第33回 公共料金等専門調査会 議事録

日時

2017年4月13日(木)14:00から14:54

場所

消費者委員会会議室

出席者

【委員】
古城座長、井手座長代理、古賀委員、白山委員、陶山委員、矢野委員
【事務局】
消費者委員会 黒木事務局長、福島審議官、丸山参事官
消費者庁 福岡審議官、澤井消費者調査課長

議事次第

  1. 開会
  2. 北海道電力、東北電力、関西電力、四国電力及び九州電力による電気料金値上げ後のフォローアップに関する専門調査会意見(案)について
  3. 閉会

配布資料 (資料は全てPDF形式となります。)

≪1.開会≫

○丸山参事官 よろしいでしょうか、それでは、時間になりましたので会議を始めさせていただきたいと思います。

本日は、皆様お忙しい中お集まりいただき、ありがとうございます。ただいまから「消費者委員会第33回公共料金等専門調査会」を開催いたします。

本日は、松村委員、山内委員、消費者委員会担当委員の蟹瀬委員、長田委員が御欠席となっております。

まず、議事に入ります前に配付資料の確認をさせていただきます。

お手元の議事次第下部のほうに資料の一覧を記載しております。資料は1種類となっております。不足がございましたら、事務局までお知らせください。

なお、本日の会議につきましては公開で行います。議事録についても、後日公開することといたします。

それでは、古城座長、以後の議事進行をよろしくお願いいたします。


≪2.北海道電力、東北電力、関西電力、四国電力及び九州電力による電気料金値上げ後のフォローアップに関する専門調査会意見(案)について≫

○古城座長 それでは、議事に入らせていただきます。

本日の議題は、「北海道電力、東北電力、関西電力、四国電力及び九州電力による電気料金値上げ後のフォローアップに関する専門調査会意見について」です。前回の専門調査会では、取りまとめの意見案について様々な議論が行われました。今回は、前回の議論を踏まえた意見案の修正案について改めて議論をしたいと思います。

まずは、事務局から修正案について説明をお願いいたします。

○丸山参事官 お手元に修正したものについてお配りをしてございます。修正点を中心に説明をさせていただきたいと思います。

まず、柱書きについては、修正点はございません。

それから、「1.全体的な評価」のところでございます。

まず、【電力・ガス取引監視等委員会による事後評価】の部分でございますけれども、1つ目の「○」の2つ目のパラグラフについて修正をさせていただきました。前回の配付資料のところでは「前年の東京電力の事後検証と比較して」という記述がありましたけれども、こちらのほうは矢野委員、古賀委員から御指摘があったことを踏まえまして、「比較して」という部分については削除しつつ、それ以降ですけれども、「会合において各社の供給エリアの消費者からそれぞれ意見を求め、消費者の視点を取り入れた検証への取組を充実させている点や」という形で修正させていただきました。

それから、その下のところですけれども、矢野委員から昨年4月の消費者委員会の意見も踏まえたことについて明示的な形で盛り込むべきというお話がありましたので、その点について文言として盛り込んでございます。

それから、次の【現行料金の妥当性】の部分でございますけれども、こちらについてはかなり修正等をさせていただきましたので改めて読み上げをさせていただきます。

まず1つ目の「○」でございますけれども、「今回の事後評価の対象となる電力5社の料金原価の原価算定期間における実績値について、以下2.で述べるように、料金改定時の想定原価と比較すると、燃料費及び購入電力料が上回る一方、修繕費が下回ることによって、実績原価が想定原価に近いものとなっている例が多くみられた。燃料費及び購入電力量の増加は、原子力発電所の停止が長引き、火力による発電が増加したためであり、他方、修繕費の圧縮は、こうした燃料費や購入電力料のコスト増を相殺するために行われた修繕工事の繰延べによるところが大きい。原油価格や為替レートの変動による影響も含め、事業者の裁量の範囲を超える部分が大きいものとみられることから、現在のところ、現行の料金原価を変更するべき事情はない。」ということで、すなわち想定原価と実績の乖離の部分についてもう少し詳しく記述をしているということですとか、古賀委員からCIF価格、それから為替レート等々の変動によるということについても明示的に加えたほうがいいのではないかということも踏まえまして、こういった記述にしてございます。

