第3回 特定保健用食品等の在り方に関する専門調査会 議事録

日時

2015年12月3日(木)16:57から19:20

場所

消費者委員会大会議室1

出席者

【委員】
寺本座長、梅垣座長代理、迫委員、清水委員、野々山委員、原委員、矢吹委員、唯根委員、吉田委員
【オブザーバー】
消費者委員会 阿久澤委員、国民生活センター 宗林理事
【参考人】
消費者委員会新開発食品評価第一調査会 座長 大野泰雄委員
消費者委員会新開発食品評価第二調査会 座長 山田和彦委員
消費者庁食品表示企画課 赤崎課長
【事務局】
黒木事務局長、丸山参事官

議事次第

  1. 開会
  2. 特定保健用食品等の制度・運用について
  3. 閉会

配布資料 (資料は全てPDF形式となります。)

≪1.開会≫

○丸山参事官 定刻より若干早いですけれども、皆さんおそろいですので、始めさせていただきたいと思います。

本日は、皆様お忙しいところをお集まりいただき、ありがとうございます。ただいまから、「特定保健用食品等の在り方に関する専門調査会(第3回)」を開催させていただきます。

本日は、所用により中村委員が御欠席ということで、9名の方に御出席をいただいております。また、オブザーバーといたしまして、独立行政法人国民生活センター、宗林理事、それから消費者委員会、阿久澤委員が御出席となっております。

参考人といたしまして、本日は特保の制度・運用に関する御意見をいただくため、消費者委員会新開発食品評価第一調査会座長でいらっしゃる大野泰雄先生、それから評価第二調査会座長でいらっしゃる山田和彦先生においでになっていただいております。また、特保の制度・運用の状況を所管している消費者庁食品表示企画課、赤崎暢彦課長にも後ほど御出席をいただく予定です。

では、配付資料の確認をさせていただきます。議事次第の次に資料1、2、3、参考資料1となっております。このほかメーンテーブルのみですけれども、前回会議で御確認いただきました検討事項、審議スケジュールの資料を参考として置かせていただいております。不足がございましたら、事務局のほうまでお申しつけください。

それでは、以降の議事進行を寺本座長のほうによろしくお願いいたします。

≪2.特定保健用食品の制度・運用について≫

○寺本座長 それでは、議事に入りたいと思います。

本日は、「特定保健用食品の制度・運用について」ということで議論を行いたいと思います。初めに、参考人として出席いただいております消費者委員会の新開発食品評価第一調査会座長の大野先生、それから第二調査会座長の山田先生のお2人から、特保の個別審議を行う上で感じている制度や運用に関する問題点について御意見を伺いたいと思います。その後、消費者庁から制度・運用に関する現状と検討状況についてヒアリングを行った後、本日のテーマについて、資料を御提出いただいている矢吹委員、原委員から御意見を頂戴します。

前回同様、各ヒアリングの後、その内容に関する質問の時間を設けますが、大野先生と山田先生の御質問は、お2人から御意見をいただいた後、合わせてお願いしたいと思います。委員・オブザーバー間の議論はヒアリングが全て終了した後にまとめて行いますので、その点、よろしく御了承いただきたいと思います。

それでは、まず大野先生から、申しわけございませんが、10分程度で御意見をいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

○大野委員 大野でございます。このような場で意見を差し上げることができて、どうもありがとうございます。

特保について私が特に思っていること、その一番大きなところは、特保というのは、当然のことですけれども、国による認可が与えられるものであるということです。有効性・安全性について、それを認めて認証するということで、私はそのことは非常に重いものだと考えています。重いものであるからこそ、その判断は正しい科学的データに基づいた適切なものでなくてはいけないと考えています。そういった面から、幾つか意見を申し上げさせていただきたいと思います。

まず、私が思っているのは、有効性については、まず非臨床での薬理学的証拠、薬物動態学的な証拠、その他の証拠、品質とかそういったものを含めて、そういった面での証拠から、ヒトでの有効性が示唆されるものでないといけない、サポートされなければいけないということですけれども、それに加えて、臨床試験で当然有効性を示すデータがなければいけない。ただ、その有効性というのは、単に統計的な有意差がついたということではなくて、消費者にとって有益であるということが推定できるようなものが必要であると考えております。

それから、私が不思議だなと思うところは、有効性の評価の段階で、また安全性の評価の段階にも絡んでくるのですけれども、有効性を示すための試験と安全性を示すための試験、それで同じパラメータを使っていても、有効性を示す試験では有意差が出ていると。でも、安全性をチェックするための試験では、その同じパラメータで差はないことが多い。それは、特保の考え方から言うと、必要な人には差が出て、健常人も含めた一般の人では差が出ないということが安全性確保という面では合っているのですけれども、ふさわしいのですけれども、感覚的にそんなことはあるのだろうなということはいつも思っています。これはちょっと余分かなと思いますけれども。

それと、安全性に関して思っているのは、安全性評価の段階で、長期の安全性試験、がん原性試験などについて、農薬とかそういったもので要求されているものより、要求する項目が少ないわけです。それは、特保の考え方で長い食経験があるということでそうなっているわけですけれども、その食経験の評価が本当に厳密にされているのかどうか。単に、昔から漢方の古い本に載っているとか、アユールヴェーダに載っているとか、そういうことを大きな根拠とした主張は適切ではないだろうと思います。もちろんそういうものを踏まえて、食品安全委員会で、有効成分については、関与成分については審査されておりますので、安心して審査に関与しているわけですけれども、一方で、食品安全委員会で安全性について結論が出せないようなものについて、機能性表示では認可されているというところがあって、何か矛盾を感じるところがございます。

データの信頼性ということですが、私は機能性表示の場合とか、また今回の特保についても、論文データを主に参考にして評価する場合が多いわけですけれども、私の経験とか世の中のことを見回してみると、科学論文というのは絶対過ちがないということはあり得ないです。皆さん御存じのように、そういう問題が最近では理研でもございましたし、私の経験の中でも幾つもございました。

そういうことで、少なくとも特保の審査にかかわるデータに関しては、論文も必要ですけれども、その根拠となったデータ、特に臨床試験に関しては、GCPの基準にのっとってやられて、それから試験計画書とか最終報告書、そういうものを見てデータの確認をしたいと思っています。

それをやらないと、論文データというのは、私の経験でも論文をなるべくコンパクトにするために必要なことだけを書くということが原則ですので、ほかの人にとっては必要なデータでも削除することがよくあります。そういうことで、全部を含めたデータを最初から見せていただいて、それで審議すると、私どもは安心しますし、また論文を見てから疑問点をただすために試験計画書を出してくれとか、そういった要求による時間のロスがなくなるのではないかと思っています。

それから、繰り返しになりますけれども、論文は著者の意向が強く反映されていますので、企業が作成したものについては企業としての考えが強く反映されているというのは当然なわけで、そういったもののみを参考にして評価したり、消費者に判断してほしいというのは、ちょっと足りないのではないかと思っています。もちろんGLPにのっとったり、GCPにのっとった試験データでも、それは専門家が見て判断しないと適切な判断はできないわけですね。根本的なミスをおかしている事例もGLP試験で何回かみたことがございます。病理診断なんかだと、必ずピアレビューをしたデータ、別の立場の人が見たデータでないとその判断は認めないというのは、アメリカの医薬品の承認審査では一般的になっています。そういうことで、全体的にデータの信頼性の高いものに基づいて、調査会では審査したいと思っています。

それから、機能性表示が出たということがありますので、それと特保とどんな差があるのだろうと考えた場合、審査のレベル、審査のハードル、有効性とか有用性のハードルがきちんと、本当に消費者に有用であるということが確認できるようなレベルにしたいと思っています。また、そうしない限り機能性表示との差がなくなってしまうだろうと。差がなくなってしまえば、特保の存在意義が問われるのではないかと思っています。今までのレベルと比べて厳しくなるということもあるかもしれませんけれども、それは世の中の進展に基づいて判断のレベルが変わるのは当然だろうと思っています。

既承認品目についても、過去についてはレベルが場合によっては現在よりも低いことがあったかもしれない。でも、そういったものについては、新しいデータが出て、それで有用性なり安全性に対して疑問を呈されるという場合には、当然見直すということができるようなシステムが必要なのではないかと思っています。

それから、企業の皆さんが特保の審査が長いといわれているようですが、私どももそういう意見を間接的に伺うこともございますけれども、それについては委員会審議のあり方について、私どもも改良していきたいと思っています。

具体的には、審査委員を専門領域に応じて選んでいただいて、また審議において役割分担をして審査をするということ。それから、新規品目についての最初の会議のときにきちんとした意見を出していただいて、それに基づいて審議をするという形で、効率化を図りたいと思っておりまして、それは最近始めたところでございます。ただ、徹底はまだでございます。

ただ、これについてもう一つ申し上げたいのは審議品目数が多過ぎると思います。とても十分に見切れないのです。後になってから気がついたりとか、そういう可能性も多くなると思っています。ですから、新規品目を3つも4つも挙げられてしまうと、委員の先生方は当然ボランティアでやっていて、専門の本来の仕事をやっている上で見なければいけないということがありますので、申しわけないなと思っています。一方、そういうふうに審議品目として予定されていても、実際の調査会での審議では全部審議し切れなくて残してしまうということがたびたびございます。そういうことで、審議品目数を適正にしていただきたいと思っています。

もう一つは、審議品目が、これは専門の先生に集まっていただいて審議しなくてもいいのではないかというようなことも時々ございます。事務局で、今まで既に許可された品目、有効成分について同じような効能で審査に上がってくるのがたびたびございます。そういったものは、どこに線を引くかという問題がありますけれども、なるべく事務局の審査で許可できるような形にしていただくと、調査会に上がってくる品目が少なくなって、より能率的で、また深い審議ができるのではないかと思っています。

そういうことで、私としては行政による認可というのは非常に重いものと考えて、それにふさわしい質の高いデータをもとに審査をしたいと思っています。

今、消費者が自己責任で選択するという考えがございますけれども、消費者教育が十分かという問題がありますけれども、実際の論文とかそういうことまで消費者に判断しろということは不可能だと思っています。

では、どうしたらいいかということですけれども、業界団体とか消費者団体、国立の研究所とか、そういうところの役割が重要なのではないかと思っています。そういうところでまとめて公表する。そこでまとめたものを理解して説明するという役割は、薬剤師なり、アドバイザリースタッフが持っているのではないかと思っています。そういうところに正しいデータを出せるような、そういう状況になったらいいのではないかと思っています。と申しますのは、企業の承認が得られた情報しか公表できないというところもありますが、それでは消費者に与えるデータとしては限られてしまうのではないかと思っています。

以上でございます。

○寺本座長 大野先生、どうもありがとうございました。

それでは、山田先生からお話を伺って、それから御質問ということにしたいと思いますので、山田先生、また10分ぐらいでお願いしたいと思います。

○山田委員 第二調査会の座長をしております山田でございます。この二、三年特に感じたことになるかと思いますけれども、幾つか私の意見をお知らせしたいと思います。

1つは、これは意見というよりは、特定保健用食品というもの自体が今から20年くらい前にできたのですけれども、これはやはり食品のことであっても、私たちの一般社会の行動の自由とか表現の自由、そういうものを確保するべき、守るべきということはいつも考えながら両サイドから思っております。

