第54回 公共料金等専門調査会 議事録

日時

2018年11月22日(木)13:59~16:05

場所

消費者委員会会議室

出席者

【専門委員】
古城座長、井手座長代理、小浦委員、古賀委員、陶山委員、松村委員
【消費者委員会担当委員】
長田委員
【説明者】
エネチェンジ株式会社 有田代表取締役社長
一般財団法人電力中央研究所 後藤主任研究員
【消費者庁】
太田消費者調査課長
【事務局】
二之宮事務局長、福島審議官、坂田参事官

議事次第

  1. 開会
  2. 電気料金比較サイト事業者からのヒアリング
  3. 電気の経過措置料金に関する有識者ヒアリング
  4. 閉会

配布資料 (資料は全てPDF形式となります。)

≪1.開会≫

○坂田参事官 本日は、皆様、お忙しい中、お集まりいただきまして、誠にありがとうございます。

ただいまから「消費者委員会第54回公共料金等専門調査会」を開催いたします。

本日は、所用によりまして白山委員、山内委員、消費者委員会担当委員の蟹瀬委員が御欠席との御連絡をいただいております。

また、松村委員はおくれて御到着との予定でございます。

まず、議事に入ります前に、配付資料の確認をお願いいたします。

議事次第に配付資料一覧を記載しております。お手元の資料にもし不足等がございましたら、事務局までお知らせください。

また、本日の会議につきましては公開で行います。議事録についても、後日公開することといたします。

それでは、古城座長、以後の議事進行をよろしくお願いいたします。


≪2.電気料金比較サイト事業者からのヒアリング≫

○古城座長 それでは、議事に入らせていただきます。

本日の最初の議題は「電気料金比較サイト事業者からのヒアリング」です。

初めに、ENECHANGE(エネチェンジ)株式会社の有田一平代表取締役社長より「電力・ガス比較サイトの現状報告と課題抽出」について御説明をいただきたいと思います。

それでは、説明をお願いいたします。20分程度でお願いいたします。

○有田代表取締役社長 ENECHANGE株式会社で代表を務めさせていただいております、有田一平と申します。よろしくお願いいたします。

では、私から、電力・ガス比較サイトの現状報告と課題抽出のための説明資料ということで、説明をさせていただきます。

本日の内容といたしましては、まず、ENECHANGE株式会社、弊社について。

続きまして、オンライン比較サイト「エネチェンジ」利用者の現状について。

電力会社の撤退から見る経過措置終了について。

比較サイトの利用活用促進についての課題。

最後に、まとめという流れで進めさせていただきます。

会社概要は簡単にですけれども、まだ設立して3年半程度のベンチャー企業となっておりまして、事業としては、エネルギーテック事業というAI技術を活用したクラウド型のサービス関連事業及びエネルギーマネジメント事業という、電力・ガス比較サイトに代表される、こういった事業を行っております。

次のページが、弊社の事業方針となるのですけれども、エネルギーの領域では、4つのDと呼ばれる革命が進んでいると我々は考えておりまして、1つがDeregulation自由化で、もう一つがDigitalisationデジタル化で、続いてDecentralisation分散化、Decarbonisation脱炭素化といった流れで業界が動いています。

本日、お話をさせていただきますのは、一番初めのDeregulation自由化のところとなっておりますが、我々、会社としては、4つの全てのDに対して事業を行っている、または、行く行くは行っていくというような形になっております。

本日の本題のオンライン比較サイト「エネチェンジ」、まず、利用者の現状についてお話をさせていただきます。

まず、次のページの「電気・ガス比較サイト『エネチェンジ』の公平・中立性」についてなのですけれども、「エネチェンジ」は現在、季節性があって、例えば、夏とか冬にアクセスが多いような傾向があるのですけれども、おおむね月間の訪問者数は300万ユーザー、日本最大級の家庭向けの電力・ガスの切替えプラットフォームとなっております。

こちら、サービスの開始時から常に消費者の視点に立って、公平・中立性というものをモットーにして、消費者に一番合った最適な電力会社選びをサポートしているというようなサービスとなっております。

「エネチェンジ」では、診断を行うのですけれども、診断の結果として節約額が多くなる順というのと、おすすめ順の2つの表示を行っているのですけれども、おすすめ順は特にイギリスのOfgemなどのコンフィデンスコードなどを参考にして、消費者目線に立った要件を自主的に設けて、電力会社の評価基準にしています。

それも、こちらの図にあるとおり、公開をしております。発電手段を公開しているとか、再エネ電源が多いとか、見える化サービスが充実しているとか、サービスが充実しているとか、そういった視点でおすすめ度というのを設定しております。

次の7ページ目になりますけれども、電力のスイッチング率のマーケットの推移なのですが、こちら青のラインがイギリス、赤がフランス、緑が日本となっているのですけれども、イギリス、フランスと比較しても日本のスイッチングの推移というのは、順調に増加していると我々は見ております。

我々のサイトのほうでも、月間300万ユーザーが訪問してくれていますし、累計の切替え数も、我々の算定で10万件を超えて、右肩上がりで上がっております。

こちら、最近は新電力に一度切り替えた方からの更なる切替え申込みなども一定数発生しておりまして、消費者も少しずつ切替えに慣れてきて、より最適な電力会社を探して、自分で選択して切り替えるというようなことが、マーケットに浸透してきたなと、そういうふうに我々は捉えております。

次、8ページ目に移らせていただきまして、弊社の比較サイト「エネチェンジ」への問合せ件数の推移というものを、こちらに出させていただいております。

ベースの訪問数も入電数もかなり増えてきておりまして、電力会社の切替えに対する関心や意欲というものは、かなり高まってきてはおります。

特に、季節性が大きくて、2月、3月、4月などの引っ越しの需要期だったり、電気代の高くなる夏とか冬に訪問者数や、診断数、申込数が上がるという傾向は変わっていません。

ただ、大きな変化として、大東エナジーさんや、福島電力さんに代表される電力会社の撤退というものがあって、この2つの大きな会社の顧客放出によって、電話だったり、メールによる一日の相談件数が平日で100件を超えるような状況というものが続いて、休日になると200件を超えるような日も発生しておりました。通常は2桁で推移しておりますので、倍以上の数になったというようなことはありました。

一方、国民生活センターだったり、消費者相談員への相談件数は、実はほとんどなかったということ、変わらなかったということで、比較サイトに依存というか、こういった問題解決のお役に立てたのかなと考えております。

9ページ目が、電力会社の切替え後のアンケート結果の比較となっております。

上のグラフが2017年1月、下のグラフが2018年10月に、我々のほうで取らせていただいたアンケートなのですけれども、自由化当初は、料金の安さで選んだ方が95.3%と、ほとんどだったのですけれども、2018年の10月の時点では83.8%と減少しております。

増えているものとしては、例えば、環境に優しい電気を提供していたからというような、料金だけではなくて、別の軸でユーザーが、電力会社、電気料金プランを選んで申し込まれるというような傾向になってきていて、これは、消費者が電気を選んで買うということが、やはり、今、少しずつ浸透してきて、値段だけではないということを消費者が気づき始めてくれたという大きな変化だと、我々は捉えております。

また、次の10ページ目が、電力会社切替え後の満足度なのですけれども、満足しているというのが79.8%です。

一方で、不満があると回答したユーザーも5%存在しております。

満足していると回答した方は、電気代が安くなったり、環境に配慮した電気が使えるようになったという声がある一方、不満があると回答した方は、切り替えた後に、実はもっと安くなる電力会社が登場したとか、マイページ等が、以前のほうがしっかりしていたというような声が上がってはおります。

一応、補足させていただきますと、比較サイトとか、切替え自体というよりは、切替え先の電力会社に対する満足度の結果と、こちらはなっております。

次、11ページからは、比較サイトの利活用の促進に向けての課題ということで説明をさせていただきます。

我々として比較サイトをビジネスとして行っていて、こちらを更に利用していただくための課題というものが、こちらだと思っていて、1点目が行政だったり、公共機関との連携というのは重要だと思っています。

それによって地域間の格差だったり、世代間の格差などによる情報格差とか、ITリテラシーの格差を埋めるためのサポートが必要になると考えております。

我々、自由化の直前期からいろんなところへ自由化に関する講演依頼を、様々な自治体だったりから頂きまして、講演活動を行ってきたのですけれども、やはり、お声がけいただいた行政に対しては高齢者だったり、インターネット弱者対策として更なる周知やサポートの協力依頼を行ってきたのですけれども、やはり、1社優遇はしづらいとか、国からの指導がないと動けないというような回答で、なかなか協力自体を得ることができていませんでした。

ですので、こういったお声がけみたいのが行政からあれば、より積極的に動いてくれるようになるのかなというふうには思っております。

我々、ウエブサイト以外の取組として、パートナー施策というものをやっておりまして、例えば、不動産会社だったり、引っ越し会社だったり、クレジットカード会社などと通じた取組をしています。

ウエブサイトの運営をしているだけですと、情報格差の観点などからリテラシーの高い人がメーンのユーザーになってしまうので、我々としてもより裾野を広げていくという意味で、ウエブだけではなくて、オフラインでパートナーシップを様々な様々な会社と組ませていただいて、こういったパートナー企業と協力して電力自由化を広めていくというような活動をしております。

続きまして、比較サイトを更に利用してもらうための課題の2つとして、統計情報の開放というのを挙げられるかと思っています。

特に、スマートメーターのデータです。こちらが第三者に開放されることによって、比較サイトの信頼性が向上します。それにより、新規の業界の参入も見込まれて、電力自由化の多角的な恩恵の享受が期待できると考えております。

特に、スマートメーターのデータが公開されれば、比較サイトで更に詳細なシミュレーションなどもできるようになりまして、信頼性が上がり利用率が向上します。

現在、複数存在する比較サイトや電力会社の診断で利用しているデータは、会社によってばらつきがあったりするので、こちらの統計データを利用することで、おのおのの比較サイトの信用性が増すというようなことは考えております。

比較サイトの利活用促進のまとめとしては、行政が電力自由化だったり、比較サイトの認知向上の取組を行っていただいて、比較サイトがサービス価値の向上に努めることによって、消費者の自由化自体だったり、比較サイトに対する信頼というものが向上して、利用率の向上と消費者の利便性につながると、我々は考えております。

最後に、電力会社の撤退から見る、我々の視点から見た経過措置の終了についてという形でお話をさせていただければと思います。

まず、結論。我々の意見としては、行政であったり、大手電力の協力があれば、早い段階から経過措置の終了に備えることは可能だと考えております。

これは、特に大東エナジーさんだったり、福島電力さんの事業撤退に伴い、放出された契約者への対応や、その際の消費者の行動を事例に、選択の環境を整えるというものは可能です。

比較サイトは、早い段階から情報の共有さえいただければ、その受け皿となることができると考えております。

ですので、全ての消費者がスムーズに切替えの行動を行うためには、官民一体の取組が必要だと考えております。

こちらは、ENECHANGEの取組として、大東エナジーさんだったり、福島電力さんの事業撤退の例となっております。

彼らは、まず、撤退をするというときにどういうことをしたかというと、各エリアごとに契約されているユーザーさんに切替えを促すようなダイレクトメールを送付しております。

