第47回 公共料金等専門調査会 議事録

日時

2018年5月18日(金)10:00~11:44

場所

消費者委員会会議室

出席者

【専門委員】
古城座長、井手座長代理、小浦委員、古賀委員、陶山委員、松村委員、山内委員
【消費者委員会担当委員】
長田委員
【消費者庁】
澤井消費者調査課長
【事務局】
黒木事務局長、福島審議官、丸山参事官

議事次第

  1. 開会
  2. 電力・都市ガス小売自由化に係るフォローアップについて
  3. 閉会

配布資料 (資料は全てPDF形式となります。)

≪1.開会≫

○丸山参事官 それでは、定刻になりましたので、会議を始めさせていただきたいと思います。

本日は、皆様お忙しい中お集まりいただき、ありがとうございます。ただいまから「消費者委員会第47回公共料金等専門調査会」を開催いたします。

本日は、白山委員、消費者委員会担当委員の蟹瀬委員が御欠席となっております。

まず、議事に入ります前に、配付資料の確認をさせていただきます。お手元の議事次第下部に配付資料一覧を記載しております。もし不足がございましたら、事務局までお知らせください。

なお、本日の会議につきましては公開で行います。議事録についても、後日公開することといたします。

それでは、古城座長、以後の議事進行をよろしくお願いいたします。


≪2.電力・都市ガス小売自由化に係るフォローアップについて≫

○古城座長 それでは、議事に入らせていただきます。

本日の議題は「電力・都市ガス小売自由化に係るフォローアップについて」です。

当専門調査会では、電力・都市ガス小売自由化について、昨年5月に取りまとめた「注視すべき論点」等を踏まえ、自由化に伴う消費者への影響について、関係省庁、有識者、団体等に対してヒアリングを行い、議論を行ってまいりました。

本日は、これまでの議論を踏まえ、専門調査会としてのフォローアップの取りまとめに向けた審議を行いたいと思います。

まずは、事務局から取りまとめの案について説明をお願いいたします。

○丸山参事官 お手元の資料のほう、右肩に(資料)ということで振っております、タイトル「電力・ガス小売自由化に関する現状と課題について(案)」を御用意させていただきましたので、御説明させていただきます。

まず、こちらでございますけれども、構成といたしましては、Ⅰ.からⅤ.ということで、5つの構成となっております。経緯、電力の面でのフォローアップの結果、都市ガス等に係るフォローアップの結果、Ⅳといたしまして、今後重点的に注視すべき論点ということと、結びといたしまして、引き続きのフォローアップの実施という形になっているということです。

以下、説明をさせていただきます。

まず、経緯のところでございますけれども、1パラグラフ目でございますが、こちらについては、昨年5月に電力・都市ガスについての自由化に関するフォローアップ、注視すべき論点をまとめたということを記載しております。

2パラ目でございますが、今般本専門調査会においては、電力については自由化は約2年、都市ガスについては約1年が経過したことから、従前より提示している論点等を踏まえ、有識者等から行ったヒアリングの結果を踏まえ、自由化の状況をフォローアップするとともに、今後更に重点的に注視すべき論点を整理したということで書いてございます。

Ⅱ.は電力のフォローアップ結果でございます。柱書きでございますけれども、自由化後約2年間ということで、新電力への契約切替えを行った世帯の割合は約9%ということで、いわゆる旧一般電気事業者の自社内ということでの切替えでは5.7%ということですので、全体的に新料金プランで切替えということでは計約14.8%となっているということでございます。新電力のシェアの拡大のペースは必ずしも低調とは言えないが、大部分の世帯はいまだ新しい料金プランに積極的に乗り換えるという行動には及んでいないということで記述してございます。

電力システム改革の目的に照らせば、消費者にとっての自由化の成果は、競争の活発化を通じた料金抑制、選択肢の拡大の状況によって評価されるべきであるということですが、家庭用における旧一般電気事業者、新電力の事業者全体での競争の広がりが十分でない部分があるとともに、発電面、卸の取引面での旧一般電気事業者の圧倒的な活動比重に鑑みると、競争条件が整っているとは言い難い状況にあるということで言ってございます。このため、競争の進展状況に関しては、消費者の意見も参考にしつつ、引き続き注視していく必要があるということで結んでございます。

以下、具体的に注視すべき論点ということで掲げさせていただいております7つの点について、現状評価ということで整理してございます。

①料金プラン、事業者からの情報提供ということでございます。自由化当初におきましては、多使用量世帯、いわゆる多消費世帯をターゲットとした料金プランが事業者から提示が進められたこともあり、新電力に契約を切り替えた消費者の使用量は、規制料金契約者の1.6倍ということで、相対的に使用量の多い方の契約の切替えが進んでいるということでございます。ただし、最近では使用量の少ない消費者にもメリットのある料金プランも提示しつつあるということで書いてございます。地域別でございますけれども、東京、中部、関西、九州といった大都市圏にて、多くの新電力の新規参入があるものの、北陸、中国、四国、沖縄地域においては、小売の参入については相対的に少ないものとなっていること。それから、旧一般電気事業者、その子会社による旧区域外への供給は進んでいないということで書いてございます。

新電力の料金メニューのうち、ガス・通信等のセット販売につきましては3割弱ということで、違約金等、解約に関わる件について、料金メニューについて、違約金を支払うことになっているということでは、全体の約3割になっているということで書いてございます。そのうち7割は契約期間が1年ということで、残りの3割については契約期間は2年あるいは3年となっているということでございます。

また、電源構成、CO2排出情報の開示という件でございますけれども、こういった開示を行っている事業者は増加しているものの、新規参入の母数が増加しているということもあり、開示の割合では半数を超えた程度ということで、いわゆる開示を必要とする消費者の求めにはまだ十分に応えられているとは言えないということで記述してございます。

代理店等のことでございますけれども、事業者のうち約75%が提携している代理店等がございますが、こちらの情報についてホームページで公表しているのは、うち約30%ということです。託送相当の金額について明示している事業者は約20%となっているということで書いてございます。

②は比較サイトについてでございます。いわゆる「比較サイト」につきましては、多くの消費者が電力会社、それから、料金プランの切替えに際して、料金シミュレーションの利用経験があります、あるいは利用したいですということで、多くの方が示していらっしゃいます。料金がどれぐらい安くなるのかといった点ですとか、料金プラン等に関して網羅的な比較ができるということで利便性を感じておられるということで、消費者の意思決定においては重要な役割を果たしているのではないかということで記述してございます。地域別の利用率ということでは、関東、関西、中部といった大都市圏が高く、その他の地域はそれと比較すると低い水準ということになっております。

利用の懸念すべき点ということで、これはアンケート調査の結果でございますけれども、利用することで契約切替えに係る勧誘につながるのではないかといった点、個人情報が適切に利用されているのか、料金シミュレーションと実際の料金の差が生じていないかといった点について、消費者からは指摘されてございます。

③スイッチングについてでございます。旧一般電気事業者から新電力へのスイッチングということで、その率を地域別に見てみると、東京電力管内が最も高く、関西電力が次いでということになってございます。他方、中国電力、北陸電力の管内では低調な推移となっている。また、自社内の契約の切替えという観点では、中部電力、中国電力の管内のほうで比率が高くなってございます。

契約の切替えに際して、実際にトラブルを経験したことがということで、これもアンケート結果でございますけれども、特にトラブルは生じていないといった御回答ですとか、特に困ったことはないということで御回答されている消費者がほとんどでございますが、契約条項が煩雑で事務手続が面倒であるといった点ですとか、会社の説明が不十分であるといった点を指摘されている方もいらっしゃいます。

④相談への対応ということでございます。消費生活センターに寄せられている相談については、自由化開始後に一旦減少を見せたものの、昨年1月以降ということでは、オーダーといたしましては、月平均100件前後で推移してございます。また、相談の特徴といたしましては、引き続き高齢者の方からのものが多く、地域別ということであれば、自由化直後では関東のものが約半数でしたが、昨年度では近畿、東海といった大都市圏のものが多くなってございます。販売形態別では、電話勧誘販売の比重が高まっているということです。内容についてでございますけれども、勧誘、契約に関する相談は多いものの、一昨年度との比較ということであれば、解約に関する相談の比重が増しつつございます。具体的には、電気・通信のセットプランの解除、解除に係る違約金に係る相談も見られるようになってきてございます。また、契約先を切り替えたが、電力会社が撤退することになったため連絡を早くしてほしかったといった相談事例もございました。

