第24回 消費者契約法専門調査会
日時
平成27年12月25日(金)10:00から13:40
場所
消費者委員会大会議室1
出席者
- 【委員】
- 山本敬三座長、後藤巻則座長代理、阿部委員、井田委員、大澤委員、沖野委員、河野委員、古閑委員、後藤準委員、増田委員、丸山委員、柳川委員、山本和彦委員、山本健司委員
- 【オブザーバー】
- 消費者委員会委員 河上委員長、鹿野委員
- 法務省 中辻参事官
- 国民生活センター 松本理事長
- 【消費者庁】
- 井内審議官、加納消費者制度課長、桜町取引対策課長
- 【事務局】
- 黒木事務局長、小野審議官、丸山参事官
議事次第
- 開会
- 取りまとめに向けた検討
- 閉会
配布資料(資料は全てPDF形式となります。)
- 議事次第(PDF形式:12KB)
- 【資料1】 消費者契約法専門調査会報告書(案)
- 【資料2】 「合理的な判断をすることができない事情を利用して契約を締結させる類型」について(消費者庁提出資料)(PDF形式:23KB)
- 【資料3】 「不当条項の類型の追加」について(消費者庁提出資料)(PDF形式:25KB)
- 【資料4】 山本健司委員提出資料(PDF形式:117KB)
議事録
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≪1.開会≫
○丸山参事官 定刻になりましたので、会議を始めさせていただきたいと思います。
本日は、皆様、お忙しいところをお集まりいただき、ありがとうございます。
ただいまから、消費者委員会第24回「消費者契約法専門調査会」を開催いたします。
本日は、所用により、阿部委員、沖野委員が遅れての御出席との御連絡をいただいております。
まず、配付資料の確認をさせていただきます。お手元の議事次第の下部のほう、配付資料一覧をお示ししております。資料1といたしまして、本日御議論いただく「消費者契約法専門調査会報告書(案)」となっております。また、資料2、資料3といたしまして、前回御議論いただきました論点に関する補足資料といたしまして、消費者庁からの提出資料をお配りしております。加えて、資料4につきまして、山本健司委員からの提出資料となっております。
もし、お手元の資料で不足がございましたら、事務局のほうへお声がけをよろしくお願いいたします。
それでは、山本座長、議事進行のほうをよろしくお願いいたします。
≪2.「合理的な判断をすることができない事情を利用して契約を締結させる類型」及び「不当条項の類型の追加」についての検討≫
○山本(敬)座長 それでは、始めさせていただきます。本日もよろしくお願い申し上げます。
本日の議事については、まずは前回御議論いただいた「合理的な判断をすることができない事情を利用して契約を締結させる類型」と「不当条項の類型の追加」について、消費者庁から資料が提出されていますので、この点を御説明いただくことにします。その後、「取りまとめに向けた検討」として、「消費者契約法専門調査会報告書(案)」につき、事務局から説明をしていただいた上で御検討いただくこととします。なお、議論状況に応じては、途中で適宜休憩を挟ませていただくこととします。
それでは、まず資料2と資料3について、消費者庁から御説明をお願いいたします。
○消費者庁加納消費者制度課長 それでは、本日もよろしくお願い申し上げます。
資料2、資料3は、いずれも前回の議論の補足でございます。
まず、資料2は「合理的な判断をすることができない事情を利用して契約を締結させる類型」についてでございます。
1で、前回の資料の内容と御指摘ということで御紹介しております。
冒頭の枠囲みのところは、前回、消費者庁からお示ししたものをそのまま写しているものでございますが、「これに対し、」ということで、過量契約に該当するにもかかわらず、消費者が認識していないという言い方は、規律としてわかりにくいのではないかという御指摘がありました。また、問題意識としては、消費者が過量契約に該当することを認識しながらも、事業者からなおつけ込まれてしまう事案というのが規律の対象外となる点について、懸念があったという点は問題意識としてございます。
委員からは、書き方として、特商法の9条の2第1項ただし書きにある「当該契約の締結を必要とする特別の事情」の概念を用いて規律するというのがわかりやすいのではないかという御指摘もございました。
そこで、私どもで検討させていただいたのが2の検討というところでございます。
委員の御指摘を反映しますと、下線を引っ張っているところでありますが、「当該消費者に当該過量契約の締結を必要とする特別の事情がないことを知りながら」と規律の内容を変えることが考えられます。
2ページを御覧いただきますと、これはそういった特別な事情がないにもかかわらず、契約を締結してしまうというケースでありますので、類型的に消費者が合理的な判断をすることができないという場合であると言ってよいのではないかというのが1点でございます。そういった状況にあるということを事業者が認識しながら、さらに勧誘して契約締結するということであれば、事業者が当該事情を利用したと、当初やろうとしていたことがおおむね書きおろせるのではないかと考えられるところであります。
「また」で書いておりますが、先ほど問題意識として申し上げましたけれども、前回の案では、消費者が過量契約に該当するという認識さえあれば適用されないことになりますけれども、過量契約に該当するという認識自体はありながらも、なお次々と商品を購入してしまうような場合が被害事例として見受けられるところでありまして、修正案はこういったところも対象として取り込むことが可能になると思われます。
「他方」と書いておりますが、事業者が一定の事情を認識しながら勧誘するという枠組み自体は変えませんので、前回お示しした、レジに同種の大量の商品を持参した場合でありますとか、家族が何人いるかわからない消費者が食材を大量に購入していった場合というのは、依然として適用対象には含まれないということではないかと考えております。
また、前回はこの規律の内容としまして、取消し又は解除ということで契約を規定することを検討してはどうかということをお示ししておりましたけれども、その位置づけについてもどう考えるかという問題提起がございました。私どものほうでちょっと整理させていただきましたが、当該契約を締結する必要があるかどうかを合理的に判断できない。それでありながらも契約を締結するという意味で、意思表示に瑕疵があるという点においては、現行の4条1項から3項に定める類型と共通すると見てよいのではないかと考えておりまして、そうだとしますと、効果につきましても取消権とすることが適当ではないかと考えるところでございます。
最後のところ、以上を踏まえまして、事業者が、消費者に対して、過量契約、これは従前と概念が変わるものでございますが、に該当すること、及び当該消費者に当該過量契約の締結を必要とする特別の事情がないことを知りながら、勧誘し、それによって契約を締結させた場合には、取消すことを認めるとしたらどうかということで提示させていただいております。
以上が資料2であります。
続きまして、資料3でありまして、前回、「不当条項の類型の追加」としまして、解除権の放棄の条項につきまして、現行消費者契約法8条2項と同じような規律を設ける必要がないかという御指摘がございました。
ここも検討いたしました。それが2でございます。
まず(1)で書いておりますけれども、解除権の放棄条項でありますが、発生した解除権を放棄させる場合に規定が生きてくることになりますので、そもそも解除権が発生しない場合には適用されないものだと思います。それで、瑕疵担保責任の現行法8条の規定との対比で申し上げますと、瑕疵担保責任に基づく解除権が発生するのは、契約した目的を達成することができないときと現行法ではされております。そうしますと、契約した目的を達成することができない場合にも、なお、消費者が契約から解放される手段を奪うということでありますので、これは8条2項というのは代替措置を規定しているわけでありますけれども、代替措置を講ずることが合意されているか否かにかかわらず、無効とすることが適当ではないかと考えられるところであります。
この瑕疵担保責任につきましては、民法改正におきまして、債務不履行一般のほうに適用が委ねられるということかと理解しておりますが、そうしますと、債務不履行解除の場合というのは2パターンございまして、1ページの下から3行目あたりに書いています、いわゆる履行遅滞の解除という場合であります。これは、消費者が相当の期間を定めて履行の催告をし、その期間内に履行しない場合で、その期間を経過した時における債務の不履行が軽微でない場合と条件設定がされております。
もう一つ、マル2でありますけれども、履行の追完が見込まれない、または履行の追完によって契約をした目的を達成することができない場合も書かれております。
マル1の要件との関係では、履行の追完を行った場合には、当然解除権は発生しないことになると思われますし、逆にその機会を与えられたにもかかわらず、履行の追完がされない場合でありますから、解除を認める必要があると考えられます。また、マル2の要件を満たすのは、履行の追完が見込まれない、あるいは履行を追完したところで消費者が目的を達することができない場合でありますから、先ほどと同じように解除を認める必要がある場合と考えられます。
そうだとしますと、現行法の8条2項の場合とは適用場面が異なると思われますので、同様の規定を設ける必要はないのではないかと考えられるところでございます。
御説明は以上でございます。
○山本(敬)座長 ありがとうございました。
それでは、ただいま御説明いただきました資料2と資料3について、特に御質問等がある方は御発言をお願いいたします。
よろしいでしょうか。ありがとうございました。
≪3.報告書(案)の検討≫
(1)事務局からの説明
○山本(敬)座長 それでは、ここからは報告書(案)の検討に入りたいと思います。
まずは、資料1について事務局から御説明をお願いいたします。
○事務局 では、事務局のほうから資料1に基づいて御説明させていただきます。
まず、この資料1ですが、報告書(案)ということでございまして、これまで委員の皆様に御議論いただいたところを整理して作成したものでございます。今、消費者庁のほうから補足されました部分も、案の中には反映させていただいているものでございます。また、本報告書(案)の作成に当たっては、事前に委員の皆様の御意見も伺いながら作成しておりまして、これまでの議論の正確な理解というところをお伺いしながら作成させていただいたところではございます。
それでは、中身のほうの御説明をさせていただきたいと思います。
まず、ページをめくっていただきまして、最初の「目次」のところでございますけれども、構成としては、「はじめに」、それから「第1 見直しの検討を行う際の視点」ということを書いた上で、第2では、今回の報告書の中で法改正というものを含んでいる論点ということで書いてございます。第3のほうは、今回の中では法改正という提案が含まれていない、「上記以外の論点」ということで、論点を取り上げてございます。
1ページ目の「はじめに」のところでございますが、これはこれまでの経過を書いているところでございまして、中段までが「中間取りまとめ」の公表までですので、8月までのお話ですけれども、その後、「公表後」というところでは、集中的な意見受付の実施や、10月からのヒアリング、さらにその後の審議というところを書かせていただいております。その上で、本報告書として、法改正を行うべき論点や、引き続き検討を要する論点の現時点での取りまとめを書いているということを書いてございます。
2ページ目の「第1 見直しの検討を行う際の視点」のところでございます。
2段落目のところでは、諮問にありますような高齢化のさらなる進展や、情報通信技術の発達・インターネット取引の普及等の影響に関する記述を書いてございます。
その次の段落では、消費生活相談の現場における活用といった点や、事業者の予測可能性の担保といった点も書いてございます。
その次の「さらに」の段落ですが、ここでは民法あるいは個別の業法との関係を、消費者契約法の位置付けというところを記載しております。このあたりを中間取りまとめでも書いていたところを、少し整理して書いているところでございます。
そして、一番下の「上記の視点を踏まえ」ということですが、これが本報告書の位置付けでございまして、まずマル1として、解釈の明確化で一定の対応ができるものについて、解釈の明確化を図るということ。
マル2として、解釈の明確化だけでは対応できないものについて、規律の明確化に留意しつつ、速やかに法改正を行うということ。
そして、3ページでは、マル3として、マル1やマル2のほかに、現時点で法改正を行うことについてコンセンサスが得られていないものについて、今後の検討課題として引き続き検討を行うということで整理させていただいたということを書いてございます。
4ページ目からが具体的な論点の記述になります。基本的には、これらの論点は前回や前々回、あるいは中間取りまとめまでのところで御議論いただいたところを記載しているつもりでございます。
まず、1つ目の「重要事項」については、第22回の会議で議論いただいたところだと思いますけれども、結論的なところを最初に書いて説明を後ろにつけております。不実告知による取消しに限定した上で、「消費者が当該消費者契約の締結を必要とする事情に関する事項」というものを「重要事項」の事由として追加して列挙するということになってございます。
説明のところですけれども、最初の段落は、現在の規定ぶりを書いてございまして、「もっとも」のところで、「重要事項」の解釈に関する裁判例や特商法の規律について記載し、そういった状況の中で、先ほど申し上げた必要とする事情に関する事項の追加列挙という記載をしています。
「また」の段落ですけれども、不利益事実の不告知については、現時点では被害が直ちには見当たらないという中では、不実告知による取消しに限ることとするということを書いております。
(2)では、今後の検討課題ということで、「重要事項」については、消費者に有利であることを裏付ける事情、あるいは消費者に生じる危険に関する事項を列挙することや、列挙事由を例示として位置付けるといった意見も見られたところでございまして、「重要事項」の規律の在り方については引き続き検討を行うべきということで書いてございます。
5ページ目の「2.合理的な判断をすることができない事情を利用して契約を締結させる類型」は、今、消費者庁のほうから補足して御説明いただいたところでございまして、「過量契約に当たること及び当該消費者に当該過量契約の締結を必要とする特別の事情がないことを知りながら」勧誘しという、先ほどの消費者庁の説明があったところを書いてございます。
説明については、今消費者庁に説明いただいたところと重複しますので割愛いたしますが、6ページの(4)ですけれども、今回のこの規定で適用対象とならない被害事例について、当面は、公序良俗の規定や不法行為の規定による救済等を図ることとしつつということでございますが、さらに事例の収集・分析を重ねて、明確かつ客観的な要件をもって類型化することについて引き続き検討を行うべきということで書いてございます。
「3.取消権の行使期間」でございます。これについては、短期の行使期間を1年間に伸長することと書いてございます。
説明の中では、現行法は短期が6カ月、長期が5年という中で、適切に伸長するという中で必要最低限度ということで、短期の行使期間を1年間に伸長として、長期については変更せずということで書いてございます。
この関係で、参考資料5という形で、消費生活相談に対する議論の中で出ておりましたアンケート調査をお付けしてございます。
それから、7ページ目の4ポツ目が取消しの効果というところでございますけれども、ここについては、新民法の規定にかかわらず、給付を受けた消費者が意思表示の取消しを行った場合、その給付を受けた当時その意思表示が取り消すことができるものであることを知らなかったときについて、その効果を現存利益に限定するということで書いてございます。
説明のところですけれども、「そこで」の下の段落のほうで、現状の規律を維持する観点ということで、この現存利益に限定するということが議論されていたものかと思います。
それから、「5.事業者の損害賠償責任を免除する条項」、現行法の8条1項についてですけれども、これについては中間取りまとめである程度の結論が示されておりまして、現行法で、不法行為により消費者に生じた損害を賠償する『民法の規定による』責任」というところで、この「民法の規定による」という限定については、削除すべきであるということで書いてございます。
8ページ目の「6.不当条項の類型の追加/消費者の利益を一方的に害する条項」、ここは前回御議論いただいていたところかと思いますけれども、まずマル1、ここも先ほど少し消費者庁が補足説明したところでございますけれども、債務不履行の規定に基づく解除権、あるいは瑕疵担保責任の規定に基づく解除権をあらかじめ放棄させる条項については、例外なく無効とする規定を設けることとする。
マル2のほうは、現行法10条の前段を改正して、その前段要件に該当する消費者契約の条項の例示という形で、消費者の不作為をもって当該消費者が新たな契約の申込み又は承諾の意思表示をしたものとみなす条項を挙げるとしてございます。
説明ですけれども、(1)で、不当な条項をどう考えるかということで、マル1としては、例外なく無効とする規定。マル2としては、一定のものを無効とするという二通りが考えられるのではないかという中で、(2)で、例外なく無効とする規定については、先ほどの債務不履行解除、瑕疵担保責任の解除というものを放棄させる条項。これについては、先ほど補足説明がありましたように、契約の目的を達することができない場合であっても、拘束から解放されないことになるので、挙げているということでございます。
(3)のほうは一定のものを無効とするという規定でございますが、これについては、原則として無効とするような議論。一定の場合に有効となるという規定の設け方。それから、(b)のように、一定の要件を満たすものだけが無効となるという規定の設け方が考えられるところですけれども、アに書いておりますように、原則として無効としてしまうと、かなり不当性が高いものを抽出する必要があり、更なる事例の収集・分析を要するところでございます。
