第38回 食品表示部会 議事録

日時

2016年12月19日(月)16:00から19:06

場所

中央合同庁舎第4号館2階共用220会議室(東京都千代田区霞が関3-1-1)

出席者

【委員】
阿久澤部会長、樋口部会長代理、赤枝委員、安達委員、池戸委員、井之上委員、今村委員、受田委員、荻原委員、蒲生委員、川口委員、岸委員、澤木委員、菅委員、宗林委員、松嵜委員、渡邊委員
【説明者】
消費者庁 吉井審議官、三上食品表示対策室長、赤崎食品表示企画課長、食品表示企画課
【事務局】
黒木事務局長、福島審議官、丸山参事官

議事次第

  1. 開会
  2. 加工食品の原料原産地表示に係る検討状況について
  3. 機能性表示食品制度の対象範囲の検討状況について
  4. アレルゲン表示及び添加物表示について
  5. その他
  6. 閉会

配布資料 (資料は全てPDF形式となります。)

≪1.開会≫

○丸山参事官 皆様、よろしいでしょうか。

そろそろ時間となりましたので、会議を始めさせていただきたいと思います。

本日は皆様、お忙しいところお集まりいただき、ありがとうございます。ただいまから「消費者委員会食品表示部会」第38回会合を開催いたします。

本日は、宮崎委員が所用により御欠席ですが、過半数に達しており、定足数を満たしております。

議事に入ります前に、配付資料の確認をさせていただきます。本日、お配りしております資料につきましては、議事次第の下部に記載しております。

資料1-1、資料1-2、資料2-1、資料2-2、資料3となっております。また、本日は、井之上委員、荻原委員、岸委員、渡邊委員、菅委員から資料が提出されており、参考資料1から5として配付をしております。委員提出の資料につきましても、議論に御活用いただきますようよろしくお願いいたします。

また、不足の資料がございましたら事務局までお申しつけいただきますよう、よろしくお願いいたします。

本日も多くの傍聴の方にお越しいただいておりますので、御発言の際は恐縮ですが、マイクに近づいて御発言をいただきますよう、よろしくお願いいたします。

それでは、阿久澤部会長、以後の議事進行をよろしくお願いします。

≪2.加工食品の原料原産地表示に係る検討状況について≫

○阿久澤部会長 どうも皆さん、こんにちは。阿久澤でございます。よろしくお願いいたします。

議事に入る前に、前回の第4次食品表示部会の初回会議で御欠席だった委員のお二人について紹介をさせていただきます。

国立医薬品食品衛生研究所生化学部第三室長、安達委員です。

跡見学園女子大学文学部臨床心理学科教授、松嵜委員です。

一言ずつ御挨拶をいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

○安達委員 国立医薬品食品衛生研究所の安達と申します。よろしくお願いいたします。

私は、この前の期の食品表示部会でも委員をやらせていただいておりまして、今回、引き続き委員として参加させていただくことになりました。

私どもの研究所は厚生労働省の研究所で、医薬品、食品、衛生という部門があるのですけれども、私のほうでは主に加工食品のアレルゲンの検査法の開発及び改良といったようなことをやっております。

どうぞよろしくお願いいたします。

○阿久澤部会長 ありがとうございました。

それでは、松嵜委員、お願いいたします。

○松嵜委員 跡見学園女子大学の松嵜と申します。

専門領域は心理学です。素朴な立場からこの会に参加したいと思っております。どうぞよろしくお願いいたします。

○阿久澤部会長 ありがとうございました。

それでは、本日の議題に入ります。

本日は、3つの議題を予定しています。

まず「加工食品の原料原産地表示に係る検討状況について」、2つ目「機能性表示食品制度の対象範囲の検討状況について」、最後が「アレルゲン表示及び添加物表示について」です。

本日は、消費者庁から吉井審議官、赤崎食品表示企画課長、三上食品表示対策室長にお越しいただいております。どうぞよろしくお願いいたします。

吉井審議官には初めて御出席いただきましたので、一言御挨拶をいただきたいと思います。

○吉井審議官 消費者庁の吉井でございます。よろしくお願いいたします。

食品表示部会の先生方には、日ごろから消費者行政の推進に御理解と御協力、さらに御指導を賜りまして、この場をおかりしまして、厚く御礼を申し上げます。

本日は、加工食品の原料原産地表示、先日取りまとめを行いましたもの、それから、機能性表示食品、これは取りまとめの案の段階のものでございますけれども、その御説明をさせていただきます。

加えて、アレルゲン表示、添加物表示について、簡単に御報告をさせていただきたいと考えております。

先生方には、こういう場を設けていただきまして、まことにありがとうございます。感謝申し上げます。

この中で、特に加工食品の原料原産地表示につきましては、本年1月から約1年をかけまして、消費者庁、農林水産省の共催という形で、有識者の検討会を開催させていただきました。先月29日に報告書という形で取りまとめがなされたところでございます。今後、この取りまとめを踏まえまして、食品表示基準の改正をさせていただきたいと考えているところでございますが、その原案ができましたら、改めまして、この部会にお諮りをする予定でございます。本日は、まず取りまとめられた報告書の概要につきまして、御説明をさせていただきたいと思います。

また、この取りまとめにつきましては、現在、全国のブロックごとに9カ所でございますけれども、説明会を開催させていただいております。さらに、今後とも消費者団体や事業者の方々から、いろいろな場面で御意見をお伺いする場というものを設定していきたいと考えているところでございます。そのほか、今のところ、日弁連の関係者の方々にも御説明をさせていただきたいと考えているところでございます。

こうした全国ブロック会議でございますけれども、来年の1月半ばぐらいには一通り説明が終了するということでございます。恐らく、さまざまな観点から消費者側、事業者側、双方からいろいろな御意見が出されるものと考えております。この説明会の場で出された意見等につきましては、私どものほうで簡単に取りまとめをさせていただきまして、これは消費者委員会の事務局を通じまして、できれば皆さん方のほうにも情報提供をさせていただきたいと考えているところでございます。

また、こうした意見等を踏まえまして、具体的な食品表示基準の設計でありますとか、あるいは運用の詳細といったようなものをこれから決定していきたいと考えているところでございます。

いずれにいたしましても、多くの関係者の皆様方の意見を伺いながら、この基準等々がよりよいものになるようにしていきたいと考えておりますので、委員の皆様については、本日も含めまして、よろしく御指導賜れればと考えておりますので、よろしくお願いいたします。

○阿久澤部会長 どうもありがとうございました。

本日の進行のめどといたしましては、原料原産地表示に1時間半程度、機能性表示で40分程度、アレルゲン表示及び添加物表示で20分程度を想定しておりますので、御協力のほどお願いいたします。

それでは、1つ目の議題に入ります。

まず「加工食品の原料原産地表示に係る検討状況について」です。

11月末に加工食品の原料原産地表示制度に関する検討会から、中間取りまとめが公表されました。今後、この中間取りまとめで示された方針に従って、食品表示基準案が作成されますが、それがまとまった時点で消費者委員会に諮問があり、当部会で基準案について審議を行うこととなります。

本日は、中間報告書について内容を御説明いただき、その後、質疑を行うことで、今後の審議の参考としたいと思います。

それでは、消費者庁から、30分程度で御説明をお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。

○赤崎食品表示企画課長 食品表示企画課でございます。

お手元の資料1-1、資料1-2、この2つに即して簡潔に御説明をさせていただきます。

資料1-1につきましては、先ほど吉井審議官から話がありましたように、今年の1月から農水省、消費者庁共催で有識者検討会を運営しておりました。その場でまとめていただきました報告書が資料1-1でございます。資料1-2が、加工食品の原料原産地表示につきましての現状及びこれまでの経緯等々をまとめたものでございます。まず、資料1-2に即して、これまでの流れなり、現状を説明させていただいた後に、資料1-1に戻りまして、今回おまとめいただきました中間取りまとめの概要について御説明をさせていただきます。

まず、資料1-2、1ページでございます。現行の食品の産地表示、ルールをここに書かせていただいております。今、食品につきましては、いろいろな義務表示事項が定められております。大きく分けまして、生鮮食品と加工食品、加工食品は輸入品と国内でつくったものの2つに分けております。生鮮食品、一番左にございますが、今の義務表示事項は基本的には名称と原産地の2つだけでございます。

一方、加工食品の場合は、義務表示事項は多々ございます。1ページにも書いておりますが、名称、原材料名、添加物、内容量等々ございます。これらは横断的に全ての加工食品に表示の義務がかかっておりますが、これらに加えて、国内製造品の一部には、今、原料原産地名、輸入品に原産国名の表示が義務づけられております。国内製造品の一部と書いておりますけれども、具体的な対象を定めるルールは2ページにありますが、加工食品のうち、どれぐらいの割合で義務がかかっておるのかを調べてみました。そうしたところ、日本標準商品分類ベースで見ますと大体2割でございましたが、1月から開いておりました有識者検討会で一部の委員の御協力をいただいて、実際にとある店舗で売られている加工食品、その中でどれだけでこの表示の義務がかかっておるのか調べましたところ、大体1割ぐらいとなっておりました。したがって、実行ベースで見ますと、大体9割は、今、義務がかかっていないと思っております。

義務がかかっている1割が、この左側にございます。「味付けカルビ」については、原材料の牛肉について産地の表示義務がかかっています。そこに(○○産)と書いておりますけれども、基本的にはここに国の名前が入ります。ただ、原材料については複数の国から調達している例も多々ございます。その場合、どう書くかというのが、その下に書いておりますけれども、原産地が複数ある場合、重量の割合の多い国から順に表示をする。例えば、3カ国から調達している場合は重い順ということで(A国、B国、C国)、こういう書き方になります。ちなみに、この(A国、B国、C国)というのは、文字通り、消費者が手にとって見ている商品について、どういう順番で入っておるのか、それをきちんと調べて、それに即して書くということになっております。ただ、後で御説明しますが、この複数の原産地がある場合、重い順に書くということがいろいろな意味で難しいという御意見をいただいております。

2ページが、今の表示義務がかかっている実行ベースで見ますと、1割になりますが、具体的にどういうものがあるかでございます。基本的に加工度が低いもの、かつ、最終製品に占める表示義務のかかっている原材料の重さの割合が50%以上のものというルールがございます。一番下に義務対象品目の選定要件マルイチ、マルニとあります。一般に2要件と言われております。これにつきましては、この2要件の枠内で、これまでも対象品目の拡大を行ってまいりました。直近の例で見ますと、平成23年3月告示、施行は2年後の25年4月ですけれども、「黒糖及び黒糖加工品」、「こんぶ巻」を追加しております。逆に言いますと、この後、5年間は追加はないということで、この点につきましては、原料原産地表示の拡大というものがなかなか進んでいない一つのあらわれではないかと思っております。

3ページ以降が、原料原産地表示制度の見直しに関する政府の考え方を整理したものでございます。

3ページ、昨年の3月に消費者基本計画、食料・農業・農村基本計画、いずれも閣議決定をしております。

消費者基本計画では、加工食品の原料原産地表示のほか、いろいろな課題を列挙した上で、順次実態を踏まえた検討を行うとなっております。

右側の食料・農業・農村基本計画では、加工食品の原料原産地表示に特化する形で記載がございますけれども「実行可能性を確保しつつ拡大に向けて検討する」、拡大に向けた検討という方向性は出ておりますが、その際に事業者の皆様の実行可能性の確保が大事だと。そのバランスを踏まえて検討するスタンスになっております。

4ページが、昨年の11月に総合的なTPP関連政策大綱ということでTPP総合対策本部で決定したものです。本部長は安倍内閣総理大臣でございます。このときも「実行可能性を確保しつつ、拡大に向けた検討を行う」となっておりました。

その次、5ページになります。これは今年の6月に取りまとめをしたものでございます。日本再興戦略2016というものがあります。これは一般に成長戦略と言われておりますが、今年の6月2日に閣議決定をしております。この中では「原料原産地表示について、全ての加工食品への導入に向け、実行可能な方策について検討を進める」とあります。「全ての加工食品への導入に向け」という言葉が入っておりますけれども、いずれにしましても、検討を進めるということで、その際は実行可能な方策ということがここでも書かれております。

その次、6ページになります。農林水産業・地域の活力創造プランの抜粋でございます。これは今年の11月29日に改訂という形で決定をしたものでございます。これは農林水産業・地域の活力創造本部での決定ですが、この本部長も安倍内閣総理大臣となっております。ここでは「全ての加工食品への原料原産地表示の導入」となっておりまして、具体的な施策ということで、右側にございます。これはまた後ほど御説明しますけれども、具体的な仕組みをここに記載をした上で、整備となっております。詳細はまた後ほど御説明いたします。

以上がこれまでの経緯及び現状の表示ルールでございます。

その上で、資料1-1でございます。こちらで今回、今年の1月以降有識者検討会で御検討いただいた成果を取りまとめたものですので、これでポイントだけ御説明をさせていただきます。

30ページ以上ありますので、まず、概要ということで、30ページをごらんになっていただければと思います。参考2ということで、加工食品の原料原産地表示の拡大というものがついてございます。この対象の加工食品でございますが、これは国内で製造した全ての加工食品となっております。これまで22食品群+4品目というものがありました。それで大体実行ベースで1割ということでございましたが、国内で製造した全てのとなっております。ただ、現行同様、外食及びいわゆるインストア加工のものは除いております。今でも外食とかインストア加工については、表示の義務は一切かかっておりません。今回も原料原産地表示については義務をかけないという整理をここでいただいております。

その次に対象原材料というものがございます。これに全ての加工食品に表示の義務をかけることになっても、加工食品というのは複数の原材料から成り立っておりますので、どれに義務をかける対象にするのかということですけれども、この点につきましては、今回は、製品に占める重量割合上位1位の原材料、最も用いる原材料ということで、今、原材料は重い順に書くことになっていますので、わかりやすく言いますと、一番最初に書かれている原材料。これに表示の義務をかけることになります。

その上で、具体的にどのような表示していただくのか。それが、その下に表示方法という形で出ております。これは現行同様として、国別重量順に表示をしていただくというのが基本になります。例のところにございますように、2カ国から調達をしておれば、重い順ということで(A国、B国)。今、3カ国以上から原料を調達している場合は、3カ国目以下を「その他」でくくれるとなっていますので、例の2つ目にありますように、(A国、B国、その他)といった形になります。ただ、原材料を国別に、それも重量順に並べる場合が、実はいろいろな方々とお話をしますと難しい場合があります。例えば、固定的にA国、B国から7割、3割調達していれば(A国、B国)と書きますが、今月はA国が一番多く調達している。でも、来月はB国が調達先としては最も重い。このように調達の量が短期的に変わるような場合は、そのたびごとに表示を切りかえて、今月は(A国、B国)と書き、来月は(B国、A国)と書かせるのかということになります。そうしますと、事業者の側から見ますと、都度都度改版という形で表示を切りかえないといけない。このような御指摘もいただいております。

あと、場合によっては、複数国から調達した原料を混ぜてしまう場合もあります。例えば、バルクで小麦とか大豆を輸入する場合、日本で荷揚げする場合、国ごとにサイロがあるかというと、そうでもなくて、1カ所に入れるような場合もあります。上から順に入れて、下から順に取り出すような場合は一体どうなるのかというような場合等々ありまして、この国別、重量順に書くのが、いろいろな事業者の方々とお話をしていると、難しい。この点が、従前から実行可能性という形でいろいろ御議論をされていたところですけれども、今回は原則として国別、重量順に書いていただくことを基本としつつ、ただ、実行可能性を踏まえ、認められる条件、これを明らかにし、かつ、新しい表示によっては消費者の方々が誤認をするかもしれないといった点についても、必要な対応策を講じた上で、以下の規定を導入する形になっております。

