第12回 オンラインプラットフォームにおける取引の在り方に関する専門調査会 議事録

日時

2019年1月29日(火)14:00~17:09

場所

消費者委員会会議室
東京都千代田区霞が関3-1-1 (中央合同庁舎第4号館8階)

出席者

【専門委員】
中田座長、早川座長代理、生貝委員、石原委員、大谷委員、沖野委員、片岡委員、上村委員、畠委員、原田委員、前田委員、森委員
【消費者委員会担当委員】
池本委員長代理、大森委員、蟹瀬委員、鹿野委員
【説明者】
徐熙錫釜山大学法科大学院教授
【オブザーバー】
カライスコス京都大学准教授
【事務局】
二之宮事務局長、福島審議官、友行企画官

議事次第

  1. 開会
  2. オンラインプラットフォームが介在する取引におけるルール・仕組みの在り方(2)
  3. 討議
  4. 閉会

配布資料 (資料は全てPDF形式となります。)

≪1.開会≫

○中田座長 それでは、定刻になりましたので、始めていきたいと思います。本日はお忙しいところお集まりいただき、ありがとうございます。

ただいまから、第12回「オンラインプラットフォームにおける取引の在り方に関する専門調査会」を開催いたします。

本日は、所用により大橋委員、西村委員、山本委員が御欠席となっております。

そして、お手元にはiPadがあるのではないかと思います。ペーパーレスの観点からiPadを利用してみようということです。よろしくお願いします。操作方法が分からない場合には、事務局に御連絡ください。


≪2.オンラインプラットフォームが介在する取引におけるルール・仕組みの在り方(2)≫

○中田座長 今日の議題は、前回に引き続き、「オンラインプラットフォームが介在する取引におけるルール・仕組みの在り方」でございます。

第7回において、ドイツのオスナブリュック大学のクリストフ・ブッシュ教授から、ヨーロッパにおけるオンライン仲介プラットフォームに係る動向等について、詳細な御報告をいただきました。第10回では、小林正弘法学博士から、中国におけるプラットフォーム責任等についてお話を伺い、非常に参考になったと思っております。

今回は、海外の動向の中でも、本テーマについて特に議論や研究が進んでいると聞いております韓国の取組に関して、釜山大学法科大学院教授、韓国消費者法学会元会長の徐熙錫教授から、「韓国におけるプラットフォーム責任の展開~現行法の規律内容を中心に~」ということで御報告をいただきたいと思います。徐先生と打合せのときにお話ししたところ、学会では、どこへ行ってもプラットフォームの議論をしているそうで、韓国では非常にホットな学術的テーマだとお聞きしております。

その前に、簡単ですけれども、徐熙錫教授の御紹介を私のほうからさせていただきたいと思います。

徐熙錫教授は、韓国高麗大学法学部を卒業され、その後、我々もよく存じておりますが、一橋大学名誉教授、現在は国民生活センターの理事長である松本恒雄先生のもとで、修士号、博士号を取得されました。2008年から現在まで釜山大学法学専門大学院の教授をされています。

様々な学会でも非常に活躍されておりますし、また立法作業にも関わっておられます。韓国法務省民法改正委員会の委員や、昨年までですが、韓国消費者法学会の会長も務められて、現在も韓国消費者院、日本でいうとその役割は国民生活センターに当たると聞いておりますが、非常任理事ということで、実務についても精通されている先生です。

それでは、簡単な御紹介をさせていただいたところで、資料1について20分程度で、御説明をいただければありがたいと思います。

それと、徐熙錫教授は非常に日本語が堪能でして、今回、日本語でこういった形の議論をさせていただくということで、日本語で準備していただきました。これも大変だったと思いますが、深く感謝いたします。では、よろしくお願いいたします。

○徐教授 先ほど御紹介いただきました徐熙錫と申します。

本日は、消費者委員会の専門調査会におきまして、韓国のプラットフォーム責任について御報告する機会をいただきまして、誠に光栄に存じます。改めて専門調査会の中田座長や、鹿野委員、そして各委員の先生方、事務局の皆様に御礼を申し上げます。パワーポイントのスライド資料を中心に説明させていただきます。資料の2ページの目次です。今日の報告は大体4つの項目に分けて説明させていただきます。

3ページです。本日の報告はプラットフォーム責任について、理論的な側面よりは韓国の立法状況を中心に紹介させていただきたいと思います。というのは、韓国は理論よりは立法が先行したという面があるからです。

4ページ、「プラットフォーム」という用語の意義です。プラットフォームは法的用語ではありません。さらに、その範疇は非常に広範であります。しかし、ここでは取引法的な観点から、「電子商取引プラットフォーム」若しくは「オンラインプラットフォーム」を意味することになります。プラットフォームの運営者又は主体としての側面を捉えたときは、これから説明いたします「電子商取引法」上の「通信販売仲介者」とほぼ同様の意味になります。

5ページで、「通信販売仲介者」が定義されております。まず、通信販売仲介の概念からです。通信販売仲介は、「サイバーモールの利用を許諾し、又はそのほか総理令の定める方法で、取引当事者間の通信販売を斡旋する行為」と定義されております。そして、そのような仲介をする者を「通信販売仲介者」と呼び、それを業としてする者を「通信販売仲介業者」と呼んでいます。ただ、仲介者と仲介業者が区別はされているのですが、実際上は仲介業者の概念だけが意味をもつと理解していただいて結構です。

6ページです。その仲介者の法的地位は、今までは、仲介を業として行う場合を前提に、いわゆる仲介人として見ることが多数の見解でした。ところが、この概念はインターネットの発達による非対面取引を前提に、電子商取引法で新たに導かれた概念であり、新しいビジネスモデルも続々登場しつつあります。そこで、とりあえずは特別法である電子商取引法の規律に従ってその法的地位を把握した上で、民商法上の一般規律で補充しつつ、プラットフォーム責任に関する議論内容を反映しようとするアプローチが最近有力になってきています。

7ページですが、電子商取引法は、本来の正式名称は「電子商取引等における消費者保護に関する法律」です。電子商取引法は、2002年に韓国の訪問販売等に関する法律から通信販売の部分を取り出して、電子商取引法に関する規律を補完して制定されました。その後、通信販売仲介者に関する部分は、2012年と2016年に2回にわたって改正がありました。

8ページから、仲介者責任についての本論です。現行法の規律を6つに分けて説明します。まず、告知義務です。通信販売仲介者は、通信販売の当事者ではないのですが、仲介者のシステムを通じて契約が進められるため、相手が、誰が当事者であるかを誤認するおそれがありますので、告知義務が設けられています。

スライドにもあるように、通信販売仲介者は、自分が通信販売の当事者でないことを消費者が簡単に知ることができるよう、総理令で定める方法で、あらかじめ告知をしなければなりません。この告知義務に違反した場合には、通信販売仲介依頼者、これは販売者になりますが、販売者の帰責事由による消費者の財産上の損害について、通信販売仲介依頼者と仲介者が連帯責任を負うことになっています。

そして、9ページの情報提供義務です。こちらの情報は、仲介依頼者、すなわち販売者の身元に関する情報です。通信販売仲介依頼者が事業者である場合はその身元情報、及び信用に関する情報を保有している場合にはその信用情報もあわせて、それを仲介者が確認してから、契約の申込みが行われる前までに消費者に提供しなければなりません。そして、依頼者が事業者でない場合は、取引の当事者たちに相手方に関する情報として、上記のような情報を閲覧できる方法を提供しなければなりません。ここでは情報自体ではなく、情報を閲覧できる方法が問題となります。

このような義務に違反した場合、つまり情報又は情報を閲覧できる方法を提供せず、又は提供した情報が事実と異なることによって消費者に財産上の損害が発生した場合には、仲介者が依頼者と連帯して賠償する責任を負います。

資料10ページですが、紛争解決のための措置義務です。これは2012年に新設された義務です。通信販売仲介者は、サイバーモールなどを利用することによって発生する不満や紛争を解決するために、その原因及び被害の把握など必要な措置を迅速に実施しなければなりません。必要な措置の内容は施行令に定められておりますが、資料にあるように、まず①紛争や不満を受付・処理する人力及び設備を備えること、②不満や紛争を解決するための基準を事前に設け、サイバーモールに告知すること、③消費者不満や紛争の原因などを調査して、3営業日以内にその経過を消費者に知らせ、10営業日以内に調査結果又は処理方案を消費者に知らせることとなっております。しかしながら、この義務違反に対する制裁は、行政制裁にとどまっております。

資料11ページ、通信販売業者である通信販売仲介者の責任です。ここでは、通信販売仲介者が通信販売業者の地位を併せ持つ場合を想定したものです。その場合には、仲介者でありながら販売業者の法律上の責任も負うことになります。ただし、通信販売業者が仲介を依頼する場合、つまり依頼者が販売業者、事業者である場合には、依頼者が責任を負うとの約定をプラットフォーム利用契約の中ですることが可能ですから、その場合には通信販売仲介者は免責されるとするのがただし書きの規定の意味です。事実上は、この約定によって依頼者が責任を負うことになる場合がほとんどであると考えます。

12ページです。5番目の責任は、取引関与型の通信販売仲介業者の責任です。これは2016年に新設されたものです。内容が少し複雑ですが、通信販売の重要な一部業務を遂行する通信販売仲介業者とは、仲介者でありながら販売の重要な一部の業務をする仲介者ということを意味しますが、その場合、仲介者は販売業者がこの法律によって負う義務を履行しないといけないと定めています。ただ、その義務は本来的には販売業者の義務ですから、その義務が履行されない場合に、仲介者が補充的に履行しなさいという趣旨となります。

ここで、販売の重要な一部業務とは2つあります。①申込みの受付をする業務、又は②財貨などの代金の支払を受ける業務です。仲介者がこの2つの中の1つの業務をする場合には、販売の重要な一部の業務をすることになって、①、②に関する通信販売業者の法による義務を補充的に仲介者が負うことになります。

その販売業者が負う義務とは、①の場合には申込みを受ける業務ですから、撤回権に関する情報提供義務、そして申込みの確認手続の設定義務です。②の場合には、代金の支払を受ける業務ですから、操作ミスの防止義務、そして電子決済の前の意思の確認手続を設定する義務などがこれに当たります。これは販売業者の義務ですが、この販売業者の義務を販売業者が行っていない場合に、仲介業者がかわりに義務を履行しなさいという趣旨です。しかし、この規律は民事責任をもたらすものではなく、行政的・業法的な規制になっております。

実際の場合には、仲介業者が上の①また②の業務を行う場合には、そこで定められている義務も実際に取引システム上行っている、システム上そのような義務が実現されているのが現状です。

13ページです。2016年に新設された「電子掲示板サービス提供者の責任」ですが、ブログ又はSNSなどを想定したものです。ブログなどのいわゆる掲示板、この掲示板の意義はかなり広いものですが、利用者が情報通信網(インターネット)を利用して自由に自分の意見を掲載することができるコンピュータプログラム又は技術的装置と理解していいのです。この掲示板を運営する者、例えばヤフーとかフェイスブック等がこれに当たりますが、掲示板を運営する者を電子掲示板サービス提供者と定義しました。

そして、その提供者に2つの義務を負わせました。①掲示板を利用して通信販売又は通信販売仲介を業として行う者に対して、本法による義務を遵守するよう案内し、勧告する義務。つまり、違法行為を行わないように注意しなさいと案内する義務です。2番目は、販売業者と消費者との間で紛争が発生した場合、第三者機構、消費者被害紛争調停機構と呼ぶのですが、その機構に消費者の被害救済の申請を代行する手続を設けて運営する義務を負わせています。この義務も行政義務になっております。

14ページに移ります。これは、この法律の仲介者責任に関する判例の動向ですが、2つほど挙げています。不当広告となっている場合に誰が責任を負うかという問題について、2005年の判決では、契約の内容、そして消費者が誰の広告であるかを誤認する可能性があるかなどによって責任の主体が判断されると判示しております。このケースでは、サイバーモールの運営者、つまり仲介者の表示広告法、日本の景品表示法に当たる行政的な責任が否定されました。

そして、 販売者の不法行為に対し仲介者が共同不法行為責任を負うかについて、商標権侵害行為や不正競争行為が問題になった事案で、判例は、著作権法で発達しているいわゆる「notice & take down」のルールに従って判断しております。このいずれのケースでも、具体的な事案の判断としては、仲介者の責任が否定されております。

16ページですが、これは電子商取引法以外の法律によるプラットフォーム責任の規律です。3つに分けて捉えることができます。まず(1)は、製品の安全に関する法律です。この法律として今まで私が確認したのは4つの法律ですが、子供製品安全特別法、電気用品及び生活用品安全管理法、生活化学製品の安全管理法などですが、これらの法律で大体同じ要件で、仲介者を通じた不法流通に対する規制を取り入れております。

この規制は、仲介者が免責されるための要件です。①不法流通製品を発見したとき、即時削除すること、②商品登録の際に安全認証等の情報を販売者が入力するようにすること、③消費者がその情報を確認できる技術的な措置をとること、この要件を整えた場合には仲介者は免責されます。

17ページですが、(2)は食品安全や医薬品安全に関するものです。食品や医薬品が仲介者のサイバーモールで流通される場合を想定したものです。ここでの義務の内容は法律によって違いますが、食品衛生法では、例えば食品の中で異物を発見した場合には、それを直ちに行政機関に通報しなさいという義務が定められています。薬事法では、医薬品が不法流通されるとき、行政機関が資料提出を要求した場合にそれに応じる義務です。3番目の農水産物の原産地表示に関する法律には、原産地表示に違反した場合に、違反した販売者の名前を公表することは当たり前のことですが、それに加えて仲介業者の名前も公表しなさいという趣旨の規制があります。

18ページの(3)のその他の法律ですが、資本市場と金融投資業に関する法律は、日本の金融商品取引法に当たるものです。これはいわゆるクラウドファンディングを業の中に取り入れるときに、先ほど申し上げました電子掲示板サービス提供者の責任と同様の規制を取り入れたものです。ですから、ブログなどで違法な行為や広告が行われないように管理しなさいという義務を定めています。

以上、韓国の法律上の大体の現状を説明してきましたが、19ページで、韓国法の特徴を私なりに4つに分けてまとめてみました。

まず(1)についてですが、通信販売業者と通信販売仲介者の概念上の区別が前提となっております。このような大原則を前提とした上で、販売仲介者の義務として、先ほど申し上げましたとおり、告知義務、情報提供義務、紛争解決のための措置義務が設けられております。

(2)について、このように両者を区別することが前提、大原則ですが、それと同時に、販売仲介者の責任を強化するための立法論的な措置をあわせて設けていることが特徴と言えます。その例として、通信販売業者である通信販売仲介者の概念、そして取引関与型の通信販売仲介業者の補充的な責任を挙げることができます。

