第15回 公共料金等専門調査会 議事録

日時

2016年3月16日(水)10:00から12:08

場所

消費者委員会会議室

出席者

【委員】
井手座長代理、古賀委員、陶山委員、矢野委員、山内委員
【消費者委員会担当委員】
長田委員
【説明者】
エネチェンジ株式会社 巻口副社長
エネチェンジ株式会社 担当者
立教大学 舟田名誉教授
【事務局】
消費者委員会 黒木事務局長、小野審議官、丸山参事官
消費者庁 福岡審議官

議事次第

  1. 開会
  2. 「電気料金比較サイト」の運営に関するヒアリング
  3. 電力自由化の下での競争政策等の課題に関するヒアリング
  4. 閉会

配布資料 (資料は全てPDF形式となります。)

≪1.開会≫

○丸山参事官 それでは、定刻になりましたので、始めさせていただきます。

本日は、皆様お忙しいところをお集まりいただき、ありがとうございます。ただいまから「消費者委員会第15回公共料金等専門調査会」を開催いたします。

本日は所用により、古城座長、白山委員、松村委員、消費者委員会の担当委員の蟹瀬委員が御欠席ということで御連絡をいただいております。それから、山内委員のほうは若干遅れているようです。

それでは、議事に入る前に配付資料の確認をさせていただきます。

お配りしております資料につきまして、配付資料一覧を御確認いただき、不足の資料がありましたら事務局のほうへお願いいたします。

なお、本日の会議につきましては公開で行います。議事録につきましては後日公開することといたします。

それでは、井手座長代理、議事進行のほうをよろしくお願いいたします。


≪2.「電気料金比較サイト」の運営に関するヒアリング≫

○井手座長代理 それでは、早速、議事に入らせていただきたいと思います。

最初の議題は「『電気料金比較サイト』の運営に関するヒアリング」ということで、エネチェンジ株式会社の巻口副社長においでいただいております。

エネチェンジ株式会社は、電気の自由化に伴ってさまざまな料金プランというものを出されているわけですけれども、消費者が自分の電気の需要にふさわしい電力会社を選択する際に、こういった電力比較サイトというものを参考にして決めるということが行われているわけであります。そういう意味で、この電気料金比較サイトのエネチェンジが運営されているわけですけれども、その比較サイトの運営について御説明いただき、その後、意見交換をさせていただきたいと思います。

大体30分程度でお願いしたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

○エネチェンジ株式会社巻口副社長 エネチェンジの巻口と申します。よろしくお願いいたします。きょうはこういう機会を与えていただきまして、どうもありがとうございます。

大変恐れ入りますが、お手元の資料1-2のほうの会社紹介というものを先に紹介させていただいた後、戻る形になりますが、資料1-1の私どものサイトの運営に向けてというところを御紹介させていただければと思います。

済みません。お手元の資料の会社紹介というものを開いていただきたいと思います。

今、こちらで開かせていただきます。

私どもとしては、きょうの御説明の中でもまさにこれが我々の一番のヒアリングの根底であると思っております。要は、電力会社を選ぶということをいかに公平で中立にちゃんと、きちんと自分自身を律して、そしてお客様のためにどういうふうにサポートするかということで、公平・中立というものをきちんと担保する。これが私どもの社是でございます。

会社の中身的には、いわゆるお客様に必要な情報をきちんといかに渡すかというようなメディアのものと、それから、今、まさに私たちの事業の中核であります比較サイト、プロダクトの開発というもの。それから、将来の我々のビジネスを今、つくっているところでございます。そのもとになっています、スマートメーターデータの解析。こういうビッグデータを扱うということをやっております。

簡単に、私どもは昨年4月に日本で会社を設立いたしまして、ちょうど、この4月1日の自由化に合わせて準備万端整えてきているところでございますが、その前、約2年ちょっと前なのですが、右側に書いてありますが、もともとはイギリスのほうのケンブリッジの大学とのいわゆる産学提携という形で、ケンブリッジにエナジー・データ・ラボというベンチャーの企業を興して、そこで2年強にわたっていろいろ開発に取り組んできていたところでございます。

ここは後で見ていただければと思いますが、非常に若いベンチャー精神にあふれた、こういう有田という人間のもとで一生懸命頑張っていますということでございます。

私どもとしては、今、冒頭に言いましたメディア戦略として、月間約200本ぐらいのお客様に対するいろいろな情報を流すことをやっておりまして、今、大体月間150万と書いてありますが、直近では170万ぐらいのユーザーにうちのサイトを御利用いただいている状況でございます。我々としては、いわゆるSEO対策として、ここに書いてありますような電力自由化あるいは電気代節約等々の、こういうワードを入れたら必ず1番に検索結果が出てくるというところを目指してやっているわけです。

具体的なサービスの中身でございますが、これはぜひ皆様で御体験いただければと思いますが、要はお住まいいただいている御住所、郵便番号を簡単に入れていただいて、そして御自分の電気の、当然のことながら使用量、御家族の形態、あるいは使い方等、5ないし6項目ぐらいを入れていただくことによって、お客様のライフスタイルに合ったものをお勧めするという結果を出すところでございます。

やはり私どもの命はシミュレーションの精度によるもので、我々としては、右下に書いてありますが、当然ですが、東京、沖縄、北海道というところでは気候が違うわけでして、そういう気候の違うところをちゃんと入れ込んで、そして郵便番号ごとにきちんとした精度のシミュレーション結果を出すということに注力し、それが我々の一番の売りということになります。

具体的なビジネスのモデルですが、これは先ほどお勧めという形でお客様に提示させていただいて、そして、そのお客様がそれを選んでいただいて、具体的にはここに書いてありますように、B電力と契約しましたということになったときに、B電力からいわゆる手数料、紹介料というものをいただいて、これでビジネスモデルというふうにしております。

したがいまして、お客様というものは当然、利用料金は無料ですし、我々としては電気の小売事業者様から、要は代理店の運用手数料あるいは広告手数料をいただく。こういうモデルでございまして、この代理店業務というものは完全な成功報酬型の運営ということでございます。お客様、需要家様と電気小売事業者が最終的に契約を結ばなかった場合には費用は発生いたしません。そういうことでございます。

この辺は若干の当社のもくろみでございますが、全体の低圧の契約者が約7,600万件ぐらいあるわけですが、こういう中で我々としていろいろ、ここに書いてありますような施策、先ほど言いましたような施策をとりながら、大体リーディングカンパニーとしての位置を確保していきたいと思っておりまして、年間で23万件から76万件ぐらいのお客様が期待できるのではないかなと思っております。

さらに、後でちょっと触れますが、この3%、10%、あるいは20%と途中でここに数字が書いてありますが、これはイギリスで起こった実際のことに対して我々がここに数字を持ってきているわけですが、それだけではなくて、実は博報堂がいろいろなマーケティングの調査をしたときに、ここに書いてありますように、我々のような比較サイトというものを利用したい、やや利用したいということで、約4分の3ぐらいのお客様が我々を利用したいとおっしゃっているということもございます。

最後に、これはイギリスで現実にここ10年強で起こっていることですが、左側にありますように、年平均10%ぐらいの人が電力会社を変更している。累計で60%が変更しているということです。逆に言いますと、40%の人が10年以上たっても変更していないということかもしれません。そういうところから、先ほどマックス10%ぐらい。すぐ、それが日本で起こるかどうかはわからないというところがありまして、ミニマムで3分の1ぐらいということで、3から10%という幅を持たせてあります。

それから、実際、10%という人の中を見たときに、右側の棒グラフがありますが、オンラインの我々の比較サイトを利用するというのが2014年のOfgem、いわゆるガス電力市場規制庁での報告では約44%の方々が電力の比較サイトを利用されているということですので、先ほど私ども、前のページで20%という数値をつくっていますが、これもすぐにイギリスと同じようなことも起こるかということもわかりまして、約半分ぐらいの見積もりで先ほどの幅を持たせたということでございます。

以上が私どもの事業の概要でございます。

よろしければ、次に資料1-1に戻らせていただきまして「健全な電力ガス比較サイト運営に向けての取り組み」というところを御紹介させていただきたいと思います。

中身的には、冒頭言わせていただきましたが、この「2.健全なサイト運営に向けての取り組み」ということで、何といっても、この公平性・中立性をどういうふうにきちんと担保するかというところが絶対条件であると思っておりますので、それの若干の説明と、媒介業者としての法令遵守、個人情報管理の徹底。それから、こういう場をかりて大変申しわけないのですが、少し私どもが今、考えていることをちょっと御紹介させていただければと思います。

私どもは現在、28社152プランとありますが、実はきょう時点で30社168プランという状況になっております。こういう非常に大きなプラン数に対して、今後も各事業者が新しいものを発表される、あるいは更新されることになりますので、それをいかに速やかに診断画面に反映していくかというところが我々の努力すべきところであると思って、一生懸命頑張っているところでございます。

そうした中で、実は各小売事業者から問い合わせフォーム、いわゆる問い合わせです。私どもの公表しているものに対して、これはどういうことですか、あるいは少し意見があるのですがというものをしっかり受けとめる必要がございまして、いわゆる問い合わせフォームを準備し、内容に私どもが、当然のことですが、不備がある場合、これは訂正しなければいけません。そういうものの受付フォームを今、準備して、実際にもう運営を始めておりますが、ちょっとフォームという意味ではまだ完全なものではございませんので、現在進行形ではございます。

なお、その診断結果については、小売事業者様と、先ほど契約をするということを一つのビジネスモデルと置いているわけですが、そこの金銭的な契約の有無は、今は我々の診断結果には反映しておりません。ただし、私どものエネチェンジの診断結果から直接お客様がお申し込みできるという、いわゆる代理店の契約締結事業者、こういう方の場合にはこのサイトを利用していただけるユーザーの利便性を高める要素といたしまして「おすすめ軸」という、要するに便利ですというお勧めという形で、それは考慮しております。

それで、我々は媒介事業者という立場でこのビジネスモデルを組んでおりますので、当然ながら、そこには法令遵守の姿勢というものが必要でございまして、料金その他、供給条件についての説明、それから、小売供給契約の締結に必要な手続というものを需要家さん、お客様に対して行っております。

この辺のいろいろな利用契約・規約、あるいは各事業者との重要契約というものについては、私どもの顧問弁護士事務所をしていただいております森・濱田先生のところ、特に市村先生に法務的なレビューをいただいて、しっかりそこを担保していくということをやっております。

当然のことながら、需要家様に対しては正確な情報を伝えて、利便性の高いサービスというものを提供するわけですので、電力システム改革の一助となるということで、企業としての社会的責任は非常に重いと思っております。

