第11回 成年年齢引下げ対応検討ワーキング・グループ 議事録

日時

2016年12月13日(火)10:00から11:10

場所

消費者委員会会議室

出席者

【委員】
樋口座長、池本座長代理、河上委員長、増田委員
【オブザーバー】
後藤専門委員
【消費者庁】
河内消費者政策課長
【法務省】
中辻参事官
【事務局】
黒木事務局長、福島審議官、丸山参事官

議事次第

  1. 開会
  2. 取りまとめに向けた検討
  3. 閉会

配布資料 (資料は全てPDF形式となります。)

≪1.開会≫

○丸山参事官 それでは、時間になりましたので、会議を始めさせていただきたいと思います。

本日は、皆様、お忙しいところお集まりいただきありがとうございます。

ただいまから「成年年齢引下げ対応検討ワーキング・グループ」第11回会合を開催いたします。

議事に入ります前に配布資料の確認をさせていただきます。

お配りしております資料につきましては、議事次第下部に配布資料一覧としております。不足の資料がございましたら、事務局までお申しつけいただきますよう、よろしくお願いいたします。

それでは、樋口座長、以後の議事進行をよろしくお願いいたします。


≪2.取りまとめに向けた検討≫

○樋口座長 それでは、早速、本日の議題に入らせていただきます。

取りまとめに向けた検討としまして、「成年年齢引下げ対応検討ワーキング・グループ報告書の骨子案」について事務局から説明いただいた上で、御検討いただくこととしたいと思います。

まずは、資料1について事務局からの御説明をお願いします。

○丸山参事官 お手元の資料1「成年年齢引下げ対応検討ワーキング・グループ報告書骨子(案)」ということで御用意させていただいております。こちらに沿って説明させていただきます。

まず、本ワーキング・グループですけれども、多岐にわたるテーマに関しまして、10回にわたりまして有識者、関係省庁、関係機関、関係団体等からヒアリングを重ねてまいりました。今般お示しさせていただきました骨子(案)については、そういったヒアリングを踏まえまして、事務局において整理をさせていただいたものでございます。この骨子(案)を基に、今後取りまとめる報告書につきまして、肉付けを事務局のほうでしていきたいと考えております。

以下、骨子(案)について御説明させていただきます。

大きな構成でございますけれども、第1として「現状と課題」、第2で「望ましい対応策」という形で整理をさせていただきました。

初めの「現状と課題」につきましては、5点ほど整理をさせていただいております。

まず「1.若者の実態と課題」については、特に成年年齢の引下げということで、18歳ということで焦点になっているわけですけれども、この18歳という時期は、高校を卒業して大学へ進学したり、就職したりということで生活環境が変わりまして、ひとり暮らしを始めて、金銭として取り扱う金額も大きくなるということで、消費者トラブルに遭うと被害が大きくなるということですとか、あるいは段階的に経験を積んで成熟した成年に成長することができる社会環境を整備し、若者、若年者に対して成長を支える必要があるのではないかといったことについて、この報告書に盛り込んではどうかと考えております。

「2.若年者の消費者被害の動向」については、主として国民生活センターの報告がございましたように、18歳、19歳の相談件数と比較いたしまして、21歳とか22歳の相談件数については増加をしている。特に22歳にかけて相談件数が増加しているものとして、男性ではマルチ取引ですとかフリーローン、サラ金、女性ではエステとか医療サービスが特徴となっているといったことなどについて、この報告書に盛り込んではと考えております。

「3.若年者保護のための具体的措置に関する制度の現状」につきましては、現状、未成年者取消権ということで民法に規定されているわけですけれども、そういった現状ですとか、あるいは特定商取引法、貸金業法、割賦販売法などの現状について、こちらのほうで解説することについて考えてございます。

「4.消費者教育における現状と課題」については、現行の消費者教育について、学校教育において、小中高の段階で家庭科・社会科等において発達段階に応じて実施されているものの、実際に消費者教育ということで割かれている授業時間数が少ないといったことですとか、あるいは大学での消費者教育・啓発についても、新入生ガイダンスといったところで取扱いはなされておりますけれども、大学ごとでばらつきが大きいことなどについて盛り込んではどうかと考えているところでございます。

「5.本報告書が対象とする若者の範囲」について、この報告書で対象とする若者、例えば若年成人といった用語を使って、どういった形でこういったものについて取り扱うかについて、事務局のほうで整理をしたいと考えております。

第2の「望ましい対応策」については、構成といたしまして7点を考えております。

1点目が「若年成人保護のための制度整備」、2点目が「処分等の執行の強化」、3点目が「消費者教育の充実」、4点目が「若年成人に向けた消費者被害対応の充実」、5点目が「事業者の自主的取組の推進」、6点目が「その他」、7点目が「改正民法施行時期及び経過措置に関する配慮」という形で整理をしてはどうかと考えております。

「1.若年成人保護のための制度整備」については、ここで掲げております消費者契約法、特定商取引法にて何らかの形で制度的な対応整備ができないかと考えており、現在、事務局において整理中でございます。

「2.処分等の執行の強化」ですけれども、こちらの処分については、特定商取引法の執行ということでイメージしております。具体的には、こちらのほうで書かれておりますように、特商法に係る契約またはその支払手段とする信用供与契約について虚偽記載を唆す事業者に対する積極的な執行ですとか、あるいは若年成人の知識・判断力等の不足に乗じて契約させる事案に対する執行の強化、若年成人に被害の多い取引類型における処分等の執行強化等について盛り込んではということで考えております。

