第23回 公益通報者保護専門調査会 議事録

日時

2018年12月18日(火)10:00~13:18

場所

消費者委員会会議室
東京都千代田区霞が関3-1-1 (中央合同庁舎第4号館8階)

出席者

【委員】
山本座長、柿崎座長代理、石井委員、浦郷委員、亀井委員、川出委員、中村委員、林委員、春田委員
【オブザーバー】
消費者委員会 池本委員長代理、鹿野委員、樋口委員
【消費者庁】
高田政策立案総括審議官、廣瀬消費者制度課長、大森消費者制度課企画官、
消費者制度課担当者
【事務局】
二之宮事務局長、福島審議官、坂田参事官、友行企画官、消費者委員会事務局担当者

  ※なお、柿崎座長代理の崎は、正しくは立つ崎

議事次第

  1. 開会
  2. 取りまとめに向けた検討について
  3. 閉会

配布資料 (資料は全てPDF形式となります。)

≪1.開会≫

○山本座長 本日は、お忙しいところをお集まりいただき、ありがとうございます。ただいまから第23回「公益通報者保護専門調査会」を開催いたします。

最初に、配付資料の確認をさせていただきます。

お配りしております資料は、配付資料一覧のとおりとなっております。不足がございましたら、事務局までお願いいたします。


≪2.取りまとめに向けた検討について≫

○山本座長 それでは、本日の議題に入ります。

本日の議題は取りまとめに向けた検討です。

最初に事務局から資料の説明をお願いいたします。

○友行企画官 それでは、お手元の資料を御確認いただけますでしょうか。

配付資料といたしまして、報告書案と概要という2つ、お付けしております。概要と報告書の案の関係でございますけれども、報告書案がもともと本体でございまして、それから概要を起こしたものでございまして、本日は報告書案で御説明させていただこうと思います。

概要につきましては、ただいま数ページのものになっておりますけれども、本体が40ページほどあるものをどこまでまとめるかということの形でございまして、どこまで詳しく書くかということでございまして、もう少し概要につきましては精査が必要なところもあるかも分かりませんが、本日は報告書案が中心でございますので、そちらをもとに御説明を申し上げようと思っております。

それでは、報告書案、資料1を御覧いただけますでしょうか。

全体の構成でございますけれども、目次のところを御覧いただきますと「はじめに」というところとⅠとⅡと「おわりに」というところで構成されております。参考資料といたしましては、最終的な決定版には参考資料1から5までをお付けしようと思っております。

「はじめに」のところと「公益通報の現状等」というところから御説明まいりたいと思います。

3ページ目のところになるかと思います。「はじめに」のところでございますけれども、こちらは検討会の経緯を書いてございまして、真ん中のあたりの上半分の「かかる」のところからでございますが、30年1月に内閣総理大臣から消費者委員会に対してかぎ括弧の中にあるような諮問を受けたというところが専門調査会の再開の決定の経緯でございます。

検討項目は多岐にわたっておりますけれども、公益通報者保護法を使いやすいものにする、通報を受ける側における体制整備、公益通報者の保護救済の充実、不利益取扱いの抑止という3つのテーマに沿いまして議論を重ねていただきまして、7月には中間整理を出していただいたところでございます。

9月には関係団体などからヒアリングを実施いたしまして、10月以降、各論点についてさらなる御審議をいただきまして、今年の1月から本日まで、本日は15回目だと思いますけれども、そういった形で御議論をいただいたところかと思っております。

それでは、4ページ目の「Ⅰ 公益通報の現状等」のところに参ります。

こちらにつきましては、幾つかのパートに分けて整理させていただいておりますけれども、図を中心に本日は御説明させていただきたいと思います。

最初のところでございますが、「通報相談の内容」というところでございます。こちら、真ん中のあたりに図をつけておりますが、すみません、少し字が見にくいところもございますけれども、最終的にはもう少し精査したいと思いますが、まず労働者以外の通報者の存在というところが図1の(1)のところの図でございまして、労働者からの通報が一番多いところとなっておりますが、その次に退職者でございますとかほかの事業者、役員等といったところからの現行法の対象外となっているところの通報からも31.1%あるというのが現状でございます。

(2)のところでございますが、現行法の対象外の通報内容の存在といったところでございまして、現行法の通報対象事案としているのが54.4%を占めておりますけれども、そのほかハラスメントでございますとか公務員法、補助金適正化法といったところの分野につきましても通報があるといったような事実がこちらで示されているところでございます。

こちら、「Ⅰ 公益通報の現状等」でお示しさせていただいております資料は、これまでの専門調査会の前半の部分で消費者庁様のほうから御説明いただいた資料を全て出してきておりまして、一度、この専門調査会で御覧になっていただいている資料ということでございます。

5ページ目のところでございますが、「通報体制の整備状況」といったところでございます。

まず、こちらの図2のところでございますが、不正発見の経緯といたしましては、やはり内部通報が58.8%ということで一番大きいといったところでございます。

右側のところ、内部通報制度を導入した効果といたしまして、通報行為への抑止力として機能しているといったことや自浄作用による違法行為の是正機会の拡充といった効果があることが回答として挙がってきております。それに通報体制を整備することが重要だということの1つの証左かと思われます。

ただ、こういった通報体制は重要だというところでございますが、現状、どのような形で整備されているかといったところが6ページ目の図3のところでございます。こちらは大変申し訳ございませんけれども、字が若干見にくくなっておりまして、最終的にはきちっと整えたいと思います。まず(1)内部通報制度の導入割合のところでございますが、こちらの図を見ていただきますと、大規模な事業者様におきましては9割以上、ほぼ100%、外部通報制度の導入が進んでおりますが、規模の小さいところではまだ導入が進んでいないといったところでございますとか、あと左下の未導入の理由といったところでございますけれども、こちらは読み上げますが、真ん中の赤で囲った25.7%のところにつきましては、法律上の義務とはされていないと書いてございまして、こういった理由から未導入になっているといったところがデータとして挙がってきております。

(3)のところでございますけれども、こちらは大変見にくくて申し訳ございませんが、内部通報制度導入事業者においても整備状況は様々なといったところでございまして、社内規定にどんなことが定められているかといったところを記載させていただいているところでございます。

上から通報者の秘密の保護、通報を理由とする不利益取扱いの禁止、是正措置・再発防止策、経営幹部から独立性を有する通報ルート、秘密漏えいや不利益取扱いを行った者に対する懲戒処分等の措置といったところが上5本のグラフでございまして、赤で囲ったところは右側で少し特出ししておりますが、こういった体制を整備しているといった事業者におきましても利益相反の排除や経営トップの責務、フォローアップ等の重要な事項について内規に規定していないといったところが現状であるといったところでございます。

行政機関についての通報体制の整備状況につきましては、7ページ目のグラフを見ていただくと分かりやすいかと思います。まず内部の通報窓口につきましては、府省庁、都道府県では100%でございますが、市区町村では整備率が半分程度にとどまっている。外部の労働者からの通報窓口の設置率につきましては、下段の100%、府省庁では100%、都道府県では95%程度、市区町村では、またさらにそれよりも少ないといった整備率になっております。ただ、行政機関におけるこういった通報窓口につきましても、法令遵守の確保に非常に資するもので大事なところであるといったような御説明が前半の部分で消費者庁様のほうからあったところでございます。

9ページのところでございますけれども、不利益取扱いへの懸念につきましては、どういった懸念があるかというところ、10ページ目のグラフを御覧いただきますと、まず勤務先の不正を知った場合の最初の通報先として、勤務先以外を選択するとした回答者が半分程度いる。その理由としては、不利益な取扱いを受けるおそれがあるといったことが33.4%、回答があったというところでございます。

下の円グラフと棒グラフにいたしましても、勤務先の不正を知った場合、通報を相談しないと回答した者が半分程度いて、その理由といたしましては、右側の棒グラフでございますが、通報したことが知られた場合、不利益取扱いのおそれがあるといったことや嫌がらせを受けるおそれがあるといったことが回答として挙がっているといったところでございます。

11ページ目のところにまいりますと、情報漏えいの存在といったところのグラフをこちらに図示しております。まず労務提供先からの情報漏えいの存在といったところが、例えば総数として69件あった場合に労務提供先による漏えいが半分程度、行政機関による漏えいも半分程度あるといったことでございます。

こういった事実がございまして、少し御説明を割愛させていただいたところもございますが、公益通報の現状といたしましては、こういった事実があるといったことを踏まえまして、個別の論点について御検討いただきましたといったところでございます。

それでは、13ページから「個別論点」についての御説明をさせていただきます。

まず「不利益取扱いから保護する通報者の範囲」のところでございますけれども、「退職者」につきましてでございます。こちらにつきましては、説明のところでございますけれども、退職者からの通報は労働者に次いで件数が多く、退職者が通報を理由として不利益取扱いを受ける事例が生じているといったことでございまして、通報者の範囲に含めるべきであるといった形で整理させていただいております。

退職者の保護の対象とする範囲でございますけれども、説明のところにございますように、最初の段落の最後の行のところでございますが、脅迫や損害賠償請求、再就職妨害等の不利益取扱いについては期間を問わず、通報を理由に行われるおそれがあるといった意見がある一方で、他方でというところでございますが、期間の経過により、実効的な調査や事実認定が困難になるといった意見でございますとか、速やかに不正を是正するという公益通報者保護法の本旨に立ち返ると、保護の対象を退職後一定期間の者に限定するといったことが趣旨に沿うといったような意見もございました。こういったことから、保護の対象とする退職者の範囲につきましては、期間を設けないことが望ましいけれども、退職後、一定期間内に限定をする場合には、法制的・法技術的な観点から整理を行っていただきまして、実態に照らして合理的な期間を設定すべきであるといった形で整理しております。

14ページのところは役員でございます。こちらにつきましては説明のところでございますけれども、役員等は事業者の内部事情をよく知り得る立場にある。実際に役員等からの通報により不正の是正がなされている実態があるといったことでございまして、こちらにつきましても役員等を不利益取扱いから保護する通報者の範囲に含めるべきということで整理させていただいております。

役員等の保護の対象とする範囲でございますけれども、説明のところにございますように、法人の役員等は様々でございまして、各法人の設立根拠法において法人の役員として掲げられているものにしましても会社法の役員、例えば取締役、監査役、会計参与といったものや、そのほか、理事長、理事、監事等様々ございます。そのほか、役員に準ずる立場にある者もいるといったことでございまして、保護の対象とする役員等の範囲につきましては、どこまで入れるかということにつきまして、法制等の観点から整理行っていただきまして、合理的な範囲の役員等を不利益取扱いから保護する通報者の範囲に含めるべきであるというような形で整理させていただいております。

また、「保護の内容」のところにつきまして、こちらは14ページ、15ページ目のところを見ていただきますと、説明のところにございます。まず公益通報者に含められた者につきましては不利益取扱いが禁止されることが原則でございますけれども、役員と事業者との関係は信頼関係を基礎としている。会社法上の役員のように根拠法において解任が自由とされ、一律に公益通報を理由とする解任を不利益取扱いとして評価することについては、各設立の根拠法との関係をさらに整理する必要があるといったことから、そちらにつきましては今後必要に応じて検討を行うべきであるというような整理でございます。

他方で、他の法令で正当な理由のない介入に関して損害賠償請求が予定されている場合には、公益通報を理由とする解任が正当な理由のない介入に当たり、損害賠償請求の対象となることを明確化、そういったものを保護すべきであるといった整理にさせていただいております。

すみません、少し戻りますけれども、14ページのところでございますか、役員のところにつきまして、先ほどの保護の対象とする役員等の範囲につきまして、説明のところに注5というところがございました。どこまでを保護の対象とするかというところでございまして、5のところではこの点について、各法人の設立根拠法において、法人の役員としてかけられているものに限定すべきとの意見や、役員に準ずるものを含めるとしても会計監査人については金融商品取引法等の個別法で別途義務が定められているといったことから除外すべきとの意見もあったということで整理させていただいております。この報告書につきましては、こういった形で反対意見があった場合にはなるべく尊重するといった形で脚注のところでございますとか、あるいは本文の中に書き込むといったことで反対意見についても尊重するといったような形で整理させていただいているところでございます。

失礼いたしました。そうしましたら15ページ目の取引先事業者のところに進んでいただきたいと思いますが、こちらにつきましてもいろいろと御議論いただいたところでございます。取引先事業者は事業者の不正を知り得る立場にあるといったような御意見がございまして、実際に取引先事業者からの通報により、相手方事業者の法令違反が是正された事案が存在する。通報を理由として契約の解除や更新、拒絶など、不利益取扱いを受けるおそれがあるといったことから、その必要性が高まっているということは御議論としてございました。

他方で、基本的に契約自由の原則が妥当するといった御意見でございますとか、契約の解除等の措置が不利益取扱いに当たるか極めて判断が難しいといったような御意見もあったところでございます。

また、保護の対象とする事業者の範囲につきましても、通常、被通報者が通報を行う事業者との関係で一定の優越する地位に立つと言えない場合は不利益取扱いのおそれが相対的に低いといったような考えがございますが、そこでどうやって優越する地位に立つ場合に限定することができるかどうかといったことも検討する必要があるといったようなこともございまして、結論といたしましては、この取引先事業者を不利益取扱いから保護する通報者の範囲に含まれることにつきましては、今後、必要に応じて検討を行うべきというような形で整理させていただいております。

この報告書におきまして、今後、必要に応じて検討を行うべきであるといったような整理の仕方をしているところがこの後もずっと幾つか続いてまいりますが、これにつきましては、この報告書の中では直ちに対応を求めてはおらず、もう少し立法事実の積み上げが必要でございますとか、そういった理由から直ちには対応を求めておらず、今後、必要に応じて検討といった整理でございます。

16ページ目のところでございますが、役員等であった者、取引先事業者であった者についてどうするかといったところでございますが、こちらにつきましても御議論はいただきましたけれども、更なる立法事実の蓄積を待って、今後、必要に応じて検討を行うべきであるというようにさせていただいております。

「その他の通報者」のところでございます。家族といったようなところでございますが、そちらにつきましてもさらなる立法事実の集積を待って、今後、必要に応じて検討を行うべきといった形で整理させていただいているところでございます。

次に「通報対象事実の範囲」のところでございます。

最初の「刑事罰の担保による限定」といったところでございますが、こちらの説明のところでございますけれども、現行法では刑事罰の担保という限定がかかっているところでございますが、公益通報者保護法の施行後、最終的に刑事罰の対象とならない規制違反行為であっても、軽微でない影響を与えた事案があるといったことから、こういったものについても通報を促す必要性が高まっているといったことでございますとか、また、対象の明確性といった観点につきましては、法律の規定に基づく行政罰の対象となっているといったことでございますとか、法律の規定に基づく行政処分の対象となる規制違反行為の事実については、その要件が法律できちっと規定されているといったことから範囲が明確であるといったような御議論もしていただいたところでございます。そういったことから、こうした規制違反行為の事実については、通報対象事実の範囲に追加すべきであるといたところが一定の御議論でございます。

17ページでございますが、この刑事罰の担保による限定のところにつきましては、行政指導の対象となるものについてどうするかといったところも御議論いただいたところでございますが、そちらにつきましては努力義務にとどまるものも存在することや、行政官の裁量が働く場合もあるといったこともございまして、今後、この分野につきましては必要に応じて検討を行うべきであるという形で整理させていただいております。したがいまして、法律の規定に基づく行政罰の対象となる規制違反行為の事実、法律の規定に基づく行政処分の対象となる規制違反行為の事実につきましては、通報対象事実の範囲に追加すべきであるといった整理でございます。

また、こちらにつきましても16ページの下のところの脚注の7を御覧いただきたいと思いますが、これに対しましては、どのような規制違反行為が含まれているかが一覧的に提示されない限り、曖昧なものが含まれるおそれが払拭できないとして、上記のような通報対象事実の範囲に追加することに反対する意見もあったというところでございます。

