第6回 電力託送料金に関する調査会 議事録

日時

2016年7月15日(金)9:59から11:48

場所

消費者委員会会議室

出席者

【委員】
古城座長、太田委員、古賀委員、白山委員、陶山委員、安田委員
【事務局】
消費者委員会 黒木事務局長、福島審議官、丸山参事官
消費者庁 福岡審議官、澤井消費者調査課長、笠原表示対策課課徴金審査官

議事次第

  1. 開会
  2. 電力託送料金に関する調査会の取りまとめについて
  3. 閉会

配布資料 (資料は全てPDF形式となります。)

≪1.開会≫

○丸山参事官 それでは、定刻になりましたので会議のほう始めさせていただきます。

本日は皆様、お忙しいところお集まりいただきありがとうございます。ただいまから「消費者委員会公共料金等専門調査会第6回電力託送料金に関する調査会」を開催いたします。

本日は所用によりまして井手座長代理、矢野委員、担当委員の蟹瀬委員、長田委員が御欠席ということで御連絡をいただいております。

また、太田委員も遅れて到着されるということで御連絡をいただいております。

それでは、議事に入ります前に配付資料の確認をさせていただきます。ただいまお配りしております資料につきましては、配付資料の一覧のとおりとなっております。不足の資料がございましたら事務局のほうまでお申出をよろしくお願いいたします。

なお、本日の会議につきましては公開で行います。議事録についても後日、公開することといたします。

それでは、古城座長、議事進行のほうよろしくお願いいたします。


≪2.電力託送料金に関する調査会の取りまとめについて≫

○古城座長 それでは、議論に入らせていただきます。

本日の議題は前回に引き続き、電力託送料金に関する調査会の取りまとめについてです。

前回の議論を踏まえて修正した資料をお配りしております。この資料は前回の議論を踏まえると同時に、本日までに前回の原案につきましていろいろと文書等の意見を出していただいて、それを織り込んで作ったものとしているという内容になっておりますから、そういうものと御承知の上、御議論ください。

それから、前回、もしいろいろな御議論がありましたら、もう一回やるということでしたけれども、特段の事情がない限り今回で終えたいという意気込みで臨んでおりますので、よろしくお願いいたします。

あともう一つ、そういう心づもりでございますので、皆様御協力いただいて、ちょっと自分の意見とは違うかもしれないけれども、大体これで折り合えるというところは是非折り合っていただきたい。文章について改善点は御意見を出すとき、直したいというのだったら、こう直したらいいのではないかという形で、やや織り込みやすい形で意見を言っていただくと、最後にこちらで後で修正するときも楽なので、そういう方向で御意見を出していただけるように、是非お願いしたいと思います。

本日の議論の進め方はこれまでと違いまして、原案を全部読むのではなくて、一まとまりごとに皆さんの御意見をいただいてやっていきたいと思います。やり方として、後になって先ほどのところについて言い残したことがあるというので御意見を出すのは自由ですので、さっき言わなかったからだめではないかという議事運営をするつもりはございませんので、ゆったりと構えて御意見を出していただければよろしいと思います。

それでは、事務局から説明をお願いいたします。

○丸山参事官 お手元に電力託送料金に関する調査会報告書という形で振られている資料があるかと思います。こちらのほう、前回の資料からの改訂点を主として私のほうでポイントをまとめつつ、御紹介をさせていただきます。

前回の御指摘を踏まえまして、表紙を付けさせていただきました。それから、目次についても御用意させていただきました。それがまず第1点です。

全体を通してですけれども、従前まではポツ形式という形で文書をしておりましたけれども、基本的に文章化という形でポツについては削除という形をしております。ただし、後のほうの対応策のところについては、○という形でまとまりのよい形で記しております。

それから、前回、注が多い、あるいは長いという御指摘がございましたけれども、こちらについてもできるだけ本文のところに取り込むようにという形で処理をしております。

それでは、まず私から「1.検討の経緯と視点」ということで、こちらの主な修正点について御紹介させていただきます。

まず1パラ目でございますけれども、こちらにつきましては小売の自由化の説明ということで、2行目からですけれども、小売業への新規参入が全面的に自由化され、電気料金について料金規制が廃止されたということについて説明を加えております。

3つ目のパラのところですけれども、電力小売全面自由化以前についてはうんぬんということで、いわゆる物閣への付議が必要とされていたうんぬんという、従前は注の形で入れておりましたけれども、こちらについて本文に取り込むという形で整理をさせていただいております。

次の4パラ目「しかしながら」で始まるところですけれども、4行目ですが、託送料金の適正性の確保と消費者利益に大きく関わるという部分について、間の説明ということで、電力料金の低廉化や小売電気事業者の新規参入や価格・サービス両面での競争や多様化を促すものであるということで説明を補っております。

次のページでございますけれども、こちら1行目の後のところで空白を置いておりますけれども、空白の前のところにつきましては経緯について述べているところ。それから、空白より下のところについては視点という形で整理をさせていただいておりますので、こちらに空白を入れさせていただいたということでございます。

その下「本調査会では」という視点の部分でございますけれども、1行目「消費者利益の擁護・増進のため」の後に「消費者の利益を尊重し」を入れさせていただいております。

こちら1ポツの関係では、従前は注が若干付されている部分がありましたけれども、そちらのほうについては先ほど申し上げましたように本文に取り込んだところもございますので、割愛をさせていただいたということになっています。

まずは「1.検討の経緯と視点」につきましては、以上が主要な修正点となっています。

○古城座長 この1ポツの部分について今、御紹介をいただきましたけれども、この点についての御意見がございましたらお出しください。質問でも結構です。いかがでしょうか。大体問題はないと思われますので、皆さん御意見ないようなので次に進んでください。

○丸山参事官 続きまして「2.電気料金及び託送料金の概況」について、主要な修正点を御説明させていただきます。

こちらについては主として語句の細かい修正をしておりますが、大きな点といたしましては4パラ目の「料金水準の国際比較については」から始まる部分ですけれども、その後の文章「為替変動や地理的・制度的要因、託送料金の範囲の違い等により影響されることに留意が必要であるが」うんぬん。この部分につきましては従前については注の部分で記載をしておりましたけれども、できるだけ本文にということで本文に記載をさせていただいております。

2ページ目のラストの行から2つ上ですけれども、「一般的に」というところで始まるところ、「一般的に米国の送配電事業については、停電が多い等、安定供給のための投資の考え方などに差があるといわれていることを考慮する必要がある」。こちらにつきましても従前は注で整理をしておりましたが、本文に取り込むという形で入れ込んでおるところでございます。

2ポツについては以上でございます。

○古城座長 2ポツにつきまして御質問、御意見がございましたらお出しください。よろしいですか。ここも余り問題ないところなので次に進んでください。

○丸山参事官 続きまして「3.託送料金の査定に関する課題と対応策」でございます。

まず最初に「3-1 原価低減の託送料金への反映」について説明をさせていただきます。

まずマル1現状・課題でございますけれども、こちらは1行目ラストから「一般送配電事業者は洗い替えを行った原価で申請し、経済産業省が原価の適正性を審査する」すなわち認可制の中身についての説明という形で加えさせていただきました。

次の2パラ目「例えば」から始まるところですけれども、こちらにつきましては、従前は注の形で記載をしておりましたが、できる限り本文に取り込むということですので、こちらについては本文で入れさせていただいたということになっております。

次のページでございますけれども、マル2対応策の部分でございます。こちらの初めの○でございますけれども、「現在の託送料金規制の下では、原価低減の結果が託送料金に必ずしも十分に反映されて得ないことから」ということ、それから、1行飛ばしましてラストのところ「原価低減を託送料金に反映する機会を適時かつ実質的に確保するべきである」ということ。こちらについて従前から文章ということで、いわゆるどのような形で託送料金の審査を行っていくべきか、ということについての説明を文章で加えさせていただいております。

2つ目の○でございますけれども、こちらについては従前、注で整理をさせていただいておりましたものについて、本文に取り込む形で整理をさせていただいているものでございます。ただし、説明については少し付加をさせていただいております。こちらについては「また」以下ですけれども、「経常的な事業コストについては低減傾向が見込まれるが」ということで、従前ネットワーク利用の高度化、高経年設備対策についてという形で触れましたところについて、その後ですけれども、「コスト増と合算された場合、当該コスト低減分が料金に反映される機会を逸することになる。このため、料金改定に当たっては、長期的にはコスト削減や安定供給などのために必要と考えられる大規模な設備投資等については、そのコストを、経常的な費用から切り分けた上で、個別に審査することが必要である」ということで、こちらの説明の充実を図っております。

3-1については以上でございます。

○古城座長 3-1につきまして御質問、御意見をお出しください。よろしいでしょうか。冒頭申しましたように、後で御意見をお出しくださることも自由ですので、次に進ませていただきます。

○丸山参事官 続きまして「3-2 固定費の低圧部門(家庭用等)、特別高圧・高圧部門(産業用)への配分」について説明させていただきます。

まずマル1現状・課題の部分でございますけれども、5ページ目、まず冒頭ですが、この固定費について3需要種別、すなわち特高、高圧、低圧にどのように配分するかによって託送料金の水準は大きな影響を受けるという形で、まずイントロの部分で説明を加えさせていただき、その後、具体的にどのような形で固定費の配分等を行っているのか。従前の5回目のときの報告書案よりもかなり踏み込んだ形で、説明を丁寧にという形で加えさせていただいております。

