第39回 食品表示部会 議事録

日時

2017年3月29日(水)13:59から17:33

場所

中央合同庁舎第4号館2階共用220会議室(東京都千代田区霞が関3-1-1)

出席者

【委員】
阿久澤部会長、樋口部会長代理、赤枝委員、安達委員、池戸委員、井之上委員、今村委員、受田委員、荻原委員、蒲生委員、川口委員、岸委員、澤木委員、菅委員、宗林委員、松嵜委員、渡邊委員
【説明者】
消費者庁 吉井審議官、赤崎食品表示企画課長、三上食品表示対策室長、食品表示企画課
農林水産省 島崎食品表示調整担当室長、食品表示・規格監視室
【事務局】
黒木事務局長、福島審議官、丸山参事官

議事次第

  1. 開会
  2. 食品表示基準の一部改正に係る審議(消食表第156号諮問書(加工食品の原料原産地表示))
  3. 閉会

配布資料 (資料は全てPDF形式となります。)

≪1.開会≫

○丸山参事官 定刻となりましたので、会議を始めさせていただきたいと思います。

本日は皆様、お忙しいところお集まりいただき、ありがとうございます。ただいまから「消費者委員会食品表示部会」第39回会合を開催いたします。

本日は、宮崎委員が所用により御欠席ですが、過半数に達しており、定足数を満たしております。

議事に入ります前に、配付資料の確認をさせていただきます。本日、お配りしております資料につきましては、議事次第の下部に一覧を記載しております。

資料1から3、参考資料1と2、それから、本日、井之上委員、蒲生委員、岸委員、川口委員、渡邊委員から資料が提出されており、参考資料3から7ということでお配りしております。委員提出の資料につきましては、議論に適宜御活用いただきますようよろしくお願いいたします。

不足の資料がございましたら事務局までお申し出ください。

なお、本日も多くの傍聴の方がお越しになっておりますので、御発言の際には恐縮ですが、マイクに近づいて御発言いただきますようよろしくお願いいたします。

それでは、阿久澤部会長、以後の議事進行をよろしくお願いします。

≪2.食品表示基準の一部改正に係る審議≫

○阿久澤部会長 それでは、皆さん、本日もよろしくお願いいたします。

消費者委員会は、3月22日付で内閣総理大臣から、参考資料2のとおり、食品表示基準の一部改正に関する諮問を受けました。内容は、資料2の加工食品の原料原産地表示に係る改正です。本日の議論を皮切りとして、当部会において審議を行っていきたいと思います。よろしくお願いいたします。

本日は、消費者庁から吉井審議官、赤崎食品表示企画課長、三上食品表示対策室長にお越しいただいております。また、監視に関する参考人として、農林水産省から島崎食品表示調整担当室長にお越しいただいております。どうぞよろしくお願いいたします。

それでは、審議に入りたいと思います。

本件については、昨年12月の食品表示部会において、今回示された基準案作成のもとである「加工食品の原料原産地表示制度に関する検討会中間取りまとめ」について説明を伺いました。その際、委員から幾つもの懸念が示され、また、当部会の位置づけについても質問が出されました。その状況については、事務局が参考資料2にまとめておりますので、適宜御参照いただければと思います。

本日は、諮問を受けた基準案の内容について御説明いただきますが、消費者庁からは、あわせて、この原料原産地表示を行うにあたり、参考資料2に書かれているような懸念を払拭するため、どのような対応をされるのかといった点についても具体的に御説明いただきたいと思います。

それでは、恐縮ですが、40分程度での説明をお願いいたします。

○赤崎食品表示企画課長 消費者庁の食品表示企画課長でございます。

先ほど阿久澤部会長からお話がありましたように、昨年12月の食品表示部会で、加工食品の原料原産地表示制度に関する検討会の報告書についての御説明をしております。その際いただきましたさまざまな御懸念や御意見を踏まえまして、具体的な制度案を整理いたしましたので、お手元の資料に即して簡潔に説明をさせていただきます。

まず、資料1と書かれたポイントという資料がございます。資料2が食品表示基準の一部を改正する内閣府令案の新旧対照表、資料3が補足資料となっています。資料2が法令である内閣府令の改正案で、内閣府令の改正案の行政解釈を示すものとして、資料3の補足資料を用意しております。資料2の内閣府令の改正案、資料3の行政解釈、それぞれ抽出して整理したのが資料1のポイントでございますので、きょうはこの資料1のポイントに沿って御説明をさせていただきます。

まず、1ページ、2ページが現行の原料原産地表示制度の概要でございます。「1 対象原料」ですが、今の内閣府令の別表第15の1から22及び23から26までに掲げるものに限定されております。加工食品全体の一、二割に相当しております。

「2 表示内容」につきましては、表示対象となる原材料が国産品である場合は国産である旨を、輸入品である場合は原産国名を表示することとなっています。

「3 表示方法」につきましては、2ページで御説明をさせていただきますけれども、いわゆる国別重量順表示というものになります。したがいまして、表示例1にありますように、1カ国から調達している場合、この場合は「あじ」の後に括弧書きで「(国産)」とのみ書きます。

原産国が複数の場合、表示例2は2カ国の場合ですけれども、製品に占める重量割合の高いものからということで、ここでは「あじ(韓国、ノルウェー)」となっています。

原産国が3カ国以上の場合は、表示例3にありますように、3カ国目以下を「その他」でくくれるとなっております。

これが基本でございますが、ただ、現行の制度の中でも、表示例4にございますように、原料に特別な事情がある場合には「又は」表示ができるとの整理がなされております。実際、運用として、現行で「又は」表示が認められておりますのは塩たらこだけですが、具体的には、そこにありますように「すけとうだらの卵巣(アメリカ又はロシア)」と書いた上で、注書きを書く。お手元の資料では「すけとうだらの卵巣の原産地は、当社における平成○年の取扱い実績の多い順に表示しています」という形になっております。これは今でも認められておる制度でございます。

その次に3ページ、これが今回の制度改正の主な改正点になります。大きく2つあります。1つが左の現行制度にあります義務表示対象、これが今、22食品群と4品目に限定されております。新制度では、右にありますように、原則として全ての加工食品を対象にするとしております。

2点目が表示方法でございます。原則は今、御説明しましたように、国別重量順表示で、一部「又は」表示が認められておりますが、新制度では、矢印にありますように、国別重量順表示を原則としつつ、全ての品目に拡大する結果、可能性表示、大括り表示、製造地表示などを認めることにしています。詳細については、また後ほど御説明いたします。

4ページが、具体的な改正点の各論になります。まず、義務表示の対象でございます。先ほど申しました対象につきましては、国内で製造または加工された全ての加工食品ということになっております。今は22食品群と4品目と一部に限定されておりますが、これにつきましては、昨年農水省及び消費者庁が設けました検討会の報告書の中では、従来の方法に従った個別の品目指定、拡大の検討には限界があるという整理がなされております。あわせて、そこの「目的」にありますように、原料原産地表示を商品選択に利用している消費者が多いということで、消費者利益の観点から、全ての加工食品に広げることとしております。

右側にございますように、平成27年度に消費者庁で行いました消費者ウエブアンケートでは、77%の方が原料原産地名を参考にしていると回答しております。

4ページの中ほどになります。対象から除くものも一部ございます。それは表示を要しないということで、例えば外食及びインストア加工等々、これらは今でも表示を要しないとされております。あわせて、5つ目のポツになります、他法令によって表示が義務づけられている場合も、今回対象から除くとなっています。具体的には、いわゆる米トレサ法に基づく米穀、または酒類業組合法の告示に基づく果実酒でございます。これらは現在、それぞれの法令の中で原料原産地表示が認められております。

今回の制度改正の主な狙いは、表示義務がかかっていないものにいかに表示をしていただくかということでもございますから、今回、他法令で表示が義務づけられているものは、そのルールに従って表示をしていただくという整理としております。

表示を省略することができる場合として、表示可能面積がおおむね30cm2以下の場合と、これは現行と同じでございます。

その下、対象原材料につきましては、原則として重量割合上位1位の原材料を義務表示の対象にしております。ただ、2位以降の原材料については、事業者が自主的に表示を行うことができるとしております。

次に、5ページ、6ページが、具体的な改正点のうち表示方法でございます。5ページには、新たな表示方法の表示例ということで、まず、国別重量順の表示で実際の表示例をつけてございます。6ページには、可能性表示、大括り表示、可能性と大括りのダブル表示、製造地表示といった具体例をつけておりますが、実際のそれぞれの御説明は7ページ以降でさせていただきます。

7ページになります。これが可能性表示というものでございます。表示例にありますように、上にポークソーセージの例がございます。原料原産地名「カナダ又はアメリカ(豚肉)」と書いておりますように、産地として使用可能性がある複数国を、使用が見込まれる重量割合の高いものから順に「又は」でつなぐという方法でございます。

これについては認める条件というのが当然ございます。そこにありますように、一定期間における過去の使用実績または将来の使用計画から見て、国別重量順表示が困難な場合ということで、この具体の要件につきましては、10ページ以降で御説明をさせていただきます。

ただ、前回の12月の御議論のときに、これは実効ある監視ができるのかという御意見をいただいております。要は立入検査で事業者のところに入ったときに必要な書類がなければいろいろな指摘もできないのではないかということでしたので、可能性表示を行う場合の根拠書類の保管につきましては、義務とすることにしております。

次に8ページ、これは大括り表示というものでございます。下に表示例がございます。上にロースハムということで、原料原産地名で「輸入(豚ロース肉)」となっておりますが、これは3以上の外国の産地を「輸入」とくくって表示するという方法でございます。

認める条件としましては、そこにございますように、一定期間における国別使用実績または使用計画から見て、国別重量順表示が困難な場合ということで、これも10ページ以降でまとめて御説明をさせていただきます。

あわせて、先ほどの可能性表示と同様、この大括り表示をする場合は、根拠書類の保管を条件とする義務づけをいたしております。

8ページの下の例を見ていただければ、国産と外国産を混合して使用ということで、ロースハムの事例で、原材料名として「豚ロース肉(国産、輸入)」となっています。この「国産、輸入」といいますのは、輸入は3以上の外国の産地があり得る、変わり得るということですが、必ず国産が輸入総量よりも多いということを意味します。

その上で、次の9ページをごらんください。これは、先ほど御説明した大括り表示と可能性表示の両方が含まれる表示方法でございます。左側に具体例がございます。小麦粉については、原料原産地名として「輸入又は国産」という表示になっています。

8ページが「国産、輸入」であったのに対して、ここは「又は」が入っております。この表示につきましては、「輸入」といいますのは3以上の外国の産地があり得るということでございまして、あと、「又は」につきましては、時期によっては輸入総量が国産よりも多いけれども、別の時期になると、国産が輸入総量より多いということがあり得る場合に、この大括り表示+可能性表示が認められるということになっております。

9ページの右下に条件例がついております。4月から6月で見ますと、海外のA、B、Cが大部分で、国産はごくわずか。7月から9月に至ると、もう輸入のみですが、10月から12月になりますと、国産が過半を占める。こういった場合にのみ、この大括り表示+可能性表示が認められます。

この「輸入又は国産」という言い方でしたら、国語の問題としては全ての場合が当てはまってしまいますけれども、制度の運用の観点からみますと、今言った要件を満たさないとこの表示はできないということですので、実際上これが多々表示されるということは、我々としては想定しておりません。

その次、10ページが、この新たな表示方法を認める要件でございます。これにつきましては通知等で規定することを考えております。

例えば9ページの表示例を見ていただきますと、上に「小麦粉」と書いて、「輸入又は国産」となっていますが、その下に注意書きがございます。「小麦の産地は、平成○年の使用実績順」で、結局この「平成○年の使用実績順」をどう書くのかということでございます。これにつきましては、10ページにありますように、過去実績に基づいて可能性表示なり大括り表示をする場合には、過去の一定期間として、製造年からさかのぼること3年以内の中で、1年以上の実績をもとにこの注意書きを書いていただくことになります。

その意味では、下に図がございます。例えばこれは平成29年が製造年とした場合、可能性表示等を行う場合には、注意書きの根拠となる過去実績につきましては、26年、27年、28年の3年のデータしか使えないということになっています。この期間の1年以上の期間ということで、例えば27年と28年の2年間のデータを使ってもいいですし、26年と27年の2年間のデータを使ってもいい。また、1年半というデータを使っても構いません。ただ、1年間という形でデータを使う場合は、ちょうど3年前に当たります26年の1年のデータは使用不可という整理をしております。

あとは、今ここで御説明した過去の一定期間、使用実績の具体のとり方については、右下にありますように、実際に注意書きを書いていただくというものでございます。

これらは過去実績ということになりますが、当然、事業者の中には新規で事業を立ち上げる場合もありますし、過去実績でこれまで2カ国からしか調達をしていなかった、ただ、同じものを今後もつくるけれども、調達先が1カ国ふえて3カ国になるといった場合は、過去実績そのものが使えないということになります。

その場合、11ページにありますように、将来の使用計画に基づく表示ということになります。この場合は、マル2にありますように製造の開始日から1年以内の予定ということで、例えば29年の計画期間であれば、この間に製造した製品であればこの使用計画が使える。右に例がございます。「○○の産地は、平成29年の使用計画の順に基づき表示」と、これはまさに1年縛りをかける。まさに製造の開始日がその期間に入っていないといけないという形で整理しております。

その次がマル3でございます。重量割合の順位変動等ということで、これにつきましては、過去実績、将来の使用計画に基づいて、表示をしようとするときを含む1年で順位変動等が見込まれる場合に限定をしたいと思っております。

こういう形で、今言いました可能性表示、大括り表示については要件を定めて、原則として国別重量順で、例外的な形でこの表示が使えるという整理にしたいと思っております。

あわせて、繰り返しになりますが、この表示をする場合には、その根拠資料を必ず保管していただく。追って立ち入り検査等を行う場合には、帳簿のチェック、突合ができるというものでございます。

その次、12ページになります。製造地表示でございます。今御説明したのは、いずれも重量順位1位の原材料が生鮮の場合でしたが、12ページでは、加工度が高い加工食品について、これは重量順位1位のものが生鮮ではなくて加工品という場合があることを念頭に置いた表示制度でございます。

これにつきましては、表示例にございますように、「○○製造」という形で当該原材料の製造地を表示するという内容でございます。これにつきましては、いわゆる原産国を書いてもらうという内容でございます。例えばチョコレートを例として考えてみますと、チョコレート単体を輸入する場合、例えばバレンタインに高級百貨店に行くと輸入チョコを置いています。例えばゴディバのチョコレートであれば、商品を手にとって裏を見ると、原産国ベルギーと書いたものもあるのではないかと思います。ただ、その輸入チョコが原産国ベルギーと書いているからといって、多分、ベルギーでとれたカカオ豆ではないだろうと。アフリカでとれたものを持っていって、ベルギーでチョコレートに仕立てて、それを単体でチョコレートとして輸入すると、原産国ベルギーとなる。こういう実態があると思っています。

今、私が御説明したのは、例えばチョコレートビスケットというのがあったとします。ビスケットは当然小麦ですが、それよりも多いチョコレートが上にコーティングされていると、チョコレートビスケットの重量順位1位の原材料はチョコレートになります。加工度が高いですから、今でもチョコレートという表示はありますが、そのチョコレートで例えばベルギー製造と書いていたら、こういったようなことをイメージしていただければと思っております。

その次、13ページになります。誤認防止策でございます。これは、対象原材料に占める重量割合が著しく低い場合に、割合表示をしていただくというものでございます。

具体的には、表示例にありますように、可能性表示ということで「A又はB」とくくる場合、「A又はB又はC」とくくる場合、いろいろありますが、全体重量に占めるそれぞれの割合が5%未満の場合は、その5%未満である旨を表示していただく。これは5%未満と書いてもいいですし、3%、2%と書いてもいいとしております。

これにつきましては、可能性表示というのは、前回、委員の皆様から御意見いただきましたように、国別重量順に比べるとやはり誤認のおそれがある。そういう意味で、クレディビリティーが低い表示とお考えの消費者の方々もおられるのではないかと。それであれば、「A又はB」と書くと、さも一定量入っているように思うけれども、実はAが99.9%で、Bが0.1%、それも入っているかどうかもわからないというのであれば、全体重量に占める割合を示して、できるだけ正確に使用割合、マクロで見た実態を表示したほうがいいだろうということで、5%未満の場合に誤認防止のために割合表示をする。こういう整理をしたということでございます。

14ページは、おにぎりののりでございます。これは単品の話になりますけれども、先ほど御説明したように、重量順位上位1位のものとなると、お米とのりが一体となったおにぎりの場合は、のりが重量順位1位になることはありません。ただ、これは重量順位にかかわらず、おにぎりののりについては表示をしていただくというものでございます。

実は昨年、消費者庁と農水省とで韓国に原料原産地表示の実態調査に行きました。韓国は去年、重量順位上位2位まで表示を義務づけており、ことしからは上位3位まで義務づけをしておりますが、韓国ではキムチ特例というのがありまして、キムチの粉トウガラシについては重量順位にかかわらず表示義務をかけています。キムチというのも、白菜に粉トウガラシであれば重量順位2位で粉トウガラシが出てきますが、複数の野菜をまぜこぜにして粉トウガラシをまぶすと、重量順位2位、3位までに粉トウガラシは入りません。ただ、粉トウガラシは重さにかかわらず表示義務をかける。韓国政府の方にその理由を問うたところ、やはり国民食だと。国民の関心も高い。また、キムチのまさに品質としての評価のポイントは粉トウガラシにあるといったことも言っておりました。

