第3回 電力託送料金に関する調査会 議事録

日時

2016年6月13日(月)9:00から12:56

場所

中央合同庁舎第4号館11階第1特別会議室(1113・1114)(東京都千代田区霞が関3-1-1)

出席者

【委員】
古城座長、井手座長代理、太田委員、古賀委員、白山委員、陶山委員、安田委員、矢野委員
【消費者委員会委員】
蟹瀬委員、長田委員
【説明者】
東京電力パワーグリッド(株)新宅常務取締役
東京電力ホールディングス(株)経営企画ユニットグループ事業管理室劉原価分析グループマネージャー
北海道電力(株)上野執行役員工務部長
北海道電力(株)小林企画部部長
中国電力(株)福島執行役員流通事業本部副本部長兼総括部長
中国電力(株)瀧本執行役員経営企画部門経営計画部長
電力・ガス取引監視等委員会事務局都築ネットワーク事業監視課長
資源エネルギー庁小川電力市場整備室長
【事務局】
消費者委員会 黒木事務局長、小野審議官、丸山参事官
消費者庁 福岡審議官、澤井課長、笠原課徴金審査官

議事次第

  1. 開会
  2. 電力託送料金に関する送配電事業者からのヒアリング
  3. 電力託送料金の査定方法等についてのヒアリング
  4. 閉会

配布資料 (資料は全てPDF形式となります。)

≪1.開会≫

○丸山参事官 それでは、時間になりましたので、会議を始めさせていただきたいと思います。

本日は、皆様、お忙しいところお集まりいただき、ありがとうございます。

ただいまから「消費者委員会公共料金等専門調査会第3回電力託送料金に関する調査会」を開催いたします。

古城座長、安田委員、太田委員が遅れておりますけれども、追って参ると思います。

それでは、議事に入ります前に、配付資料の確認をさせていただきます。ただいまお配りしております資料につきましては、配付資料一覧のとおりとなっております。不足の資料はございませんでしょうか。もし不足がございましたら、事務局までお申し出をよろしくお願いいたします。

なお、本日の会議につきましては、公開で行います。議事録についても後日公開することといたします。

それでは、井手座長代理、議事進行をよろしくお願いいたします。


≪2.電力託送料金に関する送配電事業者からのヒアリング≫

○井手座長代理 古城座長が来られるまで、かわりに進行役をさせていただきたいと思います。

それでは、議事次第に従って、最初の議題は「電力託送料金に関する送配電事業者からのヒアリング」でございます。

本日は、東京電力パワーグリッド株式会社より新宅正常務取締役、東京電力ホールディングス株式会社より劉伸行経営企画ユニットグループ事業管理室原価分析グループマネージャー。

北海道電力からは上野昌裕執行役員工務部長、小林剛史企画部部長でございます。

中国電力株式会社より福島透執行役員流通事業本部副本部長兼総括部長、瀧本夏彦経営企画部門経営計画部長でございます。

それぞれ大変お忙しい中、お越しいただき、託送料金に関する概況及び調達を含む経営効率化について御説明をお願いしたいと思います。

それでは、東京電力パワーグリッド株式会社より、御説明をお願いいたします。30分程度でよろしくお願いいたします。

○東京電力パワーグリッド(株)新宅常務取締役 東京電力パワーグリッドの新宅でございます。

本日は、お時間を頂戴しまして、まことにありがとうございます。

冒頭、5年超になっていますけれども、今もって私どもの福島の原子力の事故の関係でございまして、福島の皆様はもとより、広く社会の皆様方に御迷惑、御心配をおかけしておりますことを、まずもってお詫び申し上げたいと思います。

それから、4月から全面自由化が始まっておりますけれども、この間、私ども、なかなか環境整備という面では立ち遅れているところがございまして、新たなメニューに移行していただいたお客様に対するスマートメーターの取りつけが遅延しておりましたり、このところですと、たくさんお申し込みを頂戴しております中で、託送システムの遅延等々がございまして、それぞれまた重ねて様々なところで御迷惑をおかけしておりますこと、あわせてお詫び申し上げます。申しわけございません。

今、座長代理から御指摘がございますように、本日、私どものこのところの経営効率化に向けての様々な取り組みを御紹介させていただければと思っておりますので、よろしくお願いいたします。

お手元に資料1ということでパワーポイントを御用意させていただいております。経営効率化の全般にわたる取り組み状況につきまして、御説明させていただきたいと思います。

全体像でございますけれども、私どもは御案内のとおり、事故以降、原子力損害賠償・廃炉等支援機構様と共同で、総合特別事業計画、新総合特別事業計画、これは26年1月に認定を主務大臣から頂戴しておりますけれども、ここをベースとしながら様々な経営合理化の取り組みを進めているところでございます。

1ページ、いろいろ御議論頂戴しております小売料金の値上げ、これも広く社会の皆様方に御迷惑、御理解を頂戴しながら何とかやっているところでございますけれども、その前提では、原子力が若干稼働するという前提で立っておりましたものですから、そこに対しましては今なおいろいろな御心配、御懸念等々を頂戴しながら、何とか頑張っているところでございますが、その前提に対しては、なかなか再稼働の見通しが立っていないというところで、それに対して、水準を何とか維持していくということも含みまして、経営目標をさらに厳しくいろいろな形で徹底して推し進めるということが必要な状況でございまして、その状況が今も続いているというところでございます。

こうした中で、一昨年の26年9月、1ページの図にございますように、社外取締役でございます会長の數土が主宰した形で「生産性倍増委員会」という会議体を設置いたしました。左側に設置の背景、目指す姿とそれぞれございます。ここはざっとお読みいただければと思いますけれども、メンバーといたしましては、右側に書いてございますような、当社の役員のほか、企業再生ですとかコスト削減にたけた外部の有識者の先生方、こういった方に御参画いただきまして、元々その前にやっておりました調達委員会をずっとやってきておりますけれども、24年11月から調達委員会を受けた形でさらにもう一段ということで、そこを御経験いただいた先生方も入っていただきまして、年内まで3回にわたって26年のコストを総点検するという形で取り組みを様々な形でやって、合理化レポートという形で取りまとめたものを公表させていただいたりもしております。

今、申し上げましたように、合理化のレポートを公表しておりますけれども、ポイントを絞って、粗々のところを本日まずは御説明させていただきたいと存じます。

2ページ目、全体として「生産性倍増に向けた10のチャレンジ」ということで、生産性を上げて、ひいてはそれが経営効率化につながっていくという認識のもと、「全体」「モノ」「カネ」「ヒト」と書いてございますけれども、大きな思想的な位置付けを含めてマル1からマル10まで、こちらのものを大前提として掲げながら、それぞれの細かなところまでの取り組みを含めて、今、やっているというところでございます。

全体としては、元々、エリアの中での安定供給を含め、低廉な託送料金で皆様に電気をお使いいただくということがベースではございますけれども、ベンチマークとしては国体ではなくオリンピックレベルということを会長以下、常々言われておりまして、燃料、調達電源、先ほど座長代理からございましたような資材調達、委託業務等々を含め、国内外の他社をベンチマークとしながら生産性を向上していく。これをまず視点の基盤に置こうという形にさせていただいております。

「モノ」としてマル2からマル5までございます。1つ目が、かなり全社内で必達だという形で進めておりますけれども、「競争調達比率倍増」ということで、資材・工事等の調達で競争比率を倍増していくという取り組み。

マル3「設備仕様・品目数半減」、どうしても純然たるスペックでという形で安定供給においては取られがちなのですけれども、ここのスペックの考え方、汎用品の導入、こういったところで品目数を半減していこうという形での取り組みを3番目として掲げております。

マル4「定期点検期間半減」並びに「設備延命化・余寿命倍増」とございますけれども、精緻な余寿命判断によりまして、設備の取り替え時期をある程度確かめながら延ばしていく。あるいは、リユース等によって設備の調達数量を半減していくという取り組みでございます。

マル5「メーカー・サプライヤー依存度半減」とございますけれども、一括発注していたような業務のグループ内製化、そこで丸投げという形ではなくて、その中に入り込んでいくような形で低減を図っていこうということでございます。

マル6マル7は「カネ」についてでございます。マル6「在庫半減」もなかなか難しいところがございますけれども、資材等の在庫半減を目指すということで、資金効率を向上させようという取り組みでございます。

マル7につきましては、直接的には影響しませんけれども、グループ全体で電気事業外の新規事業等にチャレンジし、売り上げを倍増していこうという取り組みでございます。

このもろもろを支えていくのが「ヒト」と考えておりまして、マル8からマル10でございます。3つございますけれども、最初のマル8「意思決定プロセス改善」、社内の決裁階層ですとか資料半減、スピード倍増といったところを書いておりますが、全般としては「上意下達」から「下意上達」、こういったところで創意工夫を広く全体から現場を知っている者から上げていくという取り組みを進めていこうという形で取り組んでまいっているところでございます。

マル9「仕事の棚卸し」「残業半減」、今、残業半減が、さらに仕事は定時ということで、ゼロという形で、色々な方々から社内でも言われたりしておりますけれども、そもそもの仕事のやり方等々を含めて、棚卸しをしまして、ゼロから見直すことで無駄を半減していくという形でございます。

マル10として「全社員多能工化」、元々の人員のところである業務について、それをそのままこれにかかる要員ということだけではなくて、複数のことをとかく専門的にそれぞれのラインでなりがちなところを、幾つかのところでたけていくような形にして、人材活用効率化を図っていくという取り組みがあります。

全社的に進めておりますので、3ページ、私どもパワーグリッド・カンパニーだけでなくて、ホールディングス含めて全体でということになっておりますけれども、あらあらのところを書かせていただいております「各カンパニーの取組み」というのが右側にございます。パワーグリッド・カンパニーというのは、中段にございますが、短期、中期、長期、一応時間的な形で書かせていただいておりますが、それぞれに発意を持って、そのときどき、中期、長期のものが前倒しになり、短期のものもある程度の時間をかけてさらにブラッシュアップしていく。こういうところは複層した形で進めさせていただいているところでございます。

短期のところをご覧いただきますと、仕様・発注方式の見直し、工法・実施基準の見直し、こういったところが中核的なところで取り組んでいるところでございます。

そこのものを具体的にピックアップさせていただいたのが4ページ以降ということになります。

5ページ、「モノ」のところで2番目として掲げております競争調達比率でございます。こちらにつきましては、左の図にございますように、震災前の2010年度、平成22年度におきましては、正直、15%が競争調達比率の実情でございました。さきの料金改定におきまして、2016年度までには60%まで拡大するということをお約束させていただきまして、その約束を実現するために各種施策に取り組んできているというところでございます。

2013年度には32%、2014年度は56と見通しが書いてございますけれども、若干欠けて55%の実績でございました。2016年度の目標としておりました60%を1年前倒しする形で昨年度2015年度、取り組みをさらに進めておりまして、これも確定としての実績としては大体65%を取りあえず達成できたという状況でございます。

右の図で、主な取り組みのところで1つ御紹介させていただきますと、私どもの中で、エリアエリアで、今はフラット制にしておりますけれども、支店ごとに、配電の工事などですと、工事力の関係もございまして、地元、地域密着という形での随意発注が多うございました。このあたりを幾つかの要素を取り交ぜながらということになりますけれども、他店の工事会社の入札参入を、そこのイメージ図でございますが、従来の支店の境界線があったところを、越境と書いてございますが、エリアの近傍等々含めて入札をいただけるような形での取り組みなどもさせていただいております。

それぞれにその結果の単価減の効果というのは案件によって異なりますけれども、例えばということで、実績例で下に書かせていただいたようなところが生じてきているところでございます。

6ページ、発注方式、これは先ほど取り付けが遅くなっていて申しわけございませんと申し上げましたけれども、スマートメーターにつきましては、元々従来ですときちっとした計量というのが一番根底でございますので、そこに対するスペックを独自仕様で調達を検討という形でやってきておりました。この結果、取引先がある程度固定化されるというのが震災以前の従前のメーターの調達の仕方というところがございましたけれども、国内外から広く仕様に関する提案自体を募るという形で、図で流れているところがございますけれども、RFC(Request for Comment)で、スペックをどうしたらいいと思うかというあたりまでを含めまして、国内外企業を対象としました公募によって競争入札という形で、かなり想定価格を下回る価格での契約を実現させていただいております。

具体的には、右側のところにございますような、仕様提案として海外の15社様を含めた88社から、細かなところも含めまして482件の提案を頂戴し、その全体として取りまとめた中で海外1社を含めた5社、その結果としてのコスト削減というところが図られているところでございます。

7ページ、発注方式につきまして、幾つかございますけれども、配電用資機材、変圧器ですとか電線・ケーブル、開閉器、金物と呼んでいるようなものでございますが、従来の競争入札ですと、発注シェアの変動が小さい品目はどうしてもそこによりがちといいますか、コストダウン率としては低い傾向がございました。

これもその時代時代によって様々変わるところもあろうかと思いますけれども、シェアの大幅な変動を促すための見積もり方式、こんなところを導入して、ばらばらですので必ずしも相関があるというわけではございませんが、左側のような発注シェアがどのように変わっていくかというところと、それに伴ってコストダウンがどのように図られたか、こんなところをちょっとプロットしてみながら、そこに対する工夫をいろいろやったのが、右側の「新たな発注方式の概要」というものです。

例えば一番上にございますシェア別見積もり方式は、シェアごとに何%のシェアぐらいの物量であればどのぐらいの価格で入れていただけますでしょうかというのを何パターンかに分けて入れていただきます。これを組み合わせながら、一番全体として安く調達できるようなところを模索したということです。それなりの物量なり、それなりの会社さんがあってからこそというところはございますけれども、こんな方式ですとか、複数回の見積もり、あるいは共同調達、こんなところをいろいろな組み合わせで取り組ませていただいているところでございます。

8ページ目は、地中送電の関係でございます。これは、地中だけではなく、いろいろなところで言える話なのですけれども、どうしても電気をお送りするに当たっては、夏場がピークというところが弊社の場合ございます。従って、安定供給の関係では、その場はなるべくいろいろな諸工事は避けるという形が従前の方式でございました。

その結果、左側をご覧いただきますとわかりますように、3Q、4Qと書いてございますけれども、下期にいろんな工事が集中しがちというところがございました。例えばAとBが並行して行われる。B、C、Dが4Qで並行して行われる。こうなると、人手の関係もございまして、それぞれに各工事の設計が完了したものから都度入札を実施しておりましたけれども、かぶってきますものですから、その結果、それぞれが皆さん、考えながら入れていただく中で、完全失注する可能性は小さいという状況が、正直ございました。

こうしたところ、右側に施策実施後とございますけれども、なるべくそれを平準化して、散らしながら、例えば10社の取引先があった場合に、ある程度工事をまとめて、パック化と呼んでおりますが、9個にして、1つずつ入ったとしても、必ず1社は落ちてしまうという状況を作り出すような形で、皆さんのコストダウンの努力を促すというところもちょっと取り組みを始めています。これも結果を見ながら、どういう形がよりいい形になっていくかというのは今、進めているところでございますが、送電停止時期などの変更も実施しながら、片方で安定供給は確保しながらというところを、模索を続けているところでございます。

送電の関係でもう一つ、9ページ、特に都内近傍を含めまして、ずっと昔から高度成長期、右肩上がりの時代にたくさん作ってまいりました鉄塔、ここにつきましては、市街地などにもずっとあるものがございまして、敷地面積が狭隘な場所で鉄塔建設・建て替えというところが現実のものとしてなかなか難しいものとして生じてきております。

従来ですと、左側にございますような、鋼管単柱と呼んでおりますけれども、足元の面積を取らないような形でのものを適用しておりましたが、これは強度を含めて割高なものになります。

これを、従前の鉄塔ですと、根開きと申しますが、根元のところの足の開き方です。こちらを全体の強度も含めて様々な検討をしまして、施策実施後という、右側にありますけれども、超狭の根開き鉄塔を開発しまして、その材料費、組み立て費等々のコストを削減したいというところもございます。

10ページ、ちょっと卑近な電柱を見上げていただくと、ところどころにということになっていこうかと思いまして、御紹介させていただくものでございますけれども、支持物として電線のところを支持する腕金が左側にございますけれども、腕金が絵図にございますような形で、2本で電柱のコンクリート柱から出しているという形の設計としておりました。

ここは強度等の関係、電線の太さといったところを含めまして、もうちょっと細かく見まして、腕金1本でも大丈夫な形を模索するというところもやっていただいております。

電柱のところの上には、ところどころに柱上変圧器と呼ばれる変圧のものがございますけれども、こちらにつきましては、いろんな改善などをあわせてしているようなところがございます。

以上、ちょっと事例の紹介ということで、漠然たるもので恐縮でございますけれども、こういったものを進めながら、全体としての生産性の倍増というのを一昨年からずっとたゆまず続けているというところが私どもの状況です。

さらに、昨年1月からは、トヨタから内川さんを特任顧問としてお迎えさせていただきまして、これと並行して、実際の現場の改善に非常に知見を有していらっしゃるものですから、そこの御助言を得ながら、改めて別の形での生産性倍増プロジェクトという形で進めているところでございます。

昨今は、これをいろいろなところに展開しながら進めさせていただいているところでございますので、ちょっとそのあたりをもう一つ御紹介させていただければと思いまして、御用意をさせていただきました。

13ページ、変圧器の取り替え工事の効率化でございます。うちの流通設備は、先ほど申し上げましたように、高度経済成長期に集中的に形成されまして、40から50年、震災のときでちょうど60年ということになりますけれども、いろいろな各設備で経年劣化が進んでいるのが長期的な課題という形で、今、直面しているところでございます。順次取り替えや更新をしていく必要がございますが、一方で、工事力、施工力というのは全体として今の経済状況のもとでは若干不足しているような状況もございます。ということで、作業効率を高めていくことが大事ということです。

先程来、御説明させていただきましたもの、スペック、調達の方法、こういったところの取り組みに加えて、それを付けていく、あるいは回収していく、管理していくところでの人としての作業時間等々、人件費も含めて、こうしたところの効率化を内川先生には中心的な視点として御指導をいただいているところでございます。

13ページにありますものをご覧いただきますと、細こうございますけれども、実際にやっている作業等々を見ていただいて、ここが変えられないのか、どこに無駄があるのかというのを実際に御指導いただきながら、何回か繰り返しながら、それを修練していく作業を色々な分野のところで進めております。

例えば、4名体制で57分から、3名体制で14分50秒と、80%短縮したという、今までは何だったのだという話になりますけれども、仕事のやり方自体を、安全ですとか安定供給ですとか、こういうところを一旦かなぐり捨てて考えてみるという形で、その上で安全や何かもちゃんと確保しながらということをどのようにできるのかという形での取り組みを進めております。

その前提としては、作業を事細かく、トヨタさんでは1秒単位と聞いておりますが、私どもはまだそこまでいっておりませんものですから、分単位なり秒単位で何にどれだけかかっていて、そのとき誰がどう動いているかをざっと書く形にしておりまして、そのもとでどこが減らせるということを、地道な取り組みではありますけれども、各方面でやっております。

この場合ですと、一番左側にあります「工具配置のカイゼン」、作業車で上に乗るときにバケットいう箱に乗るのですけれども、その中にいろいろなヤットコ、挟むものや工具を入れておいて、それを取っかえ引っかえしながら作業を進めております。そこに取り出し時の迷い防止という形で色別に工具を格納。これも分単位、秒単位でどれだけかかったかというのを計測しながら一旦やってみて、ここをこうしたらという形ですすめていったものです。

真ん中、ちょっとわかりづらいかもしれませんが、PD線という高圧と低圧を結んでいる線でございますけれども、ここの切断のときには、その線を一つの工具で押さえて、もう一つの工具で切るという形でやっておりました。これを1本で両方できるような形の工具を開発しまして、一体的に作業処理ができるという形でございます。