17ページの「法目的による限定」のところでございます。こちらのところにつきましては、現在の法目的の書き方でございますけれども、最初の括弧の中にございますように、個人の生命または身体の保護、消費者の利益の擁護、環境の保全、公正な競争の確保、その他の国民の生命、身体、財産その他の利益の保護にかかわる法律として別表で掲げるものといったものがその法目的によって限定されているといったつくりになっております。

ただ、この限定による現行法で保護されていない例えば税法でございますとか補助金適正化法などの違反に対する通報についても保護すべきといったような意見でございますとか、法律の目的が何かといったことは必ずしも自明ではなく、法目的を基準とした区別に合理性があるのか疑問であるというような意見もいただいたところでございまして、そういった意見の中からは、通報目的による通報対象事実の範囲の限定を拡張することが考えられるのではないかといったような意見が多かったところでございます。

他方で、法目的による限定を解除いたしますと、対象となる法律がどの程度広がるかが不明瞭であるといったことや、2号通報の件数が増加して行政機関の負担が拡大するといったような懸念も表明されたところでございます。

ただ、先ほども申しましたように、現行の法律では「その他の利益」の保護にかかわる法律といったような規定もされておりまして、そういった広範な文言も含んでいるところでございまして、実質的な限定として今でも働いているのか、機能しているのかといったところが明らかではないというところがございます。そのため、まずは法目的による限定がどのような意味を有するのかを精査した上で法制的・法技術的な観点から整理を行ってはどうかといったようなまとめ方にさせていただいております。

次の「規定の方式」のところでございます。18ページにございます説明のところでございますが、対象法律を列挙する方式は現在とられておりますけれども、そうした方式は一定の予見可能性があるといったところでございますが、他方で、列挙されている470本余りの法律と照合するといったような負担が生じているといったところもございます。また、その対象となる法律を特定目的の法律に限定しない場合には、あえて列挙する方式をとる合理的な理由はないのではないか。その場合でも刑事罰等の担保による限定があることで、通報対象事実の予見可能性は確保されているのではないかといったような御意見もあったところでございます。

他方で、法制的・法技術的な観点からいって、そういう列挙を外した場合にも、一定の分野についてはその性質などからふさわしくないと考えられる場合には、対象外となる法律を列挙する方式をとるといったことが考えられるのではないかといったような御意見がございまして、まとめといたしましては、17ページの一番下のところでございますが、対象となる法律を特定目的の法律に限定しない場合には、対象となる法律を列挙する方式を取りやめるべき。その上で、法制的・法技術的な観点から検討を行い、対象外とする必要性があると考えられる場合には、対象外となる法律のみを列挙する方式を採用すべきではないかといったような整理でございます。

また、ここのところにつきましても、(1)のところの刑事罰の担保の議論でございますとか、法目的による限定をどうするか、そういったような整理との関係も関わってくるような部分でございます。この規定の方式のところにつきましては、18ページの下のところでございますけれども、脚注の9、これに対しましては明確性の観点から対象法律を限定的に列挙する方式を維持すべきであるとして列挙方式を取りやめることに反対するといったような意見もあったところでございます。

18ページの「条例」のところでございます。いろいろと議論をたくさんしていただいたところでございますが、こちらにつきましては法律と同様に条例の遵守が求められ、通報を促す必要性があるといったところはもっともなところでございまして、他方で、立法事実が現時点で十分に蓄積されたといえるかどうかといったことや、あえて法律で一律に条例を通報対象事実とする必要性があるかといったような御意見もあったところでございまして、今後、必要に応じて検討を行うべきであるというような整理でございます。

「3 外部通報の保護要件」のところでございます。

こちらは一番最初の「2号通報の保護要件」のところで「要件を緩和することの是非」といったところでございます。

19ページの説明のところを御覧いただきたいと思いますが、事業者内部への通報では誰が通報したのか分かってしまい、不利益取扱いを受けるおそれがあるといった御意見でございますとか、通報に対して消極的になっているといったことがうかがわれるといったようなことも示されていたところでございます。事業者内部への通報のみで不正の是正を図ることには一定の限界があるといったような御意見でございますとか、中小規模の事業者では事務負担等の観点から、権限を有する行政機関が通報の主たる受け皿となることは期待されるといったような意見もございました。

そういった意見がある中で、公益通報のさらなる活用を促進することが求められるが、現行法における真実相当性の要件は厳格に過ぎるといったことから、同要件を緩和することでおおむね合意したといったような書き方をさせていただいております。これに対しましては、事業者に内部通報体制の整備義務を課すということが検討されているところでございまして、これによって事業者の自浄作用を高めることで対応すべきであるとして、2号通報の保護要件を緩和することに反対する意見もあったといったところは事実としてございます。整理といたしましては、おおむね合意したというような書き方で現在のところはさせていただいております。

「具体的な緩和の方法」のところでございますけれども、説明のところでございますが、事業者内部での自浄作用を高めることを促すことがこの法律の趣旨ということであれば、内部への通報と同じ要件で権限を有する行政機関に通報してよいということになるとインセンティブが働かないといったことでございますとか、労働者が事業者に対して負う誠実義務とのバランスも考える必要があるといったような御意見があったことから、単に「思料する」ということだけではだめだろう、妥当ではないだろうといったような意見がございました。

また、第3条第3号イからニに相当すること、例えば証拠隠滅のおそれや通報しないように言われたといったような該当する事由がある場合には、一定程度不正の是正が図られると期待することが難しいことか、外部への通報を促す必要性があるのではないかといったような意見もあったところでございます。

そういったことから、この具体的な緩和の方法につきましては、19ページの柱書のところでございますけれども、1号通報の保護要件との差を維持しつつ、真実相当性の要件をほかの要件に置きかえるか、または一定の事由に該当する場合には、真実相当性を不要とすることでおおむね合意したというような整理とさせていただいております。具体的な緩和の方法につきましては、その真実相当性の要件を例えば疑うに足りる相当の理由でございますが、いろいろ検討していただきましたところでございますけれども、ほかの要件に置きかえるといったことや、もしくはそういった特定の一定の事由に該当する場合にはどうするかといった具体的な緩和の方法につきましては、法制的な観点などから整理を行っていただきたいというような取りまとめの仕方でございます。

20ページ目の上の「但し」のところでございますけれども、2号通報の保護要件を緩和した場合には、2号通報の件数が増え、権限を有する行政機関が適切に対応できなくなってしまうことを懸念する意見もあったといったところでございます。

続きまして「3号通報の保護要件」のところでございます。

「真実相当性」のところにつきましては、要件を維持すべきであるといった結論をいただいているところでございます。

「イ 特定事由」のところでございますが、こちらにつきましてもいろいろと御議論いただいたところでございまして、まず「事業者が内部通報体制の整備義務を履行していない場合を追加すること」でございます。

こちらにつきましては、説明のところでございますけれども、当該義務が履行されていないことを特定事由に追加することが考えられるといったところでございますが、後述のところで出てきておりますように、事業者において履行すべき内部通報体制の整備義務の内容は指針を策定して各事業者の事情に応じて柔軟な体制を取り得ることは検討されているところでございます。そのため、基準が曖昧では通報者が事業者の内部通報への対応に不満を抱いている場合に、内部通報体制が整備されていないとして外部への通報及び事業者が不必要な対応を迫られることが容易に考えられるとの反対の意見もあったというところでございまして、こういったところも踏まえまして、特定事由に内部通報体制の整備義務を履行していない場合を追加することということにつきましては、外形的に判断可能な要件について法制的な観点などから整理を行っていただきまして、当該要件を特定事由に追加することでおおむね合意したというような整理をさせていただきたいというところでございます。

20ページの下のところから「財産に対する危害を追加すること」についてでございますが、こちらについても御議論いただいたところでございまして、21ページ目の説明のところでございます。財産的な被害にとどまる事案でも、3号通報への公益通報を促し、社会に広く周知することが必要ではないかといったところでございまして、個人の生命、身体への危害が現行法では挙げられておりますけれども、その場合、回復の困難性が考慮されたためといったことも加味いたしまして、財産に対する危害のうち、回復の困難性が認められるなど一定のものについて法制的・法技術的な観点から第3条第3号ホに追加すべきであるといった整理をさせていただいております。

(ウ)のところでございますが、「権限を有する行政機関に対する通報後一定期間が経過したにもかかわらず、当該行政機関が通報に対応しない場合を追加すること」につきましては、現行、現時点のまとめでは追加する必要はないとさせていただいております。

次の「不利益取扱いから保護する通報者の範囲の拡大と外部通報の保護要件」といったところでございまして、退職者を保護する通報者といった場合の加重要件のところでございますが、こちらにつきましては、退職者については一般的に在職中に事業者に対して負う誠実義務よりも厳格なものではないといったことから、保護要件を加重する必要はないといったような整理でございます。

役員等につきましては22ページの説明のところでございますけれども、役員は事業者に対して善管注意義務、忠実義務などを負っておりまして、事業者内部で不正やその兆候を発見した場合、当該義務の一環として法令等によって与えられた権限等を行使し、自らのその是正に努めるのが原則であるといったところがございますことから、原則として事業者の内部での是正措置を前置することを求めるべきといったところでございます。

そこが原則でございますが、その原則の是正措置の例外といたしましてどういったところがあるかといったところでございますが、「もっとも」のところでございますけれども、第3条第3号ホに該当する場合、生命、身体といったところの危害が及ぶ場合には、例外的に内部での是正措置の前置を不要とすべきであるといったような整理でございます。

また、ここで御議論いただきましたところでは、ロに該当するところ、内部での是正措置を講ずれば通報対象事実に係る証拠が隠滅され、または変造されるおそれがあると信ずるに足りる相当の理由がある場合はどうするかといったところでございますが、こちらにつきましても御議論いただいたところでございましたが、こういったことも含めまして法制的な観点から整理を行っていただきまして、適切に例外を定めるべきであるといったような整理をさせていただいているところでございます。

その10番のところでございますが、こちらも脚注のところで「これに対し」といったところを記載させていただいております。証拠隠滅等のおそれがあると信ずるに足りる相当の理由がある場合でも、役員等の善管注意義務・忠実義務からすれば、まずは内部で是正措置を行うべきであるとして、第3条第3号ロに該当する事由が存する場合を例外とすることに反対するといった意見もあったところでございます。

続きまして、「4 通報を裏付ける資料の収集行為に関する責任」でございますが、こちらにつきましてもいろいろと御議論いただいたところでございます。

説明のところでございますが、2号通報における真実相当性の要件を緩和するということを前提に法定化までは要しないといった意見でございますとか、もっとも、これまでに集積された通報を裏付ける資料の収集行為に関する裁判例を整理・分析し、その周知を進めることが必要であるといった御意見でございますとか、その通報を行う際に何ら裏付けなく通報しても通報の受け手を調査・是正措置に着手することは難しく、通報者が通報を裏付ける資料を収集する必要性は高いといったような御意見もございました。

こういった意見を踏まえまして、整理といたしましては、法定化すべきとの意見もございますが、今後、必要に応じて検討を行うべきであるというようなまとめでございます。

そして、大きなまとめといたしましては、22ページの柱書のところでございますけれども、これまでに集積された通報を裏付ける資料の収集行為に関する裁判例を整理・分析し、その周知を進めるべきであるといったおまとめをいただいております。

こちらの23ページ目の下の脚注のところも御説明させていただきますが、通報を裏付ける資料の収集行為の免責を明文で規定すると、当該規定が濫用的に用いられる懸念もあり、事業者における情報管理や企業秩序に対して悪影響を及ぼすとして、積極的に反対する意見もあったというところでございます。

「5 切迫性の要件」のところでございます。

こちらにつきましても現行の「まさに」生じようとしている要件というところをもう少し「生ずるおそれ」とするか「高度の蓋然性」といったような、より緩やかな文言とすべきといったような意見をいただいたところでございます。こちらにつきましても御議論いただいたところでございますが、単に「生ずるおそれ」とした場合には不明確になるといったことでございますとか、より緩やかな文言にするとしても切迫性の要件であることや通報者が通報できなかった事案や保護されなかった事案の有無、現在の切迫性の要件でどこまで事案を解釈として読み込むことができるかなどについて、もう少し検討が必要であるといったような御議論がございまして、こちらにつきましては必要に応じて検討を行うべきであるというような整理をさせていただいております。

次の「6 通報体制の整備」のところでございます。

こちらにつきましては、説明のところでございますけれども、民間事業者及び行政機関では内部通報を受け付け、通報者の保護を図りつつ、適切な調査、是正及び再発防止を講じる仕組みが整備されていないことが明らかになっており、その理由として、先ほどグラフでも御覧いただきましたが、当該仕組みの整備が法律上の義務でないこと、同規模の民間事業者や行政機関でも当該仕組みが導入されていないことなどが挙げられていたところでございます。

内部通報体制はリスク情報の早期の把握や不正行為の未然防止、早期の是正を図る上で極めて有用な仕組みであるといったことから、この専門調査会のまとめといたしましては、23ページのアの柱書のところでございますが、民間事業者及び行政機関に対し、内部通報体制の整備を義務付けるべきであるといったような整理をさせていただいております。

24ページの「イ 対象とする民間事業者及び行政機関の範囲」でございますが、最初は民間事業者でございます。こちらにつきましては、説明のところでございますが、「他方で」というところでございますけれども、中規模・小規模の民間事業者に対して内部通報体制の整備義務を課したとしても人手不足等の理由から形骸化し、実際には機能しないということも懸念される。そういった御議論もいただいたところでございまして、「(ア)民間事業者」の柱書のところでございますが、民間事業者に内部通報体制の整備を義務付けるべきである。ただし、常時雇用する労働者の数が300人以下の民間事業者については、事務負担等を勘案し、努力義務とすべきであるといったような整理をさせていただいております。

25ページのところでございます。説明の続きのところで少し御説明させていただきますが、「その場合の区分について」というところから始まる段落でございますけれども、その5行目あたりに「もっとも」というところがございます。300人以下の民間事業者については、努力義務とすべきであるとしたところでございますが、もっとも、これらの民間事業者に対しても体制整備の必要性に対する理解を促す情報提供を行う、ひな形や好事例を示すなどして、整備率を高みに押し上げるような支援を行うことが必要であるといったようなところを記載させていただいております。

また、こちらの脚注のところを御覧いただきますと、参考となるような法令のところを記載させていただいておりますが、下から3行目の「なお」のところでございますけれども、最初、300人規模を義務と課していた法律につきましても、次世代育成支援対策推進法では、後に義務付けの範囲を拡大し、現在は常時雇用する労働者の数が100人を超える一般事業主に対しては義務を課しているといった事実もございます。こういったところも参考にしていただくといったところかと思います。

「(イ)行政機関」でございますが、こちらにつきましては民間事業者に対して率先垂範する観点から、規模にかかわらず内部通報体制の整備を義務付けるべきであるといったところでございます。

26ページに参りまして「履行すべき義務の内容」でございます。

こちらでございますが、マル1からマル4につきまして具体的な運用といったような記載をさせていただいております。

マル1のところは内部通報受付窓口の設置など、内部通報を受け付ける運用。

内部通報窓口を組織内で周知する運用。

通報者を特定可能な情報の共有を必要最小限の範囲にとどめる運用。

公益通報したことを理由に解雇その他不利益な取扱いを禁止する運用。

こういったことが機能するような体制の整備を求めるべきという形でまとめさせていただいております。

説明のところでございますが、マル1からマル4がそれぞれ機能するような体制を整備すべきとったところでございますが、説明の「もっとも」のところでございますけれども、現在においても各事業者はその実情等に応じた取組を行っているものと考えられ、内部通報体制の整備義務を課すとしても、各事業者の創意工夫による取組を抑制してしまうことは望ましくないといったところでございます。

