第37回 食品表示部会 議事録

日時

2016年6月29日(水)9:59から11:47

場所

消費者委員会会議室

出席者

【委員】
阿久澤部会長、樋口部会長代理、赤枝委員、池戸委員、井之上委員、今村委員、受田委員、荻原委員、蒲生委員、川口委員、岸委員、澤木委員、菅委員、宗林委員、宮崎委員、渡邊委員
【説明者】
消費者庁 赤崎食品表示企画課長
【事務局】
黒木事務局長、福島審議官、丸山参事官

議事次第

  1. 開会
  2. 食品表示部会委員紹介
  3. 食品表示部会設置・運営規程の説明
  4. 消費者庁における食品表示に係る検討状況について
  5. 閉会

配布資料 (資料は全てPDF形式となります。)

≪1.開会≫

○丸山参事官 それでは、定刻となりましたので、会議のほう始めさせていただきたいと思います。

本日は皆様、お忙しいところお集まりいただき、ありがとうございます。ただいまから「消費者委員会食品表示部会」第37回会合を開催いたします。

議事に入ります前に、消費者委員会事務局長の黒木より御挨拶申し上げます。

○黒木事務局長 このたびはお忙しい中、委員の皆様、消費者委員会の食品表示部会委員をお引き受けいただき、ありがとうございます。

後ほど改めて御説明をさせていただきますけれども、この部会におきましては食品表示基準の改正が行われる際に内閣総理大臣より諮問を受け、その内容に関し御議論いただくことが主な所掌となっております。食品表示といいますのは、消費者あるいは事業者もそれぞれ大きな関心を持っておられる分野でございます。御審議におきましていろいろな角度から御議論いただき、また、御意見を賜って、よりよい食品表示となっていくようにお願いしたいと思います。

皆様が十分に御知見を発揮していただけますよう、委員会事務局といたしましてもしっかりお支えしてまいりたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。

○丸山参事官 それでは、議事を続けさせていただきます。

本日が第4次消費者委員会発足後、初めての食品表示部会でございます。参考資料3といたしまして、本部会の委員名簿をおつけしております。よろしければ御確認ください。

本日は安達委員、松嵜委員が所用により御欠席ですが、過半数に達しており、定足数を満たしておることを御報告いたします。

本部会の部会長ですが、第203回消費者委員会におきまして、阿久澤良造委員が河上委員長から指名されております。よろしくお願いします。

議事に入ります前に、配付資料の確認をさせていただきます。ただいまお配りさせていただいております資料につきましては、議事次第の下部に一覧を記載しております。

資料1、参考資料1から3となっております。不足の資料がございましたら事務局までお申し出いただければと思います。

本日も多くの傍聴の方がお越しいただいておりますので、御発言の際は恐縮ですけれども、マイクのほうに近づけて御発言をいただきますようよろしくお願いいたします。

それでは、阿久澤部会長、以後の議事進行をよろしくお願いします。

≪2.食品表示部会委員紹介≫

○阿久澤部会長 皆さん、おはようございます。消費者委員会委員の阿久澤でございます。消費者委員会の河上委員長より指名を受けまして、第3次に引き続きまして食品表示部会の部会長を務めることになりましたので、どうぞよろしくお願いいたします。

部会長代理につきましては、消費者委員会によりまして部会長が指名することになっております。第4次の部会長代理につきましては、消費者委員会委員の樋口一清委員にお願いしたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

それでは、委員の皆様に自己紹介をお願いしたいと思います。まず樋口部会長代理からお願いして、その後は五十音順でお願いしたいと思います。

○樋口部会長代理 法政大学の樋口でございます。

昨年9月から消費者委員会に所属をしております。どうぞよろしくお願いいたします。

○赤枝委員 公益社団法人日本栄養士会の理事をしております、赤枝いつみと申します。どうぞよろしくお願いいたします。

本務では県の保健福祉事務所に勤務しておりまして、日ごろ食品表示の指導等を行っているところでございます。どうぞよろしくお願いいたします。

○池戸委員 池戸と申します。よろしくお願いします。

私はこれまで食品表示の一元化検討会とか、前回のこの部会の委員を務めさせていただいております。これまでの経験も生かした形でぜひこの委員会で審議に加わらせていただきたいと思います。よろしくお願いします。

○井之上委員 日本生協連の井之上と申します。どうぞよろしくお願いいたします。

日本生協連は全国各地の生協が加入する連合会として、現在330の生協が加入しています。その会員生協に加入する組合員、消費者を足し合わせると、今約2,800万人の組合員が加入しています。いわゆる日本最大の消費者組織とも言えるのかなと思います。

一方、事業として今、約4,000のコープ商品を取り扱いしています。この消費者組織及び事業者の両方の視点から、食品表示にかかわる意見をしていきたいと思います。ぜひともよろしくお願いします。

○今村委員 奈良医大の今村でございます。私は公衆衛生を担当しておりまして、表示の関係で申しますと長いこと食品衛生法の関係の仕事をしておりまして、アレルギー表示や遺伝子組換え表示、特保などが導入されたときにかなり深く関与させていただいておりました。今は食品防御などの研究を食品関係では主にさせていただいております。よろしくお願いいたします。

○受田委員 高知大学で地域連携担当の副学長をしております受田と申します。

地域にかかわって12年ぐらいこの副学長を務めておりますけれども、専門はもともと食品科学とか食品分析学あるいは食品機能学で、食品産業の皆様とは広くおつき合いをさせていただいております。最近はまち・ひと・しごと創生本部のかかわりが多くて、この建物はよく石破大臣の政府の委員会等でちょくちょくお邪魔をしております。地域という立場も含めて貢献できればと思っております。よろしくお願いいたします。

○荻原委員 消費者関連専門家会議(ACAP)会員の荻原と申します。よろしくお願いいたします。

ACAPと申しますのは、お客様対応窓口に従事する会員によって構成される事業団体でして、消費者、企業、行政との相互理解、関係構築の向上を目指した活動を行っております。私自身は長年、製品の安全性、有用性あるいはコンプライアンスにかかわる仕事をやっておりまして、特に表示関係では遺伝子組換えですとか添加物、健康強調表示等の国際比較という観点で関心を持っております。今回初めてということで非常に緊張しておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。

○蒲生委員 公益社団法人日本消費生活アドバイザーコンサルタント相談員協会の蒲生と申します。よろしくお願いいたします。

私は日ごろ食品安全のリスクコミュニケーションに関心を持って活動をしている者なのですけれども、リスコミの場では情報を正しく適切に伝えることが重要になってきます。食品表示は情報を伝えるとても大切な手段ですので、このような場に参画できることを、非常に光栄に思っております。ただ、食品表示もそうですが、どのツールにも強み、また、限界があります。大事なのは情報を正しく適切に伝えることです。そのために食品表示で何ができるのか。そのようなスタンスで食品表示の議論にかかわっていきたいと思っております。どうぞよろしくお願いいたします。

○川口委員 日本ヒーブ協議会の副代表理事をしております川口徳子と申します。

日本ヒーブ協議会は、消費者対応、商品開発、マーケティング、広報、CSRなど消費者関連部門に勤務する女性が、企業人としてのスタンスと生活者としてのスタンスを両立させて、双眼を持って企業活動を考えております。また、私自身は食品メーカーで、工場での商品開発を1年、商品開発のブランドマネージャーを16年行った後、2004年から12年はCS(顧客満足)向上活動を行っております。お客様の声を商品の改善や開発に活かす業務や、お客様視点でのパッケージチェック、ホームページでの原料原産地を始めとした情報発信などもしております。

表示を作成・チェックをしている企業の立場と、生活者の両方の立場から意見を述べさせてもらえたらと思っております。どうぞよろしくお願いいたします。

○岸委員 日本チェーンストア協会を代表して来ております岸と申します。イオン株式会社で品質管理を統括しております。

小売として表示を行うメーカー、サプライヤーとお客様の間に挟まる立場として、よりよいではないですけれども、全体として最適な表示のあり方はどうかといったことで、発言させていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

○澤木委員 公益社団法人全国消費生活相談員協会 食の研究会代表の澤木と申します。

私の団体は、全国の自治体の消費生活相談窓口で相談業務を担っている消費生活相談員で構成されている団体です。実際には2007年に適格消費者団体の認定も受けております。全国で7支部ありまして、会員は約2,000名おります。私も実際に消費生活センターで現在相談を受けておりまして、消費者の生の声を聞いておりますので、私としては消費者目線での発言をしていきたいと思っております。よろしくお願いいたします。

