第16回 特定商取引法専門調査会 議事録

日時

2015年12月9日(水)14:00から17:10

場所

消費者委員会大会議室1

出席者

【委員】
後藤座長、村座長代理、阿部委員、有山委員、池本委員、沖野委員、河野委員、佐々木委員、鈴木委員、高芝委員、野坂委員、花井委員、増田委員、山本委員
【オブザーバー】
消費者委員会委員 中原委員、樋口委員
経済産業省 伊藤消費経済企画室長
国民生活センター 鈴木相談情報部部長、窪田情報管理部部長
【消費者庁】
井内審議官、桜町取引対策課長
【事務局】
黒木事務局長、小野審議官、丸山参事官

議事次第

  1. 開会
  2. 販売事業者等によるクレジット、金銭借入、預金引き出しを勧める行為等に関する規制について
  3. アポイントメントセールスにおける来訪要請方法について
  4. 虚偽、誇大広告に関する取消権について
  5. 閉会

配布資料 (資料は全てPDF形式となります。)

≪1.開会≫

○丸山参事官 それでは、時間になりましたので会議を始めさせていただきたいと思います。

本日は皆様お忙しいところお集まりいただき、ありがとうございます。

ただいまから「消費者委員会 第16回特定商取引法専門調査会」を開催いたします。

本日は所用により、杤原委員が御欠席。それから、阿部委員が遅れて御出席ということで御連絡をいただいております。

まず、配付資料の確認をさせていただきます。

議事次第の下部のほう、配付一覧をお示ししております。

本日は資料1といたしまして、本日取り扱う予定の各論点について、これまでの議論状況と残された課題をまとめた資料をお配りしております。

資料2につきましては、各委員からの御提出資料となっております。不足の資料はありますでしょうか。もし不足がございましたら事務局のほうへお申し出お願いいたします。

それでは、ここからは後藤座長に議事進行をよろしくお願いいたします。


≪2.個別論点の検討≫

(1)事務局からの説明

○後藤座長 それでは、議事に入らせていただきます。

本日は、「販売事業者等によるクレジット、金銭借入、預金引き出しを勧める行為等に関する規制について」、「アポイントメントセールスにおける来訪要請方法について」、「通信販売の虚偽、誇大広告に関する取消権について」、これらの3点について、それぞれ御検討を行っていただきたいと思います。

本日の進行につきましては、まず事務局から資料1全体について御説明をいただき、その後に論点ごとに時間を区切って意見交換を行わせていただくこととしたいと思います。

本日取り扱う各論点につきましても、本専門調査会で一致できる点について、どのように取りまとめに残していくのかということを念頭に置いていただき、御意見を頂戴できればと思います。

それでは、まずは事務局から御説明をお願いいたします。

○事務局 では、事務局から御説明差し上げます。

資料1を御覧ください。こちらでは「各論点についてのこれまでの議論状況と残された課題」ということで、本日取り扱う論点につきまして、中間整理で整理されたところを敷衍しつつ、議論状況等を記載させていただいております。

まず1ページ目で1つ目の論点でございますけれども、販売事業者等によるクレジット、金銭借入、預金引き出しを勧める行為等に関する規制についてということでございます。

こちらはまず1つ目の○で、事業者が消費者に支払いのために金融機関に対して虚偽の申告をするように唆す行為ということで、このような行為については中間整理の段階で、特定商取引法に基づく指示の対象となる行為として規定していくという方向性について、既に意見が一致をしているところかと思います。

2つ目の○のところで、消費者を支払いのために金融機関等に連れていく行為。これも同じく指示対象行為とするかという論点でございますけれども、これについては望んだ場合とそうでない場合を切り分けて規制対象とすべきという御意見がある一方で、消費者が同行を希望した場合というものを明示的に除きますと、消費者が望んでいるということを書面で作成することで規制対象から外れてしまうというようなことが行われるのではないかと懸念される意見が示されております。

すなわち、こちらでは消費者が望んでいない場合に金融機関等に連れていく行為については中間整理の段階でも指示対象行為とするという方向性で意見が出ていたように思いますけれども、消費者がみずから望んでいる場合を除くということを明示するかどうかということが、論点として残されているということであろうかと思います。

2ページ目、こちらは借入れ、クレジット契約、預貯金の引き出しを勧める行為を指示対象行為として規定するかという御議論でございます。これについては一般的な取引の中で借入れ、クレジット契約、預貯金等を勧める行為というものが通常行われている行為であり、直ちには不適切なものとはならないのではないかという形で営業活動への影響を懸念する意見もございました。

一方で2つ目の○で、特定商取引法7条のところで、購入者等の利益が害されるおそれがある場合について指示が行われるという前提があるのではないかという意見。あるいは借入れとクレジット契約とでは性質が違うのではないか。連鎖販売や業務提供誘因販売という取引類型によってそれを取り出すことも考えられるのではないか。そういった御意見がございました。こうした御意見を踏まえて、本日さらにこの借入れ、クレジット契約、預貯金のそれぞれについて勧める行為というものを指示対象行為とするか否かというところを御議論いただきたいというところでございます。

3ページ目は、中間整理の記載を抜粋しているところでございます。

4ページ目ですけれども、2つ目の論点でございます。こちらでは「アポイントメントセールスにおける来訪要請方法について」という論点を取り上げてございます。これは前提としてアポイントメントセールスに現在当たるのは、政令で定められている方法だけでございます。4ページの一番下のほうに注釈という形で、これは中間整理に記載している注釈と同じでございますけれども、現在、政令指定されている来訪要請方法というものが記載されておりますが、これ以外の方法をどう考えるかという御議論でございます。

この来訪要請方法に当たりますと、いわゆるアポイントメントセールスに当たるということで、それ自体が処分の対象となっているというわけではありませんが、訪問販売等の規制の対象になるということでございます。

論点としては2つございまして、1つ目の○のところですが、住居訪問以外の場所における対面での来訪要請というところでございまして、これは第7回の会議の検討の中で、近年、現在定められている方法によって一旦は営業所等に来訪させ、そこで勧誘をするとアポイントメントセールスに当たるのですが、そうではなくて、そこでは一旦家に帰して再度来訪させる。そうすると対面で来訪要請をした後に来た場合に勧誘するということで、規定上、現行法では捉えられないのではないかということが問題になるということで、こういったものを捉えるために対面での来訪要請をどう考えるかということがテーマになってございました。

2つ目の○は、それ以外の政令指定外の媒体による勧誘というところでございまして、SNSやSNSを除く電子広告あるいは雑誌広告や新聞広告、テレビ広告、ラジオ広告というものが考えられるわけですが、SNSやSNSを除く電子広告というところについては、過去5年間で400件を超える苦情があるのではないかというところで、他方でその他の媒体については100件未満というところになっているので、こういうところをどう考えるかというところでございます。

この点は4ページの下から2つ目のポツのところで、勧誘目的を告げないという要件がこのアポイントメントセールスの対象でありますけれども、勧誘目的であることを告げずに来訪を要請するということで、そういった不意打ち的なものを捉えるという趣旨であるところ、その内容が必ずしも明確ではなくて、営利的な表現の自由や営業に影響があるのではないかということで、慎重に検討すべきではないかという御意見もあったところでございます。

5ページ、具体的な懸念というところではイベントの場所で物販が行われている場合に、イベント告知の中に物販についての販売目的というものが示されていないと規制対象になってしまうということであると影響が大きいのではないか。こういった事例も取り上げての御意見がございました。

こうした中で、これらについては規制を及ぼすことが必要な取引とそれ以外の取引をどのように画すかということが、さらなる検討課題として残されてございます。

四角囲みに書いていますが、検討としても先ほどの考え方を2つに分けまして、住居訪問以外の対面要請、これは現行法の適用が困難な事例との関係からどう考えるか。また、政令指定外の媒体についてどう考えるかというところで課題を挙げてございます。

6ページは同じく中間整理の記載の抜粋でございまして、7ページ目からが次の論点でございます。

7ページは3つ目の論点でございまして、「通信販売の虚偽・誇大広告に関する取消権について」でございます。

第1回特商法専門調査会においては、通信販売についてということですけれども、事業者の虚偽・誇大広告によって誤認した消費者による意思表示について取消権を規定すべき、こういう御意見が示されておりまして、これが第7回の会議でどう考えるかということで検討が行われたところであります。

主な意見の中ではそういったインターネット通販、通信販売について、そうした取消権という規定を設けるべきという御意見もあったところでございますが、これについては意見の2つ目のところですけれども、虚偽・誇大と評価するということが民事的な取消権を導入にするに当たって曖昧ではないかという御意見や、また、消費者契約法や景品表示法等のほかの法律との整理が必要ではないかという御意見も出ていたところでございます。

中間整理の段階では、まさしく消費者契約法専門調査会で関連する論点が議論されているという中で、そうした動きも注視しつつ、通信販売という取引形態の特性を踏まえて必要に応じ、さらなる検討を行うこととされてございました。

ここで2つ目の○のところで、消費者契約法専門調査会における議論というものを御紹介させていただいております。

消費者契約法専門調査会では、消費者契約法の見直しというものが検討されているわけでございますけれども、そこでは勧誘要件のあり方というものが論点となってございます。これは消費者契約法における取消しの対象は、勧誘の場面において一定の不当な勧誘行為が行われた場合ということになっていますので、ある意味では取消しの対象を勧誘という要件が画しているわけですけれども、これは現在、消費者の契約締結の意思の形成に影響を与える程度の勧め方、これが勧誘と解されているということでございますが、一方で消費者庁の逐条解説等の中で、不特定多数の者に向けられたものがこの概念に当たらないのではないかということが問題となっていたわけでございます。

そうした中で消費者契約法専門調査会では、その広告等の不特定の者に向けた働きかけに不実告知等があった場合というものについて、取消しの規律を及ぼすかどうかということが検討されていたわけでございます。

これについては複数回にわたって専門調査会の場で検討されてきたわけですけれども、先般、平成27年11月27日に行われた第22回の消費者契約法専門調査会において、一定の結論に向けた方向性というところで、消費者契約法もこちらの専門調査会と同様に集中的な意見受付というものが中間取りまとめに対して行われまして、さらに関係団体に対するヒアリングというものも行ってきたわけですけれども、そうした結果を踏まえますと、その取消しの規律の対象としていかなる広告を含めるかというところについては、現時点ではコンセンサスを得ることが困難であるという中で、当面の対応としては現行法の勧誘という文言は維持した上で、一定の解釈あるいは個別具体的な事案における適用という中で対応してはどうか。さらに取消しの規律の適用対象となる行為の範囲というものは、今後の検討課題として位置づけることが検討されてございました。

今後の検討課題というところについては、具体的に継続的な検討をすべきということで、そういったものを予定した上でということではございますが、現時点における対応としては委員からそういう方向性について、おおむね賛同される意見があったかと思います。

下の四角囲いのところですけれども、そうした中で特商法専門調査会においてどう考えるかというところでございますが、事業者に与える影響等の課題という消費者契約法専門調査会において示された課題というところが、こちらでも共通する部分もあると考えられるところでございますけれども、そうした議論状況を踏まえて、この特定商取引法の通信販売の規律として虚偽・誇大広告関する取消権をどう考えるかということが課題となっているということかと思います。

事務局からの説明は以上でございます。

(2)販売事業者等によるクレジット・金銭借入・預金引き出しを勧める行為等に関する規制について

○後藤座長 それでは、ただいまの説明の内容を受けまして御検討を行っていただきたいと思います。

まずは「販売事業者等によるクレジット・金銭借入・預金引き出しを勧める行為等に関する規制について」の御議論をいただきたいと思います。この論点につき御意見、御質問のある方は御発言をお願いいたします。阿部委員、よろしくお願いします。

○阿部委員 「望んでいない場合がだめである」とはっきり書くだけで十分であり、「みずから望んでいる場合は除く」ということを書くことにどこまで意味があるかなと思います。望んだ場合を明示的に除外する必要もないと思います。「望んでいない場合はだめだ」とはっきり書いておけばいいということだと思います。

○後藤座長 どうもありがとうございました。

池本委員、よろしくお願いします。

○池本委員 発言用のレジュメ、資料2-1で配付していただいていますので御覧いただければ幸いです。

まず、この論点で幾つかの論点がありますが、第1の1ポツのところはおおむね合意ができているので、これは確認的に触れただけです。

2番目、今、御発言もありました消費者を金融機関に連れていく行為については、前半の議論のときにも話題にしましたが、今お金がないからと支払いを渋っている消費者を金融機関に連れていくというのは、不本意な契約になりがちだということで入れてほしいということで申し上げたわけです。

そのときに、消費者が望んでいる場合もあるのだからという意見がありました。本当はそれについては、これはたしか前半でも申し上げたかと思うのですが、行政処分をするのは取引の公正を害する、あるいは消費者、購入者の利益を害するおそれがある場合に発動するというのが行政処分の条文の中に書いてあるので、本人から積極的に望んだ場合はおのずから権限発動では外れるという意味では、こういう規定はなくても本当はいいのではないかと思うのです。

ただ、疑義がある事例が出てくるということをもしおっしゃるのであれば、これは仮にというところなのですが、恐らくそれは例えば高齢者で自分では行けないから連れていってもらえるとありがたいとか、そのような話題が出るような場合も連れていってはいけないのかという疑義が出てはいけないというのであれば、消費者がみずから金融機関に行くことが困難であるため同行を望んだ場合を除く。つまり客観的にもそのような事情があり、本人もそれを希望したという要件立てをした上で除外するというようにしておけば、これは事業者委員の方から前におっしゃった危惧のところは、しっかりと外れるのではないだろうかと感じています。

3番目のことも含めて発言をします。借入れやクレジットや預金の引き出しを勧める行為をどうするかということで、これは意見が分かれていたかと思うのですが、これは区別して議論する必要があると思います。

まずクレジットの利用を勧めるというのは、商品代金を後払いにするために利用するのがクレジットのいわば本来的機能ですから、それを勧めてはいけないというわけにはいかないだろうと思うのです。たしか前半の議論ではカードをつくってキャッシングをさせたりとか、そのようなことはあるんですということが出たと思うのですが、キャッシングというのは借入れを勧める行為になるので、そちらの側で捉える余地があるのではないか。

それ以外に借入れを勧める行為というものが出てくるかと思うのですが、これもお金がないというのに対して、いや借りれば大丈夫ですよというのは、不本意な契約を勧めるという意味では何らかの形で規制対象にする必要があるのではないか。ただ、言葉で勧めただけでも一切だめなのかとか、広がり過ぎるというような危惧がもしあるのであれば、例えば借入先を紹介し、または借入先に同行する行為というように客観的な関与をした場合という絞りであれば、恐らくただ話題にしてその後、本人が仮に別の機会に行ったりするのは、購入者を害する問題ではないですから、このようなできるだけ客観的要件の中で記述していくというのが現実的かと思います。

次のページの(3)ですが、預金の引き出しを勧める行為も同じく言葉で勧めること自体がいけないのかというのは、これはやはり拡散してしまうおそれがありますので、先ほど申し上げた金融機関に連れていくという客観的な関与の条文で規律することによって、主要な部分は対応できているのではないかと思います。