これは言わずもがなで大変恐縮ですが、赤字にありますように、小売供給契約の締結又は媒介、取り次ぎもしくは代理をしようとするときは、いわゆる私どもの立場です。そういう場合には、当該の小売供給に係る料金その他の供給条件について説明しなければいけないということですから、我々のウエブ上、この説明をしっかりしているということでございます。

あと、当然、そこで受付をするということになりますので、個人情報の管理が必要になるわけで、我々としては、この契約小売事業者の切りかえを希望するお客様、要は申し込み受付を受け付けるわけですから、そうしたときに個人情報管理の徹底ということをやっておりまして、これは近々、まさに今年度内には取れると思いますが、今、審査中でございまして、プライバシーマークの取得手続を開始しております。

それから、代理店として受け付けた情報をいかにちゃんと顧客管理するかということが当然大切で、いわゆる独自準備した顧客データベース管理システムをもって小売事業者に安全にデータを受け渡すということをやっておりまして、具体的にはSwitching Dashboardというアプリケーションを通じて顧客情報を一元管理しております。したがいまして、小売業者あるいは役割ごとにアクセス可能な情報をいわゆる制御できるよう、こういう管理を徹底しております。

ちょっと見にくくて恐縮ですが、右側がダッシュボードでございまして、いわゆる全てのステータス、あるいは今月、どんなお客様で、どういう契約、どんなプランかといういろいろな入り口の中で、顧客がしっかりわかるような管理システムを動かしております。

それで「3.公平性のある競争環境の整備に向けた提言」などという、ちょっとおこがましいタイトルをつけさせていただいて恐縮でございますが、私どものほうから2点ほど希望というものがございます。

実は、御存じかと思いますが、当然のことながら、私どものこのビジネスというものは欧米にビジネスモデルがもともとあります。そういうところでどんなことが起こっているかということの中からの私どもの思いです。

イギリスやドイツなどでは、正直、比較サイトが乱立しておりまして、一部サイトでは「診断」ということを言いながら特定の電力会社への利益誘導を図ることが常態化した。それで消費者の信頼が失墜したという経緯がありまして、イギリスでは2013年にConfidence Codeということで比較サイトの認証制度が導入されまして、そして消費者の信頼回復に努めております。これは右下にスタンプがありますが、いわゆるOfgemのConfidence Codeを取得するというのが一つの方法になっております。

それでドイツでは、実はこういう制度がないこともあろうかと思いますが、いまだに比較サイトというものがなかなか難しい状況になって、消費者の信頼をなかなか得られない状況に一つあります。

実は、イギリスやドイツとありますが、アメリカなどの場合には州政府がみずから比較サイトをやるというところで公平・中立性を担保するという形のものがあります。例えばテキサスとかフロリダとか、自由化されている州のうちの一部なのですが、そういうところも出てきておりまして、いかに私たちが民間企業として自分をしっかり律していないとそういう形にもなりかねないので、これは我々のいわゆる立つべき公平・中立というものの重要性を認識しなければいけないと思っております。

日本でも今、正直、いろいろなサイトが出ております。ただ、一部においては、ちょっと怒られるかもしれませんが、診断時間、季節性という、いわゆるシミュレーションの精度というものに若干問題があるかなと、私どもから見れば不適切・不正確な表示もするといったものもありますし、さらに当社のコンテンツを無断で流用されるという状況も見受けられまして、ちょっと嫌な兆しがあるなという思いはあります。

最後に、要は電力という消費者に一番、一見わかりにくい商材がゆえに、政府機関の認証制度というものは、ある意味、不適切な事業者の乱立に一定の歯どめ、抑止が働くと思います。我々としては、当面はイギリスのConfidence Codeをみずから、そこを一つの参考といいますか、立脚するべきポジションということにして、独自の高い倫理の基準を制定して、守っていきたい。今後もそれを遵守していきたいと考えております。

それから、これは自由化とは本来、直接関係するわけではないのですが、今回、自由化とあわせてスマートメーターが導入されますね。一部、もう既に導入はされていますが、本格導入ということかと思いますが、そういうスマートメーターの普及と活用なくして、私どもはこの自由化というものの成果は得られないのではないかなと思っております。

そうした時点で、現在はいわゆるAルート、Bルート、Cルートというものがあることは御承知かと思いますが、Aルートのみが準備されていて、結果として電力事業者が電力のデータを、言葉はきついですが「独占」する形になっております。こういう状況の中では、お客様が電力会社を切りかえる際に「過去のデータを新規事業者に容易に引き継げない」というところがあります。したがいまして、競争上の公平というものが損なわれるのではないかなという思いがありまして、イギリスでは、この4月からAルートとCルートが解放されます。したがいまして、その開放というものは第三者事業者にもユーザーの同意を得て取得可能になる。こういう道がついております。

私どもとしては、こういう状況で当面の対策としては、Aルートデータでのユーザー同意に基づいて、これを活用していこうというふうに動いているわけですが、近い将来的にはぜひCルートの第三者への情報提供を早く実現されるということをちょっと期待しております。

左側には、実はこれは東京電力の例として書いてありますが、東京電力が今お持ちの「でんき家計簿」というシステムと私どもとの中で連動させていただいて、データを有効活用するという道があるわけですが、東京電力からどこか別の新電力に行った場合には、また別の仕掛けをつくらなければいけないということになるので、ちょっと煩雑です。

それで、イギリスの場合にはDCCといっていますが、広域のこういう情報管理をするところがございまして、そこから右側に、上のほうにいろいろ、eDFとかSSEと書いてありますが、いわゆる小売事業者は当然なのですが、一番下に赤く囲ってありますが、ある限定された人にはなろうかと思いますが、第三者事業者に対するここからのデータの伝送が可能になっておりますので、ぜひこういう形を早くつくっていただければ、我々はここのいわゆるビッグデータから得られるいろいろな今後のビジネス、あるいはお客様への利便性への提供とか、こういうものに対して我々からいろいろな提案ができるのではないかなと思っておりますので、よろしくお願いしたいと思います。

以上でございます。

○井手座長代理 ありがとうございました。

ただいま御説明いただきました内容について、御意見あるいは御質問等がございましたら、いつものように名札を立てていただいて御質問していただければと思います。それでは、よろしくお願いいたします。

では、矢野委員、どうぞ。

○矢野委員 御説明ありがとうございました。

巻口さんはさまざま、マスコミ等にたくさんお出になっていらっしゃって、エネチェンジが今、本当に多くのところで知られるようになってきているかなと思います。

私のほうからは、2点ほどお伺いしたいと思います。

1点目は公平・中立に関してですが、結果としてエネチェンジのほうでは運営のための費用等は代理店の運用手数料や広告掲載料からということですが、そのことが利益誘導にはつながらないのかどうかということでちょっと懸念しておりますので、その辺に関しての公平・中立について少し御説明をお伺いしたいのが1点目です。

2点目は、さまざま診断のためにプランが紹介はされるのですが、一方、消費者団体を初めとして電源構成の表示がずっと求められています。諸外国では一定、そういう比較サイトに既に電源構成が全部掲載されているような状況もあるわけですが、今後、電源構成を積極的にエネチェンジのほうで表示していくとか選択の一助として、そのことについてはどのようにお考えなのかをお聞かせ願いたいと思います。

以上です。

○エネチェンジ株式会社巻口副社長 私どものほうは、先ほども小売事業者様から料金をいただくということでビジネスが成り立っていると申しましたが、この料金については、私どもとしては皆さん同じ料金でいただきたいということを基本にしております。ですから、どこからか多く取って、どこかは少ないとか、そういうことではなくて、我々として一律料金でまずスタートしたいということで、どこかに偏ることがないようにしなければならないと思っています。

それで、公平性という意味からいきますと、実は我々は、Confidence Codeにもありますが、いわゆる小売事業者からの独立ということですか。資本等を含めて、電気小売事業者の何かの影響力が入るような形は排除しなければいけない。まず、そういうふうに思っておりますし、もう一つは、料金をもらうか、もらわないかにかかわらず、公表されているいわゆる事業者プラン。それは全て掲載するということを私どもでは心がけております。

したがいまして、先ほど言いました、手数料をもらうか、もらわないかで、掲載する、掲載しないということはない。とにかく、全部お客様に対しては比較して御覧いただける。ただし、そこから私どものサイトで事後的に、例えば受付をするとか、そこのところは契約がないとできないのです。代理店契約がないとそこはできませんので、その結果について、もしもそこで契約がない場合にはお客様独自で、例えばその会社のホームページに行っていただくとか、お電話をかけていただくとか、そこで利便性が少し落ちるということにはなります。そういう差はつけざるを得ないかなと思っていますが、そういうところで考えております。

2番目の御質問で、電源構成についてですが、私どもとしては今、お勧めポイントという形で、電源構成の有無ということは既に入れております。実は当初、12月末ぐらいにはCO2の削減係数をちゃんと織り込んで、それでランクづけしようと思っていたのですが、それ以前に、年を越えても電源構成すら発表しないところが、もう発表する、発表しないの話なのです。つまり、CO2の削減係数まで至らないので、それではちょっとお客様に対して情報が提供できないのではないかということで、現状は電源構成を発表しているか、発表していないかということは既に織り込んでおります。

ですから4月以降、まさにお国のほうでもそれを強く推進すると伺っていますが、各社が全部、電源構成を発表するような段階になれば、今度、私どもとしてはCO2の削減係数というものをとってランクづけをしていきたい。そんなふうに考えております。

○井手座長代理 今の矢野委員の質問で、広告の掲載料というものは、例えばGoogleとかで連動広告とかで広告を出してくれれば、検索をしたときに上に行くというものが問題になったことがありますね。そういう広告掲載をするか、しないかによって全く影響は受けないということですね。

○エネチェンジ株式会社巻口副社長 はい。

○井手座長代理 あと、紹介料というものは1件で幾らという、いいお客さんといいますか、大量に使うお客さんであろうが、少量需要家であろうが。

○エネチェンジ株式会社巻口副社長 はい。1件であろうが、100件であろうが、1件幾らということで、同じ値段ということです。

○井手座長代理 では、陶山委員、どうぞ。

○陶山委員 御説明ありがとうございました。今の矢野委員の最初の御質問に関連して、もう少しお聞きをさせていただきたいと思います。

今、井手座長代理のほうからもありましたが、代理店業務の契約をされたところは「おすすめ軸」という言い方で書かれているという、1件ずつの代理店の手数料は一緒なのですけれどもということなのですが、それと広告掲載料との関係で、利用者が見た感じ、どのぐらい透明性があると思われているかというところ。