次に「3.消費者教育の充実」については、構成としては3つに分けております。

1つ目が「小中高等学校」ですけれども、こちらについては、具体的には消費者教育の機会の充実ですとか、あるいは人材の開発、これは主として教員の方について指導強化できるような形で、できれば外部人材の導入等も含めてということで考えております。それから、教育的な手法の高度化や教材の開発等について盛り込んではどうかと考えています。

2つ目といたしましては「大学・専門学校等」ですけれども、こちらについても教員の方をイメージした人材開発の取組ですとか、あるいは自治体と大学等との連携枠組みの強化、学生相談室・大学生協等を通じた大学・専門学校等での消費者教育・啓発の強化といったことについて盛り込んではどうかと考えています。

3つ目は「法教育・金融経済教育」について触れてはということで考えております。

「4.若年成人に向けた消費者被害対応の充実」ですけれども、こちらについては(1)といたしまして「若者向け相談窓口の拡充」ということで、消費生活センターの周知、「188」の周知を含む周知ですとか、あるいは若者向け相談窓口の拡充策、それから若者支援機関、これは具体的には就職のためのサポートステーションなどとの連携等ということで盛り込んでみてはと考えております。

(2)といたしましては「大学・専門学校等の有する情報の充実及び活用」ということで、具体的には、消費生活センターと大学・専門学校等との情報交換ですとか、あるいは大学・専門学校等同士の間での消費者被害に係る情報交換について、支援ということを盛り込んではと考えております。

「5.事業者の自主的取組の促進」ということで、例えば(1)といたしましては「各業界における若年消費者に配慮した自主行動基準の堅持・強化」ですとか、(2)といたしましては若年消費者への配慮に着目した「消費者志向経営」の促進ということで、例えば優良経営認証制度の推進ですとか、若年成人に配慮した顧客対応窓口の強化、従業員の方の研修の徹底ですとか消費者教育の推進。

(3)といたしまして、健全な与信のための取組ということで整理をしてはどうかと考えております。具体的には、若年成人に対する貸付・信用供与に係る健全性の確保ですとか、トラブルに遭った場合の生活再建支援等、例えばカウンセリング等がイメージされておりますけれども、そういった取組の推進について盛り込んではどうかと考えております。

「6.その他」といたしましては、ヒアリングにおいて、例えばスマセレといった方に来ていただいて、お話をしていただきましたけれども、そういった若者団体の活動について、例えば大学とかの施設の貸与について支援をするですとか、あるいは今回の成年年齢引下げに伴う若年消費者被害の防止の社会的周知のための国民キャンペーンについて実施してはどうかということについて、ここで盛り込んではと考えております。

「7.改正民法施行時期及び経過措置に関する配慮」につきまして、具体的には、まず施行時期につきましては、いわゆる成年年齢引下げの措置を伴う改正民法の施行時期につきまして、準備や周知のために相当期間が必要であるのではないかということで、これについてはしかるべき時期を設けてはどうかということですとか、あるいは施行時期とは別に、経過措置について考えております。具体的には、若年成人の保護のための対応が整うまでの間ということですが、現行の18、19歳の未成年者取消権を相当期間維持してはどうかと考えており、具体的には今、事務局のほうで文案について調整をしているところです。

具体的な骨子の説明については、以上になります。

○樋口座長 ありがとうございました。

それでは、早速、意見交換を行いたいと思います。御意見、御質問のある方は、御発言をお願いいたします。

池本座長代理、お願いいたします。

○池本座長代理 御意見を誘発する形で申し上げたいと思います。

このペーパーで言いますと、第1の5.に当たるだろうと思うのですが「本報告書が対象とする若者の範囲」、あるいはその次の「望ましい対応策」で若年成人保護という言葉。実はもともとの諮問では、成年年齢引下げに伴って新たに成人となる者の保護というような言葉が使われていたと思います。それをそのまま言うと、18歳、19歳についてどうするかということだけにも聞こえてしまうのですが、そうはいっても、例えば18歳、19歳について、消費者契約の場合は取消権を残すとか、あるいは特定商取引類型であれば取消権を残すとか、余り画一的な対策では、結局、若年者の社会参加を促すことと相反するのではないかという議論から、むしろ実態を踏まえた規律が必要ではないかという意見が複数あったと思います。

実態を踏まえたということになれば、18歳、19歳ではなくて、むしろ22から23歳、つまり大学卒業くらいまでの期間は必要ではないか。特に現在、4年制大学の進学率はほぼ5割ですし、専門学校などを含めると8割近い進学率だと理解しています。ですから、多くの方が学生あるいは学ぶ身である人で、まだ本当に社会人として大半の人がひとり立ちしていないところまでを前提にして、そういう人に対して事業者の側も実質的に配慮する必要があると考えていくということで、若年成人という言葉の意味を少し確認しておく必要があるのかなと思います。

とりあえず以上です。

○樋口座長 ありがとうございました。

ただいまの点について、いかがでしょうか。これはかなり基本的な問題ではありますので、本報告書において若者の被害等に焦点を当てつつ考えていくことになれば、若年成人というもの自体を対象にしたほうがいいということかと思いますけれども、ワーキングの在り方にもかかわると思います。

増田委員、お願いします。

○増田委員 ヒアリングを受けました際にも、幾つかの御意見の中で、やはり教育の機会を得られていない方たちもいらしたり、現状では、二十になったからといっていきなり十分な成人になるということではないという御意見が複数あったと思います。

そういう意味からいうと、いつから完全な成人かというのは非常に難しいと思いますけれども、やはり学生の間とか21から23歳ぐらいの間を若年成人として対象とすることは、非常に意味のあることではないかと思います。