○菅委員 大阪から来ました弁護士の菅と申します。よろしくお願いいたします。

日弁連では消費者問題対策委員会の委員として、PL・公益通報部会、食品安全部会に所属して活動しております。弁護士登録以来、消費者被害救済という観点からPL事件や製品等の安全問題について専門的に取り組んでおりまして、食品との関係で言いますと雪印の低脂肪乳食中毒事件とか、中国産ダイエット用健康食品の被害事件などの被害救済にかかわってまいりました。これらの事件やBSEの問題や放射性物質の問題などをきっかけに、安全と選択との両方にかかわる表示の問題についても関心を持つようになりまして、最近では、医薬部外品たる薬用せっけんの使用による小麦アレルギー被害の事件の訴訟に携わっていく中で、命にかかわるアレルギー表示の重要性についても改めて考えさせられているところです。

知識も経験も豊富な皆さん方の中で自分自身のキャリアとしては心もとないことですけれども、一消費者として知り過ぎていないからこそ出せる素朴な疑問や意見もあるだろうと思っておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。

○宗林委員 国民生活センターの宗林と申します。

私は食品の関係で表示であったり、特保であったり、安全性であったりというような検討会などにこれまで長年かかわってまいりました。また、機能性という観点からは個人的にはセルフメディケーションということにも大変関心があり、今、処方箋薬をOTC化するスイッチということについても厚労省の検討会に参加しております。また、国民生活センターというところは相談とかADRあるいはテストというような業務を持っておりまして、その中でさまざま消費者の皆様に起こるいろいろな被害であったり問題に対して事業者への交渉をしたりとか、あっせん解決をしているという組織でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

○宮崎委員 全国保健所長会からまいりました福岡県の宮崎でございます。

今回初めて委員として参加しておりますし、国の委員会ということで本当に大変緊張しております。日ごろから議事録に後で済みませんというようなことが多いものですので、その意味でも二重に緊張しておりますので、しゃべる前にいろいろ考えてから発言していこうと思っておりますので、よろしくお願いいたします。

○渡邊委員 食品産業センターの渡邊です。

私は現在、日本ミネラルウォーター協会の事務局長とかもやっておりまして、長年食品メーカーの品質保証業務あるいは表示とか、そのような仕事をやっていましたので、そういう観点から発言させていただきたいと思っております。よろしくお願いします。

○阿久澤部会長 どうもありがとうございました。

最後になって申しわけありません。私は先ほど事務局より消費者委員会委員長より指名された旨のご報告がございましたが、あらためまして委員会委員の阿久澤です。本務は日本獣医生命科学大学で、この3月に定年退職いたしましたが、現在も特任ということで今までどおり食品科学、そして畜産物利用学を専門に、若干緩やかに勤めをしております。

本部会の議事進行につきましては難しいところもありますので、ぜひ皆様の御協力をよろしくお願いしたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

≪3.食品表示部会設置・運営規程の説明≫

○阿久澤部会長 続いて、本日は第4次となって初めての食品表示部会ですので、当部会の運営規程につきまして簡単に事務局から説明いただきたいと思います。

○丸山参事官 お手元の参考資料1で「食品表示部会設置・運営規程」というものがあるかと思います。こちらはポイントだけ、3点ほど御説明させていただきます。

まず第3条のところをごらんください。本部会についての所掌についてです。

第1号ですけれども、食品衛生法に基づき内閣総理大臣が販売の用に供する容器包装等の表示の基準を定めようとするときに、意見を述べること。

第2号といたしまして、内閣総理大臣が食品表示法第4条において規定する食品に関する表示の基準を定めようとするときに意見を述べること。

第3号といたしまして、その他食品の表示に関することとなっております。

次のページ、2点目でございますけれども、第6条をごらんいただければと思います。審議の公開についてです。こちら第2号ですけれども、部会は会議を公開することにより当事者もしくは第三者の権利または公共の利益を害するおそれがある場合、その他の部会長が非公開とすることを必要と認めた場合を除き、公開するとなっております。原則公開ということです。非公開とすべき事由が終了したときには公開するものとするとなっております。

また、第3号ですけれども、前項の規定により部会長が会議を非公開とすることを認めた場合は、部会はその理由を公表するとなっております。

1つ飛ばしまして第5号ですけれども、第2項の規定によりまして部会長が会議を非公開とすることを必要と認めた場合は、議事要旨を速やかに作成し公表するものとするとなっております。こちら非公開の部分についても議事要旨を作成となっているということです。

最後でございますけれども、その下、第7条の部会の議決をごらんになっていただければと思います。部会の議決につきましては委員長、これは消費者委員会委員長でございます。委員長の同意を得て消費者委員会の議決とすることができるとなっております。すなわち、部会の議決につきましては委員長の同意を得た上でということですけれども、委員会の議決とすることができることになっているということです。

以上でございます。

○阿久澤部会長 どうもありがとうございました。

なお、消費者委員会ではただいま説明のあった運営規程のほかに、参考資料2のとおり下部組織の会議運営のあり方に関する申し合わせがされております。本日は時間の関係もありますので、こちらの内容は御紹介しませんが、この申し合わせも参考にして審議を進めていきたいと思いますので、御協力のほどよろしくお願いしたいと思います。

≪4.消費者庁における食品表示に係る検討状況について≫

○阿久澤部会長 それでは、本日の議題に入ります。本日は今後食品表示基準の改定という形で本部会が議論を行う可能性のある事項につきまして、消費者庁から現在の検討状況を御説明いただきます。本日は消費者庁の赤崎食品表示企画課長にお越しいただいておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。

それでは、大変恐縮ですが、30分程度で御説明いただけたらと思います。よろしくお願いします。

○赤崎食品表示企画課長 ただいま紹介のありました、消費者庁で食品表示企画課長をしております赤崎といいます。

お手元の資料1に即して、食品表示に係る今の消費者庁の検討状況について御説明させていただきます。なお、個別の検討状況に先立って、今の食品表示制度の概要や、その制度が今に至る簡単な経緯もこの資料の中に入れておりますので、御説明をさせていただきます。

まず1ページでございます。食品表示の一元化です。左下の図にありますように、平成25年までは食品衛生法、JAS法、健康増進法、この3つの法律に基づいてそれぞれ表示事項が定められていました。右にございますように、この3つの法律の表示にかかわる規定を1つにした食品表示法が平成25年にできまして、今はこれに基づいて具体的な表示ルールが定められております。

左下の図のように食品衛生法由来だと食品添加物、アレルギーといったものが定められ、一般品質を定めるJAS法由来だと原材料名、内容量、原産地などが定められ、真ん中の部分につきましては食品衛生法、JAS法の両方に由来していました。また、下のピンクの色の部分の健康増進法につきましてはいわゆる栄養表示、カロリーやたんぱく質、脂質、炭水化物の量を定めるとなっていましたが、現在は法律が一本化されています。この食品表示法につきましては、右下にあるとおり平成27年4月に施行されております。

2ページ、食品表示法の概要でございます。目的のところに書いておりますけれども、旧3法、食品衛生法だと衛生上の危害発生防止、JAS法は品質に関する適正な表示、健康増進法は国民の健康の増進、それぞれが法目的でした。新しくできた食品表示法につきましては、食品を摂取する際の安全性、加えて一般消費者の自主的かつ合理的な食品選択の機会の確保、これが目的として位置づけられております。

ただ、この食品表示法自体は枠組み法です。事業者が実際に守るべき表示ルールは、その下の第4条の食品表示基準として別途内閣総理大臣が定めます。これは内閣府令という位置づけになっております。具体的にはそこにございますマル1名称、アレルゲン、保存の方法等々、こういったようなものを必ず表示すべきということと、マル2にございます遵守すべき事項ということで、例えば文字の大きさ、わかりやすい場所に表示を書くべきといったルールがそれぞれ定められております。

この下にございますけれども、食品表示基準の策定・変更に当たりましては、消費者委員会の意見聴取という形で御意見を伺うことが法律上義務づけられております。この食品表示基準につきましては、その下、5条で食品関連事業者等は、これに従って食品の表示をする義務が定められております。実際に実効性を確保する観点から、法律の6条、7条で行政庁が事業者に対して必要な指示なり命令を出せる、あわせて8条から10条にあります立入検査等を行えるとなっております。

右側に行きまして罰則というものがございます。命令違反等があった場合には罰則で担保されるという形になっております。

その次、3ページでございます。この新しい食品表示制度の施行に関するタイムスケジュールということで、一番上の食品表示法につきましては、平成25年に公布され、昨年4月1日に施行されております。その下の法規範になります食品表示法の施行令及び内閣府令である表示基準、そこにございますけれども、表示基準につきましては、まず行政庁が表示基準案をつくりまして、パブリックコメントという形で一般国民から意見を伺いました後、その右側にございます消費者委員会への諮問・答申というプロセスを経ております。消費者委員会への諮問・答申につきましては、おおむね平成26年の9月から12月になされております。その後、平成27年3月に公布をし、4月1日、法律の施行とあわせて表示基準も施行されております。ただ、この表示基準につきましては経過措置が設けられております。その右にございますが、加工食品等については5年間、生鮮食品については1年6カ月が経過措置期間となっております。したがって、今は旧来の食品表示ルールと新しい食品表示法に基づくルールの2つが施行されているという形になっております。

