第23回 地方消費者行政専門調査会 議事録

日時

2019年8月7日(水)10:00~13:10

場所

消費者委員会会議室
東京都千代田区霞が関3-1-1 (中央合同庁舎第4号館8階)

出席者

【委員】
新川座長、山本座長代理、伊集委員、大森委員、尾嶋委員、首藤委員、西田委員、八木委員、山田委員
【消費者委員会委員】
池本委員長代理
【説明者】
京都大学大学院法学研究科 曽我教授
【事務局】
二之宮事務局長、福島審議官、金子参事官、友行企画官

議事次第

  1. 開会
  2. ヒアリング(3)
  3. その他
  4. 閉会

配布資料 (資料は全てPDF形式となります。)

≪1.開会≫

○新川座長 それでは、定刻を少し過ぎてしまいましたが、「第23回地方消費者行政専門調査会」を開催させていただきたいと思います。

本日は、iPadがございませんので、紙ベースでお手元に配付資料を用意させていただいてございます。配付資料名は、議事次第の下のほうにそれぞれ掲載されておりますので、過不足ございましたら事務局のほうにお伝えをいただければと思います。

本日は、前回御案内のとおり、この後、最初に山田委員からお話を、その後、京都大学の曽我教授からお話をお伺いすることとなっております。よろしくお願いいたします。


≪2.ヒアリング(3)≫

○新川座長 最初に山田委員からお話をいただきますが、現在は京都産業大学にお勤めでいらっしゃいますけれども、御承知のとおり、山田委員は16年間、京都府知事として地方行政、地方自治のトップに立って頑張っておられた、また、全国知事会会長等もお務めになられた方でございます。また、知事さんにおなりになるまでは長く地方自治、地方行政の現場にも精通をしておられた、長く務められた方でもあります。この御経験も踏まえまして、地方消費者行政に関しまして、まずは御意見をお伺いしたいというように思っております。

30分程度というように思っておりますが、御覧いただければおわかりのとおり、大量の資料をいただいてございますので、なかなか御説明も熱が入って大変かもしれませんが、よろしくお願いをしたいと思います。

それでは、山田委員、よろしくお願いいたします。

○山田委員 よろしくお願いいたします。

資料は多いので適当に流していっていただければいいと思います。

今、私の説明、紹介がございましたけれども、地方行政をずっとやってまいりましたが、多分、これからは全く自分たちが経験したことのない時代に入ってくるのだろうということを見越して、では、その中で地方自治行政自身はどうなるのか。そして、消費者行政もどういう方向をこれから取らなければいけないのかということについて、私見を披露させていただきたいと思っております。

2ページですけれども、とにかく今までと違って全ての壁が消えてくる時代に入ってきております。こうした社会は一体何をもたらすのかということで、一番出てくるのは少子高齢化なのですけれども、4ページを見ていただくとわかりますように、既に夫婦と子供の世帯というのは約4分の1になってしまっておりまして、一番多いのは単身世帯、そして、単身世帯と夫婦のみの世帯だけで約55%ぐらいに今、日本の状況はなっている。多分、これは平成27年ですから、もう少し進んでいるのかもしれません。

その中で5ページ、高齢者単身世帯の割合はどんどん増えていっております。特に女性の高齢者単身世帯が増えている現状があります。

そして、6ページでありますけれども、これは厚生労働省の資料ですが、その中で認知症の有病率、これは年を追うごとに高くなっていくというのは当たり前の話かもしれませんが、95歳以上ですと約8割が認知症の有病率になるという調査結果もあるところでありまして、7ページですが、認知症の高齢者数の将来推計を見ますと大変な数で増えていく形になろうかなというように思っております。

そして、その中で8ページでありますけれども、どんどん孤立死、1人で死んでいく方も増えていく。そして、各地域で空き家、もう今や7~8軒に1軒は空き家という形になっておりますけれども、非常にコミュニティー自身が厳しい現状にあります。

10ページでありますけれども、そうした中で2050年ぐらいになるとどうなるかと申しますと、これは関西で見てみました。といいますのは、やはり東京圏を入れるとかなりピラミッドが変わってきてしまうので、関西ももちろん大阪、京都、神戸という大都市を持っているのですけれども、それでも2050年で見ると関西で一番多い人口層というのは女性の75から79歳です。そして、その次に多いのは女性の90歳以上という形になってまいりまして、まさに我々は経験したことのない高齢化時代に入ってくる。

これはこの前、行ったことがありましたので、そこで作った資料でありますけれども、それを小豆島あたりで見てしまいますと、もうもはや、これは2045年の数字なのですが、こういう形で一体地域はもつのだろうかというような極端な高齢化が特に過疎高齢化の地域では起きてくる。小豆島で2045年に圧倒的に多いのは90歳以上の女性になってくるわけでありますので、そのときに働き盛りと言われている40代というのは、女性で見ますと、この高齢者層の3分の1以下ぐらいにしかならない。そういったことが出てくるというのがうかがえるというように思っております。

こうした中で、高齢化時代というのはどんどん消費生活相談の状況も増えていく中にある。そして、その中で高齢者の消費者被害というものが増えていくというのは皆さんに言うまでもないことだというように思っております。高齢者への架空請求等も次から次へと巧妙化をしていく現状にあるというように思っております。

こういうように社会が大きく変わっていく、トランスフォームしていく。こうした社会の中において、壁が消えていく。そうなってくると、新たなつながりというものが出てまいります。今までの壁が消えていくときに大きな社会のつながりというのが出てまいります。

それが例えば16ページですけれども、MaaSな社会の登場というのが言えると思います。MaaSな社会と申しますか、「X as a Service」というような言い方でしょうね。今までと違って、地域の中でインターネットや5G、AI、ロボット、こういうものが出てくるわけでありますけれども、Society5.0社会になってくるときに今までと全く違うつながりの社会が出てきます。

私自身はGAFAの時代になってくると、インターネットは更に孤立化を増して、いわば高齢者や人々を家に閉じ込める社会になるのかなと思っていたのですけれども、その中で今、注目を浴びておるのはフィンランドにおいて出てまいりましたMaaSというものであります。これは「Mobility as a Service」というものの略称なのですけれども、今まで例えば公共交通、交通手段でありますと、身近なところでいけば自転車、そして、バス、電車、タクシー、こうしたものが我々、選択の余地としてあったわけでありますが、それが新しい社会になってまいりますと、そうした公共交通の手段として「1つどれを選ぶか」ということではなくて、そうしたものを全て包含した形でサービスとして交通を選べる時代になってくる。

例えばタクシーを選ぼうとすると単にスマホの中でタクシーの予約をする。そうすると、タクシーがやってきて公共交通の駅まで連れていってくれる。そして、そこでまた公共交通に予約をして乗っていけばいい。この一番の大きな特徴は、現金が要らない、1カ月定額の決済で行われます。これが一番大きな特徴になっております。

実は、このMaaSの問題というのは、地域社会において、今、非常に脚光を浴びつつあります。何かと申しますと、高齢者の暴走の問題です。免許の返還をしていく。高齢者、実は過疎高齢化の地域に行きますと80代の7~8割は自家用車に頼っている現状があります。そうしたものがMaaSになってまいりますとタクシーが定額ですから、乗り放題で使うことができる。もちろん、距離制限はありますけれども、1カ月数万円で交通がバスも電車も乗り放題になってくるという世界がこのフィンランドで始まったサービスであります。

そして、こうしたものが今、日本でも始まろうとしております。次のページでありますけれども、ソフトバンクとトヨタさんが「MONET」という会社を作りました。トヨタが最近、自動車を売る会社ではないと言い始めたのですけれども、まさに新しい時代の公共交通を作ろうという動きが出てまいりまして、ソフトバンクと提携して、「MONET」という会社を作りました。ここには既にトヨタだけではなくてスズキ、ホンダ、マツダ、ダイハツ、端的に申しますと日産と三菱以外はみんな入ったという形になっております。

そして、そこが目指している戦略でありますけれども、一つは、既存交通の高度化、もう一つは新たなライフスタイルの創出、そして、3つ目が社会全体の最適化です。

一つは、今、言いましたように最初のMaaSの一番基本であります車両・路線・ダイヤを需要に応じて柔軟に変更して定額で、かつキャッシュレスで使えるようにしていく新しい交通社会を作ろうではないか。しかし、そこから実は目的地へ移動手段の提供だけではなくて、社会自身の最適化を目指すことができるというようになってくるという世界であります。

何が最適化になってくるかと申しますと、こうしたMaaSというものは既に幾つか地方公共団体で出てきております。20ページですけれども、岡山県がこれはもう既に始めている施策なのですが、実はこの岡山県の施策が昨年度の都道府県の先進施策の最高賞を受賞いたしました。何かと申しますと、地域において老人が孤立をしている。その孤立をしている老人をできる限りいろいろな面で助けていこうではないか。そのときに、車を利用して老人の例えば誘い出しですとか歩行の見守りとか病院へ行くための介助活動とか買い物代行とかを積極的にやっていこうという制度を作りました。

どうやって作ったかと申しますと、社会福祉法人は大体車を持っております。送り迎えとか何かあったときの車を持っている。岡山県でアンケートをとって、朝とか夕方ではなくて昼間、空いている社会福祉法人の車が何台あるかを調べたらしいです。そうすると、岡山県だけでも800台以上が空いていた。では、この空いている車両を昼間、ボランティア、付添者と運転者で高齢者の活動の助けを支援しようという試みを行いました。

この場合に、例えば買い物代行ですとか病院への付き添いです。こういった活動を社会福祉法人の空いている車で、高齢と言っても65歳ぐらいのボランティア、65から70、75ぐらいまででしょうけれども、ボランティアがその上の80代、90代の方と付き添いを行った。

この特徴というのは実は何かと申しますと、車を使って付き添い活動いたしますと、ここで車の費用を払いますと有償運送法に触れてまいります。ですから、岡山県は警察や運輸局と話しまして、この車の使用料自体は無料にしました。そのかわり、私は脱法的だと思うのですけれども、付添料を取りました。1時間2,000円という形で付添料を取って、この有償ボランティア活動を行っております。これによって高齢者の皆さんが自由にいろいろなところに行けるようになるということが既に岡山県では生まれているところであります。

こうした新しいインターネットを使ったつながりというのはどんどん出来ておりまして、これが若年者の消費者被害ですとかそうしたものにつながっているのが22ページ、23ページにあります。こういう形で、今、自治体自身が大きく変わりつつある。そして、その中で新しいつながりが生まれつつあるというのをまず頭の中に置いていただけたらと思います。

そうした中で今、自治体はどういう形でこの問題に対応しているかというのが24ページからの話でございます。これは政府のほうの自治体戦略2040構想研究会ですとか地方制度調査会の一次答申、中間答申が出ておりますので、ここからの抜粋でありますけれども、今、述べてまいりましたように、もう2040年ごろには総人口は毎年100万近く減少していく中で住民サービスの多くは地方自治体が支えているが、本当に持続可能な形でいけるのだろうかという問題意識であります。

その問題点を26ページに書いてございますけれども、一つは、若者を吸収しながら老いていく東京圏。そして、逆に支え手を失う地方圏。そして、標準的な人生設計の消滅による雇用・教育の機能不全。更にスポンジ化する都市と朽ち果てるインフラというのが第一次報告の中の問題点として出てきております。この中でスポンジ化する都市ということがわかりにくいかと思うのですけれども、私ども、高度成長の頃には都心から住民の皆さんがどんどん郊外へ出ていくというドーナッツ化現象を経験いたしました。そして、その後に、余りにもドーナッツ化現象が進んでいく中で職住接近、都市への回帰、都心回帰というのが今、大きな課題として出てまいりました。タワーマンションというものがどんどん建っていく時代になっていった。

しかし、これから住民が減っていく中では、実は先ほど申しましたように空き家がどんどん増えていく。そして、その中でちょうど高度成長の頃に出来たインフラが次から次へと更新時期を迎えていく。そして、それに対応できない現状がある。これをスポンジ化というような言い方をしているところでありまして、スカスカに都心がなっていく、日本全体がスカスカになっていくということを表しているわけであります。こうした中で、まさに行政自身は大きなピンチを迎えつつあります。

去年の秋に大きな問題が2つ、国会で取り上げられました。一つは外国人の労働者の問題、もう一つは水道の民営化の問題だったのですけれども、私、あの議論を聞いていて、何と最近の国会というものは危機感のない議論をするのだろう。先ほどからずっと申しましたように、もう2040年には、これは増田元総務大臣が出した地方消滅ということがセンセーショナルに取り上げられましたけれども、そこでは1,700の自治体のうち、約850、半分は消滅可能性都市になるというのが出てまいりました。この前、増田さんが計算をし直したらしいのですけれども、そうしたら920になったという話でございまして、消滅可能性都市は今や1,700の地方公共団体の半数以上になっていく。

水道というのは御存じのように市町村がやっておりますから、半数以上が消滅可能性都市になったときに役場の機能だけが残るはずがありません。役場も当然、機能不全に陥ってくる。それが2040という自治体戦略の中にも出てくるわけでありまして、そのときに水道を誰がやるのか。水道をやれるのは、そうした場合に解決策は端的に申しますと2つの方向しかなくて、一つは広域化するか、一つは民営化するかしかない。そうした現状の中で、既に広島県あたりは広域の水道事業団を第三セクター、民営化という形で作って、もう行っている。それに対する危機感というのがやはり今、ないのが現状だと思っております。

地方公共団体はこれからどんどん機能が低下して、果たして存続実施ができるかどうかの瀬戸際にこれからの20年は置かれるということを是非とも頭の中に入れておいていただきたいと思います。その中で、一生懸命、消費者庁も交付金を配ってやってきたわけでありますけれども、そこがどんどん今、失われていく形になっております。

28ページは京都府の取組状況でも消費者被害の未然防止ですとか問題解決のために様々なことをやってきた。この機能が低下をしていく傾向にあるというのが今の大きな流れであります。では、その中でどういう形で消費者を守っていくのだろうか。今までと違って、私たちは新しい社会を作っていかなければならない。それはインクルーシブな社会だというように思っております。

端的に申しますと、高度成長の頃というのは、実は分業社会です。分権社会です。いろいろな形で専門家が出てきて、そして、その中で専門家が一つ一つの難しい複雑、高度化の自治に携わってきた、解決に携わってきた。これが高度成長の頃の社会であります。これは私ども京都でいきますと西陣織というのがまさにそういう世界でありまして、西陣織が飛躍的に伸びた時代には完全に分業化いたしました。糸をつむぐ人、織る人、染める人、図案を作る人、全て分業でやってまいりました。それが今、西陣織にとりましては最大のネックになっております。1つの工程が欠けることによって完成品が出来なくなってきてしまった。そのために、西陣織では、作家がたくさんできてきて、作家は糸を作るところ、染めるところ、図案を作るところ、織るところを1人でやっていく。そうした形でようやく一つ一つの完成品を作り上げていくという形になってまいりました。

こうした社会が実は自治体の社会でも出てくるのではないかなと思っております。つまり、一人の人が何役でもこなしていかなければならない社会。では、それはどういった社会なのだろうかというのを地域包括ケアから少し見てみたいと思います。

現状というのは、医療と介護と福祉。これが分かれている形で、サービスが別建てになっております。各サービス間の連携不足、サービス情報の収集が困難で、例えばリハビリですと途切れがちになっているというのが現状です。それに対して、厚生労働省を中心に地域包括ケアをしていかなければならない。これはかかりつけ医から地域包括支援センターが機能して、自宅にいる人をデイサービスやボランティア、小規模多機能やそうしたところへ日常の生活圏の中で組み合わせることによって365日、安心して暮らしていける社会を作ろうというものであります。

これは実は市町村単位で作ったのですけれども、市町村単位でいきますと高度化する病気に対応ができない。そして、人材をどうやって供給するのかという問題がある。例えば認知症とか、そうしたものについても、日常生活圏だけで本当に対応できるのかということで、京都府は京都府全体で京都地域包括ケア推進機構というのを作りまして、こうした地域包括ケアの連携というものを京都府ぐるみで見ていこうという体制を作りました。これは平成23年6月にスタートいたしまして、知事、市長、そして、社協、さらに、医師会を初めとして大勢の皆さん、構成団体、約39団体で1つの組織を作って、そこで高齢化時代の社会に対する問題を解決しようではないかという組織であります。