その次のパラ「固定費は」で始まるところですけれども、こちらについては具体的な固定費の配分方法について、結局どのような形でやっているのかということについて説明をしております。すなわち低圧部門のみが利用する部門については、そちらのほうについて低圧需要に配分されるということ。第2に各需要種別は共通して利用する設備については、3需要種別が共通して利用する最上位の設備については2:1:1法、それから、特別高圧以外の需要種別が利用する設備コストについては2:1法によって配分されることについて説明を加えております。

具体的な2:1:1法、2:1法についてどのような点について配分の形をとっているのかという更に詳しい説明ということで、次のパラで説明をしております。すなわち2:1:1法のうち、2のウエイトは各事業種別のピーク需要電力を比較した場合の比率であり、残りの1のウエイトについては全体のピーク時、いわゆる尖頭時における事業種別ごとの需要電力割合及び全体を通じた各事業種別の需要電力量への比率であるということで、御説明を加えているということです。

次のパラでございますけれども、こちらについてはいわゆる低圧部門への原価配分が大きくなっていることについて、正当化する理由が見つけ難いということについて詳しく説明をしております。具体的には「また」以下ですが、「固定費の配分の考え方については、受益者負担と原因者負担の2つがある。このうち受益者負担とは、設備によって受ける便益に応じて費用を配分する考え方であり、最も近いのは、電力需要量比による配分である。他方、原因者負担とは、設備投資を引き起こすことへの事業種別ごとの寄与度に応じて費用を配分する考え方であり、全体のピーク時における需要種別ごとの需要電力割合に応じた配分である。電力設備は、ピーク時需要を賄うため、建設されるのであるから、ピーク時の需要割合が原因者の負担割合に最も近いと考えられる。

現在の『2:1:1法』による固定費の配分は、上記のとおり、各需要種別のピーク需要電力を比較した場合の比率に『2』のウエイトを置いていることもあり、原因者負担による配分(ピーク時における需要種別ごとの需要電力比)、受益者負担による配分(電力需要量比)のどちらの観点から見ても、低圧部門(家庭用等)に過大な配分がなされる結果となっているが、これを正当化する十分な理由を見つけることは難しい」ということで説明を加えております。

続きましてマル2対応策の部分でございますけれども、こちらについても全体的に従前よりも説明を加えさせていただいております。すなわち、こちらも1つ目の○ですけれども、「固定費の各需要種別への配分は、コスト増加への寄与度に応じた、原因者負担による配分を原則とすべきである。原因者負担による配分は、設備の過大な増加を抑制し、省エネと料金抑制に役立つからである。設備を一括して、そのコストを一律の基準で各需要種別に配分するのは、十分に精密な配分方法とはいえない。中期的には、設備増の原因を、データに基づきより精密に把握した上で、コストの配分を行うことが必要である」ということで説明しています。

次の○でございますけれども、こちらは分散型電源を想定したものについて説明しております。「また、現在の固定費の配分は、遠隔地大規模電源を前提にしたものであり、再生可能エネルギー等の分散型小規模電源を想定していない。分散型電源は、上位系統設備を利用せずに、需要家に電気を供給しており、上位系統設備のコストを含む託送料金は、この種の送配電には不利に働いている。中期的には、送配電サービスの多様化に応じ、コストに見合った送配電サービスを提供するための託送料金の整備に取り組む必要がある」ということで整理しております。

最後の○ですけれども、「一般的な固定費配分基準である『2:1:1法』及び『2:1法』は、できるだけ早急に検討し、消費者が納得できる配分に改革する必要がある。現行の配分方法は、各需要種別のピーク需要の比較割合に応じた配分に大きなウエイトを置くことによって、低圧需要に過大な固定費を配分することになっているとの懸念がある。原因者負担を原則とし、一般消費者に過大な負担を課さない配分基準に修正することが必要である」ということで、かなり説明の部分について丁寧に加えさせていただきました。

以上で3-2については説明を終わります。

○古城座長 この部分につきまして質問、御意見をお出しください。

あらかじめ申しますと、この部分については安田委員からかなり大幅な修正意見が出ておりますので、それについて最初に説明していただけますか。皆さんに資料も配っていると思います。

○安田委員 ありがとうございます。関西大学の安田でございます。

事前に私の意見を事務局経由で御配付させていただきました。

私からの意見は、必ずしもこのとおりにせよという要求ではございませんで、こういう書き方もあるという一つの御提案でございます。

まず私の意見を申し上げる前に、幾つか質問をさせていただきたいと思います。

5ページ目の真ん中辺りに受益者負担と原因者負担というものがございます。こういった文言が入るのは非常によいことだと思うのですが、まず受益者が誰であって原因者が誰であるというのが、この素案では不明瞭に思いますので、具体的に誰かということを特定していただきたく思います。いかがでしょうか。

○古城座長 もう安田委員の概案についての特徴を説明していただけますか。

○安田委員 なぜそのような質問をしたかというと、受益者は電力需要比配分と書いてありますので、電力消費者、需要家だということがわかると思いますが、原因者がもしかしたらこれは発電事業者とか、そちらのほうだと読み取れてしまう可能性もあります。ピーク配分を発生させているのはやはり需要家ですので、これも需要家が原因者だというように解釈するのが妥当ではないかと思います。

そういう点では一つの提案としては受益者負担、原因者負担という言葉を残しつつ、それが誤解のないようにこれらが誰かということをきちんと特定する文言を明示的に書いていただければいいかなと考えた次第です。

ただし、ほかの幾つかの点がありますので、最終的に私から申し上げた意見というのは全て受益者負担と原因者負担というものを削っております。結論から申しますと、非常によい考えではあるのですけれども、この言葉に沿って説明をすると、若干国際的にもまだ議論が進展の最中で十分な結論が出ていないことまで踏み込んでしまう可能性があると私は考えております。ですので言うなれば強いメッセージになってしまいますので、この理論を続けていくことが望ましいという点で余り結論めいたものではなくて、議論を進めるというメッセージを出せればいいかなと考えてございます。ですので決して受益者負担と原因者負担の文言に反対しているわけではございませんけれども、その辺りの誤解がないような書き方にすればいいかなと考えております。

○古城座長 それで安田委員から委員に配付しているような代案も出ておりますので、具体的に御意見を示していただいています。

太田委員、それでよろしいですか。

○太田負担 原因者負担、受益者負担という整理は直観的には非常にわかりやすいように見えるのですが、まず原価計算の普通の考え方というと、これは、原因者負担以外はあり得ないわけで、要はコストが生じた原因は何かということを特定して、それで配賦するというのが基本であります。

これはよくよく考えてみると、例えば特別高圧の人がフラットの電力需要をしているとすると、低圧の尖頭時、ある種ピークの強い感じの利用者がいなかったとすれば、少ない量の固定費で受益できるわけですから、実は受益イコールキロワットアワーという考え方自体がかなり怪しいわけで、普通に考えたらこれは当然、原因となっているドライバーに応じて分けるということを普通、原価計算で考えるわけです。法律的には受益者負担という考え方はあるのかもしれませんが、通常の原価計算ではこれは原因者しか考えていないというのが一般的だろうと思います。

更に原価計算的に言うと、通常、変動費の部分、ここで言う可変費の部分を分けているドライバーを使って固定費のほうも分けるというのは比較的普通の考え方で、工数といいますか直接作業時間であったり、機械作業時間であったりというドライバーで分けるのが普通なのですが、このピーク時によって固定費を分けるという考え方そのものは原価計算的にはかなり変わった考え方だろうと思います。

何が言いたいかといいますと、原因者、受益者という分け方というのは法律的にはあり得る考え方だと思いますが、原価計算の中では余り一般的に使われる考え方ではない。また、受益者というのが本当にキロワットアワーに比例すると考えるのも少し疑いがあるというのが個人的な意見です。

○古城座長 まず原価計算のとき、ピーク時の需要割合で配分するというのは余り原則的な考えではない。

○太田委員 もちろんそれが本当に原因になっているということがわかれば、それをドライバーにするのはさほど不思議ではないと思いますが、まず第一義的には通常は直接作業時間であるとか、機械作業時間等の単純なボリュームを表すもので終わる。

○古城座長 そうなのだけれども、もう少し具体的に言うと固定費の配賦というのは固定費の投資を引き起こした原因に応じて配賦する。それはピーク時の電力量だという考え方というのは特異な考え方なのですか。

○太田委員 特に特異と言うほどではないですが、最も一般的ではないという程度です。成り立つかは問題だと思います。

○古城座長 もっと一般的な考え方というのはどういう考え方なのですか。

○太田委員 シンプルには何かボリュームなどを使って割ってしまう。ただ、それは古い考え方といいますか、全体に占めている変動費の割合が8割だったり9割だったりというときに、1割をざっくり分けるという話です。

○古城座長 固定費をどうやって分けるかという話なのですけれども、だから設備に関すること。

○太田委員 設備の固定費の配賦基準というのは何かのボリュームを表す配賦基準、ドライバーによって分けるのが一般的です。これを1つでやるのが通常の考え方で、複数でやるのがいわゆるABCと言われる考え方なのですけれども、複数の配賦基準で分けるときに、複数の配賦基準の一つとして尖頭時あるいは最大電力という考え方でできるというのは、さほど不思議ではないと思います。