実際にいろいろな作業のものそういった形で検証しながら、作業時間の短縮等々をこの場合には進めてまいりましたが、それを広く展開していくことが、個別の事例で終わるのではなくて、全体水平展開というのが一番重要でございますので、そこに当たっては手順の標準化ということで、一番右側にございますような、全工程を種類ごとに、168パターンとここでは書いてございますが、作成していくというところをベースにしながらそれを広げていくということをやっております。

次の、再生可能エネルギー連系業務の効率化、これも管理業務的な側面が多うございます。御案内のとおり、再生可能エネルギーは、私どものほうにも多数の申し込みを頂戴しておりまして、14ページのものは実は前橋のあたりで取り組んだ事例でございますけれども、そこの人員に対しますと、月700件ぐらいの申し込みが来ている中で、土日も徹してやっているようなところが正直ございました。

そういったところで、実際の業務、この場合、7,700の業務パターンと書いてございますが、様々なプロセスがございます。これを所轄の担当するグループが幾つかございますので、そこが受け渡しをしながら作業を進めていたというところでございます。これにかかっていた時間をまずは計測し、そのサイクルタイムをはかった上で、どこがどうできるかということを調整していった結果、その下にございますような19人・時、人工掛ける時間ということになりますけれども、これをまずは半減ということで、9.5人・時を目標としていろいろな取り組みをしましたけれども、結果として、現状、7割弱の作業効率化、6.2人・時となっております。

具体的には、パターン化に基づいて、右側にございますけれども、「管理システムのカイゼン」、それぞれに作っていた数表、エクセル等々の表を一括してやるですとか、「グループ間連系業務のカイゼン」ということで、3グループございますが、そこの3グループにずっといながら電話とメールと何とでやり取りということではなく、集中的に集まってやる。大部屋化などと呼んだりしていますけれども、一時的にその業務をやるときにはみんなが集まって、それをこなしていくということを含めて、やらせていただいております。

おめくりいただきまして、通信ケーブル工事の作業効率化でございます。こちらはスマートメーターをつけるに当たって、コンセントレーターというのを通信系では設置することになります。ちょっと写真が見づろうございますけれども、最初にまず、接続の工事、コンセントレーターに対する電源を上のほうから取る工事、コンセントレーターの取り付け、通信試験と、大きく3ステップの工事がございますけれども、これを通信方の作業員と、電源を取る工事は上のほうに上ってまいりますので、配電方の作業員と、3班でやっておりました。延べ10名と書いてございますけれども、そうしますと、1回通信方で準備をして、接続の工事をして、処理をして、配電方が来て、準備をして、電源をとって、後片付けをして、また通信方が来て、準備をして、やって、完了ということで、後片付けをしていくと、こういうプロセスになっておりました。

これを、先ほど申し上げました多能工化にも関係しますけれども、通信のものでも上のほうまで上ると7メートル以上と申しますか、7メートルのところでの職域の壁みたいな形で言ったりもしておりますが、上も通信のほうで一括してやれるという形で、準備と撤収というところを圧縮し、同時並行作業、1人作業化といったところも込み込みにしまして、それぞれにかかっていた分数及び人工は当初567人・分だったのを、6割ぐらいの作業効率化ということで、231人・分にできるような形になりました。

それぞれ、ざっと業務の内容を事細かに洗い出して、それをこことここを削ろうという形で取り組みをし、その結果こうなったというのは、実は、矢印で各どれだけからどれだけ下がったとなっておりますが、1回でこれになったわけではございません。例えば4月に始めて、最初の机上のところの検討で、これぐらいの作業を削れるだろうと、そこでまず10%削れた。実際6月になってやってみると、30%ぐらい削れた。しかし、半減にはいかない。さらにやるのだという形で、ある程度の期間がかかっているものもございますし、これはこうなのではないのと、改めて新たな創意工夫のところでぐっと減らすことができたものもございますし、取り組みの発露と成果並びに水平展開というのは、それぞれ様々でございますけれども、こんなところを地道に積み重ねながら、日々取り組みを引き続き進めているというところでございます。

こういった、今、御紹介させていただいたものは、全体の原価に対しますと小さな改善ということにはなりますけれども、一番大きく私どもで感じておりますのは、内川先生に来ていただいて、ものを見る視点がかなり違う。例えば2人で安全をチェックしながらやっていたところは、ぼうっとではないのですが、手間が空いているとどうしてもそこは不安全行為が生まれる可能性がある。人がいるところに却って不安全が生じる可能性とか、全く逆の視点から一旦物事を捉えてみるということを意識的に進めまして、そこに対して、いや、そうではないという議論ももちろんございますし、様々な論議を重ねながら実地でうまくできるかどうかをやっていくという形が一番根っことして大きな視点かなと考えております。そうした改善の意識を浸透させて、また次の新たな改善、大きな改善につながっていくというのが一番大もととして、不断の努力として積み重ねてまいりたいと考えているところでございます。

当社は本年4月から分社化をしております。先ほどのように、火力燃料系と、私ども流通系と、販売小売系と分かれておりますが、その結果、それぞれに契約も結んでおりますので、実はこうなのではないかというのも、日ごろの業務の中でも様々な軋轢と取り組みと共同が生じているところでございます。そうしたホールディングカンパニー制に移行したところでございますけれども、私どもパワーグリッドとしましては、分社化しても使命はいささかも変わることなしということで、冒頭、お詫び申し上げましたが、福島の復興と安定供給の確保、さらには料金の低廉化、こういったところを全うしてまいるために、引き続き効率化に邁進して、同時に、今、中立性と透明性はもとより継続して確保していくという形で考えております。そうしたところを通じて、それぞれ系統を御利用いただける各事業者様の信頼、ひいては社会の電気を御使用いただく皆様の信頼、こういったところを取り戻すように努めてまいりたいと考えているところでございます。

ちょっとだらだらと事例紹介で申しわけございませんでしたが、以上でございます。御清聴ありがとうございました。

○井手座長代理 ありがとうございました。

後ほど、北海道電力様、中国電力様の御説明の後に少し時間を設けて御質問を受けたいと思いますけれども、ただいま、東京電力パワーグリッド様の御説明について、事実関係について御質問があればお出しいただければと思いますけれども、いかがでしょうか。

では、矢野委員、お願いいたします。

○矢野委員 御説明どうもありがとうございました。

大変効率化に向けた取り組みがなされていること、ぜひ今後もしっかり取り組んでいただきたいと思っています。2ページの3つ目の「設備仕様・品目数半減」のところに「設備仕様の統一化」と書かれていますが、これ自体はどの範囲での統一化なのか。いわゆる東電の内部だけなのか、国内とか、それとも、海外まで視野に入れた統一化か、そのことによって発注自体もどこまで広がるかということがありますので、この統一化についてお聞きしたいです。

○東京電力パワーグリッド(株)新宅常務取締役 ありがとうございます。

もちろん、最初に「オリンピックレベルのベンチマーク」と掲げさせていただいているとおり、海外も含めた形での様々な統一というのがより調達としてはやりやすい形になるというのは重々承知しております。ただ、従前からのところで、まずは足元のところ、自社内で様々な形でスペックがあったところを、それぞれの実際に実施しております部門がこういう形でスペックを決めたいと、そのときに資材のほうの関係では、このスペックはどうなのだろうというのがなるべく早期からかかわれるようなことを含めて、まずは社内のところでの様々な品目、これは多数ございますので、ここの統一を足かがりにはしております。

その中で、国内ということで申し上げれば、先ほどスマートメーターのところで仕様がどうかというのを、RFCをやらせていただいたように、いろいろな事案において海外も含めたものを、まだ緒についたところではございますけれども、広げていきたいという意識のもとに、検討はされているという状況でございます。

○井手座長代理 では、陶山委員。

○陶山委員 ただいまの御説明に関連してですけれども、スマートメーターが海外からも応札があったということなのですが、他のものでまだ海外の発注、応札があった部分があるかどうか。

あるいは、逆方向になるかもしれませんけれども、国内に、国内でなければ変えられない、非常に重要な技術なり基盤とかがあれば、教えていただきたいと思います。

○東京電力パワーグリッド(株)新宅常務取締役 他のも部品は様々ございますので、線類や何かも含めて海外というのももちろんあれしております。

他方で、冒頭、申し上げましたような、実際の電気事業というのにおける特殊なところもどうしてもございますので、大型の変圧器ですとか、ああいったもの、実際の工事をやるに当たって、限られた会社にどうしてもなってしまうというところが正直ございます。そこは実際の工事のノウハウや何かも含めまして、全体を広く整理はできておりません。今、御指摘いただいたような区分けができると、それぞれにここのところはまずここをやってしまおうというようなことができますけれども、今はまだ様々な取り組みを進めながら、これがこちらにも使えるのではないかという発意をどんどん広げていくというところが正直な状況でございます。

○井手座長代理 どうぞ。

○陶山委員 それでは、スマートメーター以外にもあるということで理解していいのですね。

○東京電力パワーグリッド(株)新宅常務取締役 はい。

○陶山委員 そのときの発注、スペックの説明とかは英文でされているわけでしょうか。

○東京電力パワーグリッド(株)新宅常務取締役 それを実際にやるときは英文でしています。

○陶山委員 入札にかけるときの仕様書ですね。わかりました。

○井手座長代理 よろしいでしょうか。

蟹瀬委員。

○蟹瀬委員 前向きな改善をされていて、大変すばらしいと思います。自由化されることによって、御社も頑張っていかなければいけないので大変かと思います。

ちょっとお聞きしたいのは、マル1からマル10まで並べられている2ページですが、こうやって並列的に並んでいるのですが、この中で本社機能としてやるべきことと、現場機能のとしてやるべきこと、現場機能の中に外注の割合、パーセンテージはどのぐらいあるのか、教えていただけますでしょうか。

○東京電力パワーグリッド(株)新宅常務取締役 ありがとうございます。

こうしたものを、視点を含めて「モノ」「カネ」「ヒト」をそれぞれに掲げていこうということになりますが、予算等々を含めて、大枠のところにつきましては本社機能ということになります。特に、高電圧系ですとか、そういったところの機器につきましては、本社側でどういう設備にしていくかというのを中心的に検討しておりますので、そうした点では本社側、ただ、いろいろな発意なり何なりは、先ほど申し上げましたように、下意上達を片方でベースとしようと考えております。工夫が生まれてくるのは現場だと思っておりまして、その意味で、私ども45の支社及び3つの電力所がございますけれども、そうしたところ全体に展開していくというのが、今の足元での喫緊の課題となっております。その意識を持てる社員を増やしていくというのが、まずは今のところ必要かなというところでございます。

それから、外注の関係でございますけれども、これは私どものホールディングスのグループとして、関連会社、子会社を含めてそうした取り組みを徹底させていただいております。内の関係だけでなく、外にというのはもちろん広げていっておりますし、逆に言うと、先ほどちょっと出てきましたけれども、外に一括発注するがゆえに、逆に値段としては下がりにくくなるという面もあったりするものですから、そうしたところに、知見がわかる意味での内製化というものを進めさせていただいております。

○蟹瀬委員 率は。外注率というのはないのですか。

例えば自動車会社ですと、部品を作っている会社とかいろいろ関連会社がありますけれども、必ずしもホールディングスの下にあるわけではなくて、外注されている先ですね。そういう関係の会社というのはないのですか。全部ホールディングスの中に入り込んでいるということ。

○東京電力パワーグリッド(株)新宅常務取締役 そういう意味で申し上げますと、ホールディングス及び各事業会社の関連の子会社というのはありますね。競争調達比率として先ほど65%実績と申し上げましたが、ここでは大宗が外からの調達でございますので、その意味では今、手元に比率は持っておりませんけれども、それに応じた形で外からの外注比率が高まる。

逆に、子会社がやるときに私どもと関係があるものですから、関係のところから仕事をとっていれば安心という性向がどうしても働きます。そこを各子会社には別のところから売り上げを稼いできてもらいたいという形の外注、こういうところにも取り組んでおります。

○蟹瀬委員 ありがとうございました。

○井手座長代理 まだいろいろ質問があると思いますけれども、後ほど質問していただくとして、白山委員。

○白山委員 後ほどでいいなら後ほどで。

○井手座長代理 よろしいですか。

それでは、まだ御質問があるかと思いますけれども、後ほど時間を取っておりますので、これで東京電力の説明を終わります。ありがとうございました。

続きまして、北海道電力より御説明をお願いいたします。同様に30分程度でよろしくお願いいたします。

○北海道電力(株)上野執行役員工務部長 北海道電力の上野でございます。

まず、当社におきましては、2度に渡ります電気料金の値上げということで、お客様には大変な御迷惑をおかけしているところでございます。深くお詫び申し上げます。

本年4月から小売の全面自由化となっておりますが、引き続きお客様にお届けいたしている電気の安定供給に努めてまいりますと共に、費用全般に渡り経営効率化にも努めてまいります。

今回の論点であります資材、役務調達の効率化に関しましては、これまでも最大限の効率化を図るべく取り組みを進めてきたところでございます。今後につきましても、さらなる効率化に努めてまいりたいと思います。

それでは、当社の経営効率化の取り組みの状況につきまして、送配電部門に係る事例を交えて御説明させていただきます。お手元の資料2の3ページをまずご覧いただきたいと思います。

初めに、当社の経営効率化の取り組みの全体像について、御説明申し上げます。当社は、広大過疎・需要密度が低いという環境の中におきまして、料金の低減に向けた経営効率化を推進してございます。その下に、経営効率化の取り組みのイメージ図を記載しておりますので、まず、この部分から御説明させていただきます。

経営効率化の推進主体といたしまして、大きく2つございます。左側に記載しております送電ですとか変電、配電といったような「主管部門」並びに、右側に記載しております取引先との対応などを行います「資材部門」でございます。

1つ目の主管部門、左側のほうでございますが、こちらは工事計画段階におきまして、工事の内容ですとか、工法の見直し、工事実施時期の見直しなどの効率化に取り組んでございます。また、競争拡大に向けた仕様の汎用化の検討も、主に主管部門のほうで行ってございます。

次に、資材部門、右側のほうでございます。こちらでは、多様な発注方式の検討ですとか、市況の調査、新規取引先の発掘を行っておりまして、ホームページにおいて取引先からの提案の受け付けですとか、見積もり時における各種提案の募集なども行っているところでございます。

また、資材部門と主管部門は資機材調達に関する情報連携を行った上で、資機材発注に関する協議を行いまして、コスト低減に向けた取り組みを実施しているところでございます。

この他、一番下に書いてございますが、経営層も含めた「調達検討委員会」を設置いたしまして、主管部門、資材部門及び経営層が一体となってコスト低減や競争拡大に向けた発注方式を検討してございます。詳細は後ほど11ページ以降で御紹介いたしますが、調達検討委員会では、外部専門家によるアドバイスや検証といった、第三者の視点による意見も取り入れて取り組んでございます。

5ページから9ページまでは主管部門におきます経営効率化の具体的な取り組み事例5つを御紹介してございます。

まず、5ページですが、当社が抱えます地域特性といたしまして、冬季の降雪、積雪というのがございます。今回は積雪防止対策の事例を御紹介させていただくものです。

左側の対策前の写真のように、電柱の上に雪がたくさん積もってしまいますと、その積雪量によっては雪の重みで電線が支持物などに押されてしまいまして、漏電して停電事故につながる可能性がございます。このように設備の上に雪が積もることを冠雪と言っておりますが、冠雪への対策は北海道の冬における宿命的な課題となってございます。特に北海道の中でも雪の多い豪雪地域におきましては、停電の未然防止を図るため、左下の写真のように、付近の状況によりましては直接電柱に上って、下から冠雪を除去するという作業が必要となりまして、大きく成長して凍りついた冠雪になりますと、1カ所で1時間以上かかる場合もあるということで、多大な労力を費やしているということでございます。

この冠雪防止対策といたしまして、これまで支持物の上に小さな屋根のようなものをかけたりするなど、要は雪を積もらせないような対策を施したり、また、積もった雪が大きく成長するとなかなか取れなくなるということがございますので、大きく成長させないための機材を考案しまして、改良を重ねてきたところでございます。

こちらのスライドでは、冠雪対策用のネットを記載しておりまして、このような冠雪の抑制対策について、一定の成果を確認することができたことから、引き続き実用化に向けた研究を継続していきたいと考えております。

6ページは、送電部門における支持物の腐食診断の高度化の事例をお示ししております。

架空送電専用の支持物といたしましては、皆さん御存知のとおり、鉄塔というのが一般的でありますけれども、広大過疎の北海道において、電力を安定的かつ低コストで隅々までお届けすることに関しまして、当社ではパンザーマストを多数採用しております。全体で送電用支持物は4万7,000基程ございますが、当社におきましてはこのうち半数をパンザーマストが占めているところでございます。

パンザーマストは、厚さ2ミリ程度の鋼板を円錐状に加工した柱を積み重ねていっているもので、腐食防止のために亜鉛メッキを施しておりますが、時間と共にどうしても亜鉛メッキが消失してまいります。腐食が進みますと、鋼材の厚さが減りまして強度不足により倒壊、それに伴う供給支障事故が発生する恐れがございます。こうした事態に至らないよう、適切な時期に補修、建替えを行っておりますが、そのため、多数あるパンザーマストの腐食状況を的確に把握することが重要となります。特に、目視による点検が難しい土中部につきましては、これまで診断精度向上などの課題がございましたが、様々な検証を重ねる中で、ここにお示ししたような腐食の程度、電圧の差で確認するような電気的な測定手法を用いることで、腐食評価制度の向上、さらには測定時間の短縮を図ることができるようになってございます。

7ページでは、変電部門における変圧器の構内移動工法の改良事例でございます。基幹系変電所における18万7千ボルト以上の大型の変圧器につきましては、老朽化の状況を見きわめながら、更新工事を随時実施しているところでございます。

更新工事につきましては、変電所の構内で、重さ100トン以上になりますが、こういう重たい変圧器を移動させる必要があります。従来は、変圧器の下にコロ棒といいます丸い棒を入れまして、ウインチという巻き揚げ機を使用して移動しておりました。

これに替わる新たな工法といたしまして、変圧器に4台の油圧式の重量物移載装置を取りつけ、それで変圧器を持ち上げまして、スライドシリンダーによりすっと横にずらす。その装置を横にずらしていって動かしていくということを行っております。これによりまして、作業員の削減、工事期間の短縮等による工事費のコストダウンを実現することができております。

8ページは、同じく変電部門における変圧器等の漏油補修作業の一部を直営化した効率化事例でございます。

変圧器などの電力機器は、経年による劣化ですとか、塩分付着によるさびなどが原因で漏油が発生する場合がございます。当社では、日常点検等、あらゆる機会を活用しまして漏油の早期発見、早期対応に努めておりますが、全てを未然に防止することは困難であり、漏油の補修作業が発生する場合がございます。

この補修作業については、漏油の箇所ですとか状況によりまして、最適な材料、工法を採用しなければならないなど、専門的な技術が必要なものでございます。これまで通常、高い技術を保有している本州の漏油補修材メーカーに作業を委託していたところでございます。

そこで「漏油補修」を研究テーマの一つとして取り上げまして、様々な角度から研究を行い、使用する材料ですとか施工方法などについて、試行錯誤を重ねた結果、当社社員数名が漏油補修に関する高い技術を習得しまして、作業の一部を直営化することが可能となりました。これによりまして、遠方の専門事業者へ委託した場合よりもコスト削減が図られるということになってございます。

9ページは、配電部門におけます配電系統図を表示できるモバイル携帯端末の導入事例でございます。変電所からお客様に電気をお届けする配電設備については、設備の設置状況を配電系統図という図面で管理しておりまして、新たな設備の設置とか変更、撤去の際につきましては、その都度図面の更新が必要になります。

