第9回 オンラインプラットフォームにおける取引の在り方に関する専門調査会 議事録

日時

2018年11月30日(金)15:00~17:59

場所

消費者委員会会議室
東京都千代田区霞が関3-1-1 (中央合同庁舎第4号館8階)

出席者

【専門委員】
中田座長、早川座長代理、生貝委員、石原委員、大谷委員、片岡委員、上村委員、西村委員、畠委員、前田委員、森委員、山本委員
【消費者委員会担当委員】
大森委員、樋口委員
【説明者】
東京都福祉保健局健康安全部河野薬事監視担当課長
東京都福祉保健局健康安全部薬務課サイバー薬事監視担当者
【オブザーバー】
カライスコス京都大学准教授
【事務局】
二之宮事務局長、福島審議官、坂田参事官、友行企画官

議事次第

  1. 開会
  2. 役割分担の考え方の整理(1)
  3. 討議
  4. 閉会

配布資料 (資料は全てPDF形式となります。)

≪1.開会≫

○中田座長 本日はお忙しいところお集まりいただきまして、ありがとうございます。

ただいまから第9回「オンラインプラットフォームにおける取引の在り方に関する専門調査会」を開催したいと思います。

本日は、所用により大橋委員、沖野委員及び原田委員が残念ながら御欠席となっております。

最初に配布資料の確認をさせていただきたいと思います。

お配りしております資料は、議事次第の配布資料一覧のとおりになっております。もし不足等ございましたら、事務局までお知らせいただくようお願いいたします。


≪2.役割分担の考え方の整理(1)≫

○中田座長 今日最初の議題として取り上げますのは、役割分担の考え方の整理ということであります。近年、医薬品の無許可販売や化粧品等の違反広告が増加して、私も目にすることが結構あります。違反しているかどうかなかなか分からないところもあるのですけれども、そういった問題があるということで、東京都では連絡会を立ち上げて、フリマサイト等の運営企業の協力を得て、法令に抵触するような出品に係るサイトパトロールを実施しているとお聞きしております。

そして、今日は東京都からその取組について、また、状況について説明をいただいて、内容について意見交換をさせていただきたいと思います。

今日御報告していただくために、東京都福祉保健局健康安全部の河野薬事監視担当課長に御出席をお願いしております。

東京都におかれましては、お忙しいところ御出席をいただきましたことに感謝をしたいと思います。

それでは、資料1について時間が十分にはないのですが、20分程度で説明をお願いします。

○東京都福祉保健局健康安全部河野薬事監視担当課長 皆さん、改めまして都庁の福祉保健局薬事監視担当課長をしております河野と申します。

日ごろからいろいろ御専門のお立場で都の薬務行政に御指導、御支援いただきまして、誠にありがとうございます。また、今日は貴重なお時間を頂戴いたしまして、誠にありがとうございます。お役に立てるかどうか分かりませんが、私どもの取組について簡単に御説明をさせていただきたいと思います。

内容的には、私どもサイバー薬事監視担当という担当もおりますので、詳細はサイバー薬事担当から御説明させていただきますけれども、私ども都庁の薬務課は薬事監視、薬事衛生の関係で昔の薬事法、今、医薬品医療機器等法になっておりますが、こういった法律あるいは毒劇物の関係の法律、家庭用品の関係の法律、さらには麻薬、覚醒剤など薬事関係の法令について所管をしている部署でございます。私どもの薬事監視担当の部門といたしましては、こういった薬事関係の監視指導ですから医薬品等の適正流通の確保はもちろんですけれども、一昨年に出ました偽造医薬品の案件ですとか、広く薬事監視全般を担当しているところでございます。

広告に関しましても主要な事業の一つでございまして、従来からテレビ、新聞、月刊誌、週刊誌といったものに関しましては、通常、通報が寄せられたりするものの措置はもちろんのこと、一斉監視指導として、例えば1週間分のテレビの全てのCMを集めまして、全件をチェックするという広告監視もやってきております。

ただ、御承知のとおりインターネットが盛んになったころから、その件数が膨大であるということから、従来の薬事監視の方法では不適切なものについて迅速に発見をし、措置をするというのが非常に難しくなってきたということで、インターネットのショッピングモールにつきましては平成14年度、正確に言うと平成15年の3月ですからぎりぎり14年度の終わりからなのですけれども、プロバイダーさんというのでしょうか、インターネットのショッピングモールを運営されている企業の方々、当時は8社でいらっしゃいましたけれども、御協力をいただきましてインターネットの広告監視という事業をずっと展開してまいりました。

それはそれなりに一定の効果を上げておりましたが、2012年ごろでしょうか。フリーマーケットサイト、いわゆるフリマのサイトが勃興してきてから、これまた今までのインターネット監視の手法では対応が難しいという状況になってまいりました。出品者の方々がなかなか私どもとしては特定できないですとか、あるいは取引件数、出品件数がとてつもない量があるということで、これまでのインターネット広告監視の手法でも難しいということで昨年度、こちらにも見えていますけれども、メルカリさんですとか、楽天さんですとかヤフーさんなどフリマサイトを運営されている方々に御相談しまして、御快諾をいただきまして、正式には今年度から関係の6社の方々と連絡会を立ち上げまして、昨今、問題になっているようなものについて情報共有をし、何かあった場合にすぐに連絡をして対応していただくというような施策を始めたところでございます。

これから簡単にパワポで具体的なところは御説明させていただきますけれども、何せ今年度立ち上げたばかりでございまして、より効果的な方法、より迅速な方法等について、私どもも現在まだ試行錯誤を重ねているところでございます。この機会に皆様方の目から御覧になって、御専門の立場からいろいろ御意見等をいただければ大変ありがたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

では、担当の谷崎から、パワポを使って御説明をさせていただきます。

○東京都福祉保健局健康安全部薬務課サイバー薬事監視担当者 東京都薬務課サイバー薬事担当の谷崎と申します。どうぞよろしくお願いいたします。

現在、東京都で行っているネット関係の2つの取組、B to Cの部分とC to Cの部分の薬事監視について御紹介させていただきたいと思います。

1枚めくっていただきまして右下の資料1の1ページ目が、ネット上のショッピングモール(B to C)の薬事監視についてということで、まずB to Cの部分について御説明をさせていただきたいと思います。

2ページ、ショッピングモールの薬事監視は、大きく2つに分かれておりまして、①の個別の監視指導、②の協力ネット企業を通じた啓発・注意喚起の2つでございます。

まず①の個別の監視指導なのですけれども、これはリアルに実店舗を構えていらっしゃる薬局とか化粧品販売店などと同じように、一店一店のショッピングモールのお店を個別に指導するというものです。ただ、モール上の店舗というのは膨大な数に及びますので、こうした従来型の一店舗一店舗ずつ潰していくというやり方では限界があることとか、ショッピングモール上では同じような違法な出品を複数の店舗で出されているといった特徴があることから、東京都では平成14年度、2002年度から運営企業の方々と協力する体制を構築いたしました。さらには平成18年度からは、この取組は全道府県と協力して実施しております。

具体的なやり方なのですけれども、まず東京都が広告主に直接個別指導した商品で、ショッピングモール上でも多数出品されているものについて、協力企業を通じて違反文言の具体例をお示しし、各広告主に啓発と注意喚起を実施しております。

例えばこちらの商品Aというものに関して何か違法な文言がある、違法な広告があるということを東京都で感知した場合には、もちろんこの広告主に対しては1対1で東京都から指導を行うわけなのですけれども、どうやら製品Aに関して違法な内容が、こういうことがありがちだということが分かりましたら、東京都から協力ネット企業の方に対してそうした文言など、例えば製品Aについてこういった文言が広告されていれば、医薬品医療機器等法違反ですといったような内容を情報提供させていただきまして、各運営企業の方が自ら製品Aについて自社のサイトでの出品状況だとか広告内容をチェックしていただいております。

もし違法な広告があった場合には、運営企業の方から出品者に注意喚起をしていただいております。現在、大体年に2回程度こういった情報提供を実施しておりまして、対象出品は毎回数千に及んでおります。例えば、昨年度なのですけれども、昨年度は2回実施いたしまして、合計7,893出品を対象に各運営企業でチェックをしていただきました。運営企業の御協力で改善率は非常に高くて、例年8割前後と非常に高い改善率になっております。また、その残りの部分、8割ぐらいは運営企業の方からの注意喚起で直すわけですけれども、残りの2割の部分、それでも直らなかったという部分については、私どもも含みます自治体から個別に行政指導を行っております。

従来の東京都などの自治体が個別に一店舗一店舗ずつ指導していく方法と比べますと、大幅に監視指導の効率化ができまして、結果的に違法な出品による健康被害を未然に防ぐことに大きく寄与しているのではないかと思っております。

次のページですけれども、この事業に御協力いただいているショッピングモールの運営企業は、現時点ではこちらの16社の方々です。本日、御出席のメルカリ様、ヤフー様、楽天様にも御協力をいただいております。

続きまして、フリーマーケットサイトやオークションサイトといったC to Cに関する薬事監視についてでございます。5ページ目のスライドの左上の部分になるのですけれども、近年、急速に市場が拡大しているフリーマーケットやオークションサイトですが、出品が増えるにつれて医薬品医療機器等法に抵触する出品というのも見受けられるようになりました。

フリマサイト等の問題点として、家庭で不要になった医薬品が出品されたり、個人輸入した医薬品等の転売や、例えば、化粧品でアトピーが治りますよといったような違法な広告が散見されます。医薬品の販売や輸入には原則として許可が必要ですので、そういった許可なしに出品することは医薬品医療機器等法に抵触しますし、また、何よりもこうした出品による健康被害のおそれというのも生じてしまいます。

東京都では、リアルな店舗、実店舗だとか先ほど申し上げましたとおりインターネット上のショッピングモールへの監視指導というのは、長年のノウハウがあるのですけれども、フリマサイトはそういったところはかなり異なる特徴がありまして、従来の薬事監視の手法だけではなかなか通用しないという問題が発生いたしました。

まず一番大きな問題点として、出品者の氏名、住所などを把握することが困難な点が挙げられます。ショッピングモールでは特商法に基づき広告主の氏名などが表示されておりまして、それをもとに我々行政がその事業者の方へ立入指導するとか、そういった接触をするわけなのですけれども、フリマサイトではそういったことが分からず、出品者が医薬品医療機器等法に抵触する出品を行っていたとしても、すぐに行政が出品者へアクセスすることがなかなかできません。また、フリマは取引量が多くて売買のスピードがとても速いということや、出品者に医薬品医療機器等法に対する認識が十分ではないケースが多いといった特徴もあります。そのため、我々行政とフリマサイト運営企業の方々が連携し、効率的な監視体制を構築したり、出品者への普及啓発をすることが重要になってまいります。

さらに、フリマサイトでは違法な出品を各サイトに次々と行う出品者がいたりとか、違法な出品を表現するキーワードがどんどん変化してしまうという特徴もあります。こうしたフリマサイトならではの問題に対応するために、東京都とフリマサイト等運営企業6社とで連絡会を開催し、情報共有できる体制を構築いたしました。

具体的にどのようなことを行っているかといいますと、スライドの右側になりますけれども、フリマサイト等運営企業6社の方と連絡会を定期的に開催し、情報共有を実施しております。出品サイクルが短く、変化が速いフリマサイト等の広告にも対応できるようにするため、フリマサイト等運営企業と定期的に連絡会を開催して、監視指導結果の最新の動向などの情報交換、情報共有をすることによって、各サイト、各企業の方の自主的な審査の向上を図って、不適切な出品の防止につなげたいと思っております。

また、東京都においてもフリマサイトのパトロールを随時実施しておりまして、医薬品医療機器等法に抵触する出品を発見した場合には、直ちに運営企業の方へ削除要請することで、迅速にそういった問題のある出品の排除を行っております。

さらに、東京都のサイトパトロールで発見した品目等の情報を全協力企業の方に情報提供いたしまして、各社で緊急の一斉パトロールを実施していただいております。次のページで具体的なパトロール結果を御紹介したいと思います。

6ページ目になりますが、フリマサイトでの不適切な出品としては大きく分けて2つありまして、そもそもその商品自体を出品してはいけないというケースと、出品自体は可能なのだけれども、広告内容に問題があるというケースの2種類がございます。

まず、そもそもその商品自体、出品してはいけないケースの例としまして、スライドの左上にありますように、これは糖尿病の患者さんが使用する自己注射用のインスリン製剤なのですけれども、そういった医薬品のインスリン製剤だとか、医療機器に該当する注射針といったものが出品されていたことがございました。これらは医薬品や管理医療機器に該当するものなので、原則として薬局などの販売業の許可がなければ業として販売することはできませんので、出品はできません。出品自体ができない商品となります。

また、患者さんごとに医師の診断を受けた上で処方された医薬品を使わなければとても危険です。こういった商品がフリマサイトで売買されてしまうということは、法律に抵触するだけではなく、健康被害も生じかねない危険なことだと思っております。

また、右上のスライドのように、化粧品とか医薬部外品、健康食品は、販売すること自体には特段、許可は不要なので、どなたでも出品することは可能なのですけれども、例えば、アトピーが治ったとか、がんが消えたなどの広告を出すことは、当然のことながら医薬品医療機器等法に違反してしまいます。

こうした不適切な出品を発見した場合には、東京都からそのフリマサイト運営企業に直ちに御連絡をとりまして、各企業で出品の削除等の対応がとられております。こうした個別の事例をフリマサイト運営企業6社の方と連絡会で共有し、各社が自主審査を強化することでフリマサイトから不適切な出品や広告が排除され、健康被害を未然に防ぐことにつながっているのではないかと思っております。

また、フリマサイト等へ出品される個人の方には、医薬品医療機器等法の認識が十分でなく、決して悪意があるわけではなくて、悪意なく法令に違反してしまうということも多いので、東京都ではそうした出品者の方向けの普及啓発用のホームページというのも作成しております。作成に当たっては、日ごろ出品者の方と接触されているプラットフォーマーの方々の御意見もいただきながら、より分かりやすいページになるように工夫いたしました。

東京都で行っているネット上のショッピングモールやフリマサイトの監視指導の御紹介については、以上でございます。

○東京都福祉保健局健康安全部河野薬事監視担当課長 一応、簡単な御説明でございましたけれども、一例だけ申し上げますと、このフリマサイトの出品で問題になったのが、お医者さんからいただくヒルドイドという軟膏といいますか、クリームがありまして、あるいはヒルドイドというクリームですとか湿布薬が出品されているというのが一度報道されまして、ちょっと大きな問題になったことがあったかと思うのです。

私どものほうで検索をしましたら1,000件を優に超える出品が確認をされたのですけれども、今回の6社の方々の御協力をいただきまして、出品されている方々に注意喚起をしていただきましたところ、速やかにゼロになりました。私どもは性格が悪く聞こえるかもしれません。違反を見つけるのは意外と得意なのです。ただ、これだけ膨大な相手の方々に対して、出品に対して迅速に対応していくノウハウというのは当然持ち合わせておりせんので、目指すところは同じだと思いますので、今後も皆様方、企業の方々の御協力もいただきながら、広告の適正化を進めていければなと思っております。

以上でございます。よろしくお願いいたします。

○中田座長 ありがとうございました。

非常に監視体制がしっかりと構築されているように思ったのですが、まずは今日の御説明について、各委員から何かお聞きになりたいところ、あるいはこういった点はもう少し強化すべきではないかとか、御意見があればお願いいたします。いかがでしょうか。

○早川座長代理 個別監視指導についてお聞きしたいと思うのですが、ウェブサイトを監視して、法律に違反したようなものが出品されていないかというのをチェックするということを伺ったのですが、出品されているサイトの中には例えば簡単には閲覧ができなくて、ディープウェブとかダークウェブという形のもので、違法なものが頻繁に取引されているようなところがあるようにも聞いていますし、実際に私も、私は大学に勤めていますが、学生に見せてもらったらこんなところがあるんだというところで、違法なものが取引されているような実態があるようなのですけれども、そういったところはここに言うところの個別監視指導の内容に入ってくるのでしょうか。