それから、2つ目の「○」のところでございます。「他方、今後、原子力発電所の再稼働が進展した場合には、燃料費、購入電力料の減少が見込まれる。電力5社の料金値上げは、原子力発電所の停止によるコスト増を主な理由とするものであったことから、そのコストが縮減した場合には、原則としてコスト減に対応した値下げが行わなければならない」。こちらは、値下げが行われなければならないということについて、もう少し前回のものと比較して端的に記述をさせていただいたということでございます。

その後のパラグラフですけれども、「燃料費や購入電力料以外の項目のコスト増を理由に、料金値下げを回避したり、値下げ幅を縮小する場合には、電力会社がその理由を十分に説明すること、また、説明内容を消費者が妥当だと納得出来ることが必要である」。これは、前回の議論を踏まえて書き加えさせていただいたということでございます。

3番目の「○」のところでございますけれども、「規制部門については、燃料費や購入電力料の増加があったにもかかわらず、料金値上げの回避のため、修繕工事の繰延べ等でコスト圧縮を図ったことは理解出来る。これに対し、料金を規制されてない自由化部門においては、経営判断の結果としてコスト増に見合った値上げを回避したものと考えられる。繰り延べられた修繕工事のコストのうち、自由化部門に配賦されるべき部分は、今後の規制部門の原価算定に含められてはならない。」

次のパラグラフですけれども、「電力事業は自由化がなされたが、大口部門に比べ、規制料金が残る小口部門での競争はまだ十分ではない。大口部門のコストが規制料金に転嫁されるおそれもあり、消費者の観点から見て十分な注意が必要である」。こちらについては、前回の議論を踏まえて加えさせていただいたということでございます。

それから、次の項目2.で「個別の項目」でございますけれども、まず1つ目、【燃料費及び購入電力料】のところでございます。こちらについては、2つ目の「○」の部分について修正をさせていただいております。具体的には2文目のところでございますけれども、「これについては、電力各社において、原価算定時に想定していた原発稼働量の見込みの相違や、原子力以外の自社発電能力(火力、水力、太陽光等)の状況等の影響を受け、他社等からの購入電力料に差異が生じたことによるものである」ということで、各社の電源調達の置かれた状況が異なるという部分についてもう少し詳しく書き加えて、古賀委員などからありました意見も取り入れて修正をさせていただいております。

それから次の項目、【人件費】のところでございます。こちらは2行目でございますが、「モチベーションの維持に考慮し、」以降、「適正な人件費の支出を確保し」という部分、これは白山委員の御指摘も踏まえて挿入をさせていただきました。

次は、【修繕費】の部分でございます。

まず1つ目の「○」でございますけれども、3行目のところでございますが、「修繕工事の繰延べのうちどの程度が恒久的なものとなり、経営効率化につながるのか、現時点では定量的な把握は困難とみられるが、」という点について陶山委員の御指摘も踏まえて挿入をさせていただきました。

それから、2つ目の「○」のところでございます。こちらは「その際」の後でございますけれども、「電力の安定供給や安全確保の側面から」ということで、安定供給の趣旨については、従前はこの後のところで実は記述がございましたけれども、少し前のほうに持ってくるということとともに、安全確保という側面も重要であることから、こちらについても加えさせていただきました。

それから、それ以降でございますけれども、「繰延ベに伴う設備面のリスク判断について」以降のところ、「内部監査等を通じ」云々ということで記述を加えさせていただき、白山委員の御指摘も踏まえてこちらは記述を加えたということと、「第三者委員会などの」ということについてはそれに伴って削除し、それから「モニタリングを行うことも重要である」という形で修正をさせていただきました。

それから、3つ目の「○」です。なお書き以降のところですが、「電力各社は修繕費におけるコスト削減の見通しについて、消費者に対して更に分かりやすく」ということで、すなわち繰延べ工事の修繕費については今回電力会社のほうから明示があったわけですけれども、さらに分かりやすい情報提供が必要であるということを明確にするためにこういった形で修正をさせていただいたということでございます。

