第29回 公共料金等専門調査会 議事録

日時

2017年3月9日(木)14:00から16:23

場所

中央合同庁舎第4号館8階消費者委員会会議室(東京都千代田区霞が関3-1-1)

出席者

【委員】
古城座長、井手座長代理、古賀委員、陶山委員、松村委員、矢野委員
【消費者委員会担当委員】
蟹瀬委員、長田委員
【説明者】
土佐 和生 甲南大学法科大学院教授
後藤 久典 一般財団法人電力中央研究所主任研究員
【事務局】
消費者委員会 黒木事務局長、福島審議官、丸山参事官
消費者庁 澤井消費者調査課長

議事次第

  1. 開会
  2. 電力・ガス自由化に係る課題に関する有識者ヒアリング
    説明者 土佐 和生 甲南大学法科大学院教授
    後藤 久典 一般財団法人電力中央研究所主任研究員
  3. その他
  4. 閉会

配布資料 (資料は全てPDF形式となります。)

≪1.開会≫

○丸山参事官 それでは、定刻となりましたので、会議のほうを始めさせていただきたいと思います。

本日は、皆様、お忙しい中お集まりいただき、ありがとうございます。

ただいまから「消費者委員会第29回公共料金等専門調査会」を開催いたします。

本日は、所用によりまして、白山委員、山内委員が御欠席との連絡をいただいております。

まず、議事に入ります前に、配付資料の確認をさせていただきます。

お手元の議事次第下部のほうに配付資料一覧を記載しております。もし、お手元の資料に不足等ございましたら、事務局までお申し出いただきますようよろしくお願いいたします。

なお、本日の会議につきましては、公開で行います。議事録についても、後日、公開することといたします。

それでは、古城座長、以後の議事進行をよろしくお願いいたします。


≪2.電力・ガス自由化に係る課題に関する有識者ヒアリング≫

○古城座長 それでは、議事に入らせていただきます。

本日の議題は「電力・ガス自由化に係る課題に関する有識者ヒアリング」です。

初めに、甲南大学法科大学院の土佐和生教授から、都市ガス自由化に係る独禁法上の課題について御説明を伺いたいと思います。

御承知のとおり、都市ガスについては、多くの地域で経過措置料金が解除されることとなり、「規制なき独占」の状況となることが懸念されております。経過措置料金の解除の条件について、どのように考えるべきか、また、自由化後の都市ガス市場にはどのような課題があるのか等について、独禁法の観点を中心にお話いただきたいと思います。

それでは、御説明をお願いします。20分程度でお願いいたします。

○甲南大学法科大学院土佐教授 初めまして、土佐でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

まず最初に、2点ほどあらかじめお断りをしておきたいことがございます。

1点目は、本日の御報告の趣旨ですけれども、独占禁止法あるいは4月1日以降施行されます改正ガス事業法が、それぞれ特に事業者の価格の設定行動について、どのような形で適用されることになるのかということについて、お話をさしあげることになるわけですけれども、その際、独禁法の基本的な考え方、あるいは思考の要領とでも申しますか、そういったものについてお話を簡単にさしあげたいと思っています。

2点目のお断りですけれども、都市ガス自由化に係る独禁法上の課題などと大きなテーマを設定しておるのですけれども、当然、その全てについてお話をすることはできませんので、特にこの場、消費者委員会の専門調査会の場でございますので、消費者にとっての重要関心事であろうと思われます、特に価格の設定行動、主としては引上げ、及び付随的に引下げ、さらには不当表示とか過大景品といった問題に関するトピックについてお話をさしあげたいと思います。

それでは、20分ばかりということなので、早速に入っていきたいと思いますけれども、まず1ポツに書いてございますように、料金の引上げに関して一番最初に、そして主としてお話をさしあげたいと思います。

御案内のとおりで、いわゆる自然的に独占になってしまうというサービスの必需性あるいは規模の経済性などと伝統的には説明されてきたようなガス・電力等々の公益事業分野では、競争が働かないので、したがって、事業者による価格支配力の行使によって、ユーザーが搾取されるおそれがあるということで、その競争機能に基づく価格調節のかわりとして、これになりかわって政府が価格規制を行う、料金規制を行うというのが伝統的な考え方でございまして、これが次第に、いや、競争も利用できるよということが認識されて、御案内のとおり、今般のガス事業法改正を含みますエネルギーシステム改革の関連法の成立ということになっているわけでございます。

そうなりますと、では、一般産業と同じように、独占禁止法だけで全てを賄うことができるのかということが当然問題になってくるわけです。とりわけ、御案内のとおり、供給地域に関しては、ガスならガス、電力にしても独占ですので、そこから競争が始まるわけですけれども、そのような、特にスタートラインの時点で、先ほど申し上げましたように、独禁法で万能に規制ができるかどうかというのが1つ大きな課題になろうかと思います。

この話をする前に、では独禁法ではどのような基本的考え方に基づいて、先ほど申し上げましたような価格の引上げ行動に対して対応しようとするのかという点をあらかじめ確認させていただきたいと思いまして、1-2に入ります。資料にありますとおり、独禁法は、公正かつ自由な競争を促進することを直接の目的として、最終的に一般消費者の利益を確保するとともに、国民経済の民主的で健全な発達を促進するということを目的としております。

条文の論理構造に代表的な2条5項私的独占と、2条6項不当な取引制限に関して条文を載せております。試みに、今、2条5項だけですけれども、読んでみたいと思いますが、私的独占とは、事業者が、単独に、又は他の話業者と結合し、若しくは通謀し、その他いかなる方法をもつてするかを問わず、その次です。他の事業者の事業活動を排除し、又は支配すること。通常これは行為要件と言われますけれども、こういった行為要件該当の行為を行うことにより、公共の利益に反して、一定の取引分野における競争を実質的に制限することをいう。この一定の取引分野以下の部分を、市場効果の要件とか実質要件と申すことがあります。

2条6項も同様の建て付けでございまして、要するにある行為要件該当の行為があって、それを原因として一定の取引分野における競争を実質的に制限するという状態を帰結するという論理構造を持っております。当然のことながら、行為要件と市場効果の要件、両方とも満たすということがないと、私的独占なり不当な取引制限なりに該当すると評価できないということになろうかと思います。

その次のページにわたりまして、後の御説明との関係で、特に市場効果の要件について基本的な考え方を申し上げたいと思います。市場効果の要件は、先ほど申し上げましたとおり、一定の取引分野における競争を実質的に制限することです。ですので、まず論理的な前提としまして、少なくとも条文上は、一定の取引分野というのはどこでしょうかということが画定される必要があるわけです。その画定後、検討対象の市場の中で競争を実質的に制限すること。すなわち、価格支配力の形成または維持・強化がもたらされる。もう少し先取り的に申し上げますと、事業者なり事業者の集団が、その意思である程度自由に、(簡略化のため)価格を上げたり下げたり自由にすることができる力ないし状態がもたらされるということです。

そのような意味での競争分析・競争評価の前提となりますのが、先ほど言いました検討対象市場としての一定の取引分野の画定ということでございまして、現在、少なくとも考え方において、公正取引委員会及び裁判所の実務では、SSNIP、内容はそこに書いてあるとおりですけれども、以下スニップと言います。SSNIPテストなるものが用いられておるということでございます。

下線を引いてございますとおり、この考え方の基本は、検討対象の市場を画定するのに、商品的及び地理的な範囲として、需要者から見た需要代替性でその範囲を決めるということです。その需要代替性なるものは何かといいますと、そこに公正取引委員会の企業結合ガイドラインから引いたものが縷縷(るる)書いてございますけれども、非常に簡単に申し上げますと、例えばAという商品とAダッシュという商品がある。そのとき、ユーザー、消費者、需要者から見て、Aが5ないし10%の価格引上げが起こったと仮定する。

そうすると、ユーザーから見ますと、Aダッシュのほうが価格的に有利であると考えますと、需要が代替している限りはAダッシュのほうに移っていくということです。そうすると、もしユーザーが移るのであれば、有意な程度に移るのであれば、それはAとAダッシュは同一の検討対象の市場であるということです。

このように、一旦引き上げられたものを、また同じように仮想的に5ないし10%引き上げるという操作をずっと行っていきます。そうすると、あるところで、AプラスAダッシュとBとは違う。もはや需要者から見て代替性は同じでないというところまで行き着くはずです。そこまで行き着きますと、小幅ながらも実質的な価格引上げをしたところで、もはや需要者から見て代替性は尽きているわけです。そのような意味で、当該独占事業者が価格引上げによって利潤を拡大するという余地がなくなるわけです。

そのような意味でのAとAダッシュが、Bとは違う、一つの同一の商品的・地理的範囲であると評価できるような限界というか、限りがあります。そこまでがここで言っている一定の取引分野であるという考え方です。

これをガスに当てはめますに、留意点にありますとおり、このSSNIPテストにガス等のエネルギーはよく親しむと思います。と申しますのは、例えばガスの中で多様な種類があって、それぞれについて選好に需要者から見て違いがあるというのではないですね。13Aなら13Aということでありますし、電気についても同じですね。基本的に価格で動くわけです。これが例えば、人の生き死ににかかわるエイズの特効的な薬という話になりますと、価格だけでは動かないかもしれないのだが、ガスを初めとする各種エネルギー源というのは、そういう意味では価格に基本的には敏感に対応するということが言えますので、このようなテストの有効性は基本的に十分あるということだと思います。

そのような視点から見ますと、ここで問題になっております都市ガスとの関係で、LPガスあるいはオール電化といったものがどう位置づけられるのだろうかということですけれども、御案内のとおり、LPガスは、まず価格にもちろん差があるのですが、同時に熱量にも違いがあります。さらには、消費機器で同じものを使えるわけではないです。ですので、消費機器についてもリプレイスしなければ事業者変更はできません。同じようなことはIHにも言えるわけですけれども、その程度がどの程度かということはさておきまして、少なくとも先ほど申し上げましたような意味での価格差や熱量差、あるいはスイッチングに伴う費用が発生することになります。こういう点を見合いますと、一般には同一市場であるというよりは、商品的に隣接する市場だと考えることができるのではないかと思います。

もう一つの問題は、戸建てと集合のような形の区別・類別です。戸建ては、もちろんその中にお住まいの利用者の判断でスイッチングが可能なわけですけれども、集合住宅の場合には、既に様々各所で御議論されているとおりで、賃貸の場合にはオーナー、大家さんがどこそこのガスということで決められるということも当然あり得るわけでして、そういう意味で、戸建てと集合は同じような形で考えるわけにはいかないということです。

以下、このような留意点はあるのですけれども、基本的には先ほど申し上げましたとおり、SSNIPテストはこの分野で比較的よく効きますということで、それから、IH及びLPガスについては、商品的に隣接する市場と考えましょうということで、お話を進めさせていただきたいと思います。

その次、先ほど言いました、競争を実質的に制限することという条文の理解ですけれども、そこに引いてございますように、事業者または事業者の団体あるいは集合・集団が、その意思である程度自由に検討対象の地理的範囲で小売販売されるガス等の価格を左右する力、引き上げる力。通常、引下げも理屈の上ではあり得るのですけれども、引き下げることは余り実際的には発想できにくいので、ここでは引き上げる力とします。そういう意味で、価格等を左右する力ないし状態が形成または維持・強化されるということです。

ここでポイントになるのは、公正取引委員会や裁判所が知りたいのは、そのような力ないし状態の形成、または維持・強化です。それを測りたいがために、シェアにも当然着目するのです。シェアは、もちろん一つの大きなよりどころ、手がかりではあるのですが、実際に公正取引委員会がやっていることはシェアだけで決めていないのです。まず、検討対象の市場の中で違反主体のシェアとか順位を見ます。その次に、競争事業者のシェアとか順位も見るのです。この中で、検討対象の市場の問題として、先ほど言いました価格を引き上げるような力ないし状態が形成、維持・強化されるかどうかを見るわけです。

