第40回 食品表示部会 議事録

日時

2017年6月8日(木)13:59から17:05

場所

中央合同庁舎第4号館2階共用220会議室(東京都千代田区霞が関3-1-1)

出席者

【委員】
阿久澤部会長、樋口部会長代理、赤枝委員、安達委員、池戸委員、井之上委員、今村委員、受田委員、荻原委員、蒲生委員、川口委員、岸委員、菅委員、宗林委員、宮崎委員、渡邊委員
【説明者】
消費者庁 吉井審議官、赤崎食品表示企画課長、三上食品表示対策室長、食品表示企画課
農林水産省 島崎食品表示調整担当室長、食品表示・規格監視室
【事務局】
黒木事務局長、丸山参事官

議事次第

  1. 開会
  2. 食品表示基準の一部改正に係る審議(消食表第156号諮問書(加工食品の原料原産地表示))
  3. 閉会

配布資料 (資料は全てPDF形式となります。)

≪1.開会≫

○丸山参事官 それでは、定刻になりましたので、会議を始めさせていただきたいと思います。

本日は皆様、お忙しいところお集まりいただき、ありがとうございます。

ただいまから「消費者委員会食品表示部会」第40回会合を開催いたします。

本日は澤木委員、松嵜委員が所用により御欠席ですが、過半数に達しておりまして定足数を満たしております。

議事に入ります前に、配付資料の確認をさせていただきます。

本日お配りしております資料につきましては、議事次第の下部に記載しております。

資料1から3、参考資料1から6となっております。

なお、本日、井之上委員、蒲生委員、川口委員、渡邊委員の各委員から資料が提出されております。参考資料2から5となっております。こちらをお配りしておりますので、適宜議論に御活用いただきますよう、よろしくお願いいたします。

不足の資料がありましたら事務局までお申しつけいただきますよう、よろしくお願いいたします。

なお、本日も多くの傍聴の方がお越しになっておりますので、委員の方、御発言の際には恐縮ですけれども、マイクに近づいて御発言をよろしくお願いいたします。

それでは、阿久澤部会長、以後の議事進行をよろしくお願いいたします。

≪2.食品表示基準の一部改正に係る審議≫

○阿久澤部会長 それでは、本日もよろしくお願いいたします。

本日は前回に引き続き、加工食品の原料原産地表示に係る食品表示基準の一部改正について審議を行います。

審議に入る前に、本日の審議の進め方についてお話させていただきます。

前回部会で、消費者庁から資料1の食品表示基準改正のポイントが示されました。本日はこの後、御説明いただきますが、変更点をまとめたものが新たに資料として提出されております。今回はこれらの資料に沿って可能性表示や大括り表示、普及・啓発や監視といった項目ごとに各論の議論を行いたいと思います。

あらかじめ申し上げておきますが、これまでの部会では総論に対する懐疑的な御議論が出されておりますが、以前にも申し上げたように、当部会ではまずは消費者庁が作成した食品表示基準案や、その他の食品表示部会に提出される資料の内容を確認し、それらについて議論をしたいと思います。それらの議論が終了した後に、総論についても議論し、最終的に答申内容を確定したいと思います。

このため、本日はこの制度を導入するとしたらという前提で、消費者庁の示している内容で適当かということを各論ごとに確認していただきたいと思います。御協力のほどよろしくお願いいたします。

次に、各論として扱う項目と議論の進め方についてです。お手元にあります資料1をごらんください。7ページにある改正点マル3(可能性表示)から17ページのマル11(経過措置期間)までの9項目に加えまして、資料1では参考となっておりますが、22ページから27ページの監視、普及・啓発、国際整合性、インターネットによる表示の4項目は、各論として議論したほうがいいと思います。したがいまして、議論を行う項目は合計13項目になります。

これらを幾つかの塊に分けて、各委員から御意見を伺いたいと思います。

本日は時間の関係上、全ての項目について委員間の議論まで行うことは難しいと思いますので、議論は次回以降行うとして、本日は現時点での各委員の意見確認の場とさせていただければと思います。ただし、経過措置期間につきましては消費者庁が修正案をまとめる前に当部会の議論状況を確認したいとのことですので、議論を行いたいと思います。

ここまでのことで何か御質問等ございますか。よろしいでしょうか。

それでは、審議に移りたいと思います。本日は消費者庁から吉井審議官、赤崎食品表示企画課長、三上食品表示対策室長にお越しいただいております。

また、監視に関する参考人として、農林水産省から島崎食品表示調整担当室長にお越しいただいております。どうぞよろしくお願いいたします。

では、30分程度で御説明をお願いしたいと思います。

○赤崎食品表示企画課長 消費者庁の食品表示企画課長でございます。

お手元の資料2と資料3、参考資料1に基づいて簡潔に御説明をさせていただきます。

まず分厚い参考資料1をごらんになっていただければと思います。消費者庁では食品表示基準の改正案につきましてパブコメを実施いたしました。これは、その意見の概要と消費者庁の考え方の案をまとめたものでございます。まずはこれに基づいて、どのような御意見がパブコメであったのか、それを簡単に説明した上で、そのパブコメの御意見やこれまでの委員の皆様方の御発言、御意見を踏まえて、ポイント資料を修正し、かつ、食品表示基準改正案の条文を改めて附則も書き込んだ形で御用意をしておりますので、その流れで御説明をさせていただきます。

まず参考資料1でございます。パブコメ意見概要、消費者庁の考え方の結果概要でございます。これにつきましては表紙の3のところにございます寄せられた意見総数が8,715件と非常に多くなっております。意見申出者は4,500を超えております。多くの御意見をいただいておりますので、消費者庁のほうでできるだけいただいた御意見の趣旨に沿って整理をしてまとめております。その際、同じ意見はこちらでまとめてございます。

あと、御意見の内容が複数項目にまたがるようなものにつきましては、その整理は消費者庁でいたしました。以下、この分厚い参考資料1に沿って、主な御意見を紹介させていただきます。

まず1枚開きますと目次がございます。非常に多くの御意見が来ておりますので、我々のほうで幾つかグルーピングをして整理をしております。

1ページ、まず総論でございます。最初のところに「改正案に賛成」という御意見をまとめております。理由がいろいろございます。そこにあります1から16ですけれども、代表的な御意見としてはその中の6番、消費者にとって必要な情報が提供される。あと9番で自主的かつ合理的な選択を可能とする。こういう理由での賛成の御意見が多々ございます。

あわせて1ページの左側の下から2番目になりますが、評価と言いながらも残された課題の解決に向け、今後もさらなる検討を求める。これで満足するのではなくて、より高みを目指してほしいという御意見もいろいろ出てございます。

ただ、今度は2ページをお開きになっていただければと思います。例えば左側の下から2番目、3番目の意見の概要ですけれども、下から3番目は改正案に反対という御意見で、理由もいろいろございます。下から3番目はそもそも論的な理由での反対で、下から2段目は特に新しい表示方法に着目して、例えば理由1にありますように混乱する。2番にあります誤認を招く。こういう観点からの反対という御意見も多く出ております。これら反対の御意見につきましては、左側の下から2番目の右側になりますけれども、消費者庁としてはこれまで情報開示がなされなかったものに新たに原料原産地情報が提供される、そのメリットが大きいということと、今後、消費者への普及・啓発に努めるという形の考え方を書かせていただいております。

賛成、反対もいろいろ御意見がございますけれども、今、述べた1ページ、2ページだけではありません。これはいろいろな形の御意見がありまして、例えば条件つきのようなものとか、各論について御意見があるけれども、総論はどうも文脈的には賛成みたいな、いろいろな形でさまざまな御意見をいただいておりますので、賛成か反対かは明確に二分して、それぞれ数字で示すことは非常に難しいと思っております。

時間の関係で、順番にポイントだけ説明をさせていただきます。

25ページをお開きいただければと思います。ここに「酒類の表示」というものがございまして、その2番目になります。貴重な御意見をここで紹介させていただきます。長期間貯蔵している酒類については情報伝達の対象外としてほしいという内容でございます。例えばお酒、焼酎類ですと長期熟成するものがあります。10年、15年寝かす。材料を仕込んでから一定の品質になるまでそのままにしておく。一定期間経過すると売り物になるというものでございます。

例えば15年寝かせるお酒があったとします。それを5年前に仕込んだとしますと、15年ですから売り物になるのは10年先になります。10年先だと我々の提案の方向で話が進んでおれば、恐らく完全施行されていると思いますけれども、ただ、10年先、売るものについては5年前に仕込んでおりますので、その時点で例えば必要な書類をとる、情報を残しておくなどしておかないと、10年先だからといっても情報がないと対応し切れないという事情がございます。そういう御指摘をいただいておりますので、当方としてもこういったような場合の義務づけは難しいという形の整理をさせていただいております。

その次は35ページをお開きいただければと思います。これは34ページからの続きで、「可能性表示」についての御意見をまとめたところでございます。この35ページで言いますと左側の上から7番目をごらんになっていただければと思います。可能性表示について再検討すべきという御意見です。理由が手元の商品と違うことがある。これは過去の実績を書いても意味がない。こういう御意見が代表的な御意見だと思っております。こういう御意見をいただいておりますが、当方としては「A又はB」と書いた場合、And Orということですので、「A又はB」でCやDを使うのはだめだとしております。そういう意味での正確性が担保されておるということと、こういうことをきちんと消費者に理解していただく、普及・啓発が大事なんだという議論を実は昨年、有識者検討会でいただいておるという形の回答をさせていただいています。それはこういう整理をさせていただいておるということでございます。

続きまして37ページになります。ここは「大括り表示」というところでございます。これは左側の上から2番目、3番目をごらんになっていただければと思います。代表的な御意見だと理解しています。上から2番目は輸入かどうかだけでなく、どこの国からの輸入かを知りたい。上から3番目も、再検討すべきという御意見ですが、理由は原産地を特定していない。やはりどこの国かを知りたいという方から見ると、輸入というのではまだ情報の質として不十分という御意見を、この部会でも委員の皆様からいただいているところです。こういう御意見につきましては、消費者庁としては、今表示はされていない中で、前回に御説明しました国産かどうか知りたいという方々が65%いる。あと、文字数が多くなると表示スペースがないという御意見も一方でいただいております。実行可能性の次元だと思っております。そういうことを勘案しまして、我々としてはこの整理を合理的なものだと考えております。ただ、これにつきましても御理解をいただくのが何よりも大事だという整理を昨年、有識者検討会でしておりますので、そういうコメントを書かせていただいております。

その次が39ページになります。一番上なのですが、39ページのシリーズというのは38ページの下にあります「可能性表示及び大括り表示」のダブル表示でございます。これは39ページの左側の一番上にありますように、やむを得ないときの表記としてほしい。例外的という趣旨の御意見もいただいております。

あわせて40ページをごらんいただければと思います。一番上に可能性表示や大括り表示は意味がないという御意見がございます。理由の5番目をごらんになっていただければと思います。ここに3以上の外国の産地表示を「輸入」と「国産」とを「又は」でつなぐと結局どこの原産地か全くわからない。同じ御意見をこの部会でもいただいております。要は全世界ということになるという理解だと思っております。このような御意見が代表的なものだと理解しております。これにつきましては40ページの一番上の右側に書いておりますように、どのような場合でもこの表示ができるものではございません。要件が定められている。繰り返しは申しませんが、そういう形で厳格な要件を定めて、その上でできるだけ情報を出していくということと、そのようなルールにつきましては、よく消費者の方々に御理解いただけるような取り組みを消費者庁としてもしていくという形のコメントを右側に書いております。

その次がまたこれも飛び飛びで恐縮です。44ページをごらんになっていただければと思います。左側の上から4番目になります。これは小見出しで言いますと「使用実績・使用計画」というところになります。どんな御意見かと申しますと、44ページの左側の上から4番目です。可能性表示等における使用実績の期間については、3年前、前年も許可してほしい。これは後ほどポイント資料で詳しく御説明をさせていただきます。この点につきましては我々のほうが今回、再考をして本日、御意見を伺いたいという点でございます。

その次、53ページになります。中ほどに「製造地表示」とございます。左側の一番最初の主な意見のところになります。国産品は国内で製造されているので、その原材料は明らか。国内製造ではなく、ここでは国内工場製となっていますという用語とあわせて、その原料原産地も表示すべき。要は制度表示に加えて生鮮の産地表示も行うべきだ。そのときに国内製造ではなく、国内工場製という表現がいいということでございます。同様の御意見につきましては、前回もこの部会で国内最終製造という言い方がいいのではないかという形で御意見をいただいたのも承知していますが、ダブル表示というのが多くの方々から意見としてはあるのではないかと思っています。

この点の考え方は右にありますけれども、製造表示、今回我々提案をしておるのは、生鮮原材料にさかのぼって表示をしていただくのが難しいという事情もございますので、ダブル表示で国内製造とあわせて生鮮の産地表示というのは、実行可能性という観点から見て難しいのではないかという形の回答を書かせていただいております。

次々に行って恐縮です。その次は61ページをごらんになっていただければと思います。ここに「おにぎりのり」とございます。この2番目をごらんになっていただければと思います。おにぎりののりの義務づけについて高く評価。ただ、将来的には巻きずし等も含め範囲の拡大をしてほしい。これは非常に多くの御意見が出ております。こういう御意見もあるということをあわせて御紹介をさせていただきます。

その次が65ページになります。これは64ページからの流れになりますけれども、「経過措置の拡充」でございます。パブコメでは経過措置について完全施行時期をもっと前倒しという御意見はありませんでした。代表的な御意見は65ページの左側の一番上の施行後5年欲しい。我々が今、提案しているものにプラス2年という御意見なり、同じ65ページの上から5番目の施行後4年とすべき。今の我々の提案からプラス1年というような御意見が多々ございます。この経過措置につきましては、前回の部会でも5年後が適当だという御意見もいただいておりますし、委員の中からは意見書という形でシステム化という情報整理の必要性から同様の御意見を述べた方もおられます。この点につきましては本日、委員の皆様方のほうで御議論がなされると承知していますので、それを踏まえて我々のほうで次になりますが、具体的な提案をさせていただきたいと考えております。

その次、68ページをお開きいただければと思います。左側の上から3段目、これは小見出しで言いますと「監視体制」というところになります。軽微な表示ミスについては弾力的運用をしてほしいという御意見でございます。これも前回の部会で委員から問題提起があった点だと承知をしています。ここの回答でございますが、今、消費者庁、農林水産省、国税庁でいわゆる指示、公表の指針というものを出して、個別の事案に応じた所要の対応をしておるということを書かせていただいております。あと、これは前回、消費者庁の室長から御説明もさせていただいたと思っておりますが、指針では直ちに回収ということは求めていないといったような事情もあるという含みで、消費者庁のコメントを書かせていただいております。

同様に、監視制度につきましては72ページをお開きいただければと思います。左側の上から3番目に行政による監督体制の強化という御意見もいただいております。同様の問題意識につきましては前回も多くの委員から御発言があったと理解しております。この点につきましては御指摘のとおりと考えており、国としてもいろいろな形でさまざまな体制強化を図って、効率的、効果的な監視に努めたいと考えてございます。

