをオンラインで解決する可能性を提供するものとなっています。

次のページですが、消費者がこの申立てを行った場合、加盟国が認証している機関にそれが送信され、その機関が紛争解決を支援するという仕組みです。EUでは全ての加盟国の言語が平等に取り扱われていますので、いずれの言語でも申立てが可能です。また、後に申し上げるように、紛争解決については期限が設定されています。

4ページに移ります。手続についてより詳細に御紹介します。まず、申立ての仕方です。私も実際にこのODRプラットフォームのウェブサイトにアクセスしてみましたが、特定の様式があり、そこに消費者が自分の氏名、事業者の名称やその購入に関する事実と苦情内容に関する情報を入力し、関連する書面であるインボイスや発注書などをアップロードすることができます。すぐに申立てを行うことも可能ですし、ドラフトとして保存することもできますが、データ保護などの問題があるため、6か月以内に申立てを行わなければ自動的に削除される仕組みとなっています。6か月までは保存が可能だということです。

2つ目のステップは、機関の選択ですが、事業者側は申立てに対してこのプラットフォームの手続を利用するのかを決めることができます。拒絶することも可能ですが、同意した場合には、事業者と消費者との間で30日以内に、紛争解決機関について合意をしなければなりません。この合意のプロセスですが、まずは事業者がこのプラットフォームを通じて消費者に1つ又は複数の機関の名称を送信し、消費者がそのうちの一つを選ぶか、あるいはいずれも選ばずに新たなリストの送信を求めることができます。

6ページですが、消費者がこのプラットフォームに登録やサインインをすること、アカウントを作成することも可能です。申し上げたように、機関の選択については30日間の期限が設けられているので、その間に合意に至らなかった場合には、もはやこのプラットフォームを通じて処理をすることが不可能となります。

7ページですが、紛争解決機関について合意に達した場合には、最初のステップで消費者が行った申立ての内容がその機関に送信されます。その後の流れについては場合分けがされていて、その機関がその紛争を取り扱うことができる場合にはアラートという形で消費者に通知が届きますし、できない場合にはその理由が通知されることになっています。これはどういうことかというと、いろいろな種類の紛争の種類があり、紛争解決機関も様々であることから、その種類の紛争を取り扱わない機関を誤って選ぶ可能性が残されており、そのような場合にはODRプラットフォームを通じた解決ができないことになります。そのような事態を避けるために、一番下の※印のところですが、ODRプラットフォームとは別にチェックリストのウェブサイトがありまして、消費者が申立てを行う前にそれを確認することが推奨されています。そのチェックリストを確認すれば、どのような機関がどういう紛争を取り扱うのかについても事前に知ることができる仕組みになっています。

8ページですが、消費者側だけではなくて事業者側も申立てをすることができますが、こちらは範囲がやや限られていて、消費者がベルギー、ドイツ、ルクセンブルク、ポーランドに在住する場合に限定されています。最後は、事業者がこのODRプラットフォームとの関連でどのような義務を負っているのかということです。1つ目は、ウェブサイト上に必ずEメールアドレスを掲載しなければならないということです。※印に書いてあるのは、外国でも日本でもよくある「コンタクトフォーム」のような、情報を入力して送信することを可能とし、事業者のEメールアドレスは特に掲載しないという形態ではいけないということです。必ずメールアドレスが掲載されていなければならないことです。あとは事業者のウェブサイト上にODRプラットフォームへのリンクを必ず張り付けていなければならないということで、※印にあるように、見やすくて容易にアクセスできるリンクでなければならないとされています。

以上、早口で申し訳ありませんが、報告を終わらせていただきます。

ありがとうございました。

○中田座長 ありがとうございました。

3つのパートに分かれていたわけですが、1つ目は、ヨーロッパでの消費者団体の統括団体がこの問題をどういうふうに取り上げて、どういうふうに見ているのかということが分かる意見書です。この意味で、我々の調査会にとっても参考になる部分があったのではないかと思います。

2つ目は、これはオーストラリアの競争・消費者委員会の意見書ということで、どのようにプラットフォームについての問題を捉えているか、どのような角度で見ているか、政策的な配慮もありながら問題点の分析が行われているということを御報告していただきました。

3つ目は、EUレベルでのこうした紛争解決手続についてですが、その内容を正確に把握するには消費者と事業者の間で具体的にどのような手続が行われるのか、また、その解決の実現可能性はどれぐらいあるのかを見ておくことが必要になります。こうした目的で、カライスコス先生にお願いして御報告をしていただきました。

時間は限られておりますが、何か内容について御質問や確認したい点はございませんでしょうか。

それでは、生貝委員、お願いします。

○生貝委員 カライスコス先生、大変に貴重な充実した御発表をありがとうございました。

全体、特に資料1-1や資料1-2を拝読いたしておりまして、少なくとも私のような観点からすると、まさしくこれがデジタル・プラットフォーム時代における消費者の保護というところであって、こういった緻密な検討がされていることは驚いた次第でございます。

逆に言いますと、特に個人データやアルゴリズムのかかわりを含め、私が1人で変なことを言っていたわけでは全くないことの意見をいただいたという気持ちにも少しなっているところでございまして、二重の意味で誠にありがとうございます。

その上で、まず、補足的なところが、個人的な感触というところで2つなのですけれども、まず、1つは、この報告書、つい最近、2018年、ヨーロッパで10月に出たところ、これでさえもGDPRで、例えば、プロファイリングに対する権利、あるいはデータポータビリティーの権利といったところ、日本から見ると、かなり進んだというか、新しいというか、そういったところをやってもまだなお足りない。そして、消費者ニューディールやプラットフォームビジネスの新しい規律の案を見ても、それでも足りないということを言っているわけであって、このことがまさにヨーロッパのやっていることの全てというわけではなくて、まさに既にやっていることとの兼ね合わせでこういったスタンダードでやっているという理解で見る形があるのだろうなということが一つでございます。

2つ目といたしましては、やるべきだと言っていることの中に、国内法レベルではそれなりに既に実施されている部分が相当程度ございます。EU法というのは、最低限の水準と言ったら怒られますけれども、あくまでも28カ国プラスアルファが合意できるところについて実施しているところであって、まさにここで書かれていることが既に実施されているところも少なからずあることが2つ目の私自身の考えていたところでございます。先生は全く御存じのことかと存じますけれども。

1個だけ質問という意味では、消費者保護というところに関して、非常に新しい技術的な要素あるいはまさに変わり続ける問題に対して、これだけ綿密・充実した検討が行われていることは、非常にいろいろな意味で体制など様々なものが必要かと思うのですけれども、例えば、こういったヨーロッパレベルでデジタル消費者保護に対応した何か専門組織のようなものがあったりした上でやっているのか、そういった組織面的なところについてもし御存じのところがあれば教えていただきたく存じます。

○カライスコス京都大学准教授 ありがとうございます。

現時点ではそのような専門組織の存在を把握できていませんが、本日御紹介した意見書等を拝読していると、先ほど先生がおっしゃられたように、加盟国内での展開から刺激を受けてEUレベルでの動きがあったという側面があるようです。BEUCに関する資料の1ページ目にあるような、フランス、ドイツ、イギリスなどの各国における団体が直面しているトラブルであったり、そのような団体が行った取組から更に一歩進めて、まさに先生が指摘されたように、ヨーロッパレベルで最小限のものを設けようとしているということです。私が認識できている限りでは、加盟各国の取組や対応などが一つの刺激やきっかけとなっているようです。

○生貝委員 ありがとうございます。

○中田座長 ありがとうございました。

そのほか、いかがでしょうか。 よろしいでしょうか。

では、次の討議の議題もございますので、このあたりで切り上げます。それでは、カライスコス先生、貴重な情報提供をどうもありがとうございました。

次に、本専門調査会の報告書の素案について議論してまいりたいと思います。

第5回に整理を行った論点項目に沿いながら、第6回以降にオンラインプラットフォームが介在する取引における消費者トラブルの現状とオンラインプラットフォーム事業者の取組、現行の規定等の整理をやってまいりました。また、その中で、役割分担の考え方の整理、オンラインプラットフォームが介在する取引におけるルール・仕組みの在り方、そういうものについても有識者からのヒアリングも踏まえながら議論を継続してきました。また、委員の皆様から、前回の専門調査会終了後に、討議資料に対する御意見等を提出していただきました。本日は、これらを踏まえまして、本専門調査会の議論の取りまとめに向けた検討を行っていきたいと考えております。

まず、進め方ですが、資料2を御覧ください。資料2は、本専門調査会の報告書の素案になっております。これは、これまでの議論や委員の皆様からの御意見を踏まえ、もちろん専門調査会で取り上げた報告の内容も踏まえてということですが、事務局と御相談しながら、できるだけそういった報告の内容、また、議論の内容、各委員の御意見を反映させた形で取りまとめたものであります。もちろん十分なものとなっているかどうかは御検討いただくということでありますが、そういった趣旨のものでございます。

資料3は、委員の皆様に事前に送付しました本専門調査会の報告書の素案に対する、皆様からいただきました主な御意見を集約させていただいたものです。その御意見を反映させた形で素案をつくることも考えてみたのですが、時間的にそれが可能ではなかったということもございまして、今日の議論の中で、まず、素案をお示しするとともに、委員の皆様から個別に御意見をお聞きして、それらをまとめた形で提案し、できるだけ議論の時間を有効に使おうということで、このような形にしております。御了承というか、御了解いただければありがたいと思います。

事務局から、まず、資料2の報告書素案の概要説明を項目ごとに行っていきたいと思います。これに対応する資料3の主な意見の一部を紹介しながら、その部分について各委員の皆様と意見交換を行っていきたいと考えております。そのような進行でよろしいでしょうか。

それでは、まず最初に、事務局から「はじめに」及び「第1 プラットフォームが介在する取引の拡大」につきまして、説明をお願いしたいと思います。

○友行企画官 それでは、お手元の資料2を御覧いただけますでしょうか。素案となっている報告書でございますけれども、1ページ目のところでございます。「はじめに」とございます。

こちらの最初のところでは、インターネット上のモールやマッチングサイト等のプラットフォームを介在する取引が拡大しているということでございまして、業者が非常に増えているといったところを記載しております。

また、消費者委員会が専門調査会で実施いたしましたアンケート調査の結果を踏まえまして、3割程度は何らかの消費者トラブルを経験したことがあるといった事実を述べております。

その次の段落ですけれども、こちらは第1回の専門調査会のときに提示いたしました問題意識でございます。プラットフォーム事業者が介在する取引におけるプラットフォーム事業者の役割や責任、CtoC取引における消費者としてのプラットフォーム利用者の役割や責任について明確なルールは設けられていないのではないかといった問題意識に立ちまして、そういったことを踏まえまして、次の段落でございますけれども、財・サービスの提供者、購入・利用者として安心して取引を利用することができるよう、必要なルールや仕組み、そのルールや仕組みを保っていくため、財・サービス提供者、購入・利用者、プラットフォーム事業者が果たすべき役割について検討を行ったものであるといった書き出しにしております。

この報告書の構成でございますけれども、第1のところでございますが、プラットフォームが介在する取引の拡大の状況について整理させていただいております。

第2でございますが、プラットフォームが介在する取引における消費者トラブルの状況とプラットフォーム事業者の取組について整理し、そこから見える特徴や、取引における課題等について考察したとしております。

第3では、プラットフォームが介在する取引において、現行において、提供者、消費者、プラットフォーム事業者それぞれに関連すると見られます規定等のうち、主なものを取り上げて整理させていただいております。

次のページでございますが、第4では、海外の動向につきまして、御報告のあった国・地域などにつきまして中心にまとめております。

第5でございますが、プラットフォームが介在する取引の特徴について整理したとさせていただいております。

最後の第6のところでございますが、プラットフォームが介在する取引につきまして、消費者が安心、安全に利用することができるよう、プラットフォーム事業者、財・サービス提供者、それらの購入・利用者等の役割につきまして、当専門調査会としての提言をまとめたという構成にさせていただいております。

中身に入りますが、3ページ目でございます。

「第1 プラットフォームが介在する取引の拡大」でございますが、「1 BtoC-EC市場規模の拡大」でございまして、グラフを掲載させていただいております。これは専門調査会の中でも御紹介したグラフでございます。

4ページ目でございます。「2 フリマ、オークション取引の拡大」でございます。こちらにつきましては、図表1‐2、図表1‐3、いずれも市場規模が拡大しているところでございます。

5ページ目の「3 シェアリングエコノミーの取引の増加」でございまして、真ん中のあたり、主なシェアリングエコノミーの分類、①から⑤、こういった分類がございますといったところでございます。

次のページになりますけれども、図表1-4でございますが、こちらにつきましても市場規模が拡大しているといったこと、予測のグラフを掲載しております。下半分の図表1-5につきましては、内容別に、お金、スキル、モノ、移動、空間別にどんな形で増加していっているかということを分解したグラフとなっております。

7ページ目のところでございますが、「コラム」とございます。この報告書につきましては、各章ごとに論点とか考えを整理するに資すると思われる内容を選択いたしまして、コラムを適宜盛り込ませていただいております。ここは「インターネットショッピングモールを利用する理由・基準」で、アンケート調査の中身を整理させていただいたものでございます。この後、コラムが幾つか出てまいりますけれども、これまでの専門調査会の発表等でいただいたものを整理してまとめたものもございます。そういった発表いただいたものなどにつきましては、それぞれの内容につきまして、既にその発表者御自身にその内容などを御確認いただいているといったところでございます。

第1のところまでの本文につきまして説明はここまででございまして、続きまして、資料3を御覧いただけますでしょうか。「オンラインプラットフォームにおける取引の在り方に関する専門調査会報告書(素案)に対する主な御意見」でございまして、横表を整理させていただいております。

この表の構成でございますけれども、一番左側に通し番号で1番とついておりまして、最後が200何番という形で通し番号が全部ついております。整理の仕方といたしましては、まず、全体のページがございまして、次、めくっていただきますと「はじめに」、3ページ目が「第1」ということで、章ごとに整理させていただいております。

1ページ目を御覧いただきますと、まず、全体につきましてのコメント、1番でございますけれども、プラットフォームにおける取引が消費者の利益に貢献している側面があることについてもう少し記載の充実化をしてほしいといったことでございます。

2番でございますけれども、例えば、消費者教育なども含め多面的な視座の中で、真にプラットフォームが担うべき役割は何かといった整理で記載いただければといった御意見をいただいております。

4番でございますけれども、「CtoC」という言い方と「シェアリングエコノミー」という言い方が混在しているのではないか、重複しているのではないかといった御指摘もございまして、このあたりにつきまして御指摘いただいております。

5番でございますが、まだ提言を取りまとめるほどの議論に至ってはいないのではないかといった御意見もいただいております。

2ページ目でございますが、「はじめに」のところでございます。

ここにつきましても、まず、最初の書き出しとして、7番でございますが、専門調査会の当初の問題意識を書くべきではないかといった御指摘もございまして、こちらは既に対応済みという形にさせていただいております。

3ページ目、第1の柱書きのところでございまして、こちらも修文の要請が来ておりまして、こちらも対応させていただいているところでございます。

こういった形の全体のところ、「はじめに」と第1のところまでにつきましてコメントをいただいておりまして、こういった形で修文してはどうかといった形の御意見につきましては、今後も引き続き検討させていただきまして、対応していきたいと思っております。

まず、全体から第1のところまでにつきましての御説明は以上でございます。

○中田座長 ありがとうございました。

それでは、事務局からの説明につきまして、御意見あるいは御質問等がございましたら、御発言いただければと思います。いかがでしょうか。

それでは、片岡委員。

○片岡委員 事前にお送りいただいたものを読んだときの率直な感想としましては、「あれ、こんなことを話していただろうか」という感想を持ちまして、私としては、もう少し前向きなというか、今、こういうトラブルがあって、一方でこういう事業者がこういう取組をしていて、では、最低限の取組とは一体どんなところなのだろうか、それ以外に役割としてどんなことがあるのだろうか、あるいは紛争解決のためにどんな方法があり得るのだろうかといった前向きなものをまとめていくという印象でいましたので、実際にでき上がってきたものが、トラブルに着目するのか、事業者の自主的な取組に着目するのか、あるいは今後のデジタル社会に対する課題について着目するのかというところがちょっとぼやけているように感じまして、それぞれが実はつながっていない部分もありますので、もう少しこの報告書の方向性といったものを委員の皆さんで共通認識を持ちたいと思いました。