それから、当初、特定保健用食品は、今でもそうですけれども、やはり食事をすることによって、自分の食生活が果たしてこれでいいのだろうかということを見直す一つの機会というか、道具にしていただきたいものとして、この食品が上手に利用され得るかどうかということは、私以外にも調査会のメンバーは考えながら議論しております。

もう一つは、数年前に厚労省から消費者庁へ管轄が変わった、そのときの審査基準の継続性というものがきちんと伝わっていないような気がいたします。それは、たまたま私は前からずっといるということで、あのときの決め方とこのときの決め方、決め方というより基準ですよね、そういったものが少し前後している場合には、以前はこうだった、ただ社会が動いたから今はこういうふうな視点で行いましょう、そういう流れがあるという点はあります。そのところは、事務局サイド、これは消費者委員会も消費者庁も含めてですけれども、以前の厚いブックだと思いますが、議論してきた過程、そういったものをもう一回きちんと集め直すということが必要だろうと思います。前のことはもうわからないでは、私たちも言いようがないということが一つあります。これは予算もあり、いろいろな行政の機構もあるので、一概にさあやってくださいということは言えないと思いますけれども。

それから、第二調査会の場合はおなかの調子、歯や骨代謝ということは前からあるけれども、それ以外にその他がみんな来るわけです。そうすると、いろいろな成分が入ってきて、関与する成分の分析方法とトレーサビリティーでしょうか。実際にこれをきちんと規定どおりにプラスした食品として品質保証できるのかどうかという、それが関与する成分の効力によるという考え方に立ってですけれども。

それから、2番目として強く感じるのは、前から言っていることですが、やはりパブリシティーが少な過ぎる。今は機能性表示食品のほうはPDFファイルでどかんと載っけるということで保証されていますけれども、特定保健用食品の場合は、もちろん企業秘密の部分が幾つかあると思います。でも、関係論文というのはもう既にペーパーになっているか、あるいはペーパーとしてアクセプトされているということまで言っているのですから、多くの専門家がこの商品の有用性を見るためにはパブリシティーを隠し過ぎだと思います。これは絶対に、今後こう考える場合には多くの医療関係者がそれを見てどうかな、とか、ドラッグストアで買う場合でも、健康食品屋さんで買う場合でも、あるいは医師のところに相談に行く場合でも、その情報が健康・栄養研究所のウエブサイトだけではもう難しい。梅垣先生がよくやられているところを見ても、限界があるというのは前から知っています。ただ、パブリシティーは大切だと思っていますので、このことはぜひ考えていただきたいと思います。

それから、少し定型的ではないですけれども、ヒトを対象とした介入試験についても、機能性食品のほうが先になりましたけれども、UMINへの登録をきちっと行いながら、医薬品でも見れているような、操作が余り見えなくならないような、そのものを使ったヒトにおける介入試験を明確にすべきだ思います。

その次ですけれども、いろいろと科学的なデータが新しく出て、以前の考え方が少し変更されたとか、ある一定の基準となる値が変わったとか、測定法が変わってそれまでの表現とまた今の表現では違うというところで来た場合に許可表示の変化を自由にすべき。現在は、広告なども含めて消費者へのわかりやすさから見たら、この表現にしたほうがベターだよということがわかれば、そのときに諮問された製品にだけそれが受けとめられて、同じような言葉があまた何十年も続くというのはよくないと思っています。ただ、今の制度ではそれは変えることはできません。

それと、広告に関することについては、許可表示の文言の中から適切に選んでいく。これも表現の自由で難しいとは思いますけれども、それはある程度良識に見合った表現に変えていくネゴシエーションの仕組みをつくるべきではないかと考えています。

5番目ですけれども、特定保健用食品があり、また特別用途食品がその一部であるということ、それから栄養機能食品、これがいわゆるアメリカのダイエタリーサプリメントの持ち方だということで考えていました。そのことと、新しいできた機能性表示食品というものは、これもまたアメリカのダイエタリーサプリメントの形をある程度受け入れて持ってきたのですけれども、いずれも明確な行政の関与はされていないのですね。評価というか、一定の基準の枠の中にあるので、若干は栄養機能食品という、ビタミン、ミネラルに特化した場合のほうがデータが多いので、いろいろな表現は、一般的な医療者あるいは一般の消費者にも受け入れられるのでしょうけれども、機能性表示食品を栄養機能食品と同等に多くの人は扱ってしまうと思います。もういろいろな成分が栄養素だと思ってしまう。それでやっていくので、そこの違いを明確にしながら、かつ、特定保健用食品の強さというものを打ち出すような方策を見直したりしなければ、混乱するだけではないでしょうか。

6番目として私が感じているのは、多くの食品、これからいろいろな分野に、カテゴリーというのでしょうか、分けて、臨時の専門委員をお招きして意見を伺っています。やはり適切に臨時委員の意見を伺って、そして病気のことのほうが多いですけれども、その病気に関する医学界の責任というものを背に負って臨時委員の方々は意見を言われているので、そこの意見の強さはきちっと受けとめなければいけないのだろうと考えています。

最後ですけれども、この検討会であったように、特定保健用食品が名目上1,000以上あると私も時々海外で説明することがあります。でも、実際に動いているのは本当に少ないものだろうと思っています。それを説明するのに、国外の人はかなり不可思議な表現をします。言い方としては、幽霊食品ではないのですかと。これは国がきちっと押さえている以上、実態を把握して、その実態に沿った運用の仕方をやらなければ責任は負えないのではないでしょうか。それは更新制あるいは再審査制というのがつきまとうと思います。大変労力の要る仕事だと思います。しかし、これをきちっとやらない限り、幽霊特定保健用食品の数がどんどん増すのではないでしょうか。ですから、ある一定の期間で売り上げがないような、流通していないものはもう取り下げを強要するとか、抹消する。そのかわりがあるわけですから、そのためにはデータの継続性を事務局がきちっと把握しておく必要があると思います。その把握は、消費者委員会あるいは消費者庁両方だと思いますので、どちらかに任せるというのではなくて、やはり連合体を組んでデータの保存というか、経緯というものを制度の中に入れていくということは大切なことだと思っています。

ちょっと雑駁な順番ですけれども、この何年か考えていたときの私の意見でございます。

○寺本座長 どうもありがとうございました。

それでは、お2人の先生方の御発言に対して、御質問という形で、議論はいろいろと論点をいただいたので後ほどすることにいたしまして、御質問をお願いできればと思いますが、いかがでしょうか。どうぞ。

○清水委員 山田先生にお伺いしたいのですけれども、最初のほうにお話しされた厚労省から消費者庁に特保の移管が行われて、その間の違いがかなりあったというふうに言われたのですが、なかなか言いにくいところかもしれないのですが、具体的にはどういうところが一番違いがあったということになるのでしょうか。

○山田委員 私たちはもとは厚労省の委員会でありました。消費者委員会に移ったときに、やはりなれていないという部分があって、こういうことはどういったことでしょうかといった場合に、事務局としては専門家ではありませんので、厚労省のときには新開発対策室のところで周りに薬剤師さん、お医者さん、いろいろな方が顔が見える範囲にいたのですね。だから、気軽にいろいろなことを尋ねることができた。ある意味、水面下で動いていたせいもあるのでしょうけれども、水面上になると簡単にそれを尋ねて、自由に、一体これはどう考えていいのだろうという、それが多分できなくなってしまった。それで、明確に行動しようということがある。

それから、いずれのやり方にしても、大きくは変わらないのですけれども、消費者庁のほうもなれていないし、消費者委員会のほうもなれていなくて、お互いに相談してくださいという部分が多分なかなか通じなくて、私たちはすぐそういう答えが、いろいろな私たちの質問がかえってくるだろうというところがあったのですが、なかなかそうはいかなかったという部分。

それから、食品の生物影響についての事柄ですから、そのときの継続というのは、あのときのファイルが全部消費者庁には来てなかった。だから、例えばもうここに移って6年ですけれども、それ以前、今から言えば16年前の製品についてはどうだったでしょうといった場合に、消費者庁でももうデータはどこかの倉庫に全部あります、担当官も全部変わりました、消費者庁に来たときに全くわかりませんと言って、私たちもそういう議論はしたのですけれども、もう思い出しの世界で、どうだったかな、ああだったかなというようなことで判断に苦しんだ覚えがあります。そういった点です。

○清水委員 次の議論にもかかわってくると思うのですけれども、データを集約して、昔の議論をまとめる必要があるということを後で山田先生がおっしゃられたのですけれども、審議内容を集約するというのはかなり難しいことだと思いますし、なぜこれが特保として許可されたのか、またはなぜ許可されなかったのかというのが、企業秘密ということがベースにあるのだとは思うのですが、余りにもパブリシティー、情報公開が少ないというのも一つの問題ではないかと思いますので、その辺もまた後で議論できればと思います。

○寺本座長 どうぞ。

○大野委員 今、清水先生の御質問に関して具体的なことで、私が申し上げるのもちょっと僭越なのですけれども、ほかの先生から聞いたお話だと、以前は厚生労働省の段階で、特保の精神、根本的な精神で、食生活の改善が図られ、健康の維持・増進に寄与することが期待できるものであることというものがあるわけですね。その趣旨に合わないものは、厚生労働省の窓口で、これは違うのではないかという形での処理が行われていたということを伺っています。それが、最近は、必ずしもそうとは思われないものが消費者委員会に上がっていくことがあるのではないかという意見が、私の関係した委員会でございました。

○寺本座長 宗林さん、お願いします。

○国民生活センター宗林理事 大野先生に2点ほど伺いたいことがございます。最初の御説明の中で、臨床試験を実施し、例えばRCTとか相対比較をされるのだと思いますが、それだけではなく、消費者にとって有効であるかどうかということも加味して判断をされているというお言葉が最初にあったと思うのですが、その差の絶対値も判断基準に入れておられるという意味なのかどうかというのが1点でございます。

もう1点は、有効性には差があるが、安全性には差がない、そろって安全であるというふうなことがよくあるというお話がございましたが、この有効性に差があるといったときの母集団、例えば境界域とか、あるいは軽度の範囲まで広げて、可能性としては母集団も許していらっしゃると思いますが、それと安全性では健常者として問題がないというような結果の違いは、母集団の違いがあるということではないのでしょうか。

○大野委員 まず、相対比較なのか絶対値なのかということですけれども、残念ながら、最近で審査に上がってくるものでは相対比較が多い。相対比較と私が申し上げるのは、摂取前と摂取後、その間の比較で、よく言われるのは、ペアードtテストで比較して有意差があったということで主張してくる場合が多いわけですけれども、御存じのように、ペアードtテストでは一方向に動きさえすれば、それが本当に小さな変化でも有意差がついてしまうわけですね。だから、その差が食生活上の意義のあるものかどうか、疾病の予防にとって意義があるものかどうかということを調査会で判断しなければいけないと思っています。

そういうことで、疾病の予防リスクの予防とか、そういうところになると、私は薬学ですのでなかなか判断しにくいところがあるのですけれども、必ずお医者さんとか栄養学を専門とする先生にその辺の判断を伺っています。ただ、なかなかここからというのは線を決めるのは難しいところではないかと思っています。

それから、有効性試験では差があるけれども、安全性を見るための試験では差がなかったということを申し上げましたけれども、両者では母集団が違います。ですから、一応納得はしているのですけれども、3倍も4倍も投与していて、母集団が違うということ、すなわち、境界領域ではない人も含めているという理由だけで差がないというのは、何か感覚的に変だなという気がします。

