第30回 消費者契約法専門調査会

日時

平成28年12月16日(金)15:00から17:50

場所

消費者委員会会議室

出席者

【委員】
山本敬三座長、後藤巻則座長代理、有山委員、石島委員、磯辺委員、井田委員、大澤委員、後藤準委員、永江委員、中村委員、長谷川委員、増田委員、丸山委員、山本健司委員
【オブザーバー】
消費者委員会委員 河上委員長
法務省 中辻参事官
国民生活センター 松本理事長
【消費者庁】
小野審議官、加納消費者制度課長、消費者制度課担当者
【事務局】
黒木事務局長、福島審議官、丸山参事官

議事次第

  1. 開会
  2. 合理的な判断をすることができない事情を利用して契約を締結させる類型
  3. 閉会

配布資料(資料は全てPDF形式となります。)

議事録

≪1.開会≫

○丸山参事官 よろしいでしょうか。

それでは、時間になりましたので、会議を始めさせていただきたいと思います。

本日は、皆様、お忙しいところをお集まりいただき、ありがとうございます。

ただいまから、消費者委員会第30回「消費者契約法専門調査会」を開催いたします。

本日は、所用によりまして、沖野委員、柳川委員、山本和彦委員、河野委員が御欠席との御連絡をいただいております。

まず、お手元の配布資料を確認させていただきます。議事次第下部に配布資料一覧をお示ししております。

もし不足がございましたら、事務局までお声がけいただきますようよろしくお願いいたします。

それでは、山本座長、以後の議事進行をよろしくお願いいたします。


≪2.合理的な判断をすることができない事情を利用して契約を締結させる類型≫

○山本(敬)座長 本日もよろしくお願いいたします。

本日の議題としては「合理的な判断をすることができない事情を利用して契約を締結させる類型」を予定していますが、論点の検討に入る前に、まずは関連して消費者委員会の成年年齢引下げ対応検討ワーキング・グループにおける検討状況について、事務局から報告をお願いいたします。

○丸山参事官 お手元の資料に、参考資料3という形で右上に記してあるものがあるかと思います。こちらは「成年年齢引下げ対応検討ワーキング・グループ報告書骨子(案)」です。こちらにつきましては、12月13日に開催されました、第11回のワーキングにおいて議論されました。

ワーキング・グループにおきましては、多岐にわたるテーマに関しまして計10回にわたりまして、有識者、関係省庁、関係機関、関係団体等からヒアリングを重ねてまいりました。こちらの骨子案につきましては、これまでのヒアリングを踏まえ、事務局において整理をさせていただいたものになります。

内容を御覧になっていただければと思いますけれども、大きく分けまして、第1のところでは「現状と課題」、第2のところで「望ましい対応策」という形で整理をさせていただいております。

その中で、1.若年成人保護のための制度整備というところの箇所に、(1)消費者契約法、(2)特定商取引法ということで例示がございます。これまでのヒアリングを踏まえまして、何らかの形で制度的な対応を検討すべきではないかというところで、事務局のほうで考えておりまして、こちらの骨子案を提示させていただいておりますけれども、ワーキングの13日の会合のほうでも、構成員から以下に述べるような意見がございました。

まず、第1に、若年成人、高齢者等の判断不十分者に対する配慮が非常に重要である。知識、経験等が不足する方に対する勧誘対策等、事業者側からの情報提供等、何らかの配慮を要素として取り入れるべきではないかといったような意見もございました。

それから、実態を踏まえた対応をするということを前提とすると、若年成人の知識や社会的経験、判断力の未熟さをどうカバーするのかということになると思う。学識経験者からのヒアリングでは、幾つかの理論構成があったが、積極的な情報提供義務、説明義務を課すべきだという施策ですとか、配慮しないで逆につけ込んだ場合に取消権を認めるべきだという施策が提示された。こういったものについては、平成21年の法制審議会の民法成年年齢引下げにかかわる報告書にも例示として記載されていることから、導入をするべきではないか、といった意見もございました。

それから、ある委員の方からは、消費者契約法に何らかの規定を置くことに賛成である。考えられるものとしては、消費者の年齢、知識、経験等に応じた情報提供努力義務や配慮義務、または、取消しの関係では、今年の消費者契約法の改正で、過量契約の取消しが規定されることとなったが、それに加える形で一定の年齢、知識、経験を考慮すべきところをそれに反するようなつけ込みをした場合には、取消しを認める方向で検討すべきではないかといった意見もございました。

今後、こうした意見があったことも踏まえまして、骨子案をベースに、13日のほうでそれ以外にいただいた意見も踏まえまして、報告書としてワーキングの取りまとめということで作業していきたいということで、具体的な肉付けを急ぎたいということで考えております。

御報告については、以上です。

○山本(敬)座長 ありがとうございました。

ただいまの報告につきまして、もし質問がある方がおられましたら、御発言をお願いいたします。

長谷川委員、どうぞ。

○長谷川委員 後で御説明させていただこうと思っていたのですが、ただ今の御説明と関連しますので、説明させていただきます。今日私の名前で資料2として提出させていただいている資料がございます。その中で、5ページ目になりますが、20歳代の相談件数はほかの年代に比べて少ない、また、経年的に見ても2005年度以降、2015年度が一番最新で、もっと少なくなっているわけですが、割合も少なくなっている。そういう中で、若年層に着目して、例えば消費者契約法を強化すべきだというような議論が行われているのは、若干違和感がないわけではないのですが、このような数字についてはどういった検討が行われているのでしょうか。

○山本(敬)座長 ありがとうございました。

これは、丸山参事官からお答えをお願いいたします。

○丸山参事官 具体的には、第1回のワーキング・グループで国民生活センターから、若年層の被害の実態ということで御報告がありました。そこでは、具体的には、18歳、19歳の相談件数と、20歳から22歳の相談件数を比較して、そこで増加があるということについては、顕著ではないかということで、そういった端境期のところを境に相談件数は増加になるということについて御報告があったということも踏まえまして、それを基に対応策ということで検討を行っているということでございます。

○山本(敬)座長 この点については、また後で議論をさせていただくということでよろしいでしょうか。

○長谷川委員 はい。

○山本(敬)座長 それでは、ほかに質問等がありましたらお願いします。

石島委員、どうぞ。

○石島委員 御報告ありがとうございました。

私から、幾つか意見を申し述べさせていただきます。

成年年齢引下げ対応検討ワーキング・グループですけれども、委員構成について拝見をしたところ、基本的には事業者に属する委員がおられないようで、したがって、当該報告書が事業者に影響が生じ得る法改正が行われようとする場合の大きな根拠となるのはやや違和感があるなというところなので、この点は御配慮いただきたいなと考えております。

また、先ほど長谷川委員がおっしゃっていたように、御提出の資料によりますと、20歳代の相談件数の割合は基本的には減ってきていて、ですけれども、御説明いただいた骨子案によりますと、現在よりも更なる若年層の保護が必要という内容になっていると思います。したがいまして、前回申し述べたのですけれども、改めて成年年齢の引下げが果たして本当に妥当なのかということを正面から御検討いただくのがよいのではないかと考えております。引下げありきという議論が続いている印象が拭えないのですけれども、引き続き広い範囲で共感を得られていると言えない方向性のように感じております。国民に大きな影響を与える問題ですので、少なくとも引き下げるべきという理由を明らかにしていただいた上で、その目的を達成するために、新規に成人となる18歳、19歳のあるべき対応措置が何であるのかをすっきりと整合的にお示しいただきたいと思います。

また、続きまして、御案内のとおりかと思うのですけれども、法務省のほうで公表されている資料によれば、もともと明治29年の民法の制定時に、成年年齢が20歳と定められた理由というのははっきりとはしていないものの、当時の平均寿命、これは43歳と言われていて、また、日本人の精神的な習熟度を総合考慮したものであると言われているそうです。現在の平均寿命は、短い男性のほうでも80.79歳ということですから、倍近く伸びているわけで、寿命を考慮するのならば、成年年齢がむしろ引き上げられることはあっても、少なくとも引き下げるという話にはならなそうですし、精神的習熟度が高いから引き下げるというのであれば、それが主たる理由になっている場合は、それこそ合理的判断ができないという前提に立つのは不思議なことのように思っております。

以上です。

○山本(敬)座長 ありがとうございました。

以上の点につきましては、御意見をワーキング・グループのほうにお伝えいただくということでよろしいでしょうか。もちろん、このような御意見をお出しいただければと思いますが、この場で議論する問題ではありませんので、このような取り扱いにさせていただければと思います。

○丸山参事官 分かりました。

○山本(敬)座長 それでは、ほかに御意見がありましたら、お出しいただければと思いますが、いかがでしょうか。

長谷川委員、どうぞ。

○長谷川委員 石島委員と同じでございまして、今までの消費者契約法の改正の議論でも、特に要件の設定の仕方が議論になっていたと思います。要件の設定の仕方次第で幅広い事業者に影響が及ぶということでございますので、事業者の意見を聞かずに何か決めるということがあってはならないと思っております。もし、仮にそういうことがあれば、事業活動を制限するのみならず、創意工夫を凝らした事業活動が萎縮することによって、消費者の利益も損なわれることになると考えております。

○山本(敬)座長 ありがとうございました。

それでは、有山委員、どうぞ。

○有山委員 先日、学校の教員の方とお話をしていて、消費者教育がそれほど充実していないという現状から考えると、準備期間として最短でも5年ぐらいは欲しいというお話が出ました。現場で未成年に近い人たちを見ている先生の実感というものがすごく重要な気がします。

ほかにも、教育指導要領で、小学生から消費者教育をカリキュラムとして体系的に入れていく形が必要です。経済的な損害に関しては、その消費者教育とか教員の方の考え方や母親を通してみると、経済的視点での捉え方が幼く、「誰でもみんながやっている」、「契約」という言葉を使わないのですが、「みんながこれを喜んでいるよ」という販売員の話に大変弱いような感じがいたしますので、その辺はよく議論していただきたいと思っております。

○山本(敬)座長 ありがとうございました。

ほかに御意見があればと思いますが、いかがでしょうか。

大澤委員、どうぞ。

○大澤委員 意見というよりは伺いたいことなのですが、この成年年齢に関する話というのは後でこの資料1を御説明いただく中で、参考資料1というところで、各年代別の相談件数というものが出てくるのですが、そちらのほうでまた意見を述べる機会はあるのでしょうかという確認です。といいますのは、今、私は大学に勤めていますので、いろいろ大学生の実態などを伺っています。そういうこともお話しできればと思っているのですが、その機会はまだあるということでよろしいですか。

○山本(敬)座長 後でまた議論させていただきます。

○大澤委員 分かりました。よろしくお願いします。

○山本(敬)座長 ほかに御意見があれば、お出しいただければと思いますが、いかがでしょうか。

よろしいでしょうか。

ありがとうございました。

それでは、今のような御意見が出たということをワーキング・グループにお伝えいただければと思います。

それでは、続きまして、消費者庁から検討のための資料として、資料1及び参考資料1を提出していただいていますので、消費者庁から説明をお願いいたします。

○加納消費者制度課長 それでは、資料1でありますけれども、テーマとしては、前回に引き続きまして「合理的な判断をすることができない事情を利用して契約を締結させる類型」、いわゆるつけ込み型というものを取り上げさせていただいております。

この論点についてでありますが、消費者契約法の引き続きの課題の中でも、とりわけ重要性が高いものというように私どもとしては認識しておりまして、もともと民法の公序良俗無効、暴利行為の現代化というような議論もあり、立法に関する様々な議論があったところでありますが、やはり規律をどういうようにするのかということがなかなか難しいということで、現在においても課題として残っているというものと認識をしております。

成年年齢の引下げの御議論も今、ございましたが、それも一つ、事情かとは思いますけれども、それにかかわらず、いろいろな消費者被害を見る中で、年齢を超えて、いわゆるつけ込み型というもの、先般の改正で、過量契約というものにつきましては一定の手当てを講じましたけれども、過量でないつけ込み型についてどうするのかということは、課題としては、なおあると認識せざるを得ないところでありまして、かつ、この問題が長年の課題であって、今に始まったわけではなく、古くからある大きな課題であると。かつ、立法的な手当てが難しい論点ということでありますので、集中的な御議論をお願いしたいという趣旨で、引き続きこういう資料を準備したものであります。

中身でありますけれども、第1の「基本的な考え方」で書かせていただきましたのは、前回のおさらいでございます。

幾つかの事例を御紹介いたしまして、就職セミナー商法でありますとか、デート商法とか、こういったものを御紹介いたしました。委員からは、その事例のボリューム感について御指摘がありましたので、今回、参考資料ということでおつけをしております。行ったり来たりで恐縮でありますが、参考資料1を御覧いただきますと、3ページからでありますけれども、それぞれ就職セミナー商法、デート商法、これは前回取り上げたものでありますが、これに関する近時の相談件数の推移、それから、年代別に見てみるとこのような状況であるというものであります。就職セミナーはもともと卒業間際の学生さんとか、そういった方がターゲットでありますので、必然的にこういう年代別になることは想像できるわけであります。デート商法につきましても、お年ごろの世代がターゲットになりやすいということで、若者が多いということでありますが、かつては20代ということでありますけれども、最近では30代といったところにもテリトリーは広がってきているというようにも話を聞くところであります。データ的にもそのような感じがうかがえます。

5ページ以下で、今回、紹介販売、無料商法ということで、前回にはなかったものでありますけれども、事例としておつけをしました。紹介販売といいますのは、例えば大学でありますと、サークルの先輩、後輩とか、あるいは職場で若者に限らないのですけれども、先輩上司とか、そういった人間関係などの関係で、ある商品・サービスを紹介され、断り切れずに購入するといったものであります。

6ページは無料商法というものでありますが、これはまた毛色が違いますけれども、当初、無料ということで、お試しサービスですよということで誘引して、その後、有料の契約を紹介する。その中で勧誘する。不意打ち的に勧誘するパターンでありまして、前回も似たような事例を取り上げましたが、そういったものに関しては、年代としては幅広く見られる。こういったものもつけ込み型の事例として想定すべきものではないかということで、データとしておつけをしたものでございます。