そこで赤字で書いたのは何かと申しますと、実は赤字で書いたのは将来的に消費者問題に対して十分に対応していただけるような団体を幾つかピックアップしました。それだけでもこれだけあるなというように私は見ております。こうした団体が消費者問題に対応してくると非常に大きな力になってくると思います。この包括ケアでは、例えば在宅で療養していく人のプロジェクトを作るとか、認知症の総合対策を行うとか、リハビリをつないでいくとか、看取りをしていくとか、こうしたことをやってきております。

35ページでは、認知症の医療センターですとか京都式オレンジプラン、認知症啓発、こうした相談窓口を認知症では行っております。

そして、その中で36ページでは、認知症サポーターというのを作っております。京都府だけでも21万5000人、認知症の方々を何かあったときには世話をしていくというサポーターを作って、キャラバンメイトを4,829人という形で一緒になって支えていく制度を作り、そして、それをセットで行う認知症の総合センターを京都府は作り始めました。今、1つもう出来ております。ほかにも京都版CCRC「高齢者共生型まちづくり」、これも多世代交流拠点施設を中心に、介護施設ですとか病院ですとか就労とかコミュニティーが一体となって新しいまち作りを行うというようにしております。

こういう形で社会と行政の変化の流れを見てみますと、大きな変化がある。そして、それをつなげることによって1つの包摂した社会を作っていくという形で、今、社会の変化は行われていくのだと思います。地域が変身をしていく、結びついていく、全てが包含されていく。消費者行政も私はこの中に包含されていくべきではないかなというように思います。専門家がパトロールするのではなくて、実は人々が見守っていく中で、おかしいなと気づいたときにやっていく。

例えば実はもう一つ変わっていく中では、最近、道路パトロールが変わってまいりました。今までは道路パトロールというとそれぞれの市町村や都道府県の職員が車に乗って道路をずっと巡回して見ておりました。しかし、最近では例えば島根県では、まさに通りがかった通行の方々が島根県にスマホで、こういうようなところで穴があいていますよという通報をします。そうすると、すぐに行政が動く。

私どもも京都府でまさに公募型公共事業というのをやったのですけれども、スマホで写真を送ってもらいますと写真の中にGPSの座標位置が入っておりますので、あっという間にどこで何が問題になっているかが分かる。こういうように人々が住民の権利保護を新しい公共という形で少子化対策も災害対策も空き家対策も、医療・介護・福祉の地域包括ケアも、消費者保護も自殺対策も全てがつながった行政へと変化していく必要があるのではないかなと思います。

そして、専門家はその協働の中のコアな部分を見ていく。例えば弁護士の皆さん、これは私ども地域包括ケア推進機構では、高齢者が抱える法的問題の解決に向けての協力支援をやっていただいておりますし、消費者あんしんチーム事業、これは後で説明いたしますけれども、その中でも中心的なコアな部分をやっていただいている。ほかにも未収債権の適正管理や自殺ストップセンターいのちのサポートチームや児童虐待防止ネットワークにも弁護士さんが入ってきております。

弁護士さんが事務所を抱えていて事件を待っている時代から、もう事件の中に入っていっていただける形をとっていただく、まさに包摂社会の中には、これは弁護士会の中にもうんと首をかしげる方もいらっしゃるのですけれども、二之宮事務局長、そういったところの中で動いていただいた方なのですが、まさに「消費者あんしんチーム」事業では、京都府民の皆さんから市町村や府に相談があったときに、そこで弁護士相談、助言をしていただきまして、あっせん会議をやって、そこから問題があった場合には「消費者あんしんチーム」へ送っていくという形をとりました。特にこれはリフォーム詐欺みたいなところでは弁護団を結成して集団訴訟を支援していく形をとりまして、これによって京都から悪質業者を追放していくということが効果的にできたという事例がございます。

こうした地域の中に包摂的な組織が出来上がってくる、これをどう使うかが私は消費者を守る体制の構築につながると思っているのですけれども、先ほど挙げました地方自治の地方制度調査会の中でも、まさに共助としての地域運営組織によるサービス提供というのが一番大きな課題として取り上げられてきております。

ここに出てきておりますのは、先ほど申しましたような調査研究事業なのですけれども、一つは共助組織。例えば72ページで見ますと、今、地域運営組織というものがどんどん増えてきているという実態が出てきております。

49ページに行きますと、例えば北海道の天塩町や秋田県の湯沢市、奈良県の生駒市、長野県の川上村でもプラットフォームが出てきております。

50ページに行きますと、兵庫県の神戸市では地域貢献応援制度というのが出てきている。

そして、奈良県では「おてったいさん制度」という形で、行政と住民のパイプ役として地域に出向く役場職員を「おてったいさん」という形で配置していくことが出てきております。

79ページへ行きますと、「まちづくりセンター」というのが熊本県の熊本市で出てきている。役場の職員も役場にいて待っていてそれぞれに応えるという形から、どんどん地域に出ていって地域と一体となって活動していく形がとられております。

釜石では「釜援隊」という制度が80ページにございますし、京都府でも、まちの公共員、里の公共員、コミュニティ・コンビニ公共員という形で非常勤の嘱託職員、これは消防団的な役割なのですけれども、これを作っております。

徳島県の美馬市では、小さな拠点というものを作っていく。

そして、83ページは京都府の取組ですけれども、コミュニティ・コンビニ。つまり、こうした中で公共的なサービス機能、高齢者や子育て支援、金融・郵便、買い物、交通・物流機能、こうしたものを1つの拠点で全て行うことができる。先ほどのMaaSでいきますと、車1台ありますと車の中に実は高齢者の支援、買い物支援、宅配、郵便、金融ももはやモバイル端末1個で全部できてしまいますから金融、そして、買い物代行、こうしたものが車1台で全て出来上がっていく社会です。そして、それを行うことによって高齢者の皆さんと日常的に接触できる。

先ほど言いましたMaaSの場合はタクシー定額ですから、高齢者は電話をすればすぐに来てくれる社会になりますので、まさに高齢者とMaaSの運転手さんというのは日常的に接する社会になってくるわけです。こうした方々に消費者保護の研修を行っておけば、何かあったときには非常にきちっと相談機能になってきてくれる。こういうものがそれぞれのコミュニティーで出来上がってくることによって包摂的な支援組織というのが出てくるのではないかと思います。

治安はもうもはや警察だけで守れるのか。介護・福祉も施設だけで維持できるのか。医療・病院も全てそこで治すことができるのか。教育は学校だけでできるのか。水道は地方公共団体だけで運営できるのか。消費者問題も行政と専門家だけで面倒が見られるのだろうか。資源を有効に使い、効果的に仕事するための仕組みというのは一体何か。

私はやはり共生社会という形で、これから今までと違って、今まで地方分権というのは補完性の理論と役割分担と責任の明確化でした。どこが責任をきちっととるのか。誰が役割を持っているのか。これをはっきりさせるのが地方分権、団体自治の世界でした。しかし、本当の意味では、地方自治というのは住民自治に変わってくる。許認可からサービスへ変わってくる。この世界では、官民はもはや区分はなく、融合してくる。住民主権とはそういう中で生まれてくるのではないかと思います。

「ふるさと企業納税」というのがあります。「ふるさと企業納税」はいわゆる「ふるさと納税」とは違って返礼品はございません。しかし、幾つかの企業が積極的に今、「ふるさと企業納税」で動いております。去年、一番代表的な例として表彰されましたのが岡山県の玉野市の例です。

玉野市の例はどういう例かと申しますと、ここは造船の町です。たしか三井造船だったと思うのですけれども、大きな会社があります。玉野市のほうの一番の大きなニーズは、やはり人がいない、人作りをしていきたい。そのためには高校教育を充実させたい。それも技能実習つきのもの作りのための教育機関を作りたいと思っていました。三井造船のほうはどう考えたか。人がやはりいない。技術者がいない。では、玉野市と三井造船は「ふるさと企業納税」を作って何をやったかと申しますと、三井造船の会社の中のあいている施設を玉野市の高校の実習室にして、そして、運営資金を三井造船が「ふるさと企業納税」で寄附をするという形をとりました。そして、そこでまさに人が育って、その人を三井造船は自分のところの社員にしようという形になっております。

一昔前で言えば、これは典型的な官民癒着と言われたものであります。しかし、今の時代においては、人を育てて人が働いていくというサービス全体で捉えれば、それは一括した物になってくると思っております。Governance as a Service、私はGaaSという言い方をしているのですけれども、こういった形で団体自治は一つの役割を終え、新しい融合型、サービス型のガバナンス組織というものがこれから必要になってくるのではないか。そうしたときに全ての県で、国、都道府県、市町村は、サービスの観点から融合、再構築が進むと思います。公共団体と民間の関係もサービスの観点から融合、再構築が進むと思っております。

私は消費者行政につきましても、消費者サービスという観点から、もう一度、全てのステークホルダーが再構築、再融合を果たす形をとらなければ真の意味での消費者を守る行政はできないのではないかなと考えているところでありますけれども、どういう形がいいかというのはこの委員会の中でまた検討させていただけたらありがたいなと思っています。

私からは以上であります。

○新川座長 どうもありがとうございました。大変豊富な内容をコンパクトに、しかし、的確にまとめていただいたかと思います。

それでは、ここからまた20~30分程度でございますけれども、ただいまのお話について、いろいろ聞いてみたいところがおありかと思います。どうぞ、委員の皆様方、御自由に御質問、また関連して御意見等をいただければと思います。よろしくお願いいたします。いかがでしょうか。

大森委員、どうぞ。

○大森委員 どうも先進的な取組、いろいろ御紹介をありがとうございました。

すばらしい取組がいろいろ進んでいるのだなということがわかったのですけれども、どう利用してもらえるかというところが一番のポイントかと思うのです。高齢者、ひとり暮らしの女性が多く、その人たちがいかに利用してくれるかというところがポイントかと思うのですけれども、大体もったいないと、家でずっと車などを持っていることを思えば、1回、タクシーに乗るぐらい知れているよと言っても、そんなもったいないからとなかなか金額的なことで利用しない高齢の方の主婦は多いと思うのです。

それでMaaSの定額というのがどれぐらいの金額かということと、あと岡山県のサービスですけれども、これは車を借りるほうに対して時給2,000円ということなのか、また、有償ボランティアの方はどれぐらいいただけているのか。いい企画がどんどん続くためには金額の妥当性とか利用しやすさというのが大変ポイントになるかと思うので、その辺をお聞きしたいのが一つ。

あとデイサービスなどはすばらしい施設で、いろいろ健康のことも楽しさも考えてやってくれているにも拘らず、行きたがらない高齢者が多くて家族も途方に暮れているというのをよく聞くわけですけれども、32ページのところで私、初めて聞きました。小規模多機能というのはどういう施設なのか、教えていただけたらと思います。

○新川座長 それでは、山田委員、お願いします。

○山田委員 まず、地域社会自身の在り方の問題だと思うのです。私たち、一番大きな問題は、戦後、プライバシーの社会だとか、そうした形になってしまいまして非常にソーシャルキャピタルというのでしょうか、つながりの薄い社会になってきてしまった。これが今、大きな問題になっていると思います。

小学校においても連絡網も作ることができない。年賀状を出すときは、まず友達に住所を聞かなければいけない。いつの間にこんな社会を私たちは作り出してしまったのかなというように思っておりまして、今、我々、一番困っているのは、災害のときにひとり暮らしの老人がどこにいるかというのを消防団に教えることさえ文句を言うお年寄りがいらっしゃる。このことは根本的に社会として問うていかなければいけないと思っております。

そして、これを問われたのが私は児童虐待の世界ではないかなと思っておりまして、児童虐待というのは、まさに泣きわめいている声が聞こえるわけです。そのときに一体、どうなるのだろうか。京都でも実は悲しい事件が起きまして、長岡京市というところで子供が虐待死をするという事件がありました。そのときに一番衝撃を受けたのは民生委員さん、児童委員さんでした。もう一回、そこから我々は徹底的に地域で見守る活動をやっていこうではないか。プライバシーとかいろいろありますけれども、もう一回、全員で見守る社会を作っていくのが一番適切ではないかな。それが本当は安心・安全な社会なのだという形に、今、一生懸命シフトをしようとしております。

まさに今回、我々がやろうとしている社会というのは、そういう社会へ持っていかなければいけないということで、これはそうしないとひとり暮らしの御老人ですとか、そうした方々を守ることはできない。幾ら専門家がいても、幾ら回っても、入れてもらえない、どこに老人がいるかもわからない社会では、もはやこうした消費者問題を効率的にできる社会にはならないというのがまず1点です。

その中で、例えば定額のタクシーなのですけれども、実はこの前、ようやく国のほうが定額タクシーとシェアリングカーを進めていくという閣議決定をいたしました。それに応じて、例えば幾つかの県で月5,000円とか、そのくらいでやろうという話が出てきております。フィンランドのMaaSは数万円です。これは通勤もあるからそうなってくるのだと思うのですけれども、そこはこれからやっていかなければならないのだと思っているのです。例えば淡路島を見てみますと、淡路島には3つの市があるのですが、淡路市、洲本市、南あわじ市、この3市合わせて例えば公共バス、デマンドバス、この運営に年間3億円ぐらい使っています。これと料金を合わせれば定額タクシーをやるのはそんなに難しくないな。実はもう田舎においては大変な額のお金で公共交通を使っているのだけれども、実際、何を運んでいるかといったら空気を運んでいるのです。一生懸命、過疎バスを動かしているのですけれども、誰も乗っていないのです。乗れないのです。

先ほど言いましたように70代、80代の高齢者の皆さんで自家用車の依存率が70~80%あるのです。バス停まで歩いていって、しかも、1時間に1本か2本しかないようなバスに乗って帰っていこうとすると、これは生活できないです。その費用を高齢者の皆さんにできれば月数千円負担していただき、行政が何億か出せば、今、空気を運んでいる公共交通が高齢者の足になるのではないかというのが私の話です。数千円ですと、これは何とかお年寄りの方も十分にいける。定額ですから。タクシーの側もじっと待って高い料金でようやく1つ仕事があったというよりはいける。

もう一つは、先ほどの岡山県の例を見ましても、岡山県の例というのは使う老人が1時間2,000円払うとその形で来てくれる。社会福祉法人のほうは、空いている車ですから、まさに今のところは無料で貸していただけているのです。

こうした方々というのは、実は今、問題になっているのですけれども、65~70歳ぐらいまでは十分運転はできます。さらに、車もよくなっていますから。しかも、別にタクシーの運転手をやらなくてもいい。家で農業をやっている。しかし、スマホで呼び出しがあったら行ってあげよう、シェアリングカーですね。こうしたことをできる人材というのは、先ほどの年齢構成を見てもたくさんいらっしゃるのではないかなというように思っておりまして、その点からは、こうした社会を作っていき、しかも、プライバシー重視過ぎ社会ではなくて、人々が助け合う社会を作ればこの形はできる。そうしたときに、まさに消費者行政にそこを乗り出していけるような形がとれないのかなということです。

小規模多機能というのは、いろいろなもののサービスを例えばデイサービスからグループホームから、そして、介護サービスまでを1つの施設でやっていこうというものです。特別養護老人ホームとか老健とかと言うと、そこに入ってしまったら、もうそこで一定のサービスを受ける形をやっているのですけれども、小規模多機能はそうではなくて、いろいろな機能を持った施設を作ることによって、デイサービスに通う人もいれば、例えばそこでグループホーム的に住む人もいればという形でやっていくような施設が大分出来上がってきているということでありまして、こうしたものも私はいけるのではないか。

特に実は後で出てきます認知症の総合センターというのがあります。日本の場合には今まで、先ほども言いましたように分業の世界ですから、認知症ですと最初に危ないなと思ったら、まず認知症の窓口へ行って診てもらう。そうすると、ちょっとありますねと言われますと、どこへ行くかといったら認知症カフェへ行く。認知症のカフェに行ってしばらくすると物忘れがひどくなってくると、デイサービスのほうへ行きます。デイサービスのほうに行って1人で住むのが危なくなるとグループホームへ行く。グループホームでも暮らせなくなってくると特別養護老人ホームへ行くという形で、症状の悪化とともに場所を変えなければいけない。つまり、人が施設を選ぶのではなくて施設が人を選ぶような形になっているのが日本の現状です。

京都府でやったのは、そうではなくて、1カ所で全部ができるという施設を宇治市に作ったのですけれども、オランダとかそういうところではございます。そういう中でいけば、日ごろから全ての人たちがそこに通ってきますから、何か問題があったときには聞くことができる。そこの介護士さんが消費者問題の研修を受けていれば、どうも財布の中がおかしいとかクレジットカードがおかしいというところから気が付くことができるという気づきの世界を作ることができるのではないかなと思っています。

