第19回 消費者契約法専門調査会

日時

平成27年10月23日(金)13:00から

場所

消費者委員会大会議室1

出席者

【委員】
山本敬三座長、後藤巻則座長代理、阿部委員、井田委員、大澤委員、河野委員、後藤準委員、増田委員、丸山委員、柳川委員、山本和彦委員、山本健司委員
【オブザーバー】
消費者委員会委員 河上委員長、鹿野委員
法務省 中辻参事官
国民生活センター 松本理事長
【参考人】
公益社団法人 経済同友会
早川経済法制・国際標準戦略委員会副委員長
小野経済法制・国際標準戦略委員会副委員長
在日米国商工会議所
渡辺理事
矢野インターネット・エコノミー・タスクフォース委員
日本チェーンストア協会
井上専務理事
中村総務委員会委員
全国中小企業団体中央会
髙橋専務理事
公益社団法人 日本消費生活アドバイザー・コンサルタント・相談員協会
棚橋消費者提言特別委員会委員長
【消費者庁】
井内審議官、加納消費者制度課長、桜町取引対策課長
【事務局】
黒木事務局長、小野審議官、丸山参事官

議事次第

  1. 開会
  2. 関係団体からのヒアリング
  3. 閉会

配布資料(資料は全てPDF形式となります。)

議事録

≪1.開会≫

○丸山参事官 それでは、定刻となりましたので、始めさせていただきたいと思います。

本日は皆様、お忙しいところをお集まりいただき、ありがとうございます。

ただいまから消費者委員会第19回「消費者契約法専門調査会」を開催いたします。

本日は所用により、沖野委員、古閑委員が御欠席、それから阿部委員、柳川委員、山本和彦委員がおくれての御出席との御連絡をいただいております。

まず、配付資料の確認をさせていただきます。

議事次第の下部に配付資料一覧をお示ししております。

資料1から5が本日のヒアリングについて各団体から御提出いただいた資料となっております。

もしお手元の資料で不足がございましたら、事務局のほうへお声がけをお願いします。

それでは、山本座長、議事進行のほうをよろしくお願いします。


≪2.関係団体からのヒアリング≫

(1)公益社団法人経済同友会からのヒアリング

○山本(敬)座長 それでは、始めたいと思います。本日は、前回に引き続き「関係団体からのヒアリング」として、公益社団法人経済同友会、在日米国商工会議所、日本チェーンストア協会、全国中小企業団体中央会、公益社団法人日本消費生活アドバイザー・コンサルタント・相談員協会の計5団体からのヒアリングを行います。各団体からは、8月に取りまとめました本専門調査会の「中間取りまとめ」に対する意見書を事前に御提出いただいておりまして、その内容は委員の皆様にも御確認いただいているところですが、本日はその内容をベースとしながら、さらに御説明を頂戴したいと思います。

ヒアリングに当たっては、まず各団体の御説明をよく聞いていただいた上で、質疑応答される際には、本日の御説明内容を中心に、なるべく簡潔な御質問、御回答をしていただきますようお願いいたします。会議の進行としましては、前回と同様に団体ごとに交代でお席に着いていただいて、それぞれ御説明を10分から15分程度、委員の皆様からの質疑応答を10分から15分程度という形で進めさせていただければと考えています。

(公益社団法人経済同友会着席)

○山本(敬)座長 それでは、まず公益社団法人経済同友会からのヒアリングを始めさせていただきたいと思います。

本日は、経済同友会から、同会の経済法制・国際標準戦略委員会副委員長の早川洋様、同じく同委員会副委員長の小野傑様に御出席いただいております。お忙しいところを御出席いただきまして、ありがとうございます。

それでは、御説明をよろしくお願いいたします。

○経済同友会早川経済法制・国際標準戦略委員会副委員長 経済同友会の早川でございます。今日は、このような会を設けていただきまして、ありがとうございます。

経済同友会としては、先週、幹事会を持って意見の取りまとめをいたしましたので、その取りまとめがお手元に配付してある意見書であります。それについて御説明させていただきたいと思います。

今回の消費者契約法の見直しの検討というのは、昨年、総理から諮問を受けたということをきっかけに始まったと承知しております。しかし、今回の見直しは、昨年成立いたしました改正会社法、あるいは今、国会に提出され上がっております民法の改正等と比べまして、私どもの印象といたしましては、やや拙速に進められており、事業者の意見が十分に取り入れられていないと感じでおります。

また、「中間取りまとめ」におきましては、国民経済の健全な発展を大きく阻害しかねない、バランスを欠く項目が散見されます。そこで、経済同友会としましては、「中間取りまとめ」に対して意見を発信することが必要であるという認識から、本意見書を取りまとめさせていただいた経緯がございます。この意見書に基づいて、今日は意見を述べさせていただきたいと思います。

まず、意見書の1.消費者契約法の見直しに関する基本的考え方の(1)に記載しました通り、「消費者」対「事業者」という二項対立モデルには限界があると考えております。

消費者法制のあり方を考える際には、「消費者」と「事業者」との情報とリスクのバランスという視点が基本に据えられるべきであると思います。「消費者」と「事業者」の間における情報とリスクのバランスを欠いた法制を導入することになりますと、「事業者」としては過大な負担がかかり、ひいては「消費者」としての経済活動をも阻害する懸念がございます。この点は後ほど述べますが、「勧誘」要件の見直しにおいて顕著になってくるのではないかと言えます。

また、インターネットが広く普及した高度な情報化社会の到来によって、「消費者」と「事業者」の区分はますます曖昧になってきているのではないかと考えております。例えば高度な情報化社会の進展に伴って、誰もがインターネットを用いて、さまざまな情報を収集する能力が向上したことによって、「消費者」とされてきた類型の中にも「事業者」と同等の情報力を持つ者があらわれています。また、個人がインターネット上で事業を立ち上げることができるなど、「事業者」とも「消費者」とも言えないものが出現しているというのが事実であります。その意味で、「消費者」と「事業者」という区分が曖昧になっているように私どもは捉えております。

しかし、本取りまとめにおきましては、古典的な「消費者」対「事業者」、かつ「消費者」は圧倒的な取引上の弱者であるという前提で大幅な見直しが検討されているようにうかがえます。また、消費者契約法は“B to C”ビジネスの基本法典と位置づけられるものであり、国民の経済活動上、ある意味では民法以上に幅広く生活に密着したインパクトを持っている規範であります。そうであるにもかかわらず、民法改正あるいは昨年の会社法改正に比べて十分な議論がなされておらず、今回の見直しは余りにも拙速ではないかと捉えております。

次に、(2)「法制化よりも法執行・運用によるきめ細やかな対応を」という項を説明いたします。

今回の見直しのように「消費者」の類型を細分化、概念を拡張いたしますと、取引に多大な混乱を招くおそれがあるのではないかと危惧しております。例えばインターネットサイト事業を立ち上げたばかりの個人は、形式的には「事業者」でありますが、実質的には「消費者」と同じであると言えるから「消費者」に該当するとして、消費者契約法の適用を可能にするような方向の見直しが検討されているように受けとめられます。しかし、目の前にいる者が事業を立ち上げたばかりの者なのか、そうでないのかということを考えながら取引しなければならないとすると、事業者のビジネスに多大な支障を来します。また、こうした事例で消費者契約法が適用され、契約が取り消されることになれば、ビジネスの現場に多大な混乱を招きかねません。このような問題に対しては、消費者概念の拡張などといった立法による画一的な対応ではなく、まずは行政の本来的作用である法の執行・運用によるきめ細かな対応が求められ、個別の執行・運用によっては対応仕切れない場合に初めて法制化による対応が検討されるべきではないかと考えています。

その意味では、消費者契約法一般の議論を展開して法制化による対応を検討するよりも、まずはビジネスの実態を広く調査し、取引の種類や形態などを詳細に分析した上で、効果的な規制のあり方を検討すべきであると考えます。また、これまでに蓄積された相談処理例や裁判例を踏まえたガイドラインなどのいわゆる「ソフト・ロー」を策定し、事業者に対して周知徹底していくことも考えられると思います。

次に、(3)の「『国民経済の健全な発展』という視点から十分な議論を」という項について御説明いたします。

もとより、消費者契約法の究極の目的は「国民経済の健全な発展」であります。にもかかわらず、本取りまとめを拝見いたしますと、その視点が欠けているのではないかと思われます。後ほど述べますが、「勧誘」要件を緩めるとなると、事業者は広告などで消費者の購入の意思形成に影響を与えうる不利益な事実を全て記載することになりかねません。ここまで事業者側にリスクとコスト負担を寄せて、また消費者の購買意欲を抑制するようなマーケティング・コミュニケーションを、商品やサービス特性に関係なく事業者に義務づけることは、トータルとしての国民経済の健全な発展に資するかどうか大きな疑問があるところです。そしてまた、「ビジネスのしやすい環境整備」を指向する我が国の基本政策との整合性の観点からも疑問を持つところであります。

このように、本取りまとめが「国民経済の健全な発展」という視点を欠いている原因として、本取りまとめでは、悪質な事業者による取引に関する苦情相談の処理例や裁判例のみを捉えて検討しているのではないかと思われる点があります。しかし、悪質な事業者はごく一部であり、今回の改正の方向性は、大多数の事業者による健全なビジネスを著しく制約するおそれがあります。その結果として、市場がシュリンクして経済成長にも悪影響を与えかねません。その意味では、今回の消費者契約法の見直しは成長戦略の流れに逆行するものと捉えております。

したがいまして、本取りまとめの延長線上でそのまま立法作業を展開するのではなく、さらに時間をかけ、立法事実の検証、あるいは経済政策全体との整合性を図るべきと考えるところであります。

以下、具体的な事例として多くの事業者から懸念が示されています「勧誘」要件の見直しについて若干触れたいと思います。

今回の見直しによると、インターネット広告のような不特定多数の者に向けた広告まで「勧誘」に含まれる可能性があります。このような「勧誘」要件の緩和に加え、不利益事実の不告知の見直しや重要事項概念の見直しが実現すると、各規定の見直しが積み重なって適用される結果、事業者は、広告などで消費者が購入するどうかを決める判断に影響すると考えられる不利益な事実を全て記載しなければならないとなるのではないでしょうか。多くの事業者は、当然顧客とのトラブルを回避するために、あらゆる種類のdisclaimer、いわゆる免責条項を広告に記載することが予想されます。

例えば新聞の全面広告で、細かい字で「こういう操作をすると危険である」など、商品操作のリスクを説明することになりかねません。また、30秒間ほどのテレビCMでは説明しようにも説明できないと思います。そういう意味で、これが本当の消費者保護のあるべき姿か疑問を持つところであります。かえって商品・役務の内容を不明確にし、広告の本来的機能を失わせる結果となることも考えられます。また、事業者に過度の負担を強いることは、コストが商品の価格に転嫁される結果となり、消費者にとっての利益を害することにもなりかねません。

そもそも広告は、商品を購入しようとするきっかけをもたらすものにすぎません。広告のほかに、店頭での現物確認、店員からの商品説明、あるいは口コミなどのさまざまな情報に基づいて商品を購入する場合が大多数です。法規制を検討する際に前提とされるべき一般的社会事実は、よく把握する必要があると思います。広告に記載された情報のみで商品を購入しようという事例が皆無とは申し上げませんが、本取りまとめで検討された事例が「立法事実」とされるほどの一般的な社会事実と言えるかどうか、疑問を感じるところであります。その意味では、本取りまとめには「一般」と「特殊」の混同が見られるのではないかと感じるところであります。

また、広告に関しては、景品表示法による一般的な表示規制のほかに、事業分野ごとに設けられた各種業法に基づく個別規制も課せられております。この点、今回の消費者契約法の見直しでは、こうした公法規制や業法との整合性について十分な検討が行われていないように感じられます。例えば景品表示法では、広告・宣伝の要素を含むものについては、ある程度の誇張がなされるのが一般的であるという基本認識の前提に、商品の内容が「著しく」優良であると誤認させるもの、あるいはその取引条件が「著しく」有利であると誤認させるもののみが規制の対象になっており、これに基づいて現在の広告実務の基本ルールが形成されているわけであります。

では、改正後の消費者契約法に基づく規律は、この基本ルールとどのように整合するのか、あるいは国・事業者間を規律する公法と、消費者・事業者間を規律する私法の違いを強調して、整合性を放棄するのかなどについても十分な検討が行われていないように思われます。公法・私法という法領域の違いはあるにせよ、規制の対象である事業者に対しては、どの範囲まで経済活動をすることが許されるのかという予見可能性が十分に示されるべきであると考えます。後から規制を設ける場合には、特に現行実務を形成する基本ルールとの整合性の確認作業を十分に行っていただきたいと考えております。

繰り返しになりますが、経済同友会は、いわゆる拙速な見直しではなく、事業者の意見を聞いた上での真に健全な取引の実現に向けた十分な議論が尽くされることを求めたいと思います。以上、同友会の意見でございます。

○山本(敬)座長 ありがとうございました。

では、ただいまの御説明に関しまして、質疑応答を行わせていただきたいと思います。御質問のある方は御発言をお願いいたします。大澤委員。

○大澤委員 最初になりますけれども、貴重な御意見、どうもありがとうございました。

1点確認させていただきたいのですが、冒頭で「消費者」対「事業者」という二項対立モデルに限界があるということで、本日、具体的なお話として「勧誘」要件というのを出されていらっしゃったと思いますが、お話を伺っていると、「消費者」概念の拡張ということに対する御懸念も示されていたように伺っております。取りまとめの中でも「消費者」概念をどうするかという話は出ておりまして、ただ、基本的には解釈で柔軟に対応できるところもあると書かれていると思います。

それを踏まえた上で伺いたいのは、仮に「消費者」対「事業者」という二項対立モデルに限界があるということになるとすれば、どのような「消費者」概念であってほしいというか、そういう望みというか、そういうことがあれば、ぜひ伺いたいと思います。