あと、このページの一番下に「普及・啓発」というところがありまして、73ページの左側の上から2番目に、広く消費者に普及・啓発が必要だという御意見がございます。この点、今後の制度運用を考えるときに非常に大事な点だと思っておりますので、後ほどポイント資料に基づいて、今消費者庁としてどういうことを考えておるのかという御説明をさせていただきたいと思っております。

その次、78ページをお開きいただければと思います。77ページに「見やすい表示」という小見出しがありまして、その一番最後になります。主な意見の下から3番目になりますが、アレルゲンやもっと健康に関係する表示を大きく分かりやすい表示にしてほしい。これは前回、委員の意見書の中にも同趣旨の御意見があったと承知しておりますが、この点につきましては御指摘のとおりということで、ものによってはアレルゲン表示と遺伝子組換え表示と原料原産地表示、3つを一度に書くこともあると考えています。そのときにはアレルゲン表示が見にくくならならないようにという形でQ&Aで整理したいと思っておりますが、今、消費者庁としては、3つ書く場合には最初にアレルゲン表示をしていただくのがいいのではないかと考えております。いずれここのQ&Aできちんと整理をしたいと思っています。

その次に79ページ、これは最後になります。下から2番目の見出しで「見直し規定」というものがございます。意見を読みますと、一定期間経過後の制度の見直しを食品表示基準の中に規定することを要望。食品表示基準の中に入れる入れないは置いておいて、一定期間経過後の制度の見直しにつきましては、前回もこれは受田委員からだと記憶しておりますが、問題提起がありまして、多くの委員の賛同があったと承知をしております。この点、前回の部会でも申し上げましたが、消費者庁としても新しい制度については今後もモニタリングを行い、実態の把握、検証をする。そのときできるだけ数値化するのが鍵だと思っています。その結果を踏まえ、必要があればということで制度の見直しをしていくということで、つくったから終わりというよりも、いろいろな形の見直しを、別に一定期間経過したからというよりも、絶えることなく行ってフィードバックしていく。こういう取り組みをしていきたいと思っております。

以上、パブコメで出てきた主な意見を御紹介させていただきます。

このような御意見及びこれまで委員の皆様からいただいた御意見も踏まえて、資料2でポイント資料を修正したものを御用意しております。これも簡潔に御説明させていただきます。

1ページ、可能性表示の呼称につきまして、これは前回の部会でも委員の方から問題提起をいただいております。この点、こちらでもよく検討しました。その結果、この呼称については「又は表示」という呼称も使いたいと考えております。パブコメでも関連の意見をいただいております。

考え方でございますが、まず可能性表示という呼称については法令に基づくものではありません。あくまで呼称、実際の運用の中で言われていた言葉でございます。ただ、可能性と言うと、例えば今、アレルゲンではメイコンテインという可能性表示、漢字5文字の可能性表示という言葉はよくないと消費者庁の次長通知でも書かれております。それに加え、我々のほうでもよく検討した結果、可能性表示とするとちょっと消費者の方は誤解をするのではないか。要は調達産地としてA又はBと書いた場合、これを可能性表示と呼ぶとAとかB自体が可能性であって、結果CとかDも場合によってはいいのかみたいな、実は説明会でいろいろお話をしていると、そういう誤解をされた方もかなりの割合でおりました。その意味での可能性という言葉。あと、実績表示というのも過去の実績さえ書けば別に今は何だっていいんでしょうという御意見もございましたので、それよりも今回、新しく条文の中で「又は」でつないで書く。「又は」というのを規定として入れていますので、そういう形で「又は表示」という呼称を使用する。そちらのほうが適当ではないかという形で整理をしております。

その次、3ページになります。先ほどパブコメ意見でも紹介した過去の産地別使用実績の期間のとり方です。4ページをごらんになっていただければと思います。右下に注意書きの例がございます。例えば○○の産地は平成27年の使用実績順、26年から2年間の使用実績順、いろいろございます。これはどういう考え方でやるかというと、上にございますように平成29年が製造年の場合、根拠としては過去3年この枠内に限定されます。26、27、28、ただ、この3年の中の1年以上だったら原則どんなとり方でもよかったのですが、前回は我々1年間に区切る場合は最も古い1年、ここで言う平成26年はだめだというふうにしておりました。できるだけ直近の実績でということで考えていたのですが、ただ、大きな意味での3年以内という枠は変えないということに加えて、あと、今の我々が前回提案したやり方だと事業者の側から結局、1回しか使えないという提案もございました。要は平成29年を製造年とする。では29年1月につくるとなっても、まだ28年のデータがそろっていない。そうすると必然的に27年1年のデータになりますけれども、1年更新してしまうと今度は使えなくなる。こういう事情もあり実行可能性の観点から今回、大きな意味での3年以内という枠は変えませんが、実績の根拠を1年とする場合、製造年から3年前の1年もよしという提案をさせていただいております。

5ページ、6ページは経過措置期間でございます。これはいろいろな事情でもう少し長い期間、設定すべきという御意見がパブコメでも出ております。この部会でもいただいておりますので、それを踏まえて本日、御議論いただければと思っています。

7ページ以降が普及・啓発でございます。これは非常に大事な点で、我々としても最大限の取り組みをしたいと思っております。

具体的にはということで8ページに書かせていただいておりますが、現在、検討中のものですけれども、8ページの1にありますようにいろいろな資料、これはTPOに応じて使い分けて説明をしようと考えています。

マル1にありますように、スーパーに置いていただけるチラシのような形態。マル2でいろいろな標準的な説明会で使うパンフレット形式のもの。マル3はスマホで一般の消費者が見ていただけるようなもの。マル4はポスター。こういったものが何か1種類あればそれを使い回すというよりも、状況、状況に応じて最もわかりやすい資料を我々のほうでもつくりたいと思っています。

2にありますように、制度の大きな切りかえとなると政府広報の活用というのも積極的にしたいと思っております。

3にあります理解度調査も我々として継続的に行いたいと思っています。昨年度もこれをやっておりますので、今後とも継続的にということで、理解度に加えて制度を施行した後であれば、例えば活用だとかそういったようなものも調査の中でフォローができるのではないかと思っております。

9ページ、10ページは消費者向けにいろいろな説明をするとき、こういう問いかけで、かつ、わかりやすい答えをつくっていくというのが大事ではないかということで、現時点の問題意識として問いとして整理したものでございます。説明は省略させていただきます。

12ページ以降は監視でございます。監視も非常に大事だ。前回も誤認と監視が大事だ、その防止が大事だという御意見もいただいております。今どういう体制でしているのかというのを改めて12ページで御説明をさせていただいています。現行の体制ですけれども、一番右側の欄の衛生保健は除きます。原料原産地は品質になりますので。お酒は今、原料原産地表示はありませんので、酒を除く食品全般で一番左の欄が今の仕組みになりますが、今の体制で見ますと事業者の規模に応じて全国展開をしている事業者さんか、県内で支店も営業所も完結しているのかによって、広域は国、県域以下は自治体が見ているとなっています。

では何をそれぞれの事業者のところでチェックしているのかというのが、上に調査事項というものがありますが、実はいろいろな義務が表示ではありますので、それぞれを見ている。当然、原産地というのもありまして、大体加工食品の1から2割だと原料原産地というものが今でもあるということで、これは国と県の連携という意味では下に注書きでありますように、全国レベル、地方レベルできちんと情報共有をし、いろいろな形で連携しながら進める仕組みというのも整えられています。

13ページ以降は前回、御説明した資料になりますので省略をさせていただきますが、今でもこういう形で連携をしながら効率的な取り組みをしているという仕組みがございますので、今回も原料原産地の義務の拡大というものがあります。できるだけ今の仕組みを活用しつつ、ただ、それに伴って新しく難しい対応が迫られる、そういう課題もあると思っていますので、そこは難しい課題と受けとめた上で、いろいろな形で引き続き連携をしながら対応をしていきたいと思っています。

最後、資料3になります。条文で御用意をしております。最終的に官報にこのスタイル、形式で載せたいと思っております。1ページは頭書きでございます。例文ですので省略をします。

2ページ以降、今年4月から実は内閣府令の改正は新旧対照表で官報に載ることになりました。昨年度までは改め文ということで文章にしていたのです。今年の4月から見やすくなっているということです。それで前回の部会にも新旧対照表はお渡し、御説明をさせていただいておりますが、実は1カ所だけ変わっています。それは6ページに(ロ)というものがあります。その2行目から3行目に括弧書きがついています。短いので読みますと「前号の規定に基づき『その他』と表示されたものを除く。」でございます。前回この括弧書きがなかったものを今回入れました。これは一体何だろうと思われると思いますが、これは結局、そのちょっと前に書いている可能性表示の場合、A又はBで例えばBが5%未満の場合に割合表示をするという御説明をさせていただきました。割合表示はその他の場合は我々、実はつける必要がないと思っておりましたけれども、以前、御説明した条文だと、その他が5%未満でも「その他(5%未満)」と書くたてつけになっていましたので、それは修正させていただいたことになります。国名をはっきり書く場合、それは少量であると、あたかもたくさん入っていると思われるのはよくないということでこういう御提案をしたのですが、その他の場合は、それ自体、特定の国をあらわすものではありません。したがって、その他の場合、5%未満であってもその割合の表示は要らないと考えておったのですが、条文上そうなっていなかったのを今回、改訂をさせていただいたことになります。

最後、16ページをお開きいただければと思います。これが施行期日、経過措置のところになります。

まず16ページの第1条、ここ以下は前回は御説明というか資料としてなかったところですが、まずこの府令は公付の日から施行するとなります。時期は定かではありませんが、これが官報に載った日から施行されます。ただし、しばらくは二本立てになります。新しいルールでも当然いいのですが、古いルールでもまだいいですよと。ただ、どこかで一本化するというのが実は第2条でして、この府令の施行日から平成○年○月○日までにと書かれています。この○のところが我々前回、平成32年3月末だったのが、どういう期間がいいのかということで今回、いろいろな御意見をいただければと思っているところでございます。この○に当たるのがいわゆる経過措置、完全移行がいつの時期なのかになります。

第3条というのは、先ほど述べたお酒の長期熟成の規定でございます。前条の規定にかかわらず、この府令の施行の際に種類の製造場に現存する酒類、要は材料をまぜこぜにして仕込んでいる。ただ、しばらく寝かさなければいけないといったようなもの、あとそういったものはブレンドもありますので括弧書きがありますが、そういったものを例外にする規定として3条を置いているということでございます。

駆け足ですが、当方からの説明は以上でございます。

○阿久澤部会長 どうもありがとうございました。

それでは、ただいまの御説明も踏まえまして各論の審議に移りたいと思います。

まずは資料1の7ページから12ページまでの例外表示。その中には可能性表示、大括り表示、大括り表示プラス可能性表示、そして製造地表示がございますが、それについて御意見を伺いたいと思います。可能性表示の呼称を変えるという提案も出ていますので、それに関してもあわせて御発言ください。

今回は出席者全員の御意見を確認したいため、順番に御発言いただきます。消費者庁への質問がある場合は、関連項目の発言の際にあわせてお願いいたします。消費者庁からそれに対する御回答は、時間の関係もありますので、できるだけ簡潔にお願いしたいと思います。この部分の時間配分は60分程度を考えております。恐縮ですが、消費者庁との質疑もそこには含めておりますので、お一人大体計算すると4分程度を目安でお願いしたいと思います。なお、宮崎委員は所用で途中退席されると伺っておりますので、別の項目のことについてもあわせて御発言いただければと思っております。

それでは、宮崎委員が退席前に発言できるように、この項目の順番は渡邊委員からということで、宮崎委員はその次になりますので、その順番でお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。

○渡邊委員 食品産業センターの渡邊でございます。

今の項目についての意見を述べたいと思います。

まず可能性表示というものの呼称についてですけれども、「又は表示」がいいのか、可能性表示がいいのかというのは、なかなか難しいかなという部分もあるのですけれども、この間の議論の中で可能性表示という言い方だと誤解を招くというのもそのような気もしますので、ただ、どちらか1つにしたほうがいいのではないかという気も何となくします。

それから、可能性表示、大括り表示についての今回、御提案いただいた実績の過去にさかのぼる3年前についての今回の変更点ですけれども、これについては以前も申し上げたとおり、まさにそうしていただくとありがたいということで賛成でございます。

今回、意見書を出しているのですけれども、意見書に書けなかったのですが、今回、川口委員からいろいろ意見を出していただいた計画の部分ですけれども、これは確かに計画を1年間でどこでぴたっと計画ではなくて、すぐ実績に切りかわるのかという厳密な意味で考えていくと、確かにこれは計画期間1年間で終わった瞬間にもう実績で書けということになると、1年間の実績を把握する間もないということなので、これは本当に川口委員に出していただいて本当にありがたかったのですけれども、いわゆる実績に切りかわるところの猶予というか、それをいただかないと難しいかなと。そういうことを含めて例えば計画期間を2年にするとか、そういうことを考えていただいたらなと思っております。

製造地表示については、これがないと中間原料についてわからない場合、表示できないので、これは必要だと考えております。

以上でございます。

○阿久澤部会長 ありがとうございました。

それでは、宮崎委員、お願いいたします。

○宮崎委員 全国保健所長会の宮崎でございます。

このことにつきましては事前に消費者庁の方から説明を受けまして、非常に自分自身はわかりやすいと思いました。可能性表示の表現につきましては、これも言われているように、可能性と言えば日本語の響きとしていろいろな要素が考えられて、消費者が初め戸惑うのではないかと感じています。

「又は表示」を使うということで、これもよろしいのではないかと思っています。

そのほかのことにつきましては、大変よく議論された内容が、こう言ったらあれですけれども、保健所長としてではなくて、一般の住民として聞いた場合には非常にわかりやすく整理されているのではないかと思っています。

ほかの要素で言いますと、保健所長の立場からすれば、アレルゲンの表示につきましてはほかのこともそうなのですけれども、直接命といいますか、健康状態に関係する部分が出てきますので、この辺についての表示も先ほども言われたように、一番初めにわかりやすく書いていただければと思っております。

その他につきましては特に意見はございません。

以上でございます。

○阿久澤部会長 どうもありがとうございました。

それでは、続いて宗林委員からお願いします。

○宗林委員 主に2点、意見をお伝えしたいと思います。

やはり表示というのは表示自体が正しいことと、いろいろなレベルの消費者がいますが消費者にとって誤認を招かず正しく伝わる、ということがとても大切だと思っています。

まず可能性表示ですけれども、可能性表示については使用実績や使用可能性がある複数国で可能性表示が認められるということですけれども、これは本当に過去の実績であるとか次の使用プランに基づいたものであるというファクトが伴ってこそ初めて生きるものであると思っています。ですから監視がどこまでという話でまた別のところで述べさせていただきますが、それがきちんとファクトと一致した形での可能性表示でなければ、可能性表示自体を否定するものではないのですが、ともすれば事業者は今後プランがあるからということで、例えば1国、2国、その他というふうに書く可能性、そのように流れこういう表示が非常にふえてしまって、実際に消費者が正しい情報を得にくくなるのではないかという懸念がありますので、監視体制と併せて実際上どのぐらい担保されるのかということを非常に懸念します。

