第55回 公共料金等専門調査会 議事録

日時

2018年12月7日(金)10:00~11:27

場所

消費者委員会会議室

出席者

【専門委員】
古城座長、井手座長代理、小浦委員、古賀委員、陶山委員、松村委員
【消費者庁】
高島審議官、太田消費者調査課長
【事務局】
二之宮事務局長、坂田参事官、消費者委員会事務局担当者

議事次第

  1. 開会
  2. 電気の経過措置解除に関する意見について
  3. 閉会

配布資料 (資料は全てPDF形式となります。)

≪1.開会≫

○坂田参事官 本日は、皆様、お忙しい中お集まりいただき、ありがとうございます。

ただいまから「消費者委員会第55回公共料金等専門調査会」を開催いたします。

本日は、所用によりまして白山委員、山内委員、消費者委員会担当委員の蟹瀬委員、長田委員が御欠席との御連絡をいただいております。

まず、議事に入ります前に、配付資料の確認をお願いいたします。

お手元の議事次第に配付資料を記載しております。本日は資料1のみとなっております。お手元の資料にもし不足等がございましたら、事務局までお知らせいただければと思います。

なお、本日の会議につきましては公開で行います。議事録についても、後日公開することといたします。

それでは、古城座長、以後の議事進行をよろしくお願いいたします。


≪2.電気の経過措置料金解除に関する意見について≫

○古城座長 それでは、議事に入らせていただきます。

本日の議題は「電気の経過措置料金解除に関する意見について」です。

これまでのヒアリングの結果を踏まえて事務局が作成した意見の原案を、私が確認した上で各委員に意見の照会を行っていただきました。

本日は、各委員にいただいたコメントを取りまとめて反映しました意見(案)について、議論させていただきたいと思います。

まずは、事務局からその意見(案)について説明をお願いいたします。

○坂田参事官 資料1を御覧いただきたいと思います。

委員の皆様方におかれましては、お忙しい中、事前に意見照会に御協力、御対応いただきまして、本当にありがとうございました。

内容につきまして、かいつまんで御説明をさせていただきます。

構成について触れさせていただきます。まず、「1.経緯」がございまして、次に「2.電力小売自由化の状況等」という整理をしております。その後ろのほうですけれども、4ページに飛びまして、「3.経過措置料金解除に対する意見」となります。最後に7ページになりますが「4.まとめ」という流れで整理をさせていただいているということでございます。

1ポツにお戻りいただきまして、1ページですけれども、これまでの経緯をまとめた部分でございますが、本年5月に「電力・ガス小売自由化に関する現状と課題について」を取りまとめていただいたということでございます。その中でも、今後さらに重点的に検討すべき論点の一つとして、今回の電気の経過措置料金が原則解除される点について、客観的な指標や消費者に関するデータに基づく慎重な判断が必要であることなどを指摘いただいたということ。

その後、本年10月には、消費者庁長官から消費者委員会に対しまして、この解除に関する検討についての意見を求める旨の付議が行われた。そこで今回、有識者、関係団体、関係省庁等からヒアリングを行って、意見を取りまとめることとなったという点を記述しております。

2ポツでありますが、(1)で電力小売自由化・経過措置に関する消費者の認識ということで、1段落目の2行目からですけれども、スイッチングをしていない消費者について見ると、電力小売自由化に関する基本的事項についての誤解、括弧の中は省略させていただきますけれども、そういったことが払拭されていないなど、電力自由化に関する基本的事項について正確な知識が十分浸透しているとはいえない状況であるということをまず記載しております。

2段落目の3行目に飛びますけれども、また、スイッチングが可能な環境にある地域においても、自由化についての理解不足や不安感がスイッチングを促進する上でのハードルとなっているということでございます。

加えまして、経過措置料金に関する事項の認知度についても低い状況にあるという点にも触れております。

(2)小売電気事業者の参入状況・スイッチングの状況でありますが、マル1参入状況でございます。1行目の後ろのほうになりますが、地域別に見ますと、東京、中部、関西等の都市圏において多くの小売電気事業者が参入している一方で、北陸、四国、沖縄では小売電気事業者が相対的に少ない状況にあるとしております。

マル2スイッチングの状況でありますけれども、2018年6月の時点での新電力事業者へのスイッチング実績は11.3%、旧一般電気事業者の自社内の規制料金からの自由料金への切替は7.0%となっているということでございます。少し飛びまして最後、地域間にはばらつきが見られるという点を触れております。

(3)比較サイトの現状でありますけれども、訪問販売等の対面営業を中心としている新電力事業者では、比較サイトを介したスイッチングの割合は高くないとの意見もありましたけれども、他方で、比較サイトの閲覧数や比較サイトを介したスイッチングの件数は増加傾向にあるという意見もございました。

この点に関連しまして、比較サイトの利用状況について専門調査会の行ったアンケートでは、スイッチングをするに当たり、比較サイトの情報を参考にした人と電力会社の情報を参考にした人の割合がそれぞれ36.1%と32.8%となっており、消費者への情報提供についての比較サイトが一定の役割を果たしていることが見てとれるとしております。

ここで一点、訂正をさせていただきます。数字の部分ですけれども、32.8%とありますのは、34.8%の誤りでございます。大変申し訳ございません。おわびを申し上げて、ここで訂正をさせていただきます。

次に、(4)市場環境の部分でございますが、低圧部門における新電力事業者のシェアは増加傾向にあって、3大都市圏を中心に小売段階での競争は進みつつある。日本卸電力取引所における取引量は増加しており、2017年度から開始された旧一般電力事業者によるグロス・ビディングによって全需要に占める取引量のシェアも伸びているということでございます。

もっとも、新電力事業者からは、ベースロード電源へのアクセス等についてのイコールフッティングを強く求める意見があったとしております。

4ページ目に移りまして、(5)三段階料金でありますけれども、2段落目に飛びますが、三段階料金の趣旨として、高福祉社会の実現や省エネルギーの推進といった点があるが、低所得者でも電気の使用量が多い世帯は第一段階におさまっていないことや、所得が多くても単身者で日中家にいない世帯などでは電気の使用量が少なく、必ずしも高福祉社会の実現という目的と合致していないという指摘もあるとしております。

3ポツでございますけれども、まず(1)として、経過措置料金解除のための前提状況として求められる点と、(2)として仮に解除された場合、解除された地域への対応等として求められる点の大きく2つに整理をして、意見を述べております。

まず、(1)でありますけれども、上記のような電力小売自由化の状況を鑑みますと、消費者保護の観点からは以下の点を確認した上で経過措置料金を解除すべきとしております。

マル1は競争の確保でありますけれども、経過措置料金解除後に、規制なき独占に陥り電気料金が値上げされることがないよう競争圧力を働かせるためには、経過措置が解除された時点において、新電力事業者が調達等の競争条件において不利益を被らないようにすることが必要であるとしております。

第3段落目に飛ばさせていただきまして、現在、経済産業省においてベースロード市場の在り方等について検討が行われているが、旧一般電気事業者と新電力事業者が公平に競争できるような市場が整備され、実際に、それらが機能していることが不可欠である。したがって、経済産業省は、経過措置の解除に先行して競争の確保について検討を進め、その施策が機能することを確認した上で経過措置の解除をすべきであるというふうにしております。