○東京都福祉保健局健康安全部河野薬事監視担当課長 今のお話ですけれども、実は私ども薬務課では、御存じのとおり危険ドラッグの対策というのも条例をつくってやっておりまして、危険ドラッグ対策への活用もあって、その辺のところはダークサイトも全部、ビッグデータ解析を使いましてチェックをしておりますので、ドラッグのチェックの際にこういった広告物が出てくれば、一緒に対応しております。

○中田座長 ほかにいかがでしょうか。畠委員、お願いします。

○畠委員 今の点についてなのですけれども、フリマサイトで販売されているものと、そういうダークウェブで販売されているもので、パトロールして発見した後の対応の仕方の差異みたいなものはありますでしょうか。

○東京都福祉保健局健康安全部河野薬事監視担当課長 検索して出てくる手法は同じところから出てくるのですけれども、フリマサイトに出品をされている方と危険ドラッグを取り扱っている方は、素性が全く違いますで、対応はもちろんおのずと変わってまいります。

○西村委員 東京都でかなりやっていらっしゃるんだなということを勉強させていただきました。

ほかの県とかとはこういう活動をしていることは共有したり、連携したりしておられるのでしょうか。

○東京都福祉保健局健康安全部薬務課サイバー薬事監視担当者 基本的に全都道府県で協力して行っておりまして、特に今日お示しした資料の中の2ページ目のネット上のショッピングモールの監視指導についてなのですけれども、この中の②の協力ネット企業を通じた啓発の注意喚起のところは、基本的に全都道府県で協力して行っておりますので、まずは東京都からほかの道府県に対して、最近各県で把握されているような内容で何かトピックス的な違反だとか、そういったものはないですか、目立つような違反はないですかというような呼びかけをして、そういった情報をもとに品目を選定しておりますし、もし違反があった場合にも、全ての道府県と協力をして違反の措置を行っております。

○生貝委員 御説明ありがとうございました。

3ページで関連協力企業の一覧を挙げていただいておりますけれども、このうち特に4番と7番の会社様に関してはモール運営なしというところに関して、おそらくこちらは広告ネットワーク等を運営されている関係かなと思うのですが、このあたりとは具体的にどういった協力関係を行っているか教えていただければありがたいです。

○東京都福祉保健局健康安全部薬務課サイバー薬事監視担当者 おっしゃるとおりでして、基本的に4番、7番の会社の方に関しては、直接的に自社でECサイトを運営されているわけではないのですけれども、違法な広告をその方たちを経由して流してしまう可能性があるということで、最新の医薬品医療機器等法に関する情報共有がしたいということで、現在もメンバーに入っていらっしゃいます。

○早川座長代理 先ほど他の都道府県との連携のお話をしていただいたのですけれども、例えば先ほど危険ドラッグの話がございましたが、そうするとこれは刑法に違反してくるような、刑事罰がかかるようなものも当然あるということになりますので、例えば警察との関係ですとか、あるいは所管の官庁で中央の官庁のほうがそもそもこれについては所管していたりするようなこともあるかと思いますので、中央の官庁との情報の共有あるいは連携等はどうなっているのかについても、差し支えない範囲で教えていただければと思います。

○東京都福祉保健局健康安全部河野薬事監視担当課長 まず中央省庁のほうですけれども、厚生労働省等には私どものそういったチェックをした結果ですとか、私どもで措置しているものについても現在、措置中であるということ、この辺の情報というのは厚生労働省とは共有をしております。

また、事件性のあるものですけれども、先ほどの御質問にありましたようにビッグデータ解析でダークサイトを見ていますと、普通のサイトで広告をしている方と危険ドラッグがあるのですけれども、通常のフリマサイトで広告している場合というのは、私どもそこのフリマサイトの違反広告を排除するというのが目的ですので、広告をやめていただければまずは行政効果は上がるということなのですけれども、危険ドラッグの場合というのは禁制品になっていまして、所持していること自体が違反ということになりますので、ちょっと詳しく申しますと、危険ドラッグの場合というのはその投稿している方、要するに情報を出している方、身元、所在というのを更に追いかけていくことになります。危険ドラッグなんかの場合ですと住所あるいは実際に入手をしてみた場合の送付元の住所、こういったところいろいろ調べますが、ほとんど虚偽でございます。行ってみると交番の住所だったということもございまして、行政的な調査には限界がありますので、これ以上は追いかけられないといったものに関しては、警察に情報提供で引き継いでいくことになります。

東京都の場合、専門の方もおります。

○森委員 6枚目のスライドで不適切な広告の例ということで、薬機法66条1項と68条が挙げられていますけれども、これは販売者のみならず、何人がこういう広告をしてもだめということかと思いますが、本件はこの出品について広告として扱ってというふうにされているわけですけれども、その場合、広告の主体はあくまでも出品者ということになるのでしょうか。それとも場合によってはプラットフォーマーが広告の主体であるという解釈になることもあり得るのでしょうか。

○東京都福祉保健局健康安全部河野薬事監視担当課長 基本的には広告の措置に関しては、広告主を対象としておりますので、出品者の方になると思います。原則的な位置づけとしてはプラットフォーマーの方というのは、雑誌に違反広告が載っていた場合の出版社という位置づけになるのかなという理解でおります。

○中田座長 それに関連して、例えばそのときに、あまりないとは思うのですが、プラットフォームのほうに連絡をしたとして、それにもかかわらず、その広告が削除されない場合については、プラットフォーム運営事業者が責任を負うという形になるわけですか。

○東京都福祉保健局健康安全部薬務課サイバー薬事監視担当者 今の御質問でいきますと実例がなくて、プラットフォーマーの方はとても協力的であるということと、市場の健全化というのに各企業の方が既に相当のリソースを割いて活動されているので、こちらから違法ですよとお伝えしたにもかかわらず、対応していただけなかったという事例がないので、詰めたことがないというのが正直なところで、もし仮にこちらからプラットフォーマーの方に情報提供したにもかかわらず、お互いの意見の違いといいますか、解釈の違いで対応がとれないというふうになった場合に、プラットフォーマーの方にどこまで医薬品医療機器等法の責任がかかるかというのは、厚労省とも協議しなければいけないかなと思っているのですが、今のところそういう協議を行う機会自体が幸いにしてなかったので、お答えできない状況です。

○東京都福祉保健局健康安全部河野薬事監視担当課長 雑誌のケースでは過去にはあります。言葉が悪いのですけれども、健康雑誌のような類いのもので、薬機法から見ますと違反広告が非常に多いというケースがあります。それは個々にやるのですけれども、あまり多い場合というのは、出版社でも考査されていると思いますし、当然、考査の方々に対しても私どもはいろいろ法律的なところはお伝えしていますので、考査にお願いをすることが以前ありました。でも、なかなか直らないといった場合に、果たしてこれは出版社のほうが違反広告を要するに助長しているということができるのがどうかというのは、厚労省とも詰めたことはございますが、ほかの法律的なものもあって薬事の世界では結論としてはできていないのかなという理解でおります。

○畠委員 行政とプラットフォーマーの役割分担という観点で、以前この会合の中でも本当はプラットフォーマーが果たすべき役割なのに、それを行政側で肩がわりするのはけしからんという向きの意見があったように記憶をしている、誤解かもしれませんけれども、その観点で行政のほうでパトロールというか監視をすることについて、皆様の御意見を伺えればと思うのですが。

○東京都福祉保健局健康安全部薬務課サイバー薬事監視担当者 もちろんプラットフォーマーの方の責任というのもあると思うのですけれども、一方で我々行政の側もそういった健康被害を防ぐという観点から、薬事監視は当然にして行わなければいけないので、我々行政側の責任でもあると思うのです。

確かに見方によっては本来、プラットフォーマーの方が全部完璧にやれば、行政のパトロールは必要ないということもあり得るかもしれないのですけれども、プラットフォーマーの方は様々な商品、膨大な商品を扱っていらっしゃっていて、既に相当なリソースを割いて監視体制というのは構築されているわけですけれども、例えば私どもが担当している医薬品医療機器等法、昔で言う薬事法ですけれども、そういった個別の法律の最新の情報とか、最新の違反傾向というのは当然、私どものほうが把握していますので、肩がわりというよりは、私どもが持っている情報をプラットフォーマーの方に提供することによって、お互いに非常に効率的に薬事監視と言うのでしょうか、そういうモニタリングを進めることができますし、それによって変な、違法な出品が出なくなれば、それが消費者の方にとっても健康被害を防ぐという点でも、健全な市場をつくるという点でもいいかと思いますので、あまり肩がわりという議論は私どもの内部ではそんなにはないかなと思っております。

○中田座長 畠委員の議論について補足すると、一つはそういった広告というものをプラットフォームを通じて出している。それによって販売機会を提供することになるので、本来的にはもちろんプラットフォーマーもそういったことを監視というか、調査をきちんとしていく本来的な義務があるのだということを前提にしつつ、行政の立場からそういった情報提供をして協働していくという枠組みなのか、全くそれはプラットフォーマーとしては義務を負わないで、指摘があればそれに応じて対応するということなのか、そういう議論の背景があると思います。

○早川座長代理 少し角度が変わりますけれども、ネットですと日本の事業者でなくても日本の中にいる消費者等にアクセスすることが当然に簡単ですし、あるいは売ろうと思っている人、広告を打つ人が、日本のプラットフォーマーではなくて海外のプラットフォーマーを使って、しかし、日本の消費者はそこから情報を得ることができて、そこで一歩購買行動に乗り出すということもあり得るわけですけれども、その事業者や売り手ないし広告的なものを打とうとしているところ、あるいはプラットフォーマー等が海外の事業者あるいは海外にいる人という場合もあり得ると思うのですが、実例がもしかしたらないのかもしれませんけれども、それについてどういう対応をおとりになっている、あるいはなる御予定なのかというのはいかがでしょうか。

○東京都福祉保健局健康安全部薬務課サイバー薬事監視担当者 基本的に海外の事業者に対して、日本の医薬品医療機器等法をそのまま適用できるかどうかというのは難しいのかなと思っているのですけれども、実はそれに関しては私ども東京都ではなくて、厚生労働省で事業を行っていらっしゃいまして、厚労省が事業として海外のプラットフォーマーに接触をし、基本的に閲覧ができないようにするというような対策をされています。ただ、もちろん100%閲覧できないようにできているかというと、ちょっと難しいところもあるのですけれども、そういった事業は厚労省さんで実施されています。

そういった海外のサイトを見つけた場合に、各都道府県から情報提供をする様式も定まっておりまして、その様式に従って事業主が海外なのだけれども、明らかに全て日本語で書かれていて、日本人をターゲットにしていると思われるようなサイトを発見しましたということで、それを厚労省さんにお送りしておりまして、その後、厚労省さんの内部でできる限りサイトを閉鎖できるような対応をとっておりますが、もちろん100%できているわけではないのですが、かなりそういった対策は進んでいるかと思います。

○早川座長代理 ありがとうございます。

そうすると例えばですけれども、6ページ目のもので言いますと医薬品医療機器等法が根拠規定になっているわけで、そうするとこの規定の適用範囲が海外の事業者ですとかプラットフォーマーとの関係で、どこまで及ぶのかというのが一つの問題になると思うのです。

厚生労働省がもしもそれをやっているということは、この法律自体の適用範囲は海外にも及んでいると理解しているという前提でないと、それはできないということに論理的にはなるので、そうすると東京都が仮にそれをやらないというときには、法律の対象が及んでいないというよりも、そこである種、海外向けに警告等をするのはそれなりに手間も言語等のノウハウですとか技能が必要になるので、役割分担をしているという説明の仕方もあると思うのですが、先ほどのお話の中で法律の適用範囲自体がというお話があったので。

○東京都福祉保健局健康安全部薬務課サイバー薬事監視担当者 そこについては、私どもではっきりとこの法律を海外の事業者に対しても適用できます、できませんというのが分かりませんので、厚労省にも確認をした上で、また後日、お答えをさせていただきたいと思うのですけれども、基本的には役割分担としては各都道府県で発見した場合には厚労省さんに連絡をして、そこで対応をしていただくというようなことは行っています。ただ、法律の及ぶ範囲というのは済みませんが、詰め切れていない部分があるので、また後日、お返事できればと思います。

○早川座長代理 そうですね。ただ、厚労省が現実にそれを実行しているとすると、適用範囲にないとすると法律にないところでやっていることになってしまうので、そうすると実際にはそれを明確に明示していないにしても、暗黙の前提としてやっているという理解になるのではないかと思うのですが。

○東京都福祉保健局健康安全部河野薬事監視担当課長 おそらくそうなのだろうと思います。私ども都道府県から国に報告する様式の意味合いとしては、日本国内ではなくて海外で行われていますという国に対する削除要請という手続でやっています。厚生労働省さんはいろいろな方法で、日本国内の法規を説明しているということをお聞きしたこともありますので、国のほうがどういうふうにやっているかというと、おそらくそういう理解を求めるようなやり方なのかもしれません。具体的な国のやり方というのは私ども都道府県としては細かくはお聞きしておりませんが、おそらくそういう運用でやられているのかなと思います。

○早川座長代理 細かくて恐縮なのですけれども、エンフォースメントのやり方として例えば命令を出すとか、あるいはお願いをするとか、いろいろな方法があるのですが、いずれのやり方をするにしても法律に違反していますと言わざるを得ないので、違反するということはどういうことかというと、我が国の法律が及んでいるということを意味しますので、効果が及んでいるかどうかの話と、具体的なエンフォースメントをどのような手法でやるかというのは、また別の問題というふうに私は理解しておりまして、今の最後のところはエンフォースメントのやり方としては様々なやり方があると理解いたしました。

○片岡委員 先ほどの海外の話とはまた別に、日本のモールであるけれども、協力してほしいのに協力してくれなくて困るというような事例があるのかどうかをお聞かせください。背景として、この中の議論で一生懸命やっている人はいいけれども、やっていないとすると、どうやって健全性を高めていったらいいかが問題という話題が出ていたので、もちろん具体的に言う必要はないのですけれども、そういったことで困ったことがあるかどうかお知らせいただければと思います。

○東京都福祉保健局健康安全部薬務課サイバー薬事監視担当者 今日御紹介したショッピングモールに対する薬事監視とフリーマーケットサイト、オークションサイトに対する薬事監視がB to C、C to Cそれぞれ行っているのですけれども、私どもの場合は、やはり医薬品医療機器等法という観点からチェックをしているわけなのですが、そういった立場で見たときに御協力をいただけなかったショッピングモールさんとか、フリーマーケットサイトの運営企業の方というのは幸いにしてあまり記憶にないです。

○前田委員 先ほど早川先生からの御質問に対する補足の御質問なのですけれども、先ほど幾つか、例えば、海外の機関とかにも協力を求めつつやることがあるという話だったのですが、それは基本的には自ら販売のサイトを出して、販売の広告を出している、ここの整理でいくと広告主のことという理解でよろしいでしょうか。といいますのも、先ほどその前のところで協力をお願いしたにもかかわらず、それに対応しないことによって困ることがある海外のプラットフォームというのは、基本的に今のところ事例としてはないというお話だったので。

○東京都福祉保健局健康安全部薬務課サイバー薬事監視担当者 国内のプラットフォーマーさんに関して協力をいただけなかったということはないのですけれども、海外に関してはそもそも私どもは接触しておりませんので、ただ、発見はすることは多いので、例えばいわゆるED治療薬、バイアグラとかそういったものを海外のサイトで販売して、明らかに日本人をターゲットにして、日本に個人輸入代行みたいな形で販売をしていると思われるような海外のサイトというのは発見はしているのですけれども、こちらで直接的に接触をしていないので、済みません、海外の話に関してはこちらであまり接触がないので、困ったという事例もないというよりは、そもそも接点がないというところになるかと思います。