相談につきましては、事例等について、国民生活センター、監視等委員会でこちらの紹介、注意喚起については定期的にしてございます。

⑤周知、認知度の件でございます。こちらはまず電力自由化に関する基本的に事項の認知ということで、これは切替え済み、切替え予定の方にお尋ねしたものですが、供給の安定性、電気の質そのものは変わらないということにつきましては7割の方が認識されていらっしゃる一方で、訪問販売、電話勧誘についてのクーリングオフの条件ですとか、集合住宅の一括受電契約については別プランを選択できないといったこと、代理・媒介・取次といった販売形態があることについては余り理解が進んでいないというアンケート結果になってございます。

⑥競争についてでございます。低圧部門における新規参入事業者数、販売電力量ベースでの新電力のシェアについては増加傾向にございまして、小売段階での競争は進みつつございます。しかしながら、旧一般電気事業者によるベースロード電源について独占状況にあるといった点、翻って新電力から見ますと、電源へのアクセスが困難であるということを踏まえると、川上市場での電源調達の制約の影響を受けて、小売段階での競争に一定の限界が生じている面があるということで記述してございます。このため、現状では、旧一般電気事業者と新電力の間には非対称的な競争状況が発生していると考えられるということで記述しています。

なお、現時点でございますけれども、2017年度から開始された旧一般電気事業者による自主的取組であるグロスビディングの影響もございまして、卸市場では一定の取引ということで厚みが備わってきている状況にはございます。

⑦経過措置の点についてでございます。2020年3月までに電力に係る経過措置料金の規制が原則撤廃されることになってございますが、「経過措置料金という言葉」に関する消費者の認知度は約2割、「経過措置料金が少なくとも2020年3月末まで続くこと」について知っているのは5%にとどまっていらっしゃいます。

なお、現行の規制料金ということで、サービスを享受されていらっしゃる消費者の方が大部分にとどまる中で、いわゆる3段階料金が選択できなくなる可能性があることについては7割の方が認識していないというアンケート結果もあるということです。

Ⅲ.都市ガスについてのフォローアップ結果でございます。まず柱書きでございますけれども、スイッチング率について、都市ガスのほうの契約者数の約9.7%でございます。うち7割は自社内の規制料金から自由料金へのスイッチングということになっています。ちなみにこちらについては、経過措置が残っているところについてのベースのところでの状況になってございます。さらに、規制料金から新規の小売へのスイッチングということでは、結果的には2.5%となっているということです。都市ガスにおきましては、自由化を契機にセットメニューなどを含む新たな料金プランを提示し始めている事業者の方もございますが、契約の切替えを行っていない世帯であれば9割である現状を見れば、消費者の方が積極的な選択行動が行き渡っているとは言い難い状況にあるのではないかということで記述してございます。

他方、密接に関係してございますLPでございますけれども、LPガスにつきましては、料金体系の公開を通じた透明性の向上は相当程度図られつつあるものの、消費者の利便性の観点から見れば不十分ということで評価してございます。

次のページでございます。ガスシステム改革の目的においても電力と同様、競争の活発化を通じた料金の抑制や選択肢の拡大といった状況によって評価されるべきでありますが、参入事業者数については18社、大需要地である大都市圏にほぼ限定された競争にとどまっているのが現状であるということで、このため、電力と同様、消費者の意見も参考にしつつ注視していく必要があるということで柱書きについては結んでございます。

以下、都市ガスについての各論点についての現状評価でございます。

まず①価格、競争状況についての監視ということでございますけれども、資源エネルギー庁におかれましては、規制料金がかかっている競争状況を確認するため、こちらについて事業者から3カ月ごとに報告徴収を実施してございます。自由化当初においては、12社に経過措置料金規制が課されてございましたが、今年3月、3社が解除基準を満たしているということで、規制が残っている事業者につきましては、9社となってございます。

他方、課されていない都市ガスの事業者につきましては、監視委員会におきまして、いわゆる旧供給区域における都市ガスの利用率が50%を超える事業者の方を対象に、合理的でない値上げが行われないよう料金水準に関して報告徴収を実施してございます。こちらについては3カ月ごとに結果が公表されております。現在、合理的でない値上げを行ったおそれのある事業者が1社確認され、報告徴収を行っている旨が公表されてございます。

②適正な取引の確保、競争の促進ということでございます。1パラグラフ目でございますけれども、自由化を契機に越境販売を含め、新た一般家庭へ供給している事業者数では18社、全販売量における新規参入者の割合は家庭用では2.3%にとどまっている状況でございます。

川上の状況でございますけれども、いわゆるガスの原料につきましては大部分は輸入LNGということでございますけれども、新規参入者にとって自らLNG基地を建設することは容易でないため、競争条件整備のためにも基地の第三者利用の促進が期待されてございます。ただ、こちらについては現状では活発に利用されているとは言い難いということで、監視委員会では、いわゆるガス製造事業者から定期的に基地利用の申込状況について把握してございますが、昨年12月の時点では利用申請は2件にとどまっている状況です。

また、小売の段階についての消費機器保安責任体制の整備について、その必要性が競争のネックになっている面もあるということを記述してございます。

③都市ガスの自由化についての認知等、あるいは周知のところの件でございますが、いわゆる基本的事項に関する認知につきましては、都市ガスが自由化されたことについての認知が余り進んでおらず、認知度についても地域間で差が大きいというアンケート結果がございます。また、都市ガスについて切替え済み、あるいは予定の消費者の方につきまして、ガス漏れなどの緊急時には導管事業者が責任を持って対応するということにつきましては約半数の方が認識していらっしゃいますけれども、元栓までは導管事業者が、ガス消費機器を含む部分につきましては小売事業者が点検を担当することなどについては、余り理解が進んでございません。

さらに、LPにつきましては、その利用者の3分の2については、従前からLPについては自由料金を設定できることについて知らない状況にございます。

④セット販売等メニューについての情報提供についてでございます。ほぼ全ての都市ガス事業者につきましては、標準メニューについて公表してございます。ただ、平均的月額料金の例示につきましては、6割にとどまってございます。セット販売について最も組合せが多いのは電力供給サービスでございます。託送料金の支払については約1割が明示している状況で、代理店の活用ということでは、事業者の方の全体の約1.5割、そのうち代理店の情報について公表済みの事業者については6.5割程度になってございます。

また、LPについてのメニューでございますけれども、まず公表につきましては、都道府県ごとら取組に差は見られつつございますが、何らかの形で料金を公表している事業者の方は7割強と急速に拡大してございます。ただ、そのうちのほとんどが店頭での公表ということで、ホームページで公表している事業者については約5%という状況です。

⑤スイッチングでございます。都市ガスのスイッチング率、地域別でございますが、近畿、中部・北陸、九州・沖縄、関東の順で高くなってございます。契約の切替えに際して、実際にトラブルが生じていない、特に困ったことはないと感じていらっしゃる消費者の方がほとんどでございますが、契約条項が煩雑で事務手続が面倒であるといった点、会社の説明が不十分といった点を挙げる方もいらっしゃいます。

⑥相談への対応ということでございますけれども、消費生活センターに寄せられる都市ガス自由化に係る相談では、昨年4月の自由化前後で増加しましたが、その後は月平均30件前後ということです。それから、高齢者の方からのものが多く、自由化後には関東からの相談が半分以上を占めてございます。販売形態では、昨年度は訪問販売、電話勧誘販売で9割となってございます。内容といたしましては、勧誘に際しまして、契約先を変更しないように今の契約元から言われているのかということを言われたといったものですとか、あるいは、同じ事業者から複数回勧誘されて不快であるといった相談事例もございました。

こちらの都市ガスの相談についての事例、あるいは注意喚起につきましても、国民生活センター、監視委員会で定期的に公表されてございます。

他方、LPガスの相談状況でございますけれども、2013年度には4,000件前後でありましたが、昨年度は1,500件程度ということで減少傾向にございます。相談者の方は50歳以下が6割弱ということで、地域的には関東のものが多いということ、相談内容としては、料金水準が高い、執ような勧誘を受けたといった例が見られました。

Ⅳ.今後重点的に注視すべき論点ということで入れさせていただいたものでございます。まず柱書きでございますけれども、従前説明してきてございましたように、電力・都市ガス市場の状況については、こういった状況であるといったことに鑑みるに、具体的に相談への対応ですとか、あるいは「比較サイト」の公平性・中立性を確保するための周辺環境の整備など「注視すべき論点」ということで従来から整理させていただきました諸点については、引き続き今後の動向を注視していくことはもちろんでございます。これに加えまして、自由化後、一定期間が経過したということでございますので、次なる段階ということで、特に重点的に検討・注視しなければいけない論点ということで、以下、電力分野、都市ガス等の分野につきまして、公共料金等専門調査会として整理を行ったということで記してございます。