なお書きの段落のところでございますが、既に取組を行っている事業者から意見を聞くなどして、事業者における公益通報制度の運用実態も踏まえた上で指針となるように配慮すること。こちらにつきましては、法律ではそういった運用ということで大きな方向性を示すといったところでございますが、新たに公益通報者保護法に基づき指針を策定することとし、当該指針の中で一から履行すべき内容のマル1からマル4が機能する体制として考えられる具体例を示すといったことを示しておりまして、その指針につきましては、その策定に当たりましては、なお書きのところにございますように、既に取組を行っているところから意見を聞くなど、事業者における公益通報制度の運用実態も踏まえた指針となるよう配慮することといったことでございますとか、また、この指針と民間事業者向けガイドライン等各種ガイドライン、認証制度との関係を分かりやすく整理することも必要だということを書かせていただいております。

「エ 義務の履行を確保するための措置」でございます。

26ページ、27ページのところに説明がございますけれども、内部通報体制の整備義務を導入することから、当該義務の履行を確保するための措置として、義務を履行していない事業者に対する行政措置を導入すべきであるといったことで整理させていただいております。

「もっとも」のところでございますけれども、消費者庁は地方支分部局を有さず、公益通報者保護法や労働関係法令に関する執行実績もない。そのため、こうした行政措置を導入するに当たっては、円滑な執行に向けた体制(関係行政機関との連携・協力を含む)を構築していくことが不可欠であるといったようなことにさせていただいております。

脚注の13でございますけれども、公表まで導入することに反対する意見として、脚注19を参照というようにございますが、こちらは後ろのページの33ページ目のところに脚注19がございますが、行政機関において適切に調査及び事実認定を行う体制を構築することができるか疑問であり、公表まで導入することについて反対する意見もあったところでございます。

27ページに戻りますが、外部通報体制のところでございますが、こちらにつきましては権限を有する行政機関に対して外部通報対応体制の整備を義務付けるべきであるといったようなことでございます。

28ページ目のところでございますが、「対象とする行政機関の範囲」につきましては、行政機関につきましては権限を有する行政機関については、規模にかかわらず外部通報体制の整備を義務付けるべきであるといった整理でございます。

「ウ 履行すべき義務の内容」につきましてもマル1、マル2、マル3、そういった運用を行うべきというようなところでございまして、こちらにつきましても指針を策定することとし、当該指針の中でマル1からマル3が機能する体制として考えられる具体例を示すといったようなところでございます。

29ページに参ります。こちらは「7 守秘義務」のところでございます。

まず最初に「1号通報先」のところを整理させていただいております。

「守秘義務を課すことの是非」といったところでございますが、こちらは情報が漏えいし、解雇その他不利益な取扱いや嫌がらせを受けるおそれがあることを懸念していることや、実際に内部通報を受け付けた者による情報漏えいにより通報者が特定され、被害を受けた事案が生じていたことを踏まえ、通報者が安心して通報できるためには守秘義務を課すべきであるといったような意見もございました。また、その場合は通報者個人を特定し得る情報とすることが考えられるといったような御意見も議論していただきました。

他方で、担当者個人に守秘義務を課してしまうと個人の責任が追及されやすく、萎縮効果が働くといったことでございますとか、秘密の保護は事業者の体制の問題である、担当者個人に守秘義務を課すことに反対するといったような意見もございました。こういったことから、通報窓口の担当者その他通報対応に関する業務に携わる者に守秘義務を課すことについては、現時点で様々な意見がございまして、結論といたしましては、今後、必要に応じて検討を行うべきであるといったような、この報告書では、現時点ではこういったおまとめをいただいております。

ただ、イ以降でございますけれども、守秘義務に関する論点ということで整理させていただいております。

イのところでございます。守秘義務に関する論点のところにつきましては、この報告書では守秘義務を課すことの是非につきましては、今後、必要に応じて検討を行うべきというような一定の整理をいただいたところでございますけれども、以下の論点につきましては守秘義務を法制化することを前提に議論されたものでございますが、現時点で法制化しないとしても、今後、法制化の検討の必要が生じた場合に参考になるほか、一般法理の解釈・適用を考える上でも参考になり得るため、本報告書に記載するものであるといったところでございます。

まずアのところでございますが、「守秘義務が解除される例外」についてもどういった考え方があるかといったことで御議論いただいたところでございます。

こちらにつきましては、公益通報制度は公益通報を契機として事業者において不正が是正され、法令遵守が図られることを目的とする。仮に担当者個人に守秘義務が課された場合に実効的な調査が必要との関係で適切に例外を設定することが考えられるといったことを議論していただいたところでございます。

30ページ目のところでございますが、具体的なところでは、まず通報者から同意がある場合は例外としていいだろう。また、その通報者の同意がない場合であっても、例えば重大な事案に至る蓋然性が高い場合でございますとか、通報者を特定可能な情報の共有を必要最小限の範囲にとどめる運用が徹底された部署内・部署間において情報を共有する場合など、そういった場合については守秘義務の例外とすることは考えられるといったような御意見をいただいたところでございます。ただし、こういった場合でも全ての事由を網羅的に法定することは難しい。逐条解説などに書くことによりまして、可能な限り予見可能性の確保を図ることが考えられるといったような御議論があったところでございます。

ここにつきましては、脚注の15でございますけれども、守秘義務が解除される例外を定めるのであれば、調査や不正の是正に必要な場合などを明記し、必要な調査等の関係では通報者の同意は不要であることを明確化すべきといった御意見もあったところでございます。

「(イ)守秘義務に違反した場合の行政措置及び刑事罰」につきましても御議論いただいたところでございます。内部通報の担当者は、基本的には特別な資格や能力を有した者ではございませんといったところでございまして、通常の人事異動により配置されることが想定されます。そういった場合には、このような者を対象とする行政措置や刑事罰を規定することとした場合、刑事責任を問われることをおそれて、担当者としての活動が萎縮するといった意見も合ったところでございます。そういったことから、今回の場合は行政措置を行う仕組みや守秘義務に違反した場合の刑事罰を規定する必要はないと考えられる。そういったような意見もあったところでございます。

ただいま御紹介いたしました29ページから続きます守秘義務に関する論点のところにつきましては、守秘義務を法制化することを前提に議論されたところでございますけれども、現時点で法制化しないにしても今後の参考になり得るといったところで、本報告書に記載させていただきたいといったところでございます。

30ページの「(2)2号通報先」のところでございますが、こちらは公務員に対する守秘義務でございますけれども、現行法と申しますか、国家公務員法、地方公務員法では規定がかかっているといったところでございまして、さらなる立法事実の蓄積を待って、今後、必要に応じて検討を行うべきであるといった整理でございます。

31ページに参りますが、「3号通報先」に対します守秘義務でございますけれども、報道機関、消費者団体等、様々でございまして、一律に守秘義務を負わせる必要はないといったような整理でございます。

31ページの「8 行政通報の一元的窓口の設置」でございます。

こちらにつきましては、一元的窓口を消費者庁に設置すべきであるといったような整理でございます。

まず具体的なところでございますが(1)といたしまして、既存の事務でございますが、今後、機能を拡充するものといたしまして、例えば公益通報者保護制度相談ダイヤルにおける対応の一層の拡充などといったものを記載させていただいております。

(2)のところでございますが、一元的窓口として新たに機能を付与するものといたしまして、今後、権限を有する行政機関の特定が通報者にとって難しい通報事案について、通報者からの相談がなされた場合に、一元的窓口が各行政機関と連携しつつ、権限を有する行政機関を特定し、通報者に教示するといったことでございますとか、行政機関の不適切な対応があった旨の通報者の苦情受付、当該行政機関に事実関係を個別に確認するなどして、必要があると認めた場合、当該行政機関に注意喚起するなどといった適切な対応を求めるといったことが考えられるといったところでございます。

32ページに参りますが、「9 2号通報として保護の対象となる通報先の拡張」でございます。

こちらは、最初は「一元的窓口への通報、誤って権限のない行政機関に出された通報」でございます。こちらにつきましては、2号通報の通報先が処分または勧告等の権限を有する行政機関とされているといったことも踏まえまして、2号通報の通報先を一元的窓口や権限を有しない行政機関へ拡張することは、今後、必要に応じて検討を行うべきであるといった整理となっております。

また「(2)権限を有する行政機関が指定した者への拡張」につきましては、権限を有する行政機関にすべからく外部通報体制整備を義務付けた場合に、行政機関の規模等の制約から、自ら単独で窓口を設置することが困難な場合も考えられる。そういった場合に「協議会の設置」「機関等の共同設置」等といったことが考えられるといったところでございますが、こういった窓口を設置した場合に現行法の規定の範囲内で対応できるかどうかについて、法制的・法技術的な観点から整理を行っていただきまして、対応できない場合には、33ページに参りますが、権限を有する行政機関があらかじめ指定したものを通報先に加えるべきであるといったまとめでございます。

33ページの「10 不利益取扱いをした事業者に対する行政措置、刑事罰」のところでございます。

まず説明のところでございますけれども、通報したことを理由に不利益取扱いを受けた事案が多数生じている。現行の民事ルールだけでは不利益取扱いに対する抑止の効果が不十分であるといったことでございますことから、不利益取扱いに対する抑止の観点から、事業者に対する行政措置を導入すべきであるといった御議論をいただきました。

行政措置の種類については、現時点で過大な行政措置を導入することは適当ではない。事業者による自主的な措置を促していくことがまず必要でございまして、まずは助言、指導、任意での是正を促すべきであるといったことでございます。その上で、重大かつ悪質な事案を対象に勧告を行うべきであるといったところでございます。そして、勧告に従った場合には公表を行うことができるといったことにすべきであるといった意見でございます。

速やかな是正を求める指導、勧告の効果を高めるために不利益取扱いを行った事業者に対する制裁的効果や他の事業者に対する抑止効果も期待することや公表まで含めるといったことでできるといったことでございます。

以上を前提として調査及び事実認定をしっかり行うなど、慎重な手続を踏むことが求められるといった御議論をいただいたところでございます。

「もっとも」のところでございますが、消費者庁は地方支分部局を有さず、公益通報者保護法や労働関係法令に関する執行実績もない。このため、こうした行政措置を導入するに当たっては、円滑な執行に向けた体制(関係行政機関との連携・協力を含む)を構築していくことが不可欠であるとここにも記載させていただいております。

また、命令制度につきましては、今後、必要に応じて検討を行うべきであるといったところでございまして、まずは助言、指導、勧告、公表、まずはここからといったところかと思います。

この部分につきましても脚注の19でございますけれども、先ほども御紹介いたしましたが、これに対しては行政機関において適切に調査及び事実認定を行う体制を構築することができるか疑問であり、公表まで導入することについて反対する意見もあったといったところでございます。

34ページに参りますが、さらに刑事罰までといったところも御議論いただいたところでございますが、こちらにつきましては刑事罰を導入することについては今後必要に応じて検討を行うべきであるといったところでございます。

続きまして「11 不利益取扱いに関する紛争解決手続」でございます。

こちらは行政措置とは別にそれぞれの事情に即した柔軟な解決が図られるよう、不利益取扱いに関する紛争解決手続を充実・拡充させていくことが望ましい。もっとも、現時点では、限られた行政資源の中で、一元的窓口における相談体制や情報提供の充実、既存のADRの活用などによって対応を図っていくべきであるといった整理をいただいております。

「12 不利益取扱いが通報を理由とすることの立証責任の緩和」でございます。

こちらにつきましても非常に御議論いただきましたところでございます。

まず最初の「解雇」のところでございますが、不利益取扱いを受けた場合、公益通報者保護法で保護されるには、当該解雇その他の不利益取扱いが通報を理由とすることの立証を通報者が行わなければならない。解雇は特に重大な影響を与える不利益取扱いであることから、通報者の立証の負担を軽減し、立証責任を緩和することが考えられるといった意見があったところでございます。

過去の事案において、通報もおおむね1年以内の通報を理由とした解雇が行われていることに鑑みまして、1年以内に行われた解雇について通報を理由とすることの立証責任を事業者側に転換してはどうかといったことが考えられるといった意見がございました。

一方で、こういった意見に関しましては、立証責任を事業者側に転換することで悪意のある労働者に制度が利用されるといったことでございますとか、通報者に対する措置を一時凍結するなど、円滑な労務管理を阻害するといったような懸念も示されました。また、他方では、一定期間内の解雇に限定して、その当該期間が経過した直後に解雇が行われる、そういった御意見もあったところでございます。

以上のように、通報から一定期間内に行われた解雇につきまして、当該解雇が通報を理由とすることの立証責任を事業者側に転換することにつきましては、現時点で様々な意見がございまして、今後、必要に応じて検討を行うべきといった整理とさせていただいております。

35ページ目のなお書きのところでございますが、そういった整理はさせていただいておりますけれども、現在でも実務上は労働者が不当に解雇された場合、通常、労働者側において労働契約法16条に違反している旨の主張を行うところ、労働者側から何ら落ち度なく勤務してきた等の概括的な主張があれば、この16条の解雇権濫用の評価根拠事実の主張があったものとして、使用者側において解雇の理由を解雇権濫用の評価事実として立証して主張しなければならないとされている。こういった事実もあるといったところもこちらに明記させていただいているところでございます。

35ページの「(2)その他の不利益取扱い」でございますが、こちらにつきましても御議論いただきまして、情報や証拠資料が事業者側に偏在していることなどから、不利益な取扱いが通報を理由とすることの立証責任を事業者側に転換すべきとの意見もあったところでございます。ただ、こちらにつきましても結論といたしましては、今後、必要に応じて検討を行うべきという形でさせていただいております。

「13 通報行為に伴う損害賠償責任」のところでございます。

こちらにつきまして説明のところでございます。不利益な取扱いの内容に損害賠償請求が含まれると解されており、通報者に対して公益通報を理由として損害賠償請求を行うことは違法となり得るといったところでございます。通報者が安心して通報することができるよう、不利益取扱いから保護される要件を満たしている場合には、通報したことを理由として損害賠償を負わないという規定を設けるべきであるといったような方向で整理させていただいております。

ただ、36ページのなお書きのところでございますけれども、なお、当該規定を設けたとしても、事業者の営業機密を漏らしたり、関係者の名誉を毀損したりするなど、公益通報とは無関係に他人の正当な利益を害した場合の損害について一律に免責することを定めるものではない。ここは明記されているところでございます。

その次の「通報行為に伴う刑事責任」でございます。

こちらにつきましてもいろいろと御議論いただきましたが、現時点の整理でございますが、今後、必要に応じて検討を行うべきといったところでございます。

「15 その他の論点」のところでございます。

こちらにつきましては36ページから37ページにつきまして「行政による調査措置義務の対象となる通報者の範囲」「通報者の探索及び通報妨害」、37ページに参りますが「通報者へのフィードバック」といったところも御議論いただきました。いずれも非常に重要な論点でございまして御議論いただいたところでございます。

結論といたしましては、今後、必要に応じてというところでございますが、こういった報告書にきちんと明示することによりまして、今後、こういった制度を検討する際に論点として挙がっているということが明らかになるといったことでも意味があるといったことでございまして、こちらの報告書の中ではしっかりと整理させていただいているといったところでございます。

論点のところは以上でございます。

最後に38ページ目の「おわりに」といったところでございます。こちらは余り専門調査会の中で御議論いただくといったような趣旨のところではございませんが、少し「おわりに」のところにつきましても御紹介させていただきます。

こちらは諮問などを受けて、そういった取りまとめを行う際にこういった書き方をしているといったところでございますが、本報告書の提言内容は本専門調査会における約1年にわたる真摯な議論を取りまとめたものであり、政府においては、本報告書で提言された事項について、その実現に向けてできる限り努力を行うよう期待したいといったところでございます。

ただ、提言の中には法制的・法技術的な観点から整理を行うべき事項もたくさん含まれております。また、今後、政府において必要に応じて関係者から意見を聞く機会を設け、法改正も視野に更なる検討を行うことを求めるといったところでございます。

また、提言では、行政機関における適切な執行体制の構築を求めるといったところも何カ所かございます。政府においては提言の内容をできる限り尊重した対応を求めるといったところでございます。