おにぎりののりも国民食というような位置づけも可能でございますし、あとは、多くがコンビニ向けで、製造のたびにサーマルシールに内容を印字するタイプの表示をしていますので、フィルムの包装の都度の変更がない。実行可能性もあるということで、昨年の農水省、消費者庁の有識者検討会で、これも追加すべきという議論がありまして、これも表示の対象にするということでございます。これは国別重量順で行いたいと思っております。

その次、15、16ページでございます。これは業務用の表示のルールでございます。いろいろ書いておりますが、実態は変わっていません。これはどういうことかと申しますと、最終商品に表示義務がかかる場合、当然、最終製品をつくるメーカーの下請といいますか、取引をしている事業者が必要な情報を最終メーカーに送らないときちんとした表示ができない。その意味では、最終的に表示が必要な情報については、流通の川上からきちんと情報を伝達するという内容でございまして、今回、条文の規定だけ見ますと変わりますが、今、言いました意味内容は、全く変わっておりません。

その次、17ページになります。これは経過措置期間でございます。制度としましては、いずれかの時点で公布をすると、その時点で施行されますが、しばらく2本立てになります。施行直後は新しいルールでもいいけれども、従前のルールでもいい。ただ、どこかの時点で新しいルールに一本化をしますが、その期間を平成32年3月末まで、今から見ますと3年間ありますけれども、3年たった平成32年4月からは、新しいルールにそろえてほしいという内容でございます。

以上が今回の改正の内容でございますが、背景事情も含めて、引き続き御説明をさせていただきます。

19ページ、これは現行の内閣府令の条文のさわりでございます。これはごらんになっていただければ、もう説明は省略いたします。

20ページ、21ページは、過去の経緯でございます。20ページにありますように、平成23年7月に、消費者委員会の中で「原料原産地表示拡大の進め方に関する調査会」というところが報告書をまとめております。これはどういうものかというのが、最初の囲いになります。消費者委員会の食品表示部会、まさに器としてはここになりますが、当時そこにおいて、原料原産地表示の拡大をより進めるためには、対象品目の選定の考え方、品目の選定方法などを改めて議論する必要があるのではないかという多数の意見があったことから、食品表示部会の下にこの調査会を置いたと承知しております。同年7月に報告がまとまったと。

中身は、「新たな表示方法の実効性について」というところになりますけれども、本文で言うと2行目、3行目になりますが、まずはマル1で可能性表示、マル2で大括り表示、マル3でいわゆる製造地表示、それぞれについて議論をし、いろいろなメリット、デメリットがあるという整理がなされたと承知しております。

結論は下2行になりますけれども、消費者庁においては、これらの意見、要は新しい表示方法に対するメリット、デメリットの意見を踏まえ、それぞれの表示方法に対する消費者の受け止め方や事業者の実行可能性などを調査した上で、さらに検討を進める必要がある。これは6年前に消費者委員会から我々に出されておる報告の内容でございます。

21ページ、これは平成23年8月になります。先ほどの調査会の報告書が7月ですので、その翌月となりますが、本文にありますように、消費者委員会は、食品表示部会からこの調査会の報告書の提出を受けた。消費者委員会は、消費者庁がこの報告書の内容を踏まえ、必要な検討を進めることを求めると、我々は宿題を受けておる形になっています。

宿題の中身が何かというのがその下にありますが、「特に」で始まっています。「品質の差異」に着目するJAS法の制度下では、加工食品の原料原産地表示の拡大には限界がある。ちょっと補足をしますと、今、食品表示法があります。平成25年にできていますけれども、この平成23年の時点で、新しい食品表示法の議論は事実上始まっていました。23年の消費者委員会の意見が出た時点では、いずれ新しい一元的な法律ができるという、その含みで実はこの意見が書かれているのです。原料原産地表示制度は、食品表示法に入る前はJAS法という法律に入っていました。ただ、これは「品質の差異」に着目した法律でしたので、そこにありますように、加工食品の原料原産地表示の拡大には限界があると消費者委員会でも実は言っております。

その後です。現在、消費者庁で進めている食品表示の一元的な法体系のあり方の検討、これはまさに実を結んで食品表示法になっていますが、その一環として、食品表示が消費者の商品選択に資するためのものであることを踏まえ、まさに消費者の選択のために表示があるということを踏まえて、下2行になりますが、新たに制定される法体系の下で、対象品目や選定方法を改めて設定されることを期待する。

その意味では、今の法律の目的規定、食品表示法に「自主的かつ合理的な食品の選択の機会の確保」が大きく掲げられています。まさにその精神を踏まえて、この原料原産地表示制度を考えましたら、今、言いましたように、全体に広げた上で、いろいろな要件で縛りをかけて、誤認防止の策も講じた上で、ただ、できるだけ情報を開示していこうという整理になったということでございます。

22ページは監視体制でございます。これも前回、いろいろな御意見を皆様からいただいたところでございます。最初の○にありますように、現在でも、国(消費者庁、農林水産省)及び都道府県が、事業者への巡回立入調査などを通じて表示の適正化に資する取り組みを行っている。

2つ目の○でございます。今回、新しい表示方法を認めるにしても、その要件は厳格に運用をする。

3つ目になります。国別の使用実績や使用計画など、根拠書類の保管については、きちんと食品表示基準に規定し、義務化をします。明確化をするということでございます。実際にこの根拠書類については、立入検査を行う際に確認する。こういう形で効果的・効率的な監視に努めるということで、今の巡回立入調査は、下にありますように無通告で入って、事業者が持っているいろいろな書類、インボイス、送り状、規格書、納品書等をチェックして、いろいろな義務表示事項があります。任意表示もしておりますが、それが裏づけのあるものかどうか確認するという手順をとっております。

23ページになります。少しわかりやすく整理をしたものでございますが、今、調査という形で上にあります疑義案件の把握ということで、小売店舗や食品工場に対する巡回調査、無通告の立入調査をやっています。そのほか、疑義情報(食品表示110番)という内部告発みたいなものもありますし、あと、市販品の買い上げ、科学的分析、補完的に科学的なアプローチでもいろいろな調査をしているということでございます。

疑義案件の解明でございますけれども、ポツが幾つかあります。上から2つ目にありますように、仕入れ・販売伝票等の関連書類やデータを検査。納品書、送り状、規格書なども見ております。その次のポツ、流通にかかわる事業者に対する調査を実施。要はフードチェーンでつながっていますので、ある事業者と取引をしているところも含めて、流れの中でいろいろな調査をするということです。その次のポツにありますように、いろいろな科学的分析も補完的ではありますが活用しています。随時これは国・都道府県で連携するという形でチェックをしております。

いろいろな不備が見つかれば、その下にありますような指導なり指示、場合によっては罰則の担保もあるという仕組みになっています。

ちょっと念を押させていただきたいのは、原料原産地表示については、冒頭言ったように、現在加工食品全体の一、二割は義務がかかっています。義務がかかるということは、今でもチェックをしています。それはまさに、今、言いましたように、無通告の立入調査で事業者のところに行って書類のチェックをする。補完的に科学的な分析も活用するということになっておりますので、全く定性的に新しい仕事が生ずるのではなくて、これまでもやっていた仕事。ただ、全体の一、二割から、間口が広がるという理解でおります。

間口が広がったから訪問する事業者の数がふえるかというと、必ずしもそうではありません。今でも原料原産地以外にいろいろな表示義務がかかっていまして、その表示が正しいかどうかというのを事業所に立入検査してチェックしています。今までは原料原産地の表示義務はなかったのかもしれませんが、ないなりに別の表示項目をそれぞれの事業者が有する書類等のチェックで確認しておりましたので、その意味では、訪問先の事業者がふえるということも定性的にはないのかなと思っております。

実際に指示等の実績も24ページにあります。原料原産地関係もありますので、後でごらんになっていただければと思います。

25ページが普及・啓発でございます。これも前回、多くの委員からきちんとすべき、これが必要だという御意見をいただいておりますが、我々もまさにそのとおりだと思っております。

具体的には、そこにありますように、パンフレット・リーフレットは当然つくりますし、各種政府広報のいろいろな媒体を通じた周知もやります。平成27年4月に食品表示法の施行がされたときは、新聞広告、モバイル携帯端末のサイト広告、政府インターネットテレビ、動画ですが、そういう媒体で広報しておりますので、今回も可能な限り同様の対応をとりたいと思っております。

消費者団体などへの講師の派遣もしますし、都道府県に対しては、都道府県が例えば消費者向けの講座を持っている場合、そこの講師として行ったり、あと、県は県で取り締まりもしていただいております。そういう方向けの研修会にも我々は参画したいと思っています。

きょう御説明した内容は、今、実は27日からパブコメをかけておりますが、4月上旬に日本全国8カ所でブロック説明会をやりたいと思っております。仮に今御議論いただいておる食品表示基準が成案という形でまとまれば、その後にも全国説明会をしたいと思っております。

1つ付言しますが、昨年12月に検討会報告ということで部会で説明をさせていただきましたが、その検討会報告につきましては、昨年12月から1月にかけて、これは全国9ブロック15会場で説明会を幅広くやっております。

26ページは国際整合性でございます。国際整合性ということから見ますと、今、コーデックス規格というものがあります。これは国際的な一つの目安となる食品表示に関するルールなのですが、このコーデックス規格の中では、実は原料原産地表示に関する規定はありません。ただ、これは禁止ではなくて、各国の裁量に委ねられているということになっています。外国の産品を差別的に取り扱うという、例えば内国民待遇に違反するとか、そういった場合でない限り、この義務づけは可能ということで、実は過去、幾つか品目を義務の対象に追加してきた際に、下にありますように、WTO通報というのを我々はやって、各国から意見をいただくというプロセスを経ております。過去、いろいろな形で通報してきましたけれども、WHOとの関係で見ると、特段問題とはされていないということでございます。

その次に、ちょっと駆け足で申しわけありません。27ページ、インターネットによる表示でございます。これも多くの委員の方から、容器包装縛りを外してインターネット表示を認めてもいいのではないかという御意見をいただいておりますが、この点につきましては、左下にありますように、やはり手にとって表示を見て買われる方も多いといったこともありますので、今同様、最低限の表示ルールとしては、できれば容器包装にというのが適当ではないかと。ただ、右下にあります、自発的に最低限ではない付加的な情報開示をしていただく、その際にインターネットの活用をしていただくのは問題ないということで、その意味では、かなり自由度の高い形で自主的なインターネットの活用ができると整理をしております。

28ページは、産地の誤認防止でございます。これはいわゆる製造表示について、製造表示というのは完成品ができたところを指すのか、それとも原料ができたところを指すのかがわかりづらいのではないかと。これがいろいろな御意見の中にもあるのではないかと思っておりますが、ある意味これはもう10年前に決着済みだと考えております。実は、上の囲いにあります平成16年9月に、当時の加工食品品質表示基準という告示を改正しました。JAS法の下にぶら下がる告示ですけれども、何をしたかというと、一番下になるのですが、産地名を示す表示であって、産地名の意味を誤認させる用語は表示禁止にしました。その規定がそのままスライドして、食品表示基準にも入っています。

何でこんな規定を10年前に入れたかというと、右側の例で見ると、「A県産あゆの塩焼き」というのはわかりづらいのではないかという御批判があった。結局、あゆの塩焼きなので、例えると、栃木県産あゆの塩焼きとした場合、那珂川でとれたあゆを焼いたのか、それとも琵琶湖でとれたあゆを栃木へ持っていって焼いたのかがわからない。そういう意味で、「栃木県産あゆの塩焼き」はだめよと言うために表示禁止事項に追加をした。

あわせて、Q&Aで改善表示例をつけています。これならばいいですよというのがあるのですが、(2)にありますように、産地名に関する強調表示を行わない。これは誤認のしようがないですから問題はないのですが、左にある(1)のように、加工地である旨を明記すればこれはいいのだと。だから、A県加工と書けば、もうこれは加工地であると。その意味では、概念的に加工も製造も同次元のものではないかと思っておりますので、「○○製造」と言った場合は、原料ではなくて、これはやはり製造地、製造の場所だという理解で考えております。

その次、もうすぐ終わりますが、29ページが今の豆腐・納豆のガイドラインです。これは業界の自主ルールという形でやっておりますけれども、右の納豆の表示の例にありますように、これは今でも「アメリカまたはカナダ」という形で可能性表示が認められております。

その下の30ページ、これは果実酒等の製法品質表示基準という国税庁が出された告示でございます。いわゆるワインの産地表示をしたものですけれども、右の3つの例示がある真ん中を見ていただければ、これは果実酒で、原材料名「輸入ワイン(外国産)」とありますが、ワインといった果実酒の場合は、国税庁の告示に基づいて、実はいわゆる大括り表示でいいということになっています。外国産と書けばいいので、別にチリ産と書く必要はないですし、イタリア産と書く必要もない。ただ、国内でとれたのか、そうでないのかがわかるという意味では有用だと、まさにそういうことでこういう告示が認められていると理解しております。

31ページになります。これは景表法の原産国告示というものでございますが、今でも「国産」と書いたり、「国内製造」と書いた例はございます。これは当然、原料の産地ではなくて、製品ができたところとしての国内製造だということで、今、こういう表示も別途、景表法の原産国告示に照らして問題がないという形で表示もなされておりますので、これも参考までに紹介をさせていただきます。

32ページは、12月に御説明をした農水省と消費者庁で昨年運営しました検討会の報告書の図でございますので、説明は省略させていただきます。

消費者庁からは、まずは以上でございます。

○阿久澤部会長 ありがとうございました。

それでは、ただいま御説明いただきましたが、それに対しまして、御質問等ございましたら、どなたかお願いいたします。

渡邊委員、どうぞ。

○渡邊委員 渡邊でございます。

きょうはどんな進め方でやられるかわからないのですけれども、きょういろいろ出されている各委員の御意見を見ると、総論というか、表示の方法そのものの話と、制度全体にかかわる部分と2つあるので、一緒くたにやるとわかりにくくなると思うので、最初に私のほうは総論というか、全体にかかわる部分だけ意見を言いたいと思います。

意見として参考資料7に出していますので、参考にしていただければと思います。

まず、この1番に書かせていただきましたけれども、今、御説明いただいた制度は、これだけ説明いただいてもなかなかわからないぐらい非常に難しい制度だと思います。どうしてそうなってしまったのかと考えると、全ての加工食品に導入するということを決めたことによって、こうなってしまったのではないかと思っていまして、本来、消費者のニーズに基づいて、1品目ずつ、こういう品目に導入すると丁寧に議論すべきだったのではないかと思っております。これについて、きょう本当に議論を進めるのかどうかわかりませんけれども、まず大前提として言っておきたいと思います。

あと、総論ということで言うと、3番でございます。先ほど監視体制の話がありましたけれども、今回これだけ複雑な制度だと、いろいろ間違いが出てくることもあるかと思います。そのときに、今までは結構回収ということがすごくありましたので、すぐに回収というふうにしていくと非常にもったいない話になってしまう。これは表示の話なので、それも安全性にかかわる表示ではございませんので、正しい表示を売り場等に掲示すればそれで足りると思っておりますので、この辺のところ、食品ロスとかいろいろな問題もありますので、ぜひ、すぐ回収というふうにならないように御指導をお願いしたいと思っております。

4番ですけれども、先ほど説明の中にも、その他の原産国表示を優先するような話もありましたが、実は業界の中で、公正競争規約で原産国に関係することを決めている食品群もあります。その決まった背景を見ますと、例えばコーヒー飲料等を考えますと、コーヒー豆は原産地と品質がすごく強く結びついているので、過去から、少量入っているのに原産地を言うことによって非常に消費者が混乱したという時代があります。そういうことを防止するために業界と消費者で一緒になってつくり上げたのが公正競争規約で、例えばコーヒー飲料の場合等ですと、産地を強調して言う場合には、51%以上使用していないと言えないということになっています。これが今回の制度を導入するとまた崩壊してしまって、ちょっとしか使っていないのに、例えばキリマンジャロと言ったり、そういうことが起きてしまうことがあるので、ぜひ、こういう公正競争規約で決まっていることも重視していただきたいと思っております。

あと、全体的な話だと6番でございます。今回説明していただいたのは本当に複雑な制度ですので、これは消費者への啓蒙ということもありますけれども、ぜひ中小事業者、食品の業者の99%は中小事業者ですので、その中小事業者への啓蒙等、そのあたりをしっかりお願いしたいと思っております。

まずは総論ということで、以上でございます。

○阿久澤部会長 どうもありがとうございました。

ただいま冒頭に、きょうはどのように進めていかれるかというお話でした。そして、この制度は難しいというお話がありました。この件につきましては、中間取りまとめの説明をいただいた12月の部会の際にもお話しさせていただきましたとおり、御意見としては大いにいただければと思います。しかし、本日は、先の部会で委員より懸念点等が多くありましたので、その辺を酌んで、消費者庁より御説明をいただいておりますし、さらに払拭できない疑問点等を中心に御議論いただければと思っております。

今、渡邊委員から総論的、全体的な質問ということで、幾つか資料に沿ってございましたが、これについて、消費者庁から、もしお答えできるところがあれば、お願いしたいと思います。

