第44回 公共料金等専門調査会 議事録

日時

2018年4月20日(金)9:59~11:56

場所

消費者委員会会議室

出席者

【専門委員】
井手座長代理、小浦委員、古賀委員、白山委員、陶山委員
【消費者委員会担当委員】
長田委員、蟹瀬委員
【説明者】
草薙真一 兵庫県立大学経済学部教授
【消費者庁】
澤井消費者調査課長
【事務局】
黒木事務局長、福島審議官、丸山参事官

議事次第

  1. 開会
  2. 電力・ガスの制度改革の現状に関する有識者ヒアリング
  3. 閉会

配布資料 (資料は全てPDF形式となります。)

≪1.開会≫

○丸山参事官 それでは、定刻になりましたので、会議を始めさせていただきたいと思います。

本日は、皆様お忙しい中お集まりいただき、ありがとうございます。ただいまから「消費者委員会第44回公共料金等専門調査会」を開催いたします。

本日は、古城座長が所用のため欠席となっております。また、松村委員、山内委員も欠席となっております。

議事に入ります前に、配付資料の確認をさせていただきます。お手元の議事次第下部に配付資料一覧を記載してございます。不足がございましたら、事務局までお知らせください。

なお、本日の会議につきましては公開で行います。議事録についても後日公開することといたします。

それでは、井手座長代理、以後の議事進行をよろしくお願いいたします。


≪2.電力・ガス制度改革の現状に関する有識者ヒアリング≫

○井手座長代理 それでは、議事に入らせていただきます。

本日は、議事次第にありますように、「電力・ガス制度改革の現状に関する有識者ヒアリング」です。

本日は、再び、兵庫県立大学の経済学部長であります草薙真一先生においでいただいております。

御承知のとおり、今日も電気とガスのお話をしていただくわけですけれども、電気については2016年、ガスについては2017年に自由化をして、新規の参入者というのはそれなりに増加傾向にあるという状態であります。ただ、課題もあるということで、本日はそういった市場における課題対応に向けた制度改革の現状について、有識者の視点からお話をしていただきたいと思います。

それでは、草薙先生、御説明をお願いいたします。45分程度でお願いいたします。

○兵庫県立大学経済学部草薙教授 草薙でございます。このような貴重なお時間をいただきまして、本当にありがとうございます。どうぞよろしくお願いいたします。

お手元の資料を御覧くださいませ。資料がやや大部になっておりまして、90ページございます。右下にページ番号を振ってございますので、この番号によりまして説明をさせていただきます。よろしくお願いいたします。

本日のタイトルを「電力・ガスの制度改革における現状分析」とさせていただきました。

2ページ、趣旨でございます。まず、昨年の1月25日にこの場で申し述べさせていただきました内容のフォローアップをさせていただくという趣旨でございます。そのときはガスに特化したものでございましたが、本日は電力小売全面自由化及びガス小売全面自由化についての現状分析をさせていただくということでございます。この趣旨から、ガス小売全面自由化に重きを置くということとさせていただきます。

内容は、御覧のとおり、7本立てとさせていただいております。

3ページ、電力小売全面自由化の進展状況から御説明申し上げます。

4ページ、新電力のシェアを推移にしてございます。電力は2016年4月に小売全面自由化になっておりますけれども、御覧のような形で、青色が全体でございますが、順調に伸びているということでございます。全販売電力量に占める新電力のシェアは、2017年11月時点では約12%、もう既に13%に達しているというのが最新の情報でございます。

電圧別で見ますと、特別高圧・高圧分野は月単位で変動しながら上昇を続け、直近では約15%で、低圧分野は一貫して伸び続け、約7%という形で分類することも可能でございます。

5ページは、低圧分野のスイッチングの状況であります。2017年4月以降の低圧分野のスイッチングを見ていくことができます。2017年11月末時点での新電力への契約先の切替え、すなわちスイッチングは約8.2%で、514万件となります。みなし小売電気事業者の自社内の契約の切替件数、これは規制料金から自由料金に変えるということでございますけれども、これが5.4%、336万件ということになりまして、合わせて13.6%、849万件となります。

どの地域でスイッチが多く行われているかといいますと、東京で11.7%、関西で10.9%ということで、非常に多くなっているということであります。一方、中国地方の2.0%、北陸地方の2.5%は低調であるということになります。

6ページ、地域別の特高・高圧分野の新電力ではどうかということでございます。これは、もともと競争をしているというところでございますけれども、もちろん大都会で非常に多いということは言えます。

ただ、特徴といたしまして、まず高圧分野におけるシェアの上昇が大きい。そして、多くの地域で全面自由化直後に比べて2~3倍になっているということ。そして、地域別では北海道と関西におけるシェアの上昇が大きくて、2017年春以降、高圧分野においては25%から30%で推移してございます。

7ページ、小売電気事業者の登録数と販売規模の推移でございます。御覧のような形で、2016年11月、2017年5月、11月という形で、円グラフで示しております。登録されております小売電気事業者数は着実に増加してございまして、本年3月8日時点で464者、販売電力量の規模別に分類しますと、月間販売量が1,000万kWh以上の事業者の比率は2016年11月と2017年11月で共に16%で変わらない一方で、100万から1,000万kWhの事業者の比率は25%から36%に大幅な上昇を見せております。

8ページ、次は低圧電灯の部分でございます。新電力の料金メニューの動向の中でも低圧電灯に注目いたします。供給事業者数が増加してまいりますと、創意工夫によって需要家が選択できる料金メニューはどんどん増えております。料金メニューの大半は基本料金と従量料金で2部料金の構成を採っております一方で、定額料金制を取り入れるものも出てきております。燃料費調整のないメニューというのは限られております。

9ページ、新電力の料金メニューの推移の低圧電灯の2枚目のスライドとなります。新電力の料金メニューのうち、ガス・通信等のセット販売は3割弱でございます。契約期間中に解約した場合に違約金を払うという料金メニューは全体の36%に及んでおります。そのうち7割は契約期間が1年でございます。違約金付きの料金メニューのうち3割は、契約期間が2年あるいは3年となっております。

10ページ、規制料金と新電力料金の一口当たりの使用電力量を低圧電灯で見たグラフでございます。赤い点と青い点を比較していただきますと、規制料金よりも新電力の自由料金を選択している方の使用量は多いということが特徴付けられます。御覧のような形で、もう明確に違っているということが言えます。そして、新電力上位20者を業種別に見てまいりますと、それぞれの需要家の電力使用量を比較するわけですけれども、電力が最も大きくなりまして、次いで石油・ガス、それから通信となっていることが分かります。

11ページ、JEPX、日本卸電力取引所の取引状況でございますが、順調に伸びているということが言えます。取引価格のほうも、今年の1月下旬から2月上旬について見ますと、取引価格は高騰しました。時間帯によっては50円/kWhというような場面もありましたけれども、足元では10円から15円/kWhで落ちついているということでございます。

続きまして、2つ目の項目に参ります。12ページ、「電力小売全面自由化の評価」ということで、直近の競争基盤整備の議論はどのようなものがあるのかということでございます。

13ページ、まず評価としまして、登録している小売電気事業者の数は、2018年3月8日時点で464者でございました。全販売電力量に占める新電力のシェアも増加傾向でございまして、先ほど御説明しましたとおりでございます。このことによりまして、需要家の選択肢はどんどん増加していると言えます。

一方で、電力特有の事情であります、他のエネルギーとの競合がない。ガスなんかと大分違うというわけでございます。どなたも電気は必要ということでございます。したがって、電気を売ることに、他の財に切り替えられるという心配はないこととか、ベースロード電源の独占性、すなわち原子力とか水力、しかも大規模水力といったようなものは、新規参入者は作れませんので、ベースロード電源がそういったもので占められるとするならば、ベースロード電源は独占されているということになってしまいます。そういったことを踏まえますと、更なる消費者の選択肢拡大・料金抑制のために、このようなものを考えて競争基盤を整備していきたいということでございます。

14ページ、ベースロード電源市場の概要でございます。先ほど申しましたように、安いと言われておりますベースロード電源、石炭火力とか大型水力とか原子力といったものの多くは、大手の電力会社が保有・長期契約をしているわけでございまして、新電力がアクセスすることは困難であります。そのことが卸市場の活性化の障壁の一つとなっております。

このため、大手電力に対しまして、自分の持っているベースロード電源の卸供給料金と比較して不当に高くない水準の価格でベースロード電源を市場に供出することを求めまして、新電力にベースロード電源へのアクセス機会を付与するベースロード電源市場を2019年をめどに創設することになっています。ベースロード電源市場にアクセスすることでもって、電源を持っていない新規参入者もそこで安価な電気を買うことによって競争に参画できるということが目指されているわけであります。

15ページ、近時の競争基盤整備議論の進展ということで、1つ目のポツですが、電力は一次エネルギーであるガスと異なり、様々な電源をもとに発電が行われている。2つ目のポツで、ベースロード電源については、旧一般電気事業者と旧卸電気事業者が大宗を保有している。原子力に関しましては100%であります。そして、これらの電源は新電力には複製不可能、つまり自分たちで作ることはできません。ということで、ベースロード電源市場に寄せられる期待は非常に高まっている状況でございます。

しかしながら、現在の市場設計では供出・購入量・供出価格など、様々な観点から実質的な競争基盤整備につながらないという懸念がございます。本来は、全てのベースロード電源が市場に供出されるのが望ましいと思われます。それができないならば、少なくともしっかりと旧一電の市場への電力供出、いわゆるタマ出しというものを監視していく必要があると思われます。