○寺本座長 ほかにいかがでしょうか。どうぞ。

○吉田委員 山田先生にお伺いしたいのですけれども、先ほど特保が今現在1,200品目近くあって、そのうち実際に市場で流通しているのはわずかであるのではないかというところの中で、これは例えば製造メーカーなどが特保の認可を受けて、その商品を一旦市場に出したのだけれども、いろいろな状況で廃番にしてしまったと。それをしばらく放っておいて、五、六年後とか10年後とかに全く同じ内容のもので製造すれば、それは販売することは可能なのでしょうか。

○山田委員 可能です。ですから、申請者としては捨てがたい。やはり、例えばキャンディーだったり、ガムだったり、ちょっとしたお茶の類いというものは、時代によって好みがどんどん変わって、わずかな変化で、例えば夏向き、冬向き、そういったものがあったとするならば、両方とも持っておきたいということだろうと思うのです。

大きなヒトの介入試験は一番最初の1回だけで済むわけですよね。ほんのわずかな変え方をずっと続けていって。それが、一例ですけれども、15年前に1つとった。それをもとに5つ同量でとった。そして、ちょっと味を変え何を変えて15個とった。それがまた20で、1つの基本的な根っこから100個の製品が出るわけですね。これで実際に売られているのは現在、例えば5つだとすると、90種類は幽霊なんですよ。そういうことは特定保健用食品の世界では、申請者の気持ちもわかるのですけれども、最小限できることは縮めていくべきだろうと思っています。

○吉田委員 ありがとうございました。

○寺本座長 どうぞ。

○野々山委員 山田座長に今のことと関連で、幽霊食品があることの弊害としてはどういうものがあるのですか。

○山田委員 弊害というと、特保は1,000種類あります。すごく私たちの生活に寄与していますといって、ああ1,000もあるんだったらすごいね、でも、実際にはそうではない。1つは、余り当てにならないのだなという部分、特保というこれだけみんな一生懸命やっている、認可しているのに、軽んじられる部分が出てきていると思います。それから、同等品だということで、10年前にまたさかのぼって、この製品で、その間の科学的な根拠の変化というのは何も示せなくても、色だけ変えました、でも既に15年前にもらっています、色を変えています、またここは同じものを持ってくるといったら、この15年間の科学の進歩は全く入らないまま次のが出てくるわけですよね。そのとき、もちろん審査としては、多くは事務局レベルだけでやります。報告です。報告になった場合には、もう審査の段階を過ぎたものですから、新たに今の時点でこれだったらこういう検査は必要だったのではないでしょうか、こういう考慮はすべきだったのではないでしょうか、あるいは許可表示も考えなければならないのでしょうかというのは素通りして、次から次に、言い方は悪いですけれども、素通りでまた許可をもらうということになると思います。

○寺本座長 ちょっと時間が大分すぎているので、恐らく今お2人からいただいた論点というのは、これから議論の中に入ってくる部分が大分あると思います。後ほどの議論の中でもう一回整理させていただきたいと思いますので、この辺でこの御質問に関しては閉じさせていただいて、進みたいと思います。

それでは、大野先生、山田先生、どうもお忙しいところ、きょうはありがとうございました。

続きまして、消費者庁のヒアリングに移りたいと思います。消費者庁食品表示企画課、赤崎課長から、消費者庁における制度・運用の現状と検討状況について御説明をいただきたいと思います。これもできれば10分程度でお願いしたいと思います。

○消費者庁赤崎課長 ただいま紹介のありました消費者庁食品表示企画課長の赤崎です。きょうはこういう場にお招きをいただきまして、どうもありがとうございます。きょうは、当方からは特保の制度及び運用の見直しに関連しまして、再審査制、更新制、あと特保の抹消状況、あと、昨年の10月に包括的な次長通知というものを出しておりますが、その改正の状況について御説明をしたいと思っております。説明は10分ということですので、簡潔に説明をさせていただきます。

まず、お手元の資料の1ページでございます。全体の許可件数の推移をつけております。制度ができましたのが平成3年からで、これまで1,200件を超える許可等を行っております。最近の実績で見ますと、平成27年度、ことしの4月から10月27日までで69件許可をしております。既に昨年度1年間の実績を超えているという状況でございます。

その次の2ページ、再審査制の関係でございます。全体をこの2ページに整理しておりますので、ここで重点的に御説明をします。まず、今は更新制というのがありません。その意味では、この再審査制というのがチェック機能として重要ということになっております。

具体的には、この特保の制度では、新たな科学的知見が生じたときなどにおいては再審査を行うことが健康増進法の法令で設けられております。その結果、許可の取り消しも可能となっております。この点につきましては、平成23年8月の消費者委員会の御提言の中で、再審査制の迅速化、機能をさせるということで、新たな科学的知見を収集できる体制の充実等々、御指摘をいただいております。消費者庁では、こういう観点から早速同年の9月に収集すべき知見や報告方法を具体的に示した文書を、許可を取得した人、関係行政機関、自治体等、あと業界団体等に出しております。

内容は、そこに括弧書きで書いています。研究報告ということで、死亡、重大な疾病等が発生するおそれがある、そういう報告。あと、海外措置報告ということで、実際に海外で販売中止、回収、廃棄があった場合。あと、保健所が把握します健康被害情報、こういったものを収集する。報告方法については、把握してから30日以内に報告をと。報告の様式をきちっと定めて、30日以内でまだ十分把握できない場合は追加で報告というふうにしております。

この文書発信につきましては、同じことは今でも新たに取得した事業者さんには、許可の条件という形で我々は指示をしておりますので、万が一、本来収集すべきものを収集せず、報告すべきをしなかった場合は、これは許可の条件違反になります。場合によっては取り消しも視野に入れた実質的な強制力になる担保をやっているということでございます。

あと、「併せて」以下に書いております。新たな知見の収集を行政全体でカバーをするということで、そこに書いております医薬基盤・健康・栄養研究所が作成しております健康食品の安全性・有効性情報、ウエブに載っているものでございます。こういったものを我々のほうでも収集しているということです。

3ページ以下はしばらく流しますが、3ページは法令の根拠規定でございます。ポイントは内閣府令の5条で再審査という規定を置いている。この場合は、食品安全委員会と消費者委員会の意見を聞くと。これは手続を必ず経ないといけないというふうにしております。

時間の関係で次のページになります。4ページが再審査制の取り扱いということで、平成23年にいただいた御提言の内容でございます。下に参考でその抜粋をつけております。(1)とあります。迅速化というような問題意識でいろいろな御指摘、御提言をいただいております。最後の行にもありますが、一番大事なのはいかに新しい知見を収集するか、これが起点になると思っております。そういう体制の充実を含めたいろいろな御提言をいただいて、先ほど言いましたように、9月に我々はもうすぐにできる対応をしたということでございます。

その次、5ページになります。今度は更新制の関係でございます。5ページに書いておりますように、制度が発足しました平成3年当時は更新制がビルトインされておりました。当初、2年おきでして、平成8年に有効期間が倍の4年になりました。その翌年の平成9年に、規制緩和という文脈の中で、この特保だけではございません、いろいろな申請手続について負担軽減、簡素化ということで、特保も含めて更新制が廃止されて、今に至っているということになります。

この点につきましては、先ほどの再審査制と同様に、平成23年8月に消費者委員会のほうから、更新制をもう一回導入することが適当という御提言もいただいておりますが、これにつきましては更新制が廃止された経緯があります。要は先祖返りになってしまうと。あと、マル2にございますように、実際、新たな科学的知見が得られて、必要な見直しをすべきとなれば、そのための手続というのが別途担保されている等々の事情がありまして、慎重に検討する必要があると認識というふうに我々は整理をさせていただいて、この慎重に検討をする必要があると認識という点につきましては、平成25年8月に文書で消費者委員会のほうにも提出をしてございます。

その下にまた括弧書きでありますのは関連のところでございまして、平成23年8月の消費者委員会の提言の中では、更新制を入れるためには事業者の予見可能性が必要だと。手続が、その後で先々どうかがわかれば、更新制も事業者として対応しやすい。そういう問題意識で、いろいろな通達が出ておりましたけれども、それを見直して、申請から許可まで一気通貫で、事業者の予見可能性を高めるという取り組みをすべきという御提言をいただいております。それは後でまた御説明しますが、我々はきちんと受けとめて対応をさせていただいたということでございます。

その次、6ページでございます。これは、平成9年に更新制が廃止されたきっかけとなった規制緩和推進計画、閣議決定の抜粋でございます。これは時間の関係で省略をします。

その次の7ページは、更新制の取り扱いということで、消費者委員会のほうからいただいた提言の抜粋でございます。ちょっと字が小さくて恐縮ですけれども、ここに書いておりますように、許可の更新制については、上から4行目になりますが、「許可の更新制の導入に向けた検討を進めることを求める」となっておりまして、いろいろな更新制をするときの着眼点等々、指摘をいただいております。最後にありますように、「検討を開始すべき」と我々は宿題をいただいておりましたので、先ほど申しましたが、平成25年に慎重な検討が必要という、そのときの御回答をさせていただいたということでございます。

その次の8ページが、特保の失効件数の推移でございます。囲いの文章の2行目を見ていただければ、消費者庁の通知で、製造・販売を中止した場合は失効届を出せというふうに実はなっておりまして、一番上の行になりますが、実際に事業者のほうから失効届が出されれば、我々はウエブサイトでこの特保の一覧を載せておりますが、そこからも落とすようにしております。ただ、この運用については、3行目になりますが、基本は事業者の経営判断に委ねておりますので、こちらから無理やりというか、尻たたきをして失効を出せ出せと、そういう運用はやっておりません。あくまで事業者の自主的な判断に委ねているということでございます。

その次の9ページは、先ほど山田先生のほうからも幽霊食品というお話がありました。実際1,200のうちどれだけ今売られているのかというのも、我々として実態把握をしたことがございます。そのデータということで紹介をさせていただきます。結論から言うと、昨年の3月時点、一番下の行を見ていただければと思います。当時、1,020許可品目があったということで、販売されていたのは354。ということは、650ぐらいはその時点は販売されていなかったということでございます。これは調べたきっかけはそこに書いております。

ポイントだけを言うと、昨年、特保の許可、我々は制度・運用をしていたときに、本来なされるべき表示がなされていなかった、表示の文言がちょっとおかしいのではないかという話がございまして、ではほかも含めてちゃんと文言を書かれているのか、そういうのを調べた経緯がございます。結果は、表示の文言というのもそんなに取り消しになるようなものではないということで、必要な是正を求めて、この案件自体は終わりました。必要な通知の改正もして、再発防止も含めた担保をしています。本論はそれではなくて、一番最後にありますように、1,020のうち354が販売されていたというのが当時の客観状況で、我々の実態把握の一環で、これは包み隠さず事実として御紹介をさせていただきます。

最後、この2枚が昨年10月に行いました消費者庁の通知の改正でございます。これについて、詳細は次のページになりますが、背景事情だけ申しますと、当然、先ほど言いましたように、平成23年8月に消費者委員会のほうからも提言をいただいていました。要は、更新制を入れるのであれば、こういう形で予見可能性を増したパッケージの通達が必要だと。あと、規制改革のほうからも同様の御指摘がございまして、我々は昨年10月付で変えたということで、第2パラにありますように、いろいろな予見可能性を高めるということで、申請者の負担軽減になるような取り組みはさせていただいたということでございます。規制改革の抜粋も下にございますが、省略します。