もう一つ、御社の株主構成が資料の3ページに個々に挙げてありますけれども、もしよろしければ、出資比率等がわかればざくっと教えていただきたい。

それから、リーディングカンパニーを目指しておられる御社が、現在リードされているということは全体に伝わっていると思いますが、新しいビジネスということで、これももしよければということなのですが、2016年度の収支予算等をどのように描いていらっしゃるか、お話しいただけるところまでで結構ですので、お願いいたします。

○エネチェンジ株式会社巻口副社長 なかなか厳しい御質問なので、正直ベース、大変申しわけないのですが、株主の出資比率については私ども、今、公表できません。我々は、この環境エネルギー投資、B Dash Ventures株式会社、いわゆるこれはベンチャーキャピタルの会社でございますが、そういうところを非常に大きく出資していただいているところでございます。

それで、日立製作所が入っている理由は、我々と一緒になって、実はスマートメーターのビッグデータの解析を今後やっていこうという展開の中で、一緒にやろうという中で、だったら、このぐらいのことはサポートしますかという程度の出資でございまして、大変申しわけないのですが、その程度で、答えになっていないと思いますが、御勘弁いただきたいと思います。

さらに、2016年度の収支の予想については、具体的な数字は言えませんし、あれなのですが、今、代理店契約ということでいろいろお話をさせていただいているのですが、正直ベース、この代理店というものまで当社と深くかかわりを持ちたくないといいますか、単に普通の手数料紹介会社みたいな形でいいというお客様も結構いらっしゃいます。

我々としては、本当にお客様と向き合って、きちんとその人たちと長くエネルギーについて、我々が御説明できるような場を持ちたいと思っておりますので、簡単なアフィリエイトでぽんと飛んで、中身が全然わからないというビジネスはしたくないので、今、非常に苦戦している状況でございまして、済みません。

○井手座長代理 陶山委員、どうぞ。

○陶山委員 本当にお話しされにくいところまでお聞きしたのかもしれませんが、御社が最初におっしゃられました中立性と公平性という、これは非常に重要に思っておりますが、経営が盤石でないとなかなか中立性・公平性も守っていけないところがあると思うものですから、あえてお聞きしたところです。

また、だからこそ、政府機関による認証制度というものも期待しているという御意見も出ているのかと思いますので、比較サイトとしてぜひ頑張っていただきたいと思います。

○エネチェンジ株式会社巻口副社長 ありがとうございます。

○井手座長代理 では、古賀委員、どうぞ。

○古賀委員 どうも、御説明ありがとうございました。2点質問と1点要望をさせていただきたいです。

1つは手数料についてですけれども、これはいわゆるセット販売のようなものをされているようなところについても、やはり1件の契約についてはあくまでも1件の手数料という形で取っていらっしゃるのかということと、スイッチングした場合に、後でいろいろな情報について、メールマガジンという形で送ったりとか、そういうことはされるのかということ、それから、契約が取り消された場合、御社経由で契約された方が取り消された場合には、御社がお受け取りになった手数料は事後的にはどうなるかということを教えてください。

○エネチェンジ株式会社巻口副社長 最初の手数料ですが、いわゆるメニューが例えばセットになっているとか、いろいろほかのものと組み合わさっているという、つまりメニューの形といいますか、そういうものによって手数料を変えるということは特にしておりません。

それと、私どもがお客様と、先ほど言いましたように、長くつき合っていただきたいということで、我々としては、ビジネスとしてやってはいけないと思っていることは、要はどんどんあおるというのですか。スイッチングが、回数がふえたほうが当社は非常にある意味もうかっているような形なのです。それをやり出しますと、外国の例でもそういうものがあるのですが、いわゆる消費者と私ども、それから、小売店事業者との信頼度が崩れていくのです。

したがいまして、我々としては少なくとも契約期間中にお客様が欲しいと思われる情報を、先ほど委員からもおっしゃっていただきましたように、メールマガジンとか、あるいはコールセンター等を通していろいろ情報を流して、そして次の、例えば契約をするときに、やはり比較サイトでエネチェンジを使ってよかったなという御評価をいただいて、私どもを利用していただくということが王道であると思っております。

済みません。3点目は何でしたでしょうか。

○井手座長代理 解約です。

○エネチェンジ株式会社巻口副社長 解約については、私ども、解約したということで特に何か手数料といいますか、違約金というものは特に考えておりません。

○井手座長代理 電力小売事業者に対しては。

○エネチェンジ株式会社巻口副社長 電力小売会社に対しては、今、言いましたように、私どもとしてそういうあおることはしないという、ある意味、紳士協定の中で、それでもお客様がかえた場合には、それはお客様が選択したことなのでしようがないということで、電力と私どもとの間でも特に違約金等はありません。

○エネチェンジ株式会社担当者 あと、お客様に申し込んでいただいて、そこを我々が一旦、情報をお預かりして、それを電力会社様にお渡しします。そこから電力会社と需要家の間での供給契約が締結されるので、ここが完結して初めて成果とカウントします。ですので、その申し込みの、そこに至るまでの段階でお客様がキャンセルということであれば、それはカウントしないで、我々としてはフィーはいただくという仕組みになっております。

○古賀委員 申し込み後、すぐ解約した場合はどうなるのでしょうか。

○エネチェンジ株式会社巻口副社長 それはお客様がそうしているわけなので、私どもから、先ほど言いましたように、あおるようなことは一切していません。しかし、お客様が選択した以上、それはお客様の話なので、しようがないです。それは電力と私どもとで、いわゆるしようがないですねということです。

もう一つ考えられるのは、私どもが例えばお客様を紹介したときに、私どもから紹介するお客様がすぐに全てやめてしまう。そういうお客様ばかり私どもが例えば接客することになれば、それは電力会社から評価を受けて、エネチェンジはある意味、信頼がない。そんなお客様ばかり紹介してくるということで、きっと代理店契約というものもキャンセルされるのだと思います。

○古賀委員 あくまでも代理店等と小売事業者の関係で、解約されても御社との関係では違約金等は発生しないということですね。

○エネチェンジ株式会社巻口副社長 違約金等は発生しません。

○古賀委員 わかりました。

済みません。もう一つ、いいですか。

○井手座長代理 どうぞ。

○古賀委員 これは質問というより要望になるのですが、エネチェンジのサイトを見ますと、どういう会社かというのが実はよくわからなくて、会社の概要を今、本日の資料にて説明していただいて初めてわかったのですが、できればこれを最初のサイトのトップに、こういう会社ですというものを出していただきたいです。

それから、実際、今までに苦情のようなものが来ているかどうかということと、そういう苦情についての御社対応窓口があるかどうか。もし、対応窓口がないような場合には、あくまでもここのサイトでは代理店としての媒介の誘因をしているだけであるということを明示していただきたい。これは要望です。

○エネチェンジ株式会社巻口副社長 私どもから、御要望はよく承って考えさせていただきますが、苦情等については、私どもはコールセンターを持っております。したがいまして、苦情だけではなくて、このウエブからの申し込み等についても、なかなか手が重い方もおられて、ここはどうすればいいのかというお問い合わせも含めて、それは全て私どものところで電話で対応するということをしております。

そういう中で、今、正直いろいろいっぱい御要望もいただきますし、実際の手続もありますが、そういう中で、先ほど一部出ましたが、実は私どもを選んでやろうと思ったのですけれども、どういうあれかわかりませんが、もう嫌になったからキャンセルしたいとか、そういう御要望は結構ございまして、そういうものの対応は一つ一つ丁寧にコールセンターでやっております。

○井手座長代理 そのほか、いかがですか。

では、長田委員、どうぞ。

○長田委員 お話ありがとうございました。

エネチェンジが郵便番号で、地域、そこの天候とか、あと、家族構成と、毎月の直近の電気料金で予測をしていらっしゃって、お勧めを出してくださっているのですが、今、我々ユーザーからしますと、いろいろなものとのセット割り、いろいろな条件がある。その中で、自分の暮らしの中に何が一番選べばいいのかというところが多分難しいところなのだと思うのですけれども、そこに踏み込むおつもりはないのでしょうか。

○エネチェンジ株式会社巻口副社長 私どもとしては、まだまだ内容をブラッシュアップしなければいけないと思っていますが、今回の起こった自由化の中で、お客様は結局、セット割りといいますか、お客様のまさにいろいろなところで、私、ライフスタイルという言葉を使わせていただいていますけれども、そういうものに合ったものをいかに上手に検索できるかということなので、電気料金だけでの比較になっておりません。それは私どもの特徴で、ほかのいわゆるサイトは電気料金だけの比較になっています。

我々は、通信にしても、あるいはいろいろなところでポイントが入るとか、それから、いろいろなガスとのセットとか、こういうものがありまして、お金に換算できるものは全て換算して、そしてトータルのものとしてお勧め度という形で出しています。特にお勧め度のところでは、さらに、先ほど御質問がありましたように、電源構成が公表されている、公表されていない、あるいはほかのものもありますが、いわゆる違約金を取るようなシステムがあるのか、ないのか。そういうものも加味して、値段だけではなくてランクが、したがって、よく見ていただきますと、お金がいっぱいなのに、下に来ているところもあるかと思いますが、ランクが入れかわっているのは、例えばある会社は電源構成を発表している、ある会社は発表していないということで、そういうところで入れかわっております。

そういう一つの評価尺度を持って我々としてはやっていますので、まだまだいろいろな意味で改良点はあろうかと思いますが、一応、セットというものが今回の重要なキーワードであると思って、それをどういうふうに取り込んでいくかということで努力しているつもりです。

○井手座長代理 長田委員、どうぞ。

○長田委員 加えて、もし比較をするところを利用しただけで契約に至らない方もいっぱいいらっしゃると思うのですけれども、契約に至るという、そこのところのデータを今のところは分析していらっしゃらないのでしょうか。

○エネチェンジ株式会社巻口副社長 私どもとして、どういうお客様がどういうメニューに興味があるかというのは当然、データとして持っております。したがいまして、そういうものの分析はしていきたいと思っています。

○長田委員 それで、その分析されたもので何か、それを電力会社、いろいろな小売事業者に何か情報提供することでお金にかえるといいますか、そういうことは今のところはしていらっしゃいますでしょうか。

○エネチェンジ株式会社巻口副社長 将来的にはそういう形で、新しいメニューをつくっていく上で、どういうお客様がどういう行動をするかというものをデータ分析して、そしてお渡しするというサービスもしたいと思っています。

