第22回 消費者契約法専門調査会

日時

平成27年11月27日(金)15:00から17:20

場所

消費者委員会大会議室1

出席者

【委員】
山本敬三座長、後藤巻則座長代理、阿部委員、井田委員、大澤委員、沖野委員、河野委員、古閑委員、後藤準委員、増田委員、丸山委員、柳川委員、山本和彦委員、山本健司委員
【オブザーバー】
消費者委員会委員 河上委員長、鹿野委員
法務省 中辻参事官
国民生活センター 松本理事長
【消費者庁】
井内審議官、加納消費者制度課長、桜町取引対策課長
【事務局】
黒木事務局長、小野審議官、丸山参事官

議事次第

  1. 開会
  2. 「勧誘」要件の在り方
  3. 不利益事実の不告知
  4. 「重要事項」(第4条第4項)
  5. 第三者による不当勧誘(第5条第1項)
  6. 取消権の行使期間(第7条第1項)
  7. 不当勧誘行為に基づく意思表示の取消しの効果
  8. 閉会

配布資料(資料は全てPDF形式となります。)

議事録

≪1.開会≫

○丸山参事官 それでは、定刻になりましたので、始めさせていただきたいと思います。

本日は、皆さま、お忙しいところをお集まりいただき、ありがとうございます。

ただいまから、消費者委員会第22回「消費者契約法専門調査会」を開催いたします。

本日は、所用により、沖野委員、柳川委員がおくれての御出席との御連絡をいただいております。

まず、配付資料の確認をさせていただきます。議事次第の下部のほう、配付資料一覧をお示ししております。資料1及び参考資料1が消費者庁からの提出資料となっております。

もし、お手元の資料で不足がございましたら、事務局のほうへお声がけをよろしくお願いいたします。

それでは、ここから山本座長のほうに議事進行をよろしくお願いいたします。


≪2.個別論点の検討≫

(1)消費者庁からの説明

○山本(敬)座長 それでは、本日の議事に入ります。

本日は、消費者庁から個別論点の検討のための資料として、資料1と関連する参考資料1を御提出いただいています。

本日の進行としましては、まず、消費者庁から資料1の全体について御説明をいただき、その後に論点ごとに時間を区切って質疑及び意見交換を行わせていただくこととしたいと思います。

それでは、まずは消費者庁から御説明をお願いいたします。

○消費者庁加納消費者制度課長 それでは、私の方から御説明いたします。どうぞよろしくお願い申し上げます。

まず、資料1でございますけれども、このペーパーの位置づけでありますが、8月に中間取りまとめをしていただきまして、その後、集中的な意見受付、関係団体に対するヒアリングというのを実施してまいりました。そういった中での御意見などを踏まえながら、また、中間取りまとめの中で幾つか引き続き検討すべきとされていたところにつきまして私どもで検討したところ、整理したものでございます。

まず、順番に論点ごとに御説明したいと思います。1ページの第1の「勧誘」要件のあり方というところであります。

ペーパーのつくりとしましては、冒頭の枠囲みの中で今後の方向性といいますか、結論めいたものを書いております。「勧誘」につきましては、結論から申し上げますと、当面は現行の規定を維持しつつ、その解釈、適用に委ねるということとしながらも、解釈の中で一定の手当てを図れる部分もあるのではないかということ逐条解説の中で一定明記するということを考えております。

また、取消しの規律の対象となる行為の範囲については今後の検討課題として位置づけではどうかということでございます。

1ポツでは、中間取りまとめでの議論というところで、点線の枠囲みの中で「勧誘」要件のあり方について取りまとめられたところを書いております。

2ポツは集中的な意見受付及び団体に対するヒアリングにおける主な御意見として紹介しております。典型的なものということで、幾つか私どものほうでピックアップをさせていただいたものでございまして、見直しに対して積極的なお立場あるいは消極的なお立場、それぞれについてバランスをとりつつ御紹介したつもりのものでございます。

積極的な立場からは、誤認をするということでございますので、広告等によった場合でも誤認している点は変わりないのだということで取消しの対象とするということがある一方で、2ページの2つ目のポツの「確かに」以下に書いているところでございますが、そういった検討という必要性については理解をするとしながらも、広げるとした場合の外縁の予測可能性が保てるのかといった御指摘でありますとか、とりわけ不利益事実の不告知の要件との関係で事業者が限られた広告スペースの中でいろいろ言わなければならないというのは負担が大きいのではないか。こういった御懸念が示されているところでございます。

そういったところを踏まえまして2ページの「3.検討」というところで、まず「(1)事業者に与える影響」は無視できないところがあるというように考え、書いているところでございます。意見受付やヒアリング結果では、この「勧誘」要件について事業者から大きな懸念が寄せられているという状況かと理解しております。

広告等にはさまざまな媒体があり、消費者に対してさまざまな誘引活動が行われているところでございますけれども、そういう非常に多様なものがある中で、どういったものを切り分けるかということにつきましては、現時点で結論を得るのは困難ではないかと考えておりまして、具体例をもとにさらに引き続き検討するというように、検討課題として位置づけるのが適当ではないかとしております。

他方で、3ページの(2)裁判例というところでございまして、中間取りまとめに至るまでの専門調査会の議論の中でも、下級審裁判例で幾つか「勧誘」の概念を広げたというように見ることができるのではないかと、そういったものを御紹介してまいりましたが、そういった裁判例を紹介しつつ、逐条解説の中で考え方を整理していくということでございます。

もちろん、3ページ(2)の2段落目に書いてありますように、広告等が「勧誘」に当たることを否定したという裁判例もございますので、そういった肯定例、否定例、双方を紹介する中で肯定したものもあるということで御紹介をしてはどうかということであります。

今回、3段落目の「他方で」というオペラの鑑賞契約に関して、これは新しい例として御紹介をさせていただいておりますが、パンフレット等に記載された指揮者が誰かということについて、ある特定の指揮者ですと書いていたのですけれども、交代したという事案でございます。同じくパンフレットの中で、やむを得ない事情による交代の可能性もあるということが書いていたという場合に、それらの両方の記載をあわせて不実告知でないというように判断した事例でございますが、パンフレットなどが「勧誘」に当たるということを前提としたと見られる裁判例ではないかと思いますので、こういったところも追加的に御紹介をさせていただいているところであります。

また、このプライスボードやパンフレットの事例、簡易裁判所の事例でございますけれども、こういったところは既に御紹介をさせていただいているところでありまして、こういったものを逐条解説でも御紹介しつつ、こういった裁判例があるというのは事実でございますので、3ページの最後の段落からでございますけれども、そういった裁判例があるということからしますと、必ずしも特定の消費者に対する働きかけのみが「勧誘」と解釈されているわけではないということでありまして、広告等の不特定多数向けの働きかけであっても、個別具体の事情によっては適用の対象に含まれ得るというようなことが考えられますので、逐条解説においてもそういった趣旨のことを書いておくということで、後は個別具体の事案における解釈適用に委ねることにしてはどうかということでございます。

3ページの脚注の2のところで、現行の解釈として、特定の者に対する働きかけとしておりますけれども、特定の消費者に対する働きかけの方法、例えばということで、こういったものも例示してはどうかということで書いているものでございまして、郵便とか信書便、FAX、メールマガジンなどと書いております。

このうちメールマガジンにつきましては、例えば会員登録をした消費者に対して一斉配信をするといったものを想定しているところでございまして、個別メールが同時に複数多数の者に対して行われるというのであれば、特定されているという点では同一ではないかと考えて書いたところでございます。

ただし、このメールマガジンの中には種々さまざまなものがあるとも考えられるところでありまして、必ずしも配信内容とは関係ない宣伝広告が付記されるといった場合に、その宣伝広告がこの「勧誘」にも当たるのかといったところにつきましては、その広告主体が必ずしも配信先が誰かというのを認識しているとは限らないといったこともあろうかと思いますので、そういったところは引き続きメールマガジンの実体などを踏まえた上で逐条解説に書く必要があるかなと思われるところでありますので、メールマガジンだからといって、必ず当たるということまで書くかどうかという点については、留保をつけさせていただきたいと思いますけれども、企業が会員を特定して、その会員に対して配信するといった場合であれば現行の解釈の「勧誘」にも含まれるのではないかと考えられまして、そういった点は明記してよいのではないかと考えているところでございます。

「勧誘」については以上でございまして、引き続きまして6ページ、第2の不利益事実の不告知のところでございます。これにつきましては、中間取りまとめの中で大きく分けて3つの柱といいますか、結論が出されたところでございます。1つは、いわゆる不実告知型、不実不告知型への類型化というのがうたわれておりました。そのうち、不実告知型、利益となる旨の告知、いわゆる先行行為が具体的で、利益事実の関連性が強いと考えられる類型というものは、実質的に不実告知と同視できるのではないかという問題意識のもとで、不実告知において主観要件が求められていないということを踏まえて、そういった要件についても不実告知並みに削除していくということが適当であるとされているところでございます。

また、いわゆる不告知型、先行行為が具体性を欠いて不利益事実との関連性が弱いと考えられるものにつきましては、むしろ先行行為が余り機能していないのではないかと思われるところでありますので、先行行為を削除して、別途要件を検討するということを引き続き検討すべきではないかということがまとめられておりました。

これに対する意見受付及びヒアリングの状況でございますけれども、まず、その類型化につきまして、そういった類型化に賛成するといった御意見もございますが、6ページの枠囲みの上から2つ目のポツあたりから書いているところでありますが、仮に類型化するとしても、客観的、明確な要件によって行われる必要があるのではないかといった御指摘。

7ページのほうに行きまして「不利益事実との関連性の強弱」というのは基準としては不明確ではないかという御指摘もあったところでございます。

また、いわゆる不実告知型の記述につきまして、主観要件、故意を削除するということについては、主として事業者サイドから懸念が示されているところでございまして、上から2つ目のポツにありますように、膨大な調査が必要になるのではないかとか、3つ目のポツにありますように、勧誘時に事業者が知り得ないものまで含まれる可能性があるといったことは事業者にとっては酷ではないかといった御指摘もあるところであります。他方で、完全に主観要件を削除してしまうのではなくて、故意・重過失、あるいは故意・過失といった形で一定の帰責事由といいましょうか、そういったものを要件としながら適用範囲を広げるということについては、まだ検討の余地があるのではないかといった御指摘もいただいております。

不告知型の記述につきましては、先行行為の要件を仮に削除するとした場合に、事業者が告知しなければならない範囲をどうやって明確化するかということについて慎重な検討が必要であるといった御指摘が寄せられているところでございます。

8ページ以下の具体的な対応というところでございますけれとも、まず、類型化につきましても、この類型化の基準が明確化といったところについてまだ懸念が示されているという状況でございますので、8ページ(1)の最後の段落に書いているところでございますけれども、新たな規律を設けることで、実務上の混乱が生じないように配慮する必要がある。

ということで、不実告知によっていわゆる不実告知型をある程度取り込む可能性もあると思われるところでございますので、そういった不実告知との関係の整理も含めて類型化による規律のあり方については引き続き検討するのが適当ではないかと書かせていただいているところであります。

(2)の主観的要件の拡張というところでございます。

主として、消費者サイドからは、相談現場においてですけれども、非常に使いにくいということが従前から指摘されているところでありました。

また、8ページの最後の段落で追加的に調査結果をつけておりますけれども、非常に利用されていない規定というように回答されているというところでございまして、課題としてはあるというように受けとめざるを得ないのではないかと思うところでございます。

9ページの2段落目の「他方で」というところでございますけれども、先ほど事業者からの御懸念ということで御紹介いたしましたが、完全に故意要件を削除するということに対しては事業者にとって酷ではないかという御指摘もあるところでございますので、現時点において主観要件を完全に削除するということは見合わせた上で、引き続き適切な要件設定を検討していくということが適当ではないかと書いているところであります。