(3)についてですが、プラットフォーム責任の範疇を拡張するための試みが行われています。先ほど申し上げました資本市場法と電子商取引法上の電子掲示板サービス提供者の責任がこれに当たります。通信販売仲介者の概念は電子商取引法に依拠するものですが、この法律の仲介者以外にも電子掲示板サービス提供者にも規制が行われているということです。

4つ目の特徴として、消費者安全の観点から、ここ最近、2年から3年の間に通信販売仲介者に対する規制がいくつかの法律で行われております。製品安全に関する個別法律では、不法流通の責任を仲介者が免れるための要件を設けました。そして、食品や医薬品に関する法律では、それぞれの義務を負わせる形で規制を行っております。

最後に、プラットフォームの責任の在り方について、私なりの見解を簡単に述べさせていただきます。韓国法を前提とした私見です。

私は、仲介者を販売業者と概念的に区別する原則を堅持する限りにおいては、少なくとも販売契約の当事者に関する情報提供義務は最小限の必要な規制であると考えます。そして、販売契約と関連して当事者間で紛争が発生した場合、システムの設計や運営者に当たるプラットフォームが取引への関与の程度に応じて、紛争を解決するために必要な措置をとることが望ましいと考えます。しかし、その履行をどのように確保するかは、各国の立法状況や法文化によって一律には定められない問題であると思います。ただ、販売仲介者に対する過重な規制は避けるとしても、少なくとも販売仲介者が紛争解決のためにどのようなポリシーをとっているかを消費者に明確に告知するような規制は必要ではないかと思います。

一方で、消費者安全に関する商品の流通については、現在、韓国ではまさに立法措置がされている最中ですけれども、規制の効果が確実でないと考えられた場合には、場合によっては更に事前規制を強化すべきという声が増加する可能性もあるのではないかと予測しております。

以上、報告を終了させていただきます。御清聴、ありがとうございました。

○中田座長 どうもありがとうございました。非常に膨大な内容を短い時間にコンパクトにまとめていただきまして、ありがとうございます。

実は、徐先生には、鹿野先生が代表されている消費者法研究会のほうでも御報告をしていただいておりまして、そのときに私が感じた感想も含めて少しコメントを先にさせていただきたいと思います。

1つは、2002年に既に韓国においては通信販売について、日本で言うと特商法というような一般的な法律から取り出して、個別に、電子商取引法という形で体系化したという点が一つ大きな特徴になっていると思います。さらに、その中に重要な規定をしっかり置いているという点です。つまり、そこでの事業者は、我々が考えているプラットフォーム運営者という概念とは必ずしも一致しないかもしれませんが、必要な規律の大部分が法律によって規定されているという点が大きな特徴です。さらに、製品安全について急速に立法が進められているということをお聞きしました。この数年の間に、幾つかの法律にプラットフォーム運営者の責任が明示されてきたという点です。こういう動きを持っているというところで我々にとっても非常に興味深い動きではないかと感じております。

それでは、いろいろな御意見あるいは御質問があるかと思いますので、皆さんのところから内容について、また背景についてなど徐先生への御質問をお願いいたします。いかがでしょうか。

それでは、早川座長代理、お願いします。

○早川座長代理 御報告ありがとうございます。

10ページのところで紛争解決のための措置義務というものが書かれておりまして、20条3項だと思いますが、紛争や不満を受付・処理する人力及び設備を備えて、解決基準を事前に設けて告知し、更に不満や紛争の原因などを調査して、一定期間内に消費者に知らせたり、あるいは調査結果又は処理方案を消費者に知らせることとございます。これは2016年にできているということは、それ以降、今は2019年ですから、実際に韓国における通信販売仲介者に当たる方々はこれを具体化していると思うのですけれども、どのような形で紛争解決のための措置というのがなされているのか、もし御知見があれば教えていただければと思って御質問いたしました。

○徐教授 これは2012年に新設されたものです。これはかなり厳しい規制であると私は考えておりますが、実際、今日申し上げましたものは民事的な規制もありますが、それ以上に行政的な義務が多いのです。これも行政的な義務として定められております。というのは、かなりの規範力があるということです。韓国は消費者担当所管の機関が公正取引委員会になりますが、行政的な義務に違反すると、公正取引委員会の行政処分を受けることになります。そこで、実際の産業界ではこうした義務を守る形でやっております。

ただ、会社の規模や意欲も異なっていますので一律には言えないと思うのですが、大手の場合には大体ここで書かれているような不満の受付や紛争の解決のための人力や設備を実際に設けております。

そして、3番目の3営業日以内に経過を告知し、10営業日以内に結果や処理方案を知らせることはかなり厳しい規制だとは思います。ただ、実際はこの10日以内ということは、簡単なものはこの期限の中でも解決ができますが、それができない場合には第三者機構に移ることもできます。ここでは、必ずしも調査結果を出さないといけないとは書いていないので、処理方案を別の方案として知らせる、例えば政府が持っている、若しくは団体が持っている第三者消費者被害救済機関に移して解決するよう案内することもできます。なので、ちょっと複雑なケースの場合には第三者機関、例えば消費者院が持っている消費者紛争調停委員会、若しくは電子取引紛争調停委員会のようなADR機関を利用するように案内することです。そこに移るということはできるので、実際、解決が難しい場合は、そのようにやっていると思います。

○中田座長 どうぞ。

○早川座長代理 そうしますと、例えば私がこの通信販売仲介者を介して何かを買いましたとしたところ、その品物がお金を払ったのに全然届きませんということで困ってしまったと。そこで、通信販売仲介者のほうに不満をクレームという形で言うとすると、それを受付するところは用意されていて、その受け付けたことを前提にその仲介者は調査をしなければいけないと。調査の結果、例えば私が相手と連絡がつかないということだったり、あるいは相手はもう送ったと言っているというようなことがあった場合、そこについて報告をし、更に外部の紛争解決機関を紹介するというところさえすれば、こちらの義務は免れるということでよろしいのでしょうか。

○徐教授 身元の情報は、先ほどの第2の段階で情報提供義務が別の義務として定められているので、販売を依頼する側の身元情報は必ず確認しないといけません。これは民事の効果が出ます。損害賠償責任になりますので、身元情報はそうなりますが、例えば今おっしゃったような契約履行に関するトラブルが起こった場合には、一律には言えません。ケースバイケースで、自分たちがもしかして②で事前に設けた基準、この基準は恐らくは韓国の法律を守る形で定めたもので、それを基準にしたものでしょうが、それによって解決しようとするのですが、それができない場合も結構あると思います。その場合はしょうがないと思います。別の紛争解決手段に移るしかないのですが、それによって制裁を受けることは多分ないと思います。

○早川座長代理 分かりました。

○中田座長 それでは、片岡委員。

○片岡委員 貴重なお話をありがとうございます。私は、9ページの情報提供義務についてお伺いします。身元情報及び、持っている場合は信用情報ということですが、これはモールに出店していない場合には、販売する事業者自身には情報提供義務というのはあるのでしょうかというのが1つと、ここで求められる身元情報というのは、会社名、名前、住所、電話番号といった一般的なもの以外に、何か出さなければいけないものがあるのかどうか。その2点をお伺いしたいと思います。

○徐教授 最初の質問をもう一度お願いします。

○片岡委員 仲介依頼者というのが売主だと思うのですけれども、売主がモールに出店していない場合に、情報を消費者に提供する義務はそもそもあるのかということです。

○中田座長 直売ということですか。

○片岡委員 そうです。ネットで、自分でホームページを。

○徐教授 直売のケースですか。

○片岡委員 はい。

○徐教授 それは、一般の話になるかもしれませんが、自分の情報を提供しなくて販売することができるかどうかは。

○中田座長 例えば、日本であれば、事業者が通信販売するときには、特商法上の氏名とかそういった情報をホームページ上に提供しなければいけないのですが、それと同じようなものがあるかという質問でよろしいでしょうか。そういったものがあるかということですね。

○片岡委員 そうです。

○徐教授 販売者には、この電子商取引法の中で、身元情報の提供義務、契約条件の提供義務が定められております。なので、販売者が自分の情報を提供せずに運営することはそもそもできません。

○中田座長 つまり、販売事業者になる場合には、当然それは表示しておかなければいけないという理解でよろしいでしょうか。

○徐教授 はい。

そして、2番目の御質問ですが、提供しなければいけない情報の内容は施行令で具体的に定められております。法人である場合には商号及び代表者の姓名、個人事業者の場合には姓名、住所、電話番号、電子メール住所、そして事業者登録番号、これは税金に関係する登録番号ですが、これを提供しないといけない。そして、信用の場合には、信用情報会社というところを通じて確認した身元情報や信用に関する情報があれば、情報を提供しなさいというぐらいです。

そして、事業者でない場合の情報の内容は大体同じで、姓名、生年月日、住所、電話番号、電子メール住所となっております。

○中田座長 それは、施行規則あるいは法律上明示されているのでしょうか。

○徐教授 これは施行令に定められているものです。

○中田座長 条文は何条か、今、分かりますか。

○徐教授 施行令の25条1項、そして2項に当たります。

○中田座長 ありがとうございます。

それでは、生貝委員、お願いします。

○生貝委員 貴重な話をありがとうございました。

今のところに関係して少し細かいところなのですけれども、信用に関する情報というものは、信用会社等が持っている情報というところがございましたけれども、ここに例えばいわゆるプラットフォーム上の総合レビューの情報、つまり消費者から受けた評判情報等、そういったものは含まれないのか。あるいは、もしここに含まれなくても、そういったレビューや評判情報に関する規律等は、この法律全体の中でどこか関連するところがもしあれば、教えていただければありがたく存じます。

○徐教授 これは非常にホットな御質問ですけれども、法律上、情報提供義務の対象にはなっておりません。財務的なものなので。ただ、消費者側のレビューとかレピュテーションを例えば歪曲したりする場合が、韓国でもしばしば問題になります。これは今申し上げました仲介者規制の中には入っていないと思いますが、ただ、この法律上の通信販売業者の禁止行為の中で、例えば欺瞞的な行為に含まれる可能性があるかもしれません。これは後でちょっと確認しますが、非常にホットなトピックです。

○生貝委員 ありがとうございます。

○中田座長 それでは、畠委員、お願いします。

○畠委員 9ページに関係するのですけれども、先ほど相手方が事業者でない場合も閲覧できる方法を提供しなければいけないという項目の中に、その人の連絡先とかお名前等のほかに生年月日等まで含まれていたかと思うのですけれども、そういった細かな情報まで閲覧できるようにしなければいけない理由を教えていただけますでしょうか。

○徐教授 ここでは事業者とは違って、情報そのものではなく、閲覧できる方法を提供しなさいという義務になっているのです。具体的に生年月日等は敏感な情報なので、それが含まれた理由が何かというと、これぐらいの情報を知らないと消費者が信用できないので書いたのではないかと推測はしますが、かなり敏感な情報であることは確かだと思います。これは、私も戻ってから公取委に問合せをしてみます。

○中田座長 センシティブな情報ということですね。

それでは、前田委員、お願いします。

○前田委員 大変勉強になる御報告をありがとうございました。

15ページに関して、通信販売事業者と通信販売仲介者における共同不法行為の責任の在り方なのですけれども、念のため、ここにおけるnotice & take downのルールについて少しだけ具体的に御説明いただきますと幸いです。その前提で両者の共同不法行為の責任がどうなっているのか、ここの前提知識が全員でそろっていたほうがいいと思いますので、お願いいたします。

○中田座長 報告時間が短かったので省略されたところだったと思いますが、徐先生、補足をお願いします。

○徐教授 商標権侵害行為に関する部分です。運営者が提供したインターネットの掲示空間に他人の商標権を侵害する商標、販売情報が掲示され、その電子取引システムを通じて販売者と購買者との間で商品に対する取引が行われたとしても、そのような事情だけで直ちに運営者に商標権侵害掲示物に対する不法行為責任を負わせることはできないとされています。これが大原則です。

ただ、3つの要件を備えた場合、つまり①不法性が明確な場合、②オープン(オンライン)マーケット運営者がこのような掲示物によって商標権を侵害された被害者から具体的に削除又は遮断の要求を受けた場合、若しくはそのような認識があった場合、それとも外観上、明白にそのような不法な侵害があったと表示された場合、③技術的に、経済的にその掲示物に対する管理統制が可能な場合、この3つの要件を整えた場合には、オープンマーケット運営者、つまり仲介者に、その掲示物を削除し、今後、当該販売者がインターネット掲示空間で商品を販売することかできないように適切な措置をとることが求められる。これが2009年段階の大法院の全員合意体の判決です。これは名誉棄損の判決でしたが、著作権でも大体同じことが言えます。

これを引用しながら、仲介者がこのような措置をとらなくて、掲示者の商標権侵害を容易にしたときには、掲示物を直接掲示した者の行為に対し、不作為による幇助者としての共同不法行為責任を負うのだという判断をしております。

ですから、商標権の侵害といった不法行為があったことを認識した場合には、仲介者は削除するなりの措置をしないといけないということです。それをしないと、直接侵害した者と共同不法行為責任を負うのだという趣旨です。ほかのものについても大体似たような話ができるかと思います。

○中田座長 ありがとうございます。

それでは、補充質問ということで、前田委員、お願いします。

○前田委員 そうすると、notice & take downが成立したときに限り共同不法行為責任が発生するのであって、noticeがなくて仲介事業者のほうがおよそ関知することができないような状況であれば、責任は基本的には生じないという理解でよろしいでしょうか。

○徐教授 これはあくまでも商標権と不正競争行為だけの判例なので、ほかの不法行為があった場合にどうなるかはここではっきり言えませんが、少なくともこのような理屈で判断するだろうという話はできると思います。

したがって、実際の不法行為が仲介者のサイトの中で行われた場合、事前にそれをチェックしなさいという事前調査義務を負わせるわけではないのです。ただ、それを自分が注意義務として義務を払った結果、発見した場合には削除するなりすれば、不法行為の責任を負うわけではないと思います。

この2番目のnoticeがある場合、それとも個別的に認識した場合、外観上、明白に表示された場合には、今申し上げたとおりの適切な措置、削除なりの措置をとらないといけない。とらない場合には不法行為責任を負うのだと考えていいのではないかと思います。

○中田座長 ありがとうございます。

それでは、早川座長代理。

○早川座長代理 こちらの法律の国際的な適用範囲についてお聞きしたいと思います。

例えば、韓国の通信販売仲介者から日本のお客さんが購入しようとして、それで何かトラブルになったり、いろいろな問題が起きたときに、こちらの義務は同じように適用されるのかというのが一つ。

それから、その逆で韓国のお客様がいろいろなサイトから購入しているのですが、そのときに仮に日本のモールが韓国語等を使って韓国の消費者向けに様々なサービスをしているときに、この法律は日本のモール事業者で韓国の消費者向けにやっているようなものに対しても適用があるのかどうか。