これだけでは通常終わりませんで、プラスして、特に企業結合規制の場合、将来の予測にかかるような規制については、当該市場の外からかかる力についても評価・吟味します。具体的には、1つ、参入の可能性がどの程度あるか。参入による競争圧力です。極論ですけれども、例えばシェアが80%も90%もあるとします。しかしながら、参入・退出が自由で、かつ何ら費用がかからないとしますと、実はその80%も90%もあるという事業者すら、当然のことながら簡単に価格引上げができないのです。なぜならば、引き上がれば、それだけ参入を呼び起こします。それが何らの追加的な費用負担も必要ないということになれば、どしどし起こって、また競争水準に戻るまで、そのような参入は起こり続けるわけです。

したがいまして、見たいのは、評価したいのは、先ほど言いました価格支配力の形成、維持・強化ですので、それをはかるためにはシェアは重要なのですけれども、一つの手がかりにすぎないのです。先ほど言いましたような参入圧力とか商品的・地理的に隣接する市場からの圧力とか輸入とか、あるいはユーザーの圧力。こういったことも考えるわけです。そのようにして、全体として個別の検討対象の事案について、先ほど申し上げましたような単独または共同の行為を通じて、価格支配力の形成または維持・強化が認められるかどうかというのが独禁法の基本的な発想方法ということになります。

では、そのような独禁法規制で、先ほど申し上げました、当初、冒頭の主題に戻りまして、一体どのような場合に自由化後のガスの個別市場における陥穽(かんせい)といいますか、落とし穴といいますかが、起こり得るだろうかということです。

私は、別にこの間の全てのエネルギーシステム改革に関する議事録を見ているわけではないので、一部、言い過ぎもあるかと思いますけれども、よく規制なき独占ということで論じられる場合に、少なくとも一部の方々は、料金規制がなくなると、直ちにそれがあらゆる意味で規制なき独占であると論じられておられるやに受けとめられるような文脈もあるのですけれども、それは、本当は厳密には正しくないのですね。事業規制がなくなっても、先ほど言いましたとおり、もし行為要件該当の行為を原因として価格支配力の形成、維持・強化がもたらされるならば、それは独禁法規制にはかかるわけです。

では、このような意味での独禁法規制にもかからないものは何かといいますと、先ほど申し上げました陥穽(かんせい)です。これは黒塗りしておりますとおりで、単純に言いますと、競争者を排除する単独行為、あるいは価格競争を回避したりするような共同行為を通じずに、単に価格を引き上げる。たまたま競争が十分に働いていないので、そのような価格引上げが成就してしまう。競争が働いていれば、そのような価格引上げは起こりませんし、起こったところで、先ほど言いましたとおりで、当該の事業者が顧客を減らすだけですけれども、今、黒塗りしておりますような場合には競争が働いておりませんので、価格引上げが競争的に牽制・抑制されずに、そのまま価格引上げを成就するというわけです。

では、それは具体的にどういうことかといいますと、先ほど言いましたとおりで、一番最初、4月1日段階では独占。そのような状況のもとで、旧一般ガス当該ガス事業者による料金引上げを競争的に牽制・抑制するように働くような、新規参入による競争圧力とか、輸入は考えられませんけれども、隣接市場からの競争圧力とかがない、乏しいという場合です。その場合にのみ、実際になされるのは、いわゆる経過措置料金規制ということになります。

では、このような経過措置料金規制をどう評価するかということが次の問題になるわけですけれども、3ページ目の1-4の経過措置対象事業者の指定基準云々のところからお話を始めたいと思います。もう時間が過ぎておりますので、簡単にしておたきいと思いますけれども、算定式、(2)の下にあります。これで、供給区域内における50%超シェアを持っている場合には、指定を受けるということになります。

次のページにわたっていただきまして、内容も既に重々御案内のとおりということを前提に、独禁法から見て、どう思えるかということです。

1点目、他燃料の採用件数云々を一つの指標にすることには合理性があると思います。と申し上げますのは、先ほど言いましたように、シェアは4月1日段階では100%です。小売ですので、輸入というのは直ちに発想できない。それと、新規参入の圧力もこの時点ではどの程度か直ちには分からない。3月31日までの段階で、この経過措置料金規制をかけるかどうかを判断するときに、このような算定式によるというのはある程度の合理性はあると思っております。ただ、それが検討対象となる独禁法上の一定の取引分野と、旧ガス事業法上の供給区域がぴたっと地理的に一致するかどうかは、必ずしも自明ではない。それは、実際には消費者の需要代替性の程度がどの程度あるかということで変わってくる可能性はあると思っております。

その次の問題として、先ほど言いました(2)の算定式の左辺・右辺の関係性がどうかということですけれども、ざっくり申し上げますと、直近3年間、小口需要の新規物件及び既築物件をめぐる顧客獲得競争の状況を示す数値としての左辺バーサス右辺が、競争者が旧一般ガス事業者の価格引上げを競争的に牽制・抑制することを示す合理的指標となっているかどうか、これが一番大きなポイントになると思います。

それぞれ見ていきますと、まず、合理性はそれなりにあるのですけれども、きめは粗いということを、率直に言って思います。例に挙げておりますファミマと、ユニーグループというのはサークルKサンクスを展開しているコンビニ同士の企業結合規制事例ですけれども、実際の独禁法事案では、例えば消費者アンケートをとったり、定量経済分析をやったりするのです。こういうのをやって、先ほど言いましたような意味での価格を支配する力が形成されるかどうかを見るわけですが、そういう意味での細かさはないわけです。

それから、2つ目の左辺・右辺の式の話ですけれども、ある意味、先ほど申し上げました小口需要にかかる物件をめぐる顧客獲得競争の数値というのは、消費者アンケートの代わりと見られなくはないと思うのですけれども、同じくきめは粗い。独禁法的に考えると、くどいですけれども、違反主体が検討対象の市場の中で価格を引き上げるような力を形成、または維持・強化しているかどうかを知りたいわけなので、情報源としてシェアだけ、あるいはここで言っている顧客獲得の数値だけに頼るということで、しっかりと識別判定できるかというと、十分ではないかもしれない。そういう場合が残るだろうと思われます。

さはさりながら、これも黒塗りしておりますとおりで、もし仮に消費者保護の観点から、独禁法の目はちょっと別にして、独禁法的に仮にセーフであっても、基本的に消費者保護の見地からいって、経過措置料金規制をかけるのは広目でいいと考えますと、安全マージンを広目にとっていると言えるのかもしれない、言えないのかもしれないし、ちょっと分かりませんけれども、基本的な発想方法としては、そのように安全マージンを事業法規制上、独禁法規制よりも広目にとるということはあり得ると思います。また、現在のそれがその用に足りているかどうかというのは実証しないと分からないので、現実に4月1日以降、動き出して、どのようになるかということを注意深く観察する必要があると思っております。

次、解除基準です。解除基準は、率直に言いましてちょっと問題があるのではないかと個人的には思っております。

次のページにわたりますけれども、マル1からマル4、いずれかを満たせばいいという建て付けで、満たしているかどうかを見た上で、もし適正な競争関係が確保されているとは評価しがたい他の事由があれば、それは措置を続けますよと。仮に措置から外れても、後々に特別な事後監視はずっと続けます。この特別な事後監視なるものは、事後的な変更命令権が後ろに控えているのです。こういう2階建てというか、中2階建てというか、という仕組みでございまして、細かいところを言う前に結論的に申し上げますと、規制当局に裁量が残るような形になっていて、独禁法と比べますと非常に簡明性に欠ける、簡潔性に欠けると思っております。

以下、ちょっと細かいところに入ります。

まず、マル2につきまして、十分な供給余力云々で、先ほど挙げました右辺・左辺の関係式の中で、いわゆる他の燃料の提供者が旧来の都市ガス事業者を選好する者の数よりも増えることになった場合には解除されるということですけれども、このときに十分な供給余力ということを言っているのです。その十分な供給余力が関係するのは、都市ガスを提供するということで参入してきた事業者が、ここで問題になっている十分な供給余力を持つかどうかの評価対象です。ほかの都市ガスを提供する事業者についての供給余力を考えるときに、十分というのは、量的な観点だけじゃなくて、質的といいますか、時間的にも迅速に供給できるということがないと、実際には十分となかなか評価できないのではないかと思っております。

マル2につきましては、それに加えて、消費者の側がガスの小売完全自由化についてよく知っている、認知度が高いということがもう一つの条件ですけれども、私に言わせますと、景表法の言葉ですけれども、自主的・合理的に消費者が、選択の対象として当該の新規参入者をみなすことができるような状態にまでなっているということが非常に重要だと思います。後でも述べますけれども、しばしば供給サイドの話について非常に精緻な議論がされるのですけれども、需要側、消費者の側の自主的・合理的な選択を支えるような環境整備がどういう形で、どんなふうにしてしっかりとできているかということについてもまなざしを向けておかないと、実際には競争を導入したけれども、なかなか動かないということになりかねないと思います。

次、マル3、合計シェア10%以上のライバルがいれば、それで解除するということですが、10%というのは一般には低過ぎると思います。そういう事例がないわけではないです。そこにありますとおり、例えばパナソニック・三洋の企業結合のケースでは、ある電池に関する市場では、古い型式の電池ですけれども、企業結合の当事者で100%なのですが、それはリチウムイオン電池に負けている、置き換えられるのだから、価格引上げをそんな古い型式のものでしたところで、実際にはしようとしても、先ほど言いましたようなリチウムイオン電池があるので価格の引上げはできないですよということで、100%ですけれども、認められています。

同じようなことで、競争者シェア10%以上で有力な競争事業者がいるから解除してもよいという思考は、現実にはほかの検討対象の市場の外からかかる力、例えば参入圧力とか隣接市場からの圧力をしっかり検討しないと問題が残ると思っております。

そのほか、縷縷(るる)ありますけれども、時間の関係上、最後に1つだけ、この点では以下を指摘しておきたいと思います。

独禁法的にも問題があると思いますけれども、私、そもそもよく分からないのは、行政法的にも飲み込みにくいと思っています。それはなぜかといいますと、指定の基準と違うのです。指定の基準は、先ほど言いましたように50%以上で、かつ右辺・左辺の関係性の式に該当するということなのですけれども、当然のことながら、ではそのような事実を満たさなくなったら解除されるというのが普通の行政法的な思考だと思うのです。

ところが、ここではいずれかに該当すれば解除することになりますので、例えばマル2のような場合は、極端に言いますと、シェアが50%以上ある場合であっても、右辺・左辺の関係性の式で解除条件に該当すれば解除されてしまうということになりますので、行政法的に考えてもおかしいのではないかと個人的には思っております。ただ、こういうふうに非常に緩やかな解除基準がとられているのは、もしかすると特別な事後監視で、最終的には事後的な変更命令権つきの監視をするので大丈夫だと考えられているのかもしれません。

いずれにしましても、そのようなことなので、次のページにわたっていただきますけれども、この指定と解除全体につきまして独禁法の目から申し上げることができると思われますのは、1つ、基本的に、この経過措置料金規制の話だけするというのは、全体の中で建て付けとして非常に難しいと思っております。健全な競争が十分に働いて、要するに事業法規制、人為に依らずに料金引上げ行動を牽制・抑制することが可能であればよいわけなので、そのようなことを可能にするように、例えばLNG取引の一層の自由化とか、発ガス段階や託送段階における総合的な競争環境の整備といったことも併せて考えていく必要がある。

現在のものがその用に足りなければ、それは補修すべきである。具体的には、例えば一番分かりやすい託送がそうだと思いますけれども、託送料金が下がりますれば、当然のことながら、競争的にもっと参入が起きます。今の託送料金の設定の水準がそれに足りるかどうか、本当にいわゆる託送に要するコストに真に限られるものにとどまっているのか、あるいは若干水増しされるというのか、水膨れしているということになっていないだろうかみたいなことは、検証されてよい、一考の余地があると思っています。