16ページ、電気をスイッチするということにつきまして、もちろん小売の営業部門が働いていかれるわけですけれども、一旦スイッチの意思表示をしたものに対して、それを思いとどまらせるような営業もなされている現実がございます。16ページの業務フローを見ていただきますと、真ん中辺り、現小売による取り戻し営業、主には旧一般電気事業者が小売部門でやっておられることであります。新電力がお客様を取ろうとしても、実際、スイッチの流れの中で、思いとどまりませんかという営業をかけるということでございます。

これにつきましての法的解釈でありますが、17ページを御覧ください。国の審議会のほうでも、まず1つ目ですが、電気のスイッチングプロセスで取戻し営業についての指摘がございまして、電力・ガス取引監視等委員会の制度設計専門会合で議論がありました。そもそも消費者がスイッチしたいと意思表示をすると、そこで契約は成立するのだと。民法の意思主義を原則どおり捉えれば、そのようなことになるのではないかというわけでありますけれども、事業者によっては、そうではない、もっと後ろのほうで契約は成立するので、契約が成立するまではむしろ値下げ競争をどんどんしてもらえばいいのだ、こういう考え方が成立するかもしれませんということでございます。したがいまして、取戻し営業自体を悪と見る必要はないのだろうと思われます。

これは法的解釈で解決する問題でございまして、合理的な契約成立の時期を明示する制度設計によって契約成立時点からスイッチング完了時点までは一旦取戻し営業ができないようにしてはいかがかと。そのようにして、イコールフッティングを目指すべきということでございます。仮に内外不一致の非対称な運用があるのであれば、これは新規参入者にとって著しく不利益でありまして、不適切となります。

18ページ、経過措置料金規制の解除の問題であります。「規制なき独占」に陥ることを防ぐための消費者保護措置として、旧一般電気事業者に経過措置料金規制が課されております。小売全面自由化は、競争を通じて低廉な料金水準の実現を目指しております。この規制は早期に解除されることが望ましいと思われます。すなわち、経過措置料金は読んで字のごとく暫定規制であります。一方で、解除に当たっては「規制なき独占」が起こり得ないということは確認することが大前提であります。

そこで、地域別の電力市場で、解除前に競争が十分に起こっているか、解除後もその競争が持続的であり、独占市場への不可逆性が担保されているかということをちゃんと評価すべきとあります。ただ、電気というのは、2016年4月のときの状況というのを思い返していただく必要がございます。あのとき、ガスと違うのは、電気は基本的に当時シェア100%で家庭用をやっておられるということでありました。その特殊性というものをちゃんと留意する必要がある。そして、当然ながら、前述のベースロード電源のイコールアクセスというもの、そして不適切な行為の是正といった競争基盤整備も大前提となります。

続きまして、19ページ、「3.ガス小売全面自由化の概要とその背景」であります。ガスの部分に入ってまいります。

20ページ、ガス小売全面自由化はどのように行われてきたかということを御覧ください。平成7年に独占に風穴が空いたということで、自由化部門が創設されました。それからどんどん自由化部門が広がってまいりまして、昨年4月1日についに全面自由化となったわけであります。

21ページ、都市ガス販売量を2007年度からずっと見てまいります。国としては天然ガスシフトという掛け声の下で天然ガスに力を入れておられますけれども、全体を見ましたら都市ガス販売量はそれほど大きく増えているわけではないことがお分かりいただけます。

22ページ、その一方で都市ガスの契約件数は増加している。需要量がそれほど増えていないのに契約件数がどんどん増えているということになりますと、どんどんでもございませんが、着実に増えているというふうに見てとれますのは、結局のところ、家庭用は増えているということを意味するわけでありまして、それを如実に表しているのがこの棒グラフになります。

23ページ、ガスシステム改革がどういうものであるのかというものを示しております。現在、平成30年、2018年でありますけれども、ちょうど1年前、平成29年4月1日にガスの小売全面自由化がなされまして、料金規制の撤廃が目指されている。ただし、大手3社など9社に限っては経過措置料金規制がかかっております。電力につきましては、平成32年、2020年4月1日をもって送配電部門が法的分離されます。2022年4月1日をもって東京ガス、大阪ガス、東邦ガスの導管部門の法的分離がなされます。

こういったことをちゃんと動くように監視委員会というものを創設しました。電力取引監視等委員会ということになっていますけれども、今は電力・ガス取引監視等委員会になっております。

24ページ、そのようなシステム改革の思想というのは何なのかということですけれども、消費者にとって選択肢が拡大する。しかし、料金が非常に抑制されていくということが理想だということであります。

そこで、目的を3つまとめました。需要家の選択肢や事業者の事業機会は拡大、料金を最大限抑制、安定供給の確保でございます。そのようにしてエネルギー産業の産業競争力を強化して、国際展開を通じて海外市場の開拓・獲得をも目指すということであります。

25ページ、電気と都市ガスのサプライチェーンのイメージがどうであるのかということであります。最終需要家の「選ぶ」というところを右に持ってまいりますと、「創る」、「送る」、「売る」という部分で適切な対応を施し、選択肢を増やす。そして、事業機会を拡大することが目指されるわけでございます。

26ページ、「売る」という部分に着目しまして、小売の各社がどのようなことをされているのかということを示しております。

27ページを御覧いただきますと、エネルギーシステムの一体改革ということで、一体で総合エネルギー市場を創出すべきということが目指されているということであります。電力会社は電力のみ、ガス会社はガスのみ、熱供給事業者は熱供給だけすればよいという時代ではなくて、相互が相乱れる、そしてIT産業、自動車産業、石油産業、LPガス、こういったところも入っていって、そして消費者にアプローチしていくことが正しいのだろうということでございます。

28ページ、ガス事業類型の見直しということで、ガス事業というのはシンプルになったと言われます。左の状態が従来のガス事業類型でありましたが、昨年4月をもって小売全面自由化をして御覧のようなシンプルなものになったと言えます。LNG基地事業というのが届け出制であると。

この趣旨は、これは競争財でございますけれども、届出制ということでどんどん作ってごらんなさいという背景がございます。そして、ガス小売事業は登録でよろしいということでございます。このような事業区分の下で、それぞれ必要な規制を課していけばよいということになります。

29ページ、公正かつ有効な競争の確保のためにガイドラインというものを作っております。まず、ガスの小売営業に関するガイドラインということで、これは新設でございます。ガスの小売全面自由化に際して必要なものとして作られたガイドラインであります。

下の赤色の『適正なガス取引についての指針』、こちらは従来からありましたが、都市ガス小売全面自由化に際して改定をした。より競争志向的なものになったということが言えます。

続きまして、30ページ、「4.ガス小売全面自由化の制度設計の特徴」に入らせていただきます。具体的に見てまいります。

31ページ、ガスサプライチェーンから見た制度設計でございます。先ほど御案内しましたようなサプライチェーンがございますけれども、調達・製造から、託送供給、小売に至るまで、制度設計をいたしました。日本はほぼ外国からLNGを輸入する国でありますので、調達というのは海外からの輸入に頼るということになります。

その輸入というのは基本的には対等な競争をしていくということで、安くて安定的な調達が目指されるということであります。しかし、その中で競争を入れられないかということを真剣に考えなければならないということであります。

それから、製造をしていくというのですが、第三者がLNG基地を利用して都市ガスを作ってもらう。熱量調整をして、付臭をして、都市ガスにしてもらうといったことも競争でやってもらうということであります。

それから、託送供給というのも、作られたガスを一般ガス導管事業者のガス導管を利用する、その利用料を払うことによって供給するという仕組みを作り、そこで競争をしてもらうということ。

そして、小売。ここは営業部門に頑張ってもらって、どんどん需要家に喜んでいただく料金メニューを提示していただく。こんなことになります。

具体的に見てまいります。32ページ、LNG基地というものが非常に競争財としての機能を持っているという面がございます。すなわち、エッセンシャル・ファシリティーというものが若干影をひそめまして、自由に作ってもらう。むしろここは競争だということですが、2つ目のポツを見ていただきますと、LNG基地の建設には多額の投資が必要だということ、そして立地可能地点も限定的ということがあります。ということは、新規参入者が作ることが難しいものということであります。ですから、エッセンシャル・ファシリティーそのものではないとしても、LNG基地の第三者利用は大事ですねということで制度設計がなされているということであります。ただ、なされたのですけれども、実際に利用された例はないという状況でありまして、利用しやすい方向に持っていくべきではないかと今考えられております。

そもそも33ページにございますとおり、LNG基地の第三者利用の位置付けというのは、法令でもガイドラインでも位置付けがしっかりなされており、むしろ第三者利用は誘導されるべきということで認識しております。早くそのような例が現れることが望ましいと思われます。

34ページ、今度はガスパイプラインの託送供給約款でございます。こちらは認可でございまして、料金もぎりぎりと審査されるという認可制となります。そのような形で中立性を確保しまして、そして新規参入者が分け隔てなくガス導管網を使うことができるようにしているということになります。

35ページ、小売全面自由化に当たって新規参入者が例えば倒産した場合に、ガス供給が途絶されるのではないかという心配を解消するために、最終保障供給という制度がございます。すなわち、一般ガス導管事業者がそのような場合には、ガスを供給しますので、消費者はガスの途絶という心配をすることはないということになります。

36ページ、小売の地域独占と料金規制の撤廃の関係でございます。地域独占というものはもうなくなりました。そして、小売料金規制が撤廃されるということですけれども、実際に撤廃されたといっても、新規参入者が現れなければ、やはり独占は続いてしまいます。そういう状況にあって、料金だけを自由に設定してよろしいとなりますと、料金値上げの可能性が出てまいりますので、そこはしっかりと審査して、経過措置料金規制をかけるべきはかけるということになります。