3つ目ですけれども、純粋に例えば韓国のモールで、お客さんも韓国だとしたときに、販売をするのが日本の事業者だったりするような場合があると思うのですね。ただ、日本の業者は韓国に直接売るのは大変なので、韓国のモールを使って出店しているというときも、そうすると韓国の通信販売仲介者としては、日本の販売者の情報をとったり、あるいは紛争解決に協力させたりというのは結構難しいことも起こるように思うのですけれども、これは対象になっているという理解でよろしいのかということですが、いかがでしょうか。

○徐教授 かなり深い御質問ですね。最初の2つの質問は、これは対象外と言っていいと思います。まず1番目の御質問ですが、日本の消費者が韓国の事業者から購買した場合には、2番目も同じですけれども、これは国際私法の問題になると思います。法律上の中で国際的な適用範囲について定めたものはありません。なので、国内限定となると思います。2番目の韓国消費者が日本の事業者を通じて購買した場合も同様ですが、これがもし裁判になったら国際私法の問題になります。その場合には多分韓国の国際私法も日本のそれと似たような条文、つまり消費者契約に関する強行的な条文が適用されるという規定を持っているので、韓国の今の電子商取引法が適法になる可能性があると思います。

3番目の質問は、かなり難しい問題ですが、実際にこのようなケースがあるかどうか聞いたことがないので、お答えしづらいのです。もしこのようなケースがあるのだったら、韓国の会社だったら多分このように対応するのではないかと思うところをお話しします。日本の事業者に対しても国内の法律を守ることが前提ですよというふうに、自分が持っている約款なり、ポリシーによって対応するのではないかと思います。うちはちょっと無理ですよという販売業者だったら、出店することが厳しくなるのではないかと思うのですが、これはあくまでも私の想像にすぎません。

○早川座長代理 例えば9ページ目の情報提供義務というところに焦点を絞るとしたときに、私が日本に住んでいる消費者で、韓国の通信販売仲介依頼者から購入したところ少しトラブルに遭ったと。そこで販売者の情報を知りたいと思ったときに、例えばさっきの話が具体的になるわけですけれども、そのときに対象外だとすると、私は販売者の情報をもらうことができないということになるのですが、そこは本当にそういうことなのか。つまり、購入者が韓国に住んでいるのか、日本に住んでいるかによって、モール側は情報を出す義務があったり、なかったりするという理解で本当によろしいのかということです。

○徐教授 1番目の私の答えは、少し誤解を招くおそれがあったと思います。日本の消費者に韓国の事業者が販売して、韓国の事業者の情報を求めたときには、多分、韓国の事業者は教えるのではないかと思います。ただ、これは法律上定められていることではありません。なので、これはちょっと微妙な解釈の問題になりますが、裁判になった場合にはやはり国際私法の問題になるわけで、この場合には販売地が韓国であるから韓国の法律が適用されることになるでしょうか。

どうなるかはっきりは分かりませんが、ただ、先ほど申し上げたとおり、事実上は韓国の仲介業者は日本の消費者に情報提供をするかどうかについて、あなたが外国に住んでいる人ですからだめですよとは言わないと思います。

○中田座長 いかがでしょうか。消費者サイドからも、このような規定があるとどうなのかというようなコメントがございましたら、ぜひいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

少し私のほうからお聞きしたいと思うのは、最近の安全に関する立法がかなりプラットフォーム運営事業者、通信販売の仲介をする事業者の責任を定めるようになってきていると思われるのですが、何かきっかけがあったのでしょうかということをお聞きしたいのです。

○徐教授 これは何年か前からこのような動きがありました。その結果がここ2年から3年の間に集中的に立法につながったと思うのです。要するに、食品の安全で例えますと、不法流通に対する規制はかなり厳しいのです。ただ、仲介者の場合にはいちいちそれを事前に調査するのは無理ですよ、不可能ですよと言っていますね。真っ向から規制論に対抗している。では、どうすればいいのかということで、結局、立法の形になってしまいましたが、先ほどの要件を見ますと、事前規制ではなく事後的な規制になっています。notice & take downとほとんど似ていると思います。発見したら削除しなさいということです。ですから、事前の調査義務ではありません。そのような形である程度、お互いに譲歩し合った結果だと言えると思います。

なので、私は最後のところで、これが特に消費者サイドからこの立法を実際にやってみたら問題が起こった場合にはもっと厳しい話が出るかもしれない。なので、事前規制、例えば仲介者が安全に関するものを登録する場合には事前にチェックしなさいというような規制が生じる可能性があると話したわけです。

それで、今申し上げた法律のナンバーは8つぐらいに限られているのですが、これがもっとこれより増える可能性もあるし、内容がもっと深くなる可能性もあると思います。

○中田座長 それはやはり通信販売仲介者に責任というか、自覚を促すという意味が強いものなのでしょうか。

○徐教授 実際に韓国では、仲介者を規制しろという声が強いのです。反対に事業者側には、これはかなりの規制であって、ここで取り上げられた法律以外でもこのような動きがありました。そこで、実際に私は事業者サイドから呼ばれて、どのように対応すればいいのかという研究グループにも何年か前に所属したのですが、実際に彼らが感じるそのような負担はかなり大きいのです。電子商取引法、今申し上げた法律の内容の規制もかなり厳しいと思います。それに、この法律以外の法律でも仲介者、もちろん大手になりますけれども、例えばNAVERのようなポータルサイトに対する規制の声が強いのが現状です。

○中田座長 先生に教えていただいたところによると、子供製品安全特別法は2016年で、電気用品等の安全管理法は2016年で、生活化学製品等の安全管理は2018年に制定されて、まだ施行されていない、2019年になるということだったと思います。そういうふうに見ますと、この数年の間にかなりそういった認識が韓国では広まっているのだなという感じを受けます。

○早川座長代理 今のことに関連して先ほどの私の質問とも関係してくるのですけれども、例えば私がモール事業者としたときに、韓国は消費者に手厚い分、様々なことを守らなくてはいけないので、なかなかビジネスがやりにくいなと思う。他方で、日本の中では、名前を挙げてしまって恐縮なのですが、例えばアマゾンとかエクスペディアというような外国資本の通信販売仲介者に当たるようなところが消費者に広く利用されていまして、そういったものは韓国でも似たような現象はあるのではないかと思うのですけれども、その中には、例えば韓国法人をつくって、そこをベースにして韓国内におけるビジネスを展開しているところもあれば、そもそも法人としては遠く離れたところにあって、しかし、消費者から見るとスクリーン上に画面が出てきて、しかもローカルな言語で対応してくれるというところで変わらないので、購入等をするに当たっては便利ということがあるので、よく使われるということが実際には少なくともほかの国々ではよくあるのです。

そうすると、例えば外国にベースを置いているのだけれども、実際には韓国の人たちが非常に盛んに使っているというものは、ここで言う通信販売仲介者に先ほどの話だと当たらないかのようにも私は思ったのです。錯覚したのかもしれませんが、そこは本当にそうなのか。仮に当たらないとすると、それはそれで問題であるようにも思え、しかし、もしも私が韓国でビジネスを展開して、それが当たらないとすると、ではベースをほかに移して韓国の方々向けに販売したほうがいろいろ自由にできるなと思ってしまうようにも思えて、もう一回国際的な適用範囲のところに戻ってくるのですが、そこはいかがでしょうか。

○徐教授 おっしゃるとおり、これは韓国でもかなり大きな問題です。海外からのオンラインショッピング、海外直購と呼ぶのですが、うちの消費者が直接外国にサーバーを置いている会社のサイトでオンラインショッピングするケースが増えております。

○早川座長代理 あるいは、直接でなくても、外国のモールを使うということ。

○徐教授 もちろんです。それを含めてです。

この場合は、韓国の法律を適用することはできないので、かなり消費者問題になっているのが事実です。

○早川座長代理 そうすると、この通信販売仲介者というのはあくまで韓国に法人として存在しているものが提供していることが明示あるいは黙示の前提になっているという理解でよろしいでしょうか。

○徐教授 その理解でいいと思います。したがって、外国資本が韓国に入って法人化した場合は、必ず守らないといけない規制であって、逆に海外資本、例えばアップルのような海外の会社が直接マーケティングをする場合には、むしろ彼らにこの法律を適用しようとも彼らが話を聞かないので、逆の差別の問題ではないか、という不満が韓国の事業者から起こっております。

○中田座長 ありがとうございます。

ほかにいかがでしょうか。それでは、大森委員、お願いします。

○消費者委員会大森委員 10ページの紛争解決のところで、事業者のほうが逆にADRにもうこの件は預けたよということを表明することでいいというような話が非常に興味深かったのです。日本だったら、例えば問題があったらまず運営会社に相談して、それでもらちが明かなかったら消費生活センターに相談するかもしれないけれども、そこで解決しにくいことが多いので、このADRの信頼性とか処理能力とか中立性はどの程度機能されているのか、ちょっと教えていただきたいです。

○徐教授 韓国のADRはほとんどが行政型のADRです。国が運営するADR機関が多いのです。例えば、先ほど申し上げましたが、韓国消費者院、これは国民生活センターに当たるものですが、こちらが運営する消費者紛争調停委員会という所があります。ここでは、消費者院と委員会が段階的にADRに携わっていて、まず院に被害の届け出をすると、ここが調査して自分なりの和解のあっせんや勧告をすることになります。ここまでに解決できなかった場合には委員会の調停に移ります。この調停の効力がかなり大きいのです。裁判上の和解の効力があるので、執行力があります。このような形のADRの機関がかなり多いのが韓国ADRの特徴です。

消費者紛争だけでなく、電子取引、コンテンツ取引、個人情報保護、そして環境保護、医療分野など、行政機関はみんな自分がADR機関を持とうとしております。権限になりますから。それが現状で、消費者サイドから見ると、無料で利用できますから、むしろ国民と消費者の利益にはなるかと思うのです。ただ、裁判上の和解の効力なので、事業者側から申し上げますと、ひょっとしたら調停案に応じない可能性もあります。これがむしろ民事的な和解の効力のADRより調停成立には邪魔になる可能性もあるのです。なので、民事的なADR、日本のADR促進法で定められているような民事的な形のADRは韓国ではほとんどないと言っていいのです。そして、地方のレベルでは、消費生活センターのようなものと団体が受け付けるものがあります。

○中田座長 ありがとうございます。

お願いします。

○カライスコス京都大学准教授 徐先生、ご無沙汰しております。韓国では大変お世話になり、ありがとうございました。

本日お話をいただいた電子商取引法におけるプラットフォームの規制と、先ほど中田座長がおっしゃられた色々な法律の中にも関連する規定があるとのことですが、プラットフォームに対する規制がこのように動いているのは、日本で言うところの具体的な立法事実、例えば被害が多発していたということがあったのか、それともそれとは関係なくこのような規制が必要だという認識があって動いたのかを教えていただければ幸いです。

○徐教授 最初に始まったのは、このような被害があってから法律をつくったわけではありません。2002年の段階ですから、これはインターネットのショッピングがようやく始まろうとしているところでした。

そのとき、韓国政府の公取委が主導して、訪問販売法の中の通信販売の部分を取り出して、それを通信販売の概念で規律することもできますが、電子商取引という概念を前面に出したわけですよ。この電子商取引がこれから世の中を動くのだという予想があったのだろうと思います。その予想はかなり的を射たものだと思うのですけれども、要するに、立法が被害より先に走ったと言えます。

ただ、その中でもいろいろな形の被害とか、新しいビジネスモデルが出てくるのですね。プラットフォーム責任という意識は最初は全然なかったのです。最近の用語ではないですか。なので、2016年ぐらいの改正、例えば電子掲示板サービス提供者の責任は世の中の動きを見て改正した。そして紛争解決のための2012年の義務なんかも、その段階ではもう10年以上この法律が施行されていて、被害がこれぐらいになっているので、もともとの法律上は対応できない部分がかなり出てきたと思います。それに対応する形で改正が行われたと言えるのではないかと思います。

○中田座長 早川座長代理、時間の関係で短目でお願いします。

○早川座長代理 関連した質問になりますけれども、そうすると、最初のころはあまり立法事実がなくて、規制のほうが先にということになったと思うのですが、その後を見ると、日本よりもはるかに大きな規制があるようにも思えまして、他方で先ほど言ったような、外国の事業者の韓国民に対するサービスについては適用がないとすると、韓国でこの種のビジネスをしようとする人からすると、一つの見方としてかなり手足が縛られるような形になるようにも思いまして、そういったところに、韓国のビジネスサイドからの不満というようなものはないのかというのが一つでございます。

もう一つ、今は実際に紛争が生じているということだと思うのですけれども、ここの委員会の中でも議論になっているのは、一つの問題はオンラインでの係争額がとても小さいので、つまりディスピューティッド・アマウントがとても小さいので、その結果として紛争解決をするにしても、よほど効率的なものにしないと、つまりオンライン上で全て解決するようなものにしないと、今度は、手続費用がばかにならなくてペイしない。それが一つネックになっているというところが問題視されているわけですけれども、韓国ではそういう悩みがないのか。どうも先ほど言った、政府系が全部用意していて、全部ただで使えるというところで、つまり紛争解決コストみたいなところはあまり悩みがないのかどうかということがもう一つお聞きしたいところです。

最後に、調停というのが解決の主なものだとすると、相手方は断ることができるので、そこは解決率というのはどのくらいなのか。もし仮に韓国の企業、販売者が解決に積極的に合意してくれるとすると、その秘密はどこにあるのかということをお聞きしたいと思います。

多くて申し訳ないです。

○徐教授 3つぐらいの御質問だったと思います。最初に、韓国のビジネスサイドの不満はないかですが、不満はありますよ。彼らはこのように言っています。うちは世界で一番多い規制を受けているのだと言っています。ただ、実際そうであるかは、ちょっと裏を見てみますと別の評価もできるかもしれません。

このような規制はかなり厳しいですが、これは大手企業と中小企業で差があると思います。大手企業はこのような規制を守ることができます。10ページのような措置をとること、人力も設備もできます。なので、彼らにとっては、国が設けたルールだけを守れば、自分のビジネスは守られるということです。ですから、これは規制であるとともに、彼らにとっては保護の側面でもあります。大手企業についてはそう言えますが、中小企業にとってはかなり厳しいと思います。なので、消費者サイドの不満は、そのほとんどが中小企業との間で起こっていると言えると思います。なお、これは海外のビジネスとの逆の差別の問題ともつながります。彼らはこのような規制は受けないからです。

2番目の御質問の趣旨について、もう一回お願いできますか。

○早川座長代理 係争額といいますか、ディスピューティッド・アマウントが、例えば1万円とか2万円とか5万円で購入したとき、その紛争解決のために努力をするとかなりコストがかかりますね。そのために結局ギブアップしてしまう人も非常に多いのですけれども、そこには韓国では悩みがないのかということです。