マル2消費者への周知でございますけれども、市場が整備され、競争条件がイコールフッティングになった場合でも、消費者が自由に選択できる環境になければ競争圧力は働かないとした上で、2段落目に飛びまして、経過措置が解除された場合、移行方法によっては、消費者が自由料金プランに移行したことを認識できない可能性があるが、このような消費者は自ら電力会社や料金プランを選択できる認識がないまま自由料金プランに移行する。自由料金への移行に際して消費者が十分な検討を行う機会がない場合、市場に対する競争圧力が働かず、不当な値上げにつながるおそれもある。したがって、電力小売自由化及び経過措置についての正しい認識が広がるまでは経過措置料金を解除するべきではないとしております。

加えて、消費者が自由に電力会社や料金プランを選択できるような環境を整備することが必要である。例えば、切替手続や料金の比較が面倒という消費者も一定数いることから、消費者に対してスイッチングへの興味・関心を喚起するための方策を検討するのと併せて、比較サイト等の消費者が自身に最適な料金プランを見つけることを容易にするための環境やツールを整備する必要があるとしております。

まとめとして、その下に2行ありますけれども、上記2点について成果が上がり、消費者が自由に選択できる環境が整ったことが確認できてから経過措置料金の解除をすべきであるとしております。

(2)に移りまして、マル1は経過措置が解除される地域に対する周知・円滑な移行手続の配慮でありますけれども、1行目の後半部分から、その地域の消費者が自分に合った電力会社や料金プランへの切替えを検討できるように十分な期間を確保するとともに、経過措置が解除されること及び消費者が期限までに電力会社や料金プランを選択して契約をしなければならないことについての周知、スイッチングに関する情報提供を行うべきであるとしております。

次の段落でありますが、期限までに積極的に契約手続をしない消費者が無契約状態とならないよう、円滑な移行手続を設ける必要がある。想定される手続としては、旧一般電気事業者の経過措置料金と同等の自由料金プランに特段の変更手続を行うことなく一括して移行することが考えられる。しかし、このような場合、消費者が自由料金プランに変更されたことを認識できないまま自由料金プランに移行してしまうおそれがある。1行ほど飛びまして、消費者への通知においては、そのような点についても消費者が理解しやすい通知方法や通知内容を検討すべきである。また、クーリング・オフなどの消費者保護のための制度や電力にかかる相談窓口の充実も必要であるとしております。

マル2は事後監視の整備でありますけれども、1行目の真ん中辺りですが、電気の経過措置を解除するに当たっては、少し飛びまして、競争状態が継続することも確認した上で経過措置を解除すべきである。それから、2行ほど飛びまして、解除後の競争状態について継続的に監視する体制を整備すべきである。そして、競争圧力が失われた場合の施策のあり方についても解除前に定め、公表、周知すべきである。

また、競争状態が適正であることを消費者が確認できるよう、事後監視の結果及びその判断根拠を公表することについても検討すべきであるとしております。

マル3の三段階料金についてでありますけれども、4行目辺りになりますが、現状の三段階料金は低所得者層の保護につながっていないという指摘があるということでありまして、次のページの1行目、三段階料金の廃止を認める場合には、低所得者を保護するための三段階料金に代わる料金制度を検討すべきであるとしております。

まとめの部分でありますけれども、電気は生活に不可欠かつ非代替的なエネルギーであるため、経過措置料金解除が消費者の生活にもたらす影響は非常に大きい。経済産業省は、本意見で指摘した点を踏まえて、経過措置料金解除について慎重に検討を行うべきであるとしております。

御説明が長くなりましたけれども、以上でございます。

○古城座長 ありがとうございました。

それでは、意見案について、御質問や御意見のある方は御発言をお願いいたします。

陶山委員、どうぞ。

○陶山委員 まとめの文章、ありがとうございました。

幾つかありますが、まず、最初の電力小売自由化の状況のところの2ページで、スイッチングの状況と新電力事業者のシェアのところが書かれています。そこのタイトルは「マル2スイッチングの状況」とありますが、スイッチングの状況と一緒に電力シェアのことも触れられているので、分けたほうが分かりやすいのではないかと思います。

3ページに、市場環境について触れられているところがあるのですが、低圧部分における新電力シェアは増加傾向にあり、競争は進みつつあるという評価です。確かに時系列で見ますと、シェアは進んではいるのですが、この文章だけを読むと、最後の結論としては不十分であるという結論につながってはいるのですけれども、ここはまだ工夫したほうがいいのか、あるいは、最初の2ページにある数字を直接ここに持ってきて、この程度進んでいるという数字で説明することが、競争は進んでいるというのが、数字としてはこの程度だということを説明できるのではないかと思います。

○古城座長 済みません、今のところがちょっとわかりにくいのですけれども、もう一回お願いできますか。

○陶山委員 3ページの市場環境で、新電力シェアは増加傾向にあり、3大都市圏を中心に小売段階での競争は進みつつあると。確かに時系列では進んでいるのですけれども、数字を見れば、そんなに大きな数字ではないので、この文章だけを読むと、かなり進んだのかなと読めるので、ここに数字を持ってくれば、この文章が意図するところはそのまま出てくるかなと思いました。

「スイッチングの状況」というタイトルの項と、ここを整理して、電力シェアについての現状がありのままに伝わるよう工夫をしていただいたほうがいいかと思っています。

○古城座長 わかりました。

○陶山委員 私がお出しした意見の中で、4ページ、経過措置料金解除に対する意見のところのマル1競争の確保で、イコールフッティングとグロス・ビディングの2つの項目が挙げられていまして、私のほうから、加えまして、ネットワークの送電線への公平なアクセスのために情報公開が必要ではないかという意見を挙げさせていただきました。

今回のヒアリングを通して、送電線に関する意見はそんなに交わされてはいないのですけれども、この専門調査会の中に集積しているいろいろな情報だとかもこの中に反映してよいのではないかと思いまして、そのような意見を差し上げたところです。

北九州市消団連からのヒアリングの資料の中に、今年の夏の九州電力の状況をお伝えしている部分があります。どういうことが起きたかと言いますと、電力需要が小さくなる土日が、天候がよくて、太陽光発電はかなりの量が出るだろうというときに、送電線の接続が切られた。この状況に対して、新電力事業者のほうから、どういう順番で、どんな選択によって発電のポイントが切られるのかが全く不明であるということ。それから、太陽光発電が遮断されるときも、引き続き原子力発電は継続して行われていたということについて、経営上も非常に不安を感じるということが出されていました。それが北九州市消団連の中に含まれております。

それに対して、送電線の利用についての情報の公開、透明性、公平性ということも、競争の確保の中に入れていってよいのではないかと考えておりますので、御検討いただきたいということです。

