第39回 公共料金等専門調査会 議事録
日時
2017年12月12日(火)9:59~12:22
場所
消費者委員会会議室
出席者
- 【委員】
- 古城座長、井手座長代理、小浦委員、古賀委員、白山委員、陶山委員
- 【消費者委員会担当委員】
- 長田委員
- 【消費者庁】
- 福岡審議官、澤井消費者調査課長
- 【事務局】
- 黒木事務局長、丸山参事官
議事次第
- 開会
- 中部電力の原価算定期間終了後の事後評価に関するヒアリング等
- 閉会
配布資料 (資料は全てPDF形式となります。)
- 議事次第(PDF形式:8KB)
- 【資料1】 消費者委員会 公共料金等専門調査会 委員名簿(事務局提出資料)(PDF形式:81KB)
- 【資料2】 電気料金の評価について(中部電力株式会社提出資料)
- 【資料3】 電気料金の評価について(四国電力株式会社提出資料)(PDF形式:608KB)
- 【資料4】 原価算定期間終了後の事後評価(電力・ガス取引監視等委員会事務局提出資料)
- 【資料5】 中部電力株式会社に対する原価算定期間終了後の事後評価について(消費者庁付議文書)(PDF形式:37KB)
- 【参考資料1】 消費者委員会 公共料金等専門調査会設置・運営規程(事務局提出資料)(PDF形式:40KB)
- 【参考資料2】 北海道電力、東北電力、関西電力、四国電力及び九州電力による電気料金値上げ後のフォローアップに関する専門調査会意見(平成29年4月18日)(PDF形式:273KB)
≪1.開会≫
○丸山参事官 時間になりましたので、会議を始めさせていただきたいと思います。
本日は、皆様お忙しい中をお集まりいただき、ありがとうございます。ただいまから「消費者委員会第39回公共料金等専門調査会」を開催いたします。
公共料金等専門調査会につきましては、第5次消費者委員会としては本日が初めての会合となっております。
構成員につきましては、去る11月2日、お手元に配布しております資料1のとおり、消費者委員会の高委員長より指名させていただいております。また、座長につきましては、同日、高委員長から古城誠専門委員に務めていただくよう指名されております。古城専門委員におかれましては、どうぞよろしくお願いいたします。
なお、消費者委員会から担当委員として蟹瀬委員、長田委員がオブザーバー参加をされております。
本日は、蟹瀬委員、松村委員、山内委員が御欠席となっております。
議事に入ります前に配布資料の確認をさせていただきます。
配布資料一覧につきましては、議事次第、下部のほうに記載しております。お手元の資料にもし不足がございましたら、事務局までお知らせいただきますようよろしくお願いいたします。
なお、本日の会議につきましては公開で行います。議事録についても、後日公開することといたします。
それでは、古城座長、以後の議事進行をよろしくお願いします。
○古城座長 公共料金等専門調査会の座長を務めることになりました古城です。前期に引き続き、どうぞよろしくお願いいたします。
また、座長代理につきましては、設置運営規程により座長が指名することになっております。座長代理は、前期に引き続き井手秀樹専門委員を指名いたしますので、よろしくお願いいたします。
それでは、今期より公共料金等専門調査会の委員になられました小浦委員より、簡単に御挨拶をお願いいたします。
○小浦委員 皆様、初めまして。東京消費者団体連絡センターで事務局長を務めております小浦と申します。
今回から参加いたしますけれども、前任の矢野委員は大変詳しくていらっしゃったのですけれども、私も消費者の目線を大切に、頑張って審議に加わりたいと思いますので、今後ともよろしくお願いいたします。
○古城座長 ありがとうございました。どうぞよろしくお願いいたします。
≪2.中部電力の原価算定期間終了後の事後評価に関するヒアリング等≫
○古城座長 それでは、議事に入ります。
本日の議題は、「中部電力の原価算定期間終了後の事後評価に関するヒアリング等」です。
消費者基本計画においては、値上げされた電気料金について、料金適正化の観点から、各社ごとにフォローアップを行うこととされており、本年10月及び11月に開催された「電力・ガス取引監視等委員会料金審査専門会合」では、料金原価と実績費用の比較等、原価算定期間終了後の事後評価が行われております。
公共料金等専門調査会では、中部電力に対する事後評価について、資料5のとおり、消費者庁から消費者委員会への意見の求めがあったことを受け、中部電力からヒアリングを行い、意見を取りまとめたいと思います。
また、電力・ガス取引監視等委員会では、四国電力についても、現行料金原価において稼働を織り込んでいる原子力発電所(伊方3号機)の全てが昨年度再稼働している」ことを理由に原価算定期間終了後の事後評価をしています。
そこで、公共料金等専門調査会においても、四国電力からヒアリングを行いたいと思います。
本年4月に消費者委員会から発出した北海道電力等5社による電気料金値上げ後のフォローアップに関する当専門調査会意見においても、「昨年以降の事後評価の対象となっている電力各社の料金値上げは、主に東日本大震災後の原子力利用率の低下を理由とするものであったため、原発再稼働の進展によりその理由が失われた際に規制料金引下げが適切に行われるかについて、電力・ガス取引監視等委員会による適切な監視が行われることが必要である。また、消費者委員会は消費者庁とともに当該状況を注視し、必要に応じてフォローアップを行うこととしたい」となっているところです。
本日は、中部電力株式会社より、明田泰伸執行役員グループ経営戦略本部部長、木川晶博グループ経営戦略本部事業分析グループ長、山本哲グループ経営戦略本部事業分析グループ課長にお越しいただき、御説明をお願いしたいと思います。
また、四国電力会社より、小林功常務執行役員経営企画部長、吉田元信経営企画部戦略グループリーダーにお越しいただき、御説明をお願いしたいと思います。
なお、電力・ガス取引監視等委員会事務局より、鎌田明取引監視課長、野沢直樹統括ネットワーク事業管理官にお越しいただき、料金審査専門会合における中部電力及び四国電力両社の事後評価等につき御説明をお願いしたいと思います。
それでは、初めに中部電力から御説明をお願いしたいと思います。20分程度でお願いいたします。
○中部電力株式会社明田執行役員グループ経営戦略本部部長 中部電力の明田でございます。お手元にございます資料に基づきまして御説明させていただきます。
まず、最初のページ、上のところは目次でございますので、こちらは割愛させていただきまして、スライド2を御覧いただきたいと思います。平成26年度の料金改定の概要について御説明いたします。
弊社は、平成25年10月に原価算定期間を平成26年度から28年度の3かとします平均4.95%の規制料金の値上げ認可を申請させていただきました。その後、電気料金審査専門委員会及び公聴会、消費者庁でのチェックポイントに基づく検証等を経まして、規制部門で平均3.77%の値上げを認可いただき、平成26年5月1日から実施させていただいております。
また、自由化部門につきましては、1か月早い平成26年4月1日から平均7.21%の値上げを実施させていただいております。
スライド左側の表に記載しております主な前提諸元ですが、上から2段目の原油価格につきましては、1バレル105.5ドルとなり、かなり高い水準でございました。上から4段目の原子力利用率につきましては、浜岡4号機が平成28年1月から、3号機は平成29年1月から発電電力量を想定いたしまして、原子力利用率12.4%でございます。
また、スライド中央の表に原価の内訳を記載しております。効率化額につきましては、一番下に記載しておりますが、査定額の282億円を含めまして、1,915億円を反映しております。
スライド3を御覧ください。原価算定期間3か年における収支実績をお示ししております。
経済産業省令にのっとり、規制部門及び自由化部門の収支を算定した結果、平成26年度から28年度の電気事業利益は3か年平均で、規制部門が286億円、自由化部門が933億円、合計で1,219億円となりました。
原子力発電所の再稼働遅延により、燃料費等の需給関係費の増加影響がございましたが、料金原価に反映した経営効率化の達成と、更なる深掘りを目指したグループ一丸となった取組の成果や、燃料価格の下落に伴う燃料費調整制度のタイムラグ差益が大きく発生したことなどから、規制部門、自由化部門ともに黒字となっております。
表のマル4に電気事業利益率を記載しておりますが、規制部門の3.5%に対し、自由化部門は規制部門より3.2ポイント高い6.7%の利益率となっており、規制部門から自由化部門への内部補填を行っていないことが確認いただけるものと存じます。
この利益率の主な差異要因については、スライド4を御覧ください。
規制部門と自由化部門の利益率が乖離した主な要因としましては、自由化部門は規制部門に比べ、電気料金のうち可変費の占める割合が高いことから、燃料費調整制度のタイムラグ差益が相対的に大きく反映されたことが挙げられます。
マル2とマル3の影響につきましては、次ページ以降で御説明させていただきます。
これらの影響がなかったと仮定いたしますと、一番下の括弧内でございますが、規制部門は2.2%、自由化部門は2.9%と、利益率の乖離は大きく縮小いたします。
スライド5は利益率の乖離補正のイメージを図示したものであり、説明は割愛させていただき、スライド6を御覧ください。スライド4のマル2に記載しました費用整理見直しの影響について御説明いたします。
小売全面自由化の際の省令等の改正に伴い、送配電事業に関わる費用と、送配電事業以外に関わる費用の整理が見直されました。これまで一般販売費で整理していた、お客様の契約の管理や工事の受付に関する業務の一部が需要家費に整理されることとなったために、当社においては、低圧に配賦される費用が増加した結果、28年度の規制部門の収支を押し下げる要因となりました。
具体的なイメージを図示しておりますが、左側の27年度までと右側の28年度を比較すると、色のついた面積が金額規模を表しておりまして、全体の面積は変更ありませんが、需要家費で整理される面積が大きくなり、一般販売費で整理される面積が小さくなっております。需要家費で整理される金額が大きくなった結果、需要家費はお客様の契約口数によって、特別高圧、高圧、低圧の電圧別に配賦されますので、お客様口数の多い低圧に多く配賦され、全体に占める低圧の面積が大きくなったものでございます。
スライド7を御覧ください。スライド4のマル3に記載しました固定費配分時の需要補正による影響を御説明いたします。
リード文に記載がありますとおり、送配電非関連固定費を規制部門、自由化部門に配分する際には、省令に基づき、費用を配分する諸元となる需要について補正を行っております。
補正の仕組みに関しましては、スライドのイメージ図と、その下の省令趣旨に記載しておりますので、御覧いただければと思いますが、弊社の場合、自由化部門よりも規制部門の補正が多かったことにより、補正を行わない場合と比較して、規制部門により多くの費用が配分される結果となっております。
スライド8を御覧ください。年度別の部門別収支の実績と燃料費調整制度のタイムラグ影響をお示ししております。
燃料価格は期間を通じて下落傾向であったことから、3か年ともタイムラグ影響がプラス方向に出ていることなどから、自由化部門の利益率が高い結果となっております。
スライド10を御覧ください。前提諸元などの料金原価と実績の比較について御説明いたします。
前提諸元につきましては、左側の表の一番上に記載しておりますが、料金値上げ時の想定と比較しまして、販売電力量は38億kWh減少しております。原油価格は1バレル当たり43ドルの下落。為替レートは、1ドル当たり14円の円安となりました。原子力利用率につきましては、原価上は先ほど申し上げたとおりでございますが、実績は期間を通じて非稼働となりました。
左の表の一番下の経営効率化につきましては後ほど詳しく御説明いたしますが、燃料費を中心に439億円の深掘りを行っております。
スライド11を御覧ください。料金値上げ時の想定からの収支変動要因について、前提諸元の変動による影響を中心に御説明いたします。
主な乖離要因としましては、右側の箱に記載しておりますけれども、マル1、マル3、マル4が燃料価格の変動によるものでございまして、燃料価格の下落に伴い、マル1で収入が減少するとともに、マル3で燃料費も減少しております。一方で、マル4で円安に伴い、燃料費が増加しており、これらを合算しますと、右側の箱のオレンジのところ、720億円程度の増益影響となっております。
続いて、マル2とマル5が販売電力量の減少によるものでございまして、合算しますと、右側の青い箱の記載のとおり、110億円程度の減益要因。加えて、マル6の原子力発電所の再稼働遅延で380億円程度の減益要因があり、両者を合算しますと490億円程度の減益要因がございます。
