第19回 公益通報者保護専門調査会 議事録

日時

2018年9月19日(水)13:00~15:00

場所

消費者委員会会議室
東京都千代田区霞が関3-1-1 (中央合同庁舎第4号館8階)

出席者

【委員】
山本座長、柿崎座長代理、石井委員、浦郷委員、亀井委員、川出委員、中村委員、林委員、春田委員、水町委員
【オブザーバー】
消費者委員会 池本委員長代理、樋口委員
【関係団体等】
消費者機構日本 専務理事 磯辺浩一氏
消費者機構日本 理事 弁護士 宮城朗氏
総社市 人権・まちづくり課長 小原純氏
総社市 総務課長 藤原直樹氏
総社市 総務課 課長補佐 小川修氏
【消費者庁】
高田政策立案総括審議官、廣瀬消費者制度課長、大森消費者制度課企画官
消費者制度課担当者
【事務局】
二之宮事務局長、福島審議官、坂田参事官、友行企画官

  ※なお、柿崎座長代理の崎は、正しくは立つ崎

議事次第

  1. 開会
  2. 関係団体等からのヒアリング(2)
  3. 閉会

配布資料 (資料は全てPDF形式となります。)

≪1. 開会≫

○山本座長 若干早いのですけれども、既にお集まりですので、始めたいと思います。

本日はお忙しいところ、お集まりいただきましてありがとうございます。ただいまから第19回「公益通報者保護専門調査会」を開催いたします。

本日は、前回に続きまして、関係団体等からのヒアリングを行います。各団体等からは本専門調査会において取りまとめました中間整理に対する意見、あるいは公益通報者保護制度全般に対する意見をいただいておりまして、それらは配付資料一覧のとおり資料1、資料2となっております。不足がございましたら事務局までお願いいたします。


≪2. 関係団体等からのヒアリング(2)≫

○山本座長 本日の会議の進行ですけれども、前回同様、ヒアリングとその後の質疑応答は1団体ごとに行います。交代でお席についていただき、御説明を15から20分程度、委員の方々との質疑応答を20から30分程度行い、1団体等につきおよそ45分程度という形で進めさせていただければと思います。

また、最初の団体からのヒアリング終了後、若干の休憩を入れたいと思います。

本日の方針ですけれども、これはやはり前回と同様ですが、様々な御意見を伺うということでございまして、いただきました御意見等につきましては、今後の審議において、それをも参考にし、またそれをも踏まえつつ行っていただきたいと思います。

したがいまして、前回と同様ですけれども、委員の皆様におかれましては、今後の審議につなげるべく、質疑応答のところでは、特に伺った御意見のうち、その趣旨を確認しておくべきもの、あるいは事実関係や御意見の前提となる事柄を確認しておくべきもの等がございましたら、そういったことを中心に御質問、御意見等をお願いできればと思います。

それでは、まず、消費者機構日本からお願いしたいと思います。

本日は、消費者機構日本、専務理事、磯辺浩一様。

理事(弁護士)、宮城明様に御出席をいただいております。

お忙しいところ御出席をいただきまして、ありがとうございます。

それでは、御説明をお願いいたします。

○磯辺専務理事 御紹介いただきました、消費者機構日本で専務理事を務めております磯辺と申します。

本日は、貴重な機会をいただきまして、ありがとうございます。

資料1に沿って御説明をさせていただきます。

私ども消費者機構日本は、消費者団体訴訟制度の適格消費者団体として活動しておりまして、消費者契約法、特定商取引法、景品表示法、食品表示法といった法令に違反する事業者の行為について差止めを求めて提訴する権利、差止め請求権を有している団体でございます。消費者の方から情報提供いただきまして、それを起点にして事業者の不当な行為について専門家の方々に協力をいただいて検討し、事業者に対して、それらの不当な行為の是正の申し出等をしているといった活動をしております。

そういったことで情報提供を受け付けていることから、まれに事業者から雇用されている方から公益通報を受ける場合がございます。ただ、私どもが受けたこれまでの事例、2つか3つぐらいなのですけれども、いずれにしても通報者の方は不利益な取扱いを受けることを恐れて匿名での通報にとどまっておりまして、匿名の通報では追加のヒアリング等を行えないということは当然でございますし、団体として何らか情報提供があった事業者に対する調査権限を有するわけでもありませんので、それ以上の対応はなかなか困難であるというのが実情でございます。特に最近、社会的にも非常に問題になっておりますポンジースキームという、実際に資産の運用等の実績はないにもかかわらず、資産の運用があるかのように消費者に示して資金を集めるというスキームで被害が多発しております。そういったものは消費者センター等で被害が覚知され、もしくは被害に遭った消費者が私どものところに情報提供するといった段階では、既に事業者のほうは、ある意味それまで集めたお金をまとめて逃げる、計画的に倒産をして逃げていくような準備をしている段階でございまして、これらの事案に早期に対応するには公益通報、内部の方からの通報というのが非常に重要な要素だと思っております。そういったことを考えても、現時点で通報者が十分に保護されるというふうに認識が広がっていないこと、もしくは制度がそのように限界を持っていることを非常に問題と思っておりまして、公益通報者保護の実効性を確保することが重要であると考えているところでございます。

各論ですけれども、不利益取扱いから保護する通報者の範囲のところで、退職者を通報者に含めるとの取りまとめの方向に賛成でございます。退職の意思を固めた上で通報を行っている方がいらっしゃいます。勤務先の不当な行為等を見聞して、ここの会社ではもうこれ以上勤められないということで通報を行う方はいらっしゃるわけでして、そういう意味ではぜひ対象に加えるべきということです。

役員等につきましては、事業者の内部事情をよく知り得る立場にありますので、保護する通報者に含める必要性があると考えます。

そのほか、取引先事業者を不利益取扱いから保護する通報者のところですけれども、ここが今後の検討課題というふうに整理されていますが、保護する通報者にぜひ含める方向で検討を進めていただきたいと思っております。取引先事業者等は、契約関係等の中で事業者の不当な行為を見聞する可能性が十分あるわけです。もしくはそういった行為を強要された例が実際にあるわけでして、それで公益通報を行ったけれども、結局当該事業者からの不利益な扱いだけではなくて、周辺のほかの取引先からも不利益な取扱いを受けて事業が立ち行かなくなるという事例があったわけです。そういう意味では、社会的なコンセンサス、合意として、取引先であっても公益通報は奨励されるべきであり、その保護は行われるべきということを広く合意していく必要が改めてあろうかと思いますので、実際にどういった効果を期待して規定するかということについてはいろいろ検討すべき事項があろうかと思いますけれども、まずは取引先事業者を保護の対象とするといったアナウンスをすることが非常に重要な点ではないかと思っております。

その他の通報者につきましては、これも引き続き検討という、今後の検討課題に整理されているところですけれども、少なくとも消費者庁のほうでこういう可能性があるだろうと、平成28年2月23日の本専門調査会の資料1で例示されているマル1、マル2、マル3のような事例を念頭に置いて、こういったものだけでも対応ができないかという観点で検討をぜひ進めていただければと思います。

それと、早急な検討はなかなか難しいかもしれませんが、消費者問題に引きつけて申し上げますと、消費者の方が苦情もしくは相談、情報提供として行政庁に情報を寄せられ、それによって行政指導がされたケースがあります。そういう意味ではその通報は公益性が高い通報であったわけですが、その行政指導の端緒となった情報を提供した消費者が、指導の過程で相手方事業者に特定をされてしまって迷惑行為が行われたという事例があります。その迷惑行為が行われた場合に、その方を支援して事業者から守ることが必要だということで、東京都では「行政処分に係る協力消費者支援プログラム」というものを作って運用されていらっしゃいます。詳細な運用状況については伺っておりませんけれども、こういった先行して設けられている制度も参考に、これが公益通報者保護制度の範疇なのかどうかというのは、なお当然議論のあるところだとは思いますが、消費者の公益通報についても保護の必要性があるのだということも念頭に置いていただいて、御検討いただければと思っております。

こうやって一項目ずつやっていくと時間が足りなくなりますので、特に中間整理のほうで今後の検討課題とされている事項と、特に私どもとして事情をお伝えしたい事項にこの先は絞って御説明をいたします。

3番目の通報対象事実の範囲のところですけれども、法目的による通報対象事実の範囲の限定について、税法、補助金適正化法等の違反に関する通報をした者が現状は保護の対象にならないということは、不要に範囲を限定していると考えますので改善すべき点だと考えます。これは通報者の立場からすれば、法目的で限定が行われているということまでは理解しにくくて、通報した後に、ある意味不意打ち的に保護の対象とならないということが分かるおそれのある規定であり、この規定については見直しが必要かと思います。

それと、条例を通報対象事実の範囲に含めることに賛成をいたします。例えば東京都の消費生活条例を参考1として6ページ、7ページにおつけしております。東京都の消費生活条例では不適正な取引行為の禁止というのが定めてありまして、これに基づいて行政指導ができるようになっておりますし、今回はつけておりませんけれども、特に25条の2では、重大な不適正取引行為の禁止ということで、命令に対してもなお改善が図られない場合、過料が科されるということになっております。