イでは、一定の要件を満たすものを無効にするというときに、どのような要件を満たした場合とするかということについて、やはり事例の収集・分析を要するのではないかということで、現行法の10条の中で前段の要件に該当すると思われる例を挙げ、その判断としては現行法の10条後段と同じ要件の中で検討するということが考えられるということです。そして、その下に書いていますが、現行法10条では、デフォルト・ルールとの比較という中で、消費者の権利を制限し又は義務を加重することが前段要件であるということでございます。
そうしたものの例示として何を挙げるかという中で、一定の作為又は不作為というものが考えられるところですが、その中でも不作為をもって当該消費者が新たな契約の申込み又は承諾の意思表示をしたものとみなす条項を挙げるということを書いてございます。
10ページの(4)では、それ以外の契約条項の類型というのは、先ほども申し上げましたが、更なる事例の収集・分析によって抽出していくということで、引き続き検討を行うべきであると書いてございます。
それから、11ページの「第3 上記以外の論点」ということで、法改正を伴う論点ではありませんが、さらに検討しなければいけない論点、あるいは解釈による対応が必要である論点等を挙げてございます。
「勧誘」要件の在り方についてですけれども、いかなるものを「勧誘」の中に含めていくのかということで、現時点ではコンセンサスを得ることが困難であるということでございましたが、その取消しの規律の適用対象となる範囲については、引き続き、事業活動に対する影響について調査するとともに、裁判例や相談事例を収集・分析して検討を行うべきということになってございます。
(2)ですけれども、「勧誘」に不特定の者に向けたものが含まれるか含まれないかということでは、含まれない旨を示した裁判例もある一方で、不特定の者に向けたものが含まれることを前提としたと考えられる裁判例もあるということで、そういった裁判例を適宜紹介しつつ、そうした解釈の在り方について周知して、当面は現行の規定の解釈や具体的な事案における適用というもので対応するということも考えられると書いてございます。
それから、「2.不利益事実の不告知」でございますが、これについては、(1)で書いておりますように、不利益事実の不告知の類型化というところが議論されておりましたし、(2)では、故意要件が議論され、12ページの「また」のところで、先行行為要件の在り方が議論されたところを記載してございます。
これらについては、(3)で書いておりますように、そうした類型化あるいは事業者の主観的要件、先行行為要件ということについて、引き続き検討を行うべきであるということで書いてございます。
それから、12ページの「3.困惑類型の追加」というものを記載しております。
まず、「(1)執拗な電話勧誘」についてですが、特に電話勧誘に特化した類型を追加するということになりますと、特定商取引法の電話勧誘販売の規律ということとの関係がございますので、まずは特定商取引法の運用の状況等を踏まえた上で、必要に応じ検討していくのが適当ということで書いております。
なお、電話勧誘に限らない執拗な勧誘についても、注釈で書いてございますが、これまで本格的な議論にはなっていなかったかもしれませんが、引き続き検討を行うべきものと書いてございます。
「(2)威迫による勧誘」でございますけれども、これも一番下のところですけれども、困惑類型の新たな規律として、如何なる状況下において取消権を認めるべきかということで、その問題となる事例に類型的に見られる威迫行為の態様を抽出していくことが必要ではないかという中で、そのために引き続き事例等を収集・分析して検討を行うべきと書いてございます。
13ページの「4.不招請勧誘」については、下から4行目の「そのため」というところですけれども、不招請勧誘に関する規律を設ける必要性があるか否かということも含めて、訪問販売や電話勧誘販売における規律、特定商取引法の運用の状況というものを踏まえた上で、必要に応じ検討していくことが適当ではないかということで書いてございます。
「5.第三者による不当勧誘」でございますけれども、これについて、委託関係にない第三者が不当な勧誘行為を行った場合ということが問題になったわけでございますけれども、下から3行目で、これについても引き続き、裁判例や相談事例を収集・分析して、検討を行うべきということで書いてございます。
「6.『解除に伴う』要件の在り方」ということで、現行法9条1項、損害賠償の予定・違約金条項を規律している条項ですけれども、それが現在では解除に伴うという場合に限定されているわけでございますけれども、これについて、解除を伴わない場合においても同様に考えられるのではないかということでしたが、13ページの一番下に書いていますように、早期完済条項というものが議論に挙がっておりまして、その規律を及ぼすことによる影響がどういうものかというのが、まだ明らかではない。また、建物賃貸借の明渡しのときの遅延損害金というものでございますが、これは明け渡さないということに対する違約罰と呼ばれるような側面があるということでございます。
こうした中で、実質的に契約が終了する場合に9条の対象を拡張していくということで、そういった早期完済条項や明渡遅延損害金を定める条項というものをどうするのかという、その適否を中心としながらではありますけれども、違約罰をどうするのかということも含めて、引き続き検討を行うべきであるということで書いてございます。
それから、14ページの「7.『平均的な損害の額』の立証責任」ということでございます。
平均的な損害の額を超える部分が9条によって無効となるということでございますけれども、これについては、最高裁判決は、事実上の推定というものが働く余地があるとしても、基本的には、消費者が立証責任を負うということで判断されておりまして、消費者の立証の困難性ということが議論されたわけでございますが、中段「そこで」のところで書いてございますように、「平均的な損害の額」の立証に関する規律の在り方については、引き続き検討を行うべきということで書いてございます。
ただ、この点につきましては、事実上の推定というものの議論も踏まえつつではございますが、先ほどの最高裁の趣旨・射程という分析はもとより、実際に裁判の中でどのような攻撃防御が行われ、裁判所がどのように訴訟指揮をしているのかということを把握することも必要ではないかという御意見が前回ございましたので、その点も書いた上で検討すべきということを書いてございます。
(2)についてですけれども、現行法の3条1項では、事業者の努力義務という形で、契約締結時においてですけれども、必要な情報の提供というものが定められておりまして、その法の趣旨に照らした上でということで、「平均的な損害の額」が問題となった場合についても、同じような情報提供が努力義務とされるべきではないかということが書いてございます。
ただし、注釈15で書いておりますように、民事訴訟法上、営業秘密という形で文書の提出を拒絶できるものがございますけれども、そこまでを含むという趣旨ではないということかと思います。
それから、15ページの「8.条項使用者不利の原則」ということでございます。
契約の条項について、解釈を尽くしてもなお複数の解釈の可能性が残る場合には、条項の使用者に不利な解釈を採用すべきであるという考え方でございます。こういう原則については、消費者契約法に規定がないわけでございますけれども、こうしたものを定めることで明確な条項を作成するインセンティブを与える、あるいは紛争を未然に防止するということが期待できるのではないかということでございます。
これについては、「消費者契約法は」という段落でございますけれども、現在、事業者の努力義務という形で、これも3条1項でございますが、契約条項の明確性ということに配慮するということが定められています。条項を明確にすべきというところで、そのような規定の趣旨から導かれる考え方の一つとして、そういう原則があるのではないかというところでございます。
そこで、法3条の解説の中で、ある条項についての解釈を尽くしてもなお複数の解釈の可能性が残る場合には、当該条項の使用者に不利な解釈を採用することが相当と考えられる具体的な事例というものも紹介して記載するということで、周知していくことが適当ではないかと書いてございます。
「また」というところですけれども、この条項使用者不利の原則というものがどのような場合に適用されるのかということについての懸念が完全に払拭できないというところで、同原則の要件とか、あるいは定型約款という場面に限定すべきかどうかということも議論されたところでございまして、この点については引き続き検討を行うべきと書いてございます。
それから、「9.その他の論点」ということでございますけれども、中間取りまとめで整理した論点の中には、個別に書いていない論点では、「消費者」概念の在り方や情報提供義務、断定的判断の提供といったものもございました。これらについても、中間取りまとめの中で一定の今後の検討課題として示されていたところでございまして、それは今後の検討課題とすることが適当であると書いてございます。
「また」のところで、これも個別には書いておりませんが、例えば法5条1項の「媒介」の意義、あるいは法10条後段の民法1条2項に規定する基本原則に反するか否かを法の趣旨に照らして判断すべきではないかという議論についても、解釈の明確化ということが示されていたところで、そういったことについては、そういう解釈を明確化して周知していくことが適当ということを書いてございます。
最後に、17ページの「おわりに」というところでございます。最初の見直しの視点で書いたような形で、法改正を行うものや解釈を明確化する、あるいは今後の検討課題ということで整理したところでございますけれども、まずは法改正を行うべきとされた論点については、法制的な見地からの調整を経た上で、速やかに改正法案を国会に提出すべきということで書いてございます。また、その改正法案が成立した場合において、この解釈の明確化を図るとされている点についても、適切に解説等に反映し、周知していくことが重要であるということも書いております。
「また」の段落は、今後の検討課題と位置づけられた論点についてですけれども、これについては所用の調査・分析を踏まえて、引き続き検討を行うべきということでございまして、速やかに改正法案を提出すべきという上記の点がございますけれども、そうした改正法案の立案や国会における審議等も踏まえた上で、適切な時期にまた専門調査会において審議を行うこととするということで書いてございます。
一番下の段落は、その調査・分析に関する関係で書いているところでございますが、消費者庁においては、立案作業も行っていただくところでございますけれども、裁判例や相談事例、事業活動に対する影響等についての分析といった検討作業について強く期待されるということで書いておりますし、国民生活センターについても、同じように消費生活相談事例の分析等の支援が重要になってくるということで、その取り組みが強く期待されるということを書いてございます。
あとは、参考資料として、諮問書、設置・運営規程、審議経過と名簿、それから先ほど申し上げたアンケートをお付けしてございます。
説明としては、以上でございます。
(2)意見交換(「はじめに」・「第1 見直しの検討を行う際の視点」・「第2 法改正を行うべき内容を含む論点」について)
○山本(敬)座長 ありがとうございました。
それでは、意見交換を行いたいと思います。
まずは、「はじめに」から「第2 法改正を行うべき内容を含む論点」までの部分を対象とします。御意見、御質問のある方は御発言をお願いいたします。
沖野委員。
○沖野委員 4点伺いたいと思います。
1点目が4ページの「重要事項」のところで、不利益事実の不告知類型の扱いです。現行法では同じ概念で規律されているものについて、今回、それを分けるということになります。その適否について果たしてそれでいいのかという問題意識を持っております。それに対しては説明がされておりまして、現在の被害状況という点からすると、対応する事例というのが必ずしもないということです。ただ、民事的なルールの在り方として、果たしてこのそごというのが十分に正当化できるのかという問題意識を持っております。
この点は、しかし、他方で、11ページの「2.不利益事実の不告知」の類型自体が今後見直しをしていくというものですから、そちら自体がある意味ペンディングになっていますので、その場合に「重要事項」というのがどういう範囲かという部分についても留保があるために、ここでは被害状況も早急に対応すべきものとしても認識が必ずしもされていないということとあわせて、このような結果になっているのではないかと考えております。まず、その理解で正しいかという点を確認させていただきたいということと、次はその旨をどこかで記載する必要はないのかというのがその次の話になります。
それが第1項目です。全部言ってしまってよろしいですか。
○山本(敬)座長 かなり違う点にまたがりますか。
○沖野委員 次は不当条項です。
○山本(敬)座長 ならば、まずはこの点について消費者委員会のほうから、お答えをお願いいたします。
○事務局 事務局のほうからお答えいたします。
基本的には沖野先生がおっしゃったとおりだと思います。4ページでは、現時点において法改正として対応すべき点として、この不利益事実の不告知という形で対応するのではなくて、不実告知に限定するということでございますが、「重要事項」自体も規律の在り方として、今後の検討課題が残されておりますし、不利益事実の不告知について検討課題が残っているということも、おっしゃるとおりで、記載したとおりでございます。
○山本(敬)座長 よろしいでしょうか。
それでは、沖野委員。
○沖野委員 その点、例えば注記するようなことは考えられないのでしょうか。(2)の上の最後の段落のところに注をつけて、「不利益事実の不告知類型については、当該類型自体の再定式ないし再検討とあわせて引き続き検討すべきである」とか、あるいは「重要事項」の見直しの(2)の最後のところに、「重要事項」そのものの内容と、その「重要事項」概念が何かについて及ぶという点についての検討課題は、ここにあるということを注記するようなことはいかがでしょうか。
○山本(敬)座長 いかがでしょうか。事務局のほうからお願いします。
○事務局 この「重要事項」の(2)のところで、いろいろな意見が出ている中で、「重要事項」の規律の在り方について引き続き検討を行うべきと書いてございまして、まずそこでは受けられるのかなという点ではあります。ただ、どのような記載が適切かというところは、少し委員の間で御議論いただければと思います。
○山本(敬)座長 この点について、もし御意見があればと思いますが、いかがでしょうか。沖野委員の指摘の趣旨が、既に報告書全体から読み取れると考えるか、あるいは注記したほうが適当ではないかと考えるかという問題提起だったかと思いますが、いかがでしょうか。
これまでの検討の中でのたたき台として出されたものでは、4ページに書かれていますように、不利益事実の不告知については、直接の立法事実になるような事案が必ずしも直ちに見出せないということが、理由として挙げられていたところです。それをそのままここで反映したということですけれども、なお不利益事実の不告知自体についてもどうするかという点が今後の課題になっているということも、あわせて考慮すべきであるという付記をするかどうかということですが、いかがでしょうか。
大澤委員。
○大澤委員 私は、結論から言うと注記したほうがいいのではないかと思います。4ページの不利益事実の不告知の場合には、今回の事項を追加しないということは、この報告書だけを見るとちょっとわかりにくいかなという印象を持っていますので、注記することはやってもいいのではないかと思います。
○山本(敬)座長 ほかにいかがでしょうか。
丸山委員。
○丸山委員 4ページに出てくる(1)の一番最後の「また」の一番最後あたりに、例えば注記で、今回はこういうことになったけれども、不利益事実の不告知取消しについての対象をどうするかは、引き続き今後の検討課題であるみたいな注記を入れてはいかがかと思います。
○山本(敬)座長 このような御意見が続いていますけれども、そのような注記をするという方向でよいということでしょうか。不必要であるという御意見があればお出しいただければと思いますが、いかがでしょうか。
山本健司委員。
○山本(健)委員 私も、注記がないよりも、あったほうが、よりはっきりすると思います。12ページの「不利益事実の不告知」のところで、今後の不利益事実の不告知の検討課題の中に「不実告知の適用範囲との関係の整理を含めた類型化」という記載がありますので、沖野委員が最初に御指摘になった点については、この部分で議論の対象になることが示されているものと読ませていただいておりました。この部分、もしくは「重要事項」の部分で、その旨も残された問題であるということが明示されていたほうが、よりわかりやすいと思います。
以上です。
○山本(敬)座長 ありがとうございました。よろしいでしょうか。
古閑委員。
○古閑委員 ここに書いていただいているとおり、今のところ、そういった事案がないという事実もありますので、仮に書くとしても、正確にそのトーンが消えないように反映していただきたいと思います。
○山本(敬)座長 ありがとうございました。
沖野委員の御提案は、現在の文章を消すわけではなく、それに追記するということで、両者ともに今後検討する際には考慮すべきであるということではないかと思います。よろしいでしょうか。
事務局のほうは、いかがでしょうか。
○事務局 今の「また」の段落の注記という形で、不利益事実の不告知も今後の検討課題としてはあるということを書くという形で、少し検討させていただきたいと思います。
○山本(敬)座長 それでは、先ほど少し申し上げましたように、必要に応じて休憩を挟んで、このような修文でいかかがというものをお示しして、それをもとに改めてお諮りしたいと思います。
それでは、沖野委員、2番目の点について、お願いいたします。
○沖野委員 ありがとうございます。
9ページの不当条項のところの説明なのですけれども、(3)で書かれている事項についてです。形式的なところと内容について、2点あります。
形式的なところは、日本語だけの問題なのですけれども、(3)の無効とする規定については、(a)、(b)が考えられるとあって、ア、イが続き、「そこで」となっているのですが、これはイの部分につながっているというよりは、ア、イがあって、ウなのかなと、段落分けの問題として思ったのですが。つまり、ア、イ、こういう作業がありますね、だから、難しいですねというのがあって、しかし、対応としてはということですので、ウになるのではないかという気がしたのですが、そうでしょうかということが1点目です。