最後のページ、これが昨年10月に行った我々の通知改正の全体像でございます。縦軸で項目、横軸左が旧通知、右側が改正通知とありますけれども、まず、通知の一本化というのがあります。先ほど、先生のほうからも、厚生労働省から消費者庁に移るときに大分過去の経緯もわからなくなったと御指摘をいただきましたが、平成21年の組織改正で制度の所管省庁も変わっておりましたが、通知のほうは出し直しではなくて、読みかえ等々で実はやっておりました。もとから通知が複数あって、相互の立ち位置、関係がよくわからなかったということで、昨年10月付で通知を一本化しました。それまであった8本を倒して、新しく1個立てた。数だけを言うと、そういう形になります。

あと、ヒト試験に関する主な要求ということで、いろいろなふぐあいといいますか、きちんとした審査という観点から見ると、いかがかという指摘が幾つかありましたので、これについても可能なものは、そこにありますような見直しをしてございます。詳細は書いてあるとおりでございますから、省略をさせていただきます。

こういうことによって、我々が特保の申請に対して求める要求事項を明確化しまして、当然、それは申請者の負担軽減、ひいては制度全体の円滑な運営、それに寄与したものと理解をしております。その他いろいろなこともあわせて変えて、今に至っているということでございます。

雑駁ですが、こちらからは以上でございます。

○寺本座長 どうもありがとうございました。

それでは、ただいまの御説明に対して、何か御質問があればお受けしたいと思いますが、いかがでしょうか。どうぞ。

○野々山委員 御説明、どうもありがとうございます。再審査制の御説明をいただいたのですが、再審査制の実績はこれまで何件くらいあったのかを教えていただきたい。

○消費者庁赤崎課長 再審査につきましては、実績はゼロになります。最後まで行って再審査の結果が出たというものはございません。

○野々山委員 それはなぜなのでしょうか。

○消費者庁赤崎課長 再審査が必要な場合というのは、新たな科学的知見が生じて、その結果、安全性・有効性という観点から見て特保の許可をした内容を見直すべき事態に立ち至る可能性が高いということかと思っております。そういう見直しに至るような科学的知見の変化がなかったのではないかと考えております。

○寺本座長 どうぞ。

○迫委員 今の関連ですが、2ページで、再審査制に関して消費者庁として文書を作成して発出されたとのこと。これが平成23年9月となっていますが、この発出された文書に対しまして、新たな知見の届けが実際にあったのかどうか。それが、再審査制が機能しているかどうかというところの一つのあらわれにもなるかと思うのですが、それを教えてください。

○消費者庁赤崎課長 届出、そういう形でのこちらへの報告というのはありません。実績はゼロです。

○寺本座長 ほかは。

○梅垣委員 再審査というのは、チェックするというので重要だと思うのですけれども、待っていても情報は多分出てこないのですね。厚生労働省が特保制度を所管していたときに、有効期限を2年、4年、無期限にしたというのは、実は収去試験をしていたのです。市場に出回っている特保製品を集めてきてチェックしていた。それだから期限を無期にしてもいいということだったと思うのです。実際に今、消費者庁で特保製品をどれぐらいの収去試験をされているのでしょうか。

○消費者庁食品表示企画課 現在、特保を収去して試験をするということは行っていないといったところでございます。

○寺本座長 どうぞ。

○国民生活センター宗林理事 この中に「新しい科学的知見」という言葉が何回も出てきますが、これは申請をした側が入手した主にマイナス面の新たな科学的知見ということだけを指しているのでしょうか。というのは、審査するときの健常者の範囲であったりとか、境界域の範囲であったりとか、そういったものもこの20年の間に全体像がWHOの基準等も変わってきているということもあると思いますが、そういったものではなくて、事業者側のマイナス面の新たな科学的知見ということでしょうか。

○消費者庁赤崎課長 基本はそのとおりでございます。再審査のポイントは、科学的知見の進展に伴って、それを食べられる消費者に不利益を与えないか、健康被害を与えないか、これが最大のポイントになると思っております。その意味では、今、宗林委員が言われた、マイナスのところに力点を置いた形で、我々収集すべき知見という形で整理をして指示をしているところでございます。

○寺本座長 どうぞ。

○野々山委員 特保の関係では、今の安全性の問題だけではなくて、有効性・機能性というものも非常に重要なポイントだと思うのですが、その辺のチェックはされていないのかということ。それから、有効性、機能性に対する苦情、あるいは安全性に対する苦情、こういうものを収集するシステムはどうなっているか。この2点を教えてください。

○消費者庁赤崎課長 今の野々山委員の御指摘でございますが、有効性につきましては許可を受けた保健の用途にかかわる効果を持たないことを示す研究報告も含めてきちんと報告をすることとなっていますので、基本は安全性のみならず、有効性も含めて、消費者にマイナスになるような点につきましては、きちんと情報を集めて出すということになっております。

○野々山委員 2点目の苦情の収集システムはいかがでしょうか。

○消費者庁赤崎課長 一応事業者には、事業者としてわかる限りで科学的知見の進展があれば出してくれと言っております。我々自身も自分のネットワークの中で、厚生労働省からいろいろな情報収集をして、それを基点に動くということも当然考えておりますし、今言われた苦情は一般の消費者の方からかと思いますが、そういう形で情報提供があれば、それも含めて我々のほうで総合判断して、必要があると判断すれば、この再審査の手続に乗せるということになろうかと思っております。

○寺本座長 どうぞ。

○矢吹委員 事業者としましては、先ほど苦情の点につきましては、報告内容としては書かれていないのですが、実際に苦情をどの程度まで報告するかという議論をしたことはあります。それで、通常の食品と比べて顕著に苦情が多いとなると、やはり報告すべきだろうという議論は出たのですが、実際にはそういうレベルに達していなくて、通常の食品と同レベルということですので、実際には報告していない例が多いのではないかと思います。

○寺本座長 この再審査、更新制に関して、これからの重大な議論になって、恐らく今大分いろいろなことでわかってきた部分もあるので、また後ほど少しその辺のところの議論はお願いしたいと思います。

それでは、赤崎課長には本日最後まで御参加いただけるとお聞きしておりますので、この後の矢吹委員、原委員の御意見、委員間の議論も踏まえて、さらに消費者庁からお聞きしたいことがあれば、改めてお願いしたいと思います。

では、次に矢吹委員、原委員からおのおの10分程度で御意見をお願いしたいと思います。御意見に対する質問は、お2人の意見をいただいた後、合わせてお願いしたいと思います。

それでは、矢吹委員、よろしくお願いいたします。

○矢吹委員 それでは、私のほうから、今回の検討課題に対する意見書という形で意見を述べさせていただきます。

この意見につきましては、前回も申し上げましたけれども、当協会には特保許可取得企業の大体七、八割ぐらいの企業が会員となっております。そして、この会員企業の有志が参加しまして、特保に関連する制度の調査・研究や、前回行った広告とか、普及・啓発に関する活発な活動をしております。その中でも、特保の制度に関しましては、今年度は66名の有志の方が参加されているのですけれども、そういう技術部会において従来からいろいろな観点から検討を行ってきております。今回の意見書につきましては、この技術部会の代表メンバーが検討結果をまとめて、それをもとに作成しているという状況になっておりますので、紹介させていただきます。

最初に、「制度見直しの議論が必要な点はあるか、ある場合、それは何か」ということですが、特定保健用食品制度につきましては、施行以来20年以上が経過しておりまして、前回の清水委員の資料にも記載されていますように、その都度制度改正を経て、コーデックス委員会等で規格化された内容を反映する等の変更がなされております。また、EFSAなどに代表されるように、行政が表示を許可する形の制度は国際的にも多くて、特定保健用食品制度の基本骨格を見直す必要はないのではないかと認識しております。

また、これまで特定保健用食品が普及する過程の中で、例えばオリゴ糖や食物繊維がおなかの調子を整える食品成分である等の消費者の認知が進んできたのではないかと考えておりまして、少なからず消費者教育等にも貢献しているものと考えております。

ここに、代表的な特保のトピックスについて、「トクホの歴史」マル1マル2という形で、1、2ページに記載しております。

次に、表示許可についてですが、先ほども議論が出ておりますが、「特定保健用食品等の在り方に関する論点整理」の中で、古い許可表示がその後の試験方法見直しや科学的知見の変化を考慮することなく再許可申請を行って表示許可を得られる状況は、運用上問題であるという記述があります。しかしながら、医薬品や食品添加物などの許認可においては、その安全性や有効性に疑義があれば、科学的な検討を経て、必要があれば再試験等を行い、その結果として継続や取り消しの判断がなされております。食品においても、特定保健用食品のみならず、保健機能食品や特別用途食品全てで同様な運用がなされていると考えております。諸外国の制度においても、同様な運用がなされていると認識しております。

特定保健用食品の場合に、再許可等であっても、実際にその許可される際に消費者庁における事務局審査がなされておりますし、調査部会等でも報告されているために、その過程の中で疑義照会の機会はあると考えております。また、後述する、先ほども出ました新知見報告等によって疑義があれば、必要に応じて再審査されるものと認識しております。それから、再許可の申請に限らず、途中の段階で変更がある場合には変更届によって加筆修正がなされているということもお伝えしておきます。

次に、3ページになりますが、「再審査制・更新制がないことや、未販売・販売終了品の抹消が進んでいないことで、現在起きている問題は何か。その問題解決には、何が必要か」ということですが、再審査制につきましては、特定保健用食品の安全性・有効性に疑義がある際の再審査制については、先ほども説明がありましたように、既に規定されているものと認識しております。また、事業者には、先ほども言われましたように、「当該食品の保健の効果又は安全性につき、新たな知見を入手した際には、遅滞なく消費者庁の食品表示企画課まで報告すること」が課せられておりまして、先ほど出ております平成23年9月9日付の事務連絡で、報告様式と具体例が示されております。さらに、事業者以外であっても科学的根拠を提示して疑義照会する手段があると考えております。

なお、平成23年6月24日、「特定保健用食品の表示許可制度専門調査会」報告書には、事業者からの報告について、「その運用が効果的になされているとは言い難い」という記載がありますけれども、特定保健用食品は、表示許可を得る前に十分な安全性・有効性の審査を経ているために、他の健康食品とは異なって、許可後に報告すべき新たな知見がほとんどなかったと考えております。

更新制につきましては、「特保の表示許可制度についての提言」に対して、先ほどの説明にあったとおりなのですが、消費者庁から過去に実施していたものの規制緩和等を理由に廃止された経緯にあるが、それを復活させるには慎重な検討が必須であり、現段階でその必要性があると考えていない旨の回答がなされております。また、更新制につきましては、一定期間の情報を取りまとめて報告する、実際にどういう形を想定されるかはわかりませんが、一定期間の情報を取りまとめ報告することになるために、先ほどの新たな知見の報告というものと同じような形になるのではないかと考えております。