この東京都消費生活条例では、例えば25条の3号では、断定的判断の提供をして契約、勧誘することについても行政指導ができる対象にしておりますし、4番目の威迫、困惑といった勧誘行為についてもその対象になっています。これは実は法律に照らしますと、消費者契約法で民事上の効力しか定めていない規定と同様の規定になっております。消費者契約法に違反したからといって行政上の措置がされるわけではありません。そういう意味では、消費者契約法違反行為だけであれば民事上の効果しかないので公益通報の保護の対象外ということになりますが、条例を含めますと、そういった点もカバーできるということがあろうかと思います。

特定商取引法でも同様に不当勧誘等の規定はありますが、これは御存じのように販売類型が限定されていますので、訪問販売とか電話勧誘販売等の限定された販売方法だけが行政指導の対象になっています。そういう意味では、それから漏れている点が条例でカバーされているということを踏まえて、ぜひ条例も対象にしていただきたいと思っております。

3ページの(3)に戻りますけれども、全ての条例をこの機に全部洗い直して検討するということについては非常に時間を要すると思われます。ただ、消費生活条例であれば、比較的簡単に消費者庁であれば当然確認ができます。それぞれ当然公表もされていますし、東京都の消費生活条例等をある意味参考にしながら各地で消費生活条例を定めていらっしゃるという状況もございますので、この点についてはぜひ早急に把握をしていただいて、例えば消費生活条例だけでも先行して、違反行為を通報した者について公益通報の保護の対象にするという検討をしていただくことができるのではないかと考えている次第です。

規定の方式としては、対象となる法律・条例を列記した上で、受け皿的な規定として「その他公益に重大な影響を及ぼす場合」という、御提案ではマル2の方式だと思いますけれども、それで対応いただければと思います。公益通報を行う者にとっての予見性という観点と、法令にいまだ定めはないけれども、公益性の観点から社会的対処が必要な事案というものについても対応できる余地がこれで出てくるのではないかと期待をするところでございます。

外部通報の保護要件については、基本的に方向性が示された内容について賛成する趣旨での意見となっておりますので、説明は割愛をさせていただきます。

6番も同様でございます。

4ページ目、7番の通報体制の整備のところですけれども、ここは事業者に通報体制の整備義務を課すことについて賛成をいたします。ただ、小規模事業者まで法的義務を課すということについては、なかなか難しい側面があろうかと思いますので、その点については努力義務でやむを得ないかとも考えるところです。通報窓口については、事業規模等の問題から社内で体制がとれない場合であっても、守秘義務を負っている弁護士などと契約して通報窓口とするという方法も可能ですし、こういう方法であれば、例えば業界団体等でまとまって契約をして、通報窓口というふうに定めて、あとは個別の対応で通報をしていくということも対応可能かと思いますので、可能な限り設置をしていただけるように進めていただければと思います。

9番の行政通報の一元的窓口の設置の点です。行政通報の一元的窓口につきましては、現行の個別窓口を維持することを前提として、消費者庁にさらに一元的窓口を設置することに賛成をいたします。通報者へのアドバイスということも必要でございますし、さらに具体的に聞き取った後は、その事案を配点するということも機能としては期待されると思います。さらに各行政機関の通報の対応状況を横断的にモニタリングする、各行政機関から資料提出を受け、適切な措置を求めることができるようにするという機能も、一元的窓口を設置することで果たせるようになっていくのではないかと期待するところですので、一元的窓口の設置を消費者庁に行うことについて賛成するものです。

続きまして、5ページの不利益取扱いをした事業者に対する行政措置、刑事罰のところです。行政措置について、紛争解決手続等が拡充をされたとしても、その結果を正当な理由なく応諾しないとか、そもそも手続に応じないという事業者が生じ得ると思われますので、そういった事案について行政措置を導入することについて賛成いたします。その内容としては、是正勧告とそれに従わない者についての公表、さらに是正勧告に従わない者への命令といった形で検討していただき、さらに命令に違反した場合の刑事罰ということで間接罰も規定して、実効性を確保することが必要かと思います。ただ、行政措置を講じるとした場合、事業者と労働者間の紛争であることから、その所管については厚生労働省と消費者庁との共管として、厚生労働省の出先機関等においても調査や行政措置が行えるようにすることが実効性を確保する上で重要かと思っておりますので、意見として付言をしてございます。

その他の論点ということで、通報者へのフィードバックの件なのですけれども、この点についてはぜひフィードバックについて義務を課す方向で検討を進めていただきたいと思います。既に新宿区においては通報者に対して公益通報者保護委員のほうで調査するか否かを検討した結果ですとか、保護委員が区長に対して行った報告内容、区長が講じた措置について当事者にフィードバックするという仕組みが導入されておりますので、こういった先例についても運用状況を調査等していただきながら、ぜひ前向きに御検討いただければと思います。

とりあえず、私のほうからの御報告は以上です。

○山本座長 ありがとうございました。

それでは、ただいまの御説明につきまして、御質問等はございますでしょうか。

それでは、お願いします。

○柿崎座長代理 御説明ありがとうございました。

2ページの(4)のマル3のところ、先ほど詳細はお分かりにならないということでしたけれども、「行政処分に係る協力消費者支援プログラム」につきまして、東京都のほうで行政指導の端緒となった情報を提供した消費者が特定されて迷惑行為を行われた場合に支援措置がなされるとありますが、具体的には、どんなことをなさっているかというのはお分かりになりますでしょうか。

○山本座長 では、お願いします。

○磯辺専務理事 「行政処分に係る協力支援プログラム」については、ウエブサイトで公表されている内容の写しが今、手元にありますけれども、それを簡単に御紹介しますと、行政処分を実施する際に被害を受けた消費者から状況を聞いて事実を明らかにしていくことが必要であって、都が実施した調査への協力に起因して迷惑行為の被害を受けた消費者に対して支援等の必要な措置を定めて、都民の消費者被害を防止するということが目的として定められています。

制度のポイントとして、行政処分に協力した消費者について、行政処分協力者名簿というものに登録をされていまして、支援内容としては、その方について事業者からの嫌がらせ等があった場合、都による事業者に対する警告、弁護士による専門的助言が受けられるということで、弁護士の費用はかからずに助言が受けられるというスキームになっております。

さらに、迷惑行為が弁護士の助言等を受けてもエスカレートして、迷惑行為がおさまらずということを経過して、損害賠償等の申立てが事業者からあった場合には、東京都のほうで弁護士費用の助成をする、もしくは訴訟に至った場合、訴訟費用の貸し付けをするということもスキームとしては準備されているものです。ただ、先ほどもお話ししましたように、このスキームが具体的にどのように運用されているかということについては、詳細は分かりません。

○柿崎座長代理 ありがとうございます。

○山本座長 そのほかにいかがでしょうか。

今の不利益取扱いから保護する通報者の範囲に関して、(3)で取引先等事業者が公益通報を行った場合に不利益取扱いを受ける、あるいはさらにその他の取引先から不利益取扱いを受ける事例がありますと報告をされておりまして、あと、(4)でマル2の学生の通報、マル3の介護施設入所者の通報。マル3に関しては前回のヒアリングでも少し話が出たところですが、このあたりについて具体的にこういうことで困っているとか、余り好ましくない事例が実際に生じているということがあれば、そういったものを把握しておられるようであれば、少し具体的な事例を差し支えのない範囲で教えていただければと思います。

○磯辺専務理事 (4)のマル2、マル3は、消費者庁が作成された第10回の専門調査会の資料1に例示としてあったものですから、そういう例が想定されるのであれば、そういったものに対応できるという射程を少し狭めても、先行して検討していただいたらどうかという趣旨で提示をさせていただきました。

取引先等事業者については、既に報道等で何回もされているところですけれども、雪印食品の不正な食肉の取扱いについて、その冷蔵、保管の委託を受けていた西宮冷蔵さんが不利益取扱いを受けたという事例でして、これは報道で接している限りでは、当該公益通報の対象となった事業者だけではなくて、既存の取引先等との関係でも契約の継続が難しかったという報道がされていると理解しております。

そういう意味では、法律で保護の対象として位置付けることで、取引先から見て、公益通報を行っていることがプラスに評価されるようなコンセンサスを形成することが必要なのではないかという趣旨で意見を述べさせていただいております。

○山本座長 ありがとうございました。

そのほかにいかがでしょうか。

それでは、石井委員、お願いします。

○石井委員 御説明ありがとうございました。

1点だけ少しお教え賜りたいのですが、資料の3ページにございます条例のところでございます。条例については、最低限というのでしょうか、消費生活条例についてこれを含めることを御提案されていると理解いたしました。この委員会の中での議論では、法律の対象、通報対象事実を拡充するに際して、現在は罰則がかかっているものに限定されているのを、企業名公表とかそういう形のものまで含めたらどうかという方向が出ているのですが、条例についてもそういう規制の度合いというのでしょうか。罰則はついていないけれども、例えば助言・指導・勧告の上で企業名公表というものまで想定されているものという、規制の強さの点で切るやり方もあれば、今、御提案のように中身で、事柄の性質で切っていくというやり方、多分両方あり得るのだと思うのですが、消費者機構様では、この件に関しては中身で拾っていくほうが適切だというお考えなのか、その点を確認させていただければと存じます。お願いいたします。