(3)の不告知による取消し、不告知型というものでございますけれども、これにつきましても、告知の対象をどうやって明確化するかということがまだ課題としてあるのだろうと考えておりまして、9ページの最後の段落のところでありますが、下から3行目、4行目あたりのところですが、不告知が許されない不利益事実の範囲を被害実態に照らして定める必要がある。ここにつきましては、引き続き事例の収集、分析などを踏まえた上での検討が適当ではないかとさせていただいているところでございます。

以上が不利益事実の不告知であります。

続きまして、12ページの3「重要事項」のところでございます。

「重要事項」につきましては、現行法では消費者契約法4条4項というところで1号、2号ということで書いてございます。これは不実告知、不利益事実の不告知、双方にかかわってくる要件でございますけれども、ここに書いておりますのは、そのうちの不実告知のみを適用対象として、かつ重要事項としては、消費者が当該消費者契約の締結を必要とする事情に関する事項というものを追記する。今の限定列挙方式にさらに追加するということにしてはどうかということでございます。

意見受付におきましては、いわゆる動機部分に関する不実告知というのを念頭に置いたものと思いますけれども、消費者被害の実態を踏まえ、こういった追加が必要ではないかというような御意見でありますとか、この列挙事由は例示として位置づけるべきではないか。こういった御意見も寄せられているところでございますが、13ページのほうですけれども、主として事業サイドからの御指摘としましては、この重要事項というのは消費者側の内心の事情ではないのかということで、そういう理解を前提に、内心の事情について事業者が全てを知ることは困難であるということで、消費者から事業者に対する内心の事情等の表示があった場合に限るといったような御提案もいただいているところであります。

また、13ページの2つ目のポツでありますけれども、その消費者契約の締結を必要とする事情に関する事項というものが「動機」一般に広がるのではないかといった御指摘、御懸念も示されているところでございます。

それでどう考えるかということで13ページの3の(1)以下のところでございますけれども、まず、列挙の必要性はあるのではないかと考えているところでございます。ここで眼鏡屋さんのケースというように書いてございますけれども、その契約目的物、この場合であれば眼鏡ということになるわけですが、それ自体には不実はない場合であっても、その眼鏡が必要であるかどうかといったことについて、消費者を誤認させて契約させるといったようなケースが従前からもあったところでありますし、課題としては残されているところではないかと思います。

後ほど(3)の適用事例ということで適用範囲の具体例ということで幾つか御紹介いたしますが、特定商取引法の適用範囲でないものも含めて被害事例というのは従前からあるのではないかと思われるところでございます。

他方で、14ページの(2)で書いているところでございますけれども、不利益事実の不告知につきましては、私どものほうで事例を収集、分析する限りにおいては、こういったところにまで「重要事項」の概念を拡張すべきというような被害事案というのは現時点で直ちに見当たらないところでございますので、必要があるところに絞りまして、不実告知について手当てを講ずるというのが適当ではないかと書いております。

事業者サイドからの御懸念で示されております「動機」一般に広がるのではないか、内心の事情については事業者が予測できないのではないかというところでございますけれども、「なお」以下の段落で考え方の整理をしてみたものであります。

そのうちの上から5行目あたりの「しかしながら」というところあたりから書いているところでありますけれども、ここに書いている消費者契約の締結を必要とする事情に関する事項とは一体何かということでございますが、消費者契約の「動機」一般を指すというものではなく、消費者が当該消費者契約を締結する必要性を基礎づける客観的な事実関係である。まず、契約をしなければならない契約が必要だというように思わせるような事項であり、かつ、それは事実関係に関するものである。主観的に例えば評価を伴うおいしいとかおいしくないとか、そういうものではなくて、事実関係に関してどうなのか、不実かといったような場合であるということでございます。

そして「重要事項」につきましては、既に現行法の4条4項柱書というところで、消費者の当該消費者契約を締結するか否かについての判断に通常影響を及ぼさないというような一定の縛りがあります。これは当該消費者契約を締結しようとする一般平均的な消費者の立場から、その消費者契約を締結するか否かについて該当性が判断されるというものでございまして、ある特定の消費者が自分にとってこれは必要だと思い込んだからこれに該当するというものではありません。

その人だけではなくて、世の中の通常の判断をする消費者であれば、同じように必要だと思うだろうというような事項について該当するというものでございまして、事業者からしますと、一般的な消費者だったらどう考えるだろうかというように見ていただければ、それが重要事項に当たるかどうかというのは判断することができるはずのものでございますので、予測可能性を欠くということにはならないのではないか。現在の消費者契約法のたてつけが既にそうなっているのではないか、それに合わせるものであると考えているところでございます。

(3)で適用範囲というところで、では、具体的にどういうものがあるのかということで事例の3-1から3-7まで、これは主としてこれまでの専門調査会の中で取り上げてきたものでございますけれども、その当てはめということで整理をしたものでございます。

幾つかかいつまんで御紹介しますと、3-1は、山林の所有者が測量会社から電話勧誘を受けた際に、その山林に売却可能性があるというように言われて、では測量をしなければいけないねということで測量契約を締結したという事案で、実際には山林の売却可能性はなかったという事案でございます。

実際の事案では、この山林には関係法令の規制があって、売却の可能性はおよそないといった事案であったということでございますが、測量会社からの勧誘を受けて契約を締結したということでございます。山林の売却可能性がないのであれば、そもそも測量契約をする必要はないという関係に立つと思われますので、これも必要性に関する事項と見てよいのではないかと思われるところであります。

15ページの事例の3-2のところでございますけれども、いわゆる点検商法。これは従前からよく言われていた例でございますけれども、床下が湿っている、家が危ないと言われて換気扇の購入を決めたという事例でございます。床下が湿っているという事情がなければ換気扇の購入の必要性もなかったという事案でございますので、こういった事例も該当するのではないかと思われます。

3-3も従前からよく言われる事例でございますけれども、電話回線がアナログからデジタルに変わるということで、今までの電話が使えなくなる。なので、新しいこの通信機器をリース契約しませんかと勧誘された事例でございます。リース契約をした通信機器自体について不実はないということでございますけれども、それがそもそも必要なのか、電話回線がアナログからデジタルに変わるというところについて不実があったというケースでございまして、これも必要性に関する事項というように見てよいのではないかと考えているところでございます。

事例の3-4でありますとか、事例の3-5について、いずれもその契約の締結の必要性について消費者を誤認させたという事例ではないかと思われます。これに対しまして、16ページの事例の3-6であります。ファッションリングの事例、これまで何度もこの専門調査会でも取り上げて検討課題に挙げていたものでございます。本来、一般市場価格は非常に安い12万円程度だったにもかかわらず、40万円を超す高価なものであるよというように事実でないことを告げてファッションリングを買わせたという事案でございまして、これについてどうかということでございますけれども、これはファッションリングが必要かどうかということについて誤認させているのではなく、ファッションリングが実は一般的には安いものにかかわらず、高いと、なので、この購入をするのは非常に利益、有利であるというように思わせた、言うなれば得だと思わせた事案でございまして、この事案は必要性を基礎づける事実関係には当たらないのではないかと考えているところでございます。

ただし、16ページの4の「しかしながら」というところにも書いてございますけれども、では、消費者は救済されないのかというとそうではないと考えているところでございまして、この事案は端的に申し上げますと、ファッションリングが市場価格で一体幾らに見合うような品質のものなのかという点について不実があった。質に関する不実告知の事案というように見ればよいのではないかということでございまして、そういったことで、別のルートで消費者の救済を図る事案というように整理すればよいのではないかと考えてございます。

事例の3-7は連帯保証契約の事例でございまして、主債務者が支払い能力に関して不実があったということでございます。このケースにつきましては、支払い能力があるから保証人に責任が及ぶことはないよというようなことでございますけれども、その保証人自身が保証債務を履行しなければならない可能性があるのかということに関する不実というように思われますので、契約締結に関する事情ではないと思われます。

ただ、この事例の3-7につきましても、では、一体、消費者は救済できないのかというと必ずしもそうでもなく、この事案は裁判例ではありますが、結論として、民法上の詐欺や錯誤無効に該当するということで救済が図られているということでございます。そうした民法一般の規定の適用による救済の余地もあるということでありますので、直ちに消費者が救済されないということになるのではないという事案というように整理をすればよいのではないかと考えているところでございます。

以上を踏まえまして、不実告知につきましては消費者契約の締結を必要とする事情に関する事項を追加列挙するということをしつつ、他の論点、例示列挙にすべきだという御意見も含めて、裁判実務を注視しながら引き続き検討課題として位置づけるのが適当ではないかと考えているところでございます。

以上が「重要事項」であります。

続きまして、19ページの第4、第三者による不当勧誘でございますが、ここは論点としては2つありまして、まず1つ目は、委託関係にない第三者による勧誘というものについて、事業者が知り、または知ることができたということを要件のもとに、取消権を認めることとしてはどうかという論点がございました。

また、もう一つは、現行法5条の「媒介」の委託を受けた第三者というところでございますけれども、それについて解釈をどうするかといったところが中間取りまとめに記載されたところでございます。

まず、1点目の委託関係にない第三者の勧誘についてどう考えるかということでございまして、19ページの下のあたりからヒアリングなどにおける主な御意見ということを紹介しておりますが、こういう規律を設けることに積極的な御意見もあるところでありますけれども、20ページのポツのところに書いてありますように、まず、委託関係にない第三者というのは事業者からすると、その行為を把握するのは一般的には難しい。特に、事業者が知ることができた場合にまで取消し事由にするということについては、極めて慎重な検討が必要だといった御意見が寄せられているところでございます。

また、その下のポツのところで、もともとこの手当ての必要性がある事情として想定しているのは、いわゆる劇場型勧誘の事案につきましては、消費者契約法の手当てによってどこまで実効性があるのかといったことに疑問も呈されているというところでございます。

それを踏まえて、20ページの3のところ以下でどう考えるかということでございますが、先ほど申し上げましたように、この論点の問題意識としては、劇場型勧誘のように、いわゆる悪質な事例において委託者と受託者の間が口裏合わせをするなどによって、委託関係の存在について立証が非常に困難なケースというのが想定されますので、それの手当てとしてこういった規律、民法の96条の中にありますので、そういうのと同じような規律を入れたらどうかということで問題提起をしたところでございますが、問題の所在が委託関係の立証の困難だということであれば、それに見合ったような手当てを別途検討するということもと考えられるわけでございまして、裁判実務において事実上の推定の活用など、一定程度対処することも可能ではないかと考えられるところでありますし、実際にどこまでこの規定を設けて機能するのかという疑問も呈されているという点は私どもとしては受けとめなければならないのではないかと考えているところでございます。

結論としましては、20ページの一番最後の段落に書いていますように、裁判実務の状況を踏まえながら、引き続き検討するという検討課題として位置づけてはどうかということでございます。

21ページの4番の現行法5条の委託関係がある第三者の問題でございまして、「媒介」の意義につきましては、中間取りまとめの段階で必ずしも契約締結の直前までの必要な段取り等を第三者が行っていなくても該当する可能性がある旨を逐条解説のほうで適切に記載すべきというようにされているところでございます。

媒介の程度というところでございますけれども、例えば契約締結の直前までやらなくても、単に取り次ぎをしているだけとか、いろいろなケースもあろうかと思いますので、そういった場合にも事案によっては当たり得る可能性があるということを逐条解説などにおいて明らかにしていくというのは適切ではないかと考えるところでございますので、そういったことをしつつ、個別具体な事案における解釈適用に委ねるのがよいのではないかと考えているところでございます。

以上が第三者による不当な勧誘のところでございます。

続きまして、第5、取消権の行使期間、23ページ以下のところでございます。中間取りまとめにおいて、引き続き調査の上、検討すべきというようにされている論点でございました。