それから、2点目が中身についてなのですけれども、ア、イを受けて、次に「ウ そこで」となっておりますが、ア、イ、ともに、(a)であれ、(b)であれ、「原則として無効といえる程度に類型的に不当性が高いといえるものを抽出する必要がある」というのがアの2行目に出てきます。だけれども、そのためにはさらなる検討が必要なので、直ちには抽出できないという含意をしながら、ウで例示として、不作為をもって新たな申込み承諾の意思表示をしたものとみなす条項というのを挙げるということは、この条項自体が原則として無効と言える程度に類型的に不当性が高いと言えるものではないという含意につながるようなおそれがあると思います。
そういう条項だと理解されているかというと、それは単純に明文の任意規定がないから、前半部分の該当性が疑われるものですねというだけではなくて、ここには不当性があるというものが含意された条項として検討もされてきたと思うのです。
このままでは、不当ではないのだけれども、任意規定の部分だけ問題だからという説明になってしまいそうです。そこで、例えば、両方そうですけれども、(3)のアの「このうち、原則として無効とする規定を設けるためには」というところに、アであれ、イであれ、対応しているのは、新たに一つのリストというか、10条とは別に新たに規定を設けるためには、いろいろ条項をピックアップする。そのピックアップの作業は、まだ先ですねということですので、その点を明らかにするような文言を足すことが考えられないか。
例えば、イについても同じですけれども、「このうち原則として無効とする規定を10条とは別に新たに設けるためには」という文言を足すことで、新たなリスト化のためには十分ではないけれども、そういう中での検討の不当性が考えられるようなもののうちの一つを、別の観点から取り上げて例示とすることが考えられるというのはウの話になってくるのではないかと思われるのですが、いかがでしょうか。
○山本(敬)座長 それでは、事務局のほうからお願いいたします。
○事務局 ここは前回御議論いただいたところを整理したつもりでございますが、最初の点、ア、イ、ウというお話ですけれども、記載は、まずアは原則として無効として、一定の要件を満たすものを書いたつもりでございます。
イで、最初の段落では、新たな無効となる要件を定めるということには、同じような分析が必要であるという中で、新たな要件を設けるには分析が必要なので、「そこで」ということで、法10条前段要件の例を挙げて、既存の同10条後段の要件を満たした場合のみ無効とすることが考えられるということです。イの1段落目を受けて、「そこで」に続いているという趣旨で、アとイを両方受けて、「そこで」に続けているという趣旨ではありません。全体としてはそういう理解もあり得ると思いますけれども、日本語としてはそういう形で整理したつもりでございます。
それから、ここの議論としては、確かにいろいろな条項の不当性が括り出せるかという御議論で、これまで来たとは思いますが、前回の議論であったのは、ここに挙げるのはあくまで10条前段の消費者の権利を制限し又は義務を加重するものとして、要はデフォルト・ルールとの比較として挙げられるものを挙げる。ただし、不当性の判断については、あくまで10条の後段要件であるということで、こういう形で結論が出たのではないかということで事務局としては理解して整理しております。
○山本(敬)座長 以上のようなお答えですが、沖野委員、いかがでしょうか。
○沖野委員 1点目については、明確化を図っていただきまして、ありがとうございました。私自身が誤解しておりましたが、今の(3)、マル2の御提案は(b)型の延長として対応するという趣旨であるということですね。それは確認させていただきましたので、そうであれば、まさにこのままの形のほうがそのような理解を示すものとして適切だと思います。
2点目に関してですが、それでもこの意思表示の擬制の条項自体の持つ問題性ということが、一方で背後にあると思います。そこで、今回の提案自体は、もちろん10条の後半部分はさらにかかってくる。前半部分だけの手当てとして、その例示として適切なものをとり上げたときにはこれなのだということですが、一方で、これが類型的に不当性が高いと言えるものではないということを決め打つのも問題だと思われますので、例えば先ほどのような、アとイの切り分けが事務局御提案のような形のものであれば、いっそアだけに入れればいいのかなと思われますので、例えば「原則として無効とする規定を10条とは別に新たに設けるためには」という表現にすることはいかがでしょうか。
○山本(敬)座長 事務局のほうからよろしいでしょうか。
○事務局 提案の部分をもう一度確認させていただければと思います。
○沖野委員 現在の(3)のところから数えて4行目、アの1行目の「原則として無効とする規定を」と「設ける」の間に「10条とは別に新たに」と入れるということですが。
○山本(敬)座長 アのみに入れると提案されたということですが、この点について事務局のほうからいかがでしょうか。
○事務局 趣旨としては、その趣旨を明確化するということで、アで議論された10条とは、また別に類型を設けるということだろうと思いますので、特段問題ないのかなと思いますが、ほかに意見がなければ検討させていただきます。
○山本(敬)座長 もともとアの趣旨が御指摘のとおりであったというのであれば、そのように表現することについて、特に問題はないのではないかということですが、よろしいでしょうか。
では、この点については、今、御提案がありましたように、アの1行目の部分に「10条とは別に新たに」という文言を追加することとさせていただきます。
では、沖野委員、3点目をお願いいたします。
○沖野委員 失礼しました。こちらはむしろ第3でした。第2については以上です。
○山本(敬)座長 そうですか。最初、たしか4点御指摘があるということではなかったかと思いますが。
○沖野委員 いずれも第3にかかわることでした。失礼しました。
○山本(敬)座長 そうでしたか。わかりました。
それでは、ほかに御意見があればと思います。
大澤委員。
○大澤委員 2点ございます。
1点は、今、沖野委員がおっしゃっていた9ページのところの表現の仕方について、もう少し明確にしていただくことを検討いただければと思います。
今のお話とも関連すると思うのですが、「不作為をもって当該消費者が新たな契約の申込み又は承諾の意思表示をしたものとみなす条項を挙げる」ということで、これは結論に強く反対する趣旨は全くありませんが、これが9ページのちょうど真ん中です。イの「そこで」の段落の書き方をもうちょっと検討いただきたいと思います。「そこで、法第10条前段の」、ここだけを見ると、不作為をもってという条項が10条前段だけの問題であるかのように読めるのですね。恐らくこれは本来は10条前段だけではなくて、後段も不当性があるのではないかということで、私もこの委員会でリスト化を提案いたしました。
ですので、これだけを読むと、10条前段だけの問題であるかのように読めるということが若干気になります。ただ、今さらどうしようもないということなのかもしれませんが、少なくとも文章の問題ですけれども、「そこで」の段落の真ん中にある「もっとも」というのが表現としてわかりにくくなっていて、「そこで」の一文と「もっとも」の後ろの一文の関係が、この「もっとも」があることによってわかりにくいのです。私が読んだ限りでは、この読み方が正しいかわかりませんが、そこで、10条前段の要件を満たす条項の例を挙げることによりというところ、これは一つの方法であるということを提示しているということで、これ自体は強く反対いたしませんが、その後ろに「もっとも」と書いてあると、普通は話が変わるのではないかと思うのです。
「もっとも」以下を見ると、紛争予防の観点からすると、まずは10条の前段要件を満たす条項を例示する必要性が大きい条項はということだと思うので、「もっとも」は要らないのではないかというのが私の疑問です。
もう一つ言いますと、先ほどの沖野委員の話とも関係するのですが、仮にこの10条前段要件を満たす契約条項かどうかがわかりにくいということが、この不当条項規制の問題の一つだということであれば、それは問題の一つとしては確かにそうだと思うのですけれども、仮にそうだとすれば、10条前段要件を明らかにするという作業が必要である。その明らかにする方法として、今回、不作為をもって消費者が契約の意思表示をしたものとみなす条項を挙げる。それを1個だけ例示しますということなので、このシステムは、この間いろいろ議論があって、この1個だけが例示されているということ自体はいたし方がないことだと思っていますが、この報告書だけを読むと、10条前段要件を、例えば判例のとおり、不文の法理で対応しているものも含まれるのだということを書けばいいわけなのに、それはやらずに、この1個だけの条項を例示するというのは、まずそもそもも何でこの条項だけを、この10条前段要件を明確化するために出しているのかということが、読んだ人はちょっとわからないと思います。
ですので、今、代案が思いつかなくて非常に恐縮ですけれども、例えば10条前段要件を満たす契約条項を例示する必要性が大きいものとして、今回、検討した中では、とりわけこの不作為をもってという条項であるという、要するにこの中でとりあえず1つだけ選びましたということがもう少し明らかになるようにしていただきたいということです。
この書き方ですと、10条前段要件を満たすかどうかわからない条項は、もうほかにはないかのようにも読めてしまいますので、実際のところ、明文の規定はないけれども、判例や不文の法理で10条前段要件を満たす条項というのは、恐らくこれ以外にたくさんあると思いますので、なぜこの中で1つだけ不作為をもってというものを選んだのかということは、もう少し書き方としては工夫していただきたいと思います。これが1点です。
○山本(敬)座長 まず、切らしていただきます。
事務局からお願いいたします。
○事務局 少し表現ぶりということもありますので、検討はさせていただきたいと思います。
まず、理解としては、「そこで」のところでは、先ほど申し上げましたように、まず前段要件について例示していって、あくまで要件は後段要件でという議論であったかと思います。
「もっとも」でつないでおりますのは、その中で何でも挙げていくということではなくて、必要性が大きい契約条項を挙げていくということでつないでいまして、必要性が大きい契約条項とは何かというのが、その後で法10条前段要件の内容はということで、デフォルト・ルールが明文で規定されていない事項に関する契約条項が問題となった場合があると。
「そこで」ということで、「デフォルト・ルールが明文の規定から必ずしも明らかであるとはいえない契約条項を挙げることが考えられる」ということで、なおかつ作為と不作為というものも考えられますけれども、その中でも不作為を挙げるべきということで、先ほどの「もっとも」から後ろが全部つながっておりまして、この不作為の意思表示をみなすという条項を今回、10条の前段例示として挙げましたという、これは前回の議論の資料を要約した関係で、少し読みにくくなったのかもしれませんが、趣旨としてはそういうことを書いたというつもりではございます。
○山本(敬)座長 大澤委員。
○大澤委員 仮にそうだとすれば、これは「もっとも」じゃなくて「特に」じゃないのかと思うのです。「とりわけ」とか。要するに、10条前段の要件を満たす条項の例を挙げるという方法で、まず対応することが考えられるという方向を示していて、その中でも、特にその前段要件を満たすかどうかがよくわからないので、例示する必要性が大きいものをここで例示するのだという趣旨ですので、そうであるとすれば、まず「もっとも」という反語ではなくて、「特に」ではないか、あるいは「とりわけ」ではないかと思います。
あとは、今、お話を伺っていると、「もっとも」の同じ段落で、「法第10条前段要件を満たす契約条項を例示する必要性が大きい契約条項は、同要件に該当するか否かが一見して分かりにくいようなものであるといえる」ということなら、むしろ前後逆なのかなと思ったのです。つまり、紛争を予防する等の観点からすると、前段要件に該当するか否かが一見して分かりにくいようなものについて例示する必要が大きいという趣旨なのかと伺いましたが、私の誤解かもしれません。しかし、このままでは少しわかりにくいかと思いますので、まずは「もっとも」以外の接続詞を検討してほしいということと。
2つ目の意見は、今の文章ですね。法第10条の云々というのは、主語と述語がむしろ逆なのではないかと思うのですが、いかがでしょうか。
○山本(敬)座長 それでは、事務局のほうからお願いいたします。
○事務局 日本語的なわかりにくさというところだと思いますが、検討させていただきます。
○山本(敬)座長 わかりました。
今の点について、もし補足的に御意見があればと思いますが、いかがでしょうか。
丸山委員。
○丸山委員 9ページの提案、沖野委員と大澤委員に共通する疑問が出てまいりましたので、再度確認させていただきたいのですけれども、ここで任意法規として確認するとされている「契約の申込みまたは承諾の意思表示をしたものとみなす条項」というものは、これも沖野委員が指摘されましたように、従来は例えば事前の情報提供がしっかりとされていなかったり、あるいは事後の取消権といった手当てがされていなかった場合は、むしろ不当性というものが認定されるような条項という位置づけでも議論されてきたものではないでしょうか。
そこで、アとイというものをきっぱりと分けてしまって、アには該当しませんという説明をしてしまうと、今後の検討では、そういった自動更新条項とか意思表示の擬制条項というのは、いわゆるグレーリストにはなり得ないものといった形で検討が展開されることになってしまうのでしょうか。そういった読まれ方をされてしまう懸念もあるのかと思いましたので、この点、再度の確認ですけれども、説明をお願いできますでしょうか。
○山本(敬)座長 それでは、消費者庁からお願いいたします。
○消費者庁加納消費者制度課長 ただいまの丸山委員の御指摘は必ずしもそうではなくて、アのところで言っていますのは、原則無効として規定を何か設けるとすれば、一定の類型化ないし抽出が必要だということを言っているのみであります。アのアプローチではない、イのアプローチとして、どういうものがあり得るかということで、例示するということを言っておりまして、その例示する典型例として、大澤先生がおっしゃるように、これまで検討した事例の中では、意思表示の擬制に関するものというものがあり得るだろうということを書いております。ですので、丸山先生がおっしゃるような検討の余地というのは、別にこれで特段排除されるものではないと理解しております。
○山本(敬)座長 よろしいでしょうか。
それでは、今の点について、もし補足的に御提案があるようでしたら、お出しいただければと思いますが、いかがでしょうか。
沖野委員。
○沖野委員 イの4行目の「そこで」のつながりですとか、その後の「もっとも」のつながりがわかりにくいということが懸念を呼んでいるのではないかと思われます。それで、直ちに修文を用意できないのですけれども、1つは、「そこで」以下の問題がイのラインの延長線であるということを明らかにする。それは、つまりイで言われている「一定の要件を満たすもののみ」の「一定の要件」については、なお当面は引き続き10条の規定によることが適切だというのがあって、しかし、10条の見直しはする必要がないのかというと、予測可能性を高める観点から、前半について例示を挙げるなどすることで、(2)で明らかになった内容のものについても入るということを明確化することが考えられる。
そうすると、そのような例示にふさわしいものは、その点がわかりにくいようなものを挙げる必要があり、この観点からすれば、次のような条項が適切であると考えられる。そういう流れだとよりわかりやすいし、今回、選んだのは、10条の前半部分について、最高裁が言われているような一般法理を体言するような条項は何かという観点から選べばこれですということになりますので、もともとの(a)や(b)に当たるかということは、引き続きもちろん検討であるということが出るのではないでしょうか。
○山本(敬)座長 今の御提案は、新たにどのような修文をしたほうが適当であるという御提案だったのでしょうか。
○沖野委員 まだ文案は練れないのですけれども、次のようなことを考えているということです。イの「また上記の作業が必要であると考えられる」ということにつなげまして、「そこで、現時点では、『一定の要件』は、なお第10条によるのが適切であると考えられる。ただし、第10条の要件については、契約当事者の予測可能性を高め、紛争を予防する等の観点から、10条前段の要件を満たす契約条項の例を挙げ、同要件に該当するか否かが一見して分かるように挙げることが考えられる。その場合、例として挙げるべき契約条項は、同条件に該当するか否かが一見して分かりにくいようなものを捉えることになる」。この観点からするとみたいな話でピックアップしてくるというイメージです。
○山本(敬)座長 今の御提案について、もし御異論があるようでしたら御発言をお願いしますが、いかがでしょうか。
山本健司委員。
○山本(健)委員 原案と実質的に内容が変わっておらず、かつ、よりわかりよい文章という方向性からの御意見であり、問題ないのではないかと思います。
以上です。
○山本(敬)座長 ほかに御意見があればと思いますが。
後藤巻則委員。
○後藤(巻)座長代理 私も沖野委員の御提案の方向で問題ないと思います。よりわかりやすいということで言いますと、10ページの1行目の「そのような契約条項としては」というところです。先ほどから、1個だけ例を挙げるということに関して違和感があるという趣旨の御発言がありまして、これは現時点で考えられるものの一つであるということなので、1つというと、また2つや3つはどうして出さないのだという話になりますので、むしろ少し漠然としていますが、「そのような契約条項の例として」という、「の例」という2文字を加えるということが考えられるのではないかと思います。
○山本(敬)座長 新たに御提案がありましたけれども、御意見があればお出しいただければと思います。いかがでしょうか。
いずれも内容を変えるというものではなく、実際に行われることの意味をより明確に表現しようという意図からする御提案だと理解されますが、いかがでしょうか。
それでは、表現につきましては、一度休憩をとらせていただいて少し詰めた上で、新たに案をお示しして御検討いただくことにさせていただきます。ありがとうございました。
それでは、大澤委員、2点目をお願いいたします。
○大澤委員 結構根本的な話でもないかなと思ったのですが、どうしても気になるので意見を申し上げます。