○徐教授 これは消費者被害の全体の一般的な特徴でもあります。いわゆる泣き寝入りする消費者もいます。行政サイド、消費者団体、消費生活センターなどで、非常に細かい金額の紛争でも受付ができますので、実際、私の経験上から申し上げますと、かなり低いレベルの紛争も調停を申請するケースがありました。消費者にとっては無料ですから、これはできますが、やはりギブアップする消費者も結構あるでしょう。

そして、3番目の調停ですが、おっしゃったとおり、事業者が拒否した場合には調停は成立しないので、成立率がかなり大事なポイントになりますが、委員会によって別々なのではっきりとは言えないのです。消費者紛争調停委員会、これが一番大きいADR機構ですが、こちらの成立率は大体60から70までは行っていると思います。これは結構高いレベルだと思います。ただ、ほかの委員会は、私が関与しているものは消費者団体がやっているものですが、こちらは50%を切っていて30から40%ぐらいだと思います。かなり低いレベルになっています。そして、電子取引紛争調停委員会の場合は60から70よりはるかに上で、80から90まで行っているのです。

その差は何か、ちょっと考えてみたのですが、この調停に当たる調停委員の能力と時間などが関係するのだと私なりに結論付けております。電子取引紛争調停委員会の場合には、一つの事案に対して事務局が事前にやることを除いて、会議として2時間から3時間やっているケースもあります。集中的にやって、当事者が直接出席するか、それとも電話で調停委員と話し合って調停まで到達しようとしているのですけれども、ほかの委員会にはそのような余裕がありません。一つの事案で多くて20分ぐらいでしょうか。少ない場合には10分程度で、事務局が準備した資料を委員たちが見て、その場で調停を預かるくらいです。これが韓国の行政型のADRの現状ですので、もっと民間型のADRを増やす必要があるのだと私は主張しているところです。

○中田座長 ありがとうございます。

では、まず原田委員から、そして畠委員ということでお願いします。

○原田委員 貴重なお話をありがとうございました。

韓国のプラットフォームそのものの話を聞きたいのですけれども、プラットフォームといっても日本はすごくいろいろなプラットフォームがありまして、普通に商品を販売するような、言い方がいいかどうかは分からないのですが、比較的まともなプラットフォーム、さっきから大手さんという話も出ていますけれども、それに比べて扱っている物そのものがかなりグレーなもの、例えば情報商材とか、要はもうけ話といって中身はほとんど詐欺的なものを売買しているところだったり、後はゲームアカウントを売買しているプラットフォームだったり、要らなくなった電子マネーを売買したり、興行チケットを転売するプラットフォームとか、いろいろな種類がありまして、中身によってはプラットフォームそのものがどうかなみたいなプラットフォームも存在していることが日本では事実なのですけれども、韓国もそういうプラットフォームがあるのかどうか。後、そういうところもこれがかかるのかどうかというところも教えていただければと思います。

○徐教授 韓国も日本以上にそのようなプラットフォーマーが多いと思います。彼らも、もちろんこの法律の規制の対象になっているのですが、事実上、動かない面が多いと思います。彼らは一回、儲けて逃げるという手法でやるところも結構ありますので、行政機関が規制しようとしても、しょうがないのです。なので、日本で実際どうなっているか分かりませんが、韓国では法律上はかなり厳しい規制を持っているのですが、実際、それがどのように動いているかは別の問題の側面もあると思います。それが一つの課題でもあります。

それを私なりに考えるのは、今の規制は行政規制が多いので、むしろ民事的な規制に変えて、行政力の限界で規制ができないのだとすれば、これはもったいないのではないか。なので、私法的な手段のほうがむしろ規制としては正しいものではないかと思います。

○中田座長 それでは、畠委員、お願いします。

○畠委員 先ほど、早川先生とのやりとりのところで、1点目ですけれども、事業者側はかなり不満を抱いているということでしたけれども、一般の消費者の方々はどんなふうに受けとめているかということで、韓国の法律が適用されるモールで何か買った方が安心・安全なので、そちらを使おうというようなマインドになっているのか。そうではなく、あまりそういった発想にならず、中小事業者のモールがあまり立ち行かなくなってしまったり、若しくは海外事業者が自由にビジネスを行うことによって、そちらのほうが便利ならそちらを使おうというふうになっているのか、最近のルールの変更によって、韓国のモールと海外のモールのシェアの変化みたいなものは発生しているのでしょうか。

○徐教授 具体的な数値までは分かりませんが、消費者によってかなりの偏差があると思います。大手企業のオンラインショッピングを利用するのが、日本とも同じだと思うのですが、最近は一般の主婦がマーケットに行かず、オンラインショッピングモールで食品なんかを毎日注文することが日常的な風景になっております。その場合には、自分が利用するサイトを主に利用するでしょう。ただ、好みによって、韓国では売っていないところも結構ありますので、その場合には海外のモールを利用する消費者も結構あります。それが海外直売という名で社会的な問題にもなっております。これは、この法律の適用範囲外なので、別のルートを通じて消費者問題を解決しないといけない状況になっております。これはまさに消費者院のようなところが今取り組んでいる問題であると思います。

海外モールを利用するパーセンテージは年々増えていると思います。どのレベルであるかは、今ははっきりとお答えできないので、また調べておきます。

○中田座長 質問の前提になるかもしれないのですが、韓国の一般的な消費者がプラットフォームを利用するときにどういった意識なのか。つまり、安心してプラットフォームを利用しているというような状態がつくられているのかどうかという点はいかがでしょうか。消費者のほうが何か不満を持っているということがあるのであれば、お教えいただければと思います。

○徐教授 安心とまでは言えないのではないでしょうかね。これは論者によって評価が違うでしょうが、中小企業は自分なりの専門的なモールで勝負することが多く、海外モールを利用する消費者も増えています。その一方で、大手のショッピングモールの場合は、ある程度安心はできるが、ビジネスの競争が激しいと言っている分、価格の競争にもなっています。

例えば、法律上、今日は申し上げませんでしたが、撤回権の問題があります。いわゆるクーリングオフの権利が電子商取引法の中で定められています。しかも、かなり厳しいです。例えば確認するために商品のボックスを開封することはクーリングオフの制限事項には当たりません。もちろんeコマースは非対面取引という特徴をもっていますから、商品を確認しなければいけないので、開封することでクーリングオフを制限することはいけないのだ、というのが一般的な話ですけれども、法律上もそうなっています。開封してもクーリングオフはできるのだと。ところで、最近は、ある電気製品を実際に動くかどうか確認するため、ボックスを開封してプラグに入れた場合にクーリングオフができるかどうかといったものの紛争が結構多いのです。開封まではできるとしても、これを1回使用した場合のクーリングオフもできるかどうか。

なので、事業者サイドもかなり工夫してこの問題に対応しています。例えば、一番外のボックスを開封しても、中にまた小さなボックスをつくってあって、最後のものにはシールを張って、これを開封したらクーリングオフができませんよと書いておくことですね。では、これは法律に違反か違反ではないのか、このような議論があります。

このような問題が起こるのは、事業者サイドから申し上げますと、やはり価格競争が激しいので、しかも撤回権もかなり厳しくなっているので、そのような動きで対応しているのだという理解ができます。一方で消費者側から申し上げますと、法律上の権利なのに何でクーリングオフしてくれないのかという不満の声も一方ではあるわけですね。

厳しい規制なので消費者が安心できるのではないか、そういう結論になるかどうか、これは答えにくい質問だと思いますが、必ずしも厳しい規制が安心につながるとは言えないのではないかという印象を受けております。

○中田座長 ありがとうございました。

大分時間が来ましたので、もし最後、聞き逃したということがございましたら。

それでは、生貝委員、お願いします。

○生貝委員 ありがとうございます。

全体を通じて、インターネットの消費者保護の問題の中で、いわゆるソフトローアプローチ、あるいは業界団体の自主規制でありますとかコード・オブ・コンダクトといったような仕組みは非常に重要だと認識しております。

そういった中で、韓国の中では、例えば電子商取引法に関連して、あるいはプラットフォームのルールの在り方に関して、今、重視されているソフトローというのは何か存在するでしょうか。

○徐教授 自主規制というものは勿論ありますが、それが活発に機能する環境ではないと思います。規制をこのようにかなり厳しい法律の条文や、施行令と施行規則で定めているので、自主規制をやろうとしても、この法律の内容をそのまま取り入れるしか仕方がありません。なので、自主規制をしようとする動因にならないと思います。

例えば、この法律上の中には、公取委が、事業者の自律的な遵守を導くための指針である電子商取引等における消費者保護指針、つまりガイドラインをつくりなさいという規定もあります。実際公取委の告示の形でつくられております。指針をつくる主体が公取委なのです。自主規制とは言えないでしょう。現在、自主規制を個別のこういう会社レベルで自分なりにやっていることはあるでしょうが、目に見える形のソフトローのようなものが機能する環境ではないと思います。

○生貝委員 ありがとうございます。

○中田座長 では、簡潔にお願いします。

○早川座長代理 簡潔にですが、その傾向というのは、つまりこの問題に限ったことでしょうか。それとも韓国全体が立法のほうが多くて、自主ガイドラインを民間等に任せるという傾向がないのか。それとも、この問題についてはそうなのか。そこはいかがでしょうか。

○徐教授 この問題に限ったものと思いますが、これ以外にも似たような現状があるところはあると思います。

○中田座長 それでは、上村委員、お願いします。

○上村委員 発表資料の16ページの製品安全に関するところで、個別の法律が様々できているのですが、これができることになったきっかけとなるような事件や事故みたいなことはあったのでしょうか。

○徐教授 安全に関する事件、事故は最近韓国社会で結構多いのです。皆さんも御存じかもしれませんが、まず加湿器殺菌剤事件があります。加湿器に菌を殺傷する化学製品を入れて、何百人が死亡して、今も続いている大きな事件です。約20年前から始まっていますがようやく最近になって全貌が明らかになりました。それ以後、生活化学製品の安全に関する問題が浮き彫りになっています。

そして、子供製品は、例えばスウェーデンの有名な家具のメーカーによる安全の事故が韓国でも起こりました。そして、皆さんも御存じの大きな惨事である、大きな船、セウォル号事件があります。これは政権を変えるような大きな事件でした。ただ、それ自体だけを見ますと、交通安全の問題でした。

そのような例は幾つかあるのですが、安全に関するものがここ数年間、韓国社会のキーワードの一つになっております。それが売る物に対しても、仲介者を通じてオンラインで売る物、製品とか食品の安全の問題にまで広がったという理解でいいかと思います。

○中田座長 安全についてはもう全ての人が十分に注意を払わなければいけないという形になっているというわけですね。

ほかにいかがでしょうか。

それでは、今日は徐先生に韓国法の状況について非常に詳細に御紹介していただき、また質疑も韓国の背景事情にまで及んで非常に明快に御説明いただいたと思います。どうもありがとうございました。

(休憩)

≪3.討議≫

○中田座長 それでは、少し遅れましたけれども、再開させていただきます。

次の議題は「討議」になります。第6回以降、我々の調査会、オンラインプラットフォームが介在する取引における消費者トラブルの状況とオンラインプラットフォーム事業者の取組、現行の規定等の整理、役割分担の考え方の整理等々について、今日もそうでしたけれども、有識者のヒアリングも交えながら議論してまいりました。そして、今年度中にはまとめたいと考えております。また、事務局のほうにも、まとめとして、これまでの議論の内容について整理をして、また共通するようなところを取り出してきていただいております。最終的に、我々の調査会のゴールをどこにということもあるのですが、これまでの議論をまずは整理をして考えていきたいと思います。

オンラインプラットフォームが介在する取引は多様なものでありますが、利用者が安心して取引を行うことができるマーケットをつくることが大事だということが指摘されています。そして、そのための仕組みというものはどういうものでなければいけないのかということが議論の焦点だったと考えています。

そういったところに問題意識を持った上で、事務局のほうから資料2について、10分程度で御説明をさせていただいて、それに基づいてそれぞれの項目ごとに、今日ある程度時間をとりますので皆様の御意見を賜りたいと考えております。

まずは事務局のほうからの御説明をいただければと思います。お願いします。

○友行企画官 それでは、資料2を御覧いただけますでしょうか。まず、最初のところですけれども、「オンラインプラットフォーム事業者の特徴と一定の役割・責任を担う理由」という表題を付けさせていただいております。今後、報告書などを取りまとめるに当たりまして、オンラインプラットフォーム事業者が一定の役割を担うことをお願いするに当たって、その前提としてオンラインプラットフォーム事業者の特徴や、なぜ一定の役割や責任を担っていただく必要があるのか、そういったことを期待するのかということを、少しこれまでの議論を整理させていただいたものでございます。(1)から(4)までございます。

最初の(1)ですけれども、「インターネット取引の規模の拡大と社会における重要性の高まり」という表題を付けておりまして、中身の説明のところでございますが、こういったオンラインプラットフォームが介在する取引を含むインターネット取引の規模は拡大を続けているということを最初の回のほうで確認させていただいたところでございます。今後も、利便性が高いことでございますとか、ICTの一層の進展によりまして、消費形態としてその重要性が一層高まっていくことが考えられるというところでございます。

オンラインプラットフォームというのは、例えて言うなら準公共財と位置付けても違和感のない状況だというような御発言も委員の方々からございました。そういったことを背景に、消費者が安心して利用できる仕組みをつくっていくことが社会全体にとってまず望ましいのだということが大前提として一つあるというところでございます。

(2)でございますけれども、一定の取引形態をオンラインプラットフォーム事業者自身が自ら構築して管理しているといったところでございます。オンラインプラットフォーム事業者は、多数の事業者、消費者が参加することが可能な市場そのものを設計しているというところでございます。そして、それを運営・管理をしている。例えば広告の表示でございますとか、利用者の個人情報の取得、検索システムの提供、取引成立のためのシステムの提供、決済の仕組み、商品の発送、レビューの表示等、そういった存在になっているところでございます。

そのため、たとえ直接の売主ではなくても、場の提供者にすぎないという見方は適切とは言いがたく、運営・管理者として一定の取組を行っていただくことが望ましいのではないかといった考え方でございます。

(3)でございますが、オンラインプラットフォーム事業者には取引に係る様々な情報が集約しているといったところでございます。オンラインプラットフォームに参加する消費者は、取引の相手の情報を必ずしも十分に理解した上で、取得した上で取引に参加しているわけではございません。したがって、取引に係る消費者トラブルが生じた場合に、その解決が難しくなる場合があるということが考えられるところでございます。

他方、オンラインプラットフォーム事業者には取引に係る様々な情報が集約されております。①消費者トラブルが生じた取引がその時点でどのような状態にあるのか、②消費者トラブルが生じた際にどのような解決の手段をとり得るのか、③でございますが、あらかじめ取引に関しどのようなリスクや消費者トラブルが生じる可能性があるのかなどについて考察しやすい立場にある。したがいまして、オンラインプラットフォーム事業者は、オンラインプラットフォーム取引に関し、消費者トラブルが生じた場合には、保有する情報を適切に活用して解決に向けた取組を行うことが望ましいと。また、あらかじめ安心、安全な取引の場になるような取組を行っていただくことが望ましいのではないかといったようなところでございます。