私としては、現状をきちんと把握して、うまくいっているところ、できていないところがある。うまくいっているところはどういうところを伸ばしていけばいいのか、それを広げていくにはどうしていったらいいのか、うまくいっていないところはなぜうまくいっていないのか、それがうまくいくためにはどうしたらいいのかという前向きな中身を書いて、まとめていただければと思っています。今は少し後ろ向き過ぎるというか、プラットフォームはだめですと読めてしまうので、残念に思っております。

○中田座長 ありがとうございました。

ほかにございますか。

プラットフォームがだめというところは、どこなのでしょうかね。具体的に教えていただけるとありがたいのですが。

○片岡委員 全体的に、まず、3割のトラブルに着目していて、そこがだめなので事業者はこういう責務を負うという流れに私には読めたのです。事業者の自主的な取組が、どちらかというとみんな頑張っている取組を説明していたはずなのですけれども、後ろのほうのやるべき取組のところに入ってしまっていて、最低限の話はどこに行ったのだろうかという感じになっていまして、トラブルに着目するのであれば、もう少しちゃんとトラブルのところを見ていかなければいけないと思うのですね。

○中田座長 ありがとうございました。参考にさせていただきます。

全体像については、いかがでしょうか。

それでは、池本委員長代理、お願いします。

○消費者委員会池本委員長代理 今、片岡委員から出た御意見は、どこに着目してどういう形でまとめるかという意味では非常に大事な議論であろうと思います。ただ、ここで議論していたところで、それぞれの事業者の非常に頑張っておられる取組が一方で紹介され、他方で、しかし、トラブルはどんどん今は増えている。そういう中で、この専門調査会としてどういう点を提言していただくかということで言えば、経産省や総務省などいろいろな省庁でその事業者の自主的な取組を更に伸ばしていく、あるいはリーダー的・先駆的な取組を醸成していくという議論の一方で、その先駆的なものが必ずしも横に広がっていなかったり、あるいは現実にこういうトラブルがあるとすると、特にこういう着眼点は重視してほしいとか、その意味では、消費者委員会の専門調査会として、トラブルに着目して進めていくというのは非常に後ろ向きだとおっしゃったので、そうなのかもしれないのですが、そこがこの報告書の「はじめに」にもありますように、消費者が安心してこの財・サービスの利用者として取引に参加できるようにというためのところに、ある程度絞っていくことはやむを得ないのかなと思います。

ただ、おっしゃった中の、自主的取組が、後ろのほうのあるべきだという中に混在しているというところは少し整理する必要があって、こういう取組がある、それが横に展開できていない、ほかの事業者がそれをきちんとやっていないために、頑張っているところが全く評価されていない、そこの全体を底上げすべきだとか、どう評価してどう広げるのかというあたりをもっと見えるように変えていく必要はあるのかなと感じました。

以上です。

○中田座長 ありがとうございます。

それでは、片岡委員。

○片岡委員 トラブルに着目するのであれば着目して書くことはやぶさかではないと思っています。そうであれば、この会合でもたびたび発言しましたけれども、自主的取組をやっている横でトラブルが起きているのはどうしてなのだろうかとか、やっていないプラットフォームとはどういうところなのだろうかとか、最低限やったほうがいい取組は何なのだろうかというところの議論を深めてからでないと、まとめは書けないと思っていまして、そこをちゃんと議論したいと思います。

○中田座長 ありがとうございます。

全体を含めて「はじめに」のところについても、いかがでしょうか。

大森委員、お願いします。

○消費者委員会大森委員 先ほどカライスコス先生から発表していただいた外国の消費者委員会の取組などを見ると、本当にすごく明確にこういう問題があるということをはっきり書けて、そういうことを書いてもらって改善することが、消費者がプラットフォームを通じて取引できる、安心・安全な明るい社会につながっていくと思うのです。

今回、日本はかなり出遅れておりまして、今回の調査会で基本的な部分はすごく整理されたと思いますので、ぜひこれをたたき台にして欧州に負けないように一歩進められたらいいかなと思います。

○中田座長 ありがとうございます。

よろしいでしょうか。

それでは、鹿野委員。

○消費者委員会鹿野委員 形式的なところなのですけれども、先ほど御説明があったように、今回の報告書は、コラムがそれぞれについていて、読み物としてはとても楽しく読めるのですが、報告書ですから、ここに掲げられているコラムが、本文とどういうふうに関連しているのかというところを示して、コラムというより資料の一つとしてそれぞれ位置付けたほうが分かりやすいのではないかという印象を持ちました。

○中田座長 ありがとうございます。

報告書の全体像をどう捉えて、どういうふうに構成していくか、我々専門調査会はかなり議論を積み重ねてきていまして、この報告書の中にそれを全て取り込むことはなかなか難しいなと、私自身も思っているのですが、できるだけ事業者の取組を正当に評価しつつ、先ほど池本委員長代理がおっしゃられたように、やられていないところはなぜなのかという点について検討が必要で、また、それはやらなければいけないものであるのかどうかの検討は必要であろうと思います。そして、仮にそういった形で横に広げるためには、新たな立法も必要ではないかということになるのかという点についても、本当はさらに議論を積み重ねなければいけないことで、そういった点については、今後の課題になると思います。本報告書では、おそらく、このプラットフォームという現在ある法的な構造物と言えばいいのかもしれませんがそういったものを分析するための、我々は英知を絞ったという中身にこれをすることが必要ではないかと今のところは考えています。

そういう意味で、今、御発言いただいた中身は、この中にできるだけ反映させるようにしていけるのではないかと思います。

それでは、次のセッションがございますので、第2のところに入っていきたいと思います。まだほかのところで御発言がある場合には総論部分に戻っていただいても構いませんので、とりあえず先に進めさせていただきます。

○友行企画官 それでは、素案のページで申しますと9ページでございます。「第2 プラットフォームが介在する取引における消費者トラブルの状況とプラットフォーム事業者(事業者団体)の取組」でございます。

「1 取引の仕組み」でございまして、図表2-1の形で提示させていただいております。

10ページに参りますが、「2 消費者トラブルの状況とプラットフォーム事業者の取組」でございます。アンケート調査をこちらでは引っ張ってきておりまして、図表2-2を御覧いただきますと、トラブルの経験の有無及びその内容でございますが、グラフを見ますと、7割の人はモールやオークション・フリマ、シェアリングサービスなどにつきまして「トラブルの経験はない」となっております。7割の反対側の3割はあるというところで、その中でトラブルとして多いのは、商品やサービスの品質に関するもの、数量に関するものなどが示されております。

11ページでございますけれども、そのトラブルの内容につきまして、モールやフリマサイトやシェアリングサービスなどについて、それぞれどんな項目が多くなっているのかということをここでは記載させていただいております。

次の図表2-3に関連するところでございますけれども、トラブルが発生した際にどこに連絡・照会したかというところでございます。12ページの図表2-3を御覧いただきますと、トラブルがあった場合には、実際にモノやサービスを取引した相手にまず連絡した。続いて、各サービスサイトの運営者、プラットフォーム事業者に連絡したというところが多くなっているところでございます。それから、グラフの下から2番目でございますが、誰にも相談せずに放置したというものも一定数いるところでございます。

次のページの図表2-4でございますけれども、サイト運営者、プラットフォーム事業者への連絡後の経過に関する感想についてというところを掲載しております。「解決につながり、満足のいく対応内容であった」や「解決につながったが、時間や手間を要した」という回答が目立っているところでございます。

14ページでございます。「(2)消費生活相談の現場等からみる消費者トラブルの状況とプラットフォーム事業者(事業団体)の取組」でございます。こちらにつきましては、モール、オークション・フリマサイト、シェアリングサービス、その他という形で分類させていただきまして、15ページ以降、表の形にしております。

左側が消費者トラブル相談内容の分類でございまして、右側がそれに対するプラットフォーム事業者等の主な取組例という形になっております。プラットフォームが介在する取引において、その上で何が起きているのか、何が課題となっているかということを明らかにするために一定の整理を行ったという性格のものでございます。その左側の枠と右側の箱の中が完全1対1で対応していないという部分ももしかするとあるかもしれませんが、それは分類の仕方といたしまして、14ページの脚注のところに記載させていただいておりますけれども、【消費者トラブル相談内容分類】に対する【プラットフォーム事業者(事業者団体)の主な取組例】記載の取組内容と利用規約等は、あくまでも個別のプラットフォーム事業者の一例を示したものでございまして、全て又は多数の事業者がかかる取組をしていることを意味するものではないといったことでございます。

15ページ目から、そういった表がずっと続いております。それぞれの箱の中身につきましては、以前の専門調査会の中でも御説明しておりますので、詳しい説明につきましては、本日は省略させていただきます。

こういった表の整理が続きまして、21ページを御覧いただけますでしょうか。こういったところを踏まえまして「3 考察」でございます。

こちらにつきまして、まず「(1)消費者トラブルの特徴」といったところを最初に記載しております。

「ア 各サービス形態に共通してみられること」といたしまして、まず、加盟店管理に関することや情報管理に関すること、表示・利用規約に関すること、解約・返品に関すること、これらにつきましては共通して見られるといったことで整理させていただいております。

イにつきましては、ショッピングモールサイトに特徴のあることといたしまして、「ポイント・割引、配送」といったところがあることを指摘させていただいております。

22ページでございますが、「ウ オークション・フリマサイト取引関連(CtoC関連)」の特徴といたしまして、「品質、評価や口コミ・レビュー、トラブル救済」に関することが特徴ではないかということで整理させていただいております。

「エ シェアリングサービス関連」につきましては、こちらも「品質、評価や口コミ・レビュー、トラブル救済」に関することが多いことが指摘できるという形で整理しております。

「(2)プラットフォーム事業者の消費者保護に関する自主的取組」でございまして、本専門調査会に参加した事業者(事業者団体)様におきましては、補償対応やカスタマーサポート体制の構築、出品商品の監視・巡回、お客様からの通報に基づく目視確認、エスクローサービスの導入等、様々な自主的取組を講じていることがヒアリングを通じてわかったということも記載させていただいております。

それらを全て含めまして「(3)まとめ」でございますけれども、これまで見たように、プラットフォーム事業者が取引環境の健全化や消費者保護に関する自主的取組を講じていることは確認できたところでございます。その一方で、約3割の方がアンケート調査などによりますと「トラブル経験あり」と回答しております。こういったことを考えてみますに、2段落目のところの真ん中あたりでございますが、誰がどのような場合にどのように行為をしなければならないのか、また、それに対応した義務や責任をどう負うのかについて、これまで必ずしも明確にされてきたわけではない。まずは、消費者保護のための適切な取組をする上で、プラットフォーム事業者及びプラットフォーム利用者の役割を整理しておくことが必要ではないのかといったまとめとさせていただいております。

第2の本文のところは、以下、コラムが続きますが、以上でございます。

続きまして、資料3を御覧いただけますでしょうか。

この部分について、いただきました主な御意見のところでございますが、4ページ目のところでございまして、通し番号で申しますと11番のところからでございます。第2のところにつきまして、様々な御指摘をいただいているところでございまして、修文の形で御指摘いただきましたところにつきましては、既に対応しているところもございますけれども、引き続き検討させていただきまして、対応させていただきたいと思います。

ずっと見ていきますと、例えば、14番でございますけれども、「7割はトラブル経験がない」ことについて全く分析がないことは不適切であるといったコメントもいただいております。

5ページのところに参りますと、21番のコメントでございますけれども、本文で申しますと、先ほど箱という形で紹介させていただきました、15ページから始まるこの箱のところを削除してはどうかという御指摘でございまして、全体的に分類整理が不十分であり、専門調査会の報告書として公表できる水準を満たしていないため削除してはどうかといった御指摘でございます。こちらにつきましては、この箱が残っていないと、プラットフォームが介在するところで何が起こっているのか分からないので、削除してしまうのはどうかというところもございまして、現時点での一定の整理であるといったことも踏まえながら表を残すといったこともあると考えております。

23番につきましても、コメントをいただいておりまして、こちらを拝見いたしますと、まず、比較表などにつきましては、補足がないため、トラブルが起こったからこうなっているかのように見えると。プラットフォームの問題なのか販売事業者の問題なのかという観点では深掘りされていないといった御指摘をいただいております。トラブル防止のために行っている事業者の取組をあまり厳密に分析せず当てはめたものであって、ビフォー・アフターではないといった御意見もいただいております。この専門調査会におきましては、誰がトラブルの原因になったのかということまでは分析していないところもございます。ただ、現状、何が起きているのか、何が課題になっているのかということにつきまして表に出しまして、それを分類整理すると。さらにその分類整理した課題につきまして課題解決の方向性を示したいといった結論に持っていきたいという形でございまして、こういう整理をさせていただいたところもございます。

引き続きまして、ずっとコメントのところを御確認いただきますと、7ページ目の35番のあたりのところでございますが、こちらは先ほどの本文で申しますと、第2「3 考察」のところでございますけれども、異論あり、このような議論にはなっていないと思われ、この記載は一方的な決め付けになっているといったコメントもいただいております。こういった趣旨のコメントがずっとこのページには続いております。

資料3の8ページ目のところを見ていただきますと、同じ趣旨のコメントや、また、こういった形で修文したらどうかというコメントもいただいておりまして、具体的な修文のコメントをいただいたところにつきましては、引き続き検討させていただきたいと思っております。

以上、第2のところのコメントは、9ページ目の51番までが第2のところまでのポイントとなっておりますが、中身を拝見いたしますと、具体的な修文といったところもあるところと、この場で本日ぜひ積極的に中心となって御議論いただきたいところは、第2の中の3の考察のところの(1)と(3)のあたりにコメントが集中しているような形になっておりますので、そのあたりを中心に御議論いただければと事務局としては思うところでございます。

以上でございます。

○中田座長 ありがとうございました。

事務局の方で、ある程度は各委員の意見は整理させていただいて、この中で御議論いただくことになると思います。どういうふうに議論したらいいのかなと考えてはいるところですが、厳しい意見という形になっているのか、ちょっと誤解があってということなのか分からないところもあるのですが、専門調査会の報告書というものの性質ないし性格とも関連しますが、おそらく現状の分析ということで、まずは共通の認識を持たなければいけないのではないかと思っています。そこでは我々は議論したという、なかなかその議論の中身は難しいところがあるかもしれませんが、各回において御報告をいただいて、現状の問題を分析されたということを前提に、事務局はその内容を整理して提示していくことになります。それはプラットフォーム取引における問題点を理解する上で必要な情報であるという判断をしたということではないかと思います。

それを前提とした上で、それが正しい分析であるのかどうかというところについて御議論していただくことが建設的な議論になるように考えております。ですから、今、意見が出たということでございますし、見方が違うということなのかもしれませんが、その点についても、御意見、御質問等がございましたら、ぜひ御発言いただければと思います。

それでは、片岡委員、お願いします。

○片岡委員 表のところに結構意見が集中したのではないかと思っていますけれども、事実というか、話に出たことを具体的に書くのであればそれにとどめたらいいと思うのですけれども、そこから結論に至ってしまって、その結論がだいぶ委員の認識とは遠いところにあるということが、この表自体に文句を言いたくなってしまう原因になっていますということが一つ。

それから、表を埋めるときにも、事業者としては分類がいまいち整理されていない部分があると。もう少しここをしっかり分析しないと、対応表を埋めるのが難しいというのはこれを書いたときにも申し上げていたので、当時の認識としては、それが報告書に載るという認識ではなくて、事務局がまとめてみた分類にとりあえず当てはめてみたという認識ですので、報告書にこの形で載るのは想定していませんでした。もし書くのであれば、本当にこういうふうに分類してみて、それに対して、事業者は分類方法に異論があるけれどもとりあえず埋めてみたというところまで事実として書いていただかないと、今のままだと、もともとこの情報を埋めるご協力をしたときの認識とずれた形で出てしまっていると思います。

書き方をどうしたらいいのか分からないのですけれども、例えば、表の形ではなくて、これをもう少し大きくまとめて書くとか、そのときにはこういう課題が寄せられたと。例えば、分類の問題であったり、それは販売者自身の問題なのかモールの問題なのかとか、モールによってそこに差があるのかとか、そこら辺を分析していかないと解決につながらないので、そこら辺が課題認識として上がってきたみたいなところまで書くとかだったらまだ分かるのですけれども、この表だけ出てしまうと、ちょっと違うかなという気がしております。