この減益につきましては、マル7の燃料費をはじめとする効率化の深掘り440億円では穴埋めできませんでしたが、オレンジの箱の下に記載のとおり、燃料費調整制度のタイムラグ影響が590億円程度あったことなどから、マル1からマル9を合算しますと1,219億円の利益となっております。
スライド12を御覧ください。料金原価と実績の比較の各項目の内訳について、お示ししております。
実績費用合計につきましては、料金改定時の想定と比較して燃料価格が大幅に低下したことにより、燃料費が減少したことや、燃料費を中心とした経営効率化の深掘りなどにより、2,825億円減少しました。
表において赤枠でお示ししている実績が原価を上回った人件費、修繕費、購入電力料、その他経費につきましては、その理由について、次のスライド以降で御説明いたします。
スライド14を御覧ください。人件費の実績が原価を上回った要因でございます。
年収水準の引下げや保養所の全廃など、経営効率化に取り組む一方、電力の安全・安定供給に必要な人財確保や従業員のモチベーション維持のため、効率化成果の一部を従業員の処遇へ反映したことなどにより、給料手当や法定厚生費が増加し、人件費全体で77億円の増加となっております。
スライド15を御覧ください。人件費の削減の取組について御説明いたします。
年収水準、福利厚生の見直しに加え、業務の集中化や委託化による要員のスリム化など、人件費全体の低減に向けた様々な取組を実施しております。具体的な取組内容は、表に記載のとおりでございます。
スライド16を御覧ください。修繕費が上回った要因でございます。
表の右側の流通・その他部門において37億円増加しておりますが、下の囲みに記載のとおり、PCB含有機器の取替え計画が定まったことから、取替え費用について会計上の引当を実施しており、その影響が実績に60億円程度プラスで出ておりますので、それを差し引いた実質の修繕コストとしては実績が原価を下回っております。
なお、弊社は、この3年間において、緊急的な修繕の繰延べは実施しておりません。
スライド17を御覧ください。購入電力料につきましては、再生可能エネルギーに関わる購入電力量が増加したことなどにより、実績が原価を上回っております。
スライド18を御覧ください。その他経費が上回った要因でございます。
その他経費についても、全般に徹底した効率化に努めたものの、合計では461億円の増加となっており、主な増加要因を表の右側にお示ししております。
委託費につきましては、電力システム改革などの事業環境変化に対応するため増加しております。具体的な内容としましては、システム開発費用が増加したことや、使用済燃料の輸送費用について会計上の引当を実施したことなどによります。
普及開発関係費につきましては、小売サービスに関わる広報活動として、電気をお使いになられるお客様へのより付加価値の高いサービスや、料金メニューの情報発信に関わる費用を支出したことなどによります。
諸費につきましては、石油火力発電所の稼働低下に伴い、在庫の時価評価を実施した結果、評価損が発生したことなどによります。
その他の項目につきましては、記載のとおりでございます。
スライド19を御覧ください。販売電力量当たりの原価と実績の比較をいたしますと、表の右下になりますが、実績が原価をkWh当たり1円72銭下回っております。これは、販売電力量の減少はありましたが、燃料価格の下落や効率化の深掘りにより、燃料費の実績が大きく原価を下回ったことなどが主な要因となっております。
スライド20を御覧ください。経営効率化につきましては、料金原価に反映した査定額を含む効率化額である1,915億円を全社で達成することを目標とした上で、一つ一つの業務や支出に対して、グループ一丸となって更なる効率化に取り組んできた結果、下の表のとおり、人件費は未達でございますが、全体では439億円の深掘りをすることができました。
項目別では、一番上の段の燃料費・購入電力料において、深掘りを実施しております。具体的な取組としましては、安価な燃料調達に向けた取組や、経済性に優れる発電所を1日でも長く稼働させるための取組を行っており、後ほど事例を御紹介さていただきます。
なお、先ほど修繕費の説明でも申し上げましたが、弊社では、この3か年においては緊急避難的な支出の抑制や工事の繰延べなどは実施しておりません。弊社の場合、平成23年度に浜岡原子力発電所の全号機が停止したことから、急激に収支が悪化したことへの対応として緊急的な繰延べを実施しましたが、その後は中長期的に持続可能な効率化の取組となるよう努めてきております。
スライド21を御覧ください。現在の経営効率化の推進体制について御説明いたします。
弊社では、平成28年度からカンパニー制を導入しており、発電、電力ネットワーク、販売の3カンパニーを設けて、今後の事業環境変化に対し、柔軟かつ迅速に対応できるよう、自律的な事業体制の構築を目指しております。
経営層は、各カンパニーが経営効率化を織り込んで策定した事業計画について、四半期ごとに進捗確認を行うことで、各カンパニーが自律的に効率化を進めることを促しています。
カンパニーが行う自律的な効率化の一例として、電力ネットワークカンパニーの取組を右側の図にお示ししておりますが、資機材調達コストの低減はもちろん、あらゆる分野の生産性向上に向けた検討会を立ち上げ、外部有識者の御指導もいただきながら、これまで以上に一歩踏み込んだ効率化や改革の推進を図っております。
スライド22を御覧ください。ここからは、効率化の取組事例について御紹介させていただきます。
初めに、燃料費の削減に向けた取組のうち、火力発電所の運用面について御説明いたします。火力発電所の運用においては、メリットオーダーを大前提とした上で、ベース電源となる経済性にすぐれる石炭火力発電所や、高効率LNG火力発電所の稼働率を上げるために、定期点検を1日でも短縮させるための様々な取組、突発的な設備不具合に伴う計画外補修停止の未然防止のための様々な取組を実施しております。
スライド23を御覧ください。燃料費の削減に向けた取組のうち、火力発電所の設備面について御説明いたします。
既存の高効率火力発電所においても、ガスタービンや付随する部品を新型に取り替えることで、熱効率の向上や夏季の出力低下の回復を図るとともに、点検インターバルを延長して停止期間を減らすなどの取組を進めております。
スライド24を御覧ください。燃料費の削減に向けた取組のうち、燃料調達について御説明いたします。
燃料調達においては、安定性、経済性に加えて、柔軟性の向上に向けた取組を進めており、平成28年7月には東京電力との合弁会社であるJERAに実施主体を移管し、更なる削減に向けた取り組みを進めているところです。
一つ目の○では、供給地域の分散化や価格体系の多様化を行うことで、LNGの価格交渉力を強化する取組。
二つ目の○では、LNG輸送コストの削減。
三つ目の○では、安価な石炭調達に向けた取組を記載しております。
25ページを御覧ください。設備投資の効率化事例として、設備更新時における取り替え範囲の最小化に向けた取組事例を記載しております。
スライド26を御覧ください。修繕費の効率化事例として、点検項目や周期の見直し事例を記載しております。
過去の故障実績などをもとに、故障時の影響の大きさを分類し、必要な点検項目と周期を精査することで、修繕費の削減を図っております。
スライド27を御覧ください。業務運営につきましては、事業環境の変化に対応しながら、業務の集中化や外部委託化を進めるとともに、組織の統廃合などを行うことで効率化を進めております。
スライド28を御覧ください。競争発注の拡大などによる資機材調達コスト削減の取組事例を記載しております。
タービンなどに付随する部品について、原メーカーではない3rdパーティーを競争させることで、調達コストの削減につなげている事例になります。
スライド29を御覧ください。弊社のグループ会社で、主に配電外線工事を実施しているトーエネックが発注している物品について、当社主導で競争環境の整備を進めることで、調達コストの削減につなげている事例になります。
スライド30を御覧ください。利益の使途、規制部門の収支見通しと、事業者として考えている電気料金の評価について御説明いたします。
現行料金の算定期間である平成26年度から28年度においては、原子力の停止に伴う燃料費の増加がありましたが、最大限の効率化に努めたことに加え、燃料費調整制度のタイムラグ影響で一時的な収支向上があったことから、規制・自由ともに黒字を確保しております。
この純利益につきましては、安定供給のための投資や配当などに充当した上で、財務基盤の改善に努めてまいります。
29年度の収支見通しにつきましては、個別決算全体で当期純利益600億円程度を見込んでおりますが、この見通しをもとに規制部門収支を算定しますと、100億円程度の純損失となる見込みです。個別決算全体では黒字見通しの一方で、規制部門が赤字となる主な要因は、スライド6で、費用整理の見直しによって28年度の規制部門収支を190億円程度押し下げるとの御説明をした影響が、29年度にも同程度継続することに加えまして、新料金メニューへの移行や他事業者への切り替えが進む影響で、規制部門の販売電力量が減少する見通しであることなどでございます。
また、浜岡原子力発電所の全号機停止が継続していること、競争の激化や省エネの進展などにより販売電力量が減少していることなど、大変厳しい経営環境が続いております。以上のことから、今後もあらゆる分野における効率化への取組を徹底しながら、電気料金につきましては当面、現行水準の維持に努めてまいりたいと考えております。
スライド31を御覧ください。最後に、部門別収支等のホームページへの掲載場所について御紹介しております。
左側のトップページから2クリックで、右側の電気料金の原価と実績の比較などという画面に遷移し、部門別収支の結果等を御確認いただけるようになっております。このホームページの内容につきましては、料金審査専門会合において分かりにくいといった御指摘をいただいておりますので、今後、改善に努めてまいる所存でございます。
私からの説明は以上でございます。
○古城座長 ありがとうございました。
続きまして、四国電力株式会社からの御説明を伺いたいと思います。20分程度で御説明をお願いします。
○四国電力株式会社小林常務執行役員経営企画部長 四国電力の小林でございます。それでは、お手元の資料に沿って御説明させていただきます。
2ページをお開きください。当社は、平成25年2月に平均10.94%の規制部門料金の値上げ認可申請を行いました。その後の審査プロセスを経て、同年8月に規制部門で平均7.8%の値上げ認可をいただき、同年9月1日より実施しております。
認可原価の詳細については、記載のとおりですので、説明は割愛させていただきます。
3ページ目をお開きください。ここでは、28年度における規制部門・自由化部門別の収支実績を記載しております。
電気事業利益につきましては、規制部門は11億円の赤字、利益率ではマイナス0.7%。自由化部門は、79億円の黒字、利益率は2.9%。規制・自由化部門合計では68億円の黒字、利益率では1.5%となりました。
4ページ目をお開きください。先ほどの規制部門と自由化部門の利益率の乖離要因について、主な要因を説明しております。
規制部門は、自由化部門に比べ、電気料金のうち固定費の占める割合が高いため、退職給与金やシステム改革に伴う委託費の増加による影響が相対的に大きく現れたことによるものです。これらの要因に加え、需要種別配分比率の補正に伴う影響を控除することにより、規制部門、自由化部門、ともに利益率は6.8%とそろうこともあり、その乖離は解消しております。
5ページ目をお開きください。ここでは、4ページと同様の内容をイメージ図にしておりますが、重複しますので説明は割愛させていただきます。
6ページをお開きください。ここからは、料金原価と実績の比較について御説明いたします。
前提諸元につきましては、平成28年度実績と料金改定時の前提を比較しますと、販売電力量は節電や産業用の生産水準低下により19億kWhの減少、率にして6.9%の減少。それから、為替レートにつきましては大幅な円安。一方、原油価格は大幅に下落しております。
次に、その下の需給バランスでありますが、販売電力量の減少等に伴い、全体の発受電電力量は22億kWh減少しましたが、減少分については、石油の焚き減らし等で対応しております。
こうした状況の中、経営全般にわたる徹底的な効率化に取組、最下段に記載の経営効率化額は、料金改定申請時に計画した目標額に査定額を加えた412億円を上回る478億円となりました。
7ページを御覧ください。ここでは、原価と実績の主な乖離要因について整理しております。