それをどのようにかけるのか。そして、競争が十分に成熟しましたということになりましたら、かけたものを解除する必要がございますので、基準を設けております。それが37ページでございます。

まず、左側にありますのが指定基準、右側にありますのが指定解除基準であります。先月1日に3社がこの指定解除を受けまして、今、指定されているのは9社にとどまっているということで、どんどん経過措置料金規制は外れているというのがガスの世界でございます。すなわち、ガスというのは非常に競争にさらされている分野であるということになります。

38ページ、そのような経過措置料金規制が外れたとしましても、それで事業者がどんどん値上げを始めるということが万が一にもあってはいけません。そこで、事後監視の仕組みが充実しております。事後監視といっても、最初の3年間は極めてぎりぎりと監視しますよというイメージでございます。3年たって不当な値上げも合理的な値上げも一切認められないということが継続するならば、これはもう通常の一般的な市場監視に移せばよろしい。この監視はずっと続いてまいります。もし特別な事後監視をしている間に、合理的でない小売料金の値上げがあったというのであれば、3年間延長してぎりぎりと監視をしていくということになります。

御覧のような形で事後監視の規制をするのですが、特別な事後監視と申しております。(注3)にございますとおり、全てにおいてそれをするかといいますと、そもそもものすごく競争にさらされているということが分かり切っているところにぎりぎりとお金をかけて審査するということはしませんので、いずれのケースにおいても、都市ガス利用率が50%以下である旧一般ガス事業者については対象外でございます。

さて、御覧のような厳しい事後監視をするという前提で、39ページでございますけれども、経過措置料金規制を解除して消費者に悪影響が万が一にも発生することがないように、消費者の立場から監視する機関の権限の強化が目指されるべきであります。そこで、自ら業務改善命令を即時に出すことができるような権限を監視等委員会に与えるといった制度改正が有益ではないかと思われます。これは後ほど詳細を述べます。

なお、40ページのスライドは、経過措置料金規制が課されるのは、原則として最終保障供給義務が課されてない事業者でございます。最終保障供給義務が課されないということ。これは右側でございますけれども、この部分について参考としてお付けしております。

41ページで、ちょっと話題が変わりますが、消費機器保安もガスシステム改革において非常に議論になったところでございます。一番下にございますように、保安義務と責任主体がはっきりと分かれまして、緊急時の対応と内管漏えい検査はガス導管事業者が行います。一方、消費機器の調査とか危険発生防止の周知といったものは、ガス小売事業者が責任主体となります。このように役割分担が明確化しております。

続きまして、42ページ、「5.ガス小売全面自由化における競争の進展状況」でございます。

43ページにございますように、自由化後の小売事業者は少しずつ数が増えております。これまで52社が登録済みで、今回の自由化を機に、越境販売を含め、新たに一般家庭への供給をするものも16社いるということでございます。

44ページ、他社スイッチングの状況でございます。3月1日から2月28日分の切替えを取っているということで、若干不規則でございますけれども、参考にしていただけると思います。地域別に見ますと、近畿が最多でございまして、最近は関東で伸びてきていることがお分かりいただけます。

他社スイッチングが注目を浴びるわけですけれども、自社内で規制料金から自由料金に変えてもらうという自社スイッチングを努力している事業者もいらっしゃいます。御覧のような状況になっております。101万件ということで、100万件を超えております。

46ページ、新規参入があるかないかで販売量の規模感が分かるというお話でございます。やはり競争が激しくて、参入が行われている、ライバルで競い合っているというところは、販売量ベースで見ますと78%に達するということであります。

47ページ、新規参入者の販売量と販売件数ということで、家庭用分野と非家庭用分野に分けてございます。新規参入者はたくさん売りたいという思いがございますので、販売量は増えているということがございます。

48ページ、販売量で見た新規小売の進展状況でございます。全需要種において新規小売の販売量が全体に占める割合は、2017年11月断面で11.2%であります。今回、自由化された小口部門の主な需要先は家庭用でございますが、1.8%であります。多くないなというイメージかもしれませんが、ここを伸ばしていくということで、件数は伸びているということは言えます。

49ページ、地域別で見ました進展状況で、販売量・販売単価を見ております。2007年4月の自由化の当初の部分から11月までを取っているということであります。契約当たりの販売量が小さい地域は販売単価が高い傾向にあるということになります。これはガスの特徴でございまして、このようなことが見てとれます。

50ページ、電力市場と見たときにどうなのかということであります。販売量で見ますけれども、小売全面自由化の開始時点、1年ずれがありますけれども、当初の部分から5カ月を見ております。このような形で、全需要種計で新規小売が占める販売量の割合はガスのほうが高い。ガスはどうしてもそのような形になっていくということであります。家庭用については、電力のほうが高いということが分かります。

51ページ、経過措置料金規制解除の進展状況ということで、先ほども若干申しましたが、先月1日、3社の経過措置料金規制が外れております。

52ページ、関東地方でどのような小売全面自由化の動きがあったのかということであります。昨年8月のことでございますけれども、東京電力エナジーパートナーとニチガスが50%ずつ出資しまして、東京エナジーアライアンスというものを設立したということであります。これをプラットホームにしまして、多くの新規参入者に情報提供とか技術支援、こういったことをやりたいということを言っておりました。

同じ日に審議会で出てまいりました53ページの図でございますけれども、大阪ガスが東京進出をしたということで話題になったものでございます。大阪ガスの立場としては、東京電力の側にガスの競争に資する技術支援という立場で入っていったということであります。

54ページ、その後、大阪ガスは中部電力とCDエナジーダイレクト社を設立しております。出資比率は50%、50%ということで、今月2日に設立されました。こちらのほうは、技術支援というよりは、本格的に小売で東京、関東地方に挑戦をしていくということを明確にされております。電気もガスも販売されるということになります。

一方、東京電力とニチガスの部分ですけれども、同じ日に審議会に出された資料でございますが、御覧のような形で進展している。40社程度から東京エナジーアライアンスに相談があって、新電力、LPG、石油といったところが相談しているということが明らかになっております。実際に東京エナジーアライアンスを活用してのガス小売事業に参入が始まっているということであります。

関東はそのぐらいにいたしまして、56ページと57ページを御覧いただきますと、全国大で見たところのガス事業者のサービス向上に向けた取組がお分かりいただけます。様々な事業者が創意工夫を凝らして料金メニューを提示しているということがお分かりいただけると思います。

58ページ、様々な形で競争に参入しているとおっしゃっておられる事業者の中で、小売ライセンスをされていないという事業者もおられるということでございます。一般に、媒介モデル、取次ぎモデル、代理モデルというものを想定しております。

どういったことが実際に行われているかといいますと、59ページの大阪ガスの例でありますけれども、代理事業者・取次事業者として御覧のような事業者がおられる。媒介事業者はおられないのですが、大阪ガスの場合はそのような形で展開をしておられるということであります。

これらの事業者は、ガス事業法上は需要家への説明義務や書面交付義務を負っております。しかしながら、ガスの供給を行っているのは、59ページの大阪ガスの例ですと大阪ガス自体である。ライセンスを持っているのは大阪ガスであるということは念頭に置いておく必要があります。競争を進展するというときに、どういう競争なのかを見ておく必要があるという意味であります。

60ページ、電気では認められておりませんが、ワンタッチ供給という参入形態もございます。ワンタッチ供給といいますのは、下側ですけれども、卸ガス事業者というものが介在しまして、ガス小売事業者に卸供給をするということでございます。

61ページ、消費者が分かりやすく比較するサイトが最近登場しております。御覧のようなページを見て、我が家はどのようにすれば安くなるのかなと、事業者で比較してみることが容易になってまいりました。

62ページ、「6.ガス小売全面自由化の課題の対策」でございます。

63ページ、まず、小売全面自由化の評価でありますけれども、都市圏のエリアを中心としまして、旧一般電気事業者を始めとする小売事業者の新規参入が進展しております。取次ぎを始めとした様々な参入形態で新規参入をされるということで、創意工夫にあふれる新たな料金メニュー・サービスの提供によって、消費者の選択肢は着実に増加していると言えると思います。

一方で、自由化の進展が活発なエリア以外の消費者は恩恵が少ないのではないか。地域間の格差があります。これらの参入が限定的なエリアを見ておいて、更なる消費者の選択肢拡大・料金抑制のために競争基盤整備をしていく必要があるだろうということでございます。

そこで、64ページを御覧いただきまして、参入が限定的なエリアで参入促進をするにはどうすればいいかということでございます。先ほどサプライチェーンで申しました、調達・製造、託送供給、小売、それぞれについて課題があるだろうということでございます。それぞれ詳しく見てまいりたいと思います。

まず、65ページの調達・製造でございます。LNG基地を介してLNGをまずは調達し、そして都市ガスにしていくということが必要であります。そして、卸売、小売という流れになります。そのような調達ということがなかなか難しいということがあります。そこで、LNG基地を容量20万キロリットル以上のものにつきましては、開放していくということになっております。

66ページ、そのためにはLNG基地が今どのぐらい空いていますよという空き容量を明らかにする必要がありまして、将来的な余力の見通しとか、あるいはLNGは入ったけれども、気化する余力がないとか、付臭をする能力が足りないということになりますと、結局は売れませんから、そういったところもちゃんと見通しを示していただくということがあります。

例えば、毎年7月ごろに年間の配船計画を立てるのであれば、その7月ごろの配船計画の中にきっちりと新規参入者の船も織り込んで、問題なくLNG基地にLNGを入れることができるようにしなければならない。そこをやりやすくする必要があります。