もう一つ、私としては大きなところになるのではないかと思いますが、7ページのところで、三段階料金についての後に、消費者に対して、電力関係の情報の提供ということを項目として入れてはどうかという意見を出させていただきました。それは、これまで燃料費調整制度で得られていた燃料費の変動や為替の変動という情報、あるいは総括原価方式の中で得られていた原価等に関する情報等が、自由化の中で、今後どうやって入手するか見えないところです。

消費者が選択するためには、情報の取得が必須になると思いますので、この辺りについても少し考えていく必要があるのではないかと思いまして、皆さんの御意見が合致すれば、そのような項目を加えていただきたいと思っております。

以上です。

○古城座長 後ろの2件について、御意見が出されているのはわかったのですけれども、原案は盛り込んでいないのですが、理由を説明して、皆さんの御意見を伺って、最終的に決めたいと思うのですけれども、送電線への公平なアクセスというのは、今おっしゃったのは託送料金とかではなくて、ネットワークは限られているので、新しい電力会社が接続できない事態があるということを問題にしているのですね。

どうぞ。

○松村委員 陶山委員の問題意識はわかるのですが、言葉づかいは少し注意しないと誤認されるおそれがあります。太陽光の事業者が切られてしまう。それは確かに正しいのですけれども、私たちが接続と言うときには、もともと電源を建てて、これをグリッドにつないでいいかどうかという議論で、つないではだめですとか、こういう条件でないとつないではだめですなどと言われるのを接続の問題と言い、一方で今、問題にされたのは出力抑制の話。だから、既につないでいるところの話。それも接続という言葉で表現すると、自然言語の使い方としては間違っていないと思うのですが、誤認を招くので、これは区別したほうがいい。

おっしゃっているのは、既につないでいるところで、普通に発電しているのだけれども、需要と発電のバランスから止めてくれと言われたということですね。そのときに、抑制順位が、原子力が動いているにもかかわらず、先に太陽光が抑制されることの不満も言われたわけです。

○陶山委員 それは事業者が言われている。

○松村委員 言っていることですよね。

でもこれは、接続の問題ではなく、出力抑制時の給電の順番が既にルールで決まっていて、そのルールどおりにやっているのです。だから、そのルールがおかしいと言うことはあり得るとは思うのですが、接続とかネットワーク部分の問題ではない。

その意味で、出力抑制の問題が経過措置解除と、間接的には関連していると思うのですが、直接の関連性は相当に低いのではないか。つまり、新規参入者が使っている太陽光発電が専ら抑制されるなどということになると競争条件の話なのですけれども、旧一般電気事業者が購入しているものも含めて、経過措置の中に入っているものも含めて抑制されるので、この問題がとても重要なのはわかりますが、経過措置料金解除の問題と直接関連していないと思います。

以上です。

○古城座長 どうぞ。

○陶山委員 今、今年の夏の九州電力の事例を挙げて、事業者の主張を御紹介したところなのですけれども、一般的に今、私も曖昧にその言葉を使っていると思いますが、新規参入が送電線への接続ということと、接続したものを抑制していくことについてなども含めて、そこに送電線に関する情報を公開すべきではないか。

抑制することが問題であると私が言っているのではなくて、ルールに従って、接続する順番などは決められていると今、松村先生はおっしゃったのですが、それは九州電力がその情報を持っているだけであって、他の抑制されるほうの事業者は知らないということなのだそうです。そこが問題ではないかと思っていまして、関連の情報は公開すべきではないかと思っているところです。

それから、今、今年の夏の九州電力の事例だけでなく、新規参入で再生可能エネルギーの発電地域は非常に遠隔地にあったりして、送電網の利用について非常にハンディキャップがあるということ。競争市場を創っていくため、シェアを増やしていくためには、そこについても検討が必要であり、送電線に関する、あるいは送電線の利用に関する情報は公開していく準備をしなければいけないのではないかというのが私の申し上げたいところです。

○古城座長 松村さんによく説明していただいたのですけれども、つけ加えると、送電線に対して昔から伝統的に言われているのは、今、おっしゃったように情報が足りないので、ここに発電所を造ろうと思ったら、後のほうでこれは無理ですよと言われるのがなかなかわからないのではないかということで、情報が十分公開されていると言われたのですけれども、それは今、大分手当てして、直ってきているのですね。

2つ目は、送電線がいっぱいいっぱいだから、新しく発電所を造っても、接続できないという問題がある。

3つ目は、接続した場合でも出力抑制がある。

それぞれについて不利だという指摘があるのはそうですけれども、それはそれで今、別途、手をつけて、大分直してはいるのです。それから、それが新電力事業者に不利に働く場面もあるけれども、新電力事業者を特に不利に扱うということではなくて、技術的な問題などもあるということで、私も松村さんと同じで、これが片づかないと経過措置を外せないと言ってしまうような問題ではないと思って、入れていないのです。

問題はあるのですけれども、一応そういう考え方なのです。

どうぞ。

○松村委員 しつこく言って申し訳ないのですけれども、確かに御指摘の点はとても重要な点だと思う。送電線の利用などに関して不合理なものが残っていれば、電気料金はいつまでも高どまる。新規参入者がこれからつなぐときのつなぎ方とかでハンディキャップを負うなどということも。そもそもコストの水準とか情報公開とかを含めて、確かに大きな問題だと思う。

一生懸命改革しているけれども、まだ足りないことがあるので、この委員会あるいは消費者委員会、消費者庁全体で注視しなければいけないことは十分わかるし、出力抑制の問題も大きな問題であるのもわかる。

でも、出力抑制の問題は、経過措置が解除されようがされまいが重要な問題であると思っているし、情報の問題は経過措置が解除されようがされまいが、ちゃんと見なければいけない重要な問題。あらゆる機会を捉えて発言していかなければいけないと思うのですが、今関係ない文脈で騒ぐより、精査した上で、具体的にこう改善すべきだという点が出てきたときに、そのタイミングできちんと言うほうがいいと思います。

それから、もっと情報を出してくれということで、今、整理が進んでいますけれども、もっと出せと言うところと、ここでやめてくれというせめぎ合いが今、新エネの委員会で行われている。そんなに出してもらったら困ると言っているのは、実は新規参入者なのです。新規参入者の発電事業者が、ここまで出してしまうと経営情報だからまずいと言い、そうは言っても別の新規参入者は、それがないと情報としては不十分だという争いをしている状況。これを踏まえれば、経過措置という文脈で言うのは更に変。

重要であることはもちろんみな認識すべきだと思いますが、ここに書かないということに関しては、座長がおっしゃったとおりだと思っています。

○古城座長 ほかの委員の方の御意見はどうですか。

古賀委員、どうぞ。

○古賀委員 私も陶山さんと同じ問題意識を持っていたのですけれども、今、松村さんのご意見を聞いて、なるほどとは思ったのですが、例えば出力制限について限定して言うと、現在、出力制限をしているところが、具体的には九州電力など電力会社にかなり偏りがあり、地元の方のお話などを聞いても、不安とともに不満が非常に聞こえていますので、そういった経過措置料金解除のための競争の確保の中に、例えば出力制限のようなことについても、具体的な情報開示というのは必要であり、実際に出力制限は、競争を確保された上で、あえてまたその地域においてやるわけですから、そこのところは競争条件がイコールフッティングになっているとは言いがたいという点を中に盛り込むことができるといいと考えています。