関連しまして、参考1の資料のほうでは、前回、幾つかのデータに関しまして、一つは1ページでありますけれども、年代別というところについてどうかという御質問が委員からございましたので、データとしておつけをしているものであります。確かに、20代よりも30代、40代のほうが件数としては多い傾向があるということではないかと思います。これはそういったところが取引主体として世の中の取引としては多いということを反映しているのではないかと思われるものであります。

2ページ、若年者というところにつきまして、もうちょっと細かいデータということでおつけをしたものでございます。

資料1に戻っていただければと思いますけれども、こういった商法を念頭に検討してはどうかということでございますが、2段落目、若年者はもちろん、一つの重要な分野ではありますけれども、それに限らず、幅広い年代において被害が見られるのではないかと。いわゆるつけ込み型というもののターゲットとして、若年者はもちろん重要なターゲットでありますけれども、それ以外も含めて検討すべきではないかということで書いているものであります。

3段落目で、民法、特商法との関係ということでありますが、まず民法であります。これは公序良俗無効あるいは不法行為ということで、一定の手当てはされているケースもあると思います。そういった種の裁判例も実際にはあるところであります。ただ、これらの規定、やはり一般条項ということでありますので、規定ぶりが抽象的であると。具体的に、どのような場合に救済されるのかというのが、必ずしも判然としないというところであります。消費者問題は額が低くてなかなか裁判にいかないというところがありまして、圧倒的多数は消費生活相談というところで救済が図られているところがまだまだ数としては多い。裁判手続特例法の施行、その他、いろいろありますけれども、まだまだ裁判までいくというのは、抜本的に変わるというところまではなかなか追いつかないのではないかと思われるところでありまして、消費生活相談事例において、明確にルールとして機能するという、ルールの明確化というものが課題としてあるのではないかと。そこで、過量契約という形で一つは手当てをしたというところでありますが、そのほかの分野についても、そういった課題があるということであります。

特商法との関係でございますけれども、特商法で訪問販売、連鎖販売取引などなど、いろいろな類型がございますので、そういったところでの手当てというものも考えられるところであります。ただ、事例の中では、特商法で規定している形態に落ちないものもあるのではないかということでございまして、例えば、先ほど紹介商法ということで申し上げました。これは連鎖販売取引との異同がよく問題になるところでありますが、連鎖販売取引でありますと、法律上、特定利益と申します。例えば、更に下部会員を紹介したらその手数料などが収入として入るということで誘引されて、特定利益を収受し得ることをもって誘引するということで要件立てがされておりますが、必ずしもそうではないというようなケースで、人間関係があるがゆえに断り切れずに契約するといったような場合、これは特商法の連鎖販売ではなかなか拾いにくいものとして従来から言われているものでありますが、そういったものについて、消費者契約法、民事ルールとして取り込むといった必要性があるのではないかということで、書かせていただいているものであります。

1ページ目の末尾から書いていますのは、そこでどうするのかということであります。ただ、この問題の解決は、恐らく規定の在り方をどのように具体的かつ明確にするかということにほぼ収れんするのではないかと。これまでの御議論からして、この消費者委員会の議論もそうですし、そのほかの検討の場でもそうですけれども、恐らく、そういうところに帰着するのではないかと思われるところでありまして、そういう観点から、前回幾つかのアプローチということで、A案、B案、C案、D案ということでお示ししたものではありますが、まだ更に検討の必要があるのではないかということでありまして、そこで、私どものほうで今回甲案、乙案ということでございますけれども、こういった考え方を更に深めてはどうかということでお示しをするものであります。

まず、甲案で、2ページの第2というところでありますけれども、1段落目、2段落目と書いていますが、要素としては、「すなわち」と下から2段落目にありますように、2つでありまして、不公正な行為、それから、著しく高額と。前回、過量でないものということで、委員の中から対価的な不均衡に着目してはどうですかといった御示唆もございました。そこで、こういった額というものに着目して、規律するものであります。

3ページで、具体的にどういったものかということで、1号、2号ということで書いております。

まず、1号ということでありますが、これは例えば就職セミナーと書いておりますけれども、アンケートへの回答を求めるといったことで連絡先を記入させ、本当は相手の契約の上での勧誘という目的があるということでありますが、その勧誘目的を隠して呼び出すといったものでありまして、2段落目にありますように、心理的な備えがないという状況での働きかけということになりますので、じっくり考えないということで、判断がゆがめられる一つのパターンとして考えられないかということであります。

その次が2号ということでありまして、これはデート商法のようなものを想定しているわけでありますが、恋愛感情ということでありまして、本来、宝石なら宝石が自分にとって必要かどうかということをよく吟味して、かつ、値段も相応だということで、よく考えて買えばいいのですけれども、恋愛感情ということで、別の考え方に影響されてしまって合理的に判断できないというようなものがあるということで、こういったものを行為類型として切り出すということを考えてはどうかというものであります。

3ページの下の3.著しく高額というところでありますが、これは対価的な不均衡ということで、額に着目するとこういうことがあると。ただ、額がどうかということは、なかなか高額かどうかの判断が難しいのではないかという御指摘は当然予想されるわけでありまして、著しく高額ということで絞ることを試みたものでございますが、ここは規律として明確かどうかはなお議論の余地があるのではないかと考えるところでございます。消費者にとって著しく高額かどうかということでありまして、その個別の状況に応じて高額かどうかを考えるというもので、絶対額を想定するというものではありませんが、あとは規律としてどうやって機能するのかというところは、御意見も頂戴しながら検討をしていきたいと考えるものであります。

第3、乙案というのは、切り口を変えまして、前回A案、B案、C案、D案と言いましたけれども、絞り込みということで、過量契約の類似の規律として甲案というものがあるのに対しまして、これは「困惑」というものの中に位置付け直すというものであります。現行法の困惑規定は、御案内のとおり、不退去、退去妨害ということで、一定の行為類型を切り出して、それらの行為によって、消費者が困惑して意思表示という場合に取消事由とするものでありますが、それらの並びで、困惑事由として、これらの行為を位置付けていくというものであります。

5ページで、乙案、たたき台ということで、仮にこういう形で入れてみると、こういう規定の仕方があるのではないかということでありまして、これで十分かどうかというところはなお議論の余地があるところでありますが、イメージとして持っていただく観点で作成したものであります。

消費者庁からの御説明は大体以上でございます。

○山本(敬)座長 ありがとうございました。

参考資料1については、いかがいたしますか。

○加納消費者制度課長 参考資料1につきまして、先ほど簡単に御紹介いたしましたけれども、まず、データの1ページ、2ページにつきましては、前回の議論を踏まえて準備をしたものでございます。

それから、就職セミナー等につきましては、先ほど御説明をしたとおりであります。

7ページのところで参考としておつけしておりますのは、いわゆる暗数と言われるものが想定されるということで、消費者庁で行いました調査のデータによりますと、こういったものが一つ参考になるということでありまして、これは一つのデータということでありますので、御参考にしていただければという趣旨のものであります。

○山本(敬)座長 ありがとうございました。

それでは、続きまして、ただいまの消費者庁からの説明内容につきまして議論をしていきたいと思いますが、その前に長谷川委員から資料2、山本健司委員から参考資料2を提出していただいていますので、これも先にあわせて説明をしていただいてよろしいでしょうか。

○長谷川委員 それでは、御説明させていただきます。資料2を御覧いただければと思います。

まず、先ほど加納課長から御説明がありました参考資料1のデータをお出しいただきまして、どうもありがとうございました。前回の私の説明が拙かったのだと思いますけれども、真意が伝わっていないところがあったかと思いますので、前回出された資料と今回出された資料のデータを私なりに、分かりやすくする観点からまとめてみたものが2ページと3ページでございます。

先ほどの類型別で加納課長から4つ類型が挙げられていましたけれども、前回との継続性が確認できると思われるのがデート商法のところ、それと、就職セミナー商法のところと思われますので、その2つの類型について資料2ページ、3ページにまとめております。

まず、2ページでございますけれども、波線の左側が前回お示しいただいたデータでございまして、2002年で2,124件あったということでございます。それが、今回示されたものではほぼ5分の1まで減っている。これは取消権の有無にかかわらず減っているということでございますので、前回、私から申し上げましたけれども、啓発活動その他を通じて減っているという実態があるのか、要するに、何が原因となってこのように減ったという成果が上げられたのかということを分析するのも一つのいい案ではないかと思っている次第でございます。

加えて、3ページでございますけれども、これは就職セミナー商法のほうでございまして、デート商法ほど劇的には減っておりませんが、2008年の223件が直近2015年には146件になっている。3分の2ぐらいになっているという状況にございます。これにつきましても、どうして減ったのかを検討することが重要かと思っております。

消費者契約法で対応するということでありますと、事業者からみてある程度禁止的な手法になります。むしろ予算をつけて啓発等を行ったほうが、自由な事業活動あるいは消費者利益を損なわないのではないかと思っているところでございます。

また、新たな規制が入ることが事業者にとってどれくらい負担になるのかという議論があるわけでございます。被害がたくさんあるということであれば、そういうものを防ぐためにいろいろやるのは当然だよねということで、共感が生まれやすいという状況があるかと思いますが、こういうデータの推移の中で、つまり、近年減っているという状況の中では、そういう共感が生まれる状況にあるのかどうかということも含めて御検討いただければと思います。もちろん、引き続き相談件数は生じていますので、それについて私法で救うべきだという御議論もあろうかと思っております。

4ページでございますけれども、これは消費者相談件数の推移ということで、これは皆さん、御案内のとおりかと思いますが、近年ではほぼ横ばいの状況になっているということでございます。

5ページは、先ほど御紹介したとおりでございまして、20歳代の相談件数の割合は、30歳代、40歳代と比べて少ない。近年、総相談件数が横ばいの中で、占める割合もほぼ半分になっているということでございます。

最後、6ページでございますけれども、これは前回、国民生活センターの資料について、私が御指摘させていただいたことと関連しますが、先ほど加納課長から御説明のあった参考資料1の2ページ目と関係するかと思います。今回、この参考資料1の2ページ目のデータを出していただきまして、ありがとうございました。

これをどう見るのかということなのですけれども、加納課長から御説明のあった資料は平成23年から平成27年の平均、24歳までということでございます。一方、私の提出した資料の6ページは消費者委員会の報告書からとってきた資料でございますけれども、平成27年の単年で、かつ、15歳から29歳まで載っているものでございます。これを見ますと、17歳から18歳にかけて増えている。加納課長から説明のあった資料でも、17歳から18歳にかけて増えていますが、多分生活環境の変化に伴って、相談件数が増えているのだろうと思います。あと、19歳から20歳にかけても増えています。私が示したデータでも増えていますし、今回の消費者提出資料のデータでも増えているということでございますが、多分幾つか要因があるのではないかと思っております。取消権がなくなるという要因に加えて、専門学校等は20歳で卒業しますので、生活環境変化の要因もあるだろうと考えられます。それから、繰り返しになりますけれども、20歳代と答えた人が20歳に計上されている可能性があるということなので、そこの集計の要因というものもあるだろうということでございます。

さらに、24歳から25歳にかけても増えていますが、20歳代半ばというような回答があった場合には25歳に計上されているということを国民生活センターの事務方から説明を受けています。要するに、19歳から20歳にかけて増えている要因を取消権の要因と考えるのか、環境変化要因と考えるのか、あるいは集計の要因と考えるのかということはよく議論したほうがいいだろうと思っているところでございます。

以上でございます。

○山本(敬)座長 ありがとうございました。

では、続きまして、山本健司委員から御説明をお願いいたします。

○山本(健)委員 本日、参考資料2を配布させていただいております。日弁連消費者問題対策委員会に所属する弁護士有志で作成した書類でございます。これは、我が国の47都道府県で「つけ込み型」「困惑型」と呼ばれるような不当勧誘行為を禁止している消費生活条例の規定内容をまとめたものです。

この表の左側半分に列挙しましたとおり、「高齢者その他の者の判断力の不足に乗じて、契約の締結を勧誘し、または契約を締結させる行為」といった行為は、既に全都道府県の消費生活条例において違法行為と位置付けられております。我が国で健全な事業活動を行っている事業者においては現時点で行っていないはずの行為です。このような行為について、民事ルール上も行ってはならない行為であることを消費者契約法で列挙して、違反した行為に取消権を付与するとしても、今まで適法であった行為が違法になるわけではありませんので、事業活動に不当な悪影響を及ぼすとは評価できないと思われます。

この表の右側半分では、同じく各都道府県の消費者保護条例における具体的な困惑惹起行為の規定例を御紹介しております。一部はこの専門調査会において「つけ込み型」の事例として議論されている行為類型も含まれております。

例えば、4ページの一番上の33番の岡山県の消費者保護条例を例に引いて御紹介させていただきますと、「(6)商品又は役務を取引する目的で、親切行為又は無償若しくは著しい廉価の役務若しくは商品の供給を行うことにより、消費者の心理的負担を利用して、執ように契約の締結を勧誘し、又は契約を締結させること」といった規定や、「(9)消費者の不幸を予言し、消費者の健康又は老後の不安その他の生活上の不安をことさらにあおる等消費者を心理的に不安な状態に陥らせる言動等を用いて、契約の締結を勧誘し、又は契約を締結させること」といった規定があります。

また、「(11)商品又は役務の取引に関し、主たる取引目的以外の商品又は役務を意図的に無償又は著しい廉価で提供すること等により、消費者を正常な判断ができない状態に陥れて、契約の締結を勧誘し、又は契約を締結させること」といった規定もあります。

今後議論が予定されておりますつけ込み型不当勧誘や困惑惹起行為について、具体的な行為類型を列挙するというアプローチをとる場合の具体的な規定例に関する参考資料として、御確認・御検討をいただけましたら幸いです。

以上です。

○山本(敬)座長 ありがとうございました。

それでは、議論に入りたいと思いますが、前回の会議において、前提となるデータに関して御意見をいただきました。それを受けて、先ほど消費者庁から資料を提出いただきましたし、長谷川委員からも資料の提出をいただきました。まずはこの点について御意見をいただき、それに続いて資料1で先ほど御説明のありました提案について検討するということにさせていただければと思います。よろしいでしょうか。

