第1回 オンラインプラットフォームにおける取引の在り方に関する専門調査会 議事録

日時

2018年5月15日(火)14:59~17:04

場所

消費者委員会会議室
東京都千代田区霞が関3-1-1 (中央合同庁舎第4号館8階)

出席者

【専門委員】
中田座長、生貝委員、石原委員、大谷委員、片岡委員、早川委員、城委員、西村委員、畠委員、原田委員、前田委員、森委員、山本委員
【消費者委員会担当委員】
池本委員長代理、大森委員、蟹瀬委員、鹿野委員、樋口委員
【事務局】
黒木事務局長、福島審議官、丸山参事官、友行企画官

議事次第

  1. 開会
  2. オンラインプラットフォームにおける取引状況等
  3. 今後の進め方について
  4. その他
  5. 閉会

配布資料 (資料は全てPDF形式となります。)

≪1.開会≫

○友行企画官 それでは、時間になりましたので、始めさせていただきます。

本日は、お忙しいところをお集まりいただきまして、まことにありがとうございます。ただいまから、第1回「オンラインプラットフォームにおける取引の在り方に関する専門調査会」を開催いたします。

最初に、配布資料の確認をさせていただきます。お手元にお配りしております資料は、配布資料一覧のとおりとなっております。もし不足がございましたら、事務局までお申し出いただきますようお願いいたします。

本専門調査会の委員は、設置・運営規程第二条第2項の規定に基づきまして、消費者委員会の高委員長から指名されておりまして、参考資料1のとおりとなっております。

座長につきましては、同条第3項の規定に基づきまして、去る4月24日に消費者委員会の高委員長から指名された中田邦博委員に務めていただくことになりました。

なお、本専門調査会設置・運営規程第六条各項の規定のとおり、会議は原則公開となります。本日の会議も公開とし、議事録も後日公開することとなります。

それでは、ここからは中田座長に議事進行をよろしくお願いいたします。

○中田座長 このたび消費者委員会の高委員長からの指名を受けまして、本専門調査会の座長を務めることになりました中田と申します。よろしくお願いいたします。

後で各委員の先生方には自己紹介をしていただくのですけれども、私から簡単に。

私は、龍谷大学法学部で民法、消費者法を教えております。特に消費者法関係では、かなり以前となりますが、経済企画庁での消費者契約法の見直しの議論の委員会に参加し、その後は、数年間になりますが、河上先生が座長を務めておられました「消費者契約法の見直しに関する専門調査会」の委員も務めさせていただきました。ただ、調査会の座長を務めるのは初めてですので、十分に議事進行に慣れていないところがあるのではないかと思います。その点は、皆様の御協力をぜひ賜ればと思っております。

今回、プラットフォームにおける取引の在り方についての専門調査会で座長を務めるということで、挨拶も兼ねて、少しだけプラットフォームビジネスについて考えたところをお話ししておきたいと思います。まず、プラットフォームというビジネスモデルについてですが、日本だけではなくて、世界的に非常に発展を遂げているのではないかと思います。インターネットプラットフォームでは、販売・物流において、簡単に言えば、イーベイとか、アマゾンなど、あるいは旅行のサイトや、食品のデリバリーシステムも展開しています。サービスについては、とくに運送で言えばウーバー(Uber)とかもあるわけです。最近はネットバンキングも様々な形で展開をしています。このようにみれば、様々な領域でプラットフォームビジネスが展開しているといえると思います。

プラットフォームエコノミーの成長というのは、既存のマーケット、とりわけ製品、サービス、さらにはビジネスのプロセスの在り方についてはデジタル化が進んでいますが、それとも密接に関連しています。そこでは、昨日やっていたことと今日やっていることが違うという著しい進歩もみられるわけです。既存のビジネスモデルにとって大きな挑戦というか、また改革をもたらすと同時に、そうしたビジネスモデルの規制に関する議論も見られるところです。これは日本だけでなく、世界的にそうではないかと思います。

このように、いわゆるプラットフォームが市場の中で大きな役割を占め、またその相乗効果やネットワーク効果というものが出てくることになります。そうした場面では、市場における競争状況に対する懸念も出てきますし、またプラットフォームが労働法の問題なども生じさせる可能性もあります。

さらに、私たちが一つの課題としている消費者法の観点からの検討という点で見れば、既存の消費者法の規制が、このプラットフォームのビジネスモデルに十分対応しているのかどうかも問題になっていると思います。

プラットフォーム自体の考え方は全く新しいものではなくて、昔からオークションでの中古品の取引などオンラインマーケットでやっていたものもありますが、インターネットの技術的な展開というのは、それを更に飛躍的に進歩させたのではないかと思います。オンラインの小売店というのはデジタルプラットフォームへ展開していますし、現在の銀行取引の先端ビジネスもまさにそういうものでしょう。アマゾンの現在も一つの大きな発展の象徴になっているのではないかと考えています。インターネットを通じて様々な形でマーケットが広がって、そこで扱われる対象も著しく広がっているのではないかと考えています。そこで、本調査会では、そういったマーケットにおける問題点はどういうものなのか、それが私たちの消費生活にどのような影響を与えているのかということを取り上げていきたいと考えています。

例えば単なる売買を想定しても、もちろんそこでも販売者という仲介者がいるのですが、それとは異なって、インターネットという場面では、目に見えない形で、いわば背後で、そのマーケット全体を支えている、そういう存在があると思います。これについては後ほど、事務局のほうから説明があるかと思いますが、つまり、売主-買主という関係だけではなくて、オンラインプラットフォーム運用者という名称の主体がそこに密接にかかわって「市場」が成立しているところに特徴があります。そこで、このような関係において、つまりインターネット上での取引でどのような問題が生じているのかということを検討していきたいと思います。

以上、私のほうからの挨拶として簡単にお話をさせていただきました。次に、座長代理を指名したいと思います。本専門調査会設置・運営規程第二条第4項において、座長に事故があるとき、欠席その他ということですが、その場合には専門調査会に属する構成員のうちから座長があらかじめ指名する者がその職務を代行するということになっております。

私としては、早川吉尚委員に座長代理をお願いしたいと思います。早川先生は、今日は御用事がありまして、少し遅れて到着されますが、到着次第、御挨拶をお願いし、座長代理をお願いしたいと思います。この点は御了承いただければと幸いです。

本専門調査会については運営規則がございまして、参考資料2「オンラインプラットフォームにおける取引の在り方に関する専門調査会 設置・運営規程」を御覧いただき、また、参考資料3「下部組織の会議運用の在り方に関する申し合わせ」に基づいて運営をしていきたいと考えております。

これらの内容について、御質問等はございますでしょうか。

続きまして、今回、いろいろな分野で活躍されている皆様に本専門調査会の委員を引き受けていただきましたので、ぜひ御紹介させていただきたいと思います。恐縮ですが、簡単に自己紹介をお願いしたいと思います。

まず、生貝委員から順番に1分程度でお願いしたいと思います。

○生貝委員 ありがとうございます。東洋大学の生貝直人でございます。

私が専門としておりますのは、まさにこういったプラットフォームに関わる法政策やガバナンスの在り方に関わる、特にヨーロッパやアメリカ等との国際比較です。

もともとプラットフォームビジネスの在り方について主に関心を持って研究してきましたので、バランスのとれた法政策の在り方をどう考えていくかということを本調査会におきましても、私自身、貢献できればと考えております。

様々論点はあると思うのですけれども、今回2点、私が関心を持っている関係で申しますと、プラットフォームに関しては、日本国内だけの状況というよりは、完全にグローバルな状況というものを前提にしなければならない。法であれ、あるいはソフトローであれ、ルールを実効的に適用していくためにどういったことを考える必要があるのか。あるいは、今、ヨーロッパのほうでも、今年度に入ってからも消費者保護の観点を含めたプラットフォームに関する法政策の大変大きな動きというものが起こっている中で、それをどのように考えていくのか。

もう一つが、私はもともと自主規制と国の法律を組み合わせた共同規制という方法論を研究してきているのですけれども、このプラットフォームの分野は非常に動きが速い、ダイナミックな状況の中でルールが必要だというときに、法律で細かいところまで決めることがどこまで可能なのかということが常に問題になる。プラットフォーム事業者の自主的な取組を促進していくような制度、政策の在り方はどういうものなのかといった、メタな政策の方法論という観点からも考えていく必要があるということを感じているところです。

○中田座長 ありがとうございました。

今、早川先生が到着されましたので、御挨拶をお願いしたいと思います。

○早川委員 立教大学法学部の教授で、弁護士もしております早川と申します。どうぞよろしくお願いいたします。

私は国際私法が専門でございまして、クロスボーダーな問題に対してどのように対処していくかというところについて研究している学問分野でございまして、弁護士として、あるいは実務家としてもクロスボーダーな案件に関与しているということでございます。

今回の問題との関連ですと、今、消費者庁あるいは国民生活センターのほうで、越境、クロスボーダーの消費者紛争に関しての紛争解決のためのスキームというものがつくられておりまして、そちらのほうの監督的な立場の委員を務めさせていただくと同時に、経済産業省のほうでは、もうお話があったかもしれませんが、電子商取引準則というものがございまして、そちらの作成に当たる産業構造審議会のもとの小委員会の中のメンバーを務めております。その関係で本日こちらに委員として加わることができたかと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。

○中田座長 ありがとうございました。

それでは、石原委員、お願いいたします。

○石原委員 石原遥平と申します。私は、一般社団法人シェアリングエコノミー協会の事務局として参加させていただいております。

もともと所属は株式会社スペースマーケットというシェアリングエコノミーの一つ、空間のシェアをしている会社の社員、インハウスロイヤーとして働いているのですけれども、代表者がシェアリングエコノミー協会の代表理事をしている関係で、シェアリングエコノミー協会の事務局としても参画させていただいています。

先ほど生貝先生からもお話がありましたが、共同規制という枠組みの中で、プラットフォーマーがどう自律的に行動しているかということを受けて、我々協会のほうでは、内閣官房IT総合戦略室と一緒にモデルガイドラインを策定した上で自主ルールを策定して、シェアリングエコノミー認証制度というものを昨年から始めております。そういったもののお話もさせていただくことができるかなと思っております。

我々プラットフォームとしては、消費者の皆さん、特にシェアリングエコノミーについては、CtoCと言われる、提供者側も利用者側も両方とも消費者というところが特徴かと思うのですけれども、そういった消費者の方々のリテラシーを高めるというところも含めて、我々協会として何ができるのかというところを常に考えながら、この1年間、2年間走り続けているという状況でございます。若輩者ではございますけれども、どうぞよろしくお願いいたします。

○中田座長 ありがとうございました。

続きまして、大谷委員、お願いいたします。

○大谷委員 一般財団法人日本消費者協会の相談室を担当しております、消費生活コンサルタントの大谷といいます。

私は、消費者協会の相談室のほうの相談も担当しておりますが、普段は港区の消費者センターで消費生活相談員として毎日相談業務をさせていただいております。今回の調査会では、消費者の立場、消費者生活相談の現場の2つの声を意見として出させていただくように心がけていきます。今後ともよろしくお願いいたします。