それから、もう一つ陶山委員がおっしゃった3ページの市場環境のところなのですけれども、新電力シェアは増加傾向にあり、3大都市圏を中心に小売段階での競争が進みつつあるというところなのですが、最初は事務局の意見案では、3大都市圏を中心にというのが入っていなかったので、私がここを入れてくださいとお願いしたと思うのです。確かに小売段階での競争が進みつつあると言ってしまうと、かなり肯定的に見ているように思いますので、比較的進みつつあるというふうに入れるか、3大都市圏を中心にというのを入れれば、このままでもいいのかと思いました。

○古城座長 方法は、一つの案としては、進みつつあるけれどもまだまだ少ないとつけ加えれば、陶山委員の意見に合うのですよね。

○古賀委員 それから、言葉尻の問題のようで恐縮なのですが、5ページ目の消費者への周知の2段落目の下から4行目辺りですけれども、自由料金への移行に際して消費者が十分な検討を行う機会がない場合、市場に対する競争圧力が働かず、不当な値上げにつながるおそれもあるとあります。不当な値上げというのが引っかかったのですけれども、「実質的には」不当な値上げにというようにしていただけたらと思います。

5ページ目の(2)解除される地域への対応等の2行目なのですけれども、ここは経過措置が解除されること自体、一般の消費者が認識していないという現実がございますので、例えば2行目の電力会社や料金プランへの切替えを検討できるように十分な期間を確保するとともにというところの、料金プランへの切替えを検討できるようにの後に、例えば「事業者において情報の提供を促し、十分な期間を確保するとともに」というようなことを入れていただけたらと思いました。

○古城座長 今のはもう一回。

○古賀委員 5ページ目の下から2行目、検討できるようにの後に、「事業者において情報の提供を促し」というようなことを入れていただければ。要するに、事業者が消費者に対して経過措置の解除の前にそういうものがなくなるので、電源プランについての検討をするようにということを、行政側から事業者に対して促していただけるとよいと思いました。

○古城座長 ちょっとしつこくなるのですけれども、陶山委員、古賀委員、出力抑制というのは必要なのですね。もうこれ以上に発電されているわけですから、どれを抑制するかという話で、太陽光を選んでいる。それはそれなりに技術的な理由があるので、競争条件に影響があるかもしれない。一応、競争についての評価から直接出てきているわけではないのでしょう。必要がないのに出力抑制しているとか、そういう話は全くない。どれかは出力抑制しなければいけないわけでしょう。それで太陽光を選んでいるのは、それなりの理由があるわけですね。

どうぞ。

○陶山委員 事業者が言われているのは、抑制しなければいけないタイミングはあると思うのですが、その順番だとか、どこの事業者が抑制されるのかという情報が出ていないので、経営的にも非常に不安だという意見ですよね。

○古城座長 それはそうではなくて、抑制しなければいけないといったら、太陽光などは優遇されていまして、順序から言うと、ほかに火力発電とかがまず抑制されているのです。けれども、火力発電をもっと抑制してしまうと、太陽光がぱたっととまったときに出力を上げなければいけない、電源を残しておかなければいけないでしょう。だから、そういうのは残さざるを得ないので、最後の手段としては太陽光を抑制しているということなのだと思います。

○陶山委員 先ほど松村先生が、九州電力はルールにのっとってやっているとおっしゃったのですが、それは新電力事業者のほうにも公開されているのですか。

○松村委員 それは当然です。

○井手座長代理 公開されているので、それはよくわかっている。

○陶山委員 それは新聞の取材のあれでは、そのようには事業者は言っていなかったので。

○古城座長 それは新聞記者の不勉強だと思います。これはみんな知っていると思います。

○井手座長代理 ルールに基づいてやっているし、もし電力会社がメガソーラーをやって、自分のところは出力抑制をするとか、事前に通知するとか、そういうのはきちんとルール化されているのです。

○陶山委員 わかりました。私の勉強不足で申し訳ありません。

○古城座長 あとはいかがでしょうか。

どうぞ。

○陶山委員 今、古賀さんから、5ページの経過措置が解除される地域に関するという項に触れられたのですけれども、電気事業法だとか、さまざまな検討で、地域ごと、区域ごとに解除するだろうということが話されているのですが、先日、ミツウロコさんもおっしゃっていたみたいに、そうとは思っていませんでしたとか、全国一斉に解除されると思っている消費者も、この経過措置料金を知っている人たちにとっては、漠然と思われているのではないかと思いました。直接解除される地域にと入っていく前に、前提として、消費者委員会としても区域ごとに解除していくのが妥当であるというような一文言を入れるといいかなと思います。

○古城座長 それは、そういう態度でいいですね。一気にやるのではなくて、地域をちゃんと細かく見てやっていくというようにやってほしいという意見でいいでしょうか。

○陶山委員 そのときに、一斉にやるときと区域ごとにやるときで少し情報の出し方だとかが異なってくるので、その点についても触れておくと、よりいいかなとは考えます。

全国一斉にやるときには、多分、情報も大きく取り扱って、全体的な理解が進むとは思いますが、区域ごとの場合は、区域の理解から始めていかなければならないので、その後に、丁寧に書かれているように、さまざまな情報の出し方もあるのですが、全体的に進めるときと、地域ごとに進めるときに起こってくる違いについて、少し触れておいてはどうかと思います。

○古城座長 それは何となくわかるのですけれども、ちょっと具体的に、ここのところをやってくれというようなことを、まだこちらは準備はないのですけれども、注意深くやってくれというように抽象的にやるのですけれども、地域ごとにやって、この点をやってくれという具体的な注文まで、できれば書きたいのです。

松村委員、どうぞ。

○松村委員 念のために確認なのですが、これは全国一斉にやらないことを決めたわけではなく、地域ごとに判断してやると決まっているだけ。地域ごとに判断した結果、全地域で解除できるということになれば、一斉ということはもちろんあり得る。全国一斉ではない選択肢があるというだけ。

それから、ここに書いているのは、地域ごとに、東京は解除されるけれどもほかの地域は解除されないというときに、東京には注意して説明してくださいと書いてある。

もし、万が一これが全国一斉にやることになったとすると、解除される地域に関してはちゃんと説明してくださいということだから、この文章からして、全国にちゃんと説明してくださいということになる。

今の御意見だと、全国一斉になるときには、関心が高まるから、相対的に説明の必要性は小さくなるかもしれないけれども、地域ごとにやるときには、その地域に丁寧な説明が必要ですということなのですが、この文章では、解除される地域に関して丁寧に説明してくださいと書いてあるわけです。だから、仮に全国になったとして、必要性は小さくなったとしても、この委員会から、小さくなったら余りやらなくてもいいと言う必要はない。全国でやられるならば、全地域で丁寧に説明してくださいということをこの文章は意味していて、これに加筆する必要はないと思います。