それでは、まずデータに関しまして、御意見あるいは御質問がありましたらお出しいただければと思います。

松本理事長、どうぞ。

○松本理事長 それでは、長谷川委員からいろいろ御質問をいただいておりますので、一応の考え方を説明したいと思います。

資料2の2ページ、3ページを御覧いただきたいのですが、デート商法と就職セミナー商法について数字が挙げられております。いずれもある時期かなり伸びて、その後少し下がっているという状況でございまして、例えばデート商法ですと、もう少しさかのぼってもある程度の数字で横ばいになっております。2012年が一番ピークになっていて、その後少し下がって安定しているということです。

就職セミナーに関しましては、実際は脚がもっと長いものを短くしているので、若干誤解を与えるところもあると思いますけれども、脚を伸ばしてきちんとゼロからカウントすれば、そんなに大きな変化があるわけではなくて、少し波があるけれども、2004年と2015年でほぼ同じぐらいの数字が出ているということです。これは、事業者といっても真っ当な事業者ではないところの、不当なやり方で商売をしている事業者についての話ですが、あるやり方である時期わっと稼いで、それから、別の時期にまた別の手法で稼ぐという、そういうはやり廃りがあります。それがここに表れているのだろうと思います。

次に、4ページの消費生活相談件数の推移のところです。2004年が大変件数が多くて、200万件近い相談が寄せられておりますけれども、これは架空請求が全盛であったという非常に特殊事情がございます。それを抜けばほかの年度よりは少し上がっているというぐらいでありまして、その後はどちらかと言えば横ばい、ピークから見て横ばいなのです。それ以前のピークより左側との対比で見ていただければ、相談件数に関しましては、むしろ高止まりといったほうがいいのではないかと。架空請求を除いた相談件数は100万件弱で高止まりしているということかと思います。

それから、5ページで年代別の相談件数の割合についての推移が紹介されております。これで見ると確かに20代の相談の全体に占める割合が、一定下がったように見えます。他方で、高齢者の資料で出ております70歳以上のところが、ある時期からかなり急速に増加をしたということがございまして、それら20代と70歳以上除いた30、40、50、60代という実年世代の相談の割合はそんなに大きく変動していないということがございます。これも一種のトレンドのようなもので、ある時期は若者を相手にした商法が様々に編み出されて行われていたのが、ある時期から資産を持って、かつ、ひとり暮らしの不安な状況にある高齢者が大変増えたということにつけ込んで、とりわけ高額の被害を及ぼすような商法が編み出されてきて、それが展開されてきたということでございます。いずれも不当商法の一種のトレンドの影響がございます。そういう面を除いて、実際の総人口に占める各世代の割合と相談件数に占める各世代の割合を比べると、そんなに大きく変動しているわけではなくて、現在においてもほぼ人口比の割合の相談が若者からも出ているということがございます。ある時期、人口比よりは多い割合の相談があった。それは若者向けをターゲットとした商法が行われていたということでございます。

さらに、一番右端の不明というものがございます。これは相談員が年齢を把握できなかった場合、お答えいただけなかったような場合に年齢を記入をしないというケースで、データの不記入で不明ということになります。

この不明とされている、例えば2014年で10.9%を省いて相談の中で年齢が記入されているものだけで割合をとりますと、20代の割合は8.9%よりも大きくなって10%を超えるということで、その世代の対人口比よりは若干上回っているという数字が出ております。したがって、決して若者被害が減っているわけではなくて、相当数の、少なくともその人口比と対応した割合の被害者が出ているということでございます。

6ページでございますが、17歳から18歳への差につきましては、長谷川委員が説明された仮説で恐らく説明できるであろうと我々も考えておりまして、環境変化の要因というものが一番大きいのではないかと。

20歳のところで増えております。これは前回にも少しお話をして、議論にもなりましたけれども、20歳だと答えられた方については、当然20歳と記入されておりますが、それ以外のものがひょっとしたら入っているのではないかということで、我々は前回の会議後、いろいろ調べました。とりわけ、20代の相談件数が多い全国の15カ所の消費生活センターに20代の相談について問い合わせをいたしましたところ、年齢については非常にきちんと確認をしているのだというお答えでした。というのも、10代と20代では、そもそも未成年者取消権のあるなしという大きな差があり、相談への助言、あるいは事業者との間であっせんをする際の方針に大きな違いが出てくるから、そこのところは非常に慎重に質問をして、お答えをいただいているということです。

もう一つ、20代の後半ぐらいになると若干微妙になりますけれども、20代のとりわけ半ばより若い人には、年齢を明らかにするのは嫌だという人はそんなにいないのではないかということです。10代後半から20代前半というのは、それほど年齢を秘匿することにこだわらない方が多いということもあって、確かに20歳の中には、20歳以外の人が含まれている可能性が完全には否定できませんが、25歳の場合と比べると、20歳以外の人が入っている可能性は大変低いのだろうと、我々は判断しております。25歳が少し飛び出しているのは、これは20代の後半、特に30歳近くなってくると、明確な年齢を言いたくない心理を持つ方も少し増えてくることもあって、20代半ばですとか、20代後半ですとかというようなお答えがある可能性もあるわけでしょう。25歳が24歳や26歳に比べて少し飛び出しているというのは、そういう説明をしないと、恐らく合理的な説明はなかなか難しいだろうと思っております。

長谷川委員は20歳で増えていることには取消権の要因がある、それから、環境変化要因があるのではないかとおっしゃいましたが、その可能性があると思っています。それから、集計要因もごく一部入っていると思います。ただ、環境変化要因を重視しますと、22歳、23歳、あるいはちょっと遅れて24歳という大学を卒業して社会人になるという年齢で、大きく増えてもおかしくないはずですが、そういう傾向にはなっていないということを考えますと、20歳での環境変化要因というのも、大きいと言うほどではないのではないかと。17歳から18歳にかけての増加と比べると、環境変化要因は実は小さいのではないかと考えております。

○山本(敬)座長 それでは、消費者庁から補足をお願いいたします。

○加納消費者制度課長 長谷川委員の御指摘でありますけれども、当然、立法をするに当たって、事業者サイドともいろいろと詰めておくべきところは詰めておくということで、いろいろとどうもありがとうございます。私どもとしては、その御指摘はきちんと受けとめて、検討させていただきたいと考えております。

このペーパーをいただきまして、私どもも、今、理事長からお話がありましたけれども、国民生活センターにもいろいろ話を聞きまして、もう一度精査をしたところでございまして、理事長が、今、説明されたとおりでありますけれども、若干補足いたしますと、資料2の6ページのこの取り出し方につきましては、そういったセンターへのヒアリングは国民生活センターにおいて、各消費生活センターへのヒアリングをされたことを踏まえてということでの説明があったところですが、私どもも同じように認識しましたのは、要するに、20歳というところはとりわけシビアに聞くということでありまして、そこは相談員の意識があると。それは未成年者取消権があるかないかという結論が全く変わりますので、それによって相談処理の方針ががらっと変わるということであります。ですから、ここはいいかげんなものを入力するということは基本的にはないというように国民生活センターの認識、また、相談員さんの認識があるということでございまして、私どもとしては、それを前提とすると、何らかの単なる環境変化要因を超えたものがあり得るのではないか、それが未成年者取消しの点が一つ考えられるのではないかと私どもも理解をするところであります。

それから、5ページに戻りまして、若年者の相談件数が割合として減っているではないかということでございますが、減ってはおるのですけれども、理事長の御説明は、件数は横ばいなのですよと。どういうことかというと、高齢者がターゲットになってきているということでありまして、最近、高齢者に対する送りつけ商法でありますとか、いわゆる投資詐欺でありますとか、そういった高齢者をターゲットとした悪質が増えているというのは傾向としてあるようであります。過量契約などもその一つの対象としてあるわけでありますけれども、日本社会が人口増で高齢者が増えてくるのですが、人口増を超えて高齢者相談件数が増える傾向にあると言われておりまして、そういう状況からすると、相対的に若年者というのは数は変わらなくても減ってくる傾向にあるということではないかというように理解をしております。今の説明でよろしいでしょうか。

それから、デート商法と就職セミナーについて、どうも御指摘、ありがとうございます。こうやって聞くとくっきりと減っているではないかと言われると、そうなのですけれども、あとは、そうは言うものの、横ばいにあるものをどう見るのかということが残るということが長谷川委員御指摘のとおりで、おっしゃっていましたけれども、そういうところをどう見るのかということではないかと思います。

デート商法は、これは私の推測もありますけれども、結構手間暇かかるというか、要するに、人員を配置して勧誘して、丁寧にやるという商法でありますから、やるほうもコストがかかると。それに対しまして、最近は例えばいわゆるSNSなどというところで人間関係をばっと広げて何とかする。要するに、そのほうが効率的で、かつ拡散性があるので、そういうところにシフトしてきているのではないかというような御意見はございました。ですから、トレンドとして、デート商法のような心理悪用型とでもいいましょうか。そういうものは古典的なものとして従来からあり、現在も一定数あるという状況だと思いますが、確かに2002年ぐらいでぽこっと、原因は分析できておりませんけれども、増えた。これはよく分かりませんけれども、確かに客観的にはこうなっていると。その後、減って横ばいというところではありますが、そういうトレンドの変化で逃げている可能性もあるのではないかという指摘があったということでございます。

以上でございます。

○山本(敬)座長 ありがとうございました。

それでは、長谷川委員、どうぞ。

○長谷川委員 大変御丁寧な御説明ありがとうございました。

可能であればですが、デート商法の相談件数の推移と、就職セミナーの相談件数の推移は、それなりの経年を持って出していただければと思います。

それと一般的なお願いがございます。今回、資料を作成する際、複数の資料を見て数値を入力したのですが、結構手間がかかりました。内閣府とかから出ている、特に経済関係のデータですと、エクセルなどで出ていて、非常に処理がしやすくなっております。消費生活相談に係るデータについて、国民が処理しやすいような分かりやすい提供の仕方も今後検討していただければ非常にありがたいと思います。

それから、年齢別の消費生活相談件数の推移について、御説明がよく分からなかったところが2点ございます。一つ目は松本理事長からの御説明で、人口割合に応じたという点です。実は私どもも、これを別の視点で1人当たりの相談件数で見るとどうなるのかということをチェックしてみたのですけれども、それでも、やはり20歳代は低かったのです。ただ私どもが自分で計算していても誤りがあるかもしれませんので、そういった計算もしていただければありがたいと思っています。二つ目は加納課長からの御説明で、割合は減っているけれども、件数は横ばいとなっているという点です。資料の4ページで、総件数というのはほぼ横ばいとなっている。その中で割合が減っているのであれば、件数も減っているということになるのではないかと思いますが、その点はいかがでしょうか。

また、若年層の相談件数についてはこれ以上のデータも持ってもいないので、そういうことなのだろうかいうことなのですけれども、先ほど、丸山参事官からも御説明があった成年年齢引下げ対応検討ワーキング・グループに出された国民生活センターの資料の中には、20歳の中には20歳代の申出となった相談を含む場合があると脚注をつけていただいています。少なくとも何歳というところでデジタルに言えないのであれば、そういった脚注をつけていただくことが正確なデータ提供かなと思います。

以上でございます。

○山本(敬)座長 それでは、消費者庁からお願いいたします。

○加納消費者制度課長 どうもありがとうございます。

エクセルの件なども含めて、分かりやすい情報提供を検討したいと思います。

5ページの割合のところでありますけれども、私が申し上げたかったのは、4ページにも資料で書いてありますように、ある時期から横ばい傾向にあるということでございまして、理事長もそれをおっしゃいましたけれども、ある時期からは横ばいケースで、理事長の言葉で言うと、高止まりではないですかというところであります。

下のほうで御覧いただくと、例えば2009年、2010年ぐらいから、パーセンテージとして若干減ってはいるものの、件数としてはそんなに変わらないようでありまして、そういう意味で、件数としては高止まりと言うかどうかというのは、評価の余地、どう評価するのかだと思いますけれども、若年者が横ばい傾向にあるということのようであります。そういう趣旨で申し上げました。

○山本(敬)座長 よろしいでしょうか。

○長谷川委員 可能であれば1人当たりも出していただけると、今の点も分かりやすくなると思います。

○山本(敬)座長 ありがとうございました。

ほかにございますか。

磯辺委員、どうぞ。

○磯辺委員 長谷川委員に御提出いただいた6ページの資料を見て、私は成年年齢引下げにいよいよ危機感を持ったという感想を述べたいと思います。

18歳のところで、環境変化要因でかなり増えているということで、20歳のところで、環境変化要因もあるだろうけれども、取消権要因、取消権が及ばなくなったということでのトラブルが増えているというようなことで考えますと、この取消権要因で増えたものと環境変化要因で増えた18歳のところに、これがぐっと寄っていくわけですね。そうすると、18歳のときにどういった状況になるのだろうかということで、ここで被害が集中するということを非常に示していただいている表ではないかと思いまして、やはり何らかの手当てが、そういう大きな変化が予想されるので、必要ではないかと感じた次第です。

○山本(敬)座長 ありがとうございました。

ほかにいかがですか。

増田委員、どうぞ。

○増田委員 相談現場の感覚から少しお話をさせていただきたいと思うのですが、デート商法の数が10年ぐらい前から比較して少ないというのは、このとおりなのだろうとは思いますが、デート商法とか就職商法というのは、消費者教育をしてなくせるものではないと思います。人間の本能なので、最近は年代に関係なく30代、40代、50代もこのような形での取引で契約してしまったということがあります。典型的なのが、投資用マンションです。投資用マンションは数は少ないですけれども、金額が大変大きいですし、消費者に支払能力もありますので、非常に解決が難しい状況です。そういうところで、相談件数が少なくなっていれば手当しなくていいという話ではないと現場の感覚から思います。

それから、若年層は高齢者と同じで、自ら相談するという行動を起こしにくい状況があります。相談場所を知らないとか、相談していいのだとか、あるいはこれが消費生活相談になじむものであるとか、相談した後どういう結果になるとか、そういうことが分からないために相談するという行動が起こしにくいと思われます。高齢者に手当てをするのであれば、若年層にもそれだけの手当てをする必要があると思います。また、若年層に関しましては、インターネットなどを利用することによって情報を得て、反対にそれで、間違った情報で諦めてしまうこともありますので、そういうことからも、やはり正しい情報を提供する相談窓口をきちんと周知して、対応することももちろん必要だと思いますし、こういう消費者契約法で手当てをすることが非常に重要だと考えます。