そのうちの1つ目が「可能性表示」というものでございます。右側に小さく書いております、「国別重量順表示を行った場合に、産地切替えなどのたびに容器包装の変更を生じると見込まれる場合」、こういった場合は(A国又はB国)といった形で、重い順ではありませんが、A国とB国に限られると。逆に言うと、C国はだめですし、D国もだめになります。そういったような表示をするという内容でございます。この場合のA国、B国の書き方でございますが、これは過去実績等に基づく旨を、実際にこの表示を下に注書きでしていただくということにしております。例えば、昨年度の実績で見て、A国からは5,000トン、B国から2,000トン、合計7,000トン入れたとします。ただ、これは今月はたまたまA国が多いのですが、来月、2月はB国のほうが多いといったような場合があれば、毎月毎月、このA国、B国を入れかえて表示をしていただくわけにもいかない。ただし、昨年度1年間で見ると、A国が5,000トン、B国が2,000トン、この全体のボリュームの中での話といった場合は、まずA国を先に書き、次にB国を書いて、「又は」でくくる形になります。繰り返しになりますが、この場合もC国とかD国はだめだと。いろいろな外国、国内も含めて、国はありますけれども、最大限、この2つに限られるという意味では、情報としては一定の意味があると思っておりますし、A国、B国をここで書いた理由も、ここであります過去実績、また、過去実績がない、新しく事業を立ち上げるといった場合は、確実な事業計画に基づいて注書きを書いてもらうというのが、この1つ目の可能性表示になります。

2つ目「大括り表示」、これについては外国から3カ国以上輸入している場合は(A国又はB国又はC国)というのではなくて(輸入)又は(外国産)という形で表示することを認める内容になります。この点につきましては、1月から運用しました農水省、消費者庁共催の有識者検討会の中で、消費者意向等調査、これはウエブで3,000人を相手に調査を行いまして、その結果を出させていただいておりますけれども、それを見てみますと、大体65%の消費者の方が、少なくとも国産かどうか、そういう観点から情報が欲しいという形の結果が出ておりましたので、大括りで(輸入)又は(外国産)と書くにしても、少なくとも国産かどうかというのを知りたい消費者から見ると、意味のある情報ではないかと思っております。

右下に小さく「大括り表示+可能性表示」というものがございます。これは大括り表示と可能性表示を合わせた考え方になっています。大括り表示の例の中に(輸入、国産)というものがあります。これは、輸入は3カ国以上で産地の切りかえがあって、1位、2位、3位の順位が変わるという場合を想定していますけれども、輸入総量と国産を比較しますと、輸入のほうが多いということが認められる場合に、(輸入、国産)と書けますが、大括り表示+可能性表示、これは(輸入又は国産)という書き方になります。考え方としては、輸入ということですので、外国から3カ国以上調達しているということがまず要件となりますし、(輸入又は国産)というのは、ある時期が輸入合計が52%、過半を占めるけれども、ある時期は輸入が総計で見て48%、逆に言うと、国産のほうが多い。国産と輸入の合計の重さが切りかわることがあるといった場合に(輸入又は国産)を認めるという考え方でございます。一般に(輸入又は国産)という表示をしますと、何でもありだという御意見もございます。輸入でもいいし、国産でもいいし、両方、どちらが重くてもいいというように言葉の上ではなりますけれども、実際に要件上は、今、言いましたように、輸入は少なくとも外国が3以上、輸入合計と国産を比べると、ある程度の頻度で1位の順位がかわるといった場合に限って、この表示は認めると考えております。

以上、御説明したのは、重量順位1位の原材料は、いわゆる生鮮食品の場合を想定しておりますが、現在、実際の加工食品を見てみますと、重量割合1位のものが、それ自体が加工品という例も多々ございます。そういった場合に、どういう形で表示をしてもらうのかということが出てきます。今、日本では、一般に食品のトレーサビリティというものがありませんので、重量順位1位の加工食品が、加工度合いで見ると、1次加工、2次加工、3次加工から始まって、4次加工、5次加工のようなものも中にはございます。ある事業者のビジネスモデル、例えば4次加工品を買ってきて、少し手を加えて、5次加工品として売るみたいな、もしもビジネスモデルがあれば、5次加工、6次加工ということが、それだけ事業者がその取引に介在をしているとなりますので、トレーサビリティがない現状においては、なかなか生鮮までさかのぼって確実な情報を入手して、原料原産地表示の一環で生鮮の産地を書くのが難しいという実態がございます。そういうことも踏まえて、今回、中間加工原材料の製造地表示を、ここで提案しております。要は、重量順位1位の原材料が、それ自体が加工品になる場合は、その製造国、製造地を書かせるという考え方でございます。

これについては、先ほど資料1-2、これで御説明しましたが、1ページをごらんになっていただければと思います。1ページに「輸入品」というものが一番上にございます。ここで名称「ぎょうざ」ということで、原産国名「○○」というものがありますけれども、基本的には、この考え方にのっとっております。例えば、ぎょうざスープという加工食品があったとします。ぎょうざとスープなのですが、具材のぎょうざのほうが多いということで、ぎょうざスープの場合は重量順位1位の原材料がぎょうざになったとしますと、そのぎょうざを単品で輸入した場合、今は原産国名で、特定の国を書くことになっています。基本的には、単品で輸入した場合に書くルール、それが重量順位1位の原材料であった場合にも書いていただくというのが、基本的な考え方になっております。

この中間加工原材料の製造地表示については、1月から御議論いただいた検討会でも、扱いはいろいろな御意見が出てきました。生鮮情報が望ましい立場から見ますと、それが難しい場合は、表示は要らないという御意見も一部にありましたけれども、消費者への情報提供という観点から見ますと、全く情報を開示しないよりかは何らかの形で情報開示ということがいいのではないかと。今、言いました、この輸入品の原産国の考え方で、今回は製造地表示という形で整理をさせていただいております。ただ、この中間加工原材料の製造地表示につきましては、その下に※で書いておりますけれども、生鮮原材料までさかのぼって表示できる事業者は、表示しても構わない。製造地表示においても、国別重量順表示を原則としつつ、可能性表示などの考え方も準用できるとなっています。

以上に加えて、その他というものがございます。義務表示につきましては、食品の容器包装に表示をするということになっています。この点については、ウエブサイトなりQRコードを活用して、容器包装縛りを外して表示させてもいいのではないかという御意見もありましたけれども、検討会の中では、インターネットリテラシーの問題がある。特に、高齢の方々はスマホを持っていない方もおりますので、そういう方々でも必要最低限の情報をきちんと得るためには、そういった情報はまず、容器包装に表示をしていただいたほうがいいのではないか。その上で、2つ目の丸にありますように、自発的にインターネットなどを活用して、補足的な情報開示に努める。これは望ましいという考え方で整理をしております。

あと、実施に当たっては、一定の経過措置期間を置くということで、仮にこれは内閣府令の改正という形で、いずれ公布をするにしても、翌日から施行のようなものではなくて、事業者の側の準備、あと、実際にこの容器包装の表示が切りかわる、そういう事情も加味した上で、完全移行の時期、経過措置期間は、定めたいと思っております。制度内容や用語の意味については、現在、このような表示ルールがない中で、新しく表示のルールを定めるとなりますと、一般の消費者の方々から見ますと、初めての表示となりますので、基本的には、この1月以降開いた検討会の中では、そんなに複雑な表示ルールではないという御意見もありましたけれども、ただ、きちんとこれは消費者啓発を推進して、よく御理解いただき、わかった上でこの表示を使いこなしていただく。こういう形で準備を進めてまいりたいと思っております。

あと、今回、有識者検討会の中では、消費者の誤認防止ということが非常に大きな論点になっております。そういった点については、報告の中にもいろいろ個別に書き込んでおりますけれども、また、その詳細については、今後の質疑応答の中で、随時触れさせていただければと思っております。

それでは、30分ということなので、説明は以上で終えさせていただきます。

○阿久澤部会長 どうもありがとうございました。

それでは、今の御説明に対しまして、御質問等ございましたら、お願いいたします。どなたかございますか。

渡邊委員、どうぞ。

○渡邊委員 食品産業センターの渡邊でございます。

今の赤崎課長の説明に対して、事業者の立場として意見を言いたいと思います。

参考資料4で意見をまとめさせていただいていますので、それに従って話をしたいと思います。

まず1点目ですけれども、今の説明にもどうして全ての加工食品に必要かというところはほとんど説明がなくて、閣議決定でというような話だったのですけれども、そもそも検討会は、加工食品の原料原産地表示の拡大ということで、実行可能性を確保しつつ検討するということで発足していたのですけれども、先ほどの赤崎課長の説明にもありましたように、途中でここにありますように「ブランド力を発揮するための環境整備」という項目、最近は農業競争力強化プログラムというところに入っているのですけれども、そういう目的の中で、全ての加工食品ということが決められてしまいまして、そこの検討が全く検討会の中では、途中から聞いていても、封印されているような感じがしました。このことについては、しっかり検討しないと、我々の企業のほうに、お客様からいただいているような声でも、そんなに加工度のすごく高いものに対してまで本当に要るのかという部分もありますので、ここのところは消費者の商品選択のための情報ということで、どこまで要るのかをもう一回しっかり検討すべきではないかと思っております。

2点目は、先ほど経過措置期間の話がありましたけれども、これは要望ということで、最終的には、これは食品表示基準の中に多分入ってくると思いますので、今回のこの原料原産地表示というのは、食品表示基準の改正のときに全く含まれていなかったもので、今回、含まれたときにただいまの説明がありましたように、今までの表示切りかえというのは、例えば添加物を表示しなさいとか、あるやり方が決まっているのですけれども、今回は、実際の原料の調達先等々をまず調べるところから始めて、その調べた結果どういう表示をするのかということをやらなければいけないということで、実際、かなりの時間を要します。これはどちらかというと、たくさんのブランドを抱えている企業ほど時間が要るのではないかと考えておりますので、これは食品表示基準の残りの経過措置期間ということではなくて、この原料原産地表示が決まった段階から、全体の食品表示基準の経過措置期間をまた5年にしていただきたいと考えております。

3点目、今、表示方法ということで、商品に直接書くという話がありました。確かにインターネットを見られない方もいるかもしれませんけれども、現在、スマホ等々の普及等を考えますと、インターネットの表示というのも、表示方法に入れるべきではないかと思います。

理由としましては、インターネットでの表示を入れることによって、今、可能性表示とか、大括り表示とか、検討会の中でも優良誤認にいろいろつながるような表示と言われていた部分が、インターネットの表示を導入することによって相当緩和できるのではないかと思います。ですから、ぜひ、いろいろ切りかえが多いとか、そういうものについては、インターネットでの表示を可としていただきたいと思っております。

4点目、現在、取りまとめについて説明会をされていますけれども、ぜひ、説明会だけではなくて、広く国民の声を聞いていただきたいということで、この取りまとめについてもパブリックコメントをきっちりとってまとめるべきではないかと思います。

以上、4点です。

○阿久澤部会長 どうもありがとうございました。

今までのことに対する御意見ということですが、現時点でコメントがありましたら、どうぞ。

○赤崎食品表示企画課長 それでは、ただいまの渡邊委員からの御発言について、現状、お答えできる範囲で御説明させていただきます。

まず、1点目の全ての加工食品という形で議論を封印してしまったのではないかという点ですけれども、従前から、検討は、ベクトルの向きとしては拡大の方向、これはございました。今年の6月の成長戦略での閣議決定も、あくまで拡大の方向で、一番情報が出る形で消費者の知る権利に応えられるのは、基本的には対象は全ての加工食品ということが、話の筋としてはあるのだろうと。ただ、あくまで今年の6月の閣議決定は、検討を進める。全ての加工食品への導入に向けてはありますが、あくまで検討を進めるということ。実行可能な方策についてとも書いておりましたので、あくまで拡大に向けてという中で、それまでも個別の品目の追加のような形でやってきましたけれども、なかなかそういう形では拡大ができなかったということも一方ではございまして、まずは全てという形で、目標をそこに置いた上で、ただ、実行可能な方策で検討を進めるというスタンスで、それ以降も、この有識者検討会のほうで御議論いただいたという内容でございます。

あと、最近のいろいろな政府決定を見ますと、農業関係の決定にも入っておりますけれども、資料1-2の4ページになります。昨年11月のいわゆるTPP大綱で見ましても、大きなくくりとして「食の安全・安心」という中で、「TPP協定により、我が国の食品の安全・安心が脅かされることはないが」と。ただ、やはり懸念なり不安を持っておられる方々がおられると。そういう消費者目線でも、当然、これは位置づけられておりますし、あと5ページになります。日本再興戦略2016で見ましても、左側にございますけれども、「消費者の自主的かつ合理的な食品選択の機会の確保に資するよう」と。このような配慮というものも当然なされております。

2点目になります。経過措置期間のところでございます。実は、経過措置期間につきましては、1月からの有識者検討会でも、いろいろな御意見が出ておりました。御承知のとおり、昨年の4月から食品表示基準が施行されておりますが、加工食品について、5年後が完全移行期間ということで、32年の4月が一つの節目になっております。ただ、32年の4月ではなくて、原料原産地表示の完全施行時期は、その後にするとともに、加工食品全体の今のところ、32年4月が完全移行時期ですが、それもあわせて原料原産地表示の新しいルールと同様、もっと後ろに設定してほしいという御意見も実際に出ておりました。この点については、まだ具体的な表示基準、改正案も出ておりません。したがって、どの程度、事業者の皆様から見て準備に時間を要するのかというのも、まだ、地に足のついた議論ができる状況ではありませんので、基本的には、新しい表示ルール、これはまさに、改めてまた皆様方の御意見を伺うことにはしておりますけれども、それも見た上で、実際に事業者の側から見て、どれぐらい完全移行時期を設けないといろいろな意味で対応がし切れないのか、それを見た上で最終的に決めさせていただければと思っております。

いろいろな形の説明会なり事業者の皆様との意見交換会は、今後とも積極的にやらせていただくつもりです。その中で、具体的な表示基準の見直しの観点からのお話とともに、それと不即不離の関係だと思っておりますが、施行時期の件についても、率直に御意見をいただいた上で、最終的にここを決めさせていただければと思っております。

3点目になります。容器包装のところで、インターネットでの表示も認めるべきではないかという御意見でございました。これはまた委員の皆様からも御意見なり、後であろうかと思っておりますけれども、基本的には、消費者の中に、ネットのリテラシーが欠けている方もおられるということで、そういう方への配慮というのも大事ではないかということで、今回、まずは必要最低限の情報は容器包装にしていただくということにさせていただいております。

ただ、一つ、ここで念のためお話をさせていただきたいのは、今の表示ルール自体が、この義務表示は必ず容器包装に付すことになっております。したがって、原料原産地表示について、もしも容器包装縛りを外して、表示義務をQRコードなり、インターネットでもよしとするのであれば、多分、原料原産地表示の話にはとどまらないことになりますし、今は、表示可能面積が30cm2以下の場合は、スペースがないからということで、相当程度表示の免除なり省略を認めておりますので、インターネットを使った表示ができるのであれば、30cm2以下の免除なり省略規定との関係をどう考えるのか。そういう点も出てくるかと思っております。

いずれにしても、現状、この1月から御意見をいただいた検討会の中では、やはりインターネットリテラシーが現実に欠けている方もおられる。それで、この表示、特に義務表示については、必ず見ていただける、そういう形で情報を提供すべきということでしたので、このような整理としております。また、この点については、委員の皆様方の御意見なり、また、拝聴できればと思っております。