切替え先には、エリアの大手電力を初め、他の新電力のリストなどを提示すると共に、切替えの方法だったり、問合せ先などを明記しております。

それに合わせてエネチェンジでは、そういったユーザーさんは困って、次にどういった電力会社に申し込めばいいのだろうと思うようなユーザー様をサポートするための特設ページを開設しました。

それで、フェイスブックやツイッターで情報を拡散することでエネチェンジへの問合せというのが急増しまして、切替えのサポートというものを行いました。

結果、大東エナジーさんは26万件と言われていますし、福島電力さんは7、8万件と言われていますけれども、その需要家からの切替えが進みました。

やはり、今、スマホ等がこれだけ普及するようになりまして、こうやってダイレクトメッセージが届きますと、ユーザーの行動としては、まず、スマホで検索して情報を調べてみるという行動をとるユーザーがすごく多いです。

そういうユーザーたちに対して、必要な情報、次の電力会社を選ぶに当たって、その判断材料となるような情報を我々のほうでサービスとして提供することによって、かつ、更に詳しい情報を知りたい方は、我々のほうでコールセンター、ホットラインみたいなものを特別に作りまして、コールセンターの人員を並べて、細やかなサポートができるようなサービスをしまして、それによって、かなりスムーズに我々のほうでも、こういった切替えが進むお手伝いができたのかなと考えております。

最後に、経過措置の終了についての弊社の意見となりますけれども、我々としては、やはり、電力小売全面自由化の意義を実現するためには、速やかに経過措置を終了すべきだと考えております。

特に、前述させていただきました撤退された電力会社の事例からもわかるとおり、例えば、実際に供給が停止して電気が使えなくなって、すごいトラブルになったユーザーがどんどん出てきたみたいな、危機的なトラブルというものは、実際にはほとんどなく切替えというものが進みました。

やはり、消費者にしっかりとフェアな選択の機会というものを提供するためにも、丁寧に、速やかに告知をすることが必要だと思っています。

特に、下にあるとおり「経過措置終了に向けた官民の連携」としまして、やはり、信頼性の高い行政と大手電力が丁寧に時間をかけてしっかりと事前告知を行えば、我々は大きなトラブルなく移行が進むはずだと考えています。

ただし、例えば、大手電力の自由料金だったり、子会社などもあるかもしれないですけれども、特定の電力会社を案内するような告知をしてしまうと、そもそも自由化自体の意義や、消費者のメリットが損なわれてしまいます。そのため、やはり、消費者がしっかりと自分の判断基準で選択というものができるようにするということが、自由化の意義を考えてもポイントだと考えております。

例えば、自由料金に加えて新電力の紹介であったり、我々のような比較サイトを活用した選び方の説明だったり、そういった消費者が選ぶための告知をしてあげるということが重要だと考えております。

新電力も、我々としても、それぞれの役割で消費者を十分にサポートして受け皿になっていくことが可能だとは考えております。

私からは、以上となります。

○古城座長 それでは、御質問や意見のある方の御発言をお願いいたします。

井手委員、どうぞ。

○井手座長代理 エネチェンジを使って切替えが10万件を超える勢いだということですけれども、9ページのところにある切替え後のアンケート、これの母数というのは、どのぐらいなのですか。切替え後のアンケートよりということなのですけれども、母数は。

○有田代表取締役社長 ちょっと、正確に今、この場で把握はできていないのですけれども、数百のはずです。数百から多くても数千ぐらいのはずです。

○井手座長代理 あと、もう一件ですけれどもエネチェンジを使って電力会社の規制料金から自由料金に替える人というのは、どのぐらいいるのですか、把握はしているのですか。

○有田代表取締役社長 規制料金からですか。

○井手座長代理 規制料金から自由料金に切り替えるときにエネチェンジを利用する人というのは、どのくらい。

○有田代表取締役社長 全体の切替えの中でですか。というのは「エネチェンジ」で切り替えられているユーザーの中で、規制料金から自由料金に替えられるユーザーはどれぐらいかというお話ですか。

○井手座長代理 ええ、そうですね。

○有田代表取締役社長 まだ8割を超えています。

○井手座長代理 8割というのは。

○有田代表取締役社長 「エネチェンジ」で切り替えていらっしゃるユーザー全体のうちの8割以上は規制料金から新料金への切替えを。

○井手座長代理 電力会社の自由料金に替えているのですか。

○有田代表取締役社長 済みません、新電力の料金です。そういう意味では、大手電力の規制料金から。

○井手座長代理 大手電力の自由料金に替える人、エネチェンジを利用して替えている人というのは。

○有田代表取締役社長 極めて少ないですね。1桁パーセントです。

○古城座長 陶山委員、どうぞ。

○陶山委員 ありがとうございました。

公平・中立性を大事にするということで、このことが比較サイトにとっては、非常に生命線だろうかなと思うのですが、会社概要の中で、株主の中に電力会社さんが数社あります。そことの関係は、どのような関係を持たれているのかということ。

それから、そういったことについて、何か問合せ等が御社のほうにあるかどうか。

それから、この中には、資本金は書かれているのですが、エネチェンジさんだけの事業高と、そして、その中でどれぐらいの事業高がスイッチングによって得られているのか教えていただけたらと。

○有田代表取締役社長 承知しました。

まず、1点目なのですけれども、最近、エネルギー関係の事業者様から御出資をいただいております。

意図としては、ページ4でお話をさせていただいた4つのDのうち、自由化の部分には一切関係ないという提携になっております。

今後、こういった分散化だったり、脱炭素化という社会に向けて、我々が、例えば、蓄電池のソリューションであったり、再エネのソリューションであったり、そういった事業を創出していく上での業務資本提携という形にはなっておりますという答えになります。

もう一点は、ENECHANGEの比較サイトでの事業高としては、会社全体では、公表値なので大丈夫だと思うのですけれども、10億以上の売上高が今ありまして、ここで言う自由化、デジタル化のところで、半分ずつぐらいになっております。

更に、自由化のところも、法人向け、家庭向けという2つのサービスをしておりまして、今日、ここでお話をさせていただいているのは、主に家庭向けの低圧のところのお話と理解しておりますが、それも半分ずつぐらいですね。

○陶山委員 高圧なり、特別高圧なりと、低圧と半分ぐらい。

○有田代表取締役社長 そうですね。

○陶山委員 ありがとうございました。

○古城座長 古賀委員、どうぞ。

○古賀委員 御説明ありがとうございました。

2つの観点から御質問をしたいのですけれども、1つは、公平性・中立性という観点からお聞きしたいのですけれども、今、10万件を超える切替え申込みを扱っていらっしゃるということで、こちらの300万件の訪問と10万件の契約ということで、こちらのほうは、掲載料とか仲介料とかはどうなっていますか。掲載料は取っていらっしゃらないのですね。

○有田代表取締役社長 場合によっては、頂いていることもあります。

○古賀委員 具体的には、場合によってはとは、どういうことですか。

○有田代表取締役社長 例えば、記事広告みたいな形で広告として掲載をさせていただいている場合もあります。

○古賀委員 広告料という観点から掲載料を取っていらっしゃるということになるわけですね。

○有田代表取締役社長 はい。

○古賀委員 わかりました。

10万件の申込みがあった場合には、これは、仲介料というものを取っていらっしゃると思うのですけれども、これは、具体的な数字というものは、教えていただくことはお差し支えますか。

○有田代表取締役社長 パターンとして、我々としては2つあります。

1つは、我々のサイト内で完結して申し込めるパターンで、それは、我々が媒介というか、代理店として契約をさせていただいているパターンです。

もう一つが、電力会社さんのホームページのほうに送客をするパターンです。その場合は、1送客当たり幾らというような形でフィーをいただいています。

済みません、前者の場合は、1契約当たり幾らという形でフィーをいただいている形になります。

○古賀委員 1契約当たり。

○有田代表取締役社長 幾らという形です。

○古賀委員 それは、一律ではないのですね。

○有田代表取締役社長 基本一律で、全ての電力会社さんに同じ条件で契約をさせていただいているようにはしております。

○古賀委員 ありがとうございます。

○有田代表取締役社長 ですので、そういうところでも、できる限り公平性というか中立性というものを担保しようと努力はしています。

○古賀委員 そうしますと、代理店契約を締結されているのは、具体的には何社ぐらいあるのですか。

○有田代表取締役社長 こちらも正確に把握できていないのですけれども、20社は超えていたはずです。ちょっと正確な数字は覚えていないのですけれども。

○古賀委員 ありがとうございます。

たしか、1カ月ぐらい前だったと思うのですけれども、7社が御社と業務提携というか、御社に資本出資をされたという記事が、いろんなところで出ていたのですけれども、この業務提携の内容というのは、具体的には、どういったことだったのでしょうか。

○有田代表取締役社長 先ほどの回答と重なるところではあるのですけれども、電力の切替えに関することは一切ないです。

今後、分散化だったり、脱炭素化というようなエネルギー業界の変革が起きていく中で、新しい事業を創出していくということを目的とした提携になっています。

○古賀委員 ありがとうございます。

それで、要するに切替えには関係ないということで、公平・中立性というものには一切関わらないというふうに考えてよろしいですね。

○有田代表取締役社長 そうですね。その切替えのところに関わるような話は一切含まれていないです。

○古賀委員 わかりました。

もう一つ、多様性という観点からお聞きしたいのですが、御社のホームページを拝見しますと、100社ぐらいですか、今、現実には何社ぐらい細かいランキングをつけながら紹介されていらっしゃるのですか。

○有田代表取締役社長 実際、済みません、こちらも数字としては正確には把握できていないのですけれども、100社ぐらいで、数百種類の料金プランを掲載していたはずです。

○古賀委員 私たち消費者とか消費者団体とか、いろんな市民団体が、再エネなどいろんな取組、生協さんもそうですけれども、しているのですけれども、そういったところの情報というのは、当然、代理契約、媒介契約をされていらっしゃらないところがたくさんあると思うのですが、残りの、多分、今、100社ぐらいですかね、そこについての紹介というものの基本的なポリシーというものがあれば教えてください。以前、ヒアリングで第15回の公共料金当専門調査会だったかと思うのですけれども、一応、公平・中立性を社是としていらっしゃるというような御回答いただいていたことがあったのですけれども、実際には、ホームページを拝見しますと、知りたい小売の事業者があった場合に、たどっていっても、なかなかそこにたどれないとか、単にホームページのURLだけ出ているという場合もあるものです。そういったところを、今後、消費者にとっての選択の多様性も含めて、御社の社是とするのであれば、そういったところに対するいろんなフォローも、これは、要望ですけれども、していただけるといいなと思うのですが、基本的には、そういった社会性のあるジャンルというか、そういうところに対しての方向としては、今後、どのようなお考えをお持ちでしょうか。