67ページ、LNG基地で導管と接続し、供給地域に持っていけるというものがまだ少ないということであります。表に3つほど「不可」とあります。これは20万キロリットル未満ということで、そもそも開放する必要がないものでございます。また、旧一電の基地はガス導管と接続されていないものも多いものですから、そういったものも制度としてガス導管と接続するように誘導するといったことがあるかもしれません。20万キロリットルというものが数字として大き過ぎるのであれば、小さくするということも対策かもしれません。

68ページ、課題ということで小売です。消費機器、これをガイドラインどおりにやるということであります。消費機器の調査と併せて、一般ガス導管事業者がやるようなこともやれるというようなLPGの意見もあるようでありますが、慎重に見ていく必要があろうかと思います。

69ページのその他の課題でございますけれども、幾つか挙げております。既に業務改善勧告の例があります。あと、一括受ガスの議論が再燃するといったことがクエスチョンマークを付けさせていただいております。あと、関西などでも見られますけれども、電気とガスをしっかりと統合的に見ていくようなルール作りが要るだろうということであります。

業務改善勧告につきましては、70ページにお付けいたしました。御覧のような形で、勧告にとどまるわけでございまして、71ページのように、いわゆる八条委員会の機能の限界ではないのかということで、72ページにあります三条委員会のようなものが参照できる。非常に強い権限を持った委員会でございますが、73~75ページで三条委員会のホームページからその説明を載せております。

電力・ガス取引監視等委員会、八条委員会でございますが、76ページに八条委員会の内容を書いてございます。消費者委員会の77ページ、監視等委員会の78ページといったものを御紹介しております。

監視等委員会の組織はどういうものか。79ページから80ページを御覧ください。御覧のような形で機能しているということであります。

参考として、81ページ、82ページを付けてございます。

最後の項目でございます。83ページ、ガス小売全面自由化で自治体が変わりつつあるというお話でございます。

84ページに、公営のガス事業者の例を出しております。

いろいろな事業者がガス小売の競争が激しくなりますとやりにくいという声を上げておりまして、ここでは大津市の例を挙げてございます。大津市では、現状、公営方式でございますけれども、公共施設等運営権方式、いわゆるコンセッションを導入するという方針を明示されました。85ページの現状から変えたという表を御覧ください。メリット・デメリットというものをしっかりと判断されて、御覧のような表を作られたわけでございます。

経営上の課題として、86ページに載せてございます。

問題は、これからどんどん経営が厳しくなっていくという認識でありまして、87ページにございますように、今は黒字でございますけれども、やがてはものすごい赤字が発生することが予想されているということ。そこで、コンセッションということで考えていきたいという判断を採られたわけであります。

ただし、88ページにございますように、いずれは赤字に転落する。それを覚悟の上で、それでも現状を続けるよりもましという判断を採ったということでございます。

具体的な大津市の公共施設等運営権制度の仕組みは89ページに載せてございます。

私からは以上でございます。どうもありがとうございました。

○井手座長代理 ありがとうございました。

それでは、ただ今の報告について御質問あるいは御意見のある方は御発言をお願いしたいと思います。

では、白山委員。

○白山委員 詳細な説明をどうもありがとうございました。

私も勉強不足でお伺いしたいのですが、ガス製造事業者のLNG基地の第三者利用制度のことが32ページや幾つかのところで述べられていると思うのですが、それと66ページでは第三者がアクセスしやすいようにということで、ガス製造事業者が公表すべき事項ということで幾つか述べられております。

教えていただきたいのは、第三者利用をするような業者のイメージはどういうものなのかということと、66ページで、ガス製造事業者が公表すべき事項は確かにこのとおりだと思うのですが、これを公表することでLNG基地を持っているガス製造事業者にとってどういうメリットがあるのかというところを御教示いただければと思います。

○兵庫県立大学経済学部草薙教授 まず、LNG基地を第三者利用したいとおっしゃるであろうと想定しておりました方というのは、まず石油元売大手の方であります。石油についての扱いになれておられる方がガスにも進出したいということがあるのではないか。それから、LPについて扱いなれておられる方で、導管網を利用して都市ガスにも進出したいということで使ってみるということ。それから、総合商社、要するにいろいろなものを財として扱っている中で、自分たちがLNG基地を利用して商機を狙いたいといったことがございます。様々なイメージが膨らんで、そのような制度を設計したわけでございますが、申しましたとおり、実際に利用された例はないということであります。

利用できるLNG基地はきちんと指定されておりまして、約款も作っており、ホームページで公表するといったことをしております。しかし、それを見ましても、使いたいという事業者は今まで2社ございましたけれども、石油元売大手、総合商社ですけれども、残念ながら様々な話合いの中でうまくいかなかったということもしれませんが、利用には至らなかったということがあります。

その反省を踏まえまして、ちょっと使いにくいのではないかと。使いやすくするには、やはりLNG基地の空き容量、それも過去の空き容量ではなくて、今後どう空くのかということまでちゃんと詳しく分かるような情報が欲しいですねということ。

それから、今、技術が進展しまして、20万キロリットルに限らず、もっと小さいLNG基地でも、二港揚げと申しまして、タンカーがいろいろな基地を回って少しずつLNGを注入していくといったことも可能であります。そういったこともありますので、小さいLNG基地を開放すれば地方都市ももしかしたら潤うのではないか、競争が進展するのではないかということがございます。したがいまして、LNG基地の第三者利用というのは、まず、いろいろな業者を想定していたということがございます。

メリットとしましては、例えばたくさんの資本金を持っているということで、自分でLNG基地を作るということができるわけであります。エッセンシャル・ファシリティーではありませんので、これは届出制ですので、できるのですけれども、何と申しましても大金がかかるということ。正に御指摘いただきました32ページの3つ目のポツ、非常に難しいということであります。

32ページの(注1)で、大規模なLNG基地の新規建設には400から1,000億程度に上る多額の投資が必要、そして5年程度に及ぶ建設期間が必要と。こうなってまいりますと、やはり自分で作るよりは基地を利用したいと考えるのが普通だろうということがございました。したがいまして、ここをしっかりと空けさせるという制度設計をしたわけであります。

もちろんこの選択を採らずに、別のやり方をするということが否定されるわけではないと思います。すなわち自分でLNG基地を作るということもできるように、届出制にしていたということであります。

以上であります。

○井手座長代理 どうぞ。

○白山委員 大体商社とかを想定していたのですけれども、貯蔵余力の見通しとか気化余力の見通しとか、様々な情報をLNG基地を所有しているガス製造事業者が公表していくと。義務付けということでございますけれども、ガス製造事業者にとってこの情報をディスクローズすることの実質的なメリットといいますか、それはどこに。空き容量部分の有効活用による追加的な収入の確保ということなのでしょうか。そこのメリットがよく分からないのです。

○兵庫県立大学経済学部草薙教授 御質問、ありがとうございます。

もちろん自分の持っているLNG基地という財を他人に使わせて、その使用料を取るというビジネスでございますので、それでビジネスをするということを積極的に考えていただければいいという前提がございます。

これはあくまでも余力の範囲でやってくださいと。何しろ自分の持っている財でありまして、エッセンシャル・ファシリティーではないものですから、使えませんということをはっきり説明すれば、使わせる必要はないわけでございます。そういう位置付けで、しかし、全く例がないというのは困ったものだという認識がございまして、そして公表していただきたい事項を定めているというふうにお考えいただければと思います。

実際に、66ページにありますようなものを公表するように求めるということですけれども、現在、どのような状況かといいますと、例えば基地ごとにというよりは、会社全体で持っている基地で空き容量がどのぐらいあるのかのイメージ図をホームページに載せて、おおよそ理解いただくというレベルでございます。

使いたいと言っておられた事業者からしますと、分かりにくかったというように思われたようでありまして、そこのところを少し改善の余地があるのかなと。しかし、あくまでもこれは余力の範囲で使わせていくものだということをガス製造事業者が考えるのは当然のことであると。法的な立て付けはそのようになります。

○井手座長代理 かつての自由化の議論のときに、基地の開放というのは、例えば首都圏の周辺の中小のガス事業者がいろいろ集まって、LNGを調達して、基地を空けてもらえればそれを利用するという議論もありましたし、それから首都圏にLNGがない、例えば大阪ガスとかが東京ガスのLNG基地を利用して首都圏に参入するという議論もある。あるいは、メジャーが基地を利用して日本にLNGを売るといったことも想定し得ることとしてはあるという話です。

草薙先生が今言われた、基地というのはエッセンシャル・ファシリティーではないのだけれども、こういう情報を公開して使わせないといけないということになると、これはやはりエッセンシャル・ファシリティーというふうに考えているところもあるのでしょうか。

○兵庫県立大学経済学部草薙教授 これは正に価値観の問題かもしれません。要するに、一般の方が、先ほど申しましたように、LNG基地を作ろうとして400から1,000億を投資できるか。そして、5年、実際に取引できない状態で建設をしていくということになりますけれども、それに耐えられるのか。これはとてもではないけれども、一般の方には無理ということで、例えばパイプラインとか送電線のようにエッセンシャル・ファシリティーなのだと設計することは、理論的には可能であったかもしれません。しかし、どなたでも作っていいという届出制にしたということが物語っておりますように、また、LNG基地を作る際に、ガスパイプラインとか送電線を作ったときのように、国から手厚い支援を受けて作ったという認識も恐らく事業者にはないということがございます。つまり、LNG基地は自分のものなのだという意識が強くなった経緯があろうかと思います。理論的には可能であると私も思いますが、実際にはそのようにはしなかったということだと理解しております。

○井手座長代理 では、陶山委員。

○陶山委員 詳細な御説明、ありがとうございました。なかなかついていけないところがあるのですけれども、まず3点ほど教えていただけたらと思います。

規制料金の解除をする判断に当たっては、規制なき独占という状況にならないということの見定めが必要かということで、そのためには競争基盤がどのように整備されているかということで、卸売市場について御教示いただけて非常に参考になりました。