4点目の説明会だけでなく、11月の有識者検討会の取りまとめについてもパブコメをすべきではないかという点でございますが、基本的に方向性についての御議論を1月以来の有識者検討会ではいただいたと思っています。ただ、実際に、これを具体化して肉づけしていく中で、事業者の皆様がお守りするルールなり、消費者の方々が商品選択をするときのルールが決まっていきますので、当然、そういう次元ではきちんとパブリックコメントをかけてやっていきたいと思っております。

とりあえず、以上でございます。

○阿久澤部会長 どうもありがとうございました。

そのほかよろしいでしょうか。

井之上委員、どうぞ。

○井之上委員 皆さん、こんにちは。

日本生協連の井之上です。

私は細かい中身の議論に入る前に、この表示部会の位置づけについてお聞きしたいと思っています。ある意味、今回の提案というのは、画期的という形での言い方もできるのかなと思っています。ただ、今の赤崎課長の話も聞いていて、これが既に方向性が決まった形でお話をされているように聞こえます、特に資料1-2の6ページです。私は最近、初めて見た資料ですけれども、活力創造プランということで、この間にない書きぶりが、この「更なる農業の競争力強化のための改革」に書かれており、この間の書きぶりでは全ての加工食品への原料原産地表示の導入の検討という形になっていましたけれども、さらに書き込みが加えられ、例外表示のところ、その「行うなどの仕組みを整備」という形で書き込みがされている。これは既に改正の方向性が決定事項として書かれている形に見えますが、この表示部会では、1月、2月の表示部会がスキップしてという形でも話も聞いています。この表示部会では、審議、議論はできないのかな、どうなのかなというところ、ないし議論しても無駄とも読めるような感じがあるのですけれども、そうではないとは思うのですが、改めて、ここの表示部会の位置づけについて、消費者委員会の事務局ないし、阿久澤部会長に御回答いただきたいと思います。

○阿久澤部会長 そのような御意見を多く持っていらっしゃる方がいるかと思いますので、皆さんから御意見を伺った後に、私のほうからお話をさせていただきます。とりあえずは、消費者庁からの御説明に対する質問なり御意見をいただければと思っております。

○井之上委員 重ねてですけれども、御回答いただけるということですが、専門家委員会の結果というのは非常に尊重すべきだと思っています。しかし、これから議論できるとしたならば、議論の中の端の話をするのか、それから、最悪、これが全部だめだとかというようなところも含めて議論ができる状態なのかも含めて御回答いただきたいと思います。

以上です。

○阿久澤部会長 それについては、また後ほどします。

そのほか、御意見、御質問はございますか。

今村委員、どうぞ。

○今村委員 この中間取りまとめについての意見ということで、私は、この可能性表示に強く反対します。それはなぜかというと、私自身が今まで表示制度に深くかかわってきた中で、事実関係を検証することが難しいような制度を一部表示制度の中に入れてしまうと、表示制度そのものの信頼性が失われる可能性が高いということで、今までも可能性表示というものはできるだけ採用しないようにしてきたと思いますし、これを防ぐためにどういう方法がとれるのかということに知恵を出してきたと思うのです。それが、知恵が出し切れない範囲だったら可能性表示をするぐらいだったら例外表示をつくるというやり方でやってきたと思うのです。今回、全く逆の手法になっていて、例外を認めないために、可能性を認めるということは本末転倒で、可能性表示を入れることで表示制度全体を揺るがしかねない状態になると思うのです。可能性表示が何かしんどいかというと、全て可能性として逃げられてしまう可能性があって、厳しく追及していくときに、それはこの可能性の中で読めたはずですといったときに、特に刑事的な処罰も含めて追い込んでいくときには、この可能性表示があると非常に難しいです。感覚的には、道路標識で言えば、60キロ制限と書いてあるのが、60キロぐらい制限というように書かれてしまうような、そういうイメージが強くて、この表示制度の根幹にかかわる問題だと思うので、この可能性表示をぜひ避けてもらいたい。逆に、例外が認められないということなのですけれども、可能性表示を認めるぐらいだったら、表示制度全体を守るために例外をつくることも考えていくべきだと考えました。

以上です。

○阿久澤部会長 どうもありがとうございます。

ただいまの御発言に対して、消費者庁からコメントをお願いいたします。

○赤崎食品表示企画課長 この可能性表示については、過去の経緯からまず申しますと、原料原産地表示の見直し自体がかなり前からずっと議論されているという前提なのですが、平成21年に、まだこれは消費者庁ができる前になります。当時、農水省と厚生労働省で表示の検討を行う共同会議というものがありまして、その場でも可能性表示、大括り表示、中間加工品の原材料表示、いずれも問題提起がされておりました。そういう流れの中で、これは平成23年になります。当時の消費者委員会の専門調査会の中でも、可能性表示を含めた新しい表示方法についての議論がされて、メリット、デメリット両方ある前提で、それも踏まえて、あとは消費者庁のほうで考えるようにという、そういう御意見をいただいたような経緯があります。

また、中身の話として申しますと、この可能性表示が、表示の例えば根幹を揺るがすようなものかというと、実は、我々そうとは考えておりませんで、あくまで国別重量順に重い順から書く。でも、AとB、2カ国あって、どちらが重いか、これが都度都度変わる。その場合にAとBを「又は」でくくって書きますけれども、逆に言いますと、Cはだめ、Dがだめ、そういったような意味では、十分意味があるようなものだと思っております。実際に、豆腐と納豆につきましては、事業者団体の自主的なガイドラインで、義務ではないのですが、実際、自発的に事業者さんが表示をなさっていると聞いておりますけれども、その中でも「又は」表示というのは、今でも認められていると聞いております。

可能性表示がだめな場合というのは、今村先生が言われたように、これはあるのだろうと思っています。例えばアレルゲン、いわゆるアレルギーの原因物質となる表示については、これは私などよりも今村先生のほうがお詳しいと思っておりますけれども、含むかもしれないという表示はだめだとなっております。我々のこの表示のQ&Aでも書いておりますけれども、結局アレルゲンといったものは、入っている、入っていないが明らかでないと、実際にその症状を持っている方から見ると意味がない。何でもかんでも含むかもしれない、そういう意味での可能性表示にしてしまうと意味がないというような経緯があって、そういったようなアレルゲンの場合は、可能性表示はだめよとなった経緯があるやに聞いております。今回の場合は、あくまで原料の産地ということで、今は、義務がかかっていないものは基本、一切情報が出ていない、わかっていない。その中でも、少なくとも2カ国のどちらかには絞られる。でも、重い順に書けというものだけがクリアできないといった場合に(A国又はB国)と書く。3カ国の場合も当然ありますけれども、それ以外の国を排除するという意味では一定の意味があると思っております。

あとは、実効確保といいますか、監視とか取り締まりができるかどうかで見ますと、これも今村先生はお詳しいと思っておりますけれども、今の原料原産地表示というものは、遺伝子組換えとか、アレルゲンと違って、科学的なアプローチだけでは白黒つけられません。基本的には、今、原産地表示、一部のものは原料原産地表示についても義務がかかっておりますけれども、基本的に、帳簿のトレースという形で、事業者のもとに立入検査で入って、納品伝票とか、いろいろな書類をチェックして、それで不適切な表示があればあぶり出す形になっています。ただ、実際にこれにつきましては、国の職員、県の職員が、まさにそういう業務に携わっております。国の場合は、これは農林水産業省に、食品表示Gメンという方々がおりますけれども、ちょうど先週金曜日、12月16日付で、とある事業者のパンの原料の小麦について、自発的に、これは今、義務がかかっていないところ、任意で表示をしていたのが間違えているということで、改善指示及び公表をした実績もございますので、その意味では、科学的なアプローチだけでは、当然原料原産地表示、原産地表示自体が担保はできませんけれども、今、一定のインフラ、チェックする仕組みがある中で、実効確保に取り組んでおりますし、これはA国が(A国又はB国)になったとしても、結局2カ国から納品をした伝票があるか、それとも、C国も使っている、D国も使っている、そういう観点からのチェックになりますので、今の国別重量順表示ならば監視はできるが、可能性表示になった瞬間に監視ができない、そういうものではないのだろうと思っています。ただ、この監視の点については非常に重要な論点だと思っておりますので、また改めて表示ルール等を検討していく際には、それを裏打ちする実効確保の観点から、きちんと整理をした上で、また、改めてこういう場で御説明をすることになるのかなと思っております。

以上でございます。

○阿久澤部会長 どうもありがとうございました。

今村委員、どうぞ。

○今村委員 追加で、今、監視はできるというお話であったのですけれども、うっかりミスのようなケースをひっかけるという意味ではできるのだと思うのですが、確信的にこれを回避しようとした人たちが書類の作成をする段階から何か悪さをしようとしたら、確実に逃げられるのです。それを追い込めるようにちゃんと監視体制と監視基準というものをつくらないと、こういう制度というのは、守れない法律をつくったり、網の目を抜け出すような制度をつくってしまったら、それで制度そのものが瓦解する危険性があると思うのです。

ですから、今、課長から御説明いただいたようなケースというのは監査ができると思うのですけれども、確信的に悪さをしようという人たちをどう網の目から逃がさないようにするのかという意味では、可能性という言葉の中に、全て逃げ道がつくられてしまうので、これは多分事業者の中で、特に悪意を持った方々は、できる限り逃げ道を探そうとすると思うのです。その探した人たちもちゃんと追い込めるように制度をつくらなければいけないのですけれども、そこがすかっと抜け落ちているところが、この制度の弱いところだと思いますので、その辺がしんどいところ。特に、トレーサビリティの問題で、どこから来ましたかということを書くことを義務づけているわけではないので、どこから来たのかわかりませんという話のときに、大括り表示だったり、可能性表示になったりするわけですから、事業者だけにどこから来たか調べろと言ってもそれを購入したところがわかりませんと言われてしまったら、わからないですね。GMなどの場合だと、全ての段階で義務づけて、トレーサビリティをとっているわけですから、ああいうことまでやるのだったら、この制度は生きてくると思うのですけれども、そういう担保がなくて、最終表示者だけに義務づけても、私はしんどいと思うのです。そういった意味で、この可能性表示は極めて危ういと思いました。

○阿久澤部会長 消費者庁、どうぞ。

○赤崎食品表示企画課長 1点だけ御説明させていただきます。

今の今村委員の言われることは、おっしゃるとおりだと思っていますので、我々も実効確保ができるような仕組みはきちんとよく整理をした上で御説明したいと思っておりますが、1点だけ、この資料1-1の22ページをごらんになっていただければと思います。先ほど時間の関係で、ここまで説明ができなかったのですが、よろしいでしょうか。22ページの一番上に「ウ 書類の備置き」というものがございます。結局、今村先生のおっしゃるとおりでして、実際に事業者のところに入って、きちんと書類がないと言われたらそれまでになってしまいますので、まずは書類の備置きを実効あらしめるためにどうするのか。それは、今からよく考えた上で、また改めての御説明になろうかと思っています。

あと、取引の関係者全員が通牒虚偽をして、もう口裏を合わせて悪いことをしてしまえばのようなこともありますけれども、今の監視の場合は、取引というのはフードチェーンでつながっていますので、いろいろな流れの中で、追い込んでいくというか、不備を見つけていくという手法もとっておりますので、そのようなことも踏まえた上で、これはきょうではありません。またの機会にきちんとした御説明をさせていただければと思っております。

○阿久澤部会長 ありがとうございます。

蒲生委員、どうぞ。

○蒲生委員 御説明ありがとうございます。

今回は、原料原産地に関する改正食品表示基準案をつくるに当たっての留意事項を出す会ということですけれども、留意するポイントとしては、いかに消費者の誤認と、表示偽装を防ぐことができるか、具体的に詰めることにあると思っています。先ほど今村先生がおっしゃった制度の根幹を揺るがすのではないかという指摘を検討するためにも、ファクトベースで具体的に検討する必要があります。ですので、次回は、基準案とともにガイドラインやQ&Aなど具体的に検討ができるものを提示していただきたいと思います。

それから、先ほど井之上委員が質問されたことは部会での議論の前提となる非常に重要なことですので、しっかりとお答えをいただきたいと思います。

有識者検討会においても、消費者の誤認への懸案は出されましたが、表示偽装、すなわち監視の実行可能性に関しては、ほとんど議論されておりません。過去一定期間の根拠資料、しかも星の数ほどある商品について、一体どのように監視ができるのか。22ページに備置き等という記述がありますが、事業者の記録の作成、保存は努力義務であって、義務ではありません。このような状況で有効な監視ができるのか。同時に、そこまでしてすべての加工食品に表示すべきなのか、そもそも論といいますか、何が大事なのかを常に意識しながら議論したいと思っています。

日本再興戦略2016において全ての加工食品への導入という文言が出てくるわけですが、この文言の前に、消費者の自主的かつ合理的な食品選択の機会の確保に資するよう、とあります。目的は、消費者の自主的かつ合理的な商品選択に資するためにであって、全ての加工食品への導入検討はそのための手段というわけです。手段のために目的が損なわれるのであれば、本末転倒ですので、消費者の誤認や表示偽装を防ぐことができるのか、懸念を払拭できるのか、具体的な事例をもとに検討したいと思います。

中でも使用計画を根拠に可能性表示をする場合に、一体、今後の計画が正しいかどうかどのように監視できるのか。今すぐお答えをいただかなくても結構です。検討できる具体的な内容案をお示しいただきたいと思っております。

○阿久澤部会長 どうもありがとうございます。御意見ということです。

宗林委員、どうぞ。

○宗林委員 3点、お話をしたいと思います。

まず、私はこの22品目を決めたとき、厚労と農水の合同会議の委員でしたので、これを決めていくときに、しんどい思いをし、特に表示をする基準を定めるのも、大変しんどかった記憶がございます。ですから、今回、原則として全品目に原産地表示を義務づけるということについて、前進であるし原則論としては、賛成であります。これが1点目です。

2点目ですけれども、消費者はこのアンケートの中でも書いてございますが、かなりの方が、国産というものの表示を目安にといいますか、そういったものを選びたいという感じのこのアンケート結果が出ております。問題は、先ほど赤崎課長から御説明のあった、いわゆる可能性表示とか大括り表示、あるいは中間加工原材料と製造地表示というものを取り入れた場合に、ここに国産という言葉が、かなり入ってくる可能性があるのではないか。例えば、自給率はカロリーベースだと、多分40%を切るぐらいしか、今、ないと思うのですけれども、実際にこのいわゆる中間加工品の製造地とか、可能性表示とか、この辺のあたりのものが、全体の中のどのぐらいを占めるのとかというと、かなりを占めるのではないかという感じがするのを懸念しています。そして、そこには国産という表示が実際のものよりも大変多く入ってくる可能性が出てきて、消費者の誤認を招く表示になりかねないというような懸念が非常に大きくあります。ですから、ファクトとして、この可能性表示、大括り表示、製造地表示がどのぐらいを占めていくのかということを教えていただきたいのが2点目でございます。

3点目ですが、今村委員も蒲生委員もおっしゃっていましたけれども、監視の問題ということで、これについては社会的検証しかできない分野だと思うのです。こういった分野については、これまで監視自体の透明性が全然担保されていなかったと思うのです。これから先、監視をどうしていくのかは別の機会でと御説明ありましたけれども、ぜひ、定期的にこういうようにやって、実名まで出すことはないかもしれませんけれども、このようにどういう問題があったのか、どういう状態であったのかを監視という観点で透明性を確保していただきたいと思います。