○長田委員 今、していらっしゃらないということの理解ではいいのですね。

○エネチェンジ株式会社巻口副社長 いや、しようと思っています。

○長田委員 もし、そうであるとすれば、先ほどのホームページの話がありましたけれども、まず比較のところからぽんと行きますが、その比較サイトを利用するに当たって何をとっていらっしゃるのか。それをどう分析して、何に使おうとしているのかというのは、できるだけ早い段階でわかるようにしておいていただけるといいなと一つ思いました。

あと、先ほどの御質問の中でももしかしてお答えになっていらっしゃるのかもしれないのですが、御社のホームページからそのまま契約に行ける場合はいいとして、そうでなくて、そこで比較だけでおしまいになりました。でも結局、その方はどこかで直接行って契約した場合は、手数料は入らないということですか。

○エネチェンジ株式会社巻口副社長 入りません。

○長田委員 そうしますと、御社を通して契約をしたい方のデータは安全に管理されていますと書いてありますが、そのデータはどのくらい保管していらっしゃるのですか。

○エネチェンジ株式会社巻口副社長 年数という意味ですか。

○長田委員 はい。

○エネチェンジ株式会社巻口副社長 ちょっと済みません、私、失念していますので、そこの管理は何か。

○エネチェンジ株式会社担当者 お客様からお預かりしたデータは、我々は去年設立されたばかりなのであれなのですけれども、基本的にはずっと保管します。

○長田委員 ずっと保管して、それを利用するのですか。

○エネチェンジ株式会社担当者 個人情報の取扱いは、1つ、先ほど巻口が申し上げた、御指摘にあった、どう使うのですかという話で言いますと、基本的に統計情報として使いますので、個人が特定できる形での利用というものは考えておりません。

プラス、いわゆるエネチェンジというサイトの中で、ユーザー様がどう動いているかというデータまでは統計情報として、あくまで情報なので、電力会社様に傾向分析に役立っていただくようにお伝えするサービスというものは考えています。

ただし、実際に申し込みがどれだけあったのか。契約にどれだけ結びついたのかというのは、これはあくまで電力会社様の秘匿情報でありますし、そこを我々が他業者様に展開すると、それは信頼の失墜につながりますので、そこは明確に区別して、あくまで暫定的に共同管理させていただいているだけという整理のもと、申し込みに関する情報は一切、提供サービスの対象からは外しています。

○長田委員 ありがとうございます。

○井手座長代理 ありがとうございます。

では、山内委員、お願いいたします。

○山内委員 どうもありがとうございました。

私は経済学の専門なので、経済学からすると、こういうふうに情報をマーケット取引の中へ出していくのはとても重要なことで、情報によって正当な取引が行われて、マーケットが動くということなので、特に今回の自由化のように、情報が錯綜している中では非常に重要だと思うのですけれども、ただ、それで言いますと、先ほどもちょっと出ましたが、例えばパッケージの商品であるとか、いろいろなポイントというものがありますね。どこまで詳細に比較できるのかという疑問もちょっと残らざるを得ないのではないか。

といいますのは、今、おっしゃいましたように、パッケージの中のポイントはまだいいのですけれども、例えばLPガスとの組み合わせなどですと、LPガスの値段などは決まっていませんので、全く比較できないということになってしまいますね。その辺はどういうふうに考えていらっしゃるのですか。

○エネチェンジ株式会社巻口副社長 その辺は定性的な言葉でやっています。どうしても、先ほどお金に換算できるものは全てやりますと言いましたが、逆に言いますと、お金に換算できるサービスというものがありまして、例えば最近、電力さんは見守りサービスとか、あるいは家庭の中でのトラブルサービスとおっしゃっている。これはお金には換算できません。したがいまして、それはお金の部分以外に、こういうサービスもありますという形で条件としてやっております。

○山内委員 いや、それはわかるのですけれども、それはそうなのですが、今の、例えばLPガスなどはお金で幾らというものが決まっていませんので比較しようがないのではないかなと思うのです。

○エネチェンジ株式会社巻口副社長 そこはあります。したがいまして、それはLPガスは、ある意味、対面で決まるような感じですので、そこでのお問い合わせはLP事業者とやってくださいという注意喚起といいますか、そういうことにとどまります。

○山内委員 それで、去年立ち上げられて、私は4月か5月にサイトを発見して、いろいろなところで講演の中で紹介しているのです。宣伝をしてまいったのですけれども、ただ、この間、東京電力の提携企業の中に御社の名前が入っていまして、それだけでかなり信用失墜になるのではないのですか。

○エネチェンジ株式会社巻口副社長 いや、といいますか、それは代理店契約なので、そうなのです。しかも「あいうえお」順で掲載していただいたので、うちが上のほうに来るという状況になったもので、それはそれで痛しかゆしのところは、プラスマイナス両面あると思います。

○山内委員 それは多分、ビジネスモデルがそうなっているので、代理店契約をして取り次ぎでというところで、手数料でというビジネスモデルになっているので、こういう形で仕方がないのかなと思うのですけれども、ただ、かなり心理的に、やはり提携しているだけという、それだけで抵抗を持たれてしまうのではないかと思いまして、ビジネスモデル自体がなかなか難しいかなと、今、伺っていたのですよ。

それとの関係で言いますと、スマートメーターで分析をする。それで、生活とか地域とか、あるいは気候風土あわせて分析をして、何かいいものを、いい情報を出していくという、それが実は物すごく価値を生むビジネスではないかと思うのですけれども、それをどういうふうなビジネスモデルを組むのかというのを伺いたいのです。

○エネチェンジ株式会社巻口副社長 まさに今、我々の一部の人間はまだケンブリッジにおりまして、先ほど言いました、4月からイギリスで第三者開放ということができますので、我々は一つの事業者としてイギリスでそのデータをとって、そして、そこから何が見えてくるかということをこれからまさに手をつけていこうというふうに考えているのです。

○山内委員 見えてくるのもそうなのですけれども、その価値をどういうふうに売るかです。要するに、今のビジネスモデルですと取り次ぎのところで収入が入ってくるという形になっているのですけれども、その分析したものを今度は消費者に売らなければいけない。

○エネチェンジ株式会社巻口副社長 そういうモデルは当然あると思います。

○山内委員 そのビジネスモデルをどうされるのかなと。

○エネチェンジ株式会社巻口副社長 それは、いってみれば利益を得られる人からお金をいただくのが基本だと思いますので、事業者のほうだけではなくて、エンドユーザー側にも売れるようなサービスを逆に私どもが持たなければいけないのではないかと思いますが、そこは一つ、我々、視野に入っています。

○山内委員 ただ、私、いろいろ話を聞いている中で、通信事業者がこのスマートメーター分析に大変興味を持っていまして、彼らは自分たち通信のこともあるので、そのノウハウとかプログラムモデルシステムはかなり先行していると思うのですけれども、どうお考えになりますか。

○エネチェンジ株式会社巻口副社長 そういう意味では日立製作所が、先ほど言いましたように、非常にそこのところは興味を持って、我々みたいな小さいところと手を組んでやってみようというのも一つのそういう流れなのかなと思っています。ベンチャーとしてうまく、それに応えていきたいなと思っています。

○山内委員 最後に伺いたいのですけれども、携帯電話が競争状態に入ったときに、やはり比較サイトとか、携帯電話の便は、さらに言いますと、プランの比較ですね。同じ会社の中でもプランの比較とか、それが随分話題になって、幾つかのサイトができたのと、それから、スーパーなどが附帯サービスとして持ってくればやりますということをやっていたのですが、結局メジャーにならなかったのですけれども、今回はどこが違いますか。

○エネチェンジ株式会社巻口副社長 済みません。そこまでの分析はできておりません。そうならないように頑張るとしか言えないのですが、もう少し勉強して、我々として一過性にならないように、この自由化の中で盛り上げる役にもなっていきたいですし、生き残りをかけて頑張っていきたいと思っています。

○山内委員 どうもありがとうございました。

○井手座長代理 今の山内委員の質問でありましたけれども、携帯電話は端末の比較サイトみたいなものは出てくるのですが、ネットワークのところについての比較サイトはうまくいかないというのは、基本的に代理店がたくさんあって、代理店の裁量でいろいろなことが行われるので、単純に比較できないところがありまして、多分、電気も販売代理店というものがありまして、例えばインセンティブで、このぐらい目標を達成すればリベートがどうだということが行われるようになりますと、なかなか単純にサイトだけで比較できなくなるという問題はありますね。

○山内委員 あと、携帯電話は最初、キャリアチェンジが難しかったのです。ナンバーポータルがありませんでしたから、それは確かに違うのです。

ありがとうございました。

○井手座長代理 そのほか、いかがでしょうか。

これは、比較サイトで中途解約について、東京ガスとかは中途解約の手数料はないのですけれども、それ以外のところである場合があります。これも全部、考慮しているのですか。

○エネチェンジ株式会社巻口副社長 いわゆるありかなしかで、やはりそこにお勧め度に差をつけています。

○井手座長代理 単純に料金で幾らというのではなくて。

○エネチェンジ株式会社巻口副社長 このメニューは違約金というものを取られますという注意喚起をちゃんとして、そして中身をよく見れば、それが幾らかというものも、大分飛びますけれども、わかるような形になっています。

○エネチェンジ株式会社担当者 2つの軸がありまして、先ほどおっしゃいました、電気代をピュアに見比べた場合がこちらで、こちらがお勧め順という軸です。その判断考慮の軸というものはこちらで、ウエートづけはもちろんしているのですけれども、今までの議論でありましたことを全て盛り込んだ上での判断としていますということで御説明しています。

○エネチェンジ株式会社巻口副社長 私どもとしては、今、ここにあります、今後の課題としては、例えばサポート体制が充実しているかどうかというのは、まだ始まっていませんので、ここでは軸が生きていないのですが、私どもの御利用いただいたお客様にお客様満足度という形でいろいろアンケート調査をして、ここも一つのいわゆるお勧めの判断基準として充実させていきたいと思っています。

○井手座長代理 もう1点ですけれども、イギリスの場合の認証制度がありますが、これはイギリスの場合、どのぐらいのサイトで認証を得ているものがあるのですか。

○エネチェンジ株式会社巻口副社長 今、12社というふうに聞いております。したがいまして、認証を受けていないものがそのほかに、個人レベルも含めれば、またいっぱいあるのです。それこそ何十ということなのです。