最後(4)ですが、これは前半のときにも申し上げたのですが、ここまで申し上げたのは訪問販売とか電話勧誘販売一般、不意打ち勧誘一般における勧誘の仕方の問題ですが、連鎖販売取引と業務提供誘引販売取引は性質が違うのだろうと思います。つまり利益を獲得することを誘引文句にするのがこの2つの取引形態の本質であります。そういうものについて後払いにしておけば収入が得られるから大丈夫だよというのは、これは利益の獲得が確実であるという誤認を招く、構造的にそういう勧誘の仕方になってしまっている。だとすると連鎖販売取引と業務提供誘引販売取引については基準を分けて、ここについては借入れとかクレジットを勧める行為を規制対象にしておいていただく必要があるのではないかと、個別に問題場面を分けて考えてみました。御検討いただければ幸いです。

○後藤座長 どうもありがとうございました。

増田委員、よろしくお願いします。

○増田委員 ありがとうございます。

現状の被害は1回払ってしまったことによって返金がなされない、あるいは連絡がつかないということで被害回復ができないというのが一番大きな問題となっています。今の被害防止としては、とにかく払わないことということを言い続けている現状だと思います。

そうした中で訪問販売という形でアプローチされて、そのときに一度はいいと思ったとしても、クーリングオフの適用が可能性としてはありますしあるいは家族から反対されるということも考えられます。それから、お金がそのときにすぐに払えないとなると、高額な金銭が予測されます。そのようなものをお勧めする際に、金融機関にまで連れていくことが果たして適切な事業者としてそういうことをしてよいものかと考えます。たとえ消費者の方が今、車がなくて行かれないので一緒に連れていってくださいと言っても、背景を考えていただいて、いや、もう一回考えて後でお支払いしていただいてもいいですということを言っていただくのが、適切な販売方法ではないかと考えております。

例えば小さい金額で食品などは、現金でお支払することもあり得るかと思うのですが、それは多分、消費した後で集金することが通常ではないかと考えますので、ここの部分は規制をしていただいて、余り問題はないのではないかと考えます。

○後藤座長 ありがとうございました。

河野委員、よろしくお願いします。

○河野委員 私も今の増田委員と同様の意見を持っております。訪問販売という購入者等にとって不利な面の多い取引形態によって生じた代金、対価等の支払資金の準備なのですけれども、残念ながら支払資金を準備できないというときには、その取引は申込者にとって適合しないものであったと考えるのが普通かなと思います。それをさらに支払いのために預金引き出しを勧めるとか、金融機関等に連れていくということに関しましては、今回は指示対象に含めていただきたいと思います。多くは消費者が断れない状況のほうが多いわけなので、消費者の望まない場合に限定するという必要はなく、このことに対してはしっかりとした対応をして一律に規制ということで考えていただければと思います。

後段部分なのですけれども、借入行為とクレジットを組む行為と預貯金を引き出す行為を、3つを勧める行為についてというように並列で書いてございますけれども、クレジットを組むということに関しては割賦販売法の規制の対象となっているために、これはかなり日常的に行われていることですからこれは除外して、クレジットを利用したキャッシング、サラ金や銀行等からのお金を借り入れることと、預貯金の引き出しというのは違うカテゴリの中で考えていただければと思っています。どちらにしてもここのところは、事業者の皆さんもどのような取引の形が一番消費者と事業者双方にとって円満な契約になるかということで、前向きな御意見をいただければと思います。

以上です。

○後藤座長 ありがとうございました。

ほかに御意見はございますでしょうか。佐々木委員、よろしくお願いします。

○佐々木委員 今、河野委員がおっしゃっていた、お金がなければ買うべきではないという、例えば車の新車販売。新車発表会をかねて試乗会があって、そういうときはディーラー系のクレジット会社もしくはディーラー系のクレジットがない会社の場合には、他社の一般のクレジット会社を呼んでいるのは通常だと思うのです。そういう意味では将来の収入に対して車を買うという行為は当然できるわけであって、そこにお金がないからクレジットを勧めること自身が違法だということは、余りにも現実から離れているように思います。

○後藤座長 村座長代理、お願いします。

○村座長代理 今の佐々木委員の御指摘については、そもそも乗用自動車はクーリングオフ等の適用対象から除外されていますので、乗用自動車は訪問販売の定義自体から全面適用されているわけではないのですけれども、かなり特商法の訪問販売の規制からは除外されている部分が多いので、ここで乗用自動車の例を取り上げてお話されるのは不適切かなとまず思いました。ちょっと特異な商品だということです。

それから、私の意見を申し上げますと、2ページのところに借入れとクレジット契約と預貯金の引き出しが3つ並列に整理されています。ですが、次元が違うのかなと思います。ですから借入れを勧めるというのは先ほどのクレジットカードのキャッシングも含めて、不意打ち的な取引等については借入れを勧めるということはまずいのではないかとまず思います。

クレジット契約というのは多分、割賦販売法の適用がある個別クレジット等のイメージだろうと思うのですけれども、個別クレジット契約については割賦販売法の適用がありまして、現在クーリングオフでも、過量販売の解除でも取消しでも完全連動していますし、高額商品を買いたいというときに個別クレジットを利用するというのは別に異常なことでも何でもありませんので、個別クレジットの利用を勧めること自体を禁止するというのは私とすると少し違和感がありますし、割賦販売法の適用があることを考えれば、あえてここで規制をしなくても十分に消費者の保護というのはあるのかなと思います。

預貯金の引き出しなのですけれども、不意打ち的な取引であるということを考えると、預貯金の引き出しを勧めるというのは手持ちのお金がないということですので、高額商品なのかなと。手元にお金があれば現金で払ってしまいますから、高額商品なのかなということを考えると、その場で急いで契約をさせて、銀行まで連れていって引き出させてというのは攻撃的過ぎるのかなというように考えられなくもないかなと思います。

増田委員が言われたように、訪問販売等の不意打ち的な取引の場合ですと、契約をさせてお金を回収して行方が分からなくなってしまうとか、潰してしまうというケースも最近では大変ふえていますので、そういうことに対する対応というものも考えるとすると、やはり預貯金の引き出しについても高額なものについては、本人が望んだからいいとかいうのはどうなのかなという気持ちが私としてはあるということでございます。

○後藤座長 村座長代理、金融機関等に連れていく行為という、ここの部分についての御意見はありますでしょうか。

○村座長代理 金融機関に連れていくというのは多分、預貯金の引き出しを勧めるということとセットになるのかなと思いますので、ここのところできちんと基本を考えれば、金融機関に連れていくのもセットで同じように規制されるのではないかと思いますので、勧められたのではないのだけれども、本人が買いたいと積極的に望み、払うために金融機関に行っておろしたいのだけれども、いろいろ自分は銀行まで行くのに大変苦労するということがあるので連れていってもらいたいと希望した場合。例えば現実に私が経験したケースでも、足が悪い80過ぎの方がおられて、支払いをするにも銀行に行かなければいけないのですけれども、そうすると介護タクシーと付き添いのケアマネさん、ヘルパーさんを確保した上で行かなければいけないので、1週間ぐらい見てもらわないといけないし、行くのにもすごくお金がかかるのですというようなケースは、現に今の時代だとあります。

ですから、そのような場合に本人が積極的に望んでいるというときまでやるなと言うのは、ちょっと私としては非現実的で、親切な業者も排除するのかという気持ちがなくもないので、勧める行為、預貯金の引き出しを勧めて連れていくというのはだめだろうと思うのですけれども、本人がどうしても買いたいということで払うときに銀行までいかなければいけないということで、本人がそう言うだけの合理的根拠がある、事情があるというときまで排除、規制するというのは過剰な規制ですし、親切にしてはいけないのかという問題も起こってくるのかなという気がいたします。

○後藤座長 ほかに御意見はいかがですか。野坂委員、よろしくお願いします。

○野坂委員 村座長代理が指摘されたことは大変重要だと思っております。とかく我々はすぐ規制、規制となるけれども、やはり適正な規制が求められるわけで、過剰な規制、行き過ぎた規制はできるだけ避けるべきだと思っています。

この論点、最初の○はほかの委員もおっしゃられているけれども、被害がさまざまなところで出ているという状況を考えれば、新たに指定する、指示の対象とすることについては、中間整理段階でほぼ意見は一致しております。改めて私は賛成したいと思います。

その上で○2つのどれを対象にするかということで各委員が議論されていたものを聞いておりました。それを踏まえて発言します。今、冒頭に言いましたように一律に規制とか過剰規制はあり得ないと思うのです。本当に善意でやっているケースも当然あるのだろうし、一律に全部対象にするということはなくて、これは冒頭に阿部委員がおっしゃられていた「望んでいない場合にはだめ」ということですっきり整理ができるならば、それでいいのだろうと思います。

いずれにしても新たな方法を導入するとすれば、消費者側にも事業者側にも混乱がないように、誤解を招かないような線引きが求められると思いますので、そこはぜひ配慮していただきたい。

○後藤座長 ありがとうございました。

有山委員、よろしくお願いします。

○有山委員 金融機関に同行するという内容で、一番私たちが相談者から聞くのは悪質業者の勧誘員は銀行の外で待ちます。銀行員が同行した勧誘員の顔を目撃しないように銀行の外で待つ。だから当然、連れていって金融機関の中に入って一緒に銀行員と対面できるような状況ならば問題は少ないと思われるけれども、大体外で待っていて、消費者がおろしてきたお金をそのまま持っていなくなる。そうすると販売会社の住所なんかがわかるならばいいのですが、ない場合には取り戻すことができないという現象が起きます。もし本人が望んだ場合というときでも、金融機関の外で待つのは問題になるようにしていただきたいと思います。

○後藤座長 ほかに、花井委員お願いします。

○花井委員 私の住んでいる地域では、振り込め詐欺防止のため、金融機関と警察が提携して、金融機関に自分から行った場合でも高額なお金をおろすとすぐに警察に通報して、その真偽のほど、詐欺か詐欺でないかを調べています。つまり、自分でおろしたいお金すらおろせない状況で、金融機関も高額のお金をおろす行為に対してセンシティブになっているという状況を、御理解いただきたいと思います。そういうことも考えると、先ほどから皆さんがおっしゃったように例えばクレジット契約をのぞいて、借入れを勧めて同行する行為だとか、お金の引き出しを勧め、同行する行為などは明らかに禁止するべきではないかと考えます。

○後藤座長 大体御意見は出ましたか。高芝委員、よろしくお願いします。

○高芝委員 今、議論になっています借入れ、クレジット契約、預貯金の引き出しを勧める行為は、広く一般に行われている行為ではないかと思います。また、それも様々な商材について、様々なケースがあり得るのではないかと思います。

先ほど佐々木委員が言われたところも、様々な商材があり得ることを言われたのではないかと思いますが、いずれにしましても、取引実態をよく調査していただいて、丁寧に検討していただけるとありがたいと思います。

以上です。

○後藤座長 ありがとうございました。

増田委員、よろしくお願いします。

○増田委員 繰り返しお伝えしたいと思いますけれども、訪問販売という形でいきなり家に来て、借りなくてはいけないほどの金額の取引をお勧めする。そのときにお支払いのために金融機関に連れていく、あるいは借入れを勧めるという行為を現場の相談員としては、それを許すこと自体が納得がいかないです。現状の被害を考えれば、ぜひこれは規制をすべきだとあくまでも思います。

鈴木委員にお伺いしたいのですけれども、こういう形でのやり方自体は会員さんはどのようにお考えでしょうか。

○後藤座長 鈴木委員、よろしくお願いいたします。

○鈴木委員 詐欺的なことだとか、強要をするということについては全く論外だと思うのです。ただ、勧める行為、お勧めをすることに関しては必ずしも今までも金融機関に一緒に行きましょうということをお勧めするのは変だと私も思いますが、まず契約があって、高額品でしょうけれども、契約をされたということにおいては、その事実があったときにどのような支払いをされるのかを幾つかパターンがあると思うのです。クレジットというのはよくあるパターンですけれども、案外お金を預貯金で引き出したりとか借入れをすることが、もしそういうこともありますよとお勧めをするという行為そのものについては、これまでもやられてきたと思うのです。ただ、それが御本人の意思に沿っていなければ全く論外だと思うので、だからあくまで勧める行為自体を規制するのが本当にいいのかどうかというのはわかりかねます。

健全なところだってやり方としてはあると思うので、ただ、それが御本人の意思に沿っているのか。だから勧めるのと強要するのと全然違うと思うので、そこの範囲だと思うのです。そもそもこういうことがあってはいけないかどうかについて、こういうこともありますよ、できますよということをお勧めするかどうかということに対して、全てに規制することが果たしていいのかどうかは、ちょっとわかりかねます。個人的には余りよろしくないことだと思いますけれども、商い習慣としてもある程度あるのかもしれないし、先ほど高芝委員からもありましたように、割と広範囲でやられてきたことかもしれないし、だからあくまで進めることに関しては別に大きな規制をする必要はないのではないか。あくまで御本人の意思に沿う、そこと違うことであればやってはいけないし、ほかのことも全てそうですけれども、勧めるというのと強要するのと根本的に違うと思っていますので、強要することは絶対にあってはいけないと思っています。訪販協会の中でもそういう話になっています。

○後藤座長 御意見大体出していただいたということでよろしいですか。

資料1では3つの項目に分けて問題が提起されておりまして、2番目の項目と3番目の項目について今、主に議論していただいて、2番目の項目と3番目の項目がやや混ざって議論された部分もありますけれども、少し整理させていただきたいと思います。

まず1番目のところでありますが、事業者が消費者に支払いのために金融機関に対して虚偽の申告をするよう唆す行為。これについては既に8月までの審議の段階で、禁止するということで意見が一致しておりまして、改めて野坂委員からは同じ意見だという表明がありましたけれども、ここは特に議論がなかったのでこのままでよろしいということですね。

2番目の事業者が消費者を支払いのために金融機関等に連れていく行為ということでありますが、ここは意見が分かれておりまして、連れていく行為自体を一律に禁止するべきだという考え方も今までの御意見の中では出ていたと思います。そして、そうではなくて例外として消費者本人の意思、望んでいるかどうかということを考慮すべきだということですけれども、どういう方向から考慮するかということについて、連れていく行為について原則禁止なのだけれども、消費者がみずから望んでいるときは許容するという考え方と、むしろ消費者の望んでいない場合は禁止するということでいいのではないかと阿部委員が最初におっしゃったことでありますが、そういう方向から本人の意思を捉えるという御意見がありました。

この望んでいるかどうかということを考慮する意見の中で、一律禁止に近い意見ですが、こういう場合は連れていく行為が正当化されるのではないかという意見も出ておりまして、これは池本委員の御意見の中で消費者がみずから金融機関に行くことが困難であるため、同行を望んだ場合を除くとするのがよろしいのではないか、そういう程度のものは考慮する必要があるという意見が出ておりまして、村座長代理からもほぼ同じ内容の御意見が出ていたように思います。

今まで出た議論を2番目の論点について整理しますと大体そういうことでありまして、ここで結論的なところに向けた歩み寄りができるかということで御意見を出していただいて、なるべく一致を見たというところに持っていきたいのですけれども、何かございますでしょうか。例えば私の意見は誰々委員の意見と実は実質的に同じであるとか、何かそういう形で歩み寄れるのであれば、そういうことで御意見をいただけたらと思います。

