第8回 成年年齢引下げ対応検討ワーキング・グループ 議事録

日時

2016年11月22日(火)16:00から18:30

場所

消費者委員会会議室

出席者

【委員】
樋口座長、池本座長代理、河上委員長、大森委員、増田委員
【オブザーバー】
後藤専門委員
【説明者】
文部科学省生涯学習政策局 高橋男女共同参画学習課長
文部科学省初等中等教育局教職員課 山下教員免許企画室長
文部科学省初等中等教育局 教育課程課担当者
経済産業省商務情報政策局商務流通保安グループ 坂本商取引監督課長
経済産業省商務情報政策局商務流通保安グループ 商取引監督課担当者
金融庁総務企画局企画課 島村信用機構企画室長
金融庁監督局総務課 西尾金融会社室長
消費者庁 金子消費者教育・地方協力課長
【消費者庁】
福岡審議官、河内消費者政策課長
【法務省】
中辻参事官
【事務局】
福島審議官、丸山参事官

議事次第

  1. 開会
  2. 関係省庁からの報告
  3. 閉会

配布資料 (資料は全てPDF形式となります。)

≪1.開会≫

○丸山参事官 それでは、時間になりましたので、会議を始めさせていただきます。

本日は、皆様、お忙しいところをお集まりいただきありがとうございます。

ただいまから「成年年齢引下げ対応検討ワーキング・グループ」第8回会合を開催いたします。

議事に入ります前に、配布資料の確認をさせていただきます。

お配りしております資料につき、議事次第の下部に配布資料一覧を記してございます。

不足の資料がございましたら、事務局までお申し出いただきますようよろしくお願いいたします。

それでは、以後の議事進行につき、樋口座長、よろしくお願いいたします。


≪2.関係省庁からの報告≫

(1)文部科学省からの報告

○樋口座長 それでは、早速本日の議事に入らせていただきます。

本日は、新たに成年となる者の消費者被害の防止・救済のための対応策について検討するために、関係省庁の方々にお越しいただきまして、消費者被害及び消費者被害を助長する与信分野における省庁の取組や、消費者教育の現状についてお伺いしたいと思います。

関係省庁からの報告として文部科学省、経済産業省、金融庁、消費者庁の計4省庁から御報告いただきます。

まず、文部科学省から、文部科学省における消費者教育の取組、教員免許制度について、御報告をお願いいたします。

○文部科学省初等中等教育局教育課程課担当者 それでは、文部科学省から、始めさせていただきます。

最初に、学校教育における消費者教育ということで、教育課程課から説明をさせていただきます。

資料1-1「文部科学省における消費者教育の取組」で、1ページ目は、小・中・高等学校における実施状況でございます。

2ページ目で、まず、小・中・高等学校におきましては、学習指導要領に基づいて、社会科、公民科、家庭科等を中心に児童生徒の発達段階を踏まえまして、消費者教育に関する内容を指導しております。

まず、小学校でございますが、平成20年3月告示で、平成23年度から実施している内容でございます。社会科でありますと、地域の社会生活を営む上で大切な法や決まりについて扱うということ。家庭科におきましても、物や金銭の大切さに気づき、計画的な使い方を考えること。身近な物の選び方、買い方を考え、適切に購入できること。自分の生活と身近な環境とのかかわりに気づき、物の使い方などを工夫できることということで、下線を引いたところが、現行の学習指導要領で充実した内容となっております。

こういった学習指導要領の内容に基づきまして、教科書が作られまして、それを主たる教材として、子供たちは学んでいる状況でございます。

続いて、3ページ目は中学校で、平成24年度から実施の内容でございます。中学校の公民科で、上から4つ目のポツになりますが、消費者の自立の支援なども含めた消費者行政といった内容を充実しております。

その下の技術・家庭科の部分でございます。自分や家族の消費生活に関心を持ち、消費者の基本的な権利と責任について理解すること、販売方法の特徴について知り、適切な選択、購入及び活用ができることといったことで、小学校の段階からステップアップするような形で、スパイラルな形で、それぞれ順を追って学んでいっている状況でございます。

続けて、4ページ目は、高等学校でございます。高等学校につきましては、平成25年度入学生から実施している内容でございます。まず、公民科でございます。法や規範の意義及び役割、消費者に関する問題、金融制度や資金の流れ、金融環境の変化、家庭科におきましては、消費生活の現状や課題、消費者の権利と責任、消費生活と生涯を見通した経済の計画や、契約、消費者信用及びそれらをめぐる問題、消費者問題や消費者の自立と支援。持続可能な社会を目指したライフスタイルの確立ということで、これらの記述が学習指導要領に入っているということでございます。括弧書きの部分につきましては、学習指導要領の解説の中に記述してある内容でございます。

続けて、これらに基づいて、教科書が作られているという話をさせていただいたので、その後ろになりますが、実際の教科書で、これはメーンテーブルだけになると思うのですが、教科書について、触れさせていただきます。

5ページ目は、小学校の家庭科の部分でございます。まず、上手に使おうお金と物ということで、特に右側などは、買う前に考えようということで、消費についてじっくり考える機会を持つということ。

続けて6ページ目でございますが、お金の話と買物の仕方を考えようということで、買物の手順や、下のほうにあります商品についている表示やマークについても学んでいるといったことでございます。

続けて、7ページ目は中学校社会科で、公民的分野になります。特に社会科で、決まりの意義ということで、社会生活を円滑に営むための決まりを重点的にやっておりまして、決定の仕方といった、ここでは自治会を例に取り上げているところでございます。

続けて8ページ目は、同じく社会科でございますが、私たちの消費生活で、右側でございますが、お金の使い道を考えようということで、ライフスタイルを見越した将来のお金の使い道についても学んでいるといったことでございます。

9ページ目は、消費者の権利といった部分でございます。左側の下にありますように、インターネット通販、無料商法、マルチ商法といった課題を扱いまして、契約の重要性を扱い、右側でございますが、消費生活と契約という部分で、実際のコンビニやDVDのレンタルといった、実際の身近な事例の内容を扱っているところでございます。

続けて、10ページ目は、中学校の技術・家庭科の家庭分野でございます。よりよい消費生活のためにと項目が設けられておりまして、右下のほうにも、ロールプレイングに挑戦しようということで、悪質商法のだましの手口で、ロールプレイングをするという内容でございます。こういった実践的なものも取り扱っている状況でございます。

続けて11ページ目は、消費者の権利と責任という部分でございます。特にこの部分につきましては、下のほうでございますが、消費者の8つの権利と5つの責任という部分で、そういったものも扱っているということでございます。

12ページ目は、実際の事例を通して、消費者の権利と責任を具体的に考えるような内容も扱っております。特にこの事例におきましては、中学生がTシャツを作る際に、いろいろな課題が出てきて、その中で、消費者としてどう考えていくべきかを考えていくような学習を扱っておるところでございます。

13ページ目は、消費者を支える仕組みでございます。消費者を支える仕組みとして、消費者を支える機関と法律や、クーリングオフなども扱っておりまして、自立した消費者になるためには何が重要かということもここで学んでいるところでございます。

14ページ目は、事例を通してトラブルへの対応を考えるということで、こちらも実際の事例でございまして、インターネット通信販売で実際に購入したものが自分の希望するものと違っていたというケースで、そういったトラブルに巻き込まれた際に、どのように行動するのか、予防するためにはどうする必要があるのかといったことを考えることで、再発を防止し、被害が縮小し、消費者問題の解決に向かっていくということを学んでいるということでございます。

続けて、高等学校になります。15ページ目は、高等学校の公民科現代社会の部分でございますが、市民生活と法というものもあるということでございます。

16ページ目は、左側でございますが、日常生活の中の契約ということで、契約の成立と契約の無効、取消し、解除ができる場合、契約と義務といったことで、中学校のレベルより少し詳しく、高等学校レベルでもこのように学んでいる状況でございます。

17ページ目は、自立した消費者への道ということで、左側の消費者主権といった部分がございます。消費者といったことをしっかり教えた上で、そんな中にも現代の消費者問題ということで、右側の下のほうになりますが、実際のインターネット通販から無料商法といった例につきましても、扱っている状況でございます。

18ページ目は、現代の消費社会という単元がございます。こちらは、高等学校の家庭基礎という科目になります。その中で現代の消費社会を扱っておりまして、右下にありますように、クーリングオフを知ろうといった内容を扱ったり、次の19ページ目になりますが、右側の多重債務といった話、さらに右側には、利息について考えようということで、生徒の将来につながる情報についても、適宜取り上げている構成になっております。

20ページ目は、消費者をめぐる問題でございまして、様々な問題があるということでございます。一番下のずっと横長になりますが、若者が狙われやすい悪徳商法を例示させていただいております。アポイントメントセールス、キャッチセールスから、様々な類型があるということで、このように家庭科でも学んでいるということでございます。

以上、小学校、中学校、高等学校で、スパイラルにある程度繰り返して、そのレベルに応じて指導が行われている状況でございます。

続けて、21ページ目は、実社会との接点を重視した課題解決型学習プログラムに係る実践研究で、文部科学省におきましても、先進的プログラムも大事だということで、そういった学校も支援いたしまして、取組をしていただいているものをこちらに掲げさせております。

あわせて、次の22ページになりますが、学習指導要領の改訂の状況でございまして、平成26年11月に諮問がなされまして、現在、その内容について検討している状況でございます。

内容につきましては、23ページ目になりますが、各教科等で「学びに向かう力 人間性等」「知識・技能」「思考力・判断力・表現力等」といった3つの柱で資質・能力を整理しているところでございます。

その内容は、次の24ページでございます。それぞれ現代的な諸課題に対応して求められる資質・能力と教育課程というところで、真ん中より下あたりになりますが、現代的な諸課題に対応して求められる資質・能力ということで、下の部分に「主権者として求められる力」がございますが、そういったものにつきましても、非常に大事な部分でございますので、関係教科等、教育課程全体とのつながりの整理を行いまして、その育成を図っていくことができるようにすることが求められているといったことが挙げられております。

各教科の内容につきましても、次の25ページ目になりますが、公民科になりますが、今回「公共(仮称)」という科目もございますが、その中で真ん中の部分になりますが、指導の狙いを明確にした上で、各主体の相互の有機的な関連が求められるとされています。そこでは、例えば消費者の権利や責任、多様な契約などの題材を取り扱うことが適当であるということが挙げられておるところでございます。

26ページ目は、家庭科の内容になりますが、小学校、中学校、高等学校につきましても、それぞれの部分での充実が記載されておりまして、実践的な学習活動を一層充実することなどについて、意見をいただいているところでございます。

その後ろが、公共と家庭科の部分の今後の方向性を示した資料になっております。

以上が学校教育における内容でございます。よろしくお願いいたします。

○高橋文部科学省生涯学習政策局男女共同参画学習課長 続きまして、今、教育課程の御説明を申し上げましたところですが、それ以外の点などにつきまして、御説明を申し上げます。

31ページを御覧いただきたいと思っています。教育課程の検討は、先ほどの説明のとおりでございますが、私どもでは、消費者教育のための消費者教育推進委員会を生涯学習政策局に設置しております。

32ページにメンバーが出ておりますが、例えば横浜国立大学の西村先生、弁護士の島田先生。消費者庁の消費者教育の会議のメンバーの方にも入っていただいております。また、学校のことに詳しい、例えば埼玉県の教頭先生ですが、奥教頭先生、岐阜県の水川先生といったところで、消費者庁と文部科学省で、ともに消費者教育を進めていこうという考え方で、私どもは消費者庁の会議とも連携がとれるような形で、このような会議を運営して進めております。