まず電力分野については3点でございます。地域格差、消費者の切替え、スイッチングについての問題について記述してございます。電力に関しましては、参入事業者等、スイッチング率の面で地域格差がございます。特に中国、四国、北陸といった地域では、旧一般電気事業者の規制料金の水準が他の地域よりも低いといった要因もあり、新規参入や他の電力会社にスイッチングする面で困難な点があるとも考えられるということで記述してございます。他方、中部、中国地域では自社内でのスイッチング率が高い特徴もあり、これが自由化の効果の現れであるとの意見もございますが、1つの事業者がほぼ地域市場を独占している状況では、「規制なき独占」の状況を許す可能性にもつながりかねないということで記述してございます。

また、これ以外の地域におきましては、今後ともスイッチングが順調に拡大すれば問題ないということなのですが、1回スイッチングをした消費者の方が更に利便性を求めて複数回事業者の方について、あるいはプランについて切替えを頻発する一方で、規制料金のサービスを受ける消費者がなかなかスイッチングしないということであるとするならば、自由化の恩恵については、一部の消費者の方にとどまることにもなりかねないということで記述してございます。料金プランを維持することが当該消費者の自由化を受けて考慮した結果の選択であるということであればよいが、そうではない結果としてスイッチングに及ばない状況にあるのだということであるとすれば、スイッチングを後押しするための具体的な切替えの仕方について、消費者の興味・関心を引き起こすための方策を検討し、実施することが必要であるということで整理してございます。

このため、資源エネルギー庁、監視委員会は、状況を見つつ、地域格差の解消、消費者に対してスイッチングの興味・関心を引き起こすための方策を検討し、実施すべきであるということで記述してございます。

なお書きでございますが、こういった興味・関心ということで推進する方策の一つとして、消費者のスイッチングのためのツールとなっている比較サイトの利用向上が考えられます。サイトの利用の促進を図りスイッチングを加速化させるためにも、サイトの公正性や中立性等を認証する公的な仕組みの必要性の検討も含め、信頼性の一層の向上を図る取組が重要であるということで示してございます。

②競争条件の整備でございます。電力の発電市場では、現状では、先ほども述べましたように、旧一般電気事業者と新電力との間で非対称的な競争状況が発生していると考えられます。このため、経済産業省においては、ベースロード市場の創設に向け、旧一般電気事業者を中心としたベースロード電源保有者による供出量の市場への放出の加速化、監視委員会による卸の価格、市場供出価格の規制・監視の徹底などを通じて、ベースロード電源市場の活性化を進めることが必要であるということで記述してございます。加えて、将来的には発電を全て卸市場に放出するなどを含む卸市場の活性化を講じることによって、新電力、旧一般電気事業者との公正競争を確保することも検討の視野に含めるべきであるということで記述してございます。

また、連系線の空き容量に係る問題から生じる接続の遅れということが事象として発生してございます。コストの安い順番に電源順に送電することを可能とするルールということで間接オークションが導入されることになりまして、公平な競争環境下での連系線をより効率的に利用することも期待されてございます。他方、基幹送電線への接続に係る負担金については、再生エネルギー事業者から中心に、適正性や透明性に関して改善すべきといった意見も寄せられており、更なる取組が必要であることも記述してございます。

③経過措置料金解除に関してでございます。経済産業省におかれては、2020年の経過措置料金規制の原則解除に向けた議論が開始されてございます。この規制につきましては、旧一般電気事業者によります「規制なき独占」に陥ることを防ぐ安全保障手段ということになってございます。解除のためには、公正な事業者間の競争状況が確保され、ひいては消費者がサービスを受けることができる状況が確保されることが大前提ということでございますが、そのためには、関係機関による議論の材料となるため、「解除前に競争が十分行われているか」「解除後もその競争が持続的であり、独占市場への不可逆性が確保されているか」といった点に係る客観的な指標ですとか、あるいは消費者等に関わるデータに基づく慎重な判断が必要であるということで記述してございます。また、解除に係る検証に当たっては、時間的な余裕を持った検討と消費者の議論への参画、消費者からの意見の聴取の機会の確保が不可欠であることを担当省庁であります資源エネルギー庁、監視等委員会は留意すべきであるということも記述してございます。

なお、ほとんどでございますけれども、先ほども指摘しましたように、2020年3月までに法律上、原則的に経過措置料金が撤廃されることをそもそも消費者の方は認識していないというデータ、指摘がございます。仮に2020年に料金規制が撤廃される地域が議論の結果明らかとなった場合には、資源エネルギー庁、監視委員会は撤廃に係る消費者への広報周知のための方法を十分余裕を持って検討すべきであるということも記述してございます。

なお、経過措置料金に関しましては、本公共料金等専門調査会においても、消費者庁ともにですが、消費者利益の擁護の観点から引き続き多角的なデータの蓄積を図った上で分析を行うこととしたいということも記述してございます。

2.都市ガス分野についての今後注視すべき論点でございます。

①ガス市場の適正監視ということで整理いたしました。電力市場と異なりまして、ガス市場においては、既に経過措置料金を解除された地域・事業者が全体の多数を占めてございます。これらの事業者による不合理な料金値上げを通じた「規制なき独占」に陥らないよう、「特別な監視」の期間が実施されていますが、その期間のみならず、その後も監視委員会による適正な監視が重要であるということで記述してございます。その際、競合・代替財であるLPガス市場の動向についても注意を払う必要があるということ、それから、監視の結果の公表に際しては、説明責任を十分に果たし監視業務プロセスの透明性の向上を図るため、例えば料金引上げが合理的でないと判断した具体的な理由などについて、消費者への丁寧かつ詳細な説明を行うことが必要であると記述してございます。

他方、大需要地である東京、関西、中部においては、経過措置料金がまだ残ってございます。その解除につきましては、明確な時期は特には区切られておらず、現状、消費者にとっても予測はしにくい状況にございます。このため、これらの解除に当たっては時間的余裕を持った手続が不可欠であるということを記述してございます。

②競争条件についての整備でございます。現在、都市ガスに関しましては、LNG基地の利用促進に関する方策が監視委員会により検討されてございます。電力よりも調達面で制約の多い都市ガス市場においては、その推進が極めて重要でございます。今後、第三者利用の促進に向け、監視委員会は基地の製造設備余力、基地利用料金について積極的に検討すべきであるということを記述してございます。

また、小売段階の競争の課題ということでは、マンション一括受ガスの問題についてがございます。現状ではガス事業法上、保安規制が及ばず、保安面の後退のおそれが生じるおそれですとか、一括契約に伴って需要家の選択肢に制約を生ずるおそれがあることから許容されてはございません。他方、電力分野では一括受電契約が一定程度普及してございます。一括受ガスが解禁されれば、既存の一括受電と同様に鑑みて、都市ガス市場への参入が期待されるという意見もございます。したがって、競争促進と消費者利益の擁護の観点からバランスのとれた慎重な検討が必要であるということで受ガスについては記述してございます。加えて、消費機器の調査等について、こちらにつきましては、いわゆる適正なガス取引についての指針に基づき適正な受託が確保されているか、ひいては小売の供給について適正に行われているかということにつきまして、監視委員会、公取のほうで監視を徹底すべきであるということを記述してございます。

注視すべき論点の最後、③隣接市場であるLP市場の適正性確保ということでございます。LP市場の適正性につきましては、料金の透明化という点で相当程度進展はしつつございますが、道半ばの状況であるということでございます。経過措置の解除の条件にもLPガス市場の動向は勘案されてございました。したがいまして、ガス体エネルギー市場全体としての公正な競争ですとか取引の適正性の確保が重要でございます。いわゆるガイドラインの累次改定もなされまして、消費者に対する情報の開示措置は盛り込まれつつございますが、ガイドラインの実効性の確保のためにも、業界団体による事業者への周知徹底、監視当局による厳正な監視が必要不可欠であるという認識を示してございます。

また、設備貸与をめぐる集合住宅に係る料金不透明性という問題ですが、この解消のためにいわゆる設備費用をガス料金に転嫁しているのであれば、賃貸事業者は消費者が物件を選択する際に説明を適切に行うとともに、LPガス事業者がリース料として料金の内訳を明示すべきであるということで示してございます。都市ガスについては、既に料金が自由化されているということですけれども、事業者による料金設定においても都市ガスの分野においてコジェネ等設備貸与費用が転嫁され不明瞭な料金請求がなされ、都市ガス市場にもLPガス市場での消費者にとって不利な商慣行が拡大する懸念も指摘されることから、消費者に対する適切な説明を確保するため、ガス事業者、賃貸事業者への働きかけを関係省庁が協力して行っていくことが重要であるということで示してございます。