もう一点、中間加工地の製造地の問題ですが、これも前回からお話していますので同じ意見でございますが、国産品との違いが消費者教育でいかにカバーできるかというところだと思うのです。消費者教育というのはとても大事ですけれども、消費者教育で全てをカバーする、あるいはそこに余りにも任を重くするというのは、実効性を担保するのは結構難しいところでありまして、国内製造という言葉が国産品と誤認される可能性は極めて高いのではないかと思います。この前もお話を伺いましたけれども、中間加工地で国内製造と書かれてしまう。原料の原産地は海外であっても国内製造となりうる表示がかなり多いという御説明を受けましたので、そういう意味ではもう少し国内製造が国産と間違えられないような違う言葉があればいいのではないかと、今でも強く思っています。

ここまでで以上です。

○阿久澤部会長 ありがとうございます。

それでは、菅委員からお願いします。

○菅委員 個人的なベースの意見は今までどおりですけれども、幾つかの点について疑問や意見を述べたいと思います。

変更点マル1についてなのですけれども、「可能性表示」という呼称への違和感の御指摘から、「又は表示」と呼べることにすることについては、実際に「又は」で表示するという意味において何ら間違いのないことですから、その呼び方が不適切だということにはならないだろうと思います。他方で、その「又は」の意味するところが「And/Or」、つまり「掲げた国の全部または一部」ということになっていますから、「可能性」と呼ぶとき以上に「又は」そのものの語意の問題に直面しやすくなる面もあるのかなと思います。その意味で、蒲生委員が御提出になられているような意見も傾聴に値するところだと思うので、最終的に「又は表示」と呼ぶかどうかということについては、さらに十分検討していただいたらよいのかなと現時点では思います。

変更点マル2については、製造から何年も前の実績を使い続けるのはいかがなものかと思いますし、各事業者におけるこうした変更の必要性の度合いというのは十分に理解できていないですけれども、ただ、製造年から3年前の1年間の実績利用をあえて不可とする場合に、事業者の皆さんの具体的運用が相当に窮屈になり得るのだと、この点は変更する必要性が高いのだという御意見については、一定理解ができるのではないかと今のところ考えています。と申しますか、最初の案を見たときに、きっと1年しか使えないことになるだろうなというのは想像していて、かつ、それでも大丈夫だろうという背景があるのかなと思っていたのですが、やはりここは難しいということであるならば、そういう御意見についても考える必要があるかなと思っています。

例外要件の絞り込み方についてなのですけれども、今つくろうとしている新制度が現時点での実行可能性というものとのバランスを一定とらざるを得ないものである以上、全ての加工食品に万全の原料原産地表示を早期に実現することを求める消費者にとっては、100点満点では出発できないということは受け入れた上で、それでもなるべく高得点の制度を求めようという場合に、この例外表示における例外要件の可能な限りの絞り込みと明確性といったものが、この制度に基づく表示を信じて購入する消費者にとっても、この制度を遵守できていると信じて加工食品をつくる事業者にとっても、そして違反に当たるかどうかを監督する行政にとっても不可欠だという意見は、前回も述べたと思います。

この点、今回の資料と審議対象としては、まだ今後固められていくであろうQ&A等に託されている部分が非常に多いと思いますし、結局どういう場合に例外表示が許されるのか、例えば「一定期間における国別使用実績又は使用計画から見て、国別重量順表示が困難な場合」というのは、誰が、何を、どうやって判断していくのか、保管すべき「根拠書類」というのは結局何なのか、十分見えてきているとは言えないと感じていますので、ぜひ次回以降、可能な限りこうした点をQ&A等で明確にしていっていただけたらと思います。

特に、ポイントの1つ目として、「困難さ」の判断における表示ないし包材の切りかえの困難さというものとの関係をどう考えるのかという点に関する見方と、2つ目として、過去実績と言っても合理的なものでなければならず、自由に使ってよいということにはならないはずなので、過去実績を使用できるのは結局、今後の包材使用の一定期間中の合理的な使用見込みと合致しているということを要求していることになるのではないかという点の理解や、これにもし当たらない場合には、結果的に使用計画に基づく表示しかできなくなると理解してよいかといった点など、一見、細かいですけれども、このルールに従っていく場合の重要な確認ポイントのようなことを詰めていっていただくことが必要ではないかと思っています。全てを定量的に文言で定めることは無理があると思いますし、実際に天災地変等で予測が不可能、あるいは予測が外れる場合もあると思いますけれども、ルールがあらかじめ明快になっているということで、三者それぞれが例外表示の意味を正しく理解できて、そのことが制度への全関係者への信頼につながるのではないかと思いますし、この制度に全体として応援が得られやすくなるのではないかと思います。

例えば「又は」という表示で意味するところが単に「入っているかもしれないし、入っていないかもしれない」と言う程度にだけ読まれるのではなくて、絶対その通りではないかもしれないけれども、相当には確からしい表示であるのだという信頼が制度上、しっかり担保されることが大切になってくると思いますので、そのQ&A上の御検討をよろしくお願いしたいと思います。

あと、使用計画を計画から2年とすることの可否については、また皆さんの意見を聞いて考えたいと思うのですが、先ほど言った過去実績と使用計画とのあるべき切りかえのようなこととも密接に関係するように思うので、整理が必要だと思います。

最後に製造地表示についてですけれども、この制度の中で「国内製造」という例外表示を認めなければならないというのは、非常に残念な点の1つであるとは今でも思っています。ベルギー製造チョコレートの例えの場合はともかくとして、国内製造の中間加工原材料については、国内製造なのだからその前にさかのぼっていけるものが多いのではないか。その前へのさかのぼりの表示を義務づけられないかという意見は、私の周囲にもたくさんありましたし、パブリックコメントの中にも見られたと思います。この点は本当に実行可能性がないのか、どのぐらいの割合の、あるいはどんな種類の中間加工原材料にとって今、実行可能性に乏しいと言わざるを得ないのか、それはごく一部でないのかということを改めて御質問しておきたいなと思います。

私としては、今、仮にトレース制度の限界で実行可能性が乏しいのだとしたら、トレースの制度の必要性、充実の必要性というのも将来的には課題にしていくべきだと思っていますし、よりよい仕組みを何も求めないと実行可能性が進化していくことはないと思うので、時代とともに実行可能性が進化することによって表示が進化していくという方向への未来の改正につながるようなことがあれば良いと思っています。

以上です。

○阿久澤部会長 ありがとうございます。

1点、製造地表示のところで質問があったようですが、そこはよろしいですかね。

それでは、次の岸委員、よろしくお願いします。

○岸委員 チェーンストア協会の岸でございます。

変更点の中で、過去の産地別使用実績について3年前の1年間を認めることについては、賛成いたします。

あと、2つございます。実行可能性の観点からなのですけれども、根拠書類というものをどういうふうに定義するかという話もあるかと思うのですが、余り厳しいものだとすると非常に保管というのは多岐にわたる、書類が多岐にわたるというのもあって、実行可能性をしっかりと検証してから、この根拠書類というのはどうあるべきかというのを決めていただきたいということと、もう一つは天候不順とか天変地異みたいなことで計画からどうしても乖離してしまうといったときに、どのような救済を行うか。我々は表示、ラベルができないので、緊急時に供給できないということはあってはならないと思っていますし、それでちゅうちょするようなことがあってはならないと思っていますので、そのあたりをしっかりと定義していただきたいなと思います。

以上です。

○阿久澤部会長 どうもありがとうございました。

それでは、蒲生委員からお願いいたします。

○蒲生委員 日本消費生活アドバイザー・コンサルタント・相談員協会の蒲生です。

私は参考資料3で意見書としてまとめておりますので、そちらをもとに御報告をさせていただきたいと思います。

まず1点目、可能性表示の代称は「又は表示」よりも使用実績に基づく表示等ということで、可能性表示の呼称について「又は表示」という呼称も使用することとするとありますけれども、「又は」というのはorですので、それを呼称としますと可能性表示がAnd Orであることがさらに伝わりにくくなるのではないかと懸念をいたします。

そもそもこの可能性表示の代称が提案された背景には、可能性表示が表示制度で禁止されてきたということがあると推察いたします。表示は商品選択に資するためにあるものですので、個別の商品を説明する情報であることが原則です。その商品のことではないかもしれない可能性表示というのは、消費者の誤認を招き、合理的な商品選択の妨げになるとして禁止されてきたという背景があります。

今回、可能性表示が改正案に盛り込まれたのは、表示に根拠資料を課して偽装を防ぐ監視体制とセットにすることで、個別の商品情報ではないかもしれないけれども、商品選択のための参考情報にはなるという仕組みができたからです。可能性と聞くとあらゆる可能性という言葉が浮かびますけれども、今回の可能性表示は過去の一定期間におけるA国産とB国産の使用実績を根拠にする場合は、商品にC国産が含まれてはならないといった制約があります。ここまで厳しくしなければいけないのは、繰り返しになりますが、表示というのは本来、その商品を説明する情報でなければならないからです。可能性表示の代称をあえてつくるのであれば、むしろあらゆる可能性ではないということを伝える目的で使用実績に基づく表示、使用計画に基づく表示等を検討してはいかがかと思います。

続きまして2点目、使用計画は製造開始日から1年以内から2年間以内へということを提案したいと思います。使用計画は新製品または原料調達先の変更が確実な場合の根拠資料ですけれども、使用計画は製造開始日から1年間以内で、使用実績は製造年からさかのぼって3年以内の中の1年以上の実績ということであると、最低でも使用計画を2年間以内継続しなければいけなくなります。しかも2年目の資材は改版が必要となり、1年目の残った資材や包装済みの食品は廃棄等をせざるを得なくなります。製造2年目はもはや新製品ではありません。そして原料調達の変更が確実でもないのであれば、使用計画を根拠資料とする条件にこの時点でもう当てはまっていないわけです。製造から1年が経過した時点で、根拠としてより確からしい使用実績に基づく可能性表示にスムーズに移行させるため、かつ、資材ロス、フードロスを抑制するために使用計画を2年間以内までまとめて、製造から1年経過した時点で使用実績に基づく表示を作成し、切りかえられるようにすることはどうかと思います。

3点目、使用実績の考え方で、使用実績の細分化は情報の正確性が担保できる範囲であることが前提だという意見です。使用実績は製造年からさかのぼって3年以内の中での1年以上の実績とありますが、製品の製造タイミングというのは非常に多様です。使用実績をどうとるかによって実績の算出が非常に複雑になって、結果としてミスの誘発ですとか根拠資料が複雑であることで監視が難しくなる。そういったケースが出ることを懸念いたします。

例えば、あるメーカーさんでア焼売、イ焼売、ウ焼売という3つの類似商品を販売していて、これらの原材料の重量割合上位1位はタマネギで、年間を通じて商品の品質を一定にする目的で、季節ごとに異なる産地からタマネギを入れているとします。その3種類のうちア焼売は期間限定品で、ア焼売だけのタマネギの産地実績を集計した場合、イ、ウと産地実績が異なるのですけれども、買う側から見たときに、アの焼売とイ、ウの焼売に異なる原料原産地が表示されていることにどれだけの意味があるのかと思います。むしろ根拠資料が細かくなって監視がしづらくなり、情報の真正性が担保されにくくなる。そちらのほうが懸念いたします。こういう場合は、類似商品合計の使用実績でいいのではないかと思います。

使用実績を共有できる類似商品等と、複数工場で同一製品を製造する場合の使用実績の考え方については、Q&A等で示す予定とありますけれども、使用実績のとり方を細分化する余り、情報の真正性を監視で担保できなくなる。そういったことであれば本末転倒だと思いますので、できるだけシンプルなルールを注意書き等の工夫とあわせて検討、御提案願いたいと思います。

続きまして、パブコメの多様な視点を生かすについてもこのパートでお話させてください。

パブリックコメントは多様な視点からの意見を集めて、改正案の問題点を抽出し、改善するために行われるものです。改正案の賛成意見に御意見ありがとうございます。反対意見には中間取りまとめを踏まえ、改正案を作成、提示していますというのでは、パブリックコメントをとる必要がありません。改正案への反対意見に対しては特に真摯な対応、説明が求められると思います。

パブコメの御指摘の中に資材ロスやフードロス、それらによるコストアップを問題視するものがありました。検討会は情報拡大、実行可能性を主軸に検討が行われて、資材ロス等の問題への対応は情報拡大、実行可能性に折り合いをつける形でまとめられ、資材ロス等の問題を主軸とした検討は行われていないという認識でおります。

持続可能な社会の実現のため、資材ロス、フードロス、それらによるコストアップは非常に重要な問題でありまして、情報拡大、実行可能性より下位の切り口では決してありません。先ほど2番目のところで提案をいたしました使用計画を2年間以内に延ばすというのも、資材ロス等への問題への対応の1つになるのではないかと考えておりますが、パブコメの御意見を生かすために、これらの問題を切り口にした改正案の改善案について、ぜひ御提案いただいた上で部会で検討したいと思います。

パブコメの結果概要の1ページ目に改正案に賛成、同意見542件、2ページ目に改正案に反対、同意見96件とありますが、今回、8,715件と非常にたくさんの御意見がございましたので、賛成総数、反対総数がこの数字でないことは明らかなのですが、パブコメというのは、申し上げたように改正案の問題点を抽出して改善するためにいただくものですので、意見の多寡は余り問題ではなく、むしろ反対意見、問題点を御指摘いただいた意見に注目するべきだと思います。今回のパブコメで、改正案についてどのような御指摘があったか。それに対してどのような改善案を講じるか、もしくは既に講じているか、そういったものをぜひ一覧にまとめていただいて、部会で検討することが必要だと思います。

先ほど赤崎課長から御説明いただいたとおり、問題提起に対する回答は、検討会の議論の中で説明していたのでしょうが、パブコメへの回答に検討会で議論しました、だけではなく、検討会でこういったことを議論していますと具体的な回答をお戻しすることが、パブコメで貴重な御意見をいただいた方への誠意だと思います。

以上でございます。

○阿久澤部会長 どうもありがとうございました。

続いて川口委員からお願いいたします。

○川口委員 日本ヒーブ協議会の川口です。

まず変更点1につきまして意見を述べさせていただきます。

可能性表示を「又は表示」という呼称も使用するという記載がございます。可能性という言葉は消費者に誤解を招くおそれもありますので、日常の消費者とのフリーダイヤル等でのコミュニケーションでもあまり使われないこともあり、それを見直すことにつきましては賛同いたします。

ですが、今後事業者から消費者への説明で使用する呼称ということも含めて、一般に定着されていくに当たり、先ほど渡邊委員からも意見がありましたように、どちらか1つに絞られた方が良いのではないかと思います。

さらに解説が必要とならない呼称にすべきではないかと思います。今回検討するに当たり「又は表示」以外に、例えば「切替え使用表示」であったり「実績・計画表示」など、他の案が出なかったのか。もしも出たのであれば部会の中でも開示してもらえたらと思います。

続いて、変更点2の過去の産地別使用実績の期間のとり方ですが、過去実績の3年のうち、3年前の1年間も使用できるようにするということは、過去実績の年度を記載した場合の改版が2年に一度の対応で済むことになり、合理的だと思われます。