以上3点です。

2点目は、どのぐらいの割合がこの例外規定の中に入ってくるのかなということを心配しておりますので、教えてください。

○阿久澤部会長 では、消費者庁からお願いいたします。

○赤崎食品表示企画課長 それでは、先ほどの宗林委員の2点目について、御説明をさせていただきます。こちらのほうから提示をさせていただいた新しい表示ルールによって、どれぐらい国別重量順表示なり、可能性表示なり、国産という表示になるのか。実は、これは1月から開いておりました有識者検討会でも、委員の方から、ぜひ試算でいいから出してほしいと言われて、資料を出した経緯がございます。

どういうデータを出したのか口頭で御説明をさせていただくと、農林水産省が、実際に事業者さんの製造工場全部で33カ所に入って、それぞれ売れ筋の商品、上位3つのデータを出してくれといって、結局、97商品のデータを出していただいた。その中身は、過去2年間、重量順位1位の原料を何カ国から調達しているか。もう一回言いますと、33事業所97商品で、内容は売れ筋の商品ということなのですけれども、重量順位1位の原料を過去2年間、何カ国から調達をしているか。重量順1位が、生鮮か加工品かというのもあわせてデータとしてとっています。これは第9回の加工食品の原産地表示制度に関する検討会の参考資料2という形で載ってはおるのですけれども、その結果を見てみますと、97商品のうち、過去2年間1カ国しか原料を調達していませんといった例が、全体の46%ありました。要は過去2年間1カ国しか調達していないということは、実は、1カ国しか調達していなければ、大括り表示も可能性表示も実はできません。「又は」表示はつなぐものが1個しかなければできませんし、大括り自体も、輸入が3以上ないとできません。

あと、97商品のうち46%が1カ国からの原料調達だったのですけれども、97商品の過去2年間の調達1カ国46%、アイテムで見ると45になっているのですが、生鮮原料が45のうち23、中間加工原材料が22となっています。以上の諸元データを組み合わせますと、まず、この売れ筋の商品ということで、97アイテムは、今、表示義務がかかっている22食品群と4品目のみんな対象外です。したがって、1割の義務がかかっていると、残りの9割として、この97商品が当てはまることになりますけれども、少なくとも、過去2年間1カ国からしか調達していないようなものは、少なくとも、生鮮であれば、国別重量順で表示するしかないですし、このようなことを考えると、検討会の中でも、事業者サイドのお立場で御発言いただいた方もいらっしゃったのですが、大体3割から4割ぐらいは、この国別重量順の表示がつく。今が1割ということから比較してみますと、それはそれで、肯定的な御評価をいただいたようなこともあります。

ただ、これは過去2年間1カ国、2カ国、3カ国を含めた調達国というものはわかるのですが、それがころころ変わっているのか、2カ国のままでシェアも7割、3割でずっと2年間固定しているのか、実はわかりません。2カ国の場合でも、ころころ変わっていなければ、この産地の切りかえがなくずっと7割はA国、残りの3割はB国であったら、もう基本的には表示の切りかえというものはありませんから、そういったような場合には国別重量順になりますし、2カ国、3カ国、調達していて、それが短期間に重量順位1位がかわっているような場合は例外表示になるのだろうということで、そういう一定の制約がありますけれども、くどくど説明して恐縮ですが、基本的には、相当程度が国別重量順の表示になると。それを全体の少なくとも3割にはなるみたいな御判断をいただいてというものがあります。

その意味で、製造地表示がどれぐらいになるのかということが、先ほどの宗林委員の御質問でしたけれども、97商品のうち、重量順位1位のものが、いわゆる中間加工原材料が、実は数で見ますと46ありますので、97分の46。その分につきましては、この製造地表示になるのかもしれませんが、それが国内製造になるのか、外国の国名を冠した外国製造になるのかは、今のところデータがないのでわからないということになっております。

以上でございます。

○阿久澤部会長 もう一点ですね。

○宗林委員 取り纏めると、3割は国別のしっかりとした表示がつくでしょう。それ以外はこの例外規制の何かに当てはまる可能性があるということですね。また、全体の半分ぐらいは中間加工地で製造地の表示になる可能性があるというような感じでよろしいですか。

○赤崎食品表示企画課長 このときのデータから見ますと、可能性としてありますけれども、いかんせん確定的なことは、この切りかえというものが、このときのデータではわかっておりませんので、一応、そういうものだということで御理解をいただければと思います。

○阿久澤部会長 よろしいでしょうか。

荻原委員、どうぞ。

○荻原委員 ACAPとしての御意見を御説明させていただきたいと思います。

参考資料2で提出させていただいているのですけれども、ACAPは消費者関連の部門に所属する責任者が業種を超えて集まっている消費者志向団体ですので、日々のお客様の声を参考にした意見ということで御理解いただければと思います。

第1点目ですけれども、ACAPとしては、消費者が求めている情報を、できる限り正確にお伝えをすることは、事業者の責任であると思っておりまして、今回の取り組みの方向性については、賛同するものです。ただし、お客様からのお問い合わせ実態と照らし合わせると、いろいろ問題点があるということでして、ACAPの会員の複数の食品事業者にまたがるお客様相談センターの情報をアンケートで確認させていただいたところ、1%以下から最大10%程度、食品の製品によって、原料原産地に関する全体の問い合わせに占める割合は商品の品目によって非常に幅があるということがわかっています。

また、お客様からの原料原産地に関する問い合わせの趣旨、内容についてよく見てみますと、特定の原料あるいは特定の国や産地のものをできれば避けたいという趣旨でお問い合わせをいただくケースがほとんどです。それはすなわち、製品の安全性を確認する目的で原料原産地が知りたいというのがお客様の意図になっています。これは、今回のミニアンケートに限らず、2011年の消費者庁が実施した消費動向調査の結果からも、原産地の情報というのは、安全性を確認するのが目的だということで、今回のミニアンケートの結果も裏づけていると思います。こういう実態で、お客様の知りたい内容がそういうことであるとすると、例外1から4で認めるような表示というのは、お客様の不安を解消できないばかりか、より疑念を増幅させる可能性があると考えております。

そういった状況から考え合わせますと、やはり、今回の提案された内容について、まず、対象とする加工食品や原材料を仕分けして、消費者が本当に求めている情報を優先して基準を段階的に適用していくことですとか、あるいは、包装表示に限定するということで、検討会で方向が示されたということではあるのですけれども、インターネットや電話対応での消費者への情報開示を義務化させるというようなこと、さらに、この基準案が施行された後には、基準導入によって課題が解決されたのか。お客様の不安が解消されたのかというような検証とともに、必要に応じた改善ができるようにするなど、この部会で十分に議論していく必要があると考えております。

アメリカでも、つい最近遺伝子組み換えの表示に関して、QRコードや電話対応等で情報を開示することを、それも表示の一部とみなして情報を開示する方向性が示されています。製品の安全性を確認する目的で、原料原産地等を知りたいという意味においては、非常に似ていると思いますので、そうした消費者心理に配慮しつつ、できるだけ事業者が正確に情報をお伝えできる手段をぜひ考えていただきたいと思います。

以上です。

○阿久澤部会長 どうもありがとうございました。

では、岸委員から、お願いします。

○岸委員 チェーンストア協会の岸でございます。

チェーンストア協会からの意見や要望については、参考資料3に提出させていただいております。要約いたしますと、先ほどから議論が出ていますとおり、何となく全ての加工食品に表示する、もしくはパッケージ上に表示するという前提の中で、実行可能性を検討しつつ、落としどころを探っていったというのが、今回の中間取りまとめではないかと思います。

その結果、いろいろな言葉で、例えば表示の制度の信頼性とかお客様にもともと合理的な食品選択の機会の確保に資するという目的を失しているのではないかというような話が出ました。そのような中で、ほかの目的として、例えば国産品の振興とか、農林水産業の競争力確保のような目的もあったかと思うのですけれども、本当に全ての加工食品でパッケージ上で表示するという前提を置いて設計したものが、最初の目的と合致しているかということをいま一度、検証していただきたいというように考えています。場合によっては、全ての加工食品という制約を外せるのであれば例えばトレースができる商品から始めましょうとか、表示も一括表示内ではなくて国産の強調表示みたいなものを許しましょうというような妥協ができれば、もっと、より消費者にとって価値のある情報というものが提供できるのではないかと思います。

結論としては、この中間取りまとめの内容そのままに食品表示基準として新たに規定することについては賛成しかねるということが、チェーンストア協会としての意見でございます。

○阿久澤部会長 どうもありがとうございました。

それでは、菅委員、どうぞ。

○菅委員 菅です。

本日、私からの提出資料としては、参考資料5として、日弁連が16日に発表した意見書を配付していただいています。16日付であったために提出がぎりぎりになってしまって申しわけありません。

私もこの問題に関するベースの部分の意見としては、同様の意見を持っております。全体としましては、全ての加工食品について、原材料の原産地表示を義務づける制度枠組みについては、消費者の自主的かつ合理的な選択の自由な確保の観点から賛成します。

ただ、その上で、今回出された取りまとめの案よりも、もっと消費者は充実し、かつ誤認のおそれの少ない情報に触れることを期待しているのではないか。そしてそれが、消費者の自主的かつ合理的な選択を実質的に確保することにつながると考えておりますし、かつ、それは一定実現可能だと考えておりますので、意見書としても、そうしたよりよい表示を求める立場から意見を出しているつもりでおります。

日弁連の意見と私の意見とが全く一緒かどうかはとりあえず置いておきまして、さまざまな意見がある中で、「原則全て」とする方向性そのものに、今日のご意見の中にも疑問を持たれる御意見があるようですけれども、しっかりした表示をもって消費者にとって正しく十分な情報を提供すべきだということについては、共通の思いがあると思いますから、今、生まれてきつつある案が、消費者が誤解をしかねないとか、あるいは必ずしも十分なものではないからという理由で、あるいはあるべき表示への対応が困難な現状がある加工食品が一部あり得るかもしれないという理由で、そもそも「原則全て」とすること自体を諦めてしまうという考え方は、個人的にはいかがなものかと思いますので、賛成しかねます。全ての食品についてということで、目指していくという方向性自体については強く賛成したいと思います。

わかりやすさや実現可能性、あるいは、今すぐ実現できるかというような点が反対する大義のように掲げられることがあるとは思いますけれども、加工食品全部に広げて実現しようという取り組みが今目指されているのは、なかなか22+4から対象品目が増えることがなかった中で、残念な偽装事件とか、安全性への信頼を揺るがすような事件が発生、発覚して、多くの消費者が、自主的かつ合理的な選択をするための情報をもっときちんと提供してほしいと願っているからだと考えますので、そのような取り組み自体は、諦めないでいただきたいと思います。

対象から外されるものを広く認めてしまう、あるいは簡単に認めてしまうことは、原料原産地を消費者には知らせなくてもよいものを認めるという意味が出てしまうと思いますので、それは消費者にとっても、事業者にとっても、プラスにはならないと思います。

そして、全加工食品に今般、義務化を広げるということを前提にしながら、あるべき原則を固めて、できるだけ消費者の選択を自主的に確保することができるようなものにしなければならないということで、やむを得ない例外はできるだけ限定して、要件を明確にして、簡単に例外に流れてしまわないようにチェック可能なものにする必要があると思うのです。そういう意味で、日弁連意見書の中では、今回の例外提案というか、可能性表示や大括り表示、あるいは中間加工原材料の製造地表示については、日弁連としては反対するという意見を出しています。

個人的にも、消費者庁、農林水産省が調べて発表していただいているように、韓国で既に行われているというルールとの比較において、例えば重量割合を上位3位までにせず、なぜ1位のみでしか提案できないのかという理由につきましても、あるいは、可能性表示や大括り表示といったこの例外の定め方についても、あるいは、中間加工原材料の製造地表示において、原料原産地と中間製造地の双方の表示の義務づけを提案できない理由というのも、率直に言って、十分納得できないところがあります。また、日弁連意見書にも書いてありますが、冠表示において、ガイドラインレベルでしか定めようがないかどうかについても、まだまだ疑問が残ります。この点は、意見書をごらんいただけたらと思います。

基準案を作成されるに当たっては、今、いろいろな議論をいただいていますように、チェックの体制を法的にも事実上ももっと整備していただく必要があるのだろうと思います。そうした体制の整備のために、もっとより徹底したトレースの仕組みが必要だということであれば、それを法的に義務化するといったことも目指す方向としてあって良いと思いますし、今、2次元バーコードをどう利用するかといったような意見もありますけれども、より正確な情報を入手できるいろいろな義務づけの方法を工夫していただけたらと考えています。

何をもって違反とするのかが、少しわかりにくくなっているのが現状ではないかと思うので、今後御提案される中で、どのような場面で、どのような違反を問題にしていくのかということについて、より明確にしていただく必要があると思います。例えば、実績と計画・予定というものを基準にしていくという中で、実績というものも、結局、計画・予定とは全く乖離してはいけないということになるのだと思います。実績を表示したけれども、今期の製品の中身は知らないということにはならないと思いますので、今、表示しようとする製品に対して、全く関係のない実績なるものと、これから確実にそうするかしないかはわからない計画・予定なるものと、どちらがどのように重視され、そして、それがどのような場合に違反の問題を生じるのかということについて、もし、このやり方をとるのであれば、もっともっと精緻な議論が必要になるように思います。また、その可能性と大括りというものを、私は個人的には反対しますが、仮に認めていくのだとして、これに優劣は全くないものなのかどうか。どういう関係にあるのかというのが、いま一つよくわからないところがあります。

また、容器包装変更の必要性を実際のところ、どういうようにして判断していくのかということについても、例えば先ほどの御説明の中にあった、小麦が下から出ていって上から補充されて入っていくというような例の場合に、それは容器包装の変更の必要性があるのではなくて、根本的にどこの国のものがどれぐらい入っているのかがわからない状態であることを説明されたと思うのですけれども、そのような場合に、それは掲げられている要件に当たるのか、当たらないのか等、幾つか疑問がありますので、ぜひそのような点についてもクリアにしていっていただければと思います。

とりあえず、以上です。

○阿久澤部会長 どうもありがとうございました。

澤木委員、お願いします。

○澤木委員 全国消費生活相談員協会の澤木と申します。

消費生活センターで相談員をやっております。

原料原産地表示を参考に商品選択をしているというのが77%、調査結果で出ておりますので、消費者にとっては、商品選択の際に重要な情報と考えます。全ての加工食品への原料原産地表示の義務化は、商品選択のための情報として消費者利益につながると思われますので、先ほど、菅委員もおっしゃいましたように、全ての加工食品ということには賛同いたします。ただ、今回の例外規定については、消費者にわかりやすく正しく信頼できる表示という観点からすると、やはり複雑なことと、多岐にわたっておりますので、わかりにくく誤認を招くおそれがあるというのは懸念しております。

そこで、今回の本部会では、消費者の誤認を招かないための実行可能な具体策の検討を強く要望いたします。

それから、一つ、今後3月までにQ&Aを作成されると思うのですけれども、報告書に載っている表示例はシンプルなもので、実際の加工食品では非常に複雑なものが多いと思われますので、ぜひ誤認を招かない、防ぐというためにも、複雑な表示例、健康食品も加工食品に入ってくると思いますし、野菜ジュースなどどれが第1位なのかわかりにくいなどもありますので、ぜひQ&Aで具体的な例を数多く示していただきたいと思います。

中間加工原材料については、(国内製造)と書くと消費者は国産のものだと誤認をすると思われますので、ぜひ中間製造地と原料原産地の双方表示を望みます。

それから、ふたをあけてみないとわからないところがあると思いますので、ぜひ、1年後など、見直し制度を厳格に規定していただきたいと思います。

以上です。

○阿久澤部会長 どうもありがとうございました。

受田委員、どうぞ。

○受田委員 受田です。

委員の方々がいろいろな御意見を出されているので、重複は避けたいと思うのですけれども、基本的に消費者のための表示、また、それを実行可能に導く事業者さんのための表示という部分最適を組み合わせたパッチワークだということになると、だれにもメリットがない表示制度になりはしないかという懸念を大いに抱いております。その点を申し上げておきたいと思います。