○井手座長代理 これは、これをクリアしないと認証が与えられないという、何か条件があるのですか。

○エネチェンジ株式会社巻口副社長 いわゆるConfidence Codeで言われているのは、このOfgemという機関がいわゆる消費者に対する保証ということで、まず小売からの独立であるとか、全部のプランを出せとか、診断精度を高めなさいということを消費者に対して約束するということと、それの裏返しで、サイトに対しては義務化しているというものがありまして、これがいわゆる紹介料の有無とか、あるいは表示がわかりにくくしてはだめとか、それから、一部だけ掲載して全部掲載しないような、そんなものはだめとか、そういう義務というものを与えて、そのバランスの中で、そういう評価軸の中で認定が行われていると聞いています。

○井手座長代理 そのほか、御質問はいかがでしょうか。

では、陶山委員、お願いします。

○陶山委員 今、Confidence Codeについて御説明があったのですが、今、日本の状況を見まして、エネチェンジはこれを参考にした基準でつくっていらっしゃるということなのですが、おっしゃりにくいかもしれないのですが、ほかの比較サイトの幾つかを見たときにどんな感想をお持ちでしょうか。

○エネチェンジ株式会社巻口副社長 私どもとして、少なくともイギリスのConfidence Codeを持ち出して、自分の公立・中立性をうたっているところはほかにはありません。ですから、実態としてどういうふうにやられているか、私は知りませんが、お客様に対して我々は一応、これをベースとしてやっていますということを公言しているのは私どもだけです。

○陶山委員 ありがとうございます。

○井手座長代理 そのほか、いかがでしょうか。

では、矢野委員、お願いいたします。

○矢野委員 ちょっと感想めいたことになりますが、こういう比較サイトというものは消費者にとっては非常に重要なサイトなのですが、事業者側だけが頑張るのではなくて、やはり消費者側がそういうものを応援して育てていく形もとっていかないと、よりよい信頼性のある比較サイトが今後も成長していかないと思いますので、そういったことも視野に入れて、ぜひ事業を進めていただきたいなと思っておりますし、消費者とか消費者団体もそういった面でも頑張っていけるようにしていきたいなと思っております。

○エネチェンジ株式会社巻口副社長 ありがとうございます。

○井手座長代理 追加ですけれども、先ほど紹介料というものがありましたが、これは小売事業者ごとに違うのですか。

○エネチェンジ株式会社巻口副社長 いや、基本は一緒です。

○井手座長代理 どの事業者であっても一緒ということですか。

○エネチェンジ株式会社巻口副社長 はい。一応、私どもはベースとして置いています。

ただ個々に、実は先ほど言われましたように、代理店政策というものはもともとお持ちなのです。したがいまして、私どもは代理店のワン・オブ・ゼムなのです。もっと大きい代理店に比べれば全然弱小なので、そういう代理店政策の中で、今のレベルではエネチェンジは我慢して、このくらいという、あるいはそういうものの中で決まっているものもありますが、少なくとも私どもは一定でさせていただきたいというふうに、今、一生懸命お客様交渉をしているところでございます。

○井手座長代理 古賀委員、どうぞ。

○古賀委員 先ほど、「お金で換算できるものは全て価値として」とおっしゃったのですが、例えば私などもかかわっている、市民の間でもいろいろな電力、特に再生エネルギーの電力のサイトのものもでき上がったりしているのですが、そういった市民や自治体が小売事業者になったような場合に、そうしたサイトに登録されている業者も御社のほうで紹介手数料さえ出せば扱われる予定はあるのでしょうか。

○エネチェンジ株式会社巻口副社長 はい。私どもは、基本は先ほど言いましたように、お金をもらえる、もらえないにかかわらず、日本の中でとにかく電気小売事業者として、メニューを公表しているものは全て取り込みます。したがいまして、それは先ほどConfidence Codeにあったように、お客様視点でやらなければいけませんので、全てのメニューをとにかく比較できるようにする。これが絶対条件です。その中で、たまたま代理店になっていただける人といただけない人がいるということだけです。

したがいまして、企業の大小あるいは地域によって、この人は入れないとか入れるとか、そういうことは考えておりません。

○井手座長代理 ありがとうございました。

いろいろ御意見が出ましたけれども、消費者庁のほうからは何かございませんでしょうか。

福岡審議官、どうぞ。

○福岡審議官 1点だけ質問をよろしいでしょうか。

先ほどお勧め度の紹介があるというお話をいただいたのですけれども、サイトのユーザーの立場から、どの基準を最優先にするとか、そういう設定というものはできるようになっているのでしょうか。例えば、私は電源構成開示だけは絶対に不可欠であると。

○エネチェンジ株式会社巻口副社長 それはできます。それを選んでいただけることが可能です。

それで今、画面に、これが結果です。ただ、ここにこだわりポイントというものがありまして、私どもの、例えば電源の発電手段の割合を公表しているかというところをぽんと押しますと、例えば。

○エネチェンジ株式会社担当者 今、余り反映されないといいますか、プランがそんなに。

○長田委員 ないのですか。

○エネチェンジ株式会社担当者 そうです。これの場合は。

○エネチェンジ株式会社巻口副社長 例えば公表されているところが少ないので、こういう会社しかなくて、ほかの会社がぽんと飛んでしまいます。ですからこれで、例えば将来的にはこういうところをCO2の排出源係数ということに置きかえて、もっと緻密に個々にランクをさせていただきたいと思いますので、まさにここに言っているようなサポートとかいろいろ、こういう契約時の違約金があるか、ないかというこだわり。

それから、さらに自分でもっと、どういうものをこだわっているかというもので、ポイントのサービスとか、例えばガスとかLPとか、あるいは携帯電話とか、例えばソフトバンクにもう入ってしまっている人にとってauのメニューを出しても意味がないので、自分はもうソフトバンクの提携先でどのメニューを見たいのだと言ったら、ここで絞り込める。そういう形になっています。

○福岡審議官 どうもありがとうございました。

○井手座長代理 それでは、時間も参りましたので、エネチェンジ株式会社の巻口副社長におかれましては、大変お忙しい中、審議に御協力いただきましてありがとうございました。

≪3.電力自由化の下での競争政策等の課題に関するヒアリング≫

○井手座長代理 引き続き、2番目の議題に入りたいと思います。「電力自由化の下での競争政策等の課題に関するヒアリング」ということで、立教大学名誉教授の舟田先生にお越しいただいております。

舟田先生については、もう御紹介するまでもないのですけれども、経済法を御専門とされておりまして、独占禁止法とか、あるいは電気通信、ガス、電気、こういった公益事業の法制度について研究をされています。それで本日は、電力自由化の下での競争政策に関する法的な諸問題について御説明をいただき、その後、いつものように意見交換を行いたいと思います。

それでは、舟田先生、30分程度で御説明をよろしくお願いいたします。

○立教大学舟田名誉教授 舟田です。よろしくお願いいたします。

今、御紹介にありましたように、長く電力についても研究してまいりましたが、電力自由化にとっての恐らくメーンのテーマは送配電分離とか託送料という、上流といいますか、事業者間の取引のあり方であると思いますけれども、きょうは利用者との契約をめぐる競争と取引を中心にお話をしたいと思います。

資料2-1が報告要旨で、資料2-2が、最初は資料2-2で書いていたのですけれども、やたら長くなって、これは到底30分では間に合わないなと思って、要旨をつくりました。この要旨に沿って、時々、資料2-2も御参照いただきながらお話をしたいと思います。

まず「I セット割り(=)セット販売」ですが、これは独禁法でも少し以前から議論になっている点です。

ここでは、なれた日本語訳がないものですから「pure bundling」と「mixed bundling」と書きましたが、資料2-2の1ページの下にありますように、pure bundlingというものは、それぞれの商品を抱き合わせのみで販売する。いわゆる抱き合わせというものは、これをいうわけであります。それに対して、現在、電力について問題になっているのはmixed bundlingで、個別にも販売するけれども、バンドルすれば値引きしますというタイプのもので、これを分けることが大事なことであるわけです。専らmixed bundlingのお話ということになります。

なぜ、mixed bundlingが独禁法なり競争政策上問題になるかといいますと、2つの商品をバンドルすることによって、一方の独占力を他方の商品にまで拡張するという、独占の梃子ということが主として問題になっていきました。それを独禁法の構成で言いますと、Iで、セット割りが安いですということで他社を排除する不当廉売の類型と、それから、そのバンドルすることによって、これは1者でやることもありますし、あるいはほかの事業者と提携して競争者を排除する不当な排除行為という類型と、これは性格が異なるわけであります。

従来は、恐らく不当廉売かどうかということが問題になってきましたし、よろしければ資料2-3を見ていただきますと、これは電力ガイドライン、つい先日、3月の何日かに改定されたものですけれども、ここに今度の自由化に向けて、こういった改正をしますというものが出ています。これは経産省と公取の共同ガイドラインということになっています。

これから言いますと、1ページの下の欄は「セット販売における不当な取扱い」とありまして、最初のポツで不当な安値設定を行うということが出ているわけです。

もう一度戻りますが、この要旨のほうにありますように、不当廉売の系列で言いますと、電力ガイドラインは、今、見ましたように、不当な安値設定ということを問題にしているのですけれども、その場合、現在、電力自由化のセット割りは、多くの場合は2社が提携してセット割りをするということで、それぞれがコスト割りかどうかを見るということになっています。電力料金、それから、例えば携帯電話であれば携帯電話の料金、それぞれがコスト割りかを見るということです。

それから(ii)の排他的行為、排他的取引のほうについては、コストを割るかどうかではなくて、どれだけ強力な誘因効果があるか、あるいは2つの商品のうちの一つがかなり独占的であって、それによって他者を排除するかということが問題になるわけです。

現在の電力の小売について言いますと、恐らくいずれにも当たらない。バンドルされた複数の製品のいずれについても独占力が存在しない、あるいは存在していてもセット割りとして誘因化効果をそれほど生まないということで、全ての競争者が現在はバンドル全体をめぐって競争することが可能であるということです。

不当廉売のほうはコスト割れなのですけれども、コスト割れを見るのは非常に難しくて、独禁法上の従来の適用例は、多くは商品の売買なわけです。それに対してサービスの場合で、しかもこのように電力とか携帯電話のように非常に大きな装置産業の場合には、個々のサービスのコストをどうやって算定するかという難問があるわけです。そういう意味では不当廉売も、少なくとも現在問題になっているような割り引きの程度であれば問題ないだろうということです。

ただし、このようなセット割りはもちろん、消費者委員会の観点からは、こちらのほうが大事なのかもしれませんが、利用者にとって事業者をスイッチすることを大変困難にする面があります。スイッチすることは、消費者にとってなかなか面倒である。2つをどうやって解約するか、解約すると違約金がどうなるかということを考えなければいけない。したがいまして、競争制限なり競争阻害と別に消費者の転換を難しくするという問題はあるのかもしれません。