○古城座長 そうすると根本的な問題になってくるのですけれども、2:1:1とかいろいろなものを集めてやっているのです。そのほうが標準的な考え方になるのですか。

○太田委員 標準的というのは何かということですが、これはまず電力料金を決めるという利害調整にその情報を使うわけですね。

○古城座長 そうではなくて、会計学的に見ると純粋にコストドライバーって何かということなのです。

○太田委員 それは究極的には会計学的に決まるものではなくて、コンサルタントが現場に入って、この会社の場合には、この指標が動いたときに固定費が増えますね。この会社の場合は例えばロットの数によって決まるとか、この場合は製品の表面積によって決まるとか、コストの品目によっては何かに比例して増えるわけですから、コストを増やす幾つかの要因を特定して、その要因に応じて固定費を配賦するというのがより精緻なやり方だろうと思います。

○古城座長 だけれども、ピーク時配賦の説明はこうですよね。設備というのは何でこんなにコストで変わっているのか。普段アイドルになっているのはたくさんあるのですけれども、ピーク時の電力需要を賄うために設備は造られています。そうすると設備費の原因というのはピーク時の電力量、それと、それの寄与度に応じて配賦するという説明でずっとやられてきていると思うのですが。

○太田委員 そういう考え方は成り立つと思います。それがいわゆる原因者という立場に立って普通に成り立つ考え方だと思います。

○古城座長 まずそれと、もう一つはあれですね。受益者負担というのは確かにコストを配賦するという考え方にはなじまないのですけれども、固定費の配賦というのはレートメークの話で、料金を作るときはコストに応じて配賦して、コスト料金にしていませんね。2部料金制というのもそうだから、2:1:1法はそのときの仕様として作られているのです。だから電力料金という考え方はそれしかないと思います。

○太田委員 そういう政策的判断、利害調整の判断としてどういう分け方をするというのは当然あり得ると思います。ただ、これを受益者負担というと電力量たくさんで、キロワットアワーの部分で大きい人が、受益が大きいと考えるのは自然かどうかというのはある種、哲学的な問いだと思うのですけれども。

○古城座長 わかりました。

あといかがでしょうか。白山委員、どうぞ。

○白山委員 今の御議論で結論が出てしまったようなのですけれども、原価計算の考え方からすると太田先生のおっしゃるとおりなのです。ただし、今回の場合には古城先生がおっしゃったように公共料金論の観点が入っていますので、どうしても受益者負担などの負担関係の考え方とか、適切なコスト配賦に基づいて総括原価に基づく正確な形での料金算定という世界になり、これはこれで原価計算とはまた微妙に違うところがあるので、原価計算の考え方と公共料金論の考え方と両方から考えなければいけないという整理だと思っています。非常に特異な感じなのは間違いないのですが、これはこういった公共料金論の世界で出てくる話だと私は理解しています。

○古城座長 こちらの原案の考え方はそういうものをやっているのですけれども、今の2:1:1法は言葉の使い方に問題があるのですが、原因者負担でコストを配賦して作った料金と受益者負担の考え方を合わせたというふうになっているのですが、どちらから見ても消費者に不利な結論になるようなつくりになっているので、それは直してほしいということが根本です。

もしかしたら原因者負担で配賦するよりも受益者負担の要素を入れろという議論もあるのですが、それは特にとっていないです。原因者負担で配賦してももっと消費者に有利になるはずだから、そのようにもっと近づけてほしいという内容になっております。

ほかにありませんか。安田委員、どうぞ。

○安田委員 太田先生と白山先生にいろいろおっしゃっていただいたので、大分整理ができつつあるのですけれども、もう少し私の意見を更に補足させていただきたいと思います。

私自身も古城先生のお考えにほぼ同じだと思うのですが、私自身が懸念しているのは受益者負担と原因者負担という言葉がひとり歩きして、誤解を生んでしまう可能性があるなということでございます。例えばこちらの配付された報告書案によると、キロワットアワーの電力量の比率の配分が受益者負担、キロワットのピークの配分が原因者負担と整理されていますが、私が調べた限りでは、知り得る限りでは、このような明確に分ける考え方というのは余り、例えば学術的にも、海外の報告書などでもなかなか見られていないのです。完全に1対1で対応するかどうかが私は懸念しております。

似たようなものとしては、私が調べた中では例えば国交省の、平成19年ですから大分昔になりますけれども、有料道路部会というところである委員の方が似たような考え方で高速料金の料金をどうするかということで、ピークのときにどうするか、全体的な交通量でどうするかということで受益者負担、原因者負担という整理をされています。正に公共料金という立場からのお話だと思います。それはなるほどなと思ったのですが、それがキロワット、キロワットアワーに直接そのまま1対1対応になるかというと、ちょっとなかなか厳密的には難しい。言葉にこだわってしまって恐縮なのですけれども、それがこの報告書を読む方にいろいろな誤解とか、こちらが予想しない解釈を与えてしまう可能性があるのではないかということを少し懸念しております。

○古城座長 関連してですね。どうぞ。

○太田委員 受益者負担と言っている部分のキロワットアワーに比例する部分についても、実は原因者の部分もあるのだろうと思うのです。例えばメンテナンスコストというのはキャパシティーを維持するためのピーク時のキロワットを維持するための支出もあれば、電力量を使用していると経年劣化する、あるいは電力量に比例してコストがかかるというものも恐らくあるのだろう。だからこれは原因者だけの考え方でいったとしても、最大電力あるいは尖頭時の電力というようなものに比例して生じるようなコストもあれば、電力量に比例して生じるようなコストもあるだろうということで、この2つのドライバーが丁度原因者と受益者で1対1対応するというのは、安田委員がおっしゃったように幾らか誤解を生じさせ得る表現かなという気もいたします。

○古城座長 古賀委員、どうぞ。

○古賀委員 需要家側に、誰が適正な基準でコストを負担しているかということが明確に伝わっていくといいと思うのです。けれども、今、託送契約上の設備利用形態と料金の公平性の観点から、高圧電源から低圧電源に電力供給する場合などに、特別高圧の設備を使用していない場合でも、低圧のほうがかなり負担しているのではないかという懸念が需要家というかエネ庁のほうでもそういう指摘があったと思うのです。そういう点から言うと、この受益者負担か原因者負担かというのは今あるように、非常に定義も含めて難しい議論があるので、この言葉を今回は使わずに、むしろ配賦基準も含めて消費者に納得できるような基準があるかどうか。そういう基準に今後改定していくような作業、多分その厳密な議論はここの場ですることではなくて、全体的な見直しの中でされることなので、今回は受益者負担と原因者負担という言葉は使わずに、私は安田委員が提案された整理の仕方でよいと考えます。

○古城座長 あといかがでしょうか。安田委員、どうぞ。

○安田委員 古賀委員に補足していただきまして、大変ありがとうございました。

そもそも私からの意見というのは、正に古賀委員が今、御説明していただいたとおりで、素案に書かれてあることに対して異を唱えるというわけではなくて、原因者負担、受益者負担という言葉を使わないで、別の言葉で置き換えてということを御提案させていただいております。

例えばごく簡単に電力量に基づく考え方と、ピーク需要に基づく考え方。

○古城座長 安田委員、一応こちらの代案がありますので、こちらで説明いただけますか。

○安田委員 そういうことで御提案させていただいた次第です。

○古城座長 この部分は私が書いたのです。原因者負担と受益者負担を入れたのは、この2:1:1法とか2:1法というのはすごくわかりにくいので、これを説明しなければいけないので、はっきりさせるためにこういう用語を入れたほうができるのではないかと思いましたけれども、安田委員からの書面を見まして確かにかえって言い過ぎていて、問題が出てくるなという点はそのとおりだと私も思いましたので、基本的には安田委員から出された文章を、基本的にこれを土台に差し替えさせていただきたいというのがこちらの腹案でございます。

○安田委員 ありがとうございます。

○古城座長 いかがでしょうか。そういうことでよろしいでしょうか。

それでは、次に進んでください。

○白山委員 別件でもう一つだけ確認なのですが、3-1の対応策の2つ目の○で、下から3行目の「長期的にはコストの削減や安定供給などのために」で「長期的には」という言葉を使っていて、3-2は6ページの一番上の○で「中期的には、設備増の原因を」となっていますが、これはわざと使い分けているのかどうかという、ちょっと細かい話の確認なのですが。

○消費者庁笠原表示対策課課徴金審査官 結論から申しますと、長期的というのはかなり観念的な表現をしておりまして、イメージとしては足元メリットを感じるものではないけれども、例えば経年によって効果が現れるということを象徴的に「長期的」という表現を使ったものでございます。

他方、もう一つの「中期的」につきましては、中期、長期のスパンで見たときには、そこまで長期ではない、ある程度というところで、そういう差を。なので長期的というところをもう少し対比が、そういった誤解が生じないような表現を考えたいと思います。

