第21回 消費者契約法専門調査会

日時

平成27年11月13日(金)10:30から11:50

場所

消費者委員会大会議室1

出席者

【委員】
山本敬三座長、後藤巻則座長代理、阿部委員、井田委員、古閑委員、後藤準委員、増田委員、丸山委員、柳川委員、山本和彦委員、山本健司委員
【オブザーバー】
消費者委員会委員 河上委員長、鹿野委員
法務省 中辻参事官
国民生活センター 加藤理事
【消費者庁】
井内審議官、加納消費者制度課長、桜町取引対策課長
【事務局】
黒木事務局長、小野審議官、丸山参事官

議事次第

  1. 開会
  2. 集中的な意見受付及び関係団体からのヒアリングの結果概要の報告
  3. 今後の審議の進め方
  4. 閉会

配布資料(資料は全てPDF形式となります。)

議事録

≪1.開会≫

○丸山参事官 それでは、時間になりましたので、始めさせていただきたいと思います。

本日は皆様、お忙しいところをお集まりいただき、ありがとうございます。

ただいまから消費者委員会第21回「消費者契約法専門調査会」を開催いたします。

本日は所用により、大澤委員、沖野委員、河野委員が御欠席、それから阿部委員が遅れての御出席ということで御連絡をいただいております。

まず、配付資料の確認をさせていただきます。

議事次第の下部に配付資料一覧をお示ししております。

資料1といたしまして、本専門調査会「中間取りまとめ」に関する集中的な意見受付及び前回までに実施いたしました関係団体からのヒアリングの結果概要となっております。

資料2につきましては、本専門調査会における今後の審議の進め方の案となっております。

もしお手元の資料で不足がございましたら、事務局のほうにお申し出ください。

それでは、山本座長、議事進行のほうをよろしくお願いします。


≪2.集中的な意見受付及び関係団体からのヒアリングの結果概要の報告≫

○山本(敬)座長 おはようございます。それでは、議事に入らせていただきます。

初めに、本年9月に実施されました本専門調査会「中間取りまとめ」に関する集中的な意見受付及びこれまでに実施しました関係団体からのヒアリングの結果概要につきまして、事務局から報告をお願いいたします。

○事務局 では、事務局のほうから御説明差し上げたいと思います。資料1を御覧ください。先ほど御紹介いただきましたように、消費者契約法専門調査会の「中間取りまとめ」に関する集中的な意見受付及び関係団体からのヒアリングの結果概要ということで作成しております資料でございます。

消費者委員会では、本専門調査会の今後の検討において参考とさせていただくために、専門調査会の「中間取りまとめ」に関し、本年9月に集中的な意見受付期間というものを設定した上で、意見の受付を実施してまいりました。

また、これまで第18回から20回までの専門調査会において、関係団体から、提出された御意見の意見書の内容を中心にヒアリングを実施してまいりました。

本資料では、この集中的な意見受付期間に寄せられた御意見、総提出数で2,450通になっておりますけれども、これを論点項目ごとの御意見の件数を整理して、別紙1にまとめ、また、その主な意見内容やヒアリングで示された主な御意見の内容というところを、概要についてですが、別紙2という形でお示ししております。

なお、別紙1の意見の件数というところでございますが、これは論点項目ごとに集計しておりますので、提出数というところとは一致するものではございません。

ページをおめくりいただきまして、件数のところを見ていただきたいと思いますけれども、論点によって件数にばらつきがございますが、「『勧誘』要件の在り方」や「不当勧誘行為に関するその他の類型」というところなどは多く御意見が集まっているところでございます。

別紙2から主な意見を取り上げて記載させていただいております。

まず、1ページ目の「見直しの検討を行う際の視点」というところでございますけれども、最初のポツのところでは、この消費者契約法制定後の社会経済状況の変化に適合した内容という形で改正していくことは重要な立法課題であるという御意見がある一方で、その下のほうの御意見では、その立法事実等の存在について疑問が示されている御意見もございます。

ページをおめくりいただきまして、「総則」のほうの個別の論点について意見が書いてございますけれども、「『消費者』概念の在り方」については、消費者庁の逐条解説の改訂により、諸事例に適用があることを明確にすべきではないかというような御意見も記載している一方で、次のページのところでは、その「消費者」概念の拡張に当たっては、明確な基準が設定できるかどうかというところの御意見も頂戴しているところでございます。

3ページ下部は「2 情報提供義務」について記載しておりますが、これは情報提供義務を法的義務とするという御意見の一方で、その必要性や要件としての曖昧さ、予測可能性ということから反対されている御意見も記載してございます。

続いて、4ページに「契約条項の平易明確化義務」について記載してございますけれども、こちらは条項使用者不利の原則という観点から立法すべきという御意見もあるところですが、平易明確化義務の義務化自体については反対する、不当条項になるというような御意見もいただいております。

「消費者の努力義務」については、これを削除する、あるいは削除することについて反対という、いずれの御意見も頂戴しているところでございます。

続いて、「『勧誘』要件の在り方」、4ページの下部でございますけれども、不特定多数の者を対象とした広告や表示であっても、誤認取消しができるという規定を置くべきという御意見がありますが、5ページのところでは、上から2つ目のポツですけれども、インターネットの普及等によって、現行の勧誘の要件が現実に合わないという事態が発生していることは理解できるとしつつ、その下のほうでは、やはり要件拡張をする場合について、適用場面を限定する必要があるのではないかというところで、その2つ下のポツでも、適用範囲の明確な規定というところに関する御意見を頂戴しているところでございます。

ページをおめくりいただきまして、後ろのほうでは、この「勧誘」要件の上から2つ目のポツですけれども、「勧誘」要件の見直しに関しては、不告知の見直しや「重要事項」概念の見直しとの関係についても御意見をいただいているところでございます。

6ページ下部は「断定的判断の提供」でございますけれども、この点については、消費者の財産上の利得に影響するものに限定されないというところを逐条解説の改訂、少なくともそういった改訂により明確にすべきという御意見がある一方で、一番下のところでは、その点については反対するという御意見もあるところでございます。

それから、7ページで「不利益事実の不告知」でございますけれども、まず冒頭で類型化というところについて、類型化して検討すること自体には賛成されるという御意見もある一方で、これに反対する御意見もあるところでございます。

不実告知型については、これを不実告知と同視して、要件を設定するという御意見がございますけれども、他方で、故意または重過失を要件とする、重過失まで緩和することについて議論するのであれば理解できるものの、故意要件の削除というところについては反対するという御意見もございます。

また、不告知型については、故意による不告知というところで特商法と同様に取消しを認めるべきという御意見を書いてございますけれども、ページをおめくりいただきまして、8ページのところでは、先行行為要件というところを維持すべきというような御意見もございます。

それから、8ページ下部には「『重要事項』」についての御意見を記載してございます。

最初のポツで、列挙事由について、これは例示であることを明示すべきという御意見もあるところでございますけれども、次の9ページの上のほうでは、このような例示と位置づけるということについては、慎重に検討する必要があるという御意見や、事業者側からの予測可能性という観点からの懸念も御意見として頂戴してございます。

それから、9ページ下部では「不当勧誘行為に関するその他の類型」というところで、執拗な電話勧誘、威迫等による勧誘と記載してございますけれども、執拗な電話勧誘については、これを付加すべきという御意見と、慎重に議論すべきという意見を双方記載してございます。

それから、10ページのところで威迫による勧誘についてですけれども、どのように威迫されたのかをより限定して明記すべきという御意見や、適用場面の明確化に関する御意見も頂戴しているところでございます。