以上です。

○新川座長 大森委員、どうぞ。

○大森委員 ありがとうございます。

私の住む地域でも愛活運動と言って、昼間、ちょっと出かけたい人を車で送るようなボランティアサービスをする人を募っているところですけれども、やる気満々の人はそんな年をとっているのにと家族から猛烈な反対を受けたりして、やっと2名ぐらい登録ができたと聞いております。若干ボランティアの費用を出すようですが、岡山のあたりの有償ボランティアというのも幾らぐらいとか御存じであれば。

○山田委員 1時間2,000円です。

○大森委員 1時間2,000円。わかりました。

○新川座長 よろしいですか。

八木委員、どうぞ。

○八木委員 ありがとうございました。

すばらしい取組がたくさんあるなというのは初めて知ったところもあってすごいなと思いながら聞いておりました。たくさん例はおっしゃっていただいたのですが、民間の活用というのをもっとドライブできないでしょうか。

当然、山田委員は行政の側から物を見てらっしゃるのですが、民間出身の人間として発言させていただきますと、私が知っている会社で何とか地域に役に立ちたいと思って真剣に取り組もうとしている会社があるのです。例えばあるコンビニエンスストアです。私は社長とも話をしていて、彼らがやはり地域の中核になって地域のために役に立つようにしたいのです。もちろん、民間会社なのでもうからないことはやらないのですけれども、しかし、何とか地域のためになりたいという気持ちはすごく持って、今、動いています。

この間は、大手のスーパーマーケットの全国の地域の代表の方と数か月間、議論をしていったのですけれども、最終的なそこのプロジェクトの結論というのは、自分たちが地域の中核になって、例えばそこで売っている食品だとか服だとか、そんなものを売るだけではなくて、行政と一緒になって自分たちの店を使ってください、場所も提供しますというように言っているのです。だけれども、どうやって行政とこれは話をしたらいいのかなみたいな悩みを実は持っています。

ということなので、是非やり方というのは公平性とかいろいろあるとは思うのですけれども、民間、今、SDGsとかいろいろな形で社会に貢献したいというように思っている企業がたくさん増えてきているので、うまくそういう民間を入れていくようなこと。山田委員のこの資料の中にもいっぱい書いてあるのですけれども、是非具体的に何か進められないかなというように思って聞いておりました。

同じ観点からすると、33ページの「地域包括ケア推進機構」というのはほとんどといいますか、多分、全部公的機関だと思うのですが、この中に例えば地方の経済同友会が入るだとか、商工会議所が入るだとか、そういう形で是非民間の人たちを入れて、民間だからと言って決してただもうければいいだけという悪質業者ばかりではないので、是非使っていただけたらどうかな。

先ほど大森委員のお話からもあったのですけれども、私は実は京都出身で、京都の田舎で母が住んでいる地域には2,000人ぐらいの人たちがいるのですが、実はタクシーが1台しかないのです。確かにボランティアでやろうと思ったらできるのかもしれないのだけれども、例えばUberのような先ほど山田委員がおっしゃったアプリを活用して、ここからここまで行きたいのだけれどもという要望があれば、そういうものをもっと認めていく。

今、これは国レベルで議論してしまうとタクシー業界との云々みたいな話があって、それは国として認められません、Uber禁止ですという話で、終わっているのだけれども、地域というものをいろいろな形で見ること、そのいろいろな地域の状況を見ることによって、フレキシブルにその辺の対応をしていかないと、日本全体として何か非常に不便な世界になっていくのではないか。そんな感じを受けました。

質問というよりはコメントですけれども、すごくインスパイアされました。ありがとうございます。

○新川座長 山田委員、どうぞ。

○山田委員 多分、これからの形、今までずっと私たち、地方公共団体は地方分権と言っていたのです。この一番の基盤というのは、書きましたように役割分担の明確化、責任の明確化というように言われていて、何かあったときに責任は誰がとるのだという世界でいったのですけれども、多分、これから20年たつとそんなことを言っていられない社会になってくる。

村に1軒あるコンビニが全てをやることになる。そのときに、それがファミリーマートであろうとローソンであろうとセブンイレブンであろうと、そんなことは言っていられない時代が来るのではないかなというように思います。そのときに向かって多分地方公共団体は、今は緩やかな2層制ということを国は考えているのですけれども、柔軟な2層制というのを考えているのだが、地方公共団体というものが本当にいつまで、特に過疎高齢化の地域で存在できるのか。そのときには、もしかしたら地域運営団体的な民間、半民半官の組織というものが出てくるような時代になって、それを都道府県がコントロールするような時代になってくるというのが今の形だと考えざるを得ないのではないかなと思います。

水道の民営化というのは非常にわかりやすく出てきたのですけれども、あれはスタートだと思っています。まさに水道をやっていく、インフラ、ライフラインをやっていく会社がどんどん出ていく。既に電力とかガスは民間がやっているわけですから、同じように福祉もそういう形になっていくのだろうなというように思っておりまして、先ほど申しましたMaaSも例えば京都では既に京丹後と相楽で実験的に始めておりますが、やり方がまだ過渡期なものでうまくいかないのではないかなということは心配しています。たった1台か2台かの業者さんとの間のあつれきとか、そこで運営しているバスの皆さんとのあつれきというのがもう少しうまくやらないと解決できないのではないかなというように思っているのですけれどもね。

○新川座長 ありがとうございました。

そのほかいかがでしょうか。

では、首藤委員からお願いします。

○首藤委員 たくさんの事例を含めて、お話、ありがとうございました。

私も民間のところとの関係になるのですけれども、様々な資源が民間にあると思うのですが、その資源を横断的につなげていくための機能とか役割、人材、そういったところをこれからどうしていったらいいのかということと、あとはやはりそれを構築するための財源です。民間のところも一定、財源というのは出せると思うのですけれども、それを持続的にやっていくための財源の考え方とかをどういうようにしていったらいいのかなと思いますので、教えていただければと思います。

○山田委員 多分、民間の方々というのは、ある面でいくと消費者サービスの面があるわけです。消費者サービスをやっていく形で、例えばそれぞれのお店、販売店あたりのときに高齢者に対してきちっと説明をしていく研修を受けておけばいいわけであって、そのときに高齢者見守り制度みたいなものを入れてやっていく。問題なのは、おっしゃったようにそれをコネクトするやり方というように思っております。

消費生活相談員とか消費者の専門家というのは、これからも別になくなるわけではなくて、実はそうした方々をどうやってコネクトしていくのか。そういう役割を負っていくべきではないのかな。そして、相談が来たときには、それを更に専門家のチームへ持っていくという形の一つのバイパスとなっていくのではないかなと思っています。できるだけインターフェースをどれだけ広げられるか。人が足りない時代になってきますから、インターフェースを広げるときにインターフェースとしての民間との関係を作る形にかなりの部分、行政の内容をシフトさせて、そして、そのインターフェースから吸い上げたものを今度は的確に専門家の組織に持っていく形をとって、そこですぐに動く。これはもう児童相談でも虐待でもそういう形をとっていますので、そういう形でやっていくのではないか。

その点でいきますと、今の交付金制度や交付税制度の中で、それは回っていくのではないかなとは思っています。ですから、いかに今まできちって時間をやっていて、私も京都府で何度も消費者専門の方々と話をしたのですけれども、やはり1日に受ける相談件数をずっとやっていると、中央の相談所は結構来るのですが、支所あたりに置いているものだと1日に2件とか3件なわけです。その人たちが、では、そのあいた時間をコネクトの時間に使えることができないかなという形でやっていけば、今の中でも私はかなりのことはできるのではないかなと思います。

○新川座長 よろしいでしょうか。

○首藤委員 はい。

○新川座長 それでは、伊集委員、どうぞ。

○伊集委員 どうも御報告ありがとうございました。

前回の委員会で私は専門の財政の観点から御報告させていただいたのですけれども、それとの関連で、今後のこういう取組を地方自治体が行っていくときに、そこを財政的にどう支えていくかというようなところの問題意識があって、具体的な点で整理して考えたいなと思うのですが、先ほど地域でのタクシーを使っていくというような例があったのですが、例えばそういうことをやったときに、もうほとんど使われないような公共バスで回していくよりも、そういうタクシーという形にやってピンポイントでそのニーズを満たしていくというようにやったときに、それは自治体のほうで予算を付けるのだが、一方で、利用者、高齢者、利用対象になる方には月額、定額例えば5,000円とかと払ってもらうというような形で財源の一部にするというときに、そこで利用する高齢者に5,000円という定額を払ってもらうというのは、どういうように利用負担を根拠づけるのかというところを伺いたいと思います。

例えば一つは利用回数、利用量に応じて負担してもらうようなものもあれば、一方で、極端に言えば無償にするというようなやり方もあるかもしれないですし、その中の一つに定額は払ってもらうというようなこともあると思うのですけれども、そういう定額負担を利用者に負担してもらうというのは、これが一つの例として財源負担の在り方として、どういうところから根拠づけて考えていったらいいのかという点を伺いたいと思います。特に御報告の中にもあった地域のきずなを深めてインクルーシブな社会を作っていくというような理念を掲げたときに、社会としてインクルーシブなものを作るときに、一方で、個々のサービスについて利用者に一定の負担を設けるというのはどういう関係になってくるのかというのを、若干質問が抽象的なのですが、何かお考えがあればお聞かせください。

○山田委員 多分、町内会費みたいなものになってくるのではないかと思うのです。要するにタクシーと言っても、私、田舎でタクシーはそんなに専門家がいるわけではないから、多分シェアリングカーみたいな形をとらなければいけない。Uberのいいところはそこですね。やったときに別に専門のプロのタクシーの運転手でなくても、自分は今、あいているよという人が名乗り出てやっていくことができる、そういう制度にしておけばいいので、そうすると、そういう人には報酬が来る。回数に応じて一定の報酬が来る、それでやっていく。使うほうの人たちは、まさに携帯の費用みたいなものですから、そういう形で会費として払っていくというようなことができればいいなというように思っています。

タクシー会社との間で問題になるのでしょうけれども、多分、タクシー会社もこれから運転手を確保することがほとんどできなくなる時代が来ますので、だから、京都でもMKというタクシー会社があるのですが、MKさんもUberのアプリを入れました。それから、ほかのところはDiDiとかMOVとか、もうみんなタクシー会社がこのアプリを入れ始めました。そこでポイント制にして全部やり始めました。あとは、だから、それをどうやって、よりシェアリングカーのほうに持っていくかという作業が大きな壁なのですけれども、政府が定額タクシー、そして、シェアリングカーを閣議決定まで推進しようとしておりますので、そこには当然、高齢社会におけるモビリティーという点では、まだ公共交通の補助とかもあったわけですから、市町村もやっていたわけですから、それの大きなシフトをしていけばいいのではないかなと思います。

今までタクシーに対して補助をするという考え方はなかったのだけれども、あの高齢者の暴走事件以来、こちらのほうが出てくるのではないかなと思いますし、そこの考え方は、私は1つの会員組織みたいな形になってくるのではないかな。サービスに対するメンバーですね。そのサービス自身も複合化してくるのだと思います。

WeWorkという会社があるのですけれども、何かというと、オフィス。普通、会社というのはオフィスをみんな借りるか、持つかだったのです。今、これがメンバー制になっているのです。だから、世界中、どこへ行っても、そこに行けばコンピューターが使えて秘書業務をやってもらってという形でメンバー制なのです。同じように、今までは税金で払っていたのだけれども、その税金というものがメンバーシップみたいな形になっていく。そういう時代を私は作らないと、この高齢化の時代は難しいのではないかなと思いますね。

○新川座長 ありがとうございました。

本日、京都大学の曽我先生においでいただいて、11時から12時の間にお話と少し討論をさせていただきたいと思っておりました。大変恐縮ですが、山田先生のお話については、今日、また曽我先生の後、少し時間がございますので、質疑等はその時間に少し譲らせていただきたいと思いますが、よろしゅうございますでしょうか。

曽我先生、どうもお待たせをいたしまして、申しわけございませんでした。本日、京都大学大学院法学研究科の曽我先生においでいただきました。大変忙しい中、本日、本専門調査会にお越しをいただきまして、改めて御礼を申し上げます。ありがとうございました。

曽我先生は、行政学、また、地方自治の御専門で、これまでこの分野で多くの研究業績、また、教育にも当たってこられています。この春、『日本の地方政府』と題して我が国では、私たちは地方自治体とかと言っていますけれども、これについて、それを全体的に捉え直すような、そういう観点での御著書も出しておられます。

曽我先生から、この日本の地方自治や地方政府について、本日は新しい観点からの読み解きをしていただけるのではないかと思っております。それが私どものこれからの地方消費者行政を考えていく上でも大いに裨益するところがあるのではないかというように思っております。

それでは、曽我先生からこの後、20から25分くらいでお話をいただき、あと時間の許す限り、質疑をさせていただければと思っております。

それでは、曽我先生、ひとつよろしくお願いをいたします。

○曽我教授 ありがとうございます。京都大学の曽我と申します。どうぞよろしくお願いいたします。

お手元のほうに資料があるかと思うのですけれども、順にお話をさせていただきたいと思います。

今、御紹介いただいた通り、私は、行政学という分野を専門にしております。新川先生と同じでして、政治学の一分野ですけれども、かなり幅広い視点を含む学問分野から地方政府について考えてきました。地方政府という言葉については、今もありましたけれども、地方自治体、あるいは地方公共団体というように一般的には言われていると思います。しかし、代表がいて、行政権を持っていて税も取って、そういうものを政府と言わない理由がないように私は思っていますので、地方政府というように呼んでいます。

さて、こういう形でしゃべってもらいたいということをあらかじめお題をいただいています。資料にあります4点なのですけれども、時間が限られているので、基本的には今に至る現在の実態をどういう明治以来の100年以上の歩みの中でここに至ってきたのかということを、まずお話しします。その上で、それの延長線上に今後が見えてくるはずですので、その今後のことを一定程度予測し、どういうものが考えられるのかということをお話しします。

ただ、当たるも八卦、当たらぬも八卦というところがありまして、その予想の中には当然ぶれがあると思います。自治体戦略2040構想についても話してもらいたいということなのですけれども、そこで書かれていることも、現在からの延長線上であり得る1つと思いますので、自分自身の予想と合わせてお話をしてしまう形で進めたいと思います。

早速、本題ですけれども、大きく4つのお話をします。まず1つ目です。

1つ目は、地域というものと地方政府というのはどういう関係にあるのかという大上段のお話ですけれども、そこから考えていきたいと思います。

教科書的には、地域の人々の間に何らか共通する利益とか問題がある。そういうものを追求していく、公共財を提供していく、あるいは問題を解決していくために地方政府があるというのが教科書的な理解です。では、日本の地方自治体、地方政府の場合に、そういう存在だったのだろうか。地域の社会というのがまずあって、その範囲に合わせる形で市町村があってという形になっていたのだろうかというと、そうではないのではないかというのがまず1つ目のポイントです。

別の言い方をすると、公共サービスに対して需要がある。需要は当然、人々がふだん生活している生活の範囲があって、その生活の範囲でいろいろな形でやりとり、交流があるわけですから、そこから利益が生まれてくる、あるいは問題が生まれてくる、それを解消するという存在が地方政府なのだというように考えられるはずですけれども、では、本当にそういう地域の人々のまとまりというのが、地方政府の境界線として採用されているのだろうか。

それで言うと、例えば交通が便利になって地域社会が広がっていけば、それに合わせる形で市町村の境界線が広がっていくことになりそうなものですけれども、そうなっていないわけですね。それはどういうことかというと、日本の特に市町村、都道府県もそうですけれども、日本の地方政府というのは結局、公共サービスに対する需要ではなくて供給の側面から考えられてきたのだということだと思っています。

そうなると、供給能力を確保するための規模を維持しなければいけない。小さすぎるということになれば、そのときには大きくしましょうということがこれまでの歴史だったのだと思います。ですから、3回、国が主導するような形で合併がこれまでも進んできました。この結果、社会・経済の在り方で言えば、都市部のほうが本当は、交通の便とかがいいわけですから人々がふだんから行き来をしているという意味で言うと、地域社会・経済は広いはずですけれども、都市部のほうがむしろ市町村規模は小さくなっています。合併が進まないわけです。そういった姿が日本の市町村の姿なのだろうと。