最初に伝え漏れましたが、私も参考資料を出させていただいておりますので、参考資料4を参照いただけたらと思います。今、そちらの3ページ目の3のところを説明させていただいております。大変失礼いたしました。

毎年改版することは、包材メーカーの対応状況から考えても物理的に大変困難であり、回避すべきだと考えます。包材メーカーの対応状況を会員企業で調べてみたのですが、昨年度1年間で改版した商品数の割合は約3割でした。この頻度で改版を行っている包材メーカーが毎年全てのコンシューマー商品を改版するというのは、かなり困難ではないかと感じております。

続いて3ページ目の4番の内容について意見を述べさせていただきます。原料原産地表示の対象となる原材料が類似商品と同一の新商品への使用実績の転用につきまして提案させていただきます。新商品の場合は類似商品の使用実績の原料原産地を転用してはどうかといった御意見がパブリックコメントでも多数上がっております。新商品の発売段階では使用実績はありませんが、類似の既存商品と同じ原材料を必ず使用する場合には、「本品製造段階での、同じ原材料を使用する商品の過去1年間の使用実績の順に基づき表示」などの注釈を入れて、使用実績で表示しても良いということを検討していただきたいです。

例えば重量違いはもちろんのことですが、同一・類似商品の別ブランドの新商品、例えばPB商品であったり、また、同一シリーズの味違いの新商品、例えば既存品がからあげのしょうゆ味に対して、新商品がからあげの塩味で、どちらも同じ鶏肉を使用する場合。また、パンなど小麦粉が表示対象の商品で、同じサイロの小麦粉を使用している新商品の場合、こういった場合に類似商品の使用実績を使うことが合理的ではないか。

理由としましては、消費者にとって使用実績のほうは使用計画よりもより信頼性が高いのではないかと思われること、また、事業者にとって共通で使用している原材料にまで、発売時期や商品によって使用実績と使用計画の両方で管理するのは非効率であるということ。さらに使用計画を記載した場合、再度の使用計画での改版を経て使用実績に移行することになり、事業者や行政といった管理者側にとっても、消費者側の双方にとっても複雑になるという理由からです。

続いて5番目の内容につきまして説明させていただきます。今後一定期間における産地別使用計画について、先ほど渡邊委員からも蒲生委員からもお話がありました。使用計画に基づいて書く場合は、1年以内の予定となっております。前回の部会の中でも、これは2年以内にすべきではないかと提案はさせていただきました。その際、計画なので余り長い期間の計画というのは信頼性が低いといった返答を消費者庁からいただいておりました。ですが、データ収集、改版をするには通常3カ月から6カ月の時間が必要となります。ですので新商品は製造開始から1年を迎える改版の準備をする段階では、1年以上の使用実績がないことが想定されます。つまり、製造開始の1年以内に使用計画の起点の年度を更新するための改版をせねばなりません。そういった年度の数字を変更するだけの改版は、消費者も事業者も望むところではないと思います。

ですので、できれば2年以内の予定に変更をしていただきたいところではありますが、仮に1年以内の計画で運用するにしても、使用計画期間の翌年も使用予定の原産国が変わらない場合は、初年度の予定でもう一年延長して使用しても良いということにされてはいかがでしょうか。

次の4ページ目の図に示させてもらっておりますが、使用計画の1年に到達したときに、マル1のように変更がない場合は最大1年間そのまま製造する。変更がある場合はここで一旦、再度新たな使用計画に変更し、2年目を迎える段階で過去実績に移行するといった流れのほうがスムーズではないかと感じております。

記入例としましては、「○○の産地は平成29年6月から1年間の使用計画の順に基づき表示」に続いて「翌年の使用計画に変更がない場合は、継続して使用案内をします」などの注釈を入れることによって、最大1年間に限り継続して使用できるようにすることを検討していただきたいと思います。

理由の1つ目「原料原産地に変更がないのに、年度の数字だけを1年ごとに改版するには、合理的・経済的に非効率」は言うまでもないですが、2つ目に、製造開始後1年の段階で仮に包材在庫が生じていたとしても、その後の1年以内に余裕を持って計画的に切りかえることができる。3つ目に、新商品の場合に使用計画を2回繰り返すことなく、使用実績のデータが収集できた2年目の適当な段階で使用実績に移行することができるといったものを理由として述べさせていただいております。

最後に6番目ですけれども、原料事情等で予定が変更となった場合の対処方法について、懸念事項を1点述べさせていただきます。こちらにつきましてもパブリックコメントの中でも上がっていたかと思います。天候不順や事故などの理由により予定した原料が入手できなくなった場合は、製造を中止せざるを得なくなります。使用実績や使用計画と違う産地の原材料を使用することは、消費者への正しい情報提供からも、コンプライアンス遵守の観点からも、行っていけないことは言うまでもございません。しかしながら、安全・安心とは別の理由で消費者が求めている商品を提供できなくなるのは、望ましくはないと感じます。

消費者庁からの返答に「衛生事項を除き、運用上取締りの対象としないこととする対応」との記載がありますが、発生した場合での個別対応では混乱を招くおそれがありますので、Q&Aへの記載をお願いしたい。また、原料調達や包材の作成・切り替えなどのための合理的な期間におきましては、ラベルシールの添付等で対応するなどの措置方法につましても、御検討をいただきたいと思います。

また、製造地表示の件につきまして述べさせていただきます。現在、消費者とのフリーダイヤル等でのコミュニケーションにおきましても、生鮮品以外の中間加工品の原産国を聞かれた際には、加工地で返答を行っておりますが、その内容でおおむね消費者の方々は御理解いただいているように感じております。ですので、中間加工品については製造地表示で問題はないのではないかと考えます。

長くなりましたが、以上です。

○阿久澤部会長 ありがとうございました。

それでは、続いて荻原委員、お願いいたします。

○荻原委員 ACAPの荻原です。

2点ほど簡潔に意見を述べさせていただきたいと思います。

今回、示された呼称、要件を含む改正案に関しましては、事業者の実行可能性という観点からは問題ないと考えております。一方で、実際にこれらの情報が消費者の自主的、合理的な選択に資する情報になり得るのかという点につきましては、お客様応対をしているACAPとしては依然として懸念を持っております。

可能性表示や製造地表示について、お客様応対の際に可能性で答えていることは間違いないのですが、これが断定的に表示される場合と、お客様の御懸念に沿って丁寧に説明して、安心していただいているというものとは全く質が異なるという意味での懸念です。パブコメでもいろいろ賛成、反対、色々なコメントが出ていますが、事業者の方、一般の消費者の方でも関心の高い方がパブコメで意見を出されていると思うのですが、その中でも明らかに誤解した上での意見というものが多数見受けられました。このような状況では、誤認をどこまで避けられるかということが勝負になってくると思います。

また、これは質問になるかもしれないのですが、検討会のときに可能性表示や大括り表示をせざるを得ない状況を消費者も知ることが重要だという意見が出たと説明がありましたけれども、表示制度そのものの意味合いを理解するのも難しい中、複雑な原材料の調達実態などを消費者が知ることが、どう自主的合理的な選択の上で意味がある、重要だという意見になったのか、確認させていただけたらと思いました。

以上です。

○阿久澤部会長 ありがとうございました。

ご質問に対し如何いたしましょうか。

○赤崎食品表示企画課長 委員の皆様方がひと通り御意見を述べられた後、まとめて。

○阿久澤部会長 それでは、受田委員からお願いいたします。

○受田委員 高知大学の受田と申します。

もう多くの委員の皆様が御発言されているので、重複はできるだけ避けたいと思います。1点やはり可能性表示の呼称については、今村先生がこの後、コメントをされると思うので余り深入りはしないつもりなのですけれども、この可能性表示とか大括り表示というのは、前提として例外であるということなのです。私は今この例外である大括り表示と可能性表示をこんなに掘り下げて議論しているということ自体が、何となく本末転倒だなと思っています。

こういった可能性表示について、これは導入をすることになるのだろうと思うのですけれども、ぜひ導入されたときに本当に例外になっているかどうか。また、例外とは全体の何%を言うのか。そういったところをしっかり調べていただいたほうがいいのではないかと思います。すなわち、可能性というものがファクトと齟齬が出てくると懸念になり、消費者に対して正確な情報が伝わっていないということなので、この「可能性」という言葉が持っている誤解を解こうという話が出ていることは承知しています。基本はファクトが表示されているということが前提でありながら、それを明確に表示できる場合と明確に表示できない場合があって、不明確な場合が多分、例外であって、こういった「可能性表示」になっているとすると、「不明確表示」という表現になってしまうのかもしれないですね。こういうところをもう少し掘り下げて、しっかり議論していかないといけないと思います。

さらに「又は」ということに関して、And Orという表現を日本語でどうあらわすのかというのがポイントになっているので、少し哲学的になっています。And Orの意味からすれば、結局「又は」以外にも両方という意味合いがありますし、「どちらか」という意味も当然あるわけです。A国又はB国で、実績に基づいてその使用割合が高いものから順に表示するということになっているのですけれども、And Orで見たときに前に書いてあるのと後ろに書いてあるものにどれだけの意味が込められているのかというのは、もう一度しっかり考えていく必要があるのではないかと思います。すなわち物すごく極論すると、And OrだったらA又はBで、Aが入っておらず、後ろに書かれたBだけの場合もあり得るわけです。実績をもとにそういった表現をしていながら、正しく伝えていないということにもなります。そういうところまで考えていったときに、この実績が持っている意味はどこまで信頼性あるのかということをはたと考えていました。

ですからこの実績を3年とか今いろいろ細かいことをお話しているわけですけれども、そこまでこだわる必要があるのかなと。もっと事業者さんの実効性を考えて、より幅広にこの実績については取り扱ってみるほうが好ましいのではないか。すなわち消費者の利益に合致しているかという意味から見て、ここの部分というのはそれほど意味合いとしては大きくないのではないかと感じました。

主に可能性表示については、いろいろ考えることがあるなというのが印象でございます。

○阿久澤部会長 ありがとうございました。

それでは、今村委員、どうぞ。

○今村委員 奈良医大の今村です。

3つほど意見を述べさせていただきます。

まず可能性表示の表現を変えていただくということで、これは強く私が申し上げてきたことなので、大変ありがたいと思います。私は可能性表示というのは、表示が正しい情報を消費者に提供することが目的ならば、可能性表示はその表示の敗北だと思っておりますので、この言葉を変えていただけたのは本当にありがたいです。

この可能性表示に比べれば、「又は表示」も実績表示も一長一短はあるのですけれども、すごく悪い表示からよいものに変わっているので、私としては変えていただければ本当にありがたいと思っています。

2つ目です。実行可能性という問題についてです。まずこの制度、最初に私が御説明を伺った際に、この制度は完結していないと思っていましたし、実施不可能なものだと思いました。これだけ詰めていただいて、パブコメに対してもこれだけ詰めてもらったので、実施可能なものにはなったと考えております。その分、物すごく制度が難しくなっていて、2時間ぐらい説明を聞かないとわからないものになってしまっています。それは消費者の理解の場合もしんどいと思うのですが、事業者の方々もこんなことができるのかなというのは極めて不安に思っています。

特に私が心配するのは、これは大企業の皆さんはできるできないの議論の対象なのですけれども、中小、特に小企業の皆さんの実行可能性というのは物すごく疑問に思います。恐らく小企業の皆さんは本当に市場に行って一番安い野菜を買うような感覚で、それがベトナム産であれ、中国産であれ、それを買ってきて使うという感覚に近いと思うので、それをラベルに毎回反映させるというのは物すごく難しいのではないかと思います。それはすごく手間なことなので、小さい企業さんでの実行可能性に疑問を持っています。

3つ目の意見と連動するのですが、私は「国産又は輸入」という表示はやめてもらいたいと思っています。それは実行可能性が難しくなればなるほど、大括り表示や「又は表示」に逃げていくということがあって、最終的に一番の逃げ道になるのは「国産又は輸入」という表示になるだろう。今、受田先生から例外表示の御説明がありましたけれども、例外中の例外というものがこの「国産又は輸入」という表現だと思います。これは制度を詰めていただいた結果、これを書く意味があるというのはわかるのですが、その制度を理解するにも物すごく時間がかかる。実際に私はこの説明資料、うちの人たち何人かにお見せして、まず「国産又は輸入」という表示を見たときに、第1の反応は多くの方々はぷっと吹き出すというところから始まって、表示制度への信頼が揺らぐということだと思うのです。これは何の意味があるんですかということがあって、信頼を揺るがすような表示が出てくるというのが、私はまず根本的な問題としてあるのかなと思います。

それと、これを表示の詳しい人に見せたら激高しまして、表示制度を何だと思っているんだというふうな意見が出てきて、そういう制度の信頼の根幹にかかわる部分があって、書いたほうがいいという意見と書かないほうがいいという意見があると、私は書かないほうがいい。書いていないものはわからないものだということを説明するほうが、私はシンプルな説明になると思います。

以上です。

○阿久澤部会長 ありがとうございました。

それでは、井之上委員、お願いします。

○井之上委員 日本生協連の井之上です。よろしくお願いします。

私からは参考資料2を出していますので、そちらについてお話させていただきます。

まずパブリックコメントについて、今回非常に多くの意見が寄せられているということで、8,715件、週末丸々この意見書を読みふけってしまったのですけれども、今、この各論について、話をするということになっていますけれども、このパブリックコメントの中には非常に多くの人々の懸念があるということがわかると思います。まず、今後における検討においては、部分的な議論ではなくて全てを出し切るということが非常に大事なのではないかと思っています。懸念を全て出し切って、その上で議論をしていくことが大事なのかなというところです。

各論につながる2点、お願いをしていきたいと思います。

1つは、パブリックコメントにおける意見の開示をしてもらいたいということです。消費者庁におかれましては、短期間の間でこれだけの意見を取りまとめられたということについて、非常に感謝申し上げたいと思います。ただ、疑うわけではないのですけれども、意見の集約については消費者庁のほうで整理されたものであって、透明性を高めるためにも寄せられた意見の公開を要請したいと思います。私の手元に平成16年の残留農薬のポジティブリスト制のときの意見公開資料があるのですけれども、こういう形で、ということではないのですが、何らかの形で情報開示していただければありがたいと思います。

もう一点、消費者庁にはパブリックコメントにおける意見、特に懸念部分について、きちんとご返答いただきたいと思います。今回の意見募集には、この間の食品表示にかかわる意見募集の中でも特に多くの数が寄せられていると認識しています。この案件がいかに国民の関心の高い事項であるかがわかると思います。

私のほうで見てみると、原料原産地のこの間の拡大に関する意見募集では大体100件程度、一元化検討会の中間論点整理においては1,084件、食品表示基準の案のところでは4,329件ということを考えると、やはり非常に関心が高かったのかなと思っています。その中でこの寄せられた意見ですが、消費者、事業者の非常に多くの懸念事項が含まれていることがわかります。この中には消費者の見づらさであるとか、誤認といった具体の意見が入っていたりとか、事業者においては、表示を遵守するために生産活動を休止しないといけないのか、という切実なものも寄せられています。