それから、10ページ真ん中で不招請勧誘についてでございますけれども、これを新たな立法として検討すべきという御意見もある一方で、この不招請勧誘による影響というところを懸念される御意見もございます。

「(3)合理的な判断を行うことができない事情を利用して契約を締結させる類型」ということで、今回の法改正が必要不可欠という御意見が10ページの下部に書いてございますけれども、ページをめくっていただきまして、11ページのところでは、非常に多くの御意見を頂戴しているところですが、例えば下から4ポツ目のところであれば、「判断能力を有さない消費者」等、ミニマムスタンダードを意識した限定的な消費者を対象とした規律を考えるべきである。それ以上については個別の業法に委ねるべきであるという御意見や、その合理的な判断を行うことができない事情を不当に利用したとするなど、適用範囲の明確化に関する御意見を頂戴してございます。総じて、事業者が取引の安定性が損なわれるということの影響というところも御意見として頂戴しているところでございます。

12ページから「6.第三者による不当勧誘」というところがございます。これについては、第三者による不当勧誘による取消しというところを法文で明確にすべきという御意見や、また、法5条1項「媒介」の意義について、逐条解説による改訂というような御意見が最初のポツに書いてございます。

12ページの一番下のポツからですが、知ることができた場合にまで含めることには強く反対するという御意見で、過失という関係での懸念というところが示されてございます。

続いて、13ページの「7.取消権の行使期間」についてでございますけれども、これは現行法の6カ月、5年が短いということで、3年、10年とすべきであるとか、5年、20年とすべきというような御意見もあるところでございますけれども、14ページのところで、行使期間の延長については、取引の安定性を損なう懸念があるというような御意見もございます。

また、「8.法定追認の特則」ですけれども、これは民法の法定追認の規定を適用しないという特則を設けるべきという御意見もいただいているところでございますが、一方で、3ポツ目のところでは、民法の法定追認に関しては、民法の改正の議論において、法定追認においては取消権者が取消権の存在を知っていることが要件となるか否かというところが解釈に委ねられているということを考えるべきではないかと。こういった民法改正との関係の御意見も頂戴しているところでございます。

それから、「9.不当勧誘行為に基づく意思表示の取消しの効果」でございますが、こちらも民法改正の関係ですが、現存利益に限定すべきではないかという御意見を頂戴しているところでございます。

15ページ、一番上のところでは、民法施行後の立法事実というものを踏まえるべきではないかという関係で、こちらも民法との関係の御意見を頂戴してございます。

15ページからは、「第4 契約条項」に関する記載が入ってきておりますけれども、「人身損害の軽過失一部免責条項」については、無効である旨の規定を設けるべきという御意見がある一方で、例外的に免責が有効となる場面があるということに関する御意見も頂戴しております。

それから、「(2)『民法の規定による』要件の在り方」ということでは、この「民法の規定による」というのは削除することで賛成という御意見もありますし、現行法で変更する必要性はないのではないかという御意見もあるところではございます。

「2 損害賠償額の予定・違約金条項」についてですけれども、「解除に伴う」要件というものについては、これを終了の場面に拡大するかどうかということに関して、9条1号の適用範囲の拡大に加えて、さらに場面を限定した法規範というものを継続検討すべきという御意見もございますし、契約が終了する場合に適用することに関する懸念の意見も示されているところでございます。

16ページは「『平均的な損害の額』の立証責任」について書いてございますけれども、これについては、立証責任を事業者に転換すべきというような規定もある一方で、その反対の御意見も示されているところでございます。

それから、「3 消費者の利益を一方的に害する条項」、「(1)前段要件」のところでございますが、2ポツ目のところで、最高裁判決によって内容が明確化されていることをどう考えるかというところですが、最高裁判決で示された考え方を拡充または縮小することなく、適切に条文化することが必須ではないかという御意見をいただいております。

「(2)後段要件」についてですが、1つ目のポツでは、「民法第1条第2項の基本原則に反し」というところを、消費者契約法の趣旨・目的に照らしてということについて、少なくとも逐条解説で改訂すべきではないかという御意見を頂戴しております。

17ページで「4 不当条項の類型の追加」でございますけれども、まず「全般について」というところで、この追加については、現行法の10条前段要件に少なくともとどめるべきではないかというような形での御意見がございます。または、10条の解釈に委ねるという御意見もございます。

17ページの下から、具体的な不当条項類型というところで、(1)では解除権・解約権の放棄・制限条項というところで、これを無効とすべきという御意見もあれば、改正による実務への影響というところで御意見も頂戴してございます。

次のページ「(2)事業者に当該条項がなければ認められない解除権・解約権を付与し又は当該条項がない場合に比し事業者の解除権・解約権の要件を緩和する条項」でございますけれども、これについて、原則有効とした上で、濫用的である場合のみ無効とすべきではないかというような意見や、現在の10条をめぐる判例を尊重すべきではないかと、こういった御意見も頂戴しているところでございます。

(3)で作為、不作為をもって意思表示を擬制する条項についてですが、これも18ページの一番下のところでは、例外的に無効とすることに一定の理解はできるものとありながら、19ページの一番最後でもございますが、そういう濫用的な悪質なケースについては一定の理解はできるが、そうでない限りは原則有効とすべきではないかという御意見を頂戴してございます。

19ページ(4)でございます。解釈権限を付与する条項、あるいは決定権限を事業者のみに付与する条項というところですけれども、2つ目のポツなどでは、具体的な約款を示しながら、事業者のみが解釈権限、判断権限を持つことが必要不可欠なケースがあるのではないかというようなことや、実務上の必要性というところの御意見などをいただいてございます。

「(5)サルベージ条項」については、立法事実がどの程度問題となっているのかが明確ではないのではないかと、そういった御意見を頂戴してございます。

20ページからは「第5 その他の論点」について記載してございます。

「条項使用者不利の原則」については、これを有用としながら、適用範囲を定型約款に限定する必要はないというような御意見がございますが、一方で、これがどのような場合に適用されるのか、どのような不都合が生じているのか、その必要性はどう考えるのかと、こういった観点からの御意見を頂戴してございます。

抗弁の接続については、1つ目のポツでは、これは近い時期の法改正で規定を設けるべきという形での御意見も頂戴しておりますけれども、次のページでは、第5条による対応によるほか、要件については慎重に検討すべきという御意見も頂戴しています。

「3 継続的契約の任意解除権」でございますが、これも同じく、近い時期の法改正で規定を設けるべきというような御意見もありますし、他方で、基準を明確にすべきという御意見も頂戴してございます。

「おわりに」のところでございますけれども、1つ目のポツの2行目ぐらいですが、消費者と事業者との間の情報交渉力の格差の是正、消費者の利益の擁護というのを前提とした議論というような御意見を頂戴している一方で、2つ目のポツでは、法目的の達成のためには、慎重かつ公平な議論が必要ではないかという観点の御意見も頂戴しています。

最後、「その他」としては、1つ目のポツでは、消費者団体訴訟制度の活用との関係に関する御意見等も頂戴しているところでございます。

足早でございましたが、概要については以上でございます。

○山本(敬)座長 ありがとうございました。

それでは、ただいまの報告を受けまして、もし委員の皆様から御質問などがありましたら、よろしくお願いします。

阿部委員。

○阿部委員 全体の経過はそれぞれこういう形であるということがわかるのですが、数ですね。特商法のほうではヒアリングとか意見について、それなりに数の整理がされていたかと思うのですが、それが必ずしも正しいかどうかは別にして、全体の傾向です。賛成、反対の御意見がそれぞれ全体の何割ぐらいあったとか、それはわかりますか。