そうなると、地域の社会や経済の大きさと必ずしも市町村の規模が合っていないことになるわけです。では、それに対してどういうように対処するかという場合に連携を用いてきたのだということです。

世界のいろいろな国を見ていると、合併で対処するか、連携で対処するか、それぞれの国がそれぞれの選択をしていますが、日本の場合、両方使っていく面があったのだろうと思います。合併しつつ、連携も使っていくという形でやってきたわけですね。

ごみの収集は各市町村でやりますけれども、例えば焼却とかであれば、こういう規模でやりますとか、水道であればこういう規模でやりますという形で公共サービスごとに規模を追求するということが可能になってきます。しかし他方で、住民の意思などは反映しにくい仕組みになるということですね。

資料のグラフは、平成の合併前後の人口規模別の市町村数を比べたものです。濃い黒色のほうが今回の平成の合併後の数です。薄いグレーが、平成の合併の直前の自治体の数ですけれども、3万のところに峰ができています。3万人になれば市になるからということで、国が誘導する形で合併を進めているのでいびつな形になるわけです。社会・経済の在り方と必ずしも一致するという形で作られてきたわけではないことはこの辺からも分かるかと思います。

次、2点目のお話です。都道府県と市町村の関係についてです。

まず特徴的なのは、都道府県なら都道府県、あるいは市町村なら市町村というものに関して、極めて画一的に権限を配分してきたのがこれまでのやり方でした。かつ、全国全ての地域が2層制、都道府県と市町村という2つの層で成り立っています。この2つの層が必ずあるのは当たり前ではないかと思われるかもしれませんけれども、世界的に見れば別に当たり前ではないわけです。アメリカみたいに市町村は自分たちの住民が作り出す手続を経て初めて市町村ができるというところであれば、必ずしも全国に市町村が存在することにならないわけです。だから、あらかじめ都道府県と市町村というのがあり、全国どこに行っても例外なく存在するのがこの国の特徴と言っていいと思います。

そういった形でこの100年以上、やってきており、都道府県、市町村、それぞれ非常に幅広い政策を担っています。大きく言えば市町村は福祉が主たる役割です。都道府県の場合は、広い意味での開発です。インフラの整備や商工業、あるいは観光を含めて、地域の発展を担うのが都道府県の主な役割です。あと実際には都道府県の規模の大きさは警察と教育の人件費を持っているところが大きいのです。職員であれ、お金であれ、それを都道府県がある意味で肩がわりしているところが特徴的だと思います。

こういう形で画一的にやる。しかし当然、地域によって実態は違いがもちろんいろいろあるわけですから、そうなるとどうやって実態とずれがある部分を解消するのかという問題が出てきます。それに対して、たとえば財源であれば地方交付税という形で国が再分配をしていくという形で対応してきたのがというのが特徴といえます。

また、これの裏返しに、全国画一であるということは、大都市には特有の制度を設けることにも消極的です。例えば都道府県の権限そのものを持ったような大都市、市町村レベルなのだけれども、しかし、都道府県そのものの権限を持っているような大都市です。韓国とか、あるいはフランスにあるような、そういった仕組みというのは、基本的には存在しないということになります。東京都区の制度や、あるいは政令指定都市は近いのですが、でも、特有性みたいなものをできるだけ排除している。基本的には2層であるし、その2層制というのは例外なく東京都区であろうとも維持するということで、大都市に対して制度的に手当てが弱いというのが日本の地方制度の特徴だったと言えると思います。

こういう形で続いているのは、ある意味では不思議と言えば不思議で、先ほどの話で市町村は合併していますけれども、都道府県などは合併とかがない形でずっと続いています。もともとは都道府県は、国の仕事を肩がわりする、ある種の出先機関としての役割が非常に強かったものなので、何回か危機があったのだろうと思うのです。特に戦後改革のときなどは非常に大きな危機だったと思いますし、分権改革もそうなのだと思うのですけれども、いずれについても、しかし、都道府県という仕組みはなかなかしぶとく生き残っているわけです。近代国家の中でこの仕組みを変えないでやってきたというのは特徴的です。裏返せば道州制みたいなものをずっと入れずにやってきたのが特徴かと思います。

それでも、都道府県の在り方はなかなか難しいところもあるといえます。資料のグラフを見ていただくと分かるかと思いますけれども、財政的な比重はどんどん市町村のほうが重くなっていっています。これは市町村が福祉を担っているということから来ています。都道府県は主にインフラ整備などに果たしている役割は大きかったのですが、ここが2000年代以降、減ってきていることもあって、市町村の側が財政的な重みを増しています。

今、申し上げたようにずっと画一的にやってきたのですけれども、なかなかもう難しいところに来ていることから、変容は始まってきているのだと思います。それぞれの都道府県の中で市町村に権限を移していくこと、権限の再配分は随分進んできているのはその一例かと思います。そういったものが顕著な形で表れると大阪都構想みたいな形になって出てくるということかと思います。ですから、制度は安定的だったけれども、変容しつつあるというのが今の実態かと思います。

つづいて、資料の8枚目、「4.地方政府と中央政府の関係」というところに進んでいただければと思います。大きな話で言うと3つ目のお話ですね。国と地方の関係の特徴です。 国と地方の関係は、大きく言うと2つのチャンネルで成り立っているというのが基本的な理解です。一つは政策ごとの個別の関係です。事業官庁があり、事業官庁が補助金を出し、かつてで言えば機関委任事務、今で言えば法定受託事務という仕組みを使って、権限の面でも地方自治体に実施してもらう形でやっていくということですね。あと人に関しても事業部局に出向していくという形で、政策ごとに国と地方がつながっていくのが一つの大きな柱です。

もう一つは、総合的な側面として、国で言えば自治省・総務省があり、それが交付税を流し、あと地方自治体の制度に関しても所管する。自治体側で言えば財務・総務部門がこの受け手、パートナーになっていて、そこに対して自治省や総務省から人が行くという形で、こういう2本のチャンネルが国と地方の関係を大きく作っています。

どちらが主なのかというと、基本的には個別の側が戦後に関して言えば主だったということかと思います。事業官庁がやっていくものを、総合的に自治省とかが支えていく。これによって、戦後改革を乗り切った後、内務省解体後の自治省が役割を見付け直したということだろうと思います。

そういう形で2つが組み合わさりながら、総合的な部分は下支えをする形で存在してきたのが戦後の基本的な仕組みだと思います。これが分権改革で姿を変えてきた。より総合的な性格が強まってきたのだというのが概ねの方向です。その意味では、広く言えば政治の世界で族議員が力を落としてきたとか、そういうところに始まり、個別政策領域ごとの縦のつながりがいろいろな形で薄れてきている。裏返しに、自治体としての総合的な面が強くなってきているというのが国と地方の関係の現在の特徴かなと思います。

次に、もう一つの特徴は、今の点と関係しているわけですけれども、国が随分、いろいろな仕事を地方に任せていることです。もう少し別の言い方をすれば非常に強く融合しているということです。世界的に見ても極めて珍しいほど、地方がいろいろなことについて、国の仕事を請け負っています。だから、それはもう少し裏返して言うと、この20年間、分権改革を進めてきたわけですけれども、仕事の量は、地方自治体はそんなに、変わっていないのです。それ以前からすごくたくさんの仕事を担っていたので、改革するのは、関係性の在り方を変えるという話で、仕事量はもう増やさないということになります。

結果として、9枚目のスライドなどを見ていただいても分かる通り、さすがに防衛は、国が100%やりますという話になるわけですが、それ以外のあらゆる政策領域で国と地方が連携してやっていくという形になっている。これは非常に特徴的かと思います。

それを支えているのは、金銭の面でも強く融合している。国の歳入のかなりの部分は地方に回っている、地方交付税で16兆円ほどが回り、国庫支出金が13.7兆円回っている。10ページのスライドに示されている通り、これだけのお金が回っているわけです。ですから、国のほうは財政としてはなかなか厳しいですよねということだと思います。

さらに、もう一つ、その裏返しに存在しているのは、国の公務員が非常に少なくて済んでいるということだと思います。これも世界的に見て、公務員の中で地方公務員の比率が高い。国家公務員は逆に言えば非常に少ない。こうした国の姿を作っています。

あともう一つ、国と地方の関係で指摘しておくべき点として、国の役割として、地域間のバランスをどうとるのかということに関してどのような役割を果たしているのかということがあろうかと思います。この点で言うと、再分配をかなり強くやってきたタイプの国と言っていいというのが特徴かと思います。

交付税という仕組みは、紆余曲折あったにせよ、完成してからはもう50年以上、ずっと続いています。社会・経済が変わってきても、変わらず同じ仕組みで国と地方のバランスをとる、あるいは地方の中でのバランスをとるということをやってきています。11枚目のスライドを見ていただくと、縦軸が住民一人当たり千円を示しており、100だと10万円、20万円、30万円、40万円となり、赤色の棒が税、地方税です。ぴょこんと飛び抜けて出ているのが東京ですから、東京は住民一人当たり40万円ぐらい、税があるわけです。それに対して青い部分が交付税です。右のほうの高いところは島根とか鳥取とかですが、交付税をプラスすると東京と並ぶぐらいになってくるということです。このように非常に強く調整をして、全体としてならしていくことをやってきたのが日本の国と地方の関係の特徴かと思います。

現在の特徴として最後、4点目は、地方自治体の中のお話、地方政府の政治・行政組織の特徴です。まず、二元代表制をとっているので、首長と議会があるうち、首長の力がもともと強いのですが、これが更に強くなっているといえます。分権改革によって、先ほど申し上げたように、いろいろなことをやれる、全体として見るという強みが更に生きるようになっており、首長の力が高まっているところです。

有力な国政の政治家でも、首長のほうが魅力はあると実際に移る人が増えているところにも、首長の力が強くなっていることが表れています。そのことは、いろいろな政策の新たな試みが首長主導で行われることにもつながっています。ただ、全員が全員、いろいろなところを見渡してやるという意味での総合性を生かしているわけではありません。目に付くところをやるという形で人々の関心を買うみたいなやり方というのもあり得ますから、その辺はいろいろなスタイルがありえます。

ただ、それは政治家としての首長だけに問題があるのではなくて、トップマネジメントを生かしていく仕組みが日本の地方行政組織の中では、なかなかないわけです。国レベルで政治主導になっていくときに、内閣官房をはじめとして、官邸主導を支える仕組みを作っていくという、ああいった改革が地方レベルで行われてきたかというと、それぞれの地方政府の中で試みられてはいますけれども、制度としてはないわけです。そのあたりが組織面での問題としてあるのだろうと思います。

あと行政組織に関していうと、分業しているわけですけれども、専門性の程度というのはそんなに高くない。基本的にはジェネラリスト志向ですが、それも本当に地方自治体が抱えている全ての仕事をみんなが一通りやりますという意味でのジェネラリストではないのだろうと思います。職員さんは、一定の幅の中で異動を繰り返していく。そういう形で育っているのだろうと思います。

あと、もう一つ特徴的なのは、ビジネス化というのが入ってきていることかと思います。一つには、行政自体をビジネス化していく。いろいろな形でお金を出しつつ、民間の側に一緒にやっていってもらうという事業です。PFIとか指定管理者制が代表例です。もう一つは、行政自体が売り込みをするというか、呼び込みをするというか。特に移動する者に関する呼び込みというのが大事になってきていると思います。観光もそうでしょうし、工場を誘致するとかもそうで、全て外から呼び込む形です。こういったものの比重が高まってきているのが今の特徴かと思います。

以上がざっと見た現状のお話です。この上に立って、今後、どんなことが見えるのかが最後のお話になります。

資料13枚目の「6.今後の展望」のところです。まず、都道府県と市町村に関して言うと、もう合併は難しいのだろうと思います。やれるところはもうやったということだと思いますので、合併という形で供給能力を高め、それによって全国画一的にできるだけ仕事をやっていくという時代はもう終わると思います。そうなると、公共サービスを供給する能力に基づいて地方自治体を編成してきたのも、これで終わると思うのです。するとむしろ、公共サービスとして提供すべきものは何か。地域の社会や経済が共通して抱えている問題は何なのだろう。それを解決するという公共サービスに対するニーズは何か。こういった形で、需要の側から地方政府を捉え直していくことが大事になってくるのではないでしょうか。

次のスライドに例を挙げました。これは国交省が少し前に出していたもので、人口規模でどれくらいの人数がいると、どのような種類の民間のサービス、市場におけるサービスが成り立つのかを示したものです。何で国交省がと思いますけれども、これは一定程度、例えばスターバックスがあるためには17万5000人は人がいないと成り立たないという話になると、それを成り立たせるためにインフラを整備しましょうという話になるわけです。

このように人口規模に応じて、こういった消費者活動などでも規模が大分違います。詳しくは、後でまた見ていただいたらいいかと思うのですけれども、今までだと3万人いなければ市になれないので3万人にしますという話をしていたわけですが、むしろ、消費者活動であれば3万人の街ではこういう消費者活動があると。そこから生まれてくる、消費者行政に対するニーズも、当然、違ってくるだろう。そうなると、それに対してどのように対処していくことになるでしょうかということを考えていくのが消費者行政の分野でも必要でしょうし、ほかのところでも大事になってくるのではないかと考えています。

関係しますけれども、画一的に行うことはもう無理だというのは明確かなと思っています。そうなると、都道府県から市に対しては権限を回すのだけれども、しかし、小規模の町村とかに関してはそれを補完する、あるいは連携に対して仲介していくことに対して都道府県が存在意義を見出していく。都道府県はそのあたりをしなければ、どこに意義があるのかという話にもなるので、そこは都道府県にとっても大事なところになってくると思います。こうして、画一的な仕組みではなくなってくる。いろいろな形で、市でやるところもあれば、町村をむしろ都道府県がサポートする形でやっていくものがどんどん増えていく。そうした中で、では、消費者行政はどういう形で地方自治体を通じて行っていくのかというのは大事な論点かと思います。

次に、これも今の話に近いですけれども、都道府県と市町村という2層制の話です。2層制というのは本当に安定的でしたし、全国的に2層があるという意味での全国画一性もなかなか根強い。したがって、これを崩すというのは非常に大きな政治的な力がないとやはり難しいだろう。そういった政治的な力が加わる、政治的な争点に上がってくるとしたら、それは、一つは国土構造の問題として東京一極集中がどうにもそれで成り立たないという話、あるいは先ほど見たように地域間の再分配を強くやってきたことに関して、これをもう見直すという話。そういうことから、都市と農村や、都市と郊外の関係が政治的な争点になると見直される可能性はあるかと思います。しかし、そうでない限り、2層制は続くのだろうと思います。

そうなると、既存の、福祉を市町村が担い、開発を都道府県が担うというのも基本的には変わらないと思います。すると、消費者行政というのは、消費者側の側面と、それに対して生産者側に働きかける側面の両方があると思うのですけれども、それぞれにどういう形で関与していくのかという使い分けが大事だと思います。

最後のスライドです。国と地方の関係で個別の領域が中心になって、総合が下支えをするという組み合わせ、これも変わらないだろうと思います。地方の自治体の側の行政組織もそれを基礎にしていることは変わらないと思います。あと職員数が減少している傾向も変わらないということなので、国の仕事を新しく地方自治体の側に新規参入で委任していくのは、なかなか難しいだろうなと思います。そうなると、既存のところとどのように組み合わせていくのか。組み合わせる上で地方の側で言えば総合調整をしているところとどのようにつながっていくのかが大事かと思います。

その可能性はあるのかということですが、地方政府、地方自治体の受信力、住民のニーズがあり、それに対して応えていく力というのは上昇していると思います。そうなると、結局、具体的な政策ニーズとして住民から上がってくれば、地方自治体はもちろん対応すると思います。ですから、そこに消費者問題がつながっていくのかが大事だろうと思います。多分、いろいろな形で既にお話が出ているかと思いますが、やはり福祉みたいな部分と消費者行政というのはつながっているということになれば、当然、対応していくだろうと思います。

あと、もう一つ可能性があるとしたら、知事・市町村長です。知事・市町村長が消費者問題を取り上げるという可能性です。これは、議会の議員に比べて首長は広く見るところが特徴です。それは日本の二元代表制の仕組みのメリットです。ですから、地方レベルで消費者問題がある種争点化されて、取組がなされていくことは可能なのだろうと思うのです。ただ、それには何かきっかけが必要です。そして、きっかけとしてよくあるのは残念ながら事故なので、そういう事故ではない形で、後ろ向きではない消費者行政というのをどういう形で作っていくのかというのが課題かと思います。