具体的な事業としましては、31ページの一覧表の上から2つ目の四角の消費者教育フェスタでございます。

33ページを御覧いただければと思うのですが、消費者教育フェスタの目的といたしましては、消費者教育は、教育課程に位置付けられておりますので、必ず学校で取り上げなければいけないわけでございますけれども、消費者教育の局面といいますか、内容は非常に様々な、実生活とも関係しておりますし、新しい課題が次々に出てくるということで、例えば最近でいうと、インターネット関係の課題なども出てくる。

徳島の消費者教育フェスタの例を33ページに出しておりますが、徳島県のように、県を挙げて消費者問題に取り組んでいるような、それぞれの地域ごとの特色ある取組や課題もあるということでございますので、私どもとしましては、消費者教育フェスタを毎年全国で3カ所ずつ行うことによりまして、教育委員会や先生方、地元の消費者団体の皆さんと一緒になって、それぞれの地域に根差した形での消費者教育をやっていただこう。そういう先生方と一緒にやる一種の勉強会という形で、毎年3カ所ずつ開催させていただいております。

これは徳島県で、今年11月の初めに開催したわけでございまして、県知事もいらして、非常にたくさんの、400名以上の参加を得てさせていただきました。具体的な中身としては、徳島県の取組の発表もありますし、グループ討議もありということで、先生方に、どのような切り口で消費者教育をやったらいいのかを勉強していただこうという形で開催させていただいております。

消費者教育フェスタのうち1回は、必ず消費者庁のフォーラムと共催という形で開催させていただいております。34ページを御覧いただきますと、昨年は岐阜県で行いました。先ほどの私どもの会議のメンバーで、岐阜の水川先生に入っていただいておりますけれども、水川先生に地元で中心になっていただきまして、消費者庁と文部科学省と岐阜県という形で、昨年は岐阜県で行いまして、ここも非常に多くの先生方に参加していただきました。ここで出ていた意見としましては、消費者教育をやりたいと、非常に問題意識が高いわけでございますけれども、なかなか新しい課題にどう取り組んでいくのか、どこから情報がとれるのか、外部の専門家にぜひ学校に来て、出前講座なりをやってもらいたいのですがどういう専門家に頼めばいいのだろうか。そういう先生方の疑問、心配があるのですけれども、これがまさに岐阜の場合は、消費者庁と我々の共催でやりましたので、消費生活センターを初め、多くの消費者問題関係の専門家の方にも参加いただきましたので、そこで先生方とグループ討議の中でのうまいマッチングもできたということで、大変御好評をいただきました。

このような勉強会を全国で3カ所ずつ開催しておりますが、なかなかこれだけではということで、更に私どもは昨年、その次の35ページから、これは冊子の形で、先生方の指導の手引という形で作成させていただいたものでございます。これは先ほどから申し上げておりますとおり、教育課程の中に位置付けられている消費者教育と、消費者教育推進法でうたわれております消費者市民社会、更に、35ページからの小冊子の中でございますが、46ページを御覧いただきたいと思います。

46ページの左側に色分けで、消費者教育の体系、イメージマップというものがございます。これは消費者庁の会議でおまとめいただいたイメージマップでございまして、学校教育の中での消費者教育をどう具体的にやっていくのか、非常にかみ砕いた形で、消費者市民社会、安全、契約、情報という形で整備されたものでございまして、私どもは、このイメージマップをもとにしまして、36ページから、私たちは生活の中で常に消費者ですというメッセージのもとに、具体的には、どういう形になっているかといいますと、39ページを御覧いただきたいと思います。

先ほど教育課程の説明の中で出てきておりましたが、契約の問題は、消費者教育の中で非常に重要でございます。例えば中学校3年生の社会科では、どのような形で取り上げることができるのか。取り上げるアイデアです。これが左の下側、中学校3年生社会科で、教育課程のどこの部分が消費者教育として、どういう形でできるのかを社会科、右側にいきまして、数学科、さらに、その地域の公民館とか、地域の取組として消費者教育を行っている先進事例はどんなものがあるのかということで、熊本県の事例という形で、非常に具体的な事業のやり方についてのヒントを提供申し上げているわけでございます。

40ページ、または41ページ、42ページとそれぞれ同じような形で、学校の教育課程の中で行う場合、学校外で行う場合という形で整理させていただいておりまして、43ページを御覧いただきたいのですが、先生方に聞きますと、先生方だけでは最新の消費者教育のテーマになかなか追いついていけないということで、外部の専門家のお力を借りたいという意見が非常に多くございます。どうやって外部の専門家と先生方で連携するのか、話合いを持っていくのかを43ページで、具体的にどう進めたのかという形を、苦労話も含めて、ここはなかなか図にするのが難しくて字になってしまったのですけれども、こういう形で、どういう協力のやり方があるのかを御紹介させていただいております。

これは指導の手引でございまして、このようなものを使って、先ほどのフォーラムなどで研修を深めていただくという形でさせていただいております。

31ページに戻っていただきまして、今、御説明申し上げましたのが、啓発資料でございまして、上から4番目の四角でございます。一番下の四角に●が2つございまして、アドバイザーの派遣、実証的調査研究の実施となっておりますが、このアドバイザーと申しますのは、49ページを御覧いただきたいと思います。

消費者庁の会議の中心でもあられる西村先生を始めとしたこういう方を、例えば消費者教育の推進計画を各地方公共団体で作りたい。また、どうやって消費者教育を進めたらいいのかという問題のときに、私どもからアドバイザーとして派遣して、お手伝いをしていただくという事業でございます。

さらに、実証的研究ということで、この中では、特に最近の成人年齢の関係もございますので、大学が地域のNPOや商店街、例えば薬学部の先生が薬剤師会と協力するような、新しい大学などでの消費者教育の取組について御支援申し上げる。一緒に実証研究をやっていこうということもさせていただいております。

なお、成人年齢引下げの関係では、大学における消費者教育も非常にこれからは重要になってくると考えております。それは50ページにございます。学生支援機構というものがございまして、ここでの調査は、大学では、学内広報による周知でありますとかガイダンスでの説明という関係で、消費者が事故に巻き込まれないように対応させていただいているという調査結果になっております。

私どもとしては、先ほど申し上げました大学との協力、更には大学生協の皆様が、消費者問題については非常に積極的に取り組んでいらっしゃいますので、ぜひ大学生協とも協力しまして、本年、特に来年度以降の重点的な取組として、大学や専門学校の18歳から二十までぐらいの方々をターゲットにした取組も展開していきたいと考えているところでございます。

○山下文部科学省初等中等教育局教職員課教員免許企画室長 失礼いたします。

文部科学省で、もう一点でございますけれども、今回の御議論に当たって、大学における教員の養成あるいは教員免許制度の中での、そもそもその仕組みがどうなっていて、その中で消費者の問題について、どのように取り扱われているのかについてもお話をとの御依頼を頂戴いたしましたので、お手元に資料1-2を準備させていただいております。

申し遅れましたけれども、私は、教員免許企画室長をしております山下でございます。

めくっていただきまして、1ページ目に、学校の教員の資質能力の向上、すなわち育成はどういうやり方でやっているのかが簡単に示されておりまして、養成と書いてありますのが、大学の教員養成学部であるとか、あるいは普通の学部、例えば法学部におきましても社会の免許状が取れる教職課程が置かれていたり、理学部には数学とか理科の免許状が取れる教職課程というコースが置かれております。そういった大学での養成が行われ、必要な単位をとった者について免許が授与され、教員として採用され、その後、現職の教員の研修を受けるという流れの中で、全体的に教員の育成が図られているということでございます。

その中で、特に教員免許制度でございますけれども、大学での養成を受けて、必要な単位を修得した者について、都道府県の教育委員会に申請をすれば免許状が授与されます。この免許状を持っていないと、現職の教員としては教壇に立てない仕組みになっているところでございます。

免許状の種類は、幾つかございますけれども、一般的なものがマル1の普通免許状でございまして、大学の教員養成を経て授与される免許状でして、学位のレベルによって専修免許状、一種免許状、二種免許状という3種類に区分されております。

次に、3ページでございますけれども、少し詳しい内容を記載させていただいておりまして、先ほど普通免許状のところで私が申し上げましたように、大学の教職課程での履修と学位で免許状が取れるということ。その他の免許状についても、少し説明を書かせていただいております。

4ページ目は、一番上の一般的な普通免許状の種類で、幼稚園、小学校、中学校、高等学校といった学校段階ごと、また、中学校、高等学校については教科ごとに免許状があり、これらはいずれも法律上そういう形で定められております。

次が5ページ目で、それぞれの免許状を取るために必要な単位数を、表として出させていただいておりまして、6ページ目が、その中の特に中学校と高等学校の免許状の具体的な単位数の割り振りなどを示させていただいておりますが、5ページ目の表の第3欄を御覧いただければと思いますけれども、横のほうに教科に関する科目、教職に関する科目、教科又は教職に関する科目という、おおむね申し上げれば3区分ごとに必要な単位数が定められております。

例えば中学校教諭の一種免許状を取るためには、教科に関する科目、これは教科の中身に関する専門的な知識を身に付けるという種類の科目でございますが、それを20単位とること。教職に関する科目、これはどちらかといえば教育学の基礎的な理論であったり、あるいは教員として必要な知識、技能を身につけるという、職業教育的な内容が多くなってくるのですが、こちらを31単位。教科又は教職に関する科目は、大学が独自に設定する科目を8単位をとるという形になってございます。

その次、7ページを御覧いただければと思います。今、申し上げたような必要な単位を、大学における教員養成の中で修得し、学士の学位を取っていくということになります。なおかつ、教職課程については、その次の8ページにもございますけれども、事前に文部科学大臣に申請をして認定を受ける。その際には、中教審の意見を聞くという手続がとられているところでございます。

以上が教員養成に関します概要でございます。最後に9ページでございますけれども、とりわけ消費者教育、消費者問題で関連が深いであろう教科で申し上げますと、中学校、高等学校の免許状かと思います。

特に家庭科の免許状を取得する際の、特に教科に関する科目20単位の中の内容区分が今、法令上どのようになっているのかを、9ページの左上の表で示させていただいておりまして、御覧いただいたとおりで、家庭経営学、被服学、食物学、住居学、保育学等々で構成されていて、これらの学問分野について、20単位を取得する形になってございます。そうした中で、特に消費者教育、消費者問題について取り扱われている関連が深いということで申し上げますと、恐らく家庭経営学になるものと考えております。

文部科学省内の、視学官や教科書調査官という、ここの部分についての専門家に話を聞いてみますと、通常、消費者問題あるいは消費者教育に関しましては、家庭経営学の中の家庭経済学の中の一類型として大きな位置を占めていて、大学において家庭経営学という講座が開かれれば、その中で通常、取り扱われる形になるのではないかというお話も頂戴しております。

もう一つは、教科に関する科目以外では、教職に関する科目の中で、家庭科の指導法。実際に授業でどのように指導するのかという、指導法についても学ぶわけでございますが、この指導法を学ぶに当たっては、通常、学習指導要領の内容も概括的ではございますが、取り扱うということでございまして、先ほど教育課程の中で、学習指導要領における消費者教育の位置付けの説明がございましたけれども、そうしたことも含めて指導要領の内容も取り扱う形になるのかなというところでございます。

最後に、家庭科の教職課程を置いております大学及びその課程数の一覧をデータとしてつけさせていただいているところでございます。

私からの説明は、以上でございます。

○樋口座長 御説明ありがとうございました。

山下室長は次の御予定があるようですが、16時45分ぐらいまで、集中的に御質問、御意見等をいただければと思います。

恐縮ですが、大森委員、お願いします。

○大森委員 早速山下室長に御質問します。

教員免許制度のことなのですけれども、学校の先生で、消費者教育を苦手と思われている先生の割合が高いようなので、教員免許の更新10年研修とか、新人の研修とか、そういうところで、消費者教育をもうちょっと重点的にやっていただけるように必須科目にするとか、そういうことは難しいのでしょうか。