3番目の論点については、2番目の論点を片づけてから3番目の論点に移りたいと思います。

2番目の論点について、本当に一律禁止というところまで言えるのかどうかということも含めていかがでしょうか。よろしくお願いします。

○池本委員 まず、今、後藤座長から非常にクリアに整理していただいたのですが、連れていく行為を一律に禁止するというようにすると、ケースによっては本当に本人がニーズがあって希望したのに断るという場面もあり得るという御意見があって、何らかの配慮が必要だなというところはおおむね意見が一致しているのではないかと思います。

問題はそこの後の書きぶりで、みずから望んでいる場合は除くと書くのか、望んでいない場合に連れていくと書くのか、あるいは勧めた上で連れていくと書くのか、困難でかつ望んでいる場合と書くのかというのは、一定の場合を除くというときの書きぶりの問題なのです。実際に省令事項で書きぶりの言葉まで今ここで確定する必要があるのか。趣旨として今のような本当に本人が必要があって望んでいるような場合は除かれるような書きぶりが必要だという形で、文言そのもののてにをは、こちらがいい、あちらがいいと言うと、それこそ文章を並べてみないとわからないとなる。そのあたり収れんの仕方をどのレベルまでする必要があるかというので、私はある程度方向性はかなり近いところにあるのかなという感じを受けたので、こういう発言をしております。

○後藤座長 どうもありがとうございました。

事務局としてはいかがですか。よろしくお願いします。

○消費者庁桜町取引対策課長 最終的に答申という形でいただくことが前提にはなりますけれども、今、池本委員がおっしゃったようにある程度方向性を出していただければ、その中でどういう書き方をするかというのは我々のほうでもいろいろ検討していきたいと思っております。

○後藤座長 よろしいでしょうか。それでは、基本的な方向性としましては、事業者が消費者を支払いのために金融機関等に連れていく行為については、大枠としては禁止する方向で、ただ、一定の場合には例外があるという、その例外の表現の仕方については、種々の御意見が出ておりますので、例外を認める文言をつけるということについて御承認いただくということでよろしいでしょうか。佐々木委員、よろしくお願いします。

○佐々木委員 それは消費者がみずから望んだ場合というものを含めてということですか。

○後藤座長 そうです。

○佐々木委員 わかりました。

○後藤座長 河野委員、よろしいですか。

○河野委員 事情を考えれば、除外の部分を上手に書いていただくことでいいと思いますが、お金がないというのはここのところの議論でも話しているとおり、消費者にとってみると断り文句であるというのと同意語なのです。そこでということなので、やはりそこを勘案していただいて、上手な表現にしていただければと思います。

○後藤座長 野坂委員、よろしくお願いします。

○野坂委員 私もおおむね賛成いたします。やはり注意しなければいけないのは、通常のビジネスが過大に支障を受けるような形にはしていただきたくない。以前、業界のヒアリングでもそういう話が出ていたと思います。それを踏まえて、余りに全体幅広く規制をかけるようなイメージであっては業界のヒアリングを踏まえた内容にならない。あくまで通常のビジネスに過大な、そして過剰な規制をかけるものではないということを確認しておきたいと思います。

○後藤座長 御確認いただいてありがとうございました。今の議論の中では多分、野坂委員が確認されたかったような内容で大体議論が進んでいたと私は思っています。

ほかにございますでしょうか。2番目の論点についてはよろしいでしょうか。

それでは、3番目の論点の事業者が消費者に対して借入れ、クレジット契約、預貯金の引き出しを勧める行為ということで、2番目の論点等にも連動している部分があるわけでありますけれども、これについては例えば村座長代理の意見、池本委員の意見からも伺えますけれども、この3つを並べるというのは問題だということでして、村座長代理の御意見ですと、高額のものについては預貯金の引き出しを勧めることも問題であるということ。それから、クレジット契約については割販法による消費者保護の規定があるというようなことも考慮して、これは禁止されなくてよろしいというような御意見であったと思います。

それから、池本委員からは特に連鎖販売や業務提供誘引販売を取り出した御意見というものもあったように思います。この辺についても統一した考え方がとれればと思いまして、どの辺で収れんさせるのかということで御意見いただきたいと思いますが、いかがでしょうか。池本委員、お願いします。

○池本委員 先ほど金融機関に連れていく行為というのが、単純な連れていくではなくて、勧めると書くのか、望んでいる場合あるいは望んでいない場合という本人の意思とかからしめて連れていくという言葉を使ったというようにすると、この3番目の論点についても貯金の引き出しを勧めるだけを取り出した規定ではないとなると、先ほどの2番目の論点にもこれは吸収されるのかなと思います。

そして、クレジットの利用を勧めるという、個別クレジットの利用を勧めるというのは本来的なクレジット取引の機能ではないかという御指摘も、私もそのように思いますので、ここもそれ自体は絶対に入れるべきだという意見は余りなかったのではないかと思います。

そうすると、残るは借入れのことで、先ほどの預貯金の議論と並行して考えると、借入れを勧める行為そのものがやはり問題だという御意見が一方にあり、私は勧める勧めない、言った言わないだけの要件だとちょっとわかりにくいから、連れていく、この場合はお店の前まで連れていくというのもあるけれども、あそこに行ってこうやって、こういうふうにすればATMでカードがつくれるとか、そういう意味で紹介または同行という言葉にしたらどうか、というように申し上げたのです。つまり勧めるということはそもそもだめと見るのか、勧めるプラス関与まで加えるかというところが意見として分かれているところかなと感じています。

○後藤座長 どうもありがとうございました。

ほかに御意見ありますか。今の池本委員の御意見は非常に示唆的だと思いますが、そのような方向での整理でよろしいでしょうか。

有山委員、よろしくお願いします。

○有山委員 私の経験では、悪質な事業者の勧誘員が、同時に複数の金融機関を消費者に勧める。同じ日に数箇所の金融機関に借りに行くと金額が3倍になります。個人の履歴が金融機関にまだ残らないうちに一遍に3カ所から同時期に勧めるというのもありましたので、何とか結果として高額になるような、一社一社は大した金額ではないのだけれども、3社になると3倍になってしまうというのが問題です。特に業務提供誘引販売取引や連鎖販売取引ではこのような金融機関に同行するのが見られるので、その辺は書き込んでいただきたいと思っております。

○後藤座長 ありがとうございました。

その辺も書き込んでとなると、具体的な表現ぶりというのはどういうことになるのか、池本委員、何かいいまとめがありますか。先ほどの延長で何か御意見があったらお願いします。

○池本委員 先ほど申し上げた、そもそも不意打ち勧誘のところでお金がない、借りれば大丈夫だよということ自体も疑問だと思うのです。思うのですが、勧めた勧めていないという言葉だけだと拡散するおそれがあるので、かかわりがもう一歩関与があることを要件の中に加えるという意味で、先ほどは紹介とか同行という言葉を使ったのですが、今は例えばこれは前にどこかで話題に出たのですが、それこそ今、自動借入機の機械に行って免許証を持ってこのようにすればいい、あそこにあるよというのは紹介というのか借入方法の指導というのか、そういうもう一歩、単にお勧めすることを超えた借入れの指導のような、もう一歩踏み込んだ外形的な言動があった場合ということを、文言としてどう書くのがいいのかはわからないのですが、単に借入れを勧めるという外形的な行為を踏み込んだものを加えるというようにすれば、社会一般の中での問題行動と許容される行動との線引きができるのではないかと思います。なかなかぴったりの言葉が申し上げられなくて済みません。

○後藤座長 よろしいでしょうか。それでは、ここで早計にぴったりの言葉を探すよりは、そういう方向でもう少し取りまとめまでに考えるということでよろしければ、そうしたいと思います。基本的なところでは合意していただいたということで、あとは取りまとめの段階で文言の修正をするということにさせていただけたらと思います。

種々の御議論が出ておりまして、この場のまとめの段階でも少し漏れてしまっている部分があるかもしれませんが、何か補いたいという御発言があれば出していただくとありがたいと思いますが、いかがでしょうか。よろしいでしょうか。

(3)アポイントメントセールスにおける来訪要請方法について

○後藤座長 それでは、次の問題に移らせていただきます。続きまして「アポイントメントセールスにおける来訪要請方法について」の検討に入りたいと思います。御意見、御質問のある方は御発言をお願いいたします。

山本委員、よろしくお願いします。

○山本委員 資料2-2を用意しましたので、それで少し説明をさせていただければと思います。

冒頭で事務局からも説明がありましたけれども、対面での来訪要請については、ここに書いてありますけれども、特商法の適用を逃れるという目的で一旦、消費者を来訪させて、そのまま販売目的を告げないで、再来訪することを約束させて一旦帰すということが行われておりまして、そこが非常に悪質だなと思っております。通常ならその場ですぐ勧誘をしたほうが効率的だと思いますし、一旦、帰ってしまいますとまた来てくれるかどうかというリスクがあるわけなのですけれども、それでも特商法の適用にならないようにということで、そういう行為が行われているのだと思っております。そういう意味でそれを防いでいくためにも、対面での来訪要請というものを政令で指定する来訪要請の方法に該当するということを明確にしていく必要があるのではないかと思っております。

ただ、先ほど前半の議論でもございましたけれども、通常の商行為に影響を与えることがないようにしていくということも大切ですので、いかに悪質な手口を規制していくかということを考えていかなければいけないのかなと思っております。

そこで(2)に書いたのですが、新車については村座長代理の御指摘で特商法の適用になっていないということで失念しておりましたけれども、例えばイベントなどに来訪要請する場合なんかが対面での来訪要請ということであろうかと思いますし、そういったところで物販の勧誘が行われるということが一般にあろうかと思うので、そこへの影響をどう回避していくかという工夫が必要ではないかと思っています。

そういう意味では、例えば本来なら現行の来訪要請方法であれば、特商法の適用になるところを逃れるということをしていますので、現行、規制されているところから連続して行われる対面での来訪要請について着目して、そこについても政令指定の来訪要請だと位置づけていけば、今のような適用を逃れるような方法が規制できるのではないかと思っております。そうすれば一般的な商行為への影響が回避できるのではないのかなと思っております。

後ろのほうに事例をつけておりまして、都内での相談事例ということで出ておりますけれども、まず相談事例1については次のテーマともかかわるのですけれども、SNSで最初に呼び出しがされているものです。消費者と同じものを勉強しているということでメッセージが来て、それで喫茶店に呼び出されて、そこでは自分の考えを変えてくれた投資で成功している社長をやっている人がいるので、その人の話を聞いてみないかということで約束をとって一旦帰して、次に来訪の約束をさせて、結果的にはここは海外賭博の投資講座を受ける契約をさせられるというものでございます。

相談事例2はSNSでの呼び出しになっておりますけれども、よかったら友達になってくださいという連絡が来て、何回かやり取りして暇な日があったら遊びましょうと言われて会うことになるわけなのですけれども、この場合は一旦帰すというわけではないのですが、肩が凝っているからお店で無料でしてあげる、近くのエステサロンで働いているので来てくださいということで、対面で誘われて行くというような形になっています。そこで勧誘を受けるという形です。

相談事例3はキャッチになっているのですけれども、町なかでネイルに興味がありませんかということで声をかけられて、行ってみるとシミが見える機械があるので、それであなたの肌を見てあげましょうと言われて、すると将来ひどいことになるということを言われて、いいものがあるからそれを試してみないかと言われて、またあした来られるかということで、そこで一旦帰されるという形です。

このように入り口の部分の来訪の要請はいろいろあるのですけれども、結果的に対面で次の再来訪を約束させて帰しているという形なので、それがなければ本来は特商法の対象として規制になってくるのですけれども、このような形で規制を逃れようということをしているので、そこのところに着目していくことが大切ではないかと思っております。

以上です。

○後藤座長 ありがとうございました。

村座長代理、お願いします。

○村座長代理 最近、対面で目的を偽って来所することを約束させて、そこでエステであるとか宝飾品類であるとか美顔器であるとか、そのようなものを売りつけるというもので、一番問題になっているものが今、山本委員から御指摘がありましたように、最初のきっかけは現状の特定商取引法の訪問販売で言うところの特定顧客取引。特定顧客取引でもいわゆる目的隠匿型と言われるタイプです。有利性をうたうのではなくて、目的隠匿型のキャッチセールスであるとか、アポイントメントセールスに当たる外形をとる。ところが、目的を偽って声をかけて連れていく、あるいは目的を隠していろいろな形で呼び出すところで契約をさせますと、現行でも訪問販売に該当するのですけれども、そこでは出さないのです。出さなくて別の会話をして次につなぐ。次はいつ来てねということで次につないで、ここで挙がっているのは3回目に売りつけるというものですけれども、スカウト詐欺と言われているような、弁護団ができているケースだと3回目どころか4回目、5回目にやってくるみたいな感じで高額な契約をさせるというタイプのものが今、非常に深刻になってはびこっています。

例えばイベント会場に御招待してみたいなものまでかぶってきてしまうということが過剰の規制になるかもしないという御意見も出ているようなのですけれども、少なくとも入り口のところが現行の特定顧客取引に当たるというものを一連性がある形で引っ張る。一連性がある、一番最初の不意打ち性の一連性をずっと引っ張ってきて一番目的のものを最後に売るというタイプのものは、現行法を解釈すれば、あるいはちょっと手直しをすれば入るのであれば、ぜひ最低それを入れないとだめな状態が今、来ているというふうに私は思います。

それ以外にも例えば催眠商法や何かですと、お店のちょっと離れたところ、駅とかそういうところで声をかけて、そこでチラシを配ってこういうことをやっているから来てねと言えば、チラシで目的を隠して呼び出しというものがあるのですけれども、チラシを渡さないで声かけだけして行かせるというのだと、戸別訪問とか拡声器とかチラシ、パンフレットはいいのですけれども、路上で会って声をかけて目的を隠して行かせるが現行だと読めるのかという問題も微妙な問題としてありますので、本当はそれは大分前から問題になっていたものですので、何とかカバーできるようにしていただく必要があるのではないかと思っております。

○後藤座長 ありがとうございました。

ほかに御意見はありますでしょうか。佐々木委員、よろしくお願いします。

○佐々木委員 私も意見書を用意させていただいております。3番目、裏のほうなのですけれども、アポイントメントセールスの来訪要請。これはSNSを使ってやるというのは広くマーケティング手法としてイベント、コンサート、地元のお祭りとか商店街、タレントのファンミーティング、実際には高校、大学のイベントなんかも含めてかなり広く使われている伝達手段だと思います。それを一律、実際に物販を会場でやるというのはごく普通の行為ですので、それを全て禁止をするということになってしまっては、これは山本委員からも出ていましたけれども、禁止するということになってしまうと、通常のマーケティング活動に大きな阻害要因になってしまうのではないかと危惧します。

また、実際にメディアの使い方というのはかなり急速にいろいろ変わっているものですから、そういう意味ではいい意味でも悪い意味でもSNS、IT社会の進歩の中で規制を余りにもがんじがらめにすることは流通業のオムニチャンネル化とか、いろいろな告知方法がこれから出てくると思いますので、それを有効に使えないということになるということは、正常のマーケティング活動までも阻害されてしまうのではないかと危惧します。