それから、その次の【利益使途】のところについては「利益の使途」ということで、本文中の用語についてはこちらの表記で統一をさせていただきました。

最後に、3.目は「今後の課題」でございます。

まず、初めの「○」のところでございますけれども、前回は「前述のとおり」ということで、電力自由化の状況についてということで前のほうに従前書かれていたものがございますが、そちらの部分が削除になったということから、改めてここのところで「昨年4月以降、電力小売全面自由化がなされ、電力各社の自由料金メニューや新電力からの供給への切り替えが進みつつあるものの、現状では既存の規制料金で電力サービスの提供を受けている消費者が相当数に上る状況にある。」ということで加えさせていただきました。

それから、その後でございますけれども、「電力・ガス取引監視等委員会は、継続的な監視を行うとともに、電気事業法に基づく料金変更認可申請命令に係る基準等に照らし、経営状況等に変化が生じた電力会社がある場合には、公開の場で状況の検証を行うべきである。」ということで、これは矢野委員から御指摘があった点を踏まえて修正させていただいたものでございます。

それから、次の「○」でございます。「また」以降でございますが、「現行の料金変更認可申請命令に係る基準については、規制部門の利益率の水準が一定の基準以内であれば命令が発動されないこととなっているが、これが実効性のある基準となっているかという観点から、今後見直しを検討すべきである。」ということで、井手座長代理や矢野委員から御指摘があった点を踏まえて挿入をさせていただきました。

それから、その次の「○」でございますけれども、「なお、今回の事後評価では上記の申請命令に係る基準には達していないものの、一部の電力会社の利益率が比較的高い水準となっている。利益率については、短期的には燃料費調整制度によるタイムラグ等の一時的な収支改善効果が影響していることから、利益率に関する的確な判断をするためには、平成28年度以降の動向も含め今後検証をする必要がある。」ということで、こちらは前回配付させていただいた資料のところでは、この趣旨について注という形で表記をさせていただきましたけれども、検証の必要性があるという意見を含むということもありますので、本文という形で改めて記述をさせていただいているということでございます。

それから、その後の「○」について変更はございません。

1行あけて次の「○」でございますが、「なお、昨年以降の事後評価の対象となっている電力各社の料金値上げは、主に東日本大震災の原子力利用率の低下を理由とするものであったため、原発再稼働の進展によりその理由が失われた際に規制料金の引下げが適切に行われるかについて、電力・ガス取引監視等委員会による適切な監視が行われることが必要である。また、消費者委員会は消費者庁とともに当該状況を注視し、必要に応じてフォローアップを行うこととしたい。」ということで、こちらについては前回の御議論でこういった趣旨のことがあったということも踏まえ、盛り込ませていただきました。

それから、さらに1行あけて「各電力会社及び電力・ガス取引監視委員会においては、料金の透明性確保のため、今回も含めた事後評価の結果について、消費者への分かりやすい情報提供を更に推進すべきである。」ということで、これも議論があったことを踏まえて「○」という形で起こさせていただいたものとなっております。

事務局からの説明は、以上です。

○古城座長 ありがとうございました。

それでは、修正案について御質問や御意見のある方は御発言をお願いいたします。

陶山委員、どうぞ。

○陶山委員 複雑な取りまとめ、ありがとうございました。

前回の調査会の最後に、事務局案として新たに出していただいたものに対して、もう一度委員から意見を出させていただくというまとめがされておりました。しかし、この案をいただいたのが昨日メールでの事前配付であり、時間的に間に合わなかったので、口頭でこの案に対して追加記載ができないかということで申し上げさせていただきたいと思います。

今から申し上げる意見につきましては、監視等委員会の御説明のときにも申し上げ、一定の受け止めもあったかと感じた内容であり、前回のこの調査会でも発言をした内容です。ちょっと読み上げる形で申し上げたいと思います。

挿入の場所としてこのあたりがいいのではないかと私が考えているのは、「3.今後の課題」のところで一連の料金変更認可申請命令の記述がずっと続きまして、「消費者基本計画では」という前あたりに挿入していただけるのがいいのではないかと思っておりますが、このような内容です。

「規制料金は総括原価方式により定められており、その原価として含まれる事業報酬額は消費者の関心の集まるところである。事業報酬額の算定根拠である自己資本報酬率と他人資本報酬率のうち、他人資本報酬率は近年下降し続けており、今回の算定期間においても実質値は算定値を下回っている。総限界の影響は大きいとは言えないものの、継続して注視する必要がある。また、適正料金の指標となり得る規制料金については、値上げ時の審査ではなく定期的な審査を行い、料金の調整、適正化を行う必要があると考えられる。」