また、この提言の直接の受け手と思われます消費者庁様におかれましては、これらの事項を含めまして提言された内容の実現に向けてさらに具体的に検討を行っていただきまして、その結果について消費者委員会に報告があり、当該報告を受けた消費者委員会から本専門調査会に要請がされた場合には、本専門調査会において必要に応じて再度検討を深めることもあり得るといったところでございます。

改正法案が成立した場合には、改正内容を、現行法の内容とともに消費者、民間事業者、行政機関に対して幅広く周知していただきたいといったところでございます。方向性が示されなかった論点につきましても、政府において今後の検討課題とし、その時々の状況を見ながら、必要に応じてさらなる調査・分析を行っていただきたいといったところでございます。

なお書きのところも明記させていただいております。本調査会における審議の中で、事業者における公益通報制度の運用上、公益通報と、公益通報以外の通報相談(個人的な悩みの相談など)、それぞれについて、通報者・相談者の理解を得ながら適切に対応することの難しさを指摘する意見もございました。

事業者において公益通報制度を実効的に運用し、また、社会に向けて公益通報制度の重要性を示していくために、政府において、情報提供その他の方法により、こうした実務運用上の課題にも対処することを期待したいといったところでございます。

長くなりまして申し訳ございません。以上でございます。

○山本座長 それでは、これから議論に入りたいと思います。

私のほうから、本日の会議に関しまして、一言、基本的なことを申し上げたいと思います。

本専門調査会は今年の1月に内閣総理大臣から、今日の資料で申しますと3ページのところにあります諮問を受けて、15回にわたって議論を続けてまいりました。大きく分けますと第1ラウンドとして8月まで一度議論を行い、そこで一旦の中間取りまとめをし、その後、関係団体から意見聴取を行い、そして、10月の後半から第2ラウンドの議論を始めました。そして、それを終結したのが先月の22日でした。そして、今日が12月18日ですね。約20日間、さらに間を置いて、今日に至りました。

この間、委員の方々には大変御多忙のところ、それぞれの関係者の意見も聞きながら調整に努力をしていただき、そして、今日の取りまとめの会に至っているということでございます。したがいまして、今日は今までの議論を繰り返すというのではなく、取りまとめに向けた議論をしていただきたいというように思います。つまり、大局的な観点から、全体としてのバランスを見ながら、どこに着地をさせるかということをお考えいただきたいというように思います。

個々の論点に関して、それぞれ意見があるということは私も重々承知しております。私自身の意見と異なるところも、この報告書の中には率直に申し上げて含まれております。しかし、それは大局的な観点から見て、現時点において立法を行うという際に、この線で全体としてまとめることが適切であろうという観点から、このように取りまとめの案を私としても了としたところでございます。そういったことを十分お考えいただいた上で御議論をいただきたいと思います。つまり、取りまとめに向けた議論であるということ、そして、この間に取りまとめに向けて委員各位が努力を重ねた結果、ここに至ったということをまず念頭に置いて議論していただきたいと思います。

さらに具体的なことを若干申し上げます。ここに集まった委員の方々は、皆、それぞれ公益通報者保護法をよいものにしていこうという気持ちは全く共通していたというように思います。ただ、その中で、それでは、どのレベルで公益通報者保護法の内容あるいは手続を拡充させていくのかという点に関しましては意見の幅があったということは否定できないところでございます。

一方におきまして、特に拡充をさせようという大きな表現を使いますが、拡充させようという立場の委員から見て、これでは若干不満であるという点があろうということも私は承知しております。とりわけ、守秘義務の点、それから、立証責任の緩和の点、この点につきましては林委員からEUの指令案の紹介がありましたように、本来であれば公益通報者保護法の1つの柱になる部分です。しかし、この取りまとめにおいては、そこについては今後の課題とするというまとめ方をしております。

この点について、いろいろ本来であれば反対があろうということは私も分かっております。とりわけ守秘義務に関しましては、この場での反対意見は1人の委員から表明されただけです。しかし、そこのところは実質をとっていただきたいと思います。つまり、この部分については、一般法理で賄うことができる。ですから、一般法理をこれから使っていただくという形で御納得をいただければというように思います。これは大変申し訳ないのですけれども、そのように思います。

そのほか、例えばフィードバックの問題。これもEUの指令案の中に入っているところでございますが、今回は今後の課題としております。これらに関しましては、これは今回、公益通報の範囲を広げるということがありますので、さらに加えて、そのフィードバックという点まで義務として課すというのは、いわば2段階跳ぶことになりますので、そこまでは難しいだろうということでございます。決してこれが重要でないという話ではないのですけれども、しかし、今回はまず1つのステップを踏んでいくということを目指すということで御了解をいただければと考えております。

他方におきまして、むしろ慎重な意見を表明された委員の方もおられます。その委員の方には、しかし、非常に努力をしていただいて、何とかこの線までまとめていただいた。関係者の内部でまとめていただいたということを私は承知しております。その点は非常に多とするところであります。

ただし、この点はできればということなのですけれども、報告書の中には、これを国民が読んだときにあれと思われるような箇所が何カ所か、なお残されています。その点に関しましては、細かいので、そこに落としたという注記もありますけれども、注記をした反対論の中には、なかなかこれを読んだときに納得していただけるのだろうかというように私として若干懸念をするものも含まれております。できましたら、そこのところはもう一歩調整をしていただければ私としては大変ありがたいと思います。少なくともこの点については、このような意見があったという注の形にしていただければ大変ありがたいと思います。

私としては、逆にここのところを捉えて、公益通報者保護法に対して概して非常に消極的であるといった受け取られ方をされることを懸念して申し上げるところです。

最後に、消費者庁に対して一言申し上げたいと思います。この間、資料の取りまとめ等に関しまして大変な御尽力をいただいたということを私はやはり多としております。非常によくやっていただいたと思います。

今日の議論におかれましては、私が先ほど申し上げたことを受けとめて発言をしていただきたい、そのように思います。すなわち、今回は事業者に対しても大変な御負担をおかけする内容が含まれています。しかし、それでもこれだけやっていただけるというので合意をしたわけです。行政機関の側でそれを受けとめていただきたいということ。それから、議論の仕方に関してですけれども、この間において、第1ラウンド、第2ラウンド、そして、その間に関係者からの意見聴取を行いました。消費者庁におかれましては、さらにその前に検討会を開き、そこでパブリックコメントを行っています。

直近で申しますと、先ほど申し上げましたように、前回の議論からこの会まで約20日間の日にちがございました。そのように私としては、消費者庁におかれまして十分課題をこなすだけの時間をとったつもりでございます。そして、その中で、こういう点は将来、さらに課題としてあるということも明示したつもりでございます。その点を十分意識して発言していただきたいと思います。もしもそのようなことが無理であったというのであれば、具体的な事情をお聞かせ願いたい。この場で私は委員の方に具体的に議論してくださいということをずっと申し上げた。消費者庁におかれましても、今日の発言におかれましては、具体的に議論をしていただきたい。よろしいでしょうか。

まず、今日の会議について、私が全体として思うところを述べさせていただきました。何かその点についてございますでしょうか。個々の論点に関しましては、これから議論してまいりますけれども、よろしいでしょうか。

それでは、意見交換、個々の点に入りたいと思います。まず最初の部分でございますが、「はじめに」と「Ⅰ 公益通報の現状等」についてです。ページで申しますと3から12ページまでの部分でございますが、御意見のある方はお願いをしたいと思います。12ページまででございますが、よろしいですか。

石井委員、どうぞお願いします。

○石井委員 ありがとうございます。

本日、この会議開催に向けて、様々な方の御努力があったということをしっかり私も受けとめた上で発言をさせていただきたいと思います。

瑣末なことかもしれないのですが、6ページに図がございます。図の(3)におきまして内部通報制度導入事業者においても整備状況は様々ということで、赤く囲っているところがあるのですが、小さくて私も読みにくいのですけれども、そこで取り上げているのは、多くの事業者が利益相反の排除あるいはトップの責務、フォローアップ等の重要な事項について内規に規定をしていないという点でして、囲みをしてやや強調した形になっておりますが、後のほうとの関係なのですが、26ページに体制整備について、こういうことを求めたらいいのではないかとしている「ウ 履行すべき義務の内容」がございますが、これと対比をしたときに、ここでは窓口の設置とか窓口の周知あるいは情報の共有の範囲の問題、そして、不利益取扱いの禁止、この4点が掲げられております。

これらの事項は極めて基本的な重要な点だと思うのですが、もし(3)で、赤で囲むとすれば、図の上のほうに示されております秘密保護とか不利益取扱いとか、そちらのほうも必ずしも100%には至っていないわけでございますので、そちらを赤字で囲っておいたほうが整合がとれるのではないかなという感じがいたしております。全くこだわるものではないですが、御検討賜れればと思っております。

以上でございます。

○山本座長 その点、事務局のほうはどうですか。

○友行企画官 かしこまりました。そのようにしたいと思います。

○山本座長 そのほかにございますでしょうか。

林委員、お願いします。

○林委員 6ページの図なのですけれども、この図は内部通報制度の導入割合でして、300名以下のところが少ないというのが表れていていいと思うのですが、今回、300名以下については努力義務にする。300人を超えるところについては法律上の制度を導入しなくてはならないということになりますので、そこが70.5%であるというデータだけなぜ抜いてあるのかなと思いまして、ここのデータも入れていただいたほうが分かりやすいのではないかと思います。

以上です。

○友行企画官 かしこまりました。このグラフにつきましては少し考えてそのようにしたいと思います。

○山本座長 そのほかにございますでしょうか。よろしいですか。

それでは、ただいま6ページのグラフに関しまして若干御指摘がございましたので、その点をさらに修正させていただきたいと思います。

その次ですけれども、個別論点の1から4、すなわちページで申しますと13から23ページです。少し長いのですが、御意見のある方はお願いをしたいと思います。いかがでしょうか。

お願いします。

○柿崎座長代理 確認といいますか、質問なのですけれども、16ページの(4)です。「役員等であった者」というのが「今後、必要に応じて検討を行うべき」事項として、今回の改正には入れないというふうに整理されている点についてです。たしかに、「取引先等の事業者であった者」に関しては相当ここでも議論したと私も了解しております。

しかし、私の勘違いなのかもしれませんが、「役員であった者」、つまり、退職された役員の場合は、取引先等とはちがい、それほど範囲の明確性が曖昧であるという問題点もないのかなと思っております。今日は全体の取りまとめということなので、変更をお願いするというわけではないのですが、1つ、従業員兼務取締役の方が取締役をやめて、そのときに従業員に戻った場合、この方が退職されたときには、かつて取締役であったのだから、保護対象者に入らないのか、それとも従業員の退職なので保護されるのか、この点はいかがでしょうか。私は本来であれば退職役員というのは最も情報を持っている者に該当すると思いますので、公益通報者保護法の本来の趣旨から言えば入れていただきたいと思っていたところではあるのですけれども、その従業員兼務取締役等について、取締役をやめたときの扱いについてどのようにお考えなのかというのをお伺いしたいということでございます。

○山本座長 では、お願いします。

○消費者委員会事務局担当者 お答えさせていただきます。

従業員兼務取締役ということで、労働者と役員の双方の地位を持っている方だと思いますので、退任後ということであれば従業員あるいは退職者として通報することが考えられるのではないかと考えております。

○柿崎座長代理 分かりました。

○山本座長 よろしいでしょうか。

過去に役員等であった者に関しまして、何かもう少し可能性を考えたほうがよいのではないかということでしょうか。兼務の問題は今、答えがありました。

○柿崎座長代理 私は当然入るものだと思っておりましたので、最後の取りまとめの段になって、役員であった者というのが除かれている合理的な理由がよく分からない訳です。ただ、確かに1つ御懸念があるとすれば、現役の取締役の方は善管注意義務を尽くした上でという前置要件を満たした上で保護するということであったのに、退職された役員の方はその意味では善管注意義務を尽くしようがないので、そこに前置要件を求めることは難しくなってくるということで、それとの平仄をどうするのかという問題は少しあるとは思うのですが、従業員と同様、役員も当然、やめた後のほうが通報しやすいということはもちろんあるわけで、それは翻って言えば公益を守るという視点からは、国民の生命、身体に対するリスクについて重大な情報を持っている可能性が極めて高い重要な情報源ということになりますから、諸外国でもやはり退職された方が多くの通報をなさっている実態からしても、本来であれば、やはり退職役員というのは入れていくという方向で取りまとめていただきたかったなというのが私の意見です。けれども、それがなければどうしてもということではございませんので、ぜひ今後の検討の必要性のところで、特にEUやアメリカの状況をみても、これを除外しておりませんので、そういう点もどこかに付記していただければと思います。

○山本座長 ここに過去に役員等であった者と過去に取引先事業者であった者が一緒に書かれているのですが、そこについて、過去に役員であった者について、今、お話のあったように、一方で、やはり過去に役員等であった者の通報は法の遵守を進める上で重要な意味を持つ。しかし、他方で、今、お話がありましたように、在職中であれば前置要件がかかるところ、退職後にその点をどのように考えるかといったような点に若干の課題があるというように、過去に役員等であった者について、もう少し書き加えるということでいかがかと思います。

○友行企画官 かしこまりました。

○山本座長 では、そのようにお願いいたします。

ほかにございますか。

中村委員、お願いします。

○中村委員 ありがとうございます。

この論点につきましては特に反対等ということではございませんが、一応念のためということで2点、申し上げたいと思います。

1点目につきましては、退職者を保護の対象に加えるということなのですけれども、その範囲です。時期を例えば3年ということでここにも記載をしていただいておりますけれども、やはり実務上の対応ということを考えますと、在職期間を過ぎて余りにも長くたった後でということについては対応が難しいということについては、今後の検討に当たって留意をしていただきたいということが1点目でございます。

あと役員の部分につきまして、先ほど注記についてどうだというお話もありましたけれども、経済界としては、会計監査人の部分については、その法令に従ったルールのもとでやっていただくのがいいのではないかというように考えておりますので、そこの部分も御留意をいただきたいと思います。

以上です。

○山本座長 ありがとうございました。

14ページの注記に関しまして、これは細かい問題であるという意味で注記になっているというように認識しておりますので、特にこれが合理的か、不合理であるかということではないと思いますが、ほかにいかがでしょうか。

では、林委員からお願いします。

○林委員 今のは、4までということですね。

○山本座長 4までです。

○林委員 2号通報の保護要件についてなのですけれども、おおむね緩和すべきということで合意したということで、ここの用いられ方が中小企業の事業者が300名を超えるものというようにして、つまり、行政機関に対する通報というものを中小企業の300名以下の事業者の方についての受け皿になるということを考えたときに、2号通報はすごく重要になると思います。そうしたときに、2号通報の保護要件というのが1号通報と差があるというのは中小企業の方にとっては公益通報するのに物すごくハードルが上がってしまうということになりかねないと思いますので、できればほぼ同じ要件にしていったほうがいいのではないかと思います。ですので、この19ページのイのところに書かれています一定の事由に該当する場合には真実相当性を不要とすることでという、できるだけ1号通報と同じ要件にされたほうがいいのではないかというように考えます。

以上です。

○山本座長 ありがとうございます。

亀井委員は別の点ですか。では、亀井委員の意見を伺ってから、さらに今の御意見について、ほかの委員の御意見も伺いたいと思います。

では、お願いします。

○亀井委員 私がお聞きしたいのはかなり技術的なところなのですけれども、20ページ目の「(2)3号通報の保護要件」「イ 特定事由」のところなのですが、事業者が内部通報体制の整備義務を履行していない場合の中に、努力義務である300名未満の中小企業の従業員の方、中小企業が含まれるのか否かという、これをどう解釈したらよいのかなというところをお聞きしたかったのです。特定事由から除外されると素直に考えてよろしいのでしょうかというのが質問です。