○山本(敬)座長 それでは、事務局のほうからお願いします。

○事務局 今回いただいた件数に関しましては、最初の別紙1のところで、論点ごとについては計算して、集計しているところでございますが、賛成、反対の区分というような形ではなかなか割りつけにくい部分があり、一つの意見の中でも、どちらかというと具体的な提案に近いような形のものも多くございまして、明確に賛成、反対を数字でお示しできるような形にはなってございません。

○山本(敬)座長 阿部委員、よろしいでしょうか。

それでは、ほかに御意見等がありましたら。

古閑委員。

○古閑委員 意見ではなくて質問なのですけれども、今回まとめていただいたこの別紙2の部分は、今後どういうふうに使われる可能性があるのかというのをお聞きしたいと思います。意見がかなりあったということで、網羅するのが大変であることはわかるのですけれども、ヒアリングでお聞きしていた内容も、ここに必ずしも網羅されているとは思っていません。使われ方によっては、重要な意見が網羅されていないのだとすると、もうちょっとこういう意見も載せるべきではないかとかいった議論をするべきではないかと思うので、使われ方について教えていただけますでしょうか。

○山本(敬)座長 それでは、事務局のほうからお願いいたします。

○事務局 これまで消費者委員会のほうに提出されている御意見については、基本的には委員の皆様にも御確認いただけるような形で共有させていただいて、これまでも必要に応じて会議の場にも提出いただくような形で取り扱わせていただいたかと思います。今回のこの資料の趣旨でございますが、集中的な意見受付期間ということで、全体で2,450通という形で集まりましたので、それを会議の場でお示しするということで、主な意見という形で整理したものでございます。

一方で委員の皆様には、別途、中身をほかの部分も含めて、全部原本を閲覧されるという希望があればそういう形もあり得るかと思いますけれども、それは別途の形で共有せていただいて、当然事務局では、ここに示していない意見も含めて確認してございますので、今後の議論には反映していきたいということでございます。

また、ヒアリングにつきましては、ヒアリングの議事録もございますので、それも含めて今後の資料になると考えてございます。

○山本(敬)座長 ここに書かれているもののみを今後の参考資料にするわけではないと理解していただいてよろしいのではないかと思いますが、それでよろしいでしょうか。

○事務局 そのように御理解いただいて結構かと思います。

○山本(敬)座長 それでは、ほかに御質問ないし御意見がありましたらと思いますが、いかがでしょうか。

では、山本健司委員。

○山本(健)委員 意見収集の結果をまとめていただきましてありがとうございました。おまとめいただいた資料を拝見した感想を述べさせていただきたいと思います。

本日の資料にもございますけれども、事業者ヒアリングで今回の法改正に対する消極意見や反対意見が述べられておりました。

しかし、「正当な事業活動を害する」という観点から立法の要否・範囲を問題視する場合には、単なる不安や恐れといった抽象論やイメージ論だけでは、現に存在する消費者被害を放置する論拠としては不十分・不適切ではないかと思います。また、現に立法が論議されている具体的な法制度の要件・効果を前提に、実際に正当な事業活動がどのように害されるのかという具体的な弊害の存否・内容が検討される必要があると思います。

この点、関係団体ヒアリングでの事業者の皆さんからの消極意見や反対意見には、抽象的な危惧や不安であって具体的な弊害の内容や存否が明らかでないもの、御主張される弊害や問題事例の具体的な内容が実際に立法が論議されている具体的な法制度の要件・効果に合致していないもの、誤解や理解不足に基づく弊害主張と思われるものが目立ったように思います。例えば、「勧誘」要件を見直せば広告に消費者の判断に影響を及ぼす不利益事項をあまねく記載する必要が生じるとか、「重要事項」を拡張すれば個々の消費者ごとに動機を考える必要が生じるとか、「第三者による不当勧誘」を定めれば口コミサイトや家族からの情報で誤認した消費者からも契約を取消されるとか、「つけ込み型不当勧誘」を定めれば外見上しっかりしていると思って行った高齢者との取引まで取消されるといった、この専門調査会で議論されている法制度の内容に対する誤解や理解不足に基づく過剰な御懸念や御心配が多く述べられていたように思います。それらについては、消費者庁や内閣府消費者委員会の皆様に補足説明や逐条解説への具体例の掲載などによって誤解や理解不足の払拭に向けた御対応をいただく必要のある問題であると思いますと共に、立法論議における反対理由としては合理的なご意見内容とは言いがたい側面があるのではないかと思いました。

以上です。

○山本(敬)座長 御意見としていただいたということですが、今の点ないしはそのほかの点につきまして、御質問ないし御意見がありましたら、お出しいただければと思います。

後藤準委員。

○後藤(準)委員 事業者の皆さんの懸念というのは非常に抽象的だというお話がありましたけれども、では、実際に法律が改正された場合に、具体的にはどういう規制になるのか、そこのところがまさに抽象的になっているため、事業者は不安になる。

具体的には、実際の現状がこういうふうに変わるのだと、こういうふうに変わるというその変わる範囲が事業者には理解できない。ですから、この前の事業者ヒアリングのときも、委員の皆さんの質問と事業者の皆さんが回答することには、そこに意識の乖離というか、相当なずれがあったように私は思っておりました。それは、やはり委員の皆さん方がイメージしているものと、事業者の皆さん方がこの法規制によってどのような状況になるのか、ここのところが明確に事業者側はわかっていない。特に、これから先、事業者からすれば、具体的に何をしなければいけないのか、その具体的にすべきことが、今の議論とか中間報告で明確になっているのかというと、我々が明確になっていると幾ら言っても、事業者側にはそれは伝わらない。だから、この委員会では、こういう規制をすると具体的にこういうふうになるのだと、そこをより具体的に明示しない限りは、なかなかそこは埋まらないと私は思っております。

○山本(敬)座長 山本健司委員。

○山本(健)委員 御意見をいただきまして、ありがとうございます。ただ今の御意見には理解できる部分がございます。確かに一部の事業者の方がおっしゃっておられた、専門調査会における議論は余り具体例を引いて議論されていないので、議事録だけを読んでいると想定されている事案がよくわからず、懸念や誤解が生まれるのだという御意見については、心すべき御意見だと思いました。実際の裁判例や相談事例の事案を忠実に引用していただくことも重要なあり方だとは思いますけれども、今後の議論では、理解の便宜という観点から、シンプルな具体例を御提示していただくということも考慮されてよいのではないかと思います。

以上です。

○山本(敬)座長 ありがとうございました。

柳川委員。

○柳川委員 今のお二方の委員の御議論ですけれども、私も後藤委員のお話しになったようなポイントは重要だと思います。御指摘のあったように、抽象的な懸念だとか心配という声がかなりあったことは事実だと思います。そのことから、これが抽象、具体性に欠けるので、反対論としては考慮すべきでないと結論づけてしまうのは、かなり短絡的なのではないかと思います。決してもともと御趣旨もそういうことではなかったと思います。むしろ、ここの専門調査会の中でもう少し具体的な議論をして、専門調査会の外にいる方々に、我々が何を規定しようとしているのか、どういうところをルール化しようとしているのかということをきっちりわかっていただくことが本来必要とされるという御趣旨だと理解しておりますので、その点においては、私は大変賛成でございます。