以上です。

○山本(敬)座長 ありがとうございました。

有山委員、どうぞ。

○有山委員 デート商法の中に、今、恋愛感情というものが出てきたので、その点で考えると、確かに恋人商法的な恋愛感情という相談もあるのですが、他に、狭い大学のサークルとか、狭い御自分たちのコミュニティーのような中で人間関係ができてしまって、その人間関係の中で、販売が行われるような相談があります。断りにくい環境を作る状況が生まれているような気がします。

それから、このデート商法と就職セミナー、就職セミナーに関しましても、就職というよりは、先日もお話ししたかと思いますが、起業セミナーのようなことがあります。そういうような形で、就職セミナーでちょっと消費者相談の現場から相談員が事業者に電話をかけ交渉すると、微妙に事業の形を変えていくというのが現状です。2009年前後に大きな割販法の改正などもありましたので、その後少し減ったということは事実だと思うのですが、決して完全に無くなっているわけではない。今、当然、悪質商法で稼ぎたいと思っている人たちも、情報交換は盛んです。作っていただいた長谷川さんの4ページの表にありますように、2003年、2004年、2005年というのが、大変件数が増えているのは、これは不当請求なのです。消費者センターで対応し切れないぐらい寄せられました。雇用している相談員を、急に相談が増えたからといって2倍、3倍にすることはできないので、私の現場でも、フロア全体の係長とか普通の職員たちが電話をとらざるを得ない状況になりまして、それをとった後、自分たちでふだん相談をしていませんから、不安なので、私たちに、「こう言ってしまったけれども、大丈夫ですよね」というような状況でした。勤務先は小さいところですから部全体が対応したみたいなことで、私の居場所というか、役所内で有山がいるということが役所中に知られるぐらいの異常な状況だったのです。

そして、2002年の中で架空請求のパーセンテージを見ていただくといいと思うのですが、架空請求というのは、初め相談員は、私たち消費者相談員がやることかしら、これは警察がやることではないかというような思いがありまして、躊躇しました。「無視してください」ということが最終的によく使われたのですが、無視の前に契約関係があるのかないのかとか、そういうことを聞き出したりとか、いろいろな相談員が相談方法に悩んだ時期があったのです。その悩んだ結果がこの増加。こうすれば稼げるのだと思われたのだと思うのですが、異常に2002年の後の3年間は、消費者センターが大変架空請求に悩まされた時期だと考えていただければいい。その中で、契約関係が一方的に事業者から「ある」と言われたとしても、ないのだったら主張しなければいけないということをテレビ、いろいろな広報機関を使って、相談員、国民生活センターも頑張られて、だんだん沈静化していったということがあります。件数が少ないから手当てしなくていいというようなことは言えないのです。情報化社会の中で、こうやれば稼げると言うと、非常にあっという間に情報が流れて脱法的なものも増えていきます。何とか大きなくくりの中で傾向を押さえて対応していかないと、消費者の財産が守れないというような思いを持っております。

以上です。

○山本(敬)座長 ありがとうございました。

それでは、大澤委員、どうぞ。

○大澤委員 まず、前提といたしまして、私自身はこの問題に関しては、今、若年者の話中心になっていますが、基本的には高齢者も含めた全ての年代を念頭に考えています。それにつきましては後で要件のところでまたお話をさせていただきます。

若年者ということで、東京の都心部にある私立大学に勤めているということもあって、いろいろな話を聞いておりますと、明確な数字を今、持っているわけではありませんが、今、大学の中でも例えばマルチ商法ですとか、あるいは学生が投資のようなお金もうけをすることにはまってしまっているような学生がいて、しかも、それを周りの人が、そんなおいしい話はないと言って一生懸命友達とか教員がとめても聞かなくて、むしろ周りの友達をどんどん勧誘している。一種のマルチ商法のようなものではないかと認識していますが、今、実際にそういう学生がいるということは、いろいろなところから聞いております。

確かに件数で見ると、一つの大学内ですので、例えば何十件もあるということではないと思うのですが、結構継続的にそういう話はよく聞きますので、恐らくここの数字に出ているもの以外にも、そういうものは意外とあるのではないかということです。

なぜ、この数字に出ているもの以外と申し上げましたかというと、先ほど、どなたかから御指摘があったと思うのですが、恐らく学生の場合には、まず、特に先ほどの投資にはまっているような学生の場合には、自分が被害を受けているという認識がないです。周りがどうも彼のやっていることはおかしいのではないか、このままだと彼のお金はどうなってしまうのかということを周りが不安に感じていてという状況ですので、その場合、まず、本人は間違いなく相談に行かないでしょう。仮に自分が、これは大変なことになったと認識した場合も、では、すぐセンターに行こうと思いつく学生というのは、ほとんどいないのではないかと思っていまして、恐らく学生の場合は、仮に相談する場合、まず、身近にいる教員とか、例えばゼミの担当教員とか、あるいは私は民法と消費者法も教えていますので、私のところにも、先生、こういうことに友達が巻き込まれているという話も、これも今まで勤めて10年ぐらいたちますが、何件も聞いています。あと、恐らくセンターに行く前に、大学にもよると思うのですが、私の大学の場合には、大学内の学生相談室という学生の悩みを聞くような部署があるのですが、そちらにむしろ聞きに行っているということもあるようで、そちらでそういう財産的な被害を受けているということを相談していることもあるようです。学生相談室で、定期的に弁護士を呼んで法律相談のようなことも開催していますが、そこに持ち込まれることもあるようですので、恐らく大学生が何か損害を受けているというときに、まずセンターに行くということはほとんどないのではないかと思っています。

私のところに相談に来る分には、話は聞きますが、私は法律専門家というか、弁護士の立場というものはありませんので、まず、センターに行きなさいと言っていますが、ただ、その後、本当に行っているのかどうかは分からないですので、ここの今日出していただいた数字は非常に参考になるのですが、恐らくここに出ていないもの、実際に相談に行っていないようなものがかなりあると思いますので、ここの数字でそんなに増えていない、あるいは横ばいであるということだけでこの問題を余り考えてほしくないという認識を個人的には持っています。

手法に関して言うと、今回出ているのはデート商法と就職セミナーということですが、先ほど申し上げましたように、この2つに当てはまらない投資被害のような話とか、要はマルチ商法のような話のほうをむしろ私はよく聞きますので、この2つの類型以外にも恐らく若年者、大学生が巻き込まれている事案はあると思います。今の大学生の場合に、その投資被害というか、そういうもうけ話に乗ってしまう学生がいるというのは、これは私の推測ですけれども、恐らく、今の大学生の経済状況がそれほどよくないということだと思います。2008年あたりの不景気の頃から、これは新聞などでも報道されていますが、大学生に対する仕送りの金額は減っています。仕送りの金額が減っている結果、自分でアルバイトをして学費を稼ぐという大学生も、私のところは私立大学ですけれども、かなり多く見られますし、そのような状況で、そういううまい話というものがあるとなると、それに乗ってしまう学生がいるというのは、ある程度考えられます。

いろいろ申し上げましたが、ここの数字に出ていないところで、恐らく、いろいろな大学を調査してみると分かるかもしれませんが、いろいろな被害が出ていると思います。そして、このデート商法とか、就職セミナー以外にも、もちろん各時代を反映したはやり廃りがあると思いますが、いろいろなものがあると思いますし、しかも、これもどなたかの御指摘がありましたが、今の大学生はSNSを非常に活用していますので、SNSなどで別の人を勧誘して、取引を一緒にやろうということもあるようですから、広がるのは昔に比べると相当早くなっている可能性があると思いますので、その点は、若年者に関しては参考になればと思います。

以上です。

○山本(敬)座長 ありがとうございました。

それでは、消費者庁からお願いします。

○加納消費者制度課長 デート商法、就職セミナーというところで、これは私どもが実際にお示しをした事例でありまして、それについてのデータというのは、当然、長谷川委員から御指摘のあった点はあるわけでありますが、ただ、何でこれかというと、一つは若者ということもございますけれども、つけ込み型という本テーマとの関係で申し上げますと、要するに、ありていに申し上げますと、デート商法に関して言うと、異性にもてたいとか、結婚したいとか、そういう人間誰しもが持っている欲望というか願望です。就職セミナーでありましたら、やはり就職困難な中で就職をしたいという学生がいて、そういう就職がしたいというところをつくという点、まさに心のすき間といいますか、そういう点をつくのが非常に問題性が大きく、かつ、従来の民法の詐欺とか不実告知とか、それはなかなか捉えにくいということで、裁判所では非常に苦労して解決を図っておられるのですけれども、うまくいかない。また、裁判所に行けばうまくいくこともあるかもしれないけれども、消費生活相談ではうまくいかない。

これは、大澤先生がおっしゃったとおり、別にデートとか就職セミナーは一つの例でありまして、これに限らずに申し上げると、例えば目が不自由な人がいれば、それを飲めば目がよくなりますよとか、あるいは親類縁者に行方不明の人がいますということがあったら、それを探してあげますよというような探偵業者みたいな人が言うと、では、100万積んででも探してくださいと。その親類縁者に行方不明者がいるということは対外的に言いにくいので、なかなか表れてこないものとして、そういうものが背景には沈潜化しているのではないかと思われるということでありまして、手法として、心のすき間につけ込むということがありますねと。こういうものは何とかしなくてはいけないのではないですかということは、今に始まったわけでなく、昔からずっと言われていて、ずっと検討したけれども、答えが出せていないということでありしまして、もうそろそろいいかげんに何かしないといけないのではないかということで、かつ、若年者という問題もありますから、デート商法、就職セミナーということで挙げました。

だから、本質は異性にもてたい、あるいは就職難なので就職をしたいという心のすき間のようなところにつけ込むというところが悪質性が高いのではないかということであります。ただ、心のすき間につけ込んでということは条文では書けませんので、では、どう書きますかということで、いろいろとお示しをしているということで、そこについては、まだまだ詰めが甘いと言われれば返す言葉がないわけでありますけれども、そういう観点で御議論いただければ大変ありがたいと思います。

○山本(敬)座長 長谷川委員、どうぞ。

○長谷川委員 ありがとうございます。

皆さん、御専門の方なので御存じかと思いますけれども、先ほど増田委員、大澤委員から御指摘のあった、なかなか若者は消費者相談に来ないという話について申し上げれば、今回の資料を作る過程で少し勉強した「消費生活年報2015」には、本人が相談に来たのかというデータも載っております。10歳代で本人が来ない割合が一番高くて、20歳代がその次、70歳代ぐらいになると、また本人が来られないケースが多くなるということなので、まさにそういう実態があるのだろうと思います。

丸山委員、あるいは松本理事長から御指摘があったトレンドがあるのですというお話、あるいは加納課長からあった、つけ込み型の一類型がデート商法であったり、就職商法であったりという話なのですけれども、前から申し上げているのですが、そういう手口について入れ替わることであれば、ますます法律で対応するということはなじまなくて、啓発活動で対応するのが最もなじむのではないかと私は思います。とりわけ、今のように先ほど加納課長から御説明がありましたけれども、対象を絞って要件を類型化していくしかないのではないかというアプローチをとる場合には、まさにそういうことなのではないかと思います。

あと、これは中立的な表現で横ばいと言ってみたのですけれども、横ばいと呼ぶか、高止まりと呼ぶかは別にして、ほかにもあるのだというのはそのとおりなのですけれども、ほかにもある割合は、多分どの年代も一緒なので、あくまで相談件数はトレンドを見るということだと思いますので、そこのトレンドはこういうことになっているということだろうと思います。

○山本(敬)座長 山本健司委員、どうぞ。

○山本(健)委員 統計に表れていない消費者トラブルがどれぐらいあるのかという点について、具体的に記載されている文献があるので御紹介させていただきたいと思います。

司法研修所編『現代型民事紛争に関する実証的研究-現代型契約紛争(1)消費者紛争』という文献には、社会で起こる消費者紛争のうち消費生活センターや国民生活センターに相談があるのは4から5%であり、消費者相談の件数が年間で約100万件だから、我が国の消費者紛争は年間で約2,000万件から2,500万件と推定されると記載されております。

このような非常に多くの消費者紛争が、社会から減らない、高止まりしているという状況は、十分に立法対応が必要な状況であると思います。

以上です。

○山本(敬)座長 ありがとうございました。

井田委員、どうぞ。

○井田委員 先ほどから相談の数であるとか、どの年齢にどのような傾向が見られるのか、いろいろな議論があったと思うのですけれども、テーマとしては、消費者庁からお話がありましたように、いわゆるつけ込み型であると。つけ込み型のよろしくない勧誘方法があり、それに基づき、意に沿わない契約を結ぶ類型が確かにあるということ自体、この中で共有できるのだろうとは思うのです。もちろん、究極の消費者被害対策として、消費者教育の充実というものが大事である、これはどの委員も特に異論はないことだとは思うのですけれども、実際にこの被害が出ている、数の多寡はともかくとして、デート商法なども1998年からずっと継続した商法であるにもかかわらず、これに対して有効な対策がとれていない、この現状に対して、あるべきルールは何かということでの議論をした上で、事業者側の懸念を払拭するような要件は何かということを議論したほうが、私は生産的だと思います。

先ほど消費者庁から集団的消費者被害回復制度についてもお話がありましたけれども、あの立法ができた大前提というのは、少額の消費者被害が多数あり、しかも、それは泣き寝入りすることが非常に多い、その価値観が共有された上であのような立法ができているということなので、数云々というのは、余りここで議論しても生産的ではないと思っています。

以上です。

○山本(敬)座長 ありがとうございました。

データに関する事柄につきましては、前回から議論をし、今回新たに追加的な資料もお出しいただいて、一通り議論させていただきました。恐らく、これ以上議論しても、今のデータのままではなかなか先へ進めないと思いますので、差し当たり、ここまでのことは明らかになったということを踏まえて、本日の資料1にある考え方について、議論をさせていただければと思います。

3時45分ぐらいまで議論し、10分程度休憩をとらせていただき、その後、また続いて議論をする予定で考えていただければと思います。

それでは、御意見、御質問がある方はお願いいたします。

まず、山本健司委員、どうぞ。

○山本(健)委員 ありがとうございます。

本日消費者庁から甲案、乙案という2つの御提案を頂戴しております。いずれの提案も、前段要件と後段要件からなっており、前段要件である「事業者が不公正な行為をしたこと」、具体的には「1号・2号に該当する行為をしたこと」という点については、甲案・乙案で共通とされております。一方、後段要件について、甲案は「当該消費者にとって著しく高額なものであること」であるのに対し、乙案は「困惑」とされております。かなり詰まってきたとの評価ができる反面、修正や推敲を検討していただきたい点もございます。