それから、未販売・販売終了品の抹消につきましては、先ほど一部紹介がありましたけれども、こちらの協会のほうで調べました範囲では、2015年10月27日現在で、累積の実質許可品目数が1,203品目で、失効品目数は294品目という形になっておりまして、約20%の品目は失効されております。もちろん、許可品目数が、先ほど紹介がありましたように、全てが販売中であるとは認識しておりませんが、実際問題としては、先ほど言った季節の問題とか、何年かたって再発売したものもありますし、そういう形になっておりまして、販売を休止している製品は消費トレンドの変化に応じて再発売予定である上、食品は医薬品と異なりまして嗜好性も非常に重要な因子であるので、やはり企業である限りはある程度利益というものも考慮しますので、そういうことを考えて、消費者の要望に応えるために改良品や味違い品を上市するための再許可等の手続のもととなっていると考えております。

問題点としまして、販売しているか否かがわからない点等が挙げられていますけれども、申請者に問い合わせれば、それはすぐに回答されるというものであり、他の食品と同じ状況と考えております。また、一つ、再許可等の手続後に、そのもととなった許可品目が失効された場合、これは基本的に再許可のときには全てのデータをつけるわけではなくて、有効性・安全性等の文献等は添付しないということもありまして、審査に使用された申請書類が散逸し、申請データのトレース等が難しくなる懸念もあると思います。

次に、「特保の審査に用いる検証データのレベルは十分と言えるか。機能性表示食品のほうが厳しい部分もあるのではないか」ということについては、特保の検証データは非常に高いレベルであると我々は認識しております。その安全性は、先ほどから出ましたように、関与成分の食経験、作用機序、前臨床データとしまして変異原性や単回摂取、反復摂取などを要求されますし、それから製品の臨床データにおいても長期摂取、過剰摂取で問題ないことを基本として許可されておりまして、必要に応じて前臨床データの追加やハイリスク対象者の臨床データなども求められることがあります。その審査は、第三者機関である食品安全委員会で実施されて、専門家集団の中で実施されているという形になっております。

有効性につきましても、製品を用いましたRCT、ランダム化の比較試験で、プラセボと比較をした上で統計学的な有意差があることを基本としており、その意味で非常に高いエビデンス強度だと思っております。また、先ほどの再許可申請についても、その製品と科学的に同等性があると認められた製品のみ再許可申請が可能となっているという状況です。さらに、最初の許可から6年経過して100件以上、そして複数事業者の許可実績がある関与成分区分と、保健の用途については、規格基準型として認められているという状況にあります。疾病リスク低減表示についても、RCTのメタアナリシスでポジティブな結果が得られているということが基本です。

ただ、条件つき特保につきましては、RCTでない試験での評価の場合、それからRCTでプラセボと統計学的に有意傾向である場合、それからまた作用機序が不明確等によってエビデンスか比較的限定的である場合などとなっています。これらの有効性試験についても、その審査としては第三者機関である消費者委員会で専門家を含めて評価がなされているということで、このように安全性、有効性ともに厳しい審査がなされているという認識でおります。

機能性表示食品との比較で、機能性表示食品のほうが厳しいのではないかという記述もあるのですが、機能性表示食品で求められている安全性・有効性情報は、特定保健用食品制度をベースに設定されておりまして、特定保健用食品に比較して機能性表示食品が厳しいとの認識は事業者としては持っておりません。

「特定保健用食品等の在り方に関する論点整理」において、論文の「CONSORT声明」準拠や臨床試験のUMIN臨床試験登録システム登録など、特定保健用食品より機能性表示食品が厳しいとの記述がありますけれども、特定保健用食品は、先ほど申し述べましたように、学術専門家で構成されている消費者委員会の調査部会や調査会、それから食品安全委員会の専門調査会で有効性と安全性に対して厳しい審査を行っているということがあって、そういう意味でそのデータの信頼性等について専門家の目からきちんと評価されているという状況になっています。

一方で、機能性表示食品については、有効性と安全性を事業者が判断するという制度になっておりまして、そのために機能性表示食品では行政における審査にかえて、情報公開による申出制度を活用するなり、CONSORT声明準拠によって学術論文の質の確保、CONSORT声明というのは基本的にはRCT試験をきちんと手順どおりにするかどうかという手順の話ですので、そういうものが付加されているものと認識しております。

なお、UMIN臨床試験登録システムの活用につきましては、先ほど出ました、昨年の通知に、「疫学研究に関する倫理指針」に基づくものということで、それが改正中にあるので、そのことに対して注視することという記述がありまして、それに基づいてことしの4月からは新倫理指針に基づいて登録が求められていると解釈しております。

次に、「試験方法や審査基準、審査ステップを整理し、もっと明確化する必要があるのではないか」ということで、これにつきましては先ほど出ました昨年度の通知で公表されているというのが現在の状況かと思いますが、規制改革実施計画をベースに、ここも消費者庁等で合理化・迅速化の検討がなされているという認識でおりますので、もちろん事業者としましては申請手続がさらに整理され、より明確となることを期待しているところです。

以上です。

○寺本座長 どうもありがとうございました。では、御質問はまた後ほどということで、それでは、原委員から、またこれも10分程度でよろしくお願いいたします。

○原委員 健康と食品懇話会には現在約37社が加盟しております。会員企業の中から得られた率直な意見を申し述べたいと思います。かなり過激な表現が入っていますが、これは生の声として、ちょっとむっとされる方もおられるかと思いますが、その辺は御容赦願いたいと思います。あと、A社、B社、C社と書いてありますが、これは各設問ごとに必ずしもA社、B社、C社が全て同一企業ではないということも御理解ください。

最初に、制度の見直しの議論に必要な点ということでございます。この中でA社、B社の回答について、大きく3つございます。1つは、現在の条件付き特保。これはほとんど活用されていないと同然なので、これは必要ないのではないかというのがまず1つです。もう一つは、特保と機能性表示食品を比べたときに、特定保健用食品の制度がちょっと埋没しているのではないか。では、そこで違いを際立たせるのはやはり疾病リスク低減表示でしょうと。これはやはり欧米の制度、米国のヘルスクレーム等、そういったところを参考にして、疾病リスク低減表示というのを拡大すべきではないかというのがあります。それからもう一つは、これは審査の迅速化ということです。消費者庁、消費者委員会より、いろいろな御意見をいただいて、事業者の方もストレスがたまっているのではないかと思いますが、消費者庁が判断すべき事項とか、消費者委員会がきちっと審査する事項、その辺を明確にして審査を迅速化してほしいという意見がございました。

次に、再審査制とか更新制についてです。ここでもいろいろな意見が出て、なかなかまとめ切れませんが、事業者の本音として、特保はとにかくお金がかかる、費用がかかる、そういう虎の子の特保を企業は努力してなんとか表示許可を取得している。だから、その権利は守りたい。簡単に再審査制や更新制で剥奪しないでほしいということです。

また、現行の制度は非常に厳密に有効性・安全性が評価されているので、現状の管理上は問題はないのではないかと。特に大きな健康被害もなく、今の制度は非常にうまく運用されていると考えられます。

それから、現実問題、再審査制・更新制を実際に動かそうとすると、消費者庁にはかなりの負担になって、対応するのは難しいのではないかという意見もございます。

未販売・販売終了品の取り扱いについて、事業者は、特保を市場に投入したときに、市場で受け入れられるか受け入れられないか、マーケットと対話しております。時代背景によって機能性表示が受け入れられる素地があるかないかというところがありますので、一律に販売していないからこれはもうだめよというのはどうなのかという意見がございます。

ただ、そうは言っても、少し更新制は受け入れる余地はあるかもしれないという意見もありますし、やはり終売している商品もあることはあるものですからどうなのかという意見もございます。

次のページに行きまして、再審査制で現在の許可基準に合わないものは許可を無効にしてもいいのではないかという意見もありますが、厳しい審査を経て市場に出たものが突然消えてしまうというのは消費者が困惑・混乱するのではないかというような意見もございました。

それ以外には、B社は同じような意見です。現状は問題ないという点。

C社は逆に、再審査制とか抹消は望ましいという意見でした。

それから、そのページの下の特保の審査に用いる検証データについて、初期の特保では被験者数が少ないのではないか、ちょっと問題があるのではないかという御意見がございました。特保と機能性表示食品を比べた場合は、機能性表示食品のほうが要求水準は高いのではないか。医薬品との相互作用については全部届出書に記載するのが望ましい。先ほどパブリシティーというお話が出ましたが、特保は情報開示の点がまだまだ十分ではないのかなという意見がございました。

それから、試験方法、審査基準、審査ステップについてさまざまな意見がいっぱい出ています。要は審査を明確化して迅速化してほしいという意見です。細かく言うと、事業者のストレス、不満がぼろぼろ出てきますが、簡単に申しますと、特保は食品なのでRCT自体余り厳しくするのはどうかとか、エビデンスの追加の手段が新規申請以外にないとか、あるいは風味等の変更は変更届で行ってほしいとか、調査会に企業も参加させてほしいとか、もうちょっと審議を短縮してほしい。それから、会議用資料をとにかく電話帳みたいに幾つも提出させられる、これはどうしたものかな、勘弁してほしいとか、あるいは各審査会の開催スケジュールを定期化してほしい等々です。あとは、ガイドラインにない事項を審査において求められることがある、勘弁してくれ、というような意見もございます。

最後のページに行きますと、そういう再審査の場合とか審査会本来の役割でない事項を指摘されることがあるということがありました。

あとは、海外で認可されている素材に関して、改めて審査でいろいろこねくり回されているのはどうか、安全性の確認は適宜省略してもいいのではないかとか、審査書類の開示、あるいはガイドラインを広く公開してほしいという意見がございました。

あとは、審査期間を短縮する意味で、もう既に公開されていますが、消費者委員会あるいは食品安全委員会で順番で審査しているのを並列で審査して、審査期間を短縮してほしいという意見がございました。

ちょっと早口になりましたけれども、以上でございます。

○寺本座長 どうもありがとうございました。

それでは、ただいまの矢吹委員、原委員の御意見に対して御質問があればいただきたいと思います。いかがでしょうか。どうぞ。

○野々山委員 再審査制の担保となっている一つのものとして、先ほどから出ている消費者庁食品表示企画課に新たな知見を入手した際には報告をするという制度がありますが、それらはどのくらいの実績があるのかを教えていただきたい。制度が発足してから、あるいはこの23年以降でもいいですし、制度が発足してからどの程度、行われているかですね。

○矢吹委員 全部を把握しているかどうかはわかりませんけれども、ほとんど出ていないと思います。それは新知見が基本的に出ていないということだと思います。

○原委員 全ての申請企業の実態を把握しているわけではありませんが、特保の審査において、有効性に関してはそれ相当のエビデンスについて審査されるわけですね。そこで、本当にひっくり返るようなデータというのは極めてまれであって、安全性もしかりですが、先ほど消費者庁の担当の方からお話がありましたように、今の特保をもう揺るがすようなネガティブなものが突然出てくるのは、それは普通に考えたら考えにくいのではないかと個人的には思います。

○矢吹委員 あと、安全性につきましても、実際これだけすごい数の特保を皆さん摂取されていて、特別な有害事象というのは出ていないと思いますので、そういう意味で結果的に報告されていないと考えております。

○野々山委員 効果についてはどうなのですか。

○矢吹委員 効果については、先ほど申し上げたように、効果がないという研究報告という形になりますので、そういう意味では確かにそういう文献というのは出にくいというのもあるのだろうと思うのですけれども、明確に効果がないという知見があれば、それが報告になれば、当然それは報告義務が出てくるという形になるかと思っています。