○中田座長 ありがとうございます。

それでは、片岡委員、お願いいたします。

○片岡委員 楽天株式会社の片岡と申します。

私は、楽天に入社したのは10年ほど前なのですが、最初は楽天市場の出店店舗のパトロールとか、あるいは規約ガイドラインを整備するような業務をする部署にいた後に、今の渉外という部署で主に消費者政策を担当しておりまして、国民生活センターの方とか、あるいは消費生活センターの方、あるいは消費者団体の方などと意見交換をしたり、対外的に何か問題があるかもしれないと思った場合には、中に入って事業部にいろいろ改善をしてもらったり、そういう活動をしております。

また、消費者関係の政策提言なども担当しておりまして、オンラインプラットフォーム自体は昔からあるわけですけれども、今回こういった形で議論されるのは初めてだと思います。弊社もBtoCからCtoCまでいろいろな業種のプラットフォームを運営していて、それぞれかなり成熟した部分もあれば、そうではないところもあって、課題が異なってきていると思います。

皆様の課題認識などを伺いながら、業界としてどう消費者のために成長していったらいいか考えていきたいと思っております。よろしくお願いいたします。

○中田座長 ありがとうございます。

それでは、城委員、お願いいたします。

○城委員 株式会社メルカリの城と申します。よろしくお願いします。

私は、メルカリという、CtoC、個人と個人で物の売り買いができるプラットフォーム、マーケットプレイスを運営している会社から参りました。私自身、今、リーガルグループのマネージャーという立場で働いておりますけれども、実はお客様からの問い合わせとか、トラブルになった場合の相談といったことにも、たまにではありますけれども、対応しております。

全国の消費生活センターにも訪問させていただいたりしながら、そもそもプラットフォームといいますか、我々のメルカリの仕組みがどうなっているのかというところを知らないことでトラブルに巻き込まれている方もいらっしゃったりして、まず、正しく仕組みを知っていただくことで解決できることも多いのかなと思ったりしております。

我々のような事業者が成長していくためには、お客様の安心・安全が確保されていないことには、どんな便利なサービスであってもなかなか長続きはしないと思っておりまして、弊社としましても会社の経営方針として安心・安全の確保というのを掲げております。

そういった観点から、ますますこの業界といいますか、プラットフォーム事業者が成長していけるような、そういった枠組みといいますか、議論がこの会を通じてできればよいかなと思っておりますし、そこに少しでも貢献させていただければと思っております。どうぞよろしくお願いいたします。

○中田座長 ありがとうございました。

それでは、西村委員、お願いいたします。

○西村委員 公益社団法人全国消費生活相談員協会の西村と申します。

この協会は、各地の行政の消費生活相談窓口で消費生活相談を受けている者の団体です。私は、勤務先としては国民生活センターで勤務をしております。

仕事の内容ですが、消費者の方から直接相談を受けるのではなくて、各地の消費生活相談員から相談を受けるという経由相談という部署についています。ですから、比較的レアケースだったり、難しいケースの相談を受けることもあるのですが、その一方で、消費生活相談窓口というのは相談員が1人しかいないという体制もありますので、先輩の相談員がいなくてどうやったらいいかわからないというような相談員からの相談を受けるという仕事もやっております。なので、全国の消費生活相談員の気持ちを代弁するつもりで今回参加させていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

○中田座長 ありがとうございます。

続きまして、畠委員、お願いいたします。

○畠委員 ヤフーの畠でございます。

弊社では1999年にヤフーオークションというサービスを開始し、個人の方が商品を販売できる場を提供してきました。それからもう20年が経とうとしております。その後、様々な形態のプラットフォームができまして、素人としての消費者の方々が商品や役務を提供することが拡大してきました。

ここにきまして、働き方改革という文脈で副業・兼業が推進されておりまして、インターネットを通じて個人の方が商品・役務を提供することが更に一気に加速するのではないかと考えております。

その場合に、素人としての消費者の方々が自らサイトを立ち上げて、商品・役務を提供することには相応のリスクがあると思いますので、プラットフォームが重要な役割を担ってくると考えております。

ここでの検討が重要な意味を持つと思っておりますけれども、ここでやらなければいけないことは、素人としての消費者の方々にとって、商品・役務の提供が推進されるためには、どのような環境を整備しなければいけないのかということではないかと思っております。

本専門調査会での議論を楽しみにしております。よろしくお願いします。

○中田座長 ありがとうございます。

それでは、原田委員、お願いいたします。

○原田委員 ECネットワークの原田と申します。

我々ECネットワークは、トラブルなく安心して利用できるeコマース市場というのを目指して活動しております団体でございます。

我々ECネットワークがいろいろな活動をする中で、私自身は主に消費者の方からECやネットに特化したトラブルの相談を無料でお受けさせていただいております。私個人としてはネットのトラブルばかりを受けて16年ほどたちまして、そういった内容をいろいろな方面へ、企業さん、消費者の方、消費者団体の方、そういった皆様にアウトプットするようなことを主な活動としておりまして、年間90か所ぐらい講演活動をさせていただいております。

特に消費者の方は、個人間取引を含めて多様化するプラットフォームを利用される方が非常に増えてきたということで、そういった点ではプラットフォームはこれからも非常に発展するサービスだと思っております。

一方で、利用者の方もいらっしゃいますので、利用者の方、プラットフォーム事業者、どちらかに過度な負担がかかるようなサービスとかルールづくりは好ましくないと思いますので、そういったところでどういったルールや仕組みをこれから考えていかなければいけないのかということを皆様と一緒に考えたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。

○中田座長 ありがとうございます。

それでは、前田委員、お願いします。

○前田委員 アジアインターネット日本連盟の前田と申します。

アジアインターネット日本連盟というのは、国際的にインターネットビジネスを展開する企業の連盟で、15社から成り立つ連盟でございます。インターネットにおける自由で公正な情報の流通でしたり、日本において革新的なビジネス及びインターネット産業の健全な成長を行うために、連盟として政策提言などを行っている団体でございます。

その中で、ユーザーの保護や消費者保護というのは、インターネット取引の健全性を保護するために非常に重要なものだと思っております。AICJを構成する事業者を代表して、事業者の取組ですとか、あとは課題などをいただいたものについてフィードバックなどをさせていただければと思いますので、こちらでの議論を大変楽しみにしております。よろしくお願いいたします。

○中田座長 ありがとうございます。

それでは、森委員、お願いいたします。

○森委員 弁護士の森でございます。

私は、業務でSNSに誹謗中傷を書かれましたとか、モールでこんな物を売っているのですけれどもどうでしょうかとか、そういったことを扱っておりますので、それでお招きいただいたのだと思っております。

問題意識としましては、ECのプラットフォームは近時、消費者保護の仕組みをいろいろ取り込んで、これからお話が出てくると思うのですけれども、かなり消費者保護の仕組みを作りつつあるということもありますので、そのことよりはむしろ消費者のプライバシー、個人情報の保護が重要なのではないかと思っております。

もう一つ、先ほど生貝先生からもグローバルな状況のお話がありましたけれども、海外のプラットフォームが日本の消費者市場において非常に大きな存在感を示しておりますので、日本の消費者保護のルールを海外の事業者にも同じように適用していく、最近、一国二制度という言われ方をしておりますけれども、その問題についても非常に重要だと思っておりますので、そういった問題意識から発言をさせていただければと思っています。どうぞよろしくお願いいたします。

○中田座長 ありがとうございます。

それでは、山本委員、お願いいたします。

○山本委員 慶應義塾大学法科大学院で憲法を教えております山本龍彦と申します。よろしくお願いいたします。

専門が憲法ですので、あまりこの分野に詳しいわけではないのですけれども、プライバシーや情報法も多少研究しておりまして、この調査会に呼んでいただいたのかと思います。プラットフォームでは、購買履歴や閲覧履歴といった行動記録からユーザーの個人的な傾向を予測して、その人に合った商品を「おすすめ」するということも行われています。こういうプロファイリングについて、もちろんこれはユーザーにとって利便性もあるわけですけれども、他方でユーザーを誘導・操作するという側面も出てくる。Facebookの先般の事件もありますけれども、こうした秘密裡のプロファイリングがある種の権力性を持つこともあります。保有する情報量という点でも個人とプラットフォーマーとでかなり大きな隔たりや格差があるわけで、この権力性をどう統制し、プラットフォーマーの透明性を確保していくのかに関心があります。

例えば、中立的なニュースを装った「広告」もあるわけですね。フェイクニュースの一件もありますけれども、「流されやすい」人にそうした情報を見せることでユーザーの意思形成をゆがめることにならないか。あるいは「いいね」の数や星の数で商品の良し悪しを判断するわけですけれども、そこに適正さはあるのか。データという力をもったプラットフォーマーに対して、透明性など、どこまで適正な手続を要求していくのか、このバランスを考えていきたいと思っております。よろしくお願いいたします。

○中田座長 ありがとうございました。

多様な分野からの委員が集まっているということが、自己紹介を聞くだけでもわかるのではないかと思います。

本日、東京大学大学院経済学研究科教授の大橋委員、東京大学大学院法学政治学研究科教授の沖野委員が今日は来られていませんけれども、参加していただくことになっております。

また、本日欠席ですけれども、オブザーバーとしてカライスコス・アントニオス京都大学准教授に参加していただくことになっております。

また、この専門調査会には消費者委員会の本委員から、池本委員、大森委員、蟹瀬委員、鹿野委員、樋口委員にオブザーバーとして御出席をいただいております。もしよければ一言ずつ発言をお願いしてもよろしいでしょうか。

○消費者委員会池本委員長代理 専門委員の皆さんの中で活発に議論をしていただき、もし時間があれば何か発言するときもあるかもしれません。よろしくお願いします。


≪2.オンラインプラットフォームにおける取引状況等≫

○中田座長 引き続き、議事に入っていきたいと思います。皆さん、非常にスピーディーに、かつ示唆に富んだ内容のある自己紹介をしていただき、時間を有効に利用できました。それも踏まえて最初の議題ということで、「オンラインプラットフォームにおける取引状況等」について、事務局から資料1について説明をお願いしたいと思います。その後、皆様のほうからの御発言をお願いするという形で進行させていただきます。

○友行企画官 それでは、お手元の資料1を御覧いただけますでしょうか。表題として「オンラインプラットフォームにおける取引状況等」と書いております。

1ページ目、こちらは既存の資料でございますが、出展は下に小さく書いてございますけれども、「1 オンラインプラットフォームとは」ということでございまして、なるべく概括的な表をお示しするというところでございます。プラットフォームとは取引の基盤環境を提供する事業者でございまして、そこで提供されているサービスといたしましては、例えばこの表にございますように、検索、EC、コンテンツ、決済、SNS等、幅広いものが提供されているということでございます。