実際に、先ほど宗林委員がおっしゃったように、これまでの原料原産地表示対象品目、これを拡大していく路線をなぜとらないのか。それが将来に向かって、全加工品に至るというグランドデザインをなぜ描かないのか。ここの部分で拙速にやっている感が否めないのではないかということが、皆さんの共通する思いではないかと私は想像しております。したがって、例えば落としどころとして、義務対象品目の選定要件として、加工食品としての品質に大きく反映されると一般的に認められている品目というものが要件であり、さらに、その重量の割合が50%以上であるということで両方満たされないといけないというところから22+4ができているので、そこの部分をもう少し拡大解釈をしていって、消費者のニーズに合うように、これを少しずつモディファイしていけば、出口は見えくるのではないかという思いがいたします。

それから、きょう全然出ていないので、意見として出しておきたいのは、例えば資料1-1の24ページに「表示義務者となる中小企業を含む事業者に対する丁寧な説明」ということが書かれています。これは重要なことだと思います。一方で食品事業者さんというのは、ほとんどが中小零細企業であるということも実態です。従業員数が4人以下の統計データ上にも加わらない事業者さんが、特に地方では、食品事業者として、その裾野を構成しております。こういった中小零細企業が、6次産業化を目指して今、日々努力をしているところで、こういった全加工食品に対する原料原産地表示が義務化されていくことになって、その意欲とか実際の事業の収益性とかというものが萎えてしまわないように、ぜひ格段の御配慮をお願いしたいということをここで申し上げておきたいと思います。

最後に、こういった原料原産地というものが、具体的に制度化をされていくことになれば、もう一方で、この1-1の中にも触れられておりますけれども、産地判別等への科学的な分析手法、ここの確立がぜひ急がれるところだと思います。日本の判定技術というのは、研究者も非常に脆弱で、ここに関心がいっていません。こういった片手落ちの研究に対する取り組みを、政府または消費者行政に伴うところが関与するところが、積極的に力を注いでいくべきではないかということもあわせて付しておきたいと思います。

以上です。

○阿久澤部会長 どうもありがとうございました。

渡邊委員、どうぞ。

○渡邊委員 先ほど、菅委員から意見が出た実績と計画という話がありましたけれども、事業者が原料を選ぶときは、表示を見ながら選ぶわけではなくて、あくまでも品質をつくり込むために原料を使っているので、例えば前の年、こことここで次は表示のためにこれをやるなどということは絶対にないですので、例えば、いい品質のものをつくる場合は、本当に同じ原料、同じ国のものをずっと使うということは結構多くなります。ただ、例えばいつも買っている国から買おうと思ったときに、何か例えばトラブルが起きて買えなくなるときとかもあるのです。だから、そういうときに変わる場合もある。先ほどインターネットでの表示は、全ての食品の表示がまたインターネットになると、さっき、赤崎課長は言いましたけれども、何も全てインターネットにする必要はなくて、何も全てインターネットにする必要はなくて、この原料原産地だけインターネットにしても別に構わないのではないかと思ったりもしています。インターネット表示を使うと、例えば今のような切りかえのときとか、素早く対応できますし、今、事業者の立場から、いろいろ皆さんの御意見を聞いていたときに、これだけ評判の悪い制度を本当に使えるのかというところはあるのです。今までいろいろな表示の切りかえはありましたけれども、こんなに消費者の方から評判の悪い制度が今まであったのかなという気がします。実際につけるときに、こんなにいろいろ言われる制度を実際に選べるのかというところもありますし、そうしたら、きっちりした情報をインターネットに流すほうがどれだけ正しいのではないかと思うので、ぜひ、先ほど赤崎課長は30cm2などと言いましたけれども、そういうことも含めて検討していただきたいと思います。

以上です。

○阿久澤部会長 ありがとうございました。

池戸委員、どうぞ。

○池戸委員 ありがとうございます。

私だけが検討会の委員で出ていましたので、その立場でもお話をさせていただきたいのですけれども、検討会、10回、20時間以上の議論をしました。きょう出てきた御意見というのも、検討会でも出てきた意見が結構多かったです。それをベースにして、まず検討会の委員さん、17名ですね。本当に信念を持って熱心な議論をしていただいておりましたので、先ほどからお話が出ましたけれども、事務局としては、いろいろと出た個別の御質問に対して、丁寧な、まず、お答えなり説明をしていただくということが第1だと思います。

その上で、最初にご説明があった検討会とこの部会、ここの区分けというものを明確にした上で、これも第1回目でもお話しさせていただいたのですが、効率的な議論をしていただきたい。最終的には基準案に対しての審議ということが使命だと思いますが、その基準が、中小企業が多い業界、具体的には、先ほど、御意見も出ていましたけれども、約5万件の製造所のうち、3人以下が30%以上を占めるような業界ですので、そういったところに本当に実行が可能かどうかという話と、基本的は、この目的が消費者の自主的かつ合理的な選択の確保という前提でのところで、本当に役に立って使いやすいか、使えるか。そういう前提での議論を進めていただければと思います。そのためには、検討会でも10回のうち半分はヒアリングとかアンケート調査とか、現場の実態の御意見を承ってきたのですけれども、まだいろいろな幅広いところに御意見なり、まだ届いていない部分がある。

パブコメの話も出まして、途中段階でパブコメを何でやらなかったのか。今のところは基準案をパブコメに出すということだと思いますが、時間があるということ、まだ余裕があるので、意見を出すには、まず理解をしていただかないとなかなか正確な意見が出てきませんので、これは事務局が大変かもしれませんけれども、どういう経過で今の中間の取りまとめになったのかという、その中身を十分説明していただきたいと思っております。

2つ目に申し上げたいことは、残っているのが、例外のところがわかりづらいということなのです。さっきのように、中小企業の方が本当にできるか。要するに、情報の伝達がうまくいかないとできないのです。先ほどから、以前の一元化検討会のときのアンケート結果で言えば、60%以上が安全性の確認のためという答えなのですけれども、この表示事項自体は、実際は安全性の確認の項目ではないのです。しかし、そこはそことして、消費者が正直なところ、そういう状況で、この表示を見ているということを尊重しなければいけない。現に65%は国内のものを選ぶため、その次の4割は特定の国のものを選ぶ、あるいは特定の国を避けたいという、そういう御意見もあるということも尊重すべきだと思います。

これから、この中間取りまとめの案を見ていただければわかるのですが、これは意見の中で、背景の中には国産の産地振興のようなところもあったかとは思うのですけれども、必ずしもそういう書き方はしていないのですね。要するに、基本は活用主体である消費者が自主的に選ぶときの参考になる。そういう前提でのことなので、バックとしては、生産者としてはぜひ知ってもらいたいという御意見はありましたけれども、そういうまとめにはなっておらず、アンケートでの65%の消費者はおそらく国産品を選ぶであろうということです。

原則は国別重量順、これが原則なので、むしろ事業者の努力によって、そういう原則のところの表示をぜひふやしていただきたい。その期待についてもこの報告書に書いてございます。だから、私としては、そういう本当の自主的な判断の中で、今、任意がたった16%です。それで、義務は11%ということなので、それをできるだけふやしていけるような結果になればということを期待しておりますので、そういう建設的な御意見もいただければありがたいのかなと思っております。

以上です。

○阿久澤部会長 どうもありがとうございました。

井之上委員、どうぞ。

○井之上委員 参考資料1のほうに日本生協連の意見書をつけていますので、その部分について、皆さん、いろいろ意見を言われた後なので、私も重ならないように意見を言っていきたいと思います。

まず、改正の方向については問題があると考えており、事業者、それと消費者双方にとってメリットがないものと思っています。

専門家委員会について、私は全回傍聴させていただいておりましたが、根底の問題として、まず、専門家委員会において、消費者のニーズ、つまり、どういう表示が欲しいのか、原料原産地の情報が欲しいということはわかるけれども、原料原産地のどういう表示が欲しいのかというところが示されなかったというところと、実際の製品がどう変わるのかということ、これは表示の具体が目の前に出なかったということが、多分、問題ではないのかなと思っています。

これらは今日、コンビニで買ってきたのですけれども、さっきも宗林委員からも指摘がありましたが、加工食品を見てみると、第1位に中間加工原材料が使われているものが非常に多いと思います。このチョコレート菓子は砂糖が一番にきます。これはビスケット、当然小麦粉がきたりとか、チューイングガムで言うとマルチトールのような感じになって、それらに(国内製造)、そういう表示がほぼほぼふえる。今、何%ふえますかという話がありましたが、中間加工原材料、砂糖(国内製造)というものが、5割ぐらいふえる。そういう具体が目の前に示されずに議論をされていったということが問題ではないかと思います。まず、進め方がおかしかったのではないかと思っていて、全ての加工食品に表示することという、こういうおかしな形になったのかなと思います。

話を切りかえて、平成24年8月にまとめられた食品表示一元化検討会では、わかりやすい表示ということが議論をされたというところです。新しい表示の制度においては、消費者が利用できて、わかりやすくて使える表示でないといけないというようなことが整理され、また、新たな義務づけする場合、先ほど、容器包装がどうのこうのという話もありましたけれども、そのところにも言及されていて「関連する全ての情報の表示を容器包装上に義務付け、全ての消費者に情報提供させるような形で見直しを行えば」で始まるのですけれども、今回の改正についてはまさにこれと同じような形なのかとも思いますが、そうすれば、見やすさが低下したりとか、コスト上昇を引き起こすデメリットのほうが強くなるという、そういうことが書かれています。それで、この原料原産地表示のことを考えると、原料原産地表示自体は、確かに優先順位は高いのだろうな、ニーズもあるのだろうなと思っています。では、今回の例外表示も同じく優先順位は高いのかなというのは、これはやっぱり具体を出して、こういう表示がいいのですか、悪いのですかということは議論しないといけないのではないかと思っています。

今回の例外表示に関する問題点ですけれども、先ほども言いましたように、誤認ということと、作為的な表示というのがあるのではないかと思っています。誤認に関しては、まず3つ問題があると思っていて、原則による表示でない例外表示のほうが多くなる。円グラフで言うと4分の1、3割ぐらいが国別重量順がきて、それ以外が今回の例外表示という形になっている。円グラフの半分、これが中間加工原材料として製造地表示になる。一方、22+4品目の今の原料原産地表示がそのまま残るという形ですけれども、それと例外表示との区分がどうつくのかといったら、表示上、消費者がそこまでできるのかは、なかなかハードルが高いのかなと思います。私も食品表示の担当として生協で働いていますけれども、今まで400人くらいを相手にいろいろアンケートをとって、今回の例外表示について意見をいただいたりしてきましたが、約8割ぐらいの人から否定的な意見をいただいています。それは誤認するというところがあるのではないかと思います。

資料1-1の6ページの図2で言うと、円グラフがあって、先ほども言いましたとおり、この色づけしている青と赤の部分、これが義務と任意となっていて、足すと27%となっています。表示改正案が試行された後、この部分のちょっとプラスをした部分が国別重量順の表示になり、それ以外が例外的な表示になる。誤認というところで、この例外表示というのは、手元の商品と表示というのが、過去の実績なりを注意書きしておくと、言い方は本当に悪いですけれども、中身と表示が合わなくてもいいという制度、もしかしたら、消費者の国産を選びたいとのインセンティブのことを考えて、事業者が、使用実態のない国産の表示をちょっと入れておこうかというようなところも言い方をかえればできることはできるので、ほぼほぼ、もやっと国産という表示がいっぱいになってしまうことも考えられる。先ほども宗林委員からも出ましたけれども、この検討会の資料の1ページに、7割の加工食品の原材料として国産原料が使われていると書かれており、これは金額ベースで試算されていると思うのですけれども、カロリーベースで言うと、39%ですか。だから、そういう実態と表示が合わないという点において、誤認が生まれることもあるのではないかと思っています。

あとは、作為的表示について、今、言いましたけれども、例えば、20ページを見ていただくと、中間加工原材料に関する記述がここにありますけれども「(4)義務表示に共通する事項」の上のパラグラフ、「○○加工」ということがだめなので、厳格に「○○製造」としてということで、誤認を防ぐような形になったと書いています。では、例えば、梅干しを作るケースにおいて、梅干しを塩蔵した状態で海外から持ってくる。これを国内で調味加工したら、これが「梅干し(国内製造)」という形で書くこともできるのかと考えると、言葉は悪いのですけれども、意図的な変更もできる。でも、ともすると、逆にこの制度にのっとって、そういう表示をしていて消費者からお問い合わせがあり、「梅干し(国内製造)」と書いてあって、問い合わせして、自分が避けたい国だったということがわかると、消費者は事業者がうそをついていたのかと思うことも考えられる。これは消費者と事業者の溝をつくるような表示にもなりかねないと思っている。当然これは、表示としては絶対に出てこない内容なので、聞かないとわからない話であるから、教育云々ではなくて、消費者を完全に誤認させるというところでも、ここは問題なのではないかと思っています。

だから、原料原産地は結論的にはニーズがあることはわかっているのですけれども、この改正の方向性では危うさがあって、消費者、事業者ともにメリットがないのではないか。だから、この表示部会で専門家委員会の結果をたたき台に、消費者のニーズと、事業者、製品がどういう分布でどういうものになるのかというものを全部テーブルに出して、その上できちんと議論できる資料をもとに議論すべきではないかと思いますし、冒頭にお願いしたとおり、消費者委員会事務局の方に関しては、そういった資料を提示していただきたいということを、重ねてお願いします。

長くなりました。以上です。

○阿久澤部会長 どうもありがとうございました。

消費者庁、手短にお願いします。

○赤崎食品表示企画課長 冒頭、委員から御発言のあった、検討会の中間取りまとめと食品表示部会の関係というのは、追って事務局なり部会長からお話があると思いますので、こちらからはあえてコメントはいたしませんが、1月からやっておりました有識者検討会ですけれども、その場でもいろいろな激しい議論もありました。やはり、十何年来、原料原産地表示の拡大については、実行可能性という問題から見て、事業者のお立場だとなかなか難しい、負担になる。基本的には、そういう中で、一方で消費者の選択という観点から見て、意味がある情報をどれだけ出して、結果、バランスをとるのかという議論になりましたけれども、この有識者検討会でも、座長は100点満点は目指すけれども、なかなかいろいろなお立場の御発言もあり、うまくまとめ上げるのは難しいとは言っておりました。

ただ、ほかの委員の方々も含めてですけれども、原則的な立場ではなくて、食品表示法、消費者の選択という面から見て、9割のものは今、何ら表示がなされていないという実態になっています。その点についてはできるだけこの情報を出して、実際に選択をするときに活用していただくという目線も大事でと。そういう観点から見て、できるだけ情報を出すとしつつも、一方で、事業者サイドの御事情とか出す情報にどれだけの意味があるのか、持たせるのか。そういう観点から、真摯な御議論をいただいたと思っています。

最後の第10回になります。誤認のところについて、アカデミアの委員の方から、総括的なお話もありました。基本的には幾つか表示のパターンがありますけれども、それぞれ単独で見ると複雑ではないということで、そこはきちんと制度の趣旨なり考え方を消費者のほうに御理解をいただけるようにすればメリットのほうが大きいのではないかという形で整理がなされております。ただ、実際にこの肉づけをするに当たりましては、個々の要件をどうするのかとか、あと、よくこの制度の趣旨なり考え方を一般の事業者のみならず、消費者に御理解をいただかないと十分な効果は出ませんので、そういう観点からはよく皆様の御意見もきょう伺いましたので、参考にしつつ、また改めて食品表示基準の改正案をつくるとともに、多くの委員から、食品表示基準の改正案だけではなくて、その趣旨なりがよくわかる資料にと、Q&A等々のお話もありましたけれども、参考になる資料も当然出させていただいて、丁寧な説明をさせていただきたいと思っております。