○中田座長 ありがとうございます。

それでは、畠委員、お願いします。

○畠委員 おそらくこれは慎重に一つ一つ見なければいけないと思っているのですけれども、例えば、15ページ目のショッピングモールサイトの取引関連というところで、1つ目に加盟店管理に関する分類とありまして、例として信憑性の低い情報商材を販売していると。確かに加盟店管理に該当すると思われるのですけれども、17ページ目にオークション・フリマサイトの取引関連というところで2-6の品質に関する分類がありまして、むしろここに該当するような問題と思われるのですけれども、ショッピングモールサイトの方には品質に関する分類はなく、このオークション・フリマサイトとショッピングでなぜこのように分類に差が発生しているのかというところが分からないという点。

あるいは、20ページを御覧いただいて、その他となっていますけれども、加盟店管理に関する分類が4-1としてありますけれども、例として掲げられているものが、突然フリマアプリが閉鎖と書いてありまして、これが加盟店管理に関する分類なのかどうかという点が疑わしかったり、4-5の解約・返品に関する分類として、SNS上でアクセサリーの売買契約が成立して、その後、決済手段のみフリマアプリの利用を勧められて決済したけれども、粗悪品が届いたというものなのですけれども、ここに書かれている右側の取引例が、SNSにつき規約による営利目的の利用禁止と書いてありまして、これは一体誰がどのように対応する話なのかというものがうまく分類されていないとか、一つ一つを見ていくとかなり問題があるのではないかと思っています。

○中田座長 ありがとうございます。

それでは、上村委員、お願いします。

○上村委員 こちらの表に関してなのですけれども、確かこの委員会が始まったときの最初のころに、各事業者から取組の説明をしたのですけれども、それとこの分類をつくったタイミングは全然違っていて、この分類をつくって、そこに無理やり発表したことを当てはめたりとかしている状況なので、例が結構出ているのですけれども、例に対してこちらのプラットフォーム事業者の主な取組が全然対応していなかったりします。もしこういう表をつくるのであれば、再度プラットフォーム事業者の取組は、今やっていることとかをそこに当てはめて、ちゃんとつくり直す必要があるのではないかと考えております。

○中田座長 いかがでしょうか。

なかなか一覧表でまとめてしまうというのは難しいところがあるのかもしれません。、ただ、この分類自体、特徴的な紛争を捉えるためにつくり出された分類でありまして、中身について御協力をいただいて、内容を精査するということで、表自体は残すという形でもよろしいでしょうか。それとも全く必要ないという御判断なのでしょうか。お聞きしていると、そうでもないような気がしたのですが。

それでは、増田委員、お願いします。

○消費者委員会増田委員 実際には、原因がどこにあるかということは一つ一つまだ確認できていないことだと思うのですね。様々なモールのレベルがあって、取組の度合いも違う。ここに来ていただいている方たちはしっかり取り組んでいるけれども、これらの相談自体はどこで発生しているかということは明らかではないわけなのです。

ただ、レベルの違いがあるとしても、問題があってそれに対応することはある程度されている状況であれば、この報告書を見たときに、例えば、しっかり取り組んでいるところはこういうふうにやっているのですよ、こういう問題が多く発生しているからこそ手当てがされていますということが分かると思うのです。それが明らかになるような説明文章にしていただければいいのかなと思います。

消費者にとっても、消費者教育、消費者リテラシーが足りないという部分がもう少し明らかになるように、一定の事業者の方はこういうことをやっています、こういう問題が多く発生していることに対して手当てしていることが説明文章の中でも明らかになるようにしていただくと、少し御理解いただけるのかなという気はするのですが、いかがでしょうか。

○中田座長 それでは、畠委員から。

○畠委員 慎重にもう一回見直した上でここに記載することはあり得るとは思うのですけれども、結構骨が折れるなと思っており、一からつくり変えるぐらいいろいろあるのではないかと思っていまして、ちょっと先に行ってしまいますけれども、55ページ、提言のところに問題点とプラットフォーム事業者の取組が記載されていますけれども、むしろこっちのほうがうまくまとまっているのではないかと思っていて、これを先に持ってきてここに記載するということでもいいのではないかと思っています。

○中田座長 ありがとうございます。

それでは、片岡委員。

○片岡委員 私も、提言のところに書かれているものが我々の発表した内容だという気がしているので、それをこちら側に持ってきたほうが整理できるなと思っています。

提言のところは、どちらかというと、提言というより今後の課題や今後より深めていくところを明らかにするようなものが後ろに来たほうが、議論の流れに沿っていると思いますので、今、後ろに書いてあるものを、表ではない形で前に持ってきたほうがいいのかなと。参考資料として表を付けるというのもありではあるのですけれども、そうなると、この分類をもう一回見直したいということと、矢印で左から右ではなくて、もうちょっと違う形で見せたほうがいいのではないかと思います。

○中田座長 ありがとうございます。

それでは、原田委員、お願いします。

○原田委員 何となくこの表を見てちょっと違和感があるのは何でかなと思って、私もその事例を出した側のほうなのですけれども、正直に言いまして、事例の中には、要は、プラットフォームそのものが大分グレーな取引がかなりあって、それは頑張っていらっしゃるプラットフォームさんに聞いても違和感が出る回答になるのかなという感じはするので、先ほどおっしゃって、意見もありましたけれども、プラットフォームそのものがかなりピンからキリまであるので、そのキリの部分のプラットフォームの取引のものを持ってきて、プラットフォームそのものの改善が必要なレベルの人たちのプラットフォームで取引をしているトラブルは実際に入ってきているわけですよね。

だから、もともと電子マネーの取引などは、通常のまともなところではやってはだめみたいな形になっているところを、それ専用のプラットフォームで取引をしてトラブルになりましたとか、情報商材という中身が何だかよく分からないようなものをそこで取引してトラブルになりましたといったら、そのプラットフォームは審査そのものを故意にしていない可能性もあって、それをちゃんと審査していますという回答と合わせていくのが、その点で逆に違和感が、私の個人的な感想としてはいたしました。

○中田座長 ありがとうございます。

それでは、蟹瀬委員。

○消費者委員会蟹瀬委員 消費者委員会委員を仰せつかっておりますが、消費者委員会の目的として、消費者を守ることは企業を守ることであるという時点に立ち、私はビジネスの代表として出ております。

消費者は、ここに出ていらっしゃるような健全な一流のプラットフォーマーと、そうではないプラットフォーマーの区別はつきません。そうすると、日本をリーディングしているプラットフォーマーはこんなにすごい取組をやっているということを聞きたいわけではありません。むしろ、消費者が、今、抱えている問題を、プラットフォーマーのリーディングの人たちはこういうふうに解決しているけれども、そうではないところもあるよという事実をここで見せておかないと、消費者の問題が机上に上がったときに明白になりません。

それは、分析する・しないというよりは、有象無象にある問題が、今、増田委員がおっしゃいましたけれども、私たちが問題を解決しようとして消費者委員会が開かれるときに、常に問題になっているのは、消費者がいなければビジネスは成り立たないわけですから、そのビジネスを成り立たせるためには消費者を守ってあげなければいけない。その時点に立って、リーディングカンパニーのプラットフォーマーはかなりの取組をなさっている。ところが、消費者トラブルが3割あるという問題点は、そこではないところで起こっているかもしれないし、そこで一部で起こっているかもしれない。そこを私たちは、今、どの時点で法律化をしていかなければいけないのか、答申をしていかなければいけないのかということを考える会なのです。

そうすると、今、やっているからいいではないか、こんなにすごい取組をやっているからいいではないかというのは企業側の理論であって、消費者側の理論はもっと違います。

ですから、この専門調査会の在り方は、私はいつも参加しながら思うのですが、自社を守るとか、プラットフォーマーを守るという立場と別の立場で、消費者を守っていくには企業として何をやれば企業も守られていくのかということに焦点を合わせていかなければいけない。それはアマゾンの創設者も言っていますし、楽天の三木谷さんもおっしゃっていますが、顧客本位であるということを事業の中で言っています。

であるならば、この専門調査会は、どちらかというと、すばらしいことをやっているということを取り上げる場ではなくて、今、カライスコス先生がおっしゃってくださったみたいに、問題が起こったときに、いろいろな国ではこういう対処をしている、そして、日本はどうしていくべきかを大学の先生方にもお知恵をいただいているわけですから、私は、今、まとめて見ていると、こうなったからこうなった、AだからBとは読まなくて、こういう問題が起こったときに、こういうふうに対処しているところもあるのだなと、でも、もっと対処しなければいけないことがあるのだなという認識です。よって、報告書ですから、ここはあまり時間をかけないで、すんなりいってもよいかと、こういう調査会は次にもう一回あると思うのです。そのときにもっと深く詰めていくという形をやらないと、どんどん遅くなってくる。解決法が遅くなってくる。これはとても危ないのです。本当に早くやってあげないといけない。

報告書素案の中にも書いてありましたけれども、成年年齢が引き下げになったときに、未成年の解約は認めないみたいな事例があります。これはとんでもない話ですよね。そうすると、そういうことに早くから私たちは手当てをしてあげなければいけないので、私は、見せていただくとここは問題かもしれないけれども、これが全てではないのだという注釈を付けていただき、もっと本来の問題解決のほうに話を持っていったほうが、多分消費者委員会が受け取ったときに大変分かりやすくなるかと思っています。

○中田座長 ありがとうございます。大事な観点について御提案をいただいたと私は思います。

それでは、池本委員長代理。

○消費者委員会池本委員長代理 私は専ら現実にどうするかということを発言したいと思うのですが、先ほど、原田委員、片岡委員、あるいは畠委員からお話があったように、私もここをざっと駆け足で読んだときに、14ページから23ページのところが消化不良だなということを率直に思います。

なぜかというと、ここの中でも議論が出たのですが、様々なサイトで、そこに参加している事業者の対応が非常に悪くてトラブルが起きていることと、それを見逃している問題なのか、あるいはプラットフォーマー自身が標準の規約の中でそんなものをオーケーしているのかと、様々な問題が混在しているのです。ここの質問項目が、必ずしもここにはどっちのものを書いてくださいというスタートでやっていないから、回答も混在していたし、あるいは、21ページの考察も、アのところにある中で言うと、下の4つ鉤括弧がありますが、解約・返品や表示・利用規約も参加している事業者がそういう不適正な表示なり解約・返品に応じないことなのか、その問題にプラットフォーマーが全く関知しない・関与しないということなのか、混在していると思うのです。それに対して、上の加盟店管理や情報管理は、むしろプラットフォーマー固有のものが入っている。その意味では、様々なものが混在していて、消化不良であることは否定できないと思うのです。しかし、先ほどの55ページで整理されているものを前に出せばという意見は、むしろ逆に、そこまで行くここの道行きでは、いろいろな観点で調査をしてきた過程をとりあえず取り込んでいるので、提言のところでそれをようやく整理ができているということではないかと私は受けとめたのです。

だとすると、14ページの(2)から始まって、その後、アイウエオで分類しますというところに、もう少しいろいろな事業者に起因するもの、消費者に起因するもの、プラットフォーマーに起因するもの、様々なものが混在している。そういう中で問題点をピックアップするために、とりあえずこういう観点で質問した。ただし、その設定と回答とで必ずしも対応していないもの、あるいは捉え方の違うものも入っていることは御了解いただきたいという言葉を、あくまで分析過程の一つの取りまとめだと、もうちょっと丁寧に書いていただく必要があるのかなと。

また、考察のところも、その範囲内での一応のまとめだとしておけば、そういう検討を経て、後ろの提言のところでは大分まとまってきたなという感じかなと思います。検討いただければと思います。

○中田座長 御意見ありがとうございます。

それでは、生貝委員、お願いします。

○生貝委員 僭越ながら、今、池本委員長代理、蟹瀬委員がおっしゃったことに私も賛成でございまして、私は専門が情報政策と申し上げているのですけれども、政策論は、まさに問題があって、それを解決するために何が必要だからこのことをやろうということを行うところ、この報告書は、まさしく問題がしっかりこういった形で様々にあると。その問題自体が非常に複雑だから、まずは一回出してみて、それをしっかりと集約した上で、それに対応する法規が今はこのようになっていて、自主的にはこういうこともやっていただいている。しかし、その上でどういう問題がまだあるからどういう対応をしていこうというつくりで、私自身、非常に納得がいったところで、逆に、むしろこの複雑な問題の状況をしっかり示すことがなければ、その後の提言に向けた議論がなぜこうも複雑になっているのかということと全くつながらなくなってくると思います。

もう一つだけ。私自身、先ほどから異論のようなことばかり申し上げているように聞こえているかもしれないのですが、全然そんなことはなくて、私は、今、申し上げたように、この報告書のつくり方には全然違和感はないのです。極めてベーシックだなというところで、なので、先ほどから私がデジタルデータやアルゴリズムに関して申し上げているのは、まさに重要なのは複雑な問題を問題として整理することであって、データやそういうところに関わる問題は確かに出てきたところなのだけれども、それを問題として認識しているということを置かずして、つまり、そこに問題はないのだという形でこの検討会が閉じてしまうと、先ほど大森委員がおっしゃったように、本格的な検討はこの続きで行うところだと思いますけれども、問題がないと閉じてしまったら検討が続けられなくなりますので、そこはしっかり残しておいていただきたいということが申し上げていることでございます。問題意識も非常に酌んでいただいていると存じております。

いろいろと申し上げましたが、僭越ながら同じ意見でございます。

○中田座長 ありがとうございます。

前田委員、お願いします。

○前田委員 今、生貝先生がおっしゃっていた話や、池本先生が御指摘されていた内容を、何かしらの形で多分反映させる必要性があるかと思います。この報告書は当然消費者委員会から出たプラットフォームに関する報告書として出ることになります。この後、この報告書に基づいて議論があるかどうかということもまだ分かりませんが、これが内閣府の消費者委員会から出されたもの、ある程度オーソリティーがあるものとして出るということになります。本専門調査会での合意事項として想定した形でそもそも作っていない状態で世の中に出てしまうと、プラットフォーマーは何もやっていないのだと読まれてしまう可能性がどうしても出てきてしまいます。

リテラシー教育の問題だったり、あるいはプラットフォームの問題であったり、あるいは加盟店の問題であったりという、様々な問題が複雑に入り組んでいると思います。そうであれば、その点の分析や今後の課題が何かしら記載はされないと、この表がひとり走りしてしまうことは非常に残念だと思います。

○中田座長 鹿野委員、お願いします。

○消費者委員会鹿野委員 私もほぼ同じ意見なのですけれども、現状をきちんと示すことは重要だと思うのですが、このままではかなり誤解を招くのではないかという気がします。特に(2)があって、表があり、この表がどういうふうな意味を持つのかということがよく分からないまま考察ということに入って、これこれに原因があるということになっているので、それから振り返ると、この表の取組が極めて不十分なものなのではないかという印象を受けるのではないかと思います。もちろん不十分なところがあるからトラブルも起きているということもあると思いますけれども、プラットフォーマーにもいろいろな事業者がいて、どういうところにつき取組がなされていて、ただ、それが取組としては十分に行われていないところもあるとか、あるいは業態によってもいろいろなトラブルの発生原因は違ってくるなどということも丁寧に説明をしていただいて、少なくともこの表がひとり歩きしないような、誤解を受けないような形でもう少し現状を正しく伝えることが必要なのではないかと思います。

○中田座長 ありがとうございます。

この議論の中で出された御意見はできるだけ反映させた形で、この報告書の中に取り込んでいきたいと思っていますので、出された意見をまとめまして、また提示できるようにいたします。問題点という点では、この表が示している問題は現実にはあるわけで、その置き方、整理の仕方については、確かに問題があるという御指摘はいただいておりますので、それを踏まえた形でもう一度御提示させていただくということでよろしいですか。

それでは、時間が迫っているのですが、一旦ここで10分ほど休憩を挟ませていただきたいと思います。

(休憩)