最後、行政がビジネス化する、この傾向は変わらない。これも強まる一方だと思いますので、そうなると、民間との連携を最初からセットでどういう形で組み込んでいくのかが大事かと思います。あと、行政自体がビジネス化している。街を売り込んでいくという話からすると、消費者行政をやるということがまち作りにどのように関係していくかを示す。街としての売りを考えていく上でどういう形でストーリーの中に入っていくのかがポイントになると考えました。

以上になります。ありがとうございます。

○新川座長 どうもありがとうございました。

大変幅広く、しかし、コンパクトに日本の地方政府について、その特徴と、そして、それが今後持っている方向性、その中で地方消費者行政の位置付けということもいただきました。是非限られた時間ですが、各委員から御質問や御意見、いただいてまいれればと思います。よろしくお願いいたします。

どうぞ池本委員、お願いします。

○消費者委員会池本委員長代理 オブザーバーの池本でございます。

地方の行政組織が2層制をずっと今も維持していて、それを前提に考えるというところで13ページに福祉の市町村、開発の都道府県、こういう分け方になっているというところから、消費者行政の消費者側と生産者側の使い分けという記述をしておられます。ここのところの意味をどう捉えればよいかということについて、例えばこういう考え方でよろしいのかというあたり、コメントいただければと思うのです。

今、消費者行政で言うと、消費生活センターへ消費者が相談に行く。ただ、これも本当に次々、新しい専門的な特殊な案件や個別の特別法に関わる問題もあるので消費生活相談員という専門家を配置しているというところで、人口5万人以上の市町村でもまだ全部は配置し切れていない、むしろ、多少、広域連携をして配置する必要があるのではないかというようなところがあります。特に消費生活センターは必要に応じて事業者とあっせん交渉して解決まで見届けるというようなところがあります。もう一つは、違法行為を繰り返す事業者に対しては行政指導や行政処分、これは現在も都道府県に権限があるということですが、その消費生活センターは都道府県にもありますし、市町村にもあるという状態が今、ございます。特に都道府県の場合には、事業者規制の情報源にもなるということもあります。

他方で、消費者行政というのは、その情報を活用して地域の住民に対して、被害に遭わないように気を付けてくださいとか、啓発広報をしていかなければいけない。いかにきめ細かに広げていかなければいけないかということがあって、これは消費者行政だけではなかなかできないので、福祉とかほかの部門のつながりをいかに活用するかというのが今、課題になっております。

というような消費者行政の今の大まかな像の中で、消費者側と生産者側の使い分けというところ、都道府県と市町村の役割分担の中でどう見ていけばいいかなというところをもし教えていただければと思います。

○新川座長 お願いします。

○曽我教授 ありがとうございます。

ほとんどおっしゃっていただいたとおりです。消費者側と言っているのは実際の消費者の側で、生産者側は業者の側です。それぞれに対して消費者行政というのは働きかけるという意味で、2本の柱があるのだろう、働きかけの対象は両方あるのだろうと思います。今、説明していただいたような形で現在の仕組み、市町村に対してはこういう形で関係があります、都道府県に対してはこういう形で関係がありますというのは一般的な市町村、都道府県の役割とフィットしているのだと考えています。

ですから、今の方向性で基本的には進めていくということなのかなと思うのですけれども、ただ、自治体が更に積極的にやっていくということで言うと、市町村の場合に業者との関係まで含めてやっていくというのはしんどい。規制みたいな話は都道府県のほうがやりやすいだろう。その辺、市町村、都道府県、それぞれが向いていて、一生懸命やっているところがあるので、それと合うような形でいけばいい。基本的には今の配分はちょうど合っているのではないかなと思います。

○新川座長 ありがとうございます。

そのほかいかがでしょうか。

では、尾嶋委員、お願いします。

○尾嶋委員 最後の15ページですけれども、具体的な政策ニーズが住民から上がれば対応。そこに消費者行政を持っていけるかというところです。私は相談員をやっているのですが、住民ニーズをいかに酌み取ってもらえるか、例えば消費者白書にあるように、消費者被害トラブルの推定額というのは4.9兆円ぐらいあるということだと、その一部を解決できたり救済されたりするという消費生活センター、消費者行政は住民にとって非常に重要かなと思っていますけれども、その首長にそれを理解して取り上げてもらうためには、やはり声を大きくしていくとか、具体的に主張していくとか、そういうことになってくるのでしょうか。

○新川座長 いかがでしょうか。

○曽我教授 おっしゃることはよくわかります。でも、今の4.9兆円ということを聞くと、ほとんどの人が驚くと思うのです。それはやはり消費者というのは、基本的には広く薄い存在で、皆、消費者であるけれども、しかし、被害に遭えばもちろん、自分が消費者であることを意識するのかもしれませんが、ふだんは自分が消費者であることすら忘れて生活の一部になっているようなものだろうと思うのです。やはりそういうもののために人々はなかなか行動したり、何か要求を上げたりはしにくいものだろうと思うのです。そうなるだけに、声を大きくするためには何らかの仕掛けが必要なのだろうし、大事な問題だということを、常に声を上げる人は一部に限られ、一般的には、被害に遭わない限りは消費者の人は上げないと思うので、それをどういう形で声としてまとめていくのかが大事になってくるかと思います。

○新川座長 どうぞ大森委員、お願いします。

○大森委員 ありがとうございました。

私も15ページのところがすごく気になっていて、こうしないといけないというのではなくて、元気な首長がいたり、元気な住民がいると、こういう社会にしたいなという理想で逆に交付金とか特区にするとか予算をとることができるのかというのが質問の一つと、もう一つの質問が、逆にそういう元気がなくなっているところはどうなっていくのかな。采配を振るう人もいないし、住民も声を上げない地域はどうなっていくのか。その2点、教えてください。

○新川座長 お願いします。

○曽我教授 ありがとうございます。

おっしゃるとおりというか、2つの両方があり得るということなのだろうと思うのです。それは地方分権以降の流れの中でそれぞれのところでやれるところはやるし、やれるところがやるということはやれないところはやれないということでもあるというのは、大きな方向性としては、もうそういう方向に行っているのだろうと思います。

ただ、そうは言っても、では、やれないところはもう仕方がありませんねという話ではないと思うので、やはりその2つを分けて、それぞれに対してどういう対応を考えていくかというところが大事になってくるということかと思います。すみません、おっしゃっていることをそのまま繰り返しているだけのように思いますけれども、そういう方向性だと思います。

○新川座長 そのほかいかがでしょうか。

八木委員、どうぞ。

○八木委員 ありがとうございます。

民間の者として、行政のビジネス化というものに反応するのですが、この意味合いは、民間をもっと積極的に活用して連携しろというのが一つあるような気がします。もう一つは、例えば地方がビジネスの主体になるようなこと、すなわち、ある地方が消費者行政に積極的に取り組むことを売りにして人を集めるなり、地域を活性化させるなり、あるいは生産性を上げるなり成長するなり、そういうことを何かやればいいではないか、ということですね。

例えばシリコンバレーは今から60年くらい前にできたのですが、あれは決して地域が主体としてやったことではないけれども、シリコンバレーというブランドイメージを作って、あそこにデジタル系の人たち、企業をいっぱい集めたというのがあると思うのですが、そういう発想力、ブランド化みたいなことも含めた意味で、この行政のビジネス化ということをおっしゃっているのでしょうか。

○曽我教授 ありがとうございます。

これもおっしゃるとおりです。2つの意味があって、一つは、今まで行政が単体でやってきたものを民間と一緒にやっていきますという意味でのビジネス化ですけれども、もう一つはやはり行政自身が自分たちの地域をどういうものかを伝えて、それに対して人々の関心を呼び、人や企業を集めてくるという、そういう意味でのビジネスですね。

そういうものの中に当然、ある種のブランド化みたいなものが入ってくると思いますし、そういうことを一生懸命、これも先ほどの話で、やるところはやるようになってきているというのが一つの流れだと思います。街を売り込んでいきますというか、街のブランドをきっちり築くという形で動いていく自治体はあるので、その中に消費者に対するスタンスみたいなものが入り込んでくる可能性はあるように思うのです。そのあたりをどういう形でつないでいくといいのかというのが問題、関心です。ありがとうございます。

○新川座長 そのほか、いかがでしょうか。

西田委員、どうぞ。

○西田委員 御説明ありがとうございました。

この14ページ目の図は初めて見たので非常に興味深く拝見していたのですけれども、なかなかサービスとか民間の力だけでやれるのに任せるとこういう分布になるということで、やはり行政がやるべきところと民間を活用するところというのは、役割はあるのかなと見ておりました。

話は変わって、これは先生に対する質問でもないかと思うのですけれども、いろいろなビジネス化、行政がやっていたことをビジネス化していくときに、例えばこれは適切な例かわからないですけれども、最近の不祥事で、かんぽ保険の問題がありましたが、要するにああいうコンペティティブな状況、競争的な状況、そういう側面が入ってくると、公的なサービスに近いものですら、振る舞いが急に変わってくるという側面の例だと感じています。

ふるさと納税も一つ、一定の評価はあるのですけれども、でも、コンペティティブな状況になって、公的なものであっても、少し違う振る舞いが見られるということがあって、やはり民間での競争の世界と消費者を守る消費者行政というのが少し相反するところがあるところはあるので、そのバランスというところは考えていく必要があるのかなとお聞きしていました。コメントになってしまうのですが、そのあたり、何か先生の見解があると、意見というかコメントいただけると、というように思っています。

○新川座長 お願いします。

○曽我教授 ありがとうございます。

一つ目のお話は14ページのスライド、いろいろ考えていただくきっかけになればと思ってお出ししたのですけれども、消費者行政と言ったときに、今までだと消費する財やサービスがあって、それに対して発生してくる問題をどう対処するのかという話だったのでしょう。しかし、こういう店が成り立つような人口規模があるというのは、裏返せば、一定の人口規模がなければ消費活動自体がなかなかできないという話でもあるのだと思うのです。今の農村部の自治体にとって大きいのは、いろいろな形で生活をどうやって成り立たせていくのか、維持していくのかという問題意識だと思いますので、そうなると、こういった消費活動もできなくなっていくということに対して、どういうように考えていったらいいのだろうというのは、一つの関心なのだろうと思います。だから、それは今までの消費者行政とはちょっと違う話なのかもしれませんけれども、今の特に農村部との関係で言うと出てくる話かなというようには思います。

2つ目のお話も非常に面白いというか興味深いお話で、競争は何をもたらすのかというお話ですね。地方自治で言うと、競争が何をもたらすのかというのは昔から議論もありまして、例えば完全にアメリカみたいに税源も自主財源で福祉もやっていく場合、競争させると、むしろできるだけよそのところよりも福祉水準を切り下げる方向で競争するわけです。福祉水準を上げるとどんどん貧しい人が集まってくるけれども、お金持ちが逃げてしまうので財源がもたないということです。このように、競争が何をもたらすのかというのは、どちらの方向にも働き得るということかと思います。そのあたりが出てきているのが、おっしゃっている2つの具体的な例かと思います。

かんぽの話で言えば、競争を入れることによって問題が出てくる話かと思いますし、ふるさと納税のほうも、それも地域間のある種の競争ですけれども、これも功罪両面あるという話と考えています。

○新川座長 よろしいでしょうか。

そのほか、山田委員、どうぞ。

○山田委員 ありがとうございました。

今、一番、我々は実際の地方行政をやっていて感じるのは、地方行政という今までの枠組みというのは地域に行政があるという形だったわけです。でも、Amazonとかああいうのが出てくると、もう既に地域を越えてしまっているものが出てきている。そのときに地方公共団体の関心とか需要とかで言っていたら、そもそもそこは出てこなくなってしまうわけですね。自分の圏域を越えていますから。そうした圏域行政としての地方公共団体の行政と、圏域を越えてしまった新しいバーチャルな世界が出来てきている。その間に、はざまに消費者行政が落ちてきてしまっているというように感じているのですけれども、その点で、今までの地方政府的な発想で消費者行政がうまくまとまるのだろうかということについて、先生はどういうようにお考えでしょうか。

○曽我教授 ありがとうございます。

その問題はストレートにお答えすると、結局、国が対処するという話になるか、あるいは国でも対処できないという話なのかもしれません。範囲がどんどん広がっていく。その範囲の上限に合わせると地方でできることが減っているという話なのかもしれないです。他方で、もう一つ思いますのは、地方自治体が、住民票があるとか、そこに家を持っているという意味での住民というものだけを相手にしなくなってきている面もあるのかと思うのです。

例えば、いろいろな市町村の自治基本条例みたいなものなどを見ていると、住民だけを名宛てにしているわけではなくて、それぞれの市町村に関わりがある人たちを含んだ形でまち作りをしていきますよということを謳っています。住民以外のものも含めた形で、先ほどの観光とかもそうですけれども、外から来る人たち、一時的に滞在する人も含めて、関わりがあれば対応するという話かと思います。そういう意味では、境界を越える企業を相手にする場合でも、地方がやれるところはあるのだろうと思いますが、ただ、やはりどこまで行っても規模の話はあるので、それに合わせる形でどこが何を担うのかを整理することは大事なのかなと思います。

○新川座長 ありがとうございました。

そのほかいかがでしょうか。

伊集委員、どうぞ。

○伊集委員 どうもありがとうございます。

伊集と申します。私、財政の立場からここに参加しているのですけれども、今日の御報告いただいた内容の中でも、特に8ページ目のほうで国と地方の関係の中で、強い地域間再分配が行われている。特に交付税制度など、高度成長期を終えてもなお継続するという半世紀から、やや批判的な視点で捉えられているのかなという印象を受けたのですけれども、それと関連して13ページのほうに、今後2層制や全国画一性が崩れるとしたら、一極集中や地域間再分配の見直しが政治的な争点化されていくのではないだろうかというようなことも御指摘されていて、その際に、特にここで取り上げられている地域間再分配、交付税制度に特徴的に表れるような地域間再分配というものを、地方消費者行政も含まれるような自治体のサービスの画一性が崩れていくといったときに、国の中での地域間再分配の在り方というのがどういうように変わっていくと見られているのか、あるいはいくべきなのかというようなところで、どういう見通しを持たれているのかなというところが気になったのですが、何かお聞かせいただけますでしょうか。

○曽我教授 ありがとうございます。

大きな問題だと思いますけれども、基本的には戦後、経済発展していく中で格差が生まれるのを、どのようにして一定程度に抑えていくのかは、その国にとって大事な問題だろうと思います。今の中国とか見るまでもなくという話だと思います。地域間格差を抑える役割をずっと担ってきたのは、地方交付税を含めた財政の再分配の仕組みなのだと思います。それに対して、批判的というよりは、それが慣性に従っていつまでも続くということには、一度立ち止まって考えるべきではないかと思うのです。今まであるので、そのまま続いているのですけれども、もう一回、そろそろ考え直した上で、維持するのだったら維持するでいいと思うのですが、そうではないのだとしたら、それ自体を考え直す時期ではあるだろうと。

国の在り方みたいなのを考える上で、どういう形で都市部と今の農村部、必ずしも農業だけやっているという意味ではないですけれども、しかし、非都市の部分との関係をどうするか。あるいは、地域間でどういう形で線引きが引かれるのかを含めて考えるのは大事な問題です。それは国レベルで議論しなければいけないことなので、そのあたりをどこかの時期で争点にして、それは国民の皆さんを含めての判断を仰ぐべきということです。だから、私自身はどちらの方向性になることということよりも、争点化しないのはまずいだろうと思っているところです。

○新川座長 よろしいでしょうか。

財調がある意味では現行制度を固定化してしまっている、そういう大きな役割を果たしているというところは確かにあるのですが、そのほかいかがでしょうか。

では、山本先生、どうぞ。

○山本座長代理 今日はお話、ありがとうございました。

先ほど住民の話が出たのですけれども、地方公共団体は、その地方公共団体の区域に生活の本拠を有する住民を基礎にしていますが、これから住民の概念といいますか、意味合いはどのようになっていくのかということについて、少し大きな話になるのですが、せっかくの機会ですので、お伺いしたいと思います。

つまり、一方では、これはどの自治体もそうなのでしょうけれども、住民の代表が議会であるとは言っても、かなりの部分において、特定の社会的な属性の人しか実際には議員になっていないということがある。他方では、例えばその地域で事業を営んでいる。でも、別にそこに住所を持っているわけではない。あるいはそこで働いている。しかし、住所はそこに持っているわけではないという人が特に都市部には非常に多く存在をするということがある。