意見受付及びヒアリングについては、積極、消極、双方の立場から御意見を頂戴しているところでございます。

その後の私どものほうの検討ということで、24ページの(1)のところで、相談員さんに対するアンケート調査というのを追加的に実施いたしました。その結果につきまして、24ページの下のところから枠囲みで御紹介しているところでございます。アンケートの詳細につきましては、参考資料1というところで御紹介しておりますので、適宜そこを御参照いただければと思いますが、現行の消費者契約法では、短期が1年、長期が5年となっておりますので、それぞれ経過した相談を受けた経験がある人はどれぐらいいるかということで、数字をここに掲げさせていただいております。5年以上たっていたという場合は、389人、39.5%。だまされたことに気づいたときから6カ月たっていたという場合は341人、34.7%。不退去・監禁から解放されてから6カ月たっていたという場合は121人、12.3%ということでございまして、なお一定数はあるのではないかというように思われるところであります。ただし、この数字につきましては、以前に国民生活センターが同種の調査を実施しました数字との対比を押さえておく必要があるというように思われるところでございまして、24ページから25ページにかけて、同じ質問に対する回答結果の数字を並べてございます。

結論から申し上げますと、いずれも数字としては減っている状況にありますので、消費者被害の救済の観点からは、好ましい状況にあるとも言えようかと思いますが、先ほど申し上げましたように、一定数はまだ残っているというようなところをどう捉えるかということかと思います。

25ページでは、期間が経過したということについて、どうしてなのかということについて理由を尋ねたことについての主な御意見について御紹介をしているところでございます。

参考資料1のほうを御覧いただきますと、6ページのところにはさらに詳細なところで、どうしてかということについて、自分も悪いと思って諦めたとか、あるいは不退去・監禁についてでございますけれども、3の(1)というところでありますが、事業者が怖くてかかわりたくないと思ったとか、こういったケース。消費者相談においては、よくあるのではないかと思われますけれども、そういった理由が掲げられているところでございます。

資料1の25ページのところに戻っていただきますと、その一番下のところでございますけれども、なお一定数、そういった消費者が存在するということでございまして、考え方としましては、不当な勧誘を受けて契約をしたということであれば、極力救済されるように手当てを講ずるべきというようにも考えられるところでございますので、また、26ページのほうに書いているところでありますけれども、その理由というのが消費者特有の理由というのが引き続き残っていると推測されるところでございます。

そこで、(2)の手当てをどうするかということでございますが、今回は必要最小限の手当てとして、短期についてのみ1年間ということで伸長するということを御提示しているところでございます。長期の行使期間につきましては、今でも5年となっておりまして、これをさらに延ばすということになりますと、その分、事業者の資料保管の負担がふえることは否定できないと思われますので、1年ということに限って延ばす。この1年というのはなぜかというところでございますけれども、例えば8カ月とか9カ月という類例はこういった同種のものでは私どもが探した限りでは見当たっておりません。類例としては特定商取引法の過量販売契約の解除権というのがございますが、そこで1年間という数字が出てまいりますので、それを踏まえたというところもございまして、1年という、必要最小限延ばすとすればこうなるのではないかということで御提示しているところでございます。

28ページに最後の第6の取消しの効果の論点でございます。これにつきましては、今回の改正民法との関係を踏まえる必要があるというところでございます。説例として、ダイエットサプリメントのケース、これはこれまでの専門調査会で取り上げさせていただいたものでございまして、民法の規定が変わることによって消費者の返還の義務の範囲がふえると思われる事例でございます。

29ページのほうに意見受付のヒアリングの御意見ということで書かせてございまして、消費者サイドからの御意見でありますけれども、クーリングオフ並みに返還義務を絞るというような特別の手当てを講ずるというような御意見もいただいているところではございますが、他方で、そういった観点、そういったものについては慎重な御意見もあるところでございます。

事業者サイドからの御指摘としては、民法の関係ということであれば、改正民法の施行後の立法事実を踏まえて検討すべきであるとか、民法で手当てされている意思無能力者、制限行為能力者と同等に取り扱うべきかについては疑問を呈されているという状況でございます。

29ページの3の検討で、(1)でありまして、まず民法との対比ということでございますが、29ページの一番下の段落に書いているところでございますが、消費者契約とは異なりまして、民法は対等当事者間も当然適用対象になってくる。かつ、錯誤取消しのように、必ずしも消費者の相手方の不当な行為がないというような取消し事由もあるということでございますので、やはり有償契約における対価的バランスということから、30ページのほうでありますが、改正民法の原状回復の原則というものが盛り込まれていると理解しているところでございます。

他方で、消費者契約法は、もともと立法の目的が情報交渉力の格差がある事業者と消費者の間の消費者利益の擁護ということでございます。また、取消し理由は、事業者の不当な勧誘行為があった場合に限られているというところでございまして、民法とは事情が異なるのではないかと思われるところでございます。

また、原状回復をそのまま適用するということになりますと、取消権を認めた法の趣旨が没却されることになりかねない。これは従前から指摘されているところでありますけれども、重ねて書かせていただいているところであります。

先ほど御紹介しました29ページ、改正民法の規定の施行後の立法事実を踏まえるではないかという御意見に対してですが、30ページの3段落目「そのような中で」という段落で書いているところでございますけれども、この改正民法の規定の解釈に委ねることによって妥当な結論が得られるかということでございますが、ここはこれまでの専門調査会で御議論いただいたところでございますけれども、困難ではないかという御指摘を頂戴しているところでございますので、現行の規律を維持するという観点からは手当てが必要ではないかと考えられるところでございます。

そこで、30ページの(2)の特則の内容というところに書いておりますが、下から3行目ぐらいに書いておりますけれども、現状の規律を維持するという観点から、手当てを講ずることとしてはどうかというように書いてございます。

31ページ(3)特則を設けることの懸念ということで、いわゆる「使用得」などの問題ということで、この問題につきましては、現行の現存利益の範囲を返すという民法の703条の規定の適用によって、そういったことが生じているのかということかと思います。それは必ずしもそうではないのではないかと思われますので、そのおそれがあるとは言えないのではないかということを書いてございます。

また、意思無能力者、制限行為能力者との関係でございますけれども、消費者契約法は一般的に消費者に取消しを認めるというのではなく、あくまでも事業者の不当勧誘によって誤認をしたという消費者の取消しを認めるということでございますので、むしろそういった意味では保護の必要性があるというようにも言えようかと思うところでございます。

以上を踏まえまして、民法の規定にかかわらず手当てを講ずる、現存利益の限度に限るという趣旨の規定を設けてはどうかということでございます。

御説明としては以上でございます。

(2)「勧誘」要件の在り方等

○山本(敬)座長 ありがとうございました。

それでは、ただいまの御説明の内容を受けまして、議論を行いたいと思います。

初めに、まず、全体的な事柄について御意見があれば、お出しいただき、それがなければ第1の論点「勧誘」要件のあり方について議論したいと思います。

御意見、御質問のある方は御発言をお願いします。

山本健司委員。

○山本(健)委員 御説明をいただきまして、ありがとうございました。

個別論点に関する議論に入る前に、本日の資料1で目指されている取りまとめの時期及び位置づけと、「引き続き検討」「今後の検討課題」という言葉の意味について、3つの質問と1つの意見を述べさせていただきたいと思います。

まず、資料1で提案されている、取りまとめに向けた今後の専門調査会の方向性に関する質問です。

消費者契約法の実体法改正に関しましては、これまで平成19年度消費者契約における不当条項研究会等で基礎的な資料収集を行い、消費者契約法に関する調査作業チームの討議で論点を整理し、消費者契約法の運用状況に関する検討会で立法事実となり得る裁判例や相談事例を整理しました後、この専門調査会で重要論点に関する立法の是非・内容を討議し、本年8月に「中間取りまとめ」を行い、9月の意見募集と10月のヒアリングで事業者団体等から御意見を頂戴いたしました。

今後はいよいよ、「中間取りまとめ」に対して各方面から頂戴した御意見を踏まえつつ、消費者被害を救済することができ、かつ、事業者の懸念を払拭できるような具体的な要件や効果の採否・内容に関する詰めた議論、いわば後半の審議を始めるべき段階ではないかと思います。また、その審議の進め方については、ヒアリングで頂戴した御意見を踏まえ、外部の方にも議論の内容がわかりやすいように、また、誤解や理解不足を払拭していただけるように、具体例なども引きつつ、丁寧に議論を行う必要があるように思います。

ところが、本日頂戴しました資料1では、各論点の内容に関する後半の議論が実質的にこれから始まるという段階であるにもかかわらず、ごく少数の論点のみを取り上げて、多くの論点については「引き続き検討」「今後の検討課題」とされているように思われます。

前回の第21回会議の資料2において、まだ今後の議論が必要な論点として多数の論点が列挙されました。その一方で、本年12月という取りまとめ時期の目安があるというお話もございました。他の委員の方からは、多くの論点に関する審議の必要性と本年12月という取りまとめの時期の要請は両立できるのかといった御指摘もあったように記憶しております。確かに、常識的に考えて、2つの要請の両立は困難であるように思われます。考えられる対応策としては、まだ多くの論点について議論のための時間が必要であるという現状を直視して取りまとめの時期を先に延ばすか、12月の取りまとめという時期的な要請を重視して現時点までの議論の成果をとりあえずまとめて、残りを継続協議とするか、いずれかしかないように思われます。

本日頂戴しております資料1は、この専門調査会の今後の進行ないしありようについて、前者ではなく後者のような対応を提案するもの、すなわち、まだ多くの論点について丁寧な議論が必要であるから取りまとめの時期を先に延ばすという対応ではなく、12月の取りまとめに向けて現時点での議論の成果をとりあえずまとめて、残りは継続協議とするという対応を提案されているものであるように思えるのですが、そのような理解で間違いないでしょうか。それが第1点目の質問です。

第2点目の質問は、もし後者のような対応をすると仮定した場合、12月の取りまとめはどのような位置づけになるのかという質問です。

この専門調査会は、昨年8月6日に内閣総理大臣から内閣府消費者委員会に対する「消費者契約法について施行後の消費者契約に係る苦情相談の処理例及び裁判例等の情報の蓄積を踏まえ、情報通信技術の発達や高齢化の進展を始めとした世界経済状況の変化への対応等の観点から、契約締結過程及び契約条項の内容に係る規律等の在り方を検討すること」という諮問に対する答申を検討するために設置されたと理解しております。

そして、情報化社会の進展という課題については「勧誘要件の見直し」等の論点を、高齢化社会の進展という課題に関しては「つけ込み型不当勧誘取消」といった論点を、各々審議しております。しかし、いずれも重要な論点だけに、まだ具体的な要件・効果などに関する議論が必要な状況、議論の最中の状況であるように思います。

そのような状況を踏まえると、まだ議論の最終的な到達点を答申できる段階にまで至っていないように思うのですが、12月に現時点におけるとりあえずの取りまとめをするとすれば、それは第1次答申として、後日の第2次答申を予定するものになるのでしょうか。それが第2点目の質問です。

第3点目の質問は、第2点目の質問と表裏の質問なのですが、もし後者のような対応をすると仮定した場合、12月のとりあえずの取りまとめから除外された論点、資料1で「引き続き検討」「今後の検討課題」とされている論点に関しては、取りまとめ後に、続きの検討作業を、実際に行うのでしょうか、行わないのでしょうか。

換言すれば、本日の資料1の多くの論点において結論として記載されております「引き続き検討」「今後の検討課題」という字句の意味は、実際に具体的な検討を継続ないし再開する予定であるという意味なのか、立法は諦めて検討作業を終了するという意味なのか、どちらの対応を御提案されておられるのでしょうか。それが第3点目の質問でございます。

最後に、ただいまの3つの質問に対する御回答を頂戴する前ながら、私の意見を述べさせていただきます。

私の杞憂であることを願いますが、もし仮に本日の資料1のご提案が「時間が参りましたので、審議の途中ですが議論を打ち切ります。現時点でコンセンサスある論点のみを取りまとめて内閣総理大臣からの諮問に対する唯一かつ最終の答申とします。残りの論点に関する継続討議はいたしません。」といった専門調査会としての今後の対応を御提案になっておられるのだと仮定すれば、私はそのような進行ないし対応には反対です。