やはり、どうしてもまだ具体的な条文が出てきているわけでもございませんし、そのことによってどういう解釈がなされているのかと、逐条解説が出てきているわけではありません。我々が新たにイメージしていることでございますので、これを誤解されることなく、きちんとこの委員会の外にいる方々に理解していただくような具体的な議論の詰めというのは、これからかなり重要になってくるだと思っております。

○山本(敬)座長 ありがとうございました。

これまで我々も議論してきまして、そこでどのような改正の方向を考えるかという点について、疑問の余地のないようにできる限りその内容を示すことを心がけてきたと思いますけれども、必ずしもそれが十分に理解されていないという指摘に対しては、理解が得られるような努力をしていくべきであるという点は一致していると思います。

具体例を挙げることがわかりやすいのか、あるいはかえってそれに引っ張られてわかりにくくなってしまう、ないしは理解がゆがんでしまう場合があるのではないかといった点はさらによく考えて検討を進める必要があると思いますが、いずれにしましても、できる限り提案ないしは検討されている事柄の意味が誤解されにくいように議論していくことが必要であるということは共通認識として確認しておくべきではないかと思います。

柳川委員。

○柳川委員 余りこういう議論の中身に入るべき時間かどうかわからないですけれども、誤解のないようにということが重要だということが一点ですが、もう一点、確かに反対論の中には、かなり誤解に基づく、あるいは理解不足ではないかと思われるような御意見があったことも事実だと思います。ただ、その一方で、やはり事業者の側からすると、いわゆる萎縮効果があるのではないかという自主的な御意見も多かったように思います。その点からすると、やはり今回のところは、問題点のあるところはきっちり抑えるということは重要で、その部分に関してはかなり議論がされてきたと私は思っております。

具体的に問題がある事例が多くあり、それを防ぐ、そういうことが起きないようにするための立法がきちんと議論されてきたことは事実で、そこは大事なことだと思うのですけれども、この網が広過ぎないのかというところに関しては、まだまだというか、御懸念があったということは、網が広過ぎないのかというところは、我々はきちんと見る必要があって、決してここの調査会の趣旨も、広過ぎる網をかけようとしているつもりはどなたもないと思うのです。やはりきっちり問題のところにフォーカスを当てた網にしようということで今まで議論をしてきたのだと思いますので、広過ぎる網になっているのであれば、それを適切な範囲の網にするということは、決してやぶさかではないのです。そこが広過ぎるかどうかは、今、認識のギャップがかなりありそうなので、なかなか難しいという問題はあるのですけれども、やはり網が広過ぎていないのかということは、必要に応じて事業者の方々の、まっとうにきちんとやっていらっしゃる事業者の方々にとって、それがどの程度、手かせ足かせにならないようにできるのかというような形の法律のつくり方の整理というものは、今後の議論のところでぜひやっていただければと思います。

○山本(敬)座長 ありがとうございました。

山本健司委員の御意見も、もちろん広過ぎる網をかけようという趣旨でおっしゃっているわけではないのは明らかですが、このような形で提案をし、立法をした場合に、萎縮効果に当たるものが生じるといわれているけれども、どのような萎縮効果がどの程度生じるのかということも、もう少し具体的に示していただけないかというような御提案だったのではないかと思います。

後藤巻則委員。

○後藤(巻)座長代理 ただいまの御意見を伺っていて、少し感じたところを述べさせていただきたいのですけれども、前回の事業者側の方々のヒアリングにおいても感じたところなのですが、事業者の方々が心配なさっている内容で、例えば広告について、広告が勧誘に含まれるとすると、不利益事実を全部広告に書かなければいけないといったお話が出ています。しかし、そういうものは本当に心配し過ぎというのか、我々の今までの議論を正確に理解していただければ、そういう心配は出てこないと私は思っております。

広告であっても、それが個別の契約締結の意思に直接影響を与えるということでない限りは勧誘に当たらないと考えることができますし、それから、不利益事実の不告知についても、重要事項の限定があるわけであります。そういうチェックが一つ一つ働いた上での提案に、例えば今の広告の場合だとなっていると理解しておりますので、そこはやはり事業者の方々がいろいろ懸念をお持ちになっているということは理解しますけれども、もう少し今までの議論の内容をよく見ていただいて、御理解いただくということも要望したいと思います。

○山本(敬)座長 ありがとうございました。

恐らく2つの事柄が述べられているのだろうと思いますが、どちらも異論はないだろうと思います。できる限り誤解の余地のないように明確な形で議論をすべきであるという点は了解されていると思いますが、仮に明確にしたとしても、なお出てくるかもしれない萎縮効果がどのようなものであり、そこまで踏まえると、果たしてこれでよいのかどうかということをきちんと考えないといけないということもまた、異論のないところはないかと思います。もちろん、その際の萎縮効果といわれるものは理由のあるものかどうか、あるいは払拭できるものかどうかという点もさらに検討すべき事柄かもしれませんが、いずれにしましても、その前提として、可能な限り誤解の余地なく理解できるように議論を詰めていく必要があるという点は、了解しておくべき事柄ではないかと思います。

古閑委員。

○古閑委員 今の点でございますけれども、例えば重要事項といっても、追加をしましょうであるとか、あるいは追加をしてもさらに法律に具体的に書かれるのは例示列挙にすぎないとかいう議論も出てきたりしていて、どこまで広がるのだろうというのは議論を聞いていても不安に思うのは当たり前かなと私は感じています。

その状態において、事業者は心配し過ぎだという先入観に基づいてここの議論が進んでしまうと、冷静な議論ができないと思いますので、心配し過ぎだということなのか、本当に懸念されるべきことがあるのかというのは、今後も冷静に見きわめていく必要があるのかなと思っています。

○山本(敬)座長 後藤巻則委員。

○後藤(巻)座長代理 ただいまの御意見ですけれども、不利益事実の不告知について、不実告知型と不告知型を分けて、不告知型については、重要事項について特に拡大することはなく、現状を維持するということが議論され、そこは一定の考慮が働いて、そういう方向が出ているのではないかと私は理解しております。そういうことですので、今おっしゃったような、どこまで拡大するかわからないというようなことも、私から見ますと、心配し過ぎという感じがします。おっしゃっていること自体はよくわかることなのですけれども、不利益事実の不告知について類型化をして、不告知型についての配慮というのはかなりしてきたと思いますので、そのあたりについても御理解いただけたらなと思います。

○山本(敬)座長 ありがとうございました。

今の点もおっしゃるとおりなのですが、それがより紛れなく明確に理解できるように、表現の仕方やプレゼンテーションの仕方を含めて考えなければならないということなのだろうと思います。

後藤準委員、どうぞ。

○後藤(準)委員 事業者のほうから見ると、具体的にどういうことが必要になるのか、または、現状のままでいいのかと、そこが多分重要なポイントになると思っています。要は事務負担が増える、事務に限らず、要するに負担がどのぐらい増えるのか、または、増えないのか、ここが一つ重要なポイントですね。例えば、例として余りよくないかもしれませんけれども、今、消費税の軽減税率が審議されている。これは事業者側にとりますと、非常に事務負担が大きい。税の重要性は事業者も十分認識をしていて、事務負担が増える事業者の割合を考えると、軽減税率が入ったほうがいいという考え方もあると思います。消費者からすれば、税は安いほうがいい。ただ、国全体の問題もある。そういうことの中で、事業者が軽減税率を入れた場合にどれだけの事務負担が出るのかと、それが非常に大きいがために、今、国会でもいろいろ審議がもめているということなのですね。要するに、実体経済上、それはどういう影響が出るかと、そこが重視されてしかるべきだということ。それから、経済活動の中で、経済活動の安定性ということも十分考えていただかないと、やみくもに、規定上いつでも取消せるとか、そういうふうになったら、この事業活動が一体どうなるのかと。そういったより具体的な話を議論していかないと、なかなか議論して結果が出たからこれをやってくださいとするのは困難。これについては、私は何度も申し上げているのですが、実態上、それが本当にできるのか、できないのか。やっていただくといっても、どれだけのコストがかかるのかとか、そういうことも全部勘案した上でやらないと、ただの議論だけで改正をするというのは、やはり事業者側としてはぜひ避けていただきたい。これは全部の事業者が多分同じ意見ではないかと私は思っております。