○山本(敬)座長 それでは、お答えをお願いいたします。

○経済同友会小野経済法制・国際標準戦略委員会副委員長 消費者契約法自体は既に現行法として存在しておりますし、社会的な機能もそれなりに果たしていると思います。大澤委員の御質問に対しては、早川副委員長から報告がありましたように、ソフト・ロー的なアプローチが考えられます。「消費者」概念の拡大によって画一的な対応を強化するのではなく、国民生活センター等での相談事例や、極めて特殊事例の集積であるところの裁判例等があるわけですので、そうした特殊事例に対応したガイドライン等のソフト・ローという形でのアプローチが必要ではないかと考えております。繰り返しになりますが、消費者を社会的弱者とみなして、二項対立モデルを前提とした現行法の方向性を強化するような法改正については、同友会の総意として反対でございます。

○山本(敬)座長 よろしいでしょうか。

では、ほかに御質問等がありましたら。山本健司委員。

○山本(健)委員 貴重な御意見をいただきまして、ありがとうございました。

3から4ページの「『勧誘』要件の見直し」というところについて御質問させていただきたいと思います。

3ページの下から8行目からの段落で、「勧誘」要件の見直し等がなされると、「事業者は、広告等の中で(消費者が契約を締結するか否かについての判断に通常影響を及ぼす)不利益事実をあまねく記載しておかねばならないことになる」と記載されております。

その一方で、4ページの上から6行目以下の段落では、「そもそも、広告は、商品を購入しようとするきっかけをもたらすものにすぎず、広告の他に、店頭の現物確認、店員からの商品説明、口コミ等のさまざまな情報に基づいて商品を購入することが大多数」という記載がなされております。こちらの4ページの記載のように、事業者としては、広告後も契約締結までの間に消費者に対し、さまざまな方法で不利益事実を含めた情報提供を行うことができると思います。「勧誘」要件の見直し等を行っても、広告において不利益事実をあまねく記載しておかなければならなくなるといったことにはならないように思うのですが、冒頭に御指摘させていただきました3ページの記載部分では、どうしてこのような御心配ないし御懸念をなさっておられるのか、3ページ部分の記載と4ページ部分の記載の相互関係をどのように理解させていただければよいのかということについて、お教えいただけませんでしょうか。よろしくお願いします。

○山本(敬)座長 それでは、お答えをお願いいたします。

○経済同友会小野経済法制・国際標準戦略委員会副委員長 「勧誘」要件の緩和に関し、「中間取りまとめ」では、広告も十分入り得るように記載されております。他方で、「勧誘」には、不利益事実の不告知規制も適用されます。そうすると、もちろん事業者としては広告で「勧誘」したつもりはないと言っても、「消費者」が広告によって「勧誘」されて買ったということになる可能性があるのであれば、広告の中で不利益事実も告知しなければならなくなります。

そうすると、結局、広告に不利益事実を全て書かざるを得なくなります。しかし、書くスペースがない場合や、書くスペースがある場合でも、書くことが果たして適切なのかという問題があります。

恐縮ながら、4ページと矛盾しているという御質問の趣旨について補足いただけませんでしょうか。

○山本(敬)座長 御質問の趣旨は、契約の締結に至るまでの間に不利益事実等についての情報を伝えれば取り消されることはない。したがって、何も広告に全ての不利益事実を書く必要はなく、締結までにそれらを告げれば足りるのではないか。それは、4ページに書かれているとおりのことである。そうすると、なぜ広告に全てを書かなければならないと理解されているのか、それを教えていただきたいということだったように理解しました。

○経済同友会小野経済法制・国際標準戦略委員会副委員長 御説明いただきありがとうございます。 長い時間をかけて交渉するような事例を前提とし、なおかつ双方において議論し、不利益事実を告知する場合を前提とすれば、契約の締結に至るまでの間に不利益事実を伝えたので取り消されないと言える場面もあり得るでしょうが、広くあまねく広告一般を議論するにあたっては、必ずしもそういえないと思います。一般的に、この瞬間でも日々、膨大な消費者とB to Cの取引がなされているわけでして、その間において、そのような交渉・情報提供の過程を経ているかというと、感覚的にも常識的にもそんなことはないのではないかと思います。

一方で、4ページに記載しましたように、事業者は種々の広告媒体により宣伝広告し、消費者は自ら種々の情報を収集し契約に至るのが通常であると認識しております。もし、消費者がある商品を購入後に、「当該商品はたまたまある広告を見て購入を決めたのだが、当該広告では不利益事実が告知されていないので、契約を取り消す」、というような主張したとしても、事業者としては、消費者がいかにして誘引されたか分からない以上、「その広告によっては消費者の意思形成に影響を与えていない」「他の情報媒体を通じて不利益事実は告知している」といった反論は困難です。そうすると、事業者としては全ての広告に不利益事実を記載し、ディスクレーマーを述べることを事実上強制されることにならないか懸念しています。

○山本(敬)座長 よろしいでしょうか。

では、河野委員。

○河野委員 御報告、どうもありがとうございました。

2つ質問させてください。

1点目は、インターネットが広く普及した高度な情報社会ということで、その認識は私たち消費者も非常にそのとおりだと思っております。でも、高度な情報社会というのは、この環境に置かれているのは、消費者もそうですけれども、事業者の皆さん、いわゆるビジネスをやられる方も、当然のことながら高度な情報化社会に対応したビジネスというものを新たに構築されてやられているのではないかと思っています。

それで、先ほど御報告の中にありました2ページ目で、今回、そういうふうに社会的環境がかなり変わっているので、法制化よりも、もう少しソフト・ローを策定してやっていくべきなのではないかという御提案ですけれども、経済同友会さんのほうでは、こうしたビジネス環境の違い、かつて書面・対面というのが、消費者契約法ができた当時は、それが契約の主流だったと思いますが、現在のようなネット社会になった時点で、事業者団体さんとしては法執行でとおっしゃっていますが、消費者契約法は、私は民事効だと思っています。

ですので、それがどういう形というのがうまく理解できないのですけれども、どういう形で事業者さんの間で対処していくのか。つまり、被害救済というところに行き着く前に、例えばどのような努力をされているかというのを、もしやっていらっしゃれば教えていただきたいのが1点目です。

それで、2点目は、4ページですけれども、「勧誘」の要件の見直しで、先ほど山本委員も御指摘になりましたけれども、そこの2つ目のパラグラフの4行目の後段です。広告に記載された情報のみで商品を購入しようという事例も皆無とは言えないがという記載がございます。ただ、ビジネス環境が本当に一変していまして、インターネットの画面とかSNSのスマホの画面から一気に契約まで行ってしまう。一度も対面で説明も受けず、それから書面で説明も受けず契約に行ってしまうという事例が、これは皆無ではなくて、非常にふえてきていると私は理解しておりますけれども、そのあたり、即契約に進む場合が多いところに対して、どのようなお考えを持っていらっしゃるか、教えてください。

○山本(敬)座長 それでは、お答えをお願いいたします。

○経済同友会早川経済法制・国際標準戦略委員会副委員長 インターネットの普及に伴って、消費者契約法が施行された当時とは違うさまざまな取引形態が発生していますし、さまざまな事象が起きている点は認識しております。ただ、冒頭に申し上げましたように、「事業者」対「消費者」の二項対立を前提にネット取引を考えていいのか。ネット取引はこれからますます広がっていきますでしょうし、冒頭に申し上げたように、「事業者」「消費者」という区分が非常に曖昧になっており、両者の区分がつけがたい場合もあります。この点については今回の議論とは切り離して、今後のネット取引のさらなる発展・進歩をにらんで、改めて議論をすべきだろうというのが同友会の意見であります。つまり、消費者契約法の改正の問題とは切り離して、別途腰を据えてしっかり議論すべきだろうという認識でおります。したがって、今回、消費者契約法そのものの見直しに対しては、同友会としてネガティブです。すなわち、「中間取りまとめ」で取り上げられている各論について深い議論をしているわけではございませんが、この消費者契約法の見直しの方向性や手続が、このままでいいのかという問題意識を強く持っているということであります。

○山本(敬)座長 よろしいでしょうか。

では、増田委員からお願いいたします。

○増田委員 ありがとうございます。

今のお話で基本的なところは理解しましたけれども、その上で教えていただきたいところがございます。

まず1点は、広告の「勧誘」のところで、特定の取引を誘引する目的をもってする行為というところで、非常に狭めた行為で一つの意見が出ているわけですが、そういうことを目的とした広告と考えたときには、どのようにお考えでいらっしゃいますでしょうか。

○山本(敬)座長 それでは、お答えをお願いいたします。

○経済同友会小野経済法制・国際標準戦略委員会副委員長 もし広告を用いて事業者と消費者が契約の勧誘をする、取引をするという場面であれば、それは現行法においてもカバーされているのではないでしょうか。他方で、不特定多数に対する広告一般について、その広告がされたというだけでこれをもって「勧誘」に該当させるべき、とは思いません。

○増田委員 とすると、特定の取引を目的とする広告ということであれば、その中に不実告知等があるということについては、これは問題である、「勧誘」要件にしてもいいとお考えですか。

○経済同友会小野経済法制・国際標準戦略委員会副委員長 その反対です。言うまでもないことですが、広告というのは不特定多数に対するものです。この広告をもって、事業者が消費者との間で、「この広告に書いてある何がし」ということで話をすれば、それは広告を用いたものであっても、その場面においては特定の取引が誘引されていることになると思います。だからといって、広告一般がそれ自体で特定の取引を目的としているということでは全くありません。広告に対して規制的な議論というのは賛成できません。

○山本(敬)座長 よろしいでしょうか。

それでは、後藤委員。

○後藤(巻)座長代理 貴重な御意見をどうもありがとうございました。

「勧誘」について問題になっていますので、1点お伺いしたいのですが、「中間取りまとめ」で「勧誘」という概念ではなく、「誘引」という概念を使って、「当該事業者との特定の取引を誘引する目的をもってする行為」ということが一つの提案として出ているのですけれども、これは「勧誘」という概念が広くなり過ぎることを懸念して、「特定の取引を誘引する目的をもってする」という表現を使って、一定の限定を加えていると理解していますけれども、今おっしゃったような「勧誘」という概念ではなくて、「誘引」という概念を用いて議論していくという方向性については、何か御議論があったのでしょうか。そこについて御意見を伺いたいと思います。

○山本(敬)座長 それでは、お答えをお願いいたします。

○経済同友会小野経済法制・国際標準戦略委員会副委員長 細かな法律用語の使い方については、経営者の団体でございますから、特に議論はしておりません。ただ、「誘引」という言葉を使われたとしても、出口のところは同じでございまして、一般的な広告に関して、こういう形で私法上の規制をすべきではないという結論は、同友会としての総意でございます。

○山本(敬)座長 よろしいでしょうか。

では、丸山委員。

○丸山委員 1つだけ簡単な御意見を伺えればと思うのですけれども、「勧誘」に関して懸念されていることとしまして、ほかの重要事項や、あと不利益事実の不告知も広がるからという懸念が示されているのですけれども、逆に不実告知という全く虚偽の情報というのがパンフレットとか広告的なものに記載されていて、契約締結までの間に何らの説明もなされなかった、訂正もされなかったという事例を想定してみた場合に、取消しができなくてもよいといった御意見なのでしょうか。

○山本(敬)座長 それでは、お答えをお願いいたします。

○経済同友会小野経済法制・国際標準戦略委員会副委員長 不実告知に関して考えなければならない点としては、まず、私法ではございませんけれども、景表法上の問題も明らかにあると思いますし、また、不実という言葉を緩く解釈して、かなり幅広く、要するに消費者が思ったことと違うことは不実だったという議論も可能だと思われる点もございます。ただ、先程の、丸山委員の御質問に対しては、明らかに欺罔的なことという前提であれば、それは現行法においても、民法でも、ほかの法律でも対応できると思われます。もし、非常に幅広く曖昧なところまで不実と言うのであれば、不利益事実の告知の議論にかなり近づきますので、先ほどの議論の延長線の考えかと思います。

○山本(敬)座長 よろしいでしょうか。

それでは、松本理事長。

○国民生活センター松本理事長 最後に御指摘された公法的な規制と私法的なルールの整合性を維持すべきだという御指摘、私、賛成です。

そういう観点から、ちょっとお聞きしたいのですが、景表法における著しく事実に反する優良誤認表示あるいは有利誤認表示が広告においてなされた。それが原因となって取引がなされたという場合について、現行の景表法には民事ルールが何も入っていなくて、消費者庁による広告規制しかないという不整合な状態にあるわけで、そこの整合性を確保すべきだという点で、私、全く賛成です。

そこで、消費者契約法に景表法違反による広告によって契約締結まで行ったという場合については、景表法のほうに民事ルールとしての取消権を入れるか、あるいは消費者契約法のほうで景表法違反の受け皿としての規定を入れることによって、両ルールの整合性を確保するというアイデアが十分あり得るわけですが、こういう考え方について同友会さんとしては賛成だと理解してよろしいでしょうか。

○山本(敬)座長 それでは、お答えをお願いいたします。

○経済同友会早川経済法制・国際標準戦略委員会副委員長 先ほども申し上げましたように、そこまでの各論の議論をしておりませんので、同友会としての意見は、この場では差し控えたいと思います。

○経済同友会小野経済法制・国際標準戦略委員会副委員長 事業者というのは、公法的規制だから緩くて民事規定だから強い、またはその逆だ、という風には考えておりません。大多数のまともな善良なる事業者は、社内的にもコンプライアンスが非常に厳しく、それが民事ルールであっても、公法ルールであっても、事業者の視点からすればルールはルールです。それに基づいて社内体制等を整備します。場合によっては、国民経済に対するかなりのコスト負担になるのではないですかという話でございます。

松本理事長の御質問に対する個人的な意見ですが、公法的なレギュレーションに対して、常に民事的な対応が必要かどうかについては、民法の世界でずっと議論してきており、公序良俗や不法行為等、いろいろな状況において発展してきています。それを一律に「公的ルールに違反した場合には、民事ルールが必要になる」という前提自体が、今までの民法の公序良俗や不法行為論その他の民法におけるこれまでの議論に反するのではないかと思われます。また、公法違反は民事的にどういう効果があるかという、これまでの民法での議論が非常に不足たしていたかといえば、松本理事長も民法の先生ですし、多分そんなことはないはずだと思います。御質問の前提自体がやや誘導的な感じがしないでもなかったですが、先生はそうお思いでしょうか。