この資料につきましては出展が2016年1月時点のものでございまして、ここに書かれているものについては既にサービスの内容や形が変わっているものもあるということにつきまして御了承いただければと思います。

2ページですけれども、今回、専門調査会の表題にもなっておりますオンラインプラットフォームと、提供者、購入者等との関係を簡単に整理したものでございます。図で見ていただきますと、点線の囲みのところと、その中に、左側の上が財・サービスの提供者、右側の四角が財・サービスの購入・利用者、下に位置しているところにプラットフォーム、正確に言うとプラットフォーム運用者としたほうがいいのかもしれませんが、そういう関係になっているところでございまして、それぞれに売買契約とか利用契約等の何らかのルールがあるはずであるというのを図示しているということと、プラットフォームの運営者のところはBということでございますが、財・サービス購入・利用者の側はCというのが一般的だと思いますが、左側の財・サービス提供者のところにつきましてはBである場合もあれば、Cである場合もあるといったところが、今回のテーマとなっている取引の特徴の一つかと思われます。

3ページですが、簡単にオンラインプラットフォームに関連する市場における取引額の推移などを見たものでございます。BtoC-ECの市場規模等の推移でございまして、こちらの出展は下にございますように、「平成29年度我が国におけるデータ駆動型社会に係る基盤整備報告書」から引用させていただいているものでございますが、足元の2017年には16兆5,054億円ぐらいの市場規模になっているところでございまして、EC化率も折れ線グラフで図示されておりますけれども、5.79%で右肩上がりとなっているところでございます。

4ページですけれども、例えばシェアリングエコノミーの取引額の推移を見たものでございます。左側が主なシェアリングエコノミーの分類でございまして、物、空間、スキルや移動、お金といったものをシェアするという分類がされているところでございます。右側の棒グラフは市場規模でございますが、例えば2017年度、左から3番目の棒グラフを見ますと、直近のデータでは636億円ぐらいの市場規模が示されているところでございます。

5ページを御覧いただきますと、今度はフリーマーケットやオークション取引額の市場規模でございまして、左側のフリマアプリの推定市場規模のところでございますが、2017年では4,835億円という推計がなされております。右側のグラフはオークションの市場規模の推計でございますが、1兆1,200億円という推計額となっているところでございます。市場の規模感としては以上のようなデータが現在のところ示されているという御紹介でございます。

6ページ、7ページですけれども、これはいずれもPIO-NETから引っ張ってきたデータでございまして、例えばどのような相談が上がっているかというところを持ってきたものでございますが、6ページのグラフにつきましては、「インターネット通販」というキーワードで引っ張ってきたときにどのぐらいのデータが入ってきているかというところでございまして、全体の相談件数は足元では御覧のような数字になっております。

ただ、ここのインターネット通販といったものには様々なものが含まれておりまして、※印にありますように、サイトの利用料金やオンラインゲームのデジタルコンテンツに関する苦情なども入っているということや、必ずしもプラットフォームを介さない取引なども含まれているということに御留意いただければと思います。

7ページですけれども、こちらは「個人間売買」もしくは「インターネットオークション」というキーワードで引っ張ってきたものでございまして、こちらも留意点といたしましては、個人間売買につきましては、実態としては電子商取引以外のリアルの取引のデータも入っているところでございます。

資料1につきましては以上でございます。

○中田座長 引き続き、資料2のほうも御説明いただければと思います。

○友行企画官 引き続きまして、資料2を御覧いただけますでしょうか。「検討項目(案)」として、事務局からお出しさせていただいているものでございます。

1ページでございますが、問題意識及び検討対象(案)でございます。こちらの問題意識のところに○が3つございます。

1つ目の○でございますけれども、インターネット上のショッピングモールやマッチングサイト等、プラットフォームを介在する取引が拡大しているというところでございます。こうした取引には、BtoC型だけではなくてCtoC型のものもあり、また消費者が容易に財・サービスの提供者としても取引に参加することが可能となっているところが特徴でございます。また、評価・レビューとかレーティングといった仕組みが取引の重要な決定要因の一つとなっている点にも特徴かあるといったところが指摘されているところでございます。

2つ目の○でございますが、現時点ではこのような取引に関わる財・サービスの提供者、購入・利用者、プラットフォーム運営者がそれぞれどのような責任や義務を担うべきか、必ずしも明確にされていないところもあるのではないかというところでございます。このため、取引の素人としての消費者が財・サービスの提供者、利用者として、安心してこうした取引を利用することができるよう、ルールとか仕組みについて調査検討を行うというところを問題意識というふうに掲げております。こちらにつきましては、去る4月の消費者委員会の本会議で御議論されました問題意識でございまして、それを受けて専門調査会が立ち上げられたという経緯となっております。

その下の検討対象の案でございます。1つ目の丸ですけれども、インターネット上のショッピングモール、シェアリングサービスやオークション及びフリーマーケットなどを中心に御議論してはどうかというところが1つ目の対象の案でございます。

2つ目でございますが、財・サービス提供者とそれらの購入・利用者間の取引、BtoC、CtoC両方あるといったところでございますが、それとプラットフォームと財・サービスの提供者、それらの購入・利用者間の取引といった、三角形のそれぞれの間のところに注目して検討していってはどうかといったところでございます。

続きまして2ページですが、検討項目(案)といたしまして、例えば次の事項が考えられるということで、こちらに2つ御紹介しております。取引の素人としての「消費者」が財・サービスの提供者、購入・利用者として、生命・身体、財産分野に係る安全を確保しつつ取引に参加できるよう、どのようなルールなどが必要かということと、それから、例えばルール、仕組みを保っていくために、財・サービス提供者、それらの購入・利用者、プラットフォームが果たすべき役割は何か、「等」といった形で、まず事務局から案として御提案させていただいているところでございます。

以上でございます。

○中田座長 ありがとうございました。

それでは、先ほど説明のありました資料1、次いで説明いただきました資料2について、皆さんからの御質問、御意見を承っていきたいと思っています。その中で特に資料2につきましては、本専門調査会の問題意識、検討対象及び検討項目等についての案が挙げられていますので、それについても御意見をいただければと思います。

特に問題意識のところでは、オンラインプラットフォームを介在する取引の特徴等が挙げられています。オンラインプラットフォームや、その提供者の責任、あるいはマーケットルールというものを考えていくときに、必要であると思われるような検討項目がありましたらぜひ御発言いただければと思います。

確かに、オンラインプラットフォームという枠組みで考えますと、ありとあらゆることが入ってくるということにもなりかねないわけですが、専門調査会の限られた時間、リソースを使ってできることという制約から、特にインターネット取引、EC取引の分野を中心に考えていきたいと思っております。

それぞれの立場から検討すべき点等がございましたら、自由に意見をいただければと思います。それでは、よろしくお願いいたします。

森委員、お願いいたします。

○森委員 ありがとうございます。

座長の御意向と反するかもしれないのですが、検討対象についてのお話をさせていただきたいと思います。

資料1の2ページ目を御覧いただきますと、オンラインプラットフォームをこのように分かりやすくお示しいただいていまして、プラットフォーム上で参加者が財・サービスの提供者と財・サービスの購入・利用者に分かれて取引をするということになっております。確かに、資料1の3ページ目、次のページのショッピングモールもそうですし、4ページ目、シェアリングエコノミーもそうですし、5ページ目、フリマ、オークションもそうですし、それ以降も基本的にはそうだと思うのですけれども、これに限定をすると外れるものもあるのかなと思っております。

資料1の1ページ目を御覧いただきますと、上からGoogle、Facebookとなっておりますけれども、特にFacebook、あとSNS、それから動画投稿サイト、ユーチューブのようなものもそうかもしれませんけれども、これはプラットフォームであるというふうには理解されていると思うのですけれども、その上で何かしら取引が行われるものではないと思うのです。

もう一度2ページ目を御覧いただきますと、2ページ目ではピンクの提供者と緑の購入・利用者ということになっていますけれども、SNSのような動画投稿サイトでは、真ん中に「売買契約等」とありますが、売買契約が行われるわけではありません。提供者は、情報を書き込む、あるいは動画をアップロードする人ですし、利用者はそれを見ることによって消費をする。提供者と利用者というのは不断に入れかわりつつ、固定的な立場を持たずにこのサービスを利用するわけです。CGM(コンシューマー・ジェネレイテッド・メディア)という言い方も以前はされていたかと思いますけれども、そういったものも、特に先ほど申し上げましたプライバシー等の関係で、対象にしていただいてはどうかと思っています。

今、こちらの2ページ目で図示されているものが取引を前提とするプラットフォームですので、マッチングプラットフォームと言うことができるとすれば、マッチング型でないプラットフォーム、SNSのようなものもあるのかなと。そこで、Facebookのような大きな収益、これはやはりその背景に個人情報の収集と利用ということがあるわけですけれども、そういうことがあるのかなと思っております。

そのようなことからしますと、資料2の検討対象のほうも、これは時間が限られているということであれば難しいのかもしれませんけれども、資料2の1ページ目、検討対象の最初の丸はインターネット上のショッピングモール、シェアリングサービス、オークション及びフリーマーケットを中心にということで、これは全てマッチングプラットフォーム、プラットフォーム上で取引が成立するタイプのものでございます。しかしながら、私としましては、取引が成立しないもの、SNSのようなCGM型のプラットフォームも入れていただいたほうが消費者のプライバシーを保護するというような議論もできるので、そのほうがいいかと思いますので、御提案をさせていただきます。

以上です。

○中田座長 ありがとうございました。

お配りした資料は、検討項目を提案内容に限定するという趣旨で申し上げたのではなくて、提案という形で一応理解していただき、その点も踏まえて御自由に御議論いただければと思います。また皆様から頂戴した意見や提案については、事務局と一緒に整理して、検討課題や論点としてどういうふうに扱うのがよいのかいう視点で考えていくつもりです。

ほかにいかがでしょうか。では、城委員、どうぞ。

○城委員 今の発言に関連してですけれども、この検討会で議論すべきは、消費者の方が今どういったところで問題になっているのか、困っているのか、こういった観点からプラットフォーマーとしてどういうことができるのかを考えていくべきなのではないかと思っております。

そうすると、やはり森先生がおっしゃったとおり、もちろんここに書いてあるマッチングプラットフォームでも問題が起こっていると思うのですけれども、それ以外のところで問題が起こっていないのか、そういったところをしっかり見た上で、どこまでここで検討していくべきかというのを議論してもいいのではないかと思いました。

以上です。

○中田座長 ありがとうございます。

早川委員、どうぞ。

○早川委員 早川でございます。

私は、先ほど自己紹介で申し上げましたけれども、クロスボーダーの問題について扱うのが私の専門分野でございまして、その観点から、現在のオンラインプラットフォーム等を使った取引が国際的に拡大していって、それによって消費者がどのような状況に置かれているかについて簡単に御説明させていただいて、その上で今の問題についても言及させていただきたいと思います。