これが1つ、私から入れていただきたいという意見です。

もう一点の意見としましては、2つ目の「個別項目」の最後あたりに入れていただいたらどうかと思っております。これは、各社のヒアリングの中でもホームページ等を使った情報提供についていろいろな努力が進められているということと、まだまださらに努力をしていただきたいということで、このようなタイトルでいかがかと思っております。

「明確で分かりやすい情報提供」という項目を【利益使途】の下あたりにつけていただいて、内容は「各社ホームページなど電気料金について分かりやすい情報提供に努めていることは評価できるが、さらに分かりやすい言葉遣い、表現方法、記事の更新など、改善の余地がある。また、消費者が最も手にする情報ツールである検針票へ燃料調整費や再エネ発電賦課金などと同様に、託送料金(過去分使用済み核燃料再処理費用、電源開発促進税なども区分して)も単価ではなく、それぞれの消費者が支払う実額の記載を進めるなどして、明確で分かりやすい情報提供に努めるよう要望する。」

以上、2点を御検討いただきたいと思います。私のほうからは、今のところ以上です。

○古城座長 陶山委員から2つ問題提起がございまして、これは検討の対象としたいと思いますが、ほかに皆さんいかがでしょうか。検討課題は、ほかに特にありませんか。

矢野委員、どうぞ。

○矢野委員 取りまとめ、ありがとうございます。

2ページの【現行料金の妥当性】のところで、新たに書き起こされた部分について基本的には賛成なのですが、3つ目の「○」の2つ目のパラグラフところなのですけれども、「大口部門のコストが規制料金に転嫁されるおそれもあり、消費者の観点から見て十分な注意が必要である。」ということで、ここはまさに本当に注視していかなければいけないところなのですけれども、実際に大口部門のコストが規制料金に転嫁されるおそれをどのように見抜いていけばいいのか、ちょっと説明をしていただくとありがたいかと思いまして、お願いします。

○古城座長 一般的にはそのように言えるのですけれども、具体的にどういう危険があるのですかということについては、経産省のほうからも誤解を招くのではないかとの指摘もあることから、具体例が挙げられないのにこういうことを言うのはちょっとまずいかなという点があります。

一般的に今度のフォローアップの意見書については消費者委員会の意見書ですけれども、2つの点を非常に大事にしています。

1つは、フォローアップの担当官庁である経産省がもっともだというような内容ですね。もっともだというのは大賛成だというのではなくて、厳しいものであっても、もっともな内容で書きたい。それから、何でもかんでも書くのではなくて、大事なことを絞って書くことによって影響力のある意見にしたいということですから、余り具体例が挙げられないようなことを抽象的に述べるのは避けたいと思っておりますので、この【現行料金の妥当性】の3つ目の「○」のところについては具体例が挙げられるのかどうかということを少し考えた上で残すかどうかということを検討しなければいけないということになっています。

2点目は、ここで電力小売自由化の進捗状況に対する評価について十分ではないと書いてあるのですけれども、これについてはまだ緒についた段階と書いてもらったほうがいい。要するに、十分ではないというのではなくて、もしかしたら十分なのに、今、始まったばかりなのだから、こういうのは避けてくれということで、私は個人的にはそれはもっともな意見だと思っています。

3点目としては最後の5ページ、料金認可申請命令ということについては今後見直しを検討すべきであると書いてあるのですけれども、例えばこれは見直しを検討するというふうに言わずに、見直しをするかどうかも含めた検証が必要であるというような表現に変えてもらえないかということを言っております。

あとは、ここについてはその部分だけではなくて、もともとの文章ですと、これが実効性のある基準となっているかどうかという観点からといきなり言っているのですけれども、理由は書いてあるので、これの指摘は利益が高い場合でも費用を膨らませることによって利益が高くなることを回避されるということが行われるのであるから、実効性のある基準となっているかどうかということについて意見があると、こういう理由があったので、それは書いたほうがいいのではないか。検討すべきであるという部分は別にして、それは入れたほうがいいのではないかというのが私の意見ですが、一応、今挙げました3つの点についてここで検討する必要がありますので御意見を伺いたいと思います。