まだ重要な多くの論点について議論は尽くされておりません。現在の議論状況を考えれば、12月という取りまとめの時期的な目安のほうを先に延ばして議論を尽くすのが筋であるように思います。

また、もし12月の時点で一定の取りまとめを行うとするならば、それはあくまでも一部論点に関する先行的な取りまとめと位置づけて、残る論点に関する検討作業の継続ないし再開、並びに、その検討結果に関する別途の取りまとめと答申が予定されるべきであると思います。

現時点で意見の一致を見ていない論点は、それだけ重要な論点だということだと思います。情報化社会の進展を踏まえた「勧誘要件の見直し」、高齢化社会の進展を見据えた「つけ込み型不当勧誘取消」などは典型例です。それらの論点について、議論を尽くした結果として最終的に立法を見送るという結論になったのではあれば、それはいたし方のないことだと思います。しかしながら、議論を尽くさずに立法を見送るのは本来のあり方ではないと思いますし、内閣総理大臣からの諮問に対する真摯な対応にもならないように思います。

資料1で「引き続き検討」「今後の検討課題」とされている多くの論点については、まだ議論が尽くされていないと思います。議論の継続が必要であると考えます。

以上です。

○山本(敬)座長 ありがとうございました。

3つの質問と1つの御意見でした。それでは、御質問のほうに対するお答えをお願いできますでしょうか。

○消費者庁加納消費者制度課長 消費者庁としてお答えできる範囲内でお答えを申し上げたいと思いますけれども、今回、資料1、私ども出させていただいたのは、現在における議論の熟度としてはまだ十分ではないと思われるという前提のもとで、引き続き検討課題として位置づけるのかということを提案させていただいたものでございまして、直ちに検討を打ち切るとかという趣旨を含むものではございません。

また、引き続き検討の検討作業をどうするのかとか、取りまとめの位置づけがどうかということにつきましては、むしろ消費者委員会としてどう考えるかということではないかと思います。

○山本(敬)座長 ありがとうございました。

では、今の点に関して、御意見あるいは御質問等があればと思いますが、いかがでしょうか。

河野委員。

○河野委員 ありがとうございます。

私は、前回今後の方向性について議論が行われた際、欠席でした。ですから、今日の論議は、先ほど山本委員がお話しくださっていたように、事業者の方のヒアリング等もかなり重ねましたので、今後に向けて具体的な要件や効果の採否、内容に関する詰めた議論ということを主にやっていくと理解しておりました。ただ、本日御提案いただいたものは解釈拡大で対応する、ないしはこれは法律改正で何とかしようという御提案もありますが、かなり多くの論点に関して継続して審議するという御提示になっているわけですけれども、私とすると、時間がないからこの時点で継続して先に回すのだということでたとえあるとしても、では、継続して審議するということの担保といいましょうか、それをここでしっかりと確認したいと思います。まだまだ議論は尽くされていないとは思いますが、消費者契約法制定以来、本当に本格的に消費者契約法の見直しをやってきたことの成果というのが、1年ちょっとかけてきた時間では足りなかったのかという感覚を今回の御提案では受けました。では、今後どうするのか。

先ほどの御提案の継続して審議するということに対して、時間なのか、事例収集なのか、もう少し具体的な言質をいただきたい。そうでなければ、今回のこの御提案に対しては、具体的な論点の検討に入れないと感じています。

○山本(敬)座長 ありがとうございました。

ほかに御意見は。河上委員長。

○消費者委員会河上委員長 ただ今の論点は、恐らく消費者委員会マターになってくるかと思いますので、一言申し上げます。

私自身は、被害回復とか被害の未然防止という観点から、今、現時点で必要な立法政策というものはきちんと出していただくということがこの専門調査会に期待されているものであるというように考えております。

時期的には、基本計画の工程表では一応消費者委員会で審議した後、本年度中の法案の検討、国会提出ということが記載されておりますので、そこを目標にして作業してきたということではあるのですけれども、必ずしもそれに拘泥する必要はないと考えております。

親委員会で議論しなくてはいけませんけれども、その意味では、まず現時点で緊急性が高く、取りまとめができるものを報告書パート1と言う形で報告書としてつくっていただいて、それに従ってこちらも答申パート1とでも呼ぶものをつくる。そして、さらに引き続きこの委員会で検討を継続していただいて、報告書パート2をきっちりとした議論のもとでやっていただいて、それに従って答申のパート2をつくるということがあってもいいと考えているところでございます。その意味では、総理大臣からの諮問はずっと継続して受け取っているという意識で臨みたいと考えているところでございます。

○山本(敬)座長 阿部委員。

○阿部委員 河上委員長の御発言どおりでいいかなと思うわけでありますが、特に今後の判例とか相談事例の集積をどのぐらいの時間軸で見るのか。1年、2年なのか、もう少しかかるものなのか。ここは場合によっては、そういう意味ではパート2、パート3となってくるのかなと思いますが、ある意味で時間軸の見通しというのは大げさなのですけれども、どのぐらいの例えばケースが集まれば判断ができることになるのか。何か今の段階でお考えがあれば教えてください。

○山本(敬)座長 よろしいでしょうか。

河上委員長。

○消費者委員会河上委員長 裁判例等々については、既に消費者庁の検討委員会で相当数の裁判例を検討していただいております。消費者契約法に限らないものも含めて、これは山本座長が中心になってやってくださったものですけれども、やりました。ですから、その中で今回の会議に必要なものをセレクトすることについては、そんなに時間はかからないと考えております。個人的には、これまでどおりのペースで検討を続けていただければ、そんなに長い時間はかからずにパート2がつくれるのではないかと推測しております。

○山本(敬)座長 よろしいでしょうか。今の点について、もし御意見があればと思いますが、いかがでしょうか。

事例の収集等については、既に相当程度行ってきたということは、河上委員長からも御指摘があったところですけれども、これまでのヒアリング等を通じて出ていたことは、ある考え方をとった場合に、現実にどのような影響が出るのか。それはもちろん消費者の被害についてどのような効果があるのかということもありますけれども、それと同時に事業者の側にどのようなコストがかかるのかということもあわせて指摘されていました。こういったものも立法事実であることは、私は専門調査会の当初から申し上げておりますけれども、こういったものをどのようにして調べるかという点は、なお検討しないといけないところだろうと思います。そういったあたりを含めて検討はいずれにしても続けていかなければいけないということは、これまでの議論からもうかがわれるところだろうと思います。

もし御意見があればと思いますが。大澤委員。

○大澤委員 私も前回、急遽体調不良で休ませていただきましたが、方向性が前回示されたと思いますので、本来だったらそこで申し上げるべきだったのかと思って今、反省しておりますが、2点、今回のペーパーを読んで気になったことを申し上げたいと思います。

質問になりますが、まず1点目ですけれども、今の河上委員長がパート2ということをおっしゃっていました。パート1というのは、余り時期を言うのは差し支えがあるのかわからないのでそこまで厳密に問いただすつもりは全くないのですが、例えばパート1のようなものを年内とか年明けぐらいということだとすると、パート2というのはそれにすぐ続いてということで理解してよろしいのかということです。引き続き作業は続けていくけれども、報告書をパート1、パート2と分けて出すということなのかということがまず1点目の確認です。

もう一点の質問は、これは個別論点にかかわることですので、また具体的に個別のときに申し上げようと思っているのですが、抽象的なレベルで今、伺いたいのですけれども、本日のペーパーの中でも、今後の検討課題と位置づけることとしてはどうかという書き方がされている論点が幾つかあります。それを拝見しまして、確かに現時点でも一気に法改正ということで取りまとめるのは難しいところもあるのかなという論点は確かにあるのですが、ただ、もともと想定していた法改正100%に対応するのは難しくても、例えばこの文言だけを一部修正すれば少しはその趣旨が伝わるのではないかという論点はあるように思っています。今は抽象的なレベルで申しわけないのですが、そういうことで、今後の検討課題と位置づけることはどうかと書かれているものに対しても、そうかもしれないけれども、少なくともこの文言を変えるとか、そういうことあり得るのではないか。そういう提案をすることは別にこの場では妨げられないという理解でよろしいのでしょうかということです。

仮にそれもだめだということになりますと、これは実質的には今回のパート1の取りまとめではこの点について諦めてほしいというようにも言っているように聞こえてくるわけです。なので、今後の検討課題と位置づけることとしてはどうかと書かれているものにつきましても、この文言に関しては現時点でも対応可能なのではないですかと、一部100%のうちのわずか30%ぐらいかもしれないのですが、そういう提案とか意見を委員がここで申し上げることは妨げられていないのかと、これが2点目の質問です。よろしくお願いします。

○山本(敬)座長 どなたがお答えになるべきかというのは難しいところがありますが、少なくとも第1点目は河上委員長のほうからお願いしてよろしいでしょうか。

○消費者委員会河上委員長 はい。これは大澤委員が最初におっしゃったとおりでして、基本的には継続して検討を続けていただいて、早晩、結論に至る。私は楽天的な人間かもしれませんけれども、もう6割ぐらいは皆さんの合意ができ上がりつつあるのではないかと思っておりまして、あとの3から4割を後半のパート2のところまでに仕上げていただければ、100点とは言えなくても、優ぐらい、80点ぐらいはとれるのではないかという気持ちでおりますので、よろしくお願いいたします。

○山本(敬)座長 では、消費者庁のほうからお願いいたします。

○消費者庁加納消費者制度課長 私は非常に悲観的な人間でございまして、まず、大澤先生御指摘の時期の問題は、私から申し上げる立場にはございません。これは消費者委員会として御判断いただければと思いますけれども、どうしてこうなのかということでございますけれども、私ども立法事実とされるものでありますとか、考え方、理論的な点も含めていろいろと検討はさせていただいたつもりでございますが、事業者の方の御懸念は、これは真摯に受けとめる必要があるというのが私どもの考え方でございます。この場にも事業者関係者の委員の方がおられますけれども、そういった委員の方にも納得していただけるようになっているのかという点については、さらに詰めなければならないのではないかという認識をしているところでございます。

2点目のこれでおしまいかという大澤先生の御指摘については、それはそうではございませんで、これはあくまでも1つの考え方として提示しているものにすぎませんから、もっとこういうようにすればよりよくなるのではないかという御意見は出していくのは何ら妨げられない。ただ、それで事業者サイドの御意見を含めまして合意がとれるかどうかというのはまた別問題だろうと思います。

○山本(敬)座長 よろしいでしょうか。

丸山委員。

○丸山委員 確認なのです。重複するかもしれませんが、法改正を目指しているので、パート1とパート2の位置づけですけれども、パート2というのもやはり法改正に反映されるものという位置づけと考えて大丈夫かという点。そうである場合に、パート1の位置づけというのは、早めにコンセンサスができたものをくくり出す的な位置づけで構わないのかという点、そこを確認させていただければと思いました。

○山本(敬)座長 どなたがお答えすべきかという問題がありますが、河上委員長。

○消費者委員会河上委員長 今、丸山委員がおっしゃったとおりでして、合意ができたところからくくり出していってパート1をつくる。さらにもう少し慎重に検討をしないといけないものについては時間をかけて議論をさせていただいてパート2をつくって、やはり法改正に結びつけた答申を出す。消費者委員会の答申というものの性格によるわけですけれども、いずれも諮問に対する答申として立法が必要なものについて意見を述べるということをやっていくつもりでございます。

○山本(敬)座長 ありがとうございました。

おおむね全体の方向性についての御意見とそれに対する議論がされたと思いますが、よろしいでしょうか。

河野委員。

○河野委員 ありがとうございます。

先ほど河上委員長のお話を伺って、継続的に審議するということの意味というのを十分に理解したところでございます。私、今回22回目なのですけれども、消費者契約法の専門調査会に出させていただいていて、この議論の場でどういう立ち位置で話を進めていくかというところである意味感想なのですけれども、すごく強く思っていることがあります。