まず、前段要件に関する意見です。

1号要件に関しては、1号で規定されているのは、いわゆる「販売目的隠匿」と呼ばれる不当勧誘行為であり、「当該消費者が消費者契約を締結するかどうかを合理的に判断することができない状況を作出する行為」の典型例として、合理性があると思います。ただ、「特定の場所への来訪を要請すること」だけでは、実際の被害事例に多く見られる「販売目的を隠匿して消費者の生活領域に入り込んでくる」という類型をカバーできていないように思われます。したがって、1号要件については、例えば、既存の条文に加えて、「・・・または、自宅・職場などでの面会を要請すること」といった要件の付記が必要であると考えます。

次に、2号要件に関する意見ですけれども、2号に規定されているのは、「不公正な人間関係の利用」という行為であり、これも「当該消費者が消費者契約を締結するかどうかを合理的に判断することができない状況を作出する行為」の典型例として、合理性があると思います。ただ、「恋愛感情」に限定されているかのような要件や書きぶりが原案のままでよいのか。せめて「恋愛感情等」といった字句にしておくべきではないか、推敲の余地があるように思います。

さらに、被害の後追いにならないように、民事ルールとして本来望ましい規定ぶりは、具体的な行為類型を各号に例示列挙した上で、柱書きないし本文に、民法のように一定程度の抽象化を伴った「当該消費者が消費者契約を締結するかどうかを合理的に判断することができない状況を作出する行為」といった規範を入れるという規定ぶりであると思います。

加えて、1号・2号の行為類型のみでよいのかという問題があると思います。具体的には、高齢者被害で重要な事案である「もともと当該消費者が消費者契約を締結するかどうかを合理的に判断することができない状況にあることに事業者がつけ込んだ行為」、具体的には前回会議の消費者庁提出資料における「事例4」のような被害類型に対応できるようにする必要があると思います。上記のような被害類型のうち「良い人を装って近づいてきた」といった事案などは、1号のような「販売目的隠匿」という考え方で救済できるかもしれません。しかし、そういう事例ばかりではないように思われます。そこで、前回会議の消費者庁提出資料における「事例4」のような被害類型を真正面から見据えた3号の規定の追加を求めたいと思います。具体的には、これまでの議論における丸山教授や宮下教授の御示唆や、先ほど御紹介しました各都道府県の消費生活条例の規定例などを参考に、例えば「当該消費者が年齢や精神的な障害等の理由で当該消費者契約を締結するかどうかを合理的に判断することができない状況であることを知りながら、それを不当に利用する行為」といった規定を3号に付記すべきと考えます。先ほども参考資料2で御紹介させていただきましたように、そのような規定は既に全都道府県の消費生活条例において違法行為とされている行為類型ですので、健全な事業活動を行っている事業者には悪影響がないと考えられます。

最後に、後段要件に関する意見です。

乙案の「困惑」要件につきましては、既存の客観的な要件であるという長所がある反面で、困惑状態が認定できない事案は救済できないという短所があるように思います。特に恋人商法の被害者や、高齢者の消費者被害事案で「良い人だ」と思って契約している被害者に、困惑状態の認定は難しいのではないか、救済範囲が狭過ぎるのではないかと危惧します。

一方、甲案については、資料1の4ページの3行目以降を読むと、要するに、「不必要な契約」といった意味合いを具体的に言い換えようとしているものである、対価不均衡契約に適用範囲を限定しているものではないという意図や御苦労は理解できました。しかし、ワーディングとしては問題があるように思います。

まず、前回会議の資料2の「事例1-2」のような「高額な不動産を安い金額で売らされた」という被害事例に対応できる要件なのか否かが不透明であるように思いました。もし対応できないのならば問題があると思います。

また、「著しく高額な」という字句は、御提案者の意図に反して、伝統的な暴利行為の準則の後段要件と同じではないかとの誤解、不公正な販売行為に基づく契約であっても著しい対価の不均衡が認められないと取り消せないのではないかといった誤解を、運用の現場に与えるおそれがあるように思われます。この字句については避けるべきであるように思います。

上記のような観点から、後段要件については、例えば「不必要な契約」とか、「不当な契約」とか、「当該不当勧誘行為がなければ締結されていないと認められる契約」とか、「不当な利益を事業者にもたらす契約または不必要な損害を消費者にもたらす契約」といった、他の要件とすべきであると考えます。後段要件については、そのような修正を加えた修正甲案とも言える内容が相当であると考えます。

以上です。

○山本(敬)座長 ありがとうございました。

永江委員、どうぞ。

○永江委員 発言の前提として、日頃消費者窓口に相談されている悪質商法を決して肯定する前提ではないということを御理解いただいた上で発言させていただきます。

甲案につきまして、改正を是とする立場ではございませんが、まず1号案、2号案ともに、余りに特定の事象のみを対象としていて、一般法である消費者契約法で規定すべきかどうかは、特に改正を必要と考える方々の間で御検討、御議論いただきたいと考えます。

次に1号案、2号案ともに、そこまで悪質なケースなのかという疑問があります。前回資料にもございますように、通常の営業活動と区別される逸脱した違法、不当な営業活動と言える必要がありますが、つけ込み型不当勧誘では、判断力、知識、経験の不足につけ込んで勧誘するところが重要で、そこに悪質性があると考えております。第1号案、第2号案ともに、判断力、知識、経験の不足につけ込むという要素が不十分ではないかと思います。

甲案の第1号案について、例えば自動車の販売店における試乗会やショッピングモールでの催事のチラシによって当該催事に来た人が、最終的に商品を購入することもこの対象に入ってくるのではないかというおそれがあります。そうであるとすると、現在、実際に行われている取引に多大なる影響を与える可能性があるのではないかと思います。

さらに、来訪を要請して、目的を告げずに営業所に連れてくることは、特商法の訪問販売の類型と重なるのではないかと考えます。そうであれば、仮に何らかの対応が必要であるとしても、消費者契約法ではなく、特商法の要件の改正を検討すべきではないかと考えます。

甲案の第2号案ですが、今回の提案ですと、いわゆる異性によるサービスの提供が含まれる飲食店における取引は全て対象になる可能性が文言上はあると思いますが、その理解でよろしいのでしょうか。また、アイドルの握手券付きCD販売や、ファンクラブイベントなどのアイドルに関する商売、また、疑似恋愛ゲームでアイテムを買うために課金させる商売も規制対象になりかねないと考えられますが、そのような御想定でよろしいのでしょうか。

仮に恋愛感情を催されるような仕方という言葉そのものが文言として入らないとしても、この要件の認定をどのように行うのかという点が問題として残ると思います。恋愛感情の認定は非常に困難であり、事実上、不可能ではないかと考えます。例えば、良好な関係を築いている店員さんから勧められたので、予定外の高級な商品を購入したというときで、契約後に消費者が私はあの店員に恋愛感情を持っていましたと言い始めた場合に、裁判所が、あなたの気持ちは恋愛感情ではありませんと認定することは、相当奇妙なことであると考えます。

また、著しく高額に該当する場合が、価値と対価の不均衡に限定されないとすると、事業者側としてはどのような商品の販売がどのようなケースにおいて取消しの対象となり得るのか、全く予測可能性がなく、かつ、要件としても機能しないのではないかと考えます。さらに、この要件の該当性の一時的な判断を事業者に委ねることになりますので、事業者の事業活動に萎縮効果を与えるのではないかと考えます。例えば余り立派でない服装をしている方が非常に高額なものを購入する際には、常にその商品の購入の再考を促さなければならないというような結論になってしまうのではないか、真面目な事業者が保守的に対応するとすれば、結果的に売り惜しみのような望ましくない接客をせざるを得ないのではないかという問題意識がございます。

最後に乙案のところですが、「困惑による取消しの列挙事由」とございますが、甲案の1号案、2号案は、「困惑」とは結びつかないのではないかと考えます。例えば2号案については、恋愛感情を催されるような仕方で接触された消費者が困惑したと言えるのかどうかは疑問がございます。さらに、現行の困惑類型に加筆するには、規定される行為態様が具体的に過ぎ、他の条項との規定のレベル感が異なるため、第4条の3項に規定することについては、改正を必要と考える方々の間で御検討、御議論いただきたいと考えます。

駆け足ですが、以上です。

○山本(敬)座長 ありがとうございました。

中村委員、どうぞ。

○中村委員 まず、消費者庁におかれましては、前回の議論の中でできるだけ具体的な内容で議論を詰めていきたいという方向性について御検討いただいたということについては、感謝を申し上げたいと思います。その上で、具体的にどういう形にすれば、事業者にも分かりやすい規定になるかということについて議論をしていきたいと思います。

その前に、先ほど山本健司委員から御提出していただいた資料につきまして、先ほど、こういうことが全て条例に規定されているので、これについて法律に上げても全く問題がないという御説明があったことについて、若干異論を申し上げたいのです。これは弁護士会の方が結集して調査された内容ですので、ここは全部精査することは、昨日いただいたばかりなのでできませんけれども、たまたまですが、まず、一番上の北海道の消費生活条例というところについて確認をさせていただいたところによりますと、これは取消事由として設定されているものではございませんで、実際、これの条項に該当すると何が起こるかというと、北海道の場合につきましては、そういう該当する事業者さんではないかという疑いのある事業者さんと協議をして、そういうやり方については疑義があるのではないかというお話をして、結果として、それがやまない場合に勧告をする。その勧告をして、更にやめないという場合について、こういう事業をやっていますが、これは疑義のある商売なので、皆さん気をつけてくださいという公開をするという立て付けになっていると理解をいたしました。全部見ていないのですけれども、青森につきましても、取消事由として設定されているものではないということは確認をさせていただいております。

このように、取消しとなるか、あるいは勧告であったり公表事例になるのかというのは、事業者の側からすると全く違うことでございまして、勧告ないし公表という方策については、結果的には消費者がそれを見て判断をされるということの材料になるということで、それはそれで結構だと思うのですが、そういう事由に該当するものが全て取消しになるということであれば、それはその事業者側の権利の制限ということ、あるいは損害が生じ得るということになりますので、同じワーディングでそれを法律化するということが、それをもって適正だということは言えないと考えております。まず、それが前段でございます。

そのような状況も踏まえまして、今回の案、余り詳しく詰めているということではないのですけれども、先ほど永江委員から御指摘もありましたように、まず、締結をすることについて、勧誘をする目的を言わずに来ていただくということについては、複数の事業者さんから懸念を頂戴いたしました。例えば私どもの商売で言うならば、ショッピングセンターでイベントをやる。例えば、何とかマンとか、そういうお子さんが喜ぶようなもののイベントをやるというときに、そこはショッピングセンターなので、一々お通りになるときに売り込みをすることがありますということを言わなければいけないのでしょうかというような御懸念です。あるいは、車を売るときに試乗会というものをやるときに、そこで車の売買をお勧めすることがありますと言わなければいけないのだろうかというような御懸念がありまして、そういうものは通常の取引の範囲内だと思いますので、そういうものがひっかからないようなワーディングを考えなければいけないのかなと思っているところであります。

2点目の大きなところで、高額性のところなのですけれども、対価的な不均衡というところをぜひ捉えていただきたいということでございます。先ほど加納課長の御説明の中で、絶対額ではないというお話はあったのですが、そうしたときに、その著しく高額なものをどうやって見るのかというのがなかなか難しいということでございます。先ほど、永江委員の御説明にはありましたように、その方の外観といいますか、そこから、この人にとっては著しく高額なのではないかというような判断をするというのは、事業者としてはお客様に対する正しい接し方ではないと思いますので、そういったことよりも、客観的に見て対価的に不均衡だというような形で捉えるのがいいのではないかと思っている次第であります。それに対しまして、本日の資料では、100万円のアクセサリーを100万円という適正な価格で販売した事例は捉えられないという御説明がされているのですが、そこの部分を適正な価格で買ったというところまでを捉えるということを重視するのか、あるいは事業者としての正当な取引に属する部分はある意味仕方がないと捉えるのかというところは立場は分かれるとは思うのですが、基本的には対価性の均等なものに関しては、悪質ではないと捉えざるを得ないのではないかなと思っている次第でございます。

以上でございます。

○山本(敬)座長 ありがとうございました。

ほかに御意見はございますか。

大澤委員、どうぞ。

○大澤委員 要件をなるべく明確にするという観点から、甲案、乙案ともに、いろいろな工夫がされているということは文言を見て非常によく理解できます。それにつきましては感謝申し上げますが、その上で申し上げたいと思います。

まず、前提といたしまして、今、何名かの委員からも出ておりましたが、まずこの2つの類型を切り取って、甲案で申しますと1号、2号ですけれども、それを切り取って、これは非常に具体的な文言には確かになっていますが、この2つに絞ることの是非というものが問題になるのではないかと思っています。これはよく問題になっている事例だということは非常に理解もできますが、この2つの事例にするということにいたしますと、恐らく、ここではくくれないようなもの、例えば本日山本健司委員が御提出してくださっている、いわゆる消費者の不幸を予言してとか、老後の不安、その他、親族に危害が及ぶとか、そういったことを言って勧誘をしたとか、そういうものがこの中には入ってこないということがありますので、こういう列挙の仕方をとるかどうかということがまず一つ、検討の余地があるのではないかと思っています。

その上で、順番に申し上げますが、まず、乙案のほうですけれども、乙案のほうに関しましては、一番問題となるのは、とりわけこの4号のいわゆるデート商法のようなものが「困惑」に当たるかというところが、これが乙案の一つの問題なのではないかと思っています。3号は、要するに、消費者契約の締結だということは言わずに、告げずにという要件ですけれども、言わずに来訪を要請して、行ってみたら契約締結だったということで、しかし、断り切れない状況だったので困惑してというのは、これは一種、訪問販売と類似するものですので、これは分かるのですが、4号のほうが、これは困惑しているのかという問題があると思います。これもどなたかから先ほど御指摘があったとおりです。