○古城座長 特に深い意味がなく使っているということです。

あといかがですか。安田委員、どうぞ。

○安田委員 対応策のところについてもコメントさせていただいてよろしいでしょうか。

5ページ目の最後から始まりますマル2対応策に関しましても、今、座長がおっしゃったように原因者負担、受益者負担を違う言葉に置き換えるという方向性でというふうにおっしゃっていただいてありがたいのですけれども、そこのところで若干問題がありますのは、例えば6ページの2行目「原因者負担による配分は、設備の過大な増加を抑制し、省エネと料金抑制に役立つからである」と書かれております。これを仮に原因者負担ではなくて先ほどの議論にのっとり「キロワット、ピークを考えた配分は」と置き換えた場合、これも正しく厳密かどうかというのが非常に難しいところでございます。なぜならば、例えば私が入手している海外の資料ですと、EURELECTRICというヨーロッパの電気事業連盟の報告書がございますが、ネットワークタリフ、日本語で託送料金にほぼ相当するものでございますけれども、どういう配分にしようかという議論はやはり同様に議論がされておりまして、キロワットをベースにするか、キロワットアワーをベースにするか。EURELECTRICの最新の、今年出た報告書ですと、キロワットにするとコストが上昇する可能性がある。さらに、非常にヨーロッパ的な考えで日本と少し違うかもしれませんが、コストが上昇したほうが消費者の電力消費を下げるインセンティブになると書かれております。

ですので、この辺りはまだ日本では十分議論されていませんので、単純にキロワット配分というのはコストが本当に抑制するかどうかわかりませんし、あとコストを抑制すべきなのか、コストを上げるべきなのか。上げることを容認すべきなのか。これもまだ国民全体で議論が成熟しておりませんので、この辺りはできるだけ断言調に書かずに、今後議論を進めるべきであるという形にしたほうがよいのではないかと思います。

○古城座長 今のに御質問なのですけれども、まずヨーロッパの議論というのはキロワットアワーではないということ。つまり、キロワットアワーというのは需要量ですね。

○安田委員 現時点でキロワットのピークで料金コストを定めている国が多いと書かれています。このままキロワットの配分でやると、再エネがたくさん入ったときもピークで配分するとコストは下がらないであろう。そういう予測も出ております。

○古城座長 もう一つの考え方はキロワットアワー、需要量ですか。

○安田委員 はい。一方キロワットアワーだけでやるのもどうなのかということなので、やはり適切な配分が必要で、しかもそれはきちんと計測をして、実潮流データとかスマートメーターとか、そういったものを。

○古城座長 そこのところは、私が理解する限り日本の伝統的な議論は、電力業界が強調してきたのは、設備というのはピーク時で、消費者から需要量に比べて消費者の料金が高いのはなぜですかという説明があると、いやいや消費者は電力量が少なくてもピーク時に占める割合が多いんですという説明をずっとしてきたので、基本的にはピーク時需要量比というのが正しいんですという説明をずっとしてきたという認識です。

○安田委員 従来としてはそれでおおむね大丈夫だと思うのですが、今後のことを考えますと再生可能エネルギーがたくさん入っている、大量導入される。それから、分散型電源がたくさん入ってきて、潮流の方向とかも非常に複雑になる。そうすると一概に従来言われてきたことがそのまま将来も同じかということです。

○古城座長 そこのところはよくわからない。まずヨーロッパの議論の内容がどうしてそのようになるのかというのが私は理解できないのです。

太田委員、どうぞ。

○太田委員 解釈なのですけれども、一つの考え方は価格弾力性に応じた価格設定ということがあって、当然、値段に対して一番敏感に反応する層の値段を上げてやれば、そこの電力の使用量というのはぐっと下がる、あるいはピーク時の使用電力が下がる感じなのです。それは結局、低圧と高圧と特別高圧のどこの価格弾力性が高いかという問題で。

○古城座長 それは伝統的には産業のほうが、弾力性が高い。

○太田委員 それに応じて値段を付けるということなのではないかと思うのですけれども、そういうことではないですか。要するに値段を上げると一番固定費のコストが下がるようになるところの値段を上げてやれば、固定費の抑制につながる。

○安田委員 経済学的な御議論もあると思いますが、一番手っ取り早い説明としては、十分な計測ができていないのでよくわからないということで、潮流データの計測やスマートメーターによる需要家の実データの計測などをしっかり行った上で、適切な配分をしたほうがよいという議論がヨーロッパや海外では進んでいると思います。

○古城座長 その部分はわかったのですけれども、設備抑制のためにはピーク時配賦が不正確だからかえって設備の増加を招くようになってしまう。こういう説明なのですか。

○安田委員 そこまでは言われていませんが。

○古城座長 そこのところがよくわからないのですけれども、伝統的な考え方で、ピーク時配賦というのは、要するに設備を増大させる要因に合わせてやっているのだから、設備抑制に結び付くという命題があったのですけれども、そうではないという御議論をなさっているわけですが、それがどうしてなのかというのがよくわからないのです。

○安田委員 再生可能エネルギーや分散型電源が増えてくるという想定のもとで、送配電網の設備投資をするわけですので。

○古城座長 分散型電源が入ってくると上位の設備を使わないのに、上位の設備が配賦されると過大なコストを負担させられて非常にディスカレッジしますね。

○安田委員 これは後で別の項目のところで申し上げようと思ったのですけれども、実はヨーロッパでは既にかなり大量導入されていますので、ある低圧ないしヨーロッパでは中圧というレベルもありますけれども、そこに入った太陽光、風力が逆潮流して高圧、超高圧に流れて別のエリアに行くということがかなり頻繁に起こっていきます。ですので分散型電源が必ずしもローカルで消費されるというのは、実はもうほとんど想定されていないのです。ですからかなり複雑になっていると思います。

○古城座長 わかりました。今おっしゃったのは、今の託送料金の配賦というのは整然と外側の発電所でできた太陽電源が系統の上から下に流れて届くというのだけれども、実際の世の中だとおっしゃるように分散型電源というのは、分散型電源も整然と下位のところだけで流れているけれども、そういうわけでないと、いろいろな潮流があるのだから、そういうことも全部予測して、理想の託送料金というのはそういうコストの増加要因に合わせてきちんと隙のないように作るのが理想だということ。

○安田委員 そうですね。

○古城座長 それはわかりました。それをどうやって織り込むか。原案のほうは非常に単純で、上位から下位になっているのだけれども、その中で違った潮流も出てきているのだから、それを反映するような料金を直してほしい。それから、全般的に言えることだけれども、もう少しデータに合わせてコストに見合った料金体系にしてほしいというのと、上から下に流れるところの過程が正しいとしても、コストの配分の仕方はもう少し2:1:1法から直してほしいと、これは3つぐらい単純なことを言っているだけなのです。それが原案の骨子なのですけれども、どのように織り込めばいいですかね。

○安田委員 続けてよろしいですか。そういう点では6ページの2番目の○ですけれども、2文目に「分散型電源は、上位系統設備を利用せずに~この種の送配電には不利に働いている」というものがございますが、先ほど私が申し上げたように、今後日本でも再生可能エネルギーがどんどん入ってきますと、上位系統に逆潮流する可能性もありますので、単純に不利か有利かという簡単な切り分けはできない可能性があります。

それから、最近はやりつつあるネット・ゼロというものがありまして、例えば屋根置きの太陽光などで発電した分、電力需要が少なくなりますね。そうした場合というのは電力の販売が少なくなるという単純な問題ではなくて、アンシラリーとか需給調整のコストをただ乗りしている可能性もある。需要家がフリーライドになる可能性が指摘されております。ですのでそういったところも含めてかなり複雑な電力のやり取りを今後想定しなければいけませんので、今、従来の考え方に基づいて結論を急ぐのではなくて、今後継続をしっかりして、消費者の方々にきちんと納得していただけるような透明性のある合理的な判断基準を今後作らなければいけない。そういう方向に持っていってはいかがでしょうか。

○古城座長 もうちょっと意見を聞きます。古賀委員、どうぞ。

○古賀委員 6ページのマル2の今の議論のところなのですけれども、今の電力システム改革の中で再エネがどう入ってくるかとか、分散型がどういくかということがまだ見えていない段階なので、ここのパラレルとしては「分散型電源は」の前に現状という言葉を入れて「現状、分散型電源は」ということを入れる。それから、その最後のところ「託送料金の整備に取り組む必要がある」を「託送料金制度の整備に取り組む必要がある」ということで、今、エネ庁のほうでも、託送料金をどうするかについて近接地割引をするかどうかとか、パンケーキ方式をとらないとか、そのような議論も一方でなされているので、そこのところは当委員会としてはコストに見合った送配電サービスを提供するためには、今後の議論につなげてほしいというメッセージでいいのではないかと思います。

○安田委員 なるほど、そうですね。古賀委員がおっしゃったように「現状では」というただし書きがつけば、容認できるかと思います。

○古城座長 わかりました。

○安田委員 更によろしいでしょうか。先ほど申し上げた継続に関しては、私の事前に事務局に御送付した意見として、1つ○を増やしてございます。今ちょっと読み上げさせていただいてよろしいでしょうか。計測に関してでございます。

一般消費者が納得し得る合理的なコスト配分のためには、スマートメーターによる電力データ収集や送配電経路各地点の実潮流データの計測など、より透明性の高い情報収集と情報公開が求められる。詳細・正確なデータを収集する上では、規制等に基づくよりも電力市場における市場メカニズムの一層の導入・活用を通じ、各市場参加者が主体的に情報開示を進めていく環境を整備することが望ましい、という○の項目を提案させていただきます。

○古城座長 太田委員、どうぞ。

○太田委員 全体の方向としては賛成なのですが、ここでおっしゃっている市場メカニズムというのがよくわかっておりませんで、この点について御説明いただければと思います。