○赤崎食品表示企画課長 それでは、ただいまの渡邊委員からの御発言でございますけれども、1点目に、全ての加工食品を対象にするから非常に難しい制度になると、個別に一つ一つ追加すべきではないかというところでございますが、先ほど御説明しました平成23年8月の消費者委員会の意見にもございましたように、従来の方法に従って個別の品目ごとの追加、拡大というのは限界がある。直近の例で見ても、たしか平成23年に黒糖と昆布巻きを追加したと、もう6年前の話になります。それ以降、広がっていない。

加えて、JAS法から消費者の選択というものを正面に掲げた食品表示法ができたという中では、まず、消費者利益の観点から見ると、全ての加工食品を対象としつつ、ただ、従前と同じやり方だと実行可能性という面でいろいろな問題も出てまいりますので、その点については要件を表示方法も含めて工夫する。こういうアプローチのほうが、結果、消費者の自主的・合理的な選択の観点から見ると、よりよいのではないかと思っております。

あと、3点目の指針の話になるのでしょうか。これはまた追って担当室長から御説明をさせていただきます。

4点目にありました公正競争規約の御指摘については、確かに公正競争規約は渡邊委員が言われた経緯があって今のような形になっているのは承知しております。ただ一方で、今回御議論いただく食品表示基準は義務のルールでございまして、基本的に最低限守っていただくものということでございますから、まずは食品表示基準の表示ルールが優先せざるを得ないのですけれども、ただ、現行の公正競争規約の扱いについて、個々いろいろな御意見、御要望があれば、それについてはまたいろいろな形で相談に応じさせていただいて、我々としても可能な対応はやっていきたいと思っております。

あと、6点目になるのでしょうか、中小事業者への配慮と消費者への周知のところでございますが、これは全くおっしゃるとおりでして、関係者、特に中小事業者の方への周知というのは極めて大事で、我々としてもその点については万全を尽くしてまいりたいと思っています。実際にこの案がよければと、その後になるかと思っておりますが、農林水産省や地方自治体、いろいろな事業者団体とも連携をさせていただいて、また、いろいろな形で個別の御意見も踏まえながら、きめ細かな実効的な対応を心がけていきたいと思っております。またいろいろな意味で御相談をさせていただければと思っております。

○三上食品表示対策室長 それでは、3番目のお話でございますが、食品表示法に違反する事案につきましては、ここにあります指示・公表の指針と我々は呼んでおりますが、「食品表示基準違反に係る指示及び指導並びに公表の指針」に示すとおり、個別の事案ごとに応じて所要の対応をとっているところでございます。今後、制度の周知状況を踏まえて適切に対応したいと考えているところでございます。

付言いたしますと、指針上は、直ちに回収を求めているわけではございませんので、そこのところは御理解をいただきたいと思っております。

○阿久澤部会長 よろしいですか。ありがとうございます。

宗林委員、どうぞ。

○宗林委員 まず資料の御質問をしたいと思います。

23ページの監視体制なのですが、今課長のお話では、このもともと原材料表示は一、二割だけれども、それの制度が改正になったことによって調査の事業者がふえるとかということではなくというお話がございましたが、現在、例えば疑義情報というのはどのぐらいの数が幾つぐらいの窓口に寄せられていて、その下の関連書類やデータ検査、立入調査等社会的な検証がどのぐらい実際行われているのか。私たちはわからないです。下には、指示、命令のところは書いてありますが、これまで事業者の公表、自主的な事業者の回収というものは、原材料の順番が違っていたりとか、アレルギー表示がなかったというようなことで、表に出てくる自主回収のほうはよく存じているのですが、ぜひ是正の指示、事業者名の公表という形での指示がされたものが実際に年間どのぐらいあるのかというようなことについて、レベル感もわからないので、どのぐらい監視がされているのかとまずファクトとして教えていただけないでしょうか。

○阿久澤部会長 どうぞ。

○赤崎食品表示企画課長 監視のお話なので、農水省からお答えをいただきます。

○島崎食品表示調整担当室長 農林水産省の島崎と申します。

風邪を引いてしまって声ががらがらで申しわけありませんが、検討会でも同様の議論がありまして、27年度上半期という数字をお示しさせていただきました。そのときに、上半期に国が調査をしたのが、大体ざっと1万5,000と言っております。漠と言うと年間3万件ぐらいかなということで言っておりまして、そのうち何らかの指導を行ったケースが6%弱という数字を御報告させていただいております。

この23ページの図にお示ししておりますように、疑義案件の把握については3通りあります。小売店舗や食品工場に対する巡回調査、疑義情報(食品表示110番等)、市販品を買い上げ、科学的分析、それぞれの個々の調査件数については現在のところたしか公表していないというところでございますが、指示・公表に至る案件で比較的多いのは、110番を通じるものが多いかと思っております。

○宗林委員 事業者名を公表された数はおわかりでしょうか。あるいは、この巡回調査についても保健所の監視員ではないので、地方農政局の方がやっていらっしゃるのですかね。

○島崎食品表示調整担当室長 一般的に新聞紙上では食品Gメンと言われていますが、いわゆる地方農政局の人間が担当しているということです。

件数については、24ページに指示等の実積というものがあって、25年から27年まで国・都道府県についてその数字を出しております。25年、26年、27年、食品表示法の食品表示基準に係る指導件数という形の数字を載せさせていただいているということでございます。

○宗林委員 事業者名公表の数はいかがでしょうか。

○三上食品表示対策室長 24ページの上にあります食品表示基準に係る指示と命令というのが、事業者名を公表するタイプのものでございます。下にあります表示基準に係る指導件数というのは、事業者名は公表しておりませんが、消費者庁、農林水産省のホームページにおいて、違反の概要であるとか、どういった事項で違反をしたのかというようなものがわかるような資料は公表させていただいているところでございます。

○宗林委員 事業者名公表は、これで言うと数は出ていませんけれども、ないということですか。

○三上食品表示対策室長 例えば国ですと、27年度は5件について事業者名を公表しておりますということであります。

○宗林委員 わかりました。

○阿久澤部会長 よろしいでしょうか。

それでは、そのほか、ございますでしょうか。

○井之上委員 日本生協連の井之上です。よろしくお願いします。

まず、赤崎課長の御説明を聞いて感想的なところを2点ばかり話をさせていただきたいと思います。

渡邊委員からもありましたとおり、私もすごく難しい制度だなと思っています。日本生協連は会員生協が約330会員、そして、組合員が2,800万人います。これから我々もこの制度が導入された場合、会員および組合員に説明をしないといけないということになるのですけれども、組合員2,800万人が理解できるかといったら、なかなか難しいなというふうに聞いておりました。

監視指導について、今、宗林委員からもいろいろご質問がありましたが、対応のところで厳しくするのだというような話を聞いていたのですけれども、まず中小を含めて、これから表示に係る資料整備であるとかについては難しいのではないかなというところは一つ疑問に思うところではあるのですけれども、一方で、表示が難しいから製造地として「国内製造」としてしまえばいいではないか、であるならば、そんなに気にしなくてもいいし、何となく国産と言える形になるので逃げ道があるのかという形で聞いておりました。改めて感想的なところをお話した次第です。

私のところは、参考資料2と参考資料3を用いて説明をさせていただこうと思います。前回、表示部会において部会の位置づけについてどうなのですかという御質問を差し上げたところ、阿久澤部会長から、今回、消費者庁作成の食品表示基準案、そして、その他資料、考え方という形でお示しいただいていますけれども、それらを確認して、この間の懸念が払拭されたのかどうなのかを見きわめて答申とするというようなご返答をいただいたところです。

ただ、前回12月の提案から、また今回さらに誤認という部分について可能性表示のところの補強がなされているわけですが、これまでの懸念事項は払拭されていないと考えています。前回、この改正の方向に関しては、消費者そして事業者双方にとってメリットがないのではないかとお話をさせていただいたのですけれども、前回からの前進はないのではないかと思っています。

参考資料2、今回消費者委員会事務局のほうで前回委員よりあげられた懸念事項を挙げていただいています。大きく5つ挙げていただいていており、「全ての加工食品に原料原産地表示を義務化することについて」「消費者への周知について」「監視の実行可能性について」「国際的な整合性について」「経過措置期間について」ということであります。私からは、余りしゃべり過ぎると時間もないということなので、大きな我々が考えている4つのことについて説明をさせていただきます。

参考資料3、私が付番した5ページ目以降、会場配布資料は白黒だと思うのですが、「新しい原料原産地表示制度の問題点」について、これはこれから我々も会員へ説明していかないといけないということもあって、この制度の問題点について、簡単にポンチ絵的なものをつくっており、ここに資料として載せさせていただきました。ここもかいつまんで説明したいと思います。

1つ目、消費者の選択に資する表示制度にはなっていないのではないかと思います。冒頭もお話をさせていただいて「複雑」という言葉が出てきましたけれども、消費者が利用できる表示とはなっていないのではないかと思っています。基準案は、原料原産地表示の拡大と言いつつも、原料原産地表示の本質とは違う製造地表示、いわゆる「国内製造」が大半を占めることになります。このような表示というのは原料原産地表示には結びつかないし、この意味を消費者が端的にわかるのかといったら疑問を感じるところです。また、消費者はこのような表示を利用できるのかということも疑問ですし、理解できなかったら正しい利用はできないことになるので、問題かなと思います。また、一つの制度に同じような言葉があって、ここも多分ハードルだと思うのですけれども、「原産地」「原料原産地」「中間加工地の製造地」「原産国」と。先日も表示に関する学習会があって今回の提案について説明をさせていただいたのですけれども、消費者の方が非常に混乱されるというような状況でした。

また、国別重量順の「、」と可能性表示の「又は」の違いです。これも説明するとなかなか難しいという意見をいただいています。やはり制度が複雑となって理解しづらいものとなっている、加えて、また文字数がかなりふえるので、見えづらいといった問題も考えられます。総合的には「理解しづらい」というところが危惧するところです。

2つ目、加工食品の多様性を阻害するのではないか、結論的には、消費者は高くて質の悪いものを購入せざるを得ない状態になるのではないかと危惧するところです。今回御説明いただいた中にもありましたけれども、例外表示は制度導入に当たって、事業者の実行可能性を確保するためには、絶対になくてはならないと思います。

今回、可能性表示について誤認防止の観点から、この部分について厳しくするという提案がなされています。確かに誤認防止は絶対に必要だと思います。だけれども、余りやり過ぎてしまうと、例えば製品に表示したものは守らないといけないということを考えれば、産地表示に縛られた仕様を優先することになり、実際に使いたい原料があるのだけれども、表示したものとは異なるため、やむなく質の悪い原料を無理やり使用しないといけないことになったりとか、生産自体ができなくなる。昨年、北海道のほうが台風被害でジャガイモがとれなかったということなど、生産自体ができなかった、困難な形に追いやられたという話も聞いていますが、制度を厳しくしすぎてしまうと、場合によってはお店自体に商品がなくなってしまう可能性にもつながるということが考えられます。つまりやり過ぎると加工食品の多様性を阻害することになってしまうのではないかと思っています。義務表示の1位以外にも広げるなどという意見も専門家検討会の中でもありましたが、これも同様だと思います。

この部分に関して、ポンチ絵では一番後ろに示しています。義務表示を増やすことによる弊害ということで、全てに国別表示、2位や3位も義務表示した場合、右側にタマネギやジュースの絵が描いてありますけれども、生鮮食品においては、時期によって産地が変動してリレーする場合もあります。また、どうしても、端境期で収穫できない場合もあります。

ジュース、飲料などで言うと、いつ飲んでも同じ味であるとかおいしさというものが確保されているわけですが、糖度とか酸度とか色度と書いていますけれども、そういうような品質を一定にするためにブレンドする技術を持ってつくっている商品もあります。

ハムなどにおいては、そのときに一番いい原材料を引っ張ってきて、価格の安定や品質に努めているものもあって、ここ「豚肉の」と書いていますけれども、引き当てによっては原料の変動が2倍近くもあるものもあるそうです。

あと、やはり天災です。先ほども言いましたように、台風が来た、産地に直撃してその産品がなくなってしまったという場合の対応であるとかについては大きな問題です。表示を固定してしまうことによって、最終的には商品コストがはね上がったりとか、高くても悪いものを買わないといけないというところになるのではないかと危惧しています。

また本文に戻って、例外表示については過去2回の議論において、さっきも赤崎課長の説明にもありましたけれども、不適切であるとか、要検討であるとか、知りたい情報なのか疑問という意見があり結論には至らなかったと思っています。問題があるということで、一歩踏み出せなかったということを考えると、工夫をしてもなかなかし切れないのかなと思っています。

3つ目ですけれども、例外表示による消費者の誤認は、回避できないのではないかと思っています。さっき製造地の話をしましたが、製造地表示について、製品に海外原料を使用する場合、例えば、「中国、アメリカ、その他」という原料原産地を表示するよりも、仕入れる前に国内のどこかで一回調味などの製造行為をした上で、仕入れると「国内製造」という表示が可能であり、そのほうが、消費者に与える印象もよくなる。また、製造所においては仕入れ実積を管理する必要もなくなるということから、そのような表示に移行するのではないかということが考えられます。

また、逆にこの制度を都合よく利用しようという事業者があった場合は、避けたい産国を「国内製造」という形で何となく国産であるかのように見せることもできるのではないかと思っています。

では、消費者はそれを回避できるのかということについては、消費者はその表示しか情報を得られないわけですから、制度上、この誤認を回避するのはかなり難しいのではないかと思っています。そういったことも含めて、どうしても例外表示を使用せざるを得ない事業者は、そうでない事業者を含めてですけれども、より安易な製造地表示であるとか、大括り表示に流れてしまう。結果としては、市場に何となく国産というものが増えるのではないかと思っています。例外表示を用いて正確に消費者に情報提供するという課題、これを解決するのは非常に困難ではないかと思っています。食品には多様性があって、さまざまな工夫がなされていることを消費者も学習しないといけないとは思っています。

4つ目、消費者の周知のところ、消費者庁では全国説明会を以降2回開催して、リーフレット、パンフレットを用いて学習してくださるというような話もいただいています。では、学習し得るのかというところにおいて、私もいろいろ昨年から動いて、食品表示の学習会などで、食品表示法の説明などいろいろやらせていただいているのですけれども、その中で原料原産地表示に関する今の検討についても、組合員さん対象ですが、消費者の方に説明して意見も聞いています。

実情、消費者において、食品表示法の改正のところの理解も十分ではないという感触を持っています。当然消費者庁からはこの部分についてもリーフレットやパンフレットなども出ているわけですけれど、食品表示法の理解についてもなかなか難しい状況があります。でさらに、原料原産地表示の今回の改正案についてですが、食品表示法でも理解が進んでいない中、本当にそれができるのかなと思うところがあります。また、今回の制度について聞いてみると、その複雑さゆえに説明なくして正しい理解は得られないという形の意見もいただいていますので、説明が届いていないという場合においてはまず、誤認するし、また、説明しても、し切れるのかというハードルがあると思います。

実際のグラフをつけていますが、4つの例外表示についてどうですかという形で端的に説明し、質問したところ、赤のところ、傍聴資料では黒の部分ですけれども、ほぼほぼ反対という返答でした。参加者からは消費者を欺くと捉えられるような表示制度はひどいですねという意見をいただいているところです。

自由記載のところで、結構大切なお言葉もいただいたので、例として挙げていこうと思います「きちんと説明を聞いていない人は違った視点で見る」。たとえば「何となく国産」についてこれこれと思ってよく見てみたら違うという誤認もありますし、今までわかっていた表示、これは22+4であるとか事業者が任意でつけているものですけれども、それもわからなくなる可能性がある。消費者が消費行動をする際に、そんなに時間をかけて見ることはそうなくて、「一目でわかるのが大事」、ぱっと見てぱっとわかる簡単さ、わかりやすさは非常に大事だと思います。その部分において今回の制度は難しいし、それが今の「本当に知りたい原料原産地を隠してしまう気がします」というような意見をいただきました。

一つ飛ばして、「国内製造」は「国産」と勘違いしやすい。やはり「国内製造」と書いてあって、国産なのだと思う(誤認する)人はいると思います。「輸入、国産」と「輸入又は国産」の区分は、説明もしているのですけれども、やはり難しい。「本当に知りたい人が知ろうと思ったら、難しいからメーカーに問い合わせします」ということで結局は知りたかったらメーカーに問い合わせる。これは現状も一緒ではないかという意見もありました。

一番最後、下から2つ目と下です。「過剰に多くの情報を記載することにより、本来必要な情報が埋もれてしまう」という意見、今回、事項名を立てるという例もありますけれども、文字がふえるケースも発生します。では、本来、実際に届いてほしいアレルギーとか、そちらの方の情報が、文字がいっぱいふえることによって圧縮されてしまう可能性もあるのではないかと思います。また、別施設で調味などの製造行為をして製造地表示を使用するという話がありましたけれども、「抜け道もあるような表示は意味がないのではないか」という意見もありました。