○井手座長代理 2点目は何でしたか。

○古城座長 2点目は、2ページのところの「大口部門に比べ、規制料金が残る小口部門での競争はまだ十分ではない。」と書いてあるのをもう少し、まだ緒についた段階であると変えてほしいということです。否定的なニュアンスというのではなくて、これからまだ希望があるというニュアンスに変えてほしいということです。

ほかは、いかがでしょうか。

3点目は井手座長代理の御指摘に対応するところですけれども、3点目についてどうですか。

○井手座長代理 最初に2点目のところですけれども、「規制料金が残る小口部門での競争はまだ十分ではない」について。私はむしろ「まだ」も要らないので、「競争は十分ではない」という表現でいいのではないかと思う。

「緒についたばかり」というのは確かにそうなのですけれども、電力使用量の多い人には自由化のメリットというのはありますが、そうではなく、三段階料金の1段階目の人には全く自由化の恩恵というのがない。そこは、やはり電力会社は、あるいは新規事業者はどういう形で小口の顧客にメリットが与えられるかも仕組みとして考えていかないといけないので、「緒についたばかり」というよりも「小口部門の競争は十分ではない」という表現のほうが私はいいと思います。

確かにスイッチングも1年たってかなり鈍化しているというのが実情ですので、これからどういう形で自由化が推進されていくかという仕組みを積極的に考えていかないと、このままでは私は自由化というのはもう終わったみたいな感じで評価されるので、むしろ座長がおっしゃった点について、競争は十分でないという表現のほうがいいのではないかというのが2点目の意見です。

○古城座長 わかりました。3点目は、どうでしょうか。

○井手座長代理 3点目は確かに御指摘の点もあるので、これについて変更することについては、異論はございません。

○古城座長 古賀委員、どうぞ。

○古賀委員 おまとめありがとうございました。今、井手座長代理がおっしゃった最初の競争が十分であるかどうかという点ですけれども、消費者としては将来的に規制部分、特に今の小口部門についての競争がこれからどんどん進んで料金の低減につながってほしいという期待を込めて、ここの部分については「小口部門での競争はまだ十分ではない」というままでもいいのかなと考えます。

それから、その後半ですけれども、大口のコストが規制部門に転嫁されるということは、つまり経過措置料金や規制料金が残る託送料金等ではまたコストが見えにくい形で転嫁されるということも十分あり得るので、座長は、ここのところは「大口部門のコストが規制料金に転嫁されるおそれもあり」という抽象的なことは余り書かないほうがいいという御意見ですが、競争が起きればコストが転嫁されないかというとそうでもなくて、制度上はもろもろ政策コストが転嫁されることは十分今後もあり得るわけなので、この部分はこのまま残して、「大口部門のコストが規制料金に転嫁されるおそれもあり」「十分な注意が必要である」というところは監視すべき対象として残していただきたいと思います。

○古城座長 そのほか、いかがでしょうか。

陶山委員から出ました2点についても御意見を伺いたいと思いますが、いかがでしょうか。

○矢野委員 先ほど陶山委員から出された最初のほうの意見で、規制料金の値上げ時の審査でなくて定期的な審査を行い、料金の調整適正化を行う必要があるというふうな文言の提案がありましたけれども、今回に限らず前回の東電のフォローのときもそうでしたし、それから今回の経産省の審査のところでも消費者オブザーバーから声が出たのですが、料金の洗い替えの課題が毎回出ています。今回はこの調査会では余りそのことは論議していないのですけれども、やはり料金の洗い替えについてはどういうふうに考えたらいいだろうか。私は特段、具体的な案文を持ってはいないのですけれども、その辺を少し意見交換できればと思います。

○古城座長 古賀委員、どうぞ。

○古賀委員 陶山委員の最後の御提案なのですが、最初の「また」以下の値上げの審査ではなく適正化を行う必要があるという部分はよくわかるのですが、その前半の部分のところで、要するにこれは事業報酬などは、適時見直す必要があるというような趣旨を入れるということなのでしょうか。