この配電系統図につきましては、既に配電系統図の表示システムも導入いたしまして、従来の紙の図面による管理から、電子データによる管理に移行しております。それによりまして、停電事故対応など、現地に出動する際にもシステムから停電事故区間周辺の系統図をプリントアウトして、それと元々車に用意してある管内全域の紙ベースの系統図を併用しながら、事故箇所の探索を行っておりました。

そこで、新たに汎用のモバイル端末を活用し、システムの導入に向けて現地対応に必要な情報の選別やセキュリティー対策の検討を重ねまして、配電系統図表示システム内の図面データをモバイル端末で閲覧できるシステムの運用を開始しております。これによりまして、現場作業時に常に最新のデータを反映しました配電系統図を携行できる。それによる配電系統図データの一元管理の効率化、車載系統図の製本費用の低減を図ることができるようになってございます。加えて、モバイル端末に内蔵されましたGPS機能とカーナビソフトを活用することによりまして、設備の所在地への音声誘導が可能となっております。本機能により、災害に伴う停電時など、土地勘のない他事業所管内の応援作業の際につきましても、目的地まで迅速な到着が可能となり、復旧時間の大幅な短縮を図ることができるようになってございます。

11ページからは、資機材調達コスト低減の推進体制について御説明申し上げます。

当社では、資機材調達コストの低減に向けて、冒頭も申し上げましたとおり、調達検討委員会を立ち上げまして、委員長であります副社長をはじめ、資材部門、各主管担当役員も含めて、経営的な見地から検討・審議を行うなど、経営層を含む全社一体となった取り組みを進めてございます。

本委員会では、原則として全ての調達案件を対象に競争拡大やコスト低減のための具体方策を検討しまして、取引先からのコスト低減提案の受け入れですとか、多様な発注方式の導入などを進めております。

なお、調達検討委員会は平成24年5月に設置しておりますが、本年5月末現在までに通算で46回開催を重ねておりまして、月1回に相当するものでございます。

具体的には、調達検討委員会では、全社的な調達戦略の策定、競争または特命などの発注方式の審議ですとか決定、過年度の検討案件の発注結果の評価、確認等を行っております。

また、冒頭申し上げましたとおり、外部専門家をアドバイザーとして加えまして、調達検討委員会において審議される案件に対する評価をいただくなど、第三者の視点による意見を取り入れることで、コスト低減に取り組んでございます。

12ページからは、資機材調達コストの低減に向けた具体的な取り組みを御紹介いたします。

当社の資材部門では、各主管部門と一体となって、コスト低減・競争拡大の観点から、効率化を推進しております。

表にございますとおり、取り組みの方向性として、競争拡大に向けた取り組み、設備仕様の見直し、外部知見の活用、共同調達、こういうものを挙げまして、これらに沿って様々な取り組みを行ってございます。

ここでは、各項目の取組内容として、概要のみを記載しておりますが、次の13ページ以降で詳しく御説明させていただきます。

13ページ、まず、競争拡大に向けた取り組みについてでございます。競争拡大に向けては、取引の代替性、市場性のある案件を対象に、競争発注への移行に向けて取り組むと共に、これまで取引先が限定的であった案件につきましても、一部仕様の緩和ですとか汎用化によりまして、新規取引先の参入機会を広げることや、海外メーカーを見積もり先に加えることなどにより、競争発注の拡大を図ってございます。

これらの取り組みを進める上で、外部専門家からのアドバイスを活用しております。また、ホームページでは、取引先の提案の受け付けですとか、見積もり時等におけますVE提案を募集するなど、競争発注の拡大に取り組んでございます。

このような取り組みの結果、左側にございます震災前後の平成22年、23年の競争発注比率につきましては、大体14%程度という状況でございましたが、調達委員会を設置した平成24年度は17.9%ということで、発注比率は着実に増加し、25年度から27年度の3カ年につきましては、平均で目標としておりました競争発注比率30%以上を達成してございます。

14ページは、送配電設備における競争拡大に向けた取り組み事例でございます。

送配電設備に関しては、大型案件について競争化の徹底を図っている他、案件の特性に応じて北海道内に加えまして、本州エリアの取引先を含めた競争発注の拡大に取り組んでおります。

具体的な事例で申し上げますと、北海道と本州を直流で連系しております北本連系線というものがございますが、こちらは本州と緊急的な送受電を可能としておりまして、安定供給などの面で重要な役割を担っておりますが、この既設の北本連系線が一部点検ですとか故障によって使用できない場合でも、お客様に安定的に電気をお届けすることを目的に、現在、60万キロワットから90万キロワットへの増強工事を進めておるところでございます。この北本連系設備の増強工事におきまして、主要設備であります「交直変換設備」につきまして、海外メーカーも含めて価格調査を実施し、価格に加えてメンテナンス体制等を総合評価の上、競争発注といたしてございます。

また、送電線建設工事におきまして、施工能力、施工体制等における技術審査と、経営の健全性に関する与信調査を行った上で、これまで取引実績のなかった本州の工事会社を新たに見積もり先に加えてやっていただくなど、新規取引先の参入拡大に努めているところでございます。

また、大型案件等の調達方針につきましては、先ほど申し上げました調達検討委員会において、経営的見地から重点的に検討、審議を行った上で決定してございます。

15ページは、配電設備における競争拡大に向けた取り組み事例でございます。配電設備においては、架線金物、配電用諸材料など、資機材の一部について、新たに「シェア配分競争方式」と呼ばれるものを採用してございます。こちらの「シェア配分競争方式」とは、見積もり先に対しまして、年間の総定数量を提示した上で、10%から最大100%まで10%刻みでのシェアを前提に、それぞれのシェアを受注した場合の価格を出していただきまして、最も安価となる各社間のシェアの組み合わせで複数社から調達する方式で、この方式によりましてコスト低減を図っております。

また、競争効果をより高めるため、仕様を緩和することですとか、海外企業を見積もり先に加えるなど、見積もり参加者の拡大にも取り組んでいるところでございます。

16ページから18ページにおきましては、設備仕様の見直し事例を御紹介してございます。

16ページは、分路リアクトルという装置の汎用化の事例でございます。分路リアクトルといいますのは、主に深夜などの電力需要が少なくなるときに、系統の電圧が上昇してしまうということで、この電圧が上昇するのを防ぐために用いる装置でございます。

従来の分路リアクトルでは、切り替えスイッチの接点の摩耗、遮断機の動作回数が多いということで、点検や交換を比較的短い周期で行う必要がございました。そこで、電圧の調整幅を可能な範囲で、ここでは9段階から2段階にしてございますけれども、簡略化すると共に、従来使用していた遮断機の替わりに、汎用性が高くて点検サイクルの延長が可能となる真空スイッチを設置することで、イニシャルコスト、ランニングコストの削減を図ることができてございます。

17ページは、保護継電装置というものの汎用化の事例でございます。保護継電装置は、落雷などによって電力系統に設備異常が発生した場合におきまして、電圧とか電流の変化の状況から、異常区間を検出しまして、自動的に必要な遮断器を開放して、異常が生じている設備を系統から切り離し、事故の拡大を防止する装置でございます。

従来の保護継電装置というのは、自身が受け持つ保護区間の他に、他装置が受け持つ区間につきましても監視・保護できるバックアップ機能を備えておりましたが、デジタル技術の進展に伴いまして、保護継電装置自体の故障が発生した場合、故障そのものが低減しているということに加え、保護継電装置自身で自分が故障したということを判定できる「自己診断機能」が充実してきてございます。そのような中、バックアップ機能を簡略化して、仕様の汎用化を図ることによりまして、イニシャルコストの削減を図ることができてございます。

18ページは、電力ケーブル接続材の仕様を見直した事例でございます。電力ケーブルは地中に埋設され、マンホールですとか洞道、トンネルみたいなものですけれども、その中において、電力ケーブル同士を接続材で繋ぐ必要がございます。従来使用していた接続材につきましては、プレハブジョイントと呼ばれているものですが、これは接続するところの面部分に圧を機械的に加えるものでありまして、その場合、スプリング等、部品点数が多くて、また、接続工事に10日程度要していた状況でございました。

一方、今回、採用しましたラバーブロックジョイント、こちらは円筒状に加工されたゴム製の筒の中にケーブルを挿入しまして、ゴムの力で圧力をかけてやるというものでございます。構造が非常に簡易で、作業も容易ということで、先ほどのプレハブジョイントのところで10日間と申し上げた工事が、この場合は2日間で実施できるということで、5分の1に短縮されているものでございます。

このラバーブロックジョイントは他の電力会社さんにおきましても既に採用されておりまして、当社も低い電圧の6万6千ボルトというところにつきましては、これまでも採用してございましたが、今回、上位系統であります187キロボルトという基幹系のほうについても採用することといたしまして、新たな効率化を図っているものでございます。

次、19ページでは、外部知見の活用に関する取り組み事例を御紹介いたします。

資機材調達において、外部専門家を活用し、異業種も含めて良好事例や競争力のある取引先を御紹介いただくなどして、コスト低減に取り組んでございます。

また、取引先からの技術提案を受けまして、当社の仕様に反映させることにより、コスト低減を図っていく、VE提案方式の採用。

材料・資機材メーカーから工事会社及び当社に至る調達プロセス全体の可視化とコスト評価を行い、業務に潜む「ムリ・ムダ・ムラ」を解消しまして、コスト低減を図っていくSCMにおける外部専門家の活用。

さらには、基本設計以降の詳細設計、調達及び工事を一括して発注することで、発注先のノウハウによる仕様の緩和、調達先拡大によるコスト低減、工事管理業務の効率化を図っていきますEPC契約の活用を進めてございます。

なお、VE提案につきましては、当社のホームページ上でも募集しておりまして、また、取引先提案の受け付けも実施しているところでございます。

20ページでは、外部専門家の活用について、少し詳しく御説明いたします。

当社では、外部専門家を活用しまして、電力資機材及びほくでんグループが調達する一般資機材やサービス系委託などを対象に、コスト低減を推進しているところでございます。

取り組みの流れをフローに示しておりますが、まず、当社やグループ会社の調達状況を把握して、取引規模や市場価格に見合った価格水準になっているのか。それから、仕様の簡素化や集約発注の余地はないのか。そういう視点で現状分析を行います。

次に、外部専門家が有している異業種を含めた価格情報や調達手法等からコスト低減余地を評価しまして、新規参入による競争化やグループ各社の調達数量をまとめた共同見積もりなどが実施できないか。さらには、市況価格を踏まえ、さらに交渉できないかというようなコスト低減方策を検討していきます。

その後、検討結果に基づくコスト低減方策による競争見積もりなどの取り組みを経て、競争先との協議を重ね、新たな条件で契約を締結して、コスト低減を実現しております。

なお、見積もり依頼先の選定に当たりましては、自社が把握している取引先に加えまして、外部専門家の知見に基づき、異業種等で実績のある新たな取引先の活用も含めて検討してございます。

平成26年度から27年度の2カ年、20品目以上を対象に検討を行いまして、このうち通信費、複合機など17品目について、コスト低減を実現しております。

21ページと22ページは、取引先からの技術提案の参考事例として2点御紹介してございます。

21ページ、まず、第1点目の技術提案事例でございますが、柱上高圧開閉器の地上開閉操作に用いる開閉器を電柱に固定する機材でございますロープフィッカーについてでございます。

スライド左の写真の左の赤いひもと右側の白いひもの間に丸い輪のようなフック部分がございます。このフックを地上から操作棒で緩めて、左右の赤いひも、白いひもを引きますと、開閉器を入れたり切ったりできるものでございます。このフックは特殊品でございましたが、市販品の流用が可能というメーカーの提案を受けまして、当社にて評価を行いました結果、仕様を満足できるということで、本提案を採用することとしてございます。

具体的な見直し内容としましては、スライド右側の図面のとおり、ロープフィッカー本体の部分であるフック、ねじ回転部を旧来の一体加工とした特殊品から、分割しましてそれぞれを作っていただき、低価格で組み立てる工場に外注することで、組立費のコスト低減を図ったというものでございます。

22ページ、次に、2点目の事例として、電柱支線防護管ずり上がり防止具の御紹介でございます。

スライド左上の写真のしま模様のパイプ状のものを電柱支線防護管と呼んでございますが、これは電柱を支える支線という線が中に入っておりまして、これを保護するものになります。この電柱支線防護管を固定する器具について、スライド右上の写真のとおり、従来は防護管と防止具を別々に製造しまして、現場で施工する際に組み立てを行っておりましたが、メーカーから防護管本体とずり上がり防止器具を一体にしてはどうかという提案を受けまして、これを採用してございます。

この事例につきましては、組み立て工程の簡素化による製造原価の低減というメーカー側のメリット、現地での組み立てが不要という当社の作業効率の向上がございます。

23ページは、資機材物流SCMの事例でございます。

当社は、道内外のメーカーから当社の倉庫へ物流ルートや当社の配電用資機材の修理会社への、不要となったくず電線などの受け入れ事業者の物流ルートを有しております。

柱上変圧器等の配電用資機材、修理品や不要となったくず品に関しましては、従来は右上の見直し前の図のとおり、道内、それから道外のメーカー、資機材の修理会社などが個別に手配したトラックによっておりましたが、積載率が低かったり、受け入れのタイミングがばらばらで非効率だという事態が生じてございました。

そこで、外部専門家のアドバイスも受けまして、それを一括管理して対応するということで、トラックの積載率の向上によるコスト低減、それから、倉庫の受け入れ頻度の低減による作業効率の向上を図ってございます。

24ページでは、共同調達の取り組みについて御紹介してございます。

1点目は、他電力との共同調達による効率化ということで、スマートメーター本体に関するコスト低減でございます。具体的には25ページで御説明します。

また、ほくでんグループ大の共同調達にも取り組んでおりまして、一般資機材・サービス系委託業務を対象にコスト低減を図ってございます。グループ大の共同調達につきましては、外部専門家のアドバイス、北海道内に加えまして、異業種も含めた良好事例を御紹介いただくなどして、第三者の視点による意見を取り入れて、コスト低減を達成しているところでございます。

25ページでございます。共同調達の取り組み事例といたしまして、スマートメーターの調達について御紹介してございます。

なお、26ページにつきましては、スマートメーターの設備構成図となりますので、あわせてご覧いただきたいと思います。

当社は「見える化によるお客様の電気の効率的ご利用の推進」「料金メニューの多様化による需要抑制」そして「業務の効率化によるコストダウン」などを目的に、スマートメーターを導入したところでございます。導入に当たりましては、当初、10カ年ということで検討してございましたが、種々取り組みを重ねまして、導入完了時期を1年前倒しにすることにしてございます。具体的には、27年度から35年度までの9年間で、低圧でご契約のお客様全数へのスマートメーターの導入を目指して取り組んでおります。

スマートメーターの導入に当たりましては「コスト低減」「透明性の確保」を基本に進めておりまして、具体的には、スマートメーターに関するシステム開発等につきましては、公募型のプロポーザル、RFPを実施してございます。また、スマートメーター本体の調達につきましても、北陸電力、四国電力様との共同調達を行いまして、スケールメリットを活用した調達コストの低減を図ってございます。

少し取り組み事例及び技術的な内容が多く御理解しにくかった部分もございますが、説明は以上でございます。よろしくお願いいたします。

○古城座長 それでは、司会をかわって、私が行います。

ありがとうございました。御説明いただいた内容について、事実関係に関する御質問がある方は御発言をお願いいたします。

特にございませんか。よろしいでしょうか。

井手委員、どうぞ。

○井手座長代理 1点だけ。

13ページに競争発注の比率が出ておりますけれども、これは件数ベースで見たものですか。それとも、金額ベースで見たものですか。

○北海道電力(株)上野執行役員工務部長 金額ベースでございます。

○古城座長 矢野委員、どうぞ。

○矢野委員 御説明ありがとうございました。

6ページのパンザーマストについてお聞きしたいのですけれども、やはり地域によって随分状況が違うというのを今、お聞きして初めて知ったのですが、半分近くパンザーマストを使っていらっしゃるということなのですが、一般の鉄塔と比べてパンザーマストの場合はかなり建設費とかいろいろな経費が安いのかどうか。

それから、これとは別に、他の電力会社と違って北海道ならではの設備が必要なものがあれば、たくさんあったら大変なのですが、簡単に御説明いただきたい。

○北海道電力(株)上野執行役員工務部長 このパンザーマストは鉄塔と比べて非常に簡易な設備でございますので、コストは安くなっております。ただ、どうしても鉄塔などと比べますと、少し写真が薄くて見づらいとは思うのですが、電柱のような柱が2本立ってございますけれども、この他に強度を保つために、よく電柱などにもついているものなのですが、斜めに支線というものが必要になりますので、一見小さい設備なのですが、土地としては結構広い土地を確保しなければならないという欠点がございます。そういう面では、北海道ならではの、土地は全体的に広く、広大過疎というところでございますので、逆に言えば有利な面、土地が使いやすいという面もございますので、そういうところで使わせていただきながら、逆にコストのほうは下げていくということで、広大過疎の中でもなるべくコストダウンを図っていくというところでございます。

あと、北海道ならではということになりますと、他の会社さんから比べますと、気温もかなり低くなることがございますので、設備の仕様を決めるに当たりましては、低い温度でもきちんと動作するものを採用したりするようなことが必要になる場合がございます。

なお、温度につきましても、北海道でもいろいろ、マイナス30度以下に下がってしまうところもあれば、札幌以南であればマイナス10度ぐらいまでで収まるという地域もございますので、そこら辺につきましては、北海道の中でも地域状況を見極めて、必要な設備と仕様を決めてやっているところでございます。

○古城座長 古賀委員、どうぞ。

○古賀委員 御説明ありがとうございました。

特殊な地域特性についての御説明で大変だなという感じがしました。北本連系の整備なども含めて、今後、固定費がかなり膨らんでいかれると思うのですけれども、それに引き換え、いろいろな電力の需要自体は減っていくかもしれないのですが、そういったことについて、今の送配電部門における配賦の仕方で、託送料算定に関して特に北電さん独自でこの点について変えてほしいという考えがあったら教えてください。

○北海道電力(株)上野執行役員工務部長 配賦の仕方等につきましては、今、国のほうである程度基本的な考え方が決められておりますので、今のところはそれに従ってということで、特にどうしてほしいということは今のところは考えてはおりません。

○古城座長 白山委員、どうぞ。

○白山委員 詳細な御説明ありがとうございました。

今日のところは資材調達等の合理化がメーンテーマでございますので、その説明だったのですが、関連して、例えば東京電力さんのほうですと、生産性倍増委員会ということで、調達を含む全体的な生産性の倍増と効率化ということで、プロジェクトに取り組まれているわけですが、北海道電力さんにおかれましては、調達検討委員会以外のところで、いわゆる東京電力さんでいう「ヒト」「モノ」「カネ」全体の生産性の倍増みたいな、何か特殊なプロジェクトみたいなものはあるのでしょうか。

○北海道電力(株)上野執行役員工務部長 会社企業ですので、常に効率化という観点で、経営層を含めて議論はしてございますけれども、特別な体制は今のところございません。

○古城座長 他によろしいでしょうか。

それでは、続きまして、中国電力株式会社より御説明をお願いいたします。30分程度でお願いいたします。

○中国電力(株)福島執行役員流通事業本部副本部長兼総括部長 中国電力流通事業本部の福島でございます。本日は、このような機会をいただき、ありがとうございます。

当社は、消費者の皆様の暮らし、また、経済界の皆様の生産、事業活動に必要不可欠な電気を安定かつ安全にお届けするために、電力設備への投資でありますとか、修繕、また、日々の点検保守等を着実に実施しております。また、昨今の電力小売全面自由化でありますとか、太陽光を始めとします再生可能エネルギーの大量導入といったものにも確実に対応できるような設備形成に努めているところでございます。

このような取り組みとあわせまして、低廉な託送料金の実現の両立が当社にとって重大な課題と認識しております。このために様々な創意工夫、経営効率化努力を行っているところでございます。本日は、このような取り組みにつきまして、説明させていただきたいと思います。