○有田代表取締役社長 我々のほうで掲載させていただく電力会社の基準というものを設けて運営はしております。

例えば、実際に供給の実績がどれぐらいあるかとか、そういったものが基準になってはいます。

ただ、おっしゃられるとおり、社会性みたいなものも、そういった基準に、今後はより含めていくべきだとは、我々も考えております。

○古賀委員 ありがとうございます。

それから、9ページのところ、先ほど井手委員が御質問をされたところなのですけれども、2017年と2018年では、アンケートの内容が違っていたのですか。

○有田代表取締役社長 そうですね。済みません、こちら、常に状況に応じて、我々もアンケートとして聞きたい項目というものが変わってきてしまうので、毎回同じアンケートというよりは、項目は変えてアンケートというものを行っています。

○古賀委員 例えば、2017年の真ん中辺の再エネ・FIT電気の割合12.9%というのと、2018年の真ん中辺、環境に優しい電気を提供していたからというもの、数字的には割と似ているのですけれども、これは、聞き方として、こういう聞き方に変えた理由というのは、特にあるのでしょうか。

○有田代表取締役社長 FITと言ったときに、消費者としては理解できない消費者もいらっしゃるということで、こういった環境に優しいという表現に変えたものだと思われます。

○古賀委員 ありがとうございます。済みません、長くなりまして。

○古城座長 長田委員、どうぞ。

○長田委員 よろしくお願いします。

18ページの「大東エナジー・福島電力の事業撤退」のところで、特別キャンペーンを実施されたというお話をしていただきました。

コールセンターも設けられたとおっしゃっていたと思うのですが、これは、御社のほうで御自身の経費でなさったことなのかどうか。

それから、SNSやフェイスブックを使われたというのは、すごく良かったのだと思うのですけれども、もともとの大東エナジーさんや福島電力さんは、なさっていなかったのかどうかを教えていただきたい。

それぞれの会社も何かフェイスブックなどでの発信をしていたかどうかということと、それから、コールセンターの費用は御社がお持ちになったのかということです。

○有田代表取締役社長 コールセンターに関しましては、一部委託先さん等も使わせていただいているのですけれども、我々の判断で、もちろん費用も全て我々が持ってサポートを行っております。

もう一つが、大東エナジーさん、福島電力さんが事実上の撤退をされたときに、DM等は送付されていたようなのですけれども、やはり、ウエブでの情報発信というのが、我々の視点から見て十分ではないと見えました。

彼ら自身がフェイスブックやツイッターで情報を提供するということは、ほぼなかったと記憶しております。

ただ、消費者自身が、ツイッターやフェイスブックでこういうDMが送られてきたというようなことを発信するというものはすごく多かったです。

ですので、我々も消費者がそういったところで情報発信をしていたので、フェイスブックやツイッターでも、我々が信頼性の高い情報を提供することで、彼らのサポートになると思って行いました。

○長田委員 どうすればいいのかというところまで含めて情報提供をされているというところが、多分、効果的だったのだと思うのですけれども、規制料金が、もし、解除された場合の行政、大手電力10社の協力があればとおっしゃったのですけれども、それは、具体的には、どういうことを。

○有田代表取締役社長 消費者にしっかりと丁寧に告知するということに尽きると考えています。

○長田委員 では、それぞれが自分の役割を果たせばよいと、比較サイトとの連携という意味を少し教えていただきたい。

○有田代表取締役社長 連携といいますか、行政であったり、大手電力が、まず、消費者に対して経過措置が終了するので電力会社を選ぶ必要があるということを、まず、しっかりと告知をしていただいて、消費者としては、それを理解した上で、例えば、新電力のホームページで情報収集をしたり、我々のような比較サイトで情報を調べたり、いろんな行動を行うと思うのですけれども、ただ、こういったタイミングで、こういう告知を消費者にしていきますという情報共有は頂きたいと思っております。

それによって、我々も消費者さんに対して、どういったサービスとかサポートを提供すればいいのかというのがわかりますので。

○長田委員 ありがとうございます。

○古城座長 小浦委員、どうぞ。

○小浦委員 御説明ありがとうございます。

私も公平と中立性のところでお聞きしたいのですけれども、エネチェンジさんのホームページを見ましたら、おすすめの事業者の名前が幾つか出てくるのですけれども、そこをまずトップに持ってくると、消費者がその中で選択を誘導されるのではないかなとか、それで、中立なのかなと思ってしまうのですけれども、そこへ出されている基準をお聞かせいただきたい。

もう一つは、14ページのスマートメーターのデータの公開、開放を希望されているようなのですけれどもこれは、いわゆる比較サイト全般、御社だけではなくて、比較サイトそれぞれが可能となればば、こういうことが進んでいくとか、そのことが消費者のためにもなるという御意見なのでしょうか。

○有田代表取締役社長 こういったデータが開放されることによって、比較サイトとしても、より正確な料金シミュレーションなどが行われるようにはなりますし、単純にシミュレーション以上の活用価値というものはあると思います。

一例として、こういったデータをECサイトなどが使って、ここの家は、こういう電力の使い方をしているから、多分、エアコンが老朽化していて、すごく電気を使っているので、では、新しい省エネのエアコンをおすすめしてあげようとか、様々な使い方というものが、こういったデータ開放によって考えられるとは思っております。

済みません、1つ目の質問に対しましては、6ページ目で説明可能だと考えております。

我々のおすすめ順は、こちらにあるような基準に従って、各社ポイントをつけておすすめ順という形で出しております。

例えば、一番右下にあるような、同じ料金でも解約金だったり、違約金というものが解約時にかからないような電力会社さんがよりおすすめされたりと、そういった違いはあります。

こちら、基準としてもサイト上で公開されている基準であります。

○小浦委員 ありがとうございます。

ここの一覧にあるものを全て分析されていて、ここがおすすめみたいな形で、かなり信頼性の高いものであるということでいいわけですね。

○有田代表取締役社長 はい。ある意味、この判断基準に従って機械的におすすめ順を計算して割り出しているというような仕組みになっております。

○古城座長 井手委員、どうぞ。

○井手座長代理 先ほどのアンケートの結果を見ると、圧倒的に料金の安さであるとか、それから、違約金があるかないかとか、そういったことで、多分、電気は普通の商品と同じように消費者というのは見ているというのであれば、普通の価格ドットコムとか、ホテルズドットコムとか、いろんなサイトがあるみたいに、電気もいろんなサイトがあって、そこで消費者が自らの責任で電力会社を選ぶということでは問題があるのですか。殊さら公平性とか中立性を求める理由というのは、テレビを買うといったら価格ドットコムとか、いろんなサイトを見て買うわけですね。それは、消費者の自己責任で買っているわけで、ひょっとしたら高いかもしれない。

電気で、あえて消費者は、普通の商品と同じように見ているということであれば、あえて中立性とか公平性をこのサイトで求める理由というのは何かよくわからない。

14ページで、いろんなサイトがあるけれども、診断結果は、ばらつきがあるということなので、そのばらつきの原因は何だというふうにENECHANGEさんは見ているのですか。その2点について。

○有田代表取締役社長 承知しました。

1点目に関しましては、そもそも電気だからというよりは、比較サービス自体に公平性・中立性というものは重要だと、我々は考えています。

やはり、例えば特定の商品をもうかるからといって、すごくアピールする比較サービスよりも、中立的な、消費者のよりためになるような商品の見せ方をする比較サイトのほうが、やはり、消費者視点から見たサービス価値というものは高いですし、長期的に見ると、そちらのほうがより成功するサービスになると考えて、我々は、この中立性・公平性というものをすごく重視しています。

もう一点あるとしたら、電気はすごく公共性の高い商材ではありますので、よりそういった視点を大事にするべきなのかなというのは、補足としてはあります。

というのと、統計のデータのばらつきに関しては、使っているデータが違うというのが大きくて、例えば、我々の使っているデータだと、日本全国の電気の消費のデータを集めて、それを気象情報などと掛け合わせることによってロードカーブを書いていたりするのですけれども、比較サイトさんによっては、例えば、政府統計みたいなものからも全国一律のロードカーブみたいなものを使って、例えば、北海道と沖縄で考えたときに、北海道は冬寒いので冬の消費が増えるはずですし、沖縄は夏暑いので夏の消費がより増えるはずなのですけれども、比較サイトによっては、北海道でも沖縄でも同じロードカーブというか、消費のカーブを使ってしまっているというようなサイトもあって、そういう理由によって、比較サイトによってばらつきがあるという結果になってしまっています。

○古城座長 陶山委員、どうぞ。

○陶山委員 先日、この委員会の中で、新電力の方にヒアリングをしたことがありました。

そのときに、さっきも少し触れられたのですが、比較サイトを通してスイッチングをされる方は、ほとんどないと。10あったら1もないというようなことで、余りスイッチングについて比較サイトのほうに期待は持てないのではないかというようなヒアリングのときのお話でした。

それから、消費者のほうも情報収集のためには、比較サイトには行くのだけれども、決めるときは、それぞれの電力会社と相対、面談をして決めるとか、そういったケースが多いということも数字で表れてきていまして、私は、この比較サイトというビジネスモデルが成り立つのかなと思っておりまして、先ほどお聞きしました。

そうすると、ENECHANGEさんの場合は、全体の4分の1程度が、現在のスイッチング事業としての事業高になっているということで、他のものも含めて事業を成り立たせていらっしゃるのかなと想像したのですけれども、ほかの比較サイトについても同じように複数の、ここでいろんな電力なりエネルギーに関する情報収集を含めながら展開をしていらっしゃるのでしょうかということ。

このビジネスモデルが成り立たなければ、少しゆがんだことも起きてくる可能性があるのではないかと心配しています。

もう一つ、ENECHANGEさんも自由化の当初、コンフィデンスコードを置いてやっているのであって、少し差別化の意味でも認証制度に対して関心を持たれていたと思います。

今日、公共との連携のところでは、そのことをお話しにならなかったので、お考えがずっと動いてきているのかなとも想像しますが、比較サイトはいろいろあると思うのですが、そこでの自主基準みたいなものの検討とか、そういったものを作っていこうというような動きは、今、あるのでしょうか、その点を教えていただきたい。

もし、つくるとしたらENECHANGEさんがリードされる立場になるのかなとも思うのですが、いかがなものでしょうか。

○古城座長 済みません、今、御質問にあったのは、ある新電力に聞いたところ、スイッチングしてうちに来たお客さんのうち、経由するのは、ほとんど対面販売で獲得したお客さんだと言っていたわけですけれども、それは、その電力会社特有の現象なのか、もっと比較サイトのウエートは大きいとお考えなのか、その辺、事実として確認しておきたいのですけれども、どうなのでしょうか。

○有田代表取締役社長 併せて回答をさせていただきます。

最後のコンフィデンスコードのお話がお答えしやすいので、まず、答えさせていただきますと、15ページです。こちら、時間の関係で少し省略をしてしまったのですけれども、やはり、データの提供だったり、コンフィデンスコードの付与といったことを行っていただくことによって、より比較サイトの信頼というか、認知というか、そういったものは上がると考えていますので、それに関しては、我々としてはすごく前向きに捉えております。