それから、2点目、これは先ほど申し上げましたとおりで、重要なことは、需要サイドについても自主的で合理的な選択行動ができるように、そのような消費者の教育とか啓蒙も含めた、取引環境あるいは情報提供環境の整備が非常に重要になるということでございまして、時間があれですけれども、1点だけ申し上げますと、話が飛びますが、昨年かおととしか、電気通信自由化30年を迎えました。あの電気通信事業でも、もちろん基本的には供給サイドの話を中心にやっていたのですけれども、途中から需要サイドの消費者情報提供あるいは取引環境整備みたいなことは随分と力を入れるようになってきたのです。

同じようなことは、この分野、電気を含めまして、エネルギーシステム改革についても言えると思いますので、自主的かつ合理的な消費者の判断をどう確保させるか、そのための情報提供整備をどうするかということは、十分に考えられてよいと思っております。もちろん、やられているからこそ、本日の資料にありますとおりの取引の適正化、GL(ガイドライン)が出ているわけですが、逆に申せば、それを実際に国民・消費者に徹底するには、時間もかかるし、コストもかかるということではないかと思います。

もう与えられた時間を過ぎておりますので、1点だけ不当表示についてお話ししたいと思います。不当表示は、そこから2枚めくっていただきましたところにあるのですけれども、独禁法上ももちろん規制される余地があるのですけれども、景表法で不当表示も当然規制できます。都市ガスでは余り言及がないので、あえて注意喚起のために申し上げるのですが、LPガスの分野では、そこに書いてございますとおり、液石ガスの小売営業における取引適正化指針の中で、実際には適用されない料金メニューを標準的な料金メニュー等として公表した場合には、これは有利誤認表示と言うのですけれども、当たるおそれがありますよという言及があります。理屈では、恐らく都市ガスも同じような話です。

いやいや、そういうお行儀の悪い事業者は少ないから大丈夫だろうということかもしれませんが、頭の思考の枠組みとしては、このように都市ガスにおいても有利誤認表示の余地があるのだということは注意喚起を申し上げておきたいと思います。直ちに飲み込みが悪い場合には、二重価格表示を考えてみてください。要するに、あれとアナロジカルには非常に近接しているようなお話でございます。

以上、ちょっと舌足らずになってございますけれども、質疑応答をさせていただく中で消化させていただきたいと思います。

○古城座長 ありがとうございました。

それでは、御質問や御意見のある方は御発言をお願いいたします。

井手座長代理、どうぞ。

○井手座長代理 ありがとうございました。

最後に挙げられた有利誤認表示について、標準的な料金メニューというものを提示するときに、LPガスや、自由化以降は地方の都市ガス会社でもあるかと思うのですけれども、標準的メニューを示しているが隣の家の料金とは違うということ。これはLPガスでよくあることです。つまり、地方の都市ガス会社で、標準的メニューを示しているけれども、ある意味相対的な料金というのが今後起こり得るのかどうか。法律の上では、恐らくそれを禁止はしていないと思うので、そういうことがあった場合に、それをどのように規制するのかというのが1点目。

2点目ですけれども、料金を割り引かないで、ポイント制で実質料金を値引くということがあると思いますけれども、かつてのJALとANAが、競争対抗料金として、新規参入者が出てきた路線・時間帯をターゲットにして、ポイントを2倍・3倍にするという対抗料金みたいなものがありました。それについて、独禁法でどういうふうにして規制するのかというのが2点目です。

3点目は、一番最初にSSNIPテストというものがあって、留意点のところにありますが、同一市場ではないけれども隣接市場だとすると、一定の取引分野というのは、どこまでを同一市場にするかというと、今回の場合、例えば都市ガスとLPガスは同一市場ではないと見るということですか。その点を確認させてください。ガスの場合は、地方に行けばよくあることですけれども、都市ガスの事業者がLPガスも販売し、戦略的にLPガスと都市ガスを使い分けているということがありますので、そうすると、こういう市場の画定という点について、どういうふうにお考えかというのをお伺いします。

以上です。

○甲南大学法科大学院土佐教授 ありがとうございました。

まず、第1点目の話ですけれども、ここでこのガイドラインが発想しておりますのは、先ほど井手座長代理が御案内の、例えば相対でA宅に対する料金とB宅に対する料金が異なっているということ、そのものを問題視しているわけでは必ずしもないと思います。それは、御指摘のとおりで、法令上、違法であるとか事業法違反であるという話には、直ちになるものではない。それがもとより標準的ということの意味でもあろうかと思います。

ここで発想しておりますのは、実際には、今の例で言いますと、A宅にもB宅にもC宅にも、どこにも適用されていない料金メニューが仮にあるとして、それを標準的料金メニューなどという形で仮に公表する。あるいは、そのような実際には適用されていない料金メニューの近くには、様々なA宅、B宅、C宅があるのかもしれないけれども、その掲げられている料金メニューそのものには誰も該当していない場合を想定しているのではないかと思います。

先ほどアナロジカルに二重価格表示の問題を申し上げましたけれども、その場合も同じですね。例えば、実際にはそのような値段で売っていないのに、例えば平日はこの価格なのに、今日はこれだけですよみたいな、よくチラシとかであります、2つ料金について書いてあって、上か下か、どちらかをバツみたいにしているものですね。ああいうものを発想して、ここで今、御説明申し上げましたような思考方法だと思います。

それから、2点目、ポイント制です。ポイント制もこれからどうなるかを見ておかないと、正確には分からないわけですけれども、もしそのポイントが御指摘のとおり、仮に出す本体の価格にはね返って、その割引と実質同等であるというみなし方ができるのであれば、それは値引きでしょうね。値引きと評価できるものについては、それが例えば不当廉売とか差別対価とか、独禁法的には少なくとも行為要件に当たるような場合が出てくる余地はあると思います。しかし、実際にそれが規制対象になるような、公正競争阻害性となるかどうかは、個別具体的に見てみないと何とも分からないところであります。

これに対して、実はポイントは別に使える。あるいは、汎用的に使えるポイントシステムを提供している事業者さんのポイントシステムに乗るという形で、ダイレクトにガス本体の料金水準にかかわらないようになると、これはかなり難しい話になってくるのではないかと思います。このような場合でも、もちろん何ら規制できないわけではないと思いますけれども、今、途中で申し上げましたような、割合簡単な当該ガス本体の価格という話には少なくともならない。

それから、途中で言及のあった航空会社のサンドイッチ料金の話ですけれども、おっしゃるとおりです。もし仮に、そのような特定の、その事件の場合には時間帯の話ですけれども、この場合だと需要家のボリュームごとに特定ボリュームということになるのでしょうかね。そのほか、地理的にここの部分だけということだと思いますが、そういう場合に参入阻止のためにそのような価格設定の行動に出たという場合には、もちろんそれが私的独占にまで至るか、あるいは先ほど言いましたようなそのほかにものにとどまるか分かりませんけれども、一般的に考えると独禁法の規制が全く及ばないわけではないと思います。

3点目、市場画定の話ですけれども、まず最初にはっきりさせておきたいと思いますのは、仮に同一の検討対象の市場に入らないと画定したとしよう。だからといって、そのような例えば隣接市場からの競争圧力であると振り分けられたところの違反主体の価格引上げを競争的に抑制・牽制する力が競争分析の視野から外れるわけではないです。それは、検討対象の市場がそこで決まったことによって、隣接商品地理的市場からの圧力という形に、いわばラベル替えがされたということなのであって、そのような競争的な牽制力そのものが検討対象の視野から全くなくなるわけではないです。

その話を踏まえて、LPガスと都市ガスの話ですけれども、おっしゃるとおりLPガスと都市ガスは悩ましい場面があると思います。それは、先ほどの例のように、都市ガスとLPガスの販売事業を経営しているという事業者の存在からも裏付けられることだと思っています。そのような意味では、検討対象とする地域によっては、それはおっしゃるようなことで、むしろ同一に考えたほうがいいのではないかということが絶対ないとは申し上げられないですけれども、一般に途中で申し上げましたとおりで、熱量とか、ざっくり言いまして、その熱量を2倍化したところの価格とか。それから、これもざっくりしていますけれども、10万円とか20万円とか、その消費設備の機器を買い替えるときの費用とかを考えますと、あたかもAという事業者から同じ都市ガスのBという事業者に変えるよりは、少し隔絶した売り手というふうに買い手からは見えるのではないかと思いまして、ここでは一般論にするために、LPガスあるいはIHと都市ガスは、一応、商品的に隣接する市場だと整理しています。ですので、例外を認めないわけではないです。

○古城座長 ほかにいかがでしょうか。

○甲南大学法科大学院土佐教授 報告者がしゃべってよろしいでしょうか。

○古城座長 どうぞ。

○甲南大学法科大学院土佐教授 ありがとうございます。

経過措置の話です。先ほどちょっと言い忘れたというか、言い足りなかったのですけれども、先ほど言いましたように、一応、理屈では競争が進展して、基本的にはどのような旧供給区域においても競争者があらわれて、あるいは商品的に隣接する市場からの競争圧力で価格支配力の行使が長期的には起こらない。ですので、経過措置だと私は理解しています。そのような意味での経過措置となっているのですけれども、それは今、申し上げましたような競争の状況になるかどうかは現実が決めることなので、理屈のとおり、全ての旧供給区域について、このようになるかどうかは観察してみないと分からない。その意味で、経過とは書いてあるのですけれども、個人的には注意深く観察する必要があると思っております。

それは、なぜそう思うかということのもう一つの傍証がございます。委員の皆様方には必ずしも身近でなく、かつ自分も需要者でないくせに偉そうなことは言えないですけれども、LPガスです。あれは、液化石油ガス保安の確保及び適正化に関する法律、液石法で規律されています。液石法は、基本的に自由産業・自由販売業という位置づけになっておりまして、ここで申し上げておるような経過措置的なものはないのです。

同じようなことが発生するかどうかは定かでないわけですが、液石法を見ている限りでは、場合によっては、特に中山間部を中心にして、事実上、なかなか競争が起こらない場合があるのではないかと思われる面があります。これも私は規制当局におる者ではないので、実証は欠けております。だから、単に観察しているだけの話で、それも注意深い観察ではなくて適当な観察ですが、そう思います。さすれば、ここで同じように、経過措置に関しましても、軽々に数値指標だけでなくしてしまって、先ほど言いました意味での価格支配力の行使に伴う需要家といいますか、消費者とか利用者の搾取に対抗する最後の手段なので、慎重な対処を考えるということが望まれるのではないかと思っています。

○古城座長 矢野委員、どうぞ。

○矢野委員 お話をどうもありがとうございます。

2ページの市場の画定とSSNIPテストのところで非常に気になったのが、留意点で述べられた文で、先ほど土佐教授からも、買い手から受け取られる面ということで、留意点のマル2に書いてある隣接市場としてのLPガスとかオール電化、都市ガスに対して、価格差、熱量差とあわせてスイッチング費用。これは、まさにスイッチングするときに非常に大きな課題というか。独禁法の範囲までには至らないだろうと説明を伺って捉えたのですけれども、実際に消費者が選択するに当たって、このあたりの情報をどれだけ自分たちがきちんと得た上で、まさに最後のところでおっしゃっていました、消費者の自主的・合理的選択を支える環境整備、その辺がかなり重要になってくるのではないかと思うのですけれども、なかなかそこは厳しい。

一方で、新たにガイドラインが設けられたりして、そこで一定の規制がされると同時に、エネルギー源の違いによる選択の難しさをどうカバーしていくのかというところで、もう少し何かアドバイスがあればお聞きしたい。