○陶山委員 上の部分と下の部分は、関連をして書いたつもりです。それで、見直しを行うほど事業報酬率が大きく変化している状況ではないかもしれないけれども、例えば2年、3年の間にはそのラグが大きくなってくるということも含めて、その下の定期的な審査というのは洗い替えを意味しているわけですけれども、そういうタイミングでこういった他人資本報酬率とかの下降しているそのラグの部分も、そこできちんと調整をしていくような仕組みにしたほうがいいのではないかという見方です。そういう答え方でよろしいでしょうか。

○古城座長 託送料金のときに、料金については値上げ認可制で、あとは値上げさえしなければ料金の洗い替えがないという現在の仕組みには問題があるというのはこちらで指摘しています。

それで、東電の有識者会議のときもそうですけれども、例えば10年たっても料金の洗い替えをしないということになりますと、10年前の原価を前提にして料金が適正だというわけだから、実は原価は随分変わっているというケースがあるので、やはりそれはまずい。例えば10年放っておくというのはまずいわけで、もっと短い期間で洗い替えというか、料金の値上げをしようが、値上げがなくても改定という形で一回料金の洗い替えが必要だというのは消費者委員会も、この専門委員会は意見として述べているので、それはそうですね。

かといって、3年間で洗い替えしろという立場だとちょっと短いだろうとなっていますから、今回については3年のところですから、フォローアップというか、ここで我々もやっているということですね。それで、そのフォローアップというか、今回電力会社の料金はそのままということになっていますが、それは妥当かどうかというのを見るというときにひっかかる問題をフォローアップで指摘するということになっているわけですね。

そうしますと、陶山委員の主張は一般的にはそのとおりなわけで、原価の洗い替えとか原価算定をするときはこの問題は非常に大事なのだけれども、今回のフォローアップのときに焦点になる問題かどうかというと、まずこの3年間で他人資本の低下はそれほど大きくないでしょう。

それともう一つは、どちらにしても利益率は確かにみんなプラスになっているけれども、非常に高いわけではなく、想定されている利益率は低いわけだから、利益率の問題でひっかかってくるということはないのではないかと思うのです。

そうしますと、今回のフォローアップのときに指摘する問題には直接入ってこないと思うのですが。

○陶山委員 確かに概算という形で正確な数字というふうには言えないかもしれないのですけれども、査定時が1.4449で出されていまして、実績値が1.2とか、九州電力のケースですが、それぐらいになっています。それが大きいか小さいかということは議論としてあるとは思いますが、かつて値下げをしたとき、これは電力会社が自主的に下げていったというときの他人資本の変動のところでは、0.2程度下がった年度であっても下げているケースがありましたので、そこは全体的な流れを見ながら言ってもいいのではないか。私としては、ここに書き加えておいたほうがいいのではないかという意見で出させていただきました。

○古城座長 フォローアップの際の電力会社の利益率が出てきて、この利益率が査定のときには認められた利益率の範囲内だという説明がされているとしますね。

ところが、この間、他人資本が非常に低下しました。これは想定どおりかもしれないけれども、実際上の利益というのはかなり大きいです。こういうケースの場合には陶山委員のおっしゃったような指摘をする必要が非常にあると思うのですけれども、今回の場合は電力会社の利益率というのは査定の際よりもかなり低いですよね。

低いときに、その物差しがおかしいという指摘をする必要があるかどうかということです。利益率が妥当かどうかを見るための物差しというのは、もうちょっと修正すべきだが、どちらの物差しを使おうが、別に利益が過剰だということには今回ならないでしょうということなのです。

○陶山委員 利益率は結果として利益率だと、それからその中の原価算定のいろいろな要素がありますけれども、その中の他人資本報酬率についても下がっていますよという指摘で、入り口のところできちんと見ておくということと、結果を見るということと、両建てできちんと点検をしておく必要があるのではないかと思ったのですけれども。

○古城座長 陶山委員のおっしゃったように、フォローアップで今の電力会社の料金というのは妥当かどうかというので、結論的にはそうおかしくはないという結論になっているという議論ですね。陶山委員のおっしゃるのは、それを評価するときの一つの物差しはもうちょっとちゃんとしろという指摘ですね。