最後にⅤ.引き続きのフォローアップの実施でございます。こちらについて、電力については2年強、ガスについては1年強が経過した段階で、そのメリットを十分に消費者が享受できているか否かの総括的な評価を行うためには、引き続き多角的な視点から見守っていくことが必要であると認識してございます。

このため、消費者委員会公共料金等専門調査会においては、いわゆる自由化が消費者にもたらす影響につき、今後もフォローアップを行うとともに、特に電力のほうの経過措置料金の解除に関しては、消費者利益に重大な影響を及ぼす可能性があるということで、必要に応じて意見表明を行うこととしたいということで結んでございます。

長くなりましたけれども、説明については以上です。

○古城座長 関連いたしまして、この議論に入ります前に、取りまとめ案の中で電力の経過措置期間終了後の料金規制の解除に関連して、消費者庁が実施した「平成30年5月物価モニター調査結果」が引用されております。本日、参考資料として提出されておりますので、何かございましたら、消費者庁より一言いただきたいと思います。

○消費者庁澤井消費者調査課長 一言ですが、物価モニターの資料の4ページを開いていただければと思います。こちらで月のトピックとして電気料金についてもお伺いしております。

例えば電気契約を変更したかという質問とともに、④のところで経過措置料金の認知度について質問しております。2,000人の方がモニターなのですけれども、「経過措置料金という言葉」を知っているという人は23.3%、「経過措置料金の内容」を知っているのは6.2%、「あなたの契約プランが経過措置料金に該当するかしないか」を知っているのが5.5%、「経過措置料金が少なくとも2020年3月末までは続くこと」を知っているかは5.3%、「いずれも知らない」という人は76.7%でした。

こちらの物価モニターは、必ずしもサンプルという意味では、むしろモニターという形で取っておりますので乖離があると思っております。つまり、幅を持って見る数字だとは考えておりますが、一方でモニターをやっている方なので、むしろ詳しい方の数字だと思っております。例えば電気の契約についても、スイッチングした方が電力会社を変更したが13.6、同じ電力会社が4.7ですので、既に委員会でやった調査よりも合わせると18.3%ということで高い数値が出ていることなので、この認知度、この数字についても幅を持って見るべきですけれども、むしろ知らない人が76.7という数字以上に実際は知らない人がいる可能性のほうが大きいのではないかと考えております。

○古城座長 それでは、取りまとめ案について、御質問や御意見のある方は御発言をお願いいたします。

古賀委員、どうぞ。

○古賀委員 詳細な注とともに報告案をきれいにまとめていただいて、どうもありがとうございました。

分散してお尋ねしますが、1ページ目のⅡ.の下から3行目のところなのですが、「発電面や卸取引面での旧一般電気事業者での圧倒的な活動比重に鑑みると条件が整ってきているとはいいがたい状況にある」というところなのですが、ここのところが分かりにくいというか、専門的過ぎるので、できましたら具体的に、下の注のところの下から2行目の「大部分(93%程度)は旧一般電気事業者の内部取引によって、旧一般事業者(小売部門)に供給されている」という趣旨をここに入れ込んでいただけたらと思います。

それから、字句のことで恐縮ですが、「①料金プラン、事業者からの情報提供」のところなのですが、自由化当初は多使用量世帯をターゲットとした料金プランが事業者からの提示が進められ」というのが分かりにくいので、ここの「事業者からの」というのを「自由化当初は」と「多使用量」の間、「自由化当初は事業者からの多使用量世帯をターゲットとした料金プランの提示が進められ」と直していただけると分かりやすいかと思いました。

2ページ目、2段落目の「電源構成やCO2排出情報の開示を行っている事業者は増加しているものの、新規参入者の増加もあり」ということなのですが、ここの新規参入者の増加が多いために新規参入者のほうでの電源構成、CO2の公表が非常に進んでいないという意味で、ここに「新規参入者の増加もあり」という意味なのかどうか、このエビデンスを教えてください。

同じく2ページ目、②の比較サイトなのですが、比較サイトの本文の一番下のところ、「個人情報が適切に利用されているのか、料金シミュレーションと実際の料金」というようにいろいろ示していただいているのですが、できましたら、この「個人情報が適切に利用されているのかなど、中立・公平性について」というようなものを一言入れていただければと思いました。

とりあえずそこで一旦切ります。

○古城座長 どうぞ。

○丸山参事官 まず表現のところにつきまして、1ページ目で御指摘をいただいた点につきましては、御指摘も踏まえて検討したいと思います。

2ページ目でございますけれども、いわゆる電源構成について、事業者のところについてですが、開示を行っている事業者ということで、新規参入者の増加もあって開示の割合では半数を超えた程度ということでございますけれども、こちらにつきましては、前回の専門調査会で監視委員会からもこういった指摘もあったということで、そのことを踏まえて記述ぶりをしてございます。そちらについて、どういうことで新規参入が増加しているのだけれども、開示については半数程度ということについては、議事録等、また中身について確認して、こちらについては必要であれば修正等をしたいと思います。

②の比較サイトのところの点でございます。中立性・公平性といったことについて記述することも少し検討したいと思いますけれども、ただ、ここのところについては、前回御紹介をいたしました消費者委員会事務局で実施をいたしましたアンケートの結果をそのまま記述しているということですので、中立性・公平性といったことについては、特に問いのところでは記述してございませんが、何か対応の余地があるのかどうかは検討したいと思います。

○古城座長 陶山委員、どうぞ。

○陶山委員 それでは、今、古賀さんが触れられたような場所辺りまで意見を出させていただきたいと思います。

2ページ、2つ目の段落のところで、違約金について触れられていますが、ヒアリングの中で、顧客獲得のために契約時に8,000ポイントでしたか、高額のポイントを付与したために、契約解除は2年の期間、違約金が必要になるという状況も報告されていますので、ヒアリングの中でそういう実例の報告を聞きましたので、それも例として挙げていただけたらと思います。

電力比較サイトの信頼性の向上ですが、これもヒアリングの中で、電力会社と代理店契約をしている旨が触れられました。こういった実態もありますので、中立性・公平性というところでは、比較サイトが代理店契約をしていることにも触れていただきたいと思います。

3ページ、「④消費者相談への対応、相談対応への体制整備」というところなのですが、最後の2行のところは、国民生活センターと監視等委員会との連携ということでありますが、もう一つ、私の記憶なのですが、公正取引委員会とは情報連携はまだ定期的にはされていないということをお聞きしたように思います。その点についてもその中に加えておいてはいかがかと思います。

以上です。

○古城座長 どうぞ。

○丸山参事官 まず1点目の高額ポイントの解約の関係でございます。ヒアリングでそういったことについて触れられたということでございますので、こちらのほうはそれを踏まえた記述ぶりが何かできないかということにつきましては、少し工夫したいと思います。

比較サイトの話でございますけれども、陶山委員の御発言の趣旨としては、いわゆる比較サイトのところでも代理店契約を行っている事実があるということを指摘してはということでございますか。

○陶山委員 はい。

○丸山参事官 分かりました。少し工夫をさせていただきます。

それから、3ページの④相談対応のところについて、公取との定期的ないわゆる情報交換については、これもそういうところでの情報にはまだ至っていないという趣旨を記述してはということでございましょうか。

○陶山委員 はい。

○丸山参事官 それも少し工夫したいと思います。

○古城座長 他にいかがでしょうか。

陶山委員、どうぞ。

○陶山委員 4ページの⑦の規制の解除の点なのですが、これはこれで3段階料金のことにも触れられていますが、「規制の解除」というタイトルで書かれているのでこうなっていると思うのですが、電力システム改革自体の認知とその中での規制料金解除みたいな、全体システム改革自体がまだまだ十分に知られているとは思いませんので、それを書き加え、なおかつ、今、検討のテーブルに乗っている規制料金解除という書き方はいかがでしょうか。

○古城座長 どうぞ。

○丸山参事官 それはいわゆる大元である電力システム改革の目的自体についての国民、消費者の認知が進んでいないのではないかという指摘もあることを記述してはということでしょうか。

○陶山委員 大枠で、そもそも電力システム改革が向かっている方向だとかそのプロセスについて消費者がしっかり理解して、その中での規制料金解除という理解の仕方をする必要があると思いますので、この規制料金の解除に関する文章の中には、そういう全体の立て付けの消費者の理解について触れておいたほうがいいのではないかと思います。