○前田委員 分かりました。ありがとうございます。

○畠委員 先ほどのフリマのお話なのですけれども、フリマの事業者はみんな協力をしているとして、お薬の売買はコミュニケーションを行うようなSNS上でもやりとりがされることがあると思うのですけれども、そちらの協力体制というか態度みたいなものはどうでしょうか。

○東京都福祉保健局健康安全部薬務課サイバー薬事監視担当者 今、SNS上で医薬品を売りますよ、詳細はDMでくださいみたいな形のものが投稿されていることもあるのですけれども、それについては今、個別に相談中といいますか、まだ御報告ができないのですが、それについてもこちらでも把握しておりますし、SNSで特に若い方たちがそういったものを見て購入することがないように対策を講じなければいけないと思っております。

○前田委員 先ほどの質問に関するところなのですけれども、海外の事業者の場合、接点がないのでなかなか連絡もしづらいし、交渉がしづらいという話だったのですが、先ほどいただきました資料に列記されている事業者の中には、おそらく海外の事業者なのだけれども、日本に支店があるだとか、日本である程度営業をしているところもあろうかと思います。そういうところについてはある程度、具体的に誰なのか、大きい企業なのでなかなか見つけづらいということはあるのかもしれないのですけれども、日本にある程度窓口があるようなところについては、御連絡をされていらっしゃるという理解でよろしいでしょうか。

○東京都福祉保健局健康安全部薬務課サイバー薬事監視担当者 ショッピングモールが3ページのところに16社書かれておりますけれども、そのショッピングモール、ECサイト上で海外発送されている店舗というのもありまして、そちらに関してはそのショッピングモールの御協力を得ながら対応しております。

○山本委員 6ページで不適切な広告の例が挙がっているのですが、この場合の広告というのは、どれぐらい相手が絞り込まれたものなのでしょうか。要するに、プロファイリングを行ってターゲット化・個別化された広告のことを意味しているのか、それともプロファイリングがかかっていない一般的な広告なのか。

○東京都福祉保健局健康安全部薬務課サイバー薬事監視担当者 基本的に医薬品医療機器等法の中では、一般の方が見られる状態になっているものは広告と考えておりますので、特にターゲットを絞っている絞っていないにかかわらず、私どもも含めて普通の方が御覧になれる。それで売りたいという意図がはっきりしているようなもので商品名が出ていれば、それは広告というふうに判断しております。

○山本委員 もちろんそうなのだろうと思うのですけれども、例えば私も歯が痛いとか、インプラントとかそういうものを検索したりすると、インプラント関連の広告が入ったりするわけですけれども、例えば、ある薬品に関してそういうものを求めている人とか、それに関連した検索をしている人とか、そういう人たちの前に限定してあらわれるような広告もあろうかと思うのです。その場合、ユーザーによって見ている広告が違う可能性があるので、その場合どういう監視の仕方があるのかなということが気になったのですけれども。

○東京都福祉保健局健康安全部薬務課サイバー薬事監視担当者 具体的な監視の手法については、なかなか申し上げるのが難しいのですが、今おっしゃったようなある程度、こちらも一般の方が例えば先ほどのインプラントもそうですし、あとは多いのはED治療薬とか比較的検索するであろうキーワードというのを把握しまして、そのキーワードを入れて出てきた広告についてチェックをしたりというようなことも行っております。

○中田座長 それはあまりここで言うといけないのかもしれませんが、監視の際にある程度サーチのメカニズムを使ってということなのですね。

○生貝委員 今の山本委員の御質問に関連して、同じ理由でお答えは難しいかもしれないのですけれども、まさしく今フリマサイトさんですとかショッピングモールさんはどうだか分からないのですけれども、それこそAIを用いた自動的な不正出品等の検出といったようなことを様々な形でお取組も出てきているかなと認識しているのですが、この協議会においてそういったようなものの実装ですとか、運用に関わるような御相談や調整等といったようなことも行う場合というのはあるのかということは、もし可能であれば教えていただければ。

○東京都福祉保健局健康安全部薬務課サイバー薬事監視担当者 それについては今、検討している最中でして、まだそこまでは至っていないのですけれども、ただ、今一番ショッピングモール、ECサイトにしてもフリマ、オークションサイトにしても、一番重要になってくるのがどちらかというと違法な広告、違法な出品を表現するキーワードがどのようなものなのかということさえ、逆に言うとそれさえきちんと行政側が提示できれば、あとは各運営企業の方のシステムの中で自動的に落とされるというところがありますので、その違法なものを表現するキーワードがどんな言葉があるのかというところに、私どもは全力を注いでいるというような感じです。

○生貝委員 なるほど、ありがとうございます。

○上村委員 資料の3ページの企業のところなのですけれども、これは例えば新たにいろいろなサービスが始まったりとかすると思うのですが、そういった場合は東京都のほうで見つけてアプローチして、どんどん協力企業を増やしていくという形になるのでしょうか。

○東京都福祉保健局健康安全部薬務課サイバー薬事監視担当者 基本的にはそのように考えておりまして、新たにそういったサービスを始められる会社さんがあった場合には、ぜひ一緒にやりたいなと思っております。

○東京都福祉保健局健康安全部河野薬事監視担当課長 なお、協力企業に関しましては、基本的に協力していただけるところには協力していただこうと思うのですけれども、きちんと目的や役割を共有していただけることを前提に加わっていただくようにしております。

○西村委員 資料の2ページの御説明で、年2回ぐらい情報提供をした結果、8割が改善されて、残り2割は行政指導と伺ったのですが、今までのお話の中でプラットフォーム業者さんで全て解決しているというお話と、この8割と2割の話はどう関係しますか。

○東京都福祉保健局健康安全部薬務課サイバー薬事監視担当者 まずこの事業なのですけれども、2ページ目のところで協力ネット企業の方に違反になりがちな商品とか、表現はこういうものがありますというのを情報提供いたしまして、その情報提供に基づいて各社で自主的に広告主の方に自社のサイトの中に出品されているものをチェックしていただくのですけれども、それで違法なものがあった場合には全出品内容に対して各プラットフォーマーの方から注意喚起をしていただくのですが、やはり1割、2割ぐらいの方がその注意喚起だけでは聞かないところも出てきます。

そこの部分は当然にして、もともと医薬品医療機器等法違反なので、そもそも行政が全て対応するという考え方もございますので、逆に言うと例えば6,000件ぐらい本来行政で監視指導しなければいけなかったものの、8割ぐらいが企業のプラットフォーマーの方が解決をしてくれて、残り2割は、この2割についてここは直してくれませんでしたよという情報提供をいただくことで、私どもとか、あるいはほかの道府県が監視指導を行って潰していくことができるので、確かに全件プラットフォーマーの方が解決しているという表現ですと誤解があって申し訳ないのですけれども、全件プラットフォーマーの方が潰すというよりは、全件チェックをしていただいて、そのチェックをしていただいた中で8割ぐらいは既にその段階でクリアできた、直った。残り2割の直らなかったところは我々の出番といいますか、都道府県で対応して違法広告をやめさせるという形をとっております。

基本的に残りの2割の部分に関しては我々もモニタリングをしておりますので、直ったかどうかというのは随時チェックもしておりますし、直っていなければ東京都なり、東京都以外の所在地がある広告主に関しては、その県庁に協力してもらって違法広告をやめさせるという指導を行っています。

○中田座長 ありがとうございます。

ほかにいかがでしょうか。

ちょっと整理をしたいのですが、先ほど森委員からも質問が出ていたのですが、条文には何人もというふうに書いてある。広告主は誰かという問題としては、広告主は出品者であるという理解で考えているのですが、ただ、この法律の適用の対象として、つまり何人もという中にプラットフォーマーも当然その中に入るという理解をしてよろしいのでしょうか。

○東京都福祉保健局健康安全部河野薬事監視担当課長 何人も規定なので、プラットフォーマーさんが除外されるという法律的な解釈はないのだろうと思っております。ただ、当然のことながら66条、68条の適用対象ではあるのでしょうけれども、実際に私どもが指導する、措置をする場合には、その広告の広告主という絞り込みをしていくと、プラットフォーマーさんに当たるということがあまりないということです。

以前、ある会社さんの健康情報サイトが、何かいろいろ本当のことや違うことがいっぱい載っているのではないかということで、新聞報道等で東京都の薬務課が対応に乗り出したと書かれて。あれはたまたま医薬品医療機器等法の情報もありましたので事情を聞いていたら、東京都が乗り出したと書かれたのですが、あのときはその広告主はある情報提供をした方、投稿した方もいらっしゃいましたけれども、その運営されている企業の方が書かれた記事なんかもありまして、そういったものについては運営企業さんの責任ということで対応しています。

○中田座長 お話を聞いている限りでは、運営企業のほうが非常に実行力のある処置がとれるという印象です。実質的には広告の状況も把握していて、かつ、影響力をいろいろな形で行使できる。そのマーケットから広告主を排除するというような、ある意味での強制力を持っていて中止させられるという力を持っているという現実があるわけですね。そうすると単に広告を載せていますというレベルではなくて、プラットフォーム運営事業者は実質的な取引の実態を把握して、かつ、フリマサイトに出てきている人たちに対して協力しているわけです。そうだとすると、広告主と同じようなレベルで捉えることができないだろうかというような考え方が成立するかもしれないと思うのですが、そういう考え方はいかがでしょうかという質問です。

○東京都福祉保健局健康安全部河野薬事監視担当課長 似たようなケースで厚労省さんと検討している事項がありますけれども、今のこの場のお話も私どものほうから厚生労働省さんにお話をして、ちょっと検討していただきたいと思います。

○片岡委員 今の点について少し補足をさせていただきますと、モールとしてはどう考えているかというと、その広告物を誰がつくったのか、どこに載せるのかというものによって、我々としても注意の振り向け方が違うというところがあります。

例えば、我々が用意した有料の広告枠に載せるものについては、我々も見せていただいて、「これは問題か、大丈夫か」ということを、店舗に細かく確認したりしていますし、逆に、いわゆる出品のページ、各事業者が自由につくって載せられるというところについては、事前にチェックするということはしていません。ただし、ちゃんと法律を守っていただくということが前提で、楽天市場の場合だと、「こういうキーワードは違反になるから載せてはいけない」という一覧をつくったりして、事前に情報提供したり、あとは以前に御説明した、違反点数制度を設けることによって、いざ何か違反が見つかったらだんだんその違反点数がたまって、ペナルティーが科されるという全体的な仕組みがあります。事業者、出品者が自分でページを制作するときには、なるべく事前に情報提供しつつ、違反があった場合にはペナルティーになり得ることを周知しつつ、我々がより関わりが深い場所に載せるということになると、もう少し入念に確認するということをしています。

○中田座長 ありがとうございます。

もし事業者サイドで何かその点についてやっておられること等ございましたら、お教えいただければと思うのですが、いかがでしょうか。

○前田委員 全企業に当てはまるかどうか分からないのですけれども、今まさに、例えば、プラットフォームに適用があるという前提なのかどうかというところの議論があったかと思うのですが、一つここで一つの考慮に入れたほうがいいかなと思うのが、自主的に取り組んでいるかどうかというところでございます。

もちろん基本的には厳密に法律の適用ということを考えたときには、例えば、出品者であったり、広告主であったりというのが一義的に違反者であるからということではあるのですけれども、特に医薬品とか医療機器とか生命・身体に大きく関わるものについて、おそらくは全部がそうとは言い切れないのですけれども、ここで定義というのはまた難しいかもしれないのですが、いわゆるプラットフォームと言われているようなところであったとしても、そこについては本当であれば各出品者ないし広告主の責任ですと一義的に終わるのではなくて、自主的にそこについては問題があるという前提で、自主的に取り組んでいるというようなところもあるかなと思いますので、その点も法律の適用というところももちろん重要な論点ではあるかと思うのですが、そこを飛び越えて自主的に遵守というか尊重しているような事業者もあるのではないかと思います。

○上村委員 弊社での自主的な取組として簡単に御説明させていただきますと、カスタマーサポートのほうに出品物の監視をする人員がおりますので、そちらのほうで特に薬機法違反は法律としてもかなり難しい法律なので、専門のチームをつくりまして監視を行っております。その監視をする中で見つかった法令違反の出品については、出品者も知らずに違反してしまっている例もありますので、その出品物を削除する際に、こういう理由で削除しましたということを伝えています。その内容も日々ブラッシュアップして、より伝わりやすいようにはしておりまして、例えば、東京都のほうでつくられたフリマの出品に関する啓発のホームページがありますので、そのリンクをお伝えしてより分かりやすくするとか、そういった工夫をしております。

○中田座長 ありがとうございます。

○生貝委員 1つ前の前田委員がおっしゃったこと、非常にそのとおりかなと思って、当然こういった違法のものが出品されているということ自体、大変レピュテーションあるいは利用者保護に問題があるから、非常に様々な、自主的な努力をそれこそ先ほどの自動的な検出等を含めて、これは法の及ぶ及ばないを含めてやられている努力というのは非常に大きいのだろうなと国外事業者含めて思います。

なのですけれども、自主的な取組と特に外国で言ったときに、なかなかそれが実際にどのように、どのような基準で行われているのかということが日本の消費者、ないしはまさしく行政の方々にとっても見えづらいというか、共有されづらいというか、あるいはその運用等に、例えば、不足があったときの意思疎通といったようなものも、これはどうしても比較的しがたい部分というのがあるのかなと考えるところでございますので、やはり日本でそういった広く展開されているところと、そういった情報というものがどのようにすれば現に新しい情報を含めて入手できるのか。あるいはやりとりというものができるのかということを、これは法の問題というよりもコミュニケーションの問題として考えていくことが非常に重要なのかなと思っている次第でございます。ちゃんと探すといろいろな情報が出てくるのですけれども、実際はなかなか日本語にもなっていない場合も多いしといったような継続的なコミュニケーションの在り方ということかと。

○中田座長 もう一つ質問ですが、こういった違法な広告に関係して、例えば消費者団体が問合せとして、そういったことを言ってくるとか、情報提供を求めるとか、そういうこともあるのでしょうか。

○東京都福祉保健局健康安全部薬務課サイバー薬事監視担当者 そういった消費者の代表の方からの御意見をいただいて、例えばこういう変な出品がありますという具体的な情報もあれば、大枠としてインターネット上で問題のある医薬品医療機器等法に抵触するような出品がある場合には、ぜひ速やかに削除してくださいみたいな、大きな御意見をいただくこともございまして、それはとても日々参考にしております。

○中田座長 例えば消費者団体だと差し止め請求とか、そういう権限行使ができるのですが、そういったところでの情報交換とかもあるのでしょうか。消費者団体からの問合せがあったときに、こういう違反がありますということを言ったりすることもあるのでしょうか。

○東京都福祉保健局健康安全部河野薬事監視担当課長 基本的に一般の方々に対して、個別の対応事案については情報提供させていただいておりません。もちろん刑事訴訟法の捜査関係事項照会ですとか弁護士照会は別ですけれども、一般の対応に関しては具体的な広告に関して、具体的な方に対して違反があったのかないのか、措置をしているのかどうかというのは基本的にはお答えしておりません。