(4)に「事業者と消費者の関係性」と書いてございますけれども、オンラインプラットフォーム事業者は、前述のように直接の売主ではないというところでございまして、実際の取引行為の当事者ではないといった見方がございます。他方、そうだといたしましても、オンラインプラットフォーム事業者は利益をとる事業者でありまして、対消費者との関係性を見れば、情報の質や量とか交渉力の格差が存在することは事実でございます。

そういったことから、消費者の安全の確保とか、消費者の自主的かつ合理的な選択の機会の確保とか、必要な情報及び教育の機会の提供等の重要性を踏まえた取組を行うことが求められるのではないか、こういった整理でございます。

現時点では、1につきましてはこのような形で整理させていただいているところでございます。

それから、2番のところでございますが、最終的な出口を見据えた形でございまして、「オンラインプラットフォーム事業者が備える仕組み」、持っていただきたい仕組みとしてはどのようなものが考えられるかということにつきまして、項目立てをしてこちらのほうに整理させていただいております。

(1)から(12)までございますけれども、これまでいろいろな消費者トラブルが実際に起きているといった事例を御紹介させていただいたり、後は最初のほうの回で御紹介いたしましたけれども、インターネット調査を行いまして、そこでこんなトラブルが起きているといったことや、こういった仕組みがあるとありがたいといった話や、こういったところが不安であるので取引には参加しないのだといったような調査結果がございました。

そういったことを総合的に見まして、こういった仕組みがあると、これからも安全、安心な形で取引に参加できるのではないか、こういった仕組みが必要ではないかといった観点から整理させていただいたものでございます。

流れとしましては、現時点では、取引に入っていくという、一応順序立てて、イメージしながら(1)から(12)まで並べているような整理をさせていただいております。

(1)のところに、「財・サービスの提供者にかかる審査(出店・出品審査、モニタリング)等の実施」とございます。例えば、プラットフォームが適正な場所になるための最低限の事前審査をしてほしいと。その際の審査基準をできれば可能な範囲で公表していただけることが望ましいのではないかといったところでございます。

(2)のところは、「プラットフォーム事業者から消費者への情報提供」でございます。ここにつきましては、消費者は安心、安全な取引を行うことを希望していると考えられますけれども、現時点、オンラインプラットフォーム事業者が具体的に消費者トラブルの未然防止や事後的な救済等についてどのような取組を実施しているのか分かりにくいという発言が何回かございました。そのため、事業者の取組が、消費者がプラットフォームを選択する際の指標となっていないということも考えられます。そうしたことから、プラットフォーム事業者が安心、安全な取引確保のためにどのような取組をしているのかということについて、分かりやすい広報等をしていただけるということが必要なのではないかということで、ここに掲載しております。

(3)といたしまして「分かりやすい財・サービスに係る表示」でございます。こちらにつきましては、インターネット取引でございますので、実際の商品やサービスを確認することができずに商品を購入したり、サービスを利用するといったことになります。そうしたことを要因とする消費者トラブルが多いということでございまして、ウェブアンケート調査においても、消費者のトラブルの第1位は品質に関することが挙げられております。そうしたことから、安心、安全な取引環境を利用できるための、分かりやすく適切な商品表示や商品説明等があるといいのではないかということで、ここに掲載させていただいております。

(4)でございますが、「適切な利用規約の策定と分かりやすい表示」としておりまして、これは安心、安全な取引環境を利用できるための適切な内容の利用規約を策定してほしいということと、またその利用規約を分かりやすく表示してほしいというところでございます。特に送料や返品等の消費者トラブルにつながりやすい事項に係ることについての利用規約が分かりやすく表示されていると、消費者にとってはありがたいのではないかといったところでございます。

(5)は「広告の透明性の確保」でございます。広告というのは、消費者が自主的かつ合理的な選択の機会の確保というところで一番重要な点の一つでございまして、表示されているものが広告であるのか広告でないのかといったところははっきりさせていただきたいということや、各種の広告規制については遵守していただきたい。そういったところで、広告の透明性の確保といったところでございます。

(6)は「評価の透明性の確保」としておりますけれども、取引において口コミとかランキング、レビューの表示がプラットフォームなどが開催するインターネット取引の重要な仕組みとなっております。ただ、相手からの報復を恐れて、ありのままのコメントの記載が困難ですとか、評価欄に虚偽の記載をされたといったようなトラブルも実際には生じているところでございまして、そういったことを背景に、レビュー等がその役割を適切に果たすために、口コミとかランキング等の評価の収集や処理、公表の仕方などに工夫をしていただけたらいいなというところでございます。

(7)の「決済システムの安全性の確保」につきましても、第三者に不正利用されたといったことや、支払エラーが出てしまって、そういったことを原因とする消費者トラブルが生じているといった事実がございました。そういったことから、まず、例えば決済システムは複数選べることが望ましいということや、そのシステム自体が安心、安全に使えるということが必要ではないかといったところでございます。

(8)につきましては「消費者トラブルへの対応」でございまして、アンケート調査の結果によりますと、消費者トラブルに遭ってもどこにも相談せず、諦めたという回答者の方が15から25%程度存在していたり、後は消費者トラブルに遭ったときの対応が不安でこういった取引に参加しないといった調査結果も出ていたところでございます。そういったことから、利用者からの問合せに協力していただきたいといったことや、相談対応窓口を明示していただきたい。そういうような仕組みがあるといいのではないかということで、ここに記載をさせていただいております。

(9)でございますが、「オンライン取引に係る紛争解決の仕組み」でございまして、先ほどの先生の御紹介にも少しございましたけれども、3ページに参りますが、消費者トラブルに遭った消費者に対して紛争解決の仕組みを提示できることが望ましいのではないかといったところでございます。

(10)は「個人情報の適正な取扱い」でございます。やはり個人情報の扱いが不安だといったような声も多くございまして、これは法律の遵守は当然のことでございますけれども、個人情報保護法の遵守の徹底というところでございます。

それから、個人情報保護法だけではなくて、プラットフォーム事業者として課せられている各種の法律についてはきちんと遵守していただきたいというところでございます。

最後のところは、「補償制度」でございます。これは少しあればいいなという仕組みかも分かりませんが、例えば詐欺に遭った場合の返金の仕組みや、消費者トラブルに遭った場合の補償制度などがあるとありがたいといったようなアンケート調査などもございまして、そういったこともできればあるといいのではないかということで、ここで整理させていただいております。

以上が、オンラインプラットフォーム事業者が備えていただけるとありがたい仕組みといったところで、現時点で整理させていただいているところでございます。

それから、3番のところでございますが、これは少しこれまでにも議論をいただいたところでございますけれども、もう一度ここに議題に上げておりますが、CtoC取引の場合の財・サービスの提供者としての利用者が果たすべき役割というところでございます。

CtoC取引でありましても、インターネット・オークションガイドラインなどがございますので、一定期間に一定数の点数の商品を出しているとか、一定の金額が落札された場合などにつきましては事業者とみなされるというのが一応今の決まりになっております。ただ、そういったことでありますが、この専門調査会の中でも何回か議論がございましたけれども、本当に特商法上の通信販売事業者と認定してしまって、販売価格だけではなくて、氏名、住所、電話番号の表示義務を課すことが本当にいいのかどうかという議論がございました。

(1)でございますけれども、特商法と同等の義務を課すことが適切でないと思われる提供者が安心、安全に取引に参加するためには、利用者として果たすべき役割は何か。この場合に、プラットフォーム事業者としてどのような役割を果たすことがあるのかどうかといったところでございます。

(2)は、特商法と同等の義務を課した場合であっても、通常は消費者だという場合に、消費者として保護すべき事項があるのかないのか。あるとすれば、どのような点かといったところでございます。

それから、CtoC取引の提供者としているのだけれども、あくまで最後までCといった場合に、そのCが果たす役割はどういったものがあるのかといったところでございます。

4番のところでございますが、こちらにつきましても今までに御議論いただいたところではございますが、消費生活相談員の役割についてもう一度整理しているところでございます。消費生活相談員が相談やあっせんを行う場合、プラットフォーム事業者に求める対応や情報というのは具体的に何なのか、その場合に課題となる事項は何なのかということでございまして、個人情報保護法との関係が恐らくあるのではないかと思われます。

(3)でございますが、プラットフォーム事業者から消費生活相談員へ情報提供を行うことに関して、どのような根拠でどのような情報を提供することが可能かといったことや、(4)でございますが、BtoC、CtoCを問わず、消費生活相談員が紛争解決に入った場合であっても、プラットフォーム事業者は消費生活相談員とともに共同で紛争解決に当たるといった考え方でいいのかどうかといったところでございます。

最後の5番でございますけれども、こういった形でプラットフォーム事業者やそのほかのところも含めまして備えていただきたい仕組みなどを考えた場合、その実効性の確保をどうするかといったことでございます。やり方といたしましては、①のところではまず自主的取組を期待するといったことや、4ページに参りますが、自主規制や共同規制といったこと、ガイドラインをどこかが策定するといったこと、それから認証制度等々、実効性を担保する仕組みとしては幾つかございますが、それぞれについてメリットや課題はどう考えるかということについて、もう一度御議論いただいてはどうかといったところでございます。

御説明は以上でございます。

○中田座長 ありがとうございました。

これまでの議論を項目立てて整理していただいたという形での討議資料になっていると思います。ですから、今日この内容について少し討議をしていきたいわけですけれども、まだ報告書は準備段階ですので、論点としてこれが落ちているのではないか、あるいはこういう考え方でこれを理解したほうがいいのではないかというようなこともありましたら、忌憚なく、率直に、ぜひ今の段階でお聞かせいただきたいと思っております。1、2、3、4という形で区切って、それぞれ御意見がある方について、それに基づいて議論していきたいと考えております。ですから、本当にいろいろな意見を出していただければと思います。

初めに、これもメインのテーマですけれども、オンラインプラットフォーム事業者の特徴と一定の役割・責任を担う理由、そういう点について御意見等のある方はぜひ御発言いただければと思います。いかがでしょうか。

それでは、早川座長代理。

○早川座長代理 この点について申し上げたいと思うのですが、その前に全体について一言よろしいでしょうか。

今日の韓国のお話を聞いているときに、韓国の規制というものが、例えば、外国の事業者で韓国において様々なサービスをしているところについては適用にならないという認識のもと、そうすると差別というか、逆差別をどう扱うのかというのが大きな問題になっているというお話がございまして、我が国でも実はオンラインですと国境を簡単に越えてしまうので、国際的な適用範囲はどのように考えていくべきなのかというのはこれまでにも何度も出てきておりますし、それからオンラインでの紛争解決を目指す一つの理由が、国境を越えた紛争に簡単になってしまうところにあったかと思います。ですので、国際的なこの仕組みの適用の範囲という問題は、この中でも一貫していろいろな形で議論がなされているので、しかし、この3、4、5までの間には含まれていないように思いましたので、そこは入れていただいて、最終的に結論は出ない話かもしれませんけれども、忘れないようにしたほうがよいのではないかというのが一つでございます。

戻りまして1番の理由のところですが、私は前回のお話を聞いて非常に納得するところがあったのが、(3)の様々な情報が集約というところですけれども、前回の報告者のお二人の先生、片方は研究者の方、片方は弁護士の方でしたけれども、特徴の一つに情報自体がデジタル情報だというところが実は非常に重要なのではないかと言っていたところが私は非常に印象に残りました。

通常のアナログ情報ではなくてデジタル情報が、オンライン取引ですとその性質上、必然的にそのような形で集約されるわけですけれども、情報が通常の情報ではなくてデジタル情報になると、様々な形で分析が可能になったり、様々な形で活用が可能になってしまって、そのためにある種の濫用の危険性が出てきたり、あるいはそれを使ったビジネスモデルとしてプロフィットを何倍にもすることができるようなところがあって、この情報がデジタルだというところをとらまえるのが非常に重要なことなのかなと前回聞いていて思いました。ですから、(3)の、情報の中にデジタル情報であるというところを盛り込んでいただくのが重要なのではないかと思います。

以上です。

○中田座長 ありがとうございます。その点も考慮しながら考えていきたいと思います。

前田委員。

○前田委員 2点あるのですけれども、まず全体的に1が始まるところでまず1点です。今まで議論の回数を重ねてきた中で、様々な事業者を代表する団体ないし各事業者がそれぞれ自主的にこういう取組をやっていますと説明しています。インターネット取引の安全のためにこういう取引をやっています、消費者の保護のためにこういう取引をやっていますというような説明がかなりあったかと理解しています。

実際にここでもその議論をされていたと理解しているのですけれども、各事業が行っている取組というのが、実際にそれぞれの事業者のアピールポイントになっているという現状もあります。その点が1のところに書かれていないのがなぜなのかというところについて、ちょっと御教示いただければ幸いです。ぜひともその点について、オンラインプラットフォーム事業者の特徴と言うからには、各事業者が自主的に様々な取組をやっていると。そこから、例えば共同規制の話なのか、あるいは自主規制にするのか、実際、その議論もあったかと思います。そこの点について、どういう規制の在り方が望ましいのかという議論にも発展してくると思いますので、その点についてはきちんと入れる必要性があるのではないかと思いましたというのがまず1点。

2点目が、早川先生の御発言に対する質問ですけれども、海外の事業者の取扱いの部分については、現在の国際私法に関する日本の法制においてそこの部分は解決されていないという前提でここでの議論を進める必要性があるのか。あるいは、行政規制が足りないからここで入れたときに海外と国内外の話を入れるということなのか。こと、消費者トラブルの解決という観点になったときには、国際私法のところである程度適用されるという前提で紛争解決というのもあり得るかなと思いますし、早川先生のほうからもODRの御説明があったかと思いますので、その点を御教示いただければと思います。

○中田座長 それでは、2番目の点から早川座長代理、お願いします。

○早川座長代理 私は国際私法を専門にしておりますけれども、残念ながら国際私法には限界がございまして、私法なのですね。例えば事業者に情報提供を義務付けるといった場合においては、これは分類からいくと合法的な規制になると思います。あるいは、製品安全法について、2年前に経済産業省のほうで委員会のようなものをやっていましたけれども、そこでは日本で製品安全に関しての様々な規制、レギュレーションを置いていますけれども、そのレギュレーションに関してはまさに国際私法の領域を超えていまして、公法的な規制と言ってもいいかもしれませんし、あるいはその名のとおりレギュレーションなのですね。

それに関しては国際私法の解決の外のところにありまして、各法規がどういうふうな形で適用範囲を持っているかというところを確定しなくてはいけないという作業が必要になります。例えば、ちょうど独占禁止法が一体どこまで手が伸びるのかとか、金融商品取引法がどのような主体、どのような形態まで国際的な観点から伸びるのかという形です。なので、このようなオンライン関係のものは私法的な解決ができるところがあって、そこはかなり国際私法で処理ができるのですけれども、それを超えた強行規制的な、あるいは公法的なところに関しては、その適用範囲から、一から考えざるを得ないので、その範囲についてはそのとおりということになります。