今、大きい4つのことをお話しさせていただいたのですが、やはり懸念事項は払拭されていないのではないかと思っています。したがって、では、これをどうしろという話は、今、ここで言うべきではないと思うのですが、まず、今から出されるほかの委員の懸念事項も多分出てくるのでしょうけれども、この消費者委員会食品表示部会での懸念事項に加えて、これから開催されるパブリックコメント、WTO通報の意見も付して、本件を専門家検討会、ここにもう一度差し戻すべきだと思います。専門家検討会について、1月18日に原料原産地の全国説明会があって、赤崎課長から専門家検討会では「各論の議論が足りなかった」というようなことも発言されていたと聞いています。足りなかったものをここで議論できるはずがないということも考えると、やはり、本件を専門家検討会に差し戻すべきではないかと思っています。

食品表示は、消費者がまずその表示を実際に目で見て、見やすく、その内容を正しく理解して活用できるものになっていないといけない。これは食品表示一元化検討会の報告書で取りまとめられた食品表示の考え方ですけれども、望むべき方向としては、先ほど渡邊委員からもありましたけれども、全てに表示することを目的とするのではなくて、まず消費者のニーズを把握して、食品表示自体全体、原料原産地だけではなくて、全体を俯瞰して表示の優先順位を考慮して、知りたい人に情報をわかりやすく伝えることを目的として制度設計すべきではないのか、知りたい人が知ることができるということが大切なのではないかと思います。

長々となりましたけれども、以上です。

○阿久澤部会長 どうもありがとうございました。

今後起こり得るだろうというところを想定しての御質問ということかと思いますが、大きく4点ございました。それについて、もう既に御説明いただいているところもありますけれども、さらにつけ加えて御回答いただければと思います。

○赤崎食品表示企画課長 簡潔に説明をさせていただきます。

まず、今、井之上員からお話のあった昨年12月から1月にかけてのブロック説明会で、各論の議論が足らなかったというお話がありましたけれども、去年農水省と消費者庁で共同で開催した検討会の位置づけですが、まず、大きな方向性といいますか、大所高所からあるべき姿を御議論いただくというのが、まさに検討会のほうに我々がお願いをしたことでございました。そこで、昨年12月に御説明させていただいたような基本方向、これを打ち出していただいたということになっています。

その後、その報告書の説明会を12月から1月にかけていたしました。そうしますと、消費者の方も来られますし、当然事業者の方も来られますので、事業者の方からしますと、自分が使っているこの商品、これは結局どうなるのだと。その意味では、大きな基本方向の話に加えて個別の要件的な話、追って我々がQ&Aで決めるようなお話も多々出てきましたので、そういう点については、そのとき我々が説明した検討会報告とはやや違うといいますか、大きな方向性をまず決めないと細かい話にもなかなかいきませんので、そういう応答をさせていただいたということをまず申し添えさせていただきます。

今、井之上委員から参考資料3に即していろいろ御説明がありましたが、この1)から4)までについて、簡単に御説明をさせていただきたいと思います。

1点目になります。消費者の商品選択に資する表示制度とはなっていない。消費者が利用できる表示ではないという御指摘でございますけれども、実は、昨年消費者庁、農水省が事務局で開いた検討会、これはいろいろな委員に出ていただきましたけれども、その中には新しい表示ルールのパターンは幾つかありますが、それほど複雑でもないという御意見も実はありました。可能性表示は「又は」でくくるということで、大括り表示というのも3以上の外国を「輸入」にする。製造地表示もいわゆる原産国を書くということでございます。

ただ、そうとはいえども、消費者の誤認防止と普及・啓発は大事だということで、ただ、誤認防止、普及・啓発に取り組んでいくのであれば、全ての加工食品に原料原産地表示を導入することによりもたらされる消費者メリット、これが大きいというお話もありました。当然、新しい表示ルールをつくる、導入するとなると、誤認のリスクがゼロとは我々は申しません。ゼロリスクは世の中にはないですし、なおさら新しいものであれば、当然そういう目配り、配慮も大事だと思っております。

ただ、それがあるから何もしない、新しい制度も導入しないとなると結局今のままで、それでいいのかというのが皆の共通の問題意識であったと思っております。その意味では、消費者の選択のための制度ですので、少しでもそういう観点から何ができるのか、それを導入するに当たって、どういう要件にすると皆さんの御心配、御懸念が軽減されて、結果として消費者にまさに選択のための情報が提供されるのか。そういう観点から議論したというのが、昨年の検討会の趣旨でございます。

1点目に関連して、製造地表示は、参考資料3の本文にもありますが、これは原料原産地には結びつかないというように書かれておられますけれども、我々から見ると、製造地表示はまさに原材料が加工品の場合の原産地、原産国を表示させるものなので、言葉として見ると、原料原産地そのものだと思っています。ただ、その原料が生鮮でなくて加工品なので、加工品の場合は、さっきの例にあったようにチョコレート、輸入チョコの場合はベルギーが原産国と書くのが、今の原産国のルールです。これはコーデックスの4条5項にもそう書いていますし、公正取引委員会の出された原産地告示でも同じ考え方に基づくものなのです。その意味では、製造表示は原料原産地ではありますが、ただ、生鮮情報を知りたいという方もおりますので、今、日本ではトレーサビリティーがないので、加工度が高いものをみんな生鮮情報を還元して情報が出せるのかというと、それは多分事業者は無理だとおっしゃると思います。ただ、できる限りということで、まずは原産国に着目した製造表示をしてもらう。でも、生鮮情報を出せる場合は、出していただくのも、これは当然できる。我々はそういう立場で対応しておるということでございます。

2点目、加工食品の多様性を阻害するという御意見でございますけれども、これも何とお答えしていいのか難しいですが、まず、原料原産地表示というのは消費者の選択のためのものです。食品表示法の規定にもあるのですが、それは結果として需要に応じた生産の振興にも寄与するとなっています。結局消費者が選択をするもの、消費者が望むものが表示され、消費者がそれを選ぶ、買っていただくとなるわけですから、結果、消費者ニーズに合った生産の振興につながる。まさにそういうものとして原料原産地表示を位置づけております。

一方で、いろいろ委員の皆様からいただいた誤認防止、これも大事な視点でございますから、当然策は講じてまいりますけれども、ただ、制度の本来の趣旨が消費者の選択で、それは生産者と消費者を対立構造で捉えるのではなくて、ウイン・ウインでやっていく制度として位置づけておりますので、必ずしも加工食品の多様性を阻害するというように直結するのかというと、そうではないのかなと思っております。

2点目のところになると、例外表示については、過去の議論で不適切、要検討等々の議論がなされた経緯がある、やはり問題があると書かれておられますけれども、そういった意見があったのは事実かと思っていますが、他方、肯定的に受けとめた意見というのもこれまたあって、結局、先ほど御説明したように、それぞれの消費者の受けとめや実行可能性を考慮して検討しろというのが我々消費者庁に与えられたミッションだと思っておりますので、その意味では、いろいろ検討する意味はありますし、その結果として、きょうまとめたものを御説明させていただいたということであります。

3点目の例外表示による消費者の誤認を回避できないという御指摘も、今、御説明しましたように、可能性表示の実例はあります。現行の食品表示基準の中でも塩たらこについては認められています。実際あると承知をしていますし、豆腐、納豆でもそういった表示はなされております。大括り表示というのも果実酒でありますし、そもそも大括り表示というのは、国名がわからない、だから情報が粗いという御意見はあっても「外国産」と書いたから誤認をするのとは違うのではないかとも思っていて、その意味では、我々御説明したようないろいろな要件縛りもかけます。あわせて注意書きも書いていただくことにします。可能性表示の場合、割合が少ない場合は割合表示もしていただく。あわせ技でいろいろな要件を立てることによって、あわせていろいろな普及・啓発もしていきますので、そういうトータルの結果として、消費者の御理解をいただく形の誤認防止も可能ではないかと思っております。

4点目、消費者の周知についてはハードルが高いという御指摘がありました。これも難しいというお考えもあるのかもしれませんけれども、我々としては、冒頭に言ったように、パターンは幾つかあってもそれほど複雑ではないというようにアカデミアの委員からも御発言がありましたし、そこはいろいろな関係のところと協力をして、まずは取り組む、これが大事なのだろうと思っています。幾つか消費者団体の方とは、あくまで将来こういう方向でという前提つきですけれども、いろいろな御協力、コラボも内々相談もしております。今、御議論されている内容ですから、当然その結果次第ではありますけれども、我々としては難しいかどうかというのはありますが、そこはよく周知をし、正確に理解いただいて、制度を運用することが大事だと思っており、そういう意味では、いろいろな広報媒体なり関係のところとよく御協力をさせていただいて一生懸命取り組んでまいりたいと思っております。

現時点のコメントということでございます。

○阿久澤部会長 どうもありがとうございました。

受田委員、どうぞ。

○受田委員 高知大学の受田と申します。

資料1と参考資料2に基づいて少しコメントをさせていただきたいと思います。

きょう、いろいろな意見がもう既に資料としても出ており、また、コメントも拝聴しておりますので、重複は避けて論点としては1点述べたいと思います。

まず資料1、ページですと21ページが非常に重要なので、そこからお話をしていきたいのですが、赤崎課長からも何度もコメントがありましたように、この「食品表示が消費者の商品選択に資する」、ここがまず議論の出発点でございます。これに基づいて、新制度を全加工食品に対して原料原産地表示を可能にするために、プロセス的には事業者の実行可能性が随分配慮され、いろいろな視点から検討されてきたということだと思います。その結果、今、主観的なのか客観的なのかわかりませんけれども、消費者にとっては非常に難しい制度になろうとしているということかと思います。

これに対して、資料1の25ページに、普及・啓発をとにかくやっていきましょうという話が出ております。今もコメントをいただいたところなのですけれども、参考資料2に目を移していくと、○が5つある中で「消費者への周知」ということが前回のこの食品表示部会でも、委員から何人の方が言われたかわからないぐらいコメントがございました。その中で、一番重要なポイントが「消費者が表示の意味を理解しないと」というところだと思います。この資料1の25ページの普及・啓発は、今後この制度の導入によってとにかく普及・啓発をしていくのだということを努力目標として言っておられるのに過ぎません。我々も教育に関っているという立場で、最近何を教えたかという視点から、学生が何を身につけたかというところで評価をしていかないといけないということをよく言われるのです。何かこの話がそこにつながっているように感じています。つまり今の話は、普及・啓発をしますと言っているけれども、結局国民はどこまで理解しているのかという視点が抜けています。この理解度が深まっていき、消費者選択の基準になっていくのです。判断材料になれば、多分先ほどおっしゃったウイン・ウインという、生産者にとっても、消費者にとっても、さらにはこれはもともとTPPの話があって、1次産業の担い手にとってもオールウインになるということが期待されると思います。

資料1の4ページなのですけれども、ここも非常に重要で、もともと原料原産地表示というものが、加工食品を購入する際に原料原産地名を参考にして消費者が選んでいる、ここの数字が上がっているということが一つの根拠になっていたわけですけれども、例えばこのような数値、定量的な物差しによって、この原料原産地表示がどの程度消費者に浸透していったのか、あるいはそのもともとの目的である消費者の購買に関して、この原料原産地表示がどのように貢献したのかというのを数値で表わしていただきたいのです。

最近国はKPIという言葉を総合戦略とか人口ビジョンで盛んに言っておられます。ぜひ定点観測するなりして、現状から、例えば移行期間が3年という話になっているのですけれども、これは3年が適切かどうかわかりませんが、3年、5年の一定の期間の中でどれだけその数値が向上したか、これをしっかり国民にお示しいただきたい。あるいは、逆に言うと、このKPIを設定して、その数値をクリアしたことによって本格導入するというぐらいの普及・啓発に対するきちんとした基準といいますか、誰もが納得する国民の理解度を測るような、そういう形をぜひ導入に当たっては考えていただきたいと思います。

最後に28ページの産地誤認の防止のところで、先ほど赤崎課長もこの制度が定着するのに、10年ぐらいかかっているというような表現がございました。3年で普及・啓発にエネルギーを投入していただいて、国民の理解を今の10年を3年に圧縮して進めていただければいいのですけれども、一定の期間はかかると思います。ポイントは国民の理解度だと思います。さもなければ、事業者の皆様も御苦労して、全加工食品に原料原産地表示をすることに前向きになれないと思いますので、ぜひ目的に立ち返って、理解度に関するKPIの導入について考えていただきたいと思います。

以上です。

○阿久澤部会長 どうもありがとうございました。

ただいまのことに対して、何か消費者庁からコメントはありますか。

どうぞ。

○赤崎食品表示企画課長 まず、ただいまの受田委員の御指摘でございます。これも一般的な御説明になるかもしれませんが、国のいろいろな制度がございますけれども、これは一度つくったらそれで終わりで見直しをしないということは原則ございません。当然、制度が施行された後、不断の検証というものをいたしまして、その結果、伸ばすべきところがあれば伸ばしていきますし、不都合や不具合が認められれば手を打つということになると思っております。今、委員がおっしゃったのは、例えば経過期間が3年ということで、3年後、5年後に実際どれだけ定着していたのかを定量化して、KPIという言葉もありましたが、指標としてわかりやすく整理をして国民にお示しをしていくということかと理解をしておりますので、その意味であれば、委員のおっしゃったとおり、我々も基本的にはそれを心がけてしっかりやっていく必要があると思っています。

具体的にどういう形で仕組んで、どういう指標をつくって、いつ、どういうタームで刻んで調査をしていくか、それはまたいろいろあろうかと思っていますが、基本的にちゃんと検証して、アジャストしていないところがあれば対応していくという意味においては、御指摘はそのとおりだと受けとめております。

○阿久澤部会長 受田委員のご意見との関連ですか。

蒲生委員、どうぞ。

○蒲生委員 受田委員の関連のコメントの前にまず、井之上委員が説明なさった参考資料3の1ページ目の4段落目、5段落目のところなのですが、食品表示は見やすさ、内容を理解できるか、活用できるかが大事であること、そして、表示項目の優先順位を考えるべきだ、というご指摘は非常に大事なポイントで同意いたします。

私も参考資料4として「食品表示基準改正案への意見」を出させていただきました。意見書の10で指摘させていただいたのですけれども、消費者が商品を手にとって表示を見るときは、当然全体を見ているのでありまして、本来は個別の表示項目の検討だけではなくて、限られた表示面積の中でその表示をする意義、効果についても検討することが、見やすい表示や表示による効果的な情報提供のために必要な作業だと思っております。

言うまでもなく、表示は表示することが目的ではなくて、必要な情報を伝えるための手段です。消費者庁の資料にある、消費者が容器包装への表示を求めるという調査結果は、情報へのアクセス性の良さが理由かと思います。

ただ、幾らアクセス性がいいといっても、何でも容器包装に表示してしまうと、文字数が増えて見づらくなり、かえって情報が伝わらない。大事な情報が埋もれてしまうおそれがあるというのも、また事実です。一元化検討会報告書の中に、文字の大きさと情報量についての調査結果があります。小さい文字でも多くの情報を載せることを希望する方が27.4%にとどまったのに対して、表示項目を絞って文字を大きくしてほしいと回答をした方が72.6%を占めました。優先順位をつけて表示するのが大事だということです。

全ての加工食品に原料原産地表示を義務化することによる表示全体への影響については、検討会の中間取りまとめに指摘がなく、検討会で十分な議論が尽くされたとは思っておりません。そして、残念ながら、今回の諮問にも、表示全体の中での原料原産地表示の位置づけについての検討は盛り込まれていないのですが、実はこの点は消費者にとってわかりやすい、活用できる表示をつくるために議論しなければいけないことだと思っております。

それと、まずは総論について議論するということですので、あわせまして、1項目の総論と、受田委員の指摘と関連する9項目についてお話しさせてください。

1項目の総論についてはもうどなたも異論がないと思っておりますけれども、表示内容の誤認と偽装を防ぐことが優先事項であるということをこの部会の共通認識としたいと思っております。全ての加工食品への原料原産地表示の導入が提案された日本再興戦略もしかり、それから、消費者委員会の2013年の意見もしかりですけれども、あくまでも表示は手段であって、その目的は消費者の合理的な商品選択に資することに尽きます。食品表示が消費者の商品選択に資するためには、その表示内容が消費者の商品選択において意味があること、そして、その表示内容の誤認と偽装をいかに防ぐかということが重要なポイントとなってきます。全ての加工食品に表示を義務化すれば、それだけ誤認と偽装の機会も増えます。部会での議論が本末転倒にならないように、全ての加工食品に表示させることよりも、その表示が商品選択に資するものなのか、そして、その表示内容は誤認と偽装を防ぐことができるのかが議論において優先されるのだということを共通認識としたいと思っております。

9項目は先ほどの受田委員のご指摘とつながってくるのかなと思っておりますが、消費者教育計画の立案及び法律の見直しについてです。表示内容が消費者の商品選択に役立つものか、誤認を招かないか確認するために表示の理解度、満足度、そして、活用度について消費者意向等調査を行う必要があると思っております。消費者教育は、パンフレットをつくって講師を派遣すれば十分というものではなくて、消費者が表示をどのように理解したか、どれだけ満足して活用しているかといったことの調査結果に基づいて計画立案し実行することが必要だと思います。