まず、私の専門は先ほど国際私法と申し上げましたけれども、簡単に言いますと、外国の企業から何かを買ったりするときには、そもそもどの国の法律が適用されるのか、これは国際私法という分野でございまして、仮に裁判をしたらどっちの裁判所でやるのかというところが出てくるわけでございます。

昔は、消費者は国際取引をしたくてもできないので、こんなことで悩む必要性はなかったのですが、インターネットを介して買い物ができるようになってしまいますと、相手が別にどこにいても構わない。ましてや、それが情報材だったりすると、送付自体も国際郵便等で送付する必要性もないので、そうすると全く国内でやっているのと国際でやっているのと変わらない状態で消費者は行動できるのですけれども、いざトラブルが起こったときに、法律はどうなのかとか、日本の消費者法は保護してくれるのか、あるいは裁判というときには一体どうすればいいのかというような様々な問題が起きまして、それが現実化しているというのが現在の状況と考えております。

これに対して、日本としても平成19年に法の適用に関する通則法というものをつくりまして、そちらの11条で、少なくとも日本の消費者については日本の消費者保護法が適用されるような形の法制を整えておりますし、平成23年には民事訴訟法を改正いたしまして、国際裁判管轄のルールを整備する中で、3条の4で、日本の消費者であれば日本で裁判を提起できるという形のシステムは一応整えております。

ただ、問題はこれでは全く何も解決しないというところでございまして、係争額が、これは統計にもよるのですけれども、消費者が買い物をすると平均で5万円以下というのが通常なので、5万円以下の紛争のために国際訴訟を起こして、外国法の適用とかそういった問題について争うかというと、普通はやらないので、結論としては泣き寝入りになってしまって、それは電子商取引業者、あるいはそれを拡大していくという観点からいくと、それが必要の頭打ちの要因になっているのが実情でございます。

そういった中で、現在、世界あるいは日本でどういうことが起きているのかと言いますと、紛争解決自体もオンラインで、しかもADR、裁判以外の形で紛争解決をする。それによって、国際的な移動とか、それに伴うコストとか、あるいは複雑な法の適用みたいな問題について回避して、効率的に紛争が解決できないかということで、様々な試みがなされております。

アメリカでは、民間のオンライン・ディスピュート・レゾリューション、ODRと言われますが、ODRの業者が幾つも立ち上がってサービスを展開しておりますし、ヨーロッパはどちらかというと国主導でございますけれども、古くからECC‐NETという形の同様のサービスを整え、さらには最近ではODRレギュレーション、ADRダイレクティブというものを整えて、よりステップアップした形のオンラインでのディスピュート・レゾリューション、紛争解決の仕組みをつくっているというのが実情でございます。

日本では、先ほどちょっと私、そちらに関与していると申し上げましたけれども、国民生活センターのもとでCCJネットという形のものが用意されておりまして、そちらのほうで海外との取引で紛争に巻き込まれた人に対して相談に乗りながら、外国の事業者、外国のオンライン・ディスピュート・レゾリューションの提供をしてくれるところと連携をとりながら、どちらかというと、アミカブルな紛争の解決を望んでいるということが実情でございます。

もう一つつけ加えるべきは、こうした中、世界各国でこのようなプロジェクトがいろいろ並行に走りますと、それを横で連携するというのが、それぞれ独自にシステムやルールをつくっていくのでなかなか難しいという問題がございます。

その中で、国連のUNCITRAL、国際商取引法委員会は8年ほど前からワーキンググループを立ち上げまして、UNCITRALのODRのルール整備というものを始めました。ただ、アメリカ型のルールと欧州型のルールの基本思想が異なっておりまして、その関係で2本ほど前にデッドロックが最後には対立になってしまい、ワーキンググループ自体が若干のプロダクツは生んだけれども、消滅するということになりまして、現在、欧州のほうではルール整備が統一する形で進んでいるのですが、それ以外の地域では進んでいないという状況にあります。他方で、APECのほうで今、欧州抜きで別に統一ルールをつくっていこうというような動きになっております。

こういう形で、現在、国際的な紛争に消費者が巻き込まれたときにどのような形で対応するかについて、様々な動きがあるわけですけれども、特に国連のUNCITRALとかAPECなどで考えられているのは、プラットフォーマーの方々がもしものときには紛争解決についても責任を持つか、あるいは責任を持つような業者に連絡するようにして、オンライン・ディスピュート・レゾリューションのODRサービスプロバイダと言われているようなところが、UNCITRALとかAPECのようなところの認証をもらって、そして責任を持って解決をするというような仕組みも考えられているところでございまして、この問題は今回のテーマであるオンラインプラットフォームというところと全く無関係ではないということが一つでございます。

ちょっと長くなって恐縮なのですが、今のは私法の話でございますけれども、公法分野でも実は国際的な適用が消費者がインターネット取引をする中で問題になっております。それはどういうことかと申しますと、経済産業省の中でも製品安全課のほうで特に問題になってきたのが、外国からオンラインでの通販などで、例えばそれを当てると失明してしまうようなレーザーポインターが輸入されてきたり、あるいはキャンプ用品の一環として我が国の規格に合わないガスボンベが入ってきて、しかもそれが爆発するという形の安全性との問題で非常に危ないような形の取引がなされてしまう。しかも、消費者はあまり気がつかずにやってしまうという問題がございます。

これに対しては、第一には製品安全に関する日本の法律については、海外にも域外適用をしていくという形で運用方針を固めるという形で経済産業省のほうも対応すると同時に、やはりオンラインプラットフォーマーの方々に、少なくとも我が国の規格等の関係から、危険なものについては少なくともオンラインプラットフォーマーのところからできるだけ製品としては日本の消費者は買わないように、削除するように協力していくという形での協力体制をお願いしていると聞いております。

もちろん、消費者の中にはオンラインプラットフォームを使わずに、外国のサイトから直接、あるいはメーカーから直接買ってしまう方もいらっしゃいますので、そういったものについてはなかなか対処が難しいのですけれども、少なくとも日本の責任あるプラットフォーマーを通ってくる限りにおいては、そういったものの流入によって消費者が被害をこうむることを防ぐという試みがなされていると認識しております。

もう少しだけですが、私がいろいろいつも悩んでいるのは、UNCITRALに関しては、法務省、外務省が管轄で、APECは経産省で、先ほどのCCJネットは消費者庁で、製品安全課は経済産業省で、いろいろな官庁にまたがっておりまして、これらを全体として現状がどうなっているかというのを総合的に分析して考えていくというのは、日本の行政の構造上、なかなか難しいところがございまして、そういったところにも今回の内閣府のこのプロジェクトによってお互いに情報を共有して、現在どのような問題が国際的に存在し、我が国の課題としてはあるのかということについて、クロスボーダーの問題についてぜひ情報共有していただければありがたいと考えております。

ただ、今、ばっと言ってしまいましたけれども、これだけやるのは絶対無理ですので、4月に消費者委員会のほうに報告しなければいけませんから、ただ、全体としては先ほど前の委員の方もおっしゃっておりましたけれども、どういう問題があるのかという問題意識の共有は幅広にやるけれども、最終的な検討のための論点としてはどうするかについては絞り込むというのも一つの案かと思っております。

その意味では、先ほど森委員のほうから対象を広げたらどうかというところがありましたけれども、私個人としては、皆さんと情報収集、あるいは問題意識を共有していくという点では賛成ですけれども、検討対象で様々なものを入れてくると全体の検討がインフレ化する可能性もあるので、検討対象についてはまずは固いところから建設的な何かをつくれればと思いますので、検討対象については原案どおりでよいのではないかと思いました。

以上でございます。

○中田座長 ありがとうございます。

国際的なクロスボーダーな部分というのは、この問題を扱うときには避けられないと思いますし、海外のところでどのような形でプラットフォーム運営者の責任を検討しているのか、あるいはどういった共通ルールづくりが行われているのかという点については非常に重要ではないかと思います。それについては、また本調査会のほうでも検討する事項として、あるいは情報収集する対象として考えていきたいと思っております。

ほかに御意見は。原田委員、お願いします。

○原田委員 ありがとうございます。

資料2の検討項目のほうを拝見させていただきまして、問題意識とか検討項目(案)自体は別に反論があるわけではないのですけれども、一つは取引の素人の消費者、消費者という立ち位置自体がプラットフォームというのは結構難しい。特に今回対象となるようなサービス、プラットフォームの中には、これを使ってほぼ収入を得ているようなスモールBの立場の人もいっぱいいらっしゃると思いますし、それが全くの素人で買うばかりの人なのか、売るばかりの人なのか、そういう方々も全体の利用者としての立ち位置がプラットフォームによっても変わってくると思うので、そこら辺を多少整理したほうがいいのかなというのが1点。

もう一つは、プラットフォーム自体がどんなに頑張っても、プラットフォームを悪用されたり、もしくはもともと悪質なプラットフォームというのもかなり存在するわけで、検討項目としまして1つ目の丸は、プラットフォームのほうのどのようなルールや仕組みが必要なのかと。2つ目のほうは、それぞれの立場の果たすべき役割は何かという内容だとお見受けしたのですけれども、利用者側の視点として、どういうところでプラットフォームを選んだらいいのか。要は多様化しているプラットフォームに対して、利用者がどういう点に注意したら自分に合ったプラットフォームが選べるのか。そういう視点も検討してみたらどうなのかなと。簡単に言うと、利用者側の目線としてプラットフォームを選ぶ際のポイントみたいなものです。そういった点も多少話が出てくると、利用者側の目線から見たときに、役に立つと言い方は変ですけれども、考え方として近くなるのかなと思いました。

以上です。

○中田座長 少しだけ質問させていただきたいのですけれども、プラットフォームを選ぶときのポイントというのは、レーティングシステムとか、そういうことですか。

○原田委員 レーティングシステムを導入するというのは結構大変なことなので、例えば紛争解決を積極的にやるとか、本人確認をしっかりしているとか、そういうところでプラットフォームのところに多少あれがあると思うのです。

利用金額も、例えば50円、100円の手数料と5万円、10万円の取引とでは利用者さんも考え方が違うと思いますし、コストのかけ方も違うと思いますし、とはいえ、本人確認していないところですと、そのプラットフォームがやっているところに対して悪質なユーザーが入り込みやすくなると、またそれはそれでトラブルを起こしやすい。そこがどれだけ担保されているかというのは、利用者のほうである程度選べるようにしてみてはどうかなと。

いろいろなプラットフォームがある中で、本人確認を絶対にしましょうというルールを入れても、それはそれでどうなのかなというところも出てくるかもしれないし、私は個人的には本人確認は必要だと思うのです。そうしないと、500円、1,000円の取引だから別にしなくていいじゃんとか、そんなに財産がへこまないからいいじゃんとか、命にかかわらない取引なのだからいいじゃんみたいに見てしまうと、悪質な利用者はそこに入り込んで、結局外に連れ出して悪用していくわけですので、そういったところでプラットフォームはどういうふうにあるべきかというのはこの検討項目に当然入っているのですけれども、それとともに利用者が選ぶような視点というか、そういったところも見たらどうかなということです。レーティングというレベルの話ではないです。