これを今後の少ない時間でなるべくよりよい方向で取りまとめといいましょうか、答申ができるようにということで、お話ししておきたいと思っています。8月の中間取りまとめに続いて、主に事業者さんからのヒアリンクが実施されました。事業者の皆さんからは、中間取りまとめの論点に対してたくさんの御意見をいただきましたが、今回の検討項目というか論点において、その具体的な問題点が指摘されることはあったのかといいますと、先ほどの山本座長のお話にもあったとおり、私はそれほど大きな具体的な問題点が示されていたのではなかったというように認識しています。取引の安定性が損なわれるおそれがあるとか、実務の実態を無視しているというような曖昧な理由づけで今回検討に付されている論点に対して、なかなか歩み寄れるような状況ではなかったと思っています。

非常に残念だと思ったのは、ヒアリングの際の御発言に、情報通信技術の発達は消費者トラブルの増加の要因とは言えないとか、高齢化の進展に対して、高齢者のネット普及率や健康寿命も延びているので、高齢者視点というのは特段考慮するのは変なのではないか、適切ではないのではないかというような御発言もありましたし、さらに消費者の応益のみを重視し過ぎると、かえって普通の消費者の悪質化につながるという、私は消費者として非常に悲しむべきと思いましたが、そういった見解が示されたということはとても残念です。

消費者契約法というのは、全ての消費者契約における取引の適正化を図ることを目的としているところから、確かに先ほど加納課長がおっしゃったように丁寧に検討が進められるべきものであることは私自身も重々承知しておりますが、既に20回以上の検討が行われていますが、驚異的に進むITを活用した新たな契約等が増加していることに対して、環境変化が全くなかったかのような対応でいいのだろうか。消費者としては、大変それを不満に思うのと同時に、事業者の皆さんが異口同音に唱えている日本の経済発展において、その事業者の実務、実体を最優先させ、消費者保護に重きを置かないような姿勢に大きな危惧を覚えています。

この専門調査会では、少なくとも契約における消費者保護というのは、経済成長を支える礎であるという認識を共有して、ぜひ、今後残された検討の場で、前向きな意見の取りまとめをしていただきたいと思います。

そこで、先ほどお話にあったように、現時点でとりあえず合意できる点を取りまとめてということに関しては、私自身も賛成したいと思います。

以上です。

○山本(敬)座長 では、後藤巻則座長代理。

○後藤(巻)座長代理 次回扱われる問題について、どういう問題を扱うかということなのですけれども、本日は契約締結過程の問題が6個並んでいるのですが、前回の第21回で今後の審議の進め方というところで示されていた論点というのは、契約締結過程で7個ありまして、本日は前回で示されていたものの中で不当勧誘行為に関するその他の類型というのが抜けていますが、これは次回の第23回で扱うということなのでしょうか。それとも今回でもう扱わないということが示されたということなのでしょうか。そこだけ確認したいのです。

○山本(敬)座長 では、消費者庁のほうからお願いします。

○消費者庁加納消費者制度課長 今の御質問については、次回取り上げさせていただいてと思ってございます。今回、いわゆる勧誘ものでパッケージをつくれればと思っておりましたけれども、ボリュームの関係で勧誘のほうが論点が多くなっておりまして、次回は残したその他の不当勧誘類型と契約条項関係をあわせて取り上げさせていただければと思っております。

○山本(敬)座長 よろしいでしょうか。

それでは、先ほど河上委員長から御説明がありましたとおり、表現はともかくとしまして、差し当たりコンセンサスが得られそうなものを中心に検討し、パート1の作成を目指して議論を続けるということにさせていただければと思います。

それでは、内容に入りますが、先ほど申し上げましたとおり、2の「勧誘」要件のあり方について、御意見、御質問がある方は御発言をお願いいたします。

阿部委員。

○阿部委員 結論はここで示されたとおりでいいかと思うのですが、従来、特定の消費者に対する働きかけが勧誘であって、そこに何が含まれるかという議論をしていたのとまた枠が違ってきた感じがいたします。そういう意味では、場合によっては法律化よりも、今の法律の文言のまま対象を広げてしまえる可能性も出てくると思うので、最終的な取りまとめの段階で一体何がここに該当するのかというのをもう少し細かく明示していただければと思います。

以上です。

○山本(敬)座長 ここに明示といいますのは、報告書を作成し、その中にどういったものが該当するかを書くということでしょうか。ただ、先ほど消費者庁の御説明では、こういった裁判例があるということ、つまり、勧誘に含めたと思われる裁判例と勧誘には入らないことを前提としたと思われる裁判例の2つがあるということを報告書に示すということでしたが、それ以上のことでしょうか。

○阿部委員 具体的にどういうものがまさに勧誘に該当するとされたのかということ、どういう場合はされなかったかということをある程度わかるだけのものを出していただければと思います。

○山本(敬)座長 では、消費者庁のほうから。

○消費者庁加納消費者制度課長 私どもが基本的に考えているのは、今、座長がおっしゃったとおりでございますので、恐らく、その裁判例を紹介するにしても、どういった事例でどういった判断がされたのか、そういったところをわかりやすくするということかと思いました。

○阿部委員 逆に今までの検討の中でいろいろな事例が出ていましたので、それを網羅的に整理してくださればいいかなと思います。

○山本(敬)座長 よろしいでしょうか。消費者庁が先ほどおっしゃられたのは、裁判例の紹介であり、想定される例に対して、これはこうなる、これはこうならないという説明ではなかったように思いますが、むしろそういったものを述べてほしいということなのでしょうか。

○阿部委員 ある程度、今、現に出ているものについては整理していただきたい。

○山本(敬)座長 その点はいかがでしょうか。

○消費者庁加納消費者制度課長 具体的にどこまで書くかということかと思いますので、今、消費者契約法の逐条解説に具体的にある程度書いているものもございますから、それをもとに検討してみたいと思います。

○山本(敬)座長 よろしいでしょうか。

それでは、勧誘につきまして、ほかに御質問、御意見があれば。

山本健司委員。

○山本(健)委員 「今後の検討」という結論部分の意味について、実際に今後の継続的な検討を予定したものであるということを、先ほど御確認させていただきましたので、そのような前提であれば、今回の取りまとめの御提案に賛成いたします。

また、資料1に記載されておりますような不特定の者に向けた広告等の記載や説明によって不実告知取消の規定の適用を認めた裁判例が実際に存在するということを逐条解説に明記していただくということについても賛成いたします。実際に存在するにもかかわらず、法律家など一部の者しか知らない裁判例を社会の皆様に広くお知らせすることは有意義であり、取りまとめのあり方に関係なく、先行して積極的に取り組まれるべき対応であると思います。

その関係で1点、御指摘をさせていただきたいと思います。資料1の3ページの東京簡判平成20年1月17日について、第20回会議で提出された広告業者さんの資料に、店舗内のプライスボードにおける表示と本件売買契約締結に際してもこれを明確に訂正しなかったと思われる行為をあわせて不実の告知を認定しているものであり、不特定の者に向けた広告等の記載や説明のみによって取消しの規定の適用を認めたものではないといった記載がなされていたかと思います。

しかしながら、この裁判例は、消費者庁の「消費者契約法の運用状況に関する検討会報告書」にも判決内容が紹介されておりますとおり、車両の実際の走行距離が約12万kmであったものを、被告会社が、ホームページでも店舗内のプライスボードでも走行距離を8万kmないし8万11500kmと表示していたことをもって不実告知を認定している事案です。すなわち、ホームページや店舗内のプライスボードといった不特定の者に向けられた表示について不実告知を認めている裁判例です。したがって、不特定の者に向けた広告等の記載や説明について不実告知を認めた裁判例、広告も「勧誘に際し」に含まれ得ることを前提とした裁判例の一つとして、逐条解説で紹介されるにふさわしい裁判例です。そのことを指摘しておきたいと思います。

以上です。

○山本(敬)座長 御指摘どうもありがとうございました。

それでは、ほかに御質問あるいは御意見がありましたら。

河上委員長。

○消費者委員会河上委員長 まとまりそうなときにまぜ返すつもりはないのですけれども、勧誘という言葉の概念をめぐって逐条解説でどう書くかというのは、それはそれで意味があるかと思うのですけれども、本来は勧誘の概念の意味を今ここで議論するところではなくて、むしろ広告から始まって、パンフレットであるとか、プライスボードであるとか、直接の説明であるとか、契約の締結までに至る過程で、消費者に対して提供された情報が消費者の意思形成をゆがめていないかという、そこの部分が肝心なところであります。ですから、ぜひ逐条解説を書くときには、その立法の趣旨はどこにあるかということを前提にして勧誘概念の説明をしていただけるとありがたいと思います。

○山本(敬)座長 御意見どうもありがとうございました。

ほかに。では、鹿野委員。

○消費者委員会鹿野委員 重なるところもあるのですけれども、ひと言申し上げます。勧誘要件のあり方については、事業者から懸念が示されたということも承知していますが、私としては、具体例などを踏まえながら、より一歩進め一定のコンセンサスを得ることが可能ではないかと考えておりましたので、そういう意味では、今回、今後の検討課題にすることとなったことに残念な思いもあります。

もっとも、先ほど来、一般的な方向性あるいは今後のあり方について確認されたところによりますと、これで全て落とすと言うことではないということでした。また一方、従来の勧誘という文言のもとでも、私自身は、特定の者に向けられたか否かには決定的な意味はなく、契約締結の意思形成に直接的な影響を及ぼすような行為であったかどうかが重要だと考えておりましたし、私だけではなくて、そのような考え方をとる学説も多かったのではないかと思います。裁判例が今回も紹介されましたが、否定例として紹介された3ページの例でも、この件は個別の契約締結の意思形成に直接影響を与えていたとは言えないとして勧誘に当たることを否定したというものであって、およそ広告等が一般的に、あるいは不特定の者に向けられたものが一般的にこれに当たらないというような判断をしたという意味の否定例ではないと私は捉えています。

今回はこれを長く議論する機会ではないのでしょうから、これぐらいにしますけれども、先ほどのお話によれば、消費者庁の逐条解説において少し書きぶりを工夫してくださるということでありました。まずはそこに期待したいと思います。従来は、その本意がどこにあるかはともかくとして、あたかも特定の者に向けられたということが必要であるかのような記載も見られたところです。消費者庁の逐条解説が裁判所を拘束するものではないとしても、そのような記載が関係者に誤解を与えていたという面もあったのではないかと思います。そういうことで、改めて消費者庁にも、記載の見直しをよろしくお願いしたいと思います。

以上です。

○山本(敬)座長 御意見、どうもありがとうございました。

そのほかは。大澤委員。

○大澤委員 今回の資料の内容ですけれども、現時点で取りまとめをするということであれば、こういう方向になるのもいたし方ないということは、事業者さんの反応などを見ていても理解できるところはありますが、その上で、気になるところを1点申し上げたいと思います。

というのは、これは別にこの論点だけに限らないと思うのですが、これだけ既に裁判例が出ていて、数としてはそれなりにあるのではないかと私は理解していますし、ここに載っていない判決もあったと思います。先ほど鹿野委員がおっしゃっていましたけれども、例えば高松高判の事案にしても、個別の契約締結の意思形成に直接影響を与えていたとは言えないというのは1つの基準として出されているのかなと考えます。これは広告かどうかということよりは、個別の契約締結の意思形成に直接影響を与えていたかどうかという判断の一つのやり方を示していると思います。

こういう判断でも複数これだけ出ているということで、恐らくそれを踏まえた上で本日の資料の4ページのところの上から5行目のところにも、必ずしも特定の消費者に対する働き方でなければ勧誘に含まれないというわけではないということが書かれています。私が思いましたのは、仮にこの程度まで解釈の仕方がある程度方向性として出ているのであれば、本来の筋としては勧誘という文言ではなくて、例えば個別の契約締結の意思形成に直接影響を与えたかどうかという文言に変えるとか、本来としてはそれが筋なのではないかと思います。逐条解説で書き方を工夫していただくということで、私も結論としては正直言うと仕方がないのかなと思っていますが、今のままで勧誘という文言だけをとりあえず残して、逐条解説で必ずしもこうこうこういうわけではありませんということを書くことが、果たして立法として明確なのかどうかいとうのは、それは必ずしもそうではないのではないかと思います。法律の条文には勧誘というところが入っていて、逐条解説に特定の消費者に対する働きかけでなくても勧誘になることがあり得るのですよということが書いてあると、結局は、こういう場合は勧誘に当たるのだろうか、どうなのだろうかという疑義は残るわけですので、逐条解説に書くというのは最低限だと個人的には思っていますので、本当はできればこれぐらいある程度方向性か出ているのであれば、もちろん今回の先ほどのパート1ということであれば、もうこの段階では仕方がないのかなと思うのですが、本来のやり方ではないのではないかと個人的には思います。