これに加筆してしまうと、むしろ全国の場合であったら、マスコミとかもいろいろと取り上げるから、相対的に必要性は薄くなるなどということを、わざわざ加筆しなくてもよい。解除する地域には丁寧に説明してくれという現行の文章で私は十分だと思います。

○古城座長 あとはいかがでしょうか。

小浦委員、どうですか。

○小浦委員 最初に頂いたときよりも、具体的に分かりやすくなっていると思います。私は、6ページの三段階料金のところで意見を言わせていただきました。三段階料金が設定されている趣旨としては高福祉社会の実現や省エネルギーの推進といった点があるということで、電気料金とは別に福祉のところでの何か措置が必要ではないかと申し上げましたが、そこのところは、今回は経過措置料金ということに限って、福祉のところには言及しないというお答えをいただいております。そこで、後段のところなのですが、廃止をする場合には、低所得者を保護するための三段階料金に代わる料金制度を検討すべきであると変わっているのは、解除後には、自由料金に加えさらに低所得者を意識したような料金制度も考えてくださいと捉えてよろしいのですか。

質問みたいな形になって申し訳ありません。

○古城座長 そこはおっしゃるとおり大事で、一つは、消費者委員会としては三段階料金がなくなっていくことに必ずしも反対しませんよというのが1点あって、しかし、三段階料金の目的であった低所得者向けの法料金制度は別の受け皿で残すべきだという意見になっています。

○陶山委員 このもう一つのポイントである省エネルギーについてはどのようにお考えか。やはり三段階料金が持っている2つの機能のうち、福祉社会に寄与しようという機能については触れられたと理解しますが、省エネルギーの推進という点についても書いたほうがいいのではないかと思います。

○古城座長 三段階料金の使えば割高になっていくという料金の仕組みは、省エネに一応寄与しますよね。

○陶山委員 それがなくなると、今もプランの中では使えば使うほど割安感があるプランがどんどん出ている。

○古城座長 コストに対応するという話になってきていますね。

○陶山委員 三段階料金を外した場合に、もう一つのほうについては、何らか言及したほうがいいのではないかと思います。

○松村委員 でも、最初のところに福祉の実現と省エネルギーの推進といった点があるがと明記はしているわけですね。これで足りないということなのでしょうかというのが1点目。

2点目ですが、省エネルギーに関しても相当に異論があります。これが本当に省エネに役に立っているか。例えば、先ほど言及された出力抑制なのですけれども、何で出力抑制が起こるのかというと、需要が足りないからなのです。需要が足りないのは、価格が高過ぎるのが原因の一つ。結局、出力抑制するというのは、せっかく発電できる貴重なエネルギーを捨ててしまうこと。料金が高過ぎることが、太陽光発電の電気を大量に捨てていることの元凶の一つである可能性があり、省エネに反しているという意見も相当にあるのです。

福祉に関しても、これが本当に福祉に役に立っているのかに対して異論がある。異論はあるけれども、ちゃんと考えてくれということなのです。省エネについても、実は自明に三段階料金が省エネに役に立っているのではなく、本来は二酸化炭素を全く出さない、エネルギーの消費量としても社会的に増えないような出力抑制が起きる時間帯の消費を妨げているという側面もあって、省エネにいいかどうかは相当に怪しい。

これから、実際に出力抑制が必要になってくる地域や時間帯がどんどん増えてきます。どんどん増えてくる将来には、今、笑ったようなことで済まされないことが本当に起こってきます。だから、これに関しては異論があることは認識すべきだと思います。

○古城座長 どうぞ。

○陶山委員 先ほど、省エネルギーの推進といった点があると。これに書かれているではないかと。まさにそのとおりなのですが、この三段階料金を外していくことについて、この2本の柱をどうしましょうかという書き方としてあると思っています。

先般の出力抑制については、土日という、事業所が事業をしないということに関連して抑制されたとなっていますので、さまざまな要因はあると思いますが、全体的に抑制していかなければいけないような状況が頻発するということであれば、全体の発電量についてもっとコントロールするという面を考えてていくときが来るのではないかと思うのです。松村先生が展開されたところまで、私は見ることができないとは思いますが、直近の問題として、三段階料金を外すのであれば、論理的な問題としてもう一方にもやはり触れたほうがいいのではないか。もし松村先生の御意見が、公共料金等専門調査会の全体の意見ということであれば、そのような触れ方もありかとは思います。

○松村委員 私の意見が全体の意見ならば、前段の省エネという観点もあるがという記述削ってくれというべきなのだけれども、全体の意見ではないと十分に認識しているのでこれに対して反対していないのです。

これよりももっと書き加えるのですか、ということを言っているだけです。

○古城座長 陶山委員の御指摘から言うと、三段階料金を外すと、低所得者向けの保護機能は失われるのではないか。これは新しい受け皿で、福祉要件をつけて受けてくださいと。

それから、本当に無駄に使っている人たちを抑制する機能もなくなるのではないかということなのですけれども、それに対する適切な受け皿は見つからないのです。たくさん使っている人の中には、本当は無駄に使っている人もいるけれども、無駄ではなく使っている人もいるわけですね。だから、無駄に使っている人を選び出して、それを罰するような制度であれば入れてもいいのですけれども、その手段がないから、措置は外してあるのですよね。別途、先ほど言いました再生可能エネルギーの導入とか、いろいろな措置がとられていますね。そちらでやってもらいたいということなのですか。

古賀委員、どうぞ。

○古賀委員 三段階料金のところは、いつも悩ましいところなのですけれども、かなりいろいろな方のヒアリングもいただいたりして、今、古城先生がまとめられたようなことが言われていたと思うのです。最終的にはエネルギー貧困者というか、福祉的な意味を何か補完するものを考えていかなければいけないということは意見として出すべきだと考えています。

いろいろ事務局の方も悩んでいただいたと思うのですが、7ページのところが最終的な意見となるのではないかと思うのですけれども、廃止を認める場合には、低所得者を保護するための三段階料金に代わる料金制度を検討すべきであるというところをもう少し膨らませて、例えばスイッチングとかいろいろなことも含めて、高齢者やエネルギー貧困層と思われるいろいろなヒアリングで受けた特定の層の方に対して、社会福祉的な見地から、料金制度の枠組みとは別に考えていくということもあり得ると思います。そのところの検討はまだされていないので、料金制度を検討すべきであるというところに、逃げているようにも思われるのですけれども、例えば具体的、総合的な見地から検討すべきであるとか、検討してほしいという意味合いをもう少し入れていただけたらと思います。

○古城座長 そうなのですけれども、ここで言っているのは結局、低所得者に対して打撃が大きいので、三段階料金廃止には反対という立場がありますね。もう極端なのは、その問題はあるけれども、生活保護とかそちらで賄えばいいということ。この案は真ん中であって、生活保護で全部見ろというのも理屈の上ではあり得るけれども、見られなかった場合は結局、消費者に打撃が残るわけでしょう。それが結構、必然性が高くて、料金制度の中で新しい料金を作って、そこで面倒を見る。三段階料金の廃止に反対しないで、そちらのシステムに移行してくれということを消費者委員会としては選択して述べるということだと思うのです。