○中田座長 それでは、ほかに。

○片岡委員 今の原田さんの意見にも近いのですけれども、プラットフォームの取引といったときにかなりいろいろなものがあって、最初から議論の対象を絞り込んでしまうと、本当はこっち側に問題があるのに、みんな違うところを一生懸命議論していたということにもなってしまいかねないので、最終的な検討項目(案)がこれというのはいいのですけれども、だとしたら、それに向かっていくために、ではどこに問題があるのかというのは少し幅広に見ていかないと、本来のゴールと違うところに行ってしまうのかなという気がしています。

例えばBtoCのプラットフォームなんかですと、日本の中でもちゃんとやっているところは成熟してきて、どちらかというと、安全というよりもいかに親切にするかという点で競争してきているわけですが、実はそこを一生懸命頑張っていても、消費者が違う観点で選んでいたりして、危ない取引に入ってしまっているという問題があるのであれば、ちゃんとやっているところはどういう点をちゃんとアピールして消費者に選んでもらえばいいのかということを真剣に考えなければいけませんし、最終的に安全に取引していただくためにどういった問題があるのかというところは幅広に確認したほうがいいのかなと思いました。

○中田座長 プラットフォーム提供者として基本的な備えるべき条件、そういった視点という形で理解してよろしいですか。

○片岡委員 どういうプレーヤーが世の中にいて、どういうところに危険が潜んでいて、ちゃんとやりたい事業者はそれを消費者に伝えていけばいいのかということですね。

○中田座長 どうぞ。

○早川委員 今の原田委員と片岡委員の話の中でも、利用者あるいは消費者はどこを見て選べばいいのかということで、先ほど国連のUNCITRALの中でも同様の議論が出ていまして、その一つの方法としては、先ほど中田座長のほうからレーティングという話もありましたけれども、もう一つはトラストマークのようなものをつくるというのがその中の話で出てまいりました。

トラストマークというのは、御案内の方も多いかと思いますけれども、どういう項目にするかはそのトラストマークの性質次第ですけれども、例えば先ほど原田委員がおっしゃった本人確認をちゃんとやっているかどうかということだとすると、そこをちゃんとやっているということを外部の第三の業者といいますか、事業者がチェックをして、ちゃんとしているということであればトラストマークをあげる。そうすると、消費者はトラストマークがついている事業者であれば、そこについては安心して使えるということになるので、例えば環境に対して優しい企業であるかどうか、例えばISOがそういう認証をやっていますけれども、それと同様のものがオンライン取引とか、あるいは私の専門ですとODRといったものについても与えられるべきではないか。

それをやれば、例えばODRのほうで言えば、紛争解決の何かの判断が出たら、少なくともトラストマークをつけているところは、その判断に多少不服があってもそのとおりに従ってくれるというようなルール設定をすると、結局、エンフォースメントのほうも国家機関などを使わなくても、マーケットの力によってうまくできるという話がよくなされておりました。そういったものが我が国あるいは国際的に整備されたり、あるいはそこに対してどう協力していくかみたいなことも課題としてはあるというのが実情だと思います。

○中田座長 ありがとうございました。

それでは、山本委員、お願いします。

○山本委員 ちょっと視点が異なってしまって恐縮なのですけれども、先ほど森委員からも少しお話がありましたが、私もプライバシーが関連する問題に関心がございまして、それはこの会で主に議論することではないのかもしれませんが、一言だけコメントさせてください。

先ごろのFacebook事件でも、選挙コンサルのケンブリッジ・アナリティカ社が、Facebookの「いいね」などのいろいろなSNS情報から個別ユーザーの政治的な信条や認知傾向をプロファイリングして、有効な人にフェイクニュースを送って投票行動を誘導するという報道がありました。騙されやすい人と申しますか、操作可能性が高い人とそうでない人をプロファイリングしていくというのは、やはり広告の手法としても議論されなければならないのかなと思います。

そういう意味では、プロファイリングというのはどこまで行っていいのかが問題になりうる。昔のセールスマンが、この家はひっかかりやすい人がいると何か印をつけておくというようなことをやっていたという話を聞きますが、プラットフォームでは簡単にできてしまうわけですね。こういうことがあり得るのかどうか、こういうことも、個人情報保護委員会が現状プロファイリングについては何か規定を設けているわけではないので、こういう場で議論を深めておくということもあってよいのかなと思いました。

2点目は、実際にお金を払ったのだけれども、商品が来ないといったCtoCの具体的なトラブル、あるいは紛争の解決手法の議論は非常に重要だと思うのですけれども、これはわかりやすいわけですね。他方で、先ほどもプロファイリングの話が出ましたけれども、むしろ消費者が、現実に感じないこと、実際に操作されているのだけれども、実は感づいていないということも一つ重要なのかなと。お金を払ったのに商品が来なければ、当然紛争は起こるわけですけれども、そもそも起こる機会がない、気づかないということがプラットフォームを介した取引では問題になると思います。

ですから、先ほど透明性というお話をしましたけれども、自分の何が分析されていて、どういうバイアスがかかっている情報が提供されているのかということを消費者の側が知ることは一つ重要なのかなと感じています。

一言だけ、放送法というのは12条で、これが広告である、つまりコンテンツではなくてスポンサーがついてお金が支払われているということについて視聴者が明らかに識別できなければいけないという規定がありますけれども、例えばそういうコンフューズしかねないような情報提供ということもプラットフォーム取引で起こり得るのか。この辺は、実態をよく調査し、把握する必要があると思うのですけれども、現状、実際にどういうことが行われているのかということも含めて検討する必要があるのかなと感じた次第です。

○中田座長 ステルスマーケティングはまさにそういう問題ですし、広告をめぐる問題はインターネットの中でも非常に大きな問題となってきています。バイアスがかかった形で広告がなされるという、我々誰もがインターネットを見るときにそういう経験を、なぜこの商品がまた広告で上がってくるのかと不思議に思うときがありますよね。そういったところは、実際にどうなっているのかがわからない消費者も多いだろうと思いますので、それがどんな形で購買に影響を与えているのかとか、あるいはそこで何かトラブルがあるのか、あるいはそういった消費者の弱い点を突くような広告の在り方というのは果たしていいのか、広告の透明性、中立性をインターネットで確保することがどこまでできるのかというのは非常に重要な問題ではないかと、個人的には思っているところです。

森委員、どうぞ。

○森委員 ありがとうございます。

今、委員の皆様の御意見を伺ってちょっと力を得たので、一回また検討対象の話を蒸し返したいと思うのですけれども、まず、片岡さんがおっしゃったように、いろいろなプレーヤーがいて、どういうところで消費者問題があるのか、最初から確定するのは難しいと。これは全くそのとおりだろうと思います。

もう一つは、それこそ今、山本先生がおっしゃったことですけれども、個人情報をどういうふうにとられて、どうされているのか分かりにくいということですが、その分かりにくさの点からいきますと、圧倒的にマッチング型のプラットフォームに比べて、非マッチング型のプラットフォーム、SNSとか動画投稿サイトのほうがどうされているかわからないわけです。先ほど座長からも、広告が前と同じのが出るじゃないかという話が出ました。まさにこれは非マッチング型のプラットフォームで情報収集を専ら行っているわけです。

3月9日に個人情報保護委員会が御注意だったですか、お知らせのウエブサイトに情報を出していまして、これはソーシャルプラグインを設置しているウエブサイトに対して、これは「いいね」ボタンだと思っていただいていいですけれども、「いいね」ボタンを設置しているウエブサイトの管理者に対して、「いいね」ボタンを設置していると、そのウエブサイトを閲覧したというデータがFacebookに送られる。Facebookに送られると、そのFacebookに送られた先でFacebookの登録者情報と一緒になって、登録者である森亮二がこのウエブサイトを見たということがボタンを押さなくてもわかる。そういうことなので、プライバシーポリシーにしっかり書くようにといった警告が出されました。これは報道とか、アメリカの事件とか、そういうことを受けてのことなのかなと勝手に推測しておりますけれども、そういう消費者から見たときの不透明さであったり、わかりにくさ、難しさという点では、マッチング型のプラットフォームで起こる問題よりもはるかに非マッチング型のプラットフォームで起こる問題のほうが大きいのではないかと思いますので、私としてはもう一回そこを検討対象としてプッシュしたいと思います。

○中田座長 ありがとうございました。

○畠委員 関連して、実はツイッター等のSNSでも取引が行われていて、トラブルが発生していると認識しています。そこで何が売られているかというと、ここにいる委員の所属している会社のプラットフォームでは販売できないようなものが売られていることが多く、恐らくそういったものに関するトラブルが発生しているのだろうと思うので、できればそれを議論すべきだと思っております。

観点が変わりますが、今回、素人としての消費者というのが一つのキーワードだと思っていまして、そういった方々が何らかの商品・役務を提供する場合に、法律の内容を知らずに法を犯してしまうという可能性も多々あります。この検討項目の中では提供者と利用者とプラットフォームが果たす役割として書いてあるのですけれども、国、行政が果たすべき役割も大きいのではないかと考えております。

また、素人としての消費者ということを考えた場合に、例えば、育休の人が自宅で何かを作って販売するという場合に、現在の特商法の規定によりますと、自分の氏名、住所等を公開しなければいけないことになっており、それを育休中の方に適用することが果たして妥当なのかということについて議論をしなければいけないと思っております。

また、素人としての消費者が商品・役務を提供することを前提とした場合に、その素人としての消費者が消費者契約法上の事業者に該当することもあります。現在の消費者契約法ですと、事業者と消費者の情報量とか交渉力の差というものを前提としていますけれども、果たしてその前提というものが存在しているのかどうかということも議論すべきなのではないかと思っております。

以上です。

○中田座長 ありがとうございました。

西村委員、お願いします。

○西村委員 事前にいろいろなサイトをきちんと比較して慎重にいろいろなことを確認してお買い物をされている消費者は、やはりほぼいないという現実があります。商品名を打ち込んで、一番安いお店で買う、あとは自分がよく使うショッピングモールでポイントもたまっているから、そこで買う、そのぐらいの認識でお買い物をされている方が多いので、もちろん事前に信用度を測る目安があるというのは大事なことですが、そういう現実に即して、どちらかというと我々はトラブルになった後のお話を受けているので、インターネット関係は本人のデジタルデバイドというか、交渉力とかデジタル上でいろいろやりとりする力があるなしで、ものすごく進捗が変わってきます。どういう苦情を伝えたいのか全然伝わっていないような話もありますし、そういう方のお話を消費者センターが間に入ってお話し合いしたいというときに、当事者の方からメールでお申し出くださいみたいな、そういう交渉の難しさもあります。