○阿久澤部会長 どうもありがとうございました。

今村委員、手短にお願いします。

○今村委員 先ほど、日生協さんの資料の中で気になることがあったので、追加でコメントさせていただきます。

国際的に整合性のある制度かどうかということをこちらのコメントの中で書いてもらっていて、私は今回TPPの衆参の両院の参考人に招致されて死ぬほど勉強させていただきまして、あれで、TPPが入って何かが変わるとは思えないのですが、TBT協定の中で食品表示のことをやられると、結構つらいところがあるのかなと感じております。特にコーデックスで決められなかった案件だと思いますので、それはTBTの中でパネルに持っていきやすい案件であるという意味でもあって、TBTの中でいくと、特に国内産物の優遇に関しては、パネルに上げていいという項目があって、ずっとTPP関連の中の調査をしていく中で、この部分が一番弱い部分かなと思っておりますので、そこは注意喚起と、もう一度、これは大丈夫でしょうと書いてあるのは、私も危険だと思いますので、ぜひ御一考いただければと思います。

○阿久澤部会長 どうもありがとうございました。

それでは、よろしいでしょうか。

きょうは多くの御意見をいただきました。井之上委員からは冒頭、当部会の審議の位置づけについて等を含めて、また、他の幾つかの意見の中にも、この取りまとめの内容の是非に関する意見等もございましたので、この部会の審議の位置づけについて少しお話をしたいと思います。

本日、御説明いただいた中間取りまとめは、1年近くをかけて別の有識者会議が取りまとめられたものです。その検討過程で数々の議論があり、それらを経て、結果をまとめられたものということです。

当部会には、今後の審議を通じて消費者庁が作成する食品表示基準案などの内容が、この中間取りまとめに至るまでに出されたさまざまな懸念や、きょうを含めまして、この部会の委員から出された、また、これから出されるであろう数々の懸念や疑問を十分払拭できるものとなっているのかの確認が求められていると考えております。今後、消費者庁が事業者の実行可能性を見つつ考えられる基準案や、実際の表示が消費者が十分に理解して、有効活用できるものとなっているのかを見きわめていくことが重要ではないかと考えております。実行可能性としては、消費者の誤認がない、適切な表示である必要もあろうと思います。このことから、本日は中間取りまとめについて説明をお聞きし、今後の基準案策定に向けて配慮いただきたい点などについて、本日の質疑を通じて消費者庁へお伝えすることができたのではないかと考えております。

今後、諮問される基準案の審議で、懸念が払拭されたかどうかを踏まえて、基準案に対して、意見を述べていただければよいと思っておりますが、中間取りまとめをまとめられた検討会の議論のやり直しは、当部会に求められていることではないと思っております。その点、御理解をいただければと思っております。

それでは、この議題については、本日は以上といたします。

消費者庁におかれましては、今後、食品表示基準案などを作成するに当たり、本日、委員から示された懸念などに十分配慮いただくようお願いいたします。

では、次の議題に移ります。

≪3.機能性表示食品制度の対象範囲の検討状況について≫

○阿久澤部会長 2番目は「機能性表示食品制度の対象範囲の検討状況について」です。

11月に開催された消費者庁主催の検討会に、本日、提出されている検討会報告書案が示されました。その検討会で修正意見が出され、現在も項立てなどについて一部修正中と聞いておりますが、新たに対象となる範囲に関する部分には修正が入らないと思いますので、本日は報告書案に沿って、説明をお聞きしたいと思います。

今後、本件については基準案改正が予定されていないため、当委員会が諮問を受けることはありませんが、消費者庁が今後作成されるガイドラインの参考にしていただけるよう説明をお聞きした後、質疑を行いたいと思います。

それでは、消費者庁から、ちょっと時間を超過していますが、その辺を配慮しての、また重要なところを中心に御説明をお願いできればと思います。よろしくお願いいたします。

○赤崎食品表示企画課長 それでは、お手元の資料2-1、2-2を踏まえて、できるだけ簡潔に御説明をさせていただきます。

資料2-1が報告書案でございます。この報告書を議論いただいた検討会につきましては、資料2-1の14ページに委員の一覧、15ページに検討の経緯がありますので、後でごらんになっていただければと思います。

この報告書案は、第11回、11月25日に出されたものでして、この第11回では座長一任という形になっております。基本的なところはもう合意を得られたと理解をしておりますが、細かい表現については、再度精査するところがあるということで、それが座長一任ということで、まだ、最終取りまとめには至っておりません。

内容でございます。本当に簡単に説明させていただきます。

3ページ「1 はじめに」になります。ポイントは最初の2行、3行目、4行目ですけれども、機能性表示食品制度が対象で、これは何かというと、企業等の責任で一定の科学的根拠のもとに食品の機能性を表示することができる制度ということで、昨年4月にスタートし、大体1年半たっております。ただ、積み残しの2つの検討課題というものが当時からありまして、それについて議論を行ったということです。

では、2つの検討課題はというと、14行目以下にありますけれども「残された検討課題とは」ということで、厚労大臣が定める食事摂取基準というものがあり、望ましいエネルギーなり、栄養素の量の基準を定めたものですけれども、ここで摂取基準が策定されている栄養成分について、実は今、対象外になっています。具体的に、ビタミンとかミネラルとか、糖質、糖類など、こういったものが、今、対象外になっているのをどうするのというのが1つ目。

2つ目の課題が、これで言いますと、20行目からになるのでしょうか。そこに「及び」の後に「機能性関与成分が明確でないものについても、適切な品質管理、品質保証が行われていることを条件に機能性表示を可能とすべき」と書いております。要は、この機能性関与成分というのが、健康の維持増進に作用するものなのですけれども、食品全体で見ると一定の有効性はあるが、どの成分が効いているのかは明らかではないと。わかりやすく言うと漢方薬のような、これは薬ではないのですが、漢方薬というのは全体で見ると効果はあるのですが、では、どの成分がぎりぎり効いているのかを議論していくと、個々の成分で1対1の100%の成分の効果の説明ができないものだと理解をしております。そういったようなもの、具体的には、朝鮮ニンジンのようなものをどうするのか。この2つが検討会のテーマとしてありました。

1点目の栄養成分、ビタミン、ミネラル、糖質、糖類ですけれども、これは5ページになります。まず、(2)の7行目、糖質、糖類というものが書いておりますが、基本的には、糖質、糖類、これも新たに対象にします。ただし、一部を除きます。主として栄養源(エネルギー源)となるようなもの、ブドウ糖、果糖、ガラクトース等々が除かれます。糖質、糖類の中には、キシリトールとか、オリゴ糖のように機能性のあるものもございますが、一方でブドウ糖とかでん粉は、御承知のとおり、今、肥満が問題になっておる中で、そういう面でどうかということがありまして、そういったエネルギー源になるものを除いて新たに対象に加えるというのが、今回の結論になっております。対象に加えるに当たりましては、その下にありますように、安全性とか品質管理等で一定の守っていただくことを遵守してもらう。これが前提になると。

もう一つ、ビタミン、ミネラルはというと、6ページになります。20行目に(3)ビタミン、ミネラルの取り扱いというものがありまして、これは基本的に、22行目以下にありますように、今回は、本制度の対象としないということで、これについて、ビタミン、ミネラルは今、栄養機能食品という制度があります。資料2-2を後でごらんになっていただければと思います。時間の関係で省略をしますけれども、別にビタミン、ミネラルを対象としたヘルスクレームをうたえる制度がありますので、基本的には、その中でまずは検討しましょうということで、今回、機能性表示食品には入れないということで、それを6ページの25行目以下にありますけれども、ビタミン、ミネラルの機能性の表示については、まず、栄養機能食品の制度、これは別の制度としてあります。その中で、別途検討すべきとなっております。

以上が1点目の、いわゆる栄養成分です。

2点目の機能性関与成分が明確でない食品の取り扱い、先ほど、朝鮮ニンジンのようなものと言いました。それは7ページ以下にありますけれども、そういったようなものも、エビデンスベースでサイエンティフィックな説明ができるものはこの制度に取り込むことになっております。その切り口が、7ページの18行目にあります。「エキス及び分泌物」、まず、こういう縛りをかける。具体的には植物エキスと、分泌物としてローヤルゼリーのようなもの、こういったようなものが検討会では議論がなされております。

これらを対象にしますけれども、機能性関与成分が明確でないということは、この成分が健康の維持増進に直接効果があるということが言えないということですので、その場合、どうやってサイエンティフィックな取り込みをして、商品とエビデンスの同等性を担保するのかが問題となりますが、その点につきましては、この資料で言うところの全体を通じてになりますが、基本的に、指標成分というものを、まず設定をしております。9ページの19行目に「マルイチ指標成分」と書いております。これは何かと言うと、この指標成分に着目すると、ある程度健康の維持増進という機能性の説明がつく。ただし、全体の説明はできないといったような内容になります。まずは、この指標成分に着目して、ある程度機能性を把握する。それとあわせて、10ページになりますけれども、「エキス等の規格の設定」が8行目にございます。全体のエキス等というものも、規格を定めて、それは原則として公開をするとしております。こういうアプローチで、個別にどの成分、どの物質が効いているのかどうか、これは定かではないですけれども、指標成分というものに着目すると、ある程度説明ができる。あと、エキス全体についても規格を定める。それを基本として、安全性、機能性もしっかり評価をする。品質管理も、9ページにありますけれども、崩壊性試験とか溶出試験といった従前にない試験や、GMPを講ずることによって、全体として制度の整合性を担保するということにしております。

10ページの33行目「(8)情報の開示」というものがあります。10ページから11ページにかけてですが、機能性関与成分であるエキス等全体について、規格も公開としますし、あと、11ページの2行目、3行目になります。機能性関与成分の定量確認、定性確認のための分析方法を原則として公開するとしております。この報告書はあくまでも方向性ですので、具体的にはということで、11ページの「(9)その他」というものがあります。14行目、15行目にありますけれども、別途、この報告書に即するという形になりますが、有識者等による意見を踏まえてガイドラインの作成を行う形で進めたいと思っておりますので、今のところ、この糖質、糖類の追加、あと、機能性関与成分が明確でないものの取り扱いの追加については、ガイドラインの作成ということで、内閣府令の改正によらずに対応することとしております。

あと、11ページの「5 国の関与」以下に「(1)消費者庁における体制の整備」、その下「(2)健康被害情報の収集・評価」、その次、12ページの「(3)消費者教育等」と、こういったようなものも書かせていただいております。

とりあえず、以上でございます。

○阿久澤部会長 ありがとうございました。

それでは、ただいまの御説明に対して、御質問、または御意見がございましたら、お願いします。

蒲生委員、どうぞ。

○蒲生委員 御説明ありがとうございました。

制度自体に対しての意見もありますが、今回は、この報告書に関してということですので、この件に関して申し上げます。

11ページにある、分析方法は原則公開としたことを評価いたします。表示に書かれた数値が正しいかどうかは、分析方法がわからなければ確認できませんので、分析方法の公開は重要です。どうしても非公開にせざるを得ない場合はあると思いますので、公開と非公開の間のグレーゾーンをなくして、非公開にできる場合を明確にしていただきたいと思います。

それから、「消費者庁が分析を行う際に」と書いてあります。機能性表示食品制度は、消費者庁は審査を行わず事業者の届出を受ける立場であり、届出られたものをみんなで事後監視していこうという制度だと理解しています。そうであるならば、調査分析を行う主体は消費者庁だけに限定するのではなくて、自治体等や、研究機関、場合によっては中立的なアカデミア、科学者組織も調査の主体に入れることを検討してもいいのではないでしょうか。

○阿久澤部会長 どうもありがとうございました。

コメントがございましたら、どうぞ、お願いいたします。

○赤崎食品表示企画課長 今の御指摘でございます。

今、委員がおっしゃったように、機能性表示食品制度は、事後チェックが柱の制度となっております。その意味では、事前の届出に対して、事後でいかに真正性を担保するかが大事ということで、まさに、その意味でも事後チェックの柱となる分析方法につきましては、ここでは原則公開とさせていただいております。「ただし」以下に書いておりますのは、いわゆる知的財産の関係でプロテクトされている点、こういった点は、オープンにしてしまうと、その権利を有している方の競争上の利益との関係でどうかということが出てきますので、そういう点については非公開とさせていただくとしますが、ただ、非公開となっても、消費者庁のほうではきちんとこれは分析ができないと、結局、だれも担保できない。かといって、この知財でプロテクトされているところを一般に公開してしまうと、せっかくいろいろなノウハウという形でプロテクトされているものが保護されないということもあります。そういったようなことも踏まえつつ、その下の(9)になりますが、別途有識者等による意見を踏まえてガイドラインをつくる中で今、おっしゃった点については、きちんと配慮していきたいと思っております。

○阿久澤部会長 どうもありがとうございました。

赤枝委員、どうぞ。

○赤枝委員 日本栄養士会の赤枝でございます。

評価したい点を3点ほど、要望を1点申し上げたいと思います。

1点目です。ビタミン、ミネラルについて、このたび機能性表示食品制度の対象としないことが適当とされている点について、評価したいと思います。先ほどの御説明にもありましたように、ビタミン、ミネラルについては、もう既に栄養機能食品制度において対象とされております。科学的根拠についても、信頼性の高い成分量や機能表示がされている現状がございます。また、栄養機能食品の目的は、日常的に不足しがちな特定の栄養成分の補給を目的としておりますけれども、一方では過剰摂取の問題もありますので、今後も慎重に取り扱われるべきであると考えております。

2点目です。エキス等について、単一植物を基原としたものを限定に対象とされたことを評価したいと思います。また、これまで非開示とされていた分析方法についても、原則公開とすることが適当とされておりまして、情報の開示についても評価したいと思います。

3点目です。届出された食品の事後のチェックを行うこと、そして、届出内容との確認を的確に行うための体制整備を図るということについても、評価させていただきます。このようなことを行うことによって、食品の信頼性を高めるとともに、消費者の方々にとっても安全に、そして、安心して食品を購入するためにも、非常に重要なことだと思っております。

最後に、要望でございます。ここに直接は関係ないのですけれども、機能性表示食品を初めとする特定保健用食品、そして、栄養機能食品などの保健機能食品につきましては、容器包装の表示だけでなくて、インターネット広告が、今、ふえているような現状です。規定された食品表示以外の内容を、このような広告に掲載して、本来の制度目的を逸脱しているものも多く見られています。また、一方、あたかも保健機能食品であるかのような広告を行う「いわゆる健康食品」も多く見受けられています。先ほどリテラシーというお話も出てきましたけれども、地域においても、高齢者の方々がこのような広告で誤認をされて保健機能食品ではない高い商品を購入しているという現状もございます。今後については、事業者の方々にも消費者の方々が適正に食品を選択いただけるような広告など、適正化に努めていただくことはもちろんのこと、消費者の方々にも制度を正しく理解していただくための普及啓発や適切な情報提供などの教育を積極的に行っていくことが重要かと考えております。

私ども管理栄養士・栄養士も、公衆衛生部門を初め、医療機関や学校などで制度の普及啓発や適切な情報提供などを行っておりますけれども、消費者庁におかれましても、事業者の方々への制度の丁寧な説明、そして、このような普及啓発を行うものについても、ぜひとも適切な情報提供を今後ともお願いしたいと思います。