○後藤座長 どうもありがとうございました。

村座長代理、よろしくお願いします。

○村座長代理 今、イベントとかお祭りとかいろいろお話があったのですけれども、現行の特定商取引法でも営業所等というものについて規則の1条で定めがありまして、露店とか屋台とかこれに類するのが営業所と見るという形になっています。ですから例えばイベントだとかお祭りだとかということで呼んで人集めをして、そこに露店や屋台がずっと並んでいるという場合というのは、露店や屋台というのは外から見ると一目瞭然で、どのようなものをどんな価格帯で売っているかということがわかるということですので、いろいろなイベント会場や何かでもイベントですよと言って集客をしたとしても、イベント会場に並んでいるお店が外から見たときに何を幾らで売っているのかということが明確であって不意打性がないときには、現行法でも露店、屋台等は営業所だということで適用除外になっていますので、それほど心配されるような過剰なことは起こらないのではないかと思います。ただ、イベントだとか何だと言いながら入っていっても、そこで何を売っているのかよくわからなくて、アリ地獄みたいに逃げられなくなって勧誘で巻き込まれていくということになると、それは不意打ち性が高いということになりますので、一律イベントだとかお祭りは全部除外だという話でもないのかなというように私は考えます。

○後藤座長 野坂委員、お願いします。

○野坂委員 このテーマ、アポイントメントセールスは第7回のときに議論をした。思い起こすと第7回は何だったかというと、第6回でいろいろな大きなトラブルがあって、第7回、冒頭に河上委員長が我々に緊張感を持てと訓示をした河上談話のときが第7回であります。そして、その後にたくさんの業界の方を呼んで、2分で説明しろとか、5分で説明しろと言って、慌ただしい中で説明を求めたときのテーマが、このアポイントメントセールスだったと記憶している。

我々はあの時も最善を尽くしたとは思うが、本当に十分に業界の話を聞き切れているのか、あるいは実態を把握できているのかというと、あの1回限りで、しかも大変混乱した中で第6回を引きずりながらの第7回でしたので、じっくり本当に全体を吟味できたのかということは疑問に思っています。

それで本題に入ります。先ほど佐々木委員が指摘された点は大変重要だ。SNSというのは今、出てきたばかりで市場がいろいろ拡大していて、いろいろな企業が今後ビジネスチャンスにつなげられるのではないかと工夫をし始めている、新しい成長分野だと思うのです。

座長、私の発言を聞いてください。私が発言しているのですから、そこで村座長代理と2人で話をしていたらおかしいでしょう。いいですか。何ですか。発言するなら私の発言の後に、そして打ち合わせがあるならば、打ち合わせは私の発言の後にしてください。ぜひ聞いてくださいよ。

○後藤座長 聞いていますよ。聞いていないように思われたら心外ですけれども、私は隣から話しかけられたので、隣に耳を傾けつつ、野坂委員の話も聞いています。

○野坂委員 それならありがたいですけれども、第6回、7回でもたしかプレゼンテーターが説明しているときに、こちらで委員たちが話をしていたり、いろいろなトラブルがあったので、そういう反省のもとで河上談話があり、そして我々真摯にやろうということですから、ぜひ私の発言は聞いていただきたい。

続けます。SNSは今、大きく成長する可能性を秘めた、我々もまだ将来性がわからない、そしてビジネス界もいろいろと工夫してやろうとしている段階です。その中でそれに先立っていきなりこういうSNSが問題だとか、あるいはイベント告知などに使われているだとか、詐欺的な商法のきっかけになっているケースがあるということは説明を受けましたけれども、その幾つかの例をもってすぐ一律に規制するというのは、それまでの材料がまだ私はそろっていないと思っている。もう少し誰がどういう悪さをして、どういう人が被害に遭っているのか。しっかりさらなる分析が必要なのではないかと思っております。

先ほど東京都から相談事例1、海外の賭博の事例が出ていました。確かにひどい事例ですが、これはまさに詐欺的商法だなと思っていまして、特商法云々というよりも詐欺で摘発なりできないのかなという疑問を感じました。いきなりこれを理由にSNS全部を規制しましょうということに一気に飛躍するのではなくて、何が本当に求められているのか、もう少し検討する必要があると思っております。

イベント告知もたしか第7回、広告会社の方が少しおっしゃっていたと記憶しています。イベント告知が全て規制対象にということになっていきますと、これは一般のさまざまなビジネスに過大な影響を与えると思います。今、イベント告知で、これも先ほどと同じですけれども、誰がどんな悪さをして、誰が被害に遭っているのか、もう少し分析が必要だと思います。悪い業者をこらしめる。これは私も賛成しますが、いきなりイベント告知が問題だと言って規制対象に加えることは大変範囲が広がりますし、実際に仮にこれを対象にしたときに法律の運用が安定的にできるのか、大変疑問です。いずれにしてもこれはSNSについてもイベント告知の問題についても、もう少し実態を詳細に分析した上で丁寧に議論することが必要だと思っております。

○後藤座長 増田委員、よろしくお願いします。

○増田委員 野坂委員は誤解されているのではないかと思うのですが、イベント告知自体を規制するということではないと思っております。イベント告知は自由にどんどんやっていただいていいのだと思います。ただ、そのイベント告知をした後にどういうことが待っているのかということが今、問題になっているのであって、それは佐々木委員が御心配されているようなケースというのも当然理解いたします。しかし、行った先で自由に出入りできるような状態でないとか、露店とか屋台というものではなく、その人に向かって、ターゲットに向かって出入りできないような状況で勧誘を勧めるというケースは非常に問題であると思います。

今、広く社会的に行われているようなSNSでの営業活動というのは、基本的にそういうことはないと思うのです。例えばコンサートに行きました。物販として、ファンが買うということは自由にできるわけです。そのようなことを今ここで対象にするということではありませんので、何らかの条件をつけるという方向性で、ぜひともSNSは電子メールと同じように規制対象とすべきだと考えております。

○後藤座長 ありがとうございました。

私も増田委員と同じように、野坂委員の御意見については、イベント告知のことに関しては誤解があるかなという印象を持っています。ですから、そこは特にほかに誤解されている方もいらっしゃるかと思いますので、野坂委員がおっしゃったことについては誤解ですというように御理解いただけたらと思います。

池本委員、よろしくお願いします。

○池本委員 今、話題になっているところで、SNSとかホームページとか来訪要請手段をどう扱うかの問題と、来訪要請の仕方の問題と区別して議論する必要があると思います。

来訪要請の仕方の問題で言うと、対面、口頭での来訪要請が住居を訪問したというのと拡声器という変則的なものしかないのが、例えばファミリーレストランとか居酒屋とかへ呼び出して、そこで誘って営業所に行くとか、要するに本来の自宅以外の場所で販売目的を告げないで呼び込んでいくというのがあるから、それを入れようということ。その1つとして、お店に行っている人にまた来てくださいということも一切いけないのかというと、決してそうではなくて、商品の販売目的を理解していて、ではまたあした来ますというのは問題ないはずですから、これは山本委員のペーパーに書いてあったところは、むしろなるほどなと思ったのが、アポイントメントセールスとかキャッチセールスで呼び込んだ人について、販売目的を隠して再来訪を要請するというように絞ればほとんど問題は解消するかなと感じました。これがまず第1点です。

それから、来訪要請手段のことですが、これは第7回のときの資料で資料2というものが以前の配られたもの、委員の席には机上配付されていると思うのですが、第7回のアポイントメントセールスに関する資料2の7ページ、私は非常に現実論者として個別に考えていこうという者です。その中で見ますと、SNSとSNS以外の電子広告というところが非常にトラブルが多くて、雑誌広告も若干ありますが、新聞とかテレビ、ラジオはほとんどそんなに多くはない。考えてみると新聞とか雑誌というところは広告というか新聞、雑誌などの媒体そのものが掲載する広告をチェックする余地があるのです。だからむしろそこはそういう広告媒体を掲載する主体に少し注意していただくというような働きかけの仕方があるのではないか。それに対して電子広告あるいはSNSというのは、その本人がどう書くかだけで、第三者がチェックするというシステムがないので、これは区別して議論する必要があるのかなと思います。そして現にこのようにトラブルが多発していることからすると、規制対象として考えていく必要があるのではないか。

問題は、SNSとか電子広告を加えるということが、そもそもそこで広告をしてはいけないという意味では毛頭ないわけで、販売目的を告げないで呼び出して不意打ち的な勧誘をするという、そのこと自体が不意打ち勧誘として、例えば特商法で言うと販売目的をまず告げて勧誘しなければいけないのを告げていないとか、そういう呼び出し方法そのものが不公正、危険性がある。したがって、特商法の規制対象に加えようという議論をしているわけですから、SNSや電子広告を入れるということが、事業者一般に対する一律の規制になるということでは決してないということは御理解いただきたいと思います。

3番目に、先ほど来イベント広告も入り得るではないかということですが、これは私はそういう経済活動として正常にやっているものが入らないように、これは条文の文言に入れるのか、ガイドラインなり解説の中で明確にするのかということですが、アポイントメントセールスで問題になっているのは、まさに事業者が目的とする販売目的を隠しておいて呼び出して、そこで勧誘するというものですが、イベントの場合はイベントに参加するのが主目的で、その回りで物品販売をやっているものを買うかどうかは2次的というか付随的あるいは任意のものです。だからそこは販売目的を主目的において告げないで呼び出すものと違いがあるのであって、呼び名としてイベントが頭にくっついているかどうかという言い方だと、今度は問題業者のほうもイベントというようにつければいいのかというようになっても困りますから、そこは目的の種々などをガイドラインなり解説なりで入れるというようなことで、大方の危惧される問題は解消されるのではないかと感じています。

○後藤座長 ありがとうございました。

花井委員、よろしくお願いします。

○花井委員 お願いします。皆さんのお話を聞いて感じたことですが、対面での来訪要請の議論をもう少し詰めてから、SNSや電子公告の議論をしてはいかがでしょうか。議論が混ざってしまっている感があると思います。資料で言いますと、資料1の5ページの(1)をまずみんなでまとめて、次に(2)の議論にしたほうがわかりやすいのではないかと思います。そこで、住宅訪問以外の場所における対面での来訪要請について少し意見を言わせていただきたいと思います。

山本委員や村座長代理が言われたように、アポやキャッチでその場で契約をしてしまうと、それは訪販に当たり、クーリングオフなどの対処法があるわけですが、残念なことにそのときに次の約束をさせられる、無料チケットをもらったり、次いつ来るのという予約をメール交換の中で強いられるようなことがあって、みずからお店に行って契約してしまう事例があります。しかし、それは自ら、店舗に出向いているので、クーリングオフができない状態になっていて、消費生活センターでもあっせんに苦慮しています。やむを得ず、ほかの何か使える手段はないかということで探し、交渉するということがよくあります。ですから、山本委員の言われたように、特商法を逃れようとするキャッチとかアポイントとか、そのようなもので一連になって契約してしまう場合を、住居訪問以外の場所における対面での来訪要請として規制することが適切ではないかと考えています。SNSのことはまた次の議論のときにお話したいと思います。

以上です。

○後藤座長 どうもありがとうございました。よろしいですか。

消費者庁、よろしくお願いします。

○消費者庁桜町取引対策課長 執行と、これをやるということになると政令の改正になりますので、そういう観点からむしろ御質問をさせていただきたいのですけれども、不意打ち性の連続というところが多分、今の御議論の最大のポイントなのではないかと思います。一連性があると言ってもいいのかもしれませんが、それをどう見るのかというのがなかなかよく考えないといけないなと思っていまして、先ほど池本委員がおっしゃられたように種々の問題かもしれません。故意のところが一番大事なのだろうなと理解をしているのですけれども、故意の立証って余り簡単ではありませんので、もし故意に加えて、さらにもう少し類型的なものなのかわかりませんけれども、外形的にも特徴を捕まえて、一連性があるというようなものが何らか特徴的なものがもしあったりとか、一連性を証明していくための考え方というか、もう少し何か具体的な示唆をさらにいただけるようであればありがたいと思っています。

○後藤座長 高芝委員、よろしくお願いします。

○高芝委員 2つあるうちのまず一番最初の方の「住居訪問以外の場所における対面での来訪要請」ですが、それについては、一般的に営業所等において「またの来店をお待ちしています」という言い方は行われていると思いますので、これを一律に訪問販売の対象とすることは難しいと考えています。

他方、先ほど来、山本委員、村座長代理、池本委員もおっしゃられているとおり、私も、当初、アポイントメントセールスの要件を満たして、営業所等その他特定の場所に来訪要請をして、その場で、対面で、次回の来訪を、また、販売目的を告げずに、要請することは、先ほど来、出ています一連のアポイントメントセールスと評価することができるのではないかと考えています。

今一つの政令指定以外の媒体による来訪要請として、SNSなどが出ていましたが、こちらについては、訪問販売の規制がかかるということになりますと、書面の交付義務等もかかってくることになりますので、取引実態との関係でどうしたらいいのか、取引実態をさらに調査していただいて、丁寧に検討していただければと思っています。

以上です。

○後藤座長 ほかにございますでしょうか。沖野委員、よろしくお願いします。

○沖野委員 1点目なのですけれども、私は、今までのお話を伺って山本委員や池本委員、また、高芝委員がおっしゃったような形での定式化というのは十分可能ではないかと考えております。例えば現在の政令のところに一定の方法ですよね。それによって販売目的を告げずに来訪を要請することに加えて、その方法によって来訪した者に対して、なお販売目的を告げないまま次の来訪を要請することとか、別の店舗への来訪を要請することとか、その形でただ行為が連続している。あくまで販売目的というのはずっと告げられないままであるということを書き込むことでは、これは池本委員がまさに定式としておっしゃったことなのですが、それで不十分なところというのはどの点なのでしょうか。それで対応できるのではないかという感じがしているものですから、むしろそれではこういうことが考えられるという問題点を示していただくと、さらなる改善ですとか、あるいは限定が考えられるかと思うのです。

○消費者庁桜町取引対策課長 済みません、今ので不十分かどうかも私も今の時点で自信がないのですけれども、十分なのかもしれませんが、そういう前提で申し上げているわけではないのですけれども、連続性というのが当初意図している目的と、結果として生じる事柄と、それが最初から最後まで一貫していれば余り問題は起きないような気もするのですが、どこかで要するに変わった場合、当初の意図と違う結果が生じて売ったような場合に、一連性を認定できるのかどうかというあたりは考えなければいけないなと思っていましたので、お聞きをしたということであります。政令を改正することになった場合に、我々の中でもう少し検討すればいい話なのかもしれません。

○後藤座長 山本委員、よろしくお願いします。

○山本委員 連続性をどう立証するかということですけれども、例えば大体の場合は同じパターンでやっているのです。同じ手口で何人についてもやっていますので、途中で販売の目的が変わったり、最初は言うつもりはなかったのだけれども、後でそういうことになったとか、たまたまということではなくて、何人もの消費者が同じような手口、パターンで被害に遭っているので、執行としてはそこのところを固めていけば連続性は立証できると思うので、そこは心配はないのかなと思うのです。

○後藤座長 池本委員、よろしくお願いします。

○池本委員 今の御指摘で足りるのかもしれませんが、あるいは事務局が危惧されていたのが、最初に呼び出したときに何らかの取引が一応あって、さらに加えてこれもというように付加されることもあるのではないかというような場面を想定されるのではないかと思います。

ただ、それで言いますと例えばエステティックだとか、あるいは全然場面は違いますけれども、おとり広告的にお試し2,000円と書いておいて、行ったらこれはとてもできない。では何十万円ですとか、最初の販売目的も一応1回2,000円のベッドに乗せてエステをやるのだけれども、それはあくまでおとり広告で、そこで大きな契約をさせるというようになっていくのは、これは現在でもある手口だろうと思います。それは販売目的を隠すというのが営業とは関係ない、プレゼントあげますというのもあるけれども、そういうおとり広告型もあるというところで、現行法の中でもある程度解釈して線引きをされていると理解していいのではないかと思っています。