甲案のほうは、これは恐らく意思表示の単に「困惑」「強迫」の拡張型ということではなく、そこに客観的な財産的な要件を付加したものであると理解します。その方式に関しては、一つのやり方ではないかと個人的には評価します。ただ、気になる文言が幾つかありまして、一番気になるのが「当該消費者の生活の状況」という言葉でございます。これは前回の会議で既にあったということで、私は前回欠席しておりましたので、もしかすると、的外れなことを申し上げるかもしれませんが、生活状況という言葉になると、どうしても、これは財産状況という印象を私自身は抱きます。生活状況の言葉につきましては、今回の資料1の2ページの上のほうで、これは前回のお話だと思うのですが、A案で「年齢等に応じた生活状況」と書いています。ここで、例えば高齢であるとか、年金暮らしをしているとか、あるいは若年層で経済的にそれほど裕福ではないとか、そういうものを確かに捉えることはできるのですが、恐らく今回のつけ込み型の場合に、確かに損害としては財産的損害がその収入に見合わないものを買わされるとか、そういうものが発生しますけれども、もう一つの問題として、合理的な判断ができない状況につけ込んでいるというところが、今回の一つ肝だと考えています。その年齢等に照らした合理的な判断、知識、経験に照らしてつけ込んで契約をしたということを、これで表しているわけではないと思うのですが、生活の状況という言葉が書かれていて、かつ、その下で著しく高額なものであるということが書いてあることによって、これを私がぱっと見たときには、財産的なものがものすごくメインになっているような印象を持ちました。要するに、この消費者の収入などに照らして、すごく高いものを事業者が知っていた場合に取消しができるという印象を受けましたので、むしろ判断力の低下とかそういうものよりは、どちらかといえば、客観的な要件にやや偏り過ぎているのかなという印象を個人的には持ちましたので、この要件については、もうちょっと御検討いただければと思っています。

その上で、もう一つですが、今の財産的要件のところで、知っていた場合という言葉がございます。この知っていた場合という言葉は、要は、事業者から見てこの消費者にとってこの商品は著しく高額であるということまで認識していたときに、取消すことができるということかと理解したのですが、そうすると、事業者がその消費者がどういう生活状況とか、どういう経済状況にあって、しかし、それに比べると今回の取引は非常に高いものであって、この消費者では、とてもではないけれども払えるようなものではないのに、それをわざわざ例えばクレジット契約を利用させて契約させるとか、そういうものが浮かぶわけです。この知っていた場合においてというのは、その事業者の認識を要件にしていると思うのですけれども、これを要件とするのがいいかどうかは、私は個人的には悩んでいるところがありまして、もし、この甲案がいわゆる従来の暴利行為法理の拡張というか、暴利行為を一つの参考にというものであるとすれば、暴利行為の場合に、客観的要件というのは、著しく過大な利益を一方当事者が得ているのかどうかという、その結果、財産的な不均衡が生じているということを要件としていますが、ここで知っていた場合という要件がついていますので、もちろん今後文言を練り直していくと思うのですが、この認識というものを要件とすることに関して、これがかえって、もしかすると厳しく、そういう場合がどれぐらいあるのか、取消しできる場合が実際は限定されてしまうのではないかとか、そういう懸念を抱いております。この生活の状況という言葉と、知っていた場合、認識を要求するのかどうかということを、前回の会議でもしかしたら話はあったのかもしれませんが、この点をまた御検討いただければと思います。

以上です。

○山本(敬)座長 ありがとうございました。

何人かから手が挙がっているのは分かっているのですけれども、お約束の時間が参りましたので、休憩をとりたいと思います。ただ、手が挙がっている数を考えますと、先ほど申し上げたことを少し撤回しまして、5分間の休憩にさせていただければと思います。

4時50分に再開したいと思います。

(休憩)

○山本(敬)座長 それでは、時間が過ぎましたので、ただいまより議事を再開したいと思います。

引き続き、御意見や御質問がある方は、御発言をお願いいたします。

では、丸山委員、続いて後藤巻則座長代理、どうぞ。

○丸山委員 私から、事務局から示されました甲案、乙案について、少しコメントをさせていただければと思います。

まず、甲案に関しては、いわゆる暴利行為論の延長で、手続的な不当性と内容的な不当性というものを相関させていくというアプローチ、これをとろうとしているのだなと理解しました。そのうち、内容的な不当性については、今、いろいろ議論があったところなのですけれども、消費者の生活状況というか、恐らくは財産状況を念頭に置かれていると思うのですが、未成年者というのは余り財産がないだろうということも含めて、それに照らして、著しく高額だという判断をしていく方向は、問題点は指摘されておりましたけれども、一定の評価に値するのではないか、一定のあり得る方向性ではないかと私自身は思いました。要するに、客観的な給付の不均衡と言えなくても、その人の年齢とか収入に応じて高額だったらそこは救済の余地があるのではないかという、こういうことだと思います。そして、それを認識してということなので、事業者には調査義務があるわけではなく、そういう意味では、捉えようとしているのは、つけ込み型ということになると思うので、極端な懸念は妥当しないのではないかという感想を持っておりました。

他方で、客観的要件にプラスして、手続的な要件というものが1号、2号に並んでくることになると思うのですが、この点に関して一つ申したいのは、山本委員からも出ていたところなのですが、従来問題としてきた精神的な障害によって判断力が不足しているとか、あるいは全く無経験なので合理的な判断ができないということを事業者が認識して、著しく高額なものを売りつけたといった類型というのは、捕捉できないのでしょうかという疑問です。もちろん、消費者が積極的に欲しがった場合については除いていく、除外規定にするということもあり得ると思いますので、この類型の導入を全く諦めてしまってよいのかというのは疑問として提起させていただきたいと思います。

次に、具体的に提案されている甲の1号のほうなのですけれども、これも既に指摘されているところですが、勧誘目的の隠匿型、これに着目して、心理的な備えができていない、なので、不合理な判断をしてしまう。これを不公正な勧誘方法ということで着目していくという、その点は理解できたのですけれども、1号になぜかアポイントメントセールスに厳格に限定された要件が挙がってしまっているので、既に指摘されておりますように、目的隠匿型の訪問販売で、最初は無料点検だったのに有償の勧誘となるとか、来訪要請はしていないけれども、道でつかまえて同伴させるみたいなことも考えられますので、法の保護目的に照らして、等しく保護されるべき消費者が落ちないような要件を考えるべきではないかという感想を持ちました。

そして、2号に関しましては、これも既に指摘されているところですが、恋愛感情に特化するということが果たして妥当かというのと、制度化できるのかという点については、疑問を持っております。今まで問題とされてきたような不安心理をあおるであるとか、著しい依存症を惹起するというような、そのようなものも不公正な勧誘方法というように言えるのではないかという点は、問題提起したいと思います。

乙案に関しましては、既に何人かの委員からも指摘されていたと思うのですけれども、3号、4号の行為は、必ずしも「困惑」には直結しないと考えられますので、この点は、再考の余地があるのではないかと思います。恐らく「困惑」の拡張という議論は、今回のつけ込み型とは少々異なる事業者の行為というものを問題としてきたと考えますので、果たしてここでこういう形で条文化するのがいいのかという点については、私自身は少々違和感を覚えたところでございます。

以上です。

○山本(敬)座長 それでは、後藤巻則座長代理、どうぞ。

○後藤(巻)座長代理 先ほどから問題となっているところでありますけれども、困惑取消しの問題とするのか、そうではなくて、つけ込み型の問題とするのかということに関して、そこについて関心があるわけです。

前回示していただいたC案とD案という案なのですけれども、これはつけ込み型として提案されていたということだと思います。この案というのは、事業者が消費者に本来の目的を隠して接近するなど、事業者の不公正な勧誘行為により、消費者が契約締結の意思表示をしたことを要件として、取消しを認めているということでありまして、そこでは、消費者の意思の不完全性というものが表には出ていない、明示的には要件とされていないということであります。つけ込み型ということでありますと、消費者の意思の不完全性というところを明示的に正面に出すことはしなくてもいいと思うわけでありますけれども、ただ、C案、D案として示されていたものが、これは具体的には本来の目的を隠して接近するとか、あるいは断り切れない人間関係を構築して、濫用する。こういう事例でありますけれども、それがつけ込み型の問題なのかどうか。つけ込み型というのは、暴利行為的な規定と言いかえてもいいと思うのですけれども、そういうものとして位置付けられるのかどうかについては、若干の疑問を持っているところであります。

そのように考えますと、「困惑」という要件を設定することにすれば、これは意思の不完全性ということを問題としているというのは確かでありますので、そこがしっかり押さえられるということになります。そういうことから言うと、乙案ということについても、それなりの可能性はあると私は考えました。具体的にはこのデート商法的なものは別でありますけれども、勧誘目的を隠して接近するということにつきましては、消費者契約法の制定過程の中でも、こういうものについて具体的に消費者に不意打ち的に接近し、考慮する時間を与えないというようなものを「困惑」として捉えるということも考えられていたわけでありまして、そういうように考えると、3号の部分については「困惑」に入れていくということは可能性はあると思います。

ただ、これは大澤委員もおっしゃっていたように、4号の恋愛感情云々というところについて、これを「困惑」と言えるかどうかということに関しては、従来の困惑概念から見ると、なかなか難しいということであります。ただ、これは専門調査会の報告書、去年議論していたところでありますが、そこに書いてあるような、威迫による勧誘ということ、すなわち、強迫には該当しないけれども、客観的に人を不安にさせるような言動によって、消費者が契約を締結しなければその勧誘から逃れられないと困惑して契約を締結したような場合、こういう意味で「困惑」を捉えるとすると、今回、御提案になっている3号、4号、とりわけ4号は外れるということになります。そういうことから見たときに、何回かの後に「困惑」の拡張のところについては議論されることになるのではないかと思いますが、今回の乙案の提案ということを契機として、「困惑」という概念をよく考えてみることが必要で、委員の方々が違和感があるとおっしゃっておりますけれども、私もとりわけ4号については違和感がありますけれども、今後の困惑取消しというものを、乙案的に考えるということも一つの道ではないかと私はこれを読ませていただいて考えました。

一方、甲案のほうでありますけれども、甲案は暴利行為的な考え方の延長線上だということで理解できるわけでありますが、とりわけ問題として気になりましたのは、これは前回の丸山委員の御発言とか、本日の山本委員の御発言などにもありますように、むしろ本質的な部分が抜けてしまっているという感想を抱きます。具体的には、高齢者とか若年者、あるいは障害者といったような本質的に被害を受けやすい消費者の救済ということがこれでカバーできるのかどうかということが問題となるのではないかと思います。もちろん、現在規定されている過量契約でカバーできる部分もありますけれども、これは先ほどからの課長の御説明からも出ているように、これでカバーできないものもあるということでありまして、そういうことから見ると、本来の目的を隠して接近するなどという状況についてのみ、暴利行為的なものとして受け取る、規定するということに関しては疑問であって、むしろ、これを2号とするならば、3号とする規定が必要であると思います。

3号とする規定の中で、とりわけ先ほど申し上げた、若年者はどうするのか、高齢者はどういう形で扱うのかという問題がありますので、年齢とか判断力とか、そういうものを言葉としても明示するような形の規定が必要なのではないかと思います。そういう規定とあわせて、今回提案されているような内容についても規定していくということであれば、それは十分、今回の規定は妥当性はあるのではないかと思います。

いずれにしましても、今回の規定だけで甲案の規定にするというのは狭過ぎるということを感じておりまして、そういう意味で、そこの部分を別の号で、より本質的な暴利行為的なものを入れるということ。それから、先ほど申しましたところでありますが、乙案については「困惑」ということがどこまで広く認められるのかということを検討するということ。この2つの検討ができて、委員の方々の御賛同があるということであれば、私は甲案、乙案、どちらでも構わないと考えております。修正した結果、甲案と乙案が歩み寄るような規定もあり得ると思っております。

以上です。

○山本(敬)座長 ありがとうございました。

「困惑」の意味については、逐条解説等でも既に説明されているところですけれども、その点について、困惑類型の拡張を考える以上は、改めて検討する必要になってくるように思います。ただ、現在の規定を基に考えますと、本来は契約をしたくないのにもかかわらず、契約をせざるを得ない状況に追い込まれて、契約をしてしまう。これが不退去、監禁によって引き起こされるというのが困惑類型ではないかと思います。そうしますと、乙案についての説明は、後でまたしていただければとは思いますけれども、デート商法を典型例として考えますと、プライベートで付き合っていたはずなのに、それと相入れない契約の話が突然持ち出される。しかし、プライベートな関係を続けたいと思うのであれば、契約を締結せざるを得ない。その意味では、「困惑」と同様の状況がそこにあるということで提案されているのではないかと、私は理解していました。したがって、困惑類型の意味を考えるべきであるという先ほどの問題提起に対しては、このような理解の仕方もあるということを踏まえて、また議論をしていただければと思います。

河上委員長、どうぞ。

○河上委員長 今まで、この消費者契約法の締結過程の部分は、どちらかというと、消費者の意思のありように着目した規定ぶりになっているのですけれども、そこで抜けていたのは、恐らく事業者が状況を濫用しているという、行為態様の悪性の部分が十分拾えなかったのではないかという気がするのです。状況濫用型というのは、結局、相手が脆弱な状況にある、傷つきやすい状況にあるということに対して、これにつけ込んだという形でのその悪性を問題にしているのでしょうけれども、それは、ある状態にある状況を利用している場合と、それから、そのような状況を作出して、それを利用しているという2つのものがあるのだろうと思います。ですから、その2つをうまくつかまえられるような形での要件を考えるということにしてはどうかという気がして聞いておりました。

これは消費者契約法の性格にもよるわけですけれども、消費者契約法というのは、本来、ピンポイントで、ある特定のあしき行為を客観化して、それを禁止したり規制したりするというタイプの法律ではないのです。むしろ、先ほど松本理事長からもありましたけれども、つけ込んでいく手法にはトレンドがあって、悪質な事業者はいろいろなやり方を日々開発しているわけです。ですから、その新たな手口を開発しているのに対して、ある意味では、ピンポイントではなくて後追い規制にならないように、幾分、包括的な形での民事ルールによる受け皿を作る。消費者契約法を作るときも、ほかにも多くの特別法があったのだけれども、しかし、それではどうしても落ちてしまうものがあるので、全体を受け取るような受け皿的な民事ルールを作って、事前規制から事後規制へと転換しようではないかということで、作られたということがあります。ですから、その抽象度に関しては、若干高くなっても、そこは経験の積み重ねによって、あるいは判例とか相談例の積み重ねによって、ルールが具体化されていくということを考えて、むしろ、そうした状況作出型、状況利用型の消費者の脆弱性につけ込むような行為を是正すること、これが市場ルールなのだということをまず明快にするというのが、今、狙われているルールの本質ではないかと思います。その上で、本日、事務局が提案しているような具体的なものを、例示的にもし必要であれば幾つかの類型を出していく、あるいはQ&Aで示すというようなことがあっていいのではないかという気がいたします。