かいつまんで下のほうに書いていますが、■で入れているところ、これは消費者系の懸念事項ということで、主にはわかりにくさ、見づらさ、価格上昇であるとか誤認というものが挙げられています。求める情報から乖離しているのではないかということで、その具体としてお菓子の糖類に国内製造とか書かれる、であるとか、商品価格の転嫁につながるのではないか、あとは意図的に情報を隠してしまうであるとか、安全性にかかわる表示の視認性が低下するのではないかというところが言われています。

めくっていただいて裏のほうには事業者の懸念事項について書いていますけれども、コスト負担については、包材の切りかえであるとか、原料、管理コストについて。それと生産活動への影響であるとか、原産地の急変による生産活動の休止、自由な原料の調達活動が阻害されてしまうのではないか。また、弊害として価格とか供給量とか品質低下につながるのではないかなど、いろいろな懸念事項が寄せられているわけです。それに対する消費者庁の返答は、1つ例として挙げていますが、加工食品の原料原産地表示制度に関する検討会の中間取りまとめを踏まえて作成、提示しています、という回答になっています。返答がこれで終わってしまうと消費者委員会で議論する意味がなくなるのではないかと思っています。この委員会では改正案に対する種々の懸念が払拭されたのかについて審議されるところであって、消費者庁においてはパブリックコメントにおけるこの懸念部分について、真摯に返答していただきたいと思います。

さらなる具体はこの資料の後ろのほうに私のほうでピックアップしていますが、この懸念事項について払拭できる案や方策があるのか、それとも、全部表に出した上で、それでもやはり表示に進んでいくんだということなのか、つまり、懸念を残したまま制度施行するのかというところ、いずれにおいても全て出し切らないといけない。本日においても、それぞれの委員から話がありましたが、それぞれの委員の懸念事項も、やはりでこぼこがありますし、また、解釈であるとか理解というのも差があるかもしれません。やはり1回全部出し切って、その上で議論をすべきだと思います。

以上です。

○阿久澤部会長 委員からは、そうしますと例外表示についてはただいま御意見としていただいたように、消費者、事業者からこのような懸念事項がありますといった内容の御意見ということでよろしいですか。

それでは、池戸委員、お願いします。

○池戸委員 大体、今いろいろな御意見が出たかと思いますが、私からは検討会での検討あるいは中間取りまとめを尊重した形で、基準案がつくられているということをまずお礼申し上げたいと思います。

今回、総論の話ではないのですが、繰り返しになりますけれども、いろいろな議論を踏まえて全ての加工食品に義務化という前提の中で、こういう基準案になったかと思います。義務化というのは言うまでもなく、規制があったり、場合によっては罰則もかかるということなので、考え方としては一部の事業者だけが対象になったり、あるいは一部の事業者が対象外になるといったような不公平性がないということを前提にしないと制度が成り立たないということで、1つは規制の公平性という観点があります。検討会でもそういうスタンスに立った議論がなされたのですが、もう一つの観点として、事業者が知り得る情報を実行可能な範囲でできるだけ最大限提供し、消費者の参考にしてもらいましょうということがあります。そういう前提の中で、先ほどから議論になっている例外表示といったものも入れることになっています。

よく象徴的に「国産又は輸入」という話が出ましたけれども、ルールを理解さえすれば一定期間を通じて、少なくとも輸入品よりも国産のほうが多いとか、輸入も3カ国以上だということがわかりますので、そういう観点での記入案の中身になっていることを理解していただけたらと思います。あくまでも国別重量順が原則でして、例外的なものも非常に厳格な条件のもとで可能、そういう位置づけでございますので、その辺も御理解いただければと。私は唯一、検討会の委員という立場で発言させていただきます。

パブコメで非常に多くの意見が出されております。多分、消費者庁もその内容につき全て精査しておられるかと思いますが、今回配布されたこのまとめのところはさらっとされていますけれども、恐らく今後いろいろなQ&A作成とか説明会とか、そういったところを通じてこういう意見を踏まえた形で、関係者の方に御理解していただくような対応をしていただければと思っております。

検討会で議論しなかった変更点の2点、特に実績と計画のところは、これもパブコメを踏まえて実態に合ったような形で変更されているかと思いますので、特に意見はございませんが、「又は表示」がいいのか「可能性表示」がいいのかという、呼称というのは非常に重要ではありますけれども、どちらにしてもどういう定義かという理解をいかにしていただくかというところが、より重要ではないかと思っておりますので、私は正直言って、それほど名前にはこだわっていない。むしろ今、先ほど消費者庁から御説明した経緯、「可能性表示という案があったのだけれども、○○という理由で「又は表示」にした」というのも含めて説明をしていただければ、よく聞く方もわかるのではないかという感想でございます。

とりあえず以上になります。

○阿久澤部会長 どうもありがとうございました。

それでは、安達委員からお願いいたします。

○安達委員 国立医薬品食品衛生研究所の安達でございます。

まず今回示されました2つの変更点につきましては、私は賛同したいと思います。

それに加えまして、ほかの委員の方々から御意見を受けております産地別使用計画につきましても、開始日から1年以内というのは実行可能性を考えたときに非常に厳しそうであると思いますので、2年以内という形で延ばしたほうがいいのではないかと思っております。

例外表示ということにつきまして、私は国別重量順表示が難しい場合は致し方ないのであろうと思います。ただ、言葉の上でも「又は」という言葉をもし使うのであれば、「又は」という言葉が何を意味しているか、それから、輸入という言葉が何を意味しているかというのは、字面を見ただけでは一度に理解することができませんので、今後、普及・啓発活動で十分な説明をしていただきたいと思っております。

以上です。

○阿久澤部会長 ありがとうございました。

それでは、赤枝委員、お願いします。

○赤枝委員 日本栄養士会の赤枝でございます。

私は地域住民に近いところで日々、栄養業務を行っているという立場から意見を申し上げたいと思います。

前回の資料で、消費者の意向調査で商品を選択する際に76.8%の方がいつもあるいは時々原料原産地表示を参考にしているという結果から、利用している消費者が多いことから義務づけることは消費者の利益につながるという御説明がありました。

多くの消費者の方々は商品を実際に手にとって、一目で見てわかりやすい表示、あるいは店頭に大きく書かれたポップなどを参考にして商品を選択しているのではないかと思っています。その表示が「又は」で繋げたり「その他」でくくられた場合ですと、考えなければ、あるいは説明を受けなければならない表示となりまして、誰もがわかりやすい表示と言えるのかということが疑問に残ります。

また、可能性表示の場合、過去の使用実績等に基づいて表示をすることになりますけれども、今、購入しようとしている食品はA国のものなのか、B国のものなのかがよくわからない表示となります。毎日食べているものであれば、結果として表示されている国のものを食べているということになりますけれども、たまたま手にとって食べたものはどちらの国になるのかということが、消費者の自主的かつ合理的食品選択のための参考になるのかということが疑問です。

消費者の方にとってわかりやすく、ニーズの高い表示であれば、表示として必要だと思っていますけれども、この表示を加えることによって表示全体の文字数が多くなり、さらに煩雑になることで消費者の方がアレルゲンなど、安全にかかわるような表示を誤認したり、見落とすことがないような表示の工夫が重要と考えます。

可能性表示の呼称につきましては、多くの方の御意見もありましたように、そうかもしれないし、そうでないかもしれないという誤認を招くおそれがありますので、やはり「又は表示」にすることに賛同いたしますが、私もどちらか1つにしたほうがわかりやすいかと思います。

使用実績の期間のとり方ですけれども、事業者の方の実行可能性から見れば、期間のとり方に制限は設けないとした今回の変更には特に反対はありませんが、できるだけ直近の使用実績を根拠としていただきたいと考えております。

以上です。

○阿久澤部会長 ありがとうございました。

それでは、予定時間は若干過ぎているのですが、よろしいですか。そんな質問としては多分2つ、3つだったと思いますので、手短にお答えください。

○赤崎食品表示企画課長 いろいろいただいた御意見のうち、補足も含めてできるだけ手短に御説明をさせていただきます。

まず今回のパブコメの位置づけでございます。井之上委員から意見の開示をしていただきたいという御意見がございました。その点につきましては、行政手続法の規定に従って我々は開示したいと思っています。

実はパブコメというのは行政手続法に規定があります。本来は意見そのものを公示することとしていますが、法律ではたくさんの意見をいただいた場合は、概要を公示したのでいいということで、これは食品表示基準を27年4月につくった前も概要で結果の公示をしています。

ただ、行政手続法の43条2項だと思うのですが、概要を公示する場合は、公示の後、意見そのものを遅滞なく要するに縦覧に供するという規定がありますので、我々、最終的にもしも内閣府令の改正が公布されればとなりますが、その前後でこのパブコメの結果も公示します。消費者庁のホームページに載せます。その後に遅滞なく情報としていただいた意見、生の御意見そのものを何らかの形で公表したいと思っております。

あと、パブコメの意見について我々で整理をして今回出しております。それについてもいろいろ御意見をいただいておりますが、今回このパブコメの御意見、我々まとめて参考資料1で出しております。これは参考資料として御用意をさせていただいたもので、消費者庁の考え方はといいますと、ポイント資料という形で今回も差しかえをお出ししております。あわせて補足資料というものを実は前回、出させていただいております。重要なQ&Aなり次長通知に書くもので前回、お出しをしておったのですが、十分これは御説明もできていなかったと思っております。

先ほど岸委員から、例えばとっておく書類はどういうものなのかというお話がありました。菅委員からも困難性についてどう判断するのかというお話がございましたが、それは実は補足資料にも書かせていただいたと理解しておりましたので、次回改めて、多少見直しするかどうかというものもありますが、それに基づいて御回答をさせていただきたいと思っています。

可能性表示の呼称についていろいろお話がありました。我々なぜこういう提案をしたかというのを御説明させていただきます。

まず実績表示とか、そういうほかのネーミング、呼称の御提案はなかったのかと、これは川口委員からもございましたが、まさに前回、今村委員からも実績表示という御提案をいただいたところでございます。

我々はそれも含めて検討したのですが、要は実績表示だと過去ですから、過去の表示が何か書いていれば、今は何だっていいのだろうと。過去の実績を書いているではないかと。こういう方々が多かったということがございます。

あと、可能性表示というのも今村委員からもお話があったのですが、可能性というのはそうならない可能性もあるわけで、特にA又はBで可能性表示だと言っていると、CとかDだっていいではないかとどうしても思ってしまう。そういうものを誘発してしまうのであれば「又は」のほうが、これはAnd Orの話はあります。我々And Orで使いますが、でもこれは一般のorで見てもAかBかは入っているんですねとなれば、我々それ以外のCもDもだめだという整理をしていますから、だから一長一短があるというお話もございましたが、表示の正確論に立ち入って誤解を招かない。変なものと言うと語弊があります。書かれていないものが入るということがないのだというのをきちんとアピールするためには、可能性表示、実績表示よりも「又は表示」のほうがいいのかなと考えたということでございます。

あと、これまた多くの委員から例えば使用計画のところ、1年を2年にすべきではないかという御提案もありましたが、我々の過去実績の表示と使用計画表示はやや違うと思っています。過去実績は実績があります。実績、ファクトは1個しかないのですが、使用計画となると事業者の経営判断でいろいろなものが出てきます。当然いいものをつくる、表示に合わせてものづくりをしないという御発言もありますが、きちんと監視をする中でも一定の消費者の信頼を保つためには、事業者次第で多くのことが書ける使用計画については、できるだけ短い期間にきちんとチェックができる仕組みのほうがいいのではないか。そうすると1年、2年比較すると、まず1年でという思いもあったのですが、一方で今回、川口委員から書き方を工夫して最大2年間というお話もありました。非常に御示唆に富んだ意見だと思っています。

類似商品のところも非常に御示唆に富んだ御意見を多くの委員からいただいたと思っていますので、その点についてはそういったものを受けとめて我々対応していきたいと思っています。

とりあえず以上です。

○阿久澤部会長 幾つか論点も上がってきていますし、次回以降の議論の中でまた御説明いただければと思います。きょうはとりあえず皆さんに御意見を伺うことにしたいので、済みませんが、先に進ませていただきます。先ほども申し上げたとおり、委員間の議論は次回以降、行わせていただきます。

ということで次の項目に移らせていただきます。次は資料1の13ページから16ページの誤認防止策、おにぎりののり、業務用加工食品、業務用生鮮食品をまとめて御意見をいただきたいと思います。誤認防止策の部分については本日、追加された事項がありましたので、それも含めて御意見をお願いいたします。

時間配分ですが、多分この部分につきましては20分程度でよろしいかなと考えておりますので、とても恐縮ですが、そうしますとお一人当たり大体1分程度となります。

今度は赤枝委員からでよろしいでしょうか。順番にお願いいたします。

○赤枝委員 ここのところはよくわからないところだったのですけれども、14ページのおにぎりののりでよろしいですか。おにぎりののりに今回、巻物を追加するというところがよくわからなったというところで、また、おにぎりがおかずと一緒に容器に入れたものについては対象範囲外とするなど、何を目的にこの表示をしようとしているのかということが私には理解ができなかったので、後ほど教えていただけたらと思います。

○阿久澤部会長 どうもありがとうございます。

それでは、安達委員、お願いいたします。

○安達委員 この部分に関しましては、私は基本的に消費者庁案に賛同いたしますので、特に申し上げる意見はございません。

○阿久澤部会長 ありがとうございます。

それでは、池戸委員、お願いいたします。

○池戸委員 私も特段の意見はございません。

○阿久澤部会長 それでは、井之上委員、お願いいたします。

○井之上委員 私も特段意見はないのですけれども、おにぎりののりに関しては、特に意見が3,000を上回っていて、ここだけ違和感を感じたところです。ただ、全体として、仕立てが悪いとか、進め方がおかしいなという違和感があるのですが、これからの意見いかんによっては賛同してもいいのかなという感触は持っています。

以上です。

○阿久澤部会長 ありがとうございます。

それでは、今村委員、お願いいたします。

○今村委員 私も井之上委員と同じで、おにぎりに3,000件も来たのは本当に驚きまして、関心の高さとともに、世の中の現状を再認識しました。

その意見の中で、私も巻物ののりは対象にしてくださいというのは、もともと対象になっていない理由そのものが余りよく理解できなかったので、どういう分類でおにぎりののりが定義されているのかというのは、もう一度説明してもらう機会が欲しいなと思いました。

○阿久澤部会長 受田委員、お願いいたします。

○受田委員 私も同じです。おにぎりののりに関しては非常に目立っているなという感じがしました。おにぎりののりがなぜこういう俎上に上るかについては、これまでも説明があったのですけれども、それはおにぎりののりを説明する理由であって、そういう考え方でいくと、ほかのものももしかするとこういった俎上に上がってくる可能性があるのではないかと思いました。ですから同様の考え方で、他の食品が俎上に上がる可能性があるのかないのか。そこに関しては少し見解を伺いたいと思っています。