もう一点、新規参入者の送電線の利用について、空き容量がないということで接続拒否といったようなことに直面していることが多々あるということを聞きますが、送電線の利用については、競争基盤を整備するためにはどのような手立てが必要だとお考えになっているでしょうか。

2番目に、今日のスライドの5ページでも、スイッチングの地域格差について御紹介いただきまして、非常に差があるなと改めて思っております。この地域格差については、規制料金を解除するということに関連してはどのように見ていけばいいのかということを教えていただけたらと思います。

もう一点、ガスの経過措置料金の解除については、今日も御紹介いただきましたように、解除基準が設けられて、見ていかれたわけですけれども、自由化のときに、この基準を満たさないときは再規制があるのかという質問をしたときに、自由化の方向に向かっているのだからそれはないというお答えでした。

ただ、先日、電中研のほうから電力の規制について、イギリスでは再規制というような動きも含めて御紹介されていますので、もしきちんとした競争環境が整備されていないということが解除後に認められるというような状況になったとき、再規制という考え方について、草薙先生はどのようにお考えになるかを教えていただけたらと思います。

以上です。

○兵庫県立大学経済学部草薙教授 ありがとうございます。

まず、空き容量がない場合の問題が深刻であるということは認識しております。特に再生可能エネルギーがこれだけ普及してまいりますと、今後、何らかの手を打たないと、ますます問題が大きくなると認識しております。

そこで、やはり念頭に置かなければならないのは、送電ネットワークの整備、特に連系線を拡充するということで、そもそもエリアをまたぐような送電がもっと簡単にできる必要があるということだと思います。今は、どうしても旧一電、旧一般電気事業者のエリアというものが、言ってみれば一つの王国のようになって、自分のエリアは間違いなくきっちりと受給を調整するというその伝統に基づいて、今でも旧一般電気事業者は運営していると思います。

そうではなくて、例えば九州エリアの発電量が非常に多い場合に、簡単に本州側、要するに中国電力とか、場合によっては四国電力とか、もっとさらに東に電気を売れる。つまり、需要量と供給量が一つのエリアでバランスしないということが当然であるという意識をまず持っていただく。そして、送電網を整備する。

そのような形で、空き容量がないから接続不可ということは、投資の無駄につながりますので、それを解消するということで整備を進めていかれるべき、まずはそこだろうと思います。それは、結果的にはエリアをまたぐような旧一電の進出ということにもつながってまいりまして、正に競争導入の精神にも資するだろうと思います。

続きまして、5ページ、スイッチング格差の部分ですけれども、このことは人口動態のことを考えましても予測できたところでございます。東京や関西で10%を超えている一方、中国や北陸では2%程度でありますけれども、これが何に効いてまいるかといいますと、経過措置料金規制をどのように解除するのかという部分に、直接的に制度設計の面では効いてくると思います。競争が十分に進展しているということになりましたら解除するというのが電気事業法の設計でありますので、それはするということなのですけれども、ではどのぐらい競争が進展すればそうなるのかということは、今、正に国のほうで検討しているところになります。その際に、どのエリアから外すのかという検討をするのが一つあるだろう。ただし、エリアというものでいくのかどうかもまだ決まっていない状況ですので、これでいくのかどうかということの材料にこの5ページはなるのかもしれませんし、更にもっと詳しく見ていく必要はあろうかと思います。

続きまして、ガスの経過措置料金規制ですけれども、37ページ、御覧のような形で一旦指定されたものも指定解除されるということが起こってきておりますし、御覧いただきますと、指定基準というのは2つのステップがあり、指定解除基準というのは4つのどれかに該当すればよろしいので、①②というのは実はステップ1、ステップ2でございます。それに加えて、一度指定された事業者が解除される条件として、37ページの右側の③④に該当するということを見ていかれるということであります。

このようなことで解除していくということですけれども、一旦解除するということの意味は非常に重くて、十分にもう競争が成熟しており、なおかつその競争はこれからも続くということが一応証明されているということなのです。だから、結局、例えば新規参入者が市場から退出して、また独占が始まってしまいましたということが想定されていないわけです。そこが制度設計として甘いと言われればそうかもしれませんが、そうならないということを入念に審査してまいりました。その上で経過措置料金を外すと。

例えばガスの場合ですと、新規参入者が非常に強力で、ついに指定が解除されましたということが仮にあったとして、ガスの場合に言えるのは、それが相手はオール電化かもしれませんし、灯油かもしれませんし、LPガスかもしれません。そういったところと激しい競争をしているという状況が消えるということが非常に考えにくいものですから、ガスに関しては再規制ということは考える必要はないと見られます。

電気のほうに関しましても、それとパラレルに考えるのであれば、同じように考えて、例えば指定解除基準の③、「他のガス小売事業者のシェアの合計が10%以上であり、その者に十分な供給余力がある」ということなども参考にしながら、仮に電気のほうで経過措置料金規制というものを考えるとするならば、新規参入者のシェアが10%なりあって、そして、その者が非常に強力な者であって、市場から退出するということがほぼほぼ見込めないということがあっての経過措置料金規制の解除ですから、そのように考えていきますと、もう再規制の必要はないのだろうとなります。

ですから、制度設計によると思います。しっかりと経過措置料金規制を外すときのハードルを高くしておけば、一旦外してまた規制を始めるということはないのだろうというのが私の認識です。

○井手座長代理 どうぞ。

○陶山委員 その規制がパラレルであればというふうに今おっしゃったのですけれども、今日もお話の中で、電気というものは基本的に代替できない、ガスはできるけれどもというお話なのですが、そこでパラレルというような見方で十分かということについてはいかがでしょうか。

○兵庫県立大学経済学部草薙教授 そこは意見が分かれるところだと思います。やはり電気とガスは全然違う。電気はどなたも必要なものであって、ガスというのはなくてもやっていける。全然違うものではないかとおっしゃる方もおられます。しかし、生活必需財であるということ、それからパイプラインネットワークに依存しているということなど、非常に似ている部分がありまして、その似ている部分を強調する立場からは、むしろガス会社なのに電気を売る、電力会社なのにガスを売るという時代にあっては、相互に参入しておりますので、お互いのハードルの作り方というものを似せておきたいという発想がございます。ですから、経過措置料金規制を外すということについても、なるべくなら似せて作っていきたいという発想がございます。ただ、それでは駄目だ、電気は全然違うものだから、一から経過措置料金規制を外すということを決めるのだと、そういう立場を採られるのであれば、ガスは余り参考にならないとおっしゃるのだと思います。

○陶山委員 もう一つ、先ほどエリア外にもしっかり電力の販売が拡大していくように、ネットワークも整備していくというような表現をされたかと思うのですが、これはネットワークに更に投資をしていくというイメージで捉えてよろしいのでしょうか。

○兵庫県立大学経済学部草薙教授 ありがとうございます。

例えばイギリスの例を出していただきましたけれども、イギリスのビッグ6を見たときに、多くの社で需要量と供給量がそもそも一致しないのです。つまり、外にどんどん売っていくのは当然であり、よそから買ってきて当然だと。そのように電力というのは調達するものだと考えておられるということです。そのぐらい流通が激しいとも言えると思うのですけれども、そのようなものを支えるのはもちろんネットワークであると。潤沢なネットワークに支えられているからこそそれができるという観点からしますと、投資をしてでもネットワークを整備すべきという立場になります。

ただ、本当は空いているのに、空いていないかのように振る舞うというのは不当ですから、そういったことがないようにしていく。そのための制度設計をしていくことが必要かと思います。

○陶山委員 ありがとうございました。

○井手座長代理 先ほどの質問のガスの場合の経過措置料金規制の解除という、51ページにありますけれども、仙南ガスとか濱田ガスはどれを満たしたから料金規制が解除されたかというのはお分かりですか。

○兵庫県立大学経済学部草薙教授 恐れ入ります。3社ございますけれども、指定の解除の要件は4つございますうち、まだ使えない要件もございまして、詳細は判断材料を持って来ておりませんので分かりませんけれども、37ページの右側の指定解除基準の①または③の二つで解除されていると思われます。

多くの事業者が①のところにもう既に該当している。つまり、せっかくガスパイプラインも届いているのだけれども、灯油に取られているとか、LPが取っておられるということで、都市ガスとして使っていただけないというようなところはおられるわけでございまして、なおかつ、ライバルが非常に強力だということもございますけれども、そんな形で解除されているものと思います。想像ですけれども、恐らく①辺りかなと思っております。それは井手先生のほうがお詳しいと思います。

○井手座長代理 仙南ガスとかは都市ガスもやっているけれども、親会社はプロパンもやっているので、そこのところをいろいろやればできるし、もう一つ、契約件数は調定件数ですからメーターが付いているというだけですよね。それを撤去していけば当然50%を切りますから、こういうのは何か小手先のもので、自由化して、すぐ解除されるというのは最初から解除基準もおかしいということもあるのかなという感じはいたしました。

古賀委員。

○古賀委員 御説明ありがとうございました。

電力のことで6点ほど細かなことをお尋ねしたいのですが、まず第1ですけれども、5ページの電力のスイッチングのことですけれども、公共料金等専門調査会のほうでは、中国地方と北陸地方ということで、広島県と石川県の消費者団体の方からの、ヒアリングをしたのですけれども、地域的に様々な事情からスイッチングしにくいところが確かにあると再確認しました。一方、自社内契約への切替えについてですけれども、自社内契約の多いところの特徴というようなものを先生のほうで概括的に捉えていらっしゃったら、例えば電気の使用量が多いところはスイッチングが自社内でも多かったとか、そういうことがあったら教えてください。