○山本(敬)座長 ありがとうございました。

古閑委員。

○古閑委員 ここの場で議論を尽くしたのでわかりやすくなったはずだとか、明確になったはずだというのは、ここの委員が思うことであって、本当に適用を受けて実際に回していく人たちがわかりやすいと思っているのかどうかということが法律を適用するに当たって重要な事だと思いますので、ここで議論したかどうか、ここのメンバーが理解できたかどうかということと、実際にそれが法律として使われていくときにどうなのかということは区別して、むしろ後者がどうなのかということをきちんと見ていく必要があるのかなと思います。

○山本(敬)座長 先ほどから、そう申し上げているつもりなのですが、今の点あるいはその他の点について、御質問ないしは御意見あればと思いますが、いかがでしょうか。

丸山委員。

○丸山委員 ヒアリングの御意見などをお伺いして、非常に不安が行き過ぎているという意見ももちろんあったのですけれども、挙げてもらった具体例の中には、そういう点については詰めなければいけないなという具体例もありました。そういったものを取り上げつつ、懸念とされている部分はどういう要件で懸念が当たらないとなるのかといったことを、委員会の中でもなるべく具体的に事例と要件論、そういうものを詰めていく形で議論を進めていけばよいのではないかと思いました。逆に懸念として示されている事項を、少し具体的に挙げていただけるとありがたいということがあります。一例を挙げますと、任意解除権の放棄条項をブラックリストにされるのは困ると、商品設計の自由が害されるといった意見があるのですけれども、具体的に想定できるような、こういった商品が世の中になくなると困るのではないかといった事例を具体的に出していただけると、やはり議論としては助かると思いますので、懸念と懸念の払しょくを相互に明確化するみたいな方向で議論がしていければありがたいと思います。

○山本(敬)座長 ありがとうございました。

立証責任がどちらにあるということではなく、双方という言い方もよくないですが、全ての側から、どのような影響が出るのか等について、可能な限り、それがどのようなものかということがわかるような形でお出しいただければということは、私自身、初回ぐらいからずっと申し上げていることですので、今の点は全くもっともと思います。よろしいでしょうか。

山本健司委員。

○山本(健)委員 念のための確認ですけれども、この専門調査会で行っている法改正の議論は、我が国の消費者取引市場の透明性や公正性や信頼性を高め、消費者が安心して取引できる環境を整える、もって消費者取引市場を拡大する、公正な事業活動を行っている事業者に消費者からのお金が流れるようにするといった、本来的に前向きな議論であると理解しております。

また、関係団体ヒアリングに来ていただきましたような既に公正な事業活動を行っておられるであろう多くの事業者の皆さんにとっては、現在議論されておりますような内容の消費者契約法改正であれば、実際に弊害などは余り生じないのではないか、むしろ利益があるはずではないかと思っております。

ただ、要件などの具体的な規定ぶりについては、確かに御懸念がないようなものにしないといけないであろう、今後議論が必要であろうと思います。その点は、先ほどから出されております御意見と私も全く同意見でございます。その点を確認させていただきたいと思います。

以上です。

≪3.今後の審議の進め方≫

○山本(敬)座長 ありがとうございました。よろしいでしょうか。

それでは、引き続きまして、事務局より、本専門調査会における今後の審議の進め方の案について御説明いただき、その内容を踏まえて、委員の皆様に御検討をいただきたいと思います。

それでは、まず、事務局からの説明をお願いいたします。

○事務局 それでは、資料2を御覧ください。本専門調査会における今後の審議の進め方の案ということで作成させていただいております。

ただいま皆様に御確認いただき、また御議論いただきましたように、本専門調査会の「中間取りまとめ」に関しましては、集中的な意見受付を行い、また、ヒアリングも行ってきたところでございます。こういった御意見やヒアリングの結果も踏まえてということでございますけれども、中間取りまとめには複数の論点が記載しておりますが、その中で、これまでの議論の中で現行法の解釈によって一定の対応が可能であると考えられるものや、他法の運用状況を踏まえる必要があるというものも挙がってございます。

こうしたことも勘案した上で、今後の議論において取り上げるべき論点として議論が必ずしも成熟していないものなどを優先した中で、下記の論点を検討することとしてはどうかということでお示しさせていただいております。

1つは、契約締結過程については、「『勧誘』要件の在り方」「不利益事実の不告知」「『重要事項』」「不当勧誘行為に関するその他の類型」「第三者による不当勧誘」「取消権の行使期間」「不当勧誘行為に基づく意思表示の取消しの効果」。

2つ目は契約条項ですけれども、「損害賠償額の予定・違約金条項」「消費者の利益を一方的に害する条項」「不当条項の類型の追加」。

その他の論点については、「条項使用者不利の原則」というものを取り上げております。

こういったものを集中的、優先的な論点としてどうかということでお示しさせていただいているものでございます。これについて御検討いただければと思います。

○山本(敬)座長 それでは、ただいまの説明の内容を受けまして、委員の皆様の御意見をお伺いしたいと思います。御意見、御質問のある方は御発言をお願いします。

阿部委員。

○阿部委員 確かに中間取りまとめで残されている論点はこういうことかなと思うわけでありますが、これを全部できるのかと。2つ申し上げたいと思います。

1つは、そもそも今回の消費者契約法の改正の契機というか理由でありますが、1つはネット社会の進展でありますとか、高齢化等の経済社会状況の変化、それから、今までの裁判例とか相談事例の集積ということであるかと思います。ここまではいいのですけれども、もう1つ、民法債権法改正があるからということがあったはずなのですね。幾つかの論点につきましては、民法債権法改正を前提あるいは条件としている議論になっています。ところが、前国会で民法の審議には入れなかったと、どんなに急いでも来年の通常国会の後半にうまく審議に入れるかどうかという状況で、成立するまでできるかどうかはかなり微妙だと。もちろん、政府案を前提に議論というのはわかると思うのですが、国会でこれだけの重要法案を議論すると、本当に政府案どおりにいくかどうかわからないと思うのです。経団連としては、今、政府案を支持していますけれども、反対する意見もかなりありますし、ある意味で民法にかかわるようなところについては、民法の改正の落ちつきを待ってからでいいのではないかと思います。

民法は、仮に成立しても、公布から施行までに3年以内ということでかなり時間がありますから、今後の消費者契約法の改正の議論を2段階に分けて、当面、経済社会状況の変化に係るところはこのまま議論を続けた上で、できれば来年の通常国会に特商法とあわせて法案を提出できるようにする。民法に係る部分については、これはやはり民法が終わってみなければわからないところがあるので、その次というか、恐らくは再来年ということになるかと思いますが、少しタイミングをずらして考えたほうがいいのではないかと思います。