○中田座長 分かりました。

ほかにいかがでしょうか。

○早川座長代理 感想めいたことでよろしいでしょうか。この専門調査会というのは、プラットフォーマーが現代においてどういうような、例えば今日でしたら医薬品医療機器等法に違反するような出品や広告がなされているときに、どういう責任があるのかというのを議論しているところであるのですけれども、先ほどの中田座長の問いかけに対して、現象としておもしろいなと思ったのは、事業者の方々は「我々は自主的に」というのを強くおっしゃっているので、そこの意図するところは私はよく分かるように思いまして、つまり実際には先ほどからお話があるように、協力しないところはありませんというところが実態で、先ほどもほかの委員の方もおっしゃいましたけれども、レピュテーションリスクを考えたときには、ダークウェブですとむしろ危ないものを売っていれば売っているほどレピュテーションが上がるので、それは置くとしても、そうでないところは通常は協力するであろうと。

そのときに協力するという行動をとっていることが、それが法的責任の根拠にされてしまうと、むしろディスインセンティブとして働いて協力しないほうがいいではないかという話になり得るので、多分、現在実態として協力しているという実行があるということが、何らかの法的な責任なり、そういったものにつなげていくのは筋的にはあまりいい議論ではもしかしたらないのかもしれないなと感じた次第でして、もしそういうものが出てくるとしたら、ほかのところに根拠を求めないと多分だめなのですけれども、ただ、他方で先ほどコミュニケーションが大事とおっしゃられたのと同じように、こういった形で少なくとも現在かなり実行が上がっているというのが事実としてあるのは非常に重要なことかなと思いました。

以上です。

○中田座長 いかがでしょうか。法の枠組みというのがどこまで及んでいるのかということと、実際にどのように対応しているのかというのはまた別の問題ですが、ただ、そこがマーケットの最低限の要請であることに対応しているのかどうか。マーケットルールとしての最低限の要請であるということであれば、法的なルールとしても認めていくことにもなるのかもしれません。そこはまだ議論をしているところではないかと私は思っております。

ほかにいかがでしょうか。それでは、ここで一旦議論は終わらせていただいて、今日は非常に貴重な情報を提供いただきまして、ありがとうございます。我々もどのような形で役割分担されているのかをしっかりと理解した上で、プラットフォーマーが果たすべき役割を今後考えていきたいと思っております。

どうも今日はありがとうございました。

それでは、ただいまから休憩をとりたいと思います。。

(休憩)

○中田座長 それでは、再開させていただきます。

次の議題は討議ということで、第6回以降、オンラインプラットフォームが介在する取引における消費者トラブルの状況について、また、オンラインプラットフォーム事業者、事業者団体の取組も含めてですけれども、取り扱ってきました。さらに現行の規定等の整理についても行ってきました。それらについて有識者のヒアリングも行ってまいりました。

ヒアリングは全て終わったというわけではなく、今からもう少し時間をとってヒアリングをさせていただくことを考えておりますが、これまでの議論の蓄積もございますので、お手元の資料2がありますが、そういった論点を踏まえながらオンラインプラットフォームが介在する取引に関わる利用者、財・サービスの提供者、購入・利用者及びプラットフォーム事業者がそれぞれ負うべき責任又は義務を明確にして、安心して取引を行うための役割分担の在り方というものを考えていきたいと思っております。

それについての議論を今からフリートークみたいなところも出てくるかもしれませんが、提示された論点に沿って議論をしていきたいと考えております。そのたたき台となります資料2について、事務局から10分程度でお話をしていただきたいと思います。

それでは、お願いいたします。

○友行企画官 それでは、お手元の資料2を御覧いただきたいと思いますけれども、討議資料と書いてありまして、本日は3つのテーマを掲げております。

1つ目のところでございますが、これは以前に論点整理といたしまして、1枚紙で整理したものの役割分担の考え方の整理の部分の検討事項をこちらに持ってきているという整理でございます。最初の1つ目のところでございますが、少し文章が長くなっておりますけれども、オンラインプラットフォームが介在する取引において、消費者が財・サービスの提供者、購入利用者として生命・身体、財産分野に係る安全を確保しつつ取引に参加することができる。そういったために利用者、提供者、購入者どちらも含みますけれども、それらがオンラインプラットフォーム事業者に求めるものは何だろうかというところでございます。消費者トラブルの発生状況などを踏まえまして、現行の法律、規程等の中で、あるいは現行の規程等では対応できない場合に、利用者がオンラインプラットフォーム事業者に求めるものにはどのようなものがあるかということにつきまして、御議論いただければと思います。

そちらに例として挙げておりますのは、これはこれまでの専門調査会におけます第1回からを含めまして、例えば第6回や第8回などで討議を行っていただいた際などに委員の皆様の御発言の中で、少しこういった論点に関係するようなものを、項目だけを拾い上げているところでございまして、最初のところはプラットフォームのブランド力、安心感等ということで項目として挙げておりますが、これまでの議論の中ではこちらにつきましては例えば直販に比べてプラットフォームを利用する方は、プラットフォームのブランド力や安心感に期待しているのではないかといったような御発言があったことから、こういったものが求めるものとして挙がってくるのではないかということで、例えば例示として挙げさせているところでございます。

その次のシステムの安全性確保というところにつきましても、例えばプラットフォームが介在する場合には、決済での安全なシステムを備えているといったことがあるという御発言があったことなどからも踏まえまして、ここに記載させていただいておりますし、また、その次のトラブルデータの活用によるトラブルの未然防止に資する仕組みの構築といったことでございますとか、あとは取引に係る透明性の確保。透明性というのは様々な観点がございますけれども、そういったことを求めているといったような御発言がございました。あとは消費者への周知啓発といったことも期待できるのではないかといったようなところでございます。

2つ目のところにつきましては、反対にオンラインプラットフォーム事業者様が利用者に対して求めるものは何だろうかというところでございまして、ここは例示として挙げておりませんけれども、例えば表示の部分のこういうところはしっかり見てほしいですとか、そういったこともあるのかなというところでございますが、本日改めまして御議論いただければと思います。

3つ目につきましては、三角形の取引に介在している人以外の例えば行政ですとか事業者団体でございますとか、消費者団体等々といったところがどのような役割を果たすことができるのかといったような観点でございます。例えば現行法の規定の中で、もし不十分なところがあるのであれば、それについて考え方を整理するといったことでございますとか、あとは消費者が選択する際の基準となるような認証、マークといったものの検討のことでございますとか、あとは同じく消費者への広報といった面、それから、前回も御議論がございましたけれども、相談員などのトラブルへの介入とかあっせんなどの考え方。それから、利用者に分かりやすいサイト作成ルールの策定と申しますのは、以前御議論のあったところといたしましては、例えばモデルガイドラインのようなものですとか、そういったものを提示するといったことですとか、そういったことの御発言からここに持ってきてございます。こちら挙げている例は、あくまでもこういった御発言が昔はございましたというところを挙げてございますので、ここも含め、これだけにとらわれず、幅広く御議論いただければと思います。

以上でございます。

○中田座長 ありがとうございました。

まだまだ詰めなければいけない論点がありますが、これまでの議論の中で十分に時間がとれなかったとか、もしこの点についてはこういった点をより重視すべきであるというようなこと、あるいはまだ議論していないような問題点等がございましたら、その点について御指摘をいただければと思います。

プラットフォームの運営者の責任という在り方、役割分担という観点からどのような形でこのプラットフォームを健全化させるのがよいのかとか、より発展させていくという観点から問題点を解消していく必要性があるというような御意見があれば、ぜひ御発言いただければと思います。

それでは、よろしくお願いいたします。

○カライスコス京都大学准教授 先ほどの議論の中で、プラットフォーム事業者が自主的に対応している部分が多いという話が出ていましたが、このことについて1つの視点を提供したいと思います。既に全てのプラットフォーム事業者が自主的に対応している部分をルール化する必要がないという考え方もあるというのは分かるのですが、逆に言えばルール化しても問題はないとも言えるのではないかという点です。

○中田座長 ルール化という局面をどういうふうに見るのかというのはあります。ヨーロッパで見ていきますと例えばフランスは自主規制でやりますというような形で議論があったり、あるいはドイツはそうではなくて法律にして明確にするのだという観点が強かったり、つまり同じことが自主規制の中で行われていたり、法律で行われていたりするわけです。

ただ、EUを見ていきますと、隠れているとそれはルールではないというような議論もあるわけです。つまり明確に法として存在しないと、それは外部から見えないものなのだというような議論もありまして、どのような形でルールになっているのかどうかということが重視されているところがあると思うのですが、そういった点については、グローバル化すると、日本国内だけではなくて、中国もマーケットになりますし、そういったところを踏まえてもう少し考えていく必要があるのかなという議論ではないかと思います。

前田委員、お願いします。

○前田委員 今のカライスコス先生の御発言に関して質問なのですけれども、ルールがあってもいいのではないかとおっしゃられている理由を御教示いただければと思います。日本でなくても一般的にそうだと思うのですが、法律ができるに当たっては政策的な目的だったり立法事実が必要で、法律というのは最終的に国家の権限によっての強制だったり、それが民事ルールに適用されたりという、それなりの強制力があるというところが自主的なルールとの大きな違いだと思います。ですので、ルールにするにはそれなりの理由が必要かなと思いますので、そこでもちろん既にあるのだったらルール化してしまってもいいのではないかというのは、ひっくり返せば言えることなのかもしれないのですが、それはそのままひっくり返してそのままあってもいいかどうかというよりは、そこにもう一つ理由づけというのが社会的ないし政策的、経済的な理由などで入れていかないと、なかなか説明がつかないのかなと思うので、そこは御教示いただければと思います。

○カライスコス京都大学准教授 ありがとうございます。今、思い浮かぶ中でお話しますと、1つ目が先ほど座長からお話のあった透明性というものが大きいと思います。以前に私からEUに関する状況について御報告をしましたが、そのEUでの議論の中では、transparency・透明性というものがキーワードとして挙がっていて、座長からも話があったように、自主的な対応の場合には、それが外部から見たときに透明ではないという部分も少なからずあるという点が1つ目です。

2つ目は、先ほどの東京都からの報告にも関連するのですが、エンフォースメントというものを見た場合に、やはり自主的な対応には限界があって、個々の出品者などがそれに従わない場合もあります。それが今、EUでも問題になっていて、エンフォースメントを強化するためには何らかのルールがないといけないという点です。

3つ目が、海外から見た場合の日本市場の透明性というものです。海外の企業等が日本の市場に信頼を寄せることを確保するためには、一定のルールがなく、日本では自主的に対応していると言うことだと、外国的な考え方からするとそれは不透明であって、日本市場は参入しにくい市場であるとも思われる可能性があるという点です。

○中田座長 大森委員、お願いします。

○大森委員 一般消費者から見ても、大手モールはすごく自主的に対応しているよという現実があるとしても、今までのいろいろな社会現象を見てみると、大手企業であっても違反行為をしている場合がありまして、これを守っているとオンライントラストマークがついているよとか、JADMAマークがついているよというのが一般消費者にとってはとても分かりやすいので、何かそういう統一ルールがあって、それを守っているというのがマークか何かで一目瞭然になるのが分かりやすいかなと思います。

○中田座長 ありがとうございます。

前田委員、お願いします。

○前田委員 今のを踏まえまして2点。

まず1点なのですけれども、透明性を図るというのはすごく重要だと思いますし、外から見たときに透明性を図るというのは、とても重要なことだと思います。その意義についてはどこも多分、誰も否定しないところだと思います。

ただ、どのレベルのルールにするかどうかによっても変わってくるかなと思います。ましてや執行力のある法律という話になると、最終的には国家権力なども出てくるかもしれないですし、そのほかにも例えば今まさに大森委員からもお話がありましたように、例えば認定だとか認証だとか、いろいろなレベルでのルールというのがあるかと思います。そのどの方法でルールづくりをしていくことによって、透明性というところはもちろん誰も否定しないところなのですが、それをいざ落とし込むときにどういうスキームでいくのか、どういうことがどういう形で落とし込んでいくのが最も効率的で、そして意味のあるものになるのかというのは考える必要性があるかなと、そこが大事になってくるかなと思います。

もう一点なのですけれども、まさに先ほど発言したことにも関わるのですが、大森委員がおっしゃっていた話なのですけれども、認証の中にも自主的なものもあれば、ISOも結局あれは別に法律というわけではもちろんなくて、例えばプライバシーマークというのも自主的な団体が自主的に出しているというものも、同じ認証でしたりルールの中にも様々バリエーションがあるので、そこについてはプラットフォームが様々あったりするのと同じように、細やかな議論が必要になってくるというのも一考の余地があるかなと思います。

以上です。

○中田座長 ありがとうございます。まさに執行問題にはいろいろなレベルがありますので、それもちゃんと考えておく必要があります。

片岡委員、お願いします。

○片岡委員 資料2の討議資料の1の項目だけで多分何日も時間が必要な論点になるのだろうと思うのですが、いろいろ場合分けをしたほうがいいと思います。例えば、「介在する」だけでも、「どういう介在の仕方だと、どう結果が変わってくるのか」という議論があり得ます。第1回の議論に戻りそうではあるのですけれども、「プラットフォーム」というとたくさん形態があるので、どういったものを対象にして議論をしているのかという立ち位置を常に確認しないと、議論が難しいと思います。

それから、「透明性」という言葉が出てきていますが、この透明性も、EUで話が盛んになっているのは、どちらかというと、プラットフォームに入っている事業者に対するルールの透明性の話が一番盛り上がっていて、消費者との関係で言うと、データの取扱いが問題になりやすいところです。誰に対する、どういったことの「透明性」なのか、この「取引に係る透明性」というのもかなり大きい話ですので、そこをきちんと把握する必要があります。

もう一つ、非常に重要な観点として、当初からずっといろいろ話をしている中でたびたび出てきますが、プラットフォームにいるのだったら最低限守ってほしい、最低限こういうことはやってほしいというような、期待される取組は、どのようなものでしょうか。我々が発表したような取組が最低限をはるかに超えていて、もっと基礎的なレベルの取組の議論をしているのであれば、その最低限の取組ができていないところは日本でどういうところがあるのでしょうか。具体名を出さないにしても、どういった場合にそういう問題が起こり得るのかということを明確にしないと、ルールもいろいろなレベルがあって、いろいろなルールのエンフォースメントの仕方がある中で、どのレベルの話をしているのかが分からず、方向性が定まらないので、レベル感を把握・共有したほうがいいのではないかと思います。

以上です。

○中田座長 ありがとうございます。

それでは、座長代理、お願いします。

○早川座長代理 今までお聞きしていておもしろいなと思って聞かせていただいておりますけれども、最初の片岡委員のおっしゃられたところの1番だけで何日も時間がかかるのではないかということに関しては、何日かかっても埋めがたい溝は埋めがたいので、何日も議論することにどこまで意味があるのかというふうには私は思いますけれども、これは要は利害関係が規制なりルールなりがあると変わる主体がここにいらっしゃるので、それはしょうがない話でして、政策的にあとは決めの問題なので、むしろ大体大きな論点は出尽くしているように私は思えておりまして、ただ、だからといって乱暴に議論を進めていいというわけではないとは思いますけれども、そこは1つ思った点でございます。

それから、先ほども私、前のところで申し上げましたけれども、例えばルール化あるいは法律のようなものにプラットフォーマーの責任についているというときに、今、自主的にいい方向でのことをいろいろと実行してくれているところがあるから、ではそれを法的責任にしてもよいでしょうというのは乱暴な議論だと思っていまして、そうするとディスインセンティブになりますので、やらなければよかったという話になりますので、そこではないところに根拠を求めないといけないのではないかというふうには考えております。