業界内で、こういったものが必要かというお話なのですけれども、正直申し上げて、現状を見ていると、各比較サイト、そんなにどこかに偏ったとか、逸脱したような運営をしているようなサービスは見られないと考えていますので、現状、無理に設定をする必要はないと考えつつも、比較サービス間で、情報交換というか、しっかりユーザー目線で、消費者のためになるサービスを提供していきましょうというようなお話は、定期的にさせていただいていますという形になります。

初めの質問が、正直に申し上げまして、まだまだ比較サイト経由での電力の切替えのシェアというものは、会社にもよると思うのですけれども、それが、本当に半分以上いっているような会社もありますし、先ほどの例のように、1割にも満たないような会社もあります。

ただ、やはり、全体で見ると、まだまだ比較サイトのシェアというものが低いと我々は捉えています。

例えば、我々がモデルにしているイギリスの例だと、全体における比較サイト経由での切替え率が50%とか、それぐらいになってきています。

ですので、消費者に電力自由化自体が浸透するかどうかというのが、まず、1つです。電力自由化が消費者に浸透して、彼らがウエブで、比較サイトで比較して電力は、こんなに簡単に切り替えられるのだということに多くの消費者さんが気づいていただくことができれば、よりウエブの比較サイトのシェアというものは上がっていくと思っていますし、現状、少しずつシェアというものは上がりつつあると、そういう形になります。

あと、おっしゃっていただいたとおり、対面で実際に申し込んでいただいているお客さんも、かなりの方が対面で買う前に比較サイトで情報収集はしていただけておりますので、そういった方たちにも、少なからず、影響というか、情報提供をしてお役に立ててはいるのかなと理解しています。

もう一つが、事業として成り立つのかどうかというお話だったと思いますけれども、事業として成り立ってはおります。ですので、全然成り立たなくて困ってしまうというような状況ではないのですけれども、それだけで、事業として成り立ってすごく収益が上がるというものでは、もちろんなくて、我々としては、4ページ目の4つのDなどというものをお話しさせていただきましたけれども、ここの自由化のところで、こうやって比較サイトを通じて、例えば、消費者の消費行動みたいなものがわかるわけですね。こういった消費行動のマーケティングデータなどを活用して、デジタル化の事業のほうに生かしていくとか、そういったことによって、別の事業にこの比較サイトを生かしているという取組はしております。

○陶山委員 イギリスの比較サイトでスイッチングしていく率が高いと御紹介をいただいたのですが、それについては、イギリスでは対面での契約が禁止されたというようなことも伺っていまして、それが関連しているのではないかなとも想像するのですが、日本において今の状況が継続される中で、比較サイトでスイッチングしていく顧客というのをどの程度、50%を目指していらっしゃるのか、あるいはどの程度まで行けばいいと読んでいらっしゃるのか、教えていただきたい。

○有田代表取締役社長 理想的には50%まで、長期的な視点で見ると、上がっていくのではないかと我々は見ています。

○陶山委員 イギリスの制度上の問題は、その数字には関係ないのでしょうか。

○有田代表取締役社長 それより以前から、Ofgemなどが、例えば、コンフィデンスコードなどを設定したりとか、比較サイト自体の利用を促すようなことを行っていて、随分前から比較サイトのシェア自体が高かったので、そうだと思います。

○陶山委員 日本における行政との連携というところでは、そこまでは考えていらっしゃらないということで理解していいのですか。

○有田代表取締役社長 済みません、そこまでというのは。

○陶山委員 例えば、認証制度を置くとか、対面での、それは、市場での混乱があったときから対面での契約は禁止されたというお話でしたけれども、そういった制度上、国、公共との連携ということで言われたのですけれども、制度上、いろいろな制度を組み込んでいくというところまでは考えていらっしゃらないということでよろしいのでしょうか。

○有田代表取締役社長 でも、そこまで連携をさせていただけるのであれば、それが理想的だとは思っています。

ただ、比較サイトだけではなくて、やはり、対面の販売等にも、ある程度のルール付けというか、そういう認証制度みたいなものもあるとより良いのかなとは考えております。

○古城座長 古賀委員、どうぞ。

○古賀委員 ありがとうございます。

今、比較サイトが複数あるということですが、私はENECHANGEさんのものしか、具体的にはホームページを拝見していないのですけれども、やはり、ENECHANGEさんの場合、非常に先進的な取組をされたということと、それから、力があるということで、一方でいろんな公共的な意味での期待も高まってきているわけですね。

先ほどお尋ねしたように、特定の会社と、例えば、代理契約をしていたりとか、あと、業務提携で他の事業もされるということになると、そこに情報提供における、ある意味、電力自由化の中で強調されていた所有権分離のスタンスに障るというか、どこかに偏るのではないかという疑念も当然生じるわけです。けれども、現状の運営の中では、サイト自体の運営については、そんなに経済性を追求したりできたりするものではないということで、当然、そうだと思うのです。 けれども、そこで行政と提携したいけれど、1社だけではできないとか、そういうことについて、コードとかも要らないし、現状のままでいいとお考えになっていることについて、そもそも日本における比較サイトが、消費者の利益のためにどうあるべきかという観点から私たちは考えているわけなのですけれども、例えば、具体的にお聞きしたいのは、百数十社でしたか、情報を出されていると思うのですが、そういったものの情報の更新とか、相互の評価とかというのは、具体的にはどのぐらいの頻度や割合でやっていらっしゃるのでしょうか。

○有田代表取締役社長 社内でルール決めというものはしております。

まず、我々の契約をさせていただいている会社と、契約をさせていただいていない会社に分けられます。やはり、契約させていただいている会社は、我々としてはフィーもいただいておりますし、申込みまでできるということで、より責任も重く、より正確な情報提供をする必要があるということで、かなり密に連絡とらせていただきながら情報の更新を行っております。

契約を交わしていない会社においては、一定の条件で掲載させていただく、させていただかないということを社内のルールに従って決めています。

例えば、基本、取次ぎとして売られている会社は載せていないとか、そういった社内的なルールというものはあります。

ただ、そういった会社に対しても、何カ月に1回情報が更新されているかの確認をして、エネチェンジ内の電力会社の料金プランの情報を更新するといったような形で社内でルール決めをして運用はさせていただいております。

ただ、今、こういう事業者さんは、500社近くいらっしゃって、全ての料金プランだったりの情報というものを、うちの社内のリソースだけで全てアップ・ツー・デートの状態にしておくというのは、なかなか難しいところではありますし、我々としても、リソースを無限にそこに投下できるわけでもないので、やはり、ルール決めをして、できる範囲で、できる限りの情報を提供すると心がけて運用しております。

○古賀委員 ありがとうございます。

○古城座長 ちょっと時間が押しているので、質問を絞り始めてください。

○古賀委員 わかりました。

ルール決めをしていらっしゃるということでよくわかりましたけれども、要望というか、契約していない他社さんの情報というのについては、例えば、具体的に修正の要望があったりした場合には、正確な表示というものを意識していただきたいということ。

それから、修正等があった場合には、今のENECHANGEさんは公共的な役割を果たしていらっしゃる部分もあるので、そういうところは迅速に対応して、あくまでも正確な情報を流していただきたいということをお願いいたします。

○有田代表取締役社長 承知しました。

フォームみたいな形で、仮に不正確な情報があったときは、受付はさせていただいて、すぐに確認をして修正するように運営体制を敷いております。

○古城座長 長田委員、どうぞ。質問は、ここで締め切らせていただきます。

○長田委員 14ページのスマートメーターの開放のところで、少し確認なのですが、表題で、統計情報の開放を求めていらっしゃるという理解なのかどうか。

下に書いてある「蓄積された個人データで想定される活用事例」は、個人データの開放を求めていらっしゃるようにも見えますし、でもタイトルは統計情報、統計情報だと何丁目何番地ぐらいの情報と、私は理解しているので、少しそごがあるように思ったので。

○有田代表取締役社長 少し不正確で申し訳ありません。

こちらはスマートメーターデータの開放という意味で載せさせていただいています。

○長田委員 では、それは、個人データの開放を言っておられるのですか。

○有田代表取締役社長 個々人のスマートメーターの電力使用量の30分値のデータのお話をさせていただいております。

○古城座長 まだ、質問はあると思いますが、もう時間が押しておりますので、このセッションの質問等は、以上とさせていただきます。

有田代表取締役におかれましては、お忙しい中、審議に御協力をいただきましてありがとうございました。

○有田代表取締役社長 どうもありがとうございました。

(ENECHANGE株式会社 退席)

(一般財団法人電力中央研究所 着席)

≪3.電気の経過措置料金に関する有識者ヒアリング≫

○古城座長 次の議題は「電気の経過措置料金に関する有識者ヒアリング」です。

一般財団法人電力中央研究所の後藤久典主任研究員より「消費者視点での電気の経過措置料金の撤廃に関する論点」について御説明をいただきます。

それでは、御説明をお願いいたします。30分程度でお願いいたします。

○後藤主任研究員 電力中央研究所の後藤と申します。

今、古城座長から御案内がありましたとおり、消費者視点での経過措置料金撤廃に関する論点ということで、簡単に御説明をさせていただきます。

まず、2ページ目で、本日の御説明内容の簡単な趣旨でございますけれども、御案内のとおりですけれども、電力の小売全面自由化後に経過措置として規制料金が残されているという中で、この規制、経過措置料金が競争の進展を確認した上で、2020年3月末をもって撤廃される可能性があるということで、関係各省で御議論をされているところかと認識をしております。

この経過措置料金の撤廃に際して、消費者の視点で留意すべきと考えられる論点について、我々の研究所で、これまで調査してきた結果等をもとに御説明をさせていただきたいと思っております。

「はじめに」ということで、ここで御説明する内容が全てであるということは、もちろんございませんで、抜けている点ですとか、不十分な点は多々あるかと思いますけれども、我々が把握している限りということで御説明をさせていただければと考えております。その点は、御容赦いただければと思います。

3ページ目に「経過措置の目的と検証のポイント」ということで、委員の皆様方におかれましては御案内のことかと思いますけれども、重要なポイントでもありますので、再確認の意味も込めて資料として挙げさせていただいております。

一言で言ってしまうと、経過措置料金が残されている目的というのは、競争が全面自由化後に進展するか、しないかわからないので、もし、進展しなかった場合に生じる不利益から需要家を保護するということが、その大きな目的になっていると理解をしています。

どうしたら競争が進展したというのかということで、関係各省で議論をされているところかと思いますけれども、新規参入等が容易で、消費者もできるだけ手間や時間をかけずに選択できるようになっているかというところがポイントかというふうに思っています。

下のほうに図を書いておりますけれども、様々な競争環境の整備によって、事業者としては、電力の調達環境等が整備されることによって、新規参入等が促進され、事業者の事業間活動が活発になると。