それから、IIですが、長期拘束契約です。

これについては、この委員会でも去年の8月に佐藤さんが御報告なさったのでしょうか。間違えたかもしれませんけれども、電力では特に長期契約が従来からよく使われていた。特に卸について使われていたわけです。これは競争促進的な効果もありますし、逆に競争を阻害する効果と、両方があるということです。

卸契約については、既存の電力会社。これは前の一般電気事業者10社を指しますけれども、既存の電力会社は、自由化後も当面は、各地域に市場支配的地位にあるので、卸事業者のある電源に関して長期卸契約を結ぶことはあり得ますし、問題になっている卸市場にどれだけ電源を出すかということについては渋っているのではないか。そういう議論があるわけですが、場合によっては長期拘束契約によって「市場閉鎖効果」が認められることもあり得る。

しかし、これはややこしい、悩ましい問題がありまして、既存の電力会社が自分の需要を満たすためであれば長期拘束契約も認められるということで、一体「余剰電力」がどれだけなのかということを算定することにかかっているということになります。

また、新規参入事業者が、既存の電力会社以外の電源を容易にできれば、もちろん、市場閉鎖効果はないので、この点も見なければいけないということになります。

もちろん、政策的には、卸市場の活性化という要請があるわけですけれども、先ほど言いましたように、余剰電力がなければ出せないということはやはり正当化事由に当たるのではないかなと思います。

それから、余り議論になっていない点ですが、優越的地位の濫用という独禁法上の規制類型があります。

これは、法律上は不当に不利益を与えてはならないということですけれども、従来の実務上は、取引の対価を一方的に決定したかどうかも見るということになっています。

それで現在、電力についての「標準メニュー」、それから、自由化実施後の「経過措置料金」がこれから置かれるわけですけれども、これは広い意味での原価主義に基づく算定によるだろうと思われます。

それで、何年後かに経過措置料金を廃止するということになっているようですが、その場合でも、独禁法上の優越的地域の濫用は規制の手段として残ります。しかし、独禁法上の規制というものは、もともとが事後規制、違法行為があってから規制を発動するということですから、実際の規制の発動の影響が大きくなる可能性があります。したがいまして、既存事業者10社のユーザーに対する優越的地位の濫用の可能性が少なくなってから、経過措置料金を廃止したほうがよいということで、この点は慎重に判断したほうがいいのではないかということです。

これについては、資料2-2のほうで従来の議論を書いています。優越的地位の濫用ですが、11ページです。

公取は、2012年に東電に対して違反行為の疑いがある、優越的地位の濫用の可能性があるということで注意を行っています。それは、当時はまだ一部自由化のもとですが、一部自由化のもとでも、済みません、12ページを見てください。500キロワット未満のいわば自由化対象の中の中小のユーザー、低圧ユーザーですけれども、これらについては自由化されて、相対契約に委ねられたわけですが、実際には家庭ユーザーに対する約款による供給と同じ取引の実態にあったということで、途中で勝手に値上げしてはいけないとされたものであります。

そういうことで、実態的に現在と同じように、電力会社のメニューにただ従っているというユーザーが多い間は、経過措置料金の廃止は慎重にしたほうがいいと思われます。

それから「IV 『他のエネルギーと競合する分野』における競争手段」。これは次の資料2-2の13ページにありますが、オール電化問題でいろいろ議論があったところです。

公取は警告を出しましたが、どういうものかといいますと、15ページにちょっと下手な絵を描いてみましたけれども、あるマンションをオール電化にする。例えば開発事業者が、もしそういうことにすれば、上から2つ目の箱、みなし小売電気事業者。これは既存の事業者ですが、既存の事業者は電力を供給すればさまざまな利益も提供します。

例えば変圧器室を設置しなくてもいいということですが、これをやりますと、上の箱は新規参入事業者ですけれども、これは到底、対抗できない。あるいはオール電化にすることで都市ガスやLPガスも、これは「参入困難」と書きましたが、熱源市場では参入困難という意味で、キッチン等で、熱を使う場合にはオール電化しか使えないということになります。これは不当な差別的取扱い、あるいは不当な利益による顧客誘引のおそれがあるとされたものであります。

同じことは、今の図の、15ページの下にありますように、都市ガスとかLPガスについても同じようないろいろな行為が問題になっているようですけれども、これはきょうは割愛いたします。いずれにしろ、ある熱源、電力なりガスを供給するかわりに設備を無償提供するとか、さまざまな競争手段を使うということについて、主に利用者の自由な決定を阻害することが問題になるということです。

このことについては、今回改定された電力ガイドラインでも、資料2-3の2枚目の(3)というところです。(3)の一番下で「他のエネルギーと競合する分野」云々とありますが、オール電化については供給約款・選択約款からは外れたので、そこでの記載は削除されましたが、しかし、一般送配電事業者がオール電化によって需要家を差別することは電気事業法問題となるとか、それから、これは一般送配電事業者ですけれども、みなし小売事業者についても、場合によっては公正な競争を阻害する可能性があるという記載が入っております。

時間が短いので、ざっとなめるだけで終わりますけれども、最後のVで、これは独禁法の問題ではないかもしれませんが、私、個人的には大事な問題であると考えております。

要旨の2ページの最後のところですけれども、新規参入事業者というものは、恐らく少し多目に使う家庭をターゲットとするということで、既存事業者としては、競争圧力がない第1段階。これは御存じのとおり、3段階料金制度のことを頭に置いているのですが、第1段階を廃止する、あるいは料金を引き上げるほうが経営上合理的な戦略であろうと思われます。しかし、既存電気事業者としては、従来からの、これは始まったのが1972年でしたか。社会的要請に応えるということから、3段階料金制度は残すべきではないかなということも考えられる。

しかし、これに対しては、電力自由化になった。そうしますと「競争中立性」の観点からは、新規事業者と既存事業者は同じ条件で競争すべきである。3段階料金制度は既存事業者に不当な負担を負わせるものである。もし、社会福祉という観点が必要であれば、それは政府がやるべきことである。そういう議論があり得るのかもしれません。

しかし、先ほどちょっと触れましたように、全面自由化後あるいは経過措置料金が数年後に終了するとしても、事実上独占に近い状態、例えばシェア80%とか70%とか、そういう状態が継続する限りは、まず標準メニューは存置されるべきであろう。それがないと、特に低利用者は何を根拠にしていいかわからない。その標準メニューに対しては、既存事業者に対して原価主義の規制がかかり続けるのではないかなと考えます。

そうはいいましても、原価主義というものをどう具体的に運用するかですけれども、やはり原価を立証するということで、電源構成がどうなっているなど、原価の構成要素を公表することはやはり必要であろうと思います。それをもとに、どれだけぎりぎり査定するか、現在までのように約款規制のもとと同じようにするかどうかはいろいろあるかもしれません。

しかし、少なくとも、電気事業法の規制官庁である経産省だけが情報を持って規制に当たるという旧来のスタイルは変えたほうがいいであろう。少なくとも標準メニューが存置されるのですから、それについて情報開示を広く義務づけ、多様な角度からの検討の目にさらすことが大事ではないかと思われます。

30分と言われましたので、一旦ここで終わって、皆さんから御質問なり御意見をいただきたいと思います。

○井手座長代理 ありがとうございます。大変短い時間で、中身の盛りだくさんの内容の御説明、ありがとうございました。

それでは、各委員のほうから、御説明いただいた内容について御意見なり御質問がございましたら、よろしくお願いいたします。

山内委員、どうぞ。

○山内委員 セット料金について、私、かなり興味を持っているのですけれども、先生の資料2-2のところでドイツの判例があるではないですか。このケースは、要するに電力事業者と、ドイツテレコムが地域の電力事業者と一緒になってセットで売ろうとしたということですか。

○立教大学舟田名誉教授 この資料2-2の3ページから始まっているのですけれども、3ページに、Xがドイツテレコム、原告です。それで、皆さん御存じのとおり、ドイツは地域で小さな電力事業者がほとんど独占でいたわけですが、その地域の電力会社が電気通信も自由化ということで、セット割りで販売した。それで、ドイツテレコムが地域の電力会社を「市場支配的地位の濫用」に当たるとして差止を請求したケースですね。

ですから、4ページの絵でいきますと、右側の通信で「X」と書いてある、これがドイツテレコム、既存事業者です。それで電力は、これは地域がどこであったか、私、忘れましたけれども、地域の、従来、Yが既存事業者であったところに、これも参入、電力も自由化した。それで、電力も通信も自由化した。その場合に、Yの電力のセット割りが非常に強力ではないかということでドイツテレコムが訴えた事案ですが、これは。

○山内委員 却下になったのですか。

○立教大学舟田名誉教授 請求棄却になったということです。

○山内委員 ですから、この小さい丸のところに電力事業者がくっついて入ろうとしたということですね。

○立教大学舟田名誉教授 はい。そうです。電力も自由化になったということです。

○山内委員 これは、例えば日本の場合、まだ東京とか関西とかはいいのですけれども、その他の地域というものは今、余り電力のほうの競争は起こっていなくて、既存事業者さんのシェアがかなり高どまりすると思うのです。そこで、例えば仮にですが、どこかの特定の電気通信事業者が、これを使えば、この電気通信を物すごく安くしますという形で売り出したとしますと、独占的地位の濫用になるのですか。

○立教大学舟田名誉教授 ですから、そこは1つはどれだけ割り引くかですね。コストを下回るほど割り引くかといいますか、それはまずないでしょうけれども、不当廉売はまず私はないと思っているのですが、そうではなくて、さまざまなセット割り等によって、ほかの事業者も、ここで言いますと、新規参入しようとしたXを排除するような形でセット割りが行われるということはあり得るかもしれません。

しかし、では具体的にセット割り、例えば携帯電話3社のうちの1社と組んだから、それが排他的効果を持つかということにかかってくるわけです。その点は、私はそれほどのことは今のところはないのではないかと思ったのですけれども、あり得るのは、今の図の4ページの下で、これはデュッセルドルフ高裁のことですが、セット割りをやると、新規参入者と契約すると、地域熱供給を12%高くすると言ったという事案です。