○古城座長 どうぞ。

○丸山参事官 まず、システム改革そのものについての認知度について、何かデータがあるかは探してみたいと思います。その上で、こちらの経過措置の前段階として、そもそものシステム改革について記述ぶりが必要であるということであれば、少し事務局でも検討したいと思います。

○古城座長 今のところは、表題については、内容は解除自体についての話ではなくて解除についての消費者の認知について書いてあるので、表題を変えなければいけない。

陶山さんは経過措置料金の解除についてだけの認知度ではなくて自由化についての認知度もあわせて評価したほうがよろしいというのですね。それはもっともなのですけれども、今の段階で準備の材料があるかどうかですね。

○丸山参事官 表題については、座長の御指摘がございましたので工夫をしたいと思います。

そもそも陶山委員御指摘のような形で、システム改革の認知度に関わるようなデータがあるかどうかについて確認をしなければいけませんので、それも踏まえて対応ができるかどうかについては検討したいと思います。

○古城座長 ここの点はデータがあったらそのように書き改めるということでよろしいでしょうか。データがなかったら我慢していただくということです。

○陶山委員 私も探してみます。

○古城座長 あとはいかがでしょうか。

古賀委員、どうぞ。

○古賀委員 ありがとうございます。

3ページ目の上の「③円滑なスイッチング対応等」なのですが、2段目の実際に特にトラブルは生じていないし困っていない消費者がほとんどであるという書きぶりなのですが、確かに契約条項が煩雑で事務手続が面倒といった点や会社の説明が不十分といった点でもそのとおりだと思うのですが、ヒアリングの中で取戻し営業のことが結構議論になったと思いますので、ここのところで、スイッチングにおいて、切替えに7週間と言っていましたか、時間がかかることから、取戻し営業などによって消費者に混乱が生じているようなことについても入れていただけたらと思いました。

これは逆に質問なのですけれども、8ページの「②競争条件の整備」のところなのですが、ここは非常に今後の競争を活性化して卸売価格やいろいろなものの監視でベースロード電力市場の活性化を進めるという重要な点だと思うのです。ヒアリングでこちらの調査会では余りこの点について詳しい議論はなされていなかったと思うのですけれども、できましたら、今日は資源エネルギー庁の審議会に参加している先生もいらっしゃいますので、ここについてもう少しこの文章自体が適切であるということを入れていただけたらと。

それから、②の最後のところです。「再生エネルギー事業者から適正性や透明性について改善すべきとの意見が寄せられており」とあるのですが、むしろこれは「意見が寄せられており」というより「改善すべき更なる取組が必要である」としていただけたらと思います。

○古城座長 どうぞ。

○丸山参事官 古賀委員の1点目の指摘については少し検討したいと思います。ただ、古賀委員から指摘をしていただいた2点目、3点目については、できればこの場で委員の皆様方に御議論していただけたらと思います。

○古城座長 1点目なのですけれども、ここでのヒアリングの結果、取戻し営業は余り積極的にやっていないということでしたね。取戻し営業の内容も安くなるかと思ったら安くならないので戻ってきたという話だから、大きなトラブルは起きていないのではないですか。

○古賀委員 全体的にはそうだと思いますけれども。

○古城座長 だから、今の書き方は、潜在的には非常に問題が起きる可能性があって、他国では問題も起きたのですけれども、今のところ、日本の競争では余り起きていないというトーンで書かれているのですね。でも、一応潜在的には問題があるからという感じで書かれているので、古賀さんのを入れてしまうと結構取戻し営業でトラブルが起きているというニュアンスが出てしまいませんか。

○古賀委員 入れる場所を探してみます。

○古城座長 松村委員、どうぞ。

○松村委員 質問なのですが、取戻し営業のヒアリングは誰から。

○古城座長 事業者が来て質問をしたら。

○古賀委員 兵庫県立大学の草薙先生も。

○松村委員 草薙先生の御意見は、いわゆる取戻し営業は通常の営業なのだから基本的には問題ないという立場なので、その人が仮に問題が起こっていないと言ったからといって、問題が起こっていないと判断するのは問題かもしれない。

それから、私の理解では、いわゆる取戻し営業で問題が起こっている事業者は限られている。例えば中部電力の人が出てきて、うちはスイッチング情報を悪用するようなことはしていませんと断言したとしても、それはうそではないと思うのですが、旧一般電気事業者が皆やっていないかどうかは別問題です。

私はいわゆる取戻し営業にはもっと危機感を持っています。「取戻し営業」という言葉がそもそも適切なのか。私の取戻し営業のイメージは、例えば古賀さんがA事業者からB事業者に替えた、1年契約だった。取られて悔しいので、1年後の契約の切替えのときに取り戻すためにA事業者が頑張るのが本来の取戻し営業。しかし恐らく議論されているのはそういうものではなく、取戻し営業ではなくて単に新規契約妨害なのです。新電力と契約を結ぶ意思があって結ぼうと思っているのに押しかけてきて、切り替えるのをやめろ、購入をやめろと新電力との契約を妨害することであって、およそ営業に値しない、単なる切替え妨害に近い状況。「取戻し営業」という言葉をあえてここで書いてしまうと、むしろ印象としてマイルドになってしまうのではないか。正常な競争によって消費者の利益を守るためにもこの問題は注視しておかなければいけないのは間違いないと思いますが、わざわざここで書かなくてもいいと思います。

ここでの趣旨は、切替えで大きなトラブルが起こっていて、消費者にとってみれば自由化などしないほうがよかった、などということはない、ということをメッセージとして伝える、切り替えた多くの人が後悔している状況ではないということが趣旨なので、ここで取戻し営業の議論を入れなくてもいいと思いました。

以上です。

○古城座長 後段のほうは重要なので、古賀さん、もう一度繰り返していただけますか。

○古賀委員 ちょっと飛んでしまうのですが、8ページの「②競争条件の整備」のところです。これはこの調査会ではそんなに議論されていなかった問題だと思うのですけれども、この書き方でいいのかなというのを資源エネルギー庁の審議会の方にお伺いできたらと思ったのです。

○古城座長 松村先生、山内先生、どうでしょうか。言いづらいでしょうけれども、軽く。

○山内委員 この上の段落はベースロードのマーケットのことなので、それを早く作ったほうがいいよということと活性化したほうがいいよということなので、それはそれでよろしいのではないかと思います。将来的に全電源を出せというのはちょっとあれかも分からないけれども、それはそれでいいのではないかと思います。

○古城座長 松村委員も。

○松村委員 はい。

○古城座長 そうですか。

ここの語句なのですけれども、4行目に「電力・ガス取引監視等委員会による卸価格と市場供出価格の規制・監視の徹底など」と。これは卸価格と市場供出価格はどういう関係にあるのですか。別々のものと考えているのですか。言葉です。

○丸山参事官 ここは経済産業省の資料から取ってきたものですので確認をします。

○古城座長 旧電力会社の出し値という意味で、卸価格は出し値だから実際上は同じことになるのかなと思って。

あと、いかがでしょうか。

陶山委員、どうぞ。

○陶山委員 今、お話になったところなのですけれども、「②競争条件の整備」のところで、まず、競争条件を整備するためには卸売電力市場の強化だとか広がりとかというものと、ネットワークの問題が非常に重要であるということをまず最初に言って、それから卸売市場について触れていただき、連系線空き容量と系統強化の費用について触れていっていただけたら、競争条件を整備するためにはその2つは非常に重要であるという視点が明確になるのではないかと思います。

連系線空き容量の問題については、現在、再生可能エネルギー大量導入と次世代電力ネットワークの委員会が持たれて、そこでも検討されているように拝見していますが、その辺りともこれから先の持続可能なエネルギーをきちんと確保していくための施策という重要な問題としてここに書くことができないだろうかと思います。

第5次のエネルギー基本計画が出されて、その中でも再生可能エネルギーを今度重要な基幹エネルギーと見ていくという方向性が示されました。それと同時に現在経済産業省で再エネの大量導入と次世代電力ネットワークの小委員会が持たれて検討されているということなので、そういった知見も見ながら、しっかりこの次世代のエネルギーを消費者が関わりながら再生可能エネルギーを主要電源としてきちんと根付かせていく取組として、この2つの新規参入者に対しての施策は非常に重要であると考えますので、そのことにも触れながら、現状も踏まえながら、ここのボリュームと目線を大きくして書いていったらいいのではないと思っているのです。うまく表現できずすみません。