あと、BtoCですら消費者は思いのたけを伝えられなくて、けんか状態になっていることが多いので、今多いCtoCの取引で両方ともが怒っている場合もあるので、そういう場合も含めて、プラットフォームの方々にはもう少し積極的に介入していただきたいなと。消費者はプラットフォームのブランド力にひかれて、ここでお買い物をしよう、ここでフリマアプリを使おうと思っている部分があるので、加盟店審査とか管理をものすごくしているというふうに、一方的に消費者は期待していますから、その期待にどの辺までお応えいただくのか、一定のレベルぐらいは何か指針みたいなものがあると、消費者としては大変ありがたいと思っています。

○中田座長 ありがとうございます。

おそらくプラットフォーム自体がブランドになって、消費者の信頼を獲得する。獲得すればするほど、そこでの価値が上がってくる。そこで利益が上がるという構造があるのだろうと思います。だから、信頼との関係での責任の在り方というのは検討しなければいけない問題の一つになるのかなと、今お聞きして思いました。

ほかにいかがでしょうか。前田委員。

○前田委員 ありがとうございます。

今まであった発言ともかぶるところがあるかもしれないのですけれども、プラットフォームと一口に言っても多種多様で、全てに当てはまるルールというのが難しいかなというところはあるかと思います。ですので、問題意識のところで必要なルールないし仕組みを調査検討、その上でルールを作成していくというような話はあったのですけれども、どのようなプラットフォームなのかについて検討するのかというところを、今日事務局側から御提案いただいた3つの類型はあるのですけれども、そこを中心としてプラットフォームの類型ごとに、あるいはそもそも類型とか分類が難しいところもあるかもしれないので、そこについて慎重に検討していくことは必要かなと思います。

ルールを検討していくという中でも、そもそもルールが必要なのかどうかというところが、消費者が困っているのかどうか、どういうところに本当に問題が生じているのか、あるいは潜在的な問題があるのかどうかというところについて、今回、消費者サイドの代表の方々もいらっしゃるので、どういう相談があるのか、どういうところで問題が起きているのか、ぜひお話をお伺いして、ここの検討会の場でそちらを明らかにする必要性があるかなと思います。

その前提で、物によってはルールが明確化されていないというところが記載されてはいるものの、実を言うと利用規約でここについてもう明確になっている、あるいは手当てがされている、あるいは事業者によってそれが手当てされている、されていないということもいろいろあるかと思います。

ですので、まずは消費者側の問題として何が問題なのかというのをこの検討会で明らかにしていって、その前提で事業者としてルールが明確ではないのか、あるいは本当はルールとして明確なのだけれども、それがあまり広まっていないのか。そうすると、啓蒙活動というところに話が行くかと思いますので、そこについても慎重ないし幅広い検討が必要になるかなと思います。

○中田座長 ありがとうございます。

ほかにいかがでしょうか。皆様からの御提案とか御意見を集めていきたいと思っております。

○早川委員 今までの御発言を聞いていますと、2つほど思ったことがあるので申し上げます。

1つは、山本先生がおっしゃった顧客のプロファイリングの話ですけれども、ヨーロッパではどちらかというとプライバシー保護が日本よりも意識が高いところがあるのですけれども、それでもかなり大議論がございました。それはなぜかというと、プロファイリングは様々な形でできるのですが、これをうまく使うとビッグデータとして活用できて、産業政策的に様々なビジネスチャンスが生まれていくという面が他方であるわけです。私自身は、どちらかというと、自分の情報を使われるのは気持ち悪いと思う者なのですけれども、そうすると、ヨーロッパの一部の国々の懸念は、自分たちのほうがプライバシー重視でプロファイリングについて規制をかけていくということになってくると、他方でアメリカは必ずしもそうではないので、今ですらアメリカがITの産業の中では優位的な地位を持っているのが、ますます差が開いていくのではないかという懸念があって、そのときに日本としてこういったものをどこまで認めていくのか。あるいはプライバシーとの関係で、産業政策と個人の情報保護という対立だと思うのですけれども、このバランスをどうとってくるのかというのが一つの問題なのかと思います。

その観点でもう一つ出てきました消費者像、あるいは現在の消費者を前提にしたときに、どこが問題なのかという問題の立て方は、私も先ほど申し上げたように国民生活センターに出入りをしているので、今の消費者が特に国際取引などに対してあまりにも無防備なのに非常に頭を抱えて、それを前提に制度構築をしなければいけないということで、先ほど申し上げたような法改正などもされたわけですけれども、それを100%救っていくというのは莫大なコストがかかっていき、多分ほとんど不可能なので、どこかでバランスをとるための教育なり啓発活動をやって、消費者のレベルも少し上がってもらわないと、全体としてのコストがあまりにもかかり過ぎる社会になってしまったり、あるいは現実に救済できないようになってしまう。

だから、先ほど前田委員からも出ましたけれども、教育、啓発の点をどういうふうに、ただ教育しろとか啓発しろではなくて、よりコストのかからない、あるいは消費者もその一点だったら覚えてくれるというようなところをどうつくっていくのかが重要かと思います。

先ほど私はガスボンベやレーザーポインターの話をしましたけれども、例えば日本の中でJIS規格というのがあって、それの規格がついていないのは結構やばいよねというようなことは、例えばガスボンベを買う人は何となくわかっている人は多いわけです。その辺のレベルのシグナリングがきちっとなっていれば、被害に遭わなくて済む。トラストマークというのはそういうアイデアなのです。そういった助けたい消費者だけれども、それに対するコストとか、あるいはほかの利益のバランスをどううまくとっていくかという視点も非常に重要なのではないかと思って聞いておりました。

○中田座長 ありがとうございます。

先ほどの前田委員が約款という形で契約上のルールがある場合があるというお話をされていて、それがあるところもあるし、ないところもあると。実際に、約款という形で使われているルールというものがどういうものなのかというのをきちっと理解する必要があるだろうと思います。とりわけ私法上のルールとすれば民法とか、あるいは事業者、消費者との間であれば消費者契約法がありますので、そういったルールに基づいて我々もちゃんと見て、適正なルールなのかどうかというような検討もその中では行われるということになると思います。

もう一点、個人の情報についてですが、実は個人情報自体も、先ほどビッグデータになるという話もありました。しかしながら、ビッグデータにならなくてもそれぞれの個人情報は価値を持っていると私は思うわけです。それを無償の、例えばよくあるのですけれども、詳細な個人データのかわりにニュースを見せてくれるというような形で登録を要求するというサイトもあるわけです。大人だったらそれなりに警戒するのですが、例えば子供に対してゲームをさせる代わりに、そのゲームをするには個人情報を入れなさいという形で、ゲームを無償で提供すると言いながら、その対価として、個人情報を無償で収集するということもあるわけですね。そういった取引の仕方が適正なのかどうか。その人は被害をこうむっていると思わないかもわからないですが、将来的にそれが使われたり、いろいろな形で価値を持っているということを認識しない人に提供させるのは問題があるだろうと思います。個人情報については、取引に関係して言えば、そういう問題があるのではないかと、お聞きして思いました。

では、山本委員、お願いします。

○山本委員 プロファイリングについては、先ほど早川委員がおっしゃったとおりで、様々な議論のあるところだろうと思います。GDPRでは21条や22条で規定されていますね。この5月25日に施行ですけれども、こうした規定が実際にどこまで実効性があるかどうかも慎重に見守る必要があると思います。

ですから、私自身も直ちにプロファイリングがよくないということでは全くありませんで。プロファイリングの中にも当然いろいろなプロファイリングがありますし、一般に消費者も、アマゾンで閲覧履歴などをプロファイリングされて自分に合った商品をお勧めされるというのはわかっている。しかし、それと同じ認識が他の場面でもてるのか。ですので、実際にどういうプロファイリングが行われているのかということをまずは確かめるべきなのかなと思っているというのが1点目です。

もう一つ、消費者は実際に何を困っているのかということをまず洗い出すというのは非常に重要だと思っておりますが、他面で、先ほど座長がおっしゃったように、プラットフォームの問題とかネットのオンラインというのは消費者がそもそも気づいていないということが多い。例えばアメリカなどで問題になるのは、人種によって見せる商品が違うということが問題になったりするわけですし、旅行代理店のプラットフォームでも、お金持ちとお金持ちではない人で同じホテルでも表示価格を変えるといったようなことが差別の観点から問題になるわけです。これがそもそも問題なのかという議論もありえます。また、プラットフォームにおいて、各ユーザーでそれぞれ違う情報を見せられていることに気づいていない人もいるわけで、まず消費者が実際に困っていることを検討するのは非常に重要ですが、ここでは必ずしも立法事実が必要ではないわけですから、そうでない潜在的問題、リスクの問題も議論をするというのは、それはそれであってもいいのかなと感じる次第です。

○中田座長 ありがとうございます。

それでは、生貝委員、お願いします。

○生貝委員 ありがとうございます。

プロファイリングを含めた問題への対応というところに関連して、今、座長がおっしゃっていただいたように、我々は様々なプラットフォームのサービスを利用するに当たって、お金を払っていなくても個人情報を実質的な「対価」として提供することが常態化してきていると思います。

個人情報がある種の取引変数になってきている中で、しかし、自分たちが何を支払っているのかわからない状態でサービスを使っている。それがいかなるアルゴリズムで分析されて、プラットフォームのサービス、あるいはそれ以外の状況に対してどのような影響を与えているのか。消費者一人一人が自らのデータに関する条件をちゃんと理解した上でサービスを選んでいけるようにするためにはどうしたらいいのかという視点は、マッチング型かそれ以外かに関わらず、データを活用するプラットフォームには全て関わるところなので、全体状況を見ていく上で一つ非常に重要なのかなと思った次第です。

それから、例えばデータが対価だといったときに、正しく条件を認識して、ここはとられ過ぎだと思ったら、別のサービスに自律的に動けるようにする必要があります。しかし、一回自分のデータをプラットフォームに大量に蓄積してしまうと、それを持ち出せない限りはほかのサービスに事実上移れないといったような、交渉力の格差を更に強化するようなデータ蓄積の側面というのもあるはずです。最近ですと、データのポータビリティーということが広く議論をされてきていますけれども、消費者保護という観点からも重要かと思います。

そして、先ほどから森先生を初めとして、検討の対象を御議論されていますが、前田委員もおっしゃったとおり、実際に何が困っているのか、何が問題であるのかということをしっかりと情報を得ながらこれから進めていく中で、最初にあまり対象を絞ってしまうと、1年間の議論の進め方としてもったいないのではないか思います。

データに関わること、あるいは透明性、アルゴリズムといった論点は、消費者にとっては何が起こっているのかわかりづらい。わかりづらいから、必ずしもまだ顕在化していない問題も多い。国のこういった重要な検討会でこの療育を精査していく上で、具体的に法整備に踏み込むかどうかは別にしても、問題点と論点の整理というのはしっかりしていくべきではないか。

現実を明らかにして、何が困っているか、あるいは何が困り得るかというところを含めて、少なくとも入り口の部分ではしっかりと広くとって、現実を偏りなく把握していくべきと感じました。