以上です。

○阿久澤部会長 どうもありがとうございました。

宗林委員、どうぞ。

○宗林委員 読み切れていない部分があるかもしれませんが、2点ありまして、1点は確認でございます。届出されたもののエビデンスと商品との同等性担保については、指標成分として機能性関与成分が特定されないものを見ていくということでありましたが、これは指標成分という形で表示がされ、量も表示されるということでよろしいのでしょうか。それが御質問です。

2点目は、たしか届出制の機能性表示食品の事後の確認を消費者庁でなさったときに、ロット差による品質のばらつきであるとか、あるいは届出のあったものの分析方法、あるいはそういった条件だけでは分析できないものの割合はかなり高かったというような調査があったかと思います。この辺は、この品質の機能性表示関与成分でも指標成分でもそうですけれども、ばらつきといいますか、許容範囲をどのぐらいで見ていらっしゃるのか、あるいはそういうものが出た場合、どういう御指導をされるということなのか、これも質問になってしまいましたけれども、2点、よろしくお願いします。

○阿久澤部会長 では、消費者庁から、お願いいたします。

○赤崎食品表示企画課長 ただいまの宗林委員からの御発言でございます。1点目の指標成分については、情報公開されるのかどうかという点でございますけれども、まず、この機能性関与成分が明確でないものの場合は、機能性関与成分自体がエキスになります。エキス全体を、一つの機能性関与成分としてみなす。ただ、含有量の当然チェックといいますか、これは表示もすることになると思っておりますが、そのときに着目するインデックスとして、文字通り指標成分、これが幾ら入っているといったような表示に今のところなるのではないかと思っております。

2点目は、実際の機能性表示食品の品質のばらつきについて、どこまでが許容されるかどうかという問題意識ということでよろしいでしょうか。

○宗林委員 結果的にはそうですが、前、調査をされたものも公表されていますので、そういった結果を指導等どう扱っていかれるのかなというところも少し、もうされたのかどうかもわかりませんが、お聞きしたかったのです。

○赤崎食品表示企画課長 今の宗林委員の御発言でございますが、実は昨年度調査事業の一環で消費者庁のほうで、幾つか機能性表示食品、現物を買い上げ及び分析調査というものをやっております。その買い上げ、分析の結果、幾つかのものにつきましては、この必要な成分量が必要な量より足りない、もしくは過剰ということが、その時点では、データとして出ておりまして、これにつきましては、今、関係事業者に追加で報告を求めています。この点については、実は買い上げ、分析を我々はしたのですけれども、分析方法自体が、我々として考えておるのが、実は正しいのかどうかよくわからない。これは昨年度の調査事業の一つの反省というか、教訓なのですけれども、そういう問題があって、とりあえず我々のほうでこういう方法がいいのではないかという分析方法に基づいて調べたという経緯がありますので、まずはそういう分析方法、我々がとった方法がよかったのかどうかも含めて、今、事業者さんに確認しているということで、その結果が出た時点で我々の分析方法以外の分析方法だと適正な値におさまっているのであれば、それは問題がないとなりますし、やはり異常値といいますか、本来認められているレンジを超えて必要量入っていない等の問題が出てくれば、その場合は、事後のチェックの対象として対応することになると考えております。

○阿久澤部会長 今村委員が先ほど早かったかと思います。それで、制度のことに関しては済みませんが、先ほど蒲生委員もいろいろと質問等したいことがあったかと思いますが、今回はこの検討会の報告書に関することでお願いしたいと思います。

○今村委員 では、報告書の内容について、なかなか言いにくいことなのですけれども、私はこの制度はやはり危険だと思います。この中身だけではまだまだ危険なのではないかと思います。

先ほど赤枝委員から御指摘いただいた内容、私は全くそのとおりだと思うので、これだけ絞り込んでもらったことはすごく評価をするのですけれども、現時点で安全性の確認はまだまだ弱いと思います。もともと機能性表示食品制度は危ない面があって、消費者に被害が出るのではないかと言われている面があります。その中でも、このミネラルとエキスというものは特に危ないから、ペンディングになったと思うのです。ミネラルを外したというのは正解だと思いますし、エキスも植物だけに絞ったのは正解だと思います。

その上で、エキス、逆に言えば、これは認めていく制度でありまして、エキスそのものの問題点を容認していくということになります。今まで栄養機能性食品、特に健康食品と言われているものの健康被害はエキス化した、要は濃縮化したものによって起こっている健康被害が物すごくたくさんあります。これは効能を確認するということに結構ページを割かれているのですけれども、効能を濃縮するということは、副作用も濃縮するということです。効能が倍になったら副作用も倍になるかといったら、それは限らなくて、副作用が数倍になる可能性も十分にあるのです。ですから、効能を確認するということとあわせて、副作用、要は安全性の確認ということをもっともっと強くやっていかないと、これは医薬品と同じレベルの確認作業が本来は求められるものだと思うのです。特に生薬、朝鮮ニンジンのようなものでいえば、濃縮すれば、事実上、ステロイド作用というものがぼんと出てくるわけでして、ステロイドとの食べ合わせというものがたくさんあるわけです。だから、それを認めていくのであれば、その安全性確認をやっていく必要がある。

もう一つ、エキス化していくというときには、抽出という工程を経るのです。抽出工程によって、本体以外のものが変容する可能性が十分にある。それは抽出工程によって生まれる副産物を濃縮していくということでもあって、本来効能として認められるもの以外のものが、抽出工程とか濃縮工程によって、変質して毒性化していかないかどうかということを見ていかないといけないと思うのです。例えば、アクリルアミドのようなものは最たるもので、でん粉を無水分解したら絶対にできるわけですから、それは発がん性のあるものができてくるわけです。それを同じように濃縮してしまったら、濃縮してくると思うのです。エキスなども朝鮮ニンジンなどは実害のものがありますけれども、例えば大豆などでも濃縮すれば、イソフラボンを濃縮すれば、まさにステロイドですから、効能以前にステロイドそのものを飲んだことによる被害は出てくるわけです。だから、安全性の確認がもやっと定性確認とかという形で書いていますけれども、ヒト投与試験をして、本当に大丈夫かを確認していくことを初めとして、一般的に医薬品のときに行うような安全性確認をしていかないと、これは健康被害が出る可能性は私は十分にあるのではないかと危惧します。ですから、絞り込んでいったことは大変評価ができるのですが、逆に言えば、植物性のエキスを認めたことによって、これを機能性食品は届出でいいという以上は、安全性の確認をもっともっと踏み込んでやっていかないと、非常に危険だと思います。

○阿久澤部会長 どうもありがとうございました。

渡邊委員、どうぞ。

○渡邊委員 一緒に質問に答えていただけると思うので、今の関係でちょっと質問なのですけれども、植物が大丈夫で菌はだめだとした、そのあたりは私は全然よくわからないので、別に植物でも害のあるものはあるし、菌だって大丈夫なものはあるのに、何で植物だけ対象にしたのかというのは、検討会を聞いていないのでわからないのですが、質問です。

あと、栄養素のほうで、脂肪酸はどういう扱いになったのかだけお聞きしたいと思います。

以上です。

○赤崎食品表示企画課長 ただいまの今村委員と渡邊委員からの御発言に対して御回答いたします。

今村委員のおっしゃったことは、非常に我々もそのとおりだと思っておりまして、まさにそういう問題意識を持って、今からガイドラインの改正作業をやっていきたいと思います。その上で何点か御説明をさせていただきますと、エキスの安全性の評価につきましては、この資料の8ページにいろいろ書かせていただいておりますけれども、基本的な考え方としては、この食品安全委員会の評価を受けていないエキスを対象とする場合は、まず、対象製品ということで、エキスが含まれた製品、または、機能性関与成分として、エキスそのものを対象に安全性評価を受けることとしております。その意味で、もとの植物だけではだめで、それを濃縮したエキス、機能性関与成分なり、もしくはエキスが含まれた最終製品で喫食経験だけでなくて、場合によってはin vitro、in vivoと言っております、そういう試験とか臨床試験をしていただいて、安全性試験のデータを我々に出していただいた上で評価をする。そういう意味での届出制にしたいと思っておりますので、まずはその点、一つ補足をさせていただければと思います。

あとは、濃縮の過程で、例えば、アクリルアミドのようなものも結果的に濃度が濃くなってしまうという御指摘もございました。それは、やや技術的になりますが、10ページの7行目以下に、エキス等の定性確認に求められる事項という中で、9行目になるのでしょうか。抽出に関する事項というものも書かせていただいております。そこで括弧書きで幾つか頭出しをしておりますが、まさに、今村委員のおっしゃった問題意識をもって、実際にここにございます抽出に関する事項についてもきちんと専門の方々の御意見を伺いながら、ガイドラインの見直し作業を進めていきたいと思っております。その意味で、今からガイドラインの中で、繰り返しで恐縮です。今村委員のおっしゃった点も十分踏まえた上で、まずは対応していくということです。

渡邊委員からお話がありました、菌類が何で外れているのかという点でございます。これも検討会の中で当然議論にはなったのですけれども、菌の場合には、例えば、遺伝子組換え等々、何か恣意的な形で組み換えたものを使うとどうなのかとか、特定の物質を混和というのでしょうか。それを取り込む形でいろいろなこともできるやに聞いております。そういったような懸念がありましたので、菌を外すという形で議論が行われて、このような整理になったということを御紹介させていただきます。

○阿久澤部会長 ありがとうございました。

今村委員、どうぞ。

○今村委員 厳しく考えていただけるということで、まずは安心はしているのですけれども、現実に、例えば試験を実施するとなるときに、医薬品は安全性を含めて、大体1薬品100億円ぐらいかけて安全性の検査をしている。その10分の1、100分の1と考えても、1億2億というお金がかかる。それに対して、食品はそれだけ利ざやが上がるものではないので、なかなかこちらが求めてくるような安全性基準をクリアすることは、恐らく本当に安全性を確認しようと思うと難しいだろうと思います。それを普通の事業者にもできるレベルにしたら、恐らく、それは安全性の確認には余りにも弱い検査になってしまうであろうと。そこをどう整合性をとるのかは非常に難しい。それは特保の制度ができたときにもヒト投与試験を入れるときには随分問題になった部分でありますし、これは特に届出制度なので、自主的に向こうがこれぐらいでいいだろうといったことであれば、それでいいことになってしまうのです。例えば10人だけ投与して確認をするということであれば、一般的に食品であれば、何百人かに1人でも副反応が行っていけないということになるので、そのレベルの安全性の確認は非常に難しい。だから、危ない製品を通さないようにするためのガイドラインというものを考えてもらう非常に難しい作業になると思うので、そこを御検討いただきたいと思います。

○阿久澤部会長 どうぞ。

○赤崎食品表示企画課長 今の今村委員の御指摘を本当に重く受けとめまして、今からのガイドラインの改正作業をやらせていただきたいと思います。

これもちょっと補足でございます。機能性表示食品の安全性試験について、特保に準じて行うということになっているようですので、それも踏まえた上で、具体の制度設計も進めていきたいと思っております。

○阿久澤部会長 どうもありがとうございました。

○渡邊委員 脂肪酸は。

○赤崎食品表示企画課長 脂肪酸は、今回の検討会報告の中には入っておりません。ただ、今でも、例えば、n-3系脂肪酸、n-6系脂肪酸という不飽和脂肪酸でも体にいいという一部のものについて、一部のそれぞれの脂肪酸の構成成分については、例えばEPA、DHAとか、αリノレン酸とか、そういったようなものは対象になっておりますので、現状の整理として、まず御紹介をさせていただきます。

○阿久澤部会長 それでは、菅委員、どうぞ。

○菅委員 科学的な難しいことはコメントできませんけれども、ただ、先ほど宗林委員がお話に出された17件の買い上げの結果、検証調査の結果でも、科学的な根拠が不十分なものが多かったとか、機能性関与成分の含有量に問題があったり、ばらつきがあったりしたといった調査結果があって、さらにきょう、お伺いしているだけでも、安全性にも大変懸念があるようなご意見もあるということでいくと、機能性表示食品制度の不十分さとか科学的根拠に関する届出情報の不十分さがすごく顕在化してきた状況で、そもそもこの機能性関与成分が明確でない食品まで制度の対象とすること自体、消費者の利益にどれほどかなうのか、反するのではないかともともと懸念を持ってしまうわけです。今、具体的にそういう形で安全性を確保することが難しいということであれば、なおさら、事前も当然ですし、事後のチェック体制の強化が本来は先に図られてから考えてもいいようなことではないかと思いますけれども、ガイドラインを定められるという中で、少なくとも、本当に実効的な監督ができる、チェック体制が強化できるということをきちんと盛り込んでいただきたいと思います。

先ほど、分析方法の原則公開ということが、今回の件については求められるが、もし17件の買い上げの時のルールではそうでなかったというならば、若干論点はずれるかもしれませんけれども、今、拡張を検討している部分以外の、機能性表示食品全体の分析方法についても、やはり公開を求めるという形が必要かと思います。

いずれにしても、だんだん玉石混交になってきて、全てがこの食品の中に広く取り込まれてくるという話になると、何のために「いわゆる健康食品」と分けたのかがわからなくなってしまわないように、何でもかんでも広くお墨つきを与えてしまうような、届出制のもとでそういう結果が招来しないように、厳格なガイドラインをつくっていただきたいという要望をしたいと思います。

○阿久澤部会長 ありがとうございました。

どうぞ。

○赤崎食品表示企画課長 今の菅委員の御発言に対して、簡単に2点だけ補足をさせていただきます。

この機能性の検討会の場でも拡大そのものがまず、どうかという御意見もありました。この点については、今、一般に多くの「いわゆる健康食品」が売られております。その中に、個人の体験談ベースの、必ずしもエビデンスがしっかりしていないものもある中で、エビデンスがきちんとして、有効性、機能性、安全性が担保されているものは、できるだけこちらの制度に取り込んだほうが、消費者の利益にもなるのではないかと。ただ、その点は、先ほど今村委員ほか、多くの委員が言われたように、しっかりとしたルールのもとで、安心して消費者に選んでいただけるような、まさにそのフィルターを通したものをこの制度に取り込む必要があるということで、まさに、そういう観点から、今回、この報告書がまとまった後になりますが、その趣旨を踏まえて具体的なガイドラインづくりをやっていきたいと思っております。

あと、先ほど当方の説明が時間不足で舌足らずでしたが、分析方法の公開については、直接的にはこの報告書は、エキスのところで書かせていただいておりますが、それに加えて、報告書で言うと、13ページの7行目、8行目というものもございます。「また」ということで書いておりますが、「分析方法の情報の公開については、現行のガイドラインで対象となっている機能性関与成分についても、原則公開とすることが適当」、要は、既に今、適法に受けている届出案件についても、この13ページの7行目、8行目の趣旨を踏まえて、できるだけこの分析方法についても公開していくという方向性を出していただいておりますので、この考え方に沿って、具体的にどうするのかというのは、今からの関係者との検討も踏まえてになると思っておりますが、この趣旨に沿った形で対応していきたいと思っております。

○阿久澤部会長 ありがとうございました。

ほかにございませんでしょうか。

それでは、この議題につきましては、以上といたします。

消費者庁におかれましては、今後、ガイドライン等を作成するに当たりまして、本日、委員から厳しい重要な意見もいただいておりますので、ぜひそれらも含めまして、御検討くださるようお願いしたいと思います。