○陶山委員 そうですね。ですから、今後の課題というところに取りまとめて入れていただければと思ったところです。

○古城座長 消費者委員会として、フォローアップについて特に大事な事項をまとめてここに述べたいというときに、これを入れるのは妥当かどうかということです。一般論としては正しいのですけれども、何もかも盛り込んでしまうと、大事なことが、こういういろいろなことの一つかと思われて、かえって埋もれてしまう危険があるので、軽重を考えて大事なものに絞って提言するというのも大事なことだと思うのです。そういう観点から見て、陶山委員の御指摘は一般的な指摘なのですけれども、今回入れる必要があるかどうかということなのです。

例えば、洗い替えのときに、報酬率について他人資本をどう入れるのかというようなことについて指摘するときは、これは当然陶山委員のおっしゃったことは入れなければいけない。非常に大事なことだから入れなければいけないのですけれども、今回の場合それが大事かどうかというと、今回の利益率については、この物差しというのはどちらにしてもオーケーでしょう。そういうときに、この物差しについてというのを今、言う必要があるかどうかということです。

○陶山委員 例えば、人件費とか修繕費とか個別に見て、それは大きく監視等委員会からも挙がって取りまとめの中に挙げられている。

ただ、その報酬を点検するとき、報酬というか、その経営点検をするときに妥当であったかどうかの点検をするときの一つの要素で入れられないだろうかというところです。確かに監視等委員会の取りまとめの中の項目で挙がっていないので、ということはあります。

ただ、大きな流れの中でずっと下降しているこの報酬率というものについて、指摘しておく機会としていいのではないかと思ったのですけれども。

○古城座長 いかがでしょうか。

白山委員、どうぞ。

○白山委員 今回のこのペーパーの中にどこまで入れ込むかというところで、やはり重要度の高いものを入れ込むという観点からすると、もしこの事業報酬絡みのところを入れてしまうと、ほかに書かなければいけなくなるようなことももしかしたらあるのかもしれません。そのため、もう少し絞って、5年に1度の査定のときには当然のことながらこの観点はあると思うのですが、かつ、例えば細かいことを言い出すと、他人資本報酬率だけではなくて自己資本のβ値の変動はどうなのだとか、そういう議論にもなりかねないような気がするので、ちょっとここまで入れなくてもいいのではないかと私は思います。

○古城座長 あとは、いかがでしょうか。

井手座長代理、どうぞ。

○井手座長代理 今の事業報酬の点は、入れるべきか、入れるべきでないかということがありますけれども、これから洗い替えや、料金の改定などとあるときに、消費者委員会とか消費者庁がどのようにかかわれるかというところが余りはっきりしていない。それで、座長が3番目に言われた、先ほどの料金変更認可申請命令の基準というのもここの場で報告はありましたけれども、その基準に関して消費者委員会とか消費者庁に意見を求められることもなかったというふうに記憶しているのです。

そういうふうに考えると、どの時点でかかわることができるかとか、そういうことを考えたときに、今回のフォローアップの中ではこういう事業報酬について、重要ではあるのですけれども、今回の中で反映するというのはちょっと違うのかなという感じはしております。

○古城座長 ほかにいかがでしょうか。

矢野委員、どうぞ。

○矢野委員 陶山委員からもう一点、情報提供のことについて意見が出されましたけれども、どこに入れ込むかということで、2番の【利益使途】の後にということでしたけれども、私はむしろ3番の「今後の課題」の最後のところに「分かりやすい情報提供を」という文言が今、記載されていますけれども、ここをもう少し膨らませて、特にホームページというのは消費者にとって一番身近な入り口なので、「ホームページを初めとして消費者に分かりやすい情報提供を更に推進すべき」ということで、あとは少し具体的な言葉遣い、表現方法、記事の更新とか、具体的に指摘されていますけれども、この辺をどこまで入れ込むかというのはありますが、少し個々にあわせて入れたほうがいいのではないかとは思います。

○古城座長 矢野委員の意見は、どこに入れるのですか。もう一回おっしゃっていただけますか。

○矢野委員 最後です。

○古城座長 そこにはもう入ってはいるのではないですか。

○井手座長代理 それを少し膨らませるということです。

○矢野委員 そうです。

○古城座長 これは、ある面から言うと、ここで頑張る必要があるかどうか。もう一つ並行して電力の自由化のほうをやっているのです。自由化のほうでいろいろ注文をつけるので、そこには当然これは入ってくると思うのです。フォローアップのところに無理に入れ込むことはないのではないでしょうか。