他方でカライスコス先生のおっしゃられた3点というのは、非常におっしゃるとおりとも思うのですが、他方で透明性のつくり方としても先ほども前田委員からもありましたけれども、自主ルールを設定することで透明性を高めることもできるわけですし、あるいは各事業者の実行していることについて、表に見える形で消費者等に伝えていくというものを工夫すればいいと言われると、反論されてしまうような気もしますし、エンフォースメントの点についても個別の事業者といいますか、個別の者が個別に販売等をすることは、先ほどの危険ドラッグの例等もありましたけれども、それはプラットフォーマーの外でやられていることで、それのエンフォースメントがうまくいかないからプラットフォーマーの責任をといっても、その問題は多分解決しませんので、エンフォースメントにはいろいろなパターンがありますけれども、例えば幾つかのエンフォースメントの話というのは多分、プラットフォーマーの責任を立法化しても解決しない問題だとは考えました。

海外から見てどう見えるかというところも、これは透明性の話と同じ話だと思います。また、前半のほうで申し上げましたけれども、海外では海外の異なる政策があって、その政策のもとで事業者が事業を展開しているときに、当然、事業者がやるべきことについて矛盾が生じますので、その問題をどう解決するかというのが域外適用のときにいつも問題になる話ですので、そこについても考えなければいけないのは悩ましいところだと思いました。

私はどう考えているかといいますと、ほかの領域ですとかほかの法律等にも無数に例がありますけれども、あるビジネスコードですとか、ビジネス主体等が一定の規模を持ってしまって、その規模というのは必ずしも会社自体の規模ではなくて、マーケットのシェア率の規模ですとかいろいろな形の規模がありますけれども、そういったことが起きたときに一定の社会的な影響力を持つことがあって、その社会的影響力を持ったときには、それは量的ではなくて質的に違うものに、もはやなっていると捉えて、そこに一定の責任を負わしめるということは、ほかの法制度の中でも無数に見られますので、それが一つの根拠としては使えるということになるかと思います。

では、そのときに、何でそういう責任を負わせる必要があるのかというと、一つの説明としては、多分そのような質的に異なるもの、あるいは規模が大きくなって社会的影響力も大きくなったものに対して間接的に何かで義務付けをすることによって、最終的なターゲットに対してのエンフォースメントをするときに、より低いコストで、あるいはより効率的に、効果的に実行しようとしている法目的の達成ができるというところが多分、必要性として抽象化するとそういう仕組みなのだと思っています。

ただ、そのときには対立する利益としての、例えば、今回としては事業者側の経営の自由というものがありまして、それを規制の形で一定縛っていくことになりますので、そことのバランスをどう捉えるかというのが非常に重要でして、その際にもさらにそのやり方として法律上のものにするのか、あるいは自主ルールの形成を促すような形でのやわらかな義務付けをするのかという形で、いろいろなやり方がある。多分、全体像をスケッチするとそのような感じかなと思っていまして、この枠組みの中でどういうものがあり得るべきかということを考えていったらどうかというふうに考えた次第です。

以上です。

○中田座長 ありがとうございました。全体的な枠組みをどういうふうにしていくかということにつながる御議論ではないかとお聞きいたしました。

それでは、大森委員、お願いします。

○大森委員 最低限守るべきルールと、一部の大手モールが当然なし得ているという2段階があるという御意見があったのですけれども、最低限守るべきルールというのは消費者としては法で規制してほしいなと思います。その上、ここまでやっているよというのを、影響力を持つから責任を負わせるというのは、裁判とかそういうときですごく分かりにくいので、この程度までやっていると、こういう認証マークがちゃんと消費者に表示されているというのが一番分かりやすくて、その認証マークをとりながらそういうことが守られていないというのは、その企業の欠点というか、行われていないことがはっきりするので、とてもいいと思うのです。

その認証マークのレベルが今、一定ではなくまちまちで、十把一絡げが難しいということであれば、五つ星みたいな感じで星であらわすとか、そのように消費者にとって見える化をしていただけるのが一番ありがたいかなと思います。

○中田座長 関連して石原委員、どうでしょうか。認証マークはそこまで責任を負えるのかどうか分からないところもあるのですが、もし御感想があればということでお願いします。

○石原委員 実際に運用している側としては、なかなかそこは難しいなというのが実感ではあります。実際にいまだ認証の基準に違反していることが後日わかったとか、そういう事例がないのでなかなかどこまで仮に違反があったときに、どういうエンフォースメントでやるのかみたいなところは、実際の事例がないのですけれども、もともと制度設計したときには、そういう事例は多分出てくるので、そういうときには注意管理銘柄ではないですが、一定の期間を置いてそれを解決するような形で期間を置いて、解決できなければ認証の取り上げみたいな形の、プライバシーマークとかの制度設計を参考にさせていただいて、設計はさせていただきました。

なかなか先ほど最低ラインをどうするのかとか、いいところをどう認証するのかみたいな話もかなりシェアリングエコノミーの認証の制度のところも議論があったところでして、シェアリングエコノミーは非常に広いスキルシェアから、物のシェアから、空間のシェアから各分野によってかなり個別要素が強いので、そこを分けるかという話もあったり、個別に事業者の数も違うので、いろいろ個々で多少特徴をつけたほうがいいのではないかみたいな話もあったのですが、最終的にシェアリングエコノミー検討会議の議論の中では、各プラットフォーマーの最低ランクというか、必ずプラットフォームとして守っていただかないといけないモデルガイドラインをつくった上で、その中でこの委員会でも説明させていただきましたが、身体・生命等に危険性が及ぶようなサービスの場合には、上乗せの基準とか適法性が仮に問題になり得るサービスの場合は、上乗せの基準をつくるという2階建てというか3階建てのモデルガイドラインをつくったという状況です。

まだまだ運用途中で、今日の午前中もモデルガイドラインの改訂をどうするかみたいな議論を生貝先生、森先生と一緒にやらせていただいていたのですが、なかなか悩みは尽きないというか、非常に悩ましい問題がたくさんありまして、ただ、やってみないとこういう問題は多分出てこなかったと思いますので、トライ・アンド・エラーでやりながらではありますけれども、今日はちょうどECネットワークさんのODRの話とかああいうものをガイドラインにつけるべきだとか、盛り込むべきだとか、そういう話をしていたのですけれども、そういう全般を、生貝先生は前々回とか確か前におっしゃっていましたが、そういう場がないとキャッチアップする機会がないというのは確かだと思いますので、何かしらそういう場で議論する場というのを、認証なのか自主ルールなのか何でもいいと思いますが、あってもいいのかなと思います。

○中田座長 さっき議論で出てきたことで、お話の中にも出てきたことですが、最低限のルールみたいなものが示されていると、それに依拠して、認証としてはしやすいということになるのでしょうか。それとも、そういうものを認証するときには、そんなの関係ないのだというような感じなのか、そのあたりはどうなのでしょうか。

○石原委員 そこはないと認証しづらいというのは間違いないと思います。ただ、今日の午前中の議論でも出ていたのですけれども、逆に最低限のものがないと認証しないよというのは参入障壁にもなり得るというか、いわゆるここに来ている大手の方々のものをガイドラインという形で基準にしてしまうと、それはすなわちベンチャーの人たち、リソースのない人たちにとってはそんなことできませんということになって、認証をとっていないのであそこは劣等生だということになってしまうと、それはそれで参入障壁になるというところも考えていかなければいけないよねという話もしていましたので、どこに最低ラインを引くかということも非常に悩ましい問題かなと思っています。

○中田座長 ありがとうございます。

生貝委員、お願いします。

○生貝委員 今、石原委員がおっしゃっていただいたとおり、認証という仕組みをとろうとすると、どうしてもそれはあまねく広く事業者はある程度対象にしなければなりませんので、最低限の共通項というものを定めるというスタンダードにならざるを得ない部分が大きいというふうに見ましたときに、他方で早川先生がおっしゃっていたとおり、社会的に特に影響力の高い方々には、こういった高いスタンダードを守ってほしいといったようなことをどのようにソフトロー的に実現していくかという論点、これは分けて考える必要があろうと申しましたときに、後者の方法論、今まさしくヨーロピアンユニオンでもプラットフォームの分野で取り組まれているところでございますけれども、いろいろな方法がある。

例えば、こういった検討会のような場で社会的影響力の高いプラットフォームの方々は、このような取組をやっていただくことが極めて望ましいというふうに、ある程度具体的な形で明示をするということ。しかし、極めて望ましいという言明に対して、それ自体何か規範力を持つわけではございませんので、それをどうするかといったときに、例えばこのことが自主的に、継続的に、そして、それが守られているといったようなことも官民の間でしっかりと情報共有しながら検証していって、それが守られていればソフトローのままでしっかりやっていけばよいし、そうでないのであれば一歩踏み込んだ法的なアクションに踏み込むというふうにいったようなことを、例えば、コミュニケーション等で明示して行うことを非常に積極的にやっているということがございます。

例えば、もし御関心がございましたら、昨年も様々な文書を出されておりますけれども、「オンライン違法コンテンツの戦い:オンライン・プラットフォームの責任強化に向けて」といったようなコミュニケーション等が、まさにそういったことに関してかなり取り扱っておりますし、そのほかにも例えばMOU、アグリーメント、これらの取組についてしっかり取り組むということを主要な事業者と政府と、それからまさに消費者の方々も含めて約束いたしましょう、サインいたしましょうと。それに当たって実効性を確認するに当たっては、プラットフォームの方々からはこういうデータをしっかりと政府の方にも提供をしていただいたりしてというふうにいったような、まさしく継続的な対話の枠組みをつくりましょうということをMOUという形で実現するという向きもあるところです。

これは例えば、まさしく楽天様は、ヨーロピアンユニオンの取組ですとカウンターフェイトグッズに関してMOUの取組という形で、まさに外国の事業者の方、ヨーロピアンユニオンからすると楽天様も外国の事業者でありますので、そういったようなところも含めてしっかりこういうことを守っていただくということを約束するという方法論が、例えば、考えるところでございます。

○中田座長 まず森委員、お願いいたします。

○森委員 今の生貝先生の話ですけれども、大手の事業者がそういう取組に参加してというのはあると思うのですが、それがまさに先ほどの東京都のやつであったりとか、製品安全法、その取組もそうですし、そういうことに結構日本のプラットフォーマーは参加してやっているのだと思うのです。

先ほどの東京都の話ではないですけれども、広告でこれは薬機法違反だと言われたときに対応しなかったら広告主の責任を問われるのではないかということは、抽象的な法律問題としては存在するわけですけれども、実態的にはそういう例がないから議論になりませんというようなお話だったので、そういう意味では最終的には先ほど片岡さんがおっしゃっていたようなことになると思うのですが、プラットフォームのブランド力、安心感とかシステムの安全性確保というのは、かなり抽象的な問題設定で、それが例えば、薬機法違反の広告についてはどうかとか、製品安全関連4法の何とかマークについてはどうかとか、そういうところで具体化したときにきちんとコミットしているかどうかということが問われていて、何となく私が拝見する限りでは、しっかりコミットされているのではないかと思うのです。

プラットフォーム上でこんなものが出品されているぞ。これはどうなんだというときに、東京都はああなっていますし、製品安全関連法はこうなっていますしみたいなことで、やはりそうすると残されているのは小規模なブランド力のないようなプラットフォームで、それは我々の目の前にあるものとしてはシェアリングエコノミーなので、それを認証に任せていただいて、ここはブランド力がさっぱりなので、皆さんが個社名を上げても御存じない方がたくさんいらっしゃるのではないかと思います。そこは認証マークをつけて、あとは認証側でしっかり運用することで基本的にはうまく回っているのではないかというふうには、その認証のところはいろいろ課題があるのですけれども、それはうまくいっているというよりは、まだできたばかりなのであれなのですが、基本的な規制のツールというのは何となくそろっているような気はするのです。それが私の感想です。

○中田座長 それでは、畠委員、お願いします。

○畠委員 今のお話に関連して、薬機とか製品安全のほかにも、例えば、ブランド品を偽造するようなものについても、ブランドのメーカーの人たちと連携してやっているわけなのですけれども、一般的な消費者トラブルに関するそういった枠組みはもしかしたらないのかなと思っていまして、医薬品にしても偽造品にしても、我々はそんな専門的な知識がないので、どういったものが法律に違反するかなかなか分からないところがあるのです。それを専門家の人たちが教えてくれて、我々が対応するという形なのですけれども、消費者トラブルについても、消費者トラブルを扱ってくださっている方々が対応している中で、一定程度、傾向みたいなものがあると思うのですが、そういうものをプラットフォーマーにシェアしていただくみたいな枠組みがあると、その対策も進みやすくなるのではないかと思うのですが。

○中田座長 それはいろいろなプラットフォーマーが参加しているような形での連絡会とか、そういうものが必要だということですか。

○畠委員 そうです。先ほどの東京都の薬務課の例を参考にした枠組みができるといいのではないかと思います。

○中田座長 早川座長代理、お願いします。

○早川座長代理 また自主ルールないし法律上の義務みたいなところの適否に戻ってみたいと思うのですが、先ほど大森委員から、私もずっと認証っていいですよねという話をしてきたつもりだったので、自主ルールとして認証のようなものがもっとワークすればいいのではないかという話があって、それは私も全く賛成なのですが、ただ、問題はどこにあるかというと、例えばある団体が、うちはそんな認証ルール使いません。そもそもうちで売っていること自体がブランドですから、それは要らないでしょうと言ってきたときに、それに対して対処のしようがないということです。

もう一つ、認証のシステムというのは消費者側が認証があれば買うという行動をちゃんととってくれればいいのですけれども、意外にそこは見ないというようなことがあったりして、そうすると認証をつくったけれども、結果的には空振りに終わるということがあったりするので、そこは消費者教育の問題でもあるのですが、あるいは啓発活動をどうやっていくかの問題ですけれども、そこにもう一つ課題があるのと、3つ目は自主ルールを認証の、まさにどういうことを求めてくるかのところのレベルの設定がコントロールできないといいますか、例えば、先ほど認証の中でODRを含めるべきかどうかというのも今日議論になりましたというふうに石原委員からもありましたが、私は紛争解決のところについても手当をするような認証が望ましいなと思いますが、そこまではちょっとという考え方も当然あり得て、そのときに、そこまでちょっとというものになったときに、その自主ルールは望ましくないと思っても、それに対しては対応のしようがないというところがあるので、そういうときにもう一つ踏み込ませようとすると、法律上、何かというものが出てこざるを得ない。

そのときに先ほどの何人かの委員の方が御紹介になっているような例も多分それに近いようなものだと思うのですけれども、最近は業界自体に自主ルールの形成というものの中身はある程度任せた上で、しかし、そういったものをつくるという大きな枠組み自体については、法的には義務付けさせましょうというような構造はあるのです。MOUを結ぶというのも、その内容の具体化というふうにも説明ができまして、そういったことはあり得て、それはどうして最後のところで、では何でそんな義務を我々はさせられなければいけないのですかというと、そこはでもあなたもう社会的な影響力は十分にありますよね。そうしたらやはり社会における法目的の達成のために協力していただかないと、もう回らないようになっていますからというところで正当化するしかないのではないかというのが先ほど申し上げたところです。

あと、法が働くもう一つのやり方といいますか効果としては、先ほどからありましたけれども、どういう内容のルールにするかというときに、ある種の指針を与えるという方法がございまして、法の中にはまず目的規定とか、こういうものが望ましいというのを宣言するような規定があって、個別具体的にそれを違反したとしても、それに対して何らかのサンクションが加わるわけではないというのも無数に存在しまして、しかし、それは例えば自主ルールをつくるときの非常に参考の指標にはなるわけです。そういうソフトな形で社会全体のルールをコントロールしていくという手法は、今いろいろなところで多くとられているので、全体を見ると、もしも法的な何かが働くとしたら、そういう形が望ましいのではないかということは大まかには思うようになってまいりました。