具体的な制度設計といったら、そこまで組み込むほどこちらも準備が整っていなくて、低所得者はどうやって見つけるのですかとか、大きな争点があるのですけれども、それは今後の課題なのですが、消費者委員会としては、基本方針としてはこういう意見ですよと述べています。

どうぞ。

○松村委員 混乱させて申し訳ないのですけれども、例えば、三段階料金に代わる料金制度を検討すべきであるのですね。代わる制度を検討すべきであるではだめですか。つまり、制度の中には当然、料金制度は含まれているわけですね。料金制度ではないものも含まれているわけですね。どれにすると決め打ちして、これでやるべきだと言えるほど議論は進んでいないけれども、とにかく何らかの形でちゃんと考えてくれということであれば、料金制度も選択肢だけれども、だからこれは料金を取ってしまっては駄目ですか。

○古賀委員 私はそのように思います。

○古城座長 では、これは取りましょう。

○古賀委員 具体的に、総合的な見地から、そういう制度を考えてほしいというのはどこが考えるかということもあるのですけれども、消費者委員会としては、例えば自由化の中で、業者に任せていれば、たくさん使う人に対しての料金の低廉化がどんどん進むのではないかという危惧は依然としてあるわけなので、そういうことも含めると、ちょっと絞って、制度の中で低所得者を保護するための制度を考えてほしいというのは一文として入れていただきたいと思います。明文化するのは難しいでしょうか。

○古城座長 今の最後のところは何でしたか。たくさん使う人というのは、必要があってたくさん使う人もいて、その人たちが余り高い料金をとられているのはまずいから。

○古賀委員 そうではなくて、多量消費者に割安になるような料金設定に移行していくおそれが高いわけですね。というか、事業者としては一般的にはそうなりますね。それはそれでいいのですけれども、その中で取り残されてしまうところをどうするかということを具体的に検討していくべきだと思います。

○古城座長 それは、ここにもう書いてあるわけです。三段階料金を廃止すると、コストに合ったリバランシングになるから、低所得者に打撃があるのは間違いない。それについては、一つとしては三段階料金反対という声と、別の制度を用意することによって、三段階料金を廃止していくことは必ずしも反対しませんよという立場をとって、これは後者を選んでいるということです。

○古賀委員 ここは、主語が三段階料金の廃止をとなっているので、そこのところが三段階料金に代わるものというのは、例えば経過措置の廃止を認める場合にはとするとおかしいですか。

○古城座長 経過措置ではなくて、三段階料金という仕組みがなくなっていくだろうということ。

○古賀委員 そこを焦点にして書くほうがいいという考えですか。

○古城座長 経過措置料金を残してくれという人は、料金レベルが規制なき独占になることの防止策としてということと、その経過措置料金の仕組みを三段階料金にしてくれという両方の主張があるわけでしょう。だから、三段階料金の主張の内容については必ずしもこだわりませんよと変えているのです。

○古賀委員 そこがちょっとわかりにくいような気がするのです。

○古城座長 というのは、消費者委員会のこれまでのスタンスから言うと、自由化には賛成で、基本的には消費者全体が利益になるのだから進めてくださいというスタンスでずっと来ているし、それは正しいわけで、それをやった場合に、どうしても三段階料金というのは、その障害になる面もあるので、それをどう取り扱うかは一つの課題なので、消費者委員会としては、それがなくなっていく場合には、別の受け皿で対応してくださいと。そうでないと、低所得者の消費者保護だと三段階料金廃止、さらに引き続くと、自由化についてもほどほどにしてほしいということになってしまいませんか。

○古賀委員 そこまでは言っていないです。

○古城座長 そういうことがあるから、消費者委員会としては態度を整理しておかなければいけないと思うのです。

自由化しても経過措置料金をいつまでも残せという立場はまずいでしょう。競争をちゃんと進めて、競争で守られるという状態になって、経過措置を廃止するならば賛成ですよということを言っているわけですね。

○陶山委員 その競争が十分に進むように、いろいろな要素を考えて盛り込めるといいなとは思いますし、競争状態をどのように確認するかということも、できれば入れ込めるといいなと思うのです。例えば先日、スイッチング率や電力シェアの話がありまして、アイルランドは定量的な基準を置いているということも、外国の取組として具体的に紹介すれば、電力シェアはどれぐらいあれば、競争状態が発生するというふうに考えている国があるのかということを紹介できるかとも思うのです。

○古城座長 井手委員、どうぞ。

○井手座長代理 それは、競争の程度を例えば電力会社のシェアが40%落ちるとか、そういう指標を出すということは、これまでの議論の流れからすると、電気の場合は非常に難しいのではないか。

電気はあれなのですけれども、ここの議論とは別ですが、ガスについては、いわゆる経過措置料金に値する規制料金は非常に数値化されているので、東京ガスとか大阪ガスの規制料金は基本的には外れないという仕組みになっていますね。それに対して、電気の場合はある意味、非常にアバウトで、競争状態がここまでというようにしてしまうと、これまでの議論としては、経過措置料金を外せないというか、外さない形になってしまうおそれもある。それは自由化の議論からすると、ちょっと問題なのかなという感じはいたします。

○古城座長 陶山委員のおっしゃったように、理想を言えば、消費者委員会で経過措置料金を廃止するメルクマールを出して、これでやってくれと言う。それだけのこちらの検討もしていないし、知識もないわけだから、むしろ最終的には、しっかり経済産業省のほうで検討してやってもらいたいということについて、こちらのアドバイスというか要望を言うという意見になっているわけですね。

それ以上はできないですね。

○陶山委員 ヒアリングの中で出されたことでもあり、例えば事後規制の問題だとか、自由化で先行していろいろな問題にぶつかって、それをどう解決していこうかと海外でいろいろな国で取り組まれているわけですから、当然、それも横目に見ながらということで、その方法でやりましょうという意見を出すわけではなくて、こういうこともあります、それは消費者委員会としても承知していますということを少し中に入れておくというのは、特に自由化を阻害することではないのではないかと思います。

○古城座長 ヒアリングして確認してきたのは、経済産業省のほうの検討はかなり慎重にやっているということがわかりましたね。だから、消費者委員会としては検討して、十分競争が機能して、経過措置料金がなくなっても競争があるので料金の値上げは抑制できるという条件が確認できた段階でやってくださいよということを言っているのです。だから、規模的という格好でやらずに、ちゃんと確認をした上でやってくださいと言っているわけです。

あとはいかがでしょうか。

○陶山委員 先ほど私のほうから出させていただいた、消費者への情報提供の件なのですが、これを今後、自由化の中でどう確保していくかということについて、少し触れていただけるといいかと思っております。

○古城座長 これは、今のイメージなのですけれども、この報告書というのは、電気の場合、十分競争が働くようなことを確認できた段階で自由化してくださいよという考え方ですね。その後、いろいろとコストはどうなっているのかとか、電力・ガス取引監視等委員会がコントロールするというのは、余りそういうイメージではないのです。もう自由になったら競争で抑制されるのだから、規制の弊害というのは、競争者がいないので余り効率的にならないということと、もう一つは、役所がすごく口を出して、仕事が非常にやりにくいという2つが負担になっているわけだから、規制緩和した後に、あとの問題が大きく残るような。