下にその他という欄がありますが、要は今後の検討課題ということで、そこにございますインターネット販売、加工食品の原料原産地表示等々につきましては、順次実態を踏まえた検討を行うとなっており、今、幾つかのものについては検討中ということで、後ほど御説明をさせていただきます。

4ページ、表示すべき主な事項でございます。現行の表示ルールがどうなっているかですが、大別すると生鮮食品と加工食品でルールが違うという形になっています。生鮮食品につきましては名称と原産地を書く。これが基本です。イラストがございますが、石狩湾の秋さけ、カナダ産の紅鮭、こういったものを書くというのがルールになっております。

加工食品につきましてはもう少し複雑なルールとなっています。名称、保存方法、消費期限または賞味期限、原材料名等々、こういったようなものを書く。加えて一部の食品にはアレルゲン、これはアレルギー原因物質のことでございます、あと遺伝子組換え、原料原産地名、原産国名を表示という形になっております。

その次、5ページでございます。積み残された課題への対応ということで、昨年3月に消費者基本計画を閣議決定しております。この中でアンダーラインを引いておりますけれども、インターネット販売における食品表示、加工食品の原料原産地表示等々について、順次実態を踏まえた検討を行うとされております。加えて機能性表示食品制度は昨年4月に新しくスタートした制度ですが、残された検討課題というものがあります。それについては昨年4月の施行後、速やかに検討に着手するといったことが政府の方針として定められております。

6ページから各論になります。まずは加工食品の原料原産地表示制度の見直しでございます。これにつきましては今、政府のほうで有識者検討会を別途設けまして検討しております。検討項目につきましては左にございます、まず今の制度の検証。加えて原料原産地表示の拡大に向けた具体的な方策ということで、検討項目として整理がされております。これは今年の秋を目途に中間的な取りまとめを行うとなっております。

構成員につきまして、右側に書いております。全体で17名おります。一番上にお名前が出ておりますけれども、池戸委員が検討会の座長代理という形で御議論に加わっていただいております。座長は一番下にございますお茶の水女子大学大学院の森光先生でございます。

この検討会のスケジュールが7ページでございます。第1回は1月29日でした。これまで5回検討会を開催しております。これまでは過去の検討における論点、課題、あといろいろな外部の方々もお呼びしたヒアリングを行っています。また政府でもいろいろな関連の調査をしておりますので、その御報告をするとともに、これまでの検討会の中で委員の皆様からいただいた意見の取りまとめを行っております。

第6回以降につきましては、取りまとめに向けた議論を今のところ予定しており、今年秋を目途に中間的な取りまとめを行うとなっております。

8ページは過去の検討における論点、課題です。この原料原産地表示の義務づけにつきましては、平成13年に制度がスタートしており、現在までいろいろな形でこれまでも有識者検討会を立ち上げて検討がなされております。過去のそういう検討の場で主に取り上げられた論点、課題というものをここで整理して、今開催中の検討会の第2回に資料として出したという経緯がございます。

5つ論点がございます。1つは目的でございます。これにつきましての消費者への正確な情報提供という形で基本的には整理がされております。論点2で国際整合性、論点3での表示対象品目。これは後ほど御説明しますが、加工食品のうち一部についてのみ、今は原料原産地表示の義務づけがなされておりますので、義務づけがなされていないものをどうするかというのが背景にございます。論点4で任意表示。論点5で特に食品事業者の皆様からいただいている御意見ですが、実行可能性といったものがこれまでも課題となっており、今の検討会でも大きなテーマとなっておるということでございます。

9ページ以降は関連の政府のいろいろな取りまとめ、決定でございます。昨年3月31日に食料・農業・農村基本計画、これは閣議決定をしておりますが、アンダーラインを引いておりますけれども、実行可能性を確保しつつ拡大に向けて検討。こういう形で政府の中で整理がなされております。

10ページは、昨年11月に取りまとめられたTPP関連政策大綱でございます。これにつきましても先ほど御説明しました食料・農業・農村基本計画と同様に実行可能性を確保しつつ、拡大に向けた検討という形になっております。

11ページ、これは今年6月に閣議決定をしたものでございます。左の日本再興戦略は、いわゆる成長戦略。右側の経済財政運営と改革の基本方針につきましては、いわゆる骨太方針と言われるものですが、例えば日本再興戦略のところにございますように、原料原産地表示について全ての加工食品への導入に向け、実行可能な方策について検討を進めるという整理がなされています。

12ページは、原料原産地表示について、具体的に今どのようなルールがあるのかというのを整理したものです。まず左にございます生鮮食品については、これ自体はこの形で消費者が摂取するもので、名称、原産地のみを記載するのがまず基本的な義務づけルールとなっております。右側の加工食品につきましては、単品で摂取するのではなくて、例えば複数の原材料を仕立てて1つの加工食品にするという意味では、左の生鮮食品とやや異なるものになりますが、完成品を輸入する場合は右にございますように原産国名を書くとなっています。たまたまここにぎょうざというものがありますけれども、これはぎょうざが完成品になった国ということで、そのぎょうざの原材料がどこで採れたのかというのはここでは出ておりません。一方、国内で製造した場合は、一部のものについては原料についてどこの原産国かを書くというのが今のルールということでございます。

その次13ページは、原料原産地表示対象品目拡大の推移でございます。この制度は平成13年に義務づけという形でスタートしております。当初はらっきょう、梅干しから始まったものですが、平成15年まで8品目に順次増やしていったということです。その後、さらに拡大するに当たっては個別に対象にするしないを決めるというやり方だと、恣意的でわかりづらいという御意見が当時あったということで、その後の拡大に当たっては一定の基準、考え方が必要だということで、それに伴って下にございます義務対象品目の選定要件というものが定められております。いわゆる2要件と言われるものです。1つは原産地に由来する原料の品質の差異が、最終製品である加工食品としての品質に大きく反映されると一般に認識されている品目ということです。要は原料の品質については最終製品の品質にリンクをする。その意味では情報開示が必要ということでございます。

あと、製品の原材料のうち単一の農畜水産物の重量の割合が50%以上である商品ということです。要は加工食品の顔となるような原材料については表示が必要ということで、この2要件の考え方に基づいて順次拡大をしてきて、今、22食品群が表示義務付の対象となっています。

その下に、引き続き個別に義務づけということで4つの品目がございます。これにつきましては今、言いました2要件を設定したときに、その中で取り込めなかったものでございます。例えば農産物漬物は単品の野菜だけというよりも、複数の野菜をまとめて1つの漬物にするといったようなもので、そうしますと単品で50%以上というルールにはなかなか当てはまらない。そういったものにつきましては引き続き4品目で残しておりますが、それ以外は2要件に基づいて今22食品群というものが定められておる。ただ、この22食品群と4品目につきましては、全体の加工食品の中から見ると全てではないということでございます。

14ページは、過去の検討会でこの制度が議論された推移でございます。時間の関係で詳細は省略をさせていただきますけれども、いろいろこの検討がなされているということなのですが、1点だけ、平成23年7月に消費者委員会でも調査会を設けまして、御議論をされておられます。このときの調査会につきまして阿久澤座長が調査会長として御検討に御参画されておられると伺っております。いろいろ過去の経緯があるということでございます。

15ページは、原料原産地表示を行う際の課題と表示方法ということで、下にございます平成21年当時の有識者検討会に出された資料をもとに作成したものです。要は今の原料原産地表示につきましては、国名を記載するというのが基本になっています。国名を記載するとなると、都度都度多くの国から、例えば価格状況に応じて調達先を変える場合、それをきちんと把握して表示するのが難しいなどの御意見、これは実行可能性という観点から事業者の側からいろいろ問題提起をされておりました。それに対する1つの対応方針ということで、これまで議論をされているやり方でございますけれども、一番上の可能性表示は、可能性がある国を全部並列列挙するというやり方です。A国産、B国産、C国産それぞれある場合、全て「又は」でつなぐ。この中のどれかには入る。でもAかBかCか、それはちょっとわからないというやり方です。

その下の大くくり表示というのは、可能性表示だと分量が増えてしまいますので、複数の外国から輸入している場合は外国産とか輸入産と書くといった考え方でございます。その下のマル3、加工地表示につきましては、原料原産地表示のわからない輸入中間加工品、要は海外でできた加工食品を日本に持ってきて、さらに別の加工食品の原料にするといったような場合、そもそももとまでたどりづらいといったようなものに対応して、加工地を表示するという考え方です。