2ページです。最初の話になりますけれども、一番下、注の直前のマル1、マル2、マル3ですが、これはもうちょっと表現を工夫できないかということで、提案をさせていただきます。というのは、これは率然と、事前説明のときにも少し申し上げたのですが、「解釈の明確化で一定の対応ができるものは、解釈の明確化を図る」、ここに非常に違和感があります。と言いますのは、本来、解釈がある程度明確であるということであれば、条文にすればいいじゃないかという疑問が出るのではないかと思いますので、これは明確化ということなのか。恐らく明確化という言葉の使い方で、このマル1、マル2の文章は誤解を呼ぶのではないかと思っています。
ですので、次のように修正してはいかがでしょうかという提案です。
まず、マル1ですけれども、「解釈や法改正に争いはあるものの、有力な解釈を示す必要があるものについては、解釈の明確化を図る」。恐らくそういう趣旨ではないかと思います。「解釈の明確化を図る」というところは、含意していることというのは、従来、この数週間、ここでも問題になっている、いわゆる逐条解説などで明確にするかどうかということを含意しているのではないかと理解していますけれども、そういうことであれば、解釈や法改正に争いじゃなくても、複数の考え方があるでも構わないと思いますが、「有力な解釈を示す必要があるものについては、解釈の明確化を図る」ではないかと思います。
マル2は、「現行規定の解釈だけでは対応できないものは」ではないかと思います。その後ろはそのままでいいと思います。「現行規定の解釈だけでは対応できないものは、規律の明確化に留意しつつ」ということで、そのマル2の「解釈の明確化」は要らないのではないかと思います。これが提案です。
その上で、マル1、マル2の順番ですけれども、マル1が先に来ているということに少し違和感がありますので、本来であればマル2、マル1の順番に、要するにマル1とマル2、逆なのではないかと思います。
もう一つですが、これは第3にかかわるので、後で申し上げようと思っていますが、マル1、マル2とマル3の分類の関係が少しわかりにくいかなと思っています。つまり、マル1とマル3は確かに少し色の違いがあるというのは、これはわかります。マル1のほうは、有力な一つの解釈を今回示すのだということで、マル3はそこまでのコンセンサスも得られていないというものだと整理することができると思うのですが、この点は、後で第3のところでも申し上げたいと思いますけれども、第3の書き方とマル3の書き方は、適宜、相互に見直していただければと思います。
以上です。
○山本(敬)座長 事務局のほうからお願いいたします。
○事務局 このマル1、マル2、マル3の記載ぶりについては、先ほど大澤委員からおっしゃったように、また事前にも御意見をいただいていますが、この点はほかの委員からも御意見を頂戴して、その御意見を反映して書いているところではございます。その上で申しますと、日本語的な問題はあるかもしれませんが、趣旨としては既に示せているのではないかと考えております。
○山本(敬)座長 少し確認させていただきたいのですが、マル2をどのように修正するという御提案だったのでしょうか。先ほど伺った限りでは、「解釈の明確化だけでは対応できない」という部分を、「現行規定の解釈だけでは対応できない」とすることをおっしゃったように思いますが、そのような趣旨だったのでしょうか。違和感があるというのは「明確化」という表現なのでしょうか。
○大澤委員 はい。すなわち、このマル2に「明確化だけでは対応できない」。意味は確かにわかりますが、これは読み方によっては、解釈がよくわからないというか、あるいは「明確」というのがどういう意味を指すのかということですけれども、条文を読んでもよくわからないという意味なのか、それとも複数の解釈があってよくわからないという意味なのか、両方あり得ると思うのですが、仮に複数の読み方があり得るという場合に、なぜそこで思い切って規律をつくっているのかという、逆になぜそっちは規律をつくって、マル1は規律をつくらないのかとも読めますので、「現行規定の解釈だけでは対応できないものは」と、「明確化」はとったほうがいいのではないかと思います。
○山本(敬)座長 ふだん我々学者がしている作業からしますと、「解釈の明確化」は常にしているということかもしれません。そのような観点からの違和感かもしれませんが、恐らくここで意図されているのは、これまで解釈を示してきているのだけれども、それだけでは本来の趣旨が十分伝わっていない部分を、本来の趣旨がより伝わるように示すという意味での解釈の明確化だと私は理解しています。その意味では、「解釈の明確化」という言葉をどのように捉えるかという点についての、研究者の側からの違和感ということなのかもしれませんが、意図しているのは今、申し上げたとおりです。
むしろ、大澤委員のように、解釈に複数の考え方がある中で有力な解釈を示すと言われますと、そのようなことを必ずしも意図しているわけではないといわれるのではないかと思います。その意味では、前提としている「解釈の明確化」のイメージが少し食い違っているのではないかという印象があります。
もし大澤委員の御提案について御意見がありましたら、お出しいただければと思いますが、いかがでしょうか。
消費者庁からお願いいたします。
○消費者庁加納消費者制度課長 委員で御議論いただければと思いますけれども、私の理解としましては、まず解釈が明確であるものは立法すればいいじゃないかということは、必ずしもそうではなくて、解釈できるのだったら立法しなくていいというのが基本でございます。その意味では、マル1とマル2の順番は、こういう順番になると理解しております。
また、座長が先ほどおっしゃっていただきましたように、有力な解釈というのは何なのかというところは、それは明らかにしない限りは、修文されたときにどういう意味なのですかという疑問が出るのではないかと思います。
○山本(敬)座長 ほかに御意見があればと思いますが、いかがでしょうか。
よろしいでしょうか。解釈の明確化については、さまざまなところでさまざまな文脈でこのような言葉が使われていますが、ある観点からは違和感がある使われ方をしているという御指摘は理解できるところではありますけれども、ここで伝えようとしていることは、先ほど申し上げたような意味ではないかと思います。よろしいでしょうか。
それでは、御異論の余地はあるかもしれませんが、マル1、マル2、マル3の書き方については、原案どおりとさせていただいてよろしいでしょうか。趣旨は、今のやり取りで明確になったと思います。
それでは、ほかの点について御意見がありましたら。
古閑委員。
○古閑委員 4点ございます。
まず、1点目ですけれども、4ページ、「重要条項」のところです。こちらについては、これまでの専門調査会の議論の中で、消費者の動機一般を言うものではないという点は確認がされていると思います。
にもかかわらず、Aという事実があったためにBという契約をした場合において、Bという契約をするかどうかの必要性が、客観的に社会通念上、必ずしも当然のものではなく、個人個人、または個別ケースにおいて事情が異なるような場合もあると思いますけれども、そういったものまで「必要とする事情があった」と認定されてしまうと、動機を含んでしまうのと同じことになってしまうと思います。
なので、その点はこの報告書にももう少し趣旨を出していただきたいなという要望でして、その後、法案とか逐条解説が作成される際にも、その点に注意を払っていただけないかというお願いが1点目でございます。
○山本(敬)座長 今の点について、事務局からお願いいたします。
○事務局 報告書という観点ではございますけれども、今のところに関係しますと、4ページの中段あたりですけれども、「このような事情を踏まえ、法第4条第4項所定の事由に、消費者が当該消費者契約を締結する必要性を基礎付ける客観的な事実関係として」、これを追加して列挙する。これは、もとの資料でもそのような形になっていましたので、そこはそういう形で記載しているということでございます。
○山本(敬)座長 この点については、この場で余り言うべきではないのかもしれませんが、私なりの理解を少し申し上げさせていただきますと、「消費者が当該消費者契約の締結を必要とする事情に関する事項」とされていることの意味をどう理解するかという点について、今、事務局からも御指摘がありました4ページの中ほどに、「消費者が当該消費者契約を締結する必要性を基礎付ける客観的な事実関係」がこれに当たるとされていて、古閑委員が懸念されているような、いわゆる動機一般がここに入ってくるものではないということだったと思います。
この「必要」というのがどのようなものかといいますと、一般的に言えば、何かのためにこれが必要であるということでして、目的を達成するために手段が必要であるということだと思います。ここで「手段」と言いますのは、言うまでもなく、当該消費者契約を締結して履行してもらうということです。
ここで問題にしているのは、この必要について誤認が生じるのは一体どのような場合かということだと思います。
これは2つパターンがありまして、1つは、目的には誤りはないけれども、その目的を達成するために、この手段が必要ではないという場合です。これまで挙げられている例ですと、家の床下がシロアリに食われているというので、シロアリを駆除するために、この薬を使って駆除するという契約を締結した。しかし、その薬ではシロアリを駆除することはできないという場合がそれに当たります。この場合、シロアリを駆除するという目的に誤りはない。しかし、その目的を達成するために、この契約を締結して履行してもらっても何の役にも立たない。だから、必要ではないということです。
しかし、これは、この目的の達成に手段が必要ではないということですので、手段の質が十分ではない。つまり、契約の目的物などの質に関する誤認で、これは現行法の4条4項1号で既にカバーされているものだと思います。
それに対して、もう一つ考えられるのがこれですが、目的を達成するために手段が役に立たないというのではなくて、目的そのものが誤りだった。だから、この契約を締結する必要はなかったという場合です。先ほどの例ですと、家の床下がシロアリに食われていないのに、シロアリを駆除するために有効な薬を使って作業してもらう契約を締結する。これはシロアリがいないわけですので、シロアリを駆除するという目的そのものが誤りだったという場合です。これは、先ほどの目的物などの質に関する誤認には当たらない。したがって、現行法ではカバーされていない。それをカバーしようというのが、この4ページの提案だと思います。
先ほどから目的と言っていますけれども、これはある事実を前提にするものでして、例えば現に不利益があるという事実を前提にして、その不利益を回避することが目的である。この目的の前提にある事実がそもそもなければ、およそこの契約を締結する必要はない。このような目的の前提に置かれた事実、例えば現に不利益があるという事実が、この4ページの中ほどで「消費者が当該消費者契約を締結する必要性を基礎付ける客観的な事実関係」とされているものでして、この点について誤認がある場合をカバーしようというのが、この4ページの提案ではないかと思います。
報告書の記載は、私はこれでよいと思いますけれども、その記載の意味内容がよりよく理解されるように、今後、逐条解説等で説明する際に検討していただければよいのではないかと思います。何度も言いますように、4ページの中ほどの意味は、古閑委員が懸念されているようなものではなく、目的の前提にされている客観的な事実関係を指そうとしているということだと思います。
長くなってしまって、大変申しわけありませんが、以上です。
よろしいでしょうか。
それでは、2点目をお願いいたします。
○古閑委員 ありがとうございます。1点目は、懸念がちゃんとカバーされているということなので、了解いたしました。
2点目は、合理的な判断、5ページです。ここは、背景事情は(1)あたりに書かれておりますが、この過量のところについて、当該消費者が当該過量契約の締結を必要とするかどうか、合理的に判断することができない特別の事情があるというのが大前提だと思います。それが今、要件として事業者が何を知っているのかということで、2点挙げられていると思いますけれども、その部分というのは、先ほど申し上げた当該消費者が当該過量契約の締結を必要とするかどうか、合理的に判断することができない特別の事情があることということも知っているということが前提なのであれば、それも加えることを検討できるのかどうかというのを、お聞きしたいと思いました。
○山本(敬)座長 今の御質問ですが、5ページの一番上の6行分の提案が書いてある部分で言いますと、1行目からですが、「過量契約に当たること及び当該消費者に当該過量契約の締結を必要とする特別の事情がないことを知りながら」とありますが、これをどのように修正するのが適当であるという御提案だったのでしょうか。
○古閑委員 この2つはこれでいいと思うのですけれども、あとは、この背景事情に書かれている内容。つまり、「当該消費者が当該過量契約の締結を必要とするかどうかを合理的に判断することができない特別の事情があること」という趣旨も加えることができるのであれば、明確になるかと思った次第です。
○沖野委員 どこにどう加えるかを教えていただいたら、一層明確になると思うのですが。
○古閑委員 5ページの5行目に「ことを知りながら」とあるのですけれども、この「こと」の後ろに「及び」と入れて、「当該消費者が当該過量契約の締結を必要とするかどうかを合理的に判断することができない特別な事情があること」という、背景で書いていただいていることも加えられないかどうかという点でございます。
○山本(敬)座長 それでは、消費者庁のほうからお願いいたします。
○消費者庁加納消費者制度課長 このような規定を設ける趣旨は、古閑委員がおっしゃっているとおりであります。5ページの2の冒頭に書いてありますが、大体こういった規律の内容というのを想定しておりまして、今の御提案の「合理的に判断することができない事情がないことを知りながら」となりますと、その合理的な判断とはどういうものかという話になっていくのではないかという気がいたしますので、そこの内容が何なのかというのが明らかにされないといけないのかなという印象を持ちました。
○山本(敬)座長 古閑委員。
○古閑委員 条文にというよりは、この報告書の中には「合理的な」という言葉が出てきているので、それをそのまま使えるのかなと思いましたが、それは難しいということでしょうか。
○山本(敬)座長 消費者庁からお願いします。
○消費者庁加納消費者制度課長 冒頭のところに置くのであれば、ここはそういった規定を設けると理解しておりますけれども、規定の内容としてどういうものがあるかというものではないかと思います。
○山本(敬)座長 冒頭部分と説明部分の仕分けの基準は、今、述べられたようなところである。その意味では、冒頭部分に入れるというよりは、説明部分で述べられるものであるというお答えだったと思いますが、よろしいでしょうか。
○古閑委員 わかりました。では、そのニュアンスで、今後、法文等がつくられるようにお願いしたいと思います。
次ですけれども、8ページに2つ、不当条項の10条についてありますけれども、そのうちの1つ目、解除権をあらかじめ放棄させる条項を無効とするという件は、典型的な例で、事業者がこれを見て心配しているものとして、セール品につき解除不可、キャンセル不可といった記載がよくあると思いますが、これが無効とならないように、「ただし、当社に債務不履行がある場合を除く」といった内容を忘れずに加筆しなければならないのではないかという懸念が多く出ているように見受けられます。
この点、仮に条項が無効になったとしても、消費者は債務不履行の規定に基づく解除権と、瑕疵担保責任の規定に基づく解除権以外の解除権を得ることにはならないと思いますが、そういう理解でよろしいようであれば、法律のたてつけは、全ての中小事業者も含めて事業者がきちんと理解するというのは難しいことなので、そういった懸念の払拭のためにも、その旨も報告書に明記していただけると混乱が少なくなるのではないかと思いますが、その点はいかがでしょうか。
○山本(敬)座長 消費者庁からお願いします。
○消費者庁加納消費者制度課長 このマル1の条項によって、当該条項が無効になった場合にどうなるかという点は、古閑委員のおっしゃるとおりでありまして、特段、別途の解除権を消費者が取得するというものではないと思います。これは、消費者契約法とは、そもそもそういうものだということで、言うならば当たり前の話だと思いますけれども、それを報告書の中であえて書くかどうかというところは、また御議論いただければよいのではないかと思います。
○山本(敬)座長 問題の性格としては、この条項のみの問題ではなく、10条を含めて全てに当てはまることでして、当該条項が消費者契約法上無効になった場合についてどうなるかといいますと、全部無効になれば、その部分は条項がない状態と同じことになりますので、任意規定等が適用されることになります。ですから、解除に関しても、任意規定である債務不履行解除、現行法では瑕疵担保解除の規定の要件を満たせば、その解除権が認められることになる。これは、消費者契約法だけではなく、民法も含めてかもしれませんが、当然の前提であるということが今の消費者庁からの御説明でいう「当然のことである」ということの意味だと思います。
ここだけの問題ではなく、全てに妥当している、現行法にも妥当している事柄なので、わざわざ書く必要はないのではないかというお答えだったかもしれませんが、明確にしたほうがよいという御意見があるようでしたら、お出しいただければと思いますけれども、いかがでしょうか。よろしいでしょうか。趣旨は古閑委員がおっしゃっているとおりですので、それが周知されるように努めるということではないかと思います。
○古閑委員 ここが一番御懸念されているところが多いかなと思ったので、あえてと思った次第ですけれども、議事録には残ることですし、確かにここだけなぜ当然のことを書くのかというのもあろうかと思いますので、承知いたしました。
最後、4点目ですけれども、同じく不当条項のマル2です。前段に例示を入れるという件ですけれども、民法526条2項というのがあり、これによれば「申込者の意思表示又は取引上の慣習により承諾の通知を必要としない場合には、契約は、承諾の意思表示と認めるべき事実があった時に成立する」という規定ですけれども、例えばその範囲のものに該当するのであれば、消費者の不作為をもって当該消費者が新たな契約の申込み又は承諾の意思表示をしたものとみなす条項だとしても、不当条項に該当することにはならないという理解でおりますが、まずこの点がその理解でよろしいのかどうかを確認させていただければと思います。