○山本(敬)座長 ありがとうございました。

ほかに御意見があれば、お願いします。

松本理事長、どうぞ。

○松本理事長 河上委員長がおっしゃったことで、私も前に言ったことだと思うのですけれども、状況濫用型と、そのような状況を作り出して追い込んでいくというものとでは、かなりタイプが違うと思っています。より悪質性が高いのは、そういう状況に追い込む後者のタイプであって、これが不当だというのは、ほとんど異論のないところだと思うのです。

今回の提案を見ても、既にある状況を濫用しているタイプが入っていないのです。それはそれで一定の判断を消費者庁がされていて、よりコンセンサスがとりやすいデート商法などに絞っておられるのだと考えます。あるいは30代ぐらいになると、婚活商法などでマンションを買わせるというもの。少し前だと霊感商法などで先祖のたたりだとかと言って、たたりを鎮めるためにこれを買いなさいと言って買わせる。あるいは病気につけ込んで、その病気はこれが原因だから、これを買えば治るというような形の、相手を不安に陥れるという中から契約をとるというタイプは不当だと。それらをピンポイントで押さえるのではなくて、少し広目にとれるような形でするべきだという点につきましては河上委員長と全く同意見です。しかし、既にある状況を濫用するタイプについては、もし入れるとすればどういう文言にするのかについての案を別途出していただかないと、ここでその2つを一緒にして議論するとすごく混乱すると思います。消費者を精神的な意味で不安定な状態、正常な判断ができないような状況に陥れるタイプのもののうち、それが民法の詐欺や脅迫、消費者契約法の誤認や困惑ではカバーできなかったものについて、大多数の人がこれは不当だと一致できるようなものをどういう文言でうまく作っていくかということだろうと思います。

○山本(敬)座長 ありがとうございました。

ほかに御意見はありますか。

中村委員、どうぞ。

○中村委員 今の点についてなのですが、確かに悪質な事案について、余りにも具体化した事例にしてしまうと、今、起こっている事例については対応できるけれども、新たな事例については対応できないというところについては、そういうことなのだろうと思うのですけれども、問題は、例えば先ほど先生方から御紹介がありましたように、本人はある意味、だまされているけれども、今、いろいろ捕捉したいと思われている事例は、御本人は認識していないけれども、客観的に見ればおかしな事例、おかしな取引ということだと思うのです。

ただ、一方で、そういうものをきちんと押さえつつ、一般的な取引は入らないようにするというところが、多分なかなか難しいところなのではないかと思っておりまして、と申しますのは事業活動といっても、この会合の当初の頃で広告と勧誘のお話の御紹介がありましたけれども、それなりに買おうという気持ちにいざなって取引に入っていただくというのは、ごくごく当たり前の事業、いわゆるマーケティングですね。そういうものと、それが悪質ということになることの境をどうワーディングするのかが非常に難しいことなのかなと。ですから、多分、今までもなかなか議論はされながらも、できてこなかったのかなということだと思うので、そこを本当に、ここまでは悪質だからここに入るものとして捉えられるけれども、一般的なものについては取消されることがないということが、合意できればそういう形でやればいいと思うのですけれども、余りにもいろいろなものが全部入るようにやりましょうということで、ただ、そういう規定を設けるということについては反対をしたいと思います。

以上です。

○山本(敬)座長 ありがとうございました。

ほかに御意見があれば、お願いします。

長谷川委員、どうぞ。

○長谷川委員 今回の御提案に限らず、前回の御提案もですが、先ほど河上委員長がおっしゃったように、消費者の意思形成過程ではなく、事業者の行為態様の悪性に着目したものになっている。おおむね中村委員と同じ意見だと思うのですが、前回も申し上げたとおり、個別の行為が着目されるということは、逆に言えば、行為を縛る規制などが強くなるということなので、慎重に対応するべきものだと思っております。

その上で、包括的な規定がいいのか、具体的な規定がいいのかという話については、事業者の立場からすると予見可能性が高い方がいいわけでございます。また、包括的な規定が消費者のためになるのかというのは、救済の場面ではそうなのかもしれませんが、何度も申し上げておりますように、事業活動の萎縮効果が生じる可能性が高い。そこで失われる利益は目に見えないものですから、慎重に考えた方がいいのではないかと思っております。

以上が、総論的なところでございます。

次に今回の御提案についてです。甲案については、柱書きのところで御提案されている「消費者にとって著しく高額なものであることを知っていた場合において」ということについて、何人かの方が御指摘されておりますとおり、事業者側からはなかなか分からないことでございます。過量契約における「過量」というのは比較的物理的な問題とも考えられるわけでございますけれども、「消費者にとって著しく高額」というのは、外観からは判断がなかなか困難でございます。また、経済学においては消費者余剰という考えがあります。何に幾ら払うのかというのは、人それぞれの価値観によるところが大きいので、非常に判断が難しいのではないかと思います。

第1号案、第2号案に関連しましては、これも何人かの方が御指摘されていますけれども、第1号案については、通常のビジネスでも、試乗会や体験会ということはあるわけで、そことの区別は非常に難しいのではないかと思っているところでございます。

第2号案については、申し上げにくいのですけれども、夜の商売などではこういったことはおそらくあるのではないかと思っております。それらが全て取消し得るというようになるのもいかがなものかと思っているところでございます。

乙案については、これは従来の困惑類型を再構成すると言われてしまえば、そのとおりなのですけれども、そこからは相当離れた形なのかなと思っているところでございます。

最後2点だけですけれども、前回資料にあって、先ほど後藤座長代理から御指摘のあった年齢という切り口を法律の文言に入れるということについては、恐らくアメリカ的な平等論というか権利論から言うと、エイジディスクリミネーションなどといって、例えば就職活動などで年齢を聞いてはいけないということがございます。年齢を基準として民事ルールに入れることを法律で決めてしまうというのは、人権の観点からやや違和感があるように思います。

もう一つは、これは言葉尻を捉えてしまって恐縮なのですけれども、加納課長が欲望につけ込んでということをおっしゃったのですが、恐らく消費というのは、全て欲望を満たすために、別の言葉で言うと効用を上げるためにやっているものだと思います。したがって、欲望につけ込むということではなくて、合理的に判断できない状況につけ込んでいるということなのではないかと思います。

以上でございます。

○山本(敬)座長 ありがとうございました。

今の点に関しては、前回にも少し話題に上ったところでして、これらの案で示そうとしているのは、欲望一般あるいは恋愛感情一般、感情一般という話ではなく、本来、契約とは無関係のはずの事情を利用して契約を行わせることが問題である。つまり、このような関係を契約の締結のために使うのは不公正と感じられる。そのような行為類型を何とか取り上げようとしているのではないかと思います。そうした観点から、どのような文言にすれば適切に問題とするものを取り上げられるのかという問題になるのではないかと思っていました。

増田委員、どうぞ。

○増田委員 第1号案については、アポイントを前提としている形ですけれども、消費者契約法の中で、こういう規定をすることについては、それなりに意味があると思っております。美容医療とか投資用マンションの契約など、特商法の適用がなかなか及びにくいケースまでも範囲に入ると思います。ただ、この特定の場所にどういうところが含まれるのかということにおいて、例えば自宅、職場もありますし、それから、ファミレスなどもあるのかということも考えなくてはいけないのではないかと思います。

そして、消費生活条例との関係から言えば、それはやっていけない、この地域で禁止しますと自治体が言っている。それによってやったことについては、その業務、その会社名を公表するということになりますので、それは非常に重たい行為だと思います。一つの取引を取消しするということと比べてどちらが重たいかという問題もありますけれども、こういうことをやってはいけませんと既に言っていることについて、消費者契約法の中で取り込むということは理由のあることだろうと考えます。

第2号案のほうで、デート商法が書かれておりますけれども、これは以前からお伝えはしていますが、職場の上下関係とかサークルの上下関係、高校の先輩後輩などの関係もあります。それから、美容医療とか占いなどは、自分の弱みを言う相手です。自分の親とか友達にも言えない、そういう弱みを伝えた相手によっていろいろな勧誘を受けるということになると、情報の量だけでなく、力関係が大きく違っているということがありますので、そういうことも考えていただきたいと思います。

客観的に見て、高額とかということだけではなく、不適合なケースということがあります。高齢者がタブレット、Wi-Fi、スマホを一度にたくさん買わされるケースがいまだにありますし、不必要な美容医療の高額なケースということもございます。そういうことも含めた検討をしていただきたいと希望します。

○山本(敬)座長 ありがとうございました。

ほかにございますか。

石島委員、どうぞ。

○石島委員 今、いろいろ御議論なされているところですけれども、悪質性の高いつけ込み型の類型について、何らかのルーリングができるのであれば、それはぜひやるべきであろうというところは、意見を同じくするところなのですが、今回、お示しいただいているようなワーディングですと、先ほど中村委員からも御発言いただいたところなのですけれども、まだまだ一般的な取引との外延が不明確と言わざるを得ないのかなと思っています。

そして、また、これは前回申し上げたところなのですけれども、具体的に問題となっている事例が、消費者契約法で解決するべき問題なのかというひもときがまだまだ丁寧になされていないのではないかと感じておりまして、前半で被害事例の件数であるとか、その内容について詳しく御説明をいただいたところであって、その数値は問題ではないといったような御意見であるとか、実体験としては実際に目に見えない被害がたくさん生じているというような御意見をいただいてはいるのですけれども、やっぱり具体的な事例がどういったもので、どこに問題点があって、どこを救済するべきなのかということをもう少し丁寧にひもとかないと、見えてこないのではないかと思っております。

したがいまして、具体的な事例をもう少し追加していただけないかと思っているところで、前回の資料の10ページ「断りきれない人間関係の利用」というところで、事例を幾つかいただいています。

最初の事例2-1において、線が引っ張ってあるところが、親しげに話すことによって、男性がいい気分や見えを張ったりして契約を締結してしまう雰囲気に飲み込んでとか、親しい関係を構築してということですけれども、どちらかというと親しい関係を構築したというところが問題なのではなくて、この事例ですと、収入が月15万円程度しかないにもかかわらず、500万円を超える多額の負債を負担した、この点がどちらかというと問題なのではないか。

事例2-2のほうです。男性から電話がかかってきたことがきっかけでデートをするようになりました、好意を抱いていたので契約しましたと。この事例も、好意を抱いていたので契約をした。ここまでは、どこに問題があるのだろうなということを若干思っておりまして、こうしたものと、一般的な営業員が一般的な好意を獲得しながら契約に至ってもらうというところと、分界点が不明確なのではないかと思っております。

また、事例2-3についても、SNSで知り合った男性に一度会いたいと言われて、会って、落ち込んでいたので、落ち込んでいたところに、これから頑張っていくのに真珠の3点セットを買えばいいと言われて、その後、いろいろ話が続いて、借金をさせられて、嫌だなと思ったけれども、結局帰してもらえなかった。これはどちらかというと、借金をしろと言われて、嫌だと言ったら帰してもらえなかったとか、こちらのほうが問題になるケースではないと思っておりまして、いずれも人間関係を構築して、それを利用したという問題を検討するにはふさわしくないなという印象を持っておりました。したがいまして、もう少し問題となる事例を具体的に、実際の事例の中から挙げていただきたいと思っているところでございます。

そして、裁判例は少なくとも裁判所が証拠に基づき十分事実を認定していますので、裁判ではどのような事実関係を認定しているのか、どのような事実関係があるがゆえに救済を図ったのかという分析をしていただきたいと思っております。前回の資料も、裁判例を参照して事例を作成しているということだったのですけれども、いずれも事実関係の一部を切り取ったものとして、裁判例は資料に引用されている部分のみを理由にして救済を認めたものではないというものでした。これは実際に具体的なケースそのものではなくて、エッセンスを抜き出したというようなお話があったと思うのですけれども、それだとすると、なおさら実例を分析する目的にかなうものではないのではないかと思っております。裁判例の事実関係を超えて救済範囲を拡大しようとするならば、なおさら慎重である必要があると思いますし、救済するべきと考える範囲の捕捉は非常に重要になってくるのではないかと思っております。

以上です。

○山本(敬)座長 ありがとうございました。

磯辺委員、どうぞ。

○磯辺委員 事業者の方々に、私の立場からお願いしたいのは、甲案で言いますと、例えば1号のような来訪を要請することの行為をした上で、かつ、当該消費者契約の目的となるものを勧誘する際に、当該消費者の生活の状況、これについての当該消費者の認識に対して、目的となるものが著しく高額なものであるということを知っていた場合の契約なのです。つまり、1という勧誘行為があって、かつ、こういった要件を満たした行為というように特定されているわけで、こういった特定との関係で、どういった通常の事業活動に支障が起きるのかという観点からの御意見をぜひお願いしたいと思うわけです。この定めてある部分の一文だけで、これが当たるのではないかという御心配は、ある意味、この法律の構成では御無用で、そういう1の行為をした上で、かつ、こういった勧誘をしたらということとの関係で、どういった具体的な差しさわりがあるのかというお話でないと、なかなかかみ合わないと思います。もちろん、2の恋愛感情の話もそうです。

次に、この規定ぶりの話なのですけれども、デート商法を切り取るために2号のような規定を置くことは理解ができるところではあるのです。ただ、あわせて、先ほど増田委員からもありましたように、どうしても強制力が働くような人間関係のもとで契約に至らざるを得ないというような状況に追い込まれて被害に至るものはあります。大学の先輩後輩の関係で広がったDVDの投資教材みたいな話では、そういった事例もあるわけで、そういう意味でいいますと、こうやって恋愛感情でくくるのであれば、ほかに典型的な悪質な事例で、かなり具体的にくくるものを置かざるを得ないかなと思うのです。そこまで想定されてのお話なのか、もう少し消費者契約法という性格から一般的な要件にするべきなのかということについては検討が必要かと思います。もし恋愛感情をという規定置くということであれば、加えて典型的に人間関係で断り切れずに被害に遭うという事例に対応できるような項目もあわせて検討する必要があるのではないかということです。