○宮城理事(弁護士) それでは、宮城のほうから説明させていただきます。

その点に関して、正直なところ機構内で詰めた議論をしているという状況にはございません。ですから、多分に個人的な見解になってしまうかもしれませんが、この法律を全体として考えた場合に、まず出発点とすべきは法の1条の目的規定がございまして、それについては本来であれば国民の生命、身体その他の法益を保護するという究極の目的がある。そういうことからすれば、対象法令の範囲にしても、本来の筋道としては、そういった国民の生命、身体その他の法益に重大な影響を及ぼしかねない違法行為であれば、すべからく広く可能な限り拾っていくのがこの制度の本来の趣旨と理解しております。そうしますと、条例を除くかどうかという点については、条例の目的が国民の生命、身体、法益に重要なかかわりがある規制内容であれば、それを除外する理由は全くないと考えます。

その場合に切り口として、刑罰法令があるかどうかというものには必ずしも限定する必要はなくて、仮に刑罰法令の担保がなくても、それが内容的に国民の生命、身体、財産その他法益に重大な影響を及ぼすような規制内容であれば、それは取り上げなければいけない。その意味では、現行の政令別表による狭い限定、これは非常にこの制度が円滑に機能することについては邪魔になっている。本来、限定列挙にすべきではない。究極的にはそのような理屈になろうと思いますが、しかし、他方において、条例まで取り上げるということになると、およそありとあらゆるものが持ち込まれてしまう可能性がある。そういうことになると、それはかえってこの制度が円滑に運用されるためには、ほんのささいな本来社会的には問題とするまでもないようなものまでが来てしまうという観点からすると、ある程度の枠は考えざるを得ないとは思うのですが、ただ、それを考えるに際しては、この制度がどの範囲で枠をかければ最も効率的に機能し、本来の国民の生命、身体、財産その他の法益を守ることにつながるのか。そういった観点からその範囲を考えなければいけないと思っております。

また、この制度については、私も若干、行政窓口であるとか、あるいは私企業の外部窓口とかを担当している経験で申し上げますと、ちょっとこれは本来の公益通報ではないですよねというような、正直これを持ってきていただいてもというものもかなり来ます。その場合に、しかし、窓口はある程度その負担に耐えることを覚悟しなければいけない。玉石混淆で来るに決まっているのです。だけれども、100個あったうちの、極端に言えばその中の1個でも本当に重大なものが含まれていたとすれば、それはこの制度が無駄ではない、この窓口の機能が無駄ではないということになります。その意味ではなるべく広く拾う。ただ、本当にちょっとこれは国民の生命、身体に関係ないよねというようなものについては、うまく言えませんが、やはりその本質的なところを考えるのですかね。

ただ、はっきり言えるのは,政令別表で切るというのは狭過ぎると思われます。だから、その点は、ここの線で引くという具体的なうまい案が言えないのですが、観点としてはそういうところかと思っております。

○山本座長 どうぞ。

○磯辺専務理事 私どもの意見書の2ページ、3の(1)のところで通報対象事実の範囲については刑事罰の担保による限定を見直してほしいということで、やはり刑事罰の規定の有無と公益性の強弱というのは必ずしも連動しているものではないだろうというふうに議論をしております。

その上で、条例のことについて(3)で言っているわけですが、実際に条例についても、先ほどお話ししましたように消費生活条例については25条の不適正な取引行為の禁止と25条の2の重大不適正取引行為というふうに書き分けがありまして、25条の2の重大不適正取引行為については過料がついている。そういう規定にはなっているのですけれども、私どものところで条例だから罰則がついているものだけを限定にするべきだという議論はされておりません。罰則の有無ではなく条例についてもその全て対象にすべきだというようなことを確かに明示的には議論しておりませんが、考え方としては3-1で刑事罰の担保は不要となっておりますので、条例についても同様の考え方で整理されたものと考えております。

○山本座長 よろしいでしょうか。そのほかにございますでしょうか。

○宮城理事(弁護士) 補充発言をよろしいでしょうか。

○山本座長 今の点ですか。あるいは別の点。

○宮城理事(弁護士) 別の。

○山本座長 別の点ですか。それでは、お願いします。

○宮城理事(弁護士) これも必ずしも機構内で詰めた議論をしている部分ではないのですが、資料1の1ページの役員の不利益取扱いの点で、理由として書かれている必要性の議論がこれだけでいいのかというところがございまして、というのは1つには、役員については本来の筋道としては、会社内の株主総会とか監査役といった組織・機構内のコンプライアンスで対応すべきではないかという御意見があるやに伺っております。ただ、それでもなお当機構が取締役、役員についても通報者に含めるべきではないのかと主張することについては、本来あるべきそのような会社法による正常なコンプライアンス、監視機能がうまく動いている会社ならそれでよろしいのですが、我々がしばしば直面しているような消費者問題では、先ほどお話の出たポンジースキームなどでは好例だと思うのですが、会社の規模が比較的小さくて、そういった監視機能がうまく働かないような体制にある場合、株主自体が一人株主というようなことであったり、人員が非常に少ない。そういったものについて、ポンジースキームのように非常に多数の消費者被害を生じさせるというケースが間々見かけられます。それが一つ。

それだけではないと思いますけれども、つまり会社が小さかったり、株主が一人であったり、会社の正常な監視機能が働いていない、そういった会社を想定すると、役員による通報というのは早期に違法行為を是正する一つの手段となるのではないかというところを補充させてください。

それから、5ページの12番の不利益取扱いをした事業者に対する行政措置、刑事罰の関係ですけれども、この不利益取扱いの範囲という問題があると思います。この点についてこちらの専門調査会の議論を伺っておりますと、私が理解しているところでは、解雇の問題に割と絞り込んで範囲を検討されているのかなというように読めるのですが、違ったらごめんなさい。その点について実際に現場で起きている通報者に対する報復行為としての不利益取扱いというのは、解雇のような露骨な問題はそれほど多くなくて、もっと陰湿な社内いじめ的な、普通の業務命令の形をとっておきながら配転命令であるとか、担当業務であるとか、そういったいろいろな手段を駆使してその会社に居続けるのが困難になるような、やめざるを得ないというように精神的に追い込まれる。そういった場合が少なからず存在するものですから、その点についての行政措置、刑事罰の範囲を検討するに当たっては、必ずしも解雇に含まれず、そのような他の不利益取扱いも含めるように御検討いただきたいということを考えております。

以上です。

○山本座長 ありがとうございました。

今の点でも、あるいは先ほどの最初のご報告の点でも結構ですけれども、さらにいかがでしょうか。

それでは、お願いします。

○川出委員 不利益取扱いに対する刑事罰について、意見書では命令違反があった場合の間接罰を規定すべきだとされています。この点については、不利益取扱いそれ自体に対する直罰規定を設けるべきだという意見もあるのですけれども、間接罰に限って導入すべきだされているのはどのようなお考えによるものなのでしょうか。

○山本座長 では、お願いします。

○宮城理事(弁護士) その点については、そこも正直、すみません。理論的に機構内で突っ込んだ議論をしたわけではないのですけれども、大体出ている話としては、いきなり刑事罰ということになると、それが本当に企業として確信犯的にやっていることなのかという状況を考えなければいけないのかなと思われます。例えば、守秘義務のところとも関係しますが、たまたま通報を受けた会社の窓口の担当者が、通報事実と通報者の個人情報、個人が特定される情報について本当に気をつけて厳密にほかの部署に漏らしてはいけないのだよというところをはっきり認識していなかった。うっかり末端の職員がぽろっと秘密を漏えいさせてしまった。その結果として違法行為をやっているような部署の上司からいじめを受けてしまったというようなところで、それは最初から本当に過失犯、あるいは過失にも当たらないようなケースまでも直ちに直罰をやるべきなのかと。

とはいいながら、不利益取扱いは問題がありますよと、また秘密が漏えいされていますよという事実がはっきりしてきた段階で、それでもなお不利益取扱いをやめない。これについてはやはり放置してはおけない。その点で刑事罰の担保をもってそれをやめてくださいという行政指導に対して、きっちりそれを聞いてもらう。そういったことが一番バランスのいい制度ではないかと考えております。