≪4.アレルゲン表示及び添加物表示について≫

○阿久澤部会長 では、最後の議題ですが、「アレルゲン表示及び添加物表示について」です。

この2点につきましては、消費者庁が検討会を開いて検討しているものではありませんが、食品表示法にのっとって、表示の義務化が必要と消費者庁が判断した場合には、食品表示基準に含めるために当部会の審議対象となるものです。このため、食品表示部会開催に当たり、これらに関する食品表示基準の改正予定を消費者庁に問い合わせたところ、どちらについても、当面、改正予定はないとの回答がありました。アレルゲン表示については、おおむね3年をめどに見直しが行われることとなっており、今年度がその見直しの年に当たります。2年前に食品表示法制定に伴う食品表示基準の審議を行った際、消費者庁からその旨を聞いていたため、検討の結果、見直しを行わないにしても、その状況について、何らかの公表があると思っていたのですけれども、現在までのところ、公表されておりません。

また、厚生労働省が新たに食品添加物を指定した場合の、食品表示の義務化に関する毛検討についても、現状では検討結果や消費者庁における検討方法が公表されておりません。このような情報は広く情報開示を行うべきではないかとの問題意識を持っていることから、本日、検討の過程や結果について、消費者庁に説明を要請したところです。この情報開示がないという状況に対する問題意識は、安達委員も共有くださっております。

それでは、消費者庁から15分程度になりますか。この辺も簡潔な御説明をお願いできればと思います。よろしくお願いいたします。

○赤崎食品表示企画課長 それでは、お手元の資料3に沿って、このアレルギー表示、食品添加物表示について簡潔に御説明させていただきます。

まず、アレルギー表示につきまして、資料3の1枚目に出ておりますように、今はそこでいう特定原材料が7つあり、表示義務がかかっています。その他に特定原材料に準ずるものとして、全部で20ありますが、任意表示となっております。この特定原材料と特定原材料に準ずるものの違いは、特定原材料、そこの理由のところに書いておりますように、発症数、重篤度から勘案して表示の必要性が高い。準ずるもののほうが、相当数、事例、症例はございますけれども、表示の義務づけの観点から見ると、必要性はやや低いといったようなものが該当するとなっています。

このアレルギー表示、原因となる物質をアレルゲンと言っておりますが、これについては、実は3年ごとに調査をかけております。具体的には、独立行政法人国立病院機構相模原病院にお願いして、アレルギーを専門とするお医者様、大体1,000名ばかりの御協力をいただいて、実際の症例を集めていただいております。具体的には、何らかの食物を摂取後、60分以内に症例が出て、医療機関を受診した者となっております。3年ごとの見直しの中で、この点につきましては、平成26年1月から1年間、実態調査を行いました。口頭で恐縮です。全部で4,644の症例がございましたけれども、それを分析しました結果、冒頭申した、特定原材料7、それに準ずるもの20、これの見直しが必要な事例はなかったということで、この点につきましては、独立行政法人国立病院機構相模原病院には、委託事業という形でお願いしております。その委託先の独立行政法人国立病院機構相模原病院ともいろいろな調整もさせていただいた上で、今、言ったような結論になっております。

この平成26年1月から1年間、実態調査をした中で、3年サイクルという形で報告を取りまとめておりますが、この報告書につきましては、今後何らかの形で公表する方向で考えたいと思っております。

以上がアレルゲンでございます。

もう一つ、食品添加物のほうでございます。これは具体的な表示ルールを含めて、2ページ目以下になります。まず、今の食品添加物はこの2枚目にありますように、指定添加物、既存添加物、天然香料、一般飲食物添加物を合わせて大体1,500ぐらいあります。その表示の原則は、次のページにありますけれども、原則のところにまさに書いていますが、使用した全ての食品添加物を物質名で表示をするのが基本になっています。ただ、例外として、物質名に用途名を併記するもの、一括名で表示するもの、表示免除、加工助剤、キャリーオーバー、栄養強化剤等々があるということで、加工助剤、キャリーオーバー、栄養強化剤というのは、最後のページに出ております。

その上で、きょう、この場で御説明を求められておる趣旨は、この添加物表示の義務づけに当たって、どのような形でルールメーキングをしているのか。そういうことかと思っております。そういう点につきましては、最終的にはこれは添加物によるいろいろな影響を食品安全委員会なり厚生労働省から必要に応じて情報をいただいた上で、最終的には消費者庁で判断をして、添加物表示の義務をかける、かけないを決めるということになります。仮に、添加物表示として新たに義務をかける場合は、内閣府令の改正ということになりますので、改めて、この場でまた御意見を伺うことになると思っております。

ちなみに、最近いろいろなところで表示がどうなのかと言われております添加物の例で見ますと、例えば、アドバンテームというものがあります。細かい話で御承知でない方もおられるかもしれませんが、今、アスパルテームというものについては、表示義務をかけております。これはフェニルケトン尿症という方から見ますと、アスパルテームを摂取すると、知的障害を生じさせるリスクがあるということで表示義務をかけております。最近、アドバンテームというものも表示義務をかけるべきではないかという御意見もありましたけれども、これについては、類似のネオテームというものが、既にこの消費者庁発足前、厚労省のときに、いわゆる薬食審で議論をされて、表示の義務はない。ネオテームの場合、そういう整理がなされておりますが、アドバンテームについては、厚労省の薬食審で表示の義務がないとされたネオテームよりもさらに健康リスクが低いということで、このアドバンテームについては表示義務をかけていないといったようなことで、こういう個別の話も幾つかございますが、基本的には厚労省なり食品安全委員会と適宜連絡をとらせていただいて、必要があれば、表示義務をかけるということでございます。

以上でございます。

○阿久澤部会長 どうもありがとうございました。

それでは、今の御説明に対しまして、質問などがございましたらお願いしたいと思います。

安達委員、どうぞ。

○安達委員 御説明ありがとうございました。

まず、アレルギー表示なのですけれども、これは今、お話がありましたように、3年ごとの全国調査が行われているのですが、この全国調査は、以前は厚生労働科学研究の事業として行われていたもので、厚労科研費の報告書は全部オープンになるので、どのような食品に対する症例が幾つありましたという表が全部オープンになるのです。ですが、この調査事業が消費者庁に移ってから、その結果がなかなかオープンになってこなかった経緯がございます。

もう一つ、添加物のほうも、今、アドバンテームのお話がありましたように、以前は薬食審で審議されていて、それは議事録も全部オープンになる形だったのが、検討過程が最近ではオープンにならなくなっているという経緯がございます。

検討過程であるとか、その結果をどう審査したであるとか、そういうことをオープンにしなければいけないという規定がないということは、何も情報提供しなくてもよいということではないと思うのです。これまでオープンになっていたということは、それを見ていた方がいらっしゃるわけです。例えば消費者もそうですし、食品表示の実際の監視をしている地方自治体の担当していらっしゃる方、あるいは、アレルギーの場合でしたら、患者さんであるとか臨床医の方であるとか、我々のような研究者、それから、食品メーカーさんも当然見ていたわけです。皆さん、その時点での動向が知りたかった、それで見ていたのですが、最近ではそれが見られなくなってしまっていて、私も3年ごとの全国調査の結果、過去のものを全部持っていますけれども、今、最新のものが手元になくて困っていたということもございますので、できるだけ情報提供していくという形で今後は考えていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

○阿久澤部会長 消費者庁、コメントはございましたら、どうぞ。

○赤崎食品表示企画課長 アレルゲンの3年ごと調査の件につきましては、今、安達委員がおっしゃったとおりでございます。昔厚労省の科研費でやっておって、公表したということで、消費者庁になってから委託でやるようになって、そこら辺のルールが必ずしもはっきりしていないまま今に至っておりますので、その点は、先ほどもお話をさせていただきましたが、今回取りまとまっております委託調査の結果については、何らかの形で公表する方向で、まず対応したいと思っております。

添加物につきましては、これは添加物指定そのものは、厚労省のいわゆる薬食審でやられておって、昔、消費者庁発足前にはその薬食審で表示も含めて御議論なされていたのが、平成21年に消費者庁ができてから、実質の指定は引き続き厚労省の薬食審で、表示が消費者庁に来てしまっていると承知しておりますが、この点につきましては、まず、安全性という観点から、どこまでこの表示義務をかけるのがいいのか。これが判断として出てきますので、消費者庁としましては、厚生労働省及び食品安全委員会とよく情報共有をこれまでにも増して密にさせていただいて、また必要があれば、この食品表示部会で皆様方に食品表示基準の改正案という形で御議論をいただくことにさせていただきたいと思っております。

○阿久澤部会長 ありがとうございました。

宗林委員、どうぞ。

○宗林委員 アレルギー表示のほうなのですけれども、アレルギーは多分、閾値がなく、物によってもですが、人によって非常に症状の出る方は出るのだろうと思います。

試験方法そのものは、多分、その監視分野、例えば保健所などで一定の運用ルールはあるかと思うのですが、表示のときに、自社で検査してどの程度検出されたら書くかとか、意図せぬ混入をどう防ぐのかということはあるかもしれませんけれども、第三者が表示を見たとき、あるいは第三者的に科学的に検証はできるのですが、どのレベルから混入としていくのかというルールが余りはっきりしていないような気がいたします。今、はっきりしているのでしたら、はっきりしていますと言っていただけたらいいのですが、今後もし第三者的にも違反に該当するのか否かの数値が明確になる形にできるのであれば、そうしたほうがいいかと思います。これは御要望でございます。

○阿久澤部会長 お願いします。

○赤崎食品表示企画課長 ただいまの宗林委員の御発言でございます。

おっしゃるとおり、アレルギーについては、人それぞれの固有の体質がありますので、少量でも出る方もおられれば、多少ならば大丈夫という方もおります。今、アレルギー表示のいわゆる濃度というのでしょうか。それについては、基本的に検出限界を超えていれば、もう表示義務がある。意図せざる混入はさておき、例えば、必ず小麦を入れているとわかっていれば、その量にかかわらず、基本的には表示をしてもらうことになっております。この検出限界というのは、通知で定めております。通知上は、数ppmという言い方をたしかしておるのですけれども、実際の運用上は、まさに検出限界をクリアして検知できるものは表示の義務をかけておるということで、数ppmという言い方自体も、定量的に1とか0.1とか決めてしまうと、では、その下はいいのかという議論にもなってしまいますので、繰り返しで恐縮ですが、数ppmとしておりますが、実際の運用は、もう検出限界を超えたら、我々のほうではそういうものとしてみなすということでございます。

○阿久澤部会長 どうもありがとうございます。

今村委員、どうぞ。

○今村委員 検知法をつくった一人として、検出限界ということではなくて、検出は幾らでもできるのです。まず、数ppm、10μ以下だったらまず起こらないでしょうということで、それを10μで切るのは危険だから数ppmという表現にして、現実には数ppmになるように検知キットをつくったのです。だから、数ppmで切れるような検知キットを公定法として定めて、その公定法のキットは市販されているものなので、誰でも使えるものであると。逆に、検出限界という意味では、PCRでやれば幾らでも少ないものも検知できるのですけれども、そこだとアレルギーは逆に起こらないだろうということで、科学的ではないと言われながらも数ppmということで帰着したという経緯があるので、検出限界を余り強調されると逆の意味になってしまうので、ちょっと留意されたほうがよろしいかと思います。

○阿久澤部会長 ありがとうございました。

荻原委員、どうぞ。

○荻原委員 先ほど、食品添加物の表示の件で、アスパルテーム、アドバンテーム、ネオテームという事例が出ていたのですけれども、基本的には、そういった食品添加物の安全性は、食品安全委員会で評価されていまして、その結論については全て公開されていると理解しています。そういった意味でいうと、ネオテームに限らず、アドバンテームについても、直近、その原料になっているアミノ酸の一つであるフェニルアラニンの含量といいますか、そのアドバンテームに含まれる量は一般の食品よりもはるかに低いので、このような警告表示等は必要ないという結論がないと出ていたと記憶しています。食品安全委員会の結論を受けて、その後どういう判断がされるのかというプロセスが明確になっていないという御指摘だと思いますので、その辺を明確にする中で、表示の対象にする判断基準等が今後、説明されていくことを望みます。

以上です。

○阿久澤部会長 どうもありがとうございました。

井之上委員、どうぞ。

○井之上委員 要望が2点あります。

アレルギー表示に関してですけれども、この間、日本生協連としては、何回か発言させていただいたところですが、安全性にかかわるものであるため、リスクアナリシスの観点から、安全性にかかわるものに関しては、食品安全委員会にかけていただきたい。

また、添加物に関しては、新規に定める場合においては、名称とかがかかわってくる話になりますので、簡略名であるとか、表示の仕方については、この食品表示部会にかけていただきたい。

以上です。

○阿久澤部会長 どうもありがとうございます。

よろしいでしょうか。

今村委員、どうぞ。

○今村委員 内容について、どのように検討されているのかどうかの確認を、アレルギー表示についてなのですけれども、2つあって、アレルギー表示は今回さわらないということはわかるのですけれども、幾つか、その数だけでははかり知れないものがあるかなと思っていまして、例えば魚というものを今、サバとサケで分かれていますけれども、魚群というものでくくると、これはかなり数が多くなるとか、フルーツという群でくくると数が多くなるという問題があって、どうくくるかによって、表示義務の今まで基準としていたものの数を超えるかどうかということが変わってくる。それを今、細かい区分でやっているということを維持するのかしないのかということを毎回議論していたと思うのです。エビ、カニの場合は、エビ、カニを合わせると超えるという話があって、エビ、カニが入ってきたという経緯もあると思いますし、くくりということについてどういう御検討をされているのかということ。

もう一つ、今回、任意表示の中で、イクラとかマツタケとかが入っていて、これはどちらかというと、調査の段階で、珍しいものを食べたために、実際の発症率にかかわらず注意喚起として入ってしまっているという経緯があると思います。これをいつか外すべきではないかという議論もあったと思うので、数を確認していく中で、これが減っていくようだったら、外していくべきではないかという議論もあったと思うので、その辺のところの検討状況を教えていただければと思います。

○阿久澤部会長 お願いします。

○赤崎食品表示企画課長 ただいまの御指摘でございます。

魚介類を例示とされて、どういうくくり方にしておるのかという話がございましたけれども、今も、これも先ほど今村委員のお話にありましたように、エビ、カニとか、サケというのも単品、それだけで対象となっております。実際の今の調査では、イクラとかサバとかサザエとか、そういったような個別の食品ごとに分けた上で、一応アレルギー表示にするのかどうかを御議論いただいているのが実態でございます。

2点目は、例えば特定原材料に準ずるもので、今、入っているものでも、将来的に減らすようなことがあるのかないのかということかと思っております。まさにこの点については、今回、ゼラチンがどうなのかという問題提起もあって、そういう観点からも、実は内々の検討はいたしました。ただ、結果としてアレルギーの発症例を見ると、ゼロにはなっておらず、まだ幾つか発症されているという例がございましたので、その点を考えると、一度、例えば、特定原材料に準ずるという形で規定しておきながら外した結果、万が一、アレルギーの症状が出た場合にどうするのだろうという判断もありまして、そこのところをどれぐらいの発生率ならばいいのかという議論になるのかもしれませんが、今回のところは、まずは現行の特定原材料に準ずるものの20については、まだそのままにしておいたほうがいいのではないかということで、結果的に削除はなかったというのが事実としての経緯でございます。

○阿久澤部会長 ありがとうございました。

よろしいでしょうか。

ほかにないようですので、この議論については、以上といたします。

消費者庁におかれましては、これらの検討結果については、食品表示基準が改定されないときも、きょうのように意見を聴取して、また広く国民に情報提供をお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。

本日の議事は以上です。連絡事項等ございましたら事務局からお願いいたします。

≪5.閉会≫

○丸山参事官 本日も長時間にわたりまして、御議論をどうもありがとうございました。

次回の会議の日程につきましては、改めて御連絡いたします。

○阿久澤部会長 それでは、本日はこれにて閉会とさせていただきます。お忙しいところお集まりいただきまして、ありがとうございました。

(以上)