まず、燃料価格の低下による影響でございますが、収入側では、マル1のところでありますが、420億円の減収。一方、費用側では、マル3とマル4を合わせて635億円の費用減となり、これらを合計しますと215億円、利益を押し上げたことになります。
次に、販売電力量の減少による影響としては、収入側はマル2のところ、285億円の減収。一方、費用側はマル5で155億円の費用減となり、これらを差し引きますと130億円、利益を押し下げたことになります。
続いて、マル6の料金査定額を上回る効率化の深掘りにつきましては、65億円、利益を押し上げております。
最後に、マル7の退職給付に係る数理計算上の差異償却費の増加により160億円の費用増となり、その他の要因も含めて、合計では電気事業利益ベースで68億円の黒字となっております。
8ページ目を御覧ください。ここでは、費目ごとの原価と実績の差異を示しております。
28年度の実績費用につきましては、人件費における退職給付に係る数理計算上の差異償却費や購入電力料が大幅に増加したものの、燃料価格の低下や修繕費を中心とした徹底したコスト削減に努めたことなどから、料金改定時の想定原価と比較して、規制部門、自由化部門、合計で167億円減少いたしました。
網掛けしているところは実績が原価を上回った費目ですが、その要因について、後ほど御説明させていただきます。
9ページを御覧ください。ここからは、28年度の実績費用が原価を上回った費目について、御説明いたします。
まず、人件費についてですが、転籍拡大などによる経費対象人員の削減に努め、511人減少しましたが、一方で、退職給付に係る数理計算上の差異償却費の増加や出向者人件費の原価不算入分の支出などがあったことから、人件費は227億円増加いたしました。
10ページを御覧ください。先ほどから出ております数理計算上の差異について、参考までに概念図をお示ししてございます。
御紹介いたしますと、概念図からも分かるとおり、数理計算上の差異とは、マル1の前年度末の割引率等に基づき算定した、当該年度に認識すべき退職給付債務額と、マル2の当年度末の割引率等に基づき算定した、期末時点での確定額との差分のことを指します。
11ページを御覧ください。ここでは、当社における数理計算上の差異償却の増加要因を整理しております。
当社は、平成28年度に数理計算上の差異として161億円、費用計上しておりますが、これは金利が大幅に低下したことに伴い、債務算定に用いる割引率が大幅に低下したことで、退職給付に関する会計基準で定める重要性基準に抵触し、認識すべき退職給付債務が増加した結果であります。
当社の場合、数理計算上の差異につきましては、発生事業年度の翌事業年度に一括費用処理する会計処理方法を採用していることから、28年度に発生した数理差異161億円を一括費用計上したものであります。
12ページを御覧ください。減価償却でございます。
減価償却については、坂出2号機リプレースに伴う火力設備に係る償却費や、安全対策工事の実施に伴う原子力設備に係る償却費が増加したことから、原価に対して38億円増加しております。
13ページを御覧ください。購入電力料です。
購入電力料につきましては、再生可能エネルギーの受電増加等によりまして、原価に対して134億円増加しております。
14ページを御覧ください。これは、原子力のバックエンド費用でございますが、平成28年10月の再処理等拠出金法の施行等によりまして、原価に対して30億円増加しております。
15ページを御覧ください。諸経費につきましては、徹底したコスト削減に努めたものの、電力システム改革に伴うシステム開発や改修による委託費の増加などによりまして、原価に対して37億円増加しております。
16ページを御覧ください。ここでは、原価と実績のkWh当たり単価を比較しております。
原価及び実績費用を販売電力量当たり単価で比較した場合、設備費等は、人件費の増や原子力設備の償却費等の増加に加え、販売電力量がマイナス6.9%と大幅に減少したことから、原価に対して1円75銭増加しております。
一方、燃料費等は、燃料価格の低下に伴い、1円9銭減少したことから、費用合計では原価に対して65銭上回っております。
17ページを御覧ください。ここからは、経営効率化の達成状況について御説明いたします。
平成28年度のコスト削減実績につきましては、徹底したコスト削減に努めたことにより、料金改定申請時に計画した効率化目標額281億円に、料金認可時における査定額131億円を加えた412億円、これを66億円上回る478億円のコスト削減を達成しております。
18ページを御覧ください。ここでは、経営効率化の具体的な取組項目について記載しておりますが、次ページ以降で主な効率化事例について御説明させていただきます。
早速、19ページを御覧ください。坂出2号機リプレース工事におけるコスト低減・工期短縮についての事例でございます。
タービン建屋の地下躯体工事におきまして、これまでの鉄筋コンクリートの基礎構造から、地中梁を鋼製とすることで、柱と杭を一体化する新たな工法を採用することにより、コスト低減と工期短縮を実現しております。
20ページを御覧ください。この事例は、変電所のエアレス化推進によるメンテナンス費用の削減についてでございます。
空気圧で操作する遮断器などの変電機器を老朽取替えなどのタイミングに合わせて電動化していくことで、変電所全体のエアレス化を推進し、コンプレッサーに係るメンテナンス費用の削減を図っております。
21ページを御覧ください。燃料調達コストの低減についてであります。
当社では、これまでも燃料の安定確保や調達価格の低減などに取り組んできておりますが、平成28年度におきましても、安価な低品位炭の利用拡大や、新規銘柄の拡大に向けた燃焼試験を実施するなど、これまでの取組を深掘りしております。
22ページを御覧ください。現地調達会社の設立によるコスト低減の事例でございます。
当社では、更なる安価・安定調達を目指して検討を進め、銘柄を特定しないスペック指定での購入による調達コストの一層の低減を目的に、平成28年4月に海外(産炭地)に、オーストラリアでございますが、石炭の現地調達会社を設立いたしました。平成29年度には、現地調達会社での取扱量を倍増させる予定であります。
さらに、将来的には、他事業者への販路拡大も視野に事業を展開しているところでございます。
23ページを御覧ください。燃料転換及びLNGコンバインドサイクル発電の導入についてであります。
当社では、燃料費の抑制やCO2排出量低減等の観点から、石油に比べ安価で環境性にすぐれるLNGの利用拡大を進めております。坂出4号機の燃料転換、それから坂出1号機のリプレースに続き、平成28年度においては坂出2号機についてもLNGコンバインドサイクル発電へのリプレースを行いました。
24ページを御覧ください。ここは、水力発電所における効率化事例であります。
当社では、火力発電所の燃料費抑制のため、水力発電所の既設水車の設備更新の機会を捉え、高効率水車の導入や設備余力の活用による発電効率の向上及び出力増強を行っており、平成28年度においても3カ所の発電所で合計約1,600kWの出力増強を行っております。
25ページを御覧ください。ここでは、当社における効率化の取組体制について記載しております。
料金改定申請前の平成24年10月に、社長を委員長とする経営改革特別委員会を設置し、一層の経営体質強化を図る観点から、コスト削減を重点課題として掲げ、効率化に向けた取組を進めております。
26ページを御覧ください。ここの事例は、一括発注・共同調達についてであります。
納入時期・納入場所が異なる同種製品をまとめて一括発注することや、他電力会社等との間で同種製品をまとめて共同調達することにより、ボリュームディスカウントを図ってございます。
27ページを御覧ください。効率化事例は終えまして、ここからは当社の電気料金に関する考え方と現下の経営環境を踏まえた取組状況について御説明させていただきます。
当社は、平成24年1月の伊方発電所1から3号機全台停止に伴い、25年9月に料金値上げを実施させていただきましたが、その際、お客様の御負担を少しでも軽減する観点から、原子力規制委員会による新規制基準が施行された25年7月に、いち早く伊方3号機が再開することを織り込んで、25年度から27年度の3年間を原価算定期間として料金を算定いたしました。
25年7月以降も、伊方発電所全台停止が続きましたが、電気料金の再値上げをお願いするような事態を回避すべく、全社一丸となって労働生産性の向上や資機材調達コストの低減等の経営効率化に加え、修繕工事等の緊急避難的な繰延べを実施することで、経営収支の改善に努めてまいりました。同時に、安全性の確保を大前提に、伊方3号機の早期再稼働に向けて安全対策工事を着実に実施してまいりました。
その結果、伊方3号機につきましては、通常運転再開を昨年9月に果たし、その後も安全・安定稼働を継続することにより、電力需給や収支の安定化に大きく寄与しております。
一方で、現在、現行料金の原価算定期間は終了しておりますが、上記のとおり、伊方3号機の再稼働は現行料金に織り込み済みであることに加え、当初の想定よりも、節電や離脱の影響などにより販売電力量が大幅に減少するとともに、原子力の安全対策工事に係る減価償却費等の大幅な費用増が見込まれ、現段階においては値下げすることは困難な状況です。
こうした中、当社としては、更なるコストダウンはもとより、お客様の利便性に資する多様な料金メニューの設定や、お客様のお困りごとの解決など非価格サービスの充実を図ることに加え、卸販売の拡大や四国域外での販売などにも取り組んでおります。また、電気料金の値下げについては、お客様からの御期待が大きいことは重々承知しており、引き続き当社経営の重点課題と位置付けて検討を重ねてまいります。
また、こうした当社の取組状況については、当社の全ての支店において開催しておりますお客様との懇談会や毎月の社長定例会見、ホームページに加えまして、日常の営業活動等、お客様と直接お会いする機会等も最大限活用して、今後も丁寧な情報発信・コミュニケーションに努めてまいる所存でございます。
28ページを御覧ください。収支見通しを掲載しております。28年度実績から29年度の収支見通しに至る増減要因を記載しております。
29年度見通しにつきましては、数理差異償却費の反動減が見込まれるものの、電力需要が減少していることに加え、これまで抑制してきた修繕費等が増加することなどから、当社の当期純利益は145億円の黒字、規制部門は15億円の黒字にとどまる見通しとなっております。
29ページを御覧ください。原子力設備利用率の推移をまとめたものであります。説明は省略させていただきます。
続きまして、30ページを御覧ください。労働生産性と競争発注比率の推移を記載しております。
労働生産性は、一人当たりの販売電力量の推移でございます。左側のグラフは、労働生産性、つまり一人当たり販売電力量の推移を表しております。販売電力量が減少する中、人員削減により労働生産性の向上に努めております。
右側のグラフは、競争発注比率の推移であります。料金値上げの際に、競争発注比率を30年度に30%まで引き上げることを目標に掲げ、その達成に向けて28年度の競争発注比率は27%となりました。今後とも仕様の標準化や簡素化等を進め、競争発注比率の拡大に一層努めてまいります。
31ページを御覧ください。販売電力量の推移と、その影響について取りまとめたものであります。説明は割愛させていただきます。
続きまして、32ページでございます。御家庭のお客様向けの料金プランやサービスとして、御家庭向け新料金プラン・割引制度や新ポイントサービスについて御紹介させていただいております。
左側の新料金プラン・割引制度は、お客様の電気の使用状況やライフスタイルに応じて導入した電気料金メニューのラインナップであり、お客様は自由に選択できることになってございます。
また、右側の無料会員制Webサービス「よんでんコンシェルジュ」は、御家庭のお客様であれば誰でも御加入でき、実績照会サービスや最適な料金メニューのシミュレーションもできます。このほか、電気料金のお支払い額に応じたポイントサービスも提供しております。
33ページを御覧ください。付加価値サービスとして、あんしんサポートサービス、それから生活トラブル駆け付けサービスについて御紹介させていただいております。
最後に、34ページを御覧ください。34ページは、参考までに部門別収支等のホームページでの公表箇所を記載しておりますが、説明は割愛させていただきます。
以上、御説明させていただきました。ありがとうございました。
○古城座長 ありがとうございました。
続いて、電力・ガス取引監視等委員会事務局からの御説明を伺いたいと思います。20分程度で御説明をお願いいたします。