それから、紛争の解決の手続に関しては、おっしゃったようにODRのようなものをつくって、例えばそれをどこまで利用してもらえるかという感じになると私法なのですけれども、EUのように少なくともODRの存在自体を知らしめることを義務付けるとすると、その義務付けのところは今度は公法規制になるので、そこはどこまで及ぶのかみたいな話に当然なってくるわけです。

私は教授ですので国際私法が万能であることを望む者ですが、残念ながらそうはなっていないので、そこについても問題が残っているという記載だけでもいいと思うのですけれども、備忘のためには重要なことかなと思っております。

○前田委員 ありがとうございました。

ということであれば、なおさら公法的な規制が必要なのか、それとも私法によるものなのか、先ほど韓国の徐先生からの御発表もありましたように、私法的な解決のほうがいいのか、それとも自主規制ないし共同規制というような形か、どのような規制の方法、そもそも規制の要否というところも含め、そこの点についてもどこかしらここに入れておく必要性はあるかなと思います。

○中田座長 できれば早川座長代理に、海外の事業者との関係で、最大限、日本の消費者をプロテクトするためにはどういうような実体法規の規制のかけ方があるのかというのを御教示いただけるとありがたいなと思います。

例えば強行法という形で規定して、日本に居住している日本人が海外とインターネット取引をした場合には全て日本の規制がかかるといったような、そういった規定の仕方が望ましいと考えるのか。実効性があるかどうかは怪しいところはあるのですが。そういう規律を置いたとして、国際的な紛争解決については強行法規として、それをいかなる場合にも貫徹するというやり方が望ましいのかどうかという点ですが、その点はどうなのでしょうか。

○早川座長代理 まさに座長がおっしゃったところがポイントでして、例えば先ほどお話をした製品安全法を例として挙げると、日本の行政庁は従来は法の適用の範囲と、その適用の結果、違反などを摘発したり、執行するものの範囲がずれるということはあまり考えてなかったのですね。そうしますと、適用や執行というのは外国の行政当局の協力がなければ、例えば外国に所在している事業者に対しては手を伸ばすことはできないので、そうするとどうしても国内だけに執行の範囲がとどまり、それに連動して国内の適用範囲、違法かどうかの範囲も国内にしか及ばないという考え方に陥りがちだったのですけれども、歴史的に言いますと独占禁止法のあたりから徐々に適用の範囲が外に伸びてしかるべき、そうでないと外国の事業者がカルテルか何かしたら日本の市場の公正さは守れませんので、それで考え方がだんだんずれてきまして、それが徐々に我々の一般的な身の回りにあるようなものについても及んできたというのが大体大きな歴史になっています。

製品安全法のほうは、最初にやったことは何かというと、私の認識では、経済産業省のほうでとりあえず日本のJISに違反するような危険なものに関してyは、製品安全法で禁止しているものは、日本の中に事業者がつくっていなくても、それは日本から見て違法だと言うということです。その上で、執行ができるかどうかは別の問題だと考えましょうと。ただ、執行のやり方は、先ほど前田委員が言ったように、我が国の当局が乗り込むだけが執行ではなくて、例えば日本のモール事業者に協力を仰いで、そういったものが流入してきた場合には、その製品については取り扱わないように出店している方々を指導してもらう等、いろいろなやり方があるわけで、その執行と適用の国際的な範囲についてのずれを認めるかどうかというところから実は問題は始まったのです。

こういうふうに一歩一歩、今までドメスティックな世界だったらそれで構わなかったのですけれども、特にオンライン取引が実現することによってグローバル化が急速に、しかもコンシューマーのレベルまで発達してしまったので、そうすると今までの常識が通じなくなるので、そこを一つ一つ直していくというのが非常に重要でございまして、こういった場でこういうのがあり得るべしというと、またいろいろな行政のほうが適用範囲等についてより積極的に書き込んだりしてもらえるので、重要なのかなと考えています。

そういう意味で、前田委員がおっしゃったことは全くそのとおりでございまして、またここの中に何か書き込んでほしいと思ったのはそういう理由になります。

○中田座長 ありがとうございました。早川座長代理のアドバイスをいただきながら、少しその点を考えていきたいと思います。

今の点ですか。では、生貝委員。

○生貝委員 今のところに関連して、少し違った私の専門の観点からということになるのですけれども、私自身、さっき少し発言させていだたいたとおり、できるだけインターネットに関わる物事は、ソフトローあるいは自主規制、あるいはできるだけ共同規制のような仕組みで解決されることが望ましいと考える立場なのですけれども、その前提というか、そのことは一言で言うと、外国であればプラットフォーム事業者の方、そして日本の当局、ないし消費者団体の方というのが密接に継続的に話し合い、つまり協力関係を構築していくための仕組みをどのようにつくれるかということが根本にあるべきだと考えております。

そういったときに、例えばフォーラムのつくり方でありますとか、様々な議論があり得るところかと思うのですけれども、最近、例えば、これは教授がいらっしゃるところで恐縮なのですけれども、私も耳学問に近いところではあるのですが、例えば韓国の情報通信網法という電気通信分野の消費者保護を規律する法律の中では、これは今年の3月に施行されることになっておりますけれども、国内に住所又は営業所がない情報通信サービス提供者等に対して国内代理人の指定を義務付けるという形で、第32条の5が新設されていると聞き及んでいるところです。

この代理人、リプレゼンテーティブはどのような権限とか、あるいはそれによって法適用関係はどのようになるのかといったところは様々な設計の仕方があるところだと思うのですけれども、今、日本で非常に大きく活動していらっしゃるプラットフォーム事業者はもちろんながら、これから様々なプラットフォーム事業者がまさに日本に参入してきてくださるといったときに、その話し合いの窓口をどのようにつくるのか。一つの方法として、例えば代理人を指定していただくといった方法もあると思うのですけれども、やはりソフトローでの解決を志向するのであれば、そこは避けて通れない論点かと理解しております。

○中田座長 ありがとうございました。

どうしましょうか、事務局。1番目の前田委員の発言ですが、それぞれが取り組んでいることを特徴としてどういうふうに論点の中に入れるかということです。私の理解は、それぞれの特徴というのは分散化されて項目の中に整理されているのではないかと理解しているのですが、その点はどうですか。

○友行企画官 プラットフォーム事業者自身もいろいろな取組を現時点で行っているということは、どこかに書きたいと思っております。

○中田座長 では、そういう形にさせていただくことにします。

まず、片岡委員、原田委員。

○片岡委員 たくさんあるのですが、今はまず1のところでいいのですよね。

○中田座長 はい。順番にさせていただいています。全体像についてある場合には御発言いただいてもいいと思います。

○片岡委員 これは恐らく今後報告書の形になる元になるので、結構細かいところも申し上げたいと思うのですけれども、まず全体的に決め付けている文言が多いと思っています。「○○するべき」とか、「ことが望ましい」という記載が複数あるのですけれども、もう一度ゴールがどういうものなのかというところと、それに向けて、既に行われている取組が足りないのか、あるいは取組に熱心なところとそうでないところで差があるのか等、いろいろな課題があったと思っていますので、決め付けるのではなくて、もう少し議論があったことを忠実に簡潔にまとめていただいたほうがいいと思います。

その観点で言うと、先ほど前田委員からもありましたけれども、一方で自主的な取組を行っている事業者がいて、今、2のところに出てくるものはそれを羅列しているような感じにも見えるのですけれども、一方でアンケートをとると、まだ不安を感じている点がある、あるいは実際のトラブル事例としてはこういったものが起こっている、というような点の両方を書くべきだと思います。私の認識としては、自主的な取組を行っているという説明をして、それに対して「これでは全然足りない」と言われた記憶はないので、やっていることはやっているのだけれども、一方でこういう問題もあるよということをきちんと書いていただきたいと思っています。

それから、(2)のところですけれども、これも素直に読むことができません。プラットフォーム事業者はいろいろなプラットフォームがいるのですけれども、「市場そのものを設計し、運用・管理を行う存在となっている」とあります。確かに、そう評価し得るものもあるかもしれないですけれども、そうでないものもあると認識しておりましたので、「存在となっている」と言い切るのではなく、「そういうものもある」という観点で議論をしたほうがいいと思います。

それから、(3)についてですが、「これも情報が集約されている」とあるのですけれども、これもそのプラットフォームはいろいろなかかわり方がありますので、集約しているところもいないところもあるので、情報を持っている、又は持っていないによって、どういうところが違ってくるのかというところをきちんと議論しなければゴールが導けないと思います。情報を持っていることを前提とせずに、持っていることの評価といいますか、それによって何がどう変わってくるのかというところを議論したほうがいいと思います。

それから、(4)に「オンラインプラットフォーム事業者は利益をとる事業者である」というのがあるのですけれども、事業者と消費者との関係という話をするときに、利益の有無というのが今まであまり問題になっていない気がしますので、ここに唐突に出てくるのは少し違和感があります。恐らく、事業者である限りどこかから利益はとっているでしょうから、あまりここの論点とは関係がないのではないか。あくまで事業者と消費者というものは違うものであるという観点に立って話したほうがいいのではないかと思いました。

2以降についてもいっぱいあるのですが、とりあえず1です。

○中田座長 ありがとうございました。

恐らく意図としては、かなり大規模な形で情報収集をしているプラットフォーム事業者に対しての規律というものがどういう形であるべきなのかというところに問題関心が集中していたのかなと思います。そうでないプラットフォームがあるということも事実だろうと思います。

ですから、ここでの問題関心を説明する限りは今言ったような、今までない、つまり10年前に存在していなかったようなプラットフォーム事業者が出てきているということは事実でして、そこをどのような形での対応が必要なのかということがここで議論されているのではないか。逆に言うと、そういうところのほうがきちっと自主的な取組をしているという評価がなされる場合もあるだろうと思いますので、焦点の当て方としては恐らくこういう形になっているのだろうと思います。これはまだ報告書でも何でもなくて、今までないような議論のところをまとめたという形で私は理解をしています。そういう意味では、そういうものがないということではなくて、やはりあるということを前提に議論していいということではなかったかと思うのですが、その点はどうでしょうか。

○片岡委員 どうしても記憶は最近のことばかり思い出してしまうので、これが最近確かに話題になったのですけれども、それより前に結構もっといろいろなことを話していたはずで、このまま進んだ場合、それこそSNSなどで取引してトラブルになってしまうという問題があったと思うのですけれども、そういうものを無視していいのだろうかということもあります。ここについて話をすることについてはもちろん異論はないのですけれども、決め付けるのではなくて、情報を持っていることでどういうことになるのか、持っていないこともあるという前提で話をしたほうがいいであろうと思います。

先ほど言い忘れましたけれども、せっかくアンケートをとったり、トラブル事例を出していただいたりしたので、そことの関連性を考える上でも、確かにこの議論はあり得ますけれども、情報が集約していることを前提に議論を進めるのは、やめたほうがいいかなと思いました。

○中田座長 全ての事業者について情報が集約されているという立場をとっているわけではないと、事務局も私もそういうふうに考えていますし、御意見のところは十分配慮すべきであろうと思います。

また、利益をとるという表現についてもあまり適切ではないという御指摘があったのですが、それは私も同じような感じを今のところは持っています。

事務局のほうは何かありますか。

○友行企画官 ないです。

○中田座長 それでは、1のところはほかによろしいでしょうか。

原田委員、蟹瀬委員という形でお願いします。

○原田委員 まとめていただき、ありがとうございます。

私のほうからは(3)のところですけれども、「プラットフォームに参加する消費者は、取引相手の情報を十分に取得した上で必ずしも取引に参加しているわけではない」と書かれておりまして、BtoCの場合の事業者に関しては特商法があるので、ある程度、所在地とか責任者の氏名とか連絡先が書かれていると思いますし、逆にCtoCのときに必ずしも相手の個人情報を知っているから解決に結びつくかというと、また別の話であったり、500円の話に裁判をするかといったら違う話なので、そこら辺は置いておいたとしても、出店者若しくはサービスの提供を受けるような個人が登録するときに渡している個人情報や、そういう情報は当然集まっているかと思うのですけれども、その情報がそもそも正しいかどうかというところが何もここには触れていなくて、店がいなくなったときに書いてある電話番号にかけても二度と連絡はとれませんし、相手にメールを送ったり、アプリ上でメッセージを送ったところで無視されたら終わりですし、そのときに実効性というか、連絡手段を担保するためには、プラットフォームが持っている情報が正しいのかどうかというところにも少し目を向けたほうがいいのかなと思います。要は、取得した以上はその情報が正しいのかどうかというところもある程度確認していただかないと、解決に向けた取組は難しくなってくるのではないかなと。どんなに情報を取得したとしても、その情報が正しくなければ、連絡がとれなくなって、はい終わりになってしまいますので、そういったところを観点に入れていただけるといいかなと思いました。

○中田座長 情報を収集するかどうかという点がまず一つ論点になりますし、今おっしゃったように、正確な情報をいかに取得させるか、そのための仕組み、例えば証明書をコピーする等、そういうことが必要だという理解でしょうか。

○原田委員 やり方はいっぱいあると思うのですけれども、情報が正しいかどうかということをどうやってプラットフォームは確認しているのかというところもある程度公開されているのも必要なのかなと思いました。

○中田座長 それでは、蟹瀬委員、お願いします。

○消費者委員会蟹瀬委員 私は四十数年間ビジネスの世界にいて、30年ぐらい実店舗を持っていて、モールに出ていたり、いろいろなことをやっていました。ここ10年ちょっとはネットで商品を売っています。

これは、まとめていただくときに、実店舗と共通していることがいっぱい書いてありまして、商法で守られている、それは当たり前でしょう。プラットフォームという新しい商業スタイルが出てきたときに、日本の法律で守られなければいけないので当たり前でしょうと思いながらずっと読んでいて、特に私はデジタルの市場における一番大事なことは、早川先生がおっしゃったと思うのですが、デジタルということなのですね。ですから、そこをちゃんと取り上げていかないと、例えば、実店舗をやっていたらポスター一個をつくったら何百万もかかるので張りっぱなしなわけですよ。デジタルは数秒で変えられるのですね。そこがやはり消費者にとっての落とし穴になっているところがあるのです。

なので、先ほどおっしゃったような、デジタルという商業施設を消費者がもっとよくわかっていなければいけないということをきちっと書きとめておかないといけないと思います。例えば、広告の透明性の確保って、こんなものは当たり前なのです。一番大事なことをもうちょっと掘り下げてあるほうがいい。全体的にです。