○寺本座長 どうぞ。

○清水委員 矢吹委員の御説明をいただいた、今、更新制の話ということで、一言お話ししたいと思うのですけれども、3ページ目の「更新制について」のところで4行目、更新制は一定期間の情報を取りまとめて報告することになっている、それは新たな知見を遅滞なく報告することと同一であるというふうに書かれているのですけれども、これが現実的に誰がいつどのようにしてやるかということが決まっていない段階で、同一だというのは、実際の企業だけではなくて、いろいろな研究所でも、昔やったデータが本当に同じような効果があるのか、安全性もどうなのかということは同一ではないわけで、これは研究所でも同じなのですけれども、10年前にやったデータの試験結果を今新しい考え方で見直したときに、それでいいのかということが有効性でもありますし、安全性についても、ある化合物が安全性について問題があるといったときに、全く同一の物質でなくても、類似の化合物に安全性の問題があるかどうか、これをいつ誰がどのようにして調べるかということがやっていないと、同一にはならないと思います。

○矢吹委員 この更新制に要求される要件がどういうものであるかということですので、そういう意味ではちょっと表現が断定的過ぎるかもしれませんけれども、基本的には更新制のときに新しい知見がどういう形でそれまで出てきたのかというものを提出するという前提の中では、新知見報告が得られたら出すという形になっていますので、同等の扱いでタイムラグがあるという形ではないかという意味で書いているということです。

○清水委員 確かに、実際にどのようにしてやるか、それが消費者庁に届けるのか、消費者庁がチェックするのかということはいろいろ議論があるかと思うのですけれども、やはり誰がいつどのようにして、例えば5年または10年たったら調べるようにしようというのは、企業としてもそれをやることで製品の安全性・有効性を確認できるということからも、プラスになっていくのではないかなと思うんですね。

○寺本座長 どうぞ。

○国民生活センター宗林理事 私も更新制については、マイナス的に企業の方はとられているかもしれませんが、そうではなくて、原委員の健食懇のデータの中の(13)のところに、試験方法や審査基準、審査ステップを整理し、もっと明確化して透明性を経てわかりやすくとあります。次の人が審査を受けるときにわかりやすい形でどうすればいいのかということが明確になるということを前提であれば事業者の方にも良いことではないでしょうか。その時々の最新の有効性の情報であったり、あるいは分析方法、それから化合物も実は少し変化しているかもしれないとか、そういうような科学の、違いが出て、発展するということもあります。それを新しい審査基準をわかりやすく公表されたものの中に当てはめて、第三者の審査で承認のマークをいただくと、より高い信頼性のおけるようなものに次々なっていくと考えて、発言をしているつもりですけれども、そういう意味ではいかがですか。

○矢吹委員 確かに新しいもので再評価するというのは、方向性としては正しいところはあると思うのです。しかし一つの製品で開発のときに相当費用がかかった上に、もう一回同じ商品で、しかも安全性も有効性もある程度確保されているのに、また開発費をかけていかなければならないとなると、やはり企業にとってはかなり負担になってくると思います。ただ、その方法でなければ正しく評価できないというのであれば、もちろんまた別だとは思うのですけれども、そういう意味での企業に対する負担も考慮していただいた上で、考えていただければと思います。

○国民生活センター宗林理事 さっき、この原委員の13番を引用させていただいたのは、例えば7年なのか10年なのかわかりませんけれども、その時点で、例えば安全性は10年前の判断基準でいいのではないかというものであれば、同じでいいと思うのです。ただ、違っているものがあれば、それに見合った、きちんと最新の国民にとって信頼性の高いものにしていくというものが生じた場合には、それに合わせていかれると、より特保の信頼性が上がるのではないかという意味です。

○寺本座長 どうぞ。

○原委員 大変貴重な御意見、ありがとうございます。やはり先ほど申しましたように、事業者としてはそれなりのお金と期間をかけて特保を取得するわけですから、これは一般論ですが、事業者として、特保に関与する成分に関して当然継続的に情報調査をしますし、物によっては継続的に有効性の試験をやります。また、サイエンティフィックなデータはアカデミックなペーパーにも投稿するということもやっております。事業者の取組みについては御理解いただきたいと思います。

○寺本座長 大分議論のほうに入ってきているような感じもするのですけれども、そろそろ議論ということに、これから移りたいと思います。

最初に、お手元の参考と書かれている資料の黒丸の2番目、「特定保健用食品にかかる制度・運用の見直しについて」ということでお話をしていきたいと思います。まず、「制度見直しの議論が必要な点があるか」ということでありますが、先ほど矢吹委員のほうからは、基本骨格については見直す必要がないという意見が出されております。一方、制度・運用の具体的な課題については、消費者委員会の論点整理も含めていろいろと問題提起されているというのが現状であります。基本骨格を見直すべきか否かは健康食品全般における特保制度の位置づけに関連するテーマだと思いますので、次回議論していただくということにいたしまして、本日は制度全体の見直しの是非ではなくて、制度や運用で具体的見直しが必要な点があるかという点について議論していきたいと考えております。

具体的な点に挙げられている検討事項は、ここにございますけれども、まず「再審査制・更新制がないことや、未販売・販売終了品の抹消が進んでいないことで、現在起きている問題は何か。その問題解決には、何が必要か」という点について、今までも議論されているところでございますけれども、その点について少し委員の先生方からの御意見を伺いたいと思います。いかがでございましょうか。

どうぞ。

○迫委員 再審査制と更新制についてですけれども、再審査制という制度そのものはあるけれども、それについて通知を出しても全く報告がないという事実がある。この報告がないということをまずは客観的に評価しなければいけないのではないか。それがあって初めて再審査制が有効かどうか、決まってくるのではないか。今は事業者からの報告を求めているだけで、そこを客観的に評価できるような仕組みがない。本当にゼロなのか、そうでないのか。これはきちっと裏づけをとる必要があるのではないかと思います。

○寺本座長 ということは、基本的に調査が必要になるということですよね。これはかなり大変な作業になるのですが、これは前から私も申し上げていることで、できれば実際に出回っているものについて時々抜き取り調査的なことはしないといけないのではないかということを前から言っています。

それから、いろいろな安全性に関して考えると、苦情がかなり出てきてから云々するのではなくて、やはり苦情を集めるというアクティブな作業が必要なのではないかということを私も申し上げているのですけれども、今、お話がございましたように、全くそれがないということは、事業者からそういったものが出てくるという環境にないということを意味しているのではないかと思うのですけれども、その辺はいかがでしょうか。

○原委員 事業者の立場からすると、特保にかかわらず食品を販売しているメーカーさんは、常に消費者の声というのは収集しておりますので、特に商品の安全性、あるいは品質にかかわるようなクレームというのがある程度蓄積した場合には、それは何かとすぐに原因を突きとめますし、これは問題だとなった場合には保健所に届け出られますし、必要に応じて消費者庁に届ける。そういうことはちゃんとした企業だったらきちっと動いていると私は思っております。

○寺本座長 どうぞ。

○迫委員 まさに事業者としては、そのスタンスは絶対とっていただかなければいけないところだし、現実問題はそういうふうにされていると思います。ただ、そういうふうにされているということ自体と、それを消費者の側が客観的に評価できるかどうか、それはゼロという数字そのものの意味合いについて消費者の受けとめ方は違うのではないか。そこを客観的に評価できるような仕組みの中で、本当にゼロなんだということを逆に証明していくことのほうが大事なのではないかと思います。

○矢吹委員 先ほども申し上げたのですが、特にこちらではそのあたりについてどのような判断基準でするかということを技術部会の中でいろいろ検討しています。その上で、先ほども言いましたように、どのぐらい品質について苦情が来るのかということをある事業者で特保の製品と一般食品を比較した上で、結果的に、ほぼ同等という程度だったので、その範囲では特に問題はないという評価をした例があります。ただ一般の食品の例において、物によっては急に高くなる場合もあります。いままでは、調べた範囲では特保でそういう現象は見つかっていないという状況かと思います。

○寺本座長 どうぞ。

○野々山委員 私の知見不足かもしれませんが、食用油の関係で特保食品に安全性の問題があったということがありましたから、全くないということではないと思います。

それから、先ほどの再審査制というものが機能していない、それの前提となるような通知制度というものも機能していないということは、今の制度が企業からの自主的なものというのですか、そういうのに依拠しているところがあって、そこの中でうまく機能していないところがあるのではないかと思っています。

苦情を収集するシステムがない。効果なんていうのは、苦情という形でしか出てこないと思いますので、そういう苦情をきちんと収集するシステムがないということも問題の一つです。消費生活センターがありますけれども、そこに、効果がないとか、あるいは危害もそうですが、そういう苦情はなかなか来にくいわけです。危害があったら保健所やお医者さんのところに情報が集まってくるので、それをうまく消費者庁のほうに集めるシステムがどれだけあるのかということが一つの課題であると思います。

そういう収集システムをつくっていく、そのうえで、効果や安全性に関する苦情を集めていることを啓発していくということも一つ必要かなと感じているところです。

○寺本座長 どうぞ。

○消費者庁赤崎課長 先ほど、野々山委員から食用油の話が出ました。その件で一つ補足をさせていただきたいと思います。

先ほど、私、再審査は最後までたどり着いたのはないと言いましたが、着手したものが実は1つございます。まさに消費者庁ができました2009年に、某食用油が発がん性物質が含まれているのではないかと。多分皆様方おわかりの方のほうが多いのではないかと思いますけれども、そういうのが話としても出てきまして、これはその企業から、当時は厚生労働省、実は消費者庁ができた年で、消費者庁ができる前の話で、厚生労働省に報告があり、その後いろいろな対応をしているうちに、その年の9月1日に消費者庁が発足しまして、我々が受けた経緯があります。その案件については、我々も消費者庁としても迅速に対応して、これはいろいろな手続に乗せるべきだということで、消費者委員会と食品安全委員会に実は意見を求めました。ただし、意見をまとめたその日に自主的に失効届が出ましたもので、それっきりになってしまったという形でございます。この案件につきましては、実際、消費者団体の方々も非常に問題意識を持って、当時いろいろな形でマスコミにも公表した経緯がございます。そういう中で、我々は対応はしましたけれども、今言ったように、自主的に取り下げてしまえばそれまでとなってしまいます。

その意味では、実際問題になるような場合は、企業と役所のみならず、その知見というのは広く世の中に流通していますから、いろいろな方々がいろいろな警鐘を鳴らす。そういうのが実態としてあるのかなと思いますので、ちょっと一点補足をさせていただきます。

○寺本座長 どうもありがとうございました。先ほどそういう話をちょっとしていて、実際に取り下げたという話があったので、ないということになったわけですけれども、いずれにしろその後はゼロということですね。この点に関してはどうですかね。ゼロという数字というのは、私も何か重く感じてはいるのですけれども。どうぞ。

○清水委員 今の関係で食用油については、あれは何件か申請があって、同一の物質が違う食品で審査されたために食品安全委員会で審査が行われて、そのときに新たな知見が入ってきたという状況だったのではなかったですかね。

○寺本座長 あれは海外知見ではなかったか。たしか海外から得られた情報だったと思います。

○清水委員 最初はエステル化物だけが問題だというもので、だめだというのはほかにはなかったですよね。あれが何で出てきたのかは、あれは違う食品で申請が出されたから問題になったのではなかったですか。