○阿久澤部会長 ありがとうございます。

それでは、荻原委員、お願いいたします。

○荻原委員 業務用加工食品への表示に関し、一般加工食品重量順位1位の場合が表示義務ということで、B to Bの事業者が供給した先で加工食品1位になるかどうか把握ができるのか、中小の業務用加工食品の事業者が原料の産地情報を正確に把握し得るのかといった実行可能性については、恐らく渡邊委員のほうでカバーされているのだろうと思いますが、しっかり把握して進めていただきたいと思います。

以上です。

○阿久澤部会長 ありがとうございます。

それでは、川口委員、お願いいたします。

○川口委員 現段階では、こちらに関しましては特に意見はございません。

○阿久澤部会長 それでは、蒲生委員からお願いいたします。

○蒲生委員 この件に関しましては前回の会議の参考資料4で出しております。持ち時間1分ということですから中身の説明は省略し、項目だけ申し上げたいと思います。

前回資料の参考資料4の2番目、「国産又は」解禁の理由及び優良誤認防止策の検討が必要であるということ。

3番目「使用割合が極めて少ない」というのは可能性表示だけではなくて国別重量順表示、大括り表示にも適用すべきだということ。

4番目「前年の使用実績順or一昨年の使用実績順」というのは、選択肢から外すべきであると考えているということ。

5番目「のり(国産)」は「のり(原そう(国産))」にすべき/従来ルールと新ルールの整合性をどう取るか議論すべき。

提案の根拠については前回の会議の参考資料4をごらんいただければと思います。

最後ののりに関してなのですが、中間加工原材料なのに○○製造ではなくて原料の産地を表示できるという理由が、のりの原料の産地と加工地が一緒だからということであれば、同様の食品がほかにもあれば同じ対応をするのか。なぜおにぎりののりだけなのかという説明が必要だと考えております。

以上です。

○阿久澤部会長 どうもありがとうございました。

それでは、岸委員、お願いいたします。

○岸委員 おにぎりの範囲のわかりにくさというのは、ほかの委員と同じです。

もう一つは、少量使用した場合の「(5%未満)」という6文字を枠内に入れるという情報の量の割に文字数をとるなというのが何となく印象としてあって、枠外に出すとか、ほかの略語で示すとか工夫ができればいいかなと感じています。

○阿久澤部会長 ありがとうございます。

それでは、菅委員、お願いいたします。

○菅委員 誤認防止策として5%未満の表示ルールを設けることについては、基本的に賛成です。ただ、ここでも先ほど例外要件の絞り込みとして申し上げました、可能性表示ケース等での「使用実績」を使ってよい場合の適切な絞り込みといいますか、見込みとして合理的なものでないといけないということとの関係で整理がされることは、表示の信頼性を考える場合に重要だと思いますので、Q&A等での工夫や明確化を求めたいと思います。

また、原則の国別重量順表示の場合や大括り表示の場合に、そもそも5%未満が要らないとされている理由は、まだ十分納得できていません。さらに「その他」が5%未満であった場合に、5%未満と表示する必要はないと今回説明されている点については、本当に必要性がないと言ってしまってよいのかどうか、本日の時点ではまだ自分の意見がまとまっていません。同様の表示があってもいいように思うのですが、今後、意見を言うかもしれないと思っています。

のりについては特に異論はありませんが、対象範囲外となるものを減らしていけないのかという疑問はやはりありますし、実行可能性との見合いなのだと思うのですけれども、いずれにしてもなぜそうすべきなのかについての説明は不可欠かなと思います。

その他、業務用の問題等については他の論点との問題があるかもしれませんけれども、本日の時点では特に意見はありません。

以上です。

○阿久澤部会長 どうもありがとうございました。

それでは、宗林委員からお願いいたします。

○宗林委員 私ものりのところだけ意見を申し上げます。

これまでの過去の経緯を踏まえどうやって原産地表示の品目を選んできたかというと、消費者が本当に知りたいものというよりは、事業者側が特に国産のところかもしれませんけれども、国内の事業者が差別化を図りたいものというものは、品目として選ばれてきたというような経緯があるように感じています。

こののりにつきましても、非常にたくさんの賛成の意見が寄せられましたけれども、これはほとんど事業者なのかどうかをもしわかるのであればお聞きしたいということと、差別化をして価格などの影響もありますので、おにぎりののりだけを対象としていくことが果たしてよろしいのかどうかというところについては、もう一度御説明を伺いたいと思います。

○阿久澤部会長 どうもありがとうございました。

それでは、渡邊委員からお願いいたします。

○渡邊委員 誤認防止については、私の出した意見書の参考資料5の3番で、少し違う観点なのですけれども、今のルールでは5%未満のときに表示をして5%未満ですよと書くルールになっているのですけれども、非常に原料原産地が品質に影響を及ぼすような商品というのがあって、例えばコーヒー飲料とか、これは過去すごいトラブルがあったので、とにかく51%以上使用しないと書いてはいけませんよというのをわざわざ公正競争規約で定めた経緯があります。このようなものについてはやはり尊重していただきたいというのをここで申し上げておきたいと思います。

以上です。

○阿久澤部会長 ありがとうございました。

それでは、この項目については幾つかお聞きしたいことがあるということですが、これはまた次回。

○赤崎食品表示企画課長 のりの御質問への回答も次回でよろしいですか。

○阿久澤部会長 はい、それでいいかと思います。もし最後、時間があればということで、とにかくきょうの予定を先に進めたいと思います。ありがとうございました。

次の項目ですが、資料に沿っていくと経過措置期間になりますが、先に22ページ以降の監視体制、普及・啓発、国際整合性、インターネット表示について御意見を伺い、最後に経過措置期間の議論を行いたいと思います。ここでは配分時間はおよそ30分程度を考えております。資料2の内容も含めて、そうしますとお一人当たり2分程度となりますが、ただいまより若干長目ということになります。

では、赤枝委員からでよろしいでしょうか。お願いいたします。

○赤枝委員 済みません、後でよろしいでしょうか。申しわけありません。

○阿久澤部会長 では安達委員、お願いします。

○安達委員 まず普及・啓発に関しまして、今回、議論している原料原産地表示、非常に難しいと思うのです。表示の制度、仕組みを正しく理解して、それを読み解いていかないといけないということは非常に難しいと思いますので、ぜひ普及・啓発活動を積極的に進めていただきたいと思っております。

これまでやっていなかったようなことをやってくださる予定ということで、例えば売り場に置いてもらうチラシであるとか、スーパーマーケットやコンビニエンスストアへの資料の配置というのは、うまくいけば非常に有効な手段だと考えております。消費者意向調査につきましては、昨年度から始められているということですけれども、これもぜひ毎年継続していただきたいと思います。その結果を公開していただく、それから、ぜひ適切にフィードバックしていただきたいと思います。

インターネットによる表示につきましては、活用することに賛成いたします。ここでは補足的な情報提供という形で資料には書かれていますけれども、ここ数年の表示制度の改正によって表示するべき項目や内容というのはふえる一方でありまして、決して減る方向には進まないわけです。現状、食品表示を見ますと、ぱっと見てわかりやすいものとはほど遠く、ちゃんとした知識を持って細かく読み解いていかなければ内容を正確に理解することができないという状況で、かつ、文字数等から考えてもほぼ限界に近づいているのではないかと私は感じております。なのでインターネットの利用状況について年代別に差があることは十分理解できるのですけれども、詳細な情報に関しては、今後はインターネットの活用をどんどん進めるべきではないかと考えております。

以上です。

○阿久澤部会長 ありがとうございました。

それでは、よろしいですか。

○赤枝委員 普及・啓発につきまして、消費者への積極的な普及・啓発活動は大変重要だと考えております。特に今回の表示が難しいと思いますので、ぜひ行っていただきたいと思っています。

また、日本栄養士会では管理栄養士、栄養士が食や栄養に携わる業務を行っておりますので、その中でも表示について消費者の方々にさらに正しい活用方法について普及に努めたいと考えていますので、その際にわかりやすい資料をぜひとも作成していただきたいと思っております。

食品表示制度を消費者の方にどれだけ理解されたかという調査も予定されているということですので、ぜひ実施していただきたいと思っていますが、その前に表示内容を理解するための説明や理解度調査が必要になるような難解な表示ではなくて、誰にでもわかりやすい、特にこれから高齢者が増えていきますので、わかりやすい表示をするということが必要だと考えております。

以上です。

○阿久澤部会長 どうもありがとうございました。

それでは、池戸委員からお願いします。

○池戸委員 繰り返しは避けますが、この制度が実効あるものになるかどうかというのは、普及・啓発にかかっているかと思います。もちろん効果判定とか活用度判定もセットでやる必要がありますけれども、単に行政の活動だけではなくて、業界団体、消費者団体の方が連携してぜひやっていただきたいと思っております。

変更点のところでは、消費者への普及・啓発ということしか書いていませんが、何回も申し上げますけれども、食品製造業の3分の1以上は3人以下の中小零細企業でございますので、こういった企業に対する理解をしていただくいろいろな方法で、十分時間をかけてぜひやっていただきたいということです。

あと監視体制も違反防止の点で抑止効果はあるということも当然ですけれども、むしろそういう違反者が出ないような対応というものがまず必要ではないかと思っていますので、その意味でも事業者に対する制度の重要性とかルールについて十分、普及・啓発をして、結果的に違反者が出ないような対策をするというスタンスでやっていただけたらと思います。

以上です。

○阿久澤部会長 ありがとうございました。

それでは、井之上委員からお願いいたします。

○井之上委員 まず1点、普及・啓発のところですけれども、前回、私のほうから資料を出していますが、やはりこの制度案は非常に難しいという類の意見が多く出ていますけれども、消費者の周知についてはかなりハードルが高い、そのことについては私自身も昨年いろいろ学習会をする中で体験しております。

また、教育しても欲しい情報には届かないというところがあるというところは、やはり危惧するところです。

私の本日の資料の5ポツから入りますけれども、これは1つお願いしたいことになります。普及・啓発の今後の資料としてパンフレット、リーフレット等の作成がなされるという形になっております。ここで、やはり費用対効果というのは考えていかないといけないと思います。食品表示法においてもパンフレット、リーフレット等が出されたと認識しています。まず、食品表示法において、どのぐらいの費用をかけて、どのぐらいの効果があったのかという、効果のレビューをしていただきたい。その上で原料原産地にかかわる普及・啓発はどうするのだという形の進め方でやっていただきたいと思います。

次、監視体制のところですけれども、資料2の13ページ及び15ページのところ。ここは前回にも出ていた資料で、すでに、質問が出ていたかもしれないのですが、確認させてください。食品工場に関する、立ち入り調査の例において、無通告で立ち入り調査しますと書いてありますが、非常に簡単な形でのフローで書かれているので、容易にできるのかなと思ったのですが、お米で過去何回か問題となった件がありましたが、実際に監視指導する農政局や地方自治体の方はどのぐらい今回の改正について承知しているのか、意見も含めて教えていただきたいと思います。

また、15ページのところは指導件数が書かれていますが、これは無通知によるものなのか、はたまた内部告発とかそういうものが発端となったものなのかとか、もう少し詳しい情報がわかればありがたいです。

もう一点、WTO通報のところですけれども、今回、資料が出ていませんが、現在どのような状態になっているのかというのを簡単にお知らせいただけたらと思います。当然、その状況についてもきっちりとこの審議に上げていただきたいというお願いです。

以上です。

○阿久澤部会長 ありがとうございました。

それでは、今村委員、お願いいたします。

○今村委員 私からは監視体制と国際整合性の2点なのですけれども、まず監視体制ですが、今までの議論の整理の中で、最初の段階ではとても監視できないものだったと思うのですけれども、できるようになるところまでは持ち上げてもらったと理解します。ただ、これは監視が極めて困難なものになると思っていまして、今の段階である程度マニュアルをつくってみて、本当にできるものかどうかというのは確認をしてもらったほうがよいのではないかと考えます。

その上で先ほど中小への監視や実施が難しいという話をしましたけれども、中小の方々が実際にするのは本当に難しくて、監視を始めると次から次へと違反が見つかってくるという状況になると思いますし、どうやって見つけるか、どうやってその人たちを指導するのか。私は実際に食品衛生監視員をやっていて小企業さんに行くと、そもそも表示していないという段階でひっかかってきますので、表示しても全然違う表示になっているとかいうような中で、これだけ複雑なものを書いてもらうというのはすごく難しいと思うのです。農水省から大きな企業はやるのですけれども、実際に都道府県でこれを監視するとなったときに、都道府県の実際にやっている方々が、この監視を本当にできるのかなというのはすごく不安に思っています。

もう一つ、国際関係で資料を読ませていただいていると、これはWTOのTBT通報をしても海外からはそんなに反対が出ないだろうと書いてあるのですけれども、本当かなというのはちょっと不安に思います。例えば米国から輸入するものでも、中国で製造していれば中国製造という情報をもらわなければいけない制度だと思うのですけれども、そう考えたときに、そんなことはもらわなくていいんだという整理をされているのだったら、それはそれなのですけれども、新しい情報を向こうからもらわなければいけないときに、海外の国々が本当にノーコメントで来るかというと、私はそうではないのではないかと思います。

実際にTBTでちょっとでも海外の負荷がかかると、かなりコメントが来ると思いますし、それに呼応し切れるだけの状況があるのかというと、私はまだそこまで来ていないのではないかと思います。ですので国際協調、国際の整合性のほうはもう少し海外の方々にヒアリングしていただくとか、確認してもらったほうがいいのではないかと思います。

以上です。

○阿久澤部会長 ありがとうございました。

受田委員、お願いいたします。

○受田委員 私からは普及・啓発についてコメントしたいと思います。

この原料原産地表示の導入というのは、消費者の利益を最大化していくということが根底にあり、そこに事業者さんの努力というものが結実していくのだろうと思います。ですから、消費者がこれを十分に理解することがいの一番で重要である。これは前回も申し上げたとおりで、今回いろいろと具体的な案を企画していただいて、大変頼もしく感じているところです。特に消費者の理解度調査を上げていただいておりますので、単なる普及・啓発の運動をやって終わりではなくて、その成果がどこまで市場というか消費者に浸透しているか、これをぜひ定点観測し、その成果を形にしていただきたいと思います。

もう一つ、この啓発のときに消費者の1つのグループであります子供たちに対する普及・啓発というのも、ぜひ食育という観点からお願いを申し上げたいと思います。2020年のオリンピックに関して、例えばJGAPとかMSC、MEL、こういうものの導入が一方で図られようとしています。ですから原料原産地のみならず、今、食の認証のシステムであるとか、食卓に上る食のあり方自体が劇的に変わろうとしていることも捉えて、全体を系統的に教育、啓発していく。ここの部分を個別ではなくてぜひお願いしたいと思います。

以上です。

○阿久澤部会長 どうもありがとうございます。

それでは、荻原委員、お願いいたします。

○荻原委員 監視体制と普及・啓発について意見させていただきます。

監視に関しましては、先ほども出ましたとおり、いかに監視するかが非常に困難な制度ということで、善意の事業者による単なるミスばかりが目立ち、故意にこの制度を悪用するような事業者がすり抜けてしまうことのないよう監視体制を検討をしていただきたいと思います。普及・啓発に関しましては、前回の説明では事業者を対象とした施策がメインだったものに、消費者を対象としたいろいろな施策が検討されていることについて評価したいと思います。チラシ、パンフレット、スマートフォンなどいろいろなツールはあるのですが、本当に消費者に届くか実際に効果を見ながら進めていっていただきたいと思います。