16ページ以下は、今やっております加工食品の原料原産地表示制度に関する検討会の第5回が6月13日に開かれましたが、その場に、これまで委員の皆様からいろいろな形でいただいた御意見等を事項ごとにまとめて提出した資料です。

ポイントだけ御説明をさせていただきますと、まず意義につきましては上の2つにありますように、原料原産地表示は消費者の選択のための制度。消費者の知る権利の保障の観点から検討すべき。あとはその1つ下にございます、そういう観点から表示を拡大して情報開示すべき。まずはこういう御意見がございました。

一方で一番下の2つにございますように、原料原産地情報を正確にトレースし、把握するという過程でコストが増えるのではないか。あと、余り情報量が多いと、それはそれでまた消費者の側から見てもわかりづらいという不利益も起こるのではないか。そういったことについて考慮が必要という御意見なり、あとはやはり安さが大事だという方々もおり、そういう方々への配慮も必要ではないかという御意見もありました。

17ページは、上から3つ目につきましては特に生産者の側からの御要望ですが、自分のつくった農畜水産物がどういう形で、誰がつくったのかがわかると、つくるモチベーションの上昇につながるという御意見。一方、事業者の側からは下から4つ目になりますが、過剰な規制となって国内産業の空洞化、企業活動の委縮、停滞、回りまわって国産の農畜水産物の販路縮小を招くようなことにならないようにすべき。このような御意見も出ています。

18ページは表示の方法ということで、1つ目の○のように、原料の原産国の頻繁な切替えがある場合、国別表示の場合はいろいろな課題があり、それをクリアすることが必要という御意見も出されています。

19ページ以下は表示の方法の続きになります。新たな表示方法、先ほど御説明した可能性表示、大くくり表示、中間加工地表示に関してでございます。上から2つ目の○にございますように、例えば大くくり表示については技術的に難しいものであるかもしれないが、実行可能性の確保につながる期待が持てる。こういう御意見もあります。他方で下から4つ目の○にありますように、特定の国を知りたいというニーズには大くくり表示は、答えられず本当に消費者の知りたい情報か疑問という御意見もありました。

20ページは対象品目になります。一番上の○にございますように、基本的に全品目を対象に検討すべきという御意見もあります。他方で下から3つ目の○になりますが、品質要件を含め、現行の2要件の基本的考え方を維持した上で消費者の要望、実行可能性を考慮して拡大を検討すべき。全てではなく、拡大を検討すべき。このような御意見もありました。

その他につきまして関連のいろいろな御意見もあるということで、これは時間の関係で省略をさせていただきます。

以上のような形で、これまで検討がなされております。次回以降につきましては、取りまとめに向けた議論を行っていきたいと考えております。

22ページ以下は、また別の制度である機能性表示食品制度の関係でございます。これにつきましても先ほど積み残しの検討課題があり、制度施行後速やかに検討と御説明しましたが、その関係で検討会を設けております。

検討項目につきましては大きく2つございます。栄養成分の取扱いということで、今は(1)にございますビタミン、ミネラルといったものが制度の対象に入っていない。これをどうするかという問題と、(2)は機能性関与成分が明確でない食品の取扱いということです。要は機能性ということで健康の維持増進、これをヘルスクレームという形で訴求するためには、健康の維持増進のもとになっている成分が定性的、定量的にきちんと明らかになっていないといけない。これが今の考え方でございますが、物によっては個別の成分ベースで定性化、定量化ができないのですけれども、パッケージで見ますと一定の効果が認められるものもあるのではないか。そのようなものの扱いをどうするかという問題意識でございます。

これにつきましても、今年秋を目途に検討会としての報告書の取りまとめを行うということで、今のところ構成員につきましてはここにございます17名の方にお願いをしております。澤木委員にもこの機能性の検討会の委員として御参加をいただいております。

スケジュールは23ページのとおりです。立ち上げは今年1月です。第4回以降、2段書きになっておりますのは、先ほど言いました2つのテーマそれぞれ1回おきに議論を深めているという形になっておりまして、今のところは第5回まで検討が進んでおります。明日第6回ということで左にございますが、栄養成分の取り扱い<2>ということでビタミン、ミネラル等について検討会委員の皆様に御議論いただくことになっております。今年秋を目途に報告書の取りまとめとなっております。

24ページにつきましては食品表示基準、内閣府令で現在の機能性表示食品制度がどうなっているかが書かれておりまして、その関連の規定の抜粋でございます。まず食品表示基準2条1項10号で機能性表示食品の定義が置かれています。アンダーラインを引いていますけれども、機能性関与成分によって健康の維持増進に資すると書いておりますので、まさに機能性関与成分が明確でないと、今の規定では対象になっているとは読めないのではないかということで、表示事項につきましても科学的根拠を有する機能性関与成分という形で、これが表示事項となっています。

あと、別途この食品表示基準の別表第9の第一欄に掲げる栄養成分の機能を示す用語、これは一番下にございますが、表示禁止となっています。この中にビタミンなりミネラルが今、入っておる。こういう内閣府令上のたてつけになっております。

その次、25ページでございます。やや繰り返しになりますが、昨年3月決定の消費者基本計画で今、言いました2点、これは残された検討課題ということで、施行後、速やかに検討に着手。これがまさに政府の方針として決まっている。残された検討課題というのは、実はこの制度の立ち上げ前にも別途消費者庁で有識者検討会を設けまして御議論いただいて、報告書を取りまとめていただいておりますが、その中で今後検討といったものが書かれており、これが残された検討課題と当方では考えているということでございます。

26ページは、いわゆる食品の機能性表示制度の全体像でございます。まず機能性表示食品です。食品ですから医薬品、薬ではない。これがまず大原則になります。この食品の中でいわゆる健康食品という定義はございません。その中で一定の国のほうで制度的な担保を設けているものが3つあるということで、上は特定保健用食品とありますが、いわゆる特保でございます。左下が栄養機能食品。右下に昨年4月スタートの機能性表示食品制度があるということです。

この機能性表示食品の基本的な考え方が、27ページに出ております。下に特保との比較がございます。ここだけ御説明をさせていただきます。特保につきましては個別の案件ごとに事前許可です。それに対して機能性表示食品につきましては事後チェックという形で、届出制というものがまずベースになっております。また特保はヒト試験ということでいわゆる臨床試験が必要ですが、機能性表示食品につきましてはヒト試験だけでなく、いわゆる文献評価、システマチックレビューでもよい。あと、特保では生鮮の実績はございませんが、今、機能性表示食品で生鮮は3つ実績があるということになっています。

右下に図がありますけれども、国の制度として食品、人が食べるものを対象としています。まず安全性の確保が第一です。あと左下にございます機能性。これはいわゆる有効性ということでしっかりとした根拠があるものでないといけない。加えて適正な表示による消費者への情報提供ということで、真ん中のピンクでございます消費者が自主的、合理的にこれを選べる。こういったようなコンセプトでこの制度が成り立っています。

28ページは今の届出状況ということで、去年4月にスタートして、6月20日の時点では全部で311件ございます。昨日時点では319件になっております。

29ページは各論で言うところの3つ目になります。食品のインターネット販売における情報提供のあり方懇談会です。検討項目は左にありますけれども、インターネット販売の場合は店舗での販売と違って、消費者は手に取って直接その表示を見ることができない。ネットの画面を通じてということで、そういう特殊性に鑑みてインターネット販売であることを前提として、では必要な情報の内容なり、必要な情報提供の方法なり、情報提供の促進の方策について考えるというのが、この懇談会の検討項目となっています。これも今年秋を目途に取りまとめということで、委員につきまして右側にございますが、日本チェーンストア協会の岸委員及び全国消費生活相談員協会の澤木委員にも、この懇談会のメンバーになっていただいております。

30ページにスケジュールがございます。これまでは事業者ヒアリング、加えて消費者ヒアリングを行ってきており、第6回まで開催をしております。第7回以降は今、消費者庁で考えています事業者アンケート、消費者アンケート、その結果を踏まえてさらに御議論をいただいて、今年秋を目途に報告書を取りまとめるということを考えています。

31ページは、このインターネット販売の懇談会の開催の背景です。一番下の◆にございますように、食品のインターネット販売は近年その利用も増えており、今後も成長が見込まれるということなので、いろいろな意味できちんとここであり方のルールを整理して、周知することがまずはいいのではないかという問題意識でございます。

検討対象については32ページにございますけれども、一般的にはマル1宅配、これは実際の店舗を構えず通信販売でのみ販売する業態。マル2のネットスーパー、実店舗もある小売業者がインターネット上でも販売をするといったものでございます。こういったものを主として念頭に置いて、これまで検討をしておるということでございます。