また、これは都市部でなくてもそうなのですけれども、例えばまちおこしのためにいろいろな事業者が入ってきて起業して町を活性化させるというような形で、地方公共団体と協力しながら、そういった事業を営むという、これは直接には住民ではないわけですが、そういう人がどんどん入ってきて町の活性化等を行うようなことがいろいろ出てきている。そうすると、今後、地方公共団体の基礎となる住民というものについて、どういうように考えていったらいいのだろうということが私自身もよくわかりませんし、地方制度調査会で議論をしたときにも、一人複役とか、そういうようなことが出てくると、今後、住民を基礎にした地方自治という考え方がそのまま維持されるのかどうかなどという問題も提起されているのですけれども、その点について、是非曽我先生のお考えを伺いたいと思います。

○新川座長 難しいですね。お願いします。

○曽我教授 ありがとうございます。

これも大きなお話ですけれども、方向性としては当然、その方向に向かうのかと思います。たとえば、企業などでも企業の所有者というか、最終的には株主だけが声を出すのかといったら、そんなことではないですね。利害関係者、ステークホルダーというのは、もっと幅広くいるわけであって、その人たちがいろいろな形で企業に対して関わりを持って、あるいは声を出していくことがあるというのと同じような話かなと思うのです。

自治体は既にあるわけであって、その自治体に対していろいろな形で利害関係を持っているステークホルダーは、いろいろなグラデーションで何層もいるだろうというのが基本的な考えです。その中で、やはり住民という形で、もちろん、そこに居を構えているということによって共通する問題が発生して、それに対してサービスを提供するのが中核だろうとは思います。

しかし同時に、それに限定する必要も全然なく、もっと言えば、現状で既に自治体が提供しているサービスは、特に日本の場合は大都市制度が余り充実していないこともあって、昼間だけやってきている人に対して、いろいろな形で既に対応しているわけですね。そういうものを含めて考えると、実態としても、既に幅広い人々を相手にしており、もちろん、中核は住民だけれども、その方向性がどんどん強まるということなのではないかと。ただ、その場合に誰がステークホルダーであって、その人たちの声がどういう形で反映されていくのか、どういう仕組みをそこに用意するのかというところを整理していくことが今後、必要になっていくかと考えています。

○新川座長 ありがとうございました。

よろしいでしょうか。

おおよそ予定の時間になりましたが、そのほか、特にあればお伺いしますが、よろしいでしょうか。ありがとうございました。

曽我先生には本当に日本の地方政府、トータルに捉え直すという観点からお話をいただきました。公共サービスの需要供給、その担い手の言ってみればスケールの問題、その中で改めて地方消費者行政というのを私たちもどういうように位置付け直して議論していったらよいのか、それが区域の問題あるいは政府のレイヤーの問題も含めて、そして、それがなおビジネスとの関わりでどういうように展開できるのか、考えないといけないところが山ほどありますが、同時に特設的にも山ほど課題もいただいたかと思っております。先生の整理を、大いに参考にさせていただきまして、今後、議論を進めていきたいというように思っております。本日は本当に長い時間にわたりまして御協力、ありがとうございました。

それでは、以上をもちまして、曽我先生のお話については一旦、終了とさせていただきます。どうもありがとうございました。

(曽我教授退室)

○新川座長 それでは、もう一点だけ、今日はお諮りをしないといけないことがございます。

それは、この8月で一旦、私どもの今期の消費者委員会での任期が終わりますので、それに当たりまして、これまでの議論の中間報告、これをまとめないといけないということになります。今月末までには一旦取りまとめたいと思っておりまして、その中間報告、もちろん、結論を出すわけではありませんが、これまでの議論というのも少し整理をして、そして、この段階での私どもなりの論点というのを示していく必要があるのではないかということで、これまでの御議論を事務局のほうで少しまとめていただいてございます。

これにつきまして、今日は少し、この後、事務局のまとめ、そして、それについての委員の皆様方からの御意見、さらには、今日、山田委員、曽我先生からいただきました御意見、そこでの御議論、こういうものも踏まえて、少し過不足を含めて御議論をいただきたいと思っております。そして、今日いただいたものを次回は私どもの中間報告のまとめとして、こんなものでどうでしょうかというような形で議論を進めさせていただければと、そのように思っております。

そこで、大変恐縮ですが、まず事務局のほうから、これまでの意見の概要を整理したもの、これにつきまして御説明をいただければと思います。よろしくお願いいたします。

○友行企画官 それでは、資料3を御覧いただけますでしょうか。

こちらにつきましては、地方消費者行政専門調査会の問題意識と検討項目案に関する意見等の概要といたしまして、こちらのそもそも黒字で書いてあるところは一番最初の専門調査会のところで事務局から御提示したものでございまして、その後、専門調査会の進め方といたしましては、各委員の先生方からいろいろな御発表をいただきましたりですとか、あと本日も含めましてゲストスピーカーの方から発表いただきました。

それをもとに意見交換をしていただきまして、そこでいろいろな御意見をいただいたものを事務局のほうで、もともと骨子となっておりました問題意識でございますとか、それから、検討項目、それぞれの項目のところに振り分けるような形で、どういった事項が大事なことであるのか、キーワード的なものになるのかということ、また、それについて具体的にどのような意見があったのかということを整理したいと思いまして、毎回、こういったペーパーを出させていただいておりまして、今日は御議論いただくということでございます。

今、見ていただきましたペーパーにつきましては、まず、もともとあったものが土台になっているということと、あとは少しグレーがかったところにつきましては、小見出しという形でそれぞれの項目につきまして意見を少しまとまったものを集約して、そこに見出しを付けているような形にしております。

あと色が文字についておりますけれども、この文字に色がついておりますところは各回の委員の先生方が御議論いただいたものについて色を付けておりまして、この会の第1回目のときに御議論いただいたときの御発言であったりしたものを赤色に付けております。その次の回のものが青色でございまして、前回、御議論いただいたものにつきましては緑色ということでございます。これは今回の資料の整理のために色を付けているだけでございまして、最終的にはそういう色は付けずに整理したいと思いますが、わかりやすさという点から、それぞれの回で出た意見だということを一目で御覧いただくために便宜上、こういうような形で今回は色を付けて提出させていただいている次第でございます。

では、まず全部を御紹介するのがなかなか時間の関係から難しいのでございますけれども、ざっとどういう形でいろいろ議論をしていただいたかということを御確認いただくために御説明させていただきたいと思います。

まず1ページ目でございますけれども、問題意識ということで(1)から(3)まで御提示した後、各委員の先生方からいただいた意見といたしましては、まず人や財源などの不足というのがやはり大事なことだということと、高齢化社会の政策の在り方というものを考えていくことが重要だということと、あとは効率的・効果的な取組に向けた施策を進めてくことが必要だというような事柄と、2ページ目に参りますが、消費者行政の必要性の周知をしていくことが大事だといったところでございます。

1ページ目に戻りまして、例えば人や財源などの不足といったところでございますけれども、上から2つ目の青いポツでございますが、日本では高齢化やいろいろなことから人が足りないということは言われているが、AIとかロボットを活用することなどによって生産性を上げていく構造的な問題解決をすることによって人を捻出することが可能ではないかといった意見もいただいているところでございます。

その下の効率的・効果的な取組に向けた施策のところの御意見でございますけれども、2ページ目のほうにめくっていただきまして、いろいろな分野について、それぞれの分野について、これまでの連携の取組の事例を収集・分析するとともに、連携先ないし連携先の候補を含む様々な関係者・関係団体の視点から、連携を難しくしている制度上・実態上の要因を分析することが有益ではないかといったような御意見もあったところでございます。

最後の消費者行政の必要性の周知のところにつきましては、一般の人たちは消費者問題をこのまま放っておいたら何が起こるのかというリスクをしっかりと把握していない。このままでいくとこういう状態になるといったことをまず明確にすることも重要ではないかといったような御意見もございました。

3ページ目からは検討項目案のところに入ってまいりますが、最初の20年後の我が国の姿といったところでございますけれども、まず人口減少、高齢化・高齢単身世帯の増加といったとこの項目につきましては、各委員の先生方からは、人口減少と人手不足に関することでございますとか、地域コミュニティーの消滅といったことでございますとか、情報化社会のリスクといった観点から御意見をいただいております。

地域コミュニティーの消滅のところにつきましては、短期的には孤立化、空き家の増加など、地域コミュニティーにおけるソーシャルキャピタルの低下、安心・安全の面で地域対応力の低下、長期的には過疎高齢化により地域コミュニティーの消滅・崩壊を念頭に置くべき。今日、そういった御発表もございましたけれども、こういった御意見もいただいているところでございます。

地方自治体における職員、予算の状況のところにつきましては、消費者行政に携わる自治体職員の確保・育成に関わることでございますとか、地方自治体の予算等に関わることにつきまして、多くの御意見をいただいております。

地方自治体の予算等のところにつきましては、3ページ目の一番下のポツからになりますけれども、財源の在り方を考えるとき、国の地方に対する財源保障という分を重視する場合には、国税を地方にしっかりと保障してもらうというやり方もあるし、一方で、地域ごと、地方ごとのニーズに合わせてうまくやっていくべきだという考え方をとるのであれば、自治体ごとに地方税をうまく使いながらやっていく、どちらで財源を含めた議論を回していくかというところを両輪としてしっかり議論していかなければならないのではないかといった、こういった視点からの御意見をいただいているところでございます。

5ページ目に参りますが、地方自治体により異なる課題の把握とそれらに対応した地方消費者行政の在り方のところにつきましては、自治体ごとの課題、必要な支援等に関する実態把握のところでは、地域の特性等に応じた問題解決が重要であるといった御意見をいただいております。

また、地方消費者行政に係る各種のサービスがそれぞれの自治体において実際にどのような体制で実施されているのかといったようなところの観点からは、課題把握のための関係機関との連携が必要であるといったような御意見をいただいております。

三大都市圏など、特性による異なる課題の把握といったところにつきましては、自治体間の連携が必要になってくるのではないかといった御意見もいただいております。

6ページ目に参りますけれども、最後の情報公開による地方消費者行政に対する取組、資源配分の透明化による必要性といったところにつきましては、情報公開のための的確な情報の蓄積が必要だといったようなまとまりになっているような御意見もいただいているところでございます。

7ページ目に参ります。(3)でございますが、ネットワークを活用した消費者問題への対応の在り方といったところでございます。

こちらにつきましては、まず既存のネットワークとの連携や統合を進めていく必要があるのではないかといったような御意見をいただいております。自治体と事業者の協定による見守り活動につきましても、様々な御発表をいただきまして、いろいろな具体的な御意見をいただいております。地域コミュニティーによる見守り活動といったところも御意見をいただいているところでございます。

8ページ目に参りますと、このところにつきましては、官民連携をコーディネートした場合に集まった課題を専門人材に横断的につなげるということが必ず必要になってくる。そういったことをコーディネートする、もしくはそういったことを自治体のところで解決していく機能が必要となるのではないかといったような御意見もいただいております。ここの関連では、公・共・私の連携といった視点からの御意見もたくさんいただいているところでございます。

行政・コミュニティーなど、ステークホルダーが一体となって地域全体の課題に取り組む体制が求められているといったような御意見でございますとか、優良な行政支援サービスを安心して利用できるような認証制度のようなものの活性化制度のデザインも必要になるのではないかといったような御意見もいただいております。

下のところに参りますが、8ページ目の下のところでございますが、消費生活センターをどうやって位置付けていくかといったような御意見もいただいております。消費生活センターをネットワーク機能の拠点と位置付ける相談対応や消費者教育のみでなく、消費者課題に関わる人材や団体、様々な情報やノウハウ等を集約し、ネットワーク化するハブとしての機能を持たせてはどうかといったような御意見もあったところでございます。

9ページに参りますが、適格消費者団体につきましても前回御発表いただきまして、様々な御意見をいただいております。真ん中あたりでございますけれども、適格消費者団体が事業者の違法行為を差しとめるという本体業務だけでなく、地域の消費者問題被害の防止、あるいは地域のネットワークを広げる拠点になるということが、適格消費者団体のより大きな存在価値だと思うといったような御意見もいただいたところでございます。

10ページ目のところに参りますが、専門人材の育成、活用の在り方のところでございます。こちらにつきましても、様々な意見を多数いただいております。

まず、専門人材に求められる能力はそもそも何なのかといったような御発言もいただいたところでございます。消費者行政と言っても非常に分野が広い。それぞれの人が全ての分野をカバーするというのはおよそ不可能であって、専門性そのものというよりは、ほかの専門性とのつながり、こういった話であれば大体ここに持っていけばうまくいくのではないかという当たりを付けるというつながる能力というのが重要ではないかというような御指摘もあったところでございます。

専門人材の雇用につきましても、様々な意見をいただいております。

例えば真ん中あたりの青字のところでございますが、若者に限らず、日本の中にこの問題に対応したいという思いを持っている人はいる。その思いをいかすという意味でも、もっと大々的に人を募集してはどうかといったような御意見もいただいたところでございます。

それから、専門人材の育成に関すること、11ページに参りますが、専門人材の活用に関することも御意見いただいております。活用のところでは、下のほうでございますが、例えば国、地方行政あるいは地方の消費者行政のプロフェッショナル集団を作って、問題があるところは優先順位を付けながら解決していくといった方法もあるのではないかといった御意見もいただいております。

相談員さんの現状等のところにつきましても、前回でございますが、様々な御意見をいただいております。真ん中あたりのところでございますが、相談員の資格に関しては受講者の負担も考えると、いろいろな面から都道府県の役割、支援というのは非常に大切ではないかと思うといったような意見もいただいております。

12ページに参りますが、そちらも相談員さんの現状等につきましての続きのところでございます。

13ページに参ります。ITツールの活用のところでございますが、こちらにつきましてはITツールの活用の面から、ITツールを活用した消費者啓発も考えられるのではないかといった面から、ITツールを活用した消費者相談といったところから、御意見をいただいております。

そのITツールを活用した消費者相談のところでございますけれども、例えばPIO-NETなどはデータ駆動型政策のPDCAとしてとても大きな可能性を持っている。AIによる課題発見と、人の知見によるソリューション開発を組み合わせた「AIと人とのハイブリッド行政」の好例になるのではないかといった御意見もいただいております。

14ページに参りますが、ITツールは必要な情報を必要な人に伝えるチャネルの開拓にもつながる。高齢者がICTを使いこなすかどうかはわからないけれども、そのつなぎをやってくれる人を支援するツールとしては役立つと思う。

また、その次のところでございますが、福祉部門と行政部門の連携など、部門間の連携が長らく課題になっている。複雑で数多い行政施策の全体像がうまく把握できないということもあり、その可視化もICTの重要課題であるといったような意見もいただいております。

15ページに参ります。こちらは都道府県、政令市、市町村の役割の在り方といったところでございます。地域横断的なサービスの展開の視点、都道府県・市町村の役割分担、都道府県による市町村の支援といったようなところで小見出しを付けて整理させていただいております。

都道府県・市町村の役割分担のところにつきましては、都道府県は市町村と連携を図りつつ、市町村では解決の難しい課題に対して支援する必要があるのではないかといったところでございます。御意見をいただいております。

都道府県による市町村の支援のところでございますけれども、一番下のところでございますが、市町村は住民の安全を守る総合行政の中で消費者問題対応を考える。そのうち、解決に専門的な支援が必要な事象について、都道府県への対応を求めるべきではないかといったような御意見もいただいているところでございます。

16ページに参ります。(7)の最後のところでございますが、ここは地方自治体と国との関係でございます。国による地方自治体の支援ということで整理しておりますが、国が個別事案について乗り出すことは人員的にも予算的にも難しいのが現状であって、地方団体の財政的な裏づけが必要。交付税措置や臨時的支出に対する支援や、全国的なデータベースの構築とAIによるリモート支援を考えるべきではないかといったような御意見や、地方自治体が主体的に行動できる環境を作ることが一番の支援ではないかといったような意見もいただいております。