○山本座長 よろしいでしょうか。そのほかにいかがでしょうか。

それでは、お願いします。

○池本委員長代理 オブザーバーの池本です。

7番の通報体制の整備に関連して、先ほど宮城さんから外部の通報窓口の担当をなさっているという言葉があったので、それに関連して質問させてください。中小企業などでは、社内で体制を作るといってもなかなか難しいのだということがここのヒアリングの中でも出てきて、なかなかこれは大変だなというところがあります。外部の弁護士を依頼しているといっても、例えば企業の役員と懇意の顧問弁護士が、じゃ、外部窓口もやりますということでは公益通報者保護の趣旨からしてどうかというところがあって、やはり企業とも一定の距離を置き、守秘義務の問題もきちんと管理しながら適切に助言できる外部の窓口でなければいけないと思うのですが、例えば弁護士会で公益通報をしたいという人の相談、助言をしますという方向での体制と、それから、中小企業などで外部通報窓口となる人を依頼したいというときに対応しますというようなものが考えられるかと思うのですが、所属されているところ、あるいはほかで、そのあたりはどういう体制がどうあるのか、もし御存じであればお伺いしたいのです。ちょっと違う分野になるのかもしれませんが。

○宮城理事(弁護士) どちらかというと弁護士会の問題になってしまうのかなという気がいたしましたけれども、知っている範囲で、私が所属しているのは東京弁護士会ですので、一般的なことなので差し支えないと思うのですが、それについて東京弁護士会では、公益通報を通報者の側に対して相談する体制と、事業者あるいは行政窓口から担当者を紹介する、あるいは制度を作るのに知恵を貸してほしいというようなことについては、はっきり切り分けています。基本的には公益通報の窓口として通報したいのだけれども、通報してもいいのか、そして通報するとしたらどこに行けばいいのか、どのように通報すればよいのか、そのようなガイドの役目をするのについては公益通報の弁護士会の窓口があります。

しかし、それを一緒くたにしてしまうと、それはどうなのかというところがありますので、行政窓口については、候補者を紹介してほしいという要請は弁護士会に対してありまして、それに対して弁護士会内で検討して、その外部窓口担当者を紹介するということでやっております。

他方、私企業についての外部窓口担当者については、しばらく前は紹介窓口担当の部署があったのですけれども、それがちょっとはっきりしないということで、これは今、正直、東京弁護士会ではその辺をはっきりさせようということで規定の整備をしている段階でございまして、今のところ、私企業についての窓口を紹介するという体制はこれから作るという感じです。

あと、今、御指摘のあった顧問でやるのはどうなのだということについて、それは理論的に考えると、顧問だからやってはいけないということを理論的に説明するのは弁護士法上なかなか難しくて、それが直ちにということではないのですが、御指摘のとおり顧問ということになると、まずは会社が、とりわけ会社の現役員、代表者の利益を考えながら仕事をしている人について、場合によっては企業の秘密をばらして、特に外部通報の場合、企業について一時的にですがダメージを与えかねないということになって、ちょっと利益相反的な格好になるのは、それはそうなのだろうと。

ただ、そこについては私企業側の体制の問題ではないかと思われて、まず、外部窓口を担当する弁護士が顧問の立場と外部窓口の立場とをはっきり切り分けられているのか、そういう体制がきちんと規定になって、通報者の秘密は絶対に軽々に漏らしてはいけない。会社側のコンプライアンス窓口のほうもきちんと体制を作られて、通報者の秘密と通報事実については絶対にほかの部署には軽々に漏らさないという体制ができていることを前提として、外部窓口担当弁護士は秘密が守られているコンプライアンス窓口にきっちり客観的事実だけを回すというようなことであれば、顧問であってもやってはいけないということではないと思います。だから、質的にそのような守秘義務の体制がきちんととられているかどうかがむしろポイントだと考えています。

○山本座長 ありがとうございました。

それでは、そろそろ45分ですので、消費者機構日本のヒアリングにつきましては、ここまでとさせていただきたいと思います。お忙しいところ審議に御協力いただきまして、どうもありがとうございました。

それでは、ここで5分休憩といたします。再開は1時50分とさせていただきます。

(休憩)

○山本座長 それでは、再開をいたします。

続きまして、岡山県総社市にお願いをしたいと思います。

本日は、人権・まちづくり課長、小原純様。

総務課長、藤原直樹様。

総務課課長補佐、小川修様に御出席いただいております。

総社市におかれましては、先般の7月豪雨において甚大な被害に遭われておりますことにつきまして、まず心よりお見舞いを申し上げます。そして、そのような中、このように御出席をいただきましたことに感謝を申し上げたいと思います。

それでは、御説明をお願いしたいと思います。

○藤原課長 それでは、私のほうから説明をさせていただきます。

今日配付させていただいております資料につきまして、資料2-1と資料2-2ということでお手元に配付しているかと思いますけれども、まずは総社市での内部通報、外部通報の取り組みということで、資料2-2の総社市ホームページ(公益通報制度)等という資料を御覧いただければと思います。簡単に概要を説明させていただきますので、よろしくお願いいたします。

まず、本市におきます内部通報への対応でございますけれども、総社市におきましては、平成25年に官製談合事件というものが起こってしまいまして、それを教訓に翌年、職員のコンプライアンス条例を制定したところでございます。その条例の中で内部通報についても定めておりまして、運用を行っているところでございます。これにつきましては、市民の公益を守るという側面があるとともに、行政が公正な市政運営のために自律的に機能することを目指している、そういった目的で内部通報制度を作っているものでございます。

資料2-2の1ページでございますけれども、そちらに通報の対象でありますとか窓口といったものについて記載しております。通報の対象につきましては、大きく3点ということでございまして、条例、規則を含む法令等に違反する行為でありますとか、人の生命、身体、財産その他の利益を害する行為、それから公益に反する行為又は公正な職務を損なう行為、そういったものを通報の対象としているところでございます。

窓口につきましては2カ所御用意をさせていただいております。1つは外部委員会ということでございまして、弁護士の方と大学教授から構成されておりますコンプライアンス外部委員会に通報していただく、そういった窓口が1つと、それから市の幹部職員で構成いたしますコンプライアンス推進会議、その2カ所を御用意しているところでございます。

通報後の対応というということでございますけれども、市内部の組織でございますが、推進会議のほうに通報があった場合には、外部委員会で調査・審査を行う必要があるかどうか、そういったことをまず審査させていただきます。それから、公益通報の内容が事実でない場合、もしくは公益通報に該当しない場合には、その旨を外部委員会、各任命権者に報告して、調査を行う必要がある場合につきましては、外部委員会のほうに通知をするということでございます。

推進会議から外部委員会に通知があった場合、あるいは外部委員会に通報者から直接通報があった場合には、外部委員会のほうで調査・審査を行うといった流れになっております。その結果、公益通報の内容が事実であると判断した場合には、任命権者と推進会議に対して不正行為等の停止措置でありますとか原状回復といった措置をしなさいというふうな意見をつけて通知するというものでございます。

それから、すみません、足早でございますけれども、外部通報に対する対応ということでございまして、資料2-2の28ページに外部公益通報に関する要綱というものを定めまして、運用を行っているところでございます。窓口につきましては、人権・まちづくり課におきまして対応しているところでございます。窓口で外部通報を受けますと、その対象となる事実につきまして、市の中で処分等の事務を所掌する所管課において調査・措置を行うということでございます。それから、通報の内容が市の関係しないものという場合につきましては、その権限を有します行政機関を通報者にお教えすることとしております。

こちらについて、外部通報への対応はそういったことなのですけれども、もう一点は中間整理にもあったかと思いますが、民間事業者による公益通報者保護体制の協力といった部分につきまして、それについては具体的な措置を講じていないというのが現状でございます。窓口はそれぞれ設置しておりますけれども、実際の件数自体は非常に少ないといった状況でございます。特に外部通報につきましては、今まで総社市においては実績がないという状況でございまして、内部通報についてもこれまで運用を始めてから1件といった状況でございます。

続きまして、中間整理に対する意見ということで、こちらは資料2-1を御覧いただきたいと思います。まず1番の不利益取扱いから保護する通報者の範囲についてということでございます。こちらについて総社市としての考えといたしましては、新たに退職者を不利益取扱いから保護する通報者に含めるとともに、退職者の家族にも利害関係人として通報者の範囲に入れる方向で検討していただければと思っております。

期間の設定に当たりましては、慎重に検討を進めていただきたいということでございますけれども、退職後一定期間内の者に限定して、早期の通報を促すということが法律の趣旨にも沿うという公益通報者保護法の趣旨を踏まえまして、慎重に進めていただきたいと思っております。

2番目の行政による調査措置義務の対象となる通報者の範囲というところでございます。こちらにつきましては、義務化とまではいかないにしても、不利益な取扱いから保護する通報者以外の方からの通報について行政機関が対応できる体制整備が必要と考えておりまして、通報者以外の方であっても行政機関の調査対象とすべきと考えております。

2ページ目に移りますが、通報対象事実の範囲に条例を追加することについてでございます。こちらにつきましては、条例というものはそれぞれ自治体によって規律の基準、罰則が異なるという、特に今、地方分権が進みまして、それぞれ個別の条例を定めている例が多いと思いますので、その中身も自治体ごとに若干変わっている部分もあるということもございますので、条例に応じて通報対象事実の基準が異なるのはどうかという疑問点が1つございます。