○山本(敬)座長 それでは、消費者庁からお願いします。
○消費者庁加納消費者制度課長 御質問の趣旨、ちょっとはかりかねるところがあるかもしれませんけれども、526条2項はいわゆる意思実現の規定と言われているものだと思います。「認めるべき事実があった時に契約が成立する」と言っているものでございまして、意思表示の擬制条項とはまた別の規定ではないかと思います。
○山本(敬)座長 これはどのように理解されている規定かといいますと、意思表示とは、意思があり、それを表示するということがその構成要素になります。したがって、表示がなければ、そもそも意思表示がないことになるはずです。この526条2項は、意思はあるが、表示がない。しかし、表示があったのと同様のものとみなすという場合でして、あくまでも意思がある場合を前提にした規定です。
現在問題になっている擬制条項に関しては、その含意としては、意思もないし表示もない。けれども、意思表示があったものとみなされるというものが対象になっているのではないかと思います。その意味では、526条とは問題にしている場面が違うというのが今の消費者庁からの御説明の補足ということになります。
○古閑委員 わかりました。
では、526条2項は済みません、もういいのですけれども、意思はあるのだけれども、それが黙示的に認められるような場合ということで正当に取引されているものというのは、たくさんあるのではないかと思います。そういうものが全て該当するというわけではないのであれば、要はちゃんと意思があって、黙示的にそれが認められているので取引が成立しているというものが、これに該当するわけではないということなのであれば、そこの誤解がないように、報告書上でも明確にしていただけないのかなと思います。
注12あたりを拝見しますと、そんなに広いものを想定しているわけではなかろうということは考えられるのですけれども、一般の予見を超えてといったことなのかなと思いますので、そういったニュアンスが報告書上にもあらわれると誤解がないかなと思いますし、あとは、法案とか逐条解説の作成の際にも、その点を十分に御配慮いただきたいと思います。
以上です。
○山本(敬)座長 消費者庁からお願いします。
○消費者庁加納消費者制度課長 今の御質問で古閑委員の問題意識、大体理解したつもりですけれども、黙示の意思表示がある場合は、この規律の対象ではありませんので。
○山本(敬)座長 黙示の意思表示があるような場合であれば、もちろん、この条項があるかどうかにかかわりなく、その意思表示の効力は認められる。これは間違いないわけですけれども、黙示の意思表示があるという証明を要することになるかどうかという点で、少し差が出てくるかもしれない。その点をどう考えるかという御指摘だったかと思います。
それでは、山本健司委員。
○山本(健)委員 報告書の5ページ部分につき、古閑委員の2つ目の御意見との関係で、念のため確認させていただきたいと思います。この報告書のとりまとめ内容についての確認です。
今回の報告書の御提案では、事業者の認識対象は過量契約に当たること及び当該消費者に当該過量契約の締結を必要とする特別の事情がないことの2点であるとされており、それらがいずれも特商法に存在する概念なので既存の概念を利用できる、適用範囲の明確化を図りながら消費者被害の救済を図れる、これが今回の報告書の御提案内容の趣旨であり、かつ、すぐれているところであると思います。したがって、事業者の主観的要件として、この2点以外の要素を加えるとか、特に概念が明確でないような要素を加えるとかいうのは、今回の報告書の内容とは違うと思います。また、そのような要素を加えることには反対です。今回の報告書の内容と趣旨をしっかりと生かした立法と解説をしていただきたいと思います。
○山本(敬)座長 ありがとうございました。
ほかに。丸山委員。
○丸山委員 今の点に関連してですけれども、5ページになります。
提案されている要件について、異論はないのですけれども、少々確認したかったのは、ここでの事業者の認識の対象に関連してですが、事業者が消費者に商品を勧めているプロセスで、過量契約の締結を必要とする特別の事情があるかないかといった情報までは知ることができなかった。つまり、善意なのですけれども、判断能力の低下があるということは明らかにわかっていて、過量販売を勧めたという事例というのは、特別の事情の存在については善意であったとしても、判断力の低下があれば、不要であっても買っている可能性は高いので、善意であることについて過失や重過失は認定できると思うのですが、そういった場合については取消しというのは認められる可能性があると考えてよいのでしょうか。
○山本(敬)座長 消費者庁からお願いします。
○消費者庁加納消費者制度課長 この規定では、ちょっと難しい。一般法理に委ねるものではないかと思います。
○山本(敬)座長 よろしいでしょうか。
それでは、後藤巻則委員。
○後藤(巻)座長代理 基本的には先ほど山本健司委員が御発言した内容に賛成ですし、それから報告書の内容をどこか修正するということも必要ないと思いますが、少し気になる点があります。
先ほど古閑委員が2番目に御発言なさった内容で、「合理的な判断をすることができない事情を利用して契約を締結させる類型」ということですが、この専門調査会の議論でも、「合理的な判断をすることができない事情を利用して契約を締結させる類型」として議論されてきていますが、最終的にこの資料2で出されている四角で囲んだところを見ると、これは古閑委員が問題とされたところですが、「合理的な判断をすることができない事情を利用して契約を締結させる」という状況が、少なくとも文言の中に入ってきていないことになりますので、今後、法文化されるときにどういう形で法文化されるのか。
それから、1条には、新しくこの類型についての取消しを認めるという規定が恐らく入っていくのではないかと思いますけれども、そういう場合の位置づけというのは少し気になるところです。端的に申し上げますと、資料2で四角で囲んであるのは、その姿から見ると、「合理的な判断をすることができない事情を利用して契約を締結させる類型」という呼び方よりも、むしろ過量契約による取消しという言い方のほうが、ここに書いてある内容だけ見るとふさわしいということになっていまして、いろいろな要件を明確化して、現在安定して規定できるところを規定するとこういうふうになるということで、そしてその要件等についても、山本健司委員がおっしゃったところに私は賛成します。
けれども、位置づけとして、もともと合理的な判断ができるかどうかということを問題としていて、最終的に取り出されたのが過量契約の取消しということでありますので、これをどんな呼び方をするかとか、1条でどういう位置づけをするかということにも、今後の話でありますけれども、配慮していただけたらと思います。
○山本(敬)座長 問題提起をしていただき、ありがとうございました。
ここでの当面の課題としては、報告書の案がこのような形で示されていますので、それについて修文の必要があるかどうかが主たる課題だと思います。その意味をどのように理解していくかという点については、今、御指摘のように難しい問題も生じてきますし、そして、1条を改める必要があるのか、ないのかということも検討課題になってくるかもしれないとは思いますが、差し当たり、この5ページから6ページに関する事柄としては、先ほど古閑委員とのやりとりでも、この案の修文を求めるというよりは、その理解を踏まえて、今後どのような説明をしていくかということに関わるものだったようにと思います。
今の後藤巻則委員は、5ページの一番上の表題部分を変えたほうがよいという御提案だったのでしょうか。
○後藤(巻)座長代理 いや、むしろこの表題部分は、今までの議論の経過から言うと残すべきであって、報告書自体は修正する必要はないと考えております。
○山本(敬)座長 わかりました。経緯は、今、後藤巻則委員が御説明いただいたとおりでして、趣旨も、「合理的な判断をすることができない事情を利用して契約を締結させる類型」を対象としようとした。その明確化ができる一つの類型として、この冒頭の6行の提案がされているということで、それは既に報告書にも明らかになっている事柄ではないかと思います。
それでは、ほかに特に修正の必要があるという部分について御意見があればと思いますが、よろしいでしょうか。
(3)意見交換(「第3 上記以外の論点」・「おわりに」について)
○山本(敬)座長 それでは、次に、「第3 上記以外の論点」と「おわりに」の部分を対象とします。この点について御意見、御質問のある方は御発言をお願いいたします。いかがでしょうか。
沖野委員。
○沖野委員 いずれも簡単なことなので、「おわりに」を含めて3点ですけれども、1つは「執拗な電話勧誘」のところです。12ページになります。
中身ではないのですけれども、注13に新たに電話勧誘以外の執拗な勧誘についての話が注記されております。これは、むしろなお書き本文ではないのかという気がしたものですから。他の注は、引き続き検討する事項についての細目を示すといった注であったり、説明の補足とかであって、それらからすると、この注はやや異質なように思われます。ただ、タイトル自体は「執拗な電話勧誘」についてのものですので、そこで、なお書きで段落を変えて本文に上げていくような性質のものではないのかなというのが1つです。
○山本(敬)座長 事務局のほうからお願いいたします。
○事務局 この点は、先ほどの説明の際も少し申し上げたのですけれども、執拗な電話勧誘ということで、沖野委員がおっしゃったようにこれまで議論されておりました。ただ、前回、事前説明等で委員から御指摘があった中で、限らない執拗な勧誘というのも今後、検討対象としてあるのではないかということでした。そういう意味では、テーマとして挙げて中心として議論したわけではなかったために、この括弧に入れるというよりは、むしろ外出しにして、今後の検討課題として示したといった整理でございます。
○山本(敬)座長 よろしいでしょうか。
○沖野委員 審議の経過からこの位置づけであって、重要度を切り分けているものではないと理解しました。
○山本(敬)座長 では、2点目をお願いします。
○沖野委員 これも小さなことなのですけれども、「その他の論点」の16ページで、5条1項に言う「媒介」の意義というのが書かれているのですけれども、この話はむしろ13ページの「5.第三者による不当勧誘」への対応の中では、「媒介」という一定の内容を持った用語を使うことが望ましいのかとか、あるいは5条の「媒介」の概念それ自体が必ずしも商法等の媒介とは同じではないという旨、趣旨を明確化していくということを解説で対応するといった話は、ここにもかかわってくるように思うのですが、分断されるよりも、こちらに「また」などとして書いたほうがよろしいのではないかと思ったのですが、いかがでしょうか。
○山本(敬)座長 事務局からお願いします。
○事務局 おっしゃったように、ここの整理をどうするかというのは少し考える必要があったところであるのですけれども、整理としては、このその他に挙げておりますのは、中間取りまとめの時点で一定対応が書かれていたものを取り上げていまして、「媒介」の意義の解釈についても、中間取りまとめの時点で一定の記載がありまして、それを受けるような形で第三者のところで議論されていたという形で、要は中間取りまとめを受けて、そのまま対応すると整理できるものを、この「その他の論点」として位置づけているということでございます。
○山本(敬)座長 よろしいでしょうか。
○沖野委員 この報告書は、中間取りまとめも経た上で、最終的な報告書として出されています。そのときに、この部分は中間取りまとめで検討済みだから、その他に落ちていますというのは、かえってわかりにくいような気がするのですけれども、いかがでしょうか。
○山本(敬)座長 よろしいでしょうか。
○事務局 整理の仕方にもよるのですけれども、このほかの、例えば10条の後段要件の解釈等も、そういった面がある部分ではあるのですけれども、なるべく中間取りまとめでの結論が出ている部分を生かすという観点で整理させていただいたところではあるところでございます。記載ぶりを少し御議論いただければと思います。
○山本(敬)座長 沖野委員。
○沖野委員 ちなみにですが、私自身は10条後段も前の10条のところに持っていったほうがいいと思っておりますけれども、この話自体が法改正を要するものと解釈とを分けているので、10条のほうは前に持ってくることができないために、こちらに来ているのかなと理解しておりました。
○山本(敬)座長 これらは引き続き検討するという項目であって、それをどのように表現するかということが問題になり、今後のベースにするという観点からは、中間取りまとめで示されたことは既にベースになっているということがこの16ページで示されているというのが事務局の理解です。しかし、同じことであれば、中間取りまとめを一々見なくても、この最終報告書を見ればわかるように書いたほうが、後の議論がしやすくなるのではないかというのが沖野委員の御提案と見ればよろしいでしょうか。
もしそのような御提案だとしますと、どのように書くことになるのでしょうか。これは問題ごとに仕分ける必要が多少出てきますが、少なくとも5条1項による「媒介」の意義に関しては、一言前に書いてよいのではないかという御提案でしょうか。
具体的には、13ページの「5.第三者による不当勧誘」の部分について、これが適切かどうかわかりませんけれども、最後の2行に、引き続き検討を行うべきであるということが出ていますけれども、その前、ないしは適当な箇所に「『媒介』の意義の検討も含めて」という一言が入ってよいのではないかという御提案と受けとめればよいのでしょうか。
○沖野委員 「『媒介』の意義の検討や、その解釈の明確化を図ることを含め」とか「とともに」ということを一言加えればいいのではないかと思いましたが、それでは、情報としては、むしろ中間取りまとめに飛んでいかないので問題だということでしょうか。
○山本(敬)座長 事務局からお願いします。
○事務局 全体の方向性を変えることになるので、少し検討させていただきたいと思います。ほかに波及的な影響が出ないかという点も考えなければいけないかと思います。
○山本(敬)座長 わかりました。
では、もう一点をお願いします。
○沖野委員 最後は「おわりに」のところですけれども、趣旨確認かもしれません。17ページの「おわりに」の本文の3行目に、解釈の明確化を図るとされている点も適切に反映するという点が、「改正法案が成立した場合においては」と書かれているのですけれども、改正法案が成立するかどうかにかかわらず、速やかにできるものは速やかにしたほうがいいのではないかと思っているものですから、3行目の「改正法案が成立した場合においては」という部分は削除したほうがよろしいのではないか。
また、削除した場合にも、例えば逐条解説への適切な反映の時期がいつかは、改訂の機会がないと適切な反映はできないわけなので、それは適時ですけれども、法改正が仮に動かなかったときに、これはずっとされないままかというと、それは一応切り離した問題ではないかと思われますし、またこれは本専門調査会としては、それはもちろんなるべく早くやっていただくということではないかと思われるのですけれども、いかがでしょうか。
○山本(敬)座長 もちろん、この「おわりに」の文章は、速やかに法案を国会に提出すると同時に、速やかに成立することが期待されているということを前提にした文章であるがゆえに、このような書き方になっているのではないかと推察しますが、事務局からいかがでしょうか。
○事務局 今、座長におっしゃっていただいたとおりでございまして、沖野先生自身にもおっしゃっていただいたところかと思いますけれども、「速やかに改正法案を国会に提出する」という形で続けておりまして、一番速やかに、解釈・解説が反映されるタイミングとしてはということで書いている趣旨でございまして、当然、改正法案が成立しなかった場合には、その解釈に対応しなくていいというところまで含意している趣旨ではありません。
○山本(敬)座長 沖野委員。
○沖野委員 趣旨が明快になれば、もうそれで結構です。
○山本(敬)座長 それでは、ほかに。
大澤委員。
○大澤委員 2点あります。
1点目は、14ページの「7.『平均的な損害の額』の立証責任」というところの(2)です。この(2)に書いてあることは、前回の会議でこういう方向でということだったので、これ自体には全く反対する趣旨ではないのですが、これは念のためというか、これも誤解を生まないかという心配を持っていまして、3条1項はあくまで契約締結時における情報提供ということで、努力義務として定められていますので、平均的な損害の額に関して事業者が消費者に対して情報を提供するよう努めなければならないと解される。この解釈自体に全く反対するつもりはないのですが、締結時では、厳密に言うとないので、これは単純に立証に必要な材料を提供するよう努めてくださいという趣旨だと思いますので、締結時ではない以上は一言書き加えたほうがいいのかなと思います。具体的には、14ページの下から3行目の「この」という文章が始まりますが、例えばその前に「平均的な損害に関する情報についても、事業者と消費者の間に格差がある以上」とか。要するに、平均的な損害に関する情報についても、当事者の間に格差がある以上、この3条1項の趣旨に照らすと、こういうことが解されるのではないか。
それを一言、この法3条1項の趣旨に照らすと、というところから、いきなり立証に関しても情報を提供しなさい、提供するよう努めなさいということは、もちろん意味はよくわかりますし、私もそういう方向でやっていただきたいのですが、あくまで締結時の情報格差を埋める規定だという理解もあり得ないわけじゃないと思います。要は、平均的な損害を立証するに当たって必要な情報についても格差があるので、この3条1項の趣旨も踏まえて、こういうふうに解すべきだと。これを一言入れてはいかがでしょうかというのが1点目です。
○山本(敬)座長 今の点について、事務局からお願いします。
○事務局 日本語的なわかりやすさのことだと思います。前に情報交渉力の格差がある。契約締結におけるという、「なお」から「である」までの規定と、その後ろのつながりということだと思いますので、検討させていただきます。