さらに、その結果を踏まえた法律内容の検証と、必要な見直し、これは先ほど赤崎課長も実施していくとお話されていましたが、ぜひそのとおりお進めいただきたいと思います。

以上です。

○阿久澤部会長 ありがとうございました。

これに対してはよろしいですか。

消費者庁、どうぞ。

○赤崎食品表示企画課長 今の御指摘について、蒲生委員から御提出のありました参考資料4の1番、9番、10番、簡単にコメントをさせていただければと思います。

1番目の、表示内容の誤認と偽装を防ぐことが優先事項ということは、消費者庁としても実はそのとおりだと思っております。表示の結果、消費者が意味を取り違える、正直者がばかを見ることがないようにというのは、制度設計の根幹になろうかと思っております。まさにその観点から今回も消費者の選択という情報開示ニーズへの対応というものと、誤認リスクを回避しいかに低減するかという、この2つを両立するものとして整理をして出させていただいた。ただ、今、委員がおっしゃった誤認と偽装を防ぐことが優先事項というのは全く我々としてそのとおりであり、異論はございません。

9番目の、消費者教育計画の立案及び法律の見直しという点でございます。先ほどの受田委員の御指摘と問題意識は相通ずるものがあると思っておりますけれども、ここの2行目にあります新ルールの理解度、満足度、活用度とありますが、まさにこれは検証するときに我々が押さえるべき重要な切り口、視点を整理していただいていると思っております。この点につきまして、先ほどの受田委員のお話への回答と共通いたしますけれども、我々もつくったからそれで終わりと、それができたのだから継続的に盲目的にやるということではなくて、いろいろな形でそれがきちんと定着しておるのか、きちんと機能しておるのか、それをいろいろな形で検証し、その結果は制度にフィードバックさせていく。これは当たり前のことで、それは万が一この方向で制度がなされればというのはありますが、当然、その中でも我々は心がけてやっていくと、これははっきりと言わせていただきます。

10番目のお話は、非常に難しいなと思って聞いておりました。これはまさに見出しにありますように部会の議論の範囲となりますので、消費者庁だけでなくて、また、消費者委員会の事務局とも御相談をしないといけない点だと思っております。これは我々は、委員の問題意識として今回原料原産地表示について諮問をさせていただいておりますけれども、当然限られたスペースになると、これを入れるという優先順位で何かほかの義務表示項目の位置づけも変えるべきではないかと、そういう問題意識だと理解をしております。

おっしゃるところも確かにそのとおりでして、今回御議論いただくに当たっては、この表示全体の中の原料原産地ということですので、当然、原料原産地が主たる御検討いただく内容ではありますが、一面で、全体の中の一部になりますから、そういう視点も大事だとは思っておるのです。ただ、では、ほかの表示項目のあり方、存廃も含めて御議論いただくのがいいのかどうかなると、冒頭言ったようにこの時点では確定的なことはなかなか言えず、改めて必要がありましたら消費者委員会事務局とも御相談をさせていただいて、また対応のほうは考えさせていただくしかないのかなと思っております。雑駁で恐縮です。

○蒲生委員 ありがとうございます。

表示全体における原料原産地の位置づけについては諮問されていないので議論できないと思って意見書の10を書いたのですが、今の赤崎課長のお話で、ほかの表示事項を変えることはしないが、表示全体の中での一部としての原料原産地表示という視点も大事だと同意していただいたのは、非常にありがたいと思います。例えば文字数に関しては、検討会の中間取りまとめや今回の改正案に指摘がありませんが、文字数が多いと表示全体の視認性を下げるといった、表示全体に影響しそうなポイントに関しては、ぜひ議論に入れさせていただきたいと思います。ありがとうございます。

○阿久澤部会長 池戸委員、どうぞ。

○池戸委員 ありがとうございます。

いろいろ御意見が出ました。それで、個別のほうから私も意見をお話しさせていただきたいのですけれども、今、蒲生委員から情報量と字の大きさについて御意見が出ました。多分、これはこの原料原産地以外のものも含めてというお考えだと思います。さっきお話も出ましたように、一元化検討会でもこの議論は非常に重要だという話になっていまして、報告書には、より重要な情報をより確実に伝えるのが重要と。それには、利用実態や活用度合いとか、そういう客観的なデータがないと。優先順位はまず安全性の情報が最優先というのは誰もが認めるところだと思いますが、それ以外のものはどうか。それは、私としては、それはまだ宿題で、これから重要な案件なので別途やる必要があるのではないかと思っています。特に今回また原料原産地でスペースが塞がれる、栄養表示も増えるという話になると、なおさらのことだと思います。さっき27%の方が「文字が小さくても情報量が多いほうがいい」という御意見で、73%が表示でやってもらいたいという結果で、私自身は、その27%も決して少ない数とは思っていません。そこら辺も含めて、改めて検討する必要があるかと思っています。

それから、さっき受田委員からも出ましたけれども、これから普及・啓発をするという、そのこと自体が目的ではなくて、どれだけ理解して、どれだけ活用しているか、満足という言い方もさっきされていましたけれども、そうした実態の客観的なモニタリングというものをやるべきだというのは、専門家検討会のほうでも何回も出ておりまして、これは私自身も非常に重要だと思っています。

さっき検討会の話が幾つか出ていましたけれども、今回、この委員の中で私だけが検討会のメンバーなので、検討会の他の委員のことを弁解するわけではございませんが、先ほどから複雑でわかりづらいという、そういう印象が問題だという御意見も出ました。ただ、17名の専門検討会の委員さんも、全く同じ考え方に発ってそこは前提として検討されたと思っています。このルールは消費者が活用するものですし、消費者に提供する企業の方は消費者以上、要するにお客さん以上に知識、理解していないといけない。その両者にとってわかりやすいことを前提にしましょうと。そういうことで一生懸命検討していただいたかと思います。ですから、決してつじつまが合うだけではなくて、そういう前提での結果として、こういう中間取りまとめになったということを、ほかの委員のかわりにここで再度確認させていただきたいと思います。

何回も出ていますように、今回の目的そのものは77%の消費者の方が参考にする。それから、別の調査もございまして、今までと同様にするあるいは今まで以上に参考にするというのも足すと76%ということになっています。ですが、現在では義務化されている品目とか、あるいは任意でやっているものを合わせても3割はいかない。これは15年ぐらいの経過を踏まえて、現在3割未満なのです。このままいっても、多分70%以上はまだ加工食品についてはどこでつくったのかわからない、そういう状況になっているので、それをいかにするかというところから始まっていると思います。

選択に資するというのは、言うまでもなく消費者基本法の消費者の基本理念のところに書いています権利でございますので、ここは最優先にしましょうと。必ずしも前の委員会でも言いましたけれども、国産のものを振興するとかというようなことではなくて、アンケートの結果、65%の方が国産を選ぶためにこれを見ている。それ以外の約4割は特定の国のものを選びたい、あるいは特定の国を避けたいという方もおられるわけです。だから、そこはそれぞれの消費者の判断なのですけれども、いずれにしても、そういう表示があるということは非常にそういう方のためには資すると、そういう前提に立っているかと思います。

したがって、原則はあくまでも国別重量順でやりましょうということになっていまして、ただし、そういう形でできない企業さんも中にはいる。そこは食品表示法のまた基本理念になるのですけれども、中小零細が圧倒的に多い業界で、特に3分の1は従業員3人以下のような企業で、ただし、そういった企業さんでもできるだけ今の段階で可能な情報は消費者に流してあげたほうがいいだろうと、そういう前提の中で例外表示というものは規定せざるを得なかった。それから、国別重量順が原則なのですけれども、国名がわかっている企業さんだけを規制対象にして、それ以外は規制対象にならない、これは制度上はあり得ないことなのです。

検討会の意見の中に、国名が表示できるものからやってほかのできないところは表示しなくてもいいのではないかという御意見もございました。そうではなくて、原産地不特定という表示でもいいのではないかという、そういう御意見も出ました。そういうことも含めた結果として、一見わかりづらい例外表示というものを、むしろその国別重量順でない形でも有効な情報だったらという位置づけの中で普及していくべきだという、そういう結論に至ったわけです。

ただし、さっきから何回も出ますように、それが一般の消費者あるいは事業者の方にルールがわかるかどうか、そこが皆さん御懸念で、それは委員会でも全く同じでした。それはさっき言ったフォローをモニタリング調査のようなものでやるという、その結果を踏まえて施策にまた反映するというのはもちろんなのですけれども、少なくとも、専門の委員会の17名の委員さんは、このルールを理解していると思います。もちろんここにおられる皆さんも理解している。だから、そこまでの理解度までどうやってやるか。そこが非常に重要なところで、それには物差しが要りますので、さっきから受田委員とか蒲生委員が言われているような理解度、活用度、そういったものの調査をセットでやるべきではないのかというのが、私の考えです。

もう一つは、事業者の方に対して、本当にこれが実行可能かどうかですね。表示はデータ管理という形になりますし、受発注システムなども変えなければいけない。それから、中小の企業さんとして、まず、こういう制度がこれから動くかどうかというのも、まだ周知されていない部分もあるのではないかと思います。行政の方にお願いしたいのは、これから説明会をやって、パブコメを求めるということなのですけれども、できるだけ津々浦々の消費者あるいは事業者の方に深く理解していただくというような、そういうものを精いっぱいやっていただいた上で、まず理解していただかないとまともな意見が出てきませんので、その努力を通した意見を踏まえて、本当に問題としてどう解決したらいいかというのも含めた再度の検討をここでしていただければと思っております。

繰り返しますけれども、専門家委員会のほうで、私自身は21時間かけてかなりいろいろな御苦労をされた意見の中であのまとめができたと思っていますので、前回の座長からのように、また同じような議論をここで繰り返すのではなくて、むしろ基準という形の中で見たときに本当にこれがわかりやすいかあるいは定着するかという、そういう議論を進めていただけたらありがたいと思っています。

以上です。

○阿久澤部会長 ありがとうございました。

それでは、ただいまのことに何かコメントはございますか。

消費者庁、どうぞ。

○赤崎食品表示企画課長 今の池戸委員の御発言につきましては、我々もいろいろな形の説明会を今からやっていきますので、これは御指摘にもあったようにきちんと理解をしていただく。普及・啓発はまさに委員の御指摘のとおりですから、きちんと取り組んでいきたいと思っております。

とりあえずは以上でございます。

○阿久澤部会長 その中に、それと対比の形で事業者の実行可能性が懸念されているとおっしゃっていましたが、その辺はどうでしょうか。

○赤崎食品表示企画課長 実行可能性が懸念されているという御意見は、確かにございますけれども、基本的には表示の拡大という消費者から見たメリット、利益と、一方で事業者側の負担という実行可能性の2つの両立ができるものとして、今回こういう御提案をさせていただいております。まずはよくこの制度のたてつけといいますか、考え方なり運用のルールを御説明させていただいて、その中でいろいろな心配、不安事がありましたら一緒になって考えて我々としてもよりよい形で制度が運用できるように取り組んでいきたいと思います。その意味では、広い意味での普及・啓発と、これは消費者のみならず事業者の方にもよく御理解いただくというプロセスを得て、その際は消費者庁、農林水産省、その他いろいろな関係のところと協力をしながら対応していきたいと思っております。

○阿久澤部会長 ありがとうございます。

渡邊委員、どうぞ。

○渡邊委員 今、事業者の実行可能性ということが出たので一言言わせていただくと、今回の制度は確かにいろいろなことを考えてつくられたのですけれども、かなり事業者に負担がかかる制度だということを言っておきたいと思います。

よく今も偽装とかこういう表示をとってしまうのではないかという話が出ましたけれども、よくマスコミに出る偽装している事業者はほんの一部で、例えば殺人を犯した人がいるからみんな世の中殺人者だというのとほとんど一緒で、ほとんどの事業者はきっちり表示をすることを考えてやっているし、商品も先ほど井之上さんから表示に合わせて商品をつくるという話がありましたけれども、そのようなことは絶対になくて、よい品質のものを提供することを考えています。よく言われるのですけれども、よい商品でないと絶対に売れません。よい商品でも売れないのです。だから、本当にこういう世の中で、いかによい品質のものをつくるのかという中で表示をつくっている。

そういう中で、日本では安売りということもあってコストダウンもしなければいけない中で、今回の表示制度は、ちょっと間違えると包材の切りかえがすごく多くなるのです。後で各論で言いますけれども、本来はかえなくてもいいときに、例えば年度などを入れると絶対に毎年毎年包材をかえなければいけなくなってくる。だから、コストダウンを図るときに無駄なコストをつくるとか廃棄を防ぐ、そういうこともよく考えてもらって、表示を考えてもらわないと、このような包材をどんどん切りかえなければいけないようなことは防いでいただきたい。そういうこともよく考えた中で実行可能性を考えていただきたいと思います。

以上です。

○阿久澤部会長 ありがとうございました。

今村委員、どうぞ。

○今村委員 前回、私の指摘としては、この制度そのものの実行可能性が非常に低い、実際に実施できないのではないかということを指摘させてもらって、特に監視の実行可能性については、非常に難しいだろうという話をさせてもらいました。その成果があって、今回の資料では監視ができるようにちゃんと制度をつくってくれたので、制度としては成立するようになったと私は思っています。

でも、きっちり監視ができるようにするということは物すごく難しくなるということで、複雑怪奇な資料になっているのは監視ができるようにつくったからなのです。監視ができるようにつくると、実はどうやったら逃げられるかという逃げ道までわかる。非常に難しくなって、逃げ道までわかりましたと。その状態になったのは、私は制度的には成立すると思うのですが、その制度が本当にその消費者が求めている制度ですかというところが、私は最終的に問われるところだと思うのです。

最初は、渡邊委員から御指摘がありましたけれども、これで例外なく全部書かせるということがこの制度を難しくしている、監視を難しくしていることで、それを例外なく書かなくて済むのだったら実はもうちょっと単純な制度になるのです。そこまで消費者の皆さんはこの情報提供を求めているのかというのが、最も重要な問題だと私は思います。特に象徴とされる「輸入又は国産」、これは全てのあつれきの集合体で、これはごくわずかな例だということなのですけれども、この情報提供を消費者が受けるために、かなりこの制度は複雑になっているのです。これだけの事業者の皆さんが苦労しても、「輸入又は国産」という表示を消費者の皆さんが情報としては欲しいかというところが、最終的にはこの制度の可否にかかわってくるところです。そこが一番最初に例外なく全部書かせるのだといってこの議論が始まっているところの一番しんどい部分であって、総論的には全部書かせるべきだというのは、それはわかるのですけれども、では、実際にこれだけ議論が煮詰まって複雑な制度をつくらない限りこの情報提供を受けられないとなったときに、本当にこの「輸入又は国産」という情報提供を受けたいと思うかどうかをこの審議会で諮るべきだと思うし、できれば広く意見を聞くべきだと私は思います。

○阿久澤部会長 ありがとうございます。

消費者庁、ただいまのご意見へのコメントはよろしいですか。

どうぞ。

○赤崎食品表示企画課長 先ほどの渡邊委員、今村委員の御発言でございますけれども、渡邊委員のほうからは、実行可能性の関係で事業者の方にはかなり負担がかかっているというお話がございました。特に包材の切りかえの負担というのは、これは極めて大きな問題だということでしたので、我々としても包材の切りかえをできるだけ抑えつつ、一方で必要な情報を消費者に出すにはどうかという形で、きょうこういう御提案をさせていただいておりますけれども、これにつきまして、引き続き、またよく委員の皆様からいろいろな御意見を賜れればと思っております。

並行して、今、パブコメのほうにもかけておりますので、またそういう御意見も踏まえた上で、また次回以降どこかで改めて詳しく御議論いただければ幸いだと思っております。

今村委員からは、とりあえず前回の御指摘で実行可能性が低い、特に監視と言っていたのが、制度的にはある程度形になったという趣旨の御発言をいただきまして、それは非常に感謝申し上げたいと思っております。あとは消費者が本当にそれを望むのかどうか、これがまさにキーだという御指摘だったと思っております。基本的に、この消費者の選択のための制度ということですので、例えば消費者の内面といいますか、Aさんはこの情報は欲しい、でも、Bさんは違うといったようなことを、国が消費者の好みといいますか、そこまで立ち入ってどこまで義務づけができるのかが非常に難しいなと思っております。

従前のJAS法に基づく原料原産地表示制度であれば、これは阿久澤部会長が最もお詳しいかと思っておりますけれども、品質の差異がメルクマールとしてありました。加工度が高いものは原料が何であろうとその後の加工の過程でいかようにでもなるみたいなもので余り原料どうこうは問題にならなかったけれども、加工度が低いものは原料の時点でほとんど勝負あったで最終製品の品質も決まる、そういう事情があったと理解しています。ただ、今回食品表示法ということで、自主的かつ合理的な消費者の選択という中でどこまでを表示義務として考えるのかという、ある意味、重いお話だと思っておりますが、我々としては消費者の選択というのは、いろいろな消費者がおります中、千差万別で、私はこの商品については関心が高い、この原料については関心が高い、でも、こちらは違うと。それは我々が振り分けをし、マル・バツをつけるよりもまずは公平な原則の下、広く網をかけた上で、ただ、一方で、今村委員ほか多くの委員からいただいた制度がきちんと機能するのかどうか、事業者の側から見て負担にならないのかどうか、そういう観点で議論することが現実的でないかと考えています。

最後に付言させていただきますが、昨年の池戸委員から御発言のあった有識者検討会や平成23年の消費者委員会の報告書でも、個別に指定をしていく方法は限界ではないかという問題提起もございました。まして、法律のたてつけも変わる中で、我々がこの品目はできる、この品目はできない、でも、新しい法体系は品質縛りもないということは、現実的にやや厳しいかなという思いは持っています。