○樋口座長 ありがとうございます。

ほかの委員の方、いかがでしょうか。

委員長、お願いします。

○河上委員長 私もヒアリングの結果から考えてみて、特定の何年という形で切ることについては問題があるだろうという印象を持っております。特に判断力とか財産管理能力に関して言うと、今の若い人たちは、かつてよりもその能力は落ちているという評価のほうが多かったという記憶があります。それを考えると、新たに成人となる人、18、19歳のみならず、社会的経験とか取引経験が不足して、一定の対応力を身に付けるまでの間ということになれば、22から23歳のところまでは一定の幅を持って若年成人を考えないといけないだろうという認識を持ちました。

ただ、ここから先は法的な制度との関係があるわけですが、例えば取消権の効果を結びつけるというようなことであったり、あるいは場合によって施行の延期を求めることを考えたときには、どこかできちんと要件的には年齢を区切っておく必要がある気がしますので、それを考えれば、現時点では22とか23という数字を表面に出して報告書を作っておく必要がある気がいたします。

○樋口座長 ありがとうございます。

基本的な報告書の在り方にかかわる御意見が委員の方々から出されましたので、事務局のほうにもぜひ検討していただいて、報告書の具体的な中身を決めていきたいと思いますが、この点についてはよろしいでしょうか。

それでは、ほかに何か。まだ本当の骨子ですので、参事官の御説明を聞いて、口頭でのお話もありましたけれども、そういったところを含めてで結構ですが、全体の骨格に関して御意見等があれば、この際によろしくお願いしたいと思います。

増田委員、お願いします。

○増田委員 「望ましい対応策」のほうでもよろしいですか。

○樋口座長 はい。

○増田委員 消費者契約法、特商法ということでありますが、消費者契約法において若年成人、高齢者などの判断不十分者に対する配慮が非常に重要だと思います。そういう知識、財産、経験のない方に対する勧誘についての対策ということと、例えばインターネット通販においては表示などについて十分に確認するネットリテラシーがないとか、事業者側の表示が不十分であるとかいうことで、年齢に関係なく非常にトラブルが多い。しかも、若年者の場合は更に経験がない。そして、更に自分の支払能力についての判断が不十分。経験上支払えるのではないかと思ってしまって購入するということもあろうかと思います。

そういう意味で言うと、事業者側からのアプローチの問題と、事業者による若年者に対する情報提供、何らかの配慮は非常に重要なのではないかと思いますので、そういう点について取り入れていただきたいと思います。

○樋口座長 事務局のほうから何かコメントがあれば、その都度お願いいたします。

増田委員から今そういうお話がありましたが、池本座長代理、お願いします。

○池本座長代理 私も今の発言のいわば延長線になるだろうと思うのですが、画一的な形での施策ではなくて、実態を踏まえて対応するということを前提にすると、若年成人の知識や社会的経験、判断力の未熟さなどをどうカバーしていくかということになると思います。それについて、学者の先生方からのヒアリングの中でも出ていたアプローチ、理論構成としては幾つかあっただろうと思うのですが、中身として言えば、そういった知識、経験、判断力の不足がある人に対して積極的な情報提供義務、あるいは説明義務などを課すべきだという施策と、それから、そういう配慮をしないで、逆にそれにつけ込んで契約をした場合には取消権を認めるべきだという施策が提示されていただろうと思います。

実は平成21年10月の法制審議会の報告書も読み返してみたのですが、まさにその中でも若年者の保護の施策として幾つか例示があるのですが、その最初に、社会的経験の乏しさにつけ込んで取引が行われないようにするために、事業者に重い説明義務を課すという例示と、若年者の社会的経験の乏しさによる判断力の不足に乗じて取引が行われた場合には、契約を取消すことができるようにすることが考えられると、具体的な制度としても提案されていました。ですから、その当時の議論もそうですし、今回ヒアリングをした中身からしても、今のようなことを具体的に導入する必要があるのではないかと思います。

それから、一言付言しますと、ここで言う若年成人保護のための制度整備というのは、成年年齢引下げということに、本来は先行して行われることが望ましいこと、少なくとも同時に導入しなければならない、あるいは施行時期からすれば一歩先に実施すべきものと考えて、その意味で、今の消費者契約法上の措置をぜひ早急に実現していただきたいと思います。

○樋口座長 ありがとうございます。

後藤専門委員、お願いいたします。

○後藤専門委員 私も今、増田委員や池本座長代理がおっしゃったように、消費者契約法に何らかの規定を置くことに賛成です。具体的に考えられるものとして、3条1項に消費者の年齢、知識、経験等に応じた情報提供努力義務とか配慮義務、このようなものを置くことが一つ考えられるのではないかと思います。

それから、取消しの関係では、今年の消費者契約法の改正で合理的な判断ができない事情を利用して契約を締結させる類型で、過量契約の取消しということが規定されることになりましたので、それに加える形で年齢とか知識、経験を考慮した契約締結をすべきであって、それに反するようなつけ込みをした場合については、契約の取消しをするというような規定が必要だと考えます。

○樋口座長 ありがとうございます。

消費者契約法に関して具体的に各委員からコメントがありました。

河上委員長、お願いします。

○河上委員長 消費者契約法の改正に関しては、専門調査会でこの間も議論があったばかりでありますけれども、そのときに事業者の方から、成年年齢を引き下げて成年にするということの意味は、判断力が既に備わっていることが前提になっているのであって、判断力が足りないとか、あるいは経験が不足しているから保護しなくてはいけないというのだったら、そもそも成年年齢を引き下げるべきではないのだということをおっしゃいました。それは一つの理屈だろうと思うのです。下げるというのだったら、下げるだけの判断力が備わっているという前提で扱うべきではないかというのが事業者の方々からの意見だったわけであります。