○甲南大学法科大学院土佐教授 私も直ちにはノーアイデアです。そういった情報提供も含めて、売り手、事業者の側がそれこそ自主的かつ積極的にし合っていけるような競争環境の整備ということが恐らく一番最初に重要だと思います。行政は、それをできるだけ自主的にできるように、先ほど言いましたような意味での、例えば発ガスに対するサードパーティーユーズを認めるとか、託送量を基本的にもっと厳正に削ぎ落としていくということも傍らでしつつ、各種小売分野ガイドラインにありますような形で、事業者に対してこういうことはしてはいけません、こういうことを積極的にしましょうということの枠付けをしていくということだと思います。

私、この場合に限りませんで、全体として見て思いますのは、消費者団体などもそういった啓蒙・啓発の力をもっとお付けいただけるようになるべきだと思っております。御案内のとおり、今年から集合的消費者被害に対する団体としての救済訴権も認められるように民事訴訟法の特例法ができました。あるいは、景表法も御案内のとおりの形で、各事業者の中で内部規律のためのコンプライアンスプログラムを持ちなさいということもあったり、全体として、そうした消費者及び消費者団体が活躍していただけるような機会なり場面みたいなものも増えてきていると思いますので、端的・直接には行政としての課題ではないのかもしれませんが、そういったものをより強化する方向での支援みたいなものが行政としてはあり得るだろうと思っております。

それから、その情報提供の関係で、これも付随して1点だけ申し上げます。無償配管等の問題です。実は、公取・経産の連名ガイドライン、適取ガイドでも、消費機器等あるいは設備の提供というのは言及があるのです。それは、簡単に言うと発想方法的には景品です。不当な経済的利益を提供して、それによって競争者から顧客を奪う。不公正な取引方法に該当する行為の一つという位置づけです。LPガスなどでも御案内のとおりで、このような無償配管の問題は非常に大きくあるのです。

私の見ますところ、もちろんそれは景品の問題でもあろうかと思うのですが、同時に情報提供をどれだけ事前にしているかという点も関係していて、少なくともLPガスの場合には、そのような情報提供が十分ではないのです。消費者が不意打ちを食らっているという形になりがちなところがありまして、今回のLPガスのガイドラインで、全面的ではないですけれども、このような面が少しは緩和される。建て売りじゃなくて、集合住宅に関しては、LPガスの場合は大家さんが決めていて、ディベロッパーがLPガスの業者さんに強要する場合も多いと聞いています。それは、最終的に家賃が安いという形で表示されて、月々のLPガスの高料金で回収されるという形になっているのですが、これも情報提供さえ事前にしっかりされていて、そのような条件でもいいよという入居者がいれば、それは別に否定するいわれはないのですけれども、そこが不意打ち的な部分があるのですね。なので、同じような話では必ずしもないのですが、いずれにしましても、その情報をしっかり提供するということが事前に尽くされておれば、あとは消費者の選択の問題が自主的・合理的であるかどうかということで、環境をしっかりつくっておけば、それはあなたがそのように判断されたことですよと言えるわけですけれども、そこが十分でないと、後になってから、先ほど申し上げましたような不意打ちが起こるということになると思います。

○古城座長 井手座長代理、関連した御発言ですか。

○井手座長代理 はい。今の無償配管ですけれども、最近では無償配管と言わないで設備貸与という言葉を使っているようで、LPガス事業者はそういうものを設備投資として、これを料金で回収するという、ある意味無償配管と同じですけれども、設備貸与にして、法定貸与年数は決まっていますけれども、実際の減価償却と法定貸与年数とは違う形で、最後に書いている残存価値を買い取れというトラブルが起こっているので、その辺のことはきちんと整理していく必要があるのではないか。

もう一つは、今、土佐教授がおっしゃったように、集合住宅の場合は、賃貸契約を結んだ後に、電気やガス、水道の契約をするときに、LPガスの料金が高いとか電気代が高いというのが初めて分かるわけで、そのときに賃貸契約はもう結んでいる中で、LPガスの料金表に設備貸与でこれだけの価値を料金で回収しますというのが表示されていれば多分問題ないと思いますけれども、それが表示されていないということが1つ問題だと思います。

以上です。

○甲南大学法科大学院土佐教授 御指摘のとおりです。設備貸与と言おうが、無償配管と言おうが、これもおっしゃったとおりで、結局のところ、事前の情報が十分開示されて、貸与を受けるのを見て、そのような情報がそれを踏まえた合理的・自主的判断を形成する際の一要素になっているということであれば、全然問題ないと思っています。

それから、集合住宅の話も同じで、LPガスだけについてですけれども、国交省の賃貸住宅に関する標準約款モデルの中には入っています。消費設備等々に関する情報も出すことになっているのですが、十分出してこなかった。かつ、そのことについて事前に契約を締結する前に、入居予定者がどこの会社に電話すればいいのかよく分からなかった。そういう状況が皆さんのお手元にございますガイドラインの制定とともに、一応、国交省の側からもそのような内容で宅建取引をしてくださいということにはしておるのですけれども、どの程度実効性が上がるかは今後次第ということかと思います。

○古城座長 陶山委員、どうぞ。

○陶山委員 いろいろ本当にありがとうございました。

十分に理解できていないところも残されているところですが、実は私、福岡県から来ておりまして、西部ガスの事業領域です。それで、西部ガスは全国4番目の事業規模ですが、経過措置料金が残されませんでした。それで、今後、どんなふうに動いていくか、地域の消費者としても非常にいろいろな心配もしながら見ているところですけれども、今、土佐教授がおっしゃったように、経過措置料金の指定の基準と解除の基準が違うということは論理的にもおかしいのではないか、それから、行政法的にも問題があるのではないかという御指摘があったわけですけれども、今後、現場が動いていく中で、その料金について不適当ではないかと思ったときに、それはもう一度指定するという動きを見ていかないといけないと思っていらっしゃるのかというのと。

もう一点、SSNIPテストということで、非常に精緻なテストによって公取委のほうはチェックされるということですけれども、いち消費者が公取委に調べてくださいということも少ないかと思いますが、消費者団体等から公取委に申し上げるときに、もう少し簡略な指標みたいなものがないのか、あれば教えていただきたいなと思います。

2点、よろしくお願いいたします。

○甲南大学法科大学院土佐教授 まず、西部ガスの場合ですと、現在指定もないので、新たに指定していくのでしょうか。現行実務では無理でしょうね。今後、今の法令基準では漏れているものについても、新たにしていくのか。それが、全くないかどうか分かりませんけれども、一般論として先ほど申し上げましたとおりで、4月1日以降の実際の動向を観察してみないと、それは軽々には分からないと私は思っています。ですので、西部ガスのケースについても、先ほど言いましたような意味での事業法規制も独禁法規制も及ばない意味での規制なき独占が発生するかどうかは、それは注意深い観察が必要だろう。起こらないかもしれないとも思います。

そのとき仮に起こったらどうするかということですが、先ほど申し上げましたとおりで、事業法規制的には、いわゆる特別の監視というシステムが一番最後に控えてございますので、ここでは九州経産局なのでしょうか、様々な形で申告されることが、1つ、具体的アドバイスとしてはあり得るかなと思います。

2点目、SSNIP云々ということですが、まず独禁法45条に基づいて、誰でも独禁法違反行為があるのではないかと思えば、それは通報することができます。それは、この霞が関の本局でも構いませんし、九州にも地方事務所が地方支分局の一つとしてありますので、そちらのほうにお電話なり、お出向きになるということは1つあり得ると思います。そのときに、支所において、この市場で、こういう行為があってと詳細に述べる必要は当然ないです。例えば、このような形で新規参入者の妨害行為があるように思われるがどうでしょうかとか、このような形で価格協定がなされているように思えるのですけれどもどうでしょうか、ということで十分なので、SSNIPテスト云々ということを厳密にやっておかないと対応してもらえないということではないので、余りお気になさらないでよいのではないかと思います。

もちろん、それが実際、事案として取り上げられるかどうかはケースによると、それは承知しておいていただく必要があると思いますけれども、以上です。

○古城座長 古賀委員、どうぞ。

○古賀委員 短い時間で、独禁法の趣旨から丁寧に御説明いただき、ありがとうございました。

それで、1つ、お聞きしたかったことは陶山委員が聞かれたので重複もありますが、そもそもの経過措置の基準ですが、資料を読ませていただいて、経過措置の指定と解除基準というものは、これ自体、基本的な質問で恐縮ですが、どこがつくったものですか。土佐教授が今、こういうふうに提案されたのですか。

○甲南大学法科大学院土佐教授 もちろん私ではございませんで、経産省エネ庁です。

○古賀委員 ですね。そうすると、今後もこういった経過措置がある間は、一般の消費者は安心しているというか、それほど料金が高騰することはないだろうという一定の安心感はあると思うのですが、むしろ経過措置が外れた後にどういう的確な規制がきちんとされるかということのほうが心配になってきます。その場合に独禁法とか、要するに公正取引委員会と消費者庁と、それから規制当局である、今で言うと電力・ガス取引監視等委員会、その3者が主にいろいろなことをやってくださると思うのですけれどその役割についてお伺いしたいです。

景表法上のいろいろな問題については消費者庁が大きな力を発揮することがもちろん期待されていると思うのですが、このガスの料金規制自体について、経過措置を外すかどうとか、経過措置がないところ、先ほどの西部ガスのように監視が余り行かない可能性があるところについては、具体的にはどのようにしたらいいとお考えでしょうか。

○甲南大学法科大学院土佐教授 必ずしも御質問の趣旨を飲み込んでいないかもしれませんけれども、まず経過措置がある、まだ残っているという場合には、当然のことながら、事業法規制上の規制当局はエネ庁なので、エネ庁のほうに、このような規制について、不具合があるとか不都合があるとか、延ばしてくれという話はできるでしょうね。ただ、3年間というサンセットは決まっておりますので、ずるずるとは行きません。4月1日以降、3年間で、違反があれば更新というサンセットになっています。自動的になくなることになっていますので、そのような仕組みの中で物事を考える必要がある。

なくなりますと、基本的には一般産業と同じなので、先ほど言いましたように、単独に競争者を排除して価格を吊り上げているよとか、他の事業者と一緒になって対価を決定しているようなタイプの共同行為をしている、価格が価格カルテルで引き上がっていますという場合には、公正取引委員会。それから、景表法上の商品等の提供に付随してなされている表示であったり、景品の提供であったりということについては、消費者庁のほうにお話を持っていかれるということになろうかと思います。基本的には、一般産業になりますと、先ほど言っております意味での規制当局であるエネ庁とは直接関係がなくなることになります。

○古城座長 松村委員、どうぞ。

○松村委員 まず、土佐教授が既にお答えになったのですが、SSNIPテストというのは、単に市場が同一市場なのか、別市場なのかを調べるための調査の手段にすぎない。どんな市場であると認定されても、同じ市場と認定されても、違う市場であるけれども、ある種の競争圧力が働く隣接市場とされたとしても、競争圧力としての効果はある種連続的なものですので、消費者のほうがそういうことをきちんと理解した上でそのテストをしないと、公取などに何か物を申せないという性質のものではありません。消費者が意見を出す前にそのテストを自らしなければならないということは絶対にない。

例えば西部ガスに関して言えば、今回経過措置が外れたということだとすると、一定程度競争が働いているだろうから無体な値上げはしないだろうという前提のもとでそのような措置になった。にもかかわらず、実際にはこんなに価格が上がりましたということがあれば、それはそういうテストなしに、その実態をいろいろなところに訴えていただいて、監視してくれと要請することは当然できるし、すべきことだと思います。そのたぐいのテストは専門家に任せておけばいいので、消費者としては、そういう身近に接している価格の情報で、あるいは取引条件で、おかしいと思うことがあれば、ぜひ積極的に言っていただきたい。土佐教授がおっしゃったとおりだと思います。

次に、経過措置の対象に関しては、もう決まったことなので、この4月から自由化されるのに、それはおかしいからやはり経過措置料金規制を入れてくれと言うわけにはいかない。しかし外れたところの監視をちゃんとやってくださいということは出来るし、今でも遅すぎることはない。