○安田委員 そうですね。言葉足らずで大変申し訳ありませんでした。

私自身が度々ヨーロッパに行ってヒアリングやインタビューを行ったところによると、各TSO、送電事業者が法律に基づく以上のデータを開示しているケースがかなりございます。なぜそのようなデータ、情報公開をするのかということをヒアリングしたところ、それはやはり市場に受け入れられるためと発言する会社が多くございました。ですので、電力市場が十分成熟して、市場メカニズムに基づいた電力授受がなされると、電力情報がおのずと各プレイヤーにとって重要になりますので、開示されやすくなると推測しております。そういう次第で市場メカニズムという言葉を入れさせていただきました。

○太田委員 ありがとうございました。

○古城座長 私はまだわからないのですけれども、ここで言っていることは潮流データですね。潮流データというのは今、系統を運用している電力会社及び広域運用機関というのが持っているわけですけれども、今も開示というのはある程度なされているわけですね。それが更にアップするというのは。

○安田委員 例えば日本でいうと広域運用機関、OCCTOと呼ばれているところが会社間連携線の潮流データを昨年4月から詳細に公表されるようになってきております。これも非常によい方向だと思うのですけれども、一方、ヨーロッパなどでトランスペアレンシー、透明性が進んでいる国では会社間連携線あるいはヨーロッパで言うと国際連携線のデータだけでなく、国内各主要送電線がインターネットで、クリック一つでデータがとれる。そこまで開示が進んでおります。それぐらい情報が積み重なると、ではどのように潮流が流れて、どういう時間帯で、誰がどう使ってということが多くの方が納得するぐらいの議論ができるようなリソースになりますので、そのような形で配分を決めていくことができるだろうと予測しております。

○太田委員 その自発的に開示された情報というのは、契約等に使われるわけですか。それともただ情報が開示されているだけなのですか。

○安田委員 契約等とおっしゃいますと。

○太田委員 会社間で何か値段を決めるときに、その情報というのは使われているのでしょうか。

○安田委員 それは相対取引なのでしょうか。基本的には送電線、特に国際連携線などは市場ベースで取引が行われておりますので、それゆえ価格なども透明性高く、市場、マーケットが情報を流しています。

○太田委員 そうすると一般消費者向けというよりは、契約相手に対してたくさん情報を提供することで妥当なプライシングというか値付けを促している。

○安田委員 そうですね。誰もが見られますので、だからこうなんだという合理的な説明がしやすい状況にあると思います。

○太田委員 それは通常の自発的ディスクロージャーの市場のメカニズムと同じなのですか。

一つ非常に条件としてあるのは、うそがつけないということが担保されていないとまずいというのがある。そこは特段、何かこうチェックが入っているということはないですか。

○安田委員 虚偽のデータということでしょうか。

○太田委員 そうです。

○安田委員 どうなのでしょうか。ただ、よく言われるのはヨーロッパにしろアメリカ、北米にしろ、電力自由化、発送電分離の過程で送配電部門の規制はかえってかなり強化されている。厳しい規制機関の監視のもとに行われている。ただし、がちがちではなくてある程度自由度はあって、イノベーションも進んでいる。そのようなことを言っている報告書は多いと思います。

○太田委員 それは通常の財務諸表の企業のディスクロージャーと株式市場の関係でよく言われているのですが、うそが言えないということさえ担保されれば、情報の開示は自発的に任せればかなりうまくいくということがわかっているということですので、それに近い印象です。

○古城座長 ちょっとよくわからないのだけれども、日本の現状というのは託送料金というか一律ですね。だから事業者はそうして各電力会社の送電容量というのは普通ですから、送電線は混んでいるからといって拒絶されることはないのです。連携線は混んでいるので拒絶されることはあるのだから、連携線の状態はどうなっているのかというのはみんなうるさく言いますし、開示されている。それ以外に開示を受けて、今の制度だと新しく発電所を造ろうと思ったら、そこはとても送電線に負担がかかるから無理ですよと言われるから、そういう意味では混んでるところと混んでいないところとか、そういうことをやってくれないと設備投資ができない。こういうことですね。

だけれども、もう一段進めると実際は潮流の送電設備に負荷をどれぐらいかけるかによって料金を変えろという託送料金システムが考えられて、そうなると事業者はなるべく安い託送料金というものを選択するために潮流がどうなっているのと。ここをやったら混むんですかとか、そのようなことをすごくうるさく言いますから、事業者にも非常に情報が広がってくるし、送電設備利用者も送電設備提供者も情報提供しないと説明がつかないということになっていくので、そちらに進むと思うのですが、そういうシステムに変えるという話は非常に長期的には送電問題でずっと当初から問題になっていますけれども、今の段階、日本の送電についての託送料金システムはまだ過渡的で未熟な段階で、一律料金でみんな使えるようにするという格好でやっているから、細かいデータが出てこないので、必ずしもマーケットの問題ではないと思うのです。

○安田委員 日本が今後どうなるか、どうすべきかということはひとまず置いておきまして、ヨーロッパとか北米でどうなっているかということを御説明いたします。

○古城座長 それはわかっています。

○安田委員 少し御説明させてください。

ヨーロッパの場合は郵便切手方式と言われていまして、ポスタル方式ですので、どこに送るのでも一律の託送料金でございます。もちろん送電会社、配電会社ごとに決まっておりますが、そのエリアですらどこでも同じ郵便切手方式でございます。

ところがアメリカの場合、例えばテキサスなどではRMT、地点別限界価格方式となっていまして、各送電線の濃度ごとにプライスが決まっていまして、どこの経路を通ったら安いか。要するに送電混雑を市場メカニズムで緩和させるためにそういう方式があります。ヨーロッパでは、それはそういう考え方もあるねと言いながら、まだそこまで踏み込んだ議論にはなっておりません。ですので将来的に日本がどのような方向に行くかわかりませんけれども、やり方はあります。市場メカニズムで混雑を減らす。それから、送電地点ごとに値段を変えていくという方式は、既にとっているエリアは世界中に幾つかございます。

○古城座長 それは理解するのですけれども、一つ内容は託送料金を混雑料金型に転換して、それを活用できるようにみんな潮流についてのデータをもっと正確に出せというシステムに転換しようということは大きな課題ですけれども、それは今回のこちらの報告の射程の外と考えてやっていたのですが。

○安田委員 そうですね。将来的にどのようにすべきかというところまでは本委員会が申し上げるべきことではないと思いますが、消費者の方々に納得していただける合理的な料金の決め方を考える上では、きちんとした計測がまず大事であろうということは、メッセージとしてお伝えすべきかなと考えている次第です。

○古城座長 そこはいいです。だから最後の4行、電力市場の市場メカニズムの一層の導入、活用を通じというところがよくわからないのです。

太田委員、どうぞ。

○太田委員 素人考えで私が理解したところで言いますと、まず託送料金が相対で交渉によって変えられる余地が出てくる。もしくは一律ではなくて距離その他に応じて価格が変わるというような仕組みが入ってくると、そういう自発的ディスクロージャーによって情報がもっと出てくる余地があるという理解でよろしいですか。

○安田委員 例えば先ほど申し上げたテキサスの例では、地点別の料金が市場で決まっておりますので、相対ではありません。

○太田委員 市場でそれは決まる。テキサスの例はわかる。ヨーロッパの場合は一律、切手のように決まるとすると、そちらは決まっているので個別で交渉するのは別の価格なわけですね。

○安田委員 送電混雑の問題でしょうか。送電混雑に関しては市場ではなくてTSO、送電事業者の役割でございます。送電混雑を解消させるために幾つか方法はありますけれども、例えばリディスパッチといった形で発電事業者にここは下げて同じだけ別のところで上げるとか、そういった要請を出すことによって送電混雑を解消させる。

○太田委員 量ではなくて、そういう情報がたくさん出てきたときに、会社ごとで、相対で交渉するときにその情報が使われるということですか。

○安田委員 会社ごとの相対もあるかもしれませんけれども、そもそも電力の取引でございますけれども、市場での取引でございますが、北欧とかですと8割程度。ヨーロッパの大陸とかでも6割程度と聞いておりますので、市場ベースでの取引が多い。

○古城座長 ほかの委員もいろいろ質問があると思うので、次に。

陶山委員、どうぞ。

○陶山委員 この間の安田委員からのいろいろな情報提供だとか御教示によって理解が進んできているのですが、座長おっしゃるように、そもそも規制料金としての託送料という枠組みの中で議論をしてきまして、対応策もまとめておりますので、安田委員から出されている対案の中には規制料金に基づくよりもという構造も持っているものですので、事務局から出された案の3つ目、下に1行あけて「将来的には」という形で整理していくというのが、全体構造から見たときにわかりやすいし、まとめやすいのではないかと思っております。

○安田委員 おっしゃるとおりだと思います。「将来的には」ということでよいと思います。

○古城座長 古賀委員、どうぞ。

○古賀委員 今のところなのですが、後半の4行目「詳細・正確なデータを収集する上で」というところなのですが、これは安田委員の専門的な知見というか先端の議論で欧州でもいろいろな制度が今、かなり模索的ではあるけれどもされているということは承知しているのですが、ここの4行は私の意見としては削除してというか、入れないほうがいいのではないかと思います。

あと蛇足ですけれども、要するにスマートメーターの普及に関しても、消費者サイドからはかなり否定的な意見も一部ですが強固にあります。化学物質過敏症ですとか、プライバシーの問題なども含めてあるので、そういうところを「スマートメーターが普及して一層の情報開示を進めていく環境を推進すべき」というニュアンスと受け止められる意見を今の段階では当委員会としては出したくないと思います。ここはここでの議論とは直接関係ないので、後で機会があればお話ししたいと思います。