これまで3回の専門調査会でございますが、ここまでの御意見をまとめさせていただきましたものが以上でございます。

説明は以上でございます。

○新川座長 どうもありがとうございました。

今、御説明をいただきましたように、これまでの様々な御意見というのを一旦こういう形で整理をいただきました。あわせて、今日、一番最初に山田委員から、今の日本社会あるいは日本の地方自治体、行政、そうしたものの大きなトレンドからのこれからの社会の在り方、その中での消費者行政の変化、そういうものについてもお話をいただきました。今、事務局から御説明がありました説明の中の全体に関わっているところもあるのですが、そうしたところもあわせて少し、この意見概要、この取りまとめの中身、もう少し深めていくべきところ、あるいは付け加えていくところ、また逆に今後検討するのには余りふさわしくないというようにお考えのところもあれば御指摘をいただき、是非最初の山田委員のお話で、十分に議論を尽くせなかったところもありますので、あわせて御議論いただければというように思っております。

それでは、どうぞ、どの点からでも結構です。およそ13時をめどに意見交換ができればというように思っておりますので、よろしくお願いいたします。

山田委員、どうぞ。

○山田委員 最初にお聞きしたいのですけれども、まず、中間報告を出されるということで、いよいよこの意見を取りまとめるということなのですが、その中間報告の狙いをどこに置くかということだと思うのです。あくまで中間だと思いますので、それからいくと多分、現状認識、そこから出てくる問題点の整理、そして、解決の方向性ぐらいまででしょうか。そこら辺でとめておくのかどうか。どこまでのことをこの中間報告で座長は出していこうとされるのかということだと思うのです。

それからすると、今の意見の概要では、これから絞っていかれるのだと思うのですけれども、総花的になっているので、非常にこの専門調査会がやっていこうという方向がもう一つ、わかりにくいなと。特に問題意識というよりは、これだと現状認識的な話になっているので、やはり問題意識をきちっと、何が問題なのだと。

例えば人口減少の中で地方公共団体の持続可能性というものに対して非常にこれから出てくる。そのときに消費者行政というものを地方公共団体がどうやって位置付けるのかとか、例えば地域を越えた匿名の新しい世界が広がっていく中で、その問題に対して社会はどう捉えるのかとか、地域自身がスポンジ化してコミュニティー機能が失われている中で今までのままでいいのかという問題があって、そうしたところから消費者行政の中で特に今まで以上に一人一人がむき出しで、メールだろうとかいろいろ来るわけですから、直接的に非常に問題を抱えていくだろう。ところが、片方では孤立化しているという問題があるだろう。そして、問題自身も複雑、多様化しているし、様々な暮らしを考えると高度化もしている。こうしたものに対してどうやっていくのだというところの中で、では、どういう方向でそうした問題に対してやっていくのか。

私が今日出した26ページの人口の危機と対応のところでは、例えば「スマート自治体への転換」とか柔軟化とか「公共私によるくらしの維持」とかあるだけですけれども、ある程度、こうした形のところまで出そうとされているのかについて、お伺いをしたいなと思います。

○新川座長 実は、そこまでとても出せないだろうなと思っているところがありまして、ここまでは、どちらかというと各委員からの御意見、そして、それについての様々な質疑を通じての論点提示ということがされてきました。今日もそれに近かったのではないかと思っております。

したがいまして、この8月の期間になし得るとすれば、これまでの私どもがいろいろとお伺いをしたり、あるいは各委員からそれぞれ御発言があったことというのを今、山田委員からもございましたとおり、大きな現状認識、そして、課題認識、それに対する各委員のそれぞれの方向性についての御意見、これをまずは整理をして並べておくというのが今のところできることかなとは考えております。それを今後どういうように取りまとめに向けて進めていくのか。

今、山田委員からもありましたように、本当はこれからの社会変化というのを見通して、その中での地方消費者行政の在り方ということを私たちは考えていかないといけないですから、逆に言うと、将来の消費者問題というのをどういうように設定をして、そして、その解決に向けてどんな地方消費者行政の在り方、方策というのを考えていくべきかということを作り上げていかないといけないし、そのための具体的な対策の在り方というのを示していかないといけないのですが、残念ながら、問題状況はかなりの程度、出てきているというところがあるのですが、もう一方では、それを将来の課題としてどう焦点化をし、その課題に対して具体的な解決策というのをどういうようにこれから示していくのか。残念ながら、まだそこまで私どもの議論が煮詰まっていないということがございます。

いろいろと今後の地方消費者行政が語るべき将来の消費者政策の在り方のような事柄のいろいろな側面、重要な側面は既にいただいてはいるのですけれども、もう一方では、それをここで、こういう方向で考えていきましょうというところまでは、今のところは議論が煮詰まっていないというように判断をしております。したがいまして、ある意味では現状課題、これも残念ながら、今のところは羅列というか並列的に述べていくしかありませんし、それに対する答えも並列をさせていくしかないかなというように思っています。

基本的には、やはり地方消費者行政そのものが根本的に山田委員御指摘のとおり、これからの社会の変化、経済の変化、国民生活における意識の変化、行動様式の変化、さらには、それらに関わる国政や地方自治、その働きの変化ということを踏まえた上で、これからの地方消費者行政というものの姿を考えていかないといけないというように思っていますし、それを少なくとも私どもは10年後、20年後の姿として、もう一度、どういう目標あるいはどういう理想というのをその段階で達成したらよいのか、そういう観点から議論せよというのが当専門調査会のミッションだというようには考えておりますので、そこに向けて進まないといけないのですが、残念ながら、それは9月以降ということになりそうかなというように考えているところであります。

ただ、ここもまずは当面のまとめ方にせよ、それはやはり先々に芽を出していくということのために、もう少し委員間でしっかり議論をして取りまとめをせよということで、皆様方の御意向があれば、それはそれとして考えていきたいというように思っておりますので、そういう点も含めて御意見いただければというように思っております。

以上です。

山田委員、どうぞ。

○山田委員 そのときに2つの方向性があると思うのです。淡々と書いていくというやり方と、それから、ある程度やはり消費者行政の専門委員会として危機感を前面に出して訴えていくというやり方があると思うのですけれども、特にこれは事務局もどういうように考えられるのかわからないのですが、こういう委員会をやっていく以上、また私も役人に戻ってしまうとまずいのかもしれませんが、ある程度、この報告書によって何を変えていこうとするのかという狙いがあると思うのです。その狙いをどこに置くのか。

例えば消費者行政について徹底的な強化を図って、今、危機感のある、これからの今後の社会に対して警鐘を鳴らすというような発想でいくのであれば、少し強烈な文句から入っていくのかなというように思いますし、いや、そこまではいかないし、そこまでは事務局のほうもまだ腹が固まっていないよというのだったら、淡々といくのだろうと思うのですけれども、そこら辺は、まさに座長にお任せしなければいけないと思うのですが、私はある程度、少し危機感をあおる方向で行かないといけない時期にあるし、逆に専門委員会でこうやっていて、余り危機感のないものを書いてしまいますと見識自身を問われてしまうのではないかなというように思いますので、その点は少し強烈な表現のほうがいいのではないかなというように思います。

○新川座長 ありがとうございました。

どうぞ池本委員、お願いします。

○消費者委員会池本委員長代理 オブザーバーの立場ですので皆さんで方向性は決めていただきたいのですが、今の山田委員の御発言を受けて、私、消費者問題、消費者行政のことをずっとやってきた立場の者として、非常にありがたい御発言をいただきました。

私自身の問題意識で言いますと、例えばこの10年間、消費者庁が出来た以降でも交付金が注がれたことによって消費生活センターの窓口が広がり、相談員を配置した、そこまでは到達できたけれども、その情報を使って地域で本当に被害を防いでいくという本来的な意味の行政の役割のところを展開しようとしても、職員は全然増えていないどころか、市町村で言えばもう兼務、兼務の状態でなかなか時間も割けない、あるいは独自予算もほとんど増えていないという意味で、そこをもっとどうやって強化しようかということで議論を進めるべきだと思うのです。

実はその中で、例えば今日の山田委員からの御発言にもありましたし、これまでも出てきましたが、自治体の既に福祉にせよ、交通にせよ、様々な分野では基盤が出来ていたはずの分野ですら高齢化や人口減少によってそれが維持できなくなりつつある。その中でほかを頼ろうにも頼るところが、今後、どうなるのだという、その意味では本当に危機感そのものなわけです。ですから、そういう中で、しかし、被害は非常に広がって深刻な高どまりの状態が続いているところへ、どうやって消費者問題の重要性を社会にアピールし、自治体の目をそこに向けてもらうかという危機感を持った中間整理で、そのあたりは是非出していただきたいなというのが私の願いでございます。

○新川座長 ありがとうございました。

消費者委員会、池本委員からは、是非この消費者行政、それ自体の現状というのをしっかりと踏まえて、そして、ある意味では大きなターニングポイント、ないしは危機的な状況にあるという、そういう状況に対する認識と、そして、それを乗り越えるような視点というのをしっかり出していただきたいというような御趣旨で御発言をいただきました。

でも、そこまで行くと何となく報告書の話かなというようなこともあることはありますが、しかし、そのための方向づけというのをある程度、今の段階から出しておくということも、先々の議論を進めていく上でも、重要な論点をきちんと踏まえて、今後、議論していくということからすると、重要なことかもしれません。

各委員から、それぞれまた今後の私どもの議論の在り方、今回の一応今月まとめようと思っております中間段階での報告になりますが、これのまとめ方、そして、そこに今、お話があったようなある種の危機感ないしは今後の消費者行政、本当にやるべきこと、これをどうしてもやらなければならないという観点でのお話や、そうではなくて、まだいろいろな問題がありますよという御指摘ももう一方ではあろうかと思います。このあたりを含めまして、各委員からどんどん御意見をいただいていければと思いますので、よろしくお願いいたします。いかがでしょうか。

事務局、どうぞ。

○友行企画官 今、山田委員などから御発言がありましたことにつきましての御回答、座長からいただきまして、それから、池本委員からもいただいたところでございますが、少し補足をさせていただきたいと思いますけれども、この専門調査会につきましては、問題意識のところにもございますように10年後、20年後を見据えて、そのときに地方消費者行政がしっかりと地域に根づいているように、それから、更に充実強化していくためにはどうしたらいいかということを考えるということでございまして、来年、再来年の話ではなくて、10年後、20年後だということはまず大事なところでございます。

10年後、20年後に、もう今、前提となっているのはどういうことが考えられるかというと、人口は減少していくし、高齢化はどんどん進んでいく。あと他方で、情報技術がどんどん発展していくことは間違いないと思うので、それを活用していくという、そこが10年後、20年後で少なくともそうなっているだろうなというように思っている前提でございまして、そこから単純に考えていくと、どうしても専門職員は不足していくことが予想されており、あと自治体の職員は今以上に減っていったりしていくことが予想されたり、あと財政もなかなか厳しい。

あと総務省の報告書などを見ますと、地方自治体はフルセットでサービスを提供することは難しいのではないかというようなことがすぐ課題として表れてくるということがございまして、そんな中で、では、10年後、20年後を見据えて、そのときに消費者行政をしっかりと根づかせていくためには、今、何をしておくべきか、今から何をしておくべきかということを考えていただいて報告書におまとめいただきたいというのが事務局からのお願いでございます。そういった意味では、危機感は出していただいて、危機感をあおって、では、皆さん、どうぞ自分たちで考えてくださいではなくて、具体的な対応策みたいなものをきちんと合わせて出していきたいというところはあるというところがございます。

ですので、前半の進め方につきましてはヒアリングを多く入れておりまして、今回のメンバーを見ていただきますと、様々な分野のメンバーも入っていただいております。必ずしも地方消費者行政や消費者行政の専門家でない方々も入っていらっしゃっていただいております。例えば八木委員でございますとか、西田委員でございますとか、あと伊集委員も財政の面で、財政の御専門家ではございますが、必ずしも地方財政だけ、地方消費者行政の財政だけを見ていらっしゃる方というわけではないということで、いろいろバックボーンが違うということもございまして、まず前半のところでは、それぞれの先生方に御自分の専門家の立場から、地方消費者行政に関わることにつきまして、まず持っている御知見などを御披露いただきまして、そこで地方消費者行政を考えるベースをここで一つ作り上げながら、そして、あわせて10年後、20年後なども想定しながら最終的には答えを見付けていくということにつなげていきたいと考えてきた次第でございます。

前半が総花的になってしまったりとか、まとまりのないところになってしまったりですとか、あと問題解決の方向性までをかっちりと提示するところまでは難しいかもわからないのですけれども、予想としましてというか、何となく薄ぼんやりとは問題解決の方向性といたしましては、やはりどうしてもネットワークとか連携とかが大事になっていくのではないかということや、人材確保とか専門人材を育成していくということが必ず必要になっていくということや、ITや技術をどうやって地方消費者行政の中に取り込んでいくかとか、あと財源の確保の仕方でございますとか、都道府県は自治体に対して何をやるのか、国は、では、何をやっていくのかということぐらいは、やはり大事なことなのではないかということは、最初のお示ししました検討項目案の中にも整理、項目としては掲げさせておりまして、そのあたりを軸にしながら、あと議論を深めていく中で、また更に項目を追加したり、論点を追加していきながらということで最終的に整理できればいいかなと思っております。

ただ、中間整理の段階につきましては、時間が足りないこともございまして、御発表をいただいた後、すぐまとめるというような形になっておりまして、大変先生方には申しわけないところもございますけれども、少し総花的なところもありつつ、でも、後半に向けて望ましい対応策のようなものがだんだん収れんされていくような形で議論を進めていっていただければいいなと考えておりまして、事務局も精いっぱい、サポートしていきたいと思っております。

すみません、話がまとまっておりませんが、以上でございます。

○新川座長 ありがとうございました。

危機意識というか問題意識は皆さん、ほぼ共有されているのではないかというようには思っております。それをどう表現するか。それから、中間段階でどこまで論点が絞れるかどうか。ここはもう今月中にはまとめるということですので、なかなか今から絞り込みの作業というのは難しいと思います。むしろ、ここが大事な論点だというのを各委員からしっかり出していただいて、それをきちんと中間報告の中で報告していけるということのほうが大事かもしれませんので、そういうところも含めて各委員から御意見をいただければと思いますので、よろしくお願いいたします。

どうぞ山本委員、お願いします。

○山本座長代理 では、まとめ方に関してですけれども、実は地方制度調査会でも先ごろ、ちょうど1年という前半の部分を終えて中間報告を出したのですが、その内容は後半に地方制度調査会が議論することだけでなく、むしろ他省庁に対してこういう取組をしてほしいというようなことも含めて、その意味では総花的に報告を出したということがあります。

ただ、現状の問題、こういうことが今後課題になるという意識をまず共有することが大事だろうという趣旨で、そういう形でまとめたということがあります。しかも、地方制度調査会の場合はもう少し調査をしています。つまり、各委員が現地調査をかなり行っている。その上で、そういった形の報告になったのですけれども、こちらの調査会は具体的なことを言うにはもう少し現状の分析等をまとめる必要があるだろうと思います。

各委員からそれぞれ御報告をいただいて、かなり資料は集まっているとは思うのですけれども、しかし、やはり各委員の報告の中にも、こういったことをもう少し掘り下げて分析する必要があるのではないかといったような御指摘が含まれていたと思いますので、具体的に今後、こういうことについて、ここで取り上げて検討するという意味で、もう少し資料等を収集する必要があろうかと思いますので、その意味では、確かに具体性に乏しいことになってしまうのかもしれませんが、問題意識を明確に出すことにとどめざるを得ないという感じがしています。

どういうように問題意識を表現するかということ、これはどのぐらい、危機を前面に出すかということなのですが、先ほど山田委員から言及のありました総務省の2040研究会は実は危機意識を少し出し過ぎたところがありまして、地方公共団体から大変な反応がありました。そのために、地方制度調査会の中間取りまとめでは、チャンスもあるのだと。つまり、情報技術を活用するとか、インフラの更新期に来ているということは、今後、もう少しコンパクトにそれをまとめるチャンスでもあるとか、そういうもう少し希望を含めたトーンにしたのです。しかし、調査会の場でも意見が出たのですが、やはり今後このままではやっていけない。それぞれの自治体が全部自前で、フルセットでやるのは難しいということははっきり言わないと、ここで議論した意味がないではないかというので、このままではいろいろな問題が出ますということははっきり言って、しかし、チャンスでもありますというトーンにしましたので、ここでも危機は出していただいてよろしいかと思います。後はどのぐらいの表現にするかということかと思います。