更に解除に関してはこれからのことなので、それに関しては私たちが十分情報を収集して物申すことは可能だし、すべきだと思います。

とても申しわけないのですが、解除条件に関しては、土佐教授の御認識と私の認識が若干違っているので、もし引用して消費者委員会から何か言うときには、ヒアリングで聞いたことに基づいてこう理解しているけれども、その理解で正しいか、ということを経産省側に確認した上で、物申したほうがいいのではないか。

事実認識以外にも、意見としても若干異なっているところがある。行政法の観点から見て、経過措置料金規制対象事業者の指定基準と解除基準が同じなのが自然だというのは、私は全く同意しかねます。恒常的な規制で、なおかつ別に特別なイベントがないのに置かれる規制ならそうかもしれない。しかし今回の経過措置料金規制は、自由化という大きな変革があるときに、暫定的な措置として置かれた規制。一旦暫定的に置かれた時の基準と、それを解除するものの基準は違って当然だと私は思います。

どういうことなのかというと、1つは、指定のときに特定の要件があったとして、その後、それを満たさなくなったら直ちに解除しなければいけないかは別問題。例えばマーケットシェアに関して言えば、指定の段階ではわざとそうしようというインセンティブは全くなかった。そんなふうにその指標が使われると思ってもいなかったから。しかし今後は、ぎりぎりに指摘基準を満たしている状況なら、わざと競争の手を抜いてシェアを奪われれば条件を満たさなくなり、指定と同じ基準で解除も自動的になされれば、それなら手を抜こうかということだってあり得る。したがって、指定時の条件を満たさなくなったら直ちに解除すべきとは私は思いません。

もう一つ、今度は逆の方向です。そうなっていたかどうかは議論の余地はあるとして、本来は、暫定措置、経過措置なので、ある種予防的に広目にとって、競争がひょっとしたら働かないかもしれないから、一応こうしておくけれども、十分競争が働いていることが確認できれば、例えば、価格が相当大幅に下がったということが確認できれば、指定時の条件は満たされているままだけれども、解除してもいいということも当然あり得る。したがって指定と解除の条件は違っていて当然だと思います。一方で、経過措置とはいえ、競争が全然働いていないように見えるのに、原則3年と一応きめたから機械的に3年で外すという動きが出てきたときには、消費者の利益を考えて、それには反対と言わざるを得ないと思います。

土佐教授には、安易に外してはいけないということを強くおっしゃっていただいたと思います。私もその点は全くそのとおりだと思います。この委員会としても、外すという動きが出てきたときには、本当に外してもいいのか。こういう理由で、競争が起こっていないように見えるけれども、という指摘は、必要に応じて積極的に言っていかなければいけないでしょうし、そのときには土佐教授に助けていただくということが出てくると思います。

以上です。

○古城座長 あと、いかがでしょうか。

では、私もよろしいですか。都市ガスの電気との競合において、新設利用につきましては、需要家が割とフリーにオール電化か都市ガスかを選択できますけれども、既設ですと需要家は既に都市ガス用の設備を持っているから、それを捨ててオール電化に切り替えるとスイッチングコストは少し高くなると思います。条件が違うと思うのですが、オール電化の獲得率は、新設については非常に高いのですけれども、既設はそれほど大きくないという数字を見たことがあるのですけれども、これがどうなるかということについてです。

つまり、新設マーケット、新しい需要については、オール電化は非常に強いので、これだけ見ますと都市ガスは価格を押し上げるインセンティブはそんなには働かない。ちょっとでも上げたらオール電化に移ってしまうというのだったら、料金規制を外してもセーフですが、それは新設だけの話で、既設は少し料金を上げられても、直ちにオール電化にシフトできませんので、また話は別になってくると思うのですけれども、この辺について、土佐教授はどのように御覧になっているのですか。既設需要のマーケットと新設需要のマーケットというのは、そんなに違いはなく、一緒にしてもいいというのか、それともかなり別のマーケットとして見ていたほうがいいのか。

○甲南大学法科大学院土佐教授 地域によると思います。あるいは、置かれている需要者の、一言で言うと状況によるというのか。そういうきめの細かい議論をそもそもする必要があるような価格引上げになるかどうかというのも、ちょっとよく分からないのではないかと思っていて、理屈だけきりきり詰めると、古城座長のおっしゃるとおりで、既設と新築は違うだろう。既設については、そのような意味でのスイッチングコストは一層高いということは論じる余地はあると思いますけれども、規制実務上、論じる実益があるかどうか。という意味で、理屈が頭の中の話とはちょっと違うかもしれないと思っています。別々に必要は、基本的には今のところないと思っています。

○古城座長 ありがとうございました。

松村委員、どうぞ。

○松村委員 今の点は、井手座長代理が最初におっしゃった、あるいは矢野委員も気にされていた点と関連していると思います。どういうことなのかというと、全ての需要家に標準約款で同じ値段で売るという状況だったとすると、そろそろ給湯器が壊れそうな人に集中的に価格を下げるということはしないので、そういうお客さんが一定割合いて、そこで値上げするとそのような顧客をとられてしまう状況だとすると、全体として競争が働くかもしれない。

でも、ピンポイントでオール電化になりそうな人のところだけ大幅に下げることとか、給湯器が壊れそうな人のところだけ大幅に下げる。要するに、お客さんごとに大きな価格差をつける世界になってくると、オール電化に全く切りかわりそうにない人と切り替わりそうな人がかなりの程度別市場になり、切り替わりそうな人が一定割合いるから、全体として価格はそんなに上げられないという議論ができなくなる。したがって、価格のつけ方にも相当影響される。その点も含めて注視していく。今の段階で決め打ちはできないと思います。

○古城座長 ほか、いかがでしょうか。

それでは、土佐教授の御報告に関する議論は以上といたします。

土佐教授におかれましては、お忙しい中、審議に御協力いただきまして、ありがとうございました。

(土佐教授 退席)

(後藤主任研究員 着席)

○古城座長 続いて、一般財団法人電力中央研究所の後藤久典主任研究員から、消費者視点での小売電力市場の競争状況の評価に関わる論点について御説明を伺いたいと思います。

電力の小売自由化から1年弱が経過し、経済産業省においても、自由化後の電力市場における競争状況の評価について検討が始まっています。今後の経過措置料金規制の解除も視野に入れて、電力市場の競争状況の評価について、消費者利益の観点からどのような点に注視していくべきかについて、お話いただきたいと思います。

それでは、御説明をお願いいたします。報告は20分程度でお願いいたします。

○一般財団法人電力中央研究所後藤主任研究員 電力中央研究所の後藤と申します。よろしくお願いいたします。

古城座長から御案内いただきましたけれども、全面自由化から約1年たとうとしているところで、いろいろな状況が見えてきたところではあるのですけれども、消費者の観点からどういった論点があり得るかということで、海外の動向であったり、国内の動きであったり、少し情報も見ながらお話しさせていただければと思います。私自身は、電力の小売自由化に関して、特に消費者の動向を中心に国内外の調査をさせていただいておりますので、そうした観点から本日、お話しできればと思います。

資料のほうをめくっていただきまして、3ページ目のはじめにのところです。こちらは、今、御案内があったところなので割愛しますけれども、1月26日に電力・ガス取引監視等委員会で、1年目の競争状況の評価の概要ということで、いろいろなデータが出ております。

めくっていただきまして、4ページにどういった数字等、情報が出ているかという一覧の抜粋をさせていただいていますけれども、非常に多様なものがありますので、この中で消費者の観点で何が重要かということも今後議論になってくるかと思います。

まず、5ページ目から、日本の自由化の制度に関して言うとヨーロッパに近いところがありますので、ヨーロッパの競争の評価であったり、規制料金の動向について簡単に御説明します。

6ページ目になりますけれども、ヨーロッパ大で小売電力市場の評価を行うに当たって、どんな指標を見ていくとよいのかということで、ここには消費者に直接かかわる、かかわらないといったものも両方含まれているのですけれども、6ページ目にあるような形で、こうしたものを見ていくのが望ましいのではないかと、欧州大のエネルギー規制当局が集まって議論するようなところで、こうした提言が行われています。

特に消費者にかかわるところは、どちらかというと中盤から下のほうに当たるかと思うのですけれども、例えば卸電力価格と小売料金との関係であったり、料金の選択肢の多様性。下の4つに関しても、自由化に関する認知度であったり、あるいは自由化そのものを超えて、小売事業者以外にも配電事業者との接点もありますので、配電事業者の役割は何なのかということについての認知度であったり、市場そのものへの信頼といったことも見ていく必要があるのではないかと言われています。

あと、支援ツールの利用可能性というところでは、国内に既にありますけれども、電気料金あるいはガス料金も含めてですが、料金比較サイトというものが利用できるような状況にあるのか、そうした選択をする上で十分な情報ツールが利用できる状況になっているかということが、見るべき指標の一つとして挙げられています。

その下ですけれども、需要家の関与ということで、こちらは国内でも既に情報が出ていますけれども、小売事業者の変更率がどの程度か。あと、契約変更に至らなくても、そうした行動をとっているかどうかといったところも見られています。あと、ヨーロッパでも分散型電源の利用というのが近年増えているところもあって、先ほど土佐教授からのお話の中にもありましたけれども、電気と分散型電源、系統電力と分散型電源の競争がどうなっているのかといった点で、そうしたところも市場の動向として見られています。

あと、需要家保護にかかわるようなところでは、請求にかかる要件とか不払いで供給停止になっている状況ですとか情報提供の状況といったところにいろいろな資料が提案されています。

ただ、一つ一つの指標を見るというよりは、総合的にこうした指標を見ていって、状況を多角的に把握していく必要があるのではないか。あるいは、欧州もいろいろな国がありますので、自由化の経験が長い国もあれば、まだ短い国もあるという市場の状況も違っていますので、国の状況に応じて採用する指標は取捨選択していけばいいのではないかということも、この中では述べられています。

7ページ目に行っていただきまして、ヨーロッパで特に自由化後の電力市場で需要家の動向がどうなっているかということをつぶさに調査している国というのは、私が見るところ、イギリス、オランダ、アイルランドが参考になる国として挙げられるかと思います。そちらに、内容として、どういった需要家調査をやっているかといったところを書いていますけれども、事業者の変更経験であったり、その理由、自由化にかかわる意識等々も調査されている例がございます。

めくっていただきまして、8ページ、ヨーロッパの規制料金の動向ということで、これは2015年段階での動向なので、直近では少し変わっているところがあろうかと思いますけれども、大体半数の国で規制料金が撤廃されて、半数の国で残っているぐらいの状況になっています。

9ページ目を見ていただきまして、消費者と市場・事業者との関係の変化ということで書かせていただいていますけれども、ヨーロッパは自由化から長く時間がたっている国も多くありますので、消費者にとっての市場との関係というのも、自由化当初と現在とでは大分変わってきているところも見られています。もちろん、自由化前はほとんどの消費者は選択するという経験がない状態からスタートするわけですけれども、競争初期には、新規参入であったり、既存事業者の域外供給が国内でも一部でも見られていますけれども、そうしたものがある。

また、料金に関して言えば、規制料金が残っていた国がヨーロッパでも多くあるので、規制料金と同じような、これは日本でも今、そうなっているかと思うのですけれども、類似する料金プランというものが多く提示されてきた。

あと、消費者と事業者との接点という意味では、競争初期のマス広告であったり、対面や口頭での営業が中心になっていた。また、徐々に競争が進展してくるにつれて、例えば事業者の撤退が起きた国もありますし、それによって消費者も契約変更、この段階でまた改めて行う必要が出てきた。そうした経験がある国ももちろんありますし、料金プランの多様化であったり、複雑化というのが、特に規制料金が撤廃された後に進んでいくというケースも見られています。