○中田座長 それでは、再開させていただきます。

次に、事務局から、第3の「プラットフォームが介在する取引に係る規定の整理」、そして第4の「海外の動向」について、説明をお願いいたします。

○友行企画官 それでは、素案のほうの28ページを御覧いただけますでしょうか。

第3「プラットフォームが介在する取引に係る規定の整理」でございます。柱書きのところにつきましては、専門調査会の中で御説明などをさせていただきました法律について御紹介しているところでございます。

最初の1番は民法でございまして、(1)で利用者間の関係を整理させていただいております。一般的に売買のことや取引に債務不履行があったときに、どのような考え方をするかといったところでございまして、28ページの一番下から29ページの頭までは、一般的な取引についての整理をさせていただいているところでございます。

29ページの(2)でございますけれども、プラットフォーム事業者とプラットフォーム上の利用者間契約の関係につきまして、ここには準則の考え方を記載させていただいております。

1段落目がBtoC取引のところでございまして、「原則として責任は負わず、例外として」といった記載について、専門調査会の中でも御紹介があったと思いますけれども、そこを整理させていただいております。

「また」の2段落目につきましては、CtoC取引の場合の考え方でございます。

それから、2番目はプラットフォームが介在する取引そのものを対象とする特別法の不存在を指摘させていただいております。現行法においては、プラットフォーム事業者が介在する取引全体に着目し、これを対象とする特別法は存在せず、取引の種類や取引の一部の局面に着目して、部分的に個々の特別法が存在するにすぎないのではないかといったことを指摘させていただいております。

30ページに参ります。3といたしまして、特商法に関する法律でございます。30ページに書いておりますものは定義に関わるところでございまして、詳しい説明は省略させていただきます。

31ページに参りますけれども、図表3-1という形で一定の整理をさせていただいております。①でございますが、プラットフォーム事業者・利用者間の利用契約についての考え方を整理したところでございます。

こちらにつきましては、プラットフォーム事業者と利用者でございますので、両者間の契約、利用契約でございまして、特商法の規制を受けるのはプラットフォーム事業者になりますという考え方を整理させていただいたものです。

②を御覧いただきますと、プラットフォーム上の利用者間契約の話でございまして、ⅰとしてショッピングモール型、ⅱとしてフリマ、シェアエコ型、ⅲとしてフリマ、シェアエコ型で一方がBの場合という形で場合分けをしておりまして、②のⅰの場合は特商法の規制を受けるのは出店者ということでございます。プラットフォームは、現状では何も規制がかかってこないのではないかということでございます。

ⅱでございますが、いずれもCの場合は、規制を受ける主体がないという状態になっております。

ⅲでございますが、一方がBの場合があり得るというところでございまして、ガイドラインなどでどのような場合がBになるかは規定がございますが、出品数量等により、一方利用者が対象となる場合があるという整理になっております。

今、申し上げたところは31ページの(1)の①、②に記載させていただいてございます。それを踏まえまして、31ページの下から3行目から始まるところでございますけれども、プラットフォームを介した取引は、プラットフォーム事業者から提供されるシステムの利用が不可欠であって、当該プラットフォーム上で利用者が行う広告表示は、上記システムによってあらかじめ定められた仕様によることなどからすれば、本法の規制を受ける主体となる者につき、上記のように、プラットフォームを介した取引を契約ごとに分化する考え方は、その仕組みから必ずしも妥当であるとはいえないのではないかというところがまず一つ。

それから、本法が「通信販売」を対象とした当時と、現在の取引環境は大きく変わっており、本法は、本専門調査会の対象であるプラットフォームを介した取引を必ずしも想定しているものではないのではないかというところが2つ目です。

そうであれば、改めてプラットフォームを介した取引の仕組み等を踏まえた上で、本法においてプラットフォーム事業者、利用者(提供者)及び利用者(購入・利用者)の三者間による一つの取引であると捉え、その上で、本法において「販売業者等」となるプラットフォーム事業者及び利用者(提供者)がその立場に応じた役割を担うという制度設計を検討することも考えられるのではないかという整理をさせていただいております。

(2)につきましては、フリマ・シェアエコ等におきまして、出品者が事業者となる場合の考え方でございまして、個人の方がたまたま事業者に当たった場合に、氏名や電話番号をプラットフォーム上に表示する必要がある。そういったことが、プライバシーの観点などから本当に妥当であるのかといったところを指摘しているところでございます。

次に「4 消費者契約法」でございます。32ページの下から33ページの上半分までにつきましては、定義関係を整理させていただいたものでございます。

図表3-2でございますけれども、先ほどの特商法と同じような形で整理させていただいておりまして、①はプラットフォーム事業者・利用者間の利用契約でございまして、プラットフォーム事業者と上に乗っている利用者との間では、事業者はプラットフォーム事業者、消費者は利用者として該当するのですけれども、そこはあくまでも利用契約のところですということでございます。

②のプラットフォーム上の利用者間の契約のところにつきまして、先ほどと同じように、ショッピングモール型とフリマ、シェアエコ型と、フリマ、シェアエコ型で一方がBといった場合で整理いたします。この表で一気に言ってしまいますと、ショッピングモール型ですと出店者はBで消費者はCということで、消費者契約法で事業者対消費者という関係が一つあります。それでもやはりプラットフォームはそこに入ってこないということ。

それから、両方ともCの場合は、消費者契約法の適用がないということでいいのかと。

3番目のところは、一方がBになった場合は、①の場合と同じようにBとCの関係、事業者と消費者の関係がある。

そのように、場合によって形が分かれてくるということが現状、見られるのではないかといったところでございます。

34ページの「フリマや」という段落のところでございますが、フリマやシェアリングエコノミー等、ユーザー間取引を対象とするプラットフォームにおいては、先ほどの②のⅲのような場合についてはモールと同様の形でございますけれども、②のⅱの場合、両方ともCといった場合には、本法の適用対象外となるが、そのような扱いでいいのかといったところを指摘させていただいております。

それから、下の「このため」から始まるところでございますが、プラットフォーム事業者との契約関係については、仮にプラットフォーム事業者が、販売事業者として利用者から消費者契約の締結について媒介をすることの委託を受けている場合には、当該プラットフォームの事業者が、何か不当な勧誘行為をした場合には、本法の取消権の対象となる。でも、そうでない場合にはならないといった状況がございますといったことを踏まえまして、「上記3で述べたように」といったところに続きますけれども、プラットフォームを介する取引は、プラットフォーム事業者から提供されるシステムの利用が不可欠であって、当該プラットフォーム上で利用者が行う広告表示は、上記システムによってあらかじめ定められた仕様によるなどのプラットフォーム取引の特徴に鑑みると、以上のような結論が妥当であるのかといったところを指摘させていただいております。

次に、「5 消費生活相談員に関する規定」でございます。

消費生活相談の現場においては、ユーザー間取引を対象とするプラットフォームを介した取引について、あっせんが可能かどうかというところにつきまして、御議論いただいたところでございます。

35ページの「ところで」の段落のところでございます。プラットフォームを介した取引については、仮に消費者たる相談者のプラットフォーム上の取引の相手方が消費者の場合であっても、プラットフォーム事業者との利用契約が前提となっており、この意味で、事業者との取引という性格をあわせ持つものになる。そうであれば、消費生活相談員は当該取引に係る相談等を行うことができると解することができるのではないかといったところでございます。

「6 海外事業者に対する法の適用」につきましても、専門調査会の中でお話が出たところでございます。消費者が海外事業者に対して国内法に基づく法的主張をすることが可能であるのかといった点や、法執行の限界などが問題となるといったお話がございました。海外事業者に対する国内法の適用の観点が重要であるといったところでございます。

現状、法の適用に関する通則法というところは、もちろんございます。

36ページに参りますが、民事訴訟法という手当てもございます。その一方で、特別法においては海外事業者において国内法の対象となる旨が明文化されているものもございますけれども、そのような規定がないものについては、専ら解釈規定に委ねられるといったところでございます。

続きまして、そのまま「第4 海外の動向」を素案で御説明いたします。40ページから記載させていただいております。

この専門調査会につきまして、EU、中国、韓国などを中心に御発表いただきましたことから、それらにつきまして整理させていただいております。

また、EUにつきましては、まだ法律にはなっていないというところでございまして、中国や韓国と少し性格が違うものでございます。いずれにつきましても、この記載ぶりにつきましては、御発表いただきました先生方から内容について既に御確認をいただきまして、その上でここに掲載させていただいているといったところでございます。

それでは、以上の第3と第4につきましてのコメントでございますが、資料3を御覧いただけますでしょうか。10ページ目でございます。まず、第3の規定のところにつきましてのコメントでございます。こういった形で修文してはどうかという意見もたくさんいただいております。そこにつきましては、引き続き検討させていただければと思います。

そのほかのところにつきまして、例えば、58番を見ていただきますと、第3の3(1)でございまして、この部分につきましては、このような議論はなされていないと思いますといったコメントでございます。

11ページ目に参りますと、同じ部分のところにつきまして、内容が不明確であるといったコメントをいただいております。

63番については、全くこういったことは議論されていないのではないかといった御指摘がございまして、第3の3(1)にコメントをたくさんいただいているような状況でございます。

ずっとコメントを確認させていただきまして、11ページはそういった、同じところに同じような趣旨のコメントをいただいております。

12ページ目に行きますと、上のところは同じく第3の3(1)にコメントをいただいておりまして、69番以降は、もう少し分かりやすく記載する必要があるといったコメントの趣旨だと思われるところでございます。そういったところにつきましては、引き続き修文につきまして検討させていただければと思います。

73番ですが、第3の4について御指摘いただきまして、第3の4というのは、先ほどの本文で申しますと消費者契約法の指摘のところでございます。

第3のところにつきましては、コメントを拝見いたしますと、どこにたくさんいただいているかと申しますと、本文で申しますと31ページになります。下から3行目の「プラットフォームを介した取引は」の1つの段落にコメントをたくさんいただいている。あと、32ページ目の次の段落の、本法が「通信販売」を対象とした当時と、それを想定したものになっているのかといったところにコメントをたくさんいただいているということ。それから、その次の段落の「改めて、プラットフォームを介した取引の」というところにコメントをいただいております。

もう一か所、御議論が必要だと思われるコメントをいただいておりますところは、34ページ目でございまして、「5 消費生活相談員に関する規定」の上のところでございます。「上記3で述べたように」というところの1段落でございまして、ここの部分にも議論が必要だと思われるようなコメントをいただいております。

第3の部分につきましては、そういったところを中心にコメントや御意見等を、またいただけたらどうかと思っております。

また、資料が行き来して申し訳ございませんが、海外のところについてのコメントの状況でございます。資料3の14ページ目でございまして、こちらにつきましては、76から79までのコメントでございます。

主にEUのところなどにつきまして、どのような性質のものなのかをきちんと注記すべきといった御指摘がございまして、このあたりにつきましては、追記など、修文を含めまして検討させていただきたいと思っております。

御説明としては以上でございます。

○中田座長 ありがとうございました。

それでは、ただいま説明がございました部分につきまして、御意見あるいは御質問等がございましたら、お願いいたします。

それでは、鹿野委員、お願いします。

○消費者委員会鹿野委員 既に出ていた御意見とも一部重なるかもしれないのですけれども、第3のところについては、何をしようとしているのかがよく分からない。まず、いろいろな法規定等について客観的に、現在はこうなっています。ここが限界ですよということを示すことが必要だと思うのです。

もう一つ、だからどうすべきかという問題は次に来ると思うのですが、それを前者とちゃんと分けて示していただく必要があるのではないか。とりわけ後半の部分については、今後の方向性を決めるところなので、私は内容的に反対とかそういう話ではないのですけれども、少なくともそれについては、ここで十分に議論をしていただいて、その上で、ここに方向性として示していただくことが必要なのではないかと思いました。

もう一点なのですけれども、第3のところでは、かなり踏み込んだ形で、こういうふうにすべきではないかという提言が書かれているように見えるのです。一方、最後のまとめの提言のところには、割と抽象的にふわっとしたことしか書かれておりません。それが全体としての調和の観点からといいましょうか、すごく違和感があります。全体を通して、要するに現状把握の部分、実態把握の部分と、それを踏まえて限界をちゃんと確認して、その上で今後どうあるべきかというところについて、この報告書全体で、少し体系的に整理をしていただいたほうがいいのではないかと思いました。

○中田座長 ありがとうございます。

ほかに御意見はございますか。

まず、森委員、その後、片岡委員、お願いします。

○森委員 ありがとうございます。

今の鹿野先生のお話をちょっと具体的に言うような感じかと思うのですけれども、一つは、31ページの特商法の適用をどうするかという話だと思うのですが、一番下の段落に、プラットフォームを介した取引は、後記第5のとおり、プラットフォーム事業者から提供されるシステムの利用が不可欠であって、当該プラットフォーム上で利用者が行う広告表示は、上記システムによってあらかじめ定められた仕様によることなどからすれば、本法の規制を受ける主体となるものについて、上記のように、プラットフォームを介した取引を契約ごとに分化する考え方は、その取引の仕組みから必ずしも妥当であるとはいえないのではないかというのは、どういう趣旨でしょうか。

つまり、ここでは契約ごとにというか、契約主体ごとに分けているわけですね。それが妥当ではないとすると、妥当なものが何かあるというほのめかしなのかと思ったのですけれども、そういう趣旨ではないですか。

○友行企画官 ここで記載させていただいておりますのは、図表3-1で分類いたしますと、まず①では、プラットフォームが規制主体となる場面なのですけれども、それはプラットフォーム事業者とその上に乗っているBやCとの関係の場合は、そこはプラットフォームが入ってくるわけでございますというのが一つあります。

ただ、②のほうで見たときには、プラットフォームがいるのですけれども、その関係というのは、その上に乗っているBやCの間だけで特商法の考え方が規定されておりまして、そこには全くプラットフォームが入ってこないという今の考え方で果たしていいのかどうかということが、ここで言っていることであります。

○森委員 つまり、広告の主体がプラットフォームなのではないかという趣旨ですね。特商法上の広告規制、表示事項とか虚偽誇大広告の禁止が、店舗の広告であっても、そのプラットフォームも広告について特商法上の広告規制の責任を負うのではないかということですね。

その場合、有償サービスでないとそもそも販売事業者ではないという問題があると思うのですけれども、それはどうなのですか。つまり、プラットフォーマー自身のサービスが、①に書いていただいているように有償サービスではないと通信販売ではなくなるかなと思うのですけれども、そこはそのまま維持されるのですか。

今だと、基本的にプラットフォームは有償サービスではないと思うのです。有償のものもあるとは思うのですけれども、そうすると、通信販売ではなくなるから、その場合は今のように、仮に広告主体が店舗ではなくてプラットフォームだと考えても、そもそも特商法の適用がなくなってしまうことがあるかなと思ったのです。

○消費者委員会事務局担当者 若干、説明させていただきたいと思うのですけれども、問題意識につきましては、9ページの図表2-1のプラットフォームが介在する取引の図を念頭に置いていただきたいのです。そもそも論的な話になるのですが、そもそも契約自体の切り方として、プラットフォーム上の利用者間契約は利用者間契約で、プラットフォーム事業者と利用者の利用契約は利用契約と完全に分断して考えるという考え方だけなのか、それとも、考え方によっては、この三角形の仕組み全体として、一つの取引と捉える考え方もないわけではない。そういう問題意識の中で、今回、31ページの一番下の段落から書かせていただいているという段階なものですから、今、森委員から御発言があったように、とりあえずプラットフォーム事業者に対しての有償性があるかどうかということだけで、直ちに特商法の適用の可否があるかどうかという形で細かく考えているというよりは、今、言ったような、もともと9ページにあるような取引の捉え方についてどうあるべきかというところから、とりあえず問題提起をさせていただいたという記述となっております。

○森委員 御趣旨は分かりましたけれども、そうは言ってもやはり法律の適用に関することなので、要件を満たしているかどうかということはクリアされなければいけなくて、ふわっと店舗とプラットフォームを一体的に考えるといっても、販売事業者でなければいけないことは間違いないので、例えば、間接的に何か利益を得ているから販売事業者だとか、そういうロジックはどこかにはどうしても必要ではないかと思います。その上で、改めて賛否が問題になるかとは思います。ありがとうございました。

もう一つあるのですけれども、長くなるので、とりあえずここまでにします。

○中田座長 それでは、片岡委員、その後、樋口委員ということでお願いします。

○片岡委員 私も鹿野先生がおっしゃっていたところと同意見でして、かなり踏み込んで書かれているというところと、事実の記載と、見解のようなものがまざってしまっているという印象を受けています。