一番困るのは、消費者契約法でこう変わったけれども、民法はそうならなかったというときに、また消費者契約法をどうするかという話をしなければいけなくなることでして、その可能性がないとは思わないのです。特に、条項使用者不利の原則などというのは民法の約款規定がどうなるかによって全然違ってくると思いますし、そもそも約款規定全体が民法から落ちる可能性もあるわけで、そういうことも踏まえて、民法に係るところについては、今回、先に送って、残りのところにできるだけの議論を集中したほうがいいかなというのが1点目です。

2点目は、ここで出てきているもの以外は議論がある程度集約できているということだと思いますので、その結果についてです。次回以降で結構なので、どうなるのかというのを今の消費者委員会、消費者庁の考え方として示してください。例えば「消費者」概念についてはどうするのかということについては、大体、議論の集積が見えてきたなと思うのでありますが、さらに議論する必要がないというのであれば、こうしますということを何らかの段階で示してください。

以上です。

○山本(敬)座長 ありがとうございました。

特にございませんか。よろしいですか。

○事務局 前半部分は、またこれから委員に御議論いただいて、今後のところで踏まえていきたいと思いますけれども、後半のところですが、ここに取り上げていない論点というのは、先ほど申し上げましたように、解釈による対応やその他法の運用状況を考えるという観点も踏まえて挙げていないというところではございますが、最終的に取りまとめをどうするかというところでは、どのようにしていくのかというのをお示しする必要があろうかと思っております。

○山本(敬)座長 阿部委員。

○阿部委員 ある程度議論が習熟して、ここは改正されるというところだけでもいいですので、どうするかを教えてください。次回以降で結構です。

○山本(敬)座長 この場でというわけではないだろうと思いますので、少し御検討いただくということにいたしましょう。

それでは、今の点ないしはほかの点につきまして、質問あるいは御意見いただければと思いますが、いかがでしょうか。

山本健司委員。

○山本(健)委員 御整理をいただきまして、ありがとうございます。資料2に関する質問1点と意見1点です。

まず質問ですが、人身損害の不当条項リストの点です。生命・身体の損害に関する軽過失一部免責条項という論点があったと思うのですけれども、これが「不当条項の類型の追加」という部分に含まれているのか、落ちているのか、その点についてお教えいただきたいというのが1点目でございます。

次は意見です。専門調査会に与えられている時間との関係で、今回の法改正に向けた検討対象を一定のものに絞り込むという点については理解いたします。ただ、資料2に列挙されていない論点で重要な論点は少なくないと思います。例えば、資料2には、消費者概念、情報提供義務、抗弁権の接続、複数契約の解除などが載っておりません。これらの論点がどうなるのかは次回以降に御提示いただけるというお話ですけれども、もし今回は法改正しないということになるのであれば、近い将来に別途、民事ルールを法文で明確化する必要性がある重要な論点だと思います。それらの論点については、これで決着ではなく、今後の宿題として積み残された課題になるのだということについて、指摘させていただきたいと思います。

以上です。

○山本(敬)座長 それでは、御質問の点につきまして、お答えをお願いいたします。

○事務局 質問いただいた人身損害の軽過失の一部免除条項に関するところでございますが、これは中間取りまとめの段階で、この不当条項の類型の追加とあわせ、引き続き検討すべきであるという形で記載されております。そういったことも踏まえて、ここでは不当条項の類型の追加というところに含めて考えるという趣旨でございます。

○山本(敬)座長 よろしいでしょうか。

それでは、ほかに御質問ないしは御意見あればと思いますが、いかがでしょうか。

柳川委員。

○柳川委員 3点ほど御質問というか意見なのですけれども、1点目は、先ほど山本委員からもありましたように、ここで挙げられている論点以外のものもどこかの段階で重要になってきたり、あるいは議論する必要があったものは出てくる可能性があると思います。この論点だけを取り上げて、この論点以外のものはこれから余り議論しないということではないのですねというのは1点確認をしたい御質問です。

2点目は、最終的な報告書のイメージが私はまだちゃんとつかめていないのですけれども、今、何人かの方から御議論あったように、法改正をにらんでという話になってくると、かなり法改正をにらんだ形の報告書に最終的に上がってくるのかなと思います。ただ、いわゆる法律でどうするかということだけが報告書に出てくるのでは、せっかくこれだけ議論したのが不十分かなと思いまして、やはり議論の過程とか、我々が問題点だったり、あるいは今後検討するべきポイントというのは多々ありますので、そういうところも報告書の中ではきちんと残すようにしていただければと思います。これが2点目です。

3点目は、先ほど少し議論が出てきました事業者の側がどういう懸念を持っているかというところのポイントでございまして、これは先ほどの議論の続きになってしまうのですけれども、いろいろな消費者トラブルの話はかなり具体的で、問題が起こっている事例が多々あったので、割とイメージがしやすいのですけれども、事業者の懸念のほうは、やはりこれから起きることですし、具体的にどうなるかというのはなかなか出しにくいところがあって、かなりそこの具体例、具体的なレベルに相当差があるというのはいかんともしがたいところだとは思うのです。ただ、そこの部分の具体論がある程度、事例とか、イメージできる例とかでもいいので何か出てこないと、なかなか具体的な議論が進まないだろうというのは先ほど出てきた話なので、これを誰にどうお願いしていいのかわからないですけれども、ここで出てきている、あるいはこれから議論するところでも、可能であれば、そういう例を少し出していただいて、それを前提なり、あるいはこんな事例だけではないよとか、こんな事例は心配する必要はないよということも含めて議論ができたほうがいいと思うので、どなたにお願いすべきなのかわかりませんけれども、できればそういう事例を少し、できるだけ挙げながら議論をする形にしていただければと思います。

○山本(敬)座長 ありがとうございました。

事務局のほうからは特にありませんか。

○事務局 1点だけ。最初のところですけれども、ここに挙がっていない論点をどうするかというのは、先ほどから御意見いただいているところで、検討させていただきたいと思いますが、今回の案は、当面まず優先的に検討すべき課題として論点を取り上げていると、そういった趣旨でございます。

○山本(敬)座長 最終的な報告書がどのような形になるのかということが柳川委員からの2点目で指摘されていたことです。立法提案のようなものが挙がって、その趣旨説明だけに終わるのか、あるいはもう少しここで議論した事柄が今後に残るような形で示されるのか。可能ならば後者であることが望ましいという御意見だったということですが、この点は承ったということなのでしょうか。

○事務局 最終的にはまさしく委員の御意見を踏まえて、委員に御議論いただいた内容をまとめていくということになります。どういった形にするのが適切かというところは、委員の御意見を踏まえてということになりますので、今の御意見も重要なことだと思っております。

○山本(敬)座長 ありがとうございました。

それでは、ほかに御質問、御意見があれば。

増田委員。

○増田委員 今回外れてしまいそうな、例えば「消費者」概念であるとか法定追認というものにつきましては、私どもの相談の現場で非常に重要な部分ですので、今後どういう扱いにするかということについては、きちんと書いていただきたいと考えます。

それと、今後の議論に関しまして、今、先生方がおっしゃられたように、私どもとしては、消費者がこういうふうに困っている、こういう苦情があった、こういうトラブルがあったということは、できる限りお示ししてきたつもりです。それと同様に、事業者の側がこういうことに困るのであるということを一部、古閑さんのほうから教えていただいたこともありましたけれども、そういうところを引き続きお教えいただくことによって議論がもっと具体性を持つのだと思いますので、ぜひ御協力をいただきたいと思います。