○山本(敬)座長 ただ、この書き方ですと、(2)の「なお」以下では、まず、3条1項の趣旨を解き明かしている。この趣旨に照らすと、「平均的な損害の額」が問題となった場合には、事業者は消費者に対して必要な情報を提供するよう努めなければならないと解される。おおむね趣旨はあらわされているのではないかと思うところではあります。強いて言えば、大澤委員の御指摘に照らせば、事業者と消費者との間で平均的な損害の額が問題となった「場合にも」というようなことなのではないかと思いましたが、そこまでする必要があるのかどうかということではないでしょうか。
○大澤委員 私も「にも」を入れてもいいですよというのを申し上げようと思っていたのですが、「には」ではなくて、「問題となった場合にも」ということにしたほうがいいのではないか。そういう趣旨です。文章が長くなっても、かえって読みにくいと思います。
○山本(敬)座長 よろしいでしょうか。では、そのように「は」を「も」に変えるということにさせていただきたいと思います。
それでは、もう一点をお願いいたします。
○大澤委員 もう一点は、先ほど沖野委員のお話されていたところの16ページのことですけれども、この16ページの「また」以下の位置づけがちょっとわかりにくいですね。その前の部分と「また」以下がどう違うのかということが、趣旨としては、これは中間取りまとめにおいて整理された論点のうち、この報告書で個別に取り上げなかったものについてということなのだろうと理解したのですが、それにいたしましても、15ページから16ページにかけて、2段落に分けて書いてあるということで、最初の「中間取りまとめにおいて整理された論点のうち『消費者概念』の在り方」とか、そういうのが列挙されているところと、もう一つ、「また」以下の段落の関係が若干わかりにくいかと思いました。
これも修文案が思いつかないわけですけれども、例えば同じく中間取りまとめでは掲載されていたものの、本報告書では取り上げていないということをもう少し明確にして。ここには、「本報告書に個別には記載されていない」と書いていますが、そのすぐ前に「中間取りまとめでは掲載されていたが」とか、済みません、いい案が思いつかないですけれども、要は15ページから16ページにかけて、2段落に分けて書いてあることの意味がもう少しわかるようにしてほしいということです。
それにつけ加えてですけれども、先ほど沖野委員がおっしゃっていた「媒介」の意義に関しましては、13ページにも入れてほしいという意見、これは私、全く賛成でございます。それはなぜかといいますと、ここの議論で、特にヒアリング以降の議論だったと記憶していますけれども、第三者による不当勧誘の類型を考えるときに、委託関係にない第三者はどこまで含めるべきかというときに、「媒介」という言葉をそもそも使う必要があるのかとか、あるいは「媒介」の意義を確認する必要があるのではないかという意見がここで複数出ていたと記憶していますので、論点が切り離されるようになるのは、ここの議論を余り適切には反映していないのではないかと思います。
例えば、16ページのところから「媒介」の意義を削除まではしなくても別に構いませんけれども、13ページにも、「例えば『媒介』の意義について」と一言つけ加えるとか、それは考えていただければと思います。
○山本(敬)座長 この「また」以下の部分の位置づけに関しては、先ほども議論したところですが、書かれていることは、8までの部分と切り離すというよりは、中間取りまとめにおける取りまとめ内容、及び本専門調査会の検討結果を踏まえた上でということで、とりわけ中間取りまとめにおいて取りまとめられた内容を考慮すべきであるということを示そうとしているというのが、もとの意図だったのではないかと思います。
その部分を前の部分に取り込むことは、もちろん考えられるところですけれども、そうしますと、中間取りまとめにおける取りまとめ内容を詳しくそこに書き込みませんと、この趣旨が実現できないことになり、かえって意図に反するおそれも出てきます。そこをどう勘案するかということが、事務局でも悩ましいところではないかと思いますが、いかがでしょうか。もちろん、今の趣旨が、そう言われればわかるけれども、こう書かれると、何か分断され、後ろに回されたという印象が残るという御指摘だったかと思いますが、それを必ずしも意図しているわけではなかったということではないかと思いますけれども、いかがでしょうか。
前の部分に取り込んだほうがよいとしますと、中間取りまとめの内容をそのまま張りつけることが現時点でできればよいですけれども、それはそれで、また御議論いただかなければならないことになるかもしれません。いかがでしょうか。
消費者庁からお願いします。
○消費者庁加納消費者制度課長 15ページから16ページの9はどういう書き分けかと言うのは、先ほど事務局のほうから御説明があったとおりと理解しておりまして、今回、中間取りまとめで一定の論点の整理をいたしましたが、その後、論点については一定のセレクトをした上で、個別論点を検討してきた。その検討してきたところについては、「その他の論点」以前のところで書いております。
この9は、中間取りまとめ以後の論点の検討の中で取り上げていないものについてはどうするのかということに対して、引き続き検討課題としていくものはこういうものがある。それから、解釈を明確化する必要があるものについては、こういうものがあるというのを確認的に書いているものでございましたので、あとはどれだけ今回の報告書に取りまとめてあらわすかという御判断ではないか。余りくどくど書くよりは、このぐらい簡潔に書くことでよいのではないかとも思われるところでありますけれども、先ほどの御議論をお聞きしておりますと、「媒介」のところとかについては、特にこういった理由があるから、前のほうにも追記したほうがいいということであれば、そこはまた検討の余地があるのではないかと思います。
○山本(敬)座長 今の御指摘を踏まえて、前に置いたほうがよいという御意見があれば、さらにお願いしたいと思いますが、よろしいでしょうか。
河上委員長。
○消費者委員会河上委員長 全体の枠組みとも関係してくるのですけれども、最初に「法改正を行うべき内容」という論点と、それから、それ以外の論点に分けてしまっている、その分類がいろいろな思いを呼んでしまうのではないかと思います。前回、パート1、パート2に分けて報告書をつくっていただき、それに応じて、パート1、パート2の答申書をつくるというやり方で行かせてほしいという話をしたときの私の思いは、それぞれの論点について、法改正を行う可能性というのは全ての事項についてあるという前提でございました。
その上で、なおかつパート1に分けたのはなぜかというと、現在の被害の状況に鑑みて、特に速やかに立法にかかっていただきたいというものについては、今の段階で意見がまとまるものについては提案してほしいという趣旨でございました。ずるずるとやっておりますと、パート1が出ているときに法案を審議する段階で、パート2をまだやっているのだったら、それが終わってからでもいいじゃないかという議論にもなりかねないと思いましたので、その意味では、特に速やかに法改正を行うべきとされる論点というのが一方であって、それ以外の論点という形で項目を出させていただいて、後半においては法改正の可能性あるべしということを考えていけば、そんなに前に置くか後ろに置くかという議論はしなくてもいいのかなという気がいたしました。
ですから、第2となっているところの表題の前に「速やかに法改正を行うべき内容を含む論点」、それから、それ以外の論点を3に持ってきていただくというぐらいで分けていただければいいのかなと思います。「おわりに」も同じように、まずは「速やかに法改正を行うべき論点」についてとして入れていただいたらどうかなと思いますが、いかがでしょうか。
○山本(敬)座長 今の御指摘は、第2及び第3の区別の趣旨を説明していただいたと受けとめますが、そのように理解すれば、最後の書き方に関しては、これでも理解できるのではないかという御指摘だったのではないかと思いますが、よろしいでしょうか。はい。
それでは、ほかの点について。
井田委員。
○井田委員 「7.『平均的な損害の額』の立証責任」に関してでございます。これは、書かれてある内容に特に異論はないのですが、この経過としては、引き続き検討を行うべきであるとなっていますので、この方向性について、もし今、お考えの点があればという質問です。
7では、「引き続き検討を行うべきである」ということの後に、具体的にはということで、検討に当たって考慮するべき事情が幾つか書かれています。これに対して、例えば「不利益事実の不告知」、12ページでは、「引き続き検討を行う」ということの後に、具体的にはこういう事項について検討するべきであるとはっきりしてある。
「平均的な損害の額」の立証責任につきましては、これまでも程度も議論してきましたが、その立証責任だけに拘泥すると、なかなかよりよい立法にならない可能性もあると個人的には理解しておりますので、検討の方向性として、従前、第10回の議論の中では、例えば裁判所による資料提出命令規定などを設けるとか、あるいは特許法104条2も参考して立法的手当てを考えるとか、必ずしも立証責任がどちらかということだけにとらわれない検討も、ここには含まれていると理解していいのかどうか、そこだけちょっと確認したいと思います。
○山本(敬)座長 事務局からお願いします。
○事務局 ここの書き方ですけれども、基本的には前回までの議論を整理したという位置づけでございまして、そういう意味では、この14ページでは検討を行うべきというところで、実際の裁判例における攻撃防御や訴訟指揮を踏まえるべきだという記載をしているのは、そういう趣旨もいろいろな手法として含意しているという議論であったのではないかということで考えております。
○山本(敬)座長 趣旨としては、そのようなことであるということでよろしいでしょうか。
事務局から。
○事務局 済みません。先ほどの御議論、修文の関係で確認させていただきたいのですけれども、最後のその他のところの「媒介」の意義等を前に持ってくるかどうかという御議論のところで、先ほど河上委員長のほうからおっしゃられた話ですと、第2のタイトル、「法改正を行うべき内容を含む論点」というのを「速やかに法改正を行うべき内容を含む論点」ということで修正するのであれば、これを前に持ってくる必要はないのではないかという御提案だったと理解しているのですが、そのような形でよろしいということでしょうか。
○山本(敬)座長 修文の御提案をされたということだったのでしょうか。
○消費者委員会河上委員長 前に持ってくる必要はないということ。
○山本(敬)座長 表題に改正を。
○消費者委員会河上委員長 「速やかに改正を行うべき」という形での修文をお願いしようと思いました。具体的には4カ所ございます。
○山本(敬)座長 趣旨は、これまでずっと前提にしてきましたように「速やかに」という意味合いが入っています。改正を提案する以上、どれも「速やかに」改正を望むということなのだろうと思いますが、しかし、今回はこのような2つの部分に分かれるということですので、その趣旨をより一層明確にしておいたほうがよいのではないかという御提案でした。
今のような修文をするということでよろしいでしょうか。
はい。では、そうさせていただきたいと思います。
事務局からお願いします。
○事務局 それでは、「速やかに」を入れるということと、「その他」のところの記載は前には持ってこないということにしたいと思います。
済みません、先ほどの4カ所というのを少し御教示いただけると。今の16ページ、17ページと目次自体ということでしょうか。御指摘いただけると。
○消費者委員会河上委員長 ほかにもあるかもしれませんが、目次の部分の第2の後ろ、それから4ページの表題のところ、そして16ページの1行目、17ページ「おわりに」の1行目です。
○山本(敬)座長 今、明確にわかっている部分は以上のとおりで、それらについては修文する。しかし、他に潜んでいる可能性もないわけではないので、もしそのようなものが見つかれば、それも手直しをするということで御了解いただければと思います。よろしいでしょうか。
丸山委員。
○丸山委員 修文の必要性はないとは思うのですけれども、確認と、お願いも含めての指摘です。「おわりに」の部分で、消費者庁においては、今後の審議に向けて裁判例や消費者相談事例について、さらなる分析をしていくとあるのですけれども、諸外国における法制や事例というものも、今後引き続き参考にしていただくという姿勢で行っていただけないかというお願いでございます。
とりわけ不当条項の領域などに関しましては、EU加盟諸国に限らず、アジアでも一定の法展開があるところです。そういったグローバル展開、グローバルスタンダード、グローバルイニシアチブといった観点も忘れずに、あるべき法制というのは考えていただければと思います。「等」というところには含まれていると思うのですけれども、今後、法制化するときの参考としては、諸外国の事例というのも見ていただきたいと思います。
以上です。
○山本(敬)座長 消費者庁から。
○消費者庁加納消費者制度課長 御指摘、受けとめてやりたいと思いますが、ここに書いておりますのは、中でも事例の分析等が最も重要であるという趣旨でございます。
○山本(敬)座長 河野委員。
○河野委員 今の丸山委員の御発言に関連しまして、消費者団体で国際消費者機構というのがありまして、4年に1回ずつ世界大会が開かれます。この11月にブラジルでその大会がありました。そこには700名以上の世界各国の消費者団体や行政関係者が集まったのですけれども、そこで今、丸山委員が御示唆してくださいましたように、さまざまな消費者の権利等に関する法律とか状況について意見交換をしました。そこで、日本では今、何が問題になっているのだということで、消費者契約法の改正と特商法の改正ということで、概要をお伝えしましたところ、日本でまだそんなことをやっているのですか、先進国であるのにもかかわらず、消費者を保護する法律がまだそんなに十分ではないということに驚かれるような発言もいただきました。
今、丸山委員がおっしゃってくださったような趣旨を、ぜひ行政のほうでもしっかりと受けとめていただければと思いますので、追記をお願いします。
○山本(敬)座長 ありがとうございました。恐らく研究者委員の方々は、同じような思いを持っておられるのではないかと思いますが、もともとの「おわりに」の書き方は、先ほどのお答えにもありましたように、そういったものは当然の前提であり、中でも今後、引き続き検討するのであれば、重要なものとしてこのようなものが挙げられる。これをさらに深掘りすることが不可欠であるということが述べられたのだろうと思いますが、国際的な動向は当然見ていかなければならないという御指摘で、それをどう受けとめるかということだろうと思います。よろしいでしょうか。
後藤準委員。
○後藤(準)委員 「おわりに」のところにも関係しますが、最初に2ページの上から11行目、「こうした社会経済状況の変化に起因する消費者被害に対し、法の実効性を確保する必要がある」というところと、「おわりに」のところで「幅広く周知活動を行うことが重要である」というたてつけになっていると思うのですが、最初の消費者被害に対してのところで、例えばどういった被害があるのかという啓発活動は、これまで十分なされているとは思いますが、より一層、この啓発活動をやってもらいたいという趣旨を含めて、「消費者被害に対し」の後に、例えば「消費者への啓発活動を一層推進するとともに、法の実効性を確保する必要がある」という文言を入れて頂きたい。
片や「おわりに」のところは、先ほど沖野先生からもありましたが、3行目の「また」以降のセンテンスの後段のほうで、「改正の内容とあわせて幅広く周知活動を行うことが重要である」となっているのですが、「幅広く」の前に「消費者・事業者双方に幅広く周知活動を行うことが重要である。」という文言を入れて頂きたい。
もう一つは、改めて言う必要もないのかもしれませんが、「改正の内容とあわせて」の「改正」の前に「消費者契約法について」とか、繰り返しになりますが、そういった言葉を入れて頂くと、事業者からは非常にわかりやすくなると感じます。
○山本(敬)座長 今の点はよろしいでしょうか。
○事務局 重要な御指摘かと思いますので、検討したいと思います。
○山本(敬)座長 ありがとうございました。
では、古閑委員。
○古閑委員 「おわりに」のところですけれども、先ほど海外の法制を踏まえてという御意見がありましたが、そういったある意味当たり前のことも含めてくるということであれば、お願いしたいのですが、業法との関係でダブルスタンダードになってくると負担が大きくなってきますので、業法との関係も配慮する必要があるという旨も入れていただけないでしょうか。
以上です。
○山本(敬)座長 事務局からお願いします。
○事務局 先ほどの海外の関係は、修文するという趣旨ではなく、「等」の中に入っていて、消費者庁もそれで取り組まれるという趣旨だったと理解しております。
○古閑委員 河野委員のほうからは、できれば入れていただきたいという御意見だったかなと思ったので、入れるか入れないか、最終的にどうなったのか、よくわからなかったので、意見させていただきました。
○山本(敬)座長 よろしいでしょうか。
それでは、幾つかの修正の御提案がありましたので、一旦休憩をとりたいと思います。
山本健司委員。
○山本(健)委員 済みません。修文を求める意見内容ではないのですけれども、2点、意見を申し上げたいと思います。
1点目は、具体例の紹介という点でございます。今回の報告書では、法改正を行う点と、法改正までは行わないけれども逐条解説で意味内容を明確化するという点があるとされております。一方、本報告書では、そのいずれについても、具体例の記載がないというとりまとめ内容になっております。報告書としては、これでよいと思います。特に修文までは求めません。しかしながら、一般の方にわかりやすいように、立法後には消費者庁の逐条解説において、具体例をぜひとも記載していただきたいと思います。それが意見の1点目です。
2点目は、少し戻って恐縮ですけれども、5ページの「合理的な判断をすることができない事情を利用して契約を締結させる類型」という表題部分の用語の使い方に関する意見です。もともと、中間取りまとめのときには、この表題名のもと、「事業者が、消費者の判断力や知識・経験の不足、心理的な圧迫状態、従属状態など、消費者が当該契約を締結するか否かについて合理的な判断を行うことができないような事情を利用して、不必要な契約を締結させた場合に、当該契約の効力を否定する考え方」というものが議論されていたと思います。結局、その後の議論の結果、今回の報告書では、過量販売という行為類型について法制化を図ろうということに議論が収束したという経緯であると思います。したがいまして、現在、この報告書に書かれております法制度の内容と表題名については、必ずしも名が体をあらわしていないという状態になっていると思います。つけ込み型不当勧誘というのが本来の検討対象であったところ、今回の報告書では、被害類型の一部である過量販売について法制化されるということであると思います。特商法では、過量販売について、表題名は、「通常必要とされる分量を著しく超える商品の売買契約等の申込みの撤回等」とされております。この報告書における論点名の表記としては、原案のままでいいと思うのですけれども、法制化していただくときには、表題部について、どのような表現が法制度の内容をあらわすものとしてふさわしいか、特商法の規定ぶりなどを参考にして、御検討いただきたいと思います。