一方、右側の消費者の選択行動に関しても、選択環境の整備ということで、これは、様々なスイッチングの手続等の整備であったり、先ほどのENECHANGE様の御説明にもあったように、民間ベースでの、そうした情報提供サービスの充実といったところも、こうしたところに入ってくるかと思いますが、その結果、選択にかかる手間や時間の軽減ということで、そうした競争環境が整うことによって、市場として機能していくようになるのだろうと、一般論としては理解をしております。

4ページ目ですけれども、経過措置料金、一部の従来の料金に対して、料金規制が残っているという状況ですけれども、それは、規制の1つの手段ということかと思いますけれども、競争上、いろいろな問題が起こったときには、様々な他の手段もあるということもあろうかと思います。

価格が規制されていない他の市場は数多くあろうかと思いますけれども、そういう市場でも競争上問題が生じるリスクというのはあるということで、独占禁止法等で対処されているのが現実なのだろうと理解しています。

電力に関しても、経過措置料金だけではなく、適正な電力取引についての指針であったり、小売営業に関する指針等もできているかと思いますけれども、こうしたものによって競争ができる限り機能するようにルールづくり等がされているのかなと理解しています。

経過措置を撤廃するかどうかというときに、競争の進展を確認するということが行われるということだと思いますけれども、競争上問題となる事象が見られた場合においても、それがあるから常に料金規制で対処するのが一番いいのかというのは、必ずしもそうとは限らない。それがいい場合もあれば、そうではない場合もあるのだろうということが、留意すべき点の1つかと思います。

ですので、料金規制で対処すべき問題なのか、他のの手段で対処すべき問題なのか、整理しておくことが大事なのかと思います。

次に5ページ目ですけれども、料金規制が残っていることによって、競争に与える影響というのも留意すべき点の1つかと思っております。

もちろん、これは、本当にあるかどうかというのは、市場の状態だったり、データ等を確認しないと、影響があるのか、ないのか、どんな影響があるのかどうかといったところは断定することができないかと思いますけれども、可能性としては留意が必要なのではないかというところでございます。

6ページ目、では、具体的に規制料金が残っていることによって、どんな影響があるのかといったことを海外の事例であったり、そうしたところから整理した表でございますけれども、細かくて恐縮なのですけれども、情報の非対称性といったことで、規制料金が、本来あるべき水準から高かったり、低かったり、両方可能性としては、一般論としてはあるかと思いますけれども、そういう料金設定がうまくいかないことによって、資源配分のゆがみ、需要が過剰になったり、過少になったりといったことが起こり得るといった、様々な影響というのが予想されることであります。

これが、直ちに日本で本当に起こっているかどうかというのは、今、我々もデータを持ち合わせていないのでわからないわけですけれども、そうした点は、個々にはちょっと割愛させていただきますけれども、そうしたところは留意すべき点の1つではないかと思っております。

こうした規制料金があるから、市場に一定の影響があるといったことも踏まえて、7ページ目ですけれども、ヨーロッパでは、規制料金が順次撤廃あるいは欧州委員会では、原則撤廃の考えを持っているといったことがあると理解をしています。

順次撤廃されてきていると申し上げましたけれども、家庭用の規制料金としては、2015年時点では、電気で言うと、12カ国で残っている。残りの十数カ国では撤廃されてきている。その前の2011年に比べると、徐々に撤廃されてきている状況がわかるかと思います。

ただ、その一方で、イギリスでは2002年に規制料金が撤廃されているのですけれども、昨年から時限的に部分的な規制、再規制というのが導入されている、あるいは議論されているといったことも留意しておくべき点の1つかと思います。

欧州委員会は、規制料金の原則撤廃の考えを持っているということですけれども、2年前に出した方針では、卸電力価格の変動に応じた小売料金の提供を加盟国に求めるといった動きを具体的に見せておりまして、その背景に、料金規制が競争や新規投資を阻害すると、そういう可能性があるので、原則撤廃されるべきというような考えを示しています。

そのあたりは、その前の6ページ目で挙げたようなこととも関係をしてきております。

料金規制が与える影響は、事業者への影響だけではなく、消費者、需要家の行動にも関係をしてくると考えられます。

需要家が市場に連動した料金、価格になれば、そうした価格シグナルに反応して、みずからの消費を管理できるようになり、節約や省エネになることも欧州委員会等では意図されているといったことがございます。

8ページ目ですけれども、我が国における規制料金下での競争を評価する上での留意点の1つとしては、規制料金が、今、三段階料金という料金体系を採用していますけれども、それが影響している可能性というのは留意が必要かと思います。

これは、自由化当初からいろいろなところで御指摘があったことかと記憶しておりますけれども、電気の使用量の少ない家庭には、自由化の恩恵というのはなかなか行き届かないのではないかといったことが、自由化前から自由化後にかけてもあったように思っています。

最近は、徐々に変わってきているのかもしれないですけれども、電気使用量の少ない家庭をめぐって競争が進んでいないのではないかですとか、その背景には、三段階料金の影響があるのかもしれないといったことはあるのかもしれないということは、注意が必要だろうと思います。

具体的には、三段階料金としては、第一段階目が比較的安い料金設定になっていることによって、新電力新規参入者にとっては、そうした需要家に、それより更に安い料金を提案して顧客を獲得しても、利益を確保するのが難しい面も現実的にはあるのかなと思いますけれども、それによって、なかなかそこの競争が進んでいないということがあるのかもしれないと思われます。

9ページ目ですけれども、規制と市場との関係が留意すべき点の1つ目ということで申し上げましたけれども、続いては、競争環境の整備と消費者の便益という観点で見ていきますと、順次電力の調達を容易とする環境というのが、様々な卸電力取引の活性化であったり、新しい市場の導入等が経産省のほうで行われているかと思いますけれども、こうした効果というのは見極めていく必要があるというのは、もちろんかと思います。

問題なのは消費者の視点、特に経過措置料金が残されている低圧以下の消費者、需要家にとって、こうした競争環境の整備が需要家の便益につながるのかといったところが、注意すべき点の1つかと思います。

需要家、先ほどENECHANGE様の御講演の中で、法人向けのサービスもされていると伺いましたけれども、需要家には、特別高圧や高圧あるいは用途で言うと、産業用とか業務用であったり、一般家庭等も含めて、様々なタイプがあるわけですけれども、その需要家の様々なタイプごとに事業者の営業活動であったり、需要家自身の選択行動にも違いが生じる可能性というのはあると。

例として下に挙げていますけれども、需要家によっては、電気料金の削減意欲に違いがあって、本当に料金を削減したいと思っている方は、より積極的に事業者の変更や料金プランの見直しをするかもしれませんけれども、そうでもない需要家にとっては、そうした選択行動を積極的にはとらない可能性というのもあるということです。

こうした違いを踏まえて、経過措置料金が残る、低圧顧客をめぐる競争の進展に競争環境の整備がうまくつながっていっているのかどうかというところがポイントの1つかと思います。

10ページ目と11ページ目は、それに関連する海外事例ということで、これが日本でも同等かというのは、検証をしないと何とも言えないですけれども、海外では、実際にこうだったということを簡単に御紹介したいと思います。

10ページ目は、卸電力価格と小売電気料金の推移をそれぞれ連動して表したもので、10ページ目が産業用で、11ページ目が一般家庭用の小売料金を表したものです。

いろいろ書いていますけれども、産業用の小売料金というのは、卸電力価格との連動性、相関が高い傾向がドイツ、イギリスでは見られているということ。

その一方で、11ページ目の家庭用の小売料金に関しては、ドイツやイギリスでは、卸電力価格と小売料金の動きが余り連動していないということで、一般家庭の消費者は、そうした料金の反応が鈍くて、価格競争が機能しづらくなっているのではないかといったことが海外事例からは見てとれます。

一方、消費者だから必ずそうなのかというと、そうでもなくて、右側のオランダに関しては、卸電力価格が徐々に低下してきている中で、小売料金も低下してきているので、連動性は比較的高く価格競争が機能しているのではないかと推察される例として見ることができるかと思います。

これは、海外事例ですので、日本でこうした消費者の価格への反応がどうなのかといったところは、1つのポイントなのかなと思われます。

12ページ目に「消費者の選択行動の評価のポイント」ということで、1つは、価格への反応ということを申し上げましたけれども、消費者の選択行動、先ほどの御講演にもありましたけれども、スイッチングの件数の推移であったりとか、新電力の市場シェア等は、既に公開された統計データ等で示されているところかと思いますけれども、それをどう評価すればいいのかといったところのポイントが、少しここに書かせていただいております。

結局、数字だけ見ていても、高いのか、低いのかよくわからないということで、恐らく選択行動の要因の背景を少し見ていく必要があるのではないかと思っております。

もちろん、選択行動が積極的で新規参入のシェアがすごく伸びていれば、恐らくは競争がうまく機能しているのだと推論できるかと思うのですけれども、一方で、新規事業者への切替えであったり、シェアがなかなか伸びていない状況において、それはなぜなのかといったことを深く検討していくことが重要なのではないかと思います。

消費者が事業者や料金プランを変更しない理由の例として、我々がこれまで調査してきたポイントを幾つか挙げていますけれども、1つは、自由化を知らないからということで、これは、いろいろなアンケートで、既に自由化の認知度は上昇しているのではないかといったこともありますし、一定程度認識はされているのだろうと思いますけれども、そうした点が1つ。

2点目は、事業者が変更すると、安定供給に不安があるから、これは、誤解のわけですけれども、この仕組みの理解は進んだという調査もありまして、これは消費者委員会さんのほうの調査結果を、我々も拝見して、そうなのだと理解したのですけれども、そういうこともあります。

これは、特に電力の自由化という制度をうまく周知することにかかわる問題になってくるかと思います。

3つ目は、メリットが小さいからということで、料金の削減余地が大きいと、事業者を切り替えるといったことが、先ほどのENECHANGEさんの御説明にもありましたけれども、ただ、一方で、メリットがまだ小さい、料金削減余地が小さいというアンケート結果も、我々も拝見しております。

これは、経過措置料金の解除と存続にどう関係してくるのかという理解なのですけれども、少し違うということもあるかもしれませんけれども、もし、料金削減余地がもっと大きければ変更する可能性もあるということで、もし、経過措置料金を撤廃した後に、事業者として顧客維持を図るのであれば、料金を値上げしづらいということも予想されるので、メリットが小さいから料金を事業者は変更しないという理由が、直ちに経過措置料金、料金規制が必要だという理由になるのかどうかというのは、十分な議論が必要なのかなと思います。

4つ目は、心理的なスイッチングコストの影響で、これは、電力に限らず、例えば、他の通信サービス等でもあろうかと思うのですけれども、手間がかかるですとか、よくわからない、判断できないですとか、今までどおりがよいとか、様々なスイッチングコストがあると。

こうしたものがあるとすれば、そうしたスイッチングコストを低減できるような環境整備というのが重要になってくる。それは、先ほどのENECHANGEさんのような民間ベースでの取組みも重要になってくるかもしれませんし、その他の手段というのも重要になるかもしれませんけれども、こうしたスイッチングコストがあるのか、ないのかといったことを把握しておくことが重要だろうと思います。