○山本(敬)座長 ありがとうございました。

それでは、ほかに御質問、御意見があればと思いますが、いかがでしょうか。

後藤巻則委員。

○後藤(巻)座長代理 ここに挙がっている問題以外の問題がどういう扱いになるのかということで、どういう扱いになるとしても、少し気になっていることをお話ししたいのですけれども、中身に入ることなのですが、不当勧誘行為に関するその他の類型の中の合理的な判断を行うことができない事情を利用して契約を締結させる類型というものが仮に立法されるとしますと、その位置づけというものを考えておく必要があると思います。誤認、それから困惑、これが消費者契約法1条で取消しを認めている場合ですので、合理的な判断を行うことができない事情を利用して契約を締結させる類型というものが、誤認でも困惑でもない類型だとすると、1条の目的規定をどうするかということにも影響してくるのではないかと思います。もしそういうことだとすると、目的規定についての見直しということも必要なのではないかと思います。

○山本(敬)座長 恐らく、もし具体的な問題についての改正が提案として行われるのであれば、それと整合性を持つように、他の部分についても手直しが必要になるという点は恐らく一致しているのではないかと思います。その点についての御指摘をいただいたということでしょうか。

阿部委員。

○阿部委員 別に法制審議会ではないので、法律の要件まで示さなければならないとは言いませんけれども、法律がこうなるんだということについては、もれなく最終的に取りまとめていければと思います。

○山本(敬)座長 そのような御指摘だったと理解しています。よろしいでしょうか。

では、ほかに御質問ないし御意見は。

山本健司委員。

○山本(健)委員 柳川委員と増田委員の御意見を拝聴しての意見なのですけれども、まず1点目は、増田委員がご指摘になった法定追認の論点がどうなるのかという点は、私も大きな関心を持っております。実務上は重要な論点であり、この論点については継続審議の方向で御検討いただきたいと思います。それが1点目でございます。

2点目は、柳川委員が先ほど御指摘になった今後のために議論の成果を残す必要があるという御意見とも関連するのですけれども、我が国の消費者契約を取り巻く実務では、法文にも逐条解説にも書いていない民事ルールや裁判例が少なからず存在しております。例えば、信義則上の情報提供義務や説明義務という法的義務、それらに違反した場合の損害賠償責任、実質的に消費者の集まりにすぎない団体に消費者契約法の適用を認めた裁判例、法定追認が認められる事案への公序良俗規定による契約の効力否定、一定の要件を満たす場合における複数契約の解除や抗弁接続などが、現に判例や裁判例として存在しております。

ところが、これらの民事ルールや裁判例は、消費者契約法の法文には記載されておりませんし、逐条解説にも記載されていません。逐条解説には、信義則で情報提供義務・説明義務が法的義務となる場合があることすら記載されておりません。それらの民事ルールや裁判例は、法律に詳しい一部の者のみが知っていると言ってよい状況であると思います。これでは透明性のある消費者取引市場とは言えないのではないかと思います。

今般、どれだけの民事ルールが法文化されるのかということは今後の議論によるところかと思いますけれども、仮に法文化が見送られる部分があったとしても、現に存在する民事ルールや裁判例については、少なくとも消費者庁の逐条解説で紹介をしていただきたい、消費者取引市場の透明性を高める御対応をしていただきたいと思います。

以上です。

○山本(敬)座長 ありがとうございました。

ほかに御質問あるいは御意見があれば。

丸山委員。

○丸山委員 今後検討を進める項目に関して。今、挙がっているもの、あるいは追加的に必要ではないかと言われたものについては、民法改正との関係という話題も出たのですけれども、私自身は民法改正にかかわらず、検討が必要なものが並んでいるのではないかという認識を持っております。

また、法改正ということなので、繰り返し言われておりますように、法的な要件論については、現実に機能するようにという観点で、しっかりと議論をしていかなければいけないと思うのですが、消費者契約法で対応しようとしているのは、消費者の自己決定がゆがめられたり、十分な情報がなかった、あるいは交渉力がなかったという状況で、十分な自己決定ができず、いわば不公正な取引にお金が流れているという状況だと思います。

そうなると、そういった状況が改善されて、真っ当な業者さん、公正な取引のほうにお金が流れていくようになるというのは、素人考えなのですけれども、経済的にもいいことではないかとも思います。もしそういった観点からも、法改正の必要性に関する御意見が伺えれば、より説得的に議論も進められるのではないかと思いました。

以上です。

○山本(敬)座長 阿部委員。

○阿部委員 民法改正に係る部分を落としましょうと言っているのではなくて、後に分けて検討しなければならないと言っているのであります。とりあえずは年内に何らかの形の取りまとめを目指して、来年の通常国会に法律の形で提案をするのだとすれば、やはり民法とかかわるところについてはどうしても無理があるし、それはやはり民法改正の規定を見てからでなければできないと思うので、今後の展開としても2段階にはっきり分けなければならないと申しているのです。来年に向けて対応するところと、民法改正が成立した後、再来年ということになるのか、分けて議論することで構わないのではないかというか、逆にそれしかできないのではないかと思うところがございます。恐らく、どういう議論をしても、法律を立案するとき、民法ができていないのにここだけ変えるというのは法制局が通すはずがないので、そういう意味でも年内を一つのめどとして議論を進めるのであれば、経済社会状況の変化に対応したようなところとか、裁判例とか相談事例の集積に係るところを中心に集中して、どうしても民法に係るところは後回しというか、来年以降の議論に移してはどうかという提案です。

○山本(敬)座長 ありがとうございました。もちろん、どこまでが民法の改正を前提にする提案あるいは検討課題なのかという点は、判断がなかなか難しいところがありますけれども、阿部委員がおっしゃっているのは、例えば条項使用者不利の原則の中で適用対象を定型約款にするというような案であるとすれば、定型約款という概念は民法の改正案で出ている事柄であって、その帰趨を括弧に置いておいて、消費者契約法で定型約款という言葉を使って提案するというのは、先に行う事柄ではなく、民法の改正を踏まえて検討するべきではないかという御提案だと理解すればよろしいでしょうか。

○阿部委員 あえて申し上げましたのは、政府案に経団連は賛成しますけれども、そうでないところがかなりありますので、実際に国会審議に入るとどうなるか全くわからないところが幾つかあるのです。そこは先生方はよくおわかりだと思います。

○山本(敬)座長 恐らく同じことをおっしゃっているのだろうと思いますが、いかがでしょうか。もし御意見がありましたら、この場でお出しいただければと思います。

河上委員長。

○消費者委員会河上委員長 もともとこの専門調査会で報告書をできれば来年の通常国会を目指してということは、消費者基本計画で定められていたことでもあるので、準備としてはそれを目指してやっていただいてきているわけですけれども、それの前提として、やはり民法改正というのは確かにございました。現在の状況から考えると、ひょっとしたら通常国会を前倒しにするかもしれないという情報がありましたけれども、いずれにしても、そう簡単には民法の改正の話というのは進まないだろうという気がします。

民法改正によって、例えば瑕疵担保に関する規定の部分などのハネ改正もございますし、いろいろな形で変えないといけない部分というのは技術的にも出てくるというのは確かであります。そのことと、民法の改正があったことを前提としてもなおかつやっておいたほうがよいもの。先ほど丸山委員がおっしゃったようなものもございます。ですから、その辺は、むしろ阿部委員がおっしゃったように仕分けをして、後回しにしたほうがよいものと、それから、まずはやっておいたほうがよいものというのをある程度分けていったほうがいいのではないかという気がします。