○消費者庁桜町取引対策課長 いろいろ御示唆ありがとうございました。

○後藤座長 ありがとうございました。

アポイントメントセールスにおける来訪要請方法についてということでありますけれども、資料として用意していただいているものは2つに議論を分けておりまして、第1の論点というのが住居訪問以外の場所における対面での来訪要請という問題で、第2番目が政令指定外の媒体による来訪要請という問題でして、この2番目の問題についても少し、既に議論がここでは出てきたということでありますけれども、まず1番目の問題についてここで合意できる部分を探りたいと思います。

まずこの住居訪問以外の場所における対面での来訪要請について、最近の事例等も示していただいて、問題性が多いということについては御意見の一致があると考えてよろしいでしょうか。そういう前提で具体的にどういうものを禁止するのかということが問題でありまして、正常な経済取引を害するようなことは避ける必要がありますし、具体的に禁止するというと一定の基準というものが必要でありまして、そのようなことを皆さん今ここで探っていただきました。

村座長代理から、入り口が特定顧客取引に当たるものというお話とか、高芝委員から当初がアポイントメントセールスの要件を満たしているとか、そういう一連の取引とみられるような場合という基準が示されまして、沖野委員からはそういうものを基準にして現在の政令に書き込むということはできるのではないかという御意見があったと思います。具体的にもっと詰める必要がある部分があるかもしれませんが、大体そんな整理になろうかと思いますが、よりよい知恵を出していただいて、より的確な表現で今の議論をまとめることができるということがありましたら、どなたか御意見を出していただけるとありがたいのですが、いかがでしょうか。よろしいですか。

それでは、この部分については以上のようにまとめさせていただきたいと思います。

次の項目に入らせていただきたいと思います。政令指定外の媒体による来訪要請についてでありますけれども、これについてはいろいろなものがあるということでありまして、対象となるものについてどこまでのものを考えるのかということが問題となって、特にここで先ほど議論されたものについては、取引自体をきちんと把握すべきではないかという御意見があったと思います。

そういうことでまとめるということを考えますと、池本委員の御指摘にもありますように、SNS、電子広告、雑誌広告、新聞広告、テレビ広告、ラジオ広告等の中で、特にこれについては規制すべきだというものがどれなのかということが問題となってきますけれども、今までここで出ていましたものとして、SNSについてどう考えるかというところをまず議論するということでよろしいでしょうか。あるいはほかのものも含めてこの媒体について、これは取り入れるべきだということがありましたら、それも含めてお話いただけたらと思います。

花井委員、よろしくお願いします。

○花井委員 SNSと電子広告も来訪要請の方法として、一緒に加えていただきたいと思います。それは例えば美容医療のときに1回の契約は特役としては、捉えることが難しかったわけなのですが、エステとか美容医療などでホームページですごく安いというのを見て皆さん行かれるのです。けれども、実際に施術途中だとか、なかなかそのまま帰れないような状態で、そんな施術ではだめだよ、とんでもないことになるよなどと不安をあおられて、高額な契約をしてしまう。帰れない状態で、充分考える暇もなく、契約してしまう販売方法といいますか売り方があるものですから、それは問題があると思いますので、電子広告とSNSを追加していただきたいと思います。

以前、私はSNSも電子メールと同じように利用されているではないかということを事業者ヒアリングのときにお話をしました。事業者の方からは、SNSはお友達として申請している人たちの間でやっているものだから、メールとは随分違いますよということを言われたのですが、SNSでやり取りしている相手というのは、リアルな友達ではなくて、ネット上でのお友達で、事業者が隠れてお友達になりませんかと言って、近づいてくる状況もあります。SNSのやり取りから、勧誘を受けることになってしまうということが最近多くあります。前回の改正のときには、そんなにSNSが普及はしていなかったのですけれども、現状を考えると、SNSがいわゆる普通の電子メールと全く同じように利用されていることを考えると、SNSも今回の対象にしていただきたいなと思います。

以上です。

○後藤座長 山本委員、よろしくお願いします。

○山本委員 SNSについてですけれども、先ほど資料2-2の続きでSNSについて書いていますので、2ページのところを見ていただけるとありがたいのですけれども、今、花井委員からもありましたけれども、SNSについてはほぼというのでしょうか、全く電子メールと同様に1対1でのメッセージのやりとりができますので、それを悪質事業者が利用しているというか、若者は今ほとんどSNSでやりとりをしていますので、電子メールをやっていないので、悪質事業者は連絡がとれないからSNSを使わざるを得ないとか、使うことになっているのだと思うのですけれども、それで販売目的を隠してリアルな世界ではない友達の場合は近寄ってきて呼び出すというパターンもありますし、実際のリアルな友達であってもSNSを使って友達を勧誘することが行われています。

確かにSNSというのはいろいろ広告に使ったりとか、多様な活用方法はあると思うのですけれども、今、申し上げたように電子メールと同じ使い方がされていますので、そういう意味では電子メールが今、来訪要請方法として入っていますので、同様にSNSについても来訪要請に該当することを明確にする必要があるのではないかと思っています。

後ろのほうに事例を、先ほども事例を紹介させていただきましたけれども、相談事例1と2がSNSを使って最初に接触してきている事例です。相談事例1が自分も○○を学んでいます。消費者と同じものを学んでいますよということで近寄ってきているパターンです。相談事例2は友達になりませんかということでSNSで呼びかけをしているところから始まっています。

1枚めくっていただきますと、SNSによるアプローチの参考ということで書いております。これは実際に被害に遭った方のスマートフォンの画面をコピーしているものなのですけれども、最初に突然この場合はメッセージが届きまして、初めましてということで、○○コミュニティーを見ていてメッセしてみました。メッセージをしてみましたということなのですけれども、自分も○○が大好きです。消費者と同じ趣味を持っていますよということを言っていろいろ会話をしながら、よかったら仲良くなりたいです。気軽に遊んだりできたらうれしいですというようになって、その後、趣味についてのいろいろなやりとりが消費者との間で起こって、最後にこれで呼び出す形なのですけれども、趣味の話をした後に、○○さん、メッセしていてもっとお話してみたいと思ったので、おすすめのカフェで盛り上がりませんかということで会うことになるという形です。

このパターンが非常に多いといいますか、突然メッセージが来る場合もありますし、例えば先輩から、あるいは友達から、中学、高校時代の友達からSNSで連絡がかかってきて、久しぶりだけれども、会わないというところから始まるものもあるのですけれども、こういう形でほとんど電子メールと同じようなメッセージのやりとりをSNSを使ってやって、そこで呼び出しているというのが問題性のあるところだと思いますので、その点に着目してSNSを対象にしていく必要があるのではないかと思っております。

戻っていただいて2ページのところですけれども、(2)で花井委員もおっしゃっていましたが、政令でSNSが明確に規定されていないわけですけれども、恐らく政令の改正されたときには普及していなかったということが大きな理由ではないかと思いますので、SNSと電子メールの違いに着目して、積極的にそれを除外しようということで今の形になっているわけではないのかなと思います。

(3)はSNSは友達認証という形になっておりますけれども、そのことを考えると電子メールアドレスも一般的には公表はされていないので、やりとりをしようとすれば相手にメールアドレスを教えなければいけないので、その行為というのは一緒にメッセージをやりとりしましょう、友達になりましょうということと全く意味合いとしては同じなので、そこを区別するというのがどれだけ意味があるのかと思いますし、事例にも出しましたけれども、急に相手からメッセージが来るSNSもありますので、認証のところについて違いがあるということを意識することが特商法に関しては意味が余りないのではないかと思っています。

そういう意味で電磁的方法というのは、ほかの法令を引用して使われているところがありますので、他法令とのSNSの位置づけをどう整理するかという問題はあろうかと思いますけれども、政令指定で来訪要請が決められている理由として(4)に書いてありますけれども、来訪要請の実態が多様で、また、今後その方法が変化することがあるので、それに機動的に対処するという理由で政令に書かれているとなっていますので、その趣旨も踏まえて今の実態に合わせた対応が必要ではないかと思っております。

以上です。

○後藤座長 ありがとうございました。

河野委員、よろしくお願いします。

○河野委員 媒体をどうするかということなのですけれども、執行の最前線にいらっしゃる山本委員からの御報告にもありましたように、現在、特商法を逃れようとしている悪質事業者の手口が巧妙化しているということ、それから、複雑化しているということで、1番の論点で要請方法をどう考えるかということで、皆さんからお知恵が出ていい方向に整理がつけられました。アポイントメントセールスとして対応してきた取引が非常に変化してきている。その変化にしっかり私たちは向き合っていこうということで、要請方法に関しては先ほど座長が整理していただいたような方向で私自身も消費者としてより安心できるといいましょうか、心強いと思ったところです。

そこで、もう一つの検討課題である要請手段なのですけれども、ではこれはどうなのかというと、問題はSNSとかホームページとかインターネット広告そのものが問題になっているわけではなくて、今の法律に書かれている電話、郵便、信書便、電報、FAX、電子メール、SMS、住居訪問などの要請手段というところをアップデートすると考えればいいのではないか。現状に合わせて、つまり変化していることに対してしっかりと対応していくことで、要請手段の追加と考えればいいのではないかと私自身は思っています。

なぜSNSが要請手段として重要であるかということは今、山本委員が資料をもとにお話くださいました。法律に書かれている電報は今の世の中でどれだけワークしているのかということを考えたりすると、今回はSNS、ホームページ、インターネット広告をここに追加して、要請手段を現状に合わせていく。それ自体が問題ではないのであって、電話や郵便や信書便が問題ではないのと同じように考えるべきだと考えます。

○後藤座長 ありがとうございました。

野坂委員、よろしくお願いします。

○野坂委員 先ほど山本委員から説明があって、「いろいろな事例を踏まえて、着目して」という表現を随分多用されていました。着目するのはいい。我々は相談事例を参考にはしますけれども、ファクトがどれだけどうなのかというところにまず注目しなければいけないと思うのです。

それで改めて第7回の本日で言うと資料2、アポイントメントセールスに関する状況、第7回に配付された資料の7ページに相談件数という形で、これは消費者庁が三菱UFJリサーチ&コンサルティング会社に委託して調べたと下に出典が書いてあります。SNSあるいは電子広告の数字を見ますと、全体は5年間で400件を超えておりというまとめになっているわけですが、例えば一番最新のデータで2013年度、SNSが132件、SNSを除いた電子広告が109件というデータが出ている。これは相談件数であって、実際にどういう被害があったのか。被害金額というのはこのデータからわからない。

先ほどの東京都の説明も幾つか相談事例があった。当然ここに出てくるのが典型的な事例でわかりやすい事例が出ているのでしょうけれども、実際に日本全体としてどれぐらいの被害実態があるのかというのは、少なくとも第7回のこの資料ではわからないし、東京都が今日出している資料でも、東京都のごく一部の事例が示されているだけで、東京都全体でどれぐらい被害があってどうなのか。あるいはSNSの日本全体のマーケットというのか、表現がわかりませんけれども、日本全体でSNSがどれぐらい利用されているのかということもわからないわけです。

この7ページのグラフに戻りますが、年間で132件とか109件、これが現在どれぐらいになっているかわかりません。これはあくまで民間に委託した相談件数。相談件数はまたPIO-NETの問題と絡みますが、では実際にどういう相談なのかというところまでこのデータでは掘り下げることができません。その段階でこれだけのデータをもって立法事実がある、あるいは立法事実が確認できたと言い切るのは、やや乱暴ではないか。これをもってすぐに政令も指定して規制対象に加えるというのは、すごく行き過ぎではないかと思います。

各委員が、一般のビジネスに影響が出ないようにとおっしゃられます。それはもちろん当然だと思うのだけれども、それより前に、まずもう少し実態を把握しないことには結論は出せない。これは先ほどこのセッションの冒頭に座長からも実態をよく調べるという重要性が触れられていたと思いますが、少なくともこれだけでは、第7回に出てきた資料だけで一気に規制強化、いろいろな事例があるからという理由、着目してという理由だけではなかなか結論は飛び跳ね過ぎている。一気に行き過ぎるのは、世間から見て、あるいはこの市場の将来性も鑑みれば乱暴過ぎると私は思います。

○後藤座長 沖野委員、よろしくお願いします。

○沖野委員 今の野坂委員の御発言に対してなのですけれども、ここでの問題自体はSNS自体をどうするかということではなくて、それを用いて勧誘目的を秘匿したまま別の場所に来させるといった、その行為が問題であるということです。私は個人的にはその行為自体はどの媒体を用いようが問題なのであって、しかも実例としても相談が出ているということであるならば、それは全部対象にしてもいいぐらいではないかというのが私自身の個人の考えです。ただ、そうは言っても池本委員がおっしゃった点ですけれども、別途の監督の手法もあるのではないか、それに期待できるところもあるのではないかというようなことと、苦情と相談の件数から一定の類型に絞り込むということは、それなりにできることだと思いますけれども、基本的な点はこういう行為自体はむしろ媒体を問わず、対象としていいはずの行為ではないかという点です。

特商法の従来からの問題点と言われておりますのは後追い規制になるということであって、かなりの被害が積み上がらないと対応が打てないということは前からの問題です。そうだとしますと、被害の芽がそれなりに見出される段階で手を打っておくことが少なくとも必要であるし、特商法の規制の目的を着実に実現させるために必要なのだと思います。ですから、その両方の点から野坂委員が御指摘になった今の御意見には直ちに賛同はできません。むしろそうではないというか、電子メール等は特にこれは別であるというような特別な事情が見出せないと思いますけれども、見出せない以上はむしろ対象とすべきではないかと考えております。

以上です。

○後藤座長 ありがとうございました。

村座長代理、よろしくお願いします。

○村座長代理 特定商取引法の政令指定されている特定顧客の呼び出すときに使うツールのところが、現状だとSNSに該当するものがないのではないか。だから被害が多いからそれが含まれるということを明確にすることの是非ということが今、議論になっているかと思うのです。

この点に関して、政令の1条で呼び出す方法、呼び出すツールというものが電話から始まりまして、例えば電磁的方法まで定義されているというのは、私の理解するところでは事業者が消費者に連絡をとる、接触をとるということで、どういう接触のとり方、通信方法も含めてどういう方法が現実に行われているかということを見て、それを指定したものである。やってはいけないことというのが具体的には不意打ち性があるからということで規制対象にしますよと言っているのが、目的を隠してとか、特別な有利性をうたっているとかいう形になっているかと思います。

この特定顧客の消費者に対して接触をとる、連絡をとる方法について定義を決めたときには、パソコンとか携帯電話はもうぼちぼち普及が始まっていましたので、一般の消費者も利用をしていましたが、SNSはこの時代はまだありませんでした。だからSNSは最近、無料のアプリという形で始まって、アプリケーションをダウンロードして使うという形で最近急激に普及してきたものですので、この特定顧客取引の定義がされたときの通信手段とか連絡手段としてはなかったものと考えることができるのだろうと思うのです。