まず、内容の説明に入ります前に、当社の流通設備の概要について御説明させていただきます。資料の後ろのほうですが、15ページをお開きください。15ページから、流通設備の概要について簡単なイメージ図を記載しておりますので、ご覧ください。

16ページに電力系統図と共に中国地方の地図があります。中国地方の特性としましては、東西に貫く中国山地から北の山陰地方といいますのは、日本海気候で、特に鳥取県全域、島根県内陸部、岡山、広島県北部の一部は、冬は雪が多い地域でございます。

一方、山陽地方につきましては、瀬戸内海式気候で、年間を通じて雨は少ないものの、梅雨前線や秋雨前線による暖かく湿った空気の影響を受けやすく、最近では平成26年夏の広島豪雨災害が記憶に新しいですが、局地的な大雨となることがございます。

また、沖縄県程ではありませんが、6月から10月にかけましては、中国地方にも台風が多く接近、上陸いたします。平成3年に発生した台風19号では、当社のサービス区域内の約4割に当たる約155万戸が停電し、未曾有の被害を受け、お客様にも大変御迷惑をお掛けいたしました。この被害を踏まえまして、電柱の強風対策や碍子などの塩害対策といった設備強化対策を行ってまいりました。

当社はこの中国5県の他、瀬戸内海の島々など、兵庫県、香川県及び愛媛県の一部をサービス区域としており、供給エリアは3万2,000キロ平米と、全国の約8%となっております。また、販売電力量における当社のシェアは全国の7%程度です。

続いて、17ページ、18ページで、発電所で電気が作られてからお客様宅までどのような設備を使って電気が届けられているのかをイメージしていただくための簡単な図を記載しています。

17ページ、発電所で作られた電気は、送電線を通じて変電所へ送電いたします。送電線は当社エリアに約2万基ある鉄塔などの支持物で支えられ、発電所と変電所などをつなぎ、大量の電気を送る役目を果たしております。変電所では、送電線を通って送られてきた電気の電圧を、変圧器で供給する電力の規模に適した電圧に変換し、別の変電所や特別高圧のお客様へ送り出します。変電所には安全で安定した電気をお届けするために、電力の送電停止や送電経路の切り替えを行う遮断器などを設けております。

18ページ、配電用変電所で、電圧を6キロボルトまで下げた電気は、皆様よくお目にする電柱、当社エリアにこれが165万本ありますが、この電柱を通じて御家庭近くまで届けられます。しかし、6キロボルトの電圧のままでは電圧が高いため、御家庭の電気は使用することができません。そこで、電柱の上部にあります柱上変圧器にて皆様の御家庭で使用できる電圧、100ボルトや200ボルトに下げた後、引き込み線を通じて皆様の御家庭にお届けしております。

簡単ではありますが、以上が流通設備の概要でございます。

それでは、戻っていただきまして、効率化への取り組みについて御説明いたします。

まず、「資機材・役務調達の効率化への取り組み」につきまして、2ページで御説明させていただきます。

当社は、調達コストの削減に向けて、第三者による客観的な評価・助言を踏まえながら、調達を担う資材部門と、実際の工事を担う業務主管部門が一体となって取り組みを推進しています。具体的には、競争発注の拡大や発注方式の多様化に取り組んでおりますが、これらについて詳細に御説明させていただきます。

3ページ、まず、競争発注の拡大についてです。当社としましては、送配電事故などが起こった場合でも、早期復旧ができるよう、中国地方の各地域に一定の施工力を確保していく必要があると考えていますが、さらなるコスト削減と取引の透明性向上を図るためには、競争発注の拡大が必要不可欠と考えています。競争発注の拡大に向けては、新規取引先が参入可能となるよう、詳細仕様書の作成に取り組んでいる他、競争可能な範囲を分離発注するなど、競争に向けた環境整備を進めると共に、新たな取引先の調査・開拓などに取り組んでいます。

このような取り組みの結果、平成27年度の資機材・役務調達の競争発注比率は、目標の30%を達成しております。

4ページ、5ページで競争発注拡大に向けた取り組み事例を3点御紹介させていただきます。

まず、4ページでございますが、1つ目はスマートメーター及び関連するシステムなどの調達についてです。

仕様の標準化を図ると共に、ホームページを活用して、広く取引先から提案を募る公募型提案募集などを通じ、公平・公正に調達先を幅広く募集した上、競争による調達を行い、調達コストの削減を図っています。

この他にも、従来、グループ企業に特命発注していました柱上変圧器、コンクリート柱及び、監視制御装置のテーブル作成業務といいまして、これは各設備の設置状況などを計算機に記録、反映させるためのデータ更新業務でございますが、こういったものにつきまして、競争発注拡大に向けた環境整備を行い、順次競争発注に移行しております。

なお、柱上変圧器の調達内容としまして「順位配分競争を採用」と記載しておりますが、順位配分競争につきましては、後ほど詳細を説明いたします。

それでは、5ページをご覧ください。3つ目の取り組み事例でございますが、電柱や電線など、配電設備の新設や取り替えなどを行う配電線外線工事は、競争相手が限られる中、配電線外線工事で使用するバンドなどの請負会社が調達する材料について、「コストオン方式」という競争発注を順次拡大しています。「コストオン方式」を5ページの下にある図を見ながら説明いたします。

まず、請負会社が調達する材料の一部につきまして、当社が競争発注により契約先及び価格などを決定いたします。その後、当社、材料調達先及び請負会社の3者間で価格などについて協定を締結します。それを踏まえまして、請負会社と材料調達先で売買契約を、当社と請負会社ではコストオンを反映した契約単価で請負契約を結ぶことになります。これによりまして、請負会社が調達する材料のコストを削減することができます。

次に、6ページ、発注方式の多様化について説明いたします。当社は競争発注拡大の他、表に記載しておりますバリューエンジニアリング:VE方式、順位配分競争、ターゲットプライス、一括発注、リバースオークションといった多様な発注方式を用いています。

これらの発注方式のうち、一括発注につきましては聞かれたことがあるかと思いますが、これを行うことで、スケールメリットによるボリュームディスカウントが得られます。

また、リバースオークションにつきましては、入札期間内であれば何度でも入札可能なため、競争効果が働きやすく、市場価格まで削減するといった期待効果があります。

バリューエンジニアリング方式、順位配分競争、ターゲットプライスにつきましては、7ページから取り組み事例を紹介いたしますが、こういった発注方式を効果的に運用することにより、競争、特命にかかわらず、資機材・役務調達コストの一層の削減に努めております。

7ページ、取り組み事例の1つ目は、バリューエンジニアリング方式です。先ほど北海道電力さんからも説明がありましたが、バリューエンジニアリング方式は取引先の知見を取り入れることで、仕様ですとか工法を見直し、さらなるコスト削減を達成することができます。当社では、変電機器や送電工事などにこのバリューエンジニアリング方式を積極的に活用しております。

8ページ目では、バリューエンジニアリング方式を採用したことにより、最新の技術を取り入れ、コスト削減を実現した例を紹介しています。写真にあります機器は50万ボルト遮断器と呼ばれる電力の送電停止や送電経路の切り替えを行う大型機器でございます。この機器の調達に当たりまして、バリューエンジニアリング方式を採用したことにより、大きく3つの技術提案を取り入れ、コスト削減を実現することができました。

1点目は、ポリマー碍管の採用でございます。従来は磁器製の碍管を採用しておりましたが、信頼性を検証した結果、ポリマー製の碍管を採用することとしました。この碍管といいますのは、ご覧の写真で機械に角のような形で出ております。これは、高電圧の電路を気中に引き出すための設備でございますが、標準的には国内では碍子を使用しておりますが、ポリマー碍管と呼ばれるいわゆるシリコンゴム等を使いましたゴム製の碍管を使うことにより、軽量かつ耐震性にすぐれ、また、コスト低減にもつながる碍管を適用しております。

2点目が、取引用計器用変圧器の一体化でございます。取引用計器用変圧器とは、電力会社間の電力の取引のための電圧を計量する装置のことですが、従来は遮断器と別置きにしておりました取引用計器用変圧器を、遮断器と一体とすることにしました。写真では、白い丸で囲っている箇所がつきだした格好になりますが、ここに取引用計器用変圧器を内蔵しているものでございます。

3点目は、遮断器タンクの材質変更です。遮断器タンクの部位ごとの温度上昇の精査を行いまして、温度上昇限度を緩和することにより、従来のアルミ製から鉄製に変更することにより、コスト低減を達成しております。

続いて、9ページ、続いての事例としまして、順位配分競争について御紹介させていただきます。順位配分競争といいますのは、発注量が多く、反復継続して調達し、あらかじめ割り当てることにより、納期確保及び安定的・経済的調達が可能となる品目を対象に、見積額の順位に応じて発注シェアを配分する方式です。

例えばある品目に対しまして、A、B、Cの3社が見積もりを提出したとします。ここで、見積順位1位のA社に100%を割り当てるのではなく、A、B、Cの各社に対しまして見積順位順に50%、30%、20%とシェアを割り当て、さらには、B、Cに対してはAと同一の価格になるように価格交渉を行います。こうした取り組みにより、競争効果及び価格交渉によるコスト削減と、発注先を分散することによる安定調達の両立を図っております。

主な適用事例としましては、柱上変圧器、電線・ケーブル類、電力量計、ガス遮断器、雷の被害を避けるための電力用避雷器、こういったものがございます。

10ページ、最後の事例として、ターゲットプライスについて御紹介させていただきます。

ターゲットプライスといいますのは、実績価格や市況価格等に当社が希望する価格削減分をあらかじめ織り込んだ調達希望価格を設定し、見積依頼時に提示することで、取引先に原価改善に向けた努力を促し、コスト削減を図る方法です。

調達希望価格は落札の上限価格となりますので、取引先にこの価格以下を目標として安価な材料手配や協力会社の調整等、製造・施工コストの削減へ取り組む意欲を促進させる効果が期待できます。また、価格交渉による調達事務手続の効率化も期待できます。

主な適用事例としましては、開閉器、碍子などの配電材料、地中に電線を埋設する際に使用する管路、鉄塔防錆塗装、配電地中線工事などがございます。

11ページ、今後の効率化努力について御紹介いたします。

当社は、今後、さらに効率化を深掘りするため、第三者からの評価・助言を積極的に取り入れながら、「さらなる競争発注の拡大」「VE方式の拡大」「価格検討方法の体系化」に重点的に取り組んでいくための環境整備を行っております。

1点目の「さらなる競争発注の拡大」におきましては、特命の制約条件を明確化・体系化した判定基準表を整備し、資材部門の担当者が個々の契約一件一件に対してなぜ競争できないのか、仮に特命とする場合でも今後、競争化に向けての課題を記録、整理するなど、徹底した特命内容の精査を行うよう、ルール・プロセスの再構築を行いました。

2点目の「VE方式の拡大」につきましては、通常の競争見積よりもコスト低減効果が大きいため、仕組みの再構築を行い、活用の拡大に向けた取り組みを進めております。具体的には、取引先のVE提案に対するインセンティブを高めるため、コスト低減額の一定割合を取引先に還元する仕組みや、コスト低減に応じた見積機会の付与といった報奨制度を取り入れたり、優れた提案に対する表彰制度を導入するなどの見直しを行いました。

3点目の価格検討方式の体系化におきましては、取引先からの見積書の提出に当たりまして、詳細な内訳、根拠などを記載した見積書の提出を義務付けまして、詳細な部品単位の価格分析や、さらにはこうした見積情報をもとに、論理的な価格交渉を行えるよう、価格検討方法の体系化を図っております。

ここまでは資機材・役務調達の効率化への取り組みについて御説明させていただきました。

続いて「設計・施工方法の合理化への取り組み」につきまして、具体的な取り組み事例を御紹介させていただきます。

13ページ、1つ目は、鉄塔防錆塗装の平準化の取り組みでございます。防錆塗装といいますのは、さびが来ないように鉄塔塗装する工事でございます。鉄塔防錆塗装といいますのは、高所での作業であり、安全に配慮しつつ高品質の塗装を行うためには、当該作業に精通した施工会社で実施する必要があります。このため、施工実績の豊富なグループ会社へ特命発注しておりますが、こうした中でも可能な限りコスト削減に向けた取り組みを行っております。

具体的には、平成24年から27年度にかけまして、一部の鉄塔防錆塗装につきまして、競争を実施いたしました。これらについてはいずれも特命先のグループ会社の落札を確認しております。この落札結果を踏まえまして、競争発注移行分以外の特命発注分につきましても、競争発注した場合と同等の水準以下の価格で契約いたしました。

さらに、鉄塔防錆塗装作業実施時期を平準化することで、施工会社の稼働率を向上させ、これによる固定費削減効果を発注価格に反映するといった取り組みも行っております。

スライド右下のイメージ図をご覧ください。作業の平準化前は、送電線を停止しやすい春とか秋に作業が集中しておりましたが、これに対しまして、塗装作業の計画を当社と施工会社間で共有し、作業実施時期を年度間、月間で調整することにより、作業の平準化を図ったことで、施工会社の稼働率が向上いたしました。

続いて、14ページ、2つ目の事例は、現在、潮流ネック箇所の基幹系統整備として進めている広島東幹線という22万ボルト送電線の一部増強工事についてです。

右下の図をご覧ください。鉄塔を新設する際、従来は鉄塔と鉄塔の間が標準的には370メートルでございました。これを設計方法の合理化によりまして、400メートルまで長くすることで従来工法であれば87基必要だった鉄塔を80基まで、7基分削減することができました。

また、少し細かい事例ですが、鉄塔腕金の形状見直しについて御紹介いたします。この図は、17ページの写真にある鉄塔を真上から見たものです。図にあるように、電線を支える腕金について、四角形の箱形のものを三角形の船型に見直すことで、鉄塔の重量を軽減することができ、これにより、鉄塔基礎工事の効率化や、材料費の削減を実現することができました。

この他、鉄塔・基礎設計の合理化、工法の見直し、低風音型インバー電線、これは従来の鉄塔を流用する際に、インバー電線といいまして、電線の電流容量を拡大できる特殊な合金の電線でございます。こういった電線の採用といった新技術の採用によりまして、従来に比べて工事費の大幅な削減を行っております。

簡単ではございますが、経営効率化の説明は以上でございます。

19ページ以降につきまして、参考として、送配電事業の取り組みを記載しています。

20ページをご覧ください。高度成長期に建設されました大量のネットワーク設備が今後、更新時期を迎えてまいります。この増加していく高経年設備に対しまして、安定した資材調達及び施工力確保などを考慮して、計画的な更新工事を実施していくことにより、ネットワーク設備の供給信頼度を維持し、電力の安定供給を確保してまいります。

具体例を申しますと、流通設備におきましては、遮断器、変圧器及びスイッチギヤといいまして、遮断器や配電盤等を収納した、鋼板製の箱などの変電機器や、送電鉄塔・送電線について計画的に更新を行っております。

21ページ、配電設備におきましては、電柱・電線及び遠制子局といいまして、電柱に施設したスイッチを遠隔操作するための装置などを、計画的に更新を進めております。

最後になりますが、22ページでございます。基幹系統整備につきましても、中立・公平で透明性の高い業務運営のもとで、良質な電力の安定供給を確保すると共に、効率的なネットワーク設備を構築してまいります。

また、平成24年の「再生可能エネルギー固定価格買取制度」、いわゆるFITの開始以降、特に太陽光発電の連系申し込みが増加しておりますが、連系に必要な対策を適切に実施するなど、事業環境の変化へ確実に対応しております。

このように、設備の高経年化対策工事に加え、基幹系統整備工事の本格化や、再生可能エネルギー関連工事の増加に対しまして、これまで説明させていただきました、様々コスト低減を図りながら、着実に工事を進めていきます。

当社の説明は以上でございます。ありがとうございました。

○古城座長 ありがとうございました。

御説明いただいた内容について、事実関係に関する御質問のある方は、御発言をお願いいたします。

太田委員、どうぞ。

○太田委員 御説明ありがとうございました。

特に鉄塔防錆塗装についてお伺いしたいのですけれども、こちらはグループ会社に特命発注されているということですが、グループ会社というのは通常でいう子会社に相当するものですか。

○中国電力(株)福島執行役員流通事業本部副本部長兼総括部長 そうです。

○太田委員 100%子会社。

○中国電力(株)福島執行役員流通事業本部副本部長兼総括部長 そうです。

○太田委員 競争入札をされたということですが、これは1社応札なのですか。あるいは他社さんも参加されたのでしょうか。

○中国電力(株)福島執行役員流通事業本部副本部長兼総括部長 これはグループ会社と、そういった工事の実績がある一般工事会社で入札を行いました。当社地域内にはそういった会社がございませんので、近隣の電力会社等で実績のある会社さんと一緒に競争入札をさせていただき、そこの中で当社のグループ会社のほうが応札されたというところでございます。

○太田委員 価格的にそちらのほうが。

○中国電力(株)福島執行役員流通事業本部副本部長兼総括部長 安かったということですね。

○太田委員 これは競争入札で落札率はわかりますか。あるいはすぐには難しいですか。

○中国電力(株)福島執行役員流通事業本部副本部長兼総括部長 当社のグループ会社がどの程度安かったかということですか。

○太田委員 あるいは予定価格に対してどれぐらいであったか。

○中国電力(株)福島執行役員流通事業本部副本部長兼総括部長 細かな数字は持ち合わせておりません。

○太田委員 済みません。細かい話は結構です。

これは特殊な技術が必要ということですが、他電力さんにも類似のグループの会社というのはあるわけですか。

○中国電力(株)福島執行役員流通事業本部副本部長兼総括部長 そうです。

○太田委員 とすると、すみ分けされているのはエリアごとに特性があって、よその他電力さんの類似のグループ会社では受注は難しい、困難であると。

○中国電力(株)福島執行役員流通事業本部副本部長兼総括部長 先ほど言いましたように、他電力で実績のある会社と競争させていただいた。ただ、地域性がございますので、地域内のグループ会社のほうが競争で優位だったというところかと思っております。例えば旅費とか、労務費というところでございます。

○太田委員 このグループ会社を保有し続けることのメリットというのは何かありますか。つまり、通常、企業であれば、会社を持っているということであれば、その会社を持っていることによって何か有利なことがあるので持っているということですね。有利なものがなければ売ってしまえばいいということになると思うのですけれども、この株を保有されていることに何か積極的な理由はありますか。

○中国電力(株)福島執行役員流通事業本部副本部長兼総括部長 鉄塔の防錆塗装といいますのは、送電鉄塔の保守に必要な作業でございますので、そういったものを安定的に継続して実施していくということから、当社がグループ会社を保有していくことによって、電気の安定供給につながっていくと認識しております。

○太田委員 例えば他社さんの同じ塗装の会社と全て合併すると、交渉力が強くなり過ぎるかもしれませんけれども、そういった他のところと横にくっついたほうが、各社それぞれで子会社を持たれるよりも有利ということはないのですか。

○中国電力(株)福島執行役員流通事業本部副本部長兼総括部長 そういったところにつきましては、まだ検討しておりません。

○太田委員 わかりました。ありがとうございます。

○古城座長 陶山委員、どうぞ。

○陶山委員 どうも御説明ありがとうございました。

鉄塔のことに関してですが、長期的にはこれを削減する方向で今、計画を進めておられるということなのですが。

○中国電力(株)福島執行役員流通事業本部副本部長兼総括部長 削減する方向ということではないです。

○陶山委員 基数を削減すると書いてあったのですが。

○中国電力(株)福島執行役員流通事業本部副本部長兼総括部長 それは、工事のときに標準の径間よりも長い距離をとって、建設するときに建設基数を減らすということで効率化を図っているというものでございます。鉄塔全体を減らすという方向ではございません。工事の効率化のためにたまたま良い地点を選定することによって鉄塔の基数を減らすことができたということでございます。