いずれにしても、この制度が本当にきちんと機能するかどうか。それはまさに検証の次元できちんとチェックをし、把握をし、必要な対応があれば見直しも含めたいろいろな措置を講じていきますし、実際にその制度をよく消費者なり事業者の方々に理解をいただいて、使いこなしていただくという意味では、もう今からになろうかと思っていますが、精力的に普及・啓発を進めて正しく活用していただくインフラをつくる。まずは、そういうところに力点を置いて、いろいろな形で取り組みをさせていただければと思っております。

○阿久澤部会長 ありがとうございます。

今村委員、どうぞ。

○今村委員 今の課長の御説明、よく理解できるのですけれども、今、私は委員の皆さんの意見を聞いていて、思ったよりも反対が多いなと。それは、このややこしい事柄を書いてもらわなくていいという意味の言葉が結構あって、ありていに言うと余計なことは書いてほしくないという意見が結構あるということなのです。そうすると、ここの「輸入又は国産」とかというのは、これはある意味、余計なことそのものなのですね。こういうものは書かなくていいのではないかと感じることがあって、そういった点を、それを全て例外なく書くというところの理屈が、まだ納得できないというか、理屈としてわからない部分だと思いますし、余り余計なことを書いてほしくないのだったら、書いても余り意味がないものは書かないとかという、例外なしだけれども、例外はあるというルールを考えていくということもあるのではないかと思います。

○阿久澤部会長 ありがとうございました。

荻原委員、どうぞ。

○荻原委員 今のやりとりに関連するところで私が今一番感じていることは、全ての加工食品に適用しなければならないのは消費者が求めているからとする根拠が余りに弱いことです。消費者への情報提供の方法も含めて、制度を開始する前にもう少しきちんと解析、評価する必要があるのではないかというのが私の意見です。

根拠が弱いとする理由ですが、消費者の7割が原料原産地表示は必要と回答したのは選択式質問への回答であり、先ほどの蒲生委員の御指摘にもあったとおり、実際に消費者がスーパー等で物を買うときには製品の表示全体を見て選択するので、必ずしも原料原産地表示が判断基準にはならない。我々ACAP会員のお客様相談センターに来る問い合わせを見ても、原材料1位の原産地に対する質問があるのではなく、また製品品目によっても原材料に対する問い合わせの件数が全然違います。

また、情報提供の方法については、消費者庁の2011年の調査でも、5割の消費者が必ずしも商品パッケージの表示にはこだわらない、インターネットによる情報提供でも良いとの意見であると認識しております。ここあたりをもっときちんと評価してからでも規制導入は遅くはないのではないかと思います。

来年度からは、遺伝子組み換え表示の検討会も始まります。義務表示で優先されるべきは安全性にかかわる情報であり、原料原産地や遺伝子組換えなど選択のための情報の優先度は低くなってくるものであろうと思います。ですから、原料原産地表示だけ急いでやる必要があるのかというのが疑問です。

消費者委員会食品表示部会としてできることは何なのだろうと考えているのですが、みずから調査というオプションもあるようなので、例えば消費者が本当に求めている情報とその提供方法について、また表示全体の中での優先度なども含めて調査解析を実施するというようなことも検討してはどうかと思いました。

以上です。

○阿久澤部会長 ありがとうございました。

消費者庁、どうぞ。

○赤崎食品表示企画課長 ただいまの荻原委員からの御発言でございます。消費者が本当に求めている情報なのかどうか。これは非常に大事な、一方で難しい問題でして、昨年の有識者検討会の中でもいろいろな形で御意見をいただいたところであります。

ただ、これにつきましては、今、加工食品の大部分、実行ベースで見ると義務がかかっているのは大体一、二割ですので、それ以外はどういう原料、組成から成るのかということが、産地という面から見るとわからない。そういうところについては、今の食品表示法の体系から見るとできるだけ情報開示をしていくべきだと、まさに、そういう形で意見が集約をされてまとまったというところでございます。

ただ、ここは個々の委員を含めて、一般の方々の皮膚感覚だといろいろな思いがあるというのも一方でわかりますけれども、基本的には過去のいろいろな経緯、例えば平成27年3月に消費者基本計画、27年3月ですから2年前ですけれども、拡大に向けた検討とか、いろいろな指摘がある中で、我々的には情報の開示が望ましいと思っています。ただ、情報の開示をする一方で、事業者の方に無理な負担をかけてもいけませんし、その意味では、情報開示と実行可能性の両方の両立を図るという中で、でも、一番望ましいのは、情報開示という面から見ると全てを対象に義務づける。これもやや繰り返しになりますが、この品目は義務づけするがこの品目は義務づけしないというのを食品表示法の中で行うとなると、まさにこの情報は意味がある、でも、これは意味がないというのを、ある意味、国のほうで線引きをすることになってしまいます。基本的には自分が食べるものの産地を知りたいというのは昔からいろいろな形でニーズがある。ただ、問題になるのは実行可能性、過大な負担をかけてはいけないところです。結果、表示が誤認を与えるものであってはいけないということで、そういう意味で、昨年、いろいろな形で各会の有識者の方々の御意見をいただいて集約をしたという経緯がございます。

根拠として、この資料の4ページに、どの程度参考にしているのかというのもあります。どういう形でここを定量的に示すのかは非常に難しい、そういう形での今の荻原委員の御発言だと思っておりますけれども、基本的に、まさに方向づけという形でどうあるべきかを昨年この検討会で御議論いただいて、それを個々の委員、それから、個々の一般の消費者、事業者、国民、さまざまな思いがある中で、まずはそこの基本的な方向づけをしていただいた。そういう流れの中で、今回こういう形で内閣府令の改正案をつくって、具体的なルールとしてお示しをさせていただいておるということでございます。

ただ、これまでいろいろな委員からお話がありましたように、実際、こういう形で御提案をさせていただいております。仮にこういう形でやるかどうかということもありますが、我々としては、実際にこの制度が動き出すと、理解度、活用度合いを含めたいろいろなことをやれるようになります。現実にこの制度もない中で、その制度についてどう思うかというのは、いろいろな意味で制度がある場合に比べると一定の制約もあると思っていますので、そういういろいろな事情、それを踏まえて昨年有識者検討会で御議論をいただいて、方向づけがなされて、今回こういう御提案をさせていただいたということを御理解いただければ幸いでございます。

○阿久澤部会長 ありがとうございます。

よろしいですか。

岸委員、どうぞ。

○岸委員 日本チェーンストア協会の岸でございます。

チェーンストア協会からの意見は参考資料5のとおりなのですけれども、ほかの委員とほとんど重複しますので、省略させていただきます。

議論を聞いておると、難解であるということに尽きると思います。チェーンストア協会の中で、品質管理の専門の人間で議論したのですけれども、それでも難しいのです。それが本当に一般のお客様が理解できるレベルまで啓発するということをおっしゃるのですけれども、その努力は必要なのかなとも逆に思ってしまいますということです。

そういった意味で、当初の専門家委員会で方向づけされた時点、それは多少の例外があっても全商品に産地を記すことが消費者の選択に資するという仮説からスタートしていると思うのですけれども、細部を詰めていくうちに、どんどん当初の想定以上に複雑になっていったのではないかということを想定しています。そういう意味では、その方向づけされた時点と現時点で本当に思いが一致しているのかどうかというのは検証する必要があると思います。あとは、せっかくパブリックコメントという制度があるわけですから、そこで、場合によって乖離があったということが発見された場合には、ぜひとも後退する勇気というものを持っていただきたいと思います。現時点で複雑だと、難解だという認識はほとんどの委員にあって、その難解な制度を何とか啓発していくことによって広めようというのではなくて、少しでもわかりやすい制度に歩み寄るということも必要ではないかと思いますので、要望として、パブリックコメントの内容を十分吟味していただいて、乖離が発見されれば後退する勇気も必要だという認識を持っていただきたいと思います。要望でございます。

○阿久澤部会長 ありがとうございました。

宗林委員、どうぞ。

○宗林委員 それでは、意見を述べさせていただきます。

私は、個別に二十数品目の原料原産地表示をふやしていった時代にもかかわっておりました。そして、その数を、一気にどういうルールに基づいて広げていったら良いのかについては限界であるというようなことも感じておりました。ですから、今回原料原産地表示が一気に、100%が本当にいいかどうかの議論は私の意見は保留しますけれども、かなりの割合で拡大されることは、ある意味賛成でございます。

ただ、もともと食品表示法もそうですし、それから、先ほどのお話からありますように、食品の表示は消費者の商品選択に資するものになるため、また、消費者の権利であるという言葉が食品表示法の理念のところにも書かれていたと思うのです。その中で、先ほどからもお話がありましたけれども、誤認と偽装をどうやって防ぐのかというような2点についてでございます。

まず、誤認ということについては、今、皆さんからも意見が出ていますように、ある一定の年数を決めて周知活動をしていただく。消費者教育も含めて周知活動をしていただく。その時点で、どれだけ周知活動をしたかということではなくて、どれだけ消費者側がそれを正しく受けとめられたのかというモニタリングというお話もございましたが、それを必ず取りまとめた上で、それが機能をしていないのであれば見直すという判断をする期間を定めるということが必要なのではないかと思います。

例えば医薬品などの場合でも、安全性は一定最初に見るわけですけれども、市販後調査と言って、実際に使われた場合に何か出てくるかという期間を、承認をするときの時点で何年後にそれを見るというように決めているかと思いますが、それと同じように、今回この制度を実施していく上で、その何年後には消費者に誤認がなく受けとめられているのかどうかの調査を実施し、その結果に基づいて見直すなりなんなりの判断をするという期間を定めることが大切ではないかと思います。

その中では、例えば先ほどの65%の方が国産を望んでいる、あるいはある特定の国の生産物を避けたいと思っているというお話がありました。これはごもっともな話で、そういう国民の声があることは私も承知してございます。そうなりますと、今回私が一番懸念していますのは、中間加工原料の製造地が「国内製造」という言葉であらわされるということについて、果たして消費者教育だけでこれが正しくその意味の理解が徹底されるのか。周知活動を一生懸命されることはわかりますし、消費者教育、私どももする側に回らなければならないということはわかりますけれども、その受けとめ方といいますか、消費者側の認知がそこまできちんといくのかということが非常に懸念されるところでございます。国内産ではないかというような誤認をする人がどのぐらい出るかということをきちんと見ていかなければならないなと思います。

これは、例えば今までの健康増進法とか食品表示法の中の強調表示一つをとりましても、消費者庁さんのデータだと思いますけれども、正しく理解されている方の割合がそれほどは高くなくて、違う表現のほうに強調表示と受け止めて丸をつける方が大変多いという結果を見ています。そういった前例もありますし、今お話ししたように消費者側の認知がきちんとできているのかというようなことの検証をすることが大切だと思います。

偽装ということに関しましては、やはり監視の問題だと思っています。最初に件数を聞いたのは、どのぐらいの規模でどういうようにされているのかということが、国民に余り知らされていない。ですから、監視をされているのではあるけれども、透明度が余りないのではないかと感じております。ですから、この辺、食品Gメンが入られて、自治体に権限がおりているのかは承知しておりませんけれども、どういうように公表されているのか、やったけれども問題がなかったことも含めて監視をどうされているのかということで、偽装がある程度ないことの確認をされているのだということが国民に知らされることがとても大事ではないかと考えます。

例えばコメの品質のように、第三者が客観的に科学的に調べられるものとはこの原産地表示は違いまして、社会的検証ということで、関係者の資料を、帳簿検査とかといったもので見ていくしかない、第三者がわからない、検証できないことになりますので、この偽装については、その有無、割合、ないのだということも含めまして監視をする。先ほど赤崎課長からは特に多くの事業者にふやすつもりはないという御趣旨かなと受けとめましたけれども、原料原産地表示がこれだけ広がるのでありますから、予算もあるでしょうけれども、できる限り、そこを広げられるだけ広げていただいて、国民が理解できるように、そこの偽装がない、監視の制度の徹底と透明度を上げていただくことが大事かと思います。何よりも、先ほど言いましたように、どの時点で政令とか、そういったものの見直しをこの時点でしていくのだという期限を切ることも大事ではないかと思います。

以上でございます。

○阿久澤部会長 どうもありがとうございました。

消費者庁、どうぞ。

○赤崎食品表示企画課長 先ほどの岸委員と宗林委員の御意見について、簡単にコメントさせていただきます。

岸委員からは、今回御説明した制度が複雑・難解というお話がありました。その点については、我々としては、できるだけわかりやすくこの制度をきちんと周知をして、御理解をしていただく。原理原則的には、ある意味わかりやすいという御意見もありますので、そういう観点から引き続き周知、対応をしていきたいと思っています。

パブコメでございますけれども、これもいろいろな形で御意見が出てくれば、その中でなるほど、参考にすべきという御意見があれば、当然それを取り込む形で見直すべきところを見直していきたいと考えております。

宗林委員からでございます。誤認と偽装のお話がございました。誤認については、今のお話を伺っておると、モニタリングをきちんとして実態を把握するのが大事だと。どの程度御理解をいただいているのか、裏を返して言うと、正しい理解がされていないのかがわからないと、いろいろな意味での対応も難しいと思っておりますので、これはこれまで他の委員からもお話がありまして、検証、それから、その結果としてのいろいろなあり方の見直し、検討の御説明をさせていただいておりますけれども、基本的には、そういう中で、まずは実態を把握し、その上で、それが直すべきものであれば、必要な対応をとるという中で対応していきたいと思っております。

○三上食品表示対策室長 監視のことでございますが、先ほど宗林委員から、監視の指導の状況について御質問があったところでございます。指導の状況について細かく御説明させていただかなかったのでございますが、農林水産省や消費者庁で行いました監視の結果につきましては半年ごとにその指導の状況を公表させていただいております。

指示につきましては、先ほどお話しさせていただきましたように、指示のある都度公表するという形をとっております。

指導につきましては、原則、その事業者の名前は伏せて対応するのが基本でございますので、伏せてはおるわけなのですが、どういった品目で、どのような違反区分で、どのような違反内容であったのか。もう一つは、どういう周知をしたのかということにつきまして、細かく一件ごとに公表させていただいているところでございます。

加えて、それらの公表結果を取りまとめて、こうした、例えば名称の関係で誤表示や欠落があった件数、原材料の誤表示があった件数、原産地の関係で誤表示や欠落があったような件数というような形で取りまとめたものも含めて公表しているところでございまして、こういったことが十分周知されていっているのではないかと私どもは思っているのですが、そういったような今の状況になっているということでございます。

○阿久澤部会長 ありがとうございます。

川口委員から、資料もいただいていますので、どうぞ。

○川口委員 日本ヒーブ協議会の川口でございます。

各論の部分に入ってしまうのですが、3点、生活者と企業のパイプ役として消費者にとってわかりやすい表示を推進しております立場から、意見を述べさせていただきます。

資料は参考資料6で提出させていただいております。順不同になりますが、まず3点目の内容です。資料1の17ページに、今回の経過措置期間につきまして、「食品表示基準の経過措置期間と同様、平成32年3月末」という記載がございます。こちらにつきまして、意見をさせていただきたいと思います。

今回の表示は、さまざまな表示方法が混在するということもあって、消費者にとってわかりにくいというお話は、今まで各委員からもございました。それには十分な普及・啓発活動を実施されるということで理解しております。

ですが、この本制度の施行には事業者への周知が肝になると感じております。中小企業も含めて、全ての事業者への普及・啓発をするには、一定の時間を要すると思われます。仮に今年の8月に施行されたとしても、この平成32年の3月までには2年半しかございません。その期間に普及・啓発またデータ収集と包材の切りかえまで行うのは、大変困難ではないかと感じております。

参考として付けさせていただいております、会員企業で調査を行いました変更に要する時間の試算の結果から説明します。先ほどシステムもというお話もございましたが、原料原産地表示を間違いなく運用するためには、システム化ということを進めていかねばならないと思います。それに要する期間ですが、食品表示法に対応するシステムの改修には、実際2年以上かかったとのことです。今回の原料原産地表示のシステム化には、原料登録のリスト化などの項目を加える必要もございますので、3年ぐらい要するのではないかと思われます。

また、原料原産地を調査するための時間も、約100アイテムの畜肉原材料を中心として市販の加工食品を製造する工場で、過去1年間の原料原産地を調査する時間を算定してもらいますと、約1カ月かかるとの結果でした。さらに、畜肉や野菜、魚介類、加工品など、多岐にわたる原材料を使用した加工食品を製造する工場であれば、さらに調査に時間がかかるのではないかと想定されます。

また、包材を変更するのに要する時間ですが、原料調達、版下の変更、販売の切りかえまで含めますと、製品にもよりますが、5カ月から1年半ほどかかるという返答がございました。それらを踏まえましても、経過措置期間を4年半の平成34年の3月末、せめて平成33年3月末まで延ばすのが妥当ではないかと考えます。

さらに、先ほども事業者の実行可能性というお話が各委員からございました。今回、事業者の実行可能性のために可能性表示と大括り表示という方法を検討する、そのために制度が複雑になっているという御指摘もございました。ですが、日常の消費者とのフリーダイヤル等でのコミュニケーションの中で、可能性(過去実績)で複数の国を伝えたとしても、消費者御自身が持っておられる商品の原産国を賞味期限で調べてくださいと言われることはごくまれな状況でございます。それらから考えても、可能性表示は消費者の理解をある程度得られるのではないかと感じております。