○新川座長 ありがとうございました。援護射撃をいただいたようで、ありがとうございました。

そのほかいかがでしょうか。ある程度、危機意識をということでした。

大森委員、お願いします。

○大森委員 例えば先のことだけれども、今、手を付けないと大変なことになるよというような指摘を幾つかいただいたような気がしています。例えば税金に対する負担感と財政の悪化のことをお話しいただいたときに、どの程度の保障でどの程度の税金が妥当かというような国民的な合意ができていなかったというお話とか、今日もお話がありましたけれども、役割分担、どういうことを地方がやって、そのお金はどういうようにするかというようなのをそろそろ見直す時期ではないかというような、大きなすぐには変えられないけれども、しっかり議論して方向性を付けていかないと、それこそ20年先、30年先、大変な課題になるというような御提案をいただいているので、その辺は解決できないまでも、こういう問題をすぐに取りかからないと間に合わないですよというような提示の仕方はできるのではないかと思います。

○新川座長 ありがとうございました。是非そういう観点は入れていければというように思っております。

そのほかいかがでしょうか。

池本委員、どうぞ。

○消費者委員会池本委員長代理 取りまとめの問題というよりは個別論点のところに戻させてください。前半に山田委員から御報告をいただいたところ、非常に参考になって、その問題を消費者行政のそれぞれの論点に当てはめるとどうかというのを少し考えたところを申し上げて、こういう理解でよろしいかどうか、またコメントいただければ幸いです。

大きな流れとして、消費者行政だけでやれることというのは本当にもう限られているし、とてもおぼつかないところで、地域の官民連携あるいは官民融合で地域でのプレーヤーをいかに育てていくかだろうと思います。

福祉の分野では2つの種類、一つは専門家グループと行政との連携、地域包括ケアシステムのようなものがある。実はそういった福祉の分野の連携のところへ消費者行政も高齢者見守りネットワークということで相乗りしていったらどうかということを消費者庁が提案しているのですが、なかなか安全確保地域協議会の設置率がまだ5万人以上の自治体でも2割に満たないとか、なかなか反応が十分でないというようなことがありますが、やはり大きな方向性としては、官民連携をどう作っていくかだろうと思います。

問題は、その官民連携にも私は2つあるのかなと思います。一つは、専門家と行政ということで言うと、先ほどの山田委員の御報告の中にもありました京都の「消費者あんしんチーム」の事業ですが、これはもう以前から私も非常に注目していたものです。地域によって行政と弁護士会なども連携して新たにこういうチームを作るという策もあるでしょうし、前回の報告でありました「消費者市民ネットとうほく」の適格消費者団体が地域のいわば専門家集団、これは消費生活相談員とか弁護士、司法書士、学者などが団体を作っているわけですから、そこと行政の連携ということもその範疇の議論に入るのかなというように感じました。

それと、もう一つ、福祉の分野の官民連携で言うと、認知症サポーターが850万人、既に育成されているということでさすが福祉の分野はすごいなと思うのですが、実は消費者行政と福祉で少し違うのが、認知症サポーターは1回、勉強すれば認知症の方との接し方なり、あるいは日常生活の中で何か異常を発見したら通報してください、例えば夜、電気がついていないとか、新聞がたまっているとか、一度勉強しておけば、あとは時々気を付けることで済むのですが、消費者問題の分野は日々新しい問題が出てきますから、時々勉強もしなければいけない。また、積極的に声かけをしないと外から見て異常は発見できない。その意味では認知症サポーターよりはもっと学びながら、しかも行動するサポーターとして育成する必要があるのではないか。

実はそういう問題意識で、埼玉県では消費者被害防止サポーターの育成ということを、今、700人ほど3年くらいで育成して、まだまだ足りないというので続けているのですが、消費者問題の分野における官民連携の民の主体というのをどんなイメージでどう作っていけばいいのかというのを是非今後、議論していただけるとありがたいかなと思います。

3点目として、まさにこういう官民連携を作っていくためには、これは前回までも何度か議論が出ましたが、消費者行政の職員がきちんと専門性を持って、なおかつ、何もないところでこれから作っていくのだから、ほかの分野より更にもう一回り、コーディネート力が必要だろうなと思うのですが、実は職員個人のコーディネート力だけではなくて、私、ここも一つ、手を付ける課題かなと思うのが、市町村の消費者行政部署の中には、商工観光課消費生活係とか、産業部門の中の消費生活係というところが少なくないのです。

実は、これはもともと消費者庁が出来る以前で言うと経済産業省の中に消費経済課があったように、そういう位置付けの自治体が多くて、都道府県は結構そこは組織的には整理されているところが多いのですが、山田委員のレジュメの41ページにあるような福祉とか災害対策とか医療とか、そういう中で消費者保護も、まさに地域住民の暮らしに関わる部署で、なおかつコーディネート力を発揮するのであれば、そういう部門の中にいわば行政組織の位置付けの問題も本当は議論していく必要があるのかなということをこの41ページを見て感じたところがあります。

そういった全体の組織構成の話まで手を付けていいのかどうかというあたりは私、判断はつかないのですが、関連があるのではないかなというようなことも考えたので、また最終的な方向性はともかく、議論の対象にしていただければと思います。

○新川座長 ありがとうございました。

では、山田委員から少し。

○山田委員 私はおっしゃるとおりだと思うのですけれども、消費者行政というもの、捉え方は2つあると思うのですが、一つは、消費者行政というのを捉えるときに地域の安心・安全を確立する行政の一環だという捉え方をする政府コミュニティーという考え方があるのですが、私はそうした形でやっていくべきではないか。となると、厚生省と消費者庁の縦割りをどうやって打開していくのかという形が非常に大きいのではないか。地域の安心・安全を守る行政という点では、そこの壁を1つ越えなければいけないのではないかなというのが1点です。

もう一点は、消費者行政を考えていく場合、やはり流れがあると思うのです。どれだけ早く気づくのか。気づき、インターフェースの部分をどれだけ充実させるのかという部分。一次処理、それを処理する部分。非常に犯罪自身、犯罪の場合には複雑、高度化、多様化しておりますので、これを多分、処理していくのはかなり高度な専門チームが要るのではないかという紛争解決の部分の高度化。だから、インターフェースを広げて一次処理をしっかりとこなして、そして、紛争解決を高度化していくという流れをどうやって作っていくのかというのは大変大きな問題ではないかと思います。

そのときにサポーターのお話が出て勉強していかなければならないという話になっているのですけれども、こここそ多分、一番我々が考えなければいけないのは、これは日々、相手方の対応は変わってくると思うのです。我々も地域でいろいろな詐欺事件をやっていても、巧妙さにあきれるばかりで、大変な巧妙さなのです。それを一々、勉強していては、キャッチアップしていては追いつかない現状があるのではないか。そこはまず多分スマート行政的なところでやっていく必要があるのではないか。

だから、消費者庁でもデータベースを作られているのですけれども、思い切ってこのデータベースを開放すべきだと思っているのです。開放すべきで、誰でも書き込める。私はこれをやられたというのを書き込めるようにしていく。ただ、例えば食べログなどを見ても、書き込む内容、重みづけをやっているわけですね。危ない人から来るときは、危ないというのはおかしいけれども、もう一つ大したことないときとか、これはお店の宣伝だと思うときは、はねているわけです。一応、幅広くやっているけれども、中で重みづけをやってはねたりしている。そういう形でどんどん広げていくようなシステムでいかないと追いつかないのではないかなというように思いますので、そうした中での新たな勉強の仕方というのですか。新たなものというものをここで導入するというのは非常に可能性があるのではないかなと思います。

○新川座長 ありがとうございました。重要な御提案もまたいただきました。

消費者行政は、池本委員からもございましたけれども、恐らく将来は、いわゆる消費者行政において行政が何かをするというよりは、むしろ、国民を挙げて事業者も消費者団体あるいはお一人お一人の国民も含めて、それぞれが消費者市民あるいは消費者市民社会の担い手というような観点で行動していくというのが多分基本にあって、その中で実は行政の役割というのが一定出てくるというようなイメージもあるかもしれません。

そのときに行政と専門家と市民団体と、そして、それぞれの地域社会、それ以外の様々な行政サービス、公共的なサービス、市民の活動というのがどういうように相乗的に関わっていけるか、そんな姿を考えていかないといけないのだろうとは思っています。その中で実は今、PIO-NETの活用の仕方ということについても、それ自体が行政的なデータベースではなくて、むしろ市民的なデータベースとしてどう発展をしていくのか。そして、その中で炎上するのではなくて、役に立つ情報というのを学習して的確に提供していけるような、そういうものになっていけるかとか、そのようなことも考えないといけないかなというように改めて思いながら聞いておりました。

そのほか、いかがでしょうか。よいアイデアがどんどん出てきております。

尾嶋委員、どうぞ。

○尾嶋委員 アイデアではないのですけれども、先ほど山田委員から厚生労働省と消費者庁の縦割りという、この辺をやはり解決するのが一番効率的なのかと思うのですが、その解決策を考えていかなければいけないのですが、山田委員の行政の専門家としては何かこういうことがというのはあるのでしょうか。

○新川座長 いかがでしょうか。

○山田委員 一番大きな問題点は、国は縦割りなのですけれども、地方行政、地域行政というのは縦割りではないのです。総合行政なのです。その総合行政を阻んでいる壁というのは何かというと、実は財政的な問題なのです。結局、地域包括ケアの中に消費者行政をやろうとすると、そうだったら地域包括ケアの補助金を出さないよみたいな話になってしまうと困るわけです。

そこの財政的な縦割りを排してやっていくような仕組みというのを一番総合的にやるところが実は本来は内閣府なのです。内閣府というのはまさにそういう役割を負っていて、全官庁の総合調整をやっていく役割を負っている。だから、実はそういった問題を我々、ずっと闘ってきたわけのですけれども、これはなかなか壁がきつい。特に霞が関の壁はきついのですけれども、そういう提言をしていくことによってそれは崩れていくと思います。

問題なのは、問題意識をきちっと明確にして、そして、何が地域で起こっているかをしっかりとアピールしていくのは大事だと思います。先ほど山本座長代理から大変反響があったというのは、私は逆に言うと、反響がないような報告書を書いてしまったら、それはもう時間の無駄だと思います。まさに地方制度調査会で反響があったというのは、反論がある、反響がある、反感があるということこそ、やはり専門委員会がなすべきことではないかなと思いますし、その方向で我々は進んでいかないと壁は突破できないのではないかなと思います。

○新川座長 ありがとうございました。チャレンジせよという御意見をたくさんいただいております。

そのほか、いかがでしょうか。

伊集委員、どうぞ。

○伊集委員 中間報告からまたその先ということになるのかもしれないですけれども、その中間報告で割と論点を広く提示するという、そういう形になるかなと思うのですが、ただ、その中には詰めていくと相互に矛盾するようなものも含まれてくると思いますし、例えば今の例などでも地方のほうで総合的にやるには、そのための財源をどうするかといったときに、一方で、議論であるのは、しっかり国のほうに財源を保障してほしいという意見が出てきて、今の強化交付金のようなものをしっかり恒常的に出しいほしいみたいな意見は出るかもしれないが、そうすると、ある意味、縦割りにも乗っかっていってしまうというようなことが出てくるので、中間報告の段階では財源はしっかり保障して交付金は付けてもらいたいという考えがある一方で、地方行政を総合行政としてしっかり進めていかなければいけないというのが多分両論併記されるようになると思います。その後の進め方としては、具体的に詰めていくと矛盾してくるような種類の内容をしっかり解決するような方向性まで踏み込んでやっていくという、そこも議論として詰めていくという、そこまでやっていかないといけないという考えでいいのですか。

○新川座長 むしろ、後半の議論がそこに入ってくるのだろうというようには個人的には思っています。財源論だけで言うと、やはり現状の強化交付金あるいは地方交付税交付金の仕組みの中での消費者行政というものをどう強化していくかという、その枠で考えると、その枠に完全に縛られてしまいます。それでは恐らく解決策にはならないだろうと思っていますので、そうすると、本当に地方消費者行政あるいは本来の意味での消費者市民社会の実現ということに向けて必要な資源というのをどう供給をし、そして、どう配分をしていくのかというところは、むしろ先々に向けては、どんな仕組みが望ましいのかということも含めて議論はしないといけないと思っています。

ただし、現状、今、問題点というのがあるということ、そして、それを多少なりとも、今日、明日に向けて解決をしていかないといけないという意味での強化交付金あるいは交付税算定の話、こういったようなところを放り捨ててということには絶対ならなくて、ここはここできちんと主張をし、議論を重ねて、そちらは充実させていくけれども、いつまでもそんなことを続けていてもしようがないですよねというのは私たちとして言っていってもいいのかなというように思っております。それが10年、20年後の姿ということになると思います。

ついでに、消費者行政という言い方、そのものも、ひょっとすると例えば国連のSDGs、2030のアジェンダなどで言えば、「責任ある生産と消費」という言い方になります。言ってみれば、私たちが暮らしていく上で必要とするもの、それの生産から消費まで、いわば川上から川下まで、あるいはその循環まで含めて、この消費者行政の中で、そこからそれを越えて考えていかないといけないということになるかもしれません。

ここまで行くと、だんだん消費者庁、消費者委員会はなくなるかもしれないのでまずいのですが、しかし、そういうところまで含めて10年後、20年後の姿として、本当に将来の消費者がよりよい消費生活あるいは国民生活を送っていける、そういう状態というのを考えながら議論ができればというようには思っています。そのための財政システムというのを、あるいは地方財政の在り方というのを伊集先生に考えていただきたいなというようにちょこっと思っているところはございます。同時に、そのときの自治体の行政システムはどうなるのかというのは山田委員にしっかり考えてもらわないといけないなというように思っていますので、よろしくお願いします。

首藤委員、どうぞ。

○首藤委員 皆さんからも出ているのですけれども、先ほど山田委員が言われた、この問題、地域の安全・安心の確保という視点でやはり捉えていくことが大事かなというように思います。そうしたときに、どれだけの気づきの人、インターフェースを作っていくのか、その結果、どういった官民連携にしていくのか、地域コミュニティーとのどういう連携にしていくのかというような視点で出していければなというように思いましたので、意見ですけれども、以上です。

○新川座長 ありがとうございました。安心・安全、是非しっかりと中間報告で強調していかないといけないなと思いました。ありがとうございました。

そのほかいかがでしょうか。時間がなくなってきましたが、もし今日の段階で何か御意見ございましたら。よろしゅうございますでしょうか。

すみません、本当にいろいろと貴重な御意見をいただいてまいりました。本当は項目ごとにちゃんと議論しないといけなかったのですが、もう残念ながら、それぞれの項目について詰めるというところまで行きませんで、逆に、各委員からはまとめ方としてもう少し、今、これが問題だ、そして、先々に向けてこういう重大な課題がある、地方消費者行政として、このままでは立ち行かないというところをきちんと出していきましょうということでほぼ御意見はいただいたかと思います。

しかし、同時に、その中では、これまでいただいた御意見は、様々な範囲にわたってございますし、それらについての相互には必ずしも整合しない、そういう論点もたくさんあります。まずは次回に向けて少し問題点というのをできるだけクリアにしていく、そして、消費者行政が今、突き当たっている壁のようなところをはっきりさせながら、これはもう既に各委員からいろいろ御指摘いただいてございますので、それをどう乗り越えていくのか。そして、先々に向けてどういう方向でその問題を考えていったらよいのか、ここもいろいろと御示唆いただきました。

少し整理の仕方として、そうした危機あるいは問題点というのをクリアにしていくということと、そして、当面のやり方の中で現在ある問題をはっきりさせて、それをどう解決していくのかという観点も必要だと、ここもいただきました。そこから先々に向けてどういう観点で考えたらよいのか、ここもいろいろ御意見いただきました。そういう並べ替えというのを事務局と相談しながらさせていただければと思っております。

併せて、次回は中間報告の取りまとめの会議ということが一応予定をされておりますので、それまでの間にうまくまとまるかどうかわかりませんけれども、ここは恐縮ですが、事務局と私のほうにお任せをいただいて、また適宜、必要に応じて御相談、あるいは場合によってはいろいろと御意見を事務局のほうにお寄せいただいてもよろしいかと思いますので、まずはそんな方向で中間報告を作成したいと思います。なかなか山田委員に言っていただいたようにちゃんと問題提起せよということにならないのですが、それは私どもの最終報告でやればいいかなと思っておりますので、それに向けて、しかし、しっかりやるぞということを示すような、そういう中間報告にしていければというように思っておりますので、よろしゅうございますでしょうか。

(一同、異議なし)

ありがとうございました。


≪3.閉会≫

○新川座長 それでは、本日は、本当に長い時間、また、時間オーバーもしてしまいましたが、ありがとうございました。

以上をもちまして閉会とさせていただきます。

(以上)