また、顧客と事業者との接点という意味では、事業者の立場に立ってみれば、競争に勝っていくために効率化を図っていくという意味で顧客接点の効率化も図られていって、例えば対面営業よりは、ウエブサイト等を通じた顧客接点に移っていくといったことが起きています。

ですので、めくっていただきまして、10ページ以降になりますけれども、市場の環境も徐々に変わっていくということを念頭に、消費者視点での競争評価というのも考えていく必要があるのではないかと思っております。

11ページ目にそのイメージを書いていますけれども、消費者と事業者・市場との関係は、競争の進展状況によって変わっていくということなので、大きく分けて、こんなふうにきれいに段階が分かれるかどうかというのはさておきまして、競争初期においては、まずは消費者が適切に選択でき、競争が機能し得るかを確認することが必要になってくるだろう。

そうしたことが十分確認できた後、競争が進展していった先の論点としては、先ほども申し上げましたけれども、選択肢が多様化していくということに対して、消費者が本当にそうしたものをうまく選べるのかという、近年、行動経済学の分野で議論されているような消費者の限定合理性を考慮した上で、問題が起きていないかを見ていくことも課題になってこようかと思います。

もう一つは、競争進展期。そのタイミングがどこかというのは議論があろうかと思いますけれども、規制料金の撤廃に関する論点というのも出てくる。これは、詳しくは後ほど説明したいと思います。

12ページ目以降に、当所で実施させていただいた家庭用の需要家への調査の結果も交えながら、注視する論点について幾つか列挙したいと思います。

まず、1-1で、選択環境、自由化の認知度ということを書いていますけれども、先ほども土佐教授のほうからも、需要者側がどうなのか、どういう状況になっているのかということで見ていくというお話がありましたけれども、需要家が自由化に関して認知していることが重要だろう。それも単に自由化しているということを知っているだけではなくて、図にも書いていますけれども、変更の手続だったり、電力に関して言えば、契約を切り替えても安定供給に関して違いはないといったことについて知っていることが重要だろうと思っています。

同じことは、実はヨーロッパでも同じように見られていまして、こうした需要家の自由化の仕組みについての認知度がどういうふうに変わってきているかということを見ているケースも、海外ではあります。

13ページ目を御覧いただきまして、選択行動をとる前提として、契約変更によって停電が増えるといった誤解に基づく不安や情報が足りないということは、できるだけ解消されることが望ましいだろうということで、下の図の解説は割愛させていただきますけれども、こうした自由化の市場にかかわっていくことに対して不安であったり、情報が足りないということは解消される必要があるだろうということです。

14ページ目を御覧いただきまして、ユーザーにとってのメリットある選択肢が提示されているのかどうかというのも、つぶさに見ておく必要はあるだろうと思います。こちらは当所で調査した結果でありますけれども、多くの需要家の方に調査すると、安い電気料金が一番重要だというケースがいろいろな調査でも多く出てきますので、そのメリットの一つとして挙げていますけれども、小売事業者を変更することによって、どの程度電気料金が削減できるのかを把握しておくことが重要なポイントになってくると思います。

15ページに、同様の調査はヨーロッパでも行われておりまして、どのぐらい電気料金が節約できるのかという可能性と、電気事業者の変更率というものを図で見て、どういう状況になっているのかということをヨーロッパでも確認しています。この図は、日本とヨーロッパの状況を重ね合わせたものではあるのですけれども、十分な電気料金の削減余地があるにもかかわらず、消費者の動きが余り進んでいないのか、消費者の動きは余り進んでいないのだけれども、メリットがある料金が出ていないのか、そのあたりも考慮して評価していく必要があるだろうと思います。

16ページ目、1-2で、認知しているだけでは本当に競争圧力になるかどうか、よく分からないので、実際に消費者が選択行動をとっているのかどうか、あるいは契約変更に至らなくても、そうした検討をしているのかどうかということをつぶさに見ておくことも重要ではないかと思っております。そうしたことを定点的に見ていくと、市場の動きというものが分かると思います。

17ページは、当所で事業者の変更を検討しなかった理由を見ていますけれども、海外でも同様の調査をしている国がございまして、事業者の変更を検討していないのは、関心が低いからなのか、満足しているからなのかなど、そうした理由まで把握しておく、探っておくということが重要ではないかと思っています。

また、一昨年から昨年の中盤までの状況を見ても、こうした何がポイントなのかが変化し得る。ここでは、例えば契約中の電力会社に不満はないというのがちょっと増えています。競争が進んでいって、事業者が経営努力によって顧客が満足していけば、こうした理由も伸びていくことが考えられるので、そういう動きがあれば一定の競争が進展し、消費者にとっても一定の利益が出ていると判断できる一つの指標になろうかと思います。

18ページ目、御覧いただきまして、先ほども消費者の選択できる環境、競争環境をどう整えるのかというお話も少し前半のほうでありましたけれども、では、どういうふうに情報提供すれば一番効果的なのかということを考える上では、現状の消費者の情報接触の実態を把握しておくことも重要になってきます。海外でも、利用者と事業者、市場との接点というのは徐々に変わっていくということもあります。

ですので、例えば比較サイトがどのぐらい利用されているのかということも把握し、現状ではまだ2割弱ということにこの調査ではなっていますけれども、そういう意味では、比較サイトを通じて、情報提供して何らかの改善する効果というのはまだ2割ぐらいしか期待できないという見方もできますけれども、前提として、こうした情報接触の実態を把握しておくことが重要だろうと思います。

次に、19ページ目、1-3、消費者の利益として書いていますけれども、電気料金削減以外にも消費者の利益というものはあり得るということで、どういったサービスが出てくるかというのは事業者によりけりなので、それもつぶさに見ていく必要があろうかと思いますけれども、それがどの程度ちゃんと利用されているのかといったことも見ておくことが重要になると思います。

めくっていただきまして、20ページですけれども、事業者に対する需要家の満足度ということで、消費者が自由化から競争でどの程度便益を得ているかという実感となる上に、事業者の経営努力を推しはかる指標にも、こうしたものはなろうかと思います。まだ自由化1年目なので、これに何らかの評価をする段階ではないと思いますけれども、今後、2年、3年といく中で、どういう形で推移していくかというのは、1つポイントになろうかと思います。

次に、21ページ目以降は競争進展期の論点として、まず1点目として、選択肢の多様化と消費者の限定合理性と書かせていただいておりますけれども、電力システム改革において、料金プラン等の選択肢の多様化というのは、期待されることの一つとして、当初議論されてきたところがあると思います。幾つか期待されているもの、海外で見られるもの等を例示していますけれども、こうしたものが今後本格的に提示されたときに、消費者は適切に理解し、それを選択できるのかということについて、注視すべき論点となり得るのではないかと考えています。消費者も多様ですので、一概には言えないですけれども、常に合理的に選択できるとは限らないということも念頭に置いて考えていく必要があろうかと思います。

それに関連する例として、22ページ目ですけれども、イギリスでは、2010年以降、料金プランの多様化に伴って、消費者が適切にそうした選択肢を理解し、評価し、選択することが難しくなっているのではないかということで、様々な議論があって、一部、規制の介入があったり、情報提供の改善措置がとられたり、料金に対する再規制が、一部ですけれども、実施されようとしていたりという変遷がここ数年ございます。いずれにしても、消費者がそうした多様な選択肢にどう直面しているのかということを、今の段階ではまだそこまで至っていないのかもしれないですけれども、何年かした後にこうした局面も出てくるのかなと考えます。

23ページ目に、そうは言っても、現状どうなのかということで、例えば料金プランが複雑だと思う人はどのぐらいいるのかといったことを当所では調査しているのですけれども、こうした点について少し留意しながら見ていくことも大事かなと思います。

24ページ目以降は、規制料金の撤廃に関する論点として、最後、挙げています。

大きく2つの点について、ここでは挙げておりますけれども、1つは、事業者が撤退したときの対応ということです。規制料金撤廃後、送配電事業者が最終保障供給をするということで、今のところそういう制度に移行していくことになっていると理解しているのですけれども、そうしたことの仕組みについて、ちゃんと規制撤廃段階で消費者に理解していただく必要があろうかと思います。恐らく規制が撤廃できるという段階では、競争も一定程度進展していて、一部事業者が撤退するというケースも出てこようかと思いますけれども、そうしたときに消費者にとって混乱がないように、周知等、十分しておく必要があろうかと思います。

25ページ目以降、もう一つの規制料金撤廃後の論点として、消費者保護というのが挙げられると思います。規制料金を撤廃すると、規制料金が担ってきた需要家保護の効果がなくなるということですけれども、日本特有の事情も少しあろうかと思っております。現行の規制料金には三段階料金が適用されていると理解していますが、このもとでは電気使用量が少ない御家庭で料金負担が軽減されるような構造になっている。この規制料金・三段階料金を撤廃すると、この効果がなくなることがあることが理屈の上ではあり得ると思います。

こうした消費者保護の論点として、電気使用量が少ない御家庭の多くは低所得世帯である可能性が高いと考えられるので、こうした需要家保護の効果がなくなることには留意する必要があると思われます。

また、競争の進展状況が利用者のセグメントごとにどのように違うのかということも重要かと思いますけれども、例えば低所得世帯をめぐる競争が相対的に進んでいないと、この需要家保護効果が失われる影響はより大きくなるのではないかと、理屈の上では考えています。

26ページ目以降、では、現行の三段階料金を仮に撤廃すると、どの程度の影響があるのかということで、現行、需要家保護としてどの程度有効になっているのかというのを押さえておくことも重要なのではないかと思います。

考え方だけ絵を描いていますけれども、横軸が弱者と書いていますが、この場合ですと所得の高い、低い。縦軸が電気の使用量。大きくA、B、C、Dの4つのタイプに分けることができようかと思いますけれども、三段階料金が需要家保護として有効であるには、電気使用量の少ない人は、皆さん、所得が少ない、電気使用量の多い人は、皆さん、所得が多いというAとDの消費者だけが存在するのであれば、保護として極めて有効になると思います。一方、BとC、AとDから外れるような消費者が多いと、有効性というものは低くなる可能性があろうかと思います。

有効性を測る指標として2つ書いていますけれども、1つ目は、保護が必要と考えられる需要家、経済的な面で言えば所得が少ない。その中で実際に保護されている消費者はどの程度いるか。もう一つは、現状、保護されていると考えられる消費者のうち、保護が必要と考えられる需要家の割合を書いています。

これに27ページ目の当所の消費者調査の結果を当てはめてみますと、三段階料金は必ずしも低所得者の保護として有効性は高くないのではないか。つまり、タイプBやタイプCの需要家も一定数、現状いて、必ずしも低所得者の中で保護を受けていないのではないかという方もいらっしゃいますし、受益はしているのだけれども、必ずしも低所得とは言えない方も少なからずあるというのが現状になっていると思います。

この背景には、例えばライフステージの違いであったり、省エネの状況であったり、年代で冷暖房をたくさん必要とする。電気利用にかかわる消費者の実態・ニーズというものが大きく影響してこようかと思いますけれども、そうしたものは非常に多様に出てきていますので、こうした三段階料金という形が需要家保護として有効なのかどうかというのは、今後も見ていく必要があろうかと思います。

以上、少し駆け足になって恐縮ですけれども、簡単にまとめということで29ページ目に書いておりますけれども、まず、競争進展に伴って、消費者と市場・事業者との関係が変化するので、その注視すべき論点も、この1年目の終わりの段階と、2年後、3年後、4年後、10年後では恐らく変わってこようかと思います。足元の状況は、需要家調査等で見ていますけれども、1年目としては、比較的様々な認知度が上昇しているところが見えていますが、こうした点について、今後も見ておくというのが1つポイントになろうかと思います。

さらに、競争が進んでいくと、海外事例に見られるように、選択肢が増えていったときに、それを消費者が十分適切に選ぶことができるのか、あるいは規制料金撤廃時に留意すべき論点について重要になってこようかと思います。