当時は携帯電話とかパソコンによる通信というものがありましたので、これを特定顧客を呼び出すときの方法論としてどうやって定義をしていくのかという話になったときに、これは特商法の通信販売のところの12条の3のところで使っている電磁的方法という定義をそのままここでも使うということで、電磁的方法について特商法の規則の11条の2で定義をしているのですけれども、電磁的方法についてはこう定義しているのです。電子情報処理組織を使用して、電磁的記録を相手方の使用に係る電子計算機に送信して提供する方法。それから、電話番号を送受信のために用いて電磁的記録を相手方の使用に係る携帯、使用する通信端末機器に送信して提供する方法、これはいわゆるショートメールを指します。これは当時、通信手段として用いられていた方法をどのように定義をしていったらいいかということで、このような形で定義をしたものだろうということです。

ですから、SNSの場合には相手方の使用に係る電子計算機に送信して提供する方法に該当するのか。スマホというのは小さなパソコンです。パソコンですけれども、アプリでやりとりをする格好になっていますので、電子計算機そのものの情報を送り合うものかというところでSNSの場合はアプリを使うという特殊性のところで、このものずばりになるかどうか。消費者庁の見解だと電磁的方法には読めないのではないかという御見解もあるように経過の中で承るのですが、こういう形で当時行われていたものをどう定義するかということで、こう定義してあるのでこのまま読めるかどうか。さらに、この定義をつくったときにはSNSというものが存在しませんでしたので、存在していないものは含まれているはずがないという解釈論もあるかもしれないということで議論になっているのかなと思うのです。

そういう意味で言うと、ここの特定顧客の問題というのは、目的を偽って呼び出したり特別な有利性をうたって呼び出したりするために不意打ち性が高いというところに問題があるのであって、そのときにどうやって消費者にどういうツール、どういう方法論を使って呼び出すのかということについては、その時代、その時代、一般的に使われている連絡方法とか通信方法とか、そういうものは状況に応じてブラッシュアップしていくことが当然必要なのではないかと、こういう特定顧客の定義の歴史的いきさつを見ると、それが筋ではないかと私自身は考えるということが1つあります。

もう一つの問題として、若い方の特定顧客取引に係る取引の中身を見ますと、一昔前は電話が非常に多かったのです。電話で呼び出すというのが非常に多かったのですが、今は電話はほとんどなくなって、ほとんどSNSです。ですから若い人が使う通信手段というものが電話でしゃべるというよりもSNSに移行している。電子メールでもないし、携帯電話等のやりとりでもなくて、音声でもなくて、SNSなのです。いろいろな連絡ツールが。ですからそのような現実を考えるときには、沖野委員が指摘されたように、なるべく早くこれは指定をして、不意打ち的な取引についてはきちんと適正なルールを守っていただくという姿勢が必要なのではないか。それが取引の適正化であり、公正競争の維持であり、優良な事業者の活動を推進するものであり、消費者の保護にもなるということなのではないかと私としては考えております。

○後藤座長 ありがとうございました。

ほかに御意見ございますか。

ただいま沖野委員、村座長代理から、私個人的には非常に説得的だなと思う御意見をいただいたのですけれども、他方でSNSについて追加するのは問題だという御意見も出ておりますので、この辺で統一ができるかどうか御議論いただきたいと思いますが、佐々木委員は御意見どうですか。

○佐々木委員 先ほど私が申し上げたように、イベント等での告知がSNS等で使われているというのはよくあることだなと思っていまして、告知手段としてのSNSを政令指定の中に入れる入れないという議論よりは、イベントについてそれが入ってくることについての危惧がまずありました。そういう意味ではSNSを中に加えていく。これからITの進展とともにどういう形でこのマーケティングツールとして使われていくのかというのは、私も今の段階で予測はできませんけれども、それが制限が加わることは危惧したいなと思っていますけれども、今の段階で使用目的を限ってその中でSNSを禁止するということは、1つの方向であるかなと聞いていて思いました。

○後藤座長 ありがとうございます。

野坂委員はいかがですか。

○野坂委員 要するに先ほど指摘したことと繰り返しですけれども、実態がよくわからないままに一気にというのは大変危惧しております。佐々木委員がおっしゃられたマーケティングツールとして予測できない状況で一気にということは大変危険に思っておりますが、どれだけ一般の経済活動に影響を及ぼさない形でできるのか。先ほど高芝委員も書面交付義務が課されますねという問題提起をされましたね。幅広く書面交付義務が課されて法律の運用ができるのかなということも不安に思っておりますが、それがちゃんとできるのかどうか。そして、これによる悪影響が本当に広がらないのかどうか、現時点で判断材料がありませんので、私は慎重であるべきだという考えはかわりません。しかし、皆さんがそのようにおっしゃるならば、非常に私としては危惧するけれども、大半がそういう意見であれば仕方がないということです。

○後藤座長 ありがとうございます。

池本委員、よろしくお願いします。

○池本委員 今、お二人から指摘された危惧論ですが、実はイベント告知だとかさまざまな営業活動のツールとして伝達手段を使うという意味で言うと、イベント告知に何か物販が付随していた場合、アポイントメントに当たるのではないか、特商法に当たるのではないかという問題は、例えばダイレクトメールを送るとかチラシを配るというのも現在、媒体として規定されているところにも共通の論点なのです。その意味ではガイドラインなり注釈として、先ほど事務局からの質問でおとり広告のように販売目的を隠して別の目的を装って勧誘を開始する、まさに不意打ちのものと、それからイベント参加の呼びかけでイベントに行くのが主目的で付随的に物販もついてくるし、それは自由に選択できるというあたりは解釈論として明確にしておいて、通常の営業の中で行われている、社会的に問題なく行われている、これは含まないんだということをむしろ明記してもらうことはあっていいのだろうと思います。そのことと本当にお友達を装って入ってきて呼び出して急に勧誘し出すという不意打ち勧誘に対する規制として、電子メールまであって、SNSが入っていないというのはいびつになっているので、そこを加えるということと、2つの課題として残すということでいかがでしょうか。

○後藤座長 有山委員、お願いします。

○有山委員 賛成です。私は割合通販を使うのですが、通販のイベントについてはSNSでイベント広告をしてくるように申請がありますけれども、その申請を私は電子メールのほうがいいので、しないとちゃんと電子メールで勧誘がございます。その勧誘について私は何ら問題があると考えておりません。勧誘されて行ったイベントで販売員に取り囲まれたりとか、不意打ち的な勧誘を受けたときが問題だと思っています。手段についてなので、SNSと電子メールは余り変わらないと思っております。SNSを新しい手段に追加していただきたいと思います。

○後藤座長 ありがとうございました。

それでは、SNSについては追加するということで合意したということでよろしいでしょうか。

ほかに先ほど河野委員の御発言の中ではホームページ、インターネット広告という表現が出ておりましたけれども、電子広告、ホームページについてはSNSで議論した部分と重なる部分もあると思いますので、これらについても御議論をいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。池本委員、よろしくお願いします。

○池本委員 池本です。2つの観点から私はこれを入れていただきたいと思います。

1つは先ほど来、話題に出ている第7回の資料の7ページで、SNS以外の電子広告も非常に高いレベルで推移していますし、またふえてもいるということが1つ。もう一つ、考え方の問題として村座長代理が先ほど丁寧に御説明いただいた電磁的方法という言葉が相手の電子機器にデータを送り込むという以前の電子メールを想定した言葉になってしまっているのでSNSが入っていないというのはあるのですが、紙媒体のところはあって電子媒体のところが非常に狭くなっているということからすれば、それは入っていいのではないか。

前からおっしゃっている、危惧されているところは、一般の営業活動で広告を打っているのが知らないうちに規制になっては困るということはごもっともなことだし、そういう形になってはいけないと私も思いますから、先ほど申し上げた条件づけは両方に係ることとして、イベントなり通常の営業活動のものがちゃんと外れるようにガイドラインなり解釈として明確にしておくことを条件とすることが必要かなと思っています。

○後藤座長 ありがとうございました。

池本委員の意見書で「電子広告(ホームページ)」と出ているのですが、これは同じことと考えていいのですか。

○池本委員 いろいろな媒体の手段があるので、このあたり詳しくはないのですが、それも含めてという趣旨で書きました。

○後藤座長 ホームページも含めた電子広告というものについても、先ほどのSNSと同じ形で追加するということの御意見が今、出ましたけれども、増田委員、よろしくお願いします。

○増田委員 むしろホームページですと、書く分量がもっと広がるはずですので、物販がありますとか、何々を販売しますということを書くことができるかなと思います。そうすれば対象とならないと思いますので、そういう意味では電子広告を含めるというのは問題ではないと思います。

○後藤座長 よろしいでしょうか。では基本的に電子広告も含めてということでよろしいということですね。これも合意したという形で扱わせていただきたいと思います。よろしいですか。

(4)虚偽、誇大広告に関する取消権について

○後藤座長 それでは、次の論点に移らせていただきます。続きまして「通販販売の虚偽・誇大広告に関する取消権について」の検討に入りたいと思います。御意見、御質問のある方は御発言をお願いします。

佐々木委員、よろしくお願いします。

○佐々木委員 これは私のほうからも意見書を出させていただいております。

まず、そもそも論として虚偽・誇大という表現ですけれども、虚偽と誇大というのはまるっきり別のものではないでしょうか。虚偽はうそですから、うそは絶対に許されないと思います。誇大については今の特商法の中でも著しく異なるという表現がありますけれども、この判断というのは非常に難しいのではないかと思っています。消費者、購入された方と販売者の表現の中で、その相違があった場合、それをもってして誇大だと思った人はそれを唱えることによって取消権が認められることになりますと、客観的な基準が不明確な中でそれが違法であるということになると、非常に大きな論争になってしまうのではないかと思います。

現状、景品表示法が昨年2度にわたって改正されて、事業者の講ずべき管理上の処置というのは示されております。また、不当表示についての課徴金も課せられています。そういう規制に加えて特商法で誇大広告について民事ルールを導入するということは、現場が実際に大きく混乱するのではないかと思っています。

もう一つ、PIO-NETのデータですけれども、通販の苦情が非常にふえている中で何回か申し上げていますけれども、実際には苦情相談のうちの7割がネット通販、そのうちの7割がアダルトサイト情報、出会い系サイト。特に第7回でいただいている消費者庁の資料でも誇大広告に関する相談件数というものが出ていますけれども、2013年が飛び上がっているのです。これは私どももJADMA、通販協会で受けている通販110番でも2013年多かったのですが、これは詐欺的サイトの苦情が非常に多かった。これは前回の調査会でもPIO-NETさんの資料にありましたが、ブランド品を買ったら中国から商品が送られてきたという詐欺的サイトの例がありましたけれども、その例が多くて、その例が多かった年で3,800件なのです。そういう意味では誇大として実際にPIO-NETさんの中に出てくる数というのは非常に少ないのではないかと思います。その中で、それをもとにして立法することは非常に疑問だなと思います。

以上です。

○後藤座長 ありがとうございました。

少し確認させていただきたいのですが、佐々木委員のただいまの御発言で、冒頭に虚偽と誇大は区別すべきだというお話があって、虚偽は許されないという話で、誇大についていろいろ規制することは問題があるという御発言と承ったのですが、虚偽の場合はどのようにお考えですか。

○佐々木委員 虚偽は、事業者としての責任は当然とるべきだと思っています。

○後藤座長 責任をとるというのは、場合によったら虚偽の場合なら取消しもあり得るということですか。

○佐々木委員 そうですね。

○後藤座長 ありがとうございます。

阿部委員、よろしくお願いします。

○阿部委員 ここは理屈として、消費者契約法の結論に合わせるしかないのではないかと思っております。消費者契約法でももちろん議論されておりますけれども、例えば今、スーパーやコンビニでもチラシを見てネットや電話で注文すると送ってくれる。このチラシが直接お店まで行くときとネット、電話で注文するときと効果が違うということはあり得ないわけで、どちらかはともかくとして、決めるのであれば消費者契約法と同じという決め方しかできないと思います。中身として私はさらに景表法の関係とかいろいろな状況がありますから、すぐにはここで規制の対象にするのは望ましくないと思いますが、どちらであれ消費者契約法と合わせるべきだと思います。

○後藤座長 ありがとうございました。

ほかにございますか。池本委員、よろしくお願いします。

○池本委員 これも資料2-1の3から5ページで多少いろいろ書き込みましたので、御覧いただきながらお聞き願えればと思いますが、実は今、2人の委員の方からおっしゃった虚偽・誇大広告に取消権を入れるというのは余りにも拡散し過ぎるというのは前にも出た意見で、私はそれは非常に重たい問題だなということ。それから、消費者契約法の専門調査会も時々傍聴したり、あるいは議事録を拝見するのですが、さまざまな広告媒体がある、表現の濃淡もいろいろある、それを勧誘に広告を含むというようにすると外縁が見えなくなるという指摘、これも非常に重たいなと感じていました。

ただ、問題は特定商取引法と消費者契約法が同じ結論でなければいけないか。むしろ特定商取引法は問題となっている取引形態を取り出し、それで問題になっている違法行為を取り出して、それに対して行政規制を加えたり民事規制を加えたりという意味では全体一律の規律ではないので、要するに今、何が問題でどの範囲に絞ればいいのかというのは大胆に線引きをして絞り込んでいいのではないかと考えているわけです。

4ページの4ポツのところから少し説明させてください。まず、通信販売で利用する広告を規制対象で議論する。通信販売というのは広告を見て電話なりメールなりで申し込みをするという意味では、虚偽の広告とそれを見て申し込むということがつながっているわけです。例えばインターネットであれば、その広告画面にクリックボタンがついているわけですから、まさに直結しているわけです。そういう場面に絞るということで、どこかでチラシ広告を見て、お店に行って、途中でほかの情報が入るではないかというものとは少し違うのではないか。

(2)ですが、通販の広告規制はイメージ広告とか事業者名広告のようなものではなくて、商品等の販売条件について広告をするときが規制対象になっている。だとすると、商品等の販売条件について広告をするとき、その広告を見て申し込むわけですから、その広告に絞り込むというようにできるのではないか。

著しく事実に相違とか、著しく有利・優良と、確かにこの言葉でいきなり取消権というのはきついなと私も感じましたので、5ページを御覧いただければと思います。(4)ですが「通信販売業者が」「通信販売に係る売買契約等の締結について」「商品等の販売条件についての広告において」というところが今、説明したところですが、その「商品の性能・品質・内容、商品の代金・支払い方法、引渡し時期、契約解除に関する事項、その他省令で定める事項で判断に影響を及ぼす重要なもの」というように虚偽記載が一定の効力を発生するという事項を列挙して、それに対して「事実と異なることを表示し」「表示されたことが事実であると誤認し」「これによって契約締結の意思表示をしたときは」取り消せる。

実はこの要件立てというのは、現行法の訪問販売の取消しの条文がそうなっているのです。そういう形なのです。詳しくは申し上げませんが、下に条文を引用しています。9条の3が取消しの規定ですが、消費者契約法のような契約内容、取引条件という漠然としたものではなくて、6条を引用して、6条は次のページにありますが、第1項から第7項まで項目が具体的に書いてある。そういう項目について虚偽の記載をした場合、事実と異なることを表示した場合というようにすれば、まさにどういう事項について事実と異なる虚偽の記載をした場合という、ここも限定されればほとんど問題はなくなるのではないか。