○山本座長 今の点、20ページのイですけれども、この点についてはどうですか。

○消費者委員会事務局担当者 お答えさせていただきます。

ここは立法化の段階で御検討いただく事項かと考えておりますけれども、定め方の問題でして、特定事由が適用される範囲を内部通報体制の整備義務がかかっている範囲に限定すれば、当然その範囲でしか特定事由もかからないということになりますし、一方で、外形的に判断可能な要件をもう少し幅広に、例えば窓口を設置しているかどうかとか、そういったレベルで課しますと、たとえ努力義務であっても窓口が設置されていない場合にはそういう特定事由に当たり得るというような整理も可能だと思います。そこは立法化の段階でどの範囲にするかという点については御検討いただくものと考えております。

○亀井委員 分かりました。ありがとうございます。

○山本座長 ここは具体的に客観的、外形的に判断することが可能な要件を設定するということが前提になっていますので、それを課したときに、それでは中小企業の場合に、そういった要件を課すことが適切かということがさらに問題になるということかと思います。

林委員から先ほど御意見があった点についてですけれども、その点についてはいかがでしょうか。この2号通報の要件の部分に関してですね。

お願いします。

○林委員 先ほど300名以下のところのお話をしたときにもう一つ言いたかったのですけれども、日本の企業の中で300名以下の企業はどれだけあるのかということなのです。300名以下の企業というのは七、八割ではないかと思います。そうすると、ほとんどの通報したい人というのは要件が厳しくなるということになると思いますので、その辺のところを考えないといけないのではないかと思います。

○山本座長 ありがとうございます。

今の点について、いかがでしょうか。

中村委員、お願いします。

○中村委員 すみません、先ほど意見を言うときに意見を言う範囲を間違えました。後半の部分については追加して述べさせていただきたいと思いますが、今の2号通報の保護要件に関してですが、真実相当性の要件を緩和するということについては方向的には反対だということを申し上げたわけなのですけれども、予見性があって合理的な緩和方法が満たせるという前提の中で何らかの規定をするということについてはいいのではないかというようなことで考えていたところであります。

具体的な緩和の議論につきまして、少しいろいろな御意見があって、意見が収束していないというように感じておりますので、今のような形で予見性があり、合理的な緩和方法が見出せる前提で法文を検討するというような形で書いていただくということでお願いできないかなと思います。

2号通報については以上です。

○山本座長 今の点ですけれども、19ページの説明のところに大きく分けると2つのことが書かれていまして、1つは真実と認めるに足りる相当の理由と、それから、思料するという要件との中間に何らかの要件を設けるという案が1つですね。

もう一つは、ここにあります3条3号のイからニに該当する事由がある場合には、この真実相当性の要件を外すということでございまして、3条の3号のイからニに列挙されている事由というのは、不利益取扱いを受けると信ずるに足りる相当の理由があるとか、内部通報の体制が十分整備されていない。大きく言いますと、そのような場合を挙げているかと思います。

今の御指摘の点に関して、恐らく2つの場合でかなり違うのではないかと思われます。つまり、先ほどの中間の線で要件を設定するということに関しましては、この場で議論がありましたように、要件の設定の仕方が非常に難しいということがございます。どのように書いても適切に解釈することが難しいだろう。それで、場合によっては結局、今の場合と余り変わらないことになってしまうのではないかというようなことがありまして、ここは規定の仕方が技術的にかなり難しいだろうという意見だったかと思います。

他方で、このイからニに挙がっている部分というのは、通報体制が十分機能していないという場合でありまして、これは現行法上の要件でもありますので、それ自体としては非常に明確に書かれている部分でございますし、先ほどの中小企業等の場合になかなか通報体制を整備することが難しいという場合の受け皿としてもある意味では考えられるところかと思います。つまり、具体的な方策という点で言いますと、非常に大きく言えばその2つのことがあり得て、その2つの場合でかなり状況が変わってくるのではないかというように思います。

お願いします。

○川出委員 私も基本的に今の座長の御指摘と同様の方向で考えています。そもそも、真実相当性に関しては、3号通報と異なり、2号通報の場合には、それを要求する趣旨が余り妥当しないと思いますので、1号通報との差異を維持しつつ、要件を緩和する方法としては、一定の事由に該当する場合には真実相当性を不要とする後者の方法をとるのが妥当ではないかと思います。

そのうえで、ここでいう一定の事由に、現在挙げられている第3条第3号イから二に該当する場合だけでなく、先ほど3号通報のほうで問題となりました、事業者が内部通報体制の整備義務を履行していない場合を加えたらよいのではないでしょうか。その義務が履行されていない場合には真実相当性は不要であるという形にすれば、先ほど林委員からご指摘のあった懸念についても対応が可能だと思います。1号通報と2号通報の要件を同じにするというのではなく、まずは1号通報を促すという現行法の前提は維持しつつ、それが機能しない場合については2号通報ができる仕組みを設けるという方向がよいのではないかと思います。

○山本座長 いかがでしょうか。

林委員、中村委員、何かございますか。

○林委員 結構です。

○中村委員 そうなってくると、やはりどちらかというと現行のまとめということで双方の意見があったということでおまとめいただくという方向性でお願いできないかと思います。もし真実相当性の要件を他に置きかえるか、一定の事由に該当する場合は真実相当性を不要とするということの2つの意見があった。

○山本座長 ということは、現行のまとめのようにしていただきたい。ただ、私、若干気になりますのが、20ページの冒頭のところに「但し」とありまして、2号通報の件数が増え、権限を有する行政機関が適切に対応できなくなってしまうことの懸念なのですが、この点も今の2つの場合でかなり違うのではないかという気がいたしまして、つまり、要件が曖昧であるということになると確かにいろいろな通報が寄せられる可能性があると思いますけれども、イからニの場合についてこれがどれだけ言えるかということが1つありますし、もう一つは、ここに書かれている理由は、この報告書に対して反対しようと思えば、ほとんどあらゆる場合に言えることでして、これを本文中に書くことに関しては、私は実は気になっておりました。

今の中村委員のニュアンスから言っても、少し強いかなという気がしていまして、私としては反対意見を残すということに異論はございませんが、ここのところの記述をもう少し工夫させていただくことについてはいかがですか。具体的に申しますと、注記のほうにさせていただくということに関してはいかがでしょうか。

お願いします。

○池本委員長代理 池本です。

確認です。今の幾つかのやりとりでいきますと、19ページの説明にあるように、2号通報について全体として単に思料するというところまで落とすのではない、真実相当性という要件の枠組みは残す。ただし、3条3号のイからニに該当する事由、それにもう一つ、窓口体制の整備がない場合というものを加えた上で、この特定事由を列挙するという形で、その場合は真実相当性の要件を外す。こういう形にすれば行政機関について適切に対応できなくなるほど判断するという問題にはならないのではないか。意見はあったけれども、本文である必要はないのではないか、というように理解すればよろしいのでしょうか。そこは確認が1点。

だとすると、ここから先は私の意見ですが、19ページの1つ上の段の「以上のように」からのところで、これに対して2号通報の保護要件を緩和することに反対する意見もあったというのは、どちらかというと思料するというように全面的に2号の要件を緩和してしまうということはまずいのではないかという御意見だったのではないかと理解していたのですが、今のように絞り込んでいくとすると、中間のところに書いてあるところを注書きに落とすなりという扱いでも差し障りないのかなと感じたのです。

2点について申し上げたいと思います。

○山本座長 何か消費者庁のほうで御意見ございますか。

○廣瀬消費者制度課長 失礼いたします。消費者庁でございます。

ここのところは行政内部でも検討している中で御意見をいただいているところでございますので、若干御紹介をさせていただきます。

一定の事由に当たる場合は、現在、3号通報の特定事由になってございますが、これを2号通報に移してくるという案につきましては先般の第2ラウンドの議論の中でもさせてもらったところでございますが、その中で行政機関から受けているごもっともな指摘といたしましては、行政機関においては2号通報を受けますと、これは通報者にとって民事上の保護の要件になるわけですけれども、行政機関にとりましては、そうした通報がございますと一定の調査義務などが発生することになってございます。その際に、行政機関として一定の事由に当たるかどうかというのを判断することがなかなか難しいのではないか。すなわち、行政機関が通報を受けた際に、その通報が公益通報に当たるのかどうか、2号通報に当たるのかどうかを判断するのは困難なのではないかということの指摘をいただいておりまして、そういった観点からの困難性を指摘いただいているところでございます。

以上です。

○山本座長 消費者庁としては、それに対してはどのような御意見なのでしょうか。

○廣瀬消費者制度課長 例えば消費者庁ももちろん公益通報を受けるわけでございますが、そのときに当該事業者で証拠隠滅がされる、真実相当性があるのかどうかとか、当該通報をすれば不利益取扱いを受ける真実相当性があるのかといったことを各省庁が判断するためには法令遵守のために必要となるのとは別個の調査を課すことになるという意味では、行政機関の負担は重くなるのではないかということを考えてございます。

○山本座長 どのようにするべきであるというようにお考えですか。

○廣瀬消費者制度課長 なかなか困難な要件なのではないかと今のところ考えてございます。

○山本座長 という御意見でしたけれども、ほかの委員の方、いかがでしょうか。

それでは、池本委員、お願いします。

○池本委員長代理 池本でございます。

今、消費者庁から御説明のあった理由付けですが、まず調査義務を課されるものに当たるかどうかの判定が困難である。そこについて更に調査をしなければならないとおっしゃったのですが、むしろ、それぞれの所管の法律について調査措置の申し出があるような場合、例えば行政手続法上もそういう場合にはきちんと受けとめて対処するということが行政機関としての基本の責務、義務ではないかということが1点。

今回、行政機関について、ちゃんと公益通報を受け付ける外部通報の窓口の体制も整備するということを、これから加えるということになっているとすれば、その中でもちろん現在よりは少し負担が増えるということは避けられないのかもしれませんが、そこの窓口の体制の中で努力していただくということではなかろうかと思います。したがって、そこの負担が増えるから今の3号の要件を特定事由に加えることは困るということは、それほど説得な理由ではないように私は思います。

○山本座長 私のほうからもよろしいですか。

先ほど川出委員から言われましたように、3号通報の場合について外形的な要件を設定するというようなことがここで議論されたところでございます。これについて消費者庁で具体的にどのような検討をされているのか。そして、それをここにもある意味で応用していくといったようなことは考えられないだろうかということについて、私からも伺いたいと思います。

どうぞ。

○廣瀬消費者制度課長 今、困難だと申しましたが、いずれにしても、ここは法制的、技術的な観点から検討を行うべき課題ということでございますので、引き続き検討していき、現時点ではということでございます。その上で、外形的なというところにつきましては、具体的にどういったものが外形的なものとして受け入れられるのかということは今の段階で妙案はないところでございますが、そういったものを考えていくということについては、その方向であると思っております。

なお、池本先生からお話がございましたが、行政手続法の36条の3につきましては、第2項というものがございまして、行政機関が調査を行うべき申し出につきましては、申し出をする者の氏名、名称、住所、居所、法令に違反する事実の内容、その他法令の条項あるいは当該処分または行政指導がなされるべきであると思料する理由などを書面で提出することが求められておりまして、こうした形で行政機関に対する義務の発生の要件を定めているところでございます。

御参考まででございますが、お伝えいたします。

○山本座長 ありがとうございます。

ほかにございますでしょうか。

では、今の点に関しましては種々の御意見があったところでございますが、先ほど私が申し上げた2つの場合について、それぞれ、どのような問題があるかといったような形で少し整理をさせていただこうかと思います。現状ですと、そのあたりの問題点がやや見えにくいところもありますので、そのように少し修正するという方向でよろしいでしょうか。

○友行企画官 かしこまりました。

○山本座長 それでは、中村委員、ほかの点でしょうか。

どうぞ。

○中村委員 まず、通報対象事実の範囲の点でございますけれども、今回の案では刑事罰の担保による限定を行政処分にも拡大する。法目的による限定を外す。規定についての列挙方式もやめるということでございまして、経済界としてはいろいろ反対の意見を述べさせていただいたところでございます。

特に最後の列挙方式をやめるということに関しましては、その場合にどのような規定が加わってくるのかということについて少し具体的なところを見て判断したいということで申し上げさせていただいたところでございますので、報告書の段階ではそこまで難しいということかとは思いますが、今後、さらに詰めていく段階において、改めて詳細というか、具体的にどういうものが加わってくるのかというところをお示ししていただいて議論する機会を与えていただきたく思います。

3号通報の保護要件についてなのですけれども、内部通報体制の整備義務を履行していない場合を特定事由に加えるということについてはおおむね合意したという取りまとめについて反対はしないのですが、退職者を保護対象とする場合につきましては、内部通報の受付窓口の周知という点については周知が難しいところがあるかと思いますので、その点についても配慮した上での規定というのをお願いしたいと思います。

以上です。

○山本座長 今の御意見は、具体的にはどのようなことでしょうか。

第1の点に関しましては、ここは非常にごちゃごちゃしたところではあるのですけれども、2つあって、1つは法律のでき上がった形としてそれが明確か、対象が明確に書かれているかどうかという話と、もう1つは、法律を作る過程において、具体的に内容的に、公益通報者保護法の適用対象としてふさわしくないものが入る可能性があるのではないか、という恐らく2つの問題があって、第1の問題に関して申し上げれば、私は前回も再三申し上げましたが、行政処分というのは法律の根拠がなければできません。行政罰も法律の根拠がなければ科せません。したがって、法令上、それは明確に書かれているというように思います。そして、それに比べると、むしろ、目的による限定のほうがそういう意味で言うと曖昧なのです。

この中にも書かれていますけれども、目的による限定が本当にどれだけ機能しているのかということについては、もう少し考えなければいけないというところがあると思いますが、それは非常に曖昧である。そういう意味で言うと、ここに書かれている対象の方ができ上がった形としては非常に明確であると思います。

ただ、他方で、御懸念としてあり得ると思うのは、要するに、立法の過程において具体的にこういったものが対象になりますということをあらかじめ示していただかないと、それについてこれは対象とするのにふさわしくないのではないかといったようなものが出てきてしまう可能性があるということ。これについては、私は、それはあり得るだろうと思いますし、具体的にはこの中でもネガティブリストという形で、恐らくこれは各行政機関に対してもいろいろ見解を伺わなくてはいけないところかと思いますけれども、そのような形で除くものは除くという形をとるというのが現在の案になっております。

ですから、今、言われたことについては、当然、受けとめて立法の作業が行われることになるのではないかと思いますが、それでよろしいでしょうか。御懸念としては、要するに立法のときにあらかじめこういうものが対象になりますというものを並べていただかないと、つまり、それを最終的な法律に書くかどうかということはともかくとして一旦並べていただかないと、いろいろ懸念が出てくる可能性がある。ですから、それは並べていただいて、これは外すということについて意見を言う場を設けてほしいという意見であると受けとめてよろしいでしょうか。

○中村委員 はい。方向性としてはそういうことで結構だと思います。

○山本座長 事務局のほうはそれでよろしいですか。

○友行企画官 はい。かしこまりました。

○山本座長 消費者庁から何か御意見はございますか。

○廣瀬消費者制度課長 確認ですけれども、それは今後また御検討いただけるという理解でよろしいでしょうか。

○山本座長 今、リストを提示できますか。10月の終わりにこの場で中村委員からそういう御意見が出ましたね。それに対してどういう対応をされましたか。

○廣瀬消費者制度課長 検討しているところでございます。

○山本座長 先ほどのこの場で検討していただけるかどうかというのは、どういう御趣旨ですか。

○廣瀬消費者制度課長 いずれ立法化ということを考えることも想定されるわけでございますが、そういった際には関係者の合意を得なければ、消費者庁としては提案には至らないという趣旨でございます。