○国民生活センター松本理事長 消費者契約法は、民法で不十分な部分を消費者取引に即して展開しようという法律ですから、民法の公序良俗、取締規定違反の効果についての伝統的民法理論ではやはり不十分だというところが前提となって、消費者契約独自のルールを考えましょうと、これが原点だと思っております。したがいまして、民法で十分だからというのだと議論にならない。どういう場合に救済を民法よりもう一歩進めるべきかというところで議論していきますと、景表法違反に当たるような著しく事実に反するという行為の場合には、一定の民事ルール的な手当てがあってもおかしくはないだろう、バランスを欠くということはないだろうというと考えます。あとは、もう政策的な判断になるかと思います。

○山本(敬)座長 どうぞ。

○経済同友会小野経済法制・国際標準戦略委員会副委員長 松本理事長に質問してしまった立場で一言反論しますと、民法の不法行為というのは、過失責任の原則を前提として非常に幅広く書いてございます。ですから、民法709条が不十分であるという前提については、違う意見を持っているということは述べさせていただきます。

○国民生活センター松本理事長 不法行為の話ではございませんで、契約の効力の話のほうです。取締規定違反の行為が不法行為になるかどうかという論点とは別に、取締規定違反の行為によってなされた法律行為が無効かどうか、あるいは取消しの対象になるかどうかという法律行為論のほうの議論として、現行の民法の議論だと不十分なところがあるということです。不法行為のほうも十分かというと、必ずしもそうではないと思いますけれども。

○経済同友会小野経済法制・国際標準戦略委員会副委員長 契約取消は意思表示の瑕疵の問題だと思います。あるいは、広告の表示が契約の内容になるような事実認定が可能な状況では、債務不履行で対応すべきであると思われます。それを、意思表示に瑕疵がなく、さらに債務不履行を構成するような状況でもないのに、景表法違反の一事をもって取消しを認め、消費者契約法で取引を遡及的に無効にすべきというのは、民法法理にもとる、明らかにバランスを失した私法効果であって首肯しかねます。

○山本(敬)座長 私自身の研究テーマですので、実は議論に参加したくて仕方がないところではありますけれども、少し時間もたってまいりました。経済同友会へのヒアリングは、このあたりとさせていただければと思います。お忙しいところ、ヒアリングに御協力いただきまして、まことにありがとうございました。

(経済同友会退席、在日米国商工会議所着席)

(2)在日米国商工会議所からのヒアリング

○山本(敬)座長 続いて、在日米国商工会議所からのヒアリングを始めさせていただきたいと思います。

本日は、在日米国商工会議所から、同会議所の理事渡辺弘美様、インターネット・エコノミー・タスクフォース委員矢野敏樹様に御出席いただいております。お忙しいところ御出席いただきまして、ありがとうございます。

それでは、御説明をよろしくお願いいたします。

○在日米国商工会議所渡辺理事 在日米国商工会議所でございます。渡辺と矢野のほうで対応させていただきます。

本日は貴重な機会を頂戴いたしまして、御礼を申し上げます。

まず、私ども在日米国商工会議所の御紹介を簡単にさせていただきたいと思いますけれども、私ども在日米国商工会議所は1948年に設立されました日本最大の外国経済団体でございまして、1,000社を代表する会員で構成されております。主に日本における国際的なビジネス環境の強化を目的としております。今回のこの消費者契約法の見直しにつきましては、商工会議所の中では、業種横断的に非常に強い関心を持っております。

本日配付されておりますけれども、意見書につきましては、簡素な意見書4ページのものを提出させていただいておりますけれども、本日は主にこの意見書を提出させていただきました背景となる考え方ですとか、それから主に各論としまして2点、「勧誘」の概念の拡大と不当条項の類型の追加について記述させていただいておりますので、その補強について御紹介申し上げたいと思います。

まず、総論的な話でございますけれども、「中間取りまとめ」にもございますけれども、今回の改正の背景として御示唆いただいているのは、情報通信技術の発達とか高齢化の進展など、いわゆる法施行後の社会経済状況の変化に対応ということでございますけれども、先ほど同友会の方もおっしゃっていましたが、果たして立法事実が整理されているのかということについて、疑問なしとしないと考えております。と言いますのは、最近の情報通信技術の発達などとは余り関係ないような、一部の特殊な裁判例を発射台にして、それを普遍化するような議論がこれまで展開されてきたようにお見受け申し上げます。

それから、今回、消費者契約法というある意味横断的な法律の改正なわけですけれども、例えば金融とか不動産とか、個別の業におきましては、各業法において特別な規制が敷かれているわけでございますし、それから、先ほど縷々御議論ございました景品表示法という法律の中で既に規定されているルールもございまして、そういったものとの関係において、今回の見直しが一体どのように整理されるのかということについては、「中間取りまとめ」を拝読させていただいた限りは、私にとっては余り明らかではないとお見受けした次第でございます。

そういたしますと、例えば実体経済への影響を考えずに、安易に一部の判例をもとにした普遍化というものをこれからどんどん進めていきますと、社会全体のコストを安易に引き上げることになりかねず、現在、総理官邸を中心に政府で取り組まれているアベノミクス第2ステージの成長戦略ということに関して、合致するような御結論が出るのだろうかということについて、若干疑問を感じております。

これは、何か事業者団体として、事業者がビジネスを遂行する上で困りますということを申し上げているわけではなくて、そのような一方向的な議論を申し上げているわけではなくて、議論の方向によっては、大多数の消費者の皆様方が、今までの手続と違って、何か煩わしいことをこれからしないと契約できないと感じられたり、あるいは消費者の利益を守るべく、これまでやってきた事業者の取り組みが、一部不当条項ということで取り扱われるリスクということも出てきかねませんので、消費者にとっても本当にこのような改正がいいのか、何かマイナスの副作用が生じる部分がないのかということについて、若干疑問を持っております。

それから、これも多数議論・指摘されておりますけれども、今回の「中間取りまとめ」、どうしても非常に難しい内容で、専門的な議論に終始しがちなところがあるのは否めないところがあるのですけれども、全国民にとって非常に大きな影響がある問題でございますので、現行法上の課題をわかりやすく国民の皆様に提示して、今回の改正によって、消費者だけではなく、事業者双方が納得でき、日本の成長戦略に寄与できるような将来の姿があるのだということを、具体的な事例に即して提示していただけないと、非常に専門的な議論で、どのような影響があるか、一般の人に、あるいはマスコミの方にとっても非常にわかりにくい内容になっているのではないかと思います。

過去の判例の整理がこれまでいろいろ行われてきたわけですけれども、例えば新たに法律の適用対象とすべきと御議論されていますけれども、それは今、実際に実体経済で行われているいろいろな事案に関して、どのような影響があるのか。「勧誘」について後ほど申し上げますけれども、そのような定義を変えることによって、一体何が対象となってとって、何が対象とならないのかということを、この専門調査会の皆様の中で共通認識を持って、具体的に御議論いただければありがたいなと考えております。その上で、それを「事業者」「消費者」、双方が納得できるような御説明をしていただきたいと考えておりまして、くれぐれも次期通常国会に提出ありきの拙速な議論は避けていただければと考えております。

以上が総論でございまして、各論について2点、資料のほうで記載しておりますので、それぞれについて補足させていただきます。

まず、「勧誘」概念の拡大の件でございます。

先ほども議論がございましたけれども、「勧誘」概念の拡大につきましては、「中間取りまとめ」におきまして、特定の取引を誘引する目的をもってした行為と新たに記載されているわけですけれども、先ほど委員の方から逆に質問があったようですけれども、我々から見ると、これは実体経済に対して一体何を指しているのでしょうかと、逆に専門調査会の方々にお尋ねしたいと考えております。本当にこの定義において何が対象となって、何が対象とならないのかということを具体的に議論され、この専門調査会の皆様の中で共通認識が本当にあるのでしょうかということをお尋ねしたいと思います。

例えば店舗においてポップというものがありますけれども、あれは対象になるのでしょうか、ならないのでしょうか。それは記述の内容によって変わるのでしょうか。あるいは家電製品のパンフレットは店舗に置いてあるわけですけれども、これはどうなのでしょうか。家電製品のパンフレットに、製品のスペックだけではなくて、例えばそのメーカーさんのオンラインショッピングのサイトのリンクが張ってあった。通常、パンフレットの後ろのページによく載っていると思うのですけれども、その場合にはどうなのでしょう。あるいは、通常、店頭における陳列と同じように、ただ一般の消費者の方々が来られるのを待っているような静的な通信販売のサイトの掲示というのは、一体どうなのでしょうか。

そういったものについて、かなり個別具体的なイメージを持って議論していただかないと、特定の取引を誘引する目的をもってした行為と言われても、本当にこれはこの中の皆様方の共通認識どころか、国民の皆様方、事業者・消費者双方にとって、それが容易に判断できるような定義にしていただかないと混乱が起こるのではないかと考えております。

それから、「中間取りまとめ」では、このような行為が消費者との関係で個別の契約を締結する意思の形成に向けられたものと評価することができると、断定的な記述がございますけれども、今日、情報過多の時代と言われておりまして、ショールーミングあるいは価格比較サイト、口コミ。消費者の方々というのは、さまざまな情報に触れて、それを総合的に判断されて意思を形成されているのではないかと考えます。仮に消費者の方から取消請求が事業者に来た場合に、事業者としては、消費者の方の心の中をのぞくことはできないわけです。では、裁判で消費者が立証できない場合もあるのではないかという議論もあるのかもしれませんけれども、果たしてそのような裁判が多数起こるような社会を望んでいるのでしょうかということをお尋ね申し上げたいと思います。

それから、不告知、不実告知の件でございますけれども、不告知の問題につきましては、先ほども議論があったように、これは私どもの資料にも書きましたし、多数の疑問がほかにも呈されているのではないかと思いますので触れませんけれども、あえてよく議論が抜け落ちがちなのは、不告知、不実告知を含め、表示の主体についての議論をもっと丁寧にされてもよいのではないかと考えております。例えばメーカーさんがカタログのスペックを何か過失により誤記されていた。その内容をそのまま小売業者が転記していた。それをサイトに載せていたとか、あるいは販売店で表示をしていたという場合に、その小売店の責任を問うようなことを考えていらっしゃるのでしょうか。

「中間取りまとめ」では、そのような意見もあったという記述がございますけれども、一方、景品表示法では、過去の審判・審決において、表示の主体については一定の解釈がなされていると理解しております。今回の「中間取りまとめ」では、主体の議論について、議論があったことは記載がございますけれども、これが今後の検討課題であるということは触れられていないと理解しております。

続きまして、2点目の不当条項について申し上げます。

往々にして、「勧誘」要件の拡大の議論が余りにも多過ぎるために、不当条項についての問題の議論に割かれている時間がこれまで非常に少ないのではないかという危惧を持っております。

また、追加の候補として、今回は不当条項として幾つか挙げられている類型がございますけれども、これらについて、過去、一部の判例を普遍化する形で追加の候補として挙げられている面がございます。果たして、これら今、追加として挙げられているそれぞれの不当条項が実体経済あるいはビジネスの実態に照らして、事業者のみならず消費者に一体どのような影響があるのかということの精査に、もっと時間をかけていただくべきではないかと考えております。

今回、提出させていただいた資料には、消費者が一定の作為又は不作為をもって消費者の意思表示があったものと擬制する条項の例として、購入予約取消しの例を挙げておりますけれども、ほかにも例がございます。例えばインターネット上の取引におきまして、消費者のお客様に特定のボタンを押していただくことで、利用規約などに同意いただいたとみなすということは、慣例となっている分野がございます。では、果たして挙げられている消費者の一定の作為、不作為をもって消費者の意思表示があったものと擬制する条項というものが不当条項だとすると、今後、消費者の方に作為の都度、全てにいろいろな規約類を全部お見せして、それを毎回同意いただくような煩雑な行為をこれからお願いしなければいけないのでしょうか。こうしますと、これまで何ら不都合を感じていない大多数の消費者の方が困るのではないかという副作用を心配しております。

あるいは、ほかの不当条項ということで、解釈権を事業者のみに与える、あるいは権利義務の決定権限を事業者のみに付与する条項というものもございますけれども、例を挙げますと、インターネットの投稿サイトなどにおきまして、不適切な表現、わいせつ物みたいな、明らかに法的に問題がある場合は別として、ややグレイな場合に、不適切な投稿の蔓延を防止するために、消費者の利益に資するという観点から、この解釈権を事業者に与えているような条項があると思います。これは、消費者の利益を考えて、そういう条項を設けている例もあるわけでございまして、こういったものまで不当条項ということで整理されますと、果たしてそれが本当に消費者のためになるのでしょうかということについても精査が必要なのではないかと思います。

資料ではグレイリストという表現を使っておりますけれども、それが適当かどうかわかりませんが、「中間取りまとめ」に列挙されている条項の類型には、例外なく無効とされているものもあれば、原則無効、例外有効とされているものまで軽重つけられているようでございますけれども、仮にこれらのものがそのまま追加されてしまえば、事業者がリスクを恐れて事実上、原則無効、例外有効であっても採用しなくて、結果的に全ての条項がブラックリストとして取り扱われてしまうのではないかということを危惧しております。

私からの説明は以上です。

○山本(敬)座長 ありがとうございました。

では、ただいまの御説明に関しまして、質疑応答を行っていただきたいと思います。御質問のある方は御発言をお願いいたします。井田委員。

○井田委員 御説明ありがとうございます。

私のほうから1つ御質問ということで、4ページのグレイリスト条項に関する点をちょっと御質問させていただきたいと思います。

私自身は適格消費者団体のメンバーとして差止訴訟とかにかかわることもあるのですけれども、もともとグレイと言うか、ブラックと言うかはともかくとして、不当条項のリスト化の目的は、御承知のとおり、現行の10条のままでは何が違法な条項なのかが不明確であるということの中で、せめて問題となり得る情報を明確化すること自体が、事業者側にとってもあらかじめ予見可能性を付与するという点で、それはメリットであると理解しておりました。事実上、採用しない可能性があるとは言うものの、もちろん全ての条項が常に無効になるわけではなくて、合理的な理由があれば有効だということになるのであれば、事業者の判断において、よく検討されて、あえて問題となり得る条項を使うということ。それが裁判所で有効と判断されることもあり得るわけです。