5つ目は、今の事業者に満足しているからと、一般的にはロイヤルティーの効果と言われますけれども、これは、その事業者を好きで契約継続をしているということですので、ある種、競争を通じた経営努力の成果と評価することもできようかと思います。

最後は、規制料金が安心だからスイッチしていないということもあると。

これは、非常に悩ましいわけですけれども、今、経過措置料金の撤廃について御議論されているところかと思うのですけれども、経過措置料金があるということが、まだ余り知られていないというアンケートもあると聞いていますけれども、規制料金がありますということを広く浸透すると、かえって規制料金がいいということを消費者が評価されて、本当はよりメリットのある自由料金、それは、既存事業者あるいは新規参入者にかかわらず、あったとしても、メリットが小さい規制料金にとどまってしまう可能性もあるということには留意が必要なのではないかと思っております。

13ページ目ですけれども、そうした中で、家庭用需要家の中で、先ほど、需要家にも様々なタイプがあるということを申し上げましたけれども、家庭用需要家の中にも様々なタイプがあるということは、注意しておく必要があろうかと思います。

この前のスライドの選択行動の評価のポイントにも関わりますけれども、人によっては、今の状況でも事業者を切り替えていますし、今の状況でも切り替えていない人もいるということで、そうした需要家のタイプの違いが、競争状況の違いとして表れている可能性があるということは注意が必要かと思います。

これによって、左下ですけれども、利益をもたらす可能性の高いタイプの顧客に対して、より魅力的な提案を事業者側が行う可能性があるとすると、競争の便益、恩恵を受けづらい消費者があるのではないかということが予想されます。

これに関連する事例として、次の14ページ目以降ですけれども、イギリスの事例を簡単に御紹介したいと思います。

イギリスで、当初自由化後に経過措置料金が残り、その後、解除をしたという歴史がありますけれども、その際、懸念されたことの1つに、一部の需要家層で競争が余り進展していないのではないかという懸念が1つありました。

一部の需要家層というのは、地域的な違いとしてスコットランド地方、もう一つは前払い式メーターの利用者、この2点だったわけですけれども、イギリスの規制当局のOfgemの当時の見解としては、規制料金を残す地域があると、その地域の需要家を対象とした新規参入のインセンティブをそいでしまう。イギリス全体での競争を促すには、全域で自由化することが重要という見解を出している。

前払い式メーターの利用者については、経過措置期間中は料金低下や需要の価格弾力性が高い状況が確認されて、料金規制の廃止を決定したということになっています。

ただ、次のページにつながりますけれども、その後、最近は料金の複雑化や市場の寡占化が進んで、低所得者層が競争の便益を十分に享受していない状況が確認されて、前払い式メーターの利用者について再規制という動きになってきております。

その再規制の動き、15ページ目ですけれども、イギリスでは、時限的に再規制の動きがございます。

2つの規制が考えられておりますけれども、1つがセーフガードタリフというもので、低所得者向けの規制です。

これは、左下の、先ほど申し上げた前払い式メーターと、Warm Home Discountというある種の社会的弱者を代表とした割引を受けていたところの、およそ500万件の需要家を対象にした料金規制です。

もう一つが、②としたデフォルトタリフというもので、主に料金メニューを変更しない需要家向けの規制ということで、下の図の真ん中あたりにある変動料金の1,100万件といった、ここの部分が対象にされた料金規制です。

右側のそれ以外の料金プランを選択している需要家に関しては、これらの規制の対象外となっております。

16ページ目ですけれども、これらの事例から見られる留意点としては、消費者のタイプ別の競争状況の違いに留意しておく必要があるということで、法人、特別高圧や高圧と比べたときの一般消費者というのもそうですし、一般消費者の中の違いということも、もう一つあるということがイギリスの事例等から言えることかと思います。

消費者が競争の便益を享受できる人と、享受することが難しい消費者とに、もし、分かれるのだとすると、料金規制を全面的に解除するのがいいのか、全面的に規制を存続させるのがいいのかといったように考えると、どちらも一長一短があるということです。

こっちは地域の違いではなくて、消費者のタイプに注目をしたことを言っておりまして、全面的にというよりも、地域別に判断されるということは決まっておりますので、それは、もちろん前提とした上で、ある地域において全面的に解除するのか、規制を存続させるのかといったことをここでは言っております。

全面的に解除すると、一部の消費者が競争の便益を享受できず、不利益を被るリスクにさらされる可能性があり、そうしたリスクに耐え切れない消費者への配慮は必要なのではないかということも議論の1つかと思います。

一方、全面的に存続させると、競争の便益を享受できない消費者が存在するからといって規制を残すと、その地域において競争が抑制されてしまう可能性にも留意が必要だろうということです。

こうしたことを踏まえると、基本としては、選択環境を整備することによって、競争の便益を追求することと、消費者の保護というのをどうバランスするのかといったことに尽きてくるのかなと思うのですけれども、規制料金は、基本的には経過措置として残されているものかと理解しておりますので、選択環境を整備して、消費者一人一人が選択できるようになって、市場として機能していく方向をまず考えていくというのが重要なのだろうと思っております。

ただ、そうした選択環境の整備を可能な限り追求した上でも、なお、競争の便益を享受するのが難しい消費者が一部に残ってしまうとすると、どうするべきなのかというのは考えておく必要があるのかなと思います。

次に17ページ目で、選択環境の整備の例として、どんなものがあるのかということですけれども、先ほどのENECHANGE様の例のように、料金比較サイトというのは、日本でもそうですし、ヨーロッパやアメリカでも広く構築運営されています。

もちろん、料金比較サイトの信頼性をどう担保していくのかといったことも議論はあろうかと思いますけれども、一定程度、こうしたことは日本でも進捗しているのではないかと思います。

また、国等による施策としては、ニュージーランドの例を挙げていますけれども、規制当局が一定の予算を投じて料金比較や、その試算、事業者の変更に関する情報提供などを行うウエブサイトを構築するといったことも行われて、選択の促進に一定の寄与をしたということも言われております。

また、アグリゲーションと呼ばれる消費者を集約して交渉力を発揮して、より良い契約をしようという動きも欧米ではあります。

アメリカでは自治体が主導をして、その地域の消費者を集約し、事業者と交渉をするといったこともあります。

イギリスでは、民間事業者が主導して、集団でスイッチングをすると。そのプログラムに参加をいただいた消費者を束ねて契約交渉をするといったことも最近では行われているようです。

また、料金比較サイトとやや似ていますけれども、自動契約サービスというのも、最近は、そうした新しいITの発展に伴って出てきていると思います。

1つが、イギリスの例ですけれども、消費者が、そのサービスに登録すると、市場にある最適な契約を探索して、契約変更を代行するようなサービスも出てきておりますので、消費者は、契約手続というのを自らするといったことをしなくてもいいというのが、新しい技術の登場によって出てきています。

18ページ目です。

このような選択環境の整備を整えて、整備してなお便益を享受するのが難しい顧客がいるのかどうかといったことは、1つ注意しておくべきかと思うのですけれども、これは、我々の研究所で2016年度の自由化初年度のときに行った分析の例ですけれども、に低所得世帯に注目をした調査を行いまして、ここでは結果というよりは、どういう視点で調査をしたのかということを挙げていますけれども、まず、そうした低所得世帯は競争の便益を享受できていないのかどうかということで調査をしております。

その場合には、電気使用量が少ないだとか、世帯収入においてどう行動し、選択行動を取っているのかといったところを調査しております。

また、競争が進みにくい潜在的な要因はあるのかということで、これは、海外等でも言われていたことなのですけれども、需要家が料金の支払いを過去に支払いが遅れたりすると、なかなか事業者として、そうした需要家と積極的に契約しようということが難しくなるということがありますので、日本で実際に、低所得世帯と、例えば、支払い遅延経験があるのかどうか、あるいは請求書払いだと、窓口に行って払うようなケースで、支払いを忘れてしまうケースというのが当然出てくると、支払い能力があっても忘れてしまうというのもあると思うのですけれども、そういうことで、請求書払いが多いのかといったことを調べたりとか、世帯年収が違うことによって、自由化への期待が高いのか、低いのか、そうした違いがあるのかといったことも調べております。

こうしたことは、自由化初年度と今とでは状況が変わっているかと思いますので、特に、料金上昇のリスクに耐え切れないような弱者に関しては、こうした調査ということも考えておく必要があるのかなということと、必要に応じて需要家保護の必要性であったり、手段ということを検討していく必要があるのだろうと思います。

19ページ目ですけれども、現状、よく議論になるのが、三段階料金というものによって低所得者というか、実際には低使用量の需要家の料金負担が一定程度軽減されているという制度ですけれども、それに注目されるところがありますけれども、ここで少し整理しておきたいのは、経過措置料金という料金プランは1つあるわけです。1つというか、もちろん、従量料金のDとかCとかいろいろありますけれども、プランの中には、規制料金の経過措置としての意味合いと、各種の料金制度としての三段階料金や燃料費調整制度といったものが渾然一体としてなっているということです。

料金規制を経過措置として残しているという面は、冒頭申し上げた競争が進展しない場合に生じる不利益からの需要家保護が目的となっているかと思いますけれども、各種の料金制度で目的とされているものというのは、必ずしも競争が進まないことからの需要家保護ではないものが含まれているということで、実態としては、1つのプランになっているわけですけれども、目的の異なる要素が混在していますので、それぞれ切り分けて考えていく必要があると認識しています。

20ページ目以降は、その中のうち、特に三段階料金と需要家保護に関するもので、我々の研究所で調査をさせていただいたものです。

よく経過措置料金撤廃と同時に、三段階料金がなくなることが懸念されているケースがありますけれども、それによってどのような影響があるのかといったことは、ちゃんと把握しておくべきだろうということです。

もう一つは、そうした懸念があるからといって、全面的に三段階料金を残すがために経過措置料金を存続するのが必要なのかどうかといったことは、もう一つ論点になるのだろうと思います。

そうした三段階料金を残さないでも、競争の進展によって料金負担を軽減していくことが可能かどうかといったことを、まず、第一に追求するべきだと思いますし、影響が大きいと想定される消費者に限定した部分的な、そうした何らかの措置を存続させていく可能性や、また、その手段として三段階料金が本当に適切な手段なのかといったことは考えるべきかと思います。

また、こうした弱者に対する料金負担の軽減といったことに関しては、政策料金として電気料金を枠内でやるのがよいというよりは、筋としては社会保障政策の範囲で行うべきというのが基本的な考えで世の中にあるかと思います。

だけれども、なかなかそうした財政に余裕がない中で、暫定的に電気料金の範囲で行うということも、もちろん議論になるのだろうと思うのですけれども、その中でも三段階料金が本当に適切なのかは検証されるべきだろうと思っております。