○古城座長 「②競争条件の整備」のところに、おっしゃったように、競争が行われるためには新電力の電力調達が適正・公平に行われること、ネットワークが使えることが重要であるという一文は入れます。なるべく御趣旨に沿うように改善したいと思います。

どうぞ。

○陶山委員 もう一つ付け加えさせていただきたいのですが、このネットワーク利用の公正性ということで、非常に透明性と公正性が今後重要になってくると思いますが、そのときに、20年に法的分離のところまでいくのですが、一般消費者から見たときに法的分離のみで公正にネットワークの利用が行われるというように見えるかどうか。所有の分離も検討したほうがいいのではないかということも私個人としてはずっと思っています。東電なども、会社は法的に分離しました、しかし、ホールディングスとして資本の活動は連携していくということになってくるので、そのときにネットワーク利用がいろいろな事業者から見て公正に使われていると見えるかどうか。情報公開も含めてここが今後非常に重要になってくるかと思いますので、この部分を膨らませて書いていただけたらうれしいと思います。

○古城座長 小浦委員、どうぞ。

○小浦委員 ありがとうございます。

今、論点になっている「②競争条件の整備」というところなのですけれども、私もベースロード電源に関する記述のボリュームと再生エネルギー事業者に関するボリュームを少し同じぐらいにといいますか、ベースロード電源に関するほうが多いのかなという感覚を受けました。再生可能エネルギーは2030年と2050年のエネルギーの基本計画も発表されていますけれども、消費者としては将来的には再生可能エネルギーを中心にもっと増やしてほしいという希望もあったりすることもあるので、書きぶりをもう少し新規参入者ももっとどんどん競争できるような状況にという書きぶりに変えられないかというのが一つです。

それから、8ページの上のほうの競争が起きていないというところの記述なのですけれども、2行目の後半「そうではない結果としてスイッチングに及ばない状況にあるのだとすれば」という、この「そうではない」という表現なのですけれども、これまでヒアリングの中で出てきた料金プランの複雑さというか、分かりにくさが原因になっているのかなと理解はしたのですが、そういうことであれば、ここにはっきりすることを書いておいたほうが分かりやすいのではないかと思いました。

今度は8ページの後段なのですけれども、「③経過措置料金解除に係る慎重な検討」というところで、私もここはそれまでの間には国民がもっと参加をして論議をしていく場が必要だと感じているところなのですけれども、単語が全部「消費者」になっているので、いきなり「国民的議論をもっと活発化させる」ということを入れるとつながりにくいのかなと思うのですが、そういう言葉があったほうが2020年に経過措置料金を解除するかしないかというところの議論にはより適切ではないかという感覚を受けたものですからお聞きします。

以上です。

○古城座長 どうぞ。

○丸山参事官 まず、小浦委員のほうで御指摘のありました8ページの上のところの「そうではない結果」ということなのですけれども、ここは確かに小浦委員に御指摘していただいたような料金プランの複雑性もあるかもしれませんし、あるいは消費者自体についての認知度の問題もあるかもしれません。様々な問題があろうかと思います。そこのところについては、もしよろしければ少し議論していただいて、具体例を示したほうがいいということであれば、例えばこういった点も考えられるということで、何か委員会として盛り込むという方策もあろうかと思います。ただ、事実かどうか分からない可能性レベルの指摘という記述にとどまるのかもしれません。

それから、下のほうの経過措置料金のところについてですが、消費者と国民ということで、国民という部分の表現について何かここのところに盛り込むことにつきましては、もし必要であれば少し表現については工夫したいということで考えます。

○古城座長 小浦さん、ここなのですけれども、一般的な議論は競争を入れたのだから新規参入者が入ってきて、既存業者が値上げしようとしたら新規参入業者へみんな需要家はシフトするという状態があれば値上げできないはずだから、経過措置料金はもうなくてもいいだろうということで、そういう条件があるかどうかをどう判断するかという議論を今、やっているのですね。だから、国民的議論などというのももちろん必要なのですけれども、基本的には技術的というか、そういう話なのだから、それについて述べることは重要ではないのでしょうか。

○小浦委員 そうなのです。私が感じたのは、先ほど消費者庁のアンケートにもあったように、経過措置料金という言葉を知っている人ですとか2020年末になくなることを知っている人は、いずれも知らない人が76.6%だったと。これは意識の高い方なのでもっと多いのではないかということも付け加えていらっしゃいましたが、自由料金になったのだから経過措置料金はなくなる、当然だという意見が多ければそれでいいのですけれども、そうなった場合にどういう状況が起きてくるのかはまだよく分からないので、メリット、デメリットと簡単に言ってもあれなのですが、本当に消費者の望んでいるのはどういうことなのかという意見交換をする場が必要ではないかと。自由料金になったのだから外すことになっているというのも分かるのですが、そのことすらもきちんと認識していないので、そこを認識するような場が必要ではないかと思うのです。それをここに書くかどうかはまたちょっと違うかなということですね。

○古城座長 その前のお話なのですけれども、もともと規制緩和して自由化するといったら、いいこともあるかもしれないけれども、悪いこともあるかもしれないというのは分かっていたわけですね。選択の自由があって競争によって料金も下がるから、多分いいことが多いだろうというので消費者団体も含めて賛成しているわけですね。しかし、悪いこともあって、その弊害のために補完措置として経過措置料金を残してほしいとなっているわけで、今、やるのだとしたら、経過措置料金を外さないでくれとか手続についてということを言うのでしたら、こういう問題があるから残してください、慎重にやってくださいというように言わないと舞台と合わない。消費者が知らないのだから慎重にやってくださいよという話だと蒸し返しになってしまう。元に戻ってしまうということではないのでしょうか。

○小浦委員 座長のおっしゃることはよく分かるのですけれども、蒸し返すのは本当によくないと思うのですが、逆に質問しておかしいのですけれども、消費者にきちんとこの状況を説明するのはまた違う舞台でということでしょうか。

○古城座長 今、監視委員会で競争条件などという研究会があって、説明がありましたけれども、あそこの議論は競争条件が整って既存事業者の値上げ能力が市場の制約によってないときに解除するという話をしているわけでしょう。そして、消費者から言うと、その議論自体は認めているのだと。消費者委員会の今の書きぶりでは、それは認めるわけで、競争条件が整っているか整っていないかというところでの議論をしましょうということではないでしょうか。

○小浦委員 同じように理解しているつもりです。

○古城座長 具体的なことを言わないと、せっかく消費者委員会でこういう議論をしても、そういう抽象論では余り役に立ちませんよと言われてしまうと思うのです。そういう舞台の中に乗るように消費者委員会もいろいろな意見を言いたいのではないでしょうか。

○小浦委員 だから、もっとはっきりと具体的なものを何か出さないとということですね。

○古城座長 具体的な話を書きたいということなのですが。

○小浦委員 分かりました。

○古城座長 長田委員、どうぞ。

○消費者委員会長田委員 ここのところは、最後の「また」以降のところに消費者の議論への参画とか消費者からの意見の聴取の機会確保が不可欠と書いてあるわけですね。その部分がより幅広くということを多分小浦委員はおっしゃりたかったのかなと。つまり、まだまだ全体の認知度が低い中で、よりここがとても大切でより幅広くということをおっしゃりたいのかなと私は思いました。

○古城座長 陶山委員、どうぞ。

○陶山委員 小浦委員の気持ちはよく伝わってきます。長田委員がおっしゃったことと、これは書き出しが経済産業省においてはとあるのですが、消費者庁としても電力システム改革自体への理解を進めていく活動をしていくとか、その中で小浦委員がおっしゃったように意見交換できるような場を持つなどというのは、どちらかといえば消費者庁のほうに積極的に担っていただければ進むのではないかと思います。誰がやるかということで、また別に切り口を変えて書くことはできるのではないかと思います。

ここの解除についての検討なのですが、今回のヒアリングの中で電力中央研究所からイギリスの状況を報告いただきまして、先行しているイギリスとしては再規制という状況も起きてきているという報告をいただきました。この中で解除前に競争が十分に行われているか、解除後もその競争が持続的であり不可逆性が確保されているかという、この検証をもって解除したとしても、もしまた独占的な市場支配されるような状況が起きたときには再検討することも含めて検討していただきたいということをこの中に含んでいただきたい。そのためには、監視等委員会の権限の拡大とか強化にも少し触れていいのではないかと思っています。草薙先生のところでは、8条委員会から3条委員会への格上げということで御提起がありました。そういったことはなかなか私にはすぐにできることなのかどうか分かりませんが、非常に監視等委員会の役割等は重要であるということは誰にも見えておりますので、その権限の拡大、強化というのもこの中に書き起こしていただいて、なおかつそこへの消費者の参画ということも加えていただきたいと思います。