もう一つ、年齢の要素をどう入れるのかという御議論があったと思いますけれども、ここは年齢ですとか、障がいですとか、経験ですとかということで、年齢で一律に切るということではなくて、判断力がどうなのかということに着目をして、その考慮要素としての幾つかの文言が入ってくる。そのうちの一つとしての年齢ということです。甲案で1号、2号と具体的な行為類型が入ってきますので、その受け皿的な意味合いで、山本健司委員がおっしゃったような規定ぶり「当該消費者契約を締結するのかどうかを合理的に判断することができない状況であることを知りながら、それを不当に利用する行為」は考えられるのかなというように思った次第です。

それと、著しく高額なものというのが、説明のところでは、適正性のようなところで拾える文言なのだというようにお話があるのですけれども、どうしても本当に高額かどうかというところに判断がいきそうで、ここのところの規定ぶりがもうちょっと工夫ができないのかなということが、お話を聞いての印象です。

困惑類型の話は、改めて困惑類型を検討していただくところでもう一度議論し直したほうがいいのではないかと思っておりまして、どうしても、私などは、今の消費者契約法の不退去と退去妨害に「困惑」のイメージを引っ張られて、「困惑」とはそういう狭いものなのだと逆に思ってしまっていますので、その辺はもう一回勉強させていただければと思います。

以上です。

○山本(敬)座長 ありがとうございました。

松本理事長、どうぞ。

○松本理事長 さっき言ったことの一部繰り返しに近くなるのですけれども、既に存在している人間関係で断れない状況につけ込むというタイプのものと、ある商品を買わせるために、断りづらいような人間関係を意図的にこれから作るというタイプのものを同じ土俵で議論すると混乱するのではないかということが私の一貫した主張です。

より分かりやすいのは、特定の商品を買わせるために、あらがいがたい人間関係をこれから新たに作っていくタイプであって、先ほど山本委員が紹介された33番の岡山県の(9)とか(10)とかは、新たにこれから何かをするための土台づくりから当該事業者がやっている、通常の商品の販売であればやらないことをやっている、やってはいけないことをやっているところに着目しているわけです。そういうアプローチはそもそもが不当でしょう。だから、価格が著しく高額というところまでいかなくても、そんな形で買わせるというのは、そもそも取消しの対象になるということで、私はいいと思うのです。価格が著しく高額というのは、別のタイプの暴利行為であって、暴利ではなくても、そういう不幸を予言して買わせるとか、疑似恋愛感情を積極的に作って、例えば婚活サイトに登録してターゲットを絞ってアプローチするというようなものは、そもそも、不当なやり方だろうと思っています。

逆に、いつも来るお客さんが何となくここの店員はすてきだなと思って、恋愛感情を一方的に持っているというような場合に、では、後で契約を取り消せるのかというと、そういうことは当然には認めるべきではないだろうと思います。そうではなくて、本来であればそういう関係にならないところに意図的に作るというところが不当なわけです。そこをきちんと絞れるような要件にしたほうがいいわけで、そうであれば、知っているということは要らないのです。そういう状況を作ることを意図してアプローチしているということで十分です。ただ、ここは何々を目的として何々すると書くと裁判で立証できないではないかという危惧が、もちろん出てくると思います。だから、結果としての恋愛感情があるというところからスタートするという議論もあり得るわけですけれども、そうすると余分なものがいっぱい入ってくることになると思いますので、その辺、ターゲットを少し絞った議論のほうがいいのではないかと思います。

○山本(敬)座長 ありがとうございました。

有山委員、どうぞ。

○有山委員 まだ、用意してきた相談事例が少ないのですけれども、一つ紹介させていただくと、芸能事務所に18歳の女性が登録した。街で遊びに来なさいということでキャッチされた。そして、18歳ですから、この子は親に承諾をとりました。芸能事務所からスカウトされたけれども、いろいろな契約書などを見せてもらって、契約してもいいかということで、親御さんにオーケーといわれ契約したのです。その後なのですが、プロフィール写真を撮ったり、レッスンに行ったりするたびに、レッスンは無料だったのですが、その後、入会金40万円で月謝3万円の有料レッスンを勧誘されるということで、何とか話が違うので芸能事務所をやめたいと言ったのですが、これはセットのものなのでやめられない。要するに、芸能事務所に入るということはレッスンも全部一緒といわれた、契約書の中にはそれが記載されていない、毎回レッスンの度にそういう勧誘を受けたということで御相談があった事例などがあります。

特商法で相談を受ける方法もありますけれども、マルチなどの投資教材なども、大学のサークルで20人くらいの学生が契約したのだけれども、私のところに来たのは1人です。彼は、これは問題のある勧誘だと言って、お友達の契約書も何通も持ってきたのですが、彼以外の人は、サークルの中の人間関係があるから、何とかアルバイトしながら払っていきたい。これは先輩との関係で、自由になれない。御本人も、いろいろと交渉できるはずだから、投資用教材を勉強するためにということで、何回か行った時のメモ書きもいっぱいありますので、何を言われたのかも大学生だったのでメモをしてきたので交渉すると話しました。先輩に悪いから、半額にしてくれれば自分はアルバイトで払うと最終的な結論を出しました。人間関係が作られてしまうと、非常にからめとられて解決が難しいというような案件で、印象に残ったものを2件、お話しさせていただきます。

○山本(敬)座長 ありがとうございました。

ほかに御意見はいかがですか。

丸山委員、どうぞ。

○丸山委員 先ほど松本理事長がフォーカスしてくださった、今回の甲案のほうの2号で扱っているような問題なのですけれども、そこにフォーカスするのであれば、割と抽象的な文言というものを用いても、真っ当な取引というものが含まれないような形での立法も可能ではないかと確かに思いました。例えば、今回提案されているところでは、当該消費者を勧誘に応じさせる目的で、合理的な判断ができなくなるような状況に陥れるような仕方で勧誘して、本来、そうでなければ不要であった契約を締結させたというときに、その合理的な判断ができなくなる状況に陥れるような真っ当な商売が果たしてあるのかと考えると、それはこういうワーディングはもっと考えていかなければいけないのですが、抽象化することで、かえって適正に救うべき事例と普通の取引を分けることができるようなものもあるのではないかと、そういった感想を持ちました。

○山本(敬)座長 ありがとうございました。

消費者庁からお願いします。

○加納消費者制度課長 どうもいろいろと御意見ありがとうございました。

消費者庁は一体何を考えているのかということだと思いますので、この甲案、乙案でありますけれども、やりたいこととしては、繰り返すまでもないことですが、つけ込み型をきちんと取消事由として設ける。ただ、合理的な判断をすることができない事情というもの、例えば判断力不足でありますとか、高齢者とか、いろいろ想定されるわけですけれども、それは合理的な判断をすることができないということをどうやって合理的に判断するのですかという専門調査会でのかつての議論があったわけでありまして、そこを切り出すのが難しいということで、できるだけ客観的アプローチでいきましょうということになり、前回の改正ではとりわけ高齢者被害を念頭に置いておりましたので、過量契約ということで、特商法の類例なども参考にしながら、過量と。ただ、その過量というのは、結局どうやって過量、著しく過量はどうやって判断するのですかということになるわけでありますから、その過量の判断の考慮事情を条文の中で書きおろしてやる。

ですから、甲案は、言うなれば、過量契約のアナロジーであります。書いておりますのは、目的となるものの内容とか取引条件、大澤先生から生活の状況について御指摘がありましたけれども、そういうもの。これは過量契約を踏襲した上で、著しく過量ではなくて、著しく高額、対価的な不均衡で著しく高額。「著しく高額」と書くと狭過ぎるのではないかという山本健司先生などの御指摘もあって、そこは絶対的なものではありません、相対的なものでありますよと。そこは、生活状況とか諸般の事情で、その人にとっては高額だということも取り込めるようになるのではないですかというつもりでペーパーを用意したものでありますけれども、他方で、永江委員とか中村委員からは、客観的な不均衡というところに絞り込むべきだという御意見もあったところであります。高額というアプローチがいいかどうかというところは、更に検討しなければいけないのかと思いました。

1号、2号の書き出しがこれでいいのかどうかというのも、例えば恋愛感情ではなくて人間関係ではないですかと磯辺委員からも御指摘があって、確かに本質を捉えるとそうかなという気もいたしますけれども、結局そこでどこまでが適用範囲になるのですか、ならないのですかということを説明せよという話になるわけであります。そこが、こういう事案は入るけれども、こういう事案は入らないという切り分けができないと、事業者の委員の御懸念がなかなか払拭できない。抽象的な規定ぶりだけだと事業者としては困るという、長谷川委員などの従来からの御指摘は、私どもとしては、それはそれで受けとめなければいけないのではないかと思っておりまして、そういう中で、ある程度は絞り込みつつも、できれば汎用性のある規定という、こういった具体的に書くのが消費者契約法にふさわしいのかという永江委員からの御指摘は、本来、やろうとしていることとそぐうのですかということかなと私はお聞きしながら思いました。できるだけ汎用性があるように書ければ、それに越したことはないのですが、要するに、適用範囲がそれでちゃんと切り分けられているのか、説明ができるのかというところに答えなければいけないという課題は最後まで残りますので、そこは意識しなければならないということかと思います。

また、松本理事長から御指摘のあったように、既にある状況を利用するのか、それとも、新たに作出するのかという着眼点は私どもも意識はしておりまして、これは前回状況の作出型ということでいろいろ御提案をしたものでありまして、その延長線で今回御提案をしたものでありますが、そういった悪質性が高い働きかけをどうやって切り出すのかということが私どもの問題意識ではありますので、そこを更に検討させていただきたいと。

あと、恋愛感情が「困惑」の中に入ってうまく読めるのですかと、それは言われてしまえば確かに厳しいかなという気はしないでもないのですけれども、そこで、4ページの下のところでちょこっと脚注で、では「幻惑」はどうですかと一応書いてはおりましたけれども、「幻惑」って何ですかと必ず聞かれるわけで、私はあえて触れませんでしたが、こういうものもアプローチとしてはあるかもしれない。そうしますと「誤認」「困惑」に次ぐ第3の事情として何かを書き足すということになろうかと思いますので、その辺も含めて検討してまいりたいと思います。

非常に建設的な御意見を頂戴しまして、ありがとうございました。また更に検討を深めていきたいと考えております。

○山本(敬)座長 まとめていただきまして、ありがとうございました。

少し付け加えるとするならば、乙案か甲案かに限らないのかもしれませんが、とりわけ乙案にかかわるのではないかと思うのは、現在は2号ないし4号で、恋愛感情の利用のみが挙がっていますけれども、それと同等ないしはそれ以上に重要なものとして、不安に陥れてそれを利用して契約をすることが対象とされるべきではないかという御意見が多数ありました。これであれば、「困惑」ですべてカバーできるように思いますけれども、少なくとも、従来の狭く理解された場合の「困惑」ともぴったりくる類型と言えるのではないかと思います。その意味では、このようなものも視野に入れながら検討を進めるということではないかと思いました。「困惑」の意味については、詰めて考える必要が多少あるかもしれないところですけれども、引き続き検討できればと思います。将来に回すというより、この規定をどう作り上げるかということとかかわりますので、これにつなげて、今後も議論できればと考えております。

以上につきまして、補足的な御質問あるいは御意見がありましたら、お出しいただければと思います。

長谷川委員、どうぞ。

○長谷川委員 先ほど座長が最後におっしゃった不安というのは確かにそういうことなのだろうとは思いますが、他方で、一般的に不安を解消しましょうというものは、商品としてございます。例えば保険とか、ファイナンシャルプランナーと話していて、将来これぐらい教育費がかかって、このままだとあなたこうなりますよとかと言われて、これは困るな、入っておくかということとの切り分けが難しいような気がいたしますということだけコメントさせていただきます。

○山本(敬)座長 前回は、「重要事項」について改正提案を出しました。その際にも少し議論したこととかかわるのですけれども、消費者の権利やその他の利益について、損害や危険が加わるおそれがあると考える事項が重要事項とされて、それについて誤認をさせることが取消しの対象になる。ですから、本当は損害や危険は生じないのだけれども、生じるものと誤認させるというタイプが取り込まれるのだろうと思います。ここでも恐らくそうで、本当はそのような損害や危険に当たるものはないはずなのに、あるかのように不安を抱かせることが対象だろうと思います。その意味では、生命保険等、保険で言われているような事柄は、通常は合理的な理由があって、そのような危険や損害を算定して保険料をはじき出しているはずですので、懸念は当たらないのではないかと思いますが、この点につきましても、引き続き議論できればと考えています。

以上ですが、消費者庁からお願いします。

○加納消費者制度課長 座長から御示唆もいただきましたので、長谷川委員の点も踏まえて、更に深めて具体的にどうするのかを検討させていただきたいと思います。

ただ、いずれにしましても、この論点は、実は消費者契約法を超えて、民法から始まっている非常に大きな課題であり、消費者契約法の中で、今、受けとめて議論しておりますけれども、実は民法学一般にもつながる大きな論点であると私どもは認識しております。この引き続きの課題の中でも、言うならば、最重要論点と考えております。私どもとしては、引き続きこれをぜひ検討していただきたいと思っていますので、委員の皆様の御知見をいただきながら、更に深めてまいりたいと考えております。

○山本(敬)座長 ありがとうございました。

よろしいでしょうか。

本日は、たくさんの議論をいただきまして、ありがとうございました。この問題については、引き続き検討を進めさせていただきたいと思います。

それでは、最後に、事務局から事務連絡をお願いいたします。


≪3.閉会≫

○丸山参事官 本日も御熱心な御議論をどうもありがとうございました。

次回の日程につきましては、追って御連絡という形にさせていただきますので、よろしくお願いいたします。

○山本(敬)座長 休憩をもう5分とればよかったと反省しているところですが、本日はこれにて閉会とさせていただきます。お忙しいところをお集まりいただきまして、ありがとうございました。

以上