余り逐条解説に書くということで対処していくということを最初から考えるべきではないのかなと思います。やはり条文としてある程度明確に、どういう場合だと当たり得るかというのは、これは条文として示すべきなのではないのかと思いますので、それだけ意見だけ言わせてください。

以上です。

○山本(敬)座長 御意見どうもありがとうございました。

ほかはいかがでしょうか。よろしいでしょうか。

古閑委員。

○古閑委員 先ほど3ページあたりの御説明を消費者庁からいただいたときに、メルマガについても御説明をいただいておりましたけれども、メルマガに限らず、ここに挙げられている例に関してはそれぞれ多様なものがあり得て、メルマガと同様に実態を踏まえて該当性が判断されるということになるのかなと思いますので、逐条解説への記載にあたっては、そういった点も配慮いただけるとありがたいと思いますので、よろしくお願いします。

○山本(敬)座長 ほかに。

増田委員。

○増田委員 裁判例の列挙を紹介していただいて、わかりやすくしていただくということについては理解するのですけれども、わかりやすくといっても、わかりやすくの意味が、消費者庁としてどのように考えているかということがわかるように書いていただきたいと思います。それと同時に、そもそも逐条解説だけで終わらせるための会ではなかったと私は思いますので、逐条解説に頼っている内容が多いかなと思って、今、とても残念に思っています。今の段階においてお伝えしたいこととしては、やはり考え方、裁判例の列挙だけではなく、このように考えますということをきちんと書いていただきたい。

それから、大澤先生のおっしゃられたように、そういう方向性が示されるのであれば、最低限のところを改正していただきたいと考えます。

以上です。

○山本(敬)座長 ありがとうございました。

もちろん可能な範囲でということだろうと思いますが、大澤委員も示唆されておられましたように、先ほどの河上委員長のおまとめによりますと、今後パート2と言うかどうかは別として検討を続けるということですので、その際に今挙がっているような御意見を考慮してさらに検討を進めることになるのではないかと思います。

ほかはよろしいでしょうか。

(3)不利益事実の不告知

○山本(敬)座長 それでは、続きまして、不利益事実の不告知についての検討に入りたいと思います。

御質問、御意見のある方は御発言をお願いいたします。

丸山委員。

○丸山委員 不利益事実の不告知については、引き続き検討するということになっているのですけれども、現行法の4条2項に関しましては、ぜひ改正が必要な部分なのではないかと考えております。今のままでは余りにも要件というのが厳格に過ぎて、やはり実務的にも理論的にも問題があるのではないかと考えております。

類型化による規律のあり方自体どうすべきか。どのように改正するのか自体いろいろ議論があるので、まだ検討しなければいけないという点はよくわかるのですけれども、1つだけ意見を言わせていただくと、例えば類型化をした場合に、不実告知型というように呼ばれている類型のほうになりますが、これは先行行為の要件というのを維持した上で「重要事項」も拡大しないというのであれば、仮に事業者の主観的な要件をさらに課すというのであれば、これは故意、重過失では厳し過ぎて、仮に課すとしても故意、過失あたりが説明のつく範囲ではないかなと思います。

この不実告知型と言われている類型としましては、不実告知とまではいえないけれども、全体として見れば誤った情報というのを事業者が提供しているような事例でございますので、取消しを受ける事業者側の帰責性としても、過失があれば十分というように思えます。この点は意見になります。

以上です。

○山本(敬)座長 御意見どうもありがとうございました。

ほかに御質問あるいは御意見があればと思いますが、いかがでしょうか。

大澤委員。

○大澤委員 今、丸山委員がおっしゃっていたことと重なるところなのですが、私もこれは引き続き検討するということだけでは、さすがに問題があるのではないかと考えています。先ほど全体的な質問のときに申し上げたことなのですが、私が考えているのは、最低限事業者の主観的要件に関しては検討すべきではないかと考えています。

類型化に関しては今すぐに意見を申し上げることはできないですが、特に不告知型などに関しては、要は言うべきことを言わなかったという事例だと、いわゆる不作為の事例だと思うのですが、これは民法の裁判例で普通にある、例えば説明義務とか、あるいは情報提供義務の議論との関係というのをもう一度考える必要が恐らくあって、そのときに説明義務とか情報提供義務について、事業者が知っているのにわざと説明しなかったという場合以外にも、事業者が調査をすればわかるはずの事実だったのに、それを伝えなかったという、いわゆる過失のものでも当然説明義務違反が認められている事案というのはあるわけです。

それと比較したときに、やはり故意という事業者の主観的要件というのは限定的に過ぎるのではないかというように考えています。しかもこれは資料で申しますと、9ページのところで事業者からの意見というところが出ていますけれども、9ページの上から8行目、事業者からは故意及び重過失を要件としてと、重に括弧がついていますけれども、そういう場合であるということも考えられるという意見も出されたということがここに書かれているということもありますので、故意に限定するということは最低限見直しの必要があるのではないかと個人的には考えています。

以上です。

○山本(敬)座長 御意見、どうもありがとうございました。

ほかにもしあればと思いますが、いかがでしょうか。類型化については、類型化が目指したことは一体何だったのかということを踏まえて、さらに検討を進める必要があるのではないかと思います。特に、不実告知型と言われていたものは、不告知型に比べてむしろ裁判例が非常に多いわけですけれども、実際のケースを見ましても、弁護士さんたちは大抵、不実告知と不利益事実の不告知の両方を主張していて、裁判所も、不実告知で問題なく拾える場合は不実告知と認定するわけですけれども、告知したとまで言えるかどうか疑問が残るような場合は、少なくとも不利益事実の不告知でカバーしています。いずれにしても、事業者の故意を明確に認定するわけではなく、事実上推認しているような場合が多い。そういったことを踏まえて提案されたものだったように思います。そのような観点からは、不実告知がリジットに過ぎるという面もあるように思います。その意味では、今後さらに検討を進めるのであれば、不実告知がこのままで本当に拾うべき場合をカバーすることができているのかということを含めて、さらに検討を進めるべきところがあると思います。

以上ですが、よろしいでしょうか。

(4)「重要事項」(第4条第4項)

○山本(敬)座長 それでは、続きまして「重要事項」についての検討に入りたいと思います。

御意見、御質問がある方は御発言をお願いしたいと思います。いかがでしょうか。

阿部委員。

○阿部委員 御提案のとおり、不実告知のみを対象ということで考えるのであれば、この御提案で結構であります。

○山本(敬)座長 ほかに御質問あるいは御意見があればと思いますが、いかがでしょうか。

山本健司委員。

○山本(健)委員 まだ議論のあるところですので、現時点でのコンセンサスを取りまとめるということであれば、御提案のような内容になるのはいたし方ないかと思います。しかし、この「重要事項」の範囲についてはまだ議論のあるところですので、今後の継続検討のところで引き続き議論をしていただきたいと思います。

以上です。

○山本(敬)座長 ありがとうございました。

ほかに御質問あるいは御意見があればと思いますが、いかがでしょうか。よろしいですか。

丸山委員、どうぞ。

○丸山委員 基本的にはコンセンサスがとれているということで、提案の方向性には賛成したいと思います。検証していただいたところからヒアリングで示されていた懸念というのも当たらないということが示されているのではないかと思います。

ただ、指摘がございますように、消費者が当該消費者契約の締結を必要とする事情に関する事項では拾えないようなもので、消費者の契約締結の判断に通常影響を及ぼすような事項というのもまだあるとは思いますので、その点については引き続き検討ということでお考えいただければ幸いだと思います。

○山本(敬)座長 ありがとうございました。

この「重要事項」に関する最初の囲みの部分で、消費者が当該消費者契約の締結を必要とする事情に関する事項を追加して列挙してはどうかとされているのは、他のものは列挙しなくてよいということを述べているわけではない。少なくともこれを列挙してはどうかということだと理解していますが、その他の点について、さらに検討する余地があるという御指摘があったということは踏まえておく必要があると思います。

ほかに御質問、御意見があればと思いますが、いかがでしょうか。このような方向性で報告書を取りまとめるということでよろしいでしょうか。

(5)第三者による不当勧誘(第5条第1項)

○山本(敬)座長 それでは、続きまして、第三者による不当勧誘についての検討に入りたいと思います。

御意見、御質問のある方は御発言をお願いいたします。

井田委員。

○井田委員 5条に関しては2つ問題があるということなのですけれども、マル1、マル2の取り扱いにおいて、いずれも賛成いたします。マル1に関しては、事業者の御懸念もよくわかるところではございます。マル2に関しましては、「媒介」の意義に関しては、積極的に逐条解説などに記載していただけると予見可能性も高まるのではないかと思います。

以上です。

○山本(敬)座長 御意見、どうもありがとうございました。

ほかに御質問あるいは御意見があればと思いますが、いかがでしょうか。

山本健司委員。

○山本(健)委員 マル1の点については、まだ議論のあるところですので、このような取りまとめになるのはいたし方ないかと思います。「引き続き検討」という結論が実際の今後の継続の検討を予定したものであるということを確認させていただきましたので、そのような前提のもと、このような取りまとめに賛成いたします。

マル2の点について、資料1に記載されておりますような逐条解説への記載付記について賛成いたします。

以上です。

○山本(敬)座長 御意見、ありがとうございました。

ほかに。増田委員。

○増田委員 マル1に関しては、引き続き検討については理解いたしましたが、十分に検討していただく必要性があると思います。劇場型だけではなく、契約委託関係がない者を手足のように使って勧誘をするという事案があります。それを関係がないと言って交渉に応じないということも現実にございます。同じ相談が何件も発生しているとか、事業者の事務所を利用していたとか、そういうような事実が出てきたときにどう判断したらいいのかということも含めて、十分に検討していただきたいと思います。

○山本(敬)座長 御意見、どうもありがとうございました。

ほかに御質問あるいは御意見があればと思いますが、いかがでしょうか。

河上委員長。

○消費者委員会河上委員長 これは委員長としてではなくて民法の研究者としてですけれども、詐欺に関する96条の第2項の規定ぶりは、結局、第三者が詐欺をやってしまったということについて知っていた場合と、知ることができた場合には、その第三者詐欺について取消権を認めるというものです。それを引き写してここで議論すれば、知り、または知るべき場合にはという要件にすることが何か特別に負荷をかけているとはどうしても思えなくて、事業者の方がいろいろと御懸念を持っておられるけれども、それは民法だってそうなのでという気がするので、さらに検討すると言ってくださっているので、検討していただいてもいいのですけれども、もう決めてしまったらいいのではないかなと思ったりもしたのです。

○山本(敬)座長 御意見、どうもありがとうございました。

さらに御質問、御意見あればと思います。

大澤委員。

○大澤委員 私は、方向性としては、現状これはいたし方ないのかなと思いますので、特に強く反対はいたしませんが、マル1の今後の検討課題と位置づけることとしてはどうかというのは、一体何を検討するのかということはもう少し明確にしておいたほうがいいのかなと思います。