それから、法律におけます通報対象事実につきましては、犯罪行為、あるいは犯罪行為となり得る規制違反行為となる法律違反であることが必要とされておりまして、条例を含めるということになりますと、条例違反の行為について罰則規定がない場合には、単なる条例違反であって、犯罪とはなりません。そういったことも踏まえまして、条例を対象事実の範囲に加えるということにつきましては、慎重に検討を行っていただきたいと思っております。

4番目の事業者に内部通報体制の整備義務を課すことについてでございますが、こちらについてもまずは制度の周知を十分に行っていくことが必要だと考えております。当然、事業者のほうの意識改革でありますとか未然防止という部分で内部通報体制を整備する必要については感じておりますけれども、まずは義務化ということではなくて周知を行っていただきたいということが1つと、それから、それぞれ事業者にも規模の大小がございますので、どこまで整備が整うのかというのは事業者さんのほうにとっても、小規模の事業者にとっては御負担も多いのではないかと思いますので、慎重に検討を行うべきだと考えております。

3ページ、5番目、行政機関における通報体制整備義務についてというところでございます。こちらについても設置率で見られるという、設置率の高い、低いという部分で義務を課すというのはちょっと短絡的かなと思っております。当然、窓口設置については自治体側の努力でできるとは思うのですけれども、義務化というところまでなるとどうかなと思いますので、先ほど事業者のところでも申し上げましたけれども、まずはこの制度について国民に広く周知いたしまして、本制度が活用される環境を整えるのが一番ではないかと考えております。

続きまして、4ページ、6番、守秘義務についてというところでございます。これにつきましては、2号通報先において通報を受けた職員は、公益通報であるかどうかということにかかわらず、地方公務員法第34条に基づき、守秘義務を守った対応をすることが十分に想定されているところでございます。したがいまして、公益通報者保護法で改めて守秘義務を明確化するまでの必要性はないのではないかと考えております。

加えまして、地方公務員法のほうで守秘義務に係る罰則が規定されていることもありますので、刑事罰を上乗せする必要はないのではないかとも考えております。

5ページ、7番、不利益取扱いをした事業者に対する行政措置についてというところでございますけれども、こちらについては市町村が処分あるいは勧告等の権限を有する法律については既に行政措置、罰則というものが設けられているところでございます。したがいまして、行政措置の導入に当たりましては、全ての通報対象事実の対象法令において、行政措置が重複することのないように慎重に検討する必要があると考えております。

中間整理に対する意見書については以上でございます。ありがとうございました。

○山本座長 ありがとうございました。

それでは、ただいまの御説明につきまして、御質問等はございますでしょうか。

それでは、お願いします。

○柿崎座長代理 詳細な御説明をありがとうございました。

総社市におかれましては、外部通報窓口、内部通報窓口、両方とも整備されているという形で先進的な取り組みがなされていると思います。ただ、今、お聞きした限りでは、外部通報に関しては実績がなく、内部通報についても1件のみということだったとお伺いしたのですけれども、その理由はどのようなところにあるとお考えでしょうか。

○小原課長 外部通報につきましては、私どもの外部通報窓口のほうには申立て等がございませんが、我が市においても消費生活センターを立ち上げております。岡山県のほうにも消費生活センターがございまして、我が市の消費生活センターにはないのですけれども、県の消費生活センターには同類の案件は御相談が寄せられているようでございます。ですので、消費生活センターなどの関連性といいますか、さびわけのあたりも必要かなと思います。というのは、県の消費生活センターに寄せられた意見としましては、不当解雇であるとか給与の不払い、残業とか退職金等々の問題も相談が寄せられておりまして、そこのほうでは労働基準監督署ですかね。そちらのほうにお回しするような形にしているようですが、そういったところの窓口を知られた方がそちらに相談をされて、外部通報窓口のほうに来られていないというのが実態かと思います。

○柿崎座長代理 ありがとうございます。

もう一点ですけれども、総社市の外部公益通報に関する要綱、資料2-2の28ページを見ますと、4条に、外部公益通報に関しては匿名による通報は認めない、これを受け付けないという規定があろうかと思います。よろしいですよね。こうした匿名で受け付けないということが通報実績の少なさにつながっているとはお考えにはなりませんか。

○藤原課長 今の御質問は外部通報のことだったと思いますけれども、今、外部通報についてはそういう取扱いにしておりますが、内部通報についても基本は匿名ではなくて、内部ですので職員の名前を書いてということです。内部通報については匿名でも受け付けるようにしているのですが、外部は今、要綱上は匿名では受け付けないという取扱いにしております。内部でも原則匿名にしないというのは、後で事実の確認をする際に、匿名であるとどこまでが本当のことなのかという調査をするに当たって支障が出たりしますので、ですから基本的には匿名では受け付けないのですけれども、確実にこういった事実があるということを明確に証明できるのであれば匿名でもいいよというのは、内部通報のほうでは制度として持っています。現状、外部通報で匿名は受け付けないということにしているのですけれども、今後、改正も含めて、匿名でもある程度事実が確認できるのであれば受け付けるようにするという、そういった選択肢はあるかと思います。

内部については、匿名でもいいのですけれども、先ほど申し上げたように、正確な事実をこちらも捉えたいということがありますので、基本的には通報者は名前を名乗ってということで、そのかわり、当然守秘義務という部分で外部には漏らしませんというのが制度のたてりでございます。

○柿崎座長代理 匿名通報を認めないということであれば、今おっしゃったように名前と個人情報については一応お話ししなければいけないということになると、やはり守秘義務の重さが相当増してくると思うのです。その点でも、御意見のほうでは、守秘義務については既に公務員法にあるので上乗せする必要はないというお話だったのですけれども、公益通報者保護法の守秘義務の重さから考えて、この点はいかがでしょうか。

○藤原課長 当然、公益通報者保護法の法律の重要性というのは私たちも認識はしておりますけれども、他方でほかの部分といいますか、もともと公務員に守秘義務が課せられているのは、重要性という部分はあるのだと思いますけれども、全体として守秘義務が課せられているという部分がありますので、ほかの部分が軽いかというと、そのような認識を私たちは持っておりません。公務員法の守秘義務について、全体を通して罰則を見直すのがいいのか、個別の法律で、このときは地方公務員法の規定ではなくてこちらを適用しますというのがいいのか、そこは議論があるところではないかと思います。

○柿崎座長代理 ありがとうございます。

もう一点、ちょっとしつこいのですけれども、2号通報はこれからこの調査会の中でもかなり重要な位置付けになると思っておりますので、お話をお伺いしているのですけれども、匿名希望で、やはり名前は明かしたくない通報者がいる場合、さりとて調査はしなければいけないというときに、例えば弁護士を立てて、その弁護士から通報をする場合はいかがでしょう。つまり、背後に実際の通報者がいて、例えば、いろいろな消費者団体の方たちから御紹介を受けた弁護士さんが仲介に入って、お名前を出したくないのだけれども通報しようと思っているということで、それで通報されたような場合には外部通報としてお受けになりますでしょうか。

○藤原課長 これはもう法律の話になりますので、そこは議論もあるのかなと個人的には思うのですけれども、当然、法律の趣旨からいえば、弁護士の方をかわりに立てたとしても、その人の権利を保護するという部分が一番重要だと思いますので、選択肢としてはあってもいいのかなと思います。

○柿崎座長代理 ありがとうございます。

○山本座長 ありがとうございました。

そのほかにいかがでしょうか。

では、まずは浦郷委員からお願いします。

○浦郷委員 今日は御報告ありがとうございました。

2点お伺いしたいと思います。1つは通報対象事実の範囲に条例を追加することについてで、条例を追加することに割と後ろ向きな御意見だったので、ちょっと私も意外だなと感じたのですけれども、条例というのは自治体の法律でもありますから、それに違反していることを通報するという場面では、通報者を保護しながら、それをきちんと公益通報として取り扱っていったほうがいいのではないかと思うのですが、そこら辺についてもう少し詳しくお伺いできたらなと思います。

もう一つ、通報体制の整備義務のところで、確かに事業者は中小企業など、本当に規模によっては体制づくりがすごく難しいところもあると思います。だからこそ、そのために自治体、行政機関のほうの窓口は必要なのではないかと私なんかは思っているのですけれども、そこら辺についてはどのようにお考えかというところをお聞きしたいと思います。

以上です。

○山本座長 今の点について、私もちょっとお伺いしたい点がございます。

1つは、今、浦郷委員が言われた第1点なのですが、2ページのところで「同じ法律のもとで制定された条例であっても」と書かれていて、これで少し気がついたのですけれども、全国で条例が定められることによって基準がばらばらになるという場合の条例にもいろいろな種類があると思います。非常に大まかに極端なことを申し上げれば、独自条例ですね。法律に全くその根拠がなく、それぞれの自治体で初めから条例を作るというパターンです。それから、もう一つ極端なことを申し上げれば、法律に処分の根拠が置かれているけれども、法律の中で、一定の範囲で条例で基準を定めるものとするというような形で、法律にその根拠が置かれているけれども、各自治体の判断で条例で基準を定めることができるという場合もあると思います。