事実に関しては客観的に書いていただいていいのですけれども、見解についてはかなり踏み込まれています。議事録を読んでも、こういう議論はしただろうかというところがかなり疑問でして、どなたかがおっしゃった御意見ということであれば、そういう課題が意見として寄せられたというていで書いていただくのは分かるのですけれども、今だと、この専門調査会としてここは課題だというふうに共通認識があったように読めてしまうので、そこはきちんと区別していただきたいです。

中には、事業者から見ると、ちょっとこれは事実誤認ではないかと思う箇所があります。例えば、モールが広告主体であると認定しているかのような書き方があったりするので、もう少し、どこでこういう議論がされたのかをきちんと教えていただいて、それを報告書に書くとしたらどうすべきか、というところをもう一度検討させていただきたい。そして意見を申し上げたいという感じがしております。

もう一つ、この法律の適用関係を考えたときに、事業者側の悩みとして、結局、民法上で取引相手が約束したとおりに取引を履行しないということが品質などのトラブルにつながるのですけれども、それを誰がどういう立場で解決していけばいいのか。法律関係は結構クリアなのだけれども、トラブルを解決していくにはどうしたらいいのかというのが悩みとしてあるということを申し上げたのですが、その悩みがどこにも書かれていなくて、今後の課題としてはきちんとそこを考えるべきだと思いますので、どこかに入れておいていただければと思います。

以上です。

○中田座長 ありがとうございます。

樋口委員、お願いします。

○消費者委員会樋口委員 今、片岡委員がおっしゃったことと共通しているのですけれども、かなり踏み込んで書いておられるのですが、この報告書を何のために出すのかというそもそも論から考えると、この部分で別に裁判所というわけでもないし、我々一般の素人が読んだ場合に、いろいろと法律的な考え方の整理があるというと、かえって混乱が生ずるだけなのではないか。

もちろん法律的に検討が必要だと、論点として挙げていただくのはいいと思うのです。そういう観点から、空白の部分があるということを書くのはいいと思うのですが、例えば、皆さんがおっしゃったことに共通するのですけれども、消費生活相談員の業務のところ、35ページの真ん中あたりの「ところで」というところから、相談員は当該取引に係る相談等を行うことができると解することに困難はないと書いてあるのですが、一体、相談員はどうすればいいのでしょうかと。端的に言うとそういうことでありまして、現実に相談員の方々が現場でやっていることに対して、この報告書でこのように書かれてしまうと、相談を行っていいのか、それとも行っていけないのか疑問が出てしまうと思います。

このレポートは消費者の方が読むものとしても位置付けられていると思うので、いろいろな論争があったり、考え方の差があるということはいいのですが、そこをあまり強調して、なおかつ相談員に関する規定まで触れているのはちょっとどうかなと思います。現実に混乱を生じないような形で位置付けをしていただいて、どうしても議論する必要があることがあれば、ここで集中的に議論して、行政に対して、注文すべきだと思います。相談員の業務の範囲というものを広げるべきであれば、とりあえず広げるべきだと指摘すれば良いわけです。法律上の根拠はなくても、相談について、現実には対応しなければいけないこともあり得ると思います。消費者安全法上の根拠がなくても、消費生活相談はできるわけですから、そういうところが、法解釈の論文としては良いとしても、専門調査会の結論としては、ちょっとどうかなという感じがしました。

○中田座長 今の点、もし事務局のほうからございましたら。御指摘の点について、報告書の意図はやや違うと思うのですが、むしろそこでの法的な問題というか相談を行うことの根拠でして、また法律相談との関係もありますので、むしろ業務がきちっとできるような形で規定の整備が必要かどうかという議論を1回させていただいていて、そういう意味で、疑義が生じるようであれば、法改正も提案しようという議論だったと思います。

ですから、樋口委員のおっしゃっているとおりの意図で書いているつもりなのですが、表現のところが少し適切ではないという御意見であると理解してよろしいですか。

○友行企画官 まず、相談員の部分でございますけれども、書き方はまたこちらのほうで考えたいと思いますが、この提言を最終的に御覧になっていただいて、相談員はプラットフォーム事業者が介在する相談にCtoCであってももちろん入れますということを述べたいと思っておりまして、それについては特段法改正がなくても、今の規定で読めますよということを整理して示したいというのが意図でございます。

誤解を呼ぶような書き方になっているところがあるようであれば、そちらにつきましては修文をさせていただきたいと思います。

それから、消契法や特商法のところにつきまして、少し踏み込んだ書き方がされているというところは、ひょっとするとそういうことがあるかも分かりません。ただ、現行法の規定がプラットフォームを介在する取引の形に適合しているものなのかどうかということは、討議資料の中でも項目としては出させていただいております。

そのときに、ここまで踏み込んだ意見はなかったかも分かりませんけれども、今日も含めて議論の会でございますので、もしこれも含めて言い過ぎだということであれば、もう少し引っ込めた形でとか、まだ議論が煮詰まっていないのであれば、そのような書き方にするということは十分あり得ますので、そういった形で御議論いただければと思います。

○中田座長 ありがとうございます。

関連ですか。それでは、畠委員、お願いします。

○畠委員 例えば、31ページから32ページの先ほどお話に上がっていたところですけれども、これが一体、何の問題を解決しようとしているのかということを、もう少しきちんと議論しなければいけないと思っておりまして、システムの仕様に起因して、例えば、誤クリックを誘発するとか、意に反した契約を締結されるような仕組みになっているという問題を解決するのであれば、プラットフォームが一定程度責任を負うということはあり得ると思うのですけれども、それ以上に、出店者の方々が自由に記載できる部分について虚偽誇大があったときに、プラットフォーマーがその責任を負えとまでは、さすがになかなか合意することは難しいのではないかと思うので、一体ここで何を解決するためにこれを書いているのかということを、もう少し議論する必要があるかと思っています。

○中田座長 それでは、生貝委員。

○生貝委員 ちょうどかかわりましたので、樋口委員の御発言にも関係するかと思うのですけれども、具体的には先ほど森委員からお話のあった32ページのまさに3パラ目の三者取引による一つの取引の論点について、私自身の感覚ですと、すごくベーシックな問題提起だという感触でございます。基本的に、消費者ニューディール等を含めて、そういう発想で対応しなければ解決できない課題がいろいろ出てきているという認識に基づいているはずで、大変共感するところでございます。

その上で、しかし森委員がおっしゃったとおり、そもそも有償で提供する契約かといった根本問題のところについて、具体的には、消費者ニューディールの消費者権利指令でしたか。まさにデータを対価として、カウンターパフォーマンスとしてといったような議論が出てくる。そのことをすぐに是とするべきかどうかは別として、まさにその点まで含めて問題提起をしていただけると、具体的な議論がしやすいのだろうと感じました。

それと関連して、今、ニューディールだけ引いていただいているのですけれども、おそらく可能であれば、そろそろ成立する、カライスコス先生が前に当初版の翻訳を出していらっしゃいますけれども、デジタルコンテンツ供給契約一定側面指令案というのが多分、議会選挙前に可決する。それは、内容的にも大変興味深いものではあるのですけれども、少なくとも今の契約概念について、同じ考え方を入れているところでございまして、よろしかったらぜひそれについても触れておいていただけると、いろいろと後にもつながる議論になるのかと認識したところでした。

以上です。

○中田座長 それでは、まず増田委員、それから前田委員、森委員という形でお願いします。

○消費者委員会増田委員 ありがとうございます。

そもそも素朴な消費生活相談員の意見として、プラットフォームの役割の中で、やはり加盟店と契約をして、利益を得て、その上で、利用者である消費者にサービスを提供するということからすれば、何らかの責任はあるだろうというのが消費者から見た一番基本のところなのです。

そういう問題意識からすると、現状の消費者契約法や特商法などというものの中で、それがきれいに分類できないという問題があります。それをまず明らかにするために、消費者契約法あるいは特商法のところでは、現状どうなっているかということを書いていただき、その上で、この部分はまだ明確にされていませんねという書き方をしていただく必要があるかなと。そういう意味で言うと、やはり消費者契約法、特商法の部分は、避けては通れないと思います。

もう一点、消費生活相談に関する部分ですけれども、34ページの5の下の4行の部分ですが、あっせんが可能であるのかどうかが明確ではないという言い方は、あまり正しくないと思っております。基本的に、あっせんは可能だと思ってはいるのですけれども、現状の相談員が、やはり様々なところが整理されていないこともあり、相手が消費者かもしれないという懸念もあり、そこで判断に迷うというのが現状だと思いますので、そういうところの書き方を少し工夫していただきたいと思います。

○中田座長 少しだけコメントしますと、プラットフォームが介在する場合に、その契約関係をどう見るかというのは一つの課題であって、生貝先生がおっしゃったような見方、つまり契約が結合しているとか、連鎖しているとか、あるいは三者間契約という形で一体的に把握するとか、つまり、そういうことをしないと、そういう見方をしないと、なぜプラットフォームの運営事業者がそれに関与してくるのかということ、紛争に関与してくるのかということが説明もできないし、そこでの責任追及もできない。

プラットフォームという市場をどういうふうに形成していくのかというのは、ここでの課題であるとともに、現実を説明しなければいけないという意味で、そういった枠組みが必要になっているということが専門調査会のところでも意識されてきただろうと思います。

そういう意味で、表現あるいは書き方という点で現行法の限界からそういったことを導けるのかという点については、かなり慎重に検討しなければいけないのかもしれませんが、これまでの知見を参考にしながら、そういった見方、枠組みを我々の専門調査会のところで示すというのは大事ではないかと思います。

それは鹿野委員が言われたように、どこでどういうふうに書くかという問題はあるとは思うのですが、そこはある程度、我々も認識しているのではないかというふうに今、議論を聞いていて感じているところです。

前田委員、どうぞ。

○前田委員 繰り返しにはなってしまうのですけれども、まさにここは表現の問題というところが多いかと思います。

確かに討議資料があったりだとか、法律上こうなっているというところの適示と、それに対して委員からどういう意見があったかということを書く必要があると思います。そして、その前提で報告書で意見の提案という形で断定的なことを書くときには、こちらの検討会の報告書であるという性質からすると、コンセンサスがとれたもののみそういう書き方をすべきだと思います。

ですので、あくまでもそういう意見があるとか、そういう指摘があるという書き方でとどめておかないと、そういう議論はなかったとか、そんなはずではなかったという話がどうしても出てきてしまうというところがあると思うので、特にここの部分は、正直なことを申し上げますと、法律論のところについては、この法律についてどうなのか、この法律についてどうなのかというのは、あまり深い議論はできていないような印象を私は持っているので、そこの書き分けをきちんとするということがすごく大事になるかと思います。

○中田座長 それでは、森委員、その後、原田委員、お願いします。

○森委員 ありがとうございました。

先ほどの消費生活相談員のところは、きちんと条文を引いて、根拠規定の事業者に対する消費者からの苦情の処理と言えるのかというところで、潜在的にプラットフォームに対する救済を求めているからそう解釈していいのだということですから、基本的な筋は非常にしっかりしていますし、ここでもそういう議論をしましたので、もしかしたら表現を直さなければいけないのかもしれませんけれども、このとおり維持していただいていいと思います。

私はそれと違うところで、34ページの5のすぐ上のパラグラフで、上記3で述べたように、プラットフォームを介する取引は、プラットフォーム上で利用者が行う広告表示は、上記システムによってあらかじめ定められた仕様によるなど、プラットフォーム取引の特徴に鑑みると、以上のような結論が妥当であるのかについて、改めて検討が必要ではないかというところですが、ここで言う「以上のような結論」というのは、このすぐ上の契約の締結について媒介をすることに委託を受けている場合の消費者契約法の適用の話ではなくて、ここではないですね。すぐ上の段落の話ですか。本法第4条に該当する行為をし、消費者が申込みの意思表示をした場合には、本法の取消権の対象になるにとどまると。

○消費者委員会事務局担当者 こちらの趣旨なのですけれども、現在、第三者の行為について、消費者契約法の対象となるためには、媒介概念をどうしても用いなければいけないというところで、媒介概念がなければ一切、第三者の行為については消費者契約法上の適用対象にならないのかという、媒介概念ということを介在しなければいけないのかというところについての問題点を指摘したつもりであります。

○森委員 そうしますと、どのような解釈が望ましいということですか。

○消費者委員会事務局担当者 こちらについても、まだ議論を必ずしも十分にしたとも思えませんけれども、例えば、第11回の増島弁護士の御報告などもありましたが、媒介の見方自体について、いわゆる今、一般的に言われているような旧来的な媒介の概念があった場合に、はじめて第三者の行為についても当事者に効果を帰属するとするのか、あるいは機械的な介在の程度であっても、消契法の5条のような形で考えることができるのかというあたりが検討する課題になるのかなと理解しております。

○森委員 そうすると、媒介行為が原則としてあるのだというふうに考えるということですか。

○消費者委員会事務局担当者 ここのところはすごく議論があるところだと思いますけれども、おそらくこれまでの一般的な議論では、通常のいわゆるプラットフォーム事業者の方がやっている行為自体については、今の商法や消費者契約法の5条で示されているような媒介には、必ずしも当たらないのではないかという整理でおります。

○森委員 分かりました。私が想定していたものと違いましたので、また改めて御意見を申し上げます。

○中田座長 それでは、原田委員、お願いします。

○原田委員 ありがとうございます。

34ページから35ページにかけて、5番の消費生活相談員に関する規定ということで、ここは先ほどからも出ていますけれども、紛争解決において議論する上ではなくてはならない部分だと思いますので、この部分は残しておいていただければと思いますし、この内容に別に何の反論もないのですけれども、ただ、文章のつくり方といいますか、ここの部分の記載の内容がすっと入って来づらくて、実際に相談員をしている立場から見たり、相談員が実際にここの部分をこのまま読むとあまり意味が分からないというか、まず一つは、意見にもあったかと思うのですけれども、そもそもあっせんに関して、消費生活相談におけるあっせんというのは、いわゆる事業者対消費者の交渉力とか情報力の格差を埋めるためにやるみたいなたて付けがあって、それでやる。

何であっせんが可能であるかどうかが明確でないというのが、なんで明確でないのかというところはそもそもこれだと全く分からなくて、Bであれば、そのまま直にダイレクトに入れるのだけれども、BかCかがよく分からないので、格差を埋めるような前提に基づいたあっせんというのができない。それで多分、消費者安全法のところも、事業者に対する消費者からの苦情の処理のためのあっせんを行うという部分しか取り出されていないので、そうすると、プラットフォームに対するあっせんなのか、それとも、BかCなのか分からない、とりあえず取引相手に対するあっせんなのかが、ここだと両方ごちゃまぜになってしまっていて、これだけ読むと、何に対してのあっせんなのかということが分からない。

なぜかというと、一番下のほうに、現在の実務においては消費者間の相談について、まずプラットフォーム事業者に連絡して、事実確認を行うと。何でこれをやっているのかというのが、ここもまた独立して、意味は通じていないので、文章のつくりというか、早い話が順番です。なので、下のほうにいきなり現在の実務においてはと独立してしまっていると、ちょっと分かりにくいので、現在の実務においてこうだから、こういうところに困っていて、消費者安全法ではこうなっていますというたて付けにしたほうが、読んだときに流れやすいのかなと思いました。

以上です。

○中田座長 ありがとうございます。

その点については、しっかりと反映させるような形にできればと思います。

それでは、蟹瀬委員、その後、早川委員。

○消費者委員会蟹瀬委員 この特商法にしても民法にしても、プラットフォームという世界が出てくる前に制定されているものばかりのため、それがどこまで当てはまるかということを説明している報告書だと思います。

私は、それはすごくありがたい話で、私たちの今まで培ってきたビジネスについて、特商法や消費者法等で守られているということや、それはここまで当てはまりますよということが書いてある。

ところが、当てはまらないところがこうですという書き方が、あまりにもきつ過ぎる感じがします。例えば、32ページでは、3段目に、そうであればプラットフォームを介した取引云々で、制度設計を検討することも考えられるのではないかという書き方であれば、要するに、三者契約ということがあるのではないかとかいうことの検討に入れると思います。