○山下文部科学省初等中等教育局教職員課教員免許企画室長 恐らく、免許状更新講習は30時間の講習で法定化されていて、なおかつ、その中で、実は必修科目は従前12時間あったのですけれども、どうしても先生方が、自身が今、持っている授業実践上の課題とか、それに合った科目をより選択したいという声が非常に多くて、本年度から、必修科目は6時間に減らしておりまして、選択科目とか選択必修科目という、かなりこの中で、どういうものを選ぶのかをそれぞれ受講される先生方の御判断で選べる科目のほうを多くしておる状況でございます。

そうした中で、必修科目の6時間、その内容については、法令でおおむねこういうことをやってほしいということが示されておりまして、今、申し上げたような時間数の圧縮等々の兼ね合いも含めて、ボリュームを少し減らしてしまったという中で、新たな位置付けを持たせるのは若干難しいのかなと考えております。

一方で、選択科目等につきましては、現代的な教育課題に対応して、各大学等が独自にいろいろなテーマ、当然、消費者教育、消費者問題についても取り扱うことは当然可能でございまして、今、こういう問題が非常に学校教育の場でも大きく取り上げられつつあるということで、積極的に各大学にこういう問題の講座を開設するお願いを申していく、あるいは促していくことは可能かなと考えております。

もう一つは、先ほど私も御説明いたしましたけれども、各自治体の判断で、例えば初任者研修、10年次研修とか、それ以外にもいろいろ年次的な研修、教科ごとの研修は、当然、家庭科に関します研修も行っていると思いますが、そういうところで扱っていけるように、各自治体を促していく方法も考えられるのではないかと思っております。

○樋口座長 ほかにいかがでしょうか。

池本座長代理、お願いします。

○池本座長代理 池本でございます。

教員養成のことに関連して一つあるのですが、それ以外のところを含めて質問させていただきます。

まず、教員養成のところで申し上げますと、今、御説明いただいた最後のところに私は関心があるのですが、最初の養成ももちろんですし、更新のときこそ、一回学べばそれで済むのではなくて、新しい課題が次々と出てくるので、更新時の選択必修科目の中で、消費者問題はきちんと大学で位置付けられなければいけないと思うのですが、どうも各大学で消費者問題に関するコマが必ずしも十分整備されていないのではないか。

その分野の専門家の人数が、先ほどお願いしていきたいとおっしゃっていただいて心強いのですが、現状としてどのぐらいあり、今後、どのように広げていくということなのか。そこの実情がもし分かれば教えていただきたいところです。

最初の御報告の中で、近年教科書は非常に充実した中身になっているというのは、私も拝見しているのですが、問題は、教員の方がこれをきちんと伝えるために、自ら学ぶ機会あるいは外部の専門家との連携を有効に活用していくという、そのあたりが重要になると思うのですが、それも今後の課題であるということをおっしゃられたかと思うのです。全ての都道府県の中で、こういった課題を恒常的に学ぶ場を作り、あるいは外部との連携の場を作っていくことで、何かこれまでよりさらに一歩、二歩、広げていく。年に2から3カ所ずつというところから、さらに、今後、広げていく計画なりお考えがおありなのかどうかについて、お伺いできればと思います。

以上です。

○山下文部科学省初等中等教育局教職員課教員免許企画室長 前半の消費者教育あるいは消費者問題の大学の中での位置付け、取扱いでございますけれども、正直申し上げて、私も今、手元にどの程度の専門家がいらっしゃって、どの程度教えられているのかの資料を持っておりませんので、分かりかねます。

ただ、お手元の資料の9ページの最後に、家庭科教員の養成大学数とか、それに対応した教職課程の課程数は、一連のものはデータとして出されておりまして、当然、この課程に携わっている先生方の中には、消費者問題、消費者教育を専門あるいは中心的に扱われている方はいらっしゃるのかなと思います。

恐らく、9ページの教科に関する科目の中で、家庭経営学から住居学やら保育学やらが出てございますけれども、いずれ、これらをまとめて、いわゆる家政学という学問分野になると聞いてございます。家政学の中の家庭経営学で、体系的に消費者問題が取り扱われているとは聞いてございまして、なおかつ、私が事前にお話を聞いた専門家によれば、家庭経営学、とりわけその中の大きな事項でございますけれども、家庭経済学といった中では、最近、消費者問題が非常に大きくクローズアップされている中で、消費者教育、消費者問題を取り扱うような先生方の比重は大きくなっているのではないかというお話は聞いてございます。

ただ、少しそのボリューム感がどの程度かは、恐縮ながら把握はしておりません。

○樋口座長 どうぞ。

○文部科学省初等中等教育局教育課程課担当者 教員の方々の授業研究という部分で、様々な活動をしていると聞いておるのですが、うちのほうから何かというところはございません。

○樋口座長 お時間ですけれども、よろしいですか。ほかに皆さん、御質問、御意見はよろしいですか。

○池本座長代理 室長がお時間だというので、それだけ先取りしたのですが、それ以外のテーマであれば、ございます。

○樋口座長 分かりました。

山下室長、どうぞ。

○山下文部科学省初等中等教育局教職員課教員免許企画室長 ありがとうございます。

また何かあれば、御連絡いただければと思います。

どうもありがとうございました。

(山下文部科学省初等中等教育局教職員課教員免許企画室長、退室)

○樋口座長 引き続き、どうぞ。

池本座長代理、お願いします。

○池本座長代理 最初の学校教育の場での教科書が非常に充実しているということに関連して、補足の質問です。

お配りいただいた資料の15ページから20ページにかけて、例えば高校での消費者問題関連ということで、先ほど紹介いただきました。

ちなみにこのボリュームを、時間としてはどのくらいの時間で教えておられるのだろうか。もちろん、確定的な数字ではないかと思うのですが、そのあたりを教えていただきたいのが1点です。

もう一つは、時間軸の問題でお伺いしたいのですが、学習指導要領の改訂について、現在、諮問して平成28年度中に答申を受け、平成32年度から実施予定であるということですが、平成32年度から実施予定というのは、教科書を改訂したものが現場で使われる予定年度という意味なのかどうかについてお伺いしたいという、2点をお願いします。

○文部科学省初等中等教育局教育課程課担当者 ありがとうございます。

高等学校につきましては、特に家庭科につきましては、家庭基礎という科目がございます。2単位の科目ですので、70単位時間となります。家庭基礎は、項目が10項目ございますので、そのうちの一つの項目と、他の項目で関連する内容もあるので、一つの項目に充てる時間に加え、もう少しやられているということになります。

続けて教科書の話でございます。今年度改訂した場合、平成32年度から小学校が全面実施予定となります。それまでの予定といたしましては、来年度に教科書を作り、その後に検定、採択・供給をするというサイクルを経て、小学校の全面実施にあわせて平成32年度から小学校で新しい教科書が使われることになります。その後、平成33年度から中学校、平成34年度から高等学校が実施予定となり、そこでも新しい教科書が使われる予定となります。

以上でございます。

○樋口座長 ほかにいかがでしょうか。

大森委員、お願いします。

○大森委員 2点質問があります。

1点なのですけれども、消費者教育アドバイザーの派遣制度なのですが、すごく立派な先生方で、7名登録されていて、講演会とか計画を立てるときにはすごく支えになるメンバーだと思うのですが、もうちょっと都道府県レベルで、特別非常勤講師として消費者教育の出前ができますというような人材バンク的なものを作ることは難しいでしょうか。

あと一点は、消費者教育フェスタと消費者庁の地方消費者フォーラムをセットで行うのを、3回実施しているフェスタのうち1回をそういう形で実施されているということなのですが、参加された方の御意見を聞いたところ、とてもよかったと評判なのです。文科省と消費者庁が結びつくということは、消費者教育の推進にすごくつながることなので、一回だけというのが非常に残念なので、3回ともそういうスタイルでというのは難しいのでしょうか。

この2点です。

○高橋文部科学省生涯学習政策局男女共同参画学習課長 まず、アドバイザーの関係でございますけれども、御指摘のように、アドバイザーはどちらかというと計画作りとか、そういうところで御助言いただく方で、実際に学校で指導していただくということではないのかなと思って、そういう形にはなっておりません。

先ほどの御提案の、学校で実際に指導していただく先生方については、例えば各地にございます消費生活センターのスタッフの方などにそういった形で御協力いただけたらと考えておりますし、消費者庁でも、消費生活センターの拠点化ということで、消費者教育の観点からも、消費生活センターが拠点として機能を果たしていくような方向性で進めていらっしゃると聞いておりますので、私どもとしては、教育委員会とそういった消費者関係の皆さんが結びつくアレンジをどううまくやっていくのかというところでお手伝いをしたいと思っております。

その有効な方法として、フェスタなりフォーラムなりがあるということだと思いますが、消費者庁と私どもで共催するかどうか。実際問題としましては、例えば今回で申しますと、本年、私どものフェスタは徳島県と、昨日開催した金沢と、次に開催します宇都宮の3カ所を考えているのですが、金沢は共催で開催させていただきました。

ただ、私どもとしては、例えば徳島については、小・中・高の先生方に消費者教育を勉強していただこうということでフォーカスしましたし、宇都宮に関しては、宇都宮大学に赤塚先生という家庭科が御専門の先生なのですが、消費者教育に非常に熱心に取り組んでいる先生がいらして、この方は免許更新講習などでも、消費者教育を取り上げていらっしゃる先生なのです。

この方が、宇都宮大学の附属中学を使って模擬授業を行い、先生方の消費者教育の研修をしてもらおうと。そういう企画を考えていらっしゃいまして、そういった意味では、文部科学省ですので、どこにどう働きかけていくのかを考えたときに、今は、たまたま3回のうち1回は消費者庁と連携して開催させていただいていますが、今年はそういった形で徳島と金沢と宇都宮という形になっております。

来年以降も、私どもはフェスタの開催を考えておりますので、その中で共催という形でもいいですし、フェスタに地元の消費生活センターの方に講師に来てもらったり、実際に参加してもらったりということで行っていますので、いろいろな方法で中身を充実させていくということで考えていきたいと思っております。

別に3回のうち1回というのは、決まっているということではございません。

○樋口座長 ほかにいかがでしょうか。

増田委員、お願いします。

○増田委員 御説明ありがとうございました。

家庭科と社会科という2つの方面からのアプローチがあるかと思うのですけれども、内容については違うかと思いますが、現場の先生方の中で、家庭科の先生と社会科の先生がいらっしゃるわけで、そこの一つの学校の中で、どの先生が何をやるとかについては、そこの学校の考え方とか、そこで決まるのでしょうか。両方で同じようなことがかぶっている部分があったり、どちらかがやるのではないかと思うことがないのかなという心配が素朴にあるのですが、いかがですか。

○高橋文部科学省生涯学習政策局男女共同参画学習課長 まず、そもそも教育課程のでき上がりからいいますと、教育課程にこういった形で学習指導要領なりにここまで盛り込まれているということは、これはミニマムとして必ずやらなければいけないことであるということです。つまり、あちらの先生がやるからこちらの先生はやらなくていいとか、そういうことではございません。ミニマムでやらなければいけないということです。