この2つでは、例えば行政手続法においても扱いが変わっておりまして、つまり前者については行政手続法の適用がない、後者については適用があるというふうになっていて、この辺は各自治体で、自分のところで条例を定める自主性と、それから一定の範囲で適正な手続を全国的に整備するというところとのバランスで、そのあたりは決まっていると思うのですけれども、ここで言う同じ法律のもとで制定された条例とは、どの範囲の条例を想定されているのか。先ほど申し上げた処分の根拠は法律で定められていて、しかし細かい基準については条例で一定の範囲で定めることを認めるといったようなものまで含めて、そういったものは法律の対象にすべきでないということまで言っておられるのか。どこまでの条例を想定されているのかをお伺いしたいと思います。

それから、第2点も浦郷委員の言われたことに私も若干追加してお伺いしたいのですけれども、通報体制の整備義務についても、実は先ほど言われた企業の規模によって整備体制をどういうふうにとるのかということについては差を設けざるを得ないし、また、差を設けるべきであろうというような議論がここでもありました。同じことが、恐らく行政機関における通報体制の整備といった場合にも当てはまって、自治体にもいろいろな規模があります。都道府県と市町村というのはまず大きく違いますし、市町村の中にも非常に規模の大きいものもあれば、非常に小規模なものがある。それについて一律に同じ体制を全部とれというのはとても無理だろうと。これは理解ができるところなのですけれども、例えば自治体の規模等によって体制整備の義務のレベルを変えていくということについてどのようにお考えになるかということをお伺いしたいと思います。

実際、例えば行政不服審査法が最近全部改正されまして、不服審査会に相当する機関を置くことについてはあらゆる自治体に義務付けたわけです。しかし、オプションといいますか、例えば常設にしないとか、あるいは共同設置するとか、いろいろなやり方を認めているのですけれども、そういう柔軟な自治体の規模に応じて体制整備を求めるといったことについて、どのようにお考えかということを追加してお伺いしたいと思います。すみません。少し長くなってしまいましたが、よろしいでしょうか。

第1点目に関しては、浦郷委員からの御質問は、要は、自治体としてはむしろ条例が適正に執行されるようにしたいと考えるのであれば、公益通報者保護の対象に含めるというふうに考えるのではないでしょうかという御質問の趣旨だったと思いますし、私の質問の趣旨は、ここで言われている条例というものが、本当にあらゆる条例まで想定をされているのか、あるいは主にどういう条例を想定されて、法律の対象に含めるのは余り適当でないのではないかと考えておられるのかということなのですが。

○藤原課長 まず1点目の条例を追加する、しないという部分でございますけれども、3番の該当部分の書き方についてはちょっとあれなのですが、法律の中に条例で定めなさいという部分があって、その定め方については一応基準があったとしても、それを参酌してそれぞれの自治体で決めるという部分で、当然一律ではないという部分はありますので、私が勉強不足なところもあるのですけれども、例えば法律に条例を含めるといった場合に、今、法律で限定的に四百幾つの法律が定められているのと同じように、条例をそこでうたえるのかというと、そこは難しいのかなと正直思っております。

ですから、あくまでも自治体の中で、自治体側が公益通報者保護法の対象となる条例を定める条例を作るのか、そういう方法であれば可能だと思いますけれども、では、そのときにその対象はというと、そこの自治体にある事業者だけを対象にするのか。当然、条例の及ぶ範囲というのはそれぞれの市町村の区域内ということになりますので、そういった場合に事業者の本社とか支店といった部分も絡んでくるので、一概には、条例で定めたとしても、そこら辺の細かい部分でどう適用していくのかなという問題は残っていくと思います。

○山本座長 分かりました。

例えば、行政手続法と行政手続条例であれば、適用範囲が非常にきちんと分かれる。それに対して、仮に公益通報者保護法と公益通報者保護条例を定めるということをもしやるとすると、そこのところの切り分けがそんなにしっかりできないのではないかと、そういう趣旨ですね。

○藤原課長 そうですね。

○山本座長 ここで2つ問題があって、対象をどのようにとるかという問題と、公益通報者保護法の制度自体を一本にするのか、あるいは条例で公益通報者保護の体制まで全部定めることをそれぞれの自治体に求めるのか、恐らく問題が2つあるのでしょうね。その辺は伺っていて非常によく分かりました。

○藤原課長 それから、体制の整備といった部分でございますけれども、こちらについては先ほど座長からもお話がありましたように、やはり規模自体が大きい自治体と小さい自治体ということで、当然、私どももそうなのですけれども、窓口があるからといって専属の職員、それだけをしている職員がいるわけではないですし、市民への周知という部分では足りない部分があるということは反省といいますか、承知もしているところです。ですから、義務化を含めて一律で作りなさいという部分で、法律のほうである程度いろいろな運用の仕方を規定していただくのがいいのかという部分を含めてなのですけれども、義務化というよりは、いろいろな方法がある中で自治体側も自主的に設置するというのが本当は望ましい形ではないかと思っております。

義務化にしなくても、ある程度制度の周知も含めて、我々自治体側も重要性を認識すれば、おのずと窓口というのは設置をすると。窓口の体制についてはそれぞれの規模によるところが大きいと思いますけれども、それぞれの規模に応じた窓口を作るというのは可能だと思っております。

○山本座長 ありがとうございました。

川出委員、お願いします。

○川出委員 最後の点に関連して、総社市における公益通報に関する体制の現状を教えていただきたいと思います。資料2-2の1ページで、通報窓口として外部窓口と内部窓口が設けられていることが記載されています。このうち、外部窓口はコンプライス外部委員会となっていますが、この委員会には事務局のようなものがあって、そこに通報がなされるということなのでしょうか、それとも、外部委員会を構成している弁護士や大学教授の方の氏名と連絡先が公表されていて、直接そこに通報がなされるということなのでしょうか。

○藤原課長 今、御質問のありました内部通報におきます外部委員会につきましては、それぞれ委員の方、弁護士の方のお名前と事務所の所在地でありますとか電話番号というのは職員に公表いたしておりますので、そちらのほうに直接ということで通報ができるようになっております。

○川出委員 分かりました。

他方で、内部窓口はコンプライアンス推進会議となっているのですが、その下に総務課に通報があった時にはという記載がありますので、こちらは実際には総務課の職員の方が通報を受けるというかたちになるということでしょうか。

○藤原課長 こちらについては、基本的には総務課のほうで受けることになりますけれども、推進会議はそれぞれの各関係部長ということになりますので、案件によりますけれども、自分のところの部長には言えないという場合であれば、ほかの部の部長であるとか、総務課は両方事務局を持っておりますけれども、総務課に通報していただくこともあるということでございます。そういうことを想定しております。

○川出委員 もう一点だけ教えていただたいのですが、外部委員会に外部通報がなされるということはあるのでしょうか。

○藤原課長 申し訳ございません。外部委員会はあくまでも内部通報を調査する委員会でございます。

○山本座長 よろしいでしょうか。そのほかにございますでしょうか。

それでは、お願いします。

○亀井委員 ありがとうございます。

非常に単純な質問で申し訳ないのですけれども、資料2-1の3ページ目、5番、行政機関における通報体制整備義務についてのところで、お考え、矢印が引っ張ってあるところで2行目に「地方自治体のみならず国民に広く周知し、本制度が活用される環境を整えるのが第一義ではないのか」という御意見があるのですけれども、国民に広く周知することによって、地方自治体全てに通報窓口を設置するという義務が少し緩和できるのではないかという意見と読み取りました。何を国民に広く周知すると、そういった緩和が達成されるのかということを教えていただけないでしょうか。あるいは私の勘違いで全く別のことをおっしゃっておられるのであれば、その内容をお教えいただけませんでしょうか。

○小川課長補佐 ここで言いたいのは、体制整備の義務化というところを強く押すというよりも、まずはこの制度自体、多分、余り国民の皆さんは周知がない部分があるかと思いますので、そこの部分の周知をしていただく。当然、自治体のほうでもまだまだその辺の知識不足というところもあると思いますので、その辺の周知もしっかりしていただくというところをもって、こういった形の通報というような制度があるのだなということが理解できていけば、おのずとここに義務化をしなくとも窓口を設けていくということで設置率は上がっていくと考えるのですが、そこをさておいての設置の義務化で率を上げようというところが、前に前に行くのはいかがなものかなというようなところで意見させてもらっております。

○亀井委員 分かりました。ありがとうございます。

○山本座長 そのほかにいかがでしょうか。

それでは、お願いします。

○春田委員 3ページの通報体制整備の義務のところで、今おっしゃったような御意見は理解したところなのですが、通報体制整備の義務を課すことについて、それぞれの市町村の中でも設置できるところと、なかなか設置するのも困難であろうというところもあるのではと理解するところであります。