最後に参入障壁のことはなるほどなと思いまして、そうすると例えば大手向きとベンチャー向きで、例えば、2つ認証ルールをつくって、よくあるのですけれども、ゴールデンスポンサーとシルバースポンサーではないですが、格を変えて、消費者の中にはゴールデンではなくては私は気が済まないという人はそちらで買っていただければいいし、そうではない人は最低限あれば価格も安いしこちらのほうがというのもあってもしかるべきですし、その辺はいかようにも工夫ができるようにも思えまして、その意味では自主ルールを前提にしても必要があるのであれば、最低限のところが法の枠組みでは骨格を作って上げるというのは、一つの在り方としてあるのではないかというふうに聞いていてよく思いました。

○中田座長 ありがとうございます。

大森委員、お願いします。

○大森委員 消費者教育のこと、本当にそのとおりだと思います。私たちは学校とか地域に通販とかネットの出前講座をやっておりまして、ついこの前まではJADMAマークとオンライントラストマークとプライバシーマークを目安にということで紹介していたのですが、オンライントラストマークは最近機能していないよといううわさが出まして、あまりこのマークを推奨するのはどうかなということで、今年から全部抜いたのです。そうしたらやはりマークを入れてほしいと受講生のほうから依頼が入ったということがあって、マークをつくったらもう少し継続的に運用していただきたいというのが消費者からの願いなのです。

私がマークにこだわるのは、大手だから大丈夫ではなくて、こういうことをやっているから大丈夫だと、消費者が自主的に選ぶためにはマークが大事かなと。宣伝をたくさんしているからここは大手だろう、信用してもいいよというのではなくて、こういうことをやっている会社だから信用しよう、こういう会社を使おうと。それが消費者教育の基本だと思うのでマークにこだわっています。

○中田座長 ありがとうございます。

それでは、森委員、お願いします。

○森委員 今の大森委員のお話なのですけれども、先ほどの早川先生のお話もそうなのですが、マークは事業者側としても当然、費用もかかるわけですし、マークに向けた動機づけというものがないとだめだと思うのです。例えばプライバシーマークというのは国際的に見ても大成功したシールプログラムですけれども、例えば携帯キャリア、ドコモとソフトバンクとKDDIはどこも多分とっていないと思うのです。要らないからです。なので消費者の行動がもしマークがない限り、どんな大企業でも信頼しない。なかなかそういうふうにはならなくて、それなりに大きなところはきちんとやっていて、小さなところが頑張ってこれからお客さんをとろうとするときに、その意味を持つわけです。なのでマーク自体を本当にしっかり消費者の信頼を害しないように運用しなければいけないのですけれども、大手に対する規制というか統制の仕方と、今まさにできつつある小さなプラットフォーム、それがシェアリングエコノミーなわけですけれども、そこは違うアプローチがどうしても必要なのではないかと思うのです。

○中田座長 それでは、前田委員、お願いします。

○前田委員 大手だから大丈夫というのは、それはそういうことではないかなと私も思うのです。実際に消費者に大手だから信用しろというのは、それはちょっと無理だと思いますと。大手だからこそ、例えば、リソースを割くことができて、これとこれとこれ、それこそ最低限という話もありましたけれども、消費者保護のためにこれとこれとこれというのをきちんとやっていますと。要は大手であるということをもって信頼ということではなくて、消費者保護に向けてこういうことをやっているからこそ大丈夫なんですと。それがある意味、消費者教育というふうにAICJから発表があったときにもお話をさせていただいたのですけれども、きちんとこういうことをやっていることを例えば約款ないしプライバシーポリシーで最低限こういうところを見ていただくとか、あくまでも一つの例なのですが、そこのやっていることについての認識というのが、大手の場合はそれをリソースもあるのできちんとやっていることが多いから、なので必ずしもやっているわけではないということかなと思います。

なので認証が1つの方法ということではあるかなと思うのですけれども、必ずしも消費者保護という話になったときには、大手だからというよりは何をやっているか。それをきちんと外に向けて出しているかどうか、透明性を図っているかどうかというところが、まさに消費者に選んでいただく一つの指標になるべきかなと思っておりまして、そこの部分についても消費者教育だったり、消費者の方々への周知ということがすごく重要になってくるのかなと思います。

○中田座長 それでは、大森委員、お願いします。

○大森委員 私たちも結局、授業でやるときは、実際のところマークがついていなくても大手は大体大丈夫ですよということはコメントしています。現実はそうなので。でも一般の社会でいっぱいコマーシャルをしていた大手が、いっぱい消費者被害を出しているということがあるのです。だから大手だから信じなさいということを消費者教育の場で言うということは、とてもつらいのです。できればやはりいい企業と消費者が手を組んで、悪い業者を追い出すことはどちらにとってもwin-winで、健全な社会発展のために必要なことなので、大手の方は必要ないかもしれませんが、当然そのマークをとるという形でやっていただくと、私たちも講座のときにマークが目安になりますよと言えるのです。なので大手企業はすごく影響力もあるし、資金、予算もあるわけですから、率先してとっていただけるとこの問題はクリアできるかと思うのです。

○前田委員 それに関して今、質問を出しましたというか、単純に消費者教育に対する疑問なのですけれども、消費者が信頼をするないし消費者が選ぶのに安心できるかどうかということを伝えられる際、そのときに選ぶ指標というのはマークなのかどうかとか、大手なのかどうかということに、どうしても、こういうことをやっているかどうかのチェックというのが追いつかないので、そういうものになってしまうということなのでしょうか。そこの現状とか、実際に消費者教育をなされるに当たっての実態を御教示いただけるとありがたいです。

○大森委員 約款等を読みましょうというのは契約の基本の基本ですけれども、なかなか普通読めないですよね。消費者教育のときで今、会社名があるとか、返品特約が入っているとか、分かりやすいチェック項目は提示しています。でも、それすら一般の中学生とか高校生等が、1回聞いたからって全部インプットされるわけではなくて、結構マークって子供たち好きなのです。1回見たら覚えてしまうのです。だからそれが目安となれば非常に分かりやすい。特別読解力があるとか、細かいものが読めるとか、特殊能力がない人でも普通に買い物ができる。そういう意味です。

○中田座長 早川座長代理、お願いします。

○早川座長代理 まさに申し上げたいことは大森委員が言ってくれた感じでありまして、プライバシーポリシーはこうなっていますとか、我々はこういう取組をしていますと書いても、そこを読んだり読解するのは通常の消費者は相当大変ですし、それだけの時間やコストをかけるということは普通やらないのに対して、認証とかマークは何なのかというと、それらが本当にちゃんとしているかどうかということについて、第三者が審査してオーケーだと出してくれるので、それがあれば全部読まなくたってそのマークを見れば、ではここはオーケーですねと、つまりそれを全部読んだことになってしまうということが一番大きいので、本来は消費者にとって一番楽な方法であるはずなのに、そうなっていないのはなぜかというところが一番おもしろいところでもありますし、改善すべきだし、教育、啓発すべきところなのだと思います。

その方向に誘導していく社会というのが重要で、そのときにはうちはこれだけやっていますから、そんなものは必要ありませんとは言わずに、先ほどもお話がありましたけれども、新規の人もそれをとらないと商売できませんというようなところにするために、まず率先してとってもらうと、それもないのというふうな形で、世の中は多分そういう領域が幾つかあると思うのですけれども、そういう状態に持っていっていただけると非常にありがたいのかなと思っていまして、なので大手の協力がないとこれはワークしないのだろうなと思います。

○中田座長 森委員、お願いします。

○森委員 言わんとすることはよく分かります。確かに広告で有名になって消費者を釣ってというのはもちろんありますし、有名になった英会話教室だとかいろいろあると思うのですけれども、悪い人たちというのはマークを取らずに、その費用をかけて広告をしてということになるわけなので、ではもうどうしてもマークを取ってもらいましょう。大も小も含めてということになると、それはどんどん登録制とか免許制とかそういう話になっていくのだと思うのです。なので消費者被害が基本的に起こりやすいもの、例えばそのお金を預かって、いい利回りで運用してあげますよとか、そういうものについてはそういう制度がとられているということなので、やはりそれは制度としての違いは存在するわけです。つまりもしマーク、認証だというのだったらば、それを強制するわけにはなかなかいかなくて、強制するとなると別の規制の世界に入っていくのだろうと思うのです。なのでそこのところは違いとして分けて考えていただいたほうがいいかなとは思います。みんなに必ず認証を取れというのはなかなか難しい。

○中田座長 生貝委員、お願いします。

○生貝委員 今まさしくマークなのかどうかというところの議論はかなりされているところだと思いますけれども、先ほど私が申し上げた中で、一つはみんなが最低限、小規模企業でも守っていただくという意味でのマークというのと、それから、特に社会的影響力が高い方々にぜひ守っていただく高いレベルのことをしっかりと明示的に書いたMOUにサインをしていただくというのは、これは方法論こそ違えど、ほぼほぼやり方としては同じことを申し上げておりまして、特に大規模企業の方々の場合は認証をして、共通の完全な最低限のスタンダードに従ってというところをしていくには、あまり適さないところなので、だからMOUにサインしているということをまさにこれだけのスタンダードは守っているということのマークがわりに信頼していただくといったような意味でのという形で申し上げていたところです。

ついでになのですけれども、一方でそれらの方々というのは、恐らく守れるし守ってくれる。問題は特にMOUの場合は、ちゃんとそれを守っていること、運用の仕方についての継続的な検証が行われる体制をMOUの中にどう書き込むかというのが、むしろ根本的に重要なわけですけれども、他方であまねく広くのマーク、認証制度という、ザ・認証制度というところにいきますと、やはりこちらに関してはかなり様々な、早川先生がおっしゃったような意味での、場合によっては法で後押しするとかいったようなところを含めた応援というのをいろいろな方向で、これはこれで考えないといけないのだろうなと思います。

例えば、比較的強い共同規制の在り方は、以前にクリストフ・ブッシュ先生がいらっしゃっていただいたときに、例えばレピュテーションシステムの仕組みに関して、ELIの草案でISOの20488を認証しているレピュテーションシステムは、この法を守っているとみなすという条項のことを提示されていましたけれども、例えば、そういう法のつくり方があるのだろうなと思います。なのですけれども、今ちょっとそういう法をどこに書き込むかということも分かりがたいところではありますし、まだ現に今そういう仕組み自体が非常に頑張ってつくっているという段階でありますので、まだそのときではないのかなというのが関係している直感等もいたしておりまして、ですので今、少なくとも現時点で積極的にやっていく必要があるのは、様々な方法でどうやってその認証システム、現にある認証システムに参加してもらうことを、いろいろな形で行政や消費者の側を含めて応援していくかということなのだろうなと私自身は感じているところです。

○中田座長 早川座長代理、お願いします。

○早川座長代理 森委員に質問なのですけれども、先ほど認証システムをみんなにあまねくは難しいというお話がありましたが、難しいのは確かだと思うのですが、やるべきではないということだとすると、その「べきではない」の根拠はどこから出てくるのでしょうか。

○森委員 ごめんなさい、

済みません、もう一回お願いします。

○早川座長代理 認証のルールを例えば、あまねく強制という言葉を使うとしたら、するというのが難しいというのはおっしゃるとおりなのですけれども、そうすべきではないというもし御意見だとすると、その根拠はどこから出てくるのか。

○森委員 やっていただいてもいいのですけれども、それだと登録しないとこの事業はやってはいけませんみたいな話になるので、それはそういう整理をしていただいて、登録制とか免許制などがプラットフォームに合っているのかどうか。登録しないとだめ、こういう条件を満たした事業者だけ登録してあげます、免許をあげますというふうにするのがプラットフォームに合っているのかどうかということを考えるということだと思います。つまり違う仕切りでやるべきだと。

○早川座長代理 分かりました。その登録制、免許制とグラデュアリーに物事はゼロヒャクではないので、その中の、あるレベルのものというふうに私は理解していて、そうすると具体的にサンクションがどこまであるかというものですとか、そういったところでかなりグラデュアリーに程度を分けることができるので、それだから登録制あるいは免許制それ以外は認めないということにはならないと思うのです。

○森委員 ごめんなさい。ただ、認証がなければやってはいけませんという話なのだとすると、まったく同じことですね。

○中田座長 そこまで言えばそうなります。

大森委員、どうぞ。

○大森委員 私は、認証がないとやってはいけませんという、認証制度というのは事業とか新しい発展を妨げるので、特にネットのところはあまり向いていないと思うのです。でも認証マークというのはいろいろなところが出て非常に危ないときに、消費者にとっては非常に分かりやすいので、危険である程度フリーで発展していくところであればあるほど、一般消費者に最低限こういうマークがついているところは安心だよ、見える化が要るのではないかということなのです。

○森委員 なるほど。何と言うのでしょう、そうだとしますと自主的に認証を取る、あるいはそのようなコストをかけて消費者保護をするところというのはオーケーなわけですけれども、それをしないで認証も取らない。だけれども、売名のようなことはするというところは要注意になるのではないかと思うのですが、そういう意味では皆さんに認証を取ってくれといったときに、分かりました、そこまでおっしゃるのであれば取りましょうという人たちは、基本的には真面目な水準をクリアした人たちであって、そして、我々が守らなければいけないのはそういう取ろうとしない人たちなのではないですかね。なのでそういう意味では認証を強制する必要は出てきてしまって、そうするとそれは認証の世界ではなく別の世界に行くのではないかというのが私の考え方です。

○大森委員 ちょっと認証に対するイメージが。

○森委員 そうですね。

○中田座長 畠委員、お願いします。

○畠委員 実は我々も認証を取っているサービスがありまして、それは我々が業界団体に入って、自分たちでルール形成にも関与しながら行っているのですけれども、そのサービスにおいては、いかがわしいことを行っているような事業者もいて、我々はそれとは違うよということを明示するために、自分たちでルールを決めて、そのルールに従っているということで、第三者の先生方にちゃんと見てもらって認証を受けているのです。

そういうトラブルが発生しそうな領域においては必要なのだと思うのですけれども、現在、議論の中心になっているショッピングモールみたいなところでそれほど大きな問題が発生していないとすると、我々も認証ルールを必要としているという感じにはなっていなくて、お客さんもそれを基準に取引をするかどうかというと、多分しないのではないかと思っているので、なかなかこの分野においての認証というのは難しいのではないかと思っています。

○中田座長 認証があるから、ないからということでサービスを選ぶか選ばないかというのは、ある程度知識を持っていないと選べないだろうなと思っていて、そのかわりとして例えば、レピュテーションシステム、評価、レーティングとかそういうものが役割を果たしている。ただ、大森委員が言われるように、そういうものさえ見ない人も世の中にはいるので、そうすると安全なマーケットという部分を枠組みとしてどういうふうにつくっておくか。それは認証システムで本当につくれるのか、そうでないのか。それも議論しなければいけないと思うのですが、最低限のルールというものの在り方については、先ほど出てきたように事業者がどういうことをやりますというのを宣言して、みんなで合意をするというのは非常に有益なやり方ではないかなと思うのですが、あまりやられていないというのも現実ではないかなと感じています。今でも例えば、事業者が消費者のためにこういうことを守りますということをやれば大分違うのではないでしょうか。例えば、いわゆる携帯電話を販売する場合には、消費者に対してこういうことをちゃんと消費者の利益を配慮して、あるいは未成年者に対してはこのような形で配慮しますと、要はみんな宣言をして売るとか、そのような宣言というかポリシーとして、企業としてどういう形の営業を行うのかという宣言をしていくという、そういうものがあって初めて合意形成にもつながるのかなという気がしています。そういう議論も十分できるのではないでしょうか。