○陶山委員 わかりました。ありがとうございました。

○古城座長 古賀委員、どうぞ。

○古賀委員 御説明ありがとうございました。

ちょっと3ページと11ページのところの経営の効率化と競争発注のことについてお伺いしたいのですけれども、平成27年度は競争発注目標30%を達成されたということで、平成8年をピークに流通の設備費がそんなに増えていらっしゃらないようなのですが、今、平成26年のデータを見ると、御社の53%がグループ会社と伺っていますが、現在もそれぐらいの比率であるのかどうかということと、11ページで、今後「さらなる競争発注の拡大」をされるということで書いてあるのですけれども、平成28年度の経営効率化計画というのが260億円と申請されていらっしゃると思うのですが、競争発注においてどれぐらいの経費が削減される御予定であるのかというのを教えてください。

○中国電力(株)福島執行役員流通事業本部副本部長兼総括部長 初めに、27年度の競争発注比率でございますが、30%を目標としまして、実績としては37%まで到達しております。

グループ会社への発注比率でございますが、平成26年度の実績としては53%でございましたが、27年度は40%まで低減しております。これは先ほど御説明させていただきました競争発注の拡大といったものにより、グループ会社への発注比率が低下したものでございます。

先ほどの2点目の御質問の低減の見込みでございますが、これにつきましては算定しておりませんので、御回答は控えさせていただきます。

○古城座長 これは金額ベースですね。

○中国電力(株)福島執行役員流通事業本部副本部長兼総括部長 金額ベースです。

○古城座長 古賀委員、よろしいでしょうか。

○古賀委員 結構です。

○古城座長 他にいかがでしょうか。

白山委員、どうぞ。

○白山委員 先ほども北海道電力さんにもお聞きしましたので、中国電力さんにもお聞きしますが、東京電力さんの御説明で、生産性倍増ということで、今日は調達等の合理化ということがメーンテーマでございますが、先ほど御説明があったように、通常の経営過程以外で何か調達の合理化以外のところのプロジェクトみたいなものはあるのでしょうか。

○中国電力(株)福島執行役員流通事業本部副本部長兼総括部長 当社におきましても、特にプロジェクト的なものではございませんが、資材調達会議といいまして資材部門、それから、各事業部門の経営トップが一堂に会しまして、資材の調達でありますとか、その他のいろいろな施策に関しまして協議する場を設けております。そういった場を通じて様々な調達の効率化でありますとか、経営効率化に取り組んでいるところでございます。

○古城座長 専門家の活用ということについて触れられていなかったのですけれども、それはおやりになっているのですか。

○中国電力(株)福島執行役員流通事業本部副本部長兼総括部長 今回の経営効率化につきましては、専門家による評価・助言をいただいております。

○古城座長 あと、いかがでしょうか。

井手委員、どうぞ。

○井手座長代理 入札でやった場合に、1社入札というのはどのぐらいあるのでしょうか。

○中国電力(株)福島執行役員流通事業本部副本部長兼総括部長 個別の件数等については把握しておりません。

○古城座長 安田委員、どうぞ。

○安田委員 安田でございます。

中国電力様と、あと、よろしければ北海道電力様にも同じ質問をしたいと思うのですが。

○古城座長 それは後で。中国電力だけ。

○安田委員 わかりました。では、後でにさせていただきます。

○古城座長 よろしいでしょうか。

それでは、東京電力パワーグリッド、北海道電力、中国電力より説明いただいた内容について、御質問、御意見のある方は御発言をお願いします。

最初に、安田委員、どうぞ。

○安田委員 失礼いたしました。

では、共通の質問をさせていただきます。特に北海道電力様と中国電力様への御質問ですけれども、競争発注の比率が30%ということで、実績としては若干上回るということですが、残りの70%が競争発注できない、難しい理由をお答えいただけますでしょうか。

○北海道電力(株)上野執行役員工務部長 まず、目標設定でございますが、23年度に当社の場合、14%であったものを、平成25年から27年で30%ということで、いろいろ見積先が既存のメーカーとか工事会社に限定されたり特殊な技術が必要であったりとか、そういうこと等もございまして、その中で、当社としては高い目標レベルとして30%の目標を掲げて、その中で何とかかんとか達成したというものでございます。

○古城座長 質問は、あとの70%を競争入札できない理由はありますかということなので。

○北海道電力(株)上野執行役員工務部長 そういう意味では、少し触れましたけれども、既存のメーカーと、例えば既存の設備があったときに、それについての増設をしたり、改良をしたりするときについては、そのメーカーでなければ対応ができないというのが単純な理由としてはございます。

それから、特殊技術が必要なケースであったり、事故であるとか災害になれば、そのときにはまずはすぐに対応しなければならないということもございますし、そのような理由によるものです。

○古城座長 13ページ、25年から27年で丸めて32%と言っているのですけれども、この3年間の趨勢も知りたいので、割るとどういうことになりますか。

○北海道電力(株)上野執行役員工務部長 25年度が38%、26年度が28.6%、27年度が28.9%になります。その時々で発注する中身も違うものですから、競争発注に移行できるもの、なかなか難しいものがございまして、結構ばらつきがあるものとなってございます。

○古城座長 わかりました。どうぞ。

○中国電力(株)福島執行役員流通事業本部副本部長兼総括部長 中国電力からお答えさせていただきます。

当社に関しましていいますと、競争を導入しようとしても実質的な競争相手がいないなど、必ずしも他の電力会社と同様な調達環境にあるとは言えず、単純な比較はできないと考えております。

例えば、配電線の外線工事などにつきましては、当社では1社が非常に大きなシェアを占めております。そういったところがございますので、そういったところにおきまして、先ほど御説明させていただきましたコストオン方式等を採用しまして、できるだけ効率化を図れるような取り組みを行っております。

また、事故時の復旧等に必要な施工力の確保ということで、特に送電線の工事等におきましては、高所作業員の確保ということで、そういった必要な施工力を確保するために、一定の工事額までは特命発注するということをしながら、施工力の確保に努めているといったところもございまして、一概になかなか競争発注比率だけを高めることにはならないという事情がございます。

○安田委員 ありがとうございました。

特に特殊な技術が必要であるということは、私自身もエンジニアですので、十分理解しておりますが、一方で、両者の資料でございますように、仕様の緩和や汎用化といった御努力もされていると思いますが、今後の数年後の見通し、例えば2年や4年レベルの見通しで、競争発注比率というのはどの程度まで増加できるとお考えでしょうか。特に技術の汎用化などの観点から。

○古城座長 お願いいたします。

○北海道電力(株)上野執行役員工務部長 申し訳ございません。将来的な見通しにつきましては、現時点で持ち合わせてございませんが、現時点で言えるのは、効率化、競争発注の拡大に向けてさらに汎用化できないかどうかという観点等を含めまして、今後、引き続き努力はしていきたいと考えております。

○中国電力(株)福島執行役員流通事業本部副本部長兼総括部長 中国電力も同じでございます。今後、競争発注比率の拡大、さらにはVE提案方式の導入拡大など、実質的な効率性につながるような取り組みを進めてまいりたいと思っております。

○安田委員 最後に1点だけよろしいでしょうか。

あとは、競争発注が難しい点として、地理的な要因とかも挙げられるかと思いますが、地理や気候上の問題ですね。その辺に関して特に各会社様で御留意すべき点、あるいはそれをさらに競争発注率を上げる工夫などがございましたら、お教えいただければと思います。

○北海道電力(株)上野執行役員工務部長 地域的な話として、難しさは、先ほど中国さんも言われた内容と同じような話でございますが、北海道内への納入、工事ということになりますと、取引先が限られたような状況もございます。

○安田委員 気候的な環境というよりは経済的な市場環境と捉えたほうがよろしいでしょうかね。北海道を取り巻く市場環境。

○北海道電力(株)上野執行役員工務部長 市場環境の関係で。

○安田委員 労働環境とか。

○北海道電力(株)上野執行役員工務部長 そういう面で、北海道で発注しなければならないということですか。

○安田委員 特に質問を限定しておりませんので、例えば寒冷地気候とかもそうですし、北海道特有の労働市場環境とか、そういうところ、何でも結構なのですけれども、特殊性とそれに対する改善。

○北海道電力(株)上野執行役員工務部長 北海道でいいますと、これはなかなか競争が難しいという観点の話になるのですけれども、事故発生時の緊急対応ですとか、日常のメンテナンス対応という観点を含めますと、何かあったときに本州から全部という話にはなりませんので、そういう面では、ある程度は北海道の事業者で対応していかざるを得ないとか、そういう観点はございます。

○中国電力(株)福島執行役員流通事業本部副本部長兼総括部長 中国電力も同じでございます。先ほどちょっと御説明させていただきました、災害とか事故が発生したときに、初動対応というのは地域の中におられる施工業者さんでないと対応できないといった観点から、地域内の施工業者を、施工力をある程度確保するという取り組みも必要だと考えておりまして、そういったところを一定程度は競争発注ではなくて、特命発注という形で施工力を確保するような取り組みを行っているところがございます。

○安田委員 ありがとうございました。

○古城座長 ちょっと関連するのですけれども、競争発注比率というのは御社2社共30%ということですけれども、一番進んでいる東京電力が60%に近いのですが、東京電力みたいにできない理由というのを説明いただくと具体的になるのですが。

○北海道電力(株)上野執行役員工務部長 東京さんとの比較という観点ではなかなか申し上げづらいのですけれども、私どもとしては、先ほど言ったような理由等々の条件を勘案しまして、やれる範囲で最大限ということで取り組んできたのが、現状ではあの数字だとしか今のところは申し上げようがないのです。

○中国電力(株)福島執行役員流通事業本部副本部長兼総括部長 中国も同じでございます。先ほど御説明させていただきました、競争しようにも実質的な競争相手がいない、こういったところは東京電力さんみたいな大きな地域、大都市圏とはちょっと異なる環境条件かなと思っております。

○古城座長 ありがとうございます。

それでは、次に、蟹瀬委員、どうぞ。

○蟹瀬委員 3社の方に御質問ですが、大変努力をしていただいていて、ありがとうございます。引き続きよろしくお願いいたします。

競争発注で入札ということがたくさん起こってきているかと思いますが、入札に関して、この取り組みを推進するために純粋なる第三者機関による、純粋なるとわざと言っているのですが、第三者機関というのは大体純粋なるということがあるが、関係者を入れて第三者機関ではなく、第三者機関が監視・評価をする仕組みを導入なさっているのか、あるいは、今後導入なさる予定があるのかどうか、お聞かせいただけますでしょうか。

○古城座長 東京電力、北海道電力、中国電力の順にお答えください。

○東京電力パワーグリッド(株)新宅常務取締役 ありがとうございます。東京電力です。

今、御定義いただいた純粋なるという意味で、本来そうあるべきというのがあろうかと思いますが、先ほどスマートメーターのところで申し上げましたように、スペックの段階から幾つかの段階を経ている中で、どこの時点でどう第三者の方にすっとお渡しをして、ピュアに手続等を判断いただくというのが、まだ整理はし切れていないところです。その意味では、外部専門家の方の知見をお尋ねしたり、私どもと一緒になってというのは幾つかございますけれども、今、先生に御指摘いただいたような、完全にプロセスを分けて第三者の方にお願いをして、そこから来たものがというステップのところまではまだやれていない状況です。

○蟹瀬委員 入札に関しては。

○東京電力パワーグリッド(株)新宅常務取締役 入札につきましても、機器のそれぞれに従って各お取引先の状況等も反映して、登録をしていただき、その中で出していただくというのはございますけれども、あとは淡々とやっているという意味では、準第三者と申しますか。なので、大体年度のところで、この時期の問題もございますけれども、すべからくこのリストをまずは出して、これに先ほどの北海道さん、中国さんではないですけれども、弊社の場合は物量が多いのと、それぞれのところのいろいろなパターンのところにちょっと入ってみようという方が多い結果が何となく65%というのはいけていると思うのですけれども、あとは膨大なところを淡々と処理しているというのが実態でございます。もちろん特殊機器等々はございます。

○北海道電力(株)上野執行役員工務部長 弊社につきましても、先ほど第三者の方からの監視・評価というと、かなりきつい言葉ですけれども、全体的には弊社も調達検討委員会がありまして、全体の調達計画、実績等につきまして、外部専門家の方から検証していただいた上でアドバイスをいただいております。

○中国電力(株)瀧本執行役員経営企画部門経営計画部長 中国電力でございます。

同じでございますけれども、中を進める体制としてはそういうことでございますが、実際の入札に当たっていかがかという御視点かなとも思いましたが、そういった入札の一種の透明性とか、そういうことにつきましては、株式会社の中の規律といいますか、しっかり内部監査、外部の監査含めて対応していると思っておりまして、現時点で第三者的な純粋なものを入れて、入札そのものを何かしようということは考えてございません。

それから、入札ももちろんそうでございますけれども、最終的にはコストダウンといいますか、効率化成果を、今回は規制料金ということで、その中で反映していくということでございます。我々としては、託送料金のほうを審査していただいておりますし、競争発注も効率化の手段の一つと考えてございますが、競争発注に限らず、それ以外にも、先ほど申しましたように、VE方式ですとか、いろいろな形でのコストダウンを図って、料金のほうに反映してまいりたいと思ってございます。ここらあたりにつきましては、国の審査のほうでしっかり見ていただいておるかなと思っておりまして、これもいわゆる我々とは全く違う立場の第三者という目でしっかりと見ていただいているものと思っているところでございます。

以上でございます。

○古城座長 古賀委員、どうぞ。

○古賀委員 ありがとうございました。

東京電力さんにお尋ねしたいのですが、いただいた資料の5ページで、競争調達が2015年は65%まで達成されたという御報告もいただいたのですが、全体の額が2010年に比べてどれぐらい増えているのかということと、現在の調達関連の子会社とか、グループ会社の割合というのも教えていただけますでしょうか。

○東京電力パワーグリッド(株)新宅常務取締役 大体役務と資材の調達全体で年度によって変化しますけれども、委託等も含めて1兆円前後となっております。このうちの額ベースで3分の2と御理解いただければと思います。

2点目が。

○古賀委員 子会社、グループ会社の割合。

○東京電力パワーグリッド(株)新宅常務取締役 今、手元に持っていないのですけれども、その結果としてですと、7割方は関係ない外の方が取られています。3割から4割ぐらいが子会社、グループ会社が落としているという状況でございます。

○古賀委員 済みません、追加で、競争調達比率拡大に向けた取り組みというので、入札参入を徹底的にやられているのかなと思うのですが、その他にも特にこういったことが競争入札向上に役立ったということがありましたら、お取り組みを教えてください。

○東京電力パワーグリッド(株)新宅常務取締役 その他に、もとのスペックのところをどのように、汎用品などもそうなのですけれども、従来、独自仕様としていたものを、先生方の力も借りながら、こういうことでいいのではないかといって、より市場が広がりやすいものに務めているというところが一つございます。

実際、今までお取引がなかったような会社様を含めて、お声がけは様々な形でさせていただいておりますので、具体的にそれはどういう動きとどう結びついたというのは全然分析できていない状況なのですけれども、入ってこられる市場としてのアピールではないのですけれども、いろいろな門戸をどの程度広げられるかという話と、実際に技能、技術を含めた機器類、委託、こういったものについてのことをどれ程できるかということを、いろいろな形で組み合わせているところと認識しております。

逆に言うと、その結果ではないのですけれども、入ってこられたのだけれども、その後ちょっとさすがにという委託経営があったり、そこは行きつ戻りつしながらのところは正直ございます。全てがうまくいっているわけではなくて、様々な形で戻って、今度はこうしようというような形が、プロ集団の場合には安心できるところは正直ございますし、そのかわり、こういうスペックであれば他の今までは経験がなかった方でもできるのではないかというところもございますし、そこは見ながらというところが正直ございます。

○古城座長 陶山委員、どうぞ。

○陶山委員 東京電力さんにお伺いしたいと思います。

同じ5枚目のスライドですが、料金査定のときに約束した60%達成ということなので、この目標を置いたことが競争調達の比率を拡大していくエンジンになったということも非常にあるだろうと思います。

御社の特殊な事情も考えれば、さらに比率を上げていくということについて、目標なりを持たれて進めていらっしゃるかどうか、そこをお伺いしたいと思います。

○東京電力パワーグリッド(株)新宅常務取締役 現時点においては、毎年度、この60%というのが元々あって、それがいろいろな取り組みも含めまして、1年前倒しで達成できたわけですけれども、そこの限界がどこにあるのかというところは、形と、先程来あるような工事力、施工力の確保という面での一定のベースはどこかでは必要かなと思ったりもしております。

従って、毎年見ながら、改めてということをやっておりまして、少しそうした分析的な話もしていかないといけないなというのが正直思っているところです。今は取り組みによって競争比率を高めようというのにまずは邁進してまいりました。そこがどの程度どうなるのかというのを見極めながら、今後を設定していかないといけないと思っています。

○陶山委員 今の時点では、中国電力さんだとか北海道電力さんがおっしゃったように、3カ年なり4カ年で目標ということは数字としては持っていらっしゃらないという理解でよろしいですか。

ありがとうございました。

○古城座長 矢野委員、どうぞ。

○矢野委員 質問数が多いのですけれども、3社全てにお願いしたいと思っております。

1点目は、競争発注率もたくさんの委員からも質問が出ましたが、いずれも今後の目標はいろいろ分析しながらということですが、今日、3社からお聞きして、それぞれの地域性も、様々な自由化の競争環境も違うということで、取り組みが違うのですが、一つには、さらに競争発注率を高めていこうという意思はおありだと思うのです。それに向けて様々、事業者側の情報交換の場みたいなものは、今日お聞きしただけでも、これはなかなかいい取り組みだなと思われているのではないかと思ったりもしているのですけれども、そういった情報交換の場とか、事例の取り組みを発表する場、電中研とかでされているのかもしれませんけれども、そういったところを積極的に活用される意思があるのかどうかが1点目です。

2点目ですが、今日、お話しいただいた資料から少し離れますが、送配電ロスについてお聞きしたいと思います。これも送配電ロスをなるべく圧縮することによって費用全体の圧縮にもつながるとは思うのですけれども、その辺の取り組みとか、今後の方策があればお聞かせ願いたいと思います。

3点目ですけれども、送配電ロスとも関連すると思いますが、需要地近接性割引について、これは制度が見直されて、ことしの4月からまた市区町村別に割り当てるように変えられたと思うのですけれども、需要地近接性割引について、それぞれの事業者のところで何かお考えがあれば、さらにそれを進めていきたいとか、独自の考えがあればお聞きしたいと思います。

最後になりますけれども、託送料金に計上されている費目は一定のルールで決められてはいますが、それぞれの事業者の方で、例えば本来は送配電部門ではなくて、発電部門とか小売部門とか、別のところで託送料金に計上されている費目を扱うべきではないかとか、もし、独自のお考えがあれば、可能な範囲でお聞かせ願いたい。

以上です。

○古城座長 順番でよろしいでしょうか。

東電。

○東京電力パワーグリッド(株)新宅常務取締役 ありがとうございます。

1点目の情報交換の場は、先生におっしゃっていただいたとおりです。ふだんのところも、例えば共同調達にしても、電線類の一部は私どもも北海道さんや東北さんとやらせていただいた経験もありますし、いろいろなところでの関わりで、様々なことがあって、先ほど申し上げましたように、自らで自分の現場のところのものを水平展開するというのに今、邁進していますけれども、他社さん、他電力さんのいろいろな取り組みももちろん参考にはさせていただいています。