つまり、これは5ページに絵がありますけれども、ドイツは御存じのとおり、地域熱供給は地域で独占ですね。それで、電力と地域熱供給をYが独占している。それで、ガスは自由化で、Xが安い値段でオファーをしたのですが、もしXからガスの供給を受けますと、地域熱供給が12%高くなりますと。何かそういう強力な排他的な手段があれば、違法になることがあり得る。しかし、今のところ、日本の電力自由化にあたって行われているセット割においては見当たらないものですから、先ほどのように申し上げました。

○山内委員 オール電化のケースで、そこのところは全部撤去されてしまいますね。

○立教大学舟田名誉教授 そうですね。

○山内委員 あれについては何があるのですか。

○立教大学舟田名誉教授 オール電化のようなことがあれによって広くガス事業者を排除していくことが急速に進めば、あるいは進むおそれがあるとなれば排他的な効果を持つことになりますけれども、ただ1つは、オール電化というものは熱源市場に限られていることですね。オール電化にして、まず、この市場がどこかがちょっとややこしいところで、電力市場での競争というよりは、ガスも含めた市場ということになりますね。

ですから、そういう意味では少し効果が弱まるといいますか、市場が広くなりますから、よほどの行為がないとなかなか排他的な影響が、特定の事業者ではなくて、市場全体に競争を阻害するような影響というものはなかなか生まれてきにくいのではないかと思いますけれども、山内先生、オール電化について何か別のお考えが何かおありですか。

○山内委員 今、今のことについては余り自分の考えを持っているわけではないので、先生のお考えを聞きたかったのです。

済みません。時間もあれですので、もう一つだけいいですか。

○立教大学舟田名誉教授 はい。

○山内委員 私はもう一つ、セット割りで興味を持っているのは、割り引きの仕方ということと、それから、それをどこまで情報を出すかということなのですけれども、例えば電力と電気通信の場合、どちらの原資でどれだけ割り引くかという情報をちゃんと出さなければいけないのではないかと思うのですけれども、それについて何か法的な根拠はあるものですか。

○立教大学舟田名誉教授 これは私は、資料2-2ではほんの少しだけ、2ページの上から5から6行目に「2.消費者への正確で分かりやすい情報提供」、わかりやすい情報提供をすべきであると。それで「消費者にとって分かりにくい、誤解を招くようなセット販売の方法は是正すべき」とあります。

今の御質問は、割り引きの原資をどちらが出しているかを開示すべきであるということですか。

○山内委員 例えばauのスマートバリューは、こういうスマートバリューにしますと、携帯電話の料金を2,000円割り引きますという言い方をしているのです。それですと、入れば携帯電話の料金が割り引かれるのだということがわかるのですけれども、場合によってはそうではなくて、全体で幾らという表示をする可能性もありますね。それは消費者の選択をゆがめるという意味では少し問題ではないかなと思っていまして、そういう考え方はないですか。

○立教大学舟田名誉教授 消費者保護の観点からはあり得るのかもしれませんけれども、競争なり取引への影響ということでは、どちらで引こうと。

○山内委員 同じですか。

○立教大学舟田名誉教授 セットで値引きとして考えるのではないでしょうか。

それから、携帯電話の料金から割り引きますといいましても、原資がどちらから出ているか、あるいは6対4なのかということを事業者は開示する義務はありますか。出してほしいと思いますけれども、それを出せという根拠は何かありますか。

○山内委員 ドイツでヒアリングをして、ドイツでは全て料金は、割り引きはまずないのですけれども、セットで売る場合もそれぞれの料金を明示しなければならない。そういうふうになっているのです。

それは多分、私の考えでは、それぞれの消費者が幾ら使っているということを情報の中で選択しているのが大前提になりますので、そこのところの曖昧性が残りますと、経済学の理屈で言いますと選択がゆがむのではないかとは思うのですけれども、ですから、そういうふうに思っています。

あと、これもよく例に出すのですが、中古車の値段というものは、例えばあれは本体価格と整備価格と税金が合わさってトータル幾らなのですけれども、トータル幾らという表示だけではいけないことになっているはずで、本体と整備と税金が幾らというものをちゃんと明示するようになっていると思うのです。ちょっとケースが違いますが、情報を出すという意味では類似したケースのような気がしていまして、私はそこが気になっているものですから、先生のお考えはというふうに思ったのです。

○立教大学舟田名誉教授 おっしゃるとおり、内訳をなるべく、私は昔、託送料は明示すべきであると言って、今はそうなっているのですか。大分昔にそういうことを書いたことがあるのですけれども、そういうことはやはり消費者の選択にとって重要なことかもしれません。おっしゃるとおりで、勉強になりました。

○井手座長代理 では、古賀委員、お願いします。

○古賀委員 どうもありがとうございました。

セット割りのことでやはりお聞きしたいのですが、先生は先ほど、現在の割合なら問題ないという一般論でおっしゃったのですが、例えば電気のみで1,000円、通信ですと1,000円のいわゆる価格相当の契約が、それらをセットにすることで例えば1,500円になるような場合に、通常であれば両方のものをそれぞれ契約すれば2,000円になるわけですけれども、そこのところの内部でのやりとりといいますか、割りつけというものは一切問題にならないのですか。

その限界がどこなのかという点で法律的に見て問題となる場合も想定されるように思いますが、不当廉売という場合、例えば片方が全くゼロであれば当然問題になると思うのですが、その限界はどのあたりにあるのかなということをちょっとお尋ねしたいのです。

○立教大学舟田名誉教授 電力ガイドラインでは、先ほどの資料2-3の1枚目の下のところです。1つ目の○の2つ目のポツで「区域において一般電気事業者であった小売電気事業者が、ほかの事業分野の事業者と業務提携を行うことにより自己の電気とほかの商品又は役務をセット販売する場合において、自己の業務提携先に対して」、ごめんなさい、これは他者よりも不利なものとしてはいけない、これはつまり、長々と読んでしまいましたが、例えば東電がNTTドコモと提携する場合に、NTTドコモはauとは取引するな、あるいはauと取引するなら自己よりも不利なものとせよという条件つきのことです。ごめんなさい、やはり上しかないのです。

これでは、私の資料2-2のどこかに電力ガイドラインを書いておいたはずです。5ページの下の「6.電力ガイドラインにおけるセット割りについての記述」というところで、これは改定された電力ガイドラインですけれども、3行目に、供給に要する費用を下回る料金で電気を小売供給することは、違法になるおそれがある。

(注)のところで、電気とあわせてほかの、例えば携帯電話を販売する場合、一般的には、電気とほかの役務それぞれについて、その供給に要する費用を下回る対価で供給しているかどうかにより判断することになるということなので、今、御質問の例えば電気1,000円、携帯電話が1,000円で、セットにすると1,500円という場合、それは電気と携帯電話、それぞれコスト割れでないということを事業者側としては証明する必要があるという、そこまでは言えるわけです。それで、これも実はいろいろ議論はあるところですけれども、電力ガイドラインはそう言っているということです。

それで、質問は何でしたか。ごめんなさい。

○古賀委員 そこのところで、例えば不当廉売に当たるかどうかという判断をする場合に、原価主義で、通信と電力でそれぞれ、最低限どれだけの経費をかけなければいけないというものがあると思うのです。例えば電気の託送料にも満たないような値段で電気の価格を算定しているような場合は、それは完全にアウトだと思うのですけれども、そのところの限界といいますか、例えば6割・4割とか、割りつけとしては片方に余り寄せてはいけないとか、そういうことはないのでしょうか。

○立教大学舟田名誉教授 それは全くないですよ。実は携帯電話事業者が全部、私から割り引きますと言っていますから、これは別に言ってもいいことですよ。電力から割り引かないですね。大概、提携先から割り引くのです。

しかし、それを事前に公開して開示する必要が、あるいは法律上、そうする義務があるのかどうかです。違反かどうかということで訴えられたら、裁判所では両サービスがそれぞれコスト割れではないことを、立証する必要があると思いますけれども、現在の法制度のもとではどちらが幾ら、先ほどの山内先生と同じで、どれだけ負担していて、これはコスト割れしているとか、していないということを前もって事前に情報を提示する義務は事業者に今のところないと思います。それは問題でしょうか。

○古賀委員 といいますか、料金が、消費者としては電気の料金、通信の料金というものは明確である必要があると思うのです。そうしないと、電気の節電のインセンティブとか通信の節約のインセンティブが湧かないので、それは家計にとっては非常に大きな問題になるのですが、電気も通信も、いずれも従量制で、料金が変更することが考えられるわけですね。また、価格自体も頻繁に変更されてもセット販売だと高いのか安いのかがわかりにくいということがあると思います。

そうしますと、最初セット割りで買ってしまった場合に、どちらかが通信のほうが、例えば物すごく負担しているとしても、個々の人の生活態様によっては節約のインセンティブが働く情報が全く提供されないままに事が進む。生活必需品であると思いますので、やはりそこのところの供給約款のところで、ある程度の縛りをかける必要があるのではないかなと思っています。

○立教大学舟田名誉教授 おもしろい点で、私、きょう勉強になりましたけれども、1,000円、1,000円で1,500円になる場合には、例えば極端なことを言いますと、電力は引いていません、携帯電話が500円になるだけですということを明示しろということですね。

○古賀委員 はい。

○立教大学舟田名誉教授 私は、それは立法的な、政策的な提案としては十分あり得ますし、その方が確かに消費者として、自分はどういう経過で割り引きを受けているのかがわかりやすいということは言えるかもしれません。

○井手座長代理 よろしいでしょうか。

では、陶山委員、どうぞ。

○陶山委員 どうもありがとうございました。私から2つ御質問させていただきたいと思います。

1つは、経過措置料金に関連して、優越的地位の濫用の可能性が少なくなる状態というものは何を指標に見ればいいのか。先ほどシェアが80から70%程度というお話も出てきたのですが、もしシェアを指標とした場合、その可能性がなくなる状況はどの程度というふうに先生はお考えになっていらっしゃるか。

もう1点は、3段階料金制度に関連してですが、この3段階料金の導入のときには、低所得者層を配慮してということがこの制度の導入のときにあったというお話なのですが、最近の議論としては、節電インセンティブとして非常にこれは効果があるのではないかというお話をしてきたところです。そのときに、先生としては3段階料金制度は残すべき。これは低所得者層への配慮も含めて、社会的要請に応える観点から残すべきという御意見ですが、その下の反論に対して、社会福祉政策は政府の任務・負担という、この反論に対して、節電インセンティブとして、この3段階料金制度を残すべきという、この反論に対しての反論は成立しますでしょうか。

この2点です。

○立教大学舟田名誉教授 第1点目の経過措置料金を廃止するかどうかの判断のメルクマールで、私は今、政府側の説明はちょっと忘れましたけれども、独禁法から考えますと、競争が実効的に行われるようになったかどうかということになります。