○電力・ガス取引監視等委員会事務局鎌田取引監視課長 電力・ガス取引監視委員会事務局の鎌田でございます。よろしくお願いいたします。
資料4でございます。
まず、資料の構成を申し上げます。2ページの目次を御覧いただきたいと思います。
大きく3部構成になっております。
一つ目が審査基準に基づく評価でございますが、こちらは今年8月に料金改定を行いました関西電力を除くみなし小売電気事業者9社が対象のものでございます。
二つ目の原価算定期間終了後の追加検証でございますが、中部電力及び四国電力を対象としまして、まず概観として料金原価と実績費用の比較、規制部門と自由化部門の利益率及び乖離要因、そして経営効率化の取組状況の3つの論点について概括的にまとめ、その後に各社ごとの評価を行っております。
そして、三つ目でございますが、審査基準に基づく評価費用、それから原価算定期間終了後の追加検証の双方を踏まえた総評という形で資料を構成しております。
まず、審査基準に基づく評価でございますが、4ページを御覧ください。ここでは、経済産業大臣によります料金変更認可申請命令の発動に関する審査基準を整理しておりますが、命令の発動の要否につきましては、二つのステップで判断することになっております。
まず、上のほうの緑の枠ですが、ステップ1でございます。こちらは、規制部門の電気事業利益率の直近3か年の平均が、電力会社10社の過去10年間の平均利益率を上回っているかどうか確認します。
このステップ1に該当した場合には、その下にございますが、ステップ2に進むことになります。このステップ2には二つの基準がございますが、一つ目が下の左側の図になりますが、料金改定後の超過利潤の累積額が事業報酬額である一定水準額を上回っているかどうか。二つ目が右の図になりますが、自由化部門の収支が2年連続で赤字となっているかどうか。この二つの基準のいずれかに該当するかどうかを確認することになります。
続いて、5ページでございます。ただいま申し上げました審査基準を、今回の事後評価の対象となる9社に適用した結果をまとめております。
まず、表の上のほう、ステップ1でございますが、表の右端の列に10社のところがありますが、そこに2.3%とございます。これが電力会社10社の過去10年間の平均利益でございますが、これを過去3年間の平均利益率が上回る会社があるかどうかということですが、ステップ1の一番下の行にYesと書いてあります、左から北海道電力、東北電力、東京電力エナジーパートナー、中部電力、九州電力、沖縄電力の6社がこの水準を上回る利益率となっております。
次に、ステップ1に該当しました6社につきまして、ステップ2に係る基準、すなわち規制部門の累積超過利潤に係る基準と、自由化部門の収支に係る基準を適用した結果を記載しております。6社ともBの規制部門の平成28年度末の超過利潤の累積額は、事業報酬額を下回っております。また、Cの欄にございます自由化部門の収支につきましても、平成27年度、平成28年度の両年度において黒字となっておりまして、ステップ2の基準に該当する会社はなかったということでございまして、変更認可申請が必要と認められる電力会社はなかったということでございます。
次に、7ページ以降で、中部電力、四国電力に関する追加検証の概要を説明いたしますが、まず概観としまして、冒頭に申し上げた三つの論点につきまして、両社を横並びで比較できる形で整理しております。
7ページでは、一つ目の論点でございます料金原価と実績費用の比較に先立ちまして、原価算定時と実績算定時の前提諸元を一覧にしておりますが、表の一番上、販売電力量につきましては、2社とも実績が原価を下回っております。また、為替レートは円安になっているものの、原油価格が大幅に下落したことによりまして、全体としての燃料価格は下落傾向になっております。
なお、原価と比較する実績年度でございますが、中部電力につきましては、平成26年度から28年度の原価算定期間に対しまして、実績も同じ26年度から28年度の3年間としておりますが、四国電力につきましては、原価算定期間は平成25年度から27年度の3年間でございますが、当該期間の実績との比較は既に実施済みでございますので、今回は直近の平成28年度の実績と比較する形にしております。
8ページでございます。ここでは、前提諸元の中の需給バランスと販売電力量に着目して、原価時と実績時の比較を行っております。
一番下の2行にございますとおり、2社とも販売電力量が減少していることに伴いまして、発受電量が減少しております。
次に、表のちょうど中ほどでございますが、原子力の発電実績につきましては、中部電力がゼロ、非稼働であるのに対しまして、四国電力では伊方3号機の再稼働によりまして、原価に近い水準の実績となっております。
また、その上の火力発電につきましては、2社とも単価が相対的に高い火力の石油の焚き減らしを行う一方で、単価が相対的に低い石炭火力の焚き増しを行っている状況にございます。
また、他社購入電源につきましては、2社とも太陽光などの再生可能エネルギーの受電増などにより増加している状況でございます。
9ページを御覧ください。ただいま御説明しました前提諸元の変化を踏まえた原価と実績を示しております。
表の中の個別費目を見てまいりますと、まず一番上の人件費でございますが、括弧書きをしております細目の給料手当では、経営効率化の成果を従業員の処遇への反映ということで、2社とも実績が原価を上回っております。特に、四国電力につきましては、先ほど御説明がありました退職給付計算に係る数理差異を一括費用処理したことが大きく影響しまして、退職給与金に係る実績が原価を上回ったため、人件費全体としても実績が原価を大きく上回っているという状況でございます。
2行目の燃料費につきましては、主に原油価格の大幅な下落による燃料価格の低下によりまして、2社とも減少している状況でございます。
3行目、修繕費でございますが、こちらは中部電力では、流通部門の設備に係るPCB含有機器に関して引当を行ったという特殊要因の影響で増加しております。
また、減価償却費につきましては、四国電力で伊方3号機の再稼働に伴い、これまでの安全対策投資に係る償却がスタートした影響で増加しているという状況でございます。
10ページでございます。ここでは、二つ目の論点でございます規制部門と自由化部門の利益率の乖離の分析の前段としまして、2社の収支実績を示しておりますが、両社とも規制部門の利益率が自由化部門の利益率を下回っております。
特に、四国電力におきましては、規制部門の利益率がマイナス0.7%ということで、マイナスになっているという状況にございます。
11ページでございます。こちらでは、規制部門と自由化部門の利益率及びその乖離の要因を示しております。
2社共通の乖離要因としましては、発電所の減価償却費、修繕費といった送配電非関連固定費の需要補正の影響が挙げられますが、この影響で規制部門の利益が減り、自由化部門の利益が増えるという形になっております。
その他の乖離要因は両社で異なっておりますが、全般的に言えることとしましては、燃調タイムラグの影響など、可変費関連の項目につきましては、相対的に販売電力量の多い自由化部門に影響を及ぼしやすいということ。また、電力システム改革等に伴う委託費の増加の影響など、固定費関連の項目につきましては、相対的に固定費割合の高い規制部門に影響を及ぼしやすいといった傾向は、両社共通となっております。
表の一番下の行の括弧内に記載がございますが、規制部門と自由化部門の利益率につきまして、主な乖離要因を除外しますと、その乖離幅は2社とも1%を切るところまで縮小するということでございます。
続いて、12ページ、13ページは、参考として添付しておりますけれども、先ほど2社共通の乖離要因として挙げました送配電非関連固定費の配分時における需要補正の省令についてまとめたものとなります。
平成11年の部分自由化に伴いまして、部門別収支制度を導入した当初、自由化部門での需要減によりまして全体の需要が減少した場合には、自由化部門に費用負担を寄せまして、規制部門に悪影響が及ばないようにとの目的で需要補正する省令が作られました。
しかし、平成28年4月以降の小売全面自由化後におきましては、節電等の全般的な需要減の影響に加えまして、新電力あるいは自社内の自由料金メニューへのスイッチング等によりまして、規制部門の需要減も大きくなってきておりまして、規制部門に費用負担が寄る形での補正が起こりやすい状況になっております。この補正によりまして、実態以上に電力会社各社の規制部門の利益率を低下させている可能性がございまして、今後、自由化の進展とともに、規制部門の需要の減少が進みますと、こうした補正がかかるケースが増えていくことが見込まれる状況になっております。
14ページでございます。ここでは、三つ目の論点でございます経営効率化への取組状況をまとめております。
まず、2社とも緊急避難的な支出抑制・繰延べの実績はなく、恒常的な取組によって経営効率化の実績が、料金原価算定時の計画値を上回っているという状況にございます。
費用別に見てまいりますと、一番上の燃料費・購入電力料につきましては、定期検査の期間を短縮して、石炭やLNGなど、火力の中でも相対的に安価な電源の稼働率を向上させる。あるいは、市場価格を見ながら卸取引所での購入を進めるといった取組によりまして、2社とも実績が計画を大きく上回っております。
また、設備投資関連費用や修繕費につきましても、競争発注拡大や定期検査の周期の工夫などにより、2社とも実績が計画を上回る状況となっております。
他方、人件費については、2社ともに計画値未達という状況になっております。
この14ページまでが2社横並びで見た概観でございますが、15ページ以降では個社別に評価をまとめております。
まず、各社のパートの構成を申し上げますが、中部電力を例に申し上げますと、16ページで料金原価の実績費用との比較をサマリーとしてまとめております。続いて、17ページから20ページにおきまして、実績が原価を上回った項目、それぞれについて整理しまして、続いて、21ページにおきまして規制部門と自由化部門の利益率と、その乖離要因。そして、22ページで経営効率化の取組状況について整理しております。最後、23ページ以降でまとめ案ということで、記載しております。本日は、時間の都合もございますので、また、先ほどの各社からの説明とも重なる部分が多いので、まとめ案を中心に説明してまいりたいと思います。
23ページの中部電力のまとめ案のところを御覧いただきたいと思います。
まず、原価と実績の比較におきまして、実績が原価を上回っていた費目について、人件費、修繕費、購入電力料、その他経費の四つを示しております。
まず、16ページを御覧いただきたいのですが、サマリーで黄色くハイライトで示しておりますが、これが今の4項目でございます。
表の右の欄に主な差異要因を記載しておりますけれども、差異の大きな項目としてはその他経費がございまして、石油の焚き減らしを行った中で、原油価格の大幅な下落を受け、在庫の評価損を大きく計上したことによる諸費の増加ですとか、使用済み燃料の輸送コストについて引当計上を行ったことによる委託費の増加などが主な要因となっております。
このその他経費を含めた四つの項目につきましては、いずれも不合理な理由に基づいて実績が原価を上回ったものとは認められませんでした。
続いて、24ページでございます。規制部門、自由化部門の利益率の比較とその乖離要因でございます。
ここでは、主な乖離要因として、マル1からマル4の4点を挙げております。
一つ目に、燃料費調整制度のタイムラグの影響が、販売電力量が多い自由化部門に大きく現れたということでございます。
二つ目が、契約管理・受付業務の一部につきまして、託送料金審査に係る費用整理が見直されたことに伴いまして、従来、費用比で配分されていたものが、契約口数比での配分に変更されたことで、より規制部門に費用が寄る形となったことであります。
三つ目が、送配電非関連固定費の需要補正による影響。
四つ目が、料金改定のタイミングが、規制部門で1か月遅れたことによります規制部門の利益の減少でございます。
これらの要因を除外しますと、利益率につきましては、規制部門で3.5%、自由化部門で6.7%と、3.2%の乖離があったものが、0.7%の乖離に縮小するということでございます。
また、乖離要因につきまして不合理なものは認められませんでした。
続いて、25ページでございます。経営効率化への取組状況でございますが、1,915億円の計画に対しまして、実績が2,354億円と、439億円の深掘りとなっております。
以上が中部電力に関する評価でございます。
続きまして、26ページ以降が四国電力に関する評価でございますが、こちらも飛んでいただいて、36ページのまとめ案を御覧ください。