結果的には、それのほうが消費者側からしても予見可能性がありますし、事業者側にとっては、よりその条項の有効性を精査するというのは、あらかじめ紛争を回避するという意味では、お互いにとってメリットではないかと私はちょっと理解できるのですけれどもね。これは立証責任にかかわらず、リスト化すること自体が問題で、それであれば、現行10条のような規定ぶりのほうが、まだいいということ。事業者側の意識的効果を招かないので、まだそれのほうがいいという理解になるのでしょうか。

○山本(敬)座長 それでは、お答えをお願いいたします。

○在日米国商工会議所渡辺理事 通常、私、個人的な経験でも、消費者契約法の10条で問題になってトラブルになったことは余りないのですが、そういう意味で、予見可能性が必要だとおっしゃっている事業者が一部いらっしゃるかもしれないのですが、おっしゃるように総論としては理解できます。それは、何かそういうメルクマールとなるような、判断基準となるものがあったほうがいいだろうという点は総論としては理解できるのですが、果たしてそれが法律の条文という形で追加することがいいのか、あるいはもっとソフトなやり方で、ガイダンスということで何か行政庁がお示しされることがいいのかという議論もあっていいと思います。

それから、何より、先ほど個別の条項について申し上げましたけれども、今回、取り上げられている条項が、例えば判例として継続的役務、英会話スクールに申し込んで途中でやめた場合に残りの分がどうなるのか、といった一部の判例例をもって、今回、条項の提示がされているのですけれども、そういう継続的役務じゃないような取引において、今回、取り上げられているような追加的な条項の案が、果たしてどのような影響を及ぼすのかということが議論された痕跡は、少なくとも私は拝見したことがなくて、一つ一つについて丁寧な議論が、ソフトな形であれ、ハードな形であれ、必要なのではないでしょうかということを申し上げているわけです。

○山本(敬)座長 よろしいでしょうか。

では、ほかに御質問等がありましたら。大澤委員。

○大澤委員 どうもありがとうございます。

質問というよりは、ちょっと意見を申し上げたいと思いますが、不当条項に関して審議が十分にされていないというお話を伺って、非常に残念な気持ちになりましたので、1点言わせていただきますけれども、もともとこの調査会の議論の前に、消費者委員会のワーキング・グループや消費者庁の検討会等でいろいろ検討してきました。そのときは、日本で消費者契約法10条が適用された裁判例は、数で多いと見るか少ないと見るか、これは個人の判断だと思いますけれども、確かに1,000とか1万あるわけではございません。

しかし、実際上のあらゆる業種における契約書などを精査した検討というのは、既にこの専門調査会の前にやられていたことですので、決して一部の裁判例だけを見て、こういうものをリストに挙げたということではないことだけは理解していただきたいと思っています。それがまず1つです。

もう一つは、そのリストに挙げているものに関しては、これは今、井田委員が言ったことと私、全く同じ疑問を持ったのですけれども、既に現在使われている契約書などで実際に入っていて、それで苦情相談などが来ているようなものを基本的にはピックアップしたものですし、あと、外国法においては、当然リストが10個20個ぐらい挙がっていて、それにプラスして、それらを補う形で一般条項、日本で言うと10条が置いてある。これがスタンダードと言うのですか、実情だと思います。

それを考えたときに、日本の消費者契約法10条というのが基本的に裁判例では使われていて、リストというのは8条、9条しかないという、はっきり言うと諸外国と逆の状態にあるという認識は、私は持っております。そのような状況だということをまず理解していただきたいということです。ですので、決して一部の事例だけを取り上げて、これらの条項を挙げたわけではないということです。

つけ加えさせていただきますと、ここに例として消費者の意思表示を擬制する条項とか、いろいろ御懸念を示されておりました。クリックしたことで約款に同意したものとみなすというのもありましたけれども、恐らく挙がっていた条項というのが全て不当になるということではないのではないかと思っていますので、それはちょっと御心配し過ぎなのかなと、個人的には感じました。

あと、その上で1点だけ質問させていただきたいのですが、先ほどの経済同友会さんの御報告でもございますし、今も御意見の中で伺っていましたけれども、なるべくソフトなもので対応してほしいという話が出ておりました。そうすると、例えばこの不当条項に関しては、ソフトなものであれば問題となるような条項をリストアップするのは差支えないということなのでしょうか。仮にそうだとすれば、なぜソフトなものだったら挙げてもいいということで、法律だとどうしても困るということなのか、それをお聞かせいただければと思います。

以上です。

○山本(敬)座長 それでは、御質問の部分について、お答えをお願いいたします。

○在日米国商工会議所渡辺理事 ソフトなものでいいかということにつきましては、「中間取りまとめ」の中でそのような御提案はございませんでしたので、当商工会議所の中では議論しておりませんので、コメントは差し控えさせていただきます。

○山本(敬)座長 よろしいでしょうか。

それでは、ほかに御質問等がありましたら。いかがでしょうか。山本健司委員。

○山本(健)委員 貴重な御意見をいただきまして、ありがとうございました。

資料2の3ページの(3)部分で「広告に不利益事実をすべて記載することは現実的でない」という御懸念が示されております。

しかし、本日の会議で先ほどもお話が出ましたとおり、広告後の情報提供も可能ですので、この部分の御懸念は過剰ではないかと思うのですけれども、これは広告後の情報提供はできないという前提に立った御意見と理解すればよろしいのでしょうか。

よろしくお願いします。

○山本(敬)座長 それでは、お答えをお願いいたします。

○在日米国商工会議所矢野インターネット・エコノミー・タスクフォース委員 先ほど来の議論と、あと今までの消費者庁の方々との意見交換も踏まえてですけれども、どうしてもかみ合わない部分があって、「中間取りまとめ」が具体例をもとに議論されていないために、今のような、委員の方にしてみると事業者が過剰な心配をしているというお話になってしまうのですけれども、それだけ話していても多分空中戦になってしまうという印象を持っています。

例えば「中間取りまとめ」の12ページの不利益事実の不告知のところですけれども、裁判例の状況を踏まえて不実告知型と不告知型に分けられると書いてあって、恐らくこれは学問的にはきれいな分類である可能性があると思うのですけれども、具体的に実務に携わっている者として議論しようとするときに、どうしてもこれは何をおっしゃっているのかがわからないということになって、先ほど来、事業者側から示されているように、不利益事実を何でも書かなければいけないのではないかという、委員の方々からすると過剰と思われる心配が出てくる。

議論がちょっとかみ合わないのは、今までの議論が足らなかったのではないか。裁判例の状況を踏まえているのであれば、どのような裁判例をもとに、どのような事例を想定されて、こういったカテゴリーをつくられているのかといったことの説明を受けたいですし、それをもとに議論しないと、かみ合った議論にはならないと考えています。

○山本(敬)座長 どうぞ。

○在日米国商工会議所渡辺理事 1点だけ補足させていただきますと、不利益事実とは一体何かということが、事業者の考えと消費者の考えが果たして合っているのかということが、個々には結構問題になるのではないかなという思いがございます。広告以外のどこかで書いてあればいいだろうという御指摘ですけれども、そもそも事業者からすれば、それは不利益事実とは思っていなかったようなことまで、消費者の方からすれば不利益事実だと思われて、事業者の方に何か要求があるということについてのトラブルを心配している面がございます。

○山本(敬)座長 よろしいでしょうか。

それでは、後藤委員。

○後藤(巻)座長代理 今、議論になっている不利益事実の不告知のところですけれども、「中間取りまとめ」だと15ページになるのですけれども、「重要事項」について、今回、不実告知型については拡大するという議論もあるのですが、不告知型については現行どおりという意見が出ております。そういう意味で、不利益事実の不告知の適用範囲について、私どもとしては考慮したという意識があるのですけれども、ここにお書きになっているような、広告に不利益事実を全て記載することは現実的でない、というおまとめを拝見すると、何かこちらの意が伝わっていないという感じがするのですけれども、その辺、いかがでしょうか。

○山本(敬)座長 先ほどと重なる面はありますけれども、もし追加してお答えいただくことがありましたらお願いいたします。

○在日米国商工会議所矢野インターネット・エコノミー・タスクフォース委員 まず、総論として、商工会議所のどの事業者も、消費者の方がだまされていいとは全く思っていないのは間違いないと思います。ただ、地に足のついた議論をするには、どういう場合を委員の方々が想定されているのかという具体例をいただかないと、結局、お互いに疑念が増してしまう形になって建設的でないと考えています。

○山本(敬)座長 よろしいでしょうか。どうもありがとうございました。

まだ御質問が続くかもしれませんが、時間がそろそろ参っておりますので、在日米国商工会議所へのヒアリングはこのあたりとさせていただきたいと思います。お忙しいところヒアリングに御協力いただきまして、まことにありがとうございました。

(在日米国商工会議所退席、日本チェーンストア協会着席)

(3)日本チェーンストア協会からのヒアリング

○山本(敬)座長 続いて、日本チェーンストア協会からのヒアリングを始めさせていただきたいと思います。

本日は、日本チェーンストア協会から、同協会の専務理事井上淳様、総務委員会委員中村美華様に御出席いただいています。お忙しいところ御出席いただきまして、ありがとうございます。

それでは、御説明をよろしくお願いいたします。

○日本チェーンストア協会井上専務理事 チェーンストア協会の井上でございます。こういう機会をいただきまして、まことにありがとうございます。

チェーンストア協会は、スーパーあるいはホームセンター、100円ショップなど、多くの消費者の皆様の毎日の生活を支える企業が集まっている団体です。お手元に資料3ということで、意見があります。時間も限られておりますので、我々、業種横断というよりは小売というところでございますので、そういう視点に立って、特に懸念が強い項目を中心に述べさせていただきたいと思います。

まず、総論のところ、1ページでございます。

今回の見直しについての問題意識は共有するところでございますし、また「中間取りまとめ」の中でも、消費者の保護と並んで、経済活動あるいは事業者への影響を考慮すべきとか、適用範囲の明確化の必要性など、そういうことが繰り返し指摘されておりまして、バランスのとれたアプローチということは今後ともぜひよろしくお願いしたいと思います。

その上で申し上げますと、「中間取りまとめ」に取り上げられた論点の中には、例えば住宅リフォームとかマンションの購入、あるいはおいしい投資話といった一定の取引分野、あるいは特殊な悪徳業者といったところに特徴的に出てくる被害、トラブルを念頭に置いているのではないかと思われるところが結構ございます。

しかしながら、意見書の1ページの第2パラグラフにも書かせていただいておりますように、これらの被害に対する対策というのは、特定の業法あるいは悪徳業者の対策法という特別法でもって検討していくということであって、そこで妥当と思われるような規範、ルールをB to Cの一般法である消費者契約法に当てはめると、先ほど来、議論ございますように、事業者だけではなくて、かえって一般の多くの消費者の方にも多大な迷惑を及ぼしてしまい、円滑な生活が損なわれるということだろうと思います。

特に、我々、スーパーをイメージしていただくと非常にわかるわけですけれども、多くのお客様が寸暇を惜しんで買い物をされて、自分で商品を選んで、どこのレジがすいているかと見て並んで、とにかくレジがもたもたしていると早くしろよと言いたくなるような場面で日常生活が成立しているということでございます。そういう現場を念頭に置くと、これは悪徳業者対策あるいはマンション、車、おいしい投資話という一発勝負の取引とは大きく異なってくるということを御理解いただければと思います。

具体的な論点として、2ページでございます。ここも時間の関係で論点を絞らせていただきます。

(2)不実告知、それから不利益事実の不告知。

ここは、「中間取りまとめ」では、「勧誘」ということと「重要事項」ということと「不利益事実の不告知」という要素に分解されて議論されております。これは、規範を受ける側の当事者のほうからすると、一定の場面で一定の内容について不実告知はいけない、あるいは不利益事実の不告知はいけないという規範が提供されていることになるわけでございます。この中間取りまとめでは、そういう規範についての解釈あるいは法令上の拡大というのが検討されているというのが、法令を受ける側のユーザーサイドとしての見方になるかと思います。

ここで日常の買い物の場面です。今、述べましたように、大勢のお客さんが早く買い物を終えて、家に帰りたいという中で、1秒でも早くレジを通りたいということをやっている。そういう円滑な日常生活でございますけれども、こういう買い物のシーンに、仮に取消対象となる範囲が拡大され、それによって、レジというのはパートさん、アルバイトさんが多いのですが、この方々がお客さんに一体何を説明しなければいけないのだろうか迷う。あるいは、一々お客さんに説明していくということになると、それこそお客さんのほうはフラストレーションがたまってしまうことになります。

例えば「重要事項」ということがあるわけですけれども、消費者が契約締結を必要とする事情に関する事項ということになってしまうと、日常の買い物において、夕飯はカレーにしよう。だから、このお店に来たというのが重要事項になるわけですね。それが重要事項になるかどうかと、もちろん議論にはなるかもしれませんけれども、少なくともお客にとっては重要事項なわけです。カレーを食いたいから、ここに来たということでありますから。そこに来て、肉や何かがタイムセールで安くなっている。必要な具材を安く提供される。これは事実であるわけです。だけれども、閉店間際に来たら、そこで廃棄するのは嫌ですから、もっと安くなるかもしれない。こういうことを一々説明しないといけないのかなと、現場としては思うわけであります。

それから、例えば来週デートなので洋服を買いに来た。そうしたときにバーゲンセールをやっている。これは、来週のデートに非常に合う商品が安く手に入るということでありまして、それが一定の事実になる。再来週、ひょっとすると新製品が入ってくるかもしれない。そういうことが仮にあったとすると、その店員は再来週にはもっと別の製品が入ってくるのですよ。だから、もっといいものが手に入るかもしれませんよということを言わなければいけないのかどうかということになってしまうわけであります。

ということで、「勧誘」「重要事項」「不利益事実の不告知」あるいは「不実告知」の拡大ということについては、非常に慎重であるべきだと思いますし、小売の立場からしますと、仮にそういうものを適用するということであっても、日常の取引については適用除外にするということで、その範囲を限定する。繰り返しますと、本来なら、これは立法事実に基づいて、特定の業法とか特殊な商売に着目した形で特別法立法でやるのが妥当だと思いますけれども、仮にB to C一般に広げるといったときであっても、日常の取引については適用除外することの工夫が必要かなと思っております。