雑駁ですが、当方からの説明は以上でございます。

○阿久澤部会長 どうもありがとうございました。

それでは、只今の御説明に対して御質問等ございましたらお願いいたしたいと思います。どなたからかございますか。

○蒲生委員 御説明ありがとうございました。

8ページ目の原料原産地表示の過去の検討における論点・課題なのですけれども、検討会で議論された後にこちらでも検討することになるのであれば、ぜひ検討会で議論しておいていただきたいことがあります。私はここに挙げられている5つの論点には「監視の実行可能性」が抜けているので、論点として加えるべきだと考えています。制度がうまく運用されるためには、規制と監視が両輪として機能する必要があります。監視が十分に機能しないと、うそつき表示を野放しにすることにつながるのではないか。それは消費者にとっても非常によくないことだと思っております。トレーサビリティーは牛肉、米、生産情報公表JASなど、一部の農畜産物で始まっているのみで、全ての食品において制度化されているわけではありません。また、科学的な産地判定技術も非常に飛躍していると聞いてはおりますが、特に加工食品に関してはかなり限界があると聞いています。そこで、監視の実行可能性について、韓国の実態等も踏まえながら、ぜひ検討会で御議論いただきたいと思っております。

○阿久澤部会長 お願いいたします。

○赤崎食品表示企画課長 ただ今の点でございます。この加工食品の原料原産地表示の義務づけを行う場合は、先ほど御説明しましたように罰則の担保がございますので、そこは本当に表示違反があった場合とそうでない場合を区別して、きちんとトレースできることが大前提だと思っています。今からもこの政府の検討会で御議論を重ねていきますけれども、今、委員がおっしゃられたことも踏まえてしっかりと裏づけのある、実効性のある制度を目指して議論していきたいと思っておりますので、まずは以上のような御回答をさせていただければと思います。

○阿久澤部会長 宗林委員、どうぞ。

○宗林委員 今の件で御質問ですけれども、監視の実効性を担保するのに罰則規定があるということは承知しておりますが、監視のあり方については社会的検証、例えば帳簿検査ですとか、立ち入りでそういった書類での検査ということが9割以上ということの理解でよろしいでしょうか。というのは科学的検証については、例えば米の品種が違うというものだと科学的にできると思いますが、そうではない原料原産地については、今、私の理解ではいわゆる社会的検証が全てかなと思っていましたので、もしその辺が違えば教えていただきたいと思います。

○赤崎食品表示企画課長 今でも産地偽装について国等で監視・指導を行っておりますけれども、それに当たってはいわゆる帳簿からトレースしていく、今、委員が言われた社会的検証に加えて、科学的なアプローチでの対応というのもなされております。物によっては例えば国産と外国産のDNAが違うといったものもございますので、今のところ社会的検証と科学的なアプローチを組み合わせてやっているという実態でございます。今後ともそういう形で制度設計を考えていくのではないかと思っております。

○阿久澤部会長 今の関連でよろしいでしょうか。原産地表示を拡大し、施行していく場合、科学的にそういった原料原産地の検証がどこまでできるかという疑問があります。というのは現在、種とか品種はDNAで完全にチェックできるのですが、原産地の判別になるとこれは微量元素組成分析になると思うのです。ICPなどで今多分やられていると思いますし、実際に判別できるものも幾つかあると思いますが、できないもののほうが多いのではないかと思います。ですからその辺を罰則規定との関連も含め、どこまで原産地表示を担保できるか、その辺が心配なところです。今後、表示が拡大されていくのなら、同時に判別に関する技術的な対応についても進めなければならないと思いますが、如何でしょうか。

○赤崎食品表示企画課長 現行の例えば表示の取締りで言いますと、例えば生鮮食品についてもアサリとかうなぎとか、そういったものでは産地偽装というのはこれまでもございまして、それにつきましても今、国のほうでもいろいろな対応をしておりますけれども、阿久澤部会長がおっしゃられますように、全てが科学的なアプローチで対応できるかというと、それは難しいと思っています。今でもDNA分析なり同位体分析みたいなものも国の方ではいろいろ使って、他の様々なツールと組み合わせて取締りをしていますが、それだけで全ての加工食品の原料原産地のいわゆる偽装といいますか、虚偽表示がわかるかというと、そうでもないと思っております。

ただ、今でも生鮮食品等々では産地偽装、これは今のルールでも違反ということになっておりますから、それにつきましては社会的な検証といったアプローチに加えて、委員から問題提起のありました科学的なアプローチも組み合わせて、科学的なアプローチについては技術も日進月歩で進んでおりますので、そういうものも踏まえながらより効率的に監視ができるようにということでやっておりますので、そういう取組みの中で加工食品の原料原産地表示の監視につきましても、今後対応していきたいと考えております。

○阿久澤部会長 ありがとうございます。

では補足でどうぞ。

○蒲生委員 先ほどの確認ですけれども、表示を義務付ける場合は、トレーサビリティーが担保された食品であることが前提だ、ということですね。今、社会的検証、科学的検証について話がありましたが、実際に自治体でどのような監視体制を組むことができるのかまで議論していただきたいと思います。

○阿久澤部会長 ありがとうございました。

それでは、関連ですか。宗林委員、どうぞ。

○宗林委員 今の件と少し違うのですけれども、原料原産地の表示の対象品目の拡大を過去、農水省と厚労省の共同会議などで私もかかわってきたのですが、これまで決まってきたものをどうやって選んできたのかというのは2つの要件はもちろんあるのですけれども、その他の大きなかかわりとしては、生産者側の有利性といいますか、差別化というような観点がかなり大きかったような気がいたします。ですから生産量とか消費者がどれだけ消費されているのかというような観点よりも、生産者のほうが差別化を図るための品目が結構選ばれてきたような傾向があり、最後、黒糖と昆布をしたのですが、そのときもそういう議論がかなりありましたので、全商品に対して原料原産地表示ということであれば問題ないのですが、ぜひ消費者側の消費という観点も取り入れていただきたいと思います。

○阿久澤部会長 どうもありがとうございました。

渡邊委員、どうぞ。

○渡邊委員 現在、検討されているいろいろな表示の制度について説明していただいてありがとうございます。

2つほど要望したいのですけれども、現在、食品事業者は、先ほど食品表示制度が新しくなったという説明がありましたけれども、新しい食品表示基準に基づく表示を切りかえる、ちょうど今その期間なのです。今やっと1年ちょっとたった段階で、まだほとんど切りかえていないのが現状です。

そういう中で今3点ほど新しく検討されていますけれども、この中で原料原産地表示というのは今、検討している新しい食品表示にまた大きくかかわる問題なので、新しい制度をつくるということはいいですけれども、こういう今、移行段階にある中で検討が進んでいるということを、ぜひ理解していただきたいなというのが1つです。

もう一つは、原料原産地表示をやるに当たって、実行可能性と1つで言っていますけれども、一番しっかり検討していただきたいのは、本当にどのくらいの消費者が原料原産地を知りたいのか。例えば本当に少ない消費者であれば、聞いた人に答えられるという制度でもいいわけなので、表示がすごい膨大になってしまうということとあわせて考えたときに、まずニーズがどのくらいあるのかというのはしっかり把握すべきではないか。それが1つです。

もう一つは、世界で出回っている原料の中で、本当に全て原料原産地がわかるのかということもよく検討しないと、食品事業者が今、使っている原料の中で、ある原料は使えなくなってしまうということもあると思うので、そういう世の中の、世の中というのは日本ということではなくて、世界で流通している原料が本当に全部わかるのかということもしっかり見ていただきたい。そういうことをあわせて横に見ながらしっかり検討を進めていただきたいと思っております。よろしくお願いします。

○阿久澤部会長 要望ということですが、何かコメントがございましたらお願いいたします。

○赤崎食品表示企画課長 今の点について、現時点でお答えできる範囲で御説明をさせていただきます。

まず1点目は、今まさに新しい食品表示法に基づくルールと旧来のルールの移行期で、いろいろそういう意味で経過措置的なところをしっかり配慮すべきという御意見だと承知していますが、その点はおっしゃるとおりだと思っています。

資料の13ページをごらんになっていただければと思います。ここにこれまでの品目拡大の推移というものがございます。随時拡大してきた経緯がございますが、例えば20食品群と4品目ができた時、下に書いてございますけれども、平成16年9月に告示という形でルールは対外的にお示しをしておりますが、施行はその2年後の平成18年10月という形にしております。同様にその後のこれまでの改正も2年ばかり、いわゆる周知期間を置くとしております。要は制度を切りかえて翌日から施行するとなっても、今、渡邊委員がおっしゃられたように、いろいろな意味で現場の対応は難しいのだろう。こういう事情があって、過去もこういう周知期間を置いたと理解をしております。

今の検討もまだ答えが出ておりませんので、見直しするしないを含めて確定的なことを述べることは難しいと思っておりますが、ただ、万が一この制度の見直しとなった場合は、周知期間を設けて現場の混乱を避けるというのは当然のことと思っておりますので、過去の例に倣って十分な周知期間を設けて対応することになるのではないかと思っております。