○山本座長 ネガティブリストを作る際にということですね。

○廣瀬消費者制度課長 どのような形で立法化するにしてもあわせて検討していきたいと考えております。

○山本座長 審議官、それでよろしいですか。

○高田政策立案総括審議官 法制的・法技術的な観点から整理を行うということでございますので、この部分に限りませんけれども、今後、関係省庁とともにいろいろな検討を行った上で、また、関係する方々、産業界のいろいろな方々との合意を得るべく努力したいと考えております。

○山本座長 それは最後の「おわりに」のところにも書かれていますね。立法作業を行う際には、そのようなことは当然行われるものであるというように理解していますけれども、そうではないのですか。

○高田政策立案総括審議官 この部分については、法制的・法技術的な観点から検討を行って関係者の間のコンセンサスを得たいということでございますので、今の段階でこれがこうですというようなことではございません。

○山本座長 この場で検討していただけるのですかという先ほどの発言の御趣旨はどのようなことなのでしょうか。

○廣瀬消費者制度課長 今、高田審議官から申し上げたとおりでございますが、「おわりに」に書いてある趣旨と同様のものでございます。

○山本座長 了解いたしました。中村委員、それでよろしいですか。

ということですので、その点については中村委員から発言の御趣旨を承りましたので、ここのところはこれでよろしいでしょうか。

どうぞ。

○池本委員長代理 池本でございます。

小さな論点であろうと思いますが、20ページ末から21ページの財産に関する危害を追加することという論点について、基本的には追加すべきであるというようになり、回復の困難性が認められるなど一定のものについて法制的・法技術的な観点から整理を行うというまとめになっております。これに関して説明の後半の部分に回復の困難性のほかに被害の多数性を考慮すべきであるとの意見もあったということも書いてはいただいています。

これは余り議論がこの点について交わされたというほどではなくて、私が1人でただ意見を申し上げただけだったかと思うのですが、私の趣旨は、回復の困難性という言葉をメーンに据えると、例えば産地偽装だとか、にせブランドだとか、安全には関わらない、しかし、深刻な財産被害で大規模なトラブルになるということが過去に繰り返されていた。

しかも、それを大企業がやって回復できるのだと言われれば対象にならないというように読まれかねない。むしろ、その意味では回復の困難性、被害の多数性などが認められる場合というように列挙していただくくらいの位置付けでもよいのではないかという趣旨で申し上げたのですが、ここは回復の困難性だけを上に挙げて、あとは1つの意見というようになっているのが少し残念なのですが、これは表記の問題として修正していただく余地があるのかどうか、あるいはそれはまずいのだというほかの方の御意見なりあるのであれば無理は申し上げませんが、その点、もし御検討いただければと思います。

○山本座長 その点についてはいかがでしょうか。この点については確かに池本委員から意見を承ったのですけれども、その後に余りこの点についてそれ以上の議論をしていなかったのです。

お願いします。

○中村委員 被害の多数性を加えることにつきましては、BtoCを行っている企業の方から、事実上どういう案件でも上がってしまうということで反対する意見がございましたので、そういう形で受けとめていただけないかというように思います。

以上です。

○山本座長 ほかにございますでしょうか。

これも非常に端的に言ってしますと、「または」で書くか「かつ」で書くかで全く逆の意味になってしまいますし、そこは実はいろいろな考え方があるのではないかというように思うのです。現在の案では回復の困難性をメーンにして、被害の多数性を考慮すべきであるという意見もあったという書き方になってございます。これをさらに修正したほうがよろしいでしょうか。

それでは、林委員、お願いします。

○林委員 やはり消費者保護という観点からしますと、被害が多数に及ぶということであれば公益通報に値するものですから、やはりこれを盛り込んで入れていっていただいたほうがいいのではないかと思います。

○山本座長 そのほかにございますでしょうか。

何か消費者庁から意見がありますか。

○高田政策立案総括審議官 先ほどと同じなのですけれども、いずれにせよ、ここの部分は法制的・技術的な観点から整理を行って関係者の御意見を聞かなければいけないと考えております。

○山本座長 それでは、案はこのような形でよろしいですか。被害の多数性に関しまして考慮すべきという意見もあったということは明記されておりますし、恐らくここにもあります消費者安全法等も参考にしてということですので、そういった他法令の書き方等も見ながら検討しなくてはいけなくなる問題かと思いますので。

○池本委員長代理 今の最後の取りまとめで結構です。

○山本座長 よろしいでしょうか。それでは、そのようにいたします。

ほかにございますでしょうか。よろしいですか。

それでは、その次のパートに行きたいと思いますが、23から33ページ、すなわち5から9でございますが、いかがでしょうか。

お願いします。

○春田委員 それでは、29ページの守秘義務のところなのですけれども、座長から冒頭、話があったとおり、相当議論の上、事務局としても苦労してこの文章を作ってきたのだなということは重々理解しているところでございます。

今日、この論点で、これまでは我々としても守秘義務の法制化ということについては、この場でも求めてきたところでございますけれども、今回の取りまとめでは必要に応じて今後検討するというような形になってございます。このことは先ほど申し上げたとおり、いろいろ議論の結果だというように受けとめます。いろいろな意見があった上で、その下の守秘義務に関連する論点というところで(ア)(イ)と整理されているところで、今後、必要に応じて検討を行うべきであるとしているにもかかわらず、この論点の中でかなり詳しく(ア)と(イ)と書かれているところがもう少し取りまとめとして違和感を覚えるところであります。

この様々な意見がありというところで、今回、このことが必要に応じて検討を行うべくすべきであるとした理由が恐らくこの上の段落にある「他方で、」というところで、守秘義務を課してしまうと個人の責任が追及されやすくなるなど、萎縮効果が働くこと。秘密の保護は事業者の体制の問題であるというような理由が書かれておりますけれども、少し御意見させていただくとしたら、当然、萎縮効果ということもあろうかと思いますが、やはり公益通報する立場からすると、不利益取扱いという懸念を覚悟して、それだけ重いものを持って公益通報しているという実態というか、そのあたりの公益通報の重みというところももう少し御理解していただいて、守秘義務を課すということが不利益取扱いを防止する上での入り口から防止するという意味で非常に大きな意味を持つポイントであるというところを(1)の文章の中にそういった思いを入れていただければと思っています。結論を今後必要に応じて検討すべきであるというところは事務局がかなり検討した結果だというように受けとめますが、そういった思いも少しこの文章の中に加えていただければと思っています。

以上でございます。

○山本座長 現在の29ページの「ア 守秘義務を課すことの是非」という部分の第1段落のところにあるいはもう少し今の御意見の趣旨を盛り込んだ記述を入れるということは考えられますか。

○友行企画官 検討させていただきたいと思います。

○山本座長 では、少しその点は検討させていただきたいと思います。第1パラグラフの意見のところをもう少し厚く書けないかということですね。それでよろしいでしょうか。気持ちは非常に理解するところでございます。

さらにほかの点についていかがでしょうか。

それでは、浦郷委員、お願いします。

○浦郷委員 今の守秘義務の点についてで、本当、ささいなところなのですけれども、アの文のところで守秘義務を課すべきとの意見があったというところと、他方で反対する意見もあったというところで、私の記憶するところでは、課すべきという意見は多数であったと思います。この書き方だと半々のような印象を受けてしまいます。反対はお一人だったかと思います。そのほか、いろいろ懸念があるということで、今回は規定できないということで必要に応じて検討というところは仕方ないかなと思っておりますけれども、多数の意見があったということをきちんと書き加えていただきたいなと思います。

○山本座長 その点はよろしいですか。

○友行企画官 はい。かしこまりました。それを踏まえて文章について検討させていただきます。

○山本座長 では、第1段落のところに少しその点も書き加えるということにしたいと思います。

そのほかにどうぞ。

それでは、お願いします

○柿崎座長代理 26ページの「ウ 履行すべき義務の内容」のところなのですが、結果的に行政機関なり民間なり、内部通報制度の通報体制を整える最も重要なポイントとなるところを4つ書き表されていると思います。この内容が整備されていないことが第3号通報の要件として、追加するべき特定事由の1つになってくると思うのですが、これが客観的、外形的に判断されなければいけないということが先ほどのお話の中にありましたので、このためには「体制の整備及び開示を求める」というような形にして、外から分かるようにする必要があると思います。

ただ、その開示の仕方自体は、この法律は上場会社だけを対象としているわけではございませんので、これはまた法技術的にいろいろ問題はあろうかと思うのですが、ホームページでということもあると思いますし、何かそういう外側からこの内容が分かるような形で示す必要があると思っています。特に300名以上の会社ということであれば、事業報告などの開示の手段は恐らくあると思いますし、行政庁に関しても開示の手段はもちろんあると思いますので、そういう履行すべき義務ということの中に整備だけではなくその開示を入れるべきだと思います。本来であれば整備・運用状況の開示というようなことも入れていただきたいのですけれども、そこまではさすがに難しいかなと思いますので。

というのは、会社法には内部統制構築義務というのが最初、入りましたけれども、構築するということを取締役会決議で決めてそれを開示するだけではやはり動かなかったということで、平成26年の改正で、事業報告の中に実際に内部統制がどのように運用されているのかということも開示する内容として付け加えられました。ある意味、内部統制構築の一環としてこの内部通報制度というのも取り上げることはできると思いますので、開示につきましても、300名以上の企業であれば、これを課したところで事務的な負担が過重になるとは考えられませんので、この開示という点も御検討いただくことができないかという点でございます。

○山本座長 今のは何ページですか。

○柿崎座長代理 26ページですか。

○山本座長 26は両方ですね。内部通報の受付に関する。行政機関における内部通報を含めてということですね。ここですか。

○柿崎座長代理 それの上から5行目ぐらい。「機能するような体制の整備及び開示」とします。

○山本座長 体制の整備及び開示。この点はいかがでしょうか。

それでは、中村委員、お願いします。

○中村委員 今の点に関しましては、少なくとも大企業であれば内部通報を受け付けていますということの開示自体は難しくないとは思うのですけれども、少なくとも例えば内部通報先をホームページ等に開示をしてしまうと、本来の趣旨でない通報というかいろいろな御意見等がそちらに寄せられるということがございますので、そこは内容等も含めて議論の必要があるかなと考えます。

○山本座長 内部通報をどこに対してするか。

○中村委員 内部通報の例えば電話番号とかメールアドレス等を外に開示する、一般の人に開示するということについては、いろいろ課題があるかなと思います。

○山本座長 では、お願いします。

○柿崎座長代理 連絡先ということではなくて、いわゆる第3号通報の特定事由の中に追加していくという場面で、客観的、外形的に分かるような体制整備がなされていないことが必要なのですから、これから法整備の段階で、内部通報体制の整備が外形的に分かるというのはどうなのだといったときに、それが少なくとも外から、内部通報体制について重要な要素を備えているということ自体が分かるような形で整備されなければならないと思いますので、それを開示させるということを申し上げているのであって、電話番号を開示するとかそういう話ではないと思うのです。

○山本座長 体制が整っている、どういう体制がありますということの開示という御趣旨ですね。だから、個々の通報先等の電話番号まで書かなくていけないとか、そこまでのレベルのことを求めるわけではないということのようです。

○中村委員 そこは念のため申し上げただけでございます。

○山本座長 そうですね。ここで300人以上のということを考えると、現実にも体制の開示ということは考えられますね。

○中村委員 先ほど申し上げたとおり、大企業、ホームページ等を持っている会社は多分問題はないと思うのですが、300名以上というといろいろな会社が入ってくるので、そこは今日、後藤委員が御欠席なのですけれども、そういうホームページ以外の方法として例えばどういう方法があるのかというようなことは少し御議論いただいたほうがいいかなと思います。

○山本座長 では、その点はよろしいでしょうか。加えることにして、ただ、どのような態様のものが考えられるかということに関しては柔軟に考えるべきである。ここでは主には義務のことをまずは言っていますので、そういう意味では義務という意味で言えば対象は300人以上に限定されますので、その点の御懸念はどれぐらい当たるか分かりませんけれども、中小企業の場合のことを考えて開示の仕組みを考えるということは重要な御指摘だと思いますので、開示ということを入れた上でどのような方法によるかという点については企業の規模等に応じて考えるべきだということでよろしいでしょうか。ありがとうございます。

そのほかにいかがでしょうか。

それでは、お願いします。

○亀井委員 今の点と全く同じところなのですけれども、26ページ目の「ウ 履行すべき業務の内容」でマル4以降の第2段落の文の中に組織ごとの事情に応じて柔軟な体制を取り得ることを示すというのがあるのですが、この体制整備の義務が3号通報の条件にもなっていますので、柔軟の解釈の仕方を間違えてしまいますと、例えば窓口を検討したけれども、ないということにしましたというような解釈がされないように柔軟性の取り得る範囲ですとか、最低限これだけは必ず具備することといった指針などをはっきりと明示していただきたいなと思います。これは要望です。すみません。

○山本座長 その点は内容としては26ページの説明の中に法律で書くところは書くし、そこで書き切れない部分についてはガイドライン等に示すという形でまとめておりますので、そのような形で対応できるのではないかと思います。

そのほかにいかがでしょうか。

お願いします。

○消費者委員会事務局担当者 すみません、今の点について補足させていただきますけれども、26ページのところで書かれている内部通報体制の整備義務についてはある程度柔軟な義務の内容を想定しているところでございます。一方で、今、3号通報の特定事由にもかかってくるというように御指摘いただきましたけれども、20ページでその内容について書かれていますが、ここではあくまで、判断が曖昧になるだろうということで、その中から外形的、客観的に判断可能な要件を抽出して、それを特定事由に含めるというようなことも想定しております。その場合には、特定事由に当たるかどうかの判断は明確になされるのではないかと考えております。

○山本座長 ありがとうございます。

そのほかにいかがでしょうか。

中村委員、お願いします。

○中村委員 通報体制の整備についてですけれども、この体制の整備義務を課すということについては特に反対しないということでございますが、先ほど御指摘もありましたとおり、実際の事業者の実務等もよく踏まえて策定をしていただきたいということでございまして、柔軟な体制を取り得るということを示す一方で、予見可能な形での確保できるような具体性も必要なのではないかと考えているところでございます。

この義務の履行を確保するための行政措置の導入ということでございますけれども、企業としては公表については反対であったということでございまして、そういうことも含めまして行政措置の種類ということについては執行体制の構築の可否という観点から整理を行って実態等に照らして合理的な措置を設定すべきというような書きぶりはできないのかというところがまず1つの意見でございます。

あと守秘義務についてですが、守秘義務の部分に関しまして16の注というところで、調査や不正の是正に必要な場合などを明記し、必要な調査等の関係では通報者の同意は必要であるということを明確化すべきというようなことを申し上げたかと思うのですが、できましたらこの部分を本文中に記載をいただけないかというところの2点でございます。

以上です。

○山本座長 後のほうに言われた点は注の何番でしたか。

○中村委員 注の15です。

○山本座長 この点に関しましては、いろいろ御議論があったところですので、これを本文に入れることに関しまして、それほど問題はないかと思いますが、いかがですか。

○友行企画官 問題ないと思います。

○山本座長 それから、公表に関しましては後にも出てまいりますので、そこで議論をさせていただくことにいたします。

あとすみません、私、中村委員が先ほど言われたことで1つ何か落とした点があったように思ったのですが、先ほどの第1のくくりの中で、一番最後に中村委員が言われたのはどういう点でしたか。今まで余り議論されていなかった点について一言言われたのではなかったかと思うのです。

○中村委員 失礼しました。恐らくおっしゃっていただいているのは、周知義務のところで退職者を保護対象とするというときに、その退職者に対しての周知というのが難しいという点がありますので、そこについては規定ぶりのときにそこを配慮の上で規定をしていただきたいということです。3ポツのところです。