例えば、決済システムの安全性というのは、デジタルの中ではかなり怖いものがあります。そうすると、ここのところにもう少し特化して、こういうことを考えなくてはいけないということをしっかりと書き込んでいくとか、あるいは消費者トラブルの対応といっても、実際にデジタルでトラブルになったときに、電話はかからなくて、必ずネットで質問する。それに対して答えてくるというやりとりばかりなんですね。誰としゃべっているかも分からないし、答えが本当にいいのかどうかも分からない。こういう状態の中であったり、アマゾンさんは最近問題があると直接販売の方につないでくれるフォームが出てきて、そこでやりとりをすると顔が見えるというか、相手との話し合いができるようになるという形をつくっていらっしゃいます。

消費者トラブルの対応の仕方も、お店に持っていって、これは壊れていましたと言っているのとちょっと違うので、デジタルの中で何が起こっていて、こういう事例があってというトラブル開示みたいなことをきちんと消費者にやっていきなさいということのほうが大事だったりするのではないかなと、思っていたのです。

全体的な話で言うと、補償制度があるといいですねというのがありましたけれども、一般的にはPL法というのがあって、PL保険というのを必ず企業は持っていたりしますよね。そのPL保険はプラットフォーマーが持っておくものなのか、あるいは個々の店舗が持っておくものなのか、その辺は私も今のところよく分からないですけれども、消費者を守るために、問題が起こったときに解決できるような保険がちゃんと日本の中にはあって、そういうものに入っておきましょうねというようなこともあるのだと思っていて、その辺で実店舗で行われているような商業とプラットフォーマーがやっている商業の共通点と相違点、特に違うところをすごく深くやっていかないと、と思うのです。

大きい企業はもう既にそういうことはやっていらっしゃるわけだから、小さいところのやっていないところが問題を起こしているとか、新参者が出てきてもうかったらすぐ消えていくみたいな、先ほどの韓国のお話ではないけれども、イタチごっこになっているところが起こっている。そこを締め付けるための法律が必要になってくるということだと思うので、その辺の実情に合ったところにもう少しポイントを絞るということが大切になってくる、消費者側から見ていると、トラブルの問題の解決はデジタルで人がいないし、電話してもずっと録音されてしまうし、そういうプレッシャーの中で消費者がトラブルを解決しようとすると、もういいやと諦めてしまうということが起こっているのではないかと思います。全体的には課題を見つけもう少し強弱を付けてやっていただけるといいかなという意見です。

○中田座長 ありがとうございました。前回の議論はオフラインとオンラインは同じであるという議論があったので、今の蟹瀬委員の御発言はそれではいけないという趣旨のような御意見だったなと感じました。

ほかにいかがでしょうか。それでは、森委員、お願いします。

○森委員 ありがとうございます。

私は、まず冒頭の早川先生の御意見に賛成です。確かに言われてみれば国際化についてのことがないですし、ほかのプラットフォームの検討会、特に一番よく報道されているのは、経産省、総務省、公取委のデジタルプラットフォームに関する何とかで、あれは7項目あるうちの最後の1つが国際関係や国際の論点等、そういうタイトルになっていまして、そこで法適用と法執行の内外格差を解消しないといけないと書いているわけです。ただ、これは報告書の性質上、イコールフッティングの観点から、つまり事業者の競争という観点から書かれているのです。ところが、御案内のとおり、規制が一次的に持つ効果というのが、これは消費者の保護、特にこちらで考えるべきことはそうなので、イコールフッティングの前に消費者の保護があるわけですね。

例えば通信の秘密が侵害されますということであれば、これは国民の通信の秘密が侵害されるわけですから、それは日本の人に侵害されても外国の人に侵害されても、どっちもいけないよということで、ほかの法令でも域外適用の規定、例えば典型的には個人情報保護法は平成27年の改正でそういうものを置いているわけです。法執行もこういうものは外国の事業者に対してもできるというふうにきちんと規定しているので、そういったものを消費者保護法制、そういうふうな言い方をするかどうか分からないですけれども、消費者保護に関する公法についても入れたらどうかということを書いていただいたほうがいいのではないかと思います。

ぱっと思いつくところでは、公法ということになると特商法と景表法ですかね。個人情報保護法にはもうありますと。なので、ECに関して特に問題となる公法について、特商法や景表法に域外適用の規定を入れることを考えてはどうでしょうかということを言っていただいてもいいと思うのです。

特に、特商法に関しては、確か運用上解釈が確定しているということで理解していますけれども、規定があるわけではなかったと思いますし、景表法に関しては、何かあったかもしれませんけれども、何となく何もないような気がしますので、そういったものをきちんと入れて、日本の消費者に対する保護を中も外も同じにするということは非常に重要なのかなと思います。プラットフォームについて検討している検討会のうち、ここが消費者保護を所管しているわけですから、それをやるべきだと思います。

以上です。

○中田座長 ありがとうございます。

いかがでしょうか。早川座長代理。

○早川座長代理 2つ申し上げることがございます。1つは、私も委員がおっしゃったことに賛成ですし、前田委員もおっしゃったかと思いますけれども、規制一辺倒だと、他方でビジネスを育てなければいけないときになかなか息苦しいという点もございますし、また現実にフィージブルな救済とか運営をするときに、業界あるいは業者側の協力があるほうが運用コストも低いですし、実現可能性も高くなるので、そのためにどういう仕組みをつくっていくかという観点も重要なので、そこはやはり盛り込むことが必要で、その関係からいくと、今までどういう取組がなされてきたのかというところは記載されてしかるべきなのかなと思っております。

その意味で、こういうことをしなくてはいけないということだけではなくて、どうやったら協調モデルというものができるかという観点がもう少し盛り込まれればいいと思ったというのが1つでございます。

その観点から、先ほどお話がありましたけれども、国際関係との関係でも重要なのですが、特に国際関係ですと、今では外国の事業者が簡単に日本の中で何ら拠点もなくオペレーションができてしまいますので、そういう時代においてどうやって協調モデルのようなものも実現するかというと、代表者のようなものをとりあえずは置いてもらうというのは一つのモデルとしてあり得ます。

これは、伝統的には日本の会社法の外国会社の規制の中も、会社法の817条ですけれども、外国会社が日本において取引を継続するときには日本における代表者を定めなくてはならなくて、しかも、そのうちの1人以上は日本に住所を有する者でなければならないという規制が昔からあります。そうすることによって、外国の会社であったとしても日本の中の様々なコネクティングポイントになるという規制は前からありますし、最近の例ですと、ヨーロッパのGDPRというのは、外国の事業者であったとしても、一定の条件がそろっているときにはヨーロッパの中に類似の代表になるような者を置かなくてはいけないという義務付けをしていますので、そういったやり方というのは、一方で規制を執行するときに逃がさないという面もあるのですけれども、他方で協力関係を保つために窓口になる人が必要なので、それを域内に置いてもらうというのはありうべきやり方なのかなと思って聞いておりました。ですので、賛成ということになります。

○中田座長 この論点だけでも別の調査会ができそうな気がしますので、どういう形で取り上げるかというのは少し考えさせていただいてもいいかなと思います。

畠委員、お願いします。

○畠委員 1のところ、今の海外事業者に関するお話は全面的に賛成ですけれども、同じような観点で、プラットフォームの中で取引がされるものと、外で取引がされるもののイコールフィッティングも確保しなければいけないと思っていて、オンラインプラットフォームの中で締め付け過ぎてしまうと、どうしても外に出ていってしまうので、その観点も必要なのかなと思っています。

規制一辺倒にしないようにということもそのとおりだと思うのですけれども、1の書き方が、既に準公共財というか、重要性が高まっているので何らか手当てをすべきだという話にはなっているのですけれども、少し発想を変えて、プラットフォームをより重要にするためには、こういった手当てが必要なのではないかという形で、オンラインプラットフォームを盛り上げるためにどうすればいいかという観点で書いたほうがやりやすいのかなと思いました。

○中田座長 ありがとうございます。

今の観点は非常に重要な観点として、この調査会でも議論していたところではないかと思います。

ほかにはいかがでしょうか、生貝委員。

○生貝委員 すごく短く。先ほど片岡委員のところでも、例えばSNS等に逃げてしまうとか、そういった取引をどう捕捉するかといったときに、今日徐教授のお話の中で非常に示唆があったのは、13ページの電子掲示板サービス提供者の責任というところに関わる規律を韓国では置いていると。これはまさにSNS等も恐らく入ってくる仕組みだと思うので、日本でその実態がどうなのかということ自体を、時間をかけて調査をする必要があるかもしれないのですけれども、論点としてはしっかり韓国の先例を含めて触れておくべきところかと思いました。

○中田座長 確かに非常に興味深い規制の仕方だなと。実態として、まさにそういうところが売買、取引が行われているという場になっているという事実は否定しがたいと思いますので、その点、どういう形でまとめるかはともかくとして、議論したということは残しておいたほうがいいのではないかと思います。

1から2にそろそろ移りたいのですが、よろしいですか。

それでは、2のほうが議論が白熱するかもしれませんが、あまり時間を超過してもよくないのので、積み残しになればまた考えますので、それでは2のほうで御意見を賜ればと思います。

片岡委員。

○片岡委員 先ほどの発言ともかぶるのですけれども、「オンラインプラットフォーム事業者が備えるべき仕組み」となっていますが、どちらかというと、より安心して使うために、実際にどういった仕組みを事業者は整えていて、それがどう評価されているのか、あるいはどこが足りないのか、あるいはやっていないところはどうなのか、そういう観点で議論をしたほうがいいと思います。

この(1)から(12)までの中には、オンラインプラットフォームが取り組むべきことと、売り手がやるべきことにいかに実効性を持たせるのかという観点で考えるべきものが混在していると思いますので、そこの観点もきちんと議論したほうがいいと思います。特に、分かりやすい財・サービスに係る表示とか、商品の品質に関する問題は、本来売り手が責任を負うべきものだと思うので、そこにトラブルがあった場合に、それぞれがどういう役割で解決に導けばいいのかというのは、オンラインプラットフォームに限らない問題であると思うのです。オンラインプラットフォームだけではなくて、解決に結びつくためにそれぞれどういう立ち位置でやるのかというところを、きちんと議論したほうがいいと思います。

また、懸念として挙げられていたものが羅列されていると思われるところで、例えば「決済システムの安全性の確保」とあります。安全ではない決済システムというのは、具体的に何が問題になっているかがよく分からなかったりします。今、オフラインの店舗であっても基本的には決済は全部オンラインだったりしますので、ここについても何が問題になっているのかがいまいち分かりません。この点はきちんと整理したほうがいいかなと思いました。

以上です。

○中田座長 ありがとうございます。

それでは、原田委員。

○原田委員 ありがとうございます。

さっきの1の最後のところにも関わるのかもしれないのですけれども、個人間という取引はプラットフォームを介さないと本来は危険でしょうがない取引で、さっきもちょっと話に出ておりましたけれども、実際にプラットフォームを使えないというか、それすらにもかかわらないような人たちは今はもうツイッター等で取引をしておりまして、ツイッターで売っているのです。普通の顔をして売っていて、さっきの話ではないですけれども、なかなか日本に来てくれない韓流スターのグッズ等をツイッターで勝手に仕入れては売っていたり、いろいろなものを今ツイッターで個人の方が普通の顔をして売買して、それでお金を払ったのだけれども、届きませんと。いや、普通、届かないだろうと、こっちが突っ込みたくなるような取引を、特に若年層はSNS上で普通に取引することに、私の世代と全く違うので、そもそも抵抗感がない。メリットなのか、デメリットなのかよく分からないのですけれども、そういうところがあると思うのです。

BtoCはともかくとして、CtoCに関しては逆にプラットフォームを介さないと危険なのだというような広報の仕方も必要なのではないかなと思って、CtoCだったら最低限プラットフォームを介せば、自主的な取組も含めてこういうような議論がなされている部分があるわけで、とはいえ、今やツイッター上で普通に売買して、トラブルが普通に来るわけですから、それだけいかにツイッター上で取引をしている利用者が多々いるかという裏返しだと思うのです。結構、広報とか情報提供というのもあるのですけれども、それとともに個人間取引はそもそも危険な話であって、相手が誰だかも分からないものであって、そういうものを介して逆に安全性も担保できるのだというようなところも、プラットフォームを使う個人間取引のメリットとして、ある程度そういうところも入れて広報するというような視点も入れてもいいのかなと思いました。

意見です。以上です。

○中田座長 ありがとうございます。

○早川座長代理 今、原田委員の話を聞いていて、あるいはその前の片岡委員とかほかの方の話を聞いていて思ったのですけれども、例えばプラットフォームを使わないでツイッターを使って売っているというのは、ツイッターというプラットフォームではないのかなと思いながら聞いていたのです。

つまり、これはプラットフォームの定義の問題で、前回結構議論になったところではあると思うのですけれども、逆からいくと、ツイッターというのはもともとグッズの売買のためのものではなかったのだけれども、実はよく見てみると、ちゃんとそれを実現するだけの要素は全部備わっているので、だから勘のいいやつら、若いやつらはそこを使って同じことを始めている。

逆に言うと、従来、情報だけに着目してメッセージ交換だけのためにつくられていたものでも、実は同じようなことはできてしまう。そうすると、同じようなものに関しては、片岡委員が不安に思っているところの一つだと思うのですけれども、グッズの取引のためにつくられたものだけが対象になるのではなくて、同じような機能を果たしているのであれば、それも同じように扱わないとおかしいのではないのというのはそのとおりだと思うのです。

なので、前回の議論の中でも出てきたと思うのですけれども、オンラインプラットフォーム事業者と言ったときにそれが何を指すのかというところはきちんと議論したほうがいいと思いますし、これも前回やはり議論になりましたけれども、私もそれを一義的に決めるのはあまり生産的ではなくて、さっきの片岡委員の話にもありましたけれども、例えば決済システムの安全性って何なのだろうというときに、決済システムを備えているもの、備えていていないものがあったり、この中で広告の透明性の問題を問題視すべきものとそうでないものがあったりするわけですね。

つまり、総合デパートのところだけがとらまえられて、これを全部備えなさいと言っているような感じがしまして、実は部分部分は持っていないけれども、同じようなことをやっているのはあって、それはそれでちゃんと規制なりガイドラインの対象として捉えていかなければいけないのだというアドホックなアプローチ、あるいは機能的なアプローチが重要だと思うのです。そこが、外から見ると見えにくいというのが前回の議論で言われた気がするのですけれども、そういうふうに見られないようにするのは大事なのかなと思います。難しいと思うのですけれどもね。

つまり、ある種プラットフォーム事業者というものをもう画一的に決めてしまって、これを守りなさいというのは書きやすいのですけれども、そこから漏れ落ちてくるようなものはどうなるのかというのがツイッターの売買という一つの例だと思うのです。しかし、これは確実にこれから問題になってきますから、そこをとらまえられないとすると、報告書としてというのが問われかねないので、そこが非常に気になった点ということになります。

○中田座長 原田委員。

○原田委員 本当にそうで、実際にフリマと同じようにツイッター上の取引というのもやがて普通になっていくということになれば、そこら辺が落ちてしまうと実効性がなくなってしまいますので、そういったところも一緒に考えないといけない問題だなと思います。