きょう、進め方で挙げていただいた項目でさえ、本当に年内で審議できるかというあたり、私はかなり心配をしております。かなり難しい議論を集中的にしないといけない。その意味では、優先順位をある程度つけていただくことも考えないといけないのかなという感じがしているところです。

消費者委員会の委員長として、今ここで何か方針を皆様にお願いするというつもりはございませんけれども、とりあえずは優先的課題から全力で取り組んでいただきたいということで、ここに挙がっているような項目をどんどんやっていただくということで、ぜひお願いしたいと思います。

それからもう一点、これは集中意見期間が1カ月しかなかったということと、この問題自身が民法学者にとっても難しい法律行為の議論であったり、いろいろな問題があるので、これを一般の方が理解して、それに的確な反論を出してくるというのは相当難しいことでありますので、私はむしろ懸念がいろいろ出てきたということのほうがありがたかったわけでございます。たくさんの意見の中で、こういう懸念があるといような部分については真摯に受けとめて、委員会としても、できるだけそれを払拭できるような説明に努めていきたいと思いますし、具体的なイメージができるような議論をここでもやっていただければありがたいと思います。

ただ、先ほども出てきましたけれども、この法律が仮にできたときに、いろいろな業態で、いろいろな影響が出てくるだろうということはあるわけですが、これは非常に包括的な法律ですから、事務局があらゆる業態でどんな影響が出て、それにどんなふうに対応できているかというようなことを一つ一つ述べていくことは不可能に近い。むしろ、ある程度要件効果が示された段階で、それぞれの業態の方から、それだったらうちはここでこんなコストが生じる、あるいはこういう問題が生じるので、ここだけは何とか要件を少し変えていただきたいということを情報として積極的にいただいて、そこでワーディングの問題を詰めるというふうにしないと、なかなか前に進まないのではないかという気がいたしました。

○山本(敬)座長 ありがとうございました。

今の点につきまして、御意見あるいは御質問がありましたら。

阿部委員。

○阿部委員 優先順位というよりは、もうほとんど成り立ちからしても4条関係を徹底的に議論するしかないのではないかと思うのですが、4条各項がまず詰められないと、先の議論はないと思います。残りの大半でかなりの時間を費やして4条各項、「勧誘」要件、不利益事実の不告知、重要事項について、考え方と対応をまず整理しておいたほうが、先の議論としては効率的だと思います。

○山本(敬)座長 今の点につきまして、もし御意見、御質問等がありましたらと思いますが、いかがでしょうか。次回以降、もう議論に入っていきますので、進め方について御意見がありましたら、この場でお出しいただかないと難しくなっていきますので、お願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。

優先順位をつけなければならないという点については、恐らく了解は得られているだろうと思います。何を優先するかという点については、さまざまな御意見があるかもしれませんが、論点は、この資料2にありますように、当面これで検討していってはどうかということで、既にある程度限定されてはおりますけれども、その中で優先順位をつけながら、可能な限り当初の予定に近い形で進むように今後検討を進めていくということで、抽象論としては、それでよろしいでしょうか。

事務局のほうも、同様のことをお考えだろうと思いますけれども、このような御意見をいただいたということで、次回以降の進め方をさらに詰めていきたいと思いますが、よろしいでしょうか。

○事務局 今、座長におまとめいただいたところを、事務局としても座長と御相談して、考えさせていただきたいと思います。

○山本(敬)座長 それでは、ほかの点につきまして、特にございませんでしょうか。よろしいでしょうか。

当初予定していた時間よりもやや早い時間ですが、もちろん、目いっぱい議論しなければいけないというわけではありません。しかし、せっかくの機会ですし、今後そうたくさんの時間があるわけではありませんので、この場をかりて意見を述べておきたいということがありましたら、ぜひお出しいただければと思います。いかがでしょうか。

古閑委員。

○古閑委員 本日、この卓上に意見の束を置いていただいていますけれども、多分これが全部なのだと思うのですけれども、こちらは誰が言ってきたという部分は差し支えがあるのであれば消してもいいと思うのですけれども、それ以外を公表する予定はないのかどうかをお聞きしたいです。ほかの人が書いている意見を見て、ここの部分は確かに自分たちにも影響があるなとかという気づきがあるのではないかと思ったのですけれども、その点はいかがなのでしょうか。

○山本(敬)座長 事務局のほうからお願いいたします。

○事務局 今、古閑委員に御指摘いただいたのは、本日お配りした集中的な意見受付の結果のより詳細なものを公表する予定かどうかという御質問だと承知いたします。原本を公表するというのはなかなか難しいだろうと思っておりまして、ただ一方で、主な意見というところで今回、公表に適するような形で整理させていただいたものではございます。正確に全部の意見を入力した形で公表するのはなかなか難しいところがあるかと思っております。委員には、できるだけ直接見ていただいて、議論の場に反映すべきものを取り上げていただけるような形で工夫しているところではございますが、そのもとのものを公表するというのは、なかなかそういう意味で難しい部分があると考えております。今の御指摘の点で、要は、事業者側、使用者側、両方含めてだと思いますけれども、さまざまなところから御意見をお出しいただく必要があるというのは本日の御議論でもございましたので、そこはこの意見受付の結果を公表するかどうかも含めて、ちょっと検討させていただきたいと思います。

○山本(敬)座長 検討していただくということでよろしいでしょうか。

ほかにはよろしいでしょうか。

山本健司委員。

○山本(健)委員 卓上の資料は、ざっと拝見させていただいたところでは、意見の趣旨の部分のまとめであって、意見の理由の部分は省略となっているように思われます。

もし意見の趣旨や理由のところで、先ほど古閑委員から御指摘がありましたような気づきにつながる重要な御意見がありました場合には、適宜、事務局から議論の中で御紹介いただければありがたいと思います。

以上、希望でございます。

○山本(敬)座長 事務局のほうからお願いします。

○事務局 先ほどの点に1点、今の山本健司委員の御意見も踏まえながら補足させていただきますと、今回、資料1としてお配りしているものには、そういう意味で、どういうふうに考えなければいけないかというところは、できるだけ主なものを取り上げているつもりでございます。ただ、やはり意見によっては細かな、各お立場に特有のものがある部分があって、そこは多少捨象されている部分があるというのは事実でございます。そういう意味では、なかなかそれを全部事務局で、あれを取り上げて、これを取り上げてというのも難しいと思っておりまして、逆に全部を示すということも難しいと思いますので、それはちょっと工夫は検討したいと思いますが、他方で、これまでの意見書もそうでございましたけれども、ぜひ委員の方に見ていただいて、ぜひこの点は会議の場でも示すべきという御意見があれば、それは今後の検討の中でも何か工夫してお示しするということも可能かと思っていまして、そこはぜひ委員からも御指導いただければ、事務局として整理させていただきたいと思っております。

○山本(敬)座長 よろしいでしょうか。

それでは、本日の意見交換はこのあたりにさせていただきたいと思います。本日は、各委員から本専門調査会の今後の検討の進め方について有益な意見をいただきました。今後については、本日頂戴しました御意見を踏まえて進めさせていただければと考えております。

最後に、事務局から事務連絡をお願いいたします。


≪4.閉会≫

○丸山参事官 本日も御熱心な御議論をどうもありがとうございました。

次回ですけれども、11月27日金曜日15時からの開催を予定しております。よろしくお願いいたします。

○山本(敬)座長 それでは、本日はこれにて閉会とさせていただきます。お忙しいところをお集まりいただきまして、ありがとうございました。

以上