こうした将来のことを考えると、消費者の限定合理性を踏まえて、どういう点を注視すべきなのか。あるいは、単に小売事業者のことだけではなくて、送配電事業者と小売事業者が法的分離によって分かれていくので、それぞれの役割分担があるわけですけれども、消費者がそうしたものに対してどういうふうに対応するのがいいのかということについても課題になってくるかと思います。

少し時間を超過してしまって恐縮ですけれども、以上とさせていただきます。どうもありがとうございました。

○古城座長 ありがとうございました。

それでは、御質問や御意見のある方は御発言をお願いいたします。

松村委員、どうぞ。

○松村委員 まず事実を確認させてください。スライド15の既存標準料金と最低料金の差です。新規参入者もいろいろ料金を出しているわけですね。その中で一番安いものと今までの料金との差をとっているということですか。

○一般財団法人電力中央研究所後藤主任研究員 おっしゃるとおりです。

○松村委員 そうすると、スライド15の見方ですけれども、遜色ないというのは、論理的に考えると、欧州と遜色ない競争が起こっているというのではなく、逆に、欧州と比べて競争がほとんど起こっていないけれども、それは消費者の原因ではないということを示しているものですね。

具体的に言うと、日本はそうではないのですけれども、例えばもともとの料金がすさまじく高くて、それが100だとして、新規参入者のほうは供給力が余りないので、どの道、余りお客がとれない。量はとれないけれども、新規参入ができるようになった。どうせ玉が少ない、調達できる電気が少ないので、とれるお客さんは自分の能力いっぱい、つまり少しでよい。だから99という値段をつけた。そうすると、価格差はすごく小さいわけです。価格差がすごく小さいので、消費者も余り動かない。面倒くさいとかという要素が当然あるので、100が僅かに99に下がるぐらいなら変わりませんというのでスイッチング率が低い。

そうすると、スイッチング率は確かに低いのだけれども、それは価格差が余りついていないから低いのであって、したがって、日本はそういう意味で見ると、欧州に比べると特異ではない、遜色ない。そういうことを示していると思う。論理的に考えても、競争が欧州並みにあるということはこの事実からは言えない。料金の差が小さいということからすると、可能性としては、消費者の対応は、ある意味で欧州に比べて極端に消極的ということはない。料金の格差がついていないのだから余り増えていないという理解。そういうことですね。

○一般財団法人電力中央研究所後藤主任研究員 松村委員がおっしゃるとおり、競争の全体について最終的な結論的な評価というわけではなくて、一定の料金差がある中で消費者が十分反応しているのか、反応していないのかということを検証する上で見ているというもので、松村委員のおっしゃるとおりのポイントを見るためのデータであると理解していただいてよいかと思います。

前半の事業者がどういう競争行動をとっているのかというのは、これは縦軸というよりは横軸の料金差がどういうふうになっているのか。これはある一断面なので、これで現在どうかということは、これだけだと評価するのはなかなか難しいと思うのですけれども、これが他国と比べるのがいいかどうかは別としても、来年、再来年、4年、5年後、そうした時系列で見ていったときに、5%差、10%差なのか、20%になるのか、格差が縮小しているのか。格差が縮小しているのも、競争の結果、そういう均衡に落ち着いているのか、競争が進んでいないからなのか、それはほかの指標も見てみないと多分判断できないと思いますけれども、そういうことを議論するための一つの材料として横軸の料金のつけ方を見るというのは、ヨーロッパでは行われている。

1つ留意が必要なのは・・・。

○古城座長 御発言中に済みません。この図で緑色の三角で、例えば15%から20%に1つありますね。これは幾つもあるというのは、何を表すのですか。

○一般財団法人電力中央研究所後藤主任研究員 これは、日本の各10地域です。旧一般電気事業者の、沖縄も含めてですけれども、地域ごとに1点ずつとっています。欧州のほうは、1つの点が1つの国を指すと御理解ください。

○古城座長 失礼しました。続けてください。

○松村委員 ちょっとしつこくて申しわけないのですが、遜色ないというのを誤ってとらないように、誤って妙な宣伝をしないように、という確認のためだけに申し上げました。つまり、遜色ない競争が起こっているということでは全くないということ。消費者が日本の場合には全く動く気がないので、どんなに制度改革を努力しても、どのみち競争が起こらない、と考える必要はないのだということ。

ほかのところにも出ているように、例えば停電が起きる確率が上がると誤認している人が、圧倒的多数ではないけれども、かなりの割合いる。別の調査でも見せていただいたのですが、かなりの割合いるので、そういう問題がないとは言わないけれども、ひょっとしたら欧州に比べて極端に日本の消費者がだめだということではない。そういう原因ではない理由でスイッチ率が低い可能性が十分あるということを示しているのだと思います。

別の点です。今、申し上げたとおり、ここでも出ているとおり、まだ切り替えたら停電が起きるのではないかとか、もとの会社のほうが安心だと思っている人がこれだけいるということに関して、私たちは留意して、何とか改善していかなければいけない、誤解を解かなければならないということを改めて示していただいたと思います。

○古城座長 これは松村委員が整理したとおりで、料金が下がれば、日本の消費者もちゃんと欧州並みに変更しているということをおっしゃっているわけですか。

○一般財団法人電力中央研究所後藤主任研究員 反応しているということです。

○古城座長 矢野委員、どうぞ。

○矢野委員 御説明、どうもありがとうございました。

主に2点ですけれども、最初にスマートメーターのことでお聞きしたいと思います。スマートメーターは、今後、最終的には100%設置になると思いますけれども、もう少し先にはなりますが、今のところ、6ページのところでは、どちらかというと事業者側のほうにスマートメーターの活用がプラスになって、そのことは最終的には消費者への様々なメニュー提供の利便性も出てくると思うのですけれども、一方で、19ページに電気使用料等照会のウエブサービスが、2016の2月と8月で逆に減ってはいるのですけれども、これは今、スマートメーターがついていることで利用しやすくなっています。

HEMSの問題はあるのですけれども、それはまだ高額なのでなかなか使えませんが、スマートメーターが単に事業者が利するだけではなくて、消費者がそれを電気の見える化で主体的な行動につなげられるようにスマートメーターを活用していくべきではないかなと思うのですけれども、スマートメーターについて消費者サイドで何か把握していらっしゃることがあれば、それから今後のことについて何か御意見があれば、お聞かせいただきたいのが1点目です。

それから、2点目は、幾つかのページに登場してきたのですが、限定合理性。私は、この言葉はまだ余り親しんでいないのですけれども、恐らくこれから少し話題になってくる言葉かなと思います。今日のところでも、11ページとか、それから22ページでは、消費者の限定合理性に応じた情報提供を今後は検討していかなければいけないのではないかということも示していらっしゃいますけれども、限定合理性は、最初のところでは消費者がうまく選べるかというところで簡単に御説明いただいたのですが、言葉からして、限定されている合理性というか、もう少し詳しく説明いただきたいなと思います。

それから、消費者が単にたくさん情報があれば選べるというのではなくて、消費者側に選ぶ力が備わっていかないと、何を取捨選択するかということも非常に重要になってくると思うのです。だから、情報を提供することは大事だけれども、消費者が何を欲しているのか、どういう情報をとろうとしているのか。そこは両者が同じに力をつけていかないと、なかなか発展しないものがあるのではないかと思うのですが、そういうことも踏まえて、限定合理性と今後の可能性みたいなものをちょっとお聞かせいただけますでしょうか。

○一般財団法人電力中央研究所後藤主任研究員 ありがとうございます。

まず、1点目、スマートメーターに関してですけれども、私もスマートメーターの活用についてつぶさに把握しているわけではないので、この自由化との関係でということに焦点が絞られてしまうのですけれども、その点に関して、今、スマートメーターという言葉は、6ページの上の参入障壁というカテゴリーに入っていて、やや事業者側というところがあるのですけれども、これはスマートメーターを設置するという意味合いで、インフラとして見たときにという形で、欧州各国もスマートメーターを導入しようということで、導入が進んでいる国もあれば、まだこれからというところもあるので、その導入率といったところが議論の一つになっているのですけれどもね。

消費者側にかかわるところでは、カテゴリーで言うと下から3つ目の支援ツールの利用可能性というところにかかわってくるところがあります。この中で、料金比較サイトの次のところに出てくる使用量実績データへのオンラインでのアクセス可能なという項目があろうかと思いますけれども、これが全てかどうかと言われると、ほかにも詳細に見ていくといろいろな項目があろうかと思いますが、いずれにしても、利用者が小売事業者あるいは料金プラン等を選ぶときに、自身の使用実態をちゃんと把握していないと、特に時間帯別の料金等が入ってくるような時代になった場合には、時間帯別の使用パターンについてもある程度の情報がないと、何を選べばいいかというのがなかなか分からない。

あるいは、請求段階でそうした情報がちゃんと把握できないと、自分の料金が妥当なものなのか分からないということで、こうしたものを利用者にとっても利用できるような環境を整えていく。そうした流れの一環で、ここに挙げられています。ただ、欧州でもスマートメーターの導入は、早いところは始まっていますけれども、まだ途中の段階ですので、いろいろな形で模索されているところはあろうかと思いますし、それをどう消費者への情報提供に活用していこうかということも、いろいろなやり方が各国で考えられているかなと思います。日本で何がいいかというのは、私もアイデアを持ち合わせていないのですけれども、そういう議論があろうと思います。

2点目の限定合理性についてですけれども、もちろんいろいろな調査をすると、電気料金に関して言えば、電気料金は安いほうがいい。合理的に考えて安いプランを選びたいと思うのですけれども、先ほど古賀委員がおっしゃられたように、それを判断する力がない。そうしたもので合理性が限定されてしまうという意味合いでの言葉で、行動経済学等の議論で最近、よく使われている言葉です。それは、電気エネルギーに限らないです。

電力の分野で、これをどう議論の土台と関連づけるかというところで、私もイギリスの例を少し書かせていただいたところで、22ページです。限定合理性等の議論の中で、選択肢がたくさんあるだけでも、それをなかなか処理し切れないとか、その一つ一つの選択肢が非常に複雑であると、それをなかなか判断できないといったことが議論になっています。余り規制し過ぎるのもよくないし、余り複雑過ぎると消費者にとってなかなか選びづらい。そのトレードオフみたいなところがあって、何がいいか、私も今、答えを持ち合わせているわけではないです。

ただ、情報をたくさん出せばいいというわけでもなく、例えば国内でも国内外でも、電気料金の内訳を、託送料金であったり、再エネ賦課金であったり、しっかり見せたほうがいい。情報提供が必要だという理屈もよく分かる一方で、消費者も多様なので、それで分かるという方もいれば、そういった制度を知らずに分からないという方ももちろんいらっしゃる。

どこがいいか、答えは1つではないのかもしれないですけれども、消費者はそういう限定合理性というのはそういう特性があるということを念頭に置いて、情報提供のやり方。それは、電気料金の情報提供もそうでしょうし、選択肢の情報提供もそうでしょうし、考えていくということが、現段階ではまだそこまでではないのかもしれないですけれども、いずれそれが進んでいくと論点の一つになり得るのかなと、イギリスの事例などを見ると思います。

○古城座長 これは、御報告では、メニューが多様過ぎるとかえって選べなくなるという話の関連でのみ、ここでは使っているのですか。

○一般財団法人電力中央研究所後藤主任研究員 特に自由化との関連で、そういったところが大きく出てくるかと思います。

○古城座長 陶山委員、どうぞ。

○陶山委員 27ページの規制料金の撤廃に関する論点として、三段階料金について論じられているスライドについて、お聞きしたいと思います。

ここで有効性の試算結果として、括弧書きで「電中研需要家調査の回答にもとづく」とあるのですが、これは前半のほうでアンケート調査、今回、サンプル1,000人でやられた同じ調査の中で調べられたのでしょうか。ここは、調査の回答にもとづくとしてありますので、もし別の調査であれば、世帯所得等もあわせて聞かれたという理解でよろしいでしょうか。