○中田座長 非常に興味深い視点だと思うのですが、情報を提供して情報を得るという場面での対価性といったときにそれは算定することが困難ではないでしょうか。あるところに登録して自分の情報をあげないと、その情報を得られないとうことがあります。例えば、自分の情報を与えないでその情報を得るには幾らのお金がかかるのか。つまり、自己の情報を与えないでも、当該の情報を利用できるための選択肢ですよね。消費者からいうと、自分の事細かな情報やセンシティブな情報、例えば年収が幾らとかそんなのは出したくない。ただ、相手の情報は欲しいという場合にはお金で買いたい。そういうような選択肢の提供の仕方はあるのでしょうか。先生の御発言に関連しての質問となりますが、情報の対価を明確にするというやり方というのは考えられないのでしょうか。

○生貝委員 トライアルとしては出てきているみたいですけれども、一人一人のデータは今すぐどのぐらいの価値があるかというよりは、ためていくと後々価値が出てくる。価値が出る分、問題が生じたときのリスクというのも読めないといったようなところがあると思います。一つ一つのトランザクションであなたの情報のお値段は幾らですよということを明確に決めるというのは、現段階だと少し難しいのかなという気はしています。

○中田座長 ありがとうございます。

ほかはいかがでしょうか。時間が迫ってきましたので。森委員、お願いします。

○森委員 では、手短に。もう山本先生と生貝先生におっしゃっていただいたのですけれども、無償と称してと言えば怒られますけれども、無償サービスで個人情報を集めてビジネスにつなげるというのが非マッチング型のプラットフォームの本質であるということかなと思います。

そことちょっと違うことで、先ほどプロファイリングの文脈で早川先生から、ヨーロッパと日本だけ厳しいとどうなのだ、それは産業振興に悪影響はないのかというお話でしたけれども、それは全くもっともなことですけれども、消費者保護のレベルが国によって違うというのはいたし方ないことでして、それが産業振興に影響を与えてもそれは仕方ないのかなと思います。

そこで重要なのは、日本のルールをしっかり日本の消費者市場に入ってくる海外事業者にも適用するということかなと思っておりまして、それは早川先生から御紹介いただいた製品安全法の検討もまさにそうだったわけですので、それが今後この検討会でも重要なイシューになってくるのかなと思います。

以上です。

○中田座長 ありがとうございます。

それでは、城委員、お願いします。

○城委員 ちょっとまた戻ってしまうのですけれども、検討項目(案)のところに書いてある、素人としての消費者という言葉がどうも私はひっかかっております。先ほども、知らずに悪い商品とかサービスを提供する人もいたり、価格だけで買ってしまうとか、そういう方もいらっしゃると思うのですけれども、感覚としてそういう人たちばかりではないのではないか。多くの方なのかは分かりませんけれども、中にはしっかり調べて買われる方もいらっしゃるというのがビジネスを見ている実感であります。

今後、ルール、仕組み等を検討するに当たって、どの消費者をターゲットにして検討を進めるのかというところで、素人としての消費者でいいのだろうかというところが気になっています。消費者はもっと賢いのではないか。素人として手厚くやってあげなければいけないということは、結局、プラットフォーム事業者のほうで手厚くしていくということは、多くのそのほかの方にとってはおせっかいというか、そのせいで使いづらくなってしまうといったこともあるのではないかと思っていて、本当にどのレベルに合わせるのか、多様な方がいらっしゃる前提でこの検討も進めていくべきではないかと思ったので発言させていだたきました。

○中田座長 消費者像をどのように捉えるかという問題で、恐らくここで議論してもなかなか決着がつかない問題の一つかもしれません。ここで書かれているのは、一般的に今までインターネット取引をしていない人が入り込んだとき、あるいは法的な知識が十分でない人が入り込んだときにどういった被害を受けているか。そういうような問題を重点的に取り上げましょうということで、合理的に行動する消費者、あるいは専門的な知識を持っている消費者がどういうふうに行動して、どのような形で取引をしていくかということも、検討の中で捉えることは十分できると思います。

これは幻想かもしれませんけれども、例えば十分に情報を得た消費者だったらこういうふうに行動すると。他方で、幾ら情報を受けても、あるいは合理的に判断できると思われるような消費者であっても、どこかで間違いを起こすこともありますし、限界もある。情報処理が十分できない状況に追い込まれることもある。そういった場合に、どんな仕組みで法的なルールが形成されているのかというのは非常に大事なところではないかなと、今のところは考えております。

どうぞ。

○早川委員 非常におもしろく議論を聞いておりまして、2つほど思いましたのでちょっとだけ申し上げます。一つは、様々ないろいろな問題の中で、大事なのは今座長のほうからもございましたけれども、消費者は今どういうレベルにいて何を望んでいるのかというのは認識すべきと思っております。

話を聞いていて私も思い出したのが、ちょっと前の話ですけれども、母親にネット検索を教えることがあったときに、まず反応は、こんな便利なことは幾らかかるのかと言われて、これはただなんだよと。何でこんな便利なものがただで提供されているのか、お母さんのいろいろなデータが向こうに行っているのだよと言ったら、そんなものは構わないと言われたのを思い出して、要するに、データを売っているのですけれども、別にそんなものは構わない、むしろこんな便利なものが使えるのならと思っている人もいるわけです。でも、ちゃんと情報を与えられた上で選択して、それでも構いませんというのであれば、それはそれで。もちろんどこまで遠くの危険まで予告するべきかという問題はあるけれども、その辺のところ、先ほどから私が申し上げているようにバランスをどこにとるかというのが非常に重要なポイントで、そこの点で一体今の消費者というのはどの辺のレベルにいるのかという認識は非常に重要なのかなと思いました。

中田座長が先ほどおっしゃった約款がどうなっているのかの分析という話もあったのですけれども、大変恐縮なのですけれども、私は約款はネット取引では無力のような気がしています。要するに、約款で自分を防衛している業者であればあるほど、消費者は何も言えなくなって、約款がちゃんとしていないものほど、実は法的にはいろいろな突っ込みどころができるわけですけれども、いずれにしても約款については消費者はほとんどスルーして、アグリーして先に行っているだけなので、そういう観点から、先ほど言ったようなオンラインでADRという形で、法律あるいは契約上の分析ではないところで解決がどこまでできるのかというアプローチが出てきたと認識しております。

ですから、消費者が一体今どのレベルにいて、どういうふうな形のサポートが望ましいのかというところを大所高所から考えていくというのが視点として大事なのかなと思います。

○中田座長 もちろんプラットフォームの展開というのは、我々の経済の中で非常に重要な位置づけにあると思っていますし、それなしでは消費者生活が送れない時代になっているのではないかと思います。

他方で、そこで行われている取引が必ずしも法を遵守していないということであれば、そこは規制をする必要も出てくるだろうと思いますし、そうでない規制の仕方、例えば自主規制に委ねるというような判断も十分にあり得ると思います。だからこそ、こういう形で様々な分野で活躍されている委員に来ていただいて、あるべき姿を考えていきたいと考えているということであります。

どういうふうに検討対象を絞るか、あるいは展開していくかという点については、様々な御意見をいただきましたし、私も初めて、そういう観点から考えなければいけないなと思ったところもありますし、事務局のほうでも、もう一度皆様の御意見を参考にしながら整理をさせていただいて考えていきたいと思っています。

ただ、何度も申しますけれども、時間的な制約、そして一番問題のあるところに焦点を合わせて議論を進めていくというのがこの調査会の方向性のようなものではないかなと思っておりますので、そこは皆様の御意見を聞きながら、あるいは軌道修正が必要であれば軌道修正をするということで進めていければなと思っています。

そういう趣旨で御理解いただいて私のほうでまとめさせていただくようにお願いしたいと思いますが、よろしいでしょうか。

では、そういう形にさせていただきます。

≪3.今後の進め方について≫

今後の進め方につきまして、事務局のほうから説明をしていただきたいと思います。資料3を御覧ください。

○友行企画官 それでは、資料3でございますけれども、スケジュール(案)といたしまして、今後ヒアリングを進め、議論をしていただきまして、7月ごろを目途に論点整理をしてはどうかと思っております。8月以降、整理されました論点につきまして更に検討を深めていただきまして、年明けぐらいから取りまとめに向けた検討などを行い、4月ごろには消費者委員会本会議のほうへ報告できればいいのではないかというスケジュール感を御提案させていただきます。

○中田座長 お手元の資料のスケジュール(案)につきまして、何か御質問、御提案はございますでしょうか。

それでは、基本的にはこの方向でということで御承認いただいたという扱いで、この専門調査会スケジュールということで進めていきたいと思います。

最後に議題の「その他」になるのですけれども、その前に今日の議論ですが、基本的には取引を中心にということだったと思うのですが、SNSその他、やはり大きな問題点があって、そこが我々が考えているプラットフォーム取引のところに影響を及ぼしているのではないかと、何人かの委員のほうから意見が出されました。

ここにおられる様々な分野の方々が、プラットフォーム取引のいろいろな問題点を御指摘いただいていると私は感じましたので、それぞれの御意見を最大限尊重した形で今後の議論を進めていきたいと思います。

基本的にはこのスケジュールを見ていただきますとわかるように、普通だと年内ぐらいに終わるかなと思うのですが、ちょっと長めの検討期間をいただいています。それも利用して、根本的なところの問題点を洗い出していくことができればと考えています。審議の中で頂戴した皆さんの御意見はまさにそういう方向でも集約できるのではないかと思います。インターネットプラットフォームの問題点、その提供者の責任をめぐる問題、あるいはその取引の在り方の問題点などを、それらを全体として見ていくことの必要性や、そして個々の問題点がそれぞれいろいろな形で絡み合っていることの把握が重要性であることを改めて認識させていただきました。これが今日お話を聞いていて思ったところであります。そういう問題点を一つ一つ分析しながら、インターネットプラットフォーム取引におけるルールとして全体としてどういう在り方が望ましいのかが検討の対象となろうかと思います。おそらく来年の4月までの検討で問題点の全部が洗い出されるということにならないかもしれませんが、私としてはその方向に向けて一歩でも議論を進めていくという立場で運営をしていきたいと思っています。まとめということではないですが、そうした方向で進めることができるとの手応えを持ったということをお伝えしておきたいと思います。

≪4.その他≫

○中田座長 それでは、議題「その他」のほうで、事務局から資料4の説明をいただければと思います。

○友行企画官 資料4でございますが、簡単なアンケート調査の実施について、概要というところでお手元にお配りしておりますけれども、オンラインプラットフォームを介した取引の利用状況とか、どんなことが起きているかといったようなことを把握するために、ウエブ調査を行ってはどうかと考えております。また、その結果を専門調査会のほうにフィードバックいたしまして、議論を深めていただく際の資料としていただくということではどうかということで御提案したいと思います。