次に、2ページの(4)合理的判断ができないことの事情を利用した契約締結ということでありまして、これは悩ましい問題だと思っています。

「中間取りまとめ」では、一般的・平均的な消費者というものを基準として判断するとか、事業者が不当に利用した場合を規律対象とすることなどによって、適用範囲の明確化を図りつつ消費者を保護する規定を設けることを検討すべきと書かれています。確かに、一方で、先ほどの住宅とかうまい投資話といった、若干判断に欠けるような方を狙い撃ちする消費者被害をどう解決するかというのは、大切な話だと思いますが、他方で、日常のスーパーにお年寄りが来て、店員さんが、おじいちゃん、おばあちゃん、今日、どうしたの。これを買ったらどうということを言った場合に、後から家族に、おまえ、不当に何かやったじゃないかということを言われたら、これは困ってしまうわけです。

実際、不当なというのは人によって当然変わってくるわけでありまして、そこをレピュテーションリスクに敏感な、真面目なところほど、安全サイドで判断していくことになってくると、必要なサービスを提供しない。そうすると、お年寄りは社会から阻害されるという結果が生まれてきてしまうのではないかということを心配しています。ですから、不当な理由の外縁を明確化するということはもちろんですけれども、これも投資話とかマンションという話と、日常のスーパーに買い物に来るお年寄りとはちょっと違うのではないかと思っています。

それから、3ページの(5)の第三者による不当勧誘。ここは、「中間取りまとめ」を読むと、劇場型勧誘など、投資話などを中心とする特定の取引に特徴的なトラブル、被害なのではないかという感じがしています。一方で、日常の買い物の場面においては、委託関係にない第三者による勧誘ということまで広げてしまうと、例えば友達が2人で買い物に来て、Aという友達がBという友達に、これ、B子ちゃんに合うから買いなさいよみたいな話をして、そこでいい点を言って悪い点を言わないときに、従業員がAさんをたしなめて、いや、Aさん、そんなことを言ってはいけませんよというのは、現実問題として無理だと思います。

したがって、そういう場面を初めとして、第三者の関係というのは非常に幅が広いと思っておりまして、それを一律のルールで取消権をというのは、ちょっと無理があるのではないかなという懸念を持っています。

それから、3ページの(6)であります。すなわち取消権の行使期間の延長です。これは、特に小売に特徴的ということではございませんけれども、行使期間を延長しても、期間を徒過する人は出てくるのではないか。むしろ、そういう方の救済を本当に考えるのであれば、法律の今の制度をきちんと周知するほうが世の中のためになるのではないかという感じがしております。もちろん、これは立法事実、実際に徒過した方々の実態の分析に基づいて必要な対策というのを、ルールも1つかもしれませんけれども、周知徹底ということも含めて、あるいは相談の充実ということも含めて対応を考えるということが必要ではないかと思います。

そして、契約条項です。これは、別添の9ページあるいは11ページ。最初、11ページの(1)のところでございます。

不当条項の類型の追加でございますけれども、これも引き続き検討するとされておりますけれども、日常生活に密接したところでさまざまなビジネスを展開している我々からすると、ちょっと懸念というか、違和感があります。例えば日常的なセールを打つときに、特売セールあるいは野菜などのわけあり商品ということで、返品お断りということをするわけでございます。もちろん、これは合理的で、必ずしも不当ではないという先ほどの議論もございましたけれども、その事業者のほうからすると、これは大丈夫かなということになってしまうことが懸念されるところでございます。

それから、別添の9ページに戻っていただきまして、損害賠償責任を免除する条項についても引き続き検討ということで、特に人身損害の場合が焦点になっております。ここも先生方からすると過剰な不安だと思われるかもしれませんけれども、例えば滑りやすいので足元注意ということであったときに、事故の際にも事業者側は当店では責任を負いませんみたいなものが書かれていることもあります。それは、もちろん意図としては、お客様に対する注意を喚起するということで、より注意を喚起してもらいたいから書くというのが一義的でありますけれども、万一、事故があったときに、そこで過失相殺という議論をする上で役に立つと思っておりまして、これを無効とされるのは適切ではないのではないかと考えております。

以上、繰り返しになりますけれども、今回の問題意識や、それを裏づける紛争。いろいろ理解できるところもありますけれども、ひょっとするとマンションとかリフォームとか投資話とか、特定の被害は本当に大きな被害だろうと思いますけれども、あるいは特殊な悪徳業者を念頭に置いて、それを消費者契約法というところに広げていこうという感じに、我々としてはちょっと受けとめてしまうわけで、そうなってくると、繰り返しですけれども、消費者にとっても非常に問題ということだと思いますので、いま一度、立法事実をきちんと分析して、一方で消費者契約法というものがB to Cの一般法だということを踏まえて、慎重な検討をぜひお願いしたいと思います。

以上でございます。

○山本(敬)座長 ありがとうございました。

それでは、ただいまの御説明に関しまして質疑応答を行っていただきたいと思います。御質問のある方は御発言をお願いいたします。山本健司委員。

○山本(健)委員 貴重な御意見をいただきまして、ありがとうございました。また、網羅的で詳細な意見書を取りまとめられた御尽力に心より敬意を表します。その上で、内容面で3点、御質問させていただきたいと思います。

第1に、本日頂戴している資料3の別添「意見(詳述)」の5ページの「不利益事実の不告知」、6ページの「重要事項」の御意見部分で、個々の消費者が重要と思ったかどうかは事業者にはわからないという御懸念が示されております。しかし、今回の改正論議では、個々の消費者が重要と思ったかどうかで「重要事項」を決するのではなく、一般平均的な消費者が当該契約を締結するか否かの判断を左右すると客観的に考えられるような重要な事柄を「重要事項」と考えるという前提で議論が進んでいると思います。したがって、この部分に関する御懸念は過剰であるように思うのですけれども、この部分の御意見は、個々の消費者の認識で「重要事項」かどうかが決まるという前提に立った御意見という理解でよろしいのでしょうか。これが1点目の質問でございます。

2点目は、8ページの「第三者による不当勧誘」の御意見部分で、「消費者の友人または家族が購入時に傍らで間違った情報を言っていた」場合も該当するのではないかという御懸念が示されております。しかし、例示されている事案では、その友人や家族はそもそも契約を勧誘しているわけではないので、第三者による不当勧誘には該当しないであろうと思います。したがって、この部分に関する御懸念も過剰であるように思うのですが、この部分の御意見は、友人や家族との会話も第三者による勧誘になるという前提に立った御意見という理解でよろしいのでしょうか。それが2点目の質問でございます。

3点目は、複数の論点において頂戴しております「日常取引は対象外とするという例外を設けたらどうか」という御意見に関する質問です。この御意見では、結果として、消費者に最も関係の深い日常取引について、不当勧誘行為規定が及ばない、消費者保護が及ばない、不当勧誘行為が許されるということになってしまうように思うのですけれども、それでよいのだという御意見内容なのでしょうか。また、「日常取引か否か」をどのように切り分けるという御意見内容なのでしょうか。

以上3点、よろしくお願い申し上げます。

○山本(敬)座長 それでは、順にお答えをお願いいたします。

○日本チェーンストア協会中村総務委員会委員 最初の2つにつきまして、私から御回答申し上げたいと思います。

1点目の個々の消費者の意図がわからないという点につきましては、こちらの議論の中で、一般の平均的な消費者を前提とするという御議論については承知しておるのでございますけれども、そこの判断基準がどうなのかというところがなかなかわからないということです。

仮に私どものようなスーパーでのお買い物ということをイメージした場合に、一般の平均的な消費者の動機という部分について、どのように考えていいのかというところがよくわからない中で、こういうことも入ってくるのではないかと心配してしまうということでございます。前提といたしまして、私、企業の法務部に属しているわけですけれども、当然、法令が変更になったということですと、従業員に対して、それが守られるようにということで指導していかなければいけないわけですけれども、現状の議論されている内容ですと、どこまでやればいいのかというところが見えていないということで、今の条文あるいは今までの御議論を拝見していた中では、そこの部分の懸念が払拭できないというところが今回の意見でございます。

2点目の第三者について、御家族や御友人の部分については勧誘ではないのではないかという御指摘かと思いますけれども、それが第三者でないといえるのかどうか。もともとこの専門調査会の御議論の中で、どういう事例を意識されているかというところで、本当は関係があるのだけれども、そこの関係が立証できないというところも意識されているということは了解しているのですが、契約関係があるとは限らないと定義されてしまうと、御家族や御友人はそうではない、または、例えばネット上での第三者の口コミというのはそうではない、それを事業者がたまたま知っている、そういうケースがどう解釈してよいのかわからないということで、現状を拝見した限りでは、そこの懸念が払拭し切れない、あるいは判断ができない内容ということで御意見を申し上げている次第でございます。

以上です。

○日本チェーンストア協会井上専務理事 3点目も基本的に今の話と同じで、改正の見直しがされているわけですね。そこにおいて、私も専門調査会を全て拝見しているわけではないので、インフォメーションのギャップがあるかもしれませんけれども、日常の取引で問題になっているというよりは、ちょっと違ったところでのトラブル、被害への対応ということが、今、大きな課題となっていると思われます。

あるいは、インターネット、高齢化はもちろんありますけれども、高齢化とかは、さっき言ったように、正直言って、どういう答えを出したらいいのか、悩むところではあるのですけれども、そういう新しい技術なりを背景としたトラブルということで言うと、日常の取引とはちょっと違うところの話なのではないか。それが改正という形で拡大されると、今、中村が申し上げたように、現場としても対応ができないということでございます。

日常の取引、これも定義をどうするのか。仮にそういう俎上に乗ったときには相当議論があるところだとは思っています。言葉をかえると、私どもの意見は、先ほど申し上げたように、むしろ特別法でやるのが筋ではないかとそもそも思っておるところでありますけれども、仮にそれを一般法でやるのであれば、自分たちのことだけ言って恐縮ですけれども、少なくとも自分たちの取引は適用除外してほしいと。最後のところは業界だけの視点に立った主張なのかもしれません。

○山本(敬)座長 それでは、ほかにいかがでしょうか。では、大澤委員。

○大澤委員 個々の論点にわたる貴重な御意見をいただきまして、まことにありがとうございました。

それで、具体例も出していただきましたので、確認として伺いたいことがございます。詳しく個々の論点ごとに検討されていらっしゃる10ページの人身損害の一部免除の条項に関する議論で、御意見、拝見させていただきましたけれども、ここにお書きになっているとおり、事業者の故意・重過失による場合というのは、現行法でもそもそ一部免除も全部免除もできないわけで、問題となるのは、事業者に軽過失があったことによって、消費者に生命ないしは身体の障害が生じた場合に、これを一部免除することも場合によっては必要なのではないかと、意見を私はそういうふうに理解いたしましたけれどもね。

先ほど出されていた、例えばスーパーの床の水が雨とかで濡れていて、それで滑ってお客様がけがをしたという事例で、これは実際の判決で問題になった事例も幾つかあったと記憶していますが、このときにお店側が、外でひどい大雨が降っていて、床がたくさん濡れてしまっていて、それを全く何もしないでそのままにしていた、掃除とかも特にしなかった。その状態でお客さんが転んでけがをしてしまったとき、恐らく問題になるのは、今のように事業者側に何らか過失があるという場面ではないかと思いますし、実際に判決で今のような滑ってお客様が転んでけがした事案でも、事業者の点検管理に問題が著しくあった。

床をそのままにしていたという事案のみというか、その事案だからこそ責任が認められたという限りであって、およそ全てに雨で床が濡れていたからといって、直ちにそれで転んだときに事業者が責任を負うことには、恐らく判決上もなっていないと思うのですが、今のような話で、事業者側で店舗の床の管理が不十分だった。法律的に言うと、事業者に過失があった場合に、それでお客様がけがをしたというときに、それでも一部免除することが必要だということなのでしょうか。それは、必要だということでよろしいのでしょうか。

○山本(敬)座長 それでは、お答えをお願いいたします。

○日本チェーンストア協会中村総務委員会委員  ありがとうございます。

私どもが先ほど御説明したのは、契約条項という話で、契約という文書で云々ということでもなくて、いろいろな表示などでお約束する場合があるのではないかという例として1つ挙げさせていただいているわけですけれども、例えばそういうときに、表示物で、滑りやすいので注意してくださいという立て札みたいなものを立てたり、そういうことはよくあると思うのですけれども、そこは、要は過失相殺の効果というのがあるということと理解しているわけですけれども、そういった意味での有効性というのを完全に否定する必要はないのではないか。

条項と言っても、非常にたくさん文章を書いている紙の契約書ということではなくて、書き切れないような場面もいろいろございます。例えば私どもで言うと、レシートに一言書いてあるということで、そこはある意味では一般のお客様も、通常の日常的な感覚の中で理解されていることについてまで、ブラックリストとしての規制をする必要はないのではないかというところが申し上げたかったところでございます。

○山本(敬)座長 よろしいでしょうか。

では、ほかに御質問等がありましたら、お出しいただければと思いますが、いかがでしょうか。では、丸山委員。

○丸山委員 詳細な説明、ありがとうございました。非常に参考になりました。

2点ほどお伺いしたいのですけれども、配られている資料の意見(詳述)の6ページの上のほうの不利益事実の不告知の部分ですけれども、この説明のところに例として挙がっている、大量に残ってしまったから安いといった場合に、消費者が「当該事実が存在しない」と考える「重要事実」と考えるかもしれないといった懸念が羅列されています。このご心配というのは、ここでの文脈では、故意要件が外されるところの文脈で挙がっている例なのですけれども、むしろ重要事項が拡大されることへの懸念という位置づけになりますでしょうか。それとも、故意要件の削除にかかわる部分へのご懸念ということになりますでしょうか。その部分をまず確認させていただきたかったというのが1点と。

次、2点目としましては、これはまとめられているほうの2ページ目から3ページ目にかけての合理的な判断ができないことの事情を利用した契約締結についてというところでございます。判断力が低下した高齢者さんをサポートしているところからのご懸念だと思うのですけれども、言っていただいておりますように、恐らく判断力の低下とか従属関係といった状況の利用がなければ、通常契約に至らないような場面を想定しているので、およそスーパーで行われる契約などは大丈夫な部類に入ってくるとは思うのです。

けれども、ご懸念としましては、そういった不当に利用したという要件だけでは弱くて、取引の性質とか、場合によっては買い物の量とか、そういった客観的な指標というのを考えてほしいといった意見が含まれているのかどうか、この点、お聞かせいただければと思いました。