そんな中で、我々通報する立場からすると、通報者が通報したいと思ったときに通報できるような体制なり周知ということが重要かと思っていまして、それぞれの村、町、市に設置するのがなかなか難しいと考えたときに、例えば総社市、私もそこまで地理に詳しくないですけれども、総社市の周りにある例えば町や村ですね。そういったところの通報の窓口を一括して総社市が窓口になるとか、そういった発想があってもいいのかなと考えているのですけれども、そういった議論はあるのかなと思いまして、少し見解があれば教えていただきたい。

それから、窓口の体制の中で、やはり窓口でやられる方の人材育成というか、知識をどうやって、先ほど公益通報はなかなか分かっていない方もまだ多いのではないかという話もありましたけれども、やはり受ける側の方はそれが理解できないと、これが公益通報かどうかとなかなか判断できない部分もあろうかと思います。ましてや条例という話になってくれば、条例自体も理解していないとなかなか対応が難しいと思いますけれども、そのあたりの人材育成をこれからどのように考えていくのか、そのあたりを少しお伺いできればと思います。よろしくお願いいたします。

○藤原課長 まず1点目の通報先の広域での処理という部分だと思いますが、これについては私どもはそういった発想を持っておりませんで、基本的には法律の組み立てをどういう位置付けにするのかという議論はあるかと思いますけれども、共同で設置するということについては、あってもいいのかなと思っております。当然、ほかの事務におきましても、広域で同じようなことをしているのであれば、共同で事務をしたらいいのではないかというものもありますので、そういったものとあわせまして、公益通報の窓口についても広域で一つ窓口を設けるというのは、相互窓口でもいいですけれども、あってもいいのかなと思っております。

それから、窓口の職員の人材育成の部分でございます。これは私どもも反省しないといけないのですけれども、うちの職員で公益通報制度をどれぐらい知っているかというと、正直難しい部分があります。各職員は通常それぞれの業務をやっていますので、そういった専門性がないという部分もあるのですけれども、この制度自体について余り知っていない職員が多いというのも事実でありますので、そういった部分、この保護制度にかかわらず、日ごろからの人材育成というのは大事になってくると思います。そういった中で、この制度の重要性は機会を捉えて職員のほうに伝えていく必要があるのかなと思っております。

これからこの制度が法改正とかがあって充実するということになれば、窓口についても充実をしていく必要があると思いますので、そういった中で職員の人材育成についてもしていく必要があると考えております。

○山本座長 ありがとうございました。

そのほかによろしいでしょうか。

それでは、お願いします。

○池本委員長代理 池本と申します。

資料2-2の1ページ目の通報窓口の現実の担当というか、体制のことを確認したいのですが、外部の委員会というので委員は3名で、内部では推進会議ということで副市長以下数名の方とあります。これは会議というと、何か案件があったときに集まって議論する場だと思うのですが、現実に職員の方なりがこの問題を相談したい、窓口へ通報したいというときには、どなたのところへ連絡するというふうになっているのか。それは職員の方にどういう形で、例えば公益通報に関する問題は誰々が担当するのでそこへ連絡してくれというふうになっているのか。それは内部窓口としてはどこを表示しているのか。あるいは外部窓口というのは3人いらっしゃいますけれども、3人のそれぞれの事務所なり連絡先なりどれでもいいですよということなのか、あるいはその中でどこか、ここですということにしてあるのか。職員の側から見える窓口というのがどういう表示なのかをお伺いしたいと思います。

○藤原課長 失礼いたします。内部通報における窓口ということの御質問だと思いますけれども、コンプライアンス条例を作ったときに、条例も含めて、それから倫理規則といったものも含めた中でコンプライアンスのマニュアルというものを作って職員に配付しております。その中の一つのものとして、この内部通報制度も位置付けているのでございますけれども、当然、通報先というのはマニュアルの中にも、先ほど御質問があった外の弁護士の先生、大学教授の方というのは、それぞれお一人ずつお名前と連絡先をそちらに明示しております。それから、推進会議は各部長ということになっておりますけれども、基本的には総務課のほうに、ふだんの総務課とは違う、総務課の中のグループウエアで使っている総務課のアドレスではないアドレスを1つ用意しておりまして、総務課の職員でも限られた人しか見られないといったところに、メール等で連絡をしてもらうということは明示させていただいております。

マニュアル自体はちょっとごついマニュアルなので、通報先だけ別にしたようなものも用意いたしまして、こういったことがあればこちらのほうに。選択肢は、外の先生か総務課の職員かということになると思いますけれども、そちらは職員のほうでどちらがいいかを選択してもらって、その中でここだというところに通報してもらう。そういった制度のつくりにしております。

○山本座長 よろしいでしょうか。ありがとうございました。

それでは、ヒアリングにつきましてはここまでとさせていただきたいと思います。総社市様におかれましては、お忙しいところ、審議に御協力いただきまして、どうもありがとうございました。

(総社市退席)

○山本座長 それでは、続きまして、本日、林委員から資料が提出されております。資料3につきまして、林委員から御説明をお願いいたします。

○林委員 資料3について説明をさせていただきます。

今回公表されました中間整理につきまして、通報者の範囲の拡大、通報対象事実の拡充、通報保護要件の緩和、事業者に対する行政措置の導入、解雇についての立証責任の緩和等、積極的な方向性が示されていて、この点は評価することができると思っているのですけれども、具体的な緩和策については様々な制限が検討されておりまして、また、方向性についても示されないというところもあり、引き続き検討すべきとされる課題も多くありますので、改めて大阪弁護士会の意見を述べさせていただきたいと思います。

大阪弁護士会では、公益通報者の支援をするサポートセンターというのがございまして、週に1回、12時から2時まで電話の相談を受け付けているのと、ウエブ相談というのを受け付けております。その経験を踏まえて、今まで平成15年、16年、23年、29年と意見書を出させていただいています。今回の中間整理ですけれども、保護される通報者の範囲の拡大について、退職者については退職後の期限を制限しないで入れていただきたいということと、役員等や取引先の事業者を通報者の範囲に含め、役員等や取引先事業者に対して解雇や契約の解除等の不利益の取扱いから保護すべきであると考えています。

次に、適用対象事実の範囲については、これを拡大していただいて、法の趣旨にのっとって最終的に刑事罰の担保がある法律違反という限定であるとか、特定の目的の法律違反という限定を外していただき、政令で法律を限定列挙するという方式を排除して、通報対象事実を法令違反行為とすべきと考えています。

外部通報の保護要件に関しましては、2号通報について真実相当性の要件を緩和し、1号通報と同様に「思料した場合」とし、3号通報については公益通報が相当であると信ずるに足りる合理的な理由がある場合も保護し、特定事由該当性については通報対象事実が既に生じている場合を追加するなど、保護要件を緩和すべきであると考えています。

通報を裏付ける資料の収集に関しましては、民事上、刑事上の責任を、一定の減免を認めるべきであると考えます。

そのほか、事業者に対し内部通報制度等を整備する規定を設ける。それから、1号通報先、2号通報先については刑事罰を伴う守秘義務を導入する。行政通報の一元的窓口を設置すること。不利益取扱いをした事業者に対する是正命令、勧告、公表等の行政措置、行政措置に対する違反を刑事罰の対象として両罰規定を設けるということ。不利益取扱いが通報を理由とする立証責任を事業者に転換する。通報者の保護要件から切迫性の要件を削除する。不利益取扱いに対する紛争解決手続を充実し、拡充させ、通報者の探索を禁止し、通報対象事実の関与に係る責任を減免することを定めるということを求めたいと思っております。

お時間いただきまして、ありがとうございます。

○山本座長 それでは、ただいまの御説明につきまして、御質問等ございますでしょうか。よろしいですか。特にございませんか。

それでは、お願いします。

○池本委員長代理 池本でございます。

資料3-1でいいますと、12ページの守秘義務のところで、1号通報、2号通報については罰則を伴う守秘義務を導入すべきであるという、これに関連して質問します。

これまで事業者団体からの意見では、守秘義務というのを入れるといろいろ調査を実際にしていく上で細かいところを聞いたり、あるいはそれを関係先との間ですり合わせたりというところで守秘義務が貫徹できないことがある、という意見がありました。それは例外をどう置くかという問題になるのではないかというのが中間整理にあったかと思うのですが、そのあたりの措置を講じないで、ただ守秘義務を導入すべきであるというだけではどうも反対意見が強いように思われるのですが、そのあたりはどのような議論かという点が1点。

それから、先ほどの自治体からのお話の中でも、公務員には守秘義務規定が地方公務員法にあるので、改めて入れる必要はないのではないかという御意見がありました。その意見に対し公益通報窓口として守秘義務規定をなお入れるべきだというのは、どういう観点で、どういう意味をもって入れるべきだということなのか、そのあたりを少し補足していただければと思います。