調達等々の面で申せば、その情報交換の情報のところが技術、技能のところはあれなのですけれども、調達手法等々については実は半分ノウハウになると思っています。その意味では、正直、出したくない面も当然出てまいります。その中で、駆け引きをするわけではないのですけれども、それぞれで役に立ちそうなところを一生懸命集めているというのは、海外も含めて、なかなかこの手の情報は集まりにくいところも正直ございまして、そうした場合はいろいろ活用しながら引き続き努めてまいりたいというのが1点目でございます。

2点目の送配電ロスについては、今までも取り組んでまいりましたけれども、特に弊社のような場合、先ほど後ろのほうの委員会さんのほうで御用意いただいた図に、線がないのですけれども、外輪の環状系とそこから外側の線と、割と環状系でできている弊社の分と、北電さんのように札幌を中心としてぐっと広がるようなところと、中国さんのように南北で伸びているところと、それぞれ設備のいろいろな改変についてのロスの効き方というのが違うと思います。

当社の場合で申し上げますと、そういうところは結果的に技術的にいろいろな電線類とか様々なところの研究はもとより、設備をいろいろ需要の改廃によって出している中で、どのようにできていくかというところを積み上げていっているというのが正直大宗のところでございます。なので、何らか技術革新的にどんとこういうのはずっとここのところはない状態の中で、だんだん低減に努めていくということかと思っております。

それから、3番目の需要地近接性でございますが、これは私どもが託送料金設定のときに、委員会の先生方の専門会合の御意見なども頂戴しながら、ルールに従ってという形が現実的なところで、これからどういう形になっていくかというのは、また折々のところで事業者としてはどういう形をというのを考えてまいりたいというのが今のところの実情でございます。

4番目のところの、本来、発電、小売のほうでという話ですけれども、今、いろいろな低廉化につきましては、結局どれだけのものがかかっているかというのをいかに減らしていくかというほうが私どもは大事と思っていまして、その先に誰がどのようにという以前に、どこまでを全体として抑えられるかというのに邁進しているというところをまずは努めてまいりたいと思っています。その上で、いろいろな負担の考え方等々は様々な施策を含めた御議論の中で決定されていくのだろうと思っております。私どももいろいろな場は頂戴しておりますので、そういうところでその折ということになろうかと思います。

以上です。

○古城座長 お願いします。

○北海道電力(株)上野執行役員工務部長 大体東京さんがおっしゃったようなことと同じなのですけれども、調達関係につきましてはいろいろ情報交換もやらせていただいているが、全てできるかどうかといったら、全てではないというのが実態かなと、それぞれ個社ごとに考える部分があるかと思います。

送電ロスの部分につきましても同じですが、一般論としても、設備の高電圧化とか、電線を太くしたりとか、ロスの少ない機械を使うというのがあるのですけれども、それだけを目的に取り替えをやろうとすると、トータルで非常に高いものになってしまいますので、取り替えの計画があったときには、そういう観点も含めて検討して、総合的に効率的な設備形成を考えていっているところでございます。

あと、近接性割引のところにつきましても、負担と受益というところの公平性の観点からいうと、なかなか難しい問題かなと承知しているところでございます。

最後のところにつきましても、東電さんと同じようなお話もあろうかと思いますが、特に今のところ、弊社として何か考えているということはございません。

○中国電力(株)福島執行役員流通事業本部副本部長兼総括部長 中国電力でございます。

競争比率の向上に向けた情報交換の話でございますが、これにつきましては、一部の資材につきましては、他社さんと共同購買等やっておりますが、そういった資材調達スキルにつきましては、各社民間会社でございますので、個社独自でやっているというところが多いかなと思います。

一方、技術面におきましては、先ほど御説明の中でも挙げさせていただきましたポリマー碍管であるとか、診断技術といったところは、電中研さんとそういった場を利用しながら技術向上に努めているというところもございます。

それから、送配電ロスの低減につきましては、従来から高電圧化、当社でいいますと50万ボルト第2ルートの建設、配電線の2万ボルト化、そういった高電圧化によりまして、送電ロスを改善すると共に、先ほど北海道電力さんからお話がありました機器の取り替えに際して、低損失の機器を採用するという取り組みを行っております。

3番、4番につきましては、東京さん、北海道さんが御説明になられた内容と同じでございます。

○古城座長 白山委員、どうぞ。

○白山委員 3社さんにお聞きしたいのですけれども、基本的なところでございますが、競争入札比率の金額ベースのものでわかったのですが、お聞きしたいのは、例えば特命随契とか随契や一般競争入札等であっても、個々の案件ごとに個別の発注予算とか、あるいは予定価格とか、そういったものは当然設定されていると思うのですけれども、まず、設定されているかどうか。

そのデータが、例えば購買とか発注のシステム上、当然、登録されていると思うのですけれども、個々の発注案件ごとにシステム上でデータがきちっと残っているのかどうかというところの確認でございます。

東京電力さんにお伺いしたいのですが、ペーパーの中の生産性倍増委員会の目的と検討体制の目指す姿というところの一番下のところで「『総括原価方式』から完全に脱却し、高い生産性を実現することを目指し、目標設定・原価管理の仕組みを徹底的に導入」という、この「目標設定・原価管理の仕組みを徹底的に導入」という言葉と、先ほどのトヨタの様々な取り組みを参考にした改善の取り組みというところとの関係で、今後、原価計算、原価管理のあり方、原価規格とか標準原価とか、そういったシステムの導入というのは何かされていらっしゃるのかどうかというところを確認させてください。

○東京電力パワーグリッド(株)新宅常務取締役 1点目ですが、いろいろなスタイルをやらせていただいていますので、統一的に、予算上、大規模件名を含めて中心的には全部計上しますので、最初の予定価格等々はあります。ただ、どういう方式でやるかというと、同じセグメント別に事細かに全てを分けては計上しておりません。パッケージ的に予算で、自分でこの設備を調達したい、あるいはこの業務を委託したいというときに、この設備の全体で考えて予定をやるときと、ここまでをといってやるときと、一括発注がいいのか、分割発注がいいのかと同じように、様々なあれがありますので、私は細かいところまで承知していないのですけれども、あらゆるものについて統一的にすっと集約ができるような形にはなっていないのが実情だと思います。そこを小分けにしてというところまでをきれいに整理は、今はできていないと思います。

それから、2点目ですけれども、私どもの資料の目指す姿は、生産性倍増委員会は全社的にスタートしておりますから、単に私どもの送配電、系統運用者というだけではなくて、火力のほうも小売のほうもホールディングスも全部込みで、みんなこの意識でやるのだというのが、まず第一でございます。その意味での、総括原価方式から完全に脱却しという、ホールディング全体の企業としの目指す思考をこれからの競争の時代で勝ち抜いていくためにというのが、目指す姿としての意識でございます。

そのもとでの目標設定・原価管理というのは、それぞれの業態に応じての様々な事業環境がございますので、ここに応じての取り組みをお互いにそれぞれ進めているというのが実情でございます。

先生に御指摘いただいた原価管理面につきましては、分社したこともございまして、それぞれ実際どういう目標のものを設定する中で、みずからが各会社あるいは各現場までを含めて、財務3表というものを意識しながら、どういうPDCAが君たちの改善の結果が回っていくのかというのをすり込んでいくことを今、始めているところですが、なかなか難しくて、そもそも社員全体の大宗としましては、このものをうまく作りたい、このものを安価に作りたいというところに先にまず行きますので、そこの結果がどういう形で全体の原価低減等々にこう反映してくるというのは、今、それぞれに勉強しながら進めているというのが実情でございます。

○北海道電力(株)上野執行役員工務部長 1点目と2点目、発注の予算設定をしているかどうかについては、しておりまして、データについても残っております。

以上です。

○中国電力(株)福島執行役員流通事業本部副本部長兼総括部長 中国電力につきましても、特命契約につきましても、技術主管部署が予算設定をしております。これに対して、資材部門で契約の実績等をシステムに残しておりますので、そういう実績をもとに契約段階で低減するように交渉しております。そういった低減率が一般的な特命とか随意契約よりも競争発注のほうが契約段階でも下がる率が大きいということで、競争拡大に努めているというところでございます。

以上でございます。

○古城座長 長田委員、どうぞ。

○長田委員 先ほど矢野委員が、電力会社の皆さんで技術のことも含めていろいろ情報共有をというお話もありましたけれども、先ほど東電さんが御説明くださった改善の事例の中で、工事が4名体制で57分だったのが、3名体制で14分50秒、80%の短縮ということがありました。北海道電力さんも中国電力さんも、例えば事故時の人の問題とかをおっしゃっていましたけれども、コストの結構大きな部分は人というか人件費も大きいのではないかと思うのですけれども、東電さんの効率化のようなものについて、北海道さん、中国電力さんでは何かお取り組みをしておられるのか。もし、しておられなければ、しようという気持ちがあるかというのを教えていただければ。

○北海道電力(株)上野執行役員工務部長 東電さんの変圧器取り替えの効率化につきまして、ここに書いてあるような配置ですとか、配電の話であれば、工具の開発ですとか、このような形については、当社も同様の事例は行っておりますし、再エネのほうにつきまして、ちょっと中身は違うかもしれませんけれども、私どもも非常に再エネもたくさん入ってきてございますので、効率的な検討ができるように、いろいろなソフト・プログラムのようなものを取り入れて、簡単に答えが出てくるようなものを作ったりとか、通信ケーブルの工事の作業効率化につきましても、多能工化ということで、一人の人間がいろいろなことをやってということが出ており、説明されておりましたが、弊社としてもそのような取り組みを進めるところでございます。

○中国電力(株)福島執行役員流通事業本部副本部長兼総括部長 中国電力も対応の方向性につきましては同じ方向でございます。例えば鉄塔につきましても、地点が狭隘な場所ではスリム化した鉄塔を使う、腕金につきましても工夫しながら見直すという、個々の改善努力は、積み重ねながら、効率化に取り組んでいるというところは東京電力さんと同じ方向で取り組んでいるところでございます。

○長田委員 それでは、このカッター工具の新しいタイプのものは既に2社共お使いということで考えていいのでしょうか。PDカッターを、ヤットコとカッターだったものを一つの工具にするということで、大分時間的な改善になったのだと思います。

○北海道電力(株)上野執行役員工務部長 工具関係の改良とか開発ということでは、これはいろいろな面で取り組んでいますが、これと同じものを当社でやっているかといったら、これはやっておりません。

○中国電力(株)福島執行役員流通事業本部副本部長兼総括部長 中国電力も同じでございまして、これと同じようなものはございませんが、当社の中でも配電の工事、資機材を改善するようなチームがございますので、そういったところがこれ以外のものをいろいろ改善して、効率化に取り組んでいるところでございます。

○古城座長 次、太田委員、どうぞ。

○太田委員 これは座長に確認なのですが、本日お話をいただいた原価低減、コスト削減の話が中心なのか、その他の会計的なものも問題ないですか。

○古城座長 その他も結構です。

○太田委員 では、幾つかお伺いしたいのですけれども、まず、最初、特命発注等々、競争入札ではないものというのは、予定価格はどう決められていて、先ほど白山委員からあった話と近いのですが、それを下げる仕組みというのはどうなっているのでしょう。基本的には言い値なのでしょうか。これは一般的には、一品ものの取引、国の場合であれば、原価計算を積み上げて、費目で幾らになるはずだと、あるいは、ちょうど総括原価方式のように事業報酬まで考えて、幾らになるはずだと。実際、その原価計算のとおりに計算されているかどうかチェックを入れる。原価換算を入れるというのは国の場合はするわけですけれども、民間ですので、そこまでされているのか。もし、そうでないとしたら、予定価格、発注先のコスト削減をする仕組みはどのように確保されているのかという点について、まず、お伺いさせてください。

○古城座長 3社ですね。

○東京電力パワーグリッド(株)新宅常務取締役 東京電力から。

御指摘のとおりで、特命発注でということは、ある程度の専門的な、特殊な形のものになりますので、そのスペックのところを含めてこれぐらいだろうなという予算は当然出ています。それに対して、ターゲットプライス的なところを他のものも意識して、これぐらい下げられるのではないかという形での予算立てをすること、それから、実際にお取引先様、メーカー様等々との中で、スペックなどを詰めていく中で、ここがこうできないのかといった、査定と申し上げるのも何なのですが、査定ももちろんやりますし、そういったところで極力の最大限の落としを検討しているというのが今の実情です。

その結果が、ぎちぎちに掘り込んでいるものと我々としては思っていますけれども、市場で見たときにどうなのかというところを含めてのところは、その後の検討なり分析が必要になろうかと思っています。

○北海道電力(株)上野執行役員工務部長 私どもは大体同じような形でございますけれども、それぞれこれまでの実績、市況等々を確認しながら、予算を設定していき、個別に先方と交渉しながら価格値下げを交渉して、発注額を決めていくという形でございます。

○中国電力(株)福島執行役員流通事業本部副本部長兼総括部長 中国電力も同じでございます。特命工事等につきましても、技術主管部門がこれまでの実績等によります標準単価、積算体系によりまして積算しまして、それに対して見積先のほうから出てきた見積もりに対して資材部門でそれを査定するという行為を行っているというところでございます。

○太田委員 その資材価格あるいは見積の方式というのは、各社で情報共有されていたり、ルールが明確になっていたりということはないですか。

○東京電力パワーグリッド(株)新宅常務取締役 基本的には恐らくないと思います。

例えばこれぐらいの水準をと求めるときに、部材を含めてどういう市況をどの程度自分で勘案しながら、これぐらいはいけるのではないかという見方、これは発注のところでのノウハウの一つの手だてだと思っています。それが難しいときに、別の発注の仕方や何かをどう組み合わせることができるかというのをまた開発していかなればいけないのが私どもだと思っていまして、その意味では、逆に言うと、発注先に対してなるべく早目にこういうスペックでやれば私も何とかできるのだけれどもというのが協議としてさせていただけるようなスパンをどれぐらい稼げるかというのも一つ、価値のものとして生じてきているのかなというのが実情でございます。

その意味では、この間うちはこうだったけれどもというのは、いろいろな仕上がりの中では推察はしてまいりますけれども、直接的にこれぐらい下がったどうのこうのという情報交換はさせていただかないのが基本になっております。

○太田委員 わかりました。

それでは、本日、プレゼンテーションでお話がありませんでしたけれども、会計的なお話を幾つか伺いたいと思うのですが、各部門に分けるときの直課比率というのはどれぐらいでしょうか。直課されているものと間接的に配賦されているものの比率というのをまず教えていただけますか。

○東京電力パワーグリッド(株)新宅常務取締役 原価上ということでよろしいですか。

全体の原価で見ますと、いわゆる一般管理費と保留原価相当というのははなから間接的なところですが、それ以外のものについては基本的にはほとんど直課という形になっております。

残りの部分についても直課できるものは直課するという形でとっておりますので、今、手元に持っていないので、記憶していなくて申しわけございません。大宗のところは、原則は直課を目指しておりますし、私どもの場合などだとさらに分社化によってもう少し、管理部門が今度はネットワークのところにも入りますし、ホールディングスで全体としていろいろな事務用品や何かの処理をしているカンパニーもございますけれども、その意味では、さらに直課比率は高まるということになっています。

○北海道電力(株)上野執行役員工務部長 基本的な考え方は今、東京さんからお話があったとおりで、直課にできるものは直課ということですが、申し訳ございませんが、データは持ち合わせておりません。

○中国電力(株)瀧本執行役員経営企画部門経営計画部長 中国電力でございます。

同様でございます。

○太田委員 基本的には一般管理費と保留原価だけが配賦するもので、あとは基本全部直課と、割に無理に直課に寄せているという理解でよろしいですか。

○東京電力パワーグリッド(株)新宅常務取締役 元々が電気事業会計規則の中で、かなり細かく何部門にということが費目ごとに決められておりますので、その結果として、業務所管の組織もできているといったらあれなのですけれども、逆に言うと、多能工化が進むとそこをどうやって分けるのかというのは、またいろいろ手間が増えていくことにはなろうかと思っております。

○太田委員 では、あとは現状の配賦の2:1:1で配賦されると思うのですけれども、それに対して現状に合っていない、使い勝手が悪いという御感想はお持ちなのでしょうか。イメージとしては、分けるとすると、低圧のほうに費用が多目に行くというイメージなのですが、意図的に電力会社さんが寄せているということではなくて、ルールがそうなっているということだと思うのですが、何かこれは現状に合っていないという感覚があれば、教えてください。

○東京電力パワーグリッド(株)新宅常務取締役 私ども、託送の話から申し上げますと、まさに先生がおっしゃったとおり、ルールとして決まっているもので、これに何がということはないと思っておりますので、それが全体として今までの総括原価としての配分ルールの仕方として決まっている。その中で、系統運用者としてはどういう形でより低廉なものを目指していけるかということであって、先ほど申し上げたとおり、低圧のお客様と特高のお客様をこのようにというよりも、その全体をどうやってものの値段として下げていけるかというほうに、まずは努めるべきだと思っております。

○北海道電力(株)上野執行役員工務部長 当社も同様でございます。

○中国電力(株)福島執行役員流通事業本部副本部長兼総括部長 当社も同様でございます。

○古城座長 適切なルールを決めてくれということで。

○太田委員 例えば間接配賦は一つのドライバーでえいやと分けるわけですが、それより前の段階では、ABCでかなり精緻にされているわけですね。それは、その後のほうも精緻にやったほうが実情に合うのにということはないですか。

○東京電力パワーグリッド(株)新宅常務取締役 済みません、ABCで。

○太田委員 項目、費目ごとに、特別なルールを各社さん設定されて、より精緻にやっていらっしゃる部分があって、でも、最後の分けるところは2:1:1でやってしまうとすると、最後のところまで精緻にやったほうが、実際、費目ごとに何に依存するか決まるわけです。電力の需要量によって決まる費目と、ピーク時のもので決まるものと、項目によって恐らく性格は違うと思うのですのですけれども、それは各費目ごとに分けて計算したほうが、より精緻な配賦ができるのではないかとお考えではないですか。ルール上そうなっていないというということですが。

○東京電力パワーグリッド(株)新宅常務取締役 そこは端的に申し上げますと、高さとしての設備を作らなければいけないキロワットとしての分け方の話と、お使いになる量としてキロワットアワーが、固定費と可変費というところに結びついていて、先生がおっしゃったように、今のルールの考え方からすると、費目別に前の段階で分けたとしても、恐らく同じ指標を流用して、電圧別に分けることになるのではないかと思っております。前の段階に分けたときに、この何%は固定費の配賦ルールに従った2:1:1で、この何%は可変費にというのをもうちょっと細か目にやるかどうかというのがルールとしての御判断というところはあろうかと思います。

○古城座長 それでは、井手委員、どうぞ。

○井手座長代理 ありがとうございます。

東京電力さんとか北海道電力さんにお伺いしたいのですけれども、東京電力はかなり効率化をやっているということですが、今回の低圧の検討のときに、高い、低いという話も出ているわけです。報道によっては、首都圏と関西圏で新規参入者がたくさん出ているのですけれども、関西電力に比べると、託送料金というのが東京電力は1円もいかないですが、60銭か70銭ぐらい高い。これをどのように説明されるのでしょうか。というのは、これは北海道電力も地域的なものもあるかもしれませんけれども、他の電力会社に比べると、若干高いという感じを持つのですけれども、そのときの説明はどのようにするのか。

それから、もし、技術革新というのがそれほど、送電線ロス等々で技術革新があれば、そこのところでまた安くなる可能性もあるし、効率化を進めれば安くなる可能性もあると思いますけれども、将来的にこれを安くする方向というのはどういうことが考えられるのかというのを教えていただきたい。

○古城座長 今のは東京電力への質問ですね。お願いします。

○東京電力パワーグリッド(株)新宅常務取締役 例えば本日頂戴しています参考資料集最後につけていただいているものの一番最後に参考資料5として「電力会社の託送料金単価」というのがございますけれども、今、先生の御指摘にございました低圧のところで見ると、私どものところで8.57、御紹介いただきました関西電力さんのところでこれぐらいと、こんなところがございます。