○矢野委員 託送料金とか、具体的な指摘がされていますけれども、ここは本当に電力自由化のところで存分に言っていく必要はあるかとは思うのですが、ただ、今回の審査のところでも電力会社はみんなホームページをかなり改善しているというか、それは東電のときに指摘がされているので、例えば数値がIR情報のところにしか出てこないとか、かなり深掘りしないと情報が出てこないとか、そういう指摘を踏まえて、今回の審査の時点でもう既に改善をされている電力会社が非常に多かったということで、やはり指摘がその都度、これが生かされていっているということで、やはりホームページでどれだけ消費者に見やすい、わかりやすい提供があるかというのは必要なので、先ほどちょっと言いましたけれども、「ホームページを初めとして」というような文言を入れていただいて「消費者への分かりやすい情報提供を」ということではいかがでしょうかという範囲の意見です。

○古城座長 それは、原案では非常にあっさり書いてありますよね。それで、陶山委員の修正案ではかなりばっちり書いてあるのですけれども、もしこれをやるのでしたらもっと細かく、ここのところを直せとか、本格的にやったほうがいいのではないかという意見なのです。すみ分けなのですけれども。

○陶山委員 そのすみ分けとバランスのとり方については、皆さんの御意見もお聞きしましたので、座長のほうにお任せしたいと思います。

○古城座長 あとはいかがでしょうか。

古賀委員、どうぞ。

○古賀委員 今の陶山委員と矢野委員の情報提供のことなのですが、原案というか、修正案の最初のところ、料金の透明性確保のため、今回も含めた事後評価の結果についての情報提供を推進となるので、ここにある情報提供というのは「事後評価の結果について」が主語になっているので、陶山委員が入れたいとされる内容とはちょっと違うのではないかと思いました。

○古城座長 ちょっと違いますね。

○古賀委員 ですから、陶山委員の御指摘はもっともな御意見なので、どうしてもここに入れるとなると、小売の指針ガイドラインとか、いろいろなもので、ホームページとか請求書に明記するというようなことが既に決められ、その評価を含めて言うべきことがあると思いますので、今回ここで言うことではなくても、自由化のほうでもう少し細かく詰めたほうがいいのではないかと思います。

○古城座長 ほかにいかがでしょうか。

それでは、まだ1時間もたっておりませんけれども、意見が大体出たということでまとめに入りたいと思います。

本日、皆さんからいただいた御意見を踏まえ、次のようにまとめていきたいと思っています。

まず第1点ですけれども、2ページの3つ目の「○」につきまして、規制部門の修繕費のところについては、これは具体例を挙げずにこういうふうに抽象的に書くのはまずいので、具体例を挙げられない場合は、これは落として非常に一般的な記述だけに絞りたいと考えております。

2点目ですが、自由化の評価については、十分ではないという記述を残すという皆さんの御意見に従いたいと思います。

3点目、料金変更認可命令に対する基準について「今後見直しを検討すべきである」というのを、「今後検証する必要がある」という格好にして、あとは逆になぜ検証しなければいけないのかということについてもう少し膨らませて理由を述べるということにしたいと思います。

あとは、陶山委員から2点ございますけれども、これについては申しわけないのですが、全体のバランスから考えまして前者のほう、それから後者のほうも一応今回は盛り込まない方向でまとめさせていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

そういうことで、大体まとめた上で消費者委員会の本会議に報告することにしたいと思いますけれども、よろしいでしょうか。

それでは、皆さんの御了承を得られたということで、修正したものを消費者委員会の本会議に私のほうから報告したいと思います。


≪3.閉会≫

○古城座長 本日はこれにて終了としたいと思いますが、事務局から連絡事項はございますか。

○丸山参事官 御議論どうもありがとうございました。

次回の会合につきましては、確定次第、御連絡をさせていただきます。

○古城座長 それでは、本日はちょっと短かったのですけれども、短いほうが皆さんよろしいと思いますので、本日はこれにて閉会とさせていただきます。

お忙しいところ、お集まりいただきましてありがとうございました。

(以上)