○古城座長 あと安田委員、一々議論するのではなくて、最後まとめなければいけませんので、皆さんの意見を出していただきます。

白山委員、どうぞ。

○白山委員 大体皆様方と同様なのですが、安田委員のおっしゃるように、安田委員のペーパーの対応策の2ポツ目の固定費の各種需要の配分うんぬんは、原案ですと原因者負担による配分を原則とすべきである。これは日本の伝統的な考え方といえば考え方なのですけれども、そこまで言い切らないで、安田委員がおっしゃるように詳細な電力情報の計測に基づいた合理的な配分を原則とすべきであると書くと、大体皆さん合意がいけそうな気がするので、私はこちらのほうがいいのではないかという気がします。

○古城座長 白山委員、そこはそうなのだけれども、この原案を作るときの論点は、もちろんコストをデータに基づいてそのように合理的な配分に戻すのがいいのだけれども、データが不完全なところで今、2:1:1法というものがある。その対応は長期的にはちゃんとデータに基づくものに変えてくれというのと、過渡的にわからない不確実なところではどう対応するのかでもう少しやりようがあるだろうという話になってくるのです。

○白山委員 わかりました。確かに2:1:1法とかこれはある意味、過去から現状までの知見の塊で出てきたというのは理解しておりますので、それはそれでよろしいかと思います。

あと、私も安田委員の対応策の3つ目の○の「一般消費者が納得し得る合理的なコスト配分のためには、スマートメーターによる」うんぬんというところの、上の3行ですね。ここは原案に反映してもいいような気がしまして、下の詳細な正確なデータとした上で市場メカニズムがうんぬんの話は、この委員会の枠の外に踏み込む可能性があるので、ここは入れない形で修正をしてはどうかという考えでございます。

○古城座長 陶山委員、どうぞ。

○陶山委員 先ほど安田委員から出された3つ目の文について、別に下に書き分けるということでお話をしましたが、今、白山委員がおっしゃったように最初の3行目までは上のところに入れることができますが、将来的にはということでやはり書き分けて、分散型電源活用のためにも系統の充実が必要であるというような書き出しから、今後のこととしては電力システム改革の中で十分に検討されたいというようなことで、安田委員にとられては不十分だとは思いますが、答申との切り分けをしておくのはいかがでしょうか。

○古城座長 太田委員、どうぞ。

○太田委員 詳細・正確なデータを収集する上で市場メカニズムうんぬんという部分は非常に重要なことをおっしゃっているような気がするのですが、率直のところ私は理解が不十分でありまして、ほかの方、十分理解された上で入れたほうがいいという御判断もあり得るかと思いますけれども、全体として十分に理解した上で入れるというには消化不良かなという印象を今のところ持っておりまして、それはほかの安田委員以外の委員、私の問題だけかもしれませんが、消化不良のまま最終的なところに入れてしまうのは、ちゅうちょするところでございます。

○古城座長 まず安田委員ペーパーの3番目の○はどちらにしても将来的なことなので、一番最後に持ってきて、どれぐらい書くかというのはこちらに任せていただきたい。

○安田委員 よろしいでしょうか。今、皆様方の御意見を聞きまして妥協案を思いついたのですけれども、妥協というのは英語でcompromiseで、いい意味で私は使っております。

市場メカニズムという点は、この委員会の範囲外である可能性があるということで、なるほどと思いましたが、かといって市場メカニズムの可能性に全く触れないのはもったいないような気がしますので、例えばこういうのはいかがでしょうか。詳細、正確なデータを収集する上では、規制や市場メカニズムを活用する方法もある。様々な選択肢があるということ。

○古城座長 安田委員、データを集めるために市場メカニズムということではないと思うのです。送電線がコストに応じて、コストを増やさないように、ちゃんとコストを反映して用いられるように混雑料金に変える。そうしたら今度はそれを活用するために情報を出さないといけないという、順序はそのような順序だと思うのです。

○安田委員 そうですね。そういったときに規制をするという方法もございますし、市場メカニズムの自発性に任せるという方法もあるということでございます。

○古城座長 私が言っているのは、データを集めるために市場メカニズムが役立つというのではないと思うのです。なぜ市場メカニズムかといったら、送電線を大事に使うために混雑料金というものを入れるということだと思うのです。

○安田委員 そのためのトランスペアレンシーの手段。

○古城座長 それで混雑料金を入れるというのは、その混雑料金に対応するため情報開示が絶対に必要になってくるから、そういう仕組み。情報開示と混雑料金の導入というのは裏腹です。だから目的は情報開示のために市場メカニズムに入れるという順序ではなくて、送電線を大事に使うために混雑料金というものを作って、市場で送電権を売買で取引する。こういうシステムに変えていくということだと思うのです。そのための不可欠な手段がそれを活用するための情報開示という順序で説明されているのではないかと思うのです。情報開示のためだけの市場メカニズムではないと思うのです。

○安田委員 もちろんそういうことを言いたいわけではございません。情報開示を促すためにはどうするかということの幾つかの選択肢をお示ししているだけです。

○古城座長 私が言っているのは、情報開示のための市場メカニズム導入というのは。

○安田委員 いや、それは私も申し上げておりません。

○古城座長 送電線を大事に使うための市場メカニズム導入というのは言えると思うのです。

○安田委員 同じことだと思いますが。

○太田委員 価格を区別するために値段が混雑料金であるとか、あるいはどこのノードを通ったら幾らだというような価格の決め方になると自然に情報は出てくるわけで、それはどちらかというと情報を出すことを目的にしているわけではなくて、適切なプライシングを目的としているわけです。適切なプライシングのために仕組みとして情報が自然に出てくるという話と、情報を出すために価格に混雑料金等を使うべきだというような、順番としては手段と目的がひっくり返っている言い方になっているので、座長の情報開示を促すために価格を変えるべきだという言い方は、目的と手段が逆転しているという話だと思います。

○安田委員 私は決してそのような意図はございませんので、結論とすれば規制と市場メカニズムの選択肢の2つのキーワードが入っていれば、それで結構でございます。

○古城座長 かなり細かいところまで入ったのですけれども、位置付けとしては長期的な話をしているということで一番最後に持ってくるというのと、文章については安田委員にも相談した上で、この点は私に一任していただきたいということでよろしいでしょうか。

○安田委員 承知しました。

○古城座長 それでは、次に進みましょうか。

○丸山参事官 続きまして6ページ「3-3 個別の原価の適正性」の変更点について御説明させていただきます。

7ページの「他方」からですけれども、こちら資材・役務調達コストについての説明のパートですが、こちらかなり説明について充実をしております。「資材・役務調達コストについては、託送料金原価のうち相当程度の割合を占めるため、これが削減されれば託送料金の低減に大きな効果が期待できるものであり、徹底した審査が求められるところである」。すなわち、削減の意義について加えております。それから「しかし、上記のとおり、一般送配電事業者は一般競争入札を原則とすることなどは義務ではないため、十分な競争性の下での価格競争は行われにくいところ、市場メカニズムを通じてどのような原価水準が適正であるかを把握することが困難であり、人件費に関して行われているような比較による審査はなされていない」ということで説明を加えております。「代わりに、東日本大震災前の価格水準から原則10%の効率化が求められ、当該削減相当を原価算定期間中の(託送)料金原価に織り込む形とされている。しかしながら、本来は、競争発注化を進め、適切な価格競争を通じた適正な原価水準を把握することが必要である」ということで加えております。

すなわち、今、資材コストについて審査なしの状況でいるということ、それから、適正な原価の把握のために競争発注等が必要ではないかということで入れてございます。

1つパラをあけまして「実際、近時の効率化に係る」うんぬんのところですけれども、こちらについては「例えば」以下のところについて、従前は注のところで処理をしておりましたが、こちらについて本文に取り込むという形をしております。実際にいわゆる予定を上回るような効率化を行ってコストの削減を進めているという例について、具体的に説明するということです。

次の「また」以下ですけれども、そちらについては3行目の下のところの「具体的には」以下のところについて、こちらのほう従前では注のほうで処理をしていたものですが、本文化したということでございます。ただし、1ポツ目の東電の競争発注の比率、目標値は60%、他社の大半は30から35%が目標値という、こちらは元々本文にあったものでございます。

次のページ、マル2対応策の部分でございます。まず初めの○でございますけれども、こちらにつきましては1文目のところですが、「一般送配電事業者が地域独占の下で自ら効率化を徹底するという事業環境にはない中で、託送料金の原価の適正性を確保するためには」うんぬんということで、こちらは後の「外部から監視する必要がある」の監視の必要性についての理由について付加してあります。

その後3つぐらい下の行ですけれども、「その際、各一般送配電事業者に対し、競争発注比率の引上げ、仕様・設計の汎用化・標準化(海外製品への調達先拡大の障壁になっている可能性があることから、これを排除するため、国際標準規格との整合性を確保することや関連情報を英語化することを含む。)等について目標設定を課すべきである」というように、こちらについて充実をしております。すなわち、前回のところでは、競争発注比率の引上げというところまでにとどめておったのですが、それ以外のものについて目標を課すべきであるということで加えてございます。