以上です。

○中田座長 このアンケート調査を行う意味についてですが、基本的に本専門調査会での議論の一つの素材にしたいということで考えております。消費者相談のところでは幾つか問題点が出てきているわけですが、我々の専門調査会、事務局のほうで、インターネットプラットフォームについてどのような形で問題が出てきているのか、とくに利用者という観点からみて、どんな御意見を持っているのか、あるいはどんな問題点を感じているのかというのをざっと調査してみたいという趣旨であります。御承認いただけるようでしたら、調査を進めたいと思いますが、いかがでしょうか。

前田委員、どうぞ。

○前田委員 承認という点ではもちろん承認ですけれども、1点だけ付言をさせていただければと思っているのが、このようなアンケートの場合、どのような質問事項にするのかによって、質問を読んで、語弊を恐れずに申し上げると、先入観のような、質問によって方向をある程度持った状態で答えてしまう。こちらにあるような、例えば使ったことがありますか、イエス、ノーというような使い方であればそんなに問題はないかもしれないのですけれども、オープンクエスチョンであったり、あるいは閉じたクエスチョンであったとしても、どのように聞くかによって答える内容が大分変わってくるかと思います。

ですので、もし可能であれば、あらかじめ委員の中で共有をしていただいて、意見がフィードバックできるようにする必要性が、これが議論のベースになるのであればなおのこと、どのような質問がなされるのか。誤解を生じたり、あるいは意図せず先入観が入ってしまうような質問になってしまう可能性が十分あり得るので、その点、注意が必要かなと思います。

以上です。

○中田座長 ありがとうございます。

ほかに御意見は。お願いします。

○片岡委員 今の御意見と似たような意見ですが、せっかくやるのであれば、我々が議論するときに役に立つものにすべきだと思いますので、それぞれの設問の流れとか、最終的にどういう情報をとりたいのかという点をしっかり委員間で認識合わせをした上でやったほうがいいのではないかと思います。

その観点で一つ、今、机上に配られているフロー図を見て思ったことは、特定のトラブルだけにとらわれた回答になってしまうと、すごく視野が狭くなってしまう気がしますので、例えばトラブルに関するもの以外にも、なぜ直接の取引ではなくてプラットフォームを利用するのかとか、プラットフォームを利用してよかったこととか、そういった観点と、プラットフォームに期待していたこととのギャップはどういうところなのかという、バランスをとった上で聞いたほうが議論の役に立つのかなと思ったりしました。

あと、トラブルというのも、消費者によってどのぐらいのトラブルを想定しているのかというのが違ったりしますので、そこも注意しながら設問を考えていただいたほうがいいのかなと思いました。

以上です。

○中田座長 ありがとうございます。

それぞれの意見を調査項目に反映したいと思います。

ほかに。どうぞ、早川委員。

○早川委員 アンケート調査についてですけれども、私はよくこういうアンケートを協力してくださいと言われるのですが、ことごとく断っているのです。何でかというと、面倒だからというのが正直なところで、アンケートの項目は詳細にすればするほどよりいい情報がとれるというのは確かなのですけれども、これを全部答えるのはかなりの負担になるので、そうするとこういうものに積極的に答えてくれるという人がそのアンケートの対象としてデータをとれる人となるので、それが平均的な消費者なのかというと、そこにバイアスが実はかかってしまうのではないかという心配があります。

ですので、気軽に答えられるような形で、しかし豊富な情報と言われると矛盾しているのですけれども、そこはいろいろ工夫していただいたほうが、あまりにも答えるのに負担がかかるようなものですと、また別の懸念がいろいろ出てくるかなと思いましたので、一言だけ申し上げました。

○中田座長 ありがとうございます。その点は本当に同じような意見を持っています。その点は注意しておかないといけないと思います。

ほかによろしいでしょうか。

せっかく事務局のほうでこういうアンケートをやってみようということですので、それを尊重して実施をしたいと思っております。ただ、内容については、今出た意見もございますので、少し精査した上で、私と事務局で検討させていただくということでよろしいでしょうか。

では、一応そういうふうにさせていただきます。

実施結果については、本専門調査会で議論した上で公表という形になるのではないかと考えております。

時間がそろそろ来ておりますけれども、何か一言ございましたら、いかがでしょうか。池本先生。

○消費者委員会池本委員長代理 全体の議論についての感想と、今後、次回以降に議論していただくときにぜひお願いしたいことを一つだけ申し上げます。

私も、プラットフォームに関する取引でいろいろ問題が出ているという漠然とした問題意識はあるのですが、実は同じプラットフォームといっても本当に様々な関与の仕方や利用の仕方があるために、皆さんが今日議論されたものがどの形態を想定した発言なのかというのは必ずしも聞き取れないことが複数あったように思います。私自身の予備知識が不十分だというのがもちろん大前提なのですが、今後、議論を取りまとめていくときに、オンラインプラットフォームという、最初に駆け足でどういう取引があるという報告が、あまりにも全体像の漠とした紹介だけなので、それぞれの取引で、例えば人の特定、あるいは決済の関与や、どういうところにどういう関与をして、何が信頼のポイントになり、どういうところでトラブルになっているというところをもう少し整理した上で、どの形態について何を更に深掘りするかというふうに考えていく必要があるのかなというのを感じましたので、よろしくお願いします。

○中田座長 ありがとうございます。

ほかの委員、よろしいでしょうか。それでは、樋口委員、お願いいたします。

○消費者委員会樋口委員 今、お話を伺っていて、実態をどう把握するか、消費者というのは多様なかかわり方をしているわけですから、どういう層をどう把握していくのかというところは非常に重要だと思うのですが、特に若い人が、私は年寄りだから言うわけではありませんが、このオンラインプラットフォームに直接関わる可能性が非常に高いと思うのですね。

したがって、調査の仕方として、最後にお話のありました調査、私も経済学をやっているのでよくネット調査をやるのですが、これは特定の方のバイアスがどうしてもかかってしまうので、若い方の意見というか、中高生とか、今、成年年齢の議論もあるところでありますので、そういう方々がこういったシステムについてどういう認識をしているのかということも少し補足的に実態把握ができればいいかなと思いました。

○中田座長 成年年齢の引き下げという問題がございますので、非常に大事な観点ではないかと承りました。ありがとうございます。

大森委員、お願いいたします。

○消費者委員会大森委員 すごく参考になる、おもしろい御意見をいっぱいありがとうございました。

先ほどのアンケートなのですけれども、もう早川委員がおっしゃったとおりだと思うのです。なので、今はこのアンケートに答えると500円の図書券がもらえますよとか、何ポイントになりますよとか、アンケート自体は何分ぐらいかかりますよと、そういうことが一般化されております。やはり有効的なアンケートを収集するためには、代償を払うというのが新しい流れではないかと思っています。

もう一つ、私も早川委員のお母様ぐらいのアクティブシニアの世代なので、こんな便利なことのためなら個人情報は別に構わないわという気持ちはとてもわかります。ここで一般消費者として大切なことは、知らされる権利だと思うのです。この情報はあなたの個人情報をいただくかわりに無料で提供していますというのがはっきり分かるかどうか。あと、個人情報を出したくなければ、有料で幾らで提供しますと、2つから選べるようになると、消費者の選ぶ権利と知らされる権利の2つが守られるので、すごくいい環境になるかなと期待しております。

○中田座長 ありがとうございます。

蟹瀬委員。

○消費者委員会蟹瀬委員 アンケートについてですが、私はこのプラットフォームの課題は1年で終わらないと思っています。非常に迅速にいろいろ変化が起こってくると、トラブルもそれに伴って出てくる。そうしますと、このアンケート自体を定点観測としてやっていかなければいけないということになります。定点観測になると言葉を変えることができませんので、最初の質問づくりというのは非常に大切になってきます。

ただ、問題を探し出すためのアンケートなのか、あるいは定点観測の一つとして、まず初年度としてやるのかというのによって取組方が大変違いますので、2年に1回定点観測するのか、毎年するのかは分かりませんが、これからプラットフォームについての問題意識は非常に高くなってきますので、その辺を考えて、事務局のほうでやっていただけるといいかなというのが一つ。

もう一つ、私のほうはECサイトでも仕事をしておりますけれども、企業の義務と消費者の義務というのが実はありまして、日本の消費者は義務を果たさなくても、企業には文句を言っていいというスタンスで育てられてきている傾向にあります。それが年々過剰になっているということもありますので、この際、消費者として知る権利があるのであれば、それをちゃんと読む義務というのがあると、それが結果的には消費者を守ることにもなること、など、そういう消費者教育も含めて検討いただくといいかなと思っていますので、よろしくお願いします。

○中田座長 ありがとうございます。調査会は1年ですので、継続してやるかどうかについてはまた事務局と御相談させていただきたいところです。宿題ということで承りました。

では、鹿野委員、お願いいたします。

○消費者委員会鹿野委員 プラットフォームビジネスの急速な拡大の中で、この時期に改めて実態を確認し、国際的な動向も踏まえて、この問題に関する考え方を整理するということは重要だと思います。個人的にも大変興味を持っておりますし、議論に期待しているところです。早速、今日も様々な角度から御意見等が出されて、改めて問題の幅広さを認識させられました。

一つだけ宣伝なのですが、消費者委員会ではこれとは別に、「消費者法分野におけるルール形成の在り方等検討ワーキング・グループ」というものも設置しております。そちらは、オンラインとかそういう特定の取引に対象を限定しているわけではないのですが、様々な角度から、消費者の利益の確保の在り方、ハードなルールだけではなくてソフトなルールまで含めて、どうやって健全な市場を確保していくのか、あるいはそこにおけるそれぞれのプレーヤーの役割などの検討をしているところでございます。

そちらはかなり対象が広くその分抽象度も高いのですが、やはり大きな枠組みを考える際には具体的な素材というのももちろん念頭に置かなければいけないところでありまして、そういう観点からも、この専門調査会での議論に興味を持っているところでございます。

なお、この分野につきましては、皆様からも御指摘がありましたように、実態がどうなっているのか、どこに問題があるのかということをきちんと把握することが、まずは出発点として非常に大事だと思いますので、その点も含めよろしくお願いいたします。

○中田座長 ありがとうございます。


≪5.閉会≫

○中田座長 最後に、非常に拙い座長ぶりで、皆さんがっかりされたのではないかなと私は思っているのですが、議事進行役として、時間だけは守れそうです。今日は非常に長い間時間を割いていただきまして、貴重な御意見をいただきましたことを座長として感謝したいと思います。

今後、長丁場となりますが、それぞれこの問題について考え、また御意見をいただくということになると思います。

プラットフォーム取引というのは、事務局からの説明があったように、右肩上がりの分野ではないかと思いますし、日本の経済の重要な部分を支えるものではないかと認識をしています。ただ、そこで消費者が犠牲になって経済が成り立つというのは本末転倒だろうと思いますので、我々の消費生活をきちっとその中で反映させて、よりよいマーケットづくりに寄与していきたいと考えております。今後とも御協力のほどお願いしたいと思います。

今日はどうもありがとうございました。

(以上)