2つ目として、その次の3ページ目ですけれども、こちらのほうで特高・高圧分野のシェアで、地域別で北海道と関西でシェアの上昇が多いということですが、高圧部門で北海道で増えている理由がお分かりでしたら、ちょっと地域的な話で恐縮ですけれども、教えてください。

3つ目ですが、8ページ目のところに燃調のないメニューが出てきているということですが、これは具体的にどういうところなのかを教えてください。

3つで一回切ります。すみません、教えてください。

○井手座長代理 では、今の点について。

○兵庫県立大学経済学部草薙教授 ありがとうございます。

まず2ページにございます地域別のスイッチングの中で、定点観測をしてまいりますと、いろいろなことが分かってまいります。感覚的なことになってしまって恐縮ですけれども、自社内のスイッチングが多いところで私が印象的なのは、理由は詳しく存じませんけれども、中部電力のところです。他にも中国電力とかがあるのですけれども、中部電力がなぜ印象的かと申しますと、ライバルの東邦ガスも自社内でのスイッチングを強力にどうやら誘導しておられると思われます。

他社から奪うという発想に至る前の一里塚として、自社内で規制料金から自由料金に移動するようにいざなう動きとか、そういったことなのかなと拝察しているのですけれども、私としては愛知のエリアは非常に特徴的だなと。ライバルを想定して、そのライバルを目指して挑戦していくということよりも、自分のところで改善、改革というものを目指していく、そういうスピリットがあるのかなと拝察しています。

それから、3ページのところで、地域別で見たところ、2つ目のポツですけれども、北海道と関西で多いと。特別高圧も高いと言えば高いのですけれども、北海道というのは関西の伸びとか東京のレベルよりも低いかなと。特に高圧のところで伸びている。

これはどこのエリアも非常に伸びてはいるわけです。北海道ですと、高圧で何がいいかと言いますと、特別高圧というのはなかなか新規参入者にとって手が出ない分野です。高圧でたくさん買っていただけるところがいいお客様というのが新規参入者の目安となります。高圧で進出するということで、例えば関西であれば大阪ガスがどんどん取っていく。しかし、特別高圧まではなかなか手が出ないということになります。北海道も新規参入者のほうで似たような形で、高圧ならいけるということで、有力な事業者が入っていかれるということではないかと想定しております。

8ページのほうで、JEPXのところでしょうか。聞き違ったらごめんなさい。燃調をしていないというのはどういう場合かという御質問かと思います。

燃料費調整をする必要があるというのは、要するに玉を輸入するという場合です。LNGでも石炭でも結構ですけれども、為替とか、ここではLNGですけれども、LNGの価格というのは大きくずれます。LNGでいきますと、価格の幅は結構大きくて、それが着実に電気料金に反映されなければ経営に支障を来すと言われております。しかし、自由化になりましたら、料金メニューの設定というのは、燃料費調整を入れるかどうかというのも料金設定の創意工夫でありますので、我が社は入れません、もう同一価格で全ていきますというようなシンプルなものにあえてするということもできますし、やはり燃料費調整をしないと不安です、経営に支障があるので燃料費調整制度を入れますという設計をすることもあるということであります。そこは事業者が工夫すればよいということになります。

お答えになっているでしょうか。

○古賀委員 具体的にそういうメニューを採っているところは、現在たくさんあるのですか。

○兵庫県立大学経済学部草薙教授 たくさんあるというわけではないと思います。やはり燃料費調整制度を導入して、なおかつ新メニューということでお客様に提示して選んでいただくということを目指すのだと思うのです。例えばミサワホームさんが提携しておられる「Looopでんき」とか、要するに全く独自の発想で料金メニューを設定するというところもございますし、必ずしも燃料費調整制度にこだわらない料金設定は可能でございます。

○古賀委員 ありがとうございました。

細かなことばかりで恐縮ですが、11ページで、今年1月から2月に高騰したというのは、これは国際的な石油価格等の関連で一時的に上がったということだけでよろしいのでしょうか。

○兵庫県立大学経済学部草薙教授 棒グラフを見ていただきますと、スポット市場の取引量も取引価格も分かるようになってございます。システムプライスは、黄色いギザギザを見ていただいたら結構ですけれども、御覧のような形で安定はしている。しかし、目指すところは実はもっと低くあるべきだという発想がございます。例えば常時バックアップで1kWh5円というようなレベル感だとしますならば、それに近いぐらいの推移が本当はありがたいということではないかと思います。50円となりますと突発的にスパイクしているという状況なのですけれども、取引価格が何らかの理由で非常に高騰した。これは1月下旬から2月上旬にかけて厳冬期でありまして、厳寒気象という中で電気が足りなくなったということでございます。

そういったことはむしろあったほうがいい。要するに、足りないのにスパイクしないということのほうが異常なのであって、健全にスパイクするという、その前兆を見据えて調整力電源を動かしてもらうというようなことが必要なので、むしろこのようにひっ迫したらきちんとスパイクするということのほうが望ましいという面もあります。そういうことにいかに対応するのかという制度設計がなされるべきということになります。

○井手座長代理 よろしいですか。

○古賀委員 ありがとうございました。15ページの競争基盤整備の議論の進展というところが一番の市場設計の鍵だと思うのですが、結局、卸売市場へのタマ出しを増やしていくためにはどうすればいいかという基本的なところについてのお考えと、もう一点、取戻し営業というのを私は初めて知ったのですけれども、17ページのところで、「取戻し営業自体を悪と見る必要はないのだけれども、契約の時期について考えるべきだ」ということですが、民法の意思主義から言えば、原則的にスイッチング時点で契約が成立するので、取戻しというより新たな契約への誘引だと思うのでスイッチングをした契約の成立自体を覆すものではないと思いますが、これはスイッチングの申出から契約の成立までの期間を短くして実質的に取戻し営業をさせないようにするとか、そういうような意図でおっしゃっているのでしょうか。

○兵庫県立大学経済学部草薙教授 ありがとうございます。

まず、15ページでタマ出しを増やす方法でありますけれども、ベースロード電源市場にタマ出しを増やしていくということで考えていくならば、もうベースロード電源と言われているものは全て市場に出してもらう。原子力が再稼働するという流れの中で、原子力は100%出してもらうとか、そんな発想でございます。そうしたら、どんどんタマ出しが増えていくだろうと。

今やっておりますことは、グロスビディングということで、JEPXに自主的な取組みとして、例えば自分の発電する分の20%ぐらいまではJEPXに出しますよと。ただし、必要な分は買い戻しますよということで、売る価格と買う価格をそろえるということで自主的にやっていただくということが進展してきております。

そういったことの中でも言われるのですけれども、電源開発の電気というのは安くて有名ですけれども、ああいったものはいわゆる相対取引とか長期契約による取引ではなくて、どんどんJEPXに出してもらうべきということがあります。そういうJ-POWERの電気をどんどん出していただくということでタマ出しを増やす。あれは安い、非常にいい電気ということになると思います。

そんな形で出していただくということですけれども、旧一般電気事業者も安定供給という観点から別の価値観を持っておられるということで、しっかりと話し合っていただく必要があるのだろうと思います。

それから、取戻し営業のほうですけれども、取戻し営業の問題として、16ページ、17ページのところにございますが、基本的にはどんどん取戻し営業をかけていただいて、もっと下げます、もっと安くしますという小売営業をしていただきたいというのが私の立場であります。ただし、攻める側と守る側がいるわけです。旧一般電気事業者が守る側で、新規参入者が攻める側だと一般的には考えられるわけですけれども、新規参入者がお客さんを取ってきました、スイッチしますと旧一般電気事業者に言ったときに、そこから旧一般電気事業者の小売営業部隊が動き始めて、何とか食い止められないかという営業をかけることについては、契約が成立しているにもかかわらず、またスイッチが終わっていない段階でそれをして思いとどまらせるということになりましたら、新規参入者は一体どうやって営業をすればいいのかということにもなりかねませんので、一旦契約が成立したら、もうそれで取戻し営業はなしと。スイッチをした後、もう一回考え直してくれませんかという営業をかけるのはよろしいでしょうと。そういう発想で見ております。そういう意味で、取戻し営業自体を悪と見る必要はないということであります。

契約が成立しているにもかかわらず、そこから先、申込みをしてから実際にスイッチするまで7週間かかります。その理由はスマートメーターを取り付けるためとか、いろいろな理由がございますけれども、ガスはスマートメーターを取り付けてスイッチするわけではありませんので、1週間程度でスイッチできる場合もあります。かなり差がありまして、新規参入者がガスだとしますと、ガスの感覚で営業をかけて、スイッチができたということで喜んでいたら、なかなか替わってもらえなくておかしいなと思ったら、実は御本人が取戻し営業にあって、スイッチするのをやめていたということが起こるわけです。

そこで、7週間なら7週間で結構なので、もう7週間のタイムラグというものを前提として、旧一般電気事業者も何もしないということが重要だと。申し込んでから7週間。これは新規参入者、つまり攻める側も、それから旧一電、つまり守る側も何もしない。停戦状態と申しますか、それでスイッチが起こりますから。スイッチが実際になされた後、また営業をかける。こういうやり方のほうがきれいではないか、疑念を生まないのではないかと思うわけです。

そういう意味で、意思主義を採りますと、もうその時点で契約成立ですので、もう契約成立したからスイッチがあろうとなかろうと、更に取戻し営業をかけるというような変な理屈も立つかもしれませんので、もっと契約成立の時期を遅らせて、実際にスイッチした電気が流れ始める時点をもってとか、そんなことができないかと。