あと、渡邊委員御指摘の2点目の消費者のニーズがどのぐらいあるのかという点でございますが、実はこの点につきましても今、政府でやっておる検討会でも当然大きな論点ということで、消費者庁の方で消費者の実際の意向調査を行いました。それにつきましては第3回の今、政府でやっております検討会に資料として出しておりますけれども、その結果を見ますと、まず国産のものを選びたいという消費者の方が大体65%であった。あと国産かそれ以外かではなくて、特定の国のものを選びたいというお考えの消費者が全体の39%であったということです。その意味ではある程度、消費者が実際に購買行動をするときには、加工食品の原料の産地情報については関心が高いのではないかということで、そういう御説明を政府の検討会でさせていただいております。

あとは3点目の原料原産地、特に輸入物について全てわかるのかという点でございます。これも委員の言われるとおりで、この検討をするときの大きな論点の1つだと理解、承知をしております。この点に対する1つの対応ということで、先ほど御説明をしました加工地表示といったものがあると理解をしております。要はアメリカで例えば半製品、加工品になって、それを日本に持ってきて、また別の加工食品の原料にする場合、アメリカでできた加工食品、それぞればらして原料がどこの国のものなのかといっても、海外の取引慣行ではそれはわからないというのが一般的な今の状況だと理解していますので、そういう実態も踏まえて検討をしていく必要があると今、政府のほうでも考えております。

とりあえず以上3点、今の状況を御説明させていただきます。

○阿久澤部会長 ありがとうございました。

受田委員、どうぞ。

○受田委員 まず1つ細かいところで質問させていただきたいのですけれども、13ページの原料原産地拡大の推移ということで先ほど御説明いただきました。基本理解をしているつもりなのですが、2要件に当てはまらないということで4品目が別途扱いになっているというお話でした。その中で農産物の漬物とか野菜、冷凍食品というのは理解できるのですけれども、うなぎの蒲焼きとかつお削り節、これが2要件に当てはまらない理由はどのように理解していったらいいのかというのが1点です。

もう一つ、これは大きいほうなのですけれども、例えば機能性表示食品の制度を立ち上げていくときにアメリカのDSHEA(Dietary Supplement Health and Education Act)を参考にしていこうという話があったかと思います。先ほどの消費者の求めという点から見て、消費者教育という部分をどのように位置づけるかということが1つポイントになっているのですけれども、なかなかこういった制度を立ち上げる場合にそこまで議論が及んでいません。特にこの原料原産地においても、ここの消費者の教育という部分をどのように誘導していくか、非常に論点として大きいように感じているのですけれども、この点については議論されているのかどうか、あるいは議論する予定があるのかどうか、お聞かせいただけますでしょうか。

○赤崎食品表示企画課長 ただ今の受田委員からの御質問に対する回答でございます。13ページの資料のうなぎ蒲焼き、かつお削り節のところでございます。これは今、2要件に該当しないという整理になっています。右の22食品群では、加工と言いましても例えばゆでたり蒸したりするようなものが基本ですが、うなぎ蒲焼については、たれをつけて焼くといった工程が恐らく選定要件という観点から見て茹でたり蒸したりとは違うということではないかと思っています。かつお削り節もかびづけという工程を経て、その意味で単にゆでたり蒸したりとは違う工程がある。そこのところの評価が今のような整理になっている理由ではないかと理解をしております。

あとは消費者教育の重要性についてですが、消費者教育という面につきましては機能性表示食品なり原料原産地に限らず、昨年4月に新しく食品表示法のもとでいろいろなルールの改正もしております。その一環では栄養成分表示の義務化とか、機能性の新しい制度創設等々、いろいろな改正をしております中できちんと普及・推進を図り、それと一体的な形だと私は理解しておりますけれども、きちんと消費者の方によく御理解をいただいて、表示を使いこなしていただくような取組みを後押しすることは政府として当然必要なのだろうと思っています。そのようなことは本来的に政府の重要な業務の1つだと理解をしておりますので、いろいろな機会を捉まえてそのような取組みを我々はやりたいと思っておりますし、今もまさに取り組んでいるところでございます。

とりあえず以上でございます。

○受田委員 2つの理由に関しては理解ができなかったのですけれども、特にかつお削り節というのはかつお節、削り節とは違うので、かびづけを施していないという意味ではないかなと思うのですけれども、要は加工の程度によって違うというのか、それとも実際に原料の比率が違うのか、ここは大事な考え方ではないかと思いましたので、改めて少し補足をしていただきたいと思います。

○赤崎食品表示企画課長 やや繰り返しの説明になるのかもしれませんけれども、うなぎのほうで申しますと、例えばたれをつけていろいろな工程を経て最終製品化していくときに、原料はうなぎの切り身になるのでしょうか。その状況から最終製品になるまでにいろいろな手を経ますから、その過程で品質が大きく変わり得る。そうしますと2要件のマル1にございますように、原料の品質の差がストレートに加工食品としての品質に大きく反映されるかどうか。ここが多分問題になったのだろうと思います。基本的な考え方はそのようなもので、原料そのもののその後の製品化に至るプロセスが22食品群のものと比べると、うなぎ蒲焼きにしても、かつお削り節にしても、複雑と言えば語弊があるかもしれませんが、やや違うのかなと。繰り返しの説明で恐縮ですが、そういったものだと理解しております。

○阿久澤部会長 ありがとうございます。

蒲生委員、どうぞ。

○蒲生委員 先ほど渡邊委員が消費者は原料原産地表示にどのぐらいニーズがあるのかといったご質問に関しての関連の要望です。

私が活動等で聞く範囲では、やはり産地を知りたいという消費者の要望は非常に強いです。消費者の要望にはぜひ応えていただきたいと個人的にも思います。ただ、その要望は現状のルールで応えることが本当にできないものなのか。その検討が必要だと思います。

原料の切りかえ等で容器包装の表示を変更しなければいけないのにうまく反映できないということになりますと、結果的にうその表示がまかり通ることになる。これでは消費者利益にならない。

果たして容器包装の表示で情報提供することだけが消費者のニーズをかなえることなのか、ホームページ等の利用の方が正しい情報提供ができるのであれば、うその表示がまかり通るリスクを選ぶより良いのではないか。正しい情報提供をするためにはどのような方法が適当なのか、そういった視点で御議論いただきたいと思っております。

○阿久澤部会長 要望ということですが、何かコメントがありましたらどうぞ。

○赤崎食品表示企画課長 今の御指摘の点でございます。実は委員のおっしゃられるように容器包装だけでなくて、例えばウエブサイト等々の活用も考えるべきではないかという御意見は実際、政府の検討会でも出ております。お手元の資料の19ページの一番下にも、短いので読みますと、途中からになりますが、商品への直接表示以外の方法、QRコードの活用等についても検討すべきという御意見も出ております。

これにつきましては制度の設計とリンクします。情報量が多くなると、容器包装という限られた面積の中には十分な情報を盛り込むこともできませんので、具体的にどういう表示制度がいいのかとあわせながら、今、委員がおっしゃられた容器包装以外のツールを使った情報提供も念頭に置いて検討すべきという御意見が実際に出ていますので、そういう方向で検討したいと思っております。

○阿久澤部会長 菅委員、どうぞ。

○菅委員 今のお話をお伺いする中で少し戻ってしまう部分もあるかもしれませんけれども、13ページの22食品群+4品目だけが対象であるということ自体が非常にわかりにくくて、どの食品が原料原産地表示をされているべきものなのかということが、これは消費者教育の問題にもなるのかもしれませんけれども、消費者にわからないというようなことではよくないとまず思います。また、もし原則と例外をひっくり返して原則全て表示するとすることによって不都合な例外があるのだとすれば、むしろなぜそれが表示困難な「例外」でなければならないのかということを消費者として皆知っていくようにすればよいと思いますから、現実問題として困難な問題はたくさんあるとは思うのですけれども、原則と例外をひっくり返すという方向に強く取り組みを進めてほしいと思いました。

先ほど科学的な検証か、社会的な検証かというお話が出て、実効性を担保できるのかというお話があったと思うのですけれども、公益通報の活用というような面でも、その受け付け方や情報の活用ということで、国民全員が、あるいは消費者の多くが監視できるようにするということも重要で、帳票をきちんとそろえる、トレースできるという中での検証ともかかわると思います。科学的検証以外にも、公益通報の活用も含めた社会的な検証の活用についてもぜひ考えていただきたいと強く思います。

○阿久澤部会長 ありがとうございました。

それでは、井之上委員、どうぞ。

○井之上委員 各論のほうに話が大分行っているのでなんですが、原料原産地表示に関してはまだ中間報告も出されていない状態であり、日本生協連としてはまだ意見を取りまとめしていないところなのですけれども、国産を応援したいであるとか、国産を利用したいという気持ちは誰しもあるのかなという形で見ています。ただ、今、言われた執行の観点であるとか、正しい表示というものを考えた場合、なかなか難しいところがある。それに実行可能性というものを考えないといけないというところの難しさがあるのかなと思っています。