ですから、こういう書き方をこの法律のところでは全体にやってくださると、取りかかりやすいという気がします。

例えば、上のほうに、プラットフォームを介した取引を契約ごとに分化する考え方は必ずしも妥当であるとはいえないのではないかと書いてあるのですが、それは、あくまでも意見であり、意見をここに書いてしまうと、誰かが言ったようになってしまいます。そうではなくて、ここは外国の例も含めて、このように日本の現行法で当てはまるところがありますと。当てはまらないところは、検討する可能性があります。それはこうですよと。Aですよ、Bですよ、Cですよというふうに書いていただければ、すごく検討がしやすいと思います。

その上で、プラットフォーマーと出店者と消費者の関係をどう見るかという討論を、もう一度していくということが次の段階だと思います。よって、よろしければ、そういう視点で少し書き直していただければ分かりやすいと思います。

○中田座長 ありがとうございます。

私もそれは意識しているところです。

池本委員長代理、どうぞ。

○消費者委員会池本委員長代理 かなり意見が出ているかと思うのですが、重複するところも含めて、確認的に申し上げたいと思います。

特定商取引法に関する法律ということで、30ページから32ページまで書いておられるところには、現行法を当てはめようとしたときに、ここが難点だということと、そうだとすると、その先どうするかという記述、いわば、後で提言のところで書くべきかと思って提言のところを見ると、提言は専ら法律やガイドラインでも考えられるということだけでとどめている。そうすると、ここで書くのだとすると、そこは分けておかなければいけないということを思います。

まずそのことを前提に、現行法のところで細かいことですが、31ページの図表3-1がありますが、プラットフォーム事業者と利用者間の利用契約については、プラットフォーム事業者が規制を受けるという位置付けにしてありますが、実は消費者が利用者であれば特商法は適用されるけれども、出品者が事業者である場合には、特商法は適用にならないのです。

その意味では、ここにも消費者である場合という限定を入れて、そこも特商法上の適用の大きな違いがあるのだということは指摘していただきたいと思います。

そして、先ほどから議論がある32ページの、三者間の取引の一つであると捉え、これも考えられるというふうになっていますが、実はその議論に入る前提の現行法上の似通ったところでいえば、これまでこういう議論をしていなかったかもしれないのですが、実はプラットフォーマーの役割というのは、クレジット契約のカード会社、つまり与信審査をするというのは利用者との関係では自らの責任だけれども、販売業者の販売方法については本来、自分の責任ではない。けれども、トラブルが多発する場合には、加盟店調査措置で対応してくださいという間接的な責任でしかない。そこはきちんと分けて、条文をつくってあります。

しかも、加盟店との関係はBtoBの関係だけれども、それも取り込んである。その意味では、特商法の中に位置付けられるのだというよりは、どちらかというと三者間の取引という意味で、近いのは割販法ではないかと前から思っているのです。そのようなことにもちょっと触れた上で、特商法そのものに入るのか、独立なのかも含めた、構造に適した規制が必要ではないかという問題提起にしておくと、すとんと来やすいのかなと思います。

もう一点だけ、35ページの、先ほど原田委員や、その前に森委員がおっしゃった消費生活相談のこれは全く御指摘のとおりで、CtoCのフリマの場面だからセンターは相談に入らないという感じで最初から引いてしまう人と、でも、それをプラットフォーマーに対して何とかしてよということは言っていいのではないかということが、現場では未整理なのです。

そういうときに、明らかにCtoCだということがわかった後でも、更にお金をちゃんと払いなさいとか、欠陥があるのだからちゃんと差しかえなさいというところまで行くかというと、そこは違うだろうというのがほぼ共通項なのですが、原田委員がおっしゃったように、相手方が、例えば、個人として出品しているといっても、同じようなものをたくさん出している場合には、準則から見ても事業者に当たるというところがあって、そこはオークションサイトなどにも言って、そこからも調べてもらい、あるいは自らもそこを確認するという意味で、事実関係の調査のところまでは入っているところが多いとか、そこはちょっときめ細かに、こういう考えではここまでは入れる可能性があるというところを少し整理しておくと、現場にとっては非常に有用な情報になるのかなと思います。

○中田座長 ありがとうございます。

樋口委員、お願いします。

○消費者委員会樋口委員 皆さんいろいろ議論していただいたので、クリアにはなりましたけれども、一つ気になっているのは、この法律の運用とか、相談員の現行の制度の運用の問題があって、例えば、Q&Aだったり、解釈で、現実に運用したり、いろいろな対応は日々なされていまして、特商法と契約法についてそれぞれ専門調査会があって、運用の範囲なのか法律なのか、そういったことを決めるという流れがあるので、そことの関係で、問題提起をして、一部はそういうところに、あるいは行政の運用に対して問いかけるような形で、問題点をクリアにするという形がいいのではないか。

今、拝見すると、その辺のところの区別がはっきりしないところがあって、逆に疑問を投げかけてしまうというか、別の専門調査会の議論をしないままにそういう議論をしてしまうと、そこはそこでまた議論があるのかなということだけ、ちょっと気になりました。

○中田座長 ありがとうございます。

それでは、早川座長代理、お願いいたします。

○早川座長代理 現在の議論の状況と、報告書について注文を付けるべきところがあるとしたらどこかという点を述べさせていただきたいと思うのですが、その前に年度末を迎えまして、いろいろな省庁が今、こういう報告書をいっぱいつくっていまして、あるいは提出しなければいけなくて、私も一つ3月1日締め切りのものを抱えておりまして、お話を聞いていると、どちらかというと、むしろ事務局に気の毒だと思うような心理になってしまうのは、自分がこういうものをつくっているせいだということで、これをつくるのは大変だろうなとは思って、これだけのものをまとめ上げる中で、完全なインテグリティーを求めるのはちょっと難しいかなと思います。

そうはいっても、それに注文を付けるのが委員の役割ですので、そういう観点から見ていきます。今の議論の状況として、各論についてここの記述はどうかとか、この問題についてはどうかというお話と、それから、この報告書自体の構成として、今の構成に揺らぎがないのかというところと、2つが大きく問題になっていると思います。

各論の問題については、個々の論点について思い入れの強い委員もございまして、もっと書いてくれとか、ここは書き過ぎだというのがあると思うのです。そこについてはコメントしませんけれども、報告書はバランスが大事なので、バランスを踏まえて書くのが非常に重要なのかなということだけは申し上げます。

その上で、構成の点で、やはりこうすればと思うところがございまして、それは今まで委員の方々が言っていることと重なるのですけれども、私は1ページ目が大事だと思っておりまして、「はじめに」がございまして、「はじめに」の中で1ページ目の後半から、この報告書が何をするのかについて明確に書かれているはずなのです。第1では、現在のプラットフォームが介在する取引の拡大の状況について整理をする。それから、第2で、今、消費者トラブルはどういう問題を抱えているのかというところを書いていって、そこから見えるプラットフォーム事業者の取組みたいなものを書いてあるというのがありまして、第3というのが今のところだと思うのですけれども、第2のところの消費トラブルの状況と、本来であれば、それに対して対応するような法規制みたいなものがあってしかるべきところ、しかし、委員の先生方はおっしゃっていましたけれども、そこが社会の変化があって、また取引やトラブルの変化があるにもかかわらず、法規制は必ず後追いになりますので、必ず穴が発生するわけです。その穴がどこにあるのかというところを提示するというのが多分、第3の部分の役割だと考えます。

ですけれども、ついつい後のほうで出てくるところの、どういうふうな形で解決されるべきだとか、誰が責任を負うべきなのかというところが、ちょこちょこ見え隠れするので、そのたびにいろいろと議論が起きていると感じます。

それは多分、この第4の外国のところを見て、どういうふうにしているのかを参考にしつつ、第5では、その取引をもう少し構造的に明らかにした中で、第6のところでどういう方向性があり得るのかということを議論するところで初めて出てくるべきなのですけれども、前もって、穴があるというところがどう解決されるべきだとか、誰が責任を負うべきだというところが、もうここで出てきてしまっているところがそこかしこにあって、それはさっき報告書をつくる立場からすると、やむを得ないなと思いながら聞いていたのですけれども、そこを工夫すると、今の構成上のいろいろな異論のようなところはなくなるのではないかと思います。

その観点から見ると、こういう報告書をつくるときは「はじめに」が一番大事で、第1、第2、第3というのは、整理しますとか、軽く書くのですけれども、ここを内部的にでもいいのでぎっちりつくっておくと、何をやるべきかというところと照らし合わせて記述が果たしてそれに合っているかどうかということの検証ができるので、それがよいのではないかと思ったのが一つでございます。報告書のつくり方みたいな話になって申し訳ないです。

その意味で、あとはプラットフォーマーの一定の責任というような政策が後半に出てくるとするならば、それはこの中でではなくて、後のほうでちゃんと検討の上で、そうなるかどうかは別にして記述されるべきだと思います。

最後に、この報告書は一体誰に向けてつくられているかという話がありましたけれども、報告書はいろいろな人が読むので、そうすると、どの人にとって読みやすいかとか、どの人にとってとやると、結局、何が何だか分からないものになってしまうので、内閣府がつくっているということの意味をちゃんと考えて報告書をつくるべきだと思っております。

つまり、経産省なり消費者庁なりという所管を持っているところではないところが、その上の立場から、ある種の政策の方向性のようなものを提言するというのが多分、この報告書の最も重要な点ではないかと思いますので、その観点から見て分かりやすく書かれているかというところをぶれないように書くというのが非常に大事で、それを超えて各論にあまりに入り込んでしまうと、報告書自体のインテグリティーが下がりますし、当然ですけれども、反対の立場の人からの反発とかも出てきますので、その辺が重要なのではないかと思っております。

多分、私の申し上げたことは、今まで委員の先生方にいろいろな形で言っていただいたことと重なっていると思いますけれども、あえて申し上げさせていただきました。

○中田座長 ありがとうございます。

○生貝委員 本当に手短に。今まさに、特に外国のものを参考にしながらいろいろと考えるというつくりというところと合わせてなのですけれども、ヨーロッパ法は、ニューディールだけではなくていろいろなものがある。例えば、特に2016年5月に不公正取引方法指令のガイドラインの改定が出ていまして、ここで議論されていることは、かなりそこに含まれているところでございます。

オスナブリュック大学の先生も、いろいろと前提を飛ばして、外国のことはお話しいただいているので、あのあたりをスタート地点にして、今の議論をまさにされているということを、カライスコス先生とも御確認いただきながら、EU法としてどこまで触れるのかが適切かというのは、少し見直していただいてもよいかなと思いました。

以上です。

○中田座長 ありがとうございます。

その議論は、これから後の5、6のところでも御指摘いただければと思います。

それでは、事務局のほうから、第5と第6をあわせて御説明いただければと思います。

○友行企画官 それでは、素案のほうの52ページを御覧いただけますでしょうか。

こちらにつきましては、「第5 プラットフォームが介在する取引の特徴」といたしまして、(1)から(8)という形で8項目出させていただいています。それを(9)小括のところでまとめた形になっております。

(1)でございますが、まずインターネット取引の規模の拡大と社会における重要性の高まりということでございまして、ここは表題のとおりでございます。

(2)でございますが、プラットフォーム事業者が定めたルール・システムに基づく取引が行われているところという趣旨でございまして、プラットフォーム事業者は、多数の事業者、消費者が参加することが可能な市場そのものを設計して、取引ルールを定めていると。したがって、そのプラットフォーム上で締結される利用者間の契約は、利用者間の意思の合致により成立してはいるものの、上記設計ルールの在り方に依存しているというところを指摘させていただいております。

53ページでございますが、(3)利用者の選択権の基礎となる情報の提供というところでございまして、プラットフォーム事業者の設計したシステムに基づく広告表示やレビュー機能等が意思形成の重要な基礎となっているというところでございます。

(4)といたしまして、マッチング機能を提供しているといったところでございまして、プラットフォーム事業者は、利用規約等に基づき、利用者からの情報の提供を受け、当該情報を活用した検索機能などのシステムを利用者に提供する。当該プラットフォーム上において利用者間で締結される契約のきっかけを提供しているというところでございます。

こうしたプラットフォーム事業者のシステムの提供は、利用者間の効果意思の合致に至るまで尽力はしてはいないものの、同システムの存在がなければ、契約の成立はあり得ないとはいえ、その役割は重要であるといえるという指摘をさせていただいております。

(5)でございますが、個々の取引への関与度合いでございまして、プラットフォーム事業者によっては、個々の取引における債務の履行として対価支払について当該プラットフォーム事業者を介する方法を提供したり、商品発送の一部を担うなどの対応もみられており、契約の重要な履行の一部を担っていると評価することもできるのではないかというところでございます。

(6)の収益構造は、手数料や広告費等という金銭のところに着目しておりますけれども、プラットフォーム事業者が利益を収受しているといったところでございます。

(7)でございますが、プラットフォーム事業者には取引に係る様々なデジタル情報が集約しているという指摘でございます。そういったことから、54ページでございますが、消費者トラブルが生じた取引がその時点でどのような状態にあるのか、消費者トラブルが生じた際にどのような解決手段をとり得るか等、集約した情報を活用した対応ができる可能性を有する。

したがいまして、プラットフォーム事業者は、プラットフォーム上で消費者トラブルが生じた際に、取引を取り消すことで事態を収束させたり、悪質な参加者のアカウントを停止するなどの措置をとることにより、取引の場を正常な状態に戻すことができる可能性を有するのではないかといったところでございます。

(8)でございますが、プラットフォーム事業者と利用者との関係性でございまして、あくまで事業者と利用者との関係であれば、情報の質や量、交渉力の格差が存在するといったところでございまして、プラットフォーム事業者においては、消費者の安全の確保等の取組等を行うことが求められているのではないかといったところでございます。

以上を踏まえまして、小括でございます。「すなわち」のところでございますが、すなわち、こうしたプラットフォームの行為は、利用者の契約の締結に向けた意思形成過程に大きな影響を及ぼしているといえる。

さらに、一部のプラットフォーム事業者においては、プラットフォーム上の利用者間取引の決済等、契約の履行につき不可欠な役割を担う場合もみられる。

また、プラットフォーム事業者は、利用者に関する情報の集約等を通じて、トラブルの未然防止、不正な取引を行う利用者の排除等による被害発生を回避することができる可能性も有するといえるというところを指摘させていただいております。

こういった第5のところを踏まえまして、「第6 提言」でございます。

まず、最初に55ページでございますけれども、プラットフォーム事業者の役割といった形で整理させていただいております。

まず、1つ目といたしましては、財・サービスの提供者に係る審査の実施でございます。具体的な取組といたしましては、鉤括弧を付けまして、

○で御提示しているような状況でございます。

1つ目が、今、申しましたところでございまして、2つ目といたしまして、プラットフォーム事業者から消費者への情報提供といったところでございます。

ここの中身でございますが、少なくとも専門調査会に参加した事業者、団体等におきましては、様々な消費者トラブルの未然防止や事後的な救済等について取組を行っている。しかし現状、消費者においてはプラットフォームがどのようなよい取組をしているかということは分かりにくく、そうした事業者の取組が、消費者がプラットフォームを選択する際の指標となってはいないのではないかという問題意識に基づきまして、取組といたしまして、消費者の選択や利便性に資するようなプラットフォーム事業者の相談窓口の設置等、そういった取組について消費者に分かりやすい形で表示してほしいといったところでございます。

(3)につきましては、分かりやすい財・サービスに係る表示といったところでございます。具体的な取組の例といたしましては、鉤括弧のところの○に記載しているところでございます。

(4)につきましては、安心、安全な取引環境を整備するための公正な利用規約の制定と明示といったところでございます。具体的な取組を、57ページに書いてございますけれども、例えば、消費者に一方的に不利にならない等、安心、安全な取引環境を利用できるための適切な内容の利用規約の制定でございますとか、送料、返品、キャンセルの規定等、消費者トラブルに発生しやすい事項にかかる利用規約等の分かりやすい表示等といったところでございます。

(5)につきましては、評価の透明性の確保といったところでございまして、口コミランキング等のレビューは、プラットフォームが介在するインターネット取引の重要な仕組みといった前提に立ちまして、具体的には、レビューがその役割を適切に果たすため、レビューの収集処理、公表の工夫を凝らし、レビューの実効性と透明性を高めることに努めていただきたいといったところでございます。