ところで、時間の関係もありますけれども、一つはオンラインプラットフォーム事業者に求めるものは何かといったときに、今、議論の中で出てきているのは、自主的な取組はちゃんとやってくださいということではなかったかと思います。そうみれば、法令があったら法令に沿った形での対応はきちんとやってくださいということは出てきているのではないかと思いますし、さらにもう一つは様々なオンラインプラットフォーム業者に対して信頼性というのものが実際にもあるようなマーケット、つまりプラットフォーム事業者が今までつくり上げたそういった信頼があるものと、そうでないものがあることが前提で、それに対して認証制度があることによって、そういう安心感のあるブランドに行くというような形もあるだろうし、あるいはそういった事業者が集まることによってプラットフォームのマーケットが安定していくということにもなると思います。それが一つのプラットフォームの安定を支える要素にもなるし、そこでプラットフォーム事業者たちは法令がどういうものがというのを知って、そういった形での法令遵守のきっかけにもなるのだという感じを受けています。

そういう中でプラットフォーム事業者に求めるものというのは、おそらくちゃんとした商いをしてくださいということにつながるのではないかと、最終的にはそういうことなるのだろうと思うのですが、ただ、皆さんがおっしゃっているとおり様々なサービスの形態があるので、それに合わせたきめ細かい対応、ルール形成とそれを実現していく場合の執行の体制、エンフォースメントの体制というのをどう組み合わせるのかというのが問題として明確に出てきていると思います。でも、なかなかそれらの組み合わせが難しいのかなという感じを私自身は今の議論を聞いていてもちました。

今後ももう少し議論をしていかなければいけないと思うのですが、ちょっと聞きたいというか、皆さんの御意見を聞きたいと思うことがあります。今の状況の中で早川座長代理のところでは最低限のルールはある程度必要なのかなという意見も出てきていたのですが、また消費者サイドでもそういう形での議論が強く出てきていたように思います。この点については、事業者サイドのほうはどうなのでしょうか。最低限のルールみたいなものを見出し得るのか、見出し得ないのか、そのあたりの感触というのはいかがなものなのでしょうか。それでは、片岡委員、お願いします。

○片岡委員 プラットフォームの形態によって違ってくると思うのですが、例えばB to Cのショッピングを考えた場合、最低限のものは特商法などで定められているべきで、それはモール内であってもモール外であっても、消費者保護法令として守られるべきだと思います。おそらく、プラットフォームに期待されていることは、出店事業者が、もしそれを守っていない場合に、法令を遵守させるエンフォースメントの力のようなものを期待されていると思います。

では、それをルールとして設けるべきなのか、法律とするのか、自主的な取組とするのか、どうやってルールに実効性を持たせるのかというようなところが議論になってくる気がします。

そもそもルールが存在しておらず、プラットフォーム上でしかその取引は起こり得ないのであるならば、そこに対してどういうルールをつくるべきかという話は出やすいと思うのです。ただ、それは普通のショッピングだとなかなかなさそうな気がするので、もっと新しい形のプラットフォームで話題になるのではないかと思います。

○中田座長 ありがとうございます。

畠委員、お願いします。

○畠委員 その最低限のルールが何かということだと思うのですけれども、つまり一般的なパトロールですとか、お客さんに対する周知啓発というものは裁判例があるところで、森先生が以前、御紹介いただきましたけれども、最低限のルールがあると言えばあるのです。そういうものをまとめたものも前々回ぐらいに経産省の方に準則として説明していただいたものがあるので、今、欠けている最低限のルールというのは何なのかというと、まだ明確になっていないのかなと思います。

○中田座長 ありがとうございます。

ほかにいかがでしょうか。早川座長代理、どうぞ。

○早川座長代理 3つほど申し上げたいことがあるのですが、1つは今まさに話があったところで、最低限のルールは何かという話なのですが、私がイメージしていたのは、要は今まで結構自主ルールをちゃんとつくっていますよね。ちゃんと内部でやっていますよね。しかし、そうでないようなものが例えば出てきているときに、業界によってはそれしかないようなところもあるわけですが、そのようなときに彼らにどうやって自主ルールを形成させて善処させるかというと、それを何か強制させる契機がないと結局やってくれませんよね。その限りにおいて、例えば、自主ルールを形成しなさいという、最近金融の世界とか様々な世界でもプリンシプルルールという形で導入されていますが、そういう形の一つの在り方はある。そうすると今、自主ルールをつくっているところは別にそれをやっているわけですから、その法定義務は十分に果たしているわけですので、そこにはまっていないところというのが、そこのターゲットになってくるというのが先ほど言った私が義務というものがあり得るとしたら、そういうものではないかというふうに言った趣旨です。

もう一つは、そうするとまさに森先生が御指摘になったような、それがある種の参入障壁になったり、登録制とか免許制みたいなことにつながってこないのかという問題は実は全くおっしゃるとおりなのです。問題はそうしないようにどこにバランスを持っていくのかというところが重要なので、認証システムみたいなものイコール登録制、免許制というのはちょっと乱暴過ぎて、そうでないような形での運用は十分に可能だと私は思っています。

それから、現在、問題が起きていない市場とか領域ということが何度か言及されているのですが、今度ODRの件で私のほうでも報告させていただくのですけれども、eBayのほうが言っているのは、ODRを導入したら利用率が上がったということなのです。つまり、例えば、C to Cの取引なんか特にそうなのですけれども、うちの子供は大好きでよくやっているのですが、妻はやらない。なぜかというと怖いからということなのです。いざ何かあったときにトラブルになって、しかも救済されないのではないかと思っているし、そんな話も聞くよねみたいなことなのでやらないのですけれども、そこもちゃんと紛争解決まで含めて手当がされますというふうになると、ではやろうかしらということで潜在的に今、入っていない利用者というのが取り込むことができて、その結果としてeBayは自分たちは成功したと言っているので、そうだとすると実は今、見えていないある種、障害というのが存在していて、そこを乗り越えるある種の道具にもなるのではないかと思っています。

ですので、今、何か目の前でひどい目に遭った人がいるということではなくて、ひどい目に遭うことを懸念して入ってこない人がいて、せっかくの市場を実は自分たちで閉ざしているのではないかという視点も重要なのではないかと思います。

○中田座長 そうですね。前にも少し話をしたことがあるのですけれども、一定の法的規制をすることによって安定性というか安心感、安全性が高まって、更に市場が広がっていくという部分もあるので、それはちゃんと見きわめておかないといけないのかなと思います。

では、ほかに1についてまだ議論をしても1時間、2時間、何時間議論しても終わらないという片岡委員の発言もありましたが、では畠委員、どうぞ。

○畠委員 その片岡委員が少し前にお話された取引に係る透明性の確保のところも、もう少し明確にしたほうがいいかなと思っていまして、消費者保護という観点と、個別の取引に関わる透明性の確保はバッティングする、矛盾するところがあるのではないかと思っていまして、その後のトラブルを防ぐためにもなるべく説明しないほうがいい領域のものもありますので、先ほど片岡委員もおっしゃいましたけれども、おそらくこの取引に関わる透明性の確保という大きく出品者側、事業者側とのプラットフォーマーとの関係で発生することが多いのではないかと考えていまして、特に我々みたいな純粋なプラットフォーマーといいますか、その中で取引をしていない者からすると、出品停止とか削除をすることが我々もビジネス上、マイナスに働くわけで、本当は削除とかしたくないのですけれども、消費者保護のために出品等の停止をしていて、その説明がなかなかすることが難しい。するとかえってトラブルが拡大してしまうということなので。

○中田座長 誰に対して説明するということなのでしょうか。

○畠委員 出品を削除した相手方に対してです。

○中田座長 その内容を説明するということですね。

○畠委員 そうです。例えば、偽ブランド品だと我々が判断をして削除したものに対して、その根拠を明確にしてしまうと、そこを乗り越えて更にもう一回出品してくるということが行われてしまって、イタチごっこになってしまうので、こちらはなかなか説明しづらい。それは消費者を守るために行っていることですので、ここに書かれている透明性の確保というものが消費者保護の観点でどういうものなのかということを、もう少し明確にする必要があるかなと思っています。

○中田座長 御趣旨は分かりました。

どうぞ。

○早川座長代理 先ほど言い忘れたところと今のところで2点ありまして、1つは私は認証とかマークというのは、消費者から見ると本当はコストをかけずに安全を買える非常にいい道具で、しかも認証のシステム自体では、認証自体にかかるコストもすごく安くできるので、その辺を工夫していけばいいのですけれども、どうも今まで日本ではあまり発達してこなかったという背景があって、そこのところをもう少し根本的に変えていかなければいけないのではないかというふうには思っています。

ですので、何でこのシステムは、要するにこれは細かなルールとか宣言しているみたいなことを意味内容も含めて、あるいはそれが本当に実践されているかどうかも含めて、自分が検証しなくても第三者が検証してくれて、しかもそれはにこちゃんマークか何かでそれがすぐ分かるというものなので、それがいかに意味があることなのかということを今まで消費者教育の中にもっと取り込んでいくべきではなかったのか。実践もされていなかったのでそこも問題なのですが、そこをさらに業界がそういうものがあれば、悪質なものを駆逐できるし、自分たちがよりブランド力を高めることもできると思うので、もう少し評価してもらってもいいのではないか。今まで日本がいまいちうまくいっていなかったというのは理由があるわけで、うまくいっていなかったからそれ自体の評価を、制度自体の評価を下げるのはどうかというのが1つの問題です。

もう一つ、畠委員がおっしゃられた透明性の意味なのですけれども、私は最近、トランスペアレンシーという言葉ほど透明性の言葉はないと思っていまして、これほど濫用されていて、いろいろな多義的に使われているものはないので、透明性という言葉については相当注意してかからないと、一体それは何を意味しているのかというのは本当に注意してこの言葉を使わないと、マジックワードで使って実はみんなが考えていることと違ったり、あるいはちょっと面倒くさいからとりあえず透明性と言っておけというような感じが最近いろいろなもので見えるので、透明性という言葉は気をつけたほうがいいというのは、本当に今、思いました。

○中田座長 前田委員、どうぞ。

○前田委員 もしかしたら論点2につながる話になるところがあるかもしれないのですが。

○中田座長 結構です。どうぞ。

○前田委員 そうしたら2のところのコメントとして入れていただければと思うのですが、話が大分認証等から離れて消費者教育というところに戻るのですけれども、大手であるとか認証があるというもの以外に、それこそ、例えば、キャンセル規定についてちゃんと見るとかいうところは、消費者教育の中で今後、今までは例えば生鮮品を買うときでも牛乳を買うときにも、皆さん賞味期限とか消費期限を見ますよね。それは一般的ですよねというのと同じように、今までオンラインによる取引というのが今後新しく入っていって、それによって新たに消費者にとっての常識、例えば、オンライン取引をやっていくに当たって、少なくともこれは見ていく必要性があるというようなことを消費者教育の中で少しずつ入れていく。そして、例えば、物を買うときには賞味期限を大抵見るよねと。明らかに切れているものを買いに行って、切れているからといって後からスーパーに行くということはないというのと同じように、最低限この事項について見ていくべきだよねというのを、事業者と対話をしながらどういう事項に見ていくのかというのはすごく重要だと思うので、そこはどれが重要なのかという対話は必要だと思うのですけれども、そこについて消費者教育の中で少しずつこれからの教育においてはオンライン取引が広くなっていく中で、そこは周知ないし教育をどんどん徹底していく必要性があるかなと、そこのマインドシフトというものは必要になってくるかなと思います。

○中田座長 生貝委員、お願いします。

○生貝委員 今おっしゃったことはすごくそのとおりだと思っていて、例えば、オンライン取引、多くはおそらくシェアリングエコノミーと呼ばれる中にというか、完全に包含されるであろうことについて、シェアリングエコノミー検討会のほうでも、今このプラットフォーム向けのガイドラインや認証制度やこれを守ろうというのはあるのですけれども、まさに利用者に向けて、例えば、それがどういうもので、ここに気をつければ安心して使えるといったようなガイドブックみたいなものは、私が知る限りございませんというときに、私も学校の先生をやっているとこういうものを安全に使うにはどうすればいいんですかとか、例えば、知らない人の車に乗って大丈夫なのですかとか、そういったようなところを含めて学生からすごく聞かれるのです。いろいろと、例えば、シェアエコの認証制度をある程度参考にするであるとか、レビューをちゃんと見るとか、いろいろなことを言うのですが、これを読んでおいてくださいという簡単なパンフレットがあるだけでもかなり違うと思うのです。そこをぜひ積極的にお考えいただきたいなと思っているところです。

○中田座長 石原委員、お願いします。

○石原委員 先ほど少しお話が出ましたので、利用者側のガイドラインという意味ですと、うちの協会も今まさにそのドラフトをつくっているところではあります。どうつくるかというのはなかなか難しくて、シェアリングエコノミーはかなり特殊な世界で、提供者側にいわゆるコミュニティーみたいなものがあって、一番の代表例はAirbnbさんがコミュニティーというものを無限につくって、そのコミュニティー内でノウハウも共有し合って、どうやったらホストの人たちがゲストをよりよくもてなせるのかというところで自発的に始まった取組が、ホストコミュニティーの中でマニュアルみたいな形で出回って、出回るという表現はよくないですけれども、皆さんが考えたガイドラインみたいなものがかなり有効に機能したというのを我々も見ていて、シェアリングエコノミーの世界ではこれはかなり有効なのではないかということで今、我々も今年9月から個人会員というか、我々はもともとプラットフォーマーと大企業の賛助会員という形で協会を運営していたのですけれども、提供者も利用者も含めた個人の人たちもぜひ協会に入っていただいて、より世界をよくしていきましょうという設計でやっていく中で、提供者の方々、SHARING NEIGHBORSと言っているのですけれども、その提供者のいわゆるセミプロではないですが、個人の方々でかなりスキルシェアのみで生活をしている方等、いろいろな方がいらっしゃって各プラットフォーマーの有名な方々等を集めて、スキルシェアであればこういうところに気をつけたほうがいいとか、それはホスト側、ゲスト側、両方こういうところに気をつけて市場に参加していくべきなんだというところを今、4から5か月前ぐらいからつくり始めて、大体ひな形ができてきたようなところですので、先ほど生貝先生がおっしゃっていたようなガイドラインというのは、我々の協会の中で今、試案としてつくっているものですので、そういうものをお示ししてもいいのかなと思っています。

○中田座長 今の議論は、事業者というよりは認証システムを運営している事業者、事業者になるのですかね。協会がそういったものを提供していくという意味があるということですね。

○石原委員 そうですね。そういう意味では事業者側というよりは、業界団体としてそういう取組をしているということになるのですけれども、ほかのオンラインプラットフォームにどう適用していくかというのは非常に悩ましい問題ではあると思うのですが、一つ有象無象のいる、たくさんトラブルも発生しやすいのではないかと思われている業界においては、そういう取組がなされているという一つの事例として御認識いただければと思います。

○中田座長 ありがとうございます。

いかがでしょうか。プラットフォーム事業者サイドとしてもう言い尽くしたということであればあれですが。片岡委員、どうぞ。

○片岡委員 今、話していることを実現すると、前に出てきたトラブルが解決できるのかというところは、時々振り返りたいと思います。突き詰めると、怪しい事業者では買い物をしないほうがいいということになる可能性もあって、モールがいろいろ取組を行っていても、関係がなかったということになってしまうととても残念なので、今、解決しようとしているトラブルは何だったのかというのは、時々振り返ったほうがいいかと思いました。

○中田座長 ほかにいかがでしょうか。消費者教育を誰が行うのかという、先ほど透明性は難しいという話で、確かにそういうところもあるのですが、情報をどういうふうに提供していくのかという、その情報提供の仕方によって消費者はそれを受け取って判断をしていくことになりますので、消費者は勉強しなさいということだけではうまくいかないだろうと思いますし、また、その根底にあるようなシステム、利用者が使いやすいシステムを提供しておかないといけないのではないかと思っていまして、それをどういうふうにバランスしていくかというのはすごく難しいかなと感じています。