私どもが考えていますのは、これはあくまでミニマムですので、家庭科と社会科という問題があったときに、家庭科の先生が取り上げる消費者教育の切り口と、社会科の先生が取り上げる切り口は当然、違ってくるので、そこはそれぞれの切り口で取り上げていただきたいですし、先ほどの啓発資料の中にありましたように、それ以外の科目でも、実は消費者教育的な切り口はございますし、もっと言うと総合的な学習の時間とか、今はキャリア教育といいますけれども進路指導のときに、これから学校を卒業してひとり暮らしをしていくときの勉強とか、そういったことの中にも消費者教育の要素は入ってきますので、そこはあの先生がいるからとかいうことではなくて、いろいろな切り口で消費者教育が進んでいけばいいのかなと。

そのときに、学校の先生だけで新しい問題に十分対応できないということであれば、消費生活センターの方に来て助けてもらうとか、そういうアイデアを私どもとしてはお勧めしているということでございます。

○樋口座長 よろしいでしょうか。

ほかにいかがでしょうか。

後藤専門委員、お願いします。

○後藤専門委員 お話が先ほどからありました消費生活センターの方に助けてもらうとか、そういう外部の専門家の支援を仰ぐことにつきましてお尋ねしたいのですけれども、消費者教育以外の科目で、外部の専門家に頼んで授業をしていただくなり、補助していただくなりは、かなり学校教育の中では経験がおありのことなのでしょうか。

○高橋文部科学省生涯学習政策局男女共同参画学習課長 一番分かりやすいのは、最近は、中学などからも始まっていますけれども、インターンシップというのですか、大学生がやるような本格的なものではないのですが、職場体験という形で出かけていって経験することがございます。

当然、それはいろいろ経験する。事前学習に地域のそういう方に来て事前学習で話をしてもらうとか、そういうことはいろいろ行われております。

ただ、先ほども申しましたけれども、それをやろうという気持ちは学校側にはすごくあるのですが、一番先生方が苦労しているのが、講師を探してくるのが大変なのです。そういった意味では、消費者教育に関しては、専門家はそういったところ、今の消費生活センターなどにいらっしゃるわけですから、そこと教育委員会をうまくつなげば、講師探しに苦労するわけではないので、そこはうまく回っていくのではないかと考えるところです。

○後藤専門委員 消費者教育などの場合には、外部からそういう形で力を貸していただくということが、割とやりやすい領域だと考えてよろしいでしょうか。

ありがとうございました。

○樋口座長 ほかにいかがでしょうか。よろしいでしょうか。

それでは、文部科学省からの御報告はこのあたりにさせていただきます。

どうもありがとうございました。

(2)経済産業省からの報告

○樋口座長 引き続きまして、経済産業省から、クレジット分野における若年層向けの消費者被害対策の実施状況について、御報告をお願いしたいと思います。

時間の制約がございまして、経済産業省の方は御都合で17時30分までとなっておりますから、御説明を10分でお願いしたいと思います。その後、質疑を20分で集中的に行いたいと思います。

どうぞよろしくお願いいたします。

○坂本経済産業省商務情報政策局商務流通保安グループ商取引監督課長 ありがとうございます。

経済産業省商取引監督課でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

消費者委員会の先生方には、割賦販売法の改正につきまして、御指導をいただきましてありがとうございます。冒頭、一言進捗を御報告させていただきます。先週、木曜日に衆議院の本会議で議了となりまして、現在、参議院での審議を待っているところでございます。いろいろ御指導いただき、ありがとうございます。

本日は、このような機会をいただきましてありがとうございます。

お手元の「クレジット分野における若年層向けの消費者被害対策の実施状況について」で、主に認定割賦販売協会である日本クレジット協会で取り組ませていただいていますクレジット教育に対する支援活動を中心に、本日は御紹介をさせていただければと思います。

1.でございますが、現在、日本クレジット協会が定めております自主規制規則の中で、未成年者がクレジット契約の申込みを行う場合には、クレジット会社はその申込みをする未成年者の親権者の同意を求めるということを自主規制の規則の中で実施しているところでございます。

2.がクレジット教育支援活動で、昭和59年度から中学校、高校、大学といった学校教育の現場で、クレジットに関する教育あるいは金銭教育の普及や充実を目指して取り組んできております。日本クレジット協会の中には、消費者広報部という部の中に、こういった取組、活動を中心に専門で行うクレジット教育センターという部署を設けておりまして、そこでこういった様々な教育、支援活動を実施しているところでございます。

「(1)クレジット教育に係る教材等の提供」でございますが、今日はいろいろと資料を、表紙だけ資料にコピーさせていただいていますけれども、まずはクレジット協会から各教育機関に対して、こういった教育支援活動の御案内をまずはお送りしていまして、この中で、基本的に無償でこういったパンフレットというか、教材とかDVDとかを御希望を募って、必要な部数を申し込みしていただくと、無償で送付をして、現場の教材として使っていただくという形で、プッシュ型で提供させていただいています。

中学校、高校といったところに関しましては、資料にもございますように、先生用に指導のための手引と、生徒に入門書、入門のパンフレットとあわせまして、ちゃんと定着するためのワークブックも用意していまして、それの先生用のワークブックということで、2種類掛ける教員用、生徒用という形で4種類。それに加えまして、授業で直接使っていただけるようなDVDも、御希望がある学校には配布しているということでございまして、実績としては全国360校に、実際、こういった教材を配布させていただいています。

実際の授業で使っていただけるように、例えば黒板にこのままぺたっと貼れるようなポスターというか、こういったものも配布して、クレジットカードの仕組みから始まって、実際にカードを作るときにはどうしたらいいのか、あるいは今、法改正の中でもテーマになっていますけれども、セキュリティーの観点から、暗証番号とかパスワードはこういうところに気をつけて登録しなければいけないのだといったこと、最後にはクレジットのいいところ、悪いところということで、便利なことがある反面、利用し過ぎると支払能力を超えた支払が発生してしまうので、計画的に無理のない範囲で利用しましょうねといったこと、留意事項まで、中学、高校のレベルに合わせて分かりやすく入門ということで、補助教材的に使っていただけるようなものを御用意しているということでございます。

めくっていただきまして、「(2)教員向け勉強会の実施」ということで、夏休みの時期に合わせて、中学校、高校の家庭科などの先生方を対象に、こういった授業をしていただくために、先生方のための勉強会を10地区11会場で開催しておりまして、全体として100名ほどの先生が参加されて、クレジット協会から行っている専門の人が説明をしているということでございます。

「(3)教育関係機関への講師派遣」で、これも御希望があった学校に対しては、クレジット協会から直接講師を派遣して、学生向けに直接クレジットカードに関することについて、授業、講義をさせていただいているということもやっております。

こういった取組については(4)でございますが、各種新聞等媒体を通じて、日本クレジット協会ではこういった教育支援活動をやっていますという発信というか、広告もあわせてさせていただいております。

最後に、参考でございますけれども、これは消費者向けのパンフレットで、各種いろいろ用意しておりまして、この中で、特に学生向け。大学生ですね。これは大学の入学案内と一緒に入れ込んで、確実に学生が読めるようにという形で配布しているものでございます。

『クレジット青春メモリー』というもので、中は漫画になっていまして、非常に分かりやすく、学生の方にも好評だと聞いております。中身は、先ほどの中高用の教材と同じような形で、仕組みがどうなっているかから始まって、セキュリティーで、こういうことに気をつけなければいけないのだといったこと、リボ払いを例に出して、非常に便利だからどんどん使ってしまおうみたいなまーくんが出てくるのですが、それに対して女性のほうが、月々の支払は抑えられるけれども、支払わなくていいわけではないからねと言って叱り飛ばすみたいなストーリーを持って、実際、健全な形でクレジットカードを利用していただけるような啓発を行っているということでございます。

資料に書いてございますように、青春メモリーだけで16万部を発行していまして、これは各大学を中心に学校に配布させていただいております。

学生に特化したものではございませんが、今日、この場を借りてぜひ御紹介させていただければと思って持ってきましたが、一昨年8月の消費者委員会からの御建議をいただきまして、リボ払いについて消費者啓発をしっかりやっていこうということで、従来リボ払いのパンフレットは一応ございましたが、分かりにくい面などを改善いたしまして、今年の春頃にリニューアルして、中身を経産省も一緒になって確認しながら、利用明細をちゃんと見ようねと。手数料がかかることに注意しようねといったことを、しっかり分かりやすくお伝えできるような中身にして、こういったものも啓発の媒体として活用させていただいているところでございます。

○経済産業省商取引監督課担当者 特に若年層で、高校を卒業して大学に入られて、初めてそこでクレジットカードを手にされる方が非常に多いということで、先ほどあった青春メモリーのような、学生が手にとって興味を示してくださるような漫画での媒体を使ったものとか、学生の中で学生自身が作られる新聞がございまして、記者の方も学生が記者になっておられて、写真なども学生が自ら撮っておられる。こういった若い方が若い方の目線で分かりやすいような記事を記載していただいて、学校の中で配っていただいているものもございます。

書店は、これは紀伊國屋書店と三省堂書店なのですけれども、こういった書店とのコラボレーションで、ブックカバーにクレジットの利用について、適切に使っていただくという内容を記載したものを発行したりということで、なるべくパンフレットだけではない、いろいろな媒体で、いろいろな機会に消費者の方の目に触れるような媒体を業界としては工夫して取り組んでいるところでございます。

○坂本経済産業省商務情報政策局商務流通保安グループ商取引監督課長 時間ですので、あとは御質問を受けながらということで、よろしくお願いいたします。

○樋口座長 ありがとうございました。

それでは、20分ほど時間がありますので、ただいまの御説明を踏まえまして、御質問、御意見のある方はよろしくお願いいたします。

池本座長代理、お願いします。

○池本座長代理 御説明ありがとうございました。

これまで消費生活センターの相談処理などについてもヒアリングをしてきたのですが、その中でも、現在の未成年者の場合には、親権者の同意を得るようにしていることはおおむね実施されているような印象ですし、未成年者についてのクレジットに関するトラブルはそんなにない。

問題は、成年に達した途端、現在で言えば二十になった途端にトラブルが出て、クレジットの与信もついている。特に問題だと思うのが、消費者教育を一生懸命やっていただいているのでしょうけれども、社会的に未熟さがあって、販売業者から、仕事とか収入について虚偽の記載を唆されて、そのことの意味をよく分からずに簡単に書いてしまう。そのために、結果的には過剰与信になるような支払能力を超える高額の契約をして、被害に遭ってしまう。こういうトラブルが非常に多いのだということをお聞きしました。

しかも、それについて、信販会社と消費生活センターで解約のあっせん交渉をして、状況はどうですかと聞いたら、信販会社によって対応はばらばらですというお答えでした。

そこで御質問なのですが、収入や仕事などについて、虚偽の記載をさせるというのは、例えば訪問販売でいうと、特商法の省令7条で禁止行為になっているのです。そのような行為を販売業者が唆して契約を申し込ませたとなると、むしろ信販会社の側は加盟店契約上違法行為をしたのだから、それはキャンセルしなさいという流れになっておかしくはないのではないかと思うのです。

これは業界の中の実情の話なので、今、明確にお答えいただけないのかもしれないのですが、考え方として、消費者がうそを書いたのだからしようがないと見るのか、それとも、加盟店である販売業者が虚偽の申告を唆したことを重視してキャンセル処理するということで考えてよいのかというあたりについて、考え方としてどうなのか、あるいはそれを業界として、自主規制なりでそういう方向性を、流れを作っていくことができるのか。それとも、何か法的な縛りがないとそれは無理だというようになっていくのかという点が1点です。