それから、各セグメントの幅が結構大きいと感じるのですけれども、そのことをもって、この分析の中で、一番小さく見積もって、弱者であり、かつ効果があるとしていらっしゃる数%について、撤廃しても消費者保護の観点から過剰に懸念することはないと思っておられるのかどうか、もう一度お願いいたしたいと思います。

○一般財団法人電力中央研究所後藤主任研究員 どうもありがとうございます。

まず、どういった調査なのかということですけれども、前半でお示しした調査とは別に、ここでお示しした何%というところをちゃんと出していくには、十分なサンプル数調査、大規模な調査を行わないといけないので、別の調査を行っていて、5,000件ちょっと超えるような回答を得た上でのデータになっています。その中では、委員おっしゃられるように、世帯の所得等を把握した上で、あと電気の使用量を把握して、ここでの数字を算出しています。

もう一つ、需要家保護を消失することを過剰に懸念することはないということについてでございますけれども、もちろん料金軽減効果が失われる消費者は一定程度いるので、そこは十分注意する必要があると思います。そういう点は留意しつつも、現状でも所得の少ない方で、三段階料金の料金軽減効果を享受していない世帯も一定程度あるということで、三段階料金をそのまま仮に低所得者保護という目的で残すのが効率がいいかというところは、もう一度立ち止まって考えておく必要があるのではないかと思います。

そもそも、規制料金撤廃後にそうした種の消費者保護を残す必要があるのかどうかも議論の対象になってこようかと思いますけれども、仮にやるとしても、どういった手段がいいのかということは、多様な消費者の電気利用の実態に基づいて考えないと、その効率的なやり方にはなかなかなっていかないのではないかなと思っています。

これも近々、調査の詳細は当所のほうから公開させていただきたいと思っているのですけれども、電気利用の中身も多様になってくる。例えば、今後、住宅用の太陽光発電がいま以上に増えていったりすると、またこうした中身もどんどん変わってきたりする。日本も高齢化が進んでいますので、そうしたところで、年代によって必要な電気利用の実態・中身も変わってこようかと思うので、そうしたときにどういったやり方がとり得るのかということを少し問題提起させていただいたという形の材料になります。

○古城座長 陶山委員、どうぞ。

○陶山委員 どのように見ていらっしゃるか、もう少しお聞きしたいのですけれども、例えば世帯年収200から300万円のところで。

○古城座長 陶山委員、時間がちょっと押しているので、申しわけないのですけれども。今日の御報告では、少量需要家と貧困者が必ずしも一致しているわけではないという結果が出たというだけなので、直ちに三段階料金が要らないという話には、我々としてもそういう議論の方向に行くわけではないということで御理解いただけますか。

○陶山委員 分かりました。

では、貴重な調査資料だと思いますので、これをまとめたものは電中研のサイトとかで情報提供されているのですか。

○一般財団法人電力中央研究所後藤主任研究員 今、御質問いただいた箇所については、これから公開させていただく予定にしておりますが、今の段階で詳細について、お示しできる段階ではないのですけれども、近々御覧いただけるような形にはなろうかと思います。

ほかの前半のほうで幾つか参照したものについては、30ページに当所の報告書として関連したもので公開させていただいているものも既にありますので、そちらも参照していただければと思います。

○古城座長 蟹瀬委員、どうぞ。

○蟹瀬委員 とても分かりやすい御報告をありがとうございました。

1点お聞きしたいのですけれども、13ページに、先ほど松村委員がおっしゃった表が載っておりますが、17ページのスイッチングができないという理由の中に、面倒だからというのが一番に上がっています。先ほど松村委員がおっしゃったみたいに、今まで受けているサービスとか電気の質が変わるのではないかという不安が先立っているというデータが12、13ページに出ているのです。それから、17ページには、スイッチングしないのは面倒だからということがありますね。

これは、何事も最初、非常に安定していることを望む私たちの国民性としてありがちなことだと思いますけれども、海外の事例で、スイッチングを促進させていくために、「値段がものすごく安くなっているので、面倒でもやってみよう」と思わせるような解決法があったのかとか、スイッチングに対する不安を解消するための広告あるいはPRを、ほかの国ではどのようにやってきたのかとか、もしそういう事例があれば、今でなくてもいいですけれども、ちょっと示していただくとありがたいです。定量の調査結果だけを眺めていても、なかなか消費者の実態は見えないので、どこかで定性の結果みたいなものが少し見えてくるとうれしいなという気がします。その辺はいかがでしょうか。研究所としてお持ちなのでしょうか。

○一般財団法人電力中央研究所後藤主任研究員 御質問どうもありがとうございます。

どういった形で不安を解消しようとしているかという事例について、我々も海外に住んでみないと実感がつかめないところもあるので、ちゃんと整理できていないところがあって、研究所としては今後の課題とさせていただきたいと考えておりますけれども、時々聞く例では、検針票とか請求書に一定のそういう情報をお示しするような形をとるとか、その国でよく読まれている新聞に、月並みではあるのかもしれないけれども、一定の広告・広報みたいなものを出す。あるいは、料金比較サイトの利用を高めるために、普通にオンライン上でつくるだけではなくて、よく読まれている新聞であったり、ウエブサイト等で示すとか、いろいろなことを模索して各国やっているところがあります。

そういったところを見ていくと、決定打がなかなかないのだなというのが実感でもありますが、いい方法があればこしたことがないと思いますので、研究レベルでは調査を続けたいと思います。

○古城座長 蟹瀬委員、よろしいですか。

○蟹瀬委員 私、報告書を見せていただいて、方向的には2つ、自由化とは何かというのを一般の国民がきちんと知らなければいけないというPRが必要だということを感じたのですね。つまり、電力の質が下がるのではないかとか停電が起こるのではないかという不安。今まで、そんなことは何もなくて、国で守られていたものが自由化してしまうことに対する不安をぬぐってあげるための広報なりが必要になってくる。これはどこがやるか分かりませんけれども、それなりの信頼が置けるところがやらないと国民は信用しないという懸念です。

2番目は、料金表の問題ですけれども、これは自由競争ですので、そのサイトをみんな見てくださいというのは、誰がどうやって調べるか、こういうところにあるよというぐらいの推薦しかできないので、そっちはそっちでやる。その前に、不安と面倒くささを取り除くための仕掛けが何かないと、さあ、行きましょうというわけにはいかなくなるというので、今、十何%ぐらいしか行っていない状況だと思います。その辺の方向で、ほかの国の例とかがあれば、ぜひ見せていただけるとうれしいなと思いました。

ありがとうございました。

○古城座長 古賀委員、どうぞ。

○古賀委員 2つだけドラスチックな質問を。

1つは、欧州といっても、多分イギリスの事例が主だと思いますが、デマンドレスポンスという制度を入れたことによって、電気の使用量が増えたか減ったかということと、それから価格にどう影響したかということをざっくり教えていただきたいということ。

それと、先ほど陶山委員からの質問で、余りこだわってはいけないという27ページのところですが、Dのところ、かなり幅があると感じていまして、A、B、C、DのAの数%から20%という幅があるところも非常に気になりますので、幅がでるその理由を簡単に教えていただきたいということ。

それから、三段階料金制度では低所得者保護とともに、節電・省エネ効果というものを私たち消費者は、非常に重視していました。今回の自由化で一番メリットがあるのは、料金体系からいくと、多消費者であるこのDの方になると思うのですけれども、ここも30から70ということで非常に幅があります。ここにまとめられた数%から20%というところの幅の原因について教えてください。

○一般財団法人電力中央研究所後藤主任研究員 ありがとうございます。

後半のほうからお答えさせていただきます。まず、パーセンテージに幅があるというところですけれども、これは例えば世帯年収をどこで区切るかというのは、何が正しいのかというと非常に難しい問題があろうかと思います。今回は暫定的に、例えばここでは200万円の場合、300万円の場合と区切っています。そうすると、幅が出てくる。縦軸のほうも、三段階料金の設計上、若干違いがある会社さんもあると思いますけれども、120キロワットアワー、300キロワットアワーで切れているので、そういったことを考慮して少し幅を持っています。そうした線の引き方から、このパーセンテージは変わってきているところがあります。とは言っても、何が適切なのかはなかなか難しいので、そこはちょっと御容赦いただければと思います。

省エネに関しては、自由競争のもとでつく価格の中で、どういう電気の利用をしていくのかというところがベースになってこようかと思いますけれども、それを超えて省エネすることが重要だということであれば、その自由化の中でつく値付け、価格に加えて、何らかの省エネ政策という形で何が効果的なのかというのが議論になってこようかと思いますが、ここでの論点とずれるかもしれないので、以上とさせていただきたいと思います。

あと、デマンドレスポンスを入れるとどうなるのかということですけれども、私もデマンドレスポンスそのものにフォーカスを当てて検討しているわけではなくて、当所では別の者が担当しているのですけれども、デマンドレスポンスの本格導入をしているというよりは、いろいろな実証が国内でもされているかと思いますけれども、実証実験、実証研究などをする中で、いろいろな効果というのは検証されているところかと思います。本格的にデマンドレスポンスを自由市場の中で導入して、それが大幅に普及しているという状況には、多分、各国まだなっていないと私はそう理解しているのですけれども、恐らくそれで正しいと思います。

なので、自由化の中でデマンドレスポンスがいかに普及して、それに消費者がどう価格に反応していったのかといったところは、まだデータを見て検証するという段階の一歩手前にあるのかなと思うので、もう少し時間がたっていけば、そうしたデータ、状況も見えてきて、いろいろな参考になることが出てくるかと思います。今、まだお答えできる段階にはちょっとないと理解しています。

○古城座長 ちょっと時間も押していますので、議論は以上とさせていただきます。

後藤様におかれましては、お忙しい中、審議に御協力いただきまして、ありがとうございました。

(後藤主任研究員 退席)

≪3.その他≫

○古城座長 最後にその他ですが、事務局から説明事項があります。説明をお願いいたします。

○丸山参事官 前回の専門調査会で、我々事務局のほうから電力・ガス小売の自由化に関する消費者の意識についてということで、アンケート調査について御報告させていただきました。その際、今日も話題に出ましたけれども、電力の小売自由化の認知度やガスの自由化の認知度については、年齢層が高くなるほど高まるという結果になっていた。他方、高齢者になればなるほど自由化に対する認知度は下がるという結果もあるが、という御指摘を踏まえて、アンケートそのものについて、立ち戻って我々のほうで調べてみました。

一枚紙の資料で、「電力自由化並びに都市ガス小売自由化に関する消費者の意識調査」の調査対象者の特徴について、ということで御用意させていただいているペーパーがあるかと思います。上が今回の調査で活用させていただきましたモニターの状況。それから、下が別の調査ですけれども、総務省で調査を行った、これは訪問の留置調査で結果が出ております。

こちらを見ていただきますと、年齢層別の全国平均と比べまして、今回、こちらで対象としましたモニター調査につきましては、インターネット利用時間が長いという結果になっております。高齢者層においてもインターネットの利用時間が長いというモニターの特性も踏まえると、前回の報告については、高齢者ほど認知度が高いという結果の一端が出てきた可能性があるということで、今回、御報告させていただきました。

事務局からの御報告については、以上です。

○古城座長 ありがとうございました。

何か質問、御意見はございますか。

ないようですので、議論は以上といたします。


≪4.閉会≫

○古城座長 最後に、事務局から連絡事項はございますか。

○丸山参事官 本日も熱心な御議論をどうもありがとうございました。

次回会合につきましては、3月17日金曜日午後1時からの開催を予定しております。

なお、この後、委員間打ち合わせを予定しておりますので、委員の皆様方におかれましては別室にお集まりいただきますよう、よろしくお願いいたします。

(以上)