話が少し違うのですけれども、総論的なところで質問というか意見があるのですけれども、前回、36回の食品表示部会というのは約1年以上前、平成26年12月10日に行われています。それから新法が施行されて約1年以上経つわけですけれども、その間、製造所固有記号など食品表示基準にかかわる重要な案件が整理されているというところです。で、この表示部会というのは1年以上開かれていなかったということについて、先ほど丸山参事官から運営規程ということで3条のところの御説明をいただいたところですけれども、食品表示部会は、食品表示基準等にかかわる諮問、答申、意見を聞く場であって、今後のところにおいては丁寧にやってもらいたいという意見もありますし、この1年間、表示部会はなかなか忙しくて開けなかったというところもあると思うのですけれども、この間、開かれなかったことについて、なぜなのかなというのが腹落ちするような説明があればいただきたいと思います。

○阿久澤部会長 これは、事務局のほうからでよろしいですか。

○丸山参事官 御質問の件ですけれども、部会のほうは、こちらの検討事項について、もちろんこちらの所掌については第3次のものからの引き継ぎという面もございますし、今回消費者庁から御報告いただいたこちらの検討状況等もあるかと思いますので、そちらのほう、こちらのほうの事務局としては総合的に判断ということで公開に至ったということでございます。

○阿久澤部会長 今村委員、どうぞお願いいたします。

○今村委員 2つほど意見があります。

1つは先ほどの原産地表示についての監視のお話です。私、自分自身が保健所でも監視をやっておりましたし、厚生省でこういった基準をつくるときに監視ということをずっと、基準をつくってきた人間として申し上げますと、社会的検証による監視というのは極めて困難です。実際に「おかしいのではないですか」ということを指導するところまでは社会的検証ではできるのですけれども、法に基づいて、違法行為だということを立証していくことを社会的検証でするというのは非常に難しいと思います。例えば遺伝子組換え食品ならば、米国のサーティフィケーションとかつけて、それでトレーサビリティーというものをつくって、それになかったらさすがにだめでしょうということまでつくっているので、社会的検証の制度そのものが原産地についての社会的な認証システムのようなものがなければ、なかなか経時的な違法行為を上げるというところまでいくのは難しいのではないかと感想として思います。

もう一つ、機能性表示について先ほどのページで言うと24ページで今、議論になっている表示の禁止事項について今、議論をしているということで、これについて御意見を申し上げたいと思うのですけれども、私は栄養機能食品をつくったときの担当者でありまして、これをつくるときも非常に難しかったわけです。栄養機能食品そのものも危険性をはらんでいて、特に難しいなと思ったのはここに書いてあるセレンとか亜鉛とかいうのは、極めて困難をきわめたわけです。それはなぜかというと、よく御存じだと思いますけれども、栄養所要量と有毒だと言われているLOAELとかNOAELという基準とが極めて近いわけです。恐らく感受性の高い人だと栄養所要量で毒性が出てくるというものなので、効能と毒性がまざるという部分があると思うのです。ですので栄養所要量を決めるのと同時に、こちらの栄養機能表示というものを並行して議論していかなければいけなかったという経緯があって、その中でこの毒性があり得るかもしれないものについて各事業者の独自の判断で、もしくは偏った論文で機能成分を表示していくということは、すごくリスクがあるのではないかと思います。

もともと機能性食品そのもののはらむ危険性そのものでもあると思うのですけれども、その中でも特にこういう毒性、人間にとって必要な物質ですけれども、ちょっとでも過剰にとったら毒性が出てくるという物質については、なかなか各事業者の判断で表示していくということそのものの危険性を強く感じます。ですので、そこら辺も議論に恐らくなっていると思いますけれども、ぜひその辺を勘案して制度をつくっていただければと思います。

以上です。

○阿久澤部会長 どうもありがとうございました。

何かコメントございましたらお願い致します。

○赤崎食品表示企画課長 ただいまの1点目の監視の関係のことについて、これも今お話できる範囲で御説明をさせていただければと思います。

社会的なアプローチと科学的なアプローチということで、例えば遺伝子組換え表示につきましては科学的なアプローチというものがある意味、制約要因となってルールのほうもそれに基づいて決められているという実態になっております。

例えば遺伝子組換えたものかどうか。そういうDNAかどうかわからないようなもの。例えば遺伝子組換え大豆そのものは分析すればGMか非GMかわかりますけれども、それをさらに加工してしょうゆにしてしまうと、もうそのしょうゆは遺伝子組換え大豆由来なのか、それ以外の大豆由来なのかわからないとなっています。そういったものにつきましては、まさに監視の実行可能性ということで、今でもルールのほうもそれを反映した形で定められておりますけれども、産地偽装につきましては今でも大分、先ほど事例であさりとかうなぎとか申しましたけれども、そういったものが今でも社会的なアプローチでもトレースはできまして、具体的には都道府県の担当の部局、これは保健所だけではないと理解しております。あと農水省のほうでも別途、取締り業務を所掌していまして、いわゆる食品表示Gメンという方がそういうアプローチでいろいろな監視もやっていると理解をしております。

ただ、そのやり方に加えて科学的なアプローチも含めて対応していくのが、いろいろな意味で監視の実行を高めるやり方であり、今そういう科学的なアプローチについても実際なされておりますし、今からの技術の進歩に合わせてそれを反映した形の取締りを消費者庁にしても農水省にしても自治体、県の方にしてもやっていただけるものと理解しております。そこはいろいろなアプローチのメリット・デメリットがあると思っていますから、それを踏まえて、今の取組みも勘案しつつ、よりよい監視のやり方を国のほうでも考えていきたいと思っております。

先ほど委員から御発言のありました2点目の栄養機能表示の関連のお話で、結局リスクがあるようなものを機能性表示食品に取り込むのはよく考えるべきだという御指摘でございますけれども、まさにこの検討会で今、御議論いただいている論点の大きな1つが安全性の担保、過剰摂取リスクをいかに防止するかということで、そういう観点からいろいろな専門の委員の皆様に御意見もいただきながら今、議論をしておりますので、その意味では安全性というものをきちんと受けとめて、それに対してどう対応するのか。そういうものを整理した上で、機能性表示食品の見直しに関する検討会でも一定の結論を出していただけると我々は考えております。

○阿久澤部会長 どうぞ。

○今村委員 機能性食品についてはもともと難しい問題があるので、ただ、自分の実感として平均的な人が安全という話と、5%、1%の人まで含めて安全という話は大分違っていて、恐らくリスクの考え方が平均という考え方で考えていくと何の問題もないのですが、1%の人に被害が出ないというふうに考えてくると、極めて議論としては難しくなってくる。完全にオーバーラップしてしまう部分なのです。だからそこら辺が議論のときにもぜひ観点として忘れないでいただきたいということであります。

あと、監視について遺伝子組換えのことが出ましたので、私はその検知法をつくった人間でありまして、恐らく10年、15年後の担当の方は大変苦労されるのではないかと思いました。つくっている最中にもです。

ただ、そのときにはより大きな問題を解決するためには、10年後の問題を残してもそれをつくらなければいけないという事情があって、それが現在の制約を生んでいるのだろうというのは予想がつくのですけれども、でも、それをしないともともとの情報提供という目的は達せられないということがあって今に至っています。

ただ、どうしてもそのときに監視の限界ということが問題になってきまして、特にああいう国際的な関係のある問題については基準を合わせるということと、国際紛争になったときに必ず勝てなければいけないということがあって、それで監視基準ということを明確にして進めない限り、表示に入れることがより大きな問題を後に残すということを実感しております。ですので、そういったことをぜひ念頭に置いていただきたいと思います。

以上です。

○阿久澤部会長 どうもありがとうございました。

宗林委員、どうぞ。

○宗林委員 機能性表示食品の拡大の検討を今されているということについての意見でございます。この機能性表示食品は保健機能食品の1つとして新たに加わり、外部有識者等から事後届出制度による問題点とか御指摘を数々いただいているというのは承知していますが、一方で消費者はその表示を見ることによって、いわゆる健康食品と言っていたたくさんの大きなマーケットの中で、一定の目安になる表示ができたものだと思っています。

ですから、この評価できる点、消費者にとって目安になる点というようなことが損なわれないように、例えば拡大をどこまでするのかということですけれども、選択のときに表示を見てわかりやすくなったという点を抽象的な言い方になりますが、拡大を余りし過ぎますと、せっかくのよい点も損なわれてしまうという懸念がございます。
この検討会の中で検討されることだろうと思いますけれども、そういった視点もぜひ検討していただきたいと思います。