3-3については以上でございます。

○古城座長 今の部分について御質問、御意見がございましたらお出しください。陶山委員、どうぞ。

○陶山委員 8ページの対応策のところなのですが、○の1つ目のところの4行目「恒常的に」という言葉なのですが、前回の案としては「定期的に」ということで、その前の洗い替えの3から5年という年とダブる可能性があったので、そこから「恒常的に」という言葉を選択されたのだと思いますが、括弧書きに例えば毎年と書かれていれば、定期的としたほうが何か合っているような気がします。

なぜかと申し上げますと、恒常的は常に見ているということで、常に監視していることになろうかと思うので、定期的で括弧書きを添えればいいのではないかと思います。

それから、そこの部分の一番下、目標設定を課すべきであるという、これはこういう意見として出されているのですが、この調査会の中でいろいろな方、ヒアリングした中で必ずしも目標設定をすることが効率化とつながらないというような御意見をいただきました。そのような効果を上げるためには目標設定とはまた別の方策の中で進めることが適当であり、目標設定をしたがために数値だけを追うという弊害も起きてくるということもヒアリングの中でありましたので、目標設定を課すことも検討すべきである、といった表現にしてはいかがでしょうか。前回にもこの調査会においてこのような表現が採用されたのですけれども、この案のように断定をすることについてはどうなのかなと迷いがありました。

○古城座長 今のは御意見ですか。質問もありますか。

○陶山委員 意見です。

○古城座長 あといかがでしょうか。太田委員、どうぞ。

○太田委員 目標設定を課した場合も、それだけ形式的に追記することはあると思うのですが、そのほかの主とした弊害というのはどういう御理解なのでしょうか。

○陶山委員 形だけオープンにしましたよという形で、結果としては1者だけが応札してきたという形で、効果としては上がらないということもあり得るということです。

○太田委員 それは例えば競争発注比率を上げても、結局は1者応札になってしまうので意味がない。

○陶山委員 結果として競争発注比率が上がるということであれば良いと思うのですけれども、目標を追わせることについて、ヒアリングの中では疑問視するお話を伺いましたので、その点です。

○太田委員 疑問視というのは例えばどういう点ですか。

○陶山委員 発注比率目標設定を置くことが効率化効果を出すことには必ずしもつながらないということです。

○太田委員 必ずしもつながらないというのは反対しないですけれども、必ずしもつながらないということは、つながる場合もあるということですね。

○陶山委員 そうですね。

○太田委員 つながる場合があるのであれば、いいのではないでしょうか。もちろん必ずつながらないのであればやらないほうがいいのですけれども、コストがかかるのであれば、つながる場合もあるのであれば特段排除する必要もないように思いますが、何か強い理由をお持ちですか。これは反論ではなくて純粋に質問です。

○陶山委員 この調査会の中ですべきであるという強い意見として出すことについて、どうなのかなということです。

○太田委員 ありがとうございました。

○古城座長 白山委員、どうぞ。

○白山委員 今の御議論で競争発注比率の引上げということですが、多分陶山委員がおっしゃりたかったのは、競争発注比率の引上げを1つの目標とすると、その比率を上げることによって結局、結果的に1者応札が出てきてしまう。これはよくありがちな話でありまして、結局、契約される価格は全然、変わらない。また一般競争に係る契約事務のコストが膨大にかかってまいりますので、結果的に見て本当に全体的に経営の効率化ができたのかという議論が出てくる。多分その辺の御説明をされたのだと思います。よくありがちな話なので、目標設定は必要だと思うのですが、競争発注比率の引上げという率を上げることだけをもって、必ずしも効率化がなされるわけではない可能性もあるのでと、多分そういう御説明だったのではないかと思います。

○古城座長 安田委員、どうぞ。

○安田委員 非常に言葉の細かいことでございますけれども、陶山委員がおっしゃったことに関して補足説明でございますが、もしかしたら私は国際規格などをやっておりますので、そちらのほうの言葉遣いなのですが、「すべきである」というのはshouldであって要求事項としては1段低いものになります。「からが必要である」というのがshallで要求事項としては一番高い部分で「必ずしなければならない」ということなので、「すべきである」という表現は日本語の語感からすると非常に強いかもしれませんけれども、リクワイアメントの問題としては、例外はあるかもしれないというところの含みが残されているのではないかと少なくとも私は解釈しております。事務局のほうはいかがでしょうか。

○古城座長 日本ではそういう区別はしていないです。

○安田委員 法律用語などではそういうものはしないのですか。

○古城座長 していないです。

○安田委員 規格文書ではそういうところは厳密に決まっているのですけれども、失礼しました。

○古城座長 太田委員、どうぞ。

○太田委員 実際に競争入札比率を高めようと言われても、結果的に1者応札になる。入札のコストがかかる。それはそうなのですが、もう一方の事実として今、随意契約等でやっているところをできるだけ競争入札にしたくない、現状維持をしたいというインセンティブもかなり強いので、そこはやや切り込み過ぎぐらいにして丁度いいのではないかという感覚もあるのです。実際に官公庁の場合は競争入札する意味がなくて、1者応札だらけというような状態で現在来ているところがありまして、それでもその都度、なぜこれは1者応札になったのかという説明をせざるを得ないので、それはやはりコスト削減に関して一定の効果を収めているのではないかと理解しています。

○古城座長 陶山委員、どうぞ。

○陶山委員 確かに1者応札の中でも、そういうプロセスをとることによって同じ会社の中でもコストが下がったというレポートもありましたので、そういうことも含めてという意味合いで了解をいたします。

○古城座長 座長が言うのもあれですけれども、「恒常的に」の後の「(例えば毎年)」というのは非現実的な感じがするのです。規制官庁は原価の査定をしている。だけれども、これで買いましたと言われるのと、規制官庁は高過ぎるというのは、類似品とか自分で知識があるとか、今、サンプル調査でやっているのですけれども、それも数が限られて余り効果がないわけです。どうしてそうなっているのかというと、かなり強い可能性で競争入札をしたらもっと安いものが手に入ったり、価格も比較的余りその気がないので出てきてしまう。それを料金査定では手間暇がかかりますからなかなか見破れない。だから前提として、もっと競争入札比率を高めてもらいたいというのを料金査定の前提として要求するということをしたらどうかというのがこの内容ですね。

○消費者庁笠原表示対策課課徴金審査官 おっしゃるとおりで料金改定のみならず、いろいろな機会を通じてという趣旨を込めたところです。

○古城座長 一番いいのは、競争企業みたいにちゃんと安く買ってくるのが企業にとって大事だと一生懸命やってくれればいいのですけれども、託送部門は独占だから余りそういうインセンティブが働かない可能性があるのでこういうことを言っているわけで、だから言われて仕方なく競争入札をやっていると。競争入札は、本当は安いものを買ってくるということの手段なのだから、そのように努力しないでやっていると確かに十分な効果がないのだけれども、やらないよりやったほうがいいし、料金規制が結局十分できなくなるというのを防ぐためにも、これは必要だというのがこちらの意見ですね。毎年というよりも、この発想は私ちょっと言うのもあれだけれども、東京電力で7から8割やっている。これはフロントランナーでやっているわけですから、少なくともそれに比較できるような努力をやったのを見せた上で、見せてもらわないと困りますよ、こういうことが内容だから、やはり何年かに1回ではないですか。

○消費者庁澤井消費者調査課長 こちらの毎年というのは、もちろん例示ですので実際どうやるかということが実際の例えば競争発注する物の一体どのくらいの年限のものを購入するものかということにもよるのですけれども、毎年と書かせた理由は、効率化計画のほうが、毎年成果が見直されているということと、及び経産省の監査が毎年行われているといったようなほう。そうしたことが全部ここに反映されるかどうかがあるのですが、毎年やっている検証事項があるということを踏まえて「例えば」という形に書かせていただきまして、いずれにしても、元々の「定期的に」が原価算定期間と一緒に誤解されることが大変多かったということがありまして、このような表現を使わせていただきましたので、表現などはまた考えられますが、そういう状況でございます。

○古城座長 古賀委員、どうぞ。

○古賀委員 多分、外部からの効率化努力を監視する必要を恒常的にしてほしいという意味が引きずられて「恒常的に(例えば毎年)」という文章になったような気もしますので、陶山委員が言われたように、もしこれをするのであれば「定期的に(例えば毎年)」という文章に変えて、その上の段のように「効率化努力を継続するよう恒常的に外部から監視する必要がある」というような文章にすると、わかりやすいのではないかと思いました。

○古城座長 太田委員、どうぞ。

○太田委員 これは競争入札で調達できれば、それが一番いいわけですけれども、そうでない場合、その妥当性をチェックするということは経済産業省においてイメージとしては防衛装備費の調達等々は一品物で通常随意契約なわけですが、この場合に競争入札ということは難しいので、サブコントラクターとか下請のところの価格調達部門まで正しいかどうかということを原価監査で契約ごとにチェックに行っているわけです。そのイメージで原価算定期間のときに1回だけやるのではなくて、常日頃からそれが正しいかどうかをチェックする組織的な行動を行うべきではないかと私は読んだのですが、そういう理解でよろしいでしょうか。

○古城座長 そういう趣旨ですか。

○消費者庁澤井消費者調査課長 はい。

○古城座長 わかりました。

あといかがでしょうか。それでは、一応御議論が出たと思いますので、次に進んでください。

○丸山参事官 最後のパートでございます。9ページ目のところでございますけれども、「4.消費者への積極的な情報提供」でございます。

まずマル1現状・課題ですけれども、2パラ目の部分につきましては従来、注で表記をしておりましたものについて本文化しております。

9ページのラストのパラ「他方」以下でございますけれども、こちらも従前は注で表記をしておりましたが、本文化しております。ただし、一番下からの3行目以下「これらを受けて」うんぬんですけれども、いわゆる託送料金等についてこちらの領収書に情報を記載しているが、電源開発促進税については記載していない事業者が多い。これは後のほうの対応策との関係でこちらを付加しております。