21ページ目と22ページ目は、三段階料金の評価ということで、我々として調査をさせていただいたものの一例ということで挙げておりますけれども、三段階料金というのは、基本的には消費量が少ない方の料金負担の軽減をしているわけですけれども、それは、21ページ目の左下の使用量の少ないAとCの方が、料金負担が軽減されているわけですけれども、そうした中でも、低所得者とは限らない方も含まれているので、そうした方は、本当に保護する対象になるのかといったことは議論の余地がありますし、保護したい低所得者の方を保護する必要があるといったことを考える上でも、三段階料金では保護されていないBという方もいらっしゃるということです。

22ページ目、最後ですけれども、なかなか三段階料金だけでは効率的な低所得者の保護というのは難しいといったことがあるのだろうということを調査で見ております。

そうした需要家保護を考える上では、特に電気利用の現状というのを詳細に見ておくことが大事なのではないかということを、我々としては考えております。

最後にということで、今まで申し上げてきたことを1つの図に書いたことですけれども、23ページ目になりますが、経過措置料金の目的を踏まえて撤廃判断ということで、ほかの手段との取捨選択というのもありますし、規制が競争に与える影響にも留意する必要があるだろうと思います。

また、需要家のタイプによって競争状況の違いというのが生じ得ますので、生じ得るということも留意が必要ですし、競争の便益を享受することが難しい需要家に対する保護に関しても、経過措置料金と各種料金制度の違いであったり、電気利用状況を考慮した保護の在り方というのをちゃんと考える必要があるのだろうと思います。

済みません、少し長くなりましたが、以上です。

○古城座長 ありがとうございました。

前のセッションが少し延びたせいもありまして、こちらの計画では45分議論の時間を予定していたのですけれども、実際は、もう25分しか残っておりませんので、手短に御質問、それから御回答をしていただくことによって、効率的にやりたいと思いますので、御協力ください。よろしくお願いします。

御質問を自由にお出しください。

陶山委員、どうぞ。

○陶山委員 ありがとうございました。

今日は、イギリスの事例について詳しく教えていただきましたが、規制料金を残している他のヨーロッパ、家庭について、かなりの国がまだ残しているわけですけれども、その理由について教えていただきたいと思います。

それから、11ページに家庭用料金のところで、イギリスの事例ですが、卸電力価格と小売電気料金の連動性ということで挙げてありますが、注のところに競争に対応するために、販売マーケティングや顧客サービスの費用が高いためと、この内容について、もう少し教えていただけたらと思います。

もう一点、今、おっしゃっている競争の便益というのは、具体的に料金のことを集中的におっしゃっているのか、もし、他にあれば、競争による便益について、便益を受けられないという、享受できないというところのフレーズで使われている競争の便益について教えていただきたい。

あと、最後なのですが、先日、新電力とのヒアリングをしたときに、既に消耗戦に入っているというようなことが報告されました。

一旦規制を撤廃した後に、規制なき独占状況になった場合について何らかの手立てを準備するべきではないかという思いも持っていますが、その状況を予測できるかできないかではなくて、そういったときのための手立てについては、どのようにお考えになるかを教えていただきたいと思います。

○後藤主任研究員 1つずつお答えさせていただきます。

まず、7ページ目ですけれども、料金規制が残っている国での理由ということで御質問をいただいたかと理解していますけれども、全ての国が、こういう理由で残していますということは言っていなくて、どちらかというと、そもそもそういう理由を公表している国のほうが、ほとんどないというか、基本的にはないです。

例えば、毎年残すか存続させるかを議論するということをやっているわけではないので、現状で明確に、こういう理由で残しているということを表明している国は、基本的にはないと理解しています。

国を具体的に7ページ目に挙げておりますけれども、ここの中の多くの国では、基本的には、特に東欧の国などでは、ほとんど新規参入がないような国もまだまだ多くあります。

日本は、先ほど300社とか400社とか新規参入があって、一定のスイッチングも出てきていますけれども、そうしたことが、まだ、ほとんど起きていない国も、この中には少なくないということで、そうした国は、なかなか目に見えて競争が進んでいるとはどうしても言えないので、規制はそのまま残っているという国も多い。

この中でフランスとスペインで少し赤くなっていますけれども、この中では、スペインなどは比較的新規参入も一定程度ありますけれども、残している。明確に理由というのは表明されていないのですけれども、フランスにしてもスペインにしても、法人向けの料金規制は順次撤廃されてきて、残るのは、家庭用も含む小規模なところに残されていることであったり、スペインでは、料金規制の方式が若干変わってきている。発電部分に関しては、それを総括原価ではなくて、卸電力価格の価格に連動する形で価格を設定しようという形に変わってきていますので、徐々には、市場に連動するような形になってきているという動きもあります。

次の御質問は、11ページ目だったかと思いますけれども、イギリスのところの注釈ですね。競争に対応するため、販売・マーケティング等の費用が高いためにということなのですけれども、これは、ここの出典のレポートのほうにそうした注記があるということなのですけれども、明確に、この中の内訳として幾らが販売費用なのかといったことが示されているわけではないので、それは、なかなか公開されるデータでもないのでわからないのですけれども、こうしたことが言われています。

これは、イギリスは、ヨーロッパの中では比較的新規参入も一定程度ありますし、大手も複数社あって、それの中での競争もあるので、顧客獲得の競争に費用がかかる。つまり、それは、自由化前、競争がない時代にはかからなかった費用が追加的にかかってきているということが、ここでの注意書きに書かせていただいているということです。

もちろん、それは、競争によって営業コストが、営業コスト自身も徐々に効率化されていくという面も当然あるかと思うのですけれども、自由化前にはなかったもので、競争があるから発生している費用というのも、ここに少し入ってきているということがイギリスでは言われているということです。

○陶山委員 顧客サービスとは。

○後藤主任研究員 顧客サービスも、ここには、例えば、顧客に電力供給にかかわる、先ほど出てきたようなコールセンターだったり、もちろんここでは具体的に書いていないので、具体的に私も把握はできていないのですけれども、一般的には、コールセンターの費用であったり、いろいろなウエブサイトとか、そういったバックのシステムをつくるですとか、そうした費用がここに入っていると考えられるかと思います。

○古城座長 済みません、小売料金については環境負担金が入っているのではないですか。

○後藤主任研究員 小売料金に、そうした租税的なものは、ここでは控除された後での水準を基本的には表しています。

○古城座長 わかりました。

○後藤主任研究員 次の御質問が、16ページ目だったかと思うのですけれども、競争の便益とは、具体的にどういうことかという御質問だったかと理解していますけれども、ここでは、もちろん価格競争によって料金は下がっていくといった、消費者から見たら、料金支払いの軽減というのが1つの便益だと思いますし、それ以外にも、先ほど、ENECHANGEさんの御説明にもあった、例えば、省エネ型のサービスが増えてくるですとか、それ以外の付加的なサービスが提供されるですとか、必ずしも電力供給の料金以外にとどまらない便益も、ここでは、一応含んでいます。

ここでは、特に、どの便益がということよりは、市場で様々な競争を通じて生まれてくる便益というふうに包括的に捉えています。

もう一つの御質問は、将来的に料金規制を仮に撤廃した後の規制なき独占のようなもの、先ほどの御質問の中で言ったような、消耗戦になっているというようなことですけれども、ここは将来を見通すのは非常に難しいと思いますので、私も、将来どうなのかといったことは難しいかと思うのですけれども、消耗戦という御指摘の中には、もちろん、競争を通じてより効率的な事業者が生き残り、料金的にも、サービス的にもより良いものになっていくというのは、先ほど、事業者の撤退というお話もありますけれども、その中でも生き残っている事業者さんはもちろんあるかと思いますので、そうした効率的な事業者が残っていくというのは、ある種、市場の自然な姿なのだろうと理解しています。

ただ、その中で、イギリスの例が比較的近いですけれども、15ページ目です。イギリスの再規制というのは、規制なき独占、イギリスが本当に規制なき独占の状況かどうかというのは、いろいろ見方は分かれるところかと思うのですけれども、イギリスは、一応、そうした規制を撤廃した後に、いろいろな経緯があって、最近では、一部の消費者に関しては、競争がうまく機能していないのではないかという懸念から料金規制を時限的に入れているというものですが、こうしたイギリスのようなやり方が1つあるのかもしれないのですけれども、これは、これで批判もあって、こうした規制を入れることによって、そこでの競争がなかなか進まない。あるいはそこでの規制のもとに置かれた消費者が選択をするという経験あるいは権利を奪ってしまうのではないかといった批判というのもあります。

こうした強い規制ではなくても、我が国のガスのほうの自由化でも行われているような事後監視というのも、日本でも議論されていると認識していますけれども、そういった事後監視を電気に関して行っている国というのもあります。

ですので、それは、料金水準を事前にあらかじめ決めて、まさに、今の経過措置料金のように、総括原価方式のもとで、料金規制を事前に決めて、それで保護するというのではない事後監視というやり方も、もちろん取られているということです。

それ以上に、やはり、イギリスでも料金再規制が時限規制である背景には、その先には、スマートメーター設置後に終了予定というのもありますけれども、スマートメーターみたいな、よりきめ細かな電気使用の状況を把握できるようなツールを導入したりすることを通じて、より消費者に価格シグナルを伝えられるようなメカニズムを導入して、最終的には、市場でうまく競争を促していく方向を目指しているということを取り下げてはいないということもあるのかなと理解しています。

御質問は、以上だったかと思います。

○古城座長 古賀委員、どうぞ。

○古賀委員 3点お尋ねさせてください。

11ページのところで、今、話題になったのですが、イギリスの場合、小売料金と卸料金というのが、かなり連動していないと感じるのですけれども、ほかのドイツとかオランダにおいては、卸のところに小売料金との連動性があるようですが、なんらかの監視とか、そういったものというのが制度としてあるのかどうかということ。

それから、卸料金を基本的に下げていかないと、自由化においては新規参入が難しいとも思うのですけれども、そこのところで特に託送料金などについては、日本ではもちろん規制料金なのですけれども、どの程度の監視が今後必要かということを教えてください。

2点目は、15ページのイギリスの時限的再規制と範囲ということなのですが、済みません、私の理解不足で、セーフガードタリフとデフォルトタリフがあるのですけれども、前払い式メーターについては、プライスキャップということで解決されているということなのですが、固定料金と1200万軒というのは、これは基本的に自由料金の人たちの話だと理解してよろしいのでしょうか。

3つ目は、17ページのところで、ニュージーランドが、規制当局が予算を投じて比較・試算、事業者変更のウエブサイトを構築しているとあるのですけれども、こういったことについて、やはり、消費者、国民にとっては満足度が高いのかどうかということを教えてください。

○後藤主任研究員 どうもありがとうございます。

順次御回答したいと思いますけれども、1つ目が、11ページ目だったかと思いますけれども、卸価格と小売料金の連動性に関してですけれども、各国でそうした監視がされているのかということの御質問だったかと思うのですけれども、これは、全く同じような形かどうかは別としても、そうしたところを見ている国もあれば、見てない国もあります。

その理由までは、私も全部把握ができていないので、そこの点はお答えが難しいのですけれども、国によりけりかなというところです。

ちなみに、10ページ目と11ページ目に挙げたものは、ヨーロッパ全体で規制当局が集まっている団体がありまして、そこで各国を横並びで比較できるような形で出ている資料の1つです。