(6)につきましては、決済システムの安全性と多様性の確保といったところでございます。

次の58ページの(7)でございますが、消費者トラブルへの対応と消費生活センターとの連携といったところでございまして、こちらにつきましては、具体的には財・サービスの提供者、消費者両方からの問合せや相談に協力していただきたいといったことや、相談対応窓口の明示などといったところでございます。

(8)といたしまして、オンライン取引に係る紛争解決の仕組みといったところについても、仕組みとして持っていただきたいというところでございます。

59ページでございますが、保険や補償制度についてでございます。さらなる安心、安全の仕組みとしての保険、補償制度といったことも考えられるのではないかといったところでございます。

(10)でございますが、ここはCtoC取引におけるという限定がつくわけでございますけれども、その場合のプラットフォーム事業者の役割といたしまして、まず、購入・利用者の保護という観点から、提供者がB又はCであるかの判断が困難な場合に、プラットフォーム事業者のほうで、提供者の本人確認等を確実に行っていただいて、必ずしも提供者自らが表示しなくてもよいと。そして、プラットフォーム事業者がリスクを負うということであれば、提供者とのトラブルを未然に防止し、早期の紛争解決につながる可能性があるのではないかといったところでございます。

提供者の保護につきましては、相談現場などにおきましては、提供者からの相談も発生しているという指摘がございまして、一方的なことを求められるという場合もある。そういった場合には、消費者が売主として備えておくべきトラブル処理能力に欠けている場合もあり、プラットフォーム事業者が提供者と一体となって解決に向かうという取組を行うことも重要ではないかといった指摘でございます。

ここまでがプラットフォームの事業者の役割でございまして、60ページからは、2番のところでございますが、CtoC取引における消費者としてのプラットフォーム利用者の役割でございます。

まず、(1)提供者側の役割といたしまして、特商法、消費者契約法における事業者規制のための規定が適用されない場合という理解がございます。そういった場合に、相手方の消費者との関係では、提供者には事業者に準じた役割と責任を備えることが望ましい場合があるのではないかといったことがございますが、実際には、プラットフォームの利用という点では、事業者性を帯びるということから、提供者として担うべき役割と責任を、プラットフォーム事業者と事業者でないCが分担、共同して担うことも考えられるのではないかといったことを指摘しております。

それから、購入・利用者の役割といたしましては、CtoC取引においても、民事上の責任を負うことを認識し、規約を適切に確認するといった最低限のことを守る必要がある。

また、購入利用時においても、取引環境の健全に向けて役割を担うことが期待され、例えば、レビューにおいて悪質・恣意的な評価をしないといったことなども考えられるといったことでございます。

61ページの3番につきましては、行政機関の役割でございまして、消費者への情報提供や消費者教育といった観点でございます。

アでございますが、表示や利用規約の確認を着実に行うこと。イでは、若年者、高齢者への対応をきめ細かに行うことといったところでございます。

(2)といたしましては、プラットフォーム事業者への情報提供といったところでございまして、行政機関からプラットフォーム事業者に対して対応を求めるといったこともあります。その場合には、適切にプラットフォーム事業者のほうに情報提供を行うことが重要であるといったことでございますとか、また、プラットフォーム事業者は様々であるといったことから、適切な運用をしているプラットフォームの仕組みなどをマネージするといったことも必要ではないかといったところでございます。

(3)でございます。ここは少し書き方が不十分という御指摘もございましたが、関連する法令やガイドライン等の見直しというところにつきましても、行政機関の役割といったところでございます。

63ページでございますけれども、国民生活センター、消費生活センター、消費者団体の役割といったところでございまして、ここで記載させていただいておりますのは、相談員の役割のことを整理するといったところでございます。そこは(1)で記載させていただいております。

(3)につきましては、消費者団体等によるテストでございまして、消費者が安心、安全に取引に参加できるプラットフォーム事業者を選択することが難しいといった意見に応える方策の一つとして、例えば、消費者団体がプラットフォームについて様々な観点からチェックなどを行って、それを公表するといったことも考えられるのではないかといったところでございます。

64ページでございますが、プラットフォーム事業者が果たす役割の実効性の確保といったところでございまして、役割を求めるといったときに、例えば、どのような規定の仕方があるかといったところでございまして、この報告書では、現状、役割について整理しているだけでございますので、法律、ガイドラインといったところには直結しないのかも分かりませんけれども、ルールを決めた際の実効性の確保の仕方としては、一つには法律やガイドラインといった規定の仕方があるといったことや、自主的取組、共同規制といったところも随分この専門調査会の中では御紹介いただいたところでございます。

認証制度という考え方もございまして、これはシェアリングエコノミー協会のほうから御発表などもあったところでございまして、こういったルールについての実効性の確保があるといったところを、方策として示すといった形の例示の仕方とさせていただいております。

65ページ以降の今後に向けてでございますけれども、現在、提言の中には入っておりますが、直ちに対応を求めるといったところではないかも分かりませんが、消費者保護の観点からは、(1)以下に指摘することにつきましても重要な論点となり得るため、今後も引き続いて着目し、検討を深めるべきであるといった事項を整理させていただいたところでございます。

(1)といたしまして、利用者の情報の取扱いに関する透明性でございます。プロファイリングやスコアリング等についての御指摘が委員の先生方からございました。そういったことについて、何らかのルールが必要かどうか、その場合に具体的にどのような方策が考えられるのか、今後、必要に応じて検討していくことが考えられるといったことでございます。

(2)につきましては、非マッチングサイトにおける課題といたしまして、アのところでは、パーソナルデータの取扱いという表題を付けさせていただいております。

66ページで記載しておりますのは、広告事業者による閲覧履歴の収集におきまして、例えば、広告事業者のほうで、閲覧者の個人情報を保有している場合には、それとひも付けられて、個人情報の取得になる場合がある。こういった問題について、どうするかといったところでございます。

67ページにつきましては、イといたしまして、SNS等における財・サービスの取引というところでございます。従来は、コミュニケーションの場として利用されていたものかも分かりませんが、実際には、財などの取引が行われているといったものにつきまして、実態調査などを行って、どういった対応が必要かということを考えることも必要であるといった指摘をさせていただいているところでございます。

(3)でございますが、海外事業者への対応でございます。プラットフォームを利用することにつきまして、海外の事業者を利用するということも十分あり得るといった場合に、どういった整理をしていくかといったところでございます。

68ページのところでございますけれども、法律の規定は、一定程度あるものはございますけれども、実際には、少額の被害について、海外事業者と争うことが現実的ではないといったことや、そういったことがトラブルの解決を困難にしているといった指摘もあったところでございます。こういったものについても、対応する必要があるといったことでございます。

(4)につきましては、オンライン紛争解決の充実の重要性があるといったことを指摘しているところでございます。

(5)、最後になりますけれども、プラットフォームが介在する取引における消費者保護の視点の重要性といったところでございまして、今後、ますます取引が拡大していくので重要性が高まっていく。その関係で、様々なルールや仕組みの検討がされるといった場合に、消費者が安全の取引に参加できるような、消費者保護の観点からの仕組みや検討が必要不可欠であるといったところを指摘しているといったところでございます。

本文につきましては、後ろのほうでコラムがございますけれども、全体といたしましてはこういう形で整理させていただいております。

ただいまの第5と第6のところにつきましてもコメントを整理したものを、資料3で確認させていただければと思います。

15ページから始まるところでございます。プラットフォームが介在する取引の特徴といったところでございまして、項目といたしまして80番から指摘がございます。第5におきます指摘の主なものにつきましては、こういった形で修文してはどうかといったところもございますけれども、コメントの主要なものにつきましては、第5のところで指摘いたしましたことにつきまして、全削希望といったこともございましたけれども、全体としては、もう少し議論してはどうかという趣旨のコメントかと思われますので、この部分につきましても御議論をぜひいただければと思っているところでございます。

第5につきましては、今のページから19ページの101番までコメントをいただいておりますけれども、少し言葉の整理がされていないのではないかといったコメントにつきましては、事務局のほうで引き続き精査させていただきたいと思いますが、そもそもここの部分の議論が足りないといったところにつきましてもあるかと思いますので、御議論いただければと思います。

次の20ページからにつきましては、第6の提言につきましてのコメントでございます。こちらにつきましても、たくさんの御意見をいただいておりまして、例えば、107でございますが、提言の位置付けが不明確かと思われますといった御指摘がございます。法的な義務にするのかといったところが次のところに書かれておりますけれども、現時点の素案におきましては、直ちに法制度を求めるといった書き方ではございませんで、素案で示していますのは、こういった役割が必要ではないかといった、まさに役割の整理といったところになっているかと思います。

21ページから、第6で書かせていただいているところにつきましてのコメントでございますが、110番を見ますと、これまでの議論の中で、こういった結論には達していなかったと思うといったコメントがあるところでございます。

それから同様の趣旨のコメントがずっと続いているような形でございまして、22ページの119番のコメントにつきましても、このような方向性で議論を行っていた認識はないといったところでございますとか、23ページの125番に書かれているのは、発表した事業者の自主的な取組例ばかりであって、役割ではないといった御指摘もございます。

24ページ、25ページにつきましても、同じところにつきまして、同旨の指摘もされているところでございます。ずっとそういったコメントが続いているところでございまして、30ページの177番を御覧いただきますと、提案されている内容の多くが、既に実施されていると思料され、トラブル解決のための提言としてあえて掲げる意味があるか疑問であるといった御指摘もあるところでございます。

第6の提言の1のプラットフォーム事業者の役割についてのコメントにつきましては、31ページ、32ページの187番までが第1までのコメントでございます。

その次が2のコメントになっております。そこにつきましては、194番のコメントを見ていただきますと、第6の2(1)につきまして、そういった結論は出ていないのではないかといったコメントをいただいております。

コメントの195番以降は、第6の2が少し続いておりますけれども、検討や修文してほしいといった趣旨のコメントもございます。そういったところにつきましては、引き続き検討させていただきたいと思います。

コメントを引き続き見ていただきますと、37ページの216番までずっと来ておりまして、第6の3、第6の4までのコメントでございます。

第6の3や第6の4につきましては、重複を指摘していただいているようなコメントでございますので、事務局のほうで少し整理してみたいと思います。

第6の5の今後に向けてというところにつきましては、結論を出しているところではございませんので、コメントの中でそのような結論は出ていないという御指摘がございますけれども、まさにここはこういった論点が重要なので、今後においても検討していくべきだというところを述べているところでございますので、結論を出したという趣旨ではございませんといったところでございます。

ずっと参りまして、引き続きコメントでございますけれども、38ページ、39ページでございます。失礼いたしました。先ほどの37ページの217の第6の5からは実効性の確保につきましてのコメントをいただいておりますが、そちらにつきましては修文対応といったところも含めまして、検討させていただきたいと思います。

第6の6の今後に向けてにつきましては、39ページのところから、226番にコメントをいただいているところでございますが、こちらにつきましては、先ほど申しましたように、結論を出すというところではございませんで、今後に向けて整理するといったところでございます。

39ページ、40ページにつきましても、第6の6の部分につきましてコメントをいただいております。

最後はコラムのところでございますけれども、コメントをいただいておりまして、コラムに記載している趣旨が不明ですといったコメントをいただきましたが、そちらは最初のほうで、少し本文とひも付けて整理してはどうかといったコメントをいただきましたので、そのあたりも踏まえた形で内容をもう一度、見直したいと思います。

以上でございます。

○中田座長 ありがとうございました。

スピーディーな説明であったので少しついていけなかったところがあったかもしれません。

残すところ、最大で後20分ぐらいしかなく、時間も限られていますが、この議論の中では皆さんの意見を十分に反映できないことになるかもしれませんが、事務局と相談しつつ、最後まで、時間の許す限りということですが、頂戴した意見を反映させていきたいと考えています。今日の時間は限られているかもしれませんが、そういう趣旨でございますので、よろしくお願いいたします。

それでは、今のところにつきまして、御意見あるいは御質問がございましたら御発言ください。

片岡委員、お願いします。

○片岡委員 まず、第5なのですけれども、前回の発言が全く反映されなくて、非常に残念だったところです。こういった分け方をされる方がいらっしゃるというのは、発表もいただいたので理解はしているのですけれども、ここについてあまり深めた議論はしていませんで、事業者からすると、事実として書くには書き過ぎな部分が多いかなという認識を持っています。

前回も言いましたが、例えば、こういった情報を集約しているというふうに、53ページの(7)とか、あとは収益構造のところも、これが事実かのように書かれていますけれども、そういうプラットフォームもいるかもしれませんが、そうではないプラットフォームもいるのです。自分のところでやっているプラットフォームとは違うプラットフォームの話をされていると前回、申し上げましたが、こういう観点で見ることができるという「観点」を示すのであればまだ理解できるのですけれども、プラットフォームの特徴としてここに記載するには、ちょっと一方的な意見過ぎるかなと思います。

そう思うと、第5でプラットフォームが介在する取引の特徴というのは、何のためにやっているのかというところをいま一度振り返っていただければと思います。

この中身が提言につながっているのかというと、必ずしもつながっていない部分もありますので、ここは正直に申し上げてこのまま書かれるのはかなり異論があります。

第6についてなのですけれども、いろいろ課題がある、そこについてまだ議論を深めていないという状態だったと思います。その中で書けることは何か、役割としてどういうことがあるかということを書くべきだと思うのですけれども、課題とセットで書いていなくて、どちらかというと「こうすべきだ」、「ああすべきだ」というふうに書かれているので、書き方を工夫する必要があるということ。

あと、今の書き方だと、我々が発表した自主的な取組が、必ずやるべきことかのように読めるような書きぶりになっているので、ここも書き方を変えていただきたいと思います。

ここで言う提言は、誰にどういう提言をする趣旨なのかというところも分からなくなってしまっている感じなのですけれども、正直に、今まであった議論を踏まえて書いていただきたい。そこから書き過ぎたりしないようにしていただきたいと思います。

以上です。

○中田座長 ありがとうございます。

事務局のほうから、何か一言ございますか。

○友行企画官 第5と第6の関係をもう一度御説明させていただきたいのですけれども、我々のもともとの問題意識といたしましては、プラットフォーマーが介在する取引につきまして、何らルールがないという状態で、本当に消費者がこれからずっと安全に使っていくことができるのかといった問題意識がまず最初にございまして、この専門調査会の御検討を始めていただいたわけでございます。

その中で、プラットフォームが介在している取引の仕組み自体を少し整理させていただいて、その仕組みを整理していくと、プラットフォームの役割というのはもう少し何らかやっていただくことがあるのではないかという流れにしていきたいと考えております。

プラットフォーム事業者のほうに一方的にこういうことをやってくださいと言うことは言えないと思う。でも、やっていただくからには、何らか、どうしてやっていただくかという整理が必要だと。その整理の部分を第5のところでさせていただいたということでございます。ですから、第5で一旦整理をさせていただいて、こういった仕組みの中での取引であるから、第6の提言の中で、まずプラットフォーム事業者様にはこういうことをやっていただきたいし、そのほかの参加者についても行政としてはこういうことをやるべきだという形にしたいというところでございます。

議論が足りないというところや、異論があるというところにつきましては、少し書きぶりを変えたり正確な書き方にするということは十分していきたいと思っておりますので、ここに書いてある特徴自体が全く違うのか違わないのか、そういったことも含めまして御議論いただきたいと思っております。

○中田座長 ここで使われている提言の意味について、少し御説明いただければと思います。

○友行企画官 消費者委員会のほうで提言というふうにした場合には、例えば、直ちにそういった法律をつくってくださいですとか、そういったことを意見するといった趣旨よりは、様々な調査をしてきて、こういう問題がありますと。そういった問題などを解決していくためには、こういったことをしていくのがいいのではないかといった課題解決の方向性を示すといったものでございまして、その課題解決の方向性を関係する所管省庁やこれを読んでいただく事業者、国センや相談員、一般の消費者の方に見ていただいて、理解していただくというところでございます。

繰り返しになりますけれども、専門調査会で提言を出すという場合には、どんな問題があるかということをまず明らかにしていただいて、それを一定程度、分離したり整理したりして、そういった問題や課題につきまして、どんな解決の方向性があるかということを示す。それを世の中に出すといったところ、まさにそれが提言であります。

そこから先、法律になるのか、ガイドラインになるのか、共同規制になるのか、認証制度になるのかといったところまでは、この報告書では、現時点では示していないというところでございます。