初めに、料金原価と実績費用の比較でございますが、実績が料金原価を上回っていた費目につきましては、人件費、減価償却費、購入電力料、原子力バックエンド費用、その他経費の五つとなっております。
こちらも27ページを御覧いただいて、サマリーでございます。
表の右の欄に主な差異要因を記載しておりますが、差異の大きな項目としては、人件費や購入電力料がございます。
人件費に関しましては、退職給付に係る割引率の見直しによる数理計算上の差異を一括費用処理したこと。
購入電力料に関しましては、再生可能エネルギーの受電増などが大きく影響しているということでございます。
これらを含めまして、今、申し上げた五つの費目につきまして、いずれも不合理な理由に基づき実績が原価を上回ったものは認められませんでした。
続いて、37ページでございます。規制部門と自由化部門の利益率とその乖離要因でございます。
主な乖離要因ですが、一つ目は、電力システム改革に伴うシステム開発・改修等の委託費の増加による影響。
また、二つ目が送配電非関連固定費に係る需要補正の影響。
三つ目に、退職給付に係る数理計算上の差異の一括償却による影響がございます。
一つ目と三つ目の影響が、相対的に固定費の配分割合が高い規制部門に大きく現れております。これらの要因を除外しますと、規制部門でマイナス0.7%、自由化部門で2.9%と、3.6%あった利益率の乖離はほぼなくなりまして、また、乖離要因に不合理なものは認められませんでした。
続いて、38ページでございます。経営効率化への取組状況でございますが、412億円の計画に対しまして、実績が478億円と、66億円の深掘りとなっております。
以上が四国電力に関する評価でございます。
最後に、今回の原価算定期間終了後の事後評価全体を通しての総評をまとめておりますので、40ページ以降を御覧いただきたいと思います。
まず、40ページでは、原価算定期間を終了しました9社を対象とした審査基準に基づく評価結果を記載しております。
事後評価の目的につきましては、原価算定期間が過ぎた料金につきまして、その原価の適正性を評価し、引き続きその原価を用いることが正しいかどうかを評価するということでございますが、今回、経済産業大臣からの意見聴取を受けて実施しました事後評価の結果、冒頭にも御説明しましたとおり、変更認可申請が必要と認められる事業者はございませんでした。
41ページでございます。中部電力及び四国電力に関する追加検証についてのまとめを記載しております。
まず、1番目の原価と実績の比較でございますが、燃料価格の大幅な変動や原子力発電所の非稼働あるいは再稼働の遅延といった事情を踏まえますと、個別費目につきまして不合理な理由に基づき実績が原価を上回っているものは認められませんでした。
また、2.規制部門と自由化部門の利益率の乖離に関しましては、2社とも規制部門が自由化部門の利益率を下回っておりましたが、この乖離要因につきまして確認したところ、不合理なものは認められませんでした。
3の経営効率化でございますが、昨年度までとは異なりまして、緊急避難的な支出抑制・繰延べはございませんでした。また、取組の内容、進捗にばらつきはあるものの、2社とも計画を上回る実績につながる経営効率化の取組を行っておりました。なお、昨年度の事後評価の際には、緊急避難的な支出抑制・繰延べを恒常的な取組につなげていく必要があるとの指摘がございましたが、この点についての取組が進んでいることについては、一定の評価ができるのではないかと考えております。
42ページが全体を通してのまとめ、結論でございます。
まず、一つ目の●にありますとおり、今回、事後評価の対象となった事業者につきましては、現行料金の変更申請が必要とは認められませんでした。
しかし、二つ目の●にございますとおり、震災後に行われた小売規制料金の値上げの主な要因が、原子力発電所の再稼働の遅延であったことに鑑みますと、今後、原子力発電所が再稼働した場合には、火力燃料費などの負担が軽くなるといったこともございますので、料金原価への原子力利用率の織り込み状況なども踏まえた上で、そのコスト低減効果を従来からの緊急避難的な支出抑制・繰延べの抑止や、値下げも含めまして需要家への還元などに適切に充当するよう検討を行っていくべきとしております。
また、三つ目の●でございますが、今後とも規制経過措置料金に関連した情報提供をより分かりやすく行うよう努めていただく。また、引き続き経営効率化に真摯に取り組むことにより、コスト低減を進めていくべきとしております。
最後の四つ目の●になりますが、規制部門と自由化部門の利益率の乖離要因の一つとなっておりました送配電非関連固定費の配分の際の需要補正に関する部門別収支計算規則でございますが、こちらは追加検証を行った2社ともに規制部門の利益が減少し、自由化部門の利益が増加するという影響が出ておりました。この規定に関しましては、部分自由化当初の導入目的とは異なる形で作用している面も出てきているとのことで、この点につきましては、今後、制度設計専門会合におきまして、見直しを含め議論していくという要望が出されたところでございます。
以上でございます。
○古城座長 ありがとうございました。
それでは、御質問や御意見のある方は御発言をお願いします。発言を要望される方は、目の前の名札を立ててください。
井手座長代理、どうぞ。
○井手座長代理 中部電力さんのほうにお伺いしたいのですけれども、10ページのスライドの中で、需給バランスのところで、経済性にすぐれる電源を活用して、メリットオーダーで石炭とか高効率のLNGでかなり効率化を図ったというところはいいのですけれども、一方で、12ページの一番下のその他経費のところで、原油の評価損で461億円を載せております。これは、経済性、メリットオーダーで石油が使わないでダブついて、それを最後は評価損で全部処理するということをやっているわけで、これは、会計上は間違いはないのですけれども、合併をやって、合併の相手等々で評価損が出たときに、それを計上するというやり方も当然あるのですが、それは主に経営判断の誤りだと、それは高い原油を買ってきて、ダブついたから全部評価損で上げるというやり方は、経営判断(の誤り)を消費者に全部ツケを回しているという見方もできる。
一方で、四国電力のほうは、石炭、もちろん原油も減らしておりますけれども、ここには評価損で上げていない。若干はあるのでしょうけれども、上げていない。その違いが461億円という余りにも高額になっているので、一方で経営効率化していますと言いながら、こういうことで会計上やってしまうと問題ではないかと思いますけれども、この点について御意見をお伺いしたい。
○中部電力株式会社明田執行役員グループ経営戦略本部部長 それでは、お答えさせていただきます。
おっしゃる通りとおり、まずメリットオーダーで需給バランス上は効率化を図ったところでございます。
もう一つ、評価損の御指摘のところでございますけれども、私ども、資料の御説明が不足しておりまして、申しわけございませんでしたけれども、評価損自体の影響は461億円ではございませんで、その一部でございまして、評価損自体は110億円を計上してございます。まず、事実関係として、その点、説明が足りませんで、申しわけございませんでした。
そして、この評価損でございますけれども、なぜ計上したかということで、先ほど御指摘いただきましたように、メリットオーダーに基づき石油火力の稼働率が非常に低下しております。そうなりますと、在庫で持っている原油の回転が、従来であれば年に何回転かしていたものが、ほとんど回転しなくなったという現実がございます。そうなりますと、井手座長代理の御指摘で、会計上はこれが正しいのだといただいておりますが、まさにそのとおりでございまして、そういった回転が少なくなった在庫については、棚卸会計を適用して評価損を出すべきではないかということで、評価損を出す判断をいたしました。
このこと自体は、効率化で(原油在庫の滞留という状況が)出た中で、先行きのコスト低減も含めて評価損を出すことによって、仮に今後、石油火力を使った場合は消費単価の減少につながりますので、そういった効果も踏まえて評価損を出したということで御理解賜れればと思います。
以上でございます。
○古城座長 井手座長代理、いいですか。
○井手座長代理 一方で、同じように四国電力もメリットオーダーでやって、評価損がほとんど出ていないというのは、高い原油を買ってこなかったので余り計上されなかったという理解でよろしいのですか。
○四国電力株式会社小林常務執行役員経営企画部長 評価損が出るかどうかというのは、原油の調達時期とか回転によりますので、各社ごとに違うと思います。済みません、評価損がどのぐらい出たかというものをここには持っていないのですけれども、評価損については各社によって状況が違うので、四国電力ではそこまでやる必要がなかったという判断です。
○古城座長 陶山委員、どうぞ。
○陶山委員 御説明ありがとうございました。
まず、監視等委員会の総評のところにも挙げられていましたが、全般的に原子力発電所の再稼働遅延を主因とする値上げという状況が続いていまして、それに対して消費者は、原子力が再稼働すれば、電気料金は下がってくるのだという期待が、四国電力様も書かれているように消費者の期待は非常にあったと思います。先般、関西電力においては、再稼働の部分と経営効率化を含めて値下げされました。関西電力については、値上げをするときの条件として付されていたということもありますが、四国電力さんでは27.9%も原子力を利用しながら、こちらは下げることができないということについて、非常に理解が難しいのではないかなと思います。
お話を伺えば、経営が非常に厳しくて、第1ステップもクリアできない状況、厳しい中で頑張っていらっしゃるということはわかるのですが、このことについては非常に分かりにくいのではないかと思います。
それは、一つ、関西電力が値上げのときに付された条件と、北海道電力もそうですかね、それと他社との違い、原子力発電が再稼働したらどうなるという向き合い方、基準が消費者には分かりにくいと思いますので、そこが非常に納得を得るのが難しいかなと思います。
それで、今、御説明いただいた、経営を圧迫している主な要因として人件費が挙げられていますが、数理計算上の差異を償却したということ、ルールにのっとってやっていらっしゃるということで、そこについてはわかるといえばわかるのですけれども、本来は原子力再稼働して、電力料金の値下げが行われるはずだったものが、数理計算上の処理によって下げることがでできなかった、それが大きな要因であったとも見えます。
それでは、退職給付会計の現在価値が下がったから電気料金の値上げをしますということになるのだろうかということです。言い方が舌足らずかもしれませんが、原子力を再稼働して経費が削減されました。だから、本来であれば値下げをしたい。だけれども、それができない理由はこれこれですと。その理由の中の退職給付会計の差異を償却しなければいけないということでもって、この要因だけで値上げ申請ができるようなことなのかということがすごく疑問に思うわけです。
これはつぶやきですが、それぞれルールにのっとってやっていますということで、このルールに従う限りはこのとおりだろうなと思うのですけれども、消費者から見ると非常にちぐはぐ感がありまして、分かりにくい状況にあるなと思っています。今、私が3者から御説明いただいたところの感想です。
お伺いしたいのは、中部電力さんと四国電力さんが、この3年間の中で原子力の安全対策費、総計で幾らお使いになったかというのを教えていただきたいと思います。
それと、もう一つ、競争発注率を上げてきましたということで両社とも御報告いただきましたけれども、中部電力さんのほうで子会社の発注率を御紹介いただいたのですが、全体としては、いろいろな発注はそこが全て担われているのかどうか、全体の数値になってくるのかどうかを教えていただきたい。
この2点を教えていただきたいなと思います。
○中部電力株式会社明田執行役員グループ経営戦略本部部長 まず、後半のほうからお答えさせていただきます。
御指摘のページの、この事例はトーエネックのところでございますけれども、これにつきましては、たまたま事例としてトーエネックを出させていただきましたけれども、競争発注自体は私ども、中部電力で調達している資機材を中心に競争発注をかけるようにやっております。この事例は、グループ会社の調達部分も私どもが主導いたしまして競争発注を拡大していくということもやっておりますということを、お示ししたかったということでございます。ちなみに、値上げの際は、28年度末までに競争発注比率を35%という目標を掲げさせていただきましたけれども、実績としては37%の競争発注比率になってございます。それが2点目でございます。