2点目は、託送料に関する規制といいますか、監視といいますか、そういう点なのですけれども、私、託送料に関して専門ではないので、私の同僚のほうが詳しいので、正確なお答えにならないかもしれないのですけれども、御指摘にあったように、基本的には料金規制の範囲に服するという形なので、経過措置料金が残っている時代と、それが撤廃されたのとで、大きく何かが変わるということは、基本的にはないのだろうと思っております。

一方で、これは、小売競争とか、発電での競争とはまた別の視点で、送電、配電に関して、いかに効率化を図っていくかですとか、あるいはそこでの設備投資を、最近よく話題になってくるのは、日本でもそうですし、海外でもそうですけれども、再生可能エネルギーの導入をいかに電力系統につなげていく、技術的システムとして、そういう能力を高めていくか。それに対する設備投資であったり、イノベーションの投資をいかに確保していくかといった視点での議論は、海外でもあると。イギリスなどでは、比較的いろいろなトライアルがされていると理解しています。

次の御質問が、15ページ目だったかと思いますけれども、一番右側の固定料金等は自由料金かということの御質問かと思いますけれども、それは、そのとおりです。

全面自由化した数年後に料金規制が撤廃された後は、この右から左まで全部が、基本的には自由料金になったということと御理解をいただいて、ずっと自由料金できたのだけれども、最近、左側の一部を時限的に再規制しようという動きになっている。

残された右側は自由料金というか、基本、規制が何もない状態で残されるというか、そこは自由ということで、基本的には、固定料金等というのは、例えば、2年間料金単価が固定されるような料金で、それは、自ら需要家が選んで契約している。もちろん、変動料金を自ら選んでいる需要家もいるのですけれども、自ら選んでいて、そこは比較的競争もあるので、問題はないだろうということで残されていて、変動料金というところは、右側のデフォルトタリフに当たるところですけれども、日本の経過措置料金のように、ある会社の一番標準的な料金というふうにお考えいただいたらいいかと思うのですけれども、ですので、一番標準的なので、特に契約変更をしないで、ずっとそれを契約している需要家も、この1100万軒の中には一部含まれていまして、そうすると、自ら選んでいなかったりするので、なかなか需要家の競争の便益を受けていないのではないかといったところが、イギリスでは議論されてきたということで、自由の部分と規制の部分というのが仕分けられているということになります。

最後の御質問かと思いますけれども、17ページ目のニュージーランドの事例ですけれども、消費者が満足しているかどうかといったところまでは、申しわけないのですけれども、私も把握し切れておりませんので、正確なお答えは難しいのですけれども、こうした取組によって、一定程度そうしたスイッチングが進んだのではないかといったことは、ニュージーランドの規制当局等がデータとして報告はしております。

○古城座長 ほかに、いかがでしょうか。

松村委員、どうぞ。

○松村委員 まず、スライド6の欧州委員会の卸価格連動という議論なのですが、その後の図で出てきているような年単位で卸価格が下がっていくのに合わせて小売価格を下げろと言っているのではないですね。これは、電気が不足して卸価格が高くなっているときには高い価格をつけて、電気が余っていて安くなっているときには安い価格になるような料金体系を採用すべしと言っているわけですね。

仮にそれがイエスだったとして、次に、日本では、少なくとも高圧以上のところは、既にずっと前から完全に自由化されていて、経過措置料金規制に対応するものはないわけですね。

そうすると、例えば、大手電気事業者は、そういう形で、例えば、卸価格連動のような料金プランをどんどん出していって、自由化した結果として、これが普及したという事実があるのか。そういうプランを出している新規参入者がいるのは知っているのですけれども、大手事業者が積極的にそれを採用した結果として、これがかなり普及しているという事実があるのかどうか。もし、その答えがノーだとすれば、規制価格があるから、こういう連動型の料金体系が出てこないというのは、全く説得力を欠く。完全に自由にしても、そういう方向に全く移行する気が事業者になく、実際に移行していないということだとすると、この欧州委員会のこれを根拠に、規制価格を撤廃せよというのは、論理の飛躍がある。

次に、三段階料金のこういうデータの分析は、とても有り難い。いろんなところでも参照されるべき結果だと思います。

ところで、三段階料金が問題なのでしょうか、それとも、基本料金が低過ぎることが問題なのでしょうか。

具体的に言うと、例えば、三段階料金を廃止するとして、従量料金を三段階目に全部そろえたとします。そうすると、料金が一方的に高くなってしまうので、その高くなった分だけ基本料金を下げれば、三段階料金はなくなる。

でも、御指摘の問題は、ほぼ全て残るのではないか。本当に問題は三段階料金なのでしょうか、本質は、基本料金が低過ぎることなのではないかと、私自身は思っています。

さて、もし、それが正しいとすると、御指摘は確かにそうなのですけれども、これは自由化したら改善する方向に行くのでしょうか。実際に大手の電力会社が産業用で新たに出している料金メニュー、それが主力だとは言わないけれども、むしろ基本料金を今までより大幅に下げて、従量料金を上げてという料金プランを積極的に売り込んでいる会社もいるわけですね。完全に自由になったら、昔の規制料金の体系よりも、そういう意味で、御指摘になったような問題点を解消する方向に行くのでしょうか。現実の日本のデータから見て、どれぐらい説得力があるのでしょうか。もし、コメントがあったらお願いします。

○後藤主任研究員 順次お答えをさせていただきます。

委員の御指摘で、私もまだ将来のところはなかなか答えづらいというか、まだわからないところもあるので、ちゃんとしたお答えになるのかどうか不安ですけれども、1つ目の御質問は、7ページ目のところだったかと思うのですけれども、欧州委員会で、卸電力価格の変動に応じた小売料金の提供を求めていると、その動きに関しての御質問だったかと思うのですけれども、先生の御質問のところの私なりの理解としては、基本的には、需給で決まるような形に小売料金も連動するような形ということを求めているということで、それが基本的な考え方なのではないかと私は理解したのですけれども、基本的には、そのとおりかと理解しています。

6ページ目のところにも、少し規制料金の影響とか弊害ということで書かせていただいていて、どうしても小売料金で硬直的になってしまうと、なかなか需給を反映したものというのが難しくなってくるというところが、現実問題としてあるので、できる限り卸市場というか、需給で決まるような形で小売段階でも料金が決まるような形を求めている。

ここでは、全て、その引き続きの御指摘にも関係してきますけれども、欧州委員会もあらゆる小売料金を卸連動型にしなければいけないと言っているわけではないといったことは、済みません、ここに書いていなかったので誤解を招いたかもしれないのですけれども、留意が必要かと思っていまして。

○松村委員 いや、全てと言っているわけではなくて、そういうのは、全需要家ではなくても、かなりの需要家に入っているのですか、少なくとも大手が、そういうのを入れているのですかというのが質問です。

○後藤主任研究員 その事実関係というところで言うと、法人向けの料金は、なかなか公開されていないというところが現実でして、なかなかデータも手に入っていないのですけれども、過去、北欧のほうで調査をされたものに関して言うと、法人向けで。

○松村委員 ごめんなさい。どうして伝わらないのだろう、日本で。

○後藤主任研究員 日本で普及しているかどうかというと、それもデータが公になっていないのでわかりませんけれども、我々で過去調査をした段階で、かなり古いですけれども、4年前ぐらいだと、そんなに大きくは普及していない。

1つは、企業だと、電気料金の予算等を管理する上で、そういう価格変動リスクというのは避けたいという理由があると。それは、そういうのを必要とする需要家もあれば、そうではない方もいるかもしれませんけれども、そういうのが理由であると聞いたことはございます。

というのが回答になります。

もう一つは、最後の三段階料金のところの御質問かと思いますけれども、基本料金も含めた形での問題というところは、我々ももう少しいろいろと考えていく必要があると思っていまして、ここからは、研究としての段階というか、課題になろうかと思うのですけれども、基本料金も含めて、経過措置料金を撤廃する、しない、仮にしたら、その後、どういう形でリバランスというか、調整が起こっていくのかといったところは、少し課題かと思っています。

今の段階でどうなるということを申し上げるのは、今の知見では十分お答えするのが難しいかなと思っております。

○古城座長 質問は、全部ですかね。

○後藤主任研究員 以上かと思います。

○古城座長 それでは、小浦委員、どうぞ。

○小浦委員 済みません、時間が少なくなってきているのですが、1点お尋ねします。今回は海外のいろんな事例をたくさん出していただいていて、わかりやすかったのです。7ページで、欧州における規制料金の状況ということで、順次撤廃されているということだったのですが、今、日本でも十分な競争があるか、ないかというところを検討しているところですので、欧州での撤廃されているところの、スイッチングと、そのパーセントといいますか、どういう判断で欧州では撤廃されていったのか、もし、わかりましたら教えてください。

○後藤主任研究員 今の御質問、撤廃の判断基準ということかと思うのですけれども、判断基準を明確に設けている国のほうが、基本的には少ないです。

一番明確な判断基準を設けていた例としては、アイルランドという国で、そこは数字を設けて、例えば、市場シェアであったりとか、そうした数字をもって撤廃を判断しています。もちろん1つではないのですけれども、幾つかの指標をもって、ある程度機械的に撤廃する、しないというのを判断しています。

一方で、いろいろな指標を見て総合的に判断したという例としては、イギリスという国で、明確にこの水準を超えると撤廃する、しないということを決めていたわけではないのですけれども、様々な指標、市場シェアなり、先ほどの顧客の動向なり、価格の動き、様々なものを見て総合的に判断したというのがイギリスです。ですので、明確な数字は、ちょっとわからないということです。

それ以外の国に関して言うと、撤廃した国も含めてですけれども、明確にこの基準をクリアーしたから、あるいは、この指標を総合的に判断したからと明確に示している国というのは、実はそんなに多くないというのが実情です。

○陶山委員 済みません、アイルランドのその数値というのはわかるのでしょうか。

○後藤主任研究員 済みません、今、ちょっと数字を持ち合わせていないので、今この場でお答えするのは、正確には難しいのですけれども。

○陶山委員 教えていただけますか。

○後藤主任研究員 どういう形で。

○古城座長 後ほど、事務局に伝えていただいて、陶山さんにお伝えするようにします。

済みません、ちょっと時間が押しておりますので、まだ、皆さん、質問をしたいと思われているでしょうけれども、これにて質疑応答は終了したいと思います。

後藤主任研究員におかれましては、お忙しい中、審議に御協力をいただきましてありがとうございました。


≪4.閉会≫

○古城座長 最後に、事務局から連絡事項はございますか。

○坂田参事官 本日も長時間にわたりまして、御議論をいただきまして、誠ににありがとうございました。

次回の会合につきましては、確定次第、御連絡をさせていただきます。

以上です。

○古城座長 それでは、本日は、これにて閉会とさせていただきます。

お忙しいところ、お集まりいただきましてありがとうございました。

(以上)