法的な解釈で、そこは有権解釈機関がおおよそのところを示すということが一つの解になるだろうなと思います。民法の意思主義の原則とは違ってきますけれども、そういう措置が必要なのではないかと思います。

○井手座長代理 電気の場合、クーリングオフがあるので、契約をしても、その後、消費者が契約をやめたいといって、それが本当は取戻し営業だったりするというケースがあるのだと思うのですけれども、それはクーリングオフでは対応できないのですか。実際は取戻し営業なのだけれどもというケースもあると思うのです。

○兵庫県立大学経済学部草薙教授 ありがとうございます。

クーリングオフでいくという場合、それでうまくいく場合もあるのかもしれませんけれども、基本的には、例えば訪問営業といったものを受けて何らか契約をする、それで契約書を交わす。その契約を思いとどまりますということで、理由を問わず解約できる。この制度を用いるということであれば、それはあり得るのもしれません。しかし、例えばスイッチというもののやり方によっては、例えば訪問を受けていないとか、いろいろな形で該当しない場合もあるでしょうし、特に問題となりますのは高圧とかそういう部分ですね。

高圧の部分で考えていく場合に、御家庭のようなクーリングオフというものになじまないような場合もあるのかもしれないと想定します。

○井手座長代理 では、陶山委員、どうぞ。

○陶山委員 今の取戻し営業についてですけれども、取戻し営業によって電力の料金が下がっていくことについては肯定できるのではないかということですが、それは今スイッチングしようとした人に対して営業がかけられるので、個別対応になって、個別の料金提示がされていくことを認めるということになってくるのでしょうか。そういう意味ですか。

○兵庫県立大学経済学部草薙教授 そのとおりです。これはもう自由化されておりますので、お客様に対して個別具体的にそのお客様だけのメニューを提示するということが可能でございますので、そうなります。

○井手座長代理 よろしいですか。

では、長田委員。

○消費者委員会長田委員 私も取戻し営業のところをお伺いしたいと思いました。

スイッチの間に7週間ぐらい、かなり時間がかかるということで、この取戻しという言葉になるのだなと思ったのですけれども、同じような発想で、今、通信事業者は引き止めポイントという、つまり取り戻すのではなくて、まだ契約が旧のほうにあるという発想で引き止めというので、今、ナンバーポータビリティーを申し出なければいけないのです。申し出た瞬間に、その電話で引き止められるという手法がかなり多くなっていて、発想がそこで取戻しなのか引き止めなのかで、契約がどこで成立しているかという考え方のところはきちんとした整理が必要だなと思いました。

それから、何もしてはいけない期間を置くということ自体は、これは個別消費者の契約と考えたときですけれども、本当にそれでいいのかというのは悩みがあるなと思います。勧誘されてとりあえずスイッチングを考えたところで、2カ月余りのところで考え直す期間というのが全く持てないというのは、そこはちょっと厳しいかなと思って、そうすると、今度は先生がおっしゃったみたいに、契約成立の時期をどこと考えるのか。でも、それはそれで、ここだけの独特な世界でそれを決めていくというルールがなじむのかどうかというところで、感想みたいになってしまうのですけれども、なかなか難しいなと思いました。

○井手座長代理 よろしいですか。草薙先生のほうで何かございますか。

○兵庫県立大学経済学部草薙教授 ありがとうございます。

電気のほうでも同じような問題がございます。例えば尺取と申しまして、全然よそに逃さないぞと、契約が終わっていないのに、古い契約が終わる前に新規の契約をかぶせてしまうのです。そんな感じで逃さないというようなことは問題視されています。新規参入者が参入できなくなるではないかと。

あと、違約金を払ってでも取っていくというような行為も散見されますけれども、そこでトラブルが起こるということも心配されているようであります。

それから、先ほど申しましたように、法的な解釈で契約成立の時期を左右するということに関しまして、新しいスイッチの電気が流れ始めてからでは時間が空き過ぎる、例えば7週間というのはちょっと長過ぎるというのは、正に考えどころで、正しい落としどころです。単に、スイッチしますよというふうに言った瞬間は早過ぎるだろう。7週間は遅過ぎだろう。その辺のいい頃合いを見る必要があると考えます。ありがとうございます。

○井手座長代理 では、小浦委員。

○小浦委員 御説明、ありがとうございました。

2つお聞きしたいのですけれども、一つは電力のメニューのところもいろいろ推移をお示しいただいていますけれども、9ページの「新電力の料金メニューの動向」というところで、1年契約から3年契約までいろいろあり、そこに違約金ということも契約の中でうたわれているということなのですが、私も消費者団体でいろいろな話を聞くのですけれども、もちろんそこをきちんと認識して契約すべきではあるのですけれども、ガスとか通信、スマホとかのセット販売で、そろそろスマホを買いたいなと思ったときにまだ3年たっていないとか、そういうときに違約金が発生する場合に、苦情となるのか、その辺りのことはきっと消費者は結構わがままを言いますので、そういうトラブルになるようなことは先生のお耳に入っているかどうか、あれば教えてください。

もう一点ですけれども、ガスのところで関東地方のいろいろな状況、関西のほうから攻勢がかかっているというお話がありましたけれども、もしこれが随分進んできた場合、35ページに規制の解除の条件がありましたね。指定解除基準というところで、もしこれを満たせば、例えば関東地方の東京ガスのところも、この基準に当てはまると指定が解除されるということですよね。

そうなった場合ですけれども、35ページの最終保障供給というところのガイドラインを読みますと、もし契約者が変えた場合、関西のほうから進出してきたところが撤退したとか、個人の消費者の気持ちで元に戻したいとか、いろいろケースがあると思うのですけれども、その場合、緊急避難的な感じで保障するのは導管事業者と書いてありますが、緊急避難的なという文言が気になりました。未来永劫というのではなくて、緊急という言葉は何年間かという想定がされているのか。その後、契約者は今度はどこを使えばいいのかというのが分からないので、教えてください。

○兵庫県立大学経済学部草薙教授 ありがとうございます。

私も、消費者は気まぐれであっていいと思っておりまして、新しいのが来たからおもしろそうだから申し込もうとか、それでも十分だと。それで楽しんでいただくということが、また活性化につながるという立場でございます。そういう意味で、スマホの事情といったものも大いに参考になると思っております。

最終保障約款のほうも、その文脈で言いますと、余り聞いたことがないところだけれども、面白そうだから契約したら、その会社は倒産したと。これはあり得る話でありまして、想定してございます。その場合、最終保障供給ということで、東京エリアでしたら東京ガスが一般ガス導管事業者としてきちっとガスは供給する。ただし、最終保障供給約款に基づいてちょっと高目のガスを送ることになります。それが正に緊急避難の意味であります。制度としては、早く次の小売事業者を見つけてもらって、そこと契約してくださいということになります。だから、何年も待つ必要はなくて、もう本当に数日で、倒産を聞いたらすぐに切り替えていただいて結構ですので、そのような形で安いところをまた探していただいて契約すればよろしいという制度設計になっております。ですので、一度契約したら満足されることなく、よりよい業者はいないのかということで探していただかれたほうが、制度にかなうのではないかと思います。

○小浦委員 ありがとうございます。そうでしたら、よりまた安いというか、自分の意に合うようなところを消費者が自分の責任として探して契約をするということですね。それが自由化ということなのでしょうか。

○兵庫県立大学経済学部草薙教授 そのとおりです。例えば最終保障供給が始まったというときに、国から連絡があって選べるリストが提示されたり、一般ガス導管事業者のほうから契約できる登録されている小売の事業者のリストが出たり、そういったことを期待されるのではなくて、探すツールはあるわけですから、自分で探していただく。むしろ、どこがお勧めですということは、国とか一般ガス導管事業者は言えませんので、御自分で調べて、気に入ったところと契約いただくということが基本になります。

○井手座長代理 陶山委員。

○陶山委員 さっきの取戻し営業のところに戻らせていただきたいのですが、先ほどのお話から理解すると、消費者のほうが交渉して下げていくのであれば、自由化なのでそれも個別に認められるというふうに理解できたのですが、そういったときに非常に不透明な状況が発生する心配をしなくていいのかということです。本来は等しく提示されていた電力料金というものが、ある人は非常に交渉力があって安くできたと。だけど、そこで得られるべき収入が、交渉力がない他の消費者のほうに付け回されるということも発生しないか。LPガス市場で言われていたような非常に不透明な状況を心配しないでいいのでしょうかということです。そして、17ページに書いてあります内外不一致の非対称な運用というのはどういうことをおっしゃっているのか、少し御説明いただきたいということ。

それから、ちょっと違うテーマですが、スライド69ページで、「『電力』と『ガス』、それぞれセパレートなルールではなく、統合的な市場に対してのルール作り・運用が求められる」とおっしゃっていますが、私も非常にそのように感じているところです。事業者は総合エネルギー事業として取り組んでおられますので、消費者のほうもそのように物事を見ていかなければならないのかなと思っています。ただ、ルール作りというのがなかなかイメージできないので、具体的なものを先生はお持ちでしたら、お示しいただけると非常に助けになるかなと思います。よろしくお願いします。

○兵庫県立大学経済学部草薙教授 ありがとうございます。

取戻し営業のところですけれども、自由化のことで、ある意味心配しなければならないリバランスの問題ということになります。

基本的には個々ばらばらに違うメニューを提示することは可能なのですけれども、実際に大口部門でずっと歴史を重ねてきました自由化の中での経営状態というものを見ておりますと、それほど会社によって、同じような使い方をしていただいているのに、好き嫌いで料金を変えたり、理由もなく全く違う条件を付けたり、そういったことは、公益事業者としてのメンタリティーがあるということかもしれませんけれども、していない。むしろ、同じような供給条件をあてがう時には、他の顧客への対応と同じようにする感じで料金を提示しているのが普通だと思います。