もう一つは、今のそういう虚偽の申告を唆されて高額の契約をするという問題が、特に若年者、未熟な者に多いとすれば、割賦販売法では、支払可能見込額の収入調査は自己申告でよいということになっていますが、特に若年者について、収入の確認は資料の確認を求めるとか、そのようなことをその業界内の自主ルールで取り組む余地があるのかどうか。それも自主ルール的なことでは無理で、何か法的な縛りがなければ実施困難だと考えざるを得ないのか、そのあたりの実情の問題、考え方の問題をお分かりの範囲でお伺いできればと思います。

○坂本経済産業省商務情報政策局商務流通保安グループ商取引監督課長 ありがとうございます。

今、御指摘いただいたような、唆して虚偽の申告をさせるといったケースについては、現行法上、おっしゃっていただいたような支払可能見込額調査をクレジット会社に義務づけておりますが、その支可調が適切に行われていないという評価になるかと思います。

一方で、そういった場合に、民事的に契約の有効性をどのように判断するかは、直ちには、今、法令上は特段の規定がございませんので、そこはいただいた御指摘を踏まえて、実態を確認しながら考えていきたいと思います。

御指摘があったような、自主的に自主規制としてどういった形が考えられるかにつきましても、今日の御指摘も踏まえながら、実際の消費者被害などを見ながら考えていきたいと思います。

○樋口座長 大森委員、お願いします。

○大森委員 『クレジット青春メモリー』とかリボ払いのリーフレットとか、分かりやすい評判のいいものを有効的に配布されているようなのですけれども、大学とか消費生活センター中心にまかれているということなのですが、クレジットカードを申し込んだときにはもらえないのですか。カードが届くときに一緒に入っているとか、そういうことはないのでしょうか。

すごく頑張っていろいろされているのは分かるのですが、何か十分カバーされていないような気がして、大学に行っていない人とか、本を読んだりしない人とかでもカードは申し込むと思うので、確実に伝える方法は、カードを申し込んだときとか、発行されたカードと一緒に届くとか、そういうことをされているのかどうか、大変気になったのです。

○坂本経済産業省商務情報政策局商務流通保安グループ商取引監督課長 現状は、もう少し手前で使っているというのが、これから、例えば中高であれば特にですけれども、将来カードの利用を行うであろう学生向けにあらかじめこれだけは知っておいてほしいということをお伝えする目的の啓発の教材でございますので、おっしゃっているような、カードを作るときに発行会社が個別にこれをお渡ししているかというと、そういう形にはなっていないと思います。

リボに関しては、これ自体を個別に発行の段階で配っているということではございませんが、今年の春に業界の中でまとめた、あらかじめ説明をしっかりしていて、トラブルを防止していこうという業界の取組の中で、カードの発行の時点でしっかりネガティブ情報、手数料率みたいなものも含めて、きちんとこれまでよりもきっちり説明を分かりやすくしていこうといった取組は進めていただいているところでございます。

○樋口座長 よろしいですか。

○大森委員 中学校で、学校で習うことは、社会に出たら半分ぐらい忘れているので、直接申し込んだ時点とかカードを受け取った時点が一番効果的だと思うので、今後、そういうやり方も考えていただけたらと思います。

○坂本経済産業省商務情報政策局商務流通保安グループ商取引監督課長 ありがとうございます。

○樋口座長 ほかにいかがでしょうか。

増田委員、お願いします。

○増田委員 ありがとうございます。

教員向け勉強会などを開催していただいていることは大変いいと思うのですが、まず、これまで何年ぐらい継続されているのか、今年初めてなのかどうか。また、どういうところに対して広報されて、申込みがあるのかということです。

もう一点、教育関係の講師派遣で、これから先は非常に要請が多くなるのではないかと思うのですが、要請があったときに応じるキャパシティがどのくらいかということをお伺いしたい。

○坂本経済産業省商務情報政策局商務流通保安グループ商取引監督課長 ありがとうございます。

まず、このクレジット教育支援活動は、昭和59年から継続的に行っております。具体的に、全国10カ所の規模で教員向けの説明会をいつからというところは、確認させていただければと思いますけれども、開催案内につきましては、先ほど御覧いただいた全国各地の中学校、高校にクレジット協会から御送付している案内の資料の中に、今年度はこの場所でいつ教員向けの説明会をやりますという御案内をあわせてさせていただいていますので、こういった形で、消費者教育を御担当される先生方には、この説明会の開催の情報がお届けできるようになっているかと思います。

○増田委員 直接行くのですか。

○坂本経済産業省商務情報政策局商務流通保安グループ商取引監督課長 直接学校にお送りしていますし、先ほど資料の中で見にくくなっておりますが、こういった新聞等に掲載している活動に関する広報の中にも、右下に見えにくくなっていますが、説明会の開催を御案内しているケースもあるかと思っております。しっかり周知していきたいと思います。

○樋口座長 後藤専門委員、お願いします。

○後藤専門委員 1ページのクレジット教育に係る教材等の提供なのですけれども、先ほどこんな項目を扱っているという中身のお話もあったのですが、1ページで示していただいている内容だと、何ページぐらいあるかとかイメージが湧きにくい部分もあるのですが、現に今、あれば見せていただきたいということなのです。

○坂本経済産業省商務情報政策局商務流通保安グループ商取引監督課長 人数分お持ちしていなくてすみません。皆様の分をお持ちできておりませんで申し訳ございません。

○後藤専門委員 後でいただければいいですね。

○樋口座長 そうですね。

○坂本経済産業省商務情報政策局商務流通保安グループ商取引監督課長 それは置いていきます。

もし御要望があれば、後ほどお寄せいただければと。

○樋口座長 委員長、お願いします。

○河上委員長 どうもありがとうございました。

最初に割賦販売法の改正の件では、大変尽力されているということで、お礼を申し上げます。あとちょっとですから頑張ってください。

今日の話なのですけれども、実は、残念ながら、余り金のない若者の消費者被害を拡大しているのはクレジットなのだと思います。結局手持ちに金がないのだけれども、クレジットを組まされることによって被害を拡大している。

それに対する対応として、カードの利用の仕方について、一定の啓発活動をしていくのは大事なことなのですけれども、それだけではどうしようもないという部分があるときに、最低限のセーフティーネットを張ってやる必要があるのではないかという気がいたします。

そのときの一つのやり方ですけれども、例えば22から23歳ぐらいまでの間、学生などの間は、クレジットで使える額の上限をある程度つけてしまう。もしその上限を超えて使いたいときには、収入証明を確認するといった形で、ある程度自由に使える金を制限する必要があるのではないかという気がするわけです。

今まで親権者からの同意を得ていた。この同意が、必ずしも包括同意だと私は思いませんけれども、仮に同意が要らないということになってしまいますと、野放図にこれが使える可能性が出てくる。その辺の上限設定の可能性について、経産省あるいはクレジット協会などの考えではいかがでしょうか。

○坂本経済産業省商務情報政策局商務流通保安グループ商取引監督課長 現行でも、支払可能見込額調査のところで、先ほど池本先生からあった虚偽申告を唆すということになると、とんでもないことですけれども、学生に関しては、支払可能見込額調査の中で、年収とかそういうことを確認する中で、実際には、相当限度額は低く、カード会社からすれば当然、与信にもなりますので、例えば10万円とか、そういった限度額に設定されていることが多いと把握しております。今日の御指摘を踏まえて、実際にどういう問題が生じているかは丁寧に見ていきたいと思っています。

○河上委員長 現在、やっているものは、事実上業界団体での自主規制というだけですか。

○坂本経済産業省商務情報政策局商務流通保安グループ商取引監督課長 各社において、支払可能見込額調査をする中で、自社の基準で限度額を設定しているところが多いと伺っております。

○河上委員長 公式というか、経産省からのルールということにはなっていないのですね。

○坂本経済産業省商務情報政策局商務流通保安グループ商取引監督課長 ルールということでいいますと、全体として支払可能見込額調査を義務づけておりますので、その中で年収を確認する。基本は申告ベースではありますけれども、そういった中で、学生については、ほとんどの場合、年収が相当低いということになりますので、その中で慎重に判断されているところが多いと聞いております。

○河上委員長 例えば、今度の成人年齢の引下げを契機にして、経産省で一定のルール化を考える余地はありますか。

○坂本経済産業省商務情報政策局商務流通保安グループ商取引監督課長 成年年齢の引下げの対応につきまして、全体として、クレジット分野に限らず消費者政策全体がどういう方針が出されるのかといったことも踏まえながら、現状、親権者の同意になっていますけれども、どういった形があるかを考えていきたいと思います。その中には、例えば業界あるいは各社に対する経産省からの要請といったこともあり得るのかなと思っていますが、いずれにせよ、全体の消費者政策の方針を勉強させていただいた上で、それをクレジットカード分野でどのように当てはめていくか考えていきたいと思います。

○樋口座長 ほかにいかがでしょうか。よろしいですか。

それでは、経済産業省からの御報告はこのあたりにさせていただきたいと思います。

ありがとうございました。

○坂本経済産業省商務情報政策局商務流通保安グループ商取引監督課長 ありがとうございました。

(3)金融庁からの報告

○樋口座長 次に、金融庁から、多重債務問題の現状等について、御報告をお願いいたします。

それでは、10分程度で御説明をお願いしたいと思います。よろしくお願いします。

○島村金融庁総務企画局企画課信用機構企画室長 本日は、貴重なお時間をいただきまして、どうもありがとうございます。

私は、金融庁の総務企画局の島村と申します。

本日は、御説明資料をお手元に御用意させていただきました。多重債務問題についての御説明でございますが、全部で5つ項目がございます。最初から3つ目の項目につきましては、私、島村から御説明させていただきます。

また、金融経済教育について当庁も取り組んでおりまして、これにつきましては、来週御説明させていただく段取りになっていると伺っておりますので、よろしくお願いいたします。

まず、多重債務問題の現状でございます。多重債務問題は、非常に重要な問題でして、当庁としても、積極的に取り組んでいるところです。

御承知のとおり、平成18年に改正貸金業法を成立させていただきまして、同法に基づいた取組をしっかりと進めてきております。同法の完全施行は平成22年6月になりまして、その間も無担保、無保証の借入残高がある人の人数及び貸金業利用者の1人当たりの残高金額の推移について、整理しております。

平成18年度から、最新の平成27年度まで、5件以上無担保無保証の借り入れの残高がある人数につきましては、当初の171万人という多くの人数から、最新では12万人まで減少しております。

借入残高につきましても、平均でほぼ半減以下という状況です。改正貸金業法の施行については、多大なる協力を関係省庁の方々にもいただいており、一定の成果があったと思っております。

2ページ目は、多重債務問題と平成18年の貸金業法の制度について、簡単に触れさせていただきます。貸金業者による消費者向け貸付けを中心に、当初は巨大な貸金市場が形成されておりました。実際に貸付残高につきましても、約13.8兆円。利用者数では、約1,200万人という水準でした。

こういった中、多重債務問題が深刻化いたしまして、平成19年2月末時点では、先ほども申し上げましたが、5件以上の利用者が180万人。これらの者の平均借入総額は約240万円と多額になっておりました。

多重債務問題の直接の背景としても、高金利ですとか、過剰な貸付け、商品性の問題、借り手の金融知識、家計管理能力につきましての計画性の不足がございました。こういった中で、改正貸金業法の抜本的な改正をさせていただいております。全会一致の賛成によって、平成18年12月に成立させていただきました。

また、ここの下にございますとおり、多重債務者対策本部、政府としての取組を、金融担当大臣を本部長として進めているところです。

具体的な取組内容については、改正貸金業法に基づく取組を国や自治体、関係団体が一体となって効果的に進めるために、多重債務問題改善プログラムを決定させていただきまして、完全に改正貸金業法を施行させていただいた、ということでございます。