○林委員 守秘義務に関して刑事罰をつけるかどうかという議論があるところだとは私も思っております。それで、ここにも書かせていただいていますけれども、現実に調査をするに当たって情報が漏れてしまうということはあり得ることだと思うのですけれども、そうではなく、通報者の情報が漏えいしてしまって通報者が不利益を受けてしまうということは防がなくてはいけないという趣旨で刑事罰を取り入れるべきだということで、法律上の守秘義務違反については刑事罰が定められているのが通例ですので、ここに関してもそれは定めるべきではないかという趣旨で入れているということです。

あと、地方公務員に関しましては、もともと守秘義務の規定がございますので、ここはそれを明示することによって、改めて守秘義務というのを守るべきだという趣旨で入れさせていただきたいと思っています。

○池本委員長代理 ちょっとよろしいですか。前半のところですが、罰則を科すかどうかということよりも、一定の例外的な措置を検討する必要があるのではないかというところが論点にあったかと思うのですが、そのあたりは何か議論されているところがあるのかどうか。どうすればいいのか、これもなかなか答えが見えないで私もお聞きするところではあるのですが、そのあたりで何か議論なりがあれば紹介していただきたいという趣旨です。

○林委員 この点に関しては、29年の最終報告に対する検討結果の意見書に書いている限りでして、それ以上の議論はなされていないというのが実情です。申し訳ないです。

○山本座長 よろしいでしょうか。そのほかにございますか。よろしいですか。

それでは、以降のことについて若干お話をしたいと思います。

当専門調査会におきましては、7月に中間整理を行い、これまでの審議状況を整理し、その後、本日も含め、関係団体等からのヒアリングを行ったところです。次回以降、取りまとめに向けて審議をお願いしたいと思いますが、今後の審議の進め方につきまして、委員の皆様に御相談をさせていただければと思います。

まず、中間整理において、今後の検討課題とされた項目の全てについて、一通り検討を行うということ。

そして、今後の検討課題とされた項目については、その内容、種類が様々であるということに鑑みて、審議においては以下の点に留意するということ。すなわち、各検討課題について立法事実を挙げるなどし、より具体的な検討を行う。そして、ヒアリングの結果や実務的・法制的な検討の状況等を踏まえまして、制度として取り入れるには、さらに相当の検討や工夫が必要であるというものについては、事務局からその理由、根拠の説明を行い、それに基づく判断を経て、場合によってはその説明のみで終了するものもあり得るということです。

なお、中間整理において方向性が示された事項については、それを議論の前提としていきますけれども、具体的に検討していく中でうまく制度に落とし込めないというものについては、議論の前提について立ち返って審議をすることもあり得るということ。

また、審議を行う際に必要に応じて、審議の参考として関係団体、関係行政機関等に再度お越しいただいて意見を聞くこともあり得るということ。

そして、制度全体として偏りのないものであるかどうかについても検討し、その結果、立ち返ってバランスを考えて審議をすることもあり得るということです。

以上のような進め方につきまして、御意見等があればお願いをしたいと思いますけれども、いかがでしょうか。

中村委員、お願いします。

○中村委員 概要につきましては、今、座長のおまとめいただいたとおりで大きな異論があるわけではないですけれども、確認的にといいますか、最後のところでおっしゃっていただきました中間整理において一定の方向が示されたものということに関しましては、その整理の際にも申し上げましたとおり、さらに詰めていくという前提の中で、今回の中間整理においてはそういう整理で世に問うというところについてはよいのではないかということで賛成申し上げたということであります。今回、経済界からの反対意見もあります中で、具体的にこういう内容であれば実際に公益通報を良心的に実施していこうという事業者にとって支障にならないというか、公益通報を活用していい方向にみんなが進んで行けるような、良心的な事業者が納得できる形で法制度を取りまとめていくべきだと思っております。

そういった趣旨で、具体的な内容を詰めるに当たって、中間整理でこういう方向で議論してはどうかという点につきましても、こういう条項でという具体的なイメージが持てたところで、最終的に、これはいいんじゃないかという内容について合意をしていくという形にさせていただきたいと思います。

以上です。

○山本座長 ありがとうございます。

そのほかにいかがでしょうか。

お願いします。

○水町委員 今、座長がおっしゃった手続の進め方なのですけれども、ここで決定して、今後の議論の中でこれは絶対に守らなければいけないルールで、それに反するので、これ以上意見は聞かない、議論はしないというような絶対的なものではなくて、座長からの御要望ということで、これから意見をまとめていくに当たってその都度振り返りつつ、余り拘束的なものと考えないで、建設的な議論を慎重にこれからも進んでいくということであれば、私は賛成します。

○山本座長 ありがとうございます。

そのほかにいかがでしょうか。

それでは、石井委員、お願いします。

○石井委員 基本的に座長のおっしゃった方向でお進めいただいて、と思いますが、恐らく皆さんそれぞれ背後に抱えている団体との関係もあるでしょうから、限られた時間内、回数でこなしていくということを考えたときに、これは事務局の方にお願いなのですが、次回何を取り上げるかということは、一応一定の予見というのでしょうか、できる範囲内で、要は準備ができる時間的ゆとりを持てるようぜひ早めにお示しいただければなと思います。その中で、ぎりぎりどこまでならいけるとか詰めた調整も、なし得るのではないかと思います。もしその辺、時間的なものがないと、従前どおりの立場での話で議論が煮詰まってしまう、進まないということも懸念されますので、誠に恐縮ですが、そういう方向で御努力を賜れればと思っております。

○山本座長 その点、事務局のほうはいかがですか。

○友行企画官 この専門調査会におきましては消費者庁様の協力を得ながら進めておりまして、そういった点も十分踏まえまして、今後の審議につきまして取り組んでいきたいと思っております。

○山本座長 ありがとうございます。

時間に限りがあるところですから、その中で効率的に審議を進めていきたいと思います。先ほどいろいろ申し上げたわけですけれども、これまでの議論よりはもう一段階具体的に案を示していただいて、それをもとに議論していくという形になるのではないかと。その前の段階のところで案を示すのが難しいという場合には、その根拠を示していただくことになると思います。そのようにして、また同じことを繰り返すということは避けたいと考えております。それでよろしいでしょうか。

何かございますか。

○廣瀬消費者制度課長 消費者庁でございます。

資料の作成につきまして、なるべく早目に作ってお示しできるようにしていきたいと思っております。繰り返しにならないということも、あわせて承りました。

○山本座長 事務局におかれましては、ここからさらに大変な作業になると思いますので、どうかよろしくお願いいたします。

お願いします。

○池本委員長代理 オブザーバーの立場ですから、進め方については皆さんで決めていただくべきところですが、ぜひお願いしたいのは、先ほど座長から御説明があった中で、検討すべき課題について、改めて立法事実のところからしっかりと積み上げて具体的な検討案を示していただきたいというところだろうと思うのです。と申しますのが、例えば、前に事業者団体のヒアリングのときに質問し、今日弁護士会の意見についても同じところを質問したのですが、守秘義務を入れるかどうかについても、一方では守秘義務を入れるべきだ、他方では必要ないという平行線ですが、中間整理の中では一定の例外、適用除外なりそういう規定を検討した上で入れることが望ましいのではないかという方向性が示されたと思います。それはやはり十分利用されていない、あるいは信頼されていないことでは元も子もないので、そこをどうやって生かしていくかという方向性についてのコンセンサスがあったはずです。

だとすれば、なぜ導入の必要性があるか、守秘義務を入れる必要性があるかという立法事実の話は、前にも資料で出ているかもしれないのですが、それももう一度確認的に出していただき、他方でこれまで出た意見の中で、それを入れるとこういう支障が出ると。では、その支障が出ることについて、こういう規定によってそこはクリアできるのではないかということを出していただくことで、なるほど、そうだということをここでしっかり議論していただきたい。それぞれの団体に対し、逆にこの専門調査会の意見としてそれぞれまた説得に行くくらいの皆さんの中での積極的な議論を期待したいと思います。

以上です。

○山本座長 立法事実の点については、ヒアリングの場でもしばしば出てまいりましたし、その前の議論の段階でも、例えば支障があるといったようなときに、具体的にどういうことなのかということをさらに詰めて考える必要があるのではないかということを申し上げました。立法事実というときに、余りこれを狭く考えてしまいますと、つまり過去に実際に起きたものだけというふうに限定してしまいますと、非常に議論が後ろ向きといいますか、これからの問題に対応する法律を作るのに過去に起きた問題の処理だけというのは、これは恐らく法制度として問題だろうと思います。さらに、こういった制度を作ったときに、こういったことが想定されるといった具体的な蓋然性が高い想定事例のようなものも含めてということかと思いますけれども、そのあたりの具体的な事実を示していきながら、これは事務局のほうにお願いをするとともに、委員の皆さんにもお願いをしなくてはいけないと思いますけれども、具体的な事実を示していただいて、こういうことをやるとこういうメリットがある、こういう問題があるといったようなことを明らかにしながら議論していきたいと思います。


≪3. 閉会≫

○山本座長 そのほかにいかがでしょうか。よろしいでしょうか。

それでは、本日はここまでということにいたします。閉会とさせていただきます。お忙しいところお集まりいただきまして、どうもありがとうございました。

(以上)