○中田座長 生貝委員。

○生貝委員 2点あって、まず1点目は今のところに関してですけれども、プラットフォームの定義はそんなに悩む必要はないポイントだと、私自身ずっと思っています。例えば2016年5月のヨーロピアンコミッションのオンラインプラットフォーム、欧州にとっての機会と挑戦というプラットフォーム政策の大綱を示した文章などを御参照いただくといいと思うのですけれども、非常にいろいろなプラットフォームがある。

まず、前段としては、それの全体的な特徴であるとか、あるいは例示を与える。そのような中で、この問題を解決するに当たってはこの法律の中でこの定義をする必要があるという形で抽出的に特定する。

例えば、今回であれば、主たる対象とするのはヨーロッパの消費者ニューディールの消費者権利指令の中で新たに設けられたオンライン・マーケットプレイスというプラットフォームの定義を主たる念頭に置いているが、必要に応じてそれ以外も参照するという形で報告書上は整理すれば、そごはないものだと私は考えているところがまず1つでございます。

それで別の論点も、ヨーロッパの話に近いのでついでに言及させていただきますと、具体的には3ページの項目の(10)「個人情報の適正な取扱い」に関わるところでございます。

これは、最初のほうに早川委員がおっしゃったデジタルデータだというところに深く関わるところなのですけれども、すごくいろいろな個人データ、パーソナルデータがプラットフォームの中には集約される。それをもって、例えばまさに山本委員から御紹介があったプロファイリング、森委員から御紹介があった行動ターゲティング広告、あるいはこれからはまさにこの議論の中でも少し出てきたパーソナライズドあるいはダイナミックプライシング、その人の購買状況、この人はこれが欲しいかどうかということによってどんどん値段が変わるといったことや、あるいはこれからは人間の価値をまさに取引データ等でもって決定するスコアリングのようなことにも非常に広く使われてくるといった状況がある。

私は先々週、自分の2年生のゼミでこの問題を取り扱ったときにいただいた質問というのが、これは別のまさにプラットフォームになるのですけれども、「あるメッセンジャーアプリで話していたりする情報は、今後、プロファイリング等によって解析されて、点数化されて、僕の就職活動のときに影響したりするのでしょうか」ということを聞かれて、それは電気通信事業法の4条の適用の関係等を含めて非常に難しいのだけれども、結論から言うと分からない。同意させられたら同意させられたものでございますから、そういったようなところを含めて、今本当に若い人が感じていることはそういうことだということを私自身、非常に衝撃を受けたところだったのです。そういったところを含めて、デジタルデータは重要でございます。

そのようなときに、ただそういったプロファイリングとかダイナミックプライシングのような仕組みというものを公益性として抽出していくかどうかというのは、これは一つ一つ丁寧な議論が必要でありますから、ここで結論を出すことは難しいと思います。

少なくとも、そういったときに既存の個人情報保護法ではまさしくおさまらない。そもそも個人情報保護法が定義する個人情報にもおさまらない。これは我々の界隈ですと、パーソナルデータというふうに少し枠を広げて申しますけれども、そのことについて、まず(10)の表題を「パーソナルデータの適正な取扱い」としていただいた上で、個人情報保護法を遵守していただくのはもちろんとして、そのほかのことについてもまさしく透明性を確保していくといったことぐらいまではしっかり書いておいてもよいのではないかと考えた次第です。

もう一つ、その背景ですと、前回の千葉先生のお話の中で、既にパーソナルデータというものが消費者法におけるcounter‐performance、反対給付としての位置付けすら明確に持ち始めている。このことは、まさしくヨーロッパの消費者ニューディールの中でも既にまさに明文としてもう規定されようとしていることだと。まさにパーソナルデータといったものが、本当に単にプライバシーを守るということではなくて、よくも悪くも財貨としての価値を持ち始めてしまっている中で、その扱いというものについて透明性を求めるのは、これは消費者保護の観点から当然必要なことであろうと思いますので、そのような観点からぜひデジタルデータ、パーソナルデータというところは、(10)のところを充実させる形で記載いただきたいと考えております。

以上です。

○中田座長 ありがとうございます。大事な御指摘ではないかと思います。

後はいかがでしょうか。それでは、森委員。

○森委員 ありがとうございます。

今の生貝先生の御指摘は全くごもっともです。

その前の原田さんの話なのですけれども、ツイッターのようなところで自然発生的に取引がありますよと。決済もないし、本人確認も別に大したことはないしというところですが、そういうものも取り込むとなると、目指すべき方向性というのは、今、早川先生はそれはプラットフォームによるというお話で、それは全くそのとおりだと思うのですけれども、そうすると方向性としてはどうなりますか。やるべきプラットフォームはこれをやるみたいな、そんな感じですか。

つまり、プラットフォームの対象を限定しないと、これをやりなさいと言えないと思うのです。だから、限定しないのだったら、これに当てはまるプラットフォームはこれをやりなさいというような書き方しかできないのかなと思って、ちょっと方向性が難しくなったなと。もちろん、私はそれでも別にいいと思うのですけれども、方向が見えないかなと思ったので申し上げました。

○友行企画官 いろいろ御意見をいただいておりまして、整理して最終的な報告書の中に盛り込んでいく形にしたいと思うのですけれども、今いただいた意見の中に、この専門調査会はもうそろそろ当初の予定どおり年度内に何らかの結論をということで進めるのであれば、最初の問題を設置したときには、BtoCやCtoC、シェアリングエコノミーというところが急速に取引が拡大してきていて、そこをターゲットにして、中心的な議論としてお願いしますということから始めておりまして、その中でSNSとか、そういったほかのところでも実は問題が起きているということも御指摘をたくさんいただいたところでございます。

ですので、最終的な整理の仕方としましては、この専門調査会の中で中心として議論していただいたところを報告書の中では中心的なところとして整理させていただいて、その議論の中で問題点としてこういうのもあるよというふうに整理していただいたところ、御議論いただいたところは、もちろんそういう議論があったということは何らかの形で必ず書きとめるようにいたしまして、こういう取引は形も変わっていきますし、問題もどんどん出ていくと思いますので、どこかで整理しないと現実がどんどん先に進んでいってしまいますので、どこかで一旦切って、まとまりとしたものを出したいと思っております。

今、出していただきましたSNS上の話でございますとか、それから生貝先生からいただきましたデジタルデータの問題でございますとか、スコアリングされるとかプロファイリングされるという話も、まとめて書くような形で今のところ考えております。それから、国際的な問題といいますか、海外の事業者に対してどういうふうに法の仕組みを守っていただくかということについても、最後のところで残された検討課題といいますか、そういうところが大事な点だというところで整理したいと思っております。

ですので、議論していただかなかったところを改めて討議ペーパーに残して議論していただくというのは時間的には少し難しいなと思っておりますけれども、何回も御指摘いただいて、こういう点は大事だといったところは事務局としても重々承知しておりますので、そこは議論をきちっと拾いまして、こういう問題はこの専門調査会では真正面からは取り上げられなかったけれども、こういう論点として大事な点があるということは必ず残しておきたいと思っております。

ですので、メインターゲットとしてはやはりBtoCやCtoC、シェアリングエコノミーということで、今回、そういったメンバーの方にも入っていただいたというところもございますので、そこを中心としつつ、そこからいただいたそのほかの大事な論点というのも、こういう大事な論点があるということは漏れのないように記載してまとめたいと思っております。

それで、個別の先生にまた御相談もさせていただきたいと思っておりますので、そうしながら議論としては表に出して、最終的に整理できたらいいなと思っております。

○中田座長 それでは、片岡委員。

○片岡委員 今の点に関連して、対象のプラットフォームを絞ることはいいのですけれども、絞ることで方向性、ゴールというものが変わってきますので、絞るのであれば明確に絞った上で、ほかのプラットフォームはどうでもいいわけではなくて、ほかのプラットフォームも問題があるけれども、今般は対象を一部に絞って議論したのでこういう方向であるということを、共通認識として持ったほうがいいと思います。

そうしておかないと、必ずほかの議論に影響してきます。他のプラットフォームを置いておいて一部のプラットフォームのことを話しているのであれば、実施すべき取組は一部のプラットフォームだけがやらなければいけない話ではないはずです。こういった取組をしたほうがより安心だねという奨励の方向であれば理解できるけれども、一部のプラットフォームだけは必ずこのような取組をやってくださいという義務の方向だと、他のプラットフォームについても議論してくれない限り同意できないということが起きてくるので、早目に共通認識をつくっていただければと思います。

○中田座長 それでは、畠委員。

○畠委員 プラットフォームが果たしている役割というものを考えるときに、ツイッター上で生でやりとりをして、決済の仕組みはこうしようとか、配送はこうしようというのを決めていたものを、プラットフォーム上ではそれをやりやすくプラットフォーマーが提供しているという話だと思うのです。

その観点で考えたときに、必ずしもプラットフォーマーが義務としてやるべきという話ではなくて、やったほうが安心、安全、あるいは便利に取引ができるのではないかという観点での検討も要るかなと思っています。

例えば、3のところで、個人の方の氏名、住所をという話がありますけれども、これを仮にプラットフォーマーがその方が本人確認をして、世にそれを出さなくても、その趣旨を担保できるような仕組みを用意するのであれば、それで構わないというような選択肢もあると思っていて、一般の利用する方が自分から対応するのではなく、プラットフォーム側で肩代わりできるものがそのほかにもたくさんあると思うので、その辺を検討することによって、備えるべきというよりも、こういうオプションをプラットフォーム側でやることができるのではないかという検討のほうが我々としても理解がしやすいかなと思いました。

○中田座長 おっしゃっていただいた点はよく分かります。

特に、早川先生も言われているとこですが、我々の中の共通認識で、プラットフォームという場というか、経済的な活動というのは非常に大事なものであって、それがいろいろな選択肢を持っているということも理解されていると思います。今のところも、プラットフォーマーがうまくそれを肩代わりできるのであれば何にも問題がないという判断もあり得るとは思います。

時間が迫っているのですけれども、鹿野委員、お願いします。

○消費者委員会鹿野委員 今までの議論に関しては、プラットフォーム事業者の多義性といいましょうか、この概念に広がりがあるという重要な御指摘がありました。しかし時間的な制約もありますから、中心的に念頭に置いているものはこれであって、ほかのこういうものも課題である、あるいはこれについても同じような問題点があるということはきちんと示すという形で整理する必要があるのではないかと思っております。

別の点ですけれども、2の「オンラインプラットフォーム事業者が備えるべき仕組み」というところに関してですけれども、事後的に違法な取引などを排除するということは問題にならないでしょうか。(1)のところで、最低限の事前審査というところは出てくるのですが、事前審査はクリアしたのだけれども、事後的に違法な取引等が行われているということも考えられるわけでして、もちろん全部をチェックしなさいということには無理があるかと思いますけれども、少なくともそれに関する情報があったときに一定の対応をとって、安全なプラットフォーム市場を確保するということについて、ある程度の役割を果たすことが期待されるのではないかと思いますが、いかがでしょうか。

○友行企画官 ここには全部は書いていないのですけれども、もちろんトラブルの多い利用者に対する注意とか、退店の勧告とか、そういったものもやっていただけたらいいなということで、現時点ではそういうふうに整理しようと思っております。

○中田座長 ほかに何かありましたら。大谷委員。

○大谷委員 私のほうからは、特に今の課題で挙がっているところのまだ行っていない4の「消費者生活相談員の役割」というところで1点だけ御確認をしていただきたいところがあるのです。

プラットフォームが介在する取引であっても、CtoCの取引に関しては基本的に消費生活相談というのは事業者対個人のBtoCの相談を受けるという大前提の決まりがございますので、全てのCtoCの取引を受けるというような考え方をとってもらうと、それは違ってくるのかなと思っております。

ただ、今回のプラットフォームが介在する取引に関しては、プラットフォーマー自体がトラブルの体系などによって対応策、解決策をルール化していただいた上で、オンラインプラットフォーマー自体が主体となってトラブルを解決していくというのが主軸になっていくのではないかと思います。

その際に、消費生活相談の役割としては、BtoCであったり、CtoCでも問題が起こっている取引であったり、若しくは中小のプラットフォーマーで解決策が提案できないかと、紛争解決が不十分であるとか、そういった場合には消費生活相談の役割としてあっせんも含めて対応していくということが必要になってくると、私は現場としては思っております。

全てのCtoC取引を消費生活相談が担うということではなくて、やはり主軸となるのはプラットフォーム事業者ではないかなというところは念頭に置いていただけるといいかなと思っております。

それと、具体的なここに掲げられている4点に関してはもっともなことだと思いますので、今後、報告書等に当たっては具体的な御提案等はさせていただきたいと思っております。

以上です。

○中田座長 ありがとうございます。4のところもまた議論をすることができればと思います。

今日は、時間的にはリミットに来ましたので、構成も含めて、論点の組み立ても含めて、もう一度全体的な議論をする必要はあるのかなと思っていますが、3月までに報告書をまとめなければいけないという時間的な限界もありますので、先ほど友行企画官からの説明にあったように、ある程度、取り上げる論点は絞らなければいけないというのは現実問題としてあるだろうと考えます。その中で、課題としては重要であっても、派生的な論点という形での位置付けをせざるを得ないような問題点もあるのではないかと思います。

ただ、重要な点というのは、今あるプラットフォームに適用すべきルールというものがあるのかないのかということを見きわめることであって、そのようなことができればと思っています。

全体的な議論が全部終わっているわけではありませんので、事務局とも相談しますが、まだ意見交換を行わなければいけないところはあるかと思います。それでよろしいですかね。

○友行企画官 どんな形で行うかは。

○中田座長 まだ、今は2までしか行かなかったので、3、4、5あたりについて、どうしましょうか。

○友行企画官 3、4、5のところでもし御意見があるようであれば事務局のほうにお寄せいただいて、それを事務局のほうで整理して。

次回は最初にお示しした日程からいきますと、そろそろ報告書のことについて検討していただくというようなスケジュール的なところもございますので、もし可能であれば事務局にお寄せいただいて、それをまたこちらのほうで整理させていただくという方法もありかなと思います。

○中田座長 分かりました。今日は、座長として議論をまとめ切れないところがあったので、また個人的にももう少し議論したいという気持ちもあるのですが、時間的な制約がございますので、とりあえず皆様のところで、今日の2のところも十分かどうかは分かりませんが、3、4、5のところで御意見があれば事務局のほうに寄せていただくということで、一旦引き取らせていただいて、それで十分でないということでありましたら改めて議論すべき点を提示させていただくという形でまとめさせていただいてよろしいでしょうか。

(委員首肯)


≪4.閉会≫

○中田座長 それでは、今日は長時間の議論、どうもありがとうございました。

今日はこれで閉会とさせていただきたいと思います。お忙しいところ、どうもありがとうございました。

(以上)