○山本(敬)座長 それでは、お答えをお願いいたします。

○日本チェーンストア協会中村総務委員会委員 まず、1点目でございますけれども、ここはどこの箇所にどう書くかというのは、ちょっと微妙なところがございまして、私どもの懸念というのは、ある意味複合的に重要事実が拡大されて、故意要件がなくなってという、現状御検討されているところが複合的に作用して、大きな影響を及ぼすのではないかというところを懸念しているところでございますので、ここがいいかどうかというところは何とも申し上げられないのですけれども、具体的な例としては、こういうことが該当してきてしまっているのではないかということを懸念しているということを申し上げたいと思います。

2つ目の高齢者等の部分でございますけれども、例えばこれから認知症の方が非常にふえてくるということもございますし、当然、高齢者の方が非常に多くの割合を占めてくるわけでございまして、まず高齢者だからといって、いろいろな方がいらっしゃいまして、それだけで何らか、私どものほうである意味差別するということはあってはならないことだと思います。例えば認知症の方にいたしましても、認知症だと仮にお店の販売員が知っていたとしても、お元気なときとそうでもないときがあると理解しておりますので、そういう方だから商品を売ってはいけないということではないだろう。

でも、逆に言うと、今は売らないという判断もなかなかできないので、そこはある意味行政等とも協力しながら、そういう方に対してのサポートをどういうふうにしていくのかということを考えていくのが建設的だろうなと考えているところでございます。特定商取引法で規定されておりますように、異常な量を買われるとか一定以上の高価なものをというところである程度縛りをかけるというのは、方法論としてはあると思いますが、そこはこうであるからいいということは、現時点では申し上げられないと思います。

○山本(敬)座長 よろしいでしょうか。

それでは、日本チェーンストア協会へのヒアリングは、このあたりにさせていただきたいと思います。お忙しいところ、ヒアリングに御協力いただきまして、まことにありがとうございました。

(日本チェーンストア協会退席、全国中小企業団体中央会着席)

(4)全国中小企業団体中央会からのヒアリング

○山本(敬)座長 続きまして、全国中小企業団体中央会からのヒアリングを始めさせていただきたいと思います。

本日は、全国中小企業団体中央会から、同会の専務理事髙橋晴樹様に御出席いただいております。お忙しいところ、御出席いただきまして、まことにありがとうございます。

それでは、御説明をよろしくお願いいたします。

○全国中小企業団体中央会髙橋専務理事 全国中央会の髙橋でございます。本日は、このような場所で意見を述べる機会を与えていただき、まことにありがとうございます。私どもの気持ちからしたら、もっと早くお呼びいただきたい。8月末にまとめる前の段階で事業者の意見を聞いて、それを踏まえた上で「中間取りまとめ」を出していただきたかったと思っております。ほかの審議会等では、必ず事業者の方の話を聞いてから、それは当不当もあるかと思いますけれども、取りまとめをされて、その中で次に進むという対応をされたと思っております。

さて、私どもはどういうところかというのは、ほとんどの方がおわかりにならないと思いますので、お手元に第19回消費者契約法専門調査会資料というものがございます。今まで銀行協会とか、いろいろな方々が御説明したのは、ほとんど大企業の立場からお話になっているかと存じます。私どもは、中小企業・零細企業の立場から、どういう問題があるのかということを申し述べたいと思います。

まず、私どもの団体の性格でございますが、1ページをあけていただきまして組織図がございます。中小企業等協同組合法に基づきましてつくられた中小企業の協同組合、それの県の団体、それから全国の団体という二重構造になってございますが、口はばったいのですが、大企業の経団連、日経連の中小企業・小規模企業版と思っていただければと思います。組合は何かということでございますが、ほかの組合も同じでございますけれども、相互扶助をもとにして中小企業が強者である大企業に対抗して仕事ができるように、お互いに持っている資源を集めて仕事をしようというものでございます。

どんなものがあるかということですが、1ページ目に事業協同組合2万等々と書いてございます。例えば鋳物の組合とか建設業の組合、生コンの組合、お菓子屋さんの組合、それからクリーニングの組合、美容理容の組合、それからお医者さんの組合もございます。税理士さんの場合もございます。弁護士の方もそういうことをやっている方もいらっしゃるかと思いますが、そういうみんなで協同してということで集まっているところでございます。組合所属の中小企業者は全国で358万社あると言われており、ややダブりがございますけれども、約270万の方々の意見を集約しているところでございます。

私どもとしては、いわゆる業種別団体ということで、商工会議所とか商工会のように地域の経済団体とは異なりまして、事業者の団体ということで、具体的な生産・販売・サービス提供という事業を行っておりますので、総理主宰の政労使会議、各種審議会等に出て意見を申し述べている団体でございます。したがいまして、私どもはサイレント・マジョリティー、声なき声の中小企業の声を集めて、こういうところにお伝えする。また、決まった内容を中小企業の人に伝えて、これは商工会議所、商工会も一緒でございますけれども、理解してもらって、法律違反がないようにしてもらう、きちんと守ってもらうということをやっている公益的な団体でございます。

それでは、総論と、それから若干各論で申し上げますが、私どもで経済法規専門委員会というものを開催いたしまして、各組合で実務をやっている方、社長さんも含めて集まっていただいて、特商法と消費者契約法のそれぞれの「中間取りまとめ」について意見を聞いたところでございます。また、その際には消費者委員会から来ていただきまして、御説明もいただいたところでございますが、それを踏まえて申し上げたいと思います。

まず、私どもは、消費者保護、高齢者の保護、悪徳事業者の排除については賛成でございます。それは、真面目にやっている事業者の維持・確保になるわけでございます。悪徳なものは消えていってほしいというのは、皆様方と同じだろうと思います。

しかしながら、一部の悪徳業者によって消費者の方、我々も大変迷惑いたしております。これをどうするのだということが始まりだと思いますけれども、まず現行法で取り締まりを強化してほしいというのが我々の訴えでありますし、また消費者教育が足りないのではないか。毎回、同じようなことで同じようにだまされる人がこんなに出てくるというのは、大変失礼でございますけれども、消費者庁などの消費者教育をもうちょっとやっていれば、小学校、中学校、高校、それから現実に社会に出ている方々に対して消費者教育をきちんとしていただくことも大事だろうと思います。事業者だけが悪いのではなくて、悪い人に気づかない消費者について、気づくような形で消費者教育をしていただきたいと思います。

本消費者契約法の関係でございます。現在、民法改正法案が国会に上程されておりますが、審議はこれからでございます。一応、法案として出されておりますけれども、国会においていろいろな議論が今後される予定でございます。私どもとしては、消費者契約法というのが民法の特別法という位置づけであって、それも今回、民法は契約という債権法の重要事項の審議をすることになっております。その特別規定が広くて、各業種に関連するわけでございますので、我々としては民法の大改正でいろいろ議論がなされた後で、この特別法が議論、審議されるのがよろしいのではないかと思っているところであります。

それから、規制される事業者の意見を、審議会である消費者委員会で広く聞くことが必要だろうと思います。法の目的でございます「国民生活の安定向上と国民経済の健全な発展」に資する規制はどうあるべきかということは、これから十分議論していくべきだろうと思います。その際には、立法事実がどの業界にどの程度関係し、それを除去しないと国民生活にどの程度悪影響を与えるかということを明らかにしてほしい。いや、議論はされているのだということかもしれませんが、その議論されていることが我々は全くわかりません。先ほどありましたけれども、大変難しい文章で書いてございます。判例を引いて学術的にきちんと詰めていただくわけですが、それを踏まえて、これこれ、こうだということが我々にはわからないものでございます。

なぜそんなことを申し上げるかといいますと、前の国民生活審議会で消費者契約法をつくろうというときには、法案、審議会の性格から、関係する各種事業者の代表が委員として入っていたと記憶いたしております。消費者委員会の場合にも事業者側が3名お入りになっていると理解しておりますけれども、前回は半数以上が事業者側の方が出て議論されておりました。それは消費者委員会と審議会の違いだというのであれば、先ほど申し上げたように、各種のいろいろな業種・業態の方のお話をよく聞いていただいて取りまとめをしていただきたいと思っております。

先ほど申し上げました、わかりやすいものをというのは、実は先般の不当表示防止法の改正につきましても、我々、関係する事業者団体が意見を事前に述べる機会がなく、突然課徴金制度というものと、その例外としての寄附という、びっくりするような案が出てまいりました。我々は、これは何だろうかと、意味が全くわかりませんでした。そういうことがありまして、困惑したわけであります。

内容についても、もとはバナメイエビだったと思いますけれども、シャケ弁当の話になって、シャケ弁当はトラウト弁当に変えなければだめだと消費者庁が指示したら、全国のシャケ弁当はみんなトラウトでつくっておったので、シャケ弁当でいいとなったとか、明確でないことが行われて、事業者は本当に困ってしまうわけです。これが本当に違法なのかどうか、直さなければいけないのかどうか、こういうことが明確にわかっていないと、法律ができ上がっても、それを守れない状況にあるのではないかと思います。

全国中央会で説明会を行ったのですけれども、これは何ですかということで、我々としては説明がほとんどできないので、消費者庁のほうにわかりやすい具体的な例を出して、それで、これはいけないけれども、これはセーフだよというのを明確にしてほしいという要請をした覚えがあります。

それから、本当はここに関係ないのですけれども、景品表示法のときに不当表示が問題になっていたのに景品表示法の改正だというので、皆、景品かと思ったということがありまして、不当表示が問題だったら、不当表示及び不当景品表示法に名前を変えて、どこに重きを置いているのかということをはっきりさせるべきだということは、消費者庁長官がお見えになったときに申し上げました。いや、これは法律でこうなっているのですからと言うけれども、なっていても、何が今問題で、何をするのかを明確にしないまま、ざあっと流れていくと、普通の人はわからない、そのままで終わってしまうという問題がございました。

先ほど御説明いたしましたけれども、経済法規専門委員会を開催したときに消費者委員会の事務方に来ていただき、説明していただきました。お帰りいただいた後に、今の説明、わかりましたかと聞いたら、何だかよくわからないということでございました。ぜひ説明をするときには、これが目的で、こうだということを簡単に説明していただきたい。難しい事例を二、三枚の紙で書かれても全然わからない。こういうところも我々が非常に疑念を持つ、不信感を持つことになるかと思います。

消費者庁がお帰りになった後で、その後の委員会で幾つかの中小企業の代表から、こういうことを言われました。1つのミスで全てだめだというモンスター・クレーマーが今もいる。現在の案が通るようでは、このような消費者がモンスター・クレーマーからモンスター・コンシュマーになって、中小企業・小規模事業では対応できなくなる。国の施策は、この案で対応できる大企業だけが残ればよいのか、そういう考えなのかと私は聞かれまして、いや、そういう考えではないと思いますよと申し上げましたけれども、実務をやっている方はそういう考え方でございました。

それから、モンスター・クレーマーが自分の価値観からサービスの対価をゼロにしてしまおうという動きが出ている。これがますます行われるのではないかという言い方でございます。これは、葬祭業と赤帽の組合の方から出た意見でございます。我々が心配しておりますのは、そういうモンスター・クレーマーだけではなくて、悪いことをする人はたくさんおりますので、競争事業者がこれを語って、相手の名誉・信用をおとしめることに使われるような、いい武器になってしまうおそれがある。そういうことはないのだろうかというのを心配しているわけでございます。

中小企業・小規模事業者は、先ほど申しましたように全国で385万社ございます。大企業も中小企業も、この場合は同じ法律の規制に律されることになると思います。従来の行政立法とか税法では、中小企業・小規模企業は、これだったら、この部分はしなくていいよと。労働法関係等でもあります。しかし、こういう契約ですから、中小企業はその場合は除くと書けないと思います。先ほども消費者教育の話をしましたけれども、そうであればこそ、中小企業者がきちんと理解して、それを実施できようにしていただかないと、店がどんどん潰れるおそれがある。おびえて広告を書けない。新鮮何とか、ちょっと傷がついたら新鮮ではないかと言われてクレームがあったら困るという話がございます。

そんなことで、商店街から小さな店がなくなっていって、商店街へ行っても何も買えないというのでは、消費者側にとっても不利益になるのではないだろうかと思います。したがいまして、私どもとしては、消費者、事業者、なかんずく中小企業・小規模事業者双方がバランスのとれたものであるということで納得できる。法律は納得感が必要でございます。決めればいいというものではなくて、なるほど、これを俺たちは守らなければいけないというものであるべきだろうと思います。したがって、法律の内容が明確で理解できるものになるように慎重審議を期待してやまないところであります。

あと、個別論点のところで書いているのは、皆さん方とほぼ同じでございますので、少しはしょりまして、先ほど出た赤帽組合の話をしてみたいと思います。全国赤帽軽自動車運送協同組合連合会という組合、赤帽で軽トラックで地域の商品を配送している、本当に小規模事業者、ひとり事業者の組合でございます。傘下には1万人、自動車を1万4,000台持って動いているところでございますけれども、実はこの赤帽というのは、2015年度オリコン顧客満足度調査引っ越し会社のコストパフォーマンス部門と電話スタッフの接客対応部門で第1位の評価を調査機関から得たということで、民間の調査機関の評価でございますけれども、団体として、これをホームページとかチラシに広告として表示している。これは何ら問題ないことだと思います。

しかし、仮に「中間取りまとめ」にあるように規制強化の方向で改正がなされた場合に、例えば引っ越し作業が終わった後に調べたら、もっと安い業者があったじゃないか。接客ナンバーワン、そんなサービスじゃなかったじゃないかという消費者からの申し出があって、広告の表示の内容と異なるということで契約取消しを求められる可能性が高くなるのではないか。そういう心配をいたしているところでございます。難癖をつけている人に対しては、ちゃんとこうではないと言えるようなものでないと、中小企業の方々の事業が萎縮してしまうとこの間の会議で言われ、これを伝えてくれということでございましたので、あえて御紹介いたした次第でございます。

いずれにいたしましても、消費者の保護ということは必要でありますし、健全な事業者が発展する、もしくは維持できるということが必要でございますが、そのバランスを見て審議を行っていただけるようにお願いする次第でございます。