結局、毒性はわからないというのが食品安全委員会で出ましたから、結局どうなったのかわからないのですけれども、今の議論でいくと、再審査というのが出てくるのは、やはり何らかの形で調査が新たに行われない限り出てこないのではないか。安全性については今のお話がそうですけれども、さっきから私が言っているのは、有効性についてはとにかく20年も前に調べたときは、ヒト試験もn数が10人とか20人ぐらいでやったデータで特保になっているわけです。それから新たな有効性の手法が開発されているのであれば、そういうものも取り上げていくということを考えれば、それをどういうシステムでやるかということはまた議論するにしても、やはり10年たったらどこかが手法と考え方を見直して、それで有効性と安全性を評価をしていくということをして、確かに評価したんだという実績を残して、それは何か問題があったらもう一回それをチェックするという形が必要と思います。消費者庁が特に何か検査とか確認しなくてもいいと思うのですけれども、何かしないと、ずっとそのままというのは、科学の考え方からしても、消費者、企業にとってもよくないと思います。

○寺本座長 どうぞ。

○梅垣委員 実態把握をしていないというのが非常に問題です。一つの事例として、安全性は食品安全委員会で審査していますが、食品安全委員会で審査しているのは、関与成分についてです。ですから、今、いろいろな食品に入っている難消化性デキストリンというのは、多分1回しか審査していないはずです。難消化性デキストリンを入れた特保製品はいっぱいあります。どれだけの特保製品があって、どのように使われているかというのを把握しないといけない。普通、特保の審査のときは、飲料だと過剰摂取でも1日3本か4本しか飲まないという想定で安全性をチェックしているのです。でも、難消化性デキストリンがいろいろな食品に入ってくると、想定しないような摂取をしているケースが出てくるはずです。そのため実態調査をしないとだめだと思います。どういう製品がどう使われているかというのを把握しないと、安全性の確保は、私はできないと思います。

規制緩和はいろいろなところで行われていますけれども、規制緩和をして何が起こるかという、そのチェック体制なしに規制緩和するというのはおかしいです。問題が起こったら大騒ぎするというのが、食品以外のところにも出ています。そういうことを考えると、少なくとも収去試験はしないと私はだめだと思うのです。今やられていないということですけれども、厚労省の時代は毎年毎年、特保の収去試験検体が分析されていました。それは市場で特保製品を買い取ってきて調べるわけです。そういうチェック体制があったからこそ、有効期限を、2年、4年、無期限にできたのです。実態把握とチェック機能を入れるというのが今の特保で一番必要だと思います。

それから、我々のところで有害事象を集めるようなシステム、考え方をつくっているのですが、有害事象を報告しなさいというふうに求めてもなかなかでてこない。例えば、入院したというのを報告するというのだったらわかりやすいですけれども、その前の段階の症状も結構あるはずです。それを具体的に、誰がどうやって、どういうレベルは報告しなさいというのにしないと、企業側も報告しにくいという実情があります。もう少し具体的にしていけば、報告ゼロというのは多分なくなると思います。

○寺本座長 よろしいですか。再審査、更新制。どうぞ。

○原委員 今、梅垣先生がおっしゃった、企業が何か有害事象について、消費者からクレームが上がってきて、それをどの辺で届け出ようかというところについて、機能性表示食品の制度ができたときに、とにかくそういう有害事象を集めなさい、何かあったら消費者庁に届け出なさいとあります。それについて、事業者の中で、先ほど言われたように、どの辺までのレベルで届けたらいいかとか、ものすごく今悩んでいるところで、それは健康と食品懇話会の中でも、どうしようか、一定のルールをつくろうかという議論は実際にやっております。今まだ途上ですが、問題意識を持っております。

○梅垣委員 実は、私はある研究費をいただいて、有害事象の因果関係の判断について研究しています。例えば摂取して何か有害事象が起きて、やめて改善したというのだったら、因果関係はちょっとあるだろうと、また、もう一回摂取して、また同じ症状が出たというと、これは製品との因果関係はかなり決まる。そういう考えの評価システムと報告システムというのを検討しています。健食懇の方にも協力してもらって、どのレベルだったら報告しますかというのもお聞きしているのです。因果関係が、可能性があるレベルだったら膨大なデータが出てきますから、やはりもう少し上のレベルだったら報告してくださいという考え方です。明確な対応方法を出さないと、企業も対応できないので、それは特保についても同じように入れるべきだと思っています。

○寺本座長 どうぞ。

○迫委員 有害事象の収集に関してですが、きょうこの会議の前に、日本医師会の健康食品安全情報システム委員会でそういう議論をしてまいりました。医療機関、開業医の先生のところで有害事象として把握されたもの、肝機能障害とか、皮膚障害とか、そういうものを収集するというシステムを持っていらっしゃる。ただ、それを公表するときに因果関係をどういうふうに示すのか。今先生がおっしゃったように、やめたら直った、もう一回使ったら出てきた、そういう事例ももちろん入っています。そういうものを民間の団体としての責任で公表できるか否かというところも大きな議論になっているところです。

もう一点は、今年度についてその報告がほとんどなかったということがありまして、これは複数摂取がすごく多くなってきて、何が原因かがわからないような状態になってきているのではないかと。そういうことが出てきていますので、情報収集のシステムとしては有効ではないかと思っております。

○寺本座長 更新制は再審査制があるから更新制が余り必要ないのではないかという御意見が今あったわけですけれども、再審査自体がちゃんと働いていなければ、これは更新制がなくてもいいという議論に全然いかないわけですから、そうすると再審査制をどう担保していくかという問題になるので、そこには今お話がございますように情報の収集というか、そういったことが必要だというのが大方の御意見のような気がします。なかなか大変だと思うのですけれども、少しそういったようなこともこれから考えていかないと、そういうものが担保できないのではないかなという気がいたします。

その辺のところをもう少し整理していただくこととして、次にお話を進めさせていただいて、次の問題として、特保の審査に用いる検証データのレベルは、機能性表示食品のほうがかなり出てきて、これは厳しいので、それよりも甘いのではないかという御意見があるという点でございますけれども、これはいかがでしょうか。

○清水委員 確かに、機能性表示食品というのは科学的根拠をしっかり企業が責任を持って評価をして表示ができるという考え方で、私も検討会の委員でそういう考え方を入れているわけですけれども、実際に企業が申請をして受理されたものを見ると、特保に比較すればヒトの被験者の数が少ないとか、安全性についても今まで何箱売れたというようなことで、安全性の評価が本当は必要かなと思うようなものも多くありました。確かに、レベルの高いものもありますけれども、幅が非常に大きいということからすると、機能性表示食品の科学的根拠のレベルのほうが特保よりも高いというのは言えないだろうと思います。特保については、安全性・有効性両方について行政の選んだ専門家が最低レベルは保証している。ですから、明らかに機能性を担保するという意味では、機能性表示食品よりも特保のほうがレベルが保たれているということは言えるのではないかと思います。

○寺本座長 どうぞ。

○梅垣委員 清水先生と同じで、機能性表示食品は企業の責任でやっているわけです。だから、企業の中の考え方でかなり差があります。特保は第三者の委員の人が見てチェックしていますから、客観的にチェックできている。そこが非常に大きなポイントです。

もう一つは、特保は最終製品でチェックするわけです。機能性表示食品は関与成分の文献レビューでもいいということになっています。必ずしも文献レビューした情報が機能性表示食品に当てはまるかどうかというのは、これはわからないのです。当てはまるかもしれないし、当てはまらないかもしれない。だから、機能性表示食品にはそういう不明確なところもあります。やはり特保のほうがお金と時間をかけているだけ、かなり意味があると私は思います。

○寺本座長 よろしいですか。先ほど、山田委員、大野先生からもお話がございましたけれども、私はパブリシティーというか、この機能性表示食品に関しては今まで調べられたデータを公開するということが求められているわけですけれども、特保のことに関して言うと、いろいろな企業秘密があるのだろうと思うのですけれども、パブリシティーに関してちょっと私も疑問を持っているところがあって、これに対してはもう少しパブリックに皆さんがわかるような形で出していくことのほうが重要なのではないかという気がするのですが、その辺はいかがでしょうか。

○矢吹委員 事業者のほうも、審査の過程も含めてもう少し情報公開をしていただければとは思っています。ただ、内容的にもちろん企業としてどうしても秘密の内容はありますので、そこは伏せていただくということはあると思うのですが、今よりももっと審査過程も含めて公開したほうがいいのではないかと思っております。

○寺本座長 どうぞ。

○迫委員 情報公開に関しては賛成でございます。1点は、機能性表示食品との比較の中で、特保の情報が公開されていないということが、特保そのものの価値を下げるほうにつながってしまうのではないか。特保はやはりあるべき食品だと思っておりますので、そういう意味では情報をきちっと適正な範囲で出していただいて、機能性表示食品より情報の質は高いのだということを消費者の方に見ていただくということは非常に大事なのではないかと思います。

○寺本座長 どうぞ。

○国民生活センター宗林理事 私も同じように、情報公開を推進するということに賛成でございます。企業秘密等一部は伏せるにしても、各社が協力することによって、例えば先ほど言っていますような審査基準とか審査ステップがある程度整理をされてきて、もっと審査時間を圧縮したり、事業者の負担が少なくなって、新しいものが出てくるのではないかと思います。

それから、先ほど機能性表示食品との比較の話のところですけれども、あと2点、この関与成分の量は機能性表示食品のほうはかなり幅があります。それから、同じ社でも関与成分量を2段階出していたりということもありますので、そのあたりも、1日摂取目安量としてということで見てもすごく差がある。

あと、これから先、どう広がっていくのかわかりませんけれども、今まで特保ではないような新しい機能性のものが、機能性表示食品の中にはありますので、そういったことも含めて考えますと、きちんと特保のレベルで第三者が専門的に審査をして、高い形の保証をしていくということが大変大事ではないかなと思います。

○寺本座長 どうぞ。

○野々山委員 私も当然情報公開は不可欠だと思いますし、本日の山田座長、大野座長の御意見でも必要とされており、特に山田座長は絶対的な要件であると強調されておりましたし、やはり消費者が選択をする上で、それから長期間販売や仕様をしてきたものに対して効果があるかどうか。消費者自身ではできないかもしれませんけれども、専門家等に依頼してチェックしてもらう上にも必要ですし、さらに従来から言われているような薬剤師の方とか医師の方が薬を処方するときに常用している特保食品との関係で危険性があるかどうか検討する上においても不可欠なものだと考えております。

○寺本座長 先ほども、大野委員のほうからございましたけれども、特保の場合は基本的には科学論文をもとにしているのですね。ですから、それを理解するのはなかなか難しいということがある。そうすると、それをかみ砕いた形で紹介するような公開制というのは必要になってくる。ステップとしてかなり難しい問題が出てくると思うのですけれども、その辺のところが一つのハードルかなという気がしているのです。

○梅垣委員 消費者の人にいろいろな情報を伝えるときに、わかりやすい情報をと言われるのですけれども、わかりやすい情報というのは誤解される、拡大解釈される可能性があるのです。科学的な情報をそれなりに書いて、それをかみ砕いて伝える人はぜひ必要だと思います。そういう人をサポートするような体制をして、伝える人が本当の特保のあり方、特保と機能性表示食品のどこが違うかというのを説明すれば、特保の意味というのはかなり理解してもらえる。そういうシステムを特保制度の中に入れていかないと、消費者にただ単に文字の表示で説明するとか、パンフレットを配っても、理解してもらうのは難しいですね。そういう健康食品のアドバイザリースタッフのような人を活用するというのが、必ず必要だと思います。