以上です。
○山本(敬)座長 法制化する際には、条文構成をどのようにするかということも問題になります。これは、この場での議論で決められる事柄でもないという側面がありますので、このような御意見があったということを踏まえて、今後検討していただければと思います。
それでは、大変時間が押しておりますが、ここで一旦休憩をとりたいと思います。12時40分から再開したいと思います。
(休憩)
(4)修文案について
○山本(敬)座長 それでは、ただいまより議事を再開いたします。少し遅れてしまいまして、申しわけありません。
先ほどまでお伺いした御意見を踏まえまして、修文案をお示ししたいと思います。事務局から修文案について説明をお願いいたします。
○事務局 先ほどの御議論でいただきました修正点について、まず私のほうから口頭で申し上げます。今、印刷したものを準備しておりますので、後ほど委員の皆様のお手元には修文案というものをお配りしたいと思います。
まず、2ページの「第1 見直しの検討を行う際の視点」というところでございます。
ここの「また」の段落の1行前の「法の実効性を確保する」の前ですけれども、先ほどの後藤準委員の御指摘を踏まえまして、「消費者被害に対し、消費者と事業者の双方に対する啓発活動をいっそう強化するとともに、法の実効性を確保する必要がある」ということを追記したいと思います。
続いて4ページでございますが、冒頭の「第2」のところですけれども、先ほどの御提案で「速やかに法改正を行うべき内容を含む論点」ということで、タイトルを「速やかに」ということで修正させていただきます。この点については、目次のほか、法改正を行うべき論点というところで記載しているところには、事務局のほうで後ほど精査して「速やかに」というものを加えさせいただきます。
それから、4ページの(2)の前の「また」で始まる段落で、不利益事実の不告知ではなく、不実告知による取消しに限りという段落でございますが、この段落の最後の「列挙することとする。」の後に、先ほどの指摘を踏まえまして、「当該事項を、不利益事実の不告知による取消しとの関係でも、法第4条第4項所定の事由に追加することの是非については、不利益事実の不告知に関する規律の在り方と併せて、引き続き検討を行うべきである」という形で、引き続き検討すべきことを明記する形にさせていただきます。
次が不当条項の関係でございますけれども、8ページから9ページにかけてのところでございます。9ページで幾つかの修文案をいただきましたので、反映させていただきたいと思っております。
まず、9ページの(3)のアですけれども、「このうち、(a)原則として無効とする規定を設けるためには」というところで、ここについて「原則として無効とする規定」の後に「規定を法第10条とは別に設けるためには」ということで、「法第10条とは別に」という点を記載させていただきます。
今、修文案が来たようですので、お配りさせていただきます。
(修文案配付)
○事務局 お配りした修文案の9ページを今、御説明させていただいております。
こちらのイの「そこで」以下のところで、先ほどのさまざまな指摘を踏まえまして修正をさせていただいております。読み上げますと、「そこで」以降ですが、「現時点では、『一定の要件』は、法第10条の要件によることが考えられる。ただし、法第10条前段要件については、同要件に該当するか否かが一見して分かりにくい条項が有るため、契約当事者双方の予見可能性を高め、紛争を予防する等の観点から、そのような契約条項を法第10条前段の要件を満たす契約条項の一例として挙げることにより、要件の明確化を図ることが考えられる」という形で修正してございます。
それを、「すなわち」という形で後の文章に続くようにしてございます。
そして、10ページも文章が続いていますけれども、「そこで、そのようなデフォルト・ルールが明文の規定から必ずしも明らかであるとはいえない契約条項の例としては」ということで、ここも文章がつながるような形に修正してございます。これは、先ほど沖野委員等からいただいた指摘を踏まえた反映でございます。
次は、14ページの下の(2)のところで、先ほど大澤委員から御指摘いただいたところですが、「『平均的な損害の額』が問題となった場合にも」ということで、「には」を「にも」に修正しております。
それから、最後の「おわりに」のところでございます。3ページとなっていますが、17ページでございます。
冒頭、あるいは中段のところで、先ほど申し上げた関係で「速やかに」というのを修正して加えています。「まずは、速やかに法改正を行うべきとされた論点について」。
「また」の段落では、「本報告書で速やかに法改正を行うべきとされた論点以外の部分については」ということで、「速やかに」を入れております。
また、先ほど後藤準委員から御指摘いただいたところで、「おわりに」の最初の段落の最後のところで「逐条解説に適切に反映するとともに」の後ですが、「現行法の内容及び改正の内容をあわせて、消費者と事業者の双方に対して幅広く周知活動を行うことが重要である」という形で修正しております。
修文点は以上でございます。
○山本(敬)座長 ありがとうございました。
御意見を踏まえた修文案としては、ただいま事務局より説明した内容で御賛同いただければと思いますが、この点について、もし御意見があればお伺いしたいと思います。御意見あるいは御質問のある方は御発言をお願いいたします。
まず、古閑委員。
○古閑委員 先ほど10条のマル2の項において、黙示の意思表示がある場合には対象とならないということを確認させていただき、かつ、それを報告書にも載せていただくと誤解が少なくていいのではないかという趣旨の意見を述べさせていただきましたが、それを入れていただくことはできないのでしょうかというのが1つ目です。
2つ目は、済みません、この機会を利用して、休み時間中に質問を私に寄せていただいたものがあるのでそれをお聞きしたいのですけれども、先ほど不当条項のマル1のほう、セール品についてキャンセルお断りというところについて御質問させていただきましたが、これについて、単にセール品につき返品お断りという文言が並んでいるのはよく目にすると思うのですけれども、その文言しかなかった場合というのは、債務不履行や瑕疵担保に基づく解除を拒絶する趣旨ではないということで、無効にはならないという解釈でいいのかどうかという御質問を寄せていただいているので、その点について、この機会に質問させてください。
以上2点です。
○山本(敬)座長 事務局のほうからお願いいたします。
○事務局 前半の黙示の意思表示のところを報告書に追記するかどうかというところは、委員に少し御議論いただければと思います。
後段のほうは、中身のところですので、消費者庁で補足があれば。
○山本(敬)座長 では、消費者庁から。
○消費者庁加納消費者制度課長 古閑委員の2つ目の御質問でありますけれども、それは返品お断りの条項の趣旨によるのだと思います。返品お断りということを言っているのが、商品に瑕疵があったとしても一切返品等はないということであれば、この解除権の放棄に当たってくると思いますけれども、そうではなくて、瑕疵があるというものが、お客さんから申し出があったときには交換するということが含まれているということであれば、当たらないということではないかと思います。
○山本(敬)座長 それでは、黙示の意思表示に関する事柄について、報告書の中に何らかの記載をするという点について、もし御意見があればお出しいただければと思いますが、いかがでしょうか。
どうぞ、沖野委員。
○沖野委員 古閑委員の御懸念が非常に明確になって、ありがたいと思います。
ただ、黙示の意思表示があるときは、まさに意思表示があるときですので、ここで承諾等の意思表示をしたものとみなす、そういうものがないにもかかわらず、あるものとして扱ってしまうということとは問題が違ってくると思われます。むしろ、そういった御懸念がある事柄については、改正されたときの解説の内容の一つとして、そういうものは違う話だということが明らかにされるべき類のものではないかと思いますので、報告書に記載するのは、ほかとのバランスも考えますと、望ましくないのかなという印象を受けました。
○山本(敬)座長 山本健司委員。
○山本(健)委員 沖野委員と同意見です。
○山本(敬)座長 ほかに御意見があればと思いますが、いかがでしょうか。
もちろん、黙示の意思表示は、一般によく使われる、そして認められた言葉ではあるのですけれども、どのような場合に黙示の意思表示があるかということ自体、解釈の余地のあるものでして、それについて、何か明確なことを書き切れるかという問題も付随的にあるだろうと思います。少なくとも詰めた議論をする必要がある事柄ではないかと思います。
ほかに御意見があればと思いますが、古閑委員、よろしいでしょうか。
○古閑委員 黙示の意思表示という文言が確定的な概念がないので入れられないということであれば、その文言でなくても構わないのですが、今、事実上、黙示の意思表示と見てとれるということで、正当に行われている取引は世の中的には多くあると思いますので、先ほどもちょっと申し上げたとおり、例えば一般の予見を超えてとか、何か趣旨がはっきりするような文言を入れることはできないのでしょうか。
○山本(敬)座長 今の御疑問は冒頭部分に入れるということなのか、説明部分に入れるということなのか、どちらだったのでしょうか。
○古閑委員 せめて説明部分に入れていただければ、これは理解するのがなかなか難しい議論、要はいろいろな事業者に適用になる割には非常に難しい議論だと思いますので、理解が進むのではないかと思います。啓発を進めるというのを、さっき「はじめに」に入れるという議論がありましたけれども、まさにわかりやすいことを目指すということであれば、説明も少し丁寧にいただけたほうが理解は深まると思います。
○山本(敬)座長 山本健司委員。
○山本(健)委員 古閑委員の問題意識は理解できるのですけれども、ただいまの「一定の要件を満たす場合には」というのは、前段要件を満たした後の、後段要件の該当性の存否の問題ではないかと思います。
今回の前段要件の例示に該当する条項について、実際に10条で無効になるのかどうかについては、後段要件の存否という点が問題となると思われます。そして、後段要件を満たすかどうかは、個別具体的な事案によって変わり得るものであって、当該条項がどのような状況で、どのような契約書の中で使われているのかということによって、有効となる場合もあり得るでしょうし、無効となる場合もあり得るだろうと思います。個別性の高い問題であると思います。
また、10条前段要件の例示を満たす条項も、後段要件を満たさないと無効にはならないという点については、消費者庁の逐条解説に明記されると思います。その中で、個別具体的にこういうファクターを考慮する等とわかりやすく書いていただければ、前段要件を満たしても必ずしも無効にはならないとか、こういう場合に無効となるおそれがあるといったことは明らかになるのではないでしょうか。また、そういう形で対応していただくべき問題ではないかと思います。
以上です。
○山本(敬)座長 ありがとうございました。
ほかに御意見があればと思いますが、いかがでしょうか。
柳川委員。
○柳川委員 古閑委員の御懸念は非常にもっともな話だと思うのです。報告書の性格ということにもよるのだと思うのです。これが今の書きぶりですと、ここのところだけ特に詳しく書くのはいかがかという何人かの委員の話もよくわかるのですけれども、この報告書をこれでもって、ある種の事業者の側の方々にも御理解いただくということになると、今のような書きぶりだと、私も法律の専門家ではないので、これが本質的に何を意味するのかということが、この段階だとほとんど伝わらないというのは、かなり大きな問題だと思います。
これは、この段階において、これを大きく詳細に解説してくれということを、改めて修文としてお願いするのは無理があるのですけれども、議事録としては、この報告書だけで、これが一般に理解されるのは相当難しいということははっきり記載してほしいと思います。それをどういう形でやるのか、逐条解説でやっていただくのか、あるいはこれにもう少し解説文を別途考えていただくのかというのは、ちょっと御議論いただければと思うのですけれども、非常に影響が大きい法律の内容、しかもかなり法律の改正に踏み込んだ内容にもかかわらず、本質的に意味するところが何なのかということを多くの方がなかなか理解できないとすると、そこには大きな課題が残っていると思いますので、御検討いただければと思います。
○山本(敬)座長 山本健司委員。
○山本(健)委員 いただいた修文案を改めて読んで気づいたのですけれども、9ページで、「同条後段の要件を満たした場合にのみ無効とする」という記載が、原案には書いてあったのですけれども、修文案では削除になっているので、確かに文面上その点が明確になっていないという側面があるかもしれません。原案どおり、10条前段の例示に当たる場合でも、10条後段要件を満たした場合のみ無効となるということを明示的に書き込めば、今のような御懸念はなくなるのではないかと思います。修文するとすれば、そういう方法があり得るのではないかと思います。
以上です。
○山本(敬)座長 ありがとうございました。
今の御指摘の点は、9ページの(3)、イの4行目からの部分だと思います。「現時点では、『一定の要件』は、法第10条の要件によることが考えられる」。もちろん、ここで前段だけではなく、後段も含まれるということが示されているわけですが、言葉の上で「後段」という表現が出ていないので、先ほど山本健司委員がおっしゃったような趣旨が文字からは読み取れないという御指摘だったように思いますが、そうすると、そこの部分に「法第10条の前段及び後段の要件によることが考えられる」という書き方をすれば、後段でカバーされることが示されることになるでしょうか。これはいかがでしょう。
○山本(健)委員 修文案で削除になっているところの、10条前段要件の例示に当たる条項についても「10条後段要件を満たした場合のみ無効となる」という記載を明示的に記入すれば、よりわかりやすくなるのではないかという意見内容でございました。記載箇所は注記でも本文でもいいと思います。
○山本(敬)座長 わかりました。
その旨を明確に書いたほうがよいのではないかという御提案ですけれども、御指摘は既にもともとコンセンサスが得られていた事柄であって、それを報告書にどう書きあらわすかということですが、古閑委員、もしそのような修文がされるのであれば、懸念に対応する手がかりがここに示されると見てよいとなるでしょうか、それともまだ不十分ということでしょうか。
○古閑委員 山本委員が御指摘された「同条後段の要件を満たした場合にのみ無効とする」という言葉が消えていたのを私、ちょっと見落とししておりまして、ここはぜひ復活させていただきたいです。
それだけで十分かといいますと、先ほど柳川委員もおっしゃったとおり、法律家はこれを読めば何を言っているのか理解できるかと思うのですけれども、広く事業者に守ってもらうべきものとして、これがわかりやすいかというと、非常にわかりづらいと思うので、前段で例示されるものも、先ほどから申し上げているとおり、予見を超えるようなものが対象になるというニュアンスを、報告書上ではもう少し丁寧に説明していただいたほうがよいと思います。
○山本(敬)座長 大澤委員。
○大澤委員 恐らくその懸念というのは、「消費者の不作為をもって当該消費者が新たな契約の申込み又は承諾の意思表示をしたものとみなす条項」というところの「不作為をもって」というのがどういう場合のことなのかということが、わかりづらいということかと理解したのですが、余り大幅な修正をしない一つの方法としては、注12に典型的な例が書いてあります。要は、消費者が、不作為ですので、何もしていないのに意思表示をしたとされてしまう場合に、今回は限っているということだと思います。
と言いますのは、今の本文のところで一定の作為又は不作為をもって擬制する条項のうち、不作為に関して列挙するということなので、例えば注12に書いていることを、4の(4)の直前の本文で入れるとか、あるいは消費者が何もしていないのに意思表示を擬制されるような場合ですということを書けばいいのではないか。不作為ですので、黙示も何もやっていないという場面に限っているわけですから、それでもいいのではないかと思うのです。
○山本(敬)座長 ありがとうございました。
ほかに御意見があればと思いますが、いかがでしょうか。修文をどのようにするかということですけれども、今、出ている中では複数の案があるのですが、少なくとも10条後段要件を満たした場合にのみ無効になるということは当然の前提ですけれども、その旨が報告書の中に明記されたほうがよいという御意見がありました。この点はよろしいでしょうか。
入れる位置としては、一つの可能性は、イの第2段落の最後、「要件の明確化を図ることが考えられる」の後に注を入れ、「この場合でも同条後段要件を満たした場合にのみ、当該条項は無効となる」ということを確認的に書くというのが、比較的大きな工事をせずに、しかし、趣旨をあらわす一つの方法ではないかと思いますが、いかがでしょうか。
山本健司委員、それでよろしいでしょうか。
○山本(健)委員 賛成でございます。
○山本(敬)座長 よろしいでしょうか。
それでは、今、申し上げましたように、「要件の明確化を図ることが考えられる」の後に注10を置き、注10の中に、正確な表現は改めてお任せいただくしかないところはありますけれども、この場合であっても、「法10条後段の要件を満たす場合にのみ、当該条項は無効となる」という趣旨を書くこととさせていただければと思います。よろしいでしょうか。
その上で、もう一つの問題として残っているのが、今回、新たに前段要件の例示を挙げるわけですけれども、その前段要件が消費者の不作為を要件としている。その意味をどう理解するかという点については、大澤委員が指摘されているように、少し議論の余地があるのかもしれませんが、少なくとも黙示の意思表示があると考えられる場合に、そのような意思表示がされたものとするという条項は、必ずしも無効の対象となるものではないということを明確に報告書の中で書くか否かが、もう一つの争点でした。