そういう意味で、取戻し営業でその人をどうしても取り戻したくて、誰もが眉を潜めるようなとんでもない安い料金を提示することは、公益事業者のメンタリティーとしてはないようであります。その意味で、私はある意味安心しております。

昨日の日経新聞の朝刊にございましたけれども、電力・ガスの小売全面自由化でLPガスの料金も非常に透明化している、料金が説明しやすい状態になってきているという記事がございましたけれども、いい波及効果だなと思っております。実際の業者のメリットということかもしれませんが、ホームページに自分の料金表を載せるLPガス業者が増えてきたということも、非常にいい効果の現れ方だったと思います。

内外不一致ということがもしあれば、もちろん不当である。これはイコールフッティングという観点からもそうなのですけれども、エッセンシャル・ファシリティーでありますので、自分の会社が使おうとしている使用料と他社が使おうとしている使用料が違うというだけで、これは問題だと。エッセンシャル・ファシリティーの場合は、同一条件で同一料金を徹底するということだと思います。料金の面ではそうですし、それから、例えば小売営業のところでネットワーク部門がこっそりと情報を伝えるということは絶対にあってはならない。これは当然のことですけれども、そういったことがちゃんと守られるように監視し続けていく必要があろうかと思います。そんな形で進めていけば、経過措置料金も外す日が来るのかなと思っております。

○井手座長代理 時間も押してまいりましたけれども、古賀委員、お願いいたします。

○陶山委員 私は2つ質問して、2つ目を。

○井手座長代理 そうですね。2つ目。

○陶山委員 69ページ、よろしいでしょうか。簡単で結構です。

○兵庫県立大学経済学部草薙教授 もともと電気とガスということで事業法も違いますし、全く違う事業体ですけれども、2009年にエネルギー供給構造高度化法という法律ができたときに、総合エネルギー事業というような形で電気もガスも熱供給も一緒に考えていくというような概念が法律レベルで提示されているということがございます。

そういったものを発展させていって、もう電気とかガスとかそういうふうに区切る時代はなくなってくるのではないか。今日も図でお示しさせていただきましたけれども、ガス会社由来だからガスにこだわることなく、電気のほうが得意分野になっていってもいいわけです。そんな形で、得意分野で勝負するというような事業体に変わっていく必要がある。そうなりやすいルール、運用というものを設計していくべきではないかと思います。

そうなってまいりますと、例えば事業法を統合的に改正したり、独禁法の運用をより精緻化したり、そんな感じで新しい時代に移り変わっていくべきかと思います。

○井手座長代理 では、蟹瀬委員。

○消費者委員会蟹瀬委員 蟹瀬です。

ちょうど今のお話と関係するのですが、大変難しくて私の中で整理ができていない部分もありますが、25ページに「電気と都市ガスのサプライチェーンのイメージ」というのを提示されております。大変分かりやすいページになっていて、これを見る限りにおいては消費者は非常に選びやすくなっていくかと思います。

ただ、その後に、先生が今お話しなさった52ページから53ページまでの関東地域の進展状況という中に、大手が手を組んでエナジーアライアンスとか、そういったいろいろなものを作ってきておりますね。今、先生がおっしゃったように、ガス会社がガスだけ売らなくていい、電気会社が電気だけ売らなくていい、他のところのサービスを含めて、この大手が2つ手を結んでくる一つの目的は小売業者の囲い込みだと思うのですね。もう一つは、消費者の囲い込みだと思うのです。この辺のところがもし起こってきたときに、今の先生がおっしゃったような、新しい産業の仕組みというのができてこないと、消費者は全く分からなくなってくると思うのです。この下にまたいっぱいぶら下がってきますから。そうすると、本当に安くなるのかという話も出てきますので、その辺は先生としてはどういうふうにお考えになっていらっしゃいますか。

○兵庫県立大学経済学部草薙教授 ありがとうございます。

おっしゃるとおりだと思います。特に52ページの東京エナジーアライアンスでありますけれども、見ていて思いますのは、左側の東京電力と右側のニチガスは社風は大分違うだろう。大企業ではありますけれども、規模感にしても社風にしても違うということで、ではなぜアライアンスを組んだのかというと、真剣に都市ガス業界に入っていきたいと願ったから、LPガスとか、そういったもので、中小も遠慮なく質問に来てください、必要な情報は差し上げますし、協力もしますという趣旨で作っているのです。そういう意味では、大企業が連合したというよりは、中小を巻き込んで新しいうねりを作りたいという意図を私は感じております。そういう意味で、今後を見守りたいという部分があります。もちろん対応する旧一ガスの東京ガスも頑張られるということで、お客様はいいメリットが回ってくるということにシナリオ上はなるのだろうと思っております。

それが一里塚でありまして、更に進展して、こういったところに通信とか様々な業界が入っていって、新しい産業の仕組みができ上がっていくだろうと。そのときに競争をレベル・プレイング・フィールドでできるように事業法を改正し、また、独禁法なりの法整備をやっていくということなのだろうと思います。そういう意味では、電気、ガスにこだわらずに、いろいろなところが参入していくというのがこれからの動きになってきてほしいと願っております。

○消費者委員会蟹瀬委員 確認ですが、今の進展状況の中に、今、先生がお話しなさった方向と、もう一つは中部から東京へ攻めてこようとする、中部、大阪の首都圏進出という、全く違うスタイルが2つ出てきていますよね。ですので、その辺は先生としてはどういうふうに理解して分けていらっしゃるかを聞かせてください。

○兵庫県立大学経済学部草薙教授 ありがとうございます。

東京ガスというジャイアントなところに挑んでいくに当たって、立場の違う人が連合を組むということですよね。そういう意味では、52ページにありますような方々というのは、そもそも東京エリアにいらっしゃって東京ガスに挑んでいくということであり、それからCDEDという中部・大阪の連合体というような形で4月2日に設置された会社というのは、首都圏にない会社がエネルギーを業としているという自負の下で連合体を組んで首都圏に進出するということです。つまり、2つの大きな流れがどちらもメインストリームであると考えられるのではないでしょうか。そういう意味で、全てが首都圏を目指してくるという流れに一旦なると思います。その後、その効果が地方にも波及していくということが期待されると思います。

○井手座長代理 最後に、古賀委員、簡単にお願いします。

○古賀委員 電力とガスが自由化されて、スイッチングも期待していたほど進んでいるのか、進んでいないのかというのは一つ議論があるところだと思うのですが、電力業界もガス業界も相互に乗り入れというか、乗り合いながら、今後消費者とかいろいろなところも含めて、いろいろな競争やシステムができてくると思います。現状、消費者は自由化後にすごく値段が上がったとか、そういう被害が多発したという状況には今のところない状態なので、スイッチングも含めて様子見をしているようなところかと思います。意識のある消費者について言えば、2020年に経過措置料金が外されることについて、その要件等がどうなるかということを一番考えているところだと思うのです。

いろいろなことを議論しているのが今は電力・ガス取引監視等委員会だと思うのですが、先生のほうで三条委員会に格上げすべきだという御意見で、非常に面白いと言ったら失礼なのですけれども、画期的な御意見だと思うのですが、やはり予算と人事を独立性の高い三条委員会にするにしては、今、電力取引監視等委員会は経済産業大臣の下にありますので、国家の行政組織としてこれを三条に格上げするのは難しいのではないかと思うのですけれども、ここのところについて先生のスタンスを教えていただければと思います。

○兵庫県立大学経済学部草薙教授 ありがとうございます。

70ページに載せております、先月2日に出ました東電エナジーパートナーへの業務改善勧告ですけれども、真ん中辺りにございますように、当然していただかなければならないような契約締結前の交付書面を需要家に交付されなかったという5,282件もの問題、それから契約締結前の交付書面を交付されなかったという需要家の実数7,059件、こんな数値もございます。こういったことについてゆゆしき問題だなという認識が共有されているところですが、電力・ガス取引監視等委員会が自らできるのは勧告のみということでございます。

業務改善命令をするということであれば、これは経済産業大臣がすることになりますので、ステップが要ります、時間もかかりますということで、直接的に電力・ガス取引監視等委員会が業務改善命令をできるようにすれば、スピード感ある対応ができるだろうということです。

そのためには、いろいろな方法はあるでしょうけれども、三条委員会の格上げもその一つであろうと考えます。これは自由化の流れの中で、いわば悪さをしないように事業者をしっかりと監視する、あるいは悪さをする事業者をしっかりと発見する、こういったことをする意味でも権限を強めておく必要はあるだろうと。これはイギリスのOfgemとか、そういったところがやっている内容に監視のレベルを合わせるということを考えるのであれば、必要な対応だろうと。

確かに人員とかお金はよりかかる。監視等委員会も人員の増強というのは、現状でも組織として求めていくことはあるようですけれども、大きく変えることはできませんので、大きく変えるなら、八条委員会から三条委員会に変えるということかなと思います。

○井手座長代理 ありがとうございました。

それでは、質疑応答は以上としたいと思います。草薙先生におかれましては、大変お忙しい中、御審議に御協力いただきましてありがとうございました。


≪3.閉会≫

○井手座長代理 最後に、事務局から連絡事項がございましたらお願いいたします。

○丸山参事官 本日も熱心な御議論をどうもありがとうございました。

次回の会合につきましては、確定次第、御連絡をさせていただきます。

なお、この後、委員会の打合せがございますので、委員の皆様方におかれましては、委員室のほうにお移りください。

以上です。

○井手座長代理 それでは、本日はこれにて閉会させていただきます。お忙しいところお集まりいただきまして、大変ありがとうございました。

(以上)