ただ、私は講演などを最近頼まれて、成年年齢のことについてお話しする機会が多いのですけれども、成年年齢を今、二十としていることの意味は、要するに二十になれば市場で独立して完全に有効な取引ができるだけの資格が与えられるということを意味しています。これはちょうど道路に出ていくときに免許証を持って車に乗って出ていくというのと同じでして、ある種の取引社会に入っていくときの免許証が与えられるのが成年年齢という形になっているわけであります。

ただ、実際に道路に出ていくときに、最初の2から3年はやはり若葉マークをつけないと危ないということで、何らかの形で初心者マークをつけて、社会全体でその人たちがちゃんと事故を起こさないように守ってやるのが、むしろ普通の道路におけるルールでもある。できれば年をとってきて判断力が落ちてくれば、もみじマークをつけて、場合によってはもう危なくなれば免許証の返納をお願いするというようなことが今、問題になっているわけです。

それと同じように、市場というところへ出ていって、その人たちがまだそこに耐性を持っていないことが経験的に明らかであれば、そういう人たちのために一定の制度的配慮をするのがむしろ市場におけるルールであろうという気がするわけです。ですから、適切な民事ルールを考える上で、成年年齢を引き下げて、新たに市場に参入する人たち、あるいはこれまで二十の人もそうですけれども、市場に対して十分な耐性がないと考えられる人たちに若葉マークをつけて、そのための一定の制度的配慮をするというのが、これからの市場の民事ルールの在り方だろうという気がいたします。

その意味では、事業者の方にもそういうことを理解していただく必要があるし、逆にそういう若い、あるいは年をとった人たちに対して攻撃的に出てくるようなドライバーがいれば、それは徹底的に取り締まるのが大事なことだろうと思いますから、そちらのほうの手当てとあわせて考えていくことがいいのではないかと思います。

○樋口座長 ありがとうございました。

池本座長代理、お願いいたします。

○池本座長代理 河上委員長の非常に分かりやすい御説明ですが、一言付け加えると、成年年齢を引き下げるというのは、一人前と評価されたのだから一人前だというのは、実態と理念をいわば混同している議論で、平成21年の法制審の答申でもそうですし、先日の与党の方針の中でも、若年者の社会参加を促すに当たり、その社会経験の未熟さについてはちゃんとした措置を講ずるということがセットの施策のはずですから、そこはやはり十分な措置が必要だろうと思います。

特商法に関連して、ちょっとよろしいでしょうか。

○樋口座長 お願いします。

○池本座長代理 特定商取引法に関連してですが、ここでのヒアリングの中で相談の現場で出てきたところで、マルチ商法のように利益で誘引するということが社会経験の未熟な若年者にとって非常に魅力的なのか、マルチ商法の相談が二十になった途端に跳ね上がっているという数字も出ていたと思います。

現在の省令を見てみますと、訪問販売などについては、老人その他の者の判断力の不足に乗じて契約を締結させることを禁止するとあって、連鎖販売取引のところだけは省令の31条6号に、未成年者その他の者の判断力の不足に乗じて連鎖販売取引の契約を締結させるというふうに、これまでも未成年者、若年者ということを意識的に配慮する規定にしてあったのです。それでも十分な効力がないということであれば、これはやはりもう一歩踏み込んで、連鎖販売取引について若年成人に向けた勧誘は、勧誘そのものを禁止するという規定を設けるべきではないか。先ほどの省令のレベルで、現在の規定ぶりからしても、その一歩先で位置付けられるのではないか。特にこれはヒアリングの中でも、訪問販売協会など業界団体は自主規制で、既に学生などについては勧誘しないようにしているということがあったと思います。であれば、適正な取引のルールとしては、それは社会的にも承認されているはずだし、アウトサイダーにもそれをきちんと守ってもらうという意味では、やはり法律、省令事項にきちんと位置付ける必要が不可欠だろうと思います。

とりあえず以上です。

○樋口座長 ありがとうございました。

河上委員長から市場のルール全体についての基本的なお話がありました。また、今、池本座長代理からは、特定商取引法に関連して連鎖販売取引等についての具体的な御提案もありました。いかがでしょうか。

増田委員、お願いいたします。

○増田委員 特商法に関してですけれども、私も意見としては同じです。相談員をしていると、連鎖販売取引に関しては、30歳以降の人に勧誘をしてほしいという感想を持っておりました。要は社会の仕組みとかルールが分からないうちに、その取引方法が全てであるというような情報だけを得て、そこに入ってしまうケースがありまして、やはり一般の企業に就職することも一つの選択で、そういう経験をした上で、それでも判断してそちらに入るということが必要なのではないかと、相談の現場では思ったことがございます。

あとは氏名等の明示義務というものがありますけれども、実際のところは、私はあなたに○○を買っていただき、販売員になってほしいということを言ってアプローチするケースはおよそないと思います。そういう点についての執行を十分にしていただきたいと思います。また、貸金なのですけれども、今、大手の事業者の中ではきちんと確認をしているところもありまして、未成年の方には貸さない方向にあると思います。過去にある大手の事業者の助言によって、お金を借りないで事なきを得たというケースもありました。そういう窓口でのきちんとした使用目的とか、収入証明書の確認であるとか、そういうものについての十分な調査も必要なのではないかと考えます。