最初のご質問の、浜岡の安全対策にかかった費用でございますけれども、原価算定期間におきましては、設備投資の実績で3年間合計1,143億円、減価償却費につきましては3年平均で25億円でございました。安全対策という意味では、ほかにも様々な費用がございますけれども、そういった形で区別して会計実績を出しておりませんものですから、その部分は御容赦いただければと思います。
以上でございます。
○四国電力株式会社小林常務執行役員経営企画部長 伊方3号の再稼働に伴う安全対策投資は幾ら掛かったかということですけれども、当社のプレゼン資料の28ページの右下に、安全対策費見通しというものがございます。ここは約1,900億円となっておりまして、特定重大事故等対処施設というものを工事中でありますので、今後、そういうものも含めて全てで約1,900億円かかる見通しであります。そのうち、29年度の上期までに支出した安全対策投資につきましては、約1,300億円です。
○古城座長 どうぞ。
○陶山委員 関連してよろしいでしょうか。これは、監視等委員会のほうに教えていただきたいというか、御説明いただきたいのですけれども、先ほど私がぼやきのように、消費者から見たら非常に分かりにくい。関西電力については、稼働率が非常に低い中で値下げする。それから、九州電力も動いていますが、四国電力さんは30%近い稼働率であっても、そのまま経営全体として見ると。
この分かりにくさが、ずっと喉につかえていまして、関西電力は値上げするときの条件として、1基稼働するごとに値下げをしていきなさいという非常に厳しい条件をつけていたわけですが、それと比べて、九州電力、四国電力への「原発が動いているのにと電気料金は下がらない」いう消費者全般の気持ちというか、その辺の分かりにくさがあります。もし御説明いただけるとしたら、監視等委員会のほうからはどのような分かりやすい説明をいただけるのでしょうか。
○電力・ガス取引監視等委員会事務局野沢統括ネットワーク事業管理官 監視等委員会の野沢と申します。
陶山委員の先ほどの御指摘でございますが、陶山委員の御理解のとおり、関西電力と北海道電力につきましては2回値上げをしておりまして、その2社については、まさに1機稼働するごとに値下げするようにという条件を付しておりますが、ほかの社につきましては、原発が稼働しないことに伴って、一度値上げということについて、同じように条件は付していないのですが、監視等委員会としては、先ほど御紹介させていただいたように、毎年、今の料金の妥当性についてはフォローアップすることを大臣の訓令で求められておりますので、今回、四国電力が行ったように、引き続き来年度以降も行っていきたいと考えております。
もう一つ補足しますと、九州電力につきましては、今の原発で織り込んでいる、稼働しているのが川内原発だけでございまして、九州電力は川内に加えて玄海も織り込んでおりますので、仮に玄海が稼働することになれば、今の料金で織り込んでいる原発が全て稼働していることになっておりますので、今回の四国さんと同じように詳し目のフォローアップを行う必要があるかなと考えております。
○古城座長 次、白山委員、どうぞ。
○白山委員 やや細か目な質問になるかもしれませんけれども、御容赦ください。
まず、中部電力さんに3点ほど質問がございます。
1点目でございますが、先ほど井手座長代理のほうからございました燃料の評価損でございますが、適正な資産評価という面からは当然わかるわけでございますが、財務会計上、評価損を計上する会計情報というのは、経営判断にフィードバックされなければいけないところでございまして、今回、評価損を計上したことによって、今後の燃料の購買とか在庫管理に対して、どのような対応がなされたのかという点を1点教えていただければと思います。
2点目でございますが、これもやや細かな視点でございますが、中部電力さんの資料の16ページの流通・その他部門のPCBに係る引当金のところでございますが、確認したいのは、新たにこの期間に引当を計上したのか、それとも過年度から計上されているものの積み増しなのか。もし新規であれば、なぜ今ごろPCB引当金の計上なのかという、その辺を確認させていただきたいのが2点目でございます。
3点目でございますが、これは四国電力さんとの対比で聞きたいのですが、退職給付債務の割引率は何%か。済みません、有価証券報告書を確認すればすぐわかるのですが、何%かということと、数理計算上の差異の処理方法について教えてください。
まず、中部電力さんにお願いいたします。
○中部電力株式会社明田執行役員グループ経営戦略本部部長 まず、1点目の原油の評価損の件でございます。経営に当然、会計情報としてフィードバックされ、その結果として在庫管理とか購買について、今後どのような考えがあるかという御質問と承りました。
これは、先ほど申し上げましたけれども、この先行きも省エネ等々、それから離脱もございまして、需要自体が減少傾向でございます。そういった中で、先ほどのメリットオーダーに基づきますと、原油の消費が極めて少ない状態になっていくと見込んでございます。ということを踏まえますと、まず、先ほどの理由で評価損を出したうえで、今後の購買とか在庫管理につきましても、恐らく購買については原油は極力買うことがなくなってきていると思いますし、どちらかというと今、残っている在庫を使い切るという方向性になっていくのではないかと見込んでおります。
したがいまして、これは在庫をソフトランディングさせていくといった過程において、当然、会計士の先生とご相談したうえで、こういった会計処理をさせていただいたということかと考えております。
それから、先ほどの2点目のPCB含有機器でございますけれども、これを従来からやっていたかということになると。
○中部電力株式会社山本グループ経営戦略本部事業分析グループ課長 中部電力の説明補助者の山本でございます。細かい説明になってまいりますので、私のほうから回答させていただきたいと思います。
PCBの処理に関しましては、低濃度の汚染機器と高濃度の汚染機器とがございます。高濃度の汚染機器につきましては過去から着手してまいりまして、ほぼ終了しておるところでございます。それから、低濃度のPCB汚染機器につきまして、費用的には機器を取り替える費用、それから有害な油を無害化する費用、それから変圧器などを洗浄する費用、いろいろな費用がかかってきます。私が申し上げた後ろの二つ、洗浄費用といったものについては委託費でやってございます。これにつきましては、処理センターを自社で保有しておりますので、高濃度のころからそういった処理をやるということで量を見積もってやってきております。
今回、このPCB対応につきましては、平成26年度に新たに見積りを行っているのですが、低濃度になっている配電用の柱上変圧器ですとか、変電所にあるブッシングという機器といったものに対して、低濃度のものの処理は平成39年ぐらいまでにやればいいものですけれども、弊社として処理計画が26年度に定まりましたので、その取り替えに係る修繕費を26年度に新たに計上したということでございます。
続きまして、御質問の利息費用の割引率でございますけれども、弊社は0.9%でございまして、割引率の見直しによる四国様のような影響は、原価算定期間において発生はしてございません。
それから、差異の処理方法につきましては、発生した翌年度から3年で均等償却をしております。
以上です。
○白山委員 ありがとうございました。了解いたしました。
それから、四国電力さんにお伺いしたいのですが、これも非常にページを割いて御説明されていらっしゃるので、退職給付絡みのところでございます。
10%基準で退職給付債務の見直し等々ということでございます。それから、数理計算上の差異の一括費用償却ということでございます。これから申し上げることは財務会計上、特段何か問題があるということを申し上げているわけではございません。そもそも割引率について、どこかのタイミングで見直しが必要ではないかと思いますけれども、この辺について、どんなお考えだったのかということでございます。
中部電力さんは3年均等償却でございますが、一括償却で負担するということが公正価値会計的な観点からの即時認識ということで、それは財務会計的にはよろしいことですけれども、それによって費用が増加するということになると、こういった公共事業体の場合にはそれが総括原価方式により料金に転嫁されていく可能性も考慮いたしますと、即時認識がどうなのだろうかということでございます。即時認識された翌期になりますが、一括的に費用が計上されて、ある意味その期間の受益者が負担していくという発想に近くなるわけでございますが、もう少し原価算定期間を考慮して費用認識をならすとかはどのようにお考えでしょうか。財務会計処理に絡む問題なので、これでどうこうしてくださいということを言うつもりはさらさらございませんけれどもね。
財務会計処理上認められる範囲内の問題と、それをコスト認識することによる受益者負担への問題とのバランスをどうお考えになるのか的なところも含めて、お考えがあればお聞かせいただければと思います。
○四国電力株式会社小林常務執行役員経営企画部長 会計上と料金原価の関係性という御質問かと思われますが、それにつきましては、おっしゃられたように、料金改定するときに一括償却があると、そこの時点で電気料金が上がってしまって、そのときに負担しているお客様の料金が上がってしまうことになりますので、会計と料金原価というものは切り離して、そこは本当に料金原価にそっくりそのままリジッドに会計処理したものを乗せるのがいいのかどうかというのは、よく考えて原価を算定する必要があるものと認識しております。つまり、電気料金は安定的に長期に維持するものでございますので、そこはどういうふうにするか、結論は言えませんけれども、そこは長期的視点に立った原価への計上方法を考慮する必要があるものだと考えております。
○白山委員 分かりました。ありがとうございました。
最後に、電力・ガス等監視委員会さんのほうに、これは質問ではなくて、意見といいますか、私も賛同する点がございます。
一番最後に書いてございます部門別収支計算規則のところの考え方でございます。規制部門の利益が減少して、自由化部門の利益が増加する結果になっていたということで、当初想定されていた趣旨と大分離反する事実があるということなので、制度設計専門会合において見直しを含めて議論していくことを要望するとここに書いてございますが、ぜひこれは強く要望していただければ。これは意見でございます。
よろしくお願いいたします。
○古城座長 古賀委員、どうぞ。
○古賀委員 御説明ありがとうございました。
今、出てきた質問と重複してしまうのですが、中部電力さんに4件と四国電力さんに2件御質問したいのです。石油の評価損110億円の問題をまた蒸し返すようで恐縮ですけれども、これは原油として、多分長期契約で御購入されていると思うのですが、今後、輸入の調整というのは、今の在庫を抱えた上で会計上というか、経営上可能なのかどうかということと。使わなかった石油についてのソフトランディングというのは、具体的にはどのようなことを考えていらっしゃるのか。ちょっとマニアックな質問で済みません。それが1点。
それから、給与の問題ですが、これも多分、専門会合でもさんざん言われたことを、またお聞きするかもしれなくて、大変恐縮ですが、中部電力さんのスライド10を見ますと、左上の経費対象人員が456名減っていらっしゃいまして、スライド14を見ますと、給料手当が98億円増加しているとなっております。次のスライド15を見ますと、社員の年収水準は下がっているとされているのですけれども、これは給与水準の差によって給与が全体的に増加したというように書いてあるのですけれども、原価算定時以降、給与算定水準に格差を設けたというか、給与体系を見直した結果、こういう格差が出てきたと理解してよろしいのでしょうか。
もう一つ、退職給与金というのが36億円減っているのですけれども、年金資産の運用結果による減少とされていますけれども、この点については、四国電力さんのように数理計算上の差異などについては考慮されないのか。これは、3年でとありましたけれども、今回は3年で償却とされた理由はなぜかということと。それから、退職給与金が減ったのは、実際には退職者が想定より少なかったという現実的な理由によるものかどうかということもお聞きしたいと思います。
1回、二つで切ります。
○中部電力株式会社明田執行役員グループ経営戦略本部部長 まず、一つ目の評価損の件でございます。輸入調整というお話がございましたけれども、長期契約というか、手元に数字がございませんけれども、原油の購入というのは極めて少ないのが実態だと思います。恐らく長期契約はしていなくて、必要に応じて最小限をスポットで購入するぐらいのイメージかと思います。したがいまして、恐らく特段の輸入調整的なものは必要なくて、スポットで必要な最低限だけ購入するという状況かと思います。