○古城座長 松村委員、どうぞ。

○松村委員 元に戻ってしまって申し訳ないのですけれども、再エネ重視だとかという発言が相次いでいるわけですが、考えていただきたいのは、そもそもこの報告書のタイトルは何なのかということ。電力・ガス小売自由化に関する現状と課題について何か文書を出すわけです。そうすると、例えば再エネを推進すべきだ、再エネの比率がこれぐらい、あるいはもっと多くあるべきだという議論は、自由化していなくて地域独占に守られている制度だったとしても必要なことで、そういう類いの話と今回この表題で出すものの中で議論すべきことはしゅんべつすべき。国民が再エネに関して期待を持っていることは決して否定はしないけれども、それが今回の文書にそういう直接関係ない議論を全部入れて、結果的に焦点の絞れないものにしてしまっていいのか。ここで議論すべきかどうかはまず考えていただきたい。

次に、仮にこのシステム改革に関連することだったとしても、例えばネットワーク部門が中立でなければならない、それが競争に悪影響を与えてはいけないというのは当然のこととして認識されている。しかし、当然のことではあるけれども、具体的にこういう弊害が起こっているということがあったとすれば、ここで競争基盤整備のためにと書き込むのはいいと思うのですけれども、すごく抽象的にネットワークのことを書き込んでもしようがないのではないか。抽象的に中立性が必要だと言っても、それはここで書かなくても当然のこととして認識されているから。

ここでは具体的に少し書いてあるのですが、例えば新規参入の発電事業者がアクセスするときの電源線だとか、あるいは基幹送電線増強のための特定負担に関して透明性が必要という点は具体的に書いてあるし、こういう具体的な問題があるときにそれを書き込むのはいいと思うのですが、それ以上抽象的なレベルで書いても、もう原理としては確立していることなので、意味が無い。

さらに、発送電分離で所有権分離だとかということ、思いは分かります。私も同意見ではあるのですが、さんざん議論した結果として法的分離を選択し、本当に具体的に中立性に対して疑義や問題などが出てきたらこれで対応すると主張することはいいと思うのだけれども、まだ法的分離がなされていない段階で、具体的な問題を一つも指摘しないで、所有権分離も検討してほしいと書いても、黙殺されることになるだけではなく、そこだけではなくて全体を黙殺されることにつながりかねない。そのように議論を拡散させないで、今回の案の程度にコンパクトに具体的に、でも、どうしても言わなければいけないことをきちんと書くスタイルのほうが、私はいいと思いました。

以上です。

○古城座長 古賀委員、どうぞ。

○古賀委員 9ページの都市ガスの「②競争条件の整備」のところなのですが、余り調査会で議論のなかったマンション一括受ガスの問題が出てきているのですが、事務局でこちらのほうの意図を少し説明いただけたらと思います。

このマンション一括受ガス契約が解禁されると、既存のマンション一括受電事業者などの都市ガス市場の参入が期待されるという意見があるというところなのですけれども、確かにガスの分野で競争が余り進んでいないのでこういう考え方があるのかと思うのですが、むしろ一括受ガスなどの解禁があると既存の都市ガスの独占がより進むようにも感じてしまうのですけれども、消費者利益の擁護からの慎重な検討はどういう意図で入れていただいたのか御説明ください。

○丸山参事官 受ガスの話につきましては、草薙先生にお越しいただいたときに草薙先生からお話がございました。こちらについても一つの課題ではないかということで、問題提起があったのではないかということで認識しております。

消費者利益の擁護ということでございますけれども、もちろん電力の一括受電のお話の選択と制約の面もございますが、受ガスの問題の大きな点につきましては、保安上の問題がございますので、それを許すと消費者に安全面で不利益を及ぼすのではないかという議論もあって、こちらのほうについて書いてはどうかということで提案させていただいたものです。

○古賀委員 そういう意味だとは思うのですけれども、競争条件を整備するという項目の中にこれが入っているのに違和感があったので申し上げました。

○丸山参事官 受ガスによって一定程度新規参入が期待されるということは言われておりますので、そういうことも勘案するとこちらのほうで記述してはどうかということですけれども、最終的には検討は必要であるということで、ここのところの記述ぶりにはなっています。

○古賀委員 もう一点、10ページのLP市場の適正性確保のところなのですが、最後の3行目「都市ガス市場にもLPガス市場での消費者にとって不利な商慣行が拡大する懸念も指摘されることから」というのは全くそのとおりだと思うのですが、ここに入れるのに違和感があります。確かにLPガス市場でのいろいろな問題点というのは消費者の間でも長年にわたりいろいろなことが指摘されて、少しずつ改善はされているのですけれども、ここの自由化の現状の中で、LPガス市場の商慣行が都市ガス市場にも広がるというような記述はしないほうがいいのではないかなと思いましたので、御検討いただければと思います。

○古城座長 どうぞ。

○丸山参事官 検討したいと思いますけれども、事務局の意図としては、LPのことにつきましては、LP市場の問題自体はあるのですけれども、都市ガスのほうが自由化されたということで料金設定が自由になるということで、例えば都市ガス事業者とLP事業者が同じ事業者として両方のものを営業しているということもあり、そういった経営的な手法ですとか慣行のものについて、同じような手法で都市ガスのところでという指摘も聞かれているということもありますのでということで記述ぶりをしているということです。もし必要であれば委員会でも議論していただき、その上でこちらの記述ぶりについて何らかの形で修正が必要であれば対応したいと思います。

○古城座長 古賀委員の意見は、これを外せということ。

○古賀委員 外すか、もしくはもう少し丁寧に書いたほうがいいのかと思ったのです。

○古城座長 丁寧に書くというのはどういうことですか。

○古賀委員 今、丸山参事官がおっしゃったようなことを少し分かりやすく書いていただいたほうがいいかなと。いわゆるあしき慣行に順化されていくよという書き方になっているので、むしろこの自由化をきっかけにLPガスも適正化が進んでいるけれども、曲がりなりにもこのような不利な商慣行が両方やっている事業者においてないような監視も必要であるという書きぶりにしていただければと。

○古城座長 井手座長代理、どうぞ。

○井手座長代理 7ページなのですけれども、電力分野について地域格差というところです。これはどの水準で電力料金を比較するかというのがあると思うのですけれども、例えば30Aで250kWhでやると、今のところ北海道電力が一番高くて、その次に沖縄電力が高いわけですね。一番低いのは九州電力、その次に低いのが北陸ですか。それから中部電力で、ここに書いてある中国と四国というのは必ずしも安くなくて、どのレベルで電気の使用量を見るかによるのですけれども、5番目、6番目なのです。したがって、規制料金水準が他の地域よりも低いから入ってこないというわけでもなく、沖縄は非常に高いのに全くスイッチングがゼロ。これは料金以外のところに問題があるのだろうと思うし、前回言いましたように、ガスでも京葉ガスでスイッチングがゼロ。では、料金は安いのかというと決して安くはないわけです。だから、そういうところを、こう書くと少しミスリーディングになる可能性があるので、書きぶりを考えていただきたい。沖縄もここに入れておいていただいたほうが、10電力であるのでそのほうがいいのではないかと。沖縄と中国と四国と北陸が、スイッチングが低いと。

○古城座長 松村委員、どうぞ。

○松村委員 今の点、全くごもっともだと思います。ただ、価格に関しては、確かに小売価格も重要なのですけれども、新規参入者は必ず払わなければいけない託送料金があるわけです。仮に価格が高い原因が託送料金だとすると、この差の部分は低くて、だから入りにくいということでもあるので、確かに御指摘のとおりかなり難しい。沖縄と中国と北陸は震災後に値上げしなかった。震災後に大きく構造が変わったところは託送料金ではなく発電部門のところのはずなので、値上げしていなかったところは確かに構造的に入りにくいということはひょっとしたらあるかもしれない。参入に影響を与えるのは料金の絶対水準ではないのかもしれない。