私が最初にこれを見たときには、これはもうこのまま条文を変えないのかなとも読めましたので、こういう書き方よりは、具体的に河上委員長がおっしゃっていたような要件は知ることができた場合にというのを入れても何の問題もないと個人的には考えていますが、例えばそこを検討したいということであればそこもそうですし、あるいは恐らくここで問題になるのは、第三者の範囲かなと考えています。委託関係にない第三者が関与したというときに、事業者から見て全くあずかり知らないような第三者が勧誘など何かやった場合、例えばこの専門調査会でも出ていたかもしれないですけれども、全く事業者と何ら関係ない人がブログで積極的に紹介をしていた。そのときに事業者としてはいかんともしがたいという話が恐らく出ていたのではないかと思いますので、そういう疑問が出るというのは、第三者の範囲というのが問題なのではないかというように個人的には思っていますので、単にここで今後の検討課題と位置づけることはとしてはどうかということよりは、具体的に例えばこの範囲、第三者の範囲について検討すべきではないかとか、もう少し前向きなというか、もし条文として練るとすれば、どこを考えるべきかということを書いてもいいのではないと思いました。

先ほどの10ページの不利益事実の不告知のところでは、例えば類型化によるあり方とか、主観的要件の拡張というように検討すべきことが列挙して書かれていますので、こういう形で、マル1についても一体何が特に今後練る上で問題なのかというのは、多少示してくれてもいいのではないかというように思いました。

以上です。

○山本(敬)座長 ここでも一定の議論をしたわけでして、それがもう少し反映されてもよいのではないかという御指摘だったと理解します。

松本理事長。

○国民生活センター松本理事長 私はここのマル1の問題は、第三者がどうこうという問題ではなくて、消費者が明らかに誤解をしている、誤認をしているということが事業者にとって明確であるという場合の問題だと思います。これはこういう効果があるというので私は買うのですとか、こういうように新聞広告に載っていたから私はこれを買うのですということを売り場で明確に述べている場合に、事業者としてどう対応すべきなのかという問題の一コマにすぎないのではないかと考えています。

消費者が明らかに誤解をしている場合には、誠実な事業者であれば、お客さん、それは誤解ですよということを言うべきだろうと思うのです。それを言わない場合に、法律上、取り消せるというところまで行っていいのかどうかは、かなり大きな問題だから議論しなければならないのでしょうが、商道徳上は、明らかに誤解していれば、誤解を解いてあげるべきだろうと思うのです。

ここで取り上げられているのは、たまたま誤解のきっかけが第三者にあるという場合であるわけです。誤解をするというのは、何かきっかけがあるわけで、どこかにこういうものが書いてあったとか、それを自分が誤って理解している場合もあれば、正しく理解していたけれども、書いてあること自体が誤っていたという場合もあるでしょう。ただし、第三者に起因した誤解なのかどうかというところまで詮索すると、必ずしも明確にならないケースが多いと思われます。起因が第三者であるということが立証できた場合のみ救済されて、そうでない場合は救済されないというのは、余り公平だとは考えません。事業者と第三者に特別の関係がない場合は、救済するとすれば同じレベルで救済すべきと思われます。

したがって、誤解が明確な場合の誤解指摘義務的なものを措定して、それに違反した場合には取り消せるというような規範を入れるか、入れないか、そういう大きな話で考えたほうが適切ではないかと思います。

○山本(敬)座長 御意見、どうもありがとうございます。

阿部委員。

○阿部委員 ここは御提案のとおり、もう少し検討いただきたいと思うわけでありまして、特に委託関係にない第三者というものの広がりがよくわからない。今、口コミ以上にソーシャルネットワークなどでちょっとしたことがどんどん広がってしまって、それを知り得たとかと言われても、一体ここに言われている委託関係がない第三者の場合というのはどういうことなのかもう少し詰めていただかないと、とてもではないですけれども、法改正などはできません。

○山本(敬)座長 御意見、どうもありがとうございました。

ほかに。

後藤準委員。

○後藤(準)委員 今のお話ですけれども、これは私も阿部委員と同様の意見で、先ほど松本先生から、誤解はその場で解けばいいのではないかとありましたが、どのように誤解をしたのかということは、事業者は全くわからない訳です。消費者御本人が、そのことを事業者に伝えれば、その場でわかりますので、それは訂正できます。でも、全く誤解したことを事業者が知り得ない立場だったら、それをもってけしからぬと言われても、それは事業者の責任として本当にいいのかどうか。そこは十分にもっと議論する必要がありますし、何度も申し上げていますが、現実の問題は理屈の世界ではなくて、現実の現場の対応をもう少し考えていかないと、実際にこの法律をつくっても運用できないということになりかねないと思っております。

○山本(敬)座長 どうもありがとうございました。

ほかに。

後藤巻則座長代理。

○後藤(巻)座長代理 私も阿部委員や後藤委員がおっしゃることはよくわかるという感じがしまして、民法の第三者の詐欺において、全く関係のない第三者がどこまで念頭に置かれているかを考えてみる必要があるのではないかと思います。民法の教科書的な記述でも全く関係のない第三者というよりは、むしろ相手方と何らか関係があるような場合が例として挙がっているのが普通でして、民法の考え方も全くの第三者ということを前提としていないというように考えますと、消費者契約法で委託関係のない第三者について規定を考えるということでありますと、委託関係のない第三者の範囲というのは阿部委員がおっしゃるように、もっと詰める必要があるのではないかと思います。

知ることができたということについても、実際には、知ることができたとして、過失があると裁判で認定されることはあまりない、結局心配することはないというようなことも法的には確かに言えるのではないかと思うのですが、知ることができたかどうかということで、知る義務を課すということになると、事業者としては、そこについて人的あるいは経済的なコストがかかるということになりますので、そういう心配があるというのはもっともな話だと思います。ですから、ここで早急に結論を出す必要がある問題ではないと私は思います。今後、継続して検討していけばいい問題という印象を持っています。

○山本(敬)座長 ありがとうございました。

ほかに御指摘いただくことはあるでしょうか。

河上委員長。

○消費者委員会河上委員長 早急に結論を出したほうがいいなどという言い方をして申しわけございませんでした。民法の96条の2項の規定の、つまり、相手方がその事実を知っていたときの事実というのは、第三者が詐欺を行ったということを知っていたということなので、その意味では、一緒に詐欺をやったのと同じだという理解があるのだと思うのです。ですから、それぐらいまで両者が密接に関連してないと、なかなか民法だってそうはいかない。単なる第三者であればいいという話ではもちろんないので、その意味では、先ほど大澤さんがおっしゃったように、第三者の範囲というか、それはきちっと考えておかないといけなくて、後藤委員や阿部委員のおっしゃること、そのとおりだと思いました。

○山本(敬)座長 ありがとうございました。

よろしいでしょうか。

大澤委員。

○大澤委員 先ほどから意見が私も含めて言っているのはマル1ですが、マル2のほうですが、媒介の意義については逐条解説で記載するということなのですけれども、これについてはもう少し検討する必要があるのかなとは思っていまして、媒介という日本語の意味合いだと思うのです。媒介というと基本的には中に立ってやっている。そういうもう少し積極的な意味に聞こえます。21ページの上から2行目のところには、必ずしも契約締結の直前までの必要な段取りと、第三者が行っていなくても媒介に当たる可能性がある、それを逐条解説に書くということが書かれているのですけれども、だとすれば、媒介という言葉に余りこだわる必要もないのかなと個人的には思っています。では、かわりの言葉として何があるのかと言われても今は思いつきませんが、私が申し上げたいのは、この媒体という言葉について、とりあえず媒介という言葉を残して、それを逐条解説で書くということが提案されていますけれども、やはり媒介という言葉で本当にそれが表現できているのか。逐条解説で仮にこういうことを書くのであれば、もう少し何か適切な日本語がないのかなということは今後議論したほうがいいかなと思います。

あと、それとの関係で、恐らくマル2とマル1は当然関係してくる問題だと思いますので、結局、今の条文というのは、媒介をすることの委託をしているという場合に限定しているので、専らマル2のところにフォーカスが当たって、それでは足りないということで恐らくマル1のような場面が提案されていると思いますので、マル1、マル2、これは分けて書かれていますけれども、当然のことながら、これは両者関係する問題なので、マル1の先ほど来出ている第三者との範囲ですとか、あるいはどういう場面で一体取消しを認めるかということをもう少し詰めて議論するときに、やはりマル2についてもここでもうこれでコンセンサスが得られたので媒介のままでということではなくて、やはり媒介という日本語が果たして適切なのかということは、今後検討すべきなのではないかと思います。

以上です。

○山本(敬)座長 ありがとうございました。

山本健司委員。

○山本(健)委員 「媒介」という字句の見直しを今後の継続検討の議題にすること自体については、特段反対するものではございません。

けれども、とりあえず現状への対応として、「媒介」という言葉に関する逐条解説の解説部分に、契約締結の直前まで必要な段取りを行わないといけないといったような、一般的な用例に比べて非常に狭い解釈が記載されているという問題点については、字句自体を見直すかどうかという問題とは区別して、第1弾の取りまとめで対応していただきたいと思います。資料1で記載いただいておりますように、必ずしも契約締結の直前までの必要な段取り等を第三者が行っていなくても「媒介」に該当する可能性がある旨を、逐条解説において適切に記載いただきたいと思います。

以上です。

○山本(敬)座長 ありがとうございました。

民法96条2項の改正が検討された際にも、当初は、現在の第三者が詐欺をしたことを相手方が知っていた場合のほかに、実は消費者契約法を参考にしながら、相手方が責任を負うべき者がした場合にも相手方の悪意等を問うことなく取消しを認めるというような提案がされました。そのときに、消費者契約法の媒介という言葉を使うかということが検討されましたが、媒介という言葉では狭く解釈される可能性があって、拾える場合を落としてしまうことになるというので、相手方が責任を負うべき者がしたというような概念で何とか要件を立てようとしましたが、外縁が必ずしも明確でないということから、成案には至らず、それにかえてというわけではないかもしれませんが、悪意だけではなく、知ることができた場合をつけ加えたというのが民法改正の経緯だったと理解しています。

その意味では、第三者の範囲の問題と関係している側面があるということは御指摘のとおりではありますけれども、現在の消費者契約法は、第三者を特定する形で取消しを認めている。マル1の提案は、それとは別に、知っていた場合だけではなく、知ることができた場合も含めて取消しを認めるという民法96条2項の改正案の方向を踏襲するかということが問題になっている。この両者の関係はもう少し整理しませんと、混乱する可能性がないわけではありません。

ですので、マル1について、さらに今後の検討課題としてさらに検討するべきだと思いますけれども、その中で、マル2に当たるような事柄も考え、カバーすべき問題としてなお残っているのであれば、マル1の中でまた検討するということになるのかもしれません。場合によっては、媒介の意味をどう考えるかに応じて、本当にこの文言でよかったのかどうかということもあわせて検討されるべきことではないかと思います。

民法改正の経緯について、やや不正確なことを申し上げた可能性もありますが、補足説明としては以上のとおりです。

松本理事長。

○国民生活センター松本理事長 今のお話を聞いていて少し感じたのは、先ほど勧誘の概念をどうするかという議論がございましたが、ここでも当該第三者が不当な勧誘をしたこと、勧誘という言葉を使っていることです。ここが先ほどの議論の延長上で、勧誘という用語がかなり厳格に使われるのであれば、どこかのブログにちょこっと書いていたというのは勧誘にはそもそも当たらないという話になってきます。契約の締結に非常に近いところまで引っ張っていくというようなものでないと入ってこなくて、委託関係になかったら、そんなことするはずがないので、結局は委託関係の立証ができる、できないという話に帰着をして、第三者がそこまでやる以上、当然一定の収益を期待してやっているのだろうから、どこかに何かがあるのだという推認を働かすという形で処理をするのが本筋ではないか。

そういう点をすっ飛ばして勧誘という言葉を使い、実際はどこかにちょこっと書いてあればみんなここで第三者が勧誘をしたというように定義してしまうのであれば、先ほど私が述べたように、やはり一面では広過ぎて、一面では狭過ぎる。その程度の第三者起因による誤解の場合にのみ、何で救済するのですかということで、むしろもう一度私の主張に戻りますけれども、消費者本人が当該契約の場で誤った認識を自ら告げているような場合に、事業者がその誤りをきちんと指摘してあげなかったときについては、やはり救済すべきなのかどうかというところで共通して議論するほうがいいのではないかと思います。