以上でございます。

○山本(敬)座長 ありがとうございました。

それでは、ただいまの御説明に関しまして質疑応答を行わせていただきたいと思います。御質問のある方は御発言をお願いいたします。山本健司委員。

○山本(健)委員 貴重な御意見をいただきまして、ありがとうございました。

各論の部分で頂戴しております御意見について、3点質問をさせていただきたいと思います。

第1に、資料44-2の5ページで、「『勧誘』要件の在り方」に関して、「広告も勧誘に該当するとなると、詳細を記載しないと事業者が思わぬリスクを被る」という御懸念が示されております。また、資料4-1の2ページの2行目から4行目部分でも、勧誘要件を拡大すれば「チラシにありとあらゆる事実を記載することになり、広告チラシの体をなさない」という御懸念が示されております。しかし、本日の会議でも既にお話が出ておりますとおり、広告後の情報提供も可能ですので、その御懸念は過剰ではないかと思います。この部分の御意見は、広告後の情報提供はできないという前提に立った御意見と理解すればよろしいのでしょうか。それが1点目の質問でございます。

第2は、同じく資料44-2の5ページで、「重要事項」に関して、「どこまでが『重要事項』に該当するのか、消費者個々のレベルによって異なると、事業主の負荷が増す」という御懸念が示されております。しかし、この点も本日の会議で既にお話が出ておりますとおり、個々の消費者の主観的な認識で「重要事項」か否かが決定されるわけではありませんので、その点に関する御懸念も過剰ではないかと思います。この部分の御意見は、個々の消費者の認識で「重要事項」かどうかが決まるという前提に立った御意見という理解でよろしいのでしょうか。これが2点目の質問でございます。

第3は、資料4-1の2ページから3ページの「5.不当勧誘行為に関するその他の類型の追加」の部分で、3ページの上から2行目より、「特に、高齢者の判断能力の状況はうかがい知ることができず、高齢者との取引一般についての安全性を損なう」という御懸念が示されております。しかし、外部から見て当該取引に必要な判断力に問題がないと見えたという事案ならば、少なくとも判断力の不足を「不当に利用した」といった要件を満たさないように思われますので、取消という結論にはならないように思います。よって、この点に関する御懸念も過剰ではないかと思います。この部分の御意見は、判断力の不足が外観上もわからなかった場合も取消となっては困るという前提の御意見という理解でよろしいのでしょうか。

以上3点でございます。よろしくお願い申し上げます。

○山本(敬)座長 それでは、お答えをお願いいたします。

○全国中小企業団体中央会髙橋専務理事 先ほどの「勧誘」のところでございますけれども、悪いことをしようと思った消費者がいて、ぱっとかごに入れて、これはこうじゃないというときに、こうですと説明がその辺の小さなお店でできますかということでございます。大きなレジを持って、誰か監視員だとか、そういう人がいて、何かあったときに、これはこうです、ああですと説明できるか。それと同じことができるかということで、皆様方が街の八百屋さんでお買い物したときに1回試してみてください。そういうことが本当にできるのか。できない。広告に掲載されていないぞと言われて、チラシにこう書いてあったと後から言われたら困ってしまうということを申し上げているものであります。

それから、「重要事項」でございますけれども、内心というのはどうしてわかるのだろうかということです。なかなかわからない。ふだん、我々はいろいろな方とつき合っていますけれども、この人の内心は何なのだろうかというのはわからないと思うのですね。そういうときに、事業者に、おまえ、把握しろよ。この人はこういうものを買いに来たんだ、わからないのか。魚屋で野菜を求める人もいるかもしれない。そういうときに、おまえは魚屋だけれども、八百屋だっていいじゃないか。野菜をどうしてくれるんだ。私は、あなたがまさか野菜を買いに来るとは思いませんでした。ばか野郎、ふざけるなということがよくあるのです。そういうこともあって、要するに相手の心が本当にわかる、そんな立派な人がいるのだろうかということです。

それから、老人ですけれども、大変申しわけないですけれども、時々自分でもまだらぼけみたいなことがあって、さっと見た限りで、この人、本当に理解できているのだろうかというのが本当にわかるかどうかですね。実際に完全によれよれになっている方はお店に余り来ないからあれですけれども、そういうことがわかる人は本当にいるのでしょうか。毎日、たくさんのお客さんが来て、それぞれじっと人を見て、どうこうということが本当にできるのでしょうかということを御理解いただきたいということであります。

○山本(敬)座長 よろしいですか。

○山本(健)委員 どのような御懸念を抱いておられるかがわかりました。ありがとうございました。

○山本(敬)座長 それでは、阿部委員。

○阿部委員 大変ありがとうございます。前半のお話は、特に消費者行政一般に対する御要望や御忠告かなと思って承っておったわけでありますが、特に景品表示法改正のときの議論は、私ども経団連の対応と、もともとの考え方の違いもあったのかもしれませんが、私どもは事業者の代表のつもりでおりましたけれども、全国300万を越える中小事業者のことを考え切れていなかったなという、これは反省でございます。

その上で1つ、御意見として承りたいのでありますが、景表法の課徴金等につきましては、ある意味で裾切りということで、少額の事業に対しては対象にならないことになっておりますが、消費者契約法のような割と一般法に近いような法律でありながら、中小・零細の免除規定みたいなものは必要だと思われますか。

○山本(敬)座長 それでは、お答えをお願いいたします。

○全国中小企業団体中央会髙橋専務理事 例えば民法に中小・零細は別だとか、なかなか書けないですね。消費者契約法は、その中の特別法だから違うのかというと、それは多分書けない。法学徒のはしくれとして難しいのだろうと思います。私も民法・商法、竹内先生から消費者契約法を習いましたけれども、竹内先生みたいに、これは怒られるかもしれないのですが、消費者はばかなのだから、ばかな人を相手にちゃんとその人たちが普通の生活ができるような消費者保護法をつくるのだというお話があって、私はゼミの学生でしたけれども、そんなのはおかしいのではないかと思いました。そのときは民法を習ったばかりでしたから。

でも、世の中の様子を見ていると、だまされる人がいる、いろいろな方がいる。それでは、大企業も中小企業も関係なく、こういう消費者保護の関係はきちんとやろうとなったと思うのですが、ある程度行き過ぎると中小企業は対応できない。人がいないのですから。先ほど申し上げたように、今、問題になっておりますような消費税の関係であっても、中小企業が対応できないようなインボイスの導入はやめてくださいと要望しています。なぜならば、対応できないからです。お客さんから見放されてしまう。それと同じようなことが起きるのですが、特別法だからつくれそうであっても、一般的な契約ルールを定めるのですから、中小企業・小規模企業はいいよとは、多分できないと思います。

したがって、逆に言えば、中小企業・小規模企業でも守れる、ぎりぎりのところはどこだというところに照準を合わせていただいて、悪いことをしているやつはどんどん捕まえてくださいというのが、我々中小企業からの要望でございます。

○山本(敬)座長 ありがとうございました。

それでは、ほかに御質問等がありましたら。御意見がかなり重なる部分がありまして、少し遠慮があるかもしれませんが、もし追加して御質問等がありましたらお出しいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。よろしいでしょうか。

それでは、全国中小企業団体中央会へのヒアリングはこのあたりとさせていただきたいと思います。お忙しいところ、ヒアリングに御協力いただきまして、まことにありがとうございました。

(全国中小企業団体中央会退席、日本消費生活アドバイザー・コンサルタント・相談員協会着席)

(5)公益社団法人日本消費生活アドバイザー・コンサルタント・相談員協会からのヒアリング

○山本(敬)座長 続きまして、日本消費生活アドバイザー・コンサルタント・相談員協会からのヒアリングを始めさせていただきたいと思います。

本日は、日本消費生活アドバイザー・コンサルタント・相談員協会から、同協会の消費者提言特別委員会委員長棚橋節子様に御出席いただいております。お忙しいところ御出席いただきまして、まことにありがとうございます。

それでは、御説明をよろしくお願いいたします。

○日本消費生活アドバイザー・コンサルタント・相談員協会棚橋消費者提言特別委員会委員長 本日はこのような機会を設けていただきまして、本当にありがとうございました。これまで事業者様4団体のご意見を4対1だなと思いながら拝聴させていただきました。

私共の団体はちょっと長い名前ですけれども、通称NACSと申しまして、御存じの方もたくさんいらっしゃると思います。私たちは創立以来27年間、広範囲な活動をしておりますが、その中で消費者相談、ADR、110番事業も行っております。個別救済はもちろんやっておりますが、その相談とあわせて、内在する消費者被害を引き起こす法的な不備をよく見かけるものですから、そういった問題について意見を述べてきております。

2000年4月に成立した消費者契約法の改正が行われるということで、消費者の意識に沿った改正を行っていただきたいと、今回、参考資料としてお出しいたしました消費者意識調査を行いまして、その意識調査をもとに意見書を作成いたしました。本日、このような機会をいただきましたので、この調査結果をもとに少し意見書の補足をさせていただきたく思っております。よろしくお願いいたします。

まず、先ほどから問題になっております「勧誘」の在り方についてということで、私たちは不特定多数に向けた勧誘(広告・表示)であっても、不実告知があった場合は誤認取消しができるようにしてくださいと考えております。

これは、今回の参考資料の23ページをお手数でもお開きいただきたいのですが、質問5になります。腰痛とか膝が痛くて悩んでいて、何かいい方法がないかとネット検索していて、痛みが改善したという体験談の掲載サイトの画面の横に「1週間飲み続けてつらい腰や膝の痛みも解消!ヒアルロン酸・コンドロイチン配合」と記載されたサプリメントの販売業者の広告が提示されていました。このサイトを見て、サプリメントを1カ月分購入して、1週間飲み続けたけれども、痛みは改善されなかった。この契約は取消せるかどうかというのを消費者に聞きました。その結果が円グラフです。4割強の人が取消せると回答しております。

次に、参考資料27ページのまとめをご覧願います。この契約が消費者契約法の「勧誘に際し」に当たるかどうか、現行の消費者契約法では不特定多数に向けられた広告、パンフレットは「勧誘」に含まれないと解釈されています。これは、消費者庁の企画課で出された報告書「逐条解説 消費者契約法第2版」にあります。これに対して、平成25年8月に出されました消費者委員会の「消費者契約法に関する調査作業チーム」による論点整理の中では、法4条1項2項において「勧誘」の要件を削除されて、広告を含めることを検討してはどうか、という報告結果になっております。

今回の調査の回答からも、契約は取消せるとした割合が4割強であったということで、インターネット広告に勧誘、いわゆる誘引されて購入したが、広告どおりの効果がなかったということで、消費者は取消せるという意向を持っているということがわかりましたので、不実告知に結びつくものとして消費者契約法でぜひ手当てしていただきたいと、今回の意見書になりました。

次が、不利益事実の不告知ということで、「中間取りまとめ」の12ページにあるのですが、これに関しましては、私どもの調査結果があります。お手数でも参考資料の13ページをお開き願います。設問は、マンション購入の条件として、小さい子供がいるから日当たりのよいマンションを求めている若い夫婦が、「眺望・日照良好」と不動産業者からの説明で購入し、引っ越しをしました。入居半年後に「眺望・日照良好」を阻害するような大きなマンションが南隣に建つことを知りました。不動産業者なので、以前から隣の土地の計画を知っていたはずなのに説明がありませんでした。若い夫婦は解約したいですという、これは現実によくある相談事例の一つです。

この設問に対して、住み始めたが、説明が事実と違っていたので、取消しができると回答した人が63%、6割強おりました。この結果から、意見書に書きましたように、「重要事項」とはちょっと違いますけれども、消費者が尋ねなかったことも、あまねく事業者が知って説明しなかった場合は、契約の解除・取消しができることを消費者は望んでいます。消費者と事業者の間の情報・交渉力の格差を是正するための消費者契約法ですから、消費者の利益の擁護を図るということから、こういったこともきちんと入れていく、取消しができるような消費者契約法にしていただきたいと考えております。

さらに不利益事実の不告知ということを私どもは、故意または重過失がある場合は、不告知型も取消すことができるようにしてください、と意見書を出しています。これは、例えば先ほどのマンション購入の際に、眺望のよさを売り物にしていなかったとしても、顧客が眺望のよさに魅力を感じて契約しようとしていることを知りながら、目の前にマンションの建設が予定されていることを告げられなかった場合、事業者から眺望がいいとは言っていないということを主張されても、消費者は納得できるものではないと思います。消費者が契約するかどうかに影響を及ぼす重要な事項に関して、事業者が故意または重過失によって告知しなかった場合は、取消しすることができるようにしていただきたいと考えます。

続きまして、意見書の「重要事項」に関して説明いたします。契約の「動機」にかかわる不実告知等に対応できるよう、「重要事項」を拡張してください。現行法では、不実告知や不利益事実の不告知による取消しを、それが「重要事項」についてされた場合のみ、適用するようになっております。実際、相談事例がありますが、シロアリがいないのに「シロアリがいる」とか、今でしたら屋根瓦がずれて耐震が不備であるとか、そういったことを告げられて契約をするということはよくあることだと思います。消費者が契約するかどうか判断する際に、契約しなければならない、契約する必要があるなど、動機が大きな割合を占めると思います。

こうした被害から消費者を救済するために、「重要事項」に「消費者が当該消費者契約の締結を必要とする事情に関する事項」を追加して対応していただきたいと願っています。そういった消費者契約法になることが必要ではないかと考えております。

次に、 先ほどのヒアリングの中でご意見も出ておりましたが、不当勧誘行為に関する他の類型というところで、中間取りまとめの17ページから出ているのですけれども、参考資料の2ページをお開き願います。ここの調査結果から私どもは困惑類型の追加を希望いたします。

設問として、25歳のAさんはSNS、ソーシャル・ネットワーキング・サービスで知り合った男性から、素敵なアクセサリーの展示があるので見に来ないかと誘われて出かけました。Aさんは彼の説明を聞きながら会場を見て回り、君にどうしても見せたいものがあるということで奥の部屋に案内されて、そのネックレスをAさんにつけて、似合うということで、Aさんは帰りたかったので、もう時間がないということを伝えました。そうすると、夕飯を御馳走しようということで、逆に誘われて、その後も強く勧められて、結局断り切れずに100万円もするネックレスをクレジットで契約してしまいました。