ただ、その中で、これは実際にお使いいただいている方の利用形態等を含めて、全体としての仕上がりでございますので、ある設備のところでの格差が当然ございます。それは、地中比率であったり、何であったり、低圧はあれですけれども、特高、高圧の分が掛かってまいりますので、そういったところの差、実際のいろいろな設備形成の差、これは言及できるところはもちろんしていかなければいけないところなのですけれども、それに加えて、需要としての、仕上がりで、この単価になるときの負荷率等々の差というのが生じてまいります。そこは、モデル的にいろいろな実際の改定をさせていただくときには、御紹介するようなこともございますし、一概にこれだけで60銭、70銭ということではなくて、それぞれができる、先ほど申し上げましたような取り組みをとにかく進めていくというのがまず第一義と思っております。

○井手座長代理 なかなかそれでは理解するのが難しいというか、もう少しわかりやすく説明というのは難しいでしょうか。

○東京電力パワーグリッド(株)新宅常務取締役 例えばこの託送料金のところが二部料金制のもとで、端的に言うと、高圧でも特高でもそうですけれども、ベースでずっと使う方と、ある一日だけ使う方によって、これは仕上がりのキロワットアワー当たりの単価でございますので、8,760時間のうち1時間しか使わない方が系統を御利用になったというのが仮にあったとしますと、1キロワットの単価だけをそのままボンと御負担いただくことになります。これは1キロワットアワーで年間の基本料金を全部割ることになりますので、単価としてはべらぼうになります。

○古城座長 おっしゃっているのは、標準利用者を前提とするとこんなに高くないとおっしゃりたいのですか。

○東京電力パワーグリッド(株)新宅常務取締役 そこはまた変わってまいりますので、ここまでの形にはならないかと思います。もちろん、大前提としての設備や何かの違いはございます。

○北海道電力(株)上野執行役員工務部長 各社の供給区域における需要規模ですとか需要構成、需要密度などの違いによりまして、設備形成に当たるコストというのがどうしても変わっているものですから、そういう面では、北海道につきましては、先程来御説明させていただきました、広大過疎ですとか、積雪寒冷のために少し設備が高上がりになるようなところもございます。そういうものが影響しているは思ってございます。ただ、自由化の前からそれでよいと思ってやってきたわけではございませんので、他の会社さんに負けないような形で、引き続き効率化等に取り組んで、託送料金の低減に努めてまいりたいと思ってございます。

○井手座長代理 今、東京パワーグリッドのほうから御説明があった、前のところに地中化率というのが出ていますけれども、地中化率が高いと、託送料金が高いという因果関係を見ると、今後、東京ではさらに地中化率を進めるという小池百合子さんのあれ、そういうことを考えると、今後も下がらないで高くなると、因果関係というのは、一般的に考えると明確にあると思うのですけれども、その点。

○東京電力パワーグリッド(株)新宅常務取締役 私ども、従来より、相対的に高いところはというと、とかく地中化率を引き合いに出させていただいたのがこの20年来でございますので、その意味では、相関としてはあると思っております。

ただ、様々な技術を含めてのところで、どういう形での系統を作っていくかというのはかなり今、全体としてインフラをどうしていくかというところにも直面しておりますので、そうした中で、いろいろな形を考えていくのが逆に必要かなと思っております。

○古城座長 よろしいでしょうか。

陶山委員、どうぞ。

○陶山委員 消費者に対する情報提供あるいは情報開示に関連して、3社にお伺いをしたいと思います。

今回、自由化されて、ただ、託送料金のところは規制料金として残りました。これに関する情報なりその全体的な構造を理解するのは非常に骨が折れると思います。複雑で、非常に専門的なのですけれども、規制料金であるということ、料金の中の3割から4割をこの託送料が占めるということで、ここは消費者に対してもしっかり説明をしていただきたいし、関心も持っているところだと思います。

それぞれ3社に、どのような努力と具体的な施策をこれからしていかれるか、あるいはもうしていらっしゃるかということをお伺いしたいと思います。

例えば今回、託送料を申請されまして、査定をされたわけですね。一定減額をされて、これぐらいに下がりましたということは出てくるのですけれども、それぞれの人件費なり燃料費なり、そういったところの個別の項目についても、こういった理由でこれこれについて申請の料金よりは安くなってきましたというような、少し踏み込んだような情報についても、わかりやすく説明していただければ、全体的な理解につながるし、将来的な消費者の意見についても色々積極的に上がってきて、消費者の参画といったものもそこに発生してくると思います。例えばということではありますけれども、消費者に対しての情報開示をどのように進めていかれるかということについて、お伺いできればと思います。

○東京電力パワーグリッド(株)新宅常務取締役 御指摘いただきましたとおり、なかなか御理解を得ることが難しいのが実情としてはございまして、私どもも申請あるいは査定のときに、もちろんプレス等々を含めてホームページや何かでは載せさせていただいておりますけれども、無味乾燥な表として人件費幾ら、こういう形にどうしてもなってしまっているのが現状でございます。

これに対して、いろいろな御利用者様からお問い合わせを頂戴したときは、そこに対しての御説明をさせていただくのですけれども、なので、実際の託送料金として御利用になられる事業者様からは比較的細かな御質問を受けたりもしますけれども、これからさらにそうしたところでどういう形でというのは、ちょっとここでこうやってというのは持ち合わせたおりませんが、常日ごろそこがわかりにくいというのは、お声は頂戴しておりますので、様々な場で、例えばこういう今日いただいた場もそうですし、いろいろなところで皆様がご覧いただけるような場を幾つも持っていくことがまずは必要かなと思っております。

分社化で、それぞれがホームページとして分化はしていきましたので、その中でも当然書かせていただいておりますし、そうしたところで、視覚的な工夫というのもあわせて進めまいりたいと思っております。

○北海道電力(株)上野執行役員工務部長 私どもは、ホームページにはいろいろ原価の内訳とか、託送収支につきましては以前から収支を毎年毎年公表させていただいていたり、ある程度中身を公表したりしておりますので、確認はできると思うのですが、おっしゃられたとおり、非常に中身が難しい内容になってございますので、引き続きわかりやすい情報発信を努めてまいりたいと思います。

○中国電力(株)瀧本執行役員経営企画部門経営計画部長 中国でございます。

同様でございまして、これからもわかりやすい情報発信に努めてまいりたいと思いますけれども、例えば今日、各社説明しましたような事例といいますか、これも比較的、そうだったのかと思っていただけるようなものもあったのではないかと思います。こういったもので、これはわかりやすかったということがあれば、またアドバイスをいただければ、参考になろうかと思います。

○陶山委員 消費者としては、そういった各社の御努力がいかに電気料金の低廉化につながっていくかというところが、関心事になっていくかと思います。当然、安ければいいということではなく、社会的なインフラとして重要なものですから、そこをしっかり伝えていただければと思いますが、各世代、いろいろメディアが違いますので、いろいろな世代にわかりやすくということで、ぜひともよろしくお願いしたいと思います。

○古城座長 次、古賀委員です。

時間がそろそろ押しておりますので、今、挙げられている方を最後に、新規の質問は御遠慮いただきたいと思います。

○古賀委員 間接費として配賦されている保留原価がいつも気になってしまうのですけれども、法21条関連の電気事業雑収益というのが保留原価の一つにあるのですが、この電気事業雑収益というのが、要するに、託送料の関連でどういった内容でどれぐらいの金額かというのを、各電力会社さんで、大ざっぱなところでよろしいので、教えていただけますでしょうか。

○東京電力パワーグリッド(株)新宅常務取締役 済みません、ちょっと今、手元に具体的なところを持ち合わせていないのですけれども、比率としては、保留原価でいくと電促税が大半でございますので、雑収のところについてはほとんどウエート的には少ないと考えております。

原則のところの外側の、例えば契約をこれで、何キロで御契約いただいたのだけれども、契約よりお使いになられていて、これが超過したときに契約超過金を申し受けますけれども、そういうものであったり、受託工事費であったりというところなどなどでございますので、保留原価全体に占める割合としては、1割いかないと思います。

具体的な数字を持ち合わせていなくて申しわけございません。

○古賀委員 超過金が主なものと考えてよろしいのでしょうか。

後日わかったら教えてください。

○北海道電力(株)上野執行役員工務部長 全体で言えば、本当にわずかな部分になるのかと思いますが、今、データが手元になくはっきりいたしません。

○中国電力(株)瀧本執行役員経営企画部門経営計画部長 同様でございます。

○古城座長 後で、追加で説明資料をお願いいたします。

矢野委員、どうぞ。

○矢野委員 2点程、簡単な質問ですけれども、1つ目は、先ほど陶山委員から出た消費者への情報提供なのですが、託送料金そのものを、東京電力さんのほうは具体的にはカスタマーサービス・カンパニーさんの範疇かなとは思うのですが、電気料金の明細書の裏側の新たに託送料金が明記されたと、これはこの調査会自体が設置されたときに、冒頭、河野大臣からの御挨拶の中でも実際に明細表で紹介されましたけれども、それが北海道電力さんと中国電力さんはそういったものが明細表に明示されているのかどうか、それをお聞きしたいのが1点目。それは2つの事業者。

2点目ですけれども、今日、消費者庁が作成した参考資料集の4ページに、託送料金の推移ということで、特別高圧と高圧は推移が出ているのですが、次のページかなと思ったら、一番関心のある低圧のところがないのです。これは3事業者のところで、3事業者に限らずなのですけれども、データを提供していただけるのかどうか、その辺を。

以上です。

○東京電力パワーグリッド(株)新宅常務取締役 先に2点目のところでございますが、低圧の託送料金というのは今回、初めてセットしたものですから、こういう形での表には恐らくされていないのではないかと思います。元々昨年、託送料を設置したときは、仮に今までの前回のものから推計するとこれぐらいだというのは委員会のほうで出されています。その時点のものはございますけれども、こういった形の推移のものはございませんので、多分、そういうことだと理解しております。

○北海道電力(株)上野執行役員工務部長 先ほどの検針票への託送料金については弊社も記載してございます。

低圧料金につきましても東京電力と同じです。

○中国電力(株)福島執行役員流通事業本部副本部長兼総括部長 中国電力でございますが、当社も、記載しております。

○古城座長 最後に、わかれば教えていただきたいと思うのですけれども、東京電力はコスト削減超過達成なさいましたね。当初の料金査定のときのコスト削減額より積みましてコスト削減額をして燃料費が増えた部分を相殺なさったということで、それは大変な御努力だったと思うのですけれども、そのコスト削減の内訳なのですが、送電部門とそれ以外の部門とで割りますと、それぞれどれぐらいになるのかということを教えていただきたいのです。今、わからなかったら後で、追加で教えていただきたいのですが。

○東京電力パワーグリッド(株)新宅常務取締役 いろんな形での、先ほど御説明させていただいたようなものが、ホールディング内全体でやっていまして、大まかなものを、これは明らかに送電の分、これは明らかに配電の分というのがございますけれども、実はその原価的な意味合いで細かくは分けておりません。それが原価上どうなるかというのは作っていないものですから、粗々のイメージ的にこれぐらいを占めるというのはお出しできるところはあるかもしれませんけれども、数字としては作っていないものですから、そこは御相談を。

○古城座長 それでは、皆さん、いろいろ伺いたいことがあるかと思いますけれども、時間が押しておりますので、以上にさせていただきたいと思います。

あと、本日、各委員から御指摘のあった事項につきまして、事務局で整理した上で、後日、文書によりデータ等の提供を依頼させていただきますので、御協力をお願いしたいと思います。

なお、私、時間を忘れて遅刻いたしまして、皆さんに大変失礼なことをいたしまして、お詫び申し上げます。どうも申しわけありませんでした。

それでは、新宅常務取締役、劉原価分析グループマネージャー、上野執行役員工務部長、小林企画部部長、福島執行役員流通事業本部副本部長兼総括部長、瀧本経営計画部長におかれましては、お忙しい中、御出席いただきまして、ありがとうございました。御礼申し上げます。

では、御退席ください。

(説明者交代)

≪3.電力託送料金の査定方法等についてのヒアリング≫

○古城座長 それでは、続きまして、先月開催の第1回「電力託送料金に関する調査会」における当調査会からの照会事項について、電力・ガス取引監視等委員会事務局の都築直史ネットワーク事業監視課長、資源エネルギー庁の小川要電力市場整備室長にお越しいただき、御説明いただきたいと思います。

御説明お願いいたします。大体20分程度でお願いいたします。

○資源エネルギー庁小川電力市場整備室長 資源エネルギー庁電力市場整備室長の小川ですけれども、お手元の資料4に沿って御説明申し上げます。

1ページ目、全部で5点に整理しております。このうち私から制度ということで1から4までのところを御説明申し上げて、最後、5ポツのところを監視委員会から御説明申し上げます。

既に幾つか、先ほどのヒアリングの質疑応答にも出てきたところでありますけれども、まず、3ページ「費用の配賦について」であります。2対1対1法を用いている経緯と理由ということで、先ほど太田委員からも御質問がありました。経緯ということでいいますと、3ページ、4ページに掲げております審議会の中間報告、相当前のものですけれども、ここにあるとおりでして、キロワットのベース、それにキロワットアワーのベースというところに加えて、昭和49年、オイルショックの直後でして、まさに大幅な電気料金値上げがなされようとするタイミングだったわけですけれども、従来のやり方が必ずしも現状に即していないということで、この抜粋の「現状と問題点」というところに掲げてありますけれども、ピーク時の需要というのも勘案しての2対1対1法を採用することになったものであります。

具体的なイメージとしましては、次の5ページ目にありますけれども、原価の算定に際して、特に固定費のところでこれらを各特別高圧、高圧、低圧と割り振っていくときの割り振りの考え方のところであります。そもそもネットワークの総原価においては、大部分、およそ8割程度は固定費になっておりまして、これらをどういう形で割り振っていくか。5ページでいいますと、固定費の中でも例えば上から大きなくくりで3つ目、固定費の中で一番下にあります低圧配電費ということであれば、これは全て低圧ということで、割り振られます。それ以外に変電費ですとか送電費につきまして、どういう形で特別高圧、高圧、低圧に割り振るのか。そのときの割り振り方として、繰り返しになりますが、単に最大需要、キロワット、あるいは今度は需要の電力量のキロワットアワーという従来の方法から、このときには加えてピーク時の需要というものを勘案しての割り振りということになりました。そういう意味で、電圧別の区分ということで、ここに3つ種類あると掲げておりますけれども、原価の大部分を占める固定費、その中でもより多くの割合を占めております送電費などにつきましては、2:1:1法が採用されたということになります。

それから、同様に、費用の配賦というところで、次、6ページ目になりますけれども、一般管理費の内訳、さらに、それを配賦するときの基準をどうしているかという御質問がありました。先ほどの質疑応答でも、どれぐらい直課の比率というお話もありましたけれども、まず、割り振る場合の基準が何かということに関しましては、7ページ目、8ページ目に具体的な項目を記してあります。そういう意味で、コストドライバーはここで省令の別表において、各費用項目に応じて詳細に定めているところであります。

戻りまして6ページ目で、そもそも一般管理費をどのように整理するのかといったときに、原則、基準は省令に定めておりまして、特定の部門に帰属させることができるものというのは、そのまま各部門区に整理することとしております。

一方で、複数にまたがるもの、具体的なものとしては、次の7ページにあります、例えば人件費とか、消耗品といったものについて、特定の部門に帰属させることができない場合には、一定の基準に従って配分するということでありまして、原則はこういう形ですけれども、事業者が届け出ることで、一部、各事業者の実情に応じた設定も可能ということになっております。

続きまして、2点目「制度変更に伴う査定について」ということで、10ページをご覧ください。

そもそも制度変更といいますのは、今回の電力システム改革で、それまで発電・送配電、小売と、いわゆる垂直一貫ということでやってきたものを、この4月の小売の全面自由化に合わせまして、各部門ごとのライセンスへということに変えました。それに伴いまして、従来であれば、部門ごとの割り振りの必要がなかったものをしっかり分ける、発電と送配電、さらに小売、ここでいいますと、特に発電と送配電の区分が必要になっているということであります。

制度変更マル1ということで、10ページにあります、一般送配電事業が、自らが維持し、運用する送電用・配電用の電気工作物ということで、定義があります。下の設備区分のイメージというところでいいますと、従来であれば、こういった発電設備は全体が発電の設備ととっていたわけですけれども、今回の制度改正に伴いまして、そのうち送配電の事業に供するものは託送のほうに区分すると。ただ、その場合にどの範囲が送配電なのかというところで、下に実際の運用といいましょうか、審査の整理が示されていますけれども、送配電に単に用いるからそれは全部託送ということではなくて、ここにあります赤で囲っている配電用の設備のみ送配電設備として整理すると。これによりまして、発電所の設備の中で、料金、送配電に必要な設備として認めるところ、その分に関しての費用を料金原価に算入することができるようにしたというのが、1点目の発電と送配電の設備区分の見直しになります。

続きまして、11ページ、12ページ、制度変更マル2とあります。これは先ほど申し上げました、電力システム改革による発電・送配電・小売という3つに分かれたことに伴うものでありまして、ここでは今度は送配電と小売の業務区分の見直しになります。

背景としましては、まさに今、申し上げた新たなライセンス制の導入に伴うことということで、具体的には、11ページの下に細かく契約受け付けのプロセス、続きまして、12ページに契約の管理、停電の周知といったような業務のプロセスが書いてあります。これらの業務について、従来であれば、送配電というところと小売・販売のところとの業務区分を必ずしも統一的に整備していなかったわけですけれども、今回、ライセンス制の導入に伴いまして、全体の業務区分を統一化しております。具体的には、この表でいいますと、最終的には一番右にあるような形で、業務区分を記しておりまして、全体的には、例えば停電の関係ですとか、まさに送配電に関連するところはネットワークということで送配電、ひいては託送料金ということでありますけれども、一番消費者に近いところ、12ページでいいますと、下のほうの集金といったところになってきますと、この辺は小売の業務ということで、送配電の業務と切り離して、これらについては託送原価の対象外という形で整理を行っております。

同じく、制度変更ということで、マル3がその次の13ページになります。離島ユニバーサルサービスの供給費であります。

一般送配電、今回のシステム改革において特に離島の需要家の保護の観点から、本土並みの料金水準で電気の供給を行うということで、その場合に、かさむコストについては、一般送配電のところで全ての需要家から広く回収するという整理がなされました。

そのイメージというのは、右下のイメージ図にありますけれども、本来であれば、供給に要する費用に見合う料金を需要家から徴収するわけですけれども、離島に関しての大きな差が出るところを、託送料金から回収するということになりました。これが託送料金の原価にところどころに出てきます発電の費用ということで、発電の費用がなぜ出てくるのか、これまでも御議論がありました。また、託送料金の水準が変わってくる一要素にはなっておりまして、離島の多い沖縄あるいは九州では、料金水準が上がる一つの要因となっております。

続きまして、14ページ、これも先ほど御議論ありました、需要地近接性評価割引でして、これについて、今回、見直しがありまして、下の表にまとめてあります、従来であれば、特別高圧、高圧に接続する電源だけでありましたが、そこに新たに低圧に接続する電源というものを加えておりますし、評価する内容あるいは対象地域の設定に関しても、先ほど御質問にありましたような形で、今回、見直しがなされております。

最後、15ページ目が調整力コストですけれども、これも今回の制度改正で、一般送配電事業者において、必要な調整力、日々の周波数の変動のところの調整の義務が送配電において行うことになりまして、その際に必要になる周波数制御などの費用を今回、調整力のコストとして新たに託送の原価で認めることになったというのが、15ページの下の表に整理しているものであります。

その他ということで、16ページに記しておりますのは、原子力に関する費用については、今回、制度的に認められているもの以外は原価への算入は認めないと、そういう審査を行っているということの御説明になります。