○山本(敬)座長 ありがとうございました。

様々な御意見をいただき、ありがとうございました。今後の検討の中でいただいた御意見を考慮しながら検討を進めるということになると思います。

よろしいでしょうか。

それでは、かなり時間がたってまいりましたので、少し休憩をとるということでよろしいでしょうか。5時まで休憩をとり、5時から再開するということにさせていただきます。

(休憩)

(6)取消権の行使期間(第7条第1項)

○山本(敬)座長 それでは、ただいまより議事を再開いたします。

続きまして、取消権の行使期間についての検討に入りたいと思います。

御意見、御質問のある方は御発言をお願いします。

阿部委員。

○阿部委員 短期を1年に延ばすことについては賛成いたしますが、長期は現状のままとしていただきたいと思います。

○山本(敬)座長 ありがとうございます。

ほかに御質問あるいは御意見があれば。

丸山委員。

○丸山委員 延ばすという点については賛成するのですけれども、率直に1年でいいのかという点については、拝見しましたときに疑問がありました。それこそ高齢化社会になってすぐには対応できないような事件もふえることを考えると、そういう事件がふえるたびに延ばしていくというよりも、必要なラインはどこだろうというところをしっかり考えて延ばすというのが本来いいのではないかとは思いました。その点からも1年というのは短いのではないかという感想はもちました。

特商法の過量販売の規定も参照しましたとおっしゃいましたけれども、他方で、民法の規定というのを参照していただければ、取消しについても無効についても長いわけです。そういったところも参照していくならば、本来、議論の過程では3年、10年みたいな提案も出ていたわけなので、1年は延ばさないよりはましですが、短いかなという気はいたしました。

○山本(敬)座長 ありがとうございました。

ほかに御質問、御意見があればと思いますが、いかがでしょうか。

山本健司委員。

○山本(健)委員 まだ議論のあるところですので、長期の部分については引き続き検討ということでいたし方ないかと思います。

短期について1年というのは、一歩前進であるとは思うのですけれども、本当に必要最小限だと思います。民法の原則では5年ですし、今度の民法改正では短期消滅時効が原則5年で統一されますし、不法行為でも3年ですので、せめて短期を3年ぐらいにできないのかという意見でございます。

以上です。

○山本(敬)座長 ありがとうございました。

ほかに御意見、御質問があればと思いますが、いかがでしょうか。よろしいでしょうか。短期の行使期間を追認することができる時から1年間に延ばしてはどうかという提案に対して、これ自体については反対しないけれども、可能であるならばもう少し長いほうが望ましいのではないかという御意見も出ているところです。いかがでしょうか。

河上委員長。

○消費者委員会河上委員長 差し当たっては私もこれでいいかと思っておりますが、問題は追認することができるときからというところの解釈がいろいろ分かれる可能性がありますので、ここは場合によってはコンセンサスをつくったほうがいいのかもしれません。前にデート商法の事件などを見ていますと、彼氏から本当に裏切られたと気づくまでは相当時間がかかっていました。つまり、彼女は彼氏がデート商法で自分に近づいてきて仕掛けてきたのだということをずっと気がつかなかったのです。だから、それを考えると、相手からの影響力から脱するというのは相当場合によっては時間がかかる可能性があるので、その追認をすることができるときからというのを余りリジットに考えないようにしていただければありがたい。逐条解説でしっかり書いていただければありがたい。

○山本(敬)座長 この文言自体を変えるという御提案では必ずしもなく、その理解をさらに深める必要があるという御指摘だったと理解しました。

後藤巻則座長代理。

○後藤(巻)座長代理 私も追認することができるときからというところについては関心を持っていまして、丸山委員からも、今、高齢者の問題という話が出ましたけれども、仮につけ込み型の取消しということが入るということになりますと、高齢者で判断力が低下している、あるいは高齢者でなくても判断力が低下しているというような状況も出てくると思いますが、そういう場合には、追認することができるという状態になっていない状態が続いているというように考えられると思いますので、実際の適用というところでは、そういうような問題を考えながらやっていくという必要があるのではないかと思います。

そういうように考えますと、高齢社会への対応という点でも、一旦判断力が低下して急に判断力が戻るというようなことがない限りは、むしろ追認をすることができない状態なのだから、行使期間を過ぎていないということで、取消権が結構続くのだという認識を私は持っているのですけれども、そういう理解が必要なのではないかと思います。

○山本(敬)座長 ありがとうございました。

増田委員。

○増田委員 ぜひそのようにしていただきたいと思います。相談員のアンケートの中も見ていただきたいと思います。これを読んでいただければ、今のお話がそのとおりだと御理解いただけるのではないかと思いますので、ぜひぜひよろしくお願いいたします。

○山本(敬)座長 ありがとうございました。

追認をすることができる時の意味は、消費者契約法だけではなくて、民法等でも問題になり得ることでして、御指摘のようなことは、取消権構成がとられる類型に関しては同様に問題になるように思います。特に高齢者に関しては民法上の詐欺・強迫等でも問題になり得ることだと思いますので、問題として共通しているように思います。

この問題につきまして、さらに御質問あるいは御意見があればと思いますが、いかがでしょうか。よろしいでしょうか。

それでは、7条1項に定める取消権の行使期間のうち、短期の行使期間を追認することができる時から1年間に伸長してはどうかという提案について了解が得られたものとさせていただきます。

(7)不当勧誘行為に基づく意思表示の取消しの効果

○山本(敬)座長 それでは、続きまして、第6の不当勧誘行為に基づく意思表示の取消しの効果についての検討に移りたいと思います。

御意見、御質問のある方は御発言をお願いします。

阿部委員。

○阿部委員 内容的には特段異論はないのですけれども、本来であれば民法改正を待ってから改めて判断すべきかなと思うのです。ただ、実際には国会に提出されている121条の2が修正されるとも思えないので、当然今の政府案の形でいずれは成立するという前提で、法改正されることには賛成いたします。もっとも、施行を改正民法の施行時期まで延ばすというか、これは附則で手当てできるかと思いますので、施行時期を民法と合わせるような調整をしてください。

以上です。

○山本(敬)座長 御指摘ありがとうございました。

この点はよろしいでしょうか。そのように理解すればよいということでしょうか。

それでは、ほかに御意見、御質問があれば。

大澤委員。

○大澤委員 私も方向性としては強く反対するものではございません。これを設けることが実際上必要であるということは事実だと思います。何らかの対応をしていかないと、結局無駄に買ったものについてもお金を払わないといけないということに結果的になってしまいますので、それは必要だと思うのですが、ただ、1点、気になるのは、現に利益を受けている限度という言葉の意味なのです。もちろん、法改正するに当たってこの文言で書くというのは1つのやり方だと思いますし、これは取り得る考え方だと思うのですが、ただ、現存利益の解釈によっては、結果的に余り意味がないとは言わないですけれども、やはり返さなければいけない、お金を払わなくてはいけなくなるということがあるのではないかと思っています。

これは民法でも、現存利益の解釈というのは同じ問題があると思うのですが、大正時代でしょうか、大審院の判例で現存利益の中に入るか、現存利益があるかどうかという判断を下された事例で、例えば生活費として、いわゆる有益に費消したものであれば、これはまだなお現存利益が残っているというように大審院の判決がございます。そういうことも考えたときに、この現に利益を受けている限度においてという言葉でやろうとしている問題が果たして全て解決するのかということは若干危惧しておりますので、もしこの文言に変えるとしても、可能であれば現存利益をどういうように考えていくかということは、少なくとも逐条解説で書く必要があるかもしれませんし、あとはまた今後の議論で、果たして、この文言で現に利益を受けている限度においてという文言だけで果たしていいのかどうかということは、検討の余地はまだ残されているのではないかと思います。それは専ら理由としては、現存利益の解釈が民法の話でありますけれども、解釈次第によっては、これは余り条文として機能するかどうかわからないというのが理由です。

以上です。

○山本(敬)座長 御意見ありがとうございました。

この点は民法の改正に対応するものでして、新しく法律行為の無効、取消しの効果として民法121条2が定められて、その中でも幾つかの場合分けがされ、その中に現存利益に当たるものが文言として使われています。恐らく解釈はそれと整合性を有するものでなければならないだろうと思いますので、民法の解釈をひとまず置いて、逐条解説で独自の意見を述べることは難しいと思います。その意味では、この点も含めて、民法改正が成立し、実際に運用されてくのと並行して、消費者契約法で新たに置かれる規定の実際上の意味も定まっていくことにならざるを得ないのではないかと思います。

御異論はあるかもしれませんが、今の点につきまして、ほかに御質問あるいは御意見がありましたらと思いますが、いかがでしょうか。

後藤巻則座長代理。

○後藤(巻)座長代理 民法改正との関係が出ておりますけれども、先ほどの取消権の行使期間の問題もそうなのですが、この行使期間というのは特商法と割販法でも取消しについて、消費者契約法と同じ扱いになっていまして、今、問題としております意思表示の取消しの効果についても、割販法に三当事者間の清算についての規定がありますが、それ以外には特に規定がないので、ここも消費者契約法と同じ扱いになってくるのではないかと思います。

そういうことで、消費者契約法が改正された場合に、ここは消費者契約法の問題で、それはそれで議論するということも必要だと思いますけれども、ほかでも消費者契約法と同じ扱いにするのかどうかという問題が出てくると思いますので、そういうことも考慮に入れる必要があるのではないかと思います。

○山本(敬)座長 課題の御指摘をしていただきまして、ありがとうございました。

ほかに御質問は。

山本健司委員。

○山本(健)委員 現行よりも消費者の立場を悪くしないため、不安定な立場にしないために必要な立法であり、賛成いたします。しかし、日弁連試案のような個別具体的な事案における返還請求権の制限を許容する特則規定の併設等を今後の課題として引き続き検討いただきたいと思います。

以上です。

○山本(敬)座長 ありがとうございました。

ほかに御質問あるいは御意見があれば。

河上委員長。

○消費者委員会河上委員長 この現存利益が実際に問題になるケースはほとんどないのではないかと思うのです。つまり、相手からも不実表示だとか、そういうもので取り消せるような状況下で、押しつけられた利得ですから、その意味では、現存利益というのが考えにくいものです。もし現存利益を返さないといけないのであれば、その限りでは取消しをした意味がそこの部分はなくなってしまうということですから、そのことを考えると、本当は特商法のクーリングオフのところでの9条の5項にあるように、正面から対価となる金銭の支払い請求はできないのだということをはっきり言ってしまうというのも1つの手ではないかとは思っております。ただ、民法との整合性を考えていけば、今のような形でまずは行ってみるということでやむを得ないかなという気がしました。

○山本(敬)座長 ありがとうございました。

よろしいでしょうか。それでは、この不当勧誘行為に基づく意思表示の取消しの効果につきましては、冒頭にありますように、消費者契約に基づく債務の履行として給付を受けた消費者は、消費者契約法の規定により当該消費者契約の申込み、またはその承諾の意思表示を取り消した場合において、給付を受けた当時、その意思表示を取り消すことができるものであることを知らなかったときは、当該消費者契約によって現に利益を受けている限度において返還の義務を負うものとするという提案について了解が得られたということで、よろしいでしょうか。

ありがとうございました。全体を通じてさらに御補足いただくことがもしあればと思いますが、よろしいでしょうか。

それでは、本日の議論はこのあたりとさせていただきます。次回は、残された個別論点の検討を引き続き行っていくことにしたいと思います。どうかよろしくお願い申し上げます。

最後に事務局から事務連絡をお願いいたします。


≪3.閉会≫

○丸山参事官 本日も熱心な御議論のほう、どうもありがとうございました。次回は12月11日、金曜日、15時からの開催を予定しております。よろしくお願いいたします。

○山本(敬)座長 それでは、本日はこれにて閉会とさせていただきます。

お忙しいところ、お集まりいただきまして、ありがとうございました。

以上