○樋口座長 ありがとうございました。

ほかにいかがでしょうか。

河上委員長、お願いします。

○河上委員長 私も基本的には同感なのですけれども、特商法の場合、既に連鎖販売取引と訪問販売に関しては規則でかなりそういう年齢に対する配慮が書かれているわけです。高齢者と書いているのは訪問販売のほうですけれども、連鎖販売のほうは未成年者も入れて規則がある。

これまで未成年者と書いてあるところは、できれば今回、仮に若年成人という概念がある程度固まる形で提示できるのであれば、未成年者と書いてある特商法の規則の部分を若年成人という形にして移し替えてみるということも検討対象にしていただければありがたいと思います。

○樋口座長 各委員の皆さんからかなり具体的なお話がありました。特商法の連鎖販売取引に関する省令の部分で、未成年者という規定があるわけですが、これについて若年成人という概念をこの委員会で具体化することができれば、それとの整合性をとっていただく必要があるのではないかということでございます。事務局のほうで、またこの点については御検討いただきたいと思います。

ほかにいかがでしょうか。

後藤専門委員、お願いいたします。

○後藤専門委員 若年成人という言葉を使うことに賛成です。先ほど委員長もお話しなさったことなのですけれども、若年成人については幅があるということで、私も幅を持って考えることに賛成なのですが、省令あるいは法律の中で若年成人という言葉を使うことになると、その幅がどういう幅なのかという目安ははっきりさせる必要があるのではないかと思います。一応、年齢で何歳から何歳までというぐらいの形に決めることができれば、そちらのほうが望ましいと思います。

○樋口座長 ありがとうございます。

池本座長代理、お願いします。

○池本座長代理 特定商取引法に関連して、もう一つ申し上げたいと思います。

昨年の特定商取引法専門調査会の中で、法律改正と政省令の改正も提案されています。法律改正は既に終わって、政省令がこれから検討されることになりますが、その中で、訪問販売等に関連して、その代金の支払のための借入れについて虚偽の申告を唆す行為を禁止行為の中に入れるというものがあっただろうと思います。これまでは、訪問販売その他の契約書面について虚偽の記載をさせる行為でしたが、そのための借入れ、ローン、クレジットの利用で虚偽の記載をさせるというふうに、一段広げるというのがあったと思います。まさにそういうところは、支払能力を超える契約をさせることを明確に唆しているわけですから、そこは法執行の観点ではしっかりとやっていただくことが不可欠だろうと思います。

ただ、それだけでは不十分なので、実は若年者、社会経験が未熟な者は、これはいい取引だ、もうかるよと言われれば、ついその気になってしまうわけで、そうすると積極的な虚偽の申告の唆し行為がなくても本人が突っ走ってしまうというところがあるわけです。その典型が、先ほどのマルチ商法などでトラブルが急増しているというところで出ているのだろうと思います。その意味では、虚偽の記載をさせてまで過剰な契約をさせるものだけではない、若年者にとって非常に危険性の高い取引については、きちんと禁止を加えておくことが必要だろうと思います。

それから、もう一歩踏み込んで言いますと、高額の借入れをさせることに関して言うと、このヒアリングの中でも少し話題が出ていましたが、貸金業法、割賦販売法の中でそれぞれ過剰貸付の禁止、支払可能見込額を超える与信の禁止という記述がそれぞれあります。ただ、貸金業の場合には消費者全て、いわば成年全てを踏まえた上で、1社当たり50万を超える貸付の場合には収入証明を確認しなさいとか、あるいは他社を含めて合計100万円を超える場合には収入証明を確認しなさいというものはありますが、あの数字は若年者には歯どめにならないですね。むしろ若年成人、まだどちらかというと学生が本分で、アルバイトは若干しているというような方については、その基準そのものを見直す必要があるのではないか。ただ、成年年齢引下げの法整備と同じタイミングで、これからすぐ検討して、それもやりなさいというと時間的に間に合わないのかもしれないので、まずは業界での自主的な取組から促すということは、これから3から4カ月の間の措置としてはやむを得ないのかもしれないです。ただ、最終的にはむしろ施行までの間の自主的な取組を見て十分な対応がなければ、施行までにはそこは法令上の措置として、若年成人向けの過剰与信規制の見直しということもあってよいのではないかと感じています。

○樋口座長 ありがとうございました。

法令の施行の状況などを踏まえながら、全体として被害を防止するという観点で適切な対応を時々刻々考えていく必要があるということだと思います。今回の話は、そもそもそういう意味で非常に広範な影響が及ぶ問題ではないかと認識しております。

時間の関係もありますが、現在、制度整備のところに議論が集中していますが、消費者教育とか被害対応、あるいは事業者の自主的取組、今若干お話がありましたけれども、そういった項目についても各委員から意見をいただければと思います。

お願いいたします。

○河上委員長 最後のところに行ってしまうのですけれども、私も消費者教育はうんと大事で、いろいろな方から伺っても、高校でやっただけでは無理で、やはり中学、小学校あたりから少しずつ金銭教育であるとか、様々な消費者力をつけるための教育を学習の中で入れていかないといけないというようなことをおっしゃっていました。教材を開発したり、場合によって指導者をきちんと育成したりというようなことを準備していくためには最低5年かかるという数値を具体的にヒアリングの中では複数の人が出しておられました。それを考えますと、民法の改正に伴う施行時期は、準備や周知期間を特に消費者教育の面で考えていくと、少なくとも5年はかかるというのがヒアリングからの多数の意見であったことは確認しておいたほうがいいのではないかと思います。