以上です。

○阿久澤部会長 それでは、川口委員、お願いいたします。

○川口委員 私からは普及・啓発についてと、インターネットによる表示について1点ずつ意見を述べさせていただきます。

参考資料4の3番のところで、過去実績の3年のうちの3年前の1年間についての意見の3段落目の内容になります。3年前の過去実績のみを記載していても、その後も表示内容に変更がないことになりますので、消費者にとって正確な情報を伝えていることには変わりはございません。それにもかかわらず、今は過去に使用していた原材料とは違うのではないかと消費者が誤解する可能性があります。過去実績の年度が3年以内の一定期間の範囲であっても、製造地点まで継続して表示どおりの原材料を使用しているという今回の表示ルールにつきまして、消費者及び事業者に啓発をしていただきたいということです。

先ほど消費者庁からの説明の中でも、実績という言葉を使うと誤解されるといった話もありましたが、事業者がこのルールを勘違いして法令と違う表示をしてしまうことがないように、ぜひ啓発をよろしくお願いいたします。

2点目、インターネットによる表示につきましては、前回の参考資料6で述べさせていただきました。重複するといけませんのでかいつまんでお話をさせていただきますが、消費者が知りたい原材料の情報というのは、日々の問い合わせの中でも一番重量の多い原材料だけではございません。ですので資料の中にも義務表示は容器包装への表示ではあるけれども、補足的にインターネットなどにより詳細な情報提供を行うため、事業者は自主的かつ積極的な情報提供に努めることが適当であるとの記載がありますとおり、そういった情報発信は事業者側から積極的に行っていくのは、消費者にとって大変有意義だと考えております。

ですが、今回の定められたルールに沿って全ての生鮮品、肉、魚介類、野菜などの使用重量順に管理して情報を発信するのは大変困難なこととなります。ですのでこのインターネットでの情報発信につきまして、ある程度の自由度を持って、それを案内するに当たって各事業者が悩むことのないようなガイドライン、Q&Aをぜひとも盛り込んでいただきたいと思います。

以上です。

○阿久澤部会長 ありがとうございます。

それでは、蒲生委員からお願いします。

○蒲生委員 私からは意見を1つ、質問を2つさせていただきます。

まず意見ですが、普及・啓発に関するところで今回の参考資料の5つ目なのですけれども、消費者意向等調査では理解度とあわせてぜひ活用度、満足度の調査をお願いしたいと思います。表示は理解できればよいのではなくて、商品選択のための情報として正しい理解の上で活用されてこそ意味があると考えるからです。

そして、消費者への普及・啓発の具体的な取り組み内容を示していただいていますけれども、普及・啓発には計画が必要でして、その計画は実態を踏まえたものであるためにも、こういった調査の結果を踏まえて立案されるべきです。また、調査結果を原料原産地表示制度自体の評価及び必要な見直しを検討する際にも御活用いただくべきものと認識しております。

それから、質問ですけれども、監視体制に関して私も当初、実行可能性について非常に危惧していたのですが、現在でも国及び都道府県等が事業者への巡回、立ち入り調査などを通じて原料原産地表示の確認を行い、表示の適正化について効果を上げているとあって、対象商品が全加工食品に拡大したとしても、監視の実行可能性は担保されるという御説明をいただきました。そのとおり運用できていることを制度開始後にどのようにチェックすることができるのか。その運用が適正に行われていることを外部からどうチェックできるのかというところを質問したいと思います。

質問の2点目は、先ほど井之上委員も聞いていらっしゃいましたけれども、私も国際整合性に絡めましてWTOの通報をされていると聞いておりましたので、その結果がどうだったのか教えていただきたいと思います。

以上です。

○阿久澤部会長 ありがとうございました。

それでは、岸委員、お願いいたします。

○岸委員 では1点だけ。最終製品の製造業者というのは、業務用の加工食品業者の情報を信じて最終的な表示を作成せざるを得ないということを考えたときに、業務用加工食品の工場、小売りの店頭の前段階での監視体制をしっかりとやっていただきたいということと、もし万が一そこで間違った情報があって、それに基づいて最終製品の製造業者が結果として誤った表示をしてしまったといったときの取り扱いを考えていただきたいなと思います。

以上です。

○阿久澤部会長 ありがとうございます。

それでは、菅委員、お願いします。

○菅委員 まず監視については、先ほどから申し上げていますように、自発的にルールを守りやすくするためにも、例外等の要件を条文には詳細に落とし込めなくても、少なくともQ&A等でできる限り明確にしておくことが大前提だと思いますし、根拠書類の保管についてもできる限り明確にすべきだと思います。

軽微なミスについては、直ちに重たい処分が下らないような配慮をという御意見もあるようですけれども、事業者の方が心配をされるのには、もちろん表示違反全体の問題としての必要以上の食品ロスの発生の懸念という面もあるでしょうけれども、そもそも何が違反かのルール・要件ができるだけ明確であってほしいということとも一面かかわることではないのかなと思います。

その上で、体制としては現場で御活躍されている行政の皆さんがいくら足りている、十分だとおっしゃっても、全体としては人員や予算は削減傾向にあるのではないかと拝察しますし、十分、実効的な監視が可能となるように必要かつ十分な人員の増員であるとか、予算の増額というのもあわせて考えていただきたいと思っています。

普及・啓発ということについては、消費者への普及・啓発というのはもちろんのことなのですけれども、恐らくより詳しい形で事業者向けのQ&Aを作成することなども非常に重要かなと思いますので、直接の論点ではないかもしれませんけれども、あわせてよろしくお願いいたします。

インターネットによる表示については、インターネットリテラシーの懸念の点から、義務表示は容器包装で行うことを本則とするという考え方には基本的に賛成します。インターネットによる表示を期待する意見の背景には、容器包装にするから困難性だとか例外表示の問題が出るのではないか、逆に言うと、インターネットによる表示のような手段を使うことによって、事業者から個々の加工食品の原料原産地について、より原則表示に近い正確な情報を現実に提供してもらえるのではないか、という期待があるからだと感じています。

もし本当にそういうものだとすれば、もっと考慮する余地があるのかもしれませんが、それこそ実行可能性を考えましたときに、インターネットのサイトに飛んだとしても、恐らく提供される情報が原則表示、徹底した国別重量順表示になる、あるいはそれにかなり近づくことはまだまだ難しいのかなと想像していますので、この想像がもし間違っていない状況にあるのだとすると、やはりインターネットは補助的な役割とならざるを得ないのかなと思いますし、その役割について一定定めることには意味があると思っていますけれども、その点をどのように規定すべきなのかについては引き続き考えていきたいと思います。

以上です。

○阿久澤部会長 ありがとうございました。

それでは、宗林委員、お願いします。

○宗林委員 まず監視との関係ですけれども、やはりこの表示自体は先ほども述べましたが、正しくなければならない。その商品に対しての正しい情報が書かれていなければいけないというのが大原則ですので、原産地そのもの、それから、今回の表示基準ですと例外表示の可能性表示等、もしかするとそれを悪用したり、流れて安易にそういうものがふえる可能性もあるのではないかと思っていますので、その事実関係を担保していくには、この監視体制というのが非常に大事と思っています。

24ページのところに措置命令が何件とかいうことがありますが、ぜひとも食品Gメンなのか、農水省の方なのかわかりませんけれども、監視の母集団、どれぐらいやられていて、どのぐらいの違反率なのかという形での表現を、次回でもいいですけれども、していただきたいと思います。このぐらい調べられているんだということをお示しください。帳簿とか資料とかを見たり立検するしか、監視の方法があり得ない分野だと思いますので、そういう意味ではそこの信頼度を担保をするためには、どれだけそれを見た上で何%の違反とか指示が出ているのかということを、きちんと提示していただきたいと思います。それが監視体制についてです。

それから、消費者教育というところですけれども、本来はそういったものがなくてもわかるという制度が一番だと思うのです。見ればわかる。それを消費者へのQ&Aとか消費者教育というところで、そこに余りにも大きな、そこに頼っての理解度を上げるということは、実際は極めて難しいことであるとこれまで携わってきて、そう思っています。ですからパブコメの中にもありましたけれども、消費者の理解度調査を定期的にし、モニタリングをするということと、その結果、蒲生委員も言っていらっしゃいましたけれども、その満足度の結果等も踏まえて、そういったものから見直しするということを、きちんとどこかで担保をしていっていただきたいと考えます。

インターネット表示でございますが、これも補完的に今、包装材に書くがゆえに可能性だったりとか、定期的な切りかえしかできないからということで、正しい情報がインターネットのほうで見たい人は見に行けるような補完的な表示であれば、活用をしていけばよろしいかなと私は思っております。

以上です。

○阿久澤部会長 ありがとうございました。

それでは、渡邊委員、お願いします。

○渡邊委員 まず監視体制ですけれども、参考資料5の2番に書かせていただいているのですが、今いろいろ皆さんで議論しているこの制度というのは、まだ机上の空論で実際にやっているわけではなくて、実際にはほとんどの国でまだやられていない制度なので、これからいろいろ間違いも出てくると思うのです。そのときにすぐ回収だのそういうふうにならないようにしていただきたいというのは切にお願いいたします。今回のこれは安全性に関する表示ではなくて、品質に関する表示ですので、例えば間違えていても売り場に正しい情報を掲示すれば、それで済む場合もあると思いますので、ぜひ安全性に問題のない商品がぼこぼこ捨てられるような世界にならないように、これはぜひお願いしたいと思います。

2点目の普及・啓発ですけれども、まずやる側の事業者がしっかり理解するというのもすごく大事で、特に先ほど今村委員も言われましたが、中小企業というのは本当に社長さんが朝、銀行に行ってお金をおろしてきて、午後はラインに入って朝からずっと作業に従事しているなんて会社いっぱいあるのです。実際に例えば研修会なんてやっても、その研修会に行くためには会社の製造を全部とめないと行かれないという会社もいっぱいあります。なので、中小企業にいかにこの制度を理解してもらうかというのをぜひ、本当にセミナーを例えば都道府県別にやったらいいという問題ではありませんので、ここはしっかり中小企業にもわかるような何らかの工夫をして、普及・啓発をしていただきたいと思っています。

あと、インターネットですけれども、これは以前からインターネットの表示をすることによって、非常にメリットが出てくるので、これはぜひ例えば原料原産地表示だけでもインターネットでできないかなというのは以前からお願いしています。それは今も変わらないのですけれども、きょう出てきたような例えば表示していても、原料の事情等で例えばその原料が使えなくなったような場合は、例えばそのままの包材を使いながらインターネットでこれこれこういう事情で、今はこういう原料を使っているという情報を出せば済むのではないかという部分もありますので、そういう部分でのインターネットの活用というのもお願いしたいなと思います。

最後に国際整合性ですけれども、先ほども言いましたように、世界でほとんどまだ行われていない制度です。そういう中で事業者がこの原料の例えば原産地を聞きたいのだけれどもというようなことをこれから各国にお願いするときに、一体、日本は何をやっているのというふうにならないように、各国にしっかり説明をしていただきたいと思います。

以上です。

○阿久澤部会長 ありがとうございました。

多くのご懸念、ちょっとお待ちください。先ほどご回答いただいた際、予定以上の時間がかかりましたので、ここは最後まで進めまして、時間が余ったらお聞きします。もちろん委員の方たちからもきょうの質問に対しては御回答もいただきたいと思いますが、最後、時間があったらということにさせていただければと思います。多くの御懸念、ご質問、示唆に富んだ御意見等もありました。ありがとうございました。

では、最後の項目に移りたいと思います。最後の項目は、資料1の17ページにある経過措置期間です。これについてはパブコメの意見を踏まえて消費者庁が見直しを検討しており、本日の議論状況も踏まえて次回部会に修正案を提出したいとのことです。このため、できるだけ具体的な御意見をお聞きしたいと考えております。

本日、渡邊委員から事業者の状況に関する資料が出されておりますので、まずそれを御説明いただいた上で、ここについては順番に御発言いただくのではなく、委員間で議論をしていきたいと思っております。そして、川口委員、井之上委員の意見書の中にもこの経過措置期間の関連する記載もありますので、その際、意見なり御議論いただければと思います。

それでは、渡邊委員、恐縮ですが、5分程度ということでよろしいでしょうか。お願いいたします。

○渡邊委員 ありがとうございます。

参考資料5の別添に表というかグラフをつけさせていただいているので、それに基づいて説明をさせていただきたいと思います。

今回の表示の切りかえに当たっては、大きい企業でたくさんの品目を抱えている会社のほうがかなり大変です。いろいろ今回ヒアリングすると、表示切りかえ商品が1,000を超えるような会社がよくあります。扱っている原材料は1万点以上ありますよというところもあります。そういうところが実際に切りかえるときに、このグラフで見ていただくとおりなのですけれども、まず原料についての原産地の調査をする必要があります。この調査をするという期間が今までの表示切りかえのところではなかった部分です。

この調査をするというのは、例えば海外から買っているところだったら商社を通してですけれども、海外に聞かなければいけない。そのようなことを全部のものについてまずやって、使っている原料の原料原産地についての情報をまず入手する必要があります。

それから、今回さらにヒアリングをしたら、原料の調査をするに当たってもシステムが要るんだというところもありました。この原料のシステムの改修とか検証とか実際に情報登録をする。これをしないと1,000を超える商品についての表示をしっかり正しい情報を書くということはなかなか難しいということで、この情報のシステムをつくるのも、これだけ時間が要る。

そのようなことをやった後、今度はそれではどういう表示にするかという検討もあります。できるだけお客様にわかりやすい情報をどこまで情報を出すのだろうということも検討していかなければいけない。そういう中で情報が決まってから、やっと表示をつけて改版印刷をする必要が出てきます。この改版印刷についても今回、大手印刷事業者から聞くと、全てのものについて改版を進めるには、ここにあるような3.8年ぐらいは要るという情報をいただいています。こういうことを順番立ててやっていくと、今回、当初いただいた2年半ぐらいの期間では絶対に無理です。なのでここにあるように5年程度の経過措置期間は必要ですので、ぜひお願いしたいと思います。

これはとにかく制度が始まってから、まだ間に合っていないので、違反がいっぱいぼこぼこ出るという状況だけは避けたいので、これは今回しっかり言いたいと思いますので、ぜひお願いいたします。

以上です。

○阿久澤部会長 どうもありがとうございました。

それでは、議論に移りたいと思います。委員の方から御意見、御質問のある方、挙手をお願いいたします。井之上委員、お願いいたします。

○井之上委員 資料を出していますので、そこからお話をさせていただこうと思います。

今も渡邊委員からありましたように、品目を多く抱えている会社は大変だということを言われていましたが、我々コープ商品では今約4,000ものアイテムがあります。現状において、食品表示法の対応については約半分終わっている状態になります。つまり、残り折り返しで2,000あると考えると、猶予期間は5年程度は必要なのかなと思っております。