○阿久澤部会長 ありがとうございました。

池戸委員、お願いします。

○池戸委員 きょうは第1回目ということで今、まだ検討半ばのお話を聞かせていただきました。

これからの話にもつながるのですけれども、多分、今、残されている課題3つとも、今までなかなか難しくて積み残されていたということなので、逆に言うと相当慎重に、かつ、十分な検討をしていく必要があるかと思っておりますけれども、たまたまきょう部会という形の中で意見も出されておりまして、私は原料原産地の委員をやっている立場からしても、非常に有効な御意見をいただいていると思います。

それはいいのですけれども、あと今後のことも、各論の話は別として、前回の第3次の部会のときも感じたのですが、今の消費者庁等の検討会の位置づけとこの部会とそれぞれ厳密に言うと目的、使命、機能が違うのではないかと思うのです。それぞれの立場で、そこの区分けを明確にした上で、できるだけ効果的・効率的な運営をしていただけたらと思っています。そのためには基準の審議になる段階では検討会が終わっている場合が多いので、検討会のほうで先ほどの繰り返しになりますけれども、十分な議論をしていただきたいというのが1つのお願いです。

もう一つは、先ほど井之上委員から出たのでしょうか。前回の第3次もそうなのですけれども、表示部会としての議論が相当なされていたのですが、その結果としてどういう形で最終的に基準に反映されたかとか、あるいはQ&Aでどう対応したかとか、その後の御報告が余りなかったのではないかということでございます。ですからせっかく皆さん一生懸命議論していただいておりますので、これは先のことで恐縮なのですけれども、せめてどのように反映されたかというぐらいは、委員会は開かなくても、郵送でもペーパーでもいいのですけれども、結論だけはしっかり伝えていただくような、そういう前提でお考えいただけたらありがたいなと思っています。

以上です。

○阿久澤部会長 どうもありがとうございました。

消費者庁から、第三次の部会で議論してきたことが基準にどのように反映されてきたのかということを。

○池戸委員 特に質問ではございませんので、コメントという形で結構です。

○阿久澤部会長 わかりました。

○赤枝委員 地域住民の方、消費者の方々に普及している立場といたしまして、機能性表示食品を普及していくのは、実は非常に難しいと感じております。その中で制度が施行されたばかりでもう見直しをされるのかという驚きもあります。特定保健用食品や栄養機能食品が、ようやく消費者の方々にも理解をしていただき、安心して使っていただけるような段階に来ているのではないかと思っておりましたので、なぜ機能性食品をここで制度化しなければならなかったのかと、いろいろ事情はあるのだろうと思いますが。

特定保健用食品については見直しをされているとお聞きしていますので、特定保健用食品や栄養機能食品の内容を充実していただくというような形で進めていただくことができないかと思います。やはり消費者の方々はいろいろな制度ができてくる中で混乱しています。安心して迷わず選べる食品表示を目指すのであれば、制度が多くないほうが選びやすいのではないかと感じております。

以上です。

○阿久澤部会長 どうもありがとうございます。

どうぞ。

○赤崎食品表示企画課長 今の赤枝委員からの御指摘についてでございます。いわゆる保健機能食品ということで健康の維持増進をうたえる制度としましては、今、申したように機能性表示食品、特保、栄養機能食品と今、政府としては3つございます。それで例えば特保につきましても、いろいろなところから見直しすべきという御提言もいただいておりまして、例えば4月12日には消費者委員会から建議という形で、いろいろな問題提起をいただいております。あと、規制改革のほうからも、昨年6月30日に閣議決定された項目というものがございまして、その中でも特保についてはいろいろ御指摘いただいております。そもそも規制改革からは、栄養機能食品の対象拡大みたいな御指摘も以前いただいておって、そういう流れの中で昨年4月1日付で3つの成分、栄養機能食品として追加した経緯もあると理解をしております。

国としても機能性表示食品だけではなくて、他のいろいろな制度もございます。それもいろいろな方々の御指摘、御意見を踏まえて必要な見直しをして、トータルで見て消費者の目線に立ってわかりやすく使いやすい、そういったような制度設計を目指していろいろな検討なり推進、普及はしていきたいと思っておりますので、またいろいろな形で応援なり御意見をいただければと思います。

○阿久澤部会長 ありがとうございました。

蒲生委員、どうぞ。

○蒲生委員 加工食品の原料原産地ですけれども、この原料原産地表示に関して世界でどのように対応されているかというと、例えばCodexでは原料原産地はテーマにされておりません。海外からの視点からすると、かなり日本と韓国が独自路線を行っています。国際的なハーモナイゼーションへの配慮については検討会の中で指摘されているようですので進めていただきたいと思いますが、私がぜひあわせて御検討いただきたいなと思いますのが、日本が独自路線を行くなら行くで、その考え方、ルールを明確にしてほしいということです。特に容器包装全てに義務化するのかと、一部のものに義務化するのかで考え方が変わってくると思います。

現状も一部の食品群に義務化しているわけですけれども、その考え方に2要件があります。食品の品質を消費者が見分けるために2要件が必要なんだという考え方だと思います。今まではJAS法の中でしたので品質でしたが、今度は食品表示法の中でどう整理し直すのか、それとも、現状の2要件のままでいくならいくで、選び方のルール、考え方についてきちんと整理することが必要だと思います。

どういうものを義務表示にし、どういうものは任意表示にするかの考え方が整理されると良いと思います。これは私見ですが、容器包装全体の義務表示である例えば期限表示や保存方法は、安全性の担保のためにもしなかった場合に非常なダメージを消費者が受け得るものだと整理しています。製造者名も何かあった時にその情報がないと対処できません。すなわち義務表示は、ないと消費者がかなりダメージを受けうるもの。一方で任意表示はあると商品選択のプラスアルファになるもの。そのように私の中では整理しているのですけれども、もし今、消費者庁さんのほうで義務表示と任意表示の考え方についてご説明いただければ伺いたいですが、検討会の中でも御検討いただければ幸いです。

以上です。

○阿久澤部会長 ありがとうございました。

○赤崎食品表示企画課長 蒲生委員からの御指摘の点でございますけれども、まだ義務化の拡大について具体的にどうするみたいな形では方向性は出ていない状況でございますので、直ちに全てに義務化した場合の例えばイメージみたいなことは、まだ御説明が難しいということを御理解いただければと思います。

ただ、いずれにしても今年秋を目途に中間的な取りまとめということで、それまでには一定の方向性を出していくに当たりましては、今、委員から問題提起がありましたように国際的な整合性なり容器包装に義務化をするのか、それ以外に広げるのか、あと、義務表示と任意表示の2つのやり方がありますが、どういう役割分担、すみ分けで対応していくのか。きちんと整理をした上でパッケージで一定の結論を出していく必要があると思っています。今からまさにそういう議論をしていく必要があると思っておりますので、とりあえず今、こういう御説明で御容赦いただければと思います。

○阿久澤部会長 荻原委員、どうぞ。

○荻原委員 聞き逃してしまったかもしれないのですけれども、原料原産地表示のところで秋をめどに中間的な取りまとめという御説明なのですけれども、中間的というのは何か。プロセス上、意味があるのかなということが質問なのですが。

○阿久澤部会長 お願いいたします。

○赤崎食品表示企画課長 御指摘の中間的なということの意味合いでございますけれども、これは今後の検討会での議論次第のところもございますけれども、まずはやはり制度のあり方について方向性を今年秋を目途にきちんと明確にして、整理をすることが必要だと思っています。その秋の時点でこの方向性に加えて、例えば食品表示基準の改正案みたいな、あと、その下に別途Q&Aといった次元の議論も出てくるかもしれません。そういう次元のものまで秋の時点で整理をするのかどうか。それは恐らく今後の議論次第ということで、まず大きな方向性を出さないと、その次のステージになかなか行きづらいということで、まずは中間的という言葉を使わせておるということでございます。

○阿久澤部会長 ありがとうございました。

そのほかございますか。よろしいでしょうか。ないようでしたら本日の議論はこれまでとしたいと思いますが、消費者庁におかれましては御説明のほう、本当にきょうはありがとうございました。また、委員の皆様方にも多くの貴重な御意見をいただけたかと思います。先ほど説明を消費者庁からいただきました事項など、今後当部会で議論を行う可能性のある事項につきましては、事務局から委員に対しまして状況を逐次報告くださるようお願いしたいと思います。

本日の議事は以上です。連絡事項等ございましたら事務局からお願いいたします。

○丸山参事官 本日、御参加のほうどうもありがとうございました。

次回の日程につきましては、改めて御連絡をさせていただきます。

○阿久澤部会長 それでは、本日はこれにて閉会とさせていただきます。お忙しいところお集まりいただきまして、ありがとうございました。

≪5.閉会≫

(以上)