これが著しく有利・優良をやめて今のようにするということで、最後に残るのはマル5の矢印のところですが、消費者契約法の専門調査会では、不利益事実の不告知あるいは不表示も取消しの対象にするかどうかが議論されていました。そのときに出ていた意見は、限られたスペースの中に不利益事実を全部書き込まなければトラブルになるというのでは、これは負担が重過ぎるという御意見でした。なるほどなと思って、そうすると事実と異なることを表示という積極的な虚偽表示に絞るかなという意味でマル5にはそう書いたのですが、私自身も迷っていまして、そうは言っても法11条には通信販売の場合は広告記載義務があるのです。これとこれは書かなければいけないというものがある。その中のさらに重要事項について書いていないために誤認をした場合というのはあり得るのかなということを考えています。ただ、現時点で自信をもって最低限これは言えるのではないですかというのは、マル5にあるマル4のような事項について事実と異なることを表示しという範囲内であればよろしいのではないか。

ちなみに消費者契約法では、当面は解釈の中であり得るということを示すことで対応し、広告媒体や種類などについての範囲は引き続き検討というようになっているので、結論は少し先送りになっているやに聞いています。だとするとトラブルが現実に発生する分野に絞っていくということは十分にあり得るのではないか。

そして、最後に虚偽の記載をした場合にこういう効果が発生するということであって、広告全部に一律の規制を加えるものではありませんから、健全にやっておられる事業者に負担を課すことにはならないはずです。特にこれだけ具体化すればです。そのように考えます。

以上です。

○後藤座長 ありがとうございます。

村座長代理、お願いします。

○村座長代理 消費者契約法の専門調査会でも議論しておられることや議論の経緯は私も承知をしております。ただ、特定商取引法は法律の目的とか制度の設計が消費者契約法とは異なります。消費者契約法の取消し制度とは別に、特定商取引法には通信販売と訪問購入を除けば独自の取消し制度というものが個別にあるという事情がありますので、消費者契約法の議論を待たなければいけないとか、その方向性に合わせなければいけないということには多分ならない。法律の制度目的だとか設計がそもそも別のものであって、現にそうなっている。訪問販売とか電話勧誘販売等は現にそうなっているということは、十分考慮されるべきことではないかとまず1つ考えます。

具体的にどうかということなのですけれども、やはり訪問販売について言えば9条の3と横並びで考えるべきではないかと私は考えています。というのは、例えば訪問販売、電話勧誘販売の場合だったら事業者の勧誘というところがあります。勧誘のところの説明に問題があって誤認をするから契約することになるという因果律でつながるという格好になりますが、通信販売の制度のつくり方というのは、通信販売というのは事業者からもらえる情報、情報格差がある中で事業者から消費者がもらえる情報というのは非常に重要なのですけれども、その情報は広告が全てなのです。そうすると広告による情報提供によって格差が埋まらない。誤認が引き起こされるということになるのだとすれば、訪問販売や電話勧誘販売等で不実告知や不告知があったときに不本意な契約を事業者のミスリードによって選択させられたという話になるわけですから、取消しができるという制度に結びつくのですけれども、通信販売の場合は広告の表示が不適正であって消費者が誤認をして契約を結ぶというミスリードが起こった場合には、同じ理屈になるのではないかと思うのです。

ただ、通販の場合には広告規制がありまして、虚偽・誇大広告はいけないということにはなっているのですけれども、取消しとこれを連動させるというのは私もやはりかなり無理だろうと思います。要は契約の選択を誤らせたという情報格差のところを問題にするということであれば、例えば訪問販売の9条の3と6条の1項、2項と並列させるというのが整合性のある話であろうと私は思いますので、誇大広告で取消しというのは私も今の段階では無理かなと。相当無謀かなという感じが私もありまして、広告規制に取消しを付与するのではなくて、9条の3プラス6条と同じような形でどのようなことについて不実の記載があった場合に、あるいは記載が明確になかった場合に取消しができるのかということをむしろ明確にする。多分、消費者契約法だとそこはかなり解釈に委ねるということで一般法ですからばくっとしたものになると思うのですけれども、特商法の場合は非常に厳格に具体的な基準を設けているというのが全体の特殊な構造だろうと思うので、むしろ広告規制に連動させるのではなくて、9条の3と並列するような取消し制度を導入するというようにするというのが現実的ではないかと考えます。

以上です。

○後藤座長 今の村座長代理の御意見は、基本的に池本委員の御意見と同じと私は理解したのですが、そういうことでよろしいですか。

○村座長代理 根拠は少し違いますけれども、結論は同じです。

○後藤座長 わかりました。

佐々木委員、よろしくお願いします。

○佐々木委員 今、お二人の委員の方のお話の中で、通販というものは通販の限られた広告だけで購入を決めているという議論がございましたけれども、実際には今の小売事業者はオムニチャンネル政策というもので、店頭も含めたいろいろなところで商品をコンタクトポイントをふやして、そのコンタクトポイントのどこでも購入ができるように進めよう。その1つが通販にもなっているわけです。ということは1つのものの購入を決める際に、消費者が実際にその通販の広告のみで購入を決めているかというと、今、違ってきているのです。いろいろなものを見ながら情報を集めて、例えば価格比較サイトというものは同じ商品の価格を比較して決めているわけであって、その中の1つの事業者の内容を見て決めているとは限らないわけです。もちろん返品条件とか送料とかいろいろあると思いますけれども、その中で比較をして決めているということで、1つの事業者の広告のみで購入を決定しているというのは、実際には即していないのではないかと思います。

もう一つ、訪販の9条もしくは6条に従って準用すべきという御意見がございましたけれども、ここの部分は6条も9条も主体は訪問販売もしくは電話勧誘販売という、ここの重要な要素は不意打ち性ということだったと思うのです。通販の場合は少なくとも購入者の意思においてカタログを見たり、ネットに行ってサイトを見ることで購入を決めていっているわけです。ですから基本の前提が大きく違うと思うのです。それで同じように準用するというのは無理があるのではないかと思いました。

あと、先ほど座長から虚偽の場合はどうされるのかということで、これは虚偽の場合は民法の原則に従って、これは詐欺と同じだと思いますので、したがって特商法で規定する必要はないのではないかと思います。

○後藤座長 野坂委員、よろしくお願いします。

○野坂委員 まず結論から言えば、通信販売の虚偽・誇大広告に関する取消権は現段階では議論が尽くされていないし、これはあり得ないと私は反対します。理由としては幾つかあります。まずもって消費者契約法の議論は私、詳細に見ておりませんが、先ほど事務局から複数回検討した結果、今回、現時点ではコンセンサスを得ることは困難であると考えられたというような流れになっていると説明がございました。消費者契約法の専門調査会でそれだけ何度も何度も議論をして、まだ結論が出ず継続となっているという非常に重い課題ということです。

一方、こちらは、先ほど佐々木委員が少し触れられていたけれども、立法事実のあるやなしやの議論も十分になされているとは現段階では思っておりません。これも以前議論しただけでありまして、本当にこの議論を深掘りするのであれば、やはりPIO-NETのデータをもう一度しっかり見て、どこに何の問題があるのか調べないことにはこの議論は進まないと思います。

先ほど村座長代理から消費者契約法の議論を待たなければいけないとか、その方向に合わせなければいけないということではないのだという発言がございましたけれども、これだけ大きなテーマであります。日本全体の通信販売の広告のあり方にかかわってくる問題ですから、拙速はよくない。そもそも論で言えば、何度聞いても虚偽とか誇大の線引きがわからないし、先ほど佐々木委員おっしゃったように虚偽と誇大の分類もわからないという状況。そして、池本委員も法律の条文に合わせた著しいという表現のところを、みずからわからないというように指摘されたけれども、要するに詰めなければいけないいろいろなテーマがある。そういう段階でこの専門調査会として一定の方向性を出すのは時期尚早である。したがって、消契法の議論もにらみながら慎重に対応するのが妥当なスタンスだと私は思います。

○後藤座長 ありがとうございました。

ほかに御意見ありますでしょうか。池本委員、よろしくお願いします。

○池本委員 資料2-1の私の発言レジュメの3ページを御覧ください。3ページの1ポツは消費者契約法専門調査会の11月27日、第22回調査会のときの議論状況を抜粋したものです。そこの中では賛成、反対両方意見があるけれども、消極意見の記述の中にも規制の必要性に関してはインターネットの普及などにより、現行の勧誘の要件が現実に合わないという事態が発生していることは理解できる。これは慎重意見の側の冒頭に出ていた指摘でした。その上でインターネットとかテレビ、ラジオ、カタログ、チラシ、要するに広告媒体は非常に多様であるし、内容や表現も多岐にわたる。したがって外縁の予測可能性を損なうおそれがあるということ。それから、広告スペースが限られていて、不告知まで加えるというのは現実には対応ができなくなる可能性が高いという、こういうことが論点になって、方向性というのは11月27日のここに書いたものをそのまま引用したのですが、当面は消費者契約の締結について勧誘するに際しという文言を維持し、その解釈や個別具体的な事案における適用に委ねることとして、取消しの規律の適用対象となる行為の範囲については、今後の検討課題として位置づけることとしてはどうか、とした。

つまり一定のものについて、特にインターネットなど一定のものについて取消しの対象となり得るということはあり得るし、必要性もあるし、解釈としてもそういうことはあり得る。広告だから一律に適用にならないということではないのだ、というあたりまではある程度議論が尽くされた上で、ただ、消費者契約法ですから範囲が非常に広いので、そのあたりどうするんだというのが宿題として検討課題になったと理解しています。だからこそ思い切って絞り込んで、ここまで絞っていいかというぐらいに最大限絞ったつもりなのです。しかもその絞り方というのは訪問販売、電話勧誘販売、不意打ち勧誘だから規定があるわけではないと思います。というのが特定継続的役務提供というエステティックとか英会話教室は店舗契約も含めて適用対象になる。特定継続的役務提供にも同じような取消しの規定が入っていますから、これは事実と異なることを告げたことによって判断を誤らせて契約した場合は取消しを加えよう。それがネットを中心とする通販の世界でもそういう事態があるから今回加えてはどうかという意味で、その意味ではここでの議論あるいは消費者契約法での議論の両方を最大限受けとめたつもりではいます。

○後藤座長 ありがとうございます。

阿部委員、よろしくお願いします。

○阿部委員 これは消費者庁、消費者委員会に伺いたいのですが、同じ広告、例えばスーパーのチラシを見て店舗まで行って購入した場合と、ネットか電話で注文して配達してもらった場合で、広告は全く同じものである場合に、片方の取引のみ指示の対象にならないということはあり得るのですか。

○消費者庁桜町取引対策課長 済みません、今おっしゃられた範囲は景表法の範囲なのかもしれませんけれども、特商法でということでは恐らくないのではないかと思います。

○阿部委員 もう一度確認で、現実に今、大手のスーパーやコンビニで通常のチラシをもとに注文配達というシステムがかなり普及していますね。これは業態としては通信販売ですよね。店舗まで行って買ったときとネットあるいは電話で注文されたときと違うことはあり得ていいのでしょうか。

○後藤座長 池本委員、よろしくお願いします。

○池本委員 それはもちろん法律のたてつけが、特定商取引法はトラブルの多い取引形態を取り出して、それに対して一定の規律を加えているわけですから、その取引形態部分で違法な行為があったときには特商法の規律を受ける。ただ、同じ違法行為があったものが店舗取引の形で注文したものについては消費者契約法なり民法の問題になる。ただ、消費者契約法ではそこまで規律がなければ、そこは規制対象にならないという段差が生じるというのは当然あり得るし、それは法目的が違うので容認されることだろうと思います。

○後藤座長 いかがですか。高芝委員、お願いします。

○高芝委員 誇大広告とか表示を考えますと、それに対する規制は他の法律でも同様の規制がなされているところがあろうかと思います。その意味では、通信販売に固有の問題とは言えないと思いますので、通信販売について独自の規律を設けることが適切であるかどうかについては、他の法令の議論の行方も踏まえて、全体的に丁寧に検討していくことが適切と思っています。

以上です。

○後藤座長 ありがとうございました。

沖野委員、よろしくお願いします。

○沖野委員 まず阿部委員の御指摘について、事案を正確に理解しているかどうかわからないのですけれども、例えば時節柄おせちのチラシを見て、このおせちだろうということで購入する場合に通販のルートを行った場合と、直接店舗にそれを持っていって、このチラシですねといった場合とで取消しの有無が違ってくるのかという点ですけれども、それはそれぞれの法解釈だと思いますが、因果関係が確認できる限りにおいては、消費者契約法においてもそれは解釈問題としてまさに売主作成のチラシに載っている商品であるということによって契約をしたのであれば、なお取消しの対象になるのだと思います。

それぞれの法解釈によるということだと思いますけれども、それはそういうことではないかと思いますが、消費者契約法における議論との関係ですけれども、最終的には池本委員がおっしゃったとおりではないかというところに帰着するのですが、その消費者契約法自体の議論の中では、勧誘と広告の問題をどう考えるかという点については、この問題は特商法で対応すべきであって、特商法でまさに議論すべき問題だという御指摘もあったわけです。しかし、消費者契約法でも受ける問題、特商法は特商法として、消費者契約法は消費者契約法として両方が重なるということであったとしても、それぞれ対象や考え方が違うのであるから、両方で規律が置かれるということになったとしても、それ自体は問題はないはずであるという認識で始まっていたと思います。ですから消費者契約法で見送られたということが直ちに特商法でも見送るべきだということにはならないと思います。

消費者契約法の場合の議論ですけれども、まず勧誘との関係では広告という一事をもって勧誘ではないということにはならないという点は確認されていて、しかし、どういうものが取り込まれるのかという点についてのより詳細な議論というものをもう少し詰めていくべきではないかというのが現在の取りまとめの方向だということだと理解しています。だからこそ現在の消費者契約法のとりわけ消費者庁の解説がやや誤解を招くところがあるのではないか。そうだとすると解説できっちりその点は書き、解釈でも対応できる部分があるけれども、より今後の課題としてその部分も詰めていくという作業が残っているというのが現在の理解ではないかと思っております。

そうだとしますと、このまま置かれると消費者契約法でいいでしょうということになりますと、今のところ解釈で全部展開していく。およそ広告だと除かれるということではないですので、そういう法状況がいいのか、また、民法の詐欺でということですけれども、全部、詐欺でいくならば消費者契約法も要らないではないかという話にもなるわけですので、もちろん詐欺には詐欺の規律としての特殊性があるわけですから、民法で対応可能性があるということが当然に特商法等による規律を不要とはしないというのは、出発点として確認をしたいと思います。

そして、消費者契約法においてはまだ今後の検討がなお必要であるとされた際の広告イメージなのですけれども、そこでは非常にさまざまな広告があるということが言われまして、中にはイメージ広告というものもある。もう一つ、消費者契約法になりますと不実告知のほか不利益事実の不告知という類型もございまして、そうすると広告に全てを書かなくてはいけないのか。文字で埋まった広告しか書けないのかというような御指摘もありまして、そういった部分への懸念というものがあったということがあります。

しかし、特商法ではむしろ両者のいずれの点においても絞り込みがされています。そもそも広告については現在の規制自体が、池本委員が御指摘のように販売条件、役務の提供条件となっています。広告規制というものを一旦置きまして、むしろ不実告知の問題なのだとしますと、まさにそこをさらに絞り込むという可能性もあるわけですので、そういった観点から規律を置くというのは、消費者契約法で広告について懸念された事項とはかなり性質の違う事項ではないかと思います。