○山本座長 何ページの部分ですか。

○中村委員 3ポツの(2)の特定事由のところです。

○山本座長 20ページの特定事由のアの部分ですね。この外形的にというように関して、分かりました。退職者についても配慮するということですね。

○中村委員 はい。

○山本座長 すみません、戻ってしまいまして申し訳ございませんでした。

そのほかにございますでしょうか。

お願いします。どうぞ。

○柿崎座長代理 31ページの行政通報の一元的窓口の設置のところの(2)に関係しまして、若干感想めいた意見を申します。特に注の16のところに関係するのですけれども、一元的窓口を設置するということについては、もう皆さんも合意していただいていると思うのですが、では、その一元的窓口で消費者庁がどういったことを行っていくのかということについて、注の16のところを見ますと、一元的窓口に対して一旦寄せられた通報をそこで判断して行政機関に直接回付するということではなく、ありていに言えば、あなたの通報はこの行政機関が担当だから、そちらに電話してくださいというようにお願いするということになるように私には読めました。

この点は事務処理上の負担等の様々な問題から、現時点では若干仕方のないことかなと思うのですが、そうすると、31ページの(1)にあるように、現在でも相談窓口はあるわけですから、その部分と区別して、なお一層、機能を充実させていくという趣旨からも、最低限でも通報を受けた方のトレースができるような形にする必要があると思います。これは多分に実務的なレベルのお話だと思うのですけれども、例えばこの方は一元的窓口に通報があったのだということが、後の段階で、もし所轄官庁にちゃんとした対応をとってもらえなかったという苦情を受けたときに、どの方なのかということを消費者庁のほうで把握できるレベルの手続的な保障になると思いますけれども、そういった工夫が少なくとも必要なのではないかと思います。今回の改正では、通報者へのフィードバックを盛り込むことができないというのであれば、一元的窓口を置くことの機能を充実させるということをしっかり確保していただきたい。特に31ページの8の(2)のマル2のところですけれども、不適切な対応に対しては個別に確認をして、必要な場合には注意喚起をするといったことがありますので、それにみあった手続上の整備というものをきちんととっていただくということをお願いしておきたいと思います。

○山本座長 お願いします。

○廣瀬消費者制度課長 ありがとうございました。

そのように努めたいと思いますが、今も消費者庁で相談ダイヤルということで相談を受け付けております。その中でそれぞれいただいた電話についてはそれぞれ記録をとって、連絡先を教えていただいた方については連絡先なども内部的に収集しておりますが、教えてくれない人、言わない人、たくさんいらっしゃいます。難しいところではありますが、トレースできるところはトレースするように努めてまいりたいと思っております。

○山本座長 そのほかにいかがでしょうか。よろしいでしょうか。

亀井委員、お願いします。

○亀井委員 今の柿崎座長代理の御意見のところと同一の箇所なのですけれども、一元的窓口のところで専門調査会の中での議論では、いわゆる内部通報体制の整備義務が課されないような小規模の中小企業、中小事業者に対しての、すみません、表現が適切ではないかもしれませんが、1号通報のかわりとなるような機能を担ってくれるとよいというような議論があったかと思うのですが、31ページには、そういった表現が目に見えるような形ではありませんが、それを実行し、なおかつ、先ほど柿崎座長代理から御指摘のありましたトレースができるというようなことを実現しようとしますと、恐らく今よりも初期、受信通報数が増えた上で確実にトレースしなければならないということになってしまいますので、設備的、人的な充実がどうしても必要になるかと思いますので、その点も御検討いただきたいところではあります。意見というか要望です。

以上です。

○山本座長 トレースということの意味にもよると思うのですが、どうぞ。

○廣瀬消費者制度課長 トレースがどれほどの事務量負担になるかというのはさておき、いずれにしましても、一元的窓口を消費者庁に置くとした場合が、そうした体制面での整備がこちらにも書かれてございますが、必要になると思っております。私どもだけで行政機関の体制整備についてお約束することはできないわけですけれども、そういったことについて検討していきたいと考えております。

○山本座長 そのほかにございますでしょうか。お願いします。

○消費者制度課担当者 先ほどの相談ダイヤルの運用について補足させていただきます。現在、相談を受ける対応者が、相談者の連絡先等について一時的にメモをとる場合もございますが、個人情報の保護の観点から、相談者のお名前、連絡先や、事業者の名称について、記録には残さないようにしております。

○山本座長 どうぞ。

○柿崎座長代理 トレースの意味ということで技術的なことなのですけれども、私が考えているのは、もちろん通報者が名前を明かしたくない、住所も明かしたくないという方がいらっしゃると思うのですけれども、その方でもやはり受け付けた先の担当官庁が十分な対応を取ってくれなかったときには、後から苦情を言いに消費者庁に来るということが十分考えられると思いますので、そういう場面のトレースです。例えば一元的窓口にきた人には、ちゃんと番号を振っておいて、あなたは例えば53番ですということで、53番の人が例えば厚生労働省のほうに行って、一元的窓口に通報した53番ですといって対応してもらう、しかし、その後で十分な対応でなかった場合には、一元的窓口に戻ってきて、53番で受け付けしたものですけれども、ちゃんとした対応を取ってもらえませんでしたというような形で苦情をいったとき、あのときの53番の方ですねというようなやり取りであれば、何の個人情報を明かしてもらわなくとも一定のトレースはできるわけです。つまり、消費者庁に何をやってほしいかというと、所管官庁がきちんとした対応をとっていただけないときに注意喚起を行うという役割や機能は、やはり一元的窓口という看板を出す以上はしていただきたいと思っているのです。そのために一元的な通報窓口に来た方の最低限の捕捉というようなことはやっていただきたい。そういう趣旨で申し上げたということでございます。

○山本座長 お願いします。

○廣瀬消費者制度課長 ありがとうございます。検討させていただきます。

○山本座長 かなり具体的なといいますか、細かい実務対応の問題ですので、さらにその点は実務上の対応も検討いただきたいと思います。

そのほかにいかがでしょうか。よろしいでしょうか。

それでは、最後の部分です。個別論点の10から15と「おわりに」まで、33から38ページまでについていかがでしょうか。

それでは、春田委員、お願いします。

○春田委員 34ページの立証責任の転換のところなのですけれども、今回の事務局の取りまとめ、非常に苦労して取りまとめたということで、これまで我々としても立証責任の転換というのを主張してきたわけですが、必要に応じて検討ということで、これを受けとめた上での発言でございます。

公益通報した側から不利益取扱いを立証するというのは極めて困難な状況だということで、実際、そういった証拠書類も含め、それを手に入れることも非常に難しいということもございまして、極めて困難だというところをもう少し書いていただけたらありがたいなということと、やはり先ほど申した守秘義務は不利益取扱いを入り口から防止するという観点と、立証責任の転換というのは不利益取扱いを受けた後、通報者を保護するという意味で非常に大きなポイントだと認識しておりますので、そういったことも含めて、少し立証責任、立証を公益通報者がするということが極めて困難だということで、言い換えれば、不利益取扱いを受けた人を保護することが極めて困難であることにつながっていることになるので、そういった実態についても、もう少し強調して記載していただければと思っておりますので、よろしくお願いします。

以上です。

○山本座長 どこに入れればよろしいですか。34ページの冒頭ですか。(1)の第1段落が解雇その他の不利益取扱いを受けた場合になっており、解雇は特にという話がその次に出てくるので、少し切って、この第1段落を一般論の部分と解雇の部分に切った上で、一般論の部分については解雇という部分の前のところに段落を加えて、そこのところに立証が非常に難しいということを加える。そのような形でよろしいでしょうか。

気持ちは、ここは非常によく分かるところで、守秘義務と立証責任の緩和に関しては、形として私の個人的な感覚では、本来は入るべき話であるというように思いますので、非常にそこは理解いたしますけれども、そのように、それでは、書き加えていただきたいと思います。

そのほかにいかがでしょうか。それでは、お願いします。

○石井委員 よろしゅうございますか。ありがとうございます。

こだわるものではないのですが、今の立証責任の転換のところに関して、35ページの冒頭に現在の実務上の取扱いについて記載がなされております。ここは事実関係を淡々と述べているように思うのですが、もし可能であれば、でありますが、例えば資料の収集行為についてのところは裁判例を整理、分析し、その周知を進めるべきであるというように、周知ということまで一歩突っ込んで記載されておりますので、ここも現在の実務上の取扱いについて周知を進めるということの記載がもし可能であれば御検討いただけないかなと思います。

○山本座長 確かに資料の持ち出しの問題についてはそういう表現になっていましたね。22ページはこうなっていますね。それでは、それと同じような形で、この部分についても今のなおの段落に書き加えていただくということでよろしいでしょうか。これ自体は客観的な事実の問題であり、それを知らせることも必要な情報の提供ですので、問題ないというか、むしろ、すべき話ではないかと思いますが、いかがでしょうか。よろしいですか。では、そのように書き加えさせていただきます。

それでは、柿崎座長代理、お願いします。

○柿崎座長代理 同じく解雇のところの立証責任の緩和ですが、もちろん、本日は取りまとめということですので、この記述、つまり解雇についての立証責任の転換、この結論というのは現時点の結論ということで受け入れざるを得ないと思うのですが、ただ、ここまでの議論の中身としては、その他の不利益取扱いに関しては雇用者側のいろいろな事情、配置転換等の便宜等への配慮がございますので、これはやむなしということで了解したというように思いますが、解雇の立証責任の転換に関しては、まさにこれを実質的に認める判例法理が35ページにあるように、裁判でも対応されてきていると思いますので、これを明文で転換したところでそれほど大きな負担を雇用者側に課すものではないという理由から、むしろ解雇については立証責任を転換するべきであるというような議論の方向性が示されたというように私は理解しております。

ですので、あたかもこれが解雇についてもその他の不利益取扱いについても同列で、立証責任を転換する必要はないというように取りまとめられるというのでは、今までの議論の中身が反映されているとは言いがたいと思います。結論については、今回は仕方ないと思いますけれども、ここでの議論した多数の方々は、解雇については立証責任の転換をするべきという意見だったと思いますので、そちらをもう少し強目に書いていただければと要望いたします。

○山本座長 ありがとうございます。

それでは、少し今の御意見も踏まえて、解雇については最初の段落に特に重大な影響を与える不利益取扱いであるということがあり、その次の1年以内に行われた解雇については立法例もあるところですので、少しそのことを加えますか。

○消費者委員会事務局担当者 いただいた御意見も踏まえて検討させていただきますけれども、1点、この部分は立証責任を転換するという意見の中でも、期間を1年に限定するのか、それとも限定をつけないのかというところも意見が分かれていたかと思いますので、そういったところも踏まえて記載の仕方を検討させていただきたいと思います。

○山本座長 ありがとうございます。

それでは、先ほどのその他の不利益取扱いの場合に比べると意見が強かったというニュアンスと、特に、この1年以内というのは立法例も参照して提示された案だと思いますので、そのあたりを少し入れていただいてニュアンスをつける方向でよろしいでしょうか。ありがとうございます。

そのほかにいかがでしょうか。

○中村委員 「10 不利益取扱いをした事業者に対する行政措置、刑事罰」についてですが、こちらは公表について反対ということは以前、申し述べているところでございますが、実際に執行していく段階で、どこまでの行政措置が投入されるのかということは体制整備がどこまでできるかということの比例関係にあるというような御説明も以前にあったかと思います。そういうことを踏まえまして、行政措置について執行体制構築の可否の観点から整理を行い、実態等に照らして合理的な措置を設定すべきというような記載ができないのかというところが提案でございます。

以上です。

○山本座長 それはどこに加える提案ですか。

○中村委員 例えば「もっとも」の段落あたり、いかがでしょうか。

○山本座長 現在の「もっとも」、構築していくことが不可欠であるという次に、今の御意見ですと例えばどういうような形になりますか。

○中村委員 例えば今も申し上げたとおりなのですが、執行体制構築の可否の観点から整理を行い、実態等に照らして合理的な措置を設定すべきであるというようなことです。

○山本座長 先ほど公表まで導入することに反対という御意見がございました。その点は注に記載をされていますが、これはこのままでよろしいわけですか。

○中村委員 もちろん、注でなく上に上げていただければありがたいのですが、そこは難しいかなということで一応意見を述べたということだけで結構でございます。

○山本座長 分かりました。それでは、そのような形にします。この注の記載は、私は説明が非常に難しいというように感じており、今、中村委員もそのように注という位置付けでということでしたので、これはこのように置いておくということでよろしいかと思います。

それでは、お願いします。

○高田政策立案総括審議官 消費者庁でございます。

最後に行政措置と「おわりに」のところについて発言をさせていただきたいと思っておりましたが、今、行政措置の話がございましたので、まず先にそちらだけ発言させていただきます。

公益通報者保護制度は、行政機関に対して一定の対応を求める制度であり、制度の見直しに際しては、行政コストの増加や行政としての対応可能性等、行政側の事情もしんしゃくしつつ検討を行うことが必要と考えているところでございます。特に行政措置の導入に関しては、今、御議論がありました執行体制について、政府部内で様々な検討をしてきたところでございますが、地方支分部局を有さず、労働関係法令に関する執行実績を有さない消費者庁において、現段階において、実効的な体制を整備できるのかといった課題がございます。

また、不利益取扱いに係る事実認定は困難性を有するものであるとの指摘もございました。こうしたことから、消費者庁としては、こうした課題等も踏まえつつ、法所管官庁として実際に何ができるのかを検討してまいりたいと考えております。

1回ここで終わります。

○山本座長 この報告書に関して、具体的にどこかを修正してほしいということなのでしょうか。

○高田政策立案総括審議官 報告書の修正ということではなくて、この報告書を受けての現段階での考え方でございます。

○山本座長 お願いします。

○廣瀬消費者制度課長 申し訳ございません。補足をさせていただきます。

本文への反映という趣旨で申し上げますと、今、申し上げましたように行政的な体制整備と執行体制の整備ということについて課題があるということを踏まえながら今後の検討をさせていただければと考えておりまして、行政の状況もしんしゃくしつつ検討させていただければという趣旨を書き込んでいただければと思っております。

○山本座長 具体的にはどこに書き込むことを想定されているのですか。先ほど中村委員から御意見がありました33ページの執行体制という部分をもう少し書き加えるということでよろしいのでしょうか。

○廣瀬消費者制度課長 それでも結構でございます。

○山本座長 この点についていかがでしょうか。

先ほど「おわりに」の部分もというお話がございましたけれども、まず「おわりに」を除いた部分まででさらに御意見があれば承りたいと思いますが、いかがでしょうか。よろしいですか。

それでは、先ほど「おわりに」という部分に関しまして、関連することでしょうか。お願いします。

○高田政策立案総括審議官 委員の皆様の御意見が出そろった後に一言と思っているところでございます。

○山本座長 分かりました。それでは、「おわりに」まで含めてさらに御意見をいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

それでは、亀井委員、お願いします。

○亀井委員 38ページの「おわりに」の一番最後の段落のなお書きのところなのですけれども、2行目で「公益通報と、公益通報以外の通報相談(個人的な悩みの相談など)」というのがあるのですが、ここに個人の被害軽減を訴求するものですとか主張するものというのを加えていただくことはできないかというのを検討していただきたいなと思っております。

その理由は、今、私どもが受信している内部通報が9割方、労務的な個人の御不満を低減してほしいですとか削減してほしいという内容でございまして、いわゆる公益通報という理念からすると異なっているというようなものになってしまっております。先ほど3号通報のところで、あるいは一元的窓口のところで体制整備のお話も出ましたけれども、今のまま大量の通報を受信していると、手間暇だけがどんどんかかっていってしまって、誰も余り益を得ないというように思います。できる限り通報数を本当に必要な公益通報の合理的な数に絞って、不利益取扱いが起こらないように、守秘義務を徹底できるようにというような慎重で精緻な対応が可能になるような時間に削減していくというような実務的な対策が必要ではないかなと思っております。

ここに、その個人の被害軽減を訴求するものですとか主張するものということを記載していただけますと、企業側としてはそれを従業員に周知することで通報数をある程度合理的な数に低減することができるのではないかというように考えた次第です。