それから、ソフトランディングというお話でございましたけれども、では、抱えている在庫をどうしていくのかというお話だと思いますけれども、その部分は先行きの消費の見通し等々も勘案しまして、必要のないものについては原油の形で売却することも実施しております。
以上が1点目でございます。
○中部電力株式会社山本グループ経営戦略本部事業分析グループ課長 それでは、2点目、人件費の関係につきまして、私のほうから御回答させていただきます。
まず、給与水準の関係でございます。私ども、料金値上げに当たりまして、年収水準を震災前から比べると2割程度削減という形で料金原価のほうに反映させていただきました。2割程度削減というのは、実際にどうだったかと申しますと、基本給を5%程度削減、それから賞与については50%程度の削減ということを26年度には実施いたしました。それがおおむね年収水準2割程度の削減ということだったのですが、資料のほうにも記載させていただきましたとおり、従業員のモチベーション等を考慮しまして、賞与のカット部分をだんだんと少なくしていくような形にしてございます。
ということで、給与体系は見直ししておらなくて、給与のカット水準を和らげていった。その結果として、3年平均してみますと、年収水準の削減が織り込み20%に対して、15%程度にとどまったというところでございます。
それから、人員が456人減っているというところでございますけれども、こちらにつきましては、退職者が増えたという点でいきますと、先ほどモチベーションにも触れさせていただきましたが、自己都合退職というものが、実態として増えてございます。過去平均と比べると、自己都合退職をした方が1.5倍ぐらい増えているという状況がございます。
それから、28年度に一部グループ会社への転籍制度というものを実施いたしまして、それにより、グループ会社へ早期に籍を移したということで要員が減っている影響もございます。
続けて、退職給与金の減に関する御説明でございます。
弊社の場合、年金資産の期待運用収益を2%という形で料金審査要領にのっとって原価に反映してございます。それと比較しますと、25年から27年にかけて、割と株価が上がったりしておるものですから、そこで運用益が出て、そちらを先ほどの退職給付債務の数理差異の償却と同じように、年金資産の運用益を3年償却で計上しております。そちらに利益が結構出たというところで、退職給与金の実績が原価に対して少なくなっているというところでございます。
○古賀委員 ありがとうございました。いろいろ大変なことが分かりました。
済みません、あと二つですが、中部電力さんのスライド18ですけれども、諸費として寄付金と団体費が14億円、差異(乖離)が出ているのですけれども、寄付金とか団体費というものは料金査定のときにいつもいろいろ問題になっているところですけれども、具体的に団体費について、見込み9億に対して23億円と、14億円の差が出た理由は、どういう差し迫った理由があったのかということと。
それから、もう一つ、普及開発関係費が50億円増えているわけですけれども、これは小売の自由化にかかわるためのいろいろな費用だと思うのですが、それにしても50億円という数字は消費者としては理解しにくいなと思うのですけれども、そこのところをもう少し詳しく教えていただけますでしょうか。
○中部電力株式会社明田執行役員グループ経営戦略本部部長 まず、一つ目の団体費の件でございますけれども、原価の織り込みである9億円に対して、実績が23億円ということで、14億円増えているということでございますけれども、増えたものの主なものといたしましては、一つは、私ども電気事業連合会に所属しておりまして、その運営費用を負担しているわけでございますけれども、その運営費用の織り込みはゼロということでお認めいただいてございませんので、その中で出てきた差異があるということが一つ。
それから、もう一つは、電力広域的運営推進機関への負担が、原価上はお認めいただけなかったということで、ゼロでございます。済みません、失礼しました。系統利用協議会から広域的運営推進機関に実質的には制度が変わったのですけれども、広域的運営推進機関への負担が、当時の系統利用協議会の織り込みに比較しまして増加しているという主な要因でございます。
広告費のほうは、普及開発関係費ということで、様々なお客様に対するいろいろなメニューの御理解とか、私ども、カテエネというWebサービスなども作っておりますけれども、自由化になって、お客様の御理解をいただくために様々なPR活動をしております関係で、これだけ増えてしまったという事情はございます。これは、今、申し上げました販売系の話ばかりではございませんで、いわゆる一般企業PR的なものも、原子力の御理解とか、そういうところも含めまして、原価の織り込みからは増加しております。
○古城座長 古賀委員。
○古賀委員 済みません、今、言い忘れたのですが、電力システム改革などの事業環境変化に対応するために委託費が増加したということで、委託費の増加が結構な額、154億円とあるのですが、これは具体的には、例えば御説明いただいている資料の27ページにあるような、こういったいろいろなセンター等を設置したということも含まれているのでしょうか。それとも、原子力の関連の積み増しでしょうか。
○中部電力株式会社明田執行役員グループ経営戦略本部部長 18ページで御覧いただいた154億円の委託費の増ですけれども、こちらに関して主なものというのは、一つはシステム開発費用でございます。自由化が始まりまして、私どもが持っている様々なシステム、これはお客様が非常に多うございますので、顧客の管理から何から非常に大きなシステムを持っているのですが、そういったものをかなり大幅に改修しないと対応できないということ。
それから、ネットワーク部門の中立化とか、こういったことにも関連して、様々な制度が変わってきている。その制度にかかわって様々なシステムを開発しなければならないといったニーズもございまして、スマートメーター絡みもございます。かなり大幅にシステム開発費用が増えております。そういったものが結構あるということです。
それから、先ほどおっしゃっていただいた27ページでございますけれども、例えば業務の効率化とか組織の簡素化みたいなことをするときに、一時的に費用が出ることはございますけれども、それよりも効率化の効果のほうが大きく出るということで、私ども、こういったことをやっております。直接、先ほどの154億円の増に関して、これがきいているから154億円だということではございませんので、そういうふうに御理解いただければと思います。
○古賀委員 ありがとうございました。
四国電力さんに、済みません、1点だけに絞ります。白山委員のほうから御質問があったのですけれども、退職給与金の数理計算上の差異というものを一括処理するというのは会計上問題ないという御指摘だったのですけれども、これは引当金のようにして繰延べるということは一切考えられなかったのでしょうか。来年度以降は全く発生しないと考えていいのでしょうか。今、低金利なので、こういう差異は割引ということも含めて、出てくる問題だと思うのですけれどもね。
○四国電力株式会社小林常務執行役員経営企画部長 四国電力の会計方針として、費用として認識できるものは早期費用処理というものを大きな方針としておりますので、その一貫として退職給与の債務を1年で償却させていただいてございます。
それから、今後、更にこのような事象が起きるかどうかということですけれども、現在、0.1%の割引率で見ていますので、政府の低金利政策がどこまで続くか分かりませんけれども、0.1%を大きく下回るようになるとマイナス金利になりますので、今後は、金利の情勢なので一概には言えませんが、こういう大きな償却が出ることはないと認識しております。
○古賀委員 なぜ今のタイミングだったのかなと、原価を考える上で急に出てきたような気がしたものですから、すごく引っかかったのですけれども。
○四国電力株式会社小林常務執行役員経営企画部長 それは我々が恣意的にやったのではなくて、金利水準の関係で重要性基準に抵触したということになります。
○古賀委員 意見として、よろしいですか。
原発が動いたのに電気が下がらなかったという、単純な言い方をすると、陶山委員がずっとおっしゃっていたことですけれども、からみて、四国電力さんは中部電力さんやとか、今回いらっしゃらないですが、東電エナジーパートナーさんと比較して、(四国電力の)も、効率化(の深掘り)が66億円というのは、私たちの感覚としては決して高い効率化をされているとは捉えられないということと。
もう一つは、石炭を現地調達などして安価に仕入れてというお話があったのですけれども、環境的な問題もありますので、それから原発についてのアレルギーもありますので、その辺の基本的な御社の方針については、もう少し消費者の意見を聞いていただきたいなという点を要望として出させていただきます。
○古城座長 陶山委員。
○陶山委員 退職金のことばかりお聞きして申しわけないのですけれども、先ほど白山委員に対して、会計上のことと、それを原価に含むかどうかは切り分けて考えるというお話をなさったのですけれども、今回の御報告は、経費の中に入ってきているということになりますね。
○四国電力株式会社小林常務執行役員経営企画部長 28年度の経費として計上しているという意味ではそうです。
○陶山委員 将来的に、もし原価の部分と会計上の差異については、別の考え方をして整理してやるとすれば、現在のお考えでよろしいのですが、どういう方法があるのかと。
それから、監視等委員会のほうのお考えとしても、今、四国電力さんのお話を聞かれて、どんな方法があるのか、現在でのお考えをお聞きしたいのが1点です。
それから、どちらも1,000億円を超える安全対策費ということで、原発に投資が行われています。一方では、販売電力量各社は、省エネ技術が発達したということと、人口減少等によって各社下がってきている。この投資を回収するといったらおかしいですが、どういう方向でお考えになっていらっしゃるか、大まかなお話でも結構ですので、教えていただきたいと思います。
あと、補足して、離脱が進んでいますというお話がありましたが、両社のスイッチング率を現状のところで教えていただけたらと思います。
あと1点、最後ですが、中部電力さんが経営効率化を非常に頑張ってやっていらっしゃるということで、28ページに御紹介いただいた3rdパーティーによる修理の採用ということで、ここは海外の3rdパーティーの導入ということで、海外からの調達なり、非常に効率化が進んでいるという御報告なのですが、海外の会社を使うことについて、現状認識されているリスクがあれば教えていただきたいと思います。
済みません、幾つかありました。
○古城座長 どうぞ。
○四国電力株式会社小林常務執行役員経営企画部長 まず、会計と料金の関係ですけれども、現在、3年原価でルール化されております。かつては1年原価というときもあったのですが、その1年原価の年度に今回のような数理計算上の差異を一括計上でおりこんでしまうと、ものすごく料金水準が高くなってしまうので、それは考慮する必要があるかと思っています。一方、3年原価だったとしたら、たとえ一括償却でも原価期間平均では3分の1に薄まった形で入っていきます。
料金原価にどのように反映させるかというのは、規制当局とも御相談しながら反映することになりますけれども、個人的には、少なくとも単年度償却をそっくりそのまま1年原価で乗せて料金算定するということはないと考えております。
それから、安全対策投資の投資回収の件ですけれども、伊方3号機は、年齢で言うと23歳なので、これが60年運転するとしたら、まだ37年間ありますので、投資回収は十分可能と考えております。
それから、離脱につきましては、現在、四国電力の離脱率については、灯力平均で6.3%ということになっています。全国が12%ぐらいなので、その半分ぐらいの離脱率にとどまっているということになっておりますけれどもね。
○陶山委員 スイッチング率ということですか。
○四国電力株式会社小林常務執行役員経営企画部長 (電力広域的運営推進機関がとりまとめている)スイッチング率は3.6%です。
○陶山委員 離脱が6.3。
○四国電力株式会社小林常務執行役員経営企画部長 離脱が灯力平均、特高も高圧も含めて、電灯・電力需要平均で6.3%です。
○陶山委員 販売電力量が下降していることについての危機意識というか、どういうところに今後の経営を展開していこうとされているか、もしあれば教えていただきたい。
○四国電力株式会社小林常務執行役員経営企画部長 販売電力量といいますか、離脱によって需要減少して収入が大きく落ちております。これは、新電力さんがどんどん入ってきているのですけれども、卸電力取引所に自主的ルールとして、可変費単価相当で玉出しをしています。ということで、新電力さんはその可変費相当で電源を調達して、我々の需要をとりにくるということになりますので、固定費なしで進出できるわけです。そういうことになると、なかなか競争で勝てないので、どんどん我々の需要がとられていくということもあります。