制度的に認められているということが、次の3ポツに関連してきます。これも御質問が第1回のときにありました、「原価に算入されている根拠について」であります。まず、18ページ目、1つ目は電源開発促進税についてであります。この電源開発促進税は、法律上、原子力に充てられるものでは必ずしもありませんで、法律の抜粋がありますが、原子力、水力、地熱等ということで、これらの全体あるいは長期固定電源と呼んでおりますけれども、そういう発電全体、安定的な電力供給に資する設備の設置を促すということで、これまた昭和49年に制定された法律であります。

この税につきましては、全ての需要家に裨益するよう、例えばこういった長期の電力供給を担う者とか、あるいは、送配電のネットワークの高度化に資するような費用といったものに充てるために、こういった税を集めることから、この利益は全ての需要家に裨益するということで、送配電の利用者全体に課すということになっておりまして、そうした古くからある考え方が、今回のシステム改革で、ここは26年の電気事業法改革法第3弾とありますが、第2弾の誤りですけれども、このシステム改革において送配電事業者ということが改めて確認されまして、その結果として託送料金を通じての課税という整理がなされております。

その次の19ページが使用済み燃料、バックエンドの過去分と呼んでいるものでありまして、これにつきましては、制度的に託送料金の仕組みを利用して回収するということになっております。これは、平成17年に再処理の費用を積み立てるということを法律的に、制度的に手当てをした際に、それまでに十分手当てされていなかったものについて、今後回収していくに際して、既発電費とありますが、それまでに発電されたものに相当するものは、それによる利益を得てきたのは全需要家であるということから、中間報告の抜粋の最後のところにありますけれども、これは全ての需要家が過去に裨益したので、自由化後に新規参入者のほうに移った需要家からも公平に負担を求めるということで、託送料金という仕組みを利用して、回収するということが決まりまして、現在、託送料金の一部に入っているものであります。

続きまして、4点目、これも先ほどやり取りがありました「保留原価について」ということで、内訳としましては、21ページに記してあるとおりです。省令に掲げているこれらの費用は、送電、配電といった各部門に直接に配分されるものではなく、ここにまとめてあるような形で各需要に応じて配分されることとなっております。

具体的なイメージが次の22ページにありますけれども、ここでいいますと、事業税の例ですが、このうち、例えば左から2番目のところで原価の比率に応じてまず配分をしている。60を3、1、2という形で割り振った後に、各需要、特別高圧、高圧、低圧といったところに配分された原価の比率に応じての配分ということをしておりまして、ここは固定費に配分された30という事業税について、青の点線で囲っているような割り振りをしております。同じように、可変費に割り振られた10、さらに需要家費に割り振られた20についても同様にして、各需要の特別高圧、高圧、低圧といった区分ごとに割り振りをしているということにしております。

続きまして、託送料金制度のあり方について、監視委員会のほうからお願いします。

○電力・ガス取引監視等委員会事務局都築ネットワーク事業監視課長 それでは、資料の24ページ以降でございます。「託送料金制度の在り方についての見直し」でございます。

背景を申し上げますと、今般の電力システム改革は、世間でも60年ぶりと評価されております。多方面にわたって事業環境、市場の仕組みが変わることとなっておりますが、自由化の状況も踏まえまして、制度はチューニングをしていかなければならないという部分も存在しているのではないかという問題意識を持っております。

そこで、法律の施行後の状況も見きわめつつ、今回の制度改正で、今後の制度課題と整理された部分も含めまして検討することとしたということでございます。

具体的には、制度設計によって様々な事業者にとっての事業であるとか投資環境に与える影響が大きいということがございまして、従って、議論の進め方としましては、各ステークホルダーの提案や実務面の課題を慎重に承っていきたいということで、これまで議論をしてきたところでございます。

視点としては、全てのネットワークの利用者にとっての公平性、広域的に望ましい設備形成の実現、競争促進、広域的な電力融通といったようなところを勘案して行ってまいっております。

スライドの24に制度設計専門会合とありますが、監視委員会の下に審議会で制度設計専門会合を、ここに書いてありますようなメンバーの方々で構成をしておりますが、そこで実際に議論を始めているということでございます。

スライドの25、具体的には、この会合は月に1回ないしは2カ月に1回ぐらいのペースで開催をしてきております。直近は、この第1回の会合の数日後だったと思いますが、先月25日においても開催されております。

ここにございますように、第1回から第6回まで計5回にわたりまして、表にございますような関係者の方々からいろいろな御発表を頂戴したところでございます。

それも踏まえまして、26ページ目以降で、まず、ヒアリングがここで一段落したということで、これまでのヒアリングの総括ということで資料を準備させていただいたものを、先月の制度設計専門会合で提示をさせていただいたものでございます。

ここにございます、26ページ目ですが、「専門会合の議論等を踏まえると、送配電事業に関して現在起きている変化と将来見込まれる変化は、事象・制度面から、大きく以下のように整理される」ということで、ここに表が書かれております。需要構造の変化、分散型電源の普及、系統混雑・市場分断の発生、それから、将来に向けてということでいきますと、高経年化設備の増加といったものが事象面としては言えるかと思います。制度的には、繰り返しますけれども、電力システム改革が段階的に実施されてきているということでございます。そういった中で、見直しの可能性ということでございます。

スライドの27、こうした環境変化に対応するような形で、左のほうの(1)から(5)というのは、右側のほうに伸びていく矢印でそれぞれ問題意識、方向性ということで、検討の方向性としては、系統を利用する利用者、小売事業者であるとか発電事業者ということになるかと思いますが、このネットワーク利用の高度化、低廉な託送サービスの実現、安定供給の確保、こういった方向性から議論を整理しております。

28ページ目は、それをブレークダウンしたものでございます。左側にマル1マル2マル3というところで、対応の方向性の先ほどの26ページの3項目を書かせていただいております。その中で、事業者等から寄せられた声を整理していくと、このようになるかと思っております。

まず、ネットワーク利用の高度化でございますが、潮流改善に資する電源立地の促進ということで、先ほども少し話題になりました需要地近接性評価割引制度というのがありますが、これ自体を今後どのようにしていくのかというところも少し関係した話でございます。

先ほどの質疑の中でも少しありました、送配電ロスの改善ということで、ロスの低減のインセンティブを一般送配電事業者に付与していくことがどうなのかということ。

会社間の連系線がありますが、連系線の容量に、ある箇所では制約が割と頻繁に発生しております。そういう中で、容量を有効活用していくための利用ルールを考えていってはどうかという話です。

それから、大きく2項目、低廉な託送サービスの実現について、料金の適正性の確保ということでございますが、原価算定期間後も託送料金の透明性・適正性を確保していくための事後評価ということで、これは既に今回の制度改革の一環として、原価乖離率の評価を入れるという措置も、今回別途講じているところでございます。これは第1回のときにも資料として少しお示しさせていただいたものでございます。

2つ目ですが、設備投資の効率化というところで、設備利用率の高い電源に対するインセンティブということになります。当然のことながら、発電設備の設備容量に対応するような形でネットワークの設備が形成されていきます。ところが、実際には発電が余りなされていないという場合には、その分だけ利用率が下がると、それも料金に与える影響も無視できないようなものになっているといったところをどう評価していくのかということでございます。

それから、3点目でございます。調整力の公募という話でございます。従来は、調整力につきましては、調整能力を持つ電源の水力、火力発電所の一定程度という形で見込んでまいったわけですけれども、これに対して、将来のリアルタイム市場の創設を念頭に、公募型の調整力の調達という形で、よりメリットオーダーとかそういうものを実現しやすい環境を作っていこうというものでございます。

最後でございますが、ネガワットの活用ということでございます。要するに、需要があれば需要の数だけ電源を立ててというのがポジのキロワットなのですけれども、それを整備していくというだけではなくて、需要側の反応も需給に組み込んでいくということが、政府でもうたわれているわけでございますけれども、こうしたことを現在の託送制度であるとか、ネットワーク事業者の調整力の確保にも反映させていこうということでございます。

具体的に、どういう方がどのように御要望等をなさっていたかということ、委員のコメントにつきましては、資料の30ページから32ページ目にかけて、個別にまとめさせていただいております。細かい説明は省略させていただきます。

説明は以上でございます。

○古城座長 ありがとうございました。

御説明いただいた内容について、御質問、御意見のある方は御発言をお願いいたします。

太田委員、どうぞ。

○太田委員 基本的には3段階に分かれていて、直課できるものは直課する。帰属というのはABCという理解でよろしいでしょうか。活動基準の原価計算では、最後の配賦の部分については2:1:1等のミックスでやっているという3段階という理解でよろしいですか。

○資源エネルギー庁小川電力市場整備室長 結構です。

○太田委員 そうしますと、恐らく配電は低圧のほうにそのまま行くものが多いだろうと思うのですが、数字を見る限り、配賦しているものに関しても何か低圧に全般に寄っているという印象があるのですけれども、今の配賦基準だと低圧に多く配賦されるという理解でよろしいですか。

○資源エネルギー庁小川電力市場整備室長 今、おっしゃっている寄っているという印象があるというのは、逆に何と比較してそのように思っておられるのかというのが、もしありましたら。

○太田委員 基準というのは例えば電力の量であるとか、そういったものと比べると、割合的に間接費の配賦は低圧に寄っているのかな。

○資源エネルギー庁小川電力市場整備室長 今、量とおっしゃるのは、例えばまさに2:1:1法とかにもかかわるわけですけれども、単純に量だったり、あるいはキロワットで見たときに結果的に低圧のほうに寄っているというのは、例えば全体のうち低圧が2、3割しか占めないのに、コストで割り振り間接費は5割、6割になっていると、イメージでいうとそういうことをおっしゃっているということですか。

○太田委員 そうですね。

○資源エネルギー庁小川電力市場整備室長 それは逆にファクトとしてそういう形で何か我々のほうで偏っているとか、そのようには見ておりませんで、むしろ冒頭にありましたような、いろいろな要素を組み合わせて現状を割り振っているということですので、これが低圧に偏っているとか、いないとか、そのようには我々は認識していないというお答えになるかと思います。

○太田委員 済みません、先ほど資料のどこかで見かけたのですけれども、その場所がわからなくなっておりまして、また確認してからお願いします。

○古城座長 その他、いかがでしょうか。

古賀委員、どうぞ。

○古賀委員 御説明ありがとうございました。

19ページの使用済燃料再処理等既発電費についてですが、平成17年、再処理積立金法で積み立てることで、なおかつ、託送料に入ることが許されているのですけれども、15年でこれが終了するはずになっていると思うのですが、それまでは託送料に入れるという前提で、その後はどうなるのですか。

○資源エネルギー庁小川電力市場整備室長 制度的には2019年度まで入れられるということで、事業者のほうで現状、それを入れているということになります。それ以後ということでいいますと、制度的にはそこの部分を入れることはできなくなるということです。

○古賀委員 途中で見直す可能性などもあるのでしょうか。取りあえずこの年までは入れることが前提だということですか。

○資源エネルギー庁小川電力市場整備室長 そうですね。既発電費とありますように、平成17年当時の時点での過去の分ですので、それを15年で均等にということでしたので、トータルが何か変わっていない限りは、15年度に終わるわけですから、それを制度的に見直してということではなくて、むしろ15年である意味不足していた分を全て需要家から回収するということになっております。

○古城座長 太田委員、どうぞ。

○太田委員 先ほど資料がわからなくなってしまったと言っていましたが、お手元にあるかどうかわかりませんけれども、私どもの手元にある3-2という資料で見ますと、販売電力量費でいうと低圧、高圧、特高が36.45、35.27、28.28ですが、2対1対1だと44.24、34.53、21.23と資料が出ていまして、これを見る限りでは2:1:1で割ると非常に低圧のほうに不利になると見えるのです。

配電の部分については、2:1:1ではなくて、低圧にそのまま行っていると理解しているのですが、すると、間接費の配賦のところでもかなり低圧のほうに寄っている。小口需要家のほうに多く配賦されていると理解したのですが、その理解で正しいですか。

○資源エネルギー庁小川電力市場整備室長 手元のおっしゃった資料がわからないのですけれども、これは先生よく御存じのように、どの方法を用いるかによって、それは当然、配賦の配分の傾きは変わっていきますが、結果的に低圧に寄っていることがあるべき姿と比べて寄り過ぎではないかという議論はなかなかできない。むしろあるべき姿が何なのかというのを考える中での現状2:1:1とかですので、先ほどおっしゃった資料3-2は電力使用量ですかね。何かと比べての偏りというのは、他の幾つか、まさに最大需要とか、ピーク時とか、そういうものの組み合わせだというのが現状の制度でして、逆に、別の制度を取ると、もちろんより高圧、特別高圧によるところもあるでしょうし、それはいずれにせよあるべき姿との比較なので、一概に偏っている、偏っていないというところはちょっとお答えできないということになります。

○太田委員 わかりました。あるべき論として言っているわけではなく、ただ単に事実の問題としてそちらに配賦が多い現状なのですねという確認なのですが。

○資源エネルギー庁小川電力市場整備室長 あるべきといいますか、まさに比較の対象との関係で今、引用されたのが、もし電力使用量との関係でいうと、ちょっと手元に数字がないですが、多分ご覧になっている数字だと、電力使用量と比べると、2:1:1を使うと、ちょっと低圧のほうに大きくなっているという御指摘なのかなと思いました。

○古城座長 補足しますと、尖頭時の電力量費というのは純然たるピーク時配賦方式ですけれども、それよりも消費者、家庭用の配賦割合が一般的には多いと。それぞれのピーク時の表を入れてきますから、そのとき、それが効いてきますから、それを言っているのだと思います。

○資源エネルギー庁小川電力市場整備室長 そういう意味では結果的に、ピークが出るときには夏のピークとかですけれども、家庭用の需要が多いので、そこの部分をどう取るか。それが入っていることで、そうではない比較と比べると、低圧により寄る方法というのは事実関係としてそのとおりだと思います。

○古城座長 陶山委員、どうぞ。

○陶山委員 使用済み核燃料の再処理費用についてお伺いします。

17年から託送料に付加されてきている、これまでやってきているので、今さら変えられないということなのですけれども、平成17年から15年で、平成31年までで、あと今年も入れて4年間ということになりますが、その費用の総額というのは、今度、小売で低圧のほうにかかってくる、低圧だけで出すのが難しければ、総額は幾らなのかを教えていただきたいということが一つです。4年分ですね。費用の金額を教えてください。

それから、今後、システム改革がこれからも進んでいくという中で、当然、システム改革が進めば、その費用の配賦もそれに合わせて変更になっていくという理解でよろしいでしょうか。

○資源エネルギー庁小川電力市場整備室長 まず、1点目の御質問は、今で言いますと託送料金の原価に含まれている金額ということかと思いますけれども、今、手元に数字は持ち合わせておりませんが、例えば河野大臣が第1回のときに御説明されましたとおり、東京電力さんであれば、そこに金額というのがありますので、それらを全部足し合わせて示してほしいということになりますか。

○陶山委員 では、足しましょう。

○資源エネルギー庁小川電力市場整備室長 いずれにしろ、手元に持ち合わせていないので、残り4年間で全部足すと幾らになるのかということでよろしいでしょうか。今、それは手元にないので、後日事務局を通じて提出するようにしたいと思います。

それから、2点目は、システム改革の中で、制度の見直しがあるのかと。

○陶山委員 システム改革の中で、今後、いろいろな広域連携とかも含めて、さらにネットワークの利用を高めていかなければいけないとか、低廉化を目指すとか、いろいろありますけれども、当然、その中で現在の費用配賦の考え方から変わってくる可能性はありますねということで、確認を。

○電力・ガス取引監視等委員会事務局都築ネットワーク事業監視課長 制度見直しの話につきましては、現時点でこういう方向性でというものがまだまとまっているわけではありませんので、私が今、予断をもって語るということは適切ではないと思っております。

費用配賦のところの話でございますけれども、例えば費用の性質として、お客様1件当たりに対して発生する費用だというところが、制度改革によって何かその性質が変わるかというと、あまり変わらないと思うのです。そういう性質のものについては変わらないと思いますので、そういう部分について、共通経費で配分が必要だということであれば、そこのところについては維持されていくということだと思いますが、そもそもそういう費用自体をどのように取り扱うのかということから議論があるのだとすれば、そういう意味では、今の段階ではあまり確定的なことを申し上げる立場にはないと思っております。

○陶山委員 よろしいですか。

例えば前回にも御質問を差し上げたのですけれども、スマートグリッドの経費について託送、送配電のところが100%持っているということで、御説明がありましたけれども、そもそもスマートメーターを入れるときに、デマンドレスポンスという大きな考え方の中で、非常に有効であるということで、コストもかけてこられたと思うのです。本当にデマンドレスポンスという制度が技術的にも含めて確立していく中では、発電部門にとってもコストを分担するだけの理由が出てくるのではないかと思っておりまして、その点を、例えばということですけれども、そういった全体の制度が変わっていく中では現在のコストの配分については変化があるのではないかと考えたわけです。

○資源エネルギー庁小川電力市場整備室長 今の御質問で、発電部門にも負担すべきものが出てくるというものがわからなかったのですけれども、今の枠組みのもとではそのような何か発電で負担すべきものが出てくるというのはにわかには想定しにくいかなと思いました。

○古城座長 よろしいですか。

安田委員、どうぞ。

○安田委員 今の陶山委員の御質問と逆になってしまうのですけれども、将来的に制度改革が進みますと、恐らくマーケットを通じた取引が活性化しますので、そういう電力情報が相当分透明化されると期待されるのではないかと思います。実際にヨーロッパやアメリカでもそういう方向で進んでおりますので、陶山委員の御質問と似た感じに戻ってきますけれども、今後、マーケット情報を活用した上で、どのように算定手法を変えていくかということに関して、何かお考えはございますでしょうか。

○電力・ガス取引監視等委員会事務局都築ネットワーク事業監視課長 御質問ありがとうございます。

今の安田委員の御指摘の点でございますが、一例を挙げて申し上げますと、調整力のコスト、要するにアンシラリーサービスコストと言われているものでございます。そこにつきましては、これまではフォワードルッキングという考え方のもとに原価算定期間における対象となるような電源、要するに、調整能力を持つ電源について見込んで、そのうちの一定程度がネットワークの調整用に用いられているという考え方で費用を見積もっているという考え方になります。

ところが、先ほども少々申し上げましたけれども、調整力の公募調達という話になると、その都度その都度今の調整力の限界的なコストというものがどのようになるのかというのが見えてまいります。これに基づいて、実際に小売事業者、発電事業者の発生したインバランスも清算していくということで、どちらかというと、実績を勘案したようなものに直されていくというのが、大体世界的な趨勢としてもそのようになっていくのではないかと思っております。

当然のことながら、例えば今、申し上げた調整力の情報につきましても、その調整力とか参加する電源を持っておられる方にも予見可能性というのが必要だと思いますし、小売事業者もインバランスとかそういうものが請求されていくのかなと観点からも、透明性というのは必要になってくると思いますので、情報公開としてのあるべき対応についても常に意識をしながら議論をしてまいりたいと考えております。

○安田委員 ありがとうございます。

○古城座長 他、いかがでしょうか。

それでは、議論は以上とさせていただきたいと思います。

都築ネットワーク事業監視課長、小川電力市場整備室長におかれましては、お忙しい中御出席いただきまして、ありがとうございました。


≪4.閉会≫

○古城座長 それでは、議論は以上といたします。

事務局から連絡事項などございますか。

○丸山参事官 本日も御熱心な御議論ありがとうございました。

今後の調査回答の日程につきましては、確定次第御連絡させていただきます。

○古城座長 それでは、本日はこれにて閉会とさせていただきます。お忙しいところ、お集まりいただきまして、ありがとうございました。

なお、私、委員の皆さん、事務局の皆さんにお詫び申し上げます。失礼いたしました。

(以上)