そういった意味で、その可能性表示、大括り表示、これらをきちんと事業者が運用するためには、その根拠という部分が重要になるかと思います。先ほど、渡邊委員からも包材の切りかえばかり増やしてしまって、そのコストがというお話がありましたが、コストもそうですが、切りかえをするための管理ですね。適正に運用するための管理を煩雑にしない工夫が必要ではないかと思います。

2点、質問なのですが、過去一定期間における産地別使用実績という部分で、汎用性から考えると年度を書くのではなくて「賞味期限の○年前の取り扱い実積順」もしくは「本年製造年の前年の取り扱い実績順」といったものを基準にした方がわかりやすいのではないか。根拠も複数あると消費者にもわかりづらく、混乱を招かないかということを危惧します。各業界で年度を書く方が良いといった要望があったのでしょうかということが1点目です。

2点目は、新商品の場合ですが、使用実績が当然ございませんので、最初は今後の一定期間における生産別使用計画をもとに表記する形になるかと思います。ですが、こちらは1年以内の予定となっております。となりますと、この方法であれば、1年ごとに包材をかえねばならないということにはなります。データ収集や改版には通常少なくとも2,3カ月の時間が必要となります。将来的には使用実績に移していくに当たりましても、年度の途中から製造を開始した商品であれば1年間の過去実積がないなど、矛盾が生じる部分がございます。そういった部分も踏まえて、ここを1年以内ではなくせめて2年以内にされた方が良いのではないかと感じますが、1年以内と決められた理由について教えていただけたら幸いです。

時間が押しているのでかいつまんで話をしますが、補足的なインターネット等での詳細な情報提供を推奨するに当たってということで、意見を述べさせていただきます。

現状として、ホームページ等で情報公開をしている企業も多数ございます。実際、消費者が知りたい情報は、一番重量が多い原材料のみではなく、自主的に消費者志向からホームページ等での補足的な情報提供をすることは消費者にとっても大変意義があることだと感じております。そちらは、今回の資料1の27ページにもさらに推奨するといった記載もございました。ですが、商品ごとの特性や賞味期限等も踏まえますと、一覧で一括して掲載する場合に、パッケージの記載とホームページの案内にずれが生じることが危惧されます。そのずれにより消費者の誤解を生むことを避けるために、インターネットでの情報提供を事業者が取り下げるようなことがあっては本末転倒となってしまいます。ですから、そういった補足的なインターネット等での自主的な取り扱いについては、注意書き等を明白に記載することによって、各社のルール等で運用しても良いといったようなことをぜひ御検討いただけたらありがたく思います。

以上です。

○阿久澤部会長 どうもありがとうございました。

御意見、御質問がございましたが、御質問が2点あったかと思います。よろしくお願いいたします。

○赤崎食品表示企画課長 それでは、ただいまの川口委員からの御発言について、コメントさせていただきます。

まず、いただいております意見書の3番の経過措置期間のところでございます。これはきょう御説明した資料では平成32年3月末までとしておりますけれども、この根拠につきましては、大きく2つあると思っています。1つ目は、過去22食品群で個別に義務の対象品目を追加した経緯がございます。何回かございますが、そのときに、公布をしてから施行されるまで大体2年周知期間という意味でとっていたということと、もう一つは、これは皆様方御承知のとおり27年度から大きくルールが変わっています。新しく栄養成分表示等々を加工食品に義務づけしておりますが、完全移行が5年後ということで、平成31年3月末となっています。そういった事情がありまして、今から見た3年後になりますが、32年を経過措置期間として御提案させていただいております。

ただ、この点についてですが、消費者庁としても、完全施行に当たって、万が一でも遺漏があってトラブルが起きるというのは、これは本当に避ける必要があると思っております。その意味では、先ほど川口委員から、システムの整備にいろいろ時間もかかる、アイテムも多いといったようなお話がありましたけれども、そういった点については、まさに委員の皆様なり、また、パブコメのほうでもいろいろな御意見が出てくるのではないかと思っておりますが、そういうものを踏まえて、ぜひ意見をいただければと考えております。それが3番の経過措置期間のところでございます。

御質問が何点かございました。この参考資料6の意見書の1.のマル1のところになろうかと思います。過去、一定期間における産地別使用実績についてのところでございますけれども、本日御説明したポイント資料の10ページでは、注意書きの例を幾つか御紹介、御説明をさせていただいております。基本的に、この可能性表示の注意書きについては、合理的でわかりやすい表示であれば、いろいろな事業者の実情もありますので幅広く認めるほうが望ましいのではないかと思っております。いろいろな形で実行可能性を担保する必要はありますので、関係者のいろいろな声も伺いながら、きょう御説明をさせていただいた資料をつくったという経緯でございます。

委員からは平成28年の取り扱い実積順という、まさに時期的に明白に限定したこういうただし書きについての要望があったのかというお話がありましたけれども、今、食品表示基準のQ&Aで塩たらこ、これは先ほど御説明しましたが、可能性表示ができるとなっておりますけれども、そのQ&Aでは、塩たらこの可能性表示について、当社における平成19年の取り扱い実績の多い順に表示と平成19年と書かせていただいておりまして、それがまさにQ&Aで公開をされております。そういう事実があるのと、いろいろな選択肢があったほうが事業者の皆様もいいのではないか。当然、いろいろな選択肢があるとはいえ、消費者の目から見てわかりやすいものではないといけませんが、その要件を満たすのであればということで、きょうお示しをした資料を作成したということでございます。

その次の今後の一定期間における産地別使用計画、1.のマル2のところで、これはなぜ1年なのか、2年にすることができないのかという御質問がございました。この点については、今後の使用計画というのは、将来の話になります。長期にわたる事業計画の見通しを前提として表示をするということは、それが長期になればなるほど、消費者の表示に対する信頼性の観点からは問題があるのではないか。その意味では、計画期間につきましては、製造開始の日を含むということになりますが、まずは1年という整理、区切りが、消費者から見た信頼という観点からいいのではないかという説明をさせていただいたということです。

2.の補足的なインターネット等での詳細な情報提供のところでございます。この点については、補足的なインターネット等での情報提供は、当然のことながら義務的な情報提供ではありません。自主的なものですので、その意味で、自主的にいろいろな形で情報提供することを妨げるというのは、我々としては望むところではありません。そういう観点から、我々としても御提案のあったことも含めて、何ができるのかというのはよく考えさせていただいて、くれぐれも補足的なインターネットでの情報開示というものがこれまでよりやりづらくなったということは、特段の事情がない限り避けるという方向で対応をしていきたいと思います。

とりあえず、以上でございます。

○阿久澤部会長 どうもありがとうございました。

菅委員、どうぞ。

○菅委員 総論的な話はもう終わりで良いでしょうか。「そもそも論」の話はしないというお話できょうは始まったかと思うのですけれども、結局「そもそも論」的な話でほとんど時間がついえているような気がします。私の基本的な意見は前回申し上げているところと大きく変わりはありませんし、私個人としては、全ての加工食品に対象が広がっていくこと自体については、ぜひそうしていく方向で知恵を絞っていくべきではないかという立場は維持していますので、そもそもその点から全部ひっくり返してもとに戻すというような御意見の方向には、にわかには賛成しかねます。

時間も余り残っていないようなので、各論的に基準の内容や疑問点を共有できるような質問をしたほうが良いのではないかなと思っていますので、そういう点からばらばらと思いつくままに申し上げます。

可能性表示や大括り表示といった例外表示の要件を作るにあたって、「国別重量順表示が困難な場合」という要件の「困難な」ということがどのように判断されるのかということが、そのような場合であると信じて表示を見る消費者にとっても、ペナルティーを受けたりしないように事業者が努力される上でも、また、実効的に行政に監視をしていただく上でも、実は結構キーになってくるのではないかと思いますが、いつの時点で何を根拠にどう困難性を判断して行動したらいいのかという点については、まだ余り例が示されていないように思うのです。後から結果的に実態と違ったではないかということでフォローされてしまうものであればこそ、どのような形で困難性を考えていけばいいのか、客観的に考えていけるのかということを共有する必要があります。根拠書類の保管という点で一定考慮していただいているのは十分理解していますし、「困難性」を確認する一つの方法だと思うのですが、一定の過去実績などがあったから「困難」だとは直ちには導かれなくて、おそらく当該製造時において「困難」であるかどうかを考えるにあたっては、一定の何がしかの合理的な根拠が背景に必要なのだと思うのです。それと保管すべき書類との関係であるとか、どういう基準で判断をするのかということが、何か例が示されるべきではないかと思います。抽象的な指摘で、こうすべきではないかというところまでは申し上げられないのですけれども、一つひっかかるところです。

先ほどから包材についての御懸念が出ていて、全く不可能なことまでを強いるべきではないとは一消費者としても思いますけれども、どのぐらいの頻度で包材が変わっていくべきものなのかということについて、今ひとつ、ぴんとこない部分もあって、先ほど川口委員がおっしゃったような具体的なお話の御意見もある中で、消費者庁側としては、実態把握として、何がしかの調査をされた上で、このルールで大丈夫だと見立てていただいているのかということについての、ベースとなる情報があれば教えていただきたいと思います。

中間加工原材料の場合の製造地表示がそもそも良いかどうかは置くとして、仮にこれを導入するのだとして、「代えて」という形で書かれているのですけれども、「代えて」ではなくて「両方」の表示を求めるような余地は全くないのだろうかということは疑問に思います。

それから、「5%未満表示ルール」とでも言うべきものについては、例えば、国産原材料は実際に余り使用されていないのに、あたかもたくさん使用されているかのように示すような悪用がなされないように5%未満と書かせるというイメージで考えられているのだと理解しています。逆に、過去実績があるからと5%未満表示をしながら、実際にはそれが5%以上であったときに、表示義務違反の問題は生じないということになるかと思うのですけれども、その理解で良いでしょうか。もしそうだとしますと、特定の外国産原材料は5%未満しか使用していないと表示しながら、実際には非常にたくさんの割合で現物に入っていたということがあった場合には、表示基準違反の問題にはならないということになるのかなという点の確認です。

それを踏まえた上で、仮にそうした表示基準違反の問題にはならなくても、引き続き景表法や不正競争防止法上の問題というのは別途検討し得る話であるから、余りに不当だと思われるような表示がなされた場合には、この表示基準違反かどうかとは別に問題にされ得ることと理解して良いですかという点を質問します。

それから、これは質問というか疑問ですが、「平成○年度」と書いた場合、特段の説明がなければ4月から3月と解するのは一般的な理解でありましょうか。私が少数説なのかもわかりませんけれども、何年度と言われたら、4月から3月だと直ちに誤認なく皆が感じるかどうかと言われると異論もあるのではないかと思うので、そのような例外を認める必要性が本当に高いかどうかについては疑問に思うところがあります。

最後に、実際の使用結果が使用計画と大きく異なる場合は、使用計画が合理的でなかったことになって、結局表示基準違反になると理解していいのでしょうか。当該例外表示が認められる要件を充たさないのに、当該例外表示を行ったのだから、当該例外表示を定めた条項の違反になって基準違反になるというたてつけになっていると理解したらいいでしょうか。

監視をされる中で、どのようなルールに基づいて何がチェックされていくのかということについて、一定の共通認識を持たなければ現場が混乱するでしょうし、消費者も混乱すると思いますので、幾つか御質問させていただきました。

○阿久澤部会長 ありがとうございます。

時間も迫っていることですので、簡潔にお願いいたします。

消費者庁、どうぞ。

○赤崎食品表示企画課長 ただいまの菅委員の御質問、御発言について、わかる限りで御説明させていただきます。

まず、いわゆるこの新しい表示方法について、いつの時点でどう困難性を判断するのかというお話がございました。一例として、可能性表示になりますけれども、この資料1の7ページをごらんになっていただければと思います。認める条件というものを書かせていただいております。そこには「一定期間における国別使用実績又は使用計画からみて、国別重量順表示が困難な場合」と書いてあります。要するに、この表示に当たって重量割合の順位変動が起こる。ここをどう見るかですけれども、順位変動が起こるのかというのは、今から先の話になりますので、起こる前の現時点で見ますと、過去の実積とか、その人のつくっている使用計画に基づいてどうかということを判断する。それがそこにあります使用実績または使用計画から見て重量順表示が困難な場合ということになります。

同じく資料の11ページの下をごらんになっていただければと思います。マル3に、重量割合の順位変動等というものを記載しております。過去実積、あとは、合理的な将来の使用計画に基づいて、表示をしようとするときを含む1年ということで、その間に順位変動等の可能性がある場合、例えば昨年度、一昨年度で見ると、複数の国から調達をしていますが、時期によって切りかわっている。そのトレンドは変わらないとします。では、今年度となると、まだ4月1日だと今年度は将来の話で、神のみぞ知るとなりますが、過去の経験値を踏まえると可能性が高いということで、それについては11ページの下にありますように、「重量割合の順位変動等」ということで、そこで要件立てをしてチェックをすることにしております。

相前後しますけれども、実際の結果が使用計画と実態が違っていた。その場合の合理的な根拠がない場合は食品表示基準違反になるのかという点につきましては、なります。合理的な根拠がないというように我々のほうで監視をした結果、その事業者のほうが本当に合理的な説明ができないとなれば、今、言ったように、それは要件を満たすものではないということで、結果として食品表示基準にも抵触するということになると考えています。

あと何点かありますけれども、平成何年度といった場合に、それはいわゆる会計年度ということで、ある年の4月から翌年の3月までを指すのかという点でございますけれども、これにつきましては、通常何年度といった場合は、通常いわゆる会計年度を指すと理解しておりますので、「平成○年度」という形の注意書きが書かれておる場合は、それはその年の4月を起点に翌年の3月までを指すと考えております。

5%未満の表示ルールのところで、結果5%を上回ったり下回ったりした場合に、それが義務違反になるのかどうかというお話がございました。それはこの資料ですと13ページになりますけれども、この5%未満という割合表示をさせる場合は、基本的に可能性表示ということで、過去の一定期間もしくは将来の事業計画に基づいて判断するということになります。したがって、一番下の例で見ますと、これは大括り表示+可能性表示の事例が載っております。「国産又は輸入」で、輸入が5%未満、ただ、この小麦の割合は「平成○年の使用実績」となっていますので、一定期間の使用実績として5%未満であれば、消費者がまさに手にとったその商品の中に、5%未満の場合であっても5%を超過する場合であっても、それは食品表示基準に違反するものではない。あくまで、過去のこの期間から見て、この5%未満という表示を行うことにしますので、整理としては、今、言ったような形になろうかと思います。

包材につきましては、農水省からお答えをさせていただきます。

○島崎食品表示調整担当室長 包材のことはいろいろ御意見、御質問があると思います。もしかすると、また渡邊さんのフォローがあるかもしれません。

いろいろな企業について、農林水産省では、この原料原産地に当たって、問い合わせあるいはヒアリングをしてきました。大手企業では、一企業で何千という単位のアイテム数をお持ちで、しかもそれらが非常によく売れているものと余り売れていないものという状況がある。非常によく売れているものについては、数カ月単位で包材の切りかえといいますか、発注をどんどんしていくというような状況ですが、余り売れていないとさすがに年単位になるということになろうかと思います。

包材の材質によっても状況が違いまして、いわゆるシュリンクフィルムというシュリンク包材などは、冷蔵で包材そのものが輸送されるような状態で、それほど使用期限が長くないです。したがって、その使用期限そのものが大体1年程度ということになっています。使えるのかもしれませんけれども、機械にかからなくなるなどという状況があるので、包材メーカーさんはそのようにお話をされています。

ただ、紙の包材で、一升瓶の醤油などでぺたっと張るような胴張りという紙で張ってあるものについて、小さい企業がおつくりになっているのですけれども、そこはさすがにかなりの期間をお持ちになっていることが多いです。三、四年はお持ちの可能性があります。出荷本数がどれぐらいかという問題があって、1回当たりの包材をつくるものと出荷本数との兼ね合いになります。したがって、メーカーさんによって大きく違いますが、一般的によく言われる数年も持っているという企業は余り多くないかもしれません。いわゆる商品によってかなり違うということと、今、言ったように包材そのものの使用期限が思ったより長くないという状況があろうかと思います。

包材メーカーさんは非常に全国にたくさんありまして、今回の全ての加工食品をターゲットにしますと、一時的に包材メーカーさんがもしかするとパンクするのではないかという心配も我々のほうではさせていただきまして、包材メーカーさんにもヒアリングをさせていただきました。そのお答えもいろいろ違っておりまして、その包材企業の担当している食品企業の数によっても違ってくるのだと思います。2年ぐらいあれば何とかなるのではないですかというところから、3年半ぐらいは最低ないと自分のところの抱えている食品企業の全ての食品の切りかえは難しいかもしれませんとお答えをいただくケースもあるという状況です。

また、意外に大手さんだと新商品を次から次へと開発されるということもあって、そういうロスがあることも事実ですとおっしゃっています。売れなくなると捨てざるを得ないという状態になりますので、それは大手さんになるほど結構なロスがあることもやむを得ないのだと。売れなくなったものをずっと売り続けるわけにはいかないという情報も聞いております。