今後、ベースロード電源市場とか容量市場などの新市場ができますので、そのあたりで固定費の回収も少しはできることになるかと思いますけれども、それがどの水準まで回収できるかというのがなかなか厳しい問題ということになります。需要の減少は、すなわち固定費が回収できなくなると。その固定費をどうやって回収していくかというのが今後の我々の大きな課題でありますけれども、それは一つには、域外で電気を販売したり、それから容量市場とかベースロード電源市場で固定費の一部を回収するとか、そのようなことで固定費の回収問題というのは今後、我々の経営にとっては大きな課題になってくるのではないかと考えております。
○陶山委員 ありがとうございます。
○古城座長 最後に私から。
四国電力は、効率化の深掘りというか、超過達成しているということになっているのですけれども、ほかの電力会社もみんな超過達成していますね。それと比べるとちょっと見劣りするのですが、自由化と節電の中で販売電力量が減っているわけですね。それで130億円、想定より収入が少なかった。超過達成というのは65億円ですから、半分しかカバーできていない。今日出られた中部電力は、販売電力量の減少による収入不足というのは110億円ですけれども、効率化の超過達成440億円と出ているのですね。これで埋められているのですけれども、四国電力は埋められていないで大きく見劣りするのですが、何か効率化がほかの電力会社に比べてできない理由があるのですか。
○四国電力株式会社小林常務執行役員経営企画部長 そういうことはないです。
○古城座長 非常に一般的に言うと、とても売り上げが落ちているのだったら、経費を節減しなければいけないというのが当然出てくるのですけれども、ほかの電力会社はそれに近いことをやっているのですが、四国の場合、できていないのですね。資料の7ページを見てもらうと分かりますが。
○四国電力株式会社小林常務執行役員経営企画部長 私どもは、経営効率化の推進というのは、従来からずっと終わりのない課題ということで取り組んできております。その中で、25年9月の料金値上げをさせていただいたときの審査でも指摘いただいたように、需要規模が小さいこともあって、労働生産性が非常に悪い。それから、四国内では工事能力や体制面で調達先が限られるということもあって、資材調達の面でも他社に劣っているということもありました。そういう中で、それ以外のところ、例えば設備とか修繕投資については、効率化が他社に伍してやれていると思っておりまして。
○古城座長 ちょっと済みません。効率化というときに、広域から買ってきたという例は挙がっていたのですけれども、ほかの電力会社は定期点検のあり方とか、そういうものまで見直しをやっているのですけれども、そういうものを四国電力はおやりなのですか。
○四国電力株式会社小林常務執行役員経営企画部長 やっています。定期点検をどうやったら短くできるかとか、そのようなことはもちろんやっております。
○古城座長 ここで個別ではなくて、それで数字を出してほしかったですね。
○四国電力株式会社小林常務執行役員経営企画部長 効率化の額の算定方法というところもあるかと思いますけれども、同じような設備修繕投資において、効率化というのは他社さんと同様なことはやれていると判断しております。ただ、資材調達面とか労働生産性の面で、まだ劣っている部分がひょっとしたらあるかも分かりませんので、競争比率を平成30年度で30%を目指すということにしておりますけれども、そこは一つの通過点として、更に上を目指していきたいと考えております。
○古城座長 一般的な印象として、電力会社は非常に厳しい状態にあって、収入が減っている。そうしたら、コストも減らさなければいけないということだと思うのですけれども、四国電力は、こちらから見ますと、それがちょっとできていないのではないでしょうかということなのです。これで、今回はボーナスが上がったわけですね。石油価格が下がってくるのが規制料金に反映されるラグがあって、相当な増収があって、この状態ですから、それがなくなったら四国電力は値上げをしなければいけない状態になってしまいますね。
○四国電力株式会社小林常務執行役員経営企画部長 タイムラグ影響は我々のところは(実質的には)ありません。
○古城座長 それはないのですね。分かりました。
四国電力は、そうするとどのぐらい効率化しなければいけないというのは、収入が減った分、効率化しなければいけないという目標は掲げていない。
○四国電力株式会社小林常務執行役員経営企画部長 収入が減った分、何で取り返すかというと、販売の拡大と効率化、これを車の両輪といたしまして収入減を回復いたします。
○古城座長 販売が減っているから収入減になっているでしょう。
○古城座長 だから、販売拡大できたら収入減はないのですから、販売が減っていって収入減になったところを効率化でカバーするという目標は立てられていないのですかということです。
○四国電力株式会社小林常務執行役員経営企画部長 それはもちろん立てておりまして、先ほど言ったように、離脱によって需要が減少して収入が減る部分は、域外で需要を獲得したり、それから卸取引所に販売したりしてカバーするというのと、もう一つは効率化ということで、それを車の両輪にして離脱による収入減をカバーしていこうと考えております。
○古城座長 ちょっと違うのです。域内で売り上げが落ちた。外に出ていって売り上げを上げようとする。両方うまくいかなくて売り上げが落ちたら、収支を維持するためにはコストを減らすしかないですね。
○四国電力株式会社小林常務執行役員経営企画部長 それはコストダウンしかないということになります。
○古城座長 だから、その場合、超過達成というものをきちんとやっていただかないと、消費者から言うととても不思議。
それから、需要の減少というのが効率化努力でカバーできていないのに人件費を上げているというもちょっと不思議ですね。
○四国電力株式会社小林常務執行役員経営企画部長 効率化については、今後も徹底してやっていきたいと思います。
○古城座長 あと、いかがでしょうか。
○中部電力株式会社明田執行役員グループ経営戦略本部部長 済みません、先ほどの陶山委員の御質問で私どもにもお聞きになったものがございますので、お答えしたいと思います。
私どもにお聞きになったのは3点かと思っております。
1点は、原子力の安全対策費に1,000億円を超えて投資しているけれどもということでございます。その点につきましては、私ども中部地域のお客様、モノづくりの地域でございまして、産業のお客様が多いのですけれども、安価な料金を安定的に供給してほしいというお声が強うございます。そういう意味において、原子力というのは価格の安定に寄与できる貴重な電源でございますので、その前段で、当然公益的な意味もございますけれども、私どもとしては原子力を進めていきたいということでやっております。そうは言いましても、経営でございますので、その投資回収に関しましても、投資するときには逐次経済性を判断してきております。それが1点目でございます。
それから、スイッチング率ということでございますけれども、至近のデータが手元にございませんけれども、原価算定期間が終わった28年度末ということでございますと、スイッチング率は3.89%ということでございます。恐らく、至近ではかなり広がってきていると思いますし、10%近くになっていると思いますけれども、正しい数字としては、今、申し上げたところ。
もう一つは、これは違う事業者さんにスイッチングされた数字でございますけれども、私どもの御提供している新たなメニューに入っていただいているお客さんもかなりございますので、それも含めますと、自由化部門のメニューを選択されているお客様が相当多くなってきているということかと思います。
それから、3点目に、28ページのところで、3rdパーティーとして海外の業者さんを使うのだけれども、そのリスクはないのかといった御質問だったかと思いますけれども、私ども、これにつきましては、かなり古くから取り組んでおりまして、コンバインドサイクルの高温部品ですけれども、ここは技術的になかなか難しいところでございまして、当初はメーカーのノウハウといいますか、技術が非常に重要なところでございました。平成15年あたりから非OEMメーカー、いわゆるメーカーの代理店的なメーカーではない第三者のところからの購入を検討して、かなり単価が下がってきました。そこにまた22年あたりから機器の購入に関して競争発注を導入しております。ここに書いてございますのは、そこから更に進めて、修理にまで3rdパーティーを導入してきたということでございまして、これは平成28年から導入してございます。
申し上げたかったのは、そういった長い時間をかけて、その都度、私どもで技術的な検証を行いながら、それで大丈夫であるという確信を持った結果として、購入したり修繕に使ったりということでやってきてございます。発電所でございますので、何か起きると非常に大きな影響がございますので、そこは確信を持って大丈夫だということでやってきてございます。
それから、ちょっと済みません、今、新しいデータが来ました。スイッチングの10月末のデータが6.33%だそうでございます。
以上でございます。
○陶山委員 済みません、いいですか。
○古城座長 もう12時20分で、20分超過している。
○陶山委員 済みません。先ほど四国電力さんがおっしゃったみたいに、離脱率ということがわかれば教えてください。わからなければ結構です。
先ほどお伺いしたのは、販売電力量が下がっている傾向の中で、見通しとして、投資をしながらどこにマーケットを求めていこうと考えておられるのか。そこをお伺いしたかったのですが、時間もないということですので。
○中部電力株式会社明田執行役員グループ経営戦略本部部長 先ほど申し上げました6.33は、まさに離脱率でございます。ほかの事業者さんに変えられた。マーケットとしましては、先ほど四国さんもおっしゃいましたけれども、当然、離脱した方を取り返せるようにやりますし、今あるお客様を守りにいきますし、域外へも行きまして新しいお客様を取りにいくということで、何とか収入を維持、もしくは拡大ができればということでやっていきたいと思います。
○古城座長 古賀委員。
○古賀委員 1分で。監視委員会さんにお尋ねしたいと思います。
料金変更命令というものが2段階になっていて、引下げ命令を出すにはかなり厳しい基準となっているのですけれども、原価算定期間が3年後というのは、上げるにしても、下げるにしても、据え置くにしても、原価との乖離は十分検討すべきことだと思いますので、例えば電力会社10年の過去の平均で比べるというのは、震災や原発の問題があったので、この基準がどうなのか。今、2017年で、今後、自由化の経過措置も外されるという話になりますと、余り影響のない話かもしれませんが、この変更命令についての基準の見直しはありますか。それから、一番問題なのは、固定費の配分需給の補正の見直しについては、今後検討していただけるのかということをちょっとお尋ねしたいと思います。
○電力・ガス取引監視等委員会事務局野沢統括ネットワーク事業管理官 今後の検討につきましては、まさに今、おっしゃったように、自由化も含めて、今のみなし規制料金を撤廃するかという議論の中で。当然、そのことについて議論はする中で、審査基準をどうするかということは検討の余地はあるかもしれないですけれども、結果的にこれを行うことによって、もっと料金の引下げのまさにかせを作るということが、古賀委員のお考えなのかと思うのですけれども、片や自由化を促進するという観点から、本来、電力会社の考えに基づく料金というものについて、下げさせることがまさに自由化の促進ということについて、いいのかどうかというところも含めて、みなし規制を撤廃することも含めて、総合的に勘案しなければいけないことかなと思っていますので、御意見として承りたいと思います。
○古城座長 時間が超過いたしましたので、申しわけありませんが、議論は以上といたします。
中部電力、四国電力及び電力・ガス取引監視等委員会事務局の皆さんにおかれましては、お忙しい中、審議に御協力いただきまして、ありがとうございました。
≪3.閉会≫
○古城座長 本日の議題は、以上となります。
最後に、事務局から連絡事項などございますか。
○丸山参事官 本日も、熱心な御議論どうもありがとうございました。
次回の会合につきましては、日程に関しまして確定次第、御連絡をさせていただきます。
なお、この後、専門委員間の打合せを行いますので、委員の皆様におかれましては委員室にお集まりください。
○古城座長 それでは、本日はこれにて閉会とさせていただきます。お忙しいところ、お集まりいただきましてありがとうございました。
(以上)