○陶山委員 これは私の見方なのですが、三段階料金について、規制料金を解除するとともに、これが変化していくでしょうねということと、もう一つ、規制料金として確認していることによって得られていた情報を、今後も消費者が選択をするために必要な情報としてしっかり提供することが必要ではないかと思います。

○古城座長 イギリスの例を見ると、規制緩和した後だから常時的にいつも情報を取っているとか、監査しているということではなくて、問題がありそうだったら、そういう調査プロジェクトをつくって、調査して情報をとって、報告書が出るという仕組みになっていると思うのです。

常時、いつも役所がコストが幾らだとか、規制料金のときみたいな精緻な情報をいつも取っているとはなっていないし、企業も規制当局に報告するための会計制度をやっていないと思うのです。それは企業にとってはすごく大変でしょう。

イメージとしては、むしろ問題が起きたときに、それに合わせて調査をするし、調査に応じるために企業が情報を出すということでやるのだと思うのです。そちらはしっかりやってもらいたいと思うのですけれども、経過措置料金を廃止したのだけれども、経過措置料金のときに取れていたような情報を常時、電力・ガス取引監視等委員会が集めてくださいよと。規制はしていないのだけれども、情報は取ってくださいよと。そして、情報を提供してくださいよというのはちょっと言い過ぎというか、問題になったら情報を要求して、国民の関心があるから規制当局は本当に動いているのですかという調査をするというのはいいと思うのです。是非やっていただきたいと思います。

だから、経過措置料金を廃止すると、規制料金のときには得られたような情報は得られなくなります。そのかわり、競争が働いたらそれでもいいわけでしょう。

○陶山委員 そうなのでしょうか。

○古城座長 仮に、競争が働いて、料金が10%減って、どんどん減ってきていると。料金は確かに下がっているなというのだけれども、そのときにまだ情報が必要ですか。そうではなくて、すごく上がって、本当に競争が働いていないのではないですかというときには、情報が必要になってくると思います。

○陶山委員 下がるとは限らないですね。そこは燃料費が上がったのだとか、為替が変動したのだという情報が、今の燃料費調整制度では消費者は得ることができているので、納得をしているという状況があると思うのですが、そういったことがわからなくなって、料金についてはブラックボックス化していくのではないかと思ったときに、その料金が適正なのかどうなのか。あるいは、プランごとに出されるので、どれを選べばいいのかということも、最終的にはそこまで含めて、やはり何らかの情報提供は必要ではないか。

新電力事業者の方も、比較検討する料金体系の提示が必要ではないかという見方をされている事業者もありましたけれども、消費者にとっても重要なのではないかと思っているのです。

○古城座長 例えば自由化して、いろいろな商品やサービスがありますけれども、私たちはほとんどコストとかを知らずにやっていますよね。だけれども、いろいろな外国との比較や相場などを見て、これは結構いいサービスだし、ほかに競争者もあるということで、安いななどと思って安心してやっているわけです。電気も本当に自由化して、競争がうまく働いたら、そういう状態になるかよくわからないけれども、満足のいく価格やサービスが得られるのではないでしょうか。

○陶山委員 そうなればいいですけれども。

○松村委員 皆さんおっしゃるとおりだと思うのですけれども、例えばトヨタ自動車にこの鋼板は幾らで仕入れているのか、このタイヤは幾らで仕入れているのか、このホイールの原価はもともとどうなのか、更にさかのぼれば、その前の鉱物の価格コストはどうなっているのかなどということを求めないと、自動車の価格がフェアかどうかわからないから買えないなどということはないわけで、自由競争の世界はまさにそういう世界だということをおっしゃっているわけです。

一方で、確かに電力のところで、例えば選ぶときに、環境だとかがどうなっているのかがわからないので選べないということがあり、それはどんなに自由化されたとしても、こういう情報は公的な目的のために開示してほしいということは当然あり得るわけです。でも、それは自由化されようがされまいが必要なものだとすると、私たちは継続的に考えていって、こういう情報は今、出ていないけれども必要ですということは継続的に言っていかなければいけないのでしょう。

でも、経過措置の廃止などという文脈で言うことではないのではないかということがまず第一点と、それから、抽象的に情報がもっと必要ですではなくて、こういう競争状態になったのにもかかわらず、それでもこの情報がないと消費者にとっては困りますということを具体的に言って、しかもそれが情報が出されていないということを確認し、それを強制するということをしたとすれば、どんな弊害があるかということもきちんと考えた上で、それでもこれは出すべきだというものを具体的に出すということは、今後、必要になってくるかもしれないけれども、この段階ではそういう議論は全くしていないわけですから、この報告書で書き込むというのは、私は無理だと思います。

ただ、御指摘の点は継続的に考えていかなければならない問題だというのは、確かにそのとおりで、自由化された後でも、欲しい情報がありますということは言っていく必要はあると思いますが、それは具体的に言うべきだと。

この報告書ではなく、今後継続的に、必要に応じて言っていくべきだと私は思います。

余計なことで済みません。

○古城座長 あとはいかがでしょうか。

どうぞ。

○古賀委員 6ページの、事後監視の整備についてなのですけれども、4行目以下、したがって、経済産業省は、解除後の競争状態について継続的に監視する体制を整備すべきである。そして、競争圧力が失われた場合の施策の在り方についても解除前に定め、公表、周知すべきである。適正であることを確認できるよう、事後監視の結果及びその判断根拠を公表することについても検討すべきであるとまとめていただいているのですが、具体的にここのところを委員会の中でどうすべきだという意見を特に議論したことがないように記憶しているのですけれども、ここの書き方について、具体的に、継続監視する体制の整備という議論は進んでいるのではないかと思うのですけれども、経済産業省のほうではどうなのでしょうか。全くされていないのでしょうか。

松村さんのほうを見てお聞きするのも何なのですけれども。

単に要望として出すのはいいのですけれども、実際には、資源エネルギー庁や電力・ガス取引監視等委員会でこの点について今、どの程度の議論が進んでいるかということを踏まえて意見を出したほうがいいかと思うのですけれども、この書き方でいいのかなと。

○古城座長 確かにここは、すごく煮詰めて書いてあるわけではなくて、一般的な希望を書いているという感じですね。

でも、公表された資料を見る限り、経済産業省の委員会も、主としては廃止するにはどういう条件で廃止するかという話に入って、廃止した後、万が一想定どおりうまくいかなかったときにどうするのかということは、まだ余り検討していないでしょう。

○古賀委員 それを検討してくださいという趣旨と受けとめていいのですね。

○古城座長 検討してくださいではなくて、解除する場合は、うまくいかないという場合も想定して、慎重にやってくださいよということを書いているだけです。

松村委員、どうぞ。

○松村委員 どちらかというと、これをちゃんと整備することなく解除されたら困るということで、もし解除される可能性が極めて低いのであるとするならば、ここをものすごく具体的に議論するということの実利が余りないのです。