一つの例なのですけれども、例えば、安く電車のチケットを予約することができる。それはキャンセルすることができない。ただ、安く乗りたい。でもそれを取ってしまったらキャンセルできないので全額が乗れなかったときには戻ってこない。その中でいつの間にか保険がついていて、例えば、1,000円を払えば、これは外国の話なのですが、5ユーロ払えばキャンセルについての保険がついていて、100ユーロとか損失を被らなくても済むというようなやり方もあるわけです。だから、日本ではそういう形でのキャンセルはあまりないのかもしれませんが、どうやってシステムをつくるかによって事業者が利用者に求めるものも変わってくるのかなと考えています。だからそのあたりもできればこの論点の中には含めて議論していく必要があるのかなと思っております。

あまりこの点については意見がないようでしたら。

○早川座長代理 ちょっといいですか。先ほど片岡委員のおっしゃられた、どういう問題を解決するために、我々はこの議論をしているのかというところを常にチェックし続けるというのは非常に重要だというのは、全くおっしゃるとおりだと思いました。

ただ、結論的に悪質な事業者やプラットフォーマーを使わないようにしましょうということになると思うのですけれども、問題は、消費者はどれが悪質なのかそうでないのかが分からない場合があるということです。それは先ほど前田委員もおっしゃいましたけれども、大手だからということではなくて、多分ちゃんとしたことをやっているから悪質な事業者ではないということなのだろう。そのちゃんとしたことをやっていますというのをどうやってちゃんと伝えるか。伝える方法として仕組みができれば、そうすると悪質な業者は排除できる。だからそうすると長期的には今、我々が最初に課題になった、こういう問題が起きたら困りますよね、こういう問題を解決しなければいけませんねというところが、回りくどいのかもしれませんが解決される。多分そういう仕組みで我々は今こういう議論をしているのだと思いました。

あと2番との関係で言うと、もう既に申し上げて、しかも大森先生もいなくなってしまったのであれなのですが、利用者に求めるというか、利用者にどうあるべきかというのは、利用者に幾ら言ってもしょうがないので、利用者教育あるいは消費者教育をどういうものであるべきだったか、あるいは今後どうあるべきかというところの話だと私は思っていまして、そこは既に大森先生と先ほど議論があったように、今までの消費者教育と少し違う形の、例えば認証みたいなものはどういう機能を果たしていて、どうして重要なのかみたいなところをちゃんと伝えたりとか、あるいは先ほどからあるMOUみたいな仕組みがどういう意味を持っているかみたいなところを消費者教育の中に入れていかないと、いつまでたっても今の状況は変わらないということだと思いますので、その辺は私にとっての2番ということになるかと思います。

○中田座長 ありがとうございました。

認証システムというのは、その情報だけで事業者を信用することができて、約款とかいろいろなサービスの問題点を、それによって合理的なルールなのか解決なのか、それを導けるということが安心感につながることになりますね。全部約款を読んで、自分に不利なことはないかなということを誰も普通は考えないので、ある程度合理的に処理してくれたらいい。そういった安心感につながるのかなと思います。

ほかはいかがでしょうか。それでは、これも今日だけで議論が尽きるわけではないのですが、3番目の論点でもし何かございましたらぜひ御意見をいただければと思います。

それでは、片岡委員、お願いします。

○片岡委員 事業者や第三者機関がプラットフォームを認証するというやり方もあると思うのですが、商品テストの仕組みのように、例えば、消費者団体が幾つかプラットフォームを一定の観点で比べてみた結果、ここはこうだったけれども、ここはこうだった、というような結果を出したりするのは、日本だとそんなに難しいのでしょうか。そういう仕組みがあってもいいのではないかという気がします。

○中田座長 海外だったら携帯電話の事業者を事細かく比較して、どこにどのような利点があって、短所があるのかということをやっている場面がありますけれども、日本ではどうですか。森委員、お願いします。

○森委員 日本も携帯の事業者については総務省がやっています。ミステリーショッパーをやって説明事項をきちんと説明しているか等、専ら説明事項なのですけれども、実際に成約の直前までやってみてどうだったかということをかなり大規模にやって、毎年毎年評価していて、できていなかったら行政指導するということをやっていますので、そういうことは考えられなくはないと思うのですが。

○中田座長 今の議論の中で、そういう説明を必ずしなければいけないということになっているというのは、大きなコストになるのではないかと思うのですが、それはどうなのですか。

○森委員 そうですね。最近、回線契約と端末の分離みたいなことが大きく報道されていますが、携帯電話とこういうモールの非常に大きな違いは、料金とか契約の複雑さが全然違うのだと思うのです。やはりスマートフォンは非常に難しい。パッケージも割引も期間拘束も非常に難しいのですけれども、片やこちらは、このトイレットペーパーは幾らかということで、それだけなので、それがある種の消費者による選択の可能性をつくっていて、それがある種の競争環境を発生させているのだと思うのです。つまり、値段の比較だけではなくて、それ以外のところでどう楽しく安全に買い物をしてもらうかということを、皆さん工夫されているのだと思うのです。なので、説明事項の問題ですとか、電気通信事業者で問題になっているようなこととは少し場面が違う。例えば、ミステリーショッパーはどこまでやるかというと、契約する直前のところまでやるわけですけれども、契約する直前のところってすごい長いのです。モールで契約する直前のところまでやりますといっても、ほとんどないですよね。そういうビジネスモデルの基本的な違いがあるので、統制の手法もおのずと変わってくるのかなと思います。

○中田座長 生貝委員、どうぞ。

○生貝委員 まさしくそういう仕組み、特にアメリカなんかですと大学の研究者ですとか消費者団体等を含めて、プラットフォームのレーティングというのはやっているところなのですけれども、なかなかこの国柄というのもあるかなといったときに、個人的にこれも先日のクリストフ・ブッシュ先生のお話のところで出てきた、今年4月にヨーロッパでplatform economy observatoryという組織を独立の研究者15人からなる、ブッシュ先生がその筆頭なわけですけれども、つくって、そこがまさしく専門的なアルゴリズムの検証ですとか、そういったようなところを含めてのまさに第三者的な評価をちゃんとしていくという機能を持っているのかなと認識しているところです。そういったような、結局のところ独立した誰かが独立した評価をちゃんとやるということが重要なのであって、そこに対する行政の支援ですとか仕組みといったようなことも様々考える価値があるのだろうと思います。

○早川座長代理 今の点ですけれども、認証のときのポイントはどこにあるかというと、まさに今の第三者が評価して、その評価の結果を分かりやすく伝えるということなので、その方法として、別に認証という名前ではなくていいのですが、第三者がそのような何らかのテストをして、その結果としてこうなりましたというのは一つの在り方だと思いまして、私はそういうものがあるのは全面的に賛成で、でもやり方もそんな難しいものではないと思って、ランダムに例えば100個ぐらい何か物を買って、万が一トラブルがあったときにどういう対応を、例えば、プラットフォーマーがしているのかというようなことを見るだけでもある種の審査になって、その情報が透明性を持ってレポートとしてまとめられれば、それはそれで一つの指標ですね。ただ、100個が母数だともしかしたらアクシデンタリーにたまたまということもあるので、そうすると、そこがなかなか悩ましいところで、洗濯機だと100万回回せますけれども、そうでないと100万個買うのは財政的に大変なので、そこが少し限界かなと思います。

○生貝委員 全くそのとおりで、結局のところやっていることは評価なので同じなのですけれども、私も認証システムを微妙にお手伝いして改めて感じたのは、基本的に認証のシステムというのは基準に適合しているかどうかということを判断するところということもあって、その過程で例えばこういう評価が出たとか、こういう取組をやっていたという情報をセットで出すというのがなかなか仕組み上どうも難しいといいますか、必ずしも合わないところがどうもあるということを私も最近改めて認識しまして、そういう意味で言ったとき、やはりそれは認証システムというところとまた並行して、まさしくそういったきめ細かな評価をどうしても認証だと基準に適合していたか、そうでなかったかというゼロイチの判断をするのがあそこの仕事となるので、いろいろなそれだけでは見えない部分というのはあると思います。

○早川座長代理 それはデジタル的な認証もありますけれども、そうすると判断権者と裁量権が入れていないかという問題はあるにしても、そうではない在り方もあると思いますので、必ずしもそれがゼロヒャクだけが認証で、だから認証がということには必ずしもならないのではないかと思いますが、もしかしたら間違えているかもしれません。

○生貝委員 私もそれは反対です。

○中田座長 石原委員、お願いします。

○石原委員 ちょっとだけ補足させていただくと、シェアリングエコノミーの認証は生貝先生がおっしゃるとおりゼロかヒャクかで認証するかしないかなのですけれども、認証しないと決まったときは、ここをこうやらないと認証しませんというお話をして、留保という形で基本、認証のシステムに入ろうとしてくれているやる気のある非常にすばらしい事業者だという前提で、ここをこうやっていただかないと認証はできませんということで、それが解決すれば次回で認証しますという形になっているので、もうあなたのところはだめだから帰ってくださいとかいうことではないという、そこだけ補足させてください。

○中田座長 少し疑問があるのですが、プラットフォームで価格を比較するときに、その値段のつけ方とか、そういうものは認証のシステムの中では出てくるのでしょうか。例えば、アルゴリズムで最後の商品1個になったら3倍ぐらいの値段につけるとか、そのようなものも評価の対象になるのでしょうか。

○早川座長代理 それはプラットフォームが決めるのですか。

○中田座長 個々の事業者が決める場合もあるし、そうでない場合もあるように思います。例えば、商品の購入の時に、該当する商品が1個だけ出てくるケースと、複数の事業者から幾つかの商品が出てくるようなケースがあるのですが、例えば、消費者としては最後の1個になっていて、それが3倍ぐらいの値段になっているところを見せられるとします。ところが、それは次の納期があれば、普通の値段に戻るという情報はもらえずに、そういった情報だけしか出てこないような場面です。そのようなものは評価のときなんかに出てくるのでしょうか、値段のつけ方みたいなものなのですが。

○生貝委員 まさしく今、非常にそういったプラクティスが様々試みられているところかなと思うのですけれども、おそらくその是非であるとか、そういったようなことを評価することには、必ずしも認証システムという形ではないのかなと考えているところがあります。

そして、これは先ほどから私がいわゆる認証システムとMOU、宣言、そしてそれをどう守っているかをちゃんとオープンに検証するというところを分けて申し上げているのは、特に後者の非常に社会的な影響力の高い方々に関しては、そういうところまでをしっかりとやるやらないというよりは、そういうことをするときはちゃんと消費者に対してしっかりと説明をするというくらいまでのレベル感のことを約束していただいて、そしておそらくそこが本当にその約束が守られているかどうかというのは、専門的な研究者がそれこそミステリーショッパーといいますか、様々なテストをやってみて検証したりする必要がある。なのでまさに高度に技術的なこと、しかも規範的にそれがよいのか悪いのかという判断自体がまだ存在していないということに関しては、まさしく高いレベルで求められること、そして専門的かつオープンな検証に委ねられるべき課題なのかなと私自身は感じているところであります。

○中田座長 おそらく普通の店だと、最後の1個になったからといって、上記のようなケースでは3倍の値段にはしないだろうと思うのですが、ただ、ネット上はそれが当然のように行われている現実もあるわけです。

○生貝委員 それはちょっとセンシティブな問題です。

○片岡委員 基本的に商品の価格というのは、販売事業者が自由に決められるものになっています。需要と供給の問題なので、当然、価格は自由に決められるものですが、問題になることがあるとすればそれは法的な問題ではなく、社会的な評価という面の問題です。例えば、震災のときに電池の値段が大幅に上がるとか、あるいは大雪になったときに除雪するためのスコップの値段が上がるとか、そういったときに社会的な批判を受けることはあると思います。ただ、それを自動的に吊り上げるのが当然の商慣行ではありません。ごく一部の事業者がたまにやってしまったりすることはあるのですが、それが当然のように行われているというようなことは全くないです。

○中田座長 消費者に対しては、そういった緊急事態というか、資源を、台風であったりとか、買い過ぎて買いだめしてはいけないというようなことが、消費者としての合理的な行動として求められています。他方で事業者においてそういう値上げが当然のように起こると消費者は買いだめしようとか、一挙に買おうとかするわけで、そういったことについてのルールも必要なのかなという気はするのですけれども、そうではないのですか。

○片岡委員 そこに踏み込んでしまうと、かなり市場の原理というものを統制することになりますので、それはかなり危険な議論ではないかと思います。

○生貝委員 それに関しまして、まさしくダイナミックプライシングという名称でもって、非常に様々各国の消費者当局等でも議論は激しいところでございまして、そのあたりが、例えば、当然個人データですとか、そういったようなところのプロファイルしたアルゴリズム等も活用して、様々な形で利用するのか、あるいはより一般的なアルゴリズムの透明性はどこまで確保されるのかといったような、まさに非常に先端的な課題に今、存在するところで、ただ、これも今年やるのはすごく難しい課題なのかなというふうにも、まさに先ほどのplatform economy observatoryはそういったような問題も検証の視野には入れているようではあります。

○早川座長代理 私は一消費者なので感覚的にしか申し上げませんけれども、よくあるのは、例えば、飛行機のチケットのラストミニッツで安くなるけれども、人気のあるものだと早い段階でどんどんなくなっていくから下げられないというようなことはよく見られると思いますが、少なくなったらむしろ上げるというのは、多分、仕組みとしては全部売り切る前に売り切ったといって、別に出品か何かするときに今度は高い値段でやるとかいうのはあり得るかもしれませんけれども、それも需要と供給で売るほうのことがどこまで売れるか考えて判断しているところなので、そこまで踏み込むのは今の私が知識不足なのかもしれませんが、すごいちゅうちょがあるような気がします。しかもそれはそもそもプラットフォーマーの問題ではなくて事業者の問題で、その事業者のある種、自分たちの利益を得るためにどういうふうな販売作戦をとるかというところに、プラットフォーマーがどこまで介入してくるかというのは、まさに先生おっしゃられたように、今までの話と少し違う一つレベルが上がった話なのかなと思っていて、今、我々の手に余る感じがします。

○森委員 それはプラットフォーマーがプライシングする場合なのではないですか。だからライドシェアのように時間帯とか場所とかの状況で、あるいは自動的にそれこそアルゴリズムで決めるわけです。今、我々が念頭に置いているのはモールとかC to Cオークションだから、それは出品者が決めるということでまた違う。

○生貝委員 おっしゃるとおりで、プラットフォーム側がそれを決められるということが前提になります。ですが、例えば、この人は様々な個人情報をもとに、これまでの購買履歴等をもとにプロファイリングしてみた結果、この本はほかの人よりもこのくらい高い価格で買ってくれる蓋然性が高いであろうとか、これは本当に十数年前から某大規模書店、オンライン書店等で社会的な問題になってきたところではあるのですけれども、例えば、プライスを決めなくて、プライスのほかにもクーポンを何円分出すとか、そういったような様々なコントロールの仕方があるのかなと。

○早川座長代理 私は必ずしもいろいろな問題があるので、なかなか簡単に言えませんというのが議論をおくらせるのであまり好きではないのですけれども、この問題に関して言うと、プラットフォーマーが価格を決められるようなプラットフォーマーと、そうではないプラットフォーマーがいて、我々は後者をメーンに今まで議論してきたけれども、前者みたいなものもあるけれども、それを後者と一緒に議論できないというのは確かだと思うので、どちらをメーンにターゲットに今まで議論したかというと後者ですから、そこは先ほど申し上げたように、また一つ違う次元の世界に入ってきているのではないかと思います。

○中田座長 まだ3番目の議論は十分に尽くせていないのですが、時間が既に来てしまいました。次回以降も、ヒアリングをしながらこういう形で議論し、更に検討を進めていきたいと思います。


≪3.閉会≫

○中田座長 今日も長時間ありがとうございました。事務局から何かありますか。大丈夫ですか。では、これで閉会にしたいと思います。ありがとうございました。

(以上)