以上です。

○阿久澤部会長 ありがとうございます。

補足をどうぞ。

○渡邊委員 包材についてなのですけれども、確かに大手の場合と中小の場合は全然違いまして、大手は当然、商品の売る単位が大きいので、要するに、売れればある程度の形で包材をどんどん刷っていきます。ただ、包材を切りかえるということと包材を新しくどんどん注文するということとは違って、例えば新しく表示内容を切りかえることになると、通常、大手の場合は例えば大手の流通に納めているケースが多いので、当然流通に説明しなければいけないという部分もあって、そう簡単に勝手に包材を切りかえて、自分のところで売るということはなかなか難しい。だから、切りかえるに当たっての時間は、版をつくってもらうだけではなくて、当然、版をつくるのと一緒に、流通にどうしてこの包材の内容を切りかえるのかということを説明しなければいけないということもあります。なので、切りかえというのはそれなりに大手でも大変です。

もう一つ、中小の場合は売っている数が非常に少ないので、どうしても発注単位との関係で数年持つことは結構あります。なので、今回逆に大手は切りかえのときの負担がすごく出てくるのですけれども、中小の場合は本当に切りかえができるかというところがあるので、中小の場合、例えばこの「又は」表示などでやったときの、実績で毎年毎年包材を切りかえるというのは実際問題は不可能だと考えています。

○阿久澤部会長 ありがとうございました。

澤木委員、どうぞ。

○澤木委員 私は、消費生活センターで相談員をやっております。

実際に「原料原産地」というキーワードで2年間でどのくらい苦情や問合せが入っているかを確認しましたところ、1,000件ぐらいは入っておりました。内容まできちんと全部は把握していないのですけれども、国産と思っていたら外国産だったとか、表示がないのでどこの国の原料を使っているのか知りたいとか、そういう相談が入ってきます。

もう時間がないので、簡単に要望だけ2点、お伝えします。

1点目は、13ページの割合表示のところなのですけれども、「可能性表示」と「大括り表示+可能性表示」にだけ使用割合5%未満を書くことになっておりますが、できれば「国別重量順表示」「大括り表示」についても割合表示を要望いたします。

2点目は、制度施行後の市場調査や適正な表示がされているか等の事後チェックと制度の見直しを厳格に規定していただきたいと思います。

以上です。

○阿久澤部会長 どうもありがとうございました。

どうぞ。

○赤崎食品表示企画課長 今の澤木委員の御発言に対して、簡潔に御説明させていただきます。

資料13ページの5%未満と書く割合表示について、国別重量順にもつけていただけないかという点でございます。これは、先ほども御説明しましたけれども、そもそも可能性表示の場合は、「A又はB」と書いても、片一方が必ず入っているかどうかわからない。国別重量順という今の表示と比べると消費者などの表示に対する信頼感が低いことをどうするかということが一つ、背景としてあります。

あと、これは国別重量順に5%未満表示をつけると、実は都度都度の改版が出てくる可能性もあります。例えば今は重い順ですから、AとBを2つ書いている場合、90%と10%でもいいですし、94%と6%でもいいです。逆に言うと、96%と4%でもいい。要するに、圧倒的に重いものと圧倒的に少ないものがあって、どちらもゼロでなければ、今は「A、B」という表示ができますが、国別重量順で5%未満のものでも割合表示をするとなると、圧倒的に少ない場合、順位は必ず2位で不変なのです。ただ、その少ない割合が6%の場合、4%の場合で、4%の場合は5%未満という表示が必要になるとなると、大きな意味でのトレンドは変わらず、国別重量順で書く分には改版は要らないですけれども、5%未満という表示を義務づけた瞬間に、まさに改版が必要になる。

先ほど、菅委員の御質問にお答えさせていただきましたけれども、可能性表示の場合は、平成○年の使用実績で見た総量で5%未満という表示になりますので、消費者が手にとった商品にその割合が入っていなくても、直ちに食品表示基準違反にはなりませんが、国別重量順の場合は、まさに手にとった商品に5%未満かどうかの表示が義務づけられると、6%の場合と4%の場合で表示が切りかわってくる。こういう問題もあるのかなと思っております。

いずれにしても、いろいろな御意見をいただく中で、また消費者庁としては考えていきたいと思っております。

あと、要望の2点目の施行後ということで、事後チェックと必要な見直しという御意見がございました。これは多くの委員から同種の御発言をいただいておりますけれども、我々も必要な検証をした上で、その結果を見ていろいろな対応をとることは当然のことと思っておりますので、そういう中で今、澤木委員がおっしゃられたことも、我々は踏まえて、必要な対応をきちんととっていきたいと思っております。

○阿久澤部会長 どうぞ。

○井之上委員 そもそもの話は多分きょうしかできないと思うので、あえて言わせていただきます。

懸念事項として、消費者視点では、きょう多くの委員から「誤認」であるとか「難しさ」であるとか、そもそも必要な情報なのかという意見が出て、事業者的には、改版の話も出ましたけれども、「コスト負担」であるとか「実行可能性」などです。

さきに、私の説明の中で、渡邊委員から指摘があって、加工食品は表示をベースとしてつくっているものではないと言われた件について、私もその辺は十分わかっていて、この制度を余り縛り過ぎてしまうとそれが逆転して、加工食品の多様性を阻害してしまうということを言いたかったということです。

そのような懸念事項がいろいろある中で、「全て」に表示するということは、やはり再検討すべきではないかと思います。私の参考資料3の5ページのところの真ん中に、困惑した顔の女性と、加工食品のジュースであるとか、サンドイッチであるとか、ラーメンであるとかを載せていますが、この表示制度が入れられると、例えばジュースであると「果糖ぶどう糖液糖(国内製造)」というものが出たりとか、パンで言うとサンドイッチに「パン(国内製造)」という表示。それが分布としてどうなのかという点について、表示実態の今後という形で書いていますけれども、真ん中のオレンジのところがほぼほぼこのような(製造地)表示になるだろうと推測しています。いろいろな諸事情があって、ふたをあけて制度が運用されると、さらに、この右の何となくもやっと青い形(なんとなく国産と書かれているものだらけ)になるのかなというところが一番言いたいところなので、これで本当にこの制度を導入していいのかということを、非常に声を「大」にして言いたいと思います。

原料原産地自体は、7割の消費者が求めているということは、当然そうだと思います。ただ、この提案された例外表示自体の有用性が義務表示同等の価値を持っているかというと、そうではないと思います。全てに付すという形ではなくて、例外表示に関しては、考えどころではないかと思います。私は、これは情報提供レベルであって、例えばインターネットでもよいのではないかという話もありましたけれども、一つ階層を落としてもいいのではないかと思っています。

あと、KPIであるとか見直し期間を定めるとかいう話も出ましたけれども、これだけ懸念事項が出ている制度に対して、制度を1回走らせてみて、では戻しましょうかという話ではなくて、やはり制度を施行する前に評価すべきだと思います。

専門家検討会は、私も傍聴していましたので、皆さん非常に紳士的に議論をされて、消費者に本当に受け入れられるのか、であるとか、消費者の選択のために、という議論はされていたということは、私も認めます。ただ、この検討会で問題とされるべき点は、本当に実際の商品がどうなるのかという「実態」をもとに議論してはいなかった点だと思います。これから各論を議論する上において、「実態」をもとにもう一回各論を戻して検討する、つまり専門家検討会に戻すという意味はあるのではないかと思っています。

以上です。

○阿久澤部会長 今村委員、どうぞ。

○今村委員 各論で1点要望です。

用語の使い方なのですけれども、「可能性表示」という表現をぜひ変えてもらいたい。この「可能性表示」は入っているかもしれないという表現であって、これだけ実績を書きなさいと言っているのであったら、これは「可能性表示」ではなくて「実績表示」だと思うのです。ですので、「使用実績表示」とか「実績表示」というような表現で言ってもらったほうが、私は「可能性表示」という言葉は表示の世界の敗北だと思っておりますので、このメイコンテイン(may contain)という言葉をできるだけ使わないように考えてもらいたいと思います。

以上です。

○阿久澤部会長 ありがとうございます。

事務局、どうぞ。

○赤崎食品表示企画課長 もう時間がありませんので、今村委員の御発言については、お答えをさせていただきたいと思います。

「可能性表示」というものが名称としてどうかという点は、我々もどういう工夫ができるのか考えてみたいと思います。内閣府令の規定の中では「可能性表示」という単語は使っておりません。一般的に、こういう定性的なものだという説明をするときの便宜で「可能性表示」という言葉を使っておりますけれども、今、今村委員からお話がありましたように、属性が過去の実績に基づくものとなっておりますので、より正確にその制度を表現するには何がいいのか。そこは一度、消費者庁のほうで引き取って検討させていただきます。

○阿久澤部会長 どうもありがとうございます。

手短にお願いします。

宗林委員、どうぞ。

○宗林委員 同じく検討していただきたいのですが、中間加工原材料の「国内製造」という言葉です。例えば「国内最終製造」とか、最後につくったことが国内であるということがわかるような文言を考えていただけるとありがたいかと思います。

○阿久澤部会長 ご検討をお願いいたします。

それでは、最後、渡邊委員が最初の発言だったために総論のみの御発言になっていたかと思います。まだ各論でもお話があろうかと思いますので、どうぞ。

○渡邊委員 意見書を出しているので、あれなのですけれども、経過措置期間のところは、ここに書いてあるとおりなのです。参考資料7の2.ですけれども、先ほど川口委員のほうからも出ましたが、今回の場合、大手は表示切りかえ商品と使用原材料がすごく多いのです。これについて切りかえるとなると、まず過去の実績調査もかなり時間がかかりますし、その実績を把握した上で、これは重量順でいけるだとか、「又は」表示になるだとか、そういう選択があったりするということで、かなり時間がかかります。先ほど、22品目のときは2年で足りたという話がありましたけれども、とんでもない話で、これを全部やるのはとても2年半では無理ですので、ぜひこれは5年でお願いしたいと思います。

今、食品表示基準の切りかえがもう既に終わっているところもありますけれども、あわせてやるところもありますので、それについてもぜひ配慮いただきたいと思います。どうしてもこれからどんどんまた制度が変わるとなるとすごく大変ですので、少なくとも今回の原料原産地については、全て今までの表示切りかえをあわせて経過措置期間に盛り込んでいただきたいと思います。

細かい各論については、5.に書いています。これは読んでいただいたらと思います。

○阿久澤部会長 どうもありがとうございました。

それでは、よろしいでしょうか。

どうしても一言という方はございませんでしょうか。

吉井審議官、どうぞ。

○吉井審議官 時間を大分オーバーして済みません。最後に二、三分だけお時間をいただきたいと思います。

大変長時間にわたりまして、私どもの御提案に対しまして、さまざまな観点から御意見をいただきまして、ありがとうございました。

きょうは依然として前回に引き続き根本論といいますか総論的な御意見もございましたので、赤崎のほうから説明はしたのですけれども、まとめて私のほうからもコメントさせていただきたいと思います。

原料原産地表示の制度そのものにつきましては、これまでも御説明しているとおり、消費者の合理的な食品選択のための制度だということでございます。消費者に役立つ情報をできるだけ多く開示をすることが必要なのだと。

一方で、事業者の実行可能性が確保できることも必要になってくる。そういう意味で、現実的で実効性のある制度としていくことが不可欠になっているということでございます。

そういう観点から、昨年、私どもと農水省の検討会におきましても、消費者と事業者、もう一つ生産者というカテゴリーもあったのですけれども、そのバランスをいかにとっていくのかということが最大の課題になっていたということでございます。

当然、これらの利害関係者の方向性は全く違うわけでございますので、要はその目標が交わることはないわけです。そういう中で何らかの結論を設けなければいけないということでございます。

昨年の検討会におきましても、生産者は全ての加工食品を例外なく対象にすべきだという意見であったということでございます。また、消費者は当然これも原則として全ての加工食品を対象にすべきだということでございます。さらに、国別重量順に表示をすべきで、現行の私どもの案は重量順が第1位のものとなっているわけでございますけれども、さらには第2位、第3位まで広げるべきだという意見もあったわけでございます。

一方で、事業者は制度導入に当たってのコストがかかるという意見がありまして、負担をなるべく減らして、実行可能性を十分配慮していただきたいという意見であったと承知をしております。

これまでのこの原料原産地表示の長い歴史を見ますと、従来のような個別に吟味した上で拡大を検討していくというやり方では、なかなか行き詰まっていたということが実際のところでございます。先ほども資料で御説明をさせていただきましたけれども、この10年でもわずか数品目が加わっただけだということでございます。したがいまして、昨年の検討会でも全ての加工食品を対象とすることを検討のスタートラインに置きまして、事業者の実行可能性を考慮して検討してきたという経緯がございます。

消費者庁といたしましては、多様なステークホルダーがいる中で、消費者の合理的な食品選択の確保に資するということを目的といたしまして、この案を策定してきたところでございます。あくまでも消費者のメリットを最大にしていく。このためには、どこまで消費者へわかりやすい情報提供が可能かという観点から、提案をさせていただいているものでございます。

きょうの御議論でも「輸入又は国産」に関する情報について、どのように評価するのかといったような御意見もございました。これまでは、消費者に提供させていただく情報については、全くゼロだったということでございます。それに加えて、今回「輸入又は国産」という情報ではございますけれども、これはまたあくまでも過去の実績による情報ではございますが、一定の情報が加わることは間違いないわけでございます。当然、それをどのように評価するかという問題がございますけれども、そうした前向きな捉え方をぜひしていただければと考えているところでございます。

今後、この新しい基準を運用していく際には、当然ながら、全ての事業者が実行していく上で支障がないかどうか、あるいは消費者にとってわかりやすいものであるかどうかといったような観点から常に検証していくことが不可欠であると我々も認識をしております。

今回の改正案が、消費者が求める理想の姿を仮に10とした場合に、皆さん方からもいろいろな御意見をいただいておりますけれども、まだまだ不十分であると私どもは認識をしております。例えば、仮にこれを5としたら、10と5と比べたときに、我々は制度をつくっていく担当の身からすれば、現状のさまざまな意見なり実態を踏まえながら、関係者の理解を前提としてできるところからやっていく。つまり、仮に現行の我々の案を5としたら、この5をスタートとさせていただいて、少しでも上げていく。6、7を目指していくというところが重要なのではないかと考えているところでございます。当然、その後の運用を続ける中で、しっかりとした検証を経て、この5が6になり7になり、目標の10に近づけていくことが重要なのではないかと考えているところでございます。

ぜひ、この消費者委員会食品表示部会におきましても、私どもの提案がさらに消費者のメリットを向上させていくものとなりますように、つまりは先ほどの例えばの数字でございますが、5が6とか7になるように、ぜひとも引き続き前向きな御検討をお願いしたいと考えているところでございます。

今後、さらに論点をクリアにしていく過程で、私どもも必要な資料の提供等につきましては、最大限対応させていただきたいと考えておりますので、よろしくお願いしたいと思っております。

また、パブコメ、これからまた説明会等も実施していく予定にしておりますが、そうした中で、消費者なり事業者双方から具体的な意見もしっかりと拾っていきたいと思っています。そういう中で、よりよい仕組みとなるように、さらに検討を加えてまいりたいと考えているところでございますので、引き続き、委員の皆様方には御指導のほどよろしくお願いをしたいと思っております。

よろしくお願いします。

○阿久澤部会長 どうもありがとうございました。

ただいまの御発言は、この部会の最初に御発言いただくような内容だったかと思います。提案の理由やその内容につきましては、もう既に我々は理解をした上で会議をしております。

○吉井審議官 まだ、きょうは根本的な御議論が多かったものですから。

○阿久澤部会長 それは、これからも消費者庁における検討をかなり要する内容であることを意味するのだと思います。きょうの各委員からの御発言を聞いて、よく理解していただけたかと思います。

そういうことで、今後の審議ですが、本日御議論をいただいた結果、消費者庁のほうからも十分お答えいただけていないところもあるかと思います。依然として疑義は残っておりますが、現在、消費者庁が実施されている基準案に関するパブコメでも、恐らく多くの意見が出てくる項目に関する疑義だと思います。また、今回も多くの意見がありましたが、それを踏まえた上で引き続き検討するという赤崎課長からの御発言もありました。

本日の議論の続きをいつにするかということになりますが、6月中に報告される予定のパブコメの結果を確認してから行うほうが、ある意味合理的ではないかと思いますが、委員の先生方、いかがでしょうか。それでよろしいでしょうか。

それでは、6月中にパブコメの結果が報告される予定だと思います。ですから、それ以降になろうかと思います。

よろしいでしょうか。

○蒲生委員 きょう答えていないものもそこで答える。

○阿久澤部会長 そうです。当然だと思います。

先ほど私のほうからも発言しましたが、きょうお答えいただけていない内容につきましても、そこでお答えいただければと思っております。

○渡邊委員 5月にやると言っていませんでしたか。

○阿久澤部会長 それも、考えてはいたのですけれども、パブコメでも多分同じような疑義、似たような内容が出てくるかと思いますので、それも含めて判断したのですが、いかがでしょうか。

○阿久澤部会長 よろしいでしょうか。

では、パブコメの結果確認とあわせて、次回の部会を開催させていただきます。

連絡事項等あれば、事務局のほうからお願いいたします。

≪3.閉会≫

〇丸山参事官 本日も大変長時間にわたりまして御議論をどうもありがとうございました。次回の会議日程につきましては、改めて御連絡をさせていただきます。

〇阿久澤部会長

これにて閉会いたします。ありがとうございました。

(以上)