ただ、書いたほうが、多くの事業者あるいは消費者にとって、何が無効になるか、あるいは有効になるかということを理解することができるきっかけになるという御指摘も一方ではありましたが、他方では、そのように明確に書き切れるのかという懸念があり、書いてしまうことによって、場合によっては誤解を生む余地もないわけではない。そうすると、そこは慎重に考えないといけないのではないかという趣旨の御指摘もあったように理解されます。その上でどうするのが望ましいのかという点ですが、さらに御意見があればと思います。
阿部委員。
○阿部委員 本当にわかりやすくできればいいのですけれども、まさに先生が御指摘のとおり、書き切れるのかというと、ちょっと無理があると思います。そういう意味では、ここは今のままでいくしかないかなと思います。
○山本(敬)座長 ありがとうございます。
古閑委員。
○古閑委員 この報告書の文言で、例えば定期購読の雑誌、1年が過ぎました。引き続き送られてきてほしいなと思っているのだけれども、何も意思表示しなければ引き続き送られてくるという事案について、それはこの不当条項に当たるのか、当たらないのかというのは、どの文言により、どういうふうに解釈したらいいのか教えていただけますでしょうか。
○山本(敬)座長 消費者庁からお願いします。
○消費者庁加納消費者制度課長 恐らく、それは不作為をした場合に講読継続とみなすという条項があった場合にどうなるかということだとしますと、不作為をもって、新たな契約、講読を申し込むという意思表示には該当するだろうと思いますが、その内容が信義則に反して消費者の義務を制限するものかどうかという判断として、内容にもよりますが、通常であれば、そういう判断にはならないのではないかと思います。
○山本(敬)座長 先ほどの山本健司委員の御指摘にありましたように、後段要件が当然にかかってくるのであり、少なくともそこで有効・無効が決せられる事柄であるという御指摘だったように思います。
いかがでしょうか。以上の点について御意見があればと思いますが。明確に誤解の余地なく書けるかという点については、私も非常に心配するところでして、少なくともこの場で議論して、すぐに答えが出るかというと、なかなか難しいところがあろうかと思います。しかし、大きな影響のある事柄であるという御指摘は先ほどからあるところですので、少なくとも有効となる方向、無効となる方向、あわせて典型例を逐条解説等でうまく説明していただく必要はあるだろうと思います。
もし御意見があればと思いますが、いかがでしょうか。
河野委員。
○河野委員 私も消費者ですから、どこまでわかっているのかという問題もあるとは思いますが、10ページの脚注12にこういう場合が想定されると書いてありますので、これを一つの例示として脚注という形に置いて、私は本文はこのままでいいと思います。
○山本(敬)座長 ありがとうございました。
少なくとも書き込むという方向でのコンセンサスがなかなか得られていないということではないかと思います。
河上委員長。
○消費者委員会河上委員長 私もきちんと要件を書き切る自信はないのですけれども、一般的に黙示の意思表示というのはこういうものですということを説明することができる言葉があれば、例えば契約締結過程あるいは取引の状況から見て、社会通念上、意思表示があったと見られるような場合とか、そういう書き方をして読み下せば、一般の人にはある程度わかるのではないかという気がするのですけれども、いかがでしょうか。それは、法律家として厳密に議論し始めると問題があるのですけれども、社会通念上というのはとても便利な言葉なので、もし書くのだったらそれぐらいかなという気がします。
○山本(敬)座長 山本健司委員。
○山本(健)委員 事業者の皆さんの御懸念も踏まえて、法律ができたときには、消費者庁の逐条解説で、どういう場合に当たる、どういう場合に当たらないと、なるべく明確に、具体例もあげて説明してくださいと、先ほど御要望申し上げました。この問題について、今この場で過不足がないような文言を詰めるというのは難しいのではないかと思います。この点については、今後、消費者庁で分析していただいて、逐条解説の具体例として御紹介いただくのが穏当ではないかと思います。
以上です。
○山本(敬)座長 ありがとうございました。
河上委員長、よろしいでしょうか。
○消費者委員会河上委員長 古閑委員のお気持ちに少しでも応えられればと思ったのですが、もし消費者庁のほうで具体的なQ&Aなどで書き下して、わかりやすい例を少しでも出していただけるということであれば、それで我慢していただければありがたいと思います。
○山本(敬)座長 ありがとうございます。
古閑委員、いかがでしょうか。
○古閑委員 私が個人的に我慢するかどうかという問題ではなく、これは世の中の事業者さんが混乱することなく運用するということが、ひいては消費者含め全員にとって大切なことだと思いますので、その観点で申し上げました。その観点からしてもなお、ここに書くのが適切でないという皆さんの御判断なのであれば、承知いたしました。
○山本(敬)座長 ありがとうございます。
ここに明確に書くことができればよいわけですけれども、それ自体、さまざまな解釈を呼ぶ余地のある言葉を書いてしまいますと、別の意味でまた誤解の余地が生まれることになるように思います。その意味では、これで終わりというわけではなく、今後、我々も含めてですが、この条項の意味についてさらに検討し、消費者庁のほうでも必要に応じて逐条解説で、より趣旨が伝わるような表現で説明していただくことをお願いできればと思います。
ありがとうございました。それでは、この会議では原案どおりとさせていただきます。
ほかについてはいかがでしょうか。
鹿野委員。
○消費者委員会鹿野委員 9ページですが、アの1行目に、先ほどの沖野委員の御指摘を踏まえて修文案が示されているのですが、改めてこれを率然と読むと、「原則として無効とする規定を法第10条とは別に設けるためには」と書いてあると、あたかも10条が「原則として無効とする規定」であるかのようにも見え、この「10条とは別に」ということの意味合いが曖昧になるような気がします。
先ほどの御指摘というのは、イの下の第2段落に書かれている「そこで」以下がどこにつながるかということを明確にするための御指摘だったのではないかと思いますけれども、今回の修文では、これも沖野委員が指摘されたところに基づいて、「一定の要件は」という文言が明確に書かれていることにより、この段落がもっぱらイのところに結びつくのだということは、既に明らかにされているのではないかと思います。そうであれば、アの1行目の「法第10条とは別に」という文言は、なくても済むし、むしろとったほうがわかりやすいのではないかと思いますが、いかがでしょうか。
○山本(敬)座長 御意見があればと思いますが、いかがでしょうか。
大澤委員。
○大澤委員 私が誤解しているかもしれませんけれども、沖野委員の御指摘の趣旨ですと、要するに新たに設けるということかと思いましたので、原則として無効とする規定を新しく設けるためには、まだ精査する必要があるということだとすれば、「法第10条とは別に」よりは、例えば「新たに設けるためには」というのはいかがでしょうか。
○山本(敬)座長 鹿野委員。
○消費者委員会鹿野委員 「法第10条とは別に」ではなくて、これを「新たに」という言葉に置きかえるということですね。それには異論はありません。単にこの言葉では別の疑念が浮かび上がってくるのではないかという心配でしたので、そういうことであれば私には異論ありません。
○山本(敬)座長 「別に」というものの意図としては、現在は8条、9条、10条とありますけれども、例えば9条の2などという形で設けるという御趣旨だったと思いますので、内容について争いはないのだろうと思いますが、「別に」にそれと異なるニュアンスを読み込む人がいるかもしれないので、それが心配であるということなのでしょうか。これ自体、確立した考え方があるわけではないですが。
鹿野委員。
○消費者委員会鹿野委員 今、座長がおっしゃった点とも関わりますが、この(a)はいわゆるグレーリストとして、原則無効だけれども例外的な場合に有効となるという条項に関する規定を設けるということだったのでしょうから、そういう意味では、従来の8条、9条、10条における、該当する条項を無効とするという規定とは違ったものを設けるという趣旨だったのではないかと思います。ただ、ここに「法第10条とは別に」と10条だけを切り出して書かれると、逆に誤解を招くのではないかと思った次第です。
先ほど10条という言葉をここに入れるような修文案を出されたのは、下のほうのイの第2段落のところが、10条の要件との関連で、(b)の方向性をさらに発展させ具体化するという考え方が示されているので、そことの違いを明らかにするような意味合いもあって、特に10条への言及をここに入れてはどうかという御指摘だったのではないかと私は理解しました。そこで、「新たに」という文言を入れてはどうかと思います。ご趣旨には私は異論はないのですけれども、ただ文章表現として、これが逆に誤解を招くのではないかという心配をしています。
○山本(敬)座長 いかがでしょうか。御意見があればと思いますが。
ただ、「法第10条とは別に」と書かず「新たに」というのは、どのように入れるという御趣旨だったでしょうか。
○消費者委員会鹿野委員 「新たに」というのは、先ほども申しましたように、8条、9条、10条には、今のところ、このようないわゆるグレーリストのような規定はないということです。
○山本(敬)座長 それはわかっています。文言として、どのように書くという御提案だったのでしょうか。
○消費者委員会鹿野委員 最初の私の提案は、「法第10条とは別に」という文言を削ってもいいのではないかという趣旨でした。その後、大澤委員が、ここに変えて「新たに」という言葉を入れてはどうかという御提案を出されましたので。
○山本(敬)座長 法10条を述べず、単純に「新たに」ということでしょうか。
○消費者委員会鹿野委員 はい。それについては、異論はありませんとお答えしました。
○山本(敬)座長 わかりました。ありがとうございます。
このような御提案が出ていますけれども、いかがでしょうか。
沖野委員。
○沖野委員 私が先ほど提案させていただいたのは、「法10条とは別に新たに設ける」という提案だったのですけれども、今の御懸念があるということを踏まえますと、「新たに」だけにするということで実質は変わりはないところです。一番懸念があるのは、例示されるものがおよそ不当性のないものだと読まれかねないということでして、そうではなくてという点をより強調するのが主眼ですので、事務局がせっかく修文を提案してくださったのですけれども、これを「新たに」という一言に変えるというので結構かと思います。
○山本(敬)座長 ありがとうございました。
それでは、この部分を「新たに」、つまり「法第10条とは別に」と書かず、単に「新たに」とのみ書くという御提案がありました。そのような方向でさらに修文するということでよろしいでしょうか。ありがとうございました。それではそのようにさせていただくことにいたします。
ほかにもし御意見等があればと思いますが、いかがでしょうか。
○後藤(巻)座長代理 別のことで。
○山本(敬)座長 後藤巻則委員。
○後藤(巻)座長代理 済みません、形式的なところですが、10ページの6行目で「契約条項の例として」というのを私の先ほどの発言で入れていただいたのですけれども、9ページのやはり修文されたところで、「契約条項の一例として」というのがありますので、そろえる意味で、私の「例として」というところを「一例として」と「一」を入れて、そろえていただいたほうが体裁がいいかなと思います。
それから、9ページのイの6行目ですけれども、「条項が有る」の「有る」というのが漢字なのですけれども、平仮名のほうがいいのではないかという感じがします。形式的なことで恐縮ですが、気になりましたので。
○山本(敬)座長 ありがとうございます。「有る」は平仮名にするということでよろしいですね。
「一例」で統一するという案でしたが、大澤委員。
○大澤委員 先ほどの後藤委員の趣旨であれば、「一例」じゃなくて、むしろ「例」で統一したほうがいいのではないかと思いました。
○後藤(巻)座長代理 私も、「一例」にするか「例」にするか、先ほど発言するときに迷って「例」にしたのですけれども、「一例」なのか「例」なのか。私としては、どちらかというと、1という数字が出ると、2や3はどうなのかということが出てくるので、結局同じことなのですが、それを避けるためには「例」のほうがいいかなということで、そういう意味では、9ページの「一例」のところを「例」に変えるほうが、統一の仕方としてはいいのかもしれません。
○山本(敬)座長 ありがとうございました。
それでは、「例」に変え、それで統一するということでよろしいでしょうか。どうもありがとうございます。
ほかに御指摘いただくことがあればと思いますが、よろしいでしょうか。ありがとうございました。
それでは、今の2点をさらにつけ加えた修文案として、御意見等ありましたけれども、その他の点について御異論はなかったと思いますので、この修文案で報告書を取りまとめたいと思います。
なお、てにをはなど表現面の形式的な字句修正については、座長である私に御一任いただきたいと思いますが、それでよろしいでしょうか。どうもありがとうございました。
それでは、閉会に当たりまして、私のほうから一言御挨拶を申し上げたいと思います。
この消費者契約法の専門調査会は、昨年11月4日、第1回会議から本日まで計24回にわたって議論を続けてきました。当初は本年8月に報告書を取りまとめる予定で、それを目指していましたけれども、重要な問題を多数取り上げることになりましたために、本日、クリスマスの日まで検討を重ねることになりました。私の不手際や配慮が行き届かない点が非常に多かったと思いますけれども、皆様の御協力によりまして、何とか報告書の案を取りまとめることができました。心よりお礼申し上げます。
諮問によりますと、少し確認させていただきますが、「消費者契約法について、施行後の消費者契約に係る苦情相談の処理例及び裁判例等の情報の蓄積を踏まえ、情報通信技術の発達や高齢化の進展を始めとした社会経済状況の変化への対応等の観点から、契約締結過程及び契約条項の内容に係る規律等の在り方を検討すること」とされていました。このような観点から、この専門調査会で検討した結果、本日の取りまとめの前半部分では、速やかに改正すべき事項についてコンセンサスを得ることができました。
これらの点については、今後、答申を経て、速やかに改正法案を作成して国会に提出していただくことになり、それをお願いするわけですけれども、国会での審議をしっかりと乗り切っていくためには、なお課題も残っているだろうと思いますので、委員の皆様を初めとしまして、ここにおられる皆様には、この法案の成立に向けて御支援、御協力をお願いしたいと思います。
また、本日の取りまとめの後半部分につきましては、大変残念なことに本日までに改正案についてコンセンサスを得ることがかないませんでした。私自身の力不足を痛感しているところです。しかし、これらの項目は確かに非常に難しい問題ばかりではあるのですけれども、先ほど確認した諮問に答える上では、避けて通ることのできない重要課題ばかりだと思います。言うまでもなく、本日で検討が終了するわけではなく、今後、さらに必要な立法事実等の精査を踏まえて、引き続き検討することになっています。その際には、何とか一定の方向性を見出すことができるように、そしてよりよい消費者契約法の実現を目指して、お力添えをいただければということをお願いしまして、私からのお礼の御挨拶とさせていただきます。
この1年余りの間、本当にありがとうございました。
それでは、これは本当に最後になりますが、河上委員長のほうから一言お言葉をいただければと思います。
○消費者委員会河上委員長 今日は本当にどうもありがとうございました。
消費者委員会というところがどんなにひどいところかということがおわかりだと思いますが、暮れの忙しい中、しかもクリスマス、お昼御飯も我慢して議論させるということで、大変申しわけないことでございました。けれども、おかげさまでこうやって第1次の報告書を取りまとめていただいたということで、心からお礼を申し上げたいと思います。
消費者契約法というのは民法の特別法でありますけれども、非常に射程の広い法律でありまして、論点も多い。しかも、抽象度が若干高いものですから、曖昧なところでは相当解釈上の難しい問題もあるということがございますので、大変御苦労をおかけしたのではないかと思います。しかし、おかげさまで、今日まとめていただいたということで、とにかくこの難しい会議のかじ取りをしてくださった山本敬三座長、後藤巻則座長代理には心からお礼を申し上げたいと思います。また、真摯に議論していただいた委員の皆様方にもお礼を申し上げたいと思います。これで報告書が固まりましたので、親委員会としても速やかに第1部の答申をまとめさせていただいて、法改正に向けた必要な作業につなげていきたいと思います。
引き続き検討課題とするものが相当出ました。これは、先ほど座長からもお話ありましたけれども、諮問に対する答申としては避けて通れない論点ばかりでございます。難しい問題が残されておりますけれども、引き続きパート2の部分についての議論をやっていかないといけないと考えているところであります。したがいまして、この専門調査会は、今日で閉じるというわけにはまいりません。申しわけございませんが、まだ開いた状態で、立法プロセスの中で若干タイミングを見計らって再開ということになるかと思いますけれども、引き続きパート2の部分についての審議をぜひよろしくお願いしたいと思います。
本当にありがとうございました。
○山本(敬)座長 ありがとうございました。
本日の審議は以上となりますが、最後に事務局から事務連絡をお願いいたします。
≪4.閉会≫
○丸山参事官 委員長からのお話もありましたように、本日の取りまとめまでの間に、山本座長、それから各委員の皆様方には多大な御尽力いただきましたことを、事務局一同、それから審議に協力いただきました消費者庁からも改めて感謝申し上げます。ありがとうございました。
○山本(敬)座長 ありがとうございました。
私の不手際で30分以上オーバーしてしまいました。大変申しわけありません。
それでは、これにて閉会とさせていただきます。
以上