3ページ目の、多重債務問題への対応について簡単に御説明させていただきます。改正貸金業法の内容でございます。

まず、貸金業の適正化でございます。これにつきましては、貸金業の参入規制の厳格化、貸金業協会の自主規制の機能を強化すること、行為規制を強化すること、業務改善命令の導入がございます。過剰貸付けの抑制という非常に重要なところにつきましては、次ページでも御説明させていただきますが、指定信用情報機関制度を創設するとともに、総量規制を導入することを盛り込んでおります。

金利体系につきましては、上限金利を引き下げて、出資法の上限金利を利息制限法の金利と合わせていく取組をしております。ヤミ金対策も、罰則を強化すること、こういったことにも取り組ませていただいております。

これらを、急激な与信の引締めがいろいろな副作用を生じさせないように、2年半にわたって段階的に施行させていただきました。

過剰貸付け抑制のための総量規制について、簡単に御説明させていただきます。貸金業者による過剰貸付けを抑制する。これは非常に重要な取組ですので、貸金業者に対して、主に貸付けの契約を締結しようとする場合に顧客等の返済能力を必ず調査することを義務化させていただいております。

これを踏まえまして、借り手の返済能力を超える貸付けを禁止するという、いわゆる総量規制をさせていただいております。

返済能力の調査義務につきましては、貸金業者は、貸付けの契約を締結しようとする場合には顧客等の返済能力を調査しなければならない、ということが明確に規定されており、信用情報機関を制度化するとともに、信用情報を使用して調査をすることが義務化されております。

信用情報についても、生年月日等も必須の記入義務になっておりますので、未成年の貸付けについては、制度的にしっかりと把握することが可能です。

また、源泉徴収票等の収入を証明する書類についても、一定の要件のもとに、資力を確認するために提出するよう義務づけております。

また、業者が顧客等に虚偽の申告をするよう唆すことへの対応として、別途行為規制、禁止行為ということで、12条6で規定されております。

総量規制についてでございます。借入残高が年収の3分の1を超えるようなものについては、新規の貸付けを停止する。これもあわせて規定させていただいております。こういった中で、未成年、収入がないような方々に対して、過剰な貸付けがなされるようなことは、制度的に行えないことになっております。

民法上も、未成年者は原則として単独での法律行為は行えませんので、貸金業者からの借入れには法定代理人の同意が必要ということで、通常は無条件に借り入れられることはないと認識しております。

5ページの多重債務問題改善プログラムは、先ほど申しました関係者が一体となって取り組むプログラムでございまして、これに基づく取組をしっかりと進めさせていただいております。未成年を含む多重債務者の発生予防。これをしっかりとやるとともに、問題解決のための取組として、相談度口の整備・強化を中心的に取り組ませていただいております。

多重債務問題改善プログラムによる取組の主な内容としましては、地方公共団体といったところに、各部局間の連携を要請しております。市町村に対しては、設置されている相談窓口における体制、内容を充実したりとか、専門機関への紹介、誘導等をお願いしたりとか、都道府県に対しても、相談体制、内容の充実、多重債務者対策本部を設立したりということを既に実現させていただいております。

また、財務局にも、全11の全ての財務局にしっかりと窓口を設置し、相談員を置かせていただいているところでございます。

こういった取組の下に、特に9月から12月の4ヶ月間は、多重債務者相談強化キャンペーンといたしまして、整備が進められてきた全国の自治体等の相談窓口の認知度の向上とか、しっかりと相談者のニーズに応えていくということで、国だけではなくて、日弁連とか、法テラスといった関係機関ともしっかりと連携し、集中的な相談体制の構築とか、先ほど経産省からも御説明があったようなパンフレットといった広報活動等もしっかりとさせていただいております。

実際に人々の生活に直面するような市区町村の多重債務相談窓口の設置率を把握しておりますが、現在、平成27年9月の最新の数値では、99%とほぼ全ての市区町村において、相談窓口が設置されて、しっかりと相談体制を構築させていただいております。

全体の枠組みについては、以上の御説明のとおりでございます。

次は、監督について御説明させていただきたく存じます。

○西尾金融庁監督局総務課金融会社室長 監督局の西尾でございます。よろしくお願いいたします。

私から、6ページ以降の、被害防止にかかわる監督指針等の定めについて、簡単に御紹介させていただきたいと思います。

私どもは貸金業者向けの総合的な監督指針を作成しておりまして、これは貸金業者の監督をする上での着眼点等を明記しているものですが、公表もさせていただいていて、これをもって監督官庁は貸金業者を監督するという位置付けのものでございます。

先ほど島村から、過剰貸付け抑制のための総量規制という説明がございましたけれども、これを更にブレークダウンしているような形のものも一部ございまして、貸金業者にはこういう形に添った対応を実質的に求めているというものでございます。

まず、最初のII-2-13は、貸金業者は、返済能力を十分に調査する必要があることを明記しています。

収入、収益、保有資産、家族構成、生活実態、勤務先、在籍年数といった顧客の属性を十分に調査・把握しているか、借入申込書に、借入希望額、既往借入額、年収額等の項目を顧客自身に記入させることにより、顧客の加入の意思を確認しているか、更に、枠組みとして説明がございましたように、指定信用情報機関の信用情報を使用して、顧客の返済能力を調査しているかといったことを明記しております。

また、貸付審査の中で、例えば信用情報の照会が同機関に対して同日中に繰り返し行われているなど、借回りが推察される場合には、より慎重な貸付審査を行うなど、過剰貸付けの防止に努めていくとありますが、これは、かつて多重債務が大きな問題になったときに、同一人が同日中に複数の業者を回っており、信用情報の照会が同日中に複数回行われていたという実態を受け、そういったときには、より慎重に審査するようにということを指針の中で明記したものでございます。

あと、業界団体の日本貸金業協会による取組でございますけれども、貸付自粛の申告という制度がございまして、これは協会から若干御紹介があったかもしれませんけれども、本人申告が原則ですが、協会で申告を受け付けた場合は、協会から信用情報機関に対して、貸付自粛情報の登録を依頼、信用情報機関が登録し、貸金業者に提供することによって、その貸付自粛対象者への貸付けがされないという措置でございます。こういった取組も業界団体によって行われているということでございます。

次に7ページでございますけれども、先ほど座長代理からも御指摘があった点でございますが、禁止行為等を明記させていただいております。法第12条の6第4号は、偽りその他不正または著しく不当な行為ということを禁止行為としてございまして、監督指針においては、その中の一つの例示といたしまして、fのところでございますが、資金需要者に対し、借入申込書等に年収、資金使途、家計状況等の重要な事項について虚偽の内容を記入するなどの虚偽申告を勧めることを禁止行為として明記してございます。

さらに、下のところでございますが、法律上、貸金業者には適切な業務運営態勢を求めておりまして、その中で、適切な顧客説明態勢を求めております。それをブレークダウンしたものでございますけれども、契約内容を十分に説明する態勢になっているか、例えば、ホームページで申込みを受け付ける場合であっても、資金需要者が説明内容をしっかり読んで、それを資金需要者が理解したかを確認するということで、画面上のボタンをクリックさせるような方法をとっているかも説明態勢の一つの目線として示させていただいております。

最後、これは蛇足かもしれませんけれども、私どもは貸金業者の監督に当たりましては、様々な情報、苦情相談あるいは検査等や、協会からの情報提供等があった場合に、監督指針等の目線に照らして問題がある場合は、監督官庁は財務局であったり都道府県であったりしますけれども、法令上の権限行使を用いまして報告徴収命令を出し、さらに重大な問題が認められた場合は行政処分をする。これは他の業者監督でも同じルールだと思いますけれども、そういった形で厳正な監督をしておるところでございます。

もう一つ、ヤミ金融がございまして、国あるいは財務局、都道府県といった監督官庁においては、無登録業者の照会、すなわち、こういう業者の貸金業登録がありますかというお問い合わせを結構多く受けておりまして、そのような情報につきましては、登録の有無について回答するとともに、実際に無登録営業をしているような情報がございましたら、監督官庁は捜査当局への情報提供とか、実際に、その業者に対して、電話による警告といったこともやらせていただいておりまして、ヤミ金被害の防止についても、対応させていただいているところでございます。

私から、簡単でございますけれども、以上でございます。

○樋口座長 御説明ありがとうございました。

ただいまの御説明を踏まえまして、御質問、御意見等ある方は、御発言をお願いします。

池本座長代理、お願いします。

○池本座長代理 御説明ありがとうございます。

平成18年の貸金業法改正は、多重債務者が現実に着実に減っているという意味でも、非常に実効性のある法改正とそれの施行であると評価できると思います。

ただ、今、問題にしている、これから成年年齢の引下げをした場合に、社会的に未熟な若年者が、これはいい取引だ、やってみようというので唆されて、それこそ収入とか仕事を虚偽の申告をして借りるとかいうものが現実に苦情相談の中で、消費生活センターで多数寄せられているのを聞いて心配しているところです。

そこで、2点質問をさせていただきます。先ほど御説明をいただきました、過剰貸付けの抑制の、返済能力の調査は、たしか1社当たり50万円超、他社を含めて100万円超の場合となっているかと思います。そういった過剰貸付けの規制、返済能力調査について、きちんと法令を遵守しているのか、違反している業者についての実態把握なり指導、処分に至るというものがどの程度あるのか。消費生活センターなどに寄せられるのは、本当に氷山の一角ではないかと思いますし、他方では、なかなかこういうものは顕在化しにくいという点があるので、現実にどういう形で把握されているのかが1点です。

2点目は、これからの考え方の問題あるいは監督指針なり業界の自主的取組の問題になるのか、法制度の見直しになるのかまだ分からないのですが、今、1社当たり50万円、他社を含めて100万円というのは、30代、40代、50代の全体を含む成人全体の中で、過剰貸付けの水準を一応設定したものだと思うのですが、若年者の場合には、この1社あたり50万円はほとんど歯どめにならない数字ではないかと思うのです。

そうだとすれば、あるいは先ほど言ったように、唆されて虚偽の記載をしてしまうトラブルが多いといったことも含めると、返済能力の調査に当たっては、若年者の場合には、例えば5万とか10万とか一定の基準を設定して、それを超える場合は収入証明を求めるとか、何か若年者特有の過剰貸付け抑制の策が必要ではないかという気がするのです。これは監督指針などのガイドラインレベルでできるのか、自主規制か、法制度の見直しでなければいけないのか。そのあたりの考え方についてお伺いできればと思います。

○島村金融庁総務企画局企画課信用機構企画室長 簡単に、現状の認識と今後の対応の考え方といいますか、御相談させていただければと思うのですけれども、監督のデータについては、西尾からまた御説明させていただくことになろうかと思います。

まず、若年者が実際にどのように多重債務に陥っているかについては、しっかりと現状把握をする必要があると思います。実際に今、相談内容等を我々も分析しておりまして、消費者庁とも一緒に多重債務対策に係る懇談会等を開催しておりますので、そういった議論の動向も踏まえてどのような対応があり得るのか検討していきたいと思います。当方の制度といたしましては、業者が顧客等に虚偽の報告をさせることは、制度的に抑制措置が罰則も含めてございます。こういった中で、本当に若年者を唆して、こういう問題が生じているのかどうかも含めて、現実的にどのような問題が生じているかを把握した上で、制度的な対応をしっかりすることが必要なのか、もしくは業界の対応がいいのか、そういったことも含めて、関係省庁とも御相談しながら対応していくのが一番重要かなと思っております。