以上です。

○山本座長 ここの部分は公益通報の場合に限らず、あらゆる実務において常に実際上の悩みの種となるところかと思います。公益通報に関して今回制度を拡充するということになれば当然そのような問題も増えるだろう、実務上の問題が増えるであろうということでここに記載をしているわけですけれども、どういう表現をとるかもまた検討させていただきたいと思います。個人的な被害低減の訴求ですと、若干本来の公益通報も入ってきてしまうような感じもあるのですが、少しそこは表現を工夫させていただくということでよろしいですか。

事務局のほうはよろしいですか。

○消費者委員会事務局担当者 はい。個人的な悩みの相談ということを挙げておりますけれども、御相談させていただきながら検討したいと思います。

○山本座長 実際にいろいろ実務上悩んでおられるところを少し伺った上で適切な表現にしていただければと思います。

さらにほかにございますか。よろしいですか。

それでは、先ほどのをお願いします。

○高田政策立案総括審議官 ありがとうございました。

「おわりに」、特に第3段落に関して「消費者庁においては」というところでございますけれども、消費者庁といたしましては、報告書において提言された事項につきまして、更に具体的な検討を行っていきたいと考えております。

具体的な検討を行う過程においては、関係者の意見調整を行うことが必要となる場合も考えられます。例えば、本報告書において意見が一致していない、反対意見があるという場合はもちろんのこと、法制的・法技術的な観点から整理を行うべきという部分につきましても、法制的・法技術的な観点から整理を行った結果につきまして、関係者の意見調整を行うことが必要になる場合も考えられます。これは時間を要するかもしれませんが、消費者庁としては粘り強く取り組んでまいりたいと考えております。

ただ、その過程で消費者委員会の皆様方あるいは専門調査会の皆様方のお力、助けていただきたいということがあるかもしれません。消費者庁における検討の結果につきましては、消費者委員会に御報告させていただき、また、必要に応じて専門調査会においての議論、検討ということをお願いすることもあるかもしれませんので、そのときはよろしくお願いいたします。

ありがとうございました。

○山本座長 ということでございますが、その点について何かございますでしょうか。

すみません、戻っていただいて恐縮ですが、10の33ページのところで中村委員から加筆の御提案があった点なのですけれども、ここは書き方によっては、この場の意見と違うものになってしまう可能性もあるものですから、かなり注意をしないといけないのですが、もう一度、すみませんが、御趣旨をお聞かせいただけませんか。体制を構築していくことが不可欠である。体制を構築してもらいたい。その次に何というように加えるということでしょうか。

○中村委員 文章としては先ほど申し上げたとおりなのですが、趣旨を少し御説明しますと、執行体制が不十分な状況でありますと、例えばある案件については処分がされるけれども、ある案件についてはされないというような不公平な状況が起きたりとか、そもそも実効的な処遇がされないということであったり、あるいは逆に所管官庁の調査とどこまでやられることを考えておられるかということにもよるのですが、所管官庁の調査と消費者庁の調査が2つ起こって、その2つの調査に企業が応じなければならないということでありますこととか、そもそも不利益取扱いが公益通報に基づいてあったのかということについては裁判でもなかなか判断がつきにくいことですので、そういった趣旨で、なかなか判断は難しいのではないかというようないろいろなことも含めまして、執行体制がきちっとできるということを確保して進めていただきたいという根本的な考え方でございます。

○山本座長 そうすると、こうした行政措置を導入するに当たっては円滑な執行に向けた体制を構築していくことが不可欠であると書いてあるので、今、言われた御趣旨は含まれていると思いますが、それでよろしいですか。こうした行政措置を導入するに当たっては円滑な執行に向けた体制が不可欠で、これは関係行政機関との連携、協力を含む。ですから、法所管官庁との連携等を考えているわけですね。構築していくことが不可欠だ。それに加えて、これでは足りない部分は。

○中村委員 例えば中間的な体制というか、公表をするには不十分な体制であったとすると、例えば企業とコミュニケーションをして、これをもう少しこうしたほうがいいのではないかというようなことから始めていくというようなことも考えられるのではないかということで、実態等に照らして合理的な措置を設定すべきということを加えてはどうかという趣旨でございます。

○山本座長 実態等に照らして合理的な措置というのは何の実態ですか。行政機関の体制の実態に照らして合理的な措置をということの意味は、公表を法定しないということを意味しているわけですか。

○中村委員 体制の整備がどこまで整えられるかということに従って、措置の種類も異なることがあり得るのではないかという趣旨であります。

○山本座長 お願いします。

○池本委員長代理 今、提起された点は、円滑な執行に向けた体制を構築することという言葉で少し言葉が足りないのか、おっしゃった十分な体制でないと不公平なもの、あるいは食い違い、そごが生じたりということを危惧されておられたので、むしろ円滑な執行というか、執行の適正さを確保するに足る体制の構築が必要だという言葉であれば内容も考慮した体制構築を求めるという趣旨になるのではないでしょうか。

○山本座長 円滑という言葉が何か実効性だけのように響くので、例えば適正なということを加える。円滑で適正な執行に向けた体制という。

○中村委員 結構だと思います。

○山本座長 それでは、そのような円滑で適正な執行。これは当然、措置をとるということになれば、それなりの手続を踏んでやらなくてはいけないということがございますので、それでよろしいでしょうか。

消費者庁のほうもそれでよろしいですか。

○廣瀬消費者制度課長 消費者庁といたしましては、ここにつきましては行政的な対応可能性あるいはコストの増加、そういったものも踏まえた上で対応を検討すべきだと考えております。

○山本座長 報告書の内容に関しては何か御意見はございますか。

○廣瀬消費者制度課長 その旨を踏まえて検討していただくことを今後、検討することを書き込んでいただければと思っております。

○山本座長 誰が、どのように、どこで、いつ、検討するのですか。

○廣瀬消費者制度課長 今後、法制化も含めて視野に入れて消費者庁が検討する中で、そうした観点も踏まえて検討することが必要なのではないかと考えております。

○山本座長 いかがでしょうか。

具体的には、何かここに記述を加えるという御提案なのですか。

○廣瀬消費者制度課長 今の中村委員がおっしゃったところでも異存はございませんが、例えば「おわりに」にその旨を記載していただくというようなこともあり得るかと考えております。

○山本座長 例えばどのように。

○廣瀬消費者制度課長 38ページでございますが、3つ目のパラグラフに消費者庁の今後の検討の進め方が書かれてございますが、この中に例えば行政措置の導入等の検討に際しては行政上困難な課題があることも踏まえ、検討することとするなどといった記載を加筆していただければと思っております。

○山本座長 という御意見がございましたけれども、いかがでしょうか。

それでは、池本委員、お願いします。

○池本委員長代理 池本でございます。

今、御指摘いただいたところは報告書の記述の中身になることなのかどうかというのが疑問です。公益通報者保護法が機能するものとして作っていくためにこういうことが重要だということを提起し、ただ、国として予算や人員、全体の問題で、こちらが提案した法制度のあり方に対して100点になるのか、95点になるのか、80点になるのかという、それは常について回ることだと思うのです。以上だけれども、できる範囲でやってくださいという最後に「おわりに」に何か違うトーンのことをわざわざ入れる必要はないのではないかと思います。もちろん、人員予算の問題で、あるべき論にどうしてもならないということはほかの法制度の議論の中でもあり得ることだと思いますので、特に今回、ここに書くということについては必要ないのではないかと思います。

○山本座長 ほかに委員の方からいかがでしょうか。

それでは、石井委員、お願いします。

○石井委員 今、消費者庁さんからお示しいただいた修文案を御指定の場所に入れようとすると、その直前のパラグラフのところの「また」以下のところで、「行政機関における適切な執行体制の構築を求めているが」というところとバッティングをしますので、全体の表記という意味では原案では不十分なのかどうかということも含めて、もう少し文章については練った形の表現が必要なのではないかなという気がいたします。

○山本座長 先ほどの趣旨は本文中にも、まさに中村委員が御指摘された部分に書かれていますので、「おわりに」の部分に書き加えると、今、石井委員の御指摘もありましたように、かなりニュアンスが違ったものが入ってしまうのではないかと思いますが、その点についてはどのように検討されましたでしょうか。

○廣瀬消費者制度課長 失礼いたしました。書く部分としては今し方、石井委員から御指摘いただいたところを修正するような形もあり得るかとは思っております。例えば提言では行政機関における適切な執行体制の構築を求めているが、これが困難な課題であることも踏まえ、政府においてなどというパラグラフを入れていただいても結構かと思います。

○山本座長 何か審議官からございますか。どうぞ、直接お話しください。どうぞ、直接お話しいただいて構いませんので。

○高田政策立案総括審議官 先ほどの中村委員の御修正を反映していただければ結構でございます。

○山本座長 分かりました。

それでは、樋口委員、お願いします。

○樋口委員 これは表現だけなのですが、「おわりに」のところで、「法改正も視野にさらなる検討を行うことを求める」ということが書いてあって、2つ目の大きな段落では「改正法案が成立した場合には」というようになっているのですが、表現が合わないのではないか。立法府の問題もありますので。「改正法案が成立した場合には」という表現からは、改正法案が存在するように読めるのですが、上のほうでは「法改正も視野にさらなる検討を求める」というのが提言の趣旨かと思います。余りこだわりませんが、字句が合わない、整合性がないのではないかなというように思いましたので。

○山本座長 法改正が実現された場合にはとか、そのような感じにしましょうか。確かに、改正法案が成立した場合にはというと、一気に飛んでしまう感じがあるので、それでよろしいですか。これはもちろん立法府で決定をいただくことですから、それでは、そのように字句を修正いたします。

ほかにございますでしょうか。全体を通じて、なお、言い忘れたこと等ございましたら。

お願いします。

○池本委員長代理 中身の趣旨を変えるということではなくて、1点だけ検討願えればというところを申し上げます。

29ページの守秘義務の議論、そのものを蒸し返す趣旨ではないのですが、アの最後「以上のように」ということで現時点では様々な意見がある、意見が対立するから今後必要に応じて検討を行うべきであるというのは一足飛びでつながっているのです。むしろ、ここは前の26ページのところにもありますように、窓口体制の整備義務の中で、その26ページのマル3ですが、通報者を特定可能な情報の共有を必要最小限度の範囲にとどめる運用、というのが入っております。

つまり、窓口の運用というか整備義務の内容として調査に必要な範囲を超えて個人情報を漏えいするということは本来あってはならないという、それを今回、整備義務という形で導入することも踏まえ、さらに重ねて担当者の守秘義務までは今回は見送りもやむを得ないか、という趣旨がここへ一言入れば、その2つの関係性が見えてくるのではないか。そういう一文がどう入るか御検討願えればと思います。

○山本座長 今いただいた御意見は確かにこの場での議論を反映した御意見ではないかと思いますが、その点についていかがですか。今の御趣旨は、先ほどの26ページのマル3、特定可能な情報の共有を最小限にとどめる運用が行われるように体制整備義務が課されることを踏まえて、ここではそこまで個人の責任が追及されやすくなるような法定はしないというニュアンスでよろしいですか。中村委員は何かございますか。よろしいでしょうか。

それでは、そのように書き加えるようにさせていただきます。よろしいですか。

そのほかにございますでしょうか。

それでは、お願いします。

○鹿野委員 細かなところで、既に池本委員から出された御意見の中にもあったところですが、21ページの1行目のところの「回復の困難性が認められるなど」というところが私も気になりました。どうもこの書き方だと、私が読んだ印象では、回復の困難性というのが必ず必要な要件になって、ほかにもくっつくかもしれないようなニュアンスにもとられかねないと思います。

マイナーチェンジとしては、「例えば回復の困難性が認められるなど」と、回復の困難性というのが絶対要件となるわけではないという考え方をより明らかにしていただくということでいかがでしょうか。実質的には私も回復の困難性ということではなくて、先ほど林委員からも御意見ありましたように、消費者保護ということを考えるのであれば、被害の多数性というものがもっと前面に出てくるべきではないかというように考えているのですが、そこまでの大きな修文ということは困難だと思いますので、ここの1行目に「例えば」というような言葉を入れるということはできないでしょうか。

○山本座長 いかがでしょうか。その点について御意見はほかにございますでしょうか。

先ほど承ったところでは、これは池本委員から最初に提案があったところであり、鹿野委員からさらに今の御意見があり、林委員が先ほど意見を表明されたところですけれども、さらにございますでしょうか。

「例えば」という言葉を付加するという御提案でしたけれども、その点についてはいかがですか。現在でも「など」となっているので例であるのでしょうけれども、その点をもう少し強調するという御提案かと思いますが、よろしいですか。何か御異論はございますか。

○柿崎座長代理 中村委員が御懸念になっていた被害の多数性というのを入れてしまうと全て当てはまってしまうという、そちらのほうの御懸念を払しょくするような言い回しは何かないかしらと思っておりまして、つまり、被害の多数性という言葉を、もう少し工夫していただく余地はないだろうかと思います。やはり趣旨としては、私も被害の多数性のメルクマールのほうが消費者保護の趣旨に合っているのだろうと思います。

ただ、それが多数という言葉のもつ抽象性から、どこまでが多数なのだという話になってくると、確かに中村委員の御指摘も納得できるので、そこは例示として2つ挙げるとか、最初の池本委員の話に戻るのですけれども、そうした多数性について、もう少しガイドラインなりで範囲を絞ることはできないでしょうか。たとえば国民全体に被害が及ぶような、消費者全体に及ぶような多数というレベルの財産的な被害が起こるという場面に限定してでも、それでも、なお、この言葉をむしろ全面のほうに出したほうがよいのではないかと私は思います。

○山本座長 ということでしたけれども、いかがでしょうか。

お願いします。

○中村委員 「例えば」というのを入れるということについては特に反対しないのですけれども、やはりいきなり3号通報に行ってしまうということについては企業にとって非常に大きなインパクトが生じる話でありますし、生命、身体に関しては速やかな是正が図られるということでありますので、多数ということだけで入れるということについては非常に厳しい大きな影響があるというように考えております。

○山本座長 今の御意見にもありましたように、要するに多数とだけ入れてしまうと、それは全部多数だということになってしまうという御懸念ですね。だから、むしろ多数性だけでなく、例えばここにある被害の困難性とか、何かと組み合わせて考えていくということであればあり得るだろうということなのでしょうか。

そういたしますと、そこは工夫させていただけますか。つまり、多数性を入れること自体に反対だったわけではないのですけれども、多数性だけで判断されてしまうと全てのものが対象になってしまうのではないかという御懸念ですので、多数性を1つの考慮要素としてというようなニュアンスが入るように少し修文を考えさせていただくということでよろしいでしょうか。

○消費者委員会事務局担当者 その方向で大丈夫でございます。

○山本座長 そうですね。消費者安全法等の法令にもありますので、その点についてどうするかですね。本文のところに書き加えるか、あるいは今のようにいろいろなニュアンスをこの本文の中に入れようとすると困難であるということであれば、説明のところを、被害の多数性が消費者保護という観点からは重要であるという指摘があり、しかし、それで全て判断されてしまうと非常に対象が広範になり過ぎてしまうという御懸念があったので、被害の多数性を1つ、考慮要素として入れる方向で考える。よろしいですか。

○消費者委員会事務局担当者 はい。検討させていただきます。

○山本座長 そこは法律の書き方等との問題にも関わりますので検討させていただいて、次回、提示をさせていただきたいと思います。

そのほかにございますでしょうか。ほかに言い忘れたことはございませんか。よろしいですか。

消費者庁から何かさらにありますか。よろしいですか。


≪3.閉会≫

○山本座長 それでは、今日は長時間にわたりまして、ありがとうございました。今日いただいた意見の箇所について、比較的単純な表現上の問題もあれば少し内容に関わってくる問題もございましたので、次回までに整理をした上で、さらに次回、それを御確認いただき、最終的な報告書をまとめたいと思います。

それでは、これで終了いたします。大変長時間にわたりまして、ありがとうございました。

これにて閉会をさせていただきます。

(以上)