資料は一番長くなると思われるケースで業務用缶詰について書いていますが、実質的に賞味期限は一般的に3年と書いていますが、その3年プラス実績の調査であるとか、集計であるとか、システムというものを考えると、経過措置期間については少なくとも施行後5年は必要ではないかと思っています。

加えて、もう一点あります。今、遺伝子組換えの表示制度にかかわる検討会がこの4月に始まったばかりです。来年には食品添加物表示にかかわる検討会が開催される予定ということです。食品関連事業者においては原料原産地が終わりました、次に食品添加物表示が終わりました、その前に食品表示法における改定がありましたという形であると、個別案件で表示内容の変更が起こるたびに表示内容を変えないといけない形になる。つまり、改版の頻度が何度もくる。であるならば、これから決まってくるものについては、その都度ではなくて、この新しく検討している部分については1つにまとめるべきではないかと思っております。

以上です。

○阿久澤部会長 ありがとうございました。

川口委員、どうぞ。

○川口委員 私は、参考資料4の2番目の経過措置期間についてということで書かせていただいております。

先ほどの渡邊委員の御意見と全く同感の部分ではありますが、前回の食品表示部会において、包材が2年半で切りかえることが本当に可能なのかという懸念が委員から上がりました。その際に、包材メーカーのヒアリングをされた農林水産省から、2年から3年半でほぼ包材を切りかえることは可能だという説明がありました。

まずこの段階でもう既にかなり厳しい状況というのは御理解いただけると思うのですが、さらに会員企業の中から包材が間に合わないのではないかという声が多数上がっておりましたので、会員企業での改版頻度の調査を行いました。現在は旧表示から新表示に徐々に切りかえを行っている段階ではございます。2ページ目の理由マル1というところに13社のデータを入れさせてもらっております。2016年度に新法への移行を集中的に行った企業においては高い割合で改版を行っておりますが、おおむね通常、1年間に全体の約3割程度の改版を行っている状況です。この同ペースであれば3年半かかるという計算になるのではないかと推測いたします。

現状の製造能力で経営を行っている包材メーカーが、全てのコンシューマー商品の包材を平成32年3月末までに切りかえることは、物理的には困難ではないかと推測します。また、包材を作成するには製版、印刷、ラミネート加工などさまざまな工程があって、包材メーカーのみならず、製版業者や加工業者にも大変な負担をかけることになるのではないかと思われます。

また、原料原産地の調査、改版にかかる時間も、先ほども渡邊委員から御説明がありましたが、十分に確保する必要性がございます。こちらも会員企業に調査を行いますと、5から8カ月かかるとの報告がありました。こちらも理由マル2の中に入れておりますが、実際に過去1年間の原料原産地を調査するためには、原料の出庫表と受入・保管チェック表を日ごとに収集して、原料の投入情報を収集したり、原料記録と製品をひもづけするために、例えばA国とB国を出庫して、どの製品のどのロットに、どの原産国の原料を使用したかということまで調査を行わねばなりません。

また、会員企業へ調査したフィルム・表示の版下を変更するのには、企画や試作、版下の作成、工場でのシステム登録、本社でのシステム承認、校了から納品、在庫調整・製造計画といった工程を経なくてはなりません。

これら含めて原料原産地の調査・改版には、5から8カ月かかるとの報告がございました。

さらに、適正に運用するためにはシステム化を行っていかなくてはなりませんが、こちらも食品メーカーで高いシェアで導入されているシステムを運用している会員企業に調査をしました。理由マル3に記載しておりますが、システムの改修に3から8カ月、また、義務化に伴う原料情報の登録ですが、こちらも2万点以上ある原材料の各サプライヤーから詳細データを入手して、精査して登録する期間は2年はかかる。つまりシステム改修には3年は要するとの報告がございました。

以上の理由で、仮に今年の8月に施行されたとしても、2年半で普及・啓発、データの収集、包材の作成、切り替えまで行うのは困難ではないかと思われます。切り替えを急ぐためによるトラブルを回避するためにも、経過措置期間を4年半の平成34年3月末まで延ばすことを、ぜひとも検討してもらいたいと思います。

以上です。

○阿久澤部会長 どうもありがとうございました。

ほかに御意見、御質問はありますか。菅委員、どうぞ。

○菅委員 何らデータに基づかない意見で恐縮ですけれども、経過措置期間については既に皆さん御認識の2つの問題があるようで、今回の制度の経過措置期間をどう考えるかの問題と、既に平成32年3月末に期限が切られている食品表示基準の経過措置期間まで影響されるかという問題が出てきているのかなと思います。

前者すなわち今回の制度への対応が平成32年3月末ではなぜ間に合わないのかについては、皆さんの御説明等をお聞きしながら考えたいと思っておりますけれども、少なくとも後者すなわち既に決まっている基準との関係では、これまでを後ろに動かすことについては強く反対したいと思います。既に決まっている食品表示の基準につきましては、安全により直結するアレルゲン表示のように、いち早く全面実施されるべきものがあるわけですから、猶予を延期してもよいという方向にはすべきでないと考えます。

前者のほうに戻って原料原産地表示についても、今ある実行可能性に相当程度配慮しているわけですから、できるだけ早期の実現が望ましいとは考えます。「できません」と言われてしまいますと、データに基づくものでないので、事業者でない私たちが単に「できるはずだ」と言っても水かけ論的な話しかできなくなるわけですし、消費者庁が当初、平成32年3月を提案された時点でも、相応の対応可能性を諸方面からの聞き取りや検討をされた上で御提案されていたかと思っていますので、最終的にいつまでにするのかという問題は政策として考えなければならないのでしょうけれども、もし変えるということであれば、今まで検討してこられた前提とどう違う事情があったというのかについても、その修正の必要性の有無について、事業者全体を見渡した観点で相当しっかりした御説明をいただく必要があるのではないかと思います。

少し観点は違いますけれども、もし原料原産地については経過措置期間をさらに長くとらざるを得ないということにするのであれば、それまでの間にも実行可能性のレベルを少しでも高められないかどうか。つまり、個々の食品においてできる限り例外表示によらずに原則表示に近い表示を実際にできるような仕組みの整備といいますか、内部的なトレーサビリティーを推進する等の御努力を各方面にしていただきたいものだと思います。

以上です。

○阿久澤部会長 ありがとうございます。

これに対していかがですか。どうぞ。

○今村委員 意見なのですけれども、私は計画そのものをおくらせることは反対ではないのですが、何個か包材メーカーさんの能力の限界というところで、そんなにかかるのかなと思ったので、私も何回か表示を導入し際にメーカーさんに確認した中で、全表示を変えるのにこれだけの期間が本当に要るのかなと思ったことと、表示の期限を2回に分けるということなので、2回に分けるとメーカーさん的には2回印刷するので、余計時間がかかるということがあって、もうかるもうからないという意味では2回やれるからすごくいいのだと思うのですけれども、負荷という意味では2回に分けたほうがかかるなと思ったので、その辺でメーカーさんの部分については単純にこれだけかかるのかなと思ったところです。

意見です。

○阿久澤部会長 どうぞ。

○川口委員 まず、これだけかかるのかという意味では、実際に準備をする期間、先ほど渡邊委員からもお話がありましたように、準備をしてから印刷開始という形になりますので、全ての商品を変えるとなると、ある程度の期間はどうしても必要になります。2回改版をすること、これは確かに企業にとっては負荷がかかるのですが、もう既に食品表示法の施行に対応して変わっているものもございます。それを短期間に急いでまた変えなければいけないというよりは、原料原産地の分は少しでも猶予があったほうが、企業にとっては進めやすいのではないかと感じております。

以上です。

○阿久澤部会長 渡邊委員、どうぞ。

○渡邊委員 この包材メーカーの聞き取りというのは、一応お聞きして聞いた期間なのですけれども、確かに大きいメーカーがすごいせっついて、それこそ働く人が、今、働き方改革で残業時間を減らさなければいけない中でも、せっついて、せっついて、残業をめちゃめちゃやってもらったらできるかもしれませんけれども、そういうことは今の時代ではできません。

もう一つは、改版が今、五月雨式に行っているのです。だから今の時点で既に今までの表示法の改版というのも行っている中で、また2回目の改版が行くというのもあるので、やはりこのぐらいの期間は必要かなと思っています。

○阿久澤部会長

ありがとうございます。

赤枝委員、どうぞ。

○赤枝委員 私も現行の食品表示法の経過措置期間の延長には反対をいたします。先ほどもお話がありましたように、アレルゲン表示がおくれることによって防げる事故が起こってしまうという懸念があり、また、糖尿病や腎臓病など食事療法が必要な方々が適切に栄養成分表示を活用できないことなどが懸念されるためです。また、今回の改正と同時とするということについても、煩雑になりますし、適正な表示が行われない可能性があるということ。それから、監視体制も十分には整わないことも考えられるため、時期をずらすということが適当と考えます。

以上です。

○阿久澤部会長 ありがとうございました。

ほかございませんか。

そうしたら、赤崎課長にお聞きしてよろしいですか。先ほど菅委員のご意見のなかに従前の提案期日の根拠と修正の必要性の有無についてご説明いただきたい旨のお話がありましたが、いかがでしょう。

○赤崎食品表示企画課長 なぜ32年3月末までという提案をしたかでございますが、一度この場でもお話をしたかもしれませんけれども、過去、実は単品で原料原産地表示の拡大をしてきたことがございます。直近だと黒糖とか昆布巻きでございました。あのときに公布から2年後に完全施行だったのと、委員の皆様からいろいろお話が出ておりましたように、32年3月末というのが大きなアレルゲン表示なり栄養成分表示の義務化のタイミングになっておる。それを逆算しますと大体3年ぐらい猶予期間があるということで、まずはそういう形で3年というのはある程度長い期間でございますので、それであればある程度の対応をしていただけるのではないかという形の提案でございました。

ただ、きょうも多くの委員からお話がありましたが、万が一にも遺漏が生じてしまうと、その事業者さんは経営にも大きな影響が出てきますので、100%それで対応し切れるかどうかというのをきちんと検証しての御提案ではなかったということだけは、今この場で御回答をさせていただきます。

○阿久澤部会長 ありがとうございました。

そのほかございますか。よろしいでしょうか。

そうしますと、多くの方が原料原産地表示については延長があっても良いという意見かと思いますが、よろしいですか。菅委員、それでよろしいですか。

○菅委員 客観的にやむを得ない状況にあるのであれば、それを確認していただいて、必要な期間猶予しなければいけないということもあってもいいのではないかと思っています。ただ、いかんせん元となる基礎的な情報や理解が私自身にも十分足りていないのだと思いますので、そこはよく考えていただきたいと思います。

○阿久澤部会長 ほかの意見等よろしいですね。多くの意見が経過措置期間を諮問案より長くすることについては理解が得られたのではないかと思います。年数については渡邊委員から5年、井之上委員から5年、川口委員から4年半という根拠に基づいてのそれぞれの御提案がありましたが、5年程度が適当と、川口委員の4年半についてもより長い5年ですので、よろしいかと思いますので、5年程度が適当という状況だと思いますが、いかがでしょうか。

それでは、消費者庁におかれましては、本日の議論状況も踏まえまして、次回の部会に修正案を提示くださるよう、お願いいたします。

どうぞ。

○宗林委員 経過措置の期間を延ばすことについては、事業者の方ができないとおっしゃるのであれば、それは致し方ないことだと思うのですが、5年という数字は普通に考えますと商品もどんどん入れかわっていくのではないかと思うような期間です。消費者にとってみると同じ商品ではなくて、銘柄も変わっていくぐらいのイメージがある期間なのです。例えばお菓子であっても5年間同じお菓子もあるでしょうけれども、どんどん入れかわっていくものもあるというぐらいの商品寿命ですので、私も根拠がありませんので具体的にどこまで縮めたらいいとかいう話はできませんが、できるだけ早い対応をお願いしたい。もし1つのものを切りかえるのであれば、先ほど課長おっしゃったように今まで昆布巻きとかは2年で対応してきたという実績もありますので、できるだけ早い対応をと思います。やはり5年というのは、商品が入れかわってしまうのではないかと思うほど長いと消費者側は思うぐらいの年数ということでお伝えします。

○阿久澤部会長 蒲生委員、お願いいたします。

○蒲生委員 経過措置期間に関しましては消費者の立場からしますと、その情報が正確であってほしいというのが大前提に来ますので、合理的な根拠をもとに、この時点であれば正確な情報が出せるという考え方で経過措置期間を御設定いただきたいと思っております。

もう一つ、経過措置期間のところの第3条でお酒のことが出ているのですが、このことで1点よろしいでしょうか。施行の際にも仕込みをしたお酒に関しては対象外にする。この考え方は非常に納得がいくものです。ただ、お酒に限っていいのかなというのがひっかかりました。施行の際に既にできているものは対象外という、その本質のところで整理をしていただくほうがいいのかなと思いましたので、お酒以外は本当に全くないということ、調査済みであるということであればいいのですが、この考え方というのは施行時にもうできてしまっているものは対象外にするというのが考え方だと思いますので、お酒に限ってしまうのがいいのかどうなのか、そこは検討をしていただきたいと思っております。

以上です。

○渡邊委員 今の点に関連して、確かにお酒はすぐわかるので、それ以外あるかどうかというのをまだ完全ではないのですけれども、会員企業にいろいろ問い合わせたのです。それで長いこと置くものでも、例えば昔から国産の米しか使っていないというところだと、わかるものは除外をするということで、そういう中で出てきたのがお酢でして、果実のお酢で長期熟成というものをつくっているところがありまして、10年物とかそういうお酢はありました。そういうところも、それではまだどういう世界になるかよく理解していないところもあって、できるできないというものが出てこないのですけれども、今回、聞いた段階ではそういう長期熟成の果実酢で、例えばそれを使った商品がつくれなくなるのかなとか、そのような意見が出てきたので、今、お酒が出ていますけれども、同じ考えを広げていただいたほうがありがたいかなと思います。

○阿久澤部会長 ありがとうございます。

よろしいでしょうか。御質問ございませんか。

そうしますと、ちょうど予定していた時間でもありますし、質問に対する赤崎課長からのご回答は、次回に見送るという形になりますが、よろしいでしょうか。本日の審議は以上ということにしたいと思います。

事務局は本日出された各委員の意見をぜひまとめて、次回部会に資料として提出していただきたいと思います。

次回はその内容を踏まえて議論を行いたいと思います。また、消費者庁には次回部会では経過措置期間の修正案を提出するだけではなくて、本日出された質問に時間の関係で回答していただいておりませんので、そういった事項への御回答をお願いしたいと思います。もし追加で説明したいことがあれば、また資料を提出いただきたいと思います。

連絡事項等があれば事務局からお願いいたします。

≪3.閉会≫

○丸山参事官 本日も長時間にわたりまして、どうもありがとうございました。

次回の会議日程につきましては、6月29日木曜日、16時からを予定しております。よろしくお願いいたします。

○阿久澤部会長 どうも委員の方々には質問をいただきましたが、時間の関係で御回答いただけなかったこと、大変申しわけございません。消費者庁のほうで宿題として持ち帰っていただきますので、きちんと次回ご回答をいただけると思います。

本日はこれにて閉会とさせていただきます。お忙しいところお集まりいただきまして、ありがとうございました。

(以上)