ただ、いずれにせよこの書き方だとミスリーディングだというのは御指摘でよく分かりました。ありがとうございました。

○古城座長 地域格差のところは、沖縄も競争の地域格差はあるのだけれども、規制料金の水準に結び付けるのは無理があるからそこは外すということね。

○井手座長代理 そうです。

○古城座長 どうぞ。

○丸山参事官 少し検討したいと思います。

○古城座長 陶山委員、どうぞ。

○陶山委員 先ほどの系統に対しての私の発言に対して松村先生からいろいろ御指導いただいたことについて、少し意見を述べさせていただきたいと思います。長い年月がかかって非常に緻密な議論を積み重ねてここに至っているのだからという御意見もよく分かりますし、論点を絞り込まなければ意見書として非常に意味をなさないとおっしゃっていることもよく分かります。ただ、いろいろな状況が変化してきている中で、新たな問題意識として持つということは不思議なことではないのではないかと思います。ここに書く書かないは別の問題として、これまでその議論はしてきたからもうそれはしないということではなく、新しい状況に応じて劇的に変わってきていますので、それがために経済産業省の中でも委員会が立ち上がっているとは理解していますが、消費者としてはいろいろな問題提起はこれからもしていったほうがいいのではないかとは思います。

○松村委員 長い議論をしたから言うなということではなくて、劇的に状況が変化した結果として、具体的にこういう問題があるから、だから、所有権分離も議論しなければいけないと言わないと説得力がないと言っただけで、具体的な問題を指摘した上でなお、議論するなと言ったわけではない。

○古城座長 ほか、いかがでしょうか。

10ページの「③隣接市場であるLP市場の適正性確保」のところで意見がありましたけれども、最後の行の「消費者に対する適切な説明を確保するため、ガス事業者及び賃貸事業者への働きかけを関係省庁が協力して行っていくことが重要である」と。ここで具体的に挙げているのは、宅内設備をプロパン事業者が整備して提供している。したがって、賃貸住宅を借りた人はそのLP事業者と契約せざるを得なくて、かつそのときにLPの料金と同時に設備料金も払わされるということになっている。それを借りるときに十分認識せずに借りてしまうということが起きるので何とかしなければいけない。方法の一つは、LP事業者が宅内設備の提供をすることをやめさせるというやり方ですけれども、もう一つのやり方は、それはそれなりに認めて、最後の段階で大家が貸すときに、ちゃんとうちは宅内設備もついているからLPを使わなければいけないし、設備料もありますということを説明してもらうというのが第2の方法ですね。ここでは第1と第2で、第2を採っているわけですか。

○丸山参事官 いわゆる消費者についても転嫁というか、そういった形でサービスを受けることについては一定の利益があるかと思っております。ただ、消費者に対してそういうことが十分に説明されずに不意打ち的に料金という形で請求されるということについては重大な問題があるということで認識しているので、こういった書き方にしているということです。

○古城座長 ヒアリングですと、経済産業省の資源エネルギー庁の担当の人は、そういう問題があるのは分かっていますけれども、大家は我々の権限が及ばないところなので、必要なのは分かるのですが、我々はやれないのですという話だった。もしやるとしたら、国土交通省がやらなければいけない話なわけですね。

○丸山参事官 賃貸事業者についての行政分野の所管としては、当然国土交通省になります。

○古城座長 そうしたら、今までの検討ですと、ここは我々も内容的には国土交通省にそういうことをやってもらいたいという意見なのでしょう。

○丸山参事官 事務局の認識としてはそう思っております。

○古城座長 そうしたら、ここは「関係省庁」ではなくて「国土交通省」と書いたほうがいいと思うのです。消費者委員会の意見としては、こういう問題があって、この問題は国土交通省がやらなければいけない問題だからやってくださいというのが当方の見解ですよということを述べたほうがいいのではないでしょうか。

○丸山参事官 検討したいと思います。

○山内委員 質問で、取引問題として消費者庁は何らかの形で関わることはできないのですか。

○古城座長 どうですか。

○丸山参事官 通常のいわゆる行政規制の面としては難しいとは思います。いわゆる民事ルールとしての消費者契約法とかといった部分についてはゼロではない可能性はあるかと思いますけれども、通常の消費者庁で所管しているような、例えば特定商取引法などについて、訪問販売とかという販売形態の問題であれば可能性はあると思いますけれども、この件についてということで正面から扱うようなものについては、消費者庁の全ての法律をあれしているのではないので最終的ではないですが、こちらの知識の範囲ではなかなか難しいのではないかと思っています。

○古城座長 それは賃貸借契約をするときの重要条件だから、ちゃんとそれを表示して、不当表示系でやることは理論上は考えられますけれども、立て付けから言うと、不動産取引というのは売買のときは当然重要事項として説明した上でやってくださいよということになりますから、重要事項という考え方から言うと、賃貸のときも当然よく分かって契約するために賃貸借契約のときにちゃんと説明してくださいよという格好で持っていくのが一番自然ではありますけれどもね。

○山内委員 だったら「関係省庁」ではないですか。国土交通省だけの話ではないのではないかと。

○古城座長 どうぞ。

○丸山参事官 一部、宅建業法は共管の部分が消費者庁にはございますけれども、具体的な条文のところでどこが共管になっているのかは確認する必要がありますので、そこは確認したいと思います。

○古城座長 古賀委員、どうぞ。

○古賀委員 よく標準賃貸契約約款みたいなものを国土交通省のほうで何度も改訂していますね。拘束力は弱いかもしれないのですけれども、ああいう中に入れるようなことも含めると、もちろん消費者契約法とか、いろいろな点でやれるとは思うのですけれども、ここは国土交通省でいいのではないかと思うのです。

○山内委員 国土交通省でもいいのですけれども、消費者庁が関わるのだったら「関係省庁」と書いたほうが含まれるのではないかというだけの話です。

○古賀委員 「関係省庁」だと曖昧になってしまうので、具体性を出せるのでしたら。

○陶山委員 具体的に2つ書くとか。

○古城座長 それは検討させていただきます。

あとはいかがでしょうか。

井手座長代理、どうぞ。

○井手座長代理 ガスも電気も、ここで議論はしていないのですけれども、託送料金というものがあって、これは前回の東京電力の料金プランのときにもありましたが、関西や中部で非常に安い料金を提供している、なぜ関東でできないかというと、託送料金の問題ですと東京電力の人がお答えされた。それは託送料金が地域でかなり格差があるという、全体として問題であるというのだったら、どこかに電気とガスの託送料金について見直すとかという一文を入れておいたほうが。ここで議論していないので、それは判断に任せます。

○古城座長 あとはいかがでしょうか。

古賀委員、どうぞ。

○古賀委員 今の井手座長代理の御意見は、項目的には競争条件の中に入れるということですか。

○井手座長代理 そうです。

○古城座長 では、他にございませんでしょうか。

古賀委員、どうぞ。

○古賀委員 3ページに「④消費者相談への対応、相談対応への体制整備」とあるのですが、最後のところの国民生活センターと監視等委員会が相談事例の紹介や注意喚起を連名で定期的に公表しているということを入れていただいているのですが、今後消費者庁もこういうことがあるということを情報提供するようなことをどこかでやっていただければと思ったのです。今回の提言も含めて、普通の消費者はこういうところでそういう情報があるというのを知らないので、消費者庁でもこういう情報があるので皆さん見てくださいみたいなことをやっていただけたらと。これは要望です。

○消費者庁澤井消費者調査課長 それはどういった形で出すということなのでしょうか。

○古賀委員 ホームページでも何でもいいのですけれども、こういう情報提供があるということを消費者庁からも一度出していただくと、以前チラシを出していただいたと思うのですが、定期的に国民生活センターと監視等委員会がやっているということを書いてあるだけなので、2年目の検証も含めてもう一歩踏み込んで何かアクションしていただけないかと思ったのです。

○消費者庁澤井消費者調査課長 例えば国センと電力・ガス取引監視等委員会が定期的に出しているものを、ちょっと分からないのですけれども、うちのほうでも更にそうしたものの情報提供を行うといった形の話とか。

○古賀委員 連携してということができないかと。

○消費者庁澤井消費者調査課長 何ができるのか考えてみます。

○古賀委員 リコール情報とかいろいろないい情報を出されているので、そういった形で消費者電力・ガス相談情報みたいなものを出していただくと一般の人には分かりやすいかなと思ったのです。

○古城座長 できるかどうかも含めて検討していただくということで。

他によろしいでしょうか。

それでは、本日はいろいろな有用な御意見を伺いまして、ありがとうございました。最終的な専門調査会の意見案としては、本日皆さんからいただいた御意見を踏まえ修正することにいたします。修正の仕方につきましては、私に御一任いただいてよろしいでしょうか。

それでは、私のほうで原案を修正した上で消費者委員会の本会議に報告することにいたします。


≪3.閉会≫

○古城座長 その他、事務局から連絡事項はございますか。

○丸山参事官 次回の会合につきましては、確定次第、御連絡をさせていただきます。

○古城座長 それでは、本日はこれにて閉会とさせていただきます。

お忙しいところをお集まりいただきまして、ありがとうございました。

(以上)