もう一点は、先ほど池本座長代理から話のあったことですけれども、法制審議会でのいろいろな議論の中で、制度的な整備が整うということをある種の条件として、この成年年齢の引下げが考えられたということでしたら、場合によっては、それとは別個に経過措置として、制度整備がなされるまでの間は現行どおり、未成年取消権は二十までの年齢についてそのまま維持するということを考えたほうがいいのではないか。これは全く2つ別の制度でして、準備のための5年間の施行延期の話が1つ、もう一つは、例えば消契法とか特商法などの一定の制度的な整備ができるまでは、現行法の二十を成年とした未成年者取消権を維持する経過措置を考えておくことが望ましいのではないかという考え方であります。

最後の2つに関してだけ、とりあえず確認をしておいたほうがいいと思います。

○樋口座長 ありがとうございました。

今、委員長から、7番目の施行時期、経過措置の考え方についてお話がありましたが、委員の方々、いかがでしょうか。

増田委員、お願いします。

○増田委員 消費者教育をするに当たっては、2年や3年では到底無理な状況であるということはヒアリングにおいても確認ができていることと思います。消費者教育といっても、契約とは何かということは基本ですけれども、商品選択するための科学的な物の見方であるとか、情報収集の仕方であるとか、連鎖販売取引に関しては、社会のルールとか物の流れ、仕組みなどについて、そういうことも全部身に付けた上で、それで初めて自分にとって適切な選択かということが判断できるのだろうと思います。そういうことがきちんと身に付くためには、最低でも5年はかかるということは、ヒアリングの中でも出てきたのだろうと思いますので、経過措置は非常に重要だと思います。

それと、別のことですけれども、大学とか学校におけるワンストップのような相談窓口を十分に作るということも必要なのですが、それと並行して、学校内の情報共有が非常に重要だと思います。どこかに相談したときに知らない職員がいて、それで話が終わってしまうというケースも中にはありました。ですので、どこに行っても共有できて、被害となりそうなことがキャッチアップできるような体制を学校の中でも作っていただきたいと考えます。

○樋口座長 ありがとうございました。

後藤専門委員、お願いいたします。

○後藤専門委員 先ほど委員長がおっしゃいました経過措置で、18歳、19歳についても成年年齢が引き下げられた場合に取消権を維持すると、これは非常に重要だと私も思いまして、賛成いたします。

ただ一方で、先ほども申し上げましたように、つけ込み型の取消し、年齢等配慮を要する事項につけこんで契約を締結する場合についての取消しということは、この経過措置とは別個に重要な問題になると思います。つけ込み型のほうの取消しについて、ヒアリングにおいて宮下先生とか潮見先生も、この意味での取消しが消費者契約法に入ることが必要だとおっしゃっておりましたように、そこの部分もあわせて取消しを考えるという方向が大事だと思います。

○樋口座長 ありがとうございます。

池本座長代理、お願いいたします。

○池本座長代理 施行時期のことと経過措置のことと2つ論点があるのだろうと思います。関連はしますが、別の切り口だろうと思います。今、御意見があったところは基本的に賛成です。

改めて平成21年10月の法制審議会の答申を再確認しておく必要があると思うのですが、その中では、成年年齢を18歳に引き下げることについては適当である。ただし、現時点で引下げを行うと、消費者被害の拡大など様々な問題が生じるおそれがあるため、引下げの法整備を行うためには、消費者被害の拡大のおそれなどの問題の解決に資する施策が実現されることが必要である。施策が実現されることが前提条件だと言っています。

さらに重要なことは、その法整備を行う具体的時期について、これは法改正を指すのか、施行を指すのか、どちらの意味にもとれるのですが、引き下げる法整備を行う具体的時期については、関連施策の効果等の若年者を中心とする国民への浸透の程度やそれについての国民の意識を踏まえた国会の判断に委ねるのが相当であるという記載があるのです。この意味ですが、まず若年者保護の実質的に社会的未熟な者を保護する法整備を行って、一番望ましいのは、それを導入して、実現できて、それから法改正に入ればいいのでしょうけれども、現時点でそれを望む段階ではない。この間は具体的な措置がなかったとすれば、18歳に引き下げるという法案を出す段階で社会的な経験の未熟な者に対しての、先ほど紹介したような消費者契約法、特定商取引法上の措置を、これも法改正として同時に入れることが必要であると思います。

ただ、その消費者保護の施策についての施行時期はできるだけ早く、1年とか早目に実施した上で、本体の成年年齢引下げは、先ほど複数の御指摘があったように、学校や社会における若年者への消費者教育の体制、特に問題なのは大学・専門学校については教材の問題もですし、担い手の問題も全然まだ手探りの、ほんの一部の先駆的な事例が紹介されただけの状態でしたから、そこは急いでやっても4から5年はかかるというのは避けられないだろうと思います。

そういうことを実施した上で5年ほど先を見通すわけですが、そうはいっても、今こういう意見を提案しているものが法的な整備体制として十分整わないということであれば、現在の成年年齢の引下げに伴う未成年者取消権の施行を一旦延期するという判断が不可欠ではないか。それは先ほどの法制審の中でも、施行の時期については国会の判断に委ねるのが相当であるというところも、やはりその実施状況を見きわめて、具体的にスタートするのだということとも整合するのではないかと考えます。