○中田座長 ありがとうございました。

それでは、片岡委員。

○片岡委員 第5の整理を受けて第6を書くということなのであれば、今の第5はかなり異論が多いので、同意はできません。特にプラットフォームはこうであるという結論になってしまっているので、例えば、プラットフォームの役割を考えるときに、情報をどれぐらいとっているかとか、収益をどうやって得ているかとか、どういう機能を提供しているかとか、そういうものによって役割の重さが変わってくるという書き方であればまだ理解できるのですけれども、今だと項目立てをして、プラットフォームとはこういうものであるという書き方になってしまいますので、この内容のままでは、第6につながる第5の内容としては同意できないということを、今の段階で申し上げておきます。

○中田座長 畠委員、お願いします。

○畠委員 今の御意見と同じなのですけれども、例えば、52ページの(2)のところで、契約の締結について利用者間の意思の合致の成立はしているものの、上記設計及びルールの在り方に依存していると。これはおそらく、意思表示については依存しているものもあれば依存していないものもあると思うのです。ここで依存しているという断定的な書き方をしているところについては、例えば、「依存しているものがある」と記載していただくとか、次の53ページの(5)の個々の取引の関与度合いのところでも、対価、支払、決済とか、商品の発送について担うなどの対応が見られ、重要な履行の一部を行っていると評価することができると書いてあるのですけれども、例えば、ヤフーショッピングだと、決済の仕組みとか商品の発送をストアの方々独自のものをお使いいただくことは構わないわけで、あたかも全てのプラットフォーマーがこれを行っているかのように書かれているところは、もう少し個別具体的に、そういう対応をしているところもあれば、していないところもあるという前提で書いていただく必要があるかと思っています。

54ページの小括のところも同じなのですけれども、両者の契約の締結に向けた意思形成過程に大きな影響を及ぼしていると言えると、あたかもそれが確定的であるかのように書かれていますけれども、そういったものもあるといった形で記載いただくほうがよいのではないかと考えています。

また、そのような場合分けを受けて、55ページ以下の提言のところで、例えば、(1)で、次のような取組を行うことがその役割であると考えられると書いてあるのですけれども、あくまでもここに書かれているようなものは取組の例でしかないと考えておりまして、我々としましても、この55ページ以下で書かれている取組というものが、必ず正しくて、未来永劫これを実施するとは限らなくて、更によりよい取組が出てくるのであれば、それを実施するということもあり得るので、これはあくまでも取組の例にすぎないという書き方にしていただきたいと考えています。

○中田座長 ありがとうございます。

先ほど、(5)のところは、プラットフォーム事業者によってはと書いてあるので、これは場合もあるということになるのではないかと思ったのですけれども、そうではないのですか。そういう趣旨ではなく、もう少し明確に書けということですか。

○畠委員 「よっては」というものが、一番最後の「契約の重要な一部の履行を行っていると評価することができる」にまでかかっているとするのであれば、私の誤解だと思います。

○中田座長 分かりました。ありがとうございます。

それでは、生貝委員、その後、前田委員。

○生貝委員 ありがとうございます。

まず、第5については、今の表現ぶりは一般論であるということを強調する必要はあると思いますけれども、これは諸外国のどの文献を見ても、極めてスタンダードなまとめ方をしていただいた。今日はこのせりふばかりで恐縮なのですけれども、少なくともいろいろと読んでいる限りでも、違和感が全体としてないというのが1つです。

もう一つは、第6のところもいろいろあるのですけれども、オのところだけ、2言だけ申し上げます。64ページ、まず(1)の法律、ガイドラインのところは、さっきも申し上げたように、少なくともEUも立法レベルの対応を幾つもほぼ済ませているもの、これから進めるものを含めてございますから、これはEUや中国、韓国のように、さらに言うとアメリカはFTC法5条でまさにそのあたりは非常にいろいろなところをやっているところ、今回踏み込めていないので、触れるのは適切ではないのですけれども、少なくともEUはここに入れていただきたい。ガイドラインをつくるというのも、先ほどのUCP指令のあれも含めてまさにそうなので、そういうところ。

それから、(2)自主規制と共同規制は、申し上げそびれたかもしれないのですけれども、自主規制、共同規制で極力問題が解決されるべきだと思っています。なのですけれども、そのときに大前提になるのが、しっかりその自主規制や共同規制がうまくいっているかということをモニタリングを継続的にし続ける仕組みというものが大前提でございます。

これは、本当にアルゴリズム、契約あるいは取組というのが、本当に言ったとおり、求めたとおりになっているのかということについて、例えば、ヨーロッパは去年の4月にプラットフォーム経済を監視する専門の組織をつくったり、そういったところも含めて、まさにさらなる一歩が必要なのか、それともしっかり事業者様にやっていただいているのかということをしっかりとモニタリングしている。まさにモニタリングということをぜひここでも強調していただきたいというのが私の共同規制屋としてのコメントです。

ありがとうございます。

○中田座長 プラットフォームの特徴をどのように見出していくか。それは、一般的な法理の中で解決できるのであれば、それはそれに委ねればいいので、わざわざここで取り上げる必要はなくて、むしろプラットフォームという事業形態が持つ問題点、あるいは特徴というものをここでできるだけ明らかにしていくという趣旨のものであるとみております。もし特徴として適切でないという御意見がございましたら、あるいはより特徴として指摘すべきことがあるのだということがありましたら、ぜひ御意見をいただければと思います。

いかがでしょうか。

前田委員。

○前田委員 大きく言うと2点なのですけれども、特に第5についてなのですが、結局、今、まさに発言がありましたように、ほかの文章や海外のものでこういう書き方がなされているところはもちろんあるかと思うのですけれども、それはどこかの引用であったりだとか、あるいはこういう引用をされていることを明記する形だったらまだいいかもしれません。

ここで結局、今、ほかの方々からも発言があったように、何で問題になってしまっているかというと、どこかの文章の引用であったり、あるいは今までの有識者からの御発言をそのまま持ってきたりということで、それが必ずしも、ここの場で正しい、みんなが合意できる内容として、プラットフォームの特徴であると言えるかどうか疑問があります。

実際、確か有識者からの御発言があったときにも、本当にそうなのかという質問があったようなところも多々あったかと思います。そこがあるにもかかわらず、ここで特徴ですというふうに書かれてしまうからこそ、違和感がどうしても生じてしまうところが多々出てきているということなので、表現を変えて、引用であれば引用、あるいはどこかからの発言であれば発言というふうに書いてしまうか、あるいは、もうここで皆さんが合意しているものについて、合意しているものなのかどうか、それを載せるということのどちらかに御判断される必要性があるかなと思います。

今、申し上げた後者のほうのそれぞれが合意した内容であるという前提で、プラットフォームの特徴として、消費者委員会の報告書としてこうやってこの専門調査会の報告書として出すということなのであれば、ぜひ、今日発言に出なかったあるいはここで議論がされなかったものであったとしても、せっかく意見がたくさん寄せられているので、仮にここの場で口頭で議論されなかったものについても、ぜひ丁寧に御検討いただければと思います。

例えば、具体的になのですけれども、第5の(7)とかについて、プラットフォームがどういう整理なのかというところ、「したがって」のところに、既に取消しされたものについてどうするのがいいのかどうかというところは、本当にここで議論されたのかどうかというところはなかなか難しいところかなとは思います。

ですので、書き方、表現ぶりについて、もう一度、留意していただく必要性があるかなと思いますので、よろしくお願いいたします。

○中田座長 できるだけ様々な意見を集約して、それを反映させたいと我々は事務局とともに考えておりますので、意見を寄せていただければと思います。

池本委員長代理、お願いします。

○消費者委員会池本委員長代理 2点申し上げます。おそらく、根底は共通のことを申し上げます。

この間出た意見の中でも、例えば、第5のところは、プラットフォームのつくり込みの仕方によってこういう特徴があるものとそうでないものがあるということと、ほぼ共通項としてくくり出せるというものが混在しているという指摘があります。私も、確かにそうだなと思います。そこは、言葉を末尾に付けるのか、冒頭に付けるのか、各項目でそのあたりは丁寧に書いていただく必要があります。

実はそのことが、提言の冒頭になるのか、私はここがもどかしいところがあるのですが、提言のここは、観点を幾つか並べてあります。そして、後ろのそれの実効性確保というところで法律とか自主的取組とか認証というのが出ていて、どの項目がどこにというのは一切触れていない、そこまでの議論はここではやり切れないし、今後の課題として提起しているということにとどまらざるを得ないのだろうと思うのです。

ただ、そうだとしても、特に第6の55ページからの各項目が、先ほど来出たところでは、これを全部やれということではないはずだというところからすると、先ほど共同規制とおっしゃった中でも、法律と自主規制の関係で、プラットフォームのつくり込みの仕方によって、そこまで安心、安全なものとしてセットして、それをきちんと表示して、消費者が選択すればいいような自主規制の類いと、それから、共通項としてやっていただきたいのだけれども、いきなり法律までやるにはまだちょっと要件的にも難しいので、自主規制先行で、実効性が不十分だったら法規制も考えざるを得ないですよというものと、諸外国の法制とかで、最低限、法規制も速やかに検討が必要ではないかというレベル感があると思うのです。

この項目はここだということは書けない。けれども、そういうニュアンスの違いを踏まえながらそれぞれ検討してほしいという言葉を、提言の冒頭なのか、どこかに入れていただくことによって、以下のものはいろいろな幅のある論点のとりあえずの観点ですということが合意できるのではないかと思います。

本当は、この項目はもっと入れてほしいというのはあるのですが、それをここで言い出すと切りがないので、とりあえずここまでにします。

○中田座長 御配慮ありがとうございます。

○友行企画官 座長、済みません。今のところとは違うところなのですけれども、追加で御説明したいところがございます。

○消費者委員会事務局担当者 第3の先ほどの森委員の御質問の点で、回答が若干中途半端になってしまったものですから、今、補足をさせていただきたいと思います。

34ページの消契法の5の消費生活相談員に関する規定というところの上の、上記3のという意味なのですが、1点目につきましては、まさに脚注27の先ほど説明させていただいた形のように、媒介概念に関してのところなのです。もう一点が、脚注28に消費者契約法の例も挙げておるのですが、要は、形式的にCtoC契約だった場合であったとしても、結局、プラットフォーム事業者のシステムを利用するという形でやった結果、本当にCtoCと見るのか、果たしてプラットフォーム事業者の仕組みを利用して、例えば、勧誘、広告表示をしたということで考えた場合に、それは事業者対消費者というふうに見ることもできる余地があるかないか。こういう点を書いたというところでございました。済みませんでした。

○森委員 消契法の適用が拡大するのではないかということですね。分かりました。

○消費者委員会事務局担当者 可能性があるや否やという問題としています。失礼しました。

○森委員 ありがとうございました。

○中田座長 それでは、石原委員、お願いします。

○石原委員 時間がない中で、1点だけ、60ページの利用者の役割というところです。私がメールで指摘させていただいて、その購入者、利用者側の役割を書くべきなのではないかというのを指摘させていただいた中でなので、補足で説明させていただきます。

我々協会としても、以前、発表させていただいたとおり、利用者側、特に購入者、消費者側の方々のリテラシーを上げていくことも重要なことなのではないかということを打ち出している立場として、ぜひ、ここは一応、書いてはいただいたのですけれども、ルールを守りましょうということしか書いていないので、もう少し、先ほどから事業者のお話がありますけれども、ちゃんとやっているプラットフォームを見分けるのだと。後でSNSでは取引しないと67ページで出てきますけれども、そういうところの観点とか、あとは、誤解によってトラブルが起きているところが多いので、その問合せ窓口がちゃんと設置されているプラットフォームを使うとか、あとは相談窓口がそもそもないところというのは、同じことですけれども利用しないとか、レビューをちゃんと確認するとか、そういったプラットフォームを使う側の心構えというか、役割というとなかなか仰々しい感じになってしまうかもしれませんけれども、心構え的なところも少し補足で書いていただけるといいかなと思いました。

以上です。

○中田座長 ありがとうございます。

終わりの時間がそろそろ迫ってきました。できれば、まだ御発言になっていない委員の方、お願いします。西村委員。

○西村委員 この報告書が誰に向けて書かれているのかということで、誰の中の大きな部分がやはり消費生活相談員だと思います。

その中で、プラットフォームはなかなか理解が難しいし、どういうふうに入っていいか悩みながらやっている相談員も多いです。CtoCの捉え方の議論の中でもでていましたように、もう少し丁寧に、CtoCにこだわる部分は分かるのだけれども、こうだよということを丁寧に解説していただければ、相談員にぐっと届くかなと思っています。

あと、追加で言うと、いろいろと事業者にお願いしている一方、消費生活相談員ももうちょっといろいろと脱皮していかなければいけないかなと思っていて、事業者さんとの連絡のとり方が、電話のみという、電話が一応基本にはなっている部分も、オンラインプラットフォームという事情からちょっと考えていかなければいけないのではないかということは、ごく個人的に思っています。

以上です。

○中田座長 ありがとうございます。

大谷委員、お願いします。

○大谷委員 私のほうからは、提言のところの63ページの国民生活センター、消費者センター、消費者団体の役割のところで、特に消費者団体のところの役割の観点の(3)なのですけれども、消費者団体等によるテストという形のものが唐突に出てきてしまっているので、どういった内容のことを指しているのか、全く分かりません。

消費者団体としては、基本的にテスト云々よりも、消費者に向けて適切な情報を発信してあげる。こういったことが役割の一つだと思いますので、例えば、ここの部分は、様々な観点から情報収集した上で、消費者に対して適切な情報を提供するといった内容に改めていただいたほうが、より適切なのではないかと思います。

以上です。

○中田座長 ありがとうございます。

それでは、そろそろクロージングしますが、今回も様々な御指摘をいただいたと思います。事務局と相談しながら、それらの御指摘をできるだけ報告書に反映させていくことを考えております。

また、スケジュールについては事務局から改めて皆様に御連絡を差し上げるという形をとらせていただきたいと思います。報告書の修正については、おそらく、メール等での御意見をいただきながら、反映させる形をとることになろうかと思います。

事務局、それで大体よろしいですか。

とりあえず、当初の検討スケジュールということで申しますと、報告書の取りまとめについては、年度内を目指してやっていきたいと考えております。今日は2月の最後ですので、次回は3月ということになりますが、3月に取りまとめに向けた意見交換を行っていきたいと思います。

事務局のほうから特になければ、よろしいですか。

○消費者委員会蟹瀬委員 一言言わせていただきます。

私のほうからお礼でございます。

これだけ報告書素案に対する意見が真剣に出ている専門調査会はなかなかなく、すごいなと感じました。本当に真剣に検討していただいて、そういう意味では、皆さん真剣なのですけれども、大変、今、俎上に上がっている大きな問題であるということが把握できました。

私は、この報告書を消費者視点というところで読ませていただくと、本当に違和感がなくて、先ほど西村さんがおっしゃったみたいに、消費者視点で見ると消費生活相談員の方々も分かりやすい、もちろんいろいろな言葉遣いとかはありますが、ある程度の分かりやすさがあると思っています。

プラットフォーマーの特徴と書かれたところにも異論がたくさん出ているかと思います。つまり、プラットフォーマーがやっていることを、消費者視点で切ったときには、その特徴がどうしても上に上がってくるので、いやいや違うということもたくさん意見に上がってくるかと思います。ですが、この特徴をしっかり読ませていただくと、例えば、私たち消費者の情報が全部、プラットフォーマーへ行っている。アマゾンさんなどもそうですが、買い物リストも全部上がっているみたいなところで、それに対して私たちの消費生活相談員の方々などは、どういう相談に乗っていかなければいけないかということが非常に明快に出ていますので、大変一生懸命やっていらっしゃる一流の企業ばかりですので、そこから出てくるこういう意見を、私たちは今後の参考にさせていただいて、どういうことをすればいいかと考えさせていただきます。大変貴重な報告書になっていると思いますので、引き続き、ぜひよろしくお願いいたします。

○中田座長 最後に温かいお言葉をいただいたので、荒波を乗り切った座長としては非常にうれしいです。


≪3.閉会≫

○中田座長 それでは、今日はお忙しいところ、お集まりいただきまして、ありがとうございました。

(以上)