○西尾金融庁監督局総務課金融会社室長 先ほど座長代理からあった返済能力調査義務違反といったものについて、どういう実態があるのかという御指摘でございますけれども、国の所管の業者約300弱、都道府県の所管の業者約1,600が、今、貸金業者として登録されているものでございます。都道府県の監督は自治事務でございますので、私どもは正直に言って、つまびらかに実態を100%把握できているわけではございません。

少なくとも、国の所管の業者につきましては、虚偽申告があったことを要因として、何か行政処分をしているとかいったことは、ここ5から6年はございません、また、虚偽申告に限らず、国の所管の業者につきましては、行政処分がここ5から6年はございません。したがいまして、そういう点においては、返済能力調査義務違反は、そう行われているというような認識はございませんというのが実態でございます。

○樋口座長 どうぞ。

○池本座長代理 御説明ありがとうございます。

一点だけ、先ほど御説明いただいた中で、都道府県についてはもちろん自治事務ですから、都道府県で調査、処分をなさることだと思うのですが、処分に至った件数なり違反項目はどういうものであるというのは、これは国で集約されておられないのでしょうか。

○西尾金融庁監督局総務課金融会社室長 件数の集計はしてございますが、詳しい処分の中身、要因といったところまではつまびらかには集約してございません。

○池本座長代理 例えば、虚偽申告というピンポイントまでいかなくても、過剰貸付け規制の違反であるとか、そのくらいの法令単位であればある程度見えるのではないかと思うのですが、それはいかがですか。

○西尾金融庁監督局総務課金融会社室長 その点につきましても、全て要因分析といった形で報告をお願いしているということではなくて、業務改善命令あるいは業務停止命令、登録取消処分といったものが行政処分の3つですが、そのどれをしたのかを集計しているにとどまっておりまして、その中身について、集約したものは現状持ち合わせていないというのが実態です。

○池本座長代理 では、今の集約されている業務改善命令なり、その総数ではどのくらいなのかの数字だけでも教えていただければと。

○西尾金融庁監督局総務課金融会社室長 昨年度で、国はございませんけれども、都道府県で16でございます。

○樋口座長 ほかにいかがでしょうか。

大森委員、お願いします。

○大森委員 多重債務問題改善プログラムのことなのですけれども、名称から受ける印象は、整理するだけでなかなか生活習慣が直らないと、同じような多重債務を繰り返すので、カウンセリングとかをしっかり受けて生活を見直すような、そういう教育が行われるのかなと思ったのですが、御紹介された内容は、相談を強化する内容ばかりだったのですが、この文言から受けるような、生活習慣の見直しのカウンセリングみたいなことはされているのかどうかというのが1点。

もう一点なのですけれども、銀行のお金を引き出すためのカードでキャッシングもできますよね。未成年がそういうカードを作ることは可能ですか。どうなっているのか、その辺を教えてください。

○島村金融庁総務企画局企画課信用機構企画室長 まず、多重債務問題改善プログラムについてですけれども、今回は、相談窓口の話を御説明させていただいたのですが、実は4つ大きな柱がありまして、そのうちの1つには、まさに先生がおっしゃるような、金融経済教育をちゃんと強化していって、金融リテラシーというか、家計管理能力をしっかりと学校教育も含めて育てていこうというものも含まれてございます。その内容につきましては、次回、金融経済教育については御説明させていただくことになりますので、そこについて、また御説明させていただくことになろうかと思います。

御相談の内容なのですけれども、実際にどういったものがどういった要因で、多重債務に陥られるかは、相談者それぞれによって幅広い理由がございます。例えば収入が急に途絶するような理由によるものだとか、まさに先生がおっしゃるようなギャンブルだとか、家計管理能力が欠如することによるものだとか、そういった内容がございますので、効果的に相談をしていくために、多重債務の相談のための手引を消費者庁と共同で作らせていただいておりまして、結構分厚いのですが、そういった中に、それぞれの相談者の実情に即してしっかりと相談をしていく。場合によっては、生活習慣を直していくことが重要な要素もあるのではないかとか、あとは先ほど申しました消費生活センターともよく相談をしていくとか、そういったこともしっかりと書かれておりますので、そういった内容の中でしっかりとやっていく。

最後の、実際に未成年が単独で銀行カードを作れるかは、銀行のほうのビヘービアなのですが、通常、原則的に考えれば、先ほど申しましたとおり、未成年は基本的には単独では契約行為ができないので、実際に銀行それぞれの契約内容には最終的にはなるのですけれども、私どもとしては、普通は単独では作れないのではないかと思います。

○西尾金融庁監督局総務課金融会社室長 その点につきまして、若干補足させていただきますと、私は金融会社室なので貸金業の担当で、銀行の担当ではないのですけれども、貸金業者の大手であったり信販会社の大手から、実態を少し聞けば、未成年への貸金は、今、島村が申し上げましたような、非常に大きなリスクを持つので、原則はやっていないのです。そういうことからすれば、一般的にはなかなかリスクをとってまで広くビジネスをすることは考えにくいのではなかろうかとは思います。

○樋口座長 お願いします。

○大森委員 銀行が御担当ではないというお話だったのですけれども、細かく丁寧にチェックしてカードを作ってもらいますよね。そのときに、キャッシングは要らないとか自己申告すればいいのですけれども、何となくぱっと作ってしまうと、両側に矢印のついたカードが発行されるのです。普通に持って普通に入れると、キャッシングのほうに行くのです。

そうしたら、サラ金と同じぐらいの金利で借りてしまう。自分はちゃんとお金はありながら、並んでいたりするとあせってしまって、取消しをしないで借りてしまって、すごいお金を返しているという例を何回か聞いたことがありますので、機会があれば、その辺も見直していただけたらと思います。

○樋口座長 増田委員、お願いします。

○増田委員 借回りの件なのですけれども、信用情報機関は、借りた際の登録のタイミングですが、すぐに登録しなくてはいけないという決まりがあるのか、どのぐらいの時間のロスがあるのか、その辺のところは把握されていますでしょうか。実態として機能しているのかどうかというところが心配の点があるということ。

もう一点、非常に小さい零細の貸金の事業者では、親の承諾なしに未成年者に少ない金額、10万円ぐらいで貸付けをしているという実態があると思うのですけれども、その辺について把握されているのかどうかというところです。教えていただければと思います。

○西尾金融庁監督局総務課金融会社室長 御指摘の信用情報機関への登録のタイムラグがどれぐらいあるかは十分把握できておらず、大変申し訳ないと思います。

この監督指針は、ちょうど貸金業法の完全施行のタイミングに作成しておりまして、当時、多重債務に陥るような実態の一つとして、借回りが見られたこともございましたので、監督指針に一つの項目として、審査に当たって慎重を期すべきということを盛り込ませていただいた経緯でございます。ただ、最近、借回りの実態があるとかいうのは、貸金業者の貸付残高、これは総量規制の影響も多分あるのかなと推察しておりますが、相当な勢いで減少してきている状況ということもあり、ほとんど聞かないのが正直なところかなとは思っております。

先ほど未成年への少額の貸付けについては、親の同意をとらないまま行っているようなものがあるのではなかろうかという御指摘につきましては、先ほど島村からも申し上げておりますように、その部分はまさに貸し手のハイリスクが基本的にはあるのではなかろうかと。親の同意がない契約は取消しが可能であるということや不当利得の返還請求などのリスクを背負うということが一般原則だと思っておりますので、そこについては、基本的には貸金業法を離れた世界の中で、判断があるのかもしれないとは思ってはいます。

多くの貸金業者は、未成年の貸付けは取り組んではいないとは聞いておりますし、恐らく、そういう実態なのだろうと考えております。

以上です。

○樋口座長 河上委員長、お願いします。

○河上委員長 未成年に関しては、それで分かるのですけれども、今回、成年年齢を引き下げることになった場合には、少なくとも18から19歳に関しても、未成年者取消権がないし、親の同意権は要らないという形になります。

しかし、未成年に関しては、資力がないということになりますから、何か欲しいものがあったときに買おうと思うと、借りるか何かしないといけないわけでして、そういうときに未成年者たちが自由にそういうお金を手に入れられる状況があるとすると、これは危ないということになるわけです。

この間、貸金業協会の方がお見えになって、そういう場合にどうしたらいいでしょうかという話をしたのですが、そのまま放置しておくわけにはいかないとすると、ということで言われたのは、若葉マークのようなものをつけてあげるのがいいのではないかと思うというおっしゃり方をしたのです。業界の方がです。

つまり、何となくの形で、そういう成年になりたての人たちについて、一定の過剰与信にならないような工夫として、今のお話ですと、例えば収入についての証明を厳格にするとか、上限規制をするとか、幾つかのことがあり得ると思うのです。そういうなりたての成年に対する若葉マーク的な規制の枠組みは、金融庁などの考えではどうですか。

○島村金融庁総務企画局企画課信用機構企画室長 委員長、非常に興味深い御指摘をいただきまして、大変実態をあらわしているのかなというのがあって、我が方が思っておりますのは、まさに貸金業法に基づく調査義務の中に、信用情報機関に対していろいろな情報をしっかりと把握していく。先ほど申しましたように、生年月日が明確に省令で書いてあるわけです。

そういった中で、まさに委員長がおっしゃるような若葉マーク的な発想は、制度的には取り入れている。運用のやり方については、現実なり実際の成年年齢が引き下げられるタイミングとか状況を見ながら、慎重にやるということなのだと思うのですけれども、我が方が持っている制度としては、若葉マーク的なものも含めて、補足できるようなことにはなっています。

そこを実際に若葉マークにするのか、もしくは金色のマークにするのかとか、いろいろやり方はあるのかもしれませんけれども、把握はできるということは申し上げて、あとは現実の、見方によれば、我々は高校等でも、まさに金融行政教育の中で、家計管理能力については説明しておりますので、そういった中で、18歳まで説明したら、能力がある程度あるので、問題にならなかったという可能性もないわけではないのではと期待しておりますし、まさにそういったところもしっかりとやっていかなければということでやっているところでして、現状なり現実を見て、全体をまさに貸金業協会の方がおっしゃっているのであれば、そういったものも含めてよく相談をしていきたいというのが考えられる方策かなと。

いずれにせよ、御指導をいただきながら、最適なやり方を考えていきたいと思っています。

○樋口座長 ほかにいかがでしょうか。よろしいでしょうか。

それでは、金融庁からの御報告は以上にしたいと思います。ありがとうございました。

(4)消費者庁からの報告

○樋口座長 最後に、消費者庁から、消費者教育の推進について御報告をお願いしたいと思います。

御説明は10分程度でお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。

○金子消費者庁消費者教育・地方協力課長 消費者庁の消費者教育・地方協力課長をしております金子でございます。本日は、御説明の機会をいただきまして、ありがとうございます。

お手元の資料4に基づいて、説明をさせていただければと思います。

まず、表紙をめくっていただいて2ページ目に、推進法の体系を書いてございます。これはもう御承知のことかと思いますけれども、地方の努力義務として、国が定めた基本方針にのっとった形で推進計画を立てていただくこと、あるいは地方に消費者教育推進地域協議会を置いていただくことなどが定められておりまして、これを強化作戦の項目の一つとして我々としても取り上げて、都道府県や政令市においては、それぞれこれを全て作っていただくということを目標に掲げているところでございます。

現段階での達成状況を4ページ目に掲げてございます。これを見ると、かなり多くのところで実際には作っていただいていて、今後、残りのところに更に働きかけは行っていくのですけれども、既にそのように器というか、推進の舞台装置はできているところが多くなっているので、実際にこれを使ってどのように具体的に消費者教育を進めていただくかが我々の課題になっているということかと思います。

5ページ目で、具体的にどういったことをやっているかを、御説明しようと思うのですけれども、地方における消費者教育の推進のために、我々が持っているツールとして一番大きいのは、財政的な支援でございます。具体的には、交付金の一部を使って、先駆的プログラムを行っているということでございます。