月々の支払いが大変なので、この契約を取消したい。よく言われるデート商法にも近いようなやり方だと思うのですけれども、その回答として、帰りたくて「時間がない」と言ったのに、強く勧められて契約したので、取消しができるという回答を選んだ人が70.6%、7割の人が契約を取消すことができると回答しております。

そして、この設問のまとめとして参考資料の6ページをお開きいただきたいのですが、現行の消費者契約法では、不退去及び退去妨害による困惑を理由とする契約の取消しが認められているだけです。現実には、もっと多様な勧誘が相談現場では寄せられております。これに関しましては、平成25年8月に消費者委員会が出されました消費者契約法に関する調査チームの論点整理の中で、消費者契約法見直しに際して、いろいろな類型を例示されて、「意に反する勧誘の継続」「それによる困惑」という取消要件も検討が必要であると既に示されておられます。この文言を消費者契約法の条文の中に入れていただきたいと思っております。

それから、先ほどチェーンストア協会の方もおっしゃられました高齢者に対する配慮に関してです。不当勧誘に関する他の類型ということで、高齢者の被害救済のための規定を構築してください。参考資料の7ページをお開き願います。設問として、証券取引の経験のない77歳の女性に対して、本人が理解できないような勧誘をし、契約を締結、そして、かなりの損失を出させてしまったということで、裁判例もあります。適合性の原則という項目を消費者契約法の中に入れていただきたいということを意見書に書きました。

それから、さっきちょっと急がないといけないということを言われてしまいましたので、急ぎます。消費者取消権の行使の期間を延長してくださいということです。民法のルールというのは対等な当事者間の取引を想定したもので、不利益な立場に置かれがちな消費者救済のために消費者契約法があるという認識で、私たちは、相談現場で対応しております。そんな中で、消費者取消権の行使期間というのが、民法よりも短いということは問題であろうと思っております。この中間取りまとめの中でも、短期の行使期間を3年、長期を10年とすべきであるという意見も報告されております。この3年、10年がベストかどうかはわかりませんが、ぜひ延長に向けて検討していただきたいと思います。

それから、9に関しては、契約が取消される場合、消費者が事業者に返さなくてはならない範囲は、そのとき手元に残っているものに限るべきですということです。使ったものを支払うようにという要求が時々見かけられるのでが、それでしたら買ったことと同じになってしまい、事業者のやり得みたいになってしまうので、その辺は手元に残ったものを返すということで対応できるようなルールにしていただきたいと思っております。

あとは、内容としては、意見書の中の意見と理由というのは、そのまま私たちの考えです。

長くなりましたけれども、以上です。

○山本(敬)座長 ありがとうございました。

それでは、ただいまの御説明に関しまして質疑応答を行っていただきたいと思います。御質問のある方は御発言をお願いいたします。後藤準委員。

○後藤(準)委員 ありがとうございました。

少し確認したいと思うのですけれども、今回の「中間取りまとめ」に対する意見というのは、各論も含めて、別紙の調査結果に基づいてつくられたものなのでしょうか。それが第1点。

それから、それが違うとした場合、ページ数が振っていませんけれども、2ページ目の4の2行目のところに、救済されない被害が数多くあります。

そういった文言が、次の3ページの上から2行目の後段から3行目にかけて、事例も多く寄せられています。その下の理由のところ、高齢者の消費者被害が多発しています。その下の行にも、高齢な消費者も多く見られて、その被害が多い。さらに、4行目には、事例が多く寄せられています。

それから、7ポツでも、消費生活相談の現場ではよくあります。

それから、最後のページの4ポツの理由の3行目に、消費生活相談にはよく寄せられております。

こういう表現がございますけれども、この総数というのはどのぐらいあるのか、類型別にどんなものがあるのかというのをわかる範囲内で教えていただければと思っております。

もう一点、調査の後ろから2枚目に、意識調査へのお願いというのが質問1から5まであって、この調査票を使って調査されたということでよろしいわけですね。

○日本消費生活アドバイザー・コンサルタント・相談員協会棚橋消費者提言特別委員会委員長 そうです。

○山本(敬)座長 それでは、お答えをお願いいたします。

○日本消費生活アドバイザー・コンサルタント・相談員協会棚橋消費者提言特別委員会委員長 この調査のもとに、全部が消費者意識調査からの意見書かと問われますと少し違います。最初にこの中間とりまとめを見ていれば、それに合わせて設問をつくったと思いますが、この調査は少なくとも消費者契約法改正が行われるぞということが、私どもの耳に入った2年前のことなので、意見書全てがこの調査に基づいたものではありません。それ以外のものに関しましては、相談現場でそれぞれ相談員として日々感じていること。それから、先ほど申しましたように、私ども、団体のほうで消費者相談を受けておりますから、その辺で改善されればいいという実感したものでございます。

それから、具体的な数値に関しましては、消費者庁が出しているデータとか、PI0-NETも含めての数値です。申しわけありませんが、今ここには持ってきていませんので、もし必要でしたら後程お出しします。

○山本(敬)座長 よろしいでしょうか。

○後藤(準)委員 結構です。

○山本(敬)座長 それでは、阿部委員。

○阿部委員 1番目の広告というのは、テレビコマーシャルとか新聞広告なども含むおよそ全てを言っておられるのでしょうかというのが1点目です。

2つ目は、5の(3)の高齢者というのは幾つぐらいの方からでしょうかという点です。

○山本(敬)座長 それでは、お答えをお願いいたします。

○日本消費生活アドバイザー・コンサルタント・相談員協会棚橋消費者提言特別委員会委員長 これはたまたまインターネットですけれども、広告というものは広範囲に関して勧誘に当たるという認識はしております。

それから2つ目のご質問ですが、高齢者という認識は、本当に我が国は長寿国になってお元気な高齢者も多くなり、個人差もあって何歳からと決めることは難しいかと思いますけれども、後期高齢者ぐらいかなと個人的には思っております。

○山本(敬)座長 よろしいでしょうか。

それでは、ほかに。松本理事長。

○国民生活センター松本理事長 消費者の意識調査について、特に質問事項の表現についての質問ですが、具体的なケースを挙げて、このケースの場合、消費者側は取消しができると思いますか、できないと思いますかという質問をされているわけですね。あなたの意識はどうですかと。その場合に、現行の消費者契約法のもとにおいては取消しができると考えていますか、取消しできないと考えていますかという趣旨なのか、それとも現行法がどうあれ、こういうケースの場合は取消しができて救済されるべきだと考えている、あるいは救済される必要がないと考えているという趣旨なのかという点が、取消しができる、できないという表現からは必ずしもはっきりしないです。ただ、べき論で聞かれているのではないかと推測いたしますが、その推測が正しいのでしょうかというのが、まず第1点。

その上で、もし、べき論で質問されているのだとすると、一部の消費者にはべき論かどうかわからなくて、現行の消費者契約法の解釈について質問されているのだろうと考える人がいて、これはかわいそうだけれども、救済できないのではないかということで、取消しできないに丸をしている人がいるのではないかという気がするのです。そこが文言上、はっきりしていないと。取消しできるが何%、できないが何%と分類されていて、取消しできないという回答がかなり多いのです。私が推測していた以上に多いのです。これをどう見るかということで、ひょっとすると現行法では解釈論的に無理だと考えている人が入っているのかもしれないという2段階の質問なのです。NACSさんの本意としてはどういう趣旨で回答を求められたのか。そして、その回答結果について、どういうふうに分析されているのかについて、お伺いしたい。

○山本(敬)座長 それでは、お答えをお願いいたします。

○日本消費生活アドバイザー・コンサルタント・相談員協会棚橋消費者提言特別委員会委員長 わかりました。

現行法でできるかできないかを消費者に尋ねたわけではないのです。こういった契約に自分が陥ったとき、こういった状況に家族がなったとき、どうしてもらいたいかということが、私どもが考えている意識調査ということです。設問用紙にも、以下の質問に対し、あなたのお考えに近い回答の数字に〇をお付け下さい、と書いておきました。結果的に、松本先生がおっしゃられるように、現行法で救済できるのに、できないと思っている人がかなりいることがわかったのです。

そこで、結局は消費者啓発の必要性を感じましたので、行政機関に対して消費者契約法にかかわる消費者教育が推進されることが必要であるということを調査から提言とし、消費者に対しても、消費者契約法を含め、消費者保護の法律をもっとしっかり身につけようという形でまとめました。

回答になっていますでしょうか。

○国民生活センター松本理事長 一部すれ違っているところがございます。どこかといいますと、今回、NACSさんが挙げられたような微妙なケースは、消費者契約法の厳密な解釈からいくと難しい。だから、立法で何とかしようという議論をしているわけなので、消費者契約法の現在の状態を正しく消費者に伝えて認識してもらうと、現行法では取消しできないという回答が増えてしまうおそれも、法律家的な発想からいけば、あると思います。

となると、法律の条文がどうかよりは、むしろあなたの生活者としての感覚から見て、こういう場合には救済されるべきだと考えますか、そうでないですかというストレートな質問をされたほうがいいのではないか。

それと別に、現行法は十分でないからこそ改正の議論をしているわけですが、そのような現行法でも消費者に理解していただければプラスになるので、それはそれで、別途啓発をきちんとしてもらいましょうという2段階の議論ではないかなと思いました。

○山本(敬)座長 御意見を今後の活動に生かしていただければと思います。

○日本消費生活アドバイザー・コンサルタント・相談員協会棚橋消費者提言特別委員会委員長 ありがとうございます。今後の活動に参考になりました。

○山本(敬)座長 ほかに御質問は。丸山委員。

○丸山委員 報告、どうもありがとうございます。

1点、もし、お考えとか情報をお持ちでしたら教えていただきたい点がありまして、不利益事実の不告知に関しての部分ですけれども、1枚目からページを繰って、2ページ目にかけまして、故意の要件を緩和してほしいといった感覚があるということは、よくわかったのですけれども、「中間取りまとめ」で提案されている不実告知型にせよ、不告知型にせよ、いわゆる不利益事実の不告知の改正を考えた場合に、「重要事項」を拡大しないと不利益事実の不告知の場面でうまく機能しないとか、救済されないとか、そういったことで思い浮かぶような事例というのはございますでしょうか。故意ではなくて、「重要事項」の拡大が必要だと感じられている場面です。

○山本(敬)座長 それでは、お答えをお願いいたします。

○日本消費生活アドバイザー・コンサルタント・相談員協会棚橋消費者提言特別委員会委員長 具体的に今すぐ何かということではないのですけれども、これは説明してほしかったねというのは、例えばサプリメントや生活用品などで、利用できない体質や状況に関して、広告の段階できちんと表示や説明がほしかったというので、消費者の商品選択にとっては重要事項であるわけです。販売する人にとってはそれほど重要ではないと思われる注意表示レベルでも、消費者にとっては知らされていたら別の選択をしていた、など今、思い浮かぶのはこの位です。

○山本(敬)座長 よろしいでしょうか。

それでは、ほかに。後藤巻則委員。

○後藤(巻)座長代理 御発言の中でちょっとコメントなさったかとも思うのですけれども、「中間取りまとめ」との関係です。「中間取りまとめ」の項目に沿って、この意見書をお書きになっていて、ところどころ抜けたところがあるというのは、時間も制限されていますので、全体は扱うことができないという趣旨だろうと思うのですけれども、例えば第3の契約締結過程というところは、結構網羅的に扱っている割には、ちょっと抜けているところがあって、そこについて何か補うようなことがあれば、一言お聞かせいただきたいと思います。

それから、最後のその他の項目の中で、条項使用者不利の原則だけ取り上げているのですけれども、そのあたりについて、どういう趣旨で今回の意見書の構成をお考えになったのかということをお聞かせいただけたらありがたいと思います。

○山本(敬)座長 それでは、お答えをお願いいたします。

○日本消費生活アドバイザー・コンサルタント・相談員協会棚橋消費者提言特別委員会委員長 ご指摘を受けるかなと思いながら意見書を出したのですけれども、本当に目いっぱいという感じで何とかまとめたということなのです。本日のヒアリングでも申し上げなければならないことはもっとあるのですが、今回は調査の事例をもとに、意見書だけに限っての説明になりました。もうちょっと時間があるならば、その他の論点ところは残した項目があるのは十分承知いたしております。手が回りませんで申し訳ありません。

○山本(敬)座長 よろしいでしょうか。

それでは、増田委員。

○増田委員 質問というよりは、同じ消費生活相談員として追加的に私の意見をお伝えしたいと思います。基本的に広告とかチラシに関しましては、その事業者が訴えたいこと、アピールしたいこと、売りたい項目につきまして書くものでありますから、そこに不実なことが書いてあること自体は大きな問題であって、もしそれが不実であれば、当然に取消されるべきだと消費生活相談の相談員としては考えます。そういうことから、このような意見書が出てきている。相談の現場で感じたものを基本にして意見書が出てきていると思います。

高齢者の相談に関しましても、「消費者白書」のほうで高齢者の相談が3割を超えるということが示されていますし、認知症等の判断力が不足している方々の相談が非常に多くなっているということも、国民生活センターのほうからも出ています。基本的に消費生活相談の現場から出た、これまであっせん交渉して非常に難しかったようなことを踏まえて、その上でこういう意見書が出ているということをお伝えしたいと思います。同じ相談員としての思いがここにあらわれておりますので、そこについては皆様に御理解いただきたいと考えております。

○山本(敬)座長 ご補足いただくことはあるでしょうか。

○日本消費生活アドバイザー・コンサルタント・相談員協会棚橋消費者提言特別委員会委員長 いいえ、ございません。ありがとうございました。

○山本(敬)座長 それでは、日本消費生活アドバイザー・コンサルタント・相談員協会へのヒアリングはこのあたりとさせていただきます。お忙しいところ、ヒアリングに御協力いただきまして、まことにありがとうございました。

(日本消費生活アドバイザー・コンサルタント・相談員協会退席)


≪3.閉会≫

○山本(敬)座長 それでは、本日の審議は以上とさせていただきます。

次回につきましては、引き続き関係団体からのヒアリングを行いたいと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。

最後に、事務局から事務連絡をお願いいたします。

○丸山参事官 本日も長時間の御審議、どうもありがとうございました。

次回は、10月30日金曜日13時からの開催を予定しておりますので、よろしくお願いいたします。

○山本(敬)座長 それでは、本日はこれにて閉会とさせていただきます。

お忙しいところをお集まりいただきまして、ありがとうございました。

以上