しかし、それは非常に難しいことで、今、思いますと、アメリカの電気通信規制の歴史の中で、非対称規制をアメリカのFCCが導入したことがあります。そのときは60%であるというシェアで、旧AT&Tが分割されて、長距離について、当時は長距離通信自由化の競争導入ということをしたのですけれども、60%を下回るまでは非対称規制を続けると言いまして、私どもはそれを鮮烈に覚えていて、そうか、60%がメルクマールなのかということがありました。

その後、その規制は、FCCはもちろん、今、そういうことを言っていませんが、もう一つは、独禁法上、さまざまな規制があります。それで、いろいろな数字、例えば独占的状態の規制についての数字で言いますと、1社でシェア50%で、2社でシェア75%とか、いろいろ規制が、メルクマールがあるのですけれども、一般的に競争法で言われているのは、シェア40%、50%を超えると競争が働いていないと言えるのではないかということは一般的に言われていることです。

電気通信の例で言いますと、NTTドコモのシェアが40%を割るかどうかというのは非常に大きな点で、40%をどうやって算定するかも問題なわけですけれども、少なくとも電力についても半分を超えるようであれば、私はユーザーとしては多くのものが、半分以上が黙ってそれに従っているということですから、経過措置料金は残すべきではないか。これは、もしかしたら政府の考え方は違うかもしれませんけれども、競争が働くかどうかという観点からはそう考えたほうがいいのではないかなという気がいたします。

それから、3段階料金制度については、資料2-2では少し書いておきました。16から17ページですが、御質問は競争中立性の観点からの批判があるけれども、それに対しては節電インセンティブという観点からも3段階料金制度を残すという議論が成立しないだろうかということですね。

一般論として、社会福祉政策を全て政府の問題である、事業者はこれを考えなくていいという一般論は、私は非現実的でありまして、とれないと考えています。それぞれの事業者、あるいはそれぞれの産業でそれぞれ一定の社会福祉的な考慮をしてもいい。そういう考え方をとるべきであろうと思います。

それと別に、今、御指摘のありました節電インセンティブという観点からの料金体系ということはもちろん、政策的には十分あり得ることで、これは既存事業者に対して3段階料金制度を残すべきであるということになりますけれども、もし新規事業者が徐々に成長した場合には、新規事業者の料金体系についても、何か社会的な配慮があっていいのではないかということは当然、政策的にあり得るのではないかなと思います。

携帯電話については、NTTドコモ以外の2社に対しても何らかのそういう社会福祉的なこと、あるいは社会政策を組み込んだ料金体系を要求するという議論は十分あり得ると思います。

○陶山委員 ありがとうございます。

○井手座長代理 では、長田委員、どうぞ。

○長田委員 ありがとうございます。

電力の今の自由化を思ってみると、電気通信の、特に携帯電話事業者の競争の世界を思い起こして、何か自由な競争、先生の資料2-2のところにも書いてありますが、まだまだ促進される、展望が明るくないという状況の中でも何とか競争が始まって、いろいろな会社が入ってくるけれども、携帯電話と一緒で、装置産業といいますか、それを持っているところが多分強くて、この競争が進んでいくうちに、またグループ化して寡占になっていく可能性について、先生はどうお考えなのか。

それから、先ほどのセットにしたときの料金の、一体、何が幾らなのかという話なのですが、中にも御指摘がありますけれども、電気通信事業者が今、やっているような、携帯電話でやっていたような期間拘束・自動更新で基本料金の割り引きがあるとか、ああいうものが、期間拘束があるものもこの電気の中にもあると思いますが、セットで、かつ期間拘束があって、契約を解除したときの違約金の金額が妥当なのかどうかというのは、その料金が一体幾らなのかがわからないと全くなかなか算定できないのではないかと思うのですけれども、そういう意味でもセットにされたときの何が幾らなのかというのはやはり明確であったほうがよいのではないかと思います。

2番目は感想なのですけれども。

○立教大学舟田名誉教授 最初にお話しすべきだったかもしれませんけれども、御質問の第1点目については、私は電気事業のほうが展望は暗いだろうと思っています。電気通信のほうが明るい。それはいわば技術的な違いもあるのです。電気通信は自由化と同時に技術革新が次々に生まれて、需要も拡大した。そういう意味では競争しやすい環境があった。それに対して電力は明らかに衰退産業ですから、需要はこれから減るわけですよ。減る中でどうやって賢く使っていくかという、むしろそういうふうに私は見たほうがいいのではないかと思っているのです。

そういう場合に、最初にお話ししたかもしれませんけれども、競争をどれだけ入れて、それが消費者利益になるかについては、消費者取引ではなくて、その前の段階、卸段階なり発電段階での競争がうまく機能するかにかかっている。もちろん、不可欠施設の部分は電気通信でもありますし、電力でも残る。しかし、それ以外の部分でも、例えば発電事業は恐らく7割以上が既存事業者が持っているわけですね。しかも、送配電分離は恐らく法的分離にとどまったということで、通信と比べて明らかに分離という点では不十分です。

そういう中で、それからもちろん、技術的な特性もあるのかもしれません。電気通信の場合の接続が比較的うまくいったのに対して、電気の場合にはやはり全国的なプールという技術的な問題がありまして、それぞれの事業者が個性を発揮しにくいような技術的な特性もある。そういう中では、私は競争原理だけでうまくいくとは思いませんし、先ほどおっしゃった、今後のグループ化ということをおっしゃいましたけれども、むしろ既存事業者がメーンプレーヤーであることは変わりないので、むしろあり得るとしたら、言われていますように、ビッグプレーヤー間の合併なり統合ということは、もしかしたら、これは特に各企業の株主からの圧力、経営に対する批判に応える点からもあるのかもしれません。それは既存の10社がそのまま、例えば10年後、20年後とはならないかもしれません。それは電気通信を見ても明らかで、非常に大きな提携なり合併が起こるということはあります。

しかし、メーンプレーヤーとしては、既存の10社というものは残ると思いますよ。それは10社が9社になる、8社になるかもしれませんけれども、そういう意味で新規参入が非常に私はしにくい業界で、しかもなかなか既存事業者と競争しにくい環境にあるのかなという、それでももちろん、メーンプレーヤーと別に周辺の、例えば大きな火力発電所を持っている新規事業者は幾らでもありますから、部分的な競争はあり得るのですよ。しかし、それが面的にどれだけ行くかについては、ちょっと今のところ難しいような気がしております。

御質問への答えになっているかわかりませんけれども。

○井手座長代理 古賀委員、どうぞ。

○古賀委員 先ほどの陶山委員の質問とも重なってしまいますが、確認の意味で、済みません、もう一度お伺いします。

2020年に経過措置はほぼ撤廃されることが決まってしまっているわけですけれども、やはり卸売市場が本当に活性化して、事実上の独占が解消されていくかということについての、そこの経過措置をどこでやめるかという、もう決まってしまっているのでなかなか難しいのですが、私も先生がおっしゃったとおりに、そこの廃止の時期については精査すべきと思います。2年以上も前から消費者庁にも申し入れをしているのですが、消費者庁などの消費者での目線からでの経過措置の廃止時期というものは少し消費者や消費者行政サイドがイニシアチブをとる余地を残してよいのではないかと考えています。

もう一つは、先ほどの3段階料金制度のことなのですけれども、私たちはずっと3段階料金を存置すべきであるという主張をしてきたのですが、今回もそういうメニューが自由化されることによって、だんだんなくなってしまうというのは、ある程度しようがないことではあるのですけれども、託送料金についてはまだ規制料金として存続するわけですので、そこに公共料金的な見地から3段階料金的な考え方を入れて料金に反映させていくという監視の仕方があってもいいのではないかと考えるのですが、その点についてはいかがでしょうか。

○立教大学舟田名誉教授 私は実は、きょうは経過措置料金のことも言いましたけれども、同時に標準メニューのことを指摘させていただいて、これは法律上の位置づけはないのです。電力ガイドラインで顔を出すだけで、電気事業法上の位置づけは、経過措置料金と違って、ないのです。しかし、経産省、公取の共同ガイドラインでは、標準メニューは望ましい行為として位置づけられている。

私も、その程度でもいいかなと思います。それであれば、では、標準メニューはどういう根拠から出てくるのかなということについて、私は一種の説明責任があるのではないか。そういう意味で、経過措置料金がもし仮に廃止されたとしても、標準メニューがそれにかわる機能を果たすべきではないか。そうでないと、いちいち相対料金で一人一人のユーザーと価格交渉をして、一方的に値上げすると、それは独禁法上の優越的地位の濫用に当たるような、そんなばかなことはないわけですから、私は事実上の独占が残っている限りは従来のといいますか、この3月までの約款という方式は非常に便利な方式で、鉄道でもどこでも約款というものはあるわけですよ。それを廃止するのはいかがなものか。

そういうことで、私の資料のどこかに書いておきましたけれども、公取は4から5年前に約款規制を残すべきであるというものを書いて、競争を促進する官庁がなぜ約款などを言うのかと言いました。しかし、競争というものはやはり限界があるのですよ。限界があるところでは、それを補完する何かほかの手段が必要になってくるという気がいたします。

それから、託送料については御指摘のとおりで、託送料の中身の中で3段階料金制度なり、低利用者も新規参入者を選べるような託送料金の料金体系、算定の仕方はあるのかもしれません。私、実はこのことはちょっと調べて、幾つかそういうことを指摘する記事があったのですけれども、それ以上は勉強していませんので、託送料金の料金体系・算定の工夫の仕方では3段階料金制度とつながるようなやり方があるのではないかなという気がしています。

この点も、電気通信と比べますと、電気通信の接続料というものはみんなで寄ってたかって議論しているのに、託送料の中身と言われても余りよくわかっていないところが多くて、これは随分、通信と電力は違うのかなという気がいたします。もう少し議論が深まっていけばいいのになと思います。

○井手座長代理 そろそろ時間も参りましたので、そのほか、御質問はございませんでしょうか。

それでは、以上で議論を終わりにしたいと思います。

舟田先生におかれましては、貴重な御意見をありがとうございました。


≪4.閉会≫

○井手座長代理 それでは、事務局から連絡事項がございましたら、よろしくお願いいたします。

○丸山参事官 本日は熱心な御議論、どうもありがとうございました。

次回の会合につきましては、3月18日午前10時からの開催を予定しております。

○井手座長代理 それでは、以上をもちまして、本日の会合を閉会とさせていただきます。

どうも、長時間ありがとうございました。

(以上)