以上です。

○樋口座長 ありがとうございました。

法務省の中辻参事官、お願いいたします。

○法務省中辻参事官 発言の機会をいただきまして、ありがとうございます。

骨子案の資料最後に記載されている施行時期、経過措置の部分について、少しコメントさせていただこうと思います。

まずは、取りまとめに向けた骨子案を、これまでの集中的な審議を踏まえて作成された事務当局の御努力に対し御礼を申し上げます。

その上で、少し言葉の細かい問題を指摘させていただきたいのですけれども、経過措置という言葉ですが、私どもの立場ですと、民法改正により未成年者や親権者の範囲を変更することに伴い経過措置の検討が必要となるという文脈で、経過措置という言葉を使うことが多うございます。分かりやすい例で言えば、改正民法の施行日前に18歳、19歳の者が行った行為について、それは施行日前の未成年者が行った行為であることから、施行日以降も取消しができるようにする、このような手当てを経過措置と呼んでおります。

そうしますと、本日の会議の冒頭で丸山参事官からいただいた御説明では、経過措置について、若年成人の保護が図られるまでは18歳、19歳の未成年者取消権を維持することも想定されているという部分がありましたけれども、そのような措置は今申し上げました私どもの普段用いている意味での経過措置からは外れますし、まさに成年年齢引下げの施行時期を遅らせることにほかならないのではないかということで、十分整理していただく必要があるように思います。

また、先ほど池本座長代理からお話がありましたように、法制審議会の答申の最後の結論部分においては、引下げの法整備という言葉が使われておりまして、これについては、引下げを行う施行時期という理解もあり得るのかもしれませんけれども、引下げの法案を提出して国会で御審議いただくという理解があり得るのではないかと考えております。もちろん、18歳、19歳の若年者の方が保護される施策が民法の成年年齢引下げの施行日前に実現することは望ましいですし、それは、法務省としても同じ思いでおりますので、ぜひそのような方向で話が進んでいけばと思います。

それから、河上委員長から引下げの施行時期について5年というお話がありました。法務省が行いましたパブリックコメントでも、3年程度の周知期間では少し短くて、より長い周知期間が必要だという意見が多数でしたので、私どももその点については十分配慮して進めていくつもりです。ただ、具体的な数字を入れると、その数字がひとり歩きする可能性もありますので、表現ぶりについては事務局のほうで御検討いただければと思います。

長くなりましてすみません。以上です。

○樋口座長 ありがとうございました。

どうぞ。

○池本座長代理 非常に貴重な御指摘をありがとうございます。おっしゃるとおり、確かにこれは経過措置というよりは、施行時期に対する考慮事項の問題として位置付けるのが適切なのかなと感じました。

その上で、先ほどの法制審議会の平成21年の答申も、本来であれば法整備をする、法改正をするときまでに、まず消費者保護施策を講じておくべきだったのが、実はその対策が講じられていなかったという残念な状態が現在あるわけで、その意味では、第一には、この法案を出すときに両方がセットで出るということが必須である。ただ、施行の時期は少し前倒しして、消費者保護施策を実施する必要があるということ。

それから、5年という数字で確定するのか、よくあるのは、何年以内で別に政令で定める時期とするものがありますし、何年以内でなければいけないのか。特に未成年者取消しの問題で言えば、何年をめどに別に定めるとしてもいいし、余り数はないと思うのですが、例えば何年をめどに別に国会で、あるいは法律で定めるとするケースもあると思います。法制審の答申が、国会の判断に委ねるのが相当であるという言葉を使っていることからすると、最終的な未成年者取消権の引下げについて、施行の何日というのを国会にかからしめるという選択肢もあり得るのかなという気がしました。とりあえずこれは感想です。

○樋口座長 今の点については、表現といいますか、書き方の問題はいろいろあろうかと思いますので、この点については事務局のほうで法務省ともよく御相談の上、決めていただければと思います。

この委員会では、具体的に若年消費者のためにどういうルールを考えていくのかという点でありますので、それを法律上どのように位置付けるかという点については、難しい点もあるとは思いますが、御検討のほどよろしくお願いいたします。

ほかにいかがでしょうか。

河上委員長、お願いします。

○河上委員長 「事業者の自主的取組の促進」という項目がございますけれども、これが意外に大事だろうと思います。この間、ACAPの方にヒアリングをしたときに、ACAPはどちらかというと事業者の消費者相談窓口の方々が多いのですが、あのときに引下げ実施の場合の必要な対応ということの中に、事業者自身による丁寧な説明がいるという話をされておりまして、特に若年者にも理解しやすい販売資料とか説明書を作成して、年齢に配慮した説明や情報提供を行うように努めたいということをおっしゃっておりました。さらに、契約時における注意喚起とか権利義務に関する留意事項の十分な説明もしなくてはいけない。

これは事業者サイドから言っていただいたので、私は本当にうれしかったのですが、事業者のほうからも、若年者とか、高齢者の場合には少し字を大きくしてというようなお話もありましたけれども、それぞれの年齢に対する配慮義務を自らの課題としてくださっている。さらに、若年層に対しては、ネット情報の収集が多いので、できれば対象商品をホームページのQ&Aなどで、若年者に伝わりやすい方法をとろうとしているとか、あるいは場合によっては高額商品を勧めないようにしている事業者もありますというお話があって、事業者による従業員研修を徹底することが消費者教育の推進という形で、消費者に対して行う消費者教育ばかりではなくて、従業員研修の中でその精神を事業者にもしっかりと持っていただくことができれば、効果は随分違うだろうという気がしますので、ここの「事業者の自主的取組の促進」は、うんとウエイトをかけて報告書を作っていただければありがたいと思います。