この先駆的プログラムは、我々のほうでここを特に重点的に進めていただきたいという課題のテーマを幾つか提示いたしまして、その中に、例年消費者教育に係るものも必ず入っているわけなのでございますけれども、それに沿った提案を各自治体から提案いただく。その中で、特にその成果が他の自治体の模範になるような、先駆的なプログラムだと我々が判断したものについて、採択するという内容でございます。

ポイントとしては、通常ですと半分は自主財源を用意していただかなければいけないのですけれども、先駆的プログラムについては一定の金額の上限がございますが、全額国のお金でプロジェクトを進めることができるという内容でございます。

この中で、昨年と今年度の採択の案件、消費者教育に係るものについてリストアップをしておりますけれども、結構多くの数のプログラムをこの枠組みを使って進めていただいているということが分かっていただけるかなと思います。

従来よりこういう若年者の消費者教育について支援しているわけなのですけれども、成年年齢の引下げの議論を踏まえて、次年度のプログラムの提案を募集する段階で、特にそういう若年者の方を意識したような、我々の投げかけも必要になるのかなと思っておりまして、例えば学校とのコーディネーターとか、そのようなコーディネーターを育成するような事業とか、学校との連携によって進めるようなモデル的な事業といったものを積極的に採択したいという情報を投げかけていく必要があるかなと、現在、内部では検討しているところでございます。

また、先駆的プログラムは、その地域でやっていただくだけにとどまらず、他の地域にその事例を紹介することで、ほかの地域に水平展開するという位置付けもしておりまして、例えば6ページの左側の中ほどの富山県の事例があるのです。これは現在、行っている途中の話ではあるのですけれども、実は昨日、金沢で行いました消費者教育推進フォーラムといいまして、我々の消費者教育フォーラムと文科省の消費者教育フェスタのコラボの企画なのですが、そこで具体的にどんなことをやろうとしているかを紹介いただいたりもしております。

ノンペーパーで恐縮なのですけれども、私が聞き取った範囲でどういったことをやろうとしているかを御紹介いたしますと、具体的には、生協とか事業者、地域包括支援センターの方々との連携によって実行委員会を組織し、特に小学生をターゲットとした消費者教育をやろうということなのですけれども、認知症サポーターの講座について、小学生向けにアレンジしたものを用意して、それを小学生向けに行うとか、あるいは大学生の講師がインターネットの基礎的な講座を小学生向けに行う。認知症サポーターのことについて小学生に教えることによって、高齢者の見守りの担い手という意識を啓発するということ。そういう効果に加えて、実はこれは公民館とか地域で集まっていただいてやっているようなのですけれども、そういったところにお子さんを連れてくるおじいさん、おばあさんの世代の人たちに向けての啓発はなかなか、我々として届きにくいような世代なのですが、おじいさん、おばあさんの世代にも啓発ができるという副次的な効果もあるという事例を紹介いただいて、結構いい取組だという評価をいただいていたりもしております。

ほかに、昨年度行った事例については、7ページ目、8ページ目に紹介してございますけれども、7ページ目の山形県の事例は、これも大学生の方が自ら企画して講座を行ったりとか、その下の福島県の事例は、実際に小学生の方に、高齢者に絵手紙を書いてもらうとか、そのようなことをやっているということですので、啓発の受け手というだけではなくて、自ら見守りとか、そういった活動をやったりとか、担い手としての活動を促していくような取組をやっていたりとか、あるいは、その次のページの、岐阜県のケースも実際に学生の方が担い手としての役割を担っているケースですし、その下の特別支援学校向けのプログラムもなかなかない取組かなと思っておりますので、そういった先駆的なものをやっていただいた上で、この成果も報告を受けましたら、我々のウエブサイト上で公表いたしまして、他の自治体等で参考にしていただくということをやっているところでございます。

もう一つ、消費者教育推進会議で、どういった議論をしているかもあわせて御紹介をということで、9ページに用意しているわけでございますけれども、特に若年者を意識したものとしては、今年の4月に「学校における消費者教育の充実に向けて」という提案をいただいております。

この中でも、特に担い手の育成が大事だということを言われておりまして、教員向けの研修であるとか、あるいは教員だけで担えないような、新たなトラブルの事例とかいったこともございますので、外部人材も積極的に活用していかなければいけないし、そのためにコーディネーター役となるような消費生活センターの役割も大事であるということを御提案いただいて、その趣旨を、特に学校等に伝えていかなければいけないということで、文部科学省に依頼しまして、教育委員会等に伝えていただくようにお願いしているところでございます。

最後の10ページ目に、もう一つ、取組として書いてございますけれども、上のほうでございます。推進会議のもとでワーキングチームを作りまして、特に、成年年齢引下げを意識した高校生向けの教材を今、作っているところでございます。今年度中に教材と指導者である教師向けのマニュアルを作る予定でございまして、今後、展開していくということでございます。

もう一つ下に書いてございますのが、2つほど推進会議の下で行っている取組について申し上げましたけれども、それを展開する一つのツールとして、徳島のモデル事業も活用していきたいということでございます。具体的には、先ほど申し上げました教材について、徳島県内の、できるだけ全高校ということで、徳島県とは相談しておりますが、実際にこの教材を使って授業を展開していただくことであるとか、あるいは今年7月に鳴門教育大学で科目横断的に消費者教育のプロジェクトを立ち上げていただいたので、せっかくそういう教員養成系の大学でやってみようと言っていただているものですから、ここと連携して、そういう指導者の養成ができないかをまずは来年度以降取り組んでいこうと思っているところでございます。

説明は以上でございます。

○樋口座長 御説明ありがとうございました。

ただいまの御説明を踏まえまして、御質問、御意見のある方は御発言をお願いいたします。いかがでしょうか。

大森委員、お願いします。

○大森委員 2点御質問です。

1点は、4ページで、かなり協議会だとか計画だとかが進んでいる様子が図にあらわされているのですけれども、実際、これから設置したり計画を立てても、どれぐらい実施されているかがとても大事だと思うのですが、今後、実施状況とかに関して、調べられる予定とか、今後の計画です。とりあえずは計画ができて、協議会が設置された。今後、どのような展開を考えていらっしゃるかが1点です。

あとは、先駆的プログラムなのですけれども、これは必ず行政とタッグを組まないとだめなのですか。行政とタッグを組むとなかなか動きづらくて、NPO同士とかでもこういうものがあると、もっとアクティブにいろいろなことができるのにと考えているのですけれども、2点お願いします。

○金子消費者庁消費者教育・地方協力課長 まず、1点目の実際に設置された協議会と計画の実施状況の把握でございますけれども、1つは、従来行っている全都道府県に調査票を送って行っている現況調査の中で、ある程度どういった事業をやっているかは分かっております。それに加えて、実際に基本方針がどの程度進んだかということを次の改定に向けて考えていかなければいけない時期に来ておりますので、そういう意味でも、追加の把握も今後、考えていかなければいけないかなとは思っているところでございます。それがまずは1点でございます。

2つ目の御質問であった先駆的事業について、都道府県が絡まないような形の枠組みができないかということなのですけれども、どうしても交付金というものである以上、自治体向けに一旦交付して、そこから使っていただくことになるわけなのですが、先ほど口頭で申し上げた富山県の事例も、これは県からの委託という形でやられているもので、実際の担い手の方々は民間の方でやられているようでございます。

仕組み方によっては民間主体の活動にも御活用いただけるのだと思うのですけれども、まずはこういうことをやってみたいということを、自治体の消費生活部局に御相談いただいて、自治体を通じて提案をいただくことになるのだろうと思っております。

○樋口座長 よろしいですか。

増田委員、お願いします。

○増田委員 高校生向けの教材を作成されているということで、それを活用する方法として、教員の方たちの、ここにも指摘がありますけれども、消費者教育に割かれている時間が不十分であると。文科省の御説明によると、ミニマムの内容でやっていただく、必修なのだという御説明があったのですけれども、現場の先生方にしてみると、ほかにもっと重要なことがたくさんある中で、なかなか取組がしにくい状況だろうと思います。

そういう中で、せっかく作られた教材の具体的な活用方法などについて、消費者庁でこういうカリキュラムでこういう方法でやるというようなことを提案して、各都道府県全てに対してやってもらうとか、そういう方向があったほうがいいのではないかという気がするのです。

お任せする、こういうものを作りましたから使ってくださいでは、今までと同じ状況になってしまうと思うのです。その辺の予定などについて、ありましたら教えていただきたいと思います。

○金子消費者庁消費者教育・地方協力課長 その辺につきましては、我々も同じような問題意識を持っているところでございまして、実は高校生向けの教材は、当初自習用として作ろうとしていたのですけれども、それでは、使ってもらえないのではないかといった議論は推進会議の中でも委員の方々からいただいたところでございます。

それを踏まえて考えたのが教員向けのマニュアルで、実際に消費生活センターの方々と意見交換をする中でも出てくるのですけれども、現場の学校の先生方の中で、外部の人が作った教材を使うとか、あるいは外部講師を招いてそういう授業をやるということであっても、今までの教科書を教えることに追加で、新たなことをやらなければいけない。そういう追加の準備が負担になるという思いがあるように聞いております。

そういったものを軽減する意味でも、例えば、教科のこの部分でこのように授業を展開したらどうだろうかとか、そういう事例を幾つか紹介することによって、準備にかかる負担を軽減することができればやってみようかと。そのように思っていただける人もいるのかなという期待をしているところです。

そういったことを実際に使ってもらって、そういう先生方の意見も聞いてみたいということもあって、徳島のプロジェクトで、できるだけ全部の高校でまずは使って教員の方の御意見を聞いてみたい。そういったことも考えているということです。

○樋口座長 ほかにいかがでしょうか。

後藤専門委員、お願いします。

○後藤専門委員 10ページの上の段で「高校生(若者向け)教材の作成について検討中」となっているのですが、念頭に置いているのは、基本的に高校生が使うということで念頭に置いているのですか。そうではなくて、高校に限らず、他の場所も含めた、例えば大学とか専門学校とか、場合によったら教育という場ではなくて、読む人が一人で学習するような教材も必要ではないかと思うのですが、そのようなことは余り考えずに、基本的には高校生の教材と考えているということなのでしょうか。

もしそうだとすると、どうしてそう限定するのかというのは、お話を伺いたいのです。

○金子消費者庁消費者教育・地方協力課長 我々としては、限定しているわけではないのですけれども、まずは高校生を主なターゲットとした教材を作ってみて、それを中学校とか、あるいは大学生向けとか、学校に限らずそういう消費生活センターがやっているような啓発事業の中で活用いただくということも、もちろんそれはあっていいのだろうとは思っています。

ただ、要は、高校というのは、成年年齢が仮に18歳に引き下げられたときの最後の教育の機会であるとか、あるいは現行の学習指導要領の中で多くの時間が比較的割きやすそうだと思われるのは高校の家庭科とか現代社会であるということを踏まえて、まずは高校生の段階で使うことを、主たるターゲットとした教材を作ってみようと考えたということでございます。

○樋口座長 ほかにいかがでしょうか。よろしいでしょうか。

消費者庁、ありがとうございました。

本日の議事は以上です。

最後に事務局から、事務連絡をお願いいたします。


≪3.閉会≫

○丸山参事官 本日も熱心な御議論をどうもありがとうございました。

次回につきましては、11月29日火曜日、午後4時からの開催を予定しております。よろしくお願いいたします。

○樋口座長 本日は、これにて閉会とさせていただきます。

お忙しいところお集まりいただきまして、ありがとうございました。

(以上)