○寺本座長 これもいつも議論になるのですけれども、やはり特保の意味というのは、食の重要性というか、食生活の重要性とか、そういったものが基本になっているので、そこをきちっと踏まえた上での解説というのでしょうか、これはどういうものに含まれていて、それの根拠となるものはこういうことがあってというようなことがちゃんとわかるような形で入ってくると、すごくその辺は消費者にわかりやすくなってくるのではないかなという気がするので、情報を与えるということは、与えるというのは失礼な言い方ですけれども、情報を知っていただくということは非常に重要なことなので、その辺のところも少し考えてもらうといいかなという気がします。

ほかに何かございますか。

○吉田委員 読み解ける、読み解けないという部分はあると思うのですけれども、私は皆様と同じで、機能性表示食品というものがもう既に情報公開されている以上、特保がやらざるを得ないのかなと考えておりまして、消費者の選択に資する場合、確かに論文を読み解くというのは非常に難しいと思うのですけれども、それをわかりやすく伝えるとき、今、梅垣先生がおっしゃられた、多分あれを読み解くのは非常に難しいのかなと思うので、それをわかりやすくするのは、おのおのの企業が作成するものではなくて、誰かまた別の第三者の方に消費者にしっかり読み解けるようなものを作成し開示すればより消費者の選択に資するものになるのかなと思っております。

以上です。

○寺本座長 どうもありがとうございました。

最後に、試験方法とか審査基準、審査ステップというのを整理して、もっと明確化する必要があるのではないかという問題点もございますけれども、この点についてはいかがでしょうか。

○野々山委員 原委員の御報告の最後のところに、E社が、今、審査をマル1、マル2、マル3の順番でやっているけれども、これは行ったり来たりしているわけですね。消費者庁から行ってきて、また戻ってくる。こういう審査方法を並列的にやっていくなどの改善を指摘していますが、これができないのは何か理由があるのでしょうか。私もそういうふうな形でやったほうがいいという意見を持っているのが1点です。

それから、入り口のチェックです。先ほどの大野座長のお話の中では、厚労省所管の時代では入り口のチェックがかなり厳しくされて、そこである程度審査されてきた。それが今は割とスルーされてきて、それで審査の手間がかかっているということのご指摘があったと思うのですが、その点も改善するなら改善したほうがいいのではないかと思っております。

○寺本座長 どうぞ。

○消費者委員会阿久澤委員 今、野々山委員の御意見に関連で、原委員の資料の中にあります調査会等での企業の担当者の参加もということですが、これは個人的な意見として、情報のやりとりの正確性、そして審議速度を早めるという意味でも、申請者と直接、質疑応答ができればとおもうことがあります。

○寺本座長 それは、その件に関してのみですよね。

○消費者委員会阿久澤委員 そうです。必要なときのみということですね。

○寺本座長 事業者の参加を認めるというのは、これからまた一つの大きな問題だと思うのですけれども、確かに最近ちょっと問題になっているのは、その場の議論の雰囲気というか、こういう議論があってこういうことが求められているというのがなかなかわりにくいということで、たしか議事録みたいな形でお伝えするという形に少し変わってきているので、委員の先生方が考えられていることは少し伝わりやすい方向には変化しているのではないかという気はしているのですけれども、そういう努力はこれからしていく必要があるだろうと思っています。

あと、私が気になっているのは、先ほど来問題になっているのですけれども、これは平成3年からということで、20年以上たっているようなことで、最初のころの試験の方法と現在の試験の方法が違っていて、基準も大分変わってきているという中で、昔認められていたものが今の審査基準だと合わないというものもあると思うのですね。先ほどの大野先生からもお話がございましたけれども、ペアードtは最近はもうそれはだめだという話になっていると思うのですけれども、それが認められていたりとか、そういう問題があるので、ある程度のところでもう一回見直すということは、審査基準が変わればそれなりに変えていかなければいけないということもないと、今発表されているものと昔のものとの同等性が保てないということがあるので、その辺も少し問題なのではないかなと思います。

ただ、先ほど原委員のほうからあったように、いろいろな意見がちょこちょこ出てきて、事業者としては、これを答えてこれでいいのかと思ったら、また全然別の方角からまた来たりということで、これは実は論文の世界では許されないのですね。最初のときにクレームを出したら、それ以外のことで今度次のクレームを出すということは許されないはずなので、私も前にそんなことを言ったことがあるのですけれども、そういうことの手順、ルールというのはきちっとつくっていって、そうすることによって恐らく審査に対する信頼性というのも増すのではないかなという気がするので、その辺も少し考えていったほうがよろしいのかなと。

ただ、その場合に、審査項目が余り多いと、皆さん十分読み切れないということがあって、そういったことも起こっているのではないかと思うので、事前のチェックというのはかなりしっかりしていただく必要がある。これも言われたことですけれども、私もそう感じております。

そのほかに、この辺のところに関して、手順のこととかで何かございますか。どうぞ。

○唯根委員 ありがとうございます。許可表示、表示の審査基準も見直すべきではないかと思います。厚労省の時代の許可表示の見方と、消費者庁に移って消費者目線で表示を見るという意識の差や許可表示の部分的使用での消費者に誤解を与えないかという視点でのチェックというのも、もう一度基準の中で、考えていただければいいなと思います。

○梅垣委員 今の御意見ですけれども、厚労省のときには特保が医薬品と誤解されるというのを注意してチェックしていたのですね。特保制度が消費者庁に移ったら、そこがかなり甘くなっていると私は思います。特保は医薬品ではなくてあくまでも食品なので、医薬品のような効果は恐らくないはずです。というのは、特保の許可要件の一番最後の8番目に「専ら医薬品とされる成分は入っていないこと」と書いてあります。生体に対して強い作用のある成分は特保でも使えないはずです。そういうことを考えると、ほどほどの効果があるというのはいいと思うのですけれども、それを医薬品のような効果があるように思われるというのは、やはり表示のところが問題です。消費者にわかりやすい表示というのはいいかもしれませんけれども、逆に薬と勘違いされるというのは非常に問題がある。まともな医療ができなくなります。そこのところは十分注意しなければいけないと思います。

○寺本座長 この表示の問題もかなり重要な問題で、これまた一つの大きな論点になるかと思います。審査手順とかそういったことに関して、大体そんなところでよろしいですか。どうぞ。

○野々山委員 私は専門家でないのでよくわからないところもあるのですけれども、審査基準が明確になることは非常にいいことだと思っています。機能、効能があるという評価の基準というのが、私もこの間、特保制度についていろいろ見てきますと、極めてわずかな効果があるだけで、しかも1点についてあるということだけで、それでもう認めてしまうということが果たしていいのかという思いは強くあります。

○寺本座長 どうぞ。

○国民生活センター宗林理事 同じような趣旨ですけれども、統計処理をしますと、参加人数がたくさんであれば、小さい差でも有意差が出やすくなり有意差があるということだというふうに判断される場合が多くなります。ですから、最初にお聞きしたのですけれども、その有意差があるということが絶対値として、使われる消費者にとっての意味があることなのかどうかという絶対値の判断もあわせてされているのかどうかということが大変大事だと思います。

もっと言えば、例えば実験の開始のところからの変化値だけで、最初がゼロからスタートしている図がよく出てくるわけですけれども、例えば全体の体脂肪がどのぐらい、ウエスト周りの体脂肪がどのぐらいあって、試験で出たこの差が全体の何パーセントになってくるのかというようなことも、全体像がつかめない形での、摂取の有無の比較だけの判断、私は審査を実際にしておりませんのでわかりませんけれども、そういうふうに誤解されるような表現で表示のところに図が載っているものが多く見られますので、そのところは信頼おけると思われるような評価方法が必要ではないかと思います。

○寺本座長 恐らくこれは評価の基準のところというのは、たしか私も一緒の委員で考えたことがあるのですけれども、当然のことながら特保はRCTでやるということなので、両方がランダム化されてコントロールされているということで、両方の間に必ず有意差があるということが前提です。ただ、問題は、おっしゃるとおりで、体重がこれぐらい下がるだけで何の意味があるのかというような議論とか、血圧がこれぐらいで何の意味があるのかという議論というのは、時々されることはされるのですね。確かにそこら辺は医療判断で、専門家の判断になると思うのですけれども、一応前提としてそういう統計学的な有意差がRCTできちっとあるということが恐らくその前提ですので、その部分は担保されていると思います。

だから、問題は、おっしゃるように、それが本当に生体にとって、消費者にとっていい影響を及ぼしているのかどうかということの判断で、これはそのときの専門家の意見で、もちろん逆に言うと、それは場合によってその意見は変わる可能性はあるわけですね。そういう意味でいうと、またそこにも再審査とか更新制の問題が出てくる可能性があるので、医療の世界は必ず変わってまいりますので。

○国民生活センター宗林理事 今、寺本先生がおっしゃったことそのままなのですが、やはり試験の開始をどこに置くかというところも、前回のときにもちょっと言葉を挟みましたけれども、境界域までなのか、あるいは軽度疾病者のところまでを含んで母集団を設定するのかによって差の出方は大きく違うわけで、そうしないと差は出にくいという一方のジレンマがあるのだろうと思いますね。ですから、その辺の審査基準といいますか、審査の方法というのも一考すべきではないかなと思います。

○寺本座長 どうぞ。

○梅垣委員、特保は食品なので、そんなに劇的な効果は出ないのですね。だから、例えば対象が変われば結果は変わってくるわけです。審査するときに、表示の制度ですから、この表示は科学的に裏づけられているかどうかというのを見ているわけです。それがどこのレベルで許容するかというのはわからない。

だから、一番重要なのは、1番目の特保の許可要件の、食生活の改善というところがやはり一番重要なのです。そこに結びつかなければ特保の存在価値というのはない。私は食生活の改善とか生活習慣の改善の動機づけに、消費者、国民が向かうように特保を使ってくださいと説明しています。そうすると、特保の意味は非常にあると思いますし、表示にうそはない。特保以外の製品で、実際にあり得ないような現象をうたって販売しているのもあります。そういう製品と差別化するというのは、当初の特保ができたときの趣旨です。そこのところは今できているので、もう一歩進んで、生活習慣とか食生活の改善というものに特保が結びつけば、実験的に意味が余りないかもしれないけれども、特保が世の中に役に立つものになる、そういう考えでいくしかないのではないかなと思います。

○寺本座長 どうもありがとうございました。きょうも大分時間が延長して申しわけございません。一応これで本日の審議はここで取りまとめさせていただいて、事務局のほうで本日の議論状況をまとめていただいて、当専門調査会の報告書原案のうち、特保の制度・運用の見直しに関して、本日の議論部分の作成を開始していただきたいと思います。

次回は、特保の制度・運用の見直しのうち、健康食品全般における特保制度の位置づけについて、特保の規格基準型の適用範囲の拡大について、その2点について御議論いただくという予定でございます。

最後に、事務局から連絡事項をよろしくお願いします。

○丸山参事官 本日は長時間にわたりまして御審議のほう、ありがとうございます。次回会議につきましては、12月15日火曜日、17時からを予定しております。よろしくお願いいたします。

○寺本座長 どうもありがとうございました。

≪3.閉会≫

(以上)