○樋口座長 ほかにいかがでしょうか。

増田委員、お願いします。

○増田委員 事業者さんたちの対応というのは、私も非常に重要だと思います。例えば金融機関で振り込め詐欺の未然防止のためにいろいろな配慮を今していただいて、効果が高くなっているというふうにありますけれども、やはり未成年者が貸金を利用するに当たっても、その程度の配慮を事業者さんのほうでしていただきたいと希望します。

そしてまた、女性の場合、エステティックなどのトラブルがありますが、インターネット上のお試しから入って、勧誘を受けて契約するケースが大変多いです。そのときのネット上の表示であるとか、その人にとって今必要な契約なのか、金額は適切かなど、消費者の適性に合わせた勧誘というようなことは事業者のほうで御判断いただくべきことだろうと思いますので、そういうところも十分に配慮していただきたいと思います。

○樋口座長 ありがとうございます。

ほかにいかがでしょうか。

池本座長代理、お願いします。

○池本座長代理 何度もすみません。

消費者教育に関連して1つだけ申し上げます。項目として立てていただいているのですが、大学・専門学校における消費者教育というところが私はやはり一番気がかりです。小中高については学習指導要領があり、なおかつそれを今改訂しているし、それから家庭科とか、一応担い手がいる。そういう人たちに最新の情報を伝えて、現在の消費者教育をどう担ってもらえるかということで、ある程度道筋の手がかりはある。それでも十分広がっていないという話でしたが、大学・専門学校について言うと、学習指導要領のような中身を方向付ける指導という方策はありませんし、何より担い手が、それぞれ専門分野の指導者、講師がいるだけで、消費者教育的なことを担うのはどういう人というのは、およそない。

そうすると、このヒアリングの中でも出ましたが、入学ガイダンスのときのワンチャンスで30分話しましたとかいうのが今のところせいぜいなのですね。それで本当に足りるのだろうかという気がします。

その意味では、大学あるいは専門学校における消費者教育は、文科省だけではなく消費者庁、あるいは地方自治体、消費生活センターなどからもきちんとつながりをつけて、もっと複数回にわたるいろいろな機会を捉えて実施していくという、これまでやられていることではまだ足りないという意識で取り組むことをぜひ提起していく必要があるのだろうと思います。

以上です。

○樋口座長 ありがとうございます。

河上委員長、お願いします。

○河上委員長 何度もすみません。

実は先週の土曜日に甲府に行ってきまして、「シンポジウムin甲府」というので、あしたの山梨を創る生活運動協会という市民団体の方と消費者委員会が共催で消費者教育をテーマにシンポジウムをやったのですけれども、そのときに消費者団体の方が非常に熱心に議論してくださって、出てきた議論の中で非常に印象的だったのは、家庭教育のことを皆さんおっしゃった。つまり、もちろん学校がいろいろ教えるのも大事なのだけれども、金銭教育であったり、何を自分に必要なのかということを考えさせて、市場で取引をする最初の行動をとらせるのは、やはり家庭でのしつけというか、あるいは親がどういう物の買い方をしているかということが非常に大事なので、家庭教育が重要だということをしきりにおっしゃったのです。

それで、ある団体の方が、これからの消費者教育は、センターとか公的機関による公的教育と、それから学校教育と家庭教育の3つがきちんと連携しないと完成しないということをおっしゃっていて、ああ、そうだなと私も同感した記憶がございます。その意味でも、この骨子(案)の中には家庭教育のところがちょっと見えにくくなっておりますけれども、やはり学校教育と並んで家庭教育、もちろんセンターとか行政機関による消費者教育、その3つをきちんと示しておくことが大事ではないかという気がいたしました。

○樋口座長 ありがとうございました。

私も若干この点について意見があるのですが、実は学校教育、大学教育とか専門学校の教育はもちろん重要なのですが、そこに属さない方々に対する対応も今回しっかり整備しておく必要があろうかと思います。そういう意味では、消費生活センターは消費者被害への対応ということだけではなくて、消費者教育の拠点としても機能していくべきであるというふうに近年考え方が整理されてきていますので、地域の消費生活センターなどを中心にして、若者に対する社会としての教育の在り方についても十分議論していただければと。4.が若年成人に向けた消費者被害対応の充実となっていますが、ぜひ、消費者生活センターのところには、社会に対する教育の機能ということも触れていただければいいかなと思います。

ほかにいかがでしょうか。

後藤専門委員、お願いします。

○後藤専門委員 若者が消費者被害に遭ったときには、社会に出る前の段階の、これからスタートだというときに被害に遭って、ダメージが非常に大きいという状況は、ヒアリングの中でもマルチ商法などについて指摘されていたところであります。そういう意味で、若者が被害に遭ったときに心理面のカウンセリング等も含めて、それに対するサポートが大事だと思いますので、そういう方向性をどこかで書いていただけたらと思います。

○樋口座長 ありがとうございます。

ほかにいかがでしょうか。

特に御意見がなければ、報告書の骨子(案)に関する検討は、本日はここまでとさせていただきたいと思います。次回の会議では、本日の委員の皆様方の意見も踏まえまして、報告書(案)について御議論いただきたいと思います。

本日の議事は以上となります。

最後に、事務局から事務連絡をお願いいたします。


≪3.閉会≫

○丸山参事官 本日も熱心な御議論をどうもありがとうございました。

次回につきましては、来週12月20日火曜日、午後4時からの開催を予定しておりますので、よろしくお願いいたします。

○樋口座長 それでは、本日はこれにて閉会とさせていただきます。お忙しいところをお集まりいただきまして、ありがとうございました。

(以上)