十分具体的な姿が出ていないというのは、そちらの可能性もあると思います。ただ、委員会ではちゃんと議論がされているのは間違いない。もし廃止するならば必要だし、そうだとすれば、具体的に少し考えなければいけないということで、具体的に議論していることはそうなのですが、多分、お望みほどかっちりしたものが出ていないのは、私の勝手な推測ですが、解除される可能性が低いと思っているからなのではないかと思っています。

○古賀委員 このままで結構です。

○古城座長 あとはいかがでしょうか。

井手委員、どうぞ。

○井手座長代理 細かいことなのですけれども、6ページの「マル3三段階料金について」というところで、ここだけ「経過措置料金(規制料金)」と書いているのです。その前のところは全く経過措置料金ということについてあれなので、もっと前のほうで規制料金と書くのか、ここのところを修正しておいていただきたいと思います。

○古城座長 よろしいでしょうか。

あとはいかがでしょうか。

古賀委員、どうぞ。

○古賀委員 3ページの比較サイトの現状というところなのですけれども、ここの文章が現状の割と平面的な説明だけに終わっている気がしているのですが、最後の倫理基準を明文で規定している事例はほとんどないが、考えを定めている例もあるという、比較サイトから例もあるというところの文章なのですが、これは事務局としてはどういう意図でまとめていただいたのか、御説明いただけたらと思います。

比較サイトについては、かなり調査会の中でもいろいろとヒアリングをしたり、意見交換をしたり、景表法に係る問題などについても検討したりしたと思うのですけれども、もう少し言及してもいいのかなと思ったのですが、いかがでしょうか。

○消費者委員会事務局担当者 この部分ですけれども、専門調査会のほうでも報告しましたが、比較サイトについての調査を行っていまして、そこの部分で現状というところを引いているところです。

これだけにとどめているのはなぜかということですけれども、もっと入れるべきであるということであれば入れてもよいかと思いましたが、他とのバランスで、比較サイトだけを経過措置と絡めて厚く書くのもどうかということで、ここまでの記載にとどめています。

○古城座長 そういう説明で、自由化したら消費者が情報を得て比較できるように、頼りになる比較サイトになってくれということで、育成するような方向にどんと突っ込んで書くというようにはなっていないのですね。まだ今、そういう状態になっていないのです。だから、比較サイトは重要であって、これが役に立つように育つのを期待して、今のところ見守っているという格好の書き方になっているということですね。

○陶山委員 解除後に対する意見の中に、比較サイトについてまとまった文章が入れられていないですね。それは今、座長がおっしゃったようなことなのですね。

○古城座長 そうです。だから、もっと注文をつけるという段階にまだ来ていないのです。

○陶山委員 ちょっと柔らかく、今のぐらいの表現でも入れていただくといいかもしれないですね。

○古賀委員 5ページのところに、消費者への周知というところがあって、3段落目に一応、スイッチングの比較サイト等の消費者が自身に最適な料金プランを見つけることを容易にするための環境やツールを整備する必要があるとあるのですけれども、ここのところに少し比較サイトの充実や、透明、公平、中立性の確保のための期待も含めてみたいなことを入れられたらいいなと思います。

具体的でなくて済みません。

○古城座長 具体的には、どういうことになりますか。

○古賀委員 今、考えます。

○古城座長 つまり、希望は同じだと思うのだけれども、具体的な注文をつけるという段階というか、成熟していないので書いていないのです。

○古賀委員 そこも今まで議論がないので、ヒアリングしただけなので、この書き方にとどまったのだと理解しますけれども、比較サイト自体を使えない方たちもたくさんいるわけですし、選択するツールとして比較サイトも重要なのだけれども、比較サイトの情報自体が本当に公平で透明でどこからのひもつきでもないのかということについては確認できていないわけです。諸外国においてもいろいろな倫理基準が業界の今後の自主基準を含めて、それを公がいろいろな意味で規制するというのも一つのやり方なのかもしれないのですけれども、そういったメルクマールも含めて、もし入れるとするとここに入れるのはおかしいでしょうか。

○古城座長 だから、比較サイトは重要で、育って、消費者にとって非常に役立つツールになってもらいたいというのを期待しているわけですね。そのときに、影響力が強いくせに中立性がないとかになってきたら、注文をこちらもつけられるのですけれども、今のところ、まだその段階に至っていないのです。あと、公平性などと言っても、まだ公平性は疑われていない。公平性に問題が出て、こういう問題があるのであればここを直せとか、それもまだないわけでしょう。何となく、事業者の人のヒアリングをしても、公平でやらないと結局は消費者の信頼を得られないからそのように頑張っていますとか、それは自覚していますという発言があって、その中身を工夫している段階のときに、抽象的にこうしろよとか言っても役に立たないので、ふわっとした書き方しかできなかった。すごく期待はしているわけですけれどもね。

特に経過措置料金がなくなると、これより何パーセント安いとか、なかなか言えなくなるわけだから、むしろ比較サイトなどで、比較基準で適切に比較してもらわないと、消費者は困るわけですね。だから、比較サイトの役割は格段に大きくなってくると思うのですが、具体的な注文はまだできていないということです。

○陶山委員 それでは今、座長がおっしゃったことを、期待というようなことを、比較サイト等の消費者が自身に適切な料金プランを見つけることを容易にするための環境やツールを整備する必要があり、期待しているというような末尾を。

○古城座長 厚目に書けと。

そのほかはいかがでしょうか。

この意見案については、いろいろと意見が出て、もうちょっと書き込んだ意見案を出したいというのは重々承知なのですけれども、タイミング的に、経済産業省のほうで意見をまとめる前に消費者委員会の意見を言いたい。だから、現段階で言えることを、言える準備が整ったことだけ言うという制約の中で書いてありますので、こういうことになっております。よろしいでしょうか。

ほかに、何か意見はございますか。

それでは、意見が大体出たと思いますので、最後にまとめたいと思うのですけれども、意見案については、本日皆様からいろいろと意見をいただきました。これを踏まえて、修正できるところは修正したいと思います。

修正につきまして、根本的な変更、意見はなかったと思いますので、修正の仕方については私に御一任いただいてよろしいでしょうか。

それでは、御承諾いただけましたので、私のほうで原案を修正した上で、消費者委員会の本会議に報告することにいたします。


≪3.閉会≫

○古城座長 その他、事務局から連絡事項はございますか。

○坂田参事官 本日も、長時間にわたりまして御議論をいただきまして、誠にありがとうございました。

次回の会合につきましては、確定次第、御連絡をさせていただきます。

以上でございます。

○消費者庁高島審議官 一言だけ。

消費者庁でございます。私どもから消費者委員会のほうに付議いたしましたところ、熱心に御議論いただきまして、大変ありがとうございました。

御報告書がまとまりましたらば、それに基づきまして、私ども消費者庁としても経済産業省に意見を伝えていきたいと思います。

ありがとうございました。

○古城座長 それでは、時間前ですけれども、本日はこれにて閉会とさせていただきます。

お忙しいところお集まりいただきまして、ありがとうございました。

(以上)