10ページ、マル2の対応策でございますけれども、1つ目の○でございますが、1文目「電気料金の3から4割を占める託送料金について、より多くの消費者の理解を促進する必要がある」こちらについて加えております。それから、その後ですけれども、4行目「例えば」以下でございますが、「認可後の料金について、算定根拠や申請時・認可時の原価構成の比較等の査定内容の概要等の掲載が期待される」とありますが、これは従前、注で表記しておりましたものについて、本文化という形で処理をしております。その後ですけれども、2行ほど下に行っていだいて「加えて、託送料金について、パブリックコメントの実施や消費者とのコミュニケーションの場の設定等により、消費者の意見を反映する機会を拡大していく必要がある」についても付記しております。

次の○でございます。こちらについては○のところの一番下の上から2つ目の行「そして、将来的には、エネルギー政策に要する費用に関する国民の負担の在り方については、別途、議論が必要であると考えられる」とあり、いわゆるバックエンド費用、電源開発促進税のことについてでございますけれども、この部分についても付記しているという形で修正をしております。

以上でございます。

○古城座長 以上の点につきまして御質問、御意見があったらお出しください。陶山委員、どうぞ。

○陶山委員 まず質問です。4のタイトルなのですが、消費者への積極的な情報提供とあって、私は何度か情報提供と意見反映はセットでと思っておりまして、そのように意見を出しておりましたけれども、これが情報提供だけになっている理由。対策のところを見ますと意見反映という内容も入っておりますので、ここのタイトルの意見反映が削除されている理由についてと、それから、関係府省のところで以前、古賀委員から庁も入るのではないかということで、それは消費者庁も含めてということで御意見がありまして、それは私もそのように思っておりましたので、私が出したペーパーについては、そこを全部加えて出しましたが、それがそうなっていないことについてまず御質問させていただきたいと思います。

○消費者庁澤井消費者調査課長 事務局よりお答えさせていただきます。

タイトルについては正に委員会で御議論いただいて、現時点では事務局では意見の反映についても「加えて」以下付けさせていただきましたが、ボリューム感としては情報提供でまとめるほうが適切ではないか。しかも料金の透明性、納得性の確保といった形で入れておりますので、そうした形のほうが今、お出しする案としてはいいのではないかと思いました。

それから、関係府省庁としなかった理由なのですけれども、一般的にこれは役所のほうでの整理で、府省というところをもちまして庁も入るというほうが書き方として普通だということで、報告書によっては庁まで書いているものもないわけではないのですけれども、うちの中の文書の整理の関係のところでそのように整理させていただいておりますが、当然のことながら消費者庁も関わると考えさせていただいております。

○古城座長 陶山委員、どうぞ。

○陶山委員 まず消費者庁が入っていないことについてはわかりました。ただ、タイトルにつきましては消費者参画については情報提供と、それに対して意見反映ということはセットだろうと思いますし、消費者の権利の中にも書かれておりますので、ボリュームにかかわらず、そこは書き加えていただきたいと思います。

続けて意見よろしいですか。

○古城座長 ちょっと待ってください。陶山委員だとこのタイトルはどのようにしたらいいと思いますか。

○陶山委員 「情報提供・意見反映」という、8ページの3-3の対応策のところですが、2つ目の○の3行目に「ステークホルダーへの情報提供・意見反映」というワードの使い方をされていますので、それをそのままこちらでも使っていただければと思います。

○古城座長 古賀委員、どうぞ。

○古賀委員 今の陶山委員の意見に賛成いたします。

そこのタイトルを「消費者への積極的な情報提供と意見反映の確保」としていただくと、消費者に対する意見を吸収するという意味で非常にまとまりがいいと思いますので、御検討いただければと思います。

○古城座長 陶山委員は意見反映で、古賀委員は意見反映の確保と入っているのだけれども、意見反映でいいですか。

○古賀委員 確保までできれば入れていただきたいです。

○古城座長 ちょっとねっとりし過ぎというのもありますね。

○陶山委員 そこはこだわりませんが、あくまでも今回公聴会とかいろいろなものがなくなったので、消費者の意見を少しでも反映するということを入れていただきたいと思います。

○古城座長 事務局としては皆さんどちらでもよろしいということですか。それともこだわりがある。今のところ要るか要らないか。

○消費者庁澤井消費者調査課長 むしろこれは委員の方の総意が大切だと思っております。

○古城座長 皆さんこの点についてどうですか。特にございませんか。そうしたら消費者委員の意見を入れて、意見の反映をします。

陶山委員、ほかにあるのですね。

○陶山委員 10ページの対策のところです。2つ目の○で使用済燃料再処理等とか電源開発促進税のところまでの枕として、下に注書きで既発電の処理費は2.2%、電源開発促進税は7.5%、これは東電の場合と書いてありますけれども、託送料金の約10%を占めるという修飾を使用済燃料の前に入れていただければなと思います。なぜかと申し上げると、電力料金の3から4割が託送料金であり、しかもその10%がいわゆる政策関連の費用で占められていることについて、明確にしたいという意味です。

その中で3行目、これはちょっと皆さんの御意見が合えばということではありますけれども、「また、原価算入されている」という「また」の次に、現状の問題点のところに書かれてありました言葉を使いまして、「本来、託送料は送配電事業に要する費用のみで構成されるべきであり」というのを挟んでいただいて続けていただきたいなと思います。

それから、今後の議論の同じ項目の下から2行目のところからなのですが、「国民の負担の在り方や徴収の仕方については、別途ステークホルダーを含む広範な議論が必要であると考えられる」としていただけないかなと思います。

○古城座長 太田委員、どうぞ。

○太田委員 本件につき事務局の方あるいは安田委員に質問なのですけれども、各国、政策的経費というのは託送料金に入っていないほうが多いのですか。徴収の仕方はどちらにしても電気料金は引き落としですので同じだろうと思うのですが、入っていても入っていなくてもわかるようになっていれば、私は本質的にはどちらでもいいことだと思っています。意見として皆さんネットワークのコストからは除いておきたいという意見が強かったので、それが国際標準であればそれに合わせるという話があると思うのですが、個人的には本質的にはどちらでもいいことだと思っています。「すべきである」という強い意見表明をするのであれば、少なくともよその国はどうなっているのか知りたいと思います。

○消費者庁澤井消費者調査課長 お恥ずかしいのですけれども、事務局は国際比較を結構限られた能力で、安田先生の御指導も受けてやったのですが、そのときの感想として、これは様々な形があるのだろうと思いました。逆にそれがどこに入っているかわからない。きっと各国それぞれの正にエネルギー政策と、その検討の中でいろいろな入れ方があるのではないかとなって事務局、その辺については知識不足だと思っております。

○太田委員 これは税金等であって、基本的に交渉の余地がないものであれば、託送料金に入らなければほかのどこかに入るわけで、結局、消費者の利益という意味で言うとどちらに入れても変わらない。よって本質的にどうでもいいというのが私の意見なのですけれども、別にすべきだとまで書くのであれば根拠が欲しいという理由であります。

○陶山委員 根拠をお示しすることはできないのですけれども、託送料金と合わせて政策経費、税金を徴収することについては現状のところ是認するにしても、託送料金とは送配電事業に関わる費用なのだということを明確にする必要があるのではないかと思います。

○古城座長 3つ言われた最初のところはあれですね。陶山委員の言うように現行の料金の内には使用済燃料再処理費用とか電源開発促進税等が含まれており、その比重は何%に及んで大きいと一言入れたらどうでしょうか。

もう一つは議論になっているように託送料金は純粋にというとまた異論があるので、用語は別にして託送に対してとられる料金のうち、純粋の託送にかかった費用とそれ以外のコストは性質の違うものであって、これがわかるようにちゃんと表示されるべきである。これでどうですか。

○陶山委員 その点は上の2行のところで書かれているかなと思っておりましたけれども。

○古城座長 今、議論がありましたね。託送料金は託送でかかった費用だけと言うと、広義の託送料金になるとそれを含んではいけないのかということになって、それは多分ここで意見は一致しないと思うのです。

○陶山委員 前回も議論が足らないという座長の御意見で、私もそこは今日お会いするので少し意見交換ができればと思いまして、ペーパーには書かずに出しました。

○古城座長 ほかいかがでしょうか。

それでは、長時間御議論いただいたのですけれども、この辺りで議論は収束ということにしないと大変ですので、終了させていただきたいと思います。

字句の取扱いで幾つかの修正案もございました。これについてどういう方向で修正するかというのは一応お約束しましたので、このお約束を守った上での座長一任ということでお許しいただきたいと思いますけれども、よろしいでしょうか。

それでは、そのように修正した上で報告書を完成させたいと思います。


≪3.閉会≫

○古城座長 議論は以上といたします。事務局から連絡事項はございますか。

○丸山参事官 本日も熱心な御議論をどうもありがとうございました。

今後の調査会等の日程につきましては、確定次第、御連絡をさせていただきます。

○古城座長 それでは、本日はこれにて閉会とさせていただきます。お暑い中、また、お忙しいところお集まりいただきまして、ありがとうございました。

(以上)