その上でどう考えたらいいかというのは池本委員が御指摘になった、あるいは御提示になったようなところを基本として考えることが適切ではないかと考えておりますけれども、その前提といたしまして一番最初に佐々木委員が非常に問題点を明確にしてくださいまして、この取消権の規律とあわせて考えるときには誇大広告と虚偽広告を一緒にしてはいけないんだと。誇大広告は置いておくべきではないか。虚偽広告に当たるものについて、また、より正確に言うと広告自体をどうするかというよりは、まさに消費者契約法で言われるような勧誘に際し通信販売型における情報提供が広告という形でされるために広告に着目しているだけであって、問題の性質はそういうところにあるのだろうと思います。ですから野坂委員がおっしゃったような虚偽と誇大では切り分けが非常に難しいとか、誇大というだけで取消しを認めようとしていいのかという点については、むしろ誇大広告は置いておいて、虚偽のほうに問題を絞り込んだ上で取消権とセットにした形で契約締結過程における適正化や特商法における通信販売の規律の趣旨、目的を達成するための規律のあり方というものを論じていくのがよろしいのではないかと思います。

○後藤座長 どうもありがとうございました。

ほかに御意見はございますか。佐々木委員、お願いします。

○佐々木委員 原点に返るという意味では私が一番最初に述べましたように、誇大広告に関する相談件数、これは第7回の資料ですけれども、この資料の16ページについておりますが、この数が詐欺サイトも含めた内容だと思いますけれども、この内容が立法するべきだけの先ほど沖野委員もおっしゃっていましたけれども、そういう被害が出た場合に対処するということであるのであれば、被害がそれほど件数に応じたインターネット通販を含めた件数を考えると、その件数の中で400件というものがそれに値するのかということを、もう少し御議論すべきではないかと思います。

○後藤座長 ありがとうございました。

今の御指摘についていかがでしょうか。池本委員、よろしくお願いします。

○池本委員 今おっしゃった相談件数で400件ほどではないかということ。もちろんこういう虚偽広告というような相談は余りこれ以上ふえてほしくないところですが、逆に一律規制で例えば前回まで議論していたような勧誘の事前拒否制度のように、これからどういう勧誘を始めるかわからないところで入り口で規制をするということであれば、そこまでやる立法事実はどれだけ大きいのかということをもう少し慎重に議論するということはよくわかりますが、これは結果として虚偽の広告を出したものに絞ってこういう効果を与えようということですから、それこそ400件ではなく、あるいはその中の200件かもしれませんが、そういうものに限り効果を与えるという事後的な規制の手法なので、現にそういうものがあるし、全体の相談件数からしても伸びているという事実からすれば、やはり措置をしておく必要性、相当性はあるのではないかと考えてよいのではないかと思います。

以上です。

○後藤座長 ほかに御意見はございますか。増田委員、よろしくお願いします。

○増田委員 虚偽の広告を事実と信じて契約をすることになります。基本的には私は誇大広告かどうかというのも事業者であればある程度わかると思うのです。事業者の方であっても一消費者であるわけですから、一消費者の目で見たときに誇大かどうかというのは、情報をいっぱい持っている立場である事業者であれば、その誇大の線引きというのは消費者よりもよく御理解されていると思います。そこのところが非常に曖昧だということであって、虚偽広告ということに絞って言うのであれば、虚偽かどうかというのは十分にわかった上で広告をしているわけだと思いますので、そこを規制することについて件数がどうかということを考える必要性は全くなくて、やってはいけないことなのではないかと思います。これについては方法としては池本委員のおっしゃられていることに賛成いたします。

○後藤座長 河野委員、よろしくお願いします。

○河野委員 佐々木委員がいろいろ御懸念されていることは、私もそれなりに理解はしています。恐らく通販事業者の佐々木委員のところにいらっしゃる通販協会の事業者の皆さんは、全くもって事実と異なることを広告に書くというようなことはない。だからこそ先ほどのように自信を持っておっしゃっているのだと理解しました。

ただ、一方では世の中に事実と異なることを表示して、消費者の合理的選択において非常に重要である誤った情報提供をしている。それで被害を受けている消費者もいるということを考えると、このことが適用されることは悪質な事業者を間違いなくピンポイントで排除していくことにつながると私は考えたわけです。

つまり、要件をしっかり決めて、事実と異なることを表示して、表示されたことが事実であると誤認して契約した購入者に対してこれを取り消すことができること、これを通販に入れるということは通販業界に対する見方がすごくクリアになるし、こういったことをちゃんと担保してくれている通販ならば、今まで何となく不安だったけれども、商品購入に積極的になれるというか、臆病にならずにしっかりと表示され提供された情報を読んで合理的な判断をしていこうということにつながるのではないかなと思いました。そのあたりはどういう御見解を持っていらっしゃるのか。つまり悪い事業者を的確に排除していく、退場させるという意味で、これはワークしないかどうかというところで御意見をいただければと思います。

○後藤座長 佐々木委員、よろしくお願いします。

○佐々木委員 販売するものというのは商品というのはどなたかが、メーカーがつくっていたりするわけです。これは販売者が意図していないけれども、例えば製造者が偽っていたということというのはたまにあるのです。

実は私、事業者としてやっていて中国から輸入したカシミヤ入りの布団というものを販売していたら、カシミヤが入っていなかったというものが後でわかったので、購入者には全部そのまま使っていただいて返金をした経緯があります。そのときは我々も知らなかったですけれども、そういう意味では結果としては虚偽だったということで事業者としての責任をとったわけですけれども、販売している人間が全部をコントロール、製造のコントロールを必ずしもできないという1つ実務の問題としてはあるのではないかと思っています。もちろんそれを意図してやるということはないですけれども、その場合、実は課徴金の設定のときも私がヒアリングを受けて、その実例をお話して、課徴金の場合は返金処理した場合にというのが1つ加わった経緯があるのですけれども、そういう意味では販売者として通販事業者が意図していないケースが実際には起こり得るかなというのは思っています。

○後藤座長 ありがとうございました。

有山委員、よろしくお願いします。

○有山委員 現場で虚偽とか誇大ということになると、今、佐々木委員がおっしゃったようなものばかりではありません。印刷物、何々に関するノウハウを通信販売で売っている。購入したものは5万円ぐらいするものですから大変立派なものが届くかと思ったらA4、1枚だったという相談があります。虚偽・誇大と判断したいものがたくさんあります。私たちはそういうものを何とか排除して真っ当な事業者さんと区別したいと思います。車なんかの販売ですとメーターの巻き戻しですと、最近は簡単に取消しという形になりますので問題ないのですが、実際には印刷物と言われて5万円という価格がついていると取消しは難しいです。この本を買っていただくと蓄膿症が治る。1日10分の作業で治るという本もありました。治った人の体験談がずっと何百人分書かれているような広告等も体験談も事実ではない、虚偽・誇大広告に当てはまると考えると、そういう非常に問題のある業者さんを排除するような形の制度をつくっていただきたいと思っております。それは基本的に特定商取引法ですから、明確に取消しができるようにしていただきたいと考えております。

○後藤座長 ありがとうございました。

野坂委員、よろしくお願いします。

○野坂委員 先ほど佐々木委員の説明を聞いていて、恐らく佐々木委員の通信販売協会に加盟されている企業は、今ですらしっかりルールを守って虚偽広告とか誇大広告というケースは全くゼロかほとんどないか、そういうレベルだと思うのです。我々は常に誰が悪いやつで、その悪いやつをどうやって封じ込めるかというところが基本ラインだと思っています。

そういう意味で先ほど来、出ているデータ。佐々木委員の資料2-3にも出ています。大半がアダルトサイト情報とか出会い系サイトとか海外からのものもあるかもしれないけれども、そういった悪い連中のデータが積み上がっていて、それを理由に通信販売協会加盟の真っ当に普通に健全に事業されている方だけが不利益を受けるような規制というのはあり得ないと思います。

先ほどどなたかが、件数はどうかで考える必要はないという発言をされましたけれども、これは乱暴だと思います。立法事実があるのかないのか、そこをしっかり詳細に分析した上で必要最低限の規制を導入する。それが本来、我々はあるべきポジションだと思っておりまして、今、聞いていますと確かにいろいろなアダルトサイトとか出会い系サイトとかによる虚偽あるいは誇大広告が一部ではあるのでしょう。しかし、それをもって一気に規制って常にそう飛び跳ねてしまうことは危険だと思っています。一般の事業者に非常に不利益を被るような規制は私は反対したい。改めて表明したいと思います。

虚偽、不実告知の話でずっと出ていますけれども、Aさんにとってはこれはいいと思っても、Bさんにとってはこれは虚偽だというように感覚によって違うケースもあるのかなと思います。その線引き、何をもって虚偽か、何をもって虚偽広告によって購入してしまったか。その辺の線引きが本当に果たしてしっかりできるのかなというところも不安に思っています。

いずれにしましても一方的な、よくまだデータ分析ができていない段階で一気に規制導入ということについては、改めて私は反対をしたい。佐々木委員に賛成です。

○後藤座長 沖野委員、よろしくお願いします。

○沖野委員 佐々木委員の御説明が大変明快で改めて感謝申し上げたいと思いますけれども、しかし、その御説明から野坂委員のような結論に至るのかということが私にはよくわかりません。

と申しますのは、先ほどのカシミヤ入り商品の例ですと、消費者としてはカシミヤ入りであるからということで購入するというのは通常考えられることであるところ、しかし、実はそうではなかった。しかし、それ自体には販売業者はコントロールできなかったというものですが、そのことはでは消費者が負担すべきだということになるのかというと、そうではなく、しかも佐々木委員が説明してくださった処理は取消権を認める以上の利益を与えているわけです。すなわち商品は使い続けていただいた上で返金処理をしている。ですから協会に加入するような優良な方は取消権行使の結果以上のサービス提供をされていて、だからこそ協会の業者さんであれば安心であると、たとえもとの後ろにいる製造業者の情報提供の仕方が不適切であった、あるいは意図的だったかもしれませんけれども、そうだとしても消費者は安心して買ってよいという制度をつくっておられるわけです。

そうしますと取消権の導入あるいは明文化というのはそうではないような、今やっていない人に対してきちんとやるようにということになるわけですから、善良なきちんとした事業者の方にエキストラの負担を課すのではなくて、現在のプラクティスをむしろそのまま続けて充実していってくださればよいのであって、それをやっていないところにきちんとやってくださいという話になるのではないでしょうか。

また、虚偽性というものが人の主観によるという点ですが、人の主観によらないというものにいかに絞り込むかというのをやっておりますし、消費者契約法はそうですし、今回の池本委員の御提案もまさにその点を考慮してどういった点に虚偽があるのか。虚偽というのはそもそも事実と異なるということですので、人によって事実が異なるというようなものは入れないというのが基本であると思いますので、その点についての考慮は既に提案の中に入っていると思います。

以上です。

○後藤座長 ありがとうございました。

まだ御発言の希望がおありだと思いますけれども、時間がもう過ぎておりますので、この段階でまとめさせていただきたいと思います。

虚偽・誇大広告の取消しについても重要な議論展開がここでなされたと思います。最終的に取消しを認めていい、認めるべきだという意見が私から見ると多いと思いますけれども、なお反対の意見もございますので、ここでの取りまとめとしては取消しを認めることに賛成の意見が多いという形でまとめさせていただくということでよろしいでしょうか。

○佐々木委員 取消しについては、村座長代理も含めて御同意はされていないと私は理解しましたけれども。

○後藤座長 村座長代理は取消しについて同意しているということですね。

○村座長代理 はい。池本委員と同じ意見です。

○佐々木委員 ただ、御発言の中で取消しまでしてしまうのは余りにもという御発言があったと思いますけれども。

○村座長代理 それは誇大な広告です。

○後藤座長 そこを修正した形で池本委員が意見書を出していまして、それについては村座長代理は基本的には賛成だということですね。ですからそういう意味で取消しを認めることについて賛成する意見が多いということで、特に反対はありますでしょうか。

済みません、それでは手を挙げていただいた方は、そういう取りまとめには反対だという御意見ですね。

○鈴木委員 条件があります。

○後藤座長 済みません、そういう意味でまだ収れんはしていないという状況でありまして、ここにつきましてまとめ方が難しいのですけれども、取消しを認める意見が多いと私は考えたのですが、それに反対であるという方もいらっしゃると思いますので、もしそこの部分で賛成者が多いということの取りまとめはよくないということであれば、ここについては意見の一致が見られなかったというまとめにしますけれども、それでよろしいですか。

○池本委員 条件があるとおっしゃって、要するに何か収れんできる可能性があれば見直す余地はあると思うのですが。

○後藤座長 では、鈴木委員、おっしゃってください。よろしくお願いします。

○鈴木委員 具体的な基準があるべきだと思うのですが実際は誇大表現、誇大とは何かというところについては皆さんがおっしゃっているように具体的な基準が非常に作りがたいと思います。その部分についてまだ議論がし尽くされていないという点、ようするに誇大とは何かという定義を作ることが出来ない以上、私は反対です。

○後藤座長 野坂委員、よろしくお願いします。

○野坂委員 要するに何度も言っているように、これは議論が尽くされていないわけです。7回にちょろっと議論をして、今、取りまとめるために議論しているのだけれども、事実の確認についての詳細な分析もできていないし、今どうあるべきかという話についてだっていろいろな疑問点、課題いっぱいありますね。それをここで何か強引に「多かった」とまとめるのは乱暴過ぎると思います。それは事実、もしここで閉めるのであれば「意見は一致しなかった」、それしか書きようがないのではないですか。

○後藤座長 まとめをどのようにするかということについて、私自身も迷っておりますけれども、先ほど申し上げましたように、私が見たところでは、取消しを認めるということについての御意見が多かったと認識しておりますけれども、そのことについて御異論が出ておりますので、結果として一致がないというまとめにせざるを得ないと思っておりますが、それでよろしいですか。沖野委員、よろしくお願いします。

○沖野委員 多かったということであったとしても意見の一致はないのだと思うのですけれども。単純にただ一致がなかったということではなくて、池本委員が具体的に示されたような考え方が示され、それに対しては一定の賛成があったり、あるいは条件をもう少し設定して、このあたりを絞り込むならばできるという考え方もあったが、他方で事実自体の確認がいまだなされていない段階では、議論としての取りまとめは時期尚早ではなかったかという御意見もあったという形で、単に一致しなかったということだけではなくて、もう少し内実を示していただいたらいかがでしょうか。

○後藤座長 わかりました。済みません、時間の関係で少しまとめを急いだということで拙速だったと思います。私も単に一致がなかったという表現にしたくなかったのは、今、沖野委員がおっしゃったような内容で審議が進んだということを言いたかったということでありますので、繰り返しませんけれども、沖野委員がおっしゃったような内容のまとめでよろしければ、ここでのまとめにさせていただきます。よろしいでしようか。

それでは、引き続きこの3つの問題について、本日の議論を踏まえて最終的な取りまとめの文言について次回以降に御議論いただくことにしたいと思います。

最後に事務局から事務連絡をお願いいたします。


≪3.閉会≫

○丸山参事官 本日も長時間熱心な御議論どうもありがとうございました。

次回は12月14日、月曜日